《Psy_Revival》 チャットログ:メイン


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目次

・導入
・トレーラー
・OP1『空蝉-Decula-』
・OP2『宿縁-Detonator-』
・OP3『始点-Journey-』
・OP4『介入者-Planner-』
・Scene1『交錯-Crossroad-』
・Scene2『侵略者-Domination-』
・Scene2『侵略者-Domination-』(戦闘)
・Scene2『侵略者-Domination-』(戦闘後)
・Scene3『防衛線-Last stand-』


導入

* :
 ………………
 ………………

 ………………………………

* :


         CCFOLIA
 

       Mobius Ring TRPG



SYSTEM :

 \ゲームスタート\
  
   \オプション  \
  
     \言語    🌎\
   
       \ボイス   🌎\

         \DLC確認   \


SYSTEM :

▼[1.データがありません]

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SYSTEM :

  __________________
   
   このスロットで
    ゲームを始めてよろしいですか? 

     /    はい    /
   
   /    いいえ    /
  __________________


SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
▼プレイヤーデータをロードしています…。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

 プレイヤーデータの読み込みが完了しました。

PC1:Renascens Decula
PC2:Deus Ex Machina
PC3:For Answer
PC4:Aghasura 

SYSTEM :

PC1:Renascens Decula
PC2:Deus Ex Machina
PC3:For Answer
▽PC4:Aghasura 

SYSTEM :
 パーソナルデータを確認しています...

SYSTEM :

NAME:Shara
M/F:MALE AGE:17 BLOOD TYPE:Unknown
WORKS/COVER:SNITCH/“BLAST HAND”

[CODE NAME:Aghasura]
BREED:CROSS 
SYNDROME:BRAM STOKER/OUROBOROS
DESCRIPT:QUESTER
IMPULSE:STARVATION
EROSION PERCENTAGE:36%

SYSTEM :
 ………………
 ……………… 

シャラ :
「オレ様はシャラ。
 コードネームは“アガースラ”、いーや、真の“ブラストハンド”──
 は? ブラストハンドはどれが本家だ?
 オレだよっオレ! 5代目ぐらいの真打!」

シャラ :
「あ? 情報提供頼んだのに姐さんじゃねェのかって?
 あねさん忙し~んだよ、イサミのケツ持たなきゃなんねェからな」

シャラ :
         ブラストハンド
「そーそー。所属はイサミと姐さんのとこ。
 カネ周りとか、情報収集とか、ワンマンバカのイサミの回収とかやってンだ」

シャラ :
「FHにはアイソ尽きたけど、UGNはウマ合わねェし?
 付き合うバカならイサミのがだいぶマシ──は? UGNいると気まずいからやめたんだろって?」

シャラ :
「ちっげーよ! 違わねーかもだけど……
 …………。
 あ? ナニ? アンタまさかサンゴの知り合い?」

シャラ :
「いたんだあいつ。家族以外にトモダチ」

シャラ :
「どこまで知ってンのかわかんねけど、先ゆっとくからな」

シャラ :
「サンゴのレネゲイドは返さねェぞ。体も食っちまったし。つーか返す方法もわかんねェし、」

『シャラ』 :
 ・・・・・・・・・・・・・・・
『ワタシもそのつもりはないからな』

シャラ :
「───あっ」

シャラ :
「クッソ! 勝手に口使うな!
 とにかくそんなだし、昼間のこいつゼンゼン会話成立しねェから! 話とか無駄なんで!
 情報はもうその端末送ったから帰る! サヨナラ! バイバイ!」

おだまき :
……というわけで!

おだまき :
おだまきです。動かすPCは“アガースラ”シャラです。

おだまき :
数年前に“ロード・オブ・アビス”による日本支部転覆から始まり、既存の国家組織をすべて破壊したFHによる統治が敷かれたステージ「エンドライン」からやってまいりました。
基本ステージだと、観客席レギュラー「翠簾野珊瑚」がウロボロスに覚醒した頃に出会って死んじゃったオーヴァードなんですが、エンドラインではこちらが生きています。

おだまき :
いろいろある死んださんごとの約束もついでにあるのでFHを完全に脱退し、趣味と実益を兼ねて、FH相手にゲリラ戦を行う組織「ブラストハンド」に所属しています。

おだまき :
FH時代はプロジェクト・アダムカドモンで蟲毒をやらされており、この過程で珊瑚を物理的に食ったことによってウロボロス共鳴を果たし、その知識・残留思念と同居してます。

おだまき :
各種能力値の上昇とかエフェクト適性の変化を、Dロイス「真実を知る者」で取得したAIDAで表現してます。データ的にはともかく実質はAIDAではないです。

おだまき :
性格的にはにぎやかし担当です! 少年らしくかっこつけだけど世間様にはわりとうとく、アホ言われるとすぐ信じ、中の人の指摘ですぐ気付いてキレるなどしたいです。あとブラコンです。お兄ちゃんも食い殺しちゃってるけど。

おだまき :
データ的にはAIDA+Dロイス補正で【精神】【社会】のダイスを5個ぐらい多く振れるようになったサブアタッカーです。FS対策の無形の影も積みました。
鮮血の奏者でセットアップ火力底上げができたり、シュガーラッシュでエフェクトのレベルを後出しで上げられたりします。あと情報判定の達成値を+2できたりします。

おだまき :
…という感じになります。

おだまき :
実質的には完全新規かつはじめてのステージ出身なのでどきどきしていますが、エンドライン出身らしくたくさんアンジャッシュしていきたいと思います! よろしくお願いします!

GM :
よろしく~!

GM :
 さて! というわけでPC4…。
 
 “アガースラ”、シャラくんのエントリーだ!

GM :
 周囲の卓で遊ばれている「基本ステージ」とは違うもうひとつの未来…。
『エンドライン』。ここでレジスタンス活動を行っている組織、ブラストハンドのメンバーさん!

GM :
 専門用語二つも出たから、そうだな、ざっくりと説明するとだね…。

GM :
 いや、よく見たらもうPLが説明してくれちゃってるけども一応ね…。(もったいない精神) 

GM :
『エンドライン』はFHがUGNに勝利して、オーヴァードの存在が公表された社会!

 一見すると未曽有の繁栄を遂げてレネゲイドスゴい! になっているけど、
 裏では人体実験も情報統制も反乱分子をZAPZAPするのも呼吸するように行われてる!
 公式NPCもあんな人やこんな人がだいぶ悲惨なことor愉快なことを書かれているよ!

GM :
 たとえば”ディアボロス”はこの世界線では『ミスとは無縁の完璧で優秀な、本物のエリート』だよ。
 ウソみたいでしょ?

GM :
 で、ブラストハンドはそこで活動しているゲリラ的組織!
 公式リプレイ『ストライク』にその前身? 人物の詳細? が書いてあるから、気になったらそっちを見てね。

 とりあえず久坂勇っていうスゴイツヨイオーヴァードがいて、
 彼以外が彼をサポートして、彼がえいやーって突っ込んで、終わったら彼とサポート要員がわーって帰るみたい。実際どうかは不明だけど、そんなイメージだよ。

GM :
 まあ、基本的にエンドライン世界はだいぶ「これ“““詰み”””だよね?」を感じる気風だけど…。
 何とかなると思っているから、どこかギリギリで続いているのかも? 知れないね。

GM :
 …ところで彼の名前、聞いたことある? 改めての話だけどね。
 基本ステージにも全く同じ“ふたり”がいるよ。

 どっちがどっちを連れて歩いているのかが違う……イミがよくわからない?
 そのあたりは、きっと本人が語ってくれたことのほうが詳しいんじゃないかしら。

GM :
 彼にとっては、「エンドライン」の誰それと「基本ステージ」の誰それは、また違った新鮮さがあるはずだよ。
 良いも悪いもね。生き抜いた後の土産話にできるよう、くれぐれもゴジアイだよ、ゴジアイ!

GM :
 彼はステージ専用Dロイス『真実を知る者』を持ってきている!
 これは常備化[40]点以下のFHアイテムを一つ手に入れ、それを使用した判定のダイスを+2個するDロイスだ。

 それで選んだものは本人の発言通り!

GM :
 しかし今回のPCたちは示し合わせたように社会のダイスが低め! 
 まあ、だいたいみんなケアの手段は持っているみたいだけど…。
 そういう意味では彼はチームの尖りを補う能力を持ってきた、と言えるね。
 
 その究極系は『無形の影』による精神置換! どの判定もこれとコンセントレイトで…。
 理論上は五分以上に持ち込める。事前説明があったとはいえ、FSの汎用性と小回りがよく利く仕組みだよ。

GM :
 でも『サングイン』と『鮮血の奏者』で火力の底上げはGMを泣かせるって意思表示かな。
 あと、どうせ敵がオーヴァードだからってキルリーダー持ってきてるのもニクいね。対抗種に謝ってほしいよねコレ。

GM :
 なんて話はさておいて、総合的に見れば…。
 出来ることの多さで器用に立ち回れるつくりになっているワケだ!
 イージーエフェクトも以下同文! なんでもそつなく! そして、転んでも只では起きないところを期待しよう!

GM :
 そんな彼のHOは…。

SYSTEM :
HO④:Turning point of fate

 以下のHOは選択式となっている。選んだHOをPCが担当する。

SYSTEM :

β:Drifter
 シナリオロイス:“プランナー”都築京香 or ??? 推奨感情:○P有為/N脅威
 カヴァー/ワークス:任意/任意
 条件:『基本ステージ』の人物ではない

 先ず始めに断っておくと、あなたはこの世界の人間ではない。

 あなたはあなたの生きていた時代、世界から、
 ある人物の言葉に応じて『扉』を潜り、この世界にやって来た。
 理由は定かではないが、その人物…? の言葉は概ね要約すると次のようなものである。

「あなた方の生きている現在、そして過去と未来が、ふたりの欲望で壊れようとしております」

 あなたがその人物について分かることは、強大なレネゲイドの塊であるということだけ。
 そしてあなたが扉を潜った先で、あなたは『ゼノス』の盟主、“プランナー”都築京香と接触する。

 ※「???」はオープニングフェイズ以外では一切登場しない。

GM :

 彼はそのブラストハンドの一員として活動している時……。
 なぜかFHのプランナーからお願いをされるよ。おかしいね。彼女、タチバ上は敵なんだけどね。

GM :

 しかも、そのプランナーと…シャラくんのシンドロームは……。
 すっっっっっっごく相性が悪いんだけどね………?

GM :
 …じゃあどういう経緯で会うのかって?

GM :
 ………………………。

GM :
 はいそれじゃあ以上でGMコメントを終了としますよろしくね(力技で押し流す)

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :

PC1:Renascens Decula
PC2:Deus Ex Machina
▽PC3:For Answer
PC4:Aghasura 

SYSTEM :
 パーソナルデータを確認しています...

SYSTEM :

NAME:Sydney Hess
M/F:FEMALE AGE:17 BLOOD TYPE:Unknown
WORKS/COVER:"TEMPEST"/"TEMPEST"

[CODE NAME:For Answer]
BREED:PURE 
SYNDROME:EXILE
DESCRIPT:STRANGE NEIGHBOR
IMPULSE:TERROR
EROSION PERCENTAGE:36%

SYSTEM :
 ………………
 ………………

シドニー・ヘス :
「カメラ──よし。
 マイク──よし。
 あたし──多分よし!」

シドニー・ヘス :
「十何年か前の大規模作戦でも、大先輩がこーやってPR動画を撮ったって聞いたので! あたしもやってみようと思います」

シドニー・ヘス :
「って言っても、これはプライベートな自撮りです。つまり願掛け! 大戦果あげちゃうぞー、的な……?」

シドニー・ヘス :
「んんっ、こほん」

シドニー・ヘス :
「あたし──じゃないっ、小官は! 三海兵遠征軍所属、テンペストの"フォー・アンサー"であります!」

シドニー・ヘス :
「親子三代、筋金入りの軍人家系です。小官は飛び入り……わりとコネ……入隊なんですけど。
 お祖父ちゃんは元DARPA局長で、なんでもテンペストの設立にも関わったとか。レネゲイド研究にも熱心で──」

シドニー・ヘス :
「……んと。話、逸れちゃうかな」

シドニー・ヘス :
「小官も、今ではレネゲイドの功罪を受ける身です。くわしい経緯は機密なんで、記録にはあたしの性能だけ残しときます」

シドニー・ヘス :
              ピュア
「エグザイル・シンドロームの純血種! でもでも、きゅいーんって尖ったり、ぐんにゃり柔らかくなったりはしないです」

シドニー・ヘス :
「ですけど、すっごい頑丈です! 小官のばあい器物に侵蝕するんです。
 鋼鉄や合金みたいなカチコチしたものと一つになるイメージですね」

シドニー・ヘス :
「あとは中身をいじるのも得意です。心臓ずらしたり、一時的に骨格を補強したり。
 一体化した器物はあたしの延長線上だから、装備の性能を上げたりもできるんです! えへん」

シドニー・ヘス :
「総量自体は増やせないんで、その分どっかがスカスカになっちゃうのが難点かなー」

シドニー・ヘス :
「そこで頼れる相棒の出番──あ、や、だめ、だめだめ、いまのなしです。オフレコっす」

シドニー・ヘス :
「う、うおわ~……やっぱ消そう! 匂わせ動画流出、軍事裁判、不名誉除隊! とか困るっす」

シドニー・ヘス :
「とほほ……願掛けから失敗なんて……」

シドニー・ヘス :
「……さいごにいっこだけ」

シドニー・ヘス :
「明日が、あたしの初陣です」

シドニー・ヘス :
「戦場に出ます。あたしを思ってくれた人たちの反対ぜんぶ押しきって、シドニー・ヘスはしなくてもいい経験をしに行きます」

シドニー・ヘス :
  FOR ANSWER
「──答えのために」

ask2 :
PLのask2です。今回はPC3、テンペスト所属シドニー・ヘスで参加します。

ask2 :
ヘルムート・ヘスの孫、デジ田の弟子、ダンさんの後輩! 多方面ゴシゴシPCです、みんなありがとう。ゴシ……

ask2 :
そんなヘス姓ガールは明るく元気な後輩キャラ! ガッツはあるけど地金は臆病! ニギヤカ担当をめざします。

ask2 :
祖父の死の真相を追ってレネゲイドを知り、テンペストに入隊するべく人体実験を受けて覚醒しました。
Dロイスは「奇妙な隣人」。UA軸でRB兵器運用の実用化を探るテンペストにとって、成功例のひとつだったの……かも!

ask2 :
ゲーム的な性能は、例によってガード屋です。

テンペストのエンブレム「スパルタンソルジャー」とRB専用エフェクト「デスレスネス」によって常時HPダメージをマイナス30する、きわめてタフネスな孫娘です。

ask2 :
FS向けに【肉体】判定も鍛えてきました。お買い物も得意です。

よろしくお願いしまーす!

GM :
よろしくお願いしまーす!

GM :
 さて! というわけでPC3…。
 
 “フォー・アンサー”、シドニー・ヘスちゃんのエントリーだ!

GM :
 …ヘスってドイツ人の苗字じゃないかって? まあまあ話は最後まで。
 というか本人が言っていたねフツーに。

GM :
 このあたり、解説するにはとても長くなっちゃう。掻い摘んで話すと…。

 基本ステージのその前を描いたオリジナルステージ『Before Crisis』を舞台とした卓…。
 通称で『過去編卓』に登場したNPC、ヘルムート・ヘスのお孫さん。
 お爺さんはそのDAPPAの元局長で、彼は彼なりの理由で物語に関わっていたわけだ。残念ながら故人だけど…。

GM :
(ttp://maxwell92.cloudfree.jp/Falling_down_Sodomy_City/Falling_down_Sodomy_City_Top.html)

GM :
 さておき、彼女の立場は…テンペストの将校さん…ではなく新兵さんだ!

GM :
 DAPPAから志願で回ってきた挙句、初手オーヴァード覚醒実験ですんご~く…綱渡りな、経緯を辿ったようだけど…。
 オーヴァード兵士ということで初手からおっきいハードルを無茶ぶりされつつ、訓練期間を終えて、いよいよ実戦!

GM :
 ところがその実戦は、新兵さんに任せるにはちょっとクセがあるというか、大変なことになりそうというか…。
 まずは予備役にしてこれからの上官となる人と出会いに行くみたいだね。

GM :
 ビルドの解説は…エグザイルのピュアブリード。
 加えて『プロトアームドスーツ』に『スパルタンソルジャー』に『デスレスネス』………。

 どうやらHPダメージ30点軽減を売りにした、所謂ガード屋だ。

GM :
 装甲値でもないしガード値でもない。「HPダメージ」の軽減というわけだから、非常に貫通されにくい!
 高経験点レギュレーションならではの設定かもね。

 その上で『がらんどうの肉体』を使って更にHPダメージを軽減できるし、装甲もガードも疎かにしていない。
 相手さえ間違えなければ、滅多に斃れない盤石の構えだ!

 ちなみに攻撃性能は何をどう見てもなかったけど、そこはそれだ。そのための他のPC!

GM :
 そんな彼女のHOは…。

SYSTEM :

HO3:Irreconcilable
 シナリオロイス:”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー 推奨感情:○P任意/N任意
 カヴァー/ワークス:任意/テンペスト

 あなたは何らかの組織の構成員、またはエージェントである。
 なおUGNの場合であれば、チルドレン、支部長の何れか、
 FHの場合であればチルドレン、セルリーダーの何れかでも構わない。
 ただしどちらの場合でも「イリーガル」「マーセナリー」と言った、組織の外様にいるようなワークスは択べない。

 あなたは未だ明るみにはなっていないものの、世界的に発生する『停電』や電子機器の暴走事故………。
 その不可解な事件に関連付けられる黒幕が、
 何処の組織かも判明していない通称『刻知らず(ネイムレス)』というグループなのだと突き止めることが出来た。
 彼らの拠点を突き止め、”ホワイト・スカイ”と共に潜入。首謀者の制圧のため動き出すが───?

GM :
 …ちなみにこのシナリオロイスは「組織」によって変わる構築になっていたよ。
 それなりに幅の広い、アドリブ重点! な枠ってコト。

 彼女がどう立ち回るか、どう歩こうとするのか…ご注目だ!

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :

PC1:Renascens Decula
▽PC2:Deus Ex Machina
PC3:For Answer
PC4:Aghasura 

SYSTEM :
 パーソナルデータを確認しています...

SYSTEM :
NAME:Kugetsu makina
M/F:FEMALE AGE:15 BLOOD TYPE:Unknown
WORKS/COVER:PROGRAMMER/HACKER

[CODE NAME:Deus Ex Machina]
BREED:PURE 
SYNDROME:BLACK DOG
DESCRIPT:LEGACY
IMPULSE:DESTRUCTION
EROSION PERCENTAGE:31%

SYSTEM :
 ………………
 ………………

マキナ :
「どうもー。
 えっと氏名年齢住所からだっけ?
 玖月マキナ。マキナでいいよ。
 統一政府暦63年。累計稼働時間は15年……いや15歳ね」

マキナ :
「住所……いや、私市民権とか持ってないんだけど。
 ジョリーロジャーベースがそうかな? ま、それでいっか」

マキナ :
「あ、一応仕事はもうやってるからこれも言っとくね。
 クロノスガーディアンの派遣執行官やってます。
                    プレインズウォーカー
 オーバークロック案件に際して派遣された時 間 渡 り。
 オーヴァードのレネゲイドがジャームでアボーン。
 だいたいそんな感じ。理解した?」

マキナ :
「まあつまり。私はその辺の都合であんたたち当てに『電子の妖精』とかいうのを捜してるんだけど……」
 

マキナ :
「うん、まあ分かってたけどだーめだこりゃ、全然話についてこれてない。
 私、今ほぼ包み隠すことなく話したんだけど。だから言ったでしょウェンディ、全部正直に喋っても信じる奴なんていないんだってば」

マキナ :
《現地の役人に対して誠実に対応するのは結構ですが。
 不用意な発言が多すぎます。
 処置をして、この場は撤退が宜しいかと》

マキナ :
「……はいはい。分かってる、念の為の記憶処理ね。
 結局コレ使うのね、余計に話し拗れることあるからあんま使いたくないんだけど」

マキナ :
「じゃ、そういうわけでこのペンライトの先よーく見てねー。とりますよ~。
 3,2,1……パシャッっと」

海藻類 :
俺はその女に毒電波をぶつけられ、目が覚めたら……体が親父になってしまっていた!!!!!!!!!!!!

海藻類 :
ということで"すべて世はこともなし"PC2役の海藻類です。
色々話す前に、まずは立ち絵提供いただいたオオトリさんにこの場を借りて感謝の言葉を述べさせていただきます!
めっちゃ可愛い立ち絵ありがとうございます!

海藻類 :
 パワープレイでPCに語らせましたが、故あってクロノスガーディアンステージからやってきた未来人です。多分2,300年ぐらい先の世界線の娘です。
 今回は本来の仕様とも異なる「直接未来からやって事態を収めるために動く」タイムパトロールとして色々頑張ることになる予定です

海藻類 :
 基本的に俺は面倒が嫌いなんだを地で行くキャラですが、なんだかんだで丸く収まるように体張ってくれるそんな感じの背伸び気味の15歳です。
 斜に構えたことをどれだけ言えるかはPLの課題の一つです

海藻類 :
データ的には射撃アタッカーのピュアブラド!
『フルオープンうっときゃええねん』という理念の元、火力を全部それに任せて後はユーティリティ周りを抑えた感じの構築となっております。
射撃担当ですが無敵のイリーガルモービルで代替のことが出来ます。オラッ4dx加算!(下ぶれて失敗する音)

海藻類 :
そんな感じに今回はカルデアやらせてくれるということで思い切って別ゲー感マシマシのPSO2辺りに居そうなキャラでやらせていただきました。
こちらでも異世界ギャップで色々出来ればなと思っております、よろしくおねがいしやす!

GM :
 よろしくお願いします!

GM :
 さて! というわけでPC2…。
デウス・エクス・マキナ
 “凡て世はこともなし”、玖月 真綺那ちゃんのエントリーだ!

GM :
 ちなみにこのコードネームだからって後ろにチャートとかついたりしないよ。

GM :
 出自は彼女が話した…? 通り。
 けっこうサイエンスでファンタジーな未来から時の渡り人にジョブチェンジして…クロノスガーディアンの実働要員! 
 この組織、いろいろと曖昧なところも多いんだけど。

 まあ、要は…。
「ジャームの時空改変に対して現地の人間を通じて働きかけてなんやかんやしながら阻止する」組織だね。

GM :
 ちなみにこの“時空改変”自体、そもそも歴史にすら繋がりを持てないジャームじゃないと出来ないし…。
 それの阻止自体も、同じように“その時代か、その時代より過去の人”の意志なり行動じゃないとダメなんだけど…。
 
 現地徴用が難しい状況、時代で『武力』のアシストが必要な時に送られるのが彼女ってカンジだ。
 現地の人間の意志と実行であれば割と何とかなる!

GM :
 もちろん彼女が言うようにクロノスガーディアンの基本的な問題解決パターンとはちょっと違うんだけどね。
 そこのところはいろいろジジョーがあるみたい。

GM :
 ビルドについてだけど、ブラックドッグが誇る最新サプリメントの追加エフェクト。
「このラウンド中移動不可」を代償にしたダメージダイス+LvD効果を持つ『フルオープン』がメインの構築だ。

GM :
 あとは無難に固定値って感じだけど、蘇生技能も、万一の時にガードをぶち抜く『バリアクラッカー』もある。

 そしてメインウェポンじゃない方でしれっとレーザーランチャーを積んでる!
 至近不可の代わりに装甲無視だ。持ち替えと合わせて、命中に優れる武器と、装甲を撃ち抜く武器の二枚看板。
 そしてイリーガルモービルもあって、これどうも”その場にヴィークルがない”状態でも機能するみたいでね。
 だから、実は…実はどんな場面でも、見た目の能力値より振れるダイスが多い! これがさっき話に出した保険の具体例だね。

GM :
 …ただなんかぁ…この説明に既視感があるというか…。
 …お世話になったぶん、強さを知っているというか…。

GM :
 C値のあるイリーガルモービルって…。
 いいなあ、というかあ…。

GM :
 ま、まあいいや。
 最後にそのHOを公開するよ。

SYSTEM :

HO2:Rules of Engagement
 シナリオロイス:??? 推奨感情:○P傾倒/N敵愾心 等
 カヴァー/ワークス:任意/UGNイリーガル、フリーランス等
【推奨】:シンドローム『ブラックドッグ』
【指定】:ライフパス/出自「天涯孤独」&経験「記憶喪失」、新規PCのみ使用可能

 あなたは世界規模で起きるこの事件の少し前から、奇妙な『電子の妖精』のうわさを耳にしていた。
 不思議な悪戯、あるいは幸運を齎すなどと噂に尾びれのついたそれを、どのような感情から追いかけたのかは定かではない。任務、好奇心………実際に遭遇した可能性すらあるだろうか。

 あなたは僅かな情報源を頼りに、その噂の真相を追いかける。
 そして辿り着いた病院は、PC1のいる病院だったが………? 

SYSTEM :


 尚………あなたは人死や犠牲を許容していい性格ではない。その理由、尺度はお任せする。
 そのあなたはとある人物と強い因縁、ないし確執を持っている。
 因縁の内容はシナリオ前に、対象PLにのみ公開される。

GM :
 彼女自身はゼノスのお手伝いさん扱い。
 プランナーは何か思惑があって、真綺那ちゃんを出待ち…じゃない…お出迎えしたみたいだ。

 …それに彼女自身も投入される前後に何か理由がありそう。

GM :
 コード通りにできるのか! 
 結末はあなたの中にある! 乞うご期待だ。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :

▽PC1:Renascens Decula
PC2:Deus Ex Machina
PC3:For Answer
PC4:Aghasura 

SYSTEM :
 パーソナルデータを確認しています...

SYSTEM :
NAME:Noah Winters
M/F:MALE AGE:13 BLOOD TYPE:A
WORKS/COVER:RENEGADE BEING[C]/CYBER GHOST

[CODE NAME:Renascens Decula]
BREED:CROSS 
SYNDROME:BLACK DOG/HANUMAN
DESCRIPT:REINCARNATION
IMPULSE:SELF-INJURY
EROSION PERCENTAGE:43%

SYSTEM :
 ………………
 ………………

PN:Decula_0x00 :
「……ん?」

PN:Decula_0x00 :
「あーはいはい、そうだよ。『ダブルクロス』の天才プリズナー、デキュラ様ってのはってのはボクのことね?」

PN:Decula_0x00 :
「それで、新入り君がボクに何の用?
 今から山岳にエレメンタル狩り行くトコだからさー、なんか頼み事があるならさっさと言いなよ」

PN:Decula_0x00 :
「あー……“アダマンゴーレムが倒せないから手を貸して欲しい”?
          ジョブ
 バカじゃないの? 職がファイターのままで、武器も物理属性じゃ苦戦するに決まってるでしょ……」

PN:Decula_0x00 :
「正直ダルいんだけど……分かったよ。
 あんなのボクにかかれば数分もかからないからさ」

PN:Decula_0x00 :
「あ、キミはついてこなくていーよ。
 ザコキャラは扱いづらいんだよね。いいから、黙って後ろでボクの戦い方を学んでなよ」

  :
. . . . . .

  :
 ボクは、天才だ。
 勉強だって、スポーツだって、もちろんゲームだって、ボクにできないことなんかない。

  :
 ボクが望めば、地球の裏側だっていつでもいける。雲の上だって泳けるし、海の底だって散歩できる。

  :
 ……でも、ボクが天才でいられるのは、
 このヘッドセットを身に着けている間だけ。

  :
 魔法の鎧を外した途端、鼻をつく消毒液と病院食の臭いが、ボクをベッドの上から降りられないみじめな病人に貶める。

  :
 
 現実っていうクソゲーは、こんなチートなんて許してはくれないらしい。

  :
 ……ボクは、ボクのことが嫌いだ。

  :
. . . . . .

変態のオジサン :
 どう、親愛なるPLのみなさん? 電磁ムチのお味は?
 PC1を担当するのは、このアタシ!ロメオって名前らしいわよ!

変態のオジサン :
 それはさておきPC1の少年、ノア=アルコア・ウィンターズくん……
                        プリズナー
 弱冠13歳にして、VRMMORPG『ダブルクロス』の中毒者!
 お父さんから貰ったヘッドセットでいっつもネトゲに興じているらしいわねェ。

変態のオジサン :
 『ダブルクロス』はアタシも大好き、更新パッチはソッコーDLしてるわ。
 だけど寝る間も惜しんで昼夜ネトゲ漬けなんて、おバカちゃんねェ…

変態のオジサン :
 ちなみにこのカワイイ立ち絵の元は、アタシが大活躍する『蒼い雷霆 ガンヴォルト』に登場する“怠惰なる亜空孔”メラク!
 ノアくんと同じく13歳。二つ名通りにメンドくさがりの頭脳派な男の子。ダブルクロス的にはノイマン/バロールってトコロでしょうけど……
 ノアくんはブラックドッグ/ハヌマーンのクロスブリード。能力はあまり関係ないわね。

変態のオジサン :
 ならどうしてメラクを立ち絵に選んだかというと……
 原作通りにカワイイ少年をいたぶりたかっただけ!
 つまりはシュミッ!!

変態のオジサン :
         コエ
 さぁ~少年! いい絶叫で鳴いてプリィーズ!

変態のオジサン :
 ───この雷光はッ… まさか…第七波動!?
 …まさか…ガンヴォルトッ!?

変態のオジサン :
 捕獲した少年が脱走したわッ! すぐにエレベーターの電源を落としなさい!

指鳴り :
 ……ややおふざけが過ぎましたね。
 改めてPC1を担当いたします、指鳴り/スナップと申します。本卓でもどうぞよろしくお願い致します

指鳴り :
 ノア=アルコア・ウィンターズ、13歳。
 幼少期から大病を患い、ベッドの上で寝たきりの生活を過ごしてきました。
 彼の心の支えは、彼の父が昔贈ってくれたVRのヘッドセット。彼はこれを用いてMMORPG『ダブルクロス』にいつも籠っています。

 ……ちなみにこのゲームについては2nd時代のルルブ『アルターライン』に載ってるぜ!

指鳴り :
 ワークスはレネゲイドビーイング、カヴァーはデジタルゴースト。ですが、物語の開始時点ではレネビどころかオーヴァードですらない……つまり世にも珍しい『覚醒枠のレネビ』ということになりますね。

指鳴り :
         レナセンスデキュラ
 その二つ名は、“電界翔ぶ蟪姑”!
 Renascens Decula……直訳すると「甦ったデキュラ」ってトコですね。
 デキュラというのはアメリカに棲息する『周期ゼミ』の一種で、どうやらゲーム内で名乗っていたHNから取ったようですが……その理由は追々分かることでしょう。

指鳴り :
 データ面の説明もしときましょう。
 最も特徴的なのは、ブラックドッグの特権とも言うべきハードワイヤードをフル活用した〈RC〉の固定値でしょうね。
 そこに《オリジン:レジェンド》でダメ押しをキメています。

指鳴り :
 正直にぶっちゃけると……今回のビルドは《見えざる僕》を電磁結界と言い張ってDX3rdで合法的に擦り倒したいが為の構築です。

 おかげでRCの固定値が脅威の27+8に到達したので……
 ついでにサイレンの魔女を火力枠として搭載してみました。

指鳴り  :
         クードス
要らないわよねぇ、誉れなんか!
それで勝てるって言うんならさ!

指鳴り :
 ……失礼、本音が漏れました。
 ただ、見た目の固定値こそイカついですが、実際には火力パーツをロクに積んでいないので総合火力はどっかのハンター系お嬢と比較してやや低めです。
 また、良くも悪くも固定値頼りですので、国削ぎなんかされた日にゃ潔く沈むしかありません。
 主人公というより、まるで厄介なボスみたいなデータですね!

指鳴り :
 もしかしてこの子……原作でボスだったとか……?

指鳴り :
 ともかく、露払いが主な仕事とご承知置きくだされば実態と相違ないかと思います。

 あと、これはやや個人的な事情にはなるのですが……
 このドラヴォルト卓、急遽開催が早まったということもあり、まだ脳内でティーンな少年のチューニングが万全にできているとは言い難い状態です。
 然るに、同卓者のおださんはよくご存知のことかと思いますが……

指鳴り :
 油断するとこのバケモンがそんな幼気でもない少年にやや混ざるかもしれません。
 そのときはどうぞ温かい目で見守ってください。

指鳴り :
挨拶が丁寧になりすぎたようですね!
どうぞよろしくお願いします!

GM :
 うへぇ。なにあの人。…ヘンタイさん?
(直前の電撃ムチを見ながら)

GM :
 ま、まあいいや! よろしくね!

GM :
 さて! というわけでPC1…。
レナセンスデキュラ
 “電界翔ぶ蟪姑”、ノア・ウィンターズくんのエントリーだ!

GM :
 だいたいの説明は本人がしてくれたから、ほとんど焼き直しの話になるけど…。

 彼は…物心ついたころから不治の病に斃れて、ミネソタ州の某病院で一生を過ごしているようだね。
 日本とそれ以外じゃ治療費は吃驚するほど違くて、彼の父親はずっとお仕事中。
 少なくとも顔ももう一致しないくらいみたいだ。

 …彼のお父さんはもともとテンペストの人間だったそうだけど、そこのところは一旦置いておくね。

GM :
 そんな彼の少年時代、唯一熱中したものはMMORPG『ダブルクロス』!
 世界設定上のフルダイブ式VRゲームだよ。
 …ゲームであっても遊びではないとか、どっかで聞いたことある前口上流れて来そうだよね。

GM :
 少なくとも彼はここではヒーローだ! なんでも出来たし、最前線でひとかどの有名人!

 けれど、後で説明する通り…。
 彼の現実はもうそろそろ終わっちゃう。

GM :
 そんな彼だけど、OP中にその生涯を閉じる………はずが、ご覧くださいDロイス。

 何かが起きるみたいだ。
 コンティニューなのか、プラスのニューゲームなのか。どう捉えるかはきみ次第…かな。

GM :
 で~…ビルド、なんだけど…。

GM :
 サイレンと援護の風に加速装置ですって? 
 グッドでスタッフなビルドだねコレ。ハハハやりやがったなこのヤロウ。

GM :
 ただ、それだけには終わらないオモシロいエフェクトがついてる!
 RCで回避を行う『見えざる僕』と「オリジン:レジェンド」を掛け合わせて、固定値35で回避を行えるんだ。
 まあ…ノーコストじゃないけど、リザレクトだって1d10掛かる。もともとの消費の重さを考えれば十分な利点があるね。

GM :
 そしてサイレンの魔女最大の欠点はC値が[10]なことだ。
 これが案外回らない(実体験)(n敗)。

GM :
 良くも悪くも安定しがち。その安定でどうにかならないところを”どう”するか、だけど。

 少なくとも『シーン攻撃と回避が得意なPC』なのは事実だ! ニガテは仲間に、得意はできる限り多く! パーティプレイの基本をなぞって頑張ろう!

GM :
 最後にそのHOを公開するよ。

SYSTEM :

HO1:Halfy
 シナリオロイス:ハーフィ 推奨感情:○P傾倒/N任意
 カヴァー/ワークス:任意/レネゲイドビーイングA~D
【指定】:シンドローム『ブラックドッグ』、Dロイス『転生者』

 あなたは不治の病の結果として死亡する。
 老若男女のいずれか、国籍は何処で経歴はどう………いずれを問わず。
 いずれだろうと関係はない。
 オーヴァードならば、何処かの事件や自らのレネゲイドによって死亡する。

 しかしあなたは、零と一の狭間にて蘇った。
 まるで夢物語みたいな電気の力を手にして。
 あなたは目を覚ます。その時には、世界はあなたの知らないものになっている。

 そんなあなたの前に現れた、とある少女がこう語る。
          ・・
『きみには世界を救う権利があるの』───。
 言葉の意味を知らされる暇もなく、終わりへ向かって歯車が動き出す。

GM :
 彼にとって、一度シャットダウンした命にどんな意味があるのか…。
 そもそも彼、それを望んでいたのか…。

 全部これから次第だけど…。

GM :
 まあまあ。きっと良い意味さ。
 始めの第一歩こそ、そう思わなくちゃ!

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
▼プレイヤーデータのロードが完了しました。

SYSTEM :
▼ステージデータのロードを開始します。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

 

トレーラー

* :
 20XX年現代、人知れず変貌した世界においても“それ”が持つ役割は変わらない。

 夜闇を払う不夜の城を、0と1の数字で構築された電子の海を。
 遍くモノを作り、また消費させるに至ったエネルギーを、電気と呼んで久しい。

* :
 目に見えぬ何処かでそれは飛び交い、生活圏を支える生命線となっている。

 人知れず変貌した世界においても、あるいは“それ”はレネゲイドという異物と共存を果たそうとする概念の一つかもしれない。

* :
 ………その智慧の光が強く濃くなればなるほど。
 影もまた強くなる。

* :
 結論から言うならば、これはその影と。

 影を悪用しようとした人間の、お話だ。

* :
 ………………
 ………………

───曰く。 :
 不可能を可能にすることに喜びがあるように。
 可能が不可能になることこそ、耐え難い苦痛がある。

 

OP1『空蝉-Decula-』


SYSTEM :
【Scene:空蝉-Decula-】

Scene Player:Noah
   Erosion:OFF

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

 ………ロストエデン。

SYSTEM :

 世界の中心にある“命の泉”からもたらされる恵みによって、すべての人々が平和で調和に満ちた世界だった。
 だが、突如としてあらわれた四人の“魔神”によって、泉は封印され、逆に“魔の力”を吐き出すようになった。

SYSTEM :
 その力は、命あるものを凶悪な怪物、魔神の眷属に変化させるという性質を持っていた。
 魔神は、それらを率いて人間世界に宜戦布告をし、瞬く間にその半分を占領した。
 魔神と、その眷属の使う能力に、人間側は対抗する術を持たなかったのである。
 
 だが、戦いの最中、人間側にも変化が生じた。
 “魔の力”に汚染されながらも、眷属にはならず、理性を保ち、その力を使えるものがあらわれたのである。

 彼らは“オーキイ”と呼ばれている。

SYSTEM :
 彼らは人間側の切り札であり、その活躍によって、じわじわと魔神側の勢力を押し返しつつある。
 現在、戦況は膠着状態であるが、これもまた、その中で描かれる英雄譚のひとつであった………。

SYSTEM :
 ………。
 ………、………。
 ……………………………………。

SYSTEM :
 なお───既に。
 あなたと、あなたが“めずらしく”組んだPTにとってはお題目以上でも以下でもない話である。

SYSTEM :

 MMORPG『ダブルクロス』。
 専用のヘッドセットを使い、ログインするとまるで現実のようなフィールドが広がるネットワークゲーム。
 流通すら定かでない商品でありながらも、その優れたゲームデザインは、
 “ロストエデン”から抜け出せないディープなゲーマー/プリズナーと揶揄される者を作るほどの熱狂を、静かに形成した。

Decula_0x00
 あなたもその一人であったからだ。

SYSTEM :
 命の泉に辿り着くための六つのエリアの道中は既に後半に差し掛かっている。
 第六エリア廃墟の難関クエストの一つ。

 これまで幾度となく、シナリオ上で存在が仄めかされ、姿を隠した邂逅さえあった。
 魔神が眷属、その最強種…『ダークドラゴン』の討伐である。
 そしてMMORPGの常として、難関とは複数のユーザーによる協力を前提にするものでもある。

SYSTEM :

        【SystemLog】

[15:25](J・M):お、一番乗り
[15:25](Orca_5_day):止まるんじゃねえぞ…
[15:25](Rune0831):(複数行にわたるマクロ解説)
[15:25](Rune0831):(複数行にわたるマクロ解説)
          ~中略~
[15:26](Rune0831):(複数行にわたるマクロ解説)
[15:26](Rune0831):(複数行にわたるマクロ解説) 

SYSTEM :

        【SystemLog】

[15:26](Rune0831):よろしくお願いします
[15:26](J・M):それカットシーン後ね
[15:26](Yarukinatiko):狂戦士よろ
[15:26](J・M):b
[15:26](Yarukinatiko):開幕タンク 24s準備で
[15:27](Orca_5_day):k 

SYSTEM :
 視界の一部、網膜に入る情報を処理しながら…。
 視界には、大仰ながらも、確かに手を伸ばせば届く位置に幻想がいた。

 見上げ切っても全貌が映らない巨体。どこにでも羽搏ける翼。

SYSTEM :
 チャットログと、SC(※所謂NPCのこと)であろうともヘッドセットを通して耳に響く音声。
 プレイヤーが仮に難聴でもいいように、という形であるが、
 SCが意味のある言葉を使うことは、本来、魔神の眷属側からは滅多に存在しない。

 魔神の眷属に知性はあっても、理性はない。
 彼らは彼らの胸に秘める欲望のまま暴れ狂う”敵”としてデザインされているからだ。

SYSTEM :

        【SystemLog】

[15:27]ダークドラゴン:ついに此処までやって来るとはな…
だが、私を倒すことは出来ぬ
[15:28]ダークドラゴン:不死身の竜の血、それこそ魔神より掴み取った我が力!
貴様たちはここで死に、私は永久に生き続ける!
[15:28]ダークドラゴン:だがおまえは、尚もそれを拒んだ…。
おまえの愚かさが永遠をふいにした。クロアの街も我が野望も、おまえが滅ぼしたのだ 

SYSTEM :
 …シナリオ中においてダークドラゴンは、死なずの命に固執した一人の人間だったという。
 彼は魔神から血を受け、魔の力の汚染をよしとし、やがては魔神さえ支配する願望を固めていた。

 彼が傲慢にも授け解放した者たちは皆、不死の血と偽りの黄金に堕落し、微睡むような永遠に溺れた。
 連続するクエストの中でその影を追いながら、時にはその誘惑を拒み、
 時には誘惑に街ごと溺れたエリアの末路を見届け、ついにここまでプレイヤーは辿り着いた…という設定だ。

SYSTEM :
 …そしてその設定を抜きにしても。未だクエストクリア報告は上がっていない。
 あなたが潜り込んだチームは、何を隠そう最先端のランカー揃いだ。
 その中にどの程度の『プリズナー』がいたのかは定かではない。

SYSTEM :
 あなたは紛れもなく、本当の意味ではないほうの…抜け出せる自由があるほうの『プリズナー』で。

SYSTEM :
 そして、いま栄光か死のどちらかを掴む岐路にいたのである───!

SYSTEM :

        【SystemLog】

[15:29]ダークドラゴン:この屈辱はおまえの血で濯がねばならん…。
死ねい、[Decula_0x00]! 死んでその罪を贖うのだ! 

SYSTEM :

 1時間前後のダンジョン進行から、ついに、ボス戦が始まろうとしていた。

PN:Decula_0x00 :
『……ボク、たまーに思うんだけどさ』

PN:Decula_0x00 :
『このゲームのノリ、ちょっと疲れるんだよね……。
 世代がひとつかふたつぐらいフルいっていうか、サムいっていうか……』

PN:Decula_0x00 :
『ま、いいや。そんなのいまに始まったことじゃないし。
 じゃー、“予習”通りね。これOKしたら全体にAoEくるから、まずは気合で避けなよ』

PN:Decula_0x00 :
『で、そしたら“デモニックアーマー”着てるボクともう一人で攻撃するから。タンクはその間タゲ引き付けといて』

PN:Decula_0x00 :
『長期戦だから、早々に床ペロしないでよー
  ……じゃ、はじめ』

SYSTEM :
なおメンバーのうち「Yarukinatiko」はVCに付き合ってくれなかった。
恐らくそういうことである。

『ロストエデン』/Orca_5_day :
『タンク了解です
(※以下任意の悪ノリ死亡フラグ)』

『ロストエデン』/J・M :
『へーDecula_0x00、レゲーやらん系か』

『ロストエデン』/J・M :
『オレは好きなんだがねあのテのノリ。基本エンドロールが遠い。
 反復作業の退屈は贅沢と紙一重だ』

『ロストエデン』/J・M :
『マー好悪の前に始めんべ。
 Rune0831聞いてた? あ、そいつ教えた通り初見』

『ロストエデン』/Rune0831 :
『(OKサイン)』

『ロストエデン』/J・M :
『マクロ貼らんでいい』

『ロストエデン』/J・M :
『アタッカーよろしく、部位順見せたな。
 なんかあったらDecula_0x00なぞれ』

『ロストエデン』/J・M :
『気合避け準備よーし。やるぞー』

『ロストエデン』/Rune0831 :
『ん』

SYSTEM :
 何はともあれ事前のLvチェックもした、行軍中の地雷行動も(これで)なかった。
 準備はいろんな意味で万端である。

SYSTEM :
 これでもボス中のボスだが、あなたにとっては、あるいは“いつものこと”かもしれない。

 予習の通り。突入のOKボタンを兼ねたあなたの「はじめ」と同時に、早々に放たれた全体攻撃の死者はゼロ。

SYSTEM :
 つまり、ここからが本番であった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 戦闘が発生します。


SYSTEM :
【Guidance...】
 この戦闘では「ロイス」は使用できません。
 この戦闘で増加した侵蝕率、失ったHP、エフェクトの使用回数は、
 すべて戦闘開始前のものに戻ります。(そのため計算は不要です)

 この戦闘では一部の進行内容を省略します。


SYSTEM :
【Engage】

[A]
1:Decula_0x00
2:J・M
3:Rune0831
4:Yarukinatiko
5:Orca_5_day

[B]
6:『ダークドラゴン』


SYSTEM :
※ AUTO MODE ※

SYSTEM :
    【SystemLog】

[15:42]ダークドラゴンは『デスペアブレス』をしようとしている。
[15:42](Orca_5_day):その先に俺はいるぞ!
[15:42]ダークドラゴンの『異形への変貌』の効果が切れた。
[15:43]ダークドラゴンの『力の法則』の効果が切れた。
[15:43]ダークドラゴンは『リヴェンジャー』をしようとしている。
[15:43](Orca_5_day):蘇生お願いします
[15:43](J・M):lol
[15:44](Orca_5_day):助かりました
[15:44](J・M):p 

SYSTEM :
【ROUND 4】

SYSTEM :
【Set up】

SYSTEM :
 セットアップエフェクトを確認しています…

SYSTEM :
【Initiative】

SYSTEM :
【Initiative】
『Decula_0x00』が行動を宣言します。

SYSTEM :
【Main】
『Decula_0x00』の行動を確認しています。

『ロストエデン』/J・M :
おっと! その前にだ…

『ロストエデン』/J・M :
【????】
《シュガーラッシュL3》

・選択したエフェクトひとつのLvを[+2]する 

『ロストエデン』/J・M :
Decula少年、景気よく好きなの選びな。
ラスアタしくっても後詰めいる状況だ。

PN:Decula_0x00 :
へー、よく分かってるじゃん

PN:Decula_0x00 :
そろそろアーマーの自傷ダメージもキツいから…
一気に削りにいこう。〈サイレンの魔女 Lv4〉によろしくー

『ロストエデン』/J・M :
:-) 

『ロストエデン』/J・M :
オーライ。

『ダークドラゴン』 :
(『ダークドラゴンは『デスペアブレス』をしようとしている』のログが流れている!)

PN:Decula_0x00 :
おー、まだまだヤル気みたいだけど……

PN:Decula_0x00 :
残念!キミのHP、もうボクの射程圏内だ

PN:Decula_0x00 :
===============================
COMMAND > BATTLE START!
===============================

◆ MAJOR ACTION
[Combo Name] “消えなよッ!”
▶ EFFECT : 《サイレンの魔女 Lv4+2》 + 《援護の風 Lv3》
▶ RANGE : 視界
▶ AREA : シーン(範囲)
▶ TARGET : 『ダークドラゴン』
▶ RESULT : 6dx10+27/ ndx10+18《装甲貫通》

===============================
> Please enter next command...
===============================

SYSTEM :
【Main】
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。 

PN:Decula_0x00 :
6dx10+27 〈RC〉 (6DX10+27) > 10[3,4,5,7,9,10]+9[9]+27 > 46

PN:Decula_0x00 :
5d10+18 (5D10+18) > 28[8,6,9,3,2]+18 > 46

『ダークドラゴン』 :
………!!!!!

SYSTEM :
【Main】
 ダメージ結果を確認しています…。

SYSTEM :
【Main】
 ダメージ結果を確認しました!

『ダークドラゴン』:撃破! 

SYSTEM :
 ダークドラゴンの全体AoEが猛威を振るうこと数度。
 タンク役は(最終的にその辺に転がったが)よく耐え、あなたの指示と事前提案通りに、山のような巨体に見合ったHPが少しずつ、少しずつ削られていく…。

SYSTEM :
 そして最後。
 あなたの一振りは、計算ずくの紙一重のもと、代償ダメージがHPバーを赤く染める一歩手前の段階で、ダークドラゴンにトドメを刺した!

SYSTEM :
    【SystemLog】

[15:55]ダークドラゴン:この私が…敗れるとは…。
おまえはいったい…なにも…の…。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 …消滅するダークドラゴンと、流れるクリアムービー。
 …少しの時間が経って、クエスト完了を伝えるファンファーレ。

SYSTEM :
 あなたは確かに、現実を忘れるほどの没入感の中を戦い抜いていた。
 ドロップしたアイテムをインベントリに入れる僅かな作業時間。
 チャットログには各自、長期のプレイを労うコメントが流れている。

SYSTEM :
    【SystemLog】

[15:57](Orca_5_day):お疲れ様でした!
[15:57](Yarukinatiko):おつ
[15:57](J・M):-)
[15:57](Rune0831):お疲れ様でした 

PN:Decula_0x00 :
『……はいはい、みんなおつかれー』

PN:Decula_0x00 :
『タンクの動きはけっこー改善の余地ありそうだけど…
 ま、急ごしらえのチームにしては及第点ってトコじゃない?』

『ロストエデン』/Orca_5_day :
『お世話になりました!
 今度は床ペロらないよう頑張ります』

『ロストエデン』/Orca_5_day :
『(任意のフラグコメント)』

SYSTEM :
 おそらく休日の社会人である。

PN:Decula_0x00 :
『(またなんか言ってるよ……
  アレ、フザケて言ってんのかな……)』

SYSTEM :
 そして彼はおそらく30~40代である。
 ちょっと選ぶ言葉が古い。

SYSTEM :
 ………その傍らで、あなたに近づいてくる姿がある。

SYSTEM :
 J・M。イニシャルだが意味は不明。
 ここ二ヶ月ほど見かける機会の増えてきたランカーで、いま初めて見る人物ではない。
 最初の頃はネチケットに欠けるを通り越して”不馴れ”がいまより透けるRune0831とよくログインし、第六エリアの最前線でも遜色ない活躍を見せていた。

『ロストエデン』/J・M :
「お疲れさん。ラスアタおめ」

『ロストエデン』/J・M :
「すごいね御宅。どっかのギルド入ったりしてないの?」

PN:Decula_0x00 :
『ん。おつかれー。最後の押し込みありがとねー』

PN:Decula_0x00 :
『あー……ギルド?
 始めたての頃は、ボクも入ってたんだけどさ』

『ロストエデン』/J・M :
『ハズレくじ引いた?』

PN:Decula_0x00 :
『そんなトコ。
 ってか、他にもいくつか入ってみたけど……しょーじきみんなダメ!』

PN:Decula_0x00 :
『ボクが周回行こうって誘っても、リア優先とか寝落ちとかしてさー……。
 みんな、ボクの方がおかしいみたいに扱うんだよ』

PN:Decula_0x00 :
『しまいに、ボクが“プリズナー”だってさ!
 ……その呼び方はあんまし悪い気はしないけど』

PN:Decula_0x00 :
『まあ……この天才プリズナー“デキュラ”様を迎えられるような器は、どこのギルドにもないってコト!』

『ロストエデン』/J・M :
『最前線の攻略組だとケッコー見かけるぜアレ。まあともかく、』

『ロストエデン』/J・M :
『そいつは残念だ。足切りライン超えてりゃ御宅面倒見良かったからなー。
 初見の時にPT組んだら拝むくらいで行くわ』

『ロストエデン』/J・M :
『基本ゲームってな自分のペースでやってナンボだしよ。
 “これ”長いっぽいし分かるだろ、Decula_0x00』

PN:Decula_0x00 :
『そうそう!やっぱ、ゲームの『美学』ってヤツ?
 どうせ組むなら、そーいうのをわかってるヤツとだけ組みたいしね』

PN:Decula_0x00 :
『その点じゃ、キミもいい線いってるけど。だから声かけたんだし。
 ボク、結構古参プレイヤーと思うけど……もしかしてキミも?』

『ロストエデン』/J・M :
「ん、あーレゲー好きだって言ったろ?
 普段はそっちやってんだが、久々に新鮮な気分になって、たまには別のをやってみようと思ってね」

『ロストエデン』/J・M :
「それでコレだ。いいゲームだよ、プリズナーの頻出も分かる」

『ロストエデン』/J・M :
「本物みたいなグラはVRに限らなきゃ幾らでもあるがね、何より設定のほうだ。
      ・・・・・・・・・・・・
 怪物の中に見た目じゃ分からないヤツいたろ? あれがな。俺、いい発想してるなと思うんだよ」

『ロストエデン』/J・M :
「強いて言うならアプデのないタイプなのが気がかりなトコかね。
 第六エリアの先に行っちまって、魔神を倒したら、このゲームはどうする?」

『ロストエデン』/J・M :
エンドコンテンツ
「終わりの先のない世界は廃れちまう。
 御宅的にどうだ大先輩」

PN:Decula_0x00 :
『─────────』

PN:Decula_0x00 :
『……ボクはキミと違って、専らこのゲーム専なんだけどさ』

PN:Decula_0x00 :
『作り込みなら、他のどんなゲームにも負けないだろ。
 グラフィックだって、エネミーだって、アバターだって! 現実なんかよりよっぽど上手く作り込まれてる!』

PN:Decula_0x00 :
『……魔神を倒したって、まだまだやるコトなんていくらでも見つけられるだろ。
 MMOってそういうゲームだ。違う?』

『ロストエデン』/J・M :
「違わない。いい答えだ大先輩」

『ロストエデン』/J・M :
「ただのめり込んだ実績持ちに今のは野暮だったかな。すまんね。
 詫び序に言うと、オレもそう思うよ。いくらかこのテはやったが…」

『ロストエデン』/J・M :
「終わりを自分で決められるなら、いくらでも続けられるのがMMOのいいトコだ」

『ロストエデン』/J・M :
「でだな、どうだDecula_0x00、ヒマ? 次クエそろそろPOPするから───」

『ロストエデン』/Rune0831 :
「J・M もう時間」

SYSTEM :
 プリズナーまっしぐらの提案をかましてきた彼を、Rune0831が咎めた。
 不馴れの透ける彼女は、一度直球で彼の伝手を使ってログインしていることを明かしたのだが。
 それからというものの、まったくその事実を隠そうともしなくなっていた。

 余談だがVCの声的に、あなたとほぼ同じくらいの年だ。

『ロストエデン』/Rune0831 :
『邪魔をした? 悪…い 予定あって』

SYSTEM :
 ところで…。

 予定の有無を詫びられたところで、あなたも同じだ。
 概ね週に一度ほど。あなたにとって憂鬱な時間は、同時に不可欠な時間でもある。

PN:Decula_0x00 :
『よーし、そうこなくっちゃ。
 じゃ、次は山岳エリアの方で───』

PN:Decula_0x00 :
『……って、なーんだ』

PN:Decula_0x00 :
『ジャマなんかじゃありませんよー。
 どうせボクは“プリズナー”ですよー……』

『ロストエデン』/J・M :
『見ろRune0831、休日中に予定なんてしょうもないことほざくから』

『ロストエデン』/Rune0831 :
『しばくぞ』

PN:Decula_0x00 :
『あーあ、こりゃボクがおジャマだったかな?
 ハア……じゃあもう、ボク落ちるから。じゃーね。バイバイ』

SYSTEM :
 色彩鮮やかな世界から、漂白された無菌室に。
 躍動する身体から、倦怠と怠惰のベッドへ戻る時間が近づいていた。
 普段ならば時も忘れよう休日の出来事だが、定期の検査まですっぽかすには“まだ”早い。
 それはあなたにとって必要だからなのか、もはや惰性からくるものなのかは定かじゃないが。

『ロストエデン』/Rune0831 :
『Decula_0x00』

『ロストエデン』/Rune0831 :
『また遊ぼう Runeは当分これやってる』

PN:Decula_0x00 :
『……あっそう。分かった。
 じゃ、フレ申請しときなよ。覚えてたら登録してあげる』

『ロストエデン』/Rune0831 :
『フレ…』

PN:Decula_0x00 :
『え……?
 まさかそれも知らないでダークドラゴン挑んでたの……?』

『ロストエデン』/Rune0831 :
 少しくぐもった音。どうやらVCセットを外して何か話しているらしい。
 妙に得意げな声が聞こえた…。

『ロストエデン』/Rune0831 :
『いや 知っているが 一枠しかなかった』

『ロストエデン』/Rune0831 :
『ありがとう』

PN:Decula_0x00 :
あーあ……リア友かぁ。それともきょうだいかなにか?
薄々分かってたけど、なんか萎えるなぁ……

PN:Decula_0x00 :
『ん。』

PN:Decula_0x00 :
『───まあ、初見にしては動きが良かったから?
 今度は別のボス連れてってあげるよ。気が向いたらね』

『ロストエデン』/Rune0831 :
『よろしく』

 チャットのほうでも“よろしく”の文字が出た。

『ロストエデン』/J・M :
『こっちもよろしく、んじゃおつかれさん』

SYSTEM :
 ところでVCの声は基本的に…
 よほど手の込んだことをしなければ本人のものである。
 よろしく、で区切った方は、仮想の向こうの世界を楽しんでいるように見えた。

 おそらく親戚か(ダメな)大人の筋で堅いJ.Mも同様だ。

SYSTEM :
 律儀にフレンド申請を飛ばしてきた方と、ちゃっかり何も言わずに飛ばしてきた方。
 登録したかどうかは、そのあとのあなたの気分によるだろうが、ともかく…。

 一足先にクリア状況を保管したあなたは、『ダブルクロス』からログアウトした。
 まだこのゲームで、あなたはいくらでもやることがあったからだ。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………それが。だいたい、一ヶ月前。

SYSTEM :

 結論から言うと…。
 あなたは結局、第六エリアの“その先”を遊ぶことは叶わなかった。

SYSTEM :

 寝たきり、の生活は今に始まったことではない。
 幼い頃に『謎の難病』を発症し、ミネソタ州の病院の天井があなたの見る空だった。
 VR空間を介した通信教育と、父親からの贈り物が、それ以外の風景を見る数少ない機会。

SYSTEM :

 高価な治療費に見合う、リノリウムで覆われたあなただけの城。
 生きる甲斐などあったものか。だが、楽しみだけは残っていた。

SYSTEM :

 だがそれも………。
 あなたの容態の悪化で、いよいよのっぴきならない事態となった以上、もう難しい。
 その“また遊ぼう”の約束は果たされずじまいで、それを嘆くほどの新鮮さも残ってはいないだろう。

SYSTEM :

 病室に代わる代わるやってくる看護婦と医師は、はじめあなたの回復に全力を尽くした。
 いや、はじめ…ではない。最後までだ。

 たとえあなたの難病が回復不能と察しがついても、だから、と捨てるほど酷薄ではなかった。たとえ治療費ありきと言えどもだ。

SYSTEM :

 もちろんだがそれは、あなたにとって大した慰めにもならない。

SYSTEM :
 
 今もなお帰ってこない、あなたの父親が…そうだったように。

ノア・ウィンターズ :

 …………………。

ノア・ウィンターズ :
 ああ、そういえば……。
 今週から、“氷の魔神”テーネスの征伐戦が始まるとか、イベントボードで告知されてたっけ。

 ボクも初見の相手だし、まず討伐はムリだろうけど、予習ぐらいはしておかないとかなぁ……。
 優秀なヤツら誘ってパーティ組んで、ちょっと下見しないと。

 そしたら装備の強化を進めて、それから……。

ノア・ウィンターズ :
 早く、行かない、と……。さき、越されちゃうかも……。
 ヘッドセット、取ってもらわなきゃ……。

ノア・ウィンターズ :
「…………ぁ、…………っ」

ノア・ウィンターズ :
 あーあ……。もう、喉がうまく動かないや。
 これじゃVCも繋げないじゃんか……。視線入力インタフェースでのタイピングも練習しておけばよかったよ。そうすればチャットくらいは……

ノア・ウィンターズ :
 ……いや。どっちみち、ムダか。
 どうせもう、この調子じゃ、いくら頼んだってヘッドセットなんか着けさせてもらえないだろうし。

ノア・ウィンターズ :
 周りを見ると、どうやらボクの容態は、相当悪くなったらしい。

 辛くはなかった。こんなのは、もう慣れっこだったし。
 バカみたいに高級な医療器具と薬の数々が、ボクを安らげるだけに贅沢に費やされていたから。

ノア・ウィンターズ :
 ただ……。
 行き場をなくした空気が、ときどき喉の奥からせり上がってくる。
 その度に、かひゅー、かひゅー……とまぬけな音を立てるのだけが、なんだか情けなくて、うっとうしかった。

ノア・ウィンターズ :
 ああ、もう、うるさいなぁ……。
 リンゴン、リンゴンとボクの容態を報せるアラームが、さっきからずっと真横で鳴り響いてる。
 あんまり見覚えもない顔が、次から次へとやってきてはボクと機械とにらめっこ。

 もう切ってくれないかな。どうせムダなんだから。

ノア・ウィンターズ :
 ……いつか、聞いたことがあったっけ。

 死ぬことを受け入れられたとき、周りにあるすべてのものが光って見えるようになるんだって。

ノア・ウィンターズ :
 なんてことないスプーンにも、古ぼけた写真立てにも、あたたかい木漏れ日も、吹き抜ける風のざわめきも……。

 どれもが表しようもないほど素晴らしいものに思えて、そのすべてに心から感謝したくなるんだって。

ノア・ウィンターズ :
 ……でも、ボクの視界に映るのは、いつも通りの真っ白な天井。冷たい蛍光灯。薄汚いツルツルの床。もう痛くもなんともない注射。点滴袋。うるさい心電図。面白くもなんともないじゃんか!

ノア・ウィンターズ :
 ……、…………。

ノア・ウィンターズ :
 父さん……。
 
 どうして、ボクなんかの為に。

ノア・ウィンターズ :
 父さんは、ヒーローじゃなかったの?
 ボクの為に捨てたお金があれば、もっとたくさんの人を……

ノア・ウィンターズ :
 いや、そんなんじゃない。
 そんなんじゃなくて……。

ノア・ウィンターズ :
 ……ボクは、そんなことしてほしかったんじゃなくて。

 ボクは、父さんといっしょに……

ノア・ウィンターズ :
 父さん。今日は、たくさんの人がボクのところに来たけれど。
 その中に、父さんはいたの?

ノア・ウィンターズ :
 ハハ。
 ボヤけて、見えないや。

* :
 大きな仕事を請けた───。
 
 連絡はちょっと遅れるかもしれないが、これが落ち着いたら、あの日ぶりに、おまえのところに帰るつもりだ。

* :
 その時は───。
 大丈夫、またきっと、昔のように───。

SYSTEM :
 あなたは父親の顔をもうあまり覚えていない。

 まだ覚えているものは、その声だ。
 その誕生日祝いを除いて、基本的に電話でしか話したことのない父親に…あなたがどんな態度だったのか。
 いまさら遡ったところで、そんなものは慰めにもならない。繰り返した通りだ。

SYSTEM :
 彼にとって残酷な事実は。

 血相を変えて訪れた看護婦も医者も、同じ病棟の誰それも。その父の知り合いと思わしき何某も来ていたが、そこに…。
 父親本人の姿は決してなかったことで。

 あなたの最後の幸運は、これを知る機会が終ぞなかったことだった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 …瞼を開けているのか、閉じているのか、それすらも分からない。
 奇妙な浮遊感の中。
 あなたは、なんとなく、直感することがあった。

 今日の夜は越えられないだろう。

SYSTEM :
 もうすっかり幼い頃の記憶だ。

 あなたは自分の足で立って歩いて、選んで、考えて…。
 今、斜に構えることこそ常態となったならば、ばからしいと思えるほどの純粋さで。
 明日できることに思いを馳せていた頃があったはずだ。

SYSTEM :
 だが、あなたの出来ることは、その13年と半ばおいて。MMORPGを除いてほぼなかった。
 終わろうとしてみれば、現実のあなたの「出来る」とは「出来なかった」に覆われていた。

SYSTEM :
 ああ、それは、なんと残酷で。
 あるいは…それは、なんと、“なぜ/どうして”に満ちた人生だったことか。

SYSTEM :
 二度と水底の揺り籠から出ることもかなわぬまま、蜉蝣の短い命が尽きる。
 ノア・ウィンターズの臨終を、この時に知るものは、誰もおらず。それを助けてくれる、御伽噺のような姿もなかった。

SYSTEM :
 …その価値も。その諦観も。
 ただ“まだ生きられる”と延命され続け、明日を他人から請われ続けてきた少年の心のうちも。

SYSTEM :
 …だがあなたは。

SYSTEM :
 最後にひとつだけ…。
 あるいは、初めから見落としていた…。

 価値を吸い込んだ。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 なぜか、あなたの瞼は開いた。おかしなことだ。
 開いても真っ暗闇にしか見えないが、開いているという実感だけはある。

 MMORPGのメンバーに縁起でもないことを話してくれるオトナがいたなら。
 いや、あるいは空気も読まず聖書の中身を教えてくれるようなのがいたら。
 天国だとか地獄だとか、そういうものに、あなたは心当たりがあっただろう。

SYSTEM :
 あるいは………。しかし、その“もしや”を、あなたはすぐさま否定した。

SYSTEM :
 VRのチャンネルを切り替えるように。視界が様変わりする。

SYSTEM :
 その視界の様子は、VRの設定画面やトレーニングの無機質さにも似ていたが…。
 目まぐるしく行き交う線の速さは“これほど”ではなかったはずだ。

 そして視覚もそうだが、それ以外、何よりも奇妙な事実があなたには起きていた。

SYSTEM :
 ・・
 手足が動いた。

SYSTEM :
 ・・
 呼吸ができる。

SYSTEM :
 起き上がるという動作さえ億劫になるような現実のハンディキャップが、あなたの中で…。
 奇妙な浮遊感にとって代わっていた。

ノア・ウィンターズ :
 ……、……………。

ノア・ウィンターズ :

 ……いつか、ゲームの中だったか、電子教材のなかで聞いたことのある記憶。
 罪を犯さず、善も為さずに死んだ人間の魂は、地獄でも天国でもない煉獄の火に焚べられるんだって。

ノア・ウィンターズ :
 バカバカしいと思った。
 現実なんてクソゲーのGMらしい、美学なんて何にもない設定だ。

ノア・ウィンターズ :
 でも……もし、ボクの魂ってヤツが、死後に送られる場所があるとすれば、きっとそこだから。
 火に焼かれるのはどんな気分なんだろう……って、少し眠るのがこわくなった時期があった。そんなことを覚えている。

ノア・ウィンターズ :
 だから、一瞬、信じかけた。
 ここが『それ』なのかって。

ノア・ウィンターズ :
でも…………

ノア・ウィンターズ :
「……いや、なに、ココ…………?」

ノア・ウィンターズ :
 視界に広がる空間は、まるでヘッドセットの向こう側の景色。
 文字通り無限に拡がる、ゼロとイチの織りなす電子の牢獄。

ノア・ウィンターズ :
 でも、あの『ダブルクロス』だって、こんなに精細なグラフィックの電子空間なんてなかったはずだし。

 目の前に拡がる膨大な情報の嵐のコトよりも。
 その莫大な情報を、なんの不自由もなく処理できている自分の頭に、実を言うと一番驚かされていた。

ノア・ウィンターズ :
「なんだ……やっとクソゲーが終わったと思ったら、今度は何……?
 ボク、もう少し眠れると思ってたんだけど……」

ノア・ウィンターズ :
「というか、この身体、『ダブルクロス』のボクのアバターみたいだし……何がどうなってんの?」

SYSTEM :
 行き交う線は何か。
 あなたには薄っすらと分かってきただろうから、ここで記すが…。
            ・・
 亜光速で常に動き続ける電気の流れだ。あちらとこちらを、常に均衡の速度で動きながら、あなたの横を何度もすれ違っている。

SYSTEM :
 …ここはどこだろう? 今度は何?
 その答えの代わりに、鱗粉が舞い散った。

SYSTEM :
『ダブルクロス』のSC、その中のエキストラに、こんなものがいたような気がする。
 ・・
 妖精だ。

SYSTEM :
 そのそばで戦うと稀にクリティカルを強制誘発させるが、そこに敵味方の区別はない。
 アマチュアのころのあなたは何度も救われ、今でさえそれがドラマチックな決着を演出したことがある。
 ただまあ、馴れてくると事故の元でもあった。

SYSTEM :
 声を発したわけでも、そうと示すような動作を色鮮やかな妖精たちがしたのでもない。
 ただ鱗粉が落ちただけ。
 でもあなたは、どことなく呼ばれているように感じた。

ノア・ウィンターズ :
 HPも0になってゲームオーバーと思ったら、なぜだかよく分からないけれど、ゲームがまだ続いてる。
 ……こんなコトが起こったら、ボクらみたいなゲーマーは真っ先にバグを疑うけれど。
 考えてもみなよ。それが現実に起こったとして、いったい何ができる?

ノア・ウィンターズ :
 途方に暮れるボクの頬を、何かが掠めた。

ノア・ウィンターズ :
「うわっ!?
 ……あーもう、今度は何?」

ノア・ウィンターズ :
 頬に触れれば、そこには鱗粉めいた粉がこんな空間には似つかわしくない色でキラキラ光ってる。
 咄嗟に見上げてみると、アレは……。

ノア・ウィンターズ :
「あー、あれは……ミニオン……?
 いや、ミルシャの祝福でもないし……妖精……?」

ノア・ウィンターズ :
「……ああ、なるほど。やっと掴めてきたよ。
 コレ、ボクが見てる“走馬灯”ってヤツだな?」

ノア・ウィンターズ :
「ホントにあったんだなー、“走馬灯”って。
 なんだ。現実にも立派なバグがあるじゃないか」

ノア・ウィンターズ :
「たしかにボク、『ダブルクロス』のはじめたての頃にはずいぶんお世話になったからねー。キミみたいな妖精には」

ノア・ウィンターズ :
「……で・も!
 せっかくHP調整してたってのに、勝手に回復されてゲームオーバーになったり、無駄クリティカルで台無しになったり!」

ノア・ウィンターズ :
「いやー、キミにはずいぶんジャマされたなぁ…。
 あーなつかしい、なつかしい」

ノア・ウィンターズ :
「で? 今度は“走馬灯”の案内人?
 ガイド妖精はもう要らないよ。走馬灯が終わっちゃう前に、ストーリーよりボス戦のタイムアタックしたいからさ」

ノア・ウィンターズ :
「どーせならそこまで案内してくれる?
 そしたらもう消えていいから」

SYSTEM :
 薄らとそこにいる思い出の正体がどうであれ、あなたの関心はこれが”走馬灯”だという前提に傾いていた。
 客観的な言葉が掛かればおかしな部分など多々あるが、そもそもおかしな部分しかないのであればむべなるかな、だ。

SYSTEM :
 …その妖精のようなもの。
 あなたの言葉選びに心なしか停止した…いや、戸惑った? ような気配がした…。

SYSTEM :
 しかし言葉が”案内してくれる?”だったことに気付くと、薄らと見える鱗粉の形が、空間を上下に舞った。

 なんとも切実に頭を下げられているような感覚であった。

SYSTEM :
 …そこにいる形が、あなたの“どうせなら”をその通りに答える気があったのかは。定かでないが。
 少なくとも、それ以降、案内するように前を飛び始めたあたり、話は通じるようであった。

 夢の中の生き物だから?
 それとも本当に走馬灯?

ノア・ウィンターズ :
「そうそう。そうやって大人しく案内してくれればいいんだよ。
 …………、……………………。」

ノア・ウィンターズ :
 いや、これが走馬灯なら、どうせボクの頭の中で起こってることだから不思議なことなんてなにもないんだけど。
                 にんげん
 『ダブルクロス』の妖精って、こんなPCくさい感じだったっけ?

ノア・ウィンターズ :
 試しにUターンしてみたり、こっそり別の方向へ向かってみたり───まるで浮くような感覚で縦にも横にも移動できたけど───とにかく、どんな風に遊んでみても、ボクの前まで妖精が大慌てで飛んでくる。

ノア・ウィンターズ :
 なんとなく、チュートリアルっぽい感じ。
 ボクの走馬灯だからこうなのか、それともみんなこうなのか?
 そんなコト聞ける友達なんていないけど……

 この感覚が正しいなら、今は大人しく従うしかなさそうだ。

SYSTEM :
 いくつか分かれ道や分岐路もあった。しかし………。
 妖精はあなたが好奇心を刺激され寄り道をしたり、来た道を戻ろうとすると、困ったように周囲を飛び回った。

SYSTEM :
 おそらくその気があったとしても、あなたは妖精たちの必死さに押し負けたのか…。
 あるいは、あなたが薄っすらと感じた、SCにしては妙な“人間っぽさ”の感覚が持つ敵意のなさというか、切実さに対する罪悪感が勝ったのだろう。
 あるいは…ひょっとすると、それにさえ執着がなかったか。

SYSTEM :
 やがて光るラインが途切れる先にたどり着いたとき、あなたはここが行き止まりだと分かった。

SYSTEM :
 …そしてあなたを誘導した妖精は、鱗粉を撒きながら、その行き止まりで形をとってゆく。

SYSTEM :
 現実にサヨナラしたからか? あなたの視界には。
 VRの向こう側の現実離れが、そのまま映っていた。

SYSTEM :
 現れたのは…。

* :
〈───…よかった…〉

* :
〈きみは、消えずに居られたのね…〉

SYSTEM :

 妖精が集まったその姿は、あなたと同じか少し上の年頃の少女で。
 妖精というよりは、蝶とか、そういう類の生き物を連想させる翅がついていた。

SYSTEM :

 システムの案内用SCでも、ここまで凝った見た目にはならない。
 何より、夢として見るには、先ほどから質感が現実離れしたまま現実に寄り添いすぎている…。

SYSTEM :

 ほ、と一息ついたそれは…。
『ダブルクロス』の、ましてやあなたの記憶の中にある何とも一致しなかった。

 だが分かることはある。
    ・・
 先程の妖精は目の前の少女であった。

ノア・ウィンターズ :

───これは、もうちょっと先の未来で、振り返ったときの感情だけど。

           ゲームオーバー
 多分、そのときの光景は、結末までずっと忘れないだろう。

ノア・ウィンターズ :

「─────────え?」

ノア・ウィンターズ :

 ボクは、『ダブルクロス』の天才プリズナーだ。
 だからこそ、あのゲームには、まだまだボクの知らないことが山ほどあると知っている。

ノア・ウィンターズ :
 でも……もし、これがボクの走馬灯だとしたら。
 目の前に現れた“妖精”を知らないなんて、ありえるはずがなかった。

ノア・ウィンターズ :
 こんな妖精、ボクは知らない。
 こんな声色で、こんなに人間っぽくて、こんなに作り込まれていて、こんなにかわ───

ノア・ウィンターズ :
「──────えっと、あの」

ノア・ウィンターズ :
「……キミ、ダレ?」

ノア・ウィンターズ :
 聞きたいこと/訊くべきことはたくさんあるはずなのに。
 口に出せた疑問は、とうとうそれだけだった。

SYSTEM :
 …その少女は、あなたに対して“良かった”と言っておきながら。
 それきり黙して、ほんの少しの憂いを帯びながら、考え込むようにしていたが。

 あなたの言葉に、すぐに気付いて居住いを正した。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…あ! ごめんなさい。驚かせたかしら…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈はじめまして。それで───〉

SYSTEM :
 薄く微笑んだ表情は、アメリカでは見なかった。ましてやダブルクロスでも。
 育ちの良い…あちらでたまにいた態度の悪い(あなたにとっては)プレイヤーの反対側にいるような、悪気とは無縁の表情。

 おそらく“はじめまして”の次に名前を聞こうとした様子だったが、そんな彼女の続きは、漸くと絞り出した疑問に答えるほうが先だ。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈私の名前…。ええと、ね………───〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈そうだ…ハーフィ。
 ハーフィと呼んでちょうだい〉

SYSTEM :
 そう思った理由はないが、ふしぎと分かる。
 Huffy
 ハーフィなんて、いま考えた名前だった。

SYSTEM :
 彼女が下手なのか、あなたがよく”分かる”ほうだったのか。
 そして自覚はあるのか、名乗らないではなく”名乗り名がない”なのか、困り眉の彼女はあなたの反応をじっと見ている…。

ノア・ウィンターズ :
       " Huffy  "
「……へぇ、『ご機嫌ナナメ』さん?
 そりゃあステキな名前だね」

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈………? あら?〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
 Half
〈ハーフって「はんぶんこ」じゃなかったの…?〉

ノア・ウィンターズ :
「いや、そもそも綴りが違うから……」

ノア・ウィンターズ :
 ………まー、多分……十中八九、偽名ってヤツだ。
 いかにも『いま考えました』って感じだったし。

ノア・ウィンターズ :
 もしくは通り名? 名前がない?
 正直、どっちでもいいけど……。

ノア・ウィンターズ :
「ま、いいよ。ハーフィがキミの名前ってことで。
 ボクの名前は……」

ノア・ウィンターズ :
    ・・・
 コレ、どっちで名乗るべきだ?

SYSTEM :
 ちなみにその最中、彼女の翅の「ぱたぱた」と動く速度が少し上がった。
 あっ、という小さな声と一緒に。”そっちの意味”のことを思い切り失念していたらしい。

SYSTEM :
 …ところで。
 彼女は恐らく“いまここであなたが名乗ったほう”を律儀に呼びそうな気配がある。

ノア・ウィンターズ :
            Decula_0x00
……いつもなら、迷いなく“価値のある方”で名乗るんだけど。

ノア・ウィンターズ :
 もう死んじゃったからなのか。それとも、何かが別の理由があるのか。

 なぜだか、ココロの中で、目の前のコにはそっちの名前で呼んで欲しくはなかった。

ノア・ウィンターズ :
「───ノア。ノア=アルコア・ウィンターズだよ。
 まだキミのことはよく分かんないけど……とりあえず好きなように呼びなよ」

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…!〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ええ。ノア…ノアね。
 ありがとう。名前、教えてくれて〉

SYSTEM :
 彼女は躊躇なく、あなたをファーストネームで呼んだ。
 
 ノア=アルコア・ウィンターズ。
 その何倍も覚えられていた、天才プリズナーの『デキュラ』ではない。
 ただの、13年生きて、春を見ずに眠りについた少年の名前だ。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ひとに名前を聞いて、ちゃんと答えてもらうのは…。
 うん、初めてじゃない気はするのだけど〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ここでは初めてだから。
 きっと、忘れないわ〉

ノア・ウィンターズ :
「……い、いや、まだ名前を教えただけだし……。
 感謝とかされても……」

ノア・ウィンターズ :
 ……なぜだか、名前を呼ばれただけで、くすぐったい心地になった。
 思えば、女の子にこっちの名前で呼ばれることなんてなかったっけ……

ノア・ウィンターズ :
 ……っていや、そうじゃなくて!

ノア・ウィンターズ :
「“ここ”では初めてって……。
 ここ、ボクの頭の中の世界じゃないの?」

ノア・ウィンターズ :
「……夢の世界にしては、なんとなくデジタル過ぎる気はしてたけど!」

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈どうかしら。きみの夢の中も、言われると…ちょっと気になっちゃうけど〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ああ、ごめんねそうじゃなくて…。
 どこから言えばいいのかしら〉

SYSTEM :
 うーん、と考え込む仕草。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈夢じゃないわ。現実…とも、ちょっと違うかも。
 わたしはそっちを、ここから見ることは出来るし。ちょっと手は出せるけど、同じところにはいられない…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈気付いたらわたしは此処に居てね。
 …たまに、流れ着くコがいるの〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈それで間に合う時と、間に合わない時があって…。
 間に合う時でも、大体は…そこに存在するかも分からない、ちいさなちいさなコで…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…心を使い切って、やがて消えてしまう…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…きみくらいちゃんと自分を思い出してるコは初めてで。慌てちゃったの。だから、えっと…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈その…ごめんね、道案内とか、タイムアタック? とかじゃなくて…〉

SYSTEM :
 どうもその辺りがピンと来ていなかったことを割と悔やんでいるのか、ぺた…と触覚めいた部分が垂れ下がった。

 要領を得ないが、あなた自身なんとなく分かってはいることだろう。

SYSTEM :
 あなたが死んで。
 流れ着ける命を抱えてここに立っていることはきっと事実だ。

 では何を以て“流れ着く”になったのか、これからどうなるのか。
 そこの辺りは答えなかった(あるいは答える術がなかった)ようだが。

ノア・ウィンターズ :
「…………うーん?
 なんというか、霧を掴むって言うの……?
 “分からない”ってコトしかボクには分からないんだけど……」

ノア・ウィンターズ :
 ボクの知る限り、『ダブルクロス』の中にこんなワケの分からない設定はなかった。
 というか、説明してるこの妖精……“ハーフィ”にだって、よく分かってないみたいだし。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈う〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…うぅぅ~………〉 申し訳なさそうオーラが強まった

ノア・ウィンターズ :
「……なんかコレ、ボクが悪いみたいになってない?」

ノア・ウィンターズ :
 やれやれ……。と内心で呟いて、“申し訳ない』オーラってヤツに若干押されながら。

 …分かったコトは、ふたつある。

ノア・ウィンターズ :
 ひとつ。この世界は、死に際のボクの走馬灯でも、ボクの夢の中でもない。
 “ハーフィ”の言うことを信じるなら……ここは夢と、現実の狭間。『ダブルクロス』より、よっぽど煉獄って言った方が近そうだ。

ノア・ウィンターズ :
 そして、もうひとつ。
 目の前のハーフィは、『ダブルクロス』によくいた妖精のSCなんかじゃない。

 それよりも、もっと曖昧な……
 言うなれば、“電子の妖精”ってヤツらしい。

ノア・ウィンターズ :
「……ボク、いまいち状況が飲み込めてないんだけど。
 『間に合う』とか、『間に合わない』とか……そこだけは、なんとなく分かる気もする」

ノア・ウィンターズ :
「───ボク、死んだんだよね?」

SYSTEM :
 あなたの言葉に、彼女は、我がことのような身近の悲しさを滲ませた。

 事実だ。誤魔化す意味などありはしない。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…驚かないのね〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ええ。現実にいたノアは、きっと…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ここに来た、大抵のコは…みんな、その心の中に苦しみがあるから。
 きみが、現実でどうだったのかは…分からないけど〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…こうしてお話できるきみを、生き返ったと呼ぶならそう。
 でも、どこかでそうなったのは、確かなコトよ〉

SYSTEM :
 仄かな暗さをまとった話題を続けたくなかったのか。
 ひとに“あなたは死んで生き返りました”と口にすることに、妙な居心地の悪さを感じていたのか。彼女は(やや無理矢理)閑話休題の空気に話を動かした。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ね。きみ…これから、どうしたい?〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈なんでもは無理だけど…。
 きっと、したいことはあるでしょう?〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈わたし、その手伝いができるの〉

ノア・ウィンターズ :
「……べつに、驚きやしないよ。
 もうとっくに驚きすぎて、アタマがオーバーフローしてるだけかもしれないけどさ」

ノア・ウィンターズ :
「むしろ、いろいろ納得してる。
 なんにも納得できていないなりにさ」

ノア・ウィンターズ :
 ……喩えるなら、ボクは、削除し損なったセーブデータみたいなものってことだ。
 『ノア=アルコア・ウィンターズ』って子どもが死んだのに、クラウド上にそのデータだけが取り残されちゃったみたいな。

 走馬灯ではないにしろ、現実に起こってるバグって意味ではそう変わらない。

ノア・ウィンターズ :
 そして、どうやら。
 ここにボクがやってきたのは、ボクが特別な存在だからでも、とっくに死を受け入れてたからってことでもなく。単に数いる死人たちの抽選に運よく当たったってところらしい。

ノア・ウィンターズ :
 ……ミシェルもここに来たのかな。

 別に仲のいい友達でもなかったし。顔も、好きなものもよく知らないけど。確かお姫さまになりたいとか、どうせ叶いっこない夢を話してたっけ。

ノア・ウィンターズ :
 ……。肺胞が壊れる病気だったとか、なんとか。
 ボクが8歳の頃だったかな。いつもみたいに『ダブルクロス』から帰ってきたときには、痰が絡んで死んじゃってた。

ノア・ウィンターズ :
 ずいぶん長いこと、咳をしてたみたいだから。
 誰かが気付いていたら、もしかしたらもうちょっと生きられたかもしれない。
 どうせ先は長くなかっただろうけど。父さんと母さんに見守られながら死ぬくらいは、叶ったかも。

ノア・ウィンターズ :
 ……ボクには、関係のないことだ。

ノア・ウィンターズ :
「…………で、これからって?
 もう『ボク』は死んじゃったんでしょ?」

ノア・ウィンターズ :
「だったらゲームの続きだって遊べないじゃん。
 別に、やりたいことなんて……」

ノア・ウィンターズ :
「───ああそうだ、キミ、『ダブルクロス』ってゲームは知ってる?
 ボクがしょっちゅう遊んでたゲームなんだけどさ」

ノア・ウィンターズ :
「そこのプレイヤーのRune0831ってコと、J・Mってヤツ。
 また一緒にクエストやろうって誘われたっきり、結局顔も出せずじまいだったんだ」

ノア・ウィンターズ :
「そいつらにさ、DMぐらいは送れない?
 『一緒に遊べなくてゴメン』ってさ。単に約束すっぽかされたって思われるのもシャクだし」

ノア・ウィンターズ :
「そしたら、心置きなく消えられる。
 グリッチ使って遊びつづけるなんて、ボクのポリシーじゃないから」

SYSTEM :
 かくり、と首を傾げた彼女の素振りを“知っている”と見做すには、いくらなんでも難しいだろう。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ダブルクロス…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈それは良くわからないけど…ゲーム? は分かるわ。
 いつかの昔、同じようなことを聞いた気がする………〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ああ、いけない、そういう話じゃなかったわね。
 もうちょっと詳しく教えてくれれば…うん。お手伝いできる範囲だと思うわ。思うけど…〉

SYSTEM :
 枝分かれし、すれ違う電気の流れが僅かに動く。
 その中で彼女の表情が浮かないのは、あなたにとっての心残りがそれ一つだ、と明言されたようなものだったからだろうか?

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…きみ。あんまり望まない、というか…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈寂しくないの?〉

SYSTEM :
 ………彼女が口にしていた“手伝いができる”がホントなのかウソなのかは、あなたに測りようはない。彼女のウソは基本ヘタな気がするが、今回はそれに該当しないこと程度だ。

 ただ恐らくああ言い出した理由の本意は、どちらかというと今の問いかけにあるように思えた。

ノア・ウィンターズ :
「だから……言っただろ?
 ボクはバグ使ってまで遊びたくなんかないんだよ」

ノア・ウィンターズ :
「ボクは死んだ。それは変わらない!
 ボクがなにを望んだって!」

ノア・ウィンターズ :
「それに!…………」

ノア・ウィンターズ :
「それに……」

ノア・ウィンターズ :
「……ボクに、夢なんかない。
 お姫さまになる夢だって。ブランコをこぎたいなんて夢だって。ボクには、なんにも……」

ノア・ウィンターズ :
「……、………………」

ノア・ウィンターズ :
「………………ああ」

ノア・ウィンターズ :
「でも、ひとつだけ、あったっけ」

ノア・ウィンターズ :
「…………聞いても、笑わないでよ?」

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈笑わないわよ。わたしにもね…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈こうなる前に、夢があったの。
 殆ど覚えてないけど、それはずーっと、覚えてて…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈聞かせたら“ナニソレ”って言われたわ。
 だからノアの夢も笑いません〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈きみの命の火が一度消えたこと、それは変わらなくても、きみはここにいるわ。
 だったら、もう一回夢を探す権利も、思い出す権利も…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈あるはずよ。あってほしいな〉

ノア・ウィンターズ :
「……ホント? じゃ、言うけどさ……」

ノア・ウィンターズ :
「───ボク、ヒーローになりたかったんだ」

ノア・ウィンターズ :
「ゲームの主人公みたいに、自分の力でカッコよく敵を倒してさ。世界を軽く救ってみたりするんだ」

ノア・ウィンターズ :
「そして……父さんみたいにさ。
 誰かをカッコよく守って、みんなに誉められたい。ボクがいたってこと、みんなの前で証明したい……」

ノア・ウィンターズ :
「……とかさ。
 なんか、自分で言ってて恥ずかしくなってきたよ……」

ノア・ウィンターズ :
「もっとずっと昔、ヘッドセットもらったばかりの頃のガキだったころの夢だし。
 バカみたいだよね。そんなの、ボクになれっこないし」

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈困ってる人を助けるやつ?
 オトコのコなのね、ノア〉

ノア・ウィンターズ :
「うっ、うるさいなぁ……!」

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ううん。いいと思うわ。
 きみは自分の夢を忘れずにいたのね〉

SYSTEM :
 とはいっても、子供のころの夢だ。

 あなたに限った話ではない。
 できると信じて、それで…諦めて、鍵をかける。絵空事。

SYSTEM :
 切欠は何だったろうか。

 アメリカの兵隊で、あなたが生まれたころにあった大きな事故の時。
 這いずり回るようにしながら人を助けていたとかいう話か。
 物心つくかつかないかの頃、火事の家から隣の顔も知らない御家族の息子さんを助け出した姿を覚えているとか。

SYSTEM :
 あなたの身近なヒーローの肖像が、現実か、冒険譚のどちらだったのか。
 そこに答えを出すでもない。

SYSTEM :
 彼女はあなたの照れ隠しのような反論に、小さく首を横に振った。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈じゃ、ダイレクトメッセージ? のあとは、それを探しましょ。
 わたしは現実を、遠くから見つめることしかできないけど。現実にちょっとおせっかいを焼くことは出来るし…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈きみのできることが、わたしと同じとも限らないじゃない?
 だから…きみの“なりたかった”が、“なりたかった”のまま終わるものなのかどうか、探しにいきましょ〉

SYSTEM :
 だからね、と。
 彼女は、あなたの前に広がるいくつもの”できる”の中に。肯定にも似たひとつを付け足した。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…ええ。どうか覚えておいてね〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈───きみには。
 世界を救う権利があるの〉

SYSTEM :
 励ましのようにも。
 あるいは、ここで生まれたあなたには、義務ではなく権利として“やりたいこと”を選ぶ余地があると語るようにも聞こえた、その言葉を。

 ………その言葉を。あなたは一笑に付すだろうか?

SYSTEM :
 世界にどんな救う必要のある危機が迫っているのか、あなたに何ができるのか。
 そもそも、そんな大きなものを義務ではなくなぜ“権利”と呼んだのか。

 彼女はそこには、きっと答えないだろう。いやそもそも、答える術を持っていないのだ。

ノア・ウィンターズ :
「……“世界を救う権利”?」

ノア・ウィンターズ :
 “なにそれ、ボクをからかってるの?”
 ……つい、そんな言葉をこぼしそうになったけど。

ノア・ウィンターズ :
 ……やめにした。
 この子は……ハーフィは約束通り、ボクの夢を笑わずに聞いてくれたから。
 ボク自身でも思わず笑ってしまうほど、子どもじみた夢でも。

ノア・ウィンターズ :
 ……結局、分からないことばかりだ。
 ここがいったいドコで。どうしてボクがこうして『生きて』いて、そんなボクを導いてくれるキミはいったいダレなのか。
 確かな答えは、どこにもない。

ノア・ウィンターズ :
 それでも……
 いや、だから……

ノア・ウィンターズ :
「───それじゃ、世界を救う天才ゲーマーにお似合いのヒーローネームとか、考えなくちゃね?」

ノア・ウィンターズ :
「手伝ってよね。
 ボク、ほとんどゲームのことしか知らないからさ。カッコいい名前、一緒に考えてよ」

SYSTEM :
 電子の中に鱗粉を撒く、夢まぼろしの象徴が、あなたの言葉に(ちょっとばかりの強がりを載せて)薄く微笑んだ。

 もう少し話せばわかることだが。
 彼女とあなた、どちらがマシな“世間知らず”であったのかは定かでない。

SYSTEM :
 それでも…。
 灯尽きて、ここに残ったあなた。

 初心の夢を“どうせなら”と思い出して…。
 …いや、あるいは…その夢を理由にして。
 手伝って、と話し。快諾を耳にしたあなたにとって。

SYSTEM :
 現実か定かでない彼女は、最期の向こうで”できない”だった、傍にいる相手だった。

 だからあなたは“なぜ”を聞かなかったのかもしれないが。

SYSTEM :
 …もし、答えを聞こうとしていたとしても。それはこの後のことで、後回しか、棚上げになったに違いなかった。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈───!〉

SYSTEM :
 少女の顔色が変わる。それは予感めいたものではなく…。
 あたりを作り出す光のラインに対してだった。

SYSTEM :
            ・・
 亜光速で常に動き続ける電気の流れが、急速にゆがみ、形を変えていた。
 それに気づいた少女は、あなたに負けず劣らずの細腕を、あなたをかばうように広げ…。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈………誰〉

SYSTEM :
 赤く輝く、彗星のような煌めき。
 地に落ちてかたちになるものに向かって、慎重に問いかけた。

SYSTEM :
 ………その答えはすぐに出た。
 あなたの前に、現れた男は…。

* :
『…一挙両得という言葉があると聞く。
 このような状況を指すものなのだろうな』

* :
サイバースプライト
『“電子の妖精”がここで見つかるとは。
 物事など、存外に執着しないほうが上手く行くということか』

* :
『だが…。物事には順序というものがある。
 一つ目の要件を果たすことにしよう』

SYSTEM :
 やがてあなたに、こう言ったからだ。

“雷人” :
『ノア=アルコア・ウィンターズ』

“雷人” :
『きみには…世界になぜを叩きつける義務がある』

“雷人” :
         ・・
『きみはわたしの…同志になれる』

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 遠くで稲妻が落ちるような。目を逸らしようもなく、ただどうしても近くにいない男の冷たい声。

 生まれなおしたあなたの最初に出会う命の二つ目は。

SYSTEM :
 このすぐ後に、
 あなたに己の名を、こう名乗った。

SYSTEM :

   ニコラ・テスラ
 ──────“雷人”。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :
 シーンが終了したよ!
 ロイスの宣言はある?

GM :
あ いけないいけないやる気のない顔だ
ちょっと失礼…

GM :
 シーンが終了したよ!
 ロイスの宣言はある?

ノア・ウィンターズ :
(なんだったんだいまの…)

ノア・ウィンターズ :
えーと、いまは特にないかな。
ハーフィにはもう最初から取ってるし。

GM :
 そうだね。この状況で取る相手の候補はあまり多くなかったし…。

GM :
 了解したよ。それでは、“この後”何が起こるかは(だいぶ長い)CMのあとだ!

SYSTEM :
 ………………
 ………………

 

OP2『宿縁-Detonator-』


SYSTEM :
【Scene:宿縁-Detonator-】

Scene Player:Machina
   Erosion:OFF

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
【オーバークロック案件、記録書】

 作戦番号:X350 
 実行年代:西暦20XX年
      デウス・エクス・マキナ
 作戦従事者:“凡て世はこともなし”

SYSTEM :
【概要】
 当時のランカスター分家、エレノア・ランカスターが、ピーターパンの手引きと思しき時空犯罪者によって標的とされる。

 閉鎖的環境で生活するエレノアに対する現地徴用手段の乏しさ、およびエレノア自身がオーヴァードであることなどから、
 専属の『時渡り』をアシスタントとし、本人自身の手で時空改変を阻止させる亜種作戦コードを発令する。

 作戦には職員である“凡て世はこともなし”を派遣。
 20XX年代の出来事に関する記憶処理を行い、今オーバークロック案件へ投入する。

SYSTEM :
(付属資料には過去数度の任務と、その成功経緯が選抜根拠として記されている。)

SYSTEM :
【結果】
 ──────エレノア・ランカスター、未帰還。
 
 当時における時空犯罪者と幾度かの乱戦の経緯を経て、現地協力者の隙を突かれる形で、当時支部も完成していない南極へ誘拐。
 設営されていた基地施設で、“凡て世はこともなし”は、当時の改変関係者である“ピーターパン”の部下らを追い詰め、撃破する。
 しかしこの基地施設は敵手の自暴自棄と思わしき現象により崩壊。
 護衛対象であり、現地協力者であるエレノアの姿はついに見つからなかった。
 
 20XX年代、この『ランカスター分家』には少なからず結末の変化による歴史の変動が見受けられる。

SYSTEM :
(作戦時における撃破を確認した数名の時空犯罪者。
 その中にいるピーターパンと『特A級』の時空犯罪者にのみ、赤線が引かれていない。)

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 あなたに不手際と呼べる不手際はなかった。
 誰もが作戦記録から、そう結論付けている。
 唯一にして最大の手落ちは。
 ただ、この時空改変に対して、原則を守るため、より強引な手に出なかったクロノスガーディアンの方にあり。
 それを手落ちと言ってしまえば、行いの本分も意味も失われる。

 ならばそれは。端的に言って、間が悪いというよりほかになかった。

SYSTEM :
 ………だがあなたは。
 そのさなかで、ひとつだけ知っている。
   エンドライン
 出来事の結末を。

* :

「………そんな………バカ、な」 

* :

「クソ………! クソォッ!
 なぜだ、なぜおまえが…!」 

* :

「オーヴァードとは何なんだ…。
 レネゲイドとは何なのだッ!」

* :

「神よ! 答えてくれッ!」

* :

「なぜ………そんなものが………。
 そんなものが、この世界になければならないんだ………」

SYSTEM :
 誰ぞの存在の痕跡を前に、ただ膝を突くより他にない、猛る者の姿。
 
 何度も摺り切った魂が、見出した光明を今失ったような慟哭。
 幽鬼のように立ち上がったそいつは、薄暗い光を目に宿して振り返る。

* :
「………キサマが………」

* :
「キサマさえいなければッ!」

SYSTEM :
 ───それは端的に逆恨みか、八つ当たりとしか言いようがなく。
 ───だが彼の視点で言えば、絶望に対する正しき防衛反応だった。

SYSTEM :
 祈歌は響くことはなく。最早、その戦いに然したる意味もない。
 
 そこに機械仕掛けの超越者は二人いたが。
 断じて彼女も彼も、収拾のつかなくなった戦いの後始末を行える神様ではなかった。

* :
「神へ祈る間もなくここで死ね!
 “デウス・エクス・マキナ”──────ッ!」

SYSTEM :
 歴史の変化や失敗は、クロノスガーディアン全体として見たならば…。
 実のところはじめてではない。

 ただ、幾つもの成功と、名に恥じない“収拾”をつけてきたあなたにとって。
 これが唯一の失敗。そして最初で最後の。
  つ め あ と
 致命的な結末だった。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………クロノスガーディアン、ベース内部。
 複数あるベースのひとつ。別名、時空移動帆船ジョリー・ロジャーベース。
(命名にはこのベースを管轄する人物、船長ジェームズ・フックの個人的趣味が含まれている)

SYSTEM :
 もとより慢性的人手不足が常の時空の守り手、予算よりも不足するのは適切な任務遂行能力の持ち主だ。
 
 なので、職員ひとりにつき個室ひとつ宛がうくらいワケのないことであり。
 あなたにも当然、一室として与えられていた部屋がある。

SYSTEM :
 あれからどの程度の時間が経ち。
 どの程度の任務が間に入ったか。

 いずれとて、相応の猶予が空いて…。

SYSTEM :
 業務のない時のあなたは何をしているだろうか。

マキナ :
 何をしているのだろうか? 何をしてるのかですって?
 そんなの、言うまでもない。

マキナ :
「あ゛あ゛~~~…………」

 な~んもしない。これに尽きる。
 無益な時間を無益に消費するのが文明人の特権だ。
 
 諸々の機能を落として、脳部をリラックスさせて。
 ベッドの上で寝ころびながら時を過ごす。
 これが社会人にとっての至上の幸福というやつだ。

マキナ :
「平和だねえ……
 もー少し寝たら、他の奴らにちょっかいかけに行ってやろっかな~」
 今誰が出払ってるんだっけ。ルーレットで決めて、目についた奴の給料から1000CCぐらい勝手に課金に使ってやろうかな。

SYSTEM :
 玖月真綺那は眠りたい。
 全2巻。好評発売中。

SYSTEM :
 端的に言って怠惰であったが、謂れある怠惰であった。
 業務のない時であれば“なんにもしない”は罷り通る。

SYSTEM :
 余談ながら今は数少ない構成員のだいたいが現地イリーガルとの交渉や共同作業のためベースから出立した最中である。
 全員ではない。あなたが解き放たれたその時、ルーレットの3択くらいから不幸な犠牲者が咽び泣く事だろう。

* :
(不幸な犠牲者の近影)

SYSTEM :
 ともかく。それはもう見事な“なんにもしない”の満喫であったが、
 “あと5分だけ”に相当する惰眠が何度も続いてはコトも進まない。

* :
〈職員の呼び出しを致します〉

* :
 デウス・エクス・マキナ
《“凡て世はこともなし” 
 ベース基準座標、ブリーフィングルームにお越しください》

SYSTEM :
 先日(だいたい一週間前くらい)の任務から帰還したデブリーフィングから時間も経つころだ。
 呼出はだいたい次の任務であり、残念なことに休暇の終わりであった。

マキナ :
「む」
 起き抜けに嫌なアナウンス。もう少し寝てりゃよかったし、眠りたいシリーズはせめて10巻は続く中堅ぐらいの立ち位置にしたかった。
 思い付きルーレットもこれじゃしばらくお預け?

「ちぇ、運のいい奴らめ……」

マキナ :
「はいはい、今行きますよっと……
 ていうか、通信じゃダメな訳?」
 ぼやきながらベッドから起きて、掛けてある執行官用のコートに袖を通す。
 通信じゃないってことはまあそういうコトなんだろうけどさ。

マキナ :
「はぁーあ……次、何処に飛ばされんのかな。
 最低でも20C以降だと仕事もラクなんだけど……」
 基本ウチの担当考えりゃ、その辺の政情がもつれた時代に飛ばされんのが基本なんだけど。罷り間違って産業革命以前に飛ばされでもしたら……。
 いや、考えんのヤメ。陰鬱になるだけだわこれ。

マキナ :
 アームにThinkerのデバイスを装着して身支度を済ませる。
 億劫に手をかざし、自動ドアに手を掛けて、ふと振り返る。

マキナ :
「……じゃ。うち仕事だから。
 ちょっと行ってくるね」

 自室の卓上、写真立てに掛けられた写真に向けて。それだけ告げて、心底恋しい我が城をあとにした。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 自分に割り当てられた個室を後にする。
 戻ってくるのはいつになるやら。首尾よく行かねば、月一つオーバークロック先で過ごすようなケースもあったところだ。

SYSTEM :
 とはいえ、あなたの仕事のケースであれば、首尾よく行かないほうは稀だった。
 その役目がちょっと特殊だからである。

SYSTEM :
 もとよりベースの職員は、その任務の特異性からさして多くない。
 行き交う最中に、

* :
「ウェンディさん見てない!?
 このままだと後輩が法螺貝でウェディングロードを爆走しちゃってウワー! なことに!」

* :
「えっなに そんなことよりおまえが職員室に来い?」

* :
[そんなことってないよ…]

▼[(逃げ出す)] 

SYSTEM :
 などというクロノスガーディアン職員の一幕も、基本的に聞こえる声のバリエーションはさほどとない。
 全員分顔を合わせるには行き違いも多い。あなたにとっては、この時渡りの城はどのくらい馴染んだのやら。

SYSTEM :
  L-UN09-a
 玖月真綺那はサイボーグである。

 その経歴は使い捨ての兵士に過ぎず。
 その生誕にどんな祝福があったのか定かでない。
 多くの未来を許したガイアの記憶のいずれかが辿るページの中で…。

 地球圏の向こう側に手の届き、重力の井戸から大海に漕ぎ出してなおも続く紛争の一幕で生まれた量産品が彼女だった。

SYSTEM :
 死を待つ中であなたには選択肢があり…。
 あなたは生まれた時代を永久に後にして、生まれた時代の中心にある水の惑星と同じように時を過ごす機会を永遠に逸した。

 クロノスガーディアン。
 ・・・・
 時間移動を可能とした遥か未来において、これを用いた犯罪に対応するために結成、創設された組織の正規エージェント。

SYSTEM :
        デウス・エクス・マキナ
 コードネームを“凡て世はこともなし”。

 それが、彼女の三つ目の名前だった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ジョリー・ロジャーベースの中枢。
 時空間移動であるオーバークロックを行う基準座標には、その“ウェンディさん”がいた。

SYSTEM :
 オペレーター兼船長秘書。面倒見が良く気遣い屋で、ベースの数少ない構成員と大抵仲は良い。
 紀元前から2XXX年以降の服装まで、たいていの時代の服装はなんでも仕立てられる、仕上げられる手先の器用さを持ち、
 自身が直接現地のイリーガルと交渉するため、ベースのオーバークロック装置を起動して現場に出向くことも少なくない。
 端的に、縁の下の力持ちと縁の上の花形を同時にやる女傑であった。

SYSTEM :
 なお唯一にして最大の弱点は、事前の情報収集に限り。
 時代と場所の特徴を冗談のような頻度で間違えること。

SYSTEM :
 …行き先の情報の古さがそうさせるのか、彼女がデジタル方向音痴なのか。永遠の謎である。

『ウェンディ』 :
『あら! マキナちゃん』

『ウェンディ』 :
    デブリーフィング           ちょうし
『こないだの帰還報告から時間が経ちますけど、侵蝕率のほうはどうですか?』

マキナ :
 相変わらず騒がしい船。欠伸混じり伸びでもしながら廊下を歩いてると、いつものやつがいつも通りに、通りがかりじゃ1ミリも意味の分からない話をしている。
 いや、法螺貝とウエディングとか、どうやったら繋がるってのよ。

マキナ :
             クルー
 ジョリーロジャーベースは船員も少ないが、揃ってお祭り騒ぎみたいなのばっかり乗り込んでる。
 まあ船長が船長……それも仕方ないか? 
 あの格好、4Cは時代錯誤だってそろそろ誰か教えてやりなよ。教えても気に入って今更着替えられないんだろーけど。

マキナ :
 そんなこんなで中枢に到着、と。
 そこにはまあ、多分に船長のファッションに影響を与えたであろう子が、いつも通りに人懐っこい笑顔で迎えてくれた。
「まーまーってとこ。私のパーツ生体寄りだから、復帰も早いし。
 何時でも出れるよ……私は寝てたかったケド」

『ウェンディ』 :
『こないだのはアクシデントらしいアクシデントもなかったとはいえ、油断大敵! ですからね』

『ウェンディ』 :
『本当はお勤めもないのが一番ですけどね。
 そしたら私も、暢気に、お茶したり、そろそろ誕生日のコの祝いに編み物とかしたりー…』

『ウェンディ』 :
『マキナちゃんもどうですか? ほら、そのコート以外のオシャレとか…。
 丁度次の行き先が分かるころでしょう?』

SYSTEM :
 …なお、この口ぶり的にあなたを呼び出したのは彼女ではないらしかった。

マキナ :
「ま、パトロールなんて言うんだから、仕事無いのが一番だよね。
 どいつもこいつも、どうして普通に暮らせないかね。ま、物好きなのはお互い様かもだけど」 

マキナ :
「要らない。ファッション、あんま興味ないし」
 ……私の体、発熱しやすいから普通の服着る時結構神経使うんだよね。勿体ないでしょ、こんなのに一生懸命手作り迄しちゃうとか。
「っていうか、ウェンディも知らないの? 次の行き先」

SYSTEM :
 むう、と首をひねり眉を下げるウェンディ。このテの話題は初めてではないが、実行が承諾されたケースはなかった。

『ウェンディ』 :
『似合うと思うんだけどなーアレとかソレとか…、って、ああ』

『ウェンディ』 :
『ついさっきまで別のコのオペレーティングだったので。呼び出した船長がご存じのはずなんですが…』

『ウェンディ』 :
『ううむ、姿が見え───』

SYSTEM :
 …その時であった。
 慌ただしい“どたどた”という音がする…。

SYSTEM :
 のちに判明するに曰く。

 あなたを放送で呼び出した張本人、どうせ数分くらいの遅れがあるだろうと席を一旦外し…。
 そこまでの読みは外していなかったのだが、その際出会った部下と思わずムダ話(議題:17世紀頃のとある男のロマン)に没頭!

SYSTEM :
 見事に「待つ側」の立場が逆転したのである。
 つまり…。

* :
「ぉぉぉぉおおお───」

* :
「うぅぅおおおおおおお!!」

SYSTEM :
 いま、なんとも前時代的なブレーキ音を立てて滑り込んできた男こそ…。
 あなたを呼び出した、時代錯誤の船長殿。

* :
「ゼェーッ、ゼェー…。………!」

『キャプテン・フック』 :
「セーフかッ!?」

『ウェンディ』 :
『アウトです』

SYSTEM :
 男の名は前述のとおり。キャプテン・フック。
 当然だが当事者ではない。

SYSTEM :
 その船長の名にあやかったファッションのようなものだ。
 21世紀の流行とその服装を思い込み、祭り好き派手好きお調子者でおまけに楽天家。 
 人望があるのは、その裏返しかもしれなかった。

SYSTEM :
(※BGMはイメージです。
  実際の人物、団体、出来事とは異なる場合があります。)

マキナ :
「ヘイ、ヘイ、ヘイ。時計ワニにビビってるからって呼びつけた側が遅刻? いい加減デジタルのでいいんだから時計ぐらいつけなよ」
 なんか背景音楽さえも支配しそうな濃ゆい服装で躍り出る船長。そう、これが船長。どっちかといえば艦長というべきなんだろうけど、船長呼びなのはだいたいこのいでたちのせい。
 ……これを21世紀の服装と思い込むのは無理があるでしょうが!
 と突っ込んだのも今は昔の話。多分、今更引っ込みがつかないか気に入ったかのどっちかなんだろうなって。

マキナ :
 まあ出で立ちもあるけど、それ以上に人柄もすごいそれっぽい。
 他の職員の言う所の、オトコギ? とかいうよう分からん親分気質なとことか。これで当時の人間じゃないってんだから驚きだね。

マキナ :
 ……不覚にもこの人柄にものすごく助けられたことがあるから、あまり悪しざまには言えないんだけどさ。

SYSTEM :
 そんなあなたの内心を露知らず。
 組織をまとめる長としては適性値が金平糖のような男が、自慢げに、あるいは反論のように片腕のフックを見せびらかした。

『キャプテン・フック』 :
「このオレはキャプテン・フックだ! フックだぞ!
 このイカス腕で時計はミスマッチなんてもんじゃあねェ」

『キャプテン・フック』 :
「だいたい時計のオトは熱気と集中にゃ勝てねえ! 聞いてくれよ、今日現地のやつとダチになったって職員がだな───」

『ウェンディ』 :
『その前に遅刻して何か言うことは?』

『キャプテン・フック』 :
「すまん!」

SYSTEM :
 後ろから追いかけてくる時計ワニにも気付かない、そんな新手のフック船長は基本大雑把な生き物なのである。

SYSTEM :
 平謝りで彼の独壇場は幕を閉じた。

マキナ :
「はい、良く言えました」
 危ない危ない。船長、その話始めると長いんだよね。
          フック
 何なら私にまでその武器腕勧めて来るからウザいことこの上ない

マキナ :
                   タクティカルアドバンテージ
『こんな形状のマニピュレータには……何の戦略的優位性もない』とか、言ってもあんま聞かないし……
しまいにはロケットで飛ばそうとか言い出したこともあったっけ。ノリで発言するな、ノリで。

マキナ :
「で……    ワケ
 私呼びつけた理由がそういうノリと思いつきの産物なら、容赦なく非殺傷設定のブラスターを十発は叩き込んでマイルームに戻るけど……」

『キャプテン・フック』 :
「ウオオやめろ! さてはこないだのゲリラ上映会を根に持ってんな!?」

『ウェンディ』 :
『ちなみになんの映画を?』

『キャプテン・フック』 :
「サメ」

マキナ :
1d100 質の良さ (1D100) > 35

マキナ :
「ジョーズとかディープブルーみたいな名作でもなけりゃあ
 シャークネードみたいに吹っ切れたものがある訳でもない
 延々とメタルマン式会話術で話が展開する、謎に人が食われるシーンだけ気合いの入った奴ね」

『キャプテン・フック』 :
「いや ジャンプスケアはちょっとサプライズには行儀悪ぃなと思って」

『キャプテン・フック』 :
「一周回って上映中に”ルーレットで当たったやつ呼ぼう”ってヤロウたちと盛り上がってだな、いやその話はいいんだ」

『キャプテン・フック』 :
 あの後ヤロウども揃いも揃って、

SYSTEM :
   ___
   |\  \
   | | ̄ ̄|
   | | フ |
   | | ッ |
   | | ク |
   | | の |
   | | ば |
  _| | か |
 |\\|__亅\
  \匚二二二二] 

『キャプテン・フック』 :
立派な墓建ておって…。

マキナ :
もうそれ立派な拷問だからね?
劇場でのクソサメ上映会は

『キャプテン・フック』 :
最初に酒飲んだノリで選んだからもう逆に見えるモンだいたいオモロくてな

『キャプテン・フック』 :
「まあその話はいいんだ。
 俺とあろうものが二度もおまえを呼んでブラスター食らって二枚目の恥晒しをするわけにゃ~いかねェ」

マキナ :
(この上で自分がまだ二枚目とか思いこめるんだ……)

『キャプテン・フック』 :
「ガハハ! そう褒めるんじゃねェ視線で! なあウェンディ!」

『ウェンディ』 :
『大人になれない船長がすみません』

『ウェンディ』 :
『ところで本当に呼び出した理由は…』

『キャプテン・フック』 :
「いや本当にヒマで呼んだとかじゃねェ。
 それだったら直接部屋ノックだしな…」

SYSTEM :
 なおこれだけおおざっぱでお調子者の彼だが、本当に一線を越えたり“虫の居所が悪い”相手に強要はしなかったらしい。不思議と。なぜか。察する能力と反比例して。

 …そんな事実はさておいて。

SYSTEM :
 …そもそもベース内放送で呼んだ時点で、実質的な回答はその二つだった。

 超手の込んだ悪戯か、もうひとつは。

『キャプテン・フック』 :
「ちょっと変わった、いつものヤツだ」

SYSTEM :
  い つ も の や つ
 …時間移動が観測されたか、だった。

 あなたの呼ばれるケースは複数ある。

SYSTEM :
 対象となる箇所周辺が閉鎖的すぎる、またはその逆。現地協力のしがらみが大きいため“対象”に改変を阻止・修正させるケース。

SYSTEM :
 既に協力を取り付けたオーヴァードにとって、情報じゃなくて武力の助けが必要なケース。

SYSTEM :
 そもそもあなたの時代と比較してすら“未来”だったり、繋がりの存在し得ない特異な『時間』に対する処置を行うケース…。

SYSTEM :
 あと…もう一つあるが。
 それは、一旦置いておく。

マキナ :
 ……仮にもピーターパンと対峙する身分、何時までも子供でいられたら困るんだけどな……
 とかいう言葉は、本筋に流れるにあたって呑み込んだ。

マキナ :
「……いつものやつ、ね」
 ちょっと変わった、というのが引っ掛かるけど。まずは、説明を聞こう。

『キャプテン・フック』 :
「おう。そんじゃ始めっぞ」

『キャプテン・フック』 :
「時空移動の確認は20XX年…」

『ウェンディ』 :
『…過去世界においては最も多く、ガイアの記憶が割かれた、とも言われる時代ですね。
 起源種の発生を切欠にした20と数年は、特に激動と呼んで差し支えなかったそうです』

『キャプテン・フック』 :
「きっと名高い船長たちが居たんだろうなァ…。クーッ! 
 俺が偉大なる船長キャプテン・フックじゃなけりゃ会えたのに!」

『キャプテン・フック』 :
 俺が偉大なる船長キャプテン・フック(一息)じゃなけりゃなあ!

マキナ :
はいはい……

『キャプテン・フック』 :
気持ちが籠ってねェ…!

『キャプテン・フック』 :
「でだ。その20XX年に時空移動が感知された。時間移動犯罪者のお出ましだ」

『キャプテン・フック』 :
「…ただなこの時代、起きることはメチャクチャあったが改変自体が起きたことはそこまでねェ。
 な・ぜ・か!」

『キャプテン・フック』 :
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
「起きることがメチャクチャあるからだ。
 連中目線で考えるとシンプルにキリがねェ。んで、うま味もねェ」

『キャプテン・フック』 :
「新しい神になる! なんて“とんち”もSNSの全盛期にゃ乗せ方に工夫が要る。そのころにゃ、人間、オーヴァードの扱いもパターン分けできるくらい馴れてくる。
 そんな『非効率』をジャームどもは我慢できねェ」

『キャプテン・フック』 :
「個人の影響もある部分ではまァ増えたが、基本的には減った。わりとだいたいのヤツには代わりがいて…。
 じゃ、誰々を殺しますってしたところで都合良い展開にならねェ。その逆も」

マキナ :
「皮肉なモンだね。超人が増えても、その総量が増えちゃえば特別なモノでもなくなる
      ガービッジ
 代替可能な量産品になるってわけ」

『キャプテン・フック』 :
「つっても悪いことばかりじゃねえぜ。

 ちょっと前の時代なんかはバレたら即迫害の魔女狩り! みて~なのもあったころだ。
 そこと比べりゃ、全然前向きに“これから”を考えていける」

SYSTEM :
 もっとも特別が特別でなくなった結果の悪しも、この時代には幾つかあったのだが。

 ウェンディは知っていて、苦笑いにとどめ、口にしなかった。基本的に悲観的“ではない”部分に傾く船長のバランスをとるほうが彼女だ。

『キャプテン・フック』 :
「ボロい商売をしようにも流通がハッキリしちまってるし…EXレネゲイドも粗方掘り起こされている」

『キャプテン・フック』 :
「何よりコイツが一番の問題だが…良くも悪くも現地の助けの得方が複雑すぎるんだナ!
 俺たちにとっても“いざ”が起きると超困るが、あっちにとっても“無理”じゃないにせよ割と困る部分だ」

SYSTEM :
 ページの一つを差し替えただけで幾つもの歴史が変わるパターンは然程ない。
               ・・
 大抵の場合、そのページの中で辻褄が合うように出来ているからだ。
 
 そしてその差し替えにも改変にも、たいていの場合、現地のオーヴァードの助けが必要となる。
 改変を望むものと、改変の当事者がセットでそれが成立する。対抗する意思も同様に。

SYSTEM :
 しかしその現地がこれほど、思惑と情報に交錯するのであれば、ジャームにとって…。
 望み通りの方向性に向かわせるための“一致する意思”を見つけ出すことも、ましてや起点となる人間を見つけることも至難の業である。人を隠すなら何とやら。

 もちろん、それ抜きでも改変が成立することはある。
 ジャームは歴史上に一切の接点を持てず、過去改変を上回る繋がりを持ち得ない。

SYSTEM :
 持ち得ないが、これほどに”一枚のページの情報量が多い”ということは、苦心して成立させた改変が、ほんとうに都合良く(悪く)ちゃぶ台返しを食らうことだって少なくない。

 単純に彼らの欲望の矛先にするには、いい意味で雑多なのが、コードウェル博士の生まれてから死んで、蘇って、その果ての結末を辿るまでの時代だった。

マキナ :
「……要は乱数が多すぎるってことでしょ。
 ウチらも困るけど、それは歴史を改変する側にとっても同じ条件っていう」
 だから、『臨んだ結果を引き出したい』という歴史改変が、まともに成立しない。コロコロ気分で卓袱台を引っ繰り返すくせ、多少の小手先でどうにもできない強大な奴らが、両の手で数えきれないほどいるから。

『キャプテン・フック』 :
「ああ。基本相手してると分かるが、ジャームって我慢強くねンだよ。
 選べる立場でわざわざ辛抱強く“ここ”でやる意味がねェ感じ」

SYSTEM :
 つまりその乱数の多さにわざわざ飛び込むジャーム/時間移動犯罪者などいないわけだが。
 彼はこの時代にそれを観測した、とその自称伊達男顔で口にした。

『キャプテン・フック』 :
「この時代の、時間移動が確認された時期にゃ、ある出来事が頻発してる。
 その事件の中心にいるのが…“電子の妖精”ってのだ」

『キャプテン・フック』 :
「具体的にゃ…」

『ウェンディ』 :
『船長? 結末まで喋っちゃダメですからね』

『キャプテン・フック』 :
「あらすじだあらすじ。ぶっつけ本番の航海なんて誰もできねェ。出来んのは神さんだけさ」

『ウェンディ』 :
『ならいいですけど…』

『ウェンディ』 :
『いえ、だいぶ不安になってきましたね。説明はわたしがバトンタッチします』

マキナ :
「オッケー。まあ、情報入り過ぎたらこっちからメモリーから消しとく」

『ウェンディ』 :
『はい。この時代で“電子の妖精”となれば、いつかの資料室で見たときに記憶してますから』

SYSTEM :
 事件の全貌を知れば知るほど、クロノスガーディアンの行動は制限される。
 基本的に記憶処理はそのためのものだ。尤も、それを込みにしても、真っ新な状態であることに越したことはない。
 
 結末を先に知る、というのは基本タブーだ。

『ウェンディ』 :
『“電子の妖精”を見た! というのは…小さなオカルトのようなものですね。

 スマートフォン
 当時の携帯端末、ゲーム機、家電製品、コンピューター、発電施設。いろいろありますが。
 電気を使う道具、製品…電気の通り道の近くで何か必死に、まじめに打ち込んでいると、不思議と”ちょっとラッキー”なことがあったのだと言います』

『ウェンディ』 :
『…しかしそれと同時に、電子機器の暴走事故と過負荷による停電も、事実の確認から発生し始めています。
          サボタージュ
 これにかこつけた、人為的な事故も』

SYSTEM :
 両者が同一のケースなのか、あるいは本当に“妖精の気まぐれ”の名に恥じないのか。
 そこを語らなかったのは、情報が入りすぎる、のを避けるためだろうか。

SYSTEM :
 そして…既にこの話の時点で…。
 結末がよほど、想定を覆す奇天烈なものでないならば、だが。

 時間移動犯罪者にとって、介入の余地はない。
 彼らがそうする必要性もない。

SYSTEM :
 ささやかな幸運を齎す現象を突き止めて得られるものは自己満足と、多少の知的好奇心を満たす発見だ。
 レネゲイドビーイングが常態のものと分かっている未来で、わざわざこれのために、あちらにとっても貴重であるオーバークロックのエネルギーを使うリスクに見合う見返りがあるだろうか?

マキナ :
 指定された時間軸の資料をアーカイブから閲覧しながら、ウェンディのインプットを聞く。
 SNS全盛期の時代の割に、若干時代遅れ気味な都市伝説って所か……けど。
「……ウェンディ、さっきのはちょっと情報端折りすぎじゃない?
 さっきの話じゃ、結局ウチらが動くきっかけが見えないんだけど……」

『ウェンディ』 :
『はい。それはそうなのですが。
 ただ、この時期の主要な出来事というと、あとは………』

『キャプテン・フック』 :
「いや、そいつで合ってる。
 電子の妖精ちゃんだ。

 他にも只事じゃねェのは起きたりするが、ターゲットはこいつ周りでOK」

SYSTEM :
 この場で唯一呼びつけた根拠を持つフック船長が、バトンタッチした質問に切り替わる。
 …例外だというなら。可能性は二つだ。よほどろくでもない結末に代わる余地を持つのか、あるいは。

『キャプテン・フック』 :
 ・・・・・・・・
「時空移動したヤツが問題なんだよ」

『キャプテン・フック』 :
「ネバーランドベースのお下がりチームから…ベースごとオーバークロック装置をパクっておなじみの、例のバカモンだ」

SYSTEM :
 ………もう一つは。
 改変者にとって、介入の見返りが常軌を逸している場合だ。

マキナ :
「…………」
バチッ、と電荷が奔る。舌打ち代わりだ。

SYSTEM :
 そもそも基本的にはジャームなのだから。
 彼らの中では完結している理論に基づいて、彼らは平気で人を殺し、奪い、一切を捻じ曲げる選択が取れる。

 あるいはジャームでなくとも。
 こんな時代に飛び込んでくる時点で、良しも悪しも普通の価値観ではない。

『ウェンディ』 :
『船長、ソレ…』

SYSTEM :
 ………ウェンディが何かを言いたげな複雑な表情を態と無視した“キャプテン・フック”が、「続けるぞー」の発言と共に話を持ち出した。

『キャプテン・フック』 :
「特A級時間移動犯罪者…」

SYSTEM :
 出身がいずれかの時代のイギリスであること以外定かではない偏執的自由主義者…。
 通称、ピーター・パン。ネバーランドベースの持ち主にして、永遠を知るひと。

 そんな彼と並ぶ特A級の指名手配を受けた、時間移動犯罪者。

『キャプテン・フック』 :
 ヴィジョン・キラー
「“蓋然を閉ざす者”」

『キャプテン・フック』 :
「…例外ケースその4。
 歴史改変前に、ベース間で手配中の時間移動犯罪者を見つけたケース。こいつが今回だ」

SYSTEM :
 もっとも強く安定する未来以外の全てをその手で屠るもの。潔白以外を許さない、鋼鉄の塵殺者。

 彼を指すものは。まさに。
 時間移動犯罪者を殺す時間移動犯罪者、だ。

SYSTEM :
 その所業は現地の人間から、オーバークロックを行った対象にも及び…。
                    ・・・・・・・・・・・・・・・
 時空の改変予兆を何らかの手段で察知し、改変成立前に事の発端を抹殺する所業で知られる。

マキナ :
「……」
 ・・
 またあいつか。
 これで何度目だったか。いちいちログを漁る気にもならない。

 普通に真面目に生きられない奴らの中でも、いっとー壊れた凶弾。

マキナ :

「はッ、凝りもしないで義賊気取り。ウチらからしたらいい迷惑だっての」

 そいつは。
 オーバークロック案件に先立って現れる処刑人。
 一を殺して百を活かす剪定師。
 奴の治療は患部を癒す。代わりにそれ以外に犠牲を強いる、そういう劇薬だ。

マキナ :

 ……いや、そんな風に、さも正しいことをしてるみたいな風に飾ってやることもないか。
 奴は例えるなら。人質を取られた時少しのためらいもなく人質ごと機関銃で蜂の巣にするタイプだ。
 時間を超えた殺人はそれだけで歪みを生じさせる。だというのに奴は、時間犯罪者を殺す為ならそれ以外の犠牲なんて欠片も顧みたりはしない──

マキナ :
 こいつは時空犯罪を赦せなくて、認められなくて、時間さえ超えて跳ぶ凶弾だ。
 いや……本当に認められないのは、多分レネゲイドなんていう歪みそのものだ。
 自分がその恩恵に与ってる癖に。歴史を紐解けば、今更切除できない程深く食い込んでるモノだっていうのに、その毒を抜くことに拘っている。

マキナ :
 装置を使ってる辺り、生身で跳べるほど人間辞めちゃいないんだろうけど、話の聞かなさで言えば大概だ。
 ……とことん気に入らない奴。だけど、それだけに信頼というものがある。

「あいつが居る限り、必ずそれを狙う奴がいる。
 時空犯罪者しか殺さない奴でもないけど、時空犯罪者だけは必ず殺そうとしてきた。なら……」
          プレインズウォーカー
 奴の行き先に、必ず時  渡  りがいる。
           レ イ ヤ ー
 それも意図的に、その時間層から改変しようとしている者が。

SYSTEM :
 そう。
      ・・・・ 
 彼の存在はもう一人、時間移動犯罪者がいることの証だ。
 その場にいるかいないかはともかく確実に───。

 その干渉の先兵、糸引く黒幕、当事者。
 何れかに呼応するように現れ、彼は行動を起こした。

SYSTEM :
 が、事と次第によってはそれだけでは済まない。

 血に染まる銃口の矛先をあなたは知っている。彼にとっての優先順位がまこと”そう”なのかはともかく…。
 あなたの知る限り、彼の最優先は事件の解決というよりは、まるで。

『キャプテン・フック』 :
「ああ。たまにうちが捕捉できてねェタイプにすら噛みつきやがる。どういう当て勘なのかはともかく」

『キャプテン・フック』 :
「で、コイツの一番ロクでもない部分はもう割愛するが。
 いーか、オーダーは単純明快!」

『キャプテン・フック』 :
「電子の妖精ちゃん(仮)が…」

『キャプテン・フック』 :
 ・・・・・・・・・・
「コイツにブッ殺される前に、コイツと…。
 コイツが手ぇ出したがってる時間移動犯罪者とっ捕まえて、”何事もなかった”にしちまう。こいつがオーダーだ」

SYSTEM :
 最大の問題はここだ。

 時間移動犯罪者だけ殺すのではない。
オーヴァード
 事件の発端と見なせば例外なく殺しにかかる事が、
   クリミナル
 彼の犯罪者筆頭たる所以だった。

SYSTEM :
 時と次第によってはオーヴァード以外も。

 その都市伝説の所以が人ありきなのか、レネゲイドありきなのかともかく。
 撃って殺せるなら、彼はそうするだろう。

マキナ :
「ウチらがそのやり口把握して、先に捉えられてりゃ、あんなトリガーハッピーに先越されることないんだけどね」

 八つ当たり気味に嫌味を溢してみる。別に本気で言ってる訳じゃない。
 どだいポリ公なんて事後処理が主な仕事だ。先に動けるだけ、まだ幾らかマシ。

マキナ :
 それはそれとして。
「了解。オーダー自体はシンプルでいいね、伝える方は」
 任務内容に首肯する。これもちょっと皮肉交じり。肝心の犯人の情報がほぼゼロとなると皮肉の一つぐらい溢したくなる。

マキナ :
 愚痴ってても仕方ないし。前向きに考えるけど……
 ・・・・・・・
 あの時に近いな。
 って。何となくそう思ったぶん、意識はまずその妖精さんに向いていった。

「……現時点で掴んでる……というか、執行官に伝えられる情報は電子の妖精だけ。
 ってコトは、差し当たってはそいつが何なのか当たりを付けて、保護するのが手っ取り早いかな」

『キャプテン・フック』 :
「そりゃァな…。俺だってぽこじゃか見つけてェが、船長の片腕は臨戦態勢なんだ」

SYSTEM :
 嘆息交じりのキャプテン・フックが、立派な赤い帽子ごと自分の頭を腕で抑えた。
 万年人手不足で水夫募集中のジョリー・ロジャーベースが…。
 そもそも何故、この不届き者だけ見つけるのが早いのかと言えば。そこには少なからず理由があるのだが。

SYSTEM :
 オーダー自体も、その説明が事件に絡むからなのか。あるいは、執念と書いて毒と読むようなものを牙に有した蛇にしか辿れない道の先にいるのか。
 あなたの言う通りシンプルなもの。この時点での探し物の手掛かりは二つ…いや一つだ。

『ウェンディ』 :
『船長、でも、マキナちゃんにこの任務は』

『キャプテン・フック』 :
 OK
「了解の後に言うんじゃ~ねェ。
 じゃァこのバカモンが“力及ばず”になる結果までシカトこくか? そうもいかんだろ」

『キャプテン・フック』 :
「それに他のヤツで止めようとさせたらエラいことになった。
 なもんで、だいたいのことは俺が許可するし引っ張り出しちゃる。ベースからの物理的手伝いは…」

『キャプテン・フック』 :
「間に合えばいける…か? ってぐらい。
 クルーが直に来るやつは、ベースのエネルギー的にも、基本あんま期待すんなって感じ」

SYSTEM :
 現地協力者の選択と裁量はクロノスガーディアンのあなたに委ねられている。
 ベースの情報や戦力も、基本現地からの連絡に「任せろ」の二つ返事で答えがちの(たまに無茶ぶりにすら答えて座礁に乗り上げることがある)彼に揺すれば出るものは出るだろう。

SYSTEM :
 …残る些細な問題は。
 あなたが前向きに考えたあたりで余計な話だ。

『キャプテン・フック』 :
「そんなトコ。頼む」

マキナ :
「ウェンディ……
 気遣いさんなのはいいけどさ。私の意思だって尊重してよ」

 あいつには……心底認めたくないが……
 因縁がある。
 状況も、それにふさわしいものに見えた。
 運命がどうのとクサい話する気はないけどさ。

マキナ :
「船長の言った通り、私以外に腕っぷしでやれるクルーいないし……」
 何より。
 ・・・・・・・
「私がやりたいの。
 いい?」

マキナ :
 私、別にあの莫迦ほどやる気に満ちてる訳じゃないけど。
 基本的には仕事はしたくない方だけど。
 脚を踏まれた相手のことは覚えてるし、恥をかかされた恨みは忘れない。

 まして……持ち物を壊された相手なら猶更。

マキナ :
 そうして、一旦の説明事項は色々と雑な〆方で終わった。
「軽い上に締まらない言葉……
 他に気の利いた言葉とかないわけ? 要らないけど」
 まあ兎に角道具とバックアップに関してはある程度保証してくれるということだけど……基本的に、戦力は現地調達か。

マキナ :
「ま、年代は21Cだから、現地で動けば何とでもなるだろうけど……
 装備の方の持ち出しさせてくれる?
 ブラスター      レプリケーター
 RGX-13とThinker。変 換 器もお願い、データはいつも通りアシと飛行ユニットのだけで」

SYSTEM :
 その“気遣いさん”の眉がさらに下がった。気だるげな声色と言葉選びだながら、最後のソレが若干有無を言わせない色合いをまとった。

 その理由を分かっている彼女は、僅かな時間をかけて…説明の少し前に頷く。

『ウェンディ』 :
『………。わかりました』

『ウェンディ』 :
『船長も言いましたが、何かあったときはいつでも連絡して下さい。
 こっちから招けば、どこでもいつでも、がベースの強みなんだから』

『ウェンディ』 :
『何よりその時代は、ある意味で個人の役割が減ったって言っても…。
 オーヴァードのパターンが一番多様だった時期です。“彼”だけじゃない、十分に気を付けて』

SYSTEM :
 その言葉を皮切りに入った、船長の説明の大雑把加減はいつものことである。

『キャプテン・フック』 :
「やっぱりキャプテン的には出航号令は”アレ”で決まりなんだけど、空気が“ヤロウども”じゃねェもんな」

マキナ :
「うちら女子供ばっかじゃん」

『キャプテン・フック』 :
「ホントにな???
 ネバーランドのワガママにお灸据える側だぞこっち???」

『キャプテン・フック』 :
「さておきオールグリーンだ、問題ナシ! 必要なタイミングで通信飛ばしたらベース開ける。
 整備のパーツ足りんくなったらこっち使え」

『キャプテン・フック』 :
「…あ! ぜっっってえないと思うが…。
 1~12本目と出くわしたら適当に誤魔化せよーアレ。そもそもどこに何本目があるかとかの資料残ってねェけど…」

マキナ :
「オッケー。助かるよキャプテン」
 マシンボディは手入れが多くて困る。ある程度有機化して、素材も地球で採れるものに絞って設計してあるし。現地改修も出来なくもないけどさ。

マキナ :
「一応、大昔に出土した遺産まがいの代物だって聞いてるけど。此処まで魔改造したら流石に気付かないっしょ」
 具体的にはもうそれは鉾の形をしていない。穂先の部分を分離した二又槍に柄をつけたそれは、ブレード付きのライフルへと姿を変えている。
 これを見て『おまえFHだな』とか思う奴はいないでしょ。

『キャプテン・フック』 :
「世の中先入観で見るとやべえって昔ウェンディがだな」

SYSTEM :
 もっとも件の神器との類似性は、度重なる改修…というより”あなた”と、あなたのコア向けの調整によって原型を留めていない。

 これをFHへの顔パスにするのは色々な意味で無理があった。

SYSTEM :
 逆に言えばこれを持ち込んだところでUGNから疑われる可能性もゼロだ。
 実際に、そこと、協力するかはさておいて。

『キャプテン・フック』 :
「…うし。確認こんなトコか?」

SYSTEM :
 持ち込む装備と前提条件の確認が終わったなら、あとは現場へ、だ。
 そして現場に行くといっても、何も歩いてのこのこ行くわけでもない。

SYSTEM :
 先の通り、ベースとはどこの時空間からも切り離され、独立したガイアの輪郭に存在する。
 招けばどこからでも入れるブリーフィングの拠点だ。

 しかし実際に過去を遡り、目的となる時代に向かうにあたって、ベースの中枢にあるオーバークロック装置の起動が必要となる。

『キャプテン・フック』 :
「最終チェック!」

『ウェンディ』 :
『目標の時代は20XX年。
 時間移動犯罪者は“蓋然を閉ざす者”およびアンノウン1名…。
 時空改変の兆候こそないものの、上記2名により結果的改変の恐れあり』

『ウェンディ』 :
『中心点となる事件、電子の妖精に纏わる事件が適切な結末になるように…。
 彼らの捕縛と事態収拾をお願いします』

『キャプテン・フック』 :
「よォし! 帆を張れ、ジョリー・ロジャーベースよ!
 装備チェック後、いつでも合図でカッ飛ぶ!」

SYSTEM :
 当然のことながら帆はベースにない。彼の気分だ。
 
 だがこれで、あなた次第でいつでもどこでも、オーバークロック装置は時の海原へあなたを送り出す。

マキナ :
「了解……
 武装チェック完了。Thinker、時流移動用意」

マキナ :
 時 流 推 進 機 展 開
《Tachyon Sail deploy》
 減 圧 開 始
《Start Decompression》

マキナ :
 航行準備完了 いつでも行けます
《Standby Ready, Set up》

マキナ :
 マウントされたAIDAの制御による最終調整が完了したことを確認すると、最後に髪留めに手が伸びた。
 旅の無事を祈る、最近の癖。それを終えて、私は開いたゲートに向かって立つ。

マキナ :
「識別名L-UN09-a、コード:D.E.M、準備完了!
     だ
 船長、出航して!」

『キャプテン・フック』 :
「おォし! ───抜描!」

SYSTEM :
 ベースの膨大な発電エネルギーがフル稼働し。時空間移動が開始される。
 ベースのエネルギーはあなたの座標を両立させるためのものであると同時に、オーバークロック装置を起動するもの。

SYSTEM :
 今日のその先から、今日へと遡り。
 今日から振り返った昨日をなぞる。
 ガイアの追憶を一段飛ばしで振り返り。時のねじれを越えて大海に漕ぎ出して。
 あなたは時代を、後ろ歩きで進む。
 
 …幾度となく繰り返した、時空間移動だ。

SYSTEM :
 発生する現象はオーヴァード以外のものに耐えることも反応できることもないとされる。
 その定型化された奇跡を拝むことができるのは、レネゲイドとの共生もしくは支配にあるものだけだ。

 オーバークロック装置の稼働と同時に、時流の動きに乗る彼女の歩みは、元より空間移動を前提にした装備設計の賜物。
 機械仕掛けの身体を動かす動力源から供給されたエネルギーと時間移動でかかる負荷を可能な限り軽減し、ベースから目的地へ。遠雷の木霊する中を、旅人が行く。

SYSTEM :
 幾度となく捻じれ、幾度となく元に戻ったこの星の歩みを遡って向かう先は。
 曰く、20XX年…。

SYSTEM :
 アルフレッド・J・コードウェルの誕生から死去、復活から結末まで。
 その激動であった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 フェアバンクスアラスカのチェナ川に位置するオーロラエナジーLLC発電所。
 冷却液を使用した水冷式の大型発電機。

SYSTEM :
 フェアバンクスの電力を担う一つが停電の憂き目に遭った丁度1時間ほど。
 復旧のため動員されるべき作業員たちはなぜか一人たりともおらず、
 不可思議な事態の中、見るものによっては、もっと不可思議な“あなた”がここを訪れていた。

SYSTEM :
 というのも…。
 オーバークロック直後、遡ること、だいたい一週間ほど前。
 第一歩の直前に現れたのは…。

“プランナー”都築京香 :
「お久しぶりです」

“プランナー”都築京香 :
「…それとも。初めましてでしょうか?」

SYSTEM :
 いずれの時代だろうとなぜか3回に1回の頻度で現れ…。
 オーバークロックによりベースを経由して該当する時代に訪れた時現れるもの。
 
 最古のRBと知られ、どの時代にも類似する個体が存在するという…通称”プランナー”であった。

SYSTEM :
 …この滅多に時空移動犯罪者が訪れない当代においても、
 ゼノスという組織が存在し、その組織がクロノスガーディアンを、仔細を知らぬままコンタクトを取り便宜を図ることがあったという。

 あなたも恐らく、この時代に訪れた回数は一度や二度ではない。片手指以上両手指以下だ。
 そして訪れた“時期”は毎回違うのに、第一声はだいたいこちらであり、程度は違うがだいたい事情を把握している。
      スポーン
 世が世なら出現地点に出待ちする初心者狩りか不正者の挙動であった。

SYSTEM :
 なお、そのコンタクトをとる際は毎回同じ人物の”同じ台詞”から始まる。なぜか。

 …閑話休題。ともかく。

“プランナー”都築京香 :
「探し物が同じならば、どうぞアラスカへ。
            ノーマンズ・ランド
 目下誰の手も出すことのない荒涼の地ですが…」

“プランナー”都築京香 :
「悪いようにはならないでしょう。
 旅の忘れ物が、
 同じ妖精であることを願っておりますよ」

SYSTEM :
 その言いたいことだけ言った彼女に従ったのか、比較的手馴れた活動資金の調達を(あるいはそのあたりもフック船長とウェンディの努力により手間なく終わったかもしれないが)終えたあたりで、あなたは事態の頻発するというアメリカに向かっていた。

 アメリカ、厳密にはアラスカだ。

『ウェンディ』 :
〈彼女、なんで毎回…いえ、毎回ではないですけど。
 一度や二度じゃない頻度でリープ先にいるんでしょう…〉

『ウェンディ』 :
〈この時代のアラスカはEXレネゲイド絡みの大災害で、どこの支部もありません。
 そもそもオーヴァードが近づくには、いわくつきの話がある地域です〉

『ウェンディ』 :
〈流石に探し物の先で”そんなの”と出会うことはないでしょうが…。お気をつけて!〉

SYSTEM :
 と、通信を受けてやってきた現在に遡れば。
 ちょうど”停電一時間前”だった次第である。

 修理や原因調査の一般人もいないとあらば、原因は薄々勘付いている通りのものであった。

マキナ :
「んなのこっちが訊きたいよ……いや、訊きたくもない」
 単に古代種だからとかだけじゃない。なんかこう、もっと地球の意思とかそういうロクでもない規模の何かに関わっている気さえする。
 ご苦労なことだけど、時間を渡るだけの只のオーヴァードには荷が勝ちすぎるっての。

マキナ :
 時空通信機からホログラムを照射して、ウェンディと通信を取りつつ。私はThinkerで生成したトライクを使ってアラスカへ向かっていた。
 目標は中心都市、フェアバンクス。一時間ほど前に大規模停電が確認された場所だ。たぶん、時期的に考えて妖精のいたずらだろう。

マキナ :
「らしいね。近くに狂気山脈でもあるのかも。
 まあ、そんなとこに妖精さんがひょっこり出てこられても困るんだけどさ」

 移動は自動運転任せ、ハイウェイを法定速度の三倍ぐらいのスピードで走り、三次元的な機動で先へ先へ。
 アラスカなんて田舎、おまけに人がいない時間帯が幸いした。噂のクリーチャーが出てこなけりゃ問題なくいけるね。

SYSTEM :
 アラスカのEXレネゲイド…オーヴァードにとっての脅威となるものが”徘徊”しているというが、それが何なのかは資料から見てもハッキリはしていないらしい。

SYSTEM :
 しかし目の当たりにしないのであれば、ただの都市伝説だ。脅威も規模も“電子の妖精”と変わらない。
 万一目撃者がいても一瞬の幻じみたスピードで、あなたの機体が陸路を駆け抜けていく。

『ウェンディ』 :
〈どうなんでしょう? 電子の妖精は少なくとも…。
 出現地点の共通項だけは確かですから〉

『ウェンディ』 :
〈それにしても…〉

SYSTEM :
 ライフラインの障害だ。これが致命的事態に発展した、という様子は(幸いにも)なかったが、迅速な対処が求められるものではある。
 その自動運転の傍から見れば暴挙、事実を知るものからすれば平常の行いの最中、修理やチェックのための人員や車両が彼方に見えたことがあったかもしれない。

 しかし施設の近くまでたどり着いてみても、その気配はなかったわけだ。

SYSTEM :
《ワーディング》だろうか?
 いたずらの正体が“それ”なら手っ取り早い話だ。

 かといって、あなたの機体もあなた自身も、ブラックドッグゆかりのものであろうが影響下にはない。

SYSTEM :
 こうもなれば、施設の中を調査したほうが手っ取り早い状態ではあった。

マキナ :
 世間話しながらも、ハイウェイを爆走してようやく都市部へ。
 相変わらず陸路が長い。寝ときゃよかったかも。なんて……
 そんな感想を抱く間もなく、違和感が露わになっていく。

マキナ :
「アメリカの田舎とか、そりゃ人気無いだろうなって思ってたけど……
 ここまでないってことはないでしょ」
 というか、道すがら見かけた奴ら。普通に修理に向かってた筈だけど、全然見かけないし。

マキナ :
 いざ着いて見て、余計に違和感ははっきりした。
 ワーディングか。分かりやすくて大変結構。
 ならここでまごついてても仕方ないね。

 トライクから降りる。念の為のブラスタ―を持参するのも忘れない。

SYSTEM :
 妖精の話は聞いた通り。良いも悪いもその日次第。
 ならば、あなたが出くわすのは“機嫌の悪い”方なのか。

SYSTEM :
 どちらにしたってこの程度に露骨ならば、あなたの対応はジョリー・ロジャーベースの担当通りだ。
 即ち棍棒外交であった。

SYSTEM :
 …施設の内側に入り込む。発電施設は静まり返っており、LLCの冷却システムは時が止まったように動かない。
 どちらかといえば過負荷が掛かったようにも見えたが、注視するべきはそこではなかった。

 持参した愛銃片手に向かった先、ワーディングの中点ときたら堂々と歩いている始末。

SYSTEM :
 ………もっとも…。

 その施設内。発電施設をきょろきょろと見渡し、うろうろと歩き、間取図もなしに腕を組み始めた張本人を電子の妖精と呼ぶべきかどうか。

SYSTEM :
 先にあなたの視界にはその少女が入る。

 年齢はあなたの身体年齢と同じくらい。
 いやあるいはそれよりちょっと下回る。

 燃えるような赤い髪が、ワーディングの張本人。ついでに言うと…。
 アラスカの発電施設の停電中堂々と忍び込み、探し物を取りに来ましたとばかりに歩き回っていたのも、そいつだった。

マキナ :
 侵入すること自体はそんなに苦労しない。厳重にロックが掛かってるだろう部分は、オーヴァードにとっては大した労力も必要としない。
 システムダウンしてるのもあるし、何より人員がいなけりゃこんなものだ。

「さて……」

 問題のワーディングの起点についてだけど……

マキナ :
 まさかアレ?
 いや、確証はないけど、なんだろう。ジャングルやサバンナに放り出されたら一瞬で食い物にされそうな、群れから外れた草食獣みたいな雰囲気で侵入地の廊下を無警戒にウロウロしてる奴が?

マキナ :
 ちょっと脅かしてやるか。
 ブラスターの設定が非殺傷電圧に代わっていることを目視で確認すると、射程に入るよう40mまで距離を詰めて、赤髪に銃口を向ける。
 Freeze
「動くな。
 両手を頭の上に」

SYSTEM :
 射程距離40m。
 万が一ただの”お騒がせ”だった方のためか、それともすぐに切り替えられる以上は、だったのか。
 即時制圧というよりは茶目っ気交じりの第一声。

 実際、あなたの見立ては正しい。
 彼女はたいへんに無警戒だった。ジャングルやサバンナに放り出せば肉食獣とて気を緩めるし、スラムで少し狭い路地に放り出せば一瞬で人生の袋小路行きだ。

SYSTEM :
 ………しかし…。

* :
「…ん? この足音は…」 

SYSTEM :
 足音に気づいた少女が振り返る。
 声ではなくだいぶ呑気に。

 どちらかといえばそれは。
 無警戒というより、そもそも“敵がいない”と、意識的に驕る人間の所業だ。

SYSTEM :
 赤い髪と、あなたと別の方向でやや浮く装い。振り返った女の視線は、銃を向けられた相手の反応というよりは。
 そもそも、なぜそこから声がしたのかを訝しんでいるようだった。

????? :
「ハナシが違うな。
 UGNは尻込みしてて支部がないから…。
 アラスカに即決でヒトを送れないんじゃなかったのか?」

????? :
「…さてはエドのやつ、騙したな?
 あとでモンク言ってやる」

????? :
「で、オマエ誰だ。というか何だ。
 ル──────」

????? :
「私は聞いてない。呼んでもいない。
 誰とも違ってこっちはキンベンに、この寒い中探し物してるんだぞ」

SYSTEM :
 銃を向けられた時の反応としては明らかに、危機感の欠如という言葉が正しかったが。
 一目でわかる。意図的だ。向けられたものが何か分かったうえで“私は向けられたところで竦みません”と誇示するような。

 自分のほうが強いと、相手構わず威勢を張る態度が近かった。

マキナ :
 ……訂正。よく見たらあれはハイエナか。
 手前の力に驕った感じの……力は達者だけど頭やらそれを活かす方法が未熟って感じの。

「そりゃご苦労様。こちとらキンベンに寒い中急行したんだけど、どっかの迷惑なお客さんのせいでさァ」

マキナ :
「書類通ってんの? 氏名と年齢、住所と見学の目的について……
 通ってないなら今回は、代わりに口頭で訊いたげよっか、おチビさん」
 
 自分の理屈をべしゃる相手に倣った挑発混じりの問いかけ。
 この時代の装備にしては若干進んでいる装い。技術レベルから観るにFHって組織の連中だろう。言葉と変わって油断せず、銃口の照準を急所に切り替える。

????? :
「なんだとオマエ、同レベルのチビのくせに言うに事欠いて!」

SYSTEM :
 実際がどうであれ彼女はあなたの挑発になんの躊躇もなく乗った。威嚇の類だったかもしれない。

 ほんの僅か漏れた電荷の、ばち、とした音。大なり小なりそちらのシンドロームに手が通っている証だった。

????? :
「…だがその話し方。オマエ本当に遥々ゴクローなUGN…」

????? :
「…じゃないな。アレだろう、その辺のイリーガル。
 ふんっ、連中は嫌いだ。軍人の次に嫌いだ」

????? :
「だいたい書類もオマエの事情も知るか!
 私はオーヴァードだぞ。ルーンなんだ!
 他のどいつとも違う!」

????? :
「だいたいわからんなら言ってやるぞ。こっちは…。
サイバースプライト
 “電子の妖精”のせいで寒い中急行してるんだ、さっさと帰らないと───」

????? :
「…いや、帰す理由ないのか?」

SYSTEM :
 概ね年齢相応の振る舞いだった。
 誇示したほどには自信がないのか、うんうん唸りながら、それこそいま射撃したら簡単に吹っ飛んで、ジャームか否かをチェックできそうな様子ですらあった。

SYSTEM :
 …問題はこの口数のあまりに軽い弱冠十代が…。
 探し物の部分であなたと同じだった点だ。

マキナ :
  シンドローム
 ……症 状はブラックドッグ、か。
 嫌だな、ほんとにコイツが例の妖精だったりしない? カッコとかは悪魔っぽいけど。

マキナ :
 あの子とは正反対の……これを護るのは嫌だなあ……
 とか言う懸念は幸いにも不発に終わった。

 なんていうか、見かけ通りっていうか……
 例の出待ち王やら、どこぞのチェシャ猫やら。あの手の精神年齢が百年単位でズレてる手合いとも違う。
 正真正銘のガキンチョだ。

マキナ :
「あんたらの時代はその手のスーパーマンが畑で採れる量産品だってのに、よくそこまで盛り上がれるね。
 まあいいや……」
 速攻で撃ち抜いても良かったけど。そいつを捜してるなら丁度いい。

「ちょっとお話聞かせてもらおっかな……今、聞き捨てならないことを聞いちゃった」

SYSTEM :
 ところで。
 辟易気味に口にしたあなたにとって、その発言にそこまで先ほどのような挑発の気があったのかどうか。

SYSTEM :
 いや、そもそも口を利いていればさほど難しくもなく分かることでもあるが。
    チ ル ド レ ン
 その力の制御だけを知った少女の態度は、基本的に威嚇から来ていた。

SYSTEM :
 オマエらとは違う、だ。肩肘や意識的な無自覚は、どちらかというと守りの姿勢に近い。

 付け加えるなら、それらの最大の特徴は、そこをちょっとつつくとハチの巣めいて激発することにある。

????? :
「な………」

????? :
「…なんだとコイツ!」 

????? :
   ガーベッジ   バイクプロダクト
「誰が“量産品”だ! 誰が“出来損ない”だ!」

????? :
サイバースプライト
「”電子の妖精”が何だと!? あんな与太話がどうしたっ!
      テスラ
 あんなもの”雷人”が欲しいだけだ、ルーンに、私に必要ない…!」

????? :
「…いい度胸だ、誰にケンカを売ったのか教えてやるぞ…!
               ・・
 オマエみたいなナマイキなの、アレがなくたって十分だ!」

SYSTEM :
 そして…。
 威嚇が通じなかった時の引き金の軽さは、ことチルドレンに限って折り紙付きである。
 思い通りにならなかったことというより、激発の理由を跳ね除けるための/”あっちに行け”とするようなアレだ。

SYSTEM :
 バチバチと弾けた稲光が膨れ上がって、空間に“ねじれ”を生んだ。 

SYSTEM :
 ブラックドールの次はバロール。
 赤方偏移が引き起こす重力異常が、その圧力で当たり構わず破壊し散らかしながら、中から鋼色が顔を出す。

SYSTEM :
 …基本、空間を空間の隔てをつなげるゲートは激情ではまともに作動しない。
 そして彼女の状態は何からどう見ても、ゲートが起動可能な冷静さとは無縁。

 それもそのはずだ…展開したものは、そもそもからしてゲートなどではない。
 モルフェウスの物質生成とも話は異なる。その癇癪娘たるや、どちらの純血種でもない混ざりものだった。

SYSTEM :
ポケットディメンジョン
 持ち歩きの異相空間から、あたりごと巻き添えにして引き摺り出されたのは…。
  フォールンマシン
 鋼色の戦闘兵器。

SYSTEM :
 一山幾らのチルドレンと然して変わらない態度と、いくらかの感情の裏返しのような振る舞いが持つには、少しばかり出来過ぎた、引き金一つで人を殺せる殺戮人形だ。

????? :
「その涼しげな態度、今すぐ叩っ壊してやる!
      ・・・
 ルーンの…レイスの刻銘を冥土の土産に持っていけっ!」

マキナ :
「わお」
 地雷踏んじゃった? まあ、激発させたかったのもあるけどさ、そこに反応するとはね。

「……分からないでもないわ。船長のノンデリが感染っちゃった、ハンセー。
 謝っても赦してもらえなさそうだから、謝んないけど」

マキナ :
 こういうタイプ、見てきたのは一人や二人じゃない。うちの故郷にだって、型違いの奴は大勢いた。
 そして、ホラ来た。

 稲光を纏った黒洞。その奥から、特製の玩具がやってくる。ねじれの奥から、辛うじてこの屋内に収まる4,5m規格の機動兵器が現れた。
 両肩部、両腕部に大型武装を積載可能な強化外殻は、個人相手の威嚇には十分すぎる。

「ちょいちょい、ソレ免許持ってんの?」

マキナ :
「Japanとかだと軽視されがちだけどさー、あれって乗り手が要らん怪我しないように学んでおくべきものであって……ああ、訊いちゃいないか」

 面倒臭い事になってきちゃったな。でもまあ、ラクな状況ではある。
 向こうから殴ってくれるなら、こっちもやりやすい。

「ま、いいけど……
 じゃあこうしよう"レイス"」

マキナ :
 コートを重力子の突風になびかせながら、恐れずにその銃口を機動兵器へ向ける。

「降参するまでやり合って、勝った方が言うことを聞かす。口を割らせるも良し、黙らせるも良し」

マキナ :
「あんたが勝ったら黙らせりゃいい。でもこっちが勝ったら、話すべきことは全部話してもらおうかな」

????? :
「………!」

????? :
「~~~~ッ」

SYSTEM :
 あなたの負けるビジョンのなさ(内心はどうあれ)か、
 敵意に対する、提案前の涼しげな部分がよほど癪に触ったのか。
 
 視線がいっそうの剣呑さを帯びるが、少なくとも回答は最初の見立て通りだ。

????? :
「──────殺す!!!」 

????? :
「その妬ましい態度で!
 二度と口聞けないようにしてやるっ!!」

SYSTEM :
 鋼色の兵器が、動力部より唸り声を上げる。
           プラズマ
 窮屈な廊下を揺らし、荷電粒子をマウントした肩の砲口から収束させるその様子は、
 ・・
 ここがどういう場所だったのかを考えもしない加減無用の暴力装置!
 AIの挙動ではない。誰の指から延びる意図で動いているかは明白だった。

SYSTEM :
 存外に…。
 ・・・・
 この様子だと、叩きのめしたら話をしようとするかもしれないが。

SYSTEM :
 目的を放り捨ててよっぽど頭に血が上りやすい性質の欲望か、立場の相手であることも確かだが…。
 そんな相手が、この状況で“何”をするかは明白というものだった。

SYSTEM :
【Action!】
 判定が発生しました。

Order:謎の機動兵器を破壊せよ!
Detect:〈白兵〉or〈射撃〉or〈RC〉≧12

Success!:進行
Failed...:再判定

[Add']
・武器の「命中判定」は有効。
・『Failed...』の場合、このユニットは『命中判定:20』『ダメージ:2d10』の射撃攻撃を行い、
 その後判定目標値が[2]ずつ低下する。

SYSTEM :
【Action!】
 判定内容を確認しています。
 使用する判定を宣言してください。 

マキナ :
はいはーい。

マキナ :
《アタックプログラム LV3》
侵蝕:2
対象:機動兵器
OP:判定技能[白兵]

マキナ :
技能は白兵。大したことないエフェクトだけど……
  ガービッジ
生憎量 産 品なんでね、装備で勝たせて貰うよ。

????? :
やってみろ!

SYSTEM :
【Action!】
 宣言内容が確定しました。
 判定を行ってください。 

マキナ :
使用武器は雷将神器、達成値はさらに+4
装備外アイテム効果「イリーガルモービル」によってダイスがさらに+4dx……つまり

マキナ :
8dx+10 ってこと (8DX10+10) > 9[1,2,4,6,6,7,9,9]+10 > 19

????? :
! 今のは…!

????? :
ブラックドッグ…! 
それもその辺の木端じゃない! オマエもかっ!

マキナ :
そういうこと……っと!

SYSTEM :
【Action!】
 判定の成功を確認しました。 

SYSTEM :
 ………………
 ………………

system :
[ 玖月 マキナ ] 侵蝕率 : 31 → 33

マキナ :
 敵の機動兵器を確認すると同時、それとなく間合いを近づけていたのも功を奏して、事は簡単に済む。
 Combat Data Processing System
 戦 術 処 理 情 報 装 置とのリンク完了。
 この距離、この兵器が相手なら……

マキナ :
 接近戦の方が早い!
 一瞬で相手の射程外の至近距択にまで間合いを詰める。本来、機動兵器はこの択を取られても、人型ゆえの柔軟性から対応する手を取ることが出来る。けど……

「免許講習受けてないから、こんなポカやらかすんだよ……
 こんな狭い場所で、この手の兵器が使えるか!」

マキナ :
 ブラスター両端部に備え付けた、本来使われるべき紫電を纏った近接戦闘用のスティレット・ブレードに荷電粒子を纏わせる。
 溶断する電子の刃が青い閃光を迸らせながら、刃が閃く先は敵機動兵器の右脚部から腕部にかけてのライン!

SYSTEM :
 射程距離にして40m前後。
 おまけにこの手狭な戦場。

 十分な有効射程。
 マウントされたプラズマライフルユニットからの爆撃じみた掃射が行われるまでコンマ数秒。視界を丸ごと焼き尽くすその予備動作、常人に詰め切って対処できる距離ではない。

SYSTEM :
     クロスレンジ
 だが同時に近接距離スレスレの間合いでもある。
 一呼吸で間合いを詰め切れるオーヴァードに、着弾前の接近はさほどの難題ではない。
 ヒト型の機械人形…それも言葉を借りるなら特別製だ。
 白兵に切り替える機能など持っていて然るべきなのだが、あなたの接近した限りではそれすらなかった。

 文字通り接近前に仕留めきれると見込んでいたのか。あるいは態度のわりに奥の手でもあったのか。

????? :
「(ライフル! じゃない!)」

????? :
「なんだソレ!」

SYSTEM :
 その見た目の銃剣のことをハナから飾りと侮って、拳銃一つの抵抗ならば押し潰せると思ったのか。
 一手分の差だが、おそらくはひどく分厚い一手差だ。

SYSTEM :
 動力源から齎される出力が火砲に向かう前に、斬撃が機体の右脚部から腕部にかけてを両断する。
 行き場を失ったエネルギーが逃げ道を求め暴走し…。 

SYSTEM :
 ──────爆散!
 切り落とされたパーツが、火の花に包まれる!

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 中破した機体の後ろ。破損した鋼色を見通した向こう側。
 そこには、はじめ憮然としていたが、それからあったのは怒りなのか■■なのか、いろいろ綯い交ぜにした表情を浮かべた少女の姿があった。

????? :
「………!」

????? :
   ガーベッジ
「なにが量産品だ、そんなもの持ってるくせに!
 ~~~ックソ! なんでだ、なんで…!」

マキナ :
 跳び上がるようにして切り上がり、そのまま着地。
 背後を見るまでもない、子供を慰めるお人形は爆発四散だ。

 爆風にコートをはためかせながら、埃を払ってブラスターのブレードを切る。

マキナ :
 まだ全壊しちゃいないだろうけど、二足歩行兵器はデリケートだ。とくに片足を失えばその時点で姿勢安定性が失われる。
 反動を制御するため、両足で固定しなくちゃ、積載した武器は使えない。あそこに転がってるのは、立派な武器を抱えてねそべるだけのオブジェだってこと。

マキナ :
「……ま、どう思おうと勝手だけどさ。
 どうする? まだ続ける?」

マキナ :
「私、参ったまだ聞いてないよ。このまま続けたいなら、付き合ってあげよっか。
 尤も……」
 此処から先はちょーっと痛い思いして貰うかもだけど。

SYSTEM :
 横たわる機体が不自然に起き上がろうとして、しかし起き上がり切らない。
 ましてこの場で黙らせるためだけに砲撃するほど、衝動的に有言を実行しようとする性質でもなかったらしい。

 じっと睨む少女の足が、一歩下がろうとした無意識を抑えつけた。

SYSTEM :
 続けられるはずはない。
 彼女の武器らしい武器は”それ”だ。

 如何なる方法の神経接続で、如何なる手段で持ち込んだ戦闘人形なのか。
 何れとて、これが余技ということはない。そんな腹芸ができるような娘には見えない。

????? :
「XIII!」

????? :
「──────ジュピターXIII!
 戻って来い!」

SYSTEM :
 が。
 ・・・
 参った、の代わりに叫んだのは、どうあっても認めませんの意思表示じみた、威嚇的な要請だった。
 
 そもそもアラスカ/田舎の、発電施設一つを、エージェント単身で捜索するなど難しい。
 ましてや彼女にとっては、たかが銃持ちひとりこの手で仕留められると”たか”を括って…いや訂正、そんな判断すらしないほど頭に血が上ったのだ。

SYSTEM :
 追い込まれたことで得た冷静な判断…というより、もう出し惜しみナシ、という部分がそれを口にしたらしい。

 その呼びかけに答えて現れたものも、奇妙なことに、いやさ皮肉なことに。別の人形だった。
 あなたは彼女の武器を“子供を慰める人形”と評したが、この“レイス”の身の回りにあるものは、心なき人形だらけだった。

 己で作ったのか、それとも。

『ジュピターXIII』 :
『──────』

『ジュピターXIII』 :
『御呼びとあらば即参上。即参上。
 ルーン
 あなたのジュピターXIIIでございます!』

SYSTEM :
 一目見ただけで分かる鋼色の戦闘人形。
 温かみを一切持たない戦闘兵器が、親しい隣人のような冗談じみた口調で、急ブレーキ音と同時に何処かから現れる。

 本当に何処かから、だ。
 あなたの視界には、壁をすり抜けるような、エグザイル・シンドロームの挙動が目に留まったかもしれない。

『ジュピターXIII』 :
『しかしお嬢様このお方どちらで?』

????? :
「殺せっ! こいつすぐに!」

????? :
「アレ使うぞ、一方的に殴られる痛さと怖さを教えてやる…!」

『ジュピターXIII』 :
『畏まりまし…? おや?』

『ジュピターXIII』 :
『お嬢様、お仕事は? エドワード様から自信満々に請け負いましたのに…。
 “電子の妖精”、もしかして見つかりにならなかったので?』

????? :
「うるさいっ! うるさいうるさいっ!」

『ジュピターXIII』 :
『あらまあ!』

SYSTEM :
 無機質な音声のほうは───。

 だがあなたにはすぐわかる。

SYSTEM :
 ・・・・・・
 話が通じないのはこっちだ。
 道具だからなのか、それ以外だからなのかは定かでないが。

『ジュピターXIII』 :
『うう~む。
    ルーン
 それはあなたとのお約束に反してしまいますナア…』

『ジュピターXIII』 :
『…ところで本当にこちらの御嬢様どなたで?
 マブのダチ?』

マキナ :
「へいへい、此処に来て往生際が……」

 どのぐらいの電圧で脅かしてやろうか。そんな思考は、新手の登場にかき消された。

「……っ、流石にアレが全部ってわけじゃないか」

マキナ :
 若干ひやりとしたのは、奴の登場が何の予兆もなかったこと。
 もう一つは、コイツの態度がアホっぽいわりにどこか空寒いものを感じたからだ。
 サイボーグ   ドローン
 機械化兵……いや、自律兵器か。

マキナ :
 参ったな。あんまりここで時間使いたくないんだけど……

 あの自律兵器(と仮にしておく)、会話は通じないっぽい。でも、あの様子。
 ・・・・・・・・・・・・・・
 あの子の言うことは何でも聞くようには設定されていないように見える。それ以外の意思決定は、目的達成の合理的判断によるものと判る。

マキナ :
「……どうも、うちは通りすがりのUMAハンターです。
 まー夕暮れ殴り合ったワケだし、マヴってことにしといていいけど」

マキナ :
「兎に角、自警団……ここではUGNって言うんだっけ。
 あの方々とは別口でさ。
 妖精騒ぎにかこつけて、コティングリ―事件の写真が撮れりゃそれで十分なんだよね」

マキナ :
「この辺りで手打ちにしない?
 お互い、手ぶらでは帰れないっしょ」
 一応……私と目的は同じだ。諫める役割がいるなら、或いは説得にも応じるかもしれない。
 協力しようとは言わないが、お互い邪魔すんなという約束なら取り付けられるかも。

『ジュピターXIII』 :
『おやまあご丁寧に!
 通りすがりのUMAハンター様でございますね』

『ジュピターXIII』 :
『あ、申し遅れましたワタクシ、登録番号ジュピターXIII。製造歴えー何年だったかな鯖読みます10年くらい。
 現在ボディにはUGN式の疑似RB個体ブラザーフッドA-01を、あ、ご拝借中!』

『ジュピターXIII』 :
 ちなみにこれ御近づきの証のミニジュピターくんです。
 後ろのボタンを押すと光ったのち半径10kmの電子機器の個人情報を“ワタクシが”収集し、
 頭のボタンを押すと明日の運勢を占ったあと爆発します。

マキナ :
「(い、いらねーーーーッ)」

『ジュピターXIII』 :
『お問い合わせは1200-414-141、いつも明るくキルあなたでお覚えください!
    Nameless
 我々は”刻知らず”、お願いごとはリエゾン───』

????? :
「───XIIIッ!」

『ジュピターXIII』 :
『───。畏まりました』

SYSTEM :
 壁越しの出現から、そのシンドロームは少なくとも片方エグザイル。
 だが、脈絡のなさと佇まいは、むしろこちらが彼女の護身刀だ。

SYSTEM :
 ましてお姫様を守るナイトには、あまりに熱がない。

 着装したブレードは攻撃用のものではなくどちらかといえばエネルギーの媒介用だろうが、殺傷能力はある。
 そしてその刃物を、おそらくどのような会話中からでも、命令/判断によっては振り下ろすだろう。
 饒舌で親しげで、ただ、一目で分かる“終わったもの”、あるいは命ですらないものの気配がするのは此方だ。

SYSTEM :
 ………幸いなのは。

 ずっと怒髪天の娘も武器を失い、もう片方には最初から“なぜか”今コトを構える気がない部分だった。と、いうのも。

『ジュピターXIII』 :
『ンー我々ちょっとここには堂々不法侵入に来てまして! ええ、はい、すみません。ちょっと担当のものに変わらないとわからないというか…』

????? :
「………………XIII」

????? :
「見つからなかったなら見つからなかったって言え。
 …クソ。小馬鹿にされた挙句無駄骨折りだ」

SYSTEM :
 その“奥の手”をよっぽど使いたくないことと、そもそもの目的が騒ぎのうちに消えたこと。

 彼女のお喋りな人形は、持ち主の頭を冷やさせる…というより、思い出させる程度の効果はあったらしい。

マキナ :
「お互い苦労するねえ、使いっぱしりの立場ってのはさ」

????? :
「私は違う」

????? :
「…だいたいなんだオマエ、UMAハンターって。そんなの聞いたことないぞ」

マキナ :
「そう? この国だと一定数いそうなもんだけど。
 未だに地球が平面とか進化論はガセとか言ってる連中が幅聞かせてんだよ?」
 とかなんとか。半分ぐらいウソ八百って言ってるようなものだけど。

????? :
「…? だから。そもそもUMAって」

『ジュピターXIII』 :
『Unidentified Mysterious Animals...
 略して未確認動物でございます』

『ジュピターXIII』 :
 えーウィキペディアのページでろでろ。

『ジュピターXIII』 :
『お嬢様はこの通り…ン…無垢! にございます。
 というムダ話をしながらワタクシ何が言いたいのかと言いますと…』

『ジュピターXIII』 :
『お嬢様の命まで奪う気がなかった部分に免じて、その命気が向くまでお預けしようといいますか…』

SYSTEM :
 発言しながら、ぐにゃり、と機械人形の腕が曲がった。
 エグザイル・シンドロームが全身機械のボディを小器用かつ、非生物的にどこまでも動かしている。

 こちらが攻撃してこない一番の理由はコレだ。
   ルーン
 その“お嬢様”と呼んだ彼女の命が優先らしい。
 彼女のカバーに入り、ともすればそのまま姿を消しそうな勢いは、あなたの提案/手打ちへの”イエス”も同義だった。

SYSTEM :
 ………もっともそれが…。

 彼女の身を案じてのことなのかまでは測りかねるが。

????? :
「…XIII」

『ジュピターXIII』 :
『フライングスタートの代償からは、ちょっとXIII庇い切れなくてやんなっちゃう(裏声) でございます』

マキナ :
「あ……何かごめんね、汚れた知識ばっか注いじゃって……」

マキナ :
 ソレハソレトシテ
 閑話休題。
 どうやらほいほい手を挙げなかったのが幸いしたらしい。これの規定はそういう風に出来てるんだ。
 誰の命令でそうなってるか、まではイマイチわかんないけど……

マキナ :
「助かるよ。……結局手ぶらで帰る羽目になりそーだけど」
 提案を飲んでくれるのは結構だけど、無駄足と判った後ではどうにもね。
 一応、軽く偵察機飛ばして検めるけど、小一時間捜し回ってその痕跡も見つかってないあたりハズレなんだろーなぁ。

『ジュピターXIII』 :
『あらまあ!』

SYSTEM :
 持ち主に従順な機械人形の反応たるや、あなたの言葉にその場で小躍りなど始める始末。

 持ち主の抗議にも恨み節にも似た表情に一切目を向けず、薄く伸ばされたフレームが閉じ始めた。

????? :
「…顔」

????? :
「覚えたからな。…バカにされた分は絶対。
 ぜぇ~ったい返してやる」

????? :
 バイクプロダクト
「私は“出来損ない”じゃない…
 私はルーンの───」 

SYSTEM :
 あなたの様子にコンプレックスを終始刺激されていたらしい娘が、最後まで威嚇じみた言葉だけを残して。
 
 言うことを聞かない矛と盾を引っ張るように、今度はバロール特有の《ディメンジョンゲート》が黒い虚空の花を開いた。 

SYSTEM :
 ワーディングの気配が消え去る。

 電子の妖精の姿は遂に一度目では見つからなかった。
 気まぐれの内訳も。探し人の思惑も。

SYSTEM :
 …ただあるいは。“プランナー”は。

 電子の妖精の探し人があなたと自分だけでないことを伝えたかったのかもしれない。

 わざわざ何のために? 無用な疑問だ。
 あなたが“プランナー”の思考回路に理解を示したことがあったのなら、別かもしれないが。

マキナ :
 捨て台詞の顔が面白かったもので、ついからかい癖でにへっと嗤いながら手を振って見送ってしまった。
 面白い子。

マキナ :
「しっかり覚えてなよ。
 ……忘れられんの、結構堪えるんだからさ」
 そんな言葉を、キッチリ相手が去って行った後に溢す。

マキナ :
 さて、と…
 人がいなくなった手前、デバイスを操作し時空通信機のアプリを立ち上げる。
「ウェンディ。探索終わったよ。
 ……無駄足だったけどね。いたのはFHのおもろい子だけ」

マキナ :
「例の妖精とは出会えずじまい。
 "プランナー"もいい加減だね。まあ、これが何かの伏線ってこともあるんだろうし、何も得られなかったワケでもないんだろうけど」

マキナ :
 とくに。
 あのジュピターⅩⅢとか言う奴が言ってた言葉……
「……"刻知らず"って言葉、ライブラリから調べといて。多分組織名。
 リエゾンのヤバイ方と、……考えたくないけど洒落にならないレベルでヤバい方との関連性があるってさ」

SYSTEM :
 この状況で入り込んでくるオーヴァードの姿はない。
 彼らが、ひょい、と出戻りしてくる可能性や、何かを仕掛けていたならば別だが…。
 人形の器用さは人間の抜け目のなさとは違う。その可能性は、あなたが確かめるまでもなく皆無だ。

 再び開いた通信機から、ウェンディの声が雑音混じりに響く。
 ベースからのナビが、あなた同様に周辺状況の探査を走らせていたのと並行して、報告に耳を傾けた。

『ウェンディ』 :
『そうですね。《ワーディング》が切れたなら、滞っていた修理も始まるでしょうし…』

『ウェンディ』 :
『実際の停電のケースがハッキリしただけで…?』

『ウェンディ』 :
 Nameless
『…“刻知らず”?』

『ウェンディ』 :
『リエゾンの意味がどちらにせよ…。
 あまり楽観のできない関連性ですね。分かりました』

『ウェンディ』 :
『そちらの結末を狭めない程度に調べておきますが、こちらから一つ…。
 その気じゃなかったら、うまく通り抜けてほしいのですが』

SYSTEM :
 …調査の了解と同時に。
 やや不可解気に、彼女はあなたと見解を共有している人物(おそらく)の名を出した。

『ウェンディ』 :
『さきほど探査した限り…。
 帰り道に、その“プランナー”がいます』

『ウェンディ』 :
『会いに来ている? のかもしれませんが…。
 マキナちゃん自身の身の安全もあります、会うかはお任せしますね。

 …彼女、場合によっては味方になり続けてくれないケースもありましたし…』

SYSTEM :
 ………かなり心配げな“イヤだったら上手くやり過ごして”の前置きは。

 なぜか帰り道に、再び図ったようにプランナーが待っている、という情報に続いた。
 あなたの「いい加減なものだ」の話に回答しに来たかのごとく。

マキナ :
「うん? ……げ」

 多分鏡を見ると、ニガムシを噛み潰した顔っていう表情をしてるんだろう。
 ついでに汗も。とくに放熱が必要あるでもなしに勝手にだらりと滲み出る。

マキナ :
「うへえ、何しに来たのよ。ホントに答え合わせに来たってコト?」
 あいつなら別に……地球上のあらゆる場所に聞き耳立ててたって全然違和感ないし。そもそも、噂じゃ複数個体いるとかいうらしいし……

マキナ :
「……行く!
 すっぽかしたら多分そっちのが怖いコトんなるし。意図を教えてくれるんなら願ってもない。
 これも面倒臭がってる場合じゃないっての」
 流石に、ここでいきなり危害を加えられるコトはないだろう。何考えてるか分からないケド。

『ウェンディ』 :
〈(ふ、普段より語調が…)〉

『ウェンディ』 :
〈初めの言葉からして、どこまで存じているのかは分かりませんが…。
 ・・・・・・
 危害を加えると決めた時の彼女、あるいは彼女と共通点を持つ個体は迂遠な手段や躊躇いを持ちません。そう考えると、そうですね〉

SYSTEM :
 …時に。
 プランナーにそこまで悪印象を持たない者に言わせてみれば。

 彼女をふつうの価値観における善意や悪意で測り、その感覚で抱き込むほうが間違いなのだとか。
 彼女にとっての善の物差しは一つしかないからだ。

SYSTEM :
 …悪の物差しは? それも同様に。

 その点、あなたの位置は彼女にとってどちらでもない。あるいは、少なくとも後者ではなく、前者の余地があるからいちいち接触しに来るのだ。
 あなたの存在から生まれる”揺らぎ”を期待するかのように。あるいは、生き物とは違う価値観からくる善意の発露として。

マキナ :
 ウェンディの指摘に頷く。
 あれは合理で動いてるが、そこらの三下の策略家とは違う。
 自分の手でやる方が早いときは、遠慮なく自分の力を奮うだろう。そうしないってことは、別にどちらでもいいってことだ。

マキナ :
 とはいえ……
 その合理性の基準が何処にあるのかなんて、当て推量でしかわからないんだけど。
 ゼノスの連中の言うことももっともだ。ハナから同じ視点で測る方が間違えてる。
「……オーライ。ワーディングも切れて、ぼちぼち人も入ってくることだし。
 どの道長居はする気ないし。さっさと行ってくる」

マキナ :
 特に隠滅する証拠も残してない。あるとしても、それは例のおもろい赤毛のだけだろう。
 色々器物損壊とかあるかもだけど、その辺はUGNの管轄で、この時代の出来事の範疇。何とかしといてもらおっと。
 ブラスターをしまい、通信を切ると、来た道を辿り始めた。

SYSTEM :
 ウェンディの“お気をつけて”の言葉を最後に、通信を一度切る。
 先の戦闘で破損した中型兵器の残骸は律義に回収されており、破片の是非までは誰も検分する義務を持っていないところだ。

 強いて言うならば、このアラスカは数年前の大災害の折、頑なに支部の設置されなかった場所…。
 万が一現場の調査や後始末に訪れるエージェントなどいれば、それはもう大変な手間をかけることになるのだろう。そして彼らの苦労を労う声はなかった。

SYSTEM :
 ともかく…。
 ウェンディがあなたにドッキリ大成功、などと看板を向けるほど徹夜と過労を起こしていなければ、その話題の人(人?)は入口であなたを出迎えているはず。

 来た道を辿った、その先には…。

SYSTEM :

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 …果たして。
 前情報通り、アラスカの寒空をものともせず、そこにプランナーは立っていた。
 つい先ほどの邂逅とまったく表情は変わっていない。まさにデジャヴもいいところの様子だ。

SYSTEM :
 知性と意志を持つレネゲイドウイルス、“レネゲイドビーイング”を集めて設立された組織「ゼノス」のリーダー。
 現在世界で確認されているRBの中ではもっとも早く自我を持った彼女が、いつ、どこで、何を起源として生まれたのかは定かではない。

SYSTEM :
 神々と呼ばれるほどの超常現象の担い手が生きていたトロイアの戦争、
 オーヴァードがまだ神秘であったブリテンの聖杯を巡る旅、怪異であったころの平安の都…。
 科学万能の影に生まれた冒険譚、そして遥か彼方の未来においては0と1の数字の羅列が作るデータの中。
 だが名も姿も形も違えど、彼女の影はレネゲイドの存在の傍らにいつもいた。どこか無機質な印象の笑みと共に。

“プランナー”都築京香 :
「お疲れ様です」

“プランナー”都築京香 :
「ことの切欠は自らで確かめたほうがよいかと思ったのですが。
 その様子、“電子の妖精”に巡り会ったわけではなさそうですね」

マキナ :
「あっ……どうも、そちらこそ遠路はるばるよくお越しくださって」

 思わずアホみたいな下っ端口調に。
 ほんとにいたよとか、私遣わす理由あった? とか、色々胸中に渦巻いていたけど。

マキナ :
 歴史を振り返っても、コイツのルーツが何処にあるのかは判然としない。
 オーバークロックが参照するのは、地球の歴史、プロメティスとも、ガイア識とも語られた星自身の持つ記録機能。
 そのデータバンクを解析する限りでも、何故かコイツが出てくる意味は解き明かせても、その原因には辿り着かないという。
 さしずめオーバーロードって言葉が一番相応しい形容だろう。

マキナ :
 見方を変えれば心強い味方だ。何せ、どの時代から飛んでも事情を分かってくれる。
 けど、割合は低いとはいえ、そいつがうまくそぐわなくて大変な目にあったこともなくもない。
 程々の距離を保って、利用し合うぐらいが一番だ。踏み込みすぎれば、絶対ロクなことにならない。
「まあ、ね……
 結局もぬけの殻だったよ」

“プランナー”都築京香 :
「左様ですか。けれども…」

“プランナー”都築京香 :
 ・・・・
「どなたかと出会いませんでしたか?」

マキナ :
「まあ……ね。
 FHの赤毛の、ルーンとかいう子」

 だから!
 なんで知ってんのよ!

SYSTEM :
 そのFHが古巣だったはずの、元・妙齢の美女、現・見た目麗しい10代は。
 あら、と、口ぶりの割には全く意外でない声色で相槌を打った。

“プランナー”都築京香 :
サイバースプライト
「“電子の妖精”がどのようなものであるにせよ…それなりに人の手に欲される役回りであること程度は…。
 少なからず理解っては、おりましたので」

“プランナー”都築京香 :
「心当たりの二つにあたるには、私の身体は一つですからね。
 せっかくなので、と声をかけてみましたが…ルーン。そう。ルーンですか」

“プランナー”都築京香 :
「まあ、そちらは良いでしょう。
 興味があるなら、縁のある方でも探してみることです」

SYSTEM :
 ちなみに過去の経験上、この反応は…。
 まったく知らないわけではないが、何ら興味や、進めているプランの線上にいないので流すときの態度だ。

“プランナー”都築京香 :
「探し者の競争相手が思ったよりいる、という事実を先に実感してもらったほうが…。
 この後の私の話に、意味を持ってくれそうでしたから」

マキナ :
 ほんと? ほんとに一つ?
 十個ぐらい隠し持ってても驚かないよ私。

 ……まあ、そんな答えのない疑問は置いといて。

マキナ :
 何というか淡白な反応、心底どうでも良さそうっていうか、実際そうなんでしょ。
 重要なのはやっぱり、それ自体より他にも同じようなUMAハンターがうようよいるってことなのか。
「"電子の妖精"は、体のいいクリフハンガーってコトね。そいつを知るため、得るために、あちこちの勢力が蠢動してる」

マキナ :
「で……知った上での話って、何?
 勿体ぶらないで教えて欲しいんだけど」

“プランナー”都築京香 :
「ええ。少なくとも彼女の探し人には…。
 それ相応の望みがあるようですから」

“プランナー”都築京香 :
「そして私は…。

 彼女自身にさほど用はなくとも…。
 彼女を追う者のほうに用があるのです」

“プランナー”都築京香 :
「電子の妖精は、どうにも、人の営みを辿って動く…。
 事件が起きるのはその“序で”か不可抗力です。アメリカからカナダを経由して、もう一度、合衆国のほうまで降りてくることでしょう」

“プランナー”都築京香 :
「…その合衆国での“探し物”。付き合って頂いている相手がいるのですが…。
 彼の伝手を貸す代わりに、この導きに耳を傾けてほしいのです」

SYSTEM :
 …彼女の言い分は。ものすごくざっくりと口にしてしまえばこうだ。

 あなたと私は概ね似たようなものを探している。
     ゼ ノ ス
 あなたは自分の組織/自分の伝手を、こちらはあなたを。お互いに借りませんか、だ。

“プランナー”都築京香 :
「先になぜ、を問うかと思われますので答えますが…。

 私、もの探しは得意な時とそうでない時がありまして。今回は後者なのです」

マキナ :
「……目的は同じ。ってコト」
 少なくともこの時代、この案件に関わる限りにおいて……こいつは協力しあえるってことか。
「有難い申し出だけど、釣り合うの?
 こんな得体のしれないイリーガル一人、勧誘掛けるより手札なんて一杯あるでしょうに」

マキナ :
「何だかこっちばかりいい思いしてるような気もするけど……」
 渡りに船、というのはまさにそうだし。
 協力者は裁量権に基づいて自由に選べるって作戦要綱にもあったから、協力するのはケッコーなことだ。
 妖精自体に何ら関わる気もないというのも都合がいい。ウチらの明確な失敗条件は、それの喪失だろうから。

マキナ :
 断る理由はない、半分ぐらい請ける前提での、一応訊いてみた、だ。

“プランナー”都築京香 :
「…さて。想像にお任せしますが…。
 時に、このように“ゆらぎ”に身を任せて頂くのを好かない者もいましたね」

SYSTEM :
 そもそも彼女の姦計の巡らせ方は、FHのやり方とは違う。

 ゴールまで一緒に走ろうと頷き合って、最後に最高潮の笑顔で掌を返すアレだ。
 あの類ではない。一度決めた約束を律義に守り続ける流儀でもないが、少なくとも…。

 彼女は彼女の価値観における善意と目的で動く。“いい思い”の中心、もしくは一番したくない“悪い思い”の排除の軸線は揺らぎようがない。

“プランナー”都築京香 :
「得体の知れない、は、誰にとっても同じ…ということです。何より…」

“プランナー”都築京香 :
「…居合わせなかった時、もっとも悔やむのはあなたでしょう?
 ・・・・・・・   ・・・・・・
 どちらでもよいなら、なるべくよい、に。あなた方人間が、レネゲイドに学習させてきたことです」

SYSTEM :
 …電子の妖精自体が、皆無でないにせよ、そこまで興味はないものであり。
 そこを追う”探し物”に用のある彼女にとって。どちらでも些事なら。あとは、そのようなものだ。

 追いかけるもの以外の所以を知らない(教えてもいない)あなたを気遣うというよりは、学習結果から、そのほうが彼女の価値観にとって好ましいほうに世の中が行くから…に過ぎなかった。

マキナ :
「…………」
 そうだった。こいつの価値判断は、普通で当て嵌めちゃいけないんだった。
 協力相手は裁量権の範疇だ。だからこそ、見極めが必須な訳だが、こいつを見極めるなんてのは肉眼で雲の奥の星空を覗き見ようとするぐらい無茶で無謀な話。

マキナ :
 ……どの道他に当てもない。別に協力関係のすべてが最後は手のひらを返して終わる、なんてワケでもないし。
 最悪のケースは、コイツの目的が『時空犯罪者を保護すること』である場合だ。その場合は、こいつとの対立を招くことになる。けど……
「オーケイ、わかったよ。
 その話乗った」

マキナ :
 先のやり取りを聞く限り、それもないか、排除が目的だと今は判断。
 幾らイレギュラーを好む何某でも、同じ時代に歴史改竄の集中する影響の程は知っている筈だ。それを見過ごしにはしない……と思う。

“プランナー”都築京香 :
「成立ですね。では…。
 あなたの足跡を見かけなくなる時まで、お手伝いを約束しましょう」

“プランナー”都築京香 :
「ですが、私の探し物は身近に私がいないほうが見つかりやすいものなので…。

 そうですね。あなたの探し物が、アメリカで見つかった時、お伝えします。その道の辿り方も」

SYSTEM :
 あなたの懸念のすべてまでを図っているわけではないのか、あるいは、その”最悪のケース”に触れないことが、それらがプランの外側にあることの意思表示なのか。

 プランナーの表情は特別動かなかった。あなたの中で噂をした時、その姿は影を差すだろう。

“プランナー”都築京香 :
「でも。
 据わりが悪い、と、思っておられるなら…そうですね」

“プランナー”都築京香 :
「たとえ彼女がどのような者であっても。探し人の誰よりも。
 お名前ほどに、満ち足りた結末を導き出されるように」

“プランナー”都築京香 :
「その過程で、きっと頼まれるまでもなく…。
 あなたは私の探し物の手がかりを教えてくれるでしょうから」

マキナ :
 ……足跡がなくなるまで、ね。
 何処まで知っているのやら。

「ハッ……
 そういうことなら私の円満解決に、あんたも噛ませてあげる」

マキナ :
              ランナー
「この事件に関してはあんたの使い走りになってやろうじゃん。
 その方が、神様のご都合主義に近付きそうなのは確かだしね」

“プランナー”都築京香 :
「ふふ。光栄の響きですが…。
 神と呼ばれるものがいたとして、きっと、万事他愛もなく物事を終えるわけではありませんよ」

“プランナー”都築京香 :
「むしろその身の丈が巨きければ巨きいほど、己自身で課す難題も巨きくなるもの…」

“プランナー”都築京香 :
「ですから、いい思いの過程としては十分に苦難でありましょう。
 その道筋に立て看板を置くことを、私の答えとしましょうか」

SYSTEM :
 そう口にした彼女は、あなたから概ね満足な答えが出たと判断したらしい。
 踵を返そうとして………。

“プランナー”都築京香 :
「………ああ」

“プランナー”都築京香 :
「いらっしゃいます? こちら」

SYSTEM :
 その言葉はつまりゼノスの隠れ家ないし、あちらで都合のつく場所に“行く当て”が浮かばないなら来るか、という、思い付きの言葉だ。

SYSTEM :
 ところでこの時代の彼女と出会うたび、なぜか最後に、確かめるように”同じ”ことを聞いてきたが。
 それが親切心なのか、本当に、“得体のしれないイリーガル”の確認なのかは定かでない。

 別に”そっち”は断ったって悪くはならない。それも確認済みであった。

マキナ :

マキナ :
「…………そうかもねえ。
 所詮私は只のしがないシャドウランナー。
              ガービッジ  バイプロダクト
 経緯がちょっぴり特殊でも、量 産 品の副  産  物……
 でも、それが出来る事やらない理由にはならないでしょ」

マキナ :
「だからまあ、使えるものは使わせて貰うよ。
 ……その、今思いついたみたいな気まぐれも。有難く使わせてもらおっかな」

マキナ :
 この時代、ゼノスの連中は協力的だ。未来人ってのにそれほど価値があるのか、別の思惑があるのか、まあその辺はどうでもいいや。
 手っ取り早い現地協力者の当てを付けるなら、あそこがいい。それが向こうから勧誘して来るなら猶更。

“プランナー”都築京香 :
「ええ。何度目の、幾つ目かまでは、流石に存じ上げませんが…」

“プランナー”都築京香 :
「隣人への思い付きとしてはよいほうでしょう?」

SYSTEM :
 こと…事情を正確に話せない場合のクロノスガーディアンは、その時代にとって”都合のよい”立場をとる。

 神秘が表に残る時は、妖精の名を被り。神の使いを名乗る。
               フィクサー
 その名残には、旅の僧を象り。交渉人を騙る。

SYSTEM :
 この時代においては、あちらからコンタクトを取り、興味と引き換えに引っ掛かりやすい現地協力者の筆頭は、基本その“ゼノス”だ。

 宇宙人と口にすれば本気で信じるようなものは…一名いるし、組織として一つあるが…基本的にいないし。
 ありのまま真実を話して待っているものは黄色い病院か、某不名誉な衝動ありきのジャーム認定。そういう意味では、仮宿候補としても、コンタクトをとる相手としても十分なところではあった。

SYSTEM :
 踵を返し、あなたの言葉に、平時と変わらぬ笑みでうなずいた彼女のシンドロームは、けっきょく”どれ”なのか定かでない。

 最多の報告があるノイマン・シンドローム以外を平然と操る彼女が今回使ったのは、ある意味おなじみのバロールが作るゲート。

 それを最後に、ひと時の喧騒は姿を消し。アラスカは再び静寂に包まれた。

マキナ :
「……まあ、そーね」
 何から何まで都合が宜しいことで。この時代の人らも、色んな意味で苦労してるんだろうなあ。
 そんなことを心中でぼやきながら……本当に当然の権利のように、確認されていない症状のエフェクトを行使しながら……開かれるゲートを見遣る。

マキナ :
 乗ってきたトライクを押して、中に入る。

 現状……目立った失敗はない。協力者を得ることも、橋頭保を築くことも出来た。
 調査自体に目立った進展こそないものの、出遅れている訳でもない。

マキナ :
 あの時の任務も。
 こんな順調な滑り出しをしていた。
 けど同じように、多数の思惑が錯綜する混然とした状況が展開されていた。

マキナ :
 ──手を離れた混沌は、たとえどれだけうまく泳ぎ切ったとしても想像もつかない惨事を引き起こす。それを、私は知っている。
「……」
 神様もそう万能じゃないって?
 だからって全部マッサラにして解決するなんて、そんなフザけた発想があってたまるか。

マキナ :
 そんな馬鹿馬鹿しいものを否定する程度なら……こんな粗製乱造品にだってできるはずだ。

 噛み締めるように髪留めに手で触れて、トライクを押し進めた。

SYSTEM :
 物事すべてなるように。
  デウスエクスマキナ
 不可能の後始末など、どんな身の丈に合う所業だろう。
 事と次第によっては、たとえばその読み方を『円満解決』に変えたなら。神様にだって抱えきれない夢物語だ。

SYSTEM :
 だが…どうあれ、今までもこれからも、そのようにしてきたことだ。
 あるいはあの日、その躯に、人の手で作られた神鳴る雷霆が宿った時から。

SYSTEM :
 ………ならばこれもその一つだった。

 時を渡る旅の足跡は残らない。
 その追憶が積もってゆくのは、
 いつだって、時を渡る旅人だけ。
 確かめることができるのも、同じように。

SYSTEM :
       ・・
 ………奇しくも混沌が眼前に渦を巻くのは。
 あなたが旅の無事の祈る仕草をなぞり、来訪者たちのカテゴリの道にすれ違う時間を選び。それから少しの刻が経ったあとだった。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :
 シーンが終了したよ!
 ロイスの宣言はある?

マキナ :
そーねえ……

マキナ :
?????の子。仮称ルーン。
感情は
○P:何この子/N:おもろ
でどうよ。

????? :
(こいつ出オチにル、私の名を使ったか!!!!!????? という叫び声が聞こえる…。)

GM :
いいんだけどいいの?(いいよ)

GM :
OKならキャラシに書き加えておいてね!

マキナ :
もっとしっかり分かってきたら感情変わるかもだけどさ。
はいはーい 書いて来たよ

GM :
オッケー!

 

OP3『始点-Journey-』


SYSTEM :
【Scene:始点-Journey-】

Scene Player:Sydney Hess
   Erosion:OFF

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

 アメリカ大陸南部、ルイジアナ州立。
Veterans Affairs
 退役軍人省管轄のメディカルセンター。

SYSTEM :

 そこにあなたは、軍用4WDのゆりかごに守られながら向かっていた。
 …あるいは軍用4WDではなく、別の乗り物かもしれないが。

SYSTEM :

 シドニー・ヘス。
 元DAPPA局長にして、愛国者として葬られた、移民の将校ヘルムート・ヘスの孫娘。

 軍人であると同時に碩学でもあったヘルムートの血を色濃く受け継いだあなたは、
 かつて祖父が人生の半分以上を共に生き、晩年をも捧げ、乱心と犠牲を以てそれを汚した、レネゲイドウイルスの実在を知った。

SYSTEM :

 あなたはDAPPAから、アメリカにおけるレネゲイドに対する理解の最先端…。
 それが齎す“嵐”への抵抗者。テンペストに斡旋され、若年ながらその階級と、血を国に捧ぐ義務を授かっている。

SYSTEM :

 ………そのあなたがアメリカに帰省するばかりか。ましてやFH諸勢力優勢なルイジアナ州入りを果たすのは。
 なにも彼らの牙城を崩してこい、という話ではなかった。

SYSTEM :

 彼らにも表社会というものがあり、アメリカにとって犯罪者を容認する余地などなく。
 ましてやもはや蜜月の理由はなくとも。”残しておく”意味が相互にある。

 それが崩れる前の牽制を、無知な少女にやらせると言えば筋も通ろうが、あなたは無知とは呼べず、利巧とも呼べない狭間に足を置く人間だ。
 そのあたりの理解がある相手、ましてや新兵を単身送り出す理由は、テンペストが軍属、特権こそあれども、一介の“特務部隊”に過ぎない以上はない。

SYSTEM :
 ………事の発端はこうだ。先日のこと。

 あなたは本国において訓練期間を終え、いざ初陣! というその時。
 新兵の初任務として、統合作戦本部から直接の召還を受けていた…。

SYSTEM :
 本国であなたを待っていたのは…。

O-6/エイブラム :

「ヘス伍長。
 本日20XX/03/XXを以て、任務を貴官に通達する」

O-6/エイブラム :

「ミネソタ州におけるテロリストの摘発任務を遂行せよ」

SYSTEM :
 階級を示す星の数においては比較にならず、
 同時に米軍基地の叩き上げと比べても、精強さにおいて比較にならない。

 いわば机仕事勤めの若年将校であった。

SYSTEM :
              O-6
 ───エイブラム・ジョーンズ大佐。

 士官学校を主席で卒業すると同時、米軍においては公然の秘密ともなりつつあるレネゲイドを運用するテンペストおよび、
 海軍の通常部隊について、統合作戦本部からの指示を基に、双方の橋渡しを担う男だ。
 テンペストの現場指揮が今の”エース・イン・ザ・ホール”であるならば、統合作戦本部の意を汲む備え付けのブレーキが彼にあたる。

シドニー・ヘス :
                        Patriot
 ぼくたちの前に立つ男が、厳かに命を下した。ぼくに愛国者の名を与えた『彼ら』の一員だけど、『彼』がそうだと言うわけじゃない。シドニーが『彼』ではないように。

シドニー・ヘス :
 シドニーの知識のかぎり、佐官尉官を飛び越えて、訓練を修了したばかりの新兵に大佐から声がかかるのは「うそぉー!」と叫んでしまうようなコトらしい。

シドニー・ヘス :
                 Tempest
 難しい顔で二言三言の助言をくれた『彼ら』の一人も、彼女を心配していたっけ。その人はシドニーのいる部隊で、いちばんえらい人だ。

シドニー・ヘス :
「はひッ」

 ディアスにはわるいけど、あんまり効果はなかったようだ。全身の関節が固まるくらいの緊張が、シドニーから伝わってくる。

シドニー・ヘス :
 裏返った声。がちがちの両肩は顎の高さまで持ちあがって、すごく不自然だ。組んだ後ろ手はきつく握るあまり軋みをあげている。

シドニー・ヘス :
 でもシドニーは言っていた。

『任せてください、隊長。軍人としてあるべき姿は教官方だけでなく、祖父と父からも学んできました』

シドニー・ヘス :
『一人前の兵士として、テンペストの名に恥じない振舞いを実践します』

シドニー・ヘス :
「あた──小官は合衆国憲法を守り、与えられた職務を誠実に果たすことを誓いますッ」

 ワオ。

O-6/エイブラム :
「ン…。
           D A R P A
 ああ、きみの祖父は国防高等研究計画局の局長殿だったと聞いたが───」

SYSTEM :
 …第一声の緊張と親友の有様は、半年から一年程度の促成栽培とて下士官らしからぬ様子であった。
 だが、それもむべなるかな。
 あなたを軍人たらしめたのはあなたの決定だが、あなたにキャリア不相応の下駄を履かせたのはその血筋だ。
 正確には、その血筋を切欠とした奇跡の生還であった。

SYSTEM :
 奇跡の生還の立役者の心配と、沖縄におけるテンペストの実働部隊隊長、ディアス・マクレーン中佐の人間鉄仮面が、新兵に対しては珍しくも確実に見せる表情の忠告も空しく…。

SYSTEM :
 この様子である。
 幸いだったのは、そこの若年将校があなたに対してそこまでのハードルを用意していなかったことだろうか。

O-6/エイブラム :
「いや。その話は蛇足だな。
 けっこうだ、楽にしてくれて構わない」

O-6/エイブラム :
「極秘裏の任務ではあるが、貴官が果たすべき役割は特異、かつ、然程の困難を伴わない程度のものだ。
 ことR案件における損害と事案発生率は年々増加傾向にあるが、戦時中でもなし…」

O-6/エイブラム :
「話を戻すが、良いかね?」

シドニー・ヘス :
「は、はい! おじいちゃ……祖父が設立に関わった部隊に所属できて光栄であります! がんばります!」

 後悔、猜疑心、憧憬……。『おじいちゃん』の話になると、シドニーの感情はいつも複雑になる。

 でも今日ばかりは万華鏡はお預けだ。緊張が、上滑りの言葉を重ねていく。

シドニー・ヘス :
「サー、イエッサー!」

 楽にと言われたのに、シドニーは自分のこめかみに手刀を叩きこんで悶絶した。

シドニー・ヘス :
「ダッッッ……し、失礼を……」

O-6/エイブラム :
「…私も士官学校で”やらかす”馬鹿者が修正される様は見たことがあるが、自ら上官の前で、というのは初めて見るな」

シドニー・ヘス :
「っっ~~~~」

 敬礼が! 勢いあまって! シドニーのあたまでうるさく言葉が響くけど、ぱくぱくと開閉する口は無音だ。

シドニー・ヘス :
「あ、あの」

シドニー・ヘス :
「小官こんなですが……任務はがんばりますので……!」

シドニー・ヘス :
「では……なく! すみません、学生みたいな失言ばかり」

 あのそのと言い訳を重ねるほど、入室前のシドニーが思い描いていたイメージ像から遠ざかっていく。

「それで、その、極秘裏の任務と言うのは」

O-6/エイブラム :
「…第三海兵遠征軍、実験部隊。通称テンペスト。
 連中の中には、世辞にも軍人とは呼べない不良もいるにはいた」

O-6/エイブラム :
 Overed
「超人兵士と機械化兵…彼らの強力さの対価だな。
 なに、そのカテゴリの特に素行不良な者と比べると、貴官は話のテーブルにつく分たいして心労もないというもの」

O-6/エイブラム :
「ヨシ。では貴官の情報処理能力がオーバーフローを起こす前に要点を抑えてゆくとしよう」

SYSTEM :
 そう口にすると、あなたの視界に見えるモニターが、小さな窓にやや過多気味の情報を詰め込み始めた…。

O-6/エイブラム :
「Universal Guardian's Network…。
 通称『UGN』という」

O-6/エイブラム :
「貴官はこの組織について、存じていることはあるか?」

シドニー・ヘス :
「は、はい、テーブルつけます! 得意です、テーブルにつくの」

 もう自分でも何を言っているのか分からないらしい。ぼくにもよく分からないけど、ひとつ確信がある。

シドニー・ヘス :
 それは、彼女が今夜ベッドの上で自分の言動をふりかえって、激しくのたうち回るってこと。

シドニー・ヘス :
 天を仰ぐにひとしい立ち位置の上司から本題に意識を移してやろう、という気づかいはベストだ。彼には届かないけど、ぼくが保証する。

シドニー・ヘス :
「えっと……」

 フィラーのこぼれた口を一瞬閉じる。彼女の知る『立派な軍人』は、誰も言葉と言葉の間にそんな余分は挟まなかったらしい。
 戒めがシドニーの襟を正させるのを、ぼくは内側でじっと観察する。

シドニー・ヘス :
「公的な機関でないにも関わらず、世界規模の組織だと教わっています。合衆国に本部があるとも」

シドニー・ヘス :
「人類とオーヴァードの共存を掲げた、個人同士の繋がり。それが各地に拡がって生まれた巨大なネットワークだと」

O-6/エイブラム :
「ああ。概ね前提の認識としては相違ないところだ」

O-6/エイブラム :
「かつて北米FHセルの壊滅に尽力したコードウェル博士を指導者として持ち、
                                  ロッジ
 各地の民間抗R組織を取りまとめて20年前に成立した、公にされていない秘密組織」

O-6/エイブラム :
                アクシズ
「今はその唯一たる指導者を失い、中枢評議会による指揮系統を代替としている組織であるが。
 その基本理念は人類とオーヴァードの共存…ひいては、現代秩序の無用な混乱を招かない軟着陸のほうを目指している組織がこちらだな」

O-6/エイブラム :
「テンペストの訓練教官と来たら座学より実戦に重きを置く叩き上げ揃いだが…。
 だからこそだ、初歩の初歩を教えていないはずもない。貴官がそれを把握しているなら、そのあたりの補足はしないでもいいだろう」

SYSTEM :
 人類とオーヴァードの共存、そこから“時期尚早”のラベルが剥がれるのはいつになるかとか。
 そういう話のためではない。ましてや、問題となる摘発相手はここでもない。

 軟着陸を目指さない方/世界各地のR案件に関してここと二分する方を指したものでもなかった。近いのは其方だが。

O-6/エイブラム :
「その彼らがミネソタ州において、潜伏するオーヴァードテロ集団…。
   Nameless
 通称【刻知らず】の検挙、摘発にあたる、という情報が入った」

O-6/エイブラム :
「厳密には、我が国の州に対する調査許可申請を連中が願い出てきた、というわけだが…」

O-6/エイブラム :
「我々の国に土足で踏み入り、鼠のように潜り込んだテロリストが如何に矮小たりとも…。
 ただ、民間組織ひとつの勇敢さに任せておくには忍びないと、統合参謀本部は判断した」

シドニー・ヘス :
 教科書的な知識だったけど、今は十分なようだ。シドニーの中にほっと胸をなでおろすイメージが浮かぶ。

シドニー・ヘス :
「ちゃんと申請してるんですね。意外です」

 余談のような感心は、次に流れていく。

シドニー・ヘス :
「自分たちの国が踏み躙られようとしている……。阻止するため動くのが軍人、ということですね」

 それはシドニー自身の愛国心ではなく、古い記憶に基づいた言葉だった。
 今のシドニーよりずっと低い視界のイメージが浮かんでは、瞬きと共に消える。一人の老人の姿。『おじいちゃん』と、彼女の代わりにぼくは呟く。

シドニー・ヘス :
「刻知らず……テロリスト集団と仰いますが、FHセルとは違うのですか?」

 テンペスト以外のオーヴァード組織をまだ、ぼくもシドニーも知らない。座学で学んだ知識に照らし合わせた疑問を、ありのまま問いかける。

O-6/エイブラム :
「うむ。ああ明言はしたが、…ほぼ同義と思って差し支えない。
 そのUGNの、ひいては我々の仮想敵と基本的動向はそう外れていないからな」

SYSTEM :
 あなたの古い記憶に基づいた言葉の、本当の意味までをエイブラムは共有しない。

 だが、己の育ち、帰ると定めた国が踏み躙られようという時、阻止のために立ち上がるのが軍人であった。
 もとより国家に仕えるスペシャリストの集団が、スペシャリストであることを己に赦し、誇る十分条件がそれなのだから。

SYSTEM :
 …あなたのイメージの中にいた彼はどうだっただろうか?
 内心はさておき、ありのままの問いかけに“O-6/米軍海兵における『大佐』に相当する”が応じた。

O-6/エイブラム :
  ネイムレス
「…【刻知らず】というのはだな。さて、どこから伝えたものか」

O-6/エイブラム :
「ここのところ、アメリカ各州、いや、世界各地で発生する電子機器の暴走事故…。
 のみならず、各地の発電所の不可解な停止に過負荷を基とする『停電』…」

O-6/エイブラム :
「これら…あるいはこれらにかこつけた、事件発生後の小規模な騒ぎのほうか。
 それをずいぶんな頻度で引き起こしている者たちの名だ。反社会的兆候から、便宜上テロ集団と呼称しているが、FHのセルの一つとして数えるには、ここのところ雑多な”派生”も多いと聞くからな…」

O-6/エイブラム :
「活動規模、人員、ましてやそもそもの目的すら不明だが…ああ、リーダーについては確証こそないが識別符号を確認している」

O-6/エイブラム :
ニコラ・テスラ
「《雷 人》だよ。
 連中の首魁が名乗る名はよりにもよってソレだ」

SYSTEM :
 電磁を制した十九~二〇世紀の天才科学者。
 人間の文明に「電気」を齎した偉大なる碩学のひとりの名を僭称するテロリスト。
 組織内において唯一、内外に判明している首魁の名が“それ”だ。

O-6/エイブラム :
「この不遜な盗人どもが、どこの国の、いったいどの組織に結びついているか定かではない」

O-6/エイブラム :
「この男の所在がFHなのか、他所の国の研究機関の“やらかし”か、はたまた…。
 そうした事情もあってそう呼んでいる」

O-6/エイブラム :
「…まあ、貴官にとって認識が煩雑になるというなら“目的不明のFHセル”と判断してくれていい。
 端的に言って、どちらもテロリストなことにたいした違いはないからな…」

SYSTEM :
 …エイブラムの表情は、彼にとってUGNも“容疑者”であると暗に語っていた。
 もちろん、その容疑は他と比べて遥かに低いこと程度は、彼も理解している。

SYSTEM :
 世界各地のR案件に関して。かつてはUGNとFH、二つの組織が鎬を削りあっていた。

 彼にとっては”派生”に過ぎないゼノス等の来訪者たちが、より薄氷の下に複雑怪奇なネットワークを作る中…。

 そんな各州に根付いた彼らを、合衆国首脳部がどのように見做しているか。
 答えはこれだ。

SYSTEM :
 片手では握手をし、片手ではナイフを握りしめている。
 魅力的なビジネスパートナーであると同時に、潜在的な危険因子。

 昨今のUGNの混乱を以て、特に米国からのUGNの扱いは、どれだけ彼らの“資産”をこちらに落とさせるか…。
 そうした側面が決してないわけではなかった。

 決して敵対的ではないことを前提としたうえで、胸襟を開いて話し合うような、友好的な関係ではないことは確かだ。

O-6/エイブラム :
「貴官の判断は正当なものとなる。
 我々としては当然…これを野放しにする理由はない」

O-6/エイブラム :
「…とはいえだ。今回の作戦はテンペストの本隊を動員出来ない。理由はわかるか?」

シドニー・ヘス :
「ニュースで見ました。原因不明の事故がどうとかって……合衆国だけじゃなかったんですね」

 シドニーの頭のメモに言葉が連なっていく。
 『刻知らず』『事件後に出没』『規模不明』『犯人』。二重線が引かれて、クエスチョンマークが添えられた。

シドニー・ヘス :
「へっ?」

 ニコラ・テスラ──引いた二重線がぽきりと折れる。

「電子機器の暴走事故の近辺で、よりにもよってですか」

シドニー・ヘス :
 どういうつもりなんだろう、と首を傾げるシドニー。
 どういうことなんだろう、とぼくは彼女の知識をなぞる。

シドニー・ヘス :
「……お気遣い、痛み入ります。ですがレッテルは剝がしておこうと思います」

シドニー・ヘス :
「彼らの活動が暴威となる以上、テロリストと見なされる。でもそれは刻知らずと雷人の正体を決定付けるものではない」

シドニー・ヘス :
「あたしの判断が正当なものになるのであれば、なおさらです。間違った判断をしないためにも」

シドニー・ヘス :
「…… ……」

シドニー・ヘス :
「へぁ」

 シドニーは『軍人』のあるべき姿の追及に、ものすごく熱心だ。その完璧な理想像に、彼女自身はまるで追いついていない。

シドニー・ヘス :
「い……忙しいから、ですか……?」

シドニー・ヘス :
「それか……出るほどでもない、とか……?」

シドニー・ヘス :
「あとあと……あと……」

シドニー・ヘス :
「実は解決一歩手前……みたいな……!」

SYSTEM :
 完璧な理想像への努力に、はじめO-6は『ベスト・アンサー』と答えた。
 間違った判断をしないため、という部分だ。

O-6/エイブラム :
「貴官は今回、
     Petty Officer
 少なからず下士官相当の任につくことになる」

O-6/エイブラム :
「貴官が事実として新兵の一兵卒と変わらない経験のもと駆り出されたとしても、
 軍人である以上、権限に相応の成果と、現場の判断を求められることがあるだろう」

O-6/エイブラム :
U.S.A
「合衆国にとって最善の判断を──────?」

SYSTEM :
 …そのあとの途中式の粗製乱造に、男は少し考え込んだ。ちょっと目に憂いのようなものが混ざりだした頃合いである。

O-6/エイブラム :
 Overed
「超人兵士の能力養成を急務にして、促成栽培などするから…。ああ、いや失礼…」

O-6/エイブラム :
「実は…途中式の先が書けていれば正解だったのだがな、その答え…」

O-6/エイブラム :
「まあ、よし。続けよう」

シドニー・ヘス :
「ワ……ワンモアチャンス!」

O-6/エイブラム :
「よろしい───と言いたいところだが、実地で“もう一度”はそうそう叶わないぞ」

O-6/エイブラム :
「事実、そう外したものでもない」

O-6/エイブラム :
「知っての通り…現在テンペスト本隊はジャパンを中心に任務を遂行している」

シドニー・ヘス :
正論にシドニーがうっとうめいて、姿勢を正す。本題の時間だ。

SYSTEM :
 日米安全保障条約秘密追加条項Rに従い───。
 あるいは、そうではない独断の任務として。
             Specialist team
 テンペストは、在日米軍のいち特務部隊として、R案件に出動する。

SYSTEM :
 人口過密で治安の良い同盟国である日本において、目立つ軍隊はそうそう出動させられない。
 彼方で言うところの防衛隊共々、特にR案件の頻発する日本において、彼らの戦力と経験は貴重だ。
 
 本土の防衛を優先するという点はその通りだが、これはただの州一つの”調査”に過ぎない。
 空振りや小火騒ぎにまで、いちいちマンハッタンに匹敵する予算をかけた軍設備や装備を動かしていては、仮に“アタリ”でも国家の財政状況は無残なことになるだろう。

O-6/エイブラム :
「ついでに言えば…丸ごとの動員は日本当局への根回しのみならず、世界各地からのよけいな脚光を浴びかねん。
 我々が世界の警察をやっているのはかつて周知の事実だったが…そいつは全盛期から随分廃れた概念だ…」

O-6/エイブラム :
「ましてや彼らが任務を遂行する現地における趨勢は、重要な意味を持つと参謀本部は判断している。
 ・・・・・・・・
 現時点においては、ただのテロリスト処理でしかない任務には戻せない…」

O-6/エイブラム :
「だがR案件である以上、SWAT単品では如何に彼らが本国内におけるスペシャリスト・チームであっても話は別だ。
 対ワーディング装備を持ち出したところで焼け石に水。まず対処できない。

 ここのところは遡れば十数年前の“レネゲイド・シビル・ウォー”と…シカゴの事例が示している」

O-6/エイブラム :
     ・・
「そこで、まず、出向予定だった貴官に…。
 白羽の矢が立った」

SYSTEM :
 よってテンペスト配属”予定”であり、既にそこに在籍している彼女。
 端的に言えば“まだアメリカに待機しており、任地に出向する前だった”予備兵力の新兵に白羽の矢が立った。

SYSTEM :
 UGNの監視という点において、オーヴァードの兵士は必須である。
 彼らがその気になれば、ワーディングの一発、あるいは強行突破を敢行できる“懸念”は…。もはや捨てきれるものではない。

SYSTEM :
 そして同時に、合衆国としても、UGNはビジネスパートナーである。今のところ。

 テンペストの一部隊を調査申請にかこつけ援軍として取り付ける程度の“骨”を折るパフォーマンスは、
 今後の友好的な関係のためには必要不可欠という判断だったわけだ。

O-6/エイブラム :
「もちろん、貴官が如何に…。
 Overed
 超人兵士とて」

O-6/エイブラム :
「新兵だ。ましてや、兵役の定義で考えれば本来そこにそぐう年齢でもない。
 その貴官ひとりだけで遂行する規模でもない」

O-6/エイブラム :
             D I A
「その不足分は情報において国防情報局、実働においてはSWATを補佐につけた後、
                  タスクフォース
 UGNから出向するエージェントを持って実行部隊を結成する…」

O-6/エイブラム :
「………。かつてレネゲイド・シビル・ウォーなる戦いがあった時、我々はレネゲイドへの知識不足から、
 プロフェッショナルであるところのUGNとの連帯を必要としていた」

O-6/エイブラム :
                   ・・
「ただそれは我々が、レネゲイドに関して素人だった時の話だ。
 今の我々は民間組織の後塵を拝する必要性はあらゆる側面から見て“ない”。血を流させる必要も然程とない」

O-6/エイブラム :
            遂行を保障する
「歩幅を合わせるのではなくリードを持つ、ということになる。
 第三遠征軍実験部隊、テンペストの一翼に求められた任務はそのようなものと思ってくれ」

SYSTEM :
        ・・・・・・
 あなた、いや、テンペストに、
 エイブラム…厳密には、彼に指示を下した統合参謀本部の求める役割はこうだ。

SYSTEM :
Watch dog
 監視役───ビジネスパートナーではあるがそれ以上ではない、UGNのブレーキ役。
 そしてそれ以上に、テロリストの鎮圧実績という点においても、イニシアチブを握るようにという駆け引きの役。

シドニー・ヘス :
「…… ……」

 シドニーの感情が波打つ。安堵と不安。

 先遣隊と哨兵の兼ね役は彼女にとっても、納得のいく役回りだった。
 非オーヴァードとはいえ信頼できる専門家のサポートもあるならばと前向きな気持ちもあった。

シドニー・ヘス :
 続く要求が、不安の原因だ。軍人として、民間組織に遅れを取ってはならない。共同戦線の天秤を、こちらに傾けるようにと。
 生まれ変わった肉体を訓練通りに振り回すだけでは、とても立ち行かない任務だ。

シドニー・ヘス :
「お、お言葉ですがっ」

シドニー・ヘス :
「小官には荷が重いのでは……」

 尻すぼみに縮んでいく声。自分にはできないかもなんて、軍人がすべき返事ではないとシドニーの心がうじうじとしだすのを感じ取る。

O-6/エイブラム :
「………」

O-6/エイブラム :
 Overed
「超人兵士とて、貴官の年齢はティーンの促成栽培だ。繰り返すようだが」

O-6/エイブラム :
「疑問はもっとも故、私からの返答は再び繰り返すものになる。

 貴官の役割は特異だが、さほどの困難ではない、とな」

SYSTEM :
 もちろんそのようなシンプルでないゲームは、新兵に任せる任務ではない。
 そしてエイブラム/統合参謀本部においての判断は、あなたが理解している必要もない、だ。

 新兵にこんなシーソーゲームを任せるなどという判断を国家が取ろうものなら、基本的には、向こう数年以内の約束された破滅が待っている。

SYSTEM :
 …ならばなぜか?

O-6/エイブラム :
「貴官の任務は補佐であり、我々独自のRB兵器のデータ収集を兼ねた実働。
         ・・・・・
 その任を通達する本来の相手がいるのだ」

O-6/エイブラム :
「…我がアメリカにとっては…。
 ・・
 二度の成功体験の象徴だな」

SYSTEM :
 ───他者の功績を誇らしげに口にした彼の“ここまで”と“これから”が概ねの答えだ。

O-6/エイブラム :
「既に予備役編入となっているが…。
 貴官はご存知か? “ホワイト・スカイ”を」

O-6/エイブラム :
「…かつてのレネゲイド・シビル・ウォーにおいて巨大FHセル、
 通称『シャンバラ』の摘発において、大きな功績を挙げ…」

O-6/エイブラム :
「3年前の『クレイジー・ウォー』…。
                         Overed
 シカゴで発生した大規模テロの本格化を未然に防いだ超人兵士。
 ダン・レイリー大尉のことを指すものだ」

シドニー・ヘス :
「"ホワイト・スカイ"……」

 復唱するシドニーの心と心臓が、どきりと跳ねる。ご存知なんてものではないと、まるい目がおおきく見開かれた。

シドニー・ヘス :
「訓練中、教官から聞いたことはあります。初代エース・イン・ザ・ホール"と名高い元隊長……」

 『おじいちゃん』が亡くなった年にあったという、水面下の戦争。合衆国全土を巻き込んだ大事件が、それでも表社会に大きな傷痕を残さなかったのは、『大きな功績』のおかげだろう。
 もともと『ぼく』のような存在と無縁だったシドニーが真実を知ったのも、ごく最近のことだ。

シドニー・ヘス :
 三年前の戦いはその結末もあってか、何度となく聞かされた。現代に伝承される英雄譚を。

 名誉、勇気、献身。『彼ら』の大好きな価値観の詰まったノンフィクションは、一度まっさらになったシドニーにたいへんな刺激を与えた。

シドニー・ヘス :
「でも、負傷がもとで退役なさったと伺っていますが……そんな人を前線に引き出すんですか?」

O-6/エイブラム :
「そうだな。当時のテンペストはオーヴァードに対するノウハウも、今より遥かに乏しかったと聞く。
 ましてや彼のみの成果でもない、当時いくらでも、後世に勇者と称えられるような人間はいたと思う…」

O-6/エイブラム :
「だが、合衆国の今日を二度守った人間なことは紛れもない事実だよ」

O-6/エイブラム :
「一度目はともかく二度目は、奇跡の代価を払うことになった。貴官の言う通りだがね…」

SYSTEM :

 ───時に。
 クレイジー・ウォー、というのは。

SYSTEM :

 合衆国では数えて3年前、イリノイ州シカゴで発生した大規模テロ犯行の実態である。
 テンペストが観測したR案件においては最大規模の「もっとも目的が定かでない“無意味な戦い”」であり、
 その無意味によってあわや国家とUGNの存亡にかかわる事態が引き起こされた。

SYSTEM :
 シカゴのUGN支部はこの襲撃で壊滅、所属したオーヴァードは全員死亡。
 迎撃に出たSWATチームは大量の殉職者を出し、
 止むを得ず使用されたミサイルは首謀者の手にとりて着弾前に消滅させられた。

SYSTEM :
 皮肉にもテンペストの古参兵が退役し、事態の安定化に伴い規模を縮小しようという前段階で起きた惨劇であり、
 当時アメリカに帰投していたばかりの“ホワイト・スカイ”を中心とした急造かつ複数組織からなるチームが緊急設立。
 
 シカゴの被害が「大規模なテロリストの所業」で隠蔽できる“程度”に収まり。
 自由と秩序と平穏が続く奇跡の代価として、彼は負傷し退役を早めた。

SYSTEM :
 なお、この話には聊かの続きがある。
 それがテンペスト単独での作戦遂行ではなかったこと。なによりも。
                    ・・
 それを成し遂げる大きな役割を担ったのが個人であることから…。
 テンペストは方針転換と縮小の撤回を余儀なくされた、という部分だ。

SYSTEM :
 ここ3年、いや、それよりも僅か前…。
 急激な機械化手術や兵器実験、アメリカとしての対R案件に対する育成メソッドの方針転換と性急化。
 そこに至った原因は複数あれども、その要因となった一つは“コレ”だ、とも…。

 あなたに対するノンフィクションとして語り聞かせた現地の先達たちが、それを話したのかどうかは定かでない。

O-6/エイブラム :
「そのための貴官であり、そのためのバックアップだ。
 大尉殿には経験があり、貴官には今の技術と、超人兵士ならではの実働能力がある」

 たとえ新兵とてな、という呟きはどこにも届くことはなかった。

O-6/エイブラム :
「貴官の任務は、このダン・レイリー大尉…。
                  O-4
 いや、特例任官において復帰と同時に少佐待遇が予定されている超人兵士の補佐にある。
 特異だが、さほど困難でない、というのは…貴官にとって彼が現地の上官であり、裁量権を頂くことになるからだ」

O-6/エイブラム :
「もっとも当時予備役の人間だ。敬意と軍規は別!
 貴官が指揮権を委任しても構わんが、
 ・・・・・・・
 完全に委任する、ということのないように」

シドニー・ヘス :
 ふうん、へええ、とシドニーの知識を覗く。彼女にとっては教科書と新聞を並べて読むような、近くて遠い知識だ。

 シドニーは気付いてないけれど、ぼくたちには他人事じゃない。『大佐』にしてみれば、方針転換と性急化の結果が目の前に立ってるようなものだね。

 ぼくが『彼ら』に連れてこられたのは、いつだったのかな? 

シドニー・ヘス :
「あたしが"ホワイト・スカイ"の……初代"エース・イン・ザ・ホール"の、補佐を?」

 それは復唱というより、自分に現実を検めさせているようだった。

シドニー・ヘス :
 特異だが、さほど困難の伴わない任務!
 急拵えの兵ひとりに対して、周囲の体勢は万全すぎるくらい。状況の一致が招いた結果でも、見ようによっては下士官のチュートリアルだ。

 これってさ、すごくラッキーなんじゃない?

シドニー・ヘス :
 でもシドニーはチャンスに胸を踊らせるよりも、付焼き刃の責任感で面を上げた。

「──了解です」

シドニー・ヘス :
「小官は現役のテンペストとして、少佐を迎えます。嵐の抵抗者は正しく継がれたのだと知ってもらうために」

シドニー・ヘス :
 シドニーの『おじいちゃん』を思い出しているときの、冬景色のような寂しい感情に触れる。
 老齢を迎えても軍務に関わり続けた彼と、再び最前線に招かれた英雄を重ね合わせるのは、『彼ら』の中ではきっとシドニーだけだと思う。

シドニー・ヘス :
 半年か、一年か。そのくらいだ。ぼくと出会ったときのシドニーはただの女の子で、『彼ら』のような愛国心はなかった。
 JJ DID TIE BUCKLEなんて、頭文字のひとつも読み解けなかったのに。

 何をそんなに焦っているんだろう?

シドニー・ヘス :
 さっと青褪める顔。何かに気付いたシドニーが、ぼくが『何か』を確かめる前に平謝りした。

シドニー・ヘス :
「ごっごごごごめんなさい!!!!訓練あがりたてが偉そうに!!!!!あたしなんてテンペストのTの字も背負えてないのに……!!!!!書き始め1ミリの-っていうか……!!!!!!!」

SYSTEM :
 かつて祖父が恐怖した力を御し、制してきた当時の黎明は、黄昏を迎えようとしている。
 その当事者であったものの中には、あなたの中では確実に、ヘルムート・ヘスの姿もいた。

 薬物中毒者じみた狂気の羅列であなたの祖父の像を打ち崩した彼もまた、最後は、己の生き方を“そう”と定めたのだ、と。

SYSTEM :
 その背を追うものの自負と、探求心がそうさせた承認は、風船の空気が抜けるより早くプレッシャーで萎んでいったが。

O-6/エイブラム :
「これを訓練教官殿が聞いていたら”えらそうな口は自分も含めて5人分の面倒が見られるようになってから言え”というところかな」

O-6/エイブラム :
「だが…」

O-6/エイブラム :
「…貴官は。
        Overed
 人の命を守れる強い軍人だ。
 面倒を見てもらうティーンではなく、そのように扱うべしと参謀本部は判断し、その結果としてそこにいる」

O-6/エイブラム :
「たとえ要求されるラインが、付け焼刃でけっこうなものとてな。
 今の言葉を翻す詫びを、少佐殿に聞かせることのないように」

シドニー・ヘス :
「大佐ぁ……」

 あーあ、と思ったけど言わなかった。シドニーはすっかり絆されていて、助言のいくつかはこの現状を予見していたのかも。
 でも疑うのはぼくの仕事じゃないし、信じるのも趣味じゃない。

シドニー・ヘス :
 ……人の命を守れる強い軍人、と。背筋を伸ばさせる言葉が、シドニーの内に強く刻まれたのを感じる。

「未熟でも、駆け出しでも……背負った責務と、送り出してもらった期待には精一杯応えてみせます」

 射撃訓練の落第生なんて、きっと前代未聞の伍長だけど。

SYSTEM :
 シドニー・ヘス伍長の取り柄は、少なくともテンペストの誰もが精通する重火器の取り扱いではなかった。
 彼女はまだ一人の部下も持たなければ、このご時世では珍しいことでもない、実戦未経験の軍人だ。

SYSTEM :
 …あなたの隣人の懸念の答え合わせは、また別の話。

O-6/エイブラム :
「よろしい。貴官が合衆国に対する忠誠をよく全うし、奮闘することを期待する」

O-6/エイブラム :
「レイリー少佐は民間非営利団体の、複数の退役軍人複合サービス・教育センターの支援者でありカウンセラーも兼ねている。
 いまは退役軍人省直轄の、ルイジアナ州のメディカルセンターに出向していたはずだったな…」

O-6/エイブラム :
「こちらに、任命辞令書と共に向かってくれたまえ。
 予め、アポイントメントの手筈は整えてある」

O-6/エイブラム :
「何か質問は?」

シドニー・ヘス :
「ルイジアナ……少佐のもとへ向かい、小官が任務を通達。のち彼と共にミネソタへ発つんですね」

 UGNと協力して、刻知らずの摘発を実行する。

 シドニーの大前提はそうでも『ヘス伍長』に求められているのは確固とした立ち回りだ。現場限りの上官にも『民間組織』にもリードを預けきることのないように、と。

シドニー・ヘス :
「……退役軍人センターにいるんですね。サービスを受ける側ではなく、与える立場で」

シドニー・ヘス :
「質問……あっ」

シドニー・ヘス :
「お、おみやげって何がいいでしょうか! "ホワイト・スカイ"の好きな食べ物とか……大佐ご存知ないですか……!?」

O-6/エイブラム :
「…貴官な ホームステイ先への挨拶ではないのだぞ」

シドニー・ヘス :
「はひ……」

O-6/エイブラム :
「まあ、百歩譲って意義を見出しても私には見当もつかない。
 直接的な面識はないのでな、残念ながら」

O-6/エイブラム :
「“ホワイト・スカイ”の…レイリー少佐のご家族は今も古株の議員と聞く。
 あちらを継ぐことは出来たはずなのだが、いや、家庭の事情など無粋な話か」

O-6/エイブラム :
「ともあれ、その辺りは当人の希望でな」

O-6/エイブラム :
「…まあ、それは当人にでも聞いてみることだ。

 もう一度聞くが、貴官本当に…。
 任務についての質疑応答は十分なのだな?」

シドニー・ヘス :
 シドニーの胸中に、急激に不安がこみあげる。安心してほしい。きみの様子を見ている『大佐』のほうが不安なはずだ。

シドニー・ヘス :
 はっとなる。

シドニー・ヘス :
「UGNから出向するエージェントのことを聞いていませんでした……であります!」

 思い出したように語尾を取ってつけて、背筋を正す。いいのかなあ。それで。

O-6/エイブラム :
「ああ。正直、貴官が失念しているか、はたまた現地確認でたかを括ったかと判断していたところだったが…」

シドニー・ヘス :
ぎくーっ

O-6/エイブラム :
「順を追って話そう」

O-6/エイブラム :
「真っ先に貴官に伝達しなかったのは、あちらについて不明瞭なこともあるからでな…。
 まず、ミネソタ州にそもそも支部は“ない”。UGNとて、この合衆国の50と1州すべてに支部を置き、目を光らせ続けるほど財政にモノを言わせられる結社ではないということだ」

O-6/エイブラム :
       ・・・・・・・・・・
「最も近いのはイリノイ州シカゴ支部。
 申請をしてきたのもここだよ」

O-6/エイブラム :
「1年前の時期に再建が漸く終わり、そのスキをついて頻繁にFHの攻撃を受けていると聞く。
 支部全体としては、再建直後ながらよく持ち堪えている、といった具合だ」

O-6/エイブラム :
 Red wed  Amir tory
「“縁の結び手”アミル・トロイが支部長を務めていると聞くが、彼はシカゴにおけるそうした戦況の均衡に多忙と聞く。

 あちらはすべて支部直轄のエージェントではなく、他の支部をはじめとした、伝手やコネクションを含んだエージェントやイリーガルで帳尻を合わせるものと推測が立てられている」

O-6/エイブラム :
「近頃、その支部内ではアクシズの子飼いが査察に来ているとも、今回の摘発任務においてその人物の干渉があったとも聞くが───。
 まあ、これは貴官の任務には関係のないことだ」

O-6/エイブラム :
「シカゴから出向されるUGNエージェントは8名2チームと聞いているが、2名イリーガルの定員がある…。
 仔細は出立前の資料にまとめておこう」

シドニー・ヘス :
「シカゴ支部っ?」

 うそっと驚くシドニーと、
 あれっと首をかしげるぼく。

 答え合わせは待つまでもなく、速やかに提示された。
 内外の折衝に大わらわなシカゴ支部から、そう何人も直属が派遣されることはないようだ。

シドニー・ヘス :
「イリーガル……UGNに直接属さない、民間の協力者ですね」

 どっちつかずの足場に思えて、ある種の明確なスタンスだ。
 秩序に拠りすぎず、混沌に傾かず。均衡を保つ在野の超人たち。

 ぼく的には、とても関心。

シドニー・ヘス :
「小官も個人的に縁のある人がいます。イリーガルの彼らを民間人として扱うのは、適切ではないと存じています」

シドニー・ヘス :
「頼りにしますが、恃みにしません」

 不慣れな手が、まだ奪い合われていないリードをぎゅっと掴む。

O-6/エイブラム :
    UGN     イリーガル
「彼らは余所者のそのまた余所者だ。
 その見解に概ね問題はない」

O-6/エイブラム :
「…昨今のUGNの情勢を鑑みれば、彼らは人手に余裕のある状況とは無縁だ。
 それ故の不透明さ、平均年齢の低さ、本作戦において避けられるものではない。ないが、その杜撰さの根本は………」

O-6/エイブラム :
「………いや。
 これより任務を遂行する貴官に向ける言葉ではないか」

O-6/エイブラム :
「すまない、今の話は蛇足だったな。
 根本的認識は貴官のものが正しい。

 彼らは少なくとも、        マシーナリー
 能力と対価の正当な取引の下に存在する雇われという側面を持っているからな」

O-6/エイブラム :
「出向予定のUGNについては、こんなところか…」

シドニー・ヘス :
 拒絶──ううん、線引きかな。シドニーはあたふたとしているけど、ぼくには興味深い。
 誰がソレを守るか、なんて理由で睨みあう生き物なんてきっと人間だけだもの。

シドニー・ヘス :
「あのっ」

 これだけは言わないと、とシドニーが声をあげる。

シドニー・ヘス :
「……ありがとうございました!」

シドニー・ヘス :
「い──いえ、大佐は上官として務めを果たしたに過ぎないとわきまえてはいるのですがっ! 緊張をやわらげていただいたので!」

O-6/エイブラム :
「はは。気にすることではない。
 貴官自身がいま、そのようにした理由を口にしているのだからな」

O-6/エイブラム :
「アクシデントの時は独力で緊張と戦わねばならんぞ」

シドニー・ヘス :
「はっ、はいぃ……!」

 もちろんです、と背筋を正す。
 そんなシドニーの心に、ふと魔が差した。

シドニー・ヘス :
「……あの。最後にひとつ伺っても」

 くっつけた指先をもじもじと捏ね回しそうになって、シドニーが咄嗟に後ろ手を組む。

シドニー・ヘス :
「任務とは関係のない、個人的な質問ですが……」

O-6/エイブラム :
「………」

O-6/エイブラム :
「許可しよう。何かな」

シドニー・ヘス :
「大佐は……テンペストに編成されながら、オーヴァードではないと伺っています」

シドニー・ヘス :
「オーヴァードを、ひいては超人兵士を……どう思いますか?」

シドニー・ヘス :
 ぼくの好奇心が、シドニーに思いがけない行動を起こさせる。
 無意識のつながりは重力のように、ときおり彼女を引き寄せた。底のない、無秩序な意思に。

シドニー・ヘス :
「あ、あれ……!? えっと! ふかい意味はないんです。小官が大佐ほどの方と対面する機会はそうそうないと思ってついっっ」

SYSTEM :
 あなたの言葉に、ふと彼は顎に手を当て、少しの思案を要した…。

O-6/エイブラム :
 ・・
「どう、か。貴官は…」

O-6/エイブラム :
「戦力としての是非、操縦の困難さ。
 実用と戦術形成までの道のりの遠さ。
 また、今後における有用点と問題点………」

O-6/エイブラム :
「そうした軍務上の質問ではないと見える。むしろ、作戦前の質問としては”深い意味”が欲しいところだったな…」

O-6/エイブラム :
「どうもしない。
 私がテンペスト…実験部隊であり、アカデミーでは金食い虫と揶揄されたライセンサーの実情を知ったのは、卒業後だ」

O-6/エイブラム :
「驚かなかった…といえばウソではないが、その上で私がここに配属を希望したのは…。
 するべきことに直面した時、できることがもっとも多いのが…。
   Overed
 その超人兵士であるからだ」

O-6/エイブラム :
「できないことも……」

O-6/エイブラム :
「いや…すまんな。今のは、ブリーフィング中の雑談に目を瞑るのとイーブンだ」

SYSTEM :
 …彼はここで強引に話を打ち切った。

シドニー・ヘス :
 おどろきに瞬く。ともすると、彼はシドニーより理解がありそうだ。
 できることが増えたぶん、できないことも多くなる。超人を人間の上位互換とするのは早計で、基本どっちもどっちがぼくの感想だ。
 『大佐』が打ち切った続きをぼくとしては是非ご教授願いたいところだけど、シドニーは終止符に従った。

シドニー・ヘス :
「そうさせてください」

 感想を、かさねて返すこともない。この話は、それで本当におしまいになった。
 いつか続きがあるとしても、今じゃないようだ。

O-6/エイブラム :
「うむ。
 …ブリーフィングは以上だな」

O-6/エイブラム :
「貴官への任務を改めて通達する。

 ルイジアナ州の“ホワイト・スカイ”に作戦辞令書を運搬、および伝達。
 ミネソタ州におけるテロリストの摘発任務を、現地における民間協力者と共に遂行せよ」

O-6/エイブラム :
「初陣にして例外的なものとなる。月並だが…。
 The best
 武運を」

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………遡ること一日前の出来事である。

 良く言えば生ける伝説。悪く言えばロートル。総合してみれば、既に“果たすべき”を終えて銃後の人生に目を向ける人間。
 その男に対する辞令を片手に、彼の出向している施設まで赴いていた。

SYSTEM :
 ルイジアナでは繰り返すように、FH諸勢力優勢のケがある。過去における激戦の爪痕か、はたまた、当時ここを根城にした者の足跡がそうさせるのか。

 実際、どのような理由でここがFHの牙城となっているのかは定かでないが。
 彼らとて、”まだ”表を切り崩すほど切羽詰まってもいない。

* :
「よろしく頼みますよ、ヘス伍長。
 貴官にとっては、一時とはいえ上官に当たります」

SYSTEM :
 軍用4WDの短い旅は振り返るうちに終わった。
 あなたはドライバーに送り出され、センターの受付まで向かう。

シドニー・ヘス :
 FHの優勢な南部で、銃後の人生を充実させるよりも、他者に残された現在と未来を援ける老兵。
 その彼が再び、前線へ招かれようとしている──。

シドニー・ヘス :
「一時の上官どころか、一生の先輩にあらせられるのですが……!」

 ばたんと閉まった4WDのドアの向こうに小さく叫ぶ。

シドニー・ヘス :
「……大丈夫、みんな年上はいつものこと! アポあるし、門前払いはされないはず……」

シドニー・ヘス :
「…… ……」

シドニー・ヘス :
「すみません、ダン・レイリーさんはこちらに? あたし、面会を約束したヘスと言って……」

 気持ちぶん右肩を突き出して、ちょっとエンブレムをアピールする。

* :
「はい、こちらは───。
 ああ、レイリー氏なら確かに此方で、30分ほど前にカウンセリングを終えて───」

SYSTEM :
 少なく見積もっても30代の終わり頃…それでさえ相対的に若く見える利用者の中、
 弱冠17歳の姿は目を引いたことだろうが、予め連絡は通っていた様子だ。

SYSTEM :
 あなたの到着を手際よく受付は通した。
 面会の話は軍名義ではないほうとして通っていたようで、機密保持カウンセリング用の個室に通されて3分もしないうちに待ち人は来た。

SYSTEM :
 戸をノックする音。
 そこに現れた男は───。

 一言で言えば、巌のようだった。

SYSTEM :
 年齢にして四十代。戦傷をその相貌に刻み、口元を固く結んだ偉丈夫。
 戦場帰りから3年経つはずだが、身体的な部分に衰えや弛みのようなもの、見る限りでは存在しない。
 身長にして180cm代の、欧米人としては平均かやや上程度の高さが。あなたに、無事な隻眼の光を僅か傾ける。

SYSTEM :
 …目立たぬよう覆い隠した戦傷…というものは、オーヴァードには“基本的には”無縁だ。

SYSTEM :
 もちろん例外はある。
 リザレクトを阻害する何かが残った場合、リザレクトが“可能”なDNAマップが丸ごと失われた場合。
 それを自然な状態と認識した場合。
 自己治癒能力の基となるR因子の負荷に母体となるオーヴァードの身体が耐え切れないほどの損失の場合。

 …往々にして幾らでも例外はある。20年そこらですべてが解明できるならば、道を踏み外す科学者などいない。
 共通するのは、“概ね”再生の範疇となる程度の戦闘と負傷で齎されるものではないということだ。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「訪ね人がいると伺っていたが…。
 よもやだな。本当に、ティーンの新兵だったとは」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「探し人は、ダン・レイリー元大尉で合っているかな」

SYSTEM :
 僭称でもなんでもない。
 その人物が“ホワイト・スカイ”であった。

シドニー・ヘス :
 ノックで跳ねあがる心臓を、どうどうとなだめる。「どうぞ」の声が裏返らなかったのは、ほとんど奇跡だ。

シドニー・ヘス :
 そうして現れた姿に、静かに息を呑む。率直に、彼女は圧巻されていた。

 隻眼の偉丈夫。軍人然とした──正にその象徴として語り継がれる人物が、目の前にいることに。
 眼帯で覆われた不治の疵が、"クレイジー・ウォー"の勝利の代償だ。

 "ホワイト・スカイ"──
 合衆国にとって、二度の成功体験の象徴。

シドニー・ヘス :
「──はい。お迎えにあがりました、ダン・レイリー元大尉」

 数段飛ばしの応答は、どうも緊張からくる失言じゃないようだ。

「合衆国が、あなたの一時復帰を望んでいます」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
 Roger.
「承知した」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「予め聞き及んでいるよ。
 3年分を休暇とは呼ばんが、しかしまだ老兵の去り行く時でもないわけだとな」

SYSTEM :
 一時復帰、という言葉の意味も、必要性も。彼に”迎え”の報告が来た時点で多少は把握しているのだろう。
 戦後の戦争に未だ終わりはなかった。男にとって、背筋を伸ばしていかねばならない時間は、幾度となく空が暗くなろうとも続いていた。

SYSTEM :
 それから…シドニーが持っていた辞令を受け取り、目を通す。
 機密書類ということで、あなたは余程の悪ガキでないなら目を通してはいないだろう。
 …そもそも訓練期間中に悪ガキが『任務』に対して顔を出す余地はそれ相応に矯正されたはずだ。

 ”ホワイト・スカイ”はその書を受け取り、流し見していた視線を…僅かに止める。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
 Nameless
「【刻知らず】…か」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「………時に伍長。
      ・・・・・・・
 この任務、マクレーン中佐は何と言っていた?」

SYSTEM :
 ───答えは。
 そもそも彼を通した指示ではない、だ。

シドニー・ヘス :
 シドニーも全容を知らない書面に、"ホワイト・スカイ"──『元大尉』? 現『少佐』?──が、目を通す。
 一も二もなく応じる彼の姿にシドニーが軍人のあるべき姿を見出す一方で、ふと、ひとつの疑問が落とされた。

シドニー・ヘス :
「へ?」

シドニー・ヘス :
「中佐、ですか? いえ、特には。あた……小官がエイブラム大佐に召還される前、少し話したくらいで……」

シドニー・ヘス :
「……あっ! 積もる話とかありましたでしょうか!?」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…だろうな」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「なくはない。だが積もる話の前に、中佐のユーモアを聊か落とした横っ面に無礼を働くこともなさそうだ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「それに、彼方は彼方で多忙だ。
 日本では今や週に一度、世界に余波を広げる火種が見つかる有様だ。ゆえ、筋は通っている」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「付け加えてUGN側の許可申請も、それなりの確信を持ってはいるのだろうが…強引なものだ。
 コレで野放しの信頼に足る、という判断を、国家に仕える人間がしてはならない」

SYSTEM :
 それを新兵と隠居に任せるということの意味を、浮かれと緊張と決意を現在進行形でミックスする新兵の前では彼は口にしなかった。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「作戦エリアは居住区から離れている。大がかりな支度は要らんだろう。決行時刻を加味してもな」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「その摘発を先導するにあたっての補佐であり、この老骨の“ずれ”を是正するのが、貴官というわけだ。

 ………聞くのが遅れたな、伍長。名前は?」

シドニー・ヘス :
 ……だろうな? どういうことなんだろう。

「中佐に……ユーモア……!?」

 でもシドニーには、そっちのほうが衝撃だったみたい。

シドニー・ヘス :
        O-4
「はい。あなたは少佐として迎えられ、裁量権を得ます。小官も、後輩である以上に部下としてあなたの下に──」

シドニー・ヘス :
「し、失礼しました!」

シドニー・ヘス :
                    For Answer
「シドニー・ヘスと申します。識別符号は"フォー・アンサー"」

シドニー・ヘス :
「先日訓練を修了し、今回の摘発任務が初めての実戦になります。よろしくお願いします、少佐」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「それはな。中佐も人の子ということだ。
 Overed
 超人兵士の片足はいつだってそのようになる」

SYSTEM :
 その後半と類似する意味を頻繁に口にし、新兵、それもティーンの少女に聞かせるにはあまりにも”しょうもない”用法をした男が…。

 いまの”エース・イン・ザ・ホール”であるなど、口にするところではない。
 本題に戻り、その指示を是としていた元大尉/”少佐”の固く結んだ口元が、ふと動いた。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「ヘス…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…ああ、よろしく頼む。
 したことは裏切るが、しなかったことは裏切らないというものだ。貴官が勤勉であれば、任の最中に惑うことはないだろう」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「………しかし。
 よもや、伍長。きみのような新兵からその名を聞くとはな」 

SYSTEM :
 よろしく、に応じた後…健在なその眼に、郷愁のようなものを帯びさせたものは。
 あなたの…名前か、苗字か。

シドニー・ヘス :
「──はい。そうあることを、願います」

 行いは結実せず、時に反転するとしても。しなかった事実は確かなものになると、老兵の言葉がシドニーの裡で反響する。

シドニー・ヘス :
「名前……ですか?」

 隻眼に、遠望のけはい。懐かしむにはどこか、それだけではない色合いを、感情を色彩で知覚する力があれば目に見れたんだろうか。

シドニー・ヘス :
「あたしのおじいちゃん、ヘルムートって言うんです。ヘルムート・ヘス。
 テンペストの設立に関わったそうなので……そうですね、少佐ともご縁があると考えるのが自然でした」

SYSTEM :
 ヘルムート・ヘス。
 元DARPA局長であり、米兵の教育プログラムに携わり。そして…。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
 ・・・
「主治医でな」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「初陣から七年、彼が任を全うするその時まで…。世話になった」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「まさか孫娘がいて、それが海兵を志していようとは思わなんだが」

SYSTEM :
 テンペスト設立に関与した彼は、
Overed
 超人たちの統括でもあった。
 叩き上げのベテラン/ロートルはともかく、士官学校卒で当時を知る人間ほど、彼に縁はあって当然のことだ。

 だが、”ホワイト・スカイ”の言葉には、その間接的な気配の一歩先があった。
 それ以上はないフラットな声色だとしても。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…理由あってのことだろうが。
 貴官の家族がその若さで、よく銃を執らせた、と言うべきか」

SYSTEM :
 あるいは理由もなく、ただの憧憬や即物的なものだった線を先んじて回り込むような口ぶりでもあったが、暗にその目はあなたが…。
 出会いがしら、それも前時代的な人間を前にして、新兵の兵士たる所以を口にできるかどうかを問うているようにも見えた。

SYSTEM :
 …なぜ、とは。

 あるいはそもそも、あなたの始まりから。
 ずっと問いかけてきた言葉でもあるのだろうか。

シドニー・ヘス :
「主治医──。長い付き合いだったんですね」

 浮かぶ葬儀の情景。愛国者を偲ぶには、どこかよそよそしかった大人たち。固く口を閉ざした父の横顔。

 晩節を汚したという彼の弔いは、築きあげたキャリアと比して寂しいものだったと、シドニーの記憶が蘇る。

シドニー・ヘス :
「こちらこそ、おじ……祖父がお世話になりました。もしかしたら、葬儀や墓前ですれ違っていたかもしれませんね、あたしたち」

 ただ──

 好悪を表さないフラットな音程と、感慨めいたニュアンス。何か思うところがあるらしい彼に、シドニーが一片の敬意を見出した。

シドニー・ヘス :
「それは……」

 彼女の緊張がやわらいだのも束の間、隻眼の厳かな光が少女を射貫く。

シドニー・ヘス :
「未成年のあたしが入隊するには、保護者の同意が要る。
 ……白状しますが、結局、同意書にサインは貰えませんでした」

シドニー・ヘス :
「あたしが今ここにいられるのは……言ってしまえば、いろんな人の特別扱いのおかげです」

シドニー・ヘス :
 なぜ、とは。
 シドニーを今日まで導いた、彼女の原動力だ。

シドニー・ヘス :
 ・・
 ぼくが本能からくる欲求を満たそうとするのとは違う。
 一度火が点いたら止まれないかのように、『なぜ』にシドニーは追い立てられる。
 どこまでも突き進んでしまうから、深みに嵌まっても先を目指す。死を経験して、ぼくと混ざり合うまでに。

シドニー・ヘス :
「…… ……」

 でもそれは今、彼女に欠けていた。がむしゃらに駆け出して答えを追っていたシドニーは、負った責任と遠すぎる理想像を前に、立ち尽くしている。
 それは、自分が何者であるのか──何者でありたいのかを、見失っているように思えた。

SYSTEM :
 あなたの執念にも似た探求は、当然…。
 理想を追い求めた挙句、その命を散らした祖父を。合衆国に身を移し、この地を故郷としたがために、水の合わぬ土地で呼吸を強いられた父には、無謀な行いに移った。
 Seeker      Pretender
 探究者ではない。ごっこ遊びの、若気の至りに。

SYSTEM :
 しかしそれを若者が真っ向から向けられたところで、どのように反応するものか。

 もはやあなたの沈黙は下手な自白より数倍は雄弁であった。

SYSTEM :
 同意書にサインが貰えなかったあなたが飛び込んだ、本来飛び込まなくてもいい血と泥濘と開拓地の生き方を教えたのは父ではなく、ひとりのイリーガル。

 彼はあなたを割と都合よく扱ったが、あなたが彼と遭遇したことは紛れもない幸運だった…。

SYSTEM :
 さておき。緊張の和らぎに“命日の墓参りは欠かしたことがない”と付け加えた男は…。あなたの自白に、眉一つ動かさず。
 視線を逸らすことも、眼光が圧をかけることもなかった代わりに、口を開き終えた後で、ようやく応じた。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「それはそうだ。お転婆の動機を許しても…。
 当たり前の兵士だ、と認めるほどなりふり構わない軍人はまだいない」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「銃をとる、という行いに。
 その答えが欠けていてはならない。

 ましてや銃以上のものを扱うのであればな」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…尚もここにいるというのが、誰ぞの指示でないことはわかった。それは幸いだがね。
                   Gear
 もしも老骨ひとり呼び出すのに、若者を部品に仕立て上げるほど我が祖国が迷走を始めていると分かれば、昔の余所者の知り合いが『それ見たことか』と笑っているところだ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…きみの探すものが、本当にここでしか得られんものかどうか。どう“なる”ことを望むのか。
 口に出来んなら、今せずとも構わん。これからの任務と…行動で分かる」

SYSTEM :
 短い間の任務とて、それぐらいは私にも見届けられるだろう、と彼は締め切った。
 何者でありたいのか。その答えが“他人”から齎されたものであったり、他人の証明のためでないことを、ひとまず玉虫色でも良しとしたのだろう。

シドニー・ヘス :
「えっ!」

 付された余談に、目を見開くシドニー。
 年々減っていく墓前の献花の中、家族以外が供えていくのは白い花束ひとつになっていた。

 『きぐうですね、あたしもです』なんてズレた相槌を未遂に終わらせる。余談を掘り下げるのは、残念ながら今ではないようだ。

シドニー・ヘス :
「は……い」

 重苦しく肯く。

 銃以上の力を身に備え、国を背負って戦う。理由を問われて白紙を提出するようでは、失格と言われてもしかたない。

シドニー・ヘス :
 でもね、シドニー。きみは付焼き刃を答えにはしなかった。

 耳障りのよい宣誓を無責任に掲げることをしなかったきみを、
 きみ自身が手放さないかぎり、きっと『少佐』はきみの味方だ。

シドニー・ヘス :
「あたし……」

シドニー・ヘス :
「あなたが繋いだものを、間近で学びました。たった半年でも、答えが欠けても、訓練の日々は嘘じゃない。だから……」

シドニー・ヘス :
「後輩として、失望させません。小官を教導してくれた先輩方に報いるためにも」

シドニー・ヘス :
「……いえあのもう手遅れだった場合はえっとその何とお詫びしたらいいか」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「いや…詫びはいい。まだ始まってもおらんよ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「仮にそのようでも、挽回の機会ごと摘み取りはしない。
 容認できる失敗で、済ませておくといいだろう」

SYSTEM :
 そのように、あなたのどうしても締まらない宣誓を聞き届けた男は。
 ふと、あなたの話を一度だけ蒸し返した。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…是と思うこと、成すべきと思うことを果たす。力を持った兵士の責務だ。
 それが正しきことならば、どれだけ時間をかけても帰ってくる…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「私は嘗て、それと似たことをきみの祖父から伝え聞いた。新兵だったころの道しるべだ。

 …当時のヘルムート・ヘスがまことに伝えたい規範は、恐らく“ソレ”とは別だったがね」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「私はきみの上官として、必要と判断した行動をし…統合参謀本部の要求も応え得る最大限を以て両立する。
 己が国が踏み躙られようとしていると分かれば、そこに至って、その時ベストと呼べる判断を尽くすつもりだ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「此度の摘発任務において、そう応えた貴官の力を先ず借りよう。
 其方もどのような手段であれ、同じことをして構わない」

SYSTEM :
 その言葉が…。

 その都度、どの事情と何を優先し…。
 時としてこの臨時の上官をどのように“認識”しても構わないという、あなたの立場を把握した言葉であることを気づいても良い。気づかなくても良い。
 どちらとて、目下の命題は既に定まっていた。

シドニー・ヘス :
「は、はいっ、いっぱい失敗して挽回します!」

 本当にそうなりそう。やめない?

シドニー・ヘス :
「力を持った兵士の責務……」

 胸に両手を置いて、深く呼吸する。
 欠けたピースの輪郭を確かめるように。

シドニー・ヘス :
「…… ……」

 その、間隙に。
 ふと疑問が降りるのを、感じとる。

シドニー・ヘス :
 ──では。
 祖父の成すべきことの果てには、なにがあったのだろう。

 とおいとおい冬の日。火の掻き消えた暖炉。絨毯を引き裂く無数の弾痕。視界一面に広がる赤色の──

シドニー・ヘス :
 ぶんぶんとかぶりを振って、シドニーが『少佐』に向き直る。 

「ありがとうございます。道しるべ、お借りしますね」

シドニー・ヘス :
   Aye, Sir
「──了解です」

シドニー・ヘス :
 Semper Fidelis
「 常に忠誠を ──小官はあなたの補佐を拝命した部下として、上官の判断を信頼し、合衆国の敵に全力で対抗します」

シドニー・ヘス :
          E-4
「初陣でも、あたしは伍長です。ぜひ頼ってください! 5人分背負えないようじゃ階級章に泣かれちゃいます」

SYSTEM :
 ヘルムート・ヘスは悪因を撒いたが、同時に善因も撒いた。
 悪因の果てが死だったのか?

 あるいは、そのさだめの終わりを新たな始まりにして、若者の命を巻き込んだことこそ…。

SYSTEM :
 ………しかし、その是非はいま定めることではなかった。
 半年強の訓練期間を経た、キャリアにして二等兵と肩を並べる新米伍長の言葉を、笑いも叱りもせず、かつて揶揄でもキャプテンの綽名を持ったことのある人間が出迎える。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「その一人目は貴官自身だが。では、その重みに慣れた辺りで、二人目への立候補は予約しておこう」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「何しろ…目的地はミネソタ州の…。

 郊外とて病院だ。       CQC
 どのような潜伏のケースとて、屋内戦が主軸になる」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…となればただの摘発や戦闘だけではない可能性のほうが高い。
 貴官の適性は先に拝見したばかりだが、その初陣で、さっそく有言を実行してもらうものと踏まえておきたまえ」

シドニー・ヘス :
「おっしゃる通りっす……」

 まずは自分の面倒が見れるようになってから、というわけだ。うんうん。

シドニー・ヘス :
「病院っ……!?」

シドニー・ヘス :
「も──もちろんです、屋内戦ならあたしたちの性能も発揮しやすい。です、けど、」

シドニー・ヘス :
「電子機器の暴走事故を、医療施設で起こされでもしたら……。ううん、それがなくても患者さんの傍でテロリストと……」

シドニー・ヘス :
「……ぜったい、させません。悪いことは、何も」

SYSTEM :
 首肯で応じた“ホワイト・スカイ”に、その懸念と警戒は当然あった。だから通達したのだ。
 摘発や戦闘のみならず、現地の状況によっては、あなたの適性は───。

 銃の使えない”テンペスト”は、皮肉なことに、むしろ適性であったからだ。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「そうだ。こちらが想定するべきは状況における最悪だ。何としても避けるべきもの、だな。
 …もっとも立地的に聊か不審な点はあるが…」

SYSTEM :
 それは“だから身構えない”の根拠になるはずはなかった。あなたの言葉は正しい。
           
 想定するべき最悪は、巻き添えとなる市民がいた場合。
 銃を持つ持たないはおろか、そもそも使い方を知らない人間がいた場合だ。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「この辺りの仔細はシカゴ支部と、現地イリーガルを交えて詰める。
 ただでさえ合衆国は、かつての影響の残りも多い。セルは何時ぞやの影響で大打撃を受けたが、残るものがないではないからな」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「シンプルには行かんこと、そしてその状況でするべきが分かっているなら、今の所はけっこうだ」

SYSTEM :
 その摘発任務の中には“救出”や”保護”が含まれる可能性も示唆されたが、大佐が口にしなかったのは、概ね細部の詰めと指令はこの“ホワイト・スカイ”に任せたからだろう。
 あなたの若年という部分を踏まえて、割くべき意識を必要最小限にしたかったのか。あるいは…。

SYSTEM :
 とはいえ。何事もなければ後は出立を待つのみだ。

シドニー・ヘス :
 ……。
 『隊長』を通さない命令と、シドニーに伝わらなかった情報。作為とは言わないまでも、他意を含んでいるように思えた。

 シドニーはちっとも気付かない様子で、「そ、それなんですが」と早速『少佐』の力を借りようとしている。

シドニー・ヘス :
「じつは あの」

シドニー・ヘス :
「UGNの方々の監視を仰せつかっておりまして……優位性も示すようにと……」

シドニー・ヘス :
「過去の作戦で彼らと共闘経験のある少佐にぜひ助言をお願いしたく……」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「………。その旨は作戦指令書にあったが。
 改めておこう」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
    アドバンテージ
「十数年分の優位性は既にないことの証明まで作戦に含んだわけだな。二兎を追うとはこのことだ。
 そして当然ながら、当時と現在では状況も違う」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「言ってしまえば当時は、その優位性の第一歩で座礁に乗り上げた。
 サイバーテロの先制攻撃で合流する羽目になったのでな」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「だが強いて言うならば…。そうだな。
               ・・
 牽制と思索に入れ込みすぎて、本題を疎かにしないことだ。
 主導権の奪い合いの結果が最悪のケースなど、それこそ無能の証明だからな」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「我々にとって譲れない一線と。その現地協力者、UGNのエージェント・チームにとって譲れない一線はあろうがね。
 こちらを立てる気が最低限あり、指示に不信感を持たせるような粗相をしなければ、それで充分、建前の要求は満たせるだろう」

SYSTEM :
 もちろん”そう”でないならば。

 前者における独断専行の激しさや、ここが誰の国と知りながら傷跡を故意に残すような真似などあれば、目に余る手段にはその都度対応がいるというものだが。 

SYSTEM :
 …彼はその監視と書いて、牽制と読むような所業を概ねそう結論付けた。

 本題は其方ではない、だ。
 あるいは、その上の思惑を果たすための実行手段としての運用をする気が、必要以上にはあまりないのかもしれない。

シドニー・ヘス :
「サイバーテロの先制攻撃!? い、いきなり本陣潰しちゃうみたいな……!?」

 いいんだ、そんなことして……! と驚くシドニー。
 たぶんね、よくないからするんだよ。

シドニー・ヘス :
「……本題。お互いの立場や重んじるものが違っても、共にするべきことは同じ。先々のためにする駆け引きで本末転倒を起こしてはならない、ですね」

シドニー・ヘス :
「つまり、やるべきことを全力でやる! ですね!」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「その通りだ。
    Guardian
 彼らとて守り人の名が初志なのだからな」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「………ただ。シカゴ支部だったか。
 本末転倒にならん程度のことは此方で打っておこう。それが杞憂で済めばいい。貴官は、そうだな」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「尚のことそれでいい。
 事態を未然に済ませて杞憂で終わらせるのが、われわれの仕事だ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「ついでの余裕があるなら、
 ・・
 現地の方にでも目を向けるといい。
 そうとは限らんし、そうだとしても“明かし”に行くことはないが、大抵…このテで来るイリーガルは、訳ありの若いのだからな」

シドニー・ヘス :
「わけあり、ですか」

シドニー・ヘス :
「……余裕、作ってみせます。少佐が任されてくれたぶん、小官もできることを増やします」

シドニー・ヘス :
「具体的には……気合っす!」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「具体的にしてもシンプルだが、その意気だ」

SYSTEM :
 その具体的とは到底言えない手段は、わけありへの肯定でも否定でもなかった。

 あなたにあるのは愚直さだ。そうと決めたのなら、たとえそれがどんな歩きづらい砂利道でもそうするのだろうか。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「では、支度をしてくる。
 とはいえケチな男でな…そこまで手間はかからんよ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「改めて…“ホワイト・スカイ”のダン・レイリーだ。
 その老兵から、出立前に、これだけは言っておかねばな」

SYSTEM :
 私はきみが是と思うことの助けとなるが、
 きみが是と思うことを用意はしない。

 …支度と事務的手続きの前に残した言葉が、あなたにこの先、どのような形で反芻されるのかは定かでない。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 あなたは軍人になったが、それはそこが到達点であることを意味しない。

 恐らくそれは手段だからだ。
 あなたにとって、テンペストとは志でも生きてゆく理由でもない。
 残したいと自ら心底より思うものが、そこにあるかは定かでない。

SYSTEM :
 ………ただそれは、さだめとしてあまりに鮮烈で残酷な始点から始まる…。

 問いかけ続ける旅の一幕であり。
 あらゆる点において好機だった。

SYSTEM :
 何を可能と望み、何を不可能と諦めるのか。
 どの可能に裏切られ、どの不可能を翻すのか。
 ………初陣にしては回りくどいこの任務が。あなたにとって、巨きな分岐路であった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :
 シーンが終了したよ!
 ロイスの宣言はある?

シドニー・ヘス :
迷ったけど……今回は大丈夫っす!

GM :
オッケ~。まだこれからだからね。

GM :
ロケットスタートも悪くはないけど、
そもそもロイスの取り方にベストなし! ということで。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

 

OP4『介入者-Planner-』


SYSTEM :
【Scene:介入者-Planner-】

Scene Player:Aghasura
   Erosion:OFF

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 悪夢は現実に、現実は悪夢に。
 これは終わりの始まりなのか。
 それとも始まりの終わりなのか。

SYSTEM :
 UGNの壊滅は、ある日突然起こった。

SYSTEM :
 UGN日本支部の反乱に端を発するUGN各支部の同時蜂起により、UGNはわずか1日で瓦解した。

SYSTEM :
 反乱は首謀者の“ロード・オブ・アビス”の手筈によってUGN内部へと浸透していたFHエージェントによるもの。
 同時に日本政府中枢へのクーデターをも敢行し、FHは電撃的に日本を掌握した。

SYSTEM :
 日本だけではなく、アメリカ、ヨーロッパ各国、中国…同様の事態は主要国のすべてで発生し。
 数日の混乱と沈黙ののち、FHは世界を統治下に置いたこと、そしてオーヴァードの存在を公表した。

 ………FHは新たな秩序を築く者に。UGNはそれに対抗する者になった。

SYSTEM :
 あらゆる反乱は、新たな統治者であるオーヴァードとの決定的によって鎮圧され…。
 レネゲイドが齎す恩恵は、人々にやがて古き日常を忘れさせていった。
 そこにどんな代償があったのかさえ、彼らは忘れていってしまったのだろう。

SYSTEM :
 薄氷は砕けたのではなく、より薄く。
 踏み砕いて落ちる隣人にさえ、誰も気付かぬ奈落へ転じた。
 FHのセルの多くは、UGN残党の掃討を目指して活動し……。

 これに伴い各地の欲望たちもまた、鬩ぎ合うことを厭わなくなっていった。

SYSTEM :
 反体制側となった彼らは地下に潜り…圧倒的不利の中、僅かな希望に縋って戦い続けている。

SYSTEM :
 …そしてそれは、何もUGNだけに限った話ではなかった。

SYSTEM :
 北米では新設直前のストレンジ・テンペストからの脱走兵が、無明の世界に夜明けを齎す為に。
 崩壊したUGN評議員からたった一人消えた人物の名が、時の迷い人らを束ねて。

SYSTEM :
 そして何より、渦中と言える日本においては、ある組織の名がまことしやかに囁かれ始めた。

SYSTEM :
 ブラストハンド───。
 組織と同じ名を持つオーヴァード、久坂勇を中心とした反FH組織。

SYSTEM :
 FHに対してゲリラ的な襲撃を仕掛け、成功させていること、何より…。

 “ディアボロス”の名指しの警戒指示。
 FH日本支部の全勢力にその名を刻み込ませるには十分であり、
 それを以てしても、彼らは尻尾を掴ませるには至っていなかった。

SYSTEM :
 …そんな彼らの組織的な活動形態は特異なものである。
 久坂勇が実働をほぼ一手に引き受け、三室戸もみじという少女を中心とした支援メンバーがそれを支え、
 鮮やか、かつ勢いに乗ったようなゲリラ作戦を遂行し続けてきた。

SYSTEM :
 今回の“それ”も、その一つであったことは間違いなかった。

SYSTEM :
 関東地区───東京。

SYSTEM :
 グループを挙げてのレネゲイド研究を展開し、アダムカドモンの恩恵さえ受けた、
 世界最大の企業………現神城グループ内において進行する恐るべき計画の片割れ。

SYSTEM :

 ───開発コード、通称…“ニュートロフィル”。

SYSTEM :
 志半ばでこの世を去ったある人物が作り出したシステムを悪用したものだ。
 
 そうとも、悪用。実態は、開発初期の設計思想とは大きく異なる。
 非オーヴァード、および特定の“不都合”な因子パターンを持つものを捕捉して殺害する…。
 セル
 細胞の駆除装置。誰の良心をも痛めることなく世界を“掃除”する塵殺兵器。

 ある男の、闘争経路の礎だ。

SYSTEM :
   ・・
 その破壊の最中に起きたアクシデントを、久坂勇は単身…いや、厳密には一人だけ、仔細定かではない同行者がいたのだが。
 ほぼ単身、よく解決した。

* :
『き、きさ、キサマッ…
 この”リンドヴルム”をセルごとまとめて…』

* :
『何者だ!』

“ブラストハンド”久坂勇 :
「───ブラストハンド」

“ブラストハンド”久坂勇 :
「それが僕の名だ。地獄に行っても忘れるな!」

* :
『美しい………美しいぞ、我が好敵手………
 負けた私の美しさの次くらいに…』

* :
『だが………自分の力で、勝ったのではないぞ!
 この私の美しさを思う心がジャマを───』

“ブラストハンド”久坂勇 :
「(既に目もくれず、救出した少女に語らい始めている)」

* :
『聞け!!!!! せめて聞いてから語れ!!!!!』

SYSTEM :
 彼はその中枢システムの傍らになぜか“存在”した少女を神城グループの研究施設から救出。

SYSTEM :
 同時にこのシステムの実用化に取り掛かる予定だったFHセル”タケミカヅチ”の傘下にあった“リンドヴルム”セルを、セルリーダー諸共粉砕。

SYSTEM :
 ………さらには不測の事態を見越して訪れた宿命の敵、“ディアボロス”との対峙において、死闘の末に再び勝利を収めた。

SYSTEM :
 ………ここまでは良し。

SYSTEM :
 ・・・・
 ここからが問題だった。

『ディアボロス』/春日恭二 :
「…見事だ…”ブラストハンド”。
 私にも驕りがあったようだが、やはりきみは大したオーヴァードだよ」

『ディアボロス』/春日恭二 :
「…常に挫折を知らず、完璧に生きてきた人は、暴かれたときもろいもの」

『ディアボロス』/春日恭二 :
「そうだな? そうだとも。まことの“ミス”とはな、ただ失敗をすることではない…。
    ・・・
 失敗のその先を考えない愚鈍さにある。泥を飲み、それで終わらせる脆弱さにこそある」

『ディアボロス』/春日恭二 :
「………教えてやろう。悪魔は死なない。
                   ・・
 我が二度の汚点、その代価に! 貴様の手足は貰っていく───!」

SYSTEM :
 “ディアボロス”は、失点の危機にさえ微塵も怯むことなく”最善”を見越す。
 その強靭な精神で次の手を打った。
 いや、あるいは、ブラストハンドがそう“させた”のだ。

 泥を飲んで彼は成長したが、
 それは何も、あのあとの春日恭二に当て嵌まらないことではない…。

SYSTEM :
 生来の彼はエリートであり、同時に、不撓不屈の逆境無頼である。
 敗北を知ったことは、“ディアボロス”に限って弱さに繋がらない。
 そもそも…彼の離脱を一手に引き受ける”パールヴァティー”は、そもそも“ディアボロス”自らが捕獲し研究した時期がある。
 彼女の能力を知り、彼の強さを知る男にとって、取るべき手段は明快だったのだ。

 その基底がバロール・シンドロームならば、
 バロール・シンドロームを阻害するありとあらゆる手段を打てば良い。
 故意の緊張状態による阻害、空間転移に対するノイズ、ありとあらゆる手段で緊急離脱を封じ…。
 自身との衝突で消耗した久坂勇を、自身以外の持てる全ての手段を使って仕留めようとしたのだ。

SYSTEM :
 久坂勇と、彼が救出した少女(その場で名付けて曰く『エフェメラ』)は。
 ギルドの離反者、そして同時期に前後して神城グループに用があったという、ある対FH組織の助力まで受け…。
 ”パールヴァティー”と『緊急回収役』のあなたが二人掛かりで作り出したゲートで離脱した。

 この少女の今後と、“ニュートロフィル”に纏わるひと騒動…。
 それについては、またいずれ記すものとするが、ともかく…。

SYSTEM :
 が、そうとも問題はここからである。
   ・・・
 そのあなたを含めた僅かな“アクシデント”への対応役が取り残された。

SYSTEM :
 そしてその結果───。

『望風旅団』/「コール」 :
〈成程そうなった、というわけか…〉

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「そういうことになったよ」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
 デコ  キル
「警備全員抹殺ってから飛ぼうとあれほど言ったのに…」

SYSTEM :
  チェイス
 要は逃走劇の対象が変わったのであった。
 久坂勇と『エフェメラ』から、シャラと残ったメンバーに。

SYSTEM :
 運転はたいして出来もしないのに「その席なら轢かれないから」などと、
 運転席に妙に座りたがるメンバーの少女(レネゲイドビーイングらしい)が、
 非常に荒っぽい運転を伴いながら通信先に応じている。通信先にいるのは見知らぬ顔だ。

『望風旅団』/「コール」 :
〈きみのリーダーは上手く撒いた。ほかのメンツも何とか離脱したよ。…あとはきみたちだ〉

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「つまりビリっけつね。全員しばき倒すと私らが一位だよ、シャラ」

シャラ :
「ッシャ! 全員ブッ飛ばして……」

シャラ :
「なワケねーだろが! も~全員逃げてンだよ! アジト着いたあとにシバいてどーすんだ」

シャラ :
 どっちにせよ首尾は上々だ。
 イサミとあねさんが逃げてるなら、あとはどーだってどーにだってなる。
 しいて言うなら、オレがいま切実に感じてる問題ってのは……

シャラ :
「つかオメー、アクセル以外踏む場所わかンのかよ!
 止まる方法正面衝突オンリー、全員リザって帰還とか言われたらしばき回すからな──」

シャラ :
「ミソラ!」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「世の中にはこんな言葉がある」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「赤信号 みんなで渡れば 怖くない」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「季語なし」

シャラ :
「こえェこわくねェとかじゃなくてェ! 死ぬか死なねェかって聞~~~てんだよバカどもぉっ!!」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「強いて言うなら拙者そのカーブが4回くらい続いたらそろそろ虹を架けるでござるな」

シャラ :
「外吐け外!」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「そう…実は私も」

 主犯の運転技能はLv1である。何なら二輪。

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
 にちじょう
「少女の尊厳を守ってください」

シャラ :
「ンなモンねーんだよこの世界にはァもうよォ!!!!」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「そこになければないと!?」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「運転中の私にさえこの仕打ち。左右で“がんばれ”の励ましがあってほしいトコロ。
 コールさん、コメントどうぞ」

『望風旅団』/「コール」 :
〈若者に励ましの言葉を贈る者が40代のオッサンですまないと思っているところだが〉

シャラ :
「いっまっすっぐっこいつ止めろォ!!
        サンゴ
 も~~退け退けオレ様がやる!」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「わっ、ま、待って割り込み運転は事故の元!」

シャラ :
「どのクチでゆってんだ推定0歳がァ!」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「なにおーーー!!!!」

シャラ :
「オメーにはトミカがお似合いでちゅね~!!!!」

シャラ :
わちゃわちゃと横に詰めて運転を奪取!

SYSTEM :
 助手席にスライド(力技)した彼女(肉体1)はものすごく恨めしそうな目であなたを見た。

SYSTEM :

『シャラ』 :
『恨むなら己のマリオカートみたいな運転を恨め
 トミカは対象年齢3歳以上だよ』

シャラ :
 オレの口を勝手に借りた男が、こなれた手つきでむしろアクセルを一気に踏み込んだ。
 瞬間脳裏に放り込まれていく大量の予備知識。死ぬ前は免許取りたてほやほや……

シャラ :
 免許取りたてほやほや!? 代わってもボケじゃねーか!
 いいやもう頑張れ! ミソラよりマシ!
 なので運転は体の主導権を奪い取ったサンゴに任せて、オレはミソラの体をぽいっと放り投げる。
 サンゴ──オレの中に残る男の思念との過剰な感応も体貸しも負担だけど、状況的にヒツヨーケーヒってヤツである。

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「は? バナナポイ捨てしたことなんてないけど?
 カケラだけある記憶的にはお残し厳禁の健康優良児ですけど?」

SYSTEM :
 助手席に着地。

シャラ :
「そりゃアレだろ ぜってェなったことねーんだろ1位に!」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「(超悔しそうな顔)」

シャラ :
「…え? マジなの? ヤバ」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「憐れんだな私を…!」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「父親(存在しない)にも憐れまれたことないのに…!」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
           ブッチャケ
「貴殿を見ているとRBとは存外に大したことないんじゃないかと思えてくるでござる」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「で、閑話休題と行くとだな」

SYSTEM :
 そして、意図的に全員目をそらしていたことを敢えて伝えると、だ。

SYSTEM :
 オーヴァードの公表以来、彼らの高速機動に耐え得るよう補修と改装が加えられた首都高速道路…。
 そこを走るのは、脱出用にかっぱらった(主犯:さっきまでの運転者)モルフェウス能力者自慢の4WDだけではなかった。

SYSTEM :
 背後から、ガシャン、ガシャン! と鉄を砕くような歩行音。
 そこらのモンスターマシンが泣いて謝る機動性を、全長20m前後の巨体で持ち…。
 各国に配備され、第二種以上のレネゲイド犯罪案件で使用される、高いペイロードと汎用性を備えた多脚戦車。

SYSTEM :
 俗称オルトロス。現時点も機械音声で『テロリスト』の発生報告を伝えながら…。 
 回避を兼ねた運転、の正体は先程から執拗に“これ”を含めた団体様に追跡されているからである。

SYSTEM :
 なお、別にそれがなくても彼女の運転は上手いとか下手とかではなく乱暴である。本当に、とっても。

『望風旅団』/「コール」 :
〈カミシロの一件できみたちには借りがある。
 すぐに向かう、逃げ切れなければ持ち堪えてくれ〉

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「どうなのペーパードライバー
   うんてんせき
 私から安全地帯を手に入れたペーパードライバー」

SYSTEM :
 ちょう根に持っていた彼女はさておいて。

 これが単騎ならば、万が一こっちが運転しようが逃げ切ることは難しくないだろう。

 単騎ならばだ。

『シャラ』 :
「やかましーぞゼロしゃい! エアバッグあんだからガマンしろ!
 ……つっても!」

『シャラ』 :
「逃げ切れるかはわかんね!
 アンタたちがデカいの引きずって相手してくれンならちっとは楽できそーだっ早くしてくれ!」

『シャラ』 :
「ぶった切るのが得意なヤツは後ろで暢気してっけど、こいつオルトロス斬ったことあンのかな!?」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「斬れるかどうか分からぬものを試してこそ」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「まあ…“あれ”ひとつで済むならの話でござるな」

SYSTEM :
 そう、団体様は団体様で問題があった。

 何しろ現日本地区屈指の大企業、神城グループの目論見ごと物理的にケリを入れたのである。
 その混乱の落とし前に加えて”ディアボロス”直々の追跡命令とあらば…投入される戦力は普段の比ではなかった。
 各地分にバラけていてもだ。

SYSTEM :

                                 デビルハンド
 ───ところで春日恭二…“ディアボロス”が見初めたエージェントを、『悪魔の右腕』と呼ぶ。

SYSTEM :
 今や世界の立役者となった英雄に”力を貸してほしい”と乞われ、首を縦に振らないFHなどそうもいない。

 そして悪魔は今や、日本のみならず、世界を守る守護者の中の守護者だ。
 彼単身にFHとしての任務/”役得”を任せる無能を、統一政府は望まない。
 ただ彼が、表も裏も掌中に納める気概を持つ人間である事実を利用しない手も、またなかった。

SYSTEM :

 …春日恭二自らが見初めた、あるいは要請を受けて出向したオーヴァードのみで構成された最精鋭チーム。

SYSTEM :
 嘘かまことか、神城最大の広告塔「アンリミテッドエボルヴ」の因子移植実験さえも経た…。
         New Type Unit
 特異なレネゲイド…先行種の集団。

SYSTEM :
 今や日本のみならず、“ディアボロス”を含めた問題解決の七つ道具として、
 FH統一政府、ひいてはセントラルドグマのクランチームとも渡り合える彼の手足。

SYSTEM :

     Discord Defend Demons
 ──────通称、『DDD』。

SYSTEM :

 本来は久坂勇への追撃か、あるいは別の任務(例えば東京から飛び去った『モルガン』)に赴くはずだった彼ら。
 あなたの追跡にかかったのは、このような大捕り物のターゲットにされる状況を含めて、蛇の目中の蛇の目と言っていい“それ”だ。

SYSTEM :
 後方を走り、交戦規定に応じて“まだ”本格的な射撃やエフェクトの行使に来ないオルトロスから、今度は機械的ではない声が響く。

* :
〈───最終通告よ〉

SYSTEM :
 半径数百mを容易く覆う領域は、命の終わりを看取り、既知を否定して新生させる火の炉心。
                   コマンダー
 故意かつ冷酷な苛烈さを伴った、恐らくは司令塔役と思しき、女の声。

* :
〈降伏も恭順も和平も交渉もなし。
 ・・・・・・・・・・
 ひとりは残してあげる。夢見て死にたいヤツから、足を止めなさい〉 

SYSTEM :
 大抵、反乱分子の鎮圧においてマニュアル通りに事を成した場合…。
 ひとりはバラして情報回収のち献体、それ以外は皆殺し。
 降伏勧告の無さは、ひとかけらを除いた容赦の無さだ。

シャラ :
「(……マジかよ、ちゃんとデカいやつじゃねーか!)」

シャラ :
 この声は有名すぎるぐらい有名だ。
 あの“ディアボロス”の右腕で、表では賞賛されて裏では最低の悪魔として名を馳せてる。
 警告は脅しでもなんでもなくガチのマジでやられるやつだ、せめてまともに死にたいなら戦うほうが千倍マシ!

シャラ :
 比喩じゃなく数度車内の気温が上がった感覚を覚えながら、オレは背筋に走った寒気をごまかして窓をミリだけ開く。

シャラ :
「どっちにしたってドカンだろ~~~が、クソ女ァ!
 お呼びじゃね~んだよ、おたくのボスってばうちのアホがボロ雑巾にしたばかりですけどね!?」

SYSTEM :
 きいんと響く音。
 通信音声に二人分の声が混じる。

『DDD』/“終わった男”樋浦 彼方 :
〈ボロ雑巾の後始末に来たんだけどね。
 まあまあ事実言われたけど、どうするかな代理?〉 

『DDD』/“ヴァルカン”春日 絢火 :
〈けっこうよ。
 似たような辞世の句は何べんも聞いたわ〉 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

『DDD』/“ヴァルカン”春日 絢火 :

「いいこと。窮鼠相手に自分が猫だと驕らない。
       い つ も の
 ましてや“ディアボロス”の後始末だからって、手ェ抜くんじゃないわよ」

『DDD』/“終わった男”樋浦 彼方 :

「心配はけっこうだけど、若いコを脅すものじゃないな…」

『DDD』/“終わった男”樋浦 彼方 :

「なに? 傲りは良くないなんて、きみの経験則かい? 本部狩りの───」

『DDD』/“ヴァルカン”春日 絢火 :
「……分かってるなら言わなくていい、とっとと出ろ」

『DDD』/“終わった男”樋浦 彼方 :
「どのみちフリーランさ。気楽にやろう」

『DDD』/“ヴァルカン”春日 絢火 :
 舌打ち。

『DDD』/“ヴァルカン”春日 絢火 :
「コイツ引率ちゃんとやる男じゃないから。
 きみの責任はきみで取るように、“ノーバディ”」

『DDD』/“ノーバディ”来栖 暁丞 :
『努力する』

『DDD』/“ノーバディ”来栖 暁丞 :
『ただな。ガンビットとかいうのは、おれに心底向かないと何度も申告したのだが…』

『DDD』/“メドラウト”エクレール=モルガーン :
『あ? なに。まだカミシロからのオモチャ馴れしてねーのか』

『DDD』/“ノーバディ”来栖 暁丞 :
『ぜんぜん。
 まあいい。過ぎたことだ、いつも通りで行こう。流れでやることをやる。よろしいか』

『DDD』/“メドラウト”エクレール=モルガーン :
『よろしいよ。好きにやるから好きにやれ。
 黄色猿の島国まで出稼ぎ来た挙句が手ぶらじゃ、母上にも合わす顔がない』

『DDD』/“メドラウト”エクレール=モルガーン :
      パ  ラ  デ  ィ  ン
『あと一応、訓練教官気取りの老け顔ヤロウにも…か』

『DDD』/“メドラウト”エクレール=モルガーン :
『…思い出したら腹立ってくるな。クルス、任務終わったら次は二人掛かりでやろうあいつ』

『DDD』/“ノーバディ”来栖 暁丞 :
       ワケ
『おれは彼には理由を持っていない』

『DDD』/“メドラウト”エクレール=モルガーン :
『えーノリ悪いやつ。てか、合ったらやるのかよ…』

『DDD』/“メドラウト”エクレール=モルガーン :
『…まいいや、出るぞ。
 焚き火女、ハッチ開けろ!』

『DDD』/“ヴァルカン”春日 絢火 :
「“ヴァルカン”」

『DDD』/“メドラウト”エクレール=モルガーン :
『はいはい、ヴァルカンヴァルカン!』

『DDD』/“ヴァルカン”春日 絢火 :
「はいは一回」

『DDD』/“ノーバディ”来栖 暁丞 :
『漫才は教わっていない』

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ───運転席のあなたから丁度見える位置。

SYSTEM :
 オルトロスのハッチから、等身大の少女と、5m前後の巨体が飛び出してくる。
 明確なブラックドッグ規定の機械仕掛けを踏み台にし、
 血を媒介に武装しながら砲弾めいて接近する女の姿。忠義立てするものも何もないが、甲冑姿は騎士のそれだ。

 そのオルトロスの上には、いつの間にか一人の青年が立っていた。

『DDD』/“終わった男”樋浦 彼方 :
「正しい行いけっこうだ。では」

『DDD』/“終わった男”樋浦 彼方 :
「正論の痛みを知ってくれ。
 ───僕にはきみらを助ける縁がない」

SYSTEM :
 狙いを定め、薄く笑うその姿は、【DDD】の二枚看板。
 元最強の日本支部UGNエージェント…今は如何なる理由か『鞍替え』したパラディンともう一人。
 ジ・エンド
 “終わった男”───樋浦 彼方。
 春日恭二に次ぐ任務成功率を誇りながら、無私と無関心を地で行く死神の名。

SYSTEM :
 接近まで、この間合いの機動戦ですら十秒と要るまい。足を止めては一巻の終わりだ。

シャラ :
「……やべ~~ッ、“ディアボロス”の腰巾着が勢ぞろいじゃねーかッ」

シャラ :
 裏で情報取り扱ってればバカでも知ってるビッグネーム×3って感じだ。サイアクすぎる。
 イサミのやつ、女のコふたりいるって知ったら飛んで戻ってこねーかなァ!

シャラ :
「冥! ミソラ! どれかナントカしてヤれっか!? オレ余ったほう!」

シャラ :
「あと望風のおっさん! あんたらのデカブツが来るの何分後だよ!?
 あんなヤツらがまとめて来てるンじゃ逃げるとかゼッテームリだぞ!」

シャラ :
 さっきまでもけっこうギリギリだったうえ、こっちにはアジトの場所を知られたくない事情もある。
 どうにかして誤魔化してサヨナラしなきゃいけない状況下で、アンリミテッドエボルヴの恩恵を受けたとかいう腰巾着集団とまともにやり合うなんて正気じゃねえ!

シャラ :
 ……ヤッパこいつ乗り捨てるか!? むしろ正面衝突のほうが楽かもしんねェ!
 冥のやつが剣振るのに邪魔な天井とか先に退かしとくか!

『望風旅団』/「コール」 :
〈接敵まで2分弱というところか!
 間に合わせてみせるつもりだが───〉 

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
            ドンパチ
「まあ間に合う前に確定で正面衝突にござるな。よし」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
       ちいやば
「───あの奥の危険人物は拙者がやる」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「そこより劣る残り二人は貴殿ら。
           マヴ
 事故娘、エアバックと友達の時間終了」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「一発くらいなら誤射だよシャラ。
 Go ahead
 やっちゃえ」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
             コロスケ
「この娘さっきから拙者のこと殺意すぎない?」

シャラ :
「すっかバカ! 冥が死んだらオレたちノー麻酔で臓器開きチャレンジだぞ確定でェ!」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「死因のイヤさ加減更新しちゃうね」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「まあよし。貴殿、この先のルートは理解るな?
    キズ フリ
 連中の欠点は建前に付き合う部分だ」

SYSTEM :
 それはつまり。
 この先の入り組んだ都市部において、誤射はおろか”余波”だけで建物に被害を及ぼすオルトロスも…。
 逃亡先ごと焼き払うような大規模破壊エフェクトも、彼らはそこまで易々と使えない。
 そこまで逃げ込み、レネゲイド因子の安定する状態に出来たならば、あなたの勝ちだ。

SYSTEM :
 言い残した瞬間、いつの間にかドアを開け飛び出した”イザナギ”が、
 瞬きのうちに開いた焔を叩き斬りながら、風の赴くままに矮躯を地に放り出す。 

SYSTEM :
 4WDのルーフを確認前に蹴り飛ばし、空から緋色を束ねて襲い掛かる“終わった男”を迎え撃ちながら、一言を序のように残した。

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「月は叢雲、花に風…であるが」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
        イモヒキ
「罷り間違っても初戦惨敗などするなよ。
 初手を凌げ」

シャラ :
 りょ
「了解! イー気分の任務ラストにミソつけてたまっかよ!」

SYSTEM :
 返答の代わりに、風を切る音。

 大駒に挑みかかった男がハケれば、残りは二人。
 ひと殺しの目利きで“終わった男”よりは見劣りする、年にしてそう変わらないものと、旅団がいくつか揃えた“デカブツ”より一回り小さい小型の塵殺騎。

『DDD』/“ノーバディ”来栖 暁丞 :
『コンバット・パターン…セットアップ』 

『DDD』/“ノーバディ”来栖 暁丞 :
『“White Sky”───。
 準備よろし。では殺るぞ』 

SYSTEM :
 ───ブラックドッグとバロールの合わせ技。
                         マグネットムーブ
 時空間の先に踏み出す赤方偏移と、標的の引き寄せを行う磁力操作を同時に行う。
 そしてその上で、赤方偏移の対象となるのは、鮮血の一振りを携えた少女の側だ。

SYSTEM :
 急激な標的吸引と同時に加速。
 得意距離に御構い無しで引き込んで、同時近接攻撃。
 効果的に対オーヴァード用の破壊力を引き出せる近接戦闘エフェクトには接近の必要性があるが…。
         ヴィークル
 如何に小型とはいえ搭乗兵器級の余剰出力でそれを行えば、そもそも、接近の一工程を挟む必要がない。

『DDD』/“メドラウト”エクレール=モルガーン :
        Welcome to Death
『ハ! ──────死にようこそ、クソガキ!』

SYSTEM :
 引き寄せ、囲んで、エフェクトによる瞬発的な反応を上から連撃で叩き潰す。
 基本的にオーヴァードは前のめりになりがちだが、その極致。

 だが一手分凌いで”どか”せば、猶予は十分に作れるはずだ。

SYSTEM :
【Action!】
 判定が発生しました。

Order:【DDD】の追跡を回避せよ!
Detect:〈白兵〉or〈射撃〉or〈RC〉≧20

Success!:進行内容変化
Failed...:進行内容変化(『シーン5』で発生する登場侵蝕を前借り)

[Add']
・判定時、必ず『構成員の少女』は『勝利の女神L3』をあなたに使用する。(実質的な目標値を「11」とする)


シャラ :
ッシャ! やんぞ! 〈RC〉で判定!

シャラ :
9dx+5 (9DX10+5) > 10[2,2,6,7,7,9,10,10,10]+7[3,5,7]+5 > 22

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
(超恨めしい顔をしている!)

シャラ :
(渾身のドヤ顔)

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
こいつう

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
こいつう………(すっ…と舞台袖に退く)

シャラ :
オレ様のダイス数と固定値を称賛しまくって崇めてもいいんだぜェー!!

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
1d100 高いほど賞賛の気持ち 低いほどバナナをぶつける (1D100) > 36

シャラ :
ギャーッ食ってねえバナナ!

シャラ :
ッッたいねーーーだろがァ!!!!しまえ!!!つーか食え!!!!

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
お母さん(みたいなこと言う)…!!!

シャラ :
カーチャンはあねさんだろーが!!!!

シャラ :
 残った小型のPFと中世かぶれの甲冑姿──情報と照らすと十中八九“ノーバディ”と“メドラウト”。
 一番手がつけられないやつを冥がさっさと引き受けたお蔭で、場には辛うじて相手できるメンツが残された。
 もちろん本気でやり合おうなんて気はさらさらない。
 うっかりノらせて本気にさせたら終わるのはこっちだ。

シャラ :
先行種4人が鈴なりとか、マジでヒマしてんのかよ悪魔って! バーカ!

シャラ :
 思いっきり踏み込んだアクセルはほぼ意味もなく、ギャリギャリ音を立てながら後方に引きずられていく。
 この手の連中ってたいていワンマンになるもんだが、中でふんぞり返ってる“ヴァルカン”が最悪だ。
 まともな作戦立てられるし、正面突貫オンリーは止められるって話だからな。
 だけど──

『シャラ』 :
                  ウソ
『遠慮なしに暴れるには、秩序とかいう欺瞞が心底邪魔のようだな。
 奪ったものの味はさぞ甘くて苦かろうよ』

シャラ :
 心底機嫌が悪い頭の中の男が口を出した。
 連中が行儀よくしなきゃいけない今の状況がさぞムカつくらしい。

シャラ :
 その怒りをテキトーに受け流しながら、オレは怒ってない部分を勝手に使って演算を始める。
 前のめり戦車の扱いは出力に目を瞑ればカンタンだ。暴れ牛に赤い布ってな!

シャラ :
「オン・マニ・パドメ・フム──」

シャラ :
 引き寄せられるのを逆に巧く使う。
 クルマの足元から伸びあがった黒い影がぬるりとリアウインドウを覆い隠すと同時に、オレは思い切りブレーキを踏み込んでハンドルを真横に切った。

シャラ :
「おあいにく様ァッ!」
 急ドリフトの勢いを借りて──車の尾っぽから生え伸びる巨大な影で編まれた蛇の尾が、二人分の吶喊とまともにかち合った!

SYSTEM :
 赫怒を縫い、加虐をすり抜け。
 スキ
 間隙を突く、影絵の蛇。
 
 未だに全貌がわかっていない十三番目のシンドローム…。
 あるいは此方ではその理解度も“まし”かもしれないが、ともかく。

SYSTEM :
 加速が破壊力を引き出すその直前。
 出鼻を挫く一撃は、図体では比較にならない鋼色も、膂力では勝負にならない鮮血も、土俵に乗せる前にサヨナラだ。

 ぱしん、と弾いて軌道を反らす。

『DDD』/“メドラウト”エクレール=モルガーン :
『ヤロウ───!』 

『DDD』/“ノーバディ”来栖 暁丞 :
『フられた、というやつだな。ならば、』

SYSTEM :
 初手より必殺の構えを、ペーパードライバーの会心の運転と並列したタスクから繰り出される迎撃行動が仕切り直す。
 しかし一度、間合いから遠ざけた程度で諦めるなら、春日恭二は彼ら彼女らを見初めていない。

 すぐに次が来る。
 フォワードらしからぬ、翼のように広がった刃のかたまりが、冷徹な“試行”の形を伴おうとして。

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
 コギト・エルゴ・スム
「『故に私はここにいる』───」 

SYSTEM :
 その初見殺しを、後手から先手で先んずる。
 聊か直感的なほうに偏ったノイマン・シンドロームの頭脳と、
 振り向くことなくとも「射撃」できる曲芸じみたエンジェルハィロゥの光子操作。
 
 煌めくケツァルの翼が、その刃の切っ先にぶつかる。
         アドリブ        リフレクト
 加速するその先に見様見真似で重ね合わせた、反射射撃。

SYSTEM :
 口ずさんだ言葉は彼女のコードネーム。
 
 理由はわからないが無性に使いたい言葉と語るそれが、
 彼女にとってレネゲイドの励起に繋がる符号であるようだった。

SYSTEM :
 ギアの一歩で躓かせて、後退の置き土産をしのぎ切り。
 しかしそれでは終わらぬと動き出す二騎。

 これでちょうど、約束の時間であった。

『望風旅団』/「コール」 :
          Go
〈後は任された! 突っ切れ!〉

『望風旅団』/「コール」 :
 空の風に乗って響く声。
 あなたが応戦した5m強の機動タイプとは根本的に形状、用途ともに異なる。
 空戦タイプの大型機動兵器。

『望風旅団』/「コール」 :
エンドライン
 黄昏刻の空───そこにおいては、もはや珍しくもない。
 ストレンジ・テンペストにおいては、正式採用機種のひとつ。
        ファーフナー
 人の手で造られた鋼色の竜。

SYSTEM :
 轟音を立てて突っ切るそれは目晦まし代わり。
 タイミングを合わせて急加速した車体と、その機体が無理やりにフォワードを引き剥がす。

『DDD』/“メドラウト”エクレール=モルガーン :
『───あ!? しゃらくさい!』

『DDD』/“ノーバディ”来栖 暁丞 :
『新手だ。ストレンジ・テンペストの旧型───ン。
 エクレール、標的変更指示。よろしいか?』

『DDD』/“メドラウト”エクレール=モルガーン :
『よろしいもよろしくないもあるかよ!
 速攻でスクラップにしてやる…!』

シャラ :
「相変わらずカッケーなァPF! オレもアレ乗りてェ~!」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「その時は名付けてあげる」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「トカゲ丸」

シャラ :
「カッコ悪すぎ! サイアク!! もっとよォ~あるだろ!!!」

シャラ :
 二回転半しながらハンドルを切りなおして、号令に合わせて思いっきりアクセルを踏み込む。
 市街地のほうへ猛然とダッシュする前に──思いっきり息を吸い込んで窓から顔を出す。

シャラ :
「社会のルール守るの、楽しそ~だなァオイ!
 じゃ~~~な腰巾着ども! アウトロー、サイコ~ッ!!」

『DDD』/“メドラウト”エクレール=モルガーン :
『訂正、クルスもっぺん飛ばせ。
 ヤロウの顔面二度と前見れねェようにしてやる』

『DDD』/“ノーバディ”来栖 暁丞 :
『だから“よろしいか”と聞いたのに』

『DDD』/“ノーバディ”来栖 暁丞 :
『人生16年、そのように教わっている。
 月夜ばかりと思うなよ───回答終了』

SYSTEM :
 あなたとメンバーを乗せた4WDが、勢いよく敵陣から離れてゆく………。
 去り際の“じゃあな”への律儀な返答と「あいつ顔覚えたからな」ばりの捨て台詞を耳にしながら………。

SYSTEM :
 同時に降りてくる姿。

 “イザナギ”だ。何事もなかったように、距離を取った車体の上に着地する音。

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
 イモヒキ
「初戦惨敗なし、上々」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「───では手筈通り行け。
 拙者、野暮用にて途中下車を失礼」

シャラ :
「りょ……」

シャラ :
「……って野暮用? ドコだよ、ションベン?」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「貴殿が拙者を不審者にしたいのは分かった」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「ノンデリ」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「で、なんで?」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
        カタギ
「ひとつ。あの職業軍人の頭一つでは保たぬ。
 犠牲者出ました、で“ブラストハンド”に気落ちされるのは、月に叢雲花に風…」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「は? 日本語で」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「ちょっと拙者の気分ではござらん」

シャラ :
「後ろのおっさんの加勢かよ? ……」

シャラ :
「何割シュミ?」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「10割」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「人生須らくシュミにござろう」

シャラ :
「ちげ〜ね〜」

シャラ :
「わーったよ、あねさんはうめーことごまかしとく。
 まとめてやられてクソダセーとかはやめろよ、怒られんのオレとミソラだかんな!」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「行ったら地獄の底までってやつね」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「さっきの…コールさん?
 わりといい人だ。上司のも。
 助けるのはいいけど、でも冥、それ」

SYSTEM :
 なにかに気づいた彼女が口を止め、

 続きを口にする彼があとを継いだ。

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「忝し。でだ、貴殿。
 拙者、二つ目の理由も渋っていたのだが」

SYSTEM :
 言うが早いか、彼は再び刀を空に薙いだ。

SYSTEM :
 刺すような冷たさ───あなたたちに向けられてもいない殺気が、
 本来斬れもしない焔の雨を車体から“ずら”す。

 いくつか命中したものが、彼を焦がしながら、“イザナギ”は事も無げに言った。

『DDD』/“終わった男”樋浦 彼方 :

「おや」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
             ガチ
「脚ごと守りながらアレは、絶対に無理。
 フケ
 解散たほうが目が良い」

SYSTEM :
 熱気の上昇気流を手足のように扱いながら、平気な顔をして。
 唯一、薄ら笑いから何一つ表情を変えずに。
  しにがみ
 “終わった男”がひとり。蒼穹にいた。

シャラ :
「うお──」

シャラ :
「(マジかよ、抜けてきやがった……!)」
 市街地に入りつつあるのにかまいもしないエフェクト運用。
 ある程度のギセイ必要経費で切り捨てられるなら、向こうだってなんとでもなる。

シャラ :
「……そりゃそーだ、ムリムリ無理すぎ!
 あのオッサン、ディアボロスのオッサンより派手じゃないのが最悪!」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「うむ。正直拙者はそっちとも死合いたいところであったが」

SYSTEM :
 空の陽炎を踏みしめる緑髪の男が秘める熱量は、
 ここが“ヴァルカン”の領域なことを差し引いても尋常ではない。
 イザナギがリザレクトする傍から肌を焼き焦がしていた熱量は、まさに小さな太陽だ。

 ただしそれが諸共と行かない辺り、あれはあれで彼なりの加減であった。
     パーフェクト
 必要経費が必要経費のうちで済むライン。それでも、交戦には十分すぎる。

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
            ソク
「是し、行け。可能な限り速攻で」

SYSTEM :
 厳密には彼と、先の領域を広げる指揮官役。
 うまく逃げ込んで始めて活路が見出せるかどうかの状況だ。
 その判断は正常で、筋が通る。

SYSTEM :
 …彼が急かした理由などは、実はそれだけでもなかったが。ともかく。

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「シャラ!」

シャラ :
「ゲロ吐くなよ!」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「死なば諸共!」

シャラ :
「吐くっつったなそれ今ァ!?」

シャラ :
 ぎゃあぎゃあ言いながら全力ダッシュ!

SYSTEM :
 今度こそ完全に敵陣から遠ざかる。
 向こう側を見ている暇もなければ、あとは珍しすぎるわけでもないカー・チェイスの続きだ。

SYSTEM :
 そう、珍しすぎるワケでもない。

 人の死も。オーヴァードの末路も。
  エンドライン
 終わりかけの世界では殊更に。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

『DDD』/“ヴァルカン”春日 絢火 :
『残ったのはそっち。後先考えずに済むなんて、羨ましいわね』

『DDD』/“終わった男”樋浦 彼方 :
『そういう人生が良かったかな、きみの場合』

『DDD』/“ヴァルカン”春日 絢火 :
『しまいには今殉職させてやりましょうか?』

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「拙者、泰平の世ではどのみち切腹モノのサガであるからな。
くたば
 死滅るならまあ、誰にとっても。ソレはソレでよかろう」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
「あと…」

『ブラストハンド』/ついてきた男 :
    ・・・・・・・・    ・・・・・・・・・・
「拙者は斬って楽しい相手の敵で、斬って楽しくない相手の味方でござる」

SYSTEM :
 死線を前に、青年が鯉口を切った。
 にこり、とも笑わないのは緊張からではない。ただの性分だ。

SYSTEM :
 彼の態度は、刃物が刃物のままで居られすぎた結果であった。

SYSTEM :
 ………そして。

『DDD』/“メドラウト”エクレール=モルガーン :
『で?』

『DDD』/“メドラウト”エクレール=モルガーン :
              アメリカ
『死にに来たかよスクラップ。北米大陸遥々、負け犬同士ご苦労なこった』

『DDD』/“メドラウト”エクレール=モルガーン :
『テメーの同僚の半分、大半?
 この国とよろしくやって無敵面してんのにな』

『DDD』/“ノーバディ”来栖 暁丞 :
『…その辺の勝ち負けの定義はともかく』

『DDD』/“ノーバディ”来栖 暁丞 :
『無駄死にだ。
       ワケ
 あなたに死ぬ理由は、ここに来るまでなかった』

『DDD』/“ノーバディ”来栖 暁丞 :
『おれはこう教わっていることがある。
 ・・・・・・・・・・・・
 理由があれば殺してもいい』

『DDD』/“ノーバディ”来栖 暁丞 :
『それゆえに一度だけ。
 ワケを確かめるために聞く。なぜだ?』

『望風旅団』/「コール」 :
「さてな、だが…」

『望風旅団』/「コール」 :
               ティーン
「父親になってみれば分かるよ、少年少女たち」

SYSTEM :
 そしてフォワードの嘲りにも似た冷徹な断定を、
ウィンドブレーカー
 望風旅団に後から合流した米兵が、凪のような心持で受け流す。

SYSTEM :
 数の差、状況、何もかも。尽力が報われる世界ではない。
 それでも瞼を瞑り、小綺麗な水槽で生きて死ぬわけにはいかないと、
 彼らは今もなお戦い続けている。

『望風旅団』/「コール」 :
「だが強いて言えば…」

『望風旅団』/「コール」 :
「きみの故郷をもう少し見てみたかったな、ソノムラ…」

SYSTEM :
 軍人は静かに、共通項で通じ合った男と。
 その共通項に対する未練を、誰に聞かれるでもなく零した。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ひとり分の席が空いた4WDが、市民の喧騒を他所に駆け抜ける。
 誤射の危険性において比較にならない市街地で“オルトロス”は入れない。

 …このままどこかで頃合いを見て降り、身を潜め、帰還する。
 いまさら引き返すような無謀を思いつかなければ、それで残りは一工程だ。

シャラ :
「……ッんとか」

シャラ :
「撒いた……な? 撒いたよな?」

シャラ :
「……撒いたっつゥか、捨て札置いてしのいだって感じだケド」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「追ってくる感じナシ。
 あのエアコン必須感覚もない。あとは…」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「あとは──────」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「───。あー」

SYSTEM :
 だが。
 あなたの感情に、少女は答えなかった。

 推定0歳児。信じがたいことに病状の片方はノイマン。
 基本的にボケは分かっていてする。

SYSTEM :
 よって振り返ったその時の表情が、淡い苦笑だったことが、あるいは答えだった。

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
 ・・・
「ごめん」

SYSTEM :
 それは果たしてどちらへの謝罪だったのか。
        エフェクト
 彼女はありったけの輝きを眼晦ましのように展開した。あなたの回答を聞く前に。

SYSTEM :
 次の瞬間に車体を、
 鉄の暴風が駆け抜けた。

SYSTEM :
 覆い被さった何かが、あなたの視界を覆う。
 みごとに一回転した4WDが、あなたと“それ”を吐き出した。

 すぐに分かる。いや、分かる情報の洪水は、あなたに理性的な判断を許したか分からない。

シャラ :
「は────」

SYSTEM :
 まず回答の代わりに、あなたに赤色が覆いかぶさった。

SYSTEM :
 咄嗟に覆い被さり、カバーに入り、狙いを歪曲し、ひとりだけ生かした。
 ゆっくりとリザレクトを始めてこそいるが…。受けた傷は致命傷の一歩手前。

 あなたの方が生きる目がある、と咄嗟に判断した少女の躊躇ない動作だったが。
 あるいは、半ば逃避のようなものだったかもしれない。

SYSTEM :
 なぜなら…。

SYSTEM :
──────退路に。鋼色が待ち構えていた。

* :
 ニュートロフィル
『───好中球』

* :
『いわば特定のオーヴァードか、レネゲイド因子のない生物を狙ってブチ殺せる、対人ルンバってなわけだが』

* :
         テロリスト
『いやー礼を言うぜ仮想敵諸君よ!
 そいつが戦場の流行りになったら、ホントにつまらなさ過ぎて…今後をどうしようかと思ってたンだ』

SYSTEM :
 理由のない殺気。
 機械化改造手術を受け、最新鋭の兵器と、そのニュートロフィルの前身を模した対オーヴァード用戦闘プログラム。
 それらで武装した最新鋭の猟兵軍団。
 ………新鋭のDDDと比べて、年季に勝り、同時にこの日本を縄張りとしていた戦闘集団。

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :

『おーし、アカ子I復唱ォ! テロリストに国際条約はー?』

『ストレンジ・テンペスト』/攻手 :

『あってもなくても死ねーい!』

SYSTEM :
 ストレンジ・テンペスト。
 その分隊長の陽気な、火傷する冷たさを纏った戦意のそばから。
 涼やかな、人間のまねごとをする生き物の笑い声が響いた。

SYSTEM :
 なんということはない。

 ヴァルカンがあなたを逃がしたのは、
 ・・・・
 こうなるから。

シャラ :
「……バッカ野郎!」

シャラ :
「何度やられても最悪なやつ、オレにやらせるんじゃねェよ……!」

シャラ :
 咄嗟に零れた血で糸を形成。ミソラの体を引き寄せて固定する。
 オレは打ち所が悪かったぐらいだ、外傷は多くない。全身に引っかかったのはオレじゃなくてこいつの血。

シャラ :
 転がるように立ち上がって、前より落ちた力でそれでもミソラを引き起こす。
 目の前にいるのは最新型の機械ども、オレたちと入れ違いで死にに行った望風旅団の古巣──いや。違う。
 こいつら日本人っぽい。古巣とくっついたほうだ。

シャラ :
 ストレンジ・テンペスト。
 国家機能が軒並み解体されたいまのこの世界で、元アメリカの特殊部隊と組んでFHの秩序にすり寄ったハイエナ共。

『シャラ』 :
──“ヴァルカン”の領域はずっと這わされていた。泳がされた理由だな。

シャラ :
冷静に状況判断してんじゃねェーッ死ぬぞこれェ!

シャラ :
 後ろ手で空間をブチ壊せないか試してみるが、昂った感情がレネゲイドに悪く作用しているのがわかる。
 よしんば開いたとして誤作動する。望みどおりの場所につながる保障はどこにもない。

シャラ :
「……テロリスト狩りが仕事になって楽しそーだな、オイ。
 自衛隊ってそういう組織だったかァ……?」

『ストレンジ・テンペスト』/攻手 :
『んー?』

『ストレンジ・テンペスト』/攻手 :
『あ、いま会話継続だったんですか?
 いえ生きてますね』

『ストレンジ・テンペスト』/攻手 :
 ・・・・・・・・・・・・・
『きみのこと覚えてるヒマないので、
 ハナシは隊長殿に全任せします。どうぞ』

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
『おう、生まれてこの方図太いアホの飼い主に代わります』

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
『自衛隊やってんのは四年前の話でなァ。
     せいぎのみかた
 今はアレだ。公務員』

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
『白昼堂々楽しいお仕事なワケだよ坊主。
 嬉しい悲鳴なら4年分聞かせてやらんでもないが、おキレーなスピーチは得意じゃなくてね』

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
 ・・・・・・・・・・・・・
『分かるだろこれからやること?』

シャラ :
「……………ッ」

シャラ :
 ミソラの体をワイアでオレに括りつける。
 こいつがリザレクトで起きるまでの時間を稼げば、多少はマシのはずだ。

シャラ :
 でも最悪なのは、相手は“ヴァルカン”が後詰めにしても問題ないって判断した戦力だってコト。
 与えられた仕事は熟せるっていうハナシ。
 ストレンジ・テンペストにはオレみたいなバックメンバーもだいぶやられてる。こいつらのせいで、UGNも少なくない損害を出したとも。

シャラ :
 やれるか? どこまで?
 諦めて食われるとか死んでもゴメンだ。お兄ちゃんの倍は生きないといけねェのに。

シャラ :
「……わっかんね」

シャラ :
「オレ、中卒もしてねェし? アタマ悪ぃンだよ」

シャラ :
 適当言うオレの足元で、ボコボコと影が沸騰する。
 『うるせーな、黙ってろボケ』ってコトだ。
 オレが持ってる力は向こうにとっても未知数の力。多少はハッタリもきく。
 最大出力で吹っ飛ばして、その間に誰かしらがフォローに来るのを待つかミソラが起きるのを待つしかない。

シャラ :
「……くたばれ、イヌども! ファルスハーツにシッポ振るとか、死んでもゴメンだわ!」

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
『カハハッ、い~い啖呵だ!
 捨て鉢じゃあねェなあ坊主よ!』

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
『いやァ惜しいぜ。
       ファルスハーツ
 手前が、その憎まれっ子の一団の特に行儀悪いボケの尻尾だったり…』

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
『ついこないだ日本に来たボケ三銃士くらい、ヒトのハナシ聞かねえフリークスやれんならなあ?』

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
 ・・・・
『消化試合に付き合わせることなかったのによォ!』

SYSTEM :
 …その後のことは、敢えて語るまでもない。
 爆ぜるように命を燃やし、最後の結果に挑んだその後など。

SYSTEM :
 このように。
 ただ理不尽が、目に映るものを車輪の下敷きとしていくようなこと。

 エンドライン
 終わった世界では、実を言うと、珍しすぎることではなかった。

SYSTEM :
 悪夢は現実に、現実は悪夢に。
 これは終わりの始まりなのか。
 それとも始まりの終わりなのか。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

『ストレンジ・テンペスト』/攻手 :
『………』

『ストレンジ・テンペスト』/攻手 :
『んー…?』

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
『どうしたアカ子I、アカ子IIの反抗期が長すぎてついにスネたか?』

『ストレンジ・テンペスト』/攻手 :
『失敬な! 愚妹はいつでも反抗期です』 

『ストレンジ・テンペスト』/攻手 :
『…特にソノムラがどっか行ってからというもの、ずっと穏やかではないようで』

『ストレンジ・テンペスト』/攻手 :
『んー、納得が足りてない? みたいな。
 このあたりアドバイス出しませんか隊長?』

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
『ふむ。いいかアカ子Iよ。鳥は泳がない。魚は飛ばない。花は歩かない』

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
                         アキシバ
『アカ子IIはエアプゴリラのオメーより繊細なお嬢様だ、専門家に任せてほっとけ』

『ストレンジ・テンペスト』/攻手 :
『殺しますよ(いえそんなことは置いておきましょう。これ、どうします?)』

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
『逆』

SYSTEM :
 ………のち、ストレンジ・テンペストのいち分隊は。

 撃破し戦闘不能にした敵性エージェント二体の身柄が、
 まるごと生死不明のまま行方を晦ますという神隠しに遭っていた。

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
『いやどうもこうもねェ。
 有り得ないことは有り得ない、が、オーヴァードのルールだ』

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
                          ポー
『別のカスの始末くらいすぐ終わんだろ、報告来たらBチームに捜索させる。
 その間に”ディアボロス”のワンコへ回線繋いで、まず身内の手柄争いから疑う』

『ストレンジ・テンペスト』/攻手 :
『私は?』

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
              バッドコミュ
『その辺でヒマ潰してろ、おまえに応対させるのこの後だから。
 容疑者見つけたらいつものノリで神経逆撫でね。OK?』

『ストレンジ・テンペスト』/攻手 :
『はーい(殺しますよ)』

『ストレンジ・テンペスト』/指揮官 :
『よーしえらいぞアカ子I、今度は建前で喋ったな』

SYSTEM :
 だが、それも些事だ。
 
 神城グループとFHの研究成果を跡形もなく粉微塵にした許されざるテロリストを追跡、
 完膚なきまでに粉砕する───その大義名分が、分隊長と、その複製体に待っていた。
 あるいは、追跡の任を受け持っていた【DDD】もまた、余分を片付けてすぐに動き出す。

SYSTEM :
 ………しかし。

SYSTEM :


    ・・・・・・・
 これはこのまま行けば、の話であった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 時に。
 オーヴァードの死とは、基本的に肉体の死ではない。

SYSTEM :
 宿主がその負荷に耐えられる限りは、彼らは肉体の死を引っ繰り返せる。
 本当の意味での死は、精神の死だった。

SYSTEM :
 ………ならば目の前のこれは、どういう状況だろう。

SYSTEM :
 あなたは、どことも知れない夜明けの狭間で目を覚ましたが。
 あなたは、どうあろうと少なくとも、死を認めてなどいなかったはずだ。

シャラ :
 ────まだだ。まだやれる。って。
 全身から噴き出た血をエネルギーにして、何度目かのリザレクトをして。
 なますにされた体をくっつけて、焼かれた目を修復して。

シャラ :
 ……視界が回復した瞬間……。

シャラ :
「……は?」

シャラ :
 笑い声が耳障りなモンスター1も、よく回る口がうぜェモンスター2も、有象無象のモンスター3×たくさんもどこにもいない。
 明らかにさっきまでの場所じゃない。
 這いつくばっていた身体を慎重に起こして、周囲を見渡す。イメージは研究所で見せられた電脳空間に近い。

シャラ :
「(……ンだコレ。トんでた間に連れてかれた?)」

『シャラ』 :
────不明。座標アンノウン。

シャラ :
あ、こっちは落ち着いて話し相手にはなんねー。萎えたか? なんでだ?

SYSTEM :
 ………なぜ、の正体に。

 同居人の“ノイマン”は回答を出さなかった。

SYSTEM :
 ………では。

* :
「なぜ、と申しますと」

* :
「私が、あなた方に。用があったからですね」

SYSTEM :
 その答えを教えてくれたのは。
 あなたにとって、恐らく出会いたくない人間の五本指に入っていただろう。

SYSTEM :
 涼やかな妙齢の女性の声。振り返った先、今まで気配を微塵も感じなかったその場所に。
 女の姿が、立っていた。 

“プランナー”都築京香 :
「──────取引をしませんか? “アガースラ”」

SYSTEM :
 その女の名をあなたはよく知っている。
 ───”プランナー”都築京香。FH日本支部の統括者。

SYSTEM :
 春日恭二を含んだ”春日一族”のリエゾンエージェント集団が主と仰ぐ…。
 神算鬼謀の女。それが、あなたの前に顔を出している。

 では実験棟のモルモットに逆戻り? それとも、この女は死後にも口を利けるのか?
 ………なんの疑問にも答えず、すぐに本題に入ってきたあたりからして。あるいはそちらの方が楽だったかもしれなかったが。

シャラ :
「…………………………な んで」

シャラ :
 全身の血の気が引いた。
 死んだか? マジでオレ。
 よくわからん空間に放り込んで来た主犯がこいつっていうなら、りくつには理解する。わかんねェってことがわかるからだ。

シャラ :
 理由がマジでわからない。
 アダムカドモンの食い残しで、失敗作のウロボロスにする取引なんて、死ねor死ねor死ねだけじゃないのか?
                  ウロボロス
 “ダインスレイフ”には及ばないくせに特級の厄介者を宿して、貴重な実験体を食ってネコババしたのがオレだぞ。

“プランナー”都築京香 :
「ふむ」

“プランナー”都築京香 :
 ・・
「必要だから…では、答えとして不適当と言わんばかりの表情ですね」

“プランナー”都築京香 :
「同じことを説明するのも味気ないかと思い、待たせておりましたが。
 もう一度言いましょうか」

“プランナー”都築京香 :
「あなた方の生きている現在、そして過去と未来が、ふたりの欲望で壊れようとしております」

“プランナー”都築京香 :
「───ええ。取引をしませんか」

SYSTEM :
 彼女はあなたの“なんで”を概ね無視したようにも、優先順位は「そちら」であるかのような態度だった。 

SYSTEM :
 ………そもそも見れば。女の後ろ、もう一人が、そこにいる。
 目覚めたのはあなたが先ではなく、あなたが最後だったようだ。

SYSTEM :
 ちょっとばつが悪そうな───。

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「………なんてこと」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「オモシロ方向の遺書を書きそびれた…!」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「久坂勇クン、お慕いしておりました、とか…」

SYSTEM :
 訂正。ばつが悪い、というか未練の話をしていた。
 ちなみに遺書にそんなものを書いたら、
      もみじの鉄拳
 縺れた痴情はメギドの炎で焼き尽くされてしまうこと請け合いである。

シャラ :
「………………」

シャラ :
 これは、アレか?
 まえ会った、ちょっとアタマオカしめの3人みたいな……。いや、あいつらよりおかしいんだけど。当然。プランナーだし。

シャラ :
 アタマオカしめ三銃士その1の感じを思い出すと……『それ本題じゃねーからどうでもいいや、こっちの話するんで』ってトコだな。

シャラ :
……それはそうと。直前ぐらいまで背負って二人羽織りしてたはずのやつもいる。いいやら、悪いやらだ。

シャラ :
「オレもやっときゃ良かったな、イサミ、愛してるとか……。いやダメだわ、サブイボたった」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「同じ文脈じゃインパクト減っちゃうじゃん」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「それに勇はオトコのコからのシンアイは『へー』だよ」

シャラ :
「だから書くンだよ、実はオンナノコでしたってよ……」

シャラ :
「……………」

シャラ :
ぐしぐしと血を拭う。プランナーの前でいつものノリでふざけて付き合ってたら殺されるな、オレ。

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「やるね、ここは負けを譲ってあげよう」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「………」

SYSTEM :
 で。これはあなたの表情を見てからの、彼女なりの意図的に踏み込んだジョークだったらしい。
 居住まいを正すとみると、その視線はすぐに“プランナー”に向いた。

“プランナー”都築京香 :
「あなた方はストレンジ・テンペストとDDDの挟撃に遭い、死亡します」

シャラ :
簡単に言う~……

“プランナー”都築京香 :
「厳密には死亡する未来が迫っています、ですが」

“プランナー”都築京香 :
「“なぜ”と聞いたなら、事実を勿体ぶることもないかと思いまして」

SYSTEM :
 そう付け加えたところで、あまりにも唐突で、しかし予想のつくケースではあった。

SYSTEM :
 しかし、これを…“プランナー”が口にしたとあらば。
 たいていのことは嘘でも事実に変え、黒い鴉を白く染める程度平気でやってのける…。
 そんな、この怪人が口にしたのであれば。話は別だ。

 そうなる/そうなった。そしてその上で、彼女はあなたになぜか取引を持ち掛けていた。

“プランナー”都築京香 :
 ・・・・
「丁度良いので拾わせていただきました」

“プランナー”都築京香 :
「取引するものは、そうですね…。
 あなたと彼女の命にしましょう。もう少し広げても構いませんが…」

“プランナー”都築京香 :
         べつのステージ
「あなたには、異なる未来を辿った世界に発っていただきたいのです」

“プランナー”都築京香 :
「そこで、私の頼みを果たして帰って来れば…。
 ・・・ ・・・・・
 今日を、ひとつだけ…あなたに都合よくして差し上げます」

シャラ :
 ・・
「やる」
 イチもニもない肯定。

SYSTEM :
 そう来なくては、と女は笑い。
 あなたの視界に入っていた少女が、表情そのままに割って入った。

 出会った感じからして、慌てている時の仕草だ。

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「待った、待って」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
            ・
「厳密にはそれ、死ぬのは私がだよ」

“プランナー”都築京香 :
「そうですね」

“プランナー”都築京香 :
「………本当は二人揃って死んで頂いた後に“そう”するつもりだったのですが…。
 ふむ。揺らぎも良し悪しですね。あなたの判断は、彼に選択肢を与えはしたようです」

“プランナー”都築京香 :
「あなたのその様子であれば不要でしょうが、こういうのをインフォームド・コンセントと呼びます。
 蛇足をお伝えしておきましょう」

“プランナー”都築京香 :
「あなたと彼女の死亡するタイミングには僅かな“ズレ”がありました。1回分です。
 そしてあなたのレネゲイドは極限状態の集中にあり、その僅かな時間ならまあ、ゲートの展開も難しくはない」

“プランナー”都築京香 :
「───ですがまあ。
 分かっていらっしゃるのか、優先順位の違いなのか。どちらでも構いませんが、それならこの話は余分でしょう。
 理解が早くて助かります」

シャラ :
「……プランナーが悪魔だなんて、FHにいたやつ全員が知ってンよ。
 オレじゃないといけねー理由がねェなら、丁度よさそうなヤツのアテ探しに行くだけだろ」

シャラ :
「オレだきゃ逃げられるったって、その前にブラストハンドは大損害だし……」

シャラ :
 ブラストハンドはイサミがいれば成り立つ組織だけど、そうもいかないのは過去の話が証明してる。
 初代ブラストハンド──国見以蔵のころはひどいもんだったとか聞いた。
 初代は強かったから、強さで押し通せたらしいけど。

シャラ :
「しゃーねーだろ。断ってオレは生き延びますっつったって、アンタはウロボロス嫌いじゃんよ?」

シャラ :
「ついでにツブしとことか考えてそーだし。
 やるっつったほうが得だろ、ゼッテーそう」

“プランナー”都築京香 :
「はて。強いてあなたの問いに答える言葉があるとすれば」

“プランナー”都築京香 :
           ・・・
「………“ディアボロス”、こっちではご存じの通り。けっこうやり手ですよ」

SYSTEM :
 “プランナー”のその薄い、悪意のない笑みは。
 あなたがそれを選んだ場合、何が起こるかを、暗に告げているも同然の笑みだった。

SYSTEM :
 なるほど確かに。悪魔の取引だ。
 いや、悪魔を従える者とあらば…神との取引だ。

SYSTEM :
 …あなたの仲間/同僚は、その感情の図り難い表情をそのままに。
 ちら、と視線を向けて。

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「なら」

“プランナー”都築京香 :
    ・・
「あなた単体でいいなら、もっと私は手段を択ばずに済みました。
 …あなたを留めたのは、彼の実感のためですね」

“プランナー”都築京香 :
「そこまで簡単なコトでもないので」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「(かちん)」

SYSTEM :
 無言でグーを振り上げ始めた相手を他所に、彼女はあなた/シャラを見た。

 どうも彼女的には、その脅迫に等しい内容が複雑だったらしいが、それはさておき。

“プランナー”都築京香 :
「では、お伝えしましょう。“アガースラ”」

“プランナー”都築京香 :
「あなた方に向かう先は…。
        ・・・・・
 FHがUGNに勝利しなかった先」

“プランナー”都築京香 :
「が、厳密には其方が根本です。
 こちらの結末如何によっては、あなた方の現在も諸共崩れ落ちます」

“プランナー”都築京香 :
「………それの阻止に手が欲しかったのです。
 ・・
 本題を理解して、其方のために動ける理由の持ち主がね」

SYSTEM :
 あるいは彼女は。

 態とその言葉を択んだあたり、
 あなたの同居人のほうにこそ興味があったのかもしれないが。

SYSTEM :
 ………この場において確かなことは一つある。

 “プランナー”が、本題と称して語った内容は。
 あなたにとってはこの時点で、どう受け取るべきか判断に困るものであった。

SYSTEM :
【Check!】

 トリガーハンドアウトの発生を確認しました。
 内容は対象プレイヤーにのみ伝達されます。


シャラ :
……………。

シャラ :
 オレの喉が勝手に動く。
 オレ自身の思考を超越して喉から声が吐き出されるときは、オレじゃなくて、オレの腹の中でずっとくすぶってる白い怒りが這い出すとき。

『シャラ』 :
『……それは……』

『シャラ』 :
『如何にも奇妙な話だ』

シャラ :
 ミスノサンゴっていうUGNエージェントが、腹ペコのオレに肉体ごとレネゲイドとその先の全てを喰わせたときから宿る、怨念めいた感情のかたまり。
 プランナーはそれに気付いている。アダムカドモンのプロジェクトを末端まで把握してるなら、そりゃあそうだケドさ。

シャラ :
 それはそうとして、サンゴの言ってることはオレも理解する。
 話のナカミはなんとなくわかった。わかったけど、こんなの──その、UGNがFHに負けてない世界の連中が解決できる話なんじゃねェのか?

シャラ :
 オレならゼッテー訊かないけど。
『それはそうですね、では』とか言われてこの取引取り上げられたら死だぞ、オレたち。

『シャラ』 :
『不都合であるから死んでほしい、というのは
 どうにもアナタ方ファルスハーツらしく思えるが』

シャラ :
そうそう、ソレソレ。ナニゴトなんだよ。

“プランナー”都築京香 :
「私の知る限り…」

“プランナー”都築京香 :
「あなた方はオーヴァードの存在を知った時も…」

“プランナー”都築京香 :
「その昔、名探偵が遊撃隊を結成した時代…。
 夜の闇に紛れた者たちの蠢くさまを知った時も…」

“プランナー”都築京香 :
「さらにその昔、平安の海鳴る先に神が宿ると知った時も…」

“プランナー”都築京香 :
「すべて、はじめ奇妙と呼びました。同じようなものです。
 隣り合おうとも、しょせんは極めて近く、限りなく遠い命の廻り」

“プランナー”都築京香 :
「そのヴィジョンには…」

“プランナー”都築京香 :
      ・・
「我々でも。そこにいる彼らでも不都合なのです。
 前者は過程が、少しばかり。後者は相手が、少しばかり」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「今の話がFHでよかったら…。
 アンタその辺の春日引っ張ってこれるから?」

“プランナー”都築京香 :
「そうですね。
 信じない者、頷かない者も知っていますが」

“プランナー”都築京香 :
「己か、一族か、あるいは私か。
 そのために頷いてくれる者も知っていますから」

シャラ :
頭の中でサンゴがスンとしたのを感じる。リザレクトしたてだから起きてたけど、ぼちぼちジャンクションも限界だったらしい。

シャラ :
「つまりぃ、アレか? 『FHだと荒っぽすぎてムリだから、UGNとかオレらみたいなお行儀いいやつ脅して引っ張っちゃおう』っつー話?」

“プランナー”都築京香 :
「そうですね。あなたの言葉を借りるなら、お行儀の良いところに紛れて頂かねばならないのですから」

シャラ :
「紛れる? ンだそりゃ」

“プランナー”都築京香 :
「言葉の通りです。彼方に行けば分かることでしょう。
 あなたでなければならない理由はありませんが、
 ・・・・・・・・・・・・・・
 あなたであったほうが良い理由はもっとも多かったので」

“プランナー”都築京香 :
「“頼み事”の届け先は、あなたと“彼”くらいには、行儀の良さと悪さを伴える者でなければ」

シャラ :
「…………」

シャラ :
「コウエイっす、ウレシーって言っといたほうがいいんだよなァ。いちお確認すンだけどよ」

“プランナー”都築京香 :
「どちらでも。引き受ける、引き受けない、どちらでもあなたの望みの儘にするのが良いでしょう」

SYSTEM :
 女の薄い笑みに、人の感情と呼べるものは然程となかった。

 送り出すことだけは確実にしなければならないが、送り出す人間はあなたでなくとも良く。
 その中で適任と呼べるのはあなただった。篭絡のつもりもないから、そうした部分を隠そうともしない。

シャラ :
 ……理解してる。
 オレが特別ってわけじゃない。
 目の上のタンコブが今回は必要だから使ってるだけだし、意味も理由もあっちの都合のいい話でしかなくて。
 オレが生きたりとかするためには頷くしかないのは呑み込んだ。それでいい。目つけられてるって思う方がぞっとするわ。

シャラ :
「受けるのは変わんねェ。選択肢とかねェのはわかっしな。
 ・・・・
 こういうシゴトならオレ様向きだろ」

シャラ :
「一個目。そいつは?」

シャラ :
そいつ、と言って、ミソラを指さす。

“プランナー”都築京香 :
「そいつ。…ああ」

SYSTEM :
 視線を向けられた先が、それとなく自分を指差す。
 プランナーの表情に変わりはない。

 いやあるいは、驚愕や破顔でなければその表情が動くこともあるのかもしれないが。

“プランナー”都築京香 :
「あなたにとっては、状況を飲み込むために必要だと思って、留めていたのですが。

 彼女のようなかたちのレネゲイドビーイングは、稀有でないにせよ、まだ、珍しい形ではあります」

“プランナー”都築京香 :
「ただ、送り出すにあたって、一人も二人も変わりありません。
 あなたにとって“此方”を知るものは、あなたと彼だけ。そこに猫の手が必要ならば、どうぞ」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「ハッピーセットのおまけみたいな扱い方された………」

SYSTEM :
 つまり生かしてあるが、人手が欲しければ/こちらの話をする相手が欲しければどうぞ、だ。

 プランナーにとって“理由の多い”ほうはどちらかというとあなたで、彼女自体は皆無でないにせよ必要ではないらしい。あるいは…。

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「いや、いいよ。行く。その…向こう側? にもアンタいるんでしょ。
 ・・・・・
 あわよくば、とか、やられてもなんかヤダし」

SYSTEM :
     ・・・・・・・・・・
 あるいは仕事を果たして未帰還が、彼女にとって一番都合が良いからかもしれない。
 少なくとも扱いの差異にちょっとムキになったのか、“そいつ”のほうは、あなたが固辞しなければ付属品をやってくれるそうだ。

シャラ :
 りょ
「了解。ミソラ、今回オレ様のオマケな」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「ん」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
 つぎ
「次回逆ね。前作主人公にしてやる」

シャラ :
「そん時は今作主人公の出番喰ってやろーかなァ!」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「いつの間にか声の出演が二番目に…!」

SYSTEM :
 やり始めたボケをプランナーは“合意”と受け取ったようだった。

“プランナー”都築京香 :
「一個目の次は?」

シャラ :
        ミソラ
「オレとサンゴとオマケ、そっちで生きてンの?」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
(おまけのポーズ)

シャラ :
「同じヤツが重なって消滅とかアリガチだろ?」って、サンゴ(の記憶)が

“プランナー”都築京香 :
「ふむ。…」

“プランナー”都築京香 :
「彼女は、そもそも記憶から作られた新しいいのちです。
 ・・・・
 同じものは生まれませんね」

“プランナー”都築京香 :
「…ですが。あなた方については。
 そうですね、存在はしております。生きてもいます。対面すること自体が、存在の危機となることもないでしょう」

“プランナー”都築京香 :
「ただ少々客観的に見て面白く、主観的に見て危険なことになるかと思いますので。
 彼方の私から、“近寄ってはならない日本の都市”を教えておきましょう」

SYSTEM :
 もちろんあなたが怖いもの見たさでそれを知りたいというならば構うまいが。

 特にこちらの主導ではない“彼”同士の対面は、あるいは場合によっては愉快と危険の反復横跳びであったかもしれなかった。
 少なくともプランナーの言葉は、遠回しに、あなたたちが、向こう側でも”同じような形”であることを示している。

シャラ :
「ふうん……」
 あいまいに頷きながら、言われた町の名前を覚えておく。
 とりあえずメンドーが起きることはよォーくわかった。

シャラ :
「ならイイや。
 で。次。現地のことは現地で調べて、テキトーに潜り込むけどよォ」

シャラ :
「アンタの息かかったヤツに頼りすぎるのはゾッとするし。
 ただ保険はほしーんだよな」

“プランナー”都築京香 :
「と、申しますと」

シャラ :
「『向こう側』に都合いいスパイとかいねーの?
 ミモトホショーな、ミモトホショー」

“プランナー”都築京香 :
「都合が良い、とは呼べませんが」

“プランナー”都築京香 :
 ・・・
「この件に限っては利害が一致した者…。
 そちらの伝手を借りたい時に役に立つ者がいます」

“プランナー”都築京香 :
「セント………。
 “道化の真実”と呼ぶUGNエージェントです。表から堂々と“プランナー”の名を出さぬように」

SYSTEM :
 彼女の様子から察するに都合がよくもなければスパイでもないらしく。
 この件…あなたに話した一件が関係する“出来事”に限っては話が合う、ということだ。

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「いったいどんな非常識なヤツが」

SYSTEM :
 彼女はブラストハンド5本指の非常識であった。

シャラ :
「オメーがな」

シャラ :
「わかった。ならイーや。アンタからほかに言うこととかあんの?」

“プランナー”都築京香 :
「私から言うべきことは先に済ませました。
 ただ、そうですね…」

“プランナー”都築京香 :
「同じ人間が、同じことを出来るとも…。
 同じことを出来ないとも限らぬもの」

“プランナー”都築京香 :
「同じ名前の人間が同じとは限りません。
 あなたにとっては、その違いは…」

“プランナー”都築京香 :
「…面白い体験になるかもしれませんね?」

SYSTEM :
 あるいは。
 昨日頼もしかったものが、向こう側では牙を剥くことも、その逆も、ザラにあるだろう。

 辿り着いた先で、戻る意味を失う可能性も。

SYSTEM :
 ………あるいは“そう”ならないものを選んだからあなたなのかもしれないが。

 日常の失われ、薄氷が砕けて交じり合う世界からの奇妙な旅路に関して。
 プランナーのそれは、おそらくはあまりに遠く熱のない、しかし紛れもない祝福であった。

シャラ :
「(この女の『面白い』って、オレにとっても『オモシロい』になる感じしねェ~……)」

シャラ :
「……ま~、覚えとくよ。
 ミソラがいなくてオレかサンゴがいたりとか、UGNが勝ってたりとか? イロイロ違うんだろ、たぶん」

シャラ :
 結局どれもこれも信用ならねーってことじゃおんなじだ。都合よくすらある。

SYSTEM :
 プランナーはあなたの言葉に対して、沈黙の形で肯定した。

 言うことは、その余分以外は本当にすべて言った後なのだろう。

SYSTEM :
 夜明けの狭間。
 この世のどことも知れない薄明りの中を渦巻く小さな刻の扉。

 ディメンジョンゲートのそれを思わせるものは、気付けば…あるいは最初から。プランナーの背後にあった。
 原理は定かでない。今の話は茶番にしては凝り過ぎだし、そもそも、それを疑う立場にあなたはなかった。

“プランナー”都築京香 :
「では」

“プランナー”都築京香 :
「プランを始めましょう。
 あなたの望みが、この筋書きと重なりますよう」

シャラ :
「この言葉がオレにふっかけられるの、想像したこともなかったなァ……」

シャラ :
 かなりイヤ寄りの話だが、仕方ないっちゃ仕方ない。
 あの状況からオレたちを引っ張り出したのは、理由はどうあれこの”プランナー”だ。
 サンゴいわく、くもの糸はつかまるしかないからくもの糸らしいしな。いちおう恩義は恩義だし、返さなきゃ割には合わない。

シャラ :
 ……それに。

シャラ :
「オイ、ミソラ」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「ん」

シャラ :
「……同じこともっかいやったら、先にオレが殺すかんな。
 お兄ちゃんみたいなコトすんな、マジでどつきまわすぞ」

シャラ :
言い捨てて、顔見られたくないからさっさと歩きだす。ドカドカ足音立てて。

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「………」

SYSTEM :
 言い捨てるくせに懇願するような一言だった。
 背後から視線が、さほど動かない表情より伸びて、薄っすらと刺さる。

 なお彼女は、直感に偏りがちとはいえノイマンだった。
 分からないはずはない。
 そして茶化すほど空気を読まないでもない。大抵のことは分かっていてやるクチだったからだ。

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「好きでやったわけじゃないし」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「ごめんって言ったし」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「………………」

『ブラストハンド』/構成員の少女 :
「もっかいごめん。やらないよ。だって」

『ミソラ』 :
「メモの持ち主、見つけてないんだ。
 埋まり切る前に探さないとだからね」

SYSTEM :
 ───自覚した出身、S市。
 ───出会いの切欠、“かちん”と来たから。
 
 平々凡々の女の夢から生まれて。
 その言葉には程遠いものを、地平線の向こうに探し求める空の名前。

SYSTEM :
 勇はいつもの調子で美少女と断定するや否や窮地を救って囲い込み、もみじに殴り飛ばされ、差し引きヒーローだったので酌量余地で許された。

 で、あなたは先輩だ。その一幕を見ている。

 あなたの拾われた切欠は、真摯なものだったか、それとも、名乗った名前に謎のシンパシーを受けたような妙な繋がりだったか。

SYSTEM :
 何れでも。
 そこまで付き合いの短い生き物ではなかった。

 あちらも同じだ。ワザとらしい足音に、真面目な声で“ごめん”を返したのは、あの時のばつの悪さが冗談だけではなかったことの証なのだろう。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 昨日と違う今日。
 今日より遠い明日。

 夢まぼろしを見ることは数あれど。
 今日見るものは、きっと一番長い夢想になるだろう。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :
 シーンが終了したよ!
 ロイスの宣言はある?

シャラ :
ミソラ。信頼/○憤懣。以上!!

『ミソラ』 :
おこなの?

シャラ :
激おこだよバーカ!バーカバーカ!

『ミソラ』 :
山びこで返そうという勇気が今はない…

シャラ :
明日からオメーのベッドに毎日イサミが潜り込んでる呪い掛けたからな!バーカ!でべそ!

『ミソラ』 :
うわあきっと毎日がラインぎりぎりセクハラ祭り!

GM :
ロイス欄に記入しておいてね!(小声) 

SYSTEM :
 ………………
 ………………


・Scene1『交錯-Crossroad-』


GM :
さて…これにてOPが全部終わったわけだけど
見ての通りべつにー合流してるわけじゃないからね

PC間ロイスはもう少しあとだ。

GM :
それに、厳密にいえば「オープニング」自体はまだ終わったとも言い切れないわけで…。
次のシーンに行ってみよう!

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
【Scene:交錯-Crossroad-】

Scene Player:All
   Erosion:ON

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Guidance...】

 このシーンは適宜シーンプレイヤーが入れ替わります。
 そのため、上記はあくまで「すべてのPC」をシーンプレイヤーとしていますが、
 その都度適宜登場侵蝕の発生対象となるPCがアナウンスを受ける形を取ります。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
【Check!】
 登場侵蝕が発生しました。
 Player:Shara


シャラ :
オレ様からか! へいへい

シャラ :
1D10 (1D10) > 5

system :
[ “アガースラ” ] 侵蝕 : 36 → 41

『ミソラ』 :
可もなく 不可もない

『ミソラ』 :
💡 送りバント!

シャラ :
ナニ企んだ???

『ミソラ』 :
ナニもー

SYSTEM :
 ………………
 ………………

“プランナー”都築京香 :
 取引をしませんか? “アガースラ” 

SYSTEM :
 時を越える旅の切欠は、この言葉だった。

 不可解な頼み事ひとつと、その対価の約束を携えて。
 あなたは、知ることのなかった“もしも”に足を踏み入れる。

SYSTEM :
 か細い明日に繋がる今日を生きていたあなたが、
 投げられた賽に身をゆだねてこの地に降り立ち。
 辿り着いた先は、何処と知れない隠れ家。

 後に分かった話に曰く“ゼノス”なる組織の、世界中に点在するレネゲイドビーイングのすみか。
 当時そこでは、待っていましたとばかりに出会った人物がいた。

“プランナー”都築京香 :
「はじめまして」

“プランナー”都築京香 :
「自分に来客の知らせを伝えられるというのは、内容が内容でなければ、なかなか愉快な経験でした」

SYSTEM :
 “プランナー”の言伝を手に取ったあなたたちの前に現れたのは、“プランナー”であった。
 往々にして、彼女に限っても、このようなことは基本あり得なかった。

SYSTEM :
 しかし、あなたからしてみれば…。

 目の前の彼女は、分かっていても“誰?”と聞かざるを得ないほど掛け離れていた。
 ならばその出迎えは、ひとつの違いがこれほどまでに大きな分岐路を作り出してしまうものなのだと教えるためだろうか。あるいは…。

 ”プランナー”の正真正銘、けっこうな気まぐれだったのだろうか。

シャラ :
「ハ、ジメ、マシテ……」

シャラ :
 いっそのんきなほどの穏やかなあいさつは、オレからすれば逆に背筋が凍るやつだ。
 そもそもツッコミどころまみれで、頭の中でサンゴの知識が『ゼノス』の意味を講釈する言葉も上滑りする。

シャラ :
 イヤイヤ、二分の一サイズだけどどう考えても“プランナー”だ。
 背筋がぞあっとトリハダがたつ、えたいの知れないプレッシャーは『向こう側』のとなんにも変わらない。

シャラ :
「……いちお訊くんだけどよォ」

シャラ :
「本人……? なンだよな? 『向こう側』のあれと?
 アンタ、なんだってんでFH辞めてんだ……」

“プランナー”都築京香 :
「なぜ。なぜと来ましたか。
 私は我々の行き先を模索しているだけです」

“プランナー”都築京香 :
「彼方の私も、そこはたいして変わりません。
 …とまあ。あなたは答えではなく、答え方のほうを尋ねたのですよね?」

シャラ :
「……まァな」

シャラ :
 オレ様、ヤバいやつには盾。
 すばやくミソラの背中に隠れて、頭だけ出す。コイツがレネゲイドビーイングって新種にヤサシイのは同じと見た。

『ミソラ』 :
「女の後ろに隠れてバトルの解説…!
 それでいいのシャラ サンゴが悲しむよ」

シャラ :
「でーじょーぶだよ、サンゴはなぁ」

『シャラ』 :
合理的な判断だ
長時間目の前にいると殺される気配のする女との間には盾を設けるに限る

シャラ :
「つってるわ」

『ミソラ』 :
「決めた 本当にここから要”かばう”になったら可能な限り後味悪いセリフぶちまけてやる」

シャラ :
「ヒキョーだぞテメ〜ッ!!」

『ミソラ』 :
ちょっと待っていま探すから えっと

『ミソラ』 :
(喉チューニング)

『ミソラ』 :
「 痛いし……苦しい、けれど……
  (任意の名前)……死ぬのは……寂しく、ない…… 」

シャラ :
「わざわざそれっぽさ出すんじゃね〜ッ!!!」

SYSTEM :
 プランナーが薄っすら微笑んだ。
 否、最初からあの顔だ。バリエーションというものがない。

シャラ :
背筋がシャキッと伸びる

“プランナー”都築京香 :
はい。

シャラ :
ヒィ

SYSTEM :
 閑話休題。

SYSTEM :
 あなたがここを訪れたのは、取引の対価の“頼み事”だ。
 …そしてその行き先、少なくともついて直ぐ、プランナー本人から『そこに行け』と指されることはなかった。それが出来るなら当人がとっくのとうにやるからだ。

“プランナー”都築京香 :
「”電子の妖精”というものがいます。
 こちらで行方が分かり次第、其方を追ってください。それまでは好きにしていて構いません」

シャラ :
   なるりょ
 ……大体把握。
 意図は把握しにくいけど、オレがやるべきことだけは明確にわかる。
 さっきの答え方も含めて、疑う余地なく“プランナー”だ。これならラク。

シャラ :
「ン。
 ……好きにしてりゃいいっつーけどよ」

シャラ :
「ア〜、ゼノスだっけ?
 オレ様とこいつ、いったん『アンタ達のお仲間』って言っててイーのかよ?」

シャラ :
「それならそれで助かるし、マジでノンキに情報収集とかしてっけど」

シャラ :
 だいたいのあらすじは聞いたが、それが身になってるかはべつの話。
『こちら側』に溶け込むために、ある程度実感のある知識ってやつは入れなきゃなんない……。
 このヘン、オレもサンゴも同意見である。

“プランナー”都築京香 :
「かまいませんよ。
 元より、昨日までいなかったものを今日に許す程度の“ゆらぎ”は、いつでも設けています」

“プランナー”都築京香 :
「”はじめまして”である以上、出会えば興味は持たれるかと思いますが…。
 あなたに宿るものはともかくとして、あなた自身の言葉や行いが、何かの切欠にならないとも限りません」

“プランナー”都築京香 :
「それに…ひょっとすると、活用の機会はすぐに来るかもしれませんしね」

『ミソラ』 :
「冷蔵庫どこ?」

“プランナー”都築京香 :
プランナーが
薄ら微笑んだままシャラを見た。

シャラ :
「ヤメロバカ!!オメ〜まさか持ってんのかよ…バナナ!」

シャラ :
「見ろあの顔……! コワすぎ!!
 『このアホ叩きかえしてやろ〜か』っつってっぞ!」

『ミソラ』 :
「向こう側の環を越えられなかった…!」

 心底口惜しそうであった。

シャラ :
「もったいね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ことすんな!!!死ぬ前に食っとけよォ!!!!」

“プランナー”都築京香 :
「いえ。かつて…。
  オリジン
 同じ起源の旅立ちを見届ける機がありまして」

“プランナー”都築京香 :
「その差異と、そうでない部分が、微笑ましくなっただけです。ご心配なく」

シャラ :
ほほえましい!?

SYSTEM :
 たたき返す気があったら最初から予告なくたたき返しますよ、の意訳。

シャラ :
あるんだ、そ〜ゆ〜感情………

シャラ :
1D100 (1D100) > 90

シャラ :
(好感度の上がる音)

『ミソラ』 :
チ。~仲間のチョロさについて~ 

『シャラ』 :
何度でも 何度でも叫ぶ

シャラ :
だ〜〜〜〜うっせ〜〜〜〜!!!!自分の頭を自分で殴る!!

シャラ :
アッッッッデ

『ミソラ』 :
これが天に唾を吐くということ…。
( ..)φメモメモ 

シャラ :
「とっ、にかく! そゆことならオレ様、慣れね〜うちはニンゲンイチネンセイのフリしてっかんな。
 ちっこいノエルみたいなヤツとか、なんか色々知ってそーだし」

『ミソラ』 :
      ノエル
「ちっちゃい美青年!?」

『ミソラ』 :
「レギュレーション違反…!?」

シャラ :
どこに反応してンだよ

SYSTEM :
 余談ながらプランナーはあなたの第一歩で盛大にコースアウトして大砲で飛ばされるような“ニンゲンイチネンセイのフリして接触する相手”の目利きについて、不思議なことに言及はしなかった。

SYSTEM :
 結果、あなたがもし接触した場合、どんなカ○の嘘を覚えたのかは定かでない。
 案外まともに教えてくれたかも分からないものとするが、大人の事情で詳細は記さない。

シャラ :
 なんとなくイケる気がしてきた。
 ナゾの自信とともに頷く。
 頭のサンゴはしゃべらない。マァもともとしかばねだしな。

『ミソラ』 :
1d2 2で同じ相手をターゲッティングする (1D2) > 2

『ミソラ』 :
 はじめて入るご飯屋最大の博打
 すなわち いまの注文と同じものを

シャラ :
でーじょーぶだ オマエのカンは3割ぐらいで当たってる

『ミソラ』 :
自信があるんだ 昨日外したから

『ミソラ』 :
勇の口説く時の第一声を

シャラ :
アホの記述式クイズヤメロ

シャラ :
「…………あ」

シャラ :
「なァ、“プランナー”」

“プランナー”都築京香 :
「はい」

シャラ :
「……アンタの『頼みごと』とは直接関係ね〜んだけどよ。
 働く駄賃がわりにしてくんね?」

シャラ :
「初代ブラストハンドって、ドコ住んでる?」
 案外いける気がしてくると、フシギなことに。絶対会えない人間を見に行く観光とかしたくなるものなのであった。
 オレ様、いだいな学び。

“プランナー”都築京香 :
「対価はあなたの知る“プランナー”に望むべきですね」

“プランナー”都築京香 :
「ですので、直接関係ないなりに話しましょうか。
 彼とはついに会う機会がありませんでしたが、あれはあれで、愉快で納得ゆく結末を掴んだようです」

“プランナー”都築京香 :
「彼が住んでいるのは日本の───」

SYSTEM :
 日本の某市の名を出した彼女が、なぜ”ついに会う機会がなかった”人間の場所を正確に存じているのかは、あなたも突っ込む気力の限度というものがあるはずだ。割愛する。

シャラ :
こまけ〜ことはいーや、も〜……聞くだけ「ニコ」で終わりだっつ〜ことはよ〜くわかったわ

シャラ :
「………。………」

シャラ :
ちょっとためらってから、オレ様はおそるおそる口を開く。

シャラ :
「─────」

シャラ :
「は? ナニソレ」

シャラ :
「…………」

シャラ :
「……マ〜、わーった。
 ソレならソレで、オレらもちっとはラクできるしな」

シャラ :
「ン。ジューブン。もーいーや。
 なんかあったら、ゼノスの誰かに声掛けりゃアンタに届くんだろ」

SYSTEM :
 あなたの問いに答えたプランナーの表情は、問いかけの終わりにおいても変わることはなかった。

“プランナー”都築京香 :
「ええ。とはいえ、直接どうこうの期待は胸にしまっておいてくださいますよう」

“プランナー”都築京香 :
「この件について私がそれをすると、そうですね…人間の言葉でいうところの”画竜点睛を欠く”ことになりかねませんから」

シャラ :
オッケーサンゴ!

『シャラ』 :
画竜点睛を欠く
よくできていても、肝心なところが欠けているために、完全とはいえないこと

シャラ :
ほ〜ん

シャラ :
「イミねーからやんねーってことね。
 オレ様もアンタと話すの怖いしイーや。なんかあったらマトモそうなやつ探してきくし」

SYSTEM :
 プランナーの微笑みと”ご随意にどうぞ”の言葉が、あなたのちょっとしょうもない見落としを指摘することはなかった。

 具体的な話をすると。
 どの組織にも一定の割合で良くも悪くも”マトモそうに見えるだけのやつ”がいて…。
 ゼノスには特にその頻度が多かったことだ。

SYSTEM :
 その時が来るまでの間、ミソラは冷蔵庫の位置を暗記する───前に、最初にこう聞き。

『ミソラ』 :
「”ディアボロス”は?」

『ミソラ』 :
「淡麗? 負け続け?
 ───うん…。頭打ったかな。“ディアブロス”みたいなパチモンとかじゃなくて?」

『ミソラ』 :
「うん…うん…。
 ………ベッド借りるね」

SYSTEM :
  ベツニパーフェクトジャナイヤツ
 最初のカルチャーショックを受けたのをいいことに半日寝込んだ。

シャラ :
…イヤイヤイヤイヤイヤ いくらなんでもねェだろ あのディアボロスだぞ?

シャラ :
ナイナイナイ この目で見るまでまだ信じねェからな

『ディアボロス』/春日恭二 :
←(これが)

『ディアボロス』/春日恭二 :
←(こうであった)

シャラ :
 

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
【Check!】
 登場侵蝕が発生しました。

 Player:Makina

マキナ :
はいはーい

マキナ :
1d10 (1D10) > 6

マキナ :
ビミョー…

system :
[ 玖月 マキナ ] 侵蝕率 : 33 → 39

GM :
じ…順当順当

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 …それから少しして。
 そのゼノスに、意図した来客が来た。

 隣人への思い付きを口にした“プランナー”が、表向き、ゼノスの外部協力者(イリーガル)としてあなた/真綺那を迎え入れたからだ。

 籍を置くというより、呼べば来るし、あちらから伝えるべきことがあれば伝える程度の関係ではあったが。

SYSTEM :
 ゼノス
 来訪者への来訪者はこれで三人目。
 
 普段ならば歴史修正の可能性を持つために連絡を積極的にはできないベースも、多少の例外はあれども、あなたに先の事情を片端から伝えるようなことも流石にできない。
 再び行方知れずとなった電子の妖精の行方を、彼らと共に追う北米大陸の旅路の最中………仮宿であるゼノスには、訪れた回数だけ悪意なき好奇心の接触があった。

SYSTEM :
 そして…。
 ある日のことだ。

“プランナー”都築京香 :
サイバースプライト
「“電子の妖精”が見つかりました」

SYSTEM :
 プランナーから直接、あなたに連絡があり、再びあちらの隠れ家に訪れる機会を得ていた。

 あるいは案外…一度仮宿を得たものだから、あなたと来たら全力であちらの待遇に甘え倒したかもしれないが。流石にそれはオフの話だ。そのはずである。

マキナ :
 あれから二日、三日ほど経って連絡が来た。

 何処ぞの"観測者"とクリソツな、いや多分同等存在の膝元とはいえ、一応は客人として遇された身分。
 程々に図々しく自室をねだり、寝床にケチをつけソファからベッドにランクを上げることに成功させたり。
 絡んでくるサイバーなRBに遠未来ジョークを吹き込んで自分のことを救世主を守護るため未来からやってきたAIと思い込ませたり。
 ゼノスのネットワークを駆使して現地で収集できる範囲で補填用のパーツをとりよせたり。
 色々。堂々と世話になって過ごしてきた。

マキナ :
「ん、どーも。
 そろそろこっちも……仕事の時間かな」

SYSTEM :
 客人的に許されるライン越えチキンレースの所業も程々の滞在期間中…。
 プランナーがそのことに何かを言うことはなかった。あるいは、その時が来るまでは本当にお互いの邪魔をしないために引き込んだだけで、仔細を問う気はなかったのかもしれない。

SYSTEM :
 あなたはひとつだけ、ゼノスのネットワーク経由で、傍から聞けば何のことだか定かでない話を掴んでいた。

 ………それはともかくとして。

SYSTEM :
 余所者の集まりがゼノスだ。
 素性知れずは一人や二人に限ったことではない。

 あなたはプランナーからの連絡を受けて、短い間にも仕上がろうとしていた城をあとに、彼女のもとへとやってきた。

SYSTEM :
 そこには、確実に知っている姿がひとり。知らない姿がふたり。

 滞在中に背格好だけは見かけたような気もする。話したことも、興味が向けばあったかもしれない。
 曰くはゼノスの一員だという白いフードの少年と、灰色の髪の少女。

 それと待たせていた/呼びつけた張本人は、いつもの表情でそこにいた。

“プランナー”都築京香 :
サイバースプライト
「“電子の妖精”の行先に目途が立ちました」

SYSTEM :
 おさらいするならば…“電子の妖精”は、どうにも、人の営みを辿って動く。
 訪れる先々で善しも悪しもを起こす存在だが、肝心なのはこれが幾つかの組織や人間から追われていることだった。
 その彼女はアラスカで見かけ、次なる場所へと気ままに歩みを進め、それが…。

“プランナー”都築京香 :
「アメリカ合衆国のミネソタ州…。
 ここに向かいます」

シャラ :
 よ、と軽く手を挙げる。
 何回かすれ違った相手だ。名前は確かマキナ。
 ゼノスのやつだからか、カッコがやけに『向こう側』寄りにサイバーしてるんだよな。

『ミソラ』 :
(反対側の手を挙げてきれいに「左右対称」っぽくなるようにする)

マキナ :
「……」

 案の定か。それにしても、何しにあんなとこに……エラく離れてるけど。
 向こうのベースの性能的に、あそこに間違ってスポーンした……なんてこと、無いと思うけど。
 いちおー、後で調べてみるかな。
 
 まー、それはそれとして……。

マキナ :
「どーも~、バカップルのお二人さん。
 ……ところで、なんで一緒んなってBRF聞いてんだっけ?」
 白いフードのはシャラ、白い髪の方はミソラ。
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ……以前世話になったゼノスにはいなかったメンバーだ。
 入れ替わり激しいのか、ある種の死亡ネタバレ踏んじゃったのか、そんな風に思って何となく覚えていた面子だった。
 冗談半分で言った手前、後者なら寝覚めが悪いなんてモンじゃないけど。

シャラ :
「バカもカップルも余計だっての」

『ミソラ』 :
首を傾げる。

『ミソラ』 :
1d2 2で悪ノリする (1D2) > 1

『ミソラ』 :
「(ここで『そんな、私とのことは遊びだったのね!』はないな…やめとこう)」

シャラ :
なんか果てしなくヤな予感したな そしてそれが過ぎ去ったカンジもする

マキナ :
 そんな私の記憶容量には、位置を教えてくれること、パシリを仰せつかったことまでは記録にあっても、他の手勢とセットの駒として動かされるのは無かった気がする。どうだっけ?

SYSTEM :
 他の手勢とセット、というケースは基本的に、あなたの記憶の限りで相違ない。
 そもそもこの手の案件で“あなた”の事情に深入りせず、ギクシャクしないものなど選ぶほうが難しい。

SYSTEM :
 つまり…。

『ミソラ』 :
「なんでのアンサーどうぞ。
 私も聞いたんだけど“揃うまで”で流されたし」

“プランナー”都築京香 :
「ふむ…。先ほどの言葉が答えのようなものですが。
 もう少し続けましょうか」

シャラ :
「ナンデ? って、オレのほうもアンタが一緒に話聞くコトにビビってンだよな」

シャラ :
「オレ様とミソラは半分別件、半分同じ件って感じか?
 イロイロあって、“電子の妖精”ってやつ探しにくっつくンだ」

マキナ :
「ふぅーーーん……ま、組むこと自体は別にいいけど」
 元々、多くの勢力が絡んでる訳だし。少なくともゼノスの手勢なら捕まえてもそう悪くはしないだろうけど。

“プランナー”都築京香 :
「はい。あなたと出会う前、“電子の妖精”の捜索には此方の二人に頼んでいまして」

SYSTEM :
 とはいうが、本当に“それだけ”ならば、わざわざ接触させる意味はない。裏方やらせておけば済む話だからだ。
 …プランナー自身が何かを言うことはなかった。ただ、“組むこと自体”の向こう側の答えを提示、推察するためのパーツは揃えたとばかりに、平気で自分の都合の話を続ける。

“プランナー”都築京香 :
「いざ見つけ、乗り込める、といけば良いのですが…。
 風のうわさで、少々込み入った話を伺いまして」

“プランナー”都築京香 :
「そのミネソタ州に、UGNの査察が入るそうです。
 査察というよりは、ほぼ『摘発』ですね」

“プランナー”都築京香 :
「行き先となる場所に…。
 Nameless
 “刻知らず”というオーヴァードテロ集団の潜伏疑惑を突き止めた───というのが理由のようですが。

 この件で、少々ミネソタ州自体のオーヴァードの勢力図が、複雑なことになります」

SYSTEM :
 いざ見つけて乗り込ませる“だけ”でいいなら、あなた/真綺那に「ミネソタで見つかりました」と言えば良い。

 あなた/シャラにも同様のことが言えた。そこで何をさせたいのか、何を見つけてほしいのかは、彼女の頭の中にあることだ。割愛するが。

SYSTEM :
 …ところが。
 そこにUGNが訪れる、動機が確かなら抗争の可能性がある。挙句に、オーヴァードを識る勢力が混ざるとなれば話は別だ。

“プランナー”都築京香 :
「そのUGNが調査許可を出した結果、”彼”から…。
 テンペストとの混成部隊となると予測がありまして」

『ミソラ』 :
(一瞬だけ露骨にフクザツな顔をした)

マキナ :
「えェ……
 何ソレ、なんかお祭りロボットゲーみたいにゴチャゴチャな勢力図になってんじゃん」

シャラ :
  ・・・・・・・
「(アメリカ合衆国に、UGNの査察ねェ……)」
 どっちも、オレの知る『向こう側』じゃ久しく聞かなくなった言葉だ。
 4年ぐらい前、世界がひっくり返った日から、アメリカもUGNもほとんど形がなくなった。

シャラ :
 『向こう側』に国家機能はもうない。FHが国という形を世界から取り上げたからだ。
 それに……

シャラ :
「テンペストぉ?」
 けっきょく、オレも一緒になってヤな顔をする。
 オレらを殺したのはストテンの『スト』のほうだけど、『テン』のほうにもヒデー目に遭わされてきたんだよな。

マキナ :
 正直……ここまで混線化する前に確保したかったんだけどな。
 妖精は『前提』だ。最も重要ではあるけど、目的はその先にある。

『ミソラ』 :
「お祭りなら楽しい方が好きだな。それで…」

『ミソラ』 :
「え。全員殴ってってこと?」

シャラ :
「マジ!」

“プランナー”都築京香 :
プランナーの表情は穏やかな微笑みのままだった。

マキナ :
「マジで連れてくのこの子ら」
 真顔。

“プランナー”都築京香 :
「当然違いますが」

 どちらの意味かは定かでない。
 定かでなくとも分かってほしい。

“プランナー”都築京香 :
「既に二席分、あちらに席は作ってあります。
 UGNのほうはともかく、そのテンペストの責任者については、目的がぶつかり合うことはありません」

“プランナー”都築京香 :
「………それと」

“プランナー”都築京香 :
「残る一人は、どこの勢力にも見えないまま…その騒ぎ以外の場所に“電子の妖精”が現れた時に備えます」

SYSTEM :
 …あるいはその騒ぎの場所に電子の妖精が訪れたとして。
 出し抜く思惑が一人でも出た時の牽制か。プランナー自体が”出し抜かせたい”のか。

SYSTEM :
 定かでないが、要するに…。

 あちらと歩幅を合わせるほうと、合わせないほう。希望の確認(あるいはその方向性の指示)をするために、まとめて呼んだというのが理由だったらしい。

シャラ :
 UGNに、テンペストねェ。

 ……『こちら側』にやってきて、オレらなりにある程度の基盤はつくって。
 それで調べた成果をサンゴの4年前までの常識と照らすかぎり、UGNもテンペストも、多少はきな臭いわりにまっとうな仕事をしていたらしい。
 昨日と同じ今日がつづく世界は、オレにとっては息苦しいけど、どこかの誰かにとっては楽な世界だ。
 それを守ってる連中。

シャラ :
 オレとミソラで2枠。……顔合わせといたほうがイーんだよな。多分。
 あんま気は向かねーけど。知ってる顔いるかもしれないし。
 ことと次第によっちゃ、『望風』のおっさんたちとかガキんちょも紛れてるかも。

シャラ :
「……そのテンペストの責任者って、アンタと知り合い? つーか、リガイがイッチってやつ?」
 ……オレのパーフェクト直感(あとちょっとばかりのサンゴの推論)が正しければ、名前はたぶん……。

マキナ :
 片方の陣営に肩入れしつつ、伏兵を忍ばせておく。妥当な手だ。
 配分はあちらなりの配慮……なんてことはないだろうけど。
 やるなら伏兵かな。ベースとの連携も取りやすくなるし。

マキナ :
 UGNって組織はある程度信用は置ける。
 アメ帝は怪しいトコだけど、連中が真面目にやりたい放題するなら名を伏せてラングレーを遣わしてるとこだ。わざわざテンペストを名乗ったりはしない。
 ……万が一そっち側に確保されても、"電子の妖精"の安全は保障してくれるはず。向こうの安全が一時的にでも買えるなら、ベストじゃないなりのベターではあるし。

SYSTEM :
 この時代の前後で、アメリカ合衆国全体のレネゲイドに対する向き合い方は大きくは変化していない。
 まったくの変化も進展もない、と言えば話は別だが、骨子となるものに変化はない。

 魅力的な取引相手と同時に危険因子だ。

SYSTEM :
 ならば。
 ・・・
 そちらは“電子の妖精”については知らないのかもしれない。

“プランナー”都築京香 :
「ええ。厳密には、全体の責任者ではありません。
 この一件以外、以後となれば…さて。どうなるか、というところではありますが」

“プランナー”都築京香 :
「摘発任務にあたって、テンペストは本隊を日本から動かさない選択をとったようです。
 あちらが今は変化の主流ですから」

“プランナー”都築京香 :
「ダン・レイリー元大尉。責任者の名前です」

SYSTEM :
 一切変わらない表情が語った名前。
 余談であるが、あなた/シャラには、少なからず覚えのある名前だ。最低でも二回ほど。

SYSTEM :
 まだ合衆国の名があったころのテンペストの一員にして…。
 いまは望風旅団で、常にじたばたと動き回る、男性陣の中では抜きん出て若めの心臓/頭脳に対して、その手足代わりを受け持っているのが、だいたい数人いた。
 
 そのひとりだ。“オールド・スカイ”の名で呼称される、生涯現役の米国軍人。

SYSTEM :
 ところで此方では生涯現役ではなかったらしい。
 ある意味、世の中が、そうしようと奮闘した人々のお陰で、あなたの知るものよりは“うまく”回った証だった。

シャラ :
「(……あー、やっぱか。アレックスってあんちゃんの横でどっしりしてたヤツ)」

シャラ :
「(“オールド・スカイ”……じゃなくて、“ホワイト・スカイ”だっけ)」

『シャラ』 :
──“White sky”

『シャラ』 :
──“ノーバディ”が呟いていた起動コードと一致する
──『ストテン』の『テン』のほうでも 学習元として扱われる程度の戦士

シャラ :
 あったなァそんなん。
 どっちにしても、『こっち』でも『あっち』でもボスだけど、こっちじゃ半分ラクできてるってワケか。

シャラ :
「モトねえ。アンタが覚えてるんじゃ、ずいぶんスゴそうなかんじ」

“プランナー”都築京香 :
「少なくとも…。
 その合衆国にとっては本隊を動かさない代わりとして、名目が立つと踏む実績がついて回っています」

“プランナー”都築京香 :
「あなた自身の目にどう映るかまでの保障は出来ませんが。
 いまのところは覚えておきたい方ではありますね」

SYSTEM :
 それはつまり。
 この前後のプランでは必要になる、の暗喩だが。

 本当にその人物だけでカタがつくと思えば”最初から”そいつに話を通しているはずだ。概ねそれが答えかもしれない。
 保障はするが寄りかかりすぎるな、と。

シャラ :
 りょ
「了解。マー覚えとくわ」

シャラ :
「アタマ数もちょうどイーし、オレらは団体行動がキボーな。
 どーする、マキナ」

『ミソラ』 :
(比較的初対面寄りの相手の発言を裏声で代弁するのはライン越えるな…と思って口を噤みながらシャラの後ろで指を立てて「鬼の角」に見える感じで遊んでいる)

マキナ :
        ソロ
「ん。こっちも単独行動キボー。
 色々都合がいいしね」
 なんか角見えとる。小学生か?
 …………RBの生まれたてならまあ、小学生みたいなもんか。

『ミソラ』 :
(無言で指を動かして、「10」を作ってから指を折り始めた)(年齢主張と思われる)

シャラ :
オレ様の頭の上でナニしてんだオメー

『ミソラ』 :
お姉さんの…主張?

『ミソラ』 :
実は数えようと思ったけど
実際どのくらいの年齢か分かんなくなってきたから
この計画は失敗に終わったよ

『ミソラ』 :
「待って。つまり」

『ミソラ』 :
「希望ジャンケン、しないの」

シャラ :
「ひとりでしとけ」

『ミソラ』 :
「必勝の手があるのに…!」

マキナ :
「ある意味必勝だよね。ひとりじゃんけん」

シャラ :
「やってみ? じゃんけんほい」グー。

『ミソラ』 :
(拳銃の形を作る)

『ミソラ』 :
「ふつうならばこれで終わりだけど
 私のは一味違う」

『ミソラ』 :
      ビームうてる
「ここから更に脅せる」

シャラ :
「ヤダよ!! 怪奇ビーム妖精みたいなコトすんな!!」

マキナ :
「高度な心理戦じゃん
 やる機会なくてよかったわ」
ツッコミが終わらなそうだし。

シャラ :
「高度か!? 高度だと思うかいまの!?」

シャラ :
ぎゃあぎゃあ

『ミソラ』 :
「そこで満足しない限り
 どこまでも高みに行ける…いい発想だね」

『ミソラ』 :
「じゃあそれはそれとして」

“プランナー”都築京香 :
はい。

シャラ :
猫のような俊敏さでミソラの背中に隠れる

SYSTEM :
 プランナーはあなたのカバーリングを受け流した。

“プランナー”都築京香 :
「であれば、そのように。
サイバースプライト
 電子の妖精を彼方はおそらく認知していないか、認知していてもさほどの優先度を持っていないかのどちらかでしょう。どのように共有するかはお任せします」

“プランナー”都築京香 :
「決行日は───」

SYSTEM :
 ミネソタ州には、もともと勢力的に優勢で、設立前に然る事件でFHセルが根こそぎ消し飛んだこともあってか、支部を持っていない。
 現地入りにあたっては、テンペスト側の施設を流用し、そちらで対面する予定だそうだ。

“プランナー”都築京香 :
「州全体のレネゲイドの動きはゼノスでも追っておきます。
 電子の妖精が目的地以外で捕捉された場合の対応は、あなたにお任せしましょう」

“プランナー”都築京香 :
「そちらの方が…私にとっても”良く”なると思いますので」

マキナ :
「……了解。
 向こうで捕まることになったら、私も昼寝してられるんだけど。期待しないで連絡待ってる」

SYSTEM :
 プランナーは、抑揚のない声と柔和ながら無機質な笑みであなたの言葉に頷いた。

シャラ :
「ヨソ行ったってことになったら、ヨケーなメンドウやらされそうだしな。
 つっても、ラクに捕まえさせてくれる感じもしねーけども」

“プランナー”都築京香 :
「どこも本腰を挙げて“見つけたい”と思うほどの所業は”まだ”していない、というのもありはしますが」

SYSTEM :
 目的が見えてこないから、コンタクトを取りに来るFHもいない。
 停電事故や発電施設の事故も、それで無視できない被害が出ては”まだ”いない。
 何れはどちらかも有り得るだろうが、まだ本腰を挙げて捜索に来るものもいない。…あの時出会ったようなのを除いて。

SYSTEM :
 だがもう一つは…。

“プランナー”都築京香 :
「発生の神出鬼没さも原因ではありますね。
 万一余所に行こうものなら、違う国の風や土地とよろしくして頂くかも」

シャラ :
「そこまで元気元気なのかよ」

“プランナー”都築京香 :
「ええ。報告例がもっとも多いのは合衆国でしたが、各国であるにはありましたから」

“プランナー”都築京香 :
なので…

“プランナー”都築京香 :
(そっと二人を指差して)

“プランナー”都築京香 :
よろしくして頂くかも。

『ミソラ』 :
「まずい 小遣い足りない」

シャラ :
「テメ~まさかもう無駄遣いしたんか」

シャラ :
「あすからそのお財布オレ様持ちな」

『ミソラ』 :
       イイワケ
「こういう時の大義名分を教えてあげる」

『ミソラ』 :
「乙女のプライバシー」

『ミソラ』 :
1d2 2でさっそく使った (1D2) > 2

『ミソラ』 :
「乙女のプライバシー」

 やましいことがあった。

シャラ :
神速のスリスキルでサイフを奪い取る

『ミソラ』 :
あー!

シャラ :
チャリ…

『ミソラ』 :
あーーーー!!!

シャラ :
「すっくね」

マキナ :
「ホントだ 何買ったん」

『ミソラ』 :
1d100 高いほど騒ぎ代 低いほど乙女プライバシー 真ん中でトンチキ (1D100) > 92

『ミソラ』 :
「若者もするカラオケといふものを」

『ミソラ』 :
「はじめましてのジャンケンで負けて
 ルームでサービスありけり」

シャラ :
「さっそく浮かれてんじゃん」

SYSTEM :
あなたが情報収集をしている横の出来事であるが、
下調べやコネクション作りはちゃんとやっていた(かもしれない)。

SYSTEM :
ただそれはそれとして

『ミソラ』 :
(近影)

SYSTEM :
こういう浮かれ方をしていた気がする。

シャラ :
オメー なんで謎にラップとか得意なんだろーな

マキナ :
駄目じゃん チビの財布はしっかり握っとかないと

シャラ :
任せろよ オレが責任もって遠征費用は管理するわ

シャラ :
さしあたりはゼノスであちこち余ってる余り食材とか…布のきれっぱしとかをだな

『ミソラ』 :
ぜ ゼロから始める赤貧生活

『ミソラ』 :
ケチなんだ 基本…シャラ

マキナ :
ゼロから始めるっていうか

マキナ :
ゼロにして始めたっていうか

シャラ :
バッカオメーな ウチのお財布管理って姐さんとオレがやってたんだぞ

シャラ :
地下組織ってマジ金ねーんだからな!

『ミソラ』 :
勇は“宵越しの金は持たない”って!

シャラ :
アホのせいで節約させられてンだよ!!!!!!!!!!!

『ミソラ』 :
ちなみに今のは私が勝手に代弁した。

『ミソラ』 :
1d100 高いほど一致した (1D100) > 47

『ミソラ』 :
     ツヨ
私のほうが荒い。

シャラ :
バカ…

“プランナー”都築京香 :
後ろでプランナーの表情が笑顔のまま
”ほかに訪ねることはありませんか?”という文字を浮かべてきている気配がする

マキナ :
夫婦漫才……親子漫才?
してる間にとっとといけってゲートに叩き込まれるよ しまいには

シャラ :
ヤメテ! ぞっとしたいま! サブイボなこれ!

『ミソラ』 :
任せて ごはんにするかお風呂にするか
カーチェイスの三択ならいつでも迫ってあげる

シャラ :
ノー免許がナニゆってんだ!

『ミソラ』 :
ひとりでできるもん!!!

シャラ :
できね~~~だろ!

シャラ :
デッケェ咳払い

シャラ :
「忘れてた! オレ様、あといっこ。UGNのヤツは? 知ってるやつとかいねーの」

“プランナー”都築京香 :
「ああ。知っている方はいるにはいますが…。
 偶々、事の発端であるシカゴ支部の視察がてら、摘発任務に間接的に関与する以上ではありませんね」

“プランナー”都築京香 :
「現地に送られて来るエージェント・チームに存じておくべき相手はいません。
 その支部長も、現地で気にする必要はないでしょうね」

『ミソラ』 :
「支部長って?」

“プランナー”都築京香 :
  Amirtory
「アミル・トロイ。
  Redwad
 “縁の結び手”というコードネームで、ソラリス・シンドロームが主軸のオーヴァード。
 支部の再建直後から支部長を務めているそうですね」

“プランナー”都築京香 :
「合衆国の勢力圏自体、日本の比ではない数、水面下で騒ぎの起きやすい土台ではありますが。
 ここは比較的、その土台“らしい”場所のようです。まさに猫の手も借りたかったのか、あるいは………」

SYSTEM :
 ちなみに数/量の話であって、放置が致命的な出来事になりやすい、性質の悪いほうの質などの話となるとやや別である。

 日本には渦中の者があまりに多いからだ。コードウェル博士の来訪を差し引いても。

シャラ :
「いったん壊滅したんだっけ? そんで復活してからは、あんまたいしたことねーってコトか」

“プランナー”都築京香 :
「特筆の必要がない模範的なUGN支部長、という形です」

シャラ :
ザンコクな言い方…

“プランナー”都築京香 :
「そう悪い言い方でもありませんよ。…ああ、いえ…」

“プランナー”都築京香 :
「…模範的、という意味に拘るのは。
 進歩のない怠惰でもありますが」

マキナ :
「……ま、キンベンなのはケッコーなことだと思うけど。
 少なくとも今回のヤマじゃ大した波にはならないってコトね」

SYSTEM :
 プランナーの沈黙は肯定の意でもあった。

シャラ :
「つっても、オレらにとってはしばらくシゴトする相手なんだよな。
 巧いコトやっとくわ。そゆの得意だしな」

“プランナー”都築京香 :
「そのように。
 とはいえ、あなたの言葉を借りるなら」

“プランナー”都築京香 :
「シゴトする相手、は、どちらかというと現地入りした時の者たちですね」

『ミソラ』 :
「つまり」

“プランナー”都築京香 :
「彼女が言ったでしょう?
 そちらまで手を広げろとは申しませんよ」

シャラ :
「ン。ホドホドに、テキトーにでイーってこった」

シャラ :
オレはこんなもんでいいや。なんかある? って顔でマキナを見る。

マキナ :
 無言で首を振る。
 特になし。基本単独行動になるしね。

“プランナー”都築京香 :
「で、あれば…。改めての確認は不要でしょう。
 プランの仔細はよろしくお願いします」

“プランナー”都築京香 :
「…探し物が見つかるかは、まあ五分でしょうが…。ああ、そうだ───」

SYSTEM :
 最後に彼女は、あなた/シャラのほうを通り過ぎて。
 一言ぽつりと言い残す。

 何気ない一言が、時として何かの布石になるときもあるのが“プランナー”だが。
 今のはどうだろう。ただの気まぐれだったのか?

シャラ :
「……………」

シャラ :
「ン」

シャラ :
とりあえず理解はしたんで、軽くあごを引く。こいつだって、別にお返事とか期待してねーだろ。

マキナ :
「…?」

シャラ :
「コッチのハナシ。
      ダル
 ゆったろ、面倒いコトさせられてンだオレら」

『ミソラ』 :
こくこく。

『ミソラ』 :
「お茶と間違えてビール飲んで
 頭ガンガン痛くなった時の倦怠感のごとく」

マキナ :
「ふーん……
 大変だねえ、思い付きをそのまま口に出す上司に振り回されるのは」
 アレに限って、思い付きは思い付きに見えるだけの作為なんだろーけど。

マキナ :
「あとそこの子はビール飲んだことないでしょ」

『ミソラ』 :
(首を横に振る)

『ミソラ』 :
「いまの。実話」

『ミソラ』 :
コップ間違えた。

『ミソラ』 :
「それで一口目で気付いたけど、
 知ることは大事だと思い………」

マキナ :
「確信犯かよ」

シャラ :
マジ
真実か…

『ミソラ』 :
「にがかった」

シャラ :
「アイボーはこんなだしよ。ヘンなのには慣れてンだけども……」

シャラ :
「プランナー、超ニガテ。超コエーし。言葉ムズいけど説明せんし」

『ミソラ』 :
(自分を指さして「ヘンなの」呼ばわりされたため、無言でグーを作って振り上げ威嚇している!) 

マキナ :
「得意な奴のがレアなんじゃない?
 まあ昨日まで社会の裏のボス張ってた上、中身が化け物だって知れた上で、進んでこいつの下に就いてるよーな奴、大なり小なりねじが外れてるとしか思えないね」

シャラ :
「だよな! やっぱそう思うよな? ゼッテ邪魔なったらゴミみたいに殺してくんだぞ」

シャラ :
「……そんなヤツにやらされてんだけどよォ、めんどい話を……」

マキナ :
「ゴシューショー様。うちは利害の一致で協力してるだけの派遣社員なんでね。
 事情はわかんないけど、同情ぐらいはしてあげる」

シャラ :
「オレらだってそー……」

シャラ :
「んあ? アンタゼノスじゃないんだ。
 メカメカしてっから、ここのヤツなんだと思ってた」

『ミソラ』 :
「バリエーション多かったね」

『ミソラ』 :
      アテンド
「派遣社員と業務提携して
 オンスケ
 計画進行してコミットが何たらかんたらなんて“プランナー”が…」

『ミソラ』 :
「いけない、覚えたてがバレる。
 派遣ってどこの?」

マキナ :
「んー……」

マキナ :
1d10 3以下で直球 (1D10) > 9

マキナ :
「アメリカUMA研究協会」

『ミソラ』 :
あめりかゆーまけんきゅうきょうかい。

シャラ :
あめりかゆーまけんきゅうきょうかい?

シャラ :
「……アメリカってヤッパ『やって』んの!? 保護とか!? 捕獲とか!? 改造とか!!」

マキナ :
「これオフレコね。
 やってるよ保護とか捕獲とか。改造は知らんけど、まあ放射線で変異した動物をどうこうって意味でならそうかも」

マキナ :
「話に出てきた電子の妖精もUMA扱いされてんだよね。
 ほら妖精って昔からその手と混同されんじゃん」

シャラ :
「え!?!? じゃあオメー、電子の妖精が捕まったら……」

シャラ :
「全身? 研究されて? カイゾー?」

シャラ :
「やっ……やめてあげろよ!! アンタみたいにメカメカさせられちゃうってことだろ!?」

マキナ :
「何想像してんだコラ」
 いらっ

シャラ :
顔も知らない電子の妖精が全身改造されるのを想像してる ほわんほわんしゃらしゃら

『ミソラ』 :
(効果音を口ずさんでいる)

マキナ :
「私のコレは別件だっつの。
 ……わざわざ捕まえた希少生物を、形歪めたりするわけないでしょーが」

シャラ :
「違うの!? じっ、じゃあ……」

シャラ :
「標本? しってんぞオレ、ヤベージャームとかって杭とかでさ……」

『ミソラ』 :
「そうかそうか
 つまりきみはそんなやつだったんだな(裏声)」

『ミソラ』 :
「(というかオーヴァードって広義UMA…?)」

マキナ :
「普通に繁殖させようとすると思うんだけど?
 ……」

マキナ :
「あーでも クローン辺りは作るかも。
 番いないし」

シャラ :
「ヒジンドーテキ……」

シャラ :
「……」

シャラ :
アーチボルトのじーさんとか 番つくろうとするのはギリやりそーだな……

『ミソラ』 :
未遂だと思う ドロップキックがいい感じに回って…

マキナ :
「まーとにかく、別に全身義体なのは関係ないから。実験動物みたいに言わないで。
       イマドキ
 っていうか、この時代珍しいにしても、たまーにいるでしょ。こういう機械化兵」

シャラ :
「UMA研究協会って言うからよォ……そーゆーコトかなってェ……」

シャラ :
「ごめんって……」

『ミソラ』 :
(横でチラッと見た後、す…と正座する)

シャラ :
オレも正座しとこ

マキナ :
座るな座るなこんな地べたで

『ミソラ』 :
下限は草むらと土のぬかるみ。

シャラ :
オメーナマ足じゃん

『ミソラ』 :
あとで大変だった………………………

マキナ :
「で。そーゆーあんたこそ、てっきりゼノスと思ったんだけど?
 そっちの子とか、もろじゃん」

シャラ :
「ン。アー」

シャラ :
「ミソラはレネビだけどな。オレはちげーし」

『ミソラ』 :
「見た目あんまり変わらないのに」

『ミソラ』 :
「なぜか悩まれたことはないね」

『ミソラ』 :
「(というか、やっぱり聞き逃してくれないか今の…)」

マキナ :
「だと思った。
 どこのパシリなわけ? 人に喋らせてんだから、そっちも話して欲しいものだけど」
 9割嘘だけどね、こっちの

シャラ :
「言ってもわかんねェぞ。
 ガチ
 超絶マイナーだし」

マキナ :
「ウチのに比べたら大概だって」

シャラ :
「(どうすっかなァ。
     ・・
 マキナは違うこと確定だしよ)」

シャラ :
「(でもどこから漏れるかもわかんねェか。じゃあイーや。とりあえずいまは)」

シャラ :
「『DDD』」

マキナ :
「……何の略?
Disarmament, Demobilization, Reintegration
 武装解除・動員解除・社会復帰?」
 あ、これ末尾がRだった。

シャラ :
「ダンスダンスレボリューション?」

マキナ :
「えー具体的にどのようなことをお仕事にされているのでしょうか」
何処からともなくマイクをもってくる

『ミソラ』 :
「圧迫面接みたい。
 えーなんだったか」 ぱら、とメモ

『ミソラ』 :
 こ こ
「合衆国のスラングで「笑い話」に使うやつがDDDで、」

『ミソラ』 :
「そこから転じて、Direct Dispel Defender。
 直接解決、直接解消。面倒ごとをこっそり片して見なかったことor笑い話に終わらせとこう委員会」

『ミソラ』 :
「そして面倒ごとを追いかけていたところ、プランナーに“お疲れ様です”の第一声に合わせてコンタクトを取られ…」

『ミソラ』 :
報酬出来高制で…

マキナ :
 シャドウラン
「後始末請負人かあ……」

『ミソラ』 :
「だいたい合ってる。おっきな傘がたまに羨ましく」

『ミソラ』 :
「ニホンにも似たようなのがいると聞く。
 テ…ティン…ティンダクロース…みたいなの。ジャンル、あの辺」

シャラ :
「ちっげーよ、ティ……」

シャラ :
「ティッシュペーパーみたいなカンジだろ」

『ミソラ』 :
「覚えてないけど絶対いまのはクラウチングスタートでどっか行ったよね語感」

マキナ :
「せめて文字数の違いで気付こうな。
 ……ティンダロスのこと? あの、明らかに名前につけちゃいけない名前を冠してる」

『ミソラ』 :
サンタクロースみたいだよね。

『シャラ』 :
──『ティンダロス』。仲間の合図は携帯パカパカ

シャラ :
ナニソレ ゼッテ間違えられるだろ意味もなくパカつくやつと

シャラ :
「ソレソレ。地域密着ってカンジじゃねーけど、キボ感とかはあんぐらいだよ」

シャラ :
「プランナーからすっと、オレ(とオマケのミソラ)がちょうどよかったんだと。理由は知らね」

シャラ :
「ニコ…ってごまかされたから。アレな。わかるよな?」
 ニコ…ってプランナーの笑顔を真似する

『ミソラ』 :
ニコ…

マキナ :
まーお綺麗な顔。

マキナ :
黙ってりゃかわいいのに。

『ミソラ』 :
「褒められちゃった」

『ミソラ』 :
「聞いたシャラ 一字一句違わないこと前言われた
 データは揃ったから次は静謐の美少女を目指そう」

マキナ :
「その内黙ってても煩いとか言われそうだけどね」

シャラ :
「いやムリだろ、黙れるオマエ?」

『ミソラ』 :
「がっ」

『ミソラ』 :
「んばる」

『ミソラ』 :
顔に”自由を!”とか書いてある。

マキナ :
 ほんとに黙ってても主張激しそうなんだけど。

シャラ :
「ムリだわ、ゴメン。オレもムリは言わねェよ」

『ミソラ』 :
「そんなバカな! 生きている限り、青い薔薇だって可能になったんだよ」

シャラ :
「オレ様しってんぞ、前きーた。青い薔薇の花言葉ってさ」

シャラ :
「『不可能』」

『ミソラ』 :
「かくなる上は、もうバラというバラを青く染めて『奇跡』に変えるしか」

『ミソラ』 :
「…それで何の話だっけ。うちの経緯か」

マキナ :
「地元の請負人がタチの悪い秘密主義の組織に目ェつけられて働かされてるとこまでは聞いたよ。カワイソーに」

『ミソラ』 :
「同情するなら休日上乗せがいいな」

『ミソラ』 :
「ワケある感じはお互い様っぽいけど。
 短い間よろしく」

マキナ :
「はいどーも。
 まあ短く済めばいいけどね……」
 騒がしくって、メンドー臭いけど。打てば響くし、まあ悪い気はしない。
 ただこれは特に確証もないけど、何となーく、それなりに長い付き合いになるんじゃないかな、と私の勘は告げていた。

シャラ :
「済んだらオレらやアンタみたいなヨソサマ連れてこねェだろうな。
 マ、つっても? オレらがなんとかするって踏んで連れてきたんだろ、あのバケモンも」

SYSTEM :
 概ね嘘は言っていなかった。

 探し物も、経緯も、ましてや見込まれた前後も。
 共通項は“プランナー”の思惑で。彼女はコトを、基本的には外さない。

 …長い目で見れば、の話だ。
 短期的にはどんな予測外があるのか定かでない。彼女にとって、それは予測外なのかどうかさえも。

SYSTEM :
 その点踏まえると。
 確証もない勘は、結論から言えば…。

 当たりも当たり、大当たりであった。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 登場侵蝕が発生しました。
 Player:Sydney 

シドニー・ヘス :
はっはひぃ

シドニー・ヘス :
1D10 (1D10) > 1

シドニー・ヘス :
はっ……はっ……

system :
[ フォー・アンサー ] 侵蝕率 : 36 → 37

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
言動とは裏腹に、心構えは言われるまでもなく、ということか。その調子だ。

シドニー・ヘス :
さー、いえっさぁー!

O-6/エイブラム :
(どこか遠くでエイブラムは嫌な予感を覚えていた)

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 大陸北部、UGNの勢力が活発な方向に属するミネソタ州。
 支部代わりの、暫定中継施設。

 場所が場所で、時間が時間だ。大がかりな作戦準備や物資の納入は行われないが、そこはR案件に慣れたUGNと、何よりここをホームグラウンドとするテンペストを中核とした合衆国直接の管轄である。

* :
「”レッド・ウェド”の指示を受けて参上しました!
 よろしく願います」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「ン。よろしく頼む。
 早速だが其方の編成と………」

SYSTEM :
 UGNエージェント、8名2チームの受け入れは素早く済んだ。
 残るイリーガルを待つ最中、あなたの近くで通信がかかる。

 そのシカゴ支部の───。

“道化の真実” 千城寺薫 :

〈ところで今その“レッド・ウェド”を期待したかな。
 残念僕でした〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈───いやあ、初めてお目にかかるなあテンペスト!
 UGNシカゴ支部からご連絡してます。そこの彼女のお名前は?〉

SYSTEM :
 訂正。
 入った通信の相手は何か違った。

 “レッド・ウェド”という顔をしていなかった。

シドニー・ヘス :
「海兵隊特殊強化中隊所属の伍長、シドニー・ヘスです。本作戦、共に遂行できることを光栄に思──」

シドニー・ヘス :
「──あ、あれ?」

シドニー・ヘス :
「すみません掛け間違えました!!!!」

 通信の入った相手は、確かに"レッド・ウェド"という顔と言動をしていなかった。いなかったけど、あろうことかシドニーは通信を切った。ブツッと音がして、返答が遮断される。

SYSTEM :
〈おっこれはご丁寧に〉 まで聞こえて通信が切断された。

シドニー・ヘス :
 もちろん通信を受けたのは『彼ら』の側で、間違ってもシドニーが発信者ではなかった。間違えたけど。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…。伍長」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「通信先はシカゴ支部で合っている。
 少々相手の顔は違ったが…」 

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「あちらの支部にUGNアクシズの部下が来ていると聞いた。おそらくその辺りだろう。
 あちらの掛け直しを待つとしようか」

シドニー・ヘス :
「い、いまのUGNの方だったんですか!?」

シドニー・ヘス :
「ごめんなさい、てっきりドコかの御曹司か何かかと……! う、うわ~切っちゃいました! どうしましょう印象最悪ですよね!? 交渉決裂、同而不和、部隊壊滅~!」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「UGNは民間の組織だからな。
 往々にして、第一印象では組織人らしからぬ者もいるにはいる」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「その“ドコかの御曹司”がそうであるケースもあるし、そうでない場合もある。
 軍人との違いというやつだな」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「とはいえ…今回は失敗“できる”男だ。
 それに、万一出来なかったとて此方が都合を持つ。肩を落とさず、先入観をしまって話を続けたまえ」

SYSTEM :
 …と、話していると通信が再び繋がり…。

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈UGNの千城寺薫は世を忍ぶ仮の姿、 我が名はオーストリア西部の山奥を治める欧州貴族セントジョージ!
 その勃興は遡ること千五百と五十年ほど前、ご先祖は世のため人のため○○戦争の裏で、のちに妖精騎士として知られるキング・セントジョージとして───〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈…ん。ああ繋がった?
 じゃあねアミルくん。また後で〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈『ご丁寧にどうも』から続けるね。
   ホワイトフェイス
 UGNの“道化の真実”です〉

SYSTEM :
 しまった先入観はおそらくいま粉々に打ち砕かれた。自由な男である。

シドニー・ヘス :
「少佐ぁ~~~~」

 あったかい激励に、よよよと泣き崩れる。
 『後輩としての面目を保つ』という半日前の固い意思をおぼえてるのは、どうやら、ぼくだけらしかった。

シドニー・ヘス :
 で。その、ぱこーんと打ち砕かれた先入観が、あんまり思わしくない第一印象で再形成される。

(この人……スゴくスゴい人なんだ!)

 千年を優に超す歴史は、移民の家系には壮大に映る。──のかもしれないが、それは一言一句きっちり事実である場合のみだ。

 ぼくに表情があるのなら当然うろんな顔をしていたし、
 少佐だって、『そうか。それはすごい』とは、きっとならないだろう。

シドニー・ヘス :
「もッ」

シドニー・ヘス :
「申し遅れました"フォー・アンサー"シドニー・ヘス伍長で──」

 弾かれたように応じるシドニー。
 勢いあまった二度目の名乗りに、ぶんと風を切る音が乗る。素早く掲げられた敬礼が、またしても彼女のこめかみを打ち据えた。

シドニー・ヘス :
 瞬間、ギュッと丹田に力をこめて耐える。二度目の失敗を力尽くで押さえこんで、シドニーは真剣な顔を繕った。

シドニー・ヘス :
「……! 少佐、気付かれましたか」

シドニー・ヘス :
「"ホワイト・スカイ"と"ホワイト・フェイス"が揃いましたね」

 わあ、と手元でちいさく拍手。

 注釈すると、彼女が度を越した能天気なわけではない。極度の緊張からくる裏目が、えんえんと出続けているだけなのです。

SYSTEM :
 力技で押し流したセルフ修正を“そう”だと気付くものばかりのこの会合、
 あなたにとって幸いなのは、どちらもそれをまったく気にしない人間だったことだ。

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈ほう、するとあと一人の“ホワイト”で、白い聖三角が完成して願いが叶うというわけだね?〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈どう思うかな大尉殿………? ん? 少佐?〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「復員の際の人事でな。それから、」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「伍長は見ての通り新兵上がりで、裏表を追う力はあれども疑う術は見習いだ。
 真実の中にそれとなく誇張表現を混ぜる真似は止してくれたまえ」

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈そんな~! 僕はいつも清廉潔白だよ?
 報告だって、今回の査察だってそう! (僕なりに)真面目にやっているからね!〉

SYSTEM :
“ホワイト・スカイ”の視線があなたに向いた。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「見ての通りだ。立場としてホワイトなことは間違いない」

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈照れるなあ…〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈あ。シドニーちゃんね、よろしく。
 僕はこの通り! UGNシカゴ支部に、評議員のお願い事を果たしに来たというわけさ〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈そのついでになんだかオオゴトが動いているようだから連絡しちゃったワケ…〉 キャッ。

シドニー・ヘス :
「う、うっす! よろしくお願いします!」

 白い聖三角形、揃いましたね! なんて感想は、かろうじて話の流れに押し流された。よかった。それ以上は夜の反省会に響く。

シドニー・ヘス :
「査察、でしたか。ようやく再始動を果たしたシカゴ支部に、中枢評議会が一体どんなご用事で?」

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈僕の希望を言えばやはり観光がいいよね。シカゴリバークルーズとか〉

シドニー・ヘス :
「は、はあ」

シドニー・ヘス :
 様子がおかしいことに気付きだすシドニー。その調子だ。

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈「テレーズちゃん見て、クルーズ行っちゃった」って韻を踏んだ感想ができるからね〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈まあ用事というか恒例行事というか、痛くもない腹の探り合いというか。
 1年強の時間で再始動した支部と言っても、シカゴの人員は一から出直しだ〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈幾ら勤勉に日々とよろしくやってるといっても、おなかの色を気にする人は気にするのさ。
 このあたり、少佐殿のほうが詳しいよね〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「シカゴの損害についてはな。強いて言うなら、其方を送り出したUGNアクシズが報告書を手に取った際に同情しようものだが」

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈次は小説にしようと思ってる〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「そうか」

シドニー・ヘス :
報告書を……小説に……!?

シドニー・ヘス :
「怒られませんか?」なぜか小声

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈上の指示に従うか、心の指示に従うか。
 どちらを選べと言われたら…僕は後者を選ぶ〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「参考にしないように」

“道化の真実” 千城寺薫 :
 

シドニー・ヘス :
(この人……)

シドニー・ヘス :
(スゴくダメな大人なのかも……!)

シドニー・ヘス :
 こくこくといっしょうけんめい頷く。もちろん少佐に向けて。

SYSTEM :
探求者が答えに到着した。(初級編)

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「それで…“道化の真実”。
 まさか本当に流れで挨拶しに来た、というわけかね」

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈そうだけど………〉

シドニー・ヘス :
「そうなんですか!?」

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈うん。支部長殿はシカゴに潜入したFHの摘発があるって言うのでね。
 代わりに預けたUGNをよろしく頼むと伝えるように、お使いを受けてしまって〉

SYSTEM :
どう聞いてもこちらが本題であった。

シドニー・ヘス :
あれ~!?

SYSTEM :
 ではこれまでの時間の説明と白い聖三角とは何だったのか。
 そもそもキング・セントジョージの前に出た妖精騎士とは?
 あなたには見つけてはならない答えであった。果てしなくどうでもいい答えとも言う。

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈それじゃあね。頑張ってくれたまえシドニーちゃん!
 僕もシカゴ観光の時間ついでに、あっそうだ、ミネソタといえばこの時期は極寒の冬で───〉

SYSTEM :
 少佐は力技で通信を終了させた。
 丁寧に「通信終了、オーバー」と記録上の不備がないように。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「見ての通り…いや聞いての通り、」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「決して一線を越えた迷惑はしない男だが、丸太船で荒海に繰り出すタイプの男だ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…しかし、摘発任務のブリーフィング中すらもシカゴは激戦の名残が尾を引いている、か。
 その状態でよくもミネソタにまで目を向けたと言うべきか、その状態ならばこそ此方に目に見える形で協力を仰いだのか…」

シドニー・ヘス :
「これが初代"エース・イン・ザ・ホール"……!」

 通信が途絶える。この力技は代々テンペスト隊員に受け継がれ、熟練の使い手は押し流しつつも丁寧なケアを添えるという。

シドニー・ヘス :
「……立て直しに専念する以上の大事がある?」

 例えば、と。呟きは独り言のように。

シドニー・ヘス :
「届かない手をむりやり伸ばすにしても、なぜシカゴ支部なのか。正体不明のテロリスト集団"刻知らず"か、首魁たる"雷人"に、それだけの意味があるのか……」

シドニー・ヘス :
「気になりますね。一兵卒には出過ぎた好奇心かもしれませんが」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「上の命令に従う兵士が、好奇心で寄り道するなど、注意力散漫ではあるが…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
 ・・
「そうだな。シカゴ支部は手の余裕がなかったにも関わらず、相対的に見て近場という程度の理由で立候補した。そして“刻知らず”はこの時期になぜ尻尾を出した。
 きみ自身が考えたなぜは、任務と両立し得る。忘れてはならない”好奇心”だ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…これは独り言だがね。伍長」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「人が三人集まれば派閥が出来るなどというが、その派閥も数が増えると一枚岩ではなくなる。
 どこもそれは、あまり例外ではないのだ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「然るに、“縁の結び手”が…。
   ・・
 ただ勤勉なだけだといいのだが」

SYSTEM :
 ミネソタ州のUGN支部は存在せず、そこから離れた支部の中で“まだ”近いのはこの支部だ。
 最低限の筋は通る。また、摘発の根拠に関しても、UGNの本分をなぞる限り疑いようはない。

SYSTEM :
 しかし現地に潜った”道化の真実”の言葉を借りるならば…。
 今も勢力図の再平定、あるいは開け放たれた扉から入る鼠の追い返しが続く支部だ。

シドニー・ヘス :
「────」

シドニー・ヘス :
「あ」

シドニー・ヘス :
「テンペスト、UGN、イリーガル……。合同チームはさっそく三派閥ですね」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「ああ。イリーガルの性質は、厳密にはUGNとは異なる…というのは、先日の通りだ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「それに………」

SYSTEM :
 外側が三派閥で済めばいいのだが、と。
 その嫌疑を彼は口にはしなかった。自覚の是非はともかく、“それ”で済ませることを選んだあなたの意思を重んじたのか。

SYSTEM :
 …好奇心の通り道をよそに。自動ロック式の扉越しに声がする。

* :
「失礼します、“ホワイト・スカイ”! ”フォー・アンサー”!
 イリーガルのお二方が───」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「了解した。通してくれ」

SYSTEM :
 は! とよく響く青年の声。
 UGNエージェント・チームとは異なる、バックアップ要員の応答だ。

 続いてドアのロックが解除され、そこから二人。あなた/シドニーとそう変わらない年齢と、背格好の男女が姿を現す。

SYSTEM :
 フードの少年と、灰色の髪の少女。
 UGNエージェント・チームと軍人を比較すれば、統一性は後者が明らかに勝る。
 だがその前者と比較してさえ、二人の統一感は皆無ではないにせよ薄かった。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「よく来てくれた。そちらが───」

シャラ :
 気の抜けた音を立てて開いたドア向こうに、知った顔と知らない顔が見える。
 知ってる顔っつっても、『あちら側』じゃあ、オレらが主に関わってたのは“コール”のおっさんだし……ブリーフィングの時ぐらいにしか見てない顔だけど。

シャラ :
 こっからだな。こっから。
 気ィ抜くのはゼノスで終わりだ。

シャラ :
「ハジメマシテ。イリーガルの──」
 バカを言うか悩んでやめた。こっちの世界のシャンカラだって、一応コードネームは同じだしな。

シャラ :
「シャラってんだ。コードネームは“アガースラ”。
 こっちの中くらいのは──」

シャラ :
「ミソラ。しばらく世話ンなるぜ、テンペストサン」

『ミソラ』 :
「中くらいのだよ。よろしく」

SYSTEM :
…じゃあ大くらい/小くらいってどのくらい? を、彼女はシャラの空気に合わせて言わずに止めた。

ダブルクロスは起きなかった。ダブルの字くらいまでは起きていた。

シドニー・ヘス :
 少年と少女──民間組織であるUGNの、さらに外縁の協力者たち。訳の有無はともかく、『少佐』の若いという見立ては当たりだ。

シドニー・ヘス :
「アメリカ海軍テンペスト所属、シドニー・ヘス伍長です」

 外部の協力者に向けた、ごく簡潔な素性の開示。
 すらすらと澱みのない自己紹介は、緊張から失言を重ねていた彼女らしくはない。

シドニー・ヘス :
 緊張は、依然としてある。ここからの失態は、『容認できる失敗』ではないと気を引き締めた──のでもなく。

 責任の伴う立場が、シドニーの背筋を張りつめさせた──だけでもなく。

シドニー・ヘス :
「コードネームは"フォー・アンサー"」

 ……心境の変化にも似た、意識の変革。
 このとき彼女は何の根拠もなく、脈絡さえなく。

シドニー・ヘス :
「シャラくん、ミソラさん。任務成功のため、力を合わせて臨みましょう」

 彼らの命を預かり、
 自らもその一端を差し出すのだと、直感/実感した。

SYSTEM :
 ところで。
Petty Officer Third Class
 アメリカ海軍伍長からは、兵士が課せられる命の数は己だけではなくなる。

SYSTEM :
 もちろん直接の部下、というわけではない。軍のカテゴリに収まる人間というわけではない。
 ないが、それがただの”特例”に過ぎない飾りでないようにという振る舞いは。あなたが付け焼刃とて受け続け、半年の間いくつかの反省会と共に夜明けを迎えて、身についてきた訓練/心構えの成果であった。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「こちらはアメリカ海軍テンペスト所属、ダン・レイリー少佐…コードネーム“ホワイト・スカイ”だ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「諸君に対価を払う者たちから、
 任務の成功と、諸君らの生還を要求されてここにいる。よろしく頼む」

シャラ :
……ホントに“オールド”じゃねんだ。マーいいや。

シャラ :
 ……金髪のほうは、マジメなかんじだな。
 印象はストテンのテンより、望風のオッサンたちがオレら年下集団にときどき投げてきたものが近い。

 パンピー
 部外者に命を預けると理解して、シャカイテキセキニンってやつを意識してる顔。

シャラ :
 正しい軍人ってキホンこんな感じなんかな。
 なんかカユい。

『ミソラ』 :
(どしたの、と言いたげな視線)

シャラ :
言語化がムズい。ムズムズする感じのしぐさ。

『ミソラ』 :
ふーん。

『ミソラ』 :
       Ranger
「よろしくね。軍人さんたち。
       エンジェル・ハィロゥ
 得意なことは遠くのものを見ることです。資料書いてあったりするかな」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「概ねは目を通してある。
 先の伍長が言及した任務については、どの程度頭に?」

シャラ :
「ヨロシク。ゴチョーとショーサね。
 ……オレの情報とかも書いてるんならイーよな?
 いちお言うけど、得意なのは相手に血ィあげたりとか、血ィぶっかけたりするコト」

シャラ :
 つまりブラム=ストーカーってだけだ。とりあえずは。
 ウロボロスがどれだけ危険視されてるか、はっきりはわからんし。
 いったん隠すように、プランナー……の使ってる情報班には頼んである。

シャラ :
「だいたい聞いてんよ。『刻知らず』って連中だろ?
 FHセルか別ントコか、そのへんもはっきりわかってねーっつ〜……」

SYSTEM :
     Nameless
 テロ集団、刻知らず…。
 その性質や経緯については、あなた方がそれぞれの手段で知った内容と同じだ。共有するべきは割愛する。

SYSTEM :
 では、その具体的手段について。
          しゅだん
 達成するべき任務の、仔細の方。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「結構。作戦目標はミネソタ州の…」

SYSTEM :
 言うが早いか、モニターに表示された地図。
 
 あなた/シドニーにとっては事前のブリーフィングで、
 あなた/シャラにとってはプランナーから伝え聞いていた箇所だ。前者にとっては、その場所の注意事項も先に聞き及んでいる。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「ここだ。このポイント…。
 潜伏先としてUGNから提示された場所は病院でな。内部に患者等がいる可能性を鑑みれば、外部からの火力を用いた制圧は論外。
 潜入のち、内部制圧が主題となると思ってほしい」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
          フォーマンセル
「オーヴァード単位で四人一組。補佐を抜きにして、それを三個小隊。
 既に名目は立ててある、内部の直接潜入と、あちら側から迎撃戦力が展開、もしくは介入の可能性を加味して、外部の哨戒に分ける…というところか」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…伍長は彼らを…“アガースラ”と彼女を受け持ち、内部へ向かってもらうつもりではある」

SYSTEM :
 それは内部制圧に対して、場所が場所であるからこその“救出”のケが含まれるからだ。
 万が一があった時、あなたはあなたの特性に期待される役割を果たすことを要求されるし───。

 病院内に軍属の人間、ましてやエージェントの装いがぞろぞろと入るわけにはいかない、というのもあるだろう。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「敵性勢力は不明だが、少なからずブラックドッグ・シンドロームの存在が予想される。
 その傾向は重装甲とミドルレンジ以降の破壊力。また、電子戦への適性。迂闊な行動は、院内が本当に彼らの掌握下にあるなら“先手を取ってください”も同義ということだな」

『ミソラ』 :
「(…あ。コードネーム名乗りそびれたな)」

シャラ :
肘でつついとく。言ってなくね?

『ミソラ』 :
いいよ 呼ぶのはともかく“呼ばれる”のは
なぜかわかんないけどすごくむず痒いから

シャラ :
「……“コギト・エルゴ・スム”な。こいつ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
頷く。了承の意。

『ミソラ』 :
(こいつう、の顔)

シャラ :
呼ばれんのハズいならなんでコードネームにしたんだよ…
ウチあんまやってね〜けどさ コードネーム呼びってカッケ〜軍人とかよくやってんじゃん

『ミソラ』 :

『ミソラ』 :
著作権主張。

シャラ :
みみっちいな〜

シドニー・ヘス :
Aye, Sir
「了解」

シドニー・ヘス :
「先鋒と人命救助は、小官にお任せください。"アガースラ"、"コギト・エルゴ・スム"」

シドニー・ヘス :
「自分のことは、遠慮なく盾にしてくれてかまいません。
 そちらの資料は拝見しています。索敵はお任せしても?」

『ミソラ』 :
(さっそく呼ばれた…なかなか順応が早い…)

『ミソラ』 :
タスクわけ
「役割分担ね。オッケー」

『ミソラ』 :
アガースラ
「そっちのは軽率に命削るし、私は…。
 痛いのと等価交換だし。余計な相手とぶつかったらそうしよう」

シャラ :
 りょ
「了解。言い方的に、ゴチョーは肉壁とか得意な感じなんだよな? なら任せるわ。
 オレ様、戦うときはだいたい貧血だしよ」

シャラ :
 こーゆーのは適材適所だ。しろっていうならそうするに限る。
 軍人って「できる」から「やる」らしいしな。

シャラ :
「つーか、病院で電子戦な……オレ、現場での索敵は得意だけどサ。
 ぶっちゃけ
 正直ブラックドッグは専門外だぞ。そのへんイーの?」

シドニー・ヘス :
    Syndrome
「貧血…… 症状 の特性ですね。突入後は難しいでしょうが、治療の備えも念頭に入れておきましょう」

 手慣れた応答に、シドニーも確かに肯く。派閥の違いとやらは、今のところ両者の共闘を妨げることはないようだ。

シドニー・ヘス :
「電子戦に関しては、待機チームが担ってくれる手筈です。あなたは、あなたの『得意』を活かしてくれるだけでいい」

シャラ :
たっ 待機ちーむ……

シャラ :
規模が違うわ規模が 弱小サークルとかメじゃね〜

シャラ :
 この規模とか様子とか見ても、どうして『ああ』なったかへの疑問がわかないでもねェけど…
 すぐに頭の中が訂正する。
 アンリミテッドエボルブ因子だの、先行種因子だの。そういうのを当然に振り回す連中を抑え込むのは、結局実力と同じぐらい時の運ってやつだ。
『こちら側』のFHは運がなかったんだろーな。

シャラ :
 あるモンがなくて、ないモンがあるってだけ。
 生き延びた者が一番強いとか、人間を集めた蠱毒会場にはなかったのと同じだ。
 それがホワイトとオールドの違いとか、目の前の同年代だけど立派な軍人サンの存在とか。
 そーゆーのなんだろう。

シャラ :
 それはいいや。
 考えすぎても足が止まる。
 とりあえず──

『シャラ』 :
 ──庇われる最大の利点は
   背中を取られないことだ

シャラ :
だよな。後ろから食われたやつ山ほどいた。

シャラ :
 そのバックアップってヤツが、こっちの後ろをどんだけ取ってるのかはわからんし……ホドホドに頼りにする方針で。
 サイアク、ミソラがなんとかするだろ。ノイマンだしな。

シャラ :
 あい・まむ
「りょーかい。
 じゃ、ビョーインのモン以外の機械は殴ってブッ壊して解決な」
 通信途絶の可能性を見越したハナシだ。『刻知らず』以外に電子の妖精もいるしな。

SYSTEM :
 元来、対レネゲイド任務でテンペストが出動する際は、
 標的の脅威度に合わせた海兵隊以外のアメリカ各部隊が即応態勢を取る。
 湾岸戦争以来の、指揮権の柔軟な運用が可能になったアメリカ軍ならではの多岐に渡る支援体制だ。

 本来はテンペストの現作戦地域となる日本の状態に合わせて遂行能力を調整する以上、その規模は流石に従来のものより一回り小さくはなるが…。
 それこそ、どこの組織も同じとて、十数年の経験の恩恵がある。

SYSTEM :
 あなた/シドニーが言及したバックアップ・チームもその一環だ。
 火力支援が米国本土のしかも病院相手には不適当な以上、今回サポートに起用されたのはその情報支援、電子戦用の装備や支援が主となる。というわけである。

シドニー・ヘス :
「そうなります。指揮は任されましたが、現場ではあなた方の判断を仰ぐ場面も多いでしょう」

シドニー・ヘス :
「共にやり遂げましょう。こちらで何か気にかける必要があれば、今のうちにどうぞ」

SYSTEM :
「全部こいつが倒してあと流れ撤退で」が5割を占めるブラストハンド作戦会議にたいへん馴れきったミソラが、なぜか感心気に頷いていた。

シャラ :
手を挙げる。

シャラ :
「ショーサは同行ナシ?」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「ああ。こちらは別チームのエージェントについて管轄を受け持つ手筈だ。
 そちらはUGNのイリーガルとしてここに出向してきたが、内部の実情についてシカゴ支部からのエージェントがノータッチというわけには行かんだろうさ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「とはいえ…、そちらに資料は渡っているだろう。
   スクランブル
 昔から緊急出撃には馴れたものでな。何かがあれば急行できる」

シャラ :
「すくらんぶる……」

シャラ :
頭の中で交差点が敷かれて暴走車が走り出す

シドニー・ヘス :
 シドニーは後ろ手を組んで不動のまま安堵した。ギチギチに手首を掴んでいなければ、今にも全身が弛緩しそう。いたたたた。

『ミソラ』 :
「急ぎの用事があればいつでもってこと」

シャラ :
「スゲ〜。そーなんだ。かしけーなミソラ、今オメーがノイマンなこと思い出せた」

『ミソラ』 :
「今すぐ過去のやらかしの記憶を読み上げてもいい(ノイマンといっても適性には差があるんだって)」

シャラ :
口笛を吹きながらまだ手を挙げている。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「ふむ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
言外の『続けてくれ』という意思表示。

シャラ :
 りょ
「押忍。
 あのよ、シンドロームの情報はあらかじめ聞いてンだけど」

シャラ :
     ディフェンダー
「ゴチョーが防御役、
     アタッカー
 ショーサが攻撃役?」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「前者は正しい。後者も便宜上そうなる。
 しかし私はレネゲイドとの付き合いを続けてこの方、特化とはどうにも無縁だ。
 先手の一つで終わらせるような火力は、そもそも任務の形態を差し引いてもこちらの領分ではないな」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「予め頭に入れている通りだよ。
Blitz operation
 電撃戦向けの組み合わせだったのでな」

 前者の答え合わせは当人の口のほうが正しかろう。

シドニー・ヘス :
 肯く。

シドニー・ヘス :
「……」

シドニー・ヘス :
「小官は銃を携行していません。潜入後、攻撃役はあなた方に一任することになります」

シャラ :
 銃を持ってない?
 いや、それはオーヴァード同士の話にかぎればたいして珍しいことではないケド……

シャラ :
 ゴチョーの言い方はどちらかというより、『攻撃役になれる能力がない』に聞こえる。
 ある話だけど、軍人さんってイメージとはちと外れた。
 目をしばたかせてから頷く。

シャラ :
「ゼンゼンイーよ。
 話聞くカンジ、フツーはゴチョーが守ってる間にショーサが決めるってフォーメーションになるんだろ?」

シャラ :
「後ろがオレらになるだけっしょ。
 場数はそこそこだから、足手まといにはなんねーよ」

『ミソラ』 :
「右に同じ。銃を持たない軍人さんは、そうだね、珍しい話だけど」

『ミソラ』 :
「銃代わりがいるからの抜擢だ。かまわないよ」

SYSTEM :
 口にしたミソラが、少し立ち位置をずらす。袖を引くような露骨な真似はしないが、その代わりに…。

『ミソラ』 :
「(テンペストは、今じゃ機械化混成部隊のケが強いところみたい)」

『ミソラ』 :
「(今でも銃と爆撃エトセトラでアメリカンするらしいけど、軽率にイジるらしいって。あるんじゃない、このコにもそういうの)」

シャラ :
     サイフレ
「(言い方、PFってカンジでもね〜しなァ……かもな)」

シャラ :
……どっかの馬の骨を背中に回すヤツがヤバいとは、あんま思わんけど。いちお覚えておくか。

シャラ :
「ンー、サンキュ。センリョクのことはそれでイーや。
 最後な」

シャラ :
「オレら、“アガースラ”も“コギト”もカユいし。名前で」

シャラ :
 理由はイロイロあるけど……
 爪の先ぐらいは、万が一オレらのコードネームを知ってるヤツらがいたらダリーから。

シドニー・ヘス :
 半日前が初対面なので連携の経験はありません──とは言えず、場数ゼロが閉口する。

シドニー・ヘス :
「へ?」

 思いがけない要求に、虚を突かれる。

シドニー・ヘス :
「あ──いえ、失礼」

シドニー・ヘス :
「分かりました。では簡潔に……シャラと、ミソラで。小官のことは引き続き、好きに呼んでください」

SYSTEM :
 ちらっと見えた素面の反応に、好奇心で定期迷子の問題児が視線を露骨に向けた。

『ミソラ』 :
「伍長だと、ほかの伍長さんと未来で万一出くわした時、思い出が被るね」

『ミソラ』 :
「じゃ、私からはシドニーで」

シャラ :
「ショーサも同じじゃね? それ。じゃあダンのおっさん?」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「此方も、わかる名前なら構わんよ。
 この年でな。跳ねっ返りの”オッサン”呼ばわりも受け入れられんほど狭量ではない」

シドニー・ヘス :
「おッッッ」

シャラ :
「じゃ〜ソレで! シドニーとおっさんな!」

シドニー・ヘス :
わったわった手を振り回して無音で大騒ぎ

シドニー・ヘス :
「で、でもぉ」

シドニー・ヘス :
 待機チームが聞いたら引っくり返るんじゃとか、いいのかなホントにとか、動きに連動してシドニーの内心も騒がしくなる。

シドニー・ヘス :
(大佐が聞いたらどんな顔するんだろう……)

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「いい。構わんさ。
 彼らは軍人ではない。とはいえ…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「もちろん軽んじろという意味でもない。
 私も伍長も、互いに愚かな指示は出さんよう務めるがね。そこはわかってくれるな、シャラ?」

シャラ :
「そりゃな。今回はアンタ達がオレらの大将なんだろ?」

シャラ :
「上下関係とかはムリだけど、担ぎ方は知ってんよ。
 オレらはオレらでイー感じに動くから。ウマいこと使えよな、軍人さん」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「ああ。“お互いのため”が分かっているなら、言うことはないとも。
 老体だが、担がれるだけのことはさせてもらうさ」

SYSTEM :
 少佐はあなたの呼びかけに応じ。
 その後、チームの編成を再確認して、任務は決行の運びとなった。

 こちらを立てる気が最低限あり、一線を越えた粗相はしない若者二人。
   タスク
 ともに任務を遂行するはじめての相手は、あなたの知る限り、思っていた僚友とはきっと違うだろうけど。

SYSTEM :
 テンペストのいち部隊を補佐につけたUGNチーム、都合三個小隊。
 それが嘗てのある出来事と同じく、無法者の荒海に漕ぎ出す数時間前。

 …現地への潜伏が想定される中、少佐がイリーガルの二人を前言通り任せたのには二つの理由がある。
 一つはあなた自身の自覚のため。もう一つは…。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 アメリカ合衆国、ミネソタ州、某総合病院。

 郊外の交通便において聊か不便な地に建てられ、北米大陸の必要以上に広大な領土にものを言わせたような、大きな建物とその敷地。
 人の気配に乏しいそれが見えてくるころだ。既に編成されたチームの二つは哨戒にあたり、あなたたちもまた、敷地内に入っている。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈こちらは“ホワイト・スカイ”。
 接近に伴い、“刻知らず”ないし、気配をかぎつけたFHセルの動きも見られていない。ワーディング等の気配も同様に〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
 ・・
〈それにしては、外部で見る限りずいぶん…静かなものだが。
 潜伏が誤報でなければ、違和感はすぐに出るはずだ〉

SYSTEM :
 通信は万一の時に備え、強力な発信モジュールと、また非常電源への切り替えが備えられている。
 仮にも頻発する合衆国内の停電事故と、それに関与するオーヴァードテロ集団の捕縛だ。
 この程度の備えは然るべき、ということなのだろう。

SYSTEM :
 病院の敷地内は想像するよりも、夜間なのも相俟ってずいぶん静かなものだった。
 もしも縁があったならば、その時の記憶よりも。

シドニー・ヘス :
「こちら"フォー・アンサー"以下3名、現着しました」

シドニー・ヘス :
「小官からも、目視できる異変はありません。この静けさなら、些細な物音でも気付けます。
 ……シャラはどうですか?」

シャラ :
「ンー。特に気になるモンはね〜ケド……」

シャラ :
 そんなオレはさっきから親指の先を噛み切って、そのへんの壁にベタッと触るのを繰り返している。
 触ったトコからは視認が難しいほど細い血のワイアが伸びて、ここを通ったヤツがいるか、どんなやつだったのかを割り出せるのだ。
 同じとこ通って出てくるかはさておいて、侵入のときのクセみたいなもん。

シャラ :
「それはオモテだけとかねェよな?
 実はもー、絶賛電子戦始まってますとかよ」

シドニー・ヘス :
ちょっとだけ外壁と出血のどちらを心配すればいいか分からない顔をする

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈バックアップチームとシカゴ支部の後方チームの両方が相互監視に当たっている。
 件のテロリストが余程の凄腕で、ラグなく二つのモニターと通信状態を騙し切れるというなら別だが…〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈そのような痕跡もない。
 よほど行儀の良い隠れ方をしているか、既にもぬけの殻か…〉

『ミソラ』 :
「報告おんなじだからハブくつもりだったけど、至って普通。…いや…」

『ミソラ』 :
「夜間の病院ってやっぱり人気ないのかな。ワーディングしてるならさすがに気付くし、ここまでってことも」

SYSTEM :
      エンハイ ノイマン
 首を傾げる感覚強化と並列思考。
 潜伏先と見做すには気配はずいぶんと静かで。訪れる人の気配も、郊外なのを差し引いてもない。
 灯りは一部ついているが、殆どは消えて、静まり返ったあとだ。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈万が一誘い込む手筈なら、シャラの”それ”に掛かるだろう。
 要救助者がいた場合はそちらを優先。間取り図は資料の通りだが…〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈元々、郊外の立地から敷地に至るまで不自然なものも多い。それを差し引いても…。
        Overed
 潜伏とあらば、超人はいくらでも建物を作り変えられるのも知っての通りだ。あまりそれは信用せず、自分の感覚のほうに重きを置いていい〉

『ミソラ』 :
「外側と中身が別みたいな。だってさ」

『ミソラ』 :
「…ちなみに中身完璧におんなじだったら?」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈その場合はこちらの仕事だな。
 シカゴ支部の、諸君の責任者と積もる話ができるだけだよ〉

シドニー・ヘス :
 大々的な動員を行った以上、何事もありませんでした──では済まない。何事もなければいいですね、と喉まで出かかった感想をシドニーは見事に押し込んだ。

シドニー・ヘス :
 静まり返った病棟を振り仰ぐ。軋むような夜。僅かに灯る光は、夜間救急とナースセンターだろうか。

「……不自然、と言うと」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈都市圏から少なからず離れているまでは“まだ”いいが、そもそもその病院、設立の折の出資者が不確かだそうでな。
 出立前にUGNのほうで記録を浚ったが、分からずじまいだ〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈…となってくると、潜伏場所としては最初からお誂え向きでもある。
 物的証拠がない以上、口さがない陰謀論に片足突っ込むようなものだがな〉

シドニー・ヘス :
「初めからオーヴァード組織が関与していた可能性がある──ですか?」

シドニー・ヘス :
(……潜伏どころか、巣窟だったりして……)

SYSTEM :
 日本では神城のような大企業が、裏ではFHと接触し、独自にR兵器の開発に勤しむ場合もある。
 そのためのカバーとして表社会向きの施設が使われるなどザラにあるわけだ。

 合衆国では“どう”なのかは、そこのところ割愛するが。
 何も、日本でしか起きない事例というわけでもない。

シャラ :
「ねーでもねーヤツな、」
 春日とかな~、とか何気なく肯定しそうになったのを、サンゴが喉奥でせき止めた。
 オレがまっさきに思い出したのは『あちら側』の春日記念病院だけど、『こちら側』でも似たような案件があったらしいことは調べてる時に見かけたはずだ。

『ミソラ』 :
「本当だったらお出迎えが物理だったりする?」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈それほど短絡的なら疾うに見つかってくれているはずだが…。
 伍長の発想は最悪のケースとて、軍人は基本最悪のケースを頭に入れて動くものだ〉

シドニー・ヘス :
「へぅ」口から心臓が飛び出かける。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈なに。何事もなかった時の杞憂を溜息交じりに喜べるのが最上、ということだ〉

シャラ :
「(へぅ?)」

シャラ :
「(いやいや 気のせいか……リッパな軍人さんっぽいもんな)」

シドニー・ヘス :
まじめな顔。

シャラ :
「(うし 気のせいだな)」

シャラ :
「(オレ様ってば疲れてンのかな まさかなぁ~)」

SYSTEM :
 あなたは「力技で押し流す」の経験を得た。▼ 

シャラ :
「サイアクそーなったら、マジで全員ボコして解決でイーワケだろ? 気楽、気楽」

シャラ :
軽く腕を回す。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈そうなってはな。勢い余って更地になどせんようにしてはもらうが〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈…こんなところか。この分では監視網に連中が呼び戻した戦力が掛かるかも怪しい。
                      Over
 合流の手筈は整えておこう。以上、通信終了。其方は〉

シドニー・ヘス :
                     Over
「問題ありません。これより潜入を実行します、以上」

シャラ :
 カチコミ
「突入一番乗りはもらってくぜ~」

SYSTEM :
 通信終了、に血の気の多い第一声が乗っかったところで、少佐/”ホワイト・スカイ”からの通信は一度終了の運びとなった。
 そうしている間にも、未だ気配や音沙汰はない。自ら姿を晒すも同然の《ワーディング》は当然として、急患などもなかった。

『ミソラ』 :
「そうだ、一番乗りでリザしたら誇張してメモに残そう…」

シドニー・ヘス :
「させませんからね!?」

シドニー・ヘス :
……たぶん

『ミソラ』 :
「なかなかの反射速度、やるね」

シャラ :
「ちゃんと血文字でやれよ オレ様の血ぃかしてやっから」

『ミソラ』 :
「アホここに眠る、でいい?
 …で、まじめな話するけど」

『ミソラ』 :
(…まじめな話の切り出し方ってこれでいい? の顔)

『ミソラ』 :
「少佐…おじさん…ダンさん…」

『ミソラ』 :
1d2 (1D2) > 1

『ミソラ』 :
「(呼び方むずがゆくなるまで)ダン小父でいこう。
 そこから指揮権パスされたのはきみだよ、シドニー」

シドニー・ヘス :
「ダッッッ」

シドニー・ヘス :
 慣れよう。
                     ・・・・
 そう心に誓うシドニーだけど、ぼくはきみがつられるほうが心配です。

シドニー・ヘス :
「……そう、ですね。小官が、あなた方を率いる」

シドニー・ヘス :
「…… ……」

 待って──まさか、きみ。

シドニー・ヘス :
「先に白状しておきます」

 出来ると判断されて、為せと任命された。
 それが告解のつもりなら、終わったあとにすればいい。

シドニー・ヘス :
                            Boot Camp
「これが初陣です。指揮の経験はないし、小官が受けた訓練は新兵訓練だけ」

 ゆるゆるとかぶりを振って、唇を開く。必要はないと説く制止を、すべきことだと振り切って。

シドニー・ヘス :
「伍長として任官されたからには、相応の働きをします。そのつもりで来ました。もし、小官の指示に不信や異議があったとき──」

シドニー・ヘス :
「行動で示してくれても、かまいません」

 ──見捨てられても、背かれても、それは自分の責任だと。

シャラ :
「お?」

シャラ :
「…………」

シャラ :
腕を組む。

シャラ :
空を見上げる。

シャラ :
「…………………」

シャラ :
「マジで!?」

『ミソラ』 :
「今週のリアクション芸人大賞だね」

SYSTEM :
 口にした本人はあなた/シドニーの第一声に対しても表情を変えていない。
 いや、わかりにくいだけで、“いま”それを口にしたことに聊かの戸惑いと、理由を察しようとする感情の機敏だけはあった。

シャラ :
「え!? ミソラオマエまさか気付いてた!?」

『ミソラ』 :
「いや、気付いていたらもっと反応は早いよ。
 そっち以上に…驚いてることがあるだけ」

シャラ :
よし! なんもよくねェがよし!

シドニー・ヘス :
「まっ」

シドニー・ヘス :
「まじめに話したのに漫才してるう……!」

シャラ :
「え! ごめん! 今からマジメやるわ!」

シドニー・ヘス :
「遅いぃ~」

『ミソラ』 :
「口にした時点でアウトだよね」

シャラ :
「ウソだろ!? 待てよまだ間に合う! マジメチェンジ!」

シドニー・ヘス :
「……ほんと?」

シャラ :
「じゃあ、アンタが万が一やらかしたときには責任持ってそーすっケドさ」
 宣言通り大真面目にうなずく。

シャラ :
「なんでこれから突入しますって時にその話したん?
 黙っといて、後から『実はそーでした』のほうがハズくねェし、オレらにナメられずに済むじゃんよ」

シドニー・ヘス :
「……最初はそのつもりだったよ。やる自信、あったし」

シドニー・ヘス :
「顔合わせしていざチーム組んでみたら、『この人たちの命を預かるんだなー』って思っちゃって」

シドニー・ヘス :
「多少ナメられても、こっちのほうがフェアでしょう。
 公平さは、戦いの場で役に立たないかもだけど。少なくとも、あなたたちの身を守る可能性になる。だから」

 …………。

シャラ :
「…………」

シャラ :
「ダセェしオレらに見捨てられるかもしんねェけど、オレらは無事に帰れるかもって?」

シャラ :
「ふうん……」

シャラ :
「ソレさ。アレか?
 『預かる』自信ねェってこと?」

シャラ :
「自信あるしがんばるケド、無理だったら無理なんで助けろってハナシ?」

シドニー・ヘス :
「……違うよ」

シドニー・ヘス :
「やれるだけのことはやる。
        ・・
 ……あのねシャラくん、合衆国の軍人はまず仲間のために戦うことを教わるの」

シドニー・ヘス :
「決して仲間を見捨るな、おのれの右と左にいる者のために戦え──。戦場において、仲間が一つの判断基準になるように」

シドニー・ヘス :
あたし
「小官は、あなた達にもそうする。でも、二人に同じものは求めない」

シドニー・ヘス :
「だから、自分の身を守るために最善を尽くす。それが結果に繋がると思ってる」

 彼の言葉を借りるなら。
 自信あるしがんばるケド、無理だったら助けなくていい。そんな状態にならないようにしてみせる、でも選ぶ権利はあるべきだと。

シャラ :
「………」

シャラ :
 探るようにその目を見る。
 破滅の空を飛んだ鋼色の竜と似たような色の瞳。

シャラ :
「……ふーん……」

シャラ :
「イイんじゃね? アンタはソレやっとけよ」

シャラ :
「ワンマンのツッパリにヤジ飛ばしながらフォローすンの、オレ様イチバン得意。
 スゲーヤツだって思ってやるよか、やらかすかもしんねェってことわかるほうがラクだしな」

シャラ :
「ま、オレらこんなんだし?
          マジ
 アンタらの流儀とは絶対で違うケド。それでよけりゃ~、」

シャラ :
「アンタが信じる結果がオレらと重なるかぎり、
      ソ レ
 アンタの結果づくりにつきあってやるよ。そんでイイ?」

シドニー・ヘス :
「わん……」

 まんの……つっぱり……! 衝撃にまるく開く口。

シドニー・ヘス :
「うん──お願いします。まずは潜入の一番手、成功させよう」

SYSTEM :
 ”なぜ”このタイミングで───疑問の代弁の答え合わせが終わったころ、他称『マジメチェンジ』から様子を見ていた少女が一度頷く。

『ミソラ』 :
「………………」

『ミソラ』 :
「貧乏籤…」

『ミソラ』 :
「ああ。よし、納得行った。
 そっちの人間なんだ、シドニー」

シドニー・ヘス :
「そっち……どっち!?」

『ミソラ』 :
「こっちとあっち」

『ミソラ』 :
あっち向いてホイ。

シドニー・ヘス :
くるっ

『ミソラ』 :
1d4 1:左 2:右 3:上 4:下 (1D4) > 1

シドニー・ヘス :
「病院!」

『ミソラ』 :
「そう来たか」

『ミソラ』 :
「深い意味はないの。
 きみの”行こうよ”でついて行くのに、私もシャラも代わりはない。さっきの条件の限りでね」

『ミソラ』 :
「きみの飛び方は、第一印象あんまり嫌いじゃないしね。シャラ、ワイヤ終わった?」

シドニー・ヘス :
ぽかん……

シドニー・ヘス :
「う うっす! ありがとうございまっす!」

シャラ :
「ナニお礼言ってんだ。こっからだろ」

シャラ :
「マ。今後に期待っつゥ話だな。終わったぜ。
 イミあるかはさておいて、いつでもウェルカムってカンジ」

シャラ :
「……ア。オレもゆっとくわ」

シャラ :
 ・・・・・・・・
 ここまではセーフ。 
 オレ自身にはなんの意味もねェしな。
 素直のお礼ってやつぐらいはしておいてやろう。

シャラ :
「オレ様。ブラムとウロボロス。
 ダル
 面倒いからふだんは黙ってるだけ。
 んじゃ、行こーぜ」

SYSTEM :
 …ウロボロス・シンドロームの希少性は言わずもがな。
 昨今では”唯一無二”などとも言えなくなった、レネゲイドを食らうレネゲイドだ。

SYSTEM :
 だがほかの十二種と同じとも言い切れない。カミングアウトとしては、“さらり”とするものではなかった。

シドニー・ヘス :
「うん? なになに……」

シドニー・ヘス :
「あれ? 資料と違うんだね。そっかあ、ソラリスじゃなくてウロボロスなんだ~」

シドニー・ヘス :
「………」

シドニー・ヘス :
「ウッッッ」

シドニー・ヘス :
「待っ えっ!? あっあっ先行かないで先頭はあた、小官が~!」

SYSTEM :
 出だしの一歩から、躓きかける足の歩幅を合わせ直すような踏み込みになったあなた/シドニーが、ずんずんと進んでいくあなた/シャラの背を追い越すまで数秒。
 それでも、病院は不気味なほど静かだった。

SYSTEM :
 通信状態の確認も問題なく。
 外来受診の受付も、人そのものはいて、来院上の建前もずいぶんスムーズに済んだ。

 内側から外側まで、何の変哲もない、ただの深夜帯の病院で。たぶん、肩肘張って扉に手をかけているものほど肩透かしの気分になっただろう。

SYSTEM :
 …問題は。来院し、いざ素知らぬ顔で中身/真偽を探り出した時のこと。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 灯りの乏しい院内。通る先々、病室の悉くから物音はしない。夜間の巡回さえもなかった。

 間取り図通りの地形なのは確かだが、本当に外側から見た通りの、患者が療養する病院なのかどうかを疑うほどに。
 その漂白された城は、中身が廃れていた。

SYSTEM :
 …と、いうよりは…。

『ミソラ』 :
「悪いな、と思いつつ、さっきいくつか覗いたんだけどね」

『ミソラ』 :
「引き払って長いのかな。ずいぶん使われてない病室と…。
 ついこないだまで使われてた病室があったよ」

SYSTEM :
 ついこの間までは病院としては機能していた、が正しいのではないかと、最後尾で態度のわりに真面目に観察に勤しんでいた少女/オリジン・ヒューマンが主張する。

 あなた/シドニーも、あなた/シャラも。どちらとて、乗り込んで暫く、その不自然な人の気配のなさに、思いつく言葉があって然るべき頃合いであった。

シドニー・ヘス :
「どうりで後ろで気配がうろちょろしていると……」

『ミソラ』 :
「好奇心は大事だって(私から)教わったからね」

『ミソラ』 :
「…でも、きみの最初言った“はじめから”云々のほう。杞憂じゃ終わらないかも」

シドニー・ヘス :
「────」

シャラ :
近くの部屋のドア近くにワイアを仕込み終わったので、小走りで合流。

シャラ :
いちお確認だけどよ、ここまでワイアに引っかかったやつとかいたの?

GM :
残念ながらというか、当然というか、一人たりともいなかった!

GM :
病院の受付までは正常に機能していたけど、そこから先の病室案内となるともう完全に…って感じかな。

シャラ :
りょ。感謝ス!

シャラ :
「オレもそう思うわ。
 受付通ってからもチマチマ引っかけてきたけどよ、その先過ぎたらど〜こもピクピクしねェもん」

シャラ :
指先から伸ばした血糸をぴんと弾く。蜘蛛の糸ほど細く張り巡らしたこいつに引っかかったらオレがわかるわけ。

シドニー・ヘス :

シドニー・ヘス :
「『外側と中身が別』……」

シドニー・ヘス :
「病棟ひとつ誤魔化してるならまだしも、入り口から先は機能不全なんておかしい。一度少佐に報告を──」

シドニー・ヘス :
あのお 念のため聞くんですけどお 繋がりますか……?

GM :
 

シドニー・ヘス :
 

SYSTEM :
 病院として機能していない隠れ蓑というだけなら、きっとまだ良かった。

 もうひとつ別の可能性がある。

SYSTEM :
 出資者も定かでない病院と、オーヴァード絡みのテロ組織の潜伏の組み合わせ。
 そこから、スムーズに“それ”を…病院がカバーで、本来の形態がもっと人道無視の理屈を伴うものだと連想するのは、むしろ『向こう側』で常態化してきたケースを見てきた二人のほうだろうが。それは、ともかく。

SYSTEM :
 あなたは調査続行の判断前に、抜かりなく、あるいは当然の判断として上官の指示を仰ぐことにした。
 通信端末は少佐/“ホワイト・スカイ”のもとに繋が───ろうとした、まさにその時。

SYSTEM :
 ───間の悪いことに。あるいは、“刻知らず”の話と繋がるように。
 ばちりと走った稲妻が、蛍光灯もろとも電子機器を丸ごとショートさせた。

 その手のEMP設計などしていて然るべきの軍用の端末までだ。
 もちろん完全に破損はしていない、復旧自体は間を置けば可能だろうが。

SYSTEM :
 思い浮かべるものは恐らく別だ。

 テロリストの“雷人”か───。
 それとも”電子の妖精”か。

SYSTEM :
【Check!】
 
Effect:【ショート】【超越的能力】
Player:?????
Target:シーン

[Add's]
・シーン内の電子機器が何者かの■■で一時故障する。(シーン終了後に再使用可能) 

シドニー・ヘス :
「うえっ!?」

シドニー・ヘス :
「壊れっ……てないけど、軍用のSPD貫通するなんてフツウじゃない。オーヴァードの干渉と仮定、各員警戒を!」

 ──電人。

 ぼくとシドニーの思考に、おなじ名が浮かぶ。停電騒ぎのあとに決まって現れるテロリストたちの首魁。ただ……。

シドニー・ヘス :
 彼らのテロリズムを裏付けるのは発電所に対する攻撃ではなく、その後に起こされる騒動だ。『大佐』の話では、暴走事故の犯人が刻知らずとまでは断定できていないようだった。

シドニー・ヘス :
(むしろ……)

 電子機器の暴走を追って、姿を現している? 動機不明の推定テロリスト、そのWHYを埋めるパーツはない。今はまだ。

シドニー・ヘス :
「進もう。相手が動き出した以上、引き返して合流する時間はない」

 そもそも、戻れるのかどうか。懸念を言外に置き、背後の暗闇を一瞥する。

シドニー・ヘス :
「分断された少佐も、きっと進むことを選ぶはず」

SYSTEM :
 アメリカ各州、いや、世界各地で発生する電子機器の暴走事故…。
 のみならず、各地の発電所の不可解な停止に過負荷を基とする『停電』。

 それか、あるいは、それにかこつけた騒ぎを起こすテロリスト集団。
 どちらとて、状況には当て嵌まる。少なくともブリーフィングの内容は、あなたの中の緊張で上滑りしていなかったようだ。

シャラ :
「!」
 とっさに拳を握った。
 キホン、視界を奪われた瞬間っていうのが一番足を掬われがちなポイントだ。
 次の衝撃がないか思わず身構える。さん、に、いち──何もない。

シャラ :
 生きてる。大丈夫だ。
 とりあえず襲撃のための猫だましではなかったらしい。

シャラ :
「りょ。
 敵さんの歓迎かと思ったけど、ちげーなこりゃ。
 最低でもオレらに来てるワケじゃねーや」

シャラ :
「『電人』か『電子の妖精』か? オレならどっちかを疑うけど……」
 シドニーの指示に逆らう理由は特にない。浅く頷いた。
 オーヴァード3人が固まってるなら、たいていのことはなんとかなる。この状況でノコノコ引き返すほうが危ないだろうしな。

SYSTEM :
 最後尾の彼女も、特に拒む理由はなかったらしい。頷きがてら、落ちた灯りの向こう側をぐるりと見渡している。

シドニー・ヘス :
「どっちか」

シドニー・ヘス :
「あたし、片方しか知らない。『電子の妖精』って……?」

シドニー・ヘス :
「はっ──」

シドニー・ヘス :
「資料見落とし!? 指令聞き逃し!? 職務怠慢、現場崩壊、軍法会議……!」

シドニー・ヘス :
 頭を抱えてしゃがみ込み、呻き声をあげるシドニー。

『ミソラ』 :
「どうどう、10分息を吸って10分吐いてみよう」

シャラ :
「ちげ〜ちげ〜、たぶんちげ〜から。おら、ヒッヒッフー」

シドニー・ヘス :
ッッッッスーーーーーーーーーーーーーヒッ(停止)

『ミソラ』 :
「人生いっしょうけんめいで偉い」

シャラ :
「なにゆってんだアホ」

SYSTEM :
 きっとあなたの中の隣人は“そんなことないよ”を知っているはずであったが、
 それはともかく無表情の彼女は、

SYSTEM :
1d100 高いほどちょっと本気でやるとは思わなくて焦った (1D100) > 82

『ミソラ』 :
「まだあわてる時間じゃない」

『ミソラ』 :
「Be Coolだよシャラ 私は落ち着いて…。
 …落ち着いて話を戻そう軍法会議がかかってるって」

シドニー・ヘス :
「少佐も責任を問われ……二人揃って国外追放なんてコトに……」

シャラ :
「追放!
 オレ様しってんぞ、『追放された元テンペスト隊員はレネゲイドチートで大成り上がり〜エグザイルパワーであらゆる鍵を開け放題!?〜』じゃん」

『ミソラ』 :
「レネゲイドの力を過信したね…」

『ミソラ』 :
(すっ…と故障した通信端末を前に向けた)

シドニー・ヘス :
「もうだめだぁー! 国外で成り上がって悪の総統閣下になるしかないんだー!」

SYSTEM :
 後で己の物語と道に戻った彼らが振り返った時、この時のたわごとはある意味の真実に近かったことが判明するのだが、それは別の話である。

SYSTEM :
 ところで彼らにブレーキはなかった。

『ミソラ』 :
「落ち着いて聞いてね、ダン小父は…」

『ミソラ』 :
「知っていたら、たぶん”知ってたけど黙ってました”をやりそーな顔………かはともかく。
 しないよね」

『ミソラ』 :
「方針に異論はないし、思い出しがてら、軽く共有しとく?」

シャラ :
「だな。ゴメン、これオレらの共有ミスだわ」

シドニー・ヘス :
ズビ……

シャラ :
おらチーンしろ これミソラのハンカチ

シドニー・ヘス :
ち~~~~ん

『ミソラ』 :
手癖が悪い!

『ミソラ』 :
タチも悪い!

シャラ :
それほどでもね〜な〜(鼻の下をこする)

『ミソラ』 :
許そうじゃないか寛大な心で…

シドニー・ヘス :
「復活! 共有、おねがいします!」

『ミソラ』 :
3日前の私の楽しみにしていたプリンを、「もらい」の一言だけで済ませた時の口惜しさと、あ、うん話戻そうか。

シドニー・ヘス :
そうだ、ハンカチもありがとうございまし アッ エ エヘ(誤魔化し笑い)

『ミソラ』 :
どういたしまして。

シャラ :
サイバースプライト
「『電子の妖精』って、このところ噂になってるゲンショーでよ」

シャラ :
「マジメな仕事してっと、妖精さんが助けてくれるってウワサになってんの。
 で、その『妖精さん』はたぶん、おそらく、ま〜間違いなく? レネゲイド的サイバーな生き物でな」

シャラ :
「そいつが通りすがる時には、電子機器の暴走だの停電だの。
 それこそ今起こってるよーなことが起こる……らしいんだよ」

シドニー・ヘス :
    Origin
「電子を起因に持つRB……『電子の妖精』」

シドニー・ヘス :
 神妙に聞いていたシドニーが、うん? と首を傾げる。

シドニー・ヘス :
「そっ」

シドニー・ヘス :
「それだーーーー!!!!」

シドニー・ヘス :
「軍じゃ、ソコまで把握してなくてっ。刻知らずが停電後の現場に出没しては騒動を起こすから、所属不明の推定テロリスト扱いで……」

シドニー・ヘス :
「じゃ──じゃあ、今のが『電子の妖精』のしわざなら、その子を求めて連中が現れた……とか……?」

シドニー・ヘス :
「でもそれなら、何で潜伏先なんて情報……病院だって、停電前からおかしかった……」

 ぶつぶつと呟いて考えに没頭しだすシドニー。こうなったら、誰かが止めないかぎり止まらない。

『ミソラ』 :
「なかなかの早業であった。
 …もしもし? もしもーし」

シャラ :
「シドニー? お〜い」

シャラ :
顔の前で手をひらひらする。

シドニー・ヘス :
「何かの実験施設とか……飛躍しすぎかな……この立地である意味も……」

シャラ :
ミソラと顔を見合わせる。

『ミソラ』 :
「ン」

シャラ :
「これ、あれかな? フォーアンサーってコレか?」

『ミソラ』 :
「なかなかの集中力」

『ミソラ』 :
「自称じゃなくて他称だと思う…。
 よし、ちょっと待ってて」

シャラ :
「サテコロの冥? 女子の前のイサミ? 思考モードのジジイ? どれかな〜……おう」

SYSTEM :
 ところで彼女はいちおうノイマンである。
 つまり。

『ミソラ』 :

  Are you ready, soldiers!
「『兵士諸君、準備はいいか!』」

SYSTEM :
テンのほうの
 米軍式ブートキャンプの挨拶くらいは咄嗟に引っ張り出せる。

シャラ :
よく覚えてんな〜

シドニー・ヘス :
 Yes, sir! Ready!
「『準備万端です!』」

シドニー・ヘス :
はっ……

シャラ :
「オカエリ」

シドニー・ヘス :
「ただいま帰還しましたぁ~……」

『ミソラ』 :
「ご飯片づけちゃったよ。で」

シドニー・ヘス :
レンジでチン……

『ミソラ』 :
「だいぶ気になってたっぽいね。
 真偽調査のチェック増える感じだ」

シドニー・ヘス :
「……うん。報告しないと、ってのは方便じゃないもの」

シドニー・ヘス :
「敵の狙いが少しは見えた。病院も……表向きのほうは無事だと、今は信じるしかない。
 『電子の妖精』が何であるにせよ、推定テロリストの思い通りにさせられない」

シドニー・ヘス :
「時間取らせてごめん。行こう」

SYSTEM :
 妖精の気まぐれが事態を招いたのか、電人の仕業か。
 どちらとて、ここを訪れたものが今のショートを引き起こしたのは紛れもない事実だ。
 
 なら…偶然で片づけるほどの楽天をあなたは持たない。特に、軍人であろうとするあなたは。

SYSTEM :
 そして、なぜ、を問うにも状況がある。
 瞬時の判断が求められる状況、引き金を弾くべき瞬間における“それ”はただの枷だが。

 最善を尽くすための“なぜ”が求められる状況においては…。
 一兵卒の先に座る人間にとっては、どれだけ不相応でも義務のようなものだ。

SYSTEM :
 ・・
 なぜ、ここに彼らは潜伏したのか。

 あるいは順番が逆で…。

SYSTEM :
 ………なぜ。
 シカゴ支部はその情報をどこから突き止めたのか。と。

シャラ :
「(……オレもあんま気にしてなかったケド)」

シャラ :
「(どっちを先に突き止めたんだ? シカゴ支部って)」

シャラ :
「…………」

『シャラ』 :
──無用

シャラ :
ヘイヘイ。ヨケーなこと考えて時間潰すなってハナシな。

シャラ :
「ン。行くか。とりま、こん中確認しねェとな」

SYSTEM :
            ・・
 程なくして、間取り図にない離れの病棟を見つけるまでの間。
 灯りの復旧を待つ前に、あなたたちは警戒を新たに前進を再開した。

 道行く限りではまだ、病室に取り残された患者も、あるいは、シドニーの懸念を現実だと囁くような無残な痕跡も、見つからずに済んだこと。
 それは幸いと呼んでいいのかは分からなかったが、確かなことは一つある。

SYSTEM :
    ・・・・
 妖精の気まぐれは、確実に因果の糸を引っ張ってくること。

 予想通りに、あなた/シドニーの初陣はシンプルなゲームでなく。
 予想通りに、あなた/シャラの頼み事と書いて厄介ごとが鎌首をもたげようとしていた。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 一方で…。
 あちらと歩幅を合わせない方。

SYSTEM :
 ミネソタ州の都市圏を僅か離れた郊外の病院。
 ゼノスにとっては伏せ札、あなた/真綺那にとっては人知れず目的を達するいい機会だったが。

 何れの位置で停電、ないし交戦の予兆があっても問題のないように待機していたあなたが”それ”を検知したのは。
 その場に居た者たちと比べても、早いか遅いか、若干のズレがあった。

SYSTEM :
サイバースプライト
 ”電子の妖精”は、訪れる先の電子機器を、何らかの原因で暴走、または過負荷をかけて停止させる。
 果たしてその効果が現れた先については、【刻知らず】もテンペストもUGNもゼノスも、一切梯子を外されることはなかった。

SYSTEM :
 幸い? なことに、あなたは事前にプランナーから、混成部隊がどう配置されているのかを聞いている。
 そこに引っ掛かるような真似をしなければ、行く手を阻むものはないだろう。

マキナ :
「……始まったね」

 遠方から、瞬きのような電磁波と共に、常に傍受していた漏洩電磁波がぱたっと途絶えるのを感じ取る。
 郊外の森に停めた愛車から、よっこいしょ、と立ち上がる。妖精様のお通りのようだ。

マキナ :
 部隊の配置は聞いている。さっきので連携は取れなくなってることだろうし、猶更に都合は良い。
 顔を合わせるとメンドーどころの話じゃない。時間はあんま掛けられないね。

マキナ :
「しかし、当たり引いたのは結局向こうってワケ。
 私これでもケッコー真面目に働いてる方なんだけど……」

マキナ :
「……その辺どう思う?
 ウェンディ」

『ウェンディ』 :
〈どこについて聞いたかによりますけど…〉

『ウェンディ』 :
〈マキナちゃんが、自分で決めて受けたことを途中で投げ出すコじゃないのは知っていますよ〉

SYSTEM :
 やや離れた場所で軍用のSPDを貫通するほどの威力を見せたブラックドッグの過負荷であるが、あなたとベースをつなぐ通信機には影響がない。
 そもそもからしてあなた自身に、そことの通信用の強力なモジュールが備わっているからか、あるいはそれが、同じレネゲイド因子ありきの機能だからか。

 ぼやきにも世間話にも聞こえる話に、スタンバっていたオペレーターであるウェンディが応じた。

『ウェンディ』 :
〈とはいえ。ミネアポリスのほうは都市機能に影響もないようですし…”プランナー”の見立ては相変わらず正確みたい〉

『ウェンディ』 :
〈今のところは、その混成部隊も、それ以外…”刻知らず”というのも見かけてはいませんけど、見つからないようにね。
 案外、前者は…誤魔化そうと思えば誤魔化せるのかもしれませんけど〉

マキナ :
「ん、ありがと。
 マジメに仕事してる子にはゴホービをくれるって話だけどさ、見放された以上はクレームの一つでもつけに行かないと気がすまないね」

マキナ :
 肩を竦めて、トライクのハンガーにかけたブラスターをコートの内に仕舞う。
「まあどっちにしろ見つからないに越したことはないよね。ただでさえ、込み入った状況なんだ」

マキナ :
 ……状況が込み合うとロクなことがない。
 必死に混沌を泳ぎ切ろうと苦労してる方が気まぐれのせいで馬鹿を見て、誰もがもめごとを避けたがるから大事な時には誰もいなくなる。
 そうやってイマドキ流行らない、誰も得しないオチで物語がたたまれるんだ。

マキナ :
    サイバースプライト
「まずは"電子の妖精"本体の居所を確保。
 米帝の連中が先に付いてるなら、そちらでも良し。確認と安全の保障が取れ次第……
 やってくる刻知らずの迎撃、ってとこかな」

マキナ :
 まあ、後半は向こうがやる気満々だったり、安全確保の際にやむを得ない場合に限る二次目標ってとこだけど。
 目指す局面は争奪戦じゃなく、保護した上でつられてやってくる連中の撃退だ。

『ウェンディ』 :
〈話の限りじゃ、その病院が、前回ぶつかった“刻知らず”のオーヴァードの潜伏先とも聞いています〉

『ウェンディ』 :
レコーダー
〈記録に残っていた、前回の相手の口ぶりからして…。
 合衆国の…いえ、少なくともアラスカにアクセスできるどこかに…マキナちゃんと交戦したコの伝手がいたようですから。

 これ以上込み入った状況になる前に潜り込んで確保し、状況を収束できるのが一番の理想で…〉

『ウェンディ』 :
〈次にいいのが、込み入った状況の中で、まだしも目的がこちらとあまり違わない人たちが確保していること。というところでしょうか。
 …電子の妖精がどんなコかは分かりませんし、イメージ以上のお転婆さんだった時は、うまいコンタクトの仕方を考えないといけませんけどね〉

SYSTEM :
 大筋はあなたの見立て通りで問題ない、とも言える。

 郊外の総合病院は、待機場所からそうも離れておらず、隠密に意識を割いたところで到着までの時間はそう掛かるまい。

マキナ :
「ん。
 ま……お転婆はお転婆でも、"あの"レベルのおもろい子が出てきたらちょっと胃もたれ起こすかもだけど」

マキナ :
「オーケイ。じゃあ行ってくる。
 これ以上時間食ったらマズいし……何より」
 こういう状況に限って……アイツが来る。
 その可能性は、十分にある。

マキナ :
    アウト
 以上、通信終了。
 この通信状況下で電子機器の恩恵に与れるのは、それだけで十分なアドバンテージになる。

 周囲の状況を観測しながら、私は木々に隠れながら行動を開始した。

SYSTEM :
 …最後に追った足取りはまだ海向こうだったが、それもゼノスを間借りした頃のこと。
 あなたの懸念が、北米大陸を訪れない保障はなかった。

『ウェンディ』 :
〈了解。状況はこっちでモニターしておきます〉
 アウト
 通信終了の声と共に、この時代を隔てた向こう側の空間とのリンクが影を潜めた。

SYSTEM :
 ミネソタ州郊外、某総合病院。
 病院にしては相応以上の敷地に入り込むのは、難しいことでもない。

 既に通信機器の阻害もある中、哨戒に回されたUGNのエージェント・チームの警戒はより鋭くなり、あるいは事態の収束のための行動を起こそうとするものだが。
 どちらとて、伊達にあなたは時代という時代、幅広い状況へ『武力』のカードとして送られるわけでもなかった。

SYSTEM :
 そして結論から言えば、彼らは前者の行動を優先した。
 電子の妖精に関する情報が入っていなかったのか、UGNの役割分担として職務を忠実に遂行しようとしたのか、あるいは怖じ気づきでもしたのか?

 警戒の動きは予め割り当てられていたエリアを逸脱することはなく、ここを潜り抜けて病院の裏口にあなたは到達する。

SYSTEM :
 夜間の病院など静寂で然るべきと言えばそれまでだが。
 負荷による停電を差し引いても、その静まり返った気配は、在るべき者の気配を著しく欠いていた。

マキナ :
 此処までは良し……。連中の警戒網は予想した範囲を出ない。
 裏口までは楽に到着だ。堅実な動きで助かる。

マキナ :
 それにしても静かだ。静かすぎる。
 ……ここ、幾らカヴァーだったとしても一応病院だよね。

マキナ :
 電気系統が軒並みショートしていると、こういう時不便だ。取り敢えずカメラとかをハックしてログを確認するだとか、そういう調査が全部効かなくなるんだから。

マキナ :
 こういう時は……。
「……Thinker。偵察ドローンを先行させられる?」

マキナ :
 ということで《小さき密偵》を使用したいんだけど、いい?

GM :
 オッケー! 使用に問題は…

GM :
 ないんだけど…OPなんだよね。
 ただ先を確認するだけだったら、侵蝕率に見合う情報にならないかもしれないよ。

GM :
 なので、先行安全確保くらいだったらRP上の描写やその延長線として処理しても問題ないことにしよう。

マキナ :
ン、助かる

マキナ :

《Copy。UAV deploy》

 Thinkerの返答に応じ、超小型の自律飛行ドローンが排出される。取り敢えずコイツで様子見が丸いかな。

SYSTEM :
 電子機器の殆どが機能していない状態も、厳密には“その時にあったもの”だ。
 件の電子の妖精がもたらす気まぐれは、あるいは、ジャミングのようなものとは違いがあるらしい。
      ・・
 あるいは、それが少なくともこの時代の電子機器を石器に貶める───それでいて発生し得る出来事の本質には相応の進歩もない───遥けき未来の産物だったからなのか。

SYSTEM :
 様子見に展開されたドローンの接近を咎める気配、撃ち落とす迎撃兵装などはない。

 静けさの正体が、病院の名でもはや隠す気のない、レネゲイドによる武装拠点化であるという線は薄れた。

 表口や、目に見える範囲の一部ではまだ人も勤務している。見えない範囲に辿り着いた途端の静けさを説明する術はないが…。

SYSTEM :
 ………確かなことは二つあった。

 一つは、その様子見の中で。
 あなたより先に、あるいは…。
 この場を訪れた誰より先に、ここを経由して“何者か”が入った痕跡が残っていたこと。

SYSTEM :
 もう一つは…。
 これは別に、確かと呼ぶべきかも定かじゃないが。

* :
〈おや…? おかしいな〉

SYSTEM :
 その裏口にドローンが踏み込んだ、いや、踏み込み終えたあたりで、割り込んでくる声色。

 べつに知っている声色かは定かでない。
 宇宙人ですって言い張ったところ、ノータイムで信じてくれた…ようなことがあったかもしれないが、
 いずれにせよ今の時間、この歴史の中で接触するのははじめてだ。

SYSTEM :
 停電中で、オーヴァードに縁あるものでなければ例外なく機能していない電子機器からのものではない。
 よく耳を澄ませてみれば、その声は草木の揺れ/風薙ぐ音に交じっていた。

 オルクスには植物に因子を投じて成長させたり、動物を操るものがあるというが。
 ドローンの動きに囀った鳥の鳴き声に後れて、男の声が響く。

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈ハッ、もしやUFO!
 ついに見つけてしまったかあ、長いオーヴァードの歴史がまた一ページ、そうと決まれば初手は友好的に行かせてもらおう〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
           ホワイトフェイス
〈初めまして。僕の名は”道化の真実”のセントジョージ、
 宇宙人ならばこの茨の声を聴き、そうでないなら“違います”と宣誓のち聴いてもらおうじゃないか!〉

SYSTEM :
 もう一つの事実は、ドローンの偵察を終えたタイミングで、それに気付いた変人がコンタクトを仕掛けてきたことだった。

 あなたはこの変人を無視してもいい。宇宙人と言い張って話を進めてもいい。

マキナ :
 ……特に異常なし。侵入者向けの迎撃システムも働いてない。
 鬼の居ぬ間に武装拠点化を進めてた可能性もあったけど、杞憂に終わって何よりだね。
 潜伏地として使ってるらしいけど、それもあって一応病院の機能の体裁は整えてある。表面だけ見れば誤魔化せる仕上がりになってるわけだ。

マキナ :
 それにしても……
 ──ナニコレ。人の入った形跡がある?
 それも一人じゃなく、二人分の。
 この辺りを他の連中が通る予定はない筈。今日やってきた奴らのじゃないってことは、潜伏してる刻知らずのかな。
 それとも……

マキナ :
 吟味している間、思考に男の声が割り込んでくる。
 げっ、抜かった。
 この辺の漏洩電磁波から大体の監視の目は潰れてると思ったら、オルクス由来の監視の目が合ったとは。
 この状況を見越してってこと?

マキナ :
 ……いや、話の内容的になんか違うなこれ。
 まあ思惑がどちらにせよ無視ってわけにもいかないか。

マキナ :
「どーもご丁寧に。我々はアルバトロス星系第三惑星軍ジョリーロジャー艦隊所属機械化治安部隊、個体名Machinaであります。
 うちら
 我 々はこの星系に逃げ込んだ宇宙海賊二名の検挙に向けて活動をしている最中。巻き込まれたくなきゃ見なかったフリをしてくれるとありがたいんだけど」
 ノッてしまった。ノりつつ、今回のマキナさんの天邪鬼は真実味が割と大きい方だ。誠実な対応と思って貰いたいね。

SYSTEM :
 この場にフック船長がいようものなら、航海の最終地点にたどり着き信じられないものを見た時のような顔で笑っていたことだろう。

SYSTEM :
 そして大抵の相手は今の発言に”なんて?”と返す。当たり前である。
 ご丁寧に認められた虚言か狂言の類にしか聞こえなかったに違いない。

SYSTEM :
 …ところで。
 あなたの通信相手はご存知のはずもないが、潜入中に一から十まで目的を全部ベラベラとしゃべったことのある剛の者である。
 誠実な対応への答えはこうだ。

“道化の真実” 千城寺薫 :

〈やはりいるんだねえ宇宙人。
 日本の彼らに今度真実を伝えに行かなきゃ、で、〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈ご丁寧にどうも。僕は少佐殿から共同任務の憂いを憂いで終わらせるための手伝いを頼まれ、
 いや実はもうちょっと前から話す機会があったんだがそれはそれとして、
 僕の都合のために不本意ながら身内のおなかの色を気にする真っ最中のセントジョージだよ〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈ちなみに僕は指揮を執っているとかじゃなくて実況席に座ってる感じなので、
 作戦の詳細とかそういうのは聞かれても答え(られ)ないから、後日見かけた時とかに安心して巻き込んでほしい〉

SYSTEM :
 男は清々しいほどノーガードであった。
 虚言(のようにしか聞こえない真実)で“なんて?”とヒく心を千城寺薫は持っていない。なんか最後に”今でもいいよ”とか付け加えてくるくらいに持っていない。

マキナ :
 見事にノリにノリで返してきたな。これ皮肉とかじゃないっぽいなしかも。
 じゃないとこんな鮮やかに受け入れて、自分の目的話し始めることもないし。

マキナ :
「じゃーそのように。
 その様子だとどうにもウチの犯人が原住民にまたやらかしてるようで。
 被害が拡大してもまずい、そっちのシマを荒らすようで悪いけど、通らせて貰うよ」

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈えー、折角だ、宇宙海賊の話とか聞かせておくれよ。
 やっぱりいけるのかい、レネゲイドも宇宙進出。それとも宇宙が源流だったり〉

SYSTEM :
 おそらくあなたが視界から消えるまで喋るんじゃないか、と錯覚しそうな男の口ぶりは、盛大に未来に掠めるようでそうでもない話を始めた───そのままの口調で、あなたが付き合ってられなくなる前に話題を変える。

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈その辺でUGNのエージェント・チームを見かけなかった?〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈いまさっき、テンペストのチームから応援要請が来ていたようなんだ。
 それでそっちの部隊をね? 踏み込ませる手筈だったようなんだけど〉

SYSTEM :
 見かけたことを正直に口にするなら、”その辺”と書いて敷地内に彼らの姿はない。
 あなたの評したような堅実な動きのまま、アクシデントに対しても冷静で(あるいは宙ぶらりんのまま)いたように見える。

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈その口振りがちょっと気になってね。直接様子を見に行こうかな、と思ったワケ………〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
 そしたら宇宙のふしぎ大発見だ。
 次のオペラの方向性はいま決まったと言っていい。

マキナ :
 畳みかけるクエスチョンに「禁足事項なんで」「勤務中なんで」「後プランナーはガチの宇宙人なんで注意」とか適当に流しつつ。
 これ、このまま付き合ってても有用な情報はなさそうかな……と適当に切り上げて先に進もうとした折のことだ。

マキナ :
 聞くところによるとUGN側も伏兵を用意していたらしい。というより、非常時の予備戦力か。今みたいな状況に陥った場合のフォローを頼む予定だったんだろう。
 ブラックドッグ一人いれば、発電機なりで通信の中継点になって幾らでも軍行動の機能を回復させられる。伏せておいて然るべき札だ。

マキナ :
 ま、そいつをアテにしてるせいで先行組の機能が止まってしまってるというのは皮肉な話だけど。多分そういうことだよね、向こうだって新兵が仕切ってるわけでもなし。

「見えてたら、此処まで来てないよ。そっちのが突入した後、どさくさにまぎれた方が余程ラクに進めるんだから」

マキナ :
 それにしたって妙なハナシ。
 後衛から先に潰して、後は分断した戦力を各個撃破……とかなら、刻知らずってのは中々侮れない手合いだ。
 でもそれなら、外のを片したんだからさっさと中の掃討に移ってる筈じゃない?

マキナ :
 そうじゃないってことは……アレかな。
 混成軍特有の、例のアレ。
「おたくら、意外とおさぼりさんなのかな。
 まあ事情は知らないけど、直接来て確かめてみたら?」

SYSTEM :
 同盟の本質とは先払いとも云う。
 相手のために先に損を支払い、それが100倍の利となって返ってきて初めて、違う組織同士の目的の連帯が成立する。

 然るにUGNとテンペストはどうなのか。そこの是非については、明快な答えは導き出されず。
 あなた自身も行き掛けの駄賃めいた回答だったが、その自称セントジョージには今ので十分だったらしい。

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈そうかも。猫の手も借りたいくらいとて、適度におさぼりさんじゃないコとかの方が、あとで大変なことやっちゃうこともある〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈けどそうか~…。そこにいないのか~〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈そうしたいのは山々だけど、今のでやることが出来ちゃったな。
 残念だが、機密事項のその先についてインタビューするのはまたの機会になりそうだ。ありがとう、えーっと…〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈アルバトロス星系第三惑星軍ジョリーロジャー艦隊所属機械化治安部隊のマキナちゃん。
 探し物がドタバタの末に見つかって“よかったね”で満足して〆られるように祈っておこう〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈何かありましたら連絡先は───〉

SYSTEM :
 ここからは留まるだけ不必要で不毛な情報が飛んでくるに違いなかった。
 わざわざ“確認”のためにちょっかいをかけた甲斐というものが、その自称セントジョージにはあったらしいが。

マキナ :
「所属名まで一字一句覚えて頂いてキョーシュクだけど、そっちも用事が出来たんならさっさとやってあげなって。
 じゃ、またどっかの時代で」
 これ以上話してても仕方ないなコレ。
 色々、めんどくさそうな事情が背後にあるみたいだけど、今この場で私が電子の妖精を確保したらそれも関係のないことだ。

マキナ :
 ドローンを展開したまま屋内へ入り、アレの視界から外れる。
 ごちゃごちゃした用事が割れて来たなら、猶更時間は掛けられない。

SYSTEM :
 君子危うきに近寄らず。であった。
 視界から消えるその時まで、男のどこかマイペースでノーガードな話が耳に入るが、これ自体があなたの任務に関係することはない。あってたまるか。

SYSTEM :
 それよりもあなたの中で気に掛けるべき事情は、先んじて侵入者がいた、という部分のほうだ。
 一人であったならば、あるいはすぐに心当たりをXに当てはめることもできたのだろうが、そこにあった痕跡(少なくとも隠す気のないものが一つある)は二人と考えたほうが自然だった。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈というわけでだね、僕は日本から遥々………───?〉 

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈おや。もういない。
 なかなか熱心さんだったのかな、いやそれとも…。
 そうか、宇宙はタイパに厳しいのか! 文明の進歩と共に心の余裕がなくなっていくとは悲しいことだ………〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈………〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈しかし。そうか…〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
 Amirtory
〈その名前は流石にないだろ…と…。
 思ってたんだけど〉

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 内部にまで入ってしまえば、外側にあった違和感は明確に形を成してあなたの視界に広がった。

 わずかな侵入の痕跡、つい数日前まで使用されていたのか真新しいシーツに交換されたばかりの病室のベッド、にも拘らず一向に人の気配さえない廊下。
 表面上は確かに触れ込み通りの病院でも、中まで来るとその様子は聊かに違ってくる。

SYSTEM :
 …いや、その数日前までは病院としても機能していた、の方が正しいのか。
 
 照明の灯りひとつない暗闇は、まだそこに探し物がさ迷っている証拠で。
 そうにも関わらずパニックの気配一つないのであれば、不自然さと違和感は明確に形を成してくる。

SYSTEM :
 病棟の一つに入り込んだあなたは、まず“電子の妖精”の行き先を探すはずだ。
 それがレネゲイドに象られたもの、レネゲイドと結びつくものであることには違いない。

 その因子のわずかな残り。あるいは…。
 ショート
 過負荷した電子機器や電灯。はたまた、あなたが見つけ出した痕跡のほうを先に追ってみるか。

マキナ :
 さて……色々あったけど。
 実際に中に入って見ても、色々と違和感まみれだ。
 明らかに人の手が入ってて、最近まで使われていたに違いないのに、こうも人気が無いとは。仮にも停電騒ぎ、たとえ千歩万歩は譲って、ここがどクソ田舎で死亡事故起こしまくったばかりに誰からも信用されず、細々と病院のシステムだけを維持し続けている空前絶後の赤字病院だったとして。
 従業員の姿すら見えないままとはね。ワーディングの影響? だとするなら、オーヴァードなら離れていても気付ける筈だし。

マキナ :
「……やーな感じ」
 暗い夜の病院というのあいまって余計不気味だけど。兎に角、一個一個当たっていくとしよう。
 事務室のコンピュータに《電子使い》を使用。焼き切れて断片的にしか辿れないものの、複数の機器に使っていけば、ショートした時間差でどこに向かったかの推測は立つ。

SYSTEM :
 断片的に辿れることも、片端から負荷をかけて落としていないことも。
 “電子の妖精”が、作為的にそうした電子機器のショートを引き起こしていないことの証だ。

SYSTEM :
 そのコンピュータや、施設自体の大きさからしても、ただの怠惰やシステム維持で手一杯の病院という線はない。
 郊外の立地ながら、設備の老朽化も見られない。

SYSTEM :
 …しかし、そのあたりの推察は後回しだ。

 機能を落とした電子機器が一本のラインを引いた先、それは。
 精密機器の集まるような場所でも、“気まぐれ”のひとつでも起こそうものなら即座に命に係わるような治療室でもなかった。

 そもそもどのような意図があったのか、すら定かでない。ただの、突き当たりにある病室だった。

マキナ :
 電子のログ情報から、焼き切れた『道』を辿って進んでいく。
 どうにも、素人臭い道の進み方だ。足跡そのまま残して、どんな場所に辿り着いたかと思って来て見れば……

 その道の果てにあったのは、何の変哲もない病室だ。

マキナ :
 ……電子使いで閲覧した情報の断片から、この病室に誰が寝込んでたかを特定したいんだけど、出来る?
 大統領の娘とかだったりしないよね。

GM :
もちろん! 
大統領の娘さんでバイオがハザードだったりしたら、シナリオが変わってしまうね。

GM :
この病室を使っていたのは…。

GM :
ノア=アルコア・ウィンターズ。年齢13歳。
病状とかは、そうだな、断片的な情報からじゃわからない。
ひと先ずは長いこと寝たきりの重病人なこと込みで特定できるよ。

マキナ :
オーケー。

マキナ :
 データ照合完了……氏名ノア=アルコア・ウィンターズ。
 年齢13歳。この病院に移ってから、長い事寝たきりになってるらしい。
 実家は太い方みたいだけど、政府関係者とかかな。でも、なんか腑に落ちないな……RBだとしたら、そんな地位飾り以下だろーし。

マキナ :
 だとしたら症状の方? これも、よくわかんないな。カルテの方、閲覧出来たらよかったんだけど……
 純粋に寝たきりの子だ、個人的な交流が外にあったようには……

マキナ :
 あー、いや。ないでもないか。このデジタルな時代だと寧ろありがちだ、そーいうのは。
 電子の妖精の気を引く何か電子情報を持っていた……とか?

マキナ :
 ……その辺は後回し。確保した後で幾らでも考えりゃいい。
 罠も、あんな調子じゃないだろうし。

「じゃ、お邪魔しまーす……っと」

 病室への入室を試みる。電子キーのロックを《電子使い》で解除しにかかるよ。キーごとショートしてるなら、力づくで。

SYSTEM :
 考える通り、罠や襲撃の気配などはなかった。それはあなたが“お邪魔”するにあたって、電子キーのロックを解除した時もだ。

SYSTEM :
 …ところでこれは。
 あなたが後回しにしたか、あるいは気にしなかった情報なのだろうけど。

 そのノア少年の父親は、病院に面会に訪れたことは、今から数年以上前の一度きりだ。
 電話の記録等を残しておくはずもないから、それだけでは、父親が薄情だったのか、彼が合衆国における“病気の治療費”のために危ない橋を渡っていたのかは、判別し難い。

SYSTEM :
 ここしばらくに訪れた気配もなかった。
 
 …もちろん。あなたにとって、この時それは、まだ関係のない名前だ。
 考えの先は、そちら以外に回っていたに違いない。

SYSTEM :
 目的地に入れば、すぐに。
 その情報通り、末期患者の名残を残していた部屋が、あなたを出迎える。

SYSTEM :
 真っ白な天井。冷たい蛍光灯。
 音の途絶えたままの心電図。

 替えられていないシーツの上に、寝転んでいるべき人のかたちは、どこにもなくて。
 大切に使われてきたのだろうVRのヘッドギアだけが、その中でも一際異彩を放っていた。おそらくは、そのノア少年の私物だ。

SYSTEM :
 音も色も何もなく、ただ手を尽くしてきた長い徒労の跡だけが、形もないのにこの場所には残っていて。
 その徒労の尤もたる冷たいかたちだけが、切り抜いたように消えてなくなっている。霊安室に移送した痕跡さえないのに。

マキナ :
 自動ドアを開けて、中を検める。
 中のシステムは、他の例に漏れずすべてが停止していた。
 蛍光灯も、心電図も動いていない。もし患者がいたなら死は免れられない。
 この病棟、確か末期患者の長期入院の為の場所だったと情報にはあった筈。

マキナ :
「……ここも?」

 だけどここにも。患者の姿は、見当たらない。
 物心つく前から、寝たきりで一生を過ごしてきたような。そんな子供の姿など、何処にも。

 とりわけ不気味なのは、ベッドの形だ。

マキナ :
 ──フツーなら此処だってシーツを換えたりとか整備の痕が見える筈なのに、この部屋に関して言えばそれすらない。
 まるで事件の現場保存の為に、手付かずになっているような。
    ・・・・・・・・・・・・
 いや、ついさっきまでそこにいたような。

マキナ :
 もう少し周囲を確認する。
 目につくのは、VRヘッドギアだ。この時代では最先端の。
 少年の私物なんだろう。寝たきりの少年が、多分唯一繋がることの出来た外界の窓。

「自分だけのヒーローマスク……か」

 言いつつそれに手を伸ばす。よほど大切なものだったのか、それは使い古したような、それでいて疵の類がよく見なければわからないぐらい丁寧な扱いの痕がある。

マキナ :
 ……ベッドの方も気になる。だけど、此処が最終地点なら、もしかして……
 この中か?

マキナ :
 一応、機能がまだ生きているか確認してみるとする。壊さないように丁寧に、電子の流れが通うか否か。

GM :
 OK。そうだな、それは…特に壊れちゃいない。機能も、繋いでなかったのが功を奏したかな。故障したり使い物にならなくなってる、なんてことはないよ。

SYSTEM :
 …そこには、誰の気配もないのに。
 そこにいたことを、部屋の何もかもが証明している。
       キボウ
 なにひとつの可能を実らせることもなく、
 ただ窓の向こう側にヒーローの夢を見て。
 そのさらに向こう側に、末期の星を隠した子供の名残。

マキナ :
 ……生きてる。ショートに巻き込まれなかったのは、スタンドアロンな状態で置いてあったからか。通電もする。
 今すぐにでもプレイ可能だ。

マキナ :
 でも、スタンドアロンってことは入り込む窓が何処にもないってコトだ。此処に入り込んでいる可能性は薄いか……?

マキナ :
 壊して恨まれるのも嫌だし。今は、元の棚の上に戻しておこう。

 次にベッドに視線を移す。
 くっきりと跡の残った布団。バイオセンサーの類を持ち込んでれば色々分かったかもしれないけど、この義体の機能はそこまで拡充されてない。
 Decula
 空 蝉のようだ、と。何となく思った。

マキナ :
 ただ脱皮の痕だけが、此処にはあるばかり。
 それも不謹慎で、加えて言うなら無責任な譬えだ。誰も死後の世界なんて知らない癖に、身勝手な来世があると触れて回る。

「……まあ、そりゃあ。あったなら結構なコトだけどね」

 布団を元の位置に戻す。

SYSTEM :
 脱皮の痕から飛び立った蝉は。
 冬の先を見ることも叶わずじまい。

 ならば彼は何のために生まれて、
 何のために命を終えていったのか。

SYSTEM :
 いや。命を終えることに“なぜ”が適用されることほど贅沢なこともない。
 あっさりと道が絶たれ、希望が不可逆の奈落に転じるのが死で。その中に意味を見出すことさえ難しい、一山幾らの死に、あなたはいくらか心当たりがあった。

 そして、それは、感傷以上でも以下でもない。“電子の妖精”は間違いなくここにたどり着いたが、同時にあなたはここから先を…。
 ほんの僅かな違和感だけを手元に残したまま、手繰ることが出来なかった。

 あるいは…。

SYSTEM :

 出来なかったはず、だったのだ。

SYSTEM :
【Check!】
 
Effect:【ドミネーション】【電子結界】
Player:“雷人”
Target:Makina/?????

[Add's]
・電子の流れを可視化し、その空間内に侵入する。もしくはその流れを改変・操作する。
 転じて、電気の流れるものであるならば大抵の動作が可能。
(※使用者が対象に向けて使用した際、範囲内にいたものを巻き添えにしている)

SYSTEM :
   ノイズ
 ───雑音。

SYSTEM :
 錯覚する。
  /踏みしめた足場が崩落する
   あるはずのない浮遊感

SYSTEM :
 錯覚する。
  /目が映し出すチャンネルが変わる
   現実のテクスチャが剥がれ落ちてゆく
   御伽噺の絵画目掛けて、現実の無粋な手が伸びる

SYSTEM :
 錯覚する。
  /声と呼ぶにはあまりにも乱暴
   悲鳴と呼ぶには感情が飛び交い
   意味を見出すには纏まりがない
   だが仮に、それに意味を与えるならば

SYSTEM :
 それはあるいは、ひどく唐突で。

 足跡の片割れが起こした、作為の副産物。
 後に曰く、偶発的な“事故”だった。

SYSTEM :
 あなたのいる場所/今もなお通る電子の流れが。
 何かを切欠に可視化されて。

 現実の表層を、自我も次元も持たない、ただの電気の流れが…。
 その通り道という概念が、因子に侵蝕されて作られた道筋が…。
 それを知覚する何者かによって、こじ開けられようとしていた。

SYSTEM :
 こんなことは、いくらオーヴァードとて。
 そうそうあったものでも、出来るものでもない。

 ならば…。

SYSTEM :
 プログラムの羅列が生む電子音。
 現実を侵蝕し、空間を裏返す電子の侵略で軋む雑音に交じり、奏でられるものは。

SYSTEM :
 オト
 歌声の正体は───?

マキナ :
 そうして物色を続けるも成果はなく、そろそろ他の連中が来ることを意識しないとマズいか?
 なんて懸念が脳裏をよぎった、その時に事態は起きた。

マキナ :

「──────────────────ッッ!!??」

 思わず顔を顰め、耳を塞ぐ。聴覚センサーを劈くような、砂嵐の音。
 そして……それに見え隠れする、綺麗な歌声。

「何、コレ……ッ」

 こらえ切れず頽れて、ベッドの手すりを掴んだ。耳を塞いでも響く、ノイズ。だけではない。

マキナ :
 手摺りは、力の加減を間違えてみっしりと手形が付いてしまった。けど、それも仕方ない。聴覚は序の口、次の瞬間には掴んだ感触も消えていた。
 大地に立っている感覚も同様に。視覚はノイズ交じりでまともに見えないし、嗅覚センサーも正常に動いてない。

マキナ :
    ゴーストハック
「ッ、"電脳支配"……いや、これって」

 この義体に対する何らかのウイルスが、電子化された脳情報にハッキングを掛けている。最初はそう思った。
 しかし違う。五感と切り離した高精度の脳機能は、その事象に対する一定の答えを出していた。

マキナ :
 これ、私を対象に発動してる訳じゃない。寧ろ私が滑り落ちたんだ。
 何に? 

 ──多分、電子化された別の仮想領域。
 そして……私自身の肉体が電子情報として変換され、そちら側に転送されようとしている。

マキナ :
 なら、この歌声は、ノイズは……ッ
        サイバースプライト
「そこにいるの、"電子の妖精"──ッ!?」

 叫んだ。叫んで、寧ろその奥へ進むことを選ぶ。
 怖気づいてなんかいられない。これが偶然なら、寧ろ積極的に利用してやる気でいなくちゃ駄目だ。

SYSTEM :
 現実のかたちを、空想のかたちが侵略する。
 こじ開けた風穴が、手の届かない向こう側を。あるはずのない世界を覗き込む。

 大胆かつ精密な最短経路。
    ・・
 ここを起点に──────否。
 起点にしているならば、あなたの近くに”そいつ”がいなくてはならないはずだ。

SYSTEM :
 “電子の妖精”の気まぐれではないと、直感的にも分かる。
 このようなことを平気で起こしているならば、UGNは今の対応より一段階苛烈な選択をしただろう。ましてFHも、テンペストすらも、さらに正確に追いかけていたはずだ。

 こと、この時代から衰えることなく進歩し、最適化し、陥穽してゆく社会秩序において。

 それ
 電子は、二度と切り離せるものではない。

SYSTEM :
 ………ならばその歌声は。
 ・・
 そこにいるものが、来訪者に上げる声のようなものだった。
 あなたの見立ては、その点において正しい。偶然を見逃して取り返しがつかなくなる前に───空間から逃れる判断ではなく。踏み込む判断を取った。

SYSTEM :
 ………歌声。そうだ、歌声だ。

 あなたが、それに引き摺り込まれながら、踏み出すその前に。
 激しい雑音のなか、クリアな気配に郷愁が入り込んだ。

『■■■■』 :


『あのね、■■■』

『■■■■』 :


『私、次に生まれ変わったら───』

SYSTEM :
 存在しない名残を最後に、
..  チャンネル
 世界の位相が変わろうとしていた。

マキナ :
 これは妖精の気まぐれ……何かで片付けられるモノじゃない。どうやれば流れに乗れるのか。

 分からないが、分からないなりに、知恵を絞ってその潮流に乗る。体が0と1の”情報”と成って、五感のすべてが違う場所へと転送される刹那。

マキナ :
 蝉の鳴き声のような雑音の中。声を。聞いた気がした。
「──────────、」

マキナ :
「──■■■■……?」

 思わず口から洩れた名前は、電子化された肉体で出力されることはなく。
 ただ為されるがまま、0と1の乱流に呑まれていく。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :

『ダブルクロス』でも滅多に見ない、派手なエフェクトが、視界いっぱいに広がった。

SYSTEM :

 雷の帳だ。
 あなたの視界に見えていた電気の動きをひどく歪ませる。
 動きを寸断し、過剰な負荷をかけ。そこに、人間ひとり分の猶予を作り出す。

SYSTEM :

 赤く輝く、彗星のような煌めき。
 やがて現れたものを、あなたはすぐに理解した。

 あなたに負けず劣らずの細腕を、あなたをかばうように広げた少女の視線の先にいたのは…。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈………誰〉

“雷人” :
『 …一挙両得という言葉があると聞く。 
  このような状況を指すものなのだろうな 』

“雷人” :
 サイバースプライト
『 “電子の妖精”がここで見つかるとは。 
  物事など、存外に執着しないほうが上手く行くということか 』

“雷人” :
『 だが…。物事には順序というものがある。
  一つ目の要件を果たすことにしよう 』

SYSTEM :
 …金色の髪は、こちらでは極端に珍しいものでない。
 あなたの世界でも、半端に知る現実でも。

 だが、肩幅の良い体格と、その表情の上半分を隠す装いは別だ。
 ギリシャ彫刻のような荘厳さと、血の通う生物に似つかわしくない無機質さを備えていた。

SYSTEM :
 よほど見栄を張った体格設定をしたものが『ダブルクロス』にいた(※そういうものに限って大した力量ではない)が、
 それとは端的に言って質感が異なる。現実の存在たらしめる威風堂々とした佇まいを、仮面舞踏会のようなマスクで目元を覆っている。

SYSTEM :
 それでいて、物腰は来訪の仕方に反して穏やかだ。
 害意や、“めんどうなプレイヤー”が持っている圧のようなものも、ロールプレイにこだわるプレイヤーのような厄介さも。表面は似ているが決して異なる。

SYSTEM :
 …彼はあなたと、あなたを背にして、じっと見つめるハーフィをよそに、口を開いた。

“雷人” :
『 はじめまして。と、言わせてもらおう。
 ノア=アルコア・ウィンターズ 』

SYSTEM :
【Check!】
 登場侵蝕が発生しました。

 Player:Noah 

“電界翔ぶ蟪姑” :
1D10 (1D10) > 3

system :
[ “電界翔ぶ蟪姑” ] 侵蝕 : 43 → 46

『電子の妖精』/ハーフィ :
(ほっと胸をなで下ろしている…)

ノア・ウィンターズ :
……っ、なに、いまの………

ノア・ウィンターズ :
 視界に映り、ずっと忙しなく飛び交い続ける無機質なヒカリ。
 なぜか、それが電子の流れだとすぐ理解できた───その、“なぜ”が解き終わるより先に、ソレはいきなり顕れた。

ノア・ウィンターズ :
 視界が、たわむ。

ノア・ウィンターズ :
「っ、ぐぅっ……!」

ノア・ウィンターズ :
 痛い、いたい、いたい───!
 
 見開いた目の中がいきなりカッと熱くなって───スパークを流し込まれたみたいに暴れまわる!

ノア・ウィンターズ :
思わず目を覆って、そんなのイミがないってすぐに分かって。
まるでさっきまでのがウソみたいに、すぐに痛みが消えて、おそるおそる手をどかしたら……。

隠れるにはあんまり頼りない背中越しに、そいつがいた。

ノア・ウィンターズ :
「……っ、……、……………」

ノア・ウィンターズ :
「……だれ?
 ボク……キミみたいなオジサン、知り合った覚えないけど……」

ノア・ウィンターズ :
 会っていきなり、ボクの名前を呼んだそいつの背格好は、まるっきりふざけていた。
 いまどき『ダブルクロス』でも見ないような、ふざけた頭装備。「俺は大物だぞ」ってアピールしようとして、スベってるようなヤツの服装、背丈、………

ノア・ウィンターズ :
 それが、分かっているはずなのに。
 息が、震える。

ノア・ウィンターズ :
 平気なフリを取り繕おうとするたびに、お腹の奥がどうしようもなく震えて、うまく呼吸ができない……。

ノア・ウィンターズ :
「………ボク、これから、忙しいんだけど。……なんか、用事?」

SYSTEM :
 網膜を焼く光、目の痛みは、あなたの知っているどの痛みより痛烈だったが。
 すぐに引いた。

 のめり込みすぎた時の、眼の渇きと疲れからくるものなど比にもならない痛みの、にもかかわらずあまりに早い引きから齎された不自然さと、その違和感。

 それさえ、普段ならば気にしてもいただろうことが、今のあなたには、頭の中に長くは留まらなかった。

SYSTEM :
 現実のようではない“おかしな”ことはいくつも起きていた。
 あなたの前の女の子もそうだが、現れた男もだ。

 現れた男と“ハーフィ”では、後者のほうが非現実性では勝る。彼は装いとしてはまだ、すこし歌舞いた程度に過ぎない普通の人間だ。
 敵意さえもない。取り繕うあなたの、少しでも上に立とうという様子に気を悪くする素振りさえ見せない。

SYSTEM :
 だが………。
 ・・
 中身の非現実性はこちらが上だ。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈……ッ〉

“雷人” :
『 そうだろうさ。
  わたしも、きみとこうして出会うのは初対面だ 』

“雷人” :
『 そう時間を取らせるつもりもない。 
  お互い、時間がそう贅沢を許すものではないことを知っているならば、猶のこと… 』

“雷人” :
『 そうだな。“誰”に応じるのを優先しよう。 
  礼儀の話をするなら、わたしだけが其方の名を知る状況は不公平だな 』

SYSTEM :
 静かな猶予の後、彼は朗々と。
 芝居の演者のような丁寧さで口を開いた。あなたへの表面上の距離感だ。

“雷人” :
『 わたしを人はいくつかの名前で呼んだ 』

“雷人” :
   イスカリオテ
『 “反逆の聖人”… 』

“雷人” :
  ニコラ・テスラ
『 “雷人”… 』

“雷人” :
            コード
『 名前とすら呼べない識別番号… 
  クリュプタを足蹴にした、しがない哲学者… 』

“雷人” :
『 いずれとてわたしを示すものではある… 』

“雷人” :
『 あるいはただの、メッセンジャーのような者と…。 
  そう、思ってくれたところでかまわないが… 』

“雷人” :
『 今のわたしは、そうだな…。 
      ネイムレス
  自らを“刻知らず”の“雷人”と規定する 』

“雷人” :
『 そこに流れ着いた棄民の欲望を叶える存在。 
   ねがいのうつわ
  絵空事に挑む雷電博士…と 』

“雷人” :
『 好きに呼んでくれてかまわんが、通りがよいのはそれだ。 
  きみの接し方で接するといい。それを咎めるものは、いまのきみにはいない 』

SYSTEM :
 このマスクもそのためのものだ、と。冗談にしてはなんの感情も乗らないSCじみた声を最後に話を打ち切る。

 それが“誰”への答えらしい。

ノア・ウィンターズ :
「………………」

ノア・ウィンターズ :
 ……ダメだ。
 コイツの言っていること、ボクにはぜんっぜん理解できない。

ノア・ウィンターズ :
 イスカリオテ? ニコラ・テスラ?
 まるでゲームの中だ、バカにしてる!

ノア・ウィンターズ :
 ……でも、ひとつだけ。
 ボクにも理解できたことがある。

ノア・ウィンターズ :
 怒鳴られているわけでも、脅されているわけでもないのに。
 コイツが言葉を発するたびに、ボクの背中に電流のような悪寒が走る。

ノア・ウィンターズ :
 ……ボクの目の前にいるのは。
 ヒトガタをしてるだけの、バケモノだ。

ノア・ウィンターズ :
「……ハーフィ。逃げよう」

ノア・ウィンターズ :
 小さく耳打ちして、ボクを庇う小さな手を取る。
 聞こえていませんようにと願いながら。

SYSTEM :
 小さな手を取る仕草と、そこに至るまでのプロセスに、彼女は気取られるような反応はしなかった。
 胆が据わっているのか、そういうときの威勢を覚えてでもいたのか。

 いずれにせよ、あなたにとってそれは、明らかに場違いな、クエスト条件にも関与しない乱入者だ。
 そしてそれ以上に…。

“雷人” :
『 ほォ… 』

“雷人” :
『 いい反応だ。向こう見ずでもある 』 

“雷人” :
『 疑うとは、自らの世界を守るためにもっとも重要な行為だよ。 

  ただ今のは確かに、理解させる物言いではなかった。いささかに、礼儀にも信憑性にも欠けた物言いだな 』

SYSTEM :
 男は、その判断を気取るや否や…。

“雷人” :
『 では、こう言い換えるか… 』

“雷人” :
『 此処を訪れたきみの疑問…。
  彼女と、ここ自体の非現実性… 』

“雷人” :
『 わたしがそれに、回答を出せると言ったら。 
  きみはその判断を後回しにするかな 』

SYSTEM :
 ばちり、と。
 男の指先から火花が迸った。 

SYSTEM :
 …見間違いなどではない。それは断続的に、あちこちに稲妻を走らせ、しかしあなたや“彼女”に害を及ぼさない。

 そしてそれは男の指先を焦がし炭に変えていたが、瞬きのうちに、その負傷は元通りに。

SYSTEM :
 あるいは今さっきから起きている不可思議に対するデモンストレーションのようにも。

 少なくとも、これを行って尚、あなたに対する害意はない、と示すためにわざと、掠りもしないように仕向けたようにも見えた。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈(ノア…)〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈(逃げるときは言ってね。
  あの人、敵意を見せなかったら、たぶんあなたのほうには…)〉

SYSTEM :
 …そこで当人の言葉は打ち切られた。
 口にしている本人(?)はあなたの身を案じたい一心だろうけど、現状に不安を持っていないわけではないらしい。

ノア・ウィンターズ :
 手を取って、悟られないように。
 行き先も分からないけど、隙を見て走り出そうとにじり……

ノア・ウィンターズ :
「…………へ?」

ノア・ウィンターズ :
 そんな努力も葛藤も、みんな見透かされたような言葉に、思わず足が止まる。
 振り返って見えたシーンは、ある種、決定的だった。

ノア・ウィンターズ :
 さっきまでのが、まるで子供のイタズラみたいに思えるほどの稲妻の閃き───!
 こんなのに触ったら、間違いなくゲームオーバー……!

ノア・ウィンターズ :
 ───そして、そいつの発生源が焦げるそばから治っていく、冗談みたいな光景と。
 それが視えているはずなのに、もう痛くも何ともなくなった、ボクの瞳。

ノア・ウィンターズ :
 ……、…………。
 時々、確かにいたんだ。
 『ダブルクロス』にも、こういうチートみたいなスキルを持ったNPCが。

ノア・ウィンターズ :
 そいつらは、みんな決まって勿体ぶった物言いをして、ボクらプレイヤーを無理難題に誘い込んで……。

 そのクエストをクリアしたプレイヤーに、世界の秘密を教えるとかってウワサ。

ノア・ウィンターズ :
 ボクは高難度のクエストはよくやったけど、そーいういかにもプリズナー向けですよって難易度のクエストにはキョーミがなかった。
 ゲームオーバーなんかになれば、取り返しのつかないことがいくつもあったし。……ボクは、そういうのはゴメンだったから。

ノア・ウィンターズ :
 ……でも、…………。

ノア・ウィンターズ :
「…………。仕方ないや」

ノア・ウィンターズ :
「でも、その前にジョーケンがある」

ノア・ウィンターズ :
「───ボクは天才プリズナー、“デキュラ”様だ。
 ボクのことはそっちで呼びなよ」

ノア・ウィンターズ :
 ……ゲーマーの意地が/ボクの迷いが/押し込めてた怯えが/ハーフィの手のひらが/尽きない疑問が。
 ボクに、口を開かせた。

“雷人” :
『 “デキュラ”…“Decula”か 』

“雷人” :
『 飛び立つきみの名としては如何と思うが。 
  だが、名を択ぶとは義務のひとつでもある。そう呼べというならば、そう呼ぼう 』

SYSTEM :
 …発音の訂正は。
 ほんとうに『ダブルクロス』のあなた…“Decula0x00"の。教えていない発声の訂正に近い。

 あるいは強がりに過ぎないその言葉。対等の主張にも似た条件にも、男は一切の躊躇なく応じた。

“雷人” :
『 さて、どこから話すものか。 
  きみのその様子、彼女を含めた視界に映るたいていのものは現実のそれからひどく乖離しているはずだ 』

“雷人” :
『 “それ”が何か、から口にしよう 』

“雷人” :
『 レネゲイドウイルス………。 
  いまより20年前から地球を覆い、人類に、自然の摂理に反逆する未知の因子… 』

“雷人” :
『 その未知のレトロウイルスに、既にたいていの人間は感染しているが、発症するものはごくわずか。 

  侵蝕されたものは、超常的な能力を発揮するが…。 
  ひとたびその侵蝕に心が耐え切れなかった時………その理性や良心を失う 』

“雷人” :
『 その侵蝕に耐え得る新しい人間を…。 
  摂理の超越者…オーヴァードと定義する 』

“雷人” :
『 当然、社会常識も、これまでの生活圏もたやすく崩壊させるが故、権力者も、それを発見した者も…。
    ・・
 半分は隠蔽という結論をとり、それが続いた。きみの日常生活で知るはずもないだろうが 』

SYSTEM :
 “魔の力”に汚染されながらも、眷属にはならず、理性を保ち、その力を使えるもの…。

 あなたの飽きるほど触れたオープニングの説明文が、脳裏にふとよみがえる。

“雷人” :
『 現実に失われたきみの肉体から、“きみ”が生まれた。
  それを成し遂げたのは……… 』

“雷人” :
『 ………きみの持つ“レネゲイド”だ。 
  きみ自身の記憶と意志が、そのレネゲイドを礎に今の“きみ”を作り出した… 』

SYSTEM :
 …“Decula”のきみを。

ノア・ウィンターズ :
「………っ、ちょっ、ちょっ……と、待って……?」

ノア・ウィンターズ :
「………えーっと?
 誰も気づいてないレネゲイドとかってウィルスに、世界中の人が感染していて……?」

ノア・ウィンターズ :
「そのウィルスに耐えられたヤツらだけ、超人みたいな力が手に入る……?」

ノア・ウィンターズ :
「…………アメコミの読みすぎでアタマがおかしくなった、とかじゃないよね…………?」

“雷人” :
『 ごく自然な感想だ。 
  今時、絵空事の中でも、大人が口にしては度し難い愚かさにまみれた言葉に近いことは否定しない 』

“雷人” :
『 しかし、きみにとって…。
  ・・・・・・
  よみがえった、は否定するものではなかったようだな 』

ノア・ウィンターズ :
──────

  :
 
〈…驚かないのね〉

〈ええ。現実にいたノアは、きっと…〉

  :

〈…こうしてお話できるきみを、生き返ったと呼ぶならそう。
 でも、どこかでそうなったのは、確かなコトよ〉

ノア・ウィンターズ :
 “魔の力”に汚染されながらも、眷属にはならず、理性を保ち、その力を使えるもの……。
 オーキィ
 超人たち──────

過る声 :

 本物みたいなグラはVRに限らなきゃ幾らでもあるがね、何より設定のほうだ。
      ・・・・・・・・・・・・
 怪物の中に見た目じゃ分からないヤツいたろ? あれがな。俺、いい発想してるなと思うんだよ。

ノア・ウィンターズ :
「…………『よみがえった』なんて、ボクはとっくに受け入れてたからね」

ノア・ウィンターズ :
「でも、それじゃあ。
 そんな、現実のバグなんかじゃなくって……ウィルスなんかがボクなら……」

ノア・ウィンターズ :
「それって、もう……
 ボク、バケモノじゃんか…………」

ノア・ウィンターズ :
 かわいた笑いが漏れる。
 なにが、ヒーローだ。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈っ、それは───!〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈それは違う───!〉

SYSTEM :
 あなたのかわいた笑いに、かたほうは血相を変えて、かたほうは顔色を一つも変えなかった。

 だが、どちらもあざ笑いはしなかった。あなた自身があなたにしたようなことは。

“雷人” :
『 主観的な定義はいくらでも変えられる 』

“雷人” :
『 きみ自身の疑問に答える義務を条件と提示した以上、わたしはそれに応じる必要性がある。 

  きみのようなもの、そしてそこの彼女のようなものを…。
  オーヴァードを知るものはこう呼ぶ。レネゲイドビーイングだ  』

“雷人” :
『 だが… 』

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈”どうなりたい”も“どう使う”も、あなた自身が変えていい!〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…そんなことを言いに来ただけなら───〉

SYSTEM :
 あなたの俯いた仕草から生じる痛みに、どう答えていいか分からないなりの言葉を投げるものをよそに、男は言葉を続けた。

“雷人” :
『 そうだな。
  客観的な事実が、きみ自身の定義をたやすく変えることはない 』

“雷人” :
『 いや…わたしにとっても。
  そちらは用事ではないのだ。前提の話になる 』

“雷人” :
『 ………わたしはきみに義務を提示できる。
  その力の使い方。

  いや…もっと単純な話だ 』

“雷人” :
『 知った風な口しか利けんことは、
  前以て詫びるより他にないが… 』

“雷人” :
『 末期の記憶は、きみ自身がよく知っていると思う。
  きみは何を欲した? 何を諦め、何を背けた? そして… 』

SYSTEM :
 …きみの存在の証を、誰が最後に認めた、と。
 男は、体験したかのように事実を口にした。

“雷人” :
『 きみ自身はいま選ぶ力を得て、呼び戻す術を得た。
  そのうえで、もし今”そこ”に怒りを持つ余地があるなら… 』

“雷人” :
       ・・
『 …きみには義務がある 』

ノア・ウィンターズ :
「……義務?」

“雷人” :
『 そうだ 』

“雷人” :
『 きみには…世界になぜを叩きつける義務がある 』

“雷人” :
         あした
『 きみからあらゆる可能を奪い去った仕組みに、摂理に。そのようにする義務だ。

 生まれたものには、生まれたが故の役割がある 』

“雷人” :
         ・・
「きみはわたしの…同志になれる。
  デキュラ
 春を知らぬ者」

SYSTEM :
 …あるいは。

 男があなたのもとを訪れた理由は。
   ・・・
 そのあなたを誘いに来たがためだった。

SYSTEM :
 何かになることを、彼女は権利と呼び、彼は義務と呼ぶ。
 敵意の視線を“雷人”に向け、あなたの渇きの悲痛さに愁いを帯びさせながらも、固唾を飲んで見守るハーフィは、あるいはあなたにその選択肢を誘導しようという意志もなかった。

ノア・ウィンターズ :
「義務……アハハ。
 義務、か…………」

ノア・ウィンターズ :
 戯言のように口から出る声。
 いつの間にか、言葉の度に背筋を走る悪寒も、呼吸の震えも、止まっていた。

ノア・ウィンターズ :
 けれど。
 それは、差し伸べられた手を掴んだわけでもなく。
  ウィンターズ
 終わらない冬の名前が、氷解しそうになったからでもなくて。

ノア・ウィンターズ :
「───ねぇ、ハーフィ」

ノア・ウィンターズ :
「キミは……レネゲイドってウィルスの話にも、ボクがウィルスで出来てるって話にも、驚かなかったね」

ノア・ウィンターズ :
「…………知ってたの?」

ノア・ウィンターズ :
 受け止めきれないなにかが、零れ落ちてしまわぬように、必死に息を殺しているだけのことだった。

SYSTEM :
 仄かな暗さをまとった話題を続けたくなかったのか。
 ひとに“あなたは死んで生き返りました”と口にすることに、妙な居心地の悪さを感じていたのか。

 確かに。彼女は、あなたとの会話でそれを提示することはなかった。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ソレ………は………〉

SYSTEM :
 乾いた唇と、あなた自身の感情から零れ落ちる血に青ざめた少女の反応は、ある意味答えのようなものだった。

 全てではないが、彼女自身が“そう”である以上…。
 何も知らなかった、という言葉は嘘になる。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ぜんぶじゃ、ないけど…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…“かもしれない”で、きみに”違う”を、言いたくなくて…〉

SYSTEM :
 “ごめんなさい”と、幼子のように詫びた、か細い声の正体は。
        こころ
 生まれたあなたの命と“できること”を否定する発言を拒んでいた、だ。

SYSTEM :
 ………それがあなたに対して。
 どのように聞こえたのかは定かでない。

ノア・ウィンターズ :
「……やっぱり、知ってたんだね」

ノア・ウィンターズ :
 ……ボクは、なんだかちょっぴり浮かれていたらしい。
               リアル  ゲーム
 死んじゃったと思った途端に、現実でも仮想でもない不思議な世界で目が覚めて。
 そこで出逢った妖精さんに、願いを言ってごらんなんて唆されて。

ノア・ウィンターズ :
 ヒーローになりたいなんて、バカげた夢。
 それも笑わないでいてくれたから、ボクはもしかすると、それになれるかもって気でいたけど。

ノア・ウィンターズ :
 結局のところ。
 ハーフィがボクのことを笑ったりしなかったのは……。

 ミシェルがお姫さまになりたいって願ったことを、誰も笑ったりしないのと同じようなことだったみたい。

ノア・ウィンターズ :
「……気遣ってくれたんだ。
 本当は、ありがとうって言うべきなのかもしれないけどさ」

ノア・ウィンターズ :
「……ちがうんだよ」

ノア・ウィンターズ :
「ああ、違う……違う違うちがう!
 そうじゃないんだよ……!
 ボクがっ、ボクが欲しいのは!そんな慰めなんかじゃない!」

ノア・ウィンターズ :
「『ヒーローになりたい』……?
 どうせボクにできっこないなんて、ボクが一番よく分かってる!」

ノア・ウィンターズ :
 だから───

ノア・ウィンターズ :
 きみはわたしの同志になれる───
 何故か、その言葉だけが耳にこびりついて、何度もココロの内側で響く。

ノア・ウィンターズ :
「『きみは何を欲した? 何を諦め、何を背けた?』
 まるで見てきたみたいに言うじゃんか」

ノア・ウィンターズ :
「だのに、ボクが怒ってるかって?
 怒ってるように見える?ボクが?」

SYSTEM :
 青褪めた少女はそれきり、俯いて、ただあなたのそばを離れることはなかった。
 ありがとうを言うべきだった、の是非について敢えて答えは書くまいし。
 あなたの勘繰りはある部分を除いて正しく、ある部分に限って間違っていたが。

 いまは…。

“雷人” :
『 知った風な口と前置いたつもりだがね 』

“雷人” :
『 諦め、疑い、割り切り。
  たいてい、それは奥底の感情から自分を守るための盾だ 』

“雷人” :
『 ならば奥底に眠るものは、欲するものから目を背ける感情だろう。
  それが怒りでないというなら、強いる所以もない。二つ目の理由を始めるだけだ 』

“雷人” :
『 人は経験しか喋れない、とは…。
  さて。よくよく言ったものだが 』

ノア・ウィンターズ :
 悪寒も、呼吸の震えも、もう感じなくなったけれど。
 その代わりに、言葉のひとつひとつがボクの疵口に抉りこむように痛くなった。

ノア・ウィンターズ :
 まるで、ボクですら気がついていないカサブタまでみんな見透かされて、捲り上げられているような。
              ち
 居心地の悪さと同じくらい、本心がにじみ出てくるような感覚があった。

  :

 ───ボク、ヒーローになりたかったんだ

 ゲームの主人公みたいに、自分の力でカッコよく敵を倒してさ。世界を軽く救ってみたりするんだ

 そして……父さんみたいにさ。
 誰かをカッコよく守って、みんなに誉められたい。ボクがいたってこと、みんなの前で証明したい……

ノア・ウィンターズ :
 ウソじゃない。
 なにも、ウソじゃなかったはずなのに。

 ボクの内側が、言葉が、引きずりだされた怒りに焼かれていく。

ノア・ウィンターズ :
「ボクが、本心に目を背けてる?
 だなら、ボクは怒ってるはずだって?」

ノア・ウィンターズ :
「……分かったよ。
 だったら、言ってやる。言ってやるさ」

ノア・ウィンターズ :
「ボクは怒ってるって?ああ、ずっと怒ってるよ……!」

ノア・ウィンターズ :
「どうしてボクは死ななきゃいけなかったんだ!
 どうして父さんは帰ってきてくれないんだ!
 どうして死んじゃってからみんなボクに寄ってくるんだ!
 どうしてボクだけが生まれ変わったりしたんだ!」

ノア・ウィンターズ :
「……どうして、ボクなんかが生まれたんだ、って!」

ノア・ウィンターズ :
「だから、怒ってるからボクには義務があるって!?
 ボクじゃない誰かの押しつけで生きるなんてゴメンだ!
 それじゃベッドの上と何にも変わらない!」

ノア・ウィンターズ :
「どうせボクがバケモノなら……!
 ボクは、バケモノのボクの思うままに生きて!
 ・・・・・
 そのついでで世界を救ってやる!」

ノア・ウィンターズ :
「だって、そうでしょ、ハーフィ!
           ・・
 ボクには、世界を救う権利があるって!」

SYSTEM :
 噴出したなぜの答えを誰も知らない。

 なぜこんな風に死んだ。なぜ帰ってこない。
 死ぬ前のあなたには感心もないのか? なぜ自分だけこんなロスタイムが? と。

 吐き出したあなたの言葉が遠く響くものは、この場にいなかった。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…! ええ、そう言った。そう言ったわ〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈それがノア、きみの望んだことなら。
 だって──────〉

SYSTEM :
 だって、の続きは。
 
 絵空事の延長線ではない、ある部分の理屈に強く手を差し伸べる言葉だった。

 少なくともあなたは、振り返った彼女の僅かな口の動きから、何を言おうとしたか薄らと分かる。
 夢を諦めなかった“あなた”と、死ななければならなかったあなたの二つに。

SYSTEM :
 ………だが。

“雷人” :
『 思うままに生きる。か 』

“雷人” :
『 世界を掌握すると願うもの、次の未来を望むもの。
  ただ、己が欲望を満たすもの…。
  それの一切を受け止める器が…わたしだ 』

“雷人” :
『 故にそれとて、かまわない。この星は…きみにとって、少々手狭だと思うがな。しかし… 』

“雷人” :
『 わたしも、そのように世界の行く末を願われた身だ…。
  オーヴァードを、手狭なこの星を。“それから”を 』

“雷人” :
『 故にここで二つ目の話をするとしよう。
  “デキュラ”。きみの思うがままを、わたしは掣肘しないが… 』

SYSTEM :
 ゆるり、と男が歩き始める。

 あなたの宣誓のゆいいつ一点。
 その部分に焦点を当てた男が。

 ここにきてあなた以外を見た。

“雷人” :
『 その願望を聞き届け、救うにあたって。
  わたしには“電子の妖精”が必要だ 』

“雷人” :
『 そして… 』

“雷人” :
『 この電子空間に留まっているうちに、掌中に収めるつもりであるが…。
  きみが、それを是しとしないならば… 』

“雷人” :
『 わたしはためらいなく…。
  ・・・・・
  きみを殺す 』 

SYSTEM :
 あなたが、ついでで救う権利を行使するにあたって。
 目の前の彼女と自分の命を秤にかけるという形で、それを歪曲する、ないし挫折させようという明確な意思にも。

 思うがままに生きる、というのはこのような躊躇のなさを意味する、と伝えようとする意思にも取れる言葉だった。

SYSTEM :
 あなたの存在を祝福し、あなたの初心の夢を笑うことなく。
 あなたの如何なる選択も、権利として見守り。
 あるいは最期まで付き添うだろうこの“ハーフィ”は。
 
 あなたが、別の“欲した”を顔に出したならば。世界の範囲、思うが儘生きる“自分”に彼女を含めないならば。

SYSTEM :
 どうなるか。
 答えは、そう言われてなお後ろに下がらず、雷人を見つめたハーフィの背中が示していた。

ノア・ウィンターズ :
「なっ…………!」

ノア・ウィンターズ :
『従わないなら殺す』───ゲームの悪役にはありがちな、陳腐なセリフ。
 『ダブルクロス』のクエストにも散々出てきたし、そーいうヤツらは決まってボクらオーキィの間じゃネタにされてた。

ノア・ウィンターズ :
 『イキってる』とか、『仲間に引き入れてれば勝ってた』とか、『プレイヤーを敵に回したのが敗因』だとか、いろいろ。
 

ノア・ウィンターズ :
 ……でも、いまになって、分かる。
 目の前にいるのは、平気でそれを実行に移せるホンモノだ。ムービーの間だけ強がれるボスなんかじゃない。

ノア・ウィンターズ :
 指先を少し動かしただけで、さっきの稲妻が……。

 いま、ボクらを生かしたまま考える自由を与えていること自体が、最大限の譲歩なんだろうって。

ノア・ウィンターズ :
「………っ」

ノア・ウィンターズ :
 ボクは、デキュラであって、Decula_0x00じゃない。
 ボクは歩けるようになったし、呼吸も苦しくなくなったけど。『ダブルクロス』にいた頃みたいに、ボクが戦えるわけがない。

 いや、もし仮にボクがあのチカラを使えたって、勝算なんてどこにも……

ノア・ウィンターズ :
「…………あのさぁ」

ノア・ウィンターズ :
 でも、この子を差し出せば、見逃してくれるかも……

ノア・ウィンターズ :
「……ヒトのはなし、ちゃんと聞いてた?」

ノア・ウィンターズ :
「……ボクは、ボクの思った通りに生きたいんだ。
 ボクが思うまま、世界を救っちゃったりしたいんだ」

ノア・ウィンターズ :
「キミが、世界をどーこうしたいっていうのは別に構わないけど?
 そのために、ハーフィがどうしても必要だっていうならさ」

ノア・ウィンターズ :
「……諦めてほしいんだけど」

ノア・ウィンターズ :
 いつの間にか、ボクの身体は勝手に動いて、ボクを護るハーフィの前に立ち塞がっていた。
 戦ったって戦い方も知らない、勝てっこない、そんなこと分かっているのに。

ノア・ウィンターズ :
 ・・・・・・・・
 それだけはイヤだって、操作を受け付けてくれなかった。

 やっぱり。薄々分かってた。こんなイベント踏んだって、ロクなことがないや!

SYSTEM :
 それが、蟷螂の斧を承知の強がりなのか。
 本心からの威勢の良さだったのかは。あなただけが知ればいいことだ。

 あなたが『ダブルクロス』にのめり込みながらも、比較して好きでもないような…。
 さながらムービーシーンの一幕。
 プレイヤーキャラがヒロインをかばう。良くある流れと斜めに構えるあなたもいるだろう、どんなことをすればいいのか分からないと愚痴を零すあなたも。

 しかし、あなた自身にそれを翻す気はなかった。

SYSTEM :
 まして、立ち塞がった、というのがどういう意味かはわかっているだろう。
 それを見て、見苦しく言葉を並べてくるようなタイプではないと。
 見ていれば、話していれば、わかるはずだ。ならば…。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈だ、ダメ! あの人本気で───ノア!〉

“雷人” :
『 いいだろう 』

“雷人” :
『 では、その対価を支払っていただく 』 

SYSTEM :
 ならば男の対応はきわめて迅速だった。

 あなたが”そう”でなかったのなら。
 もはや瞬きをする余地もなく、一瞬の幻がもう一度あなたの命を打ち砕いただろう。

 迸る雷霆は枝分かれしながらも、遊びのない、逸りもしない敵意の形を持って襲い掛かる。

 どの程度の威力、どの程度の想定で伸びたのかは知らないが。
 仮に、ここにいたのが”あなた”でなかったのならば…結果は自ずと知れていたことであった。

ノア・ウィンターズ :
「いーから、ボクの背中に───」

ノア・ウィンターズ :
 あっ───

 そんな、ちっともカッコよくないマヌケな声が漏れてしまうよりも先に。
 眩い電光が、暗闇に瞬いた。

ノア・ウィンターズ :
 悔いは───メチャクチャある。
 ゼッタイ、もっとマシな答え方があったはずだ。
 ボクだって死なずにすんだかもしれない。

ノア・ウィンターズ :
 せめて、二度目くらいは痛くなく終われますように───

 そう祈りながら、強張って縮こまる手で、ハーフィの手をギュッと掴んで目をつぶった……

ノア・ウィンターズ :

 ……………

  :

   フォンッ

ノア・ウィンターズ :
 ………、……………

ノア・ウィンターズ :
「あ、れ………?」

ノア・ウィンターズ :
「いたく、ない…………?
 と、いうか……」

ノア・ウィンターズ :
「当たってない……………!?」

SYSTEM :
 それを見たあなたの感情が後悔だったのか、
 それとも別の何かだったのか。
 稲光に掻き消えた声こそが、この時点での答えだったかもしれない。

SYSTEM :
 …ところで。
 あなたは“雷人”を名乗る男に、己の名前をこう告げた。
 デキュラと。
 
 それは、ただの見栄や、あるいは”ノア”の名で呼ばれたくない反発心だったかもしれないが。
『ダブルクロス』きってのプリズナーとあなた自身のある共通項を踏まえて考えれば、そう的を外していなかった。

SYSTEM :
 ゲーム内における固有のスキル。
    カゲロウ 
 通称、電磁結界。身体を電気に変えて、攻撃を避ける特殊な能力。

 あなたの十八番の感覚がしたことを、無我夢中で、本当に走馬灯を流しかけていたあなたは、果たして気付いたのだろうか?

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈避けた…!?〉

“雷人” :
    ・・・・
『 ………電子変換……… 』

SYSTEM :
 そう来たか、という呟きには。
 幾分かの想定内と、幾分かの想定外が同時に交じっていた。
 仮面越しには、何を思っていたかを窺い知ることは出来ないが………。

 あなたを貫くはずだった稲妻は、ハーフィを逸れ、電子空間の随所を片端から傷つけていた。

SYSTEM :
【Check!】
Effect:【ショート】【超越的能力】
Player:“雷人”
Target:シーン

[Add's]
・シーン内の電子機器が何者かの能力余波で一時故障する。(シーン終了後に再使用可能)
・この効果は先のシーンに発生“していた”ものである。

“雷人” :

『 自覚なく使いこなしたか。
  だが、それならば二度目は─── 』

“雷人” :

『 いや………そうも言っていられんな 』

SYSTEM :

 そして、あなたの能力の自覚と理解が追い付こうというまさにその時のことだ。

 …あとで、あなたは”テンペスト”と出会う折、ついでにシンドロームについて教わることになるが。
 あなたはその中でも、ブラックドッグ・シンドローム…電撃を操り、近代社会にもっとも迎合したシンドロームに、きわめて高い素質を持つオーヴァードであった。

SYSTEM :

 そして、それは目の前の男も同じであり。

 それ以上に、あなたと”雷人”には。
 ひとつだけ、共通項があった。

SYSTEM :
 先の回避は、けっきょくのところ電子変換による事象であり。
 相手の攻撃も同じ電気を用い、それを凶器と殺傷力にダイレクトに変換した余技だった。

 その瞬間、あまりに似通うレネゲイドの性質が、それを”巧く”扱える雷人の特性と掛け合わさって、偶発的な事故を起こした。

SYSTEM :
 亜光速で常に動き続ける電気の流れが、また歪む。

 接触した電子同士、この空間においては何よりも勝る雷撃の能力者/■■■■■■■同士の微かな接触が、それを引き起こした。

SYSTEM :
【Check!】
 
Effect:【ドミネーション】【電子結界】
Player:“雷人”/ノア
Target:?????

[Add's]
・電子の流れを可視化し、その空間内に侵入する。もしくはその流れを改変・操作する。
 転じて、電気の流れるものであるならば大抵の動作が可能。 

“雷人” :
  ・・・
『 やはり…きみがそうだったか… 』

“雷人” :
『 ならば猶のこと、共に行きたかったのだが 』

“雷人” :
『 だが、何れとて時間の違いだ。
  ならば、これ以上の狂いが起きる前に─── 』

SYSTEM :
 その遠雷が齎すものは、後に振り返ってみれば。
 あなたの抵抗の最初の成果だった。

 思うがままの第一歩にしては、あまりにも受動的だったけど。

SYSTEM :
 ………そしてそれと同じころに。
 ・・・
 ついでで救うべき事態の、始まりがあった。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 同時刻───
 イリノイ州、UGNシカゴ支部───

SYSTEM :
   モニター
 状況の観測を続けている一室は、剣呑な空気に包まれていた。

SYSTEM :
 当事者たちのみが口元を緩め、軽薄、暢気に言葉を交わしているが。
 少なくとも、銃口を向け、武器を携えた有事の人間にそんな気配はない。

 UGN同士がこのような内部争いをすることなど基本的にはない。
 彼らのお題目を鑑みれば、そこに欲望だの私情だのが生まれることは然程なく…。
 後者が生まれたとて、その矛先が同じ志に向きようもないのだ。

“道化の真実” 千城寺薫 :

「しかしだ。何事も…。
 例外ってあると思わないかい」

“道化の真実” 千城寺薫 :

  Red wad
「“縁の結び手”よ」

SYSTEM :

 例外は往々にしてある。
ホワイトフェイス
 ”道化の真実”の柔和な笑みの内側に湛えた英知の光が捉えた先。
 シカゴ支部長、アミル・トロイは、お偉方の言いがかりだとばかりに肩を竦めて応じた。

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :

「うーん、“道化の真実”殿。
 御宅、こんな再建したての窓際支部に何かしに来たと思ったら。
 なにか、噂のトンチ(キ)をかましに来たということですか?」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「こんなに大勢のオーヴァードまで連れちゃって」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「お望みとあらば聞かせてあげよう…」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「ミュージカル風に」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「すんません普通にお願いします」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「僕ら目指した~(シャングリラ~)
 ここがそうなの~(そうよアメリカ~)」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「聞けよ」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「そんな、第二部まで用意してきたのに…」

SYSTEM :
 残念気にしながらも表情を変えない薫の姿は、この状況では道化以外の何物でもない。
 少し前に起きていたことを思えば、彼の行動は作戦妨害に等しいまである。

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「御宅いまアメリカの特殊部隊とこっちがよろしくやってて、
 ウチは頻繁に侵入されてるFHの摘発平行しててですネ?」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「御宅のビックリドッキリ人間ショー付き合ってる暇ないんだけど、
 そのこと把握してる? 把握してますよね多分?」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「失敬な、してるともっ!」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「過去の時代にあったというレネゲイド・シビル・ウォーの古強者が、
 いま判明したテロリスト集団を倒そうと義憤に燃える最寄りのUGN支部と連携し、若者たちを引率し!
 朝ごはん前に片づけてくる、というこの瞬間だからこそ来たんじゃないか!」

SYSTEM :
 大仰な身振り手振り。しかし、彼の動作にエージェントたちは眉一つ動かさない。
 理由があるからだ。
 本当に業務妨害と暇つぶしで支部に乗り込んであれこれする“だけ”の男ならば、
 彼は流石に評議員の信頼(諸説)など置かれていない。序にそれをすることは多々あるけれども。

“道化の真実” 千城寺薫 :
              ・・
「その僅かな前後の時間しか、きみは尻尾を出さなかった。いや、掴んで欲しかったのかも。
 きみ、1年の間は本当に『普通のUGN支部長』しかやっていなかったからね」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「ただ『普通のUGN支部長』をやりながら『普通のFHセルリーダー』なんてやりすぎだし…」

“道化の真実” 千城寺薫 :
        aMirtory
「あと───アミル・トロイはないだろ。
 きみ、犯人の名前言っちゃってるじゃん」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「──────あァ」

SYSTEM :
 くつくつ、と喉を鳴らす音。
  
 そう、例外…UGNがUGNに武器を向ける数少ない例外的なケースがある。
             ダブルクロス
 武器を向けられた先が、何れかの裏切り者だった場合だ。
 日常と怪物の半端者としての意味ではなく、その“理由”にさえ背いた本物の背徳者。

SYSTEM :
 アミル・トロイ───。

“道化の真実” 千城寺薫 :
  Moriarty
「モリアーティもひどい皮肉を考えるものだ。
 自分が育てた弟子のひとりに、自分のライバルと似たような名前をつけるなんてね」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「そうだろ…“H³”」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「指摘が遅ぇなと思ってたんだ。知名度ねェのかと思ったよ、ひょっとして」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「まさか。彼の弟子の確保にはむか~し関わったんだよ僕。
 当時追っていたことは全然違ったんだけど」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「…で、もっかい聞くけどなんで?」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「ああ。リスペクトだよリスペクト。
 あの御仁、かなり無理やりなアナグラム使ってヘマしたのが最後の事件でね」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「聞いた感じ、言葉通りの悪の弟子はオレが最後っぽくってな?
 身分証くらいは着けておかないと、行儀が良すぎちゃ完全にコッチ染まっちまう」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「話はまったくもって変わるがセントジョージさん。御宅、ゲームやったことある?」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「ときめきメモリ○アルのヒロインをテレーズちゃんに置き換えた改造品をやらせたことなら…」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「キャッチボールで投げた球打ち返して三塁に走り出すんじゃねェ」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「協賛がいっぱい居たんで説教ボイスだけ豊富に収録してあるよ」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「待って? 後でやらせてくんねソレ?」

SYSTEM :
 のちに“道化の真実”は弱冠10代の被害者に真実が明るみになったとき、
 目の前が物理的に真っ暗になったというがさておき。

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「どんなゲームも一番冷める時と萎える時がある。
ゲームクリア
 勝利条件が、まだこれから! って時に見えちまった瞬間さ」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「ラスボスが中盤に出てきてそのまま倒せちまった、目標にしていた宝物が見つかっちまった。
 まだまだ出来そうなことがあるのに、ここで”本を閉じましょう”って言われている時の気分だ」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「オレ、あれがめちゃくちゃ嫌いでね?
 明確なエンドが見えたら、オレが飽きるまでは、その度別の目標を付け直してる」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「ふうん…じゃ、なにか」

“道化の真実” 千城寺薫 :
        こ こ 
「よりにもよってシカゴの協賛で、情報の出所が良く分からなかった上に…」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「通信障害起きてから、各チームの連絡がほぼ同時に支部に行われて。
 パンクせず、ほぼ同時にきみが回答してたっぽいのは。きみにとって引き延ばしかな」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「少佐殿が…先日、“部下の杞憂のため”って言ってくれてね。
 ね~んのためその辺り気にしてたんだけどさ」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「ノイマンならやりかねないコトだけど、こんな露骨なことないなとも思ってはいたんだ」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「ああ。つか、やっぱり1チーム丸ごと”待機命令”にするのはやり過ぎたかな」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「…ただあのまま行けば騒ぎも何もなく、隣にプレイヤーも招かず消化試合で終わっちまいそうでさ?
 それは色々と困るんだが、何より一番はこれだ。
 ・・・・・・・・
 大将のひとり勝ちになっちまう」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「だから御宅らと大将をかち合わせるように仕向けた」

SYSTEM :
 ミネソタ州某病院に潜伏/侵入したというテロリスト集団に関する情報を寄越したのは、他でもない彼だ。
 あるいはどちらにとっても、議論の余地さえない裏切り者だった。

“道化の真実” 千城寺薫 :
「大尉殿…いまは少佐殿?              ナメプ
 彼と直接かち合わなかったあたり、プレイスタイルが怠惰気味だねキミ」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
   サイバースプライト
「まさか電子の妖精が今アメリカに、しかも”そこ”にやってくるとは思わなかったんだよ。大将の人生の揺り戻しかもな。
 つってもオレは大将の都合が上手く転ぼうが転ぶまいが、そこは正直どうだっていいんだ。ただしたいことがあるだけ」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「ま、反省点はもうちょっと自惚れても良かったトコだな!
 ”クレイジー・ウォー”の残り香あるったって…。

 御宅らが重い腰上げようと思うくらい、そんなにマークカタいとは思ってなかったよ」

SYSTEM :
 UGN支部長の声で、道義にもとる思想を披露した男の前に。
 変わらない笑みのまま、どこか感嘆にも似た声を薫が洩らす。

 一年の間、普通のUGN支部長をやりながら、普通のFHセルリーダーをその都度、手を変え品を変えて演じてきた。
Law Chaos
 秩序と混沌のどちらでもない。彼は、永遠に今日を繰り返す茶番をこの街でやっている。
 その男が態々尻尾を出した理由について、語った以外のものがあることに薫は薄々勘付いていた、が───。

“道化の真実” 千城寺薫 :
「いやあ…こんなことがあってもいいようにと、少佐殿から話を聞いてよかったよ」

“道化の真実” 千城寺薫 :
     ホテル
「ここが次の根城だったかな。ここまでだ、“H³”。もう一度頭を冷やしておいで」

SYSTEM :
 それは行動を変える理由にならない。
 ここで撃鉄を上げる前に打倒する。

 査察は実をいうと建前で。
 その判断で、彼は横槍を入れに来ていた。

SYSTEM :
 時間の噛み合った、アメリカの激戦区育ちのエージェント四名。
 まともなFHならば瞬殺し、“まとも”でなくとも正面からやり合うには十分。
 多少の特異性も異常性も対応できる取り揃えがされていた。

SYSTEM :
 …だが。

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「………な。薄々分かってるだろ?
 オレ、なんでこんな話にいちいち呑気に付き合ったと思ってんだ?」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「オレ、ゲームは好きだし…。
 ゲームの悪役くらいの手抜きも、サボリも好きだがね」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :
「ひとまず答え合わせの時間だ」

“レッド・ウェド”アミル・トロイ :


  Sloth Sin
「七星霊装・怠惰」

“H³” :


   Access
「────起動」

SYSTEM :
 しかしその異常性と特異性において。対応どうこうの問題ではなかった。
 答え合わせに曰く。
 
 彼は正面衝突において、彼自身が冷めるほど敗北の余地を感じていない。

           Calamity
 この場における男は無敵の厄災であった。

SYSTEM :
Exhaust:【愚者の契約】【傲慢な理想*3】
Player:?????
Target:?????

[Add's]
・指定した全ての対象者に衝動を無視して『究極存在』を会得させる。(代償・解除条件は不明)
・このEロイスはシナリオ開始前に発動されており、
 Eロイスの所有者はこれらのEロイスを「未使用」状態で所持している。(※カウントを共通して扱う)

SYSTEM :
 災いのかけらをまとった怪物が。
 黒く滴る血を垂らして、すこしずつ人のかたちを取り戻していく。

         ジャーム
 言うに及ばない、なれ果ての仕草と、排気がもたらす無敵の現象であった。

“H³” :
「見ての通り…ゲームやるにゃ…。
 ちとオーバースペックだが…」

“H³” :
「こういうコト。
       ・・
 オレのこれが合図って取り決めだ」

SYSTEM :
 瞬時にリザレクトしたオーヴァード2名。
 したもののその場から動かないオーヴァード1名。
 薫自身だけが戦闘の射程内にいなかった。だから、被害は彼だけはなかった。

 …その薫から薄らとした笑みが消える。焦燥ではない。
 懸念と予感が的中し確信に変わったとき、意を得たときほど人の面持ちは神妙なものになる。 

“道化の真実” 千城寺薫 :
「ソレは…」

“道化の真実” 千城寺薫 :
                レネゲイドクリスタル
「僕が思っていたのとも、すこし違うが。賢者の石だね」

“H³” :
「あん? 今なんてった?」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「賢者の石って書いてレネゲイドクリスタル」

SYSTEM :
 それそのものが、既に人智を半分超越するオーヴァードを更に隔てるほどの、超高純度のレネゲイド体…。
 原理はともかく原材料は確実だった。

 賢者の石。

“H³” :
「べつに祝福はしねェぞ」

“H³” :
「あとメカニズムは知らんよ。コレ頂きモノだし。
 …何よりだ、分からないものは分からないままに出来るのが現代人の美徳だぜ」

“H³” :
「なにか? 御宅。レネゲイドなんてマクガフィンが気になるクチ?」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「人生はかけているけど…。
 どんな恥知らずな方向で希望を踏み躙ってくれたのかは気になるよね」

“H³” :
「え、御宅ここまでの言動で“““恥”””の概念分かるヤツだったのかよ…」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「失敬なっ、分かるに決まっているじゃあないか!
 僕としてはそこまでのシロモノの製造方法に興味がなくもなくもなかったが…」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「こればかりは例外と、最初に未練を断っていたからね。彼女の選択に悪いし」

SYSTEM :
 軽薄に笑い合っていた男の片割れから、その軽薄さは失せていた。
 こればかりは別だと。だが問題は…。

 道化の博識にいまのところ“解決方法”がないこと。

 あるいはここで彼を知ることが出来たことこそ。
 ”好きな時に好きなようにした”彼の功績であるかもしれないが。

“H³” :
「んじゃ、未練のお手伝いにちょっと話をしようぜ」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「聞かせてもらおう。このシーンだいぶ誇張して書くからね」

“H³” :
「御宅ここから生きて帰るばかりか本にするつもりなのかよ」

“道化の真実” 千城寺薫 :
「ちなみに絵本だ」

“H³” :
「格好悪いまま歴史に残っちまいそうなチョイスやめろ」

“H³” :
「まあよし。改めて自己紹介しよう。
 ・・・・
 オレたちの名は───」

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

南極・秘匿支部エリア :
 

SYSTEM :
 雪と氷に閉ざされ、人の立ち入る余地のないこの南極大陸にも。
 FHの魔手は伸びる。厳密には、彼らの欲望に叶うものがある限り、どこにでも伸びる。

 ゲート───秘匿され、封鎖され、未だ全貌の明かされない南極のアンノウン。
 その調査用に設立されたFH研究セルの拠点。
 厳重なカモフラージュを潜り抜けた先、けたたましく鳴る警鐘の中に、先ほどまで人の声が混ざっていた。

SYSTEM :
 ジャームか、普通の職員か。この際それはどうでもいい。
 それはもう、二度と立ち上がることはない。

????? :
「───ふん」

????? :
「かあさまとは月とスッポン! 
 同じFHでも雲泥の差じゃあないか」

????? :
「まったく、こんなものの為に呼び出されるとは。
 ここには別のズボラでトロいヤツでも置いとけばよかったんだ…うー、マシン越しにすら寒…」

『ジュピターXIII』 :
『お嬢様、こちらホッカイロ(物理)でございます』

????? :
「…もうだいたい無視して私の都合で喋るが、まさかおまえの排熱のことじゃないだろうな」

『ジュピターXIII』 :
『日本のトヨトーミを真似してみました。キャッ』

????? :
「おまえはもう少し緊張感というものをだな…」 

『ジュピターXIII』 :
『お嬢様寝てはなりません! なりませんよ! 寝たら死ぬとこのマニュアルに!』

????? :
「うるさいな一気に眠気も覚めるわ! 音量下げなさい!」

????? :
「だいたい、こんなタイクツな任務任せるから悪いんだ。私は───」

『ジュピターXIII』 :
『御尤も! ルーンお嬢様に掛かれば南極の秘匿チャンバーなどではなく世界さえも!
 それこそが、『ルーン』の最高傑作の───』

????? :
「…ジュピターXIII」

????? :
 ・・・
「やめて」

『ジュピターXIII』 :
『畏まりました』

SYSTEM :
 肩を軽く怒らせた十代半ば、あるいは前半の娘が。
 そこいらのFHと称した、南極でも活動可能なほど人間辞めた生き物たちを虫けらのように潰した最高傑作を畳む。

SYSTEM :
 かつて───。

 あるレイスが用いた機動外殻。
 アメリカ合衆国に癒えぬ傷跡を刻んだ、曰く…。

SYSTEM :
  エルクレス
 不死身の巨人。

SYSTEM :
 その素材/目付を顎で指すと、不機嫌な面持ちはすぐにころっと変わった。

????? :
「後始末は片手間でもいいだろ、連中の設備を使わせてもらう」

????? :
「私はこのまま施設の内部に向かう。ついてこい。
 オマエがいないと始まらないんだからな、XIII」

『ジュピターXIII』 :
『ははーッ! これこの通りでございますぅぅ』

????? :
「…それアレか? ジダイゲキ?」

『ジュピターXIII』 :
『社会勉強的にはファンタジーとかのがよろしかったでしょうか』

????? :
「おい、ふざけるのやめろって言わないと分かんなかったかポンコツ」

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

東欧・黒海エリア :
 

SYSTEM :
 黒海の中枢に浮かぶ、某国の中型艦。
 時代錯誤のそのフォルムには、時代を先に進めすぎたある機能がついていた。

 EXレネゲイド───レネゲイドを『兵器』とする、20年の進歩の悪用品。
 水面下の兵器競争に誰が入れ知恵し、発展させたのか。それは定かでない。
 ただ同時にその阿漕は、激化していくR案件に対する国家の備えでもあった。 

SYSTEM :
 如何に国家の息が掛かったとて、艦内にUGNのエージェントがいたのがいい証拠だ。
 万全の備えは、しかし…。

* :
『ば』

* :
『バッ…バカ、な』

SYSTEM :
 しかし驚愕と共に、わずか数秒で打ち砕かれた。

SYSTEM :
 5分前───警備システムによる迎撃機能のすべてをすり抜けて、オーヴァード1名が接近。
 3分前───迎撃用ドローン、アンチワーディング装備の護衛兵、壊滅。
 1分前───炉心となるEXレネゲイドの第一防衛ライン突破。そして、現在。

SYSTEM :
 最後のUGNエージェント───国家のしがらみに辟易したがために、
 いざとなればこの艦の実践運用を阻害するための決意を以て潜り込んでいた誰か。

 アーリア人の青年は、対峙した“テロリスト”の姿に覚えがあった。
 今はいざ知らず、嘗てとあらば知られていないはずもない。
 消息の絶ち方も、決して珍しくなかった、その類のオーヴァードだ。

* :
『あんたがなぜここにいる!』

* :
ナハトヴェヒター
『“無明の守人”は死んだはずだ!』

* :
『いや、生きていたって───』

* :
『あんたはそれに人生を滅茶苦茶にされることを何より───』

????? :

    ・・
「────どけ」

SYSTEM :
 死んだはず。
 その言葉は正しかったが、認識の答え合わせを彼がすることはなかった。

SYSTEM :

 氷像のように凍てつき、固まり、なんの慈悲もなく蹴り砕かれた男の意識は永遠に途絶えたからだ。
 全員がこのようになった。彼女に躊躇、という言葉は最初からありもしない。

SYSTEM :

 片側には魂の底から凍り付く憎悪が吹き荒び、
 片側には今もなく焦げるほどの狂おしい嚇怒が燃えている。

 …炉心に向かうと同時に、手元のEXレネゲイドが妖しく輝く。
 死を予言するヤドリギは、その意味と役割を終えていた。

????? :
「私だ」

????? :
「5分後に後続を到着させろ」

????? :
「一人で片付く。終わらせる。ただ………いや、いい。
 分かってるならいい。そうすることは、本意ではない」

????? :
「おまえも、おまえも、顔を見せるな。誤認すると、巻き込む」

SYSTEM :
 なぜなら女は───死人であった。

????? :
「見ろ…コール」

????? :
「あなたが拾った命は最後に…。
 あなたを失望させると知りながら…」

????? :
「…この戦場に、再び舞い戻った!」 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

アジア・中国エリア :
 

* :
『敵襲! 敵襲!』

* :
『誰だ日本から“あんなもの”運び込もうなんて段取り立てたバカ! 
 どんなリエゾン様の思い付きだ!』 

* :
『知るか! 迎撃しろ! なんかの弾みで目覚めたらこの世の終わりだぞ!』

SYSTEM :
 UGNの手が届きにくい国家は幾つかある。中東、ユーラシア大陸の中国はその中でも顕著だ。
 その秘匿性に任せた研究チャンバーの一つは、いま…。
 ・・
 未知に襲われていた。

* :
『第二部隊ロスト! 第三部隊通信復旧!』

* :
           オチ
『そいつらは第六と同じ末路だ! 間違っても行くな、食われるぞ!』

SYSTEM :
オーヴァード
 同じ化物とならば戦ったことはある。その先に行った成れの果てとも。
 不死の怪物という言葉に、彼らはこの上なく馴れていた。馴れ過ぎるほどに。

SYSTEM :
        ・・
 だがこれは───これは、どうだ?
 ・・・・・
 こんなものがいるならば───我々は何なのだ?
 怪物とはこのようなものであって、我々は怪物“もどき”なのではないか?

SYSTEM :
 得体の知れない、を地で行くものを前に。
 冷血がデフォルトのFHとて、彼らの狼狽と疲労、緊張は頂点にあった。
 
 …そして。

* :
『一度戦線を下げるんだ! 隔壁を下ろせ! 通信が生きているうちに』

* :
『うち、に…』

SYSTEM :
 隣のエージェントの姿がいつの間にか消えていた時。

SYSTEM :
 隣のエージェントが、別の生き物に生まれ変わったその時。
 彼は死期を悟った。

* :
『あ』

* :
『あ ああ あああああああああ───!!!』

SYSTEM :
 ぐしゃり。
 頭が柘榴のように弾け飛び、残る肉は数秒ですべて綺麗さっぱり消えた。

SYSTEM :
 新しい肉が地面を動き出す。次の獲物、腹に収まるに足るものを求めて。

SYSTEM :
 その中に紛れて、襲撃者があざ笑う。彼に正体などない。なぜなら。

????? :
「ふ…」

????? :
「フフ、フハハ!」

????? :
「エッヘッヘッヘッヘッヘッヘ………!!」

SYSTEM :
 怪物に正体などという言葉はない。

SYSTEM :
 ───誰にもその場を知られていないが故の、
  
   終わりようがない悪夢の始まりだった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

極東・日本エリア :
 

SYSTEM :
 神城グループの、然るオフィス。
 神城の重役のひとりが、そこで頭を抱えていた。
 彼は、日本きってのその大企業においては、もはや定年を迎えて久しいご老体のご意見番だった。

SYSTEM :
 だが創設者の血と偉業を知るが故に、その椅子にただ“血”の縁だけで座った小娘に従う義理なしと…。

 影では反早月で知られ、FHへの利用さえも躊躇することのなかった…。
 かつてを知るが故に、かつてに焼かれてきた男だった。彼が頭を抱えているのは、なんのことはない。

* :
『おのれ………!』

* :
『───おのれ、おのれッ!』

* :
『何なのだこの体たらく!』

* :
『買い叩いた旧式はまだいい、開発中のR兵器までもが足止めにすらならないのはいい!』

* :
『だがこちら側に引き込んだオーヴァード8名が…』

* :
 ・・・・・・・・・・・・・・
『戦うことすらなく彼方に寝返るとはどういうリクツだ!?』

SYSTEM :
 夜間の襲撃はあっという間だった。
 日常に罅も入れず、影も差さず。誰かが特に巨きなグループの動脈の一つに乗り込み、
 あっという間に中枢を制圧してしまった。

SYSTEM :
 神城の土台が断たれてはどうしようもない、と。
 彼は、彼の背信が露呈するのを承知ですべての戦力を提供し、迎撃に回した。
 神城改革派のエージェント集団、FHからの秘匿出向者。そのすべてがしかし。

 どういうわけか、戦うことさえなく寝返り…いまここに向かっているという。

SYSTEM :
 その体たらく、軟弱さ!
 かつては日本政府の中核とさえ刎頸の交わりとなり、眉唾物とされながらも、
 彼の知る限りではすべてまことだった伝説を築いた神城が───見る影もない!

 彼は怒りを露にしていた。決して屈することはないだろうとしていた。
 おそらくここに訪れるだろう“そいつ”に、何を叩きつけるべきかを考えて───。

????? :
「───応」

SYSTEM :
 強化素材の一室が、障子紙のようにバラバラに引き裂かれたとき。
 いや…。その本人を見たとき、その気概は消し飛んだ。

????? :
「此処に居ったか。
      ブタ サル テッペン
 古今東西、重役と馬鹿ほど高所上ると相場が決まっておる喃」

????? :
         ヨシ
「…煙だっけ? まあ是」

????? :
                      ショボ
「にしても儂の居らん間、どいつもこいつもまあ低品質くなりおってからに。
   ズルッコ
 折角無敵形態せんで来とるのに、せめて一太刀くらい浴びせに来んかい」

????? :
    ホンマル
「やっぱり本社にイイのが控えてるうち、初手で潰すんだったか喃………。
                     シャーネー
 いや、喧嘩と祭りは派手にやらにゃ意味なし、妥協か」

SYSTEM :
 歌舞いた、男であった。狐面をつけた若者。
 見ればわかる。見るまでもなく理解できる。
 
 戦うまでもなく”膝をつかせた”のはこいつだ。この、歩く冗談みたいな男だ。

* :
『お…おまえは、』

* :
   ・・・・
『いやあなた様は………』

SYSTEM :
 …老人が10にも満たない、神城重役の“息子”だった頃。
 
 父に連れられて“神城”の偉業を教えられた時と、戦争で生き延びた時。
 老人は、二度伝説に出会った。

 最初はただ圧倒され、次は中国大陸で還れずとなっていた時、そこを徘徊する”彼”に命を救われたのである。

SYSTEM :
 その伝説の名は。
 現実はおろか、お伽噺を凌駕するものの名は…。

????? :
「…呵々!」

????? :
「呵々呵々呵々なんじゃい手前! まだ生きとったんか!
                      ウッソ
 すっっっかり爺になっちまって、分かっとったが虚像だろ!」

* :
『や………大和様』

SYSTEM :
 
 …彼は膝を折った。

SYSTEM :

 勝ち負けは最初から分かっている。それはいい。
 そうと分かりながら、彼は抵抗する理由を持っていた。

 だが”そう”だと口にして、確信した時。抵抗するという気概、それを振るう“理由”がまるっきり失せた。

????? :

    ネエム
「応。別の名義あるんだがまあいいか」

????? :
          ウケ          シブ
「儂、蘇っちまった。苦笑るじゃろ? あんだけ伊達い辞世の句つけて…。
                 シ メ   
 せ~っかく後進に譲って、儂の人生幕引いたのに。“(黄泉から)来ちゃった”ってやつだ喃」

????? :
              ザマ
「自慢の面は───ほれ、この調子だが。
      ベイエイ
 やっぱり異国者の血が混ざってんのがいけねーのか喃」

SYSTEM :

 重圧じみた威光。有無を言わせない、”道理”が服を着て歩くような有様。
 むろん彼にその気などないことはわかっている。
 脳では異常も、美辞麗句ほどでもない、むしろその逆の性根も分かっている。
   ・・
 彼の性根が発揮される時代ではなく、そうとなった時は男は老齢だっただけのことで。
 この次に口にされる言葉がどんなものか、どのような結果を生んでしまうのか。

????? :
          リボ    ヤ
「でな? 儂、万が一復活ったら挑戦ってみたいことがあったんよね。
アリエネ        アリエネ         ウケ
 非実在ェことが起きたら、非実在ェことやるのが一番衝撃るかなと思って」

* :
『やって…みたいこと、でありますか』

SYSTEM :
 わかっている、わかっている。だが…。

????? :

「───応。
   イス
 儂の玉座、返せ」

????? :
 ・・・
「国奪る」

SYSTEM :
 わかっていて男はひれ伏した。

????? :
「呵々ッ…呵々呵々呵々呵々!」

????? :
「応それで良し、やはり…、」

????? :

        つぶ
「手前の城は手前で滅さんとなァ──────!」

SYSTEM :
 ───神城グループ本社ごと、神城早月が標的になったのは。
    混乱の中、誰もが察知し得ない、この一時間後のことである。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

西欧・ブリテンエリア :
 

SYSTEM :
 その日の夜は、やけに空気が重く。
 やけに、焦がれるような甘さが喉を満たしていた。

SYSTEM :
 レネゲイドビーイングであるところの“彼女”に、それはわからないが。
 それと共存するゼノスのエージェントに、喉を満たす焦がれの意味は分かっていた。

 渇きだった。影のこれほど濃い夜に、その影の持ち主がいやに恋しい。
 しかしそれでも、彼と彼女は、プランナーの指示を忠実に守り、”恋しさ”の先を躊躇なく追いかけた。

* :
『ああ、ここ、ここ、ここだ! この先に…』

* :
『どうか、愛して、この血肉の一片まで───』

SYSTEM :
 譫言をつぶやき、熱に浮かされ。若者たちが、影に飛び込んでいる。
 形を持つ影ではない。月の光輝が作り出す幻想の扉。言うなれば影絵の城だった。

SYSTEM :
 だが、確信さえあった。辿れば間違いなく戻ってこれない。
 エージェントは、踵を返そうとして…。

SYSTEM :
 次の瞬間。
 月光の狂気が、彼と彼女の影を捉えた。

SYSTEM :
 …ああ、もう遅い。影の城が───亡き王女を作る幻想が、姿を現す。

SYSTEM :
 この世ならざる意匠の中、月の光のみを灯りとするもの。
 月灯りに焼かれた者たちの影が、情愛に抱かれたものたちのエデンはここだと高らかに歌っている。
 
 レネゲイドビーイングであるところの“彼女”に、それはわからないが。
 それと共存するゼノスのエージェントは、かつて先祖だというものの遺した事実から知っていた。

SYSTEM :
ダークワン
 闇の血族。

* :
『──────!』

SYSTEM :
 事実を語り、咄嗟に逃げ出そうとするその時。
 狼の顎が、彼と彼女をかみ砕いた。

SYSTEM :
 最後に耳にしたのは、童女の声。童女の声に、妖艶な女領主の息遣いが絡み付いている。
 …どちらにもそれは分からないが、走馬灯の真横で、彼と彼女は、最後に心当たりを見つけ出した。

SYSTEM :
 頭を垂れ、幼き主の手を愛おしそうに待つ狼の向こう側。

????? :
「あなた、もう少し手加減を覚えなさい。
 私の退屈しのぎにならないでしょうが」

????? :
「…ま、いいわ。影とて名残とて、嘗てのように愛してあげる。
 刹那を永遠に続けましょう。あなたも、あなたも、そこのあなたも」

????? :
「…さあ、お嬢さん? 一緒に踊りましょう」 

????? :
ファルス
「喜劇には諧謔がなくては、ならないものね。
        とか
 おいでなさい。愛してあげる」

SYSTEM :
     ノーライフキング
 ………その名を夜の王。

 かつて科学万能の時代にいた───。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

“H³” :
 Nameless
「“刻知らず”」

“H³” :
            ナマエ
「やらかす意味もやらかす出来事も、出自も立場もバラバラ。何もかもそいつ次第。
 組織の意味はテメェで勝手に決めろ。好きにやらせる代わりに”好きにされても”文句言うな…」

“H³” :
「な? 我ら八人、総勢揃って烏合の衆! ってこった。
 だからオレは好きにやるよ。好きな今日を続ける。その怠惰こそオレの犯罪だ」

SYSTEM :
 時間にして56秒。
 世界規模で発生した“停電”は、それがR案件と悟った各組織の手で早急に復旧し…。
 現実にその不可思議が伝わることはない。

 しかし同時に、復旧に携わったすべての者たちに…。
 そして一部のなぜか復旧出来ず掌握された地区の者たちに。
 または、掌握も何も、現在進行形で“危機”に陥った者たちに。ある事実を悟らせた。

SYSTEM :
  ワールドエンド・ジュブナイル
 世界の終わりを望む少年少女の物語………などと。
 これはそんな寂寥も理解も示せるようなものではない。
                         ピカ
 もっと破滅的で退廃的で、人の作ったものを踏み躙る悪漢の所業。
 矛盾と不条理に飲まれたもの、嗤うもの、作るもの…。
 それら全てが、ただ規範も理屈もなく、自ずから蒙昧となって暴れ出す。

SYSTEM :
 織り成すに、曰く。

“H³” :
「もし冥土の土産にするなら…。あの世で先に逝っちまったプレイヤー諸君に伝えておいてくれ」

“H³” :
「誰もが試して、たどり着かなかった…」

“H³” :
      End Line
「オレたちの終着点を。
 …人類最期の冬にしよう」

SYSTEM :
 ワールドエンド・ピカレスク
 世界を終わらせる悪漢の物語だ。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………………
 ………………

GM :
 シーンが終了したよ!
 ロイスの宣言はある?

ノア・ウィンターズ :
……今度はある!
“雷人”だっけ? ソイツにロイスを取得する!

GM :
ふむ。彼にか、いいよ。

GM :
ちなみに感情は?

ノア・ウィンターズ :
P親近感/N憤懣◯!
アイツ、いきなり出てきてわかった口きいて、さらにボクとハーフィを殺そうとまで……!

GM :
当然の感情だ! まあ…

GM :
あの様子でP表になるわきゃねーもんね。
とはいえ、ここで途切れる縁にはなってくれなさそうでもある。

OKだ! キャラシに書いておいて。

シャラ :
いったんステイ! よーすみな、よーすみ

シドニー・ヘス :
あた……小官も上に同じく!

GM :
オッケー!

マキナ :
んーーーーー

マキナ :
いや、まあナシかな、一旦はね。

GM :
こっちもオッケー!


・Scene2『侵略者-Domination-』


GM :
では…次のシーン行ってみよう!

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
【Scene:侵略者-Domination-】

Scene Player:All
   Erosion:OFF

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 停電の復旧目途の立たない中、目立った襲撃の気配もなく。
 テンペストとUGNから成る複合チームのひとつ、あなた/シドニーが率いる潜入組が、間取り図にない離れの病棟を見つけた。

 表向きの病院、最初に訪れた病棟からずいぶんと離れた先にあるこの場所は、建前上、長期入院を前提とした患者用の病棟の先であるようだった。

SYSTEM :
 そこに人の気配は前にも増して存在しなかったが。
 先ほどまでの場所とは違う。中身が廃れていた、漂白された城というよりは。

 診療記録を保管するカルテ室を含めて、こちらはまだ使用の跡がある。
 この病院の用途が、病院としてではなく、懸念や疑惑の根拠として(つまりテロリストの拠点や、何らかのラボ代わりとして)考えるなら…。おそらく“ここ”が中心点だった。

シドニー・ヘス :
 シドニーの意識にぴんと張られた緊張の糸が、弛まないまま当惑に揺れる。
 療養病棟の先。間取り図から欠落した一画には、人のいた痕跡が残されていた。

シドニー・ヘス :
「これって……」

シドニー・ヘス :
「家探しのあと──ううん、必要なものだけ除かれてるみたい」

シドニー・ヘス :
 検めても? と、視線で問う。

シャラ :
「おー。急いでトンズラこいたあとのアジト痕ってこんなんなるよなァ」

『ミソラ』 :
「車内の忘れ物にご注意ください(よく聞くトーン)」

シドニー・ヘス :
「えっ。見た感想? 実体験?」

シャラ :
「リョーホー」

シドニー・ヘス :
「りょーほー!」

『ミソラ』 :
「人生長く生きているといろいろなことがあってぇ…」

『ミソラ』 :
「さておき。すると、例の“刻知らず”は引き上げ後かな。
 察知されたのか、単に間が悪いのか」

『ミソラ』 :
「ちなみに鉢合わせたら? 私のオススメはコレだよ」

 素振りの姿勢。

シドニー・ヘス :
「サーチ……アンド……デストロイ!」

シドニー・ヘス :
ものけのカラでもなし、痕跡を軽く調べてもいいかな? 残された資料や物品から、何か知れたら嬉しいんだけど……

GM :
オッケー! 一先ず、と受け取ったよ。

SYSTEM :
 コンピューターの殆どは機能を停止しているのと、(初手で平然と机の引き出しを開け私物をチェックした約1名でさえ)好き好んで霊安室を最初に当たることはなかったため、そちらは割愛する。

 紙の資料として残る、カルテに記載された患者情報と、医療用の薬品保管庫。
 軽く浚ったのはこのあたりだ。

SYSTEM :
 顔認証式のロック諸共、そのセキュリティを機能させる電子機器が吹っ飛んでいたのは、ある意味幸いなことだったが。
 問題はそのカルテの患者情報である。

SYSTEM :
 結論から言うと、彼らは献体であった。
 レネゲイドを用いた、何らかの。

 病棟のうち、ここにいたのも…。
 何らかの理屈で重病と認定され、この病棟に移動された、もとは違う病気だった患者も。

SYSTEM :
 適性を認め、その上で何かの用途に用いられ………同時にきれいに全員バツ印がつく程度の、見込みのないモルモットであった。

 概ね病院として機能しておきながらも、この区画だけが別だ。
 治る見込みのないものを用いたのか、そもそも治る治らない関係ナシに“ソレ”をしたのかまでは推し量れないが…。

シドニー・ヘス :
「────」

 資料を持つ手に力がこもり、紙にしわがよった。意味もなく紙面に額を寄せる。

シドニー・ヘス :
 義憤ではない。
 恐怖ではない。

 憐憫でも──ない。

シドニー・ヘス :
 ぼくたちの経緯と彼女の感情は、いま折り合いが悪い。
 切り離すのに一呼吸。切り替えるのにも一呼吸。
 敵地では致命的な隙だと、シドニーはらしくもないカタチの自責をした。

シドニー・ヘス :
「病棟ごと隠すだけの理由はあったみたい」

 選り分けた資料を防弾ジャケットの内に収めて、ふたりへ向き直る。

シドニー・ヘス :
「ここにない資料にマルがついてるのかも。人の移送なんて、そう簡単な話じゃない。
 計画的なら見込みゼロだけど、突発的ならまだ追えるかもしれない。どうかな」

シャラ :
 資料を読む様子を見て、それからシドニーの様子で、なんとなくアタリをつける。
『向こう側』の病院と言えば、なステレオタイプと、そう離れてない事情だったのかもしれない。

シャラ :
「イーけど、ソレナニ書いてたん? あんまきもちくねー話?」

『ミソラ』 :
「逆に病院で気持ちいい話ってなに?」

『ミソラ』 :
「ブラックジャックがよろしく?」

シャラ :
「やっぱナンビョーが治りました! ヒャッホー! みたいなヤツじゃね」

シャラ :
それから資料を覗きこんで、ほーんと気のない反応。

『ミソラ』 :
難病治った?

シャラ :
なおんね~

シャラ :
「なおんね~っつか、逆にビョーキさせようとしてるヤツじゃんな」

『ミソラ』 :
「そっち系か。霊安室覗いたらユメ出たな」

『ミソラ』 :
「で。追うの自体は悪くないけど、そのための他チームだったし。
 そいつらの第一印象が全員ポンコツ認定なら、そうだね…。通信治ってないし、足でしょっ引きに行くの全然あると思う」

『ミソラ』 :
「それともこっちの病棟、漁るだけ漁り切る? 叩いたらもうちょい出るよ。こういうとこの埃」

シャラ :
「アー。オレなら残って探すかなあ」

シャラ :
「案外よ、こーゆうのってなんか残ってるし。
『いつでも逃げられるっす』の仮アジトならともかく、ビョーインとケンキュージョって色々あっからよ。捨てきるの限界あるよな」

シドニー・ヘス :
「……分かった。調査を優先しよう」

シドニー・ヘス :
「残りの後始末にくる誰かがいないとも限らない」

シャラ :
 りょ
「了解。出てきたらまとめて全員ブン殴るカンジな」

『ミソラ』 :
 素振りの姿勢。

シャラ :
「……つーかよォ」

シャラ :
「どーやって向こうさんはこっちの襲撃に気付いたンかね。
 まさかキレーにトンズラされてっとはな」

『ミソラ』 :
「箱の中身は空けてみるまでわからない」

『ミソラ』 :
「でも中身は想像できるから、一番箱が度し難いヤツだったパターンから行く?」

シドニー・ヘス :
「と、言いますと……?」

『ミソラ』 :
「ちなみに一番“ガッカリ”はホントに間が悪くて偶々だったやつ」

『ミソラ』 :
「度し難いヤツはダブルでクロス。
 これ言い出すとキリないんだけど、ほかが全部“ありえない”になったらこうなるよね。ホームズのヤツ」

『ミソラ』 :
「いちばん無難なのは電子の何とかといい、“刻知らず”? といい。
 やってるテロが全部電気寄りなら、通信内容くらいちょろまかせるんじゃない?」

 で、誰かのウカツが網にかかったとか。

シャラ :
「穴熊で出てこねーイソガシーシブチョーとかな」

シドニー・ヘス :
「まさかシカゴ支部の申請が罠だった──?」

シドニー・ヘス :
「ど、どうなんだろう……だって」

シドニー・ヘス :
「軍やイリーガルの介入を許す必要なんて……ない、と、思う。"レッド・ウェド"の権限が及ばずやむなく、ならいい。
 でも招き入れることが目的か、ハズレを引かせるためなら……」

シドニー・ヘス :
「そうだ、少佐……! UGNのひとたちと居るハズ──」

シドニー・ヘス :
あっあのぉ シーン変わったし端末なおってませんか……!?

GM :
………

GM :
………………

GM :
(ぱら………と、メモを捲る音)

GM :
S1d2 2で順番先送り (1D2) > 1

GM :
そうだねシーン変わっ…てるね
復旧…は してるよ

シドニー・ヘス :
少佐~~~~!出るまで鬼電します!

GM :
やりおる

SYSTEM :
 程無くして繋がった通信の向こう側。
 病院の電子機器が丸ごと死んでいる状態ではあるが、そこはそれ。
 元よりR案件に、それも電波障害の可能性がある任務に用立てられたものだ。

 ただ、微かに聞こえる足音からして、どうも彼方は彼方で取り込み中であるらしい。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
 For answer This is White sky over
〈“フォー・アンサー”、こちら”ホワイト・スカイ”〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈状況どうか〉

シドニー・ヘス :
「しょッッッ」

シドニー・ヘス :
「つな 繋がった~~~~」

シドニー・ヘス :
「ごぶじですか!? 背中とか……背後とか……その足音はまさかッッッ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈一時とて背を預ける貴官が不在なのでな。それで気を抜くほど耄碌はしていないが〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈平静で居られないなら…そうだな、先にこちらから通達しよう。

 通信障害の復旧と同時に、外部からの“刻知らず”の増援なしと判断。
 現在、裏口に待機中のチームに、そちらの援軍を兼ねて突入指示を出したはずだが…〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈………念のため聞くが何処にいる?〉

シドニー・ヘス :
「えっ? えへっ でへ……お役に立てもしないうちから、そんな……」

 通話口で急にくねりだすシドニー。こんなでも切り替えが早いのは、奇行中の幸いだ。

シドニー・ヘス :
「"刻知らず"の増援が現れない──? パターン通りなら、むしろ今出没するのが彼らでは」

シドニー・ヘス :
「はっ……! 失礼しました! こちらは通信途絶後、長期入院者の病棟を抜けた先で見取り図にない研究設備を発見しました。既に引き払ったあとで、その場で調査中です」

シドニー・ヘス :
「シャラ、どう? 味方の援軍が向かってるそうだけど……網に誰か引っかかった?」

シャラ :
おー。ひっくり返ったと思ったら戻ったぞ ナナコロビヤオキだな、こいつ

『ミソラ』 :

『ミソラ』 :
💡

シドニー・ヘス :
あれ!? 返ってくる視線がちょっと失礼だ!!

『ミソラ』 :
忠犬シド公…。

『ミソラ』 :
なんかこの呼び名は違うな…

シャラ :
頭のあれもよ~~~~く見ると耳っぽいよな

シドニー・ヘス :
わお~ん 国家の犬ですう~

シャラ :
キャッキャ

SYSTEM :
 シャラの網には誰かのかかる気配はない。
 少なくともあなたの通った道からは、だ。

SYSTEM :
 …外部のUGNチームの警戒網を抜けた侵入者、もしくは後続の侵入は、少なくとも表口からではなく、またこちらの捜索した経路ではない、ということになる。

シャラ :
「援軍ん?」

シャラ :
これってよ、アレか? いちお裏口通ってきてるらしいし、オレらの知らん道から来てるかもしんなくはあるよな?

GM :
かもしれなくはあるね。

GM :
しかし…しかしなんだけど…。

GM :
間取図見た感じ裏口とここはだいぶ近くて
この指示出したタイミングによってはもう顔見て「こんにちは!」してないと逆におかしい気がするかもしれないね…。

シャラ :
お~………

シャラ :
「ナイナイ。ゼンゼンねェし。ピリピリもねェよ。
 おっさん、裏口チームと連絡つかんの? サボって油売ってっか……」

シャラ :
 イモヒイ
「初戦惨敗たんじゃね?」

シドニー・ヘス :
「えっポテトが何?」

『ミソラ』 :
 リム
「全滅られたのね」

シャラ :
「ポテトでもトマトでもね~っ!
 ブチノメ
 撃倒されたんじゃねってハナシ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈逐一の報告と同時に連絡はついているが…。…〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈そうか。1つなら偶然だが、2つではな。
 ───伍長〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈こちらで管轄したUGNに不審な動きはなかった。
 しかし先日の懸念は杞憂に出来なかったようだ。と、なれば…〉

シャラ :
(横で「オレらクソノンキこいてっけど、もしかしてヘッドがヤバいならオレらもヤバか?」ってジェスチャーしてる)

『ミソラ』 :
(その横で『言ってる感じ“現場のやつシロ、そうじゃないとこクロ寄りグレー”の塩梅だよ、ぎりセーフ』のジェスチャー)

SYSTEM :
 なお少佐は現代語彙にしてはちょっとズレた二人のルビをかなりしれっと押し流していた。そこについては語るまでもない話だ。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈腰の軽い私の番だ。舌の根の乾かぬ内に、積もる話をしてくる。

 取り残された一般市民がいないなら、其方の話はシンプルだ。
 その区画の調査のち、潜伏中の敵性オーヴァード、もしくは要保護対象が見つからねば、資料を回収し帰還して構わない。

 …どうも報告からして、丸ごと、何もないわけではないらしいからな〉

シドニー・ヘス :
(ジェスチャーが複雑で読み取れないのでそれっぽい動きをしたが、自動翻訳をかけると『石鹸中毒だったんだ、足を洗ったけど』になる)

シドニー・ヘス :
「は……はひっ。こ後学のために同席願います」

 果断さに気圧されて、声を裏返しながらもシドニーは貪欲だ。

シドニー・ヘス :
 Yes, sir
「了解。調査が完了次第、帰還します」

シドニー・ヘス :
「ふたりも、それでいい?」

『ミソラ』 :
       ダベ
「モンクなし。雑談ってるうちに人が来た気配もないしね」

シャラ :
シドニーって石鹸食うタイプだったんだ……ヤッパ食うに困ったコトとかあんのかな

シャラ :
……いやそーは見えなくね? ゼッテお育ちいいタイプだろ

シドニー・ヘス :
か、感じる 視線から……あわれみを……

『ミソラ』 :
育ちの良さはコトバで出るっていうからね

シャラ :
あっ!なるほどな!やっぱオレらコーショーだからな!シドニーの言葉も理解できるってワケよ

『ミソラ』 :
アーネ
賛同

シドニー・ヘス :
「少佐! コミュニケーションに成功した……? ので多分大丈夫だと思います!」

シドニー・ヘス :
りかいできるって いってた!

シャラ :
じゃあ肩に手を置く。

シドニー・ヘス :
置かれる

シャラ :
 マズ
「失敗っても石鹸以外をおいしく食える方法、教えてやっからな」

シドニー・ヘス :
「何の話ーーーー!?」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈………そうか………〉

 やっているかもしれん(現在進行形) 

SYSTEM :
 しかし少佐はそのくらいの現代コミュケーションでは動じることもなかったのか、
 あなたの言葉に了解の意を示した。そもそも、敵地である以上の奇襲への備えを疎かにしない、という話は、仮にも訓練を経てきたあなたにとっては蛇足だ。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
〈了解。では、先に事が片付けば合流する。
   O u t
 以上、通信終了〉

SYSTEM :
 通信終了の音と共に、再び静寂が戻った。

シドニー・ヘス :
し~~~~ん

シドニー・ヘス :
はっ

シドニー・ヘス :
「は、はりきってやってこう! ……ごめん、テンション間違えた……。調査を再開します」

シャラ :

                トンズラ
「押忍! アブラ売ってるあいだに逃亡こかれたらカッコワリーしな」

『ミソラ』 :
「反省会ワリカンね」

『ミソラ』 :
「じゃ、行こう」

シドニー・ヘス :
「割っていいの? 反省会」

シャラ :
「ミソラのサイフスッカラカンなンだよなァ 実質2/3オレのじゃんな」

『ミソラ』 :
「退かない、媚びない、顧みない、の三つ折りが定番だね」

『ミソラ』 :
「待って あったもん」

シドニー・ヘス :
「ぜんぶ反省してなあい……!」

『ミソラ』 :
「あった(けど使っただけだ)もん」

『ミソラ』 :
「反省と後悔は違うからね
 過ちを気に病むことはない」

『ミソラ』 :
「でもあんまり認めたくない」

シドニー・ヘス :
「駄目な子だー!?」

シャラ :
「な?」

『ミソラ』 :

『ミソラ』 :
 ダメヨバワリヘノモウコウギ
【 煌くケツァル 】
Major:《CRエンジェルハイロゥ+光の弓+ピンポイントレーザー+アフターエフェクト》 

SYSTEM :
※コンボ表記はイメージです。
 実際の行動とは異なる場合があります。

シドニー・ヘス :
アツー!

『ミソラ』 :
またつまらぬことで撃ってしまった…。

シャラ :
マジでクソツマンネーからな!?

シドニー・ヘス :
虫眼鏡で日光集めたくらいのアツー!だった……

シャラ :
地味なチリチリだなァ!

『ミソラ』 :
1ダメージでも入ると罪悪感が勝るし………

シドニー・ヘス :
30~42?くらいまでのダメージならダイジョ……

シドニー・ヘス :
フリではなくってぇ

『ミソラ』 :
確認する シェルターは完璧なんだね

SYSTEM :
※このあと物理的に抑止されました。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 軽く探し回った時点でも、見つかった情報はいくつかあった。

 この総合病院本来の目的が、一つ事…恐らくレネゲイド絡みの、特定の何かを狙って発現させるための臨床実験であったこと。
 出資者の名は未だ与り知らずだが、欧州の篤志家であったこと…。

SYSTEM :
 …目ぼしい資料を探して入った最後の部屋が、そこだった。

SYSTEM :
 唯一灯りが復旧していたその部屋は、もともとオーヴァードによる電子機器の掌握や過負荷を想定していた軍用設備と同じような見立てであったらしい。
 巧妙に、かつ遠方に。人の目に触れないような設計のもと作られていた、資料ないしサンプルの保管室であるようだった。

シドニー・ヘス :
「……これが篤志の本性。隠れ蓑にしては手が込んでるけど、お金の流れから出資者は辿れそう」

シドニー・ヘス :
「設備も、見かけ以上に充実してる。軍で似た機器を見た……」

シドニー・ヘス :
「棚や机に残っていた紙資料じゃ、目的までは分からなかった。確かなのは、ただ何か一つを追求していた事実だけ。でも、ここなら……」

シドニー・ヘス :
「ミソラ~? あんまり離れないでね。レネゲイド絡みの実験試料なんて、何が起きるか分からないし……」

『ミソラ』 :
1d2 2で既に滑り込もうとしている (1D2) > 2

シャラ :
猫の要領でくびねっこをつかむ

SYSTEM :
 存在がパルプンテだった。

シャラ :
ぷら〜ん ぷら〜ん

『ミソラ』 :
ミーン

シドニー・ヘス :
てなれている……!

『ミソラ』 :
「私はクールなお姉さん
 その要請を不承不承ながらよしとしようと思う」

シドニー・ヘス :
あたしも鍛えなければ わんりょく

シャラ :
アホの子が多いとよォ 頭のいいオレ様は苦労すんだよ

シドニー・ヘス :
「不承不承なのお……? ありがとうね……?」

『ミソラ』 :
「いや 言ってみたかっただけ」

『ミソラ』 :
「反骨心は適度に持っておくといいらしく…
 気にしないで」

シドニー・ヘス :
「うそ、シャラもけっこうそっち側……」

シャラ :
「どっち側???」

『ミソラ』 :
「シドニー」

『ミソラ』 :
「重石がない時のシャラのポストは
 私と大して変わらな………、」

『ミソラ』 :
「じゃなかった」

シャラ :
ミソラの体をシェイクしてごまかす

『ミソラ』 :
あうあうあうあう。

シャラ :
「FHもこゆヤツよくやってっけどよ! ヤッパカネ持ちがやるならアレかな、進化とか進歩とか! そゆアホっぽいやつか!?」
 シャカシャカシャカシャカシャカ

シドニー・ヘス :
「イリーガルにもポスト? とか……あるんだね。無所属って聞いたけど」

シドニー・ヘス :
ミソラが……シェイクに!

シャラ :
「つるんでるバカたちいっからな。あれだ、えっと、こみにてぃ〜」

『ミソラ』 :
ちょっと疲れた時、甘いものが欲しいとき

『ミソラ』 :
そんなときには午後のモスシェイク

シドニー・ヘス :
「あはは、仲良さそう。ふたりを見てると、たのしい場所なんだろうなって思うよ。こみにてぃ~」

シドニー・ヘス :
あたしコーヒー味が好きだな~シェイク ううっ緊張で疲れた胃がからっぽでしくしくしてる

『ミソラ』 :
「それほどでもあるな…
 じゃあ帰ったらシクシクがシックになる前になんか食べようか、私はね………、」

 口に出しかけた言葉は“ストロベリーシェイク”。

『ミソラ』 :
「いや、そうじゃないそうじゃない。
 とりあえず、部屋の残りは此処だけだ」

『ミソラ』 :
「なんとなく分かるよ。
 だいぶ手間暇かけたみたいだけど、たぶん…アレだ。

 夢みたいな目標持って、人にかけるメーワク無視してこういうことやると、3/4くらいは徒労になる」

SYSTEM :
 設備そのものは金がかかっており、保管室に並べてあるサンプルも少なくない。
 だが、カルテのバツ印の群れと、目的の曖昧さ(あるいはその目的に関する資料だけは先に回収したのかもしれないが)は…。

 途方もないことを考えたか、胡乱で向こう見ずなことに挑んだか、ただビジョンがなかったか。そのあたり、まとめて次の言葉で括れる結果だ。

SYSTEM :
 まだ20年足らずのレネゲイドにおいては、往々にして良くあるコト。
 ・・ ・・・ ・・・・
 失敗、未完成、発展途上、だ。

SYSTEM :
 少なくとも…この区画で見たものをまとめる限りは。
 徒労が実を結んだ成果は、今のところ見つかっていないからだ。

 ならば、あなた/シャラの言葉を借りるに曰く、

『ミソラ』 :
「アホっぽいやつ」

シドニー・ヘス :
「成果が出るから、研究が行われるんじゃない……。きっと、こんな結果はありふれてるんだろうね。一山いくら、ってやつかな」

シドニー・ヘス :
「信念も意義もない研究なんて、ただの科学ごっこなのに」

シャラ :
「科学ごっこなあ」

シャラ :
「まんがいち、ここのヤツに『両方』あったら、科学だしイイコト?」
 あまりぴんとこない様子で首をひねる。

シドニー・ヘス :
「どうかな……」

シドニー・ヘス :
「少なくとも、都合はイイのかも。あたしにとっては」

シドニー・ヘス :
「いたずらに消費された命か、かってに捧げられた犠牲か、その違いでしか……ないのにね」

SYSTEM :
 理解の是非はさておいて…信念と意義があろうとも、長い年月をかけたとしても。
 その成果が、ただ晩年を語るにあたって、数行のインクの染みにしかならなかった挑戦があった。

SYSTEM :
 ここと、その挑戦を、比べるには値しない。

 ここには、傲岸で、俗っぽい欲望が留まっている。
 あるいはいつの日も人間を動かしてきた、易い原動力だ。それは、あなたの知る違いにはなかった。

SYSTEM :
 そしてそれは、基本。
 捧げられる羊の気持ちに寄り添えば、どちらも何も代わりはないものだった。

SYSTEM :
 あれで空気を読む横のミソラが特になにも口にせず、シャラを一瞥したのは、あなたの表情が、茶化し難いものだったからだろう。

シャラ :
「そーだなァ」

シャラ :
「やってるほうとか、外野にとっては、納得しやすいってハナシな」
 結局それは、誰かが理屈らしきものを受け取って、納得するための理屈でしかないってコトだ。シドニーの表情から見ても、そのへんわかってないことはないだろう。
 だから『あたしにとっては』だ。

シャラ :
 正直そのへん、いまになったってどうでもいい。
 頭のいいやつらの言う理屈っぽい話は、意地悪に聞き返したくせにやっぱりピンとこない。

シャラ :
「どっちにせよ、いまはがんばってるなりにゼンブ失敗してるクセーけど。その研究のナカミ、いちお探す?」

シドニー・ヘス :
「──無論です。小官は、受けた任務を全うします」

シドニー・ヘス :
「まずは保管室の中身から検めましょう。可能なかぎり搬出します」

 くるりと背を向けて、シドニーは踏み出した。納得。その言葉をどこか、胸の片隅に引っ掛けたまま、今すべきことをするために。

SYSTEM :
 より豊かに、より便利に、より安全に。
 翻してみれば、見てくれは何より便利な分際で、そのじつ何よりも不便でしかないのが、オーヴァードという生き物だ。レネゲイドという在り方だ。

 その理屈で切開するとき、跳ね返る傷を少しでも減らすために、もっともらしい方便を使うものだって少なくはない。

SYSTEM :
 だがまあ…いずれにしたって、珍しくない一山いくらだ。
 成否の部分を抜きにしても、その呼称に間違ったところは何もない。

 彼我に頻度の差はあれど、皆無には出来ていない。悲しきかな、起源種の出現から現在に至るまでのさだめのようなものだ。

SYSTEM :
 が…あなた/シドニーの探求のターゲットは、間近なものに限って言えばこれ以上でもこれ以下でもない。

 刻知らずに関する仔細を、彼らの潜伏とそのホワイダニットを解明することであった。
 受けた任務であり、合衆国の軍人の末席を汚す人間の責務として、また初陣を吐露した一時の仲間に対する誠実な対応として。

SYSTEM :
               タスク
 そうしてあなたは、請け負った任務を遂行する。
 それが”何”で、どのような名目だったのか。資料が記すものは何なのか。

 動機は、あるいは安かっただろうが。
 僅かでも目に留めただけですべてが明かせる程度に易いものではなかったが。
 それも時間の問題である。
 運び出しが終わってしまえば、伊達に20年、人類はレネゲイドに付き合っていない。あなたの祖国ならばなおのことだ。

SYSTEM :
 …ところで。
 そちらに意識を向けていなかったとして。
 
 物音の発生源を感じ取るような聴覚の広さは、シドニーにもシャラにもなかった。

SYSTEM :
 ただしきわめて幸いなことは、後者が几帳面であったこと。
 あなた/シャラの相棒が”それ”を持っていたことだった。

SYSTEM :
【Check!】

Effect:【ブラッドワイア】
Player:シャラ
Target:?????

[Add's]
・ワイアへの接触対象を確認。

SYSTEM :

 もはや一周回ってあまりにわざとらしく、
          ストレート
 人間業か定かでない剛速球が。
 あなたのワイアを1秒のうちに複数個所同時にブチ抜いた感触と。

『ミソラ』 :

「──────シドニーッ!!」

SYSTEM :

 そいつの心底珍しく張り上げた声が、
 同時に接敵を示唆した。

SYSTEM :

 そしてもう一つ幸いなことがあったとすれば…。
 その二人だけだった場合、
 ・・・・
 気付いた、が最後の感覚だったやも知れないことだった。

????? :
Uncontrollable・Legends
【 制御不能の一撃 】
Major:《CRモルフェウス/Lv2》《ストライクモード/Lv3》《ギガンティックモード/Lv1》《ライトウェイトモード/Lv5》《デトネイトモード/Lv5》

Act:11dx7+5
Dmg:5d+54(??+??)

[Add's]
・使用後に武器(インフィニティウェポン)を破壊する。
・「演出上」のため実際の計算を行わない。

SYSTEM :
 ・
 何が来たのか。
 受け止めた、かわした、応対した。

 どれでも構わないが、向き合えばすぐに分かる。
 質感は拳であったが。
        ビッグバン
 発生した質量は、爆発であった。

シャラ :
 ブチブチブチブチ、ほとんどラグなく数か所の血糸が同時に断ち切られた。
 髪の毛を本数だけ引っこ抜かれたような、うざったい痛みを感覚。

シャラ :
 何があったとかどうなったとかゆってる暇はない。
 焦りながら痛みがどこから来たか探すオレのアタマの外側で、もうひとりがいますべきことと対処可能な人材を一人に絞る。

シャラ :
 彼女の適性は教えられた。シンドロームによってある程度の裏付けもある。どちらにせよ“アガースラ”も“故に私はここにいる”もリザレクトのほかに対処手段はない。
 自らを新兵と名乗った守り手の性能頼り。
 易い賭けだ。

シャラ :
      さいてきなじんざい
 滑るように“フォー・アンサー”の後方へ滑り込んだ。
 血の玉が膨らむのを待つことすら惜しい。
 人差し指の先を噛み切って、銃の形にした手を指し示す。
 仮想敵の方向、殺意の主へ向き合えと示すように。

シャラ :
 思考に割り込んだサンゴがうるせえ。だいたい同じこと考えてるからもういいや!
 滲んだ血から影が捻じれて飛び出し、シドニーの腕に絡みついた。
 守るためになんらかのエフェクトを使うなら、それに反応して勝手に出力を高める代物だ。……今はブラストアクセルって言うヒマもねェ!

シャラ :
「────死なせんなよぉッ!!」

シドニー・ヘス :

シドニー・ヘス :
 接敵を告げる声。後退する少年と入れ違うように、シドニーが飛び出していく。

 その腕へ、影が纏わりついた。蛇のように。シドニーは動じない。未知を受け容れるコトは、彼女自身が理解しない才能だ。

シドニー・ヘス :
「Oorah────!」

 シドニーの裂帛に呼応して、深い内海から外界へと浮上する。
 彼女の皮下、血管と筋繊維と一体になった、ぼく自身のからだ。流動する白銀が、影の漆黒を巻き込んで、形を成していく。

シドニー・ヘス :
 なだらかな非球面は、シドニーの動きを阻害しない最小限のバランスで形成された円型シールド。

 ────ここからは、彼女の時間だ。

シドニー・ヘス :
              自由
 足が竦まなかったのは、そんな暇もないくらい反射的に身体が動いたから。
 役割を叩き込まれた肉体が条件に従って勝手に起動する、そんなイメージ。

    ・・・
 だからあたしが敵の姿を視認したのは、この一瞬のあと。

シドニー・ヘス :
 衝撃が、衝突する。
 拳で打たれた事実を、隕石を受けとめた実感が誤認させた。盾をかまえた腕ごと全身が痺れそうになるのを、上半身の硬化に全力(フル)で注ぎ込んで耐える。
 一秒ともたず、まず足が沈んだ。足元に亀裂が走る。シャラから受け取った影を、パトリオットが脚の補強に回した。

シドニー・ヘス :
「ぅ──ぐ……!」

 自分ひとりなら、衝撃を外に逃がせばいい。でも今あたしの後ろにはヒトがいた。シャラ。ミソラ。守る戦い。退かないという存在意義。集中を絶やさないための薪を、無我夢中で焚べ続ける。

シドニー・ヘス :
 駄目──押し返せない!

 このままでは建物が先に耐えられなくなると、脚に黒く張った根を解く。アンカーを失った体は追ってくる衝撃に耐えながら、後退したシャラに背中から突っ込んだ。
 幸いなのは、彼のもとまでにインパクトの大部分は受けきったことだ。

シドニー・ヘス :
「ごめ……ん!」

 ……本当に、それだけだ。あたしの守りは狭すぎて、この隠された施設にまでは及ばなかった。

シャラ :
「ンどわ……ッ、だーッ!」
 数秒持ちこたえてから一緒に倒れ……込まない!
 咄嗟に伸ばしたワイアをそのへんの瓦礫にひっかけて、抱えたシドニーごとセーフ!

シャラ :
「……上々だろ! 全員死んでねーし! すげーじゃん!」

シャラ :
「おら、次だ次! 本体くんぞ!」

SYSTEM :
 ここが病院だと建前上知りながら、最短距離で根こそぎ踏み潰した何者かの到来。
 その余波が、施設に存在したRサンプルと資料のみならず……。
 値の張るはずの研究機材をイレギュラーごと破壊しようとする、一撃必殺の突破力。
                                パトリオット
 だが曲がりなりにも、あなた/シドニーと、あなたが偶然で友とした愛国者には…。
 この暴力性を凌ぐ権利が与えられていた。

SYSTEM :
 これがまさに実践の時である。曰く……。
 やったことは必ずしも報いになるとは限らずともしかし、やらなかったことは決して裏切らぬ。

 体に叩き込んだ反復と、嵐の”いなし”方を知っていたテンペストの智慧こそが、あなたを助けた。
 さらに言えば、あなたたちだ。

 任務と生命と。価値の値札の違いで、起こした成果の認識は多少異なっていたが。

『ミソラ』 :
「…無事! それなら───」

SYSTEM :
 だが次。そう、次だ。
 
 まるで流星のように失墜ちて、星の爆発のような鮮烈さで、あなたに衝撃を叩き込んだものの正体は。
 目に映るものすべてを根こそぎ吹き払い、割れた硝子が蒸発する惨事の中で、接触した瞬間に判明していた。

SYSTEM :
            ・・・・・・・・・
 第一印象は、装飾華美なアメリカンコミックが音速の壁を突き破り…。
 装飾で殴り掛かってきた、だった。

 純粋な暴力の塊と、どこか過剰な意匠は、あまりにアンバランスだ。

SYSTEM :
 そして次に視界に入ってきた筋肉の塊、そう呼ぶべき巨漢。
 到着した人間質量兵器は…。

 スケールと先駆によって、繊細さ、小難しさ、全てをかなぐり捨ててただ圧倒するそのさま。
      コード
 男がまとう規範は、合衆国に対する皮肉の色と呼んでも過言ではなかった。

????? :
「ほぉう…先客?」

????? :
「なるほど踏み潰す感触が硬すぎると思えば!
 そうかァ! オーヴァード!」

SYSTEM :
 地の底から低くうなり、天高く昇るような男の声だった。
 目に見えるものすべてを拉げるほどに抱え込まねば、
 欲するという言葉に正直で行き続けなければ生きてゆけないサガをまとっていた。

 あるいは、この院内の奥底に隠れていた易い欲望の意味を…。
 もっとも…理解している、と。そう呼べるものが、そこにいた。

????? :
「やはり何時の世も、アクシデントとは起こるもの。
 オーヴァードならば、そう! ここは適切に対応するとしよう!」

????? :
「この────」

“闘争卿” :
 アルターコード
「“闘争卿”が…ひとつ問おう! 
 新時代を作るには、何が必要だと思うかね?」

“闘争卿” :
「そう………破壊だ!」

SYSTEM :
 全長2mと十数cm。ぎりぎり、人間として許される骨格と存在感。
 だが、そんなことよりも、その名前。
                            ヴィラン
 男が朗々と語った名前は、テンペストでも語り継がれた有名な悪党だ。

SYSTEM :
   ・・
 彼は死亡が確認されているはずだった。

SYSTEM :
 あの───三年前のクレイジー・ウォー。
 当時の”ホワイト・スカイ”が率いた、”蒼い双星”をはじめとするチームの手によって。
 シカゴの被害抑制と、脅威となる二人のオーヴァードの撃破、二つの奇跡は成し遂げられていたはずだった。

 すなわち“グレート・アトラクター”と…。
 “闘争卿”のふたりは。明確な故人であった。

シドニー・ヘス :
「"闘争、卿"──!?」

 熱波の向こうから、眩いまでに華美な立ち姿が現れる。仰ぐほどの巨体は、何もかもが過多で過剰だ。
 ぎらぎらと煮え滾った欲望の圧に、対極の衝動が眩暈を起こしそうになる。

シドニー・ヘス :
「なにを……ふざけたことを! "クレイジー・ウォー"で敗れた怪物が、生存てるわけがない!」

シャラ :
「んな……」
 “闘争卿”の名前は聞いたコトある。
『こちら側』の知識を有名ドコから吸い上げてくときに、三年前のクレイジー・ウォーの話はインプット済みだ。

シャラ :
 二代目? よみがえったとか? それとも……

シャラ :
 ……いやいや。いねェよ、『向こう側』に闘争卿なんて!

シャラ :
「つゥか、会話なってねーし! ここブッ壊して作れる新時代ってなんだっつの!」

“闘争卿” :
「では───」

“闘争卿” :
「オレは何だ?」

“闘争卿” :
「シカゴで無様に果てた“闘争卿”は、しかし!
 生きているのだよこのように!」

“闘争卿” :
「不便なるオーヴァードのしがらみを超越し、レネゲイドを征服する男!
          ハーフタイム
 その伝説の、長い休憩の時間が終わったということだ!」

SYSTEM :
 吠え猛るような哄笑は、ぎらぎらと照り付ける太陽に似ていた。
 干ばつの大地を焼き尽くす炎。
 見境も、お構いもなく、欲して望む姿勢のまま、掠め取る傲岸さ。

 強欲の言い換えを、オーヴァードである限り知っていた。

SYSTEM :
 仕草は“すぎる”ほどにジャームであった。
 世界を変える、を望み、史上最大の“無意味な戦い”を引き起こした張本人の片割れ。その評価もむべなるかな。

 端的に言って、話が通じるような男には見えなかった。

“闘争卿” :
「あァ…だが。
 この俺の新たな闘争の介助人なら、十分すぎるほど間に合っているのだ」

“闘争卿” :
「そいつを、迎えに来る“ついで”と思っていたのだが…。
 こういう時、口さがないパパラッチはどう扱うんだったかな…」

“闘争卿” :
「──────どう思う! 諸君!」

SYSTEM :
 曰く、その時点では身内だったはずのFHすら、独特の理屈で…。
 まだしも理性のあった片割れと違って、容赦なく、悪意なく、それでいて凄惨に消し飛ばしてきた“闘争卿”。

SYSTEM :
 その身勝手さは確かに伝聞そのものだった。そこまでは、仮に納得できずとも通すとしよう。
 男は伝聞そのものの態度で、呼吸をするように、おのれの名前の所以をあなたたちに教授しようとしているからだ。

 しかし……。

SYSTEM :
 ならば彼はどのようにして、
 この病院の包囲網をすり抜けたのか?

シャラ :
「……どう思うもこー思うも……」
 ダメだ、ぜんぜん話通じねェこれ。
 どっからどう見ても破綻しきってるジャームってのは、見れる範囲で見た報告書や噂話とも変わらない。
 まともに取り合ってるとオカシくなりそうだ。抱えたままのシドニーに耳打ち。

シャラ :
「……シドニー、コイツ確実にジャーム。
 そゆことなら、生き返ろうが『ありえない』じゃなくなるしよ」

シャラ :
「……あの言い方じゃ、あいつと組んでるヤツがいるはずだ。
       ジャイキリ
 オレらだけで大物撃破キメるとか思うのもキビしーぞ」

シャラ :
      ・・
「逃げる? 待つ?」

シドニー・ヘス :
 ちぐはぐで一方的な返答は、お手本のように極端だ。超えて、越えすぎて、二度と戻らない破綻のカタチ。
 ……対話の余地はない。あるには、あるはず。でもそれは彼の琴線に触れるお題目であれば、反応を引き出せるというだけの話だ。

シドニー・ヘス :
「だからって──」

 ジャームだから、で片が付くなら──
 決死の末に死亡を見届けた誰彼の意義はどうなってしまうの? 
 確かめられた死さえ覆るなら、何も……

シドニー・ヘス :
「……ごめん。また間違えた」

シドニー・ヘス :
「……こっちは破壊の巻き添えでこの体たらく。迎えの相手から合流しないとも限らない」

シドニー・ヘス :
 後ろ手で、シャラに紙束を押しつける。装備の内にしまいこんでいた資料が、いま残せた唯一の手掛かりだ。それさえ、どれほどの意味があるのかはあやしいけど。

シドニー・ヘス :
「待つ。……ううん。逃げない、かな」

シドニー・ヘス :
 Tempest
「嵐の対抗者である小官が、国の脅威を前に退くことはありません」

シドニー・ヘス :
「──逃げて。絶対追わせない」

SYSTEM :
 それはファースト・インパクトを耐え切れども制し切れず。
 勇士たちの逸話が、御伽噺でないことを、戦没者たちの墓から、生き延びた者の戦傷から知り。

 テンペストの名の所以を知りながら、その必要性を携えもせず、ただ己の答えのために飛び込んだ人間の、意地などではない、責務の発露だった。

SYSTEM :
 特別なこともなく芽生えた自覚の延長線。
 軍人、特に不相応だろうとも士官の椅子を用立てられた人間の心構え。

『ミソラ』 :
「…。シャラ」

SYSTEM :
 ところであなたは軍人ではないし、
 あなたの連れはより軍人ではない。

 そもそもブラストハンドへの加名理由と来たら、道端の理不尽に“かちん”と来たからである。
 人の機敏に人一倍敏く、面のわりにこころの起伏の烈しいサガの持ち主だったからだ。

SYSTEM :
 従ってあなたの一瞬の火付けを、ただ行いが無謀だからと見逃すような女ではなかった。
 だから、その呼びかけの意味はシャラ本人が一番わかる。

 もし本当に、シドニーの“逃げろ”に応ずるのならば…。

“闘争卿” :
「ほォう」

“闘争卿” :
「そうだ! 将棋を知っているかニューエイジよ!
 あれには、どうしても、止むを得ず…」

“闘争卿” :
 ・・・・・・・・
「捨てざるを得ない棒銀とかいう駒があった。
 大事のために小事に拘らん、というアレだ…」

“闘争卿” :
「…おまえたちは変わらんなあ?」

SYSTEM :
 …放っておけば”追わせない”を無視して一撃入れようとするミソラをひきずって。
 懐旧なのか悪意なのか、賞賛にしては無遠慮に誇りを踏み躙ったジャームの戯言を、戯言だと聞き流すよりほかにないわけだ。

シドニー・ヘス :
「それは結構。戦略的に正しいと、三年前のあなたが証明してくれた」

シドニー・ヘス :
 言い返しながらも、頭は沸騰しそうだ。するべきでない激発とパットの横槍が、煮え立つ熱気にあてられて感情を火達磨にする。
 冷却は──いい、要らない。意地でも激情でも、あたしを棒銀にしてくれるなら、何だって使う。

シャラ :
───「──逃げて。絶対追わせない」

───〈後は任された! 突っ切れ!〉

シャラ :
 …………。

シャラ :
 冥のことは、この際いい。
 あいつは好きに生きてるだけだ。
 そこに針の先ほどのなんかがあっても、それはそれでいい。

シャラ :
 ……あのおっさんはそうじゃなかった。
 鋼の竜──サンゴいわく『宝物を守るために竜になった男の名前』──に乗っかった軍人は、他のおっさんどもがオレらを見ていたときの目と同じ気持ちで命をかけたはずだ。
 いま目の前にいるシドニーみたいに。

シャラ :
「……わーってるよ」

シャラ :
 押し付けられた紙は、それでも懐にしまい込んだ。
 盾の後ろにいるやつのほうが、まだ焼かずにいられるかもしれないからだ。

『シャラ』 :
──得る利などない
──得るのは

『シャラ』 :
──責務に殉じたという事実だけだ
──………。────
──よって ハズレ

『シャラ』 :
──好きにするがいい

シャラ :
ヨッシ。

シャラ :
 太鼓判を押されて、シドニーを脇へやるように前に出る。
 どう考えても損しかないけど、構いやしない。

シャラ :
「やなこった!
 オレは全員で逃げるか残るか聞いただけで、誰かひとりが残れっつってねーっ」

シャラ :
     ・・
「そもそも特効のおっさんが後ろにいんだからよ、耐えて耐えてそっちアテにすりゃイーだろ!
 カッケーまま歴史残るとか、オレとミソラが気分悪ィから絶対すんな!」

シャラ :
 ……正しくても気分悪いからオレらにはボツ、以降すんな! って話!

シャラ :
「『俺をおいて先にいけ』はな、特に特に特に特にオレ様の前で!
 シュミで死にに行くときと勝算あるときしか禁止な!」

シャラ :
「待つぞ、メチャ踏ん張ってェ!」

シドニー・ヘス :
「うえっ?」

 わきへ押しやられて、素っ頓狂な声が出た。ふたまわり高い位置にある後ろ頭を、目を白黒させて見つめる。

シドニー・ヘス :
 まるで子供のケンカみたいな、舌出してべーってする勢いの反駁。でも子供みたいに意地を張ってるのは、あたしのほうだ。

シドニー・ヘス :
 付焼き刃の信念。急拵えの戦士。呆れるほどのインスタントぶりに、彼らが付き合う義理なんてない。

シドニー・ヘス :
 ──なんて、言ったらもっと怒るだろうなぁ。

シドニー・ヘス :
     Tempest
「も-っ、あたしたちはカッコいいから良いんだってばっ」

 でもアリガト! と、また早すぎると言われてしまいそうな言葉を一旦しまい込んで、跳ね起きた体で隣に立つ。

シドニー・ヘス :
「号令──食い止めて、持ち堪えて、メチャ踏ん張る!」

 決死の覚悟を、負けないド根性に入れ替える。胸に滾る感情はこちらのほうがよほど心地いい。

『ミソラ』 :
Roger
「了解。食い止めて、持ち堪えて、メチャ踏ん張る!」

『ミソラ』 :
「ちなみに別に倒してしまっても───」

シドニー・ヘス :
「頼もしいのに不吉!?」

SYSTEM :
 珍しすぎるワケでもない。
 人の死も。オーヴァードの末路も。

 だがそれが、珍しすぎるワケでもないからと許容するには、若者には割り切り癖がつき切っていなかった。

SYSTEM :
 なお、そうと分かった瞬間のミソラはすぐにエンジンを取り替えたが、それはそれとして。

“闘争卿” :
「………ハ、」

“闘争卿” :
「ハ、ハ、ハ、ハハハハハハハッ!」

“闘争卿” :
「生き延びる!? このオレを前に生き延びるか、いいぞ!
 小賢しく出るよりよっぽど好みだ!」

“闘争卿” :
「しかしそのストレートはな…。
 このオレの本分なのだよ。オールインの結果はハズレだ!

 しかもそこの小僧! 聞き捨てならんことを口にしてくれたからな。”闘争卿”の進撃にあたってフルチャージだ!」

“闘争卿” :
「どちらだ? いや…、失礼! 聞くまでもなかった。
 リベンジなど! 次はそれもいいなあ!」

シャラ :
「テンペストさんだろーがなんだろーが死んだ瞬間全員ダサ蔵だわ! バーカ! なにが戦略的勝利だっつの!」
 シドニーには言い返すけど、闘争心の塊みたいな男の注意がこちらに向いた瞬間心臓はバクバクだ。
 こいつからは濃厚な強者の気配がする。
 あらゆるものを、自分より弱いからって理由だけで弱者の型に押し込められる、天性の蹂躙者の気配。

シャラ :
「ラジャ!」

 ・・・・・・・・・・・・・
 だけどそれがなんだってんだ。
 数日間で2回もクソダセェ死に方してたまるか。
 恐怖は反骨心と生への渇望で解けて消える。

シャラ :
     リベンジ
「テメーの汚名返上なんて機会はねーっ!
 オレらにヤラれて! 雑な復活怪人になるのが先だ!」

シドニー・ヘス :
「ダサ蔵!? 復活怪人!?」

 イリーガルのコトバって難しい……じゃ、なくて!

シドニー・ヘス :
「少佐……"ホワイト・スカイ"も合衆国も、同じ相手に敗けたりしない。三度目の成功体験にしてあげますから、そのつもりで」

SYSTEM :
 こと、フィクションの世界では、よみがえる怪人などというのは、生前よりも扱いが乱暴で大雑把なものである。

SYSTEM :
 ではフィクションが堂々と闊歩するオーヴァードの世界ではどうなのか。
 それこそ始めの話題に回帰するが。”あり得ない”はそうなく。それを起こすものは大概、踏み越えてはならない一線を越えている。

“闘争卿” :
「フハハハ、ニューエイジ! 
 威勢の良いセリフのお礼に、よおく覚えておけ…」

“闘争卿” :
 アルターコード ・・
「“闘争卿”は不滅だ!」

SYSTEM :
 それが、ジャーム特有の、現実を捻じ曲げる歪んだ情念なのか…。
                   スペック
 あるいはただの事実や打算、らしからぬ性能の誇示であったのか。

SYSTEM :
 ただそれが、何れであっても違いはない。
 まるで山が歩くような足音、天高くから一方通行で照り付ける感情の光輝は、概ね破壊的な衝動に変換されているように見えた。
 少なくとも…最後の台詞までは。

“闘争卿” :
「旧態にしがみつく愚か者ども、この事実を以て、おのれの脆弱さを思い知るがいい…」 

“闘争卿” :
「オレが…オレこそがァ!
        おう
 新たなる世界の規範なのだからな!」

シドニー・ヘス :
「不滅、って……」

 想起に、推測が駆け巡る。世界を歪める衝動の排気──類型化されたデータの中で、普遍的にジャームの脅威を補強する不屈の生命。

シドニー・ヘス :
 ──復活怪人のほうが、まだましだ。三年前に確認されたハズの死が間違っていた? 決めつけるのはまだ早い。でも……。

シドニー・ヘス :
「あなたに……壊す以外の何ができるって言うの!」

 彼のことは、伝え聞く話でしか知らない。未然に食い止められてなお零にならなかった被害規模も、数値の理解だ。
 けれど今、肌を焦がす欲望の熱気が否応なしに理解させる。灼熱の恒星からもたらされる恩恵なんて、ない。

シャラ :
「ハ……」

シャラ :
「……新たなる世界ねェ?」
 その言葉が、オレのもう一つの頭脳をさらに冷たく冷やす。

『シャラ』 :
『たどり着いてもいない者は、誇らしげに囀ることよ』
 ワントーン低い声が、オレの声帯を勝手に横取る。
 臨戦態勢だからってもう元気に出てきてやがるな。それともふつうにムカついたのか?

シャラ :

シャラ :
「……じゃあ!
   ヨワ
 その脆弱いモンにまた鼻っ柱折られてみよーぜイカれ野郎! 不滅ってのがマジか確認してやらァーッ!」

“闘争卿” :
「何ができる? たどり着いていない?」

“闘争卿” :
「ならば…」

“闘争卿” :
「ならば…さらにひとつ。
 偉大なるアルフレッド・J・コードウェルは…」

“闘争卿” :
    ・・・・・・
「そんなつまらんことを考えて…。
 オーヴァードをやっていたと思うのかね!?」

SYSTEM :
 あるいはそれは琴線に触れる話題だったのか。
 臨戦態勢の瞬間、彼の声色が変わった。

“闘争卿” :
「彼とて、今や世界を破壊しようとしている!
 そのやり方は…尚も俺好みではないがね!」

“闘争卿” :
「そして既に彼の出る幕はない。

 新たな時代を切り拓いても王になれなかった男のやり残しに、誰かが続く時なのだ! 時代なのだよ!」

“闘争卿” :
     ・
「そう! 次が俺だ!」

SYSTEM :
 迎えに来たという何某も省きに省いた自己主張。
 世界を己の手で動かす大望を臆せず語るドレッドノート。

 易く、それでいて普遍的な、ありふれた人間の強欲だ。

シャラ :
 ……コードウェル……。

シャラ :
 たしか、『こちら側』だといまはFHの先鋒に近い場所にいるんだったよな。
 『あちら側』じゃあしばらく話題にも出なかったから、思いがけない名前に、それを思い出すのが遅れた。

シャラ :
 でも、そんなナントカ博士の例を持ち出さなくてもわかる。
 このジャームはあいつになりたいんだな。

シャラ :
「知らねーッ! 偉そうなこと言っといて出世願望じゃねーかっ、王様はおままごとでだけやっとけっての!
 テメーみたいなのに『次』なんてねェんだよ!」

シャラ :
「どうせ……テメー以外、誰にとってもクソつまんなくなるだろーからな!」

“闘争卿” :
「どうかな…作るものなのだよ! 次というのはなあッ!」

“闘争卿” :
「折ってみろ! この俺を!
 その徒労が、決定的な立ち位置の差を見せつけるだろう!」

SYSTEM :
 そして俺はまたひとつ手に入れる! と。

 喝采にも陶酔にも聞こえる言葉。
 破壊的な衝動、恩恵のない太陽。
 純粋な暴力の形をエンジンにした男のそれは、別に対話ではない。
 ただ、求めるという形が服を着て歩いているような男のそれだ。ここのところに何ら違いはない。

SYSTEM :
 彼は立派なジャームだ。
 そう見える。

 衝動に基づいて行動を起こし、
 欲求を既存概念より優先し捻じ曲げる。
 刻も道理も知らない怪物の一匹のように。

『ミソラ』 :
「(………? 今の、なに)」

SYSTEM :
 一度だけ異なった声色の正体が向上心ならば、と。
(仮にも)ノイマンが、その衝動の答え合わせを行う前に、事態は動いた。

 厳密には、事態の中心が動き出した。

“闘争卿” :
「──────行くぞォッ!!」

SYSTEM :
 それほど複雑ではなかったはずの任務は、一度複雑化してから、このひと時のみきわめてシンプルな形に回帰した。

 生き残る、だ。

 かつて先人たちが、思いもよらぬ荒波に翻弄されたように、その大波の第一波が”闘争卿”だった。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 再び視界がゆがむ。
 接触した、レネゲイドを結び付けた電子同士が引き起こす衝撃は、
 如何なる理屈で形成されたか、この空間においては何よりも勝る雷撃のシンドロームにより齎された。

SYSTEM :
 衝突、というには語弊がある。あなたの視界には、依然変わりなく“雷人”がいて。
 その手で放たれた、デモンストレーションでもなんでもない「実践」が、しかしなぜか貫かずにその場にあなた/ノアを留めていた。

 無意識のうちの能力行使だったのか、それとも。
 何れにせよ、あなた/ノアが行使した権利の結果、傾いた分岐路に待っていたのは、あなたにもう一度疑問を口にする権利だ。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈流れ───いえ、だれか来る…?〉

SYSTEM :
 鳴り響く遠雷が、急速に近づく。
  テクスチャ
 現実の表層にきわめて近く、限りなく遠い。電子を源流とする空間。
 亜光速で常に動き続ける電気の流れで構築されたその世界を、人間は感知し得ない。 

SYSTEM :
 オーヴァードでさえ、本来その場所に足を運ぶなど出来る筈がない。
 名高きゼウスのごとき男さえ、稲光の内側を覗くなどかなわぬ話だ。

 だが引き摺り込む、が成立したのは。
                ・・
 その乱れた0と1の羅列から訪れた彼女が、偶々同じ適性を持っていたからだ。

“雷人” :
『 出来すぎた偶然だ… 』

“雷人” :
    ブラックドッグ
『 他に電子操作のオーヴァードが、紛れ込んでいたとはな。
  ………転ぶ先の備えには、“闘争卿”は役立たなかったか 』

SYSTEM :
 あなた/ノアと、雷人を名乗る男のちょうど真ん中。
 急速に近づき、先に視界に入れたような“ばちばち”と輝く稲光と共に、誰ぞが姿を現した。

 その見た目のファンタジーぶりはハーフィに勝るとも劣らなかったが、意匠は聊か以上に異なる。
 あるいは、全員が別の世界の住人と言われても不思議ではなかった。

SYSTEM :
 そしてそれは…。

 電子の扉を潜り抜け、引き寄せられるように飛び込んだあなた/マキナにとっても同じこと。

 鮮やかな、青い翅と。金色の髪。見ず知らずの少年の背後に守られていたその娘。
 どちらに目を向けたのかは知らないが、目を開けた瞬間に流れ込む情報は、前方の彼女たちと、そして背後に佇む気配だった。

SYSTEM :
 ・・
 ここは何処か、の答えより先に…。
 消去法でもっとも”らしい”姿をした、曰くクリフハンガーが視界に入る。
 幸か不幸か、ゴタゴタの中で、一応あなたは早いもの勝ちの順位に入賞できるくらいの位置にはついたらしい。

 “電子の妖精”。その姿はまるで。

SYSTEM :
 そうまるで、蝶のようだった。
      モルフォ
 鮮やかな青い翅の蝶。

ノア・ウィンターズ :
 はじめて
 1回目は、ワケもわからないまま過ぎ去った。
 目を閉じたままだったから、ただ嫌に聴き覚えのある風切音の幻聴が遠く聞こえただけだった。

ノア・ウィンターズ :
 2回目は、知覚すら出来ないままだった。
 確かにボクを貫いたはずの稲光が、確かにボクを貫いた軌道で電子の粒子を残したのだけが視えていた。

ノア・ウィンターズ :
 3回目は、その奇妙な現象に名前が与えられていた。
 ・・・・
 電子変換───その言葉が耳に届いて、ボクの脳裏ではようやくグチャグチャのパズルの最後のピースが揃ったような気がしたからだ。

ノア・ウィンターズ :
「これ、まさか……
 カゲロウ
 電磁結界──────!?」

ノア・ウィンターズ :
 そんなバカな、と笑うボクの常識を、目の前の景色が乱暴に蹴り飛ばす。
 ここがゲームじゃないなんてとっくに分かってる───むしろここは、ゲームよりよっぽど現実離れしてる場所!

ノア・ウィンターズ :
 目の前で起こった、もう驚くのも疲れるほど何度目かの天変地異は、ボクの直感をボク自身よりも力強く肯定した。

ノア・ウィンターズ :
「──────」

ノア・ウィンターズ :
「──────ねぇハーフィ。
 シツコイようだけどさ、もっかい教えて」

ノア・ウィンターズ :
「ここ、マジでボクの夢でもゲームの中でもないんだよね?
 『ダブルクロス』でも見ないスキンの子がまた来たんだけど……!」

ノア・ウィンターズ :
 なんだあの……なに!?
 いろいろと大丈夫なのかな、その服装───!

SYSTEM :
 あなた自身がその言葉を愚問と分かっていようが、そう口にせざるを得ない。
 そもそも『ダブルクロス』は、根幹的なものが、王道的ファンタジーの世界観で構築されている。見ないスキンどころか対極だ。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…ええ。夢の中なら、もうちょっとわたし、ファンシーに登場するわ。目の前の彼だって“あんな”ではないかも〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈けど………〉

SYSTEM :
 彼女は、と、何かをつかみ損ねているように当惑するハーフィにも、当然ながら“雷人”にも存ずる様子はないようだった。となればあとの証言は…。

マキナ :
 自己を構成するすべてが分解し変換され、時間を超える速度にまで加速する。
 電子化された五感。意識なんてものがあったのかどうか。
 無我夢中で飛び込んだから、その辺の転送時の感覚はよく分かんなかったけど……とりあえず、直感は間違えていなかったみたいで。

マキナ :
                     リザレクト
 ……0と1の"情報"に分解された肉体と精神が再構築される。
 意識を取り戻す頃には、私は片膝ついて蹲る姿勢で五体を取り戻していた。
 何となく馴れ親しんだ感覚がするのは、オーバークロックか、電脳空間へのダイヴと似ているからだろうか。

 感覚を確かめるように、コートをなびかせて立ち上がる。

マキナ :

「(──ッ、耳鳴りが、止んだ……)」

 チェックサムの確認は……まあ、無理だよね。自己の連続性の保証なんて、今するコトない。
 そんなのは今後回しで。
 どうやら私、取り込み中のとこに突っ込んできたみたい。イレギュラーの事態が起きているコトは、ザックリ予想してたけど。

マキナ :
 両目のセンサーで素早く確認。お二人がこちらと目が合うのをいいことに、照合開始。
 ──10代女性アバター 該当データなし。
 ──10代男性アバター 該当データあり。
 個体名ノア=アルコア・ウィンターズ。年齢13歳男性、以下略。

 ノア・ウィンターズ? ……何のために、は兎も角、何故ここにいるのかはさっきの現象で明らかだ。
 突然消失したように見えたのは、さっきのアレが原因か。

マキナ :
 そして……今まさにテンパった様子でノア少年が問いをぶつけてる。あのいかにもって姿の子……。
 鮮やかな蝶の翅。輝く金色の髪にブルーの瞳。

 蝶の翅だ。まるでどこにでも飛んでいけそうな。自由の象徴──。

 直感だ。こんな「如何にも」な姿かたち、逆に警戒すべきとこだけど、それが逆に直感を後押しした。
 この子が……

マキナ :
「……オーケー。
 とりま、ヤバそうな状況なのは理解ったよ。
 スミに置けないねノア少年、覚醒めて早々お姫様を背にするなんて、大した順応性じゃん」

マキナ :
「とりまうちのことは負けイベ中断させに来た味方NPCとでも思って話して欲しいんだけど、そっちのおっさん何」
 二人に問いを投げつつ、その奥の長身への警戒に視線を斬る。
 ──該当データ、なし。
 ただ、纏うレネゲイドの質量で言えば図抜けている。ウチが言うのもなんだけど、無機質で、淡々とした調子も……ひたすら不気味さを感じさせる。

 いやだねえ、これ。ジュブナイルにありがちな、子供達に立ち塞がる悪い大人そのものじゃん。

ノア・ウィンターズ :
「ん゛なっ……う、うるさいなぁ!」

ノア・ウィンターズ :
 急に出てきて早々、初対面でイキナリ言うことがそれ!?
 思わずムカッ腹が立って、叫んだ言葉なんてほとんど反射だ!

ノア・ウィンターズ :
 そんな子供っぽい反応したらどうなるかなんて、ボクが一番よく分かってるのに!すぐ数秒あとで生まれた後悔を振り払うように、ボクはまだ回り切らないアタマを回す……

 ……で、このコいったい誰!?

ノア・ウィンターズ :
「あーもう、そんなのどうでもいいだろ!
 ってか、ボクだって知らないよ!」

 “あと負けイベじゃないし!”……はまるっきりウソなので、ギリギリで飲み込んだ。

ノア・ウィンターズ :
「確か、ええと……イスカリオテだとか、なんとか……あとは……
ニコラ・テスラ
  “雷人”とかって名乗ってたけど!?」

“雷人” :
『 自分を、夢想に立ち塞がるフック船長などと己惚れる気はない。
  であるに、好きに、呼んでもらってかまわないが…そうだな 』

“雷人” :
『 二度、長々と自己紹介をするのは芸がない。ないが…自己表現の代弁をされた以上、無下にするのも主義ではないな 』

“雷人” :
  Nameless  ニコラ・テスラ
『 “刻知らず”の…“雷人”… 』

“雷人” :
『 わたしは自分をそのように定義している。
  ・・・
  そちらも、わたしを示す記号ではあるが 』

SYSTEM :
 無機質と形容したその言葉は、第一印象ながらこれ以上ないほどに的を得ていた。
 吸い込まれるような声の響きは、同時に…距離がひどく遠い。

SYSTEM :
 その統括者たる様は、一瞬話題に出た”イスカリオテ”とも、そう遠くない。

 ならば彼はその役の椅子に座ることはできるだろう。
 人格や、信念…あなたも詳しくは知らない”コードウェル”という男のすべてを無視するならば。確かに彼は…。

“雷人” :
『 世界を掌握すると願うもの、次の未来を望むもの、己が欲望を満たすもの…。
  棄民の抱く欲望の一切に応ずる器が…わたしだ 』

“雷人” :
『 このマスクもそのためのものだ。
  人の厚意は素直に受けなくてはならない。趣味に合わないことでもな 』 

SYSTEM :
 彼は、自惚れでもなんでもなく。
 犯罪者の首魁であった。
    ・・
 ならばなぜ…。

SYSTEM :
 なぜ、何の目的があって。

 電子の妖精を追ったのか?

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈誰…かは、ともかく。悪気のある人じゃないみたい〉

 あと負け…? とか、NPC…? は、わかんないのだけど…。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…でも…気を付けて。彼女にじゃないわ。彼に。
 さっきまではわたしだけだったけど、“きみ”も…ノアも、視界の中に入れてるカンジがする〉

ノア・ウィンターズ :
「負けイベってのは……
 ……いいや、とりあえず“あとで”説明する」

ノア・ウィンターズ :
 ボクもゲーマーだ。何もかも分からないことだらけでも、ゲーマーの勘で分かることはある。
 ・・・
 あとで、なんてあり得ないのが負けイベだなんて説明してる場合じゃない。

ノア・ウィンターズ :
「アイツ、なに言ってるのか相変わらず分かんないけど……
 言ってるコト、まるっきりゲームの中の魔王みたいだ」

ノア・ウィンターズ :
 ……そして。
       ・・・・
 これがもし、負けイベだとすれば。
 いきなり現れたムカつくコイツは……敵でも味方でも、きっと次のイベントに導いてくれるNPCだって相場が決まってる!

マキナ :
「……ははあ、そういう」
 ニコラテスラ Nameless
 "雷人"。"刻知らず"の首魁。イスカリオテを騙るもの。
 直感はドンピシャだ。相当危ない局面だったらしい。もし少しでも尻込みしてたら、すべて終わってたかも。
 巻き込まれた一般人一人じゃ、荷が重すぎる相手が悪すぎる。向こうに回収されて終いだったろう。

マキナ :
「魔王ねえ……まー似たようなもんか。テロリストなんて連中はさ」
 ゲームの奴は兎も角、その大元を遡れば体制の叛逆者だからねぇ。
 熱のこもらないトーンで語るそいつを横目に、茶々を入れながら、"雷人"への注意を怠らず考えを巡らせる。

マキナ :
 要するに自分はそういうロールをこなせる存在なのだと、アピールしている訳だ。
 大義名分の主張はテロリストの王道だ。けど、それだけに留まらない気がしている。喋れば喋っただけ、最初に抱いたシステマチックな印象が補強される。

「そりゃ難儀なコトで。その御大層な大義とこの子達とに何の関係があるのか、聴衆の一人としてはキョーミがなくもないけど……」

マキナ :
 ……それにしても、どうしよっかこれ。
 サシなら兎も角向こうのテリトリーで、人質抱えながら一戦構えられる程、こっちの装備は充実してない。
 っていうか、多分こっちに有利な場所でのサシでもまあまあ不安だな、あいつ全然底が知れない。

 ずらがるにしても、糸口が掴めてる訳じゃないし。逆の出力を見つけたら、リアルワールドに逃げれるかもだけど……
 向こうが一応様子見してるのが不幸中の幸いかな。対話に応じて確認する時間を稼ごう。ついでに情報も得られたら御の字だ。

“雷人” :
『 御大層な呼び名だ。子を死に至らしめる、という意味では即してもいる。
  ただ生憎と、ゲーテの戯曲めいた真似までは出来んな 』

“雷人” :
『 だが、もっとありふれた陳腐なものならそれもいい。
  ・・
  其方を望むようなのがいないではないからな 』 

SYSTEM :
 薄らと緩む口元に嘲りも高揚もない。
 単に”そういうものを望んだ人間もいないではない”と、淡々と事実を語った程度だ。

 では、その望まれる行いに何の関係があり。
 この場をどのようにして訪れたのか。
 …警戒を表層にも出さない軽口で探りを入れるあなたを男がどう捉えているのかは、仮面の所為で推し量ることは出来ないが。
 少なくとも、口を利くという意思はあるようだ。

SYSTEM :
 そもそもあなたを引き摺り込んだこちらは、本来人間が可視化することもできない、帯電体から導体を流れる電気の流れ。
 そうした電子空間にR因子が結びついたものである。

 ならば理屈としては、認識も操作もできる…ひょっとすると離脱も、探りを入れるだけ入れたら出来るかもしれないが。
 その内側に宿る自我との詳細なコンタクトは本来不可能だ。

SYSTEM :
 文字通り力技で被害を問わず、こじ開けようとしてみるか、あるいは…。
 チャンネルを切り替えられる誰かがやってみるか。それと並列して、男の声が響く。

“雷人” :
『 残念だが、きみが立ち位置を明確にしない限り、そちらを詳細に答える義務はない。
  仮に…その魔王役を快諾したとてな 』

“雷人” :
『 だが、わたしは逸楽や好奇心で人殺しはしない。
  喪失にも獲得にも、相応の対価をつり合わせたがるのが人間だ 』

“雷人” :
『 従って…。無益な戦闘行為は望むところでもない。
  きみがただのオーディエンスを主張するというなら、この場これより目をつむり、口を噤んで頂けるとありがたい 』

SYSTEM :
 つまり、聴衆を主張するなら無関心でいろ、だ。その意識は、それなりの不確定要素として、淡々とあなたの存在を見積もっている。

 様子見もそこまで長くは続かないだろう。

マキナ :
 ……チッ。どこまでも、システムみたいな応答を。
 まあ当然の回答だろうね、もっと気の利いた演説の続きでも聞かせてくれりゃマシな手を見つけられたろうに……

マキナ :
 ……腹、決めるかな。どの道狙いは同じで、分け合うコトなんて出来ないんだし。
 意外と話せばわかるヤツ、なんて期待……元々あんましてないし。

 それに……。

マキナ :
「立場ね……なら、教えてあげる」

 腰に佩いたブラスターにそれとなく手を伸ばしながら、二人より前に出る。出来るだけふてぶてしく。
 デウ ス ・ エ ク ス ・ マ キ ナ
「"御都合主義の装置"だよ。
 とりわけあんたみたいなのがデカいやらかしを起こす前に、決まって出てくる秩序のセーフティってとこ。

 まあ……多分おたくらの考える『秩序』とは、ちょっと意味合いが違うけどね」

“雷人” :
『 事態解決の最終手段か。
  ケレン味の利く呼び名だ。随分な役割で定義されたらしい 』

“雷人” :
『 その抑止力で覆われた傘に、どうもわたしは入っていないらしい。
  もっとも、むべなるかな、というところだ。此方はきみの言葉を借りるなら“やらかす”ために此処にいるのでな 』

SYSTEM :
 男はあなたの言葉を…聴衆の立場で終わらせるつもりでもない、と受け取ったらしい。
 微かに思案を含む表情は、秩序の意味合いの違いを訝しむでもなく受け流した。興味がない、というよりは、きっと“どちら”でも到達する結論が同じだからだ。

マキナ :
 堂々たる物言いに、ハッと鼻で笑って返す。
 こうなったらやり合う中で逃げ道を探るしかないケド、上等じゃん。
 ……器だ立場だ、こっちだって伊達や酔狂でその名前掲げてる訳じゃないんだよ。

マキナ :
 寝たきりの病人だとか、いたいけな女の子だとか、立場は兎も角……ここでパンピー置いておめおめ逃げ帰ったら、またあの時に逆戻り。してたまるか、そんなの。

「……そうそう」

 ふと、コートの背中越しに後ろの子たちに声をかける。

マキナ :
「マキナでいい。
 ……名前だってば、私の。
 正義だ悪だ、戦争だ平和だに関わる気はないケド……
 そこの子の味方であることだけは断言していいよ」

ノア・ウィンターズ :
デウス・エクス・マキナ
 機械仕掛けの神様.....?
『ダブルクロス」で、機械系のオーキィがそんな名前を口にしていたっけ。

ノア・ウィンターズ :
 でも、機械仕掛けっていうには……こう、なんかナマっぽいし。神様みたいなエラそーな雰囲気もない。

 アイツがニコラ・テスラでもユダでもないみたいに、このコの使ってるHN……いや、“ヒーローネーム”みたいなもの?

ノア・ウィンターズ :
 ……ああ、もう!
 そんなこと言ってる場合じゃないし、悔しいけど……!

ノア・ウィンターズ :
 クサいと思ってるハズなのに……
 正直、なんかカッコいいじゃないか……!
 アイツ相手に全く怯まず、堂々と対等に話してる感じとか……!

ノア・ウィンターズ :
 いきなり空間から現れて、ふてぶてしくボクらの前に進み出て、堂々と名乗りながらボクらの前に立ち塞がって……たぶんボクらを守ろうとしてるのが、なんか余計にムカつく!

ノア・ウィンターズ :
「…………マキナ、でいいの?
 せっかく出てきたトコ、悪いけど……」

ノア・ウィンターズ :
「ひとつ、ボクの名前は“デキュラ”だ!
 ボクだって戦える!……多分!
 守ってもらわなくてもケッコーだよ!」

ノア・ウィンターズ :
「……そして、もうひとつ!
 キミが“ハーフィ”の味方だって言うんなら、ちょっとボクに手を貸しなよ!」

マキナ :
「へえ~……ナマイキ言うじゃん、なりたて若葉マークのノア君。
 こっから先はロールプレイじゃ済まないよ? コンテ無し、一発勝負、負けたら永久アカBANだ。覚悟、出来てるんでしょうね」

ノア・ウィンターズ :
「……ッ、上等だ!
 ボクは天才プリズナーのデキュラ様だ!ノーコンティニューでもやってやる!」

マキナ :
「オーケイ。その調子だ、ヒーローってのは結局のところ……
 そーゆーところでデカい口叩けるかどうか、なんだからね」

SYSTEM :
 …あるいはそれも、一山いくらの”やられ役”のロールと、数奇と偶然を以てさよならした先達の経験談なのだろう。
 ピンチの時ほどなんとやら、だ。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈マキナ…〉

SYSTEM :
 どこか…呼び名を確かめるような声の響きが、名乗った名を呼んだ。
 幾許かの不安を伴った声だったが、ノアの様子を見て、それを仕舞い込んだらしい。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈どうやって彼が此処に来れたのか分からないけど…少しくらいの時間があれば───〉

SYSTEM :
 だが。稲妻をわが物とする”雷人”にとって、電子空間などというのは正真正銘のテリトリー、ホームグラウンドだ。
 仮に、このまま戦ったとして…。
 更に、その病み上がりのノア・ウィンターズが戦えるとして。

 男が完全な見掛け倒しでない限り、待っているのはおそらく。
 脱出口を探す(こじ開ける)のが早いか、レネゲイドの再生負荷に耐え切れなくなるのが早いかの戦いだろう。

SYSTEM :
 しかしオーヴァードにとって、事前の数値や比較ほど…。
 あてにならないものはそうなく。

SYSTEM :
 どちらにも、少なくとも“雷人”から活路の糸を引っ張り出せる余地はあった。
 その胸に渦巻く、名をマキナに与えた遺産の雷が。はたまた、電子のかたちに蘇ったノアに宿った、きわめて近く限りなく遠い力が。

SYSTEM :
 だからこれは、例えばの話なのだが。

“雷人” :
『 あくまでも抑止を主張するか。
  それならばそれでいい 』

“雷人” :
『 だが、不確定要素が二つなら。
  やり方を変えよう 』

SYSTEM :
                   ロール
 彼がもしも“闘争卿”ほどに向こう見ずの役割を尊重するなら、少年少女の意思表示に突きつける行いは一つを除いて他になく。

 男は徹底してそのような易い欲望や自己顕示欲とは無縁だった。

SYSTEM :
 仮に…決裂したとて、障害となるものがノア一人であるのならば。
 彼はこの場で、あなたが持つ能力に”馴れる”前に幾らかの打てる手を打つことで、開花前の才能を摘むことに全力を費やしただろう。 

SYSTEM :
 しかしその状況が変わった、と分かれば…。

“雷人” :
『 然る碩学はかつて
  未遂に終わったこの力をこう定義している 』

“雷人” :
『 雷と或るものを、神より人へ 』

“雷人” :
 World Wireless System
『 ワールド・システム…とな 』

SYSTEM :
Effect:【ドミネーション】【電子結界】/【マグネットムーブ】
Player:“雷人”
Target:?????

[Add's]
・電子の流れを可視化し、その空間内に侵入する。もしくはその流れを改変・操作する。
 転じて、電気の流れるものであるならば大抵の動作が可能。
・この能力を行使して電子空間から現実の位相へ移動する。(この際、ハーフィを対象として引きずり込む) 

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈え───〉

SYSTEM :
 その瞬間…辺り一帯に激しく走る雷霆が、空間に雑音を走らせた。
 莫大な電力投射が表側の機器に負荷をかけながら共振を起こし、
   テクスチャ
 電流が表層を力技で書き換えながらこじ開ける。

SYSTEM :
 現実には知覚し得ない電子空間が此処ならば…。
 その行いは真綺那の知覚通りだ。
 彼は彼自身の因子を用いて電子空間を可視化、変換し、それを自在に行き来している。

 あるいは何かが噛み合う限り、自分以外も。あなたを“偶発”として引き込んだのがいい証拠だ。

SYSTEM :
 ………それは。UGNもテンペストも見つけられる筈がない。
 情報も広まりようがない。

 電子空間をバロールの《ディメンジョンゲート》めいて使いこなすなど、
 そんな荒唐無稽が罷り通ろうものなら、彼らを知覚できる警備など存在しない。

SYSTEM :
 そしてそんなことが通常のオーヴァードに、通常の能力規模で出来る筈はない。

 ジャームの排気の“あり得ない”にも、実は彼らなりの限度がある。しょせん一体分のジャームの想像力の限度、とでもいうか。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈っ、きゃ…!?〉

“雷人” :
『 きみのうなずきを得られなかったのは惜しいが、それならばそれでいい。
  ただ、遠回りするだけのことだ 』

SYSTEM :
 そして彼はそれを用いて、あなたがもしも握っていたならば、その手ごと彼女を引き剥がすほどの磁力を。
 個体としては、あなた/ノアのような電子霊とおそらく“そこまで”は変わらないハーフィめがけて行使した。

 つまり単純に…。
 勝ち負けどうこうではない。律儀に相手取る、という発想がこの男にそもそもないのだ。

SYSTEM :
 空間がこじ開けられる。
 彼女を引き摺り込もうとする。

 止める、飛び込む…どちらも間に合うか、否か。
 ましてや逃がした場合彼女が“どう”なるか。考えるまでもないことだ。

SYSTEM :
 ただ、その空間がこじ開けられ、消えるまでの僅かな瞬間。
 ノアには薄らとした理解があった。

SYSTEM :
 …”雷人”のレネゲイド能力は…。
         ・・
 おそらくあなたと同じだ。

SYSTEM :
 具体的な理屈がどうというのは分からずとも。彼がハーフィを引っ掴んで退散しようというその瞬間…。
 
 追いかけるなり飛び込むなりするのを間に合わせることは、わずかな時間の猶予があれば出来るかもしれない。

SYSTEM :
【Guidance...】
 このシーン以降、PC1/ノアはエネミーエフェクト『異能の継承』により『ドミネーション/電子結界』を獲得します。
 ただし、どちらも本来それぞれの用途では使用できず、『雷人』を始めとするオーヴァードが該当能力を使用した際の対抗宣言、もしくはシーン中の『宣言可能』アナウンスが発生した時に使用するものとします。

マキナ :
「……!」
     ・・・・・・・・・・・
 コイツ、それをされたらお手上げなことを、平気で──!
 油断も隙もあったもんじゃない、その手のコトされないために気を張ってたってのに……!

マキナ :

 ふざけないでよ……
 これじゃあ……
 ・・・・・・
 あの時と同じ────

ノア・ウィンターズ :
「────────!」

ノア・ウィンターズ :
 バチン、と弾かれるように右手に痛みが走って。
 うしろに居たはずのハーフィのちいさな悲鳴が、何故か前へと引っ張られていって。

ノア・ウィンターズ :
 目の前を埋め尽くす電流の津波を見て、何が起こったのかをようやく理解したとき───

 ──────ボクのアタマは、一気にカッと煮えたぎった。

  :


 『 きみは何を欲した? 何を諦め、何を背けた? そして… 』

『 きみ自身はいま選ぶ力を得て、呼び戻す術を得た。
  そのうえで、もし今”そこ”に怒りを持つ余地があるなら… 』

ノア・ウィンターズ :
 ふざけるな……!
 ボクは怒ってるかって!? こんなの怒るに決まってる!
 なんでそこまでキミは勝手なんだ!勝手にやってきて、勝手に拗ねて、挙句にロクに付き合う理由もないから逃げ帰るって!?

ノア・ウィンターズ :
 脳ミソがハジケる。あたまが熱い。
 視界がエラーに埋め尽くされる。
 いまにもどうにかなりそうなあたまと視界の中を電流が埋め尽くして───

ノア・ウィンターズ :

「…………、え。」

ノア・ウィンターズ :
 ・・・ ・・・
 これは、なんだ?

ノア・ウィンターズ :

 歪む電界と磁界の中へ、ハーフィを引き摺り込んで逃げようとするそいつの全身を覆うように。
 いきなり、ボクの視界にピンクのマーカーが表示された。
 ───ボクは、これを知っている。
 ・・・・・・・・・
 ロックオンマーカーだ。『ダブルクロス』で幾度となく見たそれが、いま、ボクの目に投影されている。

ノア・ウィンターズ :
 あんな大口叩いてみたけど。
 ボクは、戦い方なんて知らない。アイツみたいに電気を自由自在に操るなんて、そもそもやり方ひとつ分からない。手足の動かし方だって、まだおぼつかないんだから。

ノア・ウィンターズ :
 でも……。
 このマーカーが表示された瞬間に、ボクはなぜだか根拠もなく確信した。

ノア・ウィンターズ :
 ボクは、闘える。

ノア・ウィンターズ :
 震えはずっと前から止まっていた。
 ボクがあいつと同じバケモノだってわかったからだと思っていたけど……多分、それは半分アタリで半分ハズレ。

 ボクは闘えるんだ。
 なぜって……闘い方なら、アイツが目の前で教えてくれてるじゃないか!

“電界翔ぶ蟪姑” :
≫!!CAUTION‼︎
 “電界翔ぶ蟪姑”が、行動を予告します。
 ⇒『オリジン:レジェンド Lv.4』

ノア・ウィンターズ :
「いい加減にしろよ……」

ノア・ウィンターズ :
「このボクの目の前で……
 好き勝手させるかよ、“雷人”ァッッッ!!!」

ノア・ウィンターズ :
===============================
COMMAND > BATTLE START!
===============================

▶ EFFECT : 《オリジン:レジェンド Lv4》+《ドミネーション》 + 《電子結界》
▶ RANGE : ▅█▂▇▇██▂
▶ AREA : ▅█▂▇▇██▂
▶ TARGET : ▅█▂▇▇██▂
▶ RESULT : ▅█▂▇▇██▂

===============================
> Please enter next command...
===============================

ノア・ウィンターズ :
 見様見真似で、全身にチカラを込めて……
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 『ダブルクロス』でやってた通りに、攻撃の激鉄を叩き下ろす!

 荒れ狂え、雷霆よ!
 すべて焼き焦がせ、ボクが願うままに───!

SYSTEM :
 あなたは…超常の世界を知らない。

 どこか浮いた話として、大人が喋るには荒唐無稽なアメリカンコミックめいた、
 ヒーローとヴィランの存在する世界の産物としてしか、彼の言葉を認識しなかった。

SYSTEM :
 レネゲイドとは、イメージの世界だ。ごく一部の例外を除いて、基本的に自身のイメージや意識を、因子は殊更に強く汲み取る。

 そこを踏まえれば、寝たきりの世界が戦いに直結するものなどあるはずはなかった。が…。

SYSTEM :
 しかしあなたにとっては、それが。
 飽きることなく繰り返してきた、VRゲームのロックオンマーカーが導く、
 ココロが覚えた基本動作のパターンが…。

 生きるあなたと“デキュラ”を結びつける、もっとも適切なイメージであり。
 はじめ語ったほうの望みの第一歩をこれ以上なく後押しするファースト・インパクトだ。

SYSTEM :
 迸る雷霆が二つ。
 激情の赴くままに、かつて名を馳せた天才プリズナーが、現実のテクスチャを侵略する。

 より詳しく言えば…。侵略者を侵略し返す!

SYSTEM :
 その雷に少女は目を瞑るも、そちらに当たる気配は微塵もなく、命中した先にいたのは仮面の男。

 焼け焦げる前に貫いた部分が稲妻の粒子と化し、空間の座標/彼が想定していた座標が僅かに、そして致命的に狂う。

“雷人” :

『 やはり、とは言ったが… 』

“雷人” :

『 …よほど強固なイメージがあったと見える。
  あるいは、わたしの自惚れが過ぎたか 』

SYSTEM :
 雷人の能力行使は既に引き金を引いた後。
 止まる、止まらないで言えば後者だろう。

 しかし…。
 あなたの干渉/イメージ通りに迸り、辺りを焼き払いゆがませた雷撃の鱗が、閉じる寸前の扉をズタズタに焼き切った。

SYSTEM :
 その撃ち抜かれ、追撃前に少女を手放し逃げ込んだ当人の口調は驚嘆ではない。

 ないが、何もかも想定通り、の口調ではなかった。それで驚けるほど“巡り合わせ”へ嘆き始めた人生を送っていない男の達観だ。

ノア・ウィンターズ :
 暴れ狂う電子たちは、みんなボクの思うまま!
 蒼き雷霆は、龍のような軌跡を描いてどこまでも続く電子の世界を所狭しと埋め尽くす!

ノア・ウィンターズ :
 でも、まだ制御はカンペキじゃないっぽい!
 ときどきコントロールに失敗した電流がボクの方にも飛んでくる───
     ・・・
 ────なぜかボクに当たっても全く痛くないけれど、ハーフィに当たったら多分マズイ!
 コントロールに必死で、ボク自身に何が起こったのか考えてるヒマがない……!

ノア・ウィンターズ :
 でも……

「───マキナ、聞こえるッ!?
 ハーフィは一旦逃がせたけどアイツが逃げる!見失ったらマズイ、後を追わないと!」

 いまはそんなことに怯んでる場合じゃない……!
 電子を掌へと纏めて、アイツがやってみせたのを真似て現実へと続く『扉』をイメージしに掛かる───!

マキナ :
「……!!」
 咄嗟に無駄な抵抗としてブラスターを構えはしたが、分かってる。
 あの空間の支配者であるアイツには、当たりやしない。
 ワ イ ヤ ー ド リアルワールド
 電子世界と現実世界を、選んだ相手諸共に自由にスイッチできるアイツにとって、その両方をまたぐことが出来なければ。

 けど……

マキナ :
               コイツ
 粗削りな能力行使、それなりに能力と付き合い長い私からすりゃ雑もいいところなRC発動。
 最初はそう思った。でも、違う……これって。

 ──当たってる! 効果もある!

 あちらのテリトリーだったものが、逆にこちらのテリトリーとして塗り替えられているのが理解る。

マキナ :
 ……"雷人"がわざわざ私が来るまで会話に興じていたのは、コレの所為だったのかもしれない。不確定要素をだらだら泳がせるぐらいなら、さっきの手を遣ってさっさと電子の妖精を拉致してればいいんだから。
 自分に対抗できる手段を抱き込むため……偶然見つかったこの子を抱き込もうとしたんだ。

 いや、この際、その推論が正しいかどうかかどうでもいい!

マキナ :
「分かってる!
 サイバースプライト
 "電子の妖精"は任せて、あんたはすぐに向こう側にうちらを飛ばして!

 ──覚悟はもう決まってんでしょ、やり方分からなくたってやりゃあ何とでもなる!」

マキナ :
 言いつつ、あいつの取り落とした"電子の妖精"に素早く駆け寄る。
 兎に角、この子が最優先だ。下手すればうちらだけ取り残されるのを承知で、必死に手を伸ばす……!

SYSTEM :
 雷はあまりに狙いもつけられず、しかし確実な敵意を以て放たれている。

 雷電、というよりは、まるで暴れ狂う龍だ。それを前に手放したのは…。
 雷人が彼の制御の未熟さを見抜き、同時に“盾”にするには少女は惜しい素質の持ち主だったから。
 後者が否であれば、あるいはそう見せるために、男はすぐに“それ”を思いつける。

SYSTEM :
 しかし、それと”回収しなおす”は別だ。

 寸断された磁力の流れがもう一度戻ろうとする前に、先にあなた/マキナの手が届いた。
 急激に飛び回らされた少女の手が、一度空を切り、二度目であなたの伸ばした手を掴む。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈あ…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…ありが、とう、二人とも〉

SYSTEM :
 掴んだ手を確認し直すように。
 ノアの姿の変貌/まったく同じ能力と、輪をかけて見ず知らずであるにも関わらず見せた少女の必死さに、彼女の声が響く。
サイバーゴースト
 電子霊の四肢。現実に降り立てば、レネゲイドがかりそめの形を与えるような生き物。本人の自覚の薄さよりも正確に、彼女はそうした性質だった。

SYSTEM :
 残るは二兎を追った結果、おそらく一兎もつかめなかった男をどうするかだけだが。

 発破は適切で、同時に、あなた/ノアにとってちょっと苦手なイメージだ。
 それはVRの窓の“先”を…。やり直しの利かないクソゲー代表の現実にピントを合わせるような行いだった。

SYSTEM :
 だが、そんなことを特に気にしない程度には、純粋な感情の動きがあなたにとっては勝っていたのだろう。

 扉はいとも容易く開いた。こじ開けられていたものに逃げ込む“雷人”によって閉じられるはずの道はそのまま維持される。
 現実の表層に縫い付けられたテクスチャを経由して、人の可視化できないこのチャンネルから、恐らくはあなたにとってありふれてもいない現実へ浮上するための道標。

SYSTEM :
 あなたとて『ダブルクロス』の始めは、分からないことのほうが多かっただろう。
 だが、大抵のことはやって、あるいは見て、反復と共に馴染ませていったはずだ。

 そして…。
 やり方の断片は男が見せていて、後にかかる問題は…。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…手繰る感じ! たぶん!〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈あとはそれ以上に、マキナの言うのと同じ…!〉

SYSTEM :
 後はもう意識の問題だ。
             たぐ    ダイブ
 浮上する場所を振り返って遡る、細かい探索のコツ以上に。
 やろうとする意識があれば───行き着きすぎれば相応の対価もあれど───オーヴァードはそれが出来る。

ノア・ウィンターズ :
「……っ、言われなくてもっ……!」

ノア・ウィンターズ :
 答えるボクの視線の先で、閉じゆく扉がイメージするままにこじ開けられたまま縫い止められる。
 開き方なんか分からない、いまコレを手放したら終わりだ!───ワケも分からないなりの確信が、ボクの火事場の必死を引き出している。

ノア・ウィンターズ :
 でも、必死にやって固定できたのは扉だけ。
 その先が何処に繋がってるかなんて、ボクにも全く分からない……!どこに繋げればいいのかだって!

ノア・ウィンターズ :
 ・・・・・
 ボクなんかにできるのか……?
 そんな、いまさらの臆病が顔を出す。

ノア・ウィンターズ :
 でも……。
 守ろうと決めてたのに、為す術もなく一度は手放してしまったハーフィの声を聞いて。その臆病を、なけなしの勇気で振り払う。

ノア・ウィンターズ :
 どうなりたいかも、どうしたいかも、どう使うのかも、決めるのはボクだ!
 ボクのイメージさえ固まれば、きっとボクのチカラは従ってくれる……!

ノア・ウィンターズ :
 アドバイスのまま、扉の繋がる先を手繰り寄せるイメージをアタマに浮かべる。
 そうだ、難しく考える必要はないんだ。
   クソゲー
 あの現実でボクに許されていた空間は、あの白く塗られた箱庭だけだから……!

ノア・ウィンターズ :
 イメージして、寄せて、寄せて……
    ・・・・
 …………掛かったッ!

ノア・ウィンターズ :
「マキナ、ハーフィ!
 『扉』が開くッ!あの先に意識を集中させて……ッ!」

ノア・ウィンターズ :
 そうだ、ボクは天才プリズナーだ!
           クソゲー
 コンティニューもない現実だって、初見でクリアしてやるよ──────ッ!

マキナ :
 ──掴んだ!

 伸ばした手が確かに、"電子の妖精"の手を掴んだのを感じた。触れているのに触れていないような、電子霊特有の不確かさだが、確かに。
 同じ極の磁力を発してすかさず引力を振り切りながら、思う。

マキナ :

 最初に目にした時から、いや、あの歌を聞いた時からぼんやりと重なるところがあったけど。
 近くで見れば、尚のこと思う。
 ……何処となく、似てるな、あの子に。

マキナ :

 あの子を象徴する、真っ直ぐに伸びた綺麗な金髪とか。
 ただ一つ決定的に違うのは、その背にした妖精の翅は……あの子が欲してやまない、自由の翼だった。

 蝶の翅で跳べる範囲なんて、たかが知れてるのに。

マキナ :
 ……まさか、ね。

 浮かびかけた益体もない想像を、被りを振って振り切った。とりま、その辺の考えは安全を確保してからゆったり考えればいいや。

マキナ :
 目の前に出てきた扉の方が……今の優先度としてはずっと高い。

「でかした少年! あんたホントにヒーローかもね……!」

 言いつつ、"電子の妖精"に目配せしてから、顕れる扉へ意識を傾ける……!

SYSTEM :
        カノウ
 蛹はいつか来る未来に。
 蝶の自分に思いを馳せながら眠りにつくという。

 …握った手の意味を、あなた/マキナが考えるよりも先に、優先順位を切り替えた。
 その僅かな目配せの意図するところは、臆病を振り払うなけなしの勇気に成し遂げられた雷の帳。

SYSTEM :
 現実に築かれた、小さな白いリノリウム。あるいは、そこに唯一あった繋がり。
 電子空間に侵略されたテクスチャを上書くにも、あなた自身を再度こちらに運び出すにも、これで事足りる。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ええ。…だいぶドタバタで、口にした約束とはちょっと違うけど…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈行きましょ!〉

SYSTEM :
 傾けた先の意識が、扉の向こう側を潜る。
 つい先程マキナが降り立っていた病院。ノアがいくつもの価値を消費してきた、あなたの現実のスタートとゴールの重なる場所。

SYSTEM :
 後にして思えば、その慌ただしさが…。

 あなたにとって年単位で久々となる、病室の“外”に足を下す瞬間だった。

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 そしてその転移は…。

 “雷人”の能力行使とほぼ同時に行われ。
 浮上に用いた認識の糸が絡み合う。

 相互に侵略し合いながらも、浮上先についてはそこまで変わらなかった。
 お互いの要石のちょうど、中間点。

SYSTEM :
 …いや。要石としては”そいつ”の方が大きかったのか。あるいは、先に辿り着いたのが雷人であった結果、抱いた感情がそこに引き摺られたのか。

 潜った先、現実に上った場所は確かに病院ではあった。
 ただ、あなたの部屋かはすぐに“違う”と判別も付いた。

SYSTEM :
 むしろ“そう”だった場合のほうがちょっと悲惨だろう。
 幸いか不幸かはともかく、あなたの馴染みあるテリトリーから少し離れた病院の一角で、空間の穴がこじ開けられ、コンマ数秒の遅れと共にそこに3人揃ってたどり着く。

SYSTEM :
 3人…厳密には4人だ。

 そして、散る火の粉と。
 まるで打ち鳴らすような拳の音は、ノアにとってのリアルの片割れにとっても馴染みがあった。

 戦闘の音だ。 

“闘争卿” :

「──────おう!?
 これはどういうことだ?」

“闘争卿” :

「迎えに行く予定よりだいぶ…。
 だいぶ多いなあ! 取り込み中なのだぞどうしてくれる!」

SYSTEM :
 その戦闘の音の中心点。
      リトル・ウォーズ
 今しがた、小さな戦争の防衛線をたたき割らんとする豪傑悪漢の力強い笑い声。

 相対している三人に見覚えのあるのはマキナだ。取り込み中の混線が起きたことも言うまでもなかった。

“雷人” :

『 不可抗力だ。それより 』

“雷人” :

『 随分…派手にやらかしてくれたものだな。
  人前に姿を晒すのに厭はないが、こうも千客万来だとは 』

SYSTEM :
 コンマ数秒を先んじた男/雷人が、相対する少年少女のほうではなく、その豪傑悪漢にコンタクトを取った。

SYSTEM :
 その声に、もし、聴いたものがいるなら共通項を見いだせる。
 アルフレッド・J・コードウェルの声だ。周波数も、言葉のトーンも。ただ、そこに悍ましいほど無機質な気配と、熱のなさがあるだけで。

『ミソラ』 :
「(シャラ!)」

SYSTEM :
 その相対の最中にいた方のうち、表情少なく、驚く“だろう”シャラを先に引っ張った。

 即時の目配せの方向はマキナに向いている。どちらかというと「なんでここに」と言わないブレーキをかけ合うための確認だった。

シャラ :
「n──」
 ンな、と声を出しかけてセーフ。
 突然出てきた連中にも、その中にマキナがいることにも、いかにも『私は電子の妖精です!』って見た目のちみっちゃいのがいることも、いろいろ訳が分からない。

シャラ :
 だけどソレ言ってられる状況じゃないのもわかる。
 ミソラが引っ張ってくれたので、オレはド焦りをぎりぎりひっこめられた。あと一秒遅かったらサンゴがオレを押しのけていただろう。

シャラ :
「………派手にやらかすどころの話じゃね~ッ!!
 このザマだぞこのザマァ!」

シャラ :
「両方まとめてクソ迷惑犯罪者集団っつーなら……エンリョなくジャマすンぞ、お迎えされたそっくりさんともども!」

シャラ :
 わざわざ色々説明っぽく言うのは、マキナにいまのこっちの状況を伝えるためだ。
 あとはあっちがオレら──つまりいまはUGNイリーガル名乗ってるほうと知り合いであるって伝えてオーケーか、どー判断すっかってハナシ。

シドニー・ヘス :
「な、ァッ──」

 迎えの相手が直々に、の懸念は現実と化した。あちら側にとってもアクシデントのようだけど──

シドニー・ヘス :
   Cyber Sprite
「──『電子の妖精』!?」

 非実体の翅を広げた、あの姿! 見覚えはなくても、心当たりはある!

シドニー・ヘス :
 じゃあ同時にやってきた女の子と男の子はいわゆるチルドレン? 『電子の妖精』は既に確保されている?
 退路の封鎖──奪還を強硬──思考がぐるぐると回りだすのを、ひとつのきっかけが歯止めした。

シドニー・ヘス :
 ……多分だけど。絶対じゃないけど!

 敵にとっての想定外が、彼らだ。だって、あの子は脅威にさらされた被害者ではなく、立ち向かうヒトの顔をしてたから。そんな彼女の傍を守っているなら、きっと──

シドニー・ヘス :
 引っ張られたシャラと、それをしたミソラを置き去るように、前へ距離を詰める。
 ぶん、と腕を振りかぶる。中空に放られる盾。円盤に成形されたパトリオットが、アメーバじみて金属の手を伸ばし、既に駆け出していたあたしの体をキャッチして移動を短縮する。

シドニー・ヘス :
 ──『きっと』じゃダメでは!? 真正面に来てからハッとなる。

シドニー・ヘス :
 第三勢力!? 真の黒幕!? 実は『電子の妖精』とグルのサイバーテロリスト!?

シドニー・ヘス :
「う……ううう!」

シドニー・ヘス :
「総員名乗りなさい!!!!!!さもなくば……さもなくばぁ!!!!!!」

シドニー・ヘス :
  Tempest
「特殊強化中隊の権限において、実力を行使します!!!!!!!!!!」

SYSTEM :
 それを聞いたミソラは静かに確信した。
 制するほうがひょっとすると間違っていたことだ。

SYSTEM :
 ………だが。拙速と蛮勇であっても。その判断/守るべきを守る意識は何より、歴戦の兵士も舌を巻く迅速さだった。

 それは、闘争卿の視線/矛を交えるたび分かる、存外に“単純”でも“純粋”でもない邪さの部分が、そちらに向いていたことからして明白だ。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈えっ、ええっ…!? え…!?〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
   Halfy
〈は…ハーフィです!〉

シャラ :
(素直に答えんの!?)

SYSTEM :
 悪気はなかった。(双方)

マキナ :
 ゲートをくぐり、再び肉体が再構成される。電子化され、0と1の"情報"が、現実への復帰に伴って肉の身体へと出力される。
 ワ イ ヤ ー ド
 電子空間を物理的に行き来するのは初めてで、相変わらずちょっと酔いみたいなのが回るけど……充満する闘いの匂いが、相変わらずそんな暇を与えない。
 出てきて早々……騒がしい奴ら。とはいえあいつを追ってきたのだから、穏当な流れになるワケがないんだけど。

マキナ :
「ちょっと、あんた状況分かって……
 まあいいや、サイボーグのマキナでーす」
 若干錯乱気味な問いかけに、取り敢えず名乗るだけはしておく。ぶっちゃけ今はそんな状況じゃないって言いたいとこだけど、もうこの際サクッと名乗った方がマシでしょ。
 ……まー今から職質始められても困るから、マジでそんな流れになったら言うけど。

マキナ :
 それにしても……
 しれッと状況解説までしてくれて助かるね、あの二人。要するに向こうのアイツらは後詰め……それもウチらじゃなくて、FHの後詰め部隊!
 ある意味では突入前に考えた各個撃破の予想が後になって的中した訳だ。何ともまあ。
 ……速やかにこいつらと連携を取って逃げたいところだけど、あの態度取り敢えず今は関係を伏せとくつもりだね。だったら、取り敢えずその体でこっちも話通しとくかな。
 後ろからノアとハーフィ……が名前らしいね……に向けて耳打ちする。
 
「見りゃわかるけど、多分そっちのは奴らの敵だよ。一緒についても、標本にされるよりはマシな対応してくれる。
 こーゆー時は徹底的にお世話になって乗っかった方がいいね」

ノア・ウィンターズ :
 『扉』を潜って辿り着いた先は、ボクが描いていたあの病室ではなかった。
 ・・・・・・
 引っ張られた───そう直感が告げている。

 ムカつくけど、さっきようやく使い方が分かったばかりのボクより、アイツの方がチカラの練度が高いってことなのかも。

ノア・ウィンターズ :
 多分、病院には違いないはずだけど……
 そんな場所には似つかわしくない、焼けつく火の匂い、目に沁みる熱気、張り裂ける空気、衝撃音……!
 臨場感はあの『ダブルクロス』にだって引けを取らない!

ノア・ウィンターズ :
 ショージキ、ちょっとワクワクしてる自分もいる……!
 そこに並ぶ“キャラクター”たちだって、世界観もみんなメチャクチャだ!ゲームだってこんな風になるもんか!

ノア・ウィンターズ :
 でも、これは現実なんだ。
 いつまでもゲーム気分じゃいられない───

ノア・ウィンターズ :
 ───いや!
 思い出せ、この現実はコンティニューもできないクソゲーだ!
 ゲーマーとして本気で挑まなきゃ、あっという間にゲームオーバーだ……!

ノア・ウィンターズ :
 マーカーをセットする。目標は2体!

 目につくヤツらの誰が敵で、誰が味方かも本当は分かっちゃいないけど。
 “キャラデザ”を見れば、なんとなく区別はつく!どう考えてもついていったらマズいヤツがどっちかなんて!

ノア・ウィンターズ :
「ふん、ボクを舐めないでよ!
 誰が味方で誰が敵かなんて、ゲーマーの勘で分かる!」

ノア・ウィンターズ :
「ボクは天才プリズナーの“デキュラ”様だ!
 ふざけた仮面つけてるそいつを追って戻ってきた!
 キミたち、何しに来たのか知らないけど……そこのハーフィが追われてるんだ!味方なら手を貸しなよ!」

シドニー・ヘス :
「ハーフィ、マキナ、デ……キュラ……」

 確かめるように復唱する。『電子の妖精』には固有の名があり、自我と呼ぶべき感性の積層が備わっている。パトリオットのように。

シドニー・ヘス :
 ゆるく名乗りをあげた自称サイボーグのマキナ──つまりブラックドッグ? 
 隊長も肉体の大部分を機械化している。あたしは適性がないから"まだ"だけど、うちじゃ見るほうだ。

シドニー・ヘス :
「てッ……」

 ひくっと頬がひきつる。

シドニー・ヘス :
  Prisoner
「天才囚人──!? 脱走!? 脱獄!? 凶悪犯!? はッッッよく見たらその装備も拘束具っぽい……! シャラぁ! ミソラぁ!」

『ミソラ』 :
「プリズンをブレイクか。やるね」

『ミソラ』 :
「…しかし私はマ○リオの1-1に敗れる女。
 そのゲーマーのカンに対抗して、こういう時の定番的解決方法を教えよう」

『ミソラ』 :
「高度の柔軟性を保ちつつ臨機応変に、」

シャラ :
「それいきあたりばったりっつーんだわ!
 オレ様しってんぞ(サンゴがいま頭の中で言ったから)!」

『ミソラ』 :
(肩をすくめる)

シャラ :
「つかゼッテおま、プリズナーってマジの囚人とかじゃねェからな! ゲームだろゲーム!」

ノア・ウィンターズ :
「プリズナーってそういうイミじゃ……いやそういう意味ではあるんだけど……!
 あーもう!メンドくさいなぁ、このポンコツッ!」

ノア・ウィンターズ :
「第一、だれの服が拘束具みたいだって──────」

ノア・ウィンターズ :
「──────」

ノア・ウィンターズ :
「なにこの服───!?
 いつの間に、ってかなにこのマシン───!?」

 最初から何故だか浮いてたから気付かなかった!

マキナ :
「えぇ…、今気付いたの?」

シャラ :
「オメーが驚くのかよそこでェ!」

SYSTEM :
 ハーフィがあなたとシドニーを交互に見たが、そこで漸くあなたから戸惑いの言葉が出たことに気付く。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈て、てっきり織り込み済み? なのだと思っていたわ…。
 さっきの能力の時からだったから〉

シャラ :
「………。………」

マキナ :

   コ レ
「まあレネゲイドって、ぶっちゃけみんなよく仕様知らないまま動かしてる道具みたいなもんだしねぇ。
 そういうコトもあるんじゃないの?」
 知らんけど。

ノア・ウィンターズ :
「仕方ないでしょ、いっつもVR視点だったんだから!
 ショージキまだ身体の感覚もしっくり来てないし……!」 特に手足!

『ミソラ』 :
「VR? …」

『ミソラ』 :
「それはともかく…。
 姿かたちが変わるのって珍しくないんだ。
 バトルフォーム
 戦闘形態というやつ」

『ミソラ』 :
 言うが早いか、くいくい、とシャラを引っ張る。

シャラ :
オ?

『ミソラ』 :
「(このコ、キュマイラとかじゃあないね。百歩譲ってモルフェウスだけど、ワケなく変身してないやつだとちょっとワケありの方向が複雑かも。あと…)」

『ミソラ』 :
「(例え方的に馴れてないっぽい。事故って5割超えたタイプの気がする)」

シドニー・ヘス :
「ぽッッッ」

シドニー・ヘス :
      ゆ
ぽんこつって言われたぁ……! 気にしてるのにぃ……!

シドニー・ヘス :
べそべそしたい気持ちを、ぶんぶん頭を振って払う。集中集中。あたしは伍長……!

シドニー・ヘス :
Newbie
「新人はお互い様のようで! 大丈夫、さっきの勢いがあれば大体ナントカなります!」

シドニー・ヘス :
「ふざけた仮面も、ふざけた髪型も、食い止めて彼女を防衛る! その条件であれば、我々はこの戦場において仲間です!」

シャラ :
(ちょいちょいちょいちょい イーの? ニュービーお互い様は言っちゃってイーのか?)

シドニー・ヘス :
……

シドニー・ヘス :
あ゛ッッッ

『ミソラ』 :
間違った 道でもきみは 突っ走れ

『ミソラ』 :
5/7/5 季語なし

マキナ :
 ──ここ、新人とガキンチョしかいないんだけど……大丈夫かコレ?

シドニー・ヘス :
「今のなしですナシですスミマセンごめんなさい実は超ベテランです今期で100年目です戦地に通いすぎて戦地から出勤してます!!!!!!!」

SYSTEM :
 なお強面の大ベテランは今シカゴ支部で、銃を持参しながら積もる話の最中であった。

ノア・ウィンターズ :
  ポンコツ
 言葉のナイフが思ったよりも深く刺さってしまったらしい……と気付いた時には手遅れで。
 突き刺した言葉は間違ってなかったと確信するのもなんら難しくなかった。

シドニー・ヘス :
視線がッ……言葉より鋭い!

ノア・ウィンターズ :
          Newbie
「はいはい、悪かったね新人で!
 ボクもそうだよ、隠したってバレバレみたいだしいちおー言っとく!」

ノア・ウィンターズ :
「でも……
 このゲームは新人だって、ボクはゲーマーだ!勝ち方なら知ってるよ!
 新人だって要は勝てれば問題ナシ、そうでしょ?」

マキナ :
「そういうコト。
 実際……この子が居なきゃヤバい局面だったし?」

マキナ :
「どーにも、向こうのお偉いさんには居られるとすごーく困るらしいから」

“闘争卿” :
「なるほどォ…この小僧がか!
     プライド        グリード
 誰だって自負はある。自負の次は欲望だ!
 分かるぞ、己の得た“性能”を不便な現実に突きつけるその欲求!」

“闘争卿” :
「…で? それはそうと、ふざけた仮面とは、ハハハ! 言われたなァ。どうだ、いっそのこと素面でというのは!」

“雷人” :
『 歯に衣を着せぬ物言いだが、構わんよ 』

“雷人” :
『 見ての通りだ。しくじった 』

“闘争卿” :
「どちらもか!
 ニホンではこう言うぞ。二兎を追う者は二兎に殺されるとな!」

“雷人” :
『 どちらも、だ。
  この上は、不運とて最悪を避けるとしよう 』

シドニー・ヘス :
ニホンの兎は人を殺すんだ……! 流石テロリスト、知識も物騒……!

“闘争卿” :
まったく軟弱な島育ちよ

“雷人” :
『 ああ…名乗りが遅れたな。
  とはいえ、三度同じ名を聞かせるのは道化の仕草だろう 』

“雷人” :
  ニコラ・テスラ
『 “雷人”。
  Nameless
  “刻知らず”の神輿と、わたしはわたしを定義している 』

“雷人” :
『 テロリストなのでな。国際条約も勧告も不要だ。
  懸念通りに彼女を渡して頂こう。さもなくば… 』

“闘争卿” :
「諸共滅んで、轡ならぬ墓を並べるかだな!」

シャラ :
        カシラ
「……“刻知らず”の頭領かよ!」

シドニー・ヘス :
「この男が……!」

マキナ :
 あ、そう言えば言ってなかった。
 いや、いやいや。シャラが演技打ったりするもんだから報告しづらかったんだってば。

ノア・ウィンターズ :
「なに、キミたちコイツらと知り合い?」

マキナ :
「ユーメイ人なんだよ。自称する通りのテロリストさんなんでね」

シドニー・ヘス :
「に、任務対象は知り合いに含みますか……!?」

『ミソラ』 :
「恨み辛みも知り合い…あー」

『ミソラ』 :
「それ一方的に“知ってる”じゃない?」

シドニー・ヘス :
「分かりました!」

シドニー・ヘス :
「“雷人”ッ! あなたは小官の知り合いではありません!」

“雷人” :
『 そうか 』

シャラ :
「テンパりすぎテンパりすぎ」

シャラ :
「ア〜……とにかくゥ!」

シャラ :
「ゲームで言やわかんのか!?
 アイツら、クソヤベェレイドボスなンだよ! オレらはアイツらブッ倒して、そのちまいのもついでに保護すンだ」

『電子の妖精』/ハーフィ :
ち ちまい?

『電子の妖精』/ハーフィ :
…小さい?

ノア・ウィンターズ :
「オッケー、いまのでカンペキ!
 つまり、ボクらはいまから即席パーティ組んでレイドボスの初見攻略に挑むってワケだ!」

シドニー・ヘス :
「えっ? 何の何?」

ノア・ウィンターズ :
「(いまので伝わんないヤツもいるんだなぁ……)」

シャラ :
「指名手配犯をお縄ってハナシ!!」

『ミソラ』 :
「即席小隊組んで
 危険なオーヴァードをなんの情報もないうちに倒します(翻訳)」

マキナ :
「それで分かるんだ。筋金入りの……」
 ……あ、いや、そっか。
 ・・・・・・・・・・
 それしか知らないんだ。基準がカンペキそっち側なんだ。
 ずっとベッドの上だったんだから、そりゃ、そうもなる。指名手配とかテロリストとかより、そういう譬えのが理解るわけね……

シドニー・ヘス :
「む、」

シドニー・ヘス :
無謀だぁ~! 叫び出したいけどできない! そんなの目の前で白旗振ってるのとおんなじだもん!

ノア・ウィンターズ :
「……あ、そうそう。
 さっきから返事を待たせちゃったかな?
 “雷人”に……えーっと、アタマの変なヤツ」

“闘争卿” :
「生意気な呼び名だ! だがそれでいい。
 オレもおまえに、まだ名乗っておらなんだからな」

ノア・ウィンターズ :
「『ハーフィをよこせ、さもなくば死ね』……だったっけ。
 分かりやすくコッテコテな悪役のセリフだ。ジョーダンじゃなく本気なんだろうけど……」

ノア・ウィンターズ :
「・・・・・・・・
 そんなのお断りだ。
 ボクたちの前に立ち塞がるって言うんなら……
 見た目通りのやられ役、やってもらうよ───!」

“闘争卿” :
「フッ! ビッグサイズほど見掛け倒しか。
 オレも知ってはいるぞ。単純で在れない者どもの戯言だ」

“闘争卿” :
「しかし小僧。シミュレーションほどに現実は…」

“闘争卿” :
「そしてオレの壁はそんなに薄くはないぞ?」 

SYSTEM :
 あなたの言葉が響いているのか、届いていて無視しているのか。
 傲岸さと強い欲求の入り混じった主張に違いはない。それは、先ほどから、そして対峙中常に放たれていたものだ。

SYSTEM :
 その矛先の…ほんの微かな違いを置いて。

“雷人” :
『 さて。わたしも、天運という言葉を感じる生涯は送っていないつもりでな。その御し方も存じている 』

“雷人” :
『 “デキュラ”…きみに述べた言葉は事実のつもりだったが、猶も否を唱えるなら是非もないことだ 』

“雷人” :
『 “闘争卿”。聞いての通りだ。
  “電子の妖精”を除いては、加減の必要はない 』

“闘争卿” :
「イヤ…そうも行かんなァ。オレはこの小僧に興味が沸いたぞ」

“闘争卿” :
「リベンジの序に宝が手に入るとは、復活の前祝には十分すぎる趣ではないか! え!?」

“雷人” :
『 …いいだろう。何れとて同じことだ 』

SYSTEM :
 何れの増援も定かではないが、元より彼方に退く理由はない。
 付け加えるなら…あなたたちの退くのを黙って見逃す理由がない。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈なぜ…なぜこのコなの!
 漸く、自分で生きようとしたばかり…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈漸く…飛ぼうとしたばかりなのに!〉

“雷人” :
「───飛び方を知らぬまま死に絶える生き物もいる。それだけのことだ」

“雷人” :
『 だから、と思ったのだがな。
  まあ、いい。それはきみにも言えたことだ、“電子の妖精” 』

“雷人” :
『 敢えてひけらかす理屈もないが…。
  所詮テロリストなのでな。目的の過程は、可能な限り横着させて頂くよ 』

SYSTEM :
 見出せる隙があり、僅かな時間の戦闘であったから三人は余裕を維持していたわけではあるが。
 本格的な戦闘に“いざ”と入ってしまえば、そのフィジカルは見掛け倒しではない。

 真偽はどうあれ…伊達に。
 3年前、北部のFHセルというセルをなぎ倒し、UGNシカゴ支部を“壊滅”の憂き目に追い込み、
 『クレイジー』を飾った片割れを名乗っていない。

SYSTEM :
 あなたと違って“おそらく”戦う術のない彼女は、彼を知らず。彼を知る三人は、そのもう一人の力を知らないが。

 眼前で啖呵を切ったノアが最初。
 …次に、手を取ったあなた/マキナ。その次に、自分の前に”守る”意図で躍り出た少女の身を僅か案じるように息を呑む。

SYSTEM :
 ノアにとっては、先月の『ダークドラゴン』と大して変わらない。

 そこに伴う、決定的な『ダブルクロス』との、無視できず、しかも表面化しない差異を除いては。
 …あるいは分かっていても。あなたにとって、戦う、という自分の内なる意思決定に背く選択肢はなかったのだろう。あるいは、それで覆った理由のために。

シャラ :
(飛び方を知らないまま……)

シャラ :
 決める権利は誰にもねェが、『そう』決めつけて潰せるのは絶対的強者の専売特許だ。
 こいつはそれをトーゼンのように振りかざしている。当たり前だがタダモノじゃない。

『シャラ』 :
──余計な思考だ

『シャラ』 :
──それより あの少年

『シャラ』 :
──万事ゲーム気分の覚醒者であるなら
  夢心地のまま現実でもパフォーマンスが可能だ

『シャラ』 :
──煽って誤魔化せ
  リザレクトの恐怖も薄れてスペックが落ちない

シャラ :
サイテーだなこいつ! それしかねェが!

シャラ :
「……オレ様シャラ! こっちはミソラ!
 野良パなりに仲良くやろーぜ、デキュラさんよ!」

シャラ :
「……。──マキナ! ヘンな頭はクレイジーウォーの“闘争卿”!
   マジ
 両方真剣にクソヤベェ! うまくやんべ!」

『ミソラ』 :
「私この戦いが終わったら、」

『ミソラ』 :
「…や。流石にジョークが過ぎたな。
 詳しいことはこの後。MVP争い共々、速戦即決でよろしく」

マキナ :
「はぁ、何それソイツ死んだって話じゃ……
 まあいいや偽物でも、生き返ったんでも……どっちでも、やらされるコト変わんないんでしょ」
 他人ごっことかいちいち気にしていられる場合と状況じゃない、か。

マキナ :
「一応訊いとく、勝算ある? 勝ち負けってより、生きて帰れる方ね」

シャラ :
「タイチョーのヘルプミー結果次第!」

マキナ :
「ふうん……まあ縋れる希望があるだけマシってコトね、了解──」
 言いつつ腰に仕舞ったガンブレード付きのブラスター……この時代からすれば一際異常な形状に映る、私の愛銃を抜刀する。

マキナ :

「 DEUS EX MACHINA
 "すべて世はことも無し"──玖月マキナ。
 切り込むのは得意だよ。ロクでもないモノを抱えてる分、爆発力はある方だから……
 巧く使って」

シドニー・ヘス :
 ──そうとも。

 パトリオットが、微かに共鳴する。そうなるかもしれなかった『あたし』を揶揄して、無謀を糾弾している。

シドニー・ヘス :
 ──そうかな。

 苦笑で応じる。あたしには、キミっていう翼があった。飛び方をふたりで見つけて、ここまで羽ばたいてきたと思ってる。

 返事はない。ふてくされた沈黙は、しぶしぶとした同意だ。

シドニー・ヘス :
 盾を構える。舞台装置を名乗った少女の歪つな機具と比べて、素朴なくらいシンプルな白銀の円盤。炎の照り返しに染められて、朱く輝く。

シドニー・ヘス :
「第三海兵遠征軍所属、シドニー・ヘス伍長。コードネームは"For Answer"」

シドニー・ヘス :
「持久戦になるかもしれませんが、耐久で遅れは取りません。小官の後ろにいるかぎり、全員生かして帰します」

シドニー・ヘス :
「守りは任せて、どうか攻めの手を緩めないで。勝手ながら、あなたがたの働きに期待します」

シドニー・ヘス :
「よろしくです、ワケありさんたち!」

 張りつめた緊張を、一瞬だけ弛ませる。かたく引き結んだ精神の強張りが、覚醒めたばかりの子に伝播してしまう気がして。

ノア・ウィンターズ :
「シャラにミソラ、マキナ、そしてシドニー……
 オッケー、みんな覚えた」

ノア・ウィンターズ :
 それぞれの名乗った言葉を短く繰り返す。
 滅多に他のオーキィとは組まないボクが、たまにパーティを組む気になったときのルーティンだった。

ノア・ウィンターズ :
 いちど口に出すことで、こんがらがったアタマの中身がキレイに整う気がするからだ。
         ロール
 それぞれの名前を役割に結びつければ、あとは脳内に描いたマップでそれぞれの立ち回りが見えてくる。

ノア・ウィンターズ :
 シャラにミソラ───初めて会ったばかりの『ボクの世界』に合わせられるオニーさんとオネーさん。役割は、たぶんサポートと遊撃手。

 玖月マキナ───いきなり現れたサイボーグの、ちょっと頭のキレそうなムカつくヤツ。自己申告はアタッカー。

 シドニー・ヘス ───ちょっとポンコツ気味な新人海兵さん。ちょっぴり不安な言動とは違い……タンクを名乗るその声色に揺らぎはない。

ノア・ウィンターズ :
 そしてボクは、いつも通りに。
 敵の攻撃はすり抜けて、百発百中の一撃で華麗にエネミーを薙ぎ倒すヒーローだ!

ノア・ウィンターズ :
「よーし……なんかカンジ出てきたじゃんか!
 長期戦になるってんなら、早々に床ペロしないでよ……!
  ……じゃ、はじめ!」

シドニー・ヘス :
「床ペロ……!? ば、ばっちいのでは……!?」

シドニー・ヘス :
「あッッッそういうシンドローム」

シドニー・ヘス :
「ご、ごめんね……そうとは知らずに……」

『ミソラ』 :
「おおっと投げたボールを打ち返した! 突き破るホームラン!」

ノア・ウィンターズ :
「だーかーら、そういうんじゃないって……あーもう、締まらないなぁ!!
 はじめったらはじめ!!!」

『ミソラ』 :
「…まあいいや。シドニー、後で教えるよ。
 彼の言う通りだ。とりあえずは、生き延びてから」

SYSTEM :
 目的以外のすべて、生い立ちも趣味も理屈も理解し合う前段階のティーンエイジャーたち。

 しかしそれに対して皮肉だったのは、意思疎通能力に…。
 テロリストの首魁とその右腕は、明確に相互理解の点において劣っていたことだ。
 あるいはそれこそが、彼らの、否、その名前の括り全体の”関わり方”であるのかもしれなかった。

“雷人” :
『 これ以上の戦闘行為は本意ではないが…已むを得んな 』

“闘争卿” :
「何が本意ではないというのか!
 勝ち取り、手に入れ、広げ…!」

“闘争卿” :
「正義も悪もなァ! それがオーヴァードというものだろう!」
 

“闘争卿” :
「今回のもその一環だぞ小僧。ゴングを鳴らしたなら覚悟とともに聞くがいい…」

“闘争卿” :
「何度でも! な・ん・ど・で・も! 教えてやるぞ」

“闘争卿” :
Alter Cord ・・
「“闘争卿”は不滅だ──────!!!」

SYSTEM :
【Check!】
 戦闘が発生します。


SYSTEM :
◇ ◆ ◇


Scene2『侵略者-Domination-』(戦闘)


SYSTEM :
【Engage...】

[A]
1:Decula
2:Machina
3:Sydney
4:Aghasura

-5m-

[B]
5:Alter Cord

-3m-

[C]
6:Nikola Tesla

SYSTEM :


        【ROUND 1】

SYSTEM :
【Setup Phase】
 セットアッププロセスを開始します。 

“闘争卿” :
 どれ…ここはだな、一つ。
 有言実行というやつを見せてやろう。

“闘争卿” :
 オレこそが次なるナプキンの支配者というところを、よおく見ておくがいい───!

“闘争卿” :
Unbreakable・Legends
【 究極無敵の■■ 】
Descript:《?????》
Passive:《装備:白銀砂塵》
Auto:《錬成の掟/Lv5》
Sut up:《アーマークリエイト/Lv7》

[Add's]
・装甲値[32]の防具を作成する。

“雷人” :
  オーバードヴォルト
【 雷電魔人・戦闘稼働 】
Set up:《雷神の降臨/Lv3+2》

[Add's]
・そのラウンド中、自身の攻撃の威力を[Lv*4]増加する。
・そのラウンド中、自身の行動値を[0]にする。

シドニー・ヘス :
Renegade Being Amplification
【 R骨子戦闘活性 】
Set up:《命の鎧 LV1》

シドニー・ヘス :
行くよパット! 装甲値を上乗せして、肉体判定を強化!

system :
[ フォー・アンサー ] 侵蝕率 : 37 → 41

“闘争卿” :
ほォ? R兵器…。R兵器かソイツは!

“闘争卿” :
懲りんなあヤツら!
まだモルモットを捧げ足りなかったとは!

シドニー・ヘス :
な……にを無礼な! あなたが懲りる番です!

“闘争卿” :
褒めているのだよ! それでこそオーヴァードだから…なあ!

シドニー・ヘス :
嬉しくないっっっ!

シャラ :
こゆのと一緒にされンの、マジでクソムカつくよなァ!

シドニー・ヘス :
ホント! ぜったい懲らしめよう!

ノア・ウィンターズ :
なんだ、いまのアイツがやった電子の動き───!?
真似は……悔しいけど、できっこないかな……!

『ミソラ』 :
タメの分はどうしても手間がかかる!
そういうアレソレだよ。

シャラ :
ッシャ! ……おい、天才ゲーマー!

ノア・ウィンターズ :
───っ、いま何か用!?

シャラ :
用しかねーよ! カッコつけてみ!

シャラ :
▶オン・マニ・パドメ・フム/《鮮血の奏者Lv3》
 備考︰2点のHPを消費し、そのラウンド中対象が行う攻撃の攻撃力を「+21」点。
 対 象:ノア
 侵蝕値︰4

system :
[ “アガースラ” ] 侵蝕 : 41 → 45

ノア・ウィンターズ :
なんだか、よく分かんないけど───

ノア・ウィンターズ :
───気合い入った!

シャラ :
だろ! やっちまえっ!

マキナ :
しかし、鬱陶しいのが前にいるね……早速あれの出番かな

マキナ :
【 MODE:TRICYCLE 】
Set up:『イリーガルモービル』
 乗り物指定:「ヘリ」

マキナ :
──対PF複合装甲規格の大口径プラズマランチャー。
こいつでこんがり焼いてやるよ、伊達男。

“雷人” :
結構だ。
出来るなら、稲妻を焼いたことを実績の一つにするといい。

マキナ :
余裕そうじゃん。そいつが崩れた時、キッチリ仮面は取ってもらうよ。
あんたの間抜け面は、それなりに長い時間暇をつぶさせてくれそうだからね……!

SYSTEM :
【Setup Phase】
 セットアッププロセスを終了します。
 行動値を変更しています...。

SYSTEM :
※ AUTO MODE ※

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 “闘争卿”の脅威たる所以は、その闘法にある。
 ここまで見せてきた能力はモルフェウス・シンドロームのピュアブリード。
 ハイレベルな錬成を駆使しながらも、その白兵戦能力はキュマイラが泣いて逃げ出す剛力無双。歩く山だ。

 しかしだからと言って鈍足なのかと言われれば、そうでもない。なかった。

“闘争卿” :
「開戦の号砲というやつは…」

“闘争卿” :
「やはり、このオレでなくてはなあ!」

“闘争卿” :
【 CAUTION! 】
Effect:【加速する刻II】
Player:“闘争卿”
Target:自身

[Add's]
・イニシアチブプロセスにメインプロセスを行う。
・行動済でも宣言を行え、この行動で使用者は行動済にならない。

SYSTEM :
 その暴力性が発露する瞬間を止める猶予はごくわずか。
 速度は、音速では緩慢に過ぎる。威力は、光速では脆弱が過ぎる。

SYSTEM :
 だが…。
 この場、最速で動いたのは彼ではなかった。

 その暴威が…。
  ビッグ・バン
 あの爆発を起こした無限色の拳を生み出し、陣形に一突き入れようというまさにその時である。

????? :

「見つけたぞ。だが」

????? :

 ・・
「先ずは…お前だ」

SYSTEM :
   ・・
 白い死神が。すべての人間の警戒を置き去りにする。
 いざ動作のその瞬間。命運を鑢で削りながら、何もかもに先んじた。

SYSTEM :
【 CAUTION! 】
Effect:【加速する刻II】
Player:“?????”
Target:自身

[Add's]
・イニシアチブプロセスにメインプロセスを行う。
・行動済でも宣言を行え、この行動で使用者は行動済にならない。

SYSTEM :
 その瞬間を思い返し、比較する。
               アベレージ
 闘争卿が常に90を出し続ける、平均点にて追随を許さない強者であるのならば。

SYSTEM :
 いましがた現れた闖入者。
 歯車の小さな砂粒。虫のひと噛み。盤石ならざる白銀の屑鉄。
 それは、ただひとつ事に己を切り売りするが如く擲って敵を“殺す”達人だった。

 弱者も強者も唯一許された一つの武器の使い方だけを、徹底的に研ぎ澄ませた男。
 あらゆる蓋然の揺らぎをはねのけて、必然に塗り替えるもの。

SYSTEM :
 その言葉をいわく執念と呼ぶ。

????? :
 Chrono Vendetta
【 滅 尽 滅 相 】
Descript:《復讐者》
Passive:《ハードワイヤード/Lv5》
Minor:戦闘移動(シーン入場)
Major:《CRブラックドッグ/Lv2+2》《アームズリンク/Lv3+2》《ライトニングリンク/Lv2+2》《雷の残滓/Lv3+2》

Act:17dx7+12
Dmg:251(???+??+??)

[Add']
・命中した相手に『邪毒(ランク5)』を付与する。
・使用後に自身のHPが[5]点減少する。

????? :
17dx7+12  (17DX7+12) > 10[1,2,2,3,3,4,5,5,5,5,5,6,7,7,7,10,10]+10[2,3,5,5,10]+10[7]+2[2]+12 > 44

????? :
5d10+251  (5D10+251) > 28[6,5,3,10,4]+251 > 279

“闘争卿” :
「むうッ───!?」

SYSTEM :
【Main】
 ダメージ結果を確認しています…。

SYSTEM :
 スローカメラで、膨張する力の隙間をつき。
              ・・
 ここ以外では、いやそもそも認識されたなら。
 猛威を振るう闘争卿を止めようもない、という瞬間。
 つまり殺すという意識を軌道に乗せる場合、ここしか存在しない状況。
                          トップギア
 天才が初速の段階で、それのみに人生を費やした生命の最高速が、殺意を滾らせて横殴りする。
 オーヴァードが、オーヴァードを狙って交通事故を起こすようなものだ。

SYSTEM :
                トイ・ボックス
 手足の延長線のごとく扱いきる、秘密兵器の出来損ない。
               ライトニングリンク
 自動銃座合計六基それぞれを因子連携接続の恩恵で繰り出す攻撃は、
 同じ時間軸内、七箇所から同時に、そして零距離から浸透させて撃ち込む対R因子特化の自壊因子。

SYSTEM :
 もう数秒の猶予があれば、
 戦闘のスキでなければ、
 あらゆる条件の揺らぎを突破して、今。

SYSTEM :
【Main】
 ダメージ結果を確認しました!

 “闘争卿”:撃破! 

“闘争卿” :
「ハハハ、無粋な…! だが…!」

“闘争卿” :
「キサマは誰──────」

“闘争卿” :
Unidentifiable・Legends
【 ■■■■■■■ 】
Descri■■■■■■■■■■■■■■■

[Add's]
・?????
(発動の成否をプレイヤーから判別不能。)

????? :
■■■■■
【因果破却】
Auto:《装備:時の砂時計》

[Add']
・対象の『オートアクション』を打ち消す。

SYSTEM :
 ほぼ瞬きのうちの…。

 攻撃一つに、自分の寿命を、天運を、はたまたもっと巨きなものを削りながら死を振り撒くような。
 ・・
 狂人の動作と共に。
 断末魔すら許さず、黄金色の男の息の根が止まった。

????? :
「召されよバケモノ…神の身許に」 

SYSTEM :
 ………男の名も、主義主張も。

 ひとりを除いてだれも知らない。知るわけがない。

SYSTEM :
 ただそいつはあなたの知る限り、はじめ訪れた場所で何かを探った後…。行方を晦ましていたはずで。

 ここに来る動機は一つしかなかった。

SYSTEM :
 ・・・・・・・・・
 マキナの知るその名を──────。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :

 ヴィジョン・キラー
“蓋然を閉ざす者”。

マキナ :
「……!」

 油断、というより集中し過ぎてた。
 他に意識を割けるような相手でもなかったし。状況が状況でもあった。

マキナ :

 乾坤一擲。
 ただ一点、その一点を限界まで突き詰めた恩讐の弾丸。
 怪物を殺すため。
 基本、勝ち目のない怪物を殺す為。
 そのために凡人の出せる最大速度を保ち、叩きつける恒温の最高速。

マキナ :

 今の、間違いない……
 ・・・・・・・・・・
 こんな時に来やがった!

「ちょいちょいちょい……
 つくづく、ワケわかんない所で出てくるんじゃないよイカれ野郎」

マキナ :
 時間犯罪者というのは、まあ普通の犯罪がそうであるように、ピンキリだ。
 大抵の場合は時間を遡って、稀覯物のモノホンをくすねて高値で転売するとか、その辺りの小物が多い。
 世の中、時間を超えられても人の欲望は大概カネで叶えられてしまう。

マキナ :
 でも中にはこういう……偏った思想や発想で動く手合いも出てくる。
          ヴィジョンキラー
「何とか言いなよ……“蓋然を閉ざす者”」

 オーヴァードを殺すオーヴァード。
 時間犯罪者を殺す時間犯罪者。
 ──何が楽しくて生きてるかもわかんない、イカれ野郎だ。

シドニー・ヘス :
「は──」

 来る、と身構えた矢先。
 できうる予測の全てを裏切って、状況が激変する。
 立ちはだかる暴威の牙城が、わずか一瞬にして崩れ去った。超衝撃を受けるために調整した体を再編成しながら、あたしは様子を窺う。

シドニー・ヘス :
 妄執を打ち破る執念。自らを一擲する、破滅の具象。焦燥と共に呼ばれた銘は……

「……“蓋然を閉ざす者”?」

 覚えは、ない。マキナの様子に、ううん、今の一撃に……。彼が少佐の送ってくれた増援って期待は捨てる。

シドニー・ヘス :
 傾けた上体を盾でかばいながら、インカムを操作する。

(……少佐)

 報告を最優先に。まず判断を仰ぐ。後ろの全員を生かすための最適解を、あたしは迷いなく実行する。そこに誇りも驕りもない。

SYSTEM :
 ゆらり、と───。
 この手で砂金のように砕けた命のなれの果てを作った若者が。
 面を上げ、振り返る中。

 シドニーの行動は迅速だった。

 目の前で起きた事態への動転は、しかし、軍人にとっての混乱とはただの“仲間の死ぬ”理由だ。
 それが、新兵に避けられぬとて…。避けられる余地を作るための訓練はされていて然るべきである。
 だからあなたの応対は、万一に間髪入れない攻撃が来ることに備えを以て、同時にイレギュラーの事態を共有することだったわけだが。

SYSTEM :
 …しかし、通信のつながる気配はない。
 厳密には繋がってはいる以上、こちらに応答する猶予や余地がないのだろうか。

SYSTEM :
        スクランブル
 それがどのような非常事態なのか、あるいは、そもそも共有するまでもない状態だったのか?
 この場を任されたあなたの判断に委ねるより他になかった。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「………」

SYSTEM :
 背を向けていたから判別もつかなかった面持ちは、高く見積もっても10の半ば。 
 この上ない攻撃性に満ちた瞳は、誰もの思惑や状況にお構いのない行動や、それが起こした先の結果よりも雄弁にモノを言っている。

SYSTEM :
        Tempest
 白い鋼鉄は、特別強化中隊の機械化兵士のような、ブラックドッグの装備を彷彿とさせるが、
 しかしそれとは極めて近くあっても限りなく遠い。

 こと、FHが時代の度を越したSFめいた装備を用立てることなど“ざら”にあるとはいえ、
 彼のそれはそのどれとも類似しない。形態としては”それ”に近くとも、経緯からして彼は異質だった。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「それはこちらのセリフだ。
 幾度、どこまで、どれほどに道を阻めば気が済む?」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「蝕む病巣が、一刻を争うと来てみれば…。
                 デウス・エクス・マキナ
 いったいそれは何の道化芝居だ。“凡て世はこともなし”」

SYSTEM :
 その中身と内訳を知る人間からして見ても。
 
 少年ほどの狂人は、唯一比肩するネバーランドの夢追い人を除けば。
 時空犯罪者の何れにも居なかった。

SYSTEM :
               ジャーム
 それもありふれた、よく見る類の狂気ではない。
 少年のそれは、鑢で削って形を残した芯だけの感情だ。
 衝動の鋭利さ、手元の火器、何から何まで、手を取り合うという言葉を頭から欠いている。

SYSTEM :
    ・・
 それがなぜ、は知らぬだろうが。
 それに、拍車の掛かった瞬間には…覚えがあった。

シドニー・ヘス :
「っ……」

 応答がない──? 合流をできずにいる現状、他方でも異常が起きたと見るべきだろう。

シドニー・ヘス :
 裁量が、再びあたしの手に戻ってくる。まだ疵のない、強張るばかりの手に。

シドニー・ヘス :
 どうしようどうしようどうしよう。頼みの綱がぶつんと切れて、宙ぶらりんになった気持ち。深呼吸──だめ、動揺を気取られたくない。

シドニー・ヘス :
「お話の途中すみません! 武装を解除し、直ちに離れてください。従わないのならっ──」

 従わないのなら、何か。敵と見なす? それ以外の何者でもないと、彼自身の在り様が示しているのに?

SYSTEM :
 愚問ではないのか? …そう疑うシドニーの思考を“その通りだ”と返すかのように。
 少年の冷淡な瞳が持ち上がり、遮るように射抜いた。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「戯れるな…」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「貴様らオーヴァード…バケモノに。
 コレ
 銃口以外の回答が…。あると思うのか?」

シドニー・ヘス :
「じッッッ」

シドニー・ヘス :
「自分だってオーヴァードなのに────!」

ノア・ウィンターズ :
『ダークドラゴン』は、いわゆる『かませ』の大ボスだ。
 魔神直属の最強種なんて大層な肩書きで、持って回ったような言い回しで喋り、そして不死身の血なんてウソみたいにやられるときはアッサリ沈む。

 実際ボスとしては強い方だけど、どんなご大層な設定がついていたってプレイヤー様には勝てっこない。

ノア・ウィンターズ :
 でも、それはアイツが『ダブルクロス』ってゲームの中の存在だからだ。
 ゲームの中のシナリオでは、ダークドラゴンは絶対的な存在だ。数多の都を滅ぼし、数多の戦士たちを堕落させ、やがてさ世界さえ亡す不死身の邪竜。
 オーキィたちは多大な犠牲を払いながら、長い歳月を経てようやく決戦の舞台に立てた。アイツはそれくらいの大物だ。

ノア・ウィンターズ :
 そして……目前に悠然と、豪胆に嗤う(いろんな意味で)頭のオカシイ大男も、そういう類のはずだった。
 かませっぽいのは見た目だけ、実際のデータはとんでもなくタフな、それこそダークドラゴン級の大ボス。一度でもミスったら床を舐めるなんてのじゃ済まされない……そんな強敵。そのはずだった、のに。

ノア・ウィンターズ :
 巨砦が、沈む。こんなにもあっけなく。

ノア・ウィンターズ :
「───なッ」

ノア・ウィンターズ :
 『瞬く間』でさえ長すぎるほど、一瞬の隙を突いて、その光速はいきなり顕れた。
 それをようやく知覚できたのは、瞼を閉じてだったから、意味のある声すら出せやしなかった。

 ───アイツ、いったい何者だ!?

シャラ :
「……一撃!?」
 バカげてる! 不滅とかパチこいてたヤツが、それを誇る日まもなく蒸発しやがった。

シャラ :
 ……いやいやいや、落ち着け。
 いるぞああいうやつ。オレも知ってるわアホみたいに強くてなんもかんも瞬時にブッ殺す、全身殺意の塊の───

シャラ :
   最強最悪兵器
 ──ダインスレイフみたいなやつ!
 ダメだ、心当たりが最悪すぎて『いるぞ』とかって枠じゃね〜っ!

シャラ :
 ただ会話はできてる。マキナと会話はする。
 出力と言動含めかなり片足ドップリ突っ込んでそうだが、かなりビミョーなトコだ。
 まあそんなの関係ないけど! なんでかって、結局ヤバ強の相手がヤバ強の相手に変わっただけだからだ!

シャラ :
 とりあえず、息を潜めて状況をいったん見るしかない。
 ……マキナはよく分からんこと言ってけむに巻くヤツだけど、こんなのと知り合いならそうしたくなるのもやや納得かもだ。

マキナ :
「そこ、嗤う所だよ、シドニー。
 見ての通り話の通じない上、他責思考のクソ野郎だから」
 ああ、こいつの面見てるとじわじわムカついてくる。口調も自然と、スマートじゃなくなってきた。

マキナ :
「芝居には台本が要るんだよ。あんたが出てくるたびにそいつが即興劇に早変わり。
 いつもいつも場をかき乱してさァ……あの時だって……」

 あの時だって。あてつけのように出しかけて、仕舞う。
 この辺りを蒸し返したら、お互い後に引けない気がした。

マキナ :
「……まあ、丁度いいや。後でチョロチョロされんのもメンドーだし、今ここでツブしてこうか?
               プレイン
 余所者が幾らいなくなろうが、時間層には影響ないもんねえ」

 ばちん、と四肢のエネルギーラインに電光が奔る。
 コア      フレーム
 心がざわつき、骨格が熱を帯びて、古き稲妻の鼓動が強く高鳴り始める。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「後手が常態の、葬儀屋紛いの分際でよくほざく。
 第一…オレがなぜ、滅するべきモノの都合など推し量らねばならん」

SYSTEM :
 …あなたの意識的に踏み越えなかった一線は。あるいは、あなた自身を守るためのものでもあった。
 それはお互いの雷管を叩き、火を入れるようなもの。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「そしてそれもオレの台詞だ。
 手遅れになる前に刈り取るその序で…その認識を己に強いるたび、毎回屍を生み損ねた。
      いのち
 此度でその背徳者の価値、神に返してもらう」

SYSTEM :
 だが…。
 少なくとも“雷人”にさえ、精神的一線を保っていた少女の対応として。
 苛立ちを表現する火花は、第一印象から僅かに逸れる。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈わからない。けど…。………マキナ…?〉

SYSTEM :
 “誰だ”、または“何だ”の代弁と同調とばかりに小声で漏らした電子の妖精。
 その稲妻が意味する小さなメモリーの揺らぎを知ってか知らずか。
 それとも、ただ臨戦態勢に混ざる雑音を感じ取れる感受性をしているのか。

マキナ :
「やってみなよ豆鉄砲。
 そんな手品、ビビってくれるのは初見さんだけだよ」

 さっき、あいつがぶっ飛ばしていったのは相当にデキる相手だ。ハッキリ言って、逃げるのが精一杯。
 私もまともにやり合う雰囲気出してたけど、適当に誤魔化して逃げる機会を作ろうとしてたワケで。

マキナ :

    ・・・・・・・・
 けど、あいつなら殺れる。
 
 何故ならあいつは凶弾、そういうものだ。
 銃じゃなく、弾そのもの。
 至近距離で爆炎を浴び、逃げ場のない砲身の中焼け爛れながら弾かれて、音速を超える負荷に堪えながら、最後は自分諸共潰れて目標をぶっ潰す。

 マトモな神経じゃ堪えられないし、マトモさを完全に失ってジャームに成ったら同じ冴えは二度と出せなくなる。
 まあ、案外もうとっくに終わってンのかもしれないけど。

マキナ :
「……まだシドニーの後ろにいた方がいいよ、ハーフィ。
 ノア少年に、シャラもね。

 ハッキリ言っとくけど……」

マキナ :
「アレ敵ね。敵の敵は味方っていうけど、あれ無差別PKみたいなもんだから、さ。
 今のでかいのは、まあ、運悪く流れ弾に当たったようなものと思いなよ」

ノア・ウィンターズ :
「無差別PK……
 ……それ、マジにヤバいヤツじゃないか」

シャラ :
「……」

シャラ :
「確かに、アンタの言うとおりっぽいけどよ……」

シャラ :
「……イーや、ワケはアト。きくヒマねーし。
 そーゆアンタが一番冷静じゃねーように見えっけど、ヘイジョーシンでやれンだな?」

マキナ :
「トーゼンよ。
 何ならスコア的にはウチが勝ち越してんだよね」

シドニー・ヘス :
「向こうも同じコト言いそうなフンイキ~……」

シドニー・ヘス :
「ともかく! 話が通じないのは彼でもっ、話が分からないのはあなたも同じ!」

シドニー・ヘス :
「何としてでも生かすので、全員の前で説明……してくださいね!」

シドニー・ヘス :
 ──なんて大口だ。少佐がくるまで耐えるって一線でギリギリ保ってた部分が壊れたみたい。

シドニー・ヘス :
 でも……やるしかない!

シドニー・ヘス :
「──"雷人"! 迎え役の"闘争卿"は斃れましたが、なおも離脱しないのであれば継戦の意思ありと見なします!」

“雷人” :
『 だが、われわれは国際法に則って戦争をしに来たのではないよ 』

“雷人” :
『 すべての生命には与えられた役割というものがある。国家の代行者は特に。
  途中で放棄する方法というものを。きみは教わっていないと考える 』

“雷人” :
『 きみの威勢を冷ますには。
  この程度の水掛け論で十分だろう 』

SYSTEM :
 ・・・
 敵の敵…彼が来るまでは敵以上でなかった、犯罪者の首魁が。
 知りもしないはずの兵士の役割を説く。果たすべき任務があるうちと、退かなかったあなたの洞をつつくように。

SYSTEM :
 ………そのすぐ手前の少年は、勝ち越しの話に、面持ちも声色も変えないまま。呆れにも侮蔑にも取れる口を聞いた。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「意味のない仮定だな。虚仮脅しなど。
 それは、その気概も…。ましてや意義さえ見出せない愚者の使う武器だ」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
                 ・・
「バケモノに使われるだけの、ただの銃身ふぜいに利かれるクチとしては…心外にも程がある。
 上手いのが有耶無耶にすることなのは変わらんようだな」

SYSTEM :
 しかし。この潔癖の殺戮者について、
 マキナが存じている限り。
                 ドライブ
 “蓋然を閉ざす者”は常に心身ともに最高速度で跳ね回り続け、
 己の傷や負荷の一切も顧みない類の人間だ。
 あるいは、人間のカテゴリですらないのかもしれないが、それは判別方法がないためさておく。

SYSTEM :
 その彼とて、一撃必殺は決して常態ではなかった。
 
 相応の代価を常に払い、仕留めるべきと踏んだ相手に躊躇なく命の札を切る。
 その繰り返しだ。
          ・
 だからその白鋼には傷が絶えぬ。何かしら機能を損なう。そもそもの話…。
 あなたの知る限り彼が万全の状態だったことは一切”ない”。

SYSTEM :
 少年が。少年と少女が相対する時は、必ず…。
    ・・
 何かを討滅するために白雷を輝かせ、爪牙の跡を残した時。
 つまり代償を払った後だ。

SYSTEM :
 であれば彼の中で、あるいは。
 闘争卿は“よほど”傾けるに足る危険因子だったのかもしれないが。
 その仏頂面と敵意の海から、闘争卿の骸…。
 モルフェウスが形成した成れの果てたる黄金の砂山。それに対する手応えの是非を量るのは難しかった。

SYSTEM :
 …誰かが口を開く前に。
 水を向けられた“雷人”が、少年を差して曰く。

“雷人” :
『 何者か…は、問うまい 』

“雷人” :
  ・
『 何を、しに来たのだ? 』

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「知れたこと…」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
            レネゲイド
「人に仇なし、世を破壊する悪鬼羅刹…」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「それを駆るもの、手繰るもの、一切を問わず…滅相する」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「───オーヴァードを殺す」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「当然、貴様も殺す」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「…兆しは、すべて殺す」

SYSTEM :
 知らぬ人間の第一印象として…これ以上ないほどの宣言である。
      ・
 そもそも彼もオーヴァードだ。紛れもなく。

 だが、それの根幹に根差すもの、はたまたそれが齎した全て。
 闖入者にとっては紛れもなく引き金を弾き、銃口を突き付ける先なのだ。あるいは自らすら。

“雷人” :
『 きみとてその一つだ。なにより、何処を、何時まで、どのように続ける? 』

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「無論、死ぬまで」

“雷人” :
『 なるほど。狂人の戯言だな 』

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「果たして…戯言かな」

SYSTEM :
 その眼差しは、そもそもはじめこそ首魁たる“雷人”と、そこに与する“闘争卿”に向いたが。
 だからといって貴方達に向かなかったのか? というとそうでもない。

 むしろ、向いたのははじめだけだ。

SYSTEM :
 彼の価値観の中で、引き金を弾くのは全員と決まっている。
 自らが斃れ逝くまで、一人でも多く、一つでも多く。言葉を紐解くなら“そう”だ。
     ・
 ───では何が。兆しなのか。世を変えるものなのか。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「………そして。───おまえが」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 サイバースプライト
「“電子の妖精”か」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
    ・・・・・
「そしてそこの小僧が…」

SYSTEM :
 予想通りに矛先が其方に向いた。

 迎え撃つ豪放磊落の敵意とも、
 ただ厳然と事をなす無機質さとも違う。
 少年の殺意は、強いて言うなら………ノアの言葉に合わせるならば、そうだ。

SYSTEM :
 死に物狂いの、”別の意味”のプリズナーに似ている。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「…ならば、」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「おまえを殺す」

SYSTEM :
 シドニーの背後に留まり、シャラとミソラの右隣。
 ”ハーフィ”の背筋が強張って、ノアをかばえる位置に身じろぎした。

 テロリストの首魁ではない。
 彼よりも、少年にとって。この一件の“兆し”はあなたと彼女だった。

シャラ :
 ……ハ? ナニ言ってんだ、こいつ。

シャラ :
 そもそもレネゲイドっていうのがこの星に生きてるものの八割に憑りついてるってのは、『こちら側』とか『向こう側』とか関係ない常識だ。
 大前提の常識は変わんないことは調べてある。
 それを憎む人間も恨む人間も、全部殺してやるっていう人間も、ショージキ『向こう側』にはゴロゴロいたけど……。

シャラ :
 全部なんて無理に決まってるから手ごろなヤツ殺したり、実験とかって名目で苦しませたり、レネゲイドを引っこ抜いた自分自身の力だけに執着してみたり。
 たいていそういう方向に走るもんだ。
 そんでだいたい、うまくいかず全部わやくちゃにする。そこまでが基本セットで、『向こう側』の裏側の日常ですらある。

 だけどこいつは違う。
 明確なターゲットを決めて、そいつを一点狙いしに来ている。このノアってガキんちょを『兆し』とかいって。

シャラ :
……プランナーはざっくり『世界が二人の欲望で壊れようとしている』みたいなハナシしてたけど。このガキが?

シャラ :
 本当にそうなら、オレ様もやんなきゃいけないコトがあるけど────。

『シャラ』 :
──狂人の理屈など、所詮蜘蛛の糸だが?

シャラ :
ハイ。すんません。やっぱアンチョクダメっすね。

シャラ :
 マキナの話は八割ぐらいワケわからんかったが、なんとなくニュアンスはわかった。『クソ余計なことするヤツ』だ。
 万が一いろいろマジだったとしても、たぶんその間に踏まなきゃいけないトコを五段ぐらいすっ飛ばしてるだろ。保留保留。

シャラ :
「……狂人に狂人って言われてちゃ世話ねェな、あっちのガキ!
 つか『なりたて』をわからん殺しするほーがワルだろ、ワルっ」

シャラ :
「まったく話ききませんってツラしてっし、あのパチモンともどもオウチ帰ってもらう方向でイーよな!?」

シドニー・ヘス :
 ・・・
「だから、あなたはテロリストだと──!」

 カッと熱が弾ける。心臓から首筋へ駆け上って、頬に広がる錯覚。
 役割にしがみついて、正しくなぞることしか知らない愚直を、"電人"にはっきりと見透かされた気がして。

シドニー・ヘス :
 その傍ら。
 あたしを通り越して、背後を貫く睥睨。
 曰く、オーヴァードを殺すオーヴァード。たったいま自らを使い潰したばかりの残骸手前が、狙いを定める。

シドニー・ヘス :
「……一部同意します! 彼らを保護対象と仮定、テロリスト"電人"の摘発と並行して脅威の排除を行います!」

 シャラの確認に、声を張り上げて応じる。
 正体不明の少年少女。彼らが一方的な被害者である証左も、有害ではない証拠も一切ない。
 だって狙われる理由があるから、結果的に軍が動く事態にまで発展した。

シドニー・ヘス :
 背後に感じた、かすかな身じろぎ。互いに庇いあう懸命さなんて不明瞭を信じるなんて、きっと正しい軍人のすることじゃない……!

 でも、だって、だけど!

シドニー・ヘス :
「お家には帰してあげません! 身柄を確保、のち、こってり尋問!」

 ここで見過ごすのは、ぜったいに間違ってる……!

SYSTEM :
 上の命令に彼ら彼女らは含まれない。
 何なら、テンペストが優先するべきものは国だ。彼女らが、その土台を揺るがさないものだという確証は短い間で取れていない。

 だが、たった今その判断を下したのは、
         Gear
 軍人という国家の部品ではない。
              Patriot
 その判断の支柱を知るものが愛国者と銘打たれるなど、なんたる皮肉だろう。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「戯言を宣ってくれる…。
 貴様は毒に生まれる順番があるとでも言う気か? 牙を生やした猛獣の種類の違いに優劣があると?」

『ミソラ』 :
「目を付けられ…ああ、いや。
 あのコ、最初から見逃す相手がここにいないのか」

『ミソラ』 :
「じゃ、賛成。初志貫徹で行こう」

『ミソラ』 :
「それに、そもそも…」

SYSTEM :
 一度シャラのほうを向いた少女が、そのシャラに対して吐き捨てた少年を一度見ると、次に、朽ち果てた金砂を。骸となり果てたものを見る。
 あからさまなモルフェウスの死に様を、彼女は首を傾げながらじっと見ていた。

 もっとも、調べる暇は特になかった。敵意の矛先を逸らす術も、実力行使以外には。

シドニー・ヘス :
「われわれはっ……管制された武力です! 順番を検め、優劣をつけ、判断をするんですー! 嵐みたいに、目についたもの全部吹き飛ばしたりしません!」

シャラ :
「エ!? そーなんだ! すげえ! でも、えっと、あれ? ……」

シャラ :
「……マー気にすんな、ヤバそうなやつなんて全員テロリスト! オレ様知ってんぞ! テロリストに国際条約はな!」

シャラ :
「あってもなくても死ねってんのがジョーシキなんだろ!!」

『ミソラ』 :
「シャラ、狂人の真似をすると狂人だよ」

シドニー・ヘス :
「いっ……言い方ー!」

シドニー・ヘス :
少佐~~~~どう思いますか少佐~~~~

シャラ :
「エ!? アレまさか狂人のクソ嘘なの!?」
 ハワワ…!って顔する

シドニー・ヘス :
つながってな~~~~い ハワワ…!の顔になる

マキナ :
「いちいち順序だてて、判断して……なんてアレはしないよ。
 全部マッサラにしたら全部解決とかいう伏線ブン投げ三流野郎だから」

マキナ :
「で……お得意のソレは今度はこの子らが標的なワケだ。つくづくソレでしかモノを解決するやり方知らないんだ」
 BANG、と指で作った銃で頭を打つ素振り。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「…何度も同じことを言わせるな」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「知る必要がない。
 引き金の遅れ、無遠慮な蓋然の許容…それが過ちを起こしてきた」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「オレの知る限り、何度も、何度も。
 あの時さえ──────。いや、いい」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「今更、貴様の答えも意志も知るだけ無駄だ。
 病巣諸共…ここで屠る」

SYSTEM :
 何事かシドニーに言葉を向けかけた男が、挑発的なマキナの対応に、鼻を鳴らして答える。
 お得意と言わしめるだけの回数、あなたは彼の正気の狂行を見てきた。厳密にはきちんと“勝ち越し”にする程度には未遂にして来た。

 男は必ず、阻止が一刻を争う事柄に踏み込み、弾丸のように駆け、代償のある奇跡を起こし、それ以外を皆殺しにする。

SYSTEM :
 その点においては彼は正解だ。
 今睨んだ二人に何もないはずはない。
    ・・
 ただ、それをあなたが許容できるのかという疑問については───これもまた、言うまでもない。

マキナ :
「あっそ」

 どの道やるしかない。向こうは退く気なんてサラサラないんだし。
 言葉の内容は兎も角、この手のやり取りも一度や二度じゃない。少なく見積もってもまあ、片手じゃ足りないぐらい。

 お互いがお互いに潰しきれないまま、今に至る。
 でもま…未遂でコトを収めてきたんだから、私の勝ち越しってコトで。

マキナ :

 ──そして、同時に思う。

 アイツの見立てが外れたことは一度もなかった。
 アイツがそう見做すには、そう見做しただけの理由がある。
 それが世界の致命的な破局であるという見方。それ自体は確実なことだ。
 まあ……それしかない、なんてのはフザけたモノの見方だけど。

ノア・ウィンターズ :
 沸るような憎悪、凍てつくような視線───
 不思議とボクには見覚えがあった。

 といっても、ゲームの中での話だけど。

ノア・ウィンターズ :
 時々『ダブルクロス』にもいたんだ。何かに取り憑かれたみたいに、あるいは何かに囚われたように、朝から晩まで寝る間も惜しんで血眼でエリア中を駆け回って……。
 そしてある日を境に、ウソみたいにパタリといなくなる。

ノア・ウィンターズ :
 ボクでさえログアウトしてるところを見たことないってオーキィ。
 そーいうヤツらはみんな決まって、攻略サイトにも載ってないチートみたいな技を使って、PKにも躊躇がなくて……そうしてみんな、メチャクチャ強い。

ノア・ウィンターズ :
 ボクも何度か狙われた。戦っても戦っても、死んだらすぐ蘇るチート技を使うからキリがない! それで仕方なく必死に逃げたことがある。
 そのあとすぐにPKのウワサを聞かなくなったから、多分運営にBANされたんだと思うけど。

ノア・ウィンターズ :
 とにかく、時々そういうイカれたヤツらがいて。
 ヤツらを、みんなはプリズナーと呼んでいた。

ノア・ウィンターズ :
 コイツの目は、あの日にボクを狙ってきたヤツと同じ目だ。
 想像も及ばない何かに、人生のすべてを捧げてる。

ノア・ウィンターズ :
 ・・・
 今度は逃げ切れるか?
      ハーフィ
 それも、初心者を庇ったまま? あの時だって、逃げ切れたのはボクがマップを熟知していて、運良く逃げ道に強いエネミーが湧いてくれたからだ。

 ……ムチャだ、不可能だ!とてもじゃないけど、逃げるなんてできっこない……!

ノア・ウィンターズ :
 だけど。
 そういう、冷静に戦力の差を計算するボクの頭の片隅で───

 ───ひとつの言葉が、ガチン、と撃鉄を上げた。

ノア・ウィンターズ :
「どーいうつもりか知らないけど……
 義務だとか、兆しだとか、屠るとか…………!
 ダルいんだよ、そーいうノリ!」

ノア・ウィンターズ :
「ボクがバケモノだって?
 知ってるよ!ボクはレネゲイドとかいうウィルスのカタマリなんでしょ!? そんなことは言われなくても分かってる!」

ノア・ウィンターズ :
「でも……
 このこ
 ハーフィをそう呼ぶのなら、ボクは許さない……!」

ノア・ウィンターズ :
 ターゲットマーカーをセットし直す!
 目標は2体、変わらない!的が少し小さくなっただけだ……!

ノア・ウィンターズ :
「ボクらからボスの横取りなんてマナー違反に、銃口を向けたこと……そして、ハーフィのコト!
 謝らないんなら、ちょっと泣いてもらうよ…!」

SYSTEM :
           ひと
 はた、と、そのことに他人が怒ることをあまり想像していなかったらしい“ハーフィ”の、どこか驚いたような視線。
             ・・・
 だが、そうだ。矛先は別にあなただけに限ってもいないのだ。
 そう呼んだ相手。彼の視点で滅ぼすと決めたものの塊を”どうもしない”という選択肢は有り得ない。

SYSTEM :
 この場、事此処に至っては…。

 “雷人”も“蓋然を閉ざす者”も。
 彼女の生命を脅かす、という点においてのみ共通する。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「よく言った。
 …ならば不足分の自覚は冥府で数え直すがいい」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「だがその前に、一つだけ教えてやる…」

SYSTEM :
 稲光を伴うターゲットマーカーが、あなたの視界で、白い鋼鉄のイレギュラーに重なった。

 そのイレギュラーに予備動作などというものはない。彼に初速という手緩さはない。
 常にその目的だけに驀進するものに、今更振り返る余裕もない。正気の狂行は、同時に、摩耗した鉄心でもあった。

SYSTEM :
 よって…。
 ・・・・
 宣戦布告は、同時に接近のためのブースト音を伴う。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 ・・・
「死に方をだ。
 …その稚拙。オレが討滅する…!」

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
【Initiative】 
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
【Initiative】
 “蓋然を閉ざす者”が行動を宣言します。 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 ベイオウルフ
【 雷華狼藉 】
Passive:《ハードワイヤード/Lv5》
Major:《CRブラックドッグ/Lv2+2》《アームズリンク/Lv3+2》《ライトニングリンク/Lv2+2》

Act:17dx7+12
Dmg:41(??+??) 

[Add']
・「射程:20m」「対象:単体」に攻撃を行う。

SYSTEM :
【Main】
 判定を確認しています... 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
17dx7+12  (17DX7+12) > 10[1,2,2,2,2,3,3,3,4,4,5,6,7,7,7,8,9]+10[3,5,6,8,8]+10[7,9]+5[2,5]+12 > 47

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 一撃で仕留める…
 攻撃対象は言うに及ばず。そこの小童だ。

SYSTEM :
【Main】
 対象が指定されました。

 Target:→Noah 

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションを確認しています... 

ノア・ウィンターズ :
───っ、ちょっ、いきなり───!?

“雷人” :
オーヴァードを屠るオーヴァード…。
銀の弾丸の僭称も伊達ではないと見える。

シドニー・ヘス :
させない……! あたしの行動を放棄して、彼を庇います!

シドニー・ヘス :
Renegade Being Strengths
【 R骨子衝撃耐性 】
オート:《スプリングシールド LV2》

system :
[ フォー・アンサー ] 侵蝕率 : 41 → 43

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 余計なマネを…自ら死にに来るか

シドニー・ヘス :
生かしに来たの……!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 順番の差に過ぎん…! その兵器諸共倒れるがいい!

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションが確定しました。
 
Noah:被カバーリング→Sydney
Sydney:カバーリング→Noah 

SYSTEM :
【Main】
 ダメージを確認しています... 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
5d10+41  (5D10+41) > 38[8,9,5,10,6]+41 > 79

system :
[ フォー・アンサー ] HP : 31 → 19

シドニー・ヘス :
銀の、弾丸にぃっ……

シドニー・ヘス :
銀の盾だあーっ! 順番の再計算を申請します!

シャラ :
弾丸に盾なら、受動有利で盾が有利だよなァ!

ノア・ウィンターズ :
……っ、流石はタンク……!
どっかのアイツにも見習ってほしいね……!

マキナ :
へえ、結構やるじゃん!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
…小賢しい。仕留め損なうか!

シドニー・ヘス :
戦車!? ほっ褒め言葉と受けとります!

SYSTEM :
【Initiative】 
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
【Initiative】
 ”アガースラ”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
【Main】
 行動の宣言を確認します。
 宣言のち、判定を行ってください。

system :
[ NPC:蓋然を閉ざす者 ] HP : 85 → 80

シャラ :
ッシャーオレの番!行くぜテロリストォッ!!

シドニー・ヘス :
どっちのぉ!?

『ミソラ』 :
なるほど すでにどちらもカテゴリはテロリストと…

『ミソラ』 :
そういうこと…だね?

シャラ :
そうだったわ…じゃあ…どちらにしようかな!(指をふらふらさせる)

シャラ :
コッチ!

シャラ :
▼必殺・ブラストブラッド:《コンセントレイト:ウロボロスLv3》+《餓えし影Lv1》
 効 果:-
 判 定:9dx7+5
 攻撃力:3+2d10+nd10
 対 象:“蓋然を閉ざす者”
 侵蝕値:3

SYSTEM :
【Main】
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。 

シャラ :
9dx7+5 (9DX7+5) > 10[3,3,4,4,5,7,7,7,10]+10[2,6,7,7]+1[1,1]+5 > 26

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションを確認しています... 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 …そのシンドローム…。
 だが、出力される行動は同じだ…!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
グレンデル
【閃変挽歌】
Descript:《?????》
Passive:《装備:?????》《ハードワイヤード/Lv5》
Auto:《ディスマントル/Lv1+2》

Act:-
Dmg:-

[Add']
・相手がダメージロールを行う時、そのダメージを-[(Lv*3)]する。
・受けるダメージを[??(??+??+1d)]軽減する。

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションが確定しました。

SYSTEM :
【Main】
 ダメージを確認しています... 

シャラ :
ハー!? ズルだぞズル!! 生身で勝負しろやぁ!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
野蛮な獣が 装備と兵器の存在価値も知らないのか?

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
ならばその台詞は、おまえが稚拙な語彙で賞賛した小娘にも向けてみることだな

シドニー・ヘス :
 

シャラ :
知らねーッ!! お育ち悪いからよォ、敵がやる戦術は全部まとめてまるっとまんべんな〜くズルだっつの!!

『ミソラ』 :
ああ言えば For you...

シドニー・ヘス :
マキナ~ 狂人ってあんなに口喧嘩強くていいのかな~

マキナ :
そこはほらネットでもそうでしょ
話聞かない奴って強いから レスバ

マキナ :
でもさァ、そんなのは殴って黙らせた奴が勝ちなんだよね。
そーゆーわけで頼むよシャラ、キッチリ黙らせて!

シャラ :
任せなァ! ひとつ教えといてやるわ!

シャラ :
オレ様はな〜ッ!!ちょっと前までマジでェ!野蛮な蛇畜生ですわーッ!!

シャラ :
2+2d10+3d10 (2+2D10+3D10) > 2+13[7,6]+25[9,7,9] > 40

SYSTEM :
【Main】
 ダメージを計算しています... 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
1d10 装備:アーマースキン (1D10) > 8

system :
[ NPC:蓋然を閉ざす者 ] HP : 80 → 77

シャラ :
や……

シャラ :
やっぱりヤバンな獣チクショーじゃだめだったかなァ!?なあ〜!?

『ミソラ』 :
ヘッ 半端モンが…

シドニー・ヘス :
ミソラー!?

『ミソラ』 :
…じゃない アイツのガード
2つ分は今ので品切れだよ

シャラ :
すんませェん!!文明人には勝てませェん!!!

シャラ :
あっマジ!? ならいいや獣ってやっぱサイキョーだわ! じゃあな文明の利器!!

シドニー・ヘス :
か、勝ってよお! 大丈夫シャラにも最低限の文化的な生活は約束されてるから……!

シドニー・ヘス :
あれー!?

シドニー・ヘス :
もう何もわかんないっす少佐~~~~(虚空に叫ぶ)

マキナ :
なァにこのまま勢いで押し切る!ホラホラやせっぱち、何時まで余裕ブッこいてられるかなァ?

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
口と引き金は揃って軽いらしいな…。

SYSTEM :
【Initiative】
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
【Initiative】
 "Decula"が行動を宣言します。 

SYSTEM :
【Main】
 行動の宣言を確認します。
 宣言のち、判定を行ってください。 

ノア・ウィンターズ :
なるほど、確かに強いね……
あの攻撃で、たったの3しか入らないなんて……

ノア・ウィンターズ :
で・も……

ノア・ウィンターズ :
ここまではボクの計算通りだよ!
いい仕事してくれたじゃんかサポーター!ここからは主役の登場だ!

ノア・ウィンターズ :
===============================
COMMAND > FIGHT!
==============================

◆ MINOR ACTION
[Combo Name] 雷霆解放
▶ EFFECT : 《オリジン:レジェンド Lv4》
▶ RANGE : 至近
▶ AREA : 自身
▶ COST : 2
▶ RESULT : シーン中、【精神】判定の達成値+[Lv×2]

===============================
> Please enter next command...
===============================

シャラ :
やっちまえ勇者様! かっけーぞーッ!!

ノア・ウィンターズ :
◆ MAJOR ACTION
[Combo Name] レゾナンスヴォルト
▶ EFFECT : 《サイレンの魔女 Lv4》+《援護の風 Lv3》
▶ RANGE : 視界
▶ AREA : シーン(選択)
▶ TARGET : “蓋然を閉ざす者”ハリー、“雷人”
▶ COST : 7
▶ ACT : 6dx10+35
▶ DAMAGE : ndx10+12+21
        装甲値を無視

===============================
> CONFIRMED! Please wait…
===============================

“雷人” :
 ほう、この射程をまとめて捉えるか…。

SYSTEM :
【Main】
 判定を確認しています...

ノア・ウィンターズ :
6dx10+35 〈レゾナンスヴォルト〉 (6DX10+35) > 6[1,2,3,5,5,6]+35 > 41

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションを確認しています... 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 諸共来るか…だが、対処に違いはない。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
グレンデル
【閃変挽歌】
Descript:《?????》
Passive:《装備:?????》《ハードワイヤード/Lv5》

Act:-
Dmg:-

[Add']
・受けるダメージを[??(??+??)]軽減する。

ノア・ウィンターズ :
相変わらずの塩戦法だな…!

シドニー・ヘス :
しょっぱいってコト……!?

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
人間が熊のような怪物に素手で立ち向かうか? それと同じだ。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
もっとも…バケモノ同士でも代わりはしない。
遊戯ほどに事が上手く運ぶものか。

『ミソラ』 :
塩戦法っていうのは…いや、言ってる場合じゃないかなコレ。
そっちのはともかく、もう片方───。

“雷人” :
 彼ほど“コレ”に胡坐をかく気はなかったがね…
 ならばこの力を使わせて貰う───

SYSTEM :
【CAUTION!】
Effect:【究極存在】
Player:”雷人”
Target:自身

[Add's]
・???と現実世界の双方に───
・条件を達成していない相手からダメージを─── 

SYSTEM :
【ERROR!】
 Eロイス『究極存在』が不発しました。

“雷人” :
 ………!

“雷人” :
 “電子の妖精”か。
 やはり、わたしもよくよく運のない男だな…!

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションが確定しました。

Vision killer:ガード
Tesla:ガード

SYSTEM :
【Main】
 ダメージ計算を確認しています... 

ノア・ウィンターズ :
だーかーら、塩戦法ってのは……あーもう、とにかく……!

ノア・ウィンターズ :
その甘い考えごと、撃ち抜かせてもらうよ───!

ノア・ウィンターズ :
5d10+12+21 (5D10+12+21) > 27[2,4,8,9,4]+12+21 > 60

SYSTEM :
【Main】
 ダメージを計算しています... 

system :
[ NPC:蓋然を閉ざす者 ] HP : 77 → 33

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 雷霆…! やはり、貴様がそうか
 いや、貴様たちが────── 

“雷人” :
 逃がした魚は大きい、ということかな。

ノア・ウィンターズ :
なんでだろうね、なぜかボクの内側からチカラが湧いてくる───!

ノア・ウィンターズ :
それに……何を終わった気でいるのさ!
アタッカーならもう一枚残ってる!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
終わった気には早い、か。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
辞世の句のわりには、間の抜けた台詞だ。
…オレがその脅威に手緩い対応をすると思うか!

SYSTEM :
【Initiative】 
 イニシアチブを確認しています... 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
【 CAUTION! 】
Effect:【加速する刻I】
Player:“蓋然を閉ざす者”
Target:自身

[Add's]
・イニシアチブプロセスにメインプロセスを行う。
・行動済でも宣言を行え、この行動で使用者は行動済にならない。

SYSTEM :
【Initiative】
 “蓋然を閉ざす者”が行動を宣言します。 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 ならばその間隙は逃がさん…!
 汎用戦闘シフト、モード展開──────! 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
ベイオウルフ・ネイリング
【 雷華狼藉・交裂 】
Passive:《ハードワイヤード/Lv5》
Major:《CRブラックドッグ/Lv2+2》《アームズリンク/Lv3+2》《エレキフィールド/Lv2+2》
Minor:戦闘移動

Act:17dx7+12
Dmg:25(??)

[Add']
・『射程:至近、対象:範囲』に攻撃対象を変更して攻撃する。

SYSTEM :
【Main】
 判定を確認しています... 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
17dx7+12  (17DX7+12) > 10[1,2,2,3,3,3,4,5,5,5,7,9,9,9,9,10,10]+10[2,2,5,6,7,10,10]+10[4,9,10]+10[9,10]+10[4,7]+10[7]+5[5]+12 > 77

シャラ :
ずるだろずる!! なーマキナァ!! あいつずるしたぁ!!!

マキナ :
コイツまじでフザけんなよ

シドニー・ヘス :
少佐ぁ……大佐ぁ……

シャラ :
マキナ先生だってこうおっしゃってるだろ〜〜〜〜〜〜!?

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
死出の旅路の前だ、好きに喚け…!

system :
[ “アガースラ” ] 侵蝕 : 45 → 48

system :
[ “電界翔ぶ蟪姑” ] 侵蝕 : 46 → 55

マキナ :
そーやってカッコつけて、仕留め損なって何度恥欠いてきたことやら!
やってやろうじゃン……!

マキナ :
……シドニーが!

シドニー・ヘス :
あたしぃ!?あたしだ!!やっやりまあ~~~~す!!!!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
案ずるな、貴様ら諸共だ…

ノア・ウィンターズ :
言ってる場合──────!?

シャラ :
やっちまえリーダー!!その盾のカドで!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
見えなかったならばもう一度見せてやろう
こちらの攻撃範囲は───

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションを確認...? 

SYSTEM :
Anti-Renegade-Providence
【 対R因子歪曲防御 】
Auto:《ミスディレクションL3》

[Add's]
・対象が「対象:範囲or範囲(選択)」の行動を行うときに宣言する。
 その行動の対象を「単体」に変更する。

SYSTEM :
【Main】
 攻撃対象が「単体」に変更されました。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 ガンビット…!
 奥の手がいたか!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 ならば!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
1d4 (1D4) > 4

“蓋然を閉ざす者”ハリー :

SYSTEM :
【Main】
 対象が指定されました。

 Target:Aghasura 

シャラ :
ハア〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!?????????

シドニー・ヘス :
少佐~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!

ノア・ウィンターズ :
なんだいまの…………!?

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
ならば身近な者から仕留めるまでだ…!

マキナ :
……状況はよくわかんないけど……

シドニー・ヘス :
シャラ~~~~~~~~~~!!?!?!?!?!?!?

ノア・ウィンターズ :
とりあえず………………

マキナ :
気張れ!

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションを確認しています... 

ノア・ウィンターズ :
サポート役、お疲れさま!

シャラ :
助けろォ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!侵蝕の余裕の範囲でぇ〜〜〜〜!!!!!!!!

シドニー・ヘス :
もちっす! いくっす!

シドニー・ヘス :
Renegade Being Run-out
【 R骨子防衛向性 】
Auto:《崩れずの群れ LV1》

Renegade Being Strengths
【 R骨子衝撃耐性 】
Auto:《スプリングシールド LV2》

system :
[ フォー・アンサー ] 侵蝕率 : 43 → 47

マキナ :
もうひと踏ん張り、頼んだよシドニー!

シドニー・ヘス :
うんっ! ぜったいマキナに繋ぎます!

シドニー・ヘス :
あれ? これ少佐も見っ 緊張 動悸 眩暈 装甲値

シャラ :
そこで不安なるなよぉ!怖いだろぉ!!

シドニー・ヘス :
ひわ~~~~ん

SYSTEM :
(周囲を飛ぶビットがあなたを心なしか激励している) 

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションが確定しました。

Shara:被カバーリング→Sydney
Sydney:カバーリング→Shara 

SYSTEM :
【Main】
 ダメージ計算を確認しています... 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
8d10+25  (8D10+25) > 47[4,8,10,6,4,1,9,5]+25 > 72

SYSTEM :
【Main】
 ダメージを確認しています... 

system :
[ フォー・アンサー ] HP : 19 → 14

シドニー・ヘス :
い゛っっっ……

シドニー・ヘス :
狙いが収束したから、なんとかぁ……! 少佐、救援感謝します!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
チッ、阻まれたか…一度ならず二度も、貴様のような半人前に!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
(歪曲さえなければ…いや、あったとしてもか?
 リザレクト
 緊急再生さえ行わずとは、度し難いものを仕上げてくれる…!)

シドニー・ヘス :
はッッッ

シドニー・ヘス :
赤いのが揃いも揃って、ひとが気にしてることを! 怒りますよ!

シドニー・ヘス :
お……怒ったぞっっっ

ノア・ウィンターズ :
(…………ボクもさっきポンコツって言ったな)

マキナ :
その半人前に凌がれる、弾切れの今のあんたなんてその程度ってコト!
分かったら、大人しくしてろ……!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
…囀るな…!

ノア・ウィンターズ :
悔しいなら、キミもパーティを組むことを覚えたらどう!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
そんなものはあったとて足を鈍らせる…それに、仕留められねば同じことだ!

SYSTEM :
【Initiative】 
 イニシアチブを確認しています... 

system :
[ NPC:蓋然を閉ざす者 ] HP : 33 → 28

SYSTEM :
【Initiative】
 “凡て世はこともなし”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
【Main】
 行動の宣言を確認します。
 宣言のち、判定を行ってください。 

マキナ :
【LiarGun Discharge!】
マイナーアクション:搭乗
メジャーアクション:《コンセントレイト:ブラックドッグLV2 》+ 《アタックプログラム LV3》

DICE:6dx8+6
DAMAGE:nd10+2d10+19
OPTION:
使用武器:76mmプラズマランチャー(レーザーランチャー)
装甲値無視 同一エンゲージ不可 射程300m。

マキナ :
対象は勿論、そこのくたばり損ない!
いい加減お縄に付けっての!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
ほざくのは勝手だが、先の発言はそっくりそのまま自分に返るものと思え…!

SYSTEM :
【Main】
 判定を確認しています... 

マキナ :
6dx8+6 (6DX8+6) > 10[1,4,4,4,8,10]+4[2,4]+6 > 20

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションを確認…? 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
見飽きた方の得物ではないようだな…。
だが、付け焼刃で何ができると!

マキナ :
うっさいね、こんなのはね撃って当たりゃいいんだよ!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
フン…数分前の自分を思い返してみろ
さぞ滑稽なダブルスタンダードが映るだろうよ

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
何れにせよ───

『ミソラ』 :
…じゃ、付け焼刃が通るよ

『ミソラ』 :
何しろ、何もしない、だと…。
カッコ悪いまま歴史に残る!

『ミソラ』 :
   Go Ahead!
【 地平線のムコウへ 】
Auto:《ヘヴンアイズL2》《勝利の女神L3》

[Add's]
・対象の判定達成値を[10+Lv*3]する。 

シドニー・ヘス :
き、刻んでるっす! 歴史!

シドニー・ヘス :
ごーごー!

マキナ :
サンキュー! この偉業は歴史に残るよ、保証してあげる!

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションを確認しています... 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
グレンデル
【閃変挽歌】
Descript:《?????》
Passive:《装備:?????》《ハードワイヤード/Lv5》
Act:-
Dmg:-

[Add']
・受けるダメージを[??(??+??)]軽減する。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
チッ、余計なマネを…!
だが、何れとて対応は変わらん

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションが確定しました。

SYSTEM :
【Main】
 ダメージ計算を確認しています... 

マキナ :
4d10+19 (4D10+19) > 18[8,3,1,6]+19 > 37

SYSTEM :
【Main】
 ダメージを確認しています... 

system :
[ NPC:蓋然を閉ざす者 ] HP : 28 → 7

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
あと一手…不足していたらしい、な

マキナ :
チッ……相変わらずしぶっといヤツ!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
こちらのセリフだ…行く先々でぴんしゃか飛び回って、貴様が言えたものか。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
(だが、あと一手はこちらも同じ…ここは───)

SYSTEM :
【Initiative】
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
【ERROR!】
 “雷人”の行動は特定手番中に宣言したエネミーエフェクト「瞬間退場」によって割愛されます。

SYSTEM :
【Clean up】
 クリンナッププロセスを確認しています... 

SYSTEM :
【Clean up】
 宣言可能なエフェクトを所持するキャラクターがいませんでした。
 ラウンド1を終了します。

SYSTEM :



        【ROUND 2】

system :
[ 玖月 マキナ ] HP : 23 → 20

system :
[ 玖月 マキナ ] 侵蝕率 : 39 → 43

SYSTEM :
【Set up】
 タイミング:セットアップのエフェクトを宣言出来ます。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
【 宣言なし 】

シドニー・ヘス :
ないっす! 《命の鎧》はシーン持続です!

ノア・ウィンターズ :
試してみたいことはあるけど……いまは流石にぶっつけ本番すぎるね ナシ!

シャラ :
あのガキも~フラフラしてんべ! 今回はケチるわ!

マキナ :
今更"アレ"使うのもね。
こっちもナシ

『ミソラ』 :
(ここで発言したら混乱させられそうだな…とか考えているときの顔)

シドニー・ヘス :
よからぬ気配!?

シャラ :
すんなすんな つかそしたらオメーアレだぞ! その女神もがれんだぞ!

『ミソラ』 :
アイデンティティークライシス!

SYSTEM :
【Set up】
 セットアッププロセスを終了します。

SYSTEM :
【Initiative】
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
【Initiative】
 “蓋然を閉ざす者”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
【Main】
 宣言を確認しています... 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 ベイオウルフ
【 雷華狼藉 】
Passive:《ハードワイヤード/Lv5》
Major:《CRブラックドッグ/Lv2+2》《アームズリンク/Lv3+2》《ライトニングリンク/Lv2+2》

Act:17dx7+12
Dmg:41(??+??)

[Add']
・「射程:20m」「対象:単体」に攻撃を行う。

シドニー・ヘス :
(高らかに挙手)

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
………

シャラ :
(背中に隠れる)

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
攻撃対象は変わらず。あの小僧を狙う。(無視)

ノア・ウィンターズ :
あのさあ…!

シドニー・ヘス :
どうして~~~~!!!!

マキナ :
空気読めよ~

SYSTEM :
【Main】
 判定を確認しています... 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
17dx7+12  (17DX7+12) > 10[1,2,2,3,4,4,5,6,6,6,7,7,7,7,9,9,10]+10[2,5,9,9,9,10,10]+10[3,3,4,6,8]+10[10]+1[1]+12 > 53

シドニー・ヘス :
一回こっきりの全力弾丸って触れ込みはどうしたんですかあ~! うそついてる~!

ノア・ウィンターズ :
ムカつくけど……まだ読み切れないな、パターン……!

シドニー・ヘス :
うう~! 行動を放棄してかばいます!

シドニー・ヘス :
スプリングシールドは在庫切れで~す……

シドニー・ヘス :
きみがいっぱい襲い掛かってくるから……

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
おめでたい思考だ…
敵が加減などすると思うか

シャラ :
でーじょーぶだよ!その筋肉で耐えろ!リーダーならできんだろ!

シドニー・ヘス :
きんにくう!?

『ミソラ』 :
(腕を組んでいる)

『ミソラ』 :
ある(主語抜き)

シャラ :
ほらな!

シドニー・ヘス :
ンッッッ(みようみまねのサイドチェスト)

マキナ :
たっぷり残ったHP 遣い時は今だよ今

シャラ :
キレてんぞ~!!

ノア・ウィンターズ :
多分イケるって!フツーのヤツならもう4回くらいダウンしてる気がするし!

SYSTEM :
【Main】
 対象が指定されました。

 Target:→Noah 

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションを確認しています... 

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションが確定しました。

Noah:被カバーリング→Sydney
Sydney:カバーリング→Noah 

SYSTEM :
【Main】
 ダメージを確認しています... 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
6d10+41  (6D10+41) > 38[8,3,5,7,8,7]+41 > 79

マキナ :
ケツに火が付いてる間だけ頑張り過ぎなんだよ毎度毎度……!!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
労力ひとつで討滅が成せるなら易いものだ
いずれにせよ…

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
バケモノは一匹残らず根絶やしにしてくれる…! 

シドニー・ヘス :
Renegade Being Energy-shift
【 R骨子完全偏性 】
オート:《がらんどうの肉体 LV5》

シドニー・ヘス :
7d10 (7D10) > 49[9,7,2,9,9,4,9] > 49

シドニー・ヘス :
うひぃ! 死んじゃうかと思ったあ……!

シドニー・ヘス :
な なんとか 無傷……っす!

system :
[ フォー・アンサー ] 侵蝕率 : 47 → 50

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
無傷…!?

マキナ :
……逆になんで死んでないん?

シャラ :
やっぱ筋肉だろ筋肉!!!

シャラ :
スッゲ~ッ

ノア・ウィンターズ :
なんか…まだ余裕ありそうじゃない…?

ノア・ウィンターズ :
コワ…

シドニー・ヘス :
やだ~~~~!!!!オンリーマッスルじゃないもん!!!!

マキナ :
イレギュラー転がり過ぎでしょこの時代 コワー

シドニー・ヘス :
こわくない~~~~!!!!合衆国パワーなんですう~~~~!!!!

シドニー・ヘス :
ですよねえ少佐~~~~~~~!!!!!!あたし筋肉オバケじゃないですよねえ~~~~~!!!!!!!!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
…RB由来の生体兵装か。
先程までが余技に過ぎんとはな…冒涜極まるものを作り上げてくれる

system :
[ NPC:蓋然を閉ざす者 ] HP : 7 → 2

SYSTEM :
【Initiative】
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
【Initiative】
 ”アガースラ”が行動を宣言します。

SYSTEM :
【Main】
 行動の宣言を確認します。
 宣言のち、判定を行ってください。 

シャラ :
ンアー……オイ、マキナ!

シャラ :
あとヨロシク! オレ様「待機」!

マキナ :
オッケー、任された。
悪いね

シャラ :
倹約家だからよォ~! ケチれるのはウレシーわ!

『ミソラ』 :
このような男が

『ミソラ』 :
マジックテープで支払いは任せろとか言いながら
ワリカンを強いるんだ

『ミソラ』 :
それを分か………

シャラ :
(ベリベリベリベリ)

シドニー・ヘス :
何の音ぉ!?

『ミソラ』 :
私の財布!!!!!

シドニー・ヘス :
ひっひとの財布を!!

マキナ :
ホゴシャの職権乱用だぁ

シドニー・ヘス :
"アガースラ"さん……

シャラ :
キョーユーザイサンなんだよ!こいつ無駄遣いするからァ!!

シャラ :
ヤメテ心の距離あけンの! 傷つくだろ!!

ノア・ウィンターズ :
…………うん。ああはなりたくないかな……

『電子の妖精』/ハーフィ :

『電子の妖精』/ハーフィ :
おまえのものは俺のもの…っていうやつ

『電子の妖精』/ハーフィ :
悪用しちゃダメよ

SYSTEM :
【Main】
 待機が宣言されました。
 行動値(と心の距離)を変更しています... 

シャラ :
すんな~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!

SYSTEM :
【Initiative】
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
【Initiative】
 "Decula"が行動を宣言します。

SYSTEM :
【Main】
 前回の手番で『待機』が宣言されました。
 待機を行いますか? 

ノア・ウィンターズ :
アイツにばっかしやられてばっかじゃシャクだ!ボクも攻撃したい、けど……

ノア・ウィンターズ :
ちょっと、反動が、キツいかも……!
ここは待機する…!マキナ、ラストアタック任せたよ……!

マキナ :
ま、コイツは私の方で面倒見るからさ。
キミは今は温存しときなって。ヒーローは程々にサボって最後の方タイミング見計らうのも仕事の内だよ。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
チ、性懲りもなくまた来る…! だが…

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
掬える足元ならば、死ぬのは貴様だ…!

SYSTEM :
【Main】
 待機が宣言されました。
 行動値を変更しています... 

SYSTEM :
【Initiative】
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
【Initiative】
 “凡て世はこともなし”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
【Main】
 行動の宣言を確認します。
 宣言のち、判定を行ってください。 

マキナ :
【LiarGun Discharge!】
メジャーアクション:《コンセントレイト:ブラックドッグLV2 》+ 《アタックプログラム LV3》

DICE:6dx8+10
DAMAGE:nd10+22
OPTION:使用武器:雷将神器

マキナ :
そんなにいつもの奴が見たいなら、お望み通り!
コイツで黙ってもらうよ、"蓋然を閉ざす者"!!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
だが判断が遅かったな…リチャージが終われば、ましてこの間合いでは!

SYSTEM :
【Main】
 判定を確認しています... 

マキナ :
6dx8+10 それはどうかね…! (6DX8+10) > 10[1,2,3,3,5,8]+6[6]+10 > 26

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションを確認しています... 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
凌ぎ切れるかの瀬戸際、だが…

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
今更易々と死ねん…!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
グレンデル
【閃変挽歌】
Descript:《?????》
Passive:《装備:?????》《ハードワイヤード/Lv5》
Auto:《ディスマントル/Lv1+2》
Act:-
Dmg:-

[Add']
・受けるダメージを[??(??+??)]軽減する。
・相手がダメージロールを行う時、そのダメージを-[(Lv*3)]する。

SYSTEM :
【Re:Action】
 リアクションが確定しました。

Vision Killer:ガード 

マキナ :
ハッ、何時殺すなんて言った?
全身麻痺らせて逃げられなくした後で、死にたくなるぐらい赤裸々に……
洗いざらい吐いてもらうよ!

SYSTEM :
【Main】
 ダメージ計算を確認しています... 

マキナ :
3d10+22 (3D10+22) > 17[3,4,10]+22 > 39

SYSTEM :
【Main】
 ダメージを確認しています… 

system :
[ NPC:蓋然を閉ざす者 ] HP : 2 → 0

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
三手…それで仕留め損ねたとあらば…

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
時間を掛けすぎた、か…!

system :
[ 玖月 マキナ ] 侵蝕率 : 43 → 47

system :
[ 玖月 マキナ ] HP : 20 → 17

マキナ :
……フン。あんたにしては、随分ヘタな手ェ打ったね。

SYSTEM :
【Check!】
 ユニットの戦闘不能を確認しました!

・Vision Killer 

SYSTEM :
 ………………
 ………………

SYSTEM :
 ・・
 稲光が一度走った。

SYSTEM :
 敢えて“蓋然を閉ざす者”に予備動作があったことを指摘するならば。
 それはたったそれだけのこと。知覚と同時に、音の壁を突き破って敵意がやってきた。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「狙い撃つ──────!」

SYSTEM :
 白い稲妻と殺気が併走する。抜き打ちじみた動作で銃撃が叩き込まれること瞬きのうちに数回。
 ───そして、立て続けざま、秒間数十を越える、鉄鋼の傾盆大雨。 

SYSTEM :
 発生する反動ごとコンマ1秒単位で演算・最適化され、磁気による加速を通じて射出。

 前傾姿勢で、磁気反発による滑走を以てクロスレンジへの接近を試みながらも、
 標的と定めたものに向けて放たれた弾丸が、物理学も慣性も概ね無視した軌道を伴って標的を強襲した。 

SYSTEM :
 少なからずFH産の、オーヴァードが、R因子の運用を前提として扱う火器とは…。
 その構造において、21世紀の常識を少なからず凌駕するものがある。
 彼の武器も、おそらくはそのようにカテゴライズ可能な武器だった。

SYSTEM :
 だがおそらくは、だ。類似性においては、FHとも、テンペストとも合致し得ない。UGNなど以ての外。

 なにしろどんな銃器であろうとも───銃、という一括りの道具である以上は。形状からある程度の用途は察し得る。
 年齢十代の片手にグリップが収まる程度の火器。リボルバー、または高く見積もってもマシンピストルが精々。

SYSTEM :
 そして飛翔体の誘導などとは、レーザー誘導にせよ赤外線誘導にせよ、未だミサイル程度の大きさは不可欠になる。

 彼のように、その形の銃器から、これほどの精密性と連射速度で機関砲めいて放たれた弾丸が…。
 すべて等しく、標的と定めたノアのもとに、視界のあらゆる角度から変幻自在に襲い掛かるなど。レネゲイドが多少助けをした程度で、あり得るものではない。

SYSTEM :
 ライトニングリンク
 生体電流式連携接続───。
 
 多量の生体電流を一挙に放出して火器管制システムと接続。
 より精密で、かつ直感的な、ブラックドッグ・シンドロームならではの火器運用。

SYSTEM :
 弾丸一つ一つに帯びさせた電子/磁気そのものを、銃器の演算システムにリンクして操作。
 それぞれの軌道を射撃の片手間で、敵の回避運動や陣形の変更に合わせて再調整。
 如何なる防衛線も回避行動も後出しで突き破らんとする。

 ガンビットの空間認識的な要領と同じだ。
 違うのは、それが因子付与した使い捨ての弾丸で、桁外れの“数”で行われる部分。
 弾丸がそのまま超小型のドローンにでもなったような異形を、二の矢のための接近と並行しながら行って見せている。

SYSTEM :
 神経加速はそもそも攻撃時のみアクティブにしているわけではない。常時それだ。
 常に自分を破損させながら加速するその愚直な前進と、討滅への意思…ディスコミュニケーション込みで最早ジャームの行いにすら見える狂行は、しかし理性的判断ナシでは成立しない細部の調整を伴って実現している。

SYSTEM :
 コロシ
 殺戮を、引き金を弾くだけという一工程に収めた銃器を。
 ・・・・・・
 一工程のまま、ただ殺せる範囲を極限まで広げる。

SYSTEM :
 彼は確かに兵士ではない。だが──────。

“雷人” :
   Killer
『 殺戮者か 』

SYSTEM :
 なるほど…と、無機質な声。
 なれば彼こそが、塵殺者だ。

 そう、と定めた相手を殺す凶弾だ!

ノア・ウィンターズ :
 目前の、常軌を逸したプリズナーの殺意を浴びながらも。
 ボクには、なんとなく自信があった。

ノア・ウィンターズ :
 ・・・・・・・・
 ボクならば躱せる。
 そんな、根拠のない自信。

ノア・ウィンターズ :
 ……いや、根拠がないってのはちょっとウソ。
 根拠は、ボクが『ダブルクロス』で積み重ねてきた経験だ。

 『ダブルクロス』では、ボク装甲を犠牲に機動力と攻撃力を最大限に高めて戦うスタイルのオーキィだったからだ。無数の攻撃をすり抜けて、隙をついて制圧する。そんな、ボクの理想のヒーローのカタチ。

ノア・ウィンターズ :
 ついさっき、“雷人”から浴びた雷撃が、その自信を後押ししていた。
 ボクには《電磁結界》がある!万が一にも当たった攻撃もオートですり抜ける、ダブルクロス屈指のチートスキル!
 ピーキーなスキルだけど、血の滲むような訓練でボクはそれを使いこなせるようになった!そいつが現実で使えるなら、ボクが負けるはずがない!

ノア・ウィンターズ :

だけど──────

  ─────なぜか走った悪寒に、ふと頭上を見上げて。

       その自信は、完膚なきまでに粉々にされた。

ノア・ウィンターズ :
 ボクに向けて飛来する、殺意の驟雨。

 ゲームで鍛えた動体視力が幻視させる弾丸の起動は、ウソみたいにみんなボクを睨みつけている。

ノア・ウィンターズ :
 理解が実感に先走る。
 ああ、いつ放たれたのかだって分からないけど────こんなもの、回避なんてどんなオーキィでも出来っこない!

 《電磁結界》だって効きやしない……!アレはほんの一瞬のダメージ判定にだけ有効なんだ!
   あたりはんてい
 絶えず弾丸の嵐に晒され続けるなんて想定されてない!

ノア・ウィンターズ :
「あ、あ──────」

ノア・ウィンターズ :
 一瞬遅れて、実感が理解に追いついたとき。
 ボクのアタマは、まるっきりショートして、動かなくなった。

 ───もうダメだ、やられる……!

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈──────ノアッ!〉

シドニー・ヘス :
 接近──掃射。遍く摂理に反した軌道で、空間を縦横無尽に弾丸が駆けずり回る。

 回避を試みれば、その停止点に。
 防御を行うなら、その間隙へと。

 あらゆる対策に先んじ、いかなる対応にも後塵を拝ませる。ただ一人へと向けた殺戮の収束は、決して標的を逃がさない……!

シドニー・ヘス :
「……よかった」

 計算尽くの制御なら、怖くはない。だって──

シドニー・ヘス :
  そこ
 ──計算にあたしはいない!

シドニー・ヘス :
 そうと定めた相手を殺す。
 ただ一点しか見ない純粋に、横合いから無粋を叩きつける。

 ・・・・・・・
「お邪魔しますッ!」

 宙返りした体が、呆然とするデキュラ少年のもとへ。着地の衝撃に機体は揺れもしない。
 まるで車椅子の視界だと気付くのは、この防衛のあと。

シドニー・ヘス :
 背もたれの両肩に足をついて、膝を突き出す。肩車にも似た姿勢で──すっごく申し訳ないけど──彼を上から抑えこむように前屈みでマシンを掴む。

シドニー・ヘス :
 あいにく操縦桿はない。必要もない。
 マシン        あたし
 無機物の中へぞぶぞぶと有機物の手が沈み、入り込んでゆく。

 1と0で構築された被造物に、血管を通す。拡げる。あたしという現実で補強する。

シドニー・ヘス :
 それは通常なら許されない自他の曖昧化、言ってしまえば侵蝕だ。他者に紐づいた器物に行えば、とうぜん反発が起きる。
 不一致と不整合を欺瞞するのはパトリオットの役目だけど──

シドニー・ヘス :
(──っ?)

 やけに馴染む。あっさりと。ううん……ちょっと違う。
 一体化っていうより、余白にぴったりと重なるイメージ。彼の側に、外付けを受け入れるための空白があったみたいな……。

シドニー・ヘス :
          インパクト
「考えるのは後……! 衝撃に備えて!」

 血管と神経を、指先に巡らせる。暗色のマシンは今や白銀の装甲に覆われていた。表層は絶えず流動している。波打つ鏡面、顔なき友人の名を叫んだ。

「パトリオット──!」

シドニー・ヘス :
 借り物の両腕が持ち上がり、多角的集中攻撃に対抗する。デキュラ少年を庇うように交差して、凶弾の一切を寄せつけない。

「ん、っ──」

 こちらの挙動に応じて再調整をかける完全な誘導弾。庇って足りるなら、射手の自滅が先だ。
 でも平気。平気にする。覆い被さったあたしの体で弾丸ぜんぶ、ぜーんぶ……! 食い止めちゃえば届かないんだから……!

シドニー・ヘス :
 弾性を高めた体内で、制御を失う直前の鉛玉が跳ねまわる。貫通はさせない。
 削られた生身が悲鳴をあげても、行き場のない内出血が肌を染めあげても。
 演算がどんなに完璧だって関係ない。あたしが異常値になるんだ!

SYSTEM :
 危ない、と。
 その感情を圧縮して込めた”ハーフィ”の叫びが、はじめ戸惑いに代わる。

 なぜ、何を───と。むろん、行動の答えは出ている。

 何があれども躊躇わず、ノアの”前”に立って退かずを徹底した少女の無手は、躊躇うことなく振り返ったものに向けられ、守るために広げられた。
 その動作が、まるきり思考すべてに空白を生むわけではなかった。

SYSTEM :
 だが、それでは、と。

 凶弾が鉄の嵐を吹き荒れさせるにあたって、防波堤ならぬ防風堤となった少女の身がどうなるかは想像に難くない。
         ・・・
 戸惑いはすぐに、そちらの心配に代わった。

SYSTEM :
 ましてや…個人を仕留めるための演算に、被害を肩代わりする無謀は含まれないが。
 外的要素を演算に含まない道理はない。
 見せていない武器も含めて。ただ殺傷という結果のために穿ち続けてきた巌が少年だ。

 年頃としては、外見を鵜呑みにするならおそらくシドニー以下の若造とて。彼は文字通り命を燃やした経験の桁が物理的に違う。

 来訪の直前と立ち位置から。知らずとも、その誤差を修正する意識は持っていて当然だった。

SYSTEM :
 ならば、接近の姿勢と並行して射撃を行う男の、ただでさえ確固たる意志と殺意を伴った不機嫌な面持ち。その眉間に皺が寄ったのはどういう理屈か。

SYSTEM :
 答えは───言うまでもない。

 暗色を覆った白銀。
 それは、銃から身を守る軍人の命綱………否。
 超人から身を守る超人の命綱だ。

 忠誠をささげた兵士の本分を全うさせるための意思ある補助輪───そう銘打たれた名と共に。
 一人と一体が、接近に並行する射撃を阻み、留めていた。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「(流体金属…だが、他者にさえ使えるのか)」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 States
「合衆国…よくよく毒とも知らずに飛びつく。
 管制された武力などと、聞いて飽きれる貪欲さだ」

SYSTEM :
 彼は戦場に対するXだが。
 彼自身には、一目見て、すべてのイレギュラーを凌駕できる頭脳など備わっていない。

 その方面の利口さがあれば、少年の行いはこのような決死行の連続になっていない。
 防ぐ、までは仮に読めたとしても、その手段まで演算に入れられるような利口さなど。その機能が本人ではなく道具に備わっている以上、無理な相談だ。

SYSTEM :
 毒付きながらの誤差修正。
 リロードの僅かな猶予までに放たれた弾丸は百を軽く超越するが、しかし…。

 しかし、その猶予が訪れてなお、嵐が命を持ち去ることは叶っていなかった。

SYSTEM :
 戦場のXを完遂したあなたの、少年に対する小さな違和感、探り当てたRBの空白。(あるいは空白と表現した不可解さ)
 それも、おそらくは錯覚ではない。しかしそれよりも、今は───。

シドニー・ヘス :
 ぜえぜえと肩で息をしながら、ゆっくりと上体を持ち上げる。わずかな猶予はリロードのおかげらしい。

シドニー・ヘス :
「開拓精神ってヤツですかね……! 未知に挑むのが、この土地の歴史です!」

ノア・ウィンターズ :
「んなっ───!?」

 飛来する弾幕を見上げた視界が、いきなり誰かの身体で塞がれる!
 ちょっ、いきなり何して───!

ノア・ウィンターズ :
 ───空白になったアタマで考えた言葉を叫ぶより、その誰かさん……海兵さんの行動の方が遥かに疾かった。

ノア・ウィンターズ :
 触れられた身体の───いや、ボクが座る謎のマシンに、ナニカが沈み込む。

 まるで、皮膚の下につめたい金属を流し込まれているみたいな……それなのにまるで痛くも不快でもない不思議な感覚。
 これがいったい何なのか……考えるよりも早く、その金属っぽい感覚がマシンの全身に行き渡った。

ノア・ウィンターズ :
     ・・・・・・・・・
「まさか、永遠のマリオネット……!?」

 そうして気がついたときには、マシンの制御が乗っ取られていた……!
 咄嗟に脳裏に過ったのは、『ダブルクロス』のアクセサリー!ロクに動けない初心者救済のために、他のプレイヤーが代わりにオートで操作できるようにする特殊なアイテムだ!

ノア・ウィンターズ :
 まさか、このボクに代わってこの攻撃を躱す気!?
 絶対ムリだ、やめておきなよ……!

 ──────なんて、叫ぼうとした。

ノア・ウィンターズ :
 そうしてすぐ、この子が選択した行動がそんな生優しいことじゃないって気がついた。

ノア・ウィンターズ :
「なっ、なん……で…………」

ノア・ウィンターズ :
 シドニーは、ボクが受けるはずだった弾丸を全て、その身体で受け止めている……!
 ボクのアタマを覆う身体越しに伝わってくる、何重にも柔らげられているはずの衝撃が、その事実でボクに殴りかかってくる。

 確かにシドニーは自分がタンクだって言ってた、でも、これじゃあ……!

ノア・ウィンターズ :
 その衝撃が鳴り止んだとき、まだシドニーの身体から荒い呼吸が伝わってくるのを感じて。
 ボクは思わず、身を捩ってアタマをシドニーの身体のガードから抜き出して叫んだ。

ノア・ウィンターズ :
「………っ! 何やってんのさ、このバカっ!
 アレくらいボクにだって……!」

ノア・ウィンターズ :
「…………大丈夫!?」

シドニー・ヘス :
「わ、と」

シドニー・ヘス :
「ごめん、もう──」

 大丈夫だよ……じゃ、ないか。
 どくからね、と続けようとして。 

シドニー・ヘス :
「う゛ぉぇえ……」

 大急ぎで顔を背けて、床に口からぼとぼと大量の弾丸を吐きだす。
 安全に貫通させたいけど、これ、標的が死ぬか制御が外れるまで安心できないみたいでぇ……。

マキナ :
「うっわ」

『ミソラ』 :
「だいじょばなかった」

ノア・ウィンターズ :
ヒッ───と息を呑む。

シャラ :
「きたね!」

シドニー・ヘス :
「あっ……あたしの尊厳が! でッでもがまんできなくってぇ」

シドニー・ヘス :
「言い返した時点で、喉まで来ててぇ」

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈無事…あの、無事なのよね?〉

シドニー・ヘス :
「戦闘行動継続可能でぇす……」

ノア・ウィンターズ :
「………っ、ああ、もうっ……!
 だ……大丈夫なら、サッサと降りなよ……!」

ノア・ウィンターズ :
 ガクン、と強張った身体からチカラが抜けていくのを感じて、アタマに血の気が戻ってくるのを感じながら。
 さっき抜け出した、アタマがあったはずの場所に考えがいって………

ノア・ウィンターズ :
 ……いや、考えない!
 なんか当たってた気がするとか……!ぜったいそんな場合じゃないし……!

シドニー・ヘス :
「ごめぇ~ん……」

 ぺしょぺしょとしながらマシンから『あたし』を引き上げて、盾を構えなおす。あたしには延長線上でも、これからの彼には夾雑物だ。

シャラ :
(にしてもすげーな。アレでゼンゼン無事じゃん。
 ミソラも言ってた、外付けのナンカとの親和性ってヤツか?)

『シャラ』 :
──ブリーフィングのときの宣言通りということだろう
 動きにためらいもない よく育った駒のようだな

シャラ :
(言い方)

シャラ :
 臨戦態勢になったからか頭の中がうるさくなってきた。
 ウロボロスの成分を引き起こす関係で、頭の中の煮詰まった怒りと破壊欲が騒ぎ出す。それが、とりあえず今一番壊しやすいものを割り出す。

シャラ :
 あっちの仮面、“電人”とか言ったヤツと、全方位死ねと叫んでるヤツなら。
 死ね男のほう──“蓋然を閉ざす者”とか呼ばれたほうだ。
 止まる気配もためらう気配もない。
 じゃあ用も済んだんで帰ります、お疲れさまっした……みたいなハナシはないタイプだろう。
 だけどあっち狙いのいいトコは、一発命をチップにした超火力をブッパし終わってバテが来てる点。うん、こっちしかない。

シャラ :
 イモヒキ
「初戦惨敗なし、上等ォ!」

シャラ :
 ハーフィ
「チビ助! こっちゃアブなくねェからジャマすんなよ!」

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈チビ助!?〉

シャラ :
「どっからどー見てもチビだろが! どけどけっまとめて装備にすんぞ!」

シドニー・ヘス :
「一括選択!?」

『電子の妖精』/ハーフィ :
(ぱっと引っ込みかけたが、ノアと“いまは”健在なシドニーのほうが心配なようだった…)

ノア・ウィンターズ :
ボクも巻き込まれようとしてない!?

シャラ :
「さっ……すがにそこまでフンベツないわけじゃ……」

シャラ :
「ないよな!? 不安なってきたわ! よォし試すからな今からァ!」

シドニー・ヘス :
「はい! すみません! あのぉ!」

シャラ :
「どーぞ!」

シドニー・ヘス :
「もしかしてぇ……ぶっつけ本番……?」

シャラ :
「八割違って二割そう!」

シドニー・ヘス :
「結構あるぅ~! ファイト~!」

マキナ :
「お祈りターイム」

シャラ :
──そー。ぶっつけもぶっつけだ。なにせ……

シャラ :
──頭の中のヤツがどこ敵認定してっか、ケッコビミョーだから!

シャラ :
「超ぉぉぉ~~っ、支援! ブラストォッ!」

『シャラ』 :
『──オン・マニ・パドメ・フム』

シャラ :

       サ ン ゴ
 オレの警告ともうひとりの宣告が、ほとんど同時に同じオレの口から飛び出した。
 指先がデキュラに向かう。
 オレの指先が勝手に裂けて、盛り上がった血の玉が意志を持ちデキュラの乗っかるデカい機体に付着した。
 網みたいに広がった血の塊が、機械の巨腕にまとわりつく。あとは本人のイマジネーションしだい!

シャラ :
「デキュラっ、それ装備な!
 オメーがスキル使うのに合わせて勝手に追撃すっからよ! うまく使え!」
 言い捨ててから方向転換。
 今度は獲物のほうへ、歯をむき出しにして威嚇。

ノア・ウィンターズ :
「えっ、ええっ───!?
 ちょっ待っ──────」

シャラ :
「でーじょーぶだよ、オーヴァードなんてパッションとイマジネーション! あとは気合と敵意と冷静さ!」

『ミソラ』 :
「要求のビュッフェじゃん」 あとなんかパッションと気合は同じだよね

シャラ :
 お き
「覚醒したてなんだからつかみ取り100円ぐらいだろが!」

シャラ :
「ウッセウッセ外野どもが! 見てろ手本見してやる!」

シャラ :
「必殺ゥ~~~ッ……」

シャラ :
 手を叩き合わせると同時に、“蓋然を閉ざす者”の足元の影が水のようにのたうった──領域を敷いたオルクスが、干渉の手を伸ばした時みたいに。
 影が伸びあがる。それは蛇のかたちをしていた。
 人間をいくら呑み込んでもお釣りがくるほどの巨大さで。

シャラ :
 大口を開けた蛇が、“蓋然を閉ざす者”の体をばぐん! と口の中に迎え入れる。

 だけどそれだけだ。
 影の大蛇には牙もなければ、火を噴くこともない。
 こいつそのものに人を傷つける力はない。
 もともとRCノーコンだったオレが一番イメージしやすいから、こういう火力高そうなガワになったってだけだ。

シャラ :
 そして役割は単純。

シャラ :
      ・・・・・・・・・・・・・・
 こいつは、自分の口の中を領域に見立てて。
 その中の物理法則を勝手にいじくったり、模倣したものを具現化することができる。

シャラ :
 オルクスだった男を喰らって、毎日のようにしばき回されながら覚えた──今やオレの得意技!

シャラ :

「ブラスト・ブラッドォッ!」

 ──パチン!

シャラ :

 オレが両手を叩き合わせると同時に、
 物理法則なんて知ったことかと、タネもシカケもなしに結果だけが生まれた。
 リョウイキ
 蛇の体を食い破りながら、同属を喰らうシンドロームの因子を撒き散らす大爆発が迸る。
 他の色の存在をいっさい許さない、漆黒の炎が吹き荒れた!

SYSTEM :
 ・・
 それが日常茶飯事の少年にとって…。
 生死の分水嶺とは、肩肘背筋を張るものではない。

 初速からトップギアの”蓋然を閉ざす者”とは違った加速の早さ。
 間合いに入り込まんとした白鋼が、瞬きのうちに巨大化し、敵意の受け皿となった蛇の存在に気づき、緊急離脱を試みる。

 それと同時に、感嘆と毒付きが両方零れ落ちた。

“雷人” :
『 ほう、これは 』

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「ウロボロス───」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「(───紛らわしい!)」

SYSTEM :
  ひかり
 影が陽を覆う。

 離脱を試みる瞬間の激しい稲光すらも、
 蛇の腹を満たし、照らすには至らない。

 疑似再現されたオルクス・シンドローム。そこに満たされたものは黒色。
 染まり切った色。もはや何かに染め直すことも、違えることも適わない腹のうち。放り込まれた少年の判断は迅速だった。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「モード・シフト───」

SYSTEM :
 回避不能の必中領域。
 亜光速の離脱と並行して、内側から射出されたガンビットが彼の銃に接合された。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「拒め…“グレンデル”…!」

SYSTEM :
 銃───否。幾つも繋ぎ直されたそれは。さながら盾だ。
 その盾を基盤に放出・展開された因子は、理論としてはストレンジャーズやらテンペストやらの、対R因子用の強化弾頭…。

 因子結合を崩壊させ、能力行使を中和するブレイクバレットのものが近しい。
 離脱の寸前さえも、ただ己の敷いた平行線に踏み込んできたものを焼こうとする炎が自分を食らう感覚に対して、彼はとっさの判断で盾を展開し、逆に喰らい返した。

SYSTEM :
 根幹が持つのは彼のイメージではなく、吹き荒れる大爆発は炎熱を伴う攻撃に近しい。
 ただ、如何程に模倣しようとも、それはウロボロスの影から成るもの。
             ・・・・
 種も仕掛けもないが、そのイカサマが常套句の世界ならば。
 見物人とて初見の驚きを返すとも限らない。

 起きた現象の根幹を食い返すことで成立させた防御と同時に、逆噴射しながら爆風の中から飛び出す。
 接近こそかなわないが───。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「…野蛮な獣が、小賢しい使い方を覚えたものだ」

SYSTEM :
 所定の位置に戻った彼自身は、当然のように。
 人体ならば瞬きで灰すら残さず、オーヴァードとて再生した傍から否定し尽くすそのひと触れを、浴びてなお。無傷でなくとも、健在だ。

 その罪を焼く炎に。
 これに限らず、今更焼かれ馴れている。

シャラ :
「あっ、ウソ! 初撃だからって頑張るなよな! もっと気楽に受けろやぁ!」

『ミソラ』 :
「ヤムチャさーーーーん!!」

シドニー・ヘス :
「誰ぇーーーー!?」

シャラ :
「勝手にオレのこと殺さないでくれるゥ!?」

マキナ :
「知らないんだ……」

『ミソラ』 :
「レジェンドかませドッグだよ」

シドニー・ヘス :
はッッッまさか知らない間にもう一人インターセプターが! 気付けなかったあたしは伍長失格、軍法会議、不名誉除隊……!!!!!

マキナ :
「そっか……若い時分からずっとおべんきょばっかりで……ロクに青春ってやつを……」

SYSTEM :
 彼方から響いた声に曰く…。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
 軍法会議の時には私も出頭しよう
 案ずるな 責任はこちらが…

シドニー・ヘス :
「マキナの視線が生あったか~い! 少佐~! あたしの失態が少佐にまでえ~!」

SYSTEM :
 当たり前だが少佐はここにいない。
 だいたいイマジナリーである。

シャラ :
「だああああ~~!!!情報量が多いンだよ!!仲良く列に並んでひとりずつボケろ全員!!!」

SYSTEM :
 ………それはさておき…。

SYSTEM :
 そもそも”蓋然を閉ざす者”はノイマンではないし、ウロボロスでもなければバロールでもない。
 それらは全て、屠り続けてきたもの。彼に言わせると唾棄すべき怪物のミラーリングの成果だ。

 彼自身はそれを先天的に乗りこなしてきたわけではない。だいたいは、解析し、一方通行で使い潰しながら“成果”を勝ち取る片道切符だ。

『ミソラ』 :
「今だ! まじめな話を織り交ぜろ!」

『ミソラ』 :
 ・・・・
「さっきのは、多分乱発できない!」

SYSTEM :
 直撃時の不自然な堅牢さについては別だが。
 喰らい返した機能のほうは、彼自身の因子が成り立たせる防御ではない。

SYSTEM :
 文字通り、血を吐いて無理やり補給しながら殺し続けるマラソンの当事者が彼だからだ。

 それをボケの第一人者がブチ撒けたのは、分かりづらい“畳みかけろ”でもあった。

シャラ :
「ホントにマジメなハナシすんなや温度差で風邪ひくだろが! でもわかるわそれ!」

シャラ :
「軍隊の使うビックリドッキリメカ系だろ! 野蛮な獣様のお蔭で剥がれたっぽいぜ!」

マキナ :
「よくわかったね。          モノ
 毎度何処からくすねてきたのやら、良い道具使ってるよ、メカオタク」

ノア・ウィンターズ :
「──────!」

ノア・ウィンターズ :
 ゲーマーとしての勘が、ボクに告げている。
 ・・ ・・・
 次は、ボクだ。
 いま、この隙を一番有効に活かせるのはボクに違いない。……これが『ダブルクロス』なら。

ノア・ウィンターズ :
 けれど……現実としてのボクが、その判断を迷わせる。

 ボクはこの世界のことをよく知らない。
 でも、知らないなりに分かることもある。さっきの、大蛇のスキルは付け焼き刃の攻撃なんかじゃない。並のエネミーなら一撃でミリだって残さない代物のはずだ……!

ノア・ウィンターズ :
 それを、その攻撃をモロに喰らっているはずなのに、アイツはまるでダメージを受けていないじゃないか……。

 あんな装甲を真正面からブチ抜ける、そんなイメージがまったく湧かない!「ここを突けばいい」なんて分かりやすい弱点もないし……!

ノア・ウィンターズ :
 …………いや、待てよ。

 さっき、シャラのやつこう言ってた。

ノア・ウィンターズ :
 “でーじょーぶだよ、オーヴァードなんてパッションとイマジネーション!”

 ──────イメージ、そうだ、イメージだ。

ノア・ウィンターズ :
 思い返す。
 さっきから微かに感じていた違和感。
 シドニーが飛び乗ってきたとき、シャラがボクに何かを飛ばしてきたとき……

 この、自分でもよく分からないマシンに何かが触れたとき。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 ボク自身は何にも触っていないのに、確かに触られたって感覚があった。

ノア・ウィンターズ :
 …………。
 これは凄く、すっごくゲーム的な考え方だけど。

   マシン
 この機体は、ボク自身だ。
              リアル
 ボクの無意識のイメージが、現実にカタチを象って出力されていると考えれば───理屈はなんにも通っていないのに、ものすごくしっくりクる。

ノア・ウィンターズ :
 ならば……。

 いまのボクには、何ができる? 
 何ができて、これから何をしたい?
 この機体は、何のためにカタチを持った?ボクはどうやってこれを出している? 

 ──────いや、それよりも

ノア・ウィンターズ :
イメージするんだ───

 ───翅を拡げた、ボクの理想を!

  :
 その瞬間……辺り一帯に激しく走る雷霆が、空間を引き裂くような雑音を走らせた。

 現実のテクスチャを上書くように、黄緑色の電子世界のグリッドが空間へと投射される。

  :
 病院内を水平に貫きながら、空気を孕むようにフワリと揺らぐ仮想の薄膜。
 《電子結界》が見せる不可視の電子の領域。現実に顕れ出るはずのないソレが、現実の空域を裏返し、侵蝕する。

 

  :
 ………そして、投射される。

 ひ ょ う て き た ち
  “蓋然を閉ざす者”と“電人” を逃さず捉える、ビビットピンクのロックオンマーカー。

ノア・ウィンターズ :
「ボクはあいにく、このゲームじゃ新人だからさ!
 戦い方をイメージしろって言ったって、そんなことゼロからできっこない!」

ノア・ウィンターズ :
「でも……。
 ・・・・・・・
 チカラの使い方なら、さっき教えてもらった!
 だったら、ボクには簡単に応用できる!」

ノア・ウィンターズ :
「だって……
 ボクは天才ゲーマーだからね!」

  :

 ───起こることは、単純だ。

  :
 突如として轟音を立てながら駆動を始めたノアの機体から、莫大な電力が投射された。
 だがそれは、不思議と誰を傷つけることもない。
 ……そう、誰ひとりとて。
 ・・・・・・・・
 その電流自体では。

  :
 ただし───
 激しく波打つ半透明のグリッドと共に───
    テクスチャ
 電流が表層を力技で書き換えながらこじ開ける。
 電子の領域が、現実の表層を食い破って出力される。

 ターゲットマーカーが指定するピンポイントだけが、精密に。

  :
 可視化された電磁場から領域内の絶対空間座標を指定し、
       レゾナンス
 現実と仮想を共振、瞬間的に反転させることで、ロックオンした空間内の物質を物理的硬度を無視して内側から破損する。

  :
 およそ熟練のオーヴァードが、その生涯を掛けてようやく辿り着く領域の超絶技巧を。
 果たしてその蟪姑は、ぶっつけ本番10割で現実へと書き起こす───!

ノア・ウィンターズ :
「これなら、防げないでしょ───!」

SYSTEM :
 同種のレネゲイド因子から成る攻撃。
 照準を合わせ、敵を討つ雷霆連鎖は、二度の行使を経て精度を増した。
 ・・・・
 模範解答を幾度となく体現した、同じシンドロームの使い手…。

 ならば基礎的な部分はそれに近しい。
 電流が表層を可視化し、書き換えて。
   いち
 その座標にいるすべてを諸共違わず狂わず焼き尽くす。
 超射程ながら、その本質は類稀なRC…。狙ったところを、狙って破壊するという、決して言うほど易くない芸当の為せる業だ。

SYSTEM :
 それは、間違いなく…。 
 人間社会の日常で先ず役立たない、それどころか無用の長物にしかならない技巧の…。
  エフェクト
 否、能力の数々。
 通常、手に入れたばかりとあらばそれ相応の戸惑いが来る。

SYSTEM :
 レネゲイドコントロールを要する能力ならば、そもそも自らが使用できるというイメージをなぞれない。
 わかりやすく白兵…しかし、それを得意とする人間は、自分の兵装を“ああ”はしない。
 あるいは。だからこそ、超人の世界で未だ銃器は闊歩し、運用に耐え、追いつく権利を持っているとも言えた。

SYSTEM :
 もちろん…粗削りは粗削りだ。卓越したブラックドッグの、電子使いのRCと比較してしまえば随分な差がある。
 それを特筆するべき適正と、予め自分自身で組んだ/なぞったプログラムの補佐がこの威力を生み出している。

 だが…だがこれはどうだ。

『ミソラ』 :
「!」

『ミソラ』 :
「(成りたての使い方じゃない…)」

SYSTEM :
 それを差し引いても、成り立てのオーヴァードが、いきなり前のめりに繰り出す破壊力ではなかった。
 なぜ? その答えは、当人が口にしている通りだった。

SYSTEM :
『ダブルクロス』が現実に迫ったものは、解像度や立体感、音響に細部の世界設計だけではない。

 なんとも、皮肉なことだ。
            スキルツリー
『ダブルクロス』は…その能力系統樹から、主要な戦い方に至るまで。
 超人の戦い…誰かにとっての現実にも迫っていたというわけだ。

SYSTEM :
 少年は現実の素人だが…。
       スペシャリスト
『ダブルクロス』の熟練者! 彼方では苦難を越えて飛翔ぶエース・アタッカーだ。

 羽搏く夢想のその先に。
 デキュラの羽音が、その経験と、はじめの一歩で相貌に捉えたものを己の武器にする。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
グリッド
「格子…
 遊戯のつもりか、小童…!」

SYSTEM :
 元々多用途の装備で、どのような相手にも対応することを前提とした“蓋然を閉ざす者”が、もっとも困る攻撃は”それ”ではない。

 だが、回避先をコンマ単位で修正する視界内の超連続破壊。
 いわば範囲と攻撃回数にモノを言わせた、まさにデータ/当たり判定の奔流めいた強襲は、そこに近しいものを持っていた。

SYSTEM :
 そう、この手の器用さは人類の特権なれど。
 得てして人は天災には適わない。

 高速広範囲の力押しは。
 彼にとってはもっとも対処に”難儀”する攻撃だ。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「だがな…!」

SYSTEM :
 難儀…であって、不可能ではない。

 先ほどは影の中で展開された防御シールドを形成した、ガンビットが彼の周囲を覆う。それらは電磁力による浮遊を実現し、少年に三次元的な機動を約束させた。
 座標指定の攻撃に対して、そこからは高速で飛び回り、致命傷を“減らす”機動戦だ。

SYSTEM :
 あなたの攻撃とて永続でもない。スキを見出せば、白鋼は確実に、その格子を抜けて、迎春前の矛盾の息の根を止めに掛かるだろう。

 だが、明確な手傷だ。白い装甲が焼け落ち、彼自身の表情に一切苦悶はなくとも、手ごたえだけは確実にある。

SYSTEM :
      ・・・
 ………そう。こちらには。

SYSTEM :
 同じ電子世界。可視化し得ない電子の中を認識し。そこでの領域の押し引き…。

 それに限れば、雷人を打ち破れるのは確かにノア・ウィンターズを置いて他にいない。

SYSTEM :
 ただそれは彼が電子世界にいる場合だ。
 現実世界の彼は聊かに前提条件が違う。

SYSTEM :
 投射されたグリッドのすべてを焼き尽くす雷は、当然のように雷人を捉えた。

 亜光速の雷霆を、音より先に感知し、動けるようなもの。オーヴァードであれば可能とて、容易ではない。
 ましてや得意分野を顧みれば…“雷人”は、眼前の“蓋然を閉ざす者”ほどに高速戦闘を是とする類の男ではなかった。

SYSTEM :
 故に、内側から生み出された稲妻が当然のように───。

“雷人” :
『 三度目の運用でもう“ここ”まで使いこなすか 』

“雷人” :
『 だが…ならば分かるはずだ 』

SYSTEM :
 ・・ ・・・・・
 男を、すり抜ける。

SYSTEM :
 ───否!
 何から何まで同じ、ではないが。
    ・・
 それは回避だ。
 メカニズムをあなた自身が何よりも知っている。

SYSTEM :
 身体を電気に変え/身体を電子に変換し、
            いち
 攻撃を回避する/自分の位相をズラす!

SYSTEM :
 電子空間をこじ開けて強襲する稲妻…。

 それと入れ替わるように、
 彼を証明する骨子を其方に置き直す。
 発生した稲妻は音より早いが、それは…彼も同じだ。

“雷人” :
『 厄災を気取るには、聊か矮小だが…。
  このくらいのことは出来る。わたしにも、彼らにも 』

SYSTEM :
 彼は電子の実体を持たない自分と…。
 現実の肉体の自分を同時に持つ。

 あなたの攻撃は彼を仕留めるに足る唯一だが、同じ土俵においては雷人は、その”現実”の経験に勝る。

SYSTEM :
       ・
 ………あるいは後で知ることなのだが。

 シカゴ支部のオーヴァードを一蹴し、各地のオーヴァードが”勝負”にすらならない最大の理由はそれだ。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「その力…やはり、成れ果てたか。
 だが、それのみを理由にそうなるワケがない」

“雷人” :
『 多くを語るほど慢心はしないつもりだ。だが… 』

“雷人” :
『 我々は誰にも屠られない…。
  きみはあの時にわたしを仕留めるべきだったな 』

SYSTEM :
 彼らはこと現実世界において。
           Calamity  
 世界を終わらせる、無敵の厄災であった。

ノア・ウィンターズ :
「ぐッ──────!」

ノア・ウィンターズ :
 これ、ボクはそこそこ自信のある攻撃だったのに───これでもまだダメか!

 いや、ボスが一撃で倒れるはずがない……!

ノア・ウィンターズ :
 でも……
 あっちの、さっきボクをシドニーごと撃ったヤツの方は、まだいい。よくはないけど!
 座標指定の攻撃は高速機動で回避する……それはボクも得意な戦法だった。それに、有効打だって与えてる!

ノア・ウィンターズ :
 でも……もう片方。

 ボクの“センセイ”だった“雷人”は、まったく効いてない……いや、そもそも当たってすらいない!

ノア・ウィンターズ :
 ボクの戦法がもうメタられてる……ってより、今のはそもそもアイツから盗んだワザだ。
 盗めると思ったのは、ボクのチカラがアイツと同じだと踏んだから……

 いや、ってことはアイツだって《電磁結界》を使える……!?
 ボクより精度が上なら、悔しいけどそれこそ正真正銘のチートだ!そんなのどうやって勝てっていうんだ……!?

シャラ :
「……すり抜けた!? ンだ今の!」

シャラ :
 想像以上の力が出てることは、横にいるほうの損傷具合でハッキリわかるのに……あっちはなんだ? 面白いほど当たってない。
 なりたてにしちゃ達者なRCで、狙いも間違いないってのに。……なんのカラクリだ?

シドニー・ヘス :
 狙撃の精度で行われる範囲制圧と、それに対応する機動による損傷軽減。
 一方が覚醒したてのルーキー、もう一方が未知の兵器を駆るアンノウンである特異性を踏まえた上でなお、ふたりの攻防は高次だ。

 でも──

シドニー・ヘス :
「……今のは!」

 攻撃がすり抜ける。あたしと同じ身体可変の病理──じゃ、ない。もしそうなら、あんなスイッチをオンオフするみたいに簡単にいきっこない。

シドニー・ヘス :
 ……本当にそれだけ? 今のはシンドロームが違えば可能な芸当だった?

 超人の性能は頭打ちだ。100人分の経験を重ねても、1人分のリソースでしか回せない。

シドニー・ヘス :
 今の回避がただ一度きりの切り札ではなく、あたりまえに振りかざす性能なら……それは。
 超人が人間でいられる限界。理性の枷を外した、怪物のあかしに他ならない。

シドニー・ヘス :
「あなた……ほんとうにジャーム?」

 猜疑の声がこぼれる。信じられない、と。顔にも声にも出た。

 そうは見えない、とまでは言わない。でも、何かが違う気がした。『彼ら』? 『我々』? ううん……

シドニー・ヘス :
 "闘争卿"の発露は、強烈だった。衝動と呼ばれる、レネゲイドの引き起こす精神の偏り。その重さに耐えかねて天秤がふりきれたと誰の目にも分かる怪物性を、彼は有していた。

シドニー・ヘス :
 でも"雷人"は……
 彼が明かしたのは手の内だけだ。ゆいいつ感情らしきものが見えたのは、

『飛び方を知らぬまま……』

 ……かぶりを振って、ひっかかった疑問から観測できる事実へと思考を移す。
 雷人は全能を誇示する衝動に引きずられているにしては、なんというか、理性的だ。
 行いも佇まいも整然としすぎていて、闖入者に場を仲間を奪われたコトにも、あたしたちが"蓋然を閉ざす者"に注力しているコトにも、なんら動じていない。

マキナ :
「……!」
 おい、オイオイオイ……そんなのアリ?

 シャラやノアは、あれを経験していない。驚くのも当然だ。未知ゆえの脅威。

マキナ :
 でも私は実際にソレを体感している。そもそも、この状況に割り込めたのもそういう偶然を掴んだおかげというところもあって。

「……ちょっぴり絶望的な話していい?
 聞きたくなかったら耳塞いで」

シャラ :
「聞きたくない!! 聞きたくないっす!!!」
 悲鳴みたいな声。両耳を塞ごうとする手が塞ぐ直前でピタリと止まって、すごい勢いでふるえてせめぎ合う。

シドニー・ヘス :
「判断が早いっす!!」

『ミソラ』 :
 片方の腕でシャラのせめぎ合う手を引きはがして
 片方の腕で自分の耳を塞ぐよ。

ノア・ウィンターズ :
「何さ、こんなタイミングで……!
 攻略情報なら聞きたいけど!?」

シャラ :
「裏切り者ォ〜!!!!!!!!」

シドニー・ヘス :
「これがダブルクロス……! 初めて見た……!」

『ミソラ』 :
「そう、所詮私たちはダブルクロス…。
 ………」

『ミソラ』 :
「まじめな話戻すか 半分の耳で聞くよ」

シドニー・ヘス :
「あっあたっ、小官は全部の耳で聞きます!」

シャラ :
両手の主導権を取り戻そうとジタバタする

マキナ :
「意味あんのソレ……まあいいや言うね。
 この病院のどこまで調べたか分かんないけど、病院の人ら忽然と姿を消してたでしょ」

マキナ :
「あれとさっきの、多分同じ理屈。
 ・・・・・・・・・・
 電子情報に変換できるんだよ。
 あー、そういやキャプテンの好きなレトロコミックにも、そんな感じの能力出てくる海洋冒険譚があったっけ」

マキナ :
「最初は、バロールの能力みたいに咄嗟に使えるような便利なモンじゃないって思ったけど。
 どーにも違うみたい。
      ・・・・・・・・・・・・・・
 ……要するに一方的に攻撃出来るホログラムなんだと思う」

マキナ :
 それに近い性能を持ってるノア君なら、或いは……ワンチャンあるかもと思ったんだけど。
 ぶっつけ本番じゃあそれもどうしようもない!

シドニー・ヘス :

シドニー・ヘス :

シャラ :
「デンシジョーホーにヘンカン……」頭のなかでサンゴに問い合わせる数秒の間。

シャラ :
「つまりこいつ、ここにいるけどいなくて……」

シャラ :
「こっちのことは殴り放題だけどあっちはホロだからノーカンなンかよ!? ズルじゃん!!!」

『ミソラ』 :
 スッ…とシャラの手を離す。(厳密には押し負ける)

シャラ :
シャーッオレの腕ェ!

シドニー・ヘス :
「そっ……どっ……」

 叫びだしそうになるのを、かろうじてこらえる。

シドニー・ヘス :
 余裕綽々なのも当然だ。だって絶対に負けっこない。撤退の二文字がじりじりと思考を炙る。でも、どうやって?

シドニー・ヘス :
 電子の網が張り巡らされた現代で、"雷人"から逃れるすべはないも同然だ。だいいち、彼が手を下さずとも……

 ……"蓋然を閉ざす者"。逃げる背中を、彼は真っ先に刈り取るだろう。

シドニー・ヘス :
 それに……

 途中で投げ出したら、なんのために……!

『ミソラ』 :
 ・・・・・・   ・・・・・・・
「どこにもいるけど、どこにもいない…」

『ミソラ』 :
「それは確かに。
 半分で聞いててよかったかも。両方だったら、もっぺん怒られるか考えるところだった」

SYSTEM :
 …あなたの判断は正しい。

 雷電王ニコラ・テスラを騙る男にとって、現代の情報化社会はまさに、すべてが掌の上だという点も。
 逃げた背中を、この状況でさえ優先標的をズラしていない(むしろより強めた気配さえある)"蓋然を閉ざす者"が狙うことも。

SYSTEM :
 途中で投げ出したならば。
 軍人として半端な判断の次は、オーヴァードをオーヴァードたらしめる部品に対しても半端な行いに成り下がることも。

 しかし、だからと言って…。
 そちらに一歩詳しいマキナと、あのナリで仮にもノイマンのミソラの反応が“これ”の最中、あなたが打開策を講じられるのかと言われたら、答えはノーだ。

SYSTEM :
 …時に。最初の疑問に立ち返るが。
 
 ジャームとは…そもそも何か?

SYSTEM :
 体内のレネゲイドの活性化に伴い、過去の経験に基づいて。
 あるいは。そのものの人格とはまったく関係のない衝動を発するが。

SYSTEM :
                    り  せ  い
 それを抑制することに失敗し、翻弄され…抑制するための枷を失ったもの。
 多くの場合は、あらゆる繋がりを失った成れの果てを。このように呼ぶ。

SYSTEM :
 彼らの姿は様々だ。暴走するレネゲイドに乗っ取られ、その見た目すら怪物に変じたもの。
 見た目を変えることなく、精神性のみを不可逆に変えるもの。
 共通していることは、ただ一点。彼らには、理性がない。
 普通の人間ならば獲得し得るモラルの概念が定着しない。
 
 どれだけ知性があったとて、どれほど巧妙に己の衝動を遠ざける演技ができたとて。
 彼らの選択肢は、遠回りはあっても放棄はない。必ず衝動に辿り着く。

SYSTEM :
 オーヴァードが、レネゲイドを扱える人間ならば…。
       ・・・・・・・・・・
 ジャームとは人間を扱うレネゲイドだ。広義的には。

SYSTEM :
     ・
 ………では彼はどうか?

“雷人” :
『 ジャーム、か 』

“雷人” :
『 その定義は何だ? 理性を持たないことか? 誰かを害すること? 
  社会の敵? そのように教えられた既定に照らし合わせたものか? 』

“雷人” :
  ・・
『 あれをジャームたらしめると判断し、
  わたしをそうでないと信じたがるその根幹は理性に基づいたものか? 』

“雷人” :
『 何れの理由であっても…わたしをそう定義するならば、それもいいだろう。
  今のわたしは、“なぜ”を突き付けるべきものの意志の器だ 』

SYSTEM :
 その言葉に熱が宿った回数は二度…いや、シドニーの疑問に答えるに限り一度。
 それ以外に衝動の荒波を、押し寄せる嵐を感じたことはない。

 さて………少なくとも、この場でそのような言動を認めたものがいたかどうか。

SYSTEM :
 “雷人”はジャームだ。

 そもそもどんなブラックドッグ能力者とて…あるいは、
 ノアの行いを見る限りでは、いくつかの例外はいるのかもしれないが。

SYSTEM :
 電子の可視化と自己のみならず、特定の条件に当てはまるものの可逆的変換…。
 それを戦闘の瞬発的判断がいくつも求められる状況で平然と執り行う反射神経。

 ましてや現実に実体を持ちながら、いつでもその現実を無視できる…。
 電子空間と現実空間の両方にオーヴァードとしての実体を備えることを可能とする異常性。
 そんな現実をゆがめる行いができるものが、後戻りできないほどにレネゲイドに自らを浸していないはずはない。 

SYSTEM :
 何より…。

 いち
 位相をズラす───。
 ・・・・・・・・・・・・・
 何処にでも存在を証明出来るというのは、紛れもないジャームの行いだと証明できる人間がいる。

SYSTEM :
 だが、どんな絡繰で? そのジャームにしてはあまりにも不自然な所作の意味は?
 そもそも何故”蓋然を閉ざす者”の攻撃優先順位は其方ではないのだ?

 彼は、詰みの一手を前に講釈を長々垂れるような男でもなかった。
 裏返る空間が齎す破壊的共振の中を、まるで空洞のように歩きながら、男が掌を向ける。

“雷人” :
『 凶事の片棒を担ぐ自覚もないことを、哀れむ気もない。
  わたしはただ、望まれるように…目的を達するまでだ 』

SYSTEM :
                   レッドスプライト
 ぱちり、と走る稲光。指先から姿を現す紅色型放電発光現象。
 放たれれば、瞬きのうちに…音の440倍の速度を誇り、1ギガジュールに及ぶエネルギーの塊が。
 亜光速の矢が死を運ぶ。 

“雷人” :
『 では…これでチェックだ 』

SYSTEM :
 だがその時───。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈いいえ…!〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈こんなところで、終わらせない…!〉

SYSTEM :
 ・・
 歌声が反響する。 
 蝶の歌。心底へ響き、魂を震わせる音波の波濤。

“雷人” :
「──────!」

SYSTEM :
【ERROR!】
 Eロイス『究極存在』が不発しました。

SYSTEM :
     ココロ
 それは、精神のつま先から天辺までを、自主的に振り返るマインド・ソナー。
 …知るものならばこう呼ぶ。

SYSTEM :
 ソラリス・シンドロームの中にはこのような人種が稀にいる。
 記憶を感情を、ひとつの仮想現実としてエミュレートし、追体験するほどに…。
 他人の意識に同調することが出来るもの。
    メモリーダイバー
 通称は記憶探索者、などと呼ばれる。自らの心を対価とする幸福な王子様の名。

SYSTEM :
       ・・
 ハヌマーンの歌声という形をとって、広がったものは、同じではない。
 ない、が。それに極めて近く、限りなく遠い現象を引き起こしていた。
 
 繋がりさえ持たないジャームが生きる現実を、ここに楔を打ち込み固定する。
 だが……蘇るはずのないジャームの繋がりに訴えかける術などありはしない。

SYSTEM :
 それは一度留めたならば、燃え尽きることもなく留まり続ける感傷。
 ジャームに成り果てる前に持っていた、この現実に存在した者の証。
 ・・・・・・
 焦げ付いた跡から、そこにかつてあったものを復元する…。
 ならば歌声が響いたもの、それはノアでも雷人でも他の個人ではなかった。
       メモリー
 訴えかけたのは記憶だ。それも■■■の───。

SYSTEM :
 いまさっきすり抜けていたもの。
 そこに存在しながらも同時に別に位相に存在した“雷人”の実体が、この場に引き寄せられる。
 彼がこの星に存在した記憶を辿って、そこに存在する実体が、誰もの目に確りと映っている。

SYSTEM :
エグゾースト
 排気を基底とし、どこにもいないがための究極。
 さながら怪物を滅ぼすための剣が彼女の歌だ。その道筋が敷かれたとあっては───。

ノア・ウィンターズ :
 撃っても、撃っても、まるで手応えが感じられない……
 ココロで敗けを認める前に、ボクのアタマが冷えていく。
 
 それでも、半ば意地で必死に敵が「いるはずの」座標へヤケクソに攻撃を続けてたとき───

ノア・ウィンターズ :
「な、ハーフィ!? なにを……!」

ノア・ウィンターズ :
 思わず攻撃を止めたボクの、もうすぐ冷え切りそうなココロへと。

 譜が、響いた。

ノア・ウィンターズ :
 譜は波形を描く。
 ボクのココロへと、いまは居ないはずの誰かへと、ボクじゃない誰かの想い出を連れながら。

 不可視の電子が、譜に合わせて空に譜面を描く。
 ……その波形が、見惚れるほどあんまり綺麗だったから。“それ”に気がつくのが、ほんの少し遅れてしまった。

ノア・ウィンターズ :
「───マーカーが変わった。
 よく分からないけど……“視”えるぞ、アイツの姿が……!」

ノア・ウィンターズ :
 同時に、理解した。
 アイツを“センセイ”に使い方を覚えたこのチカラの、もっといい使い方を───!

ノア・ウィンターズ :
 視界に揺蕩う電子を束ね直して、その動きを支配する。
 ただし、今度は力づくの闇雲じゃない。
 ボスキャラ相手に真正面から力づくでやったら、一生掛かったって追いつけない。でも───

ノア・ウィンターズ :
「───共鳴しろッ!」

ノア・ウィンターズ :
 今度は、譜に踊る電子の波形をそのまま利用する!
 譜面と同じバイオリズムを描き、束ねられた電子の波動が再び───否、さらに高められた精度と威力で現実へと孔を穿つ───!

SYSTEM :
 揺れ動く電子の波形。
 同調に同調を重ねたレネゲイドは、思い付きとは思えないほど───まるで最初から“それ”が正着手であるかのように。
 あなたの意志を電子に伝導させる。

SYSTEM :
 結果…今もなお回避行動をとり続ける”蓋然を閉ざす者”と違い、
 元々回避できぬとは言え、その現象ありきで身を留めていた雷人は……。
 あなた/ノアのぶっつけ本番、その威力を身を以て味わう運びとなった。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「その力は…!」

“雷人” :
『 やってくれる…やはり我々にとって脅威となり得るか 』 

SYSTEM :
 あるいは、仮に…見えていたとて、彼相手となると、単体では何ら意味がなかったとも言える。
 電子空間を自由自在に動ける唯一無二の彼を捉えられるのはノアだけだった。

“雷人” :
『 …不遜な力だ 』

“雷人” :
          メモリー
『 資格もなく、他人の記憶に押し入るか 』

“雷人” :
『 だが、その自覚もないのか。露呈を恐れなかったのか。
  どちらにせよ、我々には“それ”が必要だったのだが…牙を剥かれるとはな… 』

SYSTEM :
 明確な手応えと───初めての目に見える疵。
 それが、雷人に刻まれていた。

シャラ :
「……効いた!?」

シャラ :
「いやいや、待て待て……どうなってんだあれ!
 つか、どっちが……」
 突然歌いだして切り口を作ったのはチビ助だけど、傷を入れたのはデキュラで。
 仮面野郎はどっちだと思ったんだ?

『シャラ』 :
──無用

シャラ :
──驚かせろよォ素直にィ! わかったわかった、わかりましたァ!

シャラ :
「……とりま、効いてンならイーのか!? どー思う、あれ!?」

『ミソラ』 :
「どう、も、こうも…」

『ミソラ』 :
「………分からない!
 そういう時は大事なコト以外、横に置いとくのがオススメだよ」

SYSTEM :
 あなたの中身とニュアンスは違うし、案じているのはどちらかというと“武器”を晒した“デキュラ”とその傍らにいる少女だが、概ねの意味は一緒だった。

シャラ :
「サ……っ……と同じこと言うなよぉ! わかるもん!!」

『ミソラ』 :
雑魚が…(マスコット的なスタンドが背後に見える…)

シャラ :
ヤメロ!なんか潰されそうだから!

ノア・ウィンターズ :
「や───った!
 届いたッ!今度こそ───!」

ノア・ウィンターズ :
「どんなもんだ!
 チート頼りのプレイヤーなんて、ボクは負けないよ……!」

ノア・ウィンターズ :
 別に楽観できる状況じゃない、相手はどう考えたってラスボス級だ!単にダメージが一回入っただけで勝てるような相手じゃない、アタマでは分かってる!

 でも、それでも勝ち誇ってやる!それがボクの流儀だ!それに、なにより……

ノア・ウィンターズ :

ノア・ウィンターズ :
           リズム
 いまは、このココロの律動に従うんだ!

ノア・ウィンターズ :
「ハーフィ、ナイスサポート!
 ガイド妖精なんてもんじゃない、スゴイじゃないか、キミの歌……!」

SYSTEM :
 翅を広げ、思うがままに譜歌を響かせる少女の横顔が、息継ぎの僅かな間、あなたの言葉に薄っすら微笑んで応じる。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈はじめの約束だもの。ね…!〉

マキナ :
(当たっ、てる……!)

 ……さっきの説明が間違いだったとは思えない。
 実態はあそこにはない、何処にでもいて何処にもいない。
ワ イ ヤ ー ド
 電子空間 のあらゆる場所に存在しうるモノとなった筈だ、あれは。

マキナ :
 ……最初の仮定は間違いじゃなかったんだ。
       ニコラ・テスラ
 この二人は、 雷 人 の、刻知らずの……存在しなかった者達の、天敵!

マキナ :
「……っていうかさぁ。こんな時まで訳知り顔?
 あんた、どこまで知ってるのさ」

 説明しろ莫迦。そう告げるように、驚嘆するハリーを半目で見遣る。

SYSTEM :
 そしてマキナの見解も外れてはいない。
 むしろあの場にいるのがその4人だけならば、その見解が正解だ。

 絵に描いた炎は現実を燃やせないが、
 現実の炎が容易く絵を燃やすように。
 彼はいつでも自身の存在証明を切り替える、最強の鉾と盾を有していた。
 ジャーム
 無敵の例外であることを、もっとも効率よく武器にして。

SYSTEM :
 ………ならば。

 おそらく今の歌声。
 厳密には記憶探索者でもない”何か”こそ。
 彼らの無敵を剥がす手段の片割こそ、
 あちらが求め、あるいは、廃したい、電子の妖精の本当の能力だ。

SYSTEM :
 しかしだからと言って彼が退くのかと言われれば、そうでもない。
 あなたが呼びかけたもう一人のほうも。何なら、そちらは今の所業を前に、より気勢を上げた。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「…愚行の次は愚問か?
 他人に撃ち出されることに、ずいぶん馴れ切ったらしいな」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「当然、ここで死ぬおまえに答える義理はない…。
 ない、が…」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「…愚答で返してやる。
 ・・
 それを…雷人に使わせる理由も…。
 生かしておく理由も…猶のことなくなった」

マキナ :
「……はぁ。ちょっとでも答えを期待したこっちが莫迦だった、認めてあげる」

マキナ :
「じゃ、こっちは猶の事ここで逃がす理由もなくなったかな」

シドニー・ヘス :
「通っ、た……」

 ここで重要なのは、今のが不確定要素が生んだまぐれ当たりじゃないってコト。
 ハーフィがいるかぎり再現可能な、究極に瑕疵する人工の奇跡……!

シドニー・ヘス :
(──だけどっ)

 攻撃が当たるならば斃せる。事実だけど、極論だ。双方向に作用する不変の条理は、とうぜん自分たちにも牙を剥く。

シドニー・ヘス :
 少佐の到着まで耐える決死が、
 勝ち筋を探る必死になっているのを、強く自覚する。

 無謀だ。何が正しいのかも分からない。でも、やるしかない。たとえ一秒先に待つのが後悔か、より酷い何物だとしても。

シドニー・ヘス :
「……"蓋然を閉ざす者"を最優先に!」

 戦況は三つ巴でも、狙いはデキュラとハーフィに集中している。彼らという切り札を守る上でも、より損耗が激しく、明確に殺しにかかってくると判明る敵から除く……!

シャラ :
 りょ
「了解! 結局オレらじゃ、えっと、サイゲンセーないなら方針変わりなしだわな!」

『ミソラ』 :
「案外今なら結果は違うかも…、いや。
 こういうときの鉄則だ」

『ミソラ』 :
「乱戦のさだめそのいち───。
 (相対的に見て)弱いのから潰す」

マキナ :
「そのとーり。
 意見が一致してるようで助かるね」

SYSTEM :
 斃せる、の可能性が光明なのかどうか。
 それは保証のない蜘蛛の糸やもしれぬと、楽観の正反対を思考に過らせたのは、あなたの根が楽観主義に漬かり切れないことの証だった。

 とはいえ…大方事実だ。
 “雷人”と"蓋然を閉ざす者"は、お互いを敵と見込みながら、その優先順位を二の次にしている。
 その矛先がどこに向いているかは言うまでもなく、ならば…脅威の“数”を減らす判断は正着手だ。

ノア・ウィンターズ :
「言われなくても!」

ノア・ウィンターズ :
 ハーフィの不思議なチカラのおかげでようやく一撃入ったアイツ、そっちは間違いなくラスボス級だけど……

 もう片方、飛び入ってきた方のアイツは機動力でギリギリ躱してるってだけだ!アイツにはもっと効いているんだ、なら、このまま押し込めば───!

SYSTEM :
 このまま押し込めば…。

 一手の余分がノアにあれば、
 恐らくそれは大言壮語ではなく事実になっただろう。

SYSTEM :
 さて。"蓋然を閉ざす者"が万全の状態であったことは基本的にない。
          スプリント
 彼の戦闘は基本的に短距離走だ。片道分の燃料で無理難題を通す者に、長時間の飽和攻撃などやられて困らない理由もなく。

 だがただそれで少年が音を上げるような真っ当な神経の持ち主なら。
 マキナは、もっと早くに彼を仕留め…いや、相応の処置をくれてやっていたところだろう。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「だが、それ以上はやらせん…!」

SYSTEM :
 攻撃の留まったまさに瞬間を狙って、自壊承知の暴力的なスピードで白鋼が駆けたのは。
 そうではない、その事実の証左だった。

 優先的に狙われる、狙う、一切関係がない。彼の標的は徹頭徹尾同じだ。優先順位の1位タイに代わりというものがない。

SYSTEM :
 彼の目にとっては。
 Calamity
 無敵の厄災よりも、これを打ち破るヴォーパルの剣のほうが脅威にでも見えたのか。
 あるいは、そのヴォーパルの剣“に”用でもあるのか。

 少年の視点はひどく決断的で、また一方的だが。その視点から見た場合の現実に一切の違いはない。
 しかし何れだからと言って、彼の行動は受け入れられるものではない。

SYSTEM :
 瞬間的に空間をこじ開けて出現したのは…。
 先ほど“アガースラ”の攻撃を凌ぐべく、自身の武器と連結させて出力強化に使用した複数基の丸型ガン・ビット。 

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「近接戦闘モード、全機起動───コード・ネイリング…!」

SYSTEM :
 ブラックドッグのもの、かつ、元々が牽制用の攻撃武器でありながら…。
 先程とは違う。それぞれが攻撃態勢となったものと、彼の得物が、それぞれ運動エネルギーを纏い硬化する。

SYSTEM :
 その形態は、どちらかと言えばキュマイラやハヌマーンの、所謂白兵型のエフェクト適性に近い。
 それぞれのビットが因子を制御。疑似的な広域、かつ連続斬撃を再現する。
 視界に渦巻くそれは剣や刀といった人間の武器というより、むしろ獣の爪や牙。 
 交わり裂く、怪物殺しの英雄ベオウルフが持つ爪の一振りだ。

SYSTEM :
 最初のシドニーの防ぎ方を顧みて、芸のない集中射撃では埒も明かないと判断したのだろう。

 集中して受けたならば、確実に彼女の命を持って行ける…。
          ・・
 仮に行けずともだ、それならばあるいは少なくない手傷を負わせられる。
 そして、その後の返しで死に瀕する傷を負いながら、標的を仕留める。

SYSTEM :
 だが………。

 その巧遅を足蹴にする最大の拙速。
 驕りも不足もなかった攻撃は………。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「!」

SYSTEM :
 それに対して、おそらくこの場でもっとも明暗分かれたのは、この少年と、もう一人だ。

 展開されたビットの中に。
 明らかに、彼のものではない、R因子による自律機動砲台の姿があった。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 ・・・・・
「ガンビット………!?」

SYSTEM :
 宙を躍る数基の、彼が操る丸型ビットとは異なる兵器。
 穴が開くほど見つめた過去の戦闘記録と開発されてきたオーヴァード用CQB戦術の中に、
 それを活用したオーヴァードの存在があった。

 彼のものではないビットは、それぞれが左右へ直列展開。
 放射するR因子で形成・連結させた重力フィールドに、レネゲイド特性を発露させる。

SYSTEM :
 薄く広く展開されたレネゲイドの干渉フィールドは、
 言うなればミサイルに対するフレア。レーダーに対するチャフ。人間の視界に対する煙幕だ。
 当時より、今後発展化するオーヴァードの制圧攻撃に対するコントロールシステムとして再構築されたそれは、
 エンジェルハイロゥから成る幻覚的熱量とバロールから成る疑似的質量を以て、本来発生する攻撃の通り道を意図的に操作する。

SYSTEM :
 結果、鋼の殺意は闘牛士の赤いマントに突っ込むように空を切り、あまつさえそれぞれが衝突。

 標的か、それが仕留められずとも次善を果たせるはずの襲撃は、あっさりと張子の虎と崩れ去った。
 もちろん本人だけは誤魔化せずとも、ブラックドッグの電子制御を基底とする無人攻撃機を欺くには十分すぎる精度だ。

SYSTEM :
 残るは火器のメリットをかなぐり捨てた“蓋然を閉ざす者”。
 それが、纏った稲妻/膨大な熱エネルギーを伴い、銃器の下部から発振させたエネルギーブレードによる斬撃だけが迫ってきていた。

 それがなくとも、彼の銃器は元より戦闘形態の切り替えと使い捨てに対応できるように作られている。
 運動エネルギーと質量エネルギーの掛け合わせで、どんなオーヴァードに対しても確実に打撃を与える前時代的な、質量兵器の発想としてもだ。

SYSTEM :
 だが、そのブレードとビットの連携を前提としたものである以上、それは片手落ちの奇襲だ。

 ならば、たとえ、彼が多くのオーヴァードを屠ってきた狂人だとしても。

SYSTEM :
      テンペスト
 あなたは、嵐を征する者だ。
 ならば凌げるはずだ。
 凌げないあなたを、あなた自身が認めるものか。

シドニー・ヘス :
「どうして──そこまで!」

 凶弾が、凶手となって広域化する。見抜かれた──ううん、違う。戦闘の経験が桁違いなんだ。
 一極集中では埒が明かないって見切りをつける判断の速さ。獲物を仕留める最短最速を往くためなら遠回りも辞さないくせ、その迂回は自損で圧縮される……!

シドニー・ヘス :
「あッ……」

 一度に全員は守れない。あたしの弱点。優先順位をつける。命の価値を、一瞬にも満たない猶予で秤にかける。利益でソートすると、思考が処理落ちしそうになる。合衆国。道徳。任務。理性。分銅に貼られた正しさのラベルはしっちゃかめっちゃかに違う色をしてる。

シドニー・ヘス :
 どうしよう、どうしよう、どうし──

「ガンビット……!?」

 ──て……!?

シドニー・ヘス :
 まるきり同じタイミングで、声をあげる。ほんものは初めて見る、でも知ってる。だって、だってそれは……

「少佐──!」

 白澄む空の名を背負い、黎明を守った英雄の──!

シドニー・ヘス :
 殺意が空を切る。欺かれて、ぶつかり合う。
 合衆国の最新と最先端でも追いつけるか分からない未知の産物を、十数年前の成功体験が欺瞞する。
 わずか一瞬のうちに、制圧射撃ならぬ斬撃は凌がれた。あとは……

シドニー・ヘス :
「──シャラ!」

 まるで先手を打つみたいに、"蓋然を閉ざす者"に次ぐ最速へ『本体』の攻撃が向く。

シャラ :
「へ!? ア!?」

シャラ :
「ギッギャアッ!! ムリムリムリゼッテムリ!! ボーリョクハンタイ!!」

シャラ :
 サンゴ
 身体は勝手に勝手に受け身態勢を取ろうとしてて、つまりリザって次行く準備し始めてるけど、数秒ポカンだったオレにヨユーはゼロ!

シャラ :
「タイチョ〜〜〜………!!」

シドニー・ヘス :
「はいッ! 隊長っす!」

 クリアになった思考でピピピと計算。このまま受けると背の高いシャラがちょびっと焦げると直感がささやく。ので、

シドニー・ヘス :
「せぇー……の!」

 足払いでシャラをこかして、真上にかざした盾でブレードの振り下ろしを受けとめる。

シャラ :
「ダア〜ッ!!??」

シドニー・ヘス :
 ……流星を、今度こそ受け止めた。実体を持たない熱量の刃は、嘘みたいに重い。潰されそうに足が沈む。足元に転がるシャラごとぺっちゃんこになって、灼き切られる未来。
 嫌な想像を、現在のあたしが笑った。目に焼きつくほど見た過去が、あたしに手を差し伸べた。
 だからもう、そんな未来に繋がるなんて思わない。

シドニー・ヘス :
「Cheers!」

 めいっぱい叫んだ。乾杯って。沈んだ体に漲らせた力のすべてを解放して、上へ上へ、流星を押し返す!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「チィ───!」

SYSTEM :
 重く、速く、何より他者の命を己の目的のために踏み躙ることへの躊躇のなさ。
 血で汚し切ってなお白き鋼を、精神感応金属が形成した防盾が迎え撃つ。

SYSTEM :
 だが、もとより───。
 その間合いの急激な接近、加速の勢いは、複数のビットと連携したコンバットパターンをアテにしたものだ。
 
 重く、速く、殺し慣れる。
 それを想定しない兵器などない。ましてオーヴァード同士の邂逅に置いては猶のこと。

SYSTEM :
 ブラックドッグの生体電流ありきの熱量、渦巻く人工の磁気嵐ごと、架空の空へ跳ね飛ばした。

 追い返された塵殺の流星が、止むを得ない、と判断し、その勢いに身を任せて退くのはすぐだった。
 加速と共にそれを食い破るには、対人に誂えた火力程度では足りぬと、見込みの上方修正とともに判断すればすぐに先刻の自身を翻す。

『ミソラ』 :
「シャラ! …いや、その前に、」

『ミソラ』 :
「今の──────」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「何者…!」

SYSTEM :
 鮮やかなカバーリングの成果としてすっ転んだバディの様子が(たぶん尊厳以外は)無事と分かっている彼女と、
 その万全を欠けさせられた少年が同時に、彼のものではないガンビットの持ち主に声を向ける。

SYSTEM :
 ビットの正体は…。
 答えは、その戦場を飛翔ぶビットが数基連結し、形成したゲートから現れた。

 短距離の瞬間転移…バロールが生み出す時空の流れ、ブラックボックスの虚数空間に身を投じた何者かだ。

* :
「間に合ったか…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
 ・・・・
「積もる話に…手間取ったものでな」

SYSTEM :
 年齢にして四十代。戦傷をその相貌に刻み、口元を固く結んだ偉丈夫。
 見間違えようがない。ダン・レイリー現少佐…”ホワイト・スカイ”である。

“雷人” :
『 テンペストの…
  …では、あれの同伴は早計だったな 』

シドニー・ヘス :
「少佐あ~~~~~~~~~~」

 どっと押し寄せる安堵に、まだ痺れの残った腕をへなへなと下ろす。がつん! あれ? 盾。

シドニー・ヘス :
「あ゛」

シャラ :
「ア゛ッッッッッッダ」

シドニー・ヘス :
「え、衛生兵ー!」

SYSTEM :
(謎のイメージSE)

シャラ :
緊張感なくごろんごろん転がる

シャラ :
イイトコ入ったぞ…いまの!

『ミソラ』 :
申し訳ありません
(仲間が)このような恰好で

シドニー・ヘス :
ごめえん……

マキナ :
いたそ~ 今の……じゃなくって。

シドニー・ヘス :
はッッッ

マキナ :
「アテがようやく到着……ってコトでいいんだよね」

シドニー・ヘス :
「! はいッ! マキナ、デキュラ、ハーフィ──彼が小官の大先輩、合衆国の切り札であります!」

シドニー・ヘス :
「そ、そういえばッ 状況の共有は必要でしょうか! 一度は繋がりましたが、こちら少佐側からの応答が掴めず……」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「国家のジョーカーなど、いまのは聊かに過大評価だが…そうだな」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「先にその件だ。シカゴ支部のアミル・トロイを騙る所属不明オーヴァード…。
 “刻知らず”のエージェントと断定する人物に接敵していたUGNエージェントを救援した」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「彼と生存者の離脱に対して支援を行った後、そちらに急行する最中で回線が開いた。
 すわアクシデントかと踏んで、応答より到着のほうを優先したが…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「───積もる話は機のある時にするとして、だ。
 成程、よく凌いだ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「それ故簡潔に聞くが、其方の少年少女は…。
 きみの視点で保護対象と判断したのだな?」

SYSTEM :
 彼の視点が、呼びかけたノア等に向く。
      ・・・・
 見てわかる米国軍人の意匠と強面だが、皮肉なことに、来訪者の中でその人物がもっとも、あなたに敵意を持っていなかった。

ノア・ウィンターズ :
 “想像を絶する”……そんな言葉、何度も振り回すようなものじゃないし、繰り返すほど説得力を失っていくものだけど。

 目の前に展開されるひとつひとつの現実は、ボクの想像の枠を遥かに飛び越えていた。

ノア・ウィンターズ :
 あそこまで追い詰めたのに、まだボクがはじめを認識すらできないスピードで動いて……
   A o E
 画面全体攻撃を叩きつけてくるアイツのイカれっぷりも。
 それを瞬く間に迎撃してみせた、いきなり現れたビットの数々も。
 そのビットで遥かに弱められたとはいえ、アイツの攻撃を真正面から受け止めて今も平気な顔してるシドニーのタフさっぷりも!

ノア・ウィンターズ :
 そして……。
 いきなり空間に───しかも現実の方に孔を開けてやってきた、このアメリカの切り札っていうヤツのことも!

ノア・ウィンターズ :
 ……、最後のは想像を絶していないか。
 ボクの認識外からいきなり飛び込んできたヤツって、少なく見積もっても今日だけでもう3人目……いや、それはともかく。

ノア・ウィンターズ :
 ただひとつ違うのは。
 今度やってきたヤツは、ボクの同志を名乗ったりすることも、ボクをいきなり殺しに来ることもなく。
              ヘイト
 その鋭い眼差しに、ボクへの害意を感じないってことだ。

ノア・ウィンターズ :
「……出てきてくれたとこ悪いけど、ボクらは保護されてるワケじゃない!
 ボクらだって戦える、同じパーティの一員だ!」

ノア・ウィンターズ :
「ボクはデキュラ、こっちのはハーフィ!
 ボクらがいれば、あの仮面のヤツだって怖くないよ!」

 しっかし、すごい貫禄……!
 どっしり構えてるこの感じ、『ダブルクロス』でも感じたことがある……!あのラスボスにだって引けを取らない……!

シドニー・ヘス :
「支部長を騙る……!? それじゃあシカゴ支部はっ──いえ、そうですね、いまではなく う へあ」

シドニー・ヘス :
「しっしし凌いだなんてそんな、防戦一方でっ! 少佐のお力添えがなければどうなっていたか……」

シドニー・ヘス :
「だ、だそうです……あのお……あのね……?」

 あ、あたしより返事がはや~い! 異論はないけどぉ……!

シドニー・ヘス :
「今は良いんだケド……テーサイ的に必要なときは保護で通してもらえるとぉ……」

 デキュラ少年にこしょこしょと囁く。ちょっとだけシャラの口調がうつったような気がする……

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「そうさな…性分のようなものだ。
 きみの戦える、戦えないではなく…我々は守るべきと判断したものを守る立場にいる」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「しかしそのうえで、戦うと決めているならば別だ。承知しよう。
 私のことは、今のところは…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「そのあたりの体裁を何とかしに来た、便利な知り合いの知り合い、とでも思っておいてくれたまえ」

ノア・ウィンターズ :
「テーサイ?
 実際ボク戦えてるでしょ、何かマズいの?」

ノア・ウィンターズ :
「ホラ、あの切り札ってヤツもそう言ってるし。
 見た目よりモノワカリよさそーじゃん」

シドニー・ヘス :
きッ危険因子の自覚がなぁ~い! あたしってえ! 場合によってはきみを排ぶッッッ

シドニー・ヘス :
「モノワカリ!!?!?!??!?!?!?!」

『電子の妖精』/ハーフィ :
(後ろでノアと現れた人物を交互に何度も見ている! やや慌てている動作だ!)

シドニー・ヘス :
かさかさとマシンに這い上ってデキュラ少年の肩を掴む

ノア・ウィンターズ :
うわっちょっ、離れなよ!

シドニー・ヘス :
「アノヒト スゴク ベテラン エライ アメリカ エイユウ」

シドニー・ヘス :
「ゴリカイ……」

マキナ :
「へいへい、ちょっと顔赤くなってない?」

ノア・ウィンターズ :
「……あー、それは分かるんだけどさ」

 うーん……
 そういう『エラい』設定のヤツのこと、割とボクらってネタにしがちだし……

ノア・ウィンターズ :
「…………って、なってないッッ!」

シドニー・ヘス :
(顔が青い)

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「ああ、その類はフィクションでは大抵スペクタクルショーの前座だな」

シドニー・ヘス :
「少ォ佐ァ!?」

シャラ :
すげえすげえ 上のも下のも顔が青くなったり赤くなったりしてら

マキナ :
「コレだからオトコってのは……
 で」

マキナ :
「おたくらといえばジャパニメーションじゃあ光の巨人が出てくるまでのかませ犬が板についてるけど。
 御仁は寧ろ侵略宇宙人を撃退するタイプって期待していいんだよね」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「そのつもりだ。災害の対抗者が信条でな」

SYSTEM :
 即答から入った彼の様子は、変わらず二人の敵対者を意識から外すことはなかった。
 水を向けられながら沈黙していたハーフィが、その様子におずおずと声をかける。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈あなたは…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ノアの敵では、ないの?〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「今のところは敵ではないよ。
 その是非を決めてもらうために、伍長と私は、きみと彼を守ることを最善と判断する」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「差し当たって其方の通信回線が開きっぱなしになっていたので、消去法で判断するが…。

 あれが“雷人”で、彼方がイレギュラーか。ならば…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…デキュラ、と言ったな。“雷人”に、きみが自信の根拠をぶつけるために。
 そのイレギュラーを退けるまでの間は、私が彼を受け持とう」

“雷人” :
『 ほう 』

“雷人” :
『 彼と接敵し、その脅威を認知しておきながら…
  対抗手段の皆無を、分かって挑むか 』

SYSTEM :
 幾度かの近代化改修が行われたと思しき自動小銃の銃口が、仮面の男に向いた。
 それが肯定だ。

 …先のシドニーの指示における最大の不確定要素は、他でもないその ”雷人”だ。
 そして、仕留め得る優先順位において下位に属し、ノア以外に有効打を確認出来ていないのも“雷人”だ。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「心配は無用だ。
 確かに私は、アレに有効打を持っていなかった」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「だが同時に…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…お前に、俺は、殺せない」 

SYSTEM :
【 CAUTION! 】
Effect:【瞬間退場III】
Player:“雷人”/“ホワイト・スカイ”
Target:自身

[Add's]
・一時的にシーンから退場する。
・合意した対象もシーンから退場する。
(※双方の判断により、『戦闘エンゲージ』からの離脱を行う) 

SYSTEM :
 瞬間、亜光速と光速が同時に交錯した。

 判断の是非を問う前に、
 シドニーに残された言葉は数節。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「優先順位を含め、ここまでのきみの判断に賛同する。
 イレギュラーの撃退後は、老兵の好き勝手の後始末に付き合ってくれ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「異論は今のうちだぞ」

シドニー・ヘス :
 交差する速度と速度──有効打などないのは百も承知と、厄災に対抗する姿を見た。

「はッ えあッ」

 わずか数節が自分に向いていると、理解するのに数瞬。

シドニー・ヘス :
「う、う……」

 自信なんてない。これまでにした判断を、きっと正しいと胸を張れない。
 でも少佐は賛同すると言ってくれた。正解だと採点するのではなく、あとで力を借りるとさえ言い添えて。
 それは挽回の機会を摘み取らないと断言した上官の、確かな激励のようで──

シドニー・ヘス :
「ありません! たとえ地獄の墓掃除でもお付き合いします!」

 意識を盾から外さず、もう片方の手で敬礼する。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「よろしい。掃除待ちの墓が幾つあったか、思い出しておく」

シドニー・ヘス :
「え゛」

シドニー・ヘス :
あるんだ……複数……! かっ数えきれないほどに?

SYSTEM :
 果たしてその言葉が壮年の茶目っ気だったのか、事実だったのか。
 彼があなたの意を認め、視界からかき消え、ただ銃声と雷鳴の音のみが響く状態となっては伺い知れぬことだ。

SYSTEM :
 通信回線を開きっぱなしにするような初陣のあなたには、まだやるべきことがあると。
 あなたの、何より優先して、“電子の妖精”と“デキュラ”の二人の前に立ったその初志を貫徹するべきだと、彼は言い残した。

SYSTEM :
 そしてそうなれば…。

 何時でも予備動作から本格的な飽和攻撃に移れる”雷人”を引き剥がした以上、残るのは一人だ。

 その白鋼は、背中に向ける警戒のウェイトを、何ら躊躇もなくあなたたちに向け直した。
 退くにはまだ残弾があり、勝算があり、余地がある。それがある限り、戦わぬ理由はないのだとばかりに。

ノア・ウィンターズ :
「えっ、ちょっと──────!」

ノア・ウィンターズ :
 “雷人”のことは自分一人で請け持つ───聞き間違えじゃなければ、アイツそう言った!
 それも、“雷人”の使ってるチートを破る作戦もなしに……!

ノア・ウィンターズ :
 それって、ほとんど捨て身の足留めじゃないか!
 “ここはオレに任せて先に行け”とか、そういうヤツ!
 いきなり現れた強キャラがそーいうことするのって、……まるっきり、死亡フラグじゃん!

ノア・ウィンターズ :
 ……でも。
 ボクには……というより、あの割り入ってきた軍人さんには。不思議な確信があった。

ノア・ウィンターズ :
 ・・・・ ・・・・
 あの人は、死なない。
 少なくとも、いま、ここでは。

ノア・ウィンターズ :
 いまは、あっちの心配よりも……目の前のことに集中するんだ。
 それが、ボクとハーフィを守る最善の選択なんだから……!

シャラ :
……あのおっさん、勝手にPF乗りだと思ってたケド。生身でもあんな強いんだ。

シャラ :
そう思いながら、実はたいして痛くなかったのでむくりと起き上がる。そんでミソラに寄った。

シャラ :
「……さっきおっさん、『アミル・トロイを名乗る所属不明オーヴァード』とかゆったよな?」

シャラ :
「表出てこねーしクソアヤシーって思ってたけどマジかな、アレ」

『ミソラ』 :
 …チラ、とシドニーを見た。

『ミソラ』 :
「この様子とあの強面真顔でホラ吹きだったら、私の美少女フェイスの尊厳を削る行い(ルビ:鼻パスタ)で責任を取るまであるよ」

『ミソラ』 :
「ちなみにマジだったらどうするの」

シャラ :
「もったいねーからやんな! やるならちゃんと食えよ!」小声で大声。

シャラ :
「え? マジだったら……」

シャラ :
「マキナもいっし、さっさとゼノスの世話んなってるっつってゲロんべ」

『ミソラ』 :
「(これシドニーがハヌマーン・シンドロームとか秘匿してたら自殺行為のカミングアウトだな………)」

『ミソラ』 :
「…5:5…いや、6:4かな…」

『ミソラ』 :
「わかった。それで行こう。
 ──────」

 呼吸音。

『ミソラ』 :
「この戦いが終わったら!!!!」 小声なのにうるさい。

シャラ :
「勢いよくフラグ立てんな死にぞこないが!!!!!!!」小声で騒ぐ。

『ミソラ』 :
                プラ
「生きてるもん!!!!! 新作『蜘蛛の糸』で!!!!!」

シドニー・ヘス :
あれッ気配が騒がしい! ちらっ

『ミソラ』 :
(ポーカーフェイス)

シャラ :
急に背筋がまっすぐになる

シドニー・ヘス :
気のせいだった……! 集中しなきゃ!

マキナ :
おもろいなこの子

SYSTEM :
 題に曰く、消灯時間。

SYSTEM :
 ………。
                ・・
 ノアの向けた信頼は、割り入った軍人に対してのものか。あるいは、『ダブルクロス』の経験則の話か。
 少なくとも、わざわざ雷人のもとに割って入る必要性は薄く、そのような真似を目の前の男が見逃してくれるはずもなかった。

SYSTEM :
 何より…。

 明確にあなたの命を狙っている度合いは、おそらくだが…“雷人”より此方のほうが上だ。
 あるいは、この状況に及んでも。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「…皮算用は終わりか? ならば…」

SYSTEM :
 先程から動作という動作に、撃鉄を上げる予備動作のない少年が、クロスレンジの間合いを維持したまま、淡々と告げる。

 瞬きでもして意識を反らせば、彼はすぐに向かってくるだろう。

マキナ :
 ──どうにも外野はさらに面倒事が連続して、てんやわんやみたい。
 こりゃ終わった後が大変だ。
 
 ……そして、向こうでコソコソ話してるシャラといい、緊張がほぐれたシドニーといい、終わった後のことを多少考えられる程度にはマシな状況に落ち着いてきた。

 あくまで、相対的には、だけど。

マキナ :
 今にも飛び出そうと身を乗り出すハリーの足元……っていうか、足に向けて発砲。牽制代わりだ。

「さっきから、随分袖にしてくれるね。
 ──あんたの相手は私でしょ」

SYSTEM :
 威嚇や牽制にしては剣呑だが、死地に対しては平常に過ぎる発砲音。

 視線さえも合わせず、意識の矛先だけが、帯びた殺気と共にあなたに向く。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「懲りんヤツだ…」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「幾度となく繰り返して猶、辟易というのを知らないと見える。
 そこはお互い様だと思っていたが…」

マキナ :
「まったくもってその通り。
 言う事為す事筋の通らないあんたにも分かって貰えて光栄だね。少しは頭のメモリ増やした?」

マキナ :
「──莫迦丸出しに打ち出されて、何処ぞで悪党とくたばるのはケッコーなことだけど。
 あんたは大団円に邪魔なんだ。序曲の間に、さっさとご退場願おうかな……!」

マキナ :
 戦闘プログラム起動。

 双眸のクロック・サイトシステムが、燃える炎のみの照らす病院の夜闇で明滅する。
 黒いコートをはためかせながら、銃剣の照準をハリーに向けて合わせる。

マキナ :

「Thinker,射撃管制。
 Solenoid Engine
 超 電 導 機 関……バルブ解放、連結。

 非殺傷出力、通常の二割増しで」

マキナ :

《Yes, sir.
 Liar Gun non-lethal Mode Activation》

マキナ :
     コア
 拍動する心臓。
 フレーム
 骨格が軋みを上げる。

 相変わらず……ちょっと弁をひねるだけでこれだ。

 時を経ても尚、変わることなく神は神。
 カルダシェフスケールでいうTYPE-Ⅰを全うするまでに近付き、地球上の観測範囲の多くの未知を既知とした時代でも、コレを御しきることは出来なかった。

マキナ :
 胸部を中心としてエネルギーラインが淡く燐光を放ち、四肢に宿り、腕から手を通ってブラスターに送り込まれる。
 手を伝って供給された電力エネルギーが光を放ち、ブレードに纏われ磁力を発生させる。

 電圧調整、最適化処理、完了──。

マキナ :
 青い電光が体を苛む。命を削り、魂を削る。
 けど、問題ない。
 これはその為に設計された、戦うためのカラダ。

 奴が弾なら、私は銃。
 カミナリ
 神鳴を打ち出すために作られた……
           チャンバー
 撃鉄を落とし、何発も薬 室で爆炎を受け止めながら、その怒りをぶちまけるための舞台装置。

マキナ :
 
「Liar Gun Discharge──!!」
 
    デウス・エクス・マキナ
 即ち、神を運ぶ装置だからだ……!

マキナ :
 トリガーを引き、電磁投射される弾丸は、撃ち放たれる直前に姿を変え実体弾から非実体の電磁波へと変化。

 追尾なんて必要ない。
 あいつは実弾の確実性を優先してるんだろうけど、こっちは超音速なんて欠伸の出る亜光速だ。避けることも、外すこともない。

マキナ :
 そのまま四肢に込めた電磁力を利用し、イオノクラフトの要領で敵の射線を潜るように移動しながら、続けざまに発砲!
 丁度、相互に高速機動によって位置アドバンテージを取り合う形で、野郎の継戦能力を削っていく。

マキナ :
 ったく、面倒臭い……
 追い詰められれば追い詰められるほど、野郎の魔剣は切れ味を増す。とはいえ、殺しちゃったら本末転倒だ。
 けど……その肉体も装備も、詰まる所システムがイカれてしまえば闘いどころじゃなくなるでしょ。気合いや根性で、装備が治るかよ。

マキナ :
 目標はスタン狙い。
 着実に電圧の負荷を蓄積して、カエルみたいにビクビクさせてやるよ!

SYSTEM :
 生体電流の増幅を以て、現実を超越するエフェクトを現出させるのがブラックドッグ・シンドローム。
 故に、そのような現象が巻き起こされること自体は珍しくも何ともない。

 強化人間L-UN09-a───ひとつ目の名前を形作る、一山いくらの量産モデル。
 はるか遠い未来のメカニズムが形作り、その始まりから、片手指は軽く超える機能改修と換装の中で鍛え上げ最適化された銃器。
 
 しかしその二つの前提に、唯一無二の例外が…。
 さだめを残酷に、鮮烈に書き換えた例外がある。

SYSTEM :
 カテゴリ───雷神の戦槌。
  タイプ───デウスエクスマキナ。

 人の身に宿り、鋼の心臓から木霊する鳴神の響き。

SYSTEM :
 瞬間的に散る火花と共に高められた電圧は、人体実験が平然と横行する、ここに限りなく近い世界においても見られたものではなかった。

ドライブ
 発動と同時に垣間見えたその出力の根源、過剰供給もかくやの電力は…他でもないマキナの心臓から生じていた。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「──────!」

SYSTEM :
 その過剰出力に合わせてカスタムされた機人の躯が、蒼き雷霆に彩られる。

 それを目撃した少年に、怒りや憎しみのようなものがあったとて…。
 侮りと驕りは無縁だ。視界にソレが走った時、彼は咄嗟に身を翻した。

 鋼に覆われた戦闘用アーマー、背部と脚部からフレキシブルに展開されたバーニアが即座に彼を飛翔させる。

SYSTEM :
 お互いがお互い、受動的に把握を重ねた武装特性、装備形態。
 それ故に必殺が決まろうはずもない。ならばと、先に手足をもぎに掛かったのがマキナだった。

    エレクトロ・ウェーブ
 非実体の電磁波に変化し、亜光速で、視界の彼方と此方へ、次々に稲光が走る。                      ドッグ・ファイト
 秒間更新され続ける死角を取り合う、人間同士の空中射撃戦。

SYSTEM :
 彼の意志が折れたことは未だにない。少年は片道を承知で標的を塵殺する等身大の魔弾。

 だが、その基本的戦闘に用いる手段が、数え切れず殺してきた“バケモノ”のミラーリングから成るR因子兵装の数々であるとなれば…。
 “蓋然を閉ざす者”自身のメンタリティとフィジカルが幾らでも道理を無視しようとも、機械である以上は、いくら大層なスペックがあったとて、道具である以上の絶対的原則が待っている。

 道具である以上、その設定性能以上の働きはない。耐久性も。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「小賢しい───!」

SYSTEM :
 別に損傷は彼の行動力を躊躇わせる理由にならないが、損耗と喪失は行動を鈍らせる。

 数刻の撃ち合い、軍配はマキナに上がった。
 死角を補佐する丸型ビットの電磁シールドに拡散されず…生身の人間が受けてしまえば、最悪心臓麻痺も已む無しの電気ショックが彼の身に突き刺さる。

SYSTEM :
 ショートして破損した外装パーツや、展開していたビットを切除。ダメージ・コントロールを伴う急降下。
 必要とあらば丸ごと装備を使い捨て、新調するなどザラなのが“蓋然を閉ざす者”だが、それは拘りのなさではない。相応に、無茶と無謀に耐え得るものをチョイスしてここにいる。

 それでもなお見せた着地態勢の乱れは、ノアの攻撃回避に費やしてきた労力に対するダメ押しとして、それが少なからず適切だったからか。

SYSTEM :
 蓄積された電圧負荷から、彼の主兵装/ビットとの連携の要となる件の銃器が損壊するまで、あと一手。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 デウス・エクス・マキナ
「神を運ぶ装置…」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「暴力装置の名にしては、相変わらず…ずいぶん傲慢なことだ…。
 口の喧しさ以外に、そいつも健在らしい」

SYSTEM :
 吐き捨てる台詞。ざらざら、と流れる不快な破損のノイズ。引き金にかかる指。
 ・・・・
 あと一手、は。彼に限っては、平時のジャームと違った意味を持つものだった。

シャラ :
「やるじゃんマキナ! 武器カッケ〜!」

マキナ :
「でしょ? イマドキ実弾なんて時代遅れ、時代はビームよビーム」

シドニー・ヘス :
「そ……そんな! うちじゃまだ現役なのに……!」

シドニー・ヘス :
「なんとか取り戻せませんか!? 時代……!」

『ミソラ』 :
「時は戻らない、それが自然の摂理…」

マキナ :
(まあ戻ってきたガワなんだけどね、私…)

マキナ :
「ああ、そうそう。さっきはサンキュー。
 ……それとなくフォローしてくれてたでしょ、ミソラ」

『ミソラ』 :
「どういたしまして。って言っても、ぶっつけ本番だ」

SYSTEM :
 事も無げの一声は、それが完全に主目的を達成させるアシストだったなら、ちょっとうざったいくらいの反応と自己主張になっていただろう。そういう女だ。

SYSTEM :
 亜光速同士の機動戦、死角を取り合う所作において、生じたスパークを起点の光源として発生した屈折現象による攻撃のリフレクト。

 ぶっつけ本番…も、別に嘘じゃない。
 癖や能力を知っている相手とのコンビなら、逃走経路の最中でも“そういうの”が出来る人間、訂正、RBである。

 たったいま知りながら合わせた───その干渉分としてあなたに用立てられた踏み台が軍配を確固たるものにしたが、それは後押しであっても決定打ではなかった。

マキナ :
……こっちがセーブして、向こうも万全じゃない。となると、お互い決め手を欠いて泥仕合になりがちだ。
何せ、お互いあらかた手の内は知り尽くしてるし、こんな場でお互い鬼札を出したがらない。見知った札だけでやり過ごそうとするから余計に決着がつかないモンだけど……
おかげで助かった。少し天秤を崩してくれるだけで、この結果を引き出せた

マキナ :
「いいもんだねえ助け合いって。
 コミュ障気味で一人ぼっちの何処かの誰かには分からなそうだけどサ」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「わかる必要がない」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「…仮初の優越感というのが尚下らん。
 同じ顔を続けてぞろぞろと連れ歩きながら“それ”を吐かれた覚えがない以上、然して変わらないな」

マキナ :
「でしょーねえ。
 カワイソ。それで縋るものが神様ってわけ?」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「神をたかが現象に貶めねば銃にもならないバケモノが、それを語るなど烏滸がましい」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「…信心は宣誓だ。指標であり、庇護ではない。
 今更誰ぞの手でソレを求めるか?」

マキナ :
「ふーん。
 私体質的にペット飼えないんだけど、鼠の死体を差し出してくる飼い猫ってヤツ。あれどんな気持ちで受け止めてるんだろうね飼い主って」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「フン。おまえの立ち去った舞台裏でも覗けば、四つに一つ…。
 具体例などすぐにでも見つかる」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「…その小童と“雷人”では、前者を仕留めたほうが収拾は早い。
 まして───”電子の妖精”とか言ったか。それは益々生かしておけん」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「だのに…道行けば毎度コレだ、刈り散らせん夢想の花畑が道を蝕み止むことがない」

マキナ :
「ハッ、それこそお得意の神様にも訊いてきなよ、『ホントにこのやり方で合ってますか』って。
 少なくともウチの神様はNoって答えてくるだろうけど」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「それこそ愚問だ」

SYSTEM :
 己の宣誓に疑問を持つことにか、あるいは神と定めたものに疑いを持つことにか。
 鼻で笑いもせず、目を細めた少年の冷たい響き。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「惑う余地など捨てた。オレはオレの信じる導きに従って、蓋然を閉ざすまでのこと…」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「そして…」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「おまえへの度し難さは、
 結局のところ───飲み込むべき業腹だ」

SYSTEM :
 そう…。
 彼にとってはあなたは、度し難いほど対象に窮する相手であり、
 同時に仕留め得る好機を見逃してはならない類の相手であったが。

 彼にとって屠るべきは、いつだって…。
 ・・
 兆しだ。

SYSTEM :
 ゆえに着地の姿勢から、抜き打ちの要領で引き抜いた、演算システムを内包する拳銃タイプの火器。

 ビットのうち破損したのは二基。残る自律兵装がそのSFめいた兵器に再度連結。
 給弾と同時にその矛先を迷うことなく同じ標的に向ける。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :

「ヤツを追い詰めろ───。
 コード・エーアムンド…!」

SYSTEM :
 ・・・   ・・
 向ける、と、放つ、はほぼ同じだ。

 オーヴァードの思考回路をベースにした演算システムが、形態の変更と同時に火器管制を淀みなく終える。
 武装の異様さに反して、彼の武器は前時代的だ。弾速と質量を伴う特殊対熱加工のタングステン合金徹甲弾、加えてスパークが仄めかす1ギガジュール超の熱量。

 どんなオーヴァードにも確実にダメージを与える───物理学の基本と応用に対して忠実で、それでいて、殺すことにきわめて忠実なラピッドショット。

SYSTEM :
 彼にとって…。
    ・・
 自身の怨恨は、鉄の初心に劣る。

 発言の最中、常にトップギアを維持し続けた思考回路は、なんの躊躇もなく“ソレ”に照準を合わせた。
 理由など語らない。感情など交わさない。ただ、確実に───。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…いけない…!〉

SYSTEM :
 鉄の狩人が、あなた/ノアを狙う!

ノア・ウィンターズ :
      はや
 …………ッ、光速い………!
 この天才プリズナーのボクが、完全に動体視力で負けている!
 電子の動きが視えるこの目が無ければ、目の前で繰り広げられた二人の攻防、何が起こっていたのかだって分からなかった……!

ノア・ウィンターズ :
 そしてムカつくけど、なんだかちょっと二人してカッコいい……!
 ボクの性能が“Decula_0x00”のままだったなら、ああいうスピーディでスタイリッシュな闘い方ができたのに!それもなんだか悔しい!

ノア・ウィンターズ :
 ……。最初から分かっていたことだけど。
 まるで『ダブルクロス』みたいな鮮烈さで、まるで『ダブルクロス』みたいにダイナミックで、まるで『ダブルクロス』みたいなスキルが使えるけど……
 ここ
 現実は、『ダブルクロス』じゃない。ボクも戦闘の考え方を変えなきゃならないんだ。

ノア・ウィンターズ :
 “ いいもんだねえ助け合いって。
 コミュ障気味で一人ぼっちの何処かの誰かには分からなそうだけどサ”───

ノア・ウィンターズ :
 ───相変わらず、アイツの言うことにはムカつくけど!
 アイツの言葉は、どれも的を射てる。

 ボクらはパーティを組んで戦ってる。それはあのプリズナーにはないボクらの強みだ。ソロ専で勝負にならないんから、それを活かさない手はない。

ノア・ウィンターズ :
「(──────来るッ!)」

ノア・ウィンターズ :
 ボクは天才プリズナーだ。
 初見のボスだって、もう3回も行動を見たら行動パターンは読めてくる。……たとえ、攻撃の予兆が見えなくても。

 投射される弾幕も初見のパターンだけど、だいたいの狙いは分かってる。驚くほどまっすぐにヒネくれてるコイツの攻撃なら……
          ボク
 おそらく、徹底的に自機狙い!

ノア・ウィンターズ :
 ───ああっ、何度も言うけど本当にムカつく!
 こんな弾幕、気合い避けとかできる次元のワザじゃない!《電磁結界》の精度もまだ高くないし、まともにやりあったらすぐさまゲームオーバーだ!

ノア・ウィンターズ :

 ──────でも、

ノア・ウィンターズ :
 ゲームの戦い方っていうのは───

   ──────もちろん、回避だけじゃない!

ノア・ウィンターズ :
「ッ、シドニーィ──────ッ!」

ノア・ウィンターズ :
 ──さっきは、アタマが真っ白になったけど!

 パーティの基本は、役割分担だ。
 ボクとマキナがアタッカーで、シャラとミソラがサポーター、そしてシドニーがタンクだっていうんなら、アタッカーのボクはタンクの仕事を信じるべきだなんだ!

ノア・ウィンターズ :
 とんでもない無茶だって、アタマでは分かってる!
 分かってるけど……!

 いまは信じさせてほしい……!
 2回もアイツの攻撃を浴びてもまだ、やわらかさを喪ってないキミの顔を───!

シドニー・ヘス :
 Single Action
 たった一工程で事を終える異次元の攻勢。
 銃と連結して装填を代行するビットなんて、銃社会の最先端に居てさえ見聞きもしなかった代物だ。
 スペアをお持ちなら拝借したいくらい!

シドニー・ヘス :
「はいッ! 既に!」

 少年があたしを呼ばわるよりも早く、抜き撃ちよりも更に早く。
 きりきりと引き絞った腕で、銃口めがけて円盾を擲つ。

シドニー・ヘス :
 ──爆ぜる鋼の飛沫。盾は血のように飛散して、"闘争卿"の残した焦げ痕に降りかかった。

 その真中。左右に散らばる液滴とすれ違うように、勢いの止まらない弾丸めがけて飛び込んでいく!

シドニー・ヘス :
 ……3桁ミリの装甲厚を貫く硬度と速度に加えて、落雷に匹敵する熱量。はっきり言って、いくら対超人想定でも火力過多!
 どうにも宵越しの弾丸は持たない主義みたい。射手たる魔弾、彼自身さえ含めて。

シドニー・ヘス :
「づっ……!」

 重装甲を貫くための弾を、
 肉と骨のかたまり如きで遮れるはずもない。本来なら。

 でもあたしには肉と骨の他に、もうひとつある。

シドニー・ヘス :
                 ・・
 ……だから。向けると放つの続きは、貫くじゃない。

 デキュラ少年とハーフィまでの射線上に立つあたしから先へ、殺意は届かない。交差させた徒手、前腕で弾丸が留まっていた。

 ぽた、ぽた、と。滴る赤に、白銀が混ざりあう。とろけたマーブルカラー。

シドニー・ヘス :
        Patriot
 先の一手。放った円盾はただ撃ち抜かれたんじゃない。
 "蓋然を閉ざす者"の放った徹甲弾が通過する瞬間、その表層をコーティングした。軽微ではない質量は減速を引き起こし、着弾時には緩衝材となる。

シドニー・ヘス :
「っ……は……」

 震える腕を、ゆっくりと引き剥がす。
 頭を庇うためにクロスさせた上腕は、徹甲弾の衝撃に耐えはしたものの、釘で打たれた合わせ板のようになっていた。

シドニー・ヘス :
「鋲打ちジャケットの……気持ちが分かる日がくるとは思いませんでした」

シドニー・ヘス :
「どうしますか。耐える小官と、損なうあなた。根競べなら負けませんよ」

シドニー・ヘス :
「……いえ、これも愚問でしょう。だって」

シドニー・ヘス :
「絶対、あなたより先には斃れませんから」

SYSTEM :
 MMORPGにのめり込んだあなたの経験が、幸いな方向に生きたことがもう一つある。

 彼らはそもそも、よほど捻くれたプレイヤーでもない限り…。
     ビルド
 個人単位の能力に対する長所を重んじ、短所を軽んじる。

SYSTEM :
                             クエスト
 本質的に他者と長くつるまない当時のノアでさえ、大掛かりな戦闘行為には他人とパーティを形成する。
 それは個々人の性能の長所を活かし、短所を殺す。
 そんな現実においても当然の集団行動が、分かりやすく有効になるように出来ているからだ。

 故にノアは、それが自身の手に負えないものと判断すると同時に…。
 その当然の前提になぞったわけだ。

SYSTEM :
 だが、それとて。
 世界の拓けたばかりのオーヴァードが、自分以外をアテにするという判断を速やかに取ったのは。
 眼前でその根拠足るものを目撃していたこと、あなた自身の根が表面よりかは年相応だったこと。
 それを差し引いても、状況が一刻を争っていた事実が大きい。

SYSTEM :
 コンマ数秒先、音速の壁に突き立てられた死の気配。
 命を委ね、責任を預ける。恐怖と隣り合わせの最善。

 あなたの知る限りで…。
 彼女は二度、その遂行に尽くしてくれた。
 だから三度目も達成できると信じ、現に達成された。それだけのことで、それほどのことだ。

SYSTEM :
 質量の桁が違えば、如何なる防御だろうと貫き通せる。
 実にシンプルで、明確な物理学の基本だ。

 ライフル弾にあるまじき速度は、しかしそれだけに終わらない。
 特殊加工され帯電による熱量を帯びた弾丸は、これまでも幾人のオーヴァードの命を終わらせてきたに違いない。

SYSTEM :
                      パワー
 だが…彼のそれは質量と速度によって得られた打撃力が根幹だ。
 それに倣う以上の欠点は、これまで幾人ものオーヴァードたちが証明してきた。

 あくまでも物理的衝撃と貫通力に過ぎないのであれば、それに倣った迎撃、あるいは、それを絡め取るレネゲイドの力が対抗札となる。

SYSTEM :
 加速する弾丸に絡みついた液体金属。貫通した円盾は緩衝材であり、弾丸を減速させるセーフティネットに等しい。
 その打撃力の根幹にある加速力は、射線上に立ったシドニーの、文字通り、前時代的な肉盾を含めた三重構造で徹底的に削り取られた。

 帯電に伴う熱量───即ち超常頼みの仕込みごと貫く二段構え諸共に。

SYSTEM :
 人間の証明の朱色と、そこに付随する超人の白銀。
 どっちつかずのオーヴァードの、名誉の血痕。だが、それとて時間を伴えば塞がる。

 対人には過剰な火力だったが、
 ・・
 城塞を崩す槌として彼のそれは不足だった。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈防いだ…? でも、血───〉

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「───。単純な機能だ。
 消耗前提の無手など、下手な殺傷力重視より悍ましい」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「だが構わん、ならば…」

SYSTEM :
 …ならば斃さずに殺すまでのこと、と。

  感嘆交じりの声を零した後方のあと、眉間により深く刻んだ皺と変わらぬ仏頂面が前方から、依然変わらぬ矛先を向けたまま応ずる。

シドニー・ヘス :
「棚上げェ!?」

 じぶんのほうがマシって言ったですかこの人!

『ミソラ』 :

『ミソラ』 :
💡

『ミソラ』 :
「”やーいお前の運用方法捨て駒ー”だって」

シャラ :
「こいつ、もしかしてひとりでやってっからオレのほうがスゲーって言いてェのか?」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「めでたい思考回路だ。
 殺し方に貴賤と優劣がある人生を生きてきたのか?」

シドニー・ヘス :
「ないんですか!?」

シドニー・ヘス :
あと捨て駒じゃないっす! ベテランの同伴者いるっす!

シドニー・ヘス :
いまお取込み中ですが~!

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
聞いた覚えのない話をするな。

シドニー・ヘス :
ひゃい……

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
    Gear
「ただの部品に阻まれる焼きの回りも、何ら変わらずバケモノの濫造が横行する現実も…」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「揃って…度し難い」

シャラ :
「度し難いねェ」

シャラ :
「アンタみてェにリスカしながら人間ミサイルしてる方がよっぽどだろ。しかも、かないもしねェイ〜イ目的見ててよ」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「揃いも揃って同じような台詞を弄するものだ」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「叶う、叶わないの問題じゃない。
 破落戸、おまえは…」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「人生の貸し借りをそのままにして…。
 のうのうと生きられる易い生き方だったか?」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「いや…いまのは愚問だな。何の主義主張もないバケモノの末端風情に、語るも無粋な話だ」

シドニー・ヘス :
「あっありますよ! なんでないって決めつけるんですか! ねえシャラ!」

シドニー・ヘス :
あるよね! 期待のまなざし

シャラ :
「エッ!? あ……あ〜」

シドニー・ヘス :
じっっっ

シャラ :
「あるわ! あるある! めっちゃある!!」

シャラ :
……なんなら二重の意味で人生の貸し借りなかったら死んでます、オレ!

シドニー・ヘス :
「めっちゃあるそうです! 語っても無粋じゃないです!」

SYSTEM :
少年の口はそれきり開かなかった。

シドニー・ヘス :
どっ……どうして

シドニー・ヘス :
もしかして具体的に表明する必要が……?

シャラ :
黙った!! 勝ったぜシドニィ〜〜〜〜〜〜!!!

シドニー・ヘス :
そうなの!?

シドニー・ヘス :
やりましたよ少佐……!!!!

マキナ :
反論が無ければうちの勝ちだが?

マキナ :
ってこと?

シャラ :
口喧嘩ってのはなァ! 「アホクセェ」って黙ったほうが負けなんだよォ!!

『ミソラ』 :
見て見て、これが破落戸の所以

シドニー・ヘス :
(次パパと喧嘩したら使おう)

『ミソラ』 :
(いまなんかシドニーの関係者にシャラと一緒に頭下げないとダメな感じの気配したな)

シャラ :
(頭の中で「ごろつきってなに?」と問い合わせている…)

マキナ :
「こういう時、なんていうんだっけ、えーっと──」

マキナ :

「──あんたの相手は私でしょ? ……だ」

 攻め手を一点に集中させた、その隙。牽制の目が弱くなったその隙を、この戦闘で見逃すはずがない。
 磁力反発を利用した高速機動で院内を駆け巡り、青き雷霆の残光を刻みながら、この双眸のサイトが見据えるのは奴の背中だ。

マキナ :

 あいつも素人じゃない。常に位置関係に気を配って立ち回っているのは理解る。
 だけど、それは流石に雑だって。
 隙あらば、いやなくともこじ開けて万に一つの機会を開く。乾坤一擲の技。

 けど、邪魔なブロッカーにせき止められ続けては判断に焦りが出るのは当然。
 普段はそんな素振り中々見せてくれないけど、今回ばかりはそんな余裕なさそうだね。

マキナ :

「大人しく、してろ……ッ」

 ブラスターから非殺傷設定のスタンボルトを連射。退路を塞ぐように弾幕を張りながら、一気に至近距離まで間合いを詰める。

 銃口を降ろし、Liar Gunの電極となる二又のスティレットバレルに電力を供給。可視化出来る程の稲光を纏い、電光の刃が閃く。

マキナ :
 そうしてイオノクラフトの要領でスライドするように空を滑空し、手に携えた雷の銃剣を奴に向けて振り抜いた!
 
 お互いブラックドッグだ、生中な電圧を浴びせ合っていては埒が明かない所だけど……
 近接武器による至近距離のディスチャージ。これで、確実に奴の意識をブッ飛ばす!

SYSTEM :
 …幾ら少年がその火器を扱い馴れた非日常の狂人でも、手足は一対だ。

 撃ちながら別のことを考えるならばまだしも…。
 撃ちながらすぐに別のことが出来るよう、構造として造られてはいない。
 多数を相手に立ち回る以上、ほんの僅かな…針穴に等しい猶予と余地とて、隙は唯、隙だ。

 展開されたビットの戦闘モード、それが一極集中となった僅かな隙間。
 警戒網に微か生まれた”揺らぎ”を縫う電子の痕跡…。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「──────!」

SYSTEM :
 サイト
 照準に定まった白鋼が、振り返る。
 抜き打ちを支える神速のインパルスが、拳銃程度の大きさをした殺戮兵器の砲口を向けた。

SYSTEM :
 同時に、因子中和によるエフェクトの効力を削減する、ビット間を通して生じるバリア・フィールド。
 
 …しかしそれが万全の機能を発揮したのは、”アガースラ”のオルクスを模した殺界を脱した時のような、複数連結による同時展開のケースだ。  
 ならば攻防への半端は意味がない。
 である以上…それは防ぐのではなく、片道分の燃料さえ生じた不足を補う苦肉の策。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「(クロスレンジ───!)」

SYSTEM :
 避けられぬ、と分かって動ずるようなまともさを備えているなら、彼はこうなっていない。
 最初からやらずか、あるいは。ただ途中で、成れ果てるか。

 即ち、そうと分かれば後の先を取る───。
 結果的悪手の中の最善を取りに来た。

 あなたの頬を、抜き打ちのクイックショットが掠め。
 雷霆同士がぶつかって、至るところに火花が散る。

SYSTEM :
 そう、掠めた“だけ”だ。
 
 人体が空を飛ぶ───御伽噺や夢から引きずり降ろされた超人の技巧。
 それを礎に、稲妻が有効射程距離に近づくのを…“蓋然を閉ざす者”は止められなかった。で、あれば。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「ッ、ぐ、オ──────!」

SYSTEM :
 至近距離から降り抜かれたエネルギーの刃が、彼のメイン・ウェポンを支えるビットの一基をバリアごと弾き飛ばす。

 雷が雷を切り、その姿勢が明確に崩れ───。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 戦闘が終了しました。


Scene2『侵略者-Domination-』(戦闘後)


SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 その崩れかけの姿勢が。
 暴発じみたクイック・ブーストで無理やり引き剥がされる。

 大きな後退で取り直した間合い、しかし、出力配分/意識にふらつきを認む足取り。

SYSTEM :
 見ればわかるが、彼自体が戦闘の意思を伴っていても、装備のほうが限界だ。
 使い潰して果たせなかった───目測を誤れば、彼に出来ることはあと、二つしかない。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「ここまで見誤るとは…───」

マキナ :
 斬り抜けた勢いのまま地表を滑るようにして着地。確かな手応えを覚えながら、同時に背面のラジエータから熱風が排出される。

マキナ :
 コートをはためかせながら、即座に撤退の姿勢に映ったハリーの方へ向き直る。
 装備ごと、本人の神経系も焼き切って暫く物理的に動け無くしてやったつもりだけど。やっぱ、そう巧くいかないか……
「ダッサイのはいつも通りだけど。あんたらしくもなく行き当たりばったりで突っ込んできたね」

マキナ :
「けど、残念でした。
 今回も私の勝ち」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「ずいぶん都合のいい思考だ。
 些細な区切りで勝ち負けを誇れるとはな」

SYSTEM :
 舌打ちが響く。

 …それに留まったのは、緊急離脱以上が適わない───少なくとも先のような目的達成のために向けられる凶弾が尽きたからだ。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「………」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
 ・・
「ヤツの痕跡に感けて、余計な足踏みをした…イヤ。
 我ながら下らん言い訳だ」

SYSTEM :
 自身の認識上の脅威性を説きもしてこないのは、あなたとの悪縁の結果/無用だと理解している以上に、もともとそうだ。

 そもそも共感を求めるような性質ではない。

SYSTEM :
 …にも拘らず“それ”に限って零したことの意味など、その表情と態度から推し量れようはずもなかった。

シドニー・ヘス :
「すごい……マキナ……」

 コマンドを聞きとるかぎり、彼女の武装は非殺傷の制圧用。対して相手は過剰火力の必殺。
 互いの立ち回りを理解しつくしているとしか思えない読み合いと鬩ぎ合いは、今回は──今回も──マキナの勝ち越しで終わったようだ。

シドニー・ヘス :
「……いえ、無粋ですが『私たちの勝ち』と言わせてもらいましょう。おけがはありませんか?」

 ぶんぶんとかぶりを振って、イリーガルのふたりと新顔のふたりへ。
 "蓋然を閉ざす者"は明らかに戦闘続行に難のある状態だが、殺意の火は衰えていない。
 油断はできないと、立ち位置を新調に調整する。
 いちばん広い矢面。どう銃口が持ち上がっても、射線上にいられるポイントに。

シドニー・ヘス :
「…… ……」

 少佐は──いや、よそう。今の自分に見えない彼方まで意識を巡らせる余裕はない。

 本当なら、すぐにも加勢に行きたい。何の役に立てなくても、壁くらいにはなれるハズだから。

シドニー・ヘス :
 でもそれは、今負った責任を果たしてからだ。ここにいる彼らの命に対する責任だ。

シャラ :
軽く手を振る。ありがてェことに、シドニーのおかげで五体満足。

シドニー・ヘス :
ほっ

マキナ :
「……ま、それも確かにそっか。
 ウチらの勝ち」

『ミソラ』 :
同じように軽く手を振る。

『ミソラ』 :
「その少年の矛先にはされていないというべきか、なんと言うべきか」

シドニー・ヘス :
「そっすね……眼中になくってえ……」

シドニー・ヘス :
「あたしはずっとおジャマむし……」

『ミソラ』 :
「ナンバーワンにならなくてもいい…
 もともと特別なOnly one...」

『ミソラ』 :
歌った本人がナンバーワン競いがち。

シャラ :
「いっつも負けるときにゆってるよな ソレ」

『ミソラ』 :
「誰が何でどのように負けたと!?」

 精神的勝利! 精神的勝利!

シドニー・ヘス :
「あれ!? 言い分の不一致」

マキナ :
「とはいえ、完全勝利にはまだ早いよ」

マキナ :
「身柄確保、拘束、然る後尋問するまでが遠足……じゃなくて戦闘だよ」
 ゆっくりと銃口を持ち上げて

シドニー・ヘス :
「あッ! はい!」挙手してスススと横並び

シドニー・ヘス :
「あ、あなたには黙秘権があり、あなたの供述は法廷で不利な証拠として用いられる場合があります!」

シドニー・ヘス :
「もし自分で弁護士に依頼する経済力がなければ、公選弁護人を付ける権利もあります!」

シャラ :
「え?」

シドニー・ヘス :
「え?」

SYSTEM :
 それ以前にあなたの視点から見たマキナも、ましてや”デキュラ”も。心情としてはともかくとして…。
 立場上は然る後尋問の相手である。そのあたりが吹っ飛んだ宣言であった。

SYSTEM :
 ゆっくりと持ち上がる銃口に、”蓋然を閉ざす者”の銃口が同じように持ち上がる。
 
 恐らくはこれ以上の酷使とあらば損壊も已む無しだが、彼はその状況を、代価を支払いながらも平然と脱して退けたことがある人物だ。

SYSTEM :
 しかしその完全勝利の手前、起こされたアクションは。

 ”蓋然を閉ざす者”の銃口でもなければ、マキナがその銃口ごと闖入者を抑えるものでもない。

SYSTEM :
 ………切欠は誰ぞが一度踏みしめた、”闘争卿”の果てた黄金の死灰。

SYSTEM :
 そもそもからして…。
 ”蓋然を閉ざす者”の兵装に、彼をこれほどまでに容赦なく、原型さえ留めないほど焼き尽くすようなエフェクト効果はない。

 文字通り殺し切った、それが出来るだけの手段を支払ったことは事実であるとして。
 崩れ去ったモルフェウスありきの装甲だけならまだしも、人体ごと崩れ去るなどあるはずがない。

SYSTEM :
 …しかしオーヴァードの中には。

 事切れるにあたって、肉体をチリのように崩壊させ、あとに唯一無二の痕跡を残す例外がいる。
 極めて観測例の少ないパターンであり、これが“そう”とは言い難い以上。

 今から起きる結果は、一名を除いて誰が予想したでもなかった。

SYSTEM :
 死灰の中から姿を現し、
 ひときわ激しい稲光を伴いながら形成されたもの。

 その存在に、ハリーも、“雷人”も。
 いや、この場の誰もが気が付いた。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
   レネゲイドクリスタル
「────賢者の石……いや、」

SYSTEM :
   デミクリスタル
 通称、愚者の黄金。
 全てではないが、もっとも近しいものはソレだ。

SYSTEM :
 “闘争卿”の残しものだ。
 それに気づいた雷人は、一度そちらを見る。

“雷人” :
『 この距離では…已むを得んな 』

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
        ・・・
「どうやら身内の忘れ物のようだな───ならば!」

SYSTEM :
 瞬間、雷人はそこに向けて、ハーフィにしたような電磁力による吸引を執り行おうとするが、それを“ホワイト・スカイ”が阻み。

 その存在に気付いた“蓋然を閉ざす者”が、何かに合点が行ったように、“それ”を拾い上げようとするも、損傷と離脱の影響で一歩遅く。

SYSTEM :
 結果、彼の遺体から浮き上がった、高純度のレネゲイド結晶体…そう呼ぶより他にない存在。

 賢者の石“紛い”は、引き合うように迸る稲光のみを残してそこにあった。
 あるいは、回収する…そうした手段もとれるだろう。

 ただノアは、それが恐らく自分に『引き寄せられる』ものであると直感的に勘付ける。
 ハーフィに対して”雷人”がやったように。あるいは、その“結晶”に対して同じことが出来るはずだ。

マキナ :
 ……? 灰の中から、何か光って……
 アレって確か、あの肉壁のおっさんの遺灰? あいつらしくもないオーバーキル、確かにアレだけやりゃあしぶとく立ち上がることもないだろうけど……
 いや、それはいい。そんなことは、いい。

マキナ :
 多分、私とハリーがその正体に当たりをつけたのは同じタイミング。一瞬、相手への注意が逸れる。逸らさざるを得ない程の災種がそこに転がってる!

「っ! ノア君!!」

 直感が、叱咤の声を引き出しながら、石に注意の向いたハリーに牽制目的でトリガーを引く。
 アレってもしかしてもしかすると。だとしたら拙い、向こうの手に渡るのは!

ノア・ウィンターズ :
 倒れてもなお上がる銃口に身が強張った───まさに、そのときだった。

 ボクが目醒めたあの時よりもなお鋭く、目の中で鋭い痛みが疾った。

ノア・ウィンターズ :
「なんだ、アレ……」

ノア・ウィンターズ :
 “雷人”のそれにさえ順応したボクの網膜を、さらに焼け焦がすほどの鮮烈な神鳴る光───

 ───痛みが引いたとき、そこには宝石が浮かんでいた。

ノア・ウィンターズ :
 ドロップアイテム……?あの頭のおかしいオジサンの?
 そんなバカな。いくらゲームっぽい展開だって、そんなのアリ?

 ……冷や水を浴びせかけるボクの理性よりも、もしかすると、この場ではボクの根拠のない衝動の方が正しかった。

ノア・ウィンターズ :

 アレは、ゼッタイに渡しちゃいけない……!

ノア・ウィンターズ :
「───っ、そう言われても……!」

ノア・ウィンターズ :
 直接取りに行く?それじゃ間に合わない!
 このマシンの移動スピードはマキナとアイツほど速くない!他のヤツらに奪われる!

 だったら……そうだ、ボクは見てる!
 あの宝石が電気を帯びているのなら……!

ノア・ウィンターズ :
「───残念!
 ボクの方が早いよ───!」

ノア・ウィンターズ :
 あいにく、どう動かせば電磁力が働くかなんてボクの頭じゃ計算しきれないけれど……
 それなら、電子を手繰り、ボクの知っているカタチに整えてやればいいだけだ。
 ・・・・・・・・
 モノを引き寄せる時の配置なら、“雷人”が教えてくれた!

ノア・ウィンターズ :
 パシッと乾いた音を立てて、宝石はアッサリボクの手元へ!
 ……悪いけど、この報酬は貰ってくよ!

SYSTEM :
 確かに端的に言って、確かにおかしな光景ではあった。

 遺体から得体の知れない結晶体が飛び出すなど、
 それこそ『ダブルクロス』のレアドロップ光景で見たことがあるかないかだ。
 それを現実の延長線で行われたところで、と。訝しむあなたの思考をしかし、本能が先んずる。

SYSTEM :
 そしてその本能を幇助する手段は、雷人が先に“ハーフィ”相手にやったものだ。

 エフェクトとしての形態を行使したものではない。それが出来るのは、ぶっつけ本番でも初見でもないから。だが、それ以上に…。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
  ・・
「…同種の、レネゲイド…」

SYSTEM :
 闘争卿の中から出現した、レネゲイド結晶体。
 それがなぜか帯びていたブラックドッグ・シンドロームのR因子…。

 恐らくは雷人のものだ。
 あなたと極めて近くも、限りなく遠いもの。しかしその根幹に限っては同じくする。

SYSTEM :
 あなたの傍らに引き寄せられたその結晶体。未だその輝きをくすませることなく、むしろ、それそのものが動き出すような気配さえ感じる代物が。
 なぜ、あなたのエフェクト行使に呼応して手元に渡ったのか。

SYSTEM :
 彼の中から摘出されたレネゲイド体が帯びていた“雷人”のR因子。
 それが、あなたを先んじさせた根本的原因だ。手元に収まった水晶体を、ハーフィが覗き込む。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈コレ───。
 レネゲイド? 彼の中にあったのに、彼のものじゃあない…〉

ノア・ウィンターズ :
「え? えっと…つまり、どういうこと?」

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈つまり…ううん、どう言ったらいいのかしら…〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ノアや”雷人”みたいな力の使い方は、
 彼には…出来ないように思えるの。なのに…〉

SYSTEM :
 彼の中にあったその水晶。
 確りと握ったそれは、未だに帯電している。

 その意図までは分かったものじゃないが、もともと先の”闘争卿”を名乗る男の持ち物や、先程から繰り広げられている特異な能力のうち、彼が使えるもので作られたわけではなさそうだ。

シャラ :
 戦闘姿勢を維持しながら、肩越しに振り返る。
 ……どういう理屈かはサッパリだケド、なぜか迎えに来たほうじゃなくて新人に引き寄せられたな。あの…推定レネゲイドクリスタル。
 なーんかアヤシーよな、そもそもなんでこんなとこに、リストに載ってもねェ「ノア」とかって名前のガキんちょがなりたてでいるのとかよ。──無用。はい。すんません。あとにします。

シャラ :
「オレ様わかるわ。エット」
 一秒待機。ごっくんして、サンゴのしゃべりだしをいったん潰す。

シャラ :
「A型のヤツが献血をしたはいいが、血の成分を確認したところA型ではなく、なぜかB型であった──程度の奇妙な事象」

シャラ :
「だいたいそんな感じだってよ。
 オレらが使える力って、基本ホイホイ替えたりできねーからな」
 バイ、サンゴ。

マキナ :
「普通ならあり得ないコト。普通ならね。
 ……出来損ないのRクリスタルにありがちなイレギュラー仕様ってとこ?」
 あいつの戦闘スタイルについて、私はよく知らないけど。
 でも訳知りで、攻撃を直に受けてきたシドニーやシャラが言うんだから、間違いない。

マキナ :
 そして何より、今の吸い寄せたというよりひとりでに吸い寄せられた?
 同じ性質を持ってるから、ってコトなんだろうけど……

「……今決める事じゃないかもだけど、コレどーするか後で決めとかないと大変かもね、軍人サン」

マキナ :
 きっちり敵方に警戒の銃口を向けつつ、シドニーを肘で小突く。どこからどーみても不発弾的な危険物だけどコレ。

シドニー・ヘス :
「あ、あの! チカチカ点滅したり、カウントダウン表示されたら、いつでもコッチに投げていいからね……!?」

 少佐が"雷人"を、マキナが"蓋然を閉ざす者"を、それぞれに牽制する。
 結果、"闘争卿"の亡骸から生じた結晶は、争奪戦の火種を見る間もなくデキュラ少年の手へ渡った。

 さ……触って大丈夫なのかな!?

シドニー・ヘス :
「彼の力は物質錬成……。化学反応を引き起こすコトは可能でも、今の状態で、ましてあれだけの放電はありえない」

シドニー・ヘス :
「原因不明のイレギュラーか、犯人不明のアクシデントか。精査の必要はありますが……」

 ……トーゼン、現場でそんな時間も手段もありません。大佐ぁ、さほどの困難ってぇ……。

シドニー・ヘス :
「うえへっ」

 思いがけない刺激に、びくっと両肩を跳ね上げる。

シドニー・ヘス :
「うちのラボに送ってどうにか……なりませんかね?」

 そ、それはそれで揉めそう……。懸念のシカゴ支部も、現状あちらに非があるとはいえ証拠物の占有をどう思うやら。

ノア・ウィンターズ :
「───ええと、つまり。
 これがアイツを斃したドロップアイテムだって考えたら、ジョブとアイテムの性質が噛み合ってない……みたいな?」

ノア・ウィンターズ :
 ……そして、言われてみれば確かに。
 この宝石から感じるチカラは……とても、とてもボクによく馴染む。
 “雷人”とチカラをぶつけ合ったときにも似た、奇妙な感覚……。ボクにはそれが何を意味するのか、まだ分からないけど。

ノア・ウィンターズ :
「……それで。
 キミ、これがお目当てだったの?」

 フワリと掌に浮かぶ宝石を掲げてみせる。
 アイツも、“雷人”も、コレが現れた直後から奪ろうと動いていたように見えた。
 ボクは半ば本能で動いたワケだけど……アイツらは、このアイテムの意味を知っている?

SYSTEM :
 その無用心を前にしても、あなたから結晶体が零れ落ちることはない。
 ふわりと浮かんだそれは、手元に乗った瞬間から、薄らと、掴んでいないのに自分の持ち物にしたような感覚さえあった。

 それを通して広がる感覚の自由さよりも、今はこれが“何”なのか。
 生じた疑問の意味は、ノアとシドニー、同じ当事者でも方向性が違っている。

 余談ながら、ラボ送りは、恐らく当事者にとって明るい結果を生むものにはならないだろう。
 だからと言ってこのまま放逐は考え難いところであった。彼と、今手に入れたレネゲイドクリスタルは、確実に“刻知らず”摘発の足掛かりだったからだ。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「バケモノの源泉などに用はない。
 …いや、なかった、と言うべきか」

SYSTEM :
 だがその視線は。

 それが、雷人ではなく“あなた”の手で引き寄せられたことに。
 また何かの意味を見出しているように思えた。この場では関係はない何かを。

SYSTEM :
 …そもそも、その結晶体は何なのか?

 出来損ないのRクリスタル。
 不可思議な単語を補足するように、高機動戦闘の最中にあった二人の動きが緩やかになる。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
 レネゲイドクリスタル
「───“賢者の石”」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「高濃度のレネゲイドウィルス…要は、いまきみが用いた力の源だが。
 それそのものが、さながら鉱物の中に溶け込ように自己保存を行っている状態のものを指す言葉だ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「相性や適性によって使用に耐えうる極僅かなものだけがそれを扱え、対象の能力強度を爆発的に上昇させる…。

 しかし、そのメカニズムや何を以て使用の条件とするかについては何ら判明しておらず。
 人工的な再現も、あらゆる組織があらゆる手段で試みておきながら、ソレは未だに成功していない…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「賢者の如し錬成に挑み、承知の上で代価を支払い、そして当然のように夢破れた…。
   デミクリスタル
 故に、愚者の黄金だ。そいつはそもそも、自然とオーヴァードの体内に精製されるようなものではない…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「“雷人”と言ったか。…何を考えている?」

“雷人” :
『 彼に聞けば良い。不死身の“闘争卿”にな 』

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「不死身のオーヴァードなどない。
 当人の発言なのが業腹だが…蘇ったモンスターほど、負けの因果を背負うものはないそうだからな」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…どうやって死者を起こした?」

“雷人” :
  ・・・・・
『 死者だったと思うかな 』

“雷人” :
『 ………だが“あれ”のものとて、デキュラ…きみの手にそれが渡るとはな。
  よくよく、わたしも運のない男だ 』

シャラ :
 まがいもの
 愚者の黄金使って蘇生モドキしたんなら、性能もまがいもの……って感じでもなさそうだったんだよな。強かったし。

シャラ :
 ただおっさんの言い方は、“闘争卿”の蘇生(らしきもの)の理由にまがいものを当てはめようとする感じで……
 襲撃者と仮面男の言い方は、そのまがいものを『ノアが回収できた』ってことに、なんか重要なことがありそうな空気丸出しだ。そりゃそうだが。

シャラ :
 ……いまいちこいつらの行動が見えてこねェ。なんかキモいな。喉に詰まってる感じ。

シドニー・ヘス :
「さりとて、やるコトが変わるでもなし」

 少なくとも今はまだ……盾の後ろに、彼らを置ける。

「双方もくろみはすべて、阻まれるものと思ってください。あるいは、もう実感したでしょうが」

 いまだデキュラ少年から注視を外さないテロリストたちへ、現実を突きつける。

シドニー・ヘス :
 半ば虚勢だ。膠着した戦況をゼロサム手前と見なすのは、楽観が過ぎる。

 意味があるのはデキュラ少年の手にした石なのか、
 彼の手に渡ったという事実なのか。
 愚者の黄金はなぜ、彼を受け入れたのか……。

 ……それに。

シドニー・ヘス :
(あの子も知らないんだ。何も)

 "雷人"に追われ、"蓋然を閉ざす者"に狙われた『電子の妖精』。
 本人が理由に自覚的ではない以上に、先のRクリスタルに対する的確だけど感覚的な感想は、必要な知識や情報が欠けているように見えた。

SYSTEM :
 水先を向けられた二人の反応は対照的だった。

“雷人” :
『 ほう。始まってもいないことを?
  どのようにして阻むというのかね 』

“雷人” :
『 きみが米国軍人として止めるべき方のもくろみは…。
  彼女の身の安全、ではあるまいさ。それでいい、というならば認めよう 』

“雷人” :
『 手に入らず、仕留めきれず…。
  であれば、致し方ない 』

SYSTEM :
 …あっけからんに過ちを認めておきながら、まるで動じる様子のない(あるいは動じる魂胆がそもそもない)男の言葉と。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
ニコラ・テスラ
「“雷人”…ブラックドッグの…。
      エフェクト
 電子に纏わる現象ならば、概ねのことは実行し得るチカラ…」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「やはり貴様たちがそうか…。
 ならば“闘争卿”とやらは───」

SYSTEM :
 先ほどの“デキュラ”と、これまでの“雷人”。
 何かに合点が行ったとばかりに、そもそも勧告をわかっていて無視した方だ。

シドニー・ヘス :
「あっ……ああ言えばこう言う! 悪の親玉がいいんですかそれでー!」

シドニー・ヘス :
あっちは話聞いてないし……!

“雷人” :
『 ではいい勉強になったな、新兵殿。
  物わかりの良いテロリストなど世間にはいない 』

シドニー・ヘス :
「うぐ……!」

シドニー・ヘス :
「じ、実力で分からせます! でしょう──」

シドニー・ヘス :
choice[1,2,3,4,少佐,ミソラ] (choice[1,2,3,4,少佐,ミソラ]) > 4

シドニー・ヘス :
「──シャラ! そうですよね!」

シャラ :
「エッ!? エッ、アッ!?」

『ミソラ』 :
「そうだよシャラ。負けたらおやつ抜き」

マキナ :
「朝飯も抜くかもね」

SYSTEM :
 晩飯にすべてがかかる瀬戸際だ。

シャラ :
「抜かれるの!? オレが!? オレだけ!? みんなでだよな!?」

SYSTEM :
 …だが茶化し半分の彼女の視線は、渦中のRクリスタルに…。
 より厳密に言えば、それを生み出した遺灰に向いていた。

 あれほど鮮烈な登場をしておきながら、
 あっさりと死んだ闘争卿。
 彼の身から出現したRクリスタルがまとう稲妻は、彼がよほど戦い方を渋っていない限りあり得ぬ電光をまとっていた。

『ミソラ』 :
「(…あいつ)」

『ミソラ』 :
「(強いは強かった。続けたらワンチャン負けてたかも。
  だけど…なんだろう、この感じ?)」

SYSTEM :
 その違和感を形にすることなく。
 厳密には、違和感を口にするより早く、ある種の答えと共に、“雷人”が面を上げた。

“雷人” :

『 そう。物分かりの良くないテロリストは…。
  戦術目標が達成できぬと分かればこうする 』

SYSTEM :
 その言葉と共に、ぱちり、と稲光が走る。
 意図を把握した少佐の突きつけた銃口は合意の上の無意味だ。

“雷人” :
『 “デキュラ” 』

“雷人” :
『 わたしは、これより世界に禍を起こす者たち…。
  その欲望の成就を占い、燻る大火を受け止める器だ 』

“雷人” :
『 そして 』

“雷人” :
「わたしは“なぜ”に応ずるために、ここにいるものだ。
 きみもそう在る理由を識っていると、そう判断する」

“雷人” :
『 窮屈さに耐えかね、怒りに身を焦がし、夜明けを信じ切れず…。
  いずれとて、自らの意志で此方に足を翻さんとした時、いつでも尋ねるがいい。
  それが真と見込んだときは、如何なる目的だろうと歓迎する 』

“雷人” :
『 しかし底を覗いたきみが、この先なおもわたしに立ち塞がるというならば…
  わたしが望みに達する前に、この命を二度、止めてみることだ 』

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「…ほざいたな、”雷人”。
 オレにとっては、おまえも癌だ」

“雷人” :
『 此方を討てると。

  きみはそれが自分に出来ぬとわかっていたから、
  先に彼と“電子の妖精”を仕留めて此方の出鼻を挫きたかったのではないのかね 』

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
  ・・・
「…今ので検証の余地は出来た」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「…他に幾人か…同類のバケモノがいるな。
 ならば、試す意味はある」

SYSTEM :
 少年の中でついた結論と、それまでの結論を言い当てる仕草。

 彼が雷人を狙わなかったのは…。
 そもそも“ホワイト・スカイ”が引き受けている時間のち、みじんもない損傷がそれを示している。

 つまり仕留めるための手段がないから、間接的に彼の手段を頓挫させようとしたのだ、と。

SYSTEM :
 …そのための手段が。

 デキュラ/ノアと、電子の妖精を殺すことだった、と。
 あるいはこれがノアの先ほどの疑問への答えだ。

 正確には、その“蓋然を閉ざす者”にとって、
      ・・・
 それがいま目当てになったというところか。

ノア・ウィンターズ :
 ……分かるつもりになったことがひとつ増えるたび、それに覆い被さる疑問がふたつもみっつも増えていく。

 この掌に握る宝石……Rクリスタルってヤツが、どうやらボクが使う力の根本らしいってことが分かったけれど。
 それがアイツの遺した塵の中から生じた理由も、クリスタルに宿る力が“雷人”そっくりってことも、ボクがそのクリスタルを手に入れた意味も分からない。

ノア・ウィンターズ :
 けれど、何度覆い隠されたって。
 一度ボクが手にした答えは、まだココロで輝きを放ってる。

ノア・ウィンターズ :
「立ち塞がるも何もさ、キミが何を目指しているか、ボクには分からない。
 キミがボクに何をしてほしいのかも分からないし、キョーミもない」

ノア・ウィンターズ :
「でも……
 ボクは、世界を救うヒーローになるんだ」

ノア・ウィンターズ :
「つまりさ、主役はキミたちじゃないってコト!
 キミたちが、ボクとハーフィの前に立ち塞がるのなら! ボクは容赦はしない!」

ノア・ウィンターズ :
「もちろん、世界を救うためだってタダでやられてもやるもんか。
 そこの白いプリズナー君、キミはボクらの冒険を指をくわえて眺めてなよ」

“雷人” :
『 口にするまでもなく、きみには分かることだと…。
  思ってはいるのだが。道理だな 』

“雷人” :
『 …だからこその言葉だ。
  何れの理由も芽生えぬならば、お互いがお互いの道に立ち塞がることとしよう 』

SYSTEM :
 …明言しないなりに、彼の言葉は…。
 あなたのその答えを、分かっていたとばかりに受け止めたように見えた。
 それでもなお理解はある。彼が口にした“理由”が芽生えた時、男は自然とあなたのもとに現れ、その所以を明かすのだろう、と。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「…ヒーロー…か」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「バケモノがらしくもなく、都合の良い救世主を望んだものだな。
 …旅にはいつも終わりがあるが、ことそれに限って、全うした者などいない」

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
「…オーヴァードに救える世界など───」

SYSTEM :
 先ほどと違って受け答えする意味を見出したのか、あるいはそれがいささかに気に障りでもしたのか。
 もう片方の答えは、次にする行動が分かりきっている一方で、変わらず剣呑な気配を帯びていた。

マキナ :
「なら、あんたに救える世界もないでしょ。あんたにそのつもりなんか早々ないだろうけど。
 少なくともどっちがマシかなんて、火を見るより明らかと思うけど?

 それに……怪物のヒーローなんてのは、寧ろ王道ど真ん中でしょうが。うちの新米ヒーロー君に、めんどくさいクレームつけないでくれる?」

マキナ :
 いつもの軽口を叩きつつ、二人に油断なく視線を向ける。指をくわえておりこうさんしてくれるなら万々歳だけどね、ほんとに。
 でも、まあ……当たり前みたいな面して逃げようとしてるな、コイツ。
 勘だけど、まだ何か手を隠し持ってる。

マキナ :
 さっきの言葉から察するに外堀から埋める気なんだろう。泳がせておくのも手……なんてことは思わない。
 こんな密室を跳ねまわる跳弾みたいな奴を放置するぐらいなら、こいつに知ってること吐かせて対策打つ方が万倍マシだ。

 雷人はこの際仕方ない。寧ろ、対策がはっきりしないうちに潰しに掛かられないだけラッキーと思うべきだ。
 でもこいつは逃がす訳にはいかない。

シャラ :
「イーじゃん、ヒーロー上等だろ! オーヴァードがなれねーなんてヘンケンだぞヘンケンっ」

シャラ :
オレ様しってんぞ! あれはな…ヘイトスピーチ!

『ミソラ』 :
「シャラってヒーロー志望だったの?
 難しいと思う」

マキナ :
「あー だから技名とか叫んだりする感じの」

『ミソラ』 :
1d2
1:シャラ自身の性格が
2:シャラというか…いることだけは知ってる同居人が (1D2) > 1

シャラ :
「オ〜〜〜イ」

『ミソラ』 :
「はーい」

シャラ :
「ふたりしてボコボコにするのヤメテ?
 オレもね、ちょっと傷つくんだよ? いまオレ様イーこと言ってハッパかけたトコなんだよ?」

『ミソラ』 :
「半分くらい『いけー! そこだー!』系のヤジだよね、と思って」

マキナ :
「まあ……いいんじゃない? 技名叫ぶの。
 ノア君のセンスが問われるね」

シャラ :
ほら〜っ!!って顔してる

ノア・ウィンターズ :
「…………そーゆーノリ、あんまし慣れてないんだけどなぁ」

 技名……『ダブルクロス』の技名とか……?

シドニー・ヘス :
「っ……!」

 結果など百も承知と、その上で敵を睥睨する少佐の銃口。
 物分かりの良くないテロリストが今この状況で『どう』するかなんて、あたしだって想像がつく。

シドニー・ヘス :
 ……逃がさない。
 撃っても当たらない、殴っても響かない。けど、この場に縫い留められないとは検証されてない──まだ!

シドニー・ヘス :
         Patriot
 飛沫き、離散した流体金属。深く一体化した相棒は、あたしの一部も同義だ。逆も然り。体外に出たからって繋がりは失せない。

 瓦礫の下、床の亀裂、破砕した壁。物体の間隙に血管を通して、神経を巡らせ、罠を潜ませる。

シドニー・ヘス :
 要するに、シャラのまねっこだ。張り巡らせた血の網。感知なんて器用さはない代わりに、靭性を帯びた物理的な拘束だ。

 本来なら身代わりの肉盾になるための先んずる動作を、相手の離脱に合わせて飛び出す予備動作に変えて。

シドニー・ヘス :
「ところでっ──」

シドニー・ヘス :
「小官の意見としてはアリだと申告します!」

 技名……叫ぶの!

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「その論議には一家言あるところだが
 今ではないな」

シドニー・ヘス :
はわッ

シャラ :

SYSTEM :
 入念に物理的拘束の準備を進めた彼女は、例え申告で躓いたとしてそれを解れさせることはなかっただろう。
 だが、撃っても当たらない、殴っても響かない。その根本的理由を考えたならば、後者はともかく…前者に果たしてその効力があったのか、どうか。

“蓋然を閉ざす者”ハリー :
  ・・
「…マシでモノを語るなど、随分短絡的な神の力があったものだ。
 ここに立つ以上、語る資格もない暴力装置が笑わせる」

SYSTEM :
 鼻を鳴らした少年が、その双眸を細めた。
 救える世界はない───と。
 あなたが、分かっていて問いかけた通りだ。

 彼はそれを一切否定しない。あるいは、肯定する資格がない。
 嘲ることもなく、達観と敵意の入り混じった口調であなたに向けたのと同じく。

SYSTEM :
 …そして銃口の意図は。
 予測に反した時の即応だったとて。

 彼にここに留まる理由は、あとは命を賭してでも“電子の妖精”を手に入れるという戦術目的の強行以外にはない。
 そして彼は、無敵に対する矛盾の疵がついたとて、根本的には優位の位置にいる。それをする理由も、またない。

 にも関わらずあっさりと身を翻したのは。ノアに対する発言だけは、おそらくは裏表がないからだ。

SYSTEM :
 ジャームの感性か、あるいは唯の気紛れか。
 あなたがどうあっても、という態度を見せても…何れ手に負えなくなるまでは”それ”を容認するのもやむを得ない、と。そのように見える。

 そしてそれ以上に…。
 これは、後で判明することなのだが…。

SYSTEM :
 ………彼にとって“電子の妖精”は近道であり。

 必要条件ではないからだ。

“雷人” :
『 では。ここで一時のお別れだ。”デキュラ”。そして… 』

“雷人” :
『 ここから先は競争だ 』 

SYSTEM :
 ………瞬間。

 その無機質な口元と、仮面越しに悟れぬ目線は。
 “蓋然を閉ざす者”に向き。

SYSTEM :
 思惑二つを、まるで見透かしたかのように…。
 激しい雷光と、電子による空間の侵略が並行して行われた。

『ミソラ』 :
「──────いけない!」

SYSTEM :
 走る閃光、意図が明確に目つぶしだったからか、ノアとハーフィの視界を覆うようにミソラが割り込んで立つ。

 そのフラッシュの中、残る“蓋然を閉ざす者”とて、先ほど目当てにしたものを奪取に動くのではない。そもそも、そのような余力は彼に残っていない。
 ───不確定要素が自分を仕留めに掛からぬことを確かめることもなく、彼は破損したバーニアの出力を最大に引き上げる。 

SYSTEM :
【 CAUTION! 】
Effect:【瞬間退場III】
Player:“雷人”/“蓋然を閉ざす者”
Target:自身

[Add's]
・一時的にシーンから退場する。
(※どちらもどちらの退場に合意しなかったため、
  それぞれが同じエネミーエフェクトを使用したものとして扱う。)

SYSTEM :
 文字通り、自慢でもない”バケモノ”のミラーリング装備を、これきりで使い潰すような…。
 “雷人”の聊かに派手ないなずまの煙幕、そのどさくさにまぎれた全力離脱である。

 去り際に一撃加えることは出来ようが、そもそも果たすと決めた行動を躊躇しないのが“蓋然を閉ざす者”だ。

SYSTEM :
 あとに残るのは…。
 無残ながら人死にだけは”ない”、病院だったはずの一区画だった。

シドニー・ヘス :
「そう何度も、してやられると──」

   strobe
 迸る明滅に、噴射の出力光が混じった。瞬間、張り巡らせた血を作動させる。縦横の区別なく行く手を阻む鋼血の罠を。

 しかし一方は何の手応えもなく、もう一方は……

シドニー・ヘス :
「ッうあ!」

(嘘、振り切られた……!)

 ガジェットを容赦も遠慮もなく使い潰すみたいな、全力の酷使。パットが肉体の保持を最優先したのを差し引いても、あたしたちみたいな半分以上生身には到底できない運用だ。
 ……ううん。自分自身でさえ、彼の扱いは『ああ』なんだ。

シドニー・ヘス :
「待っ……く──」

 ばちんと音が響く。血管が破裂して、バックファイアじみて激痛の波が押し寄せても、あたしの体はちゃんと駆け出した。

シドニー・ヘス :
 死に物狂いで稼働するすべを叩き込まれた体が、めいっぱい手を伸ばした。空を掴む。八つ当たりに振りかざすことも知らない拳が、力なく下ろされた。

シャラ :
「バッ……カ、オメーっ」
 一瞬の目くらましを、ミソラの警告で多少しのぐ。
 直後に力技すぎる血管が生まれたこと、それが断ち切られるのを理解して目を剥いた。
 カタいことは百も承知の身体だけど、いつでも死ねる馬鹿力出してるヤツとは比べ物にならない。
 ユーレツとかじゃなくて、死ぬ気と死ぬは違うみたいなヤツ。

シャラ :
 この際、離脱したふたりのほうは別にかまいはしない。それがサンゴの判断だった。──決め手に欠ける。手がかりはあれ以上出まい。それ以上に素性を探るべきRBが先決。
 だからオレは去るほうをいったん無視して、チカチカする目を擦りながらワイアを伸ばす。
 網を張って、シドニーの体をせき止めようとする。

シャラ :
「やめとけ! 殺しきれねーバケモンと死に急ぎクンなんて、追ってもソンすんべ、今!」

マキナ :

 ──そっち!?

 何か手がある……そう警戒していただけに、雷人の方が手を差し伸べる展開まで考えが至らなかった。
 この際片方だけ残せればベターと思ってたのに、嫌がらせにしてはタチが悪い!

「この……!」

マキナ :
 何としてでも捉えようとしたものの、迸る轟雷になすすべがない。
 目晦ましをサイトシステムの切り替えでやり過ごしても、射撃の際に発する電磁気が狂うのならブラスターは役に立たない。
 すかさずアタックプログラムを白兵戦設定に変更、コンマ01秒で近接戦にシステムを切り替え、吶喊……

 スティレット・ブレードの刺突を繰り出すものの、手ごたえはナシ。
 空を切る感覚が空しくセンサー越しに伝わるだけだ。

マキナ :
「……チッ」
                  スパーク
 ばちん、と苛立ち混じりの舌打ちと、電荷の音が重なる。

 シャラの言う通りだ。これ以上、深追いは出来ない。元々遭遇戦、手持ちの装備と戦力でどうにかなる範疇を超えてる。

マキナ :
 敵生体反応は完全にロスト。ぶんと血振りするようにブレードを振るう。
 躯体のソレノイドバルブを閉じ、雷光が立ち消えたブラスター、LiarGunを再びコートの内側へ戻すと、一先ず他に残存する敵生体がいないか小型ドローンに哨戒させた。

「……ま。イチオー、難所は超えたってトコかな」

シドニー・ヘス :
「だけどっ……」

シドニー・ヘス :
「そんなの、理由になりません。テロリストの行いを諦めていい理由には……」

 やわらかに進路を阻む赤色の網に、手をかける。
 シャラの考えは尤もだと思う。思ってしまった。
 ……だからこそ、今やめたら嘘になる。そんな気がした。

シドニー・ヘス :
「追跡します。現場の収束と、以降の指揮は少佐に」

 義理立てだと、パトリオットがそっけなく囁いた。
 多くの人とあたし自身が、半年かけて作りあげた『伍長』に対して。誰に、と問うまでもないところに答えがあるのが余計悔しかった。

ノア・ウィンターズ :
「──────!」

 迸る雷の向こう側、遮られた視界の向こう側で。
 電子を視せるこの瞳が、食い破られる現実との境界を見た。

ノア・ウィンターズ :
 ボクならば止められる?
 否───ボクがさっきアイツを止められたのは、ハーフィを連れていかれそうになったからで。いま、不意を突かれたボクの必死じゃ到底足りない。

 ───アイツは、いまは見逃すしかないんだ。

ノア・ウィンターズ :
 けれど…………。
 アイツから目を逸らすことも、ボクはしなかった。

 もうHPも赤まで追い詰めたはずの白いプリズナーが逃げ出すはずだ、ってことも薄々分かっていたけれど。そっちには一瞥もくれてやらなかった。

ノア・ウィンターズ :
 アイツを止められたのは、ボクだけだ。
 ……少なくとも、今のところは。

              ロール
 良いパーティは、それぞれの役割を果たして初めて成り立つ。
 アイツが何をしでかすとしても、それを止めるのはきっとボクの役目だ。だから、目を逸らさなかった。

ノア・ウィンターズ :
 そして……。さっきも言ったけど。
 ここ
 現実は、『ダブルクロス』の中とは違う。このゲームのルールに合わせて、考え方は変えなくちゃいけない。

 ……たとえ見た目のHPを削られなくたって、痛いものは痛いんだ。

ノア・ウィンターズ :
「シドニー、キミもしかして、これからあの白いの追うつもり? ……ひとりで?」

ノア・ウィンターズ :
「ボク、海兵のことなんてそんな詳しくないから。止めはしないけどさー……。
 それ、ホントにキミの役割?」

ノア・ウィンターズ :
「…………せめて、そのキズくらいは治していきなよ」

シドニー・ヘス :
(役割……)

シドニー・ヘス :
「当然です。小官には、合衆国を守る責任と義務があります。国家の安全を脅かす存在を、野放しにはできません」

 膚に絡むワイアごと一歩、また一歩と、歩を進めていく。後ろ髪を引かれるような抵抗感は、じゅうぶん振り払える。

シドニー・ヘス :
「白くても赤くても、逃がしてはいけなかった」

 ひとりのほうが都合はいい。巻き込んでしまう、なんて思わずに済むから。

シドニー・ヘス :
「お心遣い感謝します。でもこれくらいなら、まだ動けますから」

ノア・ウィンターズ :
「そうは言ったって…」

 動けるからって、そのキズが問題ないわけじゃ……
 そうは思うけれど。キミが『大丈夫』って言うんなら、ボクにはそれを否定できる理由がなかった。
 だって、ボクはその頑丈さに守られてきたんだから。

ノア・ウィンターズ :
「……、…………」

ノア・ウィンターズ :
「…………ま、いいけどさ。
 さっきも言ったけど、ボクはキミの仕事を知らないし。ボクが止めたって、キミの決断は変わらないんでしょ?」

ノア・ウィンターズ :
「……キミって思ったより、いじっぱりなんだ」

 だからボクに出せるのは、キミへの肯定でも否定でもなくて。
 そんな、拗ねた子供みたいな言葉だけだった。

SYSTEM :
 せき止めた網が、ぎち、ぎちと立てる音に混じったのは、少年の拗ねたような声。
 ノアとシドニーを交互に見つめるハーフィの表情は、とりあえずの危機が去った、にしては戸惑いの色を帯びているように見えた。

シャラ :
「あ〜あ〜あ〜」

シャラ :
    ・・・・・・
「なー、ゴチョーさん」

シャラ :
「そもそもオメーよ、追跡はゼッテおっさん向きだろ。
 オレブリーフィングのとき聞いてねェけど、あのアホみたいな離脱方法したやつ追っかける手段ある?」

シャラ :
「追っかけられてもよ、タンクしかできねェならあいつら殺せる? ジリ貧で死ぬのがオチだろーよ。
 そんなつまらん死に方でも、軍隊さんって褒めてくれンのかな。なんか得あんのかもしれんけどよ」
 バリバリ頭を掻く。
 こーやってやらなきゃとかしなきゃとかで無理しようとするやつが死んだのなんて、飽きるほど見てきた。
 それでこのゴチョーが満足すんなら、オレはどーだってイーけど。

シャラ :
 ワイア
「これちぎったら、もーオレ様とめねェかんな。義理分は果たしたもんよ」

マキナ :

「……
 ねえ、眼帯のおじさま」
 ちら、と、シドニーがえらく恐縮していた軍人さんに、それとなく話を振る。

マキナ :
「"刻知らず"の連中が、みんな同じ能力を持ってうろついてる。あいつの推測だけど、『蓋然を閉ざす者』はそう匂わせることを言ってた。
 あんたが駆けつけてきた辺りにも、一悶着あったって聞いたけどさ……そこだけで完結する話?
   ・・
 今、よそも大変なコトになってるんじゃないの?」

マキナ :
 わざわざ全員に聞こえるような声量で、眼帯のおじさまに問いかける。
 ……"ルーン"と、その制作物たち。何だかズッコけるような子たちだったけど、他にも役者がいることは割れてる。
 考えたくないケド、あんな力を持った奴らがそこらじゅうで暴れてたら。

マキナ :

      ・・・・・・
「つまり……"同時多発テロ"。
 その可能性もあると思うんだけど、どう。
 その辺の状況確認も、今必要なことじゃない?」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「その眼帯のおじさまから、基本的突っ込みをするのであれば…。
 積もる話の一部分には、ここにいるきみの所在を明らかにする分も含まれてはいる」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「しかし物事には優先順位があり。
 積もる話も含めて、何を優先するべきかを擦り合わせたいのは事実だ。

 そもそもきみの推測を“杞憂だ”、と…笑い話に出来るかは怪しいところなのでな」

SYSTEM :
 眼帯の軍人…“少佐”と呼ばれた男は、あなたの言葉に概ねの肯定で返した。
 その姿勢は、前半の言葉を一旦、おそらく一人いる/あなたと同じ、誰からも不透明なイレギュラーの情報の手がかりという打算も含め、シドニーが後に回した前提を以って棚上げにする、という結論の現れでもあった。

SYSTEM :
 …だからとて。その肝心のシドニー/同じ作戦従事者の判断に対して、何ら口を挟まないでもない。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「“アガースラ”の指摘はフリーランスのものだが正確だ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「だが貴官が国家に根差す以上、その義務を蔑ろにしてはならないことも事実だ。その上で…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「彼と“コギト・エルゴ・スム”は此度の作戦従事者だ。
    ・・・・・・・
 それをアテにできないと自覚するような戦術的判断を元に趣くのは、得策とは言えない」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「追跡の理由が、最善のためではなく、ただその義務であるのなら猶のことだ。それでは、貴官の答えは半ばで終わるぞ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…異論を聞く時間は終わっている。いいね?」

SYSTEM :
 彼の言葉は、イレギュラーの撃退後の約束を持ち出す内容だった。
 
 あなたの義理立てを肯定したが、義理立てのために後ろを省みないあなたに留まる大義名分を用意するような一節を含めて。

シドニー・ヘス :
「……そうかもしれません」

 意地っ張り。パトリオットが肯き、続けた。内海の囁き。きみを縛っているのは義務と強制、どちらなのかと。
 どちらでも同じことだ。振り払った瞬間、『あたし』は二度と『小官』に戻れなくなる。

シドニー・ヘス :
 あたしがもっと……ちゃんとした、ほんとうの軍人さんだったら。こんな男の子に寂しい顔をさせなくて済んだのかな。

シドニー・ヘス :
「ありません、できません、で諦めるように教わってはいません」

 シャラの、ため息まじりの呆れた声色。ちくちくと胸に疼痛。
 あたしは背中で聞いて、振り返らずに答える。

シドニー・ヘス :
「……殺せなくても、足止めくらい」

 誰の目にも明らかな結果は、あたし自身にこそ一番見えている。
 愚かな死を、誰も褒めはしないだろう。ただ、誰にとってもどうでもいい話になるだけ。

シドニー・ヘス :
 言うべきじゃない、と思った。
 言わなくては気が済まない、とも。

 口にするのは悪手だとよくよく理解していながら、頭に昇った熱に従うほうを選んだ。意地っ張り。拗ねた声のリフレインを聞く。

シドニー・ヘス :
「それは間違いです、"アガースラ"。小官の行動の一切において、あなたが負うべき義理はない」

 ぷつりと裂けるブラッドワイア。
 一線を超えるのは、いつだって簡単だ。今ここにいるように。
 だからあと一歩。

シドニー・ヘス :
「…… ……」

 一歩が、止まる。
 これ見よがしな誘導。物事をどこか俯瞰しているような女の子からの冷や水は、頭のてっぺんにクリティカルヒットだ。
 よりによって少佐に振るなんて!

シドニー・ヘス :
 懸念は多い。分かっている。そもそも自分だって後回しにして、目の前のゼンブに注力したハズだ。ぶつ切りの続きに引きずられて、これまでを顧みないのは間違ってる。

シドニー・ヘス :
「ですが」

 反駁の、その先が見つからない。断崖の代わりに用意してもらった蜘蛛の糸に縋るほかない。

シドニー・ヘス :
 ……ずるい、と思った。そんな自分が心底いやになる。
 せっかく今日まで積み上げてきたものを、この一瞬で台無しにしてしまった気がした。
 ここにいるのは『伍長』でも何でもない、できそこないの小娘だ。父のようにも、祖父のようにもなれない。何者でもないあたし。

シドニー・ヘス :
 深呼吸。目を伏せて、数節を唱えた。

シドニー・ヘス :
Yes, Sir
「了解。従います」

シドニー・ヘス :
 半歩引いて、振り返る。敬礼。掲げた手も、身体の側面につけた手も。教科書通りに正しい。中身が伴わずとも。

SYSTEM :
 半年の教練と反復は、少なくともあなたの心が嵐の海の如し有様であっても、表面を取り繕うための形を与えていた。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「よろしい」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…では伍長。
 先に、こちらのひと悶着から説明しよう。
 そののち、其方の“デキュラ”少年と…」

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈………〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…彼女の保護の是非について改めて判断する。其方の事情と見解を聞かせてくれたまえ」

シャラ :
「へーい」
 ワイアを意味もなくびよんびよんゴムめいて引っ張りながら、わかりやすくぶすくれた感じを出す。

シャラ :
ブチ。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
器用にやるものだな。

シドニー・ヘス :
「は……い」

 いいんですか、と出かけた声を引っ込める。良くはなくても、ソレが仕事だ。お互いに。

シドニー・ヘス :
「ひと悶着……アミル・トロイとの積もる話ですね。お願いします」

マキナ :
「はーい……」
 ……っていうか。やっぱ抜け目ないな、そこは見逃しちゃくれないんだ……

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「ああ。イリノイ州シカゴ支部。
 そもそも、今回の任務の発端は、彼らの調査申請に対して、テンペストが助力を申し出たことだ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「如何にミネソタ州のUGN支部がないとはいえ、州を越えた干渉ではある。伍長の好奇心も尤も、と考え…。
              ウォッチドッグ
 彼方に査察に出向く人間に、見張り犬を要請した」

SYSTEM :
 査察に出向いた、UGNアクシズとの繋がりを持つエージェント。
 曰く、丸太船で海に漕ぎ出す道化た男…おそらくは彼が”そう”だ。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「そのアミル・トロイは作戦中の通信コードに干渉し、それらが全て自分のもとに来るようにした。
 そして予め来ると踏んでいた指示要請や連絡に対し、それぞれに対して、何らかの手段ですべて同時に答えた…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「だが現地の情報を把握する手段を、そのエージェントが持ち、それに対して齟齬があった以上、露骨ではあったが尻尾を出したも同然だ。

 …彼方で見張りを頼んだエージェントはその事実を以て摘発に動き、此方も応援に駆け付けた。が───」

SYSTEM :
 そこからが問題だ。
 そもそもそれが無事に収束しているならば、ここに来るのは彼だけではない。“彼ら”である。つまり。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「その際、未知の…推定ブラックドッグ・シンドロームと思しき、自身を電子に変えるエフェクト効果により…。
 アミル・トロイであるはずだった、“刻知らず”のオーヴァード…仮称“H³”は、あらゆる攻撃に耐性を持っていた。

 彼自身が恐らく、そのシンドロームでないにも関わらずだ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「そのエージェント…”道化の真実”と残存エージェントを伴って此方は退却。
 ヤツに、シカゴ支部を含めた各地の情報収集を依頼し…貴官の隊の孤立から救援の必要があると判断し、私は現場に急行。今に至る…というわけだ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…その電子変換による攻撃の無力化は。
 交戦して分かったが、”雷人”も同様だ。

 補足としてはこんなところか。
 そのため、そちらのお嬢さんの疑問に改めて答えるならば…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
 ・・・・
「それだけで完結してくれるなら、最悪中の最悪は避けられる、というところだな」

SYSTEM :
 つまり遠回しの肯定だ。

 情報収集の結果が出る前から、
 あるいは勘や経験則に基づいて。

『シャラ』 :
          ・
──シカゴ支部の兵隊はシロ

シャラ :
それで今度こそ確定な。都合よくて助かるわ。マキナのことどう説明すっかの問題はあっけど。

シドニー・ヘス :
「電子変換を行使したとき、"雷人"は『わたしにも、彼らにも』と言いました。このくらいのことは出来ると。対して、"蓋然を閉ざす者"はそれをジャームの力だと断定……」

シドニー・ヘス :
「"刻知らず"の構成員のうち複数名が、確認された二名と同様の力を持っていると推察できます。
 ……あるいは。シンドロームの一致しない“H³”の例を鑑みれば、彼らにあるのは共通項ではなく共有物なのかもしれません」

マキナ :
「敵の発言の裏が今取れたってわけかぁ。
 そこはハッタリであって欲しかったけどね……」

マキナ :
 ……どんどん事件が混沌の様相を呈してきてるな。今回のはとびきりだ。
 こういう時、ネタバレ防止の制約がもどかしい。一応は未来から来てる癖に、先の展開が何もわからないなんて、我ながらおかしな話。

シャラ :

マキナ :

ノア・ウィンターズ :
 いまの話の用語の一つ一つは分からないことだらけだけど……
 話の内容の核ってヤツが、なんとなくヤバいってことだけは肌で分かる。

ノア・ウィンターズ :
 “電子変換”───つまりそれって、アイツがやった《電磁結界》みたいなヤツのことだ!

 てっきり“雷人”だけのものだと思い込んでいたし、アイツの話だって半分くらいしか真に受けてなかったけど。なにやら組織の幹部っぽいヤツらがみんなアレが使えるって、チートなんてもんじゃない!
 《電磁結界》はプレイヤーが使うからギリギリ許されてるようなスキルだぞ!?

ノア・ウィンターズ :
「…………えーっと、オジさん。
 キミがここに来るまでに起こったコト、どこまで知ってるのか知らないけどさ」

シドニー・ヘス :
「おじッッッ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
手で制する。構わない、の意。

ノア・ウィンターズ :
「ボクは、アイツに───“雷人”に、ボクのチカラでダメージを与えられた。
 といっても、それは……ハーフィが助けてくれたからだけど」

ノア・ウィンターズ :
「でも……えーっと、《ブラックドッグシンドローム》だっけ?
 電子で攻撃できるスキルツリーの名前……」

ノア・ウィンターズ :
「もしかして、その電子を操るってチカラがあのスキルに特効だったからダメージを与えられたんじゃないかって、チョッピリ思ってたんだけど。
 その、《ブラックドッグシンドローム》ってヤツ、キミたちの部隊にはいなかったの?」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「その認識で相違ない。             オーヴァード
 電子以外の用法もあるが、一先ずは電気に纏わる能力を使える者だ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「………だが、なるほどな」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「先に伝えておくが、彼方のチームにブラックドッグの使い手は確かに存在した。
 到着時点でまったくのダメージがなかった辺り、先手を打たれた可能性も考えたが…。
 
 有効な理由は恐らく、同じタイプの能力だから、というわけではないだろう」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「予め相手を理解し、正しい手段を講じねば突破できない…。
 きみの知識で、そのテに馴染みはあるかね? おそらくはその類だ…。

 ”電子の妖精”か、きみか───どちらかの手で偶発的に抜け道をついた、とみるべきだろう」

SYSTEM :
 …“ホワイト・スカイ”は、その疑問に対し、内心の思慮と並行しながら見解を述べた。それから、シドニーに視線を向ける。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「ああ。接触の所感で良いならば、”H³”はジャーム…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「………。そうだな、先程のものを含め、用語の意味は後で教える。
 ”デキュラ”、きみにとっては…。

 どのようであっても、話が通じると思うべきではなくなってしまった…。
 きみと同じような力を使えて、かつ、そのような違いを持った者に対する呼び分け方だと思ってくれ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「話を戻すが。その暫定“闘争卿”から摘出されたRクリスタル…。
 こいつが手掛かりだ。不都合を感じない限りは、調査に回すつもりでいる」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…だが、概ね…。
 雷人の能力が元のようにも思う。
 今のは仮説の段階だが、そのように考えていいだろう」

SYSTEM :
 …話をそのまま受け止めるなら。
 彼ら…“刻知らず”はおそらく。全員がジャームだ。

 どこにでもいて、どこにもいない。
 繋がりを持たない虚ろの怪物たち。

SYSTEM :
 ………しかし…。
 そのまま受け止めるなら、だが。

SYSTEM :
 ところで…少なくともマキナが、アラスカで対峙した二人。否、一人と一機。
 彼女らは”電子の妖精”を探していた。それは恐らく…先ほど目の前で起きた光景の通り。彼らの無敵の盾を打ち破る鍵(あるいはそれ以上の何か)が彼女だからだ。

SYSTEM :
 …年若い少女。ルーンの呼び名を冠した、自称レイスの感情の動き。
 怒りと劣等感を、燻ぶりながら吞み込める姿勢は。あなたの知る限りでは“手遅れ”の動作に見えただろうか?

マキナ :
「……」

マキナ :
 あの子はそういう風には見えなかった、けど。
 ……もっとも、それは状況が変わる前で。
 加えて言うなら、例外もさっき見せられた。

マキナ :
 まだあの時点で電子化されていなかっただけ、なのかもしれないし。
 また石を持っていながら、電子化されていなかったデカいの……闘争卿のケースもある。

 単に思考が硬直するのが嫌で、任意で使用してないのかもしれないけど。

マキナ :
 取り敢えず共有しておくか。
「……一応。
 少なくとも非ジャームとの構成員との交戦経験は、あったことはあったよ。交戦時のログデータを提出できるけど」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「例外は往々にしてある、か。…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「………先んじて伝えておこう。

 闘争卿は、かつて交戦し、仕留めたときは…。
 ほぼ確実にジャームではなかった」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「ならば、ジャームとなるのは、そのように元が死者だったものだけ、ということもあり得る。
 …そもそもの使用者の規模、その行使形態も不明だ。

 …その交戦データ共々…。接触時の状況については知っておきたいところだが、仮にも公共施設のここで閲覧というわけにもいかんか」

SYSTEM :
 …少なくとも、そこから理解し得る情報をないがしろにはできない。
 きっと、電子の妖精を追っていたという事実も、非ジャームが“いる/いた”という事実も。
 
 ただこの場で確認、というわけにも行かない。一刻を争うわけでもない。

SYSTEM :
 “ホワイト・スカイ”の判断に置いては、あなたをここから排斥する判断はまずない。ないが…同時に、立場を明らかにしておきたい人間でもある。

 それは、マキナに限らず、“デキュラ”と呼んだ少年と、ハーフィについても。
 あるいはそのために、彼は『自分が話した後』の見解を、伍長/シドニーに求めているわけでもあった。

シャラ :
ん? 交戦? ジャームでない? んっ? って感じでマキナとおっさんの間をキョロキョロしてる

『ミソラ』 :
(その後ろで眉を下げ、何事かを考えている…。)

シャラ :
(ミソラの側にススススと寄っていき、マキナとおっさんを交互に指さしている…)

シドニー・ヘス :
「小官は……」

 正解を探り当てようとしている自分に気づく。軍人として正しい解答を。
 いま求められているのは、一個人の見解だ。シドニー・ヘスの意見。
 少佐の問いは、あらかじめ答えの用意された設問ではない。言い聞かせる。短い深呼吸。

シドニー・ヘス :
「……いえ。次は小官の番ですね」

 少佐のひと悶着のあらましは分かった。次はあたしたちの事情と、あたしの見解だ。

シドニー・ヘス :
「まず端的に、こちらも報告できるほど事情を把握できていません。
 未記載のエリアを調査中に"闘争卿"が現れ、証拠を一掃されました。そこへ"電人"と対峙する三人が現れ、交戦と同時に乱入した"蓋然を閉ざす者"によって、"闘争卿"は例の結晶を残して死亡……。
 あとは少佐も見たとおりです」

シドニー・ヘス :
「デキュラ……ノア、でしたか。そして『電子の妖精』ハーフィ。彼らを狙うテロリストにとって、彼ら自身が有効打となる現状、両名の保護を最優先すべきだと考えています」

 保護。ほとんど方便だ。
 外部からの干渉を遮断するために必要な措置。
 でも手元において利用するという意味でなら……彼らを狙う勢力と意味はさして変わらないだろう。

シドニー・ヘス :
「我々にとってのイレギュラーである”蓋然を閉ざす者”について知るマキナも、同じく保護対象とみなします。
 既に刻知らずの構成員と交戦していた件も含め、把握済みの情報を共有してもらう必要があります」

シドニー・ヘス :
「ですが、マキナはともかく、ノアとハーフィに自らの立場を明確にしてもらうのは難しいでしょう」

 共通認識──オーヴァードにとっての常識が、あのふたりには欠けている。それ自体は大した問題じゃない……ハズだ。
 とくにデキュラ改めノアは、見聞きした情報を自分の知識に照らし合わせて咀嚼するのがうまい。わからないことばかりだろうに、よく状況を見ている。

シドニー・ヘス :
「……ですから、その。悠長と思われるかも、しれませんが」

 ぽそぽそと声が窄まっていくのを、背筋を正してこらえた。全員の顔を見る。

シドニー・ヘス :
「お三方の話を聞かせてもらうにあたって、先ずですね。ノアとハーフィのレクチャーから始めませんか? 自己紹介も兼ねて、ひとつずつ」

p class="CHI" style="color:#6283c2;">マキナ :
「……はあ、オーケイ。国の軍事力がいう『保護』っていうのは、ロハと同じぐらいに胡散臭い謳い文句だけど、今は素直に従ってあげる」

マキナ :
 協力者は少ない方がいい。とくに、こういう時代なら猶更だ。
 けど、こんな大事になって来たなら色々話は変わってくる。ある程度巻き込むのは承知で、事情を知ってもらわないといけないかもしれない。
 あんましたくないけど。

SYSTEM :
 保護先はこの場合、UGN…。
 レネゲイドへの理解までは同じでも、オーヴァードの共存を前提にしたものでない。
 オーヴァードを脅威として捉え、戦力として計算し、危険として制御する、国家に結び付いた米国政府ゆかりの組織だ。
    ・・
 然るに保護、は、場合によっては、籠の鳥と然して変わらない可能性さえもある。

SYSTEM :
 ただ、だからとて野放しにする、は、当人の意思はさておいて更に“ない”話でもあった。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「話は分かった。
 回線越しに推し量れる状況とも、一先ずは一致する」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「"闘争卿"については、不審点もありはするが…根拠がない。後回しにしていいだろう。

 目下、最大の焦点となるのは…敢えて其方で呼ぶが、“デキュラ”少年と、そちらのハーフィだ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「我々はきみたちを保護するべきと考える…その点において、伍長の意思に異議はない。尤も…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「この棟内には入り込んでいないだけで、外部や受付には人の気配がある。
 そちらの対応が完了していることを差し引いても…”闘争卿”の出方は随分と派手だったはずだ。

 先に伝えたUGN側のエージェントとの連絡もある。お互いの認識の擦り合わせと、一度場を移すのは並行したほうがいいだろう」

シドニー・ヘス :
「う、うさん臭くなんて! 軍ですよ! 国ですよ! 公的な機関なんですよ!」

シドニー・ヘス :
ほわんほわん実体験~

シドニー・ヘス :
「ハイ……ご理解とご協力に感謝しまあす……」

シドニー・ヘス :
「あッ! キング──じゃない、"道化の真実"ですね。忘」

シドニー・ヘス :
「……れてたわけではナイのですが、情報の共有は賛成します!」

SYSTEM :
 ・
 忘、に続く部分を少佐/”ホワイト・スカイ”は察しても掘り返すような人間でなかった。
 あとで、あなたの隣人からの指摘が来ることを除けば幸いなことだ。

SYSTEM :
 シドニーの発言に頷いた少佐の視線が、続いて当事者たちに向く。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「ではお互い…その公的機関の頼み事が、少しでも信用のおけるものであるよう振る舞うとしよう。
 …”デキュラ”、そしてハーフィ。きみたちは───」

SYSTEM :
 しかし、その会話を遮ったのは…
 ハーフィ/”電子の妖精”でも、ノアでもなく。

“道化の真実” 千城寺薫 :

〈そこで僕にも聞いておくれ!〉

SYSTEM :
 無線越しの雑音交じり。
 先にUGNシカゴ支部との通信/ここの裏手から入る前になじみのある声(大多数にはなじみのない声)が響く。曰く。

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈誰だ、という顔を恐らくされていると思うから自己紹介しておくとね。
   ホワイトフェイス
 UGNの“道化の真実”です。少佐、お話の伍長クンたちとは合流できてるかい?〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「お蔭様でな。一先ず峠は越えたと考えたい。
 ………ああ、無線先の相手が先に挙げたエージェントだ」

SYSTEM :
 回線越しに響いた20代ごろの若い男性の声。マキナには聞き覚えがあった。
 オルクスの、あなたの与太話に全力で打ち返してきた言葉のドッジボールの達人だ。

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈そうかあ~ 不特定多数のきみときみときみ!
 二度の自己紹介を省いて僕です。いま無線を持っているはずの彼にはこれからお世話にならざるを得ないところだよ〉

シドニー・ヘス :
「こちらUGNのヘンな方です! "H³"の件で少佐と分かれる前はエージェントと共に退却したと伺いましたが……」

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈おっと! いけないなあその呼び方は!
 ヘンな方じゃあない!〉

シドニー・ヘス :
「えッ! ではタイヘンな人ですか……!?」

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈いや。とびきりヘンな方と呼んでもらおう。
      てん
 どうせなら頂点に立つ〉

シドニー・ヘス :
「……こんな感じの人です!」

マキナ :
「なるほど」
 誰に対してもこうなワケね。

シャラ :
   ・・・・
(……こいつが?)

『シャラ』 :
──こいつが。

シャラ :
「ヘンなやつのバーゲンセールだなァ……」

シドニー・ヘス :
「ワゴンに入るほどいた!?」

シドニー・ヘス :
いたかも……

SYSTEM :
 早口で捲し立てた明るげな男の声に、ノアの傍らのハーフィは首を傾げながら眉を下げていた。
 端的に言うと「ちょっと困っている」の表情だ。

『ミソラ』 :
「(指折り数える)」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「奇抜の優劣は競わなくていい。
      ホワイトフェイス
 …それで…“道化の真実”」

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈うん、それでだね。
 さっきの頼み事…調べるまでもなく結果は出たけど、いま聞ける状態かな〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈先に言っておくが、僕は悪いニュースしか持ってない。
 良いニュースは、未来のセントジョージ先生に期待して頂こう〉

SYSTEM :
 青年のコードネームは、“ホワイト・スカイ”の言葉を鵜呑みにするなら…。
 シカゴ支部を含めた各地の情報収集を任せていたエージェントのものだ。

 つまり彼の口調は、いっとう“困った”、一刻を争える事実が待っていることの証左でもあった。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「構わん、此方で聞こう。何があった?」

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈シカゴ支部とは通信途絶のまま。
 ・・・・・・
 いつも通りに不特定なFHが侵攻。いつも通りに留まっていた方のUGNチームが迎撃を始めた〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈で…。問題はここからでね。

 彼をクロ認定する時の停電があったろう?
 あれ、調べるまでもなくおっきな声で連絡来たよ世界中だ。時間で一分弱〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈その一分弱の停電自体は殆どの地域で解消した。

 ところが…いくつか例外がある。日本、北米、南極、欧州、それから…いくつも大規模な“やらかし”が起きている。
 アレだね。同時多発テロってやつ〉

SYSTEM :
 調べるのに手間が掛からなかった理由など簡単だ。
 規模が比較にならなかったから、仮にも本部のUGNアクシズ預かりのエージェントである彼にはすぐに連絡が届いた、に過ぎない。

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈一刻を争うってやつだ。
 僕もシカゴの観光土産どころじゃなくなっちゃった〉

シドニー・ヘス :
「同時多発テロ──!」

 マキナの懸念通りに、いや、全員が予感していた最悪の具現だ。そして通例どおりなら、停電はおそらく予兆に過ぎない。

シドニー・ヘス :
「実行犯は"刻知らず"構成員。そのいずれもが……対処にあたったUGNの干渉を受け付けなかったのではありませんか」

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈全部の情報は拾えていない。ただそうだな…〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈UGNが当たったのは欧州と黒海のほうだ。
 こいつらの…親玉かな? それには少なくとも歯が立たなかったって連絡がね〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
 今横で起きてる。

シドニー・ヘス :
「現在進行形!?」

マキナ :

「…………」
 げっそり顔。
 こういう時、最悪のケースを想定してショックを抑えるものだけど、案の定か。下の方にまで適用されてたら本当にどうしようもなかったな。

シャラ :
「ヨーロッパでもぉ? そりゃ、どえれー話だけど……」
 いまいちピンときてない顔で曖昧にうなずく。今のところ、こいつの語り口からだと現実味が薄い。

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈そっちの声の人は誰かな?
 イリーガルさん? ああ、元アミルくんから聞いていたようなだ〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈シカゴ支部にそのまま帰って報告! は避けたほうがいい、と思うよ。
 事前の報酬とか約束していたらほぼ泣き寝入りモノだけど…〉

シャラ :
「げぇ」

マキナ :
「ただ働き確定かぁ ゴシューショー様」

『ミソラ』 :
「ボランティア…それは儚い響きだね」

『ミソラ』 :
「…で、儚い響きで済むうちに聞くけど…どうするシャラ」

『ミソラ』 :
「このままレクチャーの序でがてら、このコたちと揃って、ダン小父とシドニーのとこに厄介になる?」

 軍隊、そういうの“なあなあ”で行けるとこだっけかな

シャラ :
「ア〜……」

シドニー・ヘス :
きりっとした顔でずずいっと寄る

シャラ :
ものすごくさりげなく0.5歩うしろにさがる

シドニー・ヘス :
では一歩進軍します!

シャラ :
合計0.5歩前進すんな!近え近え近え!

シドニー・ヘス :
ウチはすごいですよ……!国があるかぎりお給金が出ます!

マキナ :
I want you for U.S Armyって?

シドニー・ヘス :
(アンクルサムる)

シャラ :
(ウチだとねェんだよな〜、この国!!)

シャラ :
ワ〜! スゴ〜〜イ!!(裏声)

シドニー・ヘス :
「少佐! これは合意と見えますが!」

シャラ :
「合意じゃね〜〜〜〜〜よ決め打ちの職質かおめェは!?」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「仮に合意の上でも即時入隊とは行かんだろう
 それで済むのは愚連隊一歩手前だ」

シドニー・ヘス :
後輩……儚い夢だったなあ……

シャラ :
(『向こう側』のあんたらその愚連隊だったとかゆったらどーゆー顔すんだろうなこいつら!)

マキナ :

シャラ :
(……どーおすっかな。このノリじゃ、肝心の電子の妖精はテンペストが確保か)

シャラ :
(とりま、中途契約切りのカワイソーなUGNイリーガルとして、なりゆきに任せる手もあっけど……)

『シャラ』 :
──得策ではない
  保護を名目に身辺を洗われるのなら なおさら面倒だ

シャラ :
(だよな〜……)

『シャラ』 :
──我が家に火の粉がかかる場合
          ころす
  先におまえから乗っ取る

シャラ :
(はい! すんません!! ヌルい正職員ルートやめます!!!)

シャラ :
「ン〜……軍隊ガラじゃねェからよ。ムリ。カユい」
 ここまでの脳内会話を表情筋をややぴくつかせながら終えて(この間1秒)、ちょっと悩んだふうで切り出す。

シドニー・ヘス :
「かゆ!?」

シャラ :
「とりま、いまの話聞いてから考えるわ。新しい雇い口のアテもあるだろ」といって、通信端末を指さす

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
         そちら
「だろうな。早晩、UGN全体でも対処に追われる。
 その規模の出来事で、悠長に対岸から眺めるような組織でもないよ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…当然此方もだ。
 合衆国の本土を渦中に晒された以上、作戦自体も仕切り直しの必要が出る。
 大佐も含めて、アクシデントもこのような方向性に転がるとは考えておらんだろう」

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈説明の手間が省けちゃった。
 そういうこと。ボランティアのお詫び分くらいはやらせてもらわないとだからね〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈そもそもシカゴのほうの対応はどのみち共同になるはずだ。
 いまの話を権利分聞くまでの間は一先ず、元々そっちのチームが使ってた拠点があったろ〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
 僕がホワイト聖三角形の話したときのやつ。

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈一先ずはそこで───〉

ノア・ウィンターズ :
「──────」

ノア・ウィンターズ :
 ……………なーんか、スッキリしないや。
 アタマのなかがどんどんゴチャついてきて、考えがまとまらない………。
 耳に入ってくる言葉が、意味のない音にしか聞こえなくなってきた……。

ノア・ウィンターズ :
 そりゃ、分かるわけがないけどさ。
 いきなり説明なしに専門用語ばっか流れるムービーとか、おいてけぼりもいいトコだ。ボクよりは多少知識があるっぽいハーフィだって困り顔してる。

ノア・ウィンターズ :
 ええっと、なんだったっけ……。
 たしか……ジャームとか、なんとか……。
 話の通じなくなったヤツ……さっきの白いプリズナーとかのことかな……?

 第一、そんなの主観じゃないか……。どうやって普通の人と区別するんだ……?

ノア・ウィンターズ :
 ……………まあ、いいや。

 いろいろ説明してもらえるらしいし……とにかく今は早くここを離れた方が………。

ノア・ウィンターズ :
「えーっと、とにかく……
 いったん今後の作戦会議、ってことでいーんだよね……」

ノア・ウィンターズ :
 保護してもらえる、のか……。
 よく分からないけど……ハーフィも……いったん、これで安全なのかな……。

ノア・ウィンターズ :
「だったら、早く……って、そうか、自己紹介がまだか……。
 えーっと………ボクの、なまえは………。
 ……………、………………………?」

ノア・ウィンターズ :
 あれ?
 なんか、言葉が出てこない……

ノア・ウィンターズ :
「──────」

ノア・ウィンターズ :
「─────────」

ノア・ウィンターズ :
 なんか、チカラが抜けて……
 しかいが、まわって……。

ノア・ウィンターズ :
 ぐらりと身体が揺れて……。
 布がほつれて解けるように、ボクを覆うヒーロースーツとマシンが消えていって。

 電子の力に包まれながら、逆さになった視界がフワリと下がっていくのを最後に、ボクの意識は途切れた。

SYSTEM :
 リスポーン
 再出現の利かない命の取り合い、だがそれ以上に…。
 あなたにとっては、おかしなこと、が徹頭徹尾で続いてきた。

 自由な手足も。行き来する世界のテクスチャも。命の危機も。
     エソラゴト
 あらゆる不可能が可能に転じていた。

SYSTEM :
 であるに、それが気疲れだったのか。
 負荷からくる反動だったのか…。

 どちらだったかの考察よりも、少年が、重力に逆らうのをやめて落っこちる方が早かった。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈ノア? …ノア!〉

SYSTEM :
 びり、びり、と。電子の音を響かせて、少女の手のひらが、途切れた意識ごと、そう変わらない背丈を抱え込む。
 食器より重いものは持てない華奢な体躯にそぐわない、両腕でぎりぎりの姿勢だった。

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈おや? もしかして話がタイクツだったかな。
 だが否定はしない。何を隠そう、僕も、もうちょっとはっちゃけたいところだった!〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈何せタイパの厳しい宇宙の戦士なんて誰かに話したい逸材と出会ったばかりなんだ。
 なんだったかな、アルバトロス星系第三惑星軍ジョリーロジャー艦隊所属機械化治安部隊の…〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「そこまでにしてくれ」

SYSTEM :
 無線越しの声は心の底から残念がっていた。
 しかし、すぐに話題を切り替えたのは、そんな話をしている暇がないからだ。お互いに。

SYSTEM :
 “道化の真実”は決して『ふざけてはならない時』にふざける男ではない。これでTPOを弁えていると評判である。

 たとえ客船上のパーティーで堂々と潜入目的をバラすようなことがあったり、
 報告の前座でその辺の一般人と奏でるオーケストラを始めたとしても。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「しかし…どうやらレクチャーも並行どころではなさそうだ。
 覚醒したてで、体験するような状況でもなかったと見える」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「“道化の真実”。
 こちら、保護対象が一刻を争う状態だ。通信はいったん区切るが構わんね」

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈はーい〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
 うち  おとなりさん
〈UGNと……合衆国が、お互いヘソ曲げなければ。ね、今度は直接会えると思うし〉

“道化の真実” 千城寺薫 :
                         クレイジー・ウォー
〈シカゴの“H³”が使った…Rクリスタルのこともある。3年前の荒唐無稽は、思ったより根が深いかもね。
 そこのところどう思う、テンペストの大尉…ああ、いや少佐殿〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
 ・・・
「少佐殿としては、遂行するべき任務を果たすだけだな」

“道化の真実” 千城寺薫 :
〈オッケー。じゃ、早ければ明日会おう〉

SYSTEM :
 概ね納得の感情を込めたひと言。
 
 無線越しの大きな声で『その時は登場工夫するねえ』などと言い残していったのを最後に、通信が途切れた。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈…守ってくれるの? 本当に…〉

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…先の戦闘における優位性と例外…それが二人の何れかから齎されたものなら…。
   きみ
 彼と彼女には本当に、一緒に世界を守ってもらう必要がある」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…しかし、その点が…ただ簡潔に、敵を倒して終わりではないのは。
 彼の言う『ヒーロー』も現実も、そこまで変わらんのかもしれんが」

SYSTEM :
 世界を揺るがす災害の防波堤が、必ずしも…。
 レネゲイドとそれを宿したオーヴァードに好意的とは限らない。
 況や、その根底において確かめるべき事実が多すぎる、不確定な切り札とあらば。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…”アガースラ”たちと…お嬢さん。
 進退まで強要はしないが、進退を決めるために、一度ここを出るとしよう」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「それから、統合作戦本部にはこちらから伝達する。…伍長、帰投後お互いの最初のタスクはそれだ。できるね?」

シャラ :
「おいっ……あっ、あ〜〜あ……」
 デキュラがさすがにブッ倒れたのを見て、ここが限界かあ、とボヤきながら唇を指でとんとん叩く。

シャラ :
 ここまで落ち着いて話聞けてたほうが奇跡だ。ナイスガッツとホメてやってもいいぐらい。
 どう目覚めたかは知らんけど、覚醒したてのフンイキずっと醸してたしな。

シャラ :
「オー。オレらはいーよ。つかアレだろ?」

シャラ :
「協力者が雇い先なくなったんだしよ、無給で『じゃあ後は好きに…』とかしねェだろ? ホーリツとかあるしよ。
 さっきの様子オカシーやつかアンタに危険手当はセーキューすっからさ、あとのケーヤクは、ハナシ聞いてそれしだいな」

シャラ :
(ま、切るつもりねェけどな。
 一番怪しいヤツいるしよ)

シャラ :
 ・・・・・・・・・・・
 ハーフィとかいうチビ助。推定、電子の妖精。
 ゼッテなんか知ってる。ただの保護対象なワケない。

シャラ :
 いったん今はなーんのポーズも出さず、ひらひら手ェ振って『不幸な雇われ』のフリで消極的オーケーだ。情報とっといて損はナシ。

マキナ :
 ハーフィがキャッチした後ろで、危うい姿勢をすっと支える。ちょっと手荒い交渉の為に作られたマシンボディは、あの子の細腕よりしっかり支えられる。
「よっ、と……
 ……バイタルに異常はないね。一応測ったけど、緊張の糸が切れたってヤツでしょ。
 初めてにしては、頑張った方だよ」

マキナ :
 軽い口調で言ったけど、結構本音だ。だって、そうでしょ。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 マトモに現実世界を歩き回ったのが初めてで、今の戦闘をこなせたことは、やっぱり才能あるんだこの子。
 
 生き残る才能を喜ばれるべきか、利用される運命を嘆かれるべきか。って所だけど、その辺は本人の捉え方次第か。
 オーヴァードの常って奴だけど、甦ったらハイ終わりって訳じゃないのが辛い所だよね。

マキナ :
「マキナで良いよ、隻眼のおじさま。
 もしかすると聞いてもらう話もあるかもだし、この子たちの安全は最優先に確保されなくちゃいけない。
 ・・
 今は保護観察の名目で同行させて貰うよ」

マキナ :
「私、軍は信用ならないけど。
 ・・
 軍人は、そこそこ信頼してる方だから。その辺り、巧く取り計らってね、おじさま」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「信用ではなく信頼…か。
 言うのも言われるのも、そちらは馴れているよ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「ダンだ。ダン・レイリー。
 少しの間か、当分かわからんが…一先ず“おじさま”以外の名も教えておこう。よろしく頼む」

SYSTEM :
 アメリカ合衆国、ミネソタ州、某総合病院。
 ここで起きた不可思議な“事故”は音沙汰になったが…、本当の意味の当事者以外が知ることはない。

 立ち去る間際の、不幸な雇われの形をとった“アガースラ”の言葉を了承した“ホワイト・スカイ”によって、そこに形作られたゲート。
 緊張状態もひと時過ぎ去った現状において、“デキュラ”へのレクチャーも、互いの事情を把握する時間も。積もる話は彼方で、ということだ。

SYSTEM :
 …最中。“デキュラ”/ノアを抱えた少女が、マキナの言葉にぎこちなく頷く。
 無事でよかった、も。頑張った、も。

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈うん、頑張ったほう…いいえ、頑張ってたわ〉

『電子の妖精』/ハーフィ :
〈知らないけど、きっと知ってるの…
 流れてくる前から、ノアは、ずっと…〉

SYSTEM :
 だから、と。小さな声で彼女は呟いた。

 殆ど無自覚の悔恨と郷愁を。
 きっと不可抗力で新しく生まれて、権利の使い道を定める旅を始める少年に向けた有言を、どこか抱き抱えるように。

SYSTEM :
 ………バロールのゲート。

 ずいぶんと手慣れた展開スピードで繋げられた道を行く際、残した言葉が。
 微睡みとともに目を閉じたノアに届いたかは定かでない。

SYSTEM :

 ………そして事態も、収束とは正反対の方向に向かいつつある中。

 警戒のため最後に門に足を踏み入れるダンのひとり前。ミソラが、崩れた瓦礫を作った下手人の影も形もない病院の一室を眺めた。

『ミソラ』 :
「(あいつ)」

『ミソラ』 :
「(それにしては、妙にあっさり、死んだな。
  ………あの白いのが本気で殺さないといけなかっただけ?)」

『ミソラ』 :
「(………そもそも本当に………
  ・・
  偶然?)」

SYSTEM :
 考え事に費やした時間は数秒だ。

 きっと、これから。
 それを考えている暇がないであろうことは、彼女にだって分かっていたから。

SYSTEM :
 ………ノア・ウィンターズだった少年が瞼を閉じて。
 春の気配も遠いまま、翅をはためかせた始まりの日。

 それは同時に、薄氷の下側で、嵐の吹き荒れる日でもあった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

[Result:Opening Stage]
Clear Round:2
Max Damage:60
Resurrect:0


SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ───時間にして一分弱。
 世界規模で発生した停電の復旧は、大多数の人間には一日の不吉として消費されるに留まった。

SYSTEM :
 それをR案件と悟った各組織の手で、即座に復旧。もしくは、日常をヴェールで覆ったが為に…。
 その水面下で起きていた出来事について、一夜が明けて発覚しない。
 
 どこだろうと普遍的に始まり、普遍的に終わりに導かれる、薄氷の上の日常の守り方だ。

SYSTEM :
 ただ此度の一件は…当事者にとってそうも行かず。
 そして当事者にさえ、その全貌は定かではなかったのである。

SYSTEM :
 一分弱の時間を持って、通信衛星は当該地を中心に複数個所で麻痺が続き。
 各地でこの混乱を好機としたFHセルが行動を開始。

 特にその『麻痺』の発生した箇所においては、全貌も定かでない凶事が展開されてゆく。
 混乱に乗じた諸勢力の動きの処置に追われたこと、そもそもの初動の異様な速さもあって、現地での対応はすべてが後手に回った。

『刻知らず』 :

 ───北米イリノイ州シカゴ、抗争は常態通りに激化。

    連絡叶わず、情報の更新も滞ったまま。しかし、ただ薄氷の日常と非日常が歪に続く。
    来るもの拒まず去るもの赦さず…そう呼んで差し支えない状況“だけ”が。

『刻知らず』 :

 ───南極の『ゲート』関連施設、通信完全途絶。のち、各施設の迎撃設備が暴走。
    UGN、FHともに、事態を把握するものないまま、未開の地は暗雲に包まれる。

『刻知らず』 :

 ───黒海を極秘に運航する某国R対応艦、ハイジャック。
    掌握されたR対応艦を含む部隊は進路を変更しつつ奪還部隊を強硬に迎撃。
    その目的は不明、声明未だなし………首謀者のコードネームに、UGNとの合致例あり。

『刻知らず』 :

 ───ユーラシア大陸FHセル、全体の4割が原因不明の沈黙。同時にその全てが救難コードを発信。
    その中心点は中国と思わしいが、じわじわと沈黙するセルが増加していくことも含めて、詳細不明。

『刻知らず』 :

 ───神城グループ傘下企業、突如として纏め上げられ、異様に先鋭化した反会長派によるクーデター発生。
    声明もなく、表面化もしないまま、勢力図は瞬く間に二分化。日本各地の勢力図に混乱が発生。

『刻知らず』 :

 ───ブリテン諸島、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国。
    影絵の城と、影絵から滲み出す御伽噺の発生報告。
    これにより消息不明…のち、赤い目のジャームとなって危害を加えるオーヴァードが多数発生。

SYSTEM :

 だがその中で、再び行方をくらました”雷人”は、未だ目的を明かすことなく…。
 何れの刻も知らず、歩めずの怪物たち。
 行いは、水面下の世界を、善悪問わずに嵐に引き込んでゆく。

SYSTEM :
 それは、文字通り国家に挑戦状を突き付けられたも同然の合衆国政府。
 …ひいては統合作戦本部直属のテンペストもまた、同様であった。

 ひとつ、いやふたつを除いて。
    ・・・・・
 本来は対岸の火事だったにも関わらず…。

SYSTEM :
 …それがたった一人の男のために燃え上がる、果てしない火路の薪。

 奇しくも始まり、かつて一度…いや、二度起きた出来事…。
           ・・・・・・・・・・・
 端的に言って最多の、同時発生する世界の危機であった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了したよ!
 ロイスの宣言はある?

GM :
 …あ。ちなみに「PC間ロイス」は、
 次のシーンで明確に取得を指定するけど…。

 いまこの段階で右隣のPCに取得した場合に限り『先行して取得した』ものとして扱うよ。

シドニー・ヘス :
……。"雷人"にロイスを

GM :
…おや。

GM :
わかったよ。感情は?

シドニー・ヘス :
好奇心/〇恥辱です。……このままでは終わらせません

GM :
いいだろう! アレだね…

GM :
「このままでは済まさん」だ。

シャラ :
オレはイーや。様子見様子見。

ノア・ウィンターズ :
ボクは……
いろいろあり過ぎて、逆に誰か一人って感じでもないんだよねー
ここはパスかな

GM :
いちお…ミドルにその猶予はあるからね。
保留にしてもいいとは思うよ。

マキナ :
うーん……同じくパスで

GM :
オッケー。

GM :
ではシドニーちゃんは
ロイス欄に記入しておいてね!

GM :
…じゃ、次のシーンに行ってみよう!

SYSTEM :
 ………………
 ………………


・Scene3『防衛線-Last stand-』


SYSTEM :

【Scene:防衛線-Last stand-】

Scene Player:All
   Erosion:OFF

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 大陸北部、UGNの勢力が活発な方向に属するミネソタ州。
 支部代わりの、暫定中継施設。

 気絶した”デキュラ”/ノアと、“電子の妖精”を運び込んだ翌日のことである。

SYSTEM :
 結論から言えば摘発は失敗…否、厳密に言えば摘発のための調査許可申請そのものが狂言だった今。作戦の土台はあって無きが如しだった。

 統合作戦本部直属のテンペストが考えるべきは、国益を大きく損なうテロリストが実在した事実、そして大半は対岸の火事になった事実。

 何よりも…。

SYSTEM :
 ………何よりも。

 その運び込んだ少年少女を、
 どう扱うのか、という部分でもあった。

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「…報告は以上です。大佐。
 蛇ではなく鬼が出たようですな」

O-6/エイブラム :
「事のあらましは分かった…。
 UGNシカゴ支部への直談判は不可能、そもそもあの市が渦中と来た。
 今はUGNに対応を要請したところだ」

O-6/エイブラム :
「………しかし………此方としても、黙って静観するわけにはいかない。
 統合作戦本部は、行動を開始した“刻知らず”の存在をきわめて重く見ている」

SYSTEM :
 …居合わせていたシドニーが。

 二人のことを正直に口にしていなければ。
 電子の妖精に関する事実、ひいてはノアの持つ『雷人』との共通性を、“ホワイト・スカイ”は口にしていない。

 その事情説明の際…あるいは彼ら彼女らに僅かな時間とて、自分より多く接したシドニーに。
 軍人ではないあなたに、その判断を投げかけているようでもあった。

SYSTEM :
【Check!】
 シーン対象者が指定されています。

 Player:Sydney 

シドニー・ヘス :
「…… ……」

 弦のように張りつめた背筋。
 かたく組まれた後ろ手。
 ・・・・
 シドニーは、まだ迷っている。明け渡された裁量にそもそも気付けないほど愚鈍で、兵士に向いていたのなら、その苦悩はなかった。

シドニー・ヘス :
 「シドニー・ヘス伍長」なら、報告すべき情報はいくつもあった。彼女の判断で上官に隠匿を試みる権限も、理由もない。

シドニー・ヘス :
 一方で。ただのシドニーは、テンペストという組織を……あるいは星条旗を掲げる深淵を、そう畏れてはいない。
 ひそかに築かれた薄暗い実験棟の中で、その身を拓かれた今でさえ。

 だから迷う理由は、運び込まれた少年と少女の立場を危ぶめるという、想像しやすい恐れじゃなかった。

シドニー・ヘス :
 ……軍人として、為すべきことを。

 だが、そのために。未完成の兵士がはりぼての自分を補強するために、彼らを犠牲にするのか、と。

シドニー・ヘス :
 未解明の敵に対する特効薬として振りかざす結果に変わりはないと、シドニーが自己弁護する。すかさずシドニー自身が助力を乞うのと個人の意識に費やすのは同列ではないと反駁した。
 思考は禅問答じみて、互いに噛み合わないまま巡っている。

シドニー・ヘス :
 後回しにする選択肢はない。ここで報告するか、しないか。それだけだ。問題を先送りにした時点で隠匿の事実は残る。

(……ああ、そっか)

 だから少佐は、報告を買って出たのかとシドニーが得心する。お互いのタスクと言いながら、大部分を担ったのは彼だ。
 いずれ事実が露呈するにせよ、内密に報告するにせよ、ここでの彼女の沈黙は上官の意向だと判断される。

シドニー・ヘス :
 誰かに守られなくては兵士にもなれないのかと、卑屈な思いが感謝に先んじた。良くない傾向だった。
 ……答えを出せないまま、シドニーが口を開いた。

シドニー・ヘス :
「はい。追及できる状況にないだけで、事の非はUGNにあると言わざるを得ません。
 この一件に関して、われわれは主導権を握れる立場にあると考えます」

 歩幅を合わせるのではなくリードを持つ。危機的状況だが、これは同時に絶好の機会でもあった。

O-6/エイブラム :
「ああ。シカゴ支部における監督責任を問う形で、UGNに刻知らずの鎮圧を要請…」

O-6/エイブラム :
「しかし…同盟国であるニホンを含め、西側諸国における被害の予見。その収束見通しの不透明さを鑑みて…。
 我々は引き続き、UGNの活動に協力する手筈となる。

 先に対応を要請するとは言ったが、ほぼ…こうなる見込みでな」

O-6/エイブラム :
「そこに貴官の話が加わる。
 事態解決のチームを設立した折、そのイニシアティブを我々が握ることを、ペンタゴンは期待している…」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「条約通りの活動となる日本と、ここアメリカはともかく…。
 それ以外については、聊かグレーな干渉ですな。その辺りは?」

O-6/エイブラム :
「テンペスト…ひいては統合作戦本部と懇意のPMCか。彼方の立場を使わせてもらう。

 あるいは、それこそUGNだ」

O-6/エイブラム :
「…合衆国はその威信にかけて、テロ行為に対する否を突きつけねばならない、と。
 私は貴官らへの通達に先んじて、伺っているよ」

SYSTEM :

 実態は、恩を着せる行いと一緒だ。

 あるいは大国の威信にかけて、自らの国土を中心に荒らし回ったテロリストを容認してはならない、と。
 そうした、比較的真っ当に近い動機もあるだろう。それがまったくの建前なのかと言われたら、人間はそれほど一辺倒には出来ていない。

SYSTEM :
 もちろん合衆国にそのような各地に行動する予算はない。世界の警察を気取る最盛期も過ぎて久しい。
 しかし統合作戦本部は、その予算の負担をUGNと分け合う形で、R社会のイニシアチブを握ろうというのだ。

 元より踏み込むべき機を見出せば踏み込む気風が、星条旗を掲げるあなたの祖国である。

SYSTEM :
 …それに関して、表面上理解を示した“ホワイト・スカイ”が何を考えていたのかは定かでない。

O-6/エイブラム :
「しかし、いきなり“各地を飛び回れ”と言われても、無理難題だろう。
 その根拠、手段、貴官らには順を追って説明させてもらいたい。よろしいか?」

SYSTEM :
 エイブラムには、病院で巻き込まれ、オーヴァードとして覚醒した一般人…。

 そのような名目で”デキュラ”/ノアは扱われている。事態の裏側を悟られることなく。あるいは、そもそも現場判断をあなたたちに委任しようとする暗黙の了解によって。

 “電子の妖精”に関しても同様だ。

SYSTEM :
 …更に言えば、そもそも“電子の妖精”については。

 元がRBということも手伝ったのか、彼女はオーヴァードでない人間には視認できていなかった。
 皮肉にも、テンペストの目付/管理職でもあるエイブラムは、彼らの主流から外れた非オーヴァードだ。それ故に先送りに出来ていた。

シドニー・ヘス :
 領土と条約の範囲内が、いま合衆国として介入できる範疇だ。
 立場と権威の垣根に縛られない一点においては、その名を掲げるだけあってUGNに一日の長がある。彼らの名ひとつで省ける手間がいくつもあるなら、使わない手はないのだろう。

シドニー・ヘス :
「はい。国家の保全と脅威の排除に努めます」

 本懐にも建前にもなる理念へ、教科書じみた同意を唱える。
 果たすべき使命と、真新しいラベルの貼られた感情。
 仮面の男の言葉がシドニーの裡でいくつか思い出されては、押し込められていった。

シドニー・ヘス :
 ……一般人。そう呼ぶには懸念は列挙できるほどあり、もう一人の『おなかま』は大佐の知覚外だ。
 彼らにとっての幸運は、シドニーには味方しない。上官の間近に正体不明の存在を安置する現状は、あるべき姿とやらに拘る彼女に軋みをあげさせていた。

シドニー・ヘス :
「根拠……ですか? はい、お願いします」

 身を乗り出すのを戒めるように、シドニーが居住まいを正す。
 陸路には限界があるし、海路と空路は天候に左右されすぎる。急を要する事態にあって世界中を巡るのは、現実的ではない。
 現実を侵蝕するのがぼくたちと、ぼくたちを宿した人間だ。シドニーが大佐をまっすぐ見る一方で、ぼくは傍らに意識を傾けた。

O-6/エイブラム :
「ああ、先日、貴官らが持ち帰ったという“闘争卿”のR因子を帯びた物体だ。
      レネゲイドクリスタル
 触れ込み上は賢者の石だというらしいが、これについて…判明した事実がある」

O-6/エイブラム :
「現在世界中に発生する電波障害…そして、そもそも“刻知らず”が各地で行っていたテロ活動。
 特に、発電施設や軍事基地等、被害の広がりかねない箇所について…。
         E M P
 その時に発された電磁波と同じ周波数の、微弱な電波を放出していた点だ」

O-6/エイブラム :
「また、1分弱の停止の憂き目に遭い、現在も不定期に不安定な稼働となっている場所はすべて…。
 過去、一度以上被害に遭った場所でもある。

 被害に遭いながらも、そのような再発が起きていない場所もある。なぜ、を突き止めるのは難しいところだが」

SYSTEM :
 …電子の妖精による停止と、“刻知らず”…。
 厳密にはおそらく『雷人』によるものと思しき機能不全。
 少なくとも、電子機器に関する事故には二通りの形がある。

 そもそも電子の妖精が本当に自覚の是非を問わず、暴走事故の加害者であったのかは怪しいところだが、こればかりは…。
 当事者の認識を訪ねてみるより他にない。

O-6/エイブラム :
「その中で、現在も強力な障害が発生している地域においては、報告にあった“闘争卿”と同じようなエージェントが展開している…。
 断片とて流入する情報の限り、そのように判断できる」

O-6/エイブラム :
「そして貴官らの報告の限りでは、対抗および捕捉手段にそのRクリスタル…同種のレネゲイドが必要なのだったか。
 
 その点、それを確保したのは此方。
 各国のオーヴァードで対処というのは無理な話だろう」

O-6/エイブラム :
「従って、移動手段は少佐のゲートを筆頭とする長距離移動手段を使い…。
 現地UGNやテンペスト、およびそこに紐づいたPMCのバックアップを受けつつ、電撃的に、同周波数の地域におけるもっとも脅威となるエージェントを撃破する。

 攻略手段や対象の特定と並行しながら、だ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「米軍として直接国に乗り込み、その痕跡を他国に残しては、首尾よくテロが収束したとて次の火が燃え上がってしまう…。と」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「大佐の立案で?」

O-6/エイブラム :
「いや…私はそこまで器用な人間じゃあないよ。
 まだ若造だ。統合作戦本部の判断のスピーカーに過ぎない」

SYSTEM :
 …上記の話に嘘はない。

 通信障害や電子機器のジャミングが現在も続く箇所、そこに恐らく、闘争卿と極めて近い形で、Rクリスタルを介した強力な能力行使を行うオーヴァード(ジャーム)がいる事実。
 ・・・
 ここは、まったくの事実だ。

SYSTEM :
 しかし彼らのうち、既に交戦報告があったシカゴ支部の“H³”をはじめとした彼らの無敵の盾を砕いたのは。

 デキュラの同種のレネゲイドではなく、おそらくは、“電子の妖精”の持つ何らかの能力だ。
 前者が有効なのは『雷人』固有の特性に対するカウンターであって、あの電子化による位相回避とは話が違う。

SYSTEM :
 さらに言えば、移動手段自体もそうだ。
 雷人も電子の妖精も、電子の流れを通って国境も空間も、制約を超えて自在に移動していたのだが、それは“デキュラ”/ノアにも同じことが言える。
 まだ本人以外も移動させられるか定かでない、仮に判明しても『個人』以上の実用範囲なのか測りかねることも含めて、その手段はテンペストの上層部相手には秘匿されていた。

SYSTEM :
 …そして何方も、ただの保護されたオーヴァードであり、イリーガル以上の付加価値を加えた場合のことを。
 シドニーが口にする前から、少佐は避けたがっていたように見えた。

シドニー・ヘス :
 意識の海にメモが次々に書き留められては、確かめる張本人の在不在で選り分けられていく。

「対処の主体はあくまでも、対抗手段のある我々。各地を飛び回る無理難題を実現してでも、解決にあたる必要があるのですね」

 それも行き当たりばったり、なにごとも臨機応変に。
 エージェントを見つけ出しても、そのとき有効打があるとは限らないわけだ。次は聞き分けが良いといいけど、この意気込みぶりじゃあね。

シドニー・ヘス :
「……えと あ……」

 自嘲的というよりは、端的に事実を述べる大佐の返答。
 気まずい顔を隠そうとしたシドニーが、とっさに俯く。それはもっと拙いと爪先と見つめ合ったときに気付いて、勢いよく顔を振り上げる。

シドニー・ヘス :
「あ、あの。ひとつ確認させてください」

O-6/エイブラム :
「許可しよう、伍長。どうした?」

シドニー・ヘス :
「上の方は……統合作戦本部は、その。優先的に対処すべき地域について、指示はありましたでしょうか……」

シドニー・ヘス :
 ……この作戦に外交が絡んでいるとしても、シドニーに関係はない。彼女はそれで胸を痛めるほど幼くはなく、大勢の味方でもない。

 これは単に、じぶんの首を絞める行いだ。

SYSTEM :
 ところで。
   ・・
 その愚問に思慮や苦言を呈するものは、
 この場にいない。

 実際の感情はどうあれ、少佐でさえそうだ。
 優先的に対処すべき地域など、
 こと合衆国の立場で言えばわかり切っている。

SYSTEM :
 ………エイブラム・ジョーンズ。
 学校出の自認『若造』は、当然それに対する回答を持っていた。

O-6/エイブラム :
「統合作戦本部からの指示はない」

O-6/エイブラム :
「しかし…我々の摘発作戦における事態鎮圧と、テロの危険に国民と同盟国が晒されるという事実。
 我々が何に忠誠を捧げたのか…その事実を、よく憂いて行動するべきとの訓示はある」

SYSTEM :
 …彼らが主導権を握る以上。
      ・・・・・・・・・・・・・・・
 究極的には被害の多寡はコントロールできるのだ。
 もちろん、事態の解決を大前提にした上で、だが。

O-6/エイブラム :
「ほかに…何か問うべきはあるかね」

シドニー・ヘス :
 ほっと息をつく。何に安堵しているのか、彼女自身もよく分かっていないだろう。

シドニー・ヘス :
 Semper Fi
「常に忠誠を」

 合衆国憲法を国内外すべての敵から支持し、防衛すること。真実の忠誠を尽くすこと。
 ……第一に置くべきものが何かは分かっていると、届かない天上へ向けて。

シドニー・ヘス :
 現場に判断を委ねられている……とは言えないだろう。一国が主導権を握るとは、そういうことだ。
 ただ少なくとも、この現状が利用できる切り札よりも、解決すべき事態として扱われている事実は確認できた。

シドニー・ヘス :
(……それに。もし、もしも。試されているのだとしたら)

シドニー・ヘス :
(あたしじゃなくて……)

シドニー・ヘス :
 あえて悪く言えば故意に情報を操作している一時の上官を、シドニーがちらと伺い見る。

シドニー・ヘス :
 意図に沿うべきかどうか、シドニーは今も決めあぐねていた。
 大佐の目には映らない、対"刻知らず"の有効打。まだ目覚めない少年が秘めた可能性と限界。

シドニー・ヘス :
「昨晩、こちらに搬送された少年についてですが……」

シドニー・ヘス :
「まだ意識は戻っていないと伺いました。大佐のほうで何かご存知のことがあれば、教えてください」

シドニー・ヘス :
「……その! なにぶん有事ですので、助力を乞うかもしれないと思い……」

SYSTEM :
 一時の上官は、その伺うような視線に眉一つも動かさなかった。

 数奇かつ重荷に等しきこの初陣で、向けられた視線に混じったノイズを。
 大佐は果たして感じ取ったのか、どうか…。

O-6/エイブラム :
「む…藪から棒だな」

シドニー・ヘス :
はわッ

O-6/エイブラム :
「其方に搬送されたという民間人のことなら聞いている。
 彼は…7割と、5割を乗り越えた方であることもね。ただ…」

O-6/エイブラム :
「…事態への特効薬ならいざ知らず、そうでない人間に軍事的役割を求めるなど酷だろう。
 まして、そのような者の保護こそUGNの役割ではないか」

O-6/エイブラム :
「ところで、搬送された少年の詳細については…。
 私は現状況をさほどと把握していない。どうだったかな、少佐?」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
「外傷等は少なく、覚醒直後の能力行使によるものと断定しています。
 目を覚ますのはそう遠くなく、事情聴取も、そこからでも遅くはない…」

O-6/エイブラム :
「ああ。此方に、共同作戦従事者であるイリーガルの迎えも来るのだろう?
 望まぬ立場ならば彼らに委ねて構わない」

O-6/エイブラム :
「………しかし最低限の疑惑は持っておくべき、ではあるな。
 彼の戸籍や家庭事情がどうであれ、暫くは帰せない。そのことは念頭に置いてくれ」

”ホワイト・スカイ”ダン・レイリー :
Roger.
「了解」