《Fortes_fortuna_adjuvat》 チャットログ:メイン2


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雑談ログ
観客席ログ

目次

・ミドルフェイズ解説
・シーン「情報収集(“リグ・ヒンサー”/“貴人の庭”)」
・シーン「情報収集(“黒鉄の狼”/“御手翳す開放者”)」
・シーン8「Alea iacta est-賽に身を委ねて」
・ミドルフェイズ(再開)
・シーン「情報収集(“血色の探求”)」
・シーン9「Sacrificium-あるいはそう嘯く」
・シーン10「Festina lente-対岸にて」
・対話シーン1(七花胡、ラーゼス)
・対話シーン2(合流)
・ミドルフェイズ(ラウンド2)
・シーン11「et tu Brute-曰く、二度あることは」
・シーン「情報収集(“雷神の槌”)」
・ミドルフェイズ(再開)
・襲撃(VSヘカトンケイル)
・対話シーン3(アレウス、ラーゼス)
・対話シーン4(夏瑞珂/”御手翳す開放者”)
・シーン12「Hermit-時のよすが」
・シーン13「Memento mori-弱者の行く先」
・対話シーン5(夏瑞珂、ラーゼス)


・ミドルフェイズ解説

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

『逢魔狩り』。三草由芽。
 ファントムストークスの構成員。
 豊かな感情を持つ少女性と、ノイマンの精密機械性が織り交ざった歪な人物。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【ミドルフェイズ:『東欧遺産戦線』】

 ミドルフェイズの進行に伴い、
 ローカルルール「東欧遺産戦線」を適用します。

 長期の解説になりますが、
 適宜質問等あれば雑談タブで回答します。 

SYSTEM :
【1-1:はじめに】
 ミドルフェイズの進行については、基本的にローカルルール(ハウスルール)です。
 ルール上の不備があった場合はプレイヤーフレンドリーに対応したいと思っています。 

SYSTEM :
【2-1:ミドルフェイズの目的】

 PL/PCは下記の目的のための判定を並列して行います。

1:“黒鉄の狼”の抹殺(および『遺産』の奪取)
2:FH三大勢力への干渉・協力
3:不確定情報の解明 

SYSTEM :
【2-2:ミドルフェイズの区分】
 ミドルフェイズ『東欧遺産戦線』は「フェーズ1」と「フェーズ2」が存在します。
 
 フェーズ1の終了条件は「2回目のクリンナップが終了する」ことです。
 フェーズ2の終了条件は「下記のいずれかを満たす」ことです。

・プレイヤーおよび『友好』勢力を除いたすべての勢力値(※後述します)が「0」になる
・もしくは「“黒鉄の狼”」のHPが「0」になる

 上記いずれかを満たした時点でフェーズ2は終了し、クライマックスに移行します。 

SYSTEM :
【2-3:ミドルフェイズの遊び方】
 ミドルフェイズ『東欧遺産戦線』は次のプロセスで判定を進行します。
 なお、ここでの「イニシアチブ」「メイン」とは
 戦闘におけるラウンドと同じ単語を使用していますが、厳密には異なるものとして処理します。

セットアップ:情報判定/調達判定
メイン:行動の選択・判定
クリンナップ:“黒鉄の狼”/諸勢力の行動

 セットアップ⇒メイン⇒クリンナップ⇒セットアップ⇒メイン…と続きます。 

SYSTEM :
 なお「ラウンド1回まで使用可能」については、円滑なゲームの進行のため次のように扱います。
 
・セットアップの「情報判定/調達判定」の時に「ラウンド1回」のものを1度使用可能
・メインの行動判定の時に「ラウンド1回」のものを1度使用可能 

SYSTEM :
~つまり?~
・セットアップとメインは「別のラウンド」として処理します
・「1ラウンド=1シーン」として扱いますが、別途発生するシーンはこの限りではありません 

SYSTEM :
【3-1:セットアッププロセス「情報判定/調達判定」】
 セットアッププロセスにおいては情報判定、または調達判定を行います。
 各PCはそれぞれが「どちらの判定を行うか」「どの項目/アイテムを調達するか」を選びます。

 情報判定は、特定の『関連項目』によって難易度の低下するものが存在します。
 関連項目判定がクリアされている場合、それぞれ対応する数値分、その目標値が減少します。
 関連項目ひとつにつき「5」点目標値が減少します。 

SYSTEM :
 ※情報項目は「情報」タブに記載します。

SYSTEM :
~つまり?~

・ターンの初めに情報判定か調達判定か択んでね!
・情報判定は関連項目を開けると難易度が下がっていったり、
 その勢力をひいきしたり特定の関連項目を空け切るとオートで連鎖開示されるものがあるよ! 

SYSTEM :
・暇になったら調達判定でもしてらっしゃい

SYSTEM :
【4-1:イニシアチブ・メインプロセス/行動先の決定】
『メインプロセス』での行動を決定します。
 PCはそれぞれ次のアクションを執り行うことが出来ます。

1:FH主要幹部への攻撃
2:FH主要勢力への協力/妨害
3:“黒鉄の狼”への攻撃
4:セットアップで可能な行動

「メインプロセスで行動を行った」キャラに関しては、その段階で『登場侵蝕』が発生します。
 状況に応じて「セットアッププロセスでのみ行動を行う」という選択も可能です。 

SYSTEM :
【4-2:FH主要幹部への攻撃】
 イタリアFH三大勢力『“リグ・ヒンサー”』『“貴人の庭”』『“御手翳す開放者”』に所属する主要エージェントに攻撃を仕掛けます。
 攻撃はそれぞれ既定のシチュエーション下(FS)と直接戦闘で行われます。
 また、特定セルリーダーおよび“不朽讃えし懐刀”はある条件を満たすことでトリガーシーンとして強制対決が行われる可能性があります。 

SYSTEM :
 重要エージェントを失った勢力は後述する『勢力値』が大幅にダウン(-10)し、その分の勢力値を「PCたちが」獲得します。
 撃破した際、彼らが所有する何らかのFHエンブレムまたはアイテムを『接収・強奪』という形で保持し、
 さらに『撃破したエージェントの持つDロイス』はバックトラックにおける『Eロイス』扱いとして計算されます。

 ただし重要エージェントの居場所は対象の情報判定に成功していないと判明しません。 

SYSTEM :
※所持するアイテムについては情報タブに記載します。

SYSTEM :
 特定の条件を満たすと、これら主要エージェントが“黒鉄の狼”に襲撃を受けることがあります。
 襲撃を受けた主要エージェントは必ず『死亡』し、同時に『異能の継承』が発生します。 

SYSTEM :
【4-3:FH主要勢力への協力/妨害】
 任意の判定(肉体or運転<任意>/感覚or知覚/精神or知識<任意>/社会or情報)を用いて、
 指定した勢力の活動を支援、もしくは妨害します。 

SYSTEM :
・支援の場合
 対象となる勢力の活動を支援します。目標値は共通して「6」です。
 判定を行い『[達成値/10(少数点切り捨て)]+1』の数値分、対象となる組織の勢力値が増加します。

・妨害の場合
 対象となる勢力の活動を妨害します。目標値は「対象の勢力値/2」です。
 判定を行い『[達成値/10(少数点切り捨て)]+1』の数値分、対象となる組織の勢力値が減少します。
 指定した勢力以外の勢力値は[減少した数値-1]分増加します。 

SYSTEM :
【4-4:“黒鉄の狼”への攻撃】
 現時点で遺産『タイプ:ケラウノス』を保持する“黒鉄の狼”への戦闘を仕掛けます。
 厳密には戦闘というより「攻撃を仕掛け、離脱する」行動を1セットとし、
 プレイヤーの被害を避けるために『いずれかの協調可能勢力による追跡』に混ざって攻撃を加えます。 

SYSTEM :
 任意の判定(肉体or白兵/感覚or射撃/精神orRC/社会or交渉)を使います。
 判定を行い『[達成値/10(少数点切り捨て)]+1』+『協調した勢力の勢力値/2(少数切り捨て)』の数だけ1d10のダイスを使用。
 その数値の結果分ダメージを与えます。ただし特定のシーンが発生するまで、黒鉄の狼は受けるダメージが軽減されます。

 その後、離脱を行います。離脱は『回避/知覚/知識<レネゲイド>/交渉』いずれかで行い、
 その目標値は[20]です。この時達成値には『指定した勢力の勢力値』を加算します。
 
 達成に失敗した場合、“黒鉄の狼”との直接戦闘に移行します。1ラウンドの経過とともに離脱可能です。 

SYSTEM :
(※フェーズ1時点では「本格的な攻撃」は行えません。)

SYSTEM :

 フェーズ2以降、必要に応じて決戦を挑むことが可能です。
 挑んだ場合、その瞬間、PC1をシーンプレイヤーとした強制的に戦闘を伴うトリガーシーンが発生しますが、
 挑んだ時点で退路はありません。よく考えて挑みましょう。 

SYSTEM :
【5-1:勢力値とは?】
 イタリアFH三大勢力『“リグ・ヒンサー”』『“貴人の庭”』『“御手翳す開放者”』は、
 それぞれがこのローマ市に勢力を保持しています。
 この『勢力値』が「いまローマで活動するFHセル、FH諸勢力をどのくらい傘下にしているのか」を示します。 

SYSTEM :
リグ・ヒンサー:15
   貴人の庭:20
御手翳す開放者:15

 フェーズ移行時など、勢力値の高低によってイベントが発生します。
 基本的にエリアマップ時、それぞれの勢力カラーにマウスカーソルを合わせることで現在の数値を確認可能です。

SYSTEM :
 フェーズ移行時など、勢力値の高低によってイベントが発生します。

 また、ゲームの進行によってはプレイヤーがローマに勢力を保持したり、
 特定の勢力との完全な協調状態となることがあります。
 勢力値を保持している場合、または「完全な協調状態」でシナリオを進行する場合は
『自身・友好勢力の合計勢力値/3』分、シナリオ中あらゆる判定のボーナス修正が加わります。

SYSTEM :
【6-1:クリンナッププロセス/“黒鉄の狼”の交戦結果】
 プレイヤーが活動を終えると“黒鉄の狼”がすべての勢力に攻撃を仕掛け、
 三大勢力のそれぞれの勢力値を「5」ずつ、プレイヤーの勢力値が5以上ある場合は「3」減らします。
 その後、それぞれの勢力が『勢力値/2(少数切り捨て)(最大10d10)』の数だけ1d10のダイスを使用。
 その数値の結果分ダメージを与えます。こちらのダメージも、特定シーンが発生するまでは「合計」から軽減されます。

 尚、この結果、つまり「プレイヤーの手を介さずに」黒鉄の狼のHPが「202(最大の33%)」まで減少すると…。 

SYSTEM :
【6-2:諸勢力の行動結果】
 続いてFH三勢力のうち活動可能な勢力が「自組織の勢力拡大」か「他組織への攻撃」を行います。
 どちらを行うかは、各セルリーダーのAIに基づいた判断を取ります。 

SYSTEM :
【6-3:諸勢力の行動結果/各行動について】
1:自組織の勢力拡大
  自身の組織勢力値をプレイヤーと同じ判定を行って回復します。
  ただしこの時、回復の上限は[3(達成値20)]として扱われます。

2:他組織への攻撃(FH勢力)
  他組織(FH三勢力)に対する抗争を仕掛けます。
  プレイヤーと同じ判定を行います。この時の減少上限も同様です。 

SYSTEM :
3:他組織への攻撃(プレイヤー)
  プレイヤーの場合は下記の判定を『指定したPC』に要求します。
 『運転or知覚or知識or情報:目標値「勢力値/2」』
 『白兵or射撃orRCor交渉:目標値「勢力値」』

  失敗した場合、勢力の関係キャラクターが「判定対象者」のもとに出現し1Rの戦闘を行います。
  この時任意で他プレイヤーが登場することは可能な他、
  襲撃を仕掛けてきたキャラクターが戦闘不能になった場合は死亡したものとして扱われます。

  ただし、襲撃の対象キャラとして選ばれたキャラの組み合わせによっては、
  戦闘を回避することが可能かもしれません。 

SYSTEM :
【7-1:NPCカード】
 ミドルフェイズ中、任意の場面で記載されている条件に沿って、下記のカードを使用できます。

No Limit:いつでも制限なく使用できる
Round/1:「1ラウンド(ミドルフェイズの1ラウンド換算)」につき1回使用できる
Phase/1:「フェーズ(フェーズ1/フェーズ2)の切り替わり」につき1回ずつ使用できる
Scenario/1:「このシナリオ中」1回だけ使用できる 

SYSTEM :
 カードはシナリオ中、プレイヤーの行動によって増減します。 

SYSTEM :
 ※カードの詳細は「情報タブ」に記載します。

SYSTEM :
【8-1:デウスエクスマキナチャート】
 本シナリオの進行そのものが下記のいずれか、もしくは諸事情で困難になった場合、
 シナリオクラフトルール同様の「デウスエクスマキナチャート」を展開します。

・全ての勢力の勢力値が[0]となり、尚且つ“黒鉄の狼”が決戦で撃破不可能な状態にある
・フェーズ2から数えて「5」ラウンド経過 

SYSTEM :
 ※発生する「デウスエクスマキナチャート」は情報タブに記載します。

SYSTEM :
~つまり?~ 

SYSTEM :
・セットアップ
 情報判定を回そう! または調達判定でなんか仕入れとこう!
 この世の中は弱肉強食! 勢力の減退したFHは勝手に死ぬぞ!
 だから情報判定は『“自分で”潰したい勢力・人物』か『興味がある人物』がオススメだ!

SYSTEM :
・イニシアチブ/メイン
 動くやつ決めよう! 勢力のうち『自分たちと手を組める勢力』は貴重な盾だ!
 でかい勢力を盾にして、黒鉄の狼を後ろから卑劣斬りしよう!

 それはそれとして気に入らない勢力があったら削ったり、
 何ならセットアップで判明した敵の屋台骨を殺しとこう! お前のものは俺のものだ!

SYSTEM :
・クリンナップ
“黒鉄の狼”が三大FH勢力に喧嘩を売るぞ! 勝手にやってろ! 
 それはそれとして各勢力が殴られる中で反撃して最大HPを削るので、上手いこと利用してやろう!
 ただ、各勢力も気分で動くぞ! 何かが琴線に触れた瞬間こっちにヘイトを向けるので要注意だ!

SYSTEM :
・最終的には?
 いい感じに周りのものを使って“黒鉄の狼”のHPを削ったら雷神の槌と書いてタイプ:ケラウノスを殺してでも奪い取ろう! 
 あとなんか陰謀を感じちゃうそこのアナタ! いろいろ調べておくと後で便利かもだぞ!

SYSTEM :
 ローカルルール「東欧遺産戦線」の解説を終了します。
 ご清聴ありがとうございました。▼

 健闘をお祈りいたします。▼ 

SYSTEM :

【Round-1】

SYSTEM :
【Check!】
 セットアッププロセスに移行します。
 情報判定/調達判定が可能です。 

夏瑞珂 :
“黒鉄の狼”について調べるわ

夏瑞珂 :
……伝手を頼るわ。〈コネ:傭兵〉を使います

GM :
 承知しました。では判定をどうぞ。

夏瑞珂 :
4dx+1 (4DX10+1) > 10[2,3,4,10]+9[9]+1 > 20

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています...

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントはありませんでした。
 シーン展開を希望しますか? 

夏瑞珂 :
お願いするわ

SYSTEM :
【Check!】
 シーン展開の希望を確認しました。
 セットアッププロセスの判定確認後、シーンを展開します。

ラーゼス :
“アセルス・デスミオス”の助力を借りて、〈情報:FH〉で“御手翳す開放者”を調査する。技能はないので、目標値が低い方で挑戦したい。

“アセルス・デスミオス” :
ホッホイお呼びとあらば即参上!
流石に向かい側は大将の許可取らにゃあいきまへんけどね~

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

・エンブレム:前科者(Round/1)
 PCを1名指名して発動。
 そのラウンド中(発生シーンを除く)に行う判定のダイスを[+2dx]する。 

"七花胡" :
勤勉に働くように。ちょっかいはご法度ですよ。

夏瑞珂 :
遊びにきたわ

夏瑞珂 :
〈援護の風 LV5〉を使います。いい?

“アセルス・デスミオス” :
いらっしゃ~い ちなみにですねお嬢さん…

GM :
 問題ありません!
 ラーゼス自身も問題がない場合、
 援護の風を適用し(またコストも適用して)判定を行ってください。

夏瑞珂 :
 

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 52 → 54

ラーゼス :
では助力に与るよ。ありがとう

ラーゼス :
(1+2+5)dx (8DX10) > 8[1,3,3,4,6,7,7,8] > 8

ラーゼス :
……人間社会は難しいな

夏瑞珂 :
わお~ん

“アセルス・デスミオス” :
ヒュ~ッ、しくじったらおっさんが叱責の強制カバーリングだったとこだ

“アセルス・デスミオス” :
なにしろさっき刺されましたからね釘をね…

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています...

SYSTEM :
【Check!】
 イベント発生を確認しました。
 セットアッププロセスの判定確認後、シーンを展開します。

ラーゼス :
む…

ラーゼス :
わかった。覚えておく

アレウス :
俺は“リグ・ヒンサー”を調べよう。
判定は〈情報:FH〉だ。

コネも使うとしよう、《コネ:FH幹部》だな。

アレウス :
……ン、しかし念には念を入れておくとするか。

アレウス :
AIDAをラグ無く使用するにはガンドルフに乗っておく必要があってな。
《コーリングシステム》も宣言したい。これでスカイキッドに搭乗する。

“Mr・A” :
淑女の扱いはコツがあるということサ

GM :
データ的なものなら問題はないでしょう! 
そのまま判定にどうぞ。

アレウス :
ああ、では振るぞ。

アレウス :
(1+3+2)dx+4 <社会:情報(FH)> ステ+AIDA+コネd 技能Lv+《ハイペリオン》 (6DX10+4) > 10[2,3,4,4,6,10]+3[3]+4 > 17

“Mr・A” :
タツの子…ツチの子…じゃなかった

“Mr・A” :
お茶の子さいさいといったところか
ジャパニーズは難しいねえ

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています...

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントはありませんでした。
 シーン展開を希望しますか? 

アレウス :
ふむ……

アレウス :
するとしよう。

SYSTEM :
【Check!】
 シーン展開の希望を確認しました。
 セットアッププロセスの判定確認後、シーンを展開します。

"七花胡" :
では自分は、“貴人の庭”を担当しましょうか。
情報:警察で。

GM :
何か使用するものはございますか?

"七花胡" :
念のためレインボウファイアルと、ミーミルの覚書を《コネ:警察官》に置換して使用します。前者は保険ですね。

“アセルス・デスミオス” :
この街でサツって機能してんのかなあ…

“アセルス・デスミオス” :
まあ使える分にはいっか。じゃあ張り切ってたのんますよ大将。

GM :
というわけで問題ありません! 
準備が出来たら判定をどうぞ。

"七花胡" :
6dx+1 情報:警察 (6DX10+1) > 10[1,1,2,5,7,10]+9[9]+1 > 20

"七花胡" :
どうやら「優秀な」警察官がこの街にもまだいたらしい

“アセルス・デスミオス” :
その意味深な括弧は本心なんすか?

"七花胡" :
本心ですよ? 「誰にとっての」優秀かは、御想像にお任せしますけど……♡

“アセルス・デスミオス” :
じゃあ想像の中でじっとしときまーす

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています...

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントはありませんでした。
 シーン展開を希望しますか? 

"七花胡" :
お願いします。

SYSTEM :
【Check!】
 シーン展開の希望を確認しました。
 セットアッププロセスの判定確認後、シーンを展開します。

SYSTEM :
【Check!】
 セットアッププロセスの判定を全て確認しました。
 “ラッシュライフ”を使用しますか?
(※使用時のリスクは情報タブをご参照下さい) 

"七花胡" :
行動を喧伝して得られるものは得より損の方が多い時節でしょう。まだその時ではありませんね。

記者? :
不採用ですよ! 猿渡さん!

SYSTEM :
【Check!】
 セットアッププロセスの判定を全て確認しました。
 シーンの展開準備を行います…。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・シーン「情報収集(“リグ・ヒンサー”/“貴人の庭”)」

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

 クストーデ・デラ・レギナ
『不朽讃えし懐刀』。
『貴人の庭』の戦闘エージェント筆頭。
 罪と愛の象徴。女王を護る矛であり盾。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 “リグ・ヒンサー”が戦力確保のため打診した外部セルや勢力のうち、大きなものは二つある。

 一つは“ファントムストークス”の“死滅天隕”。
 もう一つは、その名で喧伝こそしてはいないが、嘗て中国黒社会で名を馳せた“八仙過海”に名を連ねる“七花胡”率いるエージェント・チーム。

SYSTEM :
 その二人の邂逅は、“リグ・ヒンサー”としての意味ではないものを持っていた。

 むしろ飼い主と、懐刀を結果的にへし折られた女王の現在を“確認”しようという判断のもと、彼らはそこに集結し向かい合う形で“来客”を待っていた。

 片方の根城での邂逅が作り出す力関係の、あるいは1秒先で敵地足り得る危険性のリスクを天秤にかけ、択んだのは後者だ。
 そもそも前者でも、後者のリスクがあり得るからである。

SYSTEM :
 …未だローマで活動中の警察官にあたりをつけた“七花胡”はともかく。
 AIDAとの秘匿通信で招き寄せたお客様は、というとだ。

“黒き者”ヴィカラーラ :
『まさか…彼の”マスターハーヴェスター”から、自分の古巣との連絡を希望されるなんてね』

“黒き者”ヴィカラーラ :
『“荷物”はそっちに送ったわ。よろしくやって頂戴』

SYSTEM :
 との発言から、恐らく実際の情報収集役がここに来るわけで。
 本人が直に出向いて話をしよう、という感覚ではなかったが、最後に彼女はあなた/アレウスに一言だけを残したという…。

“黒き者”ヴィカラーラ :
『我武者羅に築き上げた強さ、生来から持っている強さ。強さには色々あるけど…ねえ“マスターハーヴェスター”、私こうも思うのよ』

“黒き者”ヴィカラーラ :
『どちらだろうと“守る”ようになったらお終い。飢えなくなったら、求めなくなったら、FHの人間としては落第だわ。

 ………貴方はどうかしら? ふふ…』

SYSTEM :
 その、調査対象として恃んだものに対する、嘲笑にも興味にも聞こえる言葉が、今、腹に何を抱えているかも定かでない七花胡と向かい合う、あなた/アレウスの脳裏に残っている…。

アレウス :
「くっくっ……」

 脳裏に残る言葉を反芻する。
 一粒のコーヒー豆を指の上で転がし、口に含み、サンブーカを流し込み、豆を嚙み潰す。
 強いアルコールの風味の中に、コーヒーの苦味が混じるのは、正にあの女傑の"一言"のようだ。

 飢えなくなったらそれで終わり。
 喰うのではなく、食料を護るようになればそれまで。
 当たり前のことを言われるということは、当たり前のことが出来ていないということだ。

アレウス :
「(確かにな。
  俺に落ち度があるとすれば"そこ"さ……)」

アレウス :

 だが、まあ、いい。
 あの女の言葉はいつもいつも、的を得ていながら皮肉じみている。
 ムカつくことだが、最大のスポンサーであることも変わりはない。

「──というわけだ。
 "黒き者”からの使者が来る」

アレウス :
「俺たちの連合組織にとって、目下最大の脅威は、この土地を縄張りにしている三つの竜首だ。
 とはいえ、竜は巨大だからな、身動き一つで、情報の波を揺らす」

アレウス :
「それくらいの情報は、国外にも届いている。
 つまり、だ。
 情報の鮮度と質……必要なものは"黒き者"がその存在で保証しているということさ」

"七花胡" :
「流石の情報網ですね。あの"黒き者"直々の使者とは。
 “死滅天隕”の名は、随分通りが良いと見える」
 素直な称賛だ。
 あくまで徒党として……個人の借りを作ることなく、この男の手札に便乗できた事実は、外様の身には覿面の恩恵だ。

"七花胡" :
「昔に彼女のもとで一仕事でも?
 何やら愉快なことでもあった御様子でしたが」
 カフェコットを一口含んでから、視線を寄越す。
 ちなみにアルコールは飲んだ端から分解だ。ソラリスの特権。

アレウス :
「なに、そこまでのもんじゃない」

アレウス :
「俺はギャング……"リグ・ヒンサー"上がりの小物さ。
 とてもオーダーオヴブラックと肩を並べられるようなタマじゃない」

アレウス :
「ただ、そうだな……」

アレウス :
 ・・・・・
「思想の一致があった、という事だろうな。
 いまやFHの半分以上は……例の"博士"を崇めているもんだからなァ。
 そういう意味では激励をくださったということなんだろう」

 違うだろうがね。

"七花胡" :
「成程。共通の敵……と言うとやや誇張ですかねえ。
 貴方が彼をわざわざ『お嫌い』なのは、イデオロギーの押し付けが煩わしいからですか?
 特に貴方は御自分のセルを持っておられる。FH全体の『竜首』が誰にすげかわろうと、あんまり関係ないのでは?」

アレウス :
「つまらんプライドさ」

アレウス :
「俺は──そうだな、俺は何度も裏切りで死にかけた。
 兵士をやらされていた時も、ギャングに居たときも、そして今も」

アレウス :
「そして、裏切り、裏切られてきた人生で、唯一確かに言えることは……」

アレウス :
 ・・・・・・・・
「一度裏切った奴は、
 ・・・・・
 二度裏切る……ということだ」

アレウス :
「だから俺は……例え諜報の一環だったとしても、
 裏切りを行うという事、それそのものが嫌いでね。
 それだけさ……俺がヤツを忌み嫌うのは」

アレウス :
「つまらんプライドだろう?
 こんな話をすると酒が不味くなる。
 わざわざ足を運んだ使者に、不味い酒を渡すわけにはいかんな」

"七花胡" :
「(……成程、成程。要は所属そのものではなく、一貫性が琴線なのでしょうね。
  この手のタイプは敵と見定めたら執念深い。地雷を踏む前に、確認できたことは思わぬ収穫でした)」

"七花胡" :
「いいえ? 品性があって大変よろしいかと。
 矜持でも一線でも縄張りでも、何でもいいですけど。守るものがないと、獣みたいではありませんか。
 欲望と本能は違う。捨てることもできたのに、守ることを選んだから、我々はそこに値打ちをつけるんでしょう」

"七花胡" :
「なーんて。つい尋ねたくなってしまったもので。
 深堀する話題を間違えましたね、失敬失敬……♪」

アレウス :
「結構なことだ。
 次の酒の席で、今度は俺から尋ね事でもするとしようか」

"七花胡" :
「おお怖い。一体何を訊かれるのやら」

SYSTEM :
 その話が偏に“筋を通せ”…と、ギャングの在り方を指し示すものだったことを、彼は知っていて口にしたのか、いないのか。

 コードウェル博士が今日の都合で魂を売ったものかはともかく、両者“気に入らない”事情が、まさにその貫き通すべき欲望に照らし合わせて存在するのは事実だ。
 それは、時としてしがらみとなるが、時として利用できるカードにもなる。

SYSTEM :
 さて、堂々とバーに向かって“ゲート”を開くような荒唐無稽は、UGN本部の“ミリオンサンズ”が場所こそ択べども実践しているが…。

 結論から言えば此処に来るものたちはそうではなかった。階段を下りる音は二つ分。
 見知った顔ではない。少なくとも“セル/クランの先遣”という性質の強い類なのだろう。

SYSTEM :
 そうしてあなた/アレウスの顔を見ると、特になんら仕草を見せず寄って来る大柄な方と小柄な方。

オーダーオヴブラックA :
「“マスターハーヴェスター”」

オーダーオヴブラックA :
「そっちのは? いいなら今から話すけど」

オーダーオヴブラックB :
「………………」

SYSTEM :
 大柄な方は恐らくこちらが“ゲート役”ないし“護衛役”だろう。

 件のクランは殊更に集団戦術が得意分野である。その“役割”のエージェントを多数そろえ、必要に応じて必要なものを組ませて仕事を実行する………。と言ったところだ。

アレウス :
「ああ、構わん。
 こっちは、今の協力者だ」

"七花胡" :
手をひらひら おかまいなく♪のしぐさ

オーダーオヴブラックA :
「ん。………」

アレウス :

 ツーマンセルで来たところを見ると、オーダーオヴブラックが直々にか。
 己惚れているわけじゃないが、こいつらとはいい勝負が出来そうだ。

オーダーオヴブラックA :
「その言い方だと手持ちのじゃないんだ。
 …奇抜なのばかり集めるとは聞いていたから、そこのもそうかと思った…」

オーダーオヴブラックB :
「………」

オーダーオヴブラックA :
「…そっちのは護身代わり。
 喋らないから気にしない」

オーダーオヴブラックA :
「じゃ、始める。………前置はスキじゃないし」

"七花胡" :
顔を合わせた彼の手勢を思い返す 確かに奇抜だったな…… ……あれらと一緒か……

アレウス :
「手持ちは居るが、向き不向きがあるもんでな」

アレウス :
「了解した。
 こちらとしても無駄話が少ない方が助かるね」

SYSTEM :
 ファントムストークスの手勢と言えば、基本的にはひと癖揃いだ。外見的にも内面的にも、なにしろ望んでハグレモノになった連中揃い。
 …それと互角かどうかはともかくとするが、“七花胡”が初見にて無条件の信頼を懐く背格好なのかと言われると諸説がある。

SYSTEM :
 無駄話を厭ったあなたの対応に、特に愛想を見せることもなく彼女は口を開く。

 ………所感の一言さえも口にしないのは、およそ仕事の範疇を脱するからだろうか?

SYSTEM :
【Check!】
 情報『“リグ・ヒンサー”』を開示します。 

SYSTEM :
【組織:“リグ・ヒンサー”】

 ローマの都市郊外に広がるフォツェーネの沿岸部等、イタリアの玄関口や流通経路を主な根城とするFHセル。
 組織名はヒンドゥー教の「暴力(ヒンサー)」と「賛歌(リグ)」を組み合わせた造語であり、
 直訳するならば「暴力賛歌」ということになる。

SYSTEM :
 台頭そのものは最も古いが、元は非オーヴァードにより運営されて来たアジアの移民系ギャングチームが土台であり、レネゲイド解放からFHの暗躍が表面化する頃にボスが代替わりした。
 元々は弱小組織であったこのチームは、他マフィアの利権、人材、時には組織ごと吸収するかたちで勢力を広げていった。湾岸線を拠点とした彼らはローマに進出。ローマ支部の粉砕を契機とし、麻薬、売春、賭博………正に黄金時代を迎えることとなる。
            ア ス ラ
 組織のリーダーは「“赤の鬼人”」という名と、それにまつわる過去の伝説的武勇のみが知られており、本名は意識的に隠蔽されている。

 優れたバロール・シンドロームの使い手であり、UGNのローマ支部が決定的打撃を受けて崩壊した原因として、この男の悪名はベネツィア支部を中心に高らかに響き渡っていた。

SYSTEM :
 しかし、その黄金時代のオーヴァードは“赤の鬼人”を除き殆どが死亡、または消息不明となっている。

 その経緯は全て3年前に集約されており、それ以来組織としての規模は縮小こそないものの、良くも悪くも維持と安定に努めている状態。

 かつての黄金時代の”名残”を切り売りし、集まったものは事情を知らないチンピラ上がりや悪党紛いに過ぎない。
 一方、その時期から何を理由にしているのか毒を承知で抱え込んでいる優秀なエージェントや、イデオロギーを持たず優れたFHマーセナリーらとの関係を強く持つようになった。

オーダーオヴブラックA :
「“帝釈天”ってのが前者で…。
 後者の中でひときわ優秀なのが…“神に仇名す毒蠍”…」

オーダーオヴブラックA :
「人員ずいぶん変わって、あとは本拠地とあちこちの傘下でお山の大将…。
 ………他力本願やってるんだって? なら猶更、ローマでやりたい放題やっていた話のメッキが剥がれると困るんだろうね。事情通がずいぶん秘密にしたそーだったよ」

SYSTEM :
 …“護身代わり”のレネゲイドの活発さは逃亡もしくは潜入、強行突破などに“使った”後なのだろう。
 何食わぬ顔で補足を終えた彼女は、何も聞かねばその足で何処かに行く勢いだった。

"七花胡" :
「(3年前といえば……“御手翳す開放者”が勢力を拡げ始めたのがその時期だったと、駄馬は言っていたはず。
  ”リグ・ヒンサー”の何かしらのトラブルを好機と見た“御手翳す開放者”が、活動を活発化させた────と考えれば、辻褄は合いますね)」

"七花胡" :
「失礼。自分から質問しても?」

オーダーオヴブラックA :
「………」

オーダーオヴブラックA :
どっちに? の顔。

"七花胡" :
「今おしゃべりしてくださってるのは貴女でしょう?」にこ

オーダーオヴブラックA :
「まだ何かあったの…いいけど」

"七花胡" :
さっさと帰りたそうなのを隠そうともしない様子に、気付かぬふりで笑顔を決め込んで続ける。

"七花胡" :
「”リグ・ヒンサー”の黄金期の終わりは『3年前』、と仰いましたね。
 その頃、一体このセルに……いえ」

"七花胡" :
「このローマで何があったのか、知っている限りで教えていただいても?」

オーダーオヴブラックA :
「…察しが付く癖に? …」

SYSTEM :
 表情から分かる“えぇ…”の態度は帰る気というより、仕事場で無駄な時間を使いたくない人間の態度。
 しかし、無用な質問でないのも分かるからか、すぐにその空気と並列して口を利いた。

オーダーオヴブラックA :
「…“そこ”で“赤の鬼人”は屋台骨を根こそぎ失った…その事実をよほど隠したかったようだけど、なんてことはない。
 …と、いうか…事の次第は別にローマじゃないし…」

オーダーオヴブラックA :
「その当時はまだ”貴人の庭”と縄張り争いの最中…。
 だけど連中には連中で何かゴタゴタがあったみたいで…特に幅を利かせていた時期…」

オーダーオヴブラックA :
「………何かの都合でシゴト引き受けて、ローマの外に出て。そこの戦闘中に、籤運悪くて“伝説”を引いた…。
    ・・・・・
 あとは死に損ないの負け犬1匹……」

オーダーオヴブラックA :
「………あいや、二匹か。
 そっちは調べてないし、“貴人の庭”もそう。二つちょっかい出せとは聞いてないから、気になったら自分で調べて…」

"七花胡" :
「察しが付くだけでは、妄想と同じですから」

"七花胡" :
「……成程。ローマの外で、“赤の鬼人”は“黒鉄の狼”と遭遇し、諸々捥がれたと。
 負け犬は“赤の鬼人”ともう一匹。そちらと、あと“貴人の庭”の方の事情も、当てがあるので良いとして……」

"七花胡" :
「……"帝釈天"や“神に仇名す毒蠍”が、“赤の鬼人”の周りに侍り始めたのはいつ頃なのでしょう。
 彼がローマにもどってきてすぐ?」

アレウス :
「……、そいつは俺も気になるな」

 含みのある沈黙の後、関係者たるこの男も口を開いた。

オーダーオヴブラックA :
「………後者は別に昔からってわけじゃない。”何度か”伝手を持ったってだけ…。
 あんまり裏で名高いタイプでもないし、何してたかなんていちいち知らない…」

オーダーオヴブラックA :
「前者も“すぐ”じゃない…予め落ち目が分かってて来たタイプじゃないと思う…。
 ただ、こっちは暫く根付いてるみたいだけど…」

オーダーオヴブラックA :
「………何、次は身辺調査?
 それとも掃除前の確認でもしてる?」

アレウス :
「いや、なに……」

アレウス :
「グラスに注がれた新しい酒の味と、生まれが、気になったくらいでね、俺は」

オーダーオヴブラックA :
「…」

オーダーオヴブラックA :
「じゃあ聞くけど…」

オーダーオヴブラックA :
「寄りもしない大樹なのに、酒の味が気に入らなかったら………」

オーダーオヴブラックA :
「………いやいいや。めんどい。
 そっちのポリシーと見た………」

アレウス :
「流石の状況判断だ」

オーダーオヴブラックA :
「仕事だから…」

SYSTEM :
 言いかけた言葉は“別にそっちの責任でもない樹の根腐れ/根付いたものを気にしてどうする”の意味を含んでいたが、あちらはいちいち言葉を挟みたくもないらしい。

SYSTEM :
 ただ、もう片方、一切口を利かない方。
 それが一度だけ視線をあなたに寄越し………。

オーダーオヴブラックB :
「………」

SYSTEM :
 グラスを指差して、それから“新しいグラス”を指した。

SYSTEM :
 …“リグ・ヒンサー”と銘打った酒が、もし。あなたが好まない味に仕上がっていたとしたら。
 気に入らない理由は、それを注いだグラスの汚れなのか。それとも余所から入って来たワイン(あるいはワインですらない酒)の苦みなのか。

アレウス :

 ──俺の心を覗くつもりか?

 そうでなかったとして、その意図がどういうものであれ。
 口にされていた時に、俺は感情的な手段に出ていたのだろう。
 それを錯覚させるほどの嫌気があった。

アレウス :
「フッ」

アレウス :
「あの女の元に居るからには、さぞ食わせ者だろうと思っていたがここまでとはな」

アレウス :
「とにかく、アンタらが今の"リグ・ヒンサー"の構成員に対して……、
 より詳細を問うのは、難しい事であるのはよくわかった」

アレウス :

 これ以上を求めるのであれば、ベクトルを変えて彼らに質問攻めをするか、
 それとも、くだんの本人たちを直接嗅ぎまわる以外方法は無いのだろう。

「……」

アレウス :
「だから"赤の鬼人"は──例の狼を見たときに、あそこまで狼狽していたというのか」

 幾つか湧いて出てきた疑問を一度しまい込み、

 ……、……。

アレウス :

 今ので充分だ。

アレウス :

 何が起きたかは、考えずとも自ずと推測できる。
 それだけの状況証拠があの場には多く転がっていた。
 そうだ、納得してしまえる。
 組織の現状も──俺を育ててくれた兄貴たちが、もうすでに死んでいる事も。
 知って、それを、受け入れてしまえる。

 俺の熱が──あの場にもう無いことに、思いいたる。

アレウス :

 納得はした。

アレウス :

 だが──……。

アレウス :

 それでも、この胸内に湧いてくる、
 炎のような盛りは、一体なんだという?

 自分が育った居場所がもう無いからか?
 それとも、偉大な先達たちがもういないことか?
 それとも、■■■■■ていた"ボス"の現在を見たからか?
 

アレウス :

(そうか、俺は……グラスの中の酒でも、グラスの汚れでもない。
 ……グラスの持ち主が、堕ちたことに、……打ち拉がれているのかもしれんな……)

アレウス :

 ──つまらない、プライドだ。

アレウス :

「……どうだ"七花胡"、他に何かあるか?
 俺は、今ので充分だ、知りたいことは知れた。
 あとは個別に調べていくしかあるまい」

"七花胡" :
 大男の示唆の意味を類推しきることは難しかったけれど、それがどうやら隣の彼にとって何かしらの琴線に触れるものであったことは確からしかった。
 言葉の間隙に含められた僅かな沈黙。推し図る義理もなしと、返事の意味も含めて小さく首を振る。

"七花胡" :
「いいえ、自分ももう、特には。
 使者さんも、質問に答えてくださってありがとうございました」ニコ

オーダーオヴブラックA :
「仕事だから…」

SYSTEM :
あまりに愛想のない即答である。
UGN育ちのチルドレンに跳ね返りがいてもこうは(おそらく)なるまいが。

オーダーオヴブラックB :
「…………」

SYSTEM :
 もう片方は、ほんの僅か見えた“警告”を確かなものと受け取ったらしい。
 少なくともやり合え、という命令を受けていない自由裁量において、そこに踏み込むことを是とはしなかったのか。あるいは“それ”を解答として受諾したのか。

 踵を返す小柄な方に合わせて踵を返す。傍らで何かを言うこともなく、渡したものに対して激励の旨を告げることもない。

SYSTEM :
 解に曰く、オーダーオヴブラックは彼女の私兵だからだ。
 それはある種、秩序のもとの上下関係よりも厳格で遊びがない。

SYSTEM :
 ………ところで。お客様はもう一人いる。
 いや、ローマからしてみればあなたたちは揃いも揃って厄介事を運び込んだお客様だが。

SYSTEM :
 “貴人の庭”の方の事情。当てがあるのも当然だ。
 “七花胡”/謝花とて伊達や酔狂で単身と数名の都合の良い駒だけ連れてやってきたわけではない。何の準備もしない庭師なぞいない。

 ローマにはいくつかのアテがある。表事情に詳しい人間、財政や法曹に食い込みながら新しい風を欲する/国を憂いている、その二択にいる人間。
 貴人の庭を警戒したあなたが、ローマの無法すれすれの薄氷をよく知る者にアタリを付けていないことはなかったわけだ。

SYSTEM :
 ………代わりに入って来た初老の男は、ローマに本部を構える海軍傘下の湾岸警備隊の出である。
 既に退官した身だというが、警察組織にコネを持つ彼との接触をここで済ませる予定だった。

SYSTEM :
「………あー、失礼。
 胡という男はここに………」

SYSTEM :
 …男の視線が、少し怪訝に細められる。
 いや、怪訝というよりは…。

元警官 :
「………ンン?」

元警官 :
「………もしや…そこにいるのはクラウスの目を掛けていた小僧か?」

SYSTEM :
 何を隠そうクラウス・C・クリスティ…。

 その男は表社会とも太いパイプを持つ人間だ。警察の一人や二人、都合で付き合わせた例がないではない。

SYSTEM :
 彼に”世話”になった身を隠す僅かな時間、あまりにも柄ではないパーティーの出席で、官僚に紛れ、やや退屈げにしていた警官が一人いた。

 月日は経ち、少年は青年になり。
 警官は退官して久しい壮年の面構えになった、というわけだ。

元警官 :
「しかし…どういう取り合わせかな。
 私の人違いであれば赤恥だ、念のため名を伺っても?」

"七花胡" :
「どうも~、お待ちしておりました。自分が胡、貴方をお呼び立てした方です。
 どうぞどうぞ、此方まで来て是非一杯。遠慮なく。奢りますよ?」

"七花胡" :
「で、御宅とはお知り合いだったので?」初老の紳士に席を勧めつつも、アレウスの方に視線を寄越す

アレウス :

 ……使者が去り、俺が手に取ったのは「Carpano Antica Formula」。
 甘味と苦味を両立させたベルモッドをストレートで注ぎ、一口嗜む。

 現在の心境を表すような味わいと共に、己の過去を知る男が現れる。
 ああ、確か、あの時のだ。

アレウス :
「見間違いなどではありませんよ、兄貴。
 あんたの記憶通りの、あの時の"アレスの小僧"だ。

 あんたには随分世話になった……もうスリなんてやっちゃいませんよ」

アレウス :
「だが今は仇名で呼ばれることは少なくなってね……アレウスだ、それで頼むよ。

 ──ん、ああ、そうだな。
 知り合いと言えば知り合いだ、良い意味とは言い難いがな」

元警官 :
「フム…。ではアレウスと。
 私も、もはや肩書きが一人暮らしの中年だ。今更スリより性質の悪い真似をしていても咎める手は届かんね」

アレウス :
「フダが付くような事をした覚えはないですな」

元警官 :
「どうか。おまえの話はよく聞いていたぞ。
 知っておろうに、
  Il lupo perde il pelo ma non il vizio
 狼の毛が抜けても悪癖は直らない、だ」

元警官 :
「その点、冷えた目と情熱は、フダが付くような“甘い”真似をする面ではなかった…。
 まあよい。詮索は後にしようか」

SYSTEM :
 若者の厚意とあらば、ひとつ頂くよ、と。その後、彼は“七花胡”の言葉に応じて席に座った。

 根っこから奢られに来たというよりは、礼儀作法の一つと見て受けに来た態度だ。
 真っ当な警官なのかは諸説があるからさておいて、行儀の悪い類ではないだろう。

アレウス :
 風をまき散らす者は嵐をつかむ
「Chi semina vento raccoglie tempesta.

 あなたのところに"それ"を届けた者は、遠からず嵐に呑まれるでしょうな……俺にはあずかり知らぬ事だが」

元警官 :
「言ってくれる。私にも与り知らぬことだよ。
  Non destare il cane dorme
 寝ている犬を起こすな、と説明はしてきた先のことはね」

元警官 :
「………そう、その“貴人の庭”だったな。
 私に、彼らを糾弾しようという義務も権利もないに等しい」

元警官 :
「しかし…おまえがいるなら別だ。
 若者の厚意分、そのひと目盛り先程度は答えてやらねばなるまいてな」

アレウス :
「フッ、俺を誘った甲斐があったな、"七花胡" 」

"七花胡" :
「貸しなんて言わないでくださいよ?」

"七花胡" :
「自分としても、多少の色付けもしていただけると、大変助かります。
 貴方のように、この土地の酸いも甘いも精通していらっしゃる方の助けはなかなか得難い」

アレウス :
「クク、言ったとしても酒1杯……大陸のものを恵んでもらおうと思っていたくらいさ」

SYSTEM :
 警官は少なくとも“貴人の庭”のみならず、嘗てのローマにひとかどの感情があった人間だ。
 いなくとも答えはしただろう(というより“あなた”はそのような分水嶺に頼りはしないだろう)が、そこにセンチメンタルという甘い見積もりが加わるなら、それに越したことはない。

元警官 :
「大陸の品か。確かに、縁のない時はとんと縁がない…」

元警官 :
「目利きの良い男らしいとも聞いているが。貸しの清算で揉めぬようにすることだ」

元警官 :
「…さて。私の事情はとうにほとんどが片付いていることだ。口にするのを厭う事情も、昔よりはない。
 後ろ暗い先の先の事情までは紹介出来ないが、羅馬の地に足を付けた人間として多少のことは知っている………」

"七花胡" :
「中つ国の品が御所望なら、それくらい融通しますよ。ご協力への感謝も兼ねてね。
 もっとも、大仕事を終えた後の話ですが」

"七花胡" :
「“貴人の庭”。"リグ・ヒンサー"の競合相手であり、この土地のあらゆる公的機関を掌握している巨大セル……。
 現状、我々の手にある情報はそう多くありません。
 隣の彼とて、彼のセルの最新の姿を把握しているとは言い切れないでしょう」

"七花胡" :
「よって、彼のセルに縁が深く、なおかつその変遷を見続けてきた貴方に、一通りの講義をお願いしたいのです。
 お供がアルコールという生徒らしからぬ態度には、ややも目を瞑っていただきたいところですがね」
 ぴん、と指先でグラスをつつく。まだだいぶ中身が残っていた。

アレウス :
「なに、気にするな。
 俺はこの人からスイート・ベルモットの呑み方を教わった。
 それくらいは、酔わせてくれるだろうよ」

元警官 :
「ドライを一段飛び越えて物珍しさで揺すられたのだったか? ………と、それはまあよい。
 行儀を語るには我が身を直さねばならんからな」

元警官 :
 Lontano dagli occhi lontano dal cuore
「 去 る 者 は 日 々 に 疎 し という。
 アレウス、おまえがローマの土を踏み直したのがいつか分からぬが…」

元警官 :
「…こいつは肴にするには苦みが強いぞ」

SYSTEM :
【Check!】
 情報『“貴人の庭”』を開示します。 

SYSTEM :
    アウラ・ドミナ
【組織:“貴人の庭”】
 ローマの都市中心部、ローマ有数の高級住宅街であるパリオリ地区等を中心に拠点を広げるFHセル。
 このFHセルそのものが、イタリアのナショナリズム的一面を燻らせていた富裕層やインテリが「レネゲイド」という都合の良い道具を見つけたことで発足したという側面もあってか、政治権力を持つ議員や、各地に太いパイプを持つ資産等との結びつきが非常に強い。
 成り立ちから考えてFHらしさの薄いように見えるセルであるが、一方で排他的・懐古的一面も備える。

SYSTEM :
 台頭そのものはレネゲイド解放からのもので、マフィア的側面の強いリグ・ヒンサーに対して此方はまだしも秩序的な組織運営が行われている。
 単純な組織としての地力は二番手に甘んじているが、裏を返せばここ十数年において組織として対立軸を生めるほど成長が目覚ましい。

SYSTEM :
           カエサルレウム
 組織の現指導者は「“青の貴人”テレサ・C・クリスティ」。若年19にして、オーヴァードとしての面に多くを割きはするが、両方の部分において強かで優れた指導者。
 なお、“青の貴人”の称号は、“赤の鬼人”や後述する“黄の希人”らに合わせた他称とのこと。

SYSTEM :
 …遡ること3年以上4年未満ほど前。どこからか流出した技術を元に行われた多くの孤児や不都合な議員、浮浪者を利用した人体実験が、主導者の逃亡と、当時のセルリーダーであるクラウス・C・クリスティを含めた関係者の粛清を以て中止されている。

 それに伴い“貴人の庭”にはどういうわけか、貴人の庭に強い忠誠を誓うFHチルドレン、イリーガルが大きく数を増した。
 現在の、ひとりのセルリーダーとそれに靡く守り手と言った配置はそれに起因している。彼らが如何なる理由で其方に与しているのかは不明。

元警官 :
「“アレスの小僧”といまおまえを呼ぶものは確かにおらんだろうな…。
 そう呼べる関係者は末端から根元まで、甘く見積もって7割強、ローマを去ったか海で良き“撒き餌”だ」

元警官 :
「………信じられるかね?
 
 父殺しは“あの”テレサだ。
 しかも、主導者の首は晒されていない…」

元警官 :
「今や彼女は君臨者で、独裁者で、また庭の是非をひとりで執り行う管理人でもある。

 ………私は例の”超人”のりくつを知らんから、まあ…どこから、どこまで、抜け道を使っているのかは分からんがね」

SYSTEM :
 男が自嘲気味に語るのは、彼はきわめて白寄りのグレーなラインだからだ。

 だが、ローマでは相対的人格者だった。
 パイプとなる警察組織の嘆願を以て(あるいは、それだけではないのだろうが)生き延びた“だけ”であり、退官の理由など概ねこの語り口から想像もつくだろう。

"七花胡" :
「(また、3年……しかし、“貴人の庭”はローマを根城とするセル。
  “黒鉄の狼”は、ローマの外での一件のはず。
  二つの勢力における転換期が近いのは、偶然の一致でしょうか)」

"七花胡" :
「……セルで過去行われていた人体実験について、詳しく教えていただけませんか。どんな技術だとか、何を目的にしていただとか。
 貴方にとって快い記憶でないことは百も承知ですが……どうか」形作った沈痛な面持ちで

元警官 :
「…そちらの話は白日にさらす前に葬られたし、仔細が“そう”だと知ったのはその時だ。生憎とそこまではな…」

元警官 :
「ただ、活発になった時期は覚えておるよ。
 どう遡っても5年ほど前だ。何か、ローマで妙に波風が慌しい時があった頃だったな…」

"七花胡" :
「ほう? 5年前に何かあったのですか?」

アレウス :
「(5年前、か……)」

元警官 :
「…クラウスのやつ、その前後で“誤算だ”と愚痴を零していたよ。
 私が預かり知らぬことが、全て“そう”だと自惚れることは出来ないが、そうだな」

元警官 :
「当時ボヤ騒ぎは数件あったが、不可解な情報の閉じ方ばかりしていた。となれば、おまえや…胡…貴方の方が詳しいのでないかね。
オーヴァード
 超人の道理というものには」

アレウス :
「そうですな」

アレウス :
「……5年前と言えば。
 "赤の鬼人"が自らの手で伝説を作り上げたのも、同じ時期だ。
 UGNのローマ支部が壊滅した年だった……」

アレウス :
「その時期に人体実験か。
 クラウスの爺様め……」

元警官 :
「………“赤の鬼人”…ギャング・スターの暴力伝説だったか?」

元警官 :
「あれも与太話ではなく実態だったというなら………、それだ。
 あの様子、クラウスだけでなく“貴人の庭”はたいそう弱ったと見える。当時から、何も後ろ暗いことをやっていないはずもないだろうが…。
 ・・・
 実の娘に尻尾を掴まれるほどのことを“やらかし”たならば、その伝説であろうな」

SYSTEM :
 ………ローマ支部を壊滅させた当時、その最大の“強さ”を示した路上の王は彼だ。
 今がどうだろうが、そこに一切の代わりはない。そここそ男の黄金時代。

 当時からお互いがローマを庭と誇り、いがみ合い、折り合いをつけたこともあれば、牙を剥き合ったこともある。
 片方に天秤の大きく傾いた時、ナショナリズムを根底とし、継いできた血の重圧を肩で感じながら、ローマに訪れる“無法”の気配、もしくは別の私欲…。

SYSTEM :
 …クラウスはあれでローマ想いだったが、もともと縄張りは高潔なままでもないことだ。

 あなた自身、十年前から彼らの庭にはリグ・ヒンサー、ないしその前身とは比較にならない技術の進展があったことを知っている。
 そう、まだ………UGNという共通の瘤がないころ、“まだ”お互いが積極的な敵ではなかったころの恩義の頃に垣間見たものだ。

アレウス :

 10年前、対UGN戦線でミスを冒した俺は、“貴人の庭”にその命を救われた。
 その中でレネゲイドを管制する技術の一端や、死したオーヴァードの頭脳を利用する人工知能の開発などを垣間見た。
 特に前者の技術は、海を越えて北米より渡ってきたものでもあったがゆえに、俺も興味をそそられたものだ。

「あれほどの伝説を打ち立てた後だ、勢力バランスを取り戻そうと躍起になったのだろうな」

アレウス :
「内容はともかく、目的自体は見えてくるな。
 で、それを、ティーラ……いや、テレサは掴んだ」

アレウス :
「そうか」

アレウス :
「──死んだのか、クラウスは。
 ……娘の手にかかって。

 そして……殺したのか、テレサは。
 実の父親を」

アレウス :
「……とんだ道化だな、俺は」

SYSTEM :
 最後の一節を除けば、
 警官の沈黙が答えだった。

元警官 :
「…UGNはどうあっても…アメリカ生まれのイギリス育ちだ。
 クラウスはこれをそもそも快く思いはしなかったが、余所者と割り切った上での付き合いにはずいぶん馴れていた…」

元警官 :
「………やつについてはまあ、全てがどうしようもない男だったわけではない。
 だが、この一件についてはおおむね”自業自得”であることだ」

アレウス :
「ああ、だろうな」

アレウス :
「奴は強かだった。
 だが、完璧でもなかった」

元警官 :
「国を創る術は持たなかった…そうだな」

元警官 :
「…そのあたり、おまえが自分に呆れ返る筋があるとしたらだが…だとしても、私はそれを説明する術を持たない。
 時計の針は逆回しにならぬ。儘ならんこともある」

元警官 :
「重要なのは、“貴人の庭”は…。

 それをやってのけたテレサ・C・クリスティの名において、まだ続いているということだ。
 文字通り、根こそぎとばかりに根腐れした苗木と花を引っこ抜いてな」

アレウス :
「それで、そのなれ果ての実験体たちが、今なお忠誠を誓っているという事か」

元警官 :
「そういうことがあるというなら、そうだろう。私は其方に詳しくない…。
 例えばおまえが此処で、《ワーディング》とやらを出したら、無様に寝転び酒に呑まれた失職の中年が生まれるだけだ」

SYSTEM :
 ………敢えて、記すが。

SYSTEM :
 普通に考えて、有り得ないことだ。

 ジャームに上下関係はない。
 あるとしたら、己が下、衝動が上。
 狭くなることはあっても、広くなることはない…。

 忠誠と言う名の利害だったとしよう。
 その上で“ああ”はならない。

SYSTEM :
 しかし………。
 その時期に増えたものを…。
 彼女の守人たちを“そう”と呼ぶのならば…?

 ───その答えを、彼は持っていない。

アレウス :
「兄貴。
 そっちの方面でアンタに期待することはない。
 分相応ってものが人にはあるからな」

アレウス :
「ただ、一つだけ聞いておきたい。
 末端程度の関りだったアンタなら、もしかしたらと思ってな」

アレウス :
「……クラウスの爺様と、テレサの現在は分かった」

アレウス :
「"アドリア"は──どうしてる?
 あんたは何か、知ってるのか?」

元警官 :
「…末端と分かっていてそれを聞くのか? まあ、よい」

アレウス :
「しらみつぶしってやつさ」

元警官 :
「ああ。思えばおまえ、そちらにも懐かれていたか。
 ………いつだったか、ローマの外に出たと聞いたよ。おまえを追ったのか、それとも…」

元警官 :
「…分相応さえこなせんザマだ。
 数ある“兄貴”は、この老年には重いな」

アレウス :
「そうか」

アレウス :
「少し──安心した。
 ま、生きてるかどうかも、分からんがね」

アレウス :

 「貸し」があった時。
 "庭"に匿われていた俺と交流を深めた少女はもう一人いた。
 その片割れが今や庭の主となり、強権を振るう一方で、もう片方が何をしているのかは、いまだ見えてこないままであった。
 
 ……もしも、戻ってきていたら、どうなっているのだろう。
 そうでないことを祈りたい。

アレウス :
「話の腰を折ったな。
 "七花胡"、お前が呼びつけ人だ。
 何かあるなら今のうちに聞いておけよ……根掘り葉掘り、な」

元警官 :
「根掘り葉掘り、か。
 構わんよ、まだ目盛り分までは払っておらんだろう…」

"七花胡" :
 懐古趣味の老人と身内贔屓が揃う場は、外様にはほとほと居心地が悪かった。
 端々で聞けた有用なキーワードが、辟易と相殺してトントンになることを心底願いたい。

「お気遣い痛み入ります。
 では、遠慮なく」

 そしてその辺の内心は、酒の一口と共に全部押し包み隠して仕舞い込んだ。
 解毒の端から営業スマイル。

"七花胡" :
「人体実験の主導者は捕まっていない、と仰いましたよね。
 実の父親ですら例外なく粛清した“青の貴人”……テレサ嬢が、赤の他人をわざわざ『見逃してやる』ことほど奇妙なことはありません。
 それは、逃さざるを得ない理由があったからですか?」

"七花胡" :
「貴方の推測でも構いません。我々は、少しでも積み上げるための石が欲しい」
 彼らの感傷に忖度するのは表情と頼み方までだ。それはそれとして、聞きたいことは尋ねさせてもらおう。

元警官 :
「けっこうだ。貴方の積み上げ方とやらに、私で良ければ貢献しよう」

SYSTEM :
 男がその慇懃無礼にならない程度の恃み方を、どこからどこまで汲み取ったのかは定かでない。

 しかし、拒む様子もなく、その話に合わせて額を小突いて話し始めた…。

元警官 :
「主導者は当然…逃がしたわけではない。
 彼女の判別は、伝え聞く限りで情とは別だ。罪と関与の度合いが全てだった」

元警官 :
 ・・・
「だから肉親だろうと計画の根元にいたなら己の手で裁き、
 計画の外側にいた赤の他人はローマに根付く資格と立場を剥ぐ程度で済ませて来たのだ。

 貴方の言うとおりだ胡よ。逃がさざるを得ない理由、いや………」

元警官 :
 ・・・・・・・
「逃げられたままにする理由があったと…言えようが。
 そこまでは分からない。主導者はその辺り、危機の感知に長けて、狡猾な男だった」

元警官 :
「…そうとも。名は分かる。会ったことはあるのだよ。

 後に伝え聞くに限り、主導者の名前は確か…」

元警官 :
 ・・・  ・・・・・・・・・
「カルロだ。カルロ・フェレーリ」

元警官 :
「…どこか冷めた目付きの男だったよ。
 私よりは若いが、諸君よりは年を食っている。テレサがあれを逃がすはずはないが、何処にいるやら…」

アレウス :
「カルロ・フェレーリ……」

"七花胡" :
「(……仮にも庭の主を標榜する人間が、狼藉者を野放しにせざるを得なかった理由……。
  追撃するための戦力が足りなかった? いや……人質か、あるいは爆弾か。
  何にせよ、追撃を選べばさらに被害が広がるから諦めざるを得なかった、と見るのが妥当でしょうか。
  一つ、確実なことは)」

"七花胡" :
「もしカルロ・フェレーリが再びこのローマに現れたなら……
 彼女は今度こそ、その首でモニュメントを造ってやると躍起になるのでしょうね」

"七花胡" :
「では視点を変えますか。
 先代────クラウス・C・クリスティが、カルロ・フェレーリの主導する人体実験に、加担せざるを得なかった理由について……もう少しお聞きしたい。
 “リグ・ヒンサー”との勢力争いに勝つため。本当に、それだけが理由でしょうか?

 貴方の、忌憚なき意見が聞きたい」

アレウス :
  ・・・・・・・・・
「(なくはない可能性だ。
  何故なら、年代を照らし合わせるのであれば……このローマには、逸れ者を受け入れる鼠の巣がある。

  少々考えずぎは否めんが……)」

SYSTEM :
 ───本当にそれだけが理由なのか?

 示唆するローマの古株を余所に、
 問われた元警官については、考え込む時間の必要性さえもなかった。

元警官 :
「………フム」

元警官 :
「そう難しくない。単純な話だ」

元警官 :
「クラウス・C・クリスティは………、
 家柄と血を受け継いだだけの、老いた男だった」

元警官 :
 UGN
「馬の骨に代々根付いて来たローマの主導権を譲ることも………。
 また、“リグ・ヒンサー”の無学な混ざり物と蔑むような者たちに己の代で家や遺されたものを譲り渡すような真似も………」

元警官 :
「必要な力を求める術が、己の中にはそもそもなかった。
 そんなやつがやっていけたのは、単に、その弱さを覆い隠す術を知っていたからだ」

元警官 :
「…だから私はこう言うのだよ」

元警官 :
「客観的に見て“本当にそれだけ”だが…。
 ・・・・・・
 それしかないなら、手段を択ぶことなど贅沢だとね」

元警官 :
「…尤も私はカルロとは話したこともない。クラウスとの間に、そもそも、いつから、どのように、取引があったのかなど聞いた覚えはない。

 貴方の言う”それ以外”が全くないとも思えんが、老体に言わせたら、そんなものだよ」

アレウス :
   Chi non risica non rosica.
「"危険を冒さぬ者には一銭の儲けもない"……か」

元警官 :
「だがその結果、開いた口に蠅どころではないものが入った………」

元警官 :
「そんなところだ。私に考えられるのは、そこまでだよ」

"七花胡" :
「……庭を統べる者として、破綻を取り戻すためなら飛び込んだ蠅さえ飲み下すつもりだった、と」

 その結果が実の娘による粛清とは、因果なものですね────そこまでは、彼らの感傷を尊重して口にはしなかったけれど。
 “青の貴人”がカルロ・フェレーリを追撃することができなかった理由は、少なくともクラウスの側にはないということは察しが付いた。

"七花胡" :
「成程。それについては、得心いきました。
 では最後に一つ」

"七花胡" :
「何故テレサ嬢は、イリーガルやチルドレンを重用しているのでしょうか?
 粛清によってティレニア海の藻屑にされたエージェントたちがいたにせよ、全員というわけではありますまい。
 彼女が年若たちを中心に手勢を構成しているのには、何か理由が?」

元警官 :
「フム。だが生憎と、“今の”彼女についてまではな………」

元警官 :
「君子豹変などそう起きないことでもない。
 父君を捌いたけじめか、海の餌がよほど多かったか、あるいは………残っているものがよほど信用ならぬか………」

元警官 :
「彼女の聡明さが“そう起きないことでもないコト”で彼方に転がっていなければ、の話だがね」

アレウス :
「単に──"らしい大人"になっただけかもしれんがね」
 ・・・・・・・・・・
 ならざるを得なかった──だろうか?

アレウス :
「それを知るのは本人だけ、という事だろう?」

元警官 :
「そうだ。その年頃が”子供”で括れないことなどは…おまえが知っておろうさ」

アレウス :
「どうだかな」

アレウス :
「戦争を知らずに育ち、後から知った子供と……、
 平和を知らずに育ち、後から知った子供の価値観は違う」

アレウス :
「だが"親殺し"という、血で血を洗う呪いの契りを交わしたのだけは事実だ。
 その豹変と、如何なる事があったのかを知るのは、やはり本人だけだろうよ」

アレウス :
「そこまで気になるなら、自ら聞きに行くことだ"七花胡"。
 華人も時には自らの足で見聞を深めねばなぁ?」

"七花胡" :
「……御尤も! 気になるものは何でもかんでも拾い上げてしまうのが癖でしてね。失敬失敬。
 枯れ葉や枯れ草は、放置しておくと野放図の塒になる。こまめな掃除こそ、庭の手入れの秘訣なものですから」

アレウス :
「生憎この地は、木の実が落ちていても中身が虫食いなものでな」

元警官 :
「育つ猶予を、荒野が許してくれんのだな」

元警官 :
「………其方が何の目的でこのローマを訪れ、また、このローマに求めるものがあるのかどうか。私はそれについて説明する術をもたないが」

元警官 :
「余所の庭とて、眺めて来た庭だ。獲り方を…最悪でも荒らし方を弁えた来客であることを願うよ」

SYSTEM :
 願う、なのは彼の言葉に強制力がないためだ。
 警官…いいや元警官にそんな権力はない。彼がローマに関与する余地があるとすれば、それはあなたたちの知らないところで終わっている。

"七花胡" :
「ご安心を」

"七花胡" :
「すべてがなくなって荒野になったとて、種は芽吹きます。相応しい強靭さを持ったものが、この土地に根付くことでしょう。
 我らが良い客であれ悪い客であれ、何かが起きようが起きまいが、いずれ必ず。
 ね」

"七花胡" :
「少なくとも、自分はこの土地を食い散らかすことが目的でやってるんじゃありませんから。
 それだけは保障します。貴方には、色々聞かせてもらった恩もある」

アレウス :
「華人にしては謙虚なことだ」

"七花胡" :
「おやおや、偏見ですよぉ?」

アレウス :
「実体験さ」

 いずれにしても此奴は"青の貴人"に興味津々と言ったところか。
 そのリスキーな選択が何を生むのかは分からんが、行動の方針だけは見えてきた。

元警官 :
 Chi vivrà vedrà
「時が来れば分かる、か。やれやれ…」

SYSTEM :
 この元警官があなたの最低でも虚言では“ない”程度の言葉をどのように信じたのか。
 それは決して重要なことではなかった。

SYSTEM :
 相応しい強靭さを持ったものとは何なのか。かつてそれと共にあったものから受け継ぎ、足掻いたものが作った庭は、今やどのように変じているのか。
 テレサ・C・クリスティの、そこにいる牙獣が知るような無垢と我儘は、いったいどのように変じたのか。

 老人に識る答えはない。
 ただ彼は、その答えを識る者の何れかが、ローマを血の海に沈めないことを願うばかりである。

SYSTEM :
 …僅かして、夜が更ける前に彼はあなたたちに別れを告げた。

 彼のそのあと。そして彼“が”このあとを知ることは、あるいは、ないだろう。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

アレウス :
俺は…

アレウス :
…ナシだ。

"七花胡" :
自分も特にありませんね。

"七花胡" :
御宅とは、まだ腹の探り合い段階ですし?なんてね

アレウス :
どうだかな。

"七花胡" :
 

GM :
情報シーンの第一歩、互いに勇み足は厳禁というわけですか。

GM :
いいでしょう…。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。


・シーン「情報収集(“黒鉄の狼”/“御手翳す開放者”)」

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

『アセルス・デスミオス』。
『リグ・ヒンサー』に属する客将エージェント、
“七花胡”が率いる部隊に属する一員。
 元々の所属は別のFHセルだったとのこともあるが、
 自他ともに「嘗ての牙はない」と言わしめる昼行燈。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ローマ某所。
 本格的に戦闘の気配が強まるまでの幾何かに与えられた情報整理の折、七花胡から貸し与えられた男は、両手に花、向かい側にプラスアルファの現状でありながら。

 しかし、世界の狭さを小さく嘆いたという。

SYSTEM :
 予め“大将”と呼ぶ上司の指示で、事前にある程度、ジャハーダと呼ばれる組織についての情報は集めて来た。
 そこまではいい。問題はない。問題があるのは情報の内容に対する客観的ツッコミだけである。

 “黒鉄の狼”について、迂闊に夏瑞珂の言う伝手(借り/貸し?)の存在を、急ぎだからと頷いた時も、最低限どのような経路から来るかを確認した。そこも、問題はない。
 彼は彼のもっとも重要なものが傷つかないか以外を特に気にしない。よって、その人物にゴーサインを出した。

“アセルス・デスミオス” :
「おっさんもね、長いこと生きていると…。
 知り合いっていっぱい増えるんだけどねえ」

“アセルス・デスミオス” :
「嬢ちゃん、変なとこに変な知り合いいるねえ…」

SYSTEM :
 言われた本人が、曰く“戦利品”と指し示す鉄扇を仰いで鼻で笑った。

 というのも、彼女の闘争代行人の三年間、まったくトラブルがなかったわけではない。
 騙し、裏切り、時に窮地と呼べるものはあった。あるいは…そこに追い込むことも。

SYSTEM :
 海向こうから海向こうに渡る際、シンガポールだかどこかで、あなたはその海兵崩れの現海賊に出会ったのである。

 ただの海賊ではない。オーヴァードの海賊だ。元々UGNの目が届きにくい中東、インド洋の方面なものだから更に性質が悪い…。

SYSTEM :
 が、その海賊を物理的にぶちのめして以降、付け狙われること2度。何故か“よく”されたこと1度…。
 とりあえず、運よく(悪く?)仕留める必要性のなかった程度の伝手である。

 そいつ、どうもその“アセルス・デスミオス”と縁があったらしい。

海賊 :
「はん! こちらの台詞さね。
 よもや八仙過海と一緒にくたびれた腰抜けが生きてるなんてねえ…」

海賊 :
「…しかしナニか。
 “帯来风暴”! お前、ヒトとつるむのが長続きするようなことはなかったと記憶しちゃいるが…」

海賊 :
「この連れはどういう取り合わせだい」

ラーゼス :
『この連れ』のほうは興味深そうに眼前の女性を見つめている。

海賊 :
「物欲しげなツラしても何もやれんね。
 あたしゃ奪うのはスキだが、くれてやるのは以ての外だ」

夏瑞珂 :
 仇敵の影を追いつ、終ぞかすりもしなかった三年間。憎悪と焦燥が募るだけの日々にも、それなりの意味はあったらしい。
 意味は人の縁のかたちをなして、目の前で像を結んでいる。

夏瑞珂 :
 元海兵というのが当時ひどく癪に障って、追い払えばよかったものを過剰にブチのめしたのがきっかけ。
 二度の報復、一度の共闘。生きるか死ぬかで決着をつけずに済んだのは、たぶんお互いにとっての幸運だ。

夏瑞珂 :
「あなたこそ、ヘンなところにいるのね。海の上はもう飽きたの?」

夏瑞珂 :
「こっちはライオンちゃん。金髪が鬣みたいだから。わたしのお手伝いをしてくれるんですって」

夏瑞珂 :
「そっちの彼は、蜂の死体って聞いたわ。だから虫さんね」

 知り合いみたいだけど。

“アセルス・デスミオス” :
「そうよ、そう。
 あれからおっさん、流れ着いた先で日本の愉快犯テロに遭ってさあ」

“アセルス・デスミオス” :
「名前使わせてもらおーと思った結果がコレなのよ 彼、人生アクセルベタ踏み属だからね おっかないと思う人間にはおっかないだろうって」

SYSTEM :
 恐らくは誰も聞いていなかった余談である。

海賊 :
「フン、小娘が!
 メルヘン崩れはともかく、メルヘンのツレが増えたようじゃないか」

海賊 :
「このあたしを顎で使う人間は、いくらか居たが………。
 ・・・
 頼み事ってのは数えるほどしかいなくてね。飽きもしない仕事一旦そのままにして、上がって来てやったんだよ」

SYSTEM :
 …などという女に頼んだ内容を思えば、半分は、当時自分を全霊で、しかも逆恨みまである内容のもとに叩きのめしに来た娘への興味本位もあるのだろうが。

SYSTEM :
 海兵───そう、海兵だ。

 今がオーヴァードでも、念のため言っておくがあなたが心を許した男たちとは関係がない。
 幾分か話の通じる人間であることは見て来たが、あの不自由で生き抜いて来た者達とは違いすぎない程度に違う。それ以上でもそれ以下でもない。

“アセルス・デスミオス” :
「………ずいぶん長く海の御尋ね者やってるって聞いたけどねえ。ちなみにライオンちゃんはスルーでいいの?」

海賊 :
「左から聞いた話を濾過せずブチ撒けてるだけだろう? あたしゃメルヘンと話してもヘルヘンになる気はないよ」

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
「(……そういえば、生き延びたというのに名を聞きそこねていたな)」

ラーゼス :
「この娘も、呼び名を変えるつもりはないだろう。おれもかまいはしない」

SYSTEM :
 …そう。
 あのあと背負って寝床まで連れてゆき…。

 文字通り床で朝を迎える一方、ベッドに寝かせるその時まで、名を聞くことは終に無かった。

SYSTEM :
 何なら今も。

海賊 :
「そうかい。そりゃ拾われ主には恵まれた…と言いたいが、」

海賊 :
「今のローマでドンパチやりに来た辺り、妙なところで帳尻は合わさってるようだねェ。
 相変わらず、命あっての物種…ってのが頭に残ってない娘だよ」

夏瑞珂 :
おかまいなく! と笑顔。
かまいはしない、への横からの返答。

夏瑞珂 :
「ないわ、そんなの。火種にしちゃうもの」

夏瑞珂 :
「ね──はやくはやく! 聞かせてくれる? あなたにお願いしたプレゼントの中身!」

 せがむように高い声で笑って、待ちきれない本題を促す。

ラーゼス :
「……貴公の態度と、いまの様子を見るに」

ラーゼス :
      ・・
「随分前からこうか。因果な仔猫だな」

海賊 :
「はん…付き合いは長いのかい?
 ああ、いや、」

海賊 :
「長かろうが短かろうが、隠そうとしなかったろう?
 そうさねえ」

SYSTEM :
 その一度の共闘。
 所以を知って、最初の有無を言わせない(あるいはお互いに)態度から多少変わった時の、あなたの一切変わらない無謀に、彼女は命が惜しくないのかと血相を変えたことがある。

 その答えは、当時からおそらく一字一句も変わってはいないはずだ。
 ・・・・・
 そんなことより、とせがむ態度が、きっとそれを示している。

夏瑞珂 :
「みゃ~お」

“アセルス・デスミオス” :
「こないだはワンちゃんしてたはずなんですけどねえ」

ラーゼス :
「では捨て犬……いや、やはり捨て猫だな」

海賊 :
「お前はどっちだろうと責任取れない男だろうが」

 あとそこの他称ライオンは真面目に考え込むんじゃないよ

SYSTEM :
 何しろ合っているのは”捨て”だけだ。

 いや、捨てられてすらいない。
 捨てることさえ不本意で、偶然で、唐突な別れだったことなど、瑞珂以外には知らない。

SYSTEM :
 ………プレゼントの中身をせがまれた女は、辟易半分と、今なお残る憐憫と、また予定通りの興味を向けて、口を利いた。

海賊 :
「あたしゃ、メルヘンには関わらんと言った。
 オーヴァードなんてそのものの付き合いをしてもだ」

海賊 :
「北欧は知っているかい?
 組合じゃ、命が惜しくない時にだけ行けと評判だ」

SYSTEM :
 3年、あなたがそこに何かを求めて行ったことがあるのかどうかは定かでない。

 普通の手立てでは掠りもせず、見つかりもしなかった。
 だが当然だ。鉄と血で見つかるのは本人か伝説だけ。これから消え去ることだけを事実にしたい、そんなバックボーンにあなたは興味を持とうとか思わなかったはずだ。

SYSTEM :
 ………海賊は、少しばかり。
 後ろ暗い後ろ盾を持っていたことがある。

海賊 :
「昔、そのメルヘンそのもの…。
 “プランナー”ってのから、運び屋の仕事を受けた時に、興味本位で聞いたことがあるンだよ。
 まさにお前が“やらかし”てくれた後のことだ…」

海賊 :
「ま、それだけじゃないがね。
 …聞いてもこの小娘は態度変えないだろうから、そっちのライオンの!
     ・・・・
 あんたはどうするか好きに決めな」

SYSTEM :
にんげんじゃないやつ
 メルヘンそのものの方が、

 欲望を隠して正義面したものよりも、
 欲望にまみれた荒くれものよりも恐ろしい。

 彼女はそう言った。下二つは嫌悪で済むが、上は嫌悪すら彼方の域にあると。

SYSTEM :
 では、それが近寄りたくない理由など…。

SYSTEM :
【Check!】
 情報『“黒鉄の狼”』を開示します。 

SYSTEM :
【人物:“黒鉄の狼”】
 ブリード:クロス
 シンドローム:バロール/ハヌマーン
 ワークス/カヴァー:傭兵/傭兵
 侵蝕率:180% 性別:男性 年齢:??

 かつて夏瑞珂の生きていく繋がり全てを炎の中に消し去った、強大な力を持つジャーム。
 あらゆる戦場に現れ、あらゆる敵対したものを食い千切る、伝説を生む餓狼。
 その性質上、10年ほど前のある時期から、特定の周期で戦場に現れるようになっては、彼とあまたの因縁が生まれては消えていっている。

SYSTEM :
 北欧のかなた、さる強欲竜が何かの故あって産み落とした分身。

 知られざるいつかに、竜に育てられた子がいたが、それは“戯れに迷い込んだ人の子にレネゲイド因子を与えた”に過ぎない。

 対して、此方はまことの子。因子だけでなく、血肉を実際に分けて産み落とした世界を“知る”ではなく“動かす”為の触覚。
 本人にその理解と自覚はなく、実際は切り離して以降は完全に放任しており、
 あとはそこに残る高すぎる野性と衝動のみが、彼にひとつの望みを持たせ、その望みの矛先を戦場に委ねさせている。

SYSTEM :
 頂点に至ること。
 ただ強く、烈しく、どこまでも。
 …………純粋無垢な欲望。強さ持つものが等しく持つ夢想。人の世を踏み荒らす、害ある飢えた狼になった。

SYSTEM :
 傲岸不遜で冷酷無情。
 野性の道理…即ち「生きていくこと」「強さが弱さを踏み躙ること」を骨子として生きており、
 それ以外の価値観を認知してはいるが、いざ己の視界に入った時、フラットなまま踏み潰せる。

 善悪でなく、己が刹那の選択を確固たるものと出来る性格。
 留まらねば為せぬ所以を担いながら、流れゆく道程を歩む塵殺者。

SYSTEM :
 彼の持つ『超人的弱点II』は、この竜の血が齎すキュマイラ・シンドロームの『竜鱗』に近い特性の常時発現から来ている。

 竜の鱗一枚は戦士千人の命にも足ると嘯かれるように、同種のレネゲイド、はたまた、別の異常なレネゲイド以外に対して異常な剛性を誇る。
 これはかつて、同じように撒かれた“断片”であるRBが持つ性質をより強固にしたものと考えられる。

SYSTEM :
 解除/中和条件は同種のレネゲイドによる攻撃だが、現時点、それに該当するものは確認されていない。
 あるいは、存在するが、プレイヤーの視点で明らかになっていない。

ラーゼス :
「北欧の……」

ラーゼス :
「竜……」

 反芻するように、口に上らせる。
 それは知っている。この身をめぐる古き血が、欲の興りを見出すたびに警告を示した。

ラーゼス :
「落とし胤、と、いうことか。
 にわかには信じがたいが……」

ラーゼス :
 その落とし胤と同じ動きをしていた男を知っている。探求の風をまとう旅人。
 彼の語った、いつかの「竜」に対する妙な実感は──まさかと思うが、源は同じだったということか。驚きこそするが、問題はそこではない。

ラーゼス :
       ・・・・
 問題は必要な縁のなさ。
 あの剣のような奇跡が、いくらもあるとは思い難い。
 狼の肌に最も通る刃は、その血の縁でしかないのなら──彼はまさしく、無敵の戦士いや災害そのものだ。

ラーゼス :
「……おとぎ話の住人だというのなら、あの暴れ方にも理解が及ぶ。魔神のごときありようだった」

夏瑞珂 :
「────ハ」

夏瑞珂 :
「アハ……」

夏瑞珂 :
「ふ……く、く、く」

夏瑞珂 :
 なんだそれは。
 なんだそれは。
 なんだそれは!

夏瑞珂 :
 北欧がどうの、竜がどうのと! そんなふざけた話があるか!

 積みあげた屍の山で頂を目指すことと、生きることが、そのまま結びついた荒唐無稽。

夏瑞珂 :
 そこに善も悪もない。あれの価値観に照らし合わせてみれば、ただ通り過ぎただけで踏みられるモノのほうが、どうかしているのだ。

 弱いくせに、戦うすべを掲げて戦場に火を熾すこと、それ自体が。でも……

夏瑞珂 :
「ただの ひとかけら」

夏瑞珂 :
「そんなものが──」

夏瑞珂 :
「そんなものに──」

夏瑞珂 :
 くつくつと喉奥から笑いが溢れてたまらなかった。肩が震えて、流れた髪が顔を覆う。

「ばかみたい……」

 世界が終わるような衝撃と窮地を、二度も体感した。そして事実、三年前にわたしの世界は焼け落ちた。

夏瑞珂 :
 だというのに、それを齎したものが、もっと途方もなく強大な何かから分かたれた一部でしかないのか。惜しまれもせず、顧みられることもない、ただの断片でしか。

夏瑞珂 :
「アハハハハ!」

 ばかみたい! ばかみたいだ! わたしも、みんなも! 何もかも!

夏瑞珂 :
 死体と揶揄された男の手を取って、その場でくるくると踊り出す。ああ、傑作だ。可笑しくってたまらない!

“アセルス・デスミオス” :
「はれ? お嬢さんの側から向かって来るとはついに時代が追い付い………、」

“アセルス・デスミオス” :
「………」

“アセルス・デスミオス” :
「ああ、違うなこれ」

SYSTEM :
 言うに及ばず、糠喜びである。

 自らの足元が崩れ出した音を、認めるわけにはいかないと目を逸らす仕草と。
 何ら変わりがないことを、冗談で誤魔化そうとした男はすぐに止めた。

SYSTEM :
 そして、何も言わなかった。

 安い言葉をかけない方がよい、という同情ではない。
 日本にはこういう時に最適な言葉がある。
 誰が言ったか、障らぬ神のなんとやら。

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
「いつもああか?」海賊に問いかける。

SYSTEM :
 平時という言葉を正しく受け取るには短く、しかし表情の具体例を挙げられる程度には付き合いの長い女海賊。

 人の狂う様など見たのは初めてでもない女が、眉をひそめた。反応が遅れた。
 それもそうだろう。

 やり場のない全てを吐き出すような………、まるで、いま強請ったばかりの“おはなし”全てを悪い夢と笑い飛ばすようなさまなど、誰が既知にするものか。

海賊 :
「言っとくがいつもこうなら、あたしゃ溺れた時に蹴落としてサヨナラさね」

海賊 :
「………とんだバケモンの名前せびったかと思えば…ったく、どうやって生きて来たんだか。

 この疑問も何度目か分からんね」

夏瑞珂 :
「死ななかったから生きてるの。簡単でしょ」

夏瑞珂 :
くるくる~

ラーゼス :
「……そうか」

ラーゼス :
「……哀れな娘だ。これほど心を損なうとは。よほど得難い縁だったのだろうな」

ラーゼス :
「仔猫。つづきは聞けるか?
 でなければ、おれのみで聞いてしまうぞ」

夏瑞珂 :
ぴたっと止まった拍子に手を離して虫さんを遠心力と慣性の法則でポイ

夏瑞珂 :
「だーめ。独り占めはよくないわ、ライオンちゃん」

SYSTEM :
 投げ捨てられた虫さん/“アセルス・デスミオス”は、
 これが冗談の罷り通る空気と判断したならば無神経に“あ~れ~”などとほざいたところである。

 忖度や理解とは別だ。全くないとは言わないが、彼はいまさら余所に心を重ねて思い拭けるほど良心的ではない。

SYSTEM :
 強いて言うなら………。
 この時彼の懸念と心当たりは………。

“アセルス・デスミオス” :
「(伝説がそのまま伝説なことあるかよ、大将とんだイモ引いたなあ)」

“アセルス・デスミオス” :
「(………どうすっかな。伝えて雲隠れすっか?
  いや、ないか。大将もそれ考えてたなら“ファントムストークス”のあんちゃん連れて接待しとらんでしょ)」

SYSTEM :
 あとそもそも彼(対象者:2名)の性根を触りだけでも把握していた男にとって。
 目先の、ただ死んでいないだけと嘯く娘の同情よりも勝る感情はひとつだ。だから放られた虫さんはそのまま蚊帳の外。聞き耳欹てる以上でも以下でもなくなってしまった。

SYSTEM :
 そして聞き手の縋るような独占を咎める言葉に、女は小さく鼻で笑う。

海賊 :
「この期に及んで放り出さんのなら、“どうするか”の答えはそれでいいんだね、ライオンの」

ラーゼス :
「ああ。狼は捨て置けないと思っている」

海賊 :
「そうかい。その狼は死体の片付けも序でにしてくれる性質だよ、気をつけるこったねえ…」

ラーゼス :
「そのようだ。
 ……今度は喰われる側になるのはあまりに悪い。気をつけるとしよう」

海賊 :
「そうしとくれ。…知ってるかい?」

海賊 :
「二度あることは三度あるんだ。

 二度死に損なう人間は三度目もある、お前のようなのがどこぞのシミになって“手ぶら”で逃げ果せるようだったら、次は踊り出す程度じゃ済まんね」

SYSTEM :
 概ね肯定の後、本題に戻る。

 今もおそらくは笑っているだろう生き物の、ばらばらに砕けた心を修復する術があったとして、それは足跡さえも残らない過去にしかない。
 それ以外があるかもしれないが、それは概ね楽観であり時間を伴うものだ。

SYSTEM :
 時間が伴ってなおひどくなったものを悪化させることは出来る。”三度目”だ。

 ───あまりにも哀れっぽい様にか、その澱みない退廃にか、略奪者の微かな情けを区切りの代わりに、先の話に補足が入った。

海賊 :
「…先に言っておくが、たまにいる、手順を踏むタイプじゃあないよ。
 イカレたヤツの中にそういうのがいるだろ? 理屈じゃない理屈に付き合ってやらにゃあイカンのがさ」

海賊 :
「ひとしきり付き合わないと”満足です”って頭を差し出しもしてくれないようなタイプじゃない。

 だから極論、今の話を受け流したっていいワケだ。が…」

海賊 :
「そうするなら、今日のローマひとつ分でも足りるか分からんね。

 ………分かるかい? あたしも流石に鉄火場にアドリブで乗り込むほど酔狂じゃない、執念深いのに追われるのはゴメンだからね。
 ここにどの程度の命知らずと酔狂がいるのか…その程度は触りだけでも確かめたさ」

SYSTEM :
     ・・
 その上でそうだ。こと、FHにとって、欲望の障害に強弱の関係はない。

 その話に意味はなく、ましてや“使われる側”/今投げられた死体のようなのには更に関係がない。
 災害は、挑みかかるものを無造作に消し飛ばしながら、喰いでのあるものを喰らい、頂点への礎を変わらず作り続けるだろう。
 その最中に疵はつく。しかし、それは却って性質の悪い話だ。

SYSTEM :
 倒せる“かもしれない”とは言う。
 人は素手で山を掘り進めるくらいの無茶は、時間と友達になればするとも言う。

 だが素手で山を切り崩す、というのは、人の限りには聞いた覚えのない話だ。理論と実行は違う。

ラーゼス :
視線が一度少女に向く。成熟した小柄な体を幼子のように揺らすものに。

ラーゼス :
「(道が違わないかぎり……)」

ラーゼス :
「(あの娘の視界の端の毛玉になるのも、この旅路には似合いだな)」

ラーゼス :
 視線を外す。狼の振りかざす理屈にも理解はした。
 要は「近道など存在しない」ということだ。

ラーゼス :
「傷つけることができたとしても、その途方もない繰り返しで殺されてくれるなら……」

ラーゼス :
「この歴史が動き続けてきた10年のあいだ、伝説で居続けることはないと。そういう話だな」

海賊 :
「伊達にネジの飛んだ目標掲げて出没しちゃいないのさ」

SYSTEM :
 概ね肯定。
 活動していない時期もあるとのことだが、それが疵の治癒なのか、単なる気まぐれなのかさえも定かでない。

海賊 :
「だったらまあ、手段の方ってなワケだが………」

海賊 :
「噂のメルヘンど真ん中が止してくれりゃあいいのに、
 どこぞのひとん家………ブリテンのどっかだったか。

 そこに上がり込んで好き放題やらかしたのは何時ぞやの1回。ざっと10年は前」

海賊 :
「それ以外になんかあったとしても、でかいことじゃない。
 たまたま数年分の悪運使わされるようなのが、縄張り踏み込んでエラい目に遭ったようなのだけさね」

海賊 :
「そんで、その時の落とし物を綺麗に掃除して保管するようなのがいるとしたら、ローマの外で指くわえているヤツの他………。

 当時は相当なもんだったと聞く。ハイエナの1匹や2匹が紛れていたっておかしかない。
 ギルド
 組合も当時からお盛んっちゃ盛んだった。手前の都合で手を汚さず欲しいものを強請るようなやつの手足がね」

海賊 :
        あるかもしれない
「───と、ここまで“希望的観測”を喋ったとて、そいつがローマにいるのかどうかだ。

 表沙汰にしたくはないような結果の到来の方が、あたしにとっては現実的にも聞こえるがね」

SYSTEM :
 それでも”あるかもしれない”を並べたのは…。
 並べようが並べまいが、その娘にはもはや貝のように口を噤んで忘れるやり方が択べないからだ。どちらも誤差なら、あとは気分の問題である。

ラーゼス :
「ブリテン……」
 瞳に不穏な気配が走るのを、まばたきひとつで収める。

夏瑞珂 :
 要するに、"黒鉄の狼"を生み落とした本体の『落とし物』なら……奴の剛性をすり抜ける、同種のレネゲイドに相当するという話。
 そしてそれは、あるかもしれないが、少なくともここではない。希望的観測に対する、つまらない現実だ。

夏瑞珂 :
「……ひとり、準備の良さそうな人に心当たりがないではないけど」

夏瑞珂 :
「でも、だめね。あの場で使わなかったもの、彼」

 ボス──雇用主。もしかしたら、元になるかもしれない。
 もう一人の食べ残し。打つ手があるなら、出し惜しみはしないだろう。
 だからこれは、わたしの希望的観測だ。

ラーゼス :
「彼か。“赤の鬼人”」

海賊 :
「ローマの“赤の鬼人”伝説の張本人かい」

海賊 :
「尤もその様子じゃあ…どうも伝説は狼の方に軍配が上がったようだが」

海賊 :
「どうなんだいそこのところ、他称死体」

“アセルス・デスミオス” :
「…ここでおっさんに聞かれても正直困るんだけど、まあ、そうね」

“アセルス・デスミオス” :
「“負けちゃならない時”があったとして、そこで出し惜しみする人間にそーゆー看板は背負えないでしょ。
 ………何なら此方の御方、後ろ暗い話とは縁の深いやつだ。そこ経由の情報で“漸く”だったら、ワンチャン知りすらしないかもだぜ?」

ラーゼス :
「伝説どうし……というのは、彼を一度見たきりのおれには疑問を感じる」

ラーゼス :
「あれは、捕食者に出会った草食動物の如しだった。力任せに蹴っても、狼は気にするそぶりもなかった」

ラーゼス :
「貴公の言うことが真実なのであれば、よほどの恐怖を刻まれたのだろう。
 そしておれなら……」

ラーゼス :
「天敵を殺すための刃などあれば、肌身離さず持ち歩く。
 たしかに……あのときないのなら、ない、と思ってもよいのかもしれない」

“アセルス・デスミオス” :
「草食動物て」

“アセルス・デスミオス” :
「………おっさんも面見たのは初めてだけど、名を聞いたのは何度かあるのよ。その形容詞は初めて聞いたなあ…」

SYSTEM :
 …ただ、言い得て妙ではあった。
 ・・・・
 よほどの恐怖を刻まれた───お互いの見立てと知識に辻褄を合わせるならそれしかない。

夏瑞珂 :
「…… ……」

夏瑞珂 :
 たぶん、あれはもう一人のわたしだった。十分にあり得た末路だ。

「私も、彼も。怪物のスケール感を見誤っていたのね」

 あまりに巨きすぎるから、全容を見通せなくて──だから、殺意を血で塗りかためれば届くと錯覚した。積みあげた屍の数だけ近づいたと誤解した。

夏瑞珂 :
 彼は折れただろうか。あの場ではそう見えた。

「でも私は違う。それで終わりにしない」

夏瑞珂 :
「殺すわ。必ず」

夏瑞珂 :
「嵐はお伽話のドラゴンも呑みこむの」

 届かない理屈、伝説の伝説たる所以。だからどうした。届かないからと諦めて、吹き溜まるのでは……あの聖夜に棄てたものと、同じではないか。

SYSTEM :
 ………どのように? を幾度聞いても、同じ答えを糸の切れた人形のように、恐らく繰り返すだろう。
 そうすると決めたからだ。もはや、それしか残されていないと言わんばかりに。

SYSTEM :
 かつて大陸から海向こうに越える風は、腐臭すら漂わせるほどに蹲った。その血から生まれたものも。

 自由であるべきだ、と、あの時の声がまだ響く。かつてそれを留めてくれた残響と一緒に。
 幾度血にまみれて、その思い出が、断末魔とあっけない一言で上書きされようとも。

SYSTEM :
 ………概ねその所以は知らずとも、心にひびが入った娘の理屈ですらない言葉を、女海賊は溜息と共に聞き入れた。

海賊 :
「そうかい」

海賊 :
..    ぬかよろこび
「あたしは希望的観測が嫌いだが…。
 メルヘンはもっと嫌いだ」

海賊 :
「なもんで、“帯来风暴”。また会おうとは言わんでおくが………精々、五つ数えるまでは覚えておきな」

海賊 :
「お前のような小僧小娘をあたしゃ何人も見たよ。全員、最後は後を追った。

 燃え尽きるのもいたし、道連れに燃え上がったのもいた」

海賊 :
「後がないなら精々ハデにやるんだね」

SYSTEM :
 また会おうを言わないのは…。
            ・・・・
 成功しても失敗しても、そうなるならこれが最後の出会いになるからだ。

SYSTEM :
 それは他人の話だ。
 この軍人崩れの現海賊、汚れにまみれて、今や踏み躙る側の人間が、あなたに何を思ったのかを語れば語るほど蛇足だろう。

SYSTEM :
 ───代価は要らん。あたしは今日仕事じゃあないんだ

SYSTEM :
 言い捨てるような台詞と共に、言うべきこと/聞かれる素振りの尽きた場所から、鉄扇を閉じる音に続いて席を立つ音。
 去る背中を追う人間は当然いない。彼女はローマで“無謀”をする必要のある人間ではないからだ。

夏瑞珂 :
  one two   three  four
「いーち、にーぃ、さぁーん、しーぃ」

 見送る背中に5カウント。間延びしたFiveだけは、彼女が去ったあとも口に出されることはなかった。

夏瑞珂 :
 たとえ道連れでも──もろともに燃え上って尽きるのなら、かまわない。到達点の先を望みはしない。到達、それ自体が叶うのなら。

夏瑞珂 :
 髪をなびかせて、くるんと振り返る。

「次はライオンちゃんのご用事?」

ラーゼス :
「参考になった。ありがとう」
 振り向きもしない背中をとくに気にせず。

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
「もう忘れたか?」

ラーゼス :
問いかけにはうなずく。全体の用事だが、自分が呼び立てたこと。おのれの用事と言えばそうだ。

夏瑞珂 :
「忘れちゃった!」アハー

ラーゼス :
「そうか」

ラーゼス :
    くるう
「好きに戯れるがよい」
 言葉は薬だがただの言葉だ。野暮を収める。

SYSTEM :
 嘯く彼女が五つ目を数えなかったことは、せめてもの礼か。
 いや、忘れないという無意識の意思表示か。退路要らずの。

 果たしてどちらであろうとも、その意思確認、笑顔の仮面で覆った意固地を、少なくとも“閑話休題”の合図と受け取ったらしい。
 情報収集に出ていた(済ませた)“アセルス・デスミオス”が肩を竦めた。

“アセルス・デスミオス” :
「じゃ、“黒鉄の狼”の話は此処マデだ。
 狩る前に、狩られない支度が必要と分かったトコでね」

“アセルス・デスミオス” :
「もうかたっぽの用事について、軽くおさらいがてら話していきましょ」

SYSTEM :
 “御手翳す開放者”。

 このローマを三分割する………と言えば聞こえはいい。
 しかし実態は、古くから根付く“貴人の庭”と、手を広げ呑み込みながら進んで来た”リグ・ヒンサー”。その二つの取りこぼしを目敏く食って成長し、うまくバランスを保っている漁夫気取りに過ぎない。

 彼らはその二つと比べれば小粒だ。
 それでも───組織を維持し、渡り合うだけの手練があり、立ち回りが出来ている。

SYSTEM :
 如何なる理由かあなたに“リグ・ヒンサー”を紹介したあの男を玉座に座らせた、ハグレモノの集まりが、だ。

“アセルス・デスミオス” :
「………と言ってもおっさん、大将から先に軽くさわりだけは掴むよう言われてたモンでさ。
   ジ ャ ハ ー ダ
 “御手翳す開放者”最大の疑問点を残すのみだったが、そいつもアタリは付けたよ、お陰様でね」

SYSTEM :
 彼の情報収集に同行したあなた/ラーゼスがやったことは単純。
 彼がアメなら、あなたは渋るような相手へのムチだった。

SYSTEM :
 普段ならば発揮するだろう業突く張りも命の危機を前にし、オーヴァードと渡り合うような稼業の人間とて上前を撥ねる真似は出来ぬと膝をついた。
 それが全てで、それ以外は彼の仕事だ。

 ここがあなたの知る森であれば、いや、ゲールの地を治める嘗て若かった領主が王の座についた、よく識るあの時代に依る頃ならば。
 知恵ある獣は、それ以外の手立てをも易々こなしたのかもしれないが、しかし餅は餅屋という言葉もある。

ラーゼス :
聡い人間がそばにいることは善いことだ。とても助かった

“アセルス・デスミオス” :
なっはっは おっさんも昔ならガラ悪く出来たんだけどねえ 年なんだわ

“アセルス・デスミオス” :
あともっと聡い人間の下にいると
察しが悪いと首がポーンって飛んじゃうからね

ラーゼス :
…狭量な主のもとにいたのだな

“アセルス・デスミオス” :
ん~? どうかねェ

“アセルス・デスミオス” :
それくらいじゃないと、おっさんたち、平気で足蹴にして椅子取っちゃうしね。そういう意味じゃ、おっさんの“大将”はうまくやってんじゃない

SYSTEM :
…どこまで本気か分からない軽薄な態度を余所に、彼はおさらいから本題に入った。

“アセルス・デスミオス” :
「結局、例の連中最大の問題点は…。
 いつ、どんな理由で、ローマに食い込もうとしたかなんだよ」

“アセルス・デスミオス” :
「ここでわざわざお零れを拾おうって理由の方。普通に考えて、睨まれる場所が過ぎるのよね。

 なもんで───」

SYSTEM :
 “黄の希人”がどんな思想でここに根付く術をとったのか、あるいは流れ着いたのか。
 構成から何から何まで漁ればキリがないから、その当時───活動の激しくなった当時の取引記録、何かと入り用だった時期の資金源は何処か、そうした部分から彼は当たった。

SYSTEM :
 その回答がこれだ。

SYSTEM :
【Check!】
 情報『“御手翳す開放者”』を開示します。 

SYSTEM :
      ジャハーダ
【組織:“御手翳す開放者”】
 イタリア・ローマにおける拠点不明。流動的に組織・勢力を広げているFHセル。
 名の由来はアラビア語にある「努力」を指す言葉。
 一般的にイスラムの文脈では「宗教=信仰のため努力する、戦う」という意味合いを指す。

 組織の成り立ちにおいては不明だが、極めて老若男女の差が烈しく、人種や所属に至るまでまばら。
 支援者となるパトロンまたは組織の母体となる存在についても、“リグ・ヒンサー”は力で従えた複数のギャングチーム、“貴人の庭”はイタリアのナショナリズム的な感性を持つ資産家…とハッキリしているのに対し、この組織のみは明確にそれが明らかとなっていない。

 ただどのFHセルとも違う点は、構成者がほぼすべてオーヴァードであること。
 そして近年にローマに姿を現し、その組織規模を拡大し続けていることである。

SYSTEM :
.           トリスタン
 組織の現指導者は「“黄の希人”アーキル」。アラブ系の出身と思われる飄々とした青年。
 戦闘の目撃情報は少ないものの、強力な“遺産”を保有しているという情報があるほか、よく言えば柔軟、悪く言えば節操なしの組織形態を乗りこなすだけの智謀を持つ曲者とされる。

SYSTEM :
 しかし彼らの支援者とパトロンについては複数のルートから構築されており、
 極めて巧妙に偽装された資金源は、各国の企業にギルドからゼノスに至るまで多種多様。

 その上で掲げる目的は一般的、俗的なFHの欲望とは聊かに異なっており(どちらかと言えばその焦点はコードウェル博士のような“既存の世界”に対する見切りに近しいものがある)、
 彼らが一般的FH的な興りをしたものでは“ない”ことは明確である。

SYSTEM :
 このFHセルの興りと不自然なローマへの出現は、最初から他の二大セルに対する当て馬(ひいては混乱を引き起こすトリックスター)として、あらゆる組織の思惑が噛み合って用立てられたものと考えられる。

 屋台骨さえ定かでない、壁さえ取り払い、いずれ他の壁さえも打ち砕く、野晒しの城。寄せ集めの逸れ者。

“アセルス・デスミオス” :
「一番“らしくない”接触の仕方をしたってハナシは聞いたけど」

“アセルス・デスミオス” :
「そりゃそうだわ。
 連中がそうなのかはともかく、ローマで“バカ騒ぎ”をやって欲しい人間は色々いるみたいだよ」

ラーゼス :
思案するしぐさ。

ラーゼス :
「……つまり、彼らの参戦の目的は『主導権を取ること』ではなく……」

ラーゼス :
「『この争いに関与すること』だと?」

“アセルス・デスミオス” :
「ここら辺がちょっとややこしいとこだね」

 人差し指をオーバーな仕草で二度振る。

ラーゼス :
人差し指を目で追いかける

夏瑞珂 :
人差し指を目で追いかける

“アセルス・デスミオス” :
大丈夫かなあ おっさんちょっと不安になってきちゃったよ 猫じゃらし扱いされてないかどうかで

“アセルス・デスミオス” :
「連中に“参戦してもらう”土台を作った方は確かにそーでしょ。争いに関与することで合ってる」

“アセルス・デスミオス” :
「ただ“彼ら”までくると分からんね。
 人の腹の中までは読み切れないし、裏表のない単純な男にこういう手綱は引っ張れないっしょ」

“アセルス・デスミオス” :
「───つまりだ、例の“黄の希人”までが争いに関与することそのものを求めているかまでは、おっさんも確約し難いってカンジ」

夏瑞珂 :
「誰が、何のために、がまるごと抜けてるものね?」

“アセルス・デスミオス” :
「そゆこと。
 張子の虎にしちゃ手の込み過ぎたモノを作って、争いに関与しました、じゃあ何をしましょう! ───ここがサッパリさね」

“アセルス・デスミオス” :
「思想だけ取るなら、ンー………。

 コードウェル博士ってわかる?
 大将と手ェ組んだ兄ちゃん、”マスターハーヴェスター”が嫌いですってオーラ出してる名前」

ラーゼス :
「聞いた名だ。UGN、をつくり、そこを裏切った『イスカリオテ』だと」

“アセルス・デスミオス” :
「そーそー。
 作った組織が悪いのか、作った本人が悪いのかは、この世で気にしてそーなヤツあんまりいないから置いとくけどサ」

“アセルス・デスミオス” :
「いまニホンで旗上げてワッショイしてる感じが近いかな?
 ・・
 奪うとかじゃないが、
 ・・     ・・  ・・・
 守るじゃない。壊すか、変えるか」

“アセルス・デスミオス” :
「そんなんだから、嫌気の差しちゃったようなのとか、立ち位置はっきりしないRBとか、”やりたいようにやる”以上の理由があるやつとか。
 基本は全員オーヴァードだけど、集まるやつの経歴に共通性ナシ!」

SYSTEM :
 ・・
 遺産に明確な価値を見出していることを態々公言してのけたのは、少なくとも彼らだ。
 その理由も、表向きのものと照らし合わせたならば、いちおうの筋が通る。

ラーゼス :
「……厄介な手合いだな」

ラーゼス :
「『何かを変えるために力がほしい』ことだけがはっきりしている、というのは……」

ラーゼス :
「万が一があったときにどう動くかの想像がつかない。それは、彼らの内側に関しても同じことだな」

夏瑞珂 :
「寄せ集めだものね。案外ちょっとしたことで瓦解しちゃうのかも」

“アセルス・デスミオス” :
「そうねえ。同じ方向を向かせるってんなら、掲げるお題目が分かりやすくないといけない」

“アセルス・デスミオス” :
「その点、連中のは“大まかな目的”は分かっても、細やかなのはさっぱりよ。

 その大まかな方は………」

SYSTEM :
 他称蜂の死体が曰く。

 “御手翳す開放者”の基本指針は、FHの中でも節操のないもの、またスタンダードなものに終始する。
 即ち『解放』だ。

 レネゲイド/妖精の戯れが日常の裏側に留まっているから保たれている今日このご時世さえも、彼らにとっては「変えたい」の一部になる。
 活動範囲はローマに限られているようだから、無作為かつ乱暴なオーヴァード覚醒等までに訴え出ていないのは、単に手が回っていないか、一時後回しにしてでも“遺産”が欲しいのか、だ。

ラーゼス :
「解放……」

ラーゼス :
「『止まった風車ってやつが好きじゃないだけ』」

ラーゼス :
「ラシード──アーキルは、おれを“リグ・ヒンサー”へ案内したおりにそう言っていた」

夏瑞珂 :
「?」

夏瑞珂 :
「黄色なのに、赤色に誘導したの?」

ラーゼス :
「ああ。『この街で起こる大掛かりなことに必ず飛び込める』と、おれを“リグ・ヒンサー”へ紹介したのはあの男だ」

夏瑞珂 :
「ふうん。せっかくライオンちゃんを見つけたのに、みすみす手放したの。変なヒト」

夏瑞珂 :
「虫さんはどう思う?」

“アセルス・デスミオス” :
「虫さん今の話はちょっと初耳かなー」 

夏瑞珂 :
「私も!」

“アセルス・デスミオス” :
でしょお~

ラーゼス :
「胡や“死滅天隕”にすぐ言い出すのは、」

ラーゼス :
「よくないと思った」

“アセルス・デスミオス” :
「そっかあ よくないねえ」

 おっさんが言うのもなんだけど、
 大将はその綻びそのままにしないだろうしねえ

夏瑞珂 :
「よくないの~」

ラーゼス :
「余計に困らせるのは本位でもないし、無為に疑わせるのも徒労だ」
 二心がないことは働きで示したし、これからもそうするだけのことだ。

ラーゼス :
「そもそもを言えば、ファルスハーツというところの流儀もよく知らない。おれは馴染めているか?」

夏瑞珂 :
「虫さんに一発入れてみたら? それっぽくなるかもしれないわ」
りふじんポイント加点!

“アセルス・デスミオス” :
「おっさんの命って勝手に生えてくるものじゃないんですよね」

ラーゼス :
いそいそとそのへんの枝などないか視線で探し始める

“アセルス・デスミオス” :
「浮世離れのマーセナリーかイリーガルなことは分かってたけど、堂々と本職に“馴染めてますか?”と聞いたことの処理がいま追い付いてなくって、

 ああ待ってお嬢さん 脱線した話をおっさんの命でアクセルかまさないで」

“アセルス・デスミオス” :
「やめましょ? おっさんがいよいよ本当に蜂の死体すら残らず消える前にね」

SYSTEM :
 あとひとり問題児がいればこの30代後半は、みごとな「3匹の肉食獣を前に手で制止する」ような仕草をしたことだろう。

SYSTEM :
 問題児というにはどちらも“まだ”彼にとっては優しい方の気疲れだったかもしれないが、まあ、それはさておいて。

“アセルス・デスミオス” :
「………ただまあ? お嬢さんはね…」

SYSTEM :
 巧くやれば自分の塒に引き込めた相手だ。
 しかも、戦力の乏しい組織で。

 利害では馴染んでも流儀には自他ともに認める程度に馴染んでいない。
 一目で見極めるほどの慧眼でもなければ、その判断はやや尚早とさえ言えるだろう。

SYSTEM :
 ではなぜか?

  :
「───実際そうだったろ?」

  :
「俺は逃げも隠れも暈しも騙しもするけど、口にしたことを曲げるほど自分を裏切ったことはないよ」

SYSTEM :
 ではその判断の是非はどうなのか。

 答えを”虫さん”に問うまでもない。

 あなたたちがそこにいる、とアタリを付けていたのか、それとも何かしら、彼自身の用事とでもいうべきものがあったのか。
 その飄々とした、涼風に運ばれるような声には、確かな聞き覚えがあった。

SYSTEM :
 噂をすれば影が差す。

 まさに時の人だが、
 此度ばかりは違う姿を伴っていた。

“黄の希人”アーキル :
「昨日ぶりだ。
 また縁が合ったのがあんたと“闘争代行人”なのは…、運がいいのか悪いのか」

SYSTEM :
 ラシードと嘯いた男。
 それから、すぐさま己のまことの名を曝した“寄せ集め”の頭領。

 オーヴァードの気配を掴み取っても“ワーディング”に訴え出ない辺り、要件は赤の鬼人に紐づいたあなたたちの排斥ではないようだったが、それと同時に“違う姿”が会釈する。

 敬意ではない。
 多少の無礼を伴ったその偉丈夫からは、
 血のにおいがした。

“血色の探求” :
「───お初にお目にかかる。
 特に其方の貴人」

“血色の探求” :
「第一印象から好みですが、
 既に魂に決めた先約があるがための無礼をお詫びします」

SYSTEM :
 ───彼は傅くなり早々にこう述べ、

 すぐさま次のように口を聞いた。

“血色の探求” :
「───我らが盟主から誘いを持って参った。
 そこの者ども、ご清聴よろしく」

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

夏瑞珂 :
いまのなに?

夏瑞珂 :
(ちょっと考える)

夏瑞珂 :
ないわ

GM :
いまのはですね

GM :
自分に正直な方です

ラーゼス :
…そうか…

ラーゼス :
おれも取得はない。仔猫にはもう取っている。

夏瑞珂 :
にゃ~ん

SYSTEM :

 ………。

 ………………。
 ………………。


・シーン8「Alea iacta est-賽に身を委ねて」

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

『血色の探求』。
 退廃的で偏屈な雰囲気の研究者。
『黄の希人』とは利害の一致から轡を並べている。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【シーン:Alea iacta est-賽に身を委ねて】

 登場PC:ラーゼス(任意登場可)
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
※:眼前の相手以外に問題がなければ、夏瑞珂はそのまま登場出来ます。如何しますか?

夏瑞珂 :
出るわ おもしろそうだもの

SYSTEM :
 シーンの継続登場を確認しました。▼

SYSTEM :
    ジ ャ ハ ー ダ
 ───“御手翳す開放者”の、曰く盟主。

 隣にいる血のにおい/推定“自分に似せた”従者とは違って、こちらはまごうことなき生身だ。
 以前と言い、平気で留まることなくローマを出歩くのは、本人の性根や信条のためだろうか? それとも、自信あってのことだろうか?

SYSTEM :
 彼は自分の部下と呼ぶにはあまりにも独特の間合いをした男を余所に、肩をすくめた。

 態度はどうあれ”要件”は本物だからだ。

“黄の希人”アーキル :
..      エ ノ ク
「そっちの…“血色の探求”ってのは気にしないでくれ。
 貸し借りナシで済ませた昨夜の面構えがどんなのか見たいって言うんでね」

“黄の希人”アーキル :
「御宅らのうち、男どものかたっぽでも引っ掛けられていれば言うことなしだったが…まあどうも、第一印象がよろしくないところだ。これはこれで悪くない」

SYSTEM :
 話をしに来た、と彼は言う。

 誘いと勿体つけた言い方を“横の”が択んだのは、突き詰めてしまえばそういう話。
 あの昨夜の惨状と“赤の鬼人”の様子、そして彼自身の事情から、少なくともいま“リグ・ヒンサー”の客将の立場にあなた方があることを分かっていて顔を出したと思える。

“黄の希人”アーキル :
「手土産代わりの忠告一つ持ってきたが…取り込み中にしたいならいつでも言ってくれ。
 残念だが、その場合は御暇させて貰うよ」

ラーゼス :
「……… ……… ……… ……… ……… ……… ………」

ラーゼス :
「………。………」

ラーゼス :
「……どうしておれは出会ってすぐ袖にされたのだ?
 いや、よい。貴公がそう言うのなら気にしない……」

“血色の探求” :
「無礼を御赦し頂きたい」

“血色の探求” :
「また、望まぬ誤解は招かぬように申し上げておくが………」

“血色の探求” :
「智慧ある生物には、
 全てが既知となるまで私なりの礼を尽くさせて頂きたい。
 ただそれだけのことなのだ」

SYSTEM :
 男は大まじめに“だから二人目に傅くのは不義理なので意図を伝えました”とばかりの顔をしていた。
 アーキルは少なくとも、あなたが“そちら”であることを明言しないようにしているのか、特に何らかの素振りを挟むことはなかった。いや、挟んでも効果がないと知っているのかもしれない。

夏瑞珂 :
「?」

ラーゼス :
「(智慧ある生き物……)」

ラーゼス :
「(……ああ。なるほど……)」

ラーゼス :
「よく分かったな。おれは巧いと思っていたのだが」

“血色の探求” :
「事実を申し上げるなら、それ以外のことは何ら計り兼ねていますが…。
 無関心でないもののサガに限って、よく捉えることが出来るのも我々の生き方というもの…」

“血色の探求” :
「…まあ、私の主義は此度ばかりは置かせて頂こう」

夏瑞珂 :
……次はあるの?

“黄の希人”アーキル :
御宅らが望んでくれるならな

いや有り得ない仮定だった 忘れてくれるか?

ラーゼス :
ありがとう おれも無駄な血は見たくない

“血色の探求” :
「そこな男。このような面構えではあり…。
 知恵の使いどころを測り損ねる愚か者ではあるが…」

“血色の探求” :
「盟主なのでな。
 ただでさえ目の仇にされている旗頭だ、女神の頼みとあっては疎かにも出来ない」

夏瑞珂 :
「???」

“黄の希人”アーキル :
「つまりだな」

“黄の希人”アーキル :
「”自分の好きな女が恃んだからしぶしぶついてきてやってるんだぞ勘違いするな”…と、話してくれているワケだ」

“血色の探求” :
「俗な呼び方をする。だがまあ、あとは彼方の言葉通りだ。
 諸君ら、そして貴女に誘いを申し上げようというのは彼であって私ではない」

夏瑞珂 :
「気持ちの悪い人」

“血色の探求” :
「けっこうだ、同種の猿からその言葉を投げかけられたのは…」

“血色の探求” :
1d1000  (1D1000) > 391

“血色の探求” :
「昨日までの時点で391回。
 価値観の断絶をひしひしと感じている」

ラーゼス :
それなりに多いようだが…

“血色の探求” :
「お気になさらず。対話の困難さなら、そも私はソレを望んでこうしているわけではない」

“血色の探求” :
「価値観の断絶についてはわずかばかりの不服はあるが、それもいいだろう。本望だ。

 で、だ。アーキル」

“黄の希人”アーキル :
「分かっている前に言わせて欲しいが、俺が連中について頭抱えているのはあんたのせいだからな。それで…」

“黄の希人”アーキル :
「ラーゼス、あんたを良かれと思って”リグ・ヒンサー”の方に誘ったのは、
 ローマ全体がそこを“出る杭”だと思ってくれるためだったんだが………」

“黄の希人”アーキル :
「ちょっと事情が変わったんだ。
 前言を撤回しに来た」

“黄の希人”アーキル :
「…“貴人の庭”の膝元にロクでもないのが闊歩し出した。
 此処にいない男たちにも伝えてやってくれ。連中、溝鼠よりもっと節操ないやつと手を組んだってね」

SYSTEM :
 肩をすくめて話した、彼の前置き/手土産はそれだ。

 意図を察した“アセルス・デスミオス”が、「あー」と間延びした声を上げる。 

“アセルス・デスミオス” :
「あっちはギルドと組まれて、こっちは狼が好き放題。目論見がご破算になりましたって?」

“黄の希人”アーキル :
「だいたいそういうハナシさ。
 ───あんたたちも、自分のボスが“ああ”なったんなら、身の振り方を考えなかったわけじゃないと思ってね」

“黄の希人”アーキル :
「“遺産”は欲しいが、
 ”黒鉄の狼”を生かしておけない…」

“黄の希人”アーキル :
「その点で、契約満了の御宅らに、
 今度は俺が取引相手になれないかって話をしに来たのさ」

ラーゼス :
「……“青の貴人”が?」

ラーゼス :
「先日の彼女の言動からは想像のつかない話だが……
 裏を返せば、それほど余裕がないのだな」

ラーゼス :
『貴人の庭』は貴族主義の集団と聞いた。あの群れの主は潔癖な王に見えた。
 彼女が自分の手元に置くものの種類を変えたのは、なりふり構うことができなくなったということだ。
  オウノタテ
 ……懐刀の喪失がそれほど響いたか?

ラーゼス :
「("死滅天隕"の耳には早急に入れてやるべきだろう。
  年月の断絶は感じたが、情はあるようだった……)」

ラーゼス :
「おれをさらなる火種としようとしたことはかまわない。おれとて望むところだった。
 戦場でめぐらせる調略に善きも悪しきもあるまい」

ラーゼス :
「そして、おそらくは胡も“死滅天隕”も貴公と同じ考えだろうな。どのように立ち回るかは、考える必要があると」
 現状認識が間違っていないことを肯定する。
 昨日の敵が今日の友かはさておき、いまこの場で刃を振りかざすことはないという意図もこめて。

夏瑞珂 :
「なあんだ」

夏瑞珂 :
「狼が出たときから、赤ずきんちゃんに用はないのよ。私はね」

夏瑞珂 :
「赤色が掠れても、青色が濁っても……

 あなたたち
  黄色  が、混ざり合おうとしても」

夏瑞珂 :
 関係はない。

 ないけれど。

夏瑞珂 :
「鳥のおじさまと蛇のひとは、あれこれ考えを巡らせてるでしょうね」

夏瑞珂 :
「聞くだけ聞いてあげる。あなたがおもしろいお話をできるなら、多数決の一にはなってあげられるかもね?」

夏瑞珂 :
ね~っとライオンちゃんの腕に頭突き。

ラーゼス :
不動。どうした? と目線だけで聞くがたぶん答えはない。

ラーゼス :
おそらくどうもしないからだ。

“黄の希人”アーキル :
「ははっ。だろう?」

SYSTEM :
            ・・
 自分は興味がない、と。彼らもそうする、と。
 調略に善しも悪しも、から含めて概ね向けられた言葉を肯定するような忍び笑い。

“黄の希人”アーキル :
「先にあんたの疑問から答えるが、そりゃあそうだ。
 
 懐刀は“青の貴人”の就任当時からの大駒、唯一無二だ。
 最前線に出ることのないあるじの代わりの目で、手で、足。
 内心はどうであれ、失うことを考えてあるようなやつじゃない………」

“黄の希人”アーキル :
「………それにこの際だから話すがね。
   ギルド
 その溝鼠のお誘いは俺達にも来ていたよ。この分だと“赤の鬼人”にもか?
 あっちはローマでいちからやって来たプライドがある。“はい”って頷くことは、そいつが折れ切らない限り有り得ないだろうが…」

“黄の希人”アーキル :
「遺産の招待状に加えて、ローマを治める“お手伝い”と来た。
 
 ウチは壁ナシが身上でね、来るものを拒むように作ってない」

“黄の希人”アーキル :
「なもんで、溺れないと掴めそうにない。
 お引き取り願っているよ。
     ・・
 ちょっとうちに都合が良すぎるしな」

SYSTEM :
 あなたの言葉に対する彼なりの回答だ。

 質問/それほど余裕がなかったのか?
 
 回答/溺れて縋る藁ほどの信用しかないが、
    溺れても明け渡せない事情があるならそうするしかない。

 そしてそれは…。

“黄の希人”アーキル :
「ギルドはギルドでそれなりの手勢を持っている。
 はじめの衝突で一番貧乏籤引いたからか、初めからそのくらい台所事情がガタガタだったのかはともかくとして…。
                          オールイン
 周りからの見られ方も含めて、弱冠十九歳は文字通りの全賭けってコトだ」

ラーゼス :

夏瑞珂 :
「通り道にいるのが悪いわ」

“黄の希人”アーキル :
「そりゃ手厳しい。嵐の? 狼の?」

夏瑞珂 :
 あらし
「 私 よ」とうぜん、と薄笑う。

“黄の希人”アーキル :
「どんな時でも信条を纏えるのは嫌いじゃないね。噂通りだ」

“黄の希人”アーキル :
「まあ、間違っちゃいないさ」

“黄の希人”アーキル :
「法に守って貰う気のないやつらにとっては、
 騙される方が悪いし、殺られる方が悪い」

“黄の希人”アーキル :
           Dannazione!
「それが自分で、いくら『畜生が!』って喚いても。
 それは分からなくちゃいけない」

“黄の希人”アーキル :
「そいつらは、自分で風を受ける歩き方をしたのさ。
 大きな壁と、整った街並み。そこから出て“ルール”を語っても、それは人のルールだ。
 別に大地と生き物のルールじゃあない…………」

“黄の希人”アーキル :
「分かる?
 自由/おれたちは、自己責任だ。
 
 “青の貴人”だってそんなことは分かってる。どんな最悪でも、分かってて投じたからには最善を探すさ」

“黄の希人”アーキル :
「その最善の道程が薄汚れていようがな。

 ───とはいえ、そんなだから…。一番お行儀よくやった“かもしれない”連中がそれをすると思うのは、あきらめた方がいいぜって忠告。こいつが前置きなわけだ」

夏瑞珂 :
「ですって」

 えいえいと肩でつついて隣に振る。

 だって関係ない。転げた瓦礫がわたしの妨げになるなら、壁の残骸ごと吹き飛ばそう。拓けた地平はきっと──すごくキレイだ。

ラーゼス :
  ・・
「(信条、か)」

ラーゼス :
仔猫をそう評したことを、深くは言わない。言葉に耳を傾ける。

ラーゼス :
   ファルスハーツ
「それが貴公らの流儀。
 自らの行動の由を自らで支払うものたちが守る一線なのだな」

“黄の希人”アーキル :
「そういうこと。
 ルールに頷くかルールを敷くなら、それに守られているか…。
 守られたやつらが好きなのかって話さ」

SYSTEM :
 内心はどうあれこう彼は言う。
 ・・・・・・・・・・・
 俺たちはそうじゃないよ、と。

“黄の希人”アーキル :
「その点踏まえたら、律儀にやる気のないやつには、律儀にやらなくていいわけで……」

“黄の希人”アーキル :
「…いや、こいつは少し話がズレたか?
 まあいい。持ちつ持たれつの前のサァビスだと思ってくれ」

夏瑞珂 :
「…… ……」

 ルールに頷いて、それに守られているもの。彼らは守る力そのものだった。

夏瑞珂 :
「ご忠告どうも! ありがたがるのも、頭を悩ませるのも、私じゃないけど」

夏瑞珂 :
「私たち、かしら」

ラーゼス :
「胡の槍になると言った。二言はない心算だ」

ラーゼス :
「だが……自由を彼にすべて譲り渡しはすまい。
 彼とて、言葉なき力のみを欲しているわけではなかろう」

ラーゼス :
「なので、おれとしてはいくつか尋ねたいことがある。貴公らの申し出を正しく受け止めるためだ」

夏瑞珂 :
「なあにー」

“黄の希人”アーキル :
「おっと、念のため言うならその“なあに”は俺の台詞だぜ」

“黄の希人”アーキル :
     ・・
「例の人を使うセルリーダーだな。珍しいが珍しすぎる枠じゃない。
 …俺としちゃ、すこし面を見て話してみたい相手だった。受け止めてくれるなら言うことないね」

ラーゼス :
「趣味は合わないかもしれないがな。
 胡は貴公と違って、清潔な湖を求めるものに見える」

“黄の希人”アーキル :
「清潔な湖が街の中にある、なんてパターンも少ないしな。そこは分かってるさ」

“黄の希人”アーキル :
「だが考えの合わなさなんて上等だよ。全部が合うなら質の悪いお遊戯会だ。
 違う思想と生物がいるから、オーヴァードは自分だけは裏切らないんだぜ?」

ラーゼス :
「道理だな」

“黄の希人”アーキル :
「だろ。それもこういう場じゃ“合わないけど一緒にやって行きましょう”を言える前提あってのことだ。
 あんたがあの御仁をどのくらい知ってて、折り合いつけられるか試してくれるんなら、遠慮なく試金石になろう」

“黄の希人”アーキル :
 …個人的には鬼門はそっちじゃないんだが、あっちはあっちでアキレス腱があるだろうしな

ラーゼス :
「わかった。では尋ねるが、」

ラーゼス :
「"死滅天隕"は貴公自身を『溝鼠』と評したぞ」

ラーゼス :
「心当たりはあるか?」

“黄の希人”アーキル :
「ああ、それ?
 つくづく人聞きが悪いな…」

“黄の希人”アーキル :
「まあ、と言っても事実だ。
 見解の相違と思うが、心当たりあるし」

“黄の希人”アーキル :
「5年前、このローマには、さっき言った『ルールを守りたい』連中がいてね。
 この呼び名の方が通りはいいか? UGNだ」

“黄の希人”アーキル :
「そして俺は当時、色々と知りたいことがあってね。そっちに顔を出していた。
 “赤の鬼人”が大暴れしてくれなさったお陰で、二つのセルとも戦えるその連中はみごとガタガタの敗走。俺は殿って名前の貧乏籤」

“黄の希人”アーキル :
「知りたいことは知ったし、そこじゃ俺の求める湖は“ない”と思ったから、今こうしてるわけだが。

 …どーもそこでやり合った時の面をどうも5年越しに思い出されたようでね。
 ・・・・・・・・・・
 家を持たない節操ナシってことさ」

ラーゼス :
腕を組む。

ラーゼス :
「納得した。
 ・・
 あの言い方をする人間が、UGNに根差しているとは思えない」

ラーゼス :
『今日と変わらない明日なんてのはない』。
 己との出会いのとき、そうこの男は言ったからだ。
 止まった風車をまだ止めたままでいたいものたちと、水が合うはずもなかろう。

ラーゼス :
「とはいえ、どちらにせよ蝙蝠か。貴公が越えなければならない壁は彼だろうな?」

夏瑞珂 :
組んだ腕を横から解く。

ラーゼス :
行き所を失った腕が落ちていく。

“黄の希人”アーキル :
あんたは馴れてるしそっちは馴染んでる部分についてはアレか? 突っ込んでいいのか?

夏瑞珂 :
「ごじゆうに!」

“黄の希人”アーキル :
「東洋に好きな言葉がある。
 藪をつついて蛇を出す。触らぬ神に祟りなし」

“黄の希人”アーキル :
「まあ、そんなわけさ。
 多数決の一ってのを期待したいが、そこまで嫌いな御仁じゃない」

“黄の希人”アーキル :
 ・・
「嫌いの排斥が嫌い“だけ”でまかり通るのは神様だけだぜ?
 どっちの可能性も大事に仕舞い込ませてもらうけどな」

“血色の探求” :
「野次を飛ばすならば、身上同士に折り合いなどつかぬよ」

“黄の希人”アーキル :
「あんたがそのものだろうが」

“黄の希人”アーキル :
「───で、だ。取引と言っても、踏み込まないならそう難しいことじゃない。いいか?」

夏瑞珂 :
「どうぞ!」勝手におへんじ。

“黄の希人”アーキル :
すげえな 聞く気1/3あればいい方がキャスティングボートを握りに来てやがる

ラーゼス :
「よろしく頼む。内容は?」

“黄の希人”アーキル :
「黒鉄の狼に蟷螂の斧を振り翳す時だけ、お互い御目溢ししようって話さ。
 ゴングを鳴らすなら、お互いが他意を込めて一発殴ってからだ」

“黄の希人”アーキル :
「順を追って話すが…」

“黄の希人”アーキル :
 ・・
「俺の欲しいものは…。
 あのドンパチの場にあったはずの遺産でね」

SYSTEM :
 あったはず、という言葉選びは。
 今はもうない、あるいは、それを手にしているものがいると、
 あなたたちに伝えるための言葉だ。その想像の先は言うまでもない。

 彼の最初の言及を思えば、それはあなたを焚き付けるものと何ら変わりはないが、ともかく。

“黄の希人”アーキル :
「別にこいつじゃなくてもいいんだが、チャンスに妥協するほど贅沢じゃないしな…。
 だが、それでローマを必要以上に荒らされるわけにもいかない。今”それがイヤ”なのを招いていて、仲良く共存したいところなのさ」

“黄の希人”アーキル :
「御宅らの雇い主と、テレサ・C・クリスティ…。
 目下の優先がそこよりも“黒鉄の狼”を殺すことになっちまったワケだが、まあこっちは支払って貰わないといけないプライドの対価もない。
 
 俺たちじゃなくったって構わない…。
 その点、御宅らの片方は狙いが付けられていると見た。当然の帰結だ」

“黄の希人”アーキル :
「もちろん、そこから踏み込んでくれるなら歓迎するぜ?
 ユメ
 野望が違っても、道が同じなら旅は出来る。卓も囲めるし、折り合いもつく」 

“黄の希人”アーキル :
「そういうのは好きでね。おまけに一歩踏み込める。
 あんたたちが宙ぶらりんだったら是が非でも、さ」

ラーゼス :
「『ケラウノス』……だったか」

夏瑞珂 :
「"黒鉄の狼"が遺産を持っている……同じ考えなんでしょう?」

夏瑞珂 :
「狼狩りの役に立ってくれるなら、なんでもいいわ。私はね」

夏瑞珂 :
「あれが死んで、放り出されたお宝に群がるのがハイエナでもピラニアでもかまわないの」

夏瑞珂 :
「同じくらい、それまでにローマがどうなってしまっても」

“黄の希人”アーキル :
「あとは文字通り荒野と地平が御望みって?
 シンプル
 単色な帰結だな」

“黄の希人”アーキル :
「“どう”もなってしまったら、俺の野望も遠回りだ。そうならんことを願いたいけどね。

 目当てが何かは分からんが、状況証拠でヤツが遺産のカードを取ってるのも、まあ同じ考えさ。
 分からないものを考えるのは、それをするべきと思った時だけと決めてる」

ラーゼス :
「(巻き込まれた人々が哀れだ。叶うかぎり被害は減らしたい……)」

ラーゼス :
「(……いまの立場の上で、そうも言ってはいられないのだろうが。
  あくまでここにいるのは、理由があれば欲望のために都を焼けるならず者たちだ)」

ラーゼス :
     ・・
「あくまで貴公の望みは遺産。
 羅馬を火の海とすることは望まない……あくまで積極的には、望まない」

ラーゼス :
「なるほど。“リグ・ヒンサー”とも“貴人の庭”とも、いや。
“赤の鬼人”と“青の貴人”とも、我らとも違うものを求めているがために、最終的な帰結がどうあれいまは手を組めるし、そうしたい」

“黄の希人”アーキル :
「だろうさ。”リグ・ヒンサー”も”貴人の庭”も、ローマを手放したくないのは一緒だろうけどな」

“黄の希人”アーキル :
「その点で俺たち…いや、俺は余所者だ。
 余所者だから、理由がありゃ阿るとも」

“黄の希人”アーキル :
「違う生き物同士のやり方ってのは、そういうものだろ?
 そして、その範囲にすら留まる気のないものの処し方もだ」

ラーゼス :
「ああ。そうだな」

ラーゼス :
結局、人のとりなしをもって、森はよそ者を受け入れた。それが正しかったのか誤りだったのかは、いまでもわからない。

ラーゼス :
同じことだ。最低でも、そう離れた話ではない。

夏瑞珂 :
「鳥のおじさまと蛇のひとが頷いてくれるといいわね」

 他人事みたいにわらう。だって他人事だ。

“黄の希人”アーキル :
「願望だな、八方美人もつらいのさ」

“黄の希人”アーキル :
「対岸の火事じゃなくなったら、ああ、いや。
 殴る気になるまでよろしくやろうぜ」

“黄の希人”アーキル :
 ・・・・・・・・・・・・
「弓に矢を先に番えないことが、こっちの意志表示さ」

SYSTEM :
 律儀にやる気のない男には律儀にやらなくていいと彼自身が言ったように、もちろん、その気がないなら彼はそうする。
 あなたたちもそうしていい。彼にとって“違い”は拒むものではなく、変化は笑って順応するもの。可能性は───。

“黄の希人”アーキル :
「1%でも野望の可能性が高いうちは、俺も望むように生きるのさ。最後が『畜生が』で終わってもな」

ラーゼス :
「貴公にとっては最大に近い譲歩だろうな」

ラーゼス :
彼の握ったあの弓の輝きには伝説を感じた。あれが遺産なのだろう。

ラーゼス :
「……アーキル」

ラーゼス :
「貴公の野望とはなんだ?」

夏瑞珂 :
「あら聞いちゃった」

“黄の希人”アーキル :
「そこは秘密にしときたいんだがなあ。見ろよ、あっちの親切な…」

“黄の希人”アーキル :
「…あ、いや。これ興味ないだけか?
 そうだな」

夏瑞珂 :
にこ!

ラーゼス :
「おれなりの親切だ」

ラーゼス :
 ・・・・・
「そういうのが、彼は好きと見えるからな」

“黄の希人”アーキル :
「なるほどな。確かに親切だ」

“黄の希人”アーキル :
「遺産は人を狂わせる。昔々聞いた警鐘だ。

 触れたやつ、触れようとしたやつ、
 触れたやつの身の回り、何から何まで…」

“黄の希人”アーキル :
      .かわる
「だが一つなら狂うのは人だけだ。
 世の中じゃない」

“黄の希人”アーキル :
「………とまあ、それは使い方の話だが。別になんてことはないんだよ。
 俺はな、ラーゼス。いつか言った言葉を方便のつもりで言ったんじゃないぜ」

“黄の希人”アーキル :
「明日は必ず何かが変わる。同じものなんて有り得ない。
 変わっていこうとするのが今の世の中なら…その変わり方にどう順応するのか、考えたいのが人間でね」

“黄の希人”アーキル :
「今も、その一環なのさ。

 遺産の使い方とは別に…。
 俺の望みが空論かどうか確かめる試金石がローマにある」

“黄の希人”アーキル :
「明日が廻るたびに1%ずつ可能性は減っていくんだ。こんなチャンス二度とないだろ?」

ラーゼス :
「遺産は人を狂わせる……」

ラーゼス :
 ……この街に根差していた男のことを思い出す。
 大いなるものからの落とし子であるがゆえに狂える狼の王とてそうだ。

ラーゼス :
現にこの街では、たったひとつの遺産を引鉄に争いの火蓋が切られた。それもまた。

ラーゼス :
「遺産を使って……超人の蔓延り、闊歩するいまに、貴公は一石を投じたいのか?」

“黄の希人”アーキル :
 ・・・
「その先だな」

“黄の希人”アーキル :
「そもそも、そこに一石を投じちまったら…。それはもう更地さ」

“黄の希人”アーキル :
「………生まれちまったものも、歩き出したものも、今更止めることに意味はないだろ?
      ・・・
 風の流れを止めることがいちばん不自然だ」

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
「ああ」
 意味はある、と感じるのは、そう信じたいからだ。
 意味がない、と断じるのは、そうありたいから。

ラーゼス :
 是非は問えない。
 止めることに意味を覚えながらも、
 それでも変わる時代に寄り添いつづけるために行動を起こしたのは、己が、いいや友人がそうだった。

ラーゼス :
「……意味のある、なしにかかわらず、時代は変わる。特にこの20年はそうだ」

ラーゼス :
「自然なことだろう。他ではなくこの街を試金石としたい理由も、貴公の中にはあるのだろうな」

夏瑞珂 :
 からからと音が鳴りそうなほどからの頭に、男の言葉は留まらない。
 遺産は人を狂わせる。そんなものなくとも、人も世の中もかわる。火が着いたら燃えるのと同じくらいの簡単さで、当たり前に。

夏瑞珂 :
 でも、ひとつ気に入ったものがある。その通りだと薄笑みが浮かぶ。

 ──風の流れを止めるのは、いちばん不自然なことだ。

夏瑞珂 :
「ねえ、でも」

“黄の希人”アーキル :
「…ん?」

夏瑞珂 :
「蛇のひとはお金稼ぎに来ているそうよ。いちばん高値で売れそうだから遺産がほしいんですって。
 もし遺産を売ってやるーって言われたら、どのくらい出せるの?」

“黄の希人”アーキル :
シークレットダイス

“黄の希人”アーキル :
「さてな? 街一つでドンパチやって、国一つ動かす人間の御執心だ。高い買い物にはなるだろうが…」

“黄の希人”アーキル :
「ホントにそうなら、易い買い物だ。
 だいたい…そう、このくらい」

SYSTEM :
 アーキルが提示した金額は冗談半分にしては、ちょっと愉快な財産点換算をしていた。

夏瑞珂 :
「…… ……」

夏瑞珂 :
ほんとにあるの? というかお。

“黄の希人”アーキル :
「はっはは。どう見えるかは聞かないでおくよ」

“黄の希人”アーキル :
「だがな、社会の地に足付けて叶う野望なら…」

“黄の希人”アーキル :
「最初から俺はそうしていると思わないか?」

夏瑞珂 :
「し~らない」ライオンちゃんの周りをくるりと一周。

夏瑞珂 :
「遺産の使い方は別って、あなたが言ったのよ。空論をかたちにする前に、試金石が砕けないといいわね?」

“黄の希人”アーキル :
「忠告の返しか? 尤もだ。
 序でにいちばん砕きそうな狼の始末をよろしく頼むぜ」 

ラーゼス :
「焚きつけないでくれ。手だてもないのに突っ込んで塵となりそうな娘だ」

“黄の希人”アーキル :
「ハハ。この手合いを止めるならふん縛らなきゃ…と思うがな? 
 あんたがそう言うなら、これきりにしとくよ」

夏瑞珂 :
くるり~ん

ラーゼス :
視線が回る娘を追いかける。

ラーゼス :
止めて、アーキルを見た。

ラーゼス :
「仮定の話は無意味と理解しているが……」

ラーゼス :
「“黒鉄の狼”が片付いたとすれば、次はどちらだ?」

夏瑞珂 :
ぴたっと止まってふんふん下から顔を覗きこむ。つま先立ちしても遠い。

“黄の希人”アーキル :
「…答える前に一ついいか? 今更突っ込むまいと思ったが…」 

“黄の希人”アーキル :
「あんた、ひょっとして…“闘争代行人”と付き合い長いのか?」

ラーゼス :
「昨日からの付き合いだ」

“黄の希人”アーキル :
「よし分かった、特別が特別であることに意味はなかったわけだな」

“黄の希人”アーキル :
「“黒鉄の狼”を仕留めた次の仮定か。
 なるようにするさ。明日のことを今日分かったふうに語るのは、俺には難しいしな」

“黄の希人”アーキル :
「………ただまあ…」

“黄の希人”アーキル :
「その質問を他の御仁にやろうものなら、此処を”そうだ”と答えるヤツに心当たりがあってね。残念ながら。
 首尾よくいけば、そこと潰し合うだろうさ」 

夏瑞珂 :
「なら備えておくべきね」

夏瑞珂 :
「殺すもの」

“黄の希人”アーキル :
「頼もしい。だが今さっき焚き付けるなと言われたばかりでね」

夏瑞珂 :
「気にしないで。ずっと燃え続けてるものが、ひとの手で新たに熾ることはないわ」

“黄の希人”アーキル :
「だとさ。ずいぶん豪勢な火種があるもんだ。いや、そいつをずっと風であおるせいかな」

夏瑞珂 :
「えへへー」

ラーゼス :
娘がよいならそれでよい。

ラーゼス :
「互いに厄介者の“リグ・ヒンサー”と“貴人の庭”のどちらかが、態々貴公らを狙うとは……」

ラーゼス :
「よほど厄介な目の上のたん瘤のようだな」

“黄の希人”アーキル :
「そのようだ。過分な評価は毒だと痛感するよ」

SYSTEM :
 そう涼やかに語る彼が、内心で何を考え、何を敵に回し、何を“変える”腹積もりなのか。
 明け透けに振る魔うその面持ちが見せた一端は、それなりの誠意というものだったが。確定していない相手に背中を見せても見せすぎることはない。

 分かるべきことは、“黒鉄の狼”は誰にとっても生存が不都合だということ。
 ローマの争いを望むものは、殊更に多いこと。

“血色の探求” :
「明日その背が撃たれぬといいがね。
 では戻るとしよう。女神は余所者の貴君も、不在に不安がる」

“血色の探求” :
「───では失礼するが。そうだ、そちらにいた仮面の男に可能なら伝えておいてくれたまえ。

 好きではないが、そのプロセスに理解を示したい…と」

“黄の希人”アーキル :
「最後の最後で話をややこしくしないでくれ。…だが、」

“黄の希人”アーキル :
「今日のことに意義があるかどうかは、今後の其方と此方次第だな。
 また会う時、この顔を直接訪ねてくれ。歓迎するぜ」

SYSTEM :
 訪ねて来た理由がどちらでも、彼はそれに沿った歓迎を返すはずだ。
 こうも“ほっつき歩いている”人間で、どこが根城かも定かでない男だが。

SYSTEM :
 それでも、彼はFHだ。

 唯一信頼していいことはある。
 男は野望と語った変化に込められた願いのため、いくらでも、その燎原に火を熾し、風を吹かせ、必要ならば労るだろう。
 余所者らしく。壁を知らず、壁を砕く者らしく。

SYSTEM :
 ………二人が去っていく。

 残るのは、あなたたちと他称死体だけ。
 他称死体は、終始朗々と語る男の値踏みをしていたが。

夏瑞珂 :
「ライオンちゃん」

夏瑞珂 :
「仮面の男なんていた?」

ラーゼス :
「いた。"死滅天隕"の部下で、」

ラーゼス :
「きのう、狼にボロ雑巾にされつづけていたものだ」

“Mr・A” :
 

SYSTEM :
 遥か彼方から「ワタシワタシ」とばかりの声が聞こえた気がした…

夏瑞珂 :
……?

夏瑞珂 :
「ああ~」

夏瑞珂 :
「伝言は何だったかしら。『好意を示したい』? 最後まで気持ちの悪い人」

ラーゼス :
「好きではないが、と言っていた。どうやら人間でないものが好きなようだが」

夏瑞珂 :
「ふうん」

ラーゼス :
「ある意味、好きでないことを示すのも好意の根だ。そのような話なのかもしれない」

夏瑞珂 :
「彼、ライオンちゃんもお好みのようね? 同時にフってたけど」

ラーゼス :
「そのようだな」

ラーゼス :
「告白と同時にそう言われたことはない。少々面食らった」

夏瑞珂 :
「人間ではないもの、は否定しないのね。案外ほんとうにライオンだったりして」

 アハーと適当にわらって、背中を向ける。黙りこくった虫さんの考えは虫籠の主が聞くだろう。わたしはわたしで、好きなようにやるだけだ。

ラーゼス :
「事実だからな」

ラーゼス :
さらりと告げて、その背を見る。己よりよほど獣のような娘だ。あるいは獣のように在ろうとしている幼子。

夏瑞珂 :
「アッハ! がお~っ」

夏瑞珂 :
「蛇のひとは知ってるの?」

ラーゼス :
「知らないだろうな。話していない」

夏瑞珂 :
「ふうん。けものならなぜ槍なんて使うの?」

ラーゼス :
「人間は道具を使うだろう?
 むろん、そうではない力の使い方をするものがいることも知っているが……」

ラーゼス :
「これだけで、多くの人間の目は欺けるものだ」

夏瑞珂 :
振り向いてまじまじと見上げる。豊かな金髪が鬣のようでも、きちんと人のかたちをしている。彼女が超人であると理解しても、人外だと疑う者はいないだろう。

夏瑞珂 :
「陸にあがる海賊に、街に出るライオン。可笑しな話」

ラーゼス :
「海賊とて陸でしか得られないものがある。
 おれも必要にかられたから森を出た。それだけの話ではあるよ」

ラーゼス :
「……鉄と文明のにおいは未だ慣れないが」

夏瑞珂 :
「慣れる前に更地になるかもね」アハー

ラーゼス :
「避けたいものだな。力なき民が路頭に迷うのは哀れだ」

夏瑞珂 :
「森のライオンがどうしてヒトの心配をするの?」

ラーゼス :
娘の瞳をじっと見つめる。

ラーゼス :
「不思議か?」

夏瑞珂 :
「んー?」

夏瑞珂 :
「んーん。聞いただけ」

ラーゼス :
「そうか」

ラーゼス :
「ヒトもケモノも同じ命だ。森の中にあっても、森を出ても……」

ラーゼス :
「力あるものの欲望によって嘆くのは、いつでも力なきものだ。おれはそう思う」

ラーゼス :
「その嘆きにどちらもない。
 この耳に聞こえるかぎりは、むやみに振り捨てたくはない」

夏瑞珂 :
「…… ……」

夏瑞珂 :
「そ」

 つまらなくなって、ぷいとそっぽを向く。

夏瑞珂 :
 そのかたちは知っている。まったく同じでなくとも、近い理由で銃を執った人たちを……わたしは知っている。

夏瑞珂 :
 わたしには聞こえない。誰の嘆きも。

夏瑞珂 :
 すたすたと来た道を戻る。視界の隅に手のひら。なにかジェスチャーめいた動きで、手袋を嵌めた手が揺れる。

 ……だから、ではないけど。ぜったいちがうけど。

 夜明けまで生きていたら、名前を教える。ふと、そんな約束をしたのを思い出した。

夏瑞珂 :
 背後についてきてるであろう顔を思い浮かべる。
 ……お互い忘れているというより、あっちは律儀に待っているだけのような気がした。なんとなく。

夏瑞珂 :
「ね、ライオンちゃん」

夏瑞珂 :
「夏瑞珂よ。私」

夏瑞珂 :
「でも家族の姓はブリーズだった」

夏瑞珂 :
言うつもりのない言葉まで口からこぼれた。唇を噛む。

ラーゼス :
「シア・ルイクゥ」
 確認するように、その名をなぞる。

ラーゼス :
「……」
 家族の姓は違う。その言葉の意味を、自分なりにかみ砕く。
 借りもののような罵声。喪失と報いを求める炎。違う姓。
 慎重に言葉を選ぶ。

ラーゼス :
「ありがとう。瑞珂」

ラーゼス :
「おれはラーゼスという。好きなように呼ぶがよい」

ラーゼス :
       な
「貴公の家族の姓も心に留めておく。
 得難いものだったのだな」
 きっとそれは彼女にとって、「夏」の姓よりも重要なことなのだろう。

夏瑞珂 :
「…… ……」

 手を、きつく握りしめる。止まりそうになった足をむりやり動かして、結局、わたしは何も答えなかった。

夏瑞珂 :
 ぎゅっと握った手。素肌を傷つけるはずの爪は、手袋をはめた不器用な指の感触をかんじとっていた。この手はもう空っぽなのに。頭がちかちかと痛みを訴える。

夏瑞珂 :
「ライオンちゃん」

 最後に好きなように呼んで、それだけの話になった。

ラーゼス :
「それもよい」

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
 核心を問いかけて止めた。
 むやみにそれを問えば、狼の前に牙が向かうのは己だろう。

ラーゼス :
 妖精騎士はいつでも畜生に堕することができる。
 それを留めるのが今受け取った名への感情と、狼への執着なら──その後には文字通り、きっと何も残るまい。
 ひとたび瞑目してから、少女の小さな歩幅に一足で追いついた。あとは何も語りはしない。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

夏瑞珂 :
へいき。

ラーゼス :
特にないが、ロイス欄をそれぞれ「“黄の希人”アーキル」に、「"帯来风暴"夏瑞河」に書き換えておく。これで名まで埋まったな

GM :
「たずねる」と「おぼえる」というわけですね

ラーゼス :
▼獅子王は 二つの名を 深く心に刻み込んだ…

GM :
そんな感じで名称変更を了解しました
キャラシートのロイス部分の反映もよろしくお願いします

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・ミドルフェイズ(再開)

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

『ヘカトンケイル』。
『貴人の庭』の戦闘エージェント。
 オーヴァードであることを抜きにして、
 人間離れした膂力と頑強さを持つ生物としての異形。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 メインプロセスに移行します。
 
1:FH主要幹部への攻撃
2:FH主要勢力への協力/妨害
3:“黒鉄の狼”への攻撃
4:セットアップで可能な行動

 上記のいずれかが可能です。
 行動を希望する場合、登場侵蝕を振って下さい。

“アセルス・デスミオス” :
そしておっさんは何がとは言わないけど
ここでチラチラと様子を見ている…と…

"七花胡" :
随分と構って欲しそうな顔をしているではありませんか これは飼い主として、仕事の一つも与えてやらねばなりますまい

“アセルス・デスミオス” :
これが藪を突いて蛇を出すってやつかあ… 

アレウス :
口は災いの元だが、視線も同様という事だな。

“アセルス・デスミオス” :
ンマー働かざるもの何とかって言うしねえ

“アセルス・デスミオス” :
精々わくわくでお仕事しましょうや

"七花胡" :
貴方、デバガメは昔から得意でしょう? 次のお仕事は、青色のお嬢さんのお庭までいって、生垣の中を覗いて来ること

“アセルス・デスミオス” :
おっさんのこと覗き魔かなんかみたいに思ってる? 

“アセルス・デスミオス” :
まあいいや。事実だし。
帰りの餌は年代モノがいいっす 

"七花胡" :
気が向いたら工面しておいて差し上げる ほら、行った行った

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。 

・壁に耳あり(Round/1)
 指定した自分以外の勢力1つについて、
 クリンナップ中の動きを予測する。 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
【Check!】
『壁に耳あり』の発動結果を記載します。 

SYSTEM :
※記載内容は情報タブをご覧ください。

“アセルス・デスミオス” :
以上おっさん調べでした。
狼にかかりきりじゃないヒトの動かし方からして、目障り寄りっぽく思ってんのは“御手翳す開放者”の方かな? お嬢ちゃん、怒りで動くクチかもわからんけどね

“アセルス・デスミオス” :
あとカンだけど
このタイプは“縄張り”荒らすと凄いよ~

"七花胡" :
そうでしょうね 庭の主という自覚が強いほど、野犬や強盗には苛烈なもてなしで以て応対するものです

“アセルス・デスミオス” :
ヘッヘ、流石は未来の一国一城の主だ。
そんじゃま…

“アセルス・デスミオス” :
分かってもらったところで…おっさん退散~

"七花胡" :
ごくろうさま。

ラーゼス :
“御手翳す開放者”を支援する。今にも獲物へ飛びかかりそうな猫の首を掴んでくれると聞いた。

GM :
畏まりました、それでは…。

SYSTEM :
【Check!】
 判定が発生しました。

 判定内容:FH主要勢力への協力〈御手翳す開放者〉
 使用判定:肉体or運転<任意>/感覚or知覚/精神or知識<任意>/社会or情報 

GM :
いずれかの判定を選択して宣言を行ってください。予めおさらいしますと…。

GM :
目標値は共通して「6」!
『[達成値/10(少数点切り捨て)]+1』の数値分、対象となる組織の勢力値が増加します。

GM :
決定後、そのまま勢いで振って構いません。

ラーゼス :
わかった。……この、

ラーゼス :
〈運転〉で判定しよう。任せてほしい

“黄の希人”アーキル :
…あんた運転出来たのか???
あの自己評価で????

ラーゼス :
馬に乗るものはよく見てきた。心配無用だ

ラーゼス :
1d10 登場侵蝕 (1D10) > 9

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 46 → 55

ラーゼス :
6dx (6DX10) > 9[2,2,3,6,7,9] > 9

ラーゼス :
言っただろう、心配無用だと。この…

ラーゼス :
『ママチャリ』が、おれを守ってくれた

“黄の希人”アーキル :
(もう俺の都合だけで話すが)
 人は見かけによらずってところだな

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、勢力値が変動します。

“リグ・ヒンサー”:15→15
   “貴人の庭”:20→20
“御手翳す開放者”:15→16 

"七花胡" :
では自分も、“御手翳す開放者”の支援を。
赤の勢力は頭に依らず未だ大きく、青は言わずもがな。三つ巴を狙うならば、残る一つに恩を売るが定石かと。

“Mr・A” :
あちらの動きも随分静まり返ったモンだ
どうなるやらネエ

“Mr・A” :
おっと失礼。では…ちょちょいと…。

SYSTEM :
【Check!】
 判定が発生しました。

 判定内容:FH主要勢力への協力〈御手翳す開放者〉
 使用判定:肉体or運転<任意>/感覚or知覚/精神or知識<任意>/社会or情報 

GM :
おさらいは割愛!
判定を選択して宣言し、そのまま振って構いませんよ。

"七花胡" :
ふむ。では知識:レネゲイドで……と、その前に

"七花胡" :
念のため、レインボウファイアルを使用しても? 保険ですがね

GM :
問題ありません。備えあれば…ですね

"七花胡" :
ありがとうございます。では先に、お支払いから済ませてしまいましょう

"七花胡" :
1d10 登場侵蝕 (1D10) > 5

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 42 → 47

“Mr・A” :
まずまず、だネエ。前向きか後ろ向きか、受け取り方が変わる数字だ。

GM :
それではどうぞ!

"七花胡" :
4dx+1 知識:レネゲイド (4DX10+1) > 10[3,4,9,10]+10[10]+9[9]+1 > 30

"七花胡" :
 

"七花胡" :
おや……おや! ハハ、少しはりきりすぎてしまいましたかねえ

“黄の希人”アーキル :
お互い、他意あってのこととはいえ…
こいつは仇で返したくないもんだな 

"七花胡" :
借りいくつぶんですかねえ……返していただける日を楽しみに待っておりますよ♡

“黄の希人”アーキル :
第一印象通りの真面目さんのようだが、
俺は自分にウソをついた覚えはないぜ。

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、勢力値が変動します。

“リグ・ヒンサー”:15→15
   “貴人の庭”:20→20
“御手翳す開放者”:16→20 

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、“御手翳す開放者”について、
 累計支援値が「+3」以上になりました。

SYSTEM :
【Check!】
 下記の情報が自動的に開示されます。
 
・“血色の探求”
 判定:〈情報:裏社会〉/11
 関連項目:『“御手翳す開放者”』
 備考:『“御手翳す開放者”』勢力値に累計+3の支援を行うことで自動的に開示 

SYSTEM :
【Check!】 
 発生するイベントを確認しています... 

SYSTEM :
【Check!】
 推奨シーンの発生を確認しました。
 シーンを展開しますか?
(※このシーンは展開せずとも支障のあるものではありません) 

"七花胡" :
お願いします。

SYSTEM :
【Check!】
 シーン展開の希望を確認しました。
 メインプロセスの判定確認後、シーンを展開します。

“血色の探求” :
貴君らが懇意なのが“アチラ”でないことは、
女神の扶けか、はたまた…天命とでも言うべきかな

“血色の探求” :
フ、フ、フ… 

SYSTEM :
【Check!】
 メインプロセス判定を続行します。 

アレウス :
──……"A"、ルー。
俺は"貴人の庭”への妨害を行う。
セッティングをしてくれ。

“Mr・A” :
…ホォウ? キミ、
そっちは後回しにするもんだとばっかり…

アレウス :
これは……戦争だからな。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
そ。大きく出た単位ね。
受けて立つ立場に甘んじない程度に、
あちらを”軽く”見ないってことかしら。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
いいわよ。ところで負けた人間が後ろにくっついてって最終勝利者を目指すアレ、ニホンでなんて言うんでしたっけ?

“Mr・A” :
何とかトレインゴッコ?

アレウス :
ドンノラ(鼬)の事か?

“血穢の蓮花”盧秋華 :
どっちだったかしら…。
デブリーフィングまでには調べておくわ。話のタネにね。

アレウス :
そうしてくれ。

アレウス :
先刻から引き続き、《スカイキッド》に搭乗したまま行うとしよう。

GM :
畏まりました。それでは…。

SYSTEM :
【Check!】
 判定が発生しました。

 判定内容:FH主要勢力への妨害〈貴人の庭〉
 使用判定:肉体or運転<任意>/感覚or知覚/精神or知識<任意>/社会or情報 

GM :
予めおさらいしますと…。

GM :
目標値は「対象の勢力値/2」です。
判定を行い『[達成値/10(少数点切り捨て)]+1』の数値分、対象となる組織の勢力値が減少します。

今回は「10」ですね。

GM :
また、指定した勢力以外の勢力値は[減少した数値-1]分増加します。

アレウス :
了解した。

アレウス :
では<知覚>でやろう。そのまま侵蝕増加も行う。

GM :
確認しました。では、どうぞ!

アレウス :
1d10 (1D10) > 2

system :
[ "死滅天隕"アレウス ] 侵蝕率 : 41 → 43

アレウス :
(6+3)dx+3 <感覚:知覚> ハイペリオンにより達成値+2 (9DX10+3) > 10[1,3,5,6,7,7,8,9,10]+7[7]+3 > 20

“Mr・A” :
引き金を弾いた先に貴賤はない
           A・live
全くその通りだ…これこそ日常

アレウス :
その通りだ。
L'ozio è il padre di tutti i vizi……怠惰は悪徳の父と言うからな。
だらけず、腐らせるものは腐らせ……

“血穢の蓮花”盧秋華 :
焼くものは焼く、ね。

アレウス :
……おっと、取られてしまったな!

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、勢力値が変動します。

“リグ・ヒンサー”:15→17
   “貴人の庭”:20→17
“御手翳す開放者”:20→22 

SYSTEM :
【Check!】
 メインプロセス判定を続行します。

夏瑞珂 :
“黒鉄の狼”に攻撃をしかけるわ

夏瑞珂 :
二度と──ああ、なんだったかしら? 三度目ね、これで。

夏瑞珂 :
犬死にする気はないの。黄色のひとたちがいるなら、助けてもらいましょう!

“黄の希人”アーキル :
お安い御用だ。一発限りで終わらせたんじゃ、今度はあちらに倍の勢いで殺られるかもしれないしな

SYSTEM :
【Check!】
 “黒鉄の狼”への攻撃が選択されました。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
  Ally:Shahada
 Enemy:Lemuria

.   Physical:Matchless dangerous
     Sense:Extremely dangerous
.   Renegade:Extremely dangerous
. Danger_level:Matchless dangerous

SYSTEM :
【Check!】
 判定が発生しました。

 判定内容:“黒鉄の狼”への攻撃
 使用判定:肉体or白兵/感覚or射撃/精神orRC/社会or交渉 

GM :
 侵蝕確認後、任意の判定(肉体or白兵/感覚or射撃/精神orRC/社会or交渉)を宣言し、判定を行ってください。
『[達成値/10(少数点切り捨て)]+1』+『協調した勢力の勢力値/2(少数切り捨て)』の数だけ1d10のダイスを使用。
 その数値の結果分ダメージを与えます。

夏瑞珂 :
〈白兵〉を使用するわ。その前に……

夏瑞珂 :
1D10 (1D10) > 3

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 54 → 57

夏瑞珂 :
【 Outta My Head 】
《風鳴りの爪 LV1》+《コンセントレイト:ハヌマーン LV2》+《援護の風 LV5》

“黄の希人”アーキル :
乱戦はいつも逸るのが常だが、上出来だよ。

“黄の希人”アーキル :
…お互い“通る”“通らない”じゃないだろ。
かましてやれ!

夏瑞珂 :
言われなくても──!

夏瑞珂 :
9dx8+6 (9DX8+6) > 10[3,4,6,6,9,9,10,10,10]+7[1,3,4,5,7]+6 > 23

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 57 → 63

SYSTEM :
【Check!】
 ダメージが確定しました。
 ダメージ:3d10+11d10 

夏瑞珂 :
14d10 (14D10) > 82[10,2,10,2,6,5,7,1,9,7,4,7,7,5] > 82

夏瑞珂 :
1をひとつ振り直すわ。深く、もっと深く、傷をつけてあげる──!

夏瑞珂 :
1D10 (1D10) > 2

夏瑞珂 :

“黄の希人”アーキル :
いや、だが十分だ

“黄の希人”アーキル :
 “ヤツ”はジャームだ
    リザレクト
 易々と自己再生しない…。
 疵さえつけばってとこなんだがな!

夏瑞珂 :
でも──まだ足りない まだ死なない まだ……

夏瑞珂 :
殺して────ない……

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、ダメージが発生します。
 “黒鉄の狼”の〈超人的弱点II〉が発動しています。

“黒鉄の狼”:606→563 

SYSTEM :

【Check!】
 判定の結果、ダメージが発生します。
“黒鉄の狼”の〈超人的弱点II〉が、

“黒鉄の狼”:606→56,33333 

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、ダメージが発生します。
“黒鉄の狼”█〈超█的弱点II〉███████████、

“黒鉄の狼”:#縺#励#s→#縺#槭#≧ 

SYSTEM :
【ERROR!】
“黒鉄の狼”の〈超人的弱点II〉が一時的に発動失敗しました。

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、ダメージが発生します。

 “黒鉄の狼”:606→523 

夏瑞珂 :
──? ……

夏瑞珂 :
いま、なにが……

”黒鉄の狼” :
───。

”黒鉄の狼” :
ほう………。
満更、意味のない喰い残しではないらしい

SYSTEM :
【Check!】
 続いて離脱判定を行います。 

SYSTEM :
【Check!】
 判定が発生しました。

 判定内容:状況からの離脱
 使用判定:回避/知覚/知識<レネゲイド>/交渉
 
 ※「ALLY」の勢力値を達成値に加算します 

“黄の希人”アーキル :
 ヤツが来るぞ、約定通りツメはこっちだ!

GM :
 では任意の判定(回避/知覚/知識<レネゲイド>/交渉)を宣言後、判定を行ってください。
 目標値は「20」! 彼らの勢力値(22)を加算するのをお忘れなく!

GM :
 …22って何?

夏瑞珂 :
逃げ足がおとくい? 見ないうちに大きくなったのね

夏瑞珂 :
あてにさせてもらうわ

夏瑞珂 :
5dx+22 (5DX10+22) > 8[2,4,7,8,8]+22 > 30

“黄の希人”アーキル :
あんたのトコのおっかない兄ちゃんから
他意マシの前借りを強要されたもんでね

夏瑞珂 :
どっち?

“黄の希人”アーキル :
理屈に丁寧な方さ!

ま、上出来だ、まずは一撃だぜ

夏瑞珂 :
どっち……?

“黄の希人”アーキル :
その判定でも絞り切れねえと来たか
じゃあ…あー…

“黄の希人”アーキル :
金かけたコートの方だ! 
スーツじゃなくってな!

夏瑞珂 :
ふかふかのほう!

夏瑞珂 :
納得したらどうでもよくなっちゃった 行きましょ

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。
 離脱に成功したため、戦闘を省略します。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています... 

SYSTEM :
【Check!】
 シーン発生を確認しました。
 メインプロセス終了後、シーンを展開します。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。


・シーン「情報収集(“血色の探求”)」

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

 ───最強の生物とは?  
 レネゲイドをわがものとした人は、 
 いや「人」をわがものとしたレネゲイドは何処まで行く?

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 “黒鉄の狼”の存在は、ローマの抗争の仕方を変えた。

 即ち三つ巴から大捕り物へ。
 大捕り物から、漁夫の立場を掠めとる奪い合いへ。

SYSTEM :
 発端は“貴人の庭”の所作にあった。
 誰もが、あの場にあった遺産を回収できる唯一の存在を指して、
 あれこそが宝の箱だと嘯き、命知らずと使い走りの人生が湯水のように注がれた。

 しかし………。
 “貴人の庭”の初動、その矛先に変わらず三つ巴となっていたローマのFHセルがあり、
 血気盛んな“リグ・ヒンサー”がそれに乗ったことを発端として、彼らは等しく、二つのタスクを並行することを余儀なくされていたのである。

SYSTEM :
 即ち、狼狩りと“旗色違い”を潰すこと。
 目に見えるものはだいたい敵。敗者に口なし、夢もなし。
 最初から奪い合うと分かっているパイであるのなら、呉越同舟など聊か以上の絵空事だ。

 その初動を予見していた“黄の希人”の行動は早く、また、その初動を予測して、事前に大まかな構成員のシンドロームのみを抑えた“アセルス・デスミオス”の行動は早い。 
 もちろん、早いもなにも、それは七花胡の指示だ。

SYSTEM :
 得たレネゲイドの情報をもとに、彼は大まかな戦力を頭に描き、それを扱うためのプランをまとめ上げた。
 あなたが夢見る背の高い餓鬼どもを半月未満で“あなたの”戦闘集団に作り替えたものを、広く浅くするような形だ。

 その上で“御手翳す開放者”に必要なものを、対価と共に受け渡す。
 またどちらにも紛れ込んでいないエージェントの扱い方も含めた立ち回り方は、元より巧者であるアーキルの即決と協調もあって、自らは目立つことなく、彼らにまずローマのイニシアチブを渡すことに成功した。

SYSTEM :
 まず打算であろう。

 狼狩りに意気込んだことから共倒れを狙ったのか、
 それとも彼のパーソナリティを飼い馬から伝え聞いた際に、まだしも御しやすいと踏んだのか………。

SYSTEM :
 どちらなのかは、彼の心中のみにしかない。
         デブリーフィング
 ともあれ、今はその途中経過を伝え聞き終わったところだ。FH産の叩き上げの部下の報告を聞き留め、あとにはあなたと、その連中よりも付き合いは短いが、長くなるだろう二人が残っている。
 間もなくアチラ/“御手翳す開放者”からも、使いがやって来るはずだ。

"七花胡" :
 赤、青、黄。三色の均衡を出来る限り保ったうえで、それらを塗り潰す黒色の狼を狩る。
 三原色の各セルには、現状出来る限り“黒鉄の狼”を削ってもらわねばならなかったし────その果てに、斃れられるのもまた都合が悪かった。
 恩を押し売りして、出来る限り役に立ってもらう。そういう打算があることを、きっと“黄の希人”とて理解のうえで、情報を買ったのだろう。

"七花胡" :
「(利口相手の商売はやりやすくて助かりますね。
  なまじ腹の読めない────というか、大して頭使ってるかもわからない女が二人いる分、実感します)」

"七花胡" :
「“御手翳す開放者”からの使いが来るまでもう少しありますから、お茶でもいかがですか? お二人とも」
 部下への労いをこなしてから、この場にいる二人に紅茶を差し出す。
 “死滅天隕”と“隻獅子”、身内贔屓の男と朴念仁の女。後者がどうやら本当の獅子らしいということは、先に同行した駄馬から耳打ちを受けていた。

"七花胡" :
「自分の用事に、お二人とも無理に同席なさらなくてもよかったのですよ。
 彼女のように、狼を痛めつけにいかなくてよかったので?」

ラーゼス :
礼を短く伝えて紅茶を一口。

ラーゼス :
「仔猫は──瑞珂はそうしたようだな」

"七花胡" :
(こねこ……)

ラーゼス :
「あくまで、まずは、撹乱が目的のいくさだ。
 あの硬い殻を破る方法が見つからぬのなら、多勢で挑むこともあるまい」

ラーゼス :
「痛むのはこちらだろうからな」

ラーゼス :
……あの嵐のような力を想起しながら、カップをソーサーに戻す。

アレウス :
 容赦無く、紅茶に酒を混ぜて話を聞く。

「鼠の運ぶ細菌くらいは知っておこうと思ってな」

"七花胡" :
 

"七花胡" :
「左様で」

アレウス :
「どのみち叩き潰す相手だがな」

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
「アーキルは、『見解の相違だ』と言っていたが……」

ラーゼス :
「確かにそのようだな。彼が気に入らないか?」

アレウス :
「仔細は必要か? 俺は全てが気に入らんと、先刻言ったな」

アレウス :
「やつも同じだ。気に入らんし、潰したい」

ラーゼス :
「ああ。必要だ」
 てらいのない肯定。

ラーゼス :
「おれは貴公のことを知らない。
 いっときとはいえ轡を並べるのなら、互いの好悪を知ることは必要だろう?」

アレウス :
「そうか、そいつは正しいな」

アレウス :
「そうだな──端的に表現するとするならば……」

アレウス :
「俺は、所謂"元"というヤツが嫌いでね。
 筋も通せぬ裏切り者が気に入らんのさ。

 それ以上話すのは……俺の感情の問題でな。
 今はそれで満足してくれ……なに、酒がもっと入れば自然と話すさ」

"七花胡" :
「(……なるほど。身内贔屓なのは、優柔不断嫌いの裏返しなのでしょうね。きっと)」

"七花胡" :
「同じ目的を共有する以上、互いを知ることが必要なのは自分も同意見です。
 とはいえ今は、人を待ってもいます。御宅の気が許しても、込み入った話をするにはいささか据わりが悪い」

アレウス :
「肩も凝るからな……さて」

 ある程度のスーツのシワを整え、例え嫌う鼠であろうと、その佇まいは維持する。
 ……これは単なる、見栄というものだ。

"七花胡" :
「此方が済むころには、“帯来风暴”の方にも一応のカタがついておりましょう。
 続きはまた全員集まった場で、のちほど。ね」

ラーゼス :
 心得ている、と浅く首肯。
 そしてアレウスのカップに注がれた酒のゆくえを見つめる…。

アレウス :
「アルコールを少しでも入れんと……ははは、キレちまいそうなもんでね」

 で、これを飲み切れば少なくともそれはなくなる。
 そういう意思表示で、カップの酒の残りを飲み干した。
 酒と紅茶の配合は……先んじて紅茶を飲んだこともあり、9:1だ。

「問題はない。早いところ迎えてしまおう」

SYSTEM :
 その途中経過を伝え聞くのに並行し…。
 あなた/“七花胡”は、ある事柄を進めている最中だった。いや、結果はもう出ている。
 
 一区切り、としたのは、あるいはそのためだ。

SYSTEM :

 ・・・ ・・・・・
 カルロ・フェレーリ。

SYSTEM :
 “貴人の庭”から姿を晦ました逃亡者にして、主導者。
 彼に関する情報はローマで途切れているが…………。

 何を隠そうあなたには、
 ひとつだけ手掛かりがあったのだ。

SYSTEM :
 それがどのような手がかりだったのかは、敢えて黙しよう。

SYSTEM :
 しかしそれを切欠に、伝えられた情報を“取っ掛かり”として…。
 あなたはこの人物に関する情報を集めていた。二手、三手先のために。

SYSTEM :
 しかしだ、事もあろうに………。

 いや、予想していた通り………。

SYSTEM :
 その人物の正体こそ、今まさに………。
.デブリーフィング
 途中経過の折、あちらから使者として向けられた人物だ。

SYSTEM :
 仄かな血の香り。
 ブラム=ストーカー・シンドローム特有の形態から生まれた、エフェクト分類『赤色の従者』である。

 来客を引き連れて訪れたのは、エグザイル・シンドローム特有の侵入経路から現れた、曰く“蜂の死体”………。

“アセルス・デスミオス” :
「お客様よ」

“血色の探求” :
『従者の御目通りにて失礼』

“血色の探求” :
『お初にお目に掛かる。
 いや、其方の御身とはこれで二度目となろうか』

SYSTEM :
 おっさんも二度目よね? という彼の言葉は、
 もはや力技ですらない何かで流されていった。

 現れたその人物、“血色の探求”こそ…。

 名を曰く、カルロ・フェレーリ。
  マッドサイエンティスト
 醒めた目の研究者そのひとだからだ。

“血色の探求” :
『想像よりはお集まりのようだ。

 あの場にはもう一人いたはずだが…。
 本当にお膳立てをしたというなら、まァ、ヤツは前向きな男だ。無下にはしないだろう』

“血色の探求” :
『───で。

 こちらの用件は貴君らに対しては確認だけだ。他があるなら答えるが、如何に?』

"七花胡" :
 ご苦労、と手を振って駄馬を控えさせる。
 鼻腔を擽る血の香りは、その男の姿かたちが分身に過ぎぬことを告げていた。
 冷めた目つきの、壮年の男……その風貌は、あの老人が告げていた印象に合致している。

"七花胡" :
「ごきげんよう、“御手翳す開放者”の使者。"血色の探求"────カルロ・フェレーリ氏。
 今更此方の自己紹介は必要ありませんよね」

"七花胡" :
「いえね。此方としても色々調べていたのですよ。
 そうしたら、約三年前、このローマから────“青の貴人”から逃げたまま消息不明になっていた男が再び現れたと聞いて、色々と気になりまして。
 “黄の希人”に売った恩を揺すって、貴方を寄越していただきました」

アレウス :
("こいつ"が───か……)

"七花胡" :
「単刀直入に聞きますけど。
 御宅の首、なんでまだ繋がってるんです?」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :

『ほう』

SYSTEM :
 コードネームさえ貫通した本名の示唆。
 それに対して、男は多少意外げな口を聞いただけで、それ以上ではなかった。
     ・・・・
 そこまで自分の名には価値を持っていない所作だ。
 男にとって、いや、少なくとも微かな例外を除いたものは、文字通り等しい価値しか持たないのである。

SYSTEM :
 名前から結びつくあるアドバンテージのお陰か、
 “七花胡”は彼のパーソナリティであらかた察している。分かっている。

 彼は───。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 ・・・
『そうだと言ってどうする?
 私は貴君らに1名除いて何ら興味と呼べるものを持つ気は………、』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『…あ、2名か。
 若干訂正する、2名』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『2名除いて、何ら興味と呼べるものを持つ気はない。定めた主義に反するのでね』

"七花胡" :
「へえ。主義」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『如何にも。其方のが“七花胡”だな。
 あの手際だ、どうせ調べ上げているものにシラなど切る意味を感じんね』

SYSTEM :
 彼は、
 ・・・・・・・・・・
 理想主義の人間嫌いだ。

SYSTEM :
 そして、社会的定義に準えて判断した場合、
 彼は悪党であり外道だ。

 その発端は、ローマから始まったものではなく、もっと先………。

SYSTEM :
 男は幾つかのFHセルを鞍替えした。
 が…。

 その発端にして転機は、北米に存在したと目され、
 実態は一切定かでないとある研究用セル…………。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『何故繋がっているのか?
 さてな。紙一重だったことは確かだがね』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『これを天命というならそうだろうよ。
 居合わせなかったからだ』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『そして戻って来た時、
 ・・
 女神と会う機会を得たことも…。
 天命であろうさ。先の要件がそんなものなら、よかろう、答え合わせをしてやろう』

SYSTEM :
【Check!】
 情報『“血色の探求”カルロ・フェレーリ』を開示します。  

SYSTEM :
    エ ノ ク
【人物:“血色の探求”カルロ・フェレーリ】
 ブリード:トライ
 シンドローム:モルフェウス/ブラム=ストーカー/エンジェルハイロゥ
 ワークス/カヴァー:研究者/FHエージェント
 侵蝕率:134%(最高記録。平時はこれよりも下) 性別:男性 年齢:46

SYSTEM :
               ジャハーダ
 ローマで覇権を争うFHセル『御手翳す開放者』の構成員。

SYSTEM :
『偶像のように完成されている強さと美しさを持つ生物がいて欲しい/見たい = 人間はそうではない』という、聊か独特の感性を持った上での人間嫌い。
 それに触れた生物(主にRB)にきわめて執拗に付き纏い、その存在を作る/援けるためならばあらゆる手段を厭わない。

 家族は“いた”が、覚醒当時の衝動が齎す強烈な嫌悪心に勝るものではなく、物心つく前の娘はそのまま置いて行き、他は行きがけの駄賃感覚で殺害している。
(この娘は紆余曲折のち日本に流れ着き、ある男の司法取引の成果として、現在UGNアールラボで勤務するチルドレン名義となっている。)

SYSTEM :
 とあるFHの研究セルで『最終兵士』と呼ばれる計画を執った主導者。
 
 しかし当時の計画は(部分的成功はあったが)総合的に見て失敗に終わったこと、また北米当時の争乱を伝聞とはいえ耳にしながら、何ら進歩もしなければ、そのようなものが存在した意味すら考えずに、机上の、または軍事的な強さのみを探した“同僚”たちに強い失望を覚える。
 そして所謂『元締め』となっていたセル崩壊の混乱に乗じ、主に戦闘データと『複製体』に纏わる技術を持ち出して逃亡。

 のち、これらの技術の一部がローマに伝わっている。

SYSTEM :
 ギルドやUGNの暗部、当時あらゆる方向に『理想』を求めてつながりを持ち、
 その一環として、まだローマに支部を持っていたUGNと抗争関係にあった『貴人の庭』において、
 前セルリーダー、クラウス・C・クリスティの下、数々の実験を執行した。

SYSTEM :
 最終的にこの実験は敵がUGNでなくなった頃も続き、
 都合3年前、当時活動していたセルの『崩壊』にある気まぐれを起こして立ち会っている隙に露呈。

 多くの人間が更迭、また粛清の憂き目に遭うが、カルロだけは“天運”とでもいうべきか、これを回避………。
 そして『ジャハーダ』に潜り込み、そのまま流れでローマから去ろうと打算したまさにその時、
 主導者アーキルが連れていたあるRBが自分の何らかの琴線に触れたことで、その態度を変貌。一転して協力的になったようだ。

SYSTEM :
 彼をアーキルが抱えたことで、ジャハーダと『貴人の庭』の敵対関係は決定的なものになってしまったのである。

 ノイマンシンドロームなどではないが、彼が優れた知識人であることに間違いはない。
 しかしそれ以上に、彼が───およそ思想的にはFHとすら呼べない手合いであることも、言うまでもない。

友好条件 :
 カルロ・フェレーリは下記の条件をすべて満たした際に『友好』NPCとなる。

・フェーズ2以降
・『御手翳す開放者』と友好関係を結ぶ
 もしくは『“リグ・ヒンサー”』と友好関係を結んだ状態で………?(詳細不明)
・『貴人の庭』と友好関係ではない 

敵対条件 :
 また、以下の条件で『敵対』NPCとなる。

・フェーズ2以降
 かつ2ラウンド目クリンナップ以降から特定条件を満たしていると………?(詳細不明)
・『(現在情報未開示のキャラクター)』に一度でも攻撃を仕掛ける 

SYSTEM :
 友好となった場合は、下記のカードを獲得する。

SYSTEM :
[“血色の探求”]
・サモン・ブラッド(Phase/1)
「“血色の探求”」の従者を戦闘に参加させる。
 またはそのラウンドのみ、メインプロセスとセットアッププロセスを行わせる。
 従者はHP=30、能力値=8Dとし、
『ラストブラッド』『コンバットブラッド』『フィジカルブラッド』『シールドブラッド』を持つ。

.サクリファイ・ケイジ
・奈落に貧者は夢描く(Scenario/1)
『(現在情報未開示のキャラクター)』もしくは『従者』が死亡した時に発動。
 そのシーンに居合わせていた敵対勢力のキャラクター全てに「25」点のダメージを与える。

“アセルス・デスミオス” :
「御宅、するとアレ?
 ギロチン掛かったままローマにいるわけだ。酔狂やるねえ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『如何にも…。
 ・・
 それは何ら優先順位の勝ることではない』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『で? その事実確認は終わりかね。
 先んじて要件は、此方の報告書にまとめておいてある』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
     マシ
『いっとう優等な男なのだろう? コレには、まさか私があれこれと“教えてやる”必要はないね?』

"七花胡" :
「(────クロエ・フェレーリ)」

"七花胡" :
「(名前がいささか引っかかると思っていたら……ああ、なるほど。
  ただの同姓ではなく、この男、彼女の父親でしたか。人嫌いはおおむね経歴に由来するのでしょうが、父親譲りでもあったのでしょうね。

  まあ、だから何だという話────クロエさんは、今や自分の庭に根差す一輪です。
  罷り間違ってこの男に関心を持たれなどすれば彼女に障る。この場で名前を出す必要は、ない)」

"七花胡" :
 ……にしても、こいつも察しが付いているだろうに。
 顔色一つ変えないのは、その表情筋に積み重ねてきた経験がゆえか。
 それとも、重要なのはあの子供の「現在」であって、目の前でのうのうと息をする「過去」ではないゆえか。
 
 ……どちらでもいい。
 駄馬の方に遣ろうとした視線を惜しんで、男の方を観察する。

SYSTEM :
 ………その通り、黙するべきことだ。

 あなたは確かに、その目前の駄馬の全てと引換に匿った少女の名を覚えている。

 そもそも父親の素性も知らず、FHの前科が奇跡的になく、
 あちらのオーバーテクノロジーを引っ提げたことで、差し引きプラスで価値ありと保護され…。
 今やUGNのアールラボで“チルドレン”として勤務する少女の名だ。

SYSTEM :
 だが、その駄馬たるや表情一つ動かさなかった。惜しむ前の段階ですら分かるが、“七花胡”にとってそれは然程重要なことではない。

 観察に対して、その主題は、口を開くまでは一切応答しなかった。

ラーゼス :
報告書に目を落とす。

アレウス :
「(そうか──コイツか、例の管制技術の卸元は)」

"七花胡" :
「そう急がずとも。せっかくですから、もう少しゆっくりしていってくださいな」
 “隻獅子”はともかく、“死滅天隕”の心象や如何に。
 とはいえ合理よりも感情を優先させるような未熟ではないだろうし、配慮は不要だろう。元よりそういう立場でもない。

ラーゼス :
 人間嫌い。その印象は事実であることを確認する。
 紙に書かれていることを読むのみでも外道の所業だが、『これ』が当然のようにこの場にいることが、ファルスハーツという組織の在り方なのだろう。

ラーゼス :

ラーゼス :
「……この資料を、貴公自身が持ってくるとは」
 自身の所業をつまびらかにしたこんなものを、従者越しとはいえ自らが持ってくる。
 この男の性根は明らかだ。興味がないのだろう。

ラーゼス :
「酔狂だな。貴公にとって、事実は事実以上の意味を持たないということだろう」

アレウス :
 アレウスは動かない。
 口を動かすそぶりも、表情を変えるそぶりもしなかった。
 心証とはつまり、そういうことだ。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『如何にもその通り。
 御身にそう映るというならなるほどと、更に甘んじることにしましょうが』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『私個人の事実など、事ここに至ってどうでも良いのです。
 そんな個人のプライドに足るようなものなどは、
 レネゲイドが我が身と共存を主張したその瞬間から失せている…』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『獅子よ、私は識るものなのだ。
            ・・・・・・
 レネゲイドは何処までも行けてしまうと』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『その探求を前にして、我が身の事実など半世紀に近かろうが、文章にして数ページの水増しをする程度に過ぎない………』

SYSTEM :
オーヴァード
 我々とはその過渡期に過ぎぬのだ、と。
 くつくつと零すように笑ったその様は、話の通じぬジャームを思わせるが、
 しかし彼は相手の言葉を解する知性と、好悪と利害と分けるだけの理性があるようにも見える。

 どちらなのかは敢えてここに記すまい。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『………で、』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『その貴君ら、目的意識に何一つかすりもしない来歴に“ゆるり”と拘泥するのか? 
 智慧あるモノとするなら、ムダ話と知りながら楽しんでやれるが』

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
「否定はしがたい話だ」
       レネゲイド
 己の身に宿る妖精の力も。
 その営みを前に、人間で壮年の頃にさしかかる男など塵芥だと……。

ラーゼス :
 現代の人間は、この力を指して『背約者』というらしい。
 時代が変われば人も力との向き合い方も変わり、このような男も現れるということだ。
 探求を前に人倫を棄てる者も。

ラーゼス :
伏せた目で胡に視線を注ぐ。彼が刃をその手に寄せるまでは何もするまい。

system :
[ "七花胡" ] ロイス : 3 → 4

ラーゼス :
「貴公とて、その『目的意識にかすらない来歴』に時間をかけられると理解していたのだろう?
“貴人の庭”がアーキルの首を狙う理由は、どうやらあの男ではなく貴公のようだ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『で、ありましょうな』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『我が身さえも御身は、いや世界に手掛けるレネゲイドは礎とし得る。
 我が人格的な扶け、最短と識る手段こそが、むしろその性根を穢し得る場合も………当然存じている』

SYSTEM :
 だから、昔はやった。
 だから、今はただの従順な『女神に傅くその他大勢』だ。そうは言う、それは事実だ、しかし。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『しかしその来歴を理由とするなら、父君さえ高貴の義務に照らし合わせ、これを背いたと罰した娘だ。

 そのような機能として生きようという者に、よもや、私という取りこぼしが我慢できようはずがない』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『御身、理解なさるかな。
 積み上げた屍を理由とする人間のことだ。
 ・・・・・
 それならば分かる。我が感性に無縁とて、私の生涯に無縁ではない』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『………しかしだ、御身の隣にいる者どもにはそうではありますまい。
 当事者ではない、第三者だ。利害以外で殺される筋合いはないと言わせて頂きたいね』

アレウス :
「──よぉ、塵屑。
 そうだと言うヤツが居たら、貴様どうするね」

 ノータイムでその手に銃が握られる。
 それで撃ち抜けるのが本物でない、ただの使いでしかない事を理解した上で。

アレウス :
「カスの貴様には随分と世話になったよ。

 今日日俺を生かしているこの……、
 因子管制のシステムは貴様が持ち込んだものだろう?

 だが貴様には恩など微塵も感じん──」

アレウス :
「俺には当事として貴様を殺す理由がある。
 そして利害として貴様を殺す理由がある。
 そのどちらも理由として充分だ、それで死んでくれるか?」

 コイツは俺の矜持に反する。
 そして、コイツは俺の理念に反する。
 あらゆる全てが気に入らない──殺す理由などそれで充分だ。

 ──、
 止めなければ、"死滅天隕"は答えを聞くことなく従者を撃ち抜こうとするだろう。

ラーゼス :
「(積み上げた屍を、理由とするもの……)」

ラーゼス :
 その意味を受け止める前に、男が引き金に手をかけた。
 先程から感じていた濃密な憤怒の気配。

ラーゼス :
 ……その怒りは正当なものなのだろう。
 知りはしないが、この男が義理や仁義というものを知る人間であることはわかった。
 であるからこそ──

ラーゼス :
 "死滅天隕"の向けた銃口を、己の手のひらで覆う。

ラーゼス :
「やめておけ」

アレウス :
「何故止める」

ラーゼス :
「指の一本を折っても、得るのはいっときの快楽のみだ。
 仔猫の悪癖を言えなくなってしまう」

ラーゼス :
「いっときの快楽を求めるのなら、このままあの指の一つを折ってみせよ。
 なにも意味はなく、そして……」

ラーゼス :
 ・・・・・・・
「つまらなかったぞ」
 かつて己もそうしたことがあり、そして何も満たされなかったと。
 そう示すような言葉。

アレウス :
「フン」

アレウス :
「ムカつくが──気に入らんわけではない」

アレウス :
「貴様の言葉は随分と通るな。
 合理と矜持の配分が完璧と言ってもいい、まったくもってムカつくよ」

 ──銃の引き金に力を込める。
 光の弾は従者を貫くことなく、その足元の床を撃ち抜いた。

アレウス :

 いっときの快楽に身をゆだねたことならいくらでもあった。
 政府軍に寝返った連中を撃ち殺したときはそういう気分だったのだろう。

 ああ、確かに、つまらなかった。

アレウス :

 だから俺は飢えているのだと、見透かされたような感覚に舌打ちをする。

アレウス :
「貴様の言葉に従おう」

アレウス :
「最大の快楽を得られるように──
 最高の味わいの時に、このゴミクズを殺すとしよう」

SYSTEM :
 ところで彼は銃口を向けられてから、
 私情を吐き出すその終わりまで微動だにしなかった。

 あるいは撃った場合でもだ。
 それではまことに死なぬと計算して高をくくったものでもあり、
 計算の範囲を飛び越えたところで“意味がない”と捨て置いたに過ぎない。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『獅子よ、手間をかけた無礼を詫びよう。
 なお赦さずとも結構』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『あいにくと、お為ごかしのような台詞が浮かぶ生涯ではないのでね』

ラーゼス :
「ありがとう。貴公の理性に敬服する」

"七花胡" :
 一連の流れを眺める間に、微動だにしなかった男がもう一人。
 正確には、何かする前に傍らの女が立ち上がったから、する必要なしと思ってだんまりを決め込んだ。
 まあ、呆れが上回ってかける言葉が無かった、というのが正しいかもしれないけれど。

"七花胡" :
「(もう少し達観した方だと踏んでいたのですが……困りますねえ。
  百歩譲って、自分とこの子供たちが堪えきれなかったなら……後々正座で説教を受けることを条件に、好きにさせてやっていたかもしれませんが。
  そこまで面倒を見てやる間柄ではありませんし)」

"七花胡" :
「“死滅天隕”、これを殺るなら必要なものを絞った後にしてください。
 貴方の感傷で取り逃してはたまったものではありません。
 クールダウンが必要なら、顔を洗ってきていただいても結構」

"七花胡" :
 この男に対する個人の好悪の話としては、間違いなく嫌悪の部類には入るけれど。
 彼が捨てた娘に関心を示さない限り、それが殺意にとって代わることはないだろう。
 他の連中と同じだ。利用価値があるなら絞る。無いなら捨て置く。邪魔なら殺す。

アレウス :
「その必要は無いさ、"七花胡"。
 水で顔を洗うより、血で血を洗う方が、俺の性に合っている」

アレウス :
「だが失望したのなら、その汚名は、しかるべき時に屑の命で返上しなければならんな」

アレウス :
「続けろ。今は大人しくしておいてやるさ、獅子の諫言に従ってな」

"七花胡" :
「其方の方が、貴方の体から酒が抜けるよりは早いでしょうね」首を竦める

"七花胡" :
「続けましょう。貴方のとこのセルリーダーが自分に作った借り分、もう少しお付き合いいただけますね? "血色の探求"」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『ヤツの借りを私で払えと?
 ふむ、とんだ暴利を話しているな』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『それはヤツが返すさ。そういう男だ。
 言ったはずだが? 私はムダ話でも知りながら楽しむ程度の術はあるとね』

"七花胡" :
「左様で。では其方は本人に請求するとして……」

"七花胡" :
「貴方、先ほど『関心があるのは二名』と仰ってましたよね。
 片方は彼女」“隻獅子”に一瞬視線を寄越す

"七花胡" :
「もう片方は? 貴方、レネゲイドビーイングやらアニマルオーヴァードやら、特殊な成り立ちのレネゲイドなら何でもよろしいので?」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『異なことを聞く。
 しかし、諧謔として受け取ってやろうではないか』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『如何にも関心は二名、探求の先約は一名………。
 しかし事実、広義として広めたのならばそのように呼ぼうか』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『ある時、肉体的到達点の顛末と…。
 そこに芽吹いた理解と欲求の差異を確かめて…。
 私は心底、この辺りに失望し、そう結論付けた』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 サル
『同類どもは進化の途上であり………。
 ・・
 断崖とね』

SYSTEM :
 特殊な成り立ちのレネゲイドならなんでもよいのか? 答えはこうだ。

 概ねイエス。
 そもそも”レネゲイド”の進化の拠り所として、人類に彼は重きを置かなくなった。
 生まれ育った生活ではない、覚醒と共にまとわりついた嫌悪衝動こそがそうさせるのか、あるいは…。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『───ヒトを土台に、礎に。
 旧くから現れ、そして最新を越すもの…』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
    Renegade Being
『レネゲイドから生まれしモノ』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『………仮にそうでなくとも、進歩の余地があり、及ばぬ知識がある。
 残る生涯の猶予をかけるならば“其方”と感じたから、私はそうと見做したものに、私なりの敬意を振るっているに過ぎんのだ』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『そこに好悪はあれど存在の是非を想ったことはなく………。
 勿論この辺りを理解してもらおうと自惚れた覚えもない。
 人間社会を、それそのものを疎んだ私が語ることのなんと“つまらん”ことか』

SYSTEM :
 もう片方について明言しないのは、その場にいたなら分かるな? と、客観的評価からあなたの思考を推し量っているからだ。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『強いて好悪ならあるが、貴君のような人種に糧となるとは思わない。どうか』

"七花胡" :
 探求心が過ぎるあまり、人間への失望を経て、異なるものへの信仰へと変化した。
 最早、他者からの影響や変容を受け入れる余地のない、そういう欲望の在り方だった。
 先のあの場と各交戦状況を振り返るに、彼の欲望に叶う者はそう多くはない。殺意満々の隣の彼の部下のうちに、該当者がいることを頭の中で結論付ける。

"七花胡" :
 ……それでいて、彼の思考の裡にクロエ・フェレーリの名前がないことを、その言葉の端々から慎重に、慎重に確かめて、ようやく確信を得る。
 生来の孤独感が裏返って態度に現れる、少し風変わりなだけの変わり映えのないひとりのチルドレンの将来は、自分にとって遺産の行方と同等……あるいはそれ以上に。
 頭の中で何度も何度もリスクを反芻するくらい、重要なことだった。

"七花胡" :
「”強いて”の話を掘り下げる意味はさほど感じませんので。結構ですよ」にこ。
 今後の動きを推測するのには、思考のベクトルが知れただけで十分だ。このテの思想は、あまり深入りして気持ちの良いものではない。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『承った。ならば』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『其方の立案した作戦の経過と予想について、先のものに纏めてある。義務は遂行した。以上───』

ラーゼス :
「待て。ひとつ教えてほしい」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『…ふむ』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『何に釘を? いや、…。
 斯様な様子は諦観と見える』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『ならば別だな。私から“識”るものが知識であるならば顰めもしない。

 御身、僅か話して分かったが…。
 恐らく我が領分が馴染めば、その輝きのくすむ身と見える』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『失礼、前置きが長引いた。それで如何に?』

ラーゼス :
「そのようだ。貴公と同じ森にはいられぬだろう」

ラーゼス :
「おれが尋ねたいことは、貴公から見た印象だ。先ほど……」

ラーゼス :
「“青の貴人”が高貴の義務に照らして、父を罰したと言ったろう」

ラーゼス :
「貴公にとって、“青の貴人”はそのような娘に見えたということだな?」

ラーゼス :
 ……この男の前で、どこまでも人間は平等だ。
 ならば、その審美眼はかえって信用できよう。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『如何にも。
 …御身、事によっては私があれこれ語るより理解していましょう』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『人の上とは、須く義務がある。

 表面上の広くも浅い権利さえ、
 視野を広げねばならぬソレにとっては義務だ』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『そうあるように育ち、そうあるように傅かれた人間が………。
 もしもそれ以外を見出そうとて、今更なんで生き方を変えられる?』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『───ましてや、それを促すものの有り得ない庭の真ん中で。
 
 あの娘が私に気付いた時、取るべきは二つあった』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『その上で“こちら"…。

 父クラウスと、時の関係者を皆殺しにする術を択んだのです。であれば、そう見るのも、むべなるかなと言わせて頂きたく』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『あの娘はローマの全てを欲するが、
 そうしたならば当然のことでしょうとも。

 彼女にとって重んずるべきは情でない。
 ローマにとって敷くべき永遠ならざる秩序だ』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『………』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『あとは些事でしょう。
 御身の理解に委ねるより他にない』

ラーゼス :
「…………」

ラーゼス :
「……貴公の言うことはわかる。
 事実なら、きっと的確な評価だろう」

"七花胡" :
 永遠ならざる秩序。
 定命の身なればこそ。無期のこの身ならば、叶うだろうか?
 敷けたとして……

「(情なきそれに、果たして如何ほどの価値があるのでしょうか)」

 答えは出ない。

ラーゼス :
 ・・・
「わかる、ということも否定はするまい。
    ヒトトナリ
 貴公の為人も多少はわかった。ありがとう」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『恐縮です。そこまで仰るならば………』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『…いや、今のは赤子に対する礼だ。
 この辺りとしておきましょう』

SYSTEM :
 彼が言いかけた話は、

 そこまで言うなら“理解”と必要な時の利害は御存知だろう/ないと思うが忖度はけっこう、という事実である。
 閉じたのも、その知識人のサガが、あなたの振る舞いからこれを問うまでもないこととした程度。

SYSTEM :
 …一連の話のち、“血色の探求”は失礼の一言も言わず、ほんの数言の途中経過と見解に対する確認のみして姿を消した。

SYSTEM :
 彼が去った以上、並行して進めていたタスクも一区切りだ。

 彼と“御手翳す開放者”をどう扱うか………どう利用するかは、ともかくとする。
 男は喩え興味がなくとも、あなた方と道が一致すれば協力を惜しまないだろう。

 彼らの首魁がそうであることを好むように。

“アセルス・デスミオス” :
「昆虫みて~な男。ともかく、」

“アセルス・デスミオス” :
「お開きね。あくまで今のプランは途中経過っしょ?
 〆の部分と、あっちの出方に対する部分が残ってる」

ラーゼス :
「(同病相憐れむということか?)」

アレウス :
「(コイツがいうかね)」

“アセルス・デスミオス” :
「あ! おっさんに対する風評被害検知!
 言っとくけどおっさんはですね
     フラット
 ああいう平面じゃあねェーからね」

アレウス :
「ふん、俗人ではあるだろうな」

“アセルス・デスミオス” :
「そーよ、おっさん人の世に執着ぜんぜんあるしね」

"七花胡" :
「貴方がもしあのテのタイプなら、とっくに燃やして処分してますからね」

“アセルス・デスミオス” :
ヮ…

“アセルス・デスミオス” :
これは”マジでやりかねんな”の「ヮ」ね

"七花胡" :
にこ。

アレウス :
「……ああ、そうだ、それでだ"七花胡"」

アレウス :
「なにか"当たって"いいものはあるかね」

"七花胡" :
「ん? ああ、そうですね。下降りて突き当たりを右の部屋」

"七花胡" :
「用済みのものを押し込んでいるところがあるので、其処ならお好きに。
 のちほど請求しますので」

アレウス :
「では"遺物怪盗"にツケてもらおう。請求書にはそう書いておいてくれ」

"七花胡" :
「了解しました。あ、できればお静かにやってもらえると」

アレウス :
「善処はしよう」

"七花胡" :
首を竦める

アレウス :
「さて……獅子の姫君」

ラーゼス :
『姫』の呼び名にむずがゆそうにする。

アレウス :
「少しお付き合い願えるかな。
 酒を抜くには少し、貴君の力を借りたい」

ラーゼス :
「かまわない。力比べなら得手だ」

ラーゼス :
「胡も、それでよいな?」

"七花胡" :
「ええ、どうぞ。ではまたのちほど」

ラーゼス :
浅く頷く。

ラーゼス :
「行こう、"死滅天隕"──」

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
「アレウス、でよいな。そう呼ばせてほしい」

アレウス :
「……」

アレウス :
「くっくっ、美女に名を覚えてもらえれば光栄であることだな」

ラーゼス :
「そうか? ならばよかった」

ラーゼス :
 ナリ
「形が貴公の好みならば僥倖だ。
 我が力も意に沿えればよいな」

アレウス :
「期待しよう」
 憤怒の中に生まれた僅かな享楽を支えに、ゆっくりとドアに手をかける。

SYSTEM :
 一触即発とばかりに燻った火種が鎮まった後の、その後ろ姿に掛かる声は…七花胡/あなたが不要と見做したのであれば、無いだろう。

 予め用意しておいた一室の、用の済んだ品々の後始末か…。
 あるいは、飛び火しない程度の矛を交える際の音か。
 それが響く数分後を予見しながら、飼い馬が肩を竦めた。

“アセルス・デスミオス” :
「“マスター”も人間やってるってコトなんだねえ」

“アセルス・デスミオス” :
 ファルスハーツ
「人間の屑をお互い長いことやってんだ、道理も筋も時としてクソ以下なのは知ってんでしょうに。
 ………ま、”あのくらい”で片付けられるのは第三者だからかもしれないけどサ」

“アセルス・デスミオス” :
「そうそう、念のため伝えておくけど、"血色の探求”の陣取る場所は要望通り抑えといたよ大将。

 気に入らなくなったら言ってちょ」

"七花胡" :
「人間味と言えば聞こえはいいですが、それで諸々フイにされかけた身としては一言二言詰りたくもなるというものですよ」

"七花胡" :
「全く理解がゆかないわけではないのですがね。彼、“青の貴人”とも浅からぬ仲のようですから。
 古巣で好き勝手やった挙句、のうのうと生き延びた男が目の前に現れたら、懇意にしていたお嬢さんの代わりに一発ブチこんでやりたい、と思うのも無理からぬ話ではある……。
 とはいえ、それとこれとは別です。自分のところの子供たちではないのですから、甘やかす筋合いもありません」

"七花胡" :
「"血色の探求"は、当面は放置でいいですよ。よきところで“死滅天隕”に高値で売りつけるのもいいでしょう、彼ならきっと言い値で買うはずだ。
 あれが本当に人間に興味がないということが知れた以上、積極的に始末する理由もありません」

“アセルス・デスミオス” :
「ホイホイ了解。情けは人の為ならず、ね」

 おっさんがこの言葉の恩恵感じたこと、
 正直に言って『ゼロ』だけんどね

"七花胡" :
「そうですよ。他人に情けをかけるのは、自分の益のためです。
 向こうでもこっちでも、その理屈は変わりませんね」くすり。

“アセルス・デスミオス” :
「おっさんはいっぱい情けかけてんのになんで益帰って来ないんすかね 教えて下さい先生」

"七花胡" :
「人徳じゃないですかねえ」

“アセルス・デスミオス” :
「そうか、この罪作りな顔がそうさせて…」

"七花胡" :
「人相悪いですからね、貴方」

“アセルス・デスミオス” :
 コウゲキヨウノソラリスエフェクト
「大将"言葉の刃”でも覚えた?」

"七花胡" :
「覚えてたらこれくらいじゃ済ませませんよ?」

“アセルス・デスミオス” :
「血も涙ももう出ないんすけど…」

"七花胡" :
「でも労力は出せますよね♡」

“アセルス・デスミオス” :
「江戸時代の農民かよおっさんは」

SYSTEM :
 ・・・・
 部下未満に向ける言葉は確認であり、いざ向かわせた時に、互いに一切躊躇はない。

 信頼の有無さえも超越して、彼はそうする以外の選択肢を昔に投げ捨てたわけで。
 あなたは、それを数行程度の端的な現実として知っているだけだ。

SYSTEM :
 男は軽口こそ叩けどもそれ以上は言わない。そういう人間であるから、今から話す言葉も献上の亜種だ。

“アセルス・デスミオス” :
「………」

“アセルス・デスミオス” :
「おっさんね。ちょっと気になって、
 "血色の探求”と道中で話をしたのよ」

“アセルス・デスミオス” :
「“奥方はどうした?”って聞いたの」

“アセルス・デスミオス” :

「野郎さ………、なんて答えたと思う?」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 覚えている

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 安定した家庭、系譜として残る命。
 途上の我らが拠り所とするものだ

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 ───で、

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 それに意味はあるのか?

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 我々は半分人だが半分化物だ
 かこ こえ
 昨日を超越るものだ。そう在れるものだ
 それを目指すものが、何故人の縁なぞに拘る?

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 貴君、端的に言うのだが…

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 ・・・・・・
 気持ちが悪いと、そう思わんのかね

“アセルス・デスミオス” :
「嗤わせる。      ユメ
 いやあ羨ましいこった、欲望枯れてません、だとさ」

“アセルス・デスミオス” :
「…ま、蛇足だったみたいだけどね。

 これ伝えておいて難だけど、
 実際の使い方は大将が決めてちょ」

“アセルス・デスミオス” :
「おっさんが御宅にあの娘を預けたのも………人生最後に善行やってみたかっただけだしね。

 野郎の奥方にちょっと恩義があったんだけど、怒るには筋が違う」

"七花胡" :
 ロイス
 人の縁とは、オーヴァードを人の側に繋ぎ止めるものだ。家族とは、社会的規範に成形された、最も分かりやすい絆の形だろう。
 人でなければ人と居られない。人と居ることが、我々を人たらしめる。

 逆説的に……
 人に見切りをつけ、人でないものに憧れ、人を超越ようとするのであれば。
 大切にしたいものが人の輪の中にないのであれば、繋がれるそれは絆ではなく鎖でしかない。
 自らの足を縛めるものを、なるほど人によっては「気持ち悪い」と表現するのだろう。

"七花胡" :
 納得はする。
 突き詰めるために、社会性というものが邪魔だったのだろう。
 理解はできない。
 持ち物があったのに、あっさりと捨ててしまえるなんて、恵まれた者の発想だ。

"七花胡" :
「……貴方のその残り僅かな良心が、クロエさんにとって、父親に捨てられたこと以上の転機だったことは────自分が保障しますよ」

"七花胡" :
「ふうん。”八仙過海”に来る前に、世話になりでもしましたか。
 カルロ・フェレーリ本人とは、その様子では遭遇しなかったようですが」

“アセルス・デスミオス” :
「大したことじゃないのよ?
 知った風なコトを思ってただけ。野郎のこともね」

“アセルス・デスミオス” :
「確かに世話にゃあなって、それが始まりだけどね。

 だからまあ、お互いそんで十分。こいつは蛇足よ。
 大将は死体が腐ったら掃き掃除をして、特に留めることもなくだ。何言おうが、事情としちゃ終わってるしね」

“アセルス・デスミオス” :
「ただ………何というかね」

“アセルス・デスミオス” :
     おれ
「あんたがひとのムダを。
 ホントの意味で無意味にしなさそうな男なのは、確かに“益”だったよ」

SYSTEM :
 ローマには似たような敗残者がいる。何人も。
 届かぬ星を目指すことが未だ続くのであれば、それは挑戦だ。
 そして彼の挑戦は終わった。
                  ユメ
 あの“八仙過海”の崩壊とともに男の欲望は片付いたのだ。
 どうもせず、どうしようもなく。このローマにさえも、点々と残り火を残して。

SYSTEM :
 そして、それはそう珍しいことではない。
 強さと弱さでモノを語るような世界で、彼らは弱さのスキを見せたのが悪いだけ。

 分かっているから、部下未満はそれを言ったら、あなたが止めねば、身を翻して本業に戻るだけだ。
 客観的にも、伝えるべき話はとうに済んでいる。

"七花胡" :
「生き物は死ねば土に還ります」

"七花胡" :
「肉は腐り、融けて、やがて肥料となって次の種へと引き継がれる。
 人も蜂も、人でなしだろうとそれは一緒です」

“アセルス・デスミオス” :
「肥料の出来が悪いとアレじゃない?
 見込みと違うモン生えるかもよ」

"七花胡" :
「肥料が気にすることではありませんね」

"七花胡" :
「それに頭を悩ますのは、自分の仕事ですよ。差し出口は結構。
 よしんばヘンテコな花が生えたとて、そういうものと愛でようはあります」

"七花胡" :
「貴方でなくても、肥料にするのは同じですが。
 貴方がどんなろくでなしであろうと、例外にはしませんよ」

“アセルス・デスミオス” :
「ヘーヘー。
 ま確かに、デザインは庭師の仕事だ」

“アセルス・デスミオス” :
「じゃあそん時はよろしく、ってことで…」

SYSTEM :
 おっさん、タスク多いからね。
 うかうかしてると肩叩かれちゃう…。

 などと戯言一つ。

"七花胡" :
「もちろん。最近は生かす方向でばっかりやってましたけど、元はといえば、生かさず殺さずの方が得意分野ですから。
 貴方が限界!って喚いて三歩、ジャームになる一歩手前をキープして、限界まで酷使して差し上げましょう♡」

"七花胡" :
 ……もし仮に、目の前の男がカルロ・フェレーリのような人間だったのなら、火葬まっしぐらで灰も残さなかったであろうことは確信できる。
 いくら部下未満、使い捨て前提の駒であろうと、気色の悪いものは傍に置きたくないと考えるのは、ごく自然なことだろう。

 あの時たまたま手に入った駒が、最後に成したかった「善行」に、自分ではない誰かの縁を繋ぎ止めることを選べた男だったのは……。

"七花胡" :
「(まあ、確かに。”益”では、あったのでしょうね)」

"七花胡" :
「さ、行った行った。下のお二人に声かけて、それから被害総額の計算と請求も忘れないでくださいね。
 その肩に山積みのタスク、一件でも漏らしたら、日本に帰っても接見はなしですからね~」ハハハ

“アセルス・デスミオス” :
「人が“ばっちこい”てやったらコレだよオ」

SYSTEM :
 彼に躾は要らない。使い捨て前提の駒だからだ。
 なにより彼が、それを最後に望んだからだ。

SYSTEM :
 そこに情はさておき、確かに利益はあった。

 その判断を出来る人間だから、あなたは此処にいるし、本当の意味では此処にいない。

SYSTEM :
 ………欲望に塗れたローマの出会い。
 特に下の二人と、彼方で猶も炎を燻らせるモノが“それ”に値するのか、どうか。

 あると見込んでいる現在が続くなら。
 今去った“探究者”を含めた問題への手数は、あなたとそこの死体ひとつで終わることはないはずだ。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

ラーゼス :
ひとまずはない。

アレウス :
ラーゼスに取ろう。
感情は……〇感服/劣等感だ

アレウス :
つくづく俺には……人の上に立つ器というものを感じんからな。羨ましいことだ。

GM :
ふむ…? いいでしょう。
キャラシートに書き加えておいてください

GM :
ちなみにそちらの発言につきましては………

GM :
S1d3 (1D3) > 1

“逢魔狩り”三草由芽 :
私ウツワで人斬り包丁やらせてもらってないので
まあ大丈夫なんじゃないでしょうか!

“逢魔狩り”三草由芽 :
以上!

アレウス :
(あまり信憑の実感が無いことは伏せて)ありがたく受け取っておく。

"七花胡" :
自分は……いえ。そうですね。今回はなしで構いません。

GM :
畏まりました。それでは…。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 下記の情報が更新されました。▼

SYSTEM :
・“不朽讃えし懐刀”
 判定:〈情報:FH〉/14 〈情報:軍事〉/無条件
 関連項目:『“貴人の庭”』『”血色の探求”』
 備考:「情報:軍事」は関連項目が開示された時に特定PC(アレウス)のみ宣言可能

SYSTEM :
 下記のNPCについて居場所が判明しました。
 メインプロセスで『攻撃』を仕掛けることが可能です。▼ 

SYSTEM :
・"血色の探求”カルロ・フェレーリ

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・シーン9「Sacrificium-あるいはそう嘯く」

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

レ ム リ ア
『黒鉄の狼』。
 善悪等しく、幕引く牙。
 飽くること知らぬ、登頂を臨む者。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ローマ市街。
 観光の中心でもなければ、人の集まるところでもない“外れ”。
 相対的に“リグ・ヒンサー”の縄張りと呼べる箇所でありながら、
 尚且つそこまで巻き添えを食うものの少ない箇所に、その狼はいた。

 ……追い込んだと主張することは出来ようが。
 彼は自然と獲物を求めるかのように食い残しの方を目指していっただけであり、それと“宝箱”に見立てたこの争奪戦に、偶さか、互いの利害が一致したに過ぎない。

SYSTEM :
 被害者、30名超。
 ワーディングすら展開する気のない狼の行く手の先に不幸にも重なった者。

 重傷から死傷者、従者や実験用ジャームを除いて90名弱。
 代わる代わる、ローマで動員されたFHセルそれぞれのエージェントからチルドレン。
 能力を見極められなかった禿鷹から、分かっていて捨て石になった信奉者、それ以外に余地のない落伍者。入り乱れた欲望の徒たちが、皆食われもせず転がり、死のにおいを充満させていた。

SYSTEM :
 戦闘開始から4時間経過。

SYSTEM :


 ───”黒鉄の狼”、未だ無傷。

SYSTEM :
 眼鏡に叶った餌は"懐刀”を除いてなく。

 ならば、最早それは戦闘などではない。

 だいいち竜の懐の宝をくすねるなど、どんな伝説の戦士も正攻法ではやっていない。

 ここにいるのは本物の御伽噺だ。
 片足を突っ込んだだけの人間に、
 対処の余地など何故あるものか。

 分かっていながらも求める欲深さはFHの最低条件だ。よって、そこまで死者が出る。

SYSTEM :
 屍は出来た傍から、近くにいれば消し飛んだ。巻き添えの遠くは野晒しのまま。
 恐らくはちょうど百になるかという時に、あなた/夏瑞珂は"御手翳す開放者”の何陣目かも分からない集団に紛れて来た。
 それで食事ですらない塵殺の中、恐らくは”血色の探求”謹製の従者を握り潰した直後の狼が、血に籠手を染め上げて振り返る。

”黒鉄の狼” :

『───まだ、居たのか』

”黒鉄の狼” :

『だが、よくぞ来た。

 喰い残しは、意味の有無ではない。
 決まりが、悪い』

夏瑞珂 :
 ──血と炎の御伽噺は、安寧と繁栄の外側で描かれる。

 四時間にも及んだ有為は、挑む側の覚悟はどうあれ戦闘のていすらなしていなかった。
 至近で死ねば屍も残らない。知っている。そんなことは、とっくに知っている。三年も前から。

夏瑞珂 :
 つくりものが狼の掌中でぐしゃりと潰れた。鋼の獣爪に血を滴らせ、けだものが語りかける。

 ──誰に。──わたしに?

夏瑞珂 :
 虚を衝かれて、む、と口を閉ざす。

夏瑞珂 :
「狼のくせに、お行儀を気にするの? 愚かな男。生まれた場所から這い出てこなければよかったものを」

 引き剥がした唇が、怨嗟を紡ぐ。でも違う。恨み言を言いたいのでも、面罵したいのでもない。復讐を。逆襲を。再戦を。ああ──聲が響く。

”黒鉄の狼” :

『──死合う。殺す。
 ──奪う。喰らう』

”黒鉄の狼” :
レムリア  レムリア
『俺が、運命だ。
 それを以て生むものは、戦いだ』

”黒鉄の狼” :
『それが生むものは二つしかない』

SYSTEM :
 がちゃ、と。鋼色の塊が音を鳴らす。

SYSTEM :
 生まれた場所から這い出て、飽きもせず延々と這い上がる。
 ひとつ事を極めると言えば聞こえはいいが、その道程は世界を焼く炎だ。全てを焼いた先に生まれる頂だ。

 その過程を指してそう呼んだものは、
 あなたの紡いだ怨嗟を知ってか知らずか、代わらぬ当然を答えた。

”黒鉄の狼” :
『強靭く、在るものか。
 脆弱く、死すものか』

”黒鉄の狼” :
『───須く下したものだ。
 それが残り、剰え再び牙を剥くなど、
 道理に合わぬ』

”黒鉄の狼” :
       よわ
『あの男は同じ脆弱さだった。
 ───そうだ。二度で分からぬなら三度言うぞ』

”黒鉄の狼” :
.       レムリア
『おまえたちは、俺にとって、無意味だった』

夏瑞珂 :
「ハ……」

 運命が戦いを生み、強靭きは在り、脆弱きは死す。下したものが生き残り、まして立ち上がるなど道理に背いていると──

夏瑞珂 :
 ──ああまったく、それは強者のりくつなのだろう。

 喰らう価値なく、理由にもならないと。りくつを介さないものへ、ものごとを説くように。けだもの風情が!

夏瑞珂 :
 全身がわななく。笑みが深まる。内なる声が響く。

「トカゲから落ちた尻尾未満が──人間様の言葉でほざくなァッ!」

SYSTEM :
 あなたは知っていように。

 吐き出した嚇怒に、紡いだ怨嗟に、目の前のそいつが慄くような生き物でないことを。
 …痺れさえ伴う空気の波長の中を、悠然とそいつが進んで来た。打ち鳴らす時代錯誤の金属音は、歯の"がちがち”と鳴る音にも似ている。

”黒鉄の狼” :
『牙の突き立て方を忘れるほど、群れの庇護が手厚いのだと思っていたが』

”黒鉄の狼” :
『損なって猶そうなら、懲りないだけなのか?』

”黒鉄の狼” :
『───屑め。態々、行く先を阻むな』

SYSTEM :
 その酷薄さは、善悪の道理ではない。

 失った/消したものの価値は、彼にとって人格ではない、もっとフラットなものだ。
 引き抜いた鋼色の塊は、生存る勝者の一振りだ。それが唸りを上げる。
 そう在り続けて来た生き物にとって、余分にさえならぬと、眼光が訴え、無形の殺気が可視化される。

SYSTEM :
 振り抜いた一撃を、”御手翳す開放者”の雑兵が代わりに受けた。
 片方は"血色の探求”が絶えず寄越している従者、片方は彼らに属するレネゲイドビーイング。一撃で消し飛び、呼吸一つ分の猶予が生まれる。

 躊躇ない一撃と、喪われた2つ分。
 礼儀も何もない。戦の続きだった。

夏瑞珂 :
「な」

 呼吸が──止まる。今、何と? 憶えていたのか?

 浅ましい期待にも似た、愚かな空白が生じる。

夏瑞珂 :
 ……それは、たぶん。わたしが見れもしなかったクラークの最期を語れるとか、一人目が黒人だったのは憶えているだとか、そんなんじゃない。
 食べ残しのわたしと紐づいた記憶に過ぎないのだろう。

夏瑞珂 :
 "黒鉄の狼"が迫る。遠慮も躊躇もない、一方的あるいは継続的な開戦の合図。

 硬直したわたしを庇って、代替が消費された。絶え間なく供給されるつくりものと、一度なら耐えられると嘯いたはずのなにか。

 頬が跳ねた赤色に濡れ、熱気によって乾かされる。剥がれ落ちる砂状の死。

 でも、そんなのは全て意識の外。だって──

夏瑞珂 :
「誰の──せいで」

 損なった?

 損なっただと?

 言うに事を欠いて、
 よりにもよって、
 貴様が?

夏瑞珂 :
 かざした手に集う風を握りしめる。てのひらで燃焼した風が、火の粉となって指の隙間からこぼれた。
 拳を前へ。地面に向けて開かれた五指から、左右に火柱が広がっていく。

 細く長く。長柄と化した炎を再度掴み、振り抜く。唸るような風鳴りはもう一方の手の内に。

 風と炎、一対の大鎌を携えた姿。

夏瑞珂 :
TRASH
「屑が!」

 血を吐くように叫んで、踊るように畳みかける。左右の鎌を続けざまに振りかぶり、薙ぎ払う動作。風に煽られた炎が赤い軌跡を描く──!

SYSTEM :
 レネゲイドにとって、感情とは燃料だ。

 共生する無我は、確固たる自我のもと、
 望むものを引き出す。

 ならば今の一振り、いや二振りは。
 侵蝕率のボーダーを丁度越えるものとしてあまりに鋭く苛烈だった。

SYSTEM :
 焼け落ちるものの中で、焦げ続けた火が外に燃え移る。死骸は敢え無く火葬され、怒りが牙を突き立てた。

SYSTEM :
 ───だが。

 ───見て来ていたはずだ。
 ───見えるほどには研ぎ澄ませてきたはずだ。

SYSTEM :
 血反吐を吐くような古強者の渾身を。

”黒鉄の狼” :
『───面を見てから、考えていた』

SYSTEM :
 あれは、人が山を殴りつけるから、あのように滑稽な絵面を生んだだけで。
 そうでないなら、たかが超人など十数度は捻り潰している。

”黒鉄の狼” :
『あの中でもっとも脆弱い生命を…、
 なぜあの群れが守護ろうとしたのか』

”黒鉄の狼” :
                 マシ
『あの火の中、二つの群れでもっとも妥当な生命と、
 脆弱い生命が、如何なる理由で永らえたのか………』

”黒鉄の狼” :
.レムリア
『俺の生んだ偶然に、何か意味があるのか。考えた』

SYSTEM :
 それほどの執拗な乾坤。
 結果を、よく覚えているはずだ。

”黒鉄の狼” :
『よく、理解った』

”黒鉄の狼” :
『ただの手落ちだ』

SYSTEM :
─── 無 傷 。

SYSTEM :
 その結果は、ただ無骨に“一つ事”に挑むものに。
 些事未満の価値を抱かせるには十分で。

 しかし、それはあなたにとって。
 諦めていい理由にはならなかった。

夏瑞珂 :
「っ……ぅ──あ、」

 炎が衰え、風が弛む。突き立てたはずの二振りが、より強固な幻想を前にして陽炎のように揺らいだ。

 斬りつけた。当たった。なのになぜ? いつかのリフレインに、どうしようもない現実が重なる。まるで先日の焼き直しだ。

夏瑞珂 :
 届かなかった妥当な男がいたように、脆弱い女も同じ末路をなぞった。当然の帰結。殺せない、と誰かの断定が蘇る。

夏瑞珂 :
 彼らは死に、わたしは生き残った。意味。あるに決まっている。それを。彼らの死を。彼らに生かされたわたしを。

夏瑞珂 :
 おのれの生んだ偶然などと自惚れさせたまま──

 手落ちだと自己完結する傲慢を、許してなるものか。

夏瑞珂 :
「あ──ああああああああ……!」

 退いた一歩を、すべて次の気勢に転じる。唸りをあげる風にまかれて、炎が逆巻いた。
 振りぬいた鎌の軌跡が風鳴りごと燃焼する。熱はわたしの膚をも焦がして、憎い憎いと燃えさかった。

夏瑞珂 :
    LOSER
「失せろ貧乏人! おまえがいると──街が汚れるだろォッ!」

SYSTEM :
 退かなかったのではない。退けなかった。
 踏み越えられてはならない一線があったとして、
 獣の牙はそれを傷付ける“程度”で済みはしない。

 その理解をしていたものが、止まって壊れた時計なら。罵声は何処までも昨日のパッチワークだ。

SYSTEM :
 以てそれは、戦いになどはならなかった。

 挑みかかることが止まらなければ敗者にならずとも、
 二たび、敗者がひとり生まれるのはさほど遠くない。

SYSTEM :
 劫火の中に、巻き添えは増えていった。

 此度は後を受け持つと定めた、取り決めの者達だけでない。
 好機と知れば人の都合も知ったことではないと、ハイエナが、嗾けられた者達が、物見遊山が武者修行気取りが、挑んだ傍から消えていく。 

SYSTEM :
 しかしその中で、言葉の羅列に返す余地はない。
.     リザレクト
 かろうじて再生が命を繋ぎ、挑んで疵はつかず。
 ───そして、熱は燻ることさえなく。喉を焼く、身と心を焼く。まだ足りないと。

SYSTEM :
 失った理由は弱いからだ、と。
 強く在れば、取り戻される、やり直せる、奪い返せる。
 まるで縋るように、あなたかも定かでないものが叫んでいるから。

 外側の戦災よりもなお烈しく、炎が燃える。

SYSTEM :
 見るに見かねた助けを突っぱねきれなくなるのが先か、塵よりもなお細かくなるのが先か。
       トライ
 何度目かの食らい付き。
 ..     エラー
 何度目かの実証失敗。

SYSTEM :
 ………無意識をなぞる───。

SYSTEM :
   ノイズ
 ───雑音。

SYSTEM :
 復讐するは汝に非ずと。
 神の名を嘲る火の音色。

SYSTEM :
 あなたのものであるはずの、ただ一匹の血を求める渇いた望み。
 二度と埋まらない、始点から焼け落ちた負け犬の破片が。

SYSTEM :
   ノイズ
 ───雑音。

SYSTEM :

 ───寄越せ、寄越せ!
 ───すべてを寄越せ!

SYSTEM :

 ───敗けて失ったのなら
   .もう一度!

SYSTEM :
【ERROR!】
 夏瑞珂の/復讐せよ/████「#繧#翫e#縺」/証明せよ/を
 検知/█が███に/しました/█が███を。 

SYSTEM :
【ERROR!】
“黒鉄の狼”の〈超█的弱点II〉の██████████

 内容:████の██
 効果:効果の一時的解除
    永続解除には████の██が必要 

SYSTEM :
 ───喉を焼くような熱の痛みが。

 あるはずのない幻を描いた。

SYSTEM :
 あまりに残酷な。
 激しく燃え上がる、道しるべ。

 吼え猛るものはあなたで。
 あなたでないものが無意識に混じっていたことなど、
 識る必要がないから知らなかった。

SYSTEM :
..      ■■
 ───あんな勝者の戯言も、今日限りだ。

夏瑞珂 :
 ちかちかと頭が痛むから、ざりざりと雑音が混ざるのだ。
 ごうごうと炎は燃えて、燃え盛って、わたしは薪になる。

 外側で増える巻き添えを、顧みはしない。狭い視界はとっくに一人分の専用席。なだめる手だって入りこむ余地はない。

夏瑞珂 :
 すべてを寄越せ? お生憎さま、すべては失ったあと。
 もう一度? 二度でも三度でも。奴が生きている限り。

夏瑞珂 :
 喝采のような自問自答に嗤う。
 熱に浮かされてしまえば、少なくとも悲しくはないから──
 この焦げつく痛みが、燃え上がる道が、わたしを導くのなら──

夏瑞珂 :
「ええ、そうね」

夏瑞珂 :
「今日という今日は──」

SYSTEM :
 昨日の残り火が、今日を覆った。

 もしもその嵐のさまを見たならば、
 漏れ出す吐息は忘我だったはずだ。意味は違う。

SYSTEM :
 その火の導くままに、振ったそれは。

 血と炎の戦場で、初めての現実だった。

SYSTEM :
 一撃の精度、その破壊力。
 極端に変わるものではないが。
 しかし、何十度目か定かでないほど突き立てた怒りが、いまになって鋼色の鱗を灼いた。

SYSTEM :
 そう───。

 鋭い疵を走らせて、
 いきものの血を焦がした時。

 残っている微かな命が、いや。
 何もかもが、それを火の見せる幻と勘違いした。

”黒鉄の狼” :
『───………』

SYSTEM :
 同種のレネゲイドにしか破れない───と。
 あなた自身が知っている話をまこととするなら。事実、まこととしか思えない現実を踏まえて語るならば。
 ・・
 それは、有り得ない光景だった。

夏瑞珂 :
 火に手解かれて、鎌を振るう。数えきれない渾身の末。鎌が──炎を纏った長柄が鱗を灼き、風に磨かれた非実体の刃が、生命へ届く。

「──?」

 まぼろしにしては手応えがありすぎる。
 命に触れる、生々しい実感。

 たとえ爪先ほどの、わずかな到達だとしても──それは、確かに──

夏瑞珂 :
「殺す」

 女海賊の持ってきた情報が脳裏をよぎった。竜鱗。剛性。

夏瑞珂 :
「殺す」

 確かめるように、もういちど口にした。

夏瑞珂 :
「殺す」

 そうだ。殺す。

SYSTEM :
 なにより今の感触は、確かに。
 有り得ない。

 いまは理性を本能が超越て、届くかもしれない現実のために、その不要な過程に眼を逸らしているに過ぎない。
 数十度目と今までに然程の違いはない。ならば違いがあったのは、あなたではない。

SYSTEM :
 違いが、あったのは。

 その剛性を発揮するべき方だ。
 そうと定めて展開するようなものではなく、故に───。

SYSTEM :
 ・・・
 殺せるの理解は、どれだけか細かろうが。
 確率にしてどんなものかはともかくとして、そこに存在したから。

”黒鉄の狼” :
『………』

”黒鉄の狼” :
『前言を、撤回する』

”黒鉄の狼” :
 ・ ・ ・ ・   ・ ・ ・ ・
『お ま え は 、 糧 に な る』

SYSTEM :
 目の前にいるもの全て敵と定めたそいつに、
 殺気は常態に過ぎない。

 ───だがもはや。
 それは今までの殺気と質が違った。

SYSTEM :
 忖度、制限、優劣、条件。
 御為ごかしの全てを取り払い、尽くすものを尽くして猶も…。
       ・
 互いの脳裏に死を過らせ、血肉を貪り合う闘いを、あるいは。死合と呼ぶのである。

SYSTEM :
 戦いに臨む時と、ただ塵屑を”退ける”のでは話が違う。動物的本能として、意気込みが違う。

 ───このローマにおいて初となる、臨戦態勢である。

SYSTEM :
 闘争に明け暮れることを、最初から最後まで宿命とする生き物の、喜悦が。

 まさに、牙を剥こうとしていた。

夏瑞珂 :
「何を……」

 "黒鉄の狼"の殺気が、桁違いに……いや、常纏うものと質を変える。今までを野放図にふりまいていたとするなら、それには指向性があった。

 明確に矛先を定めた、死合う者としての佇まい。

 闘いの相手として、わたしは認められたのだ。今この瞬間。振り払う屑から、死を交わし合える者として。

夏瑞珂 :
 殺せるという確信に、わたしも笑みしていたけれど。

 厭わしさや不理解をかろうじて覗かせる平坦な感性に滲んだ、明確な喜悦。
 一秒前とは比べ物にならない脅威であり、窮地だという理解が、この熱気のさなかにあって冷たい汗を流させた。

夏瑞珂 :
「ア、ハ……」

 焼けた喉が声を震わせる。怯えではなく喜びに、喜び以上の猛りに。

夏瑞珂 :
「殺せる程度のものが、粋がるな……」

夏瑞珂 :
「意味を刻んでやる。私という意味を。足元の見えない盲め。戦う術しかない屑め。わたしの前で火を掲げた……」

夏瑞珂 :
「おまえの血でかき消して、骸で灰を掬ってやる────」

SYSTEM :
 いまのは奇跡ではない。再現性は定かでないが、ともかく。
 僅かな手勢とはいえ、あろうことか全ての旗の下にその可能性が目撃された。

 それはどれほど言い繕い、平静になろうとしても、なり切れない現実だ。
 その現実のために解き放たれたものにとって、それ以外に如何程の価値があろうか。

SYSTEM :
 …だが、その結果は二撃目と共に失われるだろう。
 二つ目は鎧を射貫いて、彼に戦いの実感を与えて。
 そして、次のステージに進むための礎に、解き放たれた名もない嵐が加わるだけだ。

SYSTEM :
 ───貧乏籤だ。
 分かっていた以上の現実、想定以上の成果に、男はそれはもう渾身の舌打ちをかました。

 剛剣の一振りにさえ負けない、よく響く声が戦場に木霊する。

“黄の希人”アーキル :
   ・・・
「───守り神!」

“黄の希人”アーキル :
 ・・・・・・・・
「いま死なせるなよ!」

SYSTEM :
 遺産と目されて来た弓が、
 番えもせずに矢を放った時。

 合わせて蒼穹から、光が降り注いだ。

SYSTEM :
 誰のものか? 言うまでもない。

 約定通りに視界を遮る、渾身の冷や水が掛かった。
 空から、彼方から。目視のしようがない遠距離と、気配を悟ることさえ叶わない向こう側。

 元々は自分ひとりでの妨害/努力目標の尽力に留めるつもりのアーキルにとって、見せたカードは想定よりも過剰な払いだ。

SYSTEM :
 だが、その払いでさえなお足りない。

 威力として、”伝説”とこれでも渡り合って来たセルリーダーの一矢とその右腕とて。
 光の向こう側に消えた狼に、なんら手傷を残していない。ただ、循環するレネゲイドの摩耗か消費かを促しただけの…。
 ひどく派手で精度の良い”目くらまし”である。

“黄の希人”アーキル :
 ・・・・
「ここまでだ、帰れ!
 これっきりにしたいんなら別だけどな…!」

夏瑞珂 :
「な、にっ……」

 臨戦態勢に挑みかかる足を、光の瀑布が遮る。白む視界。焦点を絞らなければ一帯を灼くに足るであろう光条も、しかし竜の護りを前にあえなく霧散する。

 ……これ、援護射撃なんかじゃない。少なくとも、いまわたしが求めるものでは、決して。

夏瑞珂 :
 光は空と彼方から、忠告はうち後者から。つり上げた眦を仇から離さないまま、ふんと鼻を鳴らす。

 ・・・・
「ここからよ、ばか言わないで」

夏瑞珂 :
「これっきりにするのよ。ここで、殺す」

“黄の希人”アーキル :
「ああそうかい!
 出来るなら俺が馬鹿だ、それはいい!」

“黄の希人”アーキル :
「だが、なあ───」

“黄の希人”アーキル :
 ・・
「二度でこれっきりに出来るほどじゃないだろ!
 どのくらい、そのディスコミュ生物に用事があるのかは知らないが───」

SYSTEM :
 アーキルの対応はこの瞬間、あまりに鮮烈な並行だった。
 見えているパズルのピースに“失くすと致命的なもの”が入り込むのを恐れたのだ。

SYSTEM :
 彼は彼方からの狙撃と同時に飛び込み、聞こえる/近づく第一声と共に、その声を響かせた。

 肉声と同時に響く余所者の声は、心底の熱を冷ますような“声なき声”の形態であり。

“黄の希人”アーキル :
「分かってるコトから目ェ逸らされて死なれちゃコトだ! 恨めよ無理矢理行くぜ…!」

SYSTEM :
 白兵が得手ではないだろう人間のくせ。
 間合いに飛び込んで、スキを見せるはずの女の腕をひっつかむ所作は迅速だった。

 なにしろこの状況で命のチップがもっとも軽いものは、空からの援護を仕掛けた彼女ではない。
    ・・
 当然、いまは誰もにとって死なれて困る人物でもない。

 アーキル自身だ。本人が分かっているからその無謀が出来る。

夏瑞珂 :
「うるさい! できるの! するの!」

 復讐を。逆襲を。再戦を。熱に浮かされたわたしに、ばしゃばしゃと冷や水が引っかかる。

 だからどうした。それが何だというのだ。声なき声がわたしを阻むなら、現実の音でかき消してしまえば──

夏瑞珂 :
「ぇ あぅ」

 腕を掴まれて、肩が跳ね上がる。びくりと竦んだ体はすぽーんと引っこ抜かれる勢いで、最前線から離される。

夏瑞珂 :
「あっあっ」

 ……不覚だ。あんまりだ。こんなのってない。手袋を──分厚い手袋を見間違えなければ、こんなコトにはならなかったのに!

“黄の希人”アーキル :
「お後がよろしいようで何より、大損にならんことを祈るぜ…!」

SYSTEM :
 そこからは紙一重だ。
 いや、紙一重ではない。

 お預けとばかりに割り込んで来た男を前に、特に感情を荒立てることなく狼が鉄を鳴らして吼えた。
 一振りが、“黄の希人”を狙い定める。

 見間違えるのも無理はない。男は明確な打算と他意だが、いざ間合いに入るにあたって、あなたより先に”切られる”位置にいる。

SYSTEM :
 それも僅かなことだ。その手袋はもういない。

 わずかな間だが、それは致命的な分水嶺だ。誰にとってのものかはともかく。

“黄の希人”アーキル :
「全く権謀術数もクソもない!
 ───アイシャ、開けえ!」

SYSTEM :
【Check!】
 以下のエフェクトが開示されます。

 エフェクト:ラビリンス、見えざる道、異界の万華鏡
 所有者:"アイシャ” 

SYSTEM :
 打算ありきの男だから、逃げ道がなければ、たとえ安い命とて無謀はしない。
 そんな男だから、見間違えは見間違え以上ではない。
   ・・
 彼はばかな人ではないから、その場から、のちに来るだろうあなたの怨恨を予想しながらも逃げ果せた。
 置き土産は、呆気に取られたその他の手勢。見逃す代償は、振り下ろされる鉄の一振り。

”黒鉄の狼” :
『───小癪だが生き足掻く。
 掠めた程度で済ませるか』

”黒鉄の狼” :
『………おもしろい。
 ただ平らげるだけで済まぬというなら、
 コレ
 遺産もろとも喰らう意義があるというもの』

”黒鉄の狼” :
『偶然を、食い千切るとしよう』

SYSTEM :
 戦闘開始から四時間弱。

 醒めかけた熱、削がれた興。
 喰い残しの片割れに、はじめて狼は個人への意味を見出した。そして、それを目撃した手足を操る者にも。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 エンジェルハイロゥとオルクスの合わせ技。
 このローマを庭とするものが"青の貴人”なら、"黄の希人”が手を取り合うことを目論んだ守り神は、ローマに根付くものだ。

 空からの扶けが、あわや彼を一撃の惨殺から守り、いまこの情勢でもっとも"狼”に対して意味のあるものを守った。

“黄の希人”アーキル :
「やれやれ………。
 もういいぞ"アイシャ”。エラく高い払いされるだけはあったよ」

SYSTEM :
 降りて来る音。
 あなた/瑞珂が振りほどかなければそのままの腕、戦闘区域からはるか離れたあちらの”縄張り”で、姿を現したものが首を傾げた。

“アイシャ” :
「いいの」

“黄の希人”アーキル :
「いいんだよ、いまから弁明するから…」

SYSTEM :
 第一声が自分に掛かったことに対する問いかけに応答してから、彼は溜息をついて振り返り。

“黄の希人”アーキル :
「恨み言の前に、さっきのが何か聞いても?」 

夏瑞珂 :
 掴まれたままの腕をゆるゆると持ち上げる。革の手袋をじっと睨む。アレックスとは違う。すこしも、まったく、これっぽっちも似ていない。

夏瑞珂 :
「…… ……」

 ちょっとだけ考えて、手袋ごしにガブリと齧りつく。

夏瑞珂 :
 ひははい
「知らない」

“黄の希人”アーキル :
「疑問が増殖しやがる…なんだコレ?
 いまの噛みは抗議か? どう思う?」

“アイシャ” :
「しらないって」

“黄の希人”アーキル :
「ありがとう でも答えを聞いてるわけじゃないんだよな」

夏瑞珂 :
ギギギ……と強めに噛む。

“黄の希人”アーキル :
「威力が上がってないか?」

“黄の希人”アーキル :
今"かみつく”が"かみくだく”になる手前の感覚がするんだよな こいつは抗議か?

夏瑞珂 :
 はまひは
「邪魔した」

“黄の希人”アーキル :
「…ああ、それね………
 別に恨むんなら恨んだって構いやしないが」

“黄の希人”アーキル :
「偶然かそうじゃないかはともかくだ。
 ・・・・・・・・・
 傷がついたら殺せるってんなら、
 人は神様だって殺せるさ」

“黄の希人”アーキル :
「あの次でくたばって、狼のハラ開けられるくらいのツラに見えたか? アレが?
 あんた、興味ないモノに向ける時の目でよく考えてみろ。最高に甘く見て刺し違えだぞ」

夏瑞珂 :
「…… ……」

夏瑞珂 :
ギチ……ギチ……

“黄の希人”アーキル :
「…分かった、せめて"イヤ”は言葉で言おうな…」

SYSTEM :
 もちろん…それは客観的に見て、の話だ。
 そういうのでモノを見る気があなたに僅かでもあったとして。
 適用される例外中の例外に向けることなど、"できる”と"する”しかない。

“アイシャ” :
「………」

“アイシャ” :
「彼を追っているの?」

“アイシャ” :
   おそと
「同じ余所者の血。混ざるものが違う。
 "痛い”の向こう側を、畏れないのね」

夏瑞珂 :
「…… ……」
 齧りついたまま頷く。少しずれる手袋。

夏瑞珂 :
ほろふ
「殺す」

“黄の希人”アーキル :
 ああまずいぞ 
 これ最終的にガードを空けられてK.Oだ

“黄の希人”アーキル :
1d2 2でこっそり手袋を嵌め直す (1D2) > 1

“黄の希人”アーキル :
(やめとくか…の顔)

“アイシャ” :
「そう」

“アイシャ” :
「帰るところは」

夏瑞珂 :
 がじがじと食んでいた口が止まる。……あると声を荒げることも、ないと言いきることも、わたしにはできなかった。

夏瑞珂 :
「…… ……」

SYSTEM :
 …沈黙という名の保留が回答。
 そう受け取った彼女は眉を下げたまま首を傾げたが、ややあって、その眼から何かを感じたらしい。

“アイシャ” :
            おそと
「羅馬は乱暴者も許すわ。余所者の子。
 生きていく気があれば」

“アイシャ” :
「まだあるなら、………」

“黄の希人”アーキル :
「しょうがない?」

“アイシャ” :
「ああ、そう、それ………」

“アイシャ” :
「形に思いは残るわ。だから私がいる。
 あなたの羅馬が泣かないと、いいね」

“黄の希人”アーキル :
「"程々に休みつつ頑張りましょう”ってさ」

“アイシャ” :
「言ってない………」

夏瑞珂 :
 穴が開きそうなほど噛みしめた手袋から、やっと口を離す。
 人ではないものが好きな男の『女神』。彼女がそうらしいと納得して、ひとつ尋ねる。

夏瑞珂 :
「……形に思いは残る。なら、跡形もなく焼きつくされたものは?」

夏瑞珂 :
       ・・
 視界の隅に、あの手袋がちらついた。
                    アレックス
 三年前。狼の轍にされた日から、わたしは過去の残影を見ている。

 形に思いが残るのだとして。この幻覚がそうだとは──思わない。

“アイシャ” :
「見たものに宿るわ。聞いたものに継がれて、触れたものに打ち付けられる」

“アイシャ” :
「それが、優しくないかたちもあるというだけ…。
 そこ
 羅馬で死んだものたちの、思いの汲み方は、生きたものにしか分からない」

“アイシャ” :
「…残らなかったのね。大切なものは、目に見えるところには」

夏瑞珂 :
 こくりと頷く。

 だから、ここに立っている。遠く離れた異郷に。ただひとり。

夏瑞珂 :
 なにか、余計なものが堰を切りそうになる。こらえる代わりに、こころを弾ませた。ぱちぱちと火花のように小さく爆ぜる。

「代価を払わせる」

夏瑞珂 :
「不可能だと言われたことが、可能だと証明できた」

夏瑞珂 :
「なぜかは知らない。どうしてかも重要じゃない。狼は死ぬし、殺せる」

夏瑞珂 :
「──私の手で」

“アイシャ” :
「炎の上に家は建てられない…」

“アイシャ” :
「………………」

“黄の希人”アーキル :
「そこまでだ、守り神。
 そこから先は“労り”じゃない」

“黄の希人”アーキル :
「…なぜかは知らないし重要じゃないが、狼は殺せて。
 そこをどうこうするのが、俺たちにとっても大事だって部分だ」

“黄の希人”アーキル :
「今回みたいなのは偶の一回にしておいてくれよ。命の危機だった。
 理論上出来る、は“ぜったい出来る”じゃないんだぜ。“ぜったい出来る”まで詰めてこそさ」

夏瑞珂 :
 それはすごく、ただしい。
 ものすごく、ただしい。
 蛇のひとも言いそうなくらい、ただしい。

 でも「ただしい」はわたしの戒めにならないことを、彼らはご存知ないのだ。

夏瑞珂 :
「ヤ」

“黄の希人”アーキル :
「…やらせたいならおまえらがやれって?
 なるほどな………高く付くわけだよ」

“黄の希人”アーキル :
「まあ、そんならそれでいい。

 言ったろう? 俺には俺なりの理由がある。
 聞きたくなくっても、今日をなぞるなら、レールを違えなければ同じことが起きるさ」

夏瑞珂 :
「……。じゃあ」

夏瑞珂 :
 次は手袋を外しておいて──と言いかけて、途中でばからしくなって首を左右に振る。

夏瑞珂 :
「鳥のおじさまの点数稼ぎにはなるんじゃない?」

“黄の希人”アーキル :
「ハッハ。そいつで印象の改善が見込めたなら言うことないがね」

“黄の希人”アーキル :
「俺たちも博愛じゃない。“違う”を許す社会が好きでも、滅ぼしに来る“違う”に刺されながら席は囲めない。

 そうならないように尽力するし、ならないよう願うけどね」

“黄の希人”アーキル :
「お互いの望みのためにだ。よろしくやれるうちはよろしく…ってのは変わりゃしないさ。

 ラーゼスにも伝えておいてくれ」

“黄の希人”アーキル :
「うまく使えよ、後ろめたく思うな。
 俺たちも同じコトをする。

 あんたの帰るとこのカタチと、ラーゼスの…、まあ、見当つかないしそこはいい。
 その辺りが、俺の夢とぶつかり合わないうちは、勝手に使うし、使わせるさ」

夏瑞珂 :
 ……わたしの、帰るところ。
 いつか拓けた荒野を願って、風除けに護られて。そのどちらもが焦げついた今、どちらがわたしの羅馬なのか。
 答えは出なかった。考えたいとも思わなかった。

夏瑞珂 :
「そ。わかりやすくって、楽な関係だわ」

 利害の一致で結ばれた、相互利用。それで痛い目を見るなら扱いを誤ったほうが悪いし、痛手に癇癪を起すも自由。

 だいたい、おかしいのだ。かってにひとを懐におさめて、望みを叶えるなんて嘯くのは。

夏瑞珂 :
「またね、夢見る人。お互いが邪魔になるときまでは、どうぞよろしく」

夏瑞珂 :
 身を翻して、てくてくと数歩。くるりと振り返る。 

夏瑞珂 :
「駅まで送って?」

 ここどこ?

“黄の希人”アーキル :
「………………もちろんいいが、最後に一つ聞いていいか?」

夏瑞珂 :
「なあにー」

“黄の希人”アーキル :
「あんた、
 良く“闘争代行人”やってたな………」

夏瑞珂 :
「すごいでしょう?」ふふふ。

“黄の希人”アーキル :
「(絶対に自慢できない方向で)すげえよ」

“アイシャ” :
「暗くなる前に戻っていらっしゃい」 

“黄の希人”アーキル :
「あれ、これ送るの俺だけか?」

“アイシャ” :
「帰りが遅いとヘンタイさんがうるさいから…
 あなたが困るって言ったのよ」

“黄の希人”アーキル :
「クソッ、自業自得か………!!!!!」

SYSTEM :
 ………結果、”黄の希人”は最後になるやもしれない貧乏籤を最後まで引き切って、駅まで送るわけだが、その最中にもひと悶着があった。

 とてもあなたが、つい先ほどまで喉を焼くほど炎を滾らせ、血を吐くような痛みに耐えていたとは思えないほどの緩急である。

SYSTEM :
 なぜか最後に見送った彼女の視線を最後に、再び”余所者”同士。
   そこ
 ───地上で生きていき、死んでいくものを慈しむ視線と。
 ローマの敵と定めたものへの容赦のまるでない光の雨は。
 敢えて言うならば両立する。

 レネゲイドから生まれた彼ら彼女らについて、
 それらの生き物に表裏はない。“そう在れ”とする根源こそが原動力だ。

SYSTEM :
 ・・・・ 
 そう在れ、が僅か変わるだけで。此処まで違う。
 
 もしも、狼/竜がそのような生き物なら、
 そこに込められたものはただ一つ。

 そのように邁進した無敵の魔物に、刃を通すために必要なものを、あるいはこう呼ぶ………。

SYSTEM :
【シーン:Sacrificium-あるいはそう嘯く】

 登場PC:夏瑞珂
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

夏瑞珂 :
だいじょうぶ!

GM :
 畏まりました…

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

 欲望:理想の実現
 この青年には夢がある。オーヴァードとなったその始まりに根差した夢だ。

SYSTEM :
【Check!】
 クリンナッププロセスに移行します。

“黒鉄の狼”がFH諸勢力と交戦中です... 

SYSTEM :
【Check!】
 交戦の結果、勢力値が変動します。

“リグ・ヒンサー”:17→12
   “貴人の庭”:17→12
“御手翳す開放者”:22→17 

SYSTEM :
【Check!】
 交戦の結果、”黒鉄の狼”がダメージを受けました。

"赤の鬼人” :
6d10 (6D10) > 32[5,4,4,9,1,9] > 32

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
6d10 (6D10) > 32[10,9,8,3,1,1] > 32

“黄の希人”アーキル :
8d10 (8D10) > 55[8,7,4,9,10,5,9,3] > 55

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、ダメージが発生します。
 “黒鉄の狼”の〈超人的弱点II〉が発動しています。

“黒鉄の狼”:523→444 

SYSTEM :
【Check!】
 FH諸勢力が行動中です... 

"赤の鬼人” :
…こちらは「1:自組織の勢力拡大」を宣言する。

"赤の鬼人” :
使用判定は…【運転】。

"赤の鬼人” :
14dx+2  (14DX10+2) > 10[1,2,2,3,4,4,4,6,6,6,7,7,9,10]+2[2]+2 > 14

SYSTEM :
【Check!】
 交戦の結果、勢力値が変動します。

“リグ・ヒンサー”:12→14
   “貴人の庭”:12→12
“御手翳す開放者”:17→17 

“黄の希人”アーキル :
続いてはこっちだ。さて…。

“黄の希人”アーキル :
シークレットダイス

“黄の希人”アーキル :
ま、妥当なトコでいこう。
「1:自組織の勢力拡大」を宣言する。

“黄の希人”アーキル :
内容は【交渉】だ。

“黄の希人”アーキル :
19dx+10  (19DX10+10) > 10[1,1,2,2,2,2,3,5,6,6,7,7,8,8,8,8,8,9,10]+2[2]+10 > 22

SYSTEM :
【Check!】
 交戦の結果、勢力値が変動します。

“リグ・ヒンサー”:14→14
   “貴人の庭”:12→12
“御手翳す開放者”:17→20 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
最後は私?

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
───そもそも承知の上よね?

SYSTEM :
【Check!】
 “貴人の庭”が『3:他組織への攻撃(プレイヤー)』を選択しました。

 対象PC:アレウス 
 『運転or知覚or知識or情報:目標値「勢力値/2」』
 『白兵or射撃orRCor交渉:目標値「勢力値」』 

SYSTEM :
【Check!】
 テレサ・C・クリスティがコンボの宣言を行いました。 

SYSTEM :
プレスィオーネ・デラ・レギナ
■オート:その威で圧す
《ジャミングL4》
・対象の行動ダイスを-[Lv]Dする

GM :
 それでは判定内容をどちらにするか宣言後に、判定をどうぞ。

アレウス :
もちろん、<射撃>だ。

アレウス :
ところで、ヴィークルとエンブレムの効果は継続で構わんかね?

GM :
もちろん!

アレウス :
では振ろう。

GM :
決定確認しました。そのまま勢いで振って構いません。

GM :
さあ…!

アレウス :
(9-4)dx+8 <感覚:射撃> (5DX10+8) > 10[3,3,6,8,10]+4[4]+8 > 22

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 襲撃を回避しました。

アレウス :
……。

アレウス :
・・・・・
この程度か……拍子抜けだな。

“Mr・A” :
悪人のお手本かい? 次は物理的に見せなくっちゃナア

アレウス :
無論だ。

アレウス :
一度鉾を向けたからには──如何なるものだろうと、その穂先に敬意と敵意を上乗せする。

アレウス :
それが筋を通すということだ。

“Mr・A” :
好き嫌いと敵味方は別か。ほんじゃマア…

“Mr・A” :
つつましく行ったところで凱旋のお時間だ!
鳥の巣の居候が待ってるよ いや 同居人かな?

SYSTEM :
【Check!】
 クリンナッププロセスの終了を確認しました。
 リザルトに移行します... 

"リグ・ヒンサー” :
 勢力ゲージ:14/30

[プレイヤーとの関係]
 中立/協調可能
 
[所属メンバー]
“赤の鬼人”:生存/居場所不明
“帝釈天”:生存/居場所不明
“神に仇名す毒蠍”:生存/居場所不明

“貴人の庭” :
 勢力ゲージ:12/30

[プレイヤーとの関係]
 中立/協調不能
 
[所属メンバー]
“青の貴人”:生存/居場所不明
“不朽讃えし懐刀”:死亡
“ヘカトンケイル”:生存/居場所不明

“御手翳す解放者” :
 勢力ゲージ:20/30

[プレイヤーとの関係]
 中立/協調可能
 
[所属メンバー]
“黄の希人”:生存/居場所不明
“アイシャ”:生存/居場所不明
“血色の探求”:生存/居場所判明【攻撃可能】

”黒鉄の狼” :
 HP:444/606

PLAYER :
 勢力ゲージ:0/30

[経過フェーズ/ラウンド]
 Phase1/ラウンド1

[所属メンバー]
・”逢魔狩り”/生存
・“Mr・A”/生存
・“血穢の蓮花”/生存

[協力メンバー]
・“アセルス・デスミオス”/生存

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています... 

SYSTEM :
【Check!】
 シーンの発生を確認しました。
 その他の希望はありますか? 

"七花胡" :
では。成り行きとはいえチームで動く以上、コミュニケーションは必要でしょう。
全員での合流シーンを希望します。

GM :
畏まりました…

"七花胡" :
それから…… そうですね “隻獅子”に少々、確かめたいことがある。気になることを放置したくない性分でしてね。
個別に話す場を設けていただけますか?

ラーゼス :
ん…

ラーゼス :
わかった。従おう

"七花胡" :
ありがとうございます。そう手間はとらせません。……今のところは。

GM :
畏まりました! なお…。

GM :
「シーンの合間合間」に何らかの訂正や要望等ございましたら…

GM :
雑談タブで申しつけ下さい
メインで発言しなかった場合でも
その場合はシーンを考慮させて頂きます

夏瑞珂 :
はあい

GM :
ヨロシイ…

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・シーン10「Festina lente-対岸にて」

GM :
【シーン:Festina lente-対岸にて】

 登場PC:アレウス
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 インダラヤ
『帝釈天』。
『リグ・ヒンサー』の客将。
 これまで/これより起こる歴史の立会人であることを望む者。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ローマにおける争乱。

 “黒鉄の狼”が持つ遺産を巡った戦闘ですらない“布石”の闘いに、多くの命が費やされた、まさにその最中だ。

 あなた/アレウスと、当時その場にいた“リグ・ヒンサー”の部隊が襲撃を受けた。
 意図は明白。
 リグ・ヒンサーが狙いではなく、その場にいたあなた自身が彼らの矛先だ。
 理由も、心当たりがあれば“そう”だろう。彼女にとってその行動は好悪ではない。

SYSTEM :
 その中に紛れ込んでいたのは、“貴人の庭”きっての戦闘用オーヴァード。
 そして───“貴人の庭”らしからぬ、戦馴れした手練手管と違う指揮系統のマーセナリーたちだ。

SYSTEM :
 接敵を望まず、粛々と一仕事を終え、望まぬ消耗もなく帰還に成功したあなただが………。

 その最中、リグ・ヒンサー内でも類似する襲撃を受けたものと、かりそめの撤退経路で居合わせた。
 そこから紆余曲折あって、未だ“暫定”の間合いでよろしくやるあなたが、その首魁からの報告要請を進んで避ける理由はない。

“グレイ・スコーピオ” :

〈よう。疎まれたかよ、色男〉

“グレイ・スコーピオ” :

〈あんた、ローマの人間なんだって? 
 鼠だの狼だの、害獣の多い街なことだ。この上ヒステリーを起こす女までいるなんてのは聞いたことがないが、これがそちらの日常かい〉

SYSTEM :
 あなたは覚えているし、調べている。識ってもいよう。

 もう一人、名うての雇われがいると“赤の鬼人”は言っていた。
 同じような気分屋だ、とも。それが彼だ。

ガンドルフ[バルチャーII] :

 襲撃はすでに予測できていたことだ。
 その予測を確実にするための"根拠"が存在する。
 自分の在り方を目まぐるしく認識し直す中で、確固たる在り方をそこで一つ自覚した。

 自分は軍人としての経験が抜けきらないという事だ。
 軍隊あがりの人間というものは基本的に憶測で動かない。

ガンドルフ[バルチャーII] :

 事実が全てを動かす。
 既に"お手付き"をしたものに、相応以上の鉄槌を下すのが彼女のやり方だ。
 自分の箱庭に紛れ込んだ糞を、是が非でも取り除きたい。
 それがなんであっても──だ。

 その確定した事実さえあれば、この妨害行為に報復が来ることは明白。
 分かってさえいれば、あらゆることには対応しきれる。
 それが100%通用しないのが、超人戦争というものであるが。

ガンドルフ[バルチャーII] :

 彼女の手並みに淀みがないように、
 鋼鉄の禿鷹の対応にも淀みは無い。
 無数のシミュレートと、これまでの経験を併せたハイブリッドの"勘"が、その動きを流水のように滑らかにする。

 よって──《ガンドルフ》は、歩いているだけだった。
 機体外殻を取り囲む手練れの戦闘オーヴァードであろうとお構いなく。
 確定した予測がある以上、奇襲は奇襲の体を成さない。

ガンドルフ[バルチャーII] :

 悠然とした歩みのもと、《ガンドルフ》の背部ラックから射出された"光槍"の複製品が、AIDA:ファンタズマの補助制御を受け浮遊する。

 本来であれば反射用のレフ・ビットとして展開されるものを、即席のイミテーション・ガンビットとして独立。
 四方から穿たんとする、《貴人の庭》のオーヴァードたちの脳天を容赦なく貫いた。

ガンドルフ[バルチャーII] :

 死肉を啄む禿鷹の歩みは止まることは無く。
 その道先に、偶然居合わせたのは──鋼鉄に身を包んだ、灰の蠍。

〈ああ、どうやら今日は"運"が良いらしい。
 これほどの熱烈なラブキッスを受けたのは初めてでね〉

 頭部が僅かに動き、一瞥する。
 接触回線による局地通信が、表情を映すことなく声を届ける。

ガンドルフ[バルチャーII] :

〈アンタも災難だな、“グレイ・スコーピオ”〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈情熱という石を持ち上げてみれば、その下には幾つもの塵が敷き詰められてるもんさ。
 そのモンスター・シティの中で、鉄の棺桶に入った俺達も、ムジナというやつかもしれんがね……ま、こんなのが日常だったら、流石に耐えきれん〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈女に嫌われるのは慣れてるつもりなんだがね〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈アンタはどうだい、大変か?
 PFはただでさえ戦争をVR化するからな、誰だろうと堪えるものだ〉

 他愛もない会話。
 女に嫌われるのは慣れている。
 女に命を狙われるのも慣れている。
 そう、慣れているはずなのだ。

ガンドルフ[バルチャーII] :

 こんなものが日常であってたまるか。
 長々とした世間話には、その分かりやすい結論と答えが詰まっていた。

SYSTEM :
 雑音交じりの応答。
 P.Fの機械仕掛けが生み出す、時代を遡ったロートルの呼吸音と、
 年齢にして壮年の男の声は、灰色の蠍があなたより年上であることを証明している。

“グレイ・スコーピオ” :
〈ハ! ガキ侍らしてソレたぁ肝が座ってる〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈災難というならあんたの方だな。

 こちらは、やり合う方もやられる方も飽き飽きするほど馴れた。
 石の先にどんな目を覆うクソが潰れていようが、そいつも既知だ。スリリングだよ〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈しかもこいつがエマージェンシーだってのは、“赤の鬼人”のご様子から見て丸分かりだ。
 権限に色のついたあんたからその見解が聞けたようなら、泥船じゃないようで嬉しいね〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈で? 飼い主に獲物見せびらかす道中がてら聞かせろよ御同輩。
 御宅、何のモチベで石ひっくり返してんだ?〉

SYSTEM :
 “赤の鬼人”からの状況報告まで間もない。場所も、時間もだ。
 その最中に傭兵の男が問うた言葉は、あなたの様子から含みに含まれた、これがローマの常態ではない…という部分に対する深堀りのようにも聞こえる。

ガンドルフ[バルチャーII] :

〈ガキ共は関係ねェさ……〉

 嫌がるわけでもなく、ただ軽く返す。

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈……、気になるかい、兄ちゃんよ〉

ガンドルフ[バルチャーII] :

 結論から言えば──
 モチベーションというものは、あまりない。
 行動の原理も動機もただの癇癪だ。

 合理性の名の下には切り伏せられて地に這いつくばる感情が全てだ。
 俺は俺自身を笑えぬし、シアの事も笑えはしない。

ガンドルフ[バルチャーII] :

 だがそれは、時としてファルスハーツという大舟に乗る船乗りたちの共通の合言葉にもなる。
 得た力を、己の願いのままに用い、その障害となる者を全てねじ伏せる……、
 それが、俺達の在り方だと認識している。

ガンドルフ[バルチャーII] :

 ……いつからだ?

ガンドルフ[バルチャーII] :

 いつから捻じ曲がった?
 俺は生まれた頃から兵士として育ち、過ごし、生きてきた。
 戦の神のコードを与えられ、ただ命じられるままに殺し、平和への馴染みを拒絶し、蠅の王にすらなり切れず、この国へ落ち延びた。
 
 次に乗り込んだ船もそうだ。
 ただ思うままに動き、自分の快楽を満たすためにその力を振るい、兄貴たちに誉められて、旨い飯を食わせてもらって……それで満足していればよかったはずだった。

 いつからか、俺の乗った船は、ファルスハーツという船団に呑まれ、その在り方という水を飲んできた。

ガンドルフ[バルチャーII] :

 それを決めるのは"強さ"一つだった。
 それが誰であろうとなんであろうと、どんな糞を抱えていようと、強ければそれが全てで、正義と呼んでもよかった。
 ギャングだった時もそうだ、強ければだれもが認めてくれた。

 だから俺は──"レイス"に憧れ、強さを知るため、己を知るために、船を降りた。
 降りたはずだったんだ。

ガンドルフ[バルチャーII] :
 
 それが今、5年という時間をかけて、強さに見合わぬ看板も押し付けられ、俺は故郷で何をしている?
 俺自身の強さを証明するために飛び出し、俺自身の強さを確かめるために居場所を作った。
 それで俺は、ここに戻ってきて──彼の言う通り、石を、どういう意図でひっくり返している?

ガンドルフ[バルチャーII] :

〈……〉

 そんなのは決まっている。

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈気に入らねえのさ……〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈何もかもが気に入らねえ……たかが5年、されど5年、それだけで変わり果てた何もかもも、変わっていない俺にもな〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
 渇いた笑いが出る。

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈全てが気に入らねえ……だから、
 その気に入らねえものを全て……刈り取るために、俺は石をひっくり返して、その下の糞まで見てるんだろうなァ〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈そうしてい続ければ──本当に気に入らねえモン全部、壊せると思ってな……〉

 コードウェルも、
 今のマスターレイスも、
 それを容認する、ドグマも、何もかも。

 夢物語をただ口にする。

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈ははは、つまらん回答になってしまったな……失望したかい、兄弟〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈………〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈正直な。リサーチして聞いた名が“マスター”と知った時にはどんなバケモンかと思ったよ。
 俺ぁ、その名前は10割非人間じゃないかと疑っていたくらいなんでね〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈ハ、言えてらァな……俺も、バケモンには成れてねえからな、分相応じゃあねえ〉

SYSTEM :
    ノイズ
 ひどい雑音の中には、くつくつと鳴らされた喉の音が混じっていた。

“グレイ・スコーピオ” :
〈つまらん回答につまらん突っ込みを入れるなら、だ〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈あんたは黄金の船底がいくらカビていようと、船を降りるんじゃなくてブッ壊す側の人間らしい〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈ああ、言いたくなきゃ3カウントほど回答を止めてくれて結構だが…。

 ローマ、そこまで嫌いじゃあるまい?〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈嫌いだったら、依頼を受けた段階で部下にミサイルを撃たせていた〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈正直だね〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈その正直さに免じて、
 より“つまらん”話をしといてやろう…〉

“グレイ・スコーピオ” :
   ・
〈俺は金だ。
イデオロギー
 主義に、心の底から懲りてね〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈そいつが切れねェ限り、俺ぁ昨日の友も今日脳ミソぶちまけるさ。その逆もあるかもな〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈…そこで今の雇い主は“どう”だって話さ。
 
 ローマに“狼”一頭現れたのを見てからこっち、ずっと思っていたが…。
 ヤツは何のモチベーションでここを抱えて、何が気に入らなくて喧嘩吹っ掛けてんのか〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈そうさ、気に入った回答が聞けたらカンニングさせてくれよ、兄弟。
 あんた………グリーンカラーだ。同じ穴の貉さ〉

SYSTEM :
 “赤の鬼人”が気に入らないものなのかどうか、そこまで言うなら確認してみたらどうだ…と嘯く男が善意でモノを言ったのかは定かでない。
 ただ、その退廃的で、どこか自傷的にさえも見える、戦場育ちの傭兵は、言葉の通り穴の貉だ。

 それ以外に食う/生きる/■■方法を知らない男だ。

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈俺にとっては羨ましい限りだね〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈金というのは絶対の象徴だ。
 それが全てではないが、金があれば幸せだって買うことが出来る〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈その絶対の基準だけで動くヤツは、この世の真理というモノに忠実だ。
 そしてそれは、プロフェッショナルとしての信頼の証明になる〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈俺もかつて似たような経験をしたから言える。
 そいつは金でなく──"神"というものだったがな〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈ほォォ…“神”、ね〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
    イコン
〈ガキは聖像を信じるものなのさ〉

 金のために生きる兵士と、神のために生きる兵士は、違うようでよく似ている。
 絶対の基準をどこに置くかというだけの話だ。
 革命統一党全体が、神を信じていたのかは今でもわからない。
 だが俺は、神を信じて、昨日の友を殺してきた。

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈──まァ、同じことだわな〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈金は払われなければ空想上の紙切れ。
 神は居なければ空想上の小便で描いた絵に過ぎない〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈そういう意味では……ま、確かに不安だろうな。
 雇い主のあの取り乱し様は……俺もそうさ、何故だと言ってやりたい気分でね〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈構わん。俺が聞き、口にする時、兄弟が生きていればだ。
 たかが5年、されど5年……鬼の居る島がどれほど変わったのかは知っておきたい〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈横に居た──女も含めてな〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈…クックック…。
 兄弟よ。知らんワケじゃないだろう?〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈ある程度のところまで来ちまうと、人は“安心”を優先するようになる〉

SYSTEM :
 その欲望は大したものではない。
 旨いものが食べたい、いい女を抱きたい、儲けて裕福に過ごしたい。
 集約するものは、だいたい“安定”と“安心”だ、と彼は語ってみせた。何が言いたいのかと思えば…。

“グレイ・スコーピオ” :
〈そのガキの何某が存在も定かじゃねェ神に縋るのと一緒さ。
 成功者は、成功する自分に縋る〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈しかしそれが、崩れた時の反動はデカいもんでね。
 主義も理想も折れたとき、正当化の術を知らないヤツから巻き添えになる。まァ、結局われらがオーガのオサが何考えてるか、丸ごと知ったことじゃあねェが…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈…ああ、そうそう。横の女が気になるなら、ひとつ付け加えておいてやろう。

 ヤツは今のところ、“リグ・ヒンサー”の指揮系統を牛耳っちゃいねェよ〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈どうやら寝首をかかれるほど、落ちぶれてないようで何よりだ〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈俺が気にしているのはそのあたりでね。
 裏切りにあっては流石に"可哀想"というものだ……最も、腹の底なんて読めやせんがね〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈しかし……クックック、生存バイアスの話をされると俺には手厳しいにも程があるね〉

“グレイ・スコーピオ” :
 ココ
〈FHじゃ、寝首かかれる理由は弱いからさ。牙が折れてねェのか、折れても強いのか…どっちだろうな〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈前者であることを願うね〉

“グレイ・スコーピオ” :
  リビング・デッド
〈死んでいないだけの男に用ナシってか。
 違いない。俺たちゃ現実の戦争屋だ〉

SYSTEM :
 機体の音が、やがて今“赤の鬼人”が滞在するアジトへと近づいていく。
 自らを“神に仇名す”と嘯いた男は、この変わらない平常のトーンで、いざ敵に回れば銃口を今からでさえ平然と向けなおすだろう。

 それは戦士の割り切りだが、もっと別のところにあるように思えた。

“グレイ・スコーピオ” :
〈………そういやあんた。
 餓鬼は成り行きみてェなツラしてたがね〉

“グレイ・スコーピオ” :
        スラング
〈ついこの間の、罵詈雑言覚えたても含めてかい。
 ああ、気にするな。御宅の仕込みだろうが咎めやしねェよ〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈あんなアンバランスを一体全体どうしたいのか…。その疑問も少し答えが出たよ〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈ほう?〉

“グレイ・スコーピオ” :
 ・・・・・・・・・・
〈俺なら不発弾は捨てる〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈…捨てさせる。そうしないのが答えだ。クク…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈真逆、こんな地獄の道中に“そんなモン”があるとは思わなくてね。
 話してみたらビンゴだ。あんた、早死にするぜ〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈早死にするが…。
 だからあの手の餓鬼から好かれるわけだ。

 その手合いはとにかく敵に回すと七面倒くさい。撃つ時はせめて気分よく願いたいね〉

SYSTEM :
 それは男なりのあなたへの理解だ。
 退却にさえひと悶着、情動を捨てきらない“成り行き”を抱えたと、あの短い間のスコープを覗き込んだ最中から判断したらしい。

SYSTEM :
 男の口調は揶揄るような、どこか遠い皮肉に満ちていたが、一方で冷淡な罵倒や侮蔑とは別だった。
 彼はそれを捨て台詞のように敷いていくと、戦乱と隣り合わせのローマにある“鬼人”のアジトに向かって機体の頭部を向け、カメラを感光させる。

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈忠告、ありがたく受け取っておこう〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈俺だって別に長生きできるなんて思っちゃいない。
 戦争というケオスの中に居れば、いつ死んだっておかしくもない……〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈だがそのケオスの嵐の中で、転がり込んできたモノがあってね〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈兄弟、アンタには不発弾に見えたかもしれんが……、
 俺には別のモノに見えた〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
、   、   、   シルバーバレット
〈アレはな、魔狼を喰らう銀の弾丸だ。
 出来は粗いし、火薬も灯くんだか灯かないんだかどっちつかずだが──……〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈ある男が言ってた通り、狼退治には、使えるものはなんでも使わねばならんのでね。
 銀の弾丸があれば、願ったりかなったりなのさ……それが、不発弾だったとしてもね〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈なら、拾った俺が撃ちだしてやらねば全うできんだろう?〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈餓鬼が巨人を殺すのが戦争。
 レネゲイドという銃をひとたび持てば、誰もが狩人だ〉

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈じゃあな兄弟。
 この地獄で嵐に遭ったら、せめて祈れ──そうすれば、手前の弾は気分よく飛んでくれるもんさ……〉

 その皮肉のようで、しかし侮蔑でもない一言に、意志を感じ取った。
 ガンドルフのモノ・アイが、僅かな礼を明滅で表す。

ガンドルフ[バルチャーII] :
〈──詳細ルートを表示しろ、ファンタズマ。

 ああ、ついでに……終わったら無事なところで飯でも買おうや、ミクサは動くから食わせてやらんとなァ〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈…銀の弾丸は魔性を滅ぼす。
 …銃は銃を知らない餓鬼から、殺しのハードルを引き下げたギネス記録〉

“グレイ・スコーピオ” :
        つみ
〈だがよ、滅ぼす害悪が銃口の先にしかないと…どこに保証がある?〉

SYSTEM :
 明滅、去り際の言葉に、男の通信がひときわ大きな雑音を引き連れて響いた。

“グレイ・スコーピオ” :
〈まあいいさ。しょせん見解の相違だ。あんたの見据えた投資と“判断”、そいつをコインにするのはあんただけ。

 …ところで、この稼業やってから得物は降ろさない主義でね。最後のは、餓鬼の威嚇を抑える前提条件つきで頼むぜ〉

“グレイ・スコーピオ” :
      ボス
〈…そら、“赤の鬼人”がお待ちだ。
 ズラして俺も行くとしよう〉

SYSTEM :
 その送り言葉を最後に、
 一度通信が途切れる。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

“グレイ・スコーピオ” :
〈ハ。嵐を前にしたら祈れ、か〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈出来ねえ“イカれ”がいるの、知ってる面で餓鬼がほざきやがる。
       コッチ
 ………それともFHじゃソレが主流か?〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈………まあいい。俺も身の振りを考える頃だ。
 ここなら───、〉

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ───先の襲撃、および動き出した戦況に対する報告の場に訪れたあなた/アレウスを出迎えたのは二人。
 といっても、一人は顔を合わせただけだ。

SYSTEM :
 あなたを見て、意味ありげに小さく笑って。

“帝釈天” :
 せじはふうん、なんぞとうにたらん
『 世 事 浮 雲 何 足 問 … 』

“帝釈天” :
『と言いますが…ははあ。時の運とて足取りの重いコトがあるのですね。
 ───あ、その節はどうも。お先に失礼します』

SYSTEM :
 たどり着いたその面を見て何事かを推し量ったのだろうか。
 満足げにも見えるが、根本的にどこか他人事にさえ見える平常心を伴って、女は踵を返した。

"赤の鬼人” :
「構わん、行け。手筈通りだ」

“帝釈天” :
『御意に…』

SYSTEM :
 この部屋と縄張りの王のいる中で、堂々としたその姿は、決して礼を忘れずとも。
 空気に纏わりついた気風が、礼節で覆いきれない彼女のサガを教えてくれている。

 その星は一つ所に留まる人間ではなかった。それだけは、間違いない。

SYSTEM :
 変わり果てたものの一つを他所に、渦中の一人が重い腰を上げずに視線を上げた。

 座れ、と促すのも早々に切り上げ、口を開く。

"赤の鬼人” :
「………状況は耳に入れている。“お嬢さん”が野良狼に荒らされる庭を捨て置き、こちらに牙を剥いたとな」

"赤の鬼人” :
「撒いて来たのだろう。どうだった。
 おまえの口からも状況を確認したい」

アレウス :

 世間のことは浮き雲のようにあてにならない──か。

アレウス :
 まあ、いい。
 「唐詩選」など、もののついでに読んだものだ。
 仔細を憶えているわけでもない。

アレウス :
「一人一人の構成員は──俺からすれば大したことはない。
 だがやはり最大勢力ではあったのだろうな、数だけは無視できんだろう」

アレウス :
「後ろに目を付けていれば、さほど迎撃に手間取ることはない。
 だが少々……牙の剝き方が粗削りではあったがな」

"赤の鬼人” :
「それはエラく人を択ぶ対策だ。
 どいつの教えでもない、戦場の『独学』とでもいうやつか」

"赤の鬼人” :
「………まあいい。
 要件はおまえの言う後者だ。問題になるかは、これから次第ってところだな」

アレウス :
「ああ、今回は下級程度の構成員だったから俺も"そう"言えているのは否定できん」

アレウス :
「"青の貴人"の懐刀は文字通り狼の腹の中だが、
 それだけが最大戦力とも限るまい」

アレウス :
「"噛みつき方"次第では、その特筆された戦力を投入してくることも有り得るな」

アレウス :
「さすがに俺一人では、しんどさというものを憶えるだろうな。
 視ずに始末する、なんてことは出来んだろう」

"赤の鬼人” :
「…あれの他に、確かにやつはもう一人やっかいな番犬を飼っている。

 面を見たのはそう遠い時期じゃない。だが、当たり負けしたところを見た覚えもなければ、業腹にも仕留め切ったことはない」

"赤の鬼人” :
「まァ…そいつじゃない。
 邪魔をする、必要というなら“おまえ一人”で始末しなければいいだけの話。どのみち上等くれられた以上は、そうするさ。

 問題は…そっちじゃあない」

SYSTEM :
 男が語ったのは、おそらく…。

 貴人の庭にいるという“キュマイラの怪物”に関する話だ。
 あなたたちも詳しく探り切ったわけではなく、彼はそちらの強さを問題にしていない。先刻の出来事があったにしては落ち着いているが、それ以上でもそれ以下でもないというところだ。

SYSTEM :
 しかし、彼が気にしているのはそちらではない。

"赤の鬼人” :
「…問題はな。“貴人の庭”は粗削りな破落戸なんぞを飼ってないということの方だ」

アレウス :
「……あん?」

"赤の鬼人” :
「狼に向かわせるつもりだった連中がくたばった。
 “貴人の庭”のやり口でも、おれの知っている限りの“鼠”どもでもない…そして最後はおまえと来た。
 
 クロだ。
    ギルド
 連中、外患と手を本格的に結んだ」

"赤の鬼人” :
「───あいにくと情報は絞り切れておらんが、仮にもローマの首を掴んでいる連中同士が組んだってのがまずい。

 動きの聡いヤツを見かけたら潰せ。放っておくなら、おまえからおれが末期戦かゲリラ戦ってののやり方を盗まにゃあならんからな」

SYSTEM :
 理由を抜きにして、その“外患”が本腰を入れて協力している方が問題だ。
 人、物、金、動かせるものをほぼ揃えたというなりふり構わなさが。

 それは注意喚起にも似ているが、この話題に対しては、“赤の鬼人”は弱気という態度でもなかった。放っておいてもそれはそれだ。

SYSTEM :
【Check!】
 下記のエネミーエフェクトがステージに確認されています。

 エフェクト:組織崩壊
 所有者:????&????
 ・フェーズ2かつ2ラウンド目クリンナップ以降に所持者がステージに生存していると効果が発動する
  また、所有しているユニットが協力関係にある勢力は、クリンナップ時に勢力値を[5]回復する 

SYSTEM :
【Check!】
「ギルドの干渉」が未開示のため、
 情報項目の追加にロックが掛かっています。 

アレウス :
 頭をかく。
 後ほど"葬魔灯"に連絡が取れないかと僅かな期待すら抱くほど。

アレウス :
「米ソ冷戦から産み落とされた"忌子"のご登場か。
 確かに連中、オーヴァードの所属数が年々増えている。
 FHとのパイプも増えてきた中で、"貴人の庭"がその一本を持っていないワケはなかった、か」

アレウス :
「アングラに関しては連中の方が上手だ。
 ただでさえドブの多いこの街じゃ、どこに何が居るかなんて把握しきれん。
 厄介だな──こうなると、怪しきは殺せというレベルにもなるな」

アレウス :
「ま、そうなったらそうなったで秒で分かるレクチャーくらいは請け負うさ。
 これでも俺は元・鉄砲玉だったんでね……敵対組織の窓にダイナマイトを投げるくらいは平気でやってたさ」

アレウス :
「ボス」

"赤の鬼人” :
「藪から棒だな」

"赤の鬼人” :
「ダイナマイトの実演でもしてくれるのか?」

アレウス :
「いや? ただ……少し安心したってだけさ。
 、   、   、 ・・・・・
 俺はアンタを少しだけ嘗めていた」

アレウス :
「破落戸の俺たちにとってすれば、アンタは無敵の男だった。
 それがあのザマだ、少しは理想が崩れて文句も言いたいところなんだが……」

アレウス :
「再起不能でない事だけは確かだ」

SYSTEM :
 無理もない話。
 
 目撃者はあなたたちと救援の面子を除いていないが、
 鬼人の“伝説”はそれよりも巨きなものに丸ごと砕かれた。
 少なくとも、あなたの知る限りでは、これがはじめてだ。

SYSTEM :
 笑うでもない、怒るでもない。
 受け流すような重い息。

"赤の鬼人” :
「………」

"赤の鬼人” :
「………………“死滅天隕”よ」

"赤の鬼人” :
「おまえ、自分の戦歴を疑ったことは?」

"赤の鬼人” :
「“ただの負け”で済まないようなのはある。だが、そうでないものがある」

"赤の鬼人” :
「そうでないものは、埋めない限り、永遠にもがく落とし穴のようなものだ…」

SYSTEM :
 彼のその態度が何に向いているかは明白だが、そうでないものに対して男は確かに健在だ。

 一度や二度の”負け”程度で怯むような軟弱が、腕っぷし以外を持たずに生きていけない。

SYSTEM :
 …逆に言えば…。

アレウス :
「それが──"狼"だったと、アンタは言うのか?」

 腕っぷしがあったせいで、この男は今此処に居る。

アレウス :
「……こいつは野暮だがな。
 何年ぶりかにこの地に来て、俺はまだ一度も兄貴たちの顔を見ちゃいない……」

アレウス :
「……全員、腹の中か?」

 敢えて質問には答えない。
 それを応えることには、もう少し意味が必要だ。

"赤の鬼人” :
「おれは、答えの出ている内容を、したり顔で己の功績のよーに語る教師のような真似はしない…」

"赤の鬼人” :
「…全員じゃあない。
 だが、おまえの見たものが答えだ。

 この意味、分からんなら分からないままにしておけ」

アレウス :
「──そうか」

アレウス :
「それなら……それでいい。分かった」

アレウス :
「……俺は自分の戦歴を疑ったことはないさ。
 それは……俺とアンタの中での、"勝ち負け"の定義が違うだけさ」

アレウス :
「そうか、そいつは少し──残念だな」

"赤の鬼人” :
「定義か? 一丁前の台詞言いやがる」

SYSTEM :
 軽く鼻で笑った後、その惜しむような言葉に彼は答えなかった。
 少なくとも遠ざける形ではなかったろう。

"赤の鬼人” :
「おれにとってはな、アレウス。
 遺産など、さほどの意味はない…。

 殴って殺せる力なら、今でもついている」

"赤の鬼人” :
「ただソイツが生む争いが重要だっただけだ。そして、それが…」

"赤の鬼人” :
「………喋りすぎたな。
 おまえに必要なものはさっき伝えたっきりだ」

アレウス :
「一丁前の台詞を言わねばならなくなったのさ」

アレウス :
「まあ、いい」

アレウス :
「ボス。
 いや、"赤の鬼人”」

アレウス :
 戦闘用スーツを戻す。
 それは彼自身の立場の変化を端的に表している。

「この世界は信用と信頼で造られている。
 それが如何に塵山であったとしてもだ」

アレウス :
「その信頼を裏切るという行為は、己が積み上げてきた信用を全て虚ろな物にする。
 だから裏切ったヤツは、手痛いしっぺ返しを喰らう」

アレウス :
「"赤の鬼人"よ」

アレウス :
「遺産にさほど意味が無いのはよく分かった。
 ・・
 貴様にとって、遺産によって起きる嵐の方が重要であったことはよく分かった」

アレウス :
「だがその嵐に呼び寄せられたフローズヴィトニルに、俺の部下は痛めつけられてね。
 俺はそれを知らなかった──さて」

アレウス :
「こいつはどう落とし前をつけてくれる?
 俺は"アンタ"に二度裏切られた……一度目が、俺の下らん理想だからチャラにしたとしても、
 俺の部下が被った二度目の裏切りに対して、"アンタ"はどう、信頼を回復してくれるのか」

アレウス :
「最後にそいつを聞いておこう。
 願わくばこれが、デブリーフィングにならないことを祈る。

 この世界で、信頼と信用など糞喰らえと思ったならば、それまでだ」

"赤の鬼人” :
「…ふん。おれたちの世では、律儀にやらないものには律儀にやらなくていい。そうだったな」

SYSTEM :
 “それまで”を一つ語った男が、ボスと若い鉄砲玉の関係ではない“同業”の物言いに目を細め、それから…。

"赤の鬼人” :
「あの当時、貸し借りをゼロにせねば明日を迎えられなかった若造が、よくもまあ変わらずに………」

"赤の鬼人” :
「挑むときに、負けた時のことなど考えるものじゃあない。今までは特にそうだ。

 だがそんなのは過程。残った『結果』のけじめを今、つけろというなら………」

"赤の鬼人” :
「猶更おれはこの奈落の穴に挑まねばならん。
 その前でも後でも、せいぜい望むままにしろ。『納得』を勝たせられるんならな」

SYSTEM :
 嘗ての伝説の目がどこに向いているかは明白だ。しかし………。

 今や次の“若造”を持つ身になったあなたが本当に男の命を望んで手袋を投げつけたなら、彼はそれに応じるだろう。
 あるいは、それに近しいことだろうと。男がいまなお追われる炎が“何”なのか、言うまでもないことだ。

SYSTEM :
 彼はこれを以て答えとした。
 どのみち金や“遺産”が欲しいわけではないことをわかっているからだし、そもそも彼の中でその手は些事に過ぎないからだ。

アレウス :
「承知した」

アレウス :
「では信頼回復の条件は、
 アンタがあの狼を殺せるかどうかだ。
 殺せず死んだ場合、俺はいつかの地獄でそれを清算しにいく」

アレウス :
「だが気張れよ、アンタが俺に預けたシルバーバレットはじゃじゃ馬だ。
 魔狼を前にして、どれほど肉を喰らうかは俺にも分からん」

アレウス :
「それで俺は『納得』する。
 現状で、俺が今、古巣である"リグ・ヒンサー"に対して敵意を向ける理由は、一応これで無くなった」

アレウス :
「……」

アレウス :
「……弱みなんぞ、他人に見せるもんじゃないが──」

アレウス :
「俺が鉄砲玉をやってたのは、それでアンタや兄貴たちが楽をできると思ったからだ。
 上手くやれば、いい顔で迎えてくれたもんな。

 ……拾われぬ弾丸にされた事は、悪いが一生恨むぜ、"ボス"」

 背を向ける。
 その弱みと共に、それが気に入らないならこの場で殺せばいいという合図でもあった。

SYSTEM :
 笑うでもない、怒るでもない。
 受け流すような重い息。もう一度。

 かつての栄光をなぞり、名残にしがみつくような男は、
 その黄金の欠片の言葉に、何をば言うことはなかった。
 正確には、まさに去るその瞬間まで。

"赤の鬼人” :
 Fortes fortuna adjuvat.
「運命は臆病者の味方をしない…」

"赤の鬼人” :
「おまえがローマを発ったのは、
 兵士の流儀に傾いたもんだと思っていたが…」

"赤の鬼人” :
「───まったくお笑い草だ。
 撃って欲しければ次は正面から言え」

SYSTEM :
 彼が嘲笑ったのはどちらなのか。

 敢えて言うことではない。

SYSTEM :
 彼がゆいいつ臆病になる事柄は何なのか。

 これも、語ることではない。
 
 ただ、若造の情を抜き撃ちにできるガンマンのような性根なら、
 彼はもっと冷酷で、また割り切れる人間だっただろう。

SYSTEM :
 ───そうとも。
     ・・
 あなたは弾丸を打ち出す方だ。
 もう、撃ち出される方では、ない。

SYSTEM :
 そこに込めた感情を薬莢とともに捨てた際の、かつてあなたを撃ち出した、黄昏色でできた路地裏を玉座にした男の言葉が、去り際に響いた…。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

アレウス :
…………。

アレウス :
いや、よしておこう。

GM :
畏まりました。
まだと仰るならそれもまた…。

アレウス :
ああ、それで頼む。

・対話シーン1(七花胡、ラーゼス)

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
シークレットダイス

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

『天衝華山』。謝雲竜。
 世界全体を一つの「山」と捉え、
 そこに根付くものたちの栄枯盛衰を守護することが自身の役目である、と解する男性。
 一滴の使命とともに悠久を生き、絶対ならざる流転を是とする博愛の男。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 …高い払いの返答の成果は、生還報告を先んじて(誰の由来かはともかく)伝えて来た“帯来风暴”がその証明だ。

 あなた/“七花胡”はローマの現状、黒鉄の狼とそれに対抗しつつもにらみ合う三大セルの現状報告を抑え、今後の状況について整理を行っていた。

SYSTEM :
 彼の槍として、一期一会の助力を約束したラーゼスがそこに居合わせているのは…。

 のち“ファントムストークス”のリーダーであるアレウス・バルバートおよび、その渦中の人である夏瑞珂と邂逅し、情報交換と方針のすり合わせを行うための下準備だ。

 慎重に考えるなら、“七花胡”個人の思惑は、まだ此方で秘めておけるとも言える。

SYSTEM :
 死んでも馬車馬と化した男が、今頃アチラ側の連絡役(馬は曰く『1/2』と言っていた)と渡りを付けているころだ。

 此度の作戦で手にし、まとめた資料と、それに対するあなた自身の追記を横目にしながら、その猶予は流れていく…。

"七花胡" :
 日本に居る時と、やることに代わり映えはなかった。
 上がってきた情報を統合し、参照できるように整え、私見を記述する。そうやって出来上がったものを、肥料のように行き渡らせることで、支部という庭全体が勢いづくのだ。
 まあ、今回は其処に更に、思惑と言う名の篩を掛ける作業が必要なのだが。

"七花胡" :
 その篩にも、やや目の粗いところがあった。
 彼女を招いたのは、篩を洗練するためだ。

"七花胡" :
「わざわざお呼び立てしてしまって申し訳ありません。
 貴女には、帰ってきた”仔猫”の方が気がかりでしょうに」

"七花胡" :
「ああ。それと、先ほどは彼の面倒をありがとうございました。
 貴女が止めていなければ、駄馬を使うはめになっていた。あれもただではありませんからね。
 血が流れる前に割って入ってくださって助かりましたよ」

"七花胡" :
 さあ、かけて。と、対面のソファを指し示す。
 差し出した紅茶は、淹れたてのあつあつだ。
 ローテーブルの端にはいくつかのフレッシュミルクと砂糖の小瓶が置かれているが、中身が減っている様子はない。

ラーゼス :
 紅茶の薫りを楽しみ、ひとくち。
 人間の食物も、真似ているうちに随分覚えた。紅茶の味はわかる部類だ。

ラーゼス :
「気にしなくとも構わない。仔猫が生きていることはわかった。あとは些事だろう」

ラーゼス :
「アレウスは……」

ラーゼス :
「それも。そうだな、よい。
 彼と言う人間は、己の心持ちを恃みにして動くようだが──」

ラーゼス :
「人と交わるための道義と、取引の要は知る男だった。
 であるなら、止めさえすれば、貴公の危惧しているようにはならなかったと思う」

ラーゼス :
「だが……随分と、舵取りには苦労する盤面だな」

ラーゼス :
 ここにあるのはならず者たちだ。
 己の欲望が叶うことを第一に考える無法者たちの群れ。
 その中にあって理性を握り取引を持ち掛け、盤面を見て駒を動かそうとする指し手であろうとする彼には、さぞ動きにくかろう。

"七花胡" :
「まあ……そうですね、扱いにくいですよ。
 自分が世話している連中が特別聞き分け良い、なんて自惚れたことはありませんが……それに比べても、今の身の回りはどいつもこいつも曲者揃いでね。
 貴女くらいのものですよ、控えめなのは」

"七花胡" :
「御宅、武芸者ですらありませんよね。
 伝説を打倒し名を挙げたい者にとって、群れなんて足手纏いでしかないでしょう。それどころか、自分の獲物を横取りされかねない。
    ・・・・・・・
 貴女、扱いやすすぎる。欲望の徒が持ち合わせてよい清冽さ、素直さではないのですよ」

"七花胡" :
「庭の暗雲を憂う、獅子のオーヴァード。
 その眼帯の下に隠された瞳が何色なのか、今や気になって仕方がない……」

ラーゼス :
「……………」

ラーゼス :
「そうか……。……そうか」

ラーゼス :
「……アレウスの周りには少なくない人間がいる。
 ほかにも群れを統率するものはいるのだし、うまく紛れられていると思っていたのだが……」

ラーゼス :
 声がやや沈む。
 紛れることにかけて多少の自信のようなものはあったが、しおしおとそれがへこむ気配。

"七花胡" :
「(しょぼくれている……
  ……そういうところが”らしくない”と言ったのですが……)

ラーゼス :
「……いや。そうだな。今後があれば活かすこととしよう」
 首を振った。気を取り直す。

ラーゼス :
「貴公の意に沿うような答えが用意できるか、おれにはわからない」
 右眼を覆う眼帯に触れる。
 布を少しずらした先。瞼を覆うように、引き攣れた爪痕が深く深く刻まれている。
 明らかに人間によって刻まれたものでも、獣に刻まれたものでもない。超常のなにかに抉られた痕。

ラーゼス :
「おれは文字どおり、一介のけものだ。UGNでもなければ、FHとも言えない。
 証立てに必要なら、変じてみせるべきか?」

"七花胡" :
「……失礼」
 座っていたソファから腰を上げ、身を乗り出す。
 指先を伸べて、厭がられない程度に、顎先を小さく持ち上げさせた。
 検分するように、サングラスの先で目が細められる。

ラーゼス :
抵抗しない。グラス越しの目をじっと見つめる。

"七花胡" :
「(……疵……切り傷とも爪傷とも似つかない。
  形容し難いこれは……この者にとって)」

"七花胡" :
「……勲章? ……」憶測のように呟く

"七花胡" :
「……はいと言えば、見せていただけるのですか?
 貴女の本来の姿を」
 投じられる視線に、真っ向から見つめ返す。

ラーゼス :
「我が愚かさの象徴……いや」

ラーゼス :
「いまでは確かに勲章だ。うん、それでよい」

ラーゼス :
「貴公がそれを望むなら、そうしよう。
 己が何者なのかを証すときに、いまのおれは多くの言葉を持たない。
      あざな
 貴公が、名を字で閉ざすのと同じことだと思う」

ラーゼス :
 ・・・・
「いまでも、おれのような生き物は幻想の中のもののようだからな──」

ラーゼス :
 変り身は一瞬のことだった。
 胡の手に顎を載せた女が、一瞬にして黄金の毛並みの獅子と入れ替わってみせる。
 同じ眼帯から、同じ傷痕が覗いた。同じものはそうないだろう『勲章』だ。

"七花胡" :
 手品にしては朴訥すぎる言葉と共に、空気を押しのけて巨体が現れた。
 ふくよかな黄金をたなびかせた、壮麗たる隻眼の獅子……。
 エグザイルの四肢変容とも、キュマイラの形態変化とも異なるそれは、原初返りと言えようか。

 人が獣に成ったのではない。
 獣が人に成っていたのだ。
 その点で、通常のオーヴァードとは原点を違える。
 成程、”血色の探求”が関心を持つわけだ。

"七花胡" :
「これが……アニマルオーヴァード……」

"七花胡" :
「…………ありがとうございます。
 この姿を見せてくださったことそのものが、明かせないなりの一種の信用であると……自分はそう受け取りました」

 そして多分、彼女の言葉は真実だった。
 自分も彼女も、大切にしているもの/自分の庭に、火の粉を被せたくないからこそ、隠れ蓑を纏っている。
 UGNでもFHでもない場所の、いずれであるかを推測するのは非常に難しい。けれど、それは重要ではなかった。

"七花胡" :
「……戻ってくださっても、あるいはそのままでも結構ですよ。
 獅子である貴女が、人の姿を取ってまでローマまで来たのは、“黒鉄の狼”の到来が予感できていたからですか?」

 毛並みを擦ろうとした手を、少し考えて引っ込める。
 隠し事を尊重されたようで、覚えのあるむず痒さ……居心地の悪さが心臓の裏をかすめるのを、座り直すことでごまかした。

ラーゼス :
『いまは、我らのような生き物のことをそう呼ぶようだな』
 つぶやきを肯定するように、先程までと同じ女の声が答える。

ラーゼス :
僅かな悩みの気配。ほどなくして、姿がまた女のものに戻る。

ラーゼス :
「では、こちらの姿に。
 おれにとってはあちらの姿のほうが快いが、けものが人の言葉を語るのは見慣れないだろう」
 うっとうしそうに髪をかき上げ、自らも椅子に座りなおす。

ラーゼス :
「貴公の言うほど明確な予知ではない。ただ確かに、予兆のようなものを感じ取ったのだ。
 黒い欲望を貪る狼を引き金として、この羅馬を中心に破壊が起こると……」

ラーゼス :
「それが“黒鉄の狼”という名の生きる伝説で、あのように幻想を生きるものから零れ落ちた落とし子であり、瑞珂の敵と……そう知ったのは、むろんここを訪れてからだが」

ラーゼス :
「あれは凶兆の狼だ。
 あれそのものが、なのか、今あれによって起こされた混乱のただなかで、なのか。
 どちらかはわからないが、このままではいずれかによって災いが起こる。おれはそのように啓示を受けた」

"七花胡" :
「アニマルオーヴァードの実例を見たのは、自分もこれが初めてですがね。
 広く旅をしている”知人”ならば、貴女の同胞にも覚えがあるかもしれませんが、自分は、生憎と」

"七花胡" :
 本性を獣とするには、人の目線に慣れすぎている印象があった。
 俯瞰の視点といい、行き過ぎにも思える寛容といい、王侯貴族の────いや、上位者の振る舞いそのものだ。
 より一層既視感が募るのを、意図的に振り払うように言葉を紡ぐ。

"七花胡" :
「……啓示、ですか。我々では持ちえない、天性の勘なのでしょうかね。
 “黒鉄の狼”によって巻き起こされた嵐が、此処ではない貴女の庭にまで及ぶとなれば……」

"七花胡" :
「……誇張なく。世界全体を揺るがせにするもの、なのでしょう。
 貴女の勘がとらえたものは。
 ますます、放置するわけにはいかなくなりますね」小さくため息を吐く。

ラーゼス :
「ああ。古き血は、おれへそのように警告した。
 これまで永く付き合ってきたが、外れたことはそうない」

ラーゼス :
「……実際に狼のあの姿を見ては、予見を大げさとは切り捨てられぬ」

"七花胡" :
「これまでも、同様のことがあったのですか。
 その啓示とやら」

ラーゼス :
「あった。おれに、その源を除くべしと警告しつづけてきた」

"七花胡" :
「それは……なんとも」

"七花胡" :
「難儀ですね。貴女ばかりが駆り出されて」

ラーゼス :
「………難儀か」

ラーゼス :
「貴公はそう思うか?」

"七花胡" :
「難儀だとは思いますよ。毎度毎度、曖昧な予言みたいなものだけを根拠にあんなのと戦わされるなんて、自分だったら考えるだけでうんざりです」首を竦める

"七花胡" :
「でも、貴女の庭のためなんでしょうね。
 それが」

ラーゼス :
唇にわずかな微笑みを刻む。

ラーゼス :
「ああ」

ラーゼス :
「おれにとって大切なもの、重んじるべき約束だ。
 友に任された場所と、おれを大切に抱えつづけてくれるものたちがいる」

ラーゼス :
     すえ
「……彼らの裔が、いつかおれを不要と言うまで。おれは災いを穿つけものだ。
 それを苦と感じたことは、あまりないよ」

"七花胡" :
 刻まれた微笑みと、そこに根差す心境に、理解よりも先に納得を得てしまった。
 自分が庭の花の成長ぶりを眺めているときと、それは多分相似の感情だ。
 そして添えられた「あまり」という言葉に、巨きな背中が過ってしまった。

"七花胡" :


「(……ああ。駄目だ。
  重ねてしまった)」

"七花胡" :
「………………、……………………」
 一拍の猶予が欲しかった。湯気も鳴りを潜めた紅茶を一口含む。
 悪あがきの時間稼ぎを、そうと知ろうとも寛容するような彼女の沈黙が、逆に居心地悪さを加速させる。
 此方がオーナーだというのに。

"七花胡" :
「……貴女の」観念したように口を開く。

"七花胡" :
「………………貴女とよく似た人を、知っている……」
 吐息のように零れ落ちる言葉を止められなかった理由からは、せめて目を逸らせていられるだろうか。

ラーゼス :
「……おれと?」

ラーゼス :
 観念したような沈黙ののちの言葉。その意図を慎重にはかる。
 他人と対するための、慎重につけられた薄膜のような覆いが、すこしだけ剥がれた気配をかぎ取る。

ラーゼス :
「尋ねてもよいことなのかは、わからないが……」

ラーゼス :
「貴公にとっては、複雑な相手のようだな。
 おれがその御仁と似ているということは、あまり好ましくはないか?」

"七花胡" :
「……答えにくい尋ね方をなさる」
 小さく苦笑する。壊れ物にかざすような、慎重な手触りだ。根本を人と違えてはいても、長く人と共に在ったものの触れ方。
 その気遣いが、今は少し痛い。

"七花胡" :
「きらいなら、複雑になんてなりません」

"七花胡" :
           せんせい
「……自分のような者にも、師がいたのですよ。
 獣同然だった少年を拾い、人間に見えるように育ててくださった方がね」

"七花胡" :
「長く……永い時を生きる人です。棲んでいる世界は同じなのに、見ている世界が違うよう。
 あの人だけ、まるで雲の上みたいで」

"七花胡" :
「……だからでしょうね。貴女の言葉を聞いたとき、師の姿が被ってしまった。
 単なる……個人的な感傷ですよ。これでは“死滅天隕”を笑えませんね」
 後半は煙に巻くように。それでも、先ほどまでの鋭さが鈍ってしまっていることを自覚する。
 苦笑の切れ端が、少しばかり力無い。

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
「長い時を生きる、貴公の師……」

ラーゼス :
「……なるほど。その話だけ聞くなら、多少は重なるところのある御仁だな」

ラーゼス :
 嫌いとも、大手を振って好ましいとも言えない態度。
 口振りから漂う、その『師』を偉大なものだと感じている仕草。
 すこし被るところのある己に向けた、柔らかな感傷の気配……。

ラーゼス :
この感情は、かけらを知っている。偉大ながら憎らしく、好ましくもありながら腹立たしいものへ向ける……。

ラーゼス :
「(──父祖への愛憎のようだ)」
 氷園で眠る友が、自分たちを置いて果てた父を、同じような響きをもって語っていたことを思い返す。

ラーゼス :
「……かまわない。貴公にとって好ましくもあるものであれば、なおのこと。
 我らはその感傷を力とする生き物だ」

ラーゼス :
「いまの貴公は、多くを知る聡明な策士に見える。
 昔の姿が『獣同然』だったというのが事実なら、よき──師に、恵まれたのだな。
 あえて尋ねるが、最近の交流は……?」

"七花胡" :
「ハハ……貴女の目から見ても、ちゃんと人間のように見えてるってことですね。
 それはよかった。師からの教えを、無駄にはしていないようで」

"七花胡" :
「……随分と会っていませんよ。七、八年くらいですかね……。
 まあ、何千年と生きてるあちらからしたら、その程度、瞬き同然なのかもしれませんけど」

"七花胡" :
「少年期に拾われて、色んなことを教わりました。武芸、学問に始まり、オーヴァードとして心得ておくべきこと。
 それから────社会の中で、社会の一員として生きていくことを。
 孤児だったのでね。爪弾きだったのですよ」

"七花胡" :
「それで、ある日突然、『教えるべきことは教えた』と言われました。
 まあ……本来、自分のような小僧一人にかかずっていられるほど、暇な方ではありませんから。
 弟子もたくさんおられることですし」

"七花胡" :
「それきりです。それきり」
 背を押し、巣立ちを促す手。
 拾い上げられた時と同じくらい暖かく、優しかったその感触を……何時まで経っても、忘れられないままでいる。

ラーゼス :
「……そうか……」

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
 無闇に踏み込むのも悪い。しかし、流すこともしがたい。
 たとえば彼の師が本当に永きを生きるものなら、そうする理由は推察できなくもないからだ。

ラーゼス :
「……おれごときに推し量れるものか、そしてそうすべきなのか、迷いはするが」

ラーゼス :
「おれが同じようにするかは、さておいて──心情ならわかる。
『己を生きるための杖とさせてはいけない』ということだ……」

ラーゼス :
「だが、それは……寂しい話だな」

"七花胡" :
「それなら、どうして……
 ……どうして俺に、命を分けなどしたのか……」

"七花胡" :
 抱えていたものが、溜息のように零れる。
 分かってはいる。自分が彼と同じ永遠と成ったのは、あくまでも様々なめぐりあわせの産物でしかないことを。
 でも……それでも。

"七花胡" :
「(貴方なら、俺が『こう』なることも、分かっていたんじゃあないですか?
    せんせい
  ねえ、師)」

"七花胡" :
 感傷に問いかけても、答えはない。

"七花胡" :
「……馬鹿をやらかして、本当に死にかけたことがあったんです。リザレクトも間に合わないくらいの。
      モノ
 彼が自分の命を分けてくださったおかげで、一命を取り留めたのですが。
        モノ
 その時に、同じ命になってしまったようでね」

"七花胡" :
「詰っても仕方がない……。結果論ではあるのです。
 でも、杖など……」

"七花胡" :
「……自分で手放させて欲しかった。
 選んじゃだめなんて、とんだ傲慢ですよ」

"七花胡" :
「そう思いません?」

ラーゼス :
「! それは……」

ラーゼス :
 不老の澱みを引き継いだということだろう。
 時の流れにおいてゆかれる呪いを授けながら、其の子どもを手放した『師』の深遠な考えは、己では扱いきれぬと感じる。

ラーゼス :
たとえば己なら、と整理する。その答えの一片にすらならぬかもしれないが。

ラーゼス :
「……命を拾ったときの気持ちは、おれにもわかる。
 自然がもたらすものでないのなら。つなぎとめようと考える時に、おれなら考えることをしない。
 それが貴公の望まぬ死だったのなら尚更だ」

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
「胡。たとえば……」

ラーゼス :
「一緒にいてほしいと願ったことは?」

ラーゼス :
「もしかすれば、それが……単純な答えなのかもしれない」

ラーゼス :
「むろん、おれにはその御仁の考えはわからない。あくまで推察だ。
 寄り添われることで生きるおれと、教本をすべて与えて去るその御仁の考え方は、同じようで少し違うと思う。
 だが……」

ラーゼス :
「そう貴公が言っていたとして。拒むことはなかったと。おれは思うよ」

ラーゼス :
「おれも、古い友人にそうされたことがある。恥ずかしながら、嬉しいことだった」

"七花胡" :
「…………自分も」

"七花胡" :
「……俺も、そう思います。
 杖は貴方がいい、と言われて、手を振り払えるような人ではなかった」

"七花胡" :
 選べていたら? 言えていたら?
 親子という、世間一般の形に収まっていたかは分からないけれど。
 それでも少なくとも、師弟という今の形ではない、別の道先があったはずだった。

"七花胡" :
 でも、選び直すには遅すぎた。
 俺はもう、自分だけの杖を手に入れている。
 巣立ちは終わった。

"七花胡" :
 雨垂れのような吐息を零す。
 ずっと淀んでいたものが流れ出すような溜息。
 口の端の微笑みから、苦いものが融け落ちる。

"七花胡" :
「貴女と彼は違う。生きている命の数も、彼方に去っていった思い出の数も。
 貴女と自分は違う……守る庭の在処も、何もかも」

"七花胡" :
「でも、いっとき貴女と、こうして話ができて良かった。
 つまらないものを……いえ」

"七花胡" :
「それなりにだいじなものを、聞かせました。
 いつか風の中で……忘れてください」

"七花胡" :
「……ラーゼス、さん」

ラーゼス :
応えるように微笑む。

ラーゼス :
「貴公の考えの助けになったのであればよかった。
 我が胸にのみ秘め……」

ラーゼス :
「眠りの中で反芻する、記憶のひとつとしよう」
 その眠りが、己に訪れる永久の氷の眠りのことであり──
 すなわち忘れはせぬという宣言と同義であることなどは、己しか知らない。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

"七花胡" :
新規取得ではありませんが……感情の変更がふたつほど。

GM :
ふむ…確認しましょう

"七花胡" :
“隻獅子”ロイスを、○有為/厭気→○信頼/隔意に。
それから……

"七花胡" :
”閣下”のロイスを、恩義/○隔意→○望郷/悔悟に。

GM :
ほう…

GM :
よいでしょう。タイタスとなるほどの致命的な関係の変化ではない“あくまで抱く理由の推移”と思われますし、感情の変化をキャラシートに反映させておいてくださいね。

"七花胡" :
承知しました。

ラーゼス :
ロイスを取得しよう。胡に……

ラーゼス :
○慈愛/不安とする。彼の先行きは、おれがこの長きにわたり感じてきたものと同じだろうからな

GM :
ふむ…

GM :
畏まりました。問題はないでしょう、キャラシートに書き加えておいてくださいね

ラーゼス :
ありがとう。記入した

SYSTEM :

 ………。

 ………………。
 ………………。


・対話シーン2(合流)

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

 ヨシュア・ランカスター。
 ランカスターグループの総帥、UGN評議会議長。
 最愛の息子ジョナサンを失ってから、その精神に翳りは見られど衰えはない。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ローマ市街は未だその情熱の鍍金を剥がすことのない一方、
 飛び込んだ渦中の狼は絶えず命を貪り、戦いを続けていた。
 
 その今後、を束ねる最中のことだ。
 長期的かつ一時的な同盟に成り行きで転がり込んだ夏瑞珂の、ある報告から情報交換会は始まった。

SYSTEM :
 …より厳密に言うと。
 彼女が持ち込んだ(諸説ある)便箋から始まった。

内容に曰く :

(前略、手紙の前置き)
(※以降の内容はすべて口語の訳)

内容に曰く :

 ずいぶんと高い貸金をくれた理由が分かった
 御宅らの嗾けた嵐の子は、どういう育ち方してるんだ?

内容に曰く :

 仔細を記しておく
 生きて帰って、これを見せびらかしてくれたなら
 とりあえず払いの分はひとつ果たしたと思って貰いたい

内容に曰く :

 “黒鉄の狼”があれほど明確に傷を残したのは、戦闘継続から現在に至るまで今が初めてだ
 やつの信じがたい剛性は無敵じゃないが 無敵に等しい 
 そこに殺せる建設的なヴィジョンが出来たのは進展だ

内容に曰く :

 こっちに隠蔽する理由はない
 また、理由が存在しても、あの場を目撃していない勢力はいない

内容に曰く :

     テンペスタ  ..ティフォーネ
 そいつは小さな台風で、大きな台風の目だ
 万一扱いきれなくなった時も
 のびのびやらせることを推奨する

SYSTEM :
 執筆内容は時間をかけたものではないのは明白だが、それよりも…。
 そのいくつかある拠点の一つで、誰かが疑問を呈してもいいころだ。何なら疑問の候補が3つくらいある。

夏瑞珂 :
 ネクタイと上着をテーブルに放り、靴を脱いだ素足をソファに投げ出す。手紙を検分する銘々をよそに、誰のかも分からないアジトで休憩中。

ラーゼス :
「…………………………」

"七花胡" :
「なるほど、育ちを問われるわけです」

“Mr・A” :
「えー素人質問で恐縮ですが」

“Mr・A” :
1d2 2でこっちのアジトだよ (1D2) > 1

“Mr・A” :
「いいの あの堂々たるノーマナー」

夏瑞珂 :
「あら」伸ばした足を組み直す。「まだ下を履いてるわ」

"七花胡" :
「言っても無駄でしょう」全裸じゃないからセーフとかそういう問題ではない

“アセルス・デスミオス” :
「おっさんに発言権はないです(きけんよち)」

"七花胡" :
「日本には『三つ子の魂百まで』という言葉もある」

ラーゼス :
ぬのを脱いでいいのか? というやや安堵したような表情を浮かべかけるが、まわりを見て違うな…と判断する

アレウス :
他人の拠点であることを踏まえ、煙草は取り出さず。

「色目にもならん」

夏瑞珂 :
あらいいの? じゃあ抜いじゃお

夏瑞珂 :
すぽ~ん

"七花胡" :
 

"七花胡" :
「一応部下なんでしょう? 躾けたらどうですか、アレ」

アレウス :
「言って聞くならとっくにやっている」

"七花胡" :
「それもそうですが。ノイズになるので最低限着てください、“帯来风暴”」

夏瑞珂 :
「だから言ったのに」まだ穿いてあげてたのよって

夏瑞珂 :
「ライオンちゃんやってー」

"七花胡" :
「これ自分が悪いんですか?」

夏瑞珂 :
ぴーんと足を伸ばす。

"七花胡" :
不満 不服 と言う顔

ラーゼス :
「それはできない。布が邪魔なことはわかるが、人間は着る生き物だそうだ」

"七花胡" :
わかるんだ……

“Mr・A” :
「この“帯来风暴”はまだ二度のヘンシンを残している…」

"七花胡" :
「服の枚数じゃないですよね? ソレ」

“Mr・A” :
「You are correct...」

"七花胡" :
当てたくなかった

アレウス :
「素直に従っておけ、シア」

夏瑞珂 :
「exactly…」Aに続く

夏瑞珂 :
「気にならないんじゃなかった? ねえ、それより」

夏瑞珂 :
 ・・・・・
「おともだちからのお手紙は何て?」ニヤニヤと鳥のおじさまを見る。

"七花胡" :
着ろよ 先に

ラーゼス :
人間には「怒られるうちが華」ということばがあるそうだが…

ラーゼス :
生い立ちを見るに、この形になってからは怒る相手もいなかったのだろうな 哀れな娘よ

アレウス :
「フン、貴様、口が達者になったな。質の低い罵詈雑言を並べるよりは進歩したと褒めてやる」

アレウス :
「気にはならんが気持ちのいいものでもない。
 兵士の捌け口を思い出してしまうもんでな」

夏瑞珂 :
「?」

アレウス :
「分からんなら分からんでいい」

"七花胡" :
「駄馬」
 嘆息 服を集めてついでに毛布と一緒に被せておけと合図

“アセルス・デスミオス” :
「ういっす」

SYSTEM :
 男の表情の「えー」と命令実行に何らラグはなかった。粛々とよそ様の娘のあとしまつ。

"七花胡" :
「これで問題はありませんね。続けてどうぞ」

夏瑞珂 :
「どうぞー」

ラーゼス :
手紙に視線を移す。

ラーゼス :
「……驚きの源の娘がこれでは、アーキルの気遣いがなければ事態の把握がむずかしかっただろうな」
 のちのち礼は言わねばなるまい。

ラーゼス :
「むろん、手紙でも不十分な点はおおいにあるが」

アレウス :
 わざわざグラッパを飲むのは、頭痛をかき消すためだ。
 手紙の内容など今まさにこの状況を表すようなもの。
 それを送ったきたヤツの方が、どちらかといえば頭痛の種だ。

 手紙をテーブルに投げ、鼻で笑う。

「フン、どうやら……寛ぐだけの仕事はしてきたらしい。
 確かにあのフェンリルに傷が付いたのは朗報ではあるな」

アレウス :
「よくやった、シア。
 貴様にとっては当たり前のことだろうがね」

夏瑞珂 :
ころ~んと毛布をまきこんでソファで寝返り。瞬きを数度。強いお酒を流し込んだ顔を見上げる。

夏瑞珂 :
「またやるわ」

アレウス :
「それで構わん」

アレウス :
「適材適所というものだ。
 銀の弾丸は撃ち込むのに適した獲物がいるなら尚のこと……」

アレウス :
「──また拾わねばな、撃った弾丸は」

"七花胡" :
「使い捨ては非効率ですからね」

"七花胡" :
「世の中、兵士も駒も再利用が流行りです」

夏瑞珂 :
虫さんを見る。

“アセルス・デスミオス” :
「敢えておっさんを見た理由聞かなきゃダメ???」

"七花胡" :
ニコ

“アセルス・デスミオス” :
「おっさん使い捨てを危惧されてるとは思わんけど、捨てる部分の再利用扱いされてる???」

"七花胡" :
「減価償却しないとですから」

夏瑞珂 :
アハー

アレウス :
「……」
 
 目の前の軽いやりとりを見、少しばかり首と肩を回す。
 なるほど、これか、と。

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
「仔猫を好きに遊ばせることへの異存は、おれにもないが……」

ラーゼス :
「もう一度が起こる保障もないのでは?
 “黒鉄の狼”に傷をつける条件はかぎられているはずだ……」

アレウス :
「ああ、それはそうだろうな……」

"七花胡" :
「再現性のない手は、手札とは呼べませんからね」

ラーゼス :
「うん」

ラーゼス :
「この書き方を見る限り、3陣営すべてが瑞珂によって“黒鉄の狼”が傷を負った姿を見たのだろう?」

ラーゼス :
「たとえ、まぐれだったとしても……」
 言葉を選ぶ沈黙。

ラーゼス :
「使えそうな、『銀の鉄砲玉』が、誰の目にも見えるかたちで札として場に置かれた。
 その点は、貴公らにとっては不利なのではないか」

"七花胡" :
「そうですね。現状、“黒鉄の狼”に対するジョーカー、銀の弾丸と呼べるのはそこの蓑虫だけ……。
 何処の陣営も狼を煙たがっている以上、是が非でも利用したいと考えるのが自然でしょう」

"七花胡" :
「というか、そのことが判明する前から、“黄の希人”からはデートの誘いが掛かっていたのですよね?
 “隻獅子”」

夏瑞珂 :
そうなの? と首を傾げるみのむし。

"七花胡" :
貴女もその場にいたのでは……? いえ 正直期待してはいませんが

ラーゼス :
「うん」

アレウス :
「ほう」

ラーゼス :
      デエト
「“黒鉄の狼”と逢引する折にはともに、と。消極的な協力の申し出があった」

夏瑞珂 :
「あー」あー

ラーゼス :
「そのときは答えを保留したいと言ったのだが……結果的には正解だったな。
 瑞珂の口を狼から剥がしたのはアーキルたちだったようだから」

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
「殺せたのに」はあ~あ おっきい溜息

ラーゼス :
ため息。

"七花胡" :
「此方が売った恩も大きいですが、此方が売られた恩もまた然りですね」
 疵をつけられたのだとして、それが殺すまで続いたかは懐疑的なところだ。
 ガス欠状態にトドメを刺される前に、手札の回収を代行される形になったのは、恩に分類するしかない。

"七花胡" :
蓑虫を横目。

アレウス :
「…………」

“アセルス・デスミオス” :
「ふーん」

“アセルス・デスミオス” :
「…少なくとも前以て期待した上での申し出じゃあなさそうだ。
 そうだったなら、何度もチャンスと漁夫の目が届く隙間を作ろうとしないでしょ?」

“アセルス・デスミオス” :
「大方は“どうせやるなら”かな。
 その結果が、予想もしないところに上手く転んだってトコだと思うけど、あっちが“意義あり”と見込んでるっぽいのは事実ね」

“アセルス・デスミオス” :
「目を付けられる理由に、ローマの“伝説”が必死こいてノーダメージってトコもあるんでしょーよ。
 うちと肩組んでることを好かれないケースもありそうだけどね」

"七花胡" :
「一応、我々は未だ”リグ・ヒンサー”の傘下ですからね」

ラーゼス :
「おれもそう感じる。彼が接触をしたかったのはアレウスか胡のようだった──つまり、指揮系統の持ち主だ」

夏瑞珂 :
にこー

アレウス :
「……鬼人はまだヤツを殺すことを諦めてはいない」

夏瑞珂 :
「ふうん?」

ラーゼス :
「よほど執着があるようだな」

夏瑞珂 :
……

夏瑞珂 :
にこーっ

"七花胡" :
「萎えてないのは結構ですが、彼が次、何処まで“黒鉄の狼”相手にやれるかは懐疑的ですね」

アレウス :
「だが、やる。
 それだけは確実に言える事だ」

アレウス :
「とはいえ、イニシアチブはこちらが握っているがね」

"七花胡" :
「そうですね。“黄の希人”が我々にコンタクトを求めたがっていたということは、裏返せば我々の”リグ・ヒンサー”所属はほぼ建前だけのもの、ということでしょう。
 名実ともに、“赤の鬼人”の兵士であるとは見做されていない」

"七花胡" :
「“黄の希人”の勢力に組み込まれることが危ういのと同様に……
 “赤の鬼人”の靄がかった手の裡で、良いように使われるのも危険でしょう。
 傍には”帝釈天”も居る」

"七花胡" :
「それを了とするなら、せめて対等の立場で、“赤の鬼人”のプランを示していただかねば。
 現状、如何なる勢力にも与さず、臨機応変な立場を崩すべからず……というのが、自分の考えです」

"七花胡" :
 最悪何処かのセルに遺産を渡しても構わない────とは言われているが、現状唯一明確に遺産を欲している“黄の希人”が、それを何に使うつもりなのかは不透明なのが現状だ。
 これがUGNらしい行動原理と相反する目的なのであれば、選択肢から除外することができる。

 それを確かめるためにも、“死滅天隕”から、五年前の“黄の希人”との話を聞く必要がある……

夏瑞珂 :
"赤の鬼人"がどこまでやれるか。関係はない。やるのだ。彼の牙が未だ折れていないのなら。かならず。

アレウス :
「全く同感だが、俺としては今後のやる事をチラシの裏程度に教えてもらっただけでね。
 ……この街に入り込んだ新たなハイエナを今のところは叩いておくらしい」

 思い返す。
 あの時襲ってきた破落戸……つまり、ギルドだ。

ラーゼス :
「ギルドか。“貴人の庭”と手を結んだと聞いたが」

アレウス :
「なりふり構わんらしい」

"七花胡" :
「何処にでも湧いて出てくる蛆虫共が其処にも……」渋い顔

夏瑞珂 :
「すごく嫌そうね?」

"七花胡" :
「ええ。嫌いです。商売敵みたいなものなので」

“アセルス・デスミオス” :
「イデオロギーないかんねー」

 ちなみに政治思想とか社会思想とか
 “みんなにどうしてほしい”みたいなのがイデオロギーね

アレウス :
「俺も襲撃を受けた。もう既に蜚蠊のように散らばっているぞ」

夏瑞珂 :
なるほど! イデオロギーってなんですか?

“アセルス・デスミオス” :
先に聞くんすけどどのくらいわざと? 

"七花胡" :
馬耳東風……

夏瑞珂 :
1D100 (1D100) > 28

“アセルス・デスミオス” :
おっさん今別の方向で傷ついちまったなあ~~~~いいけど

“アセルス・デスミオス” :
「追い詰められたからなりふり構わなくなったってトコだ~ね。

 もともとその“黄の希人”が、お二方にモーションかけるときにさ」

“アセルス・デスミオス” :
「気になること言ってたんだよね。
 俺たちのほうにも誘いが来た、みたいなやつ」

アレウス :
「……ギルドからか?」

ラーゼス :
浅く頷く。

夏瑞珂 :
へえ~

“アセルス・デスミオス” :
「そそ! で、緒戦でクィーンを失ったキングが…あいや、クィーンを失ったクィーンにしとくか?
 それが代わりを欲しがったってワケ」

“アセルス・デスミオス” :
「言い換えると“狼狩りにもローマにもおまえらの手は借りねえ”だね。

 御宅らじゃない。元からローマにいた商売敵の“リグ・ヒンサー”、後からローマに忍び込んだ“御手翳す開放者”、どっちも嫌いってこった」

アレウス :
「……、だろうな」

“アセルス・デスミオス” :
「この分だと他のリーダーさん方にもこの話が言っていないとも限んないけど。
 よく言えば”赤の鬼人”と“黄の希人”は、そんな客引き紛いには乗る気もないってコトだ」

“Mr・A” :
「マア…全体ではどうか知らないけどネエ。前者は旧来のFHだ。
 今のトコ、あれで思ったより遥かに手綱握れてるみたいだがね。見限られていない、かな?」

アレウス :
「握った縄は細くなっているがね」

"七花胡" :
「それでも、芝刈りのための鎌を手放す気はないのでしょうね」

夏瑞珂 :
「ふうん」

 もそもそとうごめく。毛布を頭まで被ったみのむし姿。

夏瑞珂 :
「だろうな、ですって。知った口振りって言うのよ、そういうの。ああ──そう、思い出したわ」

夏瑞珂 :
「青の子も、あなたをおじさまって呼んでいたわね?」

"七花胡" :
「(……なかなか容赦なく突き刺すものだ。
  他人の感傷など尊重するべくもないということか……
  あるいは、尊重する回路がもう焼き切れているか。ですね)」

アレウス :
「貴様、口が達者になりすぎたな」

夏瑞珂 :
「お嫌い?」

アレウス :
「フン、そうだったら撃ち殺している」

夏瑞珂 :
バキュ~ン 人差し指と中指で撃ち抜くしぐさのあと、ふっと息を吹きかける

アレウス :
「川での殴り合いはミクサとやれ」

アレウス :
「……ま、"青の貴人"がローマという土地に拘っているのは確かだ。
 政治経済に深く潜り込んだ以上、奴は権力というものを手にしているからな」

アレウス :
「自分のシマのは始末は自分が付ける、そういうハラなんだろうよ。
 そこから考えれば、古くから居るギャングも、新しいドブネズミも、招かれた厄災も、ヤツにとっちゃ等しく害獣だ」

アレウス :
「……昔からそうだったかは覚えがない」

夏瑞珂 :
「昔から?」

アレウス :
「……構わんな。
 先代の時に、少し"貴人の庭"にはやっかいになったことがあった」

アレウス :
「その時の腐れ縁だ。
 ヤツが俺を親しく呼んだのも、その社交辞令に過ぎんだろうよ」

ラーゼス :
「そのようだったな。思えば──」

ラーゼス :
「“血色の探求”と話していた時も、同じようなことを感じた」

ラーゼス :
「貴公は『腐れ縁』と言ったが、その時はもう少し色があるようにも思ったよ」

夏瑞珂 :
ふうん? と首を傾げた拍子にソファから転げ落ちる。ころりん。

"七花胡" :
「社交辞令を『ティーラ』なんて呼びますかねえ」あーあ 落ちちゃった

アレウス :
頭に気をつけろ。

“Mr・A” :
(横を謎のポーズで通りすがりソファーに戻すいきものの姿)

アレウス :
「フン、アレはただの"返事"に過ぎんよ。
 いまだに俺を"おじさま"なんぞと呼ぶのだからな……で」

夏瑞珂 :
キャ~

アレウス :
「……いや、腐れ縁だ。
 5年も経てば、人も土地も変わる。

 だが"血色の探求"に限っていうのであれば……」

アレウス :
「その変わった要因に等しい。
 塵山の世界でも、子が親を殺すというのはあってはならんことだ……」

 最後の一文を口にする時、わずかにその眉間に皺が寄った。
 そして、なぜカルロに対しあの時殺意を向けたのかは、そこに理由が詰まっていた。

夏瑞珂 :
「────」ハ、と唇がつり上がる。内に巻き込んだ毛布のなかで、ぎゅうと手に力がこもったのは何故だろう。

夏瑞珂 :
「生かしておく価値のないゴミクズでも?」

"七花胡" :
「………………」視線を向ける

アレウス :
「フン、ゴミクズの程度によるが──」

アレウス :
「親を手にかけたという事実は烙印のように付き纏う」

アレウス :
「良し悪しの二極だけで放つなら、悪きことだ。
 だが──先に言った通り、程度によるさ」

アレウス :
「クラウスは──……そうじゃなかった、だけのことさ」

アレウス :
「気に障ったか? 埋め合わせを考えてくれ、その分の負担は俺が負う」

"七花胡" :
「(玉虫色ですねえ。御機嫌取りまで抜かりないとは、甘いことだ)」

夏瑞珂 :
 烙印。笑みが薄れる。かつて聖夜、わたしは自由になった。
 あの衝動が、解放感が、何もかも上書いて──だから親殺しの事実がわたしを苛むことはなかった。一度も。

夏瑞珂 :
(……ちがう)

 誰も、わたしをそうは扱わなかった。返り血に濡れた体の意味をわかっていながら、抱きしめたひとのように。

夏瑞珂 :
(…… ……)

 毛布に埋まりきった頭をぶんぶんと振る。だいいち、これは青の女のはなしだ。わたしじゃない。

 それでも、彼は。子どものようにあやすのか。癇癪を起こしただけのわたしを。自分に非があるかのように。

夏瑞珂 :
「いらない」

夏瑞珂 :
「なにもほしくない」

 ほしいものは、自分で奪る。それが出来る、おのが手で。

アレウス :
「そうか」

アレウス :
「それならそれでいい。
 単なる対価の交換だ……望まぬなら与えんよ」

ラーゼス :
   ・・・
「……貴公がそうしておきたいというのなら、おれに言うべきことはない」
 静かに目を伏せ、アレウスに。

"七花胡" :
 その口振りが癪に障ったんだと思いますがねえ、などと親切なことは言ってやらない。首を竦めるだけだ。

"七花胡" :
「"血色の探求"の居場所は既に割れています。
 用済みになれば如何様にもできましょうが、それは“黄の希人”らと明確に槍を構える覚悟と算段がついてからが望ましい。
 そうですよね? “死滅天隕”」
 釘刺しだ。勝手に殺して余計な敵を作り盤面を掻き回すな、という意味の。

アレウス :
「……」

アレウス :
「ほう、貴様、それをされるとよほど困るらしいな?」

夏瑞珂 :
ぱっと顔を覗かせる。

夏瑞珂 :
ニマー

"七花胡" :
下世話な関心はお里が知れますよ

夏瑞珂 :
合衆国です!

"七花胡" :
自己紹介どうも

アレウス :
「一つ勘違いをしているようだから言っておく」

アレウス :
 ストークス
「俺達はドブネズミ共といつだって事を構える準備は出来ている」

アレウス :
「無論それは、貴様達も変わらん。意味は分かるな?」

"七花胡" :
「もちろん。呉越同舟って言いますしね?」

アレウス :
「貴様がよほどイニシアチブを取りたいのはよく理解した。
 だが明け透けに糸を垂らされて食い付くなどと、嘗められては困るんでね」

アレウス :
「それが俺のスタンスだ。
 貴様にとっては用済みでなくとも、俺にとっては5年前からヤツは用済みだ。
 その点だけは覚えておいてもらおう」

アレウス :
「それでも貴様の都合に俺を合わせたいのであれば……くっくっ、相応の対価が必要になるんじゃあないのかね?」

"七花胡" :
「(これだから身内贔屓は大局を見ない……。
                      FH
  ……いや、大局など、端からどうでもよいのが彼らでしたね)」

"七花胡" :
「古巣に残した縁と筋に、御宅がどれだけ拘りたいかはよく分かりました。
 自分はただ────忠告がしたかったのですよ」

"七花胡" :
「“血色の探求”への攻撃は、“御手翳す開放者”と敵対を宣言するも同然でしょう。
 そうすれば“黄の希人”や、その傍にいたレネゲイドビーイングの目的も、知るどころではなくなってしまう」

"七花胡" :
 ・・・・
「置き土産がないとも限らない。
 彼らの頭を披かぬうちにかち割ることは、ひいては御宅のセルにとっての不都合さえ、招きかねないのでは?」

"七花胡" :
「それを披く役目、自分が遣りましょう。
 彼らの存在が名実ともに些細なものだと判断できた時こそ、貴方は後顧の憂いなく、その引き金を引けるのですよ」

アレウス :
「くっくっ……俺が、ドブネズミ共の目的などどうでもいいと言ったら、どうするつもりだったんだ?
 ま、気にならんわけでもない……ゼロでない以上、貴様のその物言いは正しいものであるさ」

アレウス :
 実際、どうでもいい。
 だが、その"どうでもいい"部分を釣り針に引っ掛け、上手く吊り上げさせれば、得たいものを得ることはできる。

「ま、実を言えば不確定要素は多い。
 鼠の王は曰く付きのようだからな」

アレウス :
「その化けの皮、剥いでみせろ」

アレウス :
「そのお膳立てを、我々が受けるメリットとして許容する。
 それで構わんな? ……ああ、いや」

アレウス :
「最終的に──"血色の探求"に、ケジメを付けさせられるのであれば俺からの強い要求はない。
 貴様のやりたいようにやるがいい、暫くは『乗って』やるさ」

“Mr・A” :
「ハ、ハ、ハ! オリーブを搾らず捨てるのは勿体ないと申しているワケだからね」

夏瑞珂 :
途中で興味をなくして歌をうたっている。

アレウス :
こいつ……。

“Mr・A” :
1d2 2でデュエット (1D2) > 1

“Mr・A” :
どうかな…”アセルス・デスミオス”…

“アセルス・デスミオス” :
おっさんに会議終了後死ねって言ってる?

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
「貴公らの理屈と心情は理解するが、いらぬ諍いを生む必要もないだろう」

ラーゼス :
「おれはいまのやり取りで、あの場でも話したように、アレウス。貴公がアーキルを『溝鼠』と毛嫌いする理由のほうが気にかかった。
 ここは落ち着いた場だと思うが、どうだ?」

夏瑞珂 :
「どう?」知らないくせに乗っかりにくる。歌うのはやめた。

アレウス :
「フン」

"七花胡" :
 返答は微笑みに替えた。

アレウス :
「俺は筋を通さぬ者が嫌いでな。
 自らが身を置いた場所に、通すべきものを通さず、ただ己と水が合わぬというだけで刃を返すヤツは、アンダーグラウンドの世界においても唾棄すべきものだ」

アレウス :
「その点で言えば、ヤツは"そう"だ。
 なにせヤツは俺の知る限り、UGNに身を置いていたのだからな」

アレウス :
「……ま、例のイスカリオテの馬鹿の一件で、多くのオーヴァードが鞍替えしたと聞くがね。
 それがキッカケだったのかどうかは分からん」

“アセルス・デスミオス” :
「UGNからの鞍替えね。
 上の混乱って下に届きやすいのよ~」

“アセルス・デスミオス” :
「ま、本人の余談みたいなツラで喋った通りと。そんなら“知る限り”の時期ってのは、」

SYSTEM :
 遠回しの「5年前」。

アレウス :
「そうだ」

アレウス :
「この地のUGNの旗を燃やした時──嘗て俺の上司だった男が、伝説を作った日だ」

“アセルス・デスミオス” :
「“鬼人伝説”ね。で…」

“アセルス・デスミオス” :
「本人曰く“殿の貧乏くじ引いて戦った縁”だそうだけど」

アレウス :
「そこまでの事情は、何とも言い難い。
 俺もそのころは、只の雑兵だった」

アレウス :
「だがはっきりと覚えている。
 何度か刃金と刃金を交えたりはした」

"七花胡" :
「望んで殿を務めるほど、秩序に尻尾振れる面には見えませんでしたしね。
 支部内での扱いもどうなっていたのやら」

"七花胡" :
「貴方の目からは、彼が殉ずるもののない『無節操』だと……
 そういう風に見えた、と」

アレウス :
「フン、"血色の探求"すら取り込むくらいの節操のなさが、そう見えた理由でもあるがね」

アレウス :
「ま、それで理由が自分の扱いに起因するものだったら……」

アレウス :
「少し、失望するがね」

アレウス :
「手前の器量の無さの証明になるからだ。
 それが分からん男でもない事は、憎らしいが保証は出来る」

“Mr・A” :
「大事を為さんとするものが小事に拘ってはならない!」 すごいわざとらしい声

“Mr・A” :
「ちなみにこちらは何も為さずにひき潰された競争相手の最期の台詞。
 ………あ、疑問いい?」

夏瑞珂 :
「どうぞー」

“Mr・A” :
「アリガトー」

アレウス :
もはや何も言わず首の動きで「続けろ」とした。

“Mr・A” :
「ボス、その感じなら”やり合った”ろ」

“Mr・A” :
「実務の話しようぜ。
 腕っぷしが変わってなかったか、いざ“殺る”なら何に着目するかだよ」

アレウス :
「着目点を言う前に、一つ、確実なことを言っておく」

アレウス :
「当時、ヤツは”遺産"の適合者ではなかった」

アレウス :
「そして"やり合った"のも事実だ。
 俺は確かに裏切り者を嫌うが、俺が真にアーキルという男に隙を見せたくない理由は、そこだ」

アレウス :
「奴は今、遺産と契約しているふうに見えるが……」

アレウス :
「それが果たして"本当の事"なのかどうか、ッてところだ」

“Mr・A” :
「フゥン………」

“Mr・A” :
「遺産の持ち主なのをああも隠してない男が?
 名前をアジテーションのように使っているかも? と、キミは過去から考えているワケだ」

アレウス :
「そういうことだ」

ラーゼス :
首を傾ける。

"七花胡" :
「……ふむ」

アレウス :
「"遺物怪盗"がいれば、すぐさま判別できたんだがな……ま、ヤツは呼んで来るような女じゃないからこの際はナシだ」

アレウス :
「二大勢力が幅を利かせているこのローマで、
 セルを一本独鈷でやっていくにはそれなりの"看板"が必要だ」

アレウス :
「その為にウソをついている可能性がある。
 奴らは、最終的には"雷霆"を冠する遺産を狙っているのも気になるところだ」

ラーゼス :
「そのようだ。優先されるのはまず遺産であるふうに話していた」

夏瑞珂 :
「ンー」

夏瑞珂 :
「あの……何だったかしら。気持ちの悪いひとの言う『女神』と会ったわ」

アレウス :
「初戦の時に居た、アイツか」

夏瑞珂 :
「そう? そうかも。遺産がほしいと黄色の人は言っていたけれど、彼女の口からはまだ聞いていない」

夏瑞珂 :
「ローマの守り神。彼女が傍にいて、力を貸しているなら。彼が何を目指しているにせよ、住人を脅かすものではないのかもね?」

夏瑞珂 :
しらないけど。

SYSTEM :
 あなたの知る限り………。
 彼女は確かにローマの内側にあるものを慈しめる生き物だ。
 帰る大地と根付き、そこにある善悪を問わず(好悪あれど)。

“Mr・A” :
「自分のカードの中でいちばん重要なものでは、あるだろうネエ。
 その彼女が言わなかったから、遺産を欲しがるのが総意か個人か定かじゃないと。フーン…」

“Mr・A” :
「アーそうだな、蒸し返すようで悪いんだが」

“Mr・A” :
 ・・・・・・・・・
「5年前と今の戦い方は変わっていないのかい?
 ひとつよりふたつ、が本当なら、案外割を食わせても妥協させられるだろうからね」

 逆に言えば“そう”じゃないなら、ワリと必要条件としているか、あるいは本当に扇動のタネだ、と彼は言う。

SYSTEM :
 あなたの記憶の限り、アーキルは”弓”を自分のレネゲイドの起点としている。
 超遠距離からの狙撃をこなし、それだけではない変幻自在を得意としていた。

 一切変化はない。しかしだ、その上で………。

アレウス :
「そうだな──」

アレウス :
「恐らく、変わってはいない」

アレウス :
「だが、感覚を強化するわけでもなく、魔眼を擁するわけでもない。
 大気を操るでもなし──確かな事は、ヤツは純血種だ」

アレウス :
「それも……カテゴリーは、"ソラリス"でな」

ラーゼス :
「幻惑使いだな?」
 記憶と照らし合わせるようにあごをさする。

"七花胡" :
「では見た目などあてにはならないでしょうね、ほぼ」

アレウス :
「ああ、その認識で構わん」
 両者の言に、同時に返答をする。

"七花胡" :
「変わっていないことそのものが、欺瞞である可能性が捨てられない……。
 ややこしいですねえ」自分のシンドロームのことは棚上げ。

アレウス :
「あの威力を出すのは、正直言って信じられん。
 例え遺産を持っていようと、ヤツの戦い方は非常にピーキーだ」

アレウス :
「無難という言葉とは程遠い」

"七花胡" :
「それで平気で前線に出てくるあたり、随伴の者をよほど信用しているのでしょうね」
 もちろんカルロ・フェレーリのことを念頭に置く限り皮肉である。

アレウス :
「あるいはそれだけ台所の事情が寒いかだ」

“Mr・A” :
「口八丁は上手そうだよ」

アレウス :
「貴様とはいい勝負だ」

“Mr・A” :
「ハ、ハ、ハ! 褒められちゃったネ」

アレウス :
「貴様と"葬魔灯”の組み合わせは、戦々恐々するよ」

アレウス :
「……仮にだ」

アレウス :
「アーキルの遺産契約がホラだったとして、
 その理由は本人よりも……その"女神"とやらにあるのかもしれんな。
 強い看板を掲げるのは、確かに弱者を護る事にも繋がる」

ラーゼス :
「……ああ」

ラーゼス :
「それならわかる。欺瞞であっても、あとで真になれば帳尻が合う」

"七花胡" :
「……“青の貴人”ほど、本人にローマを『庭』とする気概は見えませんでしたが。
 ローマの女神とやらに気に入られているという事実を、なおざりにはできませんね」

ラーゼス :
「ああ。アレウスの懸念が真実だったのなら……」

ラーゼス :
「アーキルには、このローマと言う地でなんらかの『なしたいこと』があり。
 そして、わざわざ力を持っているという誇示をしてまで、この街で、覇を唱える必要があったということだ」

ラーゼス :
「この街で、欲望をかなえるための理屈がそらごとでないかを試みたい。彼は確かにそう言っていた。ありえないとは言えぬと思う」

夏瑞珂 :
もそもそとうごめくいもむし。かなしそうに顔を覗きこんできた少女の顔を一度だけ思い出して「更地になったら困るそうだものね?」とちょっかい。

"七花胡" :
「秩序の衣を脱ぎ捨て、土地に紐づく女神を侍らせてまで成したいこと、ですか」

"七花胡" :
「最終的に、彼が何を立てて何を転ばすつもりなのかは、依然推測しきれませんが……」

"七花胡" :
「大団円という形には程遠いのでしょうね。
 必ず誰かが割を食う。力が必要とは、そういうことでしょう」

"七花胡" :
 “黄の希人”の手に遺産を誘導する選択肢は、彼がUGNに『居られなかった』時点で、「無い」ような気がした。
 裏付けはまだだけれど。

アレウス :
「……クク」

アレウス :
「貴様の言葉通りになったなァ、"七花胡"よ」

"七花胡" :
 穏やかな笑みで対する。サングラスの偏光が視線を隠した。

SYSTEM :
 大団円という形には程遠いも何も、それを目論む立場に誰もいないのだから当たり前だ。

 強さを求めたものに、弱さへ忖度する理由はない。
 “アーキル”の為したいコトについても、彼はその野望を語り明かすことはなかったが、あるいは………。

SYSTEM :
 戦争は続く。

 あなたたちがするべきことは、割を食う立場を選び、また自らが逃れることだ。
 何故なら誰ぞに言わせれば、FHの旗の下にいる人間は、最初からそれを承知で生きている───。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

夏瑞珂 :
ないわ!

アレウス :
右に同じく、だ。

"七花胡" :
ありません。

ラーゼス :
同じくない。あと1枠だ、慎重に考えよう

GM :
畏まりました…

SYSTEM :

 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・ミドルフェイズ(ラウンド2)

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

 覚醒:渇望
 何も手に握っていなかった男が、ローマに『暴力主義』を築いた所以。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 前回クリンナップで「????&????」が持つ『組織崩壊』の効果の一部が発動しました。
(本来の効果は現在発動していません)

・所有しているユニットが協力関係にある勢力は、クリンナップ時に勢力値を[5]回復する 

SYSTEM :
【Check!】
 セットアッププロセスに移行します。
 情報判定/調達判定が可能です。 

夏瑞珂 :
狼のおなかの中を調べるわ。“雷神の槌”ね

夏瑞珂 :
〈コネ:情報屋〉を使ってもいい?

“Mr・A” :
ヒトを知りたければハラを裂く!
…だったかな?

GM :
もちろん、問題ありません。

夏瑞珂 :
ぱか~っ

GM :
それでは、判定をどうぞ! 

夏瑞珂 :
5dx (5DX10) > 9[3,4,5,8,9] > 9

夏瑞珂 :
しょんぼり

SYSTEM :
【Check!】
 判定に失敗しました。 

“Mr・A” :
伝手が忙しかったかもしれんねえ…

“Mr・A” :
マア気を落とさずにやって行こう

ラーゼス :
ではおれだ。コネ:要人への貸しを使用し、“雷神の鎚”を調べよう

GM :
勢いよくカードを切りましたね。いいでしょう。

GM :
では、判定をどうぞ…

ラーゼス :
“アセルス・デスミオス”にもまた助力を乞いたい。かまわないか?

“アセルス・デスミオス” :
おっさん何か“タイムカード切っておけよ”みたいな呪いの言葉を聞いた音がするんだけど 気のせい???

"七花胡" :
タイムカードは着替え終わってから切ってくださいね。

“アセルス・デスミオス” :
わざわざ肯定しに来るのもうトドメ宣言っすよね??? 

"七花胡" :
まあそんなこというの貴方だけですけど

“アセルス・デスミオス” :
あぁ(命の)保障もねェ! (敵に)弱いの(い)ねェ!
手駒もそれほど雑に使えねェ!

“アセルス・デスミオス” :
おらこんな仕事さ嫌だ~おらこんな仕事さ嫌だ~

“アセルス・デスミオス” :
はい。

"七花胡" :
はい。

"七花胡" :
きりきり働くように。

ラーゼス :
いつもありがとう 頼りにしている

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。 

・エンブレム:前科者(Round/1)
 PCを1名指名して発動。
 そのラウンド中(発生シーンを除く)に行う判定のダイスを[+2dx]する。 

“アセルス・デスミオス” :
お任せ下さい この程度の苦労は紳士の嗜み
たとえ火の中水の中…

ラーゼス :
では森の中に来てもらうとしよう

“アセルス・デスミオス” :
(オヤッ斜め上の回答)

夏瑞珂 :
ボボボ(炎の音)

“アセルス・デスミオス” :
あっまずい おっさんの実演準備が整ってる
御嬢さァん助けてェ!

ラーゼス :
(カンペを読む)

ラーゼス :
土の中はよいが、スカートの中に入ってはいけない

"七花胡" :
 

GM :
(謎の悲鳴)

GM :
判定をどうぞ。

ラーゼス :
(1+2+3)dx+1 (6DX10+1) > 10[2,5,5,8,9,10]+5[5]+1 > 16

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています... 

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントはありませんでした。
 シーン展開を希望しますか? 

ラーゼス :
希望する。よろしく頼む

夏瑞珂 :
失敗しちゃった ついてっていい?

ラーゼス :
よい。供回りを頼む

夏瑞珂 :
くるり~ん

SYSTEM :
【Check!】
 シーン展開の希望を確認しました。
 メインプロセスの判定確認後、シーンを展開します。

“アセルス・デスミオス” :
すっかり馴染んじゃってまぁ 頑張ってねん…

“アセルス・デスミオス” :
(あれ? おっさん1/2で供回りじゃね?)

GM :
では次の方…どうぞ…

アレウス :
"ヘカトンケイル"を調べる。<情報:FH>だ。

アレウス :
前回と同じ、《コーリングシステム》でスカイキッドに搭乗……ハイペリオンの効果を使用したい。

GM :
ほうほう。前回同様です、問題ありませんよ。

GM :
それでは判定を…どうぞ…

“Mr・A” :
判定前の最後のチェックだ!
ほかに何か落としておくものはないかい?

アレウス :
おっと……ではコネ:FH幹部を使用するか。

“Mr・A” :
OK! ヒトの縁は良しも悪しも数が力さ

GM :
では、改めてどうぞ。

アレウス :
(1+3+2)dx+4 <社会・情報:FH> (6DX10+4) > 5[1,2,3,4,5,5]+4 > 9

SYSTEM :
【Check!】
 判定に失敗しました。 

アレウス :
鼻が鈍ったか……

“Mr・A” :
フム…ガードが堅かったかもしれないね
まァ本番前の厄除けだ

GM :
それではセットアップ最後(おそらく)の方です

"七花胡" :
では、自分は邸下…… ヨシュア・ランカスターを調べたく。

GM :
畏まりました。…何か使用しておきたいものはございますか?

"七花胡" :
二つ。まずはミーミルの覚書を《コネ:UGN幹部》として置換、使用します。

"七花胡" :
それから念のため、レインボウファイアルを。

GM :
大きく使いましたな。いいでしょう。

GM :
それでは判定をどうぞ! 

"七花胡" :
6dx+2 情報:UGN (6DX10+2) > 10[1,1,5,6,7,10]+7[7]+2 > 19

"七花胡" :
……レインボウファイアルは不要でしたねえ

“アセルス・デスミオス” :
オミゴトだ 伏魔殿もこの通りか

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功したため、
 自動で関連情報がすべて開示されます。 

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています... 

SYSTEM :
【Check!】
 イベント発生を確認しました。
 メインプロセスの判定確認後、シーンを展開します。

SYSTEM :
【Check!】
 セットアッププロセスの判定を全て確認しました。
 “ラッシュライフ”を使用しますか?
(※使用時のリスクは情報タブをご参照下さい)   

夏瑞珂 :
しますか?

"七花胡" :
貴女何目線ですか

夏瑞珂 :
choice[コールセンター,わたし,正解はCMのあと] (choice[コールセンター,わたし,正解はCMのあと]) > 正解はCMのあと

"七花胡" :
無為な引き伸ばしをするんじゃない

夏瑞珂 :
しませ~ん(CM明け)

記者? :
に、二度も登場をハブられるだって?
こんなことが本当にあるのか…

SYSTEM :
【Check!】
 セットアッププロセスの判定を全て確認しました。
 シーンの展開準備を行います…。

"七花胡" :
あ それとですね 駄馬

“アセルス・デスミオス” :
ウッス

"七花胡" :
クリンナップ中の、”リグ・ヒンサー”の偵察を。

“アセルス・デスミオス” :
ホイホイ了解。あっちは仮宿、偵察もそこまで手間じゃあないね。

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。 

・壁に耳あり(Round/1)
 指定した自分以外の勢力1つについて、
 クリンナップ中の動きを予測する。 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
【Check!】
『壁に耳あり』の発動結果を記載します。

 ※記載内容は情報タブをご覧ください。

“アセルス・デスミオス” :
 ………

“アセルス・デスミオス” :
 おっさんもそろそろこのタイプのクセがわかってきたかなあ~…。
 “貴人の庭”ほど杓子定規じゃないっぽいけど

"七花胡" :
叩かれれば殴り返す。それも徹底的に……といったところですかね。
まあ、模範的なFHでしょうか。

“アセルス・デスミオス” :
マフィア上がりなんだっけ? なら妥当だ

“アセルス・デスミオス” :
連中は無礼られたら終わり
「勝ち負け関係なくかみついてくる」と思わせるのが大前提なんだよ~ね

ラーゼス :
『面倒だと思わせれば重畳。脅威だと考えられれば尚良し』ということか

ラーゼス :
暴力で人を統べるのも楽ではないな

“アセルス・デスミオス” :
そゆコト、弱けりゃ寝首かかれるってワケでして

夏瑞珂 :
………

夏瑞珂 :
えいっ(首筋にチョップ)

“アセルス・デスミオス” :
おごっ!

“アセルス・デスミオス” :
さ…んまいめだからってこの扱い…ぐふっ

"七花胡" :
見事な死体蹴り

"七花胡" :
まあまあ 虐めるのはその程度にして差し上げてください 絞る分がなくなってしまいます

夏瑞珂 :
はぁい

アレウス :
可哀想に。

“アセルス・デスミオス” :
ぜってぇ~~~思われてねェ~~~

“アセルス・デスミオス” :
オリーブの実の一つとも思われてねェ~~~
情熱の炎はどこじゃ~~~

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。


・シーン11「et tu Brute-曰く、二度あることは」

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

 覚醒:命令
 奚くんぞ跳梁を寛恕せん。世に仇討つ者須らく平らげ、花は燦爛と咲き誇るべし。

SYSTEM :
【シーン:et tu Brute-曰く、二度あることは】

 登場PC:七花胡
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 このローマを描く盤面には、内側と外側があり。
 外側は、内側から易々と分かる場にはなかった。

 三つのセルと一つの不届きもの、一体の狼。
 その争いを是としない介入を、
 青天の霹靂とあなたは毒づいたわけだが…。

SYSTEM :
 思えば彼の思惑は、
 此処にたどり着いても定かでなかった。

 我関せずにしてはあまりにも”度を越した”ものがいて、
 また、ローマの内情はセルのみでは浮かんでこないブラックボックスを認めざるを得なかった。

SYSTEM :
 あなたが取った手は単純である。

 武力の投入を是としないだけであって、それ以外の支援はする。
 揺する材料かどうかはともかく、あちらに危機感を与えるだけの道具は手に入れた。

 現地から向かわせたほかの“遣い”から話を受け取ったヨシュア・ランカスターが耄碌していなければ、1日、2日としないうちに使いがくるだろう。

SYSTEM :
 彼方からやってくる人間が誰なのかはともかく、あなたが指定した場所/人の中を装える場所で、その到着を待っていた。

謝花纏 :
 遺産の奪取/あるいは破壊を任務として、余所の敵地とも呼べる場所に飛んでみれば、実際現れたのは御伽噺の魔物である。
 話が違うと食って掛かることさえ、相手が相手だ。そう容易くはない。
 相応の収穫を手土産に、支援を仰ぐという形でなければ、文句の一つも言えないのだ。

謝花纏 :
「(そうですね、そうでしたね。本部付けってこんな感じでした。
  複数の派閥の評議員が絡む件なんて、御機嫌伺いまでしないといけないのだから本当に……)」

謝花纏 :
 さっさと庭に帰って、いち支部長に戻りたい。
 一人になると特にそう思う。

 そういう物思いを、しかし誰に見られているかもわからないのだから、全部サングラスの下に隠して────寄越されるという”使い”を待つ。

SYSTEM :
 零しもしない億劫さは懐旧にも似ていた。
 余所の流儀が、自ら切り拓いた居場所の郷愁をなぞらせているようにも思える。

 寄越されるという使いは、少なからず、“あの”ヨシュア・ランカスターと縁を持つ人間だ。まさか往来堂々の話もするはずがない。
 …それでいて、UGNの顔が売れた人間が堂々と乗り込んでくるはずもない。
 たとえ今、その目が“黒鉄の狼”に向いているとて、遠足気分でストライクハウンドがここを訪れ情報提供など始めたのなら、あなたは『最初からそれをやれ』と憤っていい。

SYSTEM :
 つまりだ、やってくるのは多くても片手指の半分以下で数え終わる程度だろう。

 実際、その通りだった。

SYSTEM :
 かつ、かつ、と。靴音が響く。
 靴音はひとつ。

 ソラリスは時にまぼろしを生むというが、
 あなたの鼻孔をくすぐったものは断じてレネゲイドなどではない。

SYSTEM :
 現在では庭木や盆栽として好まれるというその花の甘く淡い香りは、郷愁が生んだもので。
 ならば”遣い”などとしてやってきた人間は、端的に言ってまさに青天の霹靂であったことだろう。

 そう、二度あることは三度あるのだ。
 既に二度ソレは起きていた。

 だからその者は…。
 あなたより一回り背丈の大きな、涼やかな面持ちの男は、出会いがしらこう言ったのである。

“天衝華山”謝雲竜 :


「ふむ」

“天衝華山”謝雲竜 :


「無事息災か?」

SYSTEM :
 まさか忘れていまい。
 彼は、そういう男である。
 
 平気で海を渡り、山を越え、空を征く。

SYSTEM :
 あえてそのヨシュア・ランカスターの盟友が平然と乗り込んできた所以は、語らずとも良いだろう。

謝花纏 :
「────────────────」

謝花纏 :
 いや、あの、ええと────ええ?

謝花纏 :
 ────鼻腔を揺らす薫香は、雲を渡り竜が如く枝を伸ばす梅の花。
 そこに何処かの海か陸か、人知れぬ深山幽谷の気配を纏って現れた、見上げるほどの痩身。
 神気めいてさえいる風貌には、不思議な威圧感と抱擁するような安心感が同居していた。

謝花纏 :
 ああ、クソ────込み上げたものは、第一に悲鳴じみた衝撃。
 飲み干した後に、間髪入れず胸を占めたそれは、まるで湧水のよう。
 大地の割れ目、生命の息吹くように噴き出す感情に名がついて、
 ここまでの考えとか全部、渡してしまいたくなる前に、

謝花纏 :
「あんた評議員のくせに、何をのこのことこんなとこまでやってきてるんですか! ご自分の肩書きちゃんと分かってます!?」

謝花纏 :
「ええご心配なくこちとら元気いっぱい息災ですよどこかの誰かさんの教えのおかげでね────」

謝花纏 :
    シェせんせい
「────────謝師……!」

“天衝華山”謝雲竜 :
「…御前が、腹の底より声を張り上げしは…。
 いつ振りだったものか」

SYSTEM :
 あなたとあろうものの不覚が幸いだったのは、ここを訪れていたのが彼だったことである。
 彼の薄らと煌めく眼が、街中のオーヴァードでないものの、レネゲイドたちの意を渦中から逸らしていた。
 
 しかし…むべなるかな、正論である。
 如何に行脚めいて世を巡る男とて、彼の置かれている籍たるやUGNアクシズの評議員。
 視察という名目で各地に現れては消える彼とて、名が知られていないはずなどはない。

SYSTEM :
 …それでいて涼やかな態度ではあるが、そこに無頓着というわけでもないのだろう。

“天衝華山”謝雲竜 :
「渦中の羅馬に飛び込む適任在らずと、吾がヨシュアから役を頂戴した。
 若人に“名”の隠しを恃んでいる」

“天衝華山”謝雲竜 :
「聊かに確めておきたいこともあった…。
 一つはいま済んだ。御前は…」

“天衝華山”謝雲竜 :
「幾ら刻経てども、吾をそう呼ぶな。
 名ですら呼ぶことを憚ったのが、如何せん、昨日のようだ」

謝花纏 :
「か……」

謝花纏 :
「……………………、」

謝花纏 :
  せんせい
「…………師……」

謝花纏 :
 閣下と、そう呼び直せなかった。
 俺が巣立った日から、貴方が何もかも変わっていなかったから。
 その時代めいた口振りも、涼やかさも……俺が「師」と呼ぶたびに、ほんのりと喜色を唇の端に乗せるところも。

謝花纏 :
 このひとの中では、
 獣同然の少年を拾った日も、
 少年が初めて「師」と呼んだ日も、
 その巣立ちを促した日も、
 どちらも等しく“昨日のよう”なのだろう。

謝花纏 :


 このひとにとって、俺は……

謝花纏 :
「……いえ。大変に取り乱して……失礼、しました。
 本当に……まさか、貴方がいらっしゃるとは思わなかったので……」

謝花纏 :
「……駄目だ。すみません、思ったより、混乱しています。
 師の、確かめたいこととは……それに、工作を頼んだ“若人”、って……」

“天衝華山”謝雲竜 :
「“ミリオンサンズ”」

SYSTEM :
 ちなみに若人と呼ぶにはぎりぎりのライン、かつその扱われ方をしてはならない人間である。
 事実を結論にしてから、その過程を、常日頃そこにあるものが、同じ声色で語りかけた…。

“天衝華山”謝雲竜 :
「あれはヨシュアほど清濁の”濁”を好かない。潔癖だ。
 羅馬の在り方を是とはしていない。それ一つで済むならば易いのだろう」

“天衝華山”謝雲竜 :
「………。御前は択べる術が幾つあったとて、そこに惑うほど薄弱でもない。
 いまので疑念は杞憂となり解れたとみて、もう一つに応えるが」

“天衝華山”謝雲竜 :
「虫の知らせに誘われた。ここを訪れたのは、国の名前すら異なる頃だ。
 御前を送り出した身でもある、その働き振りを久方に覗こうと思ったのだが」

“天衝華山”謝雲竜 :
「ふむ」

SYSTEM :
 彼はひとりであなたの装いに何かしらの納得をしているようだったが、
 おそらく“任を請け負った序でにあなたの様子を見に来た”が正しく、また“虫の知らせ”が切欠だったことも正しい。

謝花纏 :
「……改革派の御仁ではありませんか」

謝花纏 :
 ……その名前で、ようやく頭が回り始める。

 "ミリオンサンズ"────改革派は改革派でも、師と折り合いの悪い"応龍"が後ろ盾と噂の急先鋒だ。
 それをそのへんのエージェントと同じ感覚で顎で使うなんて、いち地方エージェントの身分からは、なかなか軽く想像を超えている。
 ローマの惨状を憂いたからといって、あの御仁がそう容易く使われることを良しとするだろうか。

謝花纏 :
 ……"応龍"。
 そして、師。
 どうにもこの名前が並ぶと、数年前の"八仙過海"解体作戦の時のことを思い出してしまう。

謝花纏 :
 ……一人の女の顔が過る。

謝花纏 :
 いや────今はやめよう。このひとを前に余所事ができるなんて、自分に対する過大評価だ。

謝花纏 :
「……そんなに俺のことが心配でした?」

謝花纏 :
 気分はやたら目立つ保護者に教室まで来られた参観日のこどもだ。複雑さが抜けない。
 全身に一瞥が配られる。この服は、このひとのもとで弟子をしていた頃に着ていた服をリメイクしたものだから、ところどころの意匠には、むしろ見覚えがあろう。
 きっとそういう意味に違いなかった。

“天衝華山”謝雲竜 :
「“濁りが棲みやすかろうと、染まることはない”…」

“天衝華山”謝雲竜 :
「御前の故だ。吾が聞いた。
 その衣に昨日を思い出せども、案じられるほど無用心ではないだろう、マツリ」

SYSTEM :
     ・・
 もちろんそれがあなただけの特別として向けられるものでないことは、知っていよう。彼は博愛の人だ。

 巡る最中、遥か前の足跡に弟子あらば、同じように覚え、慈しむ流れの一員として触れただろう。
 概ね同じように、概ね一つ一つ。自他が持つ不変の柱を留めおく。

“天衝華山”謝雲竜 :
「稀に、己で一番理解っている道理を意地で背けることも、そう言えば在りはしたが…。
 風の伝えがまことならば、御前が斯様に流転を望むことはないと信じているよ」

SYSTEM :
 つまりあなたの名前とどんな生き方をして世と向き合っているのかを忘れることはなく。彼が訪れたのは心配などではない。
 どちらかというと、だ。

“天衝華山”謝雲竜 :
「顔を見に来たのだ。思えば、日ノ本を訪れ損ねていた」

SYSTEM :
 …彼は“斯様な心配も不要だからと、つい”の部分を堂々と抜かしたが。
 つまり言葉に裏表はない。わりと「請け負う序に私事を果たすか」以上でも以下でも。

謝花纏 :
 どうせあの老翁が存命のうちには届きやしないだろう、と思っていた当てつけ紛いの言伝が、こんなに早く風に届くなど……。
 いや、俺が当てつけの伝言板のように使ったからこそ、邸下は彼をメッセンジャーとして呼びつけたのかもしれなかった。適任が居ないというのもまた事実ではあろうが。

謝花纏 :
 ……託された信頼は、自分だけのものではない。
 本部の兄弟子、顔すら見たことのない他の兄弟弟子のことだって、彼は同じように信じているだろう。
 流転の中でさえ揺るがぬ柱/杖を得て、己が道を選び、巣立っていった弟子たちのことを。

謝花纏 :
「(……だから、きらいになってしまえればよかった。
  俺のことを連れていってくれないあんたなんか、と)」

謝花纏 :
 不老の命を得たその時に、あんたの手を掴んでいたら……
 そういう夢想が芽吹く前に、胸元に大切に仕舞いこんでいるものを思い出す。

謝花纏 :
 支部長になった時、庭なんて御大層なものはなかった。
 玄関脇に、小さなプランターが一つ二つ。
 彼の地のよすがとして此処まで持ってきたものは、プランターで最初に育てた花の種だった。

謝花纏 :
「……邸下に預けた伝言、最後まで聞いたんでしょう?
 ならこんなところじゃなくて、ちゃんと日本に来てくださいよ」

謝花纏 :
「どうせ顔見に来るんなら、ローマでイヤイヤ仕事してる時の俺じゃなくて、日本でちゃんと支部長やってる時の自分を見に来てください。
 ああでも、珊瑚さんたちに変なこと話されるのは困るな……来るときはちゃんと連絡くださいよ」

謝花纏 :
「評議員の視察なんて普通の支部はてんやわんやなんですからね。
 一報さえくれれば、茶くらいは出しますよ」

“天衝華山”謝雲竜 :
「心得た。明日の話をするには早いが、今日のみに目を向けるのも無味というもの。
 …御前の故を訪ねる時が、変わらず健やかであらんことを願う」

SYSTEM :
 要約すると“ではおまえの仕事が片付いたら会いに行く”だ。
 この時、あなたは己の言葉のある部分に関して後悔するやもしれないが、それはまた別の話である。

SYSTEM :
 彼があなたをまことの意味で、その周遊に連れ立つことはないだろう。
 そう望む以外の選択肢を手に取ったあなたには。

 平静を保つ/気取る高弟の軽口に逐一律義に応じたあと、男は起伏の緩やかな感情とともにこう告げた。

“天衝華山”謝雲竜 :
「如何に穏やかならざる気が渦巻いていようとも、此処を庭とする者の傍で話し込むほど無礼はない。
 少し場を変えるとする」

SYSTEM :
 彼はオルクスだ。同じ領域の使い手で、そのあたりの漏洩は“ない”と思っていい。

 良い、が。それは彼単体との話だ。
 ………場を変えるという発言が何を意味するか、あなたがわからないことはないだろう。つまり。

SYSTEM :
 使いというのは“そちら”の意味を含む。

 バロールの使い手がよくゲートを当て込んで、飛行機や車より早く海を越え雲を渡るアレだ。
 彼が持っているのはオルクスによる”近道”の形成だが、その射程、精度はそこらと比較にならない。

謝花纏 :
 師は優れた────ひときわ優れた領域制御術/自然物への因子干渉術の持ち主であるが、ここローマの大半を統べる者もまた、優れたオルクスの使い手だ。
 根底の性質に違いはあろうが、表出する現象は、優れた者同士の切迫であればあるほど差別化し難い。
 とどのつまり、同じ術の使い手同士だからこそ迂闊を避けるべし、ということだった。異論はない。

謝花纏 :
「は」
 首肯のち、その導きに従う。
 弟子であった頃も、数えるほどしか見せてはもらえなかった彼の”近道”だ。

“天衝華山”謝雲竜 :
「是し」

SYSTEM :
 在ることに、理由は要らない。

 そのようにして、刻の外側を生きてきた男の…。
 ごくごく自然な風をまとい、羅馬の気風を僅かとて妨げない流転の道行き。

SYSTEM :
 …もちろん近道である。
 旅は余分を邪険に扱うものでなく、また、あなたには当時その余分こそが、牙の研ぎ方以外を識るために必要だった。

 数えるほどしかなかったときは急ぎの用事だけである。それも”よほど”の。

SYSTEM :
 いまそれを使ったのは、単に、あなたと行くのが旅でないからだ。
 いまさら“ゆるりと”眺め行くほど、あなたの眼前に、あなたのための選択肢は必要なかった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 在るがままの無形の路。
 数分に満たない時間のあと、開通したのは、ベネツィア支部の(あらかじめくだんの若人から無茶振りをかまされて)フル稼働したセキュリティルーム。

 刻一刻と変化する状況をサーチし、それでいて通信の漏洩を避けるため、ブラックドッグのオーヴァードたちが文字通り粉骨砕身の労を払って作り上げた、イタリア方面最後の砦の”武器”である。

SYSTEM :
 難なら七花胡…もとい謝花自身が、いざローマに潜る前の情報提供先としてここを経由していた。
 そこに訪れたのは単純。
 ・・・
 一対一の会話ならば、ローマでも問題はないが…。
 いざ、直談判の先となれば別だ。筒抜けにされて一番困るのはあなたである。

SYSTEM :
 で、あれば…。
    タ ッ ピ ン グ & オ ン エ ア
 データ受送信による高度な遠隔会話の相手は当然、くだんの巌の如き男。
 他でもない“閣下”/雲竜の盟友であろうが。

“天衝華山”謝雲竜 :
「唯今戻った。
 友よ、英吉利の客人とは如何に?」

ヨシュア・ランカスター :
〈己の口から話して貰え。………〉

ヨシュア・ランカスター :
〈羅馬の現状の報告だったな。概要は耳にしている。
 そこから先を、改めて聞くとしよう、”楽園の看守”〉

ヨシュア・ランカスター :
〈貴公、それで構わぬな?〉

SYSTEM :
 評議員と議長同士の言葉の中には、もうひとりがいた。

 言葉が曰く客人だ。ならば彼女はUGNアクシズの人間ではなかった。
 ………何なら、ほんの一度きりだが覚えがあろう。世界とはかくも狭いものである。

SYSTEM :
 そして疑問符が微かに脳裏をよぎるか、あるいはある種の察しの良さを発揮するはずだ。
 彼女は記憶の限りでイリーガルだったが、その本職は断じて異なる。また、イリーガルとしての立場なら、流石にそこにいるのは“荷”が勝ちすぎる。

 ローマの盤面において、内側で蠢くものはFHとギルド、それからあなた/UGNだ。
 しかし………外側となると、そうでもない。

ヴェルーシュ=モルガーン :
〈よろしい〉

SYSTEM :
 通信の先にもう一人。

 日本で出会ったときはイリーガルだったが、その本来の席は英国における私有オーヴァード部隊のカヴァーとなる企業『ラウンズ』の統括者。

 席をわざわざローマの外で設けた理由は、UGNの重鎮と、“イタリアでない国”の関係者が、あなたの問への回答者となるからだ。

謝花纏 :
 えげつない。
 ベネツィア支部のセキュリティルームに雁首揃えた面々の印象は、まず第一にそれだった。

 UGN中枢評議会の評議長、評議員にして自分の師匠、それから英国の矛たる『ラウンズ』の女傑……。
 たった一言の失言で、自分如き木っ端の道行きなどどうとでもしてしまえるほどの、権力者の集会だ。
 仕事でなければ、こんな場所、一歩たりとも近付きたいとは思わない。

謝花纏 :
 ヴェルーシュ=モルガーン。根室木市では、“サツキさん”なんて呼ばれていた女性だ。
 いくらなんでもイギリス人がその名前は無いだろうと思ったものだが、あの感じ、“イリーガルのサツキさん”はある種趣味のようなものなのだろう。

 方や、今出力映像に映る方の彼女は公人だ。冷厳なる冬の女王。
 ラウンズの首魁として、このイタリアを取り巻く世情を知るに違いない人物だった。

謝花纏 :
 裏返せば。
 この権力者集会は、乱痴気騒ぎから始まったローマの台風が、今やこれだけの権力者たちの頭を悩ませるものとなっている、ということを示していた。

謝花纏 :
「邸下。師を遣わしてくださったこと、御前への目通り……重ねて感謝致しますが、任務遂行を優先し、仔細な挨拶は省かせて頂きたい。
 モルガーン氏にも、本来は御協力に厚く御礼申し上げるべきなのでしょうが、それはまたの機会に」

謝花纏 :
「御三方に、御報告申し上げます」

謝花纏 :
「北欧の悪竜が落胤────“黒鉄の狼”が、ローマに出現しました。
 狼は、出現以降、手あたり次第に捕食を続けています」

SYSTEM :
 両名の無言の首肯は、略式を是とする反応だ。
 この場において頭一つ抜けた貴人であるヨシュア・ランカスターは、これでもオーヴァードである。戦場が卓上になって久しくとも、その礼儀がわからぬわけでもない。

 後者はそもそもお忍びで、友を我儘で振り回す(振り回される、かもしれないが)時の彼女とは立場が違う。何なら世間話などする面子ではない、あなたの対応は限りなく正解だった。

SYSTEM :
 その、ヨシュア・ランカスターが、あなたの言葉を一通り聞いたのちに、瞑目する。

ヨシュア・ランカスター :
〈…出現した所以に大方の察しは付く…。
 あれは、戦いの気配を嗅ぎ付ける生き物だ〉

ヨシュア・ランカスター :
〈何を思ってのことかはともかく、これを“招こうとした”者についても………。
 ………だがその話をする前に、貴公〉

ヨシュア・ランカスター :
〈ローマになぜUGNが、未だ手を拱き、収拾をつけようとする気配がないのか…。
 何故、あの地に根付く者たちが一向に争いを収める兆しを持たぬのか…〉

ヨシュア・ランカスター :
〈………貴公、ローマに潜む者に心当たりはあるか?〉

SYSTEM :
 大方あなたの言葉から彼は9割9分の確証を持っているように思える。
 問答ではぐらかそうというのではない。回答が確かでないなら、この頑迷な老人は一方的に“任務”の更新を伝えて終わりにするはずだ。

謝花纏 :
「戦争商人。”ギルド”でございましょう」

謝花纏 :
「彼らは遺産をローマに運び込んだだけでは飽き足らず、“貴人の庭”と手を組みました。
 話によれば、"リグ・ヒンサー"と“御手翳す開放者”の双方にも同様の誘いを持ちかけていた様子」

SYSTEM :
 数刻の沈黙。視線を雲竜に向けるまでもない、大前提の確認。
 巌のようなその顔が、にこりとも笑わずに頷いた。

ヨシュア・ランカスター :
〈遺産を持ち込み、“黒鉄の狼”を招いたのはギルドだ。あの者にその事実は何ら関係しなかろうが〉

ヨシュア・ランカスター :
〈………だがそうなる前より、ローマには我々にとっても、我々と密接な国家にとっても、違う意味を持っている〉

ヨシュア・ランカスター :
〈………雲竜…異議はあるか〉

“天衝華山”謝雲竜 :
〈その旨を良しとする。
 英吉利の客人は、最初からそのつもりで赴かせたのだろう〉

SYSTEM :
 その客人も無言の首肯。
 おそらく此処からヨシュアがするだろう話に、自分が言葉をはさむ必要性を感じていないのだろう。この場の主導者は彼だ。

 現地を見て、予め(あなたは知らずとも)きわめて少ない適正ある人物として謝花の名を出し、それに理解を示した師の言葉を以て、ヨシュアが口を開いた。

ヨシュア・ランカスター :
〈オーヴァードに理解を持つ諸国の貴族階級、UGN…。
 コードウェル博士の死後、殊更に劣勢であり、そこを起点に欧州そのものの大勢が変わりかねぬ以上、ローマが持つ役割がある。それが…〉

ヨシュア・ランカスター :
〈防波堤だ。
 何時かの仮令を覚えておるな〉

SYSTEM :
【Check!】
 情報『“UGNの干渉”』『“欧州諸勢力の干渉”』を開示します。 

SYSTEM :
【情報:“UGNの干渉”】

 UGNは5年前のローマ支部崩壊に加え、ローマには『貴人の庭』の表向きの立場もあって、表立った干渉をすることが出来ていない。
 にも関わらず、ここ3年ほどはローマに戦力が集結する状況を警戒するでもなく、この場所にUGNエージェントを送り込むような一例も(見つかるような間抜けがいなかった、と言えばそれまでだが)存在しなかった。これはコードウェル博士の行動に伴い、人手不足の深刻化する前からである。

 無論、話が全く上がらなかったわけではない。
 UGN評議会においてもイタリア・ローマの根強い牙城(およびベネツィア支部以外におけるオーヴァード犯罪の深刻化)に対し、対策を打診した議員がいたが、
 それはヨシュア・ランカスターと李文龍の数少ない意見の合致により、『時期尚早』『こちらを立てている暇はない』とにべもなく捨てられている。

SYSTEM :
【情報:”欧州諸勢力の干渉”】

 オーヴァードを識り、尚且つ国際社会において、他国を「潜在的な敵」と捉える…。
 そんな狭量な者、または疑り深い者、または経験則に足を引かれる者にとっては、
 FH同士が一枚岩にならず、お互いの都合のために“危険因子同士で潰し合う”イタリアの現状はある種の奇貨であった。

 UGNに協力的なイギリス、暗部の潜む余地の多いドイツ、いずれでも例外ではない。
 隠れ蓑、または猶予のための防波堤としてイタリアを扱う国は少なくなく、
 そうした国のエージェントが、徒にFH戦線を硬直化させる動きも随所にみられている。

ヨシュア・ランカスター :
〈………その流れがある時、あちらの思惑か、失態か。天秤の傾きかねない出来事があった。

 変わらず一枚岩でないFHを続けさせるには、もう一石が必要だと、国家間の了解のもと、あそこには三つ目の勢力が生まれた…〉

ヨシュア・ランカスター :
〈わかるな、”楽園の看守”。
              ・・
 御手翳す開放者の成り立ちはそれだ〉

謝花纏 :
「……なるほど。黄色の存在は、狂言でしたか。
 無節操とすらいえるパトロンの豊富さは、各国による仕込みの表れだったのですね」

謝花纏 :
「しかし……彼らの掲げる目標は、普通のFHのそれとは一線を画しているように思えます。
 其処まで含めて、”仕込み”なのですか」

SYSTEM :
 普通のFHのそれとは一線を画している、それはその通りだ。

 彼らの目的は“穏当な着地点”など築いていない。騙しというには、男は野望を熱をもって語り、風の停滞を是しとしなかったことを、おそらくはラーゼスから聞いているだろう。

ヨシュア・ランカスター :
〈穏当な着地点で彼奴らは靡かぬ。
 ………そして曖昧な行く末でも〉

ヨシュア・ランカスター :
〈そして明確に律せず、かつ、多数を靡かせる欲望を備えたエージェントなど、そもそもUGNに長居は出来ぬ。
 そのやり方を識るものが必要だった…〉

SYSTEM :
 如何に秩序立ったやり方だろうとて、いまある今日を脅かすありかたを四六時中考えながら“今日”を守る集団に属するなど不可能だ。
 ましてやよほど心身を律して、よほど人を旗の下に導くような天性でもないなら、この話は机上の空論で終わっていただろう。

 UGNにいないのだから、選択としてはこうだ。

ヴェルーシュ=モルガーン :
〈その話はこちらから〉

ヴェルーシュ=モルガーン :
 トリスタン
〈“黄の希人”はこちらの管轄です。

 あれに思惑があったから、
 一任してそう動くように仕向け…。
 己の手で、己に都合の良いだろう野心を掲げさせました〉

ヴェルーシュ=モルガーン :
〈………もっともその報告の限り、よほど水が合ったと見える。
 御せる御せぬを問わず、他意ありと見做せば申しなさい。こちらから当たります〉

SYSTEM :
 言うなれば。

 UGNの協議と理解に染まらず、国の個人やグレーゾーンが拾ったオーヴァード。それが彼だった。

 ある程度の裁量権を持った”黄の希人”個人の思惑で組織は自然と広がり、自然と形を成し、自然と対抗馬を作り、そして三つ巴は泥沼を自然と生んだ。

SYSTEM :
 あとは“アーキル”を名乗っていた男も、その仕事を果たす傍ら、おのれの欲望を並行させ。

 あるいはかりそめやもしれぬ主にさえ秘匿した“野望”を以て出し抜く機会を伺っている。

 そういう関係なわけだ。

謝花纏 :
 彼らは、“黄の希人”に私心があることを込みで、ローマの道化師に任じたわけだ。
 “死滅天隕”が彼を蛇蝎の如く嫌うのは、ある意味必然だったといえる。

謝花纏 :
「彼と相対する際は、その”他意”が欧州に切っ先を向けるものであるかどうかも含めて、見極めねばならない、というわけですね」

 そしてその結果、“御手翳す開放者”を勢力として壊滅させる/直接“黄の希人”を殺害したとしても、この女傑はそれをやむなしと首肯するのだろう。
 グレーゾーンとは、法外な手段を択べる代わりに、法の庇護を受けられぬ場所だ。
 “黄の希人”当人とて、私心ある身で上司の庇護を受けられると思ってはいるまい。

謝花纏 :
「“黄の希人”が一体どの程度氏の部下を務めていたのかは分かりませんが……
 ことのついでに、彼の得物についてお聞きしても? 聊か不審な点がありまして」

ヴェルーシュ=モルガーン :
〈どのような…、とは問いません。
 ・・
 遺産の話ですね〉

謝花纏 :
「おや。話が早い」

謝花纏 :
「左様です。彼は遺産の獲得を目的に掲げている。
 その本人も遺産の使用者のようですが……」

謝花纏 :
「五年前、未だUGNに属していた彼と戦りあったFHに曰く、『その時はまだ遺産の適合者ではなかった』とのこと。
 このあたり、詳しい話をお聞かせ願えますか」

ヴェルーシュ=モルガーン :
〈………世の狭さをつくづく実感する、よほど聡い当事者がいたものだ。
 まあ、構いません〉

ヴェルーシュ=モルガーン :
 ソラリス
〈生体工場タイプのシンドローム、その行使のパターンに、幻惑能力があることは存じているはず…〉

SYSTEM :
 ・・
 そうと誤認させることで痛みを具現化し、攻撃手段とする…。
 あなたはそれをいま自らの手札としていないが、
 そのような使い方があること自体は知っているだろう。

SYSTEM :
 錯覚させるものを知り、解し、それを真に迫る程に偽る。
 そして何かを騙す時、幾分かの“真実”を混ぜることで、幻惑の鉾は現実をたやすく食い破る。
              ・・
 信じやすい土台があるなら、それにはうってつけだ。

SYSTEM :
 ………そしてその土台として…。
.トリスタン  フェイルノート
 与えた銘と、手にした遺産の名は…。

ヴェルーシュ=モルガーン :
〈名は力を持ちます。
 そう信じ込ませるための手段もね〉

ヴェルーシュ=モルガーン :
〈端的に…。
     ・・・・・・
 あれは『無駄なしの弓』という名前で、人を射っているに過ぎません〉

SYSTEM :
 彼にとってあまりに強力な『手段』であり。
 それで世の中さえ靡かせる/欺けるほど。
      ミスリーダー
 彼は優れた虚言使いなだけだ。

SYSTEM :
 …そう、彼女は言う。

 事実として遺産ほどに優れた“レネゲイドの基底”は早々ない。
 名前一つ持ち、それを極限まで真に迫るかたちで、場のレネゲイドすべてを欺く。

 その結果が、話に聞いた出鱈目な距離からの、本物そのものの狙撃だ。

謝花纏 :
「ホラ吹きも一芸に命を賭すれば真に迫る、と。
 やっていたのは、ソラリス使いであれば誰もが当たり前に弁えていることだったのですね」

謝花纏 :
 ソラリスにとって「見たいものを見せる」ことは、息をするよりも簡単なことだ。
 "トリスタン""フェイルノート"────これらの名前を聞いて、弓遣い以外を想像する方が難しい。先入観を、極限まで強化する形での幻惑効果だった。

謝花纏 :
「……駄目元でお聞きします。
 彼がローマに赴く時、"トリスタン"の名を捨てることもできたでしょう。
 むしろFHとして狂言をやる以上、別名を名乗る方が自然だ。弓遣いの印象を与えたかったのだとしても、何も騎士伝説にこだわる必要はない」

謝花纏 :
「貴女とのつながりを象徴するその名を、彼が捨てなかった理由に、御心当たりは?」

ヴェルーシュ=モルガーン :
〈名は力を持つ、と先程言いましたが〉

ヴェルーシュ=モルガーン :
 そのなまえ
〈円卓の所以に肖ろうとした者の数は知れません。“それ”を有難がるものがいるだけ。
 ましてや、任のために択ばせた名前です〉

SYSTEM :
 円卓の名、騎士の誇りに如何様な意味を見出すか。
 例えば日本に、そのように在り、そのように育ち、願われたものがいて、彼女はそれを特に嘲りはしない。理解はして、しかしたいして同調しない。

SYSTEM :
 名で動くものは所詮名で動くものだからだ。
                コードネーム
 与えたのは彼女だが、それは“使い勝手のいい道具”であり、
 ことこれほど有名なものだ、込める想いを異ならせて、あちらこちらで使われて当然というもの。

 端的に言えば、そこに他意はない。

 都合の良い名前を択ばせたら、何かの意図を以て“アーキル”は自分でそれを選び、それを武器にしただけ。
 彼女は騎士の主君をやる気はないし、その部下に騎士をする気はない。

ヴェルーシュ=モルガーン :
〈本人に聞く暇があらば聞きなさい。
 と言っても…其方の都合の扶けになる話ではないでしょう〉

謝花纏 :
 日本にも、“騎士王”の名を採る支部長と、“円卓”の名を持つ精鋭たちを擁する支部がある。
 その支部長は中でも、“パーシヴァル”の名を背負ったチルドレンのことを殊の外案じていた。

 他方。目の前のこの老翁にも、孫娘がいる。
 ロンドン支部の支部長、音に聞く才媛である彼女もまた、“パーシヴァル”の異名を持つ一人だ。

謝花纏 :
 騎士王のチルドレンとエレイン・ランカスターとでは、その名前に抱く思いは全く異なる。当然のことだ。
 同じ伝説に因む名であっても、それを選んだ/与えた者によって仮託された意味はさまざまで、元の伝説の真実性さえ最早重大ではない。

 “トリスタン”という名に付随する“偉大である”という事実を、女傑とその元部下は、最も分かりやすく、武器として採用した。
 その名に何を託したのかは、“黄の希人”その人にしか分からなかった。
 彼の欲望と同じく。

謝花纏 :
「なるほど。彼と杯を酌み交わすような時があれば、肴の一つにでもいたしましょう。
 まあ、そんな未来があるかどうかは、今後次第ですが……」

謝花纏 :
「その判断材料として、もう一つ……。
 彼は現在、“アイシャ”と名乗るレネゲイドビーイングを侍らせています。
 推測するにローマに由来するオリジンを保有しているようですが、ソレがアーキルに懐いている理由が紐づかない。
 彼、いかにもアラブ系でしょう」

謝花纏 :
「まあ、彼が肚の底に抱えてるものと関連あると考えるのが自然なのですが……可能性は潰しておきたい性分でしてね。
 付き合わせるようですが……彼、貴女の下に居た頃から、レネゲイドビーイングを連れていたわけではありませんよね?」

SYSTEM :
 微かな沈黙。
 表情の動きは、決してそれを意外に思うようなものではなかった。

ヴェルーシュ=モルガーン :
〈接触してきた当時から、現在に至るまで。
 確かに、あれがレネゲイドビーイングを連れ添っていた記憶はありません〉

ヴェルーシュ=モルガーン :
〈件のレネゲイドビーイングが如何なる性格なのかは存じ上げません。

 …しかし、意味のないことをするほど気紛れならそこに置きません。そして、渡した任務のためとは思いません〉

ヴェルーシュ=モルガーン :
〈自分と異なる地に生まれた、自分と異なる生き物だから意味があるのでしょう。

 これも含めて推察なので、聞き流してくれて構いませんが…〉

ヴェルーシュ=モルガーン :
〈やり方が穏当ならその“アイシャ”とやら…大方本当の名前のカバーでしょうが、それに付き合っているだけです。
 なりふり構って欲しいならそのように〉

謝花纏 :
「(『気に入ったから』というだけで脇に置くほど、単純ではないということですね。
  背後事情を鑑みるに、あまり人材をえり好みする余裕も無かったのでしょうが。
  だとしても、人選には彼なりの理由がある。"アイシャ"にせよ、カルロ・フェレーリにせよ)」

謝花纏 :
「ありがとうございます。
 彼がレネゲイドビーイングを傍に置いているのには相応の深い理由があると、納得できただけで結構です」ニコ

SYSTEM :
 前言を再度述べる必要もないとばかりに、彼女は“にこり”ともせずに遠回しな首肯の言葉を返した。

SYSTEM :
 つまり“その理由”で情けをかける必要は特にない、だ。
 部下としての使い方が誰しもそうなのか、このアーキルという男に限ってこのような“自己責任”なのかは図りかねるし、追及の必要は薄いだろう。

ヴェルーシュ=モルガーン :
〈…可能性を煩わしく思うなら、対処は二つ。容易いものと、容易くないものです。
          あなた方
 どちらだろうと、UGNアクシズと“楽園の看守”の判断が、こちらに益のあるものであることを期待します〉

SYSTEM :
 つまり、動かれたくないなら先に首根っこを掴んだあとであちらにこの任務の実行者として催促をかけるか、“なりふり構わなくなる前”に息の根を止めろ、だ。

 こちら、というのも企業の話ではない。
 彼女が属する大枠…つまりは大英帝国の諸氏に関する話である。

SYSTEM :
 ローマの争いが小康状態で続き、一枚岩でない状況を彼女“も”望んでいるのかどうかまでは定かでない。
 そもそも要件が済んだと見るや、すぐさま彼女の通信は切れていた。

 しかしそれは、彼女が己の抱えている案件からくる多忙さのみをイコールとしない。

ヨシュア・ランカスター :
〈ローマを…誰にも舵を取らせぬ火薬庫とせざるを得ない理由は二つある〉
 

ヨシュア・ランカスター :
〈一つはいま語った理由だ。
 欧州諸国にとっても、その火種が燃え広がることも、また火種が纏まることも望まれてはおらぬ。
    ・・・
 だから今まではそうだった。静観と干渉だ〉

ヨシュア・ランカスター :
〈…もう一つある〉

SYSTEM :
 この“もう一つ”をUGNの管轄内に収めたい。それも、可能な限り狭い範囲で。
 UGN評議会議長の声色からは、そんな感情がかすかに読み取れた。

謝花纏 :
「(……用件が終わったと見るや挨拶もなしか。根室木市でお会いしたときは、それなりに付き合うつもりに見えましたが。
  プライベートだったからですかね。それとも珊瑚さんの父君がいらっしゃったからか)」まあなんでもいいが。

謝花纏 :
「ほかに、邸下の御手の届く範囲を逸脱されたくない、特別な御理由が?」

ヨシュア・ランカスター :
〈貴公も、先の令嬢も存じていることだが…。
 そこにギルドの看板を借りたものが根付いた…根付いていたことだ〉

SYSTEM :
 そう。
 何も争うだけならば、三つのセルが均衡を保っている“延命措置”だけで問題はない。
 あなたを送って波紋を広げる/終止符を打ちに行く理由がないのだ。

ヨシュア・ランカスター :
〈連中はより早く…過去ブリテン諸島を“厄災”が襲撃した以降から、
 ローマを含め、いくつかの国家の暗部に潜み活動を開始してきた〉

ヨシュア・ランカスター :
〈判明している案件のいくつかは、貴公の権限では明かせぬものもある…。
 だが、日本での活動例もある。然るカバー会社を使用した事件がそれだ〉

SYSTEM :
 根付く場所はUGNの目の届かないところなら幾らでも、場合によっては目を掻い潜る。
 個人主義の情報網をギルドとするならば、正確に言えば、ギルドの看板を借りた大きなうねりがあるとでも言うべきか。

SYSTEM :
 国家を欺き、内部に忍び込もうというのに、
 ・・・
 たかが一組織で何が出来ようものか。
 しかし………。

ヨシュア・ランカスター :
〈…若い組織は、慣習か個人の力に頼ることが多い。
 ギルドは後者だが、そこに無法者ほど付け入る隙がある〉

ヨシュア・ランカスター :
〈連中の行動範囲は盤上の外にもたやすく火を広げる…。
 ここまで露骨な行動に出たのがいい証拠だ〉

ヨシュア・ランカスター :
〈欧州方面の管轄の名は“ワイズマン”。
 ………名と背格好のみは判明している〉

ヨシュア・ランカスター :
〈貴公に預けた部下は…遺産争奪の手引きをギルドと結論付けた。
 ここと結びついたFHセルは、可能な手段があれば殲滅しろ。そして………〉

SYSTEM :
 老人のまなざしが、モニター越しにあなたを見据えた。
 いや、厳密には、あなたの近くにいた“天衝華山”だ。

SYSTEM :
 ………。ギルドは少なくとも三種類のセルに協力を持ち掛けた。
 しかも、誰かが言うには”話の旨すぎる”類だ。

 捨て置いたところで、たかが一組織ならば問題はない。

SYSTEM :
 …彼の言い方は、そこに。
 情報の範囲を可能な限り狭めた所以があるように思えた。

SYSTEM :
【Check!】
 情報『ギルドの干渉』を開示します。 

SYSTEM :
【情報:“ギルドの干渉”】

 イタリアのFHはギャングや財政界との結びつきが強く一枚岩ではないのだが、
 その隙間を縫うように、細部の悉くに“ギルド”が忍び込み、癒着している。

 欧州方面で活動している主流なギルドの中心人物は「ワイズマン」を名乗る正体不明の男であり、
 過去ギルドのカバー会社「ネスツ・エンタープライズ」の代表取締役を務めていた他、日本某市で活動していた、とあるFHセルと暗部で取引の関係にあった。
 ギルドが遺産を手引きした可能性が高い現状、この人物が遺産を持ち込んだと目されているが、”スモーカー”とはその件の縄張りで折り合いが極めて悪い。

SYSTEM :
 遺産『雷神の槌』を運び込んだのもギルドであり、
 それ自体は紛れもなく三つのセルの何処かの思惑によるものだが、
 そもそもこの話を持ち掛け、また各セルに協力を申し出たのは全てギルドが最初である。
(※少なくとも、この件に関しては)

 しかしギルドひとつでUGNとFHを出し抜くには、何か強力な“後ろ盾”が必要だろうと考えられる。

謝花纏 :
「戦争商人の溝鼠共を、更に隠れ蓑にした連中がいたとは……」

謝花纏 :
「争いを煽って金を稼ぎたい振りをして、その争いを利用し、自分たちの都合の良い方向に捻じ曲げたい輩……。
 まるで寄生虫ですね。それらの駆除が本命でしたか」
 寄越された背格好の画像に目を眇める。男か女かも定かではない。

謝花纏 :
 寄生虫とあれば、それに感染した連中をも可能な限り撃滅せよという命令にも納得がいく。
 そういう仕事だから、自分をアサインしたのだと……

謝花纏 :
 老翁が師に寄越した視線の意図は、読めなかった。
 ……この期に及んで未だ隠している、いや、隠さざるを得ない事情があるらしい。

“天衝華山”謝雲竜 :
「………」

SYSTEM :
 その、隠さざるを得ない事情を示すように。視線を向けられた“天衝華山”が、視線を返した。

 良いか、と確認するように。沈黙を肯定と見做した彼は、通信越しではない、オーヴァードのみに伝わる音の波長で、あなたに語り掛ける。

“天衝華山”謝雲竜 :
 ・・
『それは吾から話し、応じよう。
 ギルドの話はヨシュアがする』

“天衝華山”謝雲竜 :
『荘園で招いた客にも、通信記録にさえも、残したくない…。
 そういう他言無用なのだ。上手くあつかってやってほしい』

謝花纏 :
「…………!」
 頭の中に響く師の静かな聲に、小さく息を呑む。

謝花纏 :
『……は。承知いたしました、師。
 なんなりと』

“天衝華山”謝雲竜 :
『ン…手間をかける』

“天衝華山”謝雲竜 :
『あれが契約の要項に…。
 御前に対して正面からモノを言わなかった理由は、なにも確信に至っていなかった”だけ”でない。

 その、ギルドの後ろ盾と目されているもの…。
 ワイズマンを送り出した間接的原因の方だ』

“天衝華山”謝雲竜 :

『そのギルドの後ろ盾は………。
 ・・・・・・・・・・
 ランカスターグループの分家筋、その勘当息子たちだ』

SYSTEM :
【Check!】
 情報『ヨシュア・ランカスター』を開示します。 

SYSTEM :
【人物:ヨシュア・ランカスター】
 ブリード:クロス
 シンドローム:バロール/ノイマン
 ワークス/カヴァー:UGNエージェント/中枢評議会議長
 侵蝕率:35% 性別:男性 年齢:62

 UGN中枢評議会の議長にして、超多国籍企業ランカスター・グループの総帥。
 その血統は古く、中世イングランドを支配したプランタジネット朝の王家にまで遡る機種。

SYSTEM :
 最愛の長男ジョナサンを失った彼は故国イングランドの荘園にこもることが多くなったが、これは感情的な部分が半分、もう半分はジョナサンの死の真相について疑惑を追うがためのカモフラージュである。

 10年前の『厄災』にて死亡したとされる分家筋のUGNエージェントにして『息子』の一人とも言える者、“オベイロン”リチャード・ランカスターの痕跡を、その原因の可能性として追っていたところ、彼の現在活動中の『弟』がギルドと関係を持っていることが判明。

SYSTEM :
 その疑惑と痕跡の残る地の一つであるイタリアにおいて、遺産にまつわる不自然な出来事──ギルドの手引きによる遺産納入を察知。
 イタリアの『貴人の庭』が一般的FHとはかけ離れた思考パターンであるため、防波堤としても被害が出るものではないと見込み捨て置いていたのが“これまで”であり、同時にそれは『彼と関係を持つギルドの重鎮≒ワイズマンが尻尾を出しやすくする』ための行いであり、あらゆる意図が多重に絡み合った結果であった。

 ローマ方面のギルドの動きがにわかに活発化したこと、そして彼らが招き寄せたものの中に“黒鉄の狼”がいたことから、今回の派遣に至ったようだ。

“天衝華山”謝雲竜 :
『若人は“破落戸達の機嫌に均衡を委ねる”という状況も、この死んだと思わしき親不孝者の存在も好ましく思っていない。

 ………さらに付け加えておくが、“黒鉄の狼”と連中は無関係だ』

“天衝華山”謝雲竜 :
『あれは永く生きたぶん欲望を発達“させすぎた”生き物が、気まぐれと戯れで生んだ結果に過ぎない。
 
 だが、その脅威を知らぬはずのない人間が、手引きした“ワイズマン”に、態と目に留まるような争いを起こさせるはずはない…』

SYSTEM :
 “オベイロン”の死は、それ───曰く『厄災』に対抗した能力の過剰行使である。彼が生きていれば当然、彼が死んでいても、オーヴァード社会に溶け込んだ『弟』がそれを知らぬはずはない。

 以て、ヨシュア・ランカスターが機密で事を進めたい本当の理由は、その“ワイズマン”が尻尾を出すことを期待したがためだ。

謝花纏 :
 師が語ったことは、要するに、老翁の公人としての都合と私人としての思惑、双方に合致するのが自分だった────という、アサインの真相だった。
 分家とはいえ王族の血統たる貴種が、ギルドなんぞ小汚い溝鼠の後ろ盾についている。
 それだけでも大スキャンダルなところに、ジョナサン=ランカスターの死が絡んでいるのだ。この老翁が、長男の死に執着していることは公然の事実である。
 そのへんの本部エージェントなど、誰の息が掛かっているやもわからぬものは使えない。

謝花纏 :
 本部からもランカスターからも思惑遠く、なおかつFHが跋扈する土地に何食わぬ顔で乗りこめて、最も重要なのは、溝鼠やその周りごと寄生虫を正確に叩けること……。
 ……このアサインを有難がれるのは、よほどの野心の持ち主か能天気くらいだろう。
 つくづく貧乏籤だ。自分の庭をせっせと手入れするだけで満ち足りていたのに、
 都合がいいというだけの理由でこんな荒れ放題の野原に放り出されたのだから。

謝花纏 :
『“黒鉄の狼”の乱入は、あくまでも偶然の産物────いえ、ローマの内側の思惑だったのですね。
 まあ、それで今えらい目を見ていますが……頭の痛いことです。とても』
 念話だから、おそらく貧乏籤を渋がっている気配は師にも伝わっていることだろう。
 取り立てて隠しもしないが、彼に宛て付けたところで意味はない。脇に置く。

謝花纏 :
『……そのリチャード・ランカスターの弟とやらの名前は、自分が伺ってもよい内容ですか、師』

“天衝華山”謝雲竜 :
『…御前の厭気がこれ以上強まるか、聊かに慮ねる余地はあるが』

“天衝華山”謝雲竜 :
『いや、吾の言う筋合いはないな。
 ───ジョンだ。ジョン・ランカスター』

“天衝華山”謝雲竜 :
『兄と違いオーヴァードではない、世俗の中で生きてきた人間だと耳にした…が、
 それは十年前の話だ。いったい、どこまでが本当か分かったものではない』

“天衝華山”謝雲竜 :
『まことならば、節穴と迂闊の両方を併せ持った人間がここまでは欺けない…。
 そのような男なら、誰とて、彼との契約を重んじることはないだろう』

“天衝華山”謝雲竜 :
『まず、羅馬にはいない。いないが………。
 ワイズマンなる者がギルドへ本格的に足を置いた時期と、彼がランカスターグループの分家筋ごと姿を眩ましたのは同じ時期だ』

SYSTEM :
 彼がオーヴァードでないならば、対峙するものは凡そ理解の範疇を半ばはみ出している。
 オーヴァードならば、ここまで尻尾を掴ませずに眩ませていることになる。
 その彼が、まさか堂々と現場で、なんのリスクも厭わず動く愚か者なら、ヨシュアもこのような回りくどい手は取るまい。

謝花纏 :
 つまりはリチャード・ランカスターの弟、ジョン・ランカスター何某に関する情報は、全て10年前で止まっているということだった。
 分家筋とはいえ貴種であることには相違ない。そのまま生きていれば何不自由なく暮らせていようものを……
 ……いや、動機に思いを馳せたところで、とりたてて意味はない。

謝花纏 :
『当時から、ランカスターの本家筋と分家筋の仲が悪かった、といった事実はあったのですかね』
 個人間の確執ともなればもう辿りようもないが、元より険悪な仲なのであれば……という、推測だった。

“天衝華山”謝雲竜 :
『兄はオーヴァードとなった際に成長の止まる変化があったと聞くが、それとて我々のようなものでなく…確執とて、皆無でなくとも罅にすらならない。
 多少の差異さえもない方が不自然だろう』

“天衝華山”謝雲竜 :
『───端的に、憶測以上はない。
もんをいでてなんのみるべきところぞ
  出  門  何  所  見  …と、変化の憂いを持った節はあったようだが、その憂いもまた然りだ』

謝花纏 :
『簪が結べなくなるほどの心傷は、誰にでもあるということですね。
 何も、ランカスター家が特別というわけではない、と』
 貴種とて人間ということだ。リチャードの覚醒の折の話に個人的関心がなくはないが、この場では些事だろう。頭の隅に書き付けるにとどめる。

“天衝華山”謝雲竜 :
『然り。………』

“天衝華山”謝雲竜 :
『この二人が何ぞ求めるとして、それは…。当然の俗な欲望を突き詰めたものか、あるいはより夢想に片足を深く入れるか、だろう。
 
 賢者を名乗る男も、その何方かだが…』

“天衝華山”謝雲竜 :
『あの羅馬には妄執と燻る火の気配が漂っている。
 どことて、燃え広がることは望んでいまい。御前が、煤払で火傷せぬように願う』

謝花纏 :
『……ご心配なく。俺が降りかかる火花を正面から引っ被ってやるほど真面目じゃないことも、
 ちょっとやそっとの火傷でへこたれるような性分じゃないことも、師は御存知でしょう?』

謝花纏 :
『邸下の御家事情がどうあれ、やらなければならないことは変わっていない。まあ、どえらい機密を知ってしまったな、感はありますが。
 やりたいことは置いてきている。あんたの手なんか借りなくったって、ローマから日本まで、自力で帰ってやりますよ』

SYSTEM :
 …面持ち一つも変えない男の、微かに懐旧を覚えるような感情。あなたの厭気と同じ、無意識の手触り。

“天衝華山”謝雲竜 :
『存じている。御前は貪欲だった。
 また、手段に貴賤をつけぬ性質だった』

“天衝華山”謝雲竜 :
『だが…その御前が山賊にならず。在る場を己が手で作ったのは、御前だけの誇りだろう。
 先の約束とて契約だ。吾が、その柱を覘きに行くとき…己が手で齎した変化を、きっと楽しませてもらいたい』

SYSTEM :
 もしも明確に感情を向けていたならば、今の師が高弟に向ける言葉の意味は変わっていたのかもしれないが…。
 それは、あなた自身の自立と自律、かつてからの変化を、ある程度前以ての理解と共に、変わらず見守る男の言葉だった。

謝花纏 :
 自分がどうやら師と同じものになったらしいと理解したとき、貴方と伴に行きたいと言い出せていたならば?
 ……今でもふと、夢想することがある。今はもう在るのかどうかさえ定かではない、幽谷の庵の影と共に。
 天涯孤独で生まれた身にとって、望郷というのなら、あの庵こそが故郷だった。

謝花纏 :
 でも、今の俺にとって「家」というものは、極東の一地方都市、無数の厄介事と花の息吹で満たされた、あの場所に他ならなかった。

謝花纏 :
 家も親も、縁も所以も、自分の身一つしか持ち合わせなかった少年に、
 懐かしむこととさみしがることを、この人が与えてくれたのだった。

謝花纏 :
 沈黙のうちに、念話をそっと切り離す。返す言葉は、微笑みで十分だろう。

謝花纏 :
「……最後に。邸下、“黒鉄の狼”について一つ、確認させてください」

謝花纏 :
「“黒鉄の狼”のこと、UGNとしては何処まで把握されていたのでしょう?
 まさか今回の出現が初、というわけでもありますまい」

ヨシュア・ランカスター :
〈出没は…ブリテン諸島を襲い、記録的災害というカバーをかけた“厄災”が、己が『島』とした縄張りへと去った後〉

ヨシュア・ランカスター :
〈あれは戦場にしか興味がなく、薄氷の上に意識を向ける素振りがなかった。

 ………より正しくは………〉

ヨシュア・ランカスター :
〈己より強いか、己にとって“価値のある”オーヴァード以外に興味を示さなかった。

 我々がそうであると、そして…UGNが共存すると掲げた世界がそうであると見込まれたならば、今頃我々は違うことで頭を悩ませていただろう〉

SYSTEM :
 だから戦場に飽きるまで手出しをしなかったのか? 
 それも、少し話が違う…。

ヨシュア・ランカスター :
〈過去一度、成長の事実を把握し、送り込んだ本部エージェントから成る小隊全員の殉職を以て、直接的な対処は困難と結論付けた。

 ………あれはバロールだ。出没が”どこ”なのかさえ咄嗟には判別が付かず、定かなのは活動の是非だけ〉

ヨシュア・ランカスター :
〈………災害の措置には相応の手札が要る。
 不可能と思わば捨て置け。だが可能と見込まば…〉

SYSTEM :
 猶も差し障ることがあるとすれば、UGNの直接投入など”やらかせ”ば、“貴人の庭”の存在などは問題でない。
 ただ、残るFHとの全面抗争が始まり、最悪の場合は抑止さえ利かない火の渦となって、薄氷が溶けるだけだ。

SYSTEM :
 ただ、災害と見込んだものの措置をするときに、彼が惜しむことはないだろう。
 戦場にのみ現れる“伝説”で飽き足らなくなったというなら、彼らにはその使命がある。

 強いことを見込まれ、蔑まれ、恐れられてきたオーヴァードには、弱いものに対する義務が。

謝花纏 :
 “黒鉄の狼”を知る者の間に重く圧し掛かる沈黙は、相応の犠牲の賜物だった。
 危険因子の討伐は手段でしかなく、あくまでも本懐は、オーヴァードと非オーヴァードが共存できる世界の実現だ。
 手出しすれば崩れかねないというのなら、台風が過ぎ去るのを待つように耐え忍ぶしかない。
 薙ぎ倒される家々をなすすべなく見つめ、次は我が家かと怯えながら……。

謝花纏 :
「────はい。承知しております、邸下。
 ”銀の弾丸”は、彼の地に。心臓を射抜く隙を、みすみす逃しは致しません」

SYSTEM :
 その回答に如何なる他意あろうとも、あなたが義務を忘れない人間であることは存分に知られている。
 厳密には、義務の在り方をうまく扱える人間であることは。

ヨシュア・ランカスター :
〈“楽園の看守”〉

ヨシュア・ランカスター :
〈励めよ〉

SYSTEM :
 短い言葉と任の確認。
 いざ事を成した後、その貸しの使い方はあなたの手の元だ。あるいは貧乏くじの切欠になるかもしれないが、毒にも薬にもなるものの処置はお手の物だろう。

SYSTEM :
 ………であれば、再び羅馬に。
 渦中に戻るときだ。

謝花纏 :
「……は。これにて、御前失礼致します」
 この服に相応しい仮宿の名前に、今一度戻る時だった。

SYSTEM :
 欲望の犇めく、泥の中で咲く花の地。
 人知れず、その情熱のままにすべてを焼く瀬戸際となるほど、あまねく望みを集めた都…ローマ。
 未だ任務は終わっていなかった。UGNのベネツィア支部のセキュリティルームも、後始末を終えて平常運転に戻るだろう。

SYSTEM :
 望まれたことを望むように。だ。
 …事は済んだと、あなたの、そして各々の気配を認め、“天衝華山”が再び道を開く。

SYSTEM :
 励め、の言葉は彼にとっては不要だ。先ほど交わしたから。
 その契約を違えることが、よもや故意を以てはないだろうと彼は知っている。

 その、再度送り出す最中にて…。

“天衝華山”謝雲竜 :
「ひとつだけ伝えておくことがある」

SYSTEM :
 その岐路にて、彼が。
 ふと、こんなことを言い出した。

“天衝華山”謝雲竜 :
「御前のこと以外に、理由があると言ったな」 

“天衝華山”謝雲竜 :
「羅馬に虫の知らせが囁いた。よもやと思ったが………。
 片隅に覚えおいてくれることを願う」

“天衝華山”謝雲竜 :
 ・・
「悪縁が羅馬にいる。
 手を焼かば、清算は吾がする」

SYSTEM :
 ………よりにもよって土壇場で発言したその内容の仔細を、あなたは聞きそびれた。

 だが………そう言えば。

SYSTEM :

       ・・
 この街には、同郷がひとりいたのでは?

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

謝花纏 :
邸下のロイスを、 ○有為/厭気 から ○誠意/厭気 に変更します。
口を噤んでいらした理由に、噤まざるを得なかったと、納得がいきました。

謝花纏 :
それだけと言われればまあ……それだけですが。納得って、大事でしょう。

GM :
如何にも。納得とは時に全てに優先されます。

GM :
では、キャラシートに変更の記入をお願いしますね。

謝花纏 :
承知いたしました。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
下記の情報が更新されました。▼  

SYSTEM :
・“帝釈天”
 判定:〈情報:FH〉/14 〈情報:UGN〉/無条件
 関連項目:『“リグ・ヒンサー”』『ヨシュア・ランカスター』
 備考:「情報:UGN」は関連項目が開示された時に特定PC(七花胡)のみ宣言可能 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・シーン「情報収集(“雷神の槌”)」

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 
 隻獅子騎士団。
 イギリス・ウェールズの神秘の森に立つ古城を拠点とする、ステイト・オブ・グレイスに属する秘密結社。古くは五世紀イギリスにルーツを持つという。
 人知れずダークワンと呼ばれた異形を狩る家業のもので、ステイト・オブ・グレイスの暴走を見張る立場にある。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 この羅馬に運び込まれたという遺産。

 遺産の金型に曰く『雷神の槌』。
 その形態を曰く『ケラウノス』。

 今や狼の腹に飲み込まれたとされる、あらゆる破落戸たち、FHの欲望の矛先となっていた得物について、ラーゼスは調査を開始した。

SYSTEM :
 開始した、とはいうが。
 あなたに現代の諜報と伝令は分からぬ。

 ブラックドッグは電子戦にて最強、なれど…何事にも土台と限度がある。
 ならば餅は餅屋であるが、あなたにとっての伝手などというものは、あまり多くなかった。

SYSTEM :
 そして、その伝手───あなたの臣下を迎える場は、そう人気のあるところではなかった。
 既に内部に潜んでいる彼らに伝えた後であり、その何れが程なくここを訪れるだろう。当然、羅馬で気取られる“へま”はすまい。

ラーゼス :
路地に隠れるように身を潜め、臣下のおとないを待つ。

ラーゼス :
「……手間を掛けるまいと思ってはいたが」

ラーゼス :
「やはり、そううまくはいかないものだ。おれだけで世俗の情報は掴めないな」

夏瑞珂 :
ひょこ! と背後から現れる。

夏瑞珂 :
「ライオンちゃんだから、くんくん嗅ぐの?」

ラーゼス :
「いや」

ラーゼス :
「おれの鼻はさほど鋭くない。人の話を聞きつける耳もそうだ。気は進まなかったが、ひとに頼んでいる」

夏瑞珂 :
「ひと?」

夏瑞珂 :
背伸びしてえいえいと耳朶をつまむ。両方。猛獣の耳ではないらしい。

ラーゼス :
ややこそばゆい。

ラーゼス :
「ああ、人だ。……瑞珂、ひとつだけ頼んでもよいか?」

ラーゼス :
「おまえが、これから現れるものの名を知っていたら……そのことは口外をしないでほしい。アレウスたちにも、そうだな、胡にもだ」

夏瑞珂 :
「んー? んー」

 右に傾いて、左にも傾く。ぐんにゃり。 

夏瑞珂 :
「槍がかくしごとしちゃうのね?」

ラーゼス :
「うん」さほどためらいもなく、素直に頷く。

ラーゼス :
       ・
「胡とて、槍の銘に用はなかろう。それに……」

ラーゼス :
「此度の動きは、おれひとりのものだ。要らぬ話を寄越して、無為に彼を煩わせることもあるまい」

夏瑞珂 :
「ふうん……」

夏瑞珂 :
「彼、困ってるくらいがちょうど良さそうよ?」

夏瑞珂 :
さておき。

夏瑞珂 :
「わたしは狼のおなかの中身を知りにきただけ。いいこにしてなさいと言うなら、そうするわ。今日はね」

ラーゼス :
「ありがとう。よい子にしていてくれ」

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
「(いつもどおりこの娘と戯れていると、あれを困らせるかもしれないが……)」

ラーゼス :
「(そこまで戒めることはないな)」

SYSTEM :

 指定された場所に辿り着いたあなた方を出迎えたものは、しかし人ではなかった。
 また獣でもなかった。
 しかし実態を持たぬ幻想を伴って、それは姿を現した。

SYSTEM :

 路地裏の片隅を、濛々と煙る、形持たぬ何某か。
 ──それは霧であった。
 冬のヴェニスでは古くより霧は名物とされてきたが、此処に立ち込めるものは起源からして異なる『物語』だ。

SYSTEM :

 霧の奥からは、得体のしれないあらゆるものがやってくる。
 或る時は、怨霊漂う湿地の狂信者として。
 或る時は、大量の命を奪ったスモッグとして。
 或る時は、ホワイトチャペルの殺人鬼として。

SYSTEM :

 白い霧は。
 あらゆる時代において、死を招き入れる何某かが這い出てくる場所であった。

SYSTEM :

 霧の奥から、薄っすらと人の輪郭と共に、数多の犇めく醜き者共が姿を現す。
 毒蟲、蛇蝎、蛙に鼠。
 森の深淵であろうと、古都羅馬にあろうとも、彼らは等しく日の目を見ない。
 故に彼らは霧の中を這いずり、呪いを撒き散らしていくが……あなたを前にして、その毒牙は剥かれることはなく、寧ろ恭順を示すように首を垂れた。

SYSTEM :

 彼らは、目だ。
 不可視の領域にて身を隠し、跳梁跋扈する古都に網を張るため、代わりに遣わされた地を這う者共だ。
 それを伴い、<猫の道>に通ずる霧の領域の回廊を以て道を開き、男はそこに姿を晒した。

SYSTEM :

 陰鬱とした立ち姿。掘りの深い顔立ち。
 枯れ木のような印象を与えながら、何処か重圧を感じさせる重々しい雰囲気の壮年だった。
 宛ら棺を開いた奥より現れる吸血鬼か、髑髏の騎士という評が似つかわしい。
 死んだ男。
 否応なく、死の気配を感じさせる……そんな峻険たる印象の男だった。

SYSTEM :

 この男を、あなたは知っている。
 幾代にも及ぶ泡沫の時の流れの中、現在の先の代にその座を戴いた騎士団の長。
 壮年は確かな形を露とした後、恭しく片膝をつき礼を取る。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「──隻獅子騎士団の鬣が一、"皙獅子"グウィン・ゴドウィン。此処に」

 古色蒼然を形としたかのような男。
 其は当世の長を務め、先代へ譲った元騎士総長グウィン・ゴドウィンであった。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
 古くは北米戦線に参じ、現在は一線を退いて尚騎士団の後見役として辣腕を振るう古豪。名が伝わる程の者ではないが、調べをつければすぐアシがつく。
 ……UGNとの協調路線をとる騎士団との関係は、知られるべきではないことだ。恐らくはどちらにとっても。

ラーゼス :
 たちこめた霧を見て目を細める。
 思えば、なるほど確かにもっとも適したものだ。当代も留守居役も、この街を訪れるにはしがらみがある。

ラーゼス :
 霧から這い出た男がとった臣下の礼を鷹揚に受けとめ、唇にわずかな笑みをつくった。
 あのあわただしい出立からいくばくかの時が経ったが、見るところ彼なりに壮健のようだ。

ラーゼス :
「よい。楽にせよ。手間をとらせたな、グウィン」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「滅相もない。隠居の身とて、是も騎士の責務。
 ことに此度は、御身に直接お耳に入れたい旨もありますれば」
 
 礼を解き、随伴する蛇蝎の群れに下知を下す。この土地においてワーディングを広げる行為は然程の問題にはならないが、それを探りに来るものがないでもない。この面会の場を見られれば、それなりに面倒が起きるだろう。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
 無論そのことは王とて承知の筈。その上で連れていることを弁えた上で、男は枯れた眼差しを少女に向ける。

「畏れながら。其方は、陛下の御友人と見做しても?」

夏瑞珂 :
「──?」
         デッドマン
 霧と、傅く壮年。終わった男がもう一人。
 いつか見たものは虚ろにかわいていたが、その男は死のにおいを引き連れていた。手招くような不吉を。

夏瑞珂 :
 ──騎士団? 鬣?

 金髪を摘みあげて、首を傾げる。

「あなたがライオンちゃんなら、彼はなあに? 穴熊さん?」

夏瑞珂 :
「どうかしら」

夏瑞珂 :
「一緒にお泊りはしたけど。おんなじベッドで」

ラーゼス :
「…………」

ラーゼス :
「確かにしたな」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「………………………………成程」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「旅先で異邦の者と寝食を共にすることは、古くより我らの領地で美徳とされていたものです。
 結構。慣れぬ当世でありましょうが、旅先でも息災で何より」

夏瑞珂 :
「ですって」とす~んとタックル。揺れもしない。

ラーゼス :
不動。

ラーゼス :
「うん。はじめは少々戸惑いもしたが……」

ラーゼス :
「よき縁に恵まれた。無法者の街と聞いた折には、こたびは力で語り合うのみだと思っていたけれど」

ラーゼス :
「その先を見るべき仔猫も、このとおりだ」
 横の瑞珂を示す。

夏瑞珂 :
ミャオミャオ

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「そのようで」
 全く無遠慮な様子で玉体に粗相を働く様を見る。寧ろそれが子を見守る親に近しいと勘付いたのは、跡継ぎを持つ身の故であったか。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「無法者とて、それが人の営みであれば無法の中の法もあるというもの。鳥には鳥の、虫には虫の、魚には魚の、木には木の、営みと法がありましょう。
 人の身であれば、それは一層に複雑化するというだけのこと」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「わけても此度は、その手の欲の絡み合いは一層入り組んでいる様子。
 この手の任は我が愚息の得意とするところでありましょうが……此度は私が赴いて正解だったようです。アレでは、聊か職責に耐えられるか怪しい」

ラーゼス :
「……そのようだな」

ラーゼス :
「欲望というのは……秩序のそれとは別のかたちをもって入り組み、そして同じものであっても角をつきあわせるものだ。
 この地で争う三つの群れも、群れの中ですら相争うもののようだった」

ラーゼス :
 アレウスのことを思い出す。闘争か、怒りか、そのどれでもないか。
 しかし、そのどれもが三つの勢力のどれともかみ合っていないようだった。

ラーゼス :
「人間の世はいつも難しい。
 おまえの長子は人間の世をよく識るが、人間の欲望と悪意をよく知るのはおまえだな、グウィン」

夏瑞珂 :
「穴熊さんの息子は子熊ちゃんなの?」ぺろりとマントを持ち上げる。もしもーし。

ラーゼス :
む。

ラーゼス :
……そういえばそうか。

ラーゼス :
「いや。グウィンもその子も人間だ。人里でおれの援けをしてくれている」
 その下にはなにもないぞ 尾もしっかりと隠した

夏瑞珂 :
「にんげん」

夏瑞珂 :
顔を見る。いんうつで、むっつりとした顔。笑顔ってご存知?

夏瑞珂 :
にこーっと実演。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
 然様にございます。そう応えを返したところ、男はようやく好奇の眼差しの違和感の元を感じ取った。
「成程。その出自も、既に話しておられたか」

ラーゼス :
「ああ。隠すことでもないし──」

ラーゼス :
「あまり信じておらぬな?」マントを持ち上げた娘に視線を合わせる。

夏瑞珂 :
尻尾を探していた顔を上げる。

夏瑞珂 :
「にんげんっぽくないもの。彼」それにね、と続ける。

夏瑞珂 :
「ライオンちゃんの森にはおしゃべりな動物がいっぱいいるのかと思って。絵本みたいにね」

ラーゼス :
「それはあまり間違っていないな」

夏瑞珂 :
「アハ~」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「期待に沿えず申し訳ない。私は正真正銘の人間だとも」
 皮肉げに嗤うのは、笑ってみろとばかりに実演する娘に対する対応だったのだろうか。

夏瑞珂 :
言われた瞬間マントをめくる。

夏瑞珂 :
ぺろりん。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「我々の城には、そうした人の時間と異なる時間が広がっている。物語の上で人とけものが、うまくやっていったように。
 ……私は人の立場でそれを取り成してきた身の者でね」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「ゆえこの通り。生憎と、人の身に耳が生えることも尾が生えることもないのだよ」

夏瑞珂 :
「ふうん。へんなのー」

 ぱっと手を離す。この死人みたいなひとのお尻に、ぴこぴこ動く尻尾があったら絶対おもしろいのに。

夏瑞珂 :
「人の世がナントカ~って言ってた理由はわかったわ、尻尾のないひと。あなたのほうが騎士なのは意外──」はた。

夏瑞珂 :
「百獣の王! ライオンちゃんだから王様なのね?」

夏瑞珂 :
がおがお~

ラーゼス :
「思えば、結果としてはそうなるな。
 常に獅子たるものが王である、というわけではないが、最後にあの森を勝ち取ったのはおれだ」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「ことの興りが知りたくば、陛下に訊ねてみたまえ。末裔の私が語るよりは、余程真に迫る物語が聞けるだろうよ」
 

夏瑞珂 :
「末裔だなんて、おおげさな言い方するのね。それじゃあまるで、ライオンちゃんがとっても長生きみたいよ」

それこそ、物語のように。

ラーゼス :
思案のしぐさ。

ラーゼス :
「間違ってはいないが、全て『そう』というわけではないな。ただ、グウィンが我が友の遠き継嗣であることはたしかだ」

夏瑞珂 :
うろんな目で見る。

夏瑞珂 :
顔を覗きこみながら周囲をぐるっと一周して、次は尻尾のないひとに同じことをする。

夏瑞珂 :
肩をすくめる。アメリカン。

ラーゼス :
「……このような娘だ。
 無用なことを無用なものに伝えることもなかろう」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「そのようですな。
 ……"天と地の狭間には、おまえの哲学では思いも寄らない出来事がまだまだある"……ということと思ってくれたまえ」
 頷き、そのように締めくくる

夏瑞珂 :
「はぁい」

夏瑞珂 :
おそらとじめんのあいだにライオンちゃん。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「では、よろしいか。
 その方……失礼。名は何と」

夏瑞珂 :
「……」

夏瑞珂 :
「夏瑞珂よ」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「承知した、ミス・シア。
 では、本題に入らせていただくが……」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「……ケラウノス。この地に運び込まれた遺物の由来はご存知か?」

夏瑞珂 :
「難しい話はきらいよ」

夏瑞珂 :
ライオンちゃんはどうなの? ぐりぐりと肩を押しつける。

ラーゼス :
「まったく知らない。仔細は後に聞けばよい、と思っていたのだが……」

ラーゼス :
「その前にこの事態だ。察するところはあるが」

夏瑞珂 :
「ふうん?」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「成程。
 ……其は全知全能たる神の裁きの象徴。
 ギリシャの神、ゼウス神が持物と名高き逸物で有。その名は『雷霆』を意味する。
 この欧州には広く膾炙した「名」です」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「ですが私のように、智慧のぜい肉が付いた者は、往々にして広く知られた物語を追い、回り道をしてしまうもの。
 此処に運び込まれたものも、その意味も、失念していたことがある」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
 男は、宛ら古い言い伝えを物語る語り部のように、厳かに言葉を紡ぎ始めた。
「……御身の時世より今に至るまで、羅馬とはヴァチカン市国を擁する十字教普遍派の総本山として知られていましょう。
 ですが十字教が伝わる以前、この地にて信仰されていた教えの一つにローマ神話と呼ばれる体系がある。
 ……それはローマ人のギリシャに対する憧れより生じたのだとか」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「自らが、嘗てのアテナイ人の文明を継ぐものという自負、トロイアのアエネイスの末という誇りを神話語りとして謳ったのが事の起こり。
 ──我らが伝説に依るように、嘗てこの羅馬に住まう者達も同じものを欲したのです」

夏瑞珂 :
「ぐう」

ラーゼス :
立ちながら寝るな 器用な娘よ

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「ミス・シアは座学が苦手と見える。
 であればもう少し手短に語ると致しましょう」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「つまるところローマ神話とはギリシャ神話を、土着の信仰を取り込んで再編したもの。原型の多くを、ギリシャ神話と共有している。
 よってこの遺産、ケラウノスの由来はギリシャではなくローマ神話、ゼウスでなくユピテルの事物と繋がっているのです」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「……こうなると、この土地にこの遺物が送り込まれたこと、そのものに意味が生まれる」

夏瑞珂 :
後頭部がうしろのライオンちゃんに沈んでいく。

ラーゼス :
引き寄せておく。堪えきれなかったようだ

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「ユピテルの物語は……この国の建国神話ともつながっているのです。
 民族の祖がアエネイスから来るならば、そこから七つの丘に羅馬の礎を築いた者がロムルス。かのものが死後、神として召し上げられた折……伝説の上で、その槍は振るわれた」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「──お分かりか。
 建国神話、わけてもその興り、終わりに関わるということは、その国の礎と、深いつながりを持つということ。
           ・・・・・・・・・・・・・・・
 ……ゆえに、その威力はこの土地で行使される場合に限り爆発的に跳ね上がる」

夏瑞珂 :
ぱちりと目を開く。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「……物語において、それは『何かを始め』『何かを終わらせる』ことに重きを置かれた力。
 そして土地と結びついた雷の槍は、一度抜き放たれればどれほどの力になるか」
 

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「こんなものを、仕掛けを分かった上で運び込んだ者は。世界を滅ぼすか、それか新しく神にでもなるつもりだったのやもしれませんな」

SYSTEM :
【Check!】
 情報『“雷神の槌”』を開示します。

SYSTEM :

【情報:“雷神の槌”】
 カテゴリ:雷神の槌
 .    ケラウノス
 タイプ:創まりの雷霆

SYSTEM :
 内訳
 Dロイス『遺産継承者:雷神の槌』
 内蔵アイテム(※一連の効果は『ステージ:基本ステージ(ローマ市街)』でのみ使用可能)
 ・Eロイス:破壊神顕現
 ・エンブレム:エンジェル(『破壊神顕現』を再使用できる)
 ・エンブレム:厄災の遣い(シナリオ1で配置されているトループ、エキストラを消滅させる)

SYSTEM :
 カテゴリはかつて戦神と呼ばれた存在が遺したという荒々しい雷の名残を原型とする。
 契約者の片腕に宿り、投射物を稲妻に変えるというが、その稲妻は敵対者はおろか契約者の命さえも蝕む。

SYSTEM :
 タイプとしてはローマに伝わる天空の神ユピテル(またはギリシャ神話の全能の神ゼウス)が授け、振るった雷霆。
 然る証言者ユリウス・プロクルスの言葉に曰く「ロムルスが消えた時には同時に嵐や雷が起こり、それを以て彼は神となった」と示す。

SYSTEM :
 これはその名残。人が人のその先に至った証の名残。
. クィリヌス     ロムルス
 新しき始まりを告げ、一人の人間の終わりを告げたユピテルが永久の祝福たる雷霆。

 それが、長き信仰とレネゲイドの結びによって生み出された遺産である。

SYSTEM :
 その性質や用法そのものはカテゴリのものと変わらないのだが、
 土台となった伝承、紡がれた記憶の深さから、特にその根源たる『ローマ』で使用した場合、同調するレネゲイドの無意識もあって出力の桁そのものが違う。
 
 本質的には「何かを終わらせ、何かを創める」能力に特化しているため、使用方針によっては如何様にも悪用が可能。
 データ上はこれを『内蔵アイテム』として扱っている。

SYSTEM :
 一方でこれを『ローマにわざわざ運び込む』という導火線に火をつけるような真似をした組織は、
 各FHセルに協力を持ち掛けて来たギルドであり、各FHセルはいずれも最初からこれに目を付けていたわけではない。

ラーゼス :
「……ケラウノス……」
 戦慄とともに、その名を繰り返す。
 羅馬という都を形づくった神話と、それに抱かれて力を増す神の雷霆。

ラーゼス :
「謂れが、嘘であれ、真実であれ……
 この都と結びつくものに祝福されれば、それはたしかに、偽りなきものと同じ……」
 遠き記憶を思い返す。
 羅馬という国を永らえようと外法に手を出した我が仇。そして、この力……。

ラーゼス :
          ・・
「……まさに、この国の黒龍か……」

ラーゼス :
 そしてその力を握り、腹の中に下したのは、はるか北欧の黒き竜が落胤。
 彼は所以など知らぬだろうが、因果とはこのことだ。
 そう扱えばなるほど確かに、世界を滅ぼせる。神の如きものとしても在れる。
 そして、それは……

ラーゼス :
「……狼以外がこの遺産を握ったとしても、同じこと。
 いや、寧ろ──狼以外が握ることが、最も危険だな?」
 二心ある人間が握ればそれは、欲望のままに扱われ、かの森にまで届き得るだろう。

夏瑞珂 :
 神の雷霆──歴史という蓄積によって醸成された、始まりと結び。この土地ではなくてはいけない男と、この土地だから居続ける女を思い出す。

 なぜ、と疑問する声は呟く前に消えた。

夏瑞珂 :
「"黒鉄の狼"」

 低く、唸るように発音する。つりあがった唇から犬歯が覗く。

夏瑞珂 :
「わるい狼のおなかを引き裂くわ」

夏瑞珂 :
「おなかに詰めた石が砕けたって、わたしは困らない。たとえ打ち捨てたしかばねに石が残ろうとも」

 あるいは。

夏瑞珂 :
「中につまった石を、わたしが奪ってもいい」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「然様にございます」
 王の確認に、首肯を以て返す。
 何故ならこれは理屈の上では万能器だ。
 想像を絶するエネルギーを収集する器足りうる。この現世に、手段を違えなければ、ありとあらゆる願いを叶えうる。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・
 このローマの地においてのみ遍く破壊を為し、また創造るもの。
 
 それがこの遺物の、最も肝要な所である。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「レムリア。かの黒き獣は、恐らくそれを行使してはいますまい。
 そして陛下の知る通り、かのものが龍の移し身であるのなら、用法を理解することもありますまい。
           ・・・・・・・・・・・・・・・・
 皮肉ながら、あれは今あの獣の手によって守護られていると形容しても良い」

夏瑞珂 :
「だからなに」吼える。

ラーゼス :
「……仔猫」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「……結論を急がないでいただきたい、ミス。私は何も、あれを捨て置けと語った訳ではない。
 何より……」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「この状況自体が仕組まれたものでないと誰が証明できましょう?」

夏瑞珂 :
「……しらない」

夏瑞珂 :
「わたしには、関係ない」

夏瑞珂 :
「殺すの」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
 静かに目を伏せ、目配せを一つ。仔細は訊くまい。だが、この執着振りは誰が見ても察せられよう。
 災いが災いならば、諦めもつこうが。そうでなければこういう者が現れるのもうなずける。

ラーゼス :
浅く頷き、ちいさな肩をなだめるように撫でる。

夏瑞珂 :
「…… ……」

 怒らせた肩から力が抜け落ちていく。それがいやで、抗うように強張らせた。手がさ迷う。

夏瑞珂 :
 唇を噛んで、揺れる青いマントを握りしめる。縋ったんじゃない。八つ当たりだ。ぎりぎりと爪を立ててやる。

ラーゼス :
「やめておけ。指に悪い」
 爪を立てる手を捕まえながら、グウィンに視線を戻す。

ラーゼス :
「……おまえはどう思う? グウィン。ここに至るまでの筋書きのことを」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「…………」
 縋るような、そんな様子を自分でも振り切ろうとするような。内から燃え盛るものを抑えきれぬ様子。感じた憐みを内に隠すのは、男の得意とする分野の一つだ。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「──この台本を書ける勢力がいるとすれば、私は一つしか心当たりがありませんな」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「そも、この遺物を持ち込んだのはあの三つの勢力のいずれでもない。
                 シナリオ
 ギルド。彼奴等、経済屋の仕組んだ脚本に相違ありますまい」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
             ・・・・・・・・・・・・
「問題は、詰まる所彼奴等は誰にこれを握らせたいのか。そこが肝要と思われます」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「それも、ただ遣わせるだけならばこのような意味もなく迂遠な筋書きなど不要でありましょう。
 彼奴等はどのセルに対しても関係を持つ。そこに売り込みを掛ければ、それで目標は達せられる。
 連中はこの争いを仕組んでいながら、セルリーダーのいずれも眼中にはない。
 ただの、賑やかしなのでしょう」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「……三勢力の潰し合い。という前提は、そろそろ捨てた方がよろしい。
 この筋書きは、意外ともっと簡単に説明が付けられるものかもわかりませんぞ」

夏瑞珂 :
「かんたんよ。ぜんぶ」

 手を握っていると遅れて気付く。ふてくされたように唇が尖った。

夏瑞珂 :
「気に入らない奴なんて……みんな吹き飛ばしちゃえばいいんだから」

ラーゼス :
……。

ラーゼス :
「……仔猫」

ラーゼス :
 ・・・・・・・・・・
「何人もの貴公をつくる。
 勢いこんで口にしたとしても、ことばは言霊となるという」

ラーゼス :
「その言葉は……胸に秘め、しかるべき時にだけ振るうがよい。貴公を育んだものが悲しむ」
 この娘は……継げない家名を、宝物のように手渡してきた。
 彼女自身が、いつか悔いるかもしれぬ。

夏瑞珂 :
"そしたら、次のきみが…きみを傷付ける"

夏瑞珂 :
「────っっっ!」

夏瑞珂 :
「うる……さい!」

夏瑞珂 :
「うそつきなんかっ……」

 ずっと悲しんでいればいい。わたしが泣いた何倍でも! ひとりにしないって、言ったくせに!

夏瑞珂 :
 でも。だけど。

「…… ……」

 ことばは言霊になる、と。そう言われたからではないけれど……ぜったい違うけれど……。どうしても口にはできなかった。

夏瑞珂 :
「じゃあ、なに。誰かが仕組んだからって、やつがいることに変わりはない」

夏瑞珂 :
      ボス
「わたしと赤の鬼人をローマから引きずり出してみる? 食べ残しにつられてくるかもね」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「……。
 俗人の戯言と聞き流してもらって結構。
 だが人の親という者は、好きに生きろと肩を押しながらも、何処かで己が何を残せたかを心に留めるものだ。
 どうか孝行なされよ、ミス」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「……どうあれ。アレは災害。忠実にパターンに則って動くもの。
 存外にそれで黒狼は土地から離れる事もあるやもしれぬ。が……」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
              ハンドル
「状況が赦すまい。何より今、主導権を握っているのはギルドということを忘れぬことだ。
 少なく見積もって"青"は篭絡されている。残る勢力も、この背景が知れれば途端に怪しいものだ」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「もし万が一実行したとして、すぐに囲い込むことは想像に難くない。今、貴公が黒狼という宝箱を開ける鍵となっている以上、決して逃がしてはくれまいよ」

夏瑞珂 :
「……………………」

 なにも。
 なにも、答えなかった。

夏瑞珂 :
 ……形に思いは残る。

 そんなもの。

夏瑞珂 :
 死のにおいを連れた男をじっと睨みながら、王様のマントをかじる。見せつけるように。

夏瑞珂 :
 殺す。

 殺すだけだ。

 わたしを虐げるもの、脅かすもの、奪うもの。すべて、そうすべて。自由を実現するために。

ラーゼス :
「………哀れな娘よ」

ラーゼス :
つぶやきながら、思考は回る。グウィンの言葉はすべて真に迫っていた。

ラーゼス :
(この事実を、胡とアレウスはどうとる……?)

ラーゼス :
(胡は……むしろ知るべきだと思う。
          ・・・
 この事実は、きっと彼の庭にも影響する……)

ラーゼス :
(アレウスは……どうだろう)
(この色のなき力を……彼は、奉じるべき力としてとり、欲を出すか?)

ラーゼス :
(おれは、彼が信ずるものを知らぬ……
 だが、伝えるべきなのだろうな)

ラーゼス :
(瑞珂の価値がさらに上がる。
 まんいち、彼がおれの知らぬ外道だとしても。
 この娘を、ことを成すその瞬間まで手放し難くなることだけは間違いないか……)

ラーゼス :
(……あの様子で、“赤の鬼人”に献上するような男でもあるまい)

ラーゼス :
「…ああ」

ラーゼス :
「たとえいっとき外に出したとしても……欲望はまた追ってくるだろうな」

ラーゼス :
「生き物の欲に限りなどない……。
 そこに夢を見れば、凶行の由と大義は、いくらでも生まれる……」

ラーゼス :
「……ギルドというのは、そこに寄生するのだろう」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
 宛ら子供の嫌がらせのような幼稚な反撃にも、殊更に男は感情を揺らがせはしなかった。言葉に過不足はあってはならぬ。これ以上は過剰であろう。
「真、仰る通りで。
 彼奴等は、例えば我々が日夜頭を悩ませている栄光の国……不遜にも、古き貴き名で呼ばれる俗人共の根城とは違う。
 矜持もなく、責務もなく、利益のみを得ようとする輩にございます」
 

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「彼奴等が具体的に何を目的としているか、までは、未だ届いておりません。が……
 そこに関して、気になった点が一つ」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「我が使いはこの古都羅馬に、貴人の庭の領域と、かの黒狼を避ける形で忍ばせております。
 故にこそ、アレが闘う場面を直に真の当たりにはしていない」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「此処に至るまで幾度か交戦したことは伺っております。
 であれば、あれと刃を交えた折、初戦と比して何か変化は」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「……その刃が、あの黒狼に届き得たことは伝え聞いております。
 気になるのはそこではない」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
        ・・・・・・・・・・
 つまるところ……遺物を呑み込んだ前後の様子に、如何なる変化が見られたか?
 男が訊きたいのは、そこだ。

SYSTEM :
 彼の雷霆を推定で“呑み込み”己がものとした“黒鉄の狼”であるが、その変化は定かでない。
 フラットな分別、ジャームとしての目的意識、そうした部分は何ら変化がなかった。ましてや、遺産と契約したかは定かでない。しかし…。

SYSTEM :
 ………たとえ爪先ほどの、わずかな到達だとしても。最も価値と意味のある変化は。

 あの瞬間だ。あの剛性を崩した時だ。

 同種のレネゲイドでしか傷をつけられない、という話にもかかわらず、傷がついた瞬間にある。そしてそれは、おそらくあなた/夏瑞珂の自身の変化によるものではない。

SYSTEM :
 ………そして、その変化を彼はさておいた。気にかかるのは”そこ”でないと。
 この場に“雷神の槌”と銘打たれた遺物の特性を識るものがいれば、彼の問いの答えは自ずと導けよう。

夏瑞珂 :
「…… ……」

 変化と言われても、わたしはあれの通り過ぎた焦げ跡だ。

 何かあるとすれば、ただの食べ残しから闘争の相手になった瞬間。だが、あれは違う。暴威の向き方がわずかに形を変えたのを、変化とは呼ぶまい。

夏瑞珂 :
「ない」

夏瑞珂 :
「……ないわ。三年前から、なにも」

夏瑞珂 :
「以前聞いたわ。遺産は契約しなければ使えない。
 ……信じられない。あいつ、ほんとうにただ持ってるだけなの?」

ラーゼス :
「変わっていない……つまり、その遺産に由来するような力を奮っていた気配はないと?」

夏瑞珂 :
 ……すこし悩んでから頷く。

夏瑞珂 :
「ぜんぶ……一瞬で、消し飛んだから」

夏瑞珂 :
「確証はない、けど。ずっと……同じ」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「……然様か」
 ふむ、と吟味するように一拍置いて、男は一つ前置いて話を切り出す。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「予想通りではある。
 私は遺物に関して、体系的な知識を持つわけではない。故、これは単なる憶測に過ぎないと思って頂きたいのだが」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
 レガシー
「 遺 産 とは……
    コイン
 蓋し、貨幣ののように、表裏あるもの」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「これは原則と言えましょう。
 強力な力には、相応の反動が生じるもの。それがいかに、外側の支援を以て法外に得られた出力であろうとも──
 Give&Take
 差し引き の帳尻は合わされる」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

 遺産を扱えるには、幾つかの条件があり。遺産自身に選ばれることで契約関係を結ぶことが可能となる。
 そして契約関係とは、取りも直さずギブ&テイク。求める何かを差し出すことで帳尻が合う。
 

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「思うに、強力な遺産とて同じ遺産であるならば……相応の対価を求める筈。
 通常とは、言葉通りに桁の違う力であるならば、それに釣り合う形での対価を」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
          カテゴリ
「──元来、探索局の分類分けに当て嵌めれば、それが求める対価は強大な力に対する命。その命数を削り、扱うごとに死へ近付いていく。
 ある意味では、最もシンプルな対価と言えましょう」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「彼奴が既に契約関係にあり、その強大に余る対価の影響で弱まった故、その刃は通り得た。そして彼奴は、扱いを知らぬ故に偶然にその力を発動しえなかった。
 ……著しい変化が見込めたのならば、そう考えもしたのですが」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「然し乍ら、妙なことが多い」
 考え込むような仕草。この仕草のグウィンは、決まって『己の知り得ぬ何某か』へと知を手繰り寄せている時のものだ。
 従獅子が先祖代々に継いだ力の切れ端、隠された眼より遠きを識る千里眼。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「……これは今より、十数年ほど昔のこと」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「旧約聖書に記された遺物を巡り、相争ったものがいた。その内には、契約関係にないままに力を得た例がある。
 ……遺物が強大であれば、所持するだけでも影響を及ぼしうる。ましてや、それが本領を発揮した主神の槍であるならば……」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
 ただ所持しているだけでも何らかの影響を受けている可能性は大いにある。それが悪影響でも、或いは別の影響であろうとも。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
 確証のない話だ。重ねて男は語る。
 だが、あの黒狼が契約者でなく、その力を引き出す術を知らずとも。
 ただ所持しているだけで、何かの変革を起こしている……恐らくは表に出てこない、もっと根本的な部分で。

ラーゼス :
「ただの力の引き出し口……
 いや、それですらなかったものが、強大さ故に仮住まいとする体を飲み込む……あるいは、ある程度の障りをもたらす」

ラーゼス :
「……ありえぬ話ではないな。
 現代ではかの力を『遺産』と呼び、道具として扱うが、
           ・・・・
 彼らもまたある意味で妖精騎士だ」

ラーゼス :
「住まう体が形に合うよう、内側から働きかけることはないとも言えぬ」
 たとえばそれは、血を飲んだ獣に不死の穢れを与えた黒龍のようにだ。

夏瑞珂 :
「ものにするか、されるか?」

夏瑞珂 :
「……どっちにしたって、おもしろくないわ」

夏瑞珂 :
 どうなろうと殺すが、成れの果ては困る。アレはアレのまま、わたしに踏みにじられて潰えるべきだ。
 それがより困難になる事態も、当然好ましくはない。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「……かの槍の成り立ちは、神祖ロムルスの建国神話……
 半神であったロムルスが、主神クィリヌスと同化する折に放たれた雷霆を元とし、その力の本質もまた物語に準えてある」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
 いやさき  いやはて
「 最 先 と、 最 後 を司り
 人をして神に召し上げる逸話を持つものならば。
 そして、あの悪辣なギルドめの采配であれば。
 そこまでを考えている可能性も否定はしきれますまい」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「──然し乍ら、先人の遺産という者は困りものですな。
 私の推測が正しければ、この遺物、単に『契約者でなければ預けて問題ない』というものでもないということになる」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
 何しろ持っているだけでも、持ち主を無理にそう作り替えかねない。
 いや、もっと言えば『契約関係』がどこかで成立していさえすれば、他者が間借りしてその効力を発揮する事さえ可能だろう。
 そして今、当たり前のように野に放たれている遺産が何処の誰かとすでに契約済みでない保証などどこにもないのだ。

ラーゼス :
「すべての始まりにして、終わりなる物語……」

ラーゼス :
「ああ……道理だな。
 契約者を見つけ、その者にやすやすと預けるわけにはゆかぬ。
 そして、この力を求めるどの手にも渡せない」

ラーゼス :
 力を奉ずるリグ・ヒンサーにも。
 国のための抑止あるいは旗印を求める貴人の庭にも。
 第一に遺産を求めると語った御手翳す開放者にもだ。

夏瑞珂 :
「じゃあ」

夏瑞珂 :
「たとえば、私が……遺産を手にして、ここに留まったら」

夏瑞珂 :
「内も外も大騒ぎでしょうね」

ラーゼス :
静かに目を細める。

ラーゼス :
「それは、本懐をなしたのち、ただの嵐として消え去りたいということか?」

夏瑞珂 :
「さあ? けど悪くない」

夏瑞珂 :
            わたしのくに
「あるがまま吹き荒れて、無謬の荒野を拓いて」

夏瑞珂 :
「そうしたら……きっと」

夏瑞珂 :
「嵐を征する者が、私を阻むから」

夏瑞珂 :
 それなら、こわくはない。

 手持ち無沙汰になって、寒さに震えることも。
 次のわたしが、わたしを罰しにくることも。

 ひとりぼっちのゴールの先も──何も。

ラーゼス :
「…………………………」

ラーゼス :
 この娘は破滅したいのではない。
       許して
 おのれの罪を裁いてほしいと願う何者かがいるのだ。

ラーゼス :
 理性をなくして、遮二無二暴れまわり、
 その果てに望む首と望む贖いが訪れると、狂乱の中に願って。

ラーゼス :
「…………」
 よそう、と首を振る。
 似たような道をたどり、安らげる場所は違う場所にあった己など、それはただの『おとぎばなし』だ。
 娘の現実ではない。

ラーゼス :
肩を撫でながら、視線のみ冷たく凍らせる。それに意味などないだろう。この娘にとっては路傍の石くれだ。

ラーゼス :
「同じことを、言われたいか?
 貴公を育んだものが、悲しむ、と」

ラーゼス :
「まことにそう在りたいのであれば……口を閉ざせ。その瞬間まで。誰にも秘して。
 それとも、おれに、グウィンに、声高に叱られたいがためのたわごとか?」

夏瑞珂 :
「────────」

夏瑞珂 :
「いいえ? ご忠告どうも! そうします」

夏瑞珂 :
「でも、ひとつお願い」

夏瑞珂 :
「もういないひとの話をしないで」

夏瑞珂 :
「あなたが……妬ましくて、憎らしくて、殺してやりたくなってしまうから」

ラーゼス :
(……踏み込みすぎたか。毛が逆立っている)

ラーゼス :
「……。わかった。貴公の傷に無用に触れたようだ。すまない」

夏瑞珂 :
「アッハ!」

 労わるように触れる手をすり抜けて、石畳を蹴る。弾むステップ。踊るようにふらふらと路地裏の霧を抜けていく。

ラーゼス :
その背を見守る。さほど早くはない。娘の小さな歩幅ならば、労なく追いつけるだろう。

ラーゼス :
「……すまない、グウィン。己を守る腕を失った子どもだ。悪気も、その気もなかろう」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「察しております。
 かの娘は、深みの奥で獅子に見えることが無かった……いや、見えた後に失ったのでしょう、と」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「……差し出がましいことと承知で、畏れながら申し上げます。
 我ら騎士団は友誼を貴ぶものにして、久遠の契りを以て共生するものなれど。
 その使命はやはり、約束の地を守護ることにあることを、お忘れなきよう。

 不敬ながら、此度の御身は何時にも増して入れ込んでおられるようにお見受けします」

ラーゼス :
「……ああ、わかっている。おれ自身、そう思うよ。
 詮無きことを言わせているな」

ラーゼス :
「……どうにも」

ラーゼス :
「あの娘のことを、ひとごとと思えぬのだろう。おれは。
 おまえや、おまえの父祖たちがいなければ、おれとて……あの娘の行き着く先の姿で果てていた」

ラーゼス :
  友人         戦友    隣人
「キースにはなれずとも、ヒムや、アンスフォスにはなれるのではないかと……
 娘のあの体を、まだ絆しで戒めておきたいのかもしれない」
 己の鬣の前であることを言い訳に──懐かしき名を、記憶の底から取り出した。王らしくはない振る舞いだ。

ラーゼス :
「旧いかたきのにおいがする地だ。血迷っているのかもしれない。許せ」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
「──邦の為、臣の為。その身を捧ぐのが王の故。
 その綻びを諫めるのも、当方の務めと存じております」

 王の告解に対して、騎士は静かにそう告げた。肯定も否定もせず、静かに王のあるべき形を示すのみだった。
 王に如何なる感傷があるか、推し量れども測りきれるものでもない。だが絆しに帰路を見出すこともあると、男は深く識っていた。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
 王は、その棄民をも含めて、地を這い大地の恵みに生きる森のすべてに身命を捧ぐ意を以て、その盃を口にしたはず。
 白皙の獅子に、通うべき血は無く。故に己に従う深淵の悍みどもが、暗がりの中で目を焼く金色の鬣を奉ずることを識っていた。
 

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
 ──そして一度、目に焼き付いた光はそうそう消えはしないことを、男はことに知っていた。

「……では、私はこれにて御免。
 使いの者を差し向けておきます。御入用があれば、何なりと」

ラーゼス :
「……ありがとう。グウィン。
 おまえの怜悧さは、おれに最も大切なことを教えてくれる」

ラーゼス :
 温もりを過去に置き去りにした、白皙の獅子。
 この男がこの時代にいたことは、森にとっても己にとっても幸いなことだ。

ラーゼス :
去る背中にかける言葉を、すこし考える。思えば……。

ラーゼス :
「妻と子にも、よろしく伝えてくれ。
 帰還の折には、おまえが、彼らへ土産話を話すようにせよ」

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :
 己の領域たる霧の奥へ姿を消そうとした背中が歩を止める。
 ほんの僅か考えるように間を置いて。

"皙獅子"グウィン・ゴドウィン :

「……お戯れを」
 と、肩を竦めた。それだけだった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

夏瑞珂 :
ありません

夏瑞珂 :
ぷい

ラーゼス :
 

ラーゼス :
おれも何もない。ありがとう

GM :
畏まりました………。

SYSTEM :

 ………。

 ………………。
 ………………。


・ミドルフェイズ(再開)

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

『Mr・A』。
 ファントムストークスの構成員。
 どこにでもいて、どこにもいない。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 メインプロセスに移行します。
 
1:FH主要幹部への攻撃
2:FH主要勢力への協力/妨害
3:“黒鉄の狼”への攻撃
4:セットアップで可能な行動

 上記のいずれかが可能です。
 行動を希望する場合、登場侵蝕を振って下さい。  

ラーゼス :
行動する。【肉体】を用いて“貴人の庭”の妨害を。

“アセルス・デスミオス” :
ちなみにおっさんのセル的な意味での査定に関わるから
『前科者』の補正は忘れんといてちょーよ

SYSTEM :
【Check!】
 判定が発生しました。

 判定内容:FH主要勢力への妨害〈貴人の庭〉
 使用判定:肉体or運転<任意>/感覚or知覚/精神or知識<任意>/社会or情報   

GM :
ではいちおうおさらいをば…

GM :
 目標値は「対象の勢力値/2」!

 判定を行い『[達成値/10(少数点切り捨て)]+1』の数値分、対象となる組織の勢力値が減少します。
 指定した勢力以外の勢力値は[減少した数値-1]分増加します。

ラーゼス :
1d10 (1D10) > 3

system :
[ ラーゼス ] 侵蝕率 : 37 → 40

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 55 → 58

GM :
では、そのまま判定をどうぞ

ラーゼス :
(6+2)dx (8DX10) > 8[1,3,5,6,8,8,8,8] > 8

GM :
………

ラーゼス :
(路地裏から拾ってきた鼠を見つめる)

GM :
「貴人の庭」の勢力値は[17]です。
 勢力値/2は…

GM :
………(パラ…)

GM :
えー…「勢力値に少数が出た時」の記載がよく見たら全くありませんでした

GM :
“小数点切り上げ”なのか“切り捨て”なのかの明言をしていなかったため 今決めます

GM :
1d2
1:切り上げ
2:切り捨て (1D2) > 2

GM :
…とのことですので…

ラーゼス :
(鼠を棲家に戻す)

SYSTEM :

SYSTEM :

"七花胡" :
あまり振るいませんでしたねえ 貸した馬が怠けでもしましたか?

"七花胡" :
それならそれで、恩を売…… 所有者が責任を取らねばならぬというもの

“アセルス・デスミオス” :
(いまさらーーーーっとおっさんの責任10割にされた?)

“アセルス・デスミオス” :
くっしかし 武士は食わねど高楊枝
美女の責任をおっ被る程度はアッすんません窓際肩たたきだけは勘弁してください

"七花胡" :
査定に付け加えておきますね 餌の質ワンランクダウンと

“アセルス・デスミオス” :
 

"七花胡" :
(流す)さておき、此方から一つ助力を。
具体的にはレインボウファイアルと《夢の雫》を、“隻獅子”の先の判定に使用したい。可能ですか?

GM :
問題ありません。その場合達成値が+8されますね

GM :
無論コストのお支払いを忘れずに…さあどうぞ 撃つがよろしい!!!!!

"七花胡" :
【天秤を傾ける】

マイナー
 アカリヤザガマの天秤(レインボウファイアル)使用

次に使用するソラリスのEの侵蝕値に-1する
複数組み合わせた場合、全てに適用
1S1回

"七花胡" :
【液肥を注ぐ】

オート
 夢の雫

達成値+8

対象:単体(“隻獅子”)
射程:視界
侵蝕:2

1R1回

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 47 → 49

GM :
ではこれにて…

ラーゼス :
すまない、手間をかけた…

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、勢力値が変動します。

“リグ・ヒンサー”:14→15
   “貴人の庭”:17→15
“御手翳す開放者”:20→21 

SYSTEM :
【Check!】
 メインプロセス判定を続行します。 

アレウス :
俺も続けて、貴人の庭を妨害するとしよう。
判定は<知覚>だ。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
お嬢様もそろそろ堪忍袋の緒が切れるわね。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
“いいの?”は聞いてほしい?

アレウス :
聞いて答えても、お前らは「ボスがそうならそれで」で済ますだろ?

“血穢の蓮花”盧秋華 :
その単色を是しとするのはあのコの方ね。
       カラフル
私、もうすこし複雑な方が好みだもの

アレウス :
くっくっく ま、俺も複雑な心境ではあるがね…

“血穢の蓮花”盧秋華 :
じゃ、それが答えにしましょうか。
明日の百より今日の五十、ね?

アレウス :
お前には筒抜けのようだな……全く。

アレウス :
情報収集ではヘマをしたが、今回も<ハイペリオン>を活用した、<スカイキッド>搭乗状態で行う。

GM :
もちろん問題ありません。それでは…。

SYSTEM :
【Check!】
 判定が発生しました。

 判定:FH主要勢力への妨害〈貴人の庭〉
 肉体or運転<任意>/感覚or知覚/精神or知識<任意>/社会or情報 

アレウス :
(6+3)dx+3 <感覚:知覚>+AIDA (9DX10+3) > 9[2,3,3,4,6,7,7,8,9]+3 > 12

アレウス :
1d10 登場侵蝕 (1D10) > 1

system :
[ "死滅天隕"アレウス ] 侵蝕率 : 43 → 44

“血穢の蓮花”盧秋華 :
恙無く、ね。帰り道には気を付けて?

アレウス :
ああ。

アレウス :
ギルドの連中ならまだしもだが……特記戦力に出てこられると少し骨は折れるがね。

アレウス :
ま、姫君も同じことをしていたんだ。多少は大事だろう、大船に乗ったつもりでいかんとな。

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、勢力値が変動します。

“リグ・ヒンサー”:15→16
   “貴人の庭”:15→13
“御手翳す開放者”:21→22 

SYSTEM :
【Check!】
 メインプロセス判定を続行します。 

夏瑞珂 :
“黒鉄の狼”へ攻撃をしかけるわ

SYSTEM :
【Check!】
 “黒鉄の狼”への攻撃が選択されました。 

GM :
 畏まりました。どちらの勢力から協力を受けますか?

夏瑞珂 :
じゃあ~黄色

“黄の希人”アーキル :
 渡りに船だが、まさか舌の根も乾かないうちに舞い戻ってくるとは………

“黄の希人”アーキル :
 ま、いいさ。前半は事実だ。
 虎穴に入らずんば虎子を得ずってね。行くぜ

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
  Ally:Shahada
 Enemy:Lemuria

.   Physical:Matchless dangerous
     Sense:Extremely dangerous
.   Renegade:Extremely dangerous
. Danger_level:Matchless dangerous  

SYSTEM :
【Check!】
 判定が発生しました。

 判定内容:“黒鉄の狼”への攻撃
 使用判定:肉体or白兵/感覚or射撃/精神orRC/社会or交渉 

GM :
 侵蝕確認後、任意の判定(肉体or白兵/感覚or射撃/精神orRC/社会or交渉)を宣言し、判定を行ってください。
『[達成値/10(少数点切り捨て)]+1』+『協調した勢力の勢力値/2(少数切り捨て)』の数だけ1d10のダイスを使用。
 その数値の結果分ダメージを与えます。

夏瑞珂 :
技能は白兵で、エフェクトを使うわ

夏瑞珂 :
【 Outta My Head 】
マイナー:なし
メジャー:《風鳴りの爪 LV1》+《コンセントレイト:ハヌマーン LV2》+《援護の風 LV5》

“黄の希人”アーキル :
あっちも警戒…いや”その気”ってトコだろうが
以前のが奇跡じゃないならイーブンだ

“黄の希人”アーキル :
退路は気にしてほしいが、どうせ気にすまい。
好きにやれ!

夏瑞珂 :
とうぜん。だって殺すもの、ここで──かならず

夏瑞珂 :
1D10 (1D10) > 1

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 63 → 64

夏瑞珂 :
10dx7+5 (10DX7+5) > 10[1,1,2,3,7,7,8,8,8,9]+10[2,4,5,6,7,9]+10[4,9]+2[2]+5 > 37

SYSTEM :
【Check!】
 ダメージが確定しました。
 ダメージ:4d10+11d10 

夏瑞珂 :
15d10 (15D10) > 102[4,10,8,3,7,9,9,9,6,9,10,6,8,3,1] > 102

夏瑞珂 :
1を振り直すわ。いい?

GM :
勿論! …どうぞ!

夏瑞珂 :
1D10 (1D10) > 3

“黄の希人”アーキル :
(二発目、数時間前の戦闘よか確かに通りがいい…)

“黄の希人”アーキル :
(…こいつは万一にあった“偶然”じゃないってワケだ、が…!)

SYSTEM :
【ERROR!】
“黒鉄の狼”の〈超人的弱点II〉が一時的に発動失敗しました。

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、ダメージが発生します。
“黒鉄の狼”の〈超人的弱点II〉が発動しています。

“黒鉄の狼”:444→339 

”黒鉄の狼” :
───悪くない

”黒鉄の狼” :
久方ぶりの戦場だ
よもや二度三度と脱兎を晒してくれるな

SYSTEM :
【Check!】
 続いて離脱判定を行います。 

SYSTEM :
【Check!】
 判定が発生しました。

 判定内容:状況からの離脱
 使用判定:回避/知覚/知識<レネゲイド>/交渉
 
 ※「ALLY」の勢力値を達成値に加算します 

GM :
 では任意の判定(回避/知覚/知識<レネゲイド>/交渉)を宣言後、判定を行ってください。

GM :
 目標値は「20」となります。
 加算される彼らの勢力値は…

GM :
 ………[22]! そう、22です。

“黄の希人”アーキル :
 不服だろうが身を削る貧乏くじはこっちが先約だ
 そら、支度しろ支度!

夏瑞珂 :
しぶしぶ

夏瑞珂 :
じゃあ 回避……

“黄の希人”アーキル :
(あからさまに不服!)

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 64 → 70

夏瑞珂 :
5dx ころりん (5DX10) > 10[3,3,3,4,10]+8[8] > 18

夏瑞珂 :
つーん

“黄の希人”アーキル :
 全く高い買い物だよ…!
 だが今は生きてて貰わにゃあ困るようでね

“黄の希人”アーキル :
 エスコートの時間だ、
              パロミデス
 たかが怪物に討死する役目はお友達のご領分でね…!

”黒鉄の狼” :
 二度ならず三度預けるとはな
 小癪な男だ

”黒鉄の狼” :
 だが………

”黒鉄の狼” :
 戦いとあらば本腰を入れるべきか
 もはや“食い残し”の片方には───

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。
 離脱に成功したため、戦闘を省略します。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 メインプロセス判定を続行します。 

"七花胡" :
では……皆さんの目が外に向いているうちに、こっそりやっておきたいことをこなしておいてしまいましょう。

GM :
ふむ…

"七花胡" :
セットアップで可能な行動として、情報判定を行います。”帝釈天”を、情報:UGNで開示したく。

GM :
了解しました。それでは…。

SYSTEM :
【Check!】
「情報判定:“帝釈天”」の使用判定に、
「情報:UGN」が使用されたため、判定を自動成功とします。 

“帝釈天” :
………

“帝釈天” :
───鶯啼山客猶眠…

とは、もうゆかぬようですね

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています... 

SYSTEM :
【Check!】
 イベントの発生を確認しました。
 メインプロセスの判定確認後、シーンを展開します。

"七花胡" :
1d10 登場侵蝕 (1D10) > 4

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 49 → 53

"七花胡" :
     同郷の者あらば助け合うがよし
まあまあ。老乡见老乡,帮忙理应当……とも言うでしょうから、ねえ?

“帝釈天” :
まことその通り。しかし…。

“帝釈天” :
───嗚呼まったく、世界の狭きこと。ねえ?

"七花胡" :
……………………

"七花胡" :
そうですね。自分の想定通りならば。全く、縁の深いことです。

SYSTEM :
【Check!】
 クリンナッププロセスに移行します。

 “黒鉄の狼”がFH諸勢力と交戦中です... 

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、勢力値が変動します。

“リグ・ヒンサー”:16→11
   “貴人の庭”:13→8
“御手翳す開放者”:22→17 

SYSTEM :
【Check!】
 交戦の結果、”黒鉄の狼”がダメージを受けました。  

"赤の鬼人” :
6d10  (6D10) > 28[5,7,3,3,7,3] > 28

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
4d10  (4D10) > 14[4,4,1,5] > 14

“黄の希人”アーキル :
8d10  (8D10) > 33[1,6,9,4,3,1,1,8] > 33

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、ダメージが発生します。
 “黒鉄の狼”の〈超人的弱点II〉が発動しています。

“黒鉄の狼”:339→304 

SYSTEM :
【Check!】
 FH諸勢力が行動中です... 

"赤の鬼人” :

"赤の鬼人” :
…こちらは前回と同じ行動をとる。

"赤の鬼人” :
14dx+2 (14DX10+2) > 10[1,2,2,3,3,3,5,7,8,8,9,10,10,10]+10[7,9,10]+6[6]+2 > 28

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、勢力値が変動します。

“リグ・ヒンサー”:11→14
   “貴人の庭”:8→8
“御手翳す開放者”:17→17 

GM :
シークレットダイス

“黄の希人”アーキル :
続いてはこっちだ。さて…。

“黄の希人”アーキル :
…蜂の巣をつつくこともしないでいいだろ。
連中との契約もそのまま行きたい…。

“黄の希人”アーキル :
「1:自組織の勢力拡大」、内容は【交渉】。順当にやらせてもらうか。

“黄の希人”アーキル :
19dx+10 (19DX10+10) > 10[2,2,2,4,4,4,5,5,6,7,7,7,8,8,8,9,9,10,10]+6[2,6]+10 > 26

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、勢力値が変動します。

“リグ・ヒンサー”:14→14
   “貴人の庭”:8→8
“御手翳す開放者”:17→20 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
最後は私ね。と、言っても。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
ニホンに仏の顔が…って諺があるの。
知ってる?

SYSTEM :
S1d2 1:アレウス 2:ラーゼス (1D2) > 1

SYSTEM :
【Check!】
 “貴人の庭”が『3:他組織への攻撃(プレイヤー)』を選択しました。

 対象PC:アレウス 
 『運転or知覚or知識or情報:目標値「勢力値/2」』
 『白兵or射撃orRCor交渉:目標値「勢力値」』   

SYSTEM :
【Check!】
 テレサ・C・クリスティと
 “ヘカトンケイル”がコンボの宣言を行いました。  

SYSTEM :
プレスィオーネ・デラ・レギナ
■オート:その威で圧す
《ジャミングL4》
・対象の行動ダイスを-[Lv]Dする

SYSTEM :
■オート:オーラバインド
《魔獣の咆哮 L5》
・対象の行動ダイスを-[Lv]Dする

GM :
それでは判定内容をどちらにするか宣言後に、判定をどうぞ。

アレウス :
東洋の言葉を引用するとは、随分と"通"になったな

アレウス :
ま、百戦して、都合良く何度も逃げ切れるなどとは思わんさ。

“逢魔狩り”三草由芽 :
…ボス!

アレウス :
ミクサァ! お前は徹甲弾だ──今はまだ、打ち込む時じゃあねえよ。

アレウス :
安心しな、今回は俺"達"だけじゃあねえんだ。

アレウス :
一応、射撃を選択するが……振れるダイスは無い。

“逢魔狩り”三草由芽 :
…了解!

アレウス :
ンな顔されるとこっちが困る! いつものように笑ってろ!

“逢魔狩り”三草由芽 :
じゃあお言葉に甘えまして!!!

“逢魔狩り”三草由芽 :
引き金引かれず死蔵になったら
勝手に撃鉄あげちゃいますからね

SYSTEM :
【Check!】
 判定に失敗しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 襲撃が選択されました。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・襲撃(VSヘカトンケイル)

SYSTEM :
【Check!】
  Ally:Empty
 Enemy:Hecatoncheir

.   Physical:Extremely dangerous
     Sense:low
.   Renegade:low
. Danger_level:High 

SYSTEM :
【Check!】
 襲撃戦闘が発生します。

 襲撃者:“ヘカトンケイル”
 対象者:“死滅天隕”

SYSTEM :
【Check!】
 シーン登場宣言を確認します。
 襲撃の対象以外のPCについて、
 登場を希望する場合は宣言を行ってください。 

ラーゼス :
…救援に入る! よいな!

SYSTEM :
【Check!】
 “隻獅子”のシーン登場を確認しました。 

アレウス :
──来い! 今がその時だッ。

SYSTEM :
【Check!】
 戦闘配置が確定しました。 

SYSTEM :
[A]
1:“死滅天隕”
2:“隻獅子”
       -5m-
[B]
3:“ヘカトンケイル”

“ヘカトンケイル” :
 ………つぶ、す!

SYSTEM :
【-Round 1-】

SYSTEM :
■セットアップ
 タイミング:セットアップのエフェクトを宣言出来ます。 

ラーゼス :
昂ぶりが足りぬ。まだだ。

アレウス :
《コーリングシステム》を宣言する。
《スカイキッド》に搭乗しよう。

“ヘカトンケイル” :
■セットアップ:ギガントマキアー
《Dロイス:野獣本能》《完全獣化L3+1》
《進化の大爪L3+1》《進化の重鱗L3+1》《進化の末脚L3+1》
・シーン中、肉体を使用したあらゆる判定を[Lv+2]D
・完全獣化中、行動値、ガード値、白兵の攻撃力を[Lv*3]

SYSTEM :
■セットアップ
 セットアップ結果を確認しました。
 行動値が変化します。

 “ヘカトンケイル”:3→15 

アレウス :
遂に吼えたな 狂犬が!

“ヘカトンケイル” :
ウウウウオオオオオオオオーーーーッ!!!!

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 事の発端は、“貴人の庭”を間借りするギルドの対オーヴァード用の部隊。

 “黒鉄の狼”との戦闘領域を小癪にも避け、そこに関与していない“リグ・ヒンサー”と“御手翳す開放者”の縄張りにちょっかいを出すギルドの小間使いの出処を叩いた“死滅天隕”が、粛々と一仕事を終えて帰還しようという…まさに、その時だった。

SYSTEM :
 パリオリを中心に広がるオルクス・シンドロームの領域が、帰り道を飛翔ぶ鳥を待ち草臥れたとばかりに周到に整えられていた。

 心当たりは言うまでもない。そこは彼女の血脈の通り道。
 一度目を逃がし、のうのうと二度目を赦すほど、その武力も敷居も易くはない。

SYSTEM :
.ずどん
 轟音───と。

 領域を伝って、あなたの乗るP.Fさえ小人と錯覚…そう、錯覚してしまいそうなほどに、ほとばしる威圧感。
 雑味の一切混ざらない、縄張りを侵すものへの獣の殺意。
 それが、反響く落下音と、空高く舞い上がる土埃と共に渦を巻いた。

“ヘカトンケイル” :
「………………」

SYSTEM :
.ずしん
 轟音───と。

 地面を踏み鳴らす音。 

SYSTEM :
 彼を構成するものはキュマイラ由来の筋肉の塊。
 迫撃において秀でる組み合わせと、それを生かす最高峰の土台…。

 ───あちら/“七花胡”の手勢の報告曰く。
 ガキの頃から育てて躾けた暴力担当。

“ヘカトンケイル” :
「さいしょ…見つけた…逃がした…」

“ヘカトンケイル” :
「二度目は、にがさない…」

SYSTEM :
 その視線に混じりけはない。
 純粋な敵に向ける目と言葉。

 自らのさだめた居場所に忠実な猛犬の所作だ。

ガンドルフ[バルチャーII] :
<高レネゲイド反応接近>

ガンドルフ[バルチャーII] :
<カラーセレクト、ブルー>

アレウス :
「流石に二度はねェか」

アレウス :

 土埃の作る渦の中でガンドルフのセンサー・アイが喧しく動く。
 感覚強化/物質変換を軸とする自らの能力とは、大きくかけ離れた肉体強化の力──……。

「よう、番犬、ご苦労」

アレウス :

 獣の殺意なんてものは、とうに見飽きた。
 機械化された殺意と、薬で狂った殺意、あらゆる殺意を身に受けて来た。
 その殺意に、いっぺんの情も見せることはない。

 それが誰であろうとだ。
 ファルスハーツという大船に乗った者は──……護れば、そこで終わる。

アレウス :

「(しかし、骨は折れるな──手傷が回復しているわけでもない……ここは)」

 ──現着したガンドルフの、開かれたハッチに飛び込み網膜キーボードでコマンドを入力。
 背部に取り付けられたR・ラックから、いくつかの発光体が飛び出し、狼煙のように光る。

「(さて、誰か気づくといいんだが……)」

ラーゼス :
 発光弾の発砲からそう時を待たず、おんなの体が空から降ってくる。
 地響きのような音を上げて、蒼い槍が石畳に深く深く突き立った。
 飛行──否、軽々と家々を超す大跳躍。
 石畳を割った槍を軸に、アレウスの駆る鋼の海豚の傍らへ着地する。

ラーゼス :
「待たせては──」

ラーゼス :
「……。いないようだ。まだ無事だな、アレウス?」

アレウス :
「ラーゼスか、丁度良すぎるくらいだ」

アレウス :
「ああ無事だ、まだお互いランデヴーした程度」

アレウス :
「アレが、"青の貴人"に飼われている例の"番犬"だ。
 流石に今回は警戒網から逃れられなかったようだ……ヘマをカバーしてもらってすまんね」

SYSTEM :
 落着する姿。
 強靭くもしなやかな獣と、煤けた火のにおいをまとった鋼色が織り成す眼前の状況を、その眼が見つめる。

 単身ならば構わず飛び掛かっただろうが、二つに増えたことで勘働きがあったか。

“ヘカトンケイル” :
「………」

ラーゼス :
その姿を見つめる。よく躾けられた番犬の風情。

ラーゼス :
「……いや。獣の鼻は鋭い。
『いずれ』が早くなっただけのことだ。抑えが間に合っただけ僥倖と思うべきだろう」

ラーゼス :
「……貴公が番犬、と呼ぶのもわかる男だ。やすやすと撃退はできぬな」

アレウス :
、   まえ
「ああ、前衛は頼んだぞ」

“ヘカトンケイル” :
「………おま、え」

“ヘカトンケイル” :
「無関係じゃ、ない…」

SYSTEM :
 寡黙というよりか、
 彼はひとの言葉が“へた”だった。
 
 まっすぐ指差したと同時に、黙していた理由にあたりがつく。ただの確認だ。
 “通りすがったほかのエージェント”という万一を考えていたのか、単に理由がないものと戦う気がないだけか。

SYSTEM :
 …しかしそれも、だ。
 今の反応で大方納得したらしい。

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
「そうだな。この男と関係がある。
 ともに戦う理由を持った戦友というやつだ」

ラーゼス :
応じるように槍を引き抜いて構える。おおげさに誘いはしないが、明確に彼我の関係を示す仕草。

アレウス :
「──ハ、殺し文句だな」

“ヘカトンケイル” :
「───そう…か」

SYSTEM :
 …応じる言葉に彼はうなずいた。

 その筋骨隆々とした図体に見合わぬ素朴さが、再びなりを潜めて。
 訪れる直前に感じていた、静けさに混ざるものが表に顔を出した。

“ヘカトンケイル” :
「おれは…恩を忘れない」

“ヘカトンケイル” :
 ・・・ ・・・・・・
「そして、仇も忘れない」

SYSTEM :
 はち切れんばかりの、内側から外側への奔流は、
 ハヌマーン由来の衝撃操作による暴力の擬人化。
 
 内側から引き裂くような暴力を、内外ともに生まれ持った剛性が抑え付ける。
 猛る音の響き、その引き金は怒りだ。

SYSTEM :
 義務から生じる怒りだ。
 何に向けていたのかといえば、それは当然。
    ・
 自分が主と定めたもの、
 それを害する遍く相手への怒りだ。

“ヘカトンケイル” :

「───ぐぅううううううう、」

“ヘカトンケイル” :

「おおおおおおおあああああーーーーっ!!!!!!!!!」

SYSTEM :
 獣の眼差しが、剛力が表面化する。
 バーサーカー
 強化兵が牙をむく。
 ・・・・
 戦闘態勢だ。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
■手番処理
“ヘカトンケイル”が行動を宣言します。 

“ヘカトンケイル” :
■マイナー
Minor:《破壊の爪L4+1》《ハンティングスタイルL2+1》
・そのシーンの間、[威力:(Lv*2)+8][G値1]の武器を装備

“ヘカトンケイル” :

        巨 岩 砕 き
■メイン:スパス・トゥ・ヴラーフォス
Major:《CRキュマイラL2+1》《銘なき刃Lv20》《吹き飛ばしL2+1》《グラップルL3+1》

 HIT:16dx7+5
 ATK:(x+2)d+50
Add'l:ダメージを与えるとラウンド中のガードを-[Lv*5]点
  .:ダメージを与えると相手をエンゲージから移動させる(Lv*2m)
Target:単体

SYSTEM :
 攻撃対象を選択しています... 

SYSTEM :
S1d2 1:アレウス 2:ラーゼス (1D2) > 1

SYSTEM :
 攻撃対象が確定しました。

 Target:単体→アレウス

“ヘカトンケイル” :
16dx7+5 (16DX7+5) > 10[1,2,2,2,3,6,6,8,8,8,8,8,8,8,9,10]+10[1,4,5,5,5,8,9,10,10]+6[4,5,5,6]+5 > 31

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています… 

アレウス :
お勤めご苦労さん……!

アレウス :
ドッジだ!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

“死滅天隕”:ドッジ 

アレウス :
1dx+1 <肉体:回避> (1DX10+1) > 2[2]+1 > 3

ガンドルフ[バルチャーII] :
<──バランサー損傷……回避不能>

“ヘカトンケイル” :
がぁあああああああーーーッ!!!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

“死滅天隕”:ドッジ→失敗

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています...

“ヘカトンケイル” :
5d10+50  (5D10+50) > 34[7,8,8,5,6]+50 > 84

SYSTEM :
■ダメージ計算
 下記の追加効果が発生します。
 
・吹き飛ばし:エンゲージから6m移動
・ガード値減少:ラウンド中-20 

system :
[ "死滅天隕"アレウス ] HP : 2 → -82

アレウス :
ち…リザレクトだ!

アレウス :
1d10 (1D10) > 1

system :
[ "死滅天隕"アレウス ] HP : -82 → 1

system :
[ "死滅天隕"アレウス ] 侵蝕率 : 44 → 45

“ヘカトンケイル” :
ぬうぅ………

アレウス :
やってくれる! だが死に切れんのでな!

SYSTEM :
■手番処理
 “死滅天隕”が行動を宣言します。 

アレウス :
高くつくぞ──……

アレウス :
《デゼルト=カノーネ》

オート:ウェポンケース(→雷将神器装備)
マイナー:ペネトレイト+小さな塵+コンセントレイト:AH
ターゲット:“ヘカトンケイル”

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。 

アレウス :
(6+3-1)dx8+12 <感覚:射撃> (8DX8+12) > 10[1,2,3,3,6,6,8,10]+10[3,9]+7[7]+12 > 39

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています… 

“ヘカトンケイル” :
■リアクション:ガード

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

“ヘカトンケイル”:ガード

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています...  

ガンドルフ[バルチャーII] :
(3+1)d10+14 <ダメージ> (4D10+14) > 16[2,2,3,9]+14 > 30

ガンドルフ[バルチャーII] :
アーマーブレイク。ガードは通しますが──……

“ヘカトンケイル” :
───むん………!

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージが確定しました。 

アレウス :
……チッ 腕部の損傷が激しいな。

アレウス :
すまんが浅い! 続きの貴様には迷惑をかけるな!

ラーゼス :
あいさ。槍働きは得意だ!

“ヘカトンケイル” :
おおおおおあああああーーっ!!!!

SYSTEM :
 巨人は反撃をものともせず振り返り、
 荒ぶる心のままに雄叫びをあげた!

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています...

SYSTEM :
■手番処理
 “隻獅子”が行動を宣言します。 

ラーゼス :
ゆくぞ!

ラーゼス :
メジャーアクション/
【淀裂く幻月】:《コンセントレイト:ブラックドッグLv2》+《アームズリンクLv3》+《パワースイングLv3》
 判定:(6+3-1)dx8+8
 攻撃:nd10+20
 対象:“ヘカトンケイル”

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。 

ラーゼス :
(6+3-1)dx8+8 (8DX8+8) > 10[1,1,2,5,6,7,8,10]+4[2,4]+8 > 22

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています… 

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 58 → 65

system :
[ "死滅天隕"アレウス ] 侵蝕率 : 45 → 52

“ヘカトンケイル” :
ぬうううう…!

“ヘカトンケイル” :
1d2 1:ガード 2:???? (1D2) > 1

“ヘカトンケイル” :
■リアクション:ガード

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

“ヘカトンケイル”:ガード 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

ラーゼス :
3d10+20 (3D10+20) > 15[3,7,5]+20 > 35

“ヘカトンケイル” :
ごっ………!

“ヘカトンケイル” :
───がぁああああ!

SYSTEM :
 巨人の“獣化”でさえ引き裂けない獣の鎧と鋼鉄さえ比較にならない筋肉の鎧が、あなたの攻撃を防いでいる!▼ 

ラーゼス :
──なるほど、堅い…! 竜の鱗もかくやか!

アレウス :
バケモンめ……

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 爆ぜるような音は、戦場を鋼鉄が迫撃し、命が失われるときの音に似ている。
 だがそれを起こしたものに、近代火器やそれに準ずる道具は一切関わりがなかった。

 もちろん、ちょっとやそっとの“剛力”で竦み上がるほどあなた/“死滅天隕”の戦場は温くない。
 ましてや、あなた/獅子のたどった道も。

SYSTEM :
 だがその前提、すなわちこの戦場がオーヴァードの戦場であるという事実と一緒に、
 空気を引き裂き、余波で硝子を割りコンクリの石畳を拉げさせる波濤が身を打ち据えた。

 しかもそれは攻撃ですらない。

“ヘカトンケイル” :

「おぉぉぉぉおおおおーーーっ!!!!」 

SYSTEM :
ヘカトンケイル
 “醜い巨人”が、鋼鉄の巨人めがけて突っ込むときに発生したソニックブーム。
 音速で動くにはあまりに巨きすぎる暴力のかたまりが、おのれより遥かに大きなものを、破裂するような空気のかたまりを握りしめながら“吹き飛ばす、まさにその直前の余波だ。

SYSTEM :
 それ以外、何ら特筆するものはない。

 ただ早いものが、目に入るもの目掛けて怒りのままに襲い掛かって殴り倒すだけ。
 それだけだが、それだけで事足りる。それ以上は不要だし、それ以下のすべてが太刀打ち出来ない。

 神々の権能の中に、ただ剛力だけで馳せ参じ、巨岩のみで天秤を傾けた巨人の名の通り…。
 爆ぜるような打撃が真空をかたちづくって、P.Fの装甲と守りさえ容赦なく押し退ける! 

ラーゼス :
(……なんという剛力か!)

ガンドルフ[バルチャーII] :
 ガガン、と大きな音を立ててガンドルフが吹き飛ぶ。
 "懐刀"の時と違い、ハッチを開けて生身で受けるという事は出来ない。
 装甲材の厚みをものともせず、その衝撃で吹き飛ぶ機体を、備え付けられたバーニアと、脚部に接続したバルチャーユニットの噴射で耐えうる。

ガンドルフ[バルチャーII] :
 内部で一度死に、即座に内部のヒーリングアクターを接続、コンマ数秒のリザレクトを実行し、AIDAを強制再起動。

ガンドルフ[バルチャーII] :
 神の拳を受けてなお、それを耐えうるのは──オーヴァードの持つ、レネゲイドの"発展性"を利用した、装甲のお陰と言えるだろう。

アレウス :
「無茶苦茶やりやがる……二度、死んだか」

アレウス :
「ダメコンは!」

ガンドルフ[バルチャーII] :
<完了。アクティブ・ダイレクト・バウンサーにより即座の射撃に移れます。>

アレウス :
「それでいい! パターン・スピアだ!」

アレウス :
 腰部ラックから引き抜いた光槍ライフル"ラ・フォルトゥーナ"を軸線上に向け、"ヘカトンケイル"に狙いを定める。
 ライフルの中に仕込まれた"弾"を生成する光媒体を、東南アジアより発掘された伝承上の武器を組み込む。
 ヴィクターの考え付いたそれを、あずかり知らぬ巨人へ突き刺すように──……

アレウス :
「フルドライブだ! 撃ち抜くッ!」

ガンドルフ[バルチャーII] :

 ガンドルフに搭載されたジェネレータが急稼働し、エネルギーを急速注入。
 網膜キーボードに打ち込まれたコマンドを承認、P.F.の手から直接回路を通して送られたAHのRエネルギーを、光軸として照射。

 その光は螺旋を描き、触れればその肉を喰らう"かえし"を付け、光の槍として撃ち放たれた!

SYSTEM :
 そうとも。
 たった一撃で爆ぜ散るほど、あなた/“死滅天隕”の愛機は柔に出来ていない。
 分析と攻撃に余分はない。死はかりそめであるが必然だ。脳が馴れている。
 
 コンマ数秒のリザレクトと共に、進行している状況をAIDAによる並列思考で計算、補正しながらも、アタック・パターンを再形成。
 慣性と真空に載って、蛮行への返礼として放たれる燐光は、ただの光学兵器の延長線などではない。

SYSTEM :
 同型のP.F、PAアーマー、おおむね戦術クラスの兵器との交戦に即し、同種の生残性と装甲を食い破る仕掛け槍。
 超人と共存する戦争の中、より確実に“敵”を殺す人工の殺意。眼前の生き物とは対極の理念だ。

 爆ぜながら貫く。
 堅牢な装甲を最初から相手にしていない徹甲と光学の合わせ技に、彼の対処の余地はない。 

SYSTEM :
 …しかしだ。
         ・・
 対処の余地がないだけであり、
 耐え方はある。

“ヘカトンケイル” :
「うおぁあああああッ!!!」 

SYSTEM :
 その獣もかくやの外皮にさえ破られない、人の手で作られた合成装甲“は”貫いたとして。
 彼の肉体は別だ。キュマイラの頑強さとはそもそも鉄の硬さではない。
 はや  かた
 機敏さと強靭さ。それに加えた再生力だ。

SYSTEM :
 完璧なカウンターが片手落ちになったのは、“貴人の庭”きっての怪物が如何にして彼女の欲望を保ってきたのかを知らしめるも同義。

 …なれども断じて無傷でない。
 爆ぜる雄叫びとともに吹き消した光、舞い上がる土埃。足音と共に振り返るまでもなく、力んで踏み出す追撃よりも…。

SYSTEM :
 背の向こう側の敵意に“彼”が気づくよりも、
 先んずるものがある!

ラーゼス :
(なるほど──強い。
 あれだけの力を最小限の労力でいなし、即座に反撃へ移るか……)

ラーゼス :
(例えば、ふたつぶんでもあるかのような捷さ──)
 聞こえぬ鋼の内側での会話を知らぬまま己の過去に例え、その作法に感嘆する。
 あちらが神話の巨人ならば、こちらは現代の叡智そのものだった。

ラーゼス :
(とはいえまだ浅い。いや、彼が硬すぎる。だが)

ラーゼス :
「そこだ。待ったぞ」

ラーゼス :
 あちらが巨人の闊歩、彼が鋼仕立ての蹂躙ならば、こちらは獣の狩りであればよい。
 2つの力の交錯をつぶさに観察しながら、無造作に握った槍から火花が上がる。
 解放を求める雷の叫びは、女の喉から溢れた地割れのような唸り声が誰もの耳に届くころ瞬時に整形された。
 杖先に槍のごとき穂先が現れる。

ラーゼス :
 追撃を加えようとしなる巨人が生んだ隙を縫う。
 身を低く低く屈め、大地を蹴った瞬間、彼女の靴が踏みしめていた場所だけが大きく抉り抜かれた。
 無駄を徹底的に排された、獲物の首を狙う野生の作法。
 巨人の背後から、雷槍が風薙ぎながら振るい上げられる!

アレウス :
「(ピンポイントアタックか! 戦りなれているな──)」

“ヘカトンケイル” :
「───ご………!」

SYSTEM :
 そして二度目。
 力任せの剛腕がきわめて乱暴なカウンターを成立させるには遅く。
 しかし迫りくる獣の槍が、彼の巨人の足を縫い留めるよりは間一髪早い。
 ・・
 追撃を取り止めねばならぬ、と、そう判断する程度には。
 迫る死の気配は、瞬きの中の鮮烈さに満ちていた。

SYSTEM :
 巨人に人の智慧はなく、まことの獣の冷徹さもない。
 その動きには確かに無駄が多く、“だから”光槍は装甲を射抜き。
 その巨体は絶速なれども光速でなく、だから機は机上ではない現実となった。
       はや
 風さえも薙ぐ迅速さ。意識の隙間を縫う一撃に、反撃など出来ようはずもなく。
 獲物の首を狙った一撃が、巨人の首に確かに届くが…。 

“ヘカトンケイル” :
「お、おおお、」

“ヘカトンケイル” :
「ぬぅうううああああああーーーーっ!!!」 

SYSTEM :
 血飛沫───初撃の傷を促進するひと太刀を前に、怯めども巨人が吠える!

 ハヌマーンの振動操作にしてはあまりにダイレクトで、また奇をてらわない、ただの全方位への衝撃放出。
 爆発を思わせる轟音と衝撃で、槍が自分の首を掻っ切るのを避ける、あまりにも攻撃的な守り方。 

SYSTEM :
 むりやり仕切り直すその波涛が過ぎれば、彼の頸についた傷はみるみるうちに回復を始めていく。
 生命力は無尽蔵でなく、再生は永遠でない───あなた方/オーヴァードと同じだ。
 しかし、

SYSTEM :
 直感するだろう。そのわずかな隙間が最後の切符だ。
 逃せば、この醜き剛力を前に“仕切りなおす”余地はない!

ラーゼス :
「む……!」
 力まかせの衝撃の波濤に押されるように、踵がずるずると押し戻される。
 勢いが削がれ首に届かないばかりか、与えたはずの二人分の傷がみるみる塞がってゆく……。

ラーゼス :
 即座に感じ取る。
 これ以上は死線になるだろう。
 討ち取ることが叶ったとて、こちらもただでは済むまい。

ラーゼス :
 足をわずかに引いた。
 踏み込むための前動作にも見える動き。
 視線は片時も敵から外さぬまま、後方の戦友を意識する。

ラーゼス :
「……アレウス」

ラーゼス :
 彼の意を問うために呼びかける。
 最終判断を、人の戦を知り尽くす者に委ねる。

アレウス :

 驚きの声こそあげない。、ジリー・プアー
 上げないが……このままでは徐々に不利だ。
 短時間、いや、瞬時に傷を塞いでしまう超回復を持つ化物相手には、シンプルな火力が足りない。
 ラーゼスはその様子からして、中程度の侵蝕率の上昇こそ確認できるものの、ボルテージは上がり切っていない。
 こちらも、そもそものジェネレーターの出力と侵蝕率は高まらない一方だ。

アレウス :

(二人では足りんな。
 どうにかしてシアを、コイツとの戦いに紛れ込ませ……"七花胡"にも馬車馬のように働いてもらう他ない)

アレウス :

 音を聞く。
 布と土の擦れる音、それはラーゼスが足を僅かに引かせた証拠だ。
 エンジェルハィロゥの超感覚がそれを伝えている。
 その動作と、名を呼んだ一声で、意図を完全に把握する。

アレウス :
「撤退だ……掴まれ!」

ガンドルフ[バルチャーII] :

 ガンドルフが浮かび上がる。
 脚部に接続したフライトユニット"バルチャーII"のエンジンが急速に回り始めた。
 膝下部より展開したランディングギアが、微かなレーザーサイトをラーゼスに向ける。

 L字状に展開したギアは、正に"掴め"と言っているような形状だ。

ガンドルフ[バルチャーII] :
<離脱可能時間まで10秒──ミス・レオーナのギア・キャッチを確認と同時に緊急発進スタンバイ>

ガンドルフ[バルチャーII] :

 目くらましと、僅かな牽制。
 この暴力的な肉体の持ち主に通用するかは分からぬが、せいぜい釣られてくれればいい。
 ラックより射出された4本のブレード・ビットが、ブーメランのように回転し攪乱を起こす!

ラーゼス :
 機体の動きを察知し、槍持ち踏み込んで──
 後方へ宙返り。長身が空を舞い、浮遊する鋼の脚部をしっかりと掴む。

ガンドルフ[バルチャーII] :
<チェック>

アレウス :

 ぐ、っとコクピットの下半部分に取り付けられたペダルスイッチを押し込む。
 肘と連動したレバーの動きを受け──

ガンドルフ[バルチャーII] :

 機械仕掛けのイルカが、バルチャーと共に急速発進する。
 スクランブルと同時に、撹乱目的で放たれたブレード・ビットが、光を撒き散らす。

アレウス :
「舌を噛むなよ! 急速離脱する!」

ラーゼス :
 わかった
「はかっは」

SYSTEM :
 底なしの狂暴性に、双方の見解が一致する。
 すなわち一時の後退だ。

SYSTEM :
     ・・・
 あるいは斃せる───当然だ。
 頑強であろう、精強だろう、なれど無敵ではない。

 二度目の矛を今度こそ、深々と突き立てたならば。
 リザレクト
 再生能力が土台のキュマイラありきの治癒力、無限でなく、対価を礎とすれば彼は殺せる。

SYSTEM :
 ───しかしここは、貴人の敷いた領域だ。

 彼女の御手が届くならば…?
 そしてそれ以上に、この底知れぬ剛力の巨人に“上”があれば?

SYSTEM :
 命の懸け方を識るがため、分の悪い賭けに臨む時ではないとした判断。

 その判断が僅かでも遅れていたならば───。
 ブレード・ビットの放出を以て、動きを止めていなければ───。

“ヘカトンケイル” :
「───うらぁぁぁっ!!!」 

SYSTEM :
 獅子を連れた海豚が空を駆ける矛盾を起こした、まさにその時。
 直前までいた角度、道路の舗装が雄叫びで根こそぎ剥げた。
 
 それが命運の分水嶺を明確に指し示す。 

SYSTEM :
 ハヌマーンは振動と速度を主な得物とするが、音とて振動を伴う武器だ。
    シャウト
 ただの咆哮/本命はもちろんその剛腕であり、前置きに過ぎない点火の動作さえ、その気になれば視界まるごと吹っ飛ばす嵐に早変わり。

SYSTEM :
   ・・
 その点火の前、目くらましの殺意を迎撃するべく、腕を一振りした時間の差が仇となり、功を奏した。結果は───。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
■クリンナップ
 クリンナッププロセスを行えるキャラクターがいないため、判定を割愛します。 

SYSTEM :
【Check!】
 ラウンドが経過したため、襲撃戦闘を終了します。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 襲撃によるシーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

ラーゼス :
ん…そうだな、今はない。ありがとう。

アレウス :
そうだな、俺も無しだ。

GM :
畏まりました。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・対話シーン3(アレウス、ラーゼス)

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

 衝動:闘争
 だれしもが同じ階段を昇り、弱きさだめを喰らう。
 それが命ならば、己はすべてのさだめを喰らおう。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

ガンドルフ[バルチャーII] :

 嵐を抜けた先。
 ガンドルフのセンサーに、もう既に残存兵の反応は無かった。
 "ヘカトンケイル"ほどの怪物は、周囲に無尽蔵の被害をもたらす諸刃の剣だ。
 幾らギルドの破落戸が居たとして、それに随伴するほどの命知らずまでは居ないだろうし、そこまでの契約でもないだろう。

 ランディングギアに掴まったラーゼスを吊るしながら、飛行状態を維持。
 ただし速度は、会話が出来る程度にはゆるやかになっている。

ガンドルフ[バルチャーII] :

 煤けた空を飛ぶ、鋼鉄の海豚。
 吊り下げた獅子に対し、その海豚を動かす男が、不意に声をかける。

アレウス :
「ラーゼス。
 ここから仮拠点までぶら下がったままっていうのは、少々"疲れる"んじゃないか」

アレウス :
「ランディングギアから、ガンドルフの腕に移れるか?
    エスコート
 それで抱えていこう。地上を走るよりは空に居た方が、追手は付きにくい」

 ガンドルフは既に光槍ライフルを背中のラックにマウントしている。 
 フリーになっている両腕が、ゆるやかな飛行の最中ではあるがラーゼスに「移れ」と言わんばかりに動く。

ラーゼス :
 上から聞こえた声に、眼下から視線を剥がす。
 鋼鉄の戦士の駆り手の声が、己にはわからない場所から響いた。

ラーゼス :
「たしかに……そうだな」
 杖は既に折り畳んで収めていた。
 両手で機体の脚に掴まり続けることは確かに、不可能ではないが手間だ。

ラーゼス :
「そうする。では……すこし揺らすぞ」
 そう応えるのが早いか、軽く足を動かして体の反動をつけ、差し出された腕へ飛び移った。
 己の身の丈より大きな腕に抱えられ、軽く身じろぎしながら収まりのいい場所を探す。

ガンドルフ[バルチャーII] :

 バルチャーIIの姿勢制御ユニットが、人ひとりが飛び乗った揺れを検知。
 空力バランサーを効率よく作動させ、揺れを最小限に押しとどめる。

 ガンドルフの手は、マニュピレーターの位置を細かに調整し、ラーゼスの収まりを良くする。

ガンドルフ[バルチャーII] :

 実際の細やかな操作には熟練の技術を要する。
 P.F.の操縦経験そのものの長さは、そこまでではない。
 だが、パイロットが感覚能力に長けたAHシンドロームの罹患者であれば、この操作は容易に行えるようだ。

アレウス :
「ま、座り心地はよろしくないが、勘弁してくれ」

アレウス :
「淑女を運ぶようには出来ていないんでね。
 人殺しの兵器が、人を運ぶとは皮肉なもんだが……」

アレウス :
「……しかし参るね、人殺しの兵器である"コレ"に傷つけられて、あの再生力だ。
 俺は少し自信を無くしそうだが……貴様はどうだ?」

ラーゼス :
「いや、存外快適だ。乗られることはあれど、乗ることは少ないからな」

ラーゼス :
「貴公の気遣いも感じる。このような巨きな鋼を、よく自らの体のように扱えるものだ……」

ラーゼス :
 腕の中にいるのをいいことに、機体をしげしげと観察する。
 この中に部屋のようなものがあるのだろうことは先日の戦の中で理解したが、これだけのものが動く理屈はまったくわからない。

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
「あの“貴人の庭”の男のことだな? 確かに驚くほど固く、そして優れた癒やしの力を持っていた……」

ラーゼス :
「とはいえ……あの様子を見るに、あくまで彼は『力だけ』だ。忠誠を除けば、ことば無き兵器とさほど変わらぬのではないかとも思う」

アレウス :
「言いえて妙だな。
 自律した兵器と、大差ないという事か……暴力装置にしては、随分派手過ぎるが」

アレウス :
「……」

アレウス :

 コクピットの中でヘルメットを取り、髪をかく。
 大きなため息が、外向けの無線から漏れ聞こえる。

「俺には欲しいモンがあってな」

アレウス :
「その"宝"の前には……どうにもあの"番犬"が邪魔らしい。
 貴様の言う、この巨大な鋼の塊を、俺の身体のように動かしても、ヤツを殺しきるのは厳しい」

アレウス :
「それで少しナーバスになっていたところなんだ」

ラーゼス :
「欲しいモノ……?」

アレウス :
「ああ」

アレウス :
「……ファントムストークスにはスポンサーが居てな。
 その一人である女に、こう言われたんだ」

アレウス :
「“守る”ようになったらお終い、
 飢えなくなったら落第、だとさ」

アレウス :
「それで少し考えていたんだ。
 俺の欲しいモンは何か、ってな」

アレウス :
「まァ……遺産を手にしたいのもあるんだがな、そいつは二番目だ」

アレウス :
「……こいつを言うのは貴様が初めてだがな。
 俺が欲しいモノ──そいつは、"青の貴人"の身柄さ」

ラーゼス :
「“青の貴人”の……」

ラーゼス :
 少し考える。確かに彼は、“青の貴人”へ思うところのあるような態度を示していた。
 不思議ではない。だが、気になることといえば……

ラーゼス :
「それは……『どういった意味で』、と、おれは尋ねてもよいことか?」

アレウス :
「ああ、いいぜ」

アレウス :
 ・・・
「俺の女にでもしてやろうと、思ったんでね」

 含みのある言い方だった。
 今まで"青の貴人"に向けてきた態度とは、若干の反するような言い方。
 手触りから見れば分かる通り、女性への扱いは慎重であるこの男が、だ。

アレウス :
「欲しいモンは力ずくで手に入れる。
 それが遺産だろうと、人だろうと、……それが、ファルスハーツの理屈だ」

アレウス :
「だからさっき言ったのさ、あの巨人は"番犬"だ……ってね」

アレウス :
「……」

アレウス :
「笑えるだろ?」

ラーゼス :
「いいや。貴公がそれを望むなら努力はするが」
 気負うことのないまっすぐな否定。

ラーゼス :
「ファルスハーツは欲望をこそ是とする。
 それはつまり、欲望へ喰らいつく強さも尊ぶのだろう? おれはおかしなことだとは思わない」

ラーゼス :
「思わないが……」

ラーゼス :
「……少し不思議に思いはする。おれがこれまで見てきた貴公の振舞いと、いまの言葉がうまくつながらないことと。
 貴公が貴公自身の力のみを見て、先程ああ言ったことだ」

ラーゼス :
「“ファントムストークス”の力ではなく、貴公自身の力のみでなしたいのか? あの番犬を殺し、奥の貴婦人を攫うことを」

アレウス :
「……」

アレウス :
「分からねえんだ」

アレウス :
「もう既に、このローマは入り組みまくっている。
 通常の三大勢力だけじゃねえ、ギルドの連中まで関わってきていると来た」

アレウス :
「ここまでの規模の戦争で、他の組織も関わっていないわけがない……UGNとかな」

アレウス :
「その雁字搦めの状態で──ただの俺の我儘でしかない事を、部下や、貴様らに付き合わせていいものか」

アレウス :
「例え大勢力の長だとしても、女を意のままに掌中に収めることが、道理として通るものなのか。
 そんなことに、付き合わせていいものか……」

アレウス :
「俺には……分からない」

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
 彼は傭兵でもあると聞いた。
 金を対価に信頼と暴力を売る仕事だ。
 そういった仕事には、ある種の誠実さあるいは律儀さが要る。

ラーゼス :
 彼はその仕事を十全に熟せる。
 ・・・
 だから振り切れないのだろうか。
 部下への気遣い、混迷する状況への戸惑い、変心した旧友……。足を止めるしがらみを前にして、彼は律儀に足を止めていた。

ラーゼス :
「……アレウス。貴公は──」

ラーゼス :
「優しい男だな」

ラーゼス :
「貴公は己の力を、誇らず『人殺しの道具』と語った。
 いまも、部下でもないおれや、貴公に命を預けた部下のことを思って、欲望に踏み込みきれない……」

ラーゼス :
「それは美徳だと思うが、貴公の生業においては足を引くしがらみだとも思う」

ラーゼス :
 ・・・
「だからおれは、このように尋ねるが……」

ラーゼス :
「貴公の『欲しい』は、知った顔の他人と引き換えにはしたくないほどの、安きものか?」

ラーゼス :
「もしそうなら……貴公は欲しいものを打ち捨てて餓えることを、選ぶべきだと思う」

アレウス :
「…………」

アレウス :
「貴様は、いつもそうだな」

アレウス :
「シアに向ける時も、俺に向けたときもそうだ。
 諫め、支え、否定と肯定を使い分ける。
 情に絆されている俺なんぞより、よほど上に立つ者らしい」

アレウス :

 一つ一つの選ばれていく言葉が、苦悩に満ちた傷心の己に突き刺さる。
 だがそれは、黒く塗りつぶされているあの女のそれと違って、他者を慈しむ気品ある佇まいだ。
 例えるのであれば、"王"と言えるような。

「しがらみか、……そうなんだろうな」

アレウス :
「その、しがらみによって苦しんでいるというのは……、
 兵士として生まれ、兵士として生きることを強制された俺には……ずいぶん、重いものであったらしい」

 自覚をした。
 自分が──名もなき兵士から、人間に変わり果てていることが。

アレウス :
「……」

アレウス :
「安く、ないさ」

アレウス :
「俺にとってアイツは……、ああ、宝物なんだ」

アレウス :
「こんな、くだらん戦争で──死んでもらっちゃ、困るんだよ」

ラーゼス :
「ありがとう。おれがそう見えるのならば、師が良かったのだ。
 だがおれのように在るより、貴公のようにあるほうが心安らげるものも大勢いると思う」

ラーゼス :
 彼の部下たちがそうだろう。
 アレウスの隣に立つ彼らは、己と騎士たちの関係よりも随分気軽で、そして楽しげに見えた。

ラーゼス :
だが……。アレウスは、それだけでは充たされないのだろう。生まれか、育ちか、めぐり合わせか。あるいはそのすべてによって。

ラーゼス :
「………たからものか」

ラーゼス :
「おれは軽々な呼び方をしたな。……“青の貴人”とは、古くからの友人だったのだな?」

アレウス :
「友人、か……最初はそうだった」

 テレサのことを、どう思っていたのか。
 彼女のことを、どう思っていたのか。

アレウス :
 何年も前の話、クラウスとの相互扶助によって、彼から齎される技術の恩恵に預かった俺。
 そんな、ただのチンピラでしかなかった俺を、物珍しそうに接してきた姉妹。

アレウス :
 あの時だ。
 ターニングポイントは、あの時しか考えられない。

アレウス :
「……俺は、きっと、多分な」

アレウス :
 言葉が詰まる。
 自覚をするにはあまりにも身勝手で、行動と反するところが多すぎる。
 だが、自分自身、そうでもなければ、冷徹な合理性を貫くことが出来ていたはずなのだ。

アレウス :
 自己嫌悪と、罪悪感。
 その二種の感情を、接続したAIDAが検知し──和らげようと、抑制剤を打ち込んでくる。

 そのトリップするかのような感覚の中で、吐き出すように口にする。

アレウス :
「テレサを……ティーラを…………」

アレウス :
   ・・・
「──愛してしまったんだ……」

アレウス :
 絶対的な統制の元に訓練された、超人兵士。
 民衆から連れ去られ、革命のために育てられた少年兵。

 彼は世界からの博愛を避け、情熱の国に転がり込み、破落戸の生き方に身を染めた。

 泥と塵しかなかった世界に──輝くように、あの花は咲いてきた。

 そしてそれを……愛してしまったのだ。

ラーゼス :
「…………。……………」

ラーゼス :
 己に顔が見えないのは、彼にとって僥倖だったろう。
 それは愛を誇るのではなく、罪を告解する声だった。

ラーゼス :
「………そうか」

ラーゼス :
「…………そうか」

ラーゼス :
 愛……。
 もっとも非合理で、もっとも扱いがたく、もっとも欲望の理由となるもの。
 それを、彼は“青の貴人”へ──

ラーゼス :
 ……いいや、『テレサ』に対して抱いたということか。
 あのときの煮えきらない態度にも、“血色の探求”への焦げ付いた怒りにも、なるほど説明がつく。

ラーゼス :
「……それは……」

ラーゼス :
「気づいたまま抱え続けたものでは、ないだろう。いつからだ?」

ガンドルフ[バルチャーII] :

 数秒の沈黙。
 深く澱みある紫の鋼兵からは、周囲を索敵しているセンサーの音だけが出る。
 男の顔は見えない──見えるはずがない。
 それを見ていいのは、この世に誰もいないのだ。

「……」

ガンドルフ[バルチャーII] :

「10年前さ。顔を合わせた時は、餓鬼だと思っていた。
 ……それから少し交流を経て、いつぞやか、な」

ガンドルフ[バルチャーII] :
「確信したのは……、そこから去ってからだった」

ラーゼス :
「………そうか」

ラーゼス :
「……貴公は、恋した女と自分の道を、いま天秤にかけているのだな」

ガンドルフ[バルチャーII] :
「キツい事を言う」

ガンドルフ[バルチャーII] :
「……その通りさ」

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
 状況は、けっして良いとは言えない。
 彼が語る“青の貴人”は、この街を砲塔とするための陰謀の片棒を担いだ者たちと手を組んだ。
 もしそれだけのことを問題にしないとしても、

ラーゼス :

 彼の恋した女が、彼の恋した花の形を残している証拠などどこにもない。
 今この街に立つのが“青の貴人”という王であるのなら、『少女』は悲しいほど邪魔だ。

ラーゼス :
   少女
 その弱きを父の命とともに切り捨てたのなら、地中に埋められたものを掘り返す手段などないのかもしれない。
 身内の高貴なる青き血で身を汚した花は、彼が親しんだものではないだろう。

ラーゼス :
「……アレウス」

ラーゼス :
「貴公はおれのどこかを信用し、こう話してくれたのだろう。
 だからおれも、大切なことを問うておこうと思う」
 部下でも、利害関係の一致した同盟者でも、旧友でもなく。この地に迷い込んだ異邦人を信用し、この事実を告解した。
 それは彼自身が、彼に問いたいことがあるからであるはずだ。

ラーゼス :
「“青の貴人”が、 
『ティーラ』でなかったとしても、そうなのだな?
 それを──おれに、彼女に。いま語れるか?」

ガンドルフ[バルチャーII] :

 僅かに、ラーゼスを支えているマニュピレーターが揺れた。
 感覚を直結し操作しているP.F.だからこそ、搭乗者の感情的な動きはダイレクトに伝わる──伝わってしまう。

 それは分かっている事だからだ。
 もう、あの時に戻ることなどできない。
 それは──憧れていたはずのボスとの、乖離の時も、自分に言い聞かせたことだった。

ガンドルフ[バルチャーII] :

「……」

ガンドルフ[バルチャーII] :

「語れるものか」

ガンドルフ[バルチャーII] :

「だが──……それでも。
 それでも、死んだら、それで終わりだ。
          ・・
 だから──……ああ、そうさ」

ガンドルフ[バルチャーII] :

「……だから、俺の女にするってな、言ったんだよ」

ラーゼス :
「……………」
 彼の動揺が機体にまで現れたのを感じた。
 続けることにためらいを覚えるが、瞑目して抑える。
 “血色の探求”のことばが正しいのなら──己はいまの“青の貴人”を理解できるだろうからだ。

ラーゼス :
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
「摘み取ったことで花が枯れるとしてもか?」

ラーゼス :
「王から国を奪い、あとに何も残らぬ女を愛するか? アレウス」

アレウス :
     ・・
「……ったくお前って奴ぁ……、痛いくらいに正論を言うな……?」

アレウス :

 奪ったところで、ティーラはティーラではない。
 奪ったところで、"青の貴人"の在り方であるのは、変わらない。
 そんなことは───そんなことは、そんなことはと、何度も何度も聞こえぬ声で言い続けた。

「なにが王だ……そんなもんの為に、ジリ貧の戦争仕掛けて、それで死んだらそこでおしまいじゃねえか」

 そんなもん。
 それがテレサにとって"そう"でないことなど、分かりきっている。
 だが、だが、だが、だが……。

アレウス :
「俺が掴んで……何も残らない、枯れ花になっちまうっていうなら……、
 それでも掴んでやるさ……そうでなければ、俺は……俺は何のために……!」

アレウス :
「なんの為に……俺は兵士を"やめた"んだッ…………!?」

ラーゼス :
「…………そうだな」

ラーゼス :
 滅びる国にとどまることを、賢きものは愚かと言うだろう。
 そのために死することに、意味などないのかもしれない。

ラーゼス :
 国など、ただ生き物が住まうための囲いだと──
 そう思えぬ者の、なんと身重きことか。

ラーゼス :
「……アレウス。その答えを定めるのは、貴公だけだ。
 己の爪牙を用いて、己の杖とした欲望を掴み取ることに、迷いを持ってはいけない──いや」

ラーゼス :
「悔いを残すべきでは、ない。
 おれは──誰かへの愛情のために始めたことが、別の誰かとの道につながることもあると思う。それもまたひとつの道だ」

ラーゼス :
 ファントムストークスや己たちを“青の貴人”ひとりのために振り回すことにためらいを覚えるのは、彼自身がこの矛盾に苦しむからだ。
 それを初恋の女への想いゆえと言うか、かつての己を憐れみ、愚かと言うかは、彼自身にしか語れない。

ラーゼス :
「……。おれは──」

ラーゼス :
「愛のために生まれ定めた道を曲げたものも、
 愛のために生まれ定めた道を貫いたものも、
 この目で見てきた。そのどちらも、誇らしく笑っていた。捨てた道に迷いを残しても、悔いは残さなかったからだ。
 貴公もそうであればよいと思うよ」

アレウス :
「…………強いんだなァ、お前も。
 お前が見てきた奴らも」

アレウス :
「俺は……」

アレウス :
「俺は、強くねえんだ。
 だから、憧れた人間に裏切られた事を、引きずって……、
 だから、愛した人間を追い詰める事に、苦しんでいる」

アレウス :
「強くねえから、老人に押し付けられた看板だって、まともに背負えない」

アレウス :
「だけどよォ」

アレウス :
「きっと……だ」

アレウス :
     ・・・・・
「きっと、今がその時なんだろう?」

アレウス :
「やるだけ……やってやるよ。
 それがどういう結末を迎えようと、俺はもう……護るために戦うのは、やめだ」

アレウス :
「餓えなきゃ勝てない。
 餓えなきゃ、求めるものは手に入らない。
 その餓えの果てに……、俺の手元に何もなくても、最後まで、笑ってりゃあ、勝ちだ」

ラーゼス :
「……そう言える貴公は、貴公自身がそうは思っていなくても、思うより強いはずだ。
 己の強きを、もっと信じてもよいと思う」
 強さとは、体が堅いだけでも、力が強いだけでもない。
 アレウスの持つ強さとは、戦いの中で見せたしなやかな対応力こそが肝要のはずだ。
 それは精神にも、同じことが言えるのかもしれない。

ラーゼス :
「女を奪うときは……おれも、叶うかぎり力を貸そう」

ラーゼス :
 利害関係もある。
 “青の貴人”には退場してもらわねばならない。
 だが、その後のことは定められたわけではないかもしれない。
 生きたら困る由は誰かにあるかもしれないが、森の獣にはさほど関係はないことだ。

ラーゼス :
 ひとつ、付け加える余分があるとするなら……

ラーゼス :
「国を奪われた王の生き方を、知りたくなったのだ」

アレウス :
「……」

アレウス :
「自分の強さを信じる、ね。
 全く、FHらしくもないコトだ」

アレウス :
「分かってるさ。
 ギルドと手を組んだ"貴人の庭"は、目下最大のガンだ。
 それを取り除かない限り、フェーズは進まない」

アレウス :
「それだけテレサの牙城は固く造られている。
 それを突破しない限り、あいつの身柄を奪うなんてのは夢の話」

アレウス :

 ガンドルフのマニュピレーターが、小さく動く。
 それは、精神の感応がある程度、通常通りに戻ったコトを示している。

「言ったな? アテにするぞ、ラーゼス」

アレウス :
「俺は──……約束には、うるさいんでね」

ラーゼス :
「構わない。手を尽くすことは約束しよう」

ラーゼス :
「約束を守り、守られることに限っては……
 おれは、この都の誰よりも優れている自信がある」

アレウス :
「そうかい、そいつは……ありがたいね」

アレウス :
「……ま、"貴人の庭"だけじゃないがね。
 俺は今でも、鼠どもと完全に手を組む気はない。
 腐らすものは腐らせ、焼くものは焼く……それが、俺のやり方さ」

アレウス :
「俺が──……俺がカルロのクズを見逃せないのは、テレサのためであり、俺のためでもある。
 俺の愛した女に、親殺しの罪を背負わせた男を──俺が許す道理はねえんだ」

アレウス :
「……それだけの事さ」

アレウス :
「……あー、なんだ。
 さっきの事だが、……あまり言わんでくれ。
 恋話をするようなツラじゃねえだろ、俺は」

ラーゼス :
「“血色の探求”……か」

ラーゼス :
 男に思いを馳せる。
 間違いなく外道だ。そして、アレウスがそう言う理由も理解はできる。
 愛した女を変えた理由の一片がそこにあることは明確だからだ。

ラーゼス :
首を振り、思考を打ち切る。そして、最後の言葉に笑った。

ラーゼス :
「誰かを愛することに、顔など関係はないと思うが……貴公が恥と思うことを、殊更には喧伝はせずにおこう」

アレウス :
「FHだって世間体気にするんだよ」

アレウス :
「シアに聞かれたら……」

アレウス :
「いや……よそう。
 アイツの好奇心は、止めてもダメそうだ」

アレウス :
 ・・・・・
「聞かれたら、だ」

ラーゼス :
「……そうならないよう、善処しよう」

アレウス :
「……予言しておく」

アレウス :
「そうはならない……な。
 はははッ! 全く手のかかるヤツだ、あの銀の弾丸は!」

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

アレウス :
感情の変更がある。

GM :
ほほう

アレウス :
ラーゼスへのPを感服から信頼へ変える。
前を預けてもいい。そして……後ろを預かってもいい、そう確信した。

GM :
かしこまりました! キャラシートに書き加えておいてください。

アレウス :
ああ。

ラーゼス :
おれもロイスを取得する。アレウスに、○誠意/隔意だ。“青の貴人”へかける感情は、おれのものとは大きく異なるだろうと思う。

ラーゼス :
だが彼の道行きを見届け、その欲望を扶けると約した。そのようなこととしてくれ。これで全て埋まったな

アレウス :
誠意、ね……気恥ずかしい事を面と向かって言う奴だなまったく。

GM :
そちらも遅ればせながらかしこまりました! キャラシートに書き加えておいてくださいね

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・対話シーン4(夏瑞珂/”御手翳す開放者”)

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

 出自:天涯孤独
 過去はなく、並ぶものはない。

 経験:記憶喪失
 拓く道など、目の前のみでよい。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

 戦闘開始から、およそ半日以上、二日未満。

SYSTEM :
 重傷から死傷者、新たなものを含めてもはや三桁を軽々しく記録する。
 ローマ市街における大捕り物、おおむね無意味に命を積み上げる戦いの繰り返し。しかしそれは、自然と、あるいは作為的に、少しずつその舞台を動かしていた。

 すなわち、食い残しのいる方向に。
 人気のない場所にも限度があり、それを食い止めているのはそれぞれの所以の合致があるからだが…。
 同時に合致しない部分については、もっとも強く主導権を握るのは“彼”だった。

SYSTEM :
 彼に地理や道標はないが、愚直な執念と本能がそうさせる。
 だがいずれたどり着いた先で、かつて仕留め損ねた“意味”を測り終えたそれにとって、最初に目指していたものは別の意味を持ち。

 性懲りもなく/命ある限りくらいついてきた”それ”も、別の意味を持っていた。

”黒鉄の狼” :

『来たのか』

”黒鉄の狼” :

『性懲りもなく、塵を被って。
 だが、いい。手間が省ける』

SYSTEM :
 用があるのはおまえだ、と。

 狼が、通り道のもはやどの勢力の人間だったかもわからない肉塊を、その得物を振って掃き捨てた。

 しかし視線が、一度遠くを見つめなおす。
 あなたではない方向を見つけ、そして僅かに細めた。
 …あなたにとって、その向こう側に何がいる/備え、確かめ、身構えているのかは、未知でもあるまい。

”黒鉄の狼” :

『あの時の鼠がいる…。
 ・
 次はその群れか?』

SYSTEM :

 感情の乗らない確認と一緒に。
 鉄の塊が唸りをあげた。

夏瑞珂 :
 考えていた。
 どう殺してやろうか。踏みにじり、奪って……
 平坦さをどうやったら、歪めてやれるのかと。

 来たのかと問うなら、来てやったと嗤えばいい。
 手間を省くついでに、永遠に奪ってやればいい。

夏瑞珂 :
 だけど、でも、ああ……。気乗りしないような問いを聞いた、その瞬間。

「────────」

 ガチン、と頭の中で撃鉄が下りた。散った火花が脳髄に着火したみたいに、あらゆるものが爆ぜる。

夏瑞珂 :
「アッハハハ!」

 うつろに笑う。
 張り裂けそうな胸の代わりに、唇をめいっぱいつりあげる。

「嵐は群れない! 何とも、誰とも! すべてを吹き飛ばす! 煉瓦の家だって残すものか!」

SYSTEM :
  とどまら
 嵐は群れない。
 その所以を、振り返った轍にしか持たない娘の言い聞かせるような猛りを、
 鉄仮面が平坦さの延長線で聞き留め、応じた。

”黒鉄の狼” :

『おまえが意味を持った時から、考えた』

”黒鉄の狼” :

『おまえは、物覚えが悪い…』

”黒鉄の狼” :

『自ら掲げた火に焼かれるそのさま、
 いったい何の猿真似だ?』

”黒鉄の狼” :
..レムリア
『俺か? 与り知らぬさだめか?』

SYSTEM :
 彼が何ら意味なしと、虫を踏むように“片づけて”いったものの名前を出さなかったことは、眼前のそれが“留まっていたもの”なことを、彼にとって意味を持った時に思い出したからだ。

 思い出した上で、阿るわけでもない。

”黒鉄の狼” :
『いずれでもいい。
 次はおまえのさだめを、俺のさだめが喰らう』

SYSTEM :
 意味あるものとして認める、と。

 他の価値観を知りながら、彼の価値観で死ねというのと何ら変わらない宣誓は。
 何度対面したとて変わるまい。

夏瑞珂 :
 誰の──せいで。
 何の──ために。

「ハ、ハ、ハ」

 熱気にかわいた喉が、えずくように笑いをこぼした。

夏瑞珂 :
 楔も軛も遠く、止める者のない戦場。いつか夢見たものは、焦げついて。求め損なってから、手に飛び込んでくる。

夏瑞珂 :
 ああ────憎い。憎い憎い憎い憎い!

夏瑞珂 :
 眼窩が赤い光を帯び、毛先にちりっと火が灯った。憎悪は凶悪な炉熱を放って、わたしという薪を焚べにかかる。

夏瑞珂 :
 自ら掲げた火に焼かれるとしても──

 かまわない。この身を焦がす炎が奴に燃え広がるのなら。
 かまわない。たとえ燃え尽きて、二度と戻らなくっても。

 踊るように灰になりましょう。でもね。

夏瑞珂 :
「それは おまえからだ」

 一歩。前へ伸ばした足を、押し当てるように踏みしめる。
 爪先から直線状に風圧が飛び、"黒鉄の狼"に通じる風の道をなした。

夏瑞珂 :
 開けた一条、風の滑走路に身を放る。
 後押しを受けた体が視界から掻き消える。双眸にともった赤い炎の軌跡だけが、"黒鉄の狼"の眼前へと高速で接近した。

夏瑞珂 :
 手に一対の大鎌。炎を熾し、風を纏う。

 風が炎を煽っているようにも、炎が風を貪っているようにも見える。風刃と炎刃は、わたし自身を映したようだ。

夏瑞珂 :
FUCK SUCK SICK KICK SNICK
「殺す、殺す、殺す、殺す──殺す!」

 鋭利な風の鎌を素早く振り上げながら、踊るように身を捻った。背中まで振りかぶった炎の鎌を、円を描くように大きく払う。

SYSTEM :
 ───敵と認識されて、はじめての邂逅で。

 火の猛りを抑えきれなかったのは、狼ではなくあなたからだ。

SYSTEM :
 今もなお、焦げ付いた地平が拭われることはない。
 そこが嵐の生まれなおした日、心が残した形だと意地を張るように。
 
 邪魔をするなら、と縋り付くような猛追がそのまま巨きくなった。
 骨子は猶も、失われた自由を求めるあの血濡れの聖夜だと、あの日の自覚がこびりつくように指し示している。

SYSTEM :
 ───嘆息は彼方に飛んで行った。
 ───戦場を注視する舞台の希人の声。

 収穫には乱暴が過ぎ、死神には私情が詰め込まれすぎたふた振りの鎌。
 燃え上がり吹き荒ぶもの、たかがひとり分の無謀な決死行は”奇跡”を起こさない。起こしたなら、そこに道を敷くものあってこそだ。

SYSTEM :
 嘗てそれは、嵐を征する精兵だった。国のため、あるいはより小さな事のため、良きことをつなげてきた人たちだ。
         ・・
 なにせ夏瑞珂は、偶然が微笑む人間ではなかった。
 踏み込む人たちより先んじて踏み込み、ついこの間轍になった仮面の剣士のものとまったくおなじ雷霆を載せて、より強い災害があなたを踏みにじろうとしたまさにその時───。 

SYSTEM :
 奔り/爆ぜる矢。

 火を逆立て、煽り立てる、
 先陣を征く風の強欲を喚び込む鳥の声。

 矢さえ現実にないその一撃が、片方を押し込んで、片方を縫い留めようとした。後者は叶わなかったが、前者は叶った。

 そして、届くなら───。

SYSTEM :
 届くなら、だ。
 あなたのさだめは狼のさだめと喰い合える。
 
 炎が、戦禍と混ざり合い、一文字の傷を刻んだ。

SYSTEM :
 ───そして当然のように、
 まったく止まる気配なく。

 生きるものの絶技が、
 鉄の塊を介して唸り声を上げた。

 まったく同じ呼吸を合わせた返し技ではない。ただ、受けたあとで諸共捻り潰すだけの、強引な突破だ。

SYSTEM :
 命の脈動がかなたから聞こえる。

 あなたの命の音をかき消すように。
 黒い破滅が、やってくる。

夏瑞珂 :
 ごうごうと唸る風と炎のなか、声はやまない。生まれ直したかたちに焦げつかれて、わたしは暴れ狂う。これで終わりだと、終わらせたいのだと全てを擲って。

夏瑞珂 :
 奔る矢に──通った刃に、よろめきもしない鋼の長躯が応報する。至近で、鉄塊が唸りをあげた。

 一度は救われた。彼方のお節介に。
 二度目を願う発想もないまま、迫る破滅を見た。

夏瑞珂 :
 ──奇跡は起きない。
 ──偶然は救わない。

 では、それは何だったのか。

夏瑞珂 :
「!?」
 手が、あの手が、視界を覆う。もういないひとの、ありもしないかたち。あのひのさいご。それは、わたしを破滅から遠ざける……

夏瑞珂 :
 うそみたいに力が抜けて、かくんと膝が曲がった。腰が落ち、つんのめって投げ出されるように倒れる。したたかに顔を打つ。

 直後──放られた身体の遥か上を、質量を帯びた破滅が擦過した。非実体の鎌は、巻き添えになって消し飛んだ。

夏瑞珂 :
 転んだ痛みよりも、過ぎていった死よりも、爆ぜそうに拍動する心臓がつらかった。世界もわたしも、こんなにも熱いのに冷や汗が噴き出てとまらなかった。

夏瑞珂 :
「っ……はあッ……」

 侵蝕。心当たりがよぎっても体は止まらなかった。
 むりやり腰を浮かせ、素手のまま飛びかかろうとして、また転んだ。のたうち回るようにもがく。

SYSTEM :
 ───奇跡は起きない。
 ───偶然は救わない。
 
 ならば、ああ。分かっているはずだろう。
 あなたの身の回りで奇跡とラベルを付ける出来事は、全て故がある。当事者となった者の故だ。

SYSTEM :
 水平線の向こう側を越えて、
 死とともに食らいつくその仕草を、まぼろしが縫い留めた。
.           アーシファ
 あなたの一撃を加速させた風神はたしかにまぼろしであったけど、
 これは外側からおとずれたものではない。
 ・・
 なぜ、をあなたが問えない時点で、その所以を語ることはできない。
 語ることができるのは事実だけだ。

SYSTEM :
 すなわち。それが幸いしたことで。
 最悪の場合は消し飛び、最善でもほぼ全部位のリザレクトを避けられない反撃は、余波のみで終わったこと。

 そして、その心を鷲掴みにするアクシデントが災いして…。

”黒鉄の狼” :
『牙の研ぎ方を。
 終ぞ、覚え損ねたままとはな』

”黒鉄の狼” :
『ならば、』

SYSTEM :
 ならばいま死ね、と。
 
 敵手とする理解とは別の大前提から成るもの、
 すなわち”眼前の相手”に須らく適用される冷淡な声を以て、黒い颶風をまとった。 

SYSTEM :
.スラッシュ スタブ     ・・・・・
 払いと突き、それから振り下ろし。その暴力的な振る舞いに反して、所作に複雑な理屈はない。
 たたかう
 生きるための力と技。それ故に、わずかな呼吸の隙間を逃がさない。
 ましてや上段から下段への下ろしとは、人も獣も、須らく“とどめ”を刺す所作であった。

SYSTEM :
 のたうち回り、もがき。
 叶うことは差し違えるか、報いて還る無為だけ。

 まさにその瞬間であった。

“黄の希人”アーキル :
..   エ ノ ク
『───“血色の探求”!』

SYSTEM :

 その余計な鼠の第一声。

 死角から駆け付けた彼の従者が、・・・
 あまりに容赦なく、もがく娘ごと爆ぜた。

SYSTEM :
 先に言っておくが無傷で済むはずはない。

 しかし、振り下ろされた先が、舗装を剥ぐどころかクレーターまで生み出し、文字通り地をくり抜いた以上。
 それと比べて数百倍は“まし”であった。

 そして、その爆ぜて転がる先へ、切羽詰まった跳躍と一緒に、曰く“盟主”が貧乏籤を引きに来る。

“黄の希人”アーキル :
「よくやってるが、よくもやった!
 ほんとうに性懲りもなく綱渡りしやがって!」

“黄の希人”アーキル :
「そら撤収だ! 
 馴れるから存分に恨めよ…!」

SYSTEM :
 悪態と裏腹に、学習の成果たるや単純。
 転がってくる彼女の手を、認識が追いつく前に容赦なく引っ掴んで。
 有無を言わさない、誇りも何もかも明後日に置いていく逃亡のしぐさ。

 曰く“女神”さえ見当たらない部分も変わりはない。
 彼にとって替えの利かない手札はここに二つあり、うち一つは、いまの“従者”の大元と共通する。

 手札の中から自分を繰り出すのはそれぞれの理由で、至極当然のことだった。

夏瑞珂 :
 とどめの一撃が振り下ろされる、直前。

「っ──ああああ!」

 爆ぜる血肉に吹き飛ばされて、ごろごろと地面に転がる。コンマの差で生じるクレーター。

夏瑞珂 :
「やだ……!」

 飛んでくる悪態を認めるより先に、手を掴まれる。立ち上がる前の体はあっけなく引っこ抜かれて、有無を言わさずに戦場から遠ざかっていく。

夏瑞珂 :
「やだ! はなして! 殺すの!」

 みっともなく声を荒げて抗っても、体は動いてくれない。手を引かれるまま、わたしは離脱するしかなかった。

夏瑞珂 :
 ……なんて、ひどい。あんまりだ。だって、だって……。

夏瑞珂 :
 貧乏くじを自分で引きにくる男が、わたしを助けるだなんて──!

“黄の希人”アーキル :
「出来ない相談だよ!」

“黄の希人”アーキル :
「いまのところは、」

SYSTEM :
 やだ、に応じてくれるほど酷薄で浅慮なら。
 そもそも男は、火中の栗を拾いには来まい。

 悪態と略式の諭しは紛れもない本音、そもそもが自他ともに認める綱渡りの道連れだ。
 血色の従者の爆ぜた隙間を潜り抜け、そして。

”黒鉄の狼” :
『───改めろ』

“黄の希人”アーキル :
「───!」

SYSTEM :
 相手は狩りの獲物でも、追い込まれた狼でもない。
 分かっているものを逃がさない。

 飛んで火にいる虫はそちらだと、くり抜いた大地を飛び越えて迫る。 

SYSTEM :
 いざ間合いに入るにあたって、真っ先に切られるのは変わらずこの男だ。

 彼はばかな人ではないから、獲物をお預けにされた前歴を持つ彼の追撃が、一度目より早くなることも分かっている。
 死にはしない、は、無傷で済む、ともイコールではない。

“黄の希人”アーキル :
「ったく、ロクなことじゃない───!!」 

SYSTEM :
 閃く斬撃音と、どこか遠い血飛沫の音。分かっていながら”やだ”をかき消すような“開け”の声。
 それと、遠い間合いでも寸分狂わず開いたゲート。

 一度目は上回り、二度目は手痛い手土産つき。

SYSTEM :
 逃げおおせられた当の本人は、
 その行く先を鉄仮面越しの瞳で見つめたあと、変わらぬ平坦さで呟いた。誰に聞こえているのかも定かでないのに。

”黒鉄の狼” :
『久方ぶりの傷と挑戦だ。
 賢しい群れもいると見える………』

”黒鉄の狼” :
『………』

”黒鉄の狼” :
『………ならば。
 二兎を追う移り気など、無用…だな』

SYSTEM :
 もはや偶然ではない。
 だが、その所以に心当たりがあるのかないのか。

 彼は“小賢しさ”に守られた食い残しの逃げおおせるさまを見送ると、再び驀進を始めた。

SYSTEM :
 久方ぶりの戦いを喜ぶさまと、
 命の危機に奮い、根絶やしにせんと進むさまは両立する。

 彼はそのように生まれた。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 退路の先。
 密やかな代金代わりの助けもあって、狼が荒らす中徐々に間合いを広げていく“御手翳す開放者”の縄張り。

 到着と共に、ひとり分の血が橋にこびり付いた。嘆息と共に傅く男と、憂う女のかたちが出迎える。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「貴君、上に立つ人間の自覚があるのか?
 この際なくてもどうだって構わないが、」

“アイシャ” :
「………………」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「どう落とし前をつける、女神がお嘆きだぞ」

“黄の希人”アーキル :
「あんたの第一声で生きてるのを実感するよ、まったく…」

“黄の希人”アーキル :
「参った、参った、やられたよ。
 ───これが言えるだけ御の字さ」

SYSTEM :
 一度や二度のリザレクト、オーヴァードなら“よくある”ことだ。
 大したことじゃない。はっ、と鼻で笑った男は火遊びの代償を笑って流して、続けた。

“黄の希人”アーキル :
「落とし前ならお嬢さんの無事でイーブンにしてくれ。
 ああ、本人にもあんたにもつり合いがとれなくてもな」

SYSTEM :
 それでいいな? と暗に一言。
 向けている先は“血色の探求”というより当人だ。

夏瑞珂 :
「…… ……」

 どうして、と言いかけて首をふる。どうしても何もない。わたしにそうするだけの意味があるから、彼は自分の命をベットしたにすぎない。

 後先も考えず、嵐のさなかに飛び込んだわけではない。そんなひとはもう、いないんだ。

夏瑞珂 :
 俯いて、爪先を睨む。じっと。

夏瑞珂 :
 でも。ああやって傷つかれては……怒るに怒れない。だからって、ありがとうも言えない。

“黄の希人”アーキル :
「…どうも、前回よりは納得頂けたらしい」 

SYSTEM :
 その発言は、
 言いかけた“どうして”への答えだ。

SYSTEM :
 おおむね肯定。
 傷も、死を超えた対価も、安くはないが、
 払いきれない負債でない。

 わざわざ出迎えに来たのが、
 先と違って二人なのがそのいい証拠。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「貴君が口八丁手八丁で連れ込んだ連中にそのザマを見せては差し障る。厭はないが、」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「痛い目に懲りる気があるなら、その”使い方”を───」

“アイシャ” :
「治してあげて」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「畏まりました」

SYSTEM :
 ちなみに聞き及んでいる話の限り、彼と“御手翳す開放者”は一蓮托生のはずである。
 死ぬほど興味なさげなモルフェウス・シンドロームの担い手が、“治してあげて”の最初のあたりで、見違える機敏さをもって他者の傷に無言で干渉/修復を始めるのを他所に、眉を下げた女のかたちと、貧乏くじを引いた男が言葉をかけた。

“アイシャ” :
「危ない橋ね」

“黄の希人”アーキル :
「やれるならやる。承知の上だろ」

“黄の希人”アーキル :
「睨まれても俺の答えはこないだと変わらないよ。
 あんたしか“黒鉄の狼”を倒せない、俺は遺産が欲しい」

“黄の希人”アーキル :
「有言実行だよ。な?」

SYSTEM :
 気にせず利用しろ/俺もそうする。
 その部分についての実践だ、と。

夏瑞珂 :
 ずるずると地べたに座り込む。

夏瑞珂 :
「庇われるのは嫌いよ」

夏瑞珂 :
「ばかなひとは……もっと」

“黄の希人”アーキル :
「善処するが、保障は出来ないね」

“黄の希人”アーキル :
「それに、俺は打算なく人を助けない。
 いくら理由があっても、まだ命を投げ出すほどの重さには…そうだな、会ってなくってね」

夏瑞珂 :
「……そうでしょうね」

夏瑞珂 :
「そんなおおばかもの……ひとりでいい」

夏瑞珂 :
「……黄色のひと」
 呼びかけは、しゃがむか起こすかしてという要求だ。

“黄の希人”アーキル :
「はいよ」 

SYSTEM :
 男は呼びかけに応じて手を差し伸べた。
 しゃがんで立ち上がるのを待つ方ではないらしい。

夏瑞珂 :
 手を伸ばして、助け起こしてもらう。いくら睨んでも答えの変わらないおとこは、また火に飛び込むわたしを引っ張りあげるんだろう。

夏瑞珂 :
 手を伸ばして、顔の輪郭に指先をすべらせる。髭のざりざりとした感触。アレックスにはなかったのを思い出す。

夏瑞珂 :
 ……もうアレックスたちはいない。3年かけて受け入れた痛みが、あの日の悪夢──"黒鉄の狼"を前に蘇りつつあった。

夏瑞珂 :
「ねえ」

SYSTEM :
 唐突に伸びた手も、初回の噛みつきほどの困惑はない。男は徐にうなずいて応じた。

夏瑞珂 :
「すこし、考えたの。風の流れを止めるのは不自然だと、あなたが言ったときから」

夏瑞珂 :
「…… ……」

夏瑞珂 :
「もし、もしね。あなたの野望が、私の生きやすい世界を築いてくれるものなら……」

 手が、視界の端をよぎる。無視をした。ふいと顔を背けて、続ける。唇が尖る。

夏瑞珂 :
「私……あなたに味方してあげても、いいわ……」

 言ってから、ひどく後悔した。そんな夢みたいな話はないと、わかっていたから。

“黄の希人”アーキル :
「はは。冥利に尽きるね」

SYSTEM :
 その言葉の裏には、
 “黙っていない”のが脳裏を過ったことを、一旦後回しにする意があった。

 言葉の途切れ途切れが意味するものを分かっているからだ。これで男が悪い大人だったなら、今の一言を逃がさず、それでいて曖昧に、引き込みに来ただろう。

“黄の希人”アーキル :
   ユメ
「俺の野望は、嵐になることじゃない。
 世界を手にすることでも、まあ、ないんだ」

夏瑞珂 :
「……うん」

“黄の希人”アーキル :
「だが、嵐になるヤツ、天に昇るヤツ、地の底にいるヤツ………。

 そいつらと、どう付き合っていくことが出来るのか、確かめられる時間は多くない」

SYSTEM :
 その子供の口約束の礼儀代わりのつもりか、男はそこまで言ってから視線を向こう側に向けた。

 向こうには、“アイシャ”と呼ばれた女のかたちがいる。少し困り眉だったが、うなずき返し。当人を治療中であるところの“血色の探求”は、めずらしく肩を竦めた。

“黄の希人”アーキル :
「時間が止まったままじゃあ、分かれ道の先がどうなっているのか、引き返すのかも確かめられないだろ。
 ………だから俺は風を動かしたいのさ」

“黄の希人”アーキル :
「当初はもっと“乱暴”にやる気だったけどな。俺だって何事も想定通りに行ってない。

 言っていたら、まあこんな傷もついてない」

“黄の希人”アーキル :
.   ・・
「俺は“違う”との付き合い方を知りたいからこうしてる。
 それが生きやすい世界かどうかは、あんたが見出すんだ。で………」

“黄の希人”アーキル :
「“この先”を考えることは悪くないが、もしも、の道に好奇心が沸いたらまた聞くよ」

“アイシャ” :
「………あなたの、」

“アイシャ” :
「あなたの二つ目の家は、あなた次第で、いつだって建てられるわ。
 はじめの家の思い出は、あなたの中から、いつだって取り出せる…」

SYSTEM :
 それらの言葉は明快だ。

 二つ目の家にするかどうかはともかく、“してあげてもいい”の子供の口約束を拒む様子はない。上書きしようというのも、ない。

 おおばかもの、に込められたものをなんとか推し量ろうとしている方は、特に顕著だ。

夏瑞珂 :
「風を動かしたいがために、傷つくのね。嵐に手を伸ばしたら大怪我すると知っているくせに」

 わざと癒える間際の傷に触れて、顔をしかめる。

夏瑞珂 :
 アレックスとちっとも似ていないくせに、へんなところが重なって……。泣き出したいような気持がおさまらなかった。

 代わりに泣いちゃえと、傷のすぐそばをつねる。ぎゅっと。

“黄の希人”アーキル :
「痛ッテ…───なあ…わざとだな? 限りなくわざとの手つきだな?」

夏瑞珂 :
ぷい。

夏瑞珂 :
「……ちがうの」

 やわらかく触れる女の子のことばに、ぶんぶんとかぶりを振る。あたらしいお家。いらないとも、むりだとも口に出せなかった。

 なにも、違うことはないのに。

夏瑞珂 :
「あなたは」

夏瑞珂 :
「なくしたものを、あたらしいなにかで埋められる?」

SYSTEM :
 彼女が首を横に振る。

“アイシャ” :
「できない相談ね。
 同じものは、そこにはないの」

“アイシャ” :
「違う時同士を代わりにすることは、きっとできないわ。出来た人もいたけど」

“アイシャ” :
「私はそっちじゃない。私でない私が、何一つとして同じものを見ていないから。
 できない、は、できない、でいいの」

“アイシャ” :
「でも、埋める、と、作る、は違うし。
 そうしたって、なくしたものがそこに居てくれたことは…なくならないわ」

“アイシャ” :
「…難しいね。
 ひともそれで合っている、アーキル?」

“黄の希人”アーキル :
「自分で言ったろ。できるやつとできないやつがいるって」

“黄の希人”アーキル :
「だがまあ、そこにあるものがなくなる時は…。
 無くそうと思ったか、思われた時ってんなら、そうかもな」

SYSTEM :
 あなたのなくしものは、進んだときの何かで埋められるものではないかもしれない。
 あるいは見つかる“かもしれない”から、駄々をこねたのかもしれないけど。

夏瑞珂 :
「でも わたし……いてほしかった」

 同じものに、そこに。ずっと。
 そうすると言ったのは、彼なのに。

夏瑞珂 :
 形に思いは残る。見たものに宿り、聞いたものに継がれて、触れたものに打ち付けられる……。

夏瑞珂 :
 振り切らないかぎり、失いきることはないと彼らは言う。

 ……。
 わかってる。いやになるくらい。

夏瑞珂 :
 だって、全部アレックスのせいだ。

 彼のせいで、弱くなった。
 彼といたから脆くなった。

 アレックスに出会わなければ、こんなわたしはいなかった。泣きわめいて火傷の痕をかきむしるしかできない、わたしなんか。

夏瑞珂 :
「なくならないから、つらいのかな」

 ぽつりと呟いて、そうだったらいやだなと思った。失うことが正しいみたいで。

夏瑞珂 :
 いよいよどうしたらいいか分からなくなって、ううん、どうもしたくなくって、気持ちの悪いひとの眼鏡を外したり戻したりする。かちゃかちゃ。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「手持ち無沙汰のようだぞ」

“黄の希人”アーキル :
「偶にはあんたが付き合ってやったら…あ、いや、いい、鳥に泳げってのも無理な相談だ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「助かるね。その気はない。
 それにだ、女神が言葉に窮している。答えのわかりきった問いはやめたまえ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「同じものが同じ場所に留まる理由など”ない”。
 そして、なくならないものを捨てて己が滅ぶでもない」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「それがどうしても厭なら、名残と共に地を這い、名残のために生きたまえ。生き方を強いるものは己なのだ。
     サル
 過渡期の我々に、理屈だけの進歩など望めまいからな」

夏瑞珂 :
むっとして眼鏡を戻さない。自分でかける。

夏瑞珂 :
「ヤ」もう今日はそれしか言わないと心に決める。

“黄の希人”アーキル :
「念のため言っておくが…目ぇ悪くするぞ」

夏瑞珂 :
「ヤ」

“黄の希人”アーキル :
 

“黄の希人”アーキル :
「………じゃあ言い方を変えるが───」

夏瑞珂 :
「ヤ」

SYSTEM :
 難攻不落を前にアーキルは発言を断念し、
 一方カルロは無言で眼鏡をひっつかんで掛け直し、
 “アイシャ”と呼ばれた女のかたちが、継続した困り眉でしゃがみ込んだ。

“アイシャ” :
     ・・
「あなたの羅馬と…」

“アイシャ” :
「あなたのことが、いつか…ちゃんと、わかるといいね。
 アーキル」

SYSTEM :
 そう、囁くように語って。
 言葉の門を閉ざした彼女を、見様見真似の手付きがそっと撫でた。

SYSTEM :
 髪を梳くことも、抱きしめることも。
 それを望んでいた相手がいたことを知っているものなりの、痛みをなぞるようなしぐさ。
 ・・・
 余所者に向けた苛烈さ、そうでないものに向けた慈愛。それは一緒。前者に向ける機能は乏しい。

 だからそう言った。
 そして言われた本人は、分岐路を閉ざさぬよう、言葉を残さなかった。

SYSTEM :

 ………なお、結局“ヤ”しか言わなくなったあなたを宥めすかせたものはおらず、
 “血色の探求”は治癒を終えるなり第一声。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「───女神に悪影響を与えんように。
 私は“同じ”を望んでいない、貴君ならわかるな?」

“黄の希人”アーキル :
「あんたは導きたいのか?」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 マサカ
「真逆」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「臨むことにかける言葉は是非ではない、
 “出来る”だ。こと、先駆者にはね」

SYSTEM :
 恐らく“困らせるな”を可能な限り引き延ばした牽制を最後に去っていった彼を他所に、
 駅まで送って/行くと、あなたかアーキルのどちらかが口にするまで、その時間は続いた。

SYSTEM :

 断じて女のかたちの手つきは、
 あの日の思い出と重なりはしない。
 埋まりもしなかった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

夏瑞珂 :
……。御手翳す開放者に……

夏瑞珂 :
誠意/〇厭気でロイスをとるわ

GM :
畏まりました。では、キャラシートに書き加えておいてくださいね。

夏瑞珂 :

GM :
 

夏瑞珂 :
……した。

GM :
(安堵の音) 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。


・シーン12「Hermit-時のよすが」

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【シーン:Hermit-時のよすが】

 登場PC:七花胡
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 欲望:従属
 覚醒:探求
.    じんせいいにしえより だれかしなからん
 人 生 自 古 誰 無 死 留 取 丹 心 照 汗 靑 
   たんしんをりゅうしゅして かんせいをてらさん

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 パーシェンコーハイ
 “八仙過海”というセルが、かつて七年ほど前に存在した。

SYSTEM :
 中国黒社会に浸透し、さながら毒のように見えぬ範囲でその版図を広げながらも、
 あと一年もすれば無視できない勢力図を描き切る段階になるまで、全く認知されることがなく。
 
 ある時、末端の構成員と思わしきオーヴァードの“突然のミス”によって存在が認識。
 UGN評議員、李文龍および謝雲竜の(きわめて珍しい意見の一致による)判断で討伐作戦の展開が決定した。

SYSTEM :
 現地指揮官として中国の某セルに派遣され、約半年程度の長丁場を要することになったあなたの活躍もあって、下部組織は順序良く崩壊。

SYSTEM :
 セルリーダーである”朱苟”なる華人の捕縛を以て事件は閉幕した。
 この朱苟は組織の規模に反した比較的日の浅いオーヴァードであり、また年若い人間だった。

 尋問当時のことを、あなたは覚えている。

朱苟 :

“大師がいたの”

朱苟 :
“貴女は『王』になれるですって。
 ずっと言うこと聞いて、間違いはなかったわ”

朱苟 :
“ええ…それが間違いだった、ご覧のあり様!
 だいたい名前からして偽名くさいんだから、信じるんじゃなかったわ”

朱苟 :
    ティエン
“だって『天』よ? …あによその顔。
 信じてないわね。いたの、いたんだから───”

SYSTEM :
 ………世辞にも温室育ちの跳ねっ返りが力を持ったような彼女は、“あの”八仙過海をまとめ上げる器でなかった。
 収監後の尋問結果に不貞腐れ気味に応えた彼女から得られる情報など大してなく。ジャームでもなかったから、あとは収監されたまま。
 残党の中には、遂に彼女の言う糸を引くものは見つからなかった。

SYSTEM :
 なぜ、あなたがこれを思い出したのか。
 そんなのは単純だ。

 七年前の追憶を辿ったのは、
 悪縁などと呼ばれた女の言葉を───。

“帝釈天” :


     ・・・・・・・・ ・・・・・・
 ──────そのセル作ったの、私なんですよ

“帝釈天” :


 ───貴方がいったい、何をしに来た方なのか…。
 ───そこは、ええまったく存じ上げませんが…。

“帝釈天” :

          ・・
 ───私の詠む歴史に貴方がいるのは…。
 ───嗚呼、なんとも愉快を感じますね?

SYSTEM :
 心底愉快そうに、だが貴方でないものを見ている言葉選びで。
 あの当時囁きかけてきた華人の言葉を、思い出したからだった…。

SYSTEM :
 時を隔てて七年。

 あなたに対して悪縁の名を持ち出し、このローマに“それ”がいることを確信した己が師の言葉。
 それはあなたに、隙を見て過去のセルリーダーである朱苟へ面会を望ませるには十分だった。

SYSTEM :
 幸いなことに彼女の収容先は当時本部のベセスダではない。そう時間はかからず。

 当時とさほども変わらない一室に、確かにそいつはいた。

朱苟 :

「げ」

SYSTEM :
 ………恐ろしいことに。
 
 七年前と、眩暈がするほど。
 声色と背丈と何もかもに変わりがなかった。

謝花纏 :
 当時、”八仙過海”の牌を切っていたのはこの女ではない。
 こいつ単品は、ありふれた小物だ。和了牌を間違えて切ってフリテンにした挙句、慌てた末に親に振り込んで飛ばされるような。
 それが中国裏社会の大部分を掌握しかかった一大セルの主たりえていたのは、ひとえに、この女に切るべき牌を指図していた何者かがいたからだった。

謝花纏 :
 ティエン
 "天"……。
 結局、この女は、その胡散臭いにもほどがある名前の輩に尻尾を切られ、捨てられた形になる。

謝花纏 :
「御無沙汰です。相変わらず自分一人聴牌し損ねるような、間抜けなお顔だこと」

謝花纏 :
「『げ』だなんて随分なご挨拶ですね。自分だって貴女の顔、見たいだなんて思わないのだから、これ以上気分を下げないでいただきたい」にこやかな笑顔。

朱苟 :
「アァン喧嘩の押し売り!? 
 買うわよコラ御幾らですか!」

謝花纏 :
「一文無しが威勢だけはいいですねえ。貴女小銭どころかもうお財布自体ないでしょうに」

朱苟 :
「お蔭様でねえ! …てか、」

朱苟 :
「ほんとにおかげ様で勘当のち三食住み込みですけど? アンタ何しに来たワケ?
触らぬ神にたたりなし
 多一事不如少一事という名言を知らないの?」

朱苟 :
 ちなみに神は私よ。

謝花纏 :
「神? ……ああ」

謝花纏 :
「貧乏神ってやつですね。その名にたがわず貧相だこと」

朱苟 :
「貴様どこのなにの誰が希望がないって!?」

謝花纏 :
「何処って……」

謝花纏 :
 

朱苟 :
「こいつ事故って来世フンコロガシとかになんないかしら
      チーシー
 ニホンじゃ七夕で祈りが叶うのよね」

SYSTEM :
 そう。ご覧のとおりである。

 持てる者育ちの、火遊びの範囲をなまじ“オーヴァード”なんて道具で間違えた当時弱冠十五歳程度の小娘が朱苟だ。コードネームすらない。

 そんな、強いて言えば原石ではあったくらいの彼女が、あわや黒社会で大きな顔を利かせる集団の首魁だったという。端的に言って有り得ないが、扱いは“そう”だった。

SYSTEM :
 ………知性の話とかすると、本当にご覧の通りであった。ある意味肝要な堪え性がない。

 しかしその彼女もいまや二十の前半である。あなたが嫌味のために訪れてきたわけでは”ない”ことくらいはわかっていたようで、肩を竦めた。

朱苟 :
「んで…何よホントにその面下げて
 長話系は聞き飽きてるんですけどー?」

謝花纏 :
                  牛に向かって琴を弾く
「貴女の場合、長話をして差し上げたところで对牛弹琴、ですもんねえ」くつくつ。

謝花纏 :
「まあ、貴女のおつむに端から期待はしていない。大事なのはその中の残りカスの方です」

謝花纏 :
 ティエン
「"天"」

朱苟 :
      卵から骨を探す
「あーヤダ、“鸡蛋里挑骨头”のがお好みで………、………」

朱苟 :
「………あん?」 

朱苟 :
「え、なに、その話時効じゃないんだ…
 てかまだ見つけてないのUGN ださ」 

SYSTEM :
 後ろに(笑)がつきそうな音。

謝花纏 :
「ほお、まだそんな口が叩けるとは……元気有り余ってるみたいですねえ」

謝花纏 :
「貴女の三食、水みたいなうっすいお粥にしといてくださいって頼んでおきますね。さておき」

朱苟 :
「ッハァーーーーーーー職権濫用! 職権濫用しとるわ御宅の法規どうなってんの!?」

朱苟 :
「…で? なんですって?」

謝花纏 :
「貴女の後ろで牌を切る順を指図していた彼の輩について、覚えてることを洗いざらい吐きなさい」

謝花纏 :
「隠したとて今更何の意味もなさないことは……貴女自身良く御分かりでしょう?」

謝花纏 :
「"天"に見捨てられた、貴女には」

朱苟 :
 異議あり! いまのたとえ方に
 きわめて何か悪意と侮辱に満ちた何かを感じるわ

謝花纏 :
棄却しま~す

朱苟 :
うおー! くっあー!

朱苟 :
「で…そりゃマー…。
 今更恩も義理立てもないし…」

朱苟 :
「後から考えてみればあの発端の”へま”…。
 やれって指示したのが“天”だし…」

謝花纏 :
「……へえ?」

朱苟 :
「そうよ? ずっと丁寧にいろいろ教えてくれてたし、最後までそんな感じだったわけなんだけど。

 ホラ…御宅の連中が”いま無駄飯食らいさせている暇はない”ってんでいろいろやらせてくれなさってさあ…」

朱苟 :
「それでちょっと考え直す機会があったんだけど、明らかに素面で”そりゃバレるでしょ”って指示されてたのよねえ。

 ………あ、そうそう顔とか知らないわよ? 前も言ったけど、毎回違ったもの」

朱苟 :
「前…前って七年前かあ…
 うわー成人がここなの凹む アンタなんで中国寄るのよ 中東の方とかにしときなさいよ」

謝花纏 :
「自分こそ貴女みたいなのと同郷なの、大変認め難いんですよ?」さっさと続けろと視線で促す

朱苟 :
「はー大変認め難いポイントは私の方が最低2倍スタートで上ですしぃ~~~~」

朱苟 :
「で、えー何だっけ…」

朱苟 :
「だいたい話したと思うんだけどさあ…。

 元々オーヴァードなって、いろいろ“やれる”! って思ってから好き放題やってた時に、声かかったのが始まりで…」

朱苟 :
「そん時はとりあえず“てっぺん取りたいわ”って言ったら、
 “そうでなくては”ってマー嬉しそうに話をしてくれてさあ。いろいろ教わったわ」

SYSTEM :
 当時で十五だ。

 その若さでオーヴァードなんてものに”酔っ払った”彼女に教え込んだ悪辣さ、裏の立ち回り方。それがあまり身についていないのは単なる性分だろうが、表面化するほどに捨て置けば、こんなものでは済まなかっただろう。

SYSTEM :
 若い時分の”大師”の教えほど、
 己を確立させるものはない。

謝花纏 :
「……まあ、あれほどのセルの頂きに一度でも立っておきながら、未だその脳みそってことは……
 貴女にとことんまで悪事の才能がなかったってことなんでしょうが」

朱苟 :
「褒めた?」

謝花纏 :
「誉め言葉ですよ」わりと。

謝花纏 :
     せんせい
「……貴女の"師"は、一度たりとも顔を見せてはくださらなかったのでしょう?
 当時の貴女でも、怪しいとは思わなかったのですか?」

SYSTEM :
 それはそれとして存じている辛辣さが返ってくると思っていた現22歳(これで!)、一瞬たじろいだ。

朱苟 :
「ンー…?」

朱苟 :
「怪しい怪しくないで言えば怪しさの塊だったけど、いちいち言葉選びが上手くてさあ」

朱苟 :
「そもそもオーヴァードになるとき、声掛けに来たとき、あれよあれよとなんか椅子が大きくなってたとき…。
 だいたい都合いいとこに居て、だいたいそれが“いちばん良い道だー”って思うトコにいたから? そのまま使ってやりましょ的な感じだったんだけど」

朱苟 :
「教え方は巧かったけどねえ。
 アレ、そう、………なんというか、」

朱苟 :
「『教え方の巧いお手伝いさん』以外の顔は見せてくれたことないのよね。
 私はせっかく仙人みたいになったんだから、霞食べて見守って…みたいな生き方ヤだっただけだし」

謝花纏 :
「(切るべき牌を教えて貰っていたというよりは……
  これが最善手だと思い込まされていた、という方が近いのでしょうね。
  当事者の感覚としては)」

謝花纏 :
 師に、一面しか見せてもらえない。弟子だったものとして、心当たりのある話ではある。
 あるが……彼女の師のそれは、まるでガラスケースの中の実験用ラットを眺めているような、そういう悪意めいた遮断が感じられた。

謝花纏 :
「……『お手伝いさん』なら、貴女、叱られたこともないのでしょうねえ……」

朱苟 :
「この私が? やらかしで?」

朱苟 :
「───ナイナイ!」

SYSTEM :
 本人は特に気にしていなかったが、
 つまり人格的な成長の方は完璧な放任だ。

謝花纏 :
「なるほどなるほど、御宅のご家庭はのびのびやらせる方針だったんですねえ。
 だから”こう”と……」

謝花纏 :
 人格的指導が入っていたのであれば、こんな自信満々なセリフが返ってくるはずもない。
 全能と錯覚するような力を手に入れてつけあがり放題の少年少女に対して、師たるべきものが真っ先にすることは、その鼻っ柱を叩き折ることと相場が決まっているからだ。

謝花纏 :
「貴女のセル、"八仙過海”は、あと一歩のところで瓦解した。
 そのきっかけとなった出来事は……貴女にとって”やらかし”ではなかった、と?」

朱苟 :
「そこ言い出したら叱る叱らないの話になんないじゃない………」

朱苟 :
「やらかしがなくても時の運ってあるじゃない?
 5:5で時に非があると思うのよね」

朱苟 :
「いえむしろ4:6まであるわね…、は置いといてもさ。
 私が“やらかし”たのはスタートの話。許すまじ。時効で無念。でも“それが悪いコトだ”とは教わっちゃいなかったわ」

朱苟 :
「ンマー…“だから悪くないです”言うにはちょっとあったんだけどさ。
 まあいいや、この話終わり。というか藪から棒に“天”の粗探し始めて、あによ、まさか元気してたのアイツ?」

謝花纏 :
「(明後日の方向に責任を擦り付けて切り替えるのだけは上手いな本当に……)」己の庭の子供たちをこうはさせるまい。

謝花纏 :
「その通りですよ。まあ正確には、彼女が”天”だという根拠を得るために、貴女から当時の記録をカツアゲしに来た、といったところですね」

朱苟 :
「へー…? “天”が………」

朱苟 :
   マジで
「───真见鬼? 
 今年度ベストオブどの面?」

SYSTEM :
 しかしだ、彼女は七年前の当時。
 見捨てられたことを把握しているから、尋問にはそれなりに口を利いていた。

 つまり、当時の記録のカツアゲは基本「中ればよし」の内容だ。彼女の進展と回想で、九割九分を“十割”にするための。

SYSTEM :
 ………そしてその一分は。

 期待通りに(あるいは望まない形で)叶った。

朱苟 :
「しっかしなあ、他なんか言って………?
 あー…」

朱苟 :
「コレ、“天”の話じゃなくて、
 どちかというと私の話な気がすんだケド。まあいっか、有難く聞きなさいね」

朱苟 :
「こっち与りになってからさあ、検査? 何度かあったのよ。
 なったタイミングが不自然すぎるから、原因まで含めて“天”の仕業なんじゃあないか、とか………。
           オルクス
 アンタ知っての通り、領域操作がどうのこうの…得手がどっちで不得手がどうだの、侵蝕率は100%越えじゃないかだの…ああいうやつ」

SYSTEM :
 そして人手不足と“比較的”更生の余地あるタイプだったから、
 まれに駆り出されるにあたって、その特性の認識のためにも。
 当時から彼女のオーヴァードとしての性質の検査は幾度かされてきたらしい。

 ここまでは彼女の話だ。求めている話ではない。だから彼女のちょっと脱線した自分の紹介は明後日に置いておく。

SYSTEM :
 しかしその朱についても、改めて症例が纏まっていき…。
 ある時期から、成長の乏しさがひとつの結論を見出させたという。

朱苟 :
「…いろいろ不思議なオーヴァードが見つかるようになって? なんだったかな」

朱苟 :
「私、その“老けない”? 
 オーヴァードなんだってさ」

SYSTEM :

 彼女はオルクス・シンドロームのオーヴァードであり、
 曰く不老の根源も同じオルクスのR因子に起因する。

SYSTEM :

 ・・・・ ・・・
 あなたと、同じだ。

SYSTEM :

 その符合は、普段なら笑い飛ばせるが………。

“天衝華山”謝雲竜 :
 ・・
 悪縁が羅馬にいる。
 手を焼かば、清算は吾がする

SYSTEM :
 師の言葉を重ねてしまったら、どうだろう?

謝花纏 :
 時の流れとともに生きる人々にとって、七年という歳月は決して短くない。子供が大人になるには、十分すぎるだけの時間だ。
 自分は、其処から切り離された側である。自分の庭に居る少女も。根室木市で出会った彼女も、おそらくは自らの鬣を曝け出して見せた彼女も。
 希少種ではあっても、決して皆無ではない。それが古代種というものだ。

謝花纏 :
 そして、師も。
 その師が、「悪縁」と表現したあげくに、あまつさえ手出しをちらつかせた。
 それは……随分と、異様なことだった。

謝花纏 :
「(あの人が、単なる親切心とかオヤゴコロとかそういうもののために、弟子の仕事に手を出すわけがない……。
  逆説的に、"天"には、師が直々に手を下すだけの所以がある────ということになる)」

謝花纏 :
 ……師の由来は地。大地。足元にて支えるもの。
 万象は地続きがゆえに遍くを守護すべしと、それが謝雲竜の大義であり、身に授かった力の所以なのだという。

謝花纏 :
 ……"天"……。
 地の陰陽の傍ら、相反するものとして座する概念を戴く名が、全くの偶然の一致でなく。
 それもまた覚醒の起源に由来する、筋の通った名づけであり、謝雲竜の対極として称されるものであると仮定するなら……。

謝花纏 :
「(……ああ、全く! 余所の庭の出来事だと、タカを括ってる場合じゃあないじゃないですか……!)」

謝花纏 :
「……貴女が覚醒したときに、何があったのか。
 もう少し詳しく、思い出してください」

SYSTEM :
 普段なら笑い飛ばせる、文字通り些事でしかない疑問の言葉だ。
 古代種は希少であって無二でない。
 
 だがそこに対するあなたの反応が思ってもみないかたちだったから、彼女は少し面食らったようだった。

朱苟 :
「は? 何を急に改まって、えー…」

朱苟 :
「イヤ…“何”も? 巷じゃ事故ったり唐突になったりとかするらしいけど。
 ただ、そーねえ…」

朱苟 :
「その前に客人は来ていたような? そんくらい。話したのだって大した時間じゃあないわ。
 ただ、爸爸と喧嘩かましたちょっと後だったんで、うっかり愚痴っちゃって………」 

SYSTEM :
 ここから具体的な人柄を聞いたとて、あまり引き出せるものはないだろう。

謝花纏 :
「(その”客人”とやらがこの女を覚醒させたのだとして……それが”天”であるという根拠は?
  彼女の覚醒が”天”に起因すると証明する手段は、彼女の言の中には見つかりようがないのでしょうね)」

謝花纏 :
「……結構。であるなら……そう、貴女、”天”の本当の顔は知らないのだと言いましたよね。
 であるなら、普段の意志疎通はどうなさっていたのです? 代役を立てられていたとか?」

朱苟 :
「ああ、それ? 定期的に来てたのよ。事前に連絡入れて来てね。
 毎回会い方と顔が違うワケ。声も体格もマー違うんだけど…毎回、別れ際にした話の続きをする感じ」

朱苟 :
「それから、そうね。一個だけ当時目印代わりにしてくれてたのかしら、同じ飾りがあって…」

朱苟 :
「白い八重咲きの…花? かな、その刺繍。
 毎回それは付けてたから、気に入ってんの? って聞いたら、素面で『旧知の仲の証です』とか言い出してサ」

謝花纏 :
「白い、八重咲の花……」

SYSTEM :
 “赤の鬼人”の傍らに、華人がひとりいた。
 なにも物珍しかったワケでない、その装いの隅から隅まで見分したわけではなかったが、件の”帝釈天”にそれを思わせる飾りはあった。
 
 …何より、そも、その白い八重咲の花とは。
 おそらく雲竜梅の花だ。

SYSTEM :
 ───付け加えるなら八仙過海とは。
 麻雀の用語の外に、戯曲として登場する八仙のことも指す。

SYSTEM :
 その戯曲の粗筋は知っているだろうか?
 もしも組織の名付け親がその“天”なら…。

謝花纏 :
「(”帝釈天”もまた、八重咲の白い花の飾りを持っていた。
  彼女が”天”であることは、これでほぼ証拠が揃った。それはいい。
  問題は、其処からの話。”天”が何者であるか、という、その先の話で……)」

謝花纏 :
 白い花────雲竜梅と聞いてまず浮かぶものは、師の顔だ。
 彼の名前自体がその梅に由来するのだから、当然のこと。
 それを意匠としてあしらうあたり、”帝釈天”……”天”自身に、謝雲竜の縁者だということを隠す気はさほどないと見える。

謝花纏 :
 そして、セル名────”八仙過海”。
 中国や台湾でのみ用いられる、「花牌」を絡めた役の名前である一方で、戯曲名としての意味合いもある。
 要するに仙人と竜王の諍いの話ではあるが……”天”は、其方の意味でセルに名付けたのだとしたら。

謝花纏 :
 どちらが仙で、どちらが竜だ?
 どちらが勝者でどちらが敗者だ。
 いや────中国におけるFHとUGNの闘争であった”八仙過海”の件は、単なる端緒、より大きな争いを産むための土壌作りでしかなかった?

謝花纏 :
 それはさながら天の如く……。
 地で巻き起こる争いの歴史を俯瞰したいがために、この小娘に連なる一連の出来事を仕組み。
 そして今や、ローマにて新たな戦の推移を見下ろしているのではないか。

謝花纏 :
 ……答えを求めて、目の前の顔を穴が開くほど観察しようとも、得られるものはなさそうだった。
 暢気が感染る。

朱苟 :
「あん? 何よじっと見てくれちゃって」

SYSTEM :
 暢気の大元。

謝花纏 :
「いえ別に。自分に花牌の八分の七とられロン和了りされて飛んだ女は流石に暢気だなと思っていただけです」

朱苟 :
「仔細はともかくこのインスタント失礼ぶり!!」

朱苟 :
「ハコったっていいんですぅー
 私は過去より今、あ、いや未来の女!」

謝花纏 :
「その未来当分このハコの中ですけど大丈夫そうですか?」

朱苟 :
「だいじょばない…」

謝花纏 :
「それはそれは。御気の毒に」

朱苟 :
「そうね何割かはアンタのせいなのよ~~~」

SYSTEM :
 無駄なビブラートの披露のち、その元温室育ち、現臨時徴用から聞ける話が物理的ノイズにまみれてくるあたりで、尋問は終わった。

SYSTEM :
 ちなみにその極東方面の某支部での彼女はというと、希少な古代種サンプル、兼、限定的なイリーガル扱いである。
 こう言ってはなんだが、表面化していた場合の朱苟はこの程度では済まなかっただろう。

 能天気で楽観的で直情的だが、表向きの人に担がれる才能”は”あった。放っておけば山賊になるというなら、確かに目立つ火になったに違いない…。

SYSTEM :
 ………その”たられば”も、去り際に自分の年齢が成人であることを思い出してほしいような罵倒といっしょに過ぎ去った。

 確証の残りを調べるにしても、ローマを長い間空けるわけには行くまい。

SYSTEM :
 支部を後にしたあなたは、何事もなかったかのようにローマに舞い戻った。
 些事とするかどうかの前に、現地でなければできないこともあったからだ。

SYSTEM :
 …ところが…。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ところが、その岐路である。

 たどり着いていざ、仮の主の縄張りに舞い戻ろうとしたあなたの前に。

“帝釈天” :

「ああ」

“帝釈天” :

「そちらにいらっしゃったのですね」

SYSTEM :
 まさしく噂をすれば影が差す、の通りだ。
 いまの探し物を知ってか知らずか、顔を出したのはまさにその張本人。

 対岸の火事から此方に伸びた火の手の態度は、はじめ出会った時と一切変わらなかった。
 恭しい会釈は敬意ではない。今にして思うまでもなく、そいつの態度は最初から同じだからだ。

“帝釈天” :
「…何か、お探しだったので?」

"七花胡" :
 探し物の中身が自ら現れた。しかも此方のことを探していたような口ぶりだ。
 “赤の鬼人”を伴って消えた時と、音もなく姿を顕した今の所作は同じ。
 これなら話が早いと、せめて前向きに考えるべきだろうか?

"七花胡" :
「そうですね、探し物です。おかげさまで、危なっかしいローマの街をこれ以上駆けずり回らずに済みました。
 ”帝釈天”」

"七花胡" :
「何やら御足労いただいてしまったようなので、まずは貴女の御用向きからお伺いしますよ?」

“帝釈天” :
「ふふ、これは謙虚に。
 なに、大した用ではございません」

“帝釈天” :
「同郷のよしみで、一つ耳に入れておいて頂きたいことがありましてね。
 “大師”に凶兆が見られます。程遠くないうちに、彼は試練に直面する」

“帝釈天” :
「どうするかは御自由に。しかし、何も存じずに足を運んで墓に入るほど…つまらぬこともないでしょう」

“帝釈天” :
        おなじくこれてんがいりんらく
「同 是 天 涯 淪 落  人 相 逢 何 必 曾 相 識………」
  あいあうなんぞ かならずしもかつてのそうしきなるべき

「と、申すこともありますから。ね?」

"七花胡" :
「……なるほど。“赤の鬼人”の傍にずっと侍っていた貴女が言うのであれば、その通りなのでしょう。
とおきおやちかきとなりにしかず
  远亲不如近邻……などと言いますからね。持つべきものは同郷の士、といったところでしょうか。御忠告、痛み入ります」

"七花胡" :
「とはいえ、“赤の鬼人”の傍を離れてよろしかったので? 人を遣い、言伝するでもよかったでしょうに。
 “黒鉄の狼”に負わされた手傷は相当深いと存じます。まだ癒えていないのでは?」

“帝釈天” :
「ああ、それ…。
 もう少しお傍にいようかとも思ったのですが、何事にも程度がありましょう?
 大師は別段、赤子ではないのです。疵で怯むような御仁なら、羅馬であの方を立てようとは思いませんでしたよ」

“帝釈天” :
「………………」

“帝釈天” :
「でも、そうですね。
 そちらの用向きの前に、お話しましょうか」

“帝釈天” :
「“黒鉄の狼”は、今まで二つの獲物を探していたようなのですが………。それが急に片方に向きを変えたのです。

 ───で、それを聞いた彼に、少しばかりの展望があるなら、お傍にいましたよ」

SYSTEM :
 要するに大師と呼び、裏ではどうあれ表面で盛り立てたものの凋落と迫る刻限の“本懐”と、彼女の望みが違ったから、それを口実として離れただけだ、と。
 何の躊躇もなく喋ったことが、彼女の今後を示しているようにも思える。

"七花胡" :
 二つの獲物────狼が向きを定めたのは、いわんや“帯来风暴”の方だろう。
 およそ無敵に近い自らの剛性に、手傷を負わせるほどの者が現れたとなれば……
 かすり傷ひとつ付けられなかったもう片方の食い残しを眼中から外すのは、あの狼の生態を考えればごく自然な成り行きだった。

"七花胡" :
 それを知った“赤の鬼人”の見据える先と、”帝釈天”の望むものが、重ならなくなった。
 だから離れた────見限った。
 では……

"七花胡" :
「彼は貴女の期待に沿えなかったようだ。だから梯子を外したのですか?」

"七花胡" :
 ・・・・・・・
「七年前のように」

"七花胡" :
「貴女は彼に────彼女に。
 一体どのような『展望』を望んだというのか」

"七花胡" :
「改めて。お教え願えますか?」

"七花胡" :
      ティエン
「────────"天"」

“帝釈天” :
.ごぞんじのくせに?
「别装了、快说吧」

SYSTEM :
 思うに。
 ・・
 同郷の意味は、華人であるかどうか、ではなかった。
 そうであるならば、彼女は違った言葉であなたに問いかけたはずだ。

SYSTEM :
 己の名から辿ってやって来る旧知を、少し遠ざけておきたい気分と彼女は語り。

 あなたが”そう”と分かった瞬間、当てつけるように取っ掛かりを渡した。

SYSTEM :
 なんのことはない。

 展望などというのは。

“帝釈天” :
「もう少しだけ………。
 明瞭に、申し上げましょうか」

“帝釈天” :

.ユンロン
「“大師”は、息災でありましょうや?」

SYSTEM :
 展望などというのは。
 概ね“そのため”だ。

 なぜなら………。

SYSTEM :
 彼女はあなたと同じ、刻限のない命の持ち主で…。

 八仙過海の主役は仙人、その地に根付いて“してやられる”側は龍である。

SYSTEM :
         ・・・・
 あの名前はただの当てつけだ。

"七花胡" :
 同郷。郷里を同じくすること。
 望郷。かつての巣を想うこと……。

"七花胡" :
 何のことはない。
 彼女は最初から、同じ巣で────

"七花胡" :
   ・
 同じ親のもとで育った、”同郷”の士として。
 俺を呼んでいた。

"七花胡" :
 中つ国で生まれたとか、同じセルの名を過去に持つとか、そういう、履歴書の数行で片付く部分ではなく……。
 時代こそ異なれど、同じ人に師事し、同じ巣から巣立ったという、いわば「教え」によって繋がれた縁の根本を辿って、彼女は「同郷」と云ったのだ。

"七花胡" :
 彼女が俺に関心を持ったのは、『”八仙過海”のセルを討伐したUGNエージェントが、そのセルの名を被ってFHをしている茶番』を滑稽と嘲笑ってのものではなく。
 もっと単純だった。彼女にとって、俺は弟弟子にあたるからだ。
 加えるなら、『気に食わない師匠の薫陶を受けた一番末の弟子』だからだ。それを見て手出しせずにいられるのは、仙人くらいのものだろう。

"七花胡" :
「はは────なるほど、なるほど。
 ええ、貴女は御存知ないかもしれませんが」

"七花胡" :
「我らの師は、我らが教えを受けた時より変わらず、依然壮健であらせられましたよ。
 『この地には悪縁がいる』と、有難い御忠告付きで」

"七花胡" :
「"天"────"帝釈天"────いえ。
 "姐君"、とでも、呼び改めたほうがよろしいですか?」

“帝釈天” :
.             シャオレイ
「覚えていればお伺い下さいな。暁蕾です」

“帝釈天” :
     り
「古い字は李。今は、そうですね」

“帝釈天”謝暁蕾 :
 シェ
「謝、と。
 こちらの方が、見つけやすいかと思いまして」

SYSTEM :
【Check!】
 情報『“帝釈天”謝暁蕾』を開示します。

SYSTEM :
   インダラヤ
【人物:“帝釈天”謝暁蕾(シェ・シャオレイ)】
 ブリード:トライ
 シンドローム:ブラックドッグ/エグザイル/オルクス
 ワークス/カヴァー:リエゾンエージェント/仙人
 侵蝕率:148%(最高記録) 性別:女性 年齢:??(14世紀以上は生きている?)

SYSTEM :
 物腰穏やかな態度、大抵のことへの器用さとは裏腹に、中身は極めて陰険で傲慢な性根の持ち主。
 よく言えば視野が広く、悪く言えば本気にならない。なまじ能力があり、悪運があり、素質があるため「自分より優れた人間はいない」という稚拙さが容認され得てしまった類の人種。

 リグ・ヒンサーに属しているのは単に「自分が仕えるに足る素質の一番手を捜している」に過ぎないと語る。
 そのため、今までもこれからも、素質なしと思えば容易く主を見限るが、その真の理由は後述。

SYSTEM :
 正体は古代種のオーヴァード。古き字は李。リ・シャオレイ。現在はあてつけか好意か定かでないのだが、字を「謝」とする。
 628年に歴史の編纂を行うも志半ばで死去した李大師ならびに、これを継ぎ南史と北史を完成させた、李延寿の歴史上の陰に隠れた娘。

 生まれながらの天才肌であり、比較的女性が自由な時代であった唐の歴史においてなお“異形”と称される人物だったが、ある時にオーヴァードの存在を知り得て“やんちゃ”を始めていた。
 まだ(比較的若い頃の)謝雲竜の存在を聞きつけ、彼の持つ、己ともなお異なる“力”を狙って潜り込む。
 幾数年の師事のち、邪念に改心の見込みなしと見られて物理的に破門されるも、土壇場で『古代種のレネゲイド』を自らに感染させて力技でリザレクション。そのまま逃亡。

SYSTEM :
 やがて彼女は『自分の思うがままに他人を動かす』悪癖を『世界』にまで拡大させた…が。
 やがて、思い通りにならぬ最初の男が愛した世界を自分好みに彩る(演出する)という意趣返しを思い付いて以降、定期的に雲竜のみに分かる挑発めいた形で他者を巻き込み、組織を作り(ごくまれに彼に助力し)、その栄華と崩壊の歴史に関わって来た。

『八仙過海』を設立した「天」を名乗るアドバイザーも彼女であるが、基本的に一定の周期で“生き方のスタンス”を変え、他人とのかかわり方や振る舞いをがらりと変える器用さがある。
 連続する己の本質が変わらぬことを知っているから、それ以外を容易く捨て、容易く見出せる。善悪どちらも等価値とし、“その時の好み”で貪れる欲人。

SYSTEM :
 歴史の影から影を渡り、自らを『立会人』と望んで憚らず、またそれを生業として他人に関わり続ける隠者。
 言うなれば───『よこしまな』仙人。つまるところが邪仙。

 唯一無二の楽しみはかつての大師の困る様である。

SYSTEM :
 余談であるが『八仙過海』とは麻雀の用語の外に、戯曲として登場する八仙としても使われる。
 それを元にした、全五十六回から成り、前半は八仙の得道伝が、後半では八仙が東海を渡る際、彼らと四海龍王との間に起こった諍いについて語られている『八仙東遊記』の物語を由来にしたもの。たいそう掻い摘んで語ると、『竜』に『仙人』がマウントを取る物語である。

友好条件 :
 謝暁蕾は下記の条件をすべて満たした際に『友好』NPCとなる。

・フェーズ2以降
・情報が判明した状態で…?(詳細不明)

敵対条件 :
 また、以下の条件で『敵対』NPCとなる。

・フェーズ2以降
 かつ2ラウンド目クリンナップ以降から特定条件を満たしていると………?(詳細不明)

SYSTEM :
友好となった場合は、下記のカードを獲得する。

SYSTEM :
[“帝釈天”]
・画竜点睛(Phase/1)
 指定した「PC」もしくは「NPC」が使用したオートエフェクト一つを選んで無効化する。
 この時「制限:-」以外を無効化は出来ない。

・毒如蛇蠍(Phase/1)
 指定した敵対的NPCに『邪毒L5』を発生させる。
 この効果で付与した『邪毒』は、“戦闘中”でないミドルフェイズの場合、そのラウンド経過後に解除される。 

“帝釈天”謝暁蕾 :
「…しかし先の五十年はあれほど大人しくしていたというのに。
 変わらず悪縁呼ばわりとは。まあ、いいでしょう」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「次は此処で、そろそろお会いしようかな、と。
 ホラ。件の雷霆は、とても………」

“帝釈天”謝暁蕾 :
 ・・・
「不自然でございましょう?
 あの方はきっといらっしゃってくれると思うのです」

謝花纏 :
 この女が「謝」を字に選んだのは、多分、俺とよく似た理由だ。
 あの人の弟子であることを────謝雲竜の縁者であることを、忘れたくなかったからだ。
 忘れられなかったからだ。

謝花纏 :
 七年前、"大師"なんて名目で朱苟を操っていたのは、謝師の真似事だろうか。
 真似事をして、悪いことをすれば、彼に注目してもらえるのではないかと。

 ……まるで大人の注目を集めたい子供の魂胆だ。
 うちの年少のチルドレンたちでさえ、そういう年ごろは早期に卒業できたというのに。

謝花纏 :
 「”天”の本当の顔を知らない」と朱苟が言っていたのは、真実、その度に全てを作り変えていたから。
 エグザイルシンドロームの持ち主であれば、外形的な部分は自由自在だろう。並みのオーヴァードであれば人格崩壊を招きかねない異様な変貌も、この女だけは平然と使いこなす。
 今の姿さえ、”本来の謝暁蕾”ではないのかもしれない。

謝花纏 :
 大事なことは────彼女が俺の姉弟子であるという、その点ではない。
 謝雲竜の目を惹くために、今度はこのローマを自らの画布にしようとしていること。
 ・・・・・・・・・・
 まだ諦めてなどいない、ということだ。

謝花纏 :
「そうですね。彼の遺産を放っておけば、ローマどころかこの大地そのものを揺るがしかねない。
 そんな事態になれば、師は真っ先に飛んでくることでしょう」

謝花纏 :
「でも、そうはなりません。遺産は自分が回収するので」

謝花纏 :
「謝雲竜が、貴女のために此処に来ることはありえないのですよ。
 謝暁蕾」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「残念ですが、それはそれで楽しくありましょう。
 野放しの荒れ放題は、私とてそこまで好きではありませんからね」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「それに此度のは、あと少し育てたなら…。
 愉快に、栄え実ると思っていたのですよ。

 その証拠に貴方が来たではありませんか」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「以前もそうでしたが、まあ、朱様は…。
 あまりに火種の才覚と、品性に欠けましたから」

SYSTEM :
    ・・
 彼女に悪人の才能はない。
 それは、あなたの見立て通りだ。

SYSTEM :
 時間をかけたならばそのように芽吹いたかもしれないが、
 それでも目に余る凄惨さは生まない。生みようがない。
 
 元が満ち足りた生活から、挑戦と退屈のために破落戸に転げ落ちた女だ。
 ───だから、と。
 彼女は丁寧に育てたものを、その見込みなしと転がして、天運にゆだねた。

SYSTEM :
 なぜ? 答えなど、本人が愉快そうに語っている。

“帝釈天”謝暁蕾 :
「先の周期は、行儀よくふるまったのです」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「───この度は、逆がいいかな、と」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「…ですからね“七花胡”。
 私は羅馬で起きることを、私なりに楽しむだけです。如何に鼻を明かせども、好きにすればよろしい。
       ・・
 一番よいのはそれですが………」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「“大師”の後進が、大言のち、我が画布に組み込まれる体たらくなど…晒さないでくださいましね。
 そんなことになった挙句、目論見が崩れては、次の支度の気が重くなります」

SYSTEM :
 女にとって一番はそれだ。
 しかしそもそもこの面、何度も目論見と夢破れた性質で、その移り気と雑食で命を長らえてきた古代種だ。
 その屈折が早々たじろぐわけはないし、その自尊が一朝一夕で変わるハズもない。

SYSTEM :
 画布と呼んだ”地”を、生まれついて基本的に自分のものだと思っているからだ。

謝花纏 :
 ……恋しさに踏ん切りをつけることができたとはいえ、未だ師が絡むと理性が乱れる自覚はある。認め難く、口惜しいことではあるが。
 一体いつになれば、過日の庵を安らかな心持ちで懐かしむことができるようになるのか……。
 遠く、定かではない。

謝花纏 :
 だから、今は初心に帰ることとする。
 謝花纏にとって最も大事なものは何か。
 命を賭すに値する欲望に────焦点を合わせる。
 
 はっきりする。
 何のために此処にいるのか。

謝花纏 :
「勘違いなさらないでいただきたい。
 自分は、師の不始末を尻拭いするために、此処にいるわけではありません」

謝花纏 :
                  ・・・・・・・・・
「貴女が師に何を思い何を試みようと、知ったことではない。
 自分の庭に障るようなら踏み潰すだけ。
 命じられれば叩き潰すだけ。
             ・・・・
 仕事の邪魔をするのなら、ついでに轢き潰すだけです」

謝花纏 :
「“赤の鬼人”の次に誰を担ごうも、結果に一喜一憂するも貴女の勝手。
 貴女の乏しい娯楽が何であろうと知ったことではありません。
 勝手にやっていればよろしい」

謝花纏 :
「だいたい、自分が此処に来たからなんだというのです。そんなの偶然の結果に決まってるでしょうに。
 全部自分のために誂えてもらったとか、そういう思い込みが許されるのは子供の時分までですよ。
 とっくに過ぎてるでしょう?」

謝花纏 :
「自分は粛々と仕事を全うします。
 その過程で貴女が目障りになったなら、まあ、その時改めて対処を考えますよ」

謝花纏 :
「こそこそ裏で楽しんでる分には目零しして差し上げますから。
 この先も師にちょっかいかけて遊びたいのなら、自分の目があるうちは大人しくしておきなさい」シッシッ

“帝釈天”謝暁蕾 :
「仕事。…ふむ、仕事と」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「決められた役割をやるというのは難しいでしょう?
 世の中を動かすのは、いつも極僅かな当事者。そこにいたものなのに…」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「でも、まあひとつを除いて仰る通りです。
 お互いご随意に。鉄則ですよ」

SYSTEM :
 くすり、と。女が笑った。
 領分として優先したものへの懐旧であり、
 是非や好悪は別とするし。

 どの回答を出しても、その”ふわり”とした態度を返したに違いないが。

“帝釈天”謝暁蕾 :
「…ああ、そうそう。そのひとつ、答えて差し上げるなら…」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「事実ですよ。もらったのではなく、拵えたのです。
 ほかにも同じようなことをしたもののいる中で、ここにいるのが私なのです」

“帝釈天”謝暁蕾 :
 . おのれのにわ
「オーヴァードの世界を、どう己が動かそうが、勝手ではありませんか。ね?」

SYSTEM :
 見透かそうという意図自体は感じない。
 彼女のピントから見るあなたは、“大師”の高弟だ。きわめてはた迷惑なことだが、これで“よすが”としているらしい最初の師/弟子の。

SYSTEM :
 何処に向かうと問う暇もなく、その姿が消えていく。
 この、未だ如何なるさだめを行くかも定かでない羅馬に留まるならば…彼女は涼やかに、舞台の袖から人を弄ぶように生きるだろう。
 曰く己なりに、己の見る歴史を“拵え”て。

 …おそらく手を結ぶよう持ち掛けても、その逆を選んでも、その態度が変わることは、ひょっとしたらないのかもしれない。

謝花纏 :
「…………」

謝花纏 :
「……………………」

謝花纏 :
「……………………」舌打ち。

謝花纏 :
「何が『悪縁』ですか、元はと言えば若い頃のあんたの不始末でしょうに。
 数百年前に清算しとけよそんなの……」

謝花纏 :
「あの面、人の庭まで自分ちの軒先だと思ってますよ絶対。
 やっぱり野放しにせず、理由つけてとっ捕まえておくべきだったか……?

 ……ああもう、なんでこう、あの人は面倒くさいのばかり弟子にするんですかね!」

謝花纏 :
 人目があるとろくろく悪態も吐けない────吐かないから、最後にもう一回、人払いのされた路地裏で特大の舌打ちを一つ。
 それを最後に、踵を返す。厄介な姉弟子……否、単なる愉快犯以外に、考えるべきことは山積みだった。

SYSTEM :
 あなたを識る人目のあるところで、少し前のあなた/謝花纏の師への応対を思い返せば、きっと決まった回答をしたに違いない。

SYSTEM :
 その回答のうちに、最長14世紀は離れた姉弟子との相違点も教えてくれたに違いない。

 いや、教わるだけ愚かな話だ。

 なぜなら彼女は自覚をもって、自分の欲望で、世の中を弄べる人間で。
 あなたが自覚なくやった時が、最初で最後、師の怒りに触れたときだった。

SYSTEM :
 
───他山の石、以って玉を攻むもの。
  己が水を枯れさせることなかれ。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

謝花纏 :
……では、”帝釈天”謝暁蕾に、 同情/○無関心 でロイスを取得します。

謝花纏 :
クソバ…… ……”帝釈天”が勝手によろしくやっている以上は関知しませんが、こちらの邪魔になるような行動をとるのであれば、その時は排除します。
これはその、メモ書きのようなものです。

GM :
(まぬのお面をつける)

GM :
いけないんだいけないんだー!!

謝花纏 :
(咳払い)

GM :
はい。

GM :
ともあれ了解です。キャラシートに書き加えておいてくださいね。

謝花纏 :
はい、もちろん。それと

謝花纏 :
誰も聞いていません。いいですね?

GM :
アッハイ

謝花纏 :
よろしい。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・シーン13「Memento mori-弱者の行く先」

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

 邂逅:闘争
 生まれてこの方、追い求めたものがある。
 強さだ。それのみを積み上げてきた。
 牙を磨き、爪を研ぎ澄ませ、山を越え海を渡り───。
..       ほろぼ
 まだ、すべては勝利していない。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 クリンナッププロセスの終了を確認しました。
 リザルトに移行します... 

SYSTEM :
【Check!】
「????&????」が持つ『組織崩壊』の効果の一部が発動しました。
(本来の効果は現在発動していません)

・所有しているユニットが協力関係にある勢力は、クリンナップ時に勢力値を[5]回復する 

“リグ・ヒンサー” :
 勢力ゲージ:11/30

[プレイヤーとの関係]
 中立/協調可能
 
[所属メンバー]
“赤の鬼人”:生存/居場所不明
“帝釈天”:生存/居場所判明【攻撃可能】
“神に仇名す毒蠍”:生存/居場所不明

“貴人の庭” :
 勢力ゲージ:13/30

[プレイヤーとの関係]
 中立/協調不能
 
[所属メンバー]
“青の貴人”:生存/居場所不明
“不朽讃えし懐刀”:死亡
“ヘカトンケイル”:生存/居場所不明

“御手翳す開放者” :
 勢力ゲージ:17/30

[プレイヤーとの関係]
 中立/協調可能
 
[所属メンバー]
“黄の希人”:生存/居場所不明
“アイシャ”:生存/居場所不明
“血色の探求”:生存/居場所判明【攻撃可能】

”黒鉄の狼” :
HP:339/606

PLAYER :
 勢力ゲージ:0/30

[経過フェーズ/ラウンド]
 Phase1/ラウンド2

[所属メンバー]
・”逢魔狩り”/生存
・“Mr・A”/生存
・“血穢の蓮花”/生存

[協力メンバー]
・“アセルス・デスミオス”/生存

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています... 

SYSTEM :
【Check!】
 イベントの発生はありませんでした。
 フェーズ1のリザルトを確定します。 

SYSTEM :


【Warning!】
 フェーズイベントが発生します。

 対象勢力:”リグ・ヒンサー”


SYSTEM :

【シーン:Memento mori-弱者の行く先】

 登場PC:全員(推奨)
 登場侵蝕:あり

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

 衝動:妄想
 男はその衝動を強靭な精神力、そして栄光で制していた。
 腕っぷし以外を持たなかった人間の、駆け上がった栄光で。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ローマ市街は未だその情熱の鍍金を剥がすことのない一方、
 飛び込んだ渦中の狼は絶えず命を貪り、戦いを続けていた。

 一度目のそれは偶然でなく、
 銀の弾丸は必然の効果を証明した。
 あちらとて阿呆ではない。易々と逃がす回数も減るだろう…。

SYSTEM :
 そしてその“黒鉄の狼”の暴虐は、無尽蔵に思えたある要素を削り取り続けていた。

 配下だ。あなたたちのではない、三大セルの。

SYSTEM :
 片翼を失いながら尚もギルドの手を借りたことでそれを補った“貴人の庭”、もともと最大手だった“リグ・ヒンサー”、あなたたちが助力を繰り返した“御手翳す開放者”………。
 どれも、戦いが続いて無尽蔵に送り出し続けられるわけではない。

 争奪戦は羅馬全体の人手が尽きるか、狼が息絶えるかだ。
 あるいは急ぐならば、無人の荒野が生まれる前の“血戦”も加味しなくてはならない頃である。

SYSTEM :
 そんな中で、あなたたちは先日と同じように、状況の見極めと情報交換もかねて、ここに帰還していた。そろそろ引き払い時の仮の塒にだ。

SYSTEM :
【Check!】

・登場侵蝕を確認します。
 対象:PC1、PC2、PC3、PC4 

夏瑞珂 :
はぁい

ラーゼス :
1d10 (1D10) > 2

夏瑞珂 :
1D10 (1D10) > 5

"七花胡" :
1d10 (1D10) > 5

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 70 → 75

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 65 → 67

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 53 → 58

アレウス :
1d10 (1D10) > 4

system :
[ "七花胡" ] ロイス : 4 → 5

system :
[ "死滅天隕"アレウス ] 侵蝕率 : 52 → 56

夏瑞珂 :
 靴を脱いでソファに三角座り。膝に額を埋めている。

夏瑞珂 :
 殺せるという確信は、焦燥と疲弊に変わりつつあった。

 ……あと何度、あの悪夢と向き合えばいい。どれだけ繰り返せば終わる? どれだけわたしは耐えられる?

夏瑞珂 :
 しらない。

 ……そんなの、しらない。

夏瑞珂 :
 視界に映る手袋を無視して、歌いだす。三年前に聞いた流行りの歌を、かびくさい童謡を、誰かのへたっぴなハミングを。とりとめもなく、つなぎ目もなく。

"七花胡" :
「よいうたですね」

アレウス :
「(歌というよりは囀りだな……)」

"七花胡" :
 片手に持ったマグカップを、抱えられた膝の前に置く。
 うたの途切れ目に滑り込ませた問いかけは、別段答えを強制するものではなかった。
 此処に置きましたよと、気付かせるための声かけだ。

"七花胡" :
 中身はほどほどの熱さのホットミルクだ。
 苦いものが飲めるのか、熱いのは平気なのか、相手のことを良く知らない時に出すもの。

アレウス :
「"お優しい"ことだな」

"七花胡" :
「そうですか? そういうつもりはないんですけどね」

"七花胡" :
「ほら、御宅もどうぞ。コーヒーでいいでしょう?」
 カップを置く。それから自分の分。ポットの中には、あと一人分とおかわり分くらいは残っている。

夏瑞珂 :
「テイラー・スウィフトが?」

 もそりと顔をあげて、ちいさく鼻で笑う。目の前にあったかいなにか。

夏瑞珂 :
「…… ……」

 あわい湯気のたつカップを、じっとむずかしい顔でにらむ。くぴ。煤の味しかしなかった。

夏瑞珂 :
 しなかったけど。
 あたたかいのは、わかる。

アレウス :
「俺ぁ酒でいい……」

"七花胡" :
「"貴女の"うたがよい、と言ったのですよ」口を付けたのを見て肯く。

"七花胡" :
「……貴方の方は随分と淹れ甲斐のない人ですねえ」“死滅天隕”の方を見て、勝手にしなさいよ、の顔

夏瑞珂 :
……あなたの、でむっとなる。なぜか。

夏瑞珂 :
鳥のおじさまにカップをおしつける。

"七花胡" :
「おや」

夏瑞珂 :
「あげる」

ラーゼス :
「……」

アレウス :
「飲み口を拭け」

ラーゼス :
「与えられたものを他者へ押し付けることは感心しないが……」

ラーゼス :
「……まあ、よい。仔猫は荒れ模様のようだな」

夏瑞珂 :
おもむろにスーツの袖口を寄せる。

"七花胡" :
「かまいませんよ。こういうのは慣れてますから。要らなかったら捨ててください、“死滅天隕”」

"七花胡" :
「あーもう、拭くならこっちになさい。ほら」ティッシュを数枚とって割り込ませる ずい

夏瑞珂 :
きゅきゅっ。

"七花胡" :
「屑籠はあっち」指さす

夏瑞珂 :
拭きましたがというかお。

"七花胡" :
指さす 捨てろ 自分で

夏瑞珂 :
くしゃくしゃにしてぽーい。風の支配者できれいにシュート。無駄にまわす。

"七花胡" :
小芸を……

アレウス :
「そうか。では俺は猫舌というヤツでね。冷めた時に飲むさ」

"七花胡" :
「ご自由に。“隻獅子”、貴女もコーヒーでかまいませんか」

ラーゼス :
「できれば仔猫と同じものにしてくれ。温くてよい」

"七花胡" :
 猫舌でしょうからね、の笑いを含んで噛み殺しながら、立ち上がって簡易キッチンの方まで向かう。
 レンチン(弱)のホットミルク。

"七花胡" :
「どうぞ。召し上がれ」

ラーゼス :
「ありがとう。いただこう」

ラーゼス :
こくりと口に含み、なるほど…と頷く。国のものよりも濃い。悪くはない。

夏瑞珂 :
「……?」すん、と鼻をうごかす。

夏瑞珂 :
ライオンちゃんをぐるりと一周して、鳥のおじさまへ。

夏瑞珂 :
「……」

夏瑞珂 :
「血の匂いがするわ」

アレウス :
「そいつぁ、俺の血だろうな」

"七花胡" :
「……どうやら白い液体より赤い液体の方が気に入りと見える。やれやれですね」言うほど機嫌を咎めたようではない。首を竦める

"七花胡" :
「“貴人の庭”の手勢と交戦したと聞きましたが。仔細を伺っても?」

夏瑞珂 :
ソファの上で頬杖をついて足をぱたぱた。

アレウス :
「"ヘカトンケイル"とやり合った」

アレウス :
「俺は土手っ腹をブチ抜かれた」

"七花胡" :
「おやま。ご苦労さまです」

アレウス :
「仔細と言うほどでもない、それだけだ」

SYSTEM :
 “七花胡”の飼い馬から報告があった、“貴人の庭”の戦闘エージェントだ。

 明確な戦闘担当だったとも話が入っている。あちらで動かせる駒の片方が潰れたいま、彼が最後の実働だろう。

夏瑞珂 :
「アッハ!」

アレウス :
「見るに、あれが最後の砦といった感じだな。
 退かすには少し骨だが」

"七花胡" :
「報告は聞いていますよ。初戦で駄馬が遭遇し、こちらの手勢もそれなりの損耗を強いられました。
 女王の番犬ですね」

夏瑞珂 :
「がうぅー」

ラーゼス :
「ああ。……確か、“貴人の庭”は元実験体を抱え込んでいたと聞いたが」

ラーゼス :
「その代表が”ヘカトンケイル”と見てよいと感じた。普通の域をはるかに超えて硬く、重く、そして強かった」

ラーゼス :
「代償になにかを捨てているようにも。現に、おれとアレウスの攻撃はほとんど通らなかったからな」

アレウス :
「ああ。傷こそつくが、浅かった」

夏瑞珂 :
「ぅー、わおんっ」

ラーゼス :
ちょうどそこで鳴いている娘のようにだ。

夏瑞珂 :
「殺せなくて残念ね?」

アレウス :
お ま え と ち が っ て
「俺は銀の弾丸じゃあないんでね」

ラーゼス :
「敵を少しでも削ることができれば僥倖と思ったが……そうもいかないらしい」

"七花胡" :
「なるほど……此方に上がっている報告と合わせても、元実験体という線が妥当かと。
 尤も、実験の仔細までは明らかになっていませんが。
 どちらにせよ、倒さねば“青の貴人”の首に手が届かないことだけは確かですね」

ラーゼス :
「そう思う。忠誠心は高いようだった……」

ラーゼス :
「……あのような大きな獣は、数を揃え、連携で追い詰めるべきだろうな」

"七花胡" :
「狩りですね」

"七花胡" :
「人間らしく、使える道具や罠全部使って追い詰めましょう」

夏瑞珂 :
背を反らせて遠吠え。あお~ん

"七花胡" :
邸の中であんまり吠えないでくださいね 近所迷惑ですので

"七花胡" :
まあ、騒音を気にするご近所が一体幾ら残ってるかも定かではありませんが

ラーゼス :
……。

ラーゼス :
「……このねぐらも、随分ともの寂しくなったものだな」

ラーゼス :
「少し外に出れば、いきり立ったごろつきが闊歩していたが……数日前とは比べ物にならぬ」

ラーゼス :
「減っているな」

"七花胡" :
「食われたのでしょうね。ああいえ……”轢かれた”の方が正しいでしょうか、大部分は」

夏瑞珂 :
……

夏瑞珂 :
「ワン!」

"七花胡" :
あ~も~ 元気なことで

アレウス :
「ふん、上出来だ」

"七花胡" :
「……貴方の方が”お優しい”のでは?」

アレウス :
「さてね」

"七花胡" :
首を竦める。

"七花胡" :
「……我々が仮宿としていたこの塒の主は、そう遠くないうちに『試練』に直面するそうです」

ラーゼス :
「……試練?」

夏瑞珂 :
 ボス
「雇い主が? ついに"元"になっちゃうのかしら?」

"七花胡" :
「さてねえ……解雇通知はまだきていませんが、あれだけ余所と仲良くしていれば、まあ送り付けられても文句は言えませんね」

夏瑞珂 :
思い出してへの字口。

夏瑞珂 :
「してない」

夏瑞珂 :
…。

夏瑞珂 :
「してない」

"七花胡" :
「『試練』の中身が具体的にどうとかは、話してくれませんでしたね。
 ただ、『試練』、とだけ」

アレウス :
「そうか」

 二重の意味で、淡白に答えた。

"七花胡" :
そうですか してないんですね まあそういうことにしておきますか……

"七花胡" :
「"帝釈天"が、わざわざ自分から出向いてきて教えてくれましたよ。
 ついでに、自分はもう“赤の鬼人”から離れたのだ、とも」

ラーゼス :
「…………」眉をひそめる。

ラーゼス :
それはアレウスの態度にも、語られた“帝釈天”の背反にもだ。

ラーゼス :
とはいえ、彼の言葉を尊重する。彼が語りだすまでは、その内面へ人前で触れることはすまい。誰かの仕草をなぞり、あごをさする。

夏瑞珂 :
まねっこする。さすりさすり。

アレウス :
「なんだ、もう裏切ったのか。
 予想より少し早かったな」

ラーゼス :
「……どの勢力も、同じように損耗しているように思う。この状況で?」

"七花胡" :
「自分の望みと、“赤の鬼人”の展望が、合致しなくなったのですって。
 ようは、彼女が担ぐに値する”大師”ではなくなったと」
 親のしぐさをまねてじゃれつくこどものような彼女を一瞥してから、そう答える。

ラーゼス :
「………。………」

ラーゼス :
すぐに思い浮かべたのは王賢モリグナだった。後にモルゴースを名乗り、いまは別の名で呼ばれているという妖精。

ラーゼス :
「……担ぐに値する主ではない……」

ラーゼス :
「寄生する宿を選り好む人間──か。なんとも珍妙だな」

SYSTEM :
 …王賢モリグナはあの森にひとつの“過程”(あるいは結末)だけを残していった。その見届け人も。
 かき回す波紋のような賢人を思い浮かべたというなら、それと”帝釈天”には如何程の共通項があるものか。

SYSTEM :
 強いて言うなら、その女は最初から見限るつもりで潜り込んだわけでもない。
 ローマで争う彼らの共通項───FHからすれば、欲望の切れ目は縁の切れ目である。

 宿の謳い文句が見るに堪えなくなった時、かまわず住み続ける人間が如何程あろうか?
 これが“概ね”の言い分だ。ローマでの多数派がどちらかはさておき。

アレウス :
「寄生虫はどこにいっても寄生虫だ。
 宿主を食い荒らし、宿主を生かし、見込みが無くなれば、新たな媒介者に寄生する。
 一度そうした奴は二度三度、そうし続ける……死ぬまでな」

アレウス :
「だがそいつのスタンスに興味はない。
 "七花胡"、そいつの今後の行動について、何か示唆するようなことは口にしていたか?」

アレウス :
「重要なのは俺達にとって有害であるかどうかだ。
 無害であれば捨て置けばいいし、有害なら始末すればいい」

"七花胡" :
「今後もあれのやることは同じでしょう。このローマという画布を愉快な色で染めてくれるような、次の”大師”を探すはず。
 面白くなりさえすれば教え導いた相手がどうなろうと構わない、たちの悪い愉快犯ではありますが、逆に言えば、彼女に自分で一旗揚げてやろうというつもりはないのです」

"七花胡" :
「誰かの欲望の後ろで、こそこそくすくす嗤っているのが楽しいお年頃のようですから。
 目障りになればその”誰か”ごと轢き潰せばよろしい。価値があると見込めば、利用するのも一手です」
 とんとん、と指先で机の上の資料を指す。価値があるかは、各々で判断しろという示唆だ。

"七花胡" :
「つまるところ、”やらかす”まではいようがいまいが大して変わりません。あれの有無で対“黒鉄の狼”の布陣に欠けが生まれるわけでもなし。
 あれに注意を払うくらいなら、“赤の鬼人”の動向にこそ注意を払うべきかと」

夏瑞珂 :
「ふうん?」"黒鉄の狼"に反応して、くりんと顔を向ける。

アレウス :
「では無害という事で構わんな?」

"七花胡" :
「念押ししますね。今のところはその認識で構いませんよ」
 まあ無害が有害かでいえば間違いなく有害だが。優先度的な問題だ。

アレウス :
「助かるね。今は俺も余分なことを思考の範囲には入れたくない」

ラーゼス :
「……とはいえ……」

ラーゼス :
「たとい“帝釈天”本人が今のところは無害──つまり、我らに直接的な妨害を仕掛ける可能性が薄いと、この場で決めてかかったとして」

ラーゼス :
「胡の言うとおり、問題は頭脳が抜けた“赤の鬼人”と“リグ・ヒンサー”だ。
 あとひとり頭一つ抜けた実力のものがいたと思うが、聞くかぎりその男も傭兵だったのだろう」

ラーゼス :
「……下手を打てば、遠くないうちに崩れるぞ」

アレウス :
「おそらく秒読みだ」

夏瑞珂 :
「がっしゃ~ん」言いながらソファから転げ落ちてみせる。

SYSTEM :
 “グレイ・スコーピオ”。神に綽名す毒蠍。
 彼は傭兵だ。彼に対する縁の切れ目は金の切れ目だが、傭兵の義理立てとは大前提として「命」を限度とする。

 まことに崩れる時が来るまではそこにいるだろうが、“そう”なったとき運命を共にはするまい。

アレウス :
「例のP.F.乗りは金で動く。
 金払いが悪くなればそれでおさらばだ」

アレウス :
「おい、A。ソイツをソファに戻しておけ」

“Mr・A” :
「ワタシったら今日しばらくこの扱い!」

夏瑞珂 :
どうぞ! 手を伸ばす。

“Mr・A” :
「ちなみにその”赤の鬼人”のご様子調査には残りが行ってらっしゃる。程なく聞けるだろうね」

 そちらのお馬さんは別件だったかな?
 などと嘯きながら、彼はそっと伸ばした手を丁寧に取ってソファーに乗せた。

"七花胡" :
「続報は精査するとして……。
 "リグ・ヒンサー"が瓦解しかかっている一方で、長きに渡って鎬を削り続けてきた“貴人の庭”も、最早死に体……。
 ……“御手翳す開放者”が此処に着て一強となりますね」

"七花胡" :
 駄馬には色々と雑用をやらせている。今頃もローマの街を馬車馬の如く走り回っていることだろう。

アレウス :
「……」

ラーゼス :
「“貴人の庭”にはギルドがついていると聞く。
 ……そう思えば、“黒鉄の狼”にかまって崩れるのは、こちらが先なのかもしれないな」

ラーゼス :
「そして今の最大勢力は、不安の少ない“御手翳す開放者”……か。利害の一致もある。今のところは緩やかな連帯ができているが」

ラーゼス :
「アーキルの腹の底の色によっては。そうもいかぬな」

"七花胡" :
「そうですね。元はと言えばFHでもUGNでもなかった外様の男が、何を腹の底に隠しているのか……。
 ローマの女神さまとやらにいたく気に入られてますもんねえ、彼」

アレウス :
 ・・・
「仲良しなようで何よりだ」

 口ぶりと表情とは裏腹に、その内心は渦巻くようなものがあった。

夏瑞珂 :
「仲良し? まさか」

夏瑞珂 :
クッションを投げつける。

“Mr・A” :
「えー見送り直後からこの反応
 ワタシから30秒でお伝えしよう」

アレウス :
 自分の身体に当たって床に落ちたクッションを一瞥する。
 そのクッションを掴み、その辺に放り投げる。

「ほう、聞かせてみろ」

"七花胡" :
 ああもう埃が立つ…… 乱暴者しかいないのか この空間は

ラーゼス :
クッションを拾い上げもちもちとする

ラーゼス :
捨てられるは哀れだ

"七花胡" :
 何もそこまで拾わなくたっていいのに貴女……

“Mr・A” :
「手紙つきに曰く“黒鉄の狼”とやり合った際、彼方が貧乏くじを請け負ってくれたそうだ。

 ヒット&アウェイはこれで2回目だが、痛みの行く先はあちらと」

“Mr・A” :
「あっと追伸に書いてある

 ナニナニ“七花胡”さんへ
 次からは取扱説明書もくっつけて…」

"七花胡" :
「そんなもんあるならこっちのが欲しいですよ」

アレウス :
「やはり親しげだな、腹の立つ」

SYSTEM :
 あなたは彼に高い仕事の前払いを送り付けた。で、それで彼/アーキルが得たものは、有利になっていくと同時になぜか懇々と積もっていく貧乏くじである。

 その貧乏くじの最中に当然のひと悶着(彼女にとって口を「ヘ」の字にするような)があった、というのがあの態度の所以だろう。

ラーゼス :
「……。……」

ラーゼス :
「五体満足で帰ってきたのも二度目だ。よほどうまくやったと思っていたが」

ラーゼス :
「うまくやったのはアーキルたちのようだな。
 そうまですることに意味があるほど、この娘を生かすことに利があると、彼は判断したのだろう」

夏瑞珂 :
への字。

"七花胡" :
「彼は遺産を欲しがっている。今それは“黒鉄の狼”の腹の中ですから、それを取り出せる可能性は是が非でも守りたいのでしょうね」“帯来风暴”を一瞥

夏瑞珂 :
「お互い利用してるだけよ」

 だから気にすることじゃない、とあの言い分をかってに借りる。

アレウス :
「得物を大事にするのと同じ目線に俺は思うがね」

 個人を尊重している風には思えない。
 好悪を抜きにした感想としてはこうだ。

"七花胡" :
「そんなの、ローマの誰もが同じでしょうに」首を竦める

ラーゼス :
「……。……」

アレウス :
「一緒にするな」

ラーゼス :
「……全てがそうとは限らないのではないか」

ラーゼス :
「仔猫がへそを曲げている。優しくされたのだろう」

夏瑞珂 :
「    」

夏瑞珂 :
ソファの上で立ち上がる。

"七花胡" :
何……?

“Mr・A” :
「おっ」

アレウス :
「図星か。
 そういえば貴様は、そういうケがあるな」

夏瑞珂 :
信じられないことをされたという顔でライオンちゃんを見る。

ラーゼス :
首を傾ける。

ラーゼス :
「ソファは座るものだと聞く。立ってはいけない、瑞珂」

"七花胡" :
火に油

夏瑞珂 :
「……!!!!」

夏瑞珂 :
背もたれに立つ。

"七花胡" :
「あ~ 乱闘なら外で」

“Mr・A” :
「ボス、机に立つまで何回目だと思う?」

アレウス :
「俺は4、5回とみるね」

"七花胡" :
「え、そういう抗議なんですか? アレ?」

“Mr・A” :
「じゃあワタシ3回ね」

“Mr・A” :
ファイッッッ!

"七花胡" :
その前にもうガソリンぶちまけるのやめて欲しいんですけど~?

ラーゼス :
小器用なことをする…。やや感嘆

"七花胡" :
感心してる場合か!

夏瑞珂 :
じっっっっとにらむ。おりない。

ラーゼス :
無言で見つめる。じい〜。

アレウス :
「ダメだな、膠着状態だ。これじゃ賭けが成り立たん」

“Mr・A” :
「残念だ…払い戻しだね」

ラーゼス :
「……ところで、そのアーキルの求める遺産についてだが」
 危ないので瑞珂の脇を掴んで持ち上げておろそうとしながら

夏瑞珂 :
にらんだままおろされる。

"七花胡" :
この流れで話し出すの、豪胆すぎないか?

アレウス :
「例の"雷霆"か」

ラーゼス :
両脇に腕を差し入れて下ろす。猫運びの風情。

ラーゼス :
「なんとか調べがついた。
 ……仔細は省くが、あの遺産はこの都の神話と密接に結びついているらしい」

ラーゼス :
「この都で使えば、桁違いの出力を引き出せるそうだ。
 “黒銀の狼”は、それとまだ契約できていない。……ある意味で、狼の腹にある間はどこにも触れず、むしろ安全であるとすら言える」

"七花胡" :
「なんと皮肉な……」

アレウス :
「土地に根付いた遺産という事か……俺は初めて見るケースだ」

“Mr・A” :
「ヘ、ェェェ………」

“Mr・A” :
「誰もがソレ、分かっていて求めたのかな?
 前評判はあくまで“強力な遺産”だ」

“Mr・A” :
「まァ、ギルドの手引きがローマにはチラホラとある。概略くらいは聞いているかもしれないけどね。

 しかしこんな物騒なもの、わかっていたら“貴人の庭”の性格じゃ使えない。
 “赤の鬼人”も、知っていたら目的を考えるともっと明確に遺産を欲しがったはずだぜ」

“Mr・A” :
「唯一妙なのがさっきのアーキルクンだが…。
 彼もたぶん知らんだろうね」

アレウス :
「……妙だな」

“Mr・A” :
「妙とは?」

アレウス :
「それほどまでの遺産の性質を誰も知らないまま、餌として吊り下げられたというのがな。
 持ち込んだ連中も分かっていなかったというのか?」

ラーゼス :

“Mr・A” :
「持ち込んだ連中が“ギルド”なら辻褄が合うさ。件の飼い馬サンから“遺産の運び手”の仲介をやったのがそちらだって話、伺っているだろ?」

SYSTEM :
 遡るようで何だが、知らない商品を売りつけたりしない…と彼は付け加える。

 そもそも『雷神の槌』という遺産の付加価値がそうであることなど、よほどこの手の幻想に縁深いものでなければ分かりはしない。

“Mr・A” :
「…そうそう! 僭越ながら付け加えておくと、だ」

“Mr・A” :
   レネゲイドビーイング
「彼、得体の知れない隣人の流儀にいま合わせているんだろ?
 それだけじゃない、抱え込んだあからさまな貧乏籤にもだけど」

“Mr・A” :
「悪いコトって効率的じゃあないんだよ。基本、打算ありきでも善行の方がコスパがいい。
 前者でしか叶えられないことがあったとき、それをスマートにこなすために、装ってでも、本心でもいいから、後者で貯金を積むんだ、分かるだろ?
           コ ネ
 どいつもこいつもが、人の手で蛇の道を渡るようにね」

“Mr・A” :
「………トコロが彼の善行の使い方は別にコストパフォーマンスのためじゃない。

 と、すると、だ…」

“Mr・A” :
「“自分の中で優先したい”のがその女神様なら…露骨にローマに害が出そうな遺産を分かって欲しがるかね? ってコトだ」

“Mr・A” :
「───ま、根本的に“三人揃ってなんで気付かねえんだよ”ってトコまでは測りかねる。

 よっぽど周到な隠し方でもしたのか、バックにヘンなのがいるんだろうねェ、ハ ハ ハ!」

SYSTEM :
 この“名無し”のご高説について、
 七花胡はふと思い出す。

 そいつと寝首をかき合う上司の言葉だ。

曰く… :
 件のレネゲイドビーイングが如何なる性格なのかは存じ上げません

 …しかし、意味のないことをするほど気紛れならそこに置きません。そして、渡した任務のためとは思いません

曰く… :
 やり方が穏当ならその“アイシャ”とやら…大方本当の名前のカバーでしょうが、それに付き合っているだけです
 なりふり構って欲しいならそのように

SYSTEM :
 あなたに彼の今のところのやり方を評価する機会があったとして。

 どうだろう。穏当に見えただろうか?

"七花胡" :
「遺産の件を各セルの耳に入れたのはギルドです。
 その中でも、”ワイズマン”という欧州向きに活動しているエージェントが、この件であれこれ手を回しているという話がありました。
 彼の言う、”バックについてるヘンなの”というのは、おそらくそのアンノウンのことでしょう」

"七花胡" :
「“黄の希人”はじめとして、各セルリーダーには遺産の詳細────ローマでこそ真価を発揮する神話クラスの代物だという話は、伏せられていた可能性の方が高い。
 それが最初から分かっていたなら、“赤の鬼人”もあれを狼寄せの餌のような、贅沢な使い方はしなかったでしょうしね」推測ではありますが。

"七花胡" :
「“黄の希人”にとってあのレネゲイドビーイングは、戦略的価値だけではない、傍に置くだけの『理由』があるものです。
 いうなれば好きで付き合っている。だというのに、その連帯を破壊するようなモノを、わざわざ欲しがることもないでしょう」

"七花胡" :
「とはいえ、遺産の真価を彼が知ったとき、どういう風に掌を返すかまでは……
 腹の底が知れない以上、なんとも言えませんがね」

夏瑞珂 :
(“違う”との付き合い方を知りたい……)

 載せられたソファで膝を抱える。あの貧乏くじを引きにくる男について、言えることはいくつかあって。

夏瑞珂 :
 だけど。だって──なんで。
 わたしがあの男を庇うみたいなまね、しなくちゃいけないのか。

 とうとう言い出す機会をみうしなって、膝に顎を埋めたまま上目で睨む。

アレウス :

 話のついでに、シアに一度視線を向ける。
 この感情の振れ幅や、先の戯けた一幕といい、聞いていた情報と実際の人物像は大きく異なる。
 子供のまま──成長が止まっているように思える。
 生育に必要な感情の機微などが、正しく伸びなかった。

 あるいは、暖かい環境に入ってしまったからそうなったというのか。

 ……聞かねば分からんが、どうにも対処を間違えている気はする。
 ここは……。

アレウス :
 俺はお手上げだ、と言わんばかりに首を横に振る。
 それはつまり、残りの二人に対処を丸投げしたという事だ。

"七花胡" :
「……“帯来风暴”。いえ……ここは、夏さん、にしましょうか」
 膝の隙間から覗く剣呑な目に、ゆっくりと視線を重ねる。

"七花胡" :
「“御手翳す開放者”の彼らに、貴女が感じたことはありませんか?
 『なりゆき』ではありますが、今のところ、貴女が一番彼らの人となりに触れていそうだったので」

"七花胡" :
「教えて欲しいのです。駄目ですか?」

夏瑞珂 :
 重ねられた視線をじっと睨みかえす。いっこうに逸らされないのが気に入らなくて、しばらく見つめ合う。

 根をあげたのはわたし。ぷいと顔を逸らすついで、思い出す。

夏瑞珂 :
     グラス
「昔から、眼鏡をかけたホワイトカラーの優男には気をつけなさいって言われてたの。いま、すこし意味がわかったわ」

夏瑞珂 :
「…… ……」

夏瑞珂 :
         連れ戻す
「黄色のひと……私を邪魔するとき、庇ったわ」

 ちらと鳥のおじさまを睨む。やつあたりだ。

「他にやりようがないからって、二度も"黒鉄の狼"の前に……わざわざ。ばかなひとよ。最低だわ。最低……」

 さっき仮面のひとが言った、貧乏くじの結果。痛みのかたちは、オーヴァードにとって払いやすい代価だったというコトだ。

夏瑞珂 :
「想定通りにいってたら、けがなんかしてないって……」

夏瑞珂 :
「その彼が『当初はもっと乱暴にやる気だった』とぼやいた意味は、私には分からないけど……」

夏瑞珂 :
「彼の野望は……私が望む解放とは、違うから。ローマを更地にすることは、ないし。だったら、それが世界に拡がることも」

 ない……と思う。

夏瑞珂 :
「でも私あのひと嫌いだからね邪魔するもの毎回」

"七花胡" :
 詰るようなおさない罵倒の繰り返し、疲れたような拒絶反応。
 それは、「庇われる」という経験が、この娘にとっては初めての経験ではないのではないか、という推測を頭の隅に成り立たせた。
 その経験が多分、見た目と分不相応な幼稚さの根幹か、とも。

"七花胡" :
 命の危機が迫り、瞬間の判断の差で、相手ではなく自分が救われてしまった時……。
 此方を突き飛ばしてくる腕の感触、心配させまいと向けられる引き攣った微笑み。
 それら全てが、生き残った者の心臓の裏側に、消えない引っ掻き傷を作る。

謝花纏 :
 そういう引っ搔き傷に、嘆き喘ぐ人たちを何人も見てきた。
 自分自身、傷のある場所を平然と撫でられるようになるまで、随分とかかった。

"七花胡" :
 ……彼女が言い募る『嫌い』は、傷が痛むことと、傷と知らず優しくされたことの、混乱の裏返しだと思ったから、
 肯定も否定もせず、柔らかく受け止めるに留める。

"七花胡" :
「“黄の希人”。彼には彼で……遺産奪取のためのプランがあった。
 “リグ・ヒンサー”と“貴人の庭”を仮想敵とした、もっと『乱暴な』プランがね。
 それが“黒鉄の狼”の乱入で崩れたがゆえの、アドリブの繰り返しが現在なのでしょう」

"七花胡" :
「そして、彼が遺産を欲するのは、壊し、吹き飛ばすためではない、ということですね。
 それなら、レネゲイドビーイングと協調している現状とも合致する……」

"七花胡" :
「“アイシャ”や“血色の探求”には、何か言われましたか?
 まさか、セルリーダーだけが鉄火場に単身。というわけでもありますまい」

夏瑞珂 :
への字。

"七花胡" :
「おや……」苦笑

夏瑞珂 :
「気持ちの悪いひとのせいで目が悪くなりかけたわ」

“Mr・A” :
「これ感想だよね」

"七花胡" :
「そうですね」

アレウス :
「物理的だろうな……」

 対外的な感想にとどめたのは、八つ当たり的な視線を受けてある程度"務めた"ものだ。

夏瑞珂 :
つーん。

"七花胡" :
「まあ……彼らに関しては、雑談の域を出なかった、ということでしょう」

“Mr・A” :
「この感じなら“居合わせていた”ってトコロかな?
 だが、なにも従者使いがのこのこ己を晒すワケもない…」

アレウス :
「理由があるとすれば例の"女神"とやらだろう」

“Mr・A” :
「ご執心の御付きと? まァなくはなさそう、というかそれ一択な気配だが…」

“Mr・A” :
「“雑談”のラインから何方にも転ぶまいね」

"七花胡" :
「そうですね。教えてくださってありがとう、夏さん」にこ。

夏瑞珂 :
「…… ……」三角座りのままころりと横に倒れる。

“Mr・A” :
ではワタシはぐいーっと傾いて顔を覗きに行く。

夏瑞珂 :
じーーーー。

アレウス :
「貌のない存在に睨み合いを仕掛けても、勝負がつかんぞ」

“Mr・A” :
フッわかるまい
ワタシの顔パーツのうち目が“どの辺”かをな

“Mr・A” :
なぜならワタシにもわからないからだ

夏瑞珂 :
それっぽいものをかたっぱしから押す

アレウス :
「程々にしておけ」

"七花胡" :
ああいけません 子供の手の届くところにおもちゃをそんな簡単に置いておいては

SYSTEM :
【Check!】
 “Mr・A”のHP(目)に
 おそらくダメージが発生しました。 

"七花胡" :
言わんこっちゃない

夏瑞珂 :
 

“Mr・A” :
あまり強い指圧をかけるなよ…
───めっちゃ痛い

“Mr・A” :
「ではその様子で話を戻すとしようか」

ラーゼス :
考え込む仕草。ホットミルクを一口啜る。

アレウス :
「どのみち、だ」

"七花胡" :
何食わぬ顔で…… いえ 貌はありませんか 面倒くさいなこいつ

アレウス :
「このローマの地を吹き飛ばさぬものだったとして、
 それが俺達にとって良いか悪いかまでは、はっきりしていない」

アレウス :
「結局のところ、鼠のリーダーの腹の底は読めておらんのだ。
 奴らとの同調は、やるにしてもやはり狼退治までだ」

"七花胡" :
「同感です。恩の売り買いをしすぎると、今度は面倒なことになりそうですからね」

アレウス :
「正直なところだが」

アレウス :
「そのレネゲイドビーイングについても、俺は釈然とせん。
 そのような土地の荒れ様を憂いる存在が居るなら、もっと前から行動を起こしていても良かったはずだ。
 それこそ、"赤の鬼人"が暴れ散らした時もな」

夏瑞珂 :
二個目のクッションが飛んでいく。

ラーゼス :
「彼女には優しくされたようだな」

アレウス :
「絆されやがって」

“Mr・A” :
「なンだ、その話?
 とてもシンプルな回答ケースがあるじゃあないか、ボス」

 ひらりとクッション(流れ弾)を回避する

"七花胡" :
「“赤の鬼人”もローマの内側の人間ですから、手出しの仕方を考えあぐねたのではありませんか」空を飛ぶクッションを眺める

夏瑞珂 :
choice[立ち上がる,飛びかかる,クッションを拾う] (choice[立ち上がる,飛びかかる,クッションを拾う]) > クッションを拾う

“Mr・A” :
オッ二発目

夏瑞珂 :
「優しくされてない」

夏瑞珂 :
「絆されてない」

夏瑞珂 :
「続きをどうぞ」

アレウス :
「フン、ならそうしておいてやる」

"七花胡" :
あーもう 子供が二人は手に負えませんよ

“Mr・A” :
ならば三人ならどうかな!?

"七花胡" :
増えるな

"七花胡" :
増やすな

ラーゼス :
「……レネゲイドビーイングというのは、ほんの数年前に発生したのだろう?」

“Mr・A” :
未来予知かな?
キレのいい回答をありがとう

“Mr・A” :
「そうだよ、話を戻すがその通り」

“Mr・A” :
     ・・・・・・・・
「そもそも生まれてなかったんじゃない?」

アレウス :
「辻褄は合うな」

“Mr・A” :
「マー例外は結構いるけどね。絶対なんてものはない。
 ゼノスの“プランナー”が元気にやらかすまで、ワタシ等は形を持っても、自我までに到達していない」

“Mr・A” :
「ああ、一応もひとつの可能性も提示しとこう。
 ボスはああ言ったんで、筋を通すなら、もうひとつだけ可能性は出せなくもない…」

アレウス :
「眉唾レベルでも一応聞こう」

“Mr・A” :
「ローマで完結する自然な出来事には、善悪の区別がついていないから手を出さない、だ。

 荒れているいないって、そりゃ地に足付けた人目線の感想じゃあないか?」

ラーゼス :
浅く頷く。

ラーゼス :
「理屈は理解する。それなりに平らかであるのなら──」

ラーゼス :
「善人だろうがならず者だろうが、それは人間のことわり。
 そこに、形はどうあれ秩序が敷かれているかどうかだ」

"七花胡" :
                        レジェンド
「……なるほど。特に『女神』という、乞われ、願われる伝承を原基に生まれたものであるのなら、そういう特性はより強いものかもしれませんね。
 彼らに、願われた願いの善悪を判断するという機能は、備わっていないものでしょうから」

アレウス :
「身勝手なことだ」
 
 それはならず者である己らもそうであることは、否定しない。

“Mr・A” :
「ま、どっちも仮定だが、コレで突き詰めていくならお二方のはそう外したモンじゃないと思うぜ?

 強いて言うならアレだ」

“Mr・A” :
「そこで生きていくってコトには、
 善いも悪いもないのかもネエ…」

夏瑞珂 :
「…… ……」

夏瑞珂 :
仮面のひとにクッションを手渡してソファに戻る。

夏瑞珂 :
背もたれ側に顔を埋めてもう知りませんの姿勢。

“Mr・A” :
「フム」

"七花胡" :
いじけている……

“Mr・A” :
1d3
1:お返しする
2:踊りだす
3:優雅に頭の上に乗せた (1D3) > 2

アレウス :
「ほおっておけ」

SYSTEM :
 Aは出る幕でないと判断したのか、
 話のタネを一通り吐き出したからか、
 矢庭にクッションを投げては掴み、踊り出し始めた…

"七花胡" :
「埃立たせないでくださいよ」

夏瑞珂 :
choice[参加する,ちょっと見る,知らんぷり] (choice[参加する,ちょっと見る,知らんぷり]) > ちょっと見る

“Mr・A” :
フ………

“Mr・A” :
これが“アマノイワト”だ

"七花胡" :
若干趣旨合ってるのがまた……

"七花胡" :
……まあいいか 放置

"七花胡" :
「ところで」

"七花胡" :
「御宅、戻ってきてから随分と機嫌が悪いですね。少し鬱陶しくなってきたので直截聞いちゃいますけど、なんかありました? “隻獅子”と」
 “死滅天隕”の方を見る。先ほどからというものの、わざと“帯来风暴”が拗ねるような言い方ばかり選んでいるように思えてならなかったから。

アレウス :
「そう見えたかね」

"七花胡" :
「ええ、はい。それはもう」

アレウス :
「機嫌が悪い要因なぞ、この地には多すぎるくらいだからな、さてなんだろうな……」

アレウス :
「真っ先に潰したい勢力は、俺の視界の端で同盟ヅラをしているもんだからなァ。
 鬱陶しい鼠が死なずに目の前をウロチョロしていたらイラつくだろう?」

ラーゼス :
「………」

アレウス :
「フン、だがこれでは駆け引きにならんな。
 最大の要因を教えてやるつもりはないが、触りだけは口にしてやる。
 あとは手前で勝手に推理し、結論付けろ」

"七花胡" :
「…………。はいはい、仰せのままに」溜息。口を閉ざし、続きを待つ。
 まあでもこの感じでは、“隻獅子”と喧嘩したというわけではなかろう。何より、彼女の方がそれをしないたちだ。不和の原因が内にないということが分かれば、ひとまず良いだろうか。
 あとは彼がもったいぶって差し出す中身次第だが。

アレウス :
「少し考えている作戦があるもんでね」

アレウス :
「最終的な目的は”青の貴人"の身柄の確保だ。
 この件にギルドが根深く関わっている事が知れた以上、そこと太いパイプを持つヤツの存在は貴重な情報源だ。
 どこまで事情を知っているか、知らされているか……少なくとも、鼠の王からそれを聞き出すにはこちらのカードを切らねばならんし、"赤の鬼人"は「ああ」だしな」

アレウス :
「そうなると現状、我々で連中の勢力図を削っている"貴人の庭"をさっさと叩くのが良い」

アレウス :
「良いが……」

アレウス :
、   、   、ヘカトンケイル
「やはり壁になるのは例の飼い犬でな。
 俺もまだ、傷が癒えていない……」

 正直立っているのが限界くらいだ。

“Mr・A” :
「フム…」

SYSTEM :
 彼がアレウスの“不機嫌”に一切口を挟まないのは、彼自身でその天秤を動かす気はないため、もしくは…。

 このレネゲイドビーイングなりの、“いざという時彼の都合を優先する”の意思表示というわけだ。

夏瑞珂 :
枝毛を探している。

アレウス :
寝てろ。

夏瑞珂 :
ぐう

ラーゼス :
軽く首を振る。……アレウス自身がもっとも、己の中の少年を制御しきれていないのは明白だ。

ラーゼス :
彼の事情を聞いてしまっただけに、口出しもできまい。……機を見て共有できればよいが。

"七花胡" :
「(身内贔屓がようやく本丸叩きに本腰を挙げた……というところですかねえ。
  それならもっとすっきりした顔をしていてもおかしくはないのですが……
  ……あの顔、どう見ても腹括れたって感じじゃないですよね?)」

アレウス :
「不服と言うツラだな」

"七花胡" :
「分かっちゃいます? 貴方が分かるように、自分も分かっちゃうんですよ、そういう不機嫌な感じ」アハハ

夏瑞珂 :
鼻ちょうちん ぷうぷう

夏瑞珂 :
ぱちん

“Mr・A” :
あと1秒割るのが遅ければこの指が
鼻提灯の秘孔をついていただろう…

アレウス :
「まァいい。ならもう一つの方を教えてやる」

"七花胡" :
寝るなら何か上掛けくらい着てにしなさい そのへんにこないだ使った毛布があるから

アレウス :
「くだらん自分語りだ。
 それで良ければだがね」

"七花胡" :
「くだらないかどうかは貴方の胸先三寸ですよ。
 自分は、協調する相手の言葉を『くだらない』とは思いません」

アレウス :
「殺し文句のつもりか? 口の上手いヤツだ」

アレウス :
「なら話してやるか」

アレウス :
「俺がこの件に関わった本当の理由は、古巣と仕事が出来ることが光栄だったからさ」

アレウス :
「俺が"リグ・ヒンサー"の構成員だったことはもう知っているな?
 少年兵上がりの俺が転がり込んだギャングがそこに吸収されてな、なし崩しに俺は"赤の鬼人"の舎弟になったってワケだ」

アレウス :
 ・・・
「あの人には強さもカリスマもあった。
 末端の舎弟でしかない俺や、俺の兄弟達にも、成果に見合ったモンをくれた。
 俺ら破落戸にとっちゃ……ボスは憧れのようなもんだったのさ」

アレウス :
「俺ァな、ボスと仕事がしたかったのさ。
 だが、組織に居たままでは頭打ちだった。
 だから俺は"リグ・ヒンサー"を抜け、けじめも付け、強さを求めてイタリアを発った」

アレウス :
「戦地で生まれ、戦場で生きることを余儀なくされた俺にとって、広い世界を知るためにな。
 そうすれば、腕っぷしだけじゃない強さも、グリーンカラーとして生まれた俺の在り方も見つめ直せると思った。
 ただそれだけの旅だったのが、いつの間にか大所帯になっちまったがね」
 
 Aに一度視線を向ける。

SYSTEM :
 彼は肩を竦めた。
 社会の相対的に見て一番”どうしようもない”生き物だが、一番織り込み済みの生き物だからだ。

アレウス :
「……そうして5年さ。
 ボスから連絡があった時、俺はついにその時が来たと思った」

アレウス :
「だが……」

アレウス :
「俺が尊敬した兄貴たちの何人かは、狼の腹の中で溶かされちまっていたみたいでな。
 俺が戻ってきた"リグ・ヒンサー"にはもう……何もなかった」

アレウス :
「そしてボスが、何のために俺を呼び、貴様らを呼んだかは……もう知っての通りさ」

アレウス :
「……俺は組織の鉄砲玉だった。
 ボスに拾われるから、俺はソレを続けていた」

アレウス :
「俺は拾われぬ鉄砲玉にされた。
 狼の肉を裂ければそれでいいと」

アレウス :
            ・・・
「俺にとっては……最大の裏切りだったのさ……」

アレウス :
「クックック、……恩師に捨てられたんだ、機嫌だって悪くなる」

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
「……食べ残し」

夏瑞珂 :
 ……。

 助けを求めれば応じてくれると知っていて、遠ざけてきた人たちの顔がよぎる。復讐の道に引き込もうと思ったことはない。思いつきさえしなかった。

夏瑞珂 :
 ちいさく呟いて、それでおしまい。ボスはボス、わたしはわたしだ。

 ……彼の焦げつきのかたちをまだ知らない。

“七花胡” :
「……なるほど。“赤の鬼人”の試みは、貴方にとっては少年期を無碍にされたも同然だった、と」

“七花胡” :
 育ち、巣立った巣に戻って見ればそこは既に伽藍洞で。敬愛していた師までもが、欲望のために自分を捨て駒のように使い捨てたとあれば……
 それは確かに、機嫌を傾けるに足るだけの出来事だろう。
 如何に欲望の切れ目が縁の切れ目と謳われるFHであろうと、律義さにこだわり続けてきた彼からすれば、とびきりの裏切りに映るに違いない。

“七花胡” :
「…………。差し出がましいことを聞くかもしれません。
 しかし”帝釈天”の『試練』という予言もある。捨て置けないのです」

“七花胡” :
「次、“赤の鬼人”と対面したとき……貴方、どうするおつもりで」

アレウス :
「どうだろうな」

アレウス :
「分からんというのが正直なところだ。
 あの人は、それを問い詰めても、逃げも隠れもしなかった」

アレウス :
「だが俺は……もう、組織の構成員じゃない」

アレウス :
「例の狼によって、うちのメンバーが被害を受けた。
 その遠因は、"赤の鬼人"の失策によるものだ」

アレウス :
「その落とし前は付けなきゃならん……」

 ずっと笑っていた。
 それは自嘲と、彼自身が口にした通りの「分からなさ」がそうさせたのか。

“Mr・A” :
「マーその被害ってワタシなんだけどね」

夏瑞珂 :
「アッハ!」

“Mr・A” :
「モノだ、が…。これが他の二人なら、確かに只では済まなかった」

アレウス :
「貴様であってもだ」

“Mr・A” :
「ハ ハ ハ!
 とまあ、責任を分かち合ったモノ同士だ。
 人様の欲望でつぶされたならば、やり返しても誰も“悪い”は言わない。ケジメはケジメというコトだね」

“七花胡” :
「重要なのは被害の多寡ではなく、『被害を受けた』という事実そのものですからね」

夏瑞珂 :
「やっと楽しい話になったのね?」

夏瑞珂 :
ぴょいんと仮面のひとの背中に跳びのる。おんぶ。

“七花胡” :
好みの話を嗅ぎつけて寝た子が起きた……

“七花胡” :
「……思うに」

“七花胡” :
「貴方の機嫌が悪かったのは、アレウス・バルバート一個人としての態度を決めかねていた、自分自身にいらだっていたからではありませんか。
 ”ファントムストークス”のリーダーとして清算を行った後、どうするべきなのか。どうしたいのか」

“七花胡” :
「返すのか、赦すのか。決まらない自分に、怒っている」

“七花胡” :
「……ま、そればかりは外野がとやかく言える話でもない。
 でも、貴方の胸のうち、聞かせてもらえたのは、嬉しかったですよ」

アレウス :
「正論家が増えたなァ?」

夏瑞珂 :
「やってあげましょうか? 私も」

アレウス :
「やったらAに落とさせる」

“Mr・A” :
(謎のエンジン音を口ずさんでいる)

夏瑞珂 :
めいっぱいホールド。絞める。

“Mr・A” :
「フ…あまり強い抑止をするなよ」

“Mr・A” :
「───めっちゃ痛い」

夏瑞珂 :
アハー

“七花胡” :
「正論家は、こういう生業なもので。御勘弁願いますよ?」

アレウス :
「まあ、好きにしろ。俺がそれをどう受け取るかは貴様次第だ、シア」

アレウス :
「そうかね、大変なことだ」

アレウス :
「ま…………鼠ども以外はその通りだ。
 概ね、己への怒りというやつさ」

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
「……アレウス。先入観はおのれの目を曇らせると、おれは思う」

ラーゼス :
「それだけだ。過ぎたことを言ってすまない」

アレウス :
「気にするな。事実さ」

アレウス :
「俺自身そう思わないでもない」

アレウス :
「だが、頭で分かっていても、心でも分かるとは限らん」

アレウス :
「……鼠の王はさておき、
 、  、  、  、 カルロ
 鼠の群れに飛び込んだ、外道は特にな」

ラーゼス :
「むろん、そうだ。……おれが言っておきたかっただけだな」

夏瑞珂 :
 ぱたぱたと足を揺らして、頼りない背中に身をもたれさせる。

“Mr・A” :
「感情を切り離して生きていくのは簡単さ!
 長続きしないだけでネエ…」

SYSTEM :
 頼りない背中は基本的に導く生き物ではなかった。
 どこにでもいて、どこにもいないもの。あなたが自分から身を留めてきた背中とは根本的に違う。おそらく逆だ。

 それとカルロ・フェレーリの違いは一つだけである。“そこ”と“その結果”が致命的なのであって。

SYSTEM :
 すべてを俯瞰したものがこの場にいるのなら、きっとここまでの胸中に含んだ想像に答えを出しただろう。
 少なからず残酷なものを。

SYSTEM :
 だからその話に終止符を打ったのは、この場の誰でもなかったのだ。

SYSTEM :
 稲妻のような罅の中から、艶やかなブロンドの髪が、続いて涼やかな声の持ち主が顔を出す。
 バロールの常套句だ。それを用いて“確認”に出向いていたはずの女が、会議中/伝えるべきを交わしたさなかのあなたたちを分かって遮るように姿を曝した。 

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「───あらお揃い。
 でも、挨拶は省かせてね」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「手短に伝えるわね。
. レムリア
 “黒鉄の狼”が“赤の鬼人”に襲撃をかけた」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「時間を優先したから、どうも…ほかにお客様がいること以外は不明瞭と思って下さいな。
 間に合う様子かは、まあ…。分の悪い方ね」

SYSTEM :


【CAUTION!】
 このシーンの選択で、物語が変化します 

SYSTEM :
 ───“リグ・ヒンサー”の現場は幸いにもアレウスが一度訪れている。
 彼女自身が直に見ている以上、到着はゲートを介在すれば手間はない。

 ………だがそれを踏まえても、戦闘がどの程度続くかは定かでない。

SYSTEM :
 向かった、と“襲撃”はイコールだ。
 
 辿り着いたころには始まっているし、始まったならばどうなるかは想像に難くない。

SYSTEM :
 なお…もっとも冷酷で、無難で、今後を見据えた対応はひとつだ。
     ・・・・
 このまま捨て置くことである。

SYSTEM :
 あるいは…。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「そんなワケで…鬼ヶ島が一瞬で虎穴になったわ。どうします?」

夏瑞珂 :
「────」

 双眸に火が宿る。ハ、と唇をつりあげて、背負われたまま身を乗り出す。

“七花胡” :
「……“死滅天隕”」

“七花胡” :
「どうやら、もう時間はないようですよ。彼に何を向けるのか、此処が分水嶺だ」

アレウス :
「……」

アレウス :
「俺たちは……協力関係にある。
 俺の一存では決められんよ」

アレウス :
     ・・・・・
「──俺はお前たちのボスじゃないからな」

“七花胡” :
「……そうですか。貴方個人の『どうしたいか』を聞こうと思ったのですが……まあ、よろしい」

アレウス :
「それについちゃ、俺よりも優先されるヤツがいるんじゃあないか?」

“七花胡” :
「態度を見るからにあからさまだったもので。
 まあ、確かめておきましょうか。“帯来风暴”?」

夏瑞珂 :
「殺す」

夏瑞珂 :
「いるなら、殺すわ。決まってるでしょう」

夏瑞珂 :
「やつの血で濯ぎましょう? わたしの焦げつきも、あなたの苛立ちも──何もかも全て」

アレウス :
「一丁前に言いやがる! "らしく"なってきたな、“帯来风暴”」

“七花胡” :
「やれやれ。暴れん坊だこと」首を竦める

アレウス :
「そうだな……俺も丁度、サンドバッグが欲しかったところだ。
 ラーゼス
 美女相手にやったもんじゃ、無意識に手加減してしまうかもしれんからな」

ラーゼス :
む……。

ラーゼス :
 人間
「こちらでなければ貴公の気に入りだったか……」

アレウス :
「分からん言い草だな……まァ、気にするな」

ラーゼス :
じゃっかんすまなさそうにするが、首を振って居住まいを正す。

“Mr・A” :
「見ての通り紳士サ! …さて、」

“Mr・A” :
「その方向性で行くならとりあえず…。
 ワタシの背中降りようか」

夏瑞珂 :
ぴょ~ん

夏瑞珂 :
お邪魔しました!

“Mr・A” :
またお邪魔に来たまえ

アレウス :
腰痛代はいるか?

“Mr・A” :
10年後に

“七花胡” :
いいのか また乗っても……

アレウス :
憶えておこう。

アレウス :
「で、見ての通りだ。
 ラーゼス、“七花胡”……貴様らも来るか?」

ラーゼス :
胡を見る。

“七花胡” :
“隻獅子”に視線を返す。にっこり。

“七花胡” :
「もちろん。人生に『万全な時』なんてありません。今やっちゃいましょう♪」

“七花胡” :
「ま、道は御宅の部下さんにお願いすることになりますがね」

アレウス :
「構わん」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「片道にはしないわ、ご安心くださいな」

ラーゼス :
清々しい笑顔を見てあごを引く。肯定の仕草。折りたたんだ上で収めた杖を外套の影から引き出した。

ラーゼス :
「だそうだ。おれも、瑞珂の先を見ると話したからな」

夏瑞珂 :
とっす~んと横からタックル。揺れない。

ラーゼス :
不動。

SYSTEM :
 そこまで下見を進めていない/“是非”を考える時間を優先させたはずの女が、即断即決に微笑み。稲妻のような罅が、顔を覗かせる。
 戦地の真っ只中だ。送迎役の態度を見る限り、“赤の鬼人”を掃き/喰らい終えるまでの猶予は刻一刻と近づいていた。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「それじゃあ、要望通り。…」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「そうそう…ボス?」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「お客様は、きっと仲良くできそうだわ」

SYSTEM :
ゲート
 罅をくぐるその一瞬、涼やかな声。

 ちなみにその部下の“仲良くできそう”は、おおむね「ロクでもない/だから躊躇なく“好き”にできる」の保障である。

アレウス :
「そうかい」

アレウス :
「──そいつは、楽しみだ」

SYSTEM :
 ───どう転んでも、要望通りだ。
 今まではその反対だったかもしれないが。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 彼の畏れ、望んでいた事実が訪れる瞬間から………遡ること、十と数分前。

SYSTEM :
 ───“リグ・ヒンサー”が頭領たる“赤の鬼人”の転々としていた拠点。

 そこに爆ぜるような轟音を伴って、手薄の手勢の頭と胴が泣き別れになり。
 それから雪崩れ込む敵意が、彼の足元につく火種への火蓋を切った。

SYSTEM :
 襲撃だ。それはいい。

 狙われることと、自分の不運をとやかく言う人間はこの羅馬にいない。

SYSTEM :
 しかし、その“赤の鬼人”を襲撃したものは、隙間を縫う鼠でも、頭の固い御貴族でもない。

"赤の鬼人” :
「───誰だか知らんが、」

"赤の鬼人” :
「あのお嬢様も乱心したものだ。
 きさまらのような…破落戸未満でおれの寝首をかく気だったのか?」

SYSTEM :
 炎上した屋敷の中で、瞬きのうちに五度。
 通算ではそれより遥かに多い衝突。

 剣戟を弾き飛ばすバロールの超重力をまといながら、その破落戸が吐き捨てる。

SYSTEM :
 “貴人の庭”の子飼いでない。彼らにもうそんな戦力はない。
 “御手翳す開放者”ですらない。彼らにここまでインテリの装備はない。何より…。

『剣士』 :
「ほう」

『剣士』 :
「流石、名にしおう羅馬の伝説。
 感服致した。いや、見直した」

『剣士』 :
「拙者てっきり、己の手で拓いた玉座に、満足して胡坐をかくような御仁だと…。
 下衆の勘繰りであったか、いやはや」

SYSTEM :
                   ・・・・
 予め確かめたセルの内訳の、どこにも。こんな男はいない。

SYSTEM :
 総髪の、色の抜け落ちた淡雪のような青年。
 片手で捻って手折ることが出来そうな細腕と脚が、異次元の足運びと剣技を可能としていた。
 
 時を飛ばす“赤の鬼人”持ち前の高速戦闘は、ギルドの手勢さえも圧倒するが、
 そこにあろうことかついてくる唯一無二がこの若造だった。

SYSTEM :
 ちょうど仕事を持ち掛けた男/■■の”連れ”に似たようなのがいた。

 同じ細腕、“最低でも”同じ理屈と才能。刀と和装、時代錯誤。
 だが何より唯一、致命的なほど違うものがあるとするならば。

SYSTEM :
..      ヒトキリ
 その男が、刀の毒に魅せられた剣魔の類だということくらいか。
 そうデザインされた才能の持ち主が、己の首を取りに来たのだという事実に、彼は怯むことも臆することもなかった。

SYSTEM :
───以て結論を出した“赤の鬼人”が、眉間の皴を深める。

"赤の鬼人” :
「…きさまの顔…、そういえば覚えがあるぞ」

"赤の鬼人” :
「“応龍”の…二番煎じだな…。
 いったい、その面を下げて何しに来た?」

『剣士』 :
「失礼な。
 刀の使い方もわからぬ御仁ゆえ、そちらは既に三行半で御座る」

『剣士』 :
「過程は正解でござったが、しかし…結果は失敗と言うばかりになし。あな口惜しや。
 やはり遥か彼方の古強者。これでもなけなしの、自信というものがあったのだが」

SYSTEM :
 何をしに来た? と。
 ギルドの如何なる辻手とて、こと正面衝突で彼が負ける道理は一人を除いてない。

SYSTEM :
 ただの腕試しのように嘯く男が“そう”でないこともわかっている。
 この眼前の男は本当にそれをやる目つきだから、そうしないことが何某の目論見を証明していた。

 ………そもそも、口のわりに攻め手が温いことも。分からいでか、というもの。
 命の危機には遠く、ここならば帝王は己のものだという自負がある。例え色褪せた栄光でも、ひとつを除いて、挑戦になりはしない。

『剣士』 :
「なれど、やはり………………。
 このまま尻尾を撒くというのは男が廃るなあ」

『剣士』 :
「───貴殿、ちょっと。なんかない?」

SYSTEM :
 柳のように受け流す青年が、視線を横に向ける。
 この数分以上、矢面に立ったギルドの小手先は何人かいて、残っているのはこの男とあと一人。

 そのあと一人は、今に至るまで一切の手出しをしなかった。
 ただ片隅に立って、仕留めに掛かった時だけ致命を避けるだけ。共通項は、違う方向で“賢しい”面構えなことだ。

『ギルドのエージェント』 :
「すんませ~ん
 ウチ猫型ロボットじゃないっす~」

『剣士』 :
「なんと乞い甲斐のない女子か………」

SYSTEM :
 癪だったことがあるとすれば、連中は揃いも揃って若造で。
 地に足のついたような、この暴力の渦で根から育ったような輩ではないこと。

 そんな連中に首を取ることができる、と誤認されるまではいい。“つけ”を払わせるだけだからだ。

SYSTEM :
 “赤の鬼人”が、思考の片隅で癪だったのは。

『ギルドのエージェント』 :
「ま、でも流石は腐っても鯛だ! 御見それしました。
 そこら辺のセルなら朝ご飯前くらいの手練れは貸してもらったんスけど…」

『ギルドのエージェント』 :
「ウチも残念ッス…。その伝説が、老い耄れたなんて」

『ギルドのエージェント』 :
「───やっぱり手下諸共、自信を持っていかれたからっスか?
 じゃないとあんなに”助けて下さい”ってばかりに、人を集めたりしないですもんね」

"赤の鬼人” :
「若造」

『ギルドのエージェント』 :
「───やァだ! 怒んないでくださいよぅ」 

SYSTEM :
 この若造のどちらも。
 自分が死ぬ、とこの場でかけらも思っていないことが、
 “赤の鬼人”の自尊心………いや、己の築き上げたものを無礼られたことへの憤慨を掻き立てた。

SYSTEM :
 拳を握る。羅馬の陰謀だの、勢力争いだのは知ったことではない。
 まだ点っている火を己自身の手であおり立てる意思に、レネゲイドが応じ、空間が拉げた。 

"赤の鬼人” :
「無礼るなよ。お嬢様と若造同士でつるんで、いい気になったようだが………」

"赤の鬼人” :
「ここでの帝王は未だおれだ。このファウストだ!
『挑戦』など、きさまらガキどもにまでしてたまるかッ!」

SYSTEM :
 ───だが。
 ここで彼のもとに諫める人間がひとりでもいたならば。

SYSTEM :
 無礼られたら必ず殺す、という、くすぶってもついて回る破落戸の本能を。
 今だけは咎める人間が。ひとりでも、いたのならば…。

SYSTEM :
 “リグ・ヒンサー”の舵取りを、ただ一つ事に執心するあまり御しきれず。
 そこにいたものが、ただのひとりでも、注視していたのならば…。

SYSTEM :
 ………僅かな猶予は過ぎている。

 だから、彼の威勢は無意味だ。

『ギルドのエージェント』 :
「んじゃ、そゆことで。全員ー」

『剣士』 :
        シクヨロ
「応。埋め合わせ所望ね」

『ギルドのエージェント』 :
「秒で忘れたッス」

SYSTEM :
 梯子を外した/外されたその時だ、
 漸く男は気づいた。

"赤の鬼人” :
「───何、」 

『ギルドのエージェント』 :
「………………ウチらじゃあんたは倒せない。
 ローマの人間じゃ、そんなあんたでも倒せない。と~ぜんッス」

『ギルドのエージェント』 :
「………でもさオッサン?」

『ギルドのエージェント』 :
     ・
「あんた、誰に狙われてるのか忘れた?」

SYSTEM :
 ・・・・
 食い残しを狙ってやってきた、再戦の相手がいたこと。

SYSTEM :
 その再戦の相手は、現れるべき戦場に対しては強い嗅覚/理解を以てやってくること。

SYSTEM :
 その十数分の“ちょっかい”が、ただの目くらましと「火を掲げる」行いでしかなかったこと。

SYSTEM :
 .   す べ て
 ………空っぽな嘲笑に気づいた時には、
 端的に言って遅かった。

SYSTEM :
■オート
《瞬間退場III.L1》
Target:“ギルドのエージェント”、“剣士”、ギルド
・指定したキャラクターはシーンから任意に退場する。

SYSTEM :
 王者の虚勢が剥がれ、彼は挑戦者に戻った。
 歯を食いしばって、炎の向こうから代わりに現れたものへ向き直る。

  :
『生きているなら、これだけを言っておく』

”黒鉄の狼” :
『ふたりも、敗者に…用はない』

SYSTEM :
 ───かつて三年前。自信と共に落とし穴と思わず飛び込んだ先で、
 己の栄光を根こそぎへし折った狼が。
 ついに、再び喉元に牙を突き立てた。

SYSTEM :
 逃げ道は、もうない。

SYSTEM :
 悟れない男は、血路にてもがくようにこぶしを構えた。
 かつて奪われたものを取り返す道は、そこにしかないと知っていたからだ。

SYSTEM :
 彼は二度で心へし折れるほど弱くなかったが、
    ・・・・・・
 もはや踏み止まったことなどは、
 この局面で何も関係はなかった。

"赤の鬼人” :
「これは、試練だ…」 

"赤の鬼人” :
「『過去』に打ち克てという…試練と───!」

SYSTEM :
 王者の最期の戦いが始まって。

SYSTEM :
 ───ほどなく、終了した。

SYSTEM :
【Check!】
 以下のEロイス&エフェクトの所持が検出されました。

Eロイス:ありえざる存在:メンタルインベイション
Eエフェクト:異能の継承
   所有者:“黒鉄の狼” 

SYSTEM :
【Check!】
 以下のエフェクトを───。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 .ゲ ー ト
 稲妻めいた罅/バロールとブラックドッグから成る長距離跳躍空間を潜って、たどり着いた先。

 “死滅天隕”に曰く、つい先日、“グレイ・スコーピオ”と共に一度足を運んだ場所。今の“赤の鬼人”が身構えていた、まさにその場所だ。

SYSTEM :
 正しくはその玄関口であるが。
 見事なまでに火の手である。

 なにも“黒鉄の狼”が見境なくとも、このように派手に“散らかし”はしないだろう。
 彼は跡形も残さない。そういう意味では、行儀がいい。

SYSTEM :
 もともと展開されているワーディングに加えて何重ものレネゲイドの重なりは、ここで戦闘がある/あったことを如実に示していた。

 しかし、それもどちらかと言えば“あった”だ。

SYSTEM :
 派手な衝突があったとして、その一番のピークは過ぎているようにさえ思えた。

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
 とん、と爪先をつけて着地。火の粉舞う玄関で、両手を広げてターンする。
 励起したレネゲイドを全身に感じる。鉄錆と余燼のにおいに肺が満たされて、双眸の輝きが弥増した。

夏瑞珂 :
「いるわ──いるのね──いるはずよ──まだ、すぐ、そこに!」

夏瑞珂 :
 続く背後に何の一声もなく飛び出していこうとする。

“七花胡” :
「ストップ、ストップ。我々のことを置いてけぼりにしないでくださいよ」

“七花胡” :
「気が急くのは分かりますがね。何処が合戦場なのか、邸中を虱潰しにするおつもりで」

夏瑞珂 :
「アッハ! 更地にしましょうか?」

ラーゼス :
瑞珂の腕を掴む。

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
ぐっ……ぐっ……と身を引く。数度の健闘。

ラーゼス :
不動。痛むほど掴んではいないが、ぶれる気配もない。

ラーゼス :
「既に更地に近かろう。これ以上燃やすこともあるまい」

アレウス :
「……更地には近いが」

アレウス :
 ・・・・
「ここまで──か? 随分と荒らされているようだな……」

ラーゼス :
「……“黒鉄の狼”に、こういった趣向があるとは思えないが」

アレウス :
「明らかに何か別の干渉があったようだな。気にしても詮無いことではあるが」

SYSTEM :
      ・・・・
 いかにも。ここまで、だ。
 その意味に如何ほどを込めたのかは定かでないが、
 断じて“これほど”と同義の意味ではないのだろう。

SYSTEM :
 “黒鉄の狼”は悪意で狩りをしない。
 挑むべきには然るべき戦いを、ただそれだけを繰り返してきた生き物だ。

 お客様がいる、と、短い時間でもわかることとして彼女は伝えた。
 その客人が、例えば“庭”のものなら、あるいは“御手翳す解放者”ならば、ここから先の展開はずいぶん楽であったに違いない。

SYSTEM :
 だが現実問題として、これはどれでもなく。

 また、最善を尽くした接触であったが、ひとつだけ誤算があった。

SYSTEM :
 ───以て、回答。

SYSTEM :
 瑞珂がそのまま駆け出していたら”丁度”ついただろう先に、刃が奔った。
 そこから滑らかに煌きをくぐらせて、鈍色が姿を現す。

 和装は、“死滅天隕”の部下にもいた。
 だが、雪景色のような装いでもなければ、華奢で耽美とて男と一目見て分かる様相でもない。

SYSTEM :
 まだいるはず、は希望的観測で。
 訪れたものには別の意味がある。

 男が、“ゆらり”と姿を現した。
 ───その姿は、ローマのいずれの縄張りでも、見るものではなかった。

『剣士』 :
「………」

『剣士』 :
ごめんください
「斯うて候ふ」

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
……

夏瑞珂 :
……………

夏瑞珂 :
  GET LOST
「おかえりください」

アレウス :
「敢えて聞くが…………」

アレウス :
「誰だ?」

『剣士』 :
..それほどでもない
「いとしもあらず」

『剣士』 :
「………。ふむ。
 よもや屍肉漁りと雲霞の如く相見えようとは」

『剣士』 :
「名乗り名、いくつか持ち合わせども。
 胸を張り墓に添えるほどのものでなく…」

SYSTEM :
 ぼんやりとした口調の若造が、
 “敢えて”と言われて顎に手を当てる。
 ・
 誰への回答は…。

:
『───は? 何。
 取り込み中っすか? 何と?』

『剣士』 :
       サビザン
「同類? と。食い残しにて御免」

『剣士』 :
「───失敬。名乗るほどの名なくば、
 せめて数秒ほど覚えられよ」

『イザナギ』 :
「“イザナギ”。ギルドの飼い刀にて候」

SYSTEM :
 ───明らかに使い方を知らないので適当にぶら下げた通信端末からの声を爽やかに流して名乗った彼は、おそらく“聞かれたから興で”以上のものではなかった。

アレウス :
「そうか」

アレウス :
「貴様ら、覚えるつもりは?」

ラーゼス :
掴んだ腕を引いて此方に寄せ、やや前に出る。

ラーゼス :
「この場で踏み越えてゆくのなら、憶えなければいけない」

“七花胡” :
「律儀だこと」

“七花胡” :
「自分、価値か必要のあるものしか、覚えない────容れないたちなので♡」にこ

『イザナギ』 :
「合意の喧嘩と受け取ったで候
 拙者が貴殿の素首頂いた暁には───」

アレウス :
「首級で十分だろうがなぁ……」

『イザナギ』 :
「───墓に。『眼鏡』と書く」

“七花胡” :
「ハハハハ! 長いこと眼鏡かけてると、その手の冗談食べ飽きちゃうんですよねえ」

“七花胡” :
「こんなところに骨を埋めるつもりは毛頭ございませんので。御心配なく~♡」

夏瑞珂 :
 されるがまま寄せられて、前に立たれる。あらがう気力もなくうなだれて、落ちた前髪が表情を覆う。

夏瑞珂 :
「価値なければ……」

夏瑞珂 :
「理由にさえ、ならない……」

 煮立った憎悪が、底で焦げついていく。おまえではない、おまえなどいらないと、燻ってたまらない。

夏瑞珂 :
「ハ──」

夏瑞珂 :
「ハ、ハ、ハ…」

夏瑞珂 :
「よくも……私の前で、火を──ああ、おまえ──」

『イザナギ』 :
「ふむ」

『イザナギ』 :
「拙者いかにも火は熾したが…。
 貴殿ら招かれざる客に御座る。

 より正しく言えば招いた客など覚えになし」

『イザナギ』 :
「…あなや。羅馬の伝説に、まだ人心を惹く余地があったと? 仰天」

SYSTEM :
 燻る火も比較にならないほど焦げ付いた風を、何処吹く風と和装の青年が受け流す。
 不思議そうに首を傾げた様子はまことそうというわけでない。言葉を選ぶに曰く蒲魚の類であった。

『イザナギ』 :
      ブッコミ
「拙者としては合戦上等にて、
 望むならかけつけ炎上で候。が…しかし………」

アレウス :
「しかし、なんだよ? 時代錯誤クン」

  :
『───はー? やだなあ。
 ちょっと止まって貰えます?』

『イザナギ』 :
       ヒモなし
「拙者いつでも断崖飛翔を所望」

  :
    ココ
『おまえ頭おかしいんじゃないッスか?』

  :
『どこのお客様? っても…消去法か。
 うーん…』

  :
『はじめまして屍肉漁りセンパイ方
. ギ  ル  ド
 礼儀知らずの後輩です』

SYSTEM :
 しかし、の答えを口にしたのは、時代錯誤の中でさらに浮いた通信端末の向こう側。齢十代と思しき声だった。

 彼らの浮いた態度は何のことはない。
 そこが死に場所と見込んでいない、あるいはもっと別の悍ましい思考が成せるものだ。

 そうでないなら、真っ向からの情念に涼やかな顔などしない。眼前のソレを仮に知っているなら、なおのこと身構える“作法”が必要だ。

  :
『その先あって屍だけなんで…、ね? お帰り願って貰っていいすか?
    ・・・
 御宅らどっちか知りませんケド、狼の餌なりに来たワケじゃないでしょうし』

  :
『餌なりに来たならもうお帰りの頃じゃないっスかね?
 見逃して戴けませ…』

  :
『訂正、あとでそこの時代錯誤クンは殺ってもいいので今だけ見逃しませんか?』

アレウス :
「誰が喋って良いつった? まぁいい、後だから殺しはせん」

  :
『ウチがウチ自身に喋って良いって言ったッス
 そちらのオニーサンもしかして、世界が全部自分の常識で回ってると思ってるタイプ?』

アレウス :
「二度言って分からねえようなら見逃す手は俺にはねェな」

  :
『やだな~止めてくださいよ
 こっちは人の言葉で交渉してあげてるんス!
 切った張ったのドンパチやりたきゃ最初からそう言ってくんなきゃ~』

アレウス :
「聞いたか貴様ら、こいつらどうも自分のことを"人"と思いたいらしい。
 そう扱ってやるとしよう……最も、交渉に必要な最低限の暴力も兼ね備えていないクソボケに、俺が譲歩してやる理由はないがね。

 そう思わんか、“七花胡”。
 くっくっ、シアも限界のようなんでなぁ……俺の答えは決まってるが、貴様らはどうだ?」

“七花胡” :
「アハハ! 鼠に鼠の自覚持てったって、土台無理な要求ですよ。脳味噌これっぽっちなんですよ?
 下水道の溝鼠に『先輩』呼ばわりされるのも勘弁ですし……それに、どうせ遅かれ早かれ掃除せねばならない汚れですしね。これ」

“七花胡” :
「せめてもの貢献に、公共事業に精を出しておきましょうか。
 ちゃちゃっと片づけて、狼退治に移りましょうよ」

夏瑞珂 :
 さき
「末路を見たいんでしょう?」

 掴まれた腕ごと、ライオンちゃんに身をすり寄せる。甘えるみたいに腕へ頬をこすりつけて囁く。

夏瑞珂 :
 くすぐるように鎖骨へ這わせた指を、白い剣士へつうと移す。

「あれ、邪魔だわ。すっごく」

 燃えさかる炎の向こうに、わたしは行きたくてたまらないのに……あの勘違い男は帰れと立ちはだかるのだ。だから。

夏瑞珂 :
「どかして?」

 顔を覗きこんで、首をかしげる。

ラーゼス :

ラーゼス :

夏瑞珂 :

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
「だそうだが。胡、よいのだな?」

ラーゼス :
 既に杖を握る手には力が込められていた。
 悪魔のようにささやく娘の声音には半分だけ身を傾けて、己を使う男に問う。

“七花胡” :
「はい。あれは残しておいては『駄目』です」

“七花胡” :
「各セルがどうなろうと極論構いやしませんが……連中だけは『駄目』なのです。誰にとっても、害悪にしかならない。
 “仔猫”ちゃんのおねだりもあることですし、盛大にどうぞ?」

“七花胡” :
「生じた損壊の支払いは“赤の鬼人”に任せましょう……☆」
 まあ、その“赤の鬼人”の息がある可能性は、五分もあるか怪しいところだが。
 確かめるためにも、目の前の剣鬼は除かねばならない。

ラーゼス :
「わかった。従おう。……」

ラーゼス :
その“赤の鬼人”が生きているといいが。それに……

ラーゼス :
「剣士よ。無駄と知りながら問う……」

『イザナギ』 :
「何ぞもなし」

ラーゼス :
「これは貴公らの仕業か?」

『イザナギ』 :
「余分には余分で応ずる。
 冥府を覗く前、誰も彼も饒舌になろうというもの」

『イザナギ』 :
「刀は斬るものを択ばぬ」

SYSTEM :
 二つの意味で遠回しの肯定。
   ・
 理由は知る気もないので問うな、だ。

ラーゼス :
「…………そうか」

ラーゼス :
 グウィンの言葉は正しかったと、認めざるを得まい。
 こうも品なく食い荒らすとは、よほどこの都に愛着などないと見える。

ラーゼス :
「……娘。貴公の『おねだり』にも付き合おう。どかして、踏み潰すべきだ」

夏瑞珂 :
「そうこなくっちゃ」

 ぎゅうと腕に抱きついて、突き放すように手を離す。燃える広間でステップとターン。

アレウス :
 、   、   ・・・
「くっくっく、全員やる気だな」

SYSTEM :
 方針異なる“一昨日来い”である。
 内訳は対極的だったが、根本は何ら変わるものではない。
 そして、その対応も。

SYSTEM :
 見える方は仏頂面で鯉口を切り、見えない方は露骨な嘆息。
 双方におけるもっとも肝要なところは、
 その行動に入るまでのベクトルの無さ。

SYSTEM :
 どこから、どこまでが手を結んだ“らしい”貴人の庭と織り込み済みなのか…。
 彼の表情から推し量れるものではない。というか碌に表情筋が動いていない。

 ただ言葉よりは所作で示す方とみるなら、
 今の行動がすべての答えだ。

『ギルドのエージェント』 :
『ハ~…そっスか~。ウチはせっかく、柄にもないお気遣いってヤツをやったんスけど~…』

『ギルドのエージェント』 :
『───じゃいいや、前言撤回…。
 殺っていいッス』

SYSTEM :
【Check!】
 以下のEエフェクトの所持が検出されました。

Eエフェクト:戦力増員
   所有者:『ギルドのエージェント』 

SYSTEM :
 あるいはこの羅馬に来て最初の、そして最大の…。
 所以も仁義も是非もない、
         ・・
 ただ後々を考えて邪魔だから殺す、という意志の一致が火蓋を切った。

SYSTEM :
 その証左は、あなた方の背後から現れ、統率の取れた所作で交戦体制に入ったオーヴァードたちだ。
.   インプラント
 生身1、装甲義体2。ちょうど挟撃の形になる。

 そして唯一それと異なるものを醸し出した時代錯誤の青年が、仏頂面でただ呟いた。

『イザナギ』 :
        タマナシ
「好都合。貴殿らが不能に非じ事、有り難く」

『イザナギ』 :
     アガ
「なにしろ満足る屍は未だ一つも築いてはおらぬ。
 さーて殺すぞー」

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 戦闘が発生します。 

SYSTEM :
【Engage】

※エンゲージは左上から右下の順に
「A」~「C」の番号を振ります

[B]
1:“イザナギ”
       -5m-
[A]
2:“帯来风暴”
3:“死滅天隕”
4:“七花胡”
5:“隻獅子”
       -5m-
[C]
6:強化歩兵:軽装
7:強化歩兵:重装
8:エージェント:ブロッカー 
       -5m- 

SYSTEM :
【-Round 1-】 

SYSTEM :
■セットアップ
 タイミング:セットアップのエフェクトを宣言出来ます。 

『イザナギ』 :
■セットアップ:影打・蜻蛉切
《限界突破L3》
・ラウンド制限エフェクトひとつを、そのラウンド中「2回」まで使用できる
・対象エフェクト→《居合いL5》

ラーゼス :
宣言はない。

“七花胡” :
同じくありません。

アレウス :
  ホット・スクランブル
■ガンドルフ、出るぞ!

セットアップ:《コーリングシステム》
 《スカイキッド》に搭乗。

夏瑞珂 :
【 Sons Of Liberty 】
セットアップ:怨念の呪石
追加効果:変異暴走
侵蝕値:3

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 75 → 78

SYSTEM :
■セットアップ
 セットアップ結果を確認しました。  

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています…。

SYSTEM :
■手番処理
 ”死滅天隕”が行動を宣言します。

アレウス :
半グレ共が徒党を組んだな よく視える……

アレウス :
■モルテ=シロッコ

メジャー:
 ペネトレイト+小さな塵+コンセントレイト:AH+レーザーファン

対象:範囲(選択)→エンゲージC内(ブロッカー&重装&軽装を選択)

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。 

system :
[ "死滅天隕"アレウス ] 侵蝕率 : 56 → 66

アレウス :
(6+3-1)dx8+12 <感覚:射撃> (8DX8+12) > 10[3,3,4,4,7,8,9,10]+5[1,2,5]+12 > 27

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

ギルド戦闘員C :
 ───P.Fがやろうってのかァ!
 リフレクター展開!

ギルド戦闘員C :
■オート:
Auto:《砂の結界L2》《イージスの盾L2》
・カバーリングを行う
・ガード値を[Lv]D増加する

ガード値:6+2d 

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

軽装:ドッジ(イベイジョン)→失敗
重装:被カバーリング
ブロッカー:カバーリング→重装 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています...  

アレウス :
度胸の良いことだな!

アレウス :
(2+2)d10+14 <ダメージ/装甲値無視> 《蹂躙者》により+1d、ガードを行った対象に《放心》付与。 (4D10+14) > 30[5,7,9,9]+14 > 44

ギルド戦闘員B :
 …フン、しかしそちらに手札があるならば、こちらもあるというのだ!

ギルド戦闘員B :
 ハイエナのやり方をご覧に入れよう!

ギルド戦闘員B :
■オート:
Auto:《ひらめきの盾L2》
・対象が受けるダメージを-[10]点する 

SYSTEM :
■オート:
 対象者に『強化歩兵:軽装』が選ばれました。 

ギルド戦闘員C :
2d ガード (2D10) > 5[1,4] > 5

ギルド戦闘員C :
支援を! 支援…!

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージ結果が確定しました。

 エージェント:ブロッカー→撃破 

アレウス :
度胸は良かった。

アレウス :
それだけだったな、貴様は。
残りの絞りカスは……どうかな!

『イザナギ』 :
 死して屍拾うものなし。

『イザナギ』 :
 よし、行くぞ絞りカス殿。

ギルド戦闘員B :
 誤射の要求と見える!

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
■手番処理
 ”イザナギ”が行動を宣言します。  

『イザナギ』 :
 まずは一当て………

『イザナギ』 :
 参る。

『イザナギ』 :
■メイン:影打・討入
Major:《一閃L1》《居合いL5》《抜き打ちL5》
Minor:《使用→ソルジャークローム》
Passive:《武芸の達人L3》
Descript:《達人:居合い》

 HIT:8dx7+(15+10)
 ATK:xd+(17+3+5)
 Add'l:攻撃に対するドッジの判定ダイスを-[Lv*2]D 

『イザナギ』 :
S1d4  (1D4) > 2

『イザナギ』 :
 甲乙付け難くあれど…。
 是ならば仇討ちに軍配上がろうというもの。

SYSTEM :
■メイン
 攻撃対象が確定しました。

 対象:アレウス 

『イザナギ』 :
8dx7+25  (8DX7+25) > 10[2,3,3,4,6,6,7,9]+10[5,7]+3[3]+25 > 48

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。 

アレウス :
存外殊勝だな。

『イザナギ』 :
貴殿は戦事に余分を持ち込めぬほど几帳面か?

『イザナギ』 :
───それだけに御座る。

殺すのだ。故は多いほうが、逸楽となる。

アレウス :
       ベスティーア
だから貴様らは"牙獣"のままなのだろうな……くっくっ!

アレウス :
すこしは運動をするかい ドッジだ

SYSTEM :
■リアクション
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。 

アレウス :
(1+1)dx+1 <肉体:回避> (2DX10+1) > 10[4,10]+3[3]+1 > 14

『イザナギ』 :
存外によく動く。
この類は椅子を尻で磨き、
       オワコン
弾切れれば座して終幕と見込んでいたが

『イザナギ』 :
まあ、良し。殺させよ先達。

アレウス :
刈ってみろ、俺の魂ごとな

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

“死滅天隕”:ドッジ→失敗 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを確認しています...

『イザナギ』 :
■オート:影打・残響
Auto:《フェイタルヒットL2》
・ダメージロール直前に発動
・与えるダメージを+[Lv]Dする 

『イザナギ』 :
7d10+25  (7D10+25) > 35[2,7,8,1,4,10,3]+25 > 60

system :
[ "死滅天隕"アレウス ] HP : 1 → -59

アレウス :
痛ェじゃねぇか……《リザレクト》を宣言する!

アレウス :
1d10 (1D10) > 3

system :
[ "死滅天隕"アレウス ] HP : -59 → 3

system :
[ "死滅天隕"アレウス ] 侵蝕率 : 66 → 69

『イザナギ』 :
…あなや。仕損じたとみるには、なんとも…

アレウス :
     ノイマン
悪いな──"天才"の太刀筋なら、何度か受けてるもんでね。

『イザナギ』 :
口惜しい。刀に斬り先は択べぬ。

『イザナギ』 :
とはいえ拙者、殺すものの是非は選ばぬ。
貴殿の晒し首で留飲を下げるか。

アレウス :
高く付くぜ? "雷霆”の遺産一つ分だ……気張れよ。

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージ結果が確定しました。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

『イザナギ』 :
■イニシアチブ:影打・陽炎
《レネゲイドアクセルL2》
・自身のそのラウンド中の行動値を[0]にする
・自身を[未行動]にする 

SYSTEM :
■手番処理
 強化歩兵:重装が行動を宣言します。 

ギルド戦闘員B :
 初弾装填───
 上手く再生することを祈れ!

ギルド戦闘員B :
■メイン:
Major:《アームズリンクL2》《急所狙いL3》

 HIT:11dx+5
 ATK:xd+15 

ギルド戦闘員B :
1d4  (1D4) > 1

SYSTEM :
■メイン
 攻撃対象が確定しました。

 対象:夏瑞珂 

ギルド戦闘員B :
11dx+5  (11DX10+5) > 10[1,1,2,4,4,4,7,7,8,9,10]+4[4]+5 > 19

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。 

夏瑞珂 :
なぁんにもできないの

夏瑞珂 :
でも、その顔……憶えるわ

ギルド戦闘員B :
なぁに、すぐに意味がなくなる…

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

 夏瑞珂:暴走(リアクション不可) 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを確認しています... 

ギルド戦闘員B :
2d10+15  (2D10+15) > 12[5,7]+15 > 27

夏瑞珂 :
きゃ~っ

system :
[ 夏瑞珂 ] HP : 30 → 3

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージが確定しました。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
■手番処理
 ”七花胡”が行動を宣言します。 

“七花胡” :
【天秤を傾ける】

マイナー
 アカリヤザガマの天秤(レインボウファイアル)使用

次に使用するソラリスのEの侵蝕値に-1する
複数組み合わせた場合、全てに適用
1S1回

“七花胡” :
【頂芽を摘む】

オート
 タブレット
 多重生成

メジャー
 導きの華
 戦乙女の導き

対象:3体(“死滅天隕”、“隻獅子”、“帯来风暴”)
射程:視界
侵蝕:9

バフ内訳:
 ダイス+2個、達成値+6、攻撃力+5

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 58 → 67

SYSTEM :
■メイン
 宣言内容を確認しました。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
■手番処理
 強化歩兵:軽装が行動を宣言します。 

ギルド戦闘員A :
 全殺しよ
Exterminate!

SYSTEM :
■メイン:
Major:《獣の力L3》《グラップルL2》《一閃L1》

 HIT:9dx+2
 ATK:xd+19
 Add'l:ダメージを与えるとラウンド中のガードを-[Lv*5]点 

ギルド戦闘員A :
1d4  (1D4) > 3

SYSTEM :
■メイン
 攻撃対象が確定しました。

 対象:“七花胡”

ギルド戦闘員A :
アタマ、見ィつけたァ!
…そっちとは間合いがダンチなのよねえ!

ギルド戦闘員A :
9dx+2  (9DX10+2) > 10[2,3,4,5,5,6,8,9,10]+10[10]+9[9]+2 > 31

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。 

“七花胡” :
おやまあ 随分と気合の入っておられることで 自分なんか殴ったところで(手番終わってるので)意味ないでしょうに

アレウス :
死ぬほど痛いぞ、貴様どうする気だ。

“七花胡” :
どうもこうも 駄目元回避ですよ

“七花胡” :
駄目なら……まあ、死ぬほど痛いくらいでしょう?

アレウス :
フン、確かにな 見届けてやる

“七花胡” :
アハ ご期待くださ~い

SYSTEM :
■リアクション
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。 

“七花胡” :
2dx 回避 (2DX10) > 3[3,3] > 3

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

 七花胡:ドッジ→失敗 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを確認しています... 

ギルド戦闘員A :
4d10+19  (4D10+19) > 7[1,1,2,3]+19 > 26

system :
[ "七花胡" ] HP : 26 → 0

“七花胡” :
痛い痛い けどまあ幸い、首も胴も繋がっていることですので……

“七花胡” :
リザレクトで。

“七花胡” :
1d10 リザレクト (1D10) > 5

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 67 → 72

system :
[ "七花胡" ] HP : 0 → 5

ギルド戦闘員A :
はっ、生き汚いこと!
じゃあ次はどこに穴ァ開けたげようかしら

"七花胡" :
その前に、自分の胴体が泣き別れにならないことを祈っておいた方がよろしいのでは?

ギルド戦闘員A :
破落戸崩れの青瓢簞が!

“七花胡” :
そっくりそのままお返ししま~す

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージ結果が確定しました。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
■手番処理
 “帯来风暴”が行動を宣言します。 

夏瑞珂 :
お返しをあげようかと思ったけど……あなたのほうが邪魔ね?

夏瑞珂 :
【 Outta My Head 】
マイナー:《揺るぎなき心 LV1》
メジャー:《風鳴りの爪 LV1》+《コンセントレイト:ハヌマーン LV2》+《援護の風 LV5》
対象:『イザナギ』
侵蝕値:7
効果:「憎悪」解除

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。 

夏瑞珂 :
12dx7+11 (12DX7+11) > 10[1,1,2,3,4,4,5,6,7,7,8,9]+10[1,4,7,10]+10[1,7]+10[8]+3[3]+11 > 54

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。 

『イザナギ』 :
───ほう。

『イザナギ』 :
 ウケ     イキ
 笑止る、などと天狗っては居られぬか。
 然らば………。

『イザナギ』 :
■リアクション:影打・屠竜
React:《RCハヌマーンL2》《切り払いL1》《居合いL5》
Passive:《残像L3》《武芸の達人L3》《風踏みの靴》
・『白兵』でドッジを行う

 Dod:6(+5)dx8+(15+10) 

『イザナギ』 :
11dx8+25  (11DX8+25) > 10[4,5,5,5,6,7,7,9,9,10,10]+7[3,5,5,7]+25 > 42

『イザナギ』 :
御見事。いや、拙者の未熟か。

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

『イザナギ』:ドッジ→失敗 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

夏瑞珂 :
ジャパンではこう言うのよね──

夏瑞珂 :
8d10+31 キリステ・ゴメン! (8D10+31) > 52[4,2,9,10,4,3,10,10]+31 > 83

『イザナギ』 :
 お後が…よろしい。

SYSTEM :
■オート:
Auto:《蘇生復活》《瞬間退場I》
・戦闘不能、死亡を回復する。
・シーンからいつでも退場できる。 

『イザナギ』 :
 是非もない。
       たて
 ならば拙者、殺陣の咬ませ犬の如く…、
 回れ右。

夏瑞珂 :
────────

夏瑞珂 :
huh?

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージ結果が確定しました。

『イザナギ』→撃破 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
■手番処理
 “隻獅子”が行動を宣言します。 

ラーゼス :
【風薙ぐ雷槍】:《コンセントレイト:ブラックドッグLv2》+《アームズリンクLv3》
 判定:(6+3+2+1)dx8+8+6
 ダメージ:16+nd10
 対象:ギルド戦闘員B

SYSTEM :
■メイン
 宣言内容を確認しました。
 判定を行ってください。 

ラーゼス :
(6+3+2+1)dx8+8+6 (12DX8+14) > 10[1,2,3,3,4,4,5,6,7,7,8,9]+10[3,8]+4[4]+14 > 38

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。 

ギルド戦闘員A :
ウ、ウソ、こんなの、

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

軽装:ドッジ(イベイジョン)→失敗 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています...  

ラーゼス :
4d10+16 (4D10+16) > 20[7,5,5,3]+16 > 36

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 67 → 71

ギルド戦闘員A :
たッ、助けて“ソフィ─── 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージ結果が確定しました。

 ギルド戦闘員A→撃破 

ラーゼス :
覚悟なきまま、炎の前に立つものではない

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
■クリンナップ
 クリンナップを行えるキャラクターが存在しませんでした。 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
【-Round 2-】 

SYSTEM :
■セットアップ
 タイミング:セットアップのエフェクトを宣言出来ます。 

アレウス :
ナシだ。

夏瑞珂 :
おなじく

ラーゼス :
おれもない。

“七花胡” :
ありません。

SYSTEM :
■セットアップ
 セットアップ結果を確認しました。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています…。 

SYSTEM :
■手番処理
 ”死滅天隕”が行動を宣言します。 

アレウス :
■デゼルト=カノーネ

メジャー:
 ペネトレイト+小さな塵+コンセントレイト:AH

対象:重装

SYSTEM :
■メイン
 宣言内容を確認しました。
 判定を行ってください。 

アレウス :
(6+3+2-1)dx8+18 <感覚:射撃> (10DX8+18) > 10[3,3,3,3,3,5,6,8,8,9]+10[1,9,10]+6[2,6]+18 > 44

system :
[ "死滅天隕"アレウス ] 侵蝕率 : 69 → 76

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

ギルド戦闘員B :
 噂のマスターがここまでとは…!
 だが…なァ!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

重装:ガード 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています...  

アレウス :
(4+1)d10+19 <ダメージ/装甲値無視> (5D10+19) > 39[10,6,9,4,10]+19 > 58

ギルド戦闘員B :
 手土産を…貰っては行けないか…!

アレウス :
だがもクソもない。

アレウス :
それが鉄則だ。

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージ結果が確定しました。

 戦闘員B→撃破! 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

夏瑞珂 :
「Bang!」

 人差し指でつくった架空の銃が、こめかみを撃ち抜く。

夏瑞珂 :
 それが合図。理性の枷を壊し、何者にも縛られない自分に戻る。
 曝け出されたエゴが具象し、逆巻いた風が周囲の炎を煽った。ごうごうと燃えて、めらめらと爛れていく。

夏瑞珂 :
「焼けたお家で玩具遊びをしましょう。手足をもいで、見せつけるように炙ってあげる!」

SYSTEM :
 鯉口を切った青年には、それが表面の部分において“同じ”仕草だと分かった。

 だが、中身はまるで別だ。

 こめかみを撃ち抜く所作に、小器用に頭を傾け避ける“しぐさ”を──おもちゃ遊びに付き合う礼儀を、日本のどこぞの神に準えた銘を持った男が返す。

『イザナギ』 :
「児戯は卒業した時分に御座る。
 死合いに宣誓とは、如何にも声高なもの」

『イザナギ』 :
「───ぶっちゃけ拙者もその領分だ。
 シュミ
 類型は被らぬが挙動が被る。然るに、」

『イザナギ』 :
「乗った。
 まとめて飯事道具にしてくれる」

SYSTEM :
 揃って微塵切りにしてくれる、と嘯く男に、わざわざ煽り立てる炎の必要はない。

 だが留まる場所もない。彼は揺らぐものではない、鈍色の人切包丁。
 その陽炎を追随させる弛緩した構えが、彼を視界に“留め”させない。

夏瑞珂 :
「ノリがいい人って好きよ。サムライさん」

夏瑞珂 :
「でも、それとこれとは別かも。だって邪魔なの。すっごく余分なの」

 先へ──先へ、炎の向こうへ、わたしは行かなくてはいけないのに。どんな遊びもご馳走も、比べてしまえば何だって邪魔なのに!

夏瑞珂 :
「だから、そうね。楽しませてくれたらウチクビで許してあげる」

『イザナギ』 :
 はや
「早漏るか、せっかちに御座るな。
 択んで殺せるとは、よほど濁りは知らずに育ったと見える」

『イザナギ』 :
「………では…そうさな。
 柳を切る趣味もなし、一言」

『イザナギ』 :
「望まぬ通り邪魔しに参ろう。
 なにしろ拙者はそのサムライではない」

『イザナギ』 :
「本懐果たすなら、以下様にもするぞ」

夏瑞珂 :
「……。カタナを持ってたらサムライじゃないの?」

じゃあブシドー? 首を傾げる。

夏瑞珂 :
「そ。じゃあこの一言も忘れないでね。私、選ばせてあげるんだから」

 死に方を選ばせてあげているのだ。振り払って、道に捨て置くだけの塵に。こんな親切な話はない。

夏瑞珂 :
「次に生まれか育ちの話をしたらドザエモンにするわ」

アレウス :

「布告には銃火を以って返礼とせよ──熱あらばその創を冥府への手向けとすべし、か」

 ハイエナ達の"ぶっ殺し宣言"に思うところあったのか、それとも思い返すものがあったのか。
 自身の直兄であった男は、シノギの中で起きた戦争のイロハを、そう教えてくれた。
 彼は国外に脱したのだろうか、それとも狼の肚の中で腐り果ててしまったのか。
 それを確かめる手段は、今は無い。

 だが、その教えは身に沁みつくように自らの精神と肉体に残っている。

アレウス :
「コールだ、ガンドルフ!」

 焼け付く炎の中から、鉄の海豚がゆらりと姿を現す。
 その棺桶の中に、獅子にだけ見せた傷を隠した男が滑り込むように収まる。

「"レヴ"に火を入れる……ビット展開! ジェネレーター・ドライブ!」

 乗り込むと同時に、背部ラックから無数の円盤状の端末が射出。
 包囲陣形を組みながら、炎の中に群れてきたハイエナ達に、その赫々とした光を反射させる。

アレウス :
そこに何かの事前準備があったわけではない。
 ただずっとそれを繰り返してきたルーティンのように機能する。

「嵐の中に沈みなァ! ──シーケンス"モルテ=シロッコ"!」

 ニヤリとほくそ笑むと同時に、ガンドルフの構えた光槍ライフルから一筋のビームが発射。
 炎を突っ切り、風穴を開け、砂埃を巻き上げながら、無数に展開したレフ・ビットに直撃→反射。
 その光が、また別のレフ・ビットへ飛び──反射/反射/反射/反射/反射/反射/反射/反射……、

 まさに光によって作られる砂塵の嵐。
 その有様を、誰かが呼ぶのだ──"蹂躙する者"と。

SYSTEM :
 そも、ギルドは個人主義の組織だ。
 それゆえに戦闘におけるノウハウにも、文字通り“ピンキリ”の差がある。

 過去において日本で領分を超えて活動していたギルドの兵は、
 凡そ最小単位を3名に定めたオーヴァードによる対応戦術を構築した。
     ブロッカー アタッカー スナイパー
 すなわち護衛役、切込役、狙撃役だ。
 オーヴァードが持つ単身の戦闘力だけを当て込まず、複数の群を統率された個にする。
 人格、主義等を抜きに“出来る”裏家業の集まりならではの、熟成されたマニュアルと言っていい。

SYSTEM :
 それ故、彼らは密集陣形を基底として事に当たる。
              ガン・ビット
 オールレンジ攻撃を可とする自律兵装のいい鴨だ。
 発射された死の円盤は、磨き抜かれた鏡もかくやと光を反射し、それを以て嵐とする。

 展開の予兆を掴んだ狙撃手の対応は───。

ギルド戦闘員B :
「散開はするな! 狙いが“ズレ”る!」

SYSTEM :
 モルフェウス
 物質生成能力を得手とする重装甲の護衛役が、狙撃手への被弾を跳ね除けるべく動き出す。

 狙撃役/司令塔代わりが初撃の散開を優先して、立案された戦闘プランを乱されるのを厭ったためだ。

SYSTEM :
 屍肉漁りの備える装備は並大抵でない。そこに、曲がりなりにも“使い物”になっているエージェントが加わる。
 持ち上がった砂が瞬時に巨大なシールドユニットに変化し、その超重量をキュマイラの膂力で振り回す。
 
 シールドユニットは数重にも積み重なった厚みとスライドさせることで多角的な攻撃を凌ぐ器用さを備え、並の形成された武器、また近代火器など欠伸しながらでも防ぎ続けるだけの持久力があった。
 ・・・
 構うな、というオーダーに、血気盛んな切込み役が甲高く猛る声をあげ、そちらは包囲網からいち早く抜ける。
 
 多少の手傷なら、オーヴァードにとって死のリスクは極めて“温い”と知っているからだ。

SYSTEM :
 ………前衛が抜け、狙撃手は攻撃の時間を稼いだ。
 問題は、たかが多角攻撃と、P.Fの同時射撃を侮ったこと。

 その並大抵ならば撃ち抜かれないはずの強度を誇るシールド・ユニットも、さすがに瞬きのうちに四方八方と迫る砲火には対応できない。

SYSTEM :
 被弾、被弾、被弾、被弾。
 ───六発目で直撃。持ち手がよろめいたなら、そこでお陀仏だ。

ギルド戦闘員C :
「いくつの敵がいるんだよォッ───!」

SYSTEM :
 人工義体と自慢の装甲、
 一対一なら”まだ”目的を遂行し、悠々とリザレクトして帰れる算段だったのだろう。

 あなたがそうしたようにだ。だが。

SYSTEM :
 結果は、この通り。
 無機部分の誘爆でどこかがはじけ飛んだあと、彼はモノも言わなくなってしまった。

ギルド戦闘員B :
 ブロッカー
「護衛役が一撃で! どんなライフルだ!」

夏瑞珂 :
光の乱反射に合わせて、きらきら星をうたう。サビで弾ける装甲。

ラーゼス :
           ハーヴェスター
「こう見ると理解する。収穫祭か……」

アレウス :
「愉快な讃美歌だなァ、シアよぅ!」

アレウス :
「フハハハハッ! これが"超人戦争"のやり方だ、ハイエナの諸君!」

“七花胡” :
「お見事。御立派な『鎌』だこと」

ギルド戦闘員B :
 ・・
「それをこちらもやってしまう!」

SYSTEM :
 だが、前衛はキル・ゾーンから抜け出した。
 アタッカー
 攻撃役が間合いに飛び込む。
 狙いを吟味するその視線が、間合いに飛び込むまで十秒未満。

 同時にその切込を支援するための狙撃手が、人工の“数”に対して手動で“数”を仕掛けようと銃口を合わせる。

SYSTEM :
 ………果たしてたどり着き刻まれたのは、
 銃創か貫く矛の跡か?

 ───否だ。そのどちらでもない。

SYSTEM :
 ………人間、大なり小なり動き出しの時には「溜め」が出来る。
 速度のある動作をしようとすればするほど、膝を曲げるなど溜めを作り、自前の筋力で加速する。

 そして加速しようとする動きが大きければ大きいほど、必然的に事前動作も大きくなる。

SYSTEM :
 一方で、筋力ではなく自重で加速する動き。これは事前動作が無く、筋力も殆ど使わない。

 その動き出しの理屈は、
 たとえオーヴァードになったとて変わりはない。

SYSTEM :
 敢えてバランスを崩すことで、自重を用いて位置エネルギーから運動エネルギーへの変換を起こし。
 精妙極まる精度で自身の動きと連動させ、その筋量では到底不可能な速度で、しかも拍子無く動く。

 曰く───。

『イザナギ』 :


「───御無礼」

SYSTEM :
 無拍子。

SYSTEM :
 起こりが見えず、動きが読めない。
 反射・反応は動きの予測をもとにしたものならば。
 ───それに“反射”は無用の長物だ。

 接近に予備の動作がなく、
 また加速に“ラグ”がない。
            コマンド  アクション
 間合いに入り込むまでに警戒からの実行を許さない。

SYSTEM :
 むべなるかな、
 彼がやっているのは戦争ではない。
    コロシ
 ただの人斬りだ。
 最初からギルドの密集戦術の“アテ”にされていない。

SYSTEM :
 その男が剣士なはずはない。
 ・
 彼は確かにその才能を以て生まれ、
 その士道を究める才能を擁するが。

 その運用方法は全くの逆だ。

SYSTEM :
 意識の虚、動作の隙、連続する警戒の糸目。

 それを潜り抜けて一息で間隙を断つ。
 急所狙いの達人に、装甲と機動性は無用。
 間合いと見做さば、鋼さえ断ち殺す。
 微かでも警戒が寝入れば殺す。それが故の───。

『イザナギ』 :

「影打───討入」

アレウス :
「──!」

 拍子無き一振り。
 機兵の装甲が配置された、その隙間を縫うような神の一振り。
 全てが無拍子。
 誰にも反応できず、警戒もできない。

アレウス :
「──……いや、」

 しかしされど、死ぬことだけは確信させる瞬間がある。

アレウス :

 この瞬間だけは──覚えがあった。
 プラスだろうとマイナスだろうと、”天才”に成り果てるシンドローム。
 その持ち主が繰り出す居合いの一閃を、二度体験している。

アレウス :
 一度は自らの部下──の試し斬り。 
 実戦を想定した本気の殺し合いを演じた際に、P.F.を突き抜けて受けたことがある。
 二度は、追っていた中国気触れのサイボーグ女。
 紫電を纏わせた一撃は威力ではなく、刃を当てた時の”正確さ”に全てが乗せられていた。

 その時の痛みと、その時の緊迫感。
 その一瞬を覚えているからこそ───

「──ガンドルフ! ヒーリング起動だッ!」

 口から漏れ出る鮮血を気にせず、コンマ数秒もない一瞬に全てをかける。
 何度もやって来た死に戻りの再演──AIDAを通して、ガンドルフのジェネレーターを経由したレネゲイドが、自らの体を高め、再生させる。

SYSTEM :
 因子と結びついた細胞の一つ一つが、痛みに気付けぬ。
 両断の間際、もはや茶飯事の“斬鉄”。それを前に至ったのは、積み重ねた戦闘経験である。

SYSTEM :
 賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶというが。
 こと、戦場に賢者の出る幕なく、歴史に学ぶ綺麗事に血闘の当事者何ぞ務まらぬ。 
 どんな人間もはじめての事象には反応が遅れるというならば、逆に言えば一度でも経験を積み既知となった事柄には人間の反復が活きてくるということだ。

SYSTEM :
 ならば、と無意識が斬撃を逆回しにした。
 レネゲイドによる自己再生こそリザレクトの肝要な部分であるならば、
 ・・
 予め備えた上で侵蝕率の増加を抑え、被弾を承知で即座に動けるように備えておく。

 幻視する痛みが呼び起こした危機感だ、断じてすべては合致しない。
 また直撃を前提にした対応なだけあり、対価はある、只では済むまい。

 とはいえ最悪ではない。最悪に感づいた上での最善だ。

『イザナギ』 :
「───ふむ」

『イザナギ』 :
「一刀にて屠れぬとは、未熟」

SYSTEM :
 間合いに入っていたはずの人斬り包丁が、瞬きのうちに遠ざかる。
 二ノ太刀を入れるには十分で、反撃を打ち込むには遠すぎる。

 なにより今、他でもないアレウス本人の掃討を潜り抜けてきた敵がいる状況だ。
 その先陣が生んだ間隙の、なんと空けやすいものか。

SYSTEM :
 スナイパー
 狙撃役と呼ぶにはあまりに目視可能な距離。

 イン・レンジの射撃戦で、警戒の甲乙をつける時間は僅か。
 狙撃役が選んだのは、表面上、もっとも挙動の”浮いた”女だ。

ギルド戦闘員B :

「この距離ではなあッ!」 

SYSTEM :
 アームズリンク
 火器管制はブラックドッグの基本にして主要技巧である。
 早撃ちでも精密射撃に等しくなる圧倒的な照準制御能力は、軍人のそれとは違う。

 背後に守るものがいる人間ではない。
 弱った獲物、隙を見せた手柄を、誰より先に仕留めるためのクイック・スナイプだ。

 やろうと思えば“殺さず”の射撃も可能だろうが、狙いは寸分狂わず急所。
 オーヴァードの殺し方など、如何にして再生困難な一撃を再生困難な箇所に叩き込むかに集約される。
 

SYSTEM :
 ───頭は急所でありもっとも“複雑”な箇所である。
           ・・・
 電磁加速から放たれたたかが実弾で、息の根をまことに止めるための狙いとしては、自信があるなら“そこ”が穏当だ。

夏瑞珂 :
 刃金と鋼の衝突も、どこ吹く風。
 揺られるように右に左にと傾いていた肩が、ふいに引き寄せられる。

夏瑞珂 :
 あっ、とか。
 う? とか。

 出たのはたぶん、そんな声。だって肩を押しやった手はもうどこにもなくて、だったら、かかる力もまやかしだ。

夏瑞珂 :
 でも現実、体は一方に傾いて、側頭を実弾がかすめていく。一秒前の死。顔が吹っ飛ぶかわりに髪が舞いあがり、なくなった耳を面白がるように血が流れ出る。

夏瑞珂 :
「撃つのは初めて? 頭はこっちよ」

 ぐわんぐわんと揺れる頭を指差して、くすくすと笑う。嗤う。微笑っているうちに、死が迫ってきた。
 崩れおちる体を、手近なものを掴んで踏み留まらせた。ライオンちゃんのマント。

ラーゼス :
ぴんと伸びた布でわずかに首がしまった。己の体はぶれることないまま、瑞珂の腕をつかみなおす。

ラーゼス :
「肉の身体はともかく、毛はすぐには治るまい」

ラーゼス :
「千切れている。あとで整えてもらうがよい」

夏瑞珂 :
「ライオンちゃんは毛繕いしてくれないの? ざりざり~って」

 ぺろっと舌を出す。ねこの舌はやすりみたいになってるらしい。

ラーゼス :
瑞珂の髪を眺める。

ラーゼス :
「貴公の髪は長い。舐めたところで整えられぬからな」

夏瑞珂 :
「アハ! ざんねん」
くるくると指先で毛先を弄ぶ。

ギルド戦闘員B :
   Glitched
「───気狂いが、戦場だぞ…!」

夏瑞珂 :
「こんなものが?」

夏瑞珂 :
「こんなに狭くて、小さくて、足りないのに?」

ギルド戦闘員B :
「こ………コイツッ!
 戯れているか!」

ギルド戦闘員B :
「………二度目があるとは思うなよ………!」

アレウス :
「馬鹿が」

アレウス :
「一度失敗したヤツが二度目を祈れるほど、この世界は甘くない──だからテメェらはなり損ないの半グレ連中なんだよ」

ギルド戦闘員B :
「…フン!
 では貴様らはやること成すこと上手くいったとでも言うのか!」

ギルド戦闘員B :
「そのハイエナにお高く止まった目測をかみ砕かれても、同じことが言えるかな…!?」

アレウス :
「おっとそいつは正しいな……ほら、どうした、やってみろ」

アレウス :
「結果が手段を正当化する。
 テメェらが正しいか、俺たちが正しいかは、生きてる方が決めんのさ!」

ギルド戦闘員B :
「………類は友を呼ぶのか!
 こっちはこっちで”馴れ”ているとでも…!」

“七花胡” :
「やれやれ。彼らのマイペースに、御宅らの方が振り回されているではありませんか」

“七花胡” :
「そうも余裕が無いと、不意の不運に足を取られてしまいますよ」

“七花胡” :
 翻す手の中に天秤を握る。それは必ずしも公正を意味しない。
 なぜなら庭師とは、“自分の庭”というものに、身も心も入れ込むものだからだ。
 端から、傾倒する先は決まっている。

“七花胡” :
 ・・・・・・・・
 此処から此処まで。
 不可視の線で枠を区切り、天秤の一振りが朱い煙を走らせる。
 線の内側は、今この時に限り、謝花纏の庭であり。
 おおよそすべては、自分の剪定鋏の下にある。

“七花胡” :
 十全に振り撒かれた因子が、燃える炎に/横たわる瓦礫に/立ち込める黒煙/この場に存在するあらゆる人工・自然物から、“偶然”を排除する。
 より正確を期するなら────“隻獅子”・“死滅天隕”・“帯来风暴”、その三名にとって都合の悪い“可能性”を剪定する。
 彼らが望むなら、剪定されて残った“都合の良い”可能性が、追い風となって彼らの背を押すだろう。

“七花胡” :
 彼らの行く手は炎に阻まれない。
 彼らの弾は瓦礫に弾かれない。
 彼らの視界は帳に曇らない。

“七花胡” :
 彼らの来し方は油に吞まれない。
 彼らの刃は鎧に弾かれない。
 彼らの呼吸は煙に澱まない────

“七花胡” :
 彼らの道に、ありとあらゆる“不幸”は介在し得ない。
 あるとするなら、彼らの研鑽の賜物と、それを磨く“幸運”だけ。

 この世の不幸と幸運は均衡するというのなら、
 自分はその天秤を支配し、絶対に覆らない不均衡を導こう。

“七花胡” :
   ・・・
「さ。お好きにどうぞ?」

“七花胡” :
 この戦場に/庭にいる限り、自分が容れた三人に限ってだけは……
 思うがままに振る舞えば振る舞うほど、その一挙手一投足が不思議な幸運を呼び寄せることだろう。

“七花胡” :
 かつん。弄ばれた天秤の長い柄先が、一仕事終えて石畳を打つ。
 いっそ清々しいまでの依怙贔屓を成した後は、戦況判断と観察に努める構えだ。

 それは奇しくも、“調停”を終えた後の師の立ち姿に似ていた。

SYSTEM :
 …庭師の役目とは、時として成就を妨げる枝葉を断つことでもある。

 たどり着くための過程で、そのリソースを余分に吸い取り、何も為せない“無為”の可能性。
 オルクス・シンドロームが作り出す領域の見立て方は人によって異なるが、彼の見立て方は庭だ。世界すべてを愛することへの辟易と反抗心が、“己は違う”“せめても”とそうさせたのか。
 または留まり続けるレネゲイドが、価値観のみでも進歩し続けるため───絶えず流れる刻を識る場のために、そうさせたのか。

 いずれにせよ、その区切り方は確かにオルクスの道理だ。
 彼らのやり口は乱暴さとは対極にある。理論的で、狡猾で、それでいて───。

『イザナギ』 :
   つく
「───創造る形」

SYSTEM :
 開く形ではない。
          ・・・
 こうと定め、こうと区切る形だ。

ラーゼス :
 周囲に振り撒かれた因子の作為を、片目の知識を用いて見えぬながら理解する。
 妖精のいたずら。いやさ、自らの手をもって場所を定め、物を植え込み、切って整える、人間の業──

ラーゼス :
 ・・
「あれと対極だが、であるがゆえに理解できる──なるほど」

ラーゼス :
 ひと
「妖精の御業、受け取った。力を尽くそう」

夏瑞珂 :
アハーと笑ってくるりんと一回転。ないスカートの裾をつまんで、わざとらしく礼をする。

夏瑞珂 :
「お庭に屋根はいらないと思わない?」

夏瑞珂 :
「見てて。吹き飛ばすわ」

アレウス :
「ほぉ、こいつは」

アレウス :
「領域の王、その真髄を味わうのは俺は初めてだな。
 いいだろう、良く使ってやる」

アレウス :

 ガンドルフがモノアイを静かに輝かせる。
 その手に握られたライフルに、イバラのような印がつく。

“七花胡” :
「貴女を清掃用のモップ替わりにして終わり、だなんて気が引けますのでね。
 好きなだけ活用してください♡」

“七花胡” :
「屋根……屋根ですか。まあ、ここまで崩れていたら、エントランスをリフォームしたところで大して変わりはありませんね。
 展望は広い方が良い。期待してしまいますよ」

“七花胡” :
「この畜生風情に、王だなんて御大層な例えは似つかわしくない。
 ただ、庭師としての腕に、自負はありますゆえ」

『イザナギ』 :
「───ふむ。貴殿そういうクチか。
 人の煽て方を理解っていると見える…」

『イザナギ』 :
「…しかし、やはり…刃の煽て方をするには…整いすぎている。
 拙者の居心地は芳しくない訳だ」

SYSTEM :
 仮令内側に入れて頂いても同じでござろう、と嘯く剣魔の間合いは未だ遠い。

 というより、注視を逸らした時が再び攻撃に出る瞬間だ。そうである以上、踏み込んでくるのは彼でない。

『イザナギ』 :
       バレ
「まあ、そうと露見たなら───」

SYSTEM :
 補佐役/統括者がそこと知れた。

SYSTEM :
 ───そちらに能力を振ったオーヴァードは要点であり、起点であり。
 しかし、単独においては別だ。

SYSTEM :
 嵐の如きキル・ゾーンから逃れるための前傾姿勢と加速を維持しながら、
 ここまで踏み込むのを躊躇していたなど、なんのことはない。
        ・・
 どれが一番いいカモかを図っていただけだ。 

ギルド戦闘員A :
 P.Fは論外。アレは裂けても次が回らない。
 先ほどの女はいま対象から外れた。
      ・・・・・・
 金髪の女はなにかが拙いと自分のレネゲイドが訴えた。

ギルド戦闘員A :
 ブチ殺し確定
「Exterminate───!」

ギルド戦闘員A :
「そこの優男! 貰ったぁ!」

SYSTEM :
 ハヌマーンとキュマイラの雑種が生む、しなやかで強靭な脚の筋肉が成す足運び。
 得物である対人用にしては大掛かりが過ぎ、過剰にすぎる刃を備えた機械仕掛けの槍が唸る。身の丈超える得物なだけに、乗った体重と加速は、勘が示す通り、寸分狂わず“仕留められる”だけの威力を以て飛ぶ。

 一撃で刺し貫き、引き戻す際に内蔵をえぐり抜く。
 技巧ではない、道具ありき。それだけに守りを抜くには十分だ。

“七花胡” :
 視線が合う。
 キュマイラ
 獣性因子を備える者に顕著な、獲物と見定めた者に一心に注がれる死神の如き眼光。
 全身に突き刺さるそれは、あるいは、お前以外には目も呉れないとでも言いたげで。
 背筋を這い上る粟立つ予感、肌触りの悪い血飛沫の気配に、理性よりも先に本能が回避行動を行わせる。

“七花胡” :
 なれど、獣未満の畜生の分際で、獣性因子の持ち主に身体能力で勝てるはずもない。
 綺麗に誂えた長袍の胸元に、穂先が迫る。

“七花胡” :
 回避────失敗。
 防御────間に合わず。
 槍牙────貫通。

“七花胡” :
 鮮血が心臓を掠めて肺を貫く。圧迫を受けた臓器が風船のように膨らみ、右肺が弾けた。
 肉と骨が一緒くたに拉げる痛苦が理性を押し流そうとする。気道を込み上げた血液は、神経が麻痺して熱さよりも舌に纏わりつく不快感が勝った。
 目の前の彼女が槍の穂先を捩じり、引き戻した瞬間、内臓が反しに巻き込まれてちぎれ、空を舞う。
 全身から溢れた鮮血が、纏った上着のファーをべったりと汚した。

“七花胡” :
「は────は゛、は…………」

“七花胡” :
         おじょうさん
「いけません、ねえ……小姐……。
 いちばん、弱そうだからって、目先の獲物に飛びついては……」

“七花胡” :
 痛苦に絶叫したい本能を、強烈な衝動で塗り替える。
 まだ終われない。まだ絶えられない。
 飢渇に呼応したレネゲイドが、ならばと応えて再生を始めた。

ギルド戦闘員A :
「な……ッ、によ、こいつ! 
 …死に損なって、カラカラと!」

“七花胡” :
「────ふふ」

“七花胡” :
 千切れた繊維に苦痛の残滓が纏わりつき、砕けた骨が形状を思い出すさなかに、生まれたての臓器を掠めて槍撃の衝撃の幾分かを再演する。
 再生とは逆回しだ。痛みなくして、進歩は免れない……

“七花胡” :
 ・・・・・・・・・・
「いちばんこわいけものが、貴女を見ている」

“七花胡” :
 痛牙の一撃から復帰した足取りが、槍のリーチを踏み越えて内側に一歩を踏み入る。
 垂れ下がった血に染まった指先、どろどろの手袋に包まれたそれが、名も知らぬギルドの溝鼠、その木っ端の顎先を擽って、さやかに囁く。

“七花胡” :
「よそ見なんかしているから、貴女も、貴女の周りも……。
 アハハ、もう遅いですね?」

SYSTEM :
 ───如何にも。
 それはあくまで“刃物を通せるか否か”の判断だ。

 実際に殺すには数段入りが甘く。
 仕留めたあとの相手が、彼女の目測とは比較にならない。

SYSTEM :
 たかが衝突の一つ二つでまこと音を上げる男ならば。
 易きに逃げられる男ならば、羅馬に“七花胡”の仮面をつけた男は此処にいない。
 単純な数値と経験上、ただの「支援役」の命なら断てる一振り。だが彼の死に場所には役不足。

 ならば、と、あるいは宣言通り。血に染まる調停者の、枯れる枝葉にかける甘い言葉が、本能をなぞった。

 それが状況に即した思考能力と薬物生成の手練からくる甘言であり、惑わす恐怖の一言であることに気付いた人間は、居るには居たが。
 そいつと来たら、口にしないから意味がない。

ギルド戦闘員A :
「───、」

ギルド戦闘員A :
「(あ………あいつ)」

ギルド戦闘員A :
「(あいつから、)」

SYSTEM :
 ・・・・・・
 離れなくては!
 
 ───二撃目を入れる好機と自分の命を、
 弱いものいじめが得意な狩人が天秤にかけた。

SYSTEM :
 それは動き出しの予兆を見る前のあまりに早い判断だ。
 僅かな懸念に付け込んだ言葉だ。しかし。
   ・・・
 人の煽て方を知る人間にとって言葉は武器であった。

SYSTEM :
 そしてそうなれば、白兵の間合いにいるのはひとり。さも予言のように“言葉通り”になる。

 唯一鈍色を携えたとうの本人と来たら、みごとにどこ吹く風だが。

『イザナギ』 :
「うむ。───思ったより総崩れ」

夏瑞珂 :
 差し伸べた手に風が宿り、結晶する。長柄の先に三日月の刃。

「アハ──」

 どこ吹く風に、鞘走る嵐。振り抜いた鎌が風を切る。円軌道は真空の刃を生み、その風を後追いして炎が燃えさかった。

夏瑞珂 :
 枷は破れ、妨げは払われた。天井知らずに膨れた暴走欲求が、限界を超えたくてたまらないと猛っている。

 その貪欲な力を、眼前に向かって解き放つ。

夏瑞珂 :
 KABOOOOM!
「どっかーん!」

 炎は唸りをあげて螺旋を描く。ぐんと伸びていく力の奔流が、白い痩身へ食らいついて──突き抜けて、突き破った。

夏瑞珂 :
「ほぉら、全崩れ」

 狭い天井を、広い空へと繋げる。崩れる瓦礫の向こうに大穴があいて、夜空に炎の残影を落とした。

SYSTEM :
 ───誰ぞに曰く月は狂気の象徴という。

 満ちた月は寵愛を与えるならば、
 欠けた月は欠けた寵愛を遺すものか。

 三日月の如き一振りは形さえ定かでない。留めてくれていたものを失ったいま、刃という形にさえ正しくは収まっていなかった。

SYSTEM :
 草を薙ぎ、火を興し、どこにもゆけると怨の一太刀が猛り狂う。
   こえ
 己は超越るものだ、と。声高に叫ぶものは、留められることこそを忌み嫌う。
 そうできるものは居なくなったのだとばかり。螺旋を描くものを例えるならば、と。若者が目を細め、刹那の間だが思案に耽る。

『イザナギ』 :
   ・
「───嵐」

『イザナギ』 :
「いや………………」

『イザナギ』 :
「………残り火?」

SYSTEM :
 風の音色はどこまでも行ける現実に焦がれているが、解放を謳うには音色に爽快さがない。

 突き抜けていく解放感ではない。
 朗らかな声のくせ、あるのは放たれた矢の焦燥だ。

SYSTEM :
 ───なんと清々しい愚かさだ。
 
 剣魔はその様を感嘆に乗せて零した。

『イザナギ』 :
「では斬るか」

SYSTEM :
 そして彼にセンチメンタルはなかった。

SYSTEM :
 然るにその炎の色をくみ取った後思ったことなど特にない。

 ただ斬るときに斬るのが、ある者に曰く。
 “応龍”の二番煎じの御業である。形の有無など関係のあるものではない。

SYSTEM :
 瞬きさえ許さぬ絶速の“払い”。
 動作の予備などなく、ただ斬るべきをなぞって振るわれた一振りは、空気と空気の間に“ズレ”を作った。 

SYSTEM :
 ズレ同士が戻ろうというまさにその瞬間。

 猛る焔の奔流を、その狭間が呑み込み、断ち割った。
 先ほどのが“人を殺す”ための技巧ならば、今のそれは違う。
 抜刀から納刀までの動作があまりに早い、ゆがんだ達人の才が生んだもの。彼の育った方向性とは異なる、先天的な方の才能の成せる技だ。

SYSTEM :
 しかし刀で───嵐は切れぬ。

 切れたとて、彼にそれは半歩遠い。
 好奇心が猫を殺した。 

SYSTEM :
 爆ぜる奔流の中に男が呑み込まれた。
 いや、厳密に言うと“見切り”をつけて身をそらした。一振りで切れぬと分かり、命を拾うべく飛びのいたのだ。

 当然「それなり」の傷は負う。半身の火傷は、続けざまに一振りを叩き込むには、あまりにも重い枷だ。

『イザナギ』 :
「………。
 なるほどよくも言ったもの」

『イザナギ』 :
「国を興すは、確かに…炎だ。

 拙者の未熟より貴殿の妄執といえる。
 生きづらかろ」

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 78 → 85

夏瑞珂 :
「なあんだ。消し炭にしてあげようと思ったのに」

 焼けた半身を飄然と翻す姿へ、唇をつりあげる。
 運命の不均衡が、この結果を決定づけた。彼の才覚が正しく発露するとも、炎は「運良く」周囲の熱をまきあげて火勢を増し、朱煙を貪ることで大火へと成長した。
 一刀では切り払いきれないほどに猛々しく。

夏瑞珂 :
 生きづらい? いいえ……いいえ。
 
「じき終わる」

 おまえが塞いだ道の向こうに、きっとやつがいるから──

夏瑞珂 :
 ──そこを退けと、再び迫る。おまえの屍が築く道を、わたしは駆け抜けるから。クールダウンしたがっている体を熱気に投じ、鎌を奔らせ……

『イザナギ』 :
「───うん。遺さぬための火であったか」

『イザナギ』 :
「二言を翻す。貴殿のは興国の火ではないな。
 それは切ったことがないわけだ。知らんもん」

SYSTEM :
. 否定しない
 “じき終わる”と、その言葉に総髪の青年が一度うなずく。
 再生よりも早く、一撃見舞えば手折られるように命が絶えるこの有様で。

SYSTEM :
 その有様で一切の変動がないのは、その態度こそが常態であるからだ。
 暴力の世界と呼ぶには静謐すぎる、恩讐を所以にするには涼やか過ぎる。
 そいつにとっての命の価値が、あるいは無二にして最大の相違点だった。

 彼は人の感傷など犬に食わせるが、
 同時に滾る熱が微塵も己に───あるいはいるかも定かでないものにしか───向いていないことは分かった。

 そして、それを悟った時余裕綽々ならば、彼の次に吐く言葉は決まっていたが。

『イザナギ』 :
「そして、拙者………。
 欲はある方にて。まだ遣われ足りぬ」

SYSTEM :
 そうでなく、彼の身勝手さは、ここで死合って野垂れ死んでも“是し”とするほど無謀な翼を背に備えさせることがなかった。

 背中の傷は剣士の恥などと糾弾するもよい。だが、己は剣士が”使う”刃と宣う男に恥もへったくれもありはしない。
 ただ斬る機でないと見たがため、ギルドの辻手の行いは素早い。

 死神を前に身構えもせず、彼は次のように嘯いた。

『イザナギ』 :
「───捨て台詞にて御免。
 月夜ばかりと思うなよ」

  :
『───は? コラちょっと待、』

SYSTEM :
 ぶら下げていた端末から響いた声と一緒に、こちらを向いたまま、まさに月の覗く向こう側へ鮮やかな跳躍、そして反転。

SYSTEM :
 また端末の困惑と一緒にギルドの戦闘エージェント、特に状況の見える方も“は?”の二重奏を奏でた。

 彼らにとって“赤の鬼人”の死体にはそれなりの意味があっただけでない。
 それは比較的身勝手な理由で見捨てられた男の逃避のような声だった。

夏瑞珂 :
 空切る刃。あっさりと戦場と仲間らしき二人を捨てさって、白い男が姿を消す。

夏瑞珂 :
「────」

 わずか一秒のうちに許容値を超えて蓄積するフラストレーション。あてを外して傾いだ体を反転させる傍ら、周囲の空気がぐつぐつと煮えたぎる。周囲の延焼が激しさを増していく……。

ラーゼス :

ラーゼス :

“七花胡” :
 胸元を抉った穂先が離れる間際、甘言で揺さぶった直後に、背後で「暴」と炎の爆発する轟音。吹きすさぶ暴風。
 そして、今まで其方に在った気配が一つ消えた。湖面に映る月のような、掴みどころはないのにやたらと冴えて堪らないものが。

“七花胡” :
「(どうやら取り逃がしたらしい。締め上げたところで吐く手合いでもなさそうでしたし、此処で殺しておきたかったのですが……。
  ……まあ、よろしい。本命は其方ではない。手の内を割らせたところでよしとしましょう)」

“七花胡” :
「(それよりも────)」

“七花胡” :
「────“帯来风暴”!」

“七花胡” :
「まさか此処までリフォームのためだけに遣って来たわけではないでしょう!
 有り余った分は、貴女の”本命”に取っておきなさい!」

“七花胡” :
 まさかローマくんだりまでやってきておいて、こんなことを叫ぶはめになるとは。
 内心でつぶやきつつ、叫んだ拍子に込み上げた血の塊を吐き付ける。

夏瑞珂 :
 揺れる陽炎の向こうで振り返る。

夏瑞珂 :
「……へんなひと」

 ちいさく呟く。金が入り用のはずの男の教師のようなことばは、稼ぎを求めるときより、よほど熱心に聞こえた。

夏瑞珂 :
 波が引くように熱気も次第に失せていく。でも既に燃えさかった炎が消えることはない。当然。

“七花胡” :
 声に反応して此方を振り返った口元が、陽炎に紛れて何かを呟いた気がした。風火に紛れ、音は聞き取れない。
 ただ熱病のように凝るばかりだった熱気が、波退くように失せていく。
 大気の波紋を膚で感じ取れば、咄嗟の忠告がきちんと届いたことは容易く知れた。

 「よろしい」、と血濡れた唇でつぶやく。
 後は、奥に控える重装兵と……愚かにも甘言にたぶらかされ隙を晒した、哀れな近接兵が眼前に残るだけ……

ラーゼス :
 他方、炎が迸った傍らで──
 胡を一度殺した女の視界の端、不意に影が躍った。

ラーゼス :
 鈍重な踏み込みの音が──否、踏み込みの瞬間の衝撃に耐えかねた床の悲鳴が、奔った雷光を追いかける。
 異国の剣士の敵前逃亡の間に走った沈黙を逃さぬ、獣の狩りの流儀。
 耳障りな音を立てる雷槍が、獲物の体をすくい上げ、空中へ打ち上げるように振り抜かれる。

SYSTEM :
 そして踵を返して間合いから逃れた女の行いは、正しいが遅かった。
 
 そもそも…甘言とて宣告の時点で、脅威がまことならば。
 それをした時点で逃げる猶予がある筈がないではないか。

SYSTEM :
 分かっていたかどうかは定かでない。それより早く生存の本能が動いただけだ。
 先に姿を晦ませた彼との違いは、端的に言って…。その判断の緩急。
 彼女は狩人だが、”人の”狩人だ。

 そして眼前の金獅子は読んで字のごとく獣であった。苛烈なる雷光のきらめきをまとい、その姿を人の世に溶け込ませるから、”そう”錯覚させるだけであって。

 人の道理で相手するべきではなかったし、そうでないことを気付くべきだった。
 …最も、仮に彼女がそれほど利巧だったとしても、さほど結果は変わるまい。

ギルド戦闘員A :
「ぃぎ゛、」

ギルド戦闘員A :
「ご───ひ、ゅ………ッ」

SYSTEM :
甲高い悲鳴のあと、
空気の“すう”と抜けるような音。

SYSTEM :
 ばちり、と爆ぜるものが臓物を焼いた。致命傷が継続する───慈悲があればなおのこと助かるまい。

 そもそも嵐を抜ける段階から彼女は無傷ではない。
 それを差し引いても、いざこちらに牙を剥く獣を狩らんと、死と隣り合わせの狩場に出るには、ああ。あまりにも───。

ラーゼス :
「人の狩りというのは、驚く間に刈り取られるのを無粋と言うかもしれないが……」

ラーゼス :
「おれは獣ゆえ。そのような理はわからぬ」
 逃げられぬ獲物の頭に添えた手に、強く力を込めた。

SYSTEM :
 最期の言葉は血反吐混じりの「た」だった。かろうじて人の言葉を成していたから、続きは“助けて”だ。

SYSTEM :
 ───あまりにも、脆い。

 拉げたような音が、同じ獣でも先天と後天の違いを教え込む。
 もとより慈悲深く聡明とて、獣と自称するなら、縄張りには残酷な線引きがあるものだ。

ギルド戦闘員B :
「───全滅だと!」

ギルド戦闘員B :
「数は互角だ、たかが一国の寄せ集め“ふぜい”に───ッ。
 このままで済ませるか、“ソフィア”が見ている!」

ラーゼス :
「……なるほど。確かにそうだが」

ラーゼス :
「あの異国の剣士……。
 要が抜けた烏合の衆に、我らが負ける理もないな」

“七花胡” :
「居た時から、彼に連携らしい連携取るつもりはなかったみたいですけどね」

“七花胡” :
「見捨てられちゃって、まあ可哀想♡ 『ああ』ならないうちに、投降されては?」今しがた頭を捻り潰されたばかりの死体を一瞥

ギルド戦闘員B :
「抜かせ、同じ断崖なら引き続きだ!
 冥土の土産はひとりぶんくらい頂いて───」

アレウス :
「狗だな、どいつもこいつも」

 吐き捨てる。
 ギルドの構成員を仕留めれず逃亡を許したのは痛手だが、この際は気にしていても仕方がない。
 誰に手を出したのか──実際の戦闘情報から、その脅威度を明確にすることが出来れば一種の抑止力となる。
 最も、思想もなくただ流動する悪意である彼らにとって、その抑止力も一定のところでしか機能はしない。
 イカれ具合が高いか、無知であれば余計に通用はしない。

 だが……逆に理知的であり、基本に忠実であればあるほど、恐れというモノは必ず心の隙間に入ってくる。

アレウス :
 残り一匹。
 ガンドルフが跳び、ゆらめく炎の陽炎に紛れ、先ほどの蹂躙から残った乱反射端末が細やかに移動する。
 コクピット内の網膜入力で次発シーケンスを作動し、ガンドルフがそれに合わせて跳びあがる。

 シーケンス"デゼルト=カノーネ"。
 光槍ライフル"ラ・フォルトゥーナ"から放たれる光槍を、モルフェウスによる物質変化を織り交ぜ、内部から食い破る形状で貫く。
 それをただ一直線に射出するだけではあるのだが、事前に必要なプロセスを考慮しシーケンスとして設定。
 予備動作による負担を限りなく最小化し、コンパクトな"一射"に留める。

アレウス :

「狙いはついた……」

ガンドルフ[バルチャーII] :
 跳びあがったガンドルフは、わざと"逆さ"に姿勢制御を実行していた。
 それは見上げた瞬間の意表を突くという心理的急所に触れるもので、一瞬の思考の中に「何故」を生ませる。
 それそのものに深い意味は無くとも、この狂気の世界においては、そのブラフは全てを制する。

ガンドルフ[バルチャーII] :
「フハハハハッ! 落ちろぉ!!」

 そのムーンサルトから放たれた"デゼルト=カノーネ"の光槍が、炎の中に風穴を開けて飛ぶ。
 装甲を引き裂くその攻撃的な形は、茨に包まれ触れるものを突き刺す刺を、四方に伸ばしていた。
 
 そういえば──ヤツは眼が良かった。
 思い付きから光槍ライフルの銃口が、僅かに逸れていた。
 弾は当然、狙撃手に向かって飛ぶことはない……だが、その先には、動いたばかりの乱反射端末がある。
 眼が良いほど気づきのある者は、それに気を取られる。

ガンドルフ[バルチャーII] :

 そして命を落とす──光に貫かれて。

SYSTEM :
 スナイパー
 狙撃役に任ぜられる程度には、彼は目が良い。ブラックドッグの精巧な義眼、ノイマンの処理能力。
     ワイヤード
 おまけに鋼入りだ。
 三次元的な射撃モーションの興りが、やがて即席の曲芸に代わるまで、その目が“追いきれない”という事態になることはなかった。

SYSTEM :
 しかし………。
 その曲芸に、律儀に見物人になったのが運の尽き。目の良さが命取りだ。

 目ではわかる。細やかなものを見落とさないということは、それらすべてを並列して脳で処理するということでもある。

 レフ・ビットの特性も把握していた彼は、それ以上に射出される武装がただの“光”でないことも把握していた。
 近接戦闘を含めて一定の応用が利くことも、だ。

 彼は“何故”から思考を入れ、直撃コースから逸れた射撃を前提に次の反撃を組み立てた。

SYSTEM :
 そして───。

ギルド戦闘員B :
「何!? ───あっ………!」

SYSTEM :
 戦いは一瞬で決まるもの。

 さぞしぶとく生き延びてきたのだろう練達の”ハイエナ”にしては、間の抜けた断末魔とともに、爆ぜる光が彼の棺になった。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
【Check!】
 エネミーが全滅しました。
 戦闘を終了します。  

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 一瞬というほど短くはないが、 
 あくびが出るほど長い戦闘時間ではなかった。

 三名の屍が炎に抱かれる。いや、うち二名はそもそも原型をとどめてなどいなかったが。

SYSTEM :
 ギルドの斥候、あるいは後始末役だったのだろう。是非を問う“生き残り”の気配はない。

 そして、だ。
 ここまで「騒ぎ」を起こしたならば、“黒鉄の狼”が近くにいればすぐに顔を覗かせるはずである。
 彼は戦場に現れ、すべてを食い千切る登頂者であり挑戦者だ。そこに価値の優劣はあっても、分別はなく、好悪もなければ是非などない。

 無価値だろうと火を掲げたら食らう───。
 そのような特性の持ち主が、”そう短くはない”時間の戦闘行為に顔を出さないならば、可能性は二つ。

SYSTEM :
 赤の鬼人が生きて戦いを続けているか、
 もはやこの場には“いない”か───。

 前者ならば、彼の戦いは静かに終わるものではないことも、嘗て伝説を見た人間は知っていよう。そういうことだ。

ラーゼス :
獣がそうするように身震い。槍を地に突き立てる。

ラーゼス :
「……ひとり逃げられた。
 あの振舞いから見たところ、その男こそが最も強きものに思えたが」

ラーゼス :
「あちらの蛮行を阻止した──と、言えるふうではないな」

“七花胡” :
「むしろ時間を稼がれましたね。元より後手だったわけですし、痛手を負わせ、戦力を削ったと考えるべきなのでしょう」

“七花胡” :
「まあ、あれらが如何ともし難い溝鼠であった以上、見逃す選択肢は最初からなかった。
 せめて“黒鉄の狼”が釣れれば、目論見通りでしたが……」

夏瑞珂 :
 ……こふ、と咳きこんだ拍子に血が滴った。炎に囲まれたまま地べた座りこむ。

「──────────」

 やり場のない熱が、憎悪の火が、じりじりと毛先を焦がす。溜息も出なかった。

アレウス :
「立てねえか」

夏瑞珂 :
首を振る。立つ気にもなれないだけだと、説明する気力もなかった。

SYSTEM :
 ………時間を稼ぎに来たというが、それならば。あの数とあの立ち回り、“稼ぎ方”があったはずだ。

SYSTEM :
 この遭遇はあなたにとってアクシデントだったが、同時に───。
 彼らにとってもアクシデントだ。なら、“探し物”は何になるのだろうか?

ラーゼス :
「……急げば、喰われた方の息があるかもしれない。仔猫、腕を」

夏瑞珂 :
のろのろと伸ばす。

アレウス :
「人の背が借りれるならそれで構わん」

夏瑞珂 :
ぱたんと下ろす。

ラーゼス :
血に濡れた手袋を咥えて外しながら、落ちた腕を掴んで瑞珂の体を抱き上げる。

“七花胡” :
“隻獅子”が手を貸すのを見て、周りの火を薬剤散布で軽く打ち払う。毛先を焼く炎くらいは除けられるだろう。

“七花胡” :
「ギルドの連中にとって、我々が此処にいることは決して好ましくないようでした。
 知られたくないものがあるのだとしたら、“赤の鬼人”の傍にあるに違いない。ここが焼け落ちる前に、上へ行きましょう」

夏瑞珂 :
抱えられたままぐでんぐでんに身を投げ出して、一瞥だけ投げる。頷かないが、べつだん拒絶もしないしぐさ。

ラーゼス :
「わかった。……娘の次は赤子だな。
 仔を産んだことはない。荒ければ言え」

アレウス :
「……のようだな」

夏瑞珂 :
ぐんにゃり。

“七花胡” :
それでも落ちそうにないのは、抱える側が器用なのか、抱えられている側が柔軟なのか……

SYSTEM :
 ・・・・
 時間稼ぎの線だったなら尚のことだ。
 遭遇戦が好ましくないのはお互い様で、そのうえで屍肉漁りの権利はあなたたちが手に入れた。

 そしてそれを踏まえるなら、“七花胡”の言葉は正しい。

SYSTEM :
 “赤の鬼人”の存命を期待する素振りは、あなた方にはなかった辺りからも、それが伺える。

SYSTEM :
 ともすれば生きてはいまい。いや、痕跡すら残りもしない。
 それを見てきたものからすれば、なおのことだ。“黒鉄の狼”は半端をしない。

SYSTEM :
 ………だが。

SYSTEM :
 大方の予想を裏切るように。

SYSTEM :
 ・・・・
 食い残しが、そこに転がっていた。

 心臓から背中をつらぬくように、ごっそりと空洞が出来ている。
 血は炎に焙られた結果として揮発し、食い漁られた人の臓物の臭いを散らして。
 凭れ掛かった破落戸の姿だけが、そこにあった。

"赤の鬼人” :

      Fortes fortuna adjuvat
「──────運命は臆病者の味方をしない…」

"赤の鬼人” :

「は、は。まったく…お笑い、草だ。
 おれの命運はあの日、とっくに尽きていたのか………」

"赤の鬼人” :
「………よく、見えんが………。
 ・・・
 どちらだ? 三年も…出遅れた死神のツラは…知っておきたい…」

SYSTEM :
 それはリザレクトでふさがる傷でなければ、ふさがるときの負荷に耐えられる状態でもない。
 そんな、遠からず死ぬ男が、まだ口をきけている。

 少し前までは、少なくとも戦闘の真っ只中だったことの証左であり、
 彼自身が並大抵のことで“死ぬ”ほど脆くない男ではあったことのあかしだ。

SYSTEM :
 そして拳についた血は、彼のものとするには少しばかり不自然だった。
 ・・
 それはつまり───。

 彼は再び食い残されたのか、あるいは。
 一矢報いたから、こうして食われる“前”にこと切れようとしているのか、だ。

SYSTEM :
 ………しかし、それは慰めになるようなものでもない。
         ・・・
 狼に挑む鬼人は、あなたの信頼には応えなかった。

ラーゼス :
「────!」

ラーゼス :
「……“赤の鬼人”……」
 そこにはなかば予期していたがらんどうではなく。
 死にかけの男、戦い抜いた男の姿があった。
 おそらくここにいたはずの狼から、敗者という尊厳を守り抜いて。
 ……アレウスにとっては、ほんの僅かだけ幸運だったろう。

ラーゼス :
 傭兵の姿も仙人の姿もない。
 ……見渡す限り血水とこの男しかいない光景に、荒くれ者の頂点としての威厳を見ることだけはできなかったが。

ラーゼス :
 瑞珂の軽い体を、傷に障らぬよう、慎重に下ろす。
 この娘とて、ある意味では同類の最期に思うところもあろう。

ラーゼス :
「……見事なものだ。狂嵐を相手に、おのれを守り通したか」

夏瑞珂 :
 血腥い焦げつきが匂う。三年前の記憶を瞬きの奥に押しこめる。
 ぼやけた視界のピントが次第に合い、死にかけの男を映した。

「…… ……」

 もうひとりの食べ残し。そうと知らずに戯れたきり、終ぞ言葉を交わすこともなかったけれど。

夏瑞珂 :
 やさしく下ろされるまま、息づく骸の傍らにしゃがみこんだ。血に濡れた拳を指でなぞり、男の腕に赤のラインを引く。

「届いたのね」

 残余としか見られなかった男が、最期に。

夏瑞珂 :
 わたしが『こう』ならない保証はなかった。食べ残しへの同情というより、もうひとりの自分を看取るような心境だった。

 顔にはりついた髪を耳にかけ、じき死面になるかんばせを覗く。

夏瑞珂 :
「待ってる人はいる? ……」

夏瑞珂 :
「同じところへ、あなたはいける?」

“七花胡” :
 其処に居たのは“まだ死んでいない”だけの男だった。
 相対したものの規模を考えれば奇跡と言える一方で、食らうに値しないと見做された屈辱は、一体如何ほどのものだろうか。
 多分、それは同じ“食い残し”にしか許されない推量なのだと思う。

“七花胡” :
「……貴方が真に臆病者なら、痛みと引き換えに拳を揮うことなどしなかったでしょうに。
 その血は、貴方の不服従と進化の証だ」

“七花胡” :
 だから代わりに、一抹の敬服を捧げる。
 敗北という停滞に身を任せ、黒星のまま隠遁を良しとしなかった飢渇の由に。

“七花胡” :
「我々は貴方の死を踏み台にして、“黒鉄の狼”の首を獲る。なので喋れるうちに教えてください。
 狼の鎧を食い破った、貴方の『銀の弾丸』は?」

“七花胡” :
 ……彼の傍に死神は佇んでいて、遠からず事切れる。そのあとは、一人の破落戸が矜持とともに、炎にまかれて朽ちるのみか。
 人は死ねば肉塊だ。やがて土に還り、草木の糧となる。しかし半端に燃え残れば、灰被りの骨を揺さぶり起し、よからぬことに使おうという輩が、出ないとも限らない。

 そうなっては面倒だ。彼の巣を隠れ蓑と利用した手前もある。
 墓石の一つくらい、調達するに訳もない。訳もないが……。

“七花胡” :
「(……彼は、どうしたいのでしょうねえ)」
 視界の端に、“赤の鬼人”を慕った男の影を捉える。

SYSTEM :
 ふん、と鼻で笑う音。すでに血の気のない男の言葉にしては感情が乗っている。
 ただそれは、死を前に傷を舐めるための自嘲でもなく。
 その“無念”と銘打つものと織り交ぜになった感情も、命を遂げる安らぎでだんだんと薄らいでいく…。

"赤の鬼人” :
「………………」

"赤の鬼人” :
「…死神が大挙する…とは…。
 よほど…待たせすぎたのか…」

"赤の鬼人” :
「なるように…なっただけだ…
 
 おまえは、命より確かな理由の是非を決めるとき…。
 目の前の壁の『高い』『低い』を、考えるのか?」

"赤の鬼人” :
「…だが…ああ…そうともさ。おれの時は………三年前に止まっていた…。
 玉座と思っていた場所の…その上から、牙を振り下ろされたその時から………」

SYSTEM :
 ならば…そうなるところに辿り着くだけだ。
 勝ち負けはとっくの昔についている。

 それは勝者に対する敗者という構図を変えないままの戦いであり、結果が焼き直しになるのは当然のことだった。

"赤の鬼人” :
「はじめは腐った風の裏路地だった………
 そこから、登り詰めた………。
 負ければ、もと居た場所に、戻るだけ………だ…」

SYSTEM :
 …ひとしきり零した言葉が、やがて、薄ぼんやりと見えた視界に風の子を捉えたとき。
 意外そうな顔と、口元を吊り上げる顔が混ざった。

"赤の鬼人” :
 ウィンドブレーカー
「“望風旅団”…。
 あの日最後にやり合った…『敵』だ」

"赤の鬼人” :
「どの面下げた…奇妙な縁だと思っていたが…。
 さあな、地獄は広い…会うための、戦いだったとて…」

"赤の鬼人” :
「…そのおまえに免じてやろう………
 おれを踏み台にする不遜を是としてやる…」

SYSTEM :
 …男の指が、覚束ない先を指さす。

 炎の中に紛れている石くれ以外に見るべきはなく。ぽつりとこぼした言葉の続きにも時間がかかった。

"赤の鬼人” :
「おれのほんのちょっとのたわごとを真実と思うならば………。
 この空洞から零れ落ちた代わりを持っていくがいい………」

SYSTEM :
 その意味を、おそらく彼は語ってくれないだろう。いや、彼自身も定かでない。

 ぽっかりと空いた心臓の大きな孔から、丁度転がって零れ落ちた先にそれはあるが。
 男の言葉以上にそれは“戯言”であった。

“七花胡” :
             デミクリスタル
「(石────賢者の石……? 紛い物の方だとするなら、彼の遺体は完全に崩壊してしまうはず。
  “黒鉄の狼”に抗し得るEXレネゲイドという線も、否定はできませんが……)」

“七花胡” :
 それが何であるか、彼は知らぬまい。心当たりをその言葉から汲み取っていくにも、時間が足りなすぎる。
 彼の残り時間が。

“七花胡” :
 幸いにして血を被ることなく、綺麗なままだったハンカチを懐から取り出す。
 跪き、彼の心臓から零れ落ちた鋭利な石を包み、慎重に取り上げる。
 ……少しばかり全体を眺めたあと、ハンカチに包んで懐に仕舞った。

 正体が何であるのか、“帯来风暴”の力との関連性はあるのか、疑問は尽きないが。
 ひとまず、これでギルドの連中と干戈を交えただけの甲斐としよう。
 ”たわごと”であるかどうか、決めるのは彼ではなく自分だ。

“七花胡” :
「“赤の鬼人”。これは、“七花胡”が預かります」

SYSTEM :
 返事はない。沈黙は肯定などと、よく言ったもの。

 たわごとを真に受けた男を嘲笑する気配だけは感じなかった。その真贋はさておくとして。

夏瑞珂 :
 望風旅団の名を聞いた瞬間、すべてが吹き飛んだ。炎の状景も。眼前の死も。現在、過去。そう、すべて。

「……っ?」

 首に手をかけようとして、強い力がそれを押し留めた。手袋を嵌めた手にがっちりと手首を掴まれる。

夏瑞珂 :
 何をしようとしたのか、自分でも分からなかった。おまえが──おまえのせいで。あたまを埋めつくす衝動を、別の囁きが掻き消した。復讐を。逆襲を。再戦を。

夏瑞珂 :
「……そう。あなたも、あのとき」

 あなたたちはどちらに負けるかの違いだったのね、なんて。
 おふざけを言おうとして、終ぞ、それは出てこなかった。

夏瑞珂 :
「いいな……」

夏瑞珂 :
「あなたは……同じところへ行けるのね」

"赤の鬼人” :
「だから、………。
 敗けたまま、済ませられなかった、のだがな………」

"赤の鬼人” :
「………死ぬことはいい。承知の上だ…。
 敗けたならば死ぬ。当然のことだ…」

"赤の鬼人” :
「そのために戦った時点で………おれは終わっていたが………。
 どうも、おまえはそのクチのようだった………」

"赤の鬼人” :
「…遺産などの価値は…ヤツのいう”火”の種だ。
 三年、無意味に過ごしたつもりはない…いつの間にか…そのための人生になっていた…」

"赤の鬼人” :
「しかし…おれはどうしても…」

SYSTEM :
 狼を食い千切る自分が想像できなかった、と鼻で笑う。
 ・・・
 だから大手を振って人を集め、だから殺す可能性を広げた。
 
 彼に言わせてみれば、その行動そのものが負け犬の所業だったのかもしれないが。
 そうしてみれば、その中に、よりによって同じものがいた。

"赤の鬼人” :
「───ハ。どちらに食われるかの違いだったものが………、生き延びていたのだぞ?
 同じ獲物まで狙っていると来た………」

"赤の鬼人” :
「運命という言葉の皮肉を感じずには居られなくてな………………。

 だから、ああ好きにしろ………選ばれたと思うなら、食い破れ………」

SYSTEM :
 同じところに行くことを誇る様子はなかった。あなたと彼の理由は違うからだ。

 男は玉座から転げ落ちても、ある理由で勝たねばならなかっただけ。
 ほぼ片道切符だったとて、それそのものが目的だったのかと言われたら、話は異なる。

SYSTEM :
 だから、付け加えるように彼は零した。

"赤の鬼人” :
  Fortes fortuna adjuvat
「運命は臆病者の味方をしない………」

"赤の鬼人” :
 ・・
「偶然に紛れたものを…受け身で掴むな…」

"赤の鬼人” :
「連中は…なかなかのモンだったからな…
 おまえだけが残った意味を…おれを出し抜いた幸運の意味を…精々考えてみろ…」

夏瑞珂 :
 やつを殺すべく費やした三年。復讐のための人生。残火と負け犬が顔をつきあわせて、互いの疵を見合う。滑稽すぎて笑う気にもなれない。

夏瑞珂 :
「……負ければ、もと居た場所に戻るだけ。……」

 男は玉座から転げたが、わたしは燃える家に取り残されたまま。
 選ばれたという思いは少なからずあったはずなのに、今は……行き先の同じ男がただ羨ましい。

夏瑞珂 :
「そんなのっ」

夏瑞珂 :
「なくていい! 偶然もっ、意味もっ! 運命なんかっ──」

 おのれが運命だと騙る声と、
 危ないという叫びが頭のなかで跳ね回った。

夏瑞珂 :
「あ……ああああっ!」

 激情にあてられて、周囲の炎が爆発的に噴き上がる。拳を震えるほど握りしめて、怒鳴り散らそうとした喉から意味のない叫びが迸った。

“七花胡” :
「────な、ッ……!」
 凝っていた熱が急速に温度を上げ、導火線よりもはやく爆発した。弾け飛ぶ癇癪に鼓膜が振動する。
 階下で彼女の毛先に纏わりつく炎を払ったように、鎮火剤を散らそうとするも、吃驚の一拍と、咄嗟の躊躇が邪魔をして、爆発に一歩先を行かれた。
 このこどもの激情に冷や水を掛けてよいものかという、らしくもない躊躇が。

ラーゼス :
……。

ラーゼス :
 噴き上がる炎を恐れず歩み、瑞珂の腕を強く引いた。
 立ち上がらせて、己のもとに引き寄せる。

ラーゼス :
「瑞珂。ゆっくり息をしろ。おれの声が聞こえるか?」

夏瑞珂 :
「ううーっ」

 歯ぎしりして唸る。飛びかかろうとする体がどうしても進まない。

ラーゼス :
腕を口の前に差し出す。

ラーゼス :
「噛むならこちらだ」

“七花胡” :
「貴女それは……」

ラーゼス :
「いい。……仕立ててもらった服なのだが、贈り手もきっと許すだろう」

“七花胡” :
「(そうではなかろうに……)」

夏瑞珂 :
「っ……! う……!」

 遠慮なく噛みついて──噛みちぎってやるつもりで、腕に食らいつく。

夏瑞珂 :
 怒らせた肩が激しく上下する。荒くなった呼吸が治まって、炎の勢いが弱まったあと……。離した唇がわなないて、発声をためらった。

夏瑞珂 :
 この男を、なんと呼ぶべきか。ボス。赤の鬼人。もう、わたしにとってはどちらでもない男を。
 負け犬、臆病者、罵ったってかまわなかった。でも今どちらが『そう』なのか、わたしには分からなかった。

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
「復讐を……逆襲を……再戦を……」

夏瑞珂 :
   オディオ
「その憎しみは、当事者の血でしか濯げない………」

夏瑞珂 :
「声がやまないの……ずっと」

夏瑞珂 :
「あなた……まだ聞こえる……?」

SYSTEM :
 一切を静観していたのか、
 あるいはもはや聞こえるほど聴力が残っていないのか…。

 その男が、わななく娘の、平坦な問いに答えるのに少し時間がかかった。

"赤の鬼人” :
「………」

"赤の鬼人” :
「………燻ぶったとて…聞こえたとて…
 ・・   
 それは他人の理由だ………
 同じ名義、同じ所以の、おれのものではない…理由だ…」

"赤の鬼人” :
「ならば…どちらだろうと、関係はない………。

 風にあおられねば進めぬ人間が…。
 奪う場所に…立つものか………」

"赤の鬼人” :
「…その風も…とっくに止んだ………
 あとは………元いたところに、………」

アレウス :
Sequere nātūram.
「自然に従え」

アレウス :
「一度生まれたものは土に還る。
 人であろうと獣であろうと神であろうと」

アレウス :
「それが老いなきモノであろうと」

アレウス :
「あんたも、そうさ」

アレウス :

 口を開く。
 今までずっと黙っていた。
 黙っているしかなかった。

 理由など一つしかない。

アレウス :
「全く──俺は今日、アンタに恨み言を言いに来たはずだったんだぜ」

アレウス :
「それがなんてザマだ。
 愚痴の一つも言えやしない」

アレウス :

 肩を竦める。
 命が終わる瞬間は何度も見てきた。
 だがそれはいつも、死の恐怖と向き合う事の出来ない、ごく普通の兵士たちの死に様の方が多かった。
 本当の意味で死と向き合い、死を乗り越えようとして、死に呑み込まれていった者の顔は、それほど見てきていない。

アレウス :
「シア……その辺にしておいてくれや。
 侠の最期だ──添えるのは華の方がいいだろ」

 敢えてその身を差し出したラーゼスを労わったのか、
 それともその場の狼狽を隠せなかった“七花胡” に気を遣ったのか、
 あるいは、今まさに終わろうとする男から預けられた風を、ただ無意味に吹かせないようにしたのか。
 その真意は誰にもわからない。

 一歩踏み出す。

アレウス :
Fortūna caeca.
「運命は盲目」

 結局、俺は俺自身の欲しい答えをこの人から掴むことは出来なかった。
 ボスが何を思って俺達を呼んだのか、その真意だってもう分からないし、もう知ることもない。
 それを知ったところで何にもならないからだ。

 俺自身、そしてボス自身も、己の運命に対して盲目のままで在り続けた。
 だからその運命を前にして、そういった選択肢化することが出来なかった。

アレウス :
  Nē sīs miser ante tempus.
「時が来るより、先に惨めになるな。
 俺は、本当にあんたの事を、見くびっていた」

アレウス :

 恨み言なんて幾らでもある。
 使い捨てにされた事も、部下がそれで被害を受けた事も。
 言いたい事なんて、幾らでもある。
 だがそれを言う機会はもうないし、言う時間もない。

Tempus fugit.
 時は逃げる。

 その通りだ。

回想する、曰く── :

『よろしくお願いします! ボス!』

 俺は只の破落戸だ。
 革命戦争の為に駆り出され、ミルクの代わりにガンパウダーで育った、生まれながらの兵士達。
 平和に馴染めなかった異分子たち、神の子になれなかった哀れな地獄の亡者。

 その破落戸の行きつく果て、情熱の国で俺を拾った小さなギャング。
 その時の兄貴が、憧れた男──それが、のちに"赤の鬼人"と呼ばれる男。
 
 盃直しという一大事情、俺は流されるままにこの人の子分になった。
 力が全てを解決するこの世界で、強さだけが正義を物語る。
 だからこそ、俺にとって、新たなボスとなったこの男は、栄光そのものだった。

 Per aspera ad astra.
 困難を越えて、栄光へ。
 この人も、きっとそうだと信じている。
 

回想する、曰く── :

 記憶は幾らでも浮かんでくる。

 敵対していたギャングとの抗争。
 誰が火をつけるかどうか、その実行役に、俺は任命された。
 俺はその時、自分の強さが、兄貴たちやボスに及ばずとも認められたものだと思った。
 殺しの技術だけを受けて育った俺の、いびつな強さを、知ってもらえたのだと。

 だから何でもやった。
 作り方を憶えていた手製の爆弾を放り投げて、派手に花火を上げた。
 上手くいったその日は、普段のシノギからじゃ手も出せないようなモノを食わせてくれた。
 旨い飯も、旨い酒の味もそこで知った。

 俺の知らない全てを、”リグ・ヒンサー"は教えてくれたのだ。

アレウス :
「……」

アレウス :
「あんたからは、色々教わったな」

アレウス :
  Nunc aut numquam.
「一生やるか、やらないか」

アレウス :
Fit via vī.
「力で道が開ける」

アレウス :
Experientia docet.
「経験は教える」

アレウス :
  Nēmō fortūnam jūre accūsat.
「誰も運命を正当に非難できない」

アレウス :
「そして……」

アレウス :
  Fortes fortuna adjuvat
「運命は臆病者の味方をしない」

アレウス :
「この言葉はな、ボス。
 同じような意味を持ち、されど、捉え方の変わる言葉がある」

アレウス :
「今のあんたには──こっちの方が、似合っている」

アレウス :
 Audentis Fortuna juvat.
「運命は勇気あるものを助ける──だ」

アレウス :

 その勇気と栄光は、彼の命を永らえさせることは無かった。
 だが、唯一にして絶対、無為の三年間を支えた、あるものを生き残らせた。
 それが拳にある血の正体で、今まさに、彼自身が、揺蕩う風であったシアに指向性を与えた。
、    、   、   、  ・・
 その正体は──疑いようもない、誇りそのものだ。

「あんたを笑うヤツは、この場にゃいねぇよ……」

アレウス :

 だから恨み言など言えんのだ。
 だから裏切られたなどと言えんのだ。
 だから唾を吐くことも出来んのだ。

 俺はこの男が作った伝説に惚れ込み、
 俺がこの男が作った栄光に魅せられた。

アレウス :
   ・・・・・
 その伝説の再来を────喜ばずに、いられるわけがない。

アレウス :

 例え誰がこの男を嗤おうとも、
 例え誰がこの男を貶そうとも、
 風聞と風説、空気を渡る流言などに、この男の誇りも栄光も、崩すことは出来ない。
 
 災厄を災厄として諦め、ハナから挑むこともしない腰抜け共とは違う。
 誰の声でもない、己の意志、己の誇り、己の魂を賭けて、災いにこの男は立ち向かった。

 そこに善も悪もなければ、正誤の是非もない。
 その結果を貶すことは、己自身の魂の潔さを天秤にかける行為だからだ。

 誰もこの男を馬鹿にすることなど出来ない。

 Fīnis corōnat opus.
 終わりは作品を飾る。

 この男は、自らの人生にピリオドを打った──誰にもそれを、害する権利などない。

アレウス :

 声色が弾んだ。
 それはあの時のように。

回想する、曰く── :

『────ほんとに凄ぇよ。

アレウス :

 かっこよかったぜ、ボス」

アレウス :

 あの頃と何も変わらない。
 俺のあこがれの始まりで、俺のあこがれの終わり。
 1から始まって0に還る。
 それを迎える言葉も、送る言葉も、それがいい。

アレウス :

 スーツに忍ばせた煙草を取り出す。
 右も左も知らぬ俺に、リグ・ヒンサーの兄貴分たちが教えてくれたイタリアの葉。
 燃え盛る炎をライター代わりに、それを点けて、吸う。

 その煙草を選別として、風で消したそれを、彼の手元に置く。

アレウス :
「俺もあんたから、貰ってくもんがある」

アレウス :
     ・
「あんたの鬼は──俺が借りてくぜ」

 背を向ける。
 運命の奴隷にならず、運命に立ち向かい、運命へ勇気を賜るもの。
 俺自身がこれから臨まなければならない、引き摺った愛への決着。
 俺自身が付けなければならない因果の為に、俺はこの人の"鬼"を借り受けよう。

"赤の鬼人” :

「…ウェルギリウスの…『アエネーイス』」

SYSTEM :
 教えた張本人が、澱みなく答える。
 幸運の女神は、勇者にこそ微笑むのだと。

 すっかり大人になった若造の手向けの花を、嘗て鬼人でない時から血の気の多かった男が答えた。
 鉄砲玉がこれほどにセンチメンタルを見せたことなど、そうもなかったからだろう。

"赤の鬼人” :
 Acqua passata non macina più
「過ぎ去った水はもう粉を挽かない…。
 …だと…しても………おまえのセンチメンタルには、おれとて思うところがある………」

"赤の鬼人” :
「………アレッサンドロは最初に死んだ…ミラノは怖気づいて隠遁…。
 クリストフォロは最後まで挑み…値なしと掃き捨てられた………」

"赤の鬼人” :
「それから…」

SYSTEM :
 アレッサンドロ、ミラノ、クリストフォロ…。
 指折り数えた名前が、何を意味するかはあなただけが知っている。

 弾丸として放たれ、拉げずに戻ってきた鉄砲玉を迎えた男ども。

 血みどろで首級を掲げて笑ったような非衛生/論理の極みのようなのもいた。
 酒の席でハメを外して悪酔いの“道連れ”にしてきたようなのも、いた。
 決して社会に容認されるものだとは言えなかったが、一つ一つ積み上げ、未知を手に入れてゆく過程があった。

SYSTEM :
 色褪せることのない黄金体験である。

"赤の鬼人” :
「………しかし、なあ。それなら…叶わんものだ。
         アスラ
 おまえがおれの“赤の鬼人”を担いでいく時…」

"赤の鬼人” :
「この羅馬では、せめて、最強の……。
 ………ファウスト・デル・テスタで………迎えるつもり…だったのだが…」

"赤の鬼人” :
「………」

SYSTEM :
 何のことはない。
 男が思い出した初心は、路地裏の、ただ暴力と血風の中で、勝った分だけ強くなる道筋だ。

SYSTEM :
 そもそも発端たるものからして、他人のためではない。
 自分の築き上げ、そこに集った栄光を取り戻し…。
               ・・・・・・・・・・
 たとえ失われた後だとしても、誇り続けるための戦いだった。
 少なくとも、彼が最期に取り戻した“初心”とは、そんな話だ。

SYSTEM :
 黄金と栄光で塗り固められた玉座は腰ごと重く錆付き、死ぬその時まで手放せず。
 すべてを捨て去ってはじめて、彼は鬼人伝説の色眼鏡でも、伝説を着飾る男でもない、あの日の破落戸に戻ったわけだ。

SYSTEM :
 いつの間にか………。

 いつの間にか、奈落に引き摺り込まれていた彼の、忘れていたものに。
 この瞬間まで、誰かが気付くことはなく。

 炎にあおられて、乾いた風が吹き。
 そこに、過日への導が届いたとき、男は笑った。

"赤の鬼人” :
       Magna voluisse magnum.
「───偉大さとは、偉大であろうとする行為そのものだ…」

"赤の鬼人” :
「せいぜい、名前負けせんことだな………。
 おまえも…弾を込める側になったのだろ………」

SYSTEM :
 そして男の戦いは終わる。

 路地裏の野良犬から始まり、
 平和に馴染む土台すらなく、
 ただ腕ひとつだけで切り拓き続けてきた男の、長い停滞から踏み出した一歩を以て。

"赤の鬼人” :

「先に………逝っているぞ………………」

SYSTEM :
 ………偉大さを踏襲し続けてきた若造の“いつか”は、土産話には持ってこいだろう。

 煙とともに、男の命は風に吹かれて消えた。
 そこに『栄光』はなかったが、果たされずとも消え去らなかった『誇り』があった…。

アレウス :
「ふざけんなよ。
 あんたの偉大さに、俺が敵うわけねえじゃねえか」

 ──嗚呼、ようやく、恨み言が言えた。
 死んでから口にできるなんて、俺は本当にヘタレだ。

アレウス :

 大きく息を吐く。
 俺を形作る、二つの大きな過去。
 その一つは炎と共に消え、もう振り返れぬものに成り果てた。
 振り返らない。
 振り返る時は、己が死ぬ時だと決めている。

「ったく」

アレウス :
「参ったぜ。
 この負債は誰に払わせりゃいいんだ?」

アレウス :
「俺の憧れも、俺の誇りも、きれいさっぱり炎の中だ。
 手前の誇りを守ってぽっくり逝きやがった──見送り人は俺らだけ、寂しい葬式だ」

アレウス :
「俺ぁ決めたぜ」

アレウス :
「弔い合戦だ。
 "赤の鬼人"が派手にぶち上げた花火を──もっと、盛大に上げてやる」

アレウス :
「薪は幾らでもある。
 ギルドのクソッタレ共っていう、ウジャウジャ生えてる薪がな」

アレウス :
「侠の最期に──淋しい炎なんて似合わねえ」

アレウス :
「だから……」

アレウス :
「ラーゼス。
 俺の心の傷を知る者よ、俺の道を見据えてほしい」

アレウス :
「“七花胡”。
 あんたとボスの契約は終わったかもしれない、だがボスが咲かせようとした華を、少しばかり面倒見てくれねえか」

アレウス :
「──シア。
 手前個人の、手前の欲望のために、手前が狼を討ってくれ。
 だがその首を獲った時! ボスの華も、そこに添えてやってほしい」

アレウス :
「だから頼む。
 俺に貴様らの命を貸してほしい」

アレウス :

 ここにいる者達は、"赤の鬼人"によって集められた。
 彼自身が既に炎の中に身を消した以上、その契約関係は宙づりになる。
 それを──請け負う代理人が要る。

 それを"死滅天隕"が……

回想する、曰く── :


 "────いつか必要になる。"

アレウス :

 否。

「この俺────
 "マスター・ハーヴェスター"に」

 蹂躙者……"マスター・ハーヴェスター"に、委ねてほしいと。

ラーゼス :
 アレウスの目をじっと見つめる。
 ずっと傭兵の名を名乗り続けてきた男による、頂点の座の宣誓を。

 視線は次いで、こと切れた男に逸れた。
 瑞珂の言葉と照らせば、間違いなくなにかに魅入られていた男が、おそらくは在りし日の顔で死んでいた。

ラーゼス :
「輝きというのは……」

ラーゼス :
「いつも、気ままに輝き、翳ったと思えば、思いのままに燃えて、身勝手に消えてゆくものだな」

ラーゼス :
 あの形をした生き物に魅入られた男たちはいつも、このように──澄み切った目で野望を語るものだ。

ラーゼス :
 いまのアレウスのように。同じ輝きの萌芽を覗かせて。

ラーゼス :
「……その目。
 さっきまでよりもずっと、おれにとっては好ましい。
 標の一つとするにはよい色だ」

 遠回しの肯定。
 最後の判断は胡に委ねられるが、おそらく、その答えは──

“七花胡” :
 破落戸が、着飾った伝説を脱ぎ捨てて逝った。
 吹かれた先は荒野だろうか。だとしても。
 一人の男が拾い、植え、育てた種は、今まさに結実した。
 戦火と硝煙、夥しい血痕に彩られ、踏み均された足跡に、一つの芽吹きを目撃する。

“七花胡” :
 そうか。欲しいのは、花を整え、育て切る者か。
 客将でもなく、参謀でもなく、エージェントですらなく。
 そう求められてしまったのであれば……

“七花胡” :
「憑き物が落ちましたね。好い顔です。今までよりも、もっとずっと」

“七花胡” :
「よろしい。此方の“槍”が、自分の分まで命を懸けます。
 自分の分なんて大した重みじゃありませんが……一応これで、併せて二つ分」
 “隻獅子”の肩を叩く。預けたというには、あまりにも気軽な態度で。

“七花胡” :
「だから自分は、開いた両手で、庭師の腕を売りましょう。
 自分にとっては、余所の庭の面倒です。決して安くはないこと、御承知置きくださいよ?」

夏瑞珂 :
 指折り数えられた名が、どうしようもなく頭に響いて──
 交わされる思いのある最期が、羨ましくて妬ましくて──

夏瑞珂 :
「うるさい……しらない」

 苛立ちをぶつけるように、低く唸る。

夏瑞珂 :
「誰も彼も、勝手にすればいい……」

 使うも負うも、好きにすればいい。
 嵐に手を伸ばしたらどうなるか、その身をもって知ればいい! 吹き飛んだって知るものか!

アレウス :
「そうか、じゃ、勝手にするぞ」

アレウス :
「お前にも俺にも残されている権利だ。
 お前も好きにしろ、責任は俺に押し付けろ」

アレウス :
「安くはないその責任の駄賃は、俺が“七花胡” に払うからな」

アレウス :
「安くないらしいからなァ! 全く大変だ! ラーゼスにも手伝ってもらわんとなァ!」

アレウス :
「──だが、貴様の風の行くところは、俺が見ていることを忘れるな。
 お前は、俺のボスの誇りを狩ろうとしたヤツを狙うのだからな」

夏瑞珂 :
「──っっ!」

 とうとう導火線が燃えつきて、飛びかかろうとする。さっきまで噛みついていた腕がどこにあるかも忘れて、勢い任せに。

夏瑞珂 :
「責任を負うだとか、軽々しく! わたしのために人生を擲てない男が、えらそうに!」

夏瑞珂 :
「ううぅ……うあああーっ」

 あとのことは、全部意味なんてない。自分でも何を口走ってるか理解しないまま、わたしは喚き続けた。

アレウス :
      ・・・・・
「──それが大人の世界だ。
 幼年期の終りは近いぞ、“帯来风暴”」

 喚く姿は、子供のままだ。
 心だけが、幼年期のまま。
 その台風にも嵐にも満たない、小さなそよ風が、本当の意味で芽吹くかどうかは今後次第。

 ボスが望んだその風に──貴様が成れるのか? 
 それを見届ける責任がある。

アレウス :
「ルー! ゲートを開け、俺らまで焼けちまう」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
〈───確かに。
 ・・
 挑戦を終えた彼の周りで騒ぎ立てるのも無粋ね?〉

SYSTEM :
 涼やかな女の声は、
           ・・
 かつてその道を通った若造の嘯くさまも聞いていた。
 偉大な道程に挑戦し続けた“赤の鬼人”を過去の轍として、弔いの火を羅馬に灯す男の始まりをだ。

 証拠のように、稲妻のような轍が手招きするように広がった。“撤収”の合図だ。

SYSTEM :
 アレウス
 大人の男が踏み出し負った道は遠くとも、彼があこがれた強さは根まで腐り切らず、このローマの路地裏で前のめりに倒れた。

 その宣誓に、あなたの部下は言わずともついて来るだろう。
 奇縁の元に同じ道を行くことができている者らとて、その思惑を交差させることを是としたからだ。

SYSTEM :
 唯一、くすぶる郷愁と一緒に、そうでない色の火を灯し続ける娘のひと悶着。
 恐らくは狼の遠吠えが止むその時まで吹き荒れ続けるものを最後に、あなたたちが去っていく…。

SYSTEM :

 この日、栄光にピリオドが打たれた。
 だが栄光を見届け、継ぐものが残っている。
 ・
 彼は敗残者だったが、負け犬ではなかった。
 その証が、あなただ。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

ラーゼス :
変更などもない。ありがとう。

“七花胡” :
此方も、特にありません。

アレウス :
シアにとる。
○意志/嫉妬 だ

GM :
ほう………いいでしょう。

GM :
このタイミングでとはなかなか憎い判断!
キャラシートに書き加えておいて下さいね。

アレウス :
ああ

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
鳥のおじさまのロイス、Nを憤懣にするわ

GM :
ふむ…いいでしょう!

GM :
こちらも書き加えておいて下さいね

夏瑞珂 :
…………

夏瑞珂 :
(睨んでから頷く)

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
【Check!】
 ローカルアイテム『■■■■■』を獲得しました。
 詳細は判明しておらず、
 所有者は現時点では設定できません。 

SYSTEM :
 獲得したアイテムの詳細は下記の情報で開示されます。

・ローカルアイテムの詳細
 判定:〈知識:レネゲイド〉/10 

SYSTEM :
【Check!】
 赤の鬼人によって“黒鉄の狼”にダメージが発生しました。

“黒鉄の狼”:339→299 

SYSTEM :
【Check!】
 以下の情報が自動的に開示されます。

・“赤の鬼人”
 判定:〈情報:FH〉/20
 関連項目:『“リグ・ヒンサー”』『“黒鉄の狼”』 

SYSTEM :
     アスラ
【人物:“赤の鬼人”ファウスト・デル・テスタ】
 ブリード:ピュア
 シンドローム:バロール
 ワークス/カヴァー:FHセルリーダー/ギャング・リーダー
 侵蝕率:182%(最高記録。平時はこれより遥かに下) 性別:男性 年齢:40以上

SYSTEM :
 ローマで覇権を争うFHセル『リグ・ヒンサー』のリーダー。
 腕っぷしや残忍さ、何よりも判断の果断において知られてきた彼は、
 イタリア・ローマFH勢力における最大手まで、自らのセルと組織を育ててきた。
 
 FH同士の闘争烈しいイタリアでは、その影響力は抜きん出て高い。
 ただ腕っぷし一つで成り上がって来た、まさにストリート・ギャング・スター。

SYSTEM :
 アレウス・バルバートは当時の戦いの場に居合わせており、いわば「鬼人伝説」の生き証人と言える。
 少なくとも、5年は前のこと。
 天賦の才能が成せる反射神経と自身のバロールエフェクトにより、まるで「時を飛ばしている」かのような戦いぶりで恐れられた。
 このようにローマ支部壊滅の主要因となったが、今でもその実力は一切衰えていない。

 余談ながら名前は自分でつけた。
 元は親の顔も知らねば、後ろ盾も一切ないストリート・チルドレンである。

SYSTEM :

 ………だが、過去、“黒鉄の狼”に一方的な惨敗を期しており、この際に最初期の仲間をほぼ喪失。
 それがトラウマとなり、初心を忘れさせるほど焦げ付かせたことで、組織運営方針を変えてしまった。
 典型的な「嘗て栄光と絶頂期にいた人間が保守的に転向する」条件を満たしたような人物であり、燻り、ただひとつに焦がれるようになっても、残る腕っぷしや築いて来た組織体制などから、身近でない人間以外は一切がこれに気付いていない。
 鍍金の楼閣に君臨する王。強さによって飢えを満たし、強さによって渇きを強いられた男。路地裏のボスのまま成長した井の中の蛙。

SYSTEM :
              ・・       ・・
 遺産『雷神の槌』入手目的は逆襲。厳密に言えば挑戦。

 彼は“黒鉄の狼”を殺すため、その力を手に入れることを………。
 あるいは誰かの思惑が蠢いていることを承知の上で『戦乱』を起こし、そこに誘い込むことで、嘗て己を蹴落とした怪物を屠る戦いを臨んでいる。そのため、雷神の槌を手に入れて具体的に何かをしようという目論見はない。
 むしろ“そこから先”を考慮する気のなさこそが“帝釈天”を此処まで御し…“神に綽名す毒蠍”を留めた最大の理由である。
 
 しかしこの際、自らの強さを“黒鉄の狼”に関わる事象限定でいっさい信じきれなくなった結果が、不自然かつ無遠慮な外部からの招集であった。

SYSTEM :
 あとの結果は、敢えて一言のみで記す。
       Magna voluisse magnum.
 ───偉大さとは、偉大であろうとする行為そのものだ。

SYSTEM :
[“赤の鬼人”]
. ボナ・フォルトゥナ
・この時間はただひとり(Scenario/1)
 特定のシーン中のみ使用可能。下記のどちらかの効果から択んで発動する。
 使用後このカードは消滅し、“赤の鬼人”は死亡する。(※発動済)
1:何らかの判定前に使用する。その判定を[自動失敗]にする。
2:“黒鉄の狼”に40ダメージを与え───(追加効果あり:本シナリオ中は“不発”したものと扱う)

・エンブレム:挑戦者(No Limit)
 カード保有者が自分より高い侵蝕を持つユニットに攻撃する時に使用可能。
 その攻撃力を+[10]する。


・対話シーン5(夏瑞珂、ラーゼス)

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

 欲望:殺戮
 どうにもこの世は生きづらい。
 海水で淡水魚は生きられぬ。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 黄金を薪にし、やがて燃え広がる火の興り。
 それを見届け、“ゲート”を介して再び戻ったあなたたちが“これから”のことを考えるための猶予は、長くはないが皆無ではなかった。

SYSTEM :
 長くはない程度に猶予はあるから、顧みる機会も生まれる。
 ・・・・・
 風にあたる、という常套句だ。

 あるいは、そもそもゲートなど使わず、顧みる気もなく、ただふらふらとたどり着いた先が“ここ”だったのかもしれない。
 
 おそらく早晩に崩壊するリグ・ヒンサーの縄張りと、もうひとつの組織───あなたに敵対的には見えなかったもの───の縄張りの狭間だ。

ラーゼス :
 歩調も緩やかに、まだ辛うじて静穏を保つ路地を歩く。
 背にはまだ仔猫を負っていた。
 立ち直る気配もなければ、強い拒否もなかったからだ。それをする気力すらなくしていたのかもしれないが。

ラーゼス :
 ……背の薄いぬくもりに目を向ける。
 やはり、背負っていることを忘れかけるほど軽かった。

ラーゼス :
「……落ち着いたか? まだ起きられないか」

ラーゼス :
……いつもの調子ならばそろそろ勝手に降りてしまいそうなものだが、今回ばかりはそうでもないらしい。

夏瑞珂 :
……肩に額をくっつけたまま首を振る。

夏瑞珂 :
 ざらついた感情がおさまりきらない。肩透かしに腹を立てているのか、先に逝った食べ残しに苛ついているのか、それ以外のすべてに反発しているのか。
 そもそも、この鑢めいた感情は怒りなのか──。

夏瑞珂 :
 ……。考えるのもばからしくなって、おぶる腕に手を伸ばす。

夏瑞珂 :
 犬歯に貫かれた生地を探りあてる。何の迷いもなく差し出された腕を。

ラーゼス :
……。

ラーゼス :
「すこし待て」

ラーゼス :
軽い体を前に抱え直す。片腕で体を抱けば、腕がちょうど猫の口元に収まるだろう。

夏瑞珂 :
かぷりと噛みついて、すこし食んだあと口を離す。

夏瑞珂 :
「可笑しなひと。傷つくのがこわくはないの?」

ラーゼス :
「貴公に噛まれることと、争いの中で傷を負うことは違うからな」

ラーゼス :
「それに、おれのこの腕を食いちぎるつもりもあるまい?」

夏瑞珂 :
…。

夏瑞珂 :
「さあ? どうかしら」

夏瑞珂 :
「次は喉にかぶりついちゃうかも」

ラーゼス :
「……それは抵抗してしまうな。できれば仕返したくはない。やめてほしい」

夏瑞珂 :
「しーらない」

ラーゼス :
悩むしぐさ。

ラーゼス :
「うまくはないぞ」

夏瑞珂 :
「食べ物で遊びたい悪い子なの」

ラーゼス :
「………。…………」

ラーゼス :
「………貴公の歯が、まんいちおれの肌を裂けたら」

ラーゼス :
「死ねなくなってしまうかもしれない。やめたほうが身のためだ」

夏瑞珂 :
「……?」

夏瑞珂 :
ぐっと顔を近づけてじろじろと見る。おおまじめな顔と至近距離で向かい合う。ますます分からない。

夏瑞珂 :
「???」

ラーゼス :
大真面目に見つめ返す。

ラーゼス :
「……信じていないな? おれとて真剣なのだぞ」

夏瑞珂 :
「だって分からないもの」

夏瑞珂 :
「万が一は困るからやめてあげるけど。お金に困ったら黄色の人にでも売ってあげたら?」

ラーゼス :
「アーキルにか……」

ラーゼス :
 オイズ スグシナズ
「不老、不死というのは、流れる川をせき止めると同じだ。
 あの男なら、さらに余所に遣ってしまうかもしれぬな」

ラーゼス :
「もとより渡すつもりもないが、その後のことを考えればなお難しい。幻想というものは、手が届かぬから幻想なのだ」

夏瑞珂 :
「じゃあ、あなたは流れの止まった川? 長生きのライオンちゃん」

夏瑞珂 :
「……そうね。幻想なんて、手が届く頃にはつまらなくなってるかも」

ラーゼス :
「そうだな」
 気負いなく肯定する。

ラーゼス :
「おれが時を経ているように見えるのならば、それはおれという川をかき回しつづけている好き者のおかげだ」

ラーゼス :
「そして、貴公のように……旅先で出会うものたちの」

夏瑞珂 :
「……ライオンちゃんの言うことはよくわからないわ」

夏瑞珂 :
帰る場所のある、幸せ者のことばなんて。

ラーゼス :
「……そうか?」

ラーゼス :
「瑞珂。駄々をこね、暴れて、自分のことを省みずに喚く……」

ラーゼス :
「それはかつて持っていたからできることだ。
 はじめから持たぬものは、そうもならない」

夏瑞珂 :
「それは」

夏瑞珂 :
とっさに口を開いて、続きが見つからずにうつむく。

ラーゼス :
「……貴公は」

ラーゼス :
「抱えられ慣れているからな」

夏瑞珂 :
「だって……」

夏瑞珂 :
「…… ……」

夏瑞珂 :
「抱えられるの、すきだったの。きらいなのに、同じくらい……すき」

夏瑞珂 :
「そうされたら、どこへも行けないのがいやで……でも留められていると分かるから、安心した……」

夏瑞珂 :
 違うひとの腕に抱えられたまま、体重を預ける。いつでも逃げられると分かっていて。

ラーゼス :
 この娘にも、己の風を収められても構わないと思うものがいた。
 あいまいな理解だったが、先程の様子から考えればわかりもする。

ラーゼス :
 ウィンドブレーカー
「“望風旅団”……」

ラーゼス :
「そのものたちか? 貴公をとどめていたのは」

夏瑞珂 :
 首筋に顔を埋めて、表情を隠したまま頷く。

夏瑞珂 :
 少し言葉に悩んでから、話しだそうとしている自分に驚いた。

夏瑞珂 :
「ライオンのあなたに言うのもおかしな話だけど……」

夏瑞珂 :
「私はまともな人間じゃない」

夏瑞珂 :
「まともなふりをしても、すぐにボロが出た。無理をしても長続きしなかった。
 私は他の人と同じようには生きられない……」

夏瑞珂 :
「でもオーヴァードが生きていくには居場所が必要だった」

夏瑞珂 :
「……彼らが私に居場所をくれた。私が生きていける場所を作ってくれたの。彼らの持っていたものを手放して……」

夏瑞珂 :
「それが……望風旅団」

ラーゼス :
 それが、衝動持つがゆえの苦しみなのか、このように焦げつく前から抱えていたこころの痛みなのかは、今の言葉のみでは判断しかねた。
 間違いのない事実は、今の世の中において、この娘は悲しいほど生きにくく──それを哀れに思ったものたちがいたということ。

ラーゼス :
 嵐をもたらすものを支える、
 風抑えるものたち……。
 群れの名に思いが篭められていることは明白だった。

ラーゼス :
「……“赤の鬼人”は、敵とした、と話していたな。その方法は傭兵稼業か?」

夏瑞珂 :
腕のなかで頷く。

夏瑞珂 :
「……規範を超えて、戦える。誰の庇護もない代わりに自由でいられるから」

夏瑞珂 :
「現代人はね、社会の規範に則ることで群れを守るのよ。でも私の大好きなひとたちは、守る力そのものだった」

夏瑞珂 :
「無数の群れを束ねる大きな単位を守るひとたち。騎士団がいるなら、あなたにもわかるでしょう」

ラーゼス :
「この時代の規範については学んだつもりだ。貴公が言うのは『国に仕えたものたちだ』ということだな?」
 理解を示す頷き。

夏瑞珂 :
「そうよ。手放したあとも、きっと国を愛していた……」

夏瑞珂 :
「……でもね、半年しか続かなかった」

夏瑞珂 :
 深呼吸する。淡々と事実を並べるだけ。自分に言い聞かせる。青い衣にしがみつく手に力がこもった。

夏瑞珂 :
「三年前、仕事でイタリアへ訪れて……戦闘になって、つまらない小競り合いで……すぐに片がつくはずだった。でも火を、火を起こしてしまったから──やつが、」

夏瑞珂 :
「あいつが……"黒鉄の狼"、が」

夏瑞珂 :
 ……恐怖も絶望も、鮮明に思い出せる。喉の奥まで煤の味が蘇って、だから、この舌をもつれさせた。言葉が次第に支離滅裂になっていく。

ラーゼス :
「……話さずともよい」

ラーゼス :
「その傷はまだ、瘡蓋もかからぬのだろう」

夏瑞珂 :
「……傷なんて」

 痛くない、痛い、痛い……。

夏瑞珂 :
「だって……だって、みんなは死体も残らなかった。アランも、パティも、ジョッシュも、クラークも……みんな、誰も……」

夏瑞珂 :
「……アレックス……」

夏瑞珂 :
「私を庇って、危ないって、まっぷたつで、アハ……くっつかない、くっつかないの……危ない……危ない……」

ラーゼス :
……時には、その傷に触れ、抉り、生ぬるく鈍い痛みの残響を味わって、そのかたちを確かめずにはいられないものがある。

ラーゼス :
その頭に触れて、己の胸に引き寄せる。

ラーゼス :
「……すまない。無遠慮に触れたのはおれだな」

ラーゼス :
 ……さきほどまでの随分と大人びた語り口。
 傷を掘り返したその瞬間に、いつもの正気と狂気を渡り歩く笑顔が蘇る。
 この娘は間違いなく心を損なった。風をとどめるものの残酷な喪失と同時に、彼らに育まれた少女時代を失ったのだろう。

ラーゼス :
 ……すべてを賭けて守られたものがこうなることなど、誰も望まなかったろうに。
 あるいはこの娘にとっては、なにもわからずともに死ねたほうが幸せだったと。
 そのように、誰にも思わせる姿になることなど。

夏瑞珂 :
 体温に触れる。嗤い声は嗚咽のように途切れ途切れに続いた。

夏瑞珂 :
「……いいの」

 膿んだ火傷は……やつが生きているかぎり痛み続ける。
 疵が拭われるのはどちらかの最期だけだ。かつて挫かれた男が、燃え尽きる間際に輝きを取り戻したように。

夏瑞珂 :
「代わりに……忘れないで」

 みなの名前を、もういちど口にした。ぽつぽつと、こみ上げる空虚な笑いに邪魔されながら。

夏瑞珂 :
 その中にはアレックス・ブリーズ……家族の名もあった。

ラーゼス :
「わかった。必ず、果てまでその名を連れてゆく」

ラーゼス :
 静かな肯定。
 その「果て」がどこにあるのか彼女にはわからぬように、その名ひとつひとつがどのようなものであったか、己にはわからずとも。
 間違いなく誰かの楔であり、またそうあろうとしたものたちがいたという証として。

ラーゼス :
「……ブリーズ、というのは……いつか言っていた、家族の名だな」

夏瑞珂 :
 ぱっと顔をあげる。

「そう」

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
「世界で一番ばかなひと。私なんか拾うから、顔も体もズッタズタ! もう二度と故郷にも戻れない!」

夏瑞珂 :
「ばかでうそつき! 明日だけじゃないって、来年も、そのまた来年もって言ったのに!」

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
その目をのぞき込む。

ラーゼス :
「うれしかったのだろう」

夏瑞珂 :
 ・・・・・・・・
「たのしくなかった」

夏瑞珂 :
「アレックスのお節介もお説教も、みんなたいくつできゅうくつ」

夏瑞珂 :
「いきがつまるの。いつだって逃げ出せたのよ……」

ラーゼス :
「だが、逃げ出さなかった」

ラーゼス :
「貴公が、その御仁とともに生きていたかったのか」

夏瑞珂 :
「ちがっ……」

夏瑞珂 :
「……だって」

夏瑞珂 :
「ひとりにしないって、言うから」

夏瑞珂 :
「言ってたのに うそつき」

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
好きでひとりにしたわけではない、と──彼女自身が、いちばんわかっているはずだ。野暮は言うまい。

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
「貴公のことだ。彼は苦労しただろうな」

ラーゼス :
          したぎ
「上着は脱いだまま、下衣のみで歩き、ソファに立つ」

夏瑞珂 :
「血相変えてタオルでぐるぐる巻きにするから、おかしくって」

夏瑞珂 :
「危ないから降りなさいって言うくせ、ソファカバーを買うの。すべりにくいように」

夏瑞珂 :
「ばかなひと……」

ラーゼス :
    ・・・・・
「貴公がのびのびと育った理由はよくわかった」

ラーゼス :
声に、わずかな苦笑いの気配が混ざる。あちらは素だったということだ。

夏瑞珂 :
「どうも!」

夏瑞珂 :
「でもビリーは口うるさいし、ダンおじさんには誰も敵わないの。ディアスおじさんはヘンなひとで……」

夏瑞珂 :
「望風旅団だけじゃないの……テンペストの……兵士のみんなに育てられて……」

夏瑞珂 :
「にぎやかだったな……」

ラーゼス :
『テンペスト』の名前を、記憶から引きずり出す。
 たしか、海向こう北米の兵士たちの名だ。そう聞いた。

ラーゼス :
「……北米には戻らなかったのか?」

夏瑞珂 :
ほとんど頭突きみたいに胸元に額を寄せる。

夏瑞珂 :
「……戻りたくない」

 ビリー。ダンおじさん。ディアスおじさん。ジェイク。ケヴィン。よぎる顔はいくつもあって……。

「空っぽのお家なんて見たくない」

ラーゼス :
「……そうかもしれないな」

ラーゼス :
 彼女の身体を包み込んだタオル。
 用意されたソファカバー。
 脱ぎっぱなしにして置いてきた服。
 そういうものが、いやでも記憶を呼び覚ます。
 かつて在った記憶というのは、それを失った記憶と、いつでも合わさってよみがえる。

ラーゼス :
いまのこの娘には堪えられないかもしれない。

ラーゼス :
「……これは、おれの話でしかないが」
 静かに前置いた。いまのこの娘に伝えたところで、おそらくは意味を持たない示唆。

ラーゼス :
「生きると決めたら、その家に戻ってみてほしいのだ」

ラーゼス :
「……家には、残り香があるだろう」

ラーゼス :
「語るよりも、聴くよりも、思い返すよりも……嗅ぐことで、いちばん思い出せる」

ラーゼス :
「おれにとっては、我が森がそうだ。
 あの中にあれば、かつてもっとも憎んだ腐るにおいを、のこる想いが他所に置いてくれる……」

ラーゼス :
「……そこにあったことを教えてくれるよ」

夏瑞珂 :
「……思い出はっ」

夏瑞珂 :
「笑ってくれない……抱きしめてくれない……」

夏瑞珂 :
 形に思いは残るとあの子は言った。
 残る思いが教えてくれると彼女は言う。

 わたしは……
 もうそこにない現実を確かめながら、過去をなぞっては生きられない。

夏瑞珂 :
「流れの止まった川。置いていかれるだけのひと……」

夏瑞珂 :
「ただの一度も……終わりたいと思ったことはないの?」

 問いながら、終わった男の横顔を思い出した。終わらせ方を間違えて、ゴールの先で今もさまよう男を。

ラーゼス :
「……ああ……」

ラーゼス :
「……ないとは言わないな」

ラーゼス :
 声を潜めた。許されないことを口にしているような、あたりを憚る声で。
 傷口までさらけ出した娘への、ひとつの誠意だ。

ラーゼス :
「……午睡をして、目醒めたのち……」

ラーゼス :
「帰ったその森に、城に、町に。
 知る光景、知るにおい、知る祈りの中に、知る顔がひとつもない」

ラーゼス :
「それが、いまのおれの日常だ。
 はじめてそうしたときには、ほんの少しだけ、定めのとおりに命を終えることを想った」

ラーゼス :
 血はつづいている。
 祈りの形も、重ねられた誓いも。
 それはこの国を守ることを誓った男が、そしてその継嗣が、民が。
 己のために永遠に変わらぬ一席を設け、それを空けつづけてくれたからだ。

ラーゼス :
 だがそこには同じ声と顔がない。成れ果てた友ただひとりを除いて。
 そしてその友を取り巻く縁のかたちも、けっして同じ色をしてはいないのだ。

ラーゼス :
「……貴公が言うとおりだ。想い出はそこにあるだけだからな」

夏瑞珂 :
「…… ……」

 微睡みのはざまに生きる孤高は、想像もつかない。彼女は孤独でこそないが、誰とも同じ時間を生きてはいなかった。

夏瑞珂 :
「でも、また目覚めたのね」

 そして、いつかまた眠りにつく。

 ……似たような口振りだと自覚する。『だが、逃げ出さなかった』と彼女が言い当てたように。

夏瑞珂 :
 首筋に抱きつく。アレックスは慌てるときもあったし、本当にそうしたいときは受け入れてもくれた。
 うっとうしがるビリーにわざとするのも好きだった。でも彼女は、そのどちらでもない。

夏瑞珂 :
「……そうよ。思い出はそこにあるだけ……」

 彼女は、こんなことをくり返してきたのだろうか。目覚めるたび、違いを思い知らされて……二度と戻らないことを何度も理解する。

夏瑞珂 :

ラーゼス :
「ああ。目覚めたし、いつかまた、同じように眠りに就くだろう」
 小さな体が落ちないよう抱え直す。

ラーゼス :
「おれの眠りとは、そういうものだ。
 人間の一生をゆうに超えるほど眠りつづけ……ときおり導かれて目覚める。その繰り返しだな」

ラーゼス :
 いつか、森を乱すものが未来永劫ひとつもなくなる日が訪れるのかもしれない。
 その時が己の終わりだ。
 だがそれは氷の中で生きたまま見る終わりであって、人が言う、死出の先に見る喜びの野ではない。

ラーゼス :
 同じ場所ではないのだ。

ラーゼス :
「……だがな。おれはこうも思う」

ラーゼス :
「新しく出会うのも、また楽しく……」

ラーゼス :
「新しいものに触れ、それを鏡に我が身を振り返るとき……
 かつて出会ったもの、その思い出と教訓がおのれを生かしていることを知る」

ラーゼス :
    ・・・・・
「だから生きているのだと」

夏瑞珂 :
「…………」

夏瑞珂 :
「私は」

夏瑞珂 :
「何もかも吹き飛ばしてしまうのが、いちばん楽しい。拓けた視界はわたしに自由を実感させてくれるから」

夏瑞珂 :
「どんなに退屈で息がつまりそうな不自由でも、彼らがいたから……」

 生きていけると信じられた。
 まともじゃなくても、私の人生だと胸を張れた。

夏瑞珂 :
「新しい出会いなんて……」

 FUCK OFF
 クソ喰らえだ。誰も、何も……彼らには代われない。なってほしくもない!

夏瑞珂 :
「……でもいいの。だって、やっとあいつを見つけた。あの忌々しい狼を」

ラーゼス :
「……そうだな」

ラーゼス :
「貴公にとってはそうだろう。
 これはおれの話であって、貴公の話ではない。それに、貴公の前には仇がいる」

ラーゼス :
「報いを求めることも、そのために心血を注ぐことも、誰も止めはしまい。むしろもっと強く燃えよと貴公にささやくはずだ」

ラーゼス :
 砕けた心の一番大事な場所に復讐という炎を閉じ込めて、それを杖にする娘。
憎悪
 杖でその手を焼き続け、膿んだ傷を抱きしめ続ける幼子。

ラーゼス :
 苦しみを終わらせる方法はひとつだけだ。
 その杖にともった炎を血で濯ぐことしかない。
 目を逸らし手放せば今度こそ壊れきるだろうから。

ラーゼス :
「……そして、家族の形をした穴を新しいもので埋めよと、誰も言いはするまい」

ラーゼス :
「……だが、できれば覚えていてほしい。
 貴公が尽きるのは、できれば、あまり見たくはないというだけだ。いわば、おれのわがままというやつでしかないが」

夏瑞珂 :
「そうよ……声は囁く。復讐を、逆襲を、再戦を……。アハ……」

夏瑞珂 :
「…… ……」

夏瑞珂 :
「ひどいわがまま」

 もう一度、深く──深く抱きつく。じゃあ離さないでと言うことは、できなかったから。

夏瑞珂 :
「わがままはきらいよ。うそつきの次に……」

夏瑞珂 :
 瞼を閉じる。わたしの眠りのあとにあるのは、遠い目覚めではないけれど。
 彼女のもとでなら、いつもの悪夢もすこしは息を潜めるだろうと……愚かにも期待して。

ラーゼス :
「それは……」
 問返す前に、その瞼が落ちた。いつもの調子なら、そのまま眠りだすだろう。

ラーゼス :
「……光栄だな、と。起きている間に言いそこねたな」

ラーゼス :
 この娘にとっての一番に次いだというのは、悪いことではあるまい。
 楽観的極まりない結論を出しながら、立ち止まっていた体はゆっくり歩きだした。
 仮のねぐら、男たちの待つ場所へ。

ラーゼス :
「……眠りの間は、誰の声も聞かずにいられるとよいが」

ラーゼス :
「……………」

ラーゼス :
「……カリオンを見送ったときのおまえは、こういう心持ちだったのか?」
 伝説を伝説とするため肖像画すら焼いた、いまはもう継嗣の面差しを見て思い出すことしかできない朧な輪郭に問うても、答えは見つからない。

ラーゼス :
「……いいや。この娘は、彼のように己の道を選べてすらいない」

ラーゼス :
「ままならぬものだな、キース……」

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

ラーゼス :
瑞珂にはもう取得している。変更はない。ありがとう。

夏瑞珂 :
ぐう

GM :
(これはお返事なのか???)

GM :
畏まりました(高度の柔軟性)

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。