《Fortes_fortuna_adjuvat》 チャットログ:メインログ3


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目次

・ミドルフェイズ(フェーズ2/開始)
・シーン14「Tunc adfuisses-先に立たず」
・ミドルフェイズ(フェーズ2/続き)
・シーン「情報収集(“ギルド”)」
・シーン「情報収集(“青の貴人”)」
・シーン15「Ne vivam si abis-置き去られて」
・対話シーン6(夏瑞珂、アーキル)
・ミドルフェイズ(フェーズ2/続き)
・シーン16「Then fall-ならば倒れよ」
・シーン17「Eremita-歴史の立会人」
・シーン18「Homo homini lupus -狼の真名-」
・シーン19「Dovere del guerriero-静寂のムコウ」
・対話シーン7(”七花胡”、ラーゼス)
・ミドルフェイズ(フェーズ2/ラウンド2)
・シーン「情報収集(“ヘカトンケイル”)」
・対話シーン8(アレウス、”七花胡”)
・対話シーン9(夏瑞珂、アーキル)
・シーン20「Domina-その血の責務」
・対話シーン10(夏瑞珂、”七花胡”)
・対話シーン11(ファントムストークス)


・ミドルフェイズ(フェーズ2/開始)

SYSTEM :

        【 Now Loading... 】
 衝動:解放
 風車の回らない世界は、どうにもつまらないが。
 かつては、そこに嵐を望んだこともありはした。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :


 ───リグ・ヒンサー。
 現時点を以て、組織として壊滅。

SYSTEM :

 より正しく語るならば、烏合の衆を機能させていた“王者”…。
 “赤の鬼人”ファウスト・デル・テスタの死を以て、今。
 この日、生き永らえてきた破落戸の黄金時代は正しく終焉を迎えるのだった…。

SYSTEM :

 その日、瞬きのうちに台頭した、いや、表舞台に出ることを選んだ組織の名こそギルド。

SYSTEM :

 “赤の鬼人”が多額の報酬で雇ったオーヴァード、また彼が従えてきた鉄砲玉や傘下セル。
 浮き駒となったセルやマシーナリーは弱いもの、または“与するに足る”とされたものから、
 ある場合は制圧、ある場合は接収、ある場合は傘下へ。それぞれ残る「椅子」の持ち主に組み込まれ…。その残党勢力はそう芳しくない。

 その動作にもっとも貪欲な組織こそがギルドだった。

SYSTEM :

 その、姿を現したギルドの目下の攻撃先は───“御手翳す開放者”。

SYSTEM :

 もとより“黒鉄の狼”に介在する気のない彼らは、そのままローマ最大の「よそ者」に攻撃を開始した。
 まるで示し合わせたかのように、目下の敵対関係であった“貴人の庭”との二面攻撃に晒されることとなった。

SYSTEM :

 その争いは望む、望まざるに関わらず、ローマを火の海に包み続ける…。
 掲げた火が食い散らかされること、この短時間で既に三度。戦いの気配は尚も続き、そして。

SYSTEM :

 まさに息つく暇もなく、事態は即座に動いた。

SYSTEM :

 ───“リグ・ヒンサー”元・客将筆頭、ファントムストークスが“死滅天隕”。
  /および「彼」が抱え込んだ“帯来风暴”。

SYSTEM :

 ───同じく“リグ・ヒンサー”の客将であり、“八仙過海”の系譜と知られる“七花胡”。
  /およびその男の傘下、ローマの血戦に名を囁かれし“隻獅子”。

SYSTEM :

 一度“宙”に浮いた、あるいはもとよりそのつもりだった彼らに対して動きを見せたのもまた、“御手翳す開放者”であった。
 まさに一刻を争う中、ひとつの急報が届く………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・シーン14「Tunc adfuisses-先に立たず」

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

 その、急報というものは…。
 およそ指揮系統の、完全には一致せずとも目的を同じくするアレウス、“七花胡”、両名に対する“黄の希人”直々の邂逅打診であった。

SYSTEM :

 内容の伝達は“アセルス・デスミオス”および“血穢の蓮花”に対して行われ、指定先は諸勢力いずれの縄張りとも言い難い箇所。
 ワーディングか、あるいは運よく戦火を免れたことで形を留めた、イタリアがローマ某所のホテルのラウンジだ。

 一分一秒を以て二面作戦を展開されている彼らにとって、指導者がのこのこと姿をさらすことも、その戦力を割いてまで「対談」にあたろうということは、良く言えばあなた方(あるいはあなた方「が」手綱を持っている者)への関心が見て取れた。

SYSTEM :

 もちろん、悪く言えば…。
 状況の悪化を予測した“黄の希人”にとって目下の難題を先送りに出来ない、という判断やも知れないが。

SYSTEM :

 邂逅先であるホテルには既に2名が待っている。

 3名ではない。2名だ。
 では、誰がいないのかなど言うまでもないこと。

“アセルス・デスミオス” :

「おっさん先に聞くけどさ」

“アセルス・デスミオス” :
「おたくらの“アレ”は?」

“黄の希人”アーキル :
「出会ったならご存知だろうが…。
 “アイシャ”の頼みで奮って頂いてるよ」

“アイシャ” :
「…それに、」

“アイシャ” :
「あまり、やる気。なさそうだったから…」

SYSTEM :
 以上である。

 その”対談”がどうなろうと、いやそもそも応じてくれるかも含めて。
 基本的に彼はどうこう言う気もないのかもしれない。

夏瑞珂 :
 ぱちりと目を覚ます。曖昧な時間感覚。
 見慣れない天井と、さっきまで見ていた顔を仰いだあと、反らした首で周囲を検める。さかしまの視界。

夏瑞珂 :
 ……? ……。

夏瑞珂 :
 ……いる! びりりと背景に落ちるいなずま。

“黄の希人”アーキル :
「おっと…。おはようさん」

“アイシャ” :
? ………。

“アイシャ” :
💡

“アイシャ” :
「ごきげんよう」 

夏瑞珂 :
「……ぐう」ねたふり

“七花胡” :
「おやまあ。まだおねむのようで」

“七花胡” :
「と、いうことにして差し上げてください」

“黄の希人”アーキル :
「…おう おやすみ…」

ラーゼス :
瑞珂を片手で器用に抱き胡の横にひかえている。静かにこちらとあちらを見る。

ラーゼス :
「ずいぶんと気に入られたようだな」

“黄の希人”アーキル :
「どうだかな? お節介なら二度は焼いちまった。よくやってるがよくもやられてるよ」

SYSTEM :
 アーキルのその表情は半分不可解で、半分はそうでもない、だ。
 機嫌を悪くされている理由“は”わかっている、とでも言おうか。

夏瑞珂 :
じんわりと室温が上がっていく。

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
抱いた体がじんわりと熱い。

“黄の希人”アーキル :
「…なあ、初歩的な疑問なんだが
 その抗議で真っ先に被害を被るのはラーゼスじゃないのか?」

夏瑞珂 :
「抗議なんかしてないわ。熱いのがいやなら黄色が焦げ茶になっちゃう前にお家に帰……」

夏瑞珂 :
「……?」

夏瑞珂 :
「ここどこ?」

“七花胡” :
「なんとまあ」

“アイシャ” :
.. ローマ
「そのお家。………」

ラーゼス :
この娘にとって、駄々をこねるとは一種の好意表現なのではないか──という、ここまでの言動から得た示唆を口に出すことはやめた。

“七花胡” :
「その回答はややざっくりすぎませんか」

“アイシャ” :
「…もう少し絞ったほうがいい。参考」
 

夏瑞珂 :
アハ~ 地球!

“七花胡” :
更に広くなった

“アイシャ” :
「じゃあ、ローマの…。
 アーキルが呼んだ先。
 ・・・
 こっちに直接呼ぶと気になるだろうからって、わざわざ離れたところ」

ラーゼス :
「……何度か起こそうとはしたのだぞ」

夏瑞珂 :
よくねむりました!

“黄の希人”アーキル :
「さっきの気に入られた、を返しとくよ。それで…」

SYSTEM :
 彼は軽く肩を竦めて、10秒未満の狸寝入りという寝入り上位入賞の蛮行を他所に話を始めた。
 厳密に言うと…。

“黄の希人”アーキル :
「お集まり頂き感謝感激だ。
 もっとも、御宅らの片方にはご足労願えなかったようだが…」

“黄の希人”アーキル :
「………」

SYSTEM :
  よそもの
 最大の風来坊の視線が、ここまで一言たりとも発さず、両手で似合わぬ通信用端末を抱えている方に向いた。

“黄の希人”アーキル :
「…そこの娘さん…。
 なんで端末をこっちに向けてんの?」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「お気になさらず。
 突っ立っているだけでいいと伺いました」

SYSTEM :
 その和服の溌剌な受け答えが、“ご足労願えなかった”片方の中継役なことを敢えて記さない。彼もまた、予想しても口にせず、していなければなおのこと口にしようのない余談だ。

アレウス :
《余計なことを気にしている暇があるなら、とっとと用件を喋ってもらおうか。
 俺の貴重な時間を、手前ら鼠の群れに使ってやってるだけありがたいと思ってもらいたいもんだね》

 で、そのカットアウトに抱えさせた通信機というのは。
 わざわざ適当な流通ルートから掘り上げた旧式のものだ。
 古い電波を使っている関係上、逆探も盗聴もされづらい。

アレウス :
《本来なら話なんぞ聞かず、“七花胡”に任せるつもりだったが……、
 事情が変わった。
 回線越しなら喋ってやってもいいという事だ》

“黄の希人”アーキル :
「こいつは手厳しい。だが…」

“黄の希人”アーキル :
「話すらも聞く気がない、じゃないのは確かに譲歩と受け取らせて貰いたいね。“死滅天隕”」

アレウス :
《俺が貴様らを潰すつもりであることは変わらん。
 貴様らが抱えている屑の身柄を渡すってんなら考えてやらんでもないがね》

アレウス :
《それと……》

アレウス :
《以後は"マスター・ハーヴェスター"で通せ。
 貴様らと相対する時も、俺はそれで対峙する。》

“黄の希人”アーキル :
「肩書きは武器だ。承ったよ先輩」

“黄の希人”アーキル :
「………ああそうそう、そこまで言ってほしいなら敢えて聞くが、あんた…。
 自分の部下を売り渡す人間、信用しないだろ」 

“黄の希人”アーキル :
「この様子じゃなるほど余計なモン抱えたとは思うが、そのローマの厄介者とは約束があってね。
 貧乏籤が簡単に売れたら苦労しない」

アレウス :
《それもそうだな、そいつは残念だ》

アレウス :
 ・・・・
《今はいい。
 俺の感情の矛先を向ける相手は貴様ではなく、貴様が抱えている厄介者だ。
 今は矛先を避けてやるからさっさと話せ》

夏瑞珂 :
「あら。いじめっこはもう終わり?」

夏瑞珂 :
「大人になれって言ってあげようと思ったのに」

“黄の希人”アーキル :
「(それツッコミ待ちか?)」

 顔に書いてある。

夏瑞珂 :
ライオンちゃんあっち寄ってあっち

アレウス :
《FHはいじめっ子の集まりなんでな》

ラーゼス :
「『大人になれ』、瑞珂」動かない。

夏瑞珂 :
……

夏瑞珂 :
ぎゅっと抱きついて肩をかじりだす。

“七花胡” :
「揺り籠にしててもいいですが、おいたもほどほどにね」

“七花胡” :
「……というわけです。
 “死滅天隕”はこの通りですが、貴方には以前から特大の恩を売っていた手前、こうして対面する機会が得られたことを、自分は喜ばしく思っておりますよ。
 どうせ腹の探り合いをするなら、面と向かいたいと思っていたところですから」

“七花胡” :
「映像や資料など、確認が必要なものがあれば自分が承りましょう。
 貴方からのご提案が魅力的であればあるほど、彼に説明する時の口調も、彩り豊かなものになるかもしれませんね」
 実質自分がフィルターだという宣言だ。自分にとって利有りと見れば“死滅天隕”に口利きも考慮しよう、逆ならば……という、迂遠な圧力。

“黄の希人”アーキル :
「ああ。そいつはお互いさまで何よりだよ“七花胡”。
 あんたとは“血色の探求”からの又聞きと、以前のドンパチ以来だが…」

“黄の希人”アーキル :
「まったく足元を見るのが得意なようだ。一周回って安心する立ち回りだったよ。
 そのあんたにとっても、此度の話が、意味のあるものになるよう願いたいね」

“七花胡” :
「お褒めの言葉は、まこと有難く頂戴しておきましょう♡」

夏瑞珂 :
横目で足をぱたぱた。

SYSTEM :
 程々の間合いから繰り出される牽制あるいは具合の確認に、もっとも適性と理解がない(あるいは遠ざけられていた)娘の異議申し立て。

 それを受け取ったアーキルが、肩を竦めて応じた。

“黄の希人”アーキル :
「まず、この状況、この段階の話が何なのか…。
 そちらさんと俺たちで、好き嫌いってのはけっこう違うと思うが」

“黄の希人”アーキル :
「まあ、いちばんは同じだろう。
 それの話だ。前提からさっくり行くぞ」

“黄の希人”アーキル :
「ギルドが動き出したよ。
 
 連中、均衡が崩れたから、“貴人の庭”と“よろしく”やってることも含めて、もう隠す気ゼロであからさまだ。
 リグ・ヒンサーの統制が崩れたトコに陣取って“やらかす”下準備ってトコか」

SYSTEM :
 既に聡くアンテナを張っているものは、このごくわずかな時間でも察しはついているだろう。

 リグ・ヒンサーは“赤の鬼人”の黄金の伝説で成り立っていた。どれだけ肥え太り動けなくとも、その男に勝てるものが一匹を除いていなかったのだ。

 そして、彼は贅肉をそぎ落とし、最後に命と引き換えに権利を得て地の底へ寿かれたわけだが。
 残されたものにとっては、話が違う。

“黄の希人”アーキル :
「リグ・ヒンサーの”あまり”の判断は、より旨い餌をくれるところに寄り付くか、損切りするか、より強いやつの判断を待つか…。

 先に俺たちの希望を言う前に伝えておくがね。“帝釈天”はどうもまだローマで物見遊山。

 全体的に『残り』を並べて金勘定で「相談中」なのがマーセナリー連中。筆頭が“グレイ・スコーピオ”っていうPF乗りだ」

“黄の希人”アーキル :
「そして残りは見事に全員ウチを目の敵さ。
 一番遺産に興味のない“ギルド”が、余所者の血を掃いておきたいのだと」

“黄の希人”アーキル :
「そして連中はリグ・ヒンサーの”あまり”に目を付け始めている………。
 御宅らが俺の見込み違いだったら、身の振り方の参考になるかと思ってな。ここまで前提だ、OK?」

夏瑞珂 :
「ぐう」

ラーゼス :
ぴぃえふ……

ラーゼス :
アレウスを思い出し、記憶をつなげて理解する。なるほど。

“七花胡” :
「ええ。前提理解に相違はありません。ローマ三大勢力のうち、赤は壊滅、青は弱体。
 残る貴方がたに切っ先が向くのは、まあ当然の流れでしょう」

“七花胡” :
「貴方がたを片付ければ、ギルドの溝鼠共も大手を振って街路を歩ける。
 この街にとっては、それは不運なことでしょうがね」ローマの女神とやらの方を一瞥。

SYSTEM :
 視線を向けられた方は、概ね“そう”とばかりに眉を下げた。

“アイシャ” :
ローマ
「私は、善い悪いを決めない…。
 ・・
 ここにいるのなら」

“黄の希人”アーキル :
「………」

“黄の希人”アーキル :
     ・・・・・・
「ところがそうじゃないってさ。その溝鼠がね。
 好き嫌いと良し悪しを勉強中のこちらだが、余所者嫌いもこれで改善進展中だ。
 うちにとっても“あまり”ウマが合う態度じゃなさそうだからね」

“アイシャ” :
「だいたい…合ってる」

SYSTEM :
 などと、率直な感想をひとつ。

“黄の希人”アーキル :
「………しかし、御宅らが俺の見込み違いじゃないなら…。
     ヤ ツ
 それは“黒鉄の狼”をしとめる壁を失くすってことでもある。
  カエサルレウム
 “青の貴人”は何より自分の国で定めたルールには誰より律儀だ」

“黄の希人”アーキル :
「もちろん一番困るのは俺だが、
 ・・・・
 敵が同じではある。
 何が言いたいかっていうとだ…」

SYSTEM :
 ………“御手翳す開放者”の壊滅は、そのままギルドと、ここの何らかの要求に応じたらしい“貴人の庭”の一人勝ちを意味する。

 彼女の気が変わる理由でもないなら、その結果は推して知るべし、だ。
 遺産の使い方という意味でも、ローマを食い物にしたという意味でも、おそらく通されてはならないものの望みが達される。

SYSTEM :
 …唯一ほかに選択肢があるとするならば、それは。
 リグ・ヒンサーの“あまり”だ。

 ほぼ顔なじみはいなくなったとて全てではなく。繰り上げと実力主義的に、アレウスと“七花胡”はほぼ上位の権限を持っている。
              ・
 片や趣味、片や即物。前者の癖をわかっている人間もいる、彼らを次の弾にするというすべも、不可能ではないだろう。

SYSTEM :
 ………そう、彼がわざわざ何を言いに来たのかといえば、だ。

“黄の希人”アーキル :

「要求と提案はひとつだ」

“黄の希人”アーキル :
  ジャハーダ
「“御手翳す開放者”は”マスターハーヴェスター”ならびに…。
 リグ・ヒンサー客将筆頭のセルリーダー“七花胡”………。

 “隻獅子”、そして“帯来风暴”。
 以上4名と、推察、共通する目的からくる連帯に…」

“黄の希人”アーキル :

「同盟を申し入れたい」

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

【CAUTION!】
 この選択で、物語が大きく変化します。 

1:同盟を受ける :
メリット
 自動的に対応するNPCが「友好」に変化し、すべての対応カードを獲得します。
 情報未開示の場合は必ず開示されます。
 また以降、プレイヤーと「御手翳す開放者」が勢力値を共有して行動します。

デメリット
『ギルド』行動時の攻撃対象が確実にプレイヤーに変化します。
『貴人の庭』の関係が「敵対・協調不能」に変化します。これによる何らかの変化があります。
『リグ・ヒンサー』残党との接触、および勧誘(友好化)の難易度が増加します。 

備考
・同盟選択後も「望むなら」いずれかのメンバーに襲撃が行えますが、
 行った場合関連メンバーがすべて、即座に「敵対・協調不能」に変化します。

・またアーキルの「ラウンズ所属」部分を知るのは、この場合個別に聞かなかった場合は「HO3」のみとなります。

2:同盟を受けない :
メリット
『リグ・ヒンサー』残党との接触、および勧誘(友好化)の難易度が増加しません。
『ギルド』行動時の攻撃対象は「御手翳す開放者」のままになります。
『貴人の庭』の関係が「中立・協調不能」の状態で進行します。
 以降、勧誘(友好化)や勢力への攻撃等で、『ファントムストークス(便宜上一纏め)』が勢力値を獲得します。

デメリット
『御手翳す開放者』との関係が「中立・協調可能」のまま維持されます。これによる何らかの変化があります。
 関連人物のカード獲得、情報開示はできません。

備考
・プレイヤーが直接ローマに勢力を持つため、
 以降NPC勢力は「他組織への攻撃」を行うとき、プレイヤー勢力を対象にとる可能性があります。 

SYSTEM :

 なお、フェーズ2以降において、
 下記の判定内容が変化します。

 どちらも「メインプロセス」を対象としています。 

SYSTEM :
【FH主要勢力への協力/妨害
 →ローマ諸勢力への攻撃/支援】

 任意の判定(肉体or運転<任意>/感覚or知覚/精神or知識<任意>/社会or情報)を用いて、指定した勢力へ攻撃を行います。 
 またこれにより、以降ほか勢力リーダーが行う行動でも同じ判定とプロセスが行われます。

・攻撃の場合
 対象となる勢力の活動を妨害します。目標値は「対象の勢力値/2」です。
 判定を行い『[達成値/10(少数点切り捨て)]+1』の数値分、対象となる組織の勢力値が減少。
 その数値分、「自身か友好組織」のどちらかの勢力値が増加します。

・支援の場合
 対象となる勢力の活動を支援します。目標値は共通して「6」です。
 判定を行い『[達成値/10(少数点切り捨て)]+1』の数値分、対象となる組織の勢力値が増加します。 

SYSTEM :
【追加:リグ・ヒンサー残党への接触】
『リグ・ヒンサー』の残党および客将である
『”帝釈天”』または『“グレイ・スコーピオ”』のどちらかと接触を行います。

 接触を行うには対応するNPCの情報を開示しているか、「情報:FH/目標値10(20)」に成功する必要があります。
 接触後、下記の条件を満たしているならば「友好化」することが可能です。
 友好化した場合、かつ、独自に勢力を持つ場合は、プレイヤーの勢力値を[残党の最終勢力値/2(少数切上)]増加します。 

SYSTEM :
※条件については情報タブをご参照下さい。
 また、括弧内は「同盟を受ける」を選択した場合の数値となります。 

SYSTEM :
※また、「フェーズ2」かつ「ラウンド2」終了時に『リグ・ヒンサー残党への接触』は不可能となります。 

SYSTEM :
※選択内容は以上となります。
 最終回答は本タブで代表者が行い、相談や質問等は雑談(または観戦席)でお答えさせて頂きます。よろしくお願いします。

GM :

GM :
※ 先日GMの不手際に気付いたのですが「居場所発見後攻撃が可能」の詳細についての記載を忘れていました。まことに申し訳ございませんでした。 ※ 

GM :
※ 情報タブに該当する2名の「FS判定」について記載します。ご査収ください。 ※

“七花胡” :
赤は頭を喪い、青は半壊、鼠は跋扈し、狼は孤高……いずれにせよ、身の振り方は此処で決めねばなりますまい

“七花胡” :
というわけで、同盟の申し出、受けると致しましょう 各々がたに思惑はあれど、当面の利害は一致している

“黄の希人”アーキル :
 ───ははっ。どうやら俺たちの人徳も、
 まだまだ捨てたもんじゃないらしいな。 

SYSTEM :
【Check!】
 “黄の希人”アーキルからの同盟に対する選択肢を確認しました。
 
 →1:同盟を受ける 

SYSTEM :
【Check!】
 シーン終了後、自動的に下記の情報が解禁されます。

・“黄の希人”
 判定:〈精神〉/30 〈情報:ビジネス〉/15
 関連項目:『ヨシュア・ランカスター』

・“アイシャ”
 判定:〈情報:FH〉/14 〈情報:ゼノス〉/無条件
 関連項目:『“御手翳す開放者”』『ゼノスの干渉』
 備考:「情報:ゼノス」は関連項目が開示された時に特定PCのみ宣言可能 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 “黄の希人”の語る同盟とは、あくまでも貴人の庭、ギルド、そして…。“黒鉄の狼”に対するものだ。

 双方にとって「敵の敵」以上でも以下でもない間柄を、もう一歩詰める。
 持ち掛けた彼自身は聊かそのラインの先を望んでいる節もあったが、落としどころとしては“此処”と見切っていたからか、会話にそれを含ませなかった。

SYSTEM :
 …“黄の希人”は持ち掛けた提案の回答を待つ素振りを見せた。
 ・
 要を連れ、答えるまでは後手に回るのも是とするような態度が、せめてもの誠意ということだろう。

夏瑞珂 :
 音もなく降り立つ。尾のように流れる長髪。

「ばかなひと……」

 穂先と銃口がいつでも翻ると分かっていても、彼の矢が先につがえられることはないのだろう。1%でも野望の可能性が高いうちは、望むように生きると語ったとおりに。

夏瑞珂 :
「私、ばかなひとは嫌いよ」

 いつか告げた言葉をくりかえしながら、
 黄色のひとのタイを掴んで強引に屈ませる。

夏瑞珂 :
 彼のする話はすべて『あと』のことだ。狼のいないローマをハイエナが食い荒らしても、わたしには関係ない。

 たとえ『あと』に残った燃え殻を、誰が用いても……惜しんでも。

夏瑞珂 :
「……いいわ」

夏瑞珂 :
 ・・・・・・・・・
「多数決の一をあげる」

 めいっぱい睨みつけて、低く言う。

夏瑞珂 :
 ……なにがこうも腹立たしいのか、そもそも怒りなのか、自分でも分からないまま。

SYSTEM :
 ………彼は言葉ですらない“屈め”に、口元を緩めて応じた。
 腕の力のぶん、目線を合わせるどころか、さらに下に行く。
 
 そこから一歩上に立って、同じ目線で仕切り直しだ。

“黄の希人”アーキル :

「ははっ。猜疑心とヨロシクやってる身だ、
 自分じゃ小賢しいつもりなんだがね」

“黄の希人”アーキル :
       ・・
「だがまあ───バカをやらなきゃいけない時もある。
 そいつを誇る権利を持つのは、周り以上にけっきょくは自分だ」

“黄の希人”アーキル :

「そんなわけだ、そいつは誉め言葉として胸にしまっとこう。
 ───多数決の一の言質はとったぜ、“帯来风暴”?」

SYSTEM :
 などと冗談めかした男が、目いっぱいの威嚇に応じたそれはからかいの類ではない。
 軽口でないとは言わないが、少なくとも彼にとって…。

 ローマで“乱暴をやる”よりは、今の状況をへたを打たず進めたいということだ。
 その視線の矛先にあるものは、“御手翳す開放者”の首魁と客人にとっては同じものなのかもしれない。

SYSTEM :
 ………その様子を見た“立っているだけ”の娘が、端末を「とん、とん」と見えづらい位置で、覚束ないが二度たたく。

 腐っても(本人否定)ノイマンの鉄砲玉だ。
 事前に伝えている“端末を叩く”ワケとは…。

“逢魔狩り”三草由芽 :
「………」

SYSTEM :
 ・・・・・・・・・・・・・・
 こうお望みですがどうしますか、
 だろう。

 やっている当人の好悪はさておく。
 彼女は…あなたが本当に、心の底から、一言で魂が腐るほどの本意でないなら、だが。
 年上の様相を一度も醸し出さなかった“話し相手”の多数決の一くらい、理性で有耶無耶にするはずだ。

アレウス :

 今ここで全てを滅茶苦茶にする事は容易い。
 "刈り取る者"の銃火を以って、薄汚れた鼠達を掃除するのは簡単だ。
 そして本心でそれを望む自分がいる。
 誰にも邪魔されず、ただ思うままに、気に入らない者を潰す。
 その在り方に──ただ強く憧れているだけだったのに。
 ・・・・・・・・・・
 だからそこで止まった。

 折り合いをつける気はない、そんなものはUGNの連中がやる事だ。
 ではFHがこのような時に下す判断の基準とは?
 決まっている、"優先順位"だ。

アレウス :

 鼠に今意識を割いている場合か?
           ────ノーだ。

 鼠の牙から穢れを身に染みさせる必要は?
           ────ノーだ。

 ファントムストークスだけが得られる利益だけを換算し、清算をする。
 俺だけが得られる利益と、俺が本当に欲しいモノを思い浮かべる。

アレウス :
        ・・・
 そして俺は今、なんだ?

アレウス :

 俺は銃弾じゃない。
 俺は銃弾を、撃ちだす者だ。

アレウス :
《俺はそいつの雇用主だ》

 仮だがな。

アレウス :
《雇用主としては、雇った傭兵の判断を無下にすることは出来ん》

アレウス :
《“黄の希人”よ、貴様が知っての通り、コイツは魔狼に届きうる銀の弾丸だ。
 そして俺は、その弾丸を撃ちだす銃を握っている》

アレウス :
《ならば俺は、その弾丸の向かう先を見るのが仕事だ。
 貴様もセルを預かる身ならば──その損益を受け持つ必要性を理解しているだろう?》

アレウス :
《だから一を加えてやる》

アレウス :
   ・・
《──ユメ、マスターからの勅命だ。
 この場は何もするな。
 そして現時刻を以ってファントムストークスは、“御手翳す開放者”と目先の利益だけを共通とした同盟を行う。》

アレウス :
《責任は取った。残りはどうする》

“逢魔狩り”三草由芽 :
   Tes
「───はい」

夏瑞珂 :
行き場のない反駁によってぎりぎりとタイが締め上がる。

SYSTEM :
 いうまでもなく、そこに情はない。
 実利だ。敵の敵と“やり合う”のにオーヴァードの不便なこと、『あと』を考えるならば保たない。
 
 …だがあるいは、アレウス単身でローマのすべてに挑んでいるならば。
 その打算は、別れを告げた幼年期と、黄金のような日々に上塗りされていたかもしれない。彼はこういうとき、己の腕と道を以て荒野を歩いてきた。

 今わの際で漸く取り戻した路地裏の黎明ならば、なるほど確かに…そうしたかもしれないだろう。

SYSTEM :
 ただ皮肉にも、いや…必然として。
 彼が大人になるために腕ひとつで切り拓いたものが打算に骨組みを与えた。

 その骨組みを是とした男が、ぎりぎりと締め上がるタイを「そろそろよしてくれ」という10秒前。口元を吊り上げる。

“黄の希人”アーキル :
「なるほどね。
 …しかしこいつはまた…。高い賃金以上の買い物だったらしい」

 序に言えば今利子が襲って来てるよな。

“黄の希人”アーキル :
「そこのも含めて、その割り切りに留めてくれるならありがたいね。
 あんたたちとはその落としどころだ、“マスターハーヴェスター”───俺からはこっちの呼び名で通そう」

アレウス :
《聞き分けの良さだけは褒めてやる》

“黄の希人”アーキル :
「どうも。頂きものにネズミは目がないんだ。ちょっとの分別を覚えたくらいでね」

“黄の希人”アーキル :
. アローヘッド
「放たれた矢の先に目を瞑るなら、この椅子で目的を果たそうとはしない。あんたもそうだろう?」

アレウス :
《その通りだ。"死滅天隕"のままだったら……ハハハ、危なかったな》

“黄の希人”アーキル :
「ははっ。“たられば”ならもう少し景気のいい話にしたいね。
 仮にそうなっても、悔いるほど行き当たりばったりじゃないつもりだが…火傷だけは確実だしな」

“黄の希人”アーキル :
「…さて、“マスターハーヴェスター”とは以上の通りだ。お互いの欲望のため、よろしくやろうぜ先輩。
 そして───」

“黄の希人”アーキル :
しばらく好きにさせてやりたかったところだが
俺の首が抗議で締まり切る前にアクションを頼むよ 

“七花胡” :
 トン、トン、トン、と椅子の肘置きを一定間隔で叩く音。
 始終の遣り取りを眺める裏でずっと続いていたその仕草が、ようやくという形で止まる。

“七花胡” :
「おや。貴方の方が痺れを切らしましたか。彼女が落としきる方が早いかと思ってたんですがねえ」

“七花胡” :
「此方に回答権のある交渉というのは実に愉快です。ねえ、そうでしょう?
 じれったがる相手の顔なんて、もう格別だ」

“七花胡” :
 遺産が欲しい彼らからすれば、“黒鉄の狼”に対する銀の弾丸を保有する此方との協調は、是が非でも取り付けたいところだろう。
 モルガーン氏の言の通り、彼は無意味な選択をしない。ローマの女神にはきっと権威付け以上の意味があるはずで、そしてその道は、最終的にローマに通ずるはず。
 ギルドとそれに寄生された青を排撃するなら、背中を撃たれぬよう、利害の一致する戦線で固めたいと考えるのは道理だ。
 優位は此方にある。

“七花胡” :
「『同盟』、という言葉が気に入りました。
 もし『傘下に入れ』などと仰っていたら、こうして我々が同じテーブルを囲むことさえなかったでしょう」

“七花胡” :
「多数決はあと半分────実質、自分の回答が、我々の今後の関係を左右するわけです。
 色々考えはしましたが……」

“七花胡” :
「貴方の顔は、正面からより、裏からの方が映りが良さそうです。
 同盟に二票分、投じちゃいましょう♪」

“七花胡” :
「“隻獅子”。投票は済ませておきました。
 ので、今の彼にコメントがあればご自由に?」

“黄の希人”アーキル :
「そいつはいい。気に入って貰えて何よりだ。
 俺は無法者だが、やりたい無法者と“できない”無法者があってね。得意分野のおかげでウマが合うってのは幸先がいい」

“黄の希人”アーキル :
「あんたの景気のいいツラの出し抜き方を考えるのを後回しに出来ること、うれしく思うぜ”七花胡”」

SYSTEM :
 正面から出し抜き合う発想はお互いの都合を以て棄却された。
 彼が傘下に入れと嘯くような人間ならば、そもそもローマで生き残りはしていなかっただろう。“それ”で生き残れる人間は彼でない。

 …このように、概ねは肯定。筋道を初手から違えることナシだ。
 すると残りは、投票権を委託すれども発言権は残したラーゼスになるわけだが…。

ラーゼス :
「こめんと……」

ラーゼス :
状況を黙して観察していたが、顔を上げてアーキルとアイシャを交互に見つめる。

ラーゼス :
「あるかないかで言えば、ある。訊きたいことがひとつだ」

“黄の希人”アーキル :
「…ん? 訊きたいことか」

ラーゼス :
「ああ。同盟の件について、胡とアレウスがそう判断したのなら、おれに異を唱える理由はないからな」

夏瑞珂 :
キュ……

“黄の希人”アーキル :
さては俺の首で異を唱えてるか?

“七花胡” :
興味深そうに見物に徹している 止めない

ラーゼス :
……

ラーゼス :
「“黒鉄の狼”の腹の中にある遺産の話だ」

ラーゼス :
「あの遺産について調べていた。
 あれなるは神の雷だと。この街で使う時にかぎって……神なる力を齎すとあった」

ラーゼス :
「おれが訊きたいのはその扱いだ。
 神の雷がそこにあったとして……そして貴公らが巧く扱えたとして、そののちにこの街が残っている保障はないのだと思う。
 この羅馬で、それを振るいたいか?」

“黄の希人”アーキル :
「………。そっちから遺産の話をしてくるとはね」

“黄の希人”アーキル :
「どこからそんな話を聞いたかは、この際置いておくとするか。
 裏は取らせてもらうが、ひとまずこの場は”そう”と見込んで進めるよ。ハッタリ相手は馴れてる」

SYSTEM :
 肩をすくめたアーキルと、少し考え込むように顎に手を当てたアイシャ。
 前者の腹のうちは読めないが、後者はたしょうの既知と、予測に対する怪訝を含んでいるように思える。

“黄の希人”アーキル :
「運び人がギルドなことは知ってる。
     ユ  ピ  テ  ル
 そいつがローマに縁ある神サンのモノなのもな」

“黄の希人”アーキル :
「………が。あんたの言い分は俺が思っているより“困った”モンの言い方だ。
 だからもう少し突っ込ませてもらおう。“この街が残らない”は確証か? それとも推察か?」

ラーゼス :
「推察だ。
 だが、その力が、貴公らの言う……」

ラーゼス :
「〈雷神の鎚〉なるものの、
 カテゴリ
 型に収まるものではないことは間違いない。
 そして求める代償が、我ら妖精騎士の言う『少々痛む』に収まるかどうかもな」

ラーゼス :
「数千年ため込まれた祈りは、巨大な力だ。御しきれなかったその時が、この都の終わりだろう」

“アイシャ” :

「…ユピテルさまの雷、そんなに危険?」

“アイシャ” :

「彼はそれを使えないわ。
 血と信仰を継ぐものにしか…。
 継がなくても、羅馬を識るものにしか、微笑まない…」

SYSTEM :
 あからさまに“ローマ”の脅威と指摘したことを、彼女は眉を下げて応じた。
 怪訝も、否定というよりは言っている意味を照らし合わせている最中だろう。

 そしてその浮世離れの答え合わせをやってきた男が、どこか興味深げに、それでいて残念そうに答える。

“黄の希人”アーキル :

「…ここの抗争に目を付けた段階じゃ、ほしいのは遺産であって“ケラウノス”じゃない。
 誤解を招くとわかって言うなら……、俺は『目立つ』ものならなんでも良かったんでね」

“黄の希人”アーキル :
「………。だがその『目立つ』ために、いまの理由をご破算にしちゃ意味がないな。
 確証が取れた瞬間、俺たちはゴールを前にして一抜けだ」

“黄の希人”アーキル :
「あんたの言葉に少しばかり突っ込みたい部分はあるが、最初に接触しといて良かったよ。
 人となりを知らんうちから、“やめておけ”を真に受けるほどいい育ちしてなくってね」

“アイシャ” :
「聞かないの? ツッコミどころ」

“黄の希人”アーキル :
「聞かない、聞かない。
 小心者向けの人間関係のコツだよアイシャ」

SYSTEM :
 彼の言うツッコミどころが“妖精騎士”の部分であり、推察が出来たから敢えて話を逸らしたことは、敢えて書くだけに留めておく。

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :

ラーゼス :
「むろん、実際に使われなければ『そうであろう』ということでしかない。おれの言葉を疑うのも当然だし、そうしてほしいとも思う」

ラーゼス :
「おれが知りたかったのは、ただ貴公の呼びたい波紋が如何ほどのものなのかというだけだ。そこの御仁のこともな」

ラーゼス :
 結果的に狼の腹を暴いたのちの「本番」から彼らが手を引く由をつくったのであれば、それもよい。
 胡たちには重畳というものだろう、

ラーゼス :
……神なるものと呼ばれた生き物は、己の地を燃やされることを厭うた。それを知ることが叶ったこともまた。

“黄の希人”アーキル :
「………そっちのお嬢さんには言ったがね。ホントはもう少し乱暴にやる気だったんだ。
 可能性が1%でも高いうちに、俺の望む風景にとって最低限のことをやらなきゃあならん」

“黄の希人”アーキル :
「なまじ後ろ盾のない人間でね? 鼠をやるにも、色々と入用なものがあった。現代社会の世知辛ささ。

 ひとつだけに頼らなかったから、あれこれと話し相手と貸し借りも増えてく…」

SYSTEM :
 その発端を知る人間はこの場で一人だが、彼は指摘されてもこの話題でいけしゃあしゃあと躱すだろう。
 
 それを予想したがための予防線…ではない。“そこの御仁”に対する返答のための前置きだ。

“黄の希人”アーキル :
「…そもそも“アイシャ”って名前は、あまりにあからさま過ぎるから代わりにつけた偽名だ。
 ホントの名前は別にある」

夏瑞珂 :
「……ローマちゃん?」

“黄の希人”アーキル :
「惜しい。本人…本RB的にはどうなんだアイシャ」

“アイシャ” :
「将来的にはアリ…」

“黄の希人”アーキル :
「ローマを知る手段として、偶々こいつを見つけてね。ちょっと浮世離れした姫さんに起こすのを手伝ってもらったワケだが…」

“黄の希人”アーキル :
 マグナ・マーテル
「この国の諸神の母───その名義と信仰から生まれたRBだ。
         ユメ
 そいつと、自分の野望が今後ともよろしくやれるのか確かめる前から”乱暴”にやろうって気が、ちょっと失せていてね」

SYSTEM :
 …要は。
 アイシャ
 人の名前を被せて歩み寄ったこのRBを見て何かを見出したから、彼はその“乱暴にやる”計画を軌道修正したのだという。

 遺産の使い道も、おそらく。
 カルロとの共通項も、あるいは。

 そして───。

“黄の希人”アーキル :
 ユメ
「野望の話もテーブルに乗せて欲しければ、まあ。
 元々カルロのやつにも話したんだ、構いやしない。ただ…」

“黄の希人”アーキル :
 ・・・・・・・
「俺の言った意味はわかってくれるよな?」

SYSTEM :
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
 そいつが死んだら予定通り乱暴にやる、だ。
  つきあう
 軌道修正する理由がなくなれば、
 当然そちらに舵を取る。

夏瑞珂 :
 体を傾けて、黄色いひとの傍らにいるローマちゃんを見る。

夏瑞珂 :
 喋る獅子もいれば、歩く羅馬もいるらしい。

夏瑞珂 :
 ……。

 よくわからない。

夏瑞珂 :
 わかるのは、ただ。

 ひとでないものたちは、
 ひとでなしのわたしへ、やわらかに触れる。

 それだけ。それだけ……。

夏瑞珂 :
「しらない」

 わからない、とは言わずにタイを離す。消え入る声と、もじもじとこねくり回される後ろ手。

“黄の希人”アーキル :
「おっと」

 漸く首の皮がつながったらしい。

“黄の希人”アーキル :
「じゃ、もうちょい噛み砕くか。
 以前暈した分の続きだ」

“黄の希人”アーキル :
「………風の回らない世の中ほど退屈なものはない。昨日と同じ今日なんてのも、当然な。

 証拠がそこにいるだろ?」

ラーゼス :
腕を組んでいる。

夏瑞珂 :
組んだ腕を解く。

ラーゼス :
ぶらん…

SYSTEM :
 視線を向けられたローマちゃん、訂正、“アイシャ”…さらに訂正。
 マグナ・マーテルが変わらぬ面持ちで佇んでいた。しいて言うならその仕草に目を向けていた。

SYSTEM :
 ………彼女は名に沿う神様ではない。

 ローマで『慈愛』の女神と祈られ、知られて来た存在をもとに、レネゲイドの因子で編まれ、広義的に言えばレネゲイドが作った窓口だ。
        オリジン
 …あらゆるものを起源として生まれ、学習する知性体は、振り返った昨日には例外としてしか存在しない。

“黄の希人”アーキル :
..   イキモノ
「次の知性体、いや、来客でもいいか?
 やってきた先住民としては…」

“黄の希人”アーキル :
 ・・   ・・   ・・
「共存するか同化するか殲滅するか、考えなきゃいけない」

“黄の希人”アーキル :
「しかもその問題解決の可能性は、今日を留めるだけ減っていくわけだ。
 ………俺としちゃ、出来れば最後以外の光景が見たくてね。だから嵐を起こしたかったワケだが」

“黄の希人”アーキル :

「今日を留めたまま見られるかも、と思ってね。それならそれで構わないだろ?」

“アイシャ” :
「………」

“アイシャ” :
「みんながみんな”ローマ”には住めないって言った。
 生まれた場所、命を続けたい場所は違うから…」

“黄の希人”アーキル :
「このように、余所者を容認しない守り神が、余所者の痛みを理解ろうとするのに三年…」

“黄の希人”アーキル :
「…ただ、そっちのが俺にとってはきっと面白い。遺産はその近道で使う気だったってわけさ。

 腹のうちはこんな感じで“ちょっとは”明かしておくよ。遺産の話に切り込むなら、これくらいのほうが余計な心配もないだろう」

SYSTEM :
 嵐になるヤツ、天に昇るヤツ、地の底にいるヤツ。
 どう付き合えるか確かめる時間は多くないと彼はかつて言った。

 要は、その付き合える“可能性”のモデルケースとして、彼は彼女を選んだ。

SYSTEM :
 その発想の根本はUGNの人間ではない。
 ましてやFHの人間としても、いなくはないが主流では“ない”。
 その中心点が人間である以上はゼノスとも毛色が違う。

『組織』という型に己を嵌めようという発想がない人間のこの言葉は、“遺産”の見込み違いを、人となりを知る限りのラーゼスの言葉からそれなりに信頼した上でのカードの開示だ。

SYSTEM :
 先の話が本当なら、少なくとも使いではない、と。

夏瑞珂 :
(……。生まれた場所と命を続けたい場所は違う……)

夏瑞珂 :
 滑り落ちるように床へ座りこむ。

夏瑞珂 :
 ひとでないものと生きる庭は、ひとでなしの楽園ではない。

夏瑞珂 :
 黄色のひとの言う嵐は、過ぎ去ったあとに何かが芽吹くことを期待するものだ。切り拓いた荒野の先だ。
 その嵐さえ、今は無用なら……。

夏瑞珂 :
             くに
 ──やつの骸で、おまえの世界を築くのだ。

 声が囁く。命を続けたい場所も、帰るお家もないわたしに。まことの自由と甘く囁く。

夏瑞珂 :
「……嵐になりたい」

夏瑞珂 :
「ローマちゃんみたいに生まれたかった」

夏瑞珂 :
「初めから"違って"いたら……」

夏瑞珂 :
 うつむく。床に落とした手はからっぽだった。

ラーゼス :
「………」
 そう口にできるのは、人間の間にあるからだ。
 そしてすべてが過ぎ去ったから。

SYSTEM :
 嵐になりたい。
 ───かつてそれを留めた所以も、手元にはない。

 その半端な苦しみが、彼女を床に座り込ませた。
 かつて嵐になることが望みではないといった男の、ひとかけらから覗く野望のかたち。

 嵐は、意味があっても必要ではない。
 それも、芽吹くものを望むための、“在る”を更地にする、新天地の楔だ。

SYSTEM :
 へたり込んだ娘に、手が差し伸べられる。
 アーキルのものではない。目線を合わせた、言葉の主。

 はじめから人でないものとして生まれた、伝承の子。地に根付く神の名。

“アイシャ” :

「あなたの苦しみはわからないわ」

“アイシャ” :

「苦しんでいることしか」

“アイシャ” :

「…あなたのおうちは。
 私のようにあなたが生まれても、
 きっとあなたを愛したでしょうね」

SYSTEM :
 命を続けたい場所、は。
 あなたが彼女に言った「最初の家」だろう。

 そしてアレックスはそうしただろうか?
 ───そうではない。

 彼があなたに命をかけた理由は、あなたは“まだ助かる”と思ったからだ。
 青年は命をかけて、どれだけ低い確率でも、ただの子供が意味もなく消える現実に立ち向かった。災害を「仕方がない」で終わらせなかった。

SYSTEM :
 だがそれはもしもの話。
 できない/受け取れないとわかっている話。アレックスからあなたへのものではない。

 その傷跡から過去をなぞれるのは、手からすべて零した後だけだ。

“アイシャ” :
「忘れることは、きっとできないのね。
 それでも………」

SYSTEM :
 それでも、最初のおうちはあなたが狼を平らげた“そのあと”に、望むことがあるのではないか、と。

 そう話しかけられるほど、アイシャは成熟し切っていない。彼女が分かるのは、その痛みのかたちだけだ。
 ワケ
 理由まで把握していないから、ただ知っている所作として頭に手を置く“よけいなせわ”をするだけだった。

“七花胡” :
 嵐として生まれたとしても、きっと愛してくれたはずの、家。
 ……自分の師はどうだろうか?
 果たして自分が初めより野火であったならば、燃やし尽くすことしかできないものとして生まれたならば?

“七花胡” :
「(仮定することさえばかばかしい。
  あの人はこの大地と、大地に生きるものを愛する人であって、
  そこに仇成すものを赦しはしないのですから……討たれて終わりだったでしょう)」

“七花胡” :
 意味のない仮定に、そういうものだという一種の達観。
 ほんのすこしだけ心の裏側に爪を立てる物思いのことは、拾われてから過ごした過日の記憶の中に、やさしく仕舞い込んだ。

 ……何も言わずに、へたりこんだ娘と、そこに見様見真似のおせっかいをほどこす女神を見守る。

夏瑞珂 :
「……………………」

 差し伸べられた手を前に途方にくれているうち、うなだれた頭に手を置かれる。ほんとうに置くだけの、かたちだけまねたしぐさ。

 それが、いやになるくらい優しくて……。

夏瑞珂 :
 火傷の痛みを伴って、記憶が疼きだす。アレックスの大きな手。力加減のへたなアラン。パティは髪を梳いてくれた。それから、それから……。

夏瑞珂 :
 それから──ああ、ああ。

 でも。いまのわたしは、どうしようもなく「仕方がない」。

夏瑞珂 :
「アハ……仕方がない、仕方がない……」

 笑おう。嗤おう。今はただ。

夏瑞珂 :
 撃ち出された弾丸だというなら、それでいい。あともさきもない。

夏瑞珂 :
「ぜんぶ燃えた。ぜんぶ潰えた。でも良かったわね?」

夏瑞珂 :
「ローマちゃん。あなたの番は来ない」

夏瑞珂 :
「"黒鉄の狼"は、この地で死ぬ。嵐に引き裂かれて」

アレウス :
   ・・・・・
 ──似て非なり。

 当初、この"闘争代行人"を見出したのは、非常識な戦場の火に焼かれたものだからと思っていた。
 在り方そのものが、撃鉄に頭を殴られた者達に通ずる情緒の未達に近かったからだ。

 だが違う。
 これは────、
 何か恵まれたものを持っていた、戦争を知らない子供が、戦争の中に放り込まれたが故の炎だ。

 様子も動作も分からない、だが声色と内容で全てが分かる。
 自分がこの娘に何を見出そうとしていたのかすら忘れてしまうほどにだ。

アレウス :

 根本は違う。
 だが向かう先は僅かな類似性を持つ。

アレウス :

 己が弾丸であることを自覚し、認識してしまっている。
 この娘の性質故か、あるいは俺が何か焚きつけたせいか。
 嵐を起こし、炎を舞い上がらせ、全てを焼き尽くす熱風の如き化身になりたがっている。
 そうであれば良かったとすら口にする。

 不幸なことに、この場には荒事を担う者しかいない。
 その素性がなんであれ、この娘の現在の生き方には合わせられるような奴らばかり。

アレウス :

 類似性とはそこだ。
 銃のない世界に馴染むことが出来るかどうか。
 一度、戦争というガンパウダーを口にしてしまった者は、脳裏に永遠にそれがこびり付く。
 何かに包まれ、温もりの中に戻ったとしても、死の冷たさが引き戻さんとする。

 何か奇跡でも起こらなければ──この娘の未来の光景は、僅かに思える。

 ……。
 ・・・・・
 思えるだけだ。

アレウス :
 俺が責任を持つのはこの戦争の間だけだ。
 狼を引き裂き、邪魔するものを殺しまわって、そのあと、この娘が何をするか、どう生きるかまでは責任は持てない。
 道の選択肢を与えることは出来ても、決定まで他者が決めることは出来ない。
 平和への道から逃げ、ギャングの世界に逃げ込んだ自分のように。
     ・・・・・・・・・・・
 だから、引き裂いた後はどうする、とまでは口にできなかった。

アレウス :
《だ、そうだ》

 俺が出来るのは肯定だけだ。
 仮の部下が口にしたことと自分の向かう先が一緒ならば、それに同調する。
 否定するまでもないことに茶々はいれず、頷きだけを入れる。

アレウス :
《死んでもらわなければ困る、あんなものは》

アレウス :
《だから同盟を持ち掛けたのだろう? 女神とやら、貴様を従えている男は》

“アイシャ” :
「………………………」

SYSTEM :
 仕方がない、を言うたびよけいに下がった眉を見かねてのことか。
 それとも沈黙の中に切り込んだ男の言葉に見せた表情が「抗議」の10秒前と読み取ったのか。

 彼女が口を開くよりも、男が口を開くのが先だった。

“黄の希人”アーキル :
「そうして貰わなきゃ困る。
 俺は確かに…探るためにここにいるわけだが」

“黄の希人”アーキル :
「“黒鉄の狼”には“それ”が全部だ。
 そう付き合うさ」

“黄の希人”アーキル :
「………弾丸のスポッターもやるともさ。引き裂いてもらう。ただな、“帯来风暴”」 

夏瑞珂 :
「なあにー」

“黄の希人”アーキル :
 ・・・・・
「仕方がない、は俺の前では禁句だぜ。
 俺はそいつに中指立てた結果なんでな」

“黄の希人”アーキル :
「そんだけだ。もちろん、忘れるようなら忘れたっていいが…」

夏瑞珂 :
「へえ! イイコトを聞いたわ」

夏瑞珂 :
「バースデーケーキのろうそくの数だけ中指を立てさせてあげる!」

夏瑞珂 :
 OH WELL  TOO BAD  SHIT HAPPENS SUUUUUCKS
「しかたない、しかたない、 しかたない 、しかたない……」

夏瑞珂 :
のけぞった拍子に床に転がって、手足を揺らしながらケタケタ笑う。

ラーゼス :
「……」

アレウス :
《ああ、なっちまった。俺には見えんが、ラーゼス……頼めるか?》

“七花胡” :
なんとまあ…… もう見慣れてきましたね

ラーゼス :
さきに動き出して、転がった身体を拾いあげる。抱き上げ、口元を肩に寄せさせた。

ラーゼス :
「ああ。……このような状態でも」

ラーゼス :
「刃であるからには遣わざるを得ない。哀れな娘よ」

夏瑞珂 :
しかたない、を歌にしてくり返す。ささやかなノイズ。

アレウス :
囀りだな。小鳥か?コイツは。

“黄の希人”アーキル :
「それだけ言えりゃ、まあ。
 確かに忘れてくれることはなさそうだがね…」

“黄の希人”アーキル :
「………ラーゼス?」

“黄の希人”アーキル :
「いや、あんただけの話じゃないか。
 揃いも揃った手前に免じるよ。けどな」

“黄の希人”アーキル :
「…最悪でもポイ捨てはするなよ。
 拾っちまうぞ」

ラーゼス :
「我らがひとりも残らず──」

ラーゼス :
     ・・
「この娘がのちも生きていたら、そうするがよい」

“七花胡” :
「そういう”最悪”の口約束、立案側としては勘弁して欲しいんですけどねえ……」
 もしかしてまだ信用されてません?という続く言葉は言下に伏せた。

“黄の希人”アーキル :
「戦士は常に最悪を想像しとくってヤツかもな。だが、まあ…分かってるよ」

SYSTEM :
 未だに虚空に手を伸ばしていたアイシャを引っ込めさせる。
 …彼女の視線は暫く瑞珂を向いていたが、かけたい言葉と“かけてほしい言葉”の違いを言語に出来ないのだろう。何も言わずに佇み出した。

SYSTEM :
 数秒の沈黙。ただ。
      ・・
 痛ましさと並行するのがFHの強みだ。

ラーゼス :
「む……」

ラーゼス :
「すまない。『それほどありえないことだ』と言いたかった」

ラーゼス :
「誰も、この娘を放り出すとは思っていないだろう?
 はじめはそうでなかったかも知れないが、いまは」

“七花胡” :
「手間ばかりかかる娘相手に、ここまでつるんできてるのが証拠でしょう。
 同盟結ぼうって時に、わざわざとりあげて確認するようなことでもない」

アレウス :
   ・・・・・・・
《──弾丸は拾うもの。捨てるものじゃないと思うもんでね……》

 俺は結局、拾われぬまま銃に変わったんだったか。

“逢魔狩り”三草由芽 :
 私が保障です! 
 …と言いたげに腕を振り始めた。

アレウス :
見えねえよ。

“逢魔狩り”三草由芽 :
ボスの心の眼を信じています

アレウス :
ノイマンじゃないんでね……。

“七花胡” :
ノイマンも心の目なんてないですよ

ラーゼス :
すまない 獣にも神がかりのような心の目はない

“黄の希人”アーキル :
「はは、優先席が埋まってるようで残念だよ。
 変わらず利子がつきそうだ」 

ラーゼス :
「ずいぶん気に入られてはいよう。
 娘がみずから手を伸ばすようなら、それはおれのあずかり知らぬことだ」

ラーゼス :
「……それで、アーキル」

ラーゼス :
「貴公にとっては、彼女が。
 縄張りに入った知らぬものを解し、あるいは御する手段であったのだな」

ラーゼス :
 新しきものを取り入れるためには、はざまに立つ調停者が必要だ。
 それが彼になるのか、そして彼が望むのかは置くとしても──
 入るものがもとの住民にとって『どう』であることを定めるものは、やはりいることが望ましい。
 それがたとえいつか望まぬ結果を生み出すとしても、双方にとって得心のいく解を導き出すことの重要性を、己はよく知っていた。

ラーゼス :
 それはむろん、“アイシャ”──マグナ・マーテルにとってもだ。
 思惑はどうであれ、3年の日々を根気よく付き合った男は、彼女にとって得難い出会いだったろう。

“黄の希人”アーキル :
「ああ。自惚れてなけりゃ、お互いな。

 ひとり分の壁も除けないやり方なら、
 やっぱり物理的に“壁”を除いた方がいい」

“黄の希人”アーキル :
「その回答が出るまで長いだろうが、それにしたって…この国にはいい言葉があったよな?
 Roma non fu fatta in un giorno
  ローマは一日にして成らず さ」

“黄の希人”アーキル :
「…そう、俺が言うのも何だがね。
   く に
 望む居場所作りにはたいへん時間がかかるんだと。手探りなんだよ、生憎とな」

“七花胡” :
「せっかく良い土地を手に入れても、手入れをしなければすぐに元通りですからね。土壌を変えるには、時間と手間がかかる。
 存外努力家ですね」

ラーゼス :
「少なく見積もって、ひとの一生は必要だろうな」
 確信を持った応え。

アレウス :
《ドン・キホーテがお好きとはね》

“黄の希人”アーキル :
「揃いも揃って実体験めいた助言だ
 金言と思っておくよ」

“黄の希人”アーキル :
「だが、まあそうさな。ローマを良い土地だと思っている人間の前で、土壌を台無しにされても困る。
 俺の一生のうちに答えが出なくて、老いたロバと一緒に野望をあきらめて爺になるのも御免さ」

“黄の希人”アーキル :
「あんたらとは、そういう意味じゃ…。
 礼儀知らずたちと古い家主の問題が片付くまで、よろしく願いたいところだね」

“七花胡” :
「……先の話に少し戻るようですが」

“七花胡” :
「貴方は先ほど、“隻獅子”の遺産の話を受け、『真実ならば遺産争いから一抜け』と仰った。
 遺産と言う目的が無くなってなお、“貴人の庭”やギルド連中への敵対は継続する。
 その前提に変更はないと受け取ってよろしいですね」

“七花胡” :
「まあ、貴方のことだ。二枚舌はないと信用しておりますが」

“七花胡” :
「のちのち疑心になるような芽は、先に摘んでおくたちでね。
 翻す予定があるのなら、此処で先に仰っていただきたく」

“黄の希人”アーキル :
「そりゃな。だが、腕っぷしでやる気のないFHのやり方が何なのか───。
 あんた、知ってて言うとはイイ性格してるぜ」

SYSTEM :

 彼はギルドについてウマが合わぬと敬遠し、なおかつ敵であると認めはしたが、それは状況証拠である。

 もとより好条件をぶら下げてくる相手であり、
 彼は後ろ盾のない───あくまで、FHとしては───人間だ。
 ギルドになんの感情もないのか。

 そして───ラウンズの“トリスタン”は主命にどのような感想を抱いているのか。
 あなたが、あるいは、おくびにも出さず探ろうとしたのであれば、だが。それは必定とさえ言えた。

“黄の希人”アーキル :
「余所者と混じり者」

“黄の希人”アーキル :
「そうだったな、アイシャ」

“アイシャ” :
「………羅馬の内側でも。
 羅馬に生きるそのものを独り占めにしようとするのは、許さない」

“アイシャ” :
「愛のない余所者はより許さない」

“黄の希人”アーキル :
「とのことでな。
 この女神様と貧乏籤で両手に地雷の俺が、
 くたびれ儲けして回れ右出来ると思うか?」

SYSTEM :
 彼が仮にラウンズの主命を”ついで”以上に思っていても、伊達に適任と見込まれた男ではない。その旨は伝えないだろう。

 ないだろうが。

SYSTEM :
 呆れ気味に語った彼がギルドとも“壁”を除きたいと考えているかは、態度から明白だ。

 その様子はない。二言を翻すとしたら、理由がなくなったとき、あなたたちが梯子を外した場合くらいだ。

アレウス :
《……》

アレウス :
 レネゲイドビーイングなど、眉唾物だ。
 その存在の特異性を認めながらも、その存在がまるで人間の上位種のように振舞うのは、気に入らない。
 気に入らないが、俺はこの国に骨を埋めるつもりはないし、どうでもいい。

アレウス :

 だが、まあ。

アレウス :
ティーラ
 姫。
 あんたの庭は、あんたのものにはならんらしい。
 宛がわれた名で呼ばれる、人ならざる生き物のものらしい。

アレウス :
 それがなんともまあ、皮肉のように思えただけだ。

 国家とは只の土地でしかないというのにな。

アレウス :
 ・・
 女神か。笑わせる。
 僅かなノイズがスピーカーから漏れ出て、それからはずっと無音だった。

“七花胡” :
「自由にこき使える手が二本しかないというのも、大変ですね」
 貧乏籤を押し付けたのは自分のようなものだが、他人事の口振り。

“七花胡” :
「(彼は彼の女神の意向を尊重する。
  ラウンズの“トリスタン”としてではない、“黄の希人”としての私心がそこに在るというのなら、
  舌は保証されたようなものですね)」

“七花胡” :
「……ローマの女神とやら。アイシャさん」

“七花胡” :
「興味本位でお聞きします。貴女が“貴人の庭”の方針を許さないのは、
                 に わ
 “青の貴人”が、ローマ全部を自分の所有物と捉えているからですか?」

“七花胡” :
「余所者連中はいざ知らず、彼女はローマの子────貴女の愛するもののひとりでしょう?
 その選んだ在り方を『許さない』と断ずるのは……いささか不平等ではないかと思ったのですが」

“七花胡” :
「気に障ったなら結構。個人的な関心です。よろしければ、御教示願えますか?」

“アイシャ” :
「………」

SYSTEM :
 首を傾げた彼女の態度は、
 ・・
 意味を図りかねる、だ。

SYSTEM :
 ………それも数秒のこと。
 アーキルが何かに勘付いたように口を開いた。

“黄の希人”アーキル :
    ・・・
「ああ、そっちじゃない。
 生憎と俺たちが“青の貴人”について知るのは、カルロの人物評だけだ。どのくらいの熱を込めたのかさえもな」

“アイシャ” :
「………、………」

“アイシャ” :
「彼女のことは、知らない。
     ・・  あなたたち
 私はその名前で、この国の人に触れているだけ」

“アイシャ” :
「………
 そ と
 余所者の血の中に混ざりものがいるの」

“アイシャ” :
「許さないのはそっち。
 彼女は、見てから考えるけど」

“アイシャ” :
「………きっと、“そう”は思ってないわ」

SYSTEM :
 “青の貴人”がローマを所有物と思っているだろう、に対する“否”を挙げたのはこれで二人目。

 一人目は無関心。
 こちらは、あまり喜ばしい顔ではなかった。

アレウス :
《……》

 はん、なんだ、杞憂か。
 だが同時に妙な情報は出てきたが……。

“七花胡” :
「……なるほど。これは此方の早とちりでしたね、失敬。余計な手間を取らせました。
 ギルドなど、元より世界各国の溝鼠共の寄り合いですから。つい」

“七花胡” :
「少なくともあくせく働いた分の儲けを得るまでは、二枚舌はないこと。しかと確かめました。
 これで御互い、笑顔で握手できるというものですね」

“七花胡” :
 ……ギルドの中の「混ざりもの」。
 それが“スモーカー”に連なるギルド主流派と折り合いが悪い、”ワイズマン”に連なる一派のことを指すのか。
 はたまたその更に裏についている、ランカスターの勘当息子────ジョン・ランカスターのことまでを指すのか。
 この会話からでは、そこまでは推測しきれないが……

“七花胡” :
「(……後者だとしたら、面倒ですね。秘密は知る者が増えるほど広がりやすい。
  とかく、此処は下手に話を拡げないでおきましょう。
  下手に皆居る場でつついて、聡いものに勘付かれては、無事終わったとしても懲戒解雇されかねない……)」

SYSTEM :

 羅馬に所以あるものの残りは、なにも貴人の庭だけでない。

 …そう語ったものは、凡そ人間社会の外側を生きる“守り神”のかたちだ。どこまで信じていいのか。
 信じるとするならば、ひとつ良からぬことはある。遺産の話と照らし合わせたならば、見えてくる輪郭もあろう。

SYSTEM :
 ………だが、それと現在の主題は別だ。

“黄の希人”アーキル :
「まったくだ。あんたにはお嬢さんのことでも、どうにも高い貸しがあるようでね」

“黄の希人”アーキル :
「その分の心づけさ。道が違えても
 “畜生が”と毒付いて死ぬ時までは笑顔でいようじゃないか」

“黄の希人”アーキル :
「───いざ、互いの欲望のためだ。
 仲良くやろうぜ、先輩諸君」

SYSTEM :

 ───同盟、成立。

 リグ・ヒンサー滅亡から一日以上は経過していない、
 電光石火の所業である。

SYSTEM :
 共鳴と確執、裏表の動機を混ぜ込んで。
 欲望のためにと嘯くことを是しとした無法者たちの手を以て。
 
 生まれてからこの方、望む明日を目指した開放者の長き聖戦、一ページの余白に異なる刻の記録が記される。

SYSTEM :
 そして、これを以てローマの時計の針がひとつ進んだ。
 あなた方が進めた。これからもそうだ。強く在れるものが、弱く在ってしまったものの針を止めてゆく…。

SYSTEM :
 差し伸べられた手ではない。それは一人の死とひとつの破滅で択ばれた道だ。
 あるいは、もっと多くの、もっと前からの………。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

夏瑞珂 :
なぁし

アレウス :
無い。

“七花胡” :
ありません。

ラーゼス :
特にはない。

GM :
畏まりました…。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
【Check!】
 以下の情報が自動的に開示されます。
・“黄の希人”
 判定:〈精神〉/30 〈情報:ビジネス〉/15
 関連項目:『ヨシュア・ランカスター』

・“アイシャ”
 判定:〈情報:FH〉/14 〈情報:ゼノス〉/無条件
 関連項目:『“御手翳す開放者”』『ゼノスの干渉』
 備考:「情報:ゼノス」は関連項目が開示された時に特定PCのみ宣言可能

SYSTEM :
【人物:“マグナ・マーテル”/アイシャ】
 ブリード:クロス
 シンドローム:エンジェルハイロゥ/オルクス
 ワークス/カヴァー:レネゲイドビーイング/FHエージェント
 侵蝕率:158%(最高記録。平時はこれよりも下) 性別:女性 年齢:生誕2~3歳くらい 

SYSTEM :
 ローマで覇権を争うFHセル『ジャハーダ』のセル構成員。
 どこか傍若無人な、無垢色の人間好き。

 他人の居場所となることを好ましく思い、“それ”を自分の居場所とすることを楽しみ、それを以て「人」と触れるサガの持ち主。

 ただし、本質的には『自分の管轄内』と言える範囲にのみ好意が適用されており、それ以外には無関心。
 すなわち、善悪を己の指針としない。(元来は特に) 

SYSTEM :
 現地でアーキルが手に入れた駒であり、同時に「野望の共有者」とも言える女性。

 その正体はオリジン・レジェンド。人が人のために造った信仰が形をとった存在。
 イタリア・ローマの守り神という「理想」にレネゲイドがとりつき、姿を得ようとしていたところに、時のアーキルと通りすがった『お姫様』から『火種』となるレネゲイド(曰く「『触媒』足り得るオルクスの因子」)を与えられることで生まれた“物語から生まれたRB”。

 このRBの誕生と、新たな価値観、人の歴史を『活用/悪用』する次の知性体にこそ、アーキルはある種の“時代”を運ぶ“風”を、そしてカルロは“見限った人間の次”を見出したと考えられる。 

SYSTEM :
 彼女は『ローマ』を愛する生命体のため、ローマが『世界』に広がるならば良しとしている一方、
 アーキルの持つ理想から伝わる「開拓する人間」のサガを受け取ったことで彼の望む「共存」を是とした。

 “住む世界の違う余所者”の認識と“同じ夢の共有者”という認識を同時に持っている彼女は、
 いずれ自らにとっての『ローマ/ひとと触れ合える範囲』を、何かを損なわぬ形で広げることを夢見ている。 

友好条件 :
 “マグナ=マーテル”は下記の条件をすべて満たした際に『友好』NPCとなる。

・フェーズ2以降
・『御手翳す開放者』と友好関係を結ぶ

敵対条件 :
 また、以下の条件で『敵対』NPCとなる。

・フェーズ2以降
 かつ、『御手翳す開放者』に一度でも攻撃を仕掛ける

SYSTEM :
友好となった場合は、下記のカードを獲得する。

SYSTEM :
[“マグナ・マーテル”]
・クレタの抱擁(Round/1)
 指定した「PC」または「NPC」が行った、
 セットアップ・メイン・クリンナップいずれかのプロセスひとつの判定について、
 ダイス1つの出目を[10]に変更する。

・イデアの恩寵(Scenario/1)
 指定したすべてのPCについて侵蝕率を[7]減らす。

SYSTEM :
    トリスタン
【人物:“黄の希人”アーキル】
 ブリード:ピュア
 シンドローム:ソラリス
 ワークス/カヴァー:工作員/FHセルリーダー
 侵蝕率:132%(最高記録。平時はこれ以下) 性別:男性 年齢:27歳 

SYSTEM :
               ジャハーダ
 ローマで覇権を争うFHセル『御手翳す開放者』のリーダー。
 常に飄々とした笑みを浮かべた気さくな雰囲気の人物。だが必要であれば嘘や騙し、ミスリードの類を躊躇わず、己が欲望のための手段を択ばない策謀家でもあるため、本当の顔は伺い知れない。
 自らが擁するFHセル自体が新興の組織のようだが、どうも他セルの興亡の中で巧妙に立ち回り勢力を伸ばしており、現在引き起こされているFHセル同士の小競り合いを利用して、順調に組織拡大を進めていた。 

SYSTEM :

 …正体はイギリス直属のオーヴァード結社『ラウンズ』の一員。
 その銘は裏表なく、無駄なしの弓使いトリスタン。 

SYSTEM :

 アラブ系の出身であるがイギリス育ち。貧困、差別、偏見、海一つ隔てると変わる常識の中で生き抜いて来た黄燎。
 ヴェルーシュ、ひいてはイギリス暗部から『イタリアの情勢を安定させない=優勢のFHに纏まる機会を与えない』ことを命題として送り込まれたスパイ。

 ただアーキルにはアーキル自身の後述する目的があり、彼自身はFHを通してゼノスやギルド、ありとあらゆる内外も『壁』も問わない力を求め、
『壁』を厭うような様子が見受けられる。風の移り変わりを望み、停滞を嫌う風雲児。または解放者。または無法者。 

SYSTEM :

 たまたまオーヴァードだったこと、また当時現在よりもさらに“寛容”とは無縁な頃のヴェルーシュから「野心」を察知され手駒として抱えられたこと、幸運が上記のすべてを免れたが、同時に“そうでない”がため現代社会に飲まれてきた者たちをいくつも見てきた。

 その結果、彼は良くも悪くも「人間の善性」にはある程度の見切りをつけているが、一方で”だからこそ”、レネゲイドによって生み出されたオーヴァードを「次の時代の狼煙」と捉え、中にある変化と閉塞の兆しを打破するために、あらゆる勢力との見聞を持ちたがっている。

 以上を以て、彼は『組織』という型に己を嵌めることそのものを放棄した。本質的所属は“どこでもない”し“どこにも魂を置かない”が、“どこでも手を繋げる”のである。

SYSTEM :
 その結果…。
 彼は「対話を行うレネゲイド=レネゲイドビーイング」を『共存か同化か殲滅か、いずれかを選ばないとならない次の知性体』として捉えるに至り。
 ・・
 それを己の命題とした。 

SYSTEM :

              ・・
 遺産『雷神の槌』入手目的は解放。 

SYSTEM :
 彼は遺産の入手後、なんの躊躇もなくこれを『使用』することで破壊的な現象、または“隠蔽しようのない状況”を作り上げ、
 世界の壁を出血さえ厭わず破壊。

「問題解決の可能性があるうちに、問題を可能な限り多くに突きつける」ことを望んでいる。
 ………なお、正確には望んで“いた”であり、“遺産”そのものに対する拘りは何もない。

SYSTEM :
 真意を巧妙に引き出し仕舞い込みながら、敵はおろか味方さえも騙すその手練手管の成せる業か、彼の下にはそれと合致しやすい、所謂『UGN上がり』や『現実に見切りをつけた者』、『RB』と言った逸れ者ばかりが集まって来たのだが、うちRBに対する交渉のおり、プランナーとともに『アイシャ』を発見。

 人だけではなくローマの内側を理解しようとするその姿勢の兆しを見て、彼は彼女を、穏当な“壁を取り除く手段の持ち主”として捉えており、彼がこのローマで試したいこととは「主義と骨子が「すべての人間」を受け入れられないレネゲイドビーイング」と共存し合うことが出来るのかどうか、という一点に集約されている。 

SYSTEM :
 そして彼は遺産の性質「のみ」を知っていたため、レネゲイド全体にアイシャを、アイシャにレネゲイド全体の意思を伝え合うための『触媒』またはエネルギー源として遺産を使うことで、彼女の持つ意識を広げ…。
 ほかのレネゲイドが持つ“人間を理解したい”という性質を、多くの可能性を『赦す』形に変えようとしていた。

 そのため『それ』を持つアイシャの消滅後、彼は本来の目的である“レネゲイドビーイングに対する時間の限られた問題を世界中に無理やりでも直面させる”方に意識をシフトすると考えられる。 

友好条件 :
 アーキルは下記の条件をすべて満たした際に『友好』NPCとなる。

・フェーズ2以降
・『御手翳す開放者』と友好関係を結ぶ

敵対条件 :
 また、以下の条件で『敵対』NPCとなる。

・フェーズ1、OPイベントで「アイシャ」が殺害される

SYSTEM :
友好となった場合は、下記のカードを獲得する。

SYSTEM :
[“黄の希人”]
. アッワル・リフ・タイル
・変革を告ぐ翠風(Phase/1)
 指定したすべての「PC」または「NPC」が行った、
 セットアップ・メイン・クリンナップいずれかのプロセスひとつの判定について、
 その達成値を一度だけ+[12]する。

カダル・ナジュム・ダウ・ダナブ
・巡りし刻の落星(Scenario/1)
 指定した一名のPCが次に行うメジャーアクション中、全てのエフェクトレベルを+1する。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・ミドルフェイズ(フェーズ2/続き)

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 
 経験:夢 
 はじまりは見限るための夢だった。
 だから彼女は彼を拾った。

 …その道程が同じとは限らない。
 夜空にどんな星を見出すのかさえ。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 セットアッププロセスに移行します。
 情報判定/調達判定が可能です。  

“黄の希人”アーキル :
同盟締結後も流れは依然変わらずだが…。

“黄の希人”アーキル :
何かあれば呼んでくれ。
貸しと借りが限度をブチ抜くまでは
笑顔で参上するともさ。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
…そうそう。これは独り言なのですけどね?

“血穢の蓮花”盧秋華 :
思い切って景気よくムダ遣いしてみるのも
いいんじゃないかしら

アレウス :
ではムダ遣いにならん事を祈らせてもらおう。
仕事だ、ルー。

アレウス :
このラウンドが終了した際の話だ。
ここから"何か"起きる事はあるか。
そしてそれが起きるのであれば……ある程度、予測は出来るか。

アレウス :
その為にお前の[インスピレーション(Scenario/1)]の使用を宣言したい。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
触りにいく神の祟りを確かめろというのね? お安い御用。

SYSTEM :

【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

・インスピレーション(Scenario/1)
 シナリオ中の疑問をGMに質問できる。 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
 ………。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
良い商品は買い手がつく
 皇 帝 女 儿 不 愁 嫁 、ね。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
…ま、それだけじゃあないけど。

アレウス :
ほう……?

SYSTEM :
【Check!】
『インスピレーション』の発動結果を記載します。 

SYSTEM :
※記載内容は情報タブをご覧ください。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
 鬼ヶ島を覗きに行った時のコね。

アレウス :
鬼よりも蛇よりも、悪魔が覗いたといったふうだな。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
 悪魔がどっちになるかしらね。
 例の二人、扱い方は…

“血穢の蓮花”盧秋華 :
 仕留めに行かないなら早めに決めたほうがいいわ。
 あのコに死んでこいって言うかもね。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
 ボス、私と似たもの同士じゃないものね?
 期待しているわ。

アレウス :
それをするには遅すぎたな。今からやるんなら、お前もAも俺も道連れにせにゃならん。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
 あらあら。
 じゃ、根無し草に戻るのはお預け。

アレウス :
そういうことだ。

アレウス :
さて……参ったな、どうする。貴様ら。

“七花胡” :
思わしくありませんが、事前に分かったことだけは幸いでしょう

“七花胡” :
……駄馬! 仕事の時間です。

“アセルス・デスミオス” :
 うぃーっす。おっさんは…。

“アセルス・デスミオス” :
 念のため聞いとくけど“どっち”の?

“七花胡” :
当然でしょう。我々にとっての最大の害悪、生かしておくわけにはいかない溝鼠の方。

“七花胡” :
ギルドの行動の偵察を。

“アセルス・デスミオス” :
へいへい。聞いてみただけよん。 

“アセルス・デスミオス” :
んじゃひとっ走り行ってきまさ。
通信帰ってこなかったら二号探してちょ。

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。 

・壁に耳あり(Round/1)
 指定した自分以外の勢力1つについて、
 クリンナップ中の動きを予測する。 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
【Check!】
『壁に耳あり』の発動結果を記載します。 

SYSTEM :
※記載内容は情報タブをご覧ください。

“アセルス・デスミオス” :
 傍観から「不利益」の排除ってトコかな?
 おっさんが思うに、均衡が崩れりゃ後はこっちのもんって感触みたいねえ。

“アセルス・デスミオス” :
 ………。

“アセルス・デスミオス” :
 こいつら“黒鉄の狼”はどうすんだか。
 殺れる認識?

“アセルス・デスミオス” :
 以上、幸運にも死に損ない帰還しました。
 もしもおっさん二号を用意してたら教えてちょ。

“七花胡” :
さてね……落ち目の青に、狼の首が取れるとも思えませんが。

“七花胡” :
御苦労。働きに免じて、スペアは取り出さないでおいて差し上げますよ。

“アセルス・デスミオス” :
そりゃ良かった。首の皮一枚も大事に扱わにゃあな。

ラーゼス :
……。予定を変えるようだな

ラーゼス :
また“アセルス・デスミオス”の助けを借りて、ギルドの構成員について調べよう。よいか?

“アセルス・デスミオス” :
喜んで露払いを勤めさせていただきます(キリッ)

“七花胡” :
万が一これに粗相があれば捻り上げてくださって結構。

ラーゼス :
そうする。ただ、彼はいつも紳士的だ。心配は無用だろう

“アセルス・デスミオス” :
おっさんにも身についたT・P・O…

GM :
さて…それでは判定をどうぞ!

ラーゼス :
わかった。〈情報:裏社会〉で判定する。……友好ボーナスは判定値に+5だったな

ラーゼス :
4dx+1+5 (4DX10+6) > 9[4,4,6,9]+6 > 15

“アセルス・デスミオス” :
おみごと。無事なうちはサマサマってトコだねえ。

ラーゼス :
貴公とアーキルたちのおかげだ。ありがとう

“アセルス・デスミオス” :
フッなんのこれしき…。(可能な限り気取った声)

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています...  

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントはありませんでした。
 シーン展開を希望しますか? 

ラーゼス :
希望する。思えば仔細を知らぬ相手だ

SYSTEM :
【Check!】
 シーン展開の希望を確認しました。
 セットアッププロセスの判定確認後、シーンを展開します。  

夏瑞珂 :
ローカルアイテムの詳細……ボスの置き土産について調べるわ 

GM :
 ふむ…畏まりました。

GM :
 目標は〈知識:レネゲイド〉/10となります。ボーナスをお忘れなく。

GM :
 また、何か宣言ございましたら
 判定前にどうぞ。

夏瑞珂 :
アハ~ 真っ黄色!

夏瑞珂 :
4dx+5 (4DX10+5) > 9[4,6,9,9]+5 > 14

夏瑞珂 :
くるり~ん

“Mr・A” :
 フハッ! どうやら置き土産の正体も掴めそうだ。

“Mr・A” :
 まァ安心したまえよ。古今東西…人は理由なく無駄死にするが…。
 残したものの意味は、見た者が“ある”という限りあるのだからね。

夏瑞珂 :
ぷい

“Mr・A” :
 オヤ? お気に召さなかった?

夏瑞珂 :
しらな~い くるくる~

アレウス :
ミクサだけだな、馬が合ってるのは…

“Mr・A” :
 フゥム。

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています...  

SYSTEM :
【Check!】
 シーン発生を確認しました。
 セットアッププロセス終了後、シーンを展開します。  

“Mr・A” :
 残るはお二方だ。どうだい。

アレウス :
そうだな。

アレウス :
“不朽讃えし懐刀”を調べる。

“Mr・A” :
 ………フム。

GM :
 この情報は…。
「情報:軍事」をあなたが使用した場合無条件で成功します。

GM :
 そちらでよろしいですか?

アレウス :
そうしてくれ。

GM :
 畏まりました………。

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています... 

SYSTEM :
【Check!】
 イベント発生条件を満たしておらず、発生するイベントはありませんでした。
 シーン展開を希望しますか? 

アレウス :
…。

アレウス :
希望はしよう。

“Mr・A” :
 ナルホドね。

“Mr・A” :
 失われた王の盾。
 是が非でも覗きに行こうではないか。

SYSTEM :
【Check!】
 シーン発生を確認しました。
 セットアッププロセス終了後、シーンを展開します。 

“七花胡” :
では、自分の番ですね。

“七花胡” :
まずはいつも通り……天秤の使用宣言を先に。保険です。

GM :
恙なく! 続きましては?

“七花胡” :
手帳……《ミーミルの覚書》を、コネ:情報屋(裏社会)に置換します。

GM :
こちらも問題なく。

“七花胡” :
そのうえで、"ワイズマン”の項目を調べたく。コネに置換した覚書も使用します。

GM :
 畏まりました。それでは…。

GM :
 判定を…どうぞ!

“七花胡” :
7dx+5 情報:裏社会 (7DX10+5) > 9[1,5,5,5,5,8,9]+5 > 14

“アセルス・デスミオス” :
 所詮この世はゼロとイチ…
 失敗と成功

“アセルス・デスミオス” :
(あっいっけね 変な音鳴ったな)

“七花胡” :
最も重要なところで失敗しないための段どりです。

“アセルス・デスミオス” :
 石橋は尚も叩くってワケよねぇ。

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています... 

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントはありませんでした。
 シーン展開、または「ギルド構成員」との統合展開を希望しますか? 

“七花胡” :
シーン統合も含め、お願いします。

SYSTEM :
【Check!】
 シーン発生を確認しました。
 セットアッププロセス終了後、シーンを展開します。 

SYSTEM :
【Check!】
 セットアッププロセスの判定を全て確認しました。
 “ラッシュライフ”を使用しますか?
(※使用時のリスクは情報タブをご参照下さい)   

記者? :
 ………。

記者? :
(ここでアピールすると面倒くさがられるからな…)

“七花胡” :
おや ちょうどいいところに手隙の方が

“七花胡” :
せっかくなので一仕事、お願いしちゃいましょうかねえ……♡

記者? :
 くっ…! 落ち着け!
        ナイテイ 
 あんな安っぽい挑発に乗るな!

記者? :
 馬鹿にしやがって! 行くぞ!
 うおおおおおっ!

記者? :
【Check!】
・取材を希望する方がいるなら俺だって輝きますよ! 

記者? :
【Check!】
 アメリカにもNPCカードがありましたよ…
 このシナリオとは比べ物にならないくらい
 立派なやつがね…

・ラッシュライフ(Round/1)
 1人分のPCが追加でセットアッププロセスを行うことが出来る。
 …ただし彼は非常に考え無しで、口が軽く、更に無神経で不用心なため、
 セットアッププロセス終了時に生存していれば「そのセットアップで行った行動」が全ての勢力に伝わる。
 これによって、セルリーダーごとに異なる(場合によって不利益な)判断を取る可能性がある。 

記者? :
【Check!】
・ルージ君!
 セットアッププロセスはレベルが高すぎて君にはまだ無理だ! 

SYSTEM :
※任意の宣言をお願いします。

“七花胡” :
(なんかこいつうるさ……)

“七花胡” :
(まあいいか 使えれば)

“七花胡” :
では、“青の貴人”の項目の調査をお願いしたく。

記者? :
【Check!】
・でもそんなことはどうだっていいんだ
 重要なことじゃない 

記者? :
(そうだった…。
 もう一つのローマでの取材が激しかったから…)

記者? :
(クリスティの一人娘の事を忘れていた…。
 うっかりしてた…!)

記者? :
(俺はなんてひどい事を…!)

SYSTEM :
※任意の宣言後に判定を行ってください。

“七花胡” :
……情報:FHで。コネ等はありません。覚書は先ほど使いましたのでね

記者? :
 何だっていい!
 賃金をもらうチャンスだ!!

“七花胡” :
5dx+5 情報:FH (5DX10+5) > 7[1,2,5,6,7]+5 > 12

記者? :
(みんなテンション上がって
 すっかり忘れてるみたいだけど…)

記者? :
(これさっきの判定が開いてなかったら失敗じゃないか!)

記者? :
【Check!】
・楽しい判定でしたね… 

記者? :
【Check!】
・シーンを発生させた場合俺が現れますよ!
 “七花胡” さん!(修正済み)

“七花胡” :
かすりもしないさ行で間違われた気もしますが……まあいいでしょう

“七花胡” :
シーンは……まあ……お願いします

記者? :
【Check!】
・彼に対する感謝の気持ちは、
 言葉では言い尽くせないですよ… 

SYSTEM :
※『不朽湛えし懐刀』の情報シーンとの統合が可能です。 

SYSTEM :
※その場合でも「青の貴人」にまつわる情報を調べたことのみが他勢力に伝わります。

“七花胡” :
統合で構いません。

記者? :
【Check!】
・しっかりやらなきゃな… やばい! 
 ドキドキしてきたぞ… 

SYSTEM :

夏瑞珂 :
アッハ! じゃ~あ~

夏瑞珂 :
このひと、もういいのよね?

“七花胡” :
はい。お好きに。

記者? :
え?

アレウス :
構わん。

夏瑞珂 :
用済みね! じゃれついてからポイしてあげる!

SYSTEM :
【Check!】
・用済み(No Limit)
 クライド・オルドリッチのカードはいつでも破棄できる。
 この際の破棄手段はシーンを展開するプレイヤーが生死を問わず任意に決めて良いが、登場時の侵蝕率は必要ない。 

夏瑞珂 :
捨てちゃいます えい

記者? :
【Check!】
・お、俺は…イタリア人が…使ったらポイ捨てみたいな醜い心を持ってるなんて…思いたく…う、ううっ… 

夏瑞珂 :
どっか~んっ

“七花胡” :
たまや~

SYSTEM :
【Check!】
・”ラッシュライフ”がゲームから退場します。
(※退場内容はプレイヤーに委任されます) 

アレウス :
 Nescit vox missa reverti.
放たれた言葉は戻る事を知らない…

アレウス :
ま……ありきたりな終わり方だな。


・シーン「情報収集(“ギルド”)」

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 
 邂逅:勝利
 ────────────。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ギルド。
 ローマの端から端までをうごめく闇の名である。

SYSTEM :
 情報伝達の量と速度において、あらゆる公的機関が想像も出来ない個人主義の恩恵と問題点を抱えたこの組織は、組織の例にもれず一枚岩ではない。

 日本で活動する“スモーカー”を含めた全体の共通項は利益であり、彼らは死を売り物にし、“半分人間”さえも市場価値を見出した。
 そんなギルドについての調査は、常に”アセルス・デスミオス”に一任されていたが、彼がどんなオーヴァードだとて、何もないところから情報を手に入れられるほどの魔法は使えない。

SYSTEM :
 だが下働きの世知辛いこと。
 ・・
 無理、という言葉に価値はないものである。予算と、その緩衝の際、ほかのFHを使うにあたっての“脅迫”となる武力を傍らに侍らせた彼の交渉術は、FHセル数軒分に及び…。

“アセルス・デスミオス” :
「ほんでね大将よ。あとレディよ」

“アセルス・デスミオス” :
「釈迦に説法と思うんですけどね? 見境なく暴れる連中ってね、敵を作りやすいの。恨みを買うってのかな」

“アセルス・デスミオス” :
「そういうのを別のFHからの用事装って、アシつかん感じで呼んだワケなんですけどね」

SYSTEM :
 彼の話は終始真顔で向いており。

 その張本人は、元気に、にこやかに笑って口を開いた。
 ───事前のアセルスの話を回想するに曰く。

SYSTEM :
 誠意以外はなんでもある男、現代の海賊、FH版マーチャント。

『ブローカー』 :

「はじめましてお二人方。
 ココロヅケ
 仲介料に心を打たれてやってきた」

『ブローカー』 :

「そちらのレディ、
 あいさつ代わりに私のお願いを聞いておくれ」

『ブローカー』 :

「───前髪を、伸ばさない?」

SYSTEM :
 アセルスの視線がさらに上を向いた。
 名は一切名乗らず“一時間だけ親友で、そこから先は赤の他人だ”と語った、どこかの取引人であるという。

ラーゼス :
「すまない。今もすこし鬱陶しいのだ。
 できることなら切りたいと思ってすらいる」

『ブローカー』 :
「そう言わずに…と言いたいが、
 無理強いをしては育つものも育たないからね」

『ブローカー』 :
「概念的ポイントで満足しよう、時間付き親友の貴女。
 なぜなら私もゆっくりと本場の珈琲に舌鼓を打つ時間がなくてね」

ラーゼス :
「貴公の望みに添えなかったな。この片方で満足をしてくれ」

“七花胡” :
「いやあ、いくらなんでも律儀に対応しすぎですよ貴女……」このテのは適当にあしらっときなさいよ

『ブローカー』 :
「うん。マイノリティの接し方だが、きみそういうタイプっぽいな」

『ブローカー』 :
「ますます会えて良かったよ。
 名前は聞かないけど、教えてくれたら1時間の間は必ず覚えておこう」

“七花胡” :
まさか名乗るんじゃないだろうな?の顔

ラーゼス :
「ラーゼスだ。貴公は『お友達』殿と覚えおこう」

“七花胡” :
名乗った……まともに名乗りもしない奴相手に、律儀に……

ラーゼス :
なぜか『わかっている』と言いたげにうなずいた

“七花胡” :
分かりますよ これいますごくすれ違ってますね?

『ブローカー』 :
「グッド、いい判断だラーゼス殿。
 その律儀さは9割で損を買うが、1割で得を買う」

『ブローカー』 :
「今がその1割かは保障しないけどね。
 まあでも? こっちは取引で来てる上に…領分破りを始末しようという心意気に打たれているんだ。話させておくれよ」

SYSTEM :
 なおそのすれ違いを彼はわかっていて流している。“律儀な相手”とでもいうか、あるいはストレートしか投げてこない相手の接し方にこなれている仕草だ。

“アセルス・デスミオス” :
「おっさんの信用はフリーフォールしていきそうだけど、その筋じゃ『お友達』の名は伊達じゃないからねえ」

“アセルス・デスミオス” :
「しかし御宅、ギルドのことそんなに嫌いだったっけ?」

『ブローカー』 :
「とんでもない。友達になれると思うよ、趣味が合う」

SYSTEM :
 ───アセルスはそれを聞いて肩を竦めた。

 事前に七花胡に、彼はこう伝えている。

SYSTEM :
 趣味が合った相手に限って、
 この男は関係を長続きさせない。

“七花胡” :
 なるほど、これでこの男も溝鼠に負けず劣らずの畜生であることが確定した。
 似た者同士だからこそ早急に殺す。それが「気に入らないから」なのか、「玩具の取り合いになるから」なのかまでは、畜生それぞれなので深追いはしないでおく。
 元来、人畜有害さ加減では自分も人を嗤えないのだ。

“七花胡” :
 しかし今の問題は彼の趣味ではない。一時間足らずの『お友達』の趣味に口をはさむ義理はない。
 蛇の道は蛇という。フィールドを同じくする畜生ならば、溝鼠の食性もその身で知っていようという、ある種の信頼だ。
 こればかりは、日本にいる自分には手も舌も届かない部分である。

“七花胡” :
「趣味があうから……欲望が一致するからといって、互いに手が取り合えるわけではない。
 だから御宅も、溝鼠連中に一杯食わされたか泥でも引っ掛けられたのでは?」

“七花胡” :
「心付けに対して色を付けて返してくだされば、連中への腹いせのひとつくらい、オマケするにやぶさかでもありませんよ?」

『ブローカー』 :
「ははは。泥と汚れだけで憤るなら、外出るべきじゃなくない?」

『ブローカー』 :
「よほどママかパパの教えが良くなきゃそうはならんだろうさ。
 ああでも? 心配しないでいいよ、私はこう見えて気前のいいお兄さんだ。手持ちの許す限りは払ってあげよう」

『ブローカー』 :
「…ただね? 先言っとくんだが」

『ブローカー』 :

 When you have eliminated the impossible,
「ありえないことを排除したあとに残ったものは、
 whatever remains, however improbable, must be the truth
 どんなにありそうにない奇妙なことであっても、それが真実となる───」

『ブローカー』 :
「私のする話はだいたいそんな感じだ。
 イミがわからないと思った部分は流してくれていいよ」

ラーゼス :
それだけ荒唐無稽に映る話ということか。顎をさすってから、うなずく。

“七花胡” :
「我が家は綺麗好きなのですよ。
 何が混ざっているかわかりもしない余所の土を、気軽に持ち込むわけにもいかなくてね」

“七花胡” :
「さておき……成程。
 まあ、何処からどう”ありえない”のかは、聞いてからでなければ判断しかねるといったところですが」

“七花胡” :
「前置きするだけの意味が、貴方の話にはある。
 と、そう受け取っておきます」続けてどうぞ、のしぐさ。

『ブローカー』 :
「へえ、環境保護がお好きか。
 アジアの最先端にしてもっともなことだ」

SYSTEM :
 続けてどうぞ、に遠回しの首肯。

『ブローカー』 :
「───ギルドの一番の利点は何だと思う?」

“七花胡” :
「……利点」考えるように一拍置き、

“七花胡” :
             かみさま
「お金という唯一神以外に、主義主張を必要としないところ。
 言い換えれば、財布さえ許せば誰とでも手を組める。ですかね」

『ブローカー』 :
「グッド、概ね正解だ。
 かみさま
 主義主張にこだわらない代わりは、
 実績にこだわるのが連中でね」

『ブローカー』 :
「FHも自浄作用があるわけじゃない、UGNも…。あー、経験則上わりとピンキリなんだが…まあ平均値一番マシかな…」

『ブローカー』 :
「まいいや。ソコと比べたら白河だ。

 するとそこに集まる人間のパーソナリティは問われない。
 シャドウランナー
 否認可能な人材は簡単に手元に揃うし、潜り込ませられるし、利害”だけ”でも合う相手はカンタンに見つかる………」

『ブローカー』 :
 ・・・・・・・・・・・・
「ふつうあり得ないようなのが、さらっと波風立てず使える、でいいかな。

 きみ、狡い話聞くけどさ…」

『ブローカー』 :
「だいたい10年から15年前に活動開始した以外、一切経歴探れない…。
      ノ  イ  マ  ン
 そんなスパコン頭に突っ込んだ工作員なんて…。正気で使うかい?」

ラーゼス :
すこしの間考え込んでから、視線を胡に流す。

“七花胡” :
視線を受け止める。それから、首を横に振る。

“七花胡” :
「もう少し使いやすくて切り捨てやすい、披けた駒を使います。
 駒選びでわざわざリスクを負う必要が無い」

“七花胡” :
「相当に追い詰められていると仮定しても、そういうねじ自体持ち合わせのないような連中は、最後の最後まで選びたくはありませんね。極力」

『ブローカー』 :
「そうとも、弱み握るための人材に首輪つけないなんて、今日び日常生活でもやらんからね」

『ブローカー』 :
「つまり、だ…」

SYSTEM :
 彼が言いたいのはこうだ。

SYSTEM :
 そちらから頂いたギルドの調査対象は、
 ・・・・
 どちらもその手合い。
 来歴やパーソナリティについて、すべてを探り切れる位置にいないような人間だ、と。

『ブローカー』 :
「といっても片方は掴んでるよ。まあ、噴飯モノだけど。
 てなワケで、もう片方から行くんだがね」

SYSTEM :
 彼は大っぴらに、貸切った店の一室で、二人ほどの写真を出した。
 ひとりは見覚えのある、総髪と和装の青年。
 もうひとりの女は、齢十代。心当たりがあるとすれば………。

 あのリグ・ヒンサーの拠点で“交渉”を持ち掛けてきた女くらいだ。 

『ブローカー』 :
「その“ソフィア”ってのがちょっとクセがある。
ジャブ
 小話からやろう」

ラーゼス :
「“ソフィア”……イザナギという男に声をかけていた女のことか」

“七花胡” :
「でしょうね。其方の方が、幾分か交渉する気はある……という様子でした」

“七花胡” :
「彼らの通信を横から聞くような形ではありましたがね。その"ソフィア”が?」

『ブローカー』 :
「らしいね。
 そいつ、顔そのものは大して隠してないんだよ。言っても手間だけど」

『ブローカー』 :
「当てつけみたいに名前に法則性もある。
 大筋つながっているのも、こいつはギルドじゃない。
 ・・・・・・・・・・・・・・・
 ギルドと仲良くしているどいつかだ」

『ブローカー』 :
「で、後で話すが…欧州の元締め気取ってる、ワイズマンっていうのとつるみ出した時期を考えると…。
 こいつとワイズマンは同じトコから来てる。イザナギはその“同じトコ”が選んだ実働って感じかな」

SYSTEM :
 ───ギルドと仲良くしているどいつか。
 そして“そこまでの隠蔽力と影響力”を伴う人間。

 その答えは。
 あなた
 七花胡しか存じない。

SYSTEM :
 厳密には容疑者の話になるし…。

 掘り下げるべきかといわれると、
 この場では間違いなく“否”であるが…。

ラーゼス :
「同じところ……か」

ラーゼス :
「なるほど。貴公の言う『ギルドの利点』ということだな。
 まとめてしまえば、ただの金だけで繋がった犯罪者の寄り合い──」

ラーゼス :
「つまり金さえあれば、それを使い、『どちら』にも潜り込めぬ者たちの隠れ蓑になりうると」

『ブローカー』 :
「グッドだ。その判断でいい。
 金さえあれば、利益になれば、自分の都合が良ければ…」

『ブローカー』 :
「友誼でも信条でもない。それが手を繋げるルールさ」

『ブローカー』 :
 ウチ
「FHは似てるが、似てるだけだ。そうじゃない。
 蝙蝠の理想に靡くヤツは、金が欲しいワケじゃないし」

ラーゼス :
 シンジョウ
「欲望なき欲を受け入れぬ……。
 たしかに、違うように思う。ひとりとっても、軸とするものが千差万別だ」

ラーゼス :
 ここまででも多く見てきた。
 3つのセルでも重きを置くものは違い、それに拠らぬものは排斥される。
 ある意味で、理想に魂を売ったものたちがFHだと──己は受け取った。それとはたしかに毛色が違う。

“七花胡” :
 ギルドとの癒着が疑われていて、なおかつ彼らに“出資”できるだけの影響力と財力を持つ者。
 そんな心当たり、一つしかない。

“七花胡” :
「(ジョン・ランカスター……あくまでも容疑者ではありますが。
  師によれば、彼が姿を晦ませたのと、“ワイズマン”がギルドに加わったのは同時期の出来事です。ソフィアとやらも其処に絡んでいるのでしょう。
  水面下で接触があった二者が、タイミングを合わせて深く潜ったのだと推測する方が、自然ではあります)」

“七花胡” :
 とはいえ、“隻獅子”……ラーゼスさんの前で、“ギルドと仲良くしているどいつか”の推測を、ここで口に出すわけにはいかなかった。
 彼女の立場はどうも『此方』寄りらしい。というか、当人にそんなに隠す素振りがない。
 その推測を知ったとて利用するとは考えにくいが、生じた疑心が彼女自身の立ち位置を揺るがせにするようなことがあってはいけない。
 そういうささくれが、ローマという街においては致命傷に成り得る。

“七花胡” :
 秩序に近いからこそ余計に明かせない。
 口封じを試みるのも不誠実であるのなら、端から知られるわけにはいかなかった。

“七花胡” :
「欲望はなくとも、目的はあるのでしょう?
 ソフィアがワイズマンとつるみだした目的……ひいてはローマに目を付けた目的が」

『ブローカー』 :
「気が早いな。気遣ってくれたのかい」

『ブローカー』 :
「まあ、結論から言おうかな。
 このソフィアっての、ワイズマンと心中するつもりはなさそうだ。
 つるみ先は同じでも、欧州に根を張った“こいつ”とよろしくやっていても………」

『ブローカー』 :
 ・・・・・・・・・・・・・
「自分がやけどするタイミングには絶対に引っ込むよ」

SYSTEM :
 彼がその事情を知っているかどうかは定かでない。

 だが、意味合いは変わってくる。
 ローマに目的があるとすれば、それはワイズマンの方で、彼女はあくまでも“送られてきた側”にウェイトを置いている、ということだ。

『ブローカー』 :
「…で、やけどするタイミングっていうのは、だ。
 自分の関与について、リスクがリターンを上回る時。そうだな」

『ブローカー』 :
「動かせる駒がなくなる時、こいつは矢面には立たない。なんでか知らないけどね。

 ギルドの余計な接触を断ちたいなら、コイツと…その”駒”を叩けばいいのさ」

『ブローカー』 :
「“イザナギ”が、ソレだ」

SYSTEM :
【Check!】
 情報『ギルドの構成員(ソフィア)』を開示します。 

SYSTEM :
【人物:『ソフィア』】
 ブリード:クロス
 シンドローム:ノイマン/エグザイル
 ワークス/カヴァー:?????/意味はない
 侵蝕率:118%? 性別:女性 年齢:外見10代

SYSTEM :
 個人的パーソナリティ、その詳細は不明。

 毎回その名前も立場も含めたあらゆる要素が変貌しており、正体はどこにも残されていないが、
 その活動経歴そのものはレネゲイド解放後から、また10年以上前からの活動であると考えられる。
 なお、本人的に拘りでもあるのか、この名無しは必ず“いずれかの国や地域にとって「どこにもいる」名前”を選ぶ。

SYSTEM :
 如何なる理由かギルド以外のほぼ全て(おそらくゼノスのみ手が回っていない)であれば、どこにでも潜り込んで活動し、情報工作および交渉の立場を担っていた。
 しかしギルドにも正確に籍を置いているわけではないようで、彼女の関与する先があるとすれば、
 それは「ギルドに助力している、高い影響力と資金力を伴う何者か」だろう。

SYSTEM :
 データ上、『アンタッチャブルL20』『ミスリード』『組織崩壊』『Dロイス:工作員』を所持しているものとして扱う。

 彼女のデータはシナリオ中判明することはなく、また、その必要性もないが、
 『イザナギの死亡』を以て契約を果たしたと見做し、シナリオから退場するものとする。

SYSTEM :
 襲撃やFSにおける戦闘においては、イザナギに対し、上記以外のものも含め、一部の所持するエフェクトを使用することが出来る。
 代わりに、直接戦闘には参加しない。

“七花胡” :
「……なるほど。ワイズマンとソフィアは、たまたま目的が合致したから徒党を組んでいるだけである、と……」

“七花胡” :
 ソフィアの本当の狙いは不明。それを明らかにする糸口があるとすれば、彼らの後ろについているバックボーンのみか。
 だが、それでは本末転倒だろう。枝葉のために根を探すようなものだ。重要なのは此方ではない……。

“七花胡” :
「イザナギ以外にもソフィアの駒はいるのでしょうが……いずれも彼に比べれば雑兵の類でしょう。
 少なくとも彼さえ退けてしまえば、ソフィアは表立ってローマに介入する手立てを喪う」

“七花胡” :
「とはいえ、ワイズマンが彼女に駒を貸し与える可能性が残っているのでは?」

『ブローカー』 :
「なくはないよ? ただ…」

『ブローカー』 :
「其方さんが相手の全部の行動にケア出来るくらい余裕あるわけでもないなら、無視していい可能性だ。

 御友達として、心意気のために付け加えてあげるが…」

『ブローカー』 :
 ・・・
「そいつにとってはローマでやることが全部じゃないからね」

“七花胡” :
「ローマはあくまでマルチタスクのうちの一つ、ですか。
 そうしましょう。御親切にどうも」全くイヤな話だ。

『ブローカー』 :
「そゆコト。スポンサーと独立する企業人の関係かな?
 ソフィアは前者で後者がワイズマンだ。

 連中に長年の付き合いで”まけ”るカネ、ないしね」

『ブローカー』 :
「さて、ジャブの続きに入ろうか。
 その“イザナギ”の話をする前に…」

『ブローカー』 :
「………ちょっと昔話をしよう。長いときみらも困るだろ、単純なやつね」

ラーゼス :
首を傾ける。

ラーゼス :
「昔話?」

『ブローカー』 :
「うん、昔話」

『ブローカー』 :
「ニホンにさあ、神城グループってのがあるんだよ。
 知ってる? 特にレディはニホン育ちじゃないよな?」

“七花胡” :
「自分は存じていますよ。日本に居た時期もありますから」居るどころではないが。

ラーゼス :
「カミシロ……」

ラーゼス :
「……名だけは聞いたことがある。高名な企業だと」

『ブローカー』 :
「おや。わりと手広いな連中…。
 まいいや」

『ブローカー』 :
「こいつらがいま、国内財閥でデカい面してるのは…。
 その昔、ちょっと前までニホンの与党幹事長やってたやつと、
 中国で領有権主張して好き放題やってた男がいいトモダチだからなんだが」

『ブローカー』 :
「そのいいトモダチってのが、そのグループの先々代会長なわけ。
 要は『友達の会社だから忖度してやろ』ってなってたんだよ」

『ブローカー』 :
「その先々代会長、神城じゃちょっとどころじゃない有名サンでね。やることなすこと滅茶苦茶な男だったんだと。

 強引で、豪快で、残酷なビジネスマンだったが、それと同じくらい、どこで覚えてきたか分からないくらいの刀の達人だったそうだ」

『ブローカー』 :
「人物の評価は置いとくよ。

 大事なのは、こいつね…。
 年食ってから、裏の世界で別の呼び名がついてたんだよ」

SYSTEM :
 経緯を語らなかったのは必要がないからだ。

SYSTEM :
 この人物について必要なことは、
 名前と彼の”交友関係”にあるわけで。

『ブローカー』 :
 ・・・・・・・・
「マスターブシドー」

『ブローカー』 :
「───とっくにくたばって、今じゃたぶんほかのヤツが名前を継いでいるようだがね。

 その会長さん。
 現役は満州でやりたい放題やって、晩年はグループ置いてったあと世捨て人でやりたい放題やって…FHから”勘弁してくれ”って気持ちを込めて、ふざけた名前がつけられた」

『ブローカー』 :
「この爺さんね、現代社会で…。
 よっぽどオーヴァードになったのがオモシロかったのかな、FHだけ絞って辻斬りかましてたんだよね。

 当時じゃ外国のニホンなんて「サムライ」か「ニンジャ」だろ? だからズレた名前ついてんのさ」

ラーゼス :
「……マスター……」

『ブローカー』 :
「ん? レディの仕事同僚にいなかったかい」

『ブローカー』 :
「“ハーヴェスター”ってのだ。来るとき調べたが。
 マスターの名前って『その分野で右に出るもののないヤツ』に付くんだよ」

“七花胡” :
…………もしかして、これそっち方面でも厄ネタではなかろうか。
知っているだけで災いになりそうな話しか転がっていないのか、この街は?

“七花胡” :
……仕事だ。さておき。

ラーゼス :
「確かにいる。……いるが、ふたりめの話を聞くとは思わなかった」

“七花胡” :
「同感ですね。”マスター”の称号はそうありふれたものではないはずですが……よほどの剣豪だったと見える」

 ……支部長として神城と接触することはあっても、基本は外様だ。
 そんなとんでもない傑物を、耳にしたことさえなかったのは彼らの隠蔽によるものだろうか。

『ブローカー』 :
「案外探せばいるよ、ピンキリだからね。
 ………そこで、だ」

『ブローカー』 :
「まあ、わかってるとは思うんだが…。
 “イザナギ”が本人ってなワケじゃない」

『ブローカー』 :
「ところが…この爺さんね。中国のいまUGNでお偉いさんやってる別の爺さんとも、小手先レベルの交流があったんだよ」

『ブローカー』 :
「その別の爺さんは、あー…目的のための手段を選ばないタイプでね。
 自分で補えない強さを他人で補うことにも躊躇いがなかった。
 オーヴァードを、自分の“利益”に組み込むやり方のベテランだったわけなんだが…」

SYSTEM :
 その人物が誰なのか? 

 中国で、UGNのお偉いさんやっている老年などは、
 あなた
 謝花纏の知る限り一人しかいないからだ。
 そして、それに関する疑問を挟むより先に、彼が口にした内容は…。

SYSTEM :
 …確かに、人によっては忘れておきたい内容だった。

『ブローカー』 :
 ・・・
「だからよくオーヴァードの手駒を持ってるんだが………。
 もとからいる人間を組み込むのって万全じゃないからね。別の方法を試したことがあった」

『ブローカー』 :
「きみら見たことない?
デュプリケイト
 複製体だよ。オーヴァードの中に、たまにいるんだ」

SYSTEM :
 社会では表沙汰にならない。
 なるわけがない。

 そんな技術は基本的に現時点で人が追い付かない。

SYSTEM :
 だが、それは人の社会の話だ。

 オーヴァードは数十年程度は“技術”を縮めた。ましてやその総本山の片割れにできないはずはない。
 いつからか、ともかく。

『ブローカー』 :
「その嘗ての交友関係がふざけた名前貰ってるって知って、ちょうどいいとか思ったのかな?

 神城先々代会長のクローンができた。ホンネ知ってるのかもね、御しやすい暴力装置を作ったのさ」

『ブローカー』 :

「───で。
 
 半年もしないうちに性根を間違えたのか、
 三行半」

『ブローカー』 :
 ・・・
「わざとかも…知れんがね?」

SYSTEM :
【Check!】
 情報『ギルドの構成員(イザナギ)』を開示します。

SYSTEM :

       かみしろ・めい
【人物:“イザナギ”神城冥】
 ブリード:クロス
 シンドローム:ノイマン/ハヌマーン
 ワークス/カヴァー:ギルドエージェント(FHエージェント互換)/人斬り
 侵蝕率:143% 性別:男性 年齢:外見20代

SYSTEM :

 欧州方面ギルドの用心棒。

 表では神城グループ先々代会長、満州国にて巨額の富と利権を得た開祖にして伝説であり…。
 そして裏では晩年にて世捨て人となり、出会う悪漢の悉くを皆殺しにした初代“マスターブシドー”…神城大和(かみしろ・やまと)の複製体。
 コードウェル博士の死後、龍卵を求めるにあたって動かせる手駒として“応龍”李文龍が手掛けた人造の塵殺剣であるが、
 刀の毒に取りつかれた彼は使い方の「温い」かつての主に三行半を突き付けた。あるいは、応龍の容認のもと。真相は不明。

SYSTEM :

 ───衝動、殺戮。彼にとって人を切るという行動は好悪ではなく呼吸である。
 障害を断つ魔剣のサガは、その原型と似て非なれども。
 その奔放ぶりにおいて、不幸なほど致命的に似通った。

SYSTEM :
 特定の事柄以外には無欲でズボラ、日中をうすぼんやりとした態度で過ごすことさえ珍しくない昼行灯だが、
 おおよそ泰平の世には受け入れられない役割の持ち主として生まれたこと、そしてこれに折り合いをつけて生きられないこと、その全てを自覚している。
 ・・・・・・・・・
 ならばいっそのこと…と、自らが必要な時期に自分らしく好き勝手にしているだけ。

SYSTEM :
 無欲かつ主義主張がないように見えるのも“戦う理由を決めることすら億劫”なだけ。
 彼は単に殺人許可証が欲しいだけであり、一般社会とかかわる必要性が薄く、それでいて“善悪で切る対象を拘らなくてよい”ところを欲したのである。

SYSTEM :
 ───イザナギの名は冥府を覗き生還したという神話からのものから付けられた。

SYSTEM :
【Check!】
 情報開示に伴い、対象人物の所在が判明しました。
 FSイベントの詳細を開示します。 

『ブローカー』 :
「ここで争ってるどのセルより、実働戦力は乏しいようだし。
 本腰入れて当たれば捕まえられるけど、あっちは情報戦大好きと切り合い大好きだ。

 向かってくると分かればどんなに時間がなくても、最低限歓待の用意はするんじゃないか?」

ラーゼス :
「……似せてつくったまがい物とは」

ラーゼス :
「生きる手足が欲しいからとて、残酷なことをする……」

“七花胡” :
「(より一層の厄ネタ……まあ、“応龍”は師とも仲の悪い御方。“ミリオンサンズ”の評議会入りの後援という噂もあります。
  そういうことをしていたとて、今更驚きはしませんが……)」

“七花胡” :
「(……これを知って無事いち地方の支部長に戻れるのか、其方のほうが気がかりです。
  全力で知らない振りをするしかあるまいか……)」

“七花胡” :
「……先の時も、彼は『遣われ足りない』と言って去っていきましたね。
 殺すために殺すのではなく、生きるために殺すタイプであれば、あの時と同じように相応に叩きのめせば退いていくでしょう。
 彼にとっては、戦場とは替えの利くものなのでしょうから」

SYSTEM :

 ───彼の話もここまで来ると荒唐無稽が過ぎるが。
              ・・
 実際のところ、応龍は確かに龍卵なるもののためには手段を択ばない。
 その満州の当時から交友があった(かなりの年の差はあったはずだが)とて、そう不思議でなく。
 神城グループの先々代会長、神城大和は、少しでも神城を知るなら、未だにその“神話”のシンパがいる人間だ。
 あとで裏を取れば、ちょっと情報に敏い人間ならすぐこの話が“釣れ”るだろう。

SYSTEM :
 なにより嘯いた男、その『ブローカー』は。
 こと情報剪定において“やらかせない”男が選んだ人間だ。

 張本人はあなた方の考察と推察に、変わらぬ微笑で応じた。

『ブローカー』 :
「ああ、でもね御友達殿」

『ブローカー』 :
「覚えておくといい。

 人の命を呵責なく奪える人間ほど、
 自分の命も簡単に捨てられるものでさ」

『ブローカー』 :
「ここはそういう社会であることだし。
 案外“ノセ”たら死んでくれると思うぜ、そいつ」

ラーゼス :
「獣よりも潔いな」

ラーゼス :
「だが、都合が良い……。互いに命を懸けるのであれば、望むところと言えよう」

『ブローカー』 :
「きみはきみで潔いな。
 時間があれば是が非でも、その目の如く秘めた熱を伺いたいところだったが」

ラーゼス :
「互いに時間がないようだ。巡り合わせだな」

『ブローカー』 :
「どうかな。いや、そうでもあるか。
 些事と大事じゃ時間のリソースって違うしね」

『ブローカー』 :
「…じゃ、最後だ。
 欧州ギルドの元締め、悪名高いワイズマン」

『ブローカー』 :
「どこかの誰かから餌を貰いながら、欧州じゃいろいろ好き放題していたようだね。
 ・
 噂じゃこいつの手先が戦場のゴミ処理業もやっていたと聞くが………」

『ブローカー』 :
「FHとつるんで飛行機落として、人様の命でフラスコ実験室やったり?
 今回のもそうだ、ローマでドンパチやっている連中にカネ出して、遺産って名前のエサちらつかせてみたり?」

『ブローカー』 :
「ぶっちゃけ珍しすぎることはしてない。
 ただ順当に、確実に、こいつは自分の息がかかって、手が届く範囲を広げている。

 遡って十年くらい前からだ」

『ブローカー』 :

SYSTEM :
 珍しい話だ。珍しすぎる話ではない。
 典型的かつ、その直線例とさえいえるギルドの元締め。

 だが、彼は恐らく“ここ”にも眉唾物の範囲を適用した。

『ブローカー』 :

「で、だ。
 
 ここからが、さっきと違って私も半信半疑なんで…。
 適当に信じるか疑ってほしいんだが」

ラーゼス :
「……?」

ラーゼス :
「それほどの?」

『ブローカー』 :
「どうかな、脅威ってワケじゃない。
 アホらしいとか、戯言とかその類だよ。いいかい?」

ラーゼス :
「おれはかまわない」

“七花胡” :
偽りを除き残る物が真
「 去 伪 存 真 、でしょう」続けてどうぞ、の合図。

『ブローカー』 :
「OK」

SYSTEM :
 そう語ると彼は、一枚の資料を取り出した。

 フードに身を包み、顔は伺えず。
 その男について、”暫定”とされながらもシンドロームの特徴や、浸蝕率の想定数値が記されている。

 何の変哲もない人物ながら、掲載されているエフェクト耐性等の記録について、または。
 彼の語る言葉について。あるいは。

SYSTEM :
 そもそも先に語った、

 ローマでより意味のある遺産を送り付けた人物が“彼”だという部分について。違和感を覚えるものは覚えたはずだ。
 その答えを、ブローカーと嘯く『お友達』が語る。

『ブローカー』 :
「どんな陣営もこぞって欲しがる遺産、しかも…。
 ・・・・・・・・・・・
 ローマで意味がある遺産を見つけ出したのはコイツだ」

『ブローカー』 :
「UGNの元気でしょうがない遺物捜索局よりも、FHの“ヴィカラーラ”よりも、ゼノスのお姫様よりも、SoH、神城、テンペスト、イギリス………」

『ブローカー』 :
 ストレンジャー………は、いいか。
 あいつら能動的に欲しがらんだろうし。

『ブローカー』 :
「それをローマに送れば意味があると考えたとしたら、例の遺産のルート経緯を手繰る限り…。
 ・・・
 こいつ以外にあり得ないわけでさ」

『ブローカー』 :
      ワイズマン
「………そんな賢者殿だが、ちょっと聞き捨てならない記録があってね。
 こいつはオーヴァードのようだから、一度だけ自分の手を汚したことがある。どことは言わんがね」

『ブローカー』 :
「その時のレネゲイドへの耐性と行使形態…。
 普通のオーヴァードにムリな侵蝕パターン…」

SYSTEM :
【Check!】
 情報『ワイズマン』を開示します。 

SYSTEM :
【人物:R²=ワイズマン】
 ブリード:クロス?
 シンドローム:ブラックドッグ?/ハヌマーン?
 ワークス/カヴァー:レネゲイドビーイング/フィクサー
 侵蝕率:160% 性別:男性 年齢:??

SYSTEM :
    ワイズマン
 自らを「賢者」と名乗るギルドのフィクサー。
 欧州方面におけるギルドの一大勢力のリーダーを務めている。
 彼こそが『雷神の槌』の由来を知りながら遺産をローマに運び込み、
 三つのセルに交渉を持ち掛け争いを引き起こした張本人。

SYSTEM :
 その出没時期は10年ほど前に遡るが、何れの前歴と痕跡もそこから前には残していない。
 彼はギルドの一員として、ある時は他者のレネゲイドを蒐集する手段を、
 ある時はオーヴァードを狩るための商品を、あらゆる方面に手を伸ばし、
 欧州における彼の『城』を広げていた。

SYSTEM :
 しかし10年で一切の容姿が変貌しなかったこと、
 また現代人が知り得ない知識を擁すること、
 なにより一度だけ「レネゲイドビーイングにしか不可能なエフェクト形態の行使/および耐性」を発揮したことから、
 彼はおそらく人間ではないもの、または『限りなく人間に近い、何らかの記憶を持ったもの』と考えられる。“具体的に何”なのかは不明。

『ブローカー』 :
「こいつはレネゲイドビーイングだ。
 しかも、ちょっと特殊なヤツのね…」

ラーゼス :
 レネゲイドビーイング
「……幻想存在……?」

ラーゼス :
 ある日突然現れ、賢者のように語りだす……。
 そのような生き物のことはよく知っている。
 しかし『ブローカー』の言い方は、どうにも引っかかる。学んた現代の常識とも食い違いがある。

ラーゼス :
 ・・・・
 モリグナたちの例を横に置けば、
“アイシャ”──マグナ・マーテルがそうであるように、現代において幻想存在とはほんの数年前に激増したものたちだ。
 10年前に発生したとなれば、まずここが食い違う。

ラーゼス :
 ……いや。
 例外というものは存在する。
 あえて平たく言うならば、たかが幻想存在なら、彼はそのような前置きはすまい。
 裏もそのまた裏も歩いてきたような顔をしている男が。

ラーゼス :
「……貴公の言う『一度だけ』は、触れぬべきと受け取ったが……」

ラーゼス :
「特殊、とは? 10年前に生じているだけで、ずいぶんと特別であろうが……」

“七花胡” :
 10年より以前の履歴を遡れないとすれば、その時点で“発生”したと考えるのが自然である。
 それがたとえ、レネゲイドビーイングという新種の歴史にあまりにもそぐわないものだとしてもだ。
 如何に荒唐無稽でも偽を排して残った物が真であると、復唱したのは“ありえない”で思考を停止してしまわないための自戒だ。

“七花胡” :
「(10年前────“オベイロン”リチャード・ランカスターの死、『厄災』の時期と重なるのは……偶然である方が出来すぎですね。
  リチャードの弟、ジョン・ランカスターがワイズマンの背後に居るという仮定も、『厄災』の周りに手を組むに足るきっかけがあったのだと考えれば、符号しますが……)」

“七花胡” :
「(……クソ、邸下と師に『厄災』についても聞いておくのだった。
  それが分かれば、黒づくめの溝鼠とジョン・ランカスターの関係を推測できたかもしれないのに……。
  アジア勤めが欧州の事情に追いつくには、いくら調べても調べ足りない……)」

“七花胡” :
 ……後悔は終わった後にできる。
 忸怩たる思いを奥歯で噛み潰し、目下の手がかりを追うことに切り替えよう。

“七花胡” :
「彼本人の特殊性もそうですが……“ローマという土地で使えば法外な威力を発揮する”という『雷神の槌』の特性を、彼がどうやって知ったのかも、気になるところですね。
 まさか、実地で検証したわけでもありますまい?」

『ブローカー』 :
「順当な心配だね。

 前者については確実な答え、後者については…推察レベルの答えが出せる」

『ブローカー』 :
「前者から行くか………」

SYSTEM :
 一度だけ、に彼は一切の回答を返さなかった。遠回しの肯定である。

 何があったを答える気はないのか、それとも“それ”は商品にする気がないのか。
 何故に対して、彼は義務を伴う平坦さで応じた。

『ブローカー』 :
「グッドだ、その通りだよ御友達殿、RBの経緯と時期から考えたイレギュラー、それだけでも特別なんだが。
 こいつには別の付加価値がある」

『ブローカー』 :
「その例外なんだよ。
 
 歴史上、死亡した人物と全く同じ存在を作り出せるか。
 情報を読み取って生まれたRBが、本人と全く同じ結論と思考を持ってくれるなら、それは“不老不死”と何も変わらないんじゃあないかっていう………」

『ブローカー』 :
「そういう実験があった。

 私の知っている限り…三か?
 三体いて、唯一名前を知らない一人がこいつだ」

『ブローカー』 :
「まあこいつら、結果的にはとんでもない“失敗”だったみたいなんだが…。

 その残る二体は、
 ・・・・・
 当時の知識をフル活用出来ていたんだ。
 …つまりここからが推察だよ、中国の御友達」 

『ブローカー』 :
「実地で検証する間もなく、どの組織も知らない知識を、誰よりも早く持ち出してくるならだ、こいつは…。
 ローマによほど思い入れのある頃の野郎なんじゃないか、とね」

SYSTEM :
 推察とはそういうことだ。

 彼のいう限り、その“二体”は致命的欠陥はともかくとして、当時の知識や技術をフル活用できていた。
 …ギルドが使うならともかく、仔細を知るには遺産とは過ぎた玩具だ。にもかかわらず“意味”を最初に見出し、持ち込み、見つけ出すなど、出来るとすればそのくらいのズルがなければ通らない。 

SYSTEM :
 ましてや、深く掘り下げ、調べ………。
 ・・・・・・・・・・・・・・
 ローマがまだあったころの時代から時のよすがを紡いでいる獅子の末裔たちが、それで漸く『仔細』が見つかる内容だ。

ラーゼス :
「………………」

ラーゼス :
「それは……」

ラーゼス :
「はるか昔から、時のよすがをたどり、この世に数百年という時を経て目覚めなおしたもの──という話だな?」

『ブローカー』 :
「なかなかロマンのある話だろ?」

『ブローカー』 :
「当事者じゃない私はそう思うんだが、
 同時にこうも思う」

『ブローカー』 :
「浪漫を囃し立てるのはいつも客観であり…、当事者の苦労をいつも日陰に置いているものだとね」

“七花胡” :
「ええ、全く。不老不死など、羨ましがるのは決まって傍観者ばかり。
 ろくでもない実験があったものですね」

“七花胡” :
「命ばかり長く、目覚めさせられては変わり映えのないことを期待される……。
 形くらいは同情します。その三体とやらに」

“七花胡” :
「ワイズマンだけ名前を把握していないのは、彼だけが『特別』だからですか?」

『ブローカー』 :
「残念ながら。シンプルな調査不足さ。
 そいつらの生まれ方も、全員が一斉によーいドンしたワケじゃない」

『ブローカー』 :
「私が当事者として格安の値段で調べられる時にはもう“二体”は知っていたが………。
 既に開店セールの終わった商品のようでね」

『ブローカー』 :
「ああ、だから逆かもしれないよ?
 そこまで意味のない名前とか、ね。
 彼という火事も、私のところにはまだ対岸だったってことさ」

“七花胡” :
「同じ目的のもとに造られてはいても、目覚め自体は同時ではなかったと……」

“七花胡” :
 存在が確認された時には、既に「ワイズマン」という偽名で呼ぶしかなかったくらいには情報が消されていた、ということだろう。
 転生タイプの特殊例であり、当時の記憶というアドバンテージがあるにしても、目覚めたてのレネゲイドビーイングがそこまで敏感に動けるものだろうか。
 ……アドバイザーのようなものがいれば、話は別だろうか。

“七花胡” :
「……にしても、三体バラバラとは。
 その実験を主導した奇特な人間は、大それた目的のわりに、随分杜撰な管理をしていたようですね」

『ブローカー』 :
「この辺はうち“二体”のせいと言えるかも、だね。
 どっちも最低限の記録上でさえジャームだ」

『ブローカー』 :
「大層な夢は一歩で破綻。
 少年少女に挫かれるまでもなく、だ」

SYSTEM :
 三体目も“そう”なのかは疑問が残るが、
 どちらだろうと大筋に変わりはない。

 ローマについて理解があることだ。
 ───この地に根差すRBが、ギルドに『混ざりもの』がいると指差したこともある。

 ほかに候補がいなければ、それは彼だ。

『ブローカー』 :
「あとはホワイダニットってトコかな?
 まあ、調べる意味はあっても必要性はない。
 わか
 理解ろうとするのは人間とUGNのシゴトだ、オーヴァードはいつも別の選択肢が取れる」 

『ブローカー』 :
「釈迦に説法をしてあげよう御友達。

 私の祖国ではすご~く昔、
 一瞬だけ次のような方法論が流行った…」

『ブローカー』 :
「───気に入らなかったらブン殴れ。
 ・・
 それが気に入らないなら、考えを纏めてみるといい。
 ローマ中を滅茶苦茶にすると分かっていて、“ローマで意味のある”遺産を此処に置いた理由」

『ブローカー』 :
「しかも、自分で使わなかった理由をね…」

SYSTEM :
 私は答えを知らないよ、と遠回しの言及。

 それは意味を持つ案件だが、
 ・・
 なぜの回答は必須ではない。
 凡そ、意味を感じなければ呵責なく“そう”してきたのだろう生粋のFHからの気まぐれだ。

ラーゼス :
「………」考え込んでいたが、最後の言葉にはうなずく。

ラーゼス :
「道理だ。理屈を積み上げ、考えてみるとしよう」

ラーゼス :
「もしそれが叶わぬのなら……いいや、どちらにしたところで、我らにとって彼らは邪魔なものなのだろう?」

ラーゼス :
「除けばよい」

“七花胡” :
「────はは! ええ、全くもって、その通り」

“七花胡” :
「過程が何であろうと結論は同じです。連中は叩き潰す。
 狭くも入り組んだこの庭の外には、決して生かして出すつもりはありません」

“七花胡” :
 生粋のFHなら、確かに結論だけでいいのだろう。気に入らなければぶん殴る。死体を蹴り飛ばして我が道を行く。そうでなければ自分が刺されるだけだ。
 けれど今、自分はFHに染まるためにここにいるわけではない。染まっては元の庭に帰れない。

“七花胡” :
「(ホワイダニットの裏側にこそ、邸下が厭うたランカスターの醜聞がきっと在る……)」

『ブローカー』 :
「ああ。そうともさ。
 気になるなら、墓のリクエストくらいは聞いてあげるといい」

SYSTEM :
 除けばいい。
 どちらも揃って道理だ。

 通算、かつ(おそらく)生涯一時間程度の付き合いになる“友達”は、二人の答えに笑って答えた。
 そちらの方が都合がいいからだ。先のが余分であり、彼なりの過程なら、結論はおそらくそこにつく。益の話。

『ブローカー』 :
「支払い分はこんなところだが、そうだな…。
 チップも置いといてあげようか」

『ブローカー』 :
「来る時に軽く耳に挟んだよ。
 “赤の鬼人”の伝説が途絶えたって?」

『ブローカー』 :
「そこに靡く連中の殆どはハゲタカだが、だからこそ、ギルドも目論見のために“露骨”になれる。
 ・ ・・
 金に暴力で返してくるヤツ代表がいなくなったわけだからね」

『ブローカー』 :
「…ああ、もう一体いるんだったか?
 だとしたら案外、ギルドにとっては…」

SYSTEM :
 彼のいうチップは“連中が露骨な『不都合』の排除にかかるまでの時間”を述べているようにも思える。

 何事もなければ、時間通り彼は帰宅し、あなたたちのことを(言い分の限り)すっぱり忘れるだろう…。

ラーゼス :
「見事な男だった」

ラーゼス :
 死に顔を振り返りながらうなずく。
 そして同時に、彼の評価も正確なものだ。赤の鬼人の伝説に群がったのは、おおむねどれも破落戸ばかりであった。

ラーゼス :
そして、その中でも上等なものは──

ラーゼス :
「……“赤の鬼人”をすでに見限っていた。操を立てるようなものたちでもあるまいな。
 片方は力ではなく、金を信仰するようにも思えた」

“七花胡” :
「我々を除いた“リグ・ヒンサー”の残党のうち、金をぶら下げれば反応しそうな心当たりが一つ」

『ブローカー』 :
            ギャング
 なるほど、マジに映画の任侠だったか…。

SYSTEM :
 彼はラーゼスの直線的な言葉に、どこか合点は行っていなさそうな顔───おそらく興味の外側だった───を浮かべたが、それもつかの間。

『ブローカー』 :
「………ああ。
 “リグ・ヒンサー”で、金にがめついっていうと、アレかな? “グレイ・スコーピオ”だ」

“七花胡” :
「御存知で」

『ブローカー』 :
「最初は仲良くやれそうだと思ってね」

『ブローカー』 :
「そういうやつは全部覚えてる」

『ブローカー』 :
「…とまあ、あと数分で忘れるとはいえ、お友達殿は気前がいいし、その使いっ走りのまたお友達はいい払いをしてくれた。
 せっかくだから、所感を伝えておこう」

『ブローカー』 :
「こいつは、生まれながらソレが好きだったワケじゃないと思うよ」

『ブローカー』 :
     カ ネ
「本当に即物的利益が好きならさ…。
 売り込み方って、あるだろ?」

“七花胡” :
「……。そうですね」金を好きなこととと金を求めることの間には断崖がある。

『ブローカー』 :
「集め方があるのさ。
 オーヴァードは数十年分、ひと様と違ってズルが出来る。荒らし方も蜜の吸い方も…」

『ブローカー』 :
われわれ
「FHは20年、いや、もっと前からそのやり方を蓄えてきた」

SYSTEM :
 強さを奮って、弱さを虐げるやり方だ。

 およそ、自然の摂理だが。
 人間の手にかかれば”道理”とすら思えないほどいくらでも悍ましくなる。

『ブローカー』 :
 ・・・
「こいつ、そこに踏まえてみると…割と行儀いいんだよ。
 択べなかったのかもしれないけどね…」

『ブローカー』 :
「───まあそんなトコか。
 択べなかったなら益々、金払いの良いヤツに食いつきはいいだろうさ。参考になったかな?」

ラーゼス :
「……なるほど」

ラーゼス :
「言われてみれば道理だ。
 ただ金をなにものにも勝るものとして信ずるのなら、確かに方法はいくらでもある……」

ラーゼス :
騎士団もそうだ。悪い繋がりも転がし、必要なだけの財を蓄えた。

ラーゼス :
「……力を信じるからこそ対価としての金を欲し……
 その連鎖に身を置きつづける……」

ラーゼス :
「……彼はどうかわからないが、そのような考え方も確かにある。一端を掴めたような思いだ。ありがとう」

“七花胡” :
「シンドローム次第ではありますが、わざわざ命を張らなくたって、安上がりに稼ぐ方法はいくらでもありますからね……」

“七花胡” :
「……時に御友人殿? もうあと一枚ばかりチップが残っていたなら、此方の所感もお伺いしたい」

“七花胡” :
「“リグ・ヒンサー”の残党のうちそれなりにめぼしいもう片方。
 金で釣られず、『見込み』で動く、ろくでなしの方を」どうせ御存知なのでしょう?

『ブローカー』 :
「どういたしまして。グレイの話は参考程度にしておくといいよレディ。
 …それで…」

『ブローカー』 :
「そっちか。ああ、名前くらいはね。
 仲良くやれるかっていうと…」

『ブローカー』 :
「やれそうだがやりたくはないな。
 御友達殿、ひとつ尋ねるが………」

『ブローカー』 :
「自分が一切関与できない、得体の知れない“なにか”…。
 それ以外のすべて、明日に価値観と優先順位変えている人間っていうのは、取引したいと思うかい?」

“七花胡” :
「……信用したくてもできませんね。何せ明日には主張が180度変わっているかもしれないのだから」首を竦める

『ブローカー』 :
「だろう?」

『ブローカー』 :
「たぶん”行くトコ”まで行ってないのが、最高に性質の悪い部分だ。
 小賢しく“順位”をズラせるんだからね。だから…もしもだよ? こいつとよろしくやりたいなら…」

『ブローカー』 :
「私は特に知らないが、来年、来月、最低でも来週まで…変えそうもない内容で手綱を取ってやることだ」

SYSTEM :
 帝釈天の中に、そんなものがあるとしたら。

SYSTEM :
 歴史の外側に居たがり。
 脇から他人の破滅を見て嘲笑うことも興味のみで他人の成長を導くこともできるほど、世の中に責任を持つ気の“ない”天才に、それがあるとしたら…?

『ブローカー』 :
「ちなみにメカクレ度が低いから、
 私はよろしくやりたくない」

『ブローカー』 :
「以上だ。参考になったかい?」

“七花胡” :
 あれの中の、変わり映えのしない部分……。
 そんなの、たった一つに決まっている。
 移ろう興味と移ろう人格の中で、移ろわない自分と移ろわないロイス。
 移ろうものを愛しながら、移ろうことのないたったひとりのひと……。

“七花胡” :
 問題は、彼に対し、あのしゃしゃった年増がどういう感情で悪縁を擦り付けているかだが……。
 ……傍に寄せ付けたくない手合いだが、ギルドに吸収された方がなおのこと厄介なことになりそうだ。
 そういう展開になるのなら、易い方を選ぶべきだろう。頭の片隅に書き連ねる。

“七花胡” :
「ありがとうございます。参考になりました」

“七花胡” :
「ところで……」

“七花胡” :
 ……メカクレ度って……

“七花胡” :
「……いえ、なんでもありません」ニコ

SYSTEM :
 彼が時間と誠実に付き合う男でなければ、
   ・・・・
 今のところでは奈落(諸説)の入り口だったことだろう。

『ブローカー』 :
「では、そろそろ時間だ。
 御友達殿の心意気が実を結ぶことを、陰ながら祈っているよ」

SYSTEM :
 おそらくその呼び方をするのもこれが最後。
 もう一度出会うとき、彼は『御友達』などという名前を使っていないからだ。

 …涼やかな表情のまま、彼は去っていった。待たせている“迎え”がいるのだろう。

SYSTEM :
 あるいはギルドの理念と照らし合わせて“そう”変わりのない悪漢であることだけは確かだ。

 強さを以て弱さを貪るやり方を知っている人間───そして、その強さに伴うジレンマを、彼とギルドの人間ほど気にしないものはいないだろう。

 少なくとも、その構成員は。

SYSTEM :
 ………だが。
 ・・・
 稼ぎ方にも種類があるという話を、ワイズマンなる男にも照らし合わせるとすれば。

SYSTEM :
 リスクを承知で踏み躙りに来た彼が、ギルドの敷く絶対原則を、律儀に愛するような…模範的犯罪者でないことは確かだった。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

ラーゼス :
いや、ない。変更もないな

“七花胡” :
ありません。

GM :
畏まりました。それでは…。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 下記のNPCについて居場所が判明しました。
 メインプロセスで『攻撃』を仕掛けることが可能です。▼ 

SYSTEM :
・????&????
 →ソフィア&イザナギ 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・シーン「情報収集(“青の貴人”)」

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 
 ライフパス:なし
 アメリカにも非オーヴァードはいましたよ…。
 当たり前ですけど、イタリアよりたくさんの一般人がね…。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
※ゲーム内に予期しないエラーが発生しました。
 再度ロードを行っています…。※

SYSTEM :

        【 Now Loading... 】
 
 欲望:支配
 それは義務だった。支配以外の喜びを見出したところで、何も。

SYSTEM :
 ───クライド・オルドリッチ。
 年齢25歳ほど。アメリカ生まれのアメリカ育ち。

 もとは企業勤めだったが、ある時に気でも狂ったのか、フリーのジャーナリストに転向。
 赤貧擦れ擦れの生活を続けながらも、彼はジャーナリズムを天高く掲げて各国を巡っている…。

SYSTEM :
 ちなみに日本にも残念なことに似たようなのがいる。

 事件と聞けば後先考えず突っ込み、なぜかその行動力がオーヴァード絡みの話にたどり着き、
 信憑性という言葉とは無縁のゴシップ記事とオカルト記事を量産する“ハスティタイプ”という男である。(本人はこのコードネームの自覚なし)

SYSTEM :

 彼はどうか?
 きわめて直線的な行動力と忖度など一切しない無神経さ、謎の人当たりの良さが災い(幸い?)して、
 彼はローマにたどり着き、初手でギャングの縄張りという最悪の地雷に葱を背負って突撃した。

SYSTEM :
 そして彼は事なきを得たその事実だけを頼りに、一生分の幸運をマッハで使いつぶす勢いで奇跡的に抗争を(なぜか)躱しに躱しながら、このローマで「何か」が起きていると睨み、片端から(全然関係ない場所に)首を突っ込もうとしていたのである…。

SYSTEM :
 その育ちに何か関係があるのか? と言われたらそんなことはない。
 たまにあらゆる道理をすっ飛ばした天才が生まれるという。そして天才とはバカと紙一重なのだ。

 つまり道理を無視したバカが生まれることなど珍しくもない。選んで記事を書くのがそんなに上等かね(的中率0%)

SYSTEM :
 …そして彼の行動は“何かを嗅ぎまわっている”が“誰にも掠りもしない部外者”である。
 当たり所が悪ければ文字通り瞬きのうちに存在諸共消え去って惜しまれないしょうがない人間だが、
 彼には一つだけ、秘密にしておきたい長所があった。

 若さのゴリ押しで得た行動力である。

SYSTEM :
 ────彼はローマの真実を解き明かそうという崇高な使命感(って言っとかないと共感が得られないからな…)に基づき、ひとりでも調査を進めようとしていたが。

 そこに誰だろうと僅かでも餌を与え、僅かでも方向性を誘導したが最後だ。
 若者の無神経さと”呑気”さはそこの裏を特に考えず、その方向性に向かって、活動を開始したのである。

 なお、餌を与えたのは結果的にあなたたちか、あなたたちの部下のだれかだ。

“ラッシュライフ” :

“仕事を頼んでくれる人がいれば、俺だって働きますよ! 猿渡さん!”

SYSTEM :
 ※猿渡さんとは彼の一方的な友情の相手である。

“ラッシュライフ” :
“ローマに着いたぞ!”

SYSTEM :
 “芳醇な人生”を歌う若者は、一日を300%のオーバーヒートで駆け巡り、19件の無駄足の末、ある家にたどり着いた。

 厳密には、その家と親交関係があり、政府ともパイプがあり、そして……。
 約3年前、家長が不審死を遂げた家の人間と交友関係があった者の家である。

SYSTEM :
 若者はそれはそれはもうめちゃくちゃ突撃取材にかかった。
 三顧の礼…いや、どちらかというと宗教勧誘や集金の如き所業であった。

“ラッシュライフ” :
“こんなにも俺とイタリアで、アポの意識に差があるとは思わなかった…!”

“ラッシュライフ” :
“いや…もう少し様子を見よう。俺の予感だけでみんなを混乱させたくない”

SYSTEM :
 若者がその突撃を始めたのはなんと昨日や今日のことではない。
 ローマで多くの命の分水嶺があったことは記憶に新しいが、
 そんなものが始まる前段階からである。

 事前の仕込みかもしれないし、そもそも勝手に狙いをつけていただけかもしれない。
 そして後者ならば、あなた方の誰かが彼に餌を与えたのだ。弱みか、懐柔か、それとも…男の中にある不確かな『真実』か。

“ラッシュライフ” :
“…でも、それって根本的解決になりませんよね?”

SYSTEM :
 こんな感じのウザさで餌に食いついた男は、一生懸命安眠妨害した。

“ラッシュライフ” :
“そんなこと言ったら俺だって1d20連敗ですよ!”

SYSTEM :
 剛と豪と業と強を織り交ぜる巧みな話術と、貴人の庭に差す黄昏色の状況と、
 彼に入れ知恵をした者がいる、という事実から邪推を始めて“しまう”程度の良心か知能が相手にあったことが…。
 その話の矛先にほんのちょっとの油断を与えてしまったのである。

“ラッシュライフ” :
“なんだっていい! やつ(の政治生命)にトドメを刺すチャンスだ!”

SYSTEM :
 GMは本当にそういうことにして欲しかったのである。

SYSTEM :
 ※流れたカットインはイメージ画像です。
  実際の調査内容とは異なる場合があります。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

“ラッシュライフ” :
「それにしても激しい戦いでした…」

“ラッシュライフ” :
「ローマのオルカさん…。
 俺、あなたのことは忘れません…」

SYSTEM :
 つまり彼はその「約3年前の政治的スキャンダル」についてアポを取り付けてきたという。

SYSTEM :
 あなたたちに報告しに来たのは彼の善意か、あるいはそういう契約だからだ。

 貴重な情報源の持ち主は、パリオリの名士クリスティ家とその集まりの一員であり………。
 更にその半数は約3年前の前後に行方をくらまし、不慮の事故に遭い、他所の国に移住したのだとか。
 秘密にするよう言われていたので気を付けてくれ、という一行で見つかる矛盾と共に。

SYSTEM :
 彼らがUGNならば穏便な「お話」をするところだが。ここにいるのはFH。 
 そのアポ先では間違いなく、この蛮勇を包囲し、対価を払わせる支度が出来ているだろう。

 その記者も、騙すのも、彼である必要はなかった。

SYSTEM :
 ところで…。
 彼は、とても口が軽い。
 それはもう凄い口が軽い。

 ここだけの秘密、という言葉を与えた場合、1時間でそれはコミュニティすべてに広がるくらい。善意のためどうしようもなく軽い。

SYSTEM :
 元気に吹聴して回られたのであれば、当然そうなるだろう。
 誰かが“貴人の庭”の調査を露骨にならない程度に誘導したという事実だ。

 ちょっと拷問したらそれはもう簡単に種を明かすかもしれない。
 …そしてスケープゴートの役割は、捧げられて始めて果たされるのだ。

SYSTEM :
 ───報酬を支払って、黙り方を教えてあげるといいだろう。
 彼の命か、鉛玉。うんと言わせる手段はいくらでもある。

夏瑞珂 :
「コニチハーッ」

 にぎやかな背中めがけて、カタコトの日本語が降りかかった。膝から組みついて、地面へ叩き伏せる。

夏瑞珂 :
「お話しましょう、スピーカーさん」

 フラストレーションの溜まった双眸は、爛々と。
 とかげの尻尾につられる浅はかなけだものめいて。

“ラッシュライフ” :
「うっ、うわあっ! 野生の浮浪者っ!
(って思わず言っちゃったけど違うかな…?)」

SYSTEM :
 当たり前だが彼に抵抗のすべはなかった。
 何ならダイスを振ってもいい。(1%の可能性)

夏瑞珂 :
「…… ……」

夏瑞珂 :
ピキ、と鳴る音。

“ラッシュライフ” :
「常識人として、
 もう少し俺の体には気を使ってくれ!」

 割と余裕のある彼の顔が青ざめた。
 変な音が鳴ったからである。

夏瑞珂 :
「そう」

夏瑞珂 :
「死ぬのね?」

夏瑞珂 :
踏みつけた足に力をこめてミシミシと背中を鳴らす。

“七花胡” :
「まあまあ、お待ちなさい。気が早いですよ」

“七花胡” :
「イントネーションは練習が大事です。慣れない言葉なら余計にね」

“七花胡” :
 ・・・・・    リピートアフターミー
「こんにちは、ですよ。跟我读」バキバキに組み伏せているのを止める様子はさほどない。

夏瑞珂 :
「学校の先生でもするつもり?」

夏瑞珂 :
「お上手なのね、ニホンゴ」

 くりん、と見上げて。
 ぐりん、と足をねじる。

“ラッシュライフ” :
「(こ、この非常時に、言葉の訂正だって?
  そんなことが本当に、」

“ラッシュライフ” :
「あるのギャッ!!!!!」

“七花胡” :
「ええはい、日本に長く滞在していたものでね。それなりに思い入れがあって」本当はそれなりどころではないが。

“七花胡” :
「いい音。でもあんまり強くすると、餌にする前に死んでしまいますよ。
 普通の人間の耐久力ってどんなものでしたっけ?
 ねえ“隻獅子”、“死滅天隕”?」

アレウス :
「プロレスがプロレスとして成立する理由はな。
 人が人に行えば"殺人技"として披露されるものを、互いに自制して掛け、受けるから成立するんだ。
 つまり……それらの制御のない、我々オーヴァードの掛ける技は、殺人技を通り越している」

アレウス :
「シンドロームにもよるが……」

アレウス :
「ま、精々リンゴ程度で済めばいい耐久力だろうな」

“ラッシュライフ” :
「一分でも一秒でも質問内容を纏めるときに何を言ってるんだ…!」

“ラッシュライフ” :
「でもちょっと興奮した人に、自制のない技をかけられた経験なら俺にもありますよ!」

アレウス :
「フム、根性だけなら大したものだな。
 そこらの兵士よりはある」

“七花胡” :
「だけは、ね」くつくつ。

夏瑞珂 :
「いっしょにしないで」

アレウス :
「おおっと……くく」

“ラッシュライフ” :
「アメリカにも兵隊さんがいましたよ…
 バーで見かけて一杯奢って話をせがんだっけなあ」

“ラッシュライフ” :
「でもそんなことはどうだっていいんだ、重要なことじゃない
 こんなの常識じゃ考えられない…!
 スポンサーさん、今みたいに力ずくで俺を叩きのめすのが正しいやり方なんですか?」

夏瑞珂 :
「アッハ! りんごちゃん」

ラーゼス :
そうなのか? と胡を見る

夏瑞珂 :
「ミキサーとクラッシュ、嫌いなほうを選んでいいわ」

アレウス :
「正しさなんぞ、後から幾らでも正当化できるというのにな」

“七花胡” :
「まあ、そうですね。概ねあっていますよ。貴方のことまで力づくにするつもりはなかったんですけど……」

“七花胡” :
「はい。身から出た錆です」貴方の。

“ラッシュライフ” :
「嫌いな方から選択する方も!?」

“ラッシュライフ” :
「なんだよ、これ…俺がヘマばかりやってるヘボ記者みたいじゃないか…!
 いくらなんでもこんなの有り得ない!」

“七花胡” :
「貴方むしろよくここまで来れましたねえ、その様子で……」

アレウス :
「天運というのは誰に宿るか分からんもんだな」

“七花胡” :
「全くです。もっと導火線短い奴ばっかりそのへんにはいるというのに」

アレウス :
「従軍時代はこういうのは鬱陶しかったんだがな……今見ると滑稽ですらある」

“ラッシュライフ” :
「日本でも同じ友達がいましたよ…。
 いつも行く先々で空振りして、たまに大当たりしたはずなのに手帳に何も書いていないヤツがね…」

“七花胡” :
…………………………………………もしかしてあの“ハスティタイプ”とネットワークが? こんなに役に立たない国際ネットワークがあっていいのか?

“ラッシュライフ” :
「でも落ち着いてください、冷静になりましょう!
 俺はただローマの騒々しさの答えを知りたいだけなんです!」

SYSTEM :
 尚、そのとおりである。
   ・・・・・・・
 あのハスティタイプだ。

“ラッシュライフ” :
「ちなみにジュンジって言うんだ、いいやつなんだけど…って、そうじゃない!」

“七花胡” :
う~ん 確定

夏瑞珂 :
「殉死?」

“ラッシュライフ” :
「なんて言葉の使い方だ!
 ちょっと! この娘の親を呼んできてくれ!」

“ラッシュライフ” :
「きっといるだろ! 訴えないから! なっ!」

夏瑞珂 :
頭を掴んで顔面を石畳にこすりつける。

“ラッシュライフ” :
(でかめの断末魔)

“七花胡” :
「あ~あ~も~」どちらかというとひき肉にされかけている方への呆れ。

ラーゼス :
哀れな男よ しかし無知であるということは幸福ということでもある

“ラッシュライフ” :
「俺はなんてひどい事を(されている方)…!」

“七花胡” :
「この先で団体でお待ちの皆さんに対しては、この人を先頭にした方がいい気がしてきましたねえ。
 御自慢の弁舌でたくさん弾を吸ってくれること請け合いですよ、コレ」

アレウス :
「釣りをするならすり身よりも、そのままの方がいいと思うがね」

“七花胡” :
「同感です。死体にすると却って味が落ちるでしょうし」

“ラッシュライフ” :
「(みんなテンション上がって
  すっかり忘れてるみたいだけど…)」

“ラッシュライフ” :
「(俺、このスポンサーさん以外知らないぞ!?
  どなただろう………)」

ラーゼス :
「…………」

ラーゼス :
すり身になりかけた顔をかがんで眺め、思い出したように瞬く。

ラーゼス :
「この男、この街で初めて会った男だ。
 思えばあのときに助けていなければ、これをすり身にしていたのは瑞珂ではなく“リグ・ヒンサー”の破落戸であったのだな」

“ラッシュライフ” :
「リグ…ヒンサー…? はっ!
 そうだ! 聞いてくださいよ!」

“七花胡” :
「ええ……これとお知り合いだったんですか? 貴女」

夏瑞珂 :
「ばっちい」

アレウス :
「不思議な縁だな」

ラーゼス :
 

“ラッシュライフ” :
「今ローマでは『願いが叶う』伝説を求めて、赤い鬼と青い獅子と黄色い鳥が争っていて、政府は止めるべきなのに見て見ぬフリをして………」

“ラッシュライフ” :
「あれっ聞いてない!?」

SYSTEM :
 何もかも違うが勢力図”だけ”は、
 信じがたいほど合っていた。恐るべき行動力だ。

夏瑞珂 :
「あおいらいおん」

夏瑞珂 :
(お洋服を)見る。

夏瑞珂 :
「きいろいとり」

夏瑞珂 :
(あたまを)見る。

夏瑞珂 :
フと鼻で笑う音。

“ラッシュライフ” :
「伝説は最強のオオカミが咥えて持っていて、イタリア政府は裏の社会を操りながら先んじようと追っているんです!
 その真実の一端に近づけば猿渡さんもちょっとは喜んでくれますよ!」

SYSTEM :
 何もかも違うが以下略。

アレウス :
舌打ち。二重の意味で。

“七花胡” :
「(所々が微妙に合っている……赤点を免れそうで免れられない絶妙さで……。
  なんでそれらにぶつかってる過程で死んでないんだろう、こいつ……)」
 まあたった今小娘に嘲笑された挙句すり身にされかけてるが……

ラーゼス :
「知り合いといえば知り合いだが、顔見知り以下だな。何もわからぬうちにこの街に来たから……」

“ラッシュライフ” :
「…あれっ!? もしかして、じゃあ、」

“ラッシュライフ” :
「俺の気絶している間に、ローマのオルカさんから喧嘩吹っ掛けられたのをかばってくれたのは…きみなのか!?」

“ラッシュライフ” :
「俺のピンチを二度も見せることになるなんてな…!
 だけど俺はジャーナリズムにかけてここで倒れるわけにはいかないんだ…」

“ラッシュライフ” :
「ちなみに土下座何発で助けてくれる!?」

ラーゼス :
考え込む。

ラーゼス :
「あのときは、『親切に』この街のことを教えてもらえると思ったのだが……」

ラーゼス :
「おれには既に信頼できるものがいる。
 哀れだが、じゃあなりずむというものを守る必要はあまりないな」

“ラッシュライフ” :
「(まずいなあ、この雰囲気…)」

SYSTEM :
 彼の最後の望みは………。

SYSTEM :
1d4
1:な ぜ か 瑞珂に向いた
2:アレウスに向いた…
3:スポンサーさんの七花胡に向いた
4:めげなかった (1D4) > 2

“ラッシュライフ” :
「そうだっ、じゃあ…えっと?
 従軍ってことは軍人のあなたは」

夏瑞珂 :
ミシ。

“ラッシュライフ” :
「お゛ごっ!!」

アレウス :
「言ってみろ」

“七花胡” :
「あ~あ~も~」二度目

“ラッシュライフ” :
「ぐ…軍人なら暴力の必要なタイミングと!
 不必要なタイミングがわかるはず!」

“ラッシュライフ” :
「いまみたいな俺への暴力が必要なら、
 理由を教えてくださいよ!」

“ラッシュライフ” :
「猿渡さんは俺には何も言ってくれない…!」

SYSTEM :
 ※猿渡さんとは彼の一方的な友情の相手である。

アレウス :
「ジュネーブ条約に基づけば確かに貴様に暴力を振るったり、人権を侵害するのは反していると言える」

アレウス :
「だがこの争いは内乱のようなものでな。
 直接的敵対行為を働かない者にのみこの条約は適用される」

アレウス :
「敵対行為とはな、暴力を振るったり、銃をぶっ放すだけじゃない。
 互いに互いの情報を流したり、錯綜させたり、情報戦の範疇にも含まれるもんでなァ」

アレウス :
「それに則ると貴様の行為は俺達にとっての重大な敵対行為となるわけだ……」

“ラッシュライフ” :
「つまり…」

“ラッシュライフ” :
「俺たちは分かり合えない敵だったのか………!!!!!」

“七花胡” :
「これだけミシミシ骨やられておいて?」今更?

“ラッシュライフ” :
「ちょっと興奮した子供くらい、
 アメリカでは敵対のうちに入りませんよ!」

アレウス :
「結果が手段を正当化する。これは民主主義にも、テロリズムにも適用される事実だ」

アレウス :
「くっくっく……そして俺はな」

アレウス :
「騙して悪いが、もう軍人じゃないんでね」

“ラッシュライフ” :
「ざ………!」

“ラッシュライフ” :
「残念………だ………!
 ここは政府の手に落ちていたなんて!」

“ラッシュライフ” :
「やはりソウシくんの考えは俺には認められない!
 ちなみに、ソウシくんというのは俺が会ったような気がしないでもないがやはり違うかもしれない少年で───」

SYSTEM :
 ※詳しい説明は割愛します。

“ラッシュライフ” :
「もういい! 争うなら勝手にやってくれ!
 俺はローマを降り…、…」

“ラッシュライフ” :
「ところで………最後に、お名前を───」

夏瑞珂 :
「アーキルです!」

“七花胡” :
堂々と他人の名前出したなこいつ……

アレウス :
静かに笑う。

“黄の希人”アーキル :
 もはや現場にいようがいまいが、
\俺に被害飛んできてるじゃねえか!/

夏瑞珂 :
聞こえな~い

夏瑞珂 :
「じゃあもういいわね、最後って言ったものね?」

“ラッシュライフ” :
「…アー、キル…?
 待ってくれ、異議ありだ!」

“ラッシュライフ” :
「女の子なのに…男の名前じゃないか!」

“七花胡” :
そこ?

アレウス :
思い出すな。昔それを現地民のガキに口にして、組織ごと叩き潰された元同僚を知っている。

“ラッシュライフ” :
「これは親の思想的虐待かもしれない!
 あきらめないぞ! 俺は不当な暴力で、自分の国の(わりと変な方向に行きがちの)自由を恥も悔いもしない…!」

夏瑞珂 :
「アーキルが女の子の名前で何が悪いの?」後頭部にがつん。

“ラッシュライフ” :
「て゛ぃたーんずッ!」

ラーゼス :
独創的な断末魔だな

アレウス :
魂だけは巨人ということかね。

“七花胡” :
「あ~もう、やめやめ。もう少しで頭の中身が出そうではありませんか、街路が汚れます」

夏瑞珂 :
「トマトちゃん!」

“七花胡” :
「りんごとどっこいですねえ。ともかく」

“七花胡” :
「赤点未満の情報しか取れないような記者、わざわざ始末する必要もありませんよ。
 既にパーティの準備はできているのですから、お役御免です。これは」

夏瑞珂 :
「え~?」

夏瑞珂 :
「悲鳴でよく聞こえなかったわ」

“ラッシュライフ” :
 男は最後の力を振り絞って、
 血で元気にダイイングメッセージを書こうとしている…!

“ラッシュライフ” :
1d100 努力 (1D100) > 41

SYSTEM :
 “こじの子”と書かれていた。

夏瑞珂 :
腕を掴んで「FART」と上書きする。

“七花胡” :
「子供の落書き以下ですよ」『オナラ』て。

“ラッシュライフ” :
 ちなみにもうひとつふたつ、
 別の意味がある…!

“ラッシュライフ” :
 くだらないやつ、とか…。
 ロクでなし、とか…!

“七花胡” :
自覚があるようで結構。

“ラッシュライフ” :
 年頃の子として…発言にはもう少し気を使ってくれっ!

夏瑞珂 :
「口の減らないひと。鼻を削りおわったら唇からいきましょうね」

“七花胡” :
「それに付き合って貴女まで赤点を取る必要はない、と言っているんですよ。
 すり身にしたら、服も手も汚れてしまうでしょう」

夏瑞珂 :
「ふーん?」

夏瑞珂 :
「悪い子だから、赤点と仲良しなの」

夏瑞珂 :
「でも汚れるのはイヤね?」

 身軽に跳びおりて、転がった体を蹴っ飛ばす。持ち上がってつんのめるはずのお尻めがけて小さな火を着けた。

夏瑞珂 :
「アハ! 二度と顔見せないでね、お猿さん!」

 それはお友達のほうだったかしら?
 首を傾げる。おんなじよ。

SYSTEM :
 彼は間違いなく幸運である。

 これだけの目には遭ったが、
 懲りる機会(享受するかは別として)と、
 命を拾ったのだ!

SYSTEM :
 …が、まあそれはそれとして。

 ローマで小さな火の玉が出来上がり、
 勇敢(※限りなく好意的な解釈です)な“ラッシュライフ”の最後の声が上がった。

“ラッシュライフ” :
「次からは現代人的に話をしよう!
 いつも先走ってなんかこんな目ばかりに遭っている俺からのアドバイスで、」

“ラッシュライフ” :
「う゛わーーーーーーーっ!!!」 

SYSTEM :
【Check!】
 “ラッシュライフ”が『用済み』の発動につき、改めてゲームから退場します。
 任意の手段でお見送りください。 

ラーゼス :
(手を振る)

夏瑞珂 :
(ライオンちゃんの正面に立って向かい合わせで手を振る)

“七花胡” :
しっしっ 餌のお役目ご苦労さま
それはそれとして“ハスティタイプ”共々二度と引っ掻き回さないでくださいね

アレウス :
ダメだこりゃ。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 かくして一名の犠牲を能動的に払い…。
 本来ならば知りすぎた人間に“身の程”をわきまえさせるための舞台の立場は逆転し…。

SYSTEM :
 3名ほどの、よくて重態悪くて亡骸の護衛をよそに、一切内容を吐く気のなかった貴人の庭の要人からの尋問───いや、情報の回収が始まろうとしていた。

 どちらかといえば、こちらこそが。
 ローマにとってはたいへん平常運転であった。

SYSTEM :
 なにしろ、椅子に括り付けた高官に口を割らせる時間の惜しさなど、オーヴァードにとってはそこまで意味がない。
 ・
 彼は間違いなく、貴人の庭の変節に対する当事者だった。何も知らぬまま「アレースの小僧」の面倒を見ていた警察官とは違って。

『貴人の庭』メンバー :
「………あの若造が…。
 誰かの入れ知恵なのはわかっていたつもりだったが…」

『貴人の庭』メンバー :
「…そうか…小僧とはな それともそやつらか?
 クラウスといい…、付き合う友人がずいぶん悪くなったものだ…」

SYSTEM :
 その老年に差し掛かった男は、あなたが”借り”を受けた時に既にセルメンバーにいた人間だ。
 それでいて、後ろ暗い範囲を意図的に無視していたタイプの、いわゆる武闘派だった。

 その、熟練の武闘派が造作もなく終わったのは、単に。
 寄る年波に勝てなかったことと、彼に勝つ気がなかったからだ。

夏瑞珂 :
「小僧!」アハーと笑って肘に組みつく。

夏瑞珂 :
「こんな老人ホームじゃおじさまも小僧なのね?」

“七花胡” :
「ひどい言い草。まるで自分『だけ』は『悪くない』、って潔白を主張したいみたいじゃないですか」

アレウス :
「……」

アレウス :
「手前がいつまでも子猫扱いされるのと同じさ」

夏瑞珂 :
「ミャ〜」

アレウス :
「全く」

アレウス :
「さて旦那、会わねば人は変わるというモンでね」

アレウス :
「それが今さ」

SYSTEM :
 壮年のこけた頬と、老いに追い付かれてはいない筋肉。
 インテリの名を借りた青瓢箪だらけの中の、数少ない元軍人上がりが彼だった。“手ひどい”やけどをしたこともあったろう。

 …だがかつて遠い手は、あまりに簡単に届いた。それは彼が弱くなったのと、あなたが強くなったの二段重ねだ。

『貴人の庭』メンバー :
「フン…そうさな…小僧だとも。
 私が生きている限り、年月の差は広がらん。
 縮まりもしない」

『貴人の庭』メンバー :
「そして、同じ穴の狢からの糾弾に答えてやる義理はない。ないが…」

『貴人の庭』メンバー :
「無能の証明なら3年前といま済んでおるよ」

SYSTEM :
 鼻で笑った壮年が続いて答えた。

 会わねば変わる、を幾度も見続けてきた男の、まるで確かめるような言葉に。

『貴人の庭』メンバー :
「それは若造の特権だな。
 老いの変化は劣化だ。ここにいるのは”そういうこと”だろうが、しかし」

『貴人の庭』メンバー :
「男ならば、一度掲げた志は襤褸切れになるまで持つものと思わんか…小僧…」

SYSTEM :
 遠回しの”答える気はない”であるが、
 彼もオーヴァードならばご存知である。
 口を割らせる手段などいくらでもある。

 ならば少なくとも未だ心を“庭”の主に向けているらしい人間の、慎重に割らせろ、という脅しにも取れた。

アレウス :
「だそうだが」

アレウス :
「拷問得意なやついるか? 俺は生憎得意じゃなくてね、すぐ殺しちまうんだ」

夏瑞珂 :
「はい!」元気よく手を伸ばす

“七花胡” :
「元気いっぱいな虚偽申告どうも」さっきすり身を作ろうとした人間の挙手ではありませんね

ラーゼス :
「すまない、あまり。肉の身体はもろい」

“七花胡” :
「知ってます。貴女に拷問は向きではない。気持ちの方も」

“七花胡” :
「というわけで、此処は自分が受けましょう。特にそこのお二人は肉体労働メインですから、此処で労を割かせるのもあまりよろしくない」

アレウス :
「期待が持てるな。口が上手いお前さんのは特に」

夏瑞珂 :
「おもちゃを独り占め?」

“七花胡” :
「やですねえ玩具だなんて。“大事な”情報源ですよ?」

SYSTEM :
 男の瞳が一度、場違いに浮いた言葉を選んだ娘に向いた。それからアレウスに向けられる。
 糾弾ではないだろうが、言外に問うような視線ではあった。

アレウス :
肩をすくめる。

夏瑞珂 :
ぎゅ~と肘にひっつき虫。

“七花胡” :
「おやおや自分など眼中にないと? 彼には『よく』していただいておりますから、その知己である貴方とは、せめて『友好的に』お話したいところでしたのに……」くすん わざとらしく悲しげな顔を作る

“七花胡” :
自発的に友好的になっていただけないなら、無理矢理友好的になっていただきましょう
GM、《竹馬の友》を彼に使用しても?

GM :
良いでしょう。目標値についてですが…。

GM :
「交渉による判定を行わせてもよい」とのことなので、相手の交渉(別席で能力値決定済み)との対抗を行うことにしましょう。

GM :
成功した場合、彼はシーン終了時まで“情報二つに関する話へ協力的になるものと思ってください。問題ありませんか?

“七花胡” :
承知しました。異存ありません。

GM :
では…先にこちらから。

『貴人の庭』メンバー :
2dx  (2DX10) > 6[1,6] > 6

“七花胡” :
5dx+2 交渉 (5DX10+2) > 8[2,4,4,6,8]+2 > 10

GM :
では…成功といたしましょう。

“七花胡” :
 澱みのない足取りで椅子に縛られている男に近付く。
 まるで警戒する素振りの無い、久方ぶりに再会した旧年来の友人に親しむかのような……おおらかで柔らかな微笑みで。
 彼の顔を正面から覗き込んでから、背後に回って────肘掛に括りつけられている、その腕の先へと指を重ねる。

“七花胡” :
「貴方は痛みに慣れておいでだ……この体が物語っている。
 でもだからこそ、『友人』である自分は、貴方にそういうものを与えたくはないのです……」

“七花胡” :
 透けた黒手袋越しの温度。重なる人肌、纏う服の奥から漂う香……。
 とん、とん、とん、と指先を叩くリズムは一定を刻んだ。
 香気は彼の『故郷』の記憶に馴染み、耳の奥に滑り込ませる声を慈愛と懐旧に満ちているものと錯覚させる。

“七花胡” :
「だから……そう、援けになって欲しいのです。
 貴方は素直になってくださればよいだけ……何も、難しいことも痛いこともないのですよ」

“七花胡” :
 指先が触れているかも危うい程度の感触で腕を伝い、肩を登る。
 そして彼の目元を掌で覆い隠した。
 彼の中でいっとう懐かしい記憶──弱いところ──を丁寧に掘り起こすように、漂う香が彼の鼻腔を擽る。

“七花胡” :
 やがて掌が外された。
 体があっさりと背中から離れ、上から顔を覗き込む。

“七花胡” :
「もう一度聞きますね。
 貴方の知っていること。教えていただけますか?」

ラーゼス :
「……なるほど……」
 なんとなく仔猫の目と耳を塞ぐ。

夏瑞珂 :
「アハー 夜!」

夏瑞珂 :
みえな~い きこえな~い

アレウス :
確かに発禁物かもな。

SYSTEM :
 時に。

 七花胡を名乗る”彼”が楽園の看守たる以前は、彼は本部付きとして敏腕をふるっていた。
 
 その本質は拷問官でもなければ、戦場で流れる血と硝煙に塗れる戦士でもない。
 あるいはそれ“も”手段の一つとしていたのだろうが。
 ネゴシエイター
 交渉人が、彼のシンドローム構成における最適性だ。それも、ある種全うとは言い難いやり口の。

SYSTEM :
 もちろん初めの第一声で、
 ・・
 それに男は気付いた。気付く程度の経験はあった。しかし…。

『貴人の庭』メンバー :
「きさまは………」

『貴人の庭』メンバー :
「………………」

SYSTEM :

 時に、如何なる困難を跳ね除ける無敵の鎧があろうとも。
 唯一弾き返せないものがある。

SYSTEM :
 ・・
 友愛というのだ。
 それに限らないから、言い換えてもいい。
 絆し、と。

 オーヴァードに、これは殊更に効く。

SYSTEM :
.         ジ ャ ー ム
 しかも相手が、それさえ拒み切る生物でないことを、最初の戦闘で彼は確認している。

 であればあとは、わずかな情報から、慣れ親しんだ作業工程で、彼は男の沈殿に沈殿し切った経験の層、その優先順位の極点に己を置くだけだ。

SYSTEM :
 ………その結果は言うまでもない。
 彼は眉を顰め。

『貴人の庭』メンバー :
「良いだろう…。
   たい
 その善意を信じてやるとも」

『貴人の庭』メンバー :
「しかし、ああ、しかし…。
 そこに免じて伝えておくが…」

『貴人の庭』メンバー :
 ・・ ・・・・・・・・・・
「話は、なるべく急ぎたまえよ、旧き友…」

SYSTEM :
 男ははじめの言葉で口にした疑問の意味ごと忘れ、あなたにこう伝えた。

 忘れるなかれだ。あなたは彼の旧い友の”だれか”に成り代わり、その位置を頂き、男に感じるべき疑問を先送りにさせたが。

SYSTEM :
 彼の優先順位がそれで変わるわけではないのだ。
 ありもしない、郷愁を呼ぶ花の香りを絆しとする忠告と共に、男は口を開いた。

『貴人の庭』メンバー :

「…あの、記者を釣り餌とした問いかけかね?
 確かに私は知っている…
 おまえも知っているはずだが…」

『貴人の庭』メンバー :

「まァ…改めての無知への糾弾か。
 小僧に教えようというなら…。是非もあるまいな…」

夏瑞珂 :
「小僧は何が知りたいの?」ぷくく まっくら

アレウス :
「さあな。子猫にはわからんことかもしれんぞ」

夏瑞珂 :
「じゃあワンちゃんになりましょうか? わうぅ~」

アレウス :
「同じさ」

アレウス :
「ま、何がと言われれば"全部"ではあるがね……そうだろう?」

“七花胡” :
「ええ、はい。我らの得難い『友人』は、御親切にも“全部”答えてくださるそうですから」

“七花胡” :
             ソ レ
「……ところでそこはいつまで目隠しやってるんですか?」何かまた変なことやってるな、の顔

ラーゼス :
「耳も塞いでいる」

ラーゼス :
「……まだ幼い娘だろう?」
 本気で言っている。むしろなだめるような声音で首を傾ける。

SYSTEM :
 経歴上の夏瑞珂は23歳である。
 だが、彼女の時は…。

“七花胡” :
「……母猫気取りもいい加減にしといた方がいいと思いますよ?」

ラーゼス :
「…………群れの幼い子どもには、みなで心を砕くものだぞ」

“七花胡” :
そのこどもはあんたの群れじゃないでしょうに。

ラーゼス :
だが……(視線がさまよい、アレウスを見る)

ラーゼス :
方針のはずだ 違う……? なんということだ……

アレウス :
まあ、構わんが、それで……

『貴人の庭』メンバー :
「………」

『貴人の庭』メンバー :
「………我々は表向き、パリオリのクリスティ家を親しき友とし、血と盟約で結びついた」

『貴人の庭』メンバー :
「敗戦の屈辱を父より聞いて育った私も、余所者に我が物顔で栄光の残り滓すらも踏み躙らせることを………。
 甚だ不愉快に感じてな………クラウスの不確かな土台と、夢物語のような”オーヴァード”に乗ってやった………」

『貴人の庭』メンバー :
「もともと銃火以外の能のない男だ………
 ローマに根付こうとする、UGNだとかいう連中の眉間に銃を突きつける役割は私のものだったし、私は望んでそれで手一杯にした………」

『貴人の庭』メンバー :
「そこから、当事者たちが去り、裁かれた所以は………。
 ああ、私は、ことが終わった後に気づいたのだがね………」

SYSTEM :
 あとのことは、かつてアレウスと七花胡が当事者の男から聞いた通りだ。
 ・・・・
 人体実験。
 それも、かなり長い間から手を染め、クラウス・C・クリスティが『伝説』に飲まれる己を恐れて加速させた一つの選択の話。

 その結果として彼らは、古き当主と、その罪の穢れに微かでも触れたすべての当事者を失った。
 ただひとつの判断をもって。

『貴人の庭』メンバー :
「………『明日』を見るがあまりに『今日』を生きていた子供らを、ローマの民らを、クラウスは蔑ろにした。
 だがヤツとて、焦りがなければ、お題目で人をだましきることなど簡単に出来ていたさ」 

『貴人の庭』メンバー :

「…そうともさ。
 テレサ
 御当主が………」

『貴人の庭』メンバー :
 ・・
「次女の自分を、父親が当主の席に定めたということの意味が」

『貴人の庭』メンバー :
「…本来自分が、父親の礎になるはずだった席に座っていたという事実に。
 気付いてしまうことさえ、忘れるほどに、愚かでなければな………」

『貴人の庭』メンバー :
「………良いかな友よ。小僧よ。

 その罪の名は」

『貴人の庭』メンバー :
 ・・・・
「アドリアだ。
 アドリア・C・クリスティ………」

『貴人の庭』メンバー :

「本来、当主になるべきであり…。
 テレサのために礎になった…」

『貴人の庭』メンバー :
       ・・
「ローマでその亡骸を、
 クストーデ・デラ・レギナ
 “不朽讃えし懐刀”と呼んでいた………」

『貴人の庭』メンバー :

「その名前だ………」

SYSTEM :
 単純な事実である。

 齢十代の、当主に座ったばかりの人間が、
 何を以て人体実験に気付いたのか。
 そもそも次女の立場の彼女がなぜ席を継いだのか。

SYSTEM :
 その結果を、彼は静かに語り始めた…。

SYSTEM :
【Check!】
 情報『“不朽讃えし懐刀”』を開示します。 

SYSTEM :
   クストーデ・デラ・レギナ
【人物:“不朽讃えし懐刀”】
 ブリード:ピュア
 シンドローム:ブラックドッグ
 ワークス/カヴァー:FHチルドレン/──
 侵蝕率:172% 性別:女性 年齢:23歳(享年)

SYSTEM :
 ローマで覇権を争うFHセル『貴人の庭』のセル構成員。『妄想』のジャーム。
 テレサを指導者たらしめるオリジンであり、罪の象徴。そして同時に己を守る、最強の『剣』。

 クラウス・C・クリスティが生んだFHチルドレンの実験体。
 本名はアドリア・C・クリスティ。テレサ・C・クリスティの姉。

SYSTEM :
 ジャーム化したことで精神的にも、身体的にもレネゲイドが生かしているだけの事実上故人。

 ただし何らかの理由をもって、『ある人物の理性に基づいた価値観』を衝動の価値の上に置くよう強制された。
 なお、その人物がテレサ・C・クリスティであることは、あえて語るまでもないことだろう。

SYSTEM :
 強く気高き女の、ただ何より不運なことは。妹の“身代わり”になる以外の手段を、当時の彼女が手繰れなかったことであったという。
 2年前後の実験の結果、きわめて強力なオーヴァード能力を得ると同時に死亡した…はずだった。

 その果てに、王と呼ぶ“テレサ”とはお互いを強い感情と献身で結び付けているが、それは別にロイスではない。
 止まった時で、お互い遠い鏡を見る者。

ラーゼス :
「………………」

ラーゼス :
 手は既に離していた。
 いっとき伏せた瞼の裏に、思い描く影がある。

ラーゼス :
「……残酷なことよ」

ラーゼス :
 血と盟約、利権と人の上に立つという誇りそして傲慢。
 それはときに人間にとって、眼を曇らせるに十分な理由となる。
 愚かしい判断と知りながら。あるいは己の賢きをかたく信じて。
 己の足元でうずくまるものたちのことを忘れ去ることができるのだ。

ラーゼス :
(……アレウス)

ラーゼス :
(貴公にとって真の仇は、もう、この世のどこにもいない……)

ラーゼス :

  テ レ サ
 彼の愛する女が、すべて焼いたからだ。己の手を青く穢して。

 あるいはアドリアという女が先に冷たい床の上に置かれたその瞬間に、彼女の手は青き血で穢れていたといえよう。
 献身は良くも悪しくも呪いそのものだ。
 身を縛り、行く末を定める。
 己の下に積み上がるものを、ながらえる限り縛りつづける。

ラーゼス :
「己の罪が、己の盾として刃としてそこに在りつづけることを選んだ……
 “青の貴人”も、己にむごいことを課すのだな」

夏瑞珂 :
 光が戻る。だれかの昔話が耳朶をくすぐった。へえ、と薄笑う。いつだか嵐に吹き飛ばされたものは、かつて、誰かの宝物だったらしい。

夏瑞珂 :
 時が止まっていても──

 まなざしが重ならなくても──

夏瑞珂 :
 カタチを残して、そこに在るのなら。

 罪の在り処には、幸福が宿る。

夏瑞珂 :
『───危ない!』

夏瑞珂 :
              マサカ
 ぱちんと夢見る泡が弾けた。真逆、と嗤う。死骸は死骸だ。

夏瑞珂 :
 死に絶える──と言う。死は断絶だ。切れた糸は繋がらない。二度と。決して。

夏瑞珂 :
             わたし
 では残された彼女は、次の 嵐 に成りにくるだろうか。

夏瑞珂 :
 わたしは──
 違うと分かっていて、どこか、それを望んでいた。

“七花胡” :
 「“アドリア”はどうしている?」という彼の問いに、あの警官はこう答えていた。
 “ローマの外に出た”。

 ……そうであればよかっただろうに。
 誰にとっても。

“七花胡” :
 老いれば劣化するしかないのだとして……。
 死ぬれば枯朽するしかないのだとして……。
 時を止めて「美しさよ永遠であれ」と願うことに、果たして罪を問えるだろうか?
 自分の手の中で今まさに最愛の花が枯れようとしているところに、それを留める手段があったとして……。

“七花胡” :
     えらばずに
 ……自分は間違わずにいられるだろうか?
 いや、それよりも……。

“七花胡” :
「(珊瑚さん。斑鳩さん。鶫さん。
  天童さん。須磨さん。氷ヶ崎さん。
  それから、それから……)」

“七花胡” :
 自分の庭で、思い思いに咲く花/世話を手伝いする者/余所から来て芽吹きを待つ者/萌芽を望み余所へ行く者。
 彼らはいずれ自分の元から、この世からさえも去る。
 遠い未来、必ず来る痛みを、承知の上であの庭を作った。

 だがあの庭には、自分以外にも時計の針が止まってしまった者がいる。

“七花胡” :
「(……沙上さん。
  貴女がいつか、狂おしいほどに誰かを愛することがあったとして……。
  その時の貴女に、他人の時さえ止めてしまう力があったとして)」

“七花胡” :
「(自分はそれを赦すわけにはいかない。
  その時ちゃんと、『いけません』と叱れるように。
  テレサとアドリアが姉妹で在った時、どんな絆しがそこに紡がれたのかは……

  理解はしても、共感はしてはいけないことだ)」

“七花胡” :
「……………………」
 口は噤んだまま。視線を“死滅天隕”へと向ける。

アレウス :

 どこかで分かっていた。

アレウス :
 何も知らないロートルが、この国の外に出たと言って、
 それが100%正しかったことなどない。
 力と地位の無い者は真実を知らない──この国に根深く張り巡らされた情報を知り得ることなど出来ない。

アレウス :
 それが嘘だというのはどこかで分かっていた。

アレウス :
 クラウスが手を染めたことも、それに加担した外道のやったことも、
 それをティーラが自らの手を赤く染めてまで粛清したことも。
 そう考えればすべての辻褄が合うからだ。

アレウス :
 ・・・
(あの時……)

アレウス :
(俺が仮面の下に気づいてやれば──何かが変わったのか?)

アレウス :
 変わらない。
 何も変わらないだろう。

アレウス :
 罪も罰も変わらない。
 何かが元通りになることなどない。
 既にシミで穢れたシーツが、元の純白に戻ることなどない。

アレウス :
 ・・・・・
 いつ死ぬか、その時期の違いだけ。

アレウス :
(皮肉なもんだ)

アレウス :
 俺自身が"マスター・ハーヴェスター"を受け入れたとき。
 それは俺自身が自覚すらしていなかった事実が、そこに内包されていたのだ。
  ハーヴェスター
 "刈り取る者"──己にそれを押し付けた老人は、あらゆる何もかもを刈り取っていった。
 それは自分が抱えていたもの、自分が繋いでいた縁さえも。
 自分の利とするために、自らの過去も現在も未来も。

 その宿痾から逃げられなかったという事だ。

アレウス :
 このマスターという"看板"は、
 多くの生き血を吸う事で、その絵図を描いて完成されるもの。

 クラウスも、ボスも、アドリアも、
 俺の知り得る誰かを殺し続けてこの看板は完成していく。

アレウス :
(最後は──お前か?)

アレウス :
 笑えるなら笑ってしまいたい。
 俺が獅子の美女の前に誓ったことは全て張りぼてのガラクタのような、無知蒙昧な言葉の羅列でしかなかったからだ。

アレウス :
 罪と罰を、青い血で満たした剣……それを折った時点で、俺には何も資格がない。
 俺の根差す世界が、資格など関係なく、欲望のままに奪えと囁いてもだ。

 俺には血も盟約もなかった。

アレウス :
「だったら兵士のままの方がマシだったのかもな」

アレウス :
 誰かが俺を見る、誰かが名を思う、
 だが誰のそれも、今だけは眼にも耳にも入らなかった。
 ただ笑った。笑い続けた。

アレウス :
 己を嘲笑い続けた。

アレウス :
「どいつもこいつも」

アレウス :
「俺から何もかも奪いやがる。
 欲しいモンも、恩も、褒美も、賞賛も、金も、女も、仇も、弾も」

アレウス :
「嘗めやがって」

アレウス :
「──嘗めやがってボケ共がッ!!!!!」

 怒号と共に光軸がなぞられる。
 自らを相も変わらず小僧と呼び続ける男に、僅かに触れない部分に光が乱打される。
 殺さず、ただ少しでもずれたら焼かれるという恐怖を生む、殺さずの乱打を。

「どうしても俺を道化にしたいらしいなァ……ふざけてんじゃねえよ……!」

SYSTEM :
 彼は一切それを避けない。
 避ける気がそもそもない。

 当たりに行く選択肢さえも、
 あるいは状況が許せば取っただろう。
 なにせ彼は、その“終わった”一件への所感を先に述べている。

『貴人の庭』メンバー :
「惨い、惨い、か。
 …ああ…そうだろうよ………」

『貴人の庭』メンバー :
「───そうだろうよ。これが無能の証明でなくて何という?
 繁栄の現在のために昨日と明日を捨て、」

『貴人の庭』メンバー :
                ・・
「その権利を享受するべき人間に…昨日を捨てさせたのだ。
 おまえの何に非がある。はじめから、すべては終わっていたのだ…」

SYSTEM :
 ──当たり前のようにふるまった女を、ただ一個の喪失が。変化の切っ掛けを突き付けた。
 
 そうあることが自然な貴種の王。その権利に次ぐ義務を…肉親の愛で知った女王は、その時、権利をひとつに絞った。
 ・・
 存続に不要な、当たり前の権利だ。

アレウス :
「……あ?」

『貴人の庭』メンバー :
「………その死者はアドリアだけでない。
 そこにあるものを保つための犠牲は一つだけではなかった。
 もっと、昔から………」

『貴人の庭』メンバー :
「そして、それらの全ては今ここにいる…」

『貴人の庭』メンバー :
「………そうだ、おまえは…。
 ・・・
 御当主でないものを奪いたければ、
 生まれるのが10年遅かったのだ」

『貴人の庭』メンバー :
「そこにいるのは………。

 全ての昨日と明日を使い潰して、
 ローマに「変わらず」を与える…」

『貴人の庭』メンバー :
..   カエサルレウム
「───“青の貴人”なのだからな」

SYSTEM :
 ・・
 そこにいるのは。

 ただ過去も未来も全て嵐の轍に変えて、
 ・・
 現在を続けるための。王という装置だ。

 彼のそれは懺悔のようでもあった。
 無知の罪の。

SYSTEM :
【Check!】
 情報『“青の貴人”テレサ・C・クリスティ』を開示します。 

SYSTEM :
.   カエサルレウム
【人物:“青の貴人”テレサ・C・クリスティ】
 ブリード:ピュア
 シンドローム:オルクス
 ワークス/カヴァー:FHセルリーダー/名家の令嬢
 侵蝕率:159%(最高記録。平時はこれよりも下) 性別:女性 年齢:19歳

SYSTEM :
 ローマで覇権を争うFHセル『貴人の庭』の現リーダー。
 怜悧かつ我儘。奔放に振る舞う少女の顔と、狡猾かつ貞淑に立ち回る貴族の顔を違和感なく使い分け、元々のセルの成り立ちからか、イタリア含めた欧州に今なお蔓延る貴族階級との太いパイプを持つ。何より強力なオルクス・シンドロームの使い手であり、主要勢力3リーダーの中で最も戦略的価値が高い。

 押しも押されもしない天才肌であり、急速に勢力を伸ばしてきた一方、
 彼女の台頭と同時にメンバーの入れ替えが進んでおり、これを不満に考える旧体制メンバーも存在はした。

SYSTEM :
 …しかし父クラウスが、自身の姉であるアドリア・C・クリスティを含めた多数の『無関係な子供』をとある実験に用いていた事実に加え、自身が「FHと癒着したローマ貴族階級の次の椅子に座る理由」が、姉が自らを庇ったためであると発覚するや否や、父クラウスを含め、対象となる技術者や彼の元で甘い汁を吸って来た者たちを悉く粛清。
 旧体制メンバーの生き残りは僅かに存在したが、この際の常軌を逸した苛烈な対応を以て彼らの意見は鳴りを潜めている。

SYSTEM :
 なお、実験の後遺症でアドリアは死亡。
 また、実験被害者の中の生存者はほぼおらず、いてもそのすべてがジャームと化している。

 にもかかわらず彼女を慕うチルドレンが多いのは、彼女が『ブレインジャック』に相当するエフェクト効果によって『自身の理性に基づいた価値観』を衝動の価値の上に置くよう強制しているためである。

 それを行使した最初の相手こそがアドリアであり、その相手の数はもはやいち個人が『支配下』に置いていい人数を超えており、
 皮肉にも彼女こそが『貴人の庭』…否、ローマ最強の“オルクス・シンドロームの使い手”であったことを示している。

SYSTEM :
 しかし良く言っても悪く言っても、“これから生きていくもの”のために、“これまで生きていたもの”を無理矢理継ぎ接ぎにすることで、可能な限り「今日」を続けているようなもの。

 というのも「この街が栄えるならばそれ以外は究極的にどうでもいい」気質の持ち主な部分に『責務』が加わったせいである。父と母も似た気質。
 そもそも先天的に『この国で生まれ、育ち、死ぬ』こと以外を意識的にシャットダウンしている様で、若さに反して閉鎖的だが、FHにしては割と変なところが倫理的で律儀。

SYSTEM :
 UGN嫌いの正確な理由も、この実験に関して、崩壊したUGN支部の残党勢力が何らかの理由で方針を急転換。
 この実験を知りながらも黙認していたこと、そして『UGNの初志』を持ったコードウェル博士の見限りを決定打としたものが挙げられる。
 つまり「ただの余所者」ならまだしも「国を荒らし、民を黙殺し、挙句初志さえ失われた余所者」という強烈な悪印象がついたのが原因である。

SYSTEM :
              ・・
 遺産『雷神の槌』入手目的は抑止。
 彼女自体、運び込まれたこの遺産そのものを快く思っていないようだが、強力な兵器足り得ることも認めており、
 この遺産を自身が所有することで、ローマに他の思惑が入り込まないための、いわゆる裏の世界における『核』的な扱いをすることを考えているようだった。

SYSTEM :
 …今もなお当たり前のように振る舞い、
 ローマ中に己の領域を広げた屍の女王の、玉座に座るための義務。
  レ ギ オ ン
 知らなかった罪たちを従えて、昨日の幸福を焼いて、永遠に廻る今日の中で『ローマ』を続けることにある。

SYSTEM :

 ───支配者の義務と権利を知る人間を王と呼ぶならば。
   王とは、共同体の中でもっとも偉大な歯車である。

ラーゼス :
 悲しみが胸を衝く。アレウスの怒りと苦しみはどこまでも正しい。

ラーゼス :
 そして同じだけ、“青の貴人”の考え方に理解が及ぶことも。また悲しかった。

ラーゼス :
 己の──そして、片目となった男の隣にい続けたものの経験として。

 王は国に尽くすもの。
 王であるということは、誰よりも勤勉な国の奴隷であるということだ。
 そういった考え方を、おそらく“青の貴人”は当然のように持っている。
 旧態依然とした“貴人の庭”の体制と考え方は、苔むした己がもっとも理解できるのかもしれない。

ラーゼス :
 そして己をもって国としたその在り方は、悲しいほどこの地と切り離しがたいということへの理解もまた。
 この地でしか咲けぬ青き花は、血を浴びたことでなお根を張り、美しくももろい大樹となったのだ。

ラーゼス :
「……王が、国を支配し、いと高き場所に立つということは……
 王が誰よりも、国に縛られ、最も多くの責務を握るということだ」

ラーゼス :
「その責務に、同胞の血と、なにも知らぬものたちの血と、嘆きがこびりついた……。
 目の当たりにしたのなら、なおのこと分かち難い。
 罪と責務は、彼女にとって同じものだ。
 さぞ、重く、つらい、剣の山を裸足で歩くごとき苦行であろう……」

ラーゼス :
「ああ……この時代に咲くべき花ではない。哀れな娘だ……」

夏瑞珂 :
 ふてくされた顔で、抱きかかえた肘に力をこめる。

夏瑞珂 :
 ……責務も奉仕も、わたしには解らない。それは自由の対極にあって、何より人を縛る力だからだ。

夏瑞珂 :
 解るはずがない。分かりようもない。
  テンペスト
 等身大の勇者たちに愛されて育って、なお、彼らと同じ路を行けなかったわたしでは……。

夏瑞珂 :
 憐みも悼みもない。あるのは羨望にも似た不理解だけ。

アレウス :
「──10年遅いだ……?
 そんなもんとっくに分かってんだよ……馬鹿げたクチ利いてんじゃねえ」

アレウス :
「全てが終わってるのも分かってんだよ、
 てめえらの罪は、てめえら自身が目を閉じ耳を塞ぎ口を噤んだ事だ!
 俺の罪はな……何も知らず、与えられる情報をクチにし、何もしなかったことだ!」

アレウス :
「だったら……」

アレウス :
「それを知っちまったら俺が出来る事なんて一つしかねえんだよ」

アレウス :
 力が込められた片腕が僅かに揺れる。
 もう片方の腕が、いつからか握られていた光槍を構える。
 そこから放出された光軸が、男の頭の寸前を通り過ぎ、後ろの壁を貫いた。
 ガラガラと崩れ落ち──灰の空の外から、一機のPFが覗いていた。

アレウス :
「例え摘んで変わり果てても──俺がその高嶺の花を奪ってやるだけなんだよ……」

アレウス :
……EE《テクスチャーチェンジ》を使用する。
アイテムの、《スカイキッド》に対してだ。

GM :
承知致しました…。

GM :
…念のためお伺いしますが
どのように?

アレウス :
そうだな、機体の外観の変化だ。

GM :
良いでしょう 支障はないものとします

アレウス :
助かるよ。

アレウス :
「枯れ果てても、萎れても、それでも俺は……、
 俺は刈り取って、……俺のモノにするしかねェんだよ」

アレウス :
「その為だったら俺は……」

アレウス :
   ・
「──鬼にでもなってやるさ……」

ガンドルフ[バルチャーII] :
 開けた穴から覗く薄紫のPFが、ぐにゃりとその姿を変えていく。
 モルフェウスの持つ物質の変換を、外観そのものに適用する。
 中身はそのままでも、見てくれが変わるだけで、見られた時の印象は大きく変わる。

ガンドルフ[バルチャーII] :

 それは誰にとっても、誰にあっても、アレウスという男の進むいばらの道の象徴であり、

ガンドルフ[バルチャーII] :
 彼が自ら継いだものすべてを内包した、欲望の表れでもあり。

ガンドルフ :

 銃火を持った海豚は──花を手に取るためだけに、
 誰に嫌われても、誰に拒絶されても構わぬと、その両手を突き出すのだ。

 その姿も、その在り方も、誰もが思うだろう。

ガンドルフ :

 ────鬼。

 それは、青い血全てを喰らう、鬼だ。

夏瑞珂 :
 腕を組んだまま目をまるくする。思いもよらない激情、あるいは時折見せた苛立ちの根源と──

 ──とっくの昔に手遅れだと突きつけられ、悔いる資格さえ取り上げられた者の、足掻くような宣誓。

夏瑞珂 :
 崩れた壁の向こうで、鋼の人型が変貌していく。
 赤く輝く双眸、聳える有角。
 全身を青黒く鎧う、あの姿は……そう、まるで。

夏瑞珂 :
  DEMON
「…… 鬼 ?」

“七花胡” :
 テレサ・C・クリスティ……。女王であり庭の主人たるもの。
 彼女もまた花だった。注がれた水が愛した肉親の血と理解した時に、育まれる花であることを辞めざるを得なかったもの。
 自らの根を伸ばし繋ぐことで、枯れた花の「今」を再演させ続けることに腐心するもの。

“七花胡” :
「(己の庭しか世界を知れなかった人間に、庭を捨てろと言う方が酷な話でしょう。
  あるいは彼が十年早く生まれ、彼女に外の世界を教えていたのなら……

  ……いえ、十年だろうと関係ない。
  出会った時に連れ出せなかった時点で、こうなっていたのかもしれません)」

“七花胡” :
「………………」

“七花胡” :
 “鬼”の姿を目の当たりにする。
 機械仕掛けの海豚が衣を脱ぐように変成し、孵化を終えるかのように真新しい装甲を露わにしていく。
 天を衝く四角はさながら反逆の砲火だ。
 その鬼は赫眼から血の涙を流しながら、貴種の血を吸い、装甲を更に蒼く青く染めようとしている。

 男の方を振り返った。

“七花胡” :
    ・・
「では、焼くしかありませんね。
 この土地を。彼女の庭を」

“七花胡” :
「主人として自覚する人間を一人の個人に戻すには、そいつの“庭”を跡形もなく焼き払うしかありません。
 一切の芽吹きも懐古も継続も許してはならない────彼女の未来も過去も現在も、貴方の手で焼き直すのです」

“七花胡” :
「たとえ今彼女の首を手折ろうと、庭が残ったままなら、彼女は女王のまま死に逝くでしょう。
 一つの歯車が壊れるだけ。貴方のものになんかなりやしません」

“七花胡” :
「しかし、全部焼いて手に入れられたとしても……きっとただ殺すより憎悪されますよ。
 貴方の先祖から末代、貴方のセルメンバー、過去の恩人やそこの『友人』……
 我々含めた貴方と縁ある全てのものを、彼女は恨み、憎み、祟り、災いあれと呪うでしょう」

“七花胡” :
「奪えたところで、貴方の愛したひとだって、“鬼”になってしまうかもしれません」

“七花胡” :
「それでも、貴方は“鬼”になりますか?
 恩人から借り受けたものの使い道として、後悔はありませんか?」

アレウス :
「構わねえよ」

アレウス :
 最初から決まっていたことだ。
 血濡れた看板を背負わされた時点で、この運命は定まっていた。
 どこまでいっても付いて回るこの名前になった時から、ずっとだ。

 狂乱と破壊を齎す者。
 "アレス"というコードを、生まれながらに刻印された少年兵。
 それから逃れようとしても、名はずっと付いてくる。
 挙句の果てが、蹂躙する者が一人、刈り取る者だ。

アレウス :
 これまでの全てが手から零れ落ち、
 育んだ絆しも朽ち果てて、望んだ従属も焼き尽くされ、
 一日一日を薪のように消費し、ただ生き延びるためだけに使われていく。

 ようやくそれが運命であると分かった。

アレウス :
 望んだものにはなれない。

アレウス :
 俺は人形になりたかったのだ。
 余計な感情を捨て、闘争の世界に生きたかった。
 だから俺は、夏瑞珂に対して羨望のような気持ちを抱いていたのかもしれない。
 人として生きるべき場所を見失いたかった俺に、運命はかくも残酷にほほ笑んだ。

 俺は人の姿をした獣になれればよかった。

 それも出来なかった。

アレウス :
「女に嫌われるのは慣れている」

アレウス :
「他人の庭を焼き尽くすのも、別に初めてじゃない」

アレウス :
「俺は、俺の通る道を根絶やしにしなければ生きていけぬのだろうよ」

アレウス :
「それに……」

 P.F.スーツが展開される。
 その表情が見えなくなるように、保護ヘルメットが覆いつくす。

アレウス :
  Fortes fortuna adjuvat.
「運命は臆病者の味方をしない」

 例え愛した女が鬼に成り果て恨んで来ようと構わない。
 災いとなってしまっても構わない。
 己の手から零れ落ちる全てを掴めず、それを運命として嘲笑われても構わない。

 だがその運命に背を向ければ、そこで終わりを迎える。
 だから前を向き続ける。
 だから足を前に出し続ける。

「俺はもう、振り向けない」

夏瑞珂 :
「────」

夏瑞珂 :
「なら、お望み通り嫌ってあげる」

 抱いた肘を突き放す。

夏瑞珂 :
「ひとりじゃないくせに」

 ありったけの嫉みと妬みをこめて吐き捨て、壁に空いた穴めがけて走りだす。そして、何の迷いもなく飛び降りた。

夏瑞珂 :
 落下の瞬間。物言わぬ鬼と視線が交差した──そんな錯覚。

“七花胡” :
「……おやまあ」首を竦める

SYSTEM :
 …佇む老人の瞑目こそが、
 一連の言葉への肯定であった。

SYSTEM :
 彼らはすべてをひとりの娘に背負わせ、
 ひとりの娘はすべてを彼らに押し付ける。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

 あなたのすべてを、私によこせ
 私のすべてを、あなたにあげる

SYSTEM :

 ─────呪いのかけ方だ。
 幼き頃から変わらない愛し方。

“七花胡” :
 彼が彼女の「庭」の一部に成れなかった/成ることを択べなかった時点で、連理の枝よりも歪なその愛を受けることは、未来永劫果たされない願いだ。
 たとえ庭が焼かれてしまっても、彼女はそれ以外からの愛の受け取り方を喪ったまま。

“七花胡” :
「それでなおと言うのなら……」

“七花胡” :
「貴人の庭を、この土地から消しましょう。
 跡形もなく。貴方の思い出も彼女の故郷も諸共に。
 彼らを汚した溝鼠の悲鳴を添えて」

“七花胡” :
「契約は生きている。今は貴方の庭師です。
 焼けと言うのなら、そのように」

“七花胡” :
 ……焼けたその土地も、きっと十年百年千年と経てば新たな種が芽吹くだろう。
 崩れ落ちたすべての屍と花の躯を糧にして、新たな種が/火種が育つだろう。
 「根絶やし」なんて、言うほど簡単に出来はしないのだ。いくら踏みつけたって蘇る、雑草のように。

 ……でも彼に、そんなことは慰めにはならない。必要ともしていまい。
 だからできることは、懇切丁寧に火をかけることだけだった。

マスター・ハーヴェスター :
「──俺の名は、マスター・ハーヴェスターだ。
 その名に置いて、俺の右に出る者は居ない」

 それが、返答の代わりだった。
 そして、己の手を離れた狼が飛ぶ様を見届けた。

(……、ガキは”女”じゃねえよ)

ラーゼス :
 去った娘と、鬼に成ることを選んだ男。
 どちらにも理があり、どちらにも理がない。
 ただそこにあるのは、いま彼らがその焼け野原の上に立つという事実のみだ。

ラーゼス :
「………アレウス。いいや、“マスターハーヴェスター”」

ラーゼス :
 運命を悟るには、彼らの命はまだ短い。
 しかし人の身において彼らの重ねた命数は、おのれの人生をいくぶんか悟るには十分すぎる時間だ。

ラーゼス :
 これが本当にさだめであると。
 そう定められるのは、己でしかない。

ラーゼス :
「約束は違えない。
 この目で、国を失った王の末路をかならず見届けよう」

ラーゼス :
告げてから踵を返す。拗ねて去った娘を回収せねばなるまいが──

SYSTEM :
 ───誰もが花と呼んだものを、 
   血染の大樹と理解した獅子の王は正しい。

 端の端まで根を張り巡らせたものを、如何にして抜くものか。
 その答えはひとつであり、あまりにも凄惨かつ利己的な、欲望に満ちた行いであるからだ。

SYSTEM :
 赤鬼の亡骸を貪り、青い花の血を啜り。呪いを血の涙に代えて。
     ・・
 覚醒めた瞋恚の鬼に、己の国を築かんとした男の指示した言葉もまたそうであるし…。

 ひとりぶんの足跡で塗りつぶすにはあまりに贅沢な薪の素材が、失った娘の心をくすぐりささくれ立たせるのも、当然のことだった。

『貴人の庭』メンバー :

「………。そうか」

『貴人の庭』メンバー :

「ならば精々…。
 生き延びて、やってみるが良かろう」

SYSTEM :

 時に。先ほど述べたばかりだが…。

SYSTEM :

 あなたは彼の旧い友の”だれか”に成り代わり、その位置を頂き。
 男に感じるべき疑問を先送りにさせたが。

『貴人の庭』メンバー :

「時にな? 旧き友よ、小僧よ………」

SYSTEM :

 彼の優先順位がそれで変わるわけではないのだ。

『貴人の庭』メンバー :

「無能には無能の守るべき足跡があるのだ」

『貴人の庭』メンバー :

「私はそれが例え刎頸の交わりたりとも、
 小生意気なローマの明日だろうとも、」

『貴人の庭』メンバー :

 あの娘
「御当主の道を阻むものが現れた場合、どうするか決めている───」

SYSTEM :
 壮年が口元を釣り上げた。

 予行演習とばかりに、まるで“餓鬼”の妄言を窘めるように笑って。

『貴人の庭』メンバー :

     ・・・・・
「─────死ぬがよい」

SYSTEM :
【Check!】
 下記のエフェクトが宣言されました。
(※ただし情報シーンであり、エキストラのため、
  ゲーム上の演出のみ処理し、『退場』を除く実際の効果は有効にされないものとします。)

 エフェクト:ウルトラボンバー
 使用者:『貴人の庭』メンバー 

SYSTEM :

 ───壮年の行動は次のように結論づけられる。

SYSTEM :

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 譬え何より優先するべき友だったとしても、
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 王の選択を蔑ろにする人間が目の前にいるならば、
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 そんなものは如何なる手段を尽くしても殺すしかないからだ。

SYSTEM :

 ………貴人の庭は、ナショナリズムによって構築され。
 UGN支部壊滅後すらも、ローマが「21世紀の現代社会」であるようにと、
 ただそこに薄氷の現実を築いてきた。そんな…手段を択ばない檻の紡ぎ手たちだ。

SYSTEM :

 ───敢えて言うまでもないことだが。

 いま庭に残っているすべては、命ある限り。
     ・・・・・・・・
 おそらく彼と全く同じ行動を取るだろう。

SYSTEM :
 僅か残る“借り”ある老人たち、
 死してなおひとりの女の責務に救われた永遠に幼き守り人たち。
      ・・
 おそらくは恩義のために命を捨てるのだろう最強の番犬。
 そして、その全てを“なおも”愛する義務を行使する女王。

 …その炎こそ。
 上記の遍くを収穫する第一歩であった。

ラーゼス :
「──! 胡、アレウス!」

“七花胡” :
「────」

マスター・ハーヴェスター :
「……」

ラーゼス :
 瑞珂のあとを追いかけた足を迷わず反転させる。
 いつかと同じように数歩の距離にある胡の身体を強く引き寄せて抱え込んだ。
 蒼き雷を纏った槍を横薙ぎに振り払い、爆風を凌ぐ。

“七花胡” :
 背筋を撫でる予感。口の中が干上がる感覚。劈く爆音。
 指先を爆風が掠めるよりも前に、大柄な体が雷光のように反転し、自分を抱え込んだ。
 防衛本能とも違う、染み付いた経験が咄嗟に目を閉じさせ呼吸を堅く閉ざさせたが、結論から言えば不要だった。
 炸裂の瞬間の爆風も衝撃も破片も、獅子の槍が大半を薙ぎ払い、残ったものも受け止めてくれていたからだ。

“七花胡” :
「(────この間と同じ────)」

“七花胡” :
 ・・・      ・・
 六年前とも同じだ。また庇われた。
 人の体が爆ぜるのだ。■回目だ。

“七花胡” :
「……無事ですか? “隻獅子”」
 爆風が収まったところで、身を抱く彼女の顔を見上げる。
 そろりと伸ばした掌で、背中の傷の程度をうかがった。

ラーゼス :
 しばし熱と衝撃に堪える。
 爆風が晴れたのち、腕の中の男を見た。外傷を確認して、ないようだと頷く。

ラーゼス :
         リザレクト
「……。大事ない。治癒の加護も働いていないようだ」

“七花胡” :
よかった、の呟きが音もなく消える。

“七花胡” :
「……手間を掛けさせました」

マスター・ハーヴェスター :
 熱風の中で、紺のスーツが焼け焦げる。
 男は仰向けに倒れていたが、それが止むとすぐに立ち上がった。

「無事なようだな、貴様ら」

ラーゼス :
「………」
 少し考えてから、胡の伸ばした手を受け入れた。
 艷やかな生地で編まれた外套には傷ひとつない。

ラーゼス :
「心配せずともよい。ありがとう」
 囁いてから体を解放する。
 アレウスの様子を伺い、その傷を改めた。おそらく大きな手傷ではないのだろうが……

ラーゼス :
「……はじめの収穫となったな」

“七花胡” :
「し……これは自分の手落ちで傷を負わせたらみっともないと思っただけで……」咄嗟の反論が尻すぼみに地面に落ちる

マスター・ハーヴェスター :
「そうだな」

“七花胡” :
「…………はあ。まあ。
 “貴人の庭”を全滅させるというのなら、この程度の返礼は覚悟しておけ、ということでしょうね」

ラーゼス :
 それもそうだ、と大真面目にうなずく。
 駒の損耗はあるじの手落ちにもなるものだ。気をつけねば。

マスター・ハーヴェスター :
「手落ちを気にする必要はない。
 お前たちを"買った"俺もこのザマなもんだからな」

ラーゼス :
「それはお互い様だというものだ。
 これほど己のゆく道を定めたものだとは思わなかった……いいや、会話の余地があると思いこんでいたゆえか」

マスター・ハーヴェスター :
「己の命を捨てての妨害、実に涙溢れる物だが、誰も死んでないのであれば無駄死にというところだな。
 返礼にすらならん、が」

マスター・ハーヴェスター :
「小娘め、風の呼び声というやつか? よく逃げおおせたものだな」

“七花胡” :
「まあ、『友人』としては警告のつもりだったのでしょうが……
 我々としては、今後警戒すべき対応のサンプルを得た、とも捉えられます。
 結果論ですが」

マスター・ハーヴェスター :
「だろうな。可能なら遠隔から始末した方が安上がりだ」

“七花胡” :
「前例ができたならば対処は如何様にも。それ用のプランを練りましょう」

“七花胡” :
「……爆発は下にも届いていそうなものですが……」どうしてるんですかね 彼女

“七花胡” :
「……まあ、あの足であればもう敷地の外ですか。我々も出ましょう、此方が焼けては元も子もない」

マスター・ハーヴェスター :
「そうだな、焼畑は参る」

マスター・ハーヴェスター :
「俺は子供にも嫌われてるみたいなんでな。
 すまんがラーゼス、回収は頼んでも良いか? 貴様が随分仲が良いようだからな」

“七花胡” :
「(なるほど。『女』でなくて、やっぱり『子供』なんですね……)」彼女は。

ラーゼス :
「よい。従おう。……が」

マスター・ハーヴェスター :
「どうした」

ラーゼス :
「おれのことも、『妬ましくて、憎らしくて、殺してやりたい』そうだからな。
 いっとき機嫌を損ねただけだろう。心配するな」

マスター・ハーヴェスター :
「ハ。そういうことか」

マスター・ハーヴェスター :
「反抗期だな、面倒を見るものはさぞ大変だったのだろうよ」

ラーゼス :
「……ずいぶん手を焼かせたそうだ。もうこの世にいない」

ラーゼス :
「……本人もいないことだ。道々話そう。
 あの娘の機嫌を取るにせよ、なににせよ、多少は知っておいたほうがよいと思う」

マスター・ハーヴェスター :
「……」

マスター・ハーヴェスター :
「そうか、孤児か」

マスター・ハーヴェスター :
「不幸なことだな」

マスター・ハーヴェスター :
 生まれながら、銃火の中にいた俺と何方が?
 答えのない問いは己の中に消えていった。

「そうだな、ナポリの火から逃げながら聞かせてもらおうかね」

“七花胡” :
「……。やはり『居た』のですね。彼女にも」

“七花胡” :
「……そうですか。居ながらにして、あのような……。
 いえ。……居たからこそ。ですか」

“七花胡” :
「ええ、はい。伺いましょう」

“七花胡” :
「何かをするにしても、しないにしても。
 拒むにしても、受け入れるにしても。
 知らずには、択ぶこともままなりませんから」

ラーゼス :
「おれもそう思う。
 あの娘の狂乱は、通ってきた道がすべてのように思えた。
 そして……」

ラーゼス :
「……終わらせるにせよ。次を始めるにせよ。永遠に過去を振り返りつづけるにせよ。
 あの娘にとっては、そのすべてが“黒鉄の狼”なのだろう」

ラーゼス :
 ……風帰る地をなくした娘のかたちは。
 あるいは、国を亡くした王のかたちと、すこし似通っているのかもしれぬ。

ラーゼス :
 その一生を懸けたものを失わせるのだ。
 復讐を遂げることも、国を奪われることも。

 アレウスの言うとおりだ。どうしても──

ラーゼス :
 進むためには踏み荒らさねばならない。
 それがこの羅馬という街にめぐる、いまの因縁の在り方なのだろう。

SYSTEM :
 かつて赤き伝説を栄華に導いたものは強さだ。彼を縛り付けたのも。

 そして、青き血統をローマに結び付けたのも強さだ。責務という名前の強さ。

SYSTEM :
 ならばここにいるのは、
 それに焦がされた者の行く末であるが。
 ・・
 末路ではなかった。今は、確実に。

SYSTEM :
 ………同じように焦げ付き、遠く征く風と。
 ここに燃え上がる炎の先を、

 永遠の時を歩く旅人たちが思った。
 なにしろ運命は、立ち止まるものには択ぶ権利さえ与えぬことを、どちらも知っているからだ。片や年月と共に培って、片や己の育てた者たちと築いた、己の輪郭で…。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

夏瑞珂 :
いません

夏瑞珂 :
ぷい

マスター・ハーヴェスター :
感情の変更がある。複数あっても構わんか?

GM :
………ふむ。よいでしょう。

マスター・ハーヴェスター :
“七花胡”へのPを誠意にし、○に変更する。
夏瑞珂へのPを憧憬へ変更する。

GM :
ほう………。

GM :
かまいません。よいでしょう!
ほかになければキャラシートへの記入をお願いします。

夏瑞珂 :
 

マスター・ハーヴェスター :
(肩を竦める)

マスター・ハーヴェスター :
ああ、記入完了した。

ラーゼス :
おれは特にない。ありがとう。

“七花胡” :
“死滅天隕”、あるいは“マスター・ハーヴェスター”にロイスの取得を。

GM :
ふむ…感情の指定は?

“七花胡” :
○誠意/憐憫 で。求められた契約に差し出すのは、誠意であるべきでしょう。どう思っていたとしても、ね。

GM :
…よろしい! こちらもキャラシートへの記入をお願いします。

“七花胡” :
承知しました。

system :
[ "七花胡" ] ロイス : 5 → 6

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
下記のNPCについて居場所が判明しました。
条件を満たすことで、望むならばシーンを展開し、攻撃を仕掛けることが可能です。▼ 

SYSTEM :
・“青の貴人”テレサ・C・クリスティ 

SYSTEM :
条件:『貴人の庭』の勢力値≦0 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・シーン15「Ne vivam si abis-置き去られて」

SYSTEM :
【シーン:Ne vivam si abis-置き去られて】

 登場PC:夏瑞珂
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 
 Dロイス:変異種
 その銘、強欲の血脈。
 先祖還りのものと、故意に手を加えたものの二つがあるとして、
 彼のものは後者である。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ───“御手翳す解放者”の根城は、
 そもそもローマにない。

 どこ、とも伝えていないが、その行き先と在処を示したのは他でもない“マグナ・マーテル”(またの名、呼ばれて満更でもない名はあなたもよく知る『アイシャ』)だ。
 喉元を示したのは誠意でもあり、万一の備えでもあるのだろうか。

SYSTEM :
 そんな喉元───曰く『マヨヒガ』がどうこう───、彼女の開いた“門”に潜り込むようにして瑞珂が(あるいは七花胡やアレウスの意図で)お邪魔した最大の理由は、

 リグ・ヒンサー崩落の折に手に入れたレネゲイド結晶体。
 共通項ならばいくつも見つかったが、完全に“ソレ”とは合致しないモノについて、解析の腕前を持つ人間が基本ここに引きこもりがちだからだ。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :

“で? ナニか。
 死滅天隕やらの指示ではあるまいから、
 独断かあの華人だな”

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :

“青き血に泥をかけなおすのに忙しい、後にしたまえ。
 たかが死人に拘泥する事例などは知っているが、私はそうでは───”

“アイシャ” :

”だめ?”

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :

“とんでもございません”

SYSTEM :
 事前に解析を頼むにあたって、アーキルは彼女に行くよう指し示した。

 彼とて理性がついている、真摯に恃めば(注文をつけつつも)拒みはしないだろうが。
 そちらの方が余計な手間が減るからだ。

SYSTEM :
 そんなワケで、再び自室にこもったカルロをよそに、瑞珂は彼らの根城で、彼女と留守番/待ちぼうけの最中である。

“アイシャ” :
「だめな人じゃないのよ」

“アイシャ” :
「(わかってあげるのが)むずかしい人なだけ」

夏瑞珂 :
 門を抜けて、黄色の巣へ。まず何のご用事と問われて、ひとのお手紙と荷物を預けたのが少し前。
 自室にこもったナードを見送って、待ちぼうけしているのが今。

夏瑞珂 :
「(生理的に)だめな人よ」

夏瑞珂 :
「むずかしい人をかんたんにする方法を知りたい?」

夏瑞珂 :
「死人に口なし」

 つっ、と人差し指で唇のふちをなぞる。挑発的なしぐさ。

 目の前で何度となく泣き暴れても、柔らかに接することをやめなかった生き物へ、挑みかかるように。

夏瑞珂 :
 死体の庭はべつに例外ではない。動く屍と喋る骸にも、二度目の終わりはくれてやれる。

“アイシャ” :
「その理解り方はできないわ。
 あなたには、できるのね」

“アイシャ” :
「…出来ると教えてくれているのかしら。
 時に置いて行かれた人は、確かになにも喋らない。残るものだけが、ついてくる………」

“アイシャ” :
「………」

“アイシャ” :
「………でもその場合、“むずかしい人”は“むずかしかった人”になるだけよ。
 彼はケッペキ? なの。アーキルのことば」

SYSTEM :
 …なお事の経緯には、庭を焼き払う下準備/より正しく言えば『庭』に潜んだ鼠駆除の仕込みに赴いた七花胡からの、念を押した言葉と、まるで様式美の如き文があったという。

夏瑞珂 :
 すこしも動じないのがつまらなくて、唇を尖らせる。

夏瑞珂 :
「もう喋らなくなった人の声は聞こえない……。
 もう動かなくなった人の手は触れられない……」

夏瑞珂 :
 うそ
 真実だ。

夏瑞珂 :
 出てきた名前に尖らせた唇がへの字になる。

夏瑞珂 :
 ソファで横並びの姿勢から、白い両膝へころりと頭を預ける。流れた自分の髪を一房つまんで毛先を弄りながら、

夏瑞珂 :
「じゃあ」

夏瑞珂 :
「投げ出しちゃえばいいのよ」

 そうすれば、むずかしい人はむずかしい人のまま『かんたん』だけが手に入る。

「手に余るものを、いつまでも手に抱えている必要はない」

SYSTEM :
 …あなたの言葉を聞いている間、彼女はその尖らせた唇と、燻るような感情の波に眉を下げて、膝上の娘へ視線を下すだけ。

 娘の中に火種がある限り。それは沈静と活性を繰り返すだろう。
 風だけが、いまも鎮火し得ない廃屋を抜けていく。

“アイシャ” :
「私の手は小さくないもの」

“アイシャ” :
「小さくても、投げ出すようには生まれていないわ。
 おそと
 余所者のあなた」

“アイシャ” :
「それに、手に余ることは、理由にならないそうよ…。
..わたし
 羅馬を行く人々は、いつも、自分より大きなものを抱えていたから」

SYSTEM :
 彼女はあなたの傷口をつつくことはしなかった。『かんたん』は、恐らく“余所者”相手にしてきた身だ。

 それがこうして話しているのは、よほど、あなたが唇を尖らせた男が、その壁の煉瓦をこつこつ取り除いたからかもしれない。

SYSTEM :
 それが”ありえない”ことでないのは、近くて遠い出会いが知っているだろう…。

夏瑞珂 :
「…… ……」

 虚空をじっと睨みつける。批難と哀しみの混じった視線。

夏瑞珂 :
 いま伏せている脚に爪を立てれば、壁はまた築かれるだろうか。

夏瑞珂 :
 あるいは──
 乱暴な手段をとりやめた男の手から、何もかも奪って夢を見るなと嘯けば、いくらか気は晴れるのだろうか。

夏瑞珂 :
 ……違うと分かってしまうことが、『ありえないことではない』の証拠。置いていかれたわたしについてくる、残るもの。

 それが虚しくて、寂しくて……。

夏瑞珂 :
「もう帰る」

 頭もあげずに言う。ふてくされた声。
 自分が何をしに来たのかも、どうでもよくなっていた。

SYSTEM :
 明らかに“帰る”の姿勢ではなかったが、そこにいるのは人に近くて遠い生き物だ。
 はじめて、すこし困った顔をした。微睡むに微睡めない視線がためか。

“アイシャ” :
「…ごめんなさいね。
 けれど、いいの? あなた」

SYSTEM :
 続く言葉は“あなたは庭を造る彼から頼み事があったのでは?”だったが、それを言う機会は訪れなかった。
 というのも、だ。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :

「いかにも。帰ってくれてもソレは全く構わんが」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :

「せめて預け物くらいは持ち帰ることだ」

SYSTEM :

 本当にいつの間にか、自室の扉を開けてやってきた男が、あきれ半分の声をぶつけていた。
 ふてくされた声を挙げた時、ここにいる人間の中で頭一つ、いや三つは抜けてなんの忖度も寄り添いもしてこない男である。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「甘やかされていたようで結構だ。
 だが行きとお帰りは女神の門頼り………」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「個人的なことを言えば貴君らの争いで失われるとそれはもう困るので、女神“には”留まっていて頂きたいのだが…」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「で、どうする。帰るなら挨拶一報入れていくといい。
 その場合はコレ、遠慮なく使わせて…頂くにもアテがない、死蔵することになるが」

夏瑞珂 :
「いらない」

夏瑞珂 :
「しらない」

夏瑞珂 :
 反対に寝返りをうって、むずかしいひとに背中を向ける。

夏瑞珂 :
「私のじゃないもの」

夏瑞珂 :
「蛇のひとが拾ったんだもの」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「フー………。
 貴君、自らの年を思い返すがいい」

夏瑞珂 :
「いちおくまん」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「五から先は数えられんか?
 わかった、ではその体で話を進める」

夏瑞珂 :
 ONE
「いち」

 中指を立てる。

SYSTEM :
 そして彼は堂々と話を押し流した。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「………それと、」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「女神、僭越ながら申し上げますが、
 サル
 我々は全員が全員、あなたの理解に諸手を挙げるほど利巧ではありません。
 これだけの時間と過渡期に相当する無駄な才能を費やしておきながらね」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「───理解して猶もだ。
            ・・
 貴女にとってこの小娘はそうと?」

“アイシャ” :
「………」

“アイシャ” :
「言い方がよくない」

“アイシャ” :
「…あなたはそうして欲しくないのは知っているけど、彼はそうして欲しいのも知っているから」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「まったく小癪な男だ。手をつけるのが半年早ければな」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「───というわけなので泣いて喜び、そのまま永遠に1と1を足しながら話を聞くがいい」

夏瑞珂 :
二本目の中指。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「その知性は都合よくあるようで結構
 なお聞かずとも私が勝手に喋るのでよろしくお願いします」

SYSTEM :
 ───やれやれと肩を竦めた“ひとでなし”の忠告の意味と、それを撫でるように流した地母神のひとかけらの意味を、あなたが知るかは定かでない。

 知ったなら益々ささくれ立つやも知れぬし、知ろうという姿勢ではないだろう。

SYSTEM :
 そして、“しらない”と”いらない”への応対に対して、アーキルの予想通り永遠のグーがぶつかり合ったのをよそに、膝へふてくされた娘を抱えたアイシャが頷いた。

“アイシャ” :
「ここの行き来は手間だから…。
 帰るときに、私が伝えるわ」

“アイシャ” :
「興味がなかったら、寝てもいい…。
 意味を感じる限り、聞いてあげて」

夏瑞珂 :
「…… ……」

 素直に頷きかける自分としばし戦う。ここで素直になるのは、なんだか、とても、ものすごく、だめな気がしたのだ。

夏瑞珂 :
「聞いてないけど」

 もそもそと体を起こして、隣に座りなおす。膝に両手を乗せた真似っこのしぐさ。

「聞こえはするでしょうね」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「どうやら貴君の仮の飼い主どもは
 YorNの便利さを伝えなかったようだな」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「三者面談などしてはたまらんので、この“がんばりましょう”スタンプを押すのみでけっこう」

夏瑞珂 :
「Fの使い方は得意よ」FUCK

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「合衆国の出なことはおかげさまで十分に分かった
 連中とは縁がないではないのでね」

SYSTEM :
 ちなみに彼は一切語らないが、

 確実に悪縁である。彼が。

SYSTEM :
 ………閑話休題。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「───申し上げる前に聞こう。

 貴君、これを“赤の鬼人”の亡骸から連中がもらい受けたと述べたが、それに相違ないのだな?」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「なお…“いいえ”以外は全て“はい”と見做す 制限時間五秒だ」

夏瑞珂 :
代わりに5秒カウントする。

夏瑞珂 :
「どうぞ!」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「おおっと“帯来风暴”早かった
 回答拒否で次の設問に進もう」

“アイシャ” :
「あそんでる?」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「真逆。無駄は省きたいものですな」

夏瑞珂 :
5秒カウントを延々とリピート。

SYSTEM :
      きょうこうとっぱ
 そしてカルロは有言実行に出た。
 いや、言わずともやっていただろう。前置きの通りだ、“いいえ”以外はすべてその仮説の体で進めると。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「………身の上事情など、おそらく誰にとっても意味がないので割愛するがね、
 私はローマで女神を見つけ出すまでの間にも、様々なRBについて調査を進めたことがある」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「その最中で見つけた“プランナー”などは、
.                 オーヴァード
 あまりに迂遠で“揺らぎ”が多く、また、過渡期とは何の関係もなかった。
 存在の定義に敬意を払うことはあったが…」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「同じような理由で、敬意は払えど敬遠したものがいくつかいる。そのうちの1体…」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「ブリテン諸島の…何処だったか忘れたがね。
 当時の名高き英雄、名もなき英雄、あらゆる血を吸って“なかったこと”にした厄災戦…。
 その永遠の主役、悪名高き上位捕食者…」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「北欧の強欲竜………」

夏瑞珂 :
「────」

 火の熾った目を細める。

SYSTEM :
 その名前は、いつぞやにあなたの耳にしたものだ。

 世界の最果てに住まい、欲の赴くまま微睡み、怒り、楽しみ、食らう大災害。
 この世の興りから今に至るまで、未だレネゲイドなるものが住まうことの───。
 ・・
 神秘と呼ばれ、忘れ去られていくものがあったことの、かなたの証明のひとつだ。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「…即物的なことだ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「───まあ長々といっても伝わるまい? 
 要約するが、つまりだ。
                  レネゲイドクリスタル
 “赤の鬼人”の心臓替わりを果たすほど強靭な賢者の石…。
 それはな、北欧に名高き『厄災』の血だった」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
    ・・・     
「まあ、なぜか不純物が混じっていたので、相当品としても賢者の石とは呼べんのだが…。

 大したモノだよ。
 触れた人間全員ジークフリートにでもするのか、アレは?」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「───そしてだ、結論は“こう”だ。
 やつに傷が通ったというのは二通り…」

SYSTEM :
 挑む気概を取り戻した男の意思で励起した「厄災」の血が、彼の因子と結びついた。あるいは…。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
   ・・・
「その不純物が肝要だったのか………」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「………不純物の正体は少なくとも私が知るもののR因子ではないようだがね。
 まあ、候補はいくつかあるといったところか…」

SYSTEM :
【Check!】
 情報『ローカルアイテムの正体』を開示します。(※一部) 

SYSTEM :
【欲竜血晶】
 このローカルアイテムは「Dロイス:愚者の黄金」として扱うことが出来る。

1:使用した攻撃が命中した場合
2:このアイテムを特定のNPCに所有させた上でダメージを与えさせた場合
 
 いずれかの条件を満たした場合『黒鉄の狼』の「超人的弱点II」をそのシーン以降解除する。 
 また、この効果は───。(※シーン中開示予定)

SYSTEM :
 ───最果てに眠る強欲竜。
 かつて幾度となく世に災いを齎し、己が好奇心と気まぐれで世界を揺るがしたものの血晶体。
 超高純度のレネゲイド体であり、あるいは“赤の鬼人”に限っては心臓の役割を果たしていた。調査者に曰く「そんなことができたとして、きわめて稀な事例に相当する」とのこと。

 何か別の『不純物』が混入しているためか、死によって循環を失ったのか、その効力をほぼ失しているが、全てではない。

夏瑞珂 :
 世界の再果てに実存するお伽話から滴り落ちた、血の一欠片。
 肉身から分かたれた触覚に遠く及ばずとも、それは間違いなく『同種』のレネゲイド……竜鱗を貫く力だ。

夏瑞珂 :
「素敵」

 熱く吐息を湿らせて、陶酔する。

夏瑞珂 :
 あの傲岸不遜から絶対の護りを引き剥がして、惨めな丸裸にしてしまおう。憎悪の火が届くように。芯も核も焼き尽くして何も何も何も残らないほど──

夏瑞珂 :
「でも、可笑しな話ね」

 仄暗い興奮が少しだけ引っ込む。

 ・・・
「私たちから奪っていったのは、"黒鉄の狼"なのに……あいつを形作るモノと同じ力に生かされたのね、彼」

 ボス、と言いかけてやめる。元ボスだ。

SYSTEM :
 世界の最果ての御伽噺が、彼を生かした。

 とっくに息絶えていたはずの、
 腐るのを待つだけの三年間を。
 ───彼は最後に、己の中の眠れる奴隷を解き放った。敗北したが、勝利したのだ。

SYSTEM :
 その命のかけらは、まだ用途がある。

 プライドの勝利、その先にこそ、
 あなたにとっては用があるからだ。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「そうかね? 
 まあ、好きにしてくれて結構。

 もう少し早く出会っていれば…あるいは吝かでもなかったが、
    サラチ
 生憎と頂点を目指すものに用はない」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「説明義務というものを一寸だけ感じたので伝えておくが、他者のレネゲイドだ。
 ・・・・・・・・
 馴染むわけはない。飼い犬…飼い猫…」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 …この娘が元飼い猫みたいなものの気配がするな…どうでもいいか。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「使う人間は、飼い鬼に噛まれることを承知しておくことだ。
 早ければいいというわけでもないぞ? 貴人の庭にその気が“まだ”あれば、連中もまだその首と遺産に用はあるかもしれんからね」

夏瑞珂 :
「死人のお庭は鳥のおじさまがどうにかするわ」

 他人事のように嘯く。

夏瑞珂 :
「ご忠告どうも! でもきっと我慢できないわ」

夏瑞珂 :
 痛い目に遭うくらい、どうというコトもない。内も外も傷痕だらけで、もうどこが痛んでいるのかも曖昧になりつつあった。

夏瑞珂 :
「ね、話の続きをしましょう。不純物って?」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
   ・・・・
「ハ。どうなるか分かっているだろうに。
 下らんとは言わんが、非生産的だ。だから我々は過渡期だという」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「…ちなみにこれは貴君のことも指すが。それに対する回答も遡る限りクチにした、再回答の余地はない。
 言う通りだ、他人事」

SYSTEM :
 ───記憶が正しければ、彼に庭の現状と結論を述べた覚えはなかった。

 つまりこの言葉は己に対する殺意と持ち得る知識からの逆算だ。鼻で一度笑って終わり。

SYSTEM :
 そして…。そうだ。
 話の続きに戻るならば、
 ひとつだけ明確な疑問はあった。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「それについてだがね………。
 女神よ」

SYSTEM :
アイシャが一度うなずいて、その“血晶”を手に取った。

SYSTEM :
彼女はかすかに目を細め、首をかしげる。

“アイシャ” :
 おそと
「余所者じゃない」

“アイシャ” :
 おそと
「余所者の中に、そうじゃないのがあるわ。
 …なんのために?」

SYSTEM :
 あいまいな言葉と共にひとり納得する彼女であるが、そこで区切らなかったのは三年の朋友のおかげだろう。

“アイシャ” :
「確かに、その“竜”の血と因果だけではないわ。何かが混ざってる。
     わたし
 それは、羅馬の知る…知っていても、遠く…」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「この地ゆかりのR因子と申すわけですな。
 女神の助力に感謝を。さて…」

夏瑞珂 :
「???」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「というわけだ、貴君。
 あまり長々とメカニズムを解説して“ぐう”の音で終わらせた暁には、貴君の手紙の送り付け先に是非ともよろしく言う羽目になるのでね」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「結論から申し上げる。

 この血晶を用意したものが“そう”かはともかく、ここにローマゆかりのもののレネゲイドが混ざった。根拠は女神でQ.E.D。
 不純物とはそれだ。“それ”さえなければ………」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「“それ”さえなければ、容易くそのもののレネゲイドさえ作り替えたかもしれんし。
 死した時、その力を失うようなこともなかっただろうね」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
          サル
「もう少し視線低めの我々式に答えると。
 そうだな、『誰かが自分のレネゲイドを混ぜたので弱くなった』だ」

夏瑞珂 :
「ローマゆかりのレネゲイド?」

 はて、と首をかしげる。

夏瑞珂 :
「"赤の鬼人"自身ではなく? 彼、ここのひとでしょう」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「そうではない。
 ・・
 それで構わんのならあと3回ほど偶然が生まれていただろうね」

“アイシャ” :
    ..わたし
「………彼も羅馬を行き交う命よ。だけど」

“アイシャ” :
 ・・
「いまの人よ。これは、違う………」

SYSTEM :
 ………そして。
 あなたが提示しない疑問を、
 カルロ本人が口にした。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 ・・・・・・・・・・・・・
「赤の鬼人が手傷を与えた理由はコレだ。
 二通りとなる」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「………そして実験とは必ず一例だけでは行わん。
 “なぜか知らないが成功した”という仮説をそのままにすることを整理や結論などと呼ぶ人間が研究者を名乗るならば、私は自己批判のち地獄を一周して帰ってこなければならん」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 ・・・・・・・・・・・
「貴君が手傷を与えた理由だ。
 赤の鬼人の理由が“これ”ならば、貴君にはな…」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 ・・・・ ・・・・・・・
「悪竜の血か古き羅馬の因果が備わっていなければ、なにも説明がつかなくなるのだよ」

夏瑞珂 :
「…… ……」

夏瑞珂 :
 ……嫌な男だ。薄らとあった理解を、まるで暴き立てるように形にする。
 悪意からではなく、ものごとを紐解くための手順として。

夏瑞珂 :
「私、三年前までハヌマーンのピュアブリードだったの。
 "赤の鬼人"と同じ日に、そう変わらない場所で……"黒鉄の狼"に殺されたあと、私には炎が宿っていた」

 ネクタイの下、シャツのあわいに潜った指先が中心を引っ掻く。

夏瑞珂 :
「……この奥に、同じものがあると思う?」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「己の中で大筋のついている疑問を投げかけてどうす───」

“アイシャ” :
「………」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「女神よ。こればかりは甘やかす話でもありません。
 御身の場合は“甘やかす”でさえない、努力の一環やもしれませんが」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「………ま、いいでしょう」

SYSTEM :
 
 彼は一連の発言にそもそも悪意を込めていない。込めるほど人に興味を持つ余地がないからだ。

 だから彼の指摘はすべて理屈に沿う。物事を無機的に明かす。隔てた場所からズケズケと入り込んでくる。

SYSTEM :

 ───余談と知りながら敢えて書くなら。
 凡そを超越る資格を持ったくせ、凡そと変わらず”気持ち”で生きるオーヴァードの在り方そのものが嫌いなのだ。意味を知りながらも。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「根拠を提示する。ひとつ。
 貴君の今までの口ぶりから、その現場は戦場と断定しよう」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「救助の理由が偶然などあるか?
 戦場は迷い込むところではないからだ。貴君、端くれでもそこで生きようとしたなら理解っていようが」

SYSTEM :
 彼はもうひとつの理由を知らないが、

 あなたはそのひとつの理由を確かめられる。

SYSTEM :
 なにせ………。
ファウスト
 負け犬とは共通項があるのだ。
 忘れてはいまい。

SYSTEM :

 ───あのとき再生の叶わぬ器に。
   熱が宿り始めた。

 切っ掛けは、それだ。

SYSTEM :

 同じ声、同じ所以、同じ敵。

SYSTEM :

 広がった炎に中てられて、
 見続ける忘れられない夢。

SYSTEM :

 這い出てくる炎はあなたにとって何だったのか?
 衝き動かされるように、彼は動き出した。あなたも、その時動き出した。

SYSTEM :
 ───そうだとも。

『謎の声』 :
 敗北の過ちを糺せ、

 逆襲の果てを質せ、

 喪失した価値を正せ。

『謎の声』 :
           くに
 やつの骸で、おまえの世界を築くのだ
 そのとき、まことの自由が戻る

SYSTEM :
 ───そうだろうとも。

SYSTEM :
 生き残るはずのない現状に生き延びて。
 無敵の竜鱗を糺す“敵”になる資格を得たのだ。

SYSTEM :
 振り返る黄金を火に呑まれたもの。
         ・・
 ………あなたと彼が違うはずがない。
 

SYSTEM :
【Check!】
 情報『ローカルアイテムの正体』を完全開示します。 

SYSTEM :

【欲竜血晶】
 このローカルアイテムは「Dロイス:愚者の黄金」として扱うことが出来る。

1:使用した攻撃が命中した場合
2:このアイテムを特定のNPCに所有された上でダメージを与えさせた場合
 
 いずれかの条件を満たした場合『黒鉄の狼』の「超人的弱点II」をそのシーン以降解除する。 

 この効果はPC1『夏瑞珂』が持つ「Dロイス:賢者の石」も同様の効果を持つ。
(※「賢者の石」を使用した状態の攻撃でも問題なく発動するものとしてよい)

SYSTEM :
 なお、同様の理由で発動する「超人的弱点II」にも有効とする。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 そうだろうとも。

 完全に”そう”かはともかく。
 同じ声と所以が宿っている。

SYSTEM :
  シグルド
 不死身の英雄は、

 火よりも熱く滾る、
 爛れた欲望にしか倒せない。

SYSTEM :
 …そしてここは、情熱の都であった。

夏瑞珂 :
「はっ……」

夏瑞珂 :
「は……っ、は──あ」

 喘ぐように嗤う。嗤うように咽ぶ。

夏瑞珂 :
「あ────は、ァ」

 嫌悪と屈辱に顔を歪める。奪われた上に、無理やり生かされるだなんて。
 今すぐ自分の胸を引き裂いて、中にある汚物を粉々に砕いてしまいたい。

夏瑞珂 :
 そんな衝動すら、どこか遠い。声が、ああ──声が。

 声が響く。ガリガリと掘削される理性。響いて鳴りやまない。思い出したい声を上書いて、残響はくり返す。復讐を、と。

夏瑞珂 :
 かまわない。殺す。必ず殺す。何を引き換えにしても、それは果たすと誓った。
 竜だろうと神だろうと、一切の区別なく殺してみせる。

夏瑞珂 :
 でも──

 もし、もしも。

 三年前の悪夢が、ただの荒唐無稽ではないとしたら。
 不運だと諦めるほかない悲劇ではなかったとしたら。

夏瑞珂 :
「う──ぅ、う、あ……!」

 抱えた頭を掻き毟る。だってもう限界だ。身も心も火達磨で、残ったすべてを費やせば終わると信じていたのに。

夏瑞珂 :
 どうして、こんな目に。

 その答えが──今になって! 今さら! 

夏瑞珂 :
「ああああああ……!」

 振り絞った喉から、意味のない叫びが迸る。

 呼吸できなるまで、強く深く。グチャグチャな心も吐き出されてしまえばいいと、縋るように呪いながら。

SYSTEM :

 理解は遠ざけていただけなのか。
 それともそんな余裕さえなかったのか。

 あの日に所以などなく、ただ炎を掲げたがための結末であるなら。単純な暴力と復讐の話であったなら。ああ、確かにそうだろう。

SYSTEM :
 しかしだ、そうではない。
 そうではない“かも”しれなかっただが、その疑念さえ、熱を忘れる無我に対しては苦痛だった。

 それを認めるということは。
 それを認めてしまっては………。

SYSTEM :
 止まった時が動き出す痛み、喪失う苦しみと向き合う未来に耐え切れぬ、と。
 弱々しく滾る嚇怒のほのお。

SYSTEM :
 人でないものの、人肌の熱。
 それが、癇癪に窮した末の結論だった。

 意味のない叫びに籠る呪い、振り絞ったものの隔てを知りながら。
 理解ろうとして“そう”は出来ない部分を知りながら、ただ声をかけ。かけるより先に、意味のない接触があった。

“アイシャ” :
「………………」

“アイシャ” :
「がんばったのね。
 ひとつめのおうちの外で、ずっと」

“アイシャ” :
「あなたのよろこびは、きょうの先にあるかしら。いいえ、なくても…」

SYSTEM :
 なくても、あるべきだ、と。
 それであなたを作ったものが残らないのは、
 あんまりだ、と。零した音が届いたか。
 ただ存在を与えるための、あなたに触れる腕の熱が伝わったのか、定かではない。

SYSTEM :
 それは恐らく、
          オリジン
 そのようにあれという根源を持つ娘の、
 おそと
 余所者にある温もりへの。
 あるいはそれが失われた痛みを思わせる慟哭への感情だった。
 当事者の外側なりの、苦しみへの反応であったが。

 あなた自身はそれどころではなかったかもしれない。疑惑すら、罅を継ぎ接ぎにしてきた心には致命的だからだ。

SYSTEM :
 ………会話の終了を悟ったか、これ以上は無意味と踏んだか。

 もう一人の対応は冷徹だった。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「そうかね、再回答の余地はない」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「どうせ貴君は過渡期なのだ。
 過渡期なりに、使える意味を探るがよかろう」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「…おっと、私もか。
 女神よ、私はこれでお暇させて頂きたい」

“アイシャ” :
「………」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「ご無礼をお許しいただきたい。
 しかし、私の回答に意味があるとでも」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「この娘に回答を与えてきたものは、
 私の手伝いをしてくれぬ輩でしょうからな」

SYSTEM :
 彼はあまりにぞんざいかつ吹っ切るような回答を用意できるが、必要なものは“それ”ではない。
 わざわざ口にしたのは、断じてさだめに哭くあなたのためではなかった。

SYSTEM :
 …扉が閉まる。残る声は二つだけ。

夏瑞珂 :
 息を絶やして、声を涸らして。延長された前途を呪う慟哭を、ひとではないものが抱きしめる。

夏瑞珂 :
「──っ、──」

 触れあう、ひとそのものの温もり。抱擁を形もつ生命の寛容。

夏瑞珂 :
 受容も憐憫も、慈悲の雫であるはずなのに、憎悪の火を前に蒸散してわたしに届かない。
 逆襲の果てを質せと、あの声がわたしを焚べ続ける……。

夏瑞珂 :
 でも……

 誰かが守りつづけた「わたし」が、この身を抱く細腕に縋りつくように手を伸ばした。

夏瑞珂 :
 きょうの先がどれだけ耐えがたくとも。
 いま「わたし」を失ってしまっては──今度こそ……。

SYSTEM :
 ………。

SYSTEM :
 もし君が去っていくなら、私は生きたくはない。
      ───Ne vivam si abis。

SYSTEM :
おとなたち
 きみ に守られた「あなた」、置き去られた子供がおそらくどこかで捏ねた駄々である。
 …だが、これを“駄々”と呼ぶ資格を持つ人間など、果たしてこの世に何人いるものか?

SYSTEM :
 …そのあなたが、縋るように伸ばした手を、彼女は躊躇なく支えて、ただやり方を一つ一つ確かめるように抱き留めた。

 行き交う人々を見守ってきたものの記憶、折り重なった歴史のかたちが、生まれたての地母神をそうさせる。

“アイシャ” :
「今のあなたを」

“アイシャ” :
「今日をゆくあなたを。
わたし
 羅馬が守るわ」

“アイシャ” :
「あなたを育てた、滾る色じゃないものが。
 消えてしまわないように…」

SYSTEM :
 それは彼女が知らない、あなたをきょうまで守ってきた、荒ぶる以外のかたちを教えてきたものを”理解したい”という、RBの普遍の努力だ。

 ………類似する意味合いの行いを、あるいはここにいない者たちもしただろう。あるいは、言うだろう。
 やり方はともかくとしても、知っているはずだ。

SYSTEM :
 なら、そのかたちを拒めるだけの、ひとときの空元気が戻るまで…。
 それはずっと続くかもしれなかった。

夏瑞珂 :
「う……」

 慟哭が、嗚咽に変わる。

 失くしたものは、戻らない。
 残る思いは慰めにならない。
 何にも代わりは果たせない。

夏瑞珂 :
 なのに、彼女の言葉で……

 遠い昔に置いたままの、聖夜の奇跡を信じていた少女が振り向いた気がしたのだ。

夏瑞珂 :
 わたしを傷つけないと言っただれか。
 彼の育んだものを守ると言った彼女。
 わたしのためにわがままを言うひと。

 わたしは唇を噛んで、こみ上げるものを必死に堪えた。

夏瑞珂 :
 離さないで──
 置いていかないで。

 こぼれ落ちそうになる願いを、もういちど拒絶に変えられるまで……揺り籠のような腕の中で啜り泣いた。

SYSTEM :
 置き去られたものの啜り泣く声。
 遡る年月は十年以上だが二十年には満たず、
 くに
 都市に流れる時の流れと比べてしまえば刹那の時間だ。

 もっとも抱きしめてほしい人の手はそこになく、欲しいものは昨日から明日に続くはずで。
 聖夜の毎回ちょっとずつ変わるケーキに四苦八苦する男の姿などあろうはずもない。

SYSTEM :
 だが───。
 彼女にとって一つ目の“家”で育まれたものが。
 勇者の灰塵を抱きしめて埋もれていたものが、静かな声を零す。

 知らないだけで、認めないだけで。あるいはそれが残ったものだ。
 どんな必然と偶然に吹き飛ばされても、その時、その時を、あなたの知るだれかたちが守り抜いてきた証だ。

“アイシャ” :
「約束するわ」

“アイシャ” :
「人のかたちは、冷たいときもあるけど。
 思っているより、あたたかいのよ」

SYSTEM :
 披露した又聞きと、“よしよし”の言葉と。
 あなたの最初のお家がそうであったように、と願うように信じる言葉と。思い出にすすり泣く声だけが響く。
 
 置き去られたままのいのちの産声は、きっと一時期だろう。次に理由をつけて拒むまで。
 だから、それがもう一度顔を出すのか、これを最後に火の中に“さよなら”を言うのかは…。あなたにさえ分かったものじゃなかった。

SYSTEM :
 夜の寂しさですすり泣く声が止められなかった昔々の時、アレックス・ブリーズはどんな時だろうと様子を見に来た。不思議なことだ。

 じつは、理屈にしてしまえば奇跡でもなんでもない。
 彼は目も耳もいいからだ。その癖に“避けられる”危険を避けられないだけ。

SYSTEM :
 いくつもの奇跡と共に喪われかけた思い出が、振り向いたときによみがえった…。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
アレックスを……Sロイスに

GM :
…よいでしょう。
キャラシートに書き加えておいてくださいね。

夏瑞珂 :
ん…

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・対話シーン6(夏瑞珂、アーキル)

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 
 欲望:勝利 
 覚醒:渇望

 その結果こそが重要だった。それがなければ、自らはこの地にいない。
 ───だが失くさねば、男は初志に戻ることは出来なかったのだ。  

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 やがて…行きと同じく、“御手翳す解放者”の塒───要領を得ない言葉に曰く、繰り返すが「マヨヒガ」がどうの───から、アイシャの開いたゲートを辿って立ち去った夏瑞珂が、何をしていたのかといえば。

 なぜか日中のローマを無軌道に征く最中であった。しかも一名の同伴を伴って。
 理由はあなたしか知らない。その同伴に言っていなければ、さらに知らない。

“黄の希人”アーキル :
「職業柄、前置き抜きのアポなしで街に繰り出すことなんてザラにある。
 ローマも、まあ。余所者ったって3年の付き合いだ。ぼったくられる観光客は卒業したが…」

“黄の希人”アーキル :
「…基本的ツッコミから入っていいか?」

SYSTEM :
 ローマは健在だ。どれほど裏側で血が流れ、欲望が潰え、または反対に滾ろうとも。

 その努力をするものが、本来するべきものを踏み潰した代わりに存在するからだった。
 より激化したならば、なりふり構わなくなれば、いよいよ街は散布され続けるワーディングの影響で“超人”の独壇場となるだろうが。それはまだ先の話だ。なるとしても。

SYSTEM :
 つまり彼が何を言いたいのかというと…。

“黄の希人”アーキル :
「迷子の送りじゃないよな?」

SYSTEM :
 超遠回しな“なんで?”の正体は、さっきからあちこちの店を冷やかしたりしながら、ローマの街並みを行く彼女の道程に“なぜか”付き合っている男の至極もっともな回答だった…。

SYSTEM :
 …3年前の想像の風景とは。
 当たり前だが、ちょっとどころでなく違う。

夏瑞珂 :
「最終的にはそうなります!」

夏瑞珂 :
ごあんしんを!

“黄の希人”アーキル :
「いいかそれは安心じゃない
 さらなる困難へのダイブだ」

夏瑞珂 :
「ぱきぱき歩いて? スケジュールが詰まってるの」

 力ずくで押し流しつつ、
 目下更地を免れている観光地を、無軌道に練り歩く。

夏瑞珂 :
「コロッセオ、真実の口、スペイン広場、大聖堂……」

 観光客が思い描くローマ的スポットを指折り数える。

夏瑞珂 :
「カプリ島でクルーズもして、最後にアマルフィの夕日を見るの」

 ロマンティストのパティが言っていたっけ。そういうものらしい。

“黄の希人”アーキル :
「こいつはすごい 確実にすべての観光地を通りすがる“だけ”になること請け合いのプランだ
 もしかして闇討ちとか狙われているのか俺は?」 

SYSTEM :
 ちなみに今もなお“黒鉄の狼”が絶えず命を貪る最中である。フォロ・ロマーノなんかは鼻先を通りすがったばかりだ。

 違和感さえ残らない涙ぐましい努力はともかく。アーキルはそのリスクを思い浮かべたが、このいつも以上の奇行にあえて言葉を封印した。

“黄の希人”アーキル :
「だがマジでそういう目的なら気楽に行こうぜ。余裕があるのはいいことだが、詰めたスケジュールは人生向けじゃない」

“黄の希人”アーキル :
「言っただろ? 思い通りに行かない方が多いって。
 ゴールだけ決めときな、適当に帳尻合わせるから」

SYSTEM :
 計画の心配性はいつもジョッシュで、彼の分刻みスケジュールを、土壇場であれもいいこれもいいと寄り道するのはアランの方。

 ローマではなく、あるいは望風旅団の結成前かもしれないが、どこかで何かの祝いを兼ねた社員旅行があったはずだ。その時の風景。

夏瑞珂 :
「えー うーん」

夏瑞珂 :
「じゃあ夕日はぜったい。あとはローマらしいところなら、なんでもいいかな」

夏瑞珂 :
 ……予定通り、思い通りにはいかない。アレックスはちょっと見込みが甘くて、その甘さの原因はわりとわたし。

 ずれた帳尻を合わせるのは、そう、年長者のクラークだった。

夏瑞珂 :
「食べ歩きもするの」

 指差す先にはジェラートの屋台。

「ぜんぶ食べてね」

SYSTEM :
 まさに彼が「じゃあメシは」と聞こうとした矢先であった。

“黄の希人”アーキル :
「その話の振り方で食うのが俺なことあるか?」

“黄の希人”アーキル :
「まあ良しとするさ、高い買い物したと諦める。食べ歩き前提なら後は…」

SYSTEM :
 そして彼が話題に出した別の屋台。四つ折りの俗称“お財布ピッツァ”。
 見て回る時間に重きを置きたいなら、と興味の有無を確かめがらも、彼はその秒間数発くらいの勢いで来る無茶ぶりに挑んだ。

SYSTEM :
 あなたが積んだジェラートの行く先は彼になる(なった)からだ。
 あなた自身にその気がないならなおのこと。

“黄の希人”アーキル :
「…で…」

 この不可思議な出費は、
 よしとするにしてもだ

“黄の希人”アーキル :
「その夕日前のタスクをひとつでもこなせるよう善処するがね。
 何か、急に興味でも沸いたか」

夏瑞珂 :
「んー? んー」

夏瑞珂 :
「あのね」

“黄の希人”アーキル :
「どうした」

夏瑞珂 :
「この仕事が終わったらローマ観光に行こう、なんて不吉なコト言ったひとがいたの」

 ……それを口にするのは、すこしだけ勇気が要った。まるで思い出話みたいだと胸の奥が軋みをあげる。

夏瑞珂 :
「結局、来れなくなったのよ。うそつきなの」

夏瑞珂 :
「しかたないから、続きをやってあげるの」

夏瑞珂 :
「更地になる前に」

“黄の希人”アーキル :
「不吉な未練を残したのは願掛けかもな。
 だが、まあ」

“黄の希人”アーキル :
「すると何か…俺はピンチヒッターね」

SYSTEM :
 未練を残したのは、今日を無事に終えるための原動力にするためだという。

 又聞きだというオチを込みで、アレックスがどこかで口にしていた。
 さらに言えば、その“又聞き”の先が、あなたにとってはちょっと不機嫌な相手だったことも付け加える。

SYSTEM :
 “これ”がそうだったのかはわからない。
 果たされる約束ではなかったことも。

“黄の希人”アーキル :
「更地にされちゃ困るが…。じゃ、当てつけか? ひとりでも旅行できるって」

夏瑞珂 :
「そんなの、あてつけなくたって出来るわ。三年間フリーの傭兵して、ここまで流れ着いたんだから」

夏瑞珂 :
「だから……」

 だから──なんだろう。ローマに着いて早くも数日。ひだまりの裏側は今も"黒鉄の狼"に蹂躙されていて、過去には違う影が差しつつあるなか、約束の続きをやろうと思ったのは。

夏瑞珂 :
「……だから、そうね」

夏瑞珂 :
「未練をなくしておこうと思って」

SYSTEM :
 かすかな沈黙。
 あなたが食べ合わせも何もかも無視して色とイメージだけで五人分積んだ(そして“なぜか”あなたではなくアーキルの手元にわたった)ジェラートが、そろそろ四人分まで減る気配。

“黄の希人”アーキル :
「そんな簡単になくなりゃしないよ。
 人間、生きているとすぐに昨日が未練を運んでくる」

“黄の希人”アーキル :
「減りはするけどな。………」

“黄の希人”アーキル :
 ・・
「更地の向こうに持っていくには…。
 その不吉なゲン担ぎの兄ちゃんか姉ちゃんは重かったかい」

夏瑞珂 :
「……ええ」

夏瑞珂 :
「いないのに、重たいの。ずるいひと」

夏瑞珂 :
「でもね、振り切りるためじゃないのよ……」

夏瑞珂 :
「燃え尽きる前に、果たせなかった約束を思い出すのは……死ぬより痛いと思ったから」

夏瑞珂 :
「痛いのは、慣れてたけど。痛くないほうがいいって、思い出させてくれたのも彼だった」

SYSTEM :
 形に思いは残る。
 見たものに宿り、聞いたものに継がれ、触れたものに打ち付けられる………。

 ありもしない重さも、その一種だった。除けるも向き合うも、必要なものは自分の意志で、なおのことタチが悪い。

SYSTEM :
 ならばそれは、確かに思い残しを作らないための清算だったのだろう。
 あの日のしたいことをなぞる。ジェラートは間食の多いアランのしわざ、観光地はアレックスが”いろんなものを見せたい”と多忙の折にあなたに向けたもの。
 夕陽を見たがるのはパティで、彼女はジョッシュをよくからかっていた。呆れながらシゴトの話に戻り、最後に「終わったらな」と付け加えたのは年長のクラークだ。

SYSTEM :
 形だけならば、いまこの時、いくらでもなぞることが出来る。

“黄の希人”アーキル :
「だろうな。その語り草で“振り切る”ための下準備なら逆に驚きだ」

“黄の希人”アーキル :
「俺に“そういうの”はいない。置いて行って未練にするようなのは。
 ユメ
 野望のためなら、ローマだって更地にするつもりだったさ」

“黄の希人”アーキル :
「………ところが余分が入った。
 失くした時、“じゃあ”で綺麗サッパリと行ける自信はあるが、振り返るには振り返るんだろうなってやつだ」

“黄の希人”アーキル :
「そいつに重さを感じている限り、約束が想像通りの楽しさかは保障し難いが…。

 ただ、わざわざ痛がることはない。慣れは無傷じゃないし、思い出したコトを忘れるのだって自由だ」

“黄の希人”アーキル :
「いいんじゃないのか? そのウソツキに反省させてやれ。“またいつか”のためにな。
 振り返るたび、それで怒ったり悲しむことは減るだろうぜ」

夏瑞珂 :
 そう、と頷く。

 たとえローマちゃんを失っても、黄色のひとは次の段階へ移るだけだ。実の姉を永遠に亡くした女のように。
 手段を択ばなくなった、『もしも』の彼はギルドと手を組みもしただろう。

夏瑞珂 :
 そこには喪失の焦げつきも、復讐の意思もない。
 ただ彼らには彼らの、果たすべき責務/野望があるだけだ。

 唯一理由を共有できた男はとうに果てた。
 あるいは"赤の鬼人"にとっては、わたしの復讐心も他人の理由に過ぎないのかもしれない。

夏瑞珂 :
「"またいつか"……」

夏瑞珂 :
「あなたは当たり前のように明日を語るのね」

 アレックスみたいに──だけど、彼とは同じではない理由で。

夏瑞珂 :
「私には先なんて見えない」

夏瑞珂 :
"明日が……あるの? 先なんて、見えないのに"

夏瑞珂 :
 自由を渇望した少女と、復讐に焦げついた女。そのどちらもが、わたしの裡で声をあげた。

“黄の希人”アーキル :
「やってくるからさ。見ようが見まいが」

“黄の希人”アーキル :
       ひる     よる
「どんな楽しい今日も、つらい今日も…ずっと続くなんてことはない。
       いま
 だが、明日が今日になったとき、昨日までのことがまるきり消えるわけでもない…」

SYSTEM :
 昨日と同じ今日などない。
 彼はどこかで、あなたでない人にそう言った。過去の所属が“UGN”と呼ばれた者たちだとは到底思えない口ぶりで。

SYSTEM :
 だが、続きはこうだ。

 今日とまるきり違う明日もない。
 それを当たり前のように受け入れる人間にも、それ自体が奇跡のようだった人間にも、当然のように。

“黄の希人”アーキル :
「俺は…。反面教師にした昨日も、余分を見つけた昨日も、まあそれなりに好きだからね」

“黄の希人”アーキル :
「見えなくても来るって分かるなら、なるたけイミと納得のあるものにはしたいだろう。
 あとはその繰り返しだ。言ったろ? 向こうまでスケジュール詰められるほど、人生甘くない…」

“黄の希人”アーキル :
「………もっとも、あんたの場合はそのどっちかが零れたか?
 ”よくなる”の想像は難しいかい」

SYSTEM :
 明日はいい日、と呼ぶには。

 おそらく、イミと納得、いずれかの根拠が欠けたのだろう。
 すべて───人の名、つながり、経緯、昨日の断片的でない過程───は察せずとも、固執と執着から紐解けないほど男は愚かではない。

“黄の希人”アーキル :
「それとも…違う明日でも見えたか?」

夏瑞珂 :
 昼が去り、夜を耐え、やがて朝を迎える。そのサイクルは今を生きる人間の特権であり、逃れられない摂理だ。
 有限のくりかえしに出来得るかぎり意味を持たせようとしたのが彼なら、わたしはきっと真逆だ。

夏瑞珂 :
「まっすぐなひと」

 自分の口から出た言葉が、すこし意外だった。

夏瑞珂 :
 欠けた明日。違う明日。
 そのどちらでもあって、どちらでもない気がした。

「どうかな……」

 困り笑いがこぼれる。ごく自然な、どこか疲弊のにじむ笑み。

夏瑞珂 :
 通りすがったテラス席の椅子を無造作に引いて、山盛りのジェラートを抱えたひとを手招く。対面に座って、

「すこし長い話になるの。いい?」

“黄の希人”アーキル :
「まっすぐね。その呼ばれ方をしたのは3回目…。
 いや、2回目か?」

SYSTEM :
 1回は限りなく好意的に見た上だしな…、というぼやきの意味は割愛する。
 ただそれよりも、この場で優先するべきは、旅行をなぞりながら零れた困り笑い。霧中に消えた明日を、おそらくあの時久方ぶりに思った娘の所作だった。

SYSTEM :
 通りすがったテラス席。
 同じセルの構成員のうち一言多い男が見たら思わず口を閉ざす(ついでに鼻で笑う)涙ぐましい努力の末に3人前までに落ち着いたジェラートの残りをよそに、アーキルがあなたに視線を向けた。

“黄の希人”アーキル :
「いいとも。予定は柔軟にだ」

夏瑞珂 :
 その話をするのに、何を気負うこともない。
 それはわたしにとって遠い昨日で、
 だけど彼らの言うように、消えたりはしないものだった。

夏瑞珂 :
「十数年前のクリスマス。合衆国の三州で、大規模な衝動侵蝕が発生した」

夏瑞珂 :
「拡散された解放衝動は、オーヴァードもそうでない者も生まれ変わらせた。
 限界を超えて力を揮いたい……自由になりたくてたまらない生き物に」

 解放の衝動にあてられて、無数のジャームが生まれた。
                    おそれ
 ひたすら欲望を解き放つことに特化した、限界知らずの獣たち。

夏瑞珂 :
 Sons Of Liberty
「自由の息子たち、と誰かが呼んで。
 私は、その一人になったのだと後で知った」

夏瑞珂 :
 人間と怪物がたくさん死んだ夜。
 わたしが死んで、生まれ変わった日。

夏瑞珂 :
「怪物になりそこなった子どもに明日があると言って、手を差し伸べたひとがいたの。世界でいちばん馬鹿なひとよ……」

夏瑞珂 :
「その子どももね、手を取ってしまったの。暖かいお家はもう、怪物にとっては檻にしかならないと分かっていたのに」

夏瑞珂 :
 何もかも吹き飛ばしたあとの、拓けた視界が好きだった。
 私は自由でいていいんだと、そう思えるから。

 居場所なんていらない。
 まっさらな地平がただ続けば、それでよかった。でも……

夏瑞珂 :
「私を留めていた場所は、逃げ出したくなるくらい退屈で、ときどき息苦しかったけど……私はもう少しだけ我慢しようと決めていた」

夏瑞珂 :
 もう少し、あと少しを永遠に続けていくはずだった。
 それはまるで何もかも失ったあとの余生みたいな生き方。日々をやりすごして、時が過ぎるのを待つだけ。

 孵化する前に腐り落ちるような人生を、わたしは受け入れた。

夏瑞珂 :
 アレックスは今までの努力も展望も捨てて、違う生き方を余儀なくされた。
 彼の十数年間はその努力の分だけ十分に報われていたはずなのに。ずっと描いていた未来を、彼はわたしのために擲った。

夏瑞珂 :
 ……だから、わたしも。
 彼と一緒にいるために、自分を殺して生き続けていくことを選べた。

夏瑞珂 :
「いい明日なんてなくても、そこには意味と納得があった」

 でも、それ以上に──

「ローマちゃんの言葉を借りるなら『一番目のおうち』。あの場所だから私は留まっていられたの」

夏瑞珂 :
「……だから、そうね。私には違う明日しか来ないんだと思う」

SYSTEM :
                     シビルウォー
 アメリカひとつを丸ごと飲み込んだ、最大規模の内戦。
 恐れを知らない者たちの荒野を目指す旅…。

 今日の理想上のスケジュールを語る声よりは弾まない、けれど決定的に線を引かない。あったはずの日常の語り草を、アーキルは終わりまで聞いていた…。

SYSTEM :
..ワールドエンド・ピカレスク
 世界を滅ぼす無法者の物語、とでも言おうか。
 未だ世界が、レネゲイドに対して黎明期にあり、今より多くの可能性を抱いていたころの。ひとりの男が刻んだ道筋だ。
 少なくとも、ローマの誰もが知り得る可能性の限りで語れば…。

 そしてその結果、そこにいるのは断じて“少年”でも“少女”でもなかった。
   じゆう
 その無責任な足取りは物語の外側へ、のちに嵐をまとう子供たちを作っていった。
 あるいは、生まれたその時に死んでいくような子供たちをだ。

SYSTEM :
 生き残った子供と、死んだ子供の違いは。
 ひとつだけ。唯一無二の、凡庸な違いだ。

 願望が彼女を生かした。
 そして生かしたものが、願望の責任を取った。

SYSTEM :
 決して英雄的な話などではない。
   ・・・・
 彼はばかな人だ。そして断じるならば、彼はあらゆる面において無二の人間などでなかった。
 しかし当事者たちにとっては、世界で似たようなものを見つけることなど烏滸がましい男だ。
 
 …だから語り草のわりに妥協の色がなかったこと、それを理解するのに、天才性などという言葉はいらなかった。

“黄の希人”アーキル :
「………」 

“黄の希人”アーキル :
     ユメ     ユメ
「あんたの野望はそこで、余分はその後にあったわけだ………。
 なるほどな」

SYSTEM :
 ………“黄の希人”は人に易く同情するほど善良ではない。ただ、無遠慮に仕舞い込むほど冷血でもない。

 そしてどちらも、本当に必要ならばそうする打算がある。

SYSTEM :
 いま必要なものは前者に寄った。
 だがそれこそ、

“黄の希人”アーキル :
「そこに置いといた昨日の意味が変わっちまって…
 ・・
 それがいいの方じゃない選択肢が、ずっと残ってるなら」

“黄の希人”アーキル :
「まあ、そうするな」

“黄の希人”アーキル :
「だから先言っとくが…。それの回答を俺に聞くのはちょっとお門違いだ」

SYSTEM :
 だがそれこそ。
 彼は必要ならば娘を誘導するべきだった。
 銀の弾丸を装填して、拾わずによしとするのだから拾わなくて済むような”仕込み”の余地が、ソラリスの男にとっては、いま確実にあった。鴨が葱を背負って来たようなものである。

 そうしなかったのは、男にも。

 皮肉な話ながら、余分があったからだ。

“黄の希人”アーキル :
「留まる場所に理由を見たことはあったが、留まり続ける場所にはない…。
 その俺が聞いて思うことなんて、ただ自分の決めた“これ”に従って生きていくことだけだ」

“黄の希人”アーキル :
「ただな………。
    ・・・・・・・・・・
 それは一番目の家を割り切るってことだ」

“黄の希人”アーキル :
「一番目の家の人間がとった責任、焼けても残った昨日、それを“あとあと無意味になりました”ってやることだ。

 …ま、そうやって引き摺ることを望んで仕込むような賢しさは、あんたの言葉を聞く限りなさそうだが」

“黄の希人”アーキル :
「その違う明日だって、悪い明日じゃないよ。こう言ったが。

 あんたがもっぺん嵐をやろうってのは、あんたのための理由だ。それが悪いなんて話、FHの俺たちの誰が言える?」 

“黄の希人”アーキル :
「しかしあんたの中に残る理由が渋るようなら…話は別だ。渋らなくなるまで生きるか、渋る残りと生きるか…。
 渋ってくれるものと生きるしかない」

SYSTEM :
 嵐になる、をずっとは見逃してくれないだろう。その違う明日は、きっと必ず昨日の名残を引き寄せるに違いなかった。
 しかし彼女にとっての野望のはじめがそれならば、その明日を拒んでいい権利の持ち主は断じて彼ではない。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 ローマにその権利の持ち主はいない。

SYSTEM :
 …そうではない可能性について敢えて省いたのは、単にアーキルがそれ/逆襲の後を“おしまい”と括るのが好みでないだけだし。

 あなたの中に渋る理由があるなら、と足したのは。権利などではない、ただ彼なりの、一番目の家から追い出された娘の、ここまでの苦心への対価を認めさせたい言葉なだけだ。

“黄の希人”アーキル :
「………しかしなあ」

“黄の希人”アーキル :
「そんな人生で一番大事だった話、権謀術数と疑心暗鬼の男にするやつがあるかよ。
 あんた、三年その調子でやってきたのか?」

夏瑞珂 :
「そうよ。だから困ってるの」

夏瑞珂 :
 一番目のおうち
「私に残されたものを振りきったら、私は私ではなくなるし」

夏瑞珂 :
「名残にしがみついて生きていくのは、私にはできないのよ」

夏瑞珂 :
 きょとん。

夏瑞珂 :
「いいえ? 身の上話なんてしないわ。だって黙って微笑んでいれば、向こうが勝手に解釈してくれるもの」

夏瑞珂 :
「闘争代行人を名乗っているのも、それが一番らくだからよ。依頼人がぜーんぶセッティングして、私は戦うだけ! 看板通りでしょう?」

夏瑞珂 :
 それに。
 人生でいちばん大事だった話は、思い出話だ。退屈で、ゆるやかに死んでいく、だけど何より幸福だった時間の中身だ。

 このひとにはぜったい、ぜーったい、教えてあげないけど。

“黄の希人”アーキル :
「モノは言いようでございますね、そりゃ…」

SYSTEM :
 黙って微笑んだ成果を脅しと受け取った人間もいただろうし、本当に勝手に哀れんだケースも“言いたくない”をくみ取った者もいただろう。
 
 しかも、仮にセッティングを自分でやったとて…。そんなやり方を彼らは教えていない。だから、おそらくは身につくはずもなかった。

“黄の希人”アーキル :
「どっち選んでもできない尽くしか。そりゃ、確かに参るね」

“黄の希人”アーキル :
「やってみりゃ案外…とも思うが、そいつも無責任の上に成り立つ話だ。
 そもそもその話…一朝一夕で考えたわけじゃあるまいしな」

“黄の希人”アーキル :
「それとも、“そのつもり”と詰めていたスケジュールがどっか行ったか」

夏瑞珂 :
「そうね。ボ──"赤の鬼人"と同じ末路は、覚悟していたから」

夏瑞珂 :
「復讐の目が見えたから、きっと、余分なことを考えてしまうのね」

夏瑞珂 :
 ……言ってから、少し違う、とも思った。

 わたし自身が仕方ないと見放した『わたし』を拾う誰かがいなければ、こうはならなかったのに。

夏瑞珂 :
「……私、愛されてたわ。私を一番にしてくれた人がいて、そうでない人たちにも大事にされた」

夏瑞珂 :
「今の私に、彼らと同じものをくれる誰かがいるなら、それはローマちゃんだと思う」

夏瑞珂 :
「────私、あなたからも同じものがほしい」

夏瑞珂 :
 ちなみに言っておくと、これは愛の告白でもなんでもない。
 たかり、ゆすりの類です。正真正銘。

“黄の希人”アーキル :
「………………………」

“黄の希人”アーキル :
「気のせいだといいが。あんたの一番目の家主がきっとスゴい顔して(俺を)睨んでるぜ」

SYSTEM :
 冗談半分、いや8割ぐらいの悲しげなトーン。肩をすくめた男は、言葉の他意と根拠を分かったうえでの所作だった。

“黄の希人”アーキル :
「俺の野望は、前に話した。
 その上で言うのなら………」

“黄の希人”アーキル :
「好きにしろよ。言っただろ。
 気にせずに利用しろ、俺も同じことをするって」

“黄の希人”アーキル :
「“マグナ・マーテル”…アイシャが…。
 ソトガワ
 余所者に関心を向けたのは。きっと俺の望んでる方の変化だ」

“黄の希人”アーキル :
 まあカルロはそれに渋る…渋った? だろうが、気にせず渋らせろ。あいつわりとタフだから。

“黄の希人”アーキル :
「そういうことだ。
 欲しいなら風車をよろしく。いい感じに回してくれよ、“帯来风暴”」

“黄の希人”アーキル :
「初回はサービスだ。夕陽と…。
..まだ三人前あるやつ
 このジェラート分までは付き合ってやるよ」

夏瑞珂 :
「気のせいです。幽霊なんていないのよ」

 だって、いるならわたしに毎晩会いにくるべきだ。でも、その冗談に少しでも夢を見ていいなら、こう言うだろう。

夏瑞珂 :
(──ばかなひと)

  BREEZE   
 嵐が微風でいることを選べたのは、
 何があったって、あなたのもとでだけ。

夏瑞珂 :
ゆくゆくはキモむずかしいひとにも恫喝しようと思います!

SYSTEM :
恫喝の成果はおそらく火を見るより明らかである。

SYSTEM :
具体的に言うと…。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
“貴君 わかっていてやったなら気でも狂ったか?”

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
“わかっていないなら懇切丁寧に教えるだけ無駄だからかいつまんで優しくお伝えしようではないか”

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
“No”

SYSTEM :
こんな感じだ。脳内で再生された。

夏瑞珂 :
なるほど! シミュレーションはかんぺきです

夏瑞珂 :
あのひとはああやって遊べばいいのね

夏瑞珂 :
「──夏瑞珂」

 気前のいいサービスをもっとちょうだいと笑顔で搾りとる。

夏瑞珂 :
「風の名前よ。いつか嵐に変わるまで」

SYSTEM :
 ・・・・・
 またいつかへのアンサー。
 その明日を示唆する言葉に、彼女はどれくらいの気持ちを込めたのか。

“黄の希人”アーキル :
「お許しでいいのかい。
 なら、嵐が入り用じゃない時はそう呼ぶよ、瑞珂」

“黄の希人”アーキル :
「俺は逃げも隠れも暈しも騙しもするけど…口にしたことを曲げるほど自分を裏切ったことはない。いつか言った、同じことさ」

SYSTEM :
 なら、またいつかを、本当に嵐になって訪れた時。
 嵐になって“訪れたくない”ものがあるときくらいの分別があれば、受け入れてくれるだろう。風車を回すために集りに来たって。

 これから気が変わらず夕日までの初回サービスを絞ろうというにしても、彼は何度かあきれ顔をする”程度”で済ませてくれるはずだ。

SYSTEM :
 その付き合いの良さは、理由が決定的に違う。
      ウィンドブレーカー
 どこまでも一番目の家は昨日の名残だ。

SYSTEM :
 …ただ。それを大切に仕舞い込みながら違う家を建てることも、“いつか”を悟りながら揺することも、あなたの自由だ。

 火が絶えたあと、風だけになっても。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

夏瑞珂 :
ありません!

GM :
すでにロイスの空きは残り1枠
今回の登場人物もある意味取得済み…

GM :
むべなるかなといったところ
畏まりました

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・ミドルフェイズ(フェーズ2/続き)

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 
 欲望:闘争
 どうか健やかであれ。
 もはやそれ以外に”おまえ”に報いるすべはない。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 メインプロセスに移行します。
 
1:FH主要幹部への攻撃
2:FH主要勢力への協力/妨害
3:“黒鉄の狼”への攻撃
4:セットアップで可能な行動

 上記のいずれかが可能です。
 行動を希望する場合、登場侵蝕を振って下さい。  

ラーゼス :
1d10 (1D10) > 4

ラーゼス :
「イザナギ&ソフィア」を攻撃する。

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 71 → 75

“アセルス・デスミオス” :
せ…攻めるねえ… 

“アセルス・デスミオス” :
…まあ、前回のこともある。なるはやでお片付けしたい相手ではありそ~だけどね。
勝算はそろえてくのよ。

マスター・ハーヴェスター :
俺が行く。勝算はそれで80%は超えるだろうな。

“アセルス・デスミオス” :
20%は?

マスター・ハーヴェスター :
弾丸が全て外れた時さ。

“アセルス・デスミオス” :
遠回しにし続けたロシアンルーレットの幸運を引いた時、ねえ。

マスター・ハーヴェスター :
100%は数字の中にしか存在しない。そんなものさ。

マスター・ハーヴェスター :
1d10 (1D10) > 6

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] 侵蝕率 : 76 → 82

GM :
承知しました。では…両名でよろしいので?

ラーゼス :
それでよい。よろしく、アレウス

マスター・ハーヴェスター :
よろしくされよう、ラーゼスよ。

SYSTEM :
【Check!】
 メインプロセス選択を続行します。 

“七花胡” :
では、自分は……浮動票のうち、浮かせているとろくでもない方に、紐を括りつけておくとしましょう

“七花胡” :
“リグ・ヒンサー”残党、“帝釈天”への接触及び友好化に向かいます。

“七花胡” :
1d10 登場侵蝕 (1D10) > 9

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 72 → 81

“アセルス・デスミオス” :
…大将も貧乏くじ引くねえ………。

“アセルス・デスミオス” :
ンマー言って軽減されるタイプでもなしか。

“七花胡” :
……まあ、相手が相手ですからね 下手な悪党より面倒ですよ

“アセルス・デスミオス” :
じゃ、せいぜい敵の敵で済ませられる範囲にしときましょ。

SYSTEM :
【Check!】
 判定が発生しました。

 判定内容:帝釈天への接触・交渉
 使用判定:情報(UGN) 

GM :
 先んじて該当判定を確認しましょう。
 目標値は…

GM :
 本来と違って[10]です
 不思議ですねえ

“七花胡” :
まあまあ不思議なことなんて世の中たくさんありますから

“七花胡” :
タネが割れて夢が夢で終わってしまわないうちに、おいしいところだけ掠めておきましょう

GM :
では 実を取る用意をお願いします…

“七花胡” :
【天秤を傾ける】

マイナー
 アカリヤザガマの天秤(レインボウファイアル)使用

次に使用するソラリスのEの侵蝕値に-1する
複数組み合わせた場合、全てに適用
1S1回

“七花胡” :
前回は不使用で済みましたので、今回も念のため。

GM :
念のため、というわけですね。

SYSTEM :
【Check!】
 確認を完了しました。
 判定を行ってください。 

“七花胡” :
6dx+2 情報:UGN (6DX10+2) > 8[1,3,3,7,8,8]+2 > 10

“七花胡” :
再会に気乗りはいたしませんが、必要分は収穫できました。よしとしましょう

“アセルス・デスミオス” :
成功のラインに乗せちまえば多寡は関係ないしねえ

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。  

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています...  

SYSTEM :
【Check!】
 シーン発生を確認しました。
 メインプロセス終了後、シーンを展開します。

“帝釈天”謝暁蕾 :
ただされ、またとうことなからん
 但  去  莫  復  問
はくうんつきることなし
 白 雲 無 盡 時 ………。
 とは言いますが。ははぁ。

“帝釈天”謝暁蕾 :
 私からではなく”其方から”とはね。
 灰で手遊びなどしてみるものです。

SYSTEM :
【Check!】
 メインプロセス選択を続行します。 

夏瑞珂 :
"黒鉄の狼"を攻撃するわ

夏瑞珂 :
指定勢力は……今回も黄色のひとね

SYSTEM :
【Check!】
 “黒鉄の狼”への攻撃が選択されました。 

“黄の希人”アーキル :
お買い上げ頂きありがとうございます。
さて、三度目の正直と行こうぜ。

夏瑞珂 :
ちゃり~ん

“黄の希人”アーキル :
その支払いにちゃんと意味を持たせてやるさ、いつかと同じだ。

“黄の希人”アーキル :
だがいまは”嵐”が必要な時だ。
吹っ飛ばしてやれ。

夏瑞珂 :
1D10 (1D10) > 4

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 85 → 89

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
  Ally:Shahada
 Enemy:Lemuria

.   Physical:Matchless dangerous
     Sense:Extremely dangerous
.   Renegade:Extremely dangerous
. Danger_level:Matchless dangerous

SYSTEM :
【Check!】
 判定が発生しました。

 判定内容:“黒鉄の狼”への攻撃
 使用判定:肉体or白兵/感覚or射撃/精神orRC/社会or交渉   

GM :
 侵蝕確認後(※済)、任意の判定(肉体or白兵/感覚or射撃/精神orRC/社会or交渉)を宣言し、判定を行ってください。
『[達成値/10(少数点切り捨て)]+1』+『協調した勢力の勢力値/2(少数切り捨て)』の数だけ1d10のダイスを使用。
 その数値の結果分ダメージを与えます。  

夏瑞珂 :
【Outta My Head】
風鳴りの爪+コンセントレイト+援護の風

夏瑞珂 :
──"赤の鬼人"が遺した欲竜血晶を使うわ

“黄の希人”アーキル :
例の“伝説”にとって本望かどうかは
俺が語ることじゃあない…

“黄の希人”アーキル :
だが今この瞬間ジョーカーはこっちの手だ!
やっちまえ!

SYSTEM :
【ERROR!】
 ローカルアイテム『欲竜血晶』の使用が確認されました。
 攻撃命中時から以降、“黒鉄の狼”の〈超人的弱点II〉が消滅します。

”黒鉄の狼” :
 傷がついたのは初めてではない。
 だが、久方ぶりだ。

”黒鉄の狼” :
 ならば、その抵抗は食らうに値する。
      レムリア
 ───頂点は俺だ。いま一度地に伏せ。

夏瑞珂 :
トカゲ風情が──

夏瑞珂 :
──おまえが堕ちろォッ!

夏瑞珂 :
19dx7+5 (19DX7+5) > 10[2,2,3,3,3,3,4,5,5,5,5,7,7,8,9,9,10,10,10]+5[1,1,3,4,4,5,5,5]+5 > 20

夏瑞珂 :
(黄色のひとの肘をどつく)

“黄の希人”アーキル :
神は賽子を振らない…
つまり逆はいくらでも天地人に翻弄されるってワケか!

“黄の希人”アーキル :
因みにさっそく俺が翻弄されそうだ!
…だが、こうなりゃお互い形振り構うまい!

夏瑞珂 :
じゃあどうにかして! はやく!

“黄の希人”アーキル :
もちろんだ、ただな…。
最後にどうにかするのはおまえの方だよ!

“黄の希人”アーキル :
───守り神! 死なせるなよ!

“アイシャ” :
ん。ひとの言葉で…。

“アイシャ” :
有言実行。───よし。

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

・クレタの抱擁(Round/1)
 指定した「PC」または「NPC」が行った、
 セットアップ・メイン・クリンナップいずれかのプロセスひとつの判定について、
 ダイス1つの出目を[10]に変更する。 

夏瑞珂 :
──っ!

夏瑞珂 :
1dx7+25 (1DX7+25) > 1[1]+25 > 0 (ファンブル)

夏瑞珂 :
……

夏瑞珂 :
…… ……

SYSTEM :
アイシャは目に見えて落ち込んだ………▼ 

SYSTEM :
【Check!】
 ダメージが確定しました。
 ダメージ:3d10+8d10 

夏瑞珂 :
11d10+5 (11D10+5) > 49[9,5,1,10,3,5,4,1,4,1,6]+5 > 54

夏瑞珂 :
1をふたつ振り直すわ 10を出します

GM :
どうぞ!

夏瑞珂 :
2D10 (2D10) > 9[7,2] > 9

”黒鉄の狼” :
 ………フン。
 三度無策で噛み付いたかと思えば、
 その群れの賢しさにでも助けられたか?

”黒鉄の狼” :
 牙に他人を当て込む
 その手は大概、他愛もない屑ばかりだが

”黒鉄の狼” :
 なるほど、中々どうして…
 失望には早い

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、ダメージが発生します。

“黒鉄の狼”:299→237 

SYSTEM :
【Check!】
 ローカルアイテム『欲竜血晶』の反動ダメージが発生します。 

夏瑞珂 :
うる……さいッ

夏瑞珂 :
2D10 (2D10) > 11[2,9] > 11

system :
[ 夏瑞珂 ] HP : 3 → -8

夏瑞珂 :
1D10 (1D10) > 8

system :
[ 夏瑞珂 ] HP : -8 → 10

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 89 → 103

“黄の希人”アーキル :
(通った! だが…。)

“黄の希人”アーキル :
(人様どころじゃないR因子の塊だ!
 手順踏んだエグザイルでもなし、ぶっつけ本番で馴染むはずがない!)

”黒鉄の狼” :
 ………“今ので趨勢は変わった”。か?

”黒鉄の狼” :
 盤上の皮算用もここまでだ。
 三度目が通せるか試してみろ。

夏瑞珂 :
見下ろすな! わたしを──わたしに! 二度とその顔を……見せ、る、なァッ!

”黒鉄の狼” :
 勝手に血反吐をぶちまけ、
 這いながら…何をほざく。

”黒鉄の狼” :
 挑んで地に伏した凡愚の行く末の轍は皆同じ。
 敗者だ。

”黒鉄の狼” :
           レムリア
 ──────何よりそれは俺の所以だ。
 勝者になってから言え、小娘。

SYSTEM :
【Check!】
 続いて離脱判定を行います。 

SYSTEM :
【Check!】
 判定が発生しました。

 判定内容:状況からの離脱
 使用判定:回避/知覚/知識<レネゲイド>/交渉 

GM :
 では任意の判定(回避/知覚/知識<レネゲイド>/交渉)を宣言後、判定を行ってください。

GM :
 目標値は「20」となります。
 加算される彼らの勢力値は…「17」!

“黄の希人”アーキル :
 ここで仕留める───。
 と、言えりゃあいいが!

“黄の希人”アーキル :
 仕上げを御覧じるのはあと一手!
 支度しろ! “今日”の終わりにゃまだ早い!

夏瑞珂 :
っ……こんなの、悔しいのに 許せないのに 殺さなくちゃいけないのに!

夏瑞珂 :
声の導かない標的がいる。その事実に偽りがないなら──私、まだ……

夏瑞珂 :
14dx+17 (14DX10+17) > 10[1,2,2,2,4,4,6,7,8,8,9,9,9,10]+5[5]+17 > 32

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。
 離脱に成功したため、戦闘を省略します。 

“黄の希人”アーキル :
 …よく耐えた、瑞珂。
 それじゃあ有言実行と名誉挽回はこっちでしますかね…!

”黒鉄の狼” :
 狩りの姿勢がいつまでも続くと思うか

“黄の希人”アーキル :
 続かなくなったときが最後さ…。
 せいぜい消化不良を痛み分けしてくれ、“黒鉄の狼”!

“黄の希人”アーキル :
 なあに、恨めばいいさ!
 そのくらいは仕事柄よく貰っててな…! 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 “イザナギ”/“ソフィア”への攻撃が選択されました。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・シーン16「Then fall-ならば倒れよ」

SYSTEM :
【Check!】
  Ally:Empty
 Enemy:Izanagi/Sophia

.   Physical:Mediocre/Error
     Sense:Mediocre/Error
.   Renegade:Advanced/Error
. Danger_level:Advanced/Error

SYSTEM :

【シーン:Then fall-ならば倒れよ】

 登場PC:アレウス、ラーゼス
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 貴人の庭を目下最大の“お得意様”とし、
 またローマにその思惑を走らせる存在。

 曰く、ギルド。
 表舞台に出た彼らはリスクを負った。
 撃つ見返りの代わりに、撃たれる危険性を。貪り啜った血の果てに、己の血を啜られる余地を。

SYSTEM :
 その戦闘における筆頭格。
 栄光を一夜で築いた神城が祖、冥府より象られた名を“イザナギ”という。

 彼自体を補足することはそこまで難しくもない。彼の役割は殺すことであり、それ以上に斬ることだ。そして彼の目的は手段だ。

 ならば、ただギルドに“突っかける”だけで話が済む。

SYSTEM :
 しかしギルドがもとより切った張ったを是としない以上、狙いをひとたび定められた彼らの行動は明白である。

 再び地に潜り、やり方を変えるだけ。刀が折れたら、刀に拘る必要はないからだ。
 ・・
 それでは困る。従って、“ファントムストークス”および“七花胡”、そして“御手翳す解放者”からなる共同戦線には、その先が求められた。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
《改めて説明するわね。

 いま、ギルドの構成員の末端が、“御手翳す解放者”につっかけてる。
 “黒鉄の狼”の遺産によっぽど用があるのかしら。そのあたりの事実はいいとして》

“血穢の蓮花”盧秋華 :
《あっちも友達がたくさんいるわけじゃない。明確に手駒が減ったら、刀じゃない方は動き方を変えるわ。そこを抑える。
 片端から藪蛇つついてってこと》

SYSTEM :
 そしてその手段はいくつか与えられたが、もっとも剣呑かつ手っ取り早いのは“こう”だ。

 表舞台に出て勢い付いたなら、勢い付いた原因を叩く。
 あちら/イザナギと”ソフィア”なるエージェントが動きと河岸を変える際に、先回りして止めを打つ。

SYSTEM :
 自分たちが狙われる側だときっちり教えて、浮足立って貰うわけである。

マスター・ハーヴェスター :
「塵は風に吹かれやすい。中身に重さがないからどこへでも転がっていく」

マスター・ハーヴェスター :
「その前に箱に捨ててやろうということだな。そのほうが性に合う」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
《まあ、箱に収まってくれるかはともかくね》

“血穢の蓮花”盧秋華 :
《時間はあっちのモノ。『貴人の庭』と肩組んで建前で壁を作る前ね。
 …貴女の飼い主向けのスマートなやり方、やってもいいんだけど…》

“血穢の蓮花”盧秋華 :
《噂のはどっちも頭のいいコでしょ?
 このくらい乱暴な方が“困る”と思うわ》

ラーゼス :
「あちらの用意する盤上に乗らず、盤を投げて解決する……」

ラーゼス :
「そのようなことか? おれには似合いだと思う」

ラーゼス :
「……あちらの、顔を見せなかったほうは厄介そうだ」

マスター・ハーヴェスター :
「たかだかレネゲイドの作用で"頭が良くなった"だけの、スカしたボケにはそのほうがちょうどいい。
 横ばいから殴りつけたほうが自慢の脳みそも揺れるというものだ」

マスター・ハーヴェスター :
「だが……そうだな、より一層嘗めた口を利く方は捉えづらいだろう。
 時代錯誤の野郎の方をブッ殺すのがこの際の及第点といったところか」

マスター・ハーヴェスター :
「そういう意味では、俺とラーゼスのツーマンセルの方が適性があるな」

ラーゼス :
「ああ。胡にも考えがあると言っていた……」

ラーゼス :
「割ける戦力としても無駄はないと思う。……しかし」

マスター・ハーヴェスター :
「どうした?」

ラーゼス :
「どちらもあくまで、ギルドの手足でしかない。この戦が頭目への足掛かりになるとよいが」

ラーゼス :
……グウィンに言わせれば、間違いなくこの三つ巴の状況を作り上げたのは彼らだという。

ラーゼス :
                      ハコ
 遺産もそうだ。……ならば、それを抱える強大な狼は?
 それすら手繰れる男がどのような御仁なのか。いまは想像もつかないが。

マスター・ハーヴェスター :
「…‥少なくとも、ここまで投資をしておいて"やっぱやめた"は無いだろうよ」

SYSTEM :
 本質は首魁の捕捉ではない。
 彼らは結局のところ企業人で、犯罪の方向に手段を見出したならず者だ。
 狙われると分かったうえでの備えには、相応に「河岸を変える」が如き行いが含まれる。
 ・・
 そうでない、と見込まれた男に途中下車もないだろうが、脇から見たままの彼を引きずり出すには十分だ。

SYSTEM :
 その上…。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
《投資の代金がモノとカネだけなんてこともないでしょうしね。
  オーヴァード
 レネゲイドの友達は、理由があれば、いくらだって残酷にも勇敢にもなれるわ》

“血穢の蓮花”盧秋華 :
《後者になるお手伝いをしましょう。
 そんなカンジ。悪いわね、荒事任せで》

SYSTEM :
 何より、荒事の一番の理由は。
 あちらが後ろ盾を結びなおしてローマで大義名分を得て、彼らに自由に動く余地を作らせた時…。

 被害の生まれ方は、恐らく“好ましくない”ものになると、いま飄々と通信を送ってきている女から結論があったからだ。

SYSTEM :
 曰くカンと経験則と受け売りで…。
 まさかその時には、己のボスが“こう”なるとは思いもしていなかったようだが…。

 それならば盤の外側から火をつけるような真似を、あちらがやる前にこちらがするまでのこと。段取りとしてシンプルな行動の理由はそれだ。

SYSTEM :
 そうなってくると求められるのは、ギルドの戦線各地を早急に潰していく速度だ。
 作戦開始と同時に、ローマの暗路を行くギルドの刺客との遭遇、および離脱を繰り返すことになる。加えて、その後の“捕捉”まで込み。

 絡め手や知性に潤滑油になってもらうことがあるなら其方になるだろうが、
 概ね荒事向けのうち二人が出張ったことに間違いはない。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
《…それじゃ。始める前に、ボス?》

“血穢の蓮花”盧秋華 :
 ・・・
《呼び名、どっちがいい?》

マスター・ハーヴェスター :
「……」

マスター・ハーヴェスター :
「押し付けられた看板を使う気になったのは……、
 どいつもこいつも俺のことを舐め腐って馬鹿にしやがるもんでな、腹が立ったせいだ」

マスター・ハーヴェスター :
「何故俺がコレを押し付けられて、それを背負えているのかも分からん連中に……その幻影を刻み込んでやるために」

マスター・ハーヴェスター :
「だから好きにしろ。
 お前らが俺をどう呼ぼうと、俺はお前達にとっての"ボス"だ」

マスター・ハーヴェスター :
「古い付き合いの特権だ。存分に使え」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
 F H
《黒い方をやりきれない人ね。つくづく。
 強請ってでも手に入れて、けらけら笑ってぶつけるくらいでいいのよ、ソレ?》

マスター・ハーヴェスター :
「よく言われる。だが……それ以外にも俺は馴染めん」

マスター・ハーヴェスター :
「馴染めんから、こんなバカをやってる。
 そしてお前達はそのバカについてきてる大バカということだな……ハハ」

“血穢の蓮花”盧秋華 :

《うん》

SYSTEM :
 根っこから根無し草。
 飢えと渇きで、成る前からさえ、己の行動に何かを感じるゆえんの薄い女。

 あなたのそばにいるのは、根本的に自分と性根が違うからだ。
       F H
 彼女にとって黒い方とは、同じ”だから”安く扱っていいものに過ぎない。

SYSTEM :
 それ以外も然りだ。
 ・・・・・
 馴染めないとはよく言ったもので、ほかに渡って/留まっていたら3年は早く死んでいたような“逢魔狩り”も、そもそも合理ではついてくる理由のない”Mr・A”も。

 あなたはどうしても昨日の側の人間だった。
 その証左はコレだ。あの日の栄光から離れても、少年兵の延長線だ。賢しいやり方なんぞ望めようわけがない。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
       シンプル
《あなたの理由は単純ね。
 じゃあ、別に何が変わるでもなし》

SYSTEM :
  な め ら れ た
 上前を撥ねられたのだ。
 根本的理由が“ソレ”なら、あるいは。
ファントムストークス
 旧き亡霊の末裔が力を行使する理由に何ら変わりはなかった。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
《じゃ、始めましょ。
 ───”ボス”をよろしくね、貴女》

SYSTEM :
   ギルド
 ───彼らの落ち度は。
     アマチュア        ベテラン
 無法者の新入りなことを忘れて、古参の掟に手を出したことだからだ。

SYSTEM :
【Check!】
 FS判定が発生します。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【FS判定シート】
内容:敵エージェントを撃破せよ!
終了条件:対応エージェントの撃破(イザナギ/ソフィア)
完了値:8
難易度:8
判定:〈白兵〉or【感覚】
支援判定:〈知識:レネゲイド〉または〈知覚〉
最大達成値:制限なし
経験点:2
備考:〈白兵〉の場合は難易度が[7]になる
   進行度一定以降から、
   ソフィアが妨害エフェクトを使用する 

SYSTEM :
[進行度0]
判定:〈白兵〉or【感覚】
支援判定:〈知識:レネゲイド〉または〈知覚〉
難易度:8
備考:〈白兵〉の場合は難易度が[7]になる
   進行度一定以降から、ソフィアが妨害エフェクトを使用する

 ギルドエージェント、“イザナギ”神城冥および“ソフィア”の追跡および排除を開始する!
 彼らは主だった戦線では姿を確認されておらず、また正面決戦を挑む気は毛頭ない。
 捜索のための揺さぶりとしても、引き摺り出す前にギルドそのものの戦力を削る必要があるだろう。
なわばり
 日陰から出てきたのが運の尽きだ。徹底的に叩き潰してやれ。 

SYSTEM :
【-Round 1-】 

SYSTEM :
■セットアップ
 ハプニングチャートが発生します。 

GM :
1d100  (1D100) > 13

GM :
11~15:焦り。ラウンド中の難易度+1d10。

GM :
1d10  (1D10) > 9

SYSTEM :
【Check!】
 ラウンド中の難易度が変化しました。
 8→17(16) 

SYSTEM :
 ギルドが温存していた兵力の多さ故か、あるいは”備え”の結果か。
 蹴散らすことに変わりはなくともその数だけは見込みよりも多い。予想よりは派手な“掃除”になるだろう…。

SYSTEM :
■手番処理
”マスター・ハーヴェスター”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています...

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定を確認できませんでした。
 メインプロセスに移行します。 

SYSTEM :
■メイン
 進行判定の宣言を行ってください。 

マスター・ハーヴェスター :
白兵を宣言する。
同時に、《光の舞踏》を宣言する。これで【感覚】に置換するとしよう。

SYSTEM :
■メイン
 判定内容およびエフェクト宣言を確認しました。続けて判定を行ってください。 

マスター・ハーヴェスター :
(6+2)dx+(1+2+5) 白兵/【感覚】置換 (8DX10+8) > 8[1,1,3,3,4,6,6,8]+8 > 16

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:0→2 

マスター・ハーヴェスター :
久しいもんだな、爪を振るうってのは。

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] 侵蝕率 : 82 → 84

ギルド戦闘員B :
 ──────敵襲! 敵襲ッ!
 “御手翳す解放者”の寄せ集めじゃねえッ!

ギルド戦闘員C :
 横入りか!? こっ…この数に!?

マスター・ハーヴェスター :
よく覚えておけ──これが旧き亡霊のやり方だ!

ガンドルフ :
──パターンセレクト、攻撃開始。

SYSTEM :
■手番処理
”隻獅子”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定が行えるキャラクターを確認できませんでした。
 メインプロセスに移行します。 

SYSTEM :
■メイン
 進行判定の宣言を行ってください。 

ラーゼス :
ゆくぞ。

ラーゼス :
〈白兵〉で判定しよう。《CR:ブラックドッグ》+《アームズリンク》を使用する。

SYSTEM :
■メイン
 判定内容およびエフェクト宣言を確認しました。続けて判定を行ってください。 

ラーゼス :
(6+1+3+5)dx8+9 (15DX8+9) > 10[1,1,2,3,3,3,4,4,4,5,6,8,8,10,10]+10[2,3,4,8]+5[5]+9 > 34

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 75 → 79

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:2→6 

SYSTEM :
 ───想定より多く持ち込まれ、ある程度の推測と共に“足止め”も兼ねていたのだろうギルドエージェント。
 しかしそれが、全く…。

SYSTEM :
 ただの二人と一騎を前に、もはや相手になるどころか、足さえ止まらない。
 戦線を転々とする動きと共に、ギルドの手足が容易く叩き伏せられていく!

ギルド戦闘員A :
 かッ…母さ─── 

SYSTEM :
■進行判定確認
 進行イベントが発生します。 

ラーゼス :
こんなものか

“血穢の蓮花”盧秋華 :
《流石ねボス。
 其方も、同郷が一番槍として抱えるだけはあるわ》

“血穢の蓮花”盧秋華 :
.ステイヤー
《長距離走はお得意? 次は───》

SYSTEM :
 そこにあるのは戦略ではない。
 戦術単位が戦略に罅を入れている。
 瞬間的なワーディングともはや戦闘ですらない一方的な塵殺を瞬時に繰り返す。

SYSTEM :
 戦場に瞋恚の猛りが響く。轟く雷鳴は獅子の嘶きに似て。
 短時間のうちに、ギルドの目論見、配置、酷い時は“たまたま”居たからで。
 見かけ次第、バロールのサポートもあって神出鬼没で殴り飛ばされるとあらば、
 ローマの裏という裏側を我が物顔で闊歩していたギルドの面目は丸潰れだ。油断が当然のように裏返る。

SYSTEM :
 件数、または部隊規模にして20。それだけの犠牲が勢いよく積み上がるのだ。
 オーヴァードを戦略的に組み込んだ近代戦でこのようなことは絶対に起きない。
 起きない、が。考えるまでもないことで、ローマにおける局地戦に戦略もへったくれもありはしない。
 ・・・・・・・・・・
 超人同士の路地裏喧嘩。原始的な打ち合いだ。
 鬼の末裔にかなうはずがなく、古き戦人と命のやり取りをして栄光を勝ち取れるわけがない。

SYSTEM :
 ギルドは咄嗟の対応を試みる。

 明らかにこちらに狙いを定めた“ハーヴェスター”と、キュマイラ・シンドロームのオーヴァード“隻獅子”。
 狙いがそちらに代わるのに時間はかからず。

 同時にギルド全体も、秒間の対応を強いられる、現代戦から遥か遠ざかった野生に、卓上で論ずるものとは程遠い本能を引き摺り出される。

SYSTEM :
 ────理外の“ふざけた”相手に、相手が選ぶ対応は癖や直感、深層心理の信頼に頼るようなものになる。

 あとはその対応に回ったギルドの“群れ”の中から、もっとも動きが遠いものを見つけるだけだ。

SYSTEM :

[進行度4]
判定:知識:心理or【社会】
支援判定:白兵or射撃
難易度:8
備考:この進行度以降「ギルド」がFS判定に参加(ギルドの最大達成値は[20])、彼らが進行度[8]に先に到達するとFSが失敗する
   またこのラウンドから下記のエフェクトが最大1回ずつ使用される
  →『インタラプトL1』『ブービートラップL3』

 ギルドの戦闘部隊をかく乱、殲滅したことで、あちらも動きを変えつつある。
 引っ込んだギルド構成員の動きを戦術、または彼らの“十八番”で詳らかにし、
 その中からイザナギ/ソフィアの位置を追跡せよ。
 彼らの一時撤退に間に合わせなければ堂々巡りだ。可及的速やかにアタリをつけなくてはならない。 

“血穢の蓮花”盧秋華 :
 ハイエナもこれ以上理不尽は食べたくないって。ああ、けど…。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
 チェックは済ませるわ。うまくやってね? 逃げ出すかも。
 その二人のコのうち賢い方は、ローマで”どうしても”ってわけじゃないのでしょう?

マスター・ハーヴェスター :
利口なら事の重大さを理解して、完全に手を引くだろうな。

マスター・ハーヴェスター :
くっくっ、だが理不尽が食い足りないときたか……そいつは残念だ。
このローマという"牙獣"達の庭にとって、理不尽はご馳走なもんでね……

“血穢の蓮花”盧秋華 :
あら、半端な利口さの方をご期待? かもね。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
Istruttore
直接指導でもしてあげに行ったら?
後学の参考にするわ。

ラーゼス :
しかし…

ラーゼス :
溝鼠とて、己の生き残るすべを心得ているものだ。そう易くもあるまい。気を抜かずにゆくとしよう

マスター・ハーヴェスター :
だろうな。では盤面を見るとしよう。

SYSTEM :
■クリンナップ
 クリンナップの行動は行われませんでした。 

SYSTEM :
【-Round 2-】 

SYSTEM :
■進行判定確認
『ギルド』が出現します。
 ギルドは「イザナギ/ソフィア」として扱います。 

SYSTEM :
■セットアップ
 ハプニングチャートが発生します。 

GM :
1d100 (1D100) > 37

GM :
37~40:破滅的不運。このラウンド中に行う判定はすべてクリティカル値+1される。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
…あらま。

マスター・ハーヴェスター :
残りの20%が来ちまった。参ったねこりゃどうも。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
あっちが安全圏に逃げ込む猶予は瞬きじゃないしね。念のため聞くけど、どうする?

マスター・ハーヴェスター :
そうだな…

マスター・ハーヴェスター :
半年前の発掘遺産奪取の時を覚えているか?あの時はウェルが石につまづいて20%を引いた時があった。

マスター・ハーヴェスター :
つまりその時と同じだ……フォローを任せるぞ、秋華。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
カレ、やらかす時は態とじゃないから困るのよね。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
じゃ、奮闘以前に餅は餅屋ってことで行きましょ、ボス。

マスター・ハーヴェスター :
その通りだ。

マスター・ハーヴェスター :
ドミネーションの使用を宣言する。

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

・ドミネーション(Scenario/1)
 主要エージェントとのFS判定時に発動可能。
 指定した判定を「次のイベント発生値」まで進める。
(※ただしFS判定の最終イベントに対して使用不能) 

SYSTEM :
■進行判定確認
 最終進行イベントが発生します。

SYSTEM :
 だが溝鼠の生き残り方とは、日向に断じて出ない、地の底を這う生き方だ。
 
 そうではない者たちの欲望に焦がれた手足がまず狩られた。
 …頭に近い方の娘と、その手に携えた刀は“そう”ではなかったが。

SYSTEM :
 こと、拙速さでは軍人の方が早く、野生の方が鋭い。
 思いのほか“楽”に事は運んだ。ローマの幾度目かの乱痴騒ぎ、誰もが等しく阿呆なら、御目溢しなどあるはずもない。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 果たして退路/または活路のさなか。

 奇しくもどんな先進国にもあるような、何者でもない溝育ちの“破落戸”が生きては死ぬような雨垂れの路地裏。
 先回りしたあなたたちに気づいて、ワーディングが張られた。

 身体変化でひとりだけ抜けられる女がまったく躊躇なく“逃げ”を打とうとしても、一手は遅い。辟易を隠さず肩を竦める。

『ソフィア』 :
「………ウチもさあ、最初はコトバの通じる人間だと思ってたんスけど」

『ソフィア』 :
「ナメたら地の果てなんてクソ黴生えたようなのがまだいるなんてね。
 何が情熱の都だ、メルヘンすぎっス」

『イザナギ』 :
「だから最初のガンつけられた時点で行こうといったのでござる」

『イザナギ』 :
 ナメ    ソク
「無礼られたら速攻で殺す。
..チョク   キュン
 直球で却って好感というもの───」

『イザナギ』 :
「…あ、そうだ。強いて無念を挙げるなら、あの娘は?
    リベンジ
 拙者、臥薪嘗胆がまだでござるよ」

SYSTEM :
 辟易する方と、“命の危機”と分かっていながら涼やかに平時の態度で、まるで気安い本日の天気を語る方。

 ギルドの手足の中でもっとも頑強で、もっとも今の”首魁”に近い方。
 あるいは合流か密談か、何かしらの対応をとる直前だったのだろうが、それにあまり関係のない“武器”の方は当然のように乗り気だ。

ラーゼス :
「……ナメ? ソク……… ………」

マスター・ハーヴェスター :
「分からんでいい」

『イザナギ』 :
       ..コミュ
「人間の理解とは対話から始まる」

『イザナギ』 :
          マジ
「───よって拙者には真実に不要でござる。
 ござるが貴殿ら、戦前に口とか利かない性分?」

ラーゼス :
「こみゅ……」

ラーゼス :
ようやく「ああ」と理解を得た顔をする。

『ソフィア』 :
ウチは何見せられてンの?
異文化交流?

ラーゼス :
「いいや。言葉なき戦とてするが、貴殿の言うような『こみゅ』を知るものを伴連れとしていた」

ラーゼス :
「うん、知っている。ゆえ、こう尋ねよう。
『そこまでだ。なにをしようとしていた?』と」

マスター・ハーヴェスター :
やれやれと肩を竦める。

『イザナギ』 :
 ・・・・
「人を切る」

『イザナギ』 :
.コロシ
「仕事の場では言葉なぞ不要。
   アリエン
 だが不可思議ことに誰も彼も冥府を覗かば皆しゃべる」

『イザナギ』 :
        クチ
「で、拙者もその人種なので話すが…。
 
 誰の、何とか、興味も沸かん。全く存じ上げぬ。
 拙者は刀だ。刀には使われ方があるが、刀は善悪を選ばぬ」

『ソフィア』 :
 ああ、だからってウチに聞こうとかも思わんで下さいね。
 ムダ話で良けりゃあいくらでも垂れ流すッスけど。

SYSTEM :
 何をしようとしていた、の回答はこうだ。
 律儀に丁寧に自覚ありで螺子を外す方と、見てわかるだろうとばかりに梯子を外す方。

 利口ならば逃げると言った。神に触って祟りも受けず、対岸の火事からすぐに遠ざかると。

SYSTEM :
 だがそれは己に対する危機感のなさ以上に、双方のいびつさだ。
 死んでもなんとも思わない方と、”何”の決定権を持たない方。

ラーゼス :
「…………」

マスター・ハーヴェスター :
「だ、そうだが。どうだった?」

ラーゼス :
 コトバ
「理解を捨てたものと、権謀術数の手足か」

ラーゼス :
「貴公の態度の由も理解できた。意味を持たぬか? これは」

マスター・ハーヴェスター :
「理解は得難いものだ。知的生命体にとってな」

マスター・ハーヴェスター :
「意味は自ずと持ち合わせる。
 指の一本も動かなくなってから生まれることもある」

マスター・ハーヴェスター :
「ま……要するに貴様次第と言うことだな、ラーゼスよ。
 塵どもに聞きたいことは充分か?」

ラーゼス :
「……道理だな。貴公の言うとおりだ」

ラーゼス :
「力交わす最中に理解することのほうが、彼らに関しては多かろう。
 そうするが──」

ラーゼス :
「ひとつだけ尋ねておこう。
 あの燃え盛る“赤の鬼人”のねぐらにて。我らがいなければ、貴公らは何をしていた?」

『ソフィア』 :
「───ハ。
 御同類が一丁前に道理なんか語って」

『ソフィア』 :
「ああやだ。揃いも揃って、ガキ相手にはマウント取らないと気が済まないクチなんスか、おっさん?」

『ソフィア』 :
「そうかと思えば何? ………ああ。
 こっちは“なぜなになんで”を拒否っても止めない方?」

SYSTEM :
 刀の方は特に口を利かない。

 一連の話を特に否定しないからだ。
 彼は話が通じ、道理を解するが。それを行使するかは全くの別である。
        ・・・・
 なるほど確かに解さない、ではない。
 ・・・
 捨てた、だ。

『ソフィア』 :
「ウチも3回連続で………のゴタゴタに巻き込まれてそろそろ肩凝ってんス。
 素直に話してくれると───」

『ソフィア』 :
「………思ってそう、つーかぁ。
 おたくら”赤の鬼人”の死体漁りしたならわかってるんじゃないスか?」

ラーゼス :
 “赤の鬼人”の心臓から零れ落ちたもの。
 まっさきにそれが思い浮かぶ。あの石だ。

ラーゼス :
 それを求める意図に、いまは見当がつかない。
 正体について調べでもしていないかぎりは、その完全な真意には手が届かないが……思い起こすのはグウィンの言葉だった。

ラーゼス :
『この状況自体が仕組まれたものでないと誰が証明できましょう』──。

ラーゼス :
……最低でも“赤の鬼人”の心の臓は、彼らにとって目的に手を掛けるための手段となっていると。

ラーゼス :
……いいや、そもそも。

ラーゼス :
 あの燃え落ちた家の中にあるものが何であるかなど、本来知ることはあるまい。自分たちの目的を語ったようなものだ。
 そしてそれをほのめかすことなど、彼らにとっては痛手ではないだろう。

ラーゼス :
「貴公らは暴きたかったのだな。
              スカベンジャー
 鼠とアレウスは言ったが、ハゲワシか鴉のたぐいであったようだ」

『ソフィア』 :
「うわ、どれもや~な呼び方!
 ま、どーぞご自由に。ウチからすりゃ、」

『ソフィア』 :
「かたっぽの負け犬がちゃんと天に還って、かたっぽの負け犬がクソ迷惑な妄想に浸ってるだけのことっス。

 暴くなんてそんな、だれが好き好んでカタコンベに手ェ突っ込むんだっつーの」

『イザナギ』 :
「ウソ…貴殿そんなに死人大好きクラブだったの?」

『ソフィア』 :
「口閉じろ」

マスター・ハーヴェスター :
「だ、そうだ……貴様の高尚さとはかけ離れてるのが連中だよ」
 
 『ソフィア』の変わらぬ態度に対して、一切の無関心を貫きながら、獅子の問いかけの総評を口にする。

マスター・ハーヴェスター :
「他者への理解も相手を見誤れば"こう"ということだな。
 なるほどそこは反面教師とさせてもらうかね……」

マスター・ハーヴェスター :
「で、ハゲワシだろうがカラスだろうがなんでもいいが。
 そろそろ墜落させたいと俺は思うんだが」

ラーゼス :
「いや……。おれにとっては価値のあることだった」

ラーゼス :
杖を大地に突き立てる。硬い音。

マスター・ハーヴェスター :
「ほう?」

ラーゼス :
「貴公らはこの地の利権に、さほど興味はない。確信を得た」

『イザナギ』 :
「なんと………」

『イザナギ』 :
         ノゾ
「拙者の心が斯様に読心かれるとは
 名のある一角の“そらりす”と見える」

『イザナギ』 :
.        カタギ
「生まれてこの方、常人として生きる術を知らぬ故な」

SYSTEM :
 もう片方は応じない。
 ただ冷たく笑うだけだ。

ラーゼス :
「ひとのことは解らぬが、そのような御仁がいることは知っている。ならば」

ラーゼス :
「折れるときもまた一瞬であることも解っていよう。これにて終わりとしよう、剣よ」

『イザナギ』 :
           ナエ
「忝い。後腐れがあると消沈る」

マスター・ハーヴェスター :
「……ハ、そいつは同意見だ」

『イザナギ』 :
「拙者に意味があるのは殺人許可証ただ一本。
 くたびれるか折れるまで振るわせて頂こう」

SYSTEM :
 こちらの方が死を恐れていないのは単純だ。

 殺しもするから殺される、と。

 生まれてこの方、それ以外の生き方を知らず、また興味を見出すことのなかったものだからだ。
 だからあなたの言葉に、彼は淀みなく応じた。それで当然、それでこそ。“それ”のためにここにいると。

 彼の唯一の美点は振るいどころの一線をわきまえたことで、そうでない部分は一線の範囲内なら悪行さえ何ら恥とも思わないことだ。

SYSTEM :
 ───男は述べていた。
 無法者たちから敬遠を以て名付けられた、
 もののふの極致。その影打と。

 彼にそのケがあったのかはともかく。
 これは、そんな刀の毒にたましいの錆付いた剣魔だった。

SYSTEM :
 彼から得られる内容にこれ以上は“ない”。
 隙あらば身を翻す名無しに対してもだ。

 ならばここからは。男にとっての。

『イザナギ』 :

「───刀の業、イザナギ」

『イザナギ』 :

「───躯の名、神城冥」

『イザナギ』 :

「以上。然らば…。
 拙者にときめいてもらうでござる」 

SYSTEM :

[進行度8]
判定:戦闘or対抗判定
支援:なし
難易度:上述
備考:どちらかを選んで開始する
   このラウンドから下記のエフェクトが最大1回ずつ使用される
  『勝利の女神L3』『ブービートラップL3』
  『バタフライエフェクトL3』『デビルストリングL1』 

SYSTEM :
 ”イザナギ”および“ソフィア”の発見に成功した!
 鼠の出る幕はこのローマにはない。彼らを撃破せよ。

 対抗判定の場合はイザナギが出す『白兵』の数値を任意の「攻撃判定」で上回ることで撃破扱いになる。
 こちらを選択した場合、イザナギは「異形への変貌」を使用し、
 判定に失敗した対象に「8d10」(ガード・装甲値有効)のダメージを与える。

SYSTEM :
 彼と一戦交えたあなた方はご存じだろう。

 男の脅威はその技巧。
 男の弱点は持久力だ。

SYSTEM :
 然るに手段は二つ。

 後の先で土俵を上回るか、
 技巧を違う戦場の道理で食いつぶすか。

SYSTEM :
【Check!】
 進行度8の「判定形式」を選択してください。 

ラーゼス :
戦闘をする。正面から相対しよう

マスター・ハーヴェスター :
ああ。そのほうがいい。

『イザナギ』 :
          りょ
其方の流儀で来るか。結構。
戦の作法なぞ名乗り以降は無用というもの。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。  

SYSTEM :
■進行判定
 進行度8の判定が確定しました。

判定:戦闘 

SYSTEM :
■セットアップ
 タイミング:セットアップのエフェクトを宣言出来ます。 

SYSTEM :
■セットアップ
 下記のエフェクトが宣言されました。

『バタフライエフェクトL3→イザナギ』 

ラーゼス :
…いま一つ足りぬな。宣言はない。

SYSTEM :

マスター・ハーヴェスター :
さて……温情で許されてはいたが、

マスター・ハーヴェスター :
一応宣言をしておこう。《コーリングシステム》だ。スカイキッドに搭乗する。

『ソフィア』 :
へ、ぇぇ…。
詳しか知らんっスけど、北米戦役? の遺産でしたっけ? デカい顔利かすようになっちゃってまあ。

『イザナギ』 :
へーそう。拙者初耳。

『イザナギ』 :
…兵器の価値など”殺す”のみ。
       ..マグレ
前回は斬れたとて偶然もありや。

SYSTEM :
■手番処理
 “マスターハーヴェスター”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
■メイン
 行動を決定してください。 

マスター・ハーヴェスター :
■デゼルト=カノーネ

タイミング:メジャー
エフェクト:ペネトレイト+小さな塵+コンセントレイト:AH

判定:8dx8+12(バフ抜き)
対象:『イザナギ』

SYSTEM :
■メイン
 行動を確認しました。
 判定を行ってください。 

マスター・ハーヴェスター :
8dx8+17 【感覚:射撃】 (8DX8+17) > 10[1,5,5,6,6,7,8,10]+4[2,4]+17 > 31

『イザナギ』 :
鋭き死線…如何なる所以か…。

『イザナギ』 :
..   チャンバラ
貴殿、先の遊戯よか殺意を絞った様子。
ではこちらも手並みを一つ見せよう…。

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています… 

『イザナギ』 :
■リアクション:影打・屠竜
React:《RCハヌマーンL2》《切り払いL1》《居合いL5》
Passive:《武芸の達人L3》《風踏みの靴》
・『白兵』でドッジを行う

 Dod:6dx8+(15+10)

『イザナギ』 :
6dx8+25  (6DX8+25) > 10[1,3,3,6,10,10]+10[3,9]+7[7]+25 > 52

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

イザナギ:『影打・屠竜』→成功 

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] 侵蝕率 : 84 → 91

マスター・ハーヴェスター :
撃ち漏らしたな。まァ、いつか死ぬだろ。

『イザナギ』 :
斬鉄は成らずとも…雷ならば切れる。

『イザナギ』 :
翻って光など、然して変わらぬ。
出来ねば死ぬだけ───。

マスター・ハーヴェスター :
二度目の経験だな、自信を無くしそうだ。

『イザナギ』 :
マジ
驚嘆か…。   コロシ
ならば羅馬でひと仕事終えた暁には───。

『イザナギ』 :
次を切る。そやつだ。

マスター・ハーヴェスター :
会えればいいだろうよ。

SYSTEM :
■手番処理
 “イザナギ”/“ソフィア”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

『イザナギ』 :
 命懸ける場。
 拙者も惜しむほど器用にござらぬ。

『イザナギ』 :
..  べしゃ
 何故弁論ったのかというと。
 ───此度は死角不要。一撃で殺す。

SYSTEM :
(対象選択中...)

SYSTEM :
 攻撃対象が確定しました。

 Target:単体×2→ラーゼス 

『イザナギ』 :
■メイン:影打・驚天動地
Major:《一閃L1》《居合いL5》《抜き打ちL5》
Minor:《ライトスピードL1》
Passive:《武芸の達人L3》
Descript:《達人:居合い》

 HIT:8dx8+(15+10)
 ATK:xd+(17+3+5)
 Add'l:攻撃に対するドッジの判定ダイスを-[Lv*2]D
    メインプロセスを2回行う

※2回目の攻撃に「居合い」「抜き打ち」宣言ナシ

『イザナギ』 :
8dx8+25 メインプロセス1 (8DX8+25) > 10[2,2,3,4,4,7,7,8]+6[6]+25 > 41

『イザナギ』 :
8dx8+15 メインプロセス2 (8DX8+15) > 10[5,6,6,7,8,8,9,10]+10[1,7,7,10]+7[7]+15 > 42

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています… 

ラーゼス :
【天這う伏竜】:《復讐の刃Lv2》

SYSTEM :
(行動選択中...)

マスター・ハーヴェスター :
迎え撃つ気か……豪胆なヤツ。

『イザナギ』 :
 結構。拙者が刀に非ず人にあらば
      イノシシ
 それで死ぬ自業自得も赦そうが

『ソフィア』 :
 そうは問屋が何とやら。
 ───ご無礼っス。

SYSTEM :
■オート
 下記のエフェクトの使用が確認されました。

『デビルストリングL1→復讐の刃』 

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 79 → 85

マスター・ハーヴェスター :
……リカバー、出来るか!?

ラーゼス :
一度届かなくとも構うまい──二度やれば済むことよ!

マスター・ハーヴェスター :
分の悪い賭けだな……嫌いじゃない。いけ!

ラーゼス :
二度目の攻撃に再度《復讐の刃Lv2》を使用する。ゆくぞ…!

『ソフィア』 :
───ハァ!? こいつ正気で、

『イザナギ』 :
──────是し。
朽ち果てるまで顔は覚えた、死合うとしよう。

ラーゼス :
我らに後退はない。死出の道を先に渡るは貴公のほうだ!

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 85 → 91

SYSTEM :
■リアクション
 1度目のリアクションが確定しました。

隻獅子(1回目):『復讐の刃』
隻獅子(2回目):  

SYSTEM :
※復讐の刃の結果次第で二発目が「不発」するため、先に一度目の計算を相互に行います。 

ラーゼス :
(6+2)dx8+8+5 (8DX8+13) > 10[4,5,6,7,9,9,10,10]+10[2,8,9,10]+10[3,3,8]+10[8]+2[2]+13 > 55

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージ結果を確認しています... 

『イザナギ』 :
5d10+25  (5D10+25) > 32[10,4,10,4,4]+25 > 57

ラーゼス :
6d10+11 (6D10+11) > 25[2,6,4,5,4,4]+11 > 36

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージ結果を確認しています... 

『イザナギ』 :
 柔よく剛を制する。か。

『イザナギ』 :
.          ウソ
 ──────あの言葉。虚実にござるな。
 無念。

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージ結果が確定しました。

 イザナギ→撃破 

ラーゼス :
柔の剣。見事な切れ味であった。
…その証拠におれは、装甲値を挟む意味すらないな。リザレクトする。

system :
[ 獅子王 ] HP : 33 → 0

ラーゼス :
1d10 (1D10) > 8

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 91 → 99

system :
[ 獅子王 ] HP : 0 → 8

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

ガンドルフ :
 先手必勝と言わんばかりにガンドルフが跳ぶ。
 モルフェウスの《テクスチャーチェンジ》による外装の変化は、あくまで見た目に過ぎない。
 内部の機能は余すことなく元々の機体のままであり、空戦に特化したフレーム構造も変わらない。

 地中海沿岸の高低差のある空間での戦闘を想定し、独自の空戦能力を備えたこの機体は、有視界内戦闘では後手に回るだけ不利になる。
 故に立体的な"上"を取ることで、その速攻を機能させる……ベースとなったものが"スカイキッド"たる所以だ。

マスター・ハーヴェスター :
「弾頭セレクト、カノーネだ」

ガンドルフ :
《シーケンス了解》

マスター・ハーヴェスター :
 網膜キーボードの羅列を"叩き"、シーケンスを選択。
 燃え落ちるかつての"家"での戦いと違い、目視できる相手は単体のみ。
 レフ・ビットは出すだけ無駄であり、持ち合わせた光槍ライフル一本で戦うことが最適と判断。

ガンドルフ :
 光槍ライフルは東アジアから発掘された雷将神器をベースとした、"槍の形をした媒介機"。
 普段は先端からエンジェルハィロゥのR因子によって生成される光子を打ち込むが、今回選択した弾頭は、敵の装甲を内部から炸裂させる《ペネトレイト》を内包した特殊弾。
 故に光槍ライフルそのものを投射する方針に変更。

《チェンジ完了、いつでもどうぞ》

 AIDA:ファンタズマの事務的な通達と共に、光槍ライフルの先端が何層にも折り重なったドラム・フレームの弾頭に変化。

マスター・ハーヴェスター :
「"デゼルト=カノーネ"──撃ち抜く!」

 レバーとペダルの押し込みで右腕を振りかぶり、ガンドルフが光槍ライフルを投射する。
 《小さな塵》から発生する光子を纏う事で加速を繰り返し、対象が人間だろうと機械だろうと穿つ。

 触れれば爆ぜる──これを見切り、切り伏せられた経験はあるが……こいつはどうか。

SYSTEM :
 曰く雷の速度は音を越え、亜光速にも達するという。
 
 そのいかずちの名を冠し、いかずちを先んずる、十二の将器を元とした光槍ライフル。
 レネゲイド的オーパーツを武装に組み込んだ、対オーヴァードとの戦闘を大前提としたその兵装。
 レフ・ビットを伴う多角的な一斉射を選ばなかったのは標的が彼のみという効率の悪さ。何よりビット自体の損耗を嫌ったものだろう。

『イザナギ』 :

「鬼が…哭いている」

SYSTEM :
 若者が目を細め、空を駆けたものに声を零した。
 夜の暗色に溶け込んだ鬼の眼が赤く光る。欲を食らい、魂を獲っては哭き叫ぶ鬼子のようだと。その感嘆は僅かな間に口を零れ、そのあとの雑念は極めて緩慢な刻の中に放り込まれた。

 何段階にも繰り返す加速。
 弛緩した姿勢のままそれを認め、鞘に手がかかる。

『イザナギ』 :
「うむ。斬るか」

SYSTEM :
 出来ねば死ぬだけだから、と。

 彼は生死の境にしてはあまりにも凪いだ…。
 それでいて一本気な心のかたちをしたまま、刀を振り抜いた。

SYSTEM :
 避けるでも弾くでもない。
 刀にて嵐は切れず、炎も祓えぬ。
 如何なる一刀とて光よりは遅い。
 なれど。
..さつい
 衝動がそうさせる───斬れ、と。

SYSTEM :
 次の攻撃態勢に移るのに並行して、
 魂に染み付いた神速の抜刀。 

SYSTEM :
 ───日本には雷を切るという眉唾の逸話があるが、起きたのは正にそれだ。
   さっき
 轟、と音が渦巻いて。切り捨てる一振りとともに、一陣の風が吹く。
 
 ひと太刀が牙を剥いた。
 先の戦闘が認識を過つ無拍子ならば、
     ・・・・・・
 いまのは弾丸の方から勝手に断たれ、避けるようにして爆ぜる。 

SYSTEM :
 太刀を収めることもなく、彼は”ふらり”と身を揺らして。空の鬼を眺めた。

『イザナギ』 :

「よし、白星」

『イザナギ』 :

「…斬鉄なら数あれど。ふむ。これが。
 火は払えぬ身の上、感覚的には一勝一敗にござるな」

ラーゼス :
「(……! 斬った、いいや、弾丸が斬らせた……?)」

『イザナギ』 :
「然して珍しいことでもない。
     ブッコロ
 今時、人を塵殺すのにこんな大道芸は不要ぬ」

マスター・ハーヴェスター :
「チ……」

『イザナギ』 :
「ましてや“れねげいど”の道理とは魔道よ。
                  キレ
 拙者がまこと剣士ならば、世の無常に憤死散らかしていたかもわからぬ」

SYSTEM :
 …ところで。
 疾く強く頑丈であれば達人というのは、剣の理論に当て嵌まらない。

SYSTEM :
 剣術、武術において重要なのは技の冴え。
 世に達人と呼ばれる人物は、多くは武術の道に人生の多くを捧げ、その技量を積み上げてきた人物だ。

『イザナギ』 :

「初太刀にて必殺。
 極意、すなわち一の太刀」

『イザナギ』 :

「我が影のついて回る先の修めた極意にござる」

SYSTEM :

 最強の剣豪とまで呼ばれた人間の道理において唯一伝わるのは、
 体捌きや視線の誘導、体幹などから来るものでない。
 それはもう、技術的なものというよりは精神的境地だ。

SYSTEM :
          アデプト
 オーヴァードの世界で達人などというのは絶対条件ではなく付加価値に過ぎない。
 ましてや。彼は人を斬る刀であり、刀を扱う剣士ではなく。
 彼を産み落とした影の根幹からして、突き詰めてしまえば“そう”ではなかった。

SYSTEM :

        ・・
 故にこのような異形が成立する。
 レネゲイドは嘗て、ある者に曰く「いずれ辿り着く未来を数十年先取りする」外法だというが。
 それは斯様な剣の道においても例外ではない。
 
 先の先のそのまた先。機先を制し、予測を崩す、曰くまさに“一の太刀”だ。
 だがその手練手管、身も蓋もない言い方をすればこのようなものに過ぎぬ。

SYSTEM :
 ・・・・・・・・
 やられる前にやる。

SYSTEM :
 …銃口を向けられながら“のんき”な言葉選び。弛緩した姿勢。
 血と硝煙の戦場に似つかわしくないほど、静まり返ったと錯覚する、張り付いた空気…。

『イザナギ』 :
「影打、驚天動地」

『イザナギ』 :

ブッコロシ
「塵殺にて御免。
 ────参る」 

SYSTEM :

 そしてその極意から放たれる一振り。
 外道を征かば、如何なるものになるのか。

SYSTEM :

 一つの太刀に生を燃焼し尽くし、
 一気に甲をも打ち割る気迫を込めた捨身────。

 生死の境を越え、生の側から死を押し付ける。
 その技を邪法にて突き詰めた場合、
..   まけん
 どんな無法が罷り通るのか。

SYSTEM :

 魔性の剣。魔法じみた剣技。魔道の剣と書いて、魔剣と詠む。
        .さつい
 あまりに強すぎる衝動を剥き出しにしたそれにもはや無想などありはせぬ。
 彼の技、上辺だけをくみ取った太刀を紐解くならば、技の巧者ほど憤死するか噴飯ものだと見做すに違いない。

 なぜならばそれは…。

SYSTEM :

 
 ──────刃が届く前に死を悟らせる。

SYSTEM :

               ・・・
 斬り殺すのでない、それ以上に威殺す。

SYSTEM :
 刃先を向けられたもの、等しく同じものを悟る。死だ。
 細胞の一つ一つが自覚なく、ひとりでに泣き別れして結果を受容する。
 ひとコンマ先の“死”を緩慢な刻の流れで鮮明に感じ取る。

 疾風の如き足運び、殺意と共に二重を刻む快刀乱麻。
 刀剣のように鋭く、むき出しの殺意が。
 実際の武練と重なることで、見えぬ不可視と避けられぬ可視を生む。

SYSTEM :
 
 肉を切り裂くと同時に魂を切り裂く。
   ・・ .し
 脳が二重に斬撃を認識する。

 それが剣士の技であろうはずがない。
 戦士の威でもない。

SYSTEM :

 天地人悉く、死の道理が罷り通る瞬間に、
 何より強くも無機質な殺意が刃を生む。
 そと うち
 現実と精神の二つをひと太刀で切り殺す。
    ・・
 いわば威圧の延長線。

SYSTEM :

 ───生死の境において何より純粋な“欲する”色を伴った神速のふた太刀。
 かつてあったそのものと、齎す結果こそ同じだが、道理はあまりにも違った。

ラーゼス :
「ア、────っ」

ラーゼス :
 アレウス、と名を呼びかける。
 喉が詰まった。二の太刀の気配を察して。

ラーゼス :
 剣客の声が、視線が鯉口を切った刀が。
 明確な戦意を感じ取る。
 戦意、否。それですらない。凡そ戦いたいという思いからはかけ離れた衝動。

ラーゼス :

 ・・
 殺意。
 殺して進ぜようと、念のみで訴える────
 人間が縁とする理解を棄てながら、しかしどこまでも人間らしい衝動。

ラーゼス :
 それはただの欲望ではなく、
 質量を持ち実際にこの心の臓を射抜くに足る形持つ悪意として漏出した。
 刀が届くまで実に数秒。オーヴァードにとっては十分すぎる時間を刀に先んじて殺意が押し寄せる。

 裡なる妖精の生存本能すら犯す、精神に届く斬撃。

ラーゼス :
 刃が届く前に膝が崩れかけた。
 それに抗うよう、杖の石突きが大地を叩く音。
 次いで石畳にめり込む音。斬られもしていない腹がひとりでに血を零している。

ラーゼス :
「………ッ、ギ────」

 牙が唇を割った。
 見開いた瞳孔が獣のようにしなり、内側から輝くように白く偏光する。

ラーゼス :
 踏み込んだ足と引いた槍が大地をめくり上げた。
 大きく踏み込んだ。疾風のように駆ける剣鬼に応ずるように槍を振りかぶる。

SYSTEM :
  ソフィアと呼ばれたほうの態度。
 ──────舌打ち/嘲り。

  イザナギと呼ばれたほうの態度。
 ──────変らず/逸楽。

SYSTEM :

 加えて…敢えて言うならば、女のほう。こちらの目に何かが映っていたわけではない。
 こと超人同士の戦で得意とする“やり方”が姿を晒したものではない、この少女のかたちにとって、衝突の直視はもう堪えるどころでは済まされなかった。

SYSTEM :

 巻き添え、以て即死だからだ。
 であるにその分割思考が目を逸らしながら状況を分解した。

『ソフィア』 :
         ・・・・・・
「(───動いた! 動けるのかよ!)」

SYSTEM :
 ────なにしろ例外中の例外だった。
 ・ ・・
 人を斬る技が嵌っていない。

SYSTEM :

 実体が到達く前に死を受容することさえ珍しくない。“多人数”などというまだるっこしい枷を抜きにした上での、華人最大の“狸爺”のいくつもいる秘蔵っ子の剣の理はそういうものだ。

 先の雷槍ライフルを叩き落としたのもその応用。意を受ける側が無機だろうが、レネゲイド自体がそもそも意に“なびく”ものだからだ。
 
 …ところが、目の前の女はあろうことか勝負が成立している。

SYSTEM :
 その尤もたる理由に、名無しの女は心当たりもない。
 ない、が。
 

『ソフィア』 :

「(───ま、そんならソレで良し、)
 ………残念賞くれてやりましょう…!」

SYSTEM :
 しかしどちらも矜持と呼ぶべきものとは断じて無縁だった。

 “イザナギ”はそれに憤りもしないし、
 憤ろうが女は行動を止める理由がない。

SYSTEM :
 なぜなら一太刀の乾坤には致命的欠陥がある。影打ならではの最大の欠点だ。
 故に一方的な“斬る”ならば、後手からの返し風ならばまだしも。
 同時の根競べなどとなれば確実に是非が決してしまうからだ。

SYSTEM :
 火と、気と、死と、身と。
 
 ───女の喉を突いて出た、
 短く区切った大祓の詩。

SYSTEM :
..エグザイル  ノイマン
 身体変化および思考加速の掛け合わせ。あるいはそれ以外も含んで。
 
 数あるシンドロームの中で2番目に因子の変化に長けたレネゲイドの基底形態。

SYSTEM :
 それを軸とした干渉は、目に見えぬほど細い鋼糸にも似た、波紋のように広がる因子。
 本来自分の一部とするにはあまりにも遠い射程距離を、超人的精密動作で淀みなく運用し、届かせる。

SYSTEM :
 だが縫い留める───ではない。
 ・・
 それが獅子の王に出来るほどの力技など、出来る人間が片手指以上にいてはたまらない。

 乾坤一擲に対する干渉とは即ち“散らす”だ。たとえるならばそう、水を差すようなもの。
 意識を自分やそれ以外の“些末”に向けて散逸させる。
 意図的に、注意力散漫という名の間隙を精神に作る。

SYSTEM :
 それ以上は要らない。それで十分で。そこのみに絞るからこそ“咄嗟”に対して何より狡からいほど強い。
 ・ ・
 応じ報いる、大地を捲る剛力無双。
 その初動を歪ませ、機能不全にするには、なまじ咄嗟の行動だからこそコレで事足りる。

ラーゼス :
 ふらりと揺らいだ体を誰かの意図が捉えた。
 応撃必殺の意思を削ごうと伸ばされたものは女のほうの横槍か。

ラーゼス :
 すっと息を吸う。
 これにまともに取り合えば二度死ぬだろう。直感がある。
 明確に足を止めることなど考えていない。いっとき邪魔をしていればあの剣がこの命に追いつくのだから。
 影から人を殺すことに長けた、小賢しい人の暗殺者のやりかた。
 よく知る。古来から変わらぬ影に生きるものたちの流儀だ。

ラーゼス :
 ならば知っている。
 よく知っている。
 幾度も右目の命を狙う刃を食い千切ってきた。

ラーゼス :
「ならば────」
 喘ぐように零れた声は、先の剣客への言葉の意趣返しのように。

ラーゼス :
「けだものの狩りの流儀で応じよう!」

ラーゼス :



「────────おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉッ!」

 世界を揺るがす地鳴りの如く、咆哮が轟いた。

ラーゼス :

 あまりにも鮮やかすぎる刃によって、獣の体すらその一瞬斬られたことを忘却しているが、体は確実に傷ついた。
 じき痛みが追いつく。
 いっとき寸断する意識を、獅子はしかし構いはしなかった。
 その瞬間こそが、神速の剣聖を捉えるたったひとつの術だと知っていたからだ。
 彼女がその右目を潰されながら、竜を食い千切ったあの夜と同じように。

ラーゼス :

 交錯の瞬間。
 剣鬼の刀、その刃を。
 女の手ががっちりと掴んでいた。
 肉が裂かれ命数が更に削れる。
 それすら構うまいと、異形の青黒い血を滴らせた腕を大きく引いた。

ラーゼス :
 ・・・・・
 引き寄せる。
 技も業もなく────ただ逃さぬという応報の意志のみをもって。
 地を這う獣の王が、その剛力のみで人の業を窮めたものに迫る。

 獲物が武器を捨て身を引くその瞬間を、狩る者は逃がしはしない。
 空いた片腕に握りしめた槍が、真正面からその身体を貫いた!

SYSTEM :
 こと命を獲るという点において。
 
 一振りの人斬りと、名無しはあまりに巧者だった。だった、が。 
 …誰が知る。誰が想像するものか。女のまことのかたちを。

SYSTEM :
 ───迎え撃つ瞬間、惑いのイトの方から逆に散逸するような咆哮が響く。
 地鳴りの如き咆哮。轟かせたのは、まさに獅子のように金色の髪/たてがみを揺らすもの。

 天の理に背を向かれ、地の理と共に這い死すべき運命たちの王。

SYSTEM :
 なるほど臆するという言葉を。
 生死の境に立ったけだものが知るはずがない。

 危惧し達観した最大の欠陥。
 剣魔の土俵から、獣の土俵へ引きずり込まれる。

『イザナギ』 :
「!!!」

SYSTEM :
 オーヴァードの、かりそめの命脈を剣魔の太刀が引き裂いた。
 まさに乾坤なれども、振り抜いた当人に即座に圧し掛かる強力が、いやそれ以前に、己に過大も過小も評価を下していない男が結果を悟った。

 轟音と共に、別種の殺気が、流れる異郷の青き永久と共にイザナギの身を灼く。

SYSTEM :

     かる
 ──────殺す者が、入れ替わる。

SYSTEM :
 槍はまるで獣の牙だった。
 お互いをかけて殺し合い、やがて食い千切った獲物の死を掲げるように、天に突き立てられていた。 

SYSTEM :
 か細い呼吸。

SYSTEM :
 …曰く、彼が影打たる最大の欠陥は。

 彼という影を生んだものと違い、その肉体が完成しきっていないという点にあった。
 一太刀にて必殺の乾坤、そこに殺意以外の雑念が入り込む余地はなく。
 無防備の肉体に、相搏つなどという状況が訪れてしまえば───。

『イザナギ』 :

「………………うん」

『イザナギ』 :
          ヒト
「斯様に気高く荒ぶる野性…。
 ………確かに、斬っては、おらなんだか」

『イザナギ』 :

「───殺すか、殺されるか。
 いずれかしか味わえぬことの、なんと口惜しきこと…」

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 あまりに呆気なく、そしてあまりに鮮烈に刀がへし折れた。
 絶命手前の肉体に、もはやリザレクトは伴わぬ。理解っているからこそ、片割れの行動は迅速だった。

SYSTEM :
 無理を悟れば口数少なく、舌打ち、のち逃走。

 エグザイルの肉体はそう易々と捉えられはしない。ましてやこの場で使える“得物”がない以上、至極当然の行いでさえあった。

SYSTEM :
 しかし、だ。

 虫が良すぎると憤る/吐き捨てる心にオーヴァードの身体は聊か以上に容易く追いつくわけで。

 命は獲れずとも、ローマで“うごめく”余力くらいは、その一瞬の交差で奪えもしよう。
 あるいは、まこと興味もなくば…捨て置けもしよう。

ラーゼス :
 気配が遠ざかる。
 血に濡れた槍を引き抜くと同時に、再度大きく振りかぶった。

ラーゼス :
「────ただで帰すとでもッ!」

ラーゼス :
 雷鳴のような吠え声とともに、槍が砲弾さながらの勢いでその手を離れた。
 投擲された槍が、逃げる女へ追いすがる!

マスター・ハーヴェスター :
 手を穢す事なく、獅子の女に牙を剥けさせた。
 静かに死を見つめ、それが幻影となっていくのを見届ける。
 死肉は啄む価値もなく、ただ腐りゆくのをみるだけ。

「……ジ・エンドだ」

SYSTEM :
 オーヴァードとて、死に対して無縁ではいられない。
 彼らはレネゲイドが“そうする”限り死ににくいだけだ。

 であるに、女の脇目も振らない逃亡は、この場の趨勢が決したいまもっとも利巧な行いではあった。
 …あったが、戦場とはそもそも利巧さで雌雄が決するものでなかった。

SYSTEM :
 けだものの流儀を語った獅子の一投。
 タダ
 無傷で済ませぬと、辻手に最も馴れた生き物の手元から放たれた槍の一振りが、対価を貪らんと風を切る。

『ソフィア』 :
「い゛───ッ、ぁ、」

SYSTEM :

 直撃。赤い仇花が手向けに咲く。
 家屋ごと貫き、縫い留めるように彼女を射抜いた槍が、風穴を一つ開けた。

 だらりと垂れた腕と、口元から零れる血。苦し気な小さい呻きと、未だ憎々し気とて吊り上がる口元。

『ソフィア』 :
「は゛───はっ。
  Yobbo
 この野蛮人が…痛った、よくも人のことキズモノにしやがったっスね」

ラーゼス :
「すまないが、あいにくこれしか知らぬ」

ラーゼス :
「おれの知るかぎりもっとも賢きものは、『盤上に乗るな』とおれに教えたよ」

『ソフィア』 :
.いいコ
「律儀…ぶるなっつーんです、寒気するから…」

『ソフィア』 :
「ハハ、ったく、出来ればそうしたかったんスけど………。
 じゃあ、半端に賢しい人間がどうするかってーと………」

SYSTEM :
 苦悶半分に表情をゆがめた女が、さもありなんと同調するのを他所に。手を地面に突く。

 崩落しかけの家屋、エグザイルのオーヴァード。貫かれた身体と、まだ“価値あり”とカラの宿主を見做すレネゲイド。
 
 …それを以て、半端に盤面に残る賢しさの代価は支払われた。

『ソフィア』 :

「…ウチら、いーち抜け。
    ワイズマン
 あとは妄想野郎と、よろしくやってな…───」

SYSTEM :
【Check!】
 ”イザナギ”/“ソフィア”がゲームから退場しました。
 

SYSTEM :
【Check!】
 対象のDロイスを計算しています... 

SYSTEM :
【Check!】
 下記のDロイスを検出しました。

・『達人』
・『工作員』 

SYSTEM :
 
 ………翻訳するまでもない。
     ・・・・・・
 広義の、覚えていろよ。

 オーヴァードとて瞬時に傷が修復されるわけではない。彼らの死に難さは(概ね)限りあるリソースからくる有限だ。

SYSTEM :

 ましてや、ギルドの戦力は致命的と言っていいほど失われた。
 鼠がひしめくには、年単位の時間が必要になるだろう。それは、もうローマの現在にとっては致命的な遅れだ。

SYSTEM :

 転がり、へし折れた刀だけが残る。
 ───やがて事切れ、腐り落ちる、何者でもない屍肉の予備軍だ。

ラーゼス :
 ごほ、と、したたかに咳き込んで零れた血を、己の腕の布地で吸った。
 まさしく獣そのものの唸り声を発した瞬間、主のもとを離れた杖がひとりでに手元へ戻ってきた。

ラーゼス :
 長く息を吐き、女の消えた場所を眺める。
 死んではいないが、命脈に近い場所を断てたはずだ。
 殺せずとも、しばらくは戻ってこられまい。
 あの捨て台詞がよい証拠であろう。

ラーゼス :
 杖で半ば体を支えながら、足元の男へひざまずいた。
 死にかけの男は、まだ生きているだろうか。

SYSTEM :
 先の女とは違う。
 彼は、自他ともに認める刀だ。

 そのように生まれ、そのように性能を期待された影法師だ。
 鋭く、疾く、冷たく。人を切るという部分にだけ、芸術的な強さを誇ったものだ。

 ………微かな息が、ひゅう、とこぼれる音。なれど。
 レネゲイドとて誰彼構わず辛抱強く起こしてくれるわけではない。リザレクト現象が万能ならば、もっと多くのオーヴァードが“熟練者”と名を連ねていよう。

『イザナギ』 :

「………………」

『イザナギ』 :
「………応………
くやしみ
 未練、片手の指は越えるもの………」

『イザナギ』 :
「………………。
 しかし、ときめいたのは………拙者に、ござったか…」

ラーゼス :
「ときめく……」
 小首を傾け、その言葉を理解しようとするが一度止める。その間に命脈が尽きてしまいそうだ。

ラーゼス :
「そのようだ。
 ……貴公も、見事な太刀筋であった。ただ一振りの剣であるものよ。
 まさか、ただ殺気のみで人を殺めるとは」

ラーゼス :
「おれには想像もつかぬ、
 殺すことに──殺し合うことに総てをかけた業であった。
 なるほど、剣の鬼とはこのようなものか、と……」

ラーゼス :
「感服したよ」

SYSTEM :
 緩む口元。仏頂面の男なりの返答。

『イザナギ』 :
「…知ってる貴殿?
 海の魚に鮪というものがいてだな…」

『イザナギ』 :
「泳ぎ続けねば死んでしまう…。
 留まることが頭にない…生き物だ…」

『イザナギ』 :
「それと同じだ………生まれてこの方、それのみ考えた…。
 それだけに無念よ。もう少しいけると…」

『イザナギ』 :
「例えば、次は火も断てると…。
 手応えを感じていたのだが…」

ラーゼス :
「貴公は魚と同じか。それは……」

ラーゼス :
「さぞ生きやすかったろう」
 ……いいや。
 ただそう決めたものに、易いも難いもなかろう。   愉しみ
 命の始まりに己の生き方を定めたものが、身勝手に己の生き方を追いつづけた果てが、この刀の終点だった。

ラーゼス :
「しかしひとふりで生きれば、どれも果てはこのようなものだ。
 たまさかすれ違ったおれのような獣に、足をすくわれる」

ラーゼス :
「……惜しいことだ。ギルドという屍荒らしは、貴公に鞘を用意しなかったようだな」

『イザナギ』 :
ブッチャケ
「率直られたな…それは…」

『イザナギ』 :
「しかし…貴殿…。
 人を斬るのだ、斬られもしよう………」

『イザナギ』 :
 ハヤ  オソ
「神速いか音速いかの違いよ………」

SYSTEM :
 それには、“あれば何か変わったのか”と、たらればを夢想するような響きはなかった。

 それを用意してもらったならば、生きにくい代わりに、彼は長く生き延びた“かも”しれないし。

SYSTEM :
 それを用意してもらったならば…。

 やがて抱えた衝動よりも、
 優先する事柄を生んだ“かも”しれない。
 
 そうはならなかった。だから”惜しい”なのだろう。

ラーゼス :
「………違いない」

ラーゼス :
 ……ならば、この男はここまでだ。
 剣に善も悪もない。振るったものがすべてで、それに彼にとっての区別は存在しないだろう。

ラーゼス :
 しかし択ばない人斬りを覚え、それを好んだ。
 だからこの男にたらもればもない。
 人の血の味を知った獣が、人喰いを繰り返すのと同じことだ。

ラーゼス :
「………イザナギ。いいや、冥といったな。
 おれのために尋ねることと、要らぬ世話がひとつずつ」

ラーゼス :
「“ワイズマン”というものは、貴公の目にどう映った?」

『イザナギ』 :
「………貴殿…」

『イザナギ』 :
   ジブン
「拙者が刀の使い手の名前を覚えるほど…。
 持ち主に拘っていたと…思ってたクチか?」

『イザナギ』 :

「…まあ実際その通りなのだが…」

SYSTEM :
 ・
 冥府の伝説を引っ張り出すから“イザナギ”。
 彼が持ち主に求める条件は一つだ。

『イザナギ』 :
「この世はこと我らに生き辛く…。ならば、その場を用意できるか否か…。

 用意できずとも…その場に導けるか、否か…」

『イザナギ』 :
「老人の見栄のために…帯刀されるのも…。
   テンサゲ
 ホラ、嫌気だし………」

『イザナギ』 :
「…そういう話にて。
..マトモ
 正常とは朋友になれまい、なあ…」

SYSTEM :
 ・・・・・・・・・
 拙者にはいい持ち主だったから。
 暗に伝えた言葉はソレで、
 それは彼の自覚範囲内において、己が異常に相当するという理解からくるものだ。

 だから改める気もなかった。
 その度し難さの代償は、自覚した分の代金だけいま払う。

『イザナギ』 :
「………よく殺した。ほどほどに満足、ほどほどに無念」

SYSTEM :
 …それからは。
 いくらゆすったとて、風の音色に死人の呼吸が混ざることはなかった。

マスター・ハーヴェスター :
「…………」

ラーゼス :
……。………。

ラーゼス :
「……アレウス」

ラーゼス :
「貴公はこうなりたいのか?」

マスター・ハーヴェスター :
「意地の悪い質問だな」

ラーゼス :
「……そうかな」

ラーゼス :
「おれにとっては同じものに見える。
 人を殺すために外道を歩む──ものであり続けるためにそうする。
 この街や、貴公の属する場所において、そこに貴賤はあるまい?」

マスター・ハーヴェスター :
「……」

マスター・ハーヴェスター :
「その質問への答えは……」

マスター・ハーヴェスター :
 ・・・・・・
「成りたかった、だ」

ラーゼス :
「……貴公が鎌ではなく、刈り取る者であるように?」

マスター・ハーヴェスター :
「そうだ」

マスター・ハーヴェスター :
「俺はもう弾丸には成れん」

マスター・ハーヴェスター :
「……ただ」

マスター・ハーヴェスター :
「俺はこいつと同じには成れんよ。
 俺は殺すために弾丸になりたかったのではないのだ」

マスター・ハーヴェスター :
「俺はただ信ずる男から、そう扱われればよかった。
 その凶弾を放つ理由が、殺しである必要はなかった」

マスター・ハーヴェスター :
「全部夢になっちまったがね。コイツのことを笑えん」

ラーゼス :
「…………」

ラーゼス :
(迷い犬は──この男とて同じか)

ラーゼス :
 娘が嵐になりたがるのと同じように。
 この男は成りそこね、今また成り果てそこねている。
 そう、さながら──

ラーゼス :
(……騎士への夢破れた、少年の如し男よ)

ラーゼス :
 裏切りに怒り、忠に応えぬものに嘆く。
 届かぬ恋を前に表情をいましめ、いつわりの鬼面で己を語る……。

ラーゼス :
「……純真だな。貴公は」

 心からの言葉を、ただ静かに送った。

マスター・ハーヴェスター :
「……、は」

マスター・ハーヴェスター :
「そいつは褒めてんのか?」

ラーゼス :
「褒めているつもりだ。
 だからこそ、あのセルのものたちは貴公を慕うのだろうから」

ラーゼス :
 黙って体をかがめ、もはや声をなくした男の体を担ぎ上げた。
 刀を拾い上げ、血の滴る体をそのままにアレウスへ歩み寄る。

マスター・ハーヴェスター :
「……そういうもんかね。
 俺はただ、兄貴たちの真似をしてただけなんだけどな」

マスター・ハーヴェスター :
「……」
 歩み寄る獅子の女を、今一度見やる。

マスター・ハーヴェスター :
「口を切っていたぞ。血はまだ出ているか」

ラーゼス :
「大事ないよ。貴公の傷には及ばない」

マスター・ハーヴェスター :
「そうか。……」

マスター・ハーヴェスター :
 パイロットスーツのポーチから、白のハンカチを取り出す。
 普段、他愛もない汚れを落とすためのものだった。
 遺体を担ぎあげる女にそれを差し出す。
 指にでも挟んで持っておけと。

「褒められついでの餞別だ」

マスター・ハーヴェスター :
「服で血を拭っちまったら、仕立てたヤツへの無礼だと思え。
 血は身の内に流れるもの……外に纏うものには相応しくない」

マスター・ハーヴェスター :
「せっかく顔立ちが整ってるんだ、俺の負傷の方が及ばんよ」

マスター・ハーヴェスター :
 意図があったわけではなかった。
 ただそれまで見てきたもののリフレインを、己で実行したような感覚だった。
 女が戦場に立つのはどうかと思うが、それでも立つならその身を穢さぬ戦いに従事してもらいたいものだと思う。
 そういう関心の現れだったのだ。

「……らしくねえわ。  FH
 向いてねえのかもな、これ」

ラーゼス :
 白い手巾と男を交互に見つめ、数度瞬いてから、吐息を零すように微笑む。

ラーゼス :
「ありがとう。貴公の言うとおりだな」

ラーゼス :
 大事そうに受け取ってから、その様子を眺め。
 言われたとおり、事切れた男を落とさぬように外套の汚れを払いながら、ゆっくり彼と並んで歩き出す。

ラーゼス :
「……おれには、現世のことはわからぬが」

ラーゼス :
「今の道を進むもよし、外れるもよし。
 いつか新たな道を切り拓くのもよいだろう。
 狼が慣れぬ砂漠を離れ、森へ歩んだとて、誰が彼を責める。
 きっと貴公がどの道を歩もうとも、隣を歩むものはいるはずだ」

ラーゼス :
「きっと貴公を慕うものは、貴公が、貴公にとり、もっとも生きやすい場所で息をすることを望むだろう」

マスター・ハーヴェスター :
「生きやすい場所、ね」

 オウム返しになるのは、俺自身がそれを望んでいる故かもしれない。
 そう結論づけた。

マスター・ハーヴェスター :
「まあ」

マスター・ハーヴェスター :
「分かってることだけはある」

マスター・ハーヴェスター :
「銃を捨てて生きるってのは、想像できんし……」

 ガンドルフというもの。
 あるいは、それが手に持っている銃。
 生まれてすぐに、AKの天使に祝福された戦神は、それ以外の生き方に戻ることなど恐らくできない。
 そして銃を知り、戦いを知り、闘争を知り、その先を欲望として抱いてしまったからには、
 自分より強いヤツがいれば、どんなものかと戦ってみたくもなるし、
 自分が背負った最強の称号をどこまでも風に乗せたいと思うことはあるだろう。
 

マスター・ハーヴェスター :
「俺にとって最も生きやすい場所ってのは……、日々を必死に生きるカタギの人間にとっては……」

マスター・ハーヴェスター :
 ・・・・・・
「ゴミそのものって事だな」

マスター・ハーヴェスター :
「それが住む世界の違いというもので……越えられぬ一線でもある。
 俺はきっとこの線を越える事なく、無法者の世界を選び続けるだろう」

マスター・ハーヴェスター :
「何せ居心地がいい。
 何やっても自己責任だが、何やっても許されるんだからな」

マスター・ハーヴェスター :
「俺はいつでもその為に銃を取る。
 それは、このローマの地でも変わらない。
 俺は俺のやりたいようにやるさ」

マスター・ハーヴェスター :
「…………」

マスター・ハーヴェスター :
「ま、そこにユメとキリエを付き合わせんのは、地獄の一番底への切符になっちまいそうだがね」

 肩を竦めて歩き出す。
 前者はさておき、後者は口をついて出てしまったようだった。
 だがその足取りは、重くも軽くもなく、ただ悠然としていた。

 その足取りを見ているものが居る──味方も敵も誰もかも。
 だからそれが浮つく事は許されない。
 それがマスターという看板を背負う意味だと、俺は信じた。

マスター・ハーヴェスター :
「セーフハウスに帰って酒でも飲むかね。
 次の行動まで時間があるからな……」

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
 彼のその在り様が、おそらく、彼をコチラ側へ留めるものだ。
 身勝手になりきれぬ男、道を探さずにはいられない男だ。
 戦場の渇きはおそらく彼には向いていなかったが──
 今は、それが最も似合いの称号なのだろう。

ラーゼス :
 ……背にした男のように。あるいは消えた女のようにはいられない。
 いつかはそう在りたかったからこそ、この男は「鼠」たちを唾棄しつづけるのだろうか。
 その答えは、いまだ見えなかった。

SYSTEM :
 …あなたがどんな生き方を望んだとて、ついてくる人間はついて来るだろう。

 そのような男でなければ、あなたの作り出したコウノトリの塒には、もっと“らしい”のが集まっていたに違いない。

SYSTEM :
 しかもだ、あなたが嘯いたうちの片方は。

 生来の人斬りに不運が集り、人斬りを自覚する前に死ぬまさにその瞬間、成り行きでよすがの鞘をかけた結果であることも。
 本当に生きやすいのが、そのゴミそのものと自嘲した場所であり、自覚して地獄に飛び込んでくることも。
 
 神城冥とは、そいつが“死ななかった”かたちのようであることも。
 ………無法者の歓びは、黄金の風と共に彼方に去ったことも。すべて、わかっていていったのだろう。

SYSTEM :

 男は“新入りの鉄砲玉”では居られない。
 しかし、戦場にいるには、あまりに。

SYSTEM :
 ………砂漠に行くことなく、森に留まったものの思慮は、風に吹かれて一時懐に仕舞われた。
 
 かつてハーヴェスターが背を追いかけた男の始まりの地から、彼らが去っていく。帰る場所は、少なくともここではない。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

ラーゼス :
特にはないな。

マスター・ハーヴェスター :
俺もだ。

GM :
 どのみちロイスは空いている“マスター・ハーヴェスター”とて既に1枠…。
 もはや心も決していることでしょう。

GM :
 畏まりました。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
【Check!】
 勢力状態が下記の通り変化しました。▼ 

SYSTEM :
ギルド:15/- → 5/-
“貴人の庭”:13/30 → 13/30
プレイヤー/“御手翳す解放者”:17/30 → 27/30 

SYSTEM :
 ………。
 
 ………………。
 ………………。


・シーン17「Eremita-歴史の立会人」

SYSTEM :
【シーン:Eremita-歴史の立会人】

 登場PC:“七花胡”
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 
 経験:喪失
 生きていくうちに幾度かやったのですが…。
 “それ”を喪失と呼ぶならばそうなのでしょうよ。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ローマ市内の古代ローマ帝政期。
 遡ること西暦80年に完成し今なお残る血と死と野生を封ずる檻の名を、コロッセオ。
 またの名はフラウィウス円形闘技場と呼ぶ。それを華やかと思えるのは、きっと数多の時間が過ぎ去り、積もり、忘れられていったがためのことだ。

SYSTEM :
 その長く歴史を積んできたコロッセオとて、人の渦巻く欲望に掛かれば積り重なる歴史の遺産。
 さらにはローマの超人たちに渦巻く欲望に掛かれば、ご覧の有様。
 厳密に言えば…ここを偶さか通りすがり、風情も所以も知らず屍を積み上げた”黒鉄の狼”の痕跡が残っている。

 原型を保ち、修復が続くのは、ローマを己の縄張りとする女の…あるいは、利益と実利で、この都が野になっては困る者たちの甲斐あってのことだ。

 付け加えるなら、断じて“七花胡”に用向きのある場所ではなかった。本来は。

SYSTEM :
 なぜあなたがこんな、しかも一度“黒鉄の狼”の移動ルートに用いられた場所に足を運んだのか。

 伝説の臨終と共に瓦解し霧散した“リグ・ヒンサー”の残党の一角。
 “赤の鬼人”───本名:ファウスト・デル・テスタ───が鍍金の挑戦者に落ちぶれてからの3年、興味と“当て馬”を対価に彼に仕え続けた“帝釈天”の行方を求めたところ。
 さんざたらい回しにした挙句、なぜかいま“そこ”にいるという情報が掴めてしまったためだった。

SYSTEM :
 その張本人と来たら、あなたに気付きながら、そのコロッセオの新たに刻まれ、消えていく歴史の痕跡などの見物人と洒落込んでいる最中である。本当にいけしゃあしゃあと。

 …ただ。本当に会うつもりがなかったのであれば、いつぞやと同じように簡単に雲隠れなどしてしまえる人間だ。
 そうしなかったのは、あなたの話を聞く気がある、ということでもあった。

“七花胡” :
 数多の血と想念を吸ってなお壮健であったはずの遺産は、ただひたむがきがゆえに残酷なまでに「顧みる」ことをしない狼によって破壊された。
 それがかろうじて面影を留めているのは、この土地に並々ならぬ思いを抱く者たちあってのこと。
 幾多の闘争と憎悪の舞台となろうと、それでもなお、古今に渡って「庭」と愛するものがいたから、この場所は歴史と成ったのだ。

“七花胡” :
 ……目の前の女は、場所や人に、そういう執着をほぼ持たない邪仙だ。
 替えが利くから、簡単に見切りを付けられる。期待を持てなくなったら、仕切り直し。
 いくらでも「次」を見出せるから、「これきり」の恐怖は彼女とは無縁だ。

“七花胡” :
「(……だからあんたの名は歴史に残らない)」
 偉人の娘だかなんだか知らないが。

“七花胡” :
 そういう女の、「ほぼ」を作るもの。
 唯一の例外。執着……。

 それが何なのか、分かったようでいて、実際の所掴めているかどうか……少し自信が無い。
 あれも自分も、要するに人でなしだからだ。人の理屈が何処まで当て嵌まるか。
 そんなのばかり行き当たる我が師には少し同情反面、ざまをみろという気もした。

“七花胡” :
「“帝釈天”。暁蕾」

“七花胡” :
「師には、逢えそうですか」

SYSTEM :
 女が振り返ることはなかった。
 代わりに、鈴を転がすような声が、夜間に響く。

“帝釈天”謝暁蕾 :
「不躾に不躾で返す前に…
 ひとつ申し上げておきますとね」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「私は刻の中に残りたいわけでも、
 残したいわけでもないのです」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「絵師が絵の中にいますか?」

SYSTEM :
 あなたが考えていたことを言い当てるには、女は十分な経験があるが、そういう話ではない。
 どちらかというと、わざわざこんなところで物見遊山と洒落込んでいる自分への疑問を先撃ちしたようなものだ。

“帝釈天”謝暁蕾 :
「それね。次は“彼”にしようかと…。少し考えていたのです」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「“大師”の腰は、野が大火に彩られれば上がるでしょう?
 少し思っていたのとは違いますが、それはそれで良いかなと」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「…とまあ、過去形です。
 生き物のサガは、その痕跡で分かるもの。
 彼を思うままにさせたとて…」

SYSTEM :
 あるいは…。
 彼の興した火に集う者の野望で、
よのなか
 歴史という絵を描いたとしても。

“帝釈天”謝暁蕾 :
「“それはそれ”以上でないな、と。
 なので残念ながら御預けですね。3年、世俗の生き方を思い出した分は水泡に帰しました」

“七花胡” :
「人の頭の中を断りなく読まないでください、不躾以前にマナー違反ですよ」
 読ませるつもりで不快を露骨に顔に出す。どの口がと突っ込める人間は此処にはいない。

“七花胡” :
「それもそうですね。貴女は演者というより監督だ。役者を操って出来上がった劇の方に価値を見いだす。
 まあ、貴女を芸術家なんて言ったら、舌先を捥がれてしまいそうですが」

“七花胡” :
「その口振り、此処に来たことといい、次は“黒鉄の狼”狙いでしたか。
 あれが担がれてくれる生き物であると見込むような愚か者であったなら、師は千何年も手を焼かずに済んだでしょうにねえ」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「宣告通りですよ。野放しの荒れ放題は、私とてそこまで好きではないのです」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「…刻の周期で数えて五十。毎度のように画布を描き直しました。
 どう生きて、どう“区切る”のか。己をどのように飾るか」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「………しかしね。その幾星霜。
.      ユンロン
 手を焼かせた”大師”と来たら。
 真似ようが、正反対をやろうが、どう生きたとて遠いもので」

SYSTEM :
 千何年も手を焼いた。
 厳密に言うなら“焼かせる”ように付きまとった、でもいい。

 女にとっての執着であり。
 本当に言葉通りなら、歴史と歴史を跨ぐにあたって“遊び方/描き方”を変える女の、絶対に変わらない相手がそうだ。

SYSTEM :
 なぜなら…。

“帝釈天”謝暁蕾 :
「貴方。親はいらっしゃいますか?」

“七花胡” :
「貴女、その言い草……」
 まるでそれでは……

“七花胡” :
「……………………」

“七花胡” :
「……いいえ。いませんよ。
 いたなら……いたところで、大差なかった気もしますが」

SYSTEM :
 いたならば。
 その空想をあなたは、ローマに来るとき、ローマを駆ける折にしたことがあるはずだ。

“帝釈天”謝暁蕾 :
「是。では人の一生を歴史に例えましょうか。
 生まれ、育ち、何かを成して、老いて、朽ちて…。生まれる次の糧になる」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「この『育ち』の部分から『老い』までに……。概ね人には同じことが起こり得ます」

SYSTEM :
 彼女には実際に親がいたわけだが、
 それはいわせると「世俗の」親だ。

 他意とよこしまな感情とて、
 オーヴァードになった起因、枝分けした根幹はそこではない。

SYSTEM :
 つまりそういう話だ。

 彼女が、あなたの接触をどういう所以と思ったのか知らないが、おもむろに語り出した内容はいつかの補強に他ならないし。
 字の所以の証明に他ならない。

“帝釈天”謝暁蕾 :
       ・・・・・
「それを…彼の画布の一部のままやったとて。
 虚しいだけでしょう?」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「………などと。
 “大師”の高弟に巡り合う万一が起こるたび、嘯いてみせるのです」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「それで困ってくれたことはおろか、一度だって思った通りのことはして戴けませんでしたがね。
 ………まあね。何が言いたいかというと」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「そんな理由で言伝を頼みたいのです。

 次の年が明けたころに伺うとね」

SYSTEM :
 “彼”ならまだしも…狼や蠢くギルドの手のものでは、そちらにだけ目が向いてしまうでしょう? と嘯いた女が。
 どこまで本音かは分からないが。恐らくはそれ相当に時の積もって、純粋なまま螺子くれた、親かそれ以上の相手への情念だった。

SYSTEM :
 つまりあなたの話を聞く気があったのではない。

 いよいよ“どう転んでも楽しい”/“(どう転んでも己が立ち会うのだから)どうでもいい”に尽きるようになったこの場所で、あなたが一番丁度良いところにいるから…あるいは、あなたが“似ている”から。
 あるいは、同じ時の迷い人だから、口を利いただけだ。

“七花胡” :
 まるで鏡を見ているようだった。
 違うのは、俺は巣立ちを終えていること。
 彼女は巣立ちすらさせてもらえなかったことだ。
 背を押して羽搏くことを促されることと、見込みなしと蹴り落とされることでは、同じ枝を離れる行為でも天と地の差がある。

“七花胡” :
 彼の人は、誰よりも地を愛し、地を守りながら、それでいて天を征く姿は竜のよう。
 不変の彼は、流転する大地には交われない。
 俺がそういう彼を「杖」に望んだ時があったように、彼女は仙となることで、竜に自分の唯一を見止めて貰いたかったのだろう。

“七花胡” :
 自分はあんたの絵ではないのだ。
 画布の一部でも、流れゆく大地の一房でも、芽吹き枯れる一輪でもない。
 自分にとってあんたは唯一なのに、あんたの唯一が自分でないなんて、許してたまるものかという……。
 そのくせあんたは、自分の知らない自分を、かけがえない欠片のように大事に包んで連れていく。勝手なものだ。

“七花胡” :
 巣立たせたくせに案じてくる。
 破門したくせに悪縁を無かったことにしようとしない。

 俺と暁蕾は、その点に限っては、あんたの「勝手」に怒っていいはずだった。 

“七花胡” :
     ・・・
「言伝? 厭です。お断りします。
 なんで自分がメッセンジャーなんてしないといけない」

“七花胡” :
「言いたいことがあるなら、面と向かって自分で言ってくださいよ。
 それとも何ですか、自分に任せてあることないこと捏造されても構わないんですか」

“七花胡” :
「来年を待つより、師の重い腰を上げるに足る種火を探すより、もっとずっと有効な選択肢を、貴女は前にしているはずですよ」

“七花胡” :
「貴女のこと、何ぞやらかすまでは放置しておこうと思っていたのですが、情勢が変わると共に気が変わりました。
 どうせ暇なんでしょう? 暇なら、弟弟子のこと手伝ってくださいよ」

“七花胡” :
「そうしたら、自分が師に逢わせましょう。
 貴女が彼に何を言うつもりだろうと関係なく、場を取り持って差し上げる」

“七花胡” :
「御膳立てを食い渋るような吝嗇家でもありますまい?
 ねえ、暁蕾?」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「………」

“帝釈天”謝暁蕾 :
ずいいなりしゅんぽうのやむこと
「 隨 意 春 芳 歇 」

“帝釈天”謝暁蕾 :
おうそんみずからとどまるべし
「 王 孫 自 可 留 ...」

SYSTEM :
詩に曰く。王孫は春の草花を愛でてその地に留まったという。
謡った者は、そんなものに関係なく己の所以で留まると。

SYSTEM :
曰く、かすめ取った超人の業で欲を片端から満たしていた時代に聞こえた詩のひとつなのだとか。

“帝釈天”謝暁蕾 :
「留まる所以には、良い交易でしょう」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「ちなみに好き勝手言ってくれても、まあ。
 どのみち行き方が変わるだけですし………」

“帝釈天”謝暁蕾 :
.    よろこばしい
「あの方、腹立たしいことながら、致命的には人の腹の底を見誤らないでしょう?」
 ・・・・
 ないことを彼は天秤に載せないだろうと、彼女は涼し気にあなたの意趣返し(あるいは軽口)を流した。

“帝釈天”謝暁蕾 :
「ですが、まあ。商売文句としては悪くない。
 それに免じて差し上げます。どのみち…」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「歴史の描き方としては、狼も鼠も趣味ではありませんでしたから。
 春の花は勝手に散ってしまえばよい、などと言っていいのは私だけですよ」

“七花胡” :
「……相変わらず減らない口ですね。よくもまあ師も、貴女のような方を弟子にしたものです。
のらりくらり
 弁の立ち方で貴女に勝てるビジョンが思いつきませんよ」呆れ顔。

“七花胡” :
「まあでも、それも使いようだ。貴女が違えない限り、自分も約束は違えません」
 今つるんでいる連中の中で、今更担がれてくれるような気のいい者もいるまい。
 “勝手”をしたのなら、その時は此方だとて反故にするまで。

“七花胡” :
「……ただ、これだけは言っておきます」

“七花胡” :
「ローマで貴女が今できるのは、余所で埋もれた種がどう芽吹き、綻んで滅ぶのかを見守ることだけ。
 一度ならず二度も……そしておそらくは何度も。
 手掛けた花を看取ることなく背を向けた貴女に、これ以上介入する権利を自分は認めません」

“七花胡” :
「『勝手に枯れたらいい』なんて宣うのが許されるのは、端から何も手を出さなかった人間だけです」

“七花胡” :
 貴人遊びて帰らず 春草生じて繁茂する
「 王孫遊兮不歸 、 春草生兮萋萋」

“七花胡” :
「貴女が帰ろうが留まろうが、ローマで芽吹いたものは咲き、やがて潰えるでしょう。
 其処に貴女の関与する余地はない。自分が与えませんので、そのおつもりで」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「…逆に聞きますが、生まれついたその時から、
 己をその形に仕上げたわけでも…ありますまい?」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「これでも、昔は向こう見ずでしたよ。
 人並に野心と、俗な欲などございました。…そうですね」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「朱様くらいには」

SYSTEM :
 なお彼女に自嘲の色は特になかった。

 言葉を紐解いていくならばそれは、
 ・・・・・
 自分がそうなのだから相手もそれなりに“若さ”があったという話であり。
 品性と悪人の自覚に欠けていようと“興味”を見出したものなりに、その手のひらに乗せた子供を覚えているという余談でもあった。

SYSTEM :
 もちろん律儀とかそういう話ではない。

 彼女にとってのスタンスは、
 あなたがわざわざ刺した釘の通りである。

“帝釈天”謝暁蕾 :
「使命懐かば死ぬ時まで一本気など、出来るなら世の中は既に私のものですね。あるいは、あの日掠め取った切符は邯鄲の中か…」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「それにしても───道理を説くとは、FHらしくないFHがいたこと。
 それに免じてお答えしますが、そうですね。“何度も”」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「…それを喪失と呼ぶなら、ええ。
 そうでしょうね?」

SYSTEM :
 置いていく側であり、置いて行かれる側。古代種の付き合う永劫の問題に対して、女は比較的最悪な例外的人種である。

 つまり、あまりに割り切りがいいのだ。何年か理由にした人間を、明日に切り替えるくらい。簡単に断てる。

SYSTEM :
 それでいて、その唯一無二さえ利他ではない。逃げも隠れも捻じ曲げもするが嘘だけはつかない。自由人と呼んで差し支えない人種である。

 ───それを踏まえた数分前の言動については、最早語るまい。語るまでも、あるまい。

“帝釈天”謝暁蕾 :
「私は時のよすがの…歴史の立会人に過ぎませんよ。
 そこで何が強靭さを誇り、脆弱さに嘆き、善しと叫び悪しと憎もうと」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「なにしろ、せっかく永遠などと嘯けるのです。
 歴史に立ち会う権利は謳歌しませんと」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「ですので、描く方に心当たりがあるなら…。
 ええ、お任せしましょう」

“七花胡” :
 彼女にとって、謝雲竜以外の人間は全部画布の上の、あるいは史料に名を連ねる登場人物たちのようなもの、というわけだ。
 名前を憶えているのは、そうでなければ歴史の流れを紐解けないだけ。
 俳優の名前くらい把握しておかねば、思うように劇の流れを操れないだけ……。

“七花胡” :
 そんなこともありましたね、と若さをかつての教え子になぞらえて語る口調に悔悟は見えなかった。
 かつて自分が担ぎ上げ、そして期待外れだと梯子を外し、同じように時間に置いていかれるはめになった娘に対して、憐憫すら望ませない。

“七花胡” :
 彼女にとって、きっと記憶とは執着の裏付けではないのだ。史書を読み返すようなものだから。
 謝暁蕾にとっての生粋の生者は、今も昔も、自分と“大師”のみ。其処に幕間を彩る、束の間のゲストが見え隠れするくらい。“赤の鬼人”さえも。
 まるでオーヴァードの常識を覆すような流浪でありながら、これでジャームでないというのだから、その執着のほどは────さにあらん。

“七花胡” :
「理屈っぽいのは癖なんです。理屈を通すことが、通す努力を心掛けることが、回り回って自分の欲望を叶える最適解なのだと、分からされたので」

“七花胡” :
「そういう理屈っぽい自分なら、縁を自分から捨てることを『喪失』とは呼びませんね。
 『遺棄』でしょう。選べるくせに、なんて贅沢」

“七花胡” :
.     いかり
「……師への恋しさと心中しながら、選んだ縁に添い遂げることだって、貴女くらいの力なら択べたはずなのに」

謝花纏 :
「……俺は、それを択ぼうとしなかった貴女のことが嫌いです」

“七花胡” :
「以上恨み言でした。ただの私怨なので、忘れてくださって結構」

“七花胡” :
「ローマの画は自分が完成させますよ。ですが貴女も、いち品評家に甘んじていられるとは思わないでくださいね。
 こき使われぶりに音を上げたところで、貴女に誂えて差し上げる脚絆は一つたりともありませんので」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「………申し上げる前に一つ述べますが…」

“帝釈天”謝暁蕾 :
 ・・・・・・・・・・
「忘れてくださって結構、とたまに語る方がいらっしゃいます。
 アレ、目の前の人間が本当にそうすると期待したものなのでしょうかね」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「何が言いたいのかという顔をしていますね。
 温故而知新,可以为师矣…などと申しますが。
私は意味のある刻を重ねたものは、“それなり”の好意を持っていますよ。元はそういう育ちですから」

SYSTEM :
 つまり安心せずとも恨み言をなぞってあげましょう、という前置きである。

“七花胡” :
「……この世で一番有難くない好意だこと」貴女のソレ、これから玩具にしますよ宣言でしょうが

“帝釈天”謝暁蕾 :
「…ご心配なく。
 永夜を宜しくする宛てなどは、きちんと拵えて頂けるのでしょう?」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「ぜひとも羅馬に目移りさせてくださいな。私、気の長い方ですのでね。まあ、もっとも…。
 そこまで時間はかからぬやもしれませんが…」

SYSTEM :
 ひとしきりの涼しげで傍若無人な回答をよそに、女は改めて、先ほどまでの言葉よりは意味のある口ぶりで“私怨”をなぞった。

“帝釈天”謝暁蕾 :
 ・・
「我々はそういう資格があるでしょう?
 だから、喪失ですよ」

SYSTEM :
 言葉を要約するに曰く。
 
 いついかなる形の縁も思い通りに“成形”する資格だ。

SYSTEM :
 …だが。こと、おのれを天才と識るもの。

 世を己未満の画布と素面で思う人間ほどに、雲海が遠いことを知る。

 なにしろ天才の自負を朽ち果てさせるものは傲岸さではない。下を見たときだ。
 己の中に傲慢なだけの虎を育ててしまった瞬間である。

SYSTEM :
 こと女は天の望んだ風景こそ愛したわけでもなければ、
 天の下で只人として育ちたいわけでもなかったからだ。

“帝釈天”謝暁蕾 :
もんをいでてなんのみるところぞ
「出  門  何  所  見 
 .しゅんしょくへいぶにみつ
 春  色  満  平  蕪………」

“帝釈天”謝暁蕾 :
 俗世の方
「選んだ縁が、私に。
 ・・・・・・
 なにかできたわけではないでしょう?」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「私は興味も気も多く持つ主義ですが。
 一番上のひとにぎりまで翻そうとは思いません」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「…ふふ。だからどうだ、とは申しませんが。
 F H
 こちらの方が息は吸いやすい。皆、理由の芯を撫でて、同じ方を向いてもらうだけです」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「───けどね。そうではない。

 届かないものだから。
 永遠をかけても人は夢を追うのでしょ?」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「届かせますけどね」

SYSTEM :
 択ぼうとしない理由を朗々と語って。
 それで終わりだ。女の言葉に続きはない。

“七花胡” :
「貴女からすれば、永い時が目の前にあるということが、すなわち自分に繋ぐ縁を思いのままにする資格そのものなのでしょうが……」

“七花胡” :
「……それを『我々』の当たり前だと、年若の不老たちに教えたくはない。
 だから貴女の持論を受け止めるのは、自分で終わりです」

“七花胡” :
「皆、自分に何かしてくれるから、縁を結ぶのではないのですよ。
 貴女の意中は天に在るから、頭を挙げて山月を望むのでもよいのでしょうが」

“七花胡” :
「貴女以外がそれをやると、崩落に足を取られかねないのです。
 枕が無ければ邯鄲の夢を見ることも叶わない彼らには、まず頭を垂れて故郷を思うことを教えねば」

“七花胡” :
「欲望を撫で、体に右向け右を覚えさせる方が、簡単なのは認めますけど。
 それだと最近、遣り甲斐ないんですよね。正直」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「………」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「天我が材を生ずる必ず用有り…とも、申しましょう。
 所以あろうがなかろうが、せっかく持てるものを得たのです。腐らせることもありません」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「と、申したいところですが…。
 ああ、漸く合点が行きました」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「才を得て尚、時に置き去られて尚も、只人と己を申すのですね。
 確かに、若い方。だから“欲”ではなく“力”でもなく“理”を語る…」

“七花胡” :
「酒なんか無くたって、寂しさに感ずるほど繊細な心持ちではないくせに。よく言う……」

“七花胡” :
「自分からしたら、己を賢者と言い切れる貴女の方が度し難いですよ。
 艱難をいくら取り除こうと、辛苦は次から次に降って湧いてくる。これで策は十分、なんて驕れた例はありません。
 才も力もいつだって足りないのに、どうしたら天才なんて言えるでしょう」

“七花胡” :
「あるいは何もかも振り払い、許された無限の時間を費やせば、天才になることは可能やもしれませんが……それでは目的と手段が逆でしょう?」

“七花胡” :
「貴女が才を師の視線を射止めるために使うように、自分はこのなけなしの力を、自分の楽土を築くために使いたいのです。
 永遠にかまけて才を磨き抜いたところで、それを認めてくれる、使わせてくれる相手がいないのでは、天命を悟る意味もありません。
 山月の時間は無限でも、故郷の時間は有限なのだから、自分が心寄せる方に合わせなければ」

“七花胡” :
. こきょうこんやせんりをおもう
「 故 鄕 今 夜 思 千 里、
. そうびんみょうちょうまたいちねん
  霜 鬢 明 朝 又 一 年 」

“七花胡” :
「暴力では楽園は築けない。暴力で築いたものは故郷に成れない」

“七花胡” :
「自分の『楽園』は、離れる人のことも等しく忍び案ずるのだと……そう信じてもらうためには、欲でも力でもなく、“理”が必要。
 そう考えたまでです」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「ふふ…左様ですか。旅先の寒燈では安らげぬと」

“帝釈天”謝暁蕾 :

せきばくしうさうにむかえば
「寂 寞 向 秋 草
.ひふうせんりよりきたる
 悲 風 千 里 來………」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「………。ふむ。今のは少々意地が悪かった気もしますが」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「ま、いいでしょ。
 時のよすがを踏み躙ることが出来るのは我々だけですよ。近くて、遠い、我々だけ……」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「わかっているなら申し上げることはございません………が。
 興味は沸きましたね」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「悠悠たりと時が流れたその後に、理は容易く曲がるもの。
 …ひょっとすると…。この羅馬にとりつく執着とは、斯様なものかもしれませんが…」

SYSTEM :
 賢君は老いて暴君に、強壮たる肉体は衰え、生まれたならば朽ちてゆく。
 …影から影に立ち会った女は平行線をわかっている。楽土、と呼んだものを想像した時の順位の違いを。はじめの言葉を自覚した意地の悪さで零した理由だ。

“帝釈天”謝暁蕾 :

“帝釈天”謝暁蕾 :
「───ああ。拘りのある貴方のこと。先んじて申し上げますが。
 斯様な生き方を刻と別れて行うこと、それはそれで好きにすればよろしい」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「しかし…千里の先の気紛れとしては覚えておく所以もありそうです。
 意味の有る刻を重ねられるようお祈り申し上げますよ」

SYSTEM :
 女は明言しなかったが、それは。
     ・・
 わざわざ有限と知るものに心を重ねるという明言に対する回答だ。
..わかさ
 初志が過ぎ去るころに見に行く、という言葉の情の無さこそ、女に最初から、価値を容認する他人の必要性が薄いこと。流れる刻の無常さを示していた。

“七花胡” :
「……。ふん。他人の人生で食い繋いで悠悠一千年の御仁に詠われるなどとは、彼の詩人も思いもしなかったでしょうよ」

“七花胡” :
 この女は、繁栄になど興味が無い。
 クニ
 庭が栄えるまでの過程と、そこからどう傾き、没していくかを、まるで映画を見るかのように嗜むのが生き方だ。
 勃興一つ一つにいちいち手出しをしない在り方は、奇しくも師のそれと著しく似通っている。
 そういう点では、謝暁蕾が最も忠実な弟子と呼べるのかもしれなかった。

“七花胡” :
 まあ、第一、此奴はもう厳密には「弟子」ではない。素行と性根の悪さで破門されていた。
 それが如何に救い難いかは、今、悪意無き嫌がらせというカタチでまざまざと見せつけられている。

“七花胡” :
「……別に。五十年後でも百年後でも千年後でも、物見遊山に来る程度なら、勝手にしたらよろしい」

“七花胡” :
「芽吹いたものが枯れること、作ったものが滅ぶことなんて、はじめたときから覚悟していることです。
 あの師の下で育ってそれを知らぬままとか、詐称もいいとこでしょう」

“七花胡” :
 懐の奥の方に仕舞い込んである、小さな種を片隅で想う。
 支部長として就任した当初、今の花壇とはくらべものにならないほど小さなプランターにこの種を植えたとき、その覚悟はとっくに済ませてある。

“七花胡” :
ちんせきただこうだいのみ
「 陳 迹 惟 高 臺」

“七花胡” :
「育てた花が枯れても、建てた楽土が崩れても、朽木と廃墟の上に、何度だって創り直してやりますよ」

“七花胡” :
「どうにも感じにくい貴女には最早遠い感覚でしょうが……。
 喪ったら、痛いのですよ。でもそれは徒労になったから痛いのではない」

“七花胡” :
「秋草に面影を見てしまうほど、枯れた花が美しかったから。
 なら、その痛いほどの美しさを自分の記憶の中だけに留めず、形を変えて継いでいくことは、我々だけの『権利』でしょう」

“七花胡” :
「自分の庭を見て、繁栄の退屈に期待を尽かすも、没落の悲嘆を肴に酒を舐めるもどうぞご勝手に。
 しこたまふんだくられる見物料のために、せいぜい懐は肥やしておいてくださいね。
 羅馬が終わったら、また千年後」

SYSTEM :
 元・姉弟子、または現・悪縁。
 そいつの似通うところは、その所以あっての執着の薄さだ。
 流転するものを愛するのか、流転するものを割り切って“使う”のか。

 万物に絶対はなく、常に流転する───と。
 ・・
 そこに固執する所以とは、たいてい二つ。
 
 枯れた花を通して咲き誇った花を思った時。落日の前の御天道様を思った時。
 または…。

SYSTEM :
 あなたの言うような時だ。
 刻の流れに後押しされず、喪い、置いて行かれる永久の住人には、それを見たときにいくつもの選択肢が生まれる。

“帝釈天”謝暁蕾 :
「では、秋の風が吹いた時にでも。
 …しかし、なるほど」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「多くの場合は、落日の影を追って、同じ城を建てる。
 いつの間にか、周りの風景が変わっていることにも気付かずね…」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「喪失したものが己の中で強ければ強いほどね。だから、まあ…。
 それを覚えおきながら、留めぬことを権利と呼ぶ所以を、まあ。私が掘り起こすことはないでしょう」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「記して、評して、眺めて、演じて。
 私は私の画布に、その所以で生きて参りました」

SYSTEM :
 きほん面倒ですからね、と。
 積み立てる生き方を知る気もなく、知っていてもそれは”追いかける”ことの女の言葉は、非常に遠回しの平行線の容認だ。先ほどから同じ。

“帝釈天”謝暁蕾 :
「その私から此度の約定、あいさつ代わりです。“七花胡”」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「どうぞ思い出してお帰りなさい。
 焼き付いた情景も、失って開いた穴も。はずみで簡単に刃物に代わりますよ」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「………なにせ、だから私は”彼”を育てようと思ったのですからね?
 楽土の帰路で躓かぬように。せっかく、数えるほどの人の画布など覗く機会に恵まれるのですからね」 

“七花胡” :
「何度同じことを繰り返したって、同じものは出来ません。
 それを受け入れられないほどの臆病は、自力で脱ぎ捨てました。
 お気遣いなく」

“七花胡” :
「ご忠告は、極めて希少な貴女の『元・姉弟子』らしさと受け取っておきますよ。
 貴女に気軽に面白がられないように。とね」

“七花胡” :
 ……喪った痛みを刃に変えて、自分の掌さえも傷つけながら、走ることを止められない者を知っている。
 何人も見てきた。差し伸べられた手をとることを教えられた者もいるし、間に合わなかった者もいる。

 今だって、仮の塒に帰れば居るだろう。
 眼前に現れた空虚を、悼むことも慰めることもできずに……さりとて振り払うことさえもできなかったこどもが。

“七花胡” :
「『刃を振り回す掌の止め方』は、貴女からは賜れなさそうなので。
 自分で考えるとします。“帝釈天”」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「刃を振り回したいならその通りに、振り回させるがよろしい。
 その者が断崖に行く責を誰が担うのか。その者でしかないからです」

“帝釈天”謝暁蕾 :
つきにむかってこか だれかきくことよろこばん
「向  月  胡  笳  誰  喜  聞

 …と、言われたところで私ならばそもそも聞きません。
 なので、確かにこの話は確かに気負うことなく終わりですが…」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「この場合もっとも益のない相手はね…。
 失ったがために行く者ではありません。彼らは矛先が定まっているからです」

“帝釈天”謝暁蕾 :
 ・・・・・
「取り戻せると夢に浸ったものです」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「───では。気紛れもこの辺りで。
 ああ、お邪魔してもよろしいのですが。私、大の大人の定まらない逆恨みで遊ぶ趣味は(皆無ではありませんが)ございませんし」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「ましてや、斯様な掌に心当たりあらば、聊かに食指が動くとも限りません。
 …ご心配なく。意味のある約束は守りますよ」

SYSTEM :
 だから彼女は死の間際までは、見込みの薄くなりゆく男の命に従ったのだ。
 嘯いた女には、それきり、言葉をかけねば、飽きるまでの僅かな猶予だけ、羅馬の歴史についた爪痕を眺めることだろう。

“七花胡” :
「……笛の音がどうして切ないのか、貴女は知ろうとはしても、それで終わりなのでしょうね」

“七花胡” :
 それが庭から響く音であるのなら、自分だけは、出来る限り耳を傾けてやりたいと思う。
 たとえ枯れた花、過日を取り戻したいと夢見るようなものだったとしても。

“七花胡” :
「約束なんですから守るのは当然です。
 そのろくでもない食指が変な方向に伸びる暇もなく、呼びつけた時にはこき使って差し上げますから」

“七花胡” :
「勇んで駆けつけるように。自分の期待こそ、外させないでくださいね」
 それきりだ。ひらひらと手を振って踵を返す。

SYSTEM :
 見送る笛の音のすべてでなくとも、一部に愛着を持ったことが。

 時のよすがから外れた隠者とあなたの違いだった。

SYSTEM :
 先人の生き方は弱さと無縁ではあるだろうが、それは人の生き方とは別だ。

 かといって。まこと隠者のごとき生き方をしたオーヴァードが、この世に一切歪まず在ることなどない。

“帝釈天”謝暁蕾 :
やすくみもやすらかなるは これきするところ
 「心 泰 身 寧 是 歸 處
こきょう なんぞちょうあんのみにあらずや
  故 郷 可 獨 在 長 安…」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「考えたことは。あるのですけどね。
 ふふ………」

SYSTEM :
 それきり、に踵を返した後。
 ただ一つを除いて明日にも固執を翻す女の戯言だけが響いた。

 それは羅馬で、おそらくなにの誰より異質だった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの変更ございますか?

“七花胡” :
……そうですね。取得はしきっているので……感情の変更を。

“七花胡” :
"帝釈天”謝暁蕾のロイスを、 同情/○無関心 から、 同情/○嫌悪 へ。
ありていに言えば、反面教師を得た気持ちですかね。

“帝釈天”謝暁蕾 :
“いつか”にこの影をなぞるか否か。
なぞらなければ、如何にするか。

それなりに留め置ける命題ではありましょう…。

“帝釈天”謝暁蕾 :
 

GM :
(さっと除ける)

“七花胡” :
(しっしっ)

GM :
畏まりました。では…キャラシートへの記入をお願いします。

“七花胡” :
承知しました。何事も、優先順位が上書きされないうちにね。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
【Check!】
 NPCカードを確認しました。▼ 

SYSTEM :
[“帝釈天”]
・画竜点睛(Phase/1)
 指定した「PC」もしくは「NPC」が使用したオートエフェクト一つを選んで無効化する。
 この時「制限:-」以外を無効化は出来ない。

・毒如蛇蠍(Phase/1)
 指定した敵対的NPCに『邪毒L5』を発生させる。
 この効果で付与した『邪毒』は、“戦闘中”でないミドルフェイズの場合、そのラウンド経過後に解除される。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・シーン18「Homo homini lupus -狼の真名-」

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 
 欲望:理想の実現
 霊長は必ず、次の霊長にバトンを渡す日が来る。
 やつらはそれだ。確信した。
 だが、その隣人/後継と友誼を結んではならないこともないはずだ。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 クリンナッププロセスに移行します。

 “黒鉄の狼”がFH諸勢力と交戦中です... 

SYSTEM :
【Check!】
 交戦の結果、勢力値が変動します。

     ギルド:5→0
   “貴人の庭”:13→8
“御手翳す開放者”:27→22 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
【Check!】
 交戦の結果、勢力状況が変動しました。

 勢力減退→ギルド

SYSTEM :
【Check!】
 交戦の結果、”黒鉄の狼”がダメージを受けました。  

“黄の希人”アーキル :
11d10  (11D10) > 72[10,6,8,2,6,8,7,8,3,9,5] > 72

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
4d10  (4D10) > 20[7,2,2,9] > 20

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、ダメージが発生します。

 “黒鉄の狼”:237→145 

SYSTEM :
【Check!】
 FH諸勢力が行動中です... 

“黄の希人”アーキル :
お陰様でギルドのちょっかいも減ったな。
さて、ここは…。

“黄の希人”アーキル :
S1d1 ダミー(固定で勢力拡大) (1D1) > 1

“黄の希人”アーキル :
 …っつってもだ、この状況で“貴人の庭”を叩く理由はないな。
「1:自組織の勢力拡大」を宣言するよ。石橋をたたいて渡る。
 

“黄の希人”アーキル :
19dx+10 (19DX10+10) > 10[1,1,2,2,3,3,4,5,7,8,8,8,8,9,9,9,9,10,10]+5[2,5]+10 > 25

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、勢力値が変動します。

     ギルド:0
   “貴人の庭”:8
“御手翳す開放者”:22→25 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
次は私ね。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
S1d2 2で妨害選択 (1D2) > 2

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
荒らす余所者がいるうちから景観を整えてもねえ。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
選択は『妨害』よ。
内容は…そうね…。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
情報〈FH〉。対象は御手翳す解放者。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
13dx+6  (13DX10+6) > 10[3,3,4,4,4,5,5,5,7,8,9,10,10]+5[3,5]+6 > 21

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、勢力値が変動します。

     ギルド:0
   “貴人の庭”:8→11
“御手翳す開放者”:25→22 

SYSTEM :
【Check!】
 クリンナッププロセスの終了を確認しました。
 リザルトに移行します... 

“御手翳す解放者” :

“御手翳す解放者” :
 勢力ゲージ:22/30

[プレイヤーとの関係]
 同盟/協調可能
 
[所属メンバー]
“黄の希人”:生存/居場所判明【攻撃可能】
“アイシャ”:生存/居場所判明【攻撃可能】
“血色の探求”:生存/居場所判明【攻撃可能】

“貴人の庭” :
 勢力ゲージ:11/30

[プレイヤーとの関係]
 敵対/協調不能
 
[所属メンバー]
“青の貴人”:生存/居場所不明
“不朽讃えし懐刀”:死亡
“ヘカトンケイル”:生存/居場所不明

PLAYER :
[プレイヤー/ファントムストークス]
 勢力値:27/30(“御手翳す解放者”と共有)

[各勢力との関係]
御手翳す解放者:同盟

リグ・ヒンサー:組織消滅済
ギルド:敵対/勢力減退済

貴人の庭:敵対
黒鉄の狼:敵対

[所属メンバー]
・”逢魔狩り”
・“Mr・A”
・“血穢の蓮花”

[協力メンバー]
・“アセルス・デスミオス”
・“帝釈天”

”黒鉄の狼” :
HP:145/606

黒鉄の■ :
HP:145/606

黒鉄の■ :
HP:█45/██6

█████ :
#縺#励#s/#縺#槭#≧

SYSTEM :

【Warning!】
 フェーズイベントが発生します。

 対象者:夏瑞珂/“黒鉄の狼”

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

        【 Now Loading... 】

 遺産:タイプ・ケラウノス
 代償:????

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ローマの七丘のうちの一つ。
 最も歴史が古いと目されるパラティーノの大地。別の名で曰くフォロ・ロマーノ/フォルム・ロマヌム。
 血を滴らせ、戦いに明け暮れる狼がそれを望んだのか、あるいは追い込んだのか。

 たどり着いた先はそこだった。

SYSTEM :
 連続したワーディングと、立て続けの戦闘。
 数日に及び、湯水のようにいた有象無象を狩りに狩りつくしたがためだろうか。
 すでに死傷者の数は集まって指折り数えた程度でどうにかなるものではなかった。

 頂のために命を貪ってきたこの挑戦者は、炎に斃れた人の死臭をよそに、鉄塊のごとき得物を掲げ、戦いを続けていた。

SYSTEM :
 …あるいは死ぬその時まで。

SYSTEM :
 都合三度、いや四度、あるいは五度?
 偶然で命をつなぎ続けたあなたの前で、何人目かが消し飛んだ。

 この戦場でうまく立ち回る”黄の希人”でも、どちらからも大事にされ続けてきた“マグナ・マーテル”でも、従者をこちらに回す余地の少なくなってきた”血色の探求”でもない。

 断崖と見紛うその先で、その幾人目かの死骸の“塵”を振り捨てると、眼差しがあなたを射抜く。

”黒鉄の狼” :

「有象無象が尽きぬことは、今に始まったことではない」

”黒鉄の狼” :

「…だが。食らうべきものが集うことは。
 ずいぶんと、稀有だ」

”黒鉄の狼” :

「この向こうにもいる。

 だが一番はおまえだ。
 いつまで預けを食らったと…思っている?』

夏瑞珂 :
 帝政時代に栄えた凱旋の地、フォロ・ロマーノ──思い出すのは観光雑誌の謳い文句か、行き道の小話か。
 歴史の足跡は血と炎に赤く塗られ、荘厳は息を潜めている。
      ・・
 たとえば、ああはなりたくないと縮こまるように。

夏瑞珂 :
 ローマの裏側で重なる有象無象の塵芥。ほら──たったいま目の前で、命が消し飛んだ。
 名前も知らない。もとのかたちも知らない。どこかの誰かでさえない、何かの最期。

夏瑞珂 :
「────────、」

 吐き気がした。眩暈がした。恐怖ではない、わたしは畏れていない。
 これは、そうこれは、爬虫類もどきが人語を操ることへの生理的嫌悪だ、不快感だ。

夏瑞珂 :
「悪い狼はお腹に石を詰められて死ぬ」

 食いでのある子羊の代わりに、身が重くなるほどの無価値を詰められ、いずれは無惨に川の底。

夏瑞珂 :
「おまえもそうなればいい」

”黒鉄の狼” :
「そのたわごとは何の所以だ?」

”黒鉄の狼” :
 .. レムリア
「既に俺の身に疵をつけられると知りながら、その腕でなく、足でなく、何に告げる?」

”黒鉄の狼” :

「荒れ狂うなら狂い切れ。
 血が醒める。それとも…」

SYSTEM :
 掲げた鉄塊のごときものが唸り声を挙げる。
 ・・・
 よそ見のうちに襲い掛かってきた、いつも通り”不測”に備えた“黄の希人”からの矢を象るまぼろし。
 それに痛みを見ない狼は、比較的以上に効果は薄い。

 意にも介さず、一歩、一歩と歩んでくる。三度目の戦いが齎した彼の消耗は目に見えないだけで、それはあの時と違って明確な戦いだった。

SYSTEM :
 だが同時に、あなたの中の何かが伝えている。
じょうけん
 消耗は同じだ、と。警告であり、保障でもあった。

 進んでくる黒鉄の狼のまなこが雄弁に告げた。

”黒鉄の狼” :
「火種がなければ。
 尚も牙ひとつ、突き立てられないか」

夏瑞珂 :
 まぼろしの矢雨も意に介さず、それはのうのうと嘯く。一歩、また一歩と距離を狭められる都度、わたしの裡で声が囁いた。

 ……消耗は互いに。わたしに宿る厄災の一端は、着実に爪痕を遺している。

夏瑞珂 :
「ハ」

 意思が沸騰する。感情が破裂する。わたしは、わずかにあった『問いただす』というプランを瞬間的にかなぐり捨てた。

「ハ……ハ、ハ!」

夏瑞珂 :
「毒牙を誘うのね」

夏瑞珂 :
 結晶を、胸に抱く。心臓に重ねるよう、強く……深く。

 ──ああ、思えば。

 わたしの心臓はあれから、脈打ってなどいなかったのだ。復讐にいざなう囁きが勢いを増すのを、早鐘と錯覚しただけ。

夏瑞珂 :
「死がおまえを貪るわ」

 コエ
 鼓動よ響け。復讐を、逆襲を、再戦を──

『謎の声』 :
  ふくしゅうを
 敗北の過ちを糺せ。

『謎の声』 :
.. ぎゃくしゅうを
 逆襲の果てを質せ。

『謎の声』 :
   さいせんを
 喪失した価値を正せ。

SYSTEM :
 ───置き去られた赫怒が、名残に灯る。
 同じ道の落伍者。赤き鬼の魂が。
          オディオ
 似て非なる、焦げ付く憎悪に導かれた。

 あなたのものではない。
 あなたのかたちに馴染むはずのない、海向こうのさらに向こうのレネゲイド結晶体。

SYSTEM :

 英雄殺しの───呪われた黄金。

SYSTEM :
 あなたのものではないレネゲイドの塊が、あなたの撃鉄を上げるような激情に呼応して砕け散った。

 砕け散りゆく黄金の伝説が、あなたの虚の鼓動に応ずる。
 欲するものの猛りが聞こえた。相対するものが、その牙を担ぎ、爪を担うものであることも。 

”黒鉄の狼” :
「望みどおりに挑みかかれ。
 轍にしてやる」

SYSTEM :
 点火した激情と、瞬間的に励起した、宙の重みの既視感に。
 狼の姿勢が迎え撃つ構えで止まる。

 ひと時宿った雑味はあなたを拒絶し、また、大欲の羽搏きはこのときだけ、双方に木霊した。

SYSTEM :

  し に が み
 同種のレネゲイド体が、牙を剥く。

夏瑞珂 :
 負け犬のまま終わらなかった男の名残が、いつかの奇縁に呼応した。
 焦げついた誇り。失われた栄光。
 わたしのものではない嚇怒が、わたしに力を与える……。

夏瑞珂 :
 無敵の竜鱗を糺す黄金が砕け散る。舞う結晶片が、焔光を受けて赤々と乱反射した。

 わたしは輝きをさらうように両手に風を束ねる。長柄の鎌、双子の三日月が天を睨んだ。

夏瑞珂 :
「私は死なない。死なないのよ。おまえを殺すまで、死なない……。フ、フフッ、アハ……死ねない……アハハハハ……!」

夏瑞珂 :
 ずっとわたしを呪縛していたものが、弱まりだしていた。死ななない、死ねない──死にたくない。

 三年前の悪夢、その元凶をすべて取り除くまでは……だから!

夏瑞珂 :
「おまえが死ねえぇぇ────!」

 待ち構える爪牙へ、血の一滴が挑みかかる。

 地を蹴る大跳躍。振りあげた一対の鎌が、上空で交差する。三日月の刃が、欲するものの猛りを受けて火を宿した。

夏瑞珂 :
 かぜ    ほのお
 自由を喰らう憎悪が、分不相応にも大欲の羽搏きを模す。
 揺らぎ、燃え、盛り、拡がる、模造の翼。
 たとえ失墜するほかない不出来でも、猛き熱量は竜の吐息のごとく。生命を絶やす焦熱となって降りかかる!

SYSTEM :
 最強の矛と無敵の盾。
 衝突させたならば、ふたつの論理が砕け散る。

 嘗て遥けき伝説を伝えた地、その片翼たる竜を屠ったのは己自身の縁というが…これは決して異なるものだ。
 同種でなければ砕き切れない剛性と再生速度。その前提は先ほど潰えた。

SYSTEM :
 譫言は熱に浮かされた日のよう。
 あなたの額の汗をぬぐう献身はない。

 鋭く尖る風はまるで死神の一振り。
 死にゆくものの祈りをいまだけ忘れて。

SYSTEM :
 野生に、野性が吠える。
 原始的な理由が炎のかたちになって。
 あるいは、どこにでも行くはずだった風を。

SYSTEM :
 ただ───奈落へ! 

”黒鉄の狼” :
「──────!」

SYSTEM :
 激突。
 焦がれるような熱がくろがねを焼いた。

 衝突と同時に、山のように堅牢で、決して覆ることのなかった欲界の化身が。
 今までよりも鋭く、疾く、焼き斬られては絶たれ、裂かれる。
 その傷の向こう。鎧の先に零れる重力子の残滓が、かつて先に食らいついた蛮人の名残を知らしめていた。

SYSTEM :
 ───会心である。
 誰がどう見ても。

 それは、この羅馬で“彼”が受けた、ふたつとないもの。
 明確で避けようのない傷であった。

 この場の監視と牽制に勤めていた“血色の探求”も。
 遠方から後詰めに回るはずの“マグナ・マーテル”も。
 隙を潰し、最悪を避けて回る“黄の希人”も。全員が“それ”は確信した。

“黄の希人”アーキル :

「(だがアレは───!)」

SYSTEM :

 だが。そう、しかし、だ。
        ・・
 あれはもとより他人のレネゲイドだ。

 自分のものでさえやがて侵蝕と共に“手一杯”になるというのに、二つ分、あるいはそれ以上の重ね技など無謀でしかない。
 受け入れる筋道があるか、エグザイル・シンドロームの助力があり、“よほど”の奇跡やレネゲイドそのものが味方しなければあり得ない。

SYSTEM :

 ………そして。
 そんな奇跡が味方してくれるのは。
 聖夜きりだ。

SYSTEM :

 深々と刻まれた創の中、ずしん、と。
 鋼が地面を抉る音がした。

 続いて、持ち上がる音だ。
 ・・
 あれでも血飛沫は赤かった。
 そんな魔人が、死を叩き返そうとしている。

夏瑞珂 :
「く、う──!」

 奇跡を目の当たりにして、しかし胸に去来するのは快哉ではないた。
 亀裂の奥に、先達の名残を垣間見る。それは確かな到達のあかしであり、同時に彼の先へ届かなかった証左だ。

夏瑞珂 :
 ……そして。馴染むわけはない、と難解な男が説いたように。
 あるいは、それは奇跡などではないと知らしめるが如く……。

夏瑞珂 :
「あ」

 ぱちん、と──

 まるで泡のように、眼球が潰れた。

夏瑞珂 :
 鼓膜が弾け、平衡を失った。甲高い耳鳴りに頭が割れそうになる。

 肺が破け、流血に溺れた。ごぼごぼと咳きこんでも絶命はしない。

夏瑞珂 :
 だって、もう。この身は既に息絶えていた。

夏瑞珂 :
 死に、死が重なった。両断だ。断頭台の刃が横殴りに飛んでくるイメージ。わたしは████みたいにまっぷたつになった。

SYSTEM :

 その身を動かしていたものは、赤い血を送り出す心臓でない。
 そうであってそうでないもの。不安定で不確定な、命のひとかけら………。

SYSTEM :
 あなたが起こそうとした物事には代価が必要だった。
 歴戦の古強者が、すべてをそぎ落として挑み、取り返した栄光のひとかけら。
   ・・
 その代価に命が必要だったように。だ。

SYSTEM :
 ましてや。
 代償のない奇跡など存在しない…とも言う。
 
 ならば、あの日の代償は誰が支払ったのか。
 あなた自身が知っているはずだ。
 支払う相手は他にいない。すべて振り返った昨日に置いて行った。

SYSTEM :
 対価を受けるときだ。
 今、ここで。 

SYSTEM :
 斬撃/血飛沫。
 錯覚の風景が広がる。

 断頭台は一瞬の死と安らかな死を約束するというが、実際のところ痛みと呼べるものはなかった。
 脳の許容範囲を超える大質量、それは軌道の先にいれば、たやすく彼女を真っ二つにしただろう。

 あるいは、真っ二つにして尚、己を励起させ、食らいついたかもしれない。それ以外を許さなかったかもしれないが、ともかく。

“黄の希人”アーキル :
「──────クソ、言わんことじゃあない…!
 “守り神”!」

“アイシャ” :
『………死なせないで!』

SYSTEM :
 最悪の天秤をかけた結果。
 悪態と共に一手が差し込まれた。

SYSTEM :
 銀の弾丸を拾い直すのに合わせて、血しぶきが広がる。
 だがそれは、あなたの血でも、あなたを抱え込んで飛び退いたアーキルのものでもない。

 空から降り注ぐ光の束、剥がれたうろこの向こう側に突き刺さったそれを、彼方から送り出した彼女のものでもない。

SYSTEM :
 ソラリスの錯覚と。
           ・・
 丁度いいところにいた替えだ。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :

『だから、』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 ・・・・
『高くつくと言ったのだが───』

SYSTEM :
 血しぶきは“血色の探求”の従者だ。
 淡々とした捨て台詞と共に、指向性を持って炸裂した血の炸薬。
 肉壁ならぬ血の壁で、同時に死の間合いにいたアーキルとあなたを吹っ飛ばして引き剝がすためのもの。

SYSTEM :
 二度はあっても三度目はない。

 受け身と共に文字通り、高くつく“仕切りなおし”。

 いまだ赤く明滅する視界の中、侵蝕率にして100%を超える瀬戸際の瑞珂が急速なリザレクトを果たす中で、炎の向こう側から狼が歯を鳴らしている。

”黒鉄の狼” :
        ..ワケ
「今のは…どういう理由だ?」

”黒鉄の狼” :
「だが、この際だ…仔細など食らってから考える。なにしろ、その無謀は見事だった」

”黒鉄の狼” :
           レムリア
「おまえの命の意味を、俺が忘れることはない───」

SYSTEM :
 彼の眼はずっと。あなたにだけ向いていた。
 眼中にないものの扱いなど、憎らしいほどに知っていよう。

 牙を鳴らして、炎を踏み躙って消しながら、終わらぬ戦いに喜悦さえ滲ませて。

”黒鉄の狼” :
「おまえを礎に。
..レムリア
 俺は次なる戦いへ手をかけよう」

SYSTEM :
 安心して死ね、と。

 血を滲ませ、命の灯を揺らがせながら。
 一切変わらぬ本能だけを滾らせて。
 彼は、健在だった。

 無敵の狼が手負いの狼になっただけだ。

夏瑞珂 :
「カ──、ヒュ」

 抱えこまれた腕のなかで、断絶し、散らばった意識を必死にかき集める。

夏瑞珂 :
 ……くっついてる? 全身が血に濡れていて、どこまでが現実かもわからない。危ない、危ない、危ない……。

夏瑞珂 :
 煮え立つ喜悦のけはいが、わたしを現実へと引き戻した。凶暴に牙を打ち鳴らして、"黒鉄の狼"が嗤う。

夏瑞珂 :
 身勝手な物言いに、ふざけるな、と怒りに火がつく。あるいはとっくに火達磨で、どれほどかの残余が失われつつあるのか。

「わた、しは」

 再生しつつある片目で、"黒鉄の狼"を睨む。半分に欠けた視界に映らない、しかし明瞭に感じとれる笑みへ。

夏瑞珂 :
 怒りに震える手で、黄色のひとの服にしがみつく。もう暴れたりはしなかった。
 残った全てを今すぐに擲ってしまいたい衝動に、全霊で抗う。

夏瑞珂 :
      いみ   ゆえ
「おまえの……価値にも、理由にもならない」

夏瑞珂 :
 もろ
「脆弱いおまえなんか、こわくない──」

SYSTEM :
 かつて無価値とあなたを踏み躙り。
 あなたを作るピースを一瞥もせず叩き割ったものを、ホラーの主役を拒むような言葉選びが、止まった時の声色に乗せて運ばれている。

 …鱗を剥ぎ、血路を開いたものが、手負いの狼に捨て台詞めいて、過去をなぞっていた。
 沸点の限界に達して蒸発しかけた理性を退け、本能が罵詈雑言として選ぶ相手。かつてが父なら、今はこちらだ。

SYSTEM :
 アーキルは手元の銀の弾丸が諸共果てる選択を取らなかったこと、三度目の正直に安堵こそしたが、それどころでないのも分かっていた。

“黄の希人”アーキル :
「…よし、よく止まった瑞珂───」

“黄の希人”アーキル :
「(──────十分に手負い。
  ………だが続けりゃ分かることがある)」

“黄の希人”アーキル :
「(確実に瑞珂の方が逝っちまう。
  あるいは…お互いだ。
  クソ、お嬢様ときたら、似た者同士なら予め伝えてくれりゃあ良かったのによ───)」

SYSTEM :
       シア・ルイクゥ
 アーキルの中で銀の弾丸とは、1回目と2回目なら、天秤にかかり、いよいよとなれば”撃ち”放って、目を瞑れるカードだった。

 だが今はそうではない。
 自分の中で一番価値の高い手札の中に結びついてしまったからだ。その度し難さに、広義の隣人への悪態さえ零れる。

SYSTEM :
 ここまでの手負いが癒えない保障はなく、好機が続くとも限らない。
 ただ、これが底とも限らなかった。判断を迷う時間も、あまりなかった。

“黄の希人”アーキル :
「(やむを得ないな、ここは)」

“黄の希人”アーキル :
「…三度目の正直とはいきやしないか。
 ・
 次はラーゼスたちも連れて来てくれ、それで───」

SYSTEM :
 アーキルの言葉が、ふと止まった。

 あるいは、それを見ていたあなた自身が気づいたからだろうか。

SYSTEM :


 炎の向こう側から………。
 狼の歩みを示す鋼の音が、止んでいる。

夏瑞珂 :
「それはイヤ!」

 泣きべそ手前の顔で掌底を放つ──直前で、ぴたりと手が止まる。一瞬逸れた意識が、あの迫りくる不吉な音が途絶えているのを知覚した。

夏瑞珂 :
「──なに、」

SYSTEM :
 掌底の一歩手前。アーキルが“後で聞いてやるから”と口を開くのと同じころ。

 あなたの「なに」と同じものを、彼も、アーキルも、回答できなかった。

SYSTEM :

       ・・
 そう──────なぜ?

SYSTEM :
 その答えは………。
 
 あまりにも、前触れなく。訪れた。

”黒鉄の狼” :


「────────────グ、」

SYSTEM :



 ──────血飛沫。

SYSTEM :


 ──────咆哮。
 ──────雷霆。  

SYSTEM :

    ..   ・・・
 否。そもそも…前触れならあったはずだ。
 受動的に受け止めてきた、さだめが。あったはずだ。

SYSTEM :

 違和感ならばあったはずだ。
 あなたは何の所以で生き延び、
 あの男は何の作為を以て死に損なったのか。

SYSTEM :

 理由ならばあったはずだ。

 これを運び込んだギルドが、この遺産をもともと何に使うつもりだったのか。
 ギルドは何を持って表舞台に訪れ、何のためにここで争いを引き起こしたのか。
 金と物のためと嘯く隠れ蓑の向こう側で、彼らは何を思ってここにたどり着いたのか。

SYSTEM :

 そして、忠言ならばあったはずだ。

 遺物が強大であれば、所持するだけでも影響を及ぼし得る。
 ましてや、それが本領を発揮した主神の槍であるならば───と。

SYSTEM :
 爆ぜ散るような稲光は。女王の懐刀を名乗る骸から吸い漁ったものではなかった。

 あれはこのように悍ましくも神々しくもない。

 竜を焼き焦がす、光。
 遍くを破壊し、創造るもの。

 それは彼が眼前の獲物を食い殺すためのものではなかった。
 そんなことをする必要が、そもそも“黒鉄の狼”にあるはずがないからだ。

SYSTEM :
 いま天へ昇り。
 欲竜の化身を焦がした稲妻。
      ・・
 それは彼の内側から轟いたものだった。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :

 
 人は何かを成すために生を受け

 成し終えたとき死んでゆく
 
 

SYSTEM :

 失われた名誉と未来の回復は、
 相手の血を濯ぐことでしか戻らない
       ・・・ くに
 やつの骸で、わたしの世界を築くのだ
 そのとき、まことの自由が戻る

『謎の声』 :

 ・・・・・・・・・・・
 よくぞ我が国土を築いた

『謎の声』 :

 ・・・・ ・・・・
 おまえは、用済みだ

SYSTEM :
【Warning!】
『オーバーマインド』の効果が確定しました。

  対象者:“黒鉄の狼”/夏瑞珂
 発動条件:“黒鉄の狼”のHPが規定シーン以外で「202」を下回る
      もしくは規定シーン中に“黒鉄の狼”が「蘇生復活」を使用する

 ※効果は確定時点で強制的に発動します。 

SYSTEM :

 雷霆の音をあなたが耳にした時と。
 内側から、欲竜の“まざりもの”が外側に傷を穿つのは殆ど同時だった。

SYSTEM :

 驚愕の声/あなたを呼ぶ声。
 近くで聞こえたが、それが何かも。

 代わりに、遠ざかる声の主。
 羅馬に縁深き遺産を、

 扱うことのできる二人だけの資格者が。

SYSTEM :
【Check!】
 以下のEロイスが開示されます。

 Eロイス:無限を継ぐ者
   Rex/Remus 
 所有者:R²=ワイズマン
 対象者:”雷神の槌”所有者

 発動条件:“所有者”のHPが規定シーン以外で「202」を下回る
      もしくは規定シーン中に“所有者”が「蘇生復活」を使用する、または死亡する
 
 備考:ワイズマンは遺産『雷神の槌』内に自分のレネゲイドを潜伏させている 

SYSTEM :
【ERROR!】
 “黒鉄の狼”が──────。▼ 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

【シーン:Homo homini lupus -狼の真名-】

 登場PC:夏瑞珂
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
 ──────大雷霆。

 空を裂き、地を割り。
 パラティーノの丘にて男が蘇る。

 否、その地は男の眠る場所でも、
 召された地でもない。
   ・・
 彼は敗者だ。

SYSTEM :

 かみ
 勝者となることだけを望んだ。

 おろかな絶対者だったのだ。

SYSTEM :

 ──────雷霆が焦がした先。

 炎の中から、狼の鱗をめくりあげるように形を変えて。
..ケラウノス
 雷神の槌の稲光をまとって、男がそこにいた。

 彫刻のような端正な顔立ちと、
..             ジャーム
 逆立つ雷気。隠しようのない破綻者の傲慢さ。

“黄の希人”アーキル :

「──────な、」

『謎の声』 :

「───我が名は」

『レムス』/ワイズマン :

「レムス」

『レムス』/ワイズマン :

「羅馬の祖ならざるもの。
 そして、これより羅馬を築くもの」

『レムス』/ワイズマン :

ローマ
「私が…羅馬だ」

SYSTEM :

【Warning!】
『オーバーマインド』の効果が確定しました。
 この場で対象を『自分』としたメジャーアクションの宣言を行ってください。 

夏瑞珂 :
──っ、──あ ア

夏瑞珂 :
《風鳴りの爪 LV2》+《コンセントレイト:ハヌマーン LV3》

SYSTEM :
【Warning!】
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。 

夏瑞珂 :
7dx7+12 (7DX7+12) > 10[1,2,3,4,4,6,9]+3[3]+12 > 25

SYSTEM :
【Warning!】
 判定を確認しました。
 リアクション宣言は割愛とし、
 続けてダメージ計算と結果に移行します。 

夏瑞珂 :
3d10+26 (3D10+26) > 17[3,6,8]+26 > 43

system :
[ 夏瑞珂 ] HP : 8 → -35

“黄の希人”アーキル :
 ──────バカな! 瑞珂!

夏瑞珂 :
っ……

夏瑞珂 :
"黒鉄の狼"のロイスを、昇華──

夏瑞珂 :
復活して"レムス"に……執着/〇憎悪で取得

GM :
…良いでしょう。キャラシートへの記入をお忘れなく。

system :
[ 夏瑞珂 ] HP : -35 → 14

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 103 → 107

SYSTEM :
 降り臨む稲妻に乗って。

 竜の肉体を依り代に、
 不死身の英雄が………。

 はじまりの雷霆を担う神の縁が蘇ったのだ。

SYSTEM :
 レムス───。

 名を曰く。羅馬を作り出し、
 永遠と情熱の国を造った神祖ロムルス。
 天空の神クィリヌスの血を分けた唯一無二。

. レムリア
 巨いなる狼の手で育まれた者の名。

SYSTEM :
 ───その到来と共に、
 あなたを生かしていたものが反旗を翻した。

 厳密にいうならば、声の主。
 そのレネゲイド結晶体に潜んでいた、
 レムスが持つR因子。

 狼の敵手たるものの証明が。
 内側から、引き裂く風の形をとって牙を剥く。

SYSTEM :
 焦げ付く炎はあなたの感情だった。

 あなたの理由だ。

 ならば身勝手で、我儘に駆け抜ける。
   ..ハヌマーン
 そんな永遠の嵐がつくったものだけが、あなたの命脈を一度断つ。

夏瑞珂 :
 劈く雷鳴、爆ぜる稲光。それは内より轟き、天へと昇る──

「そ──の、声」

 "黒鉄の狼"はどうなった? そもそも……アレは何だ? ずっとわたしの裡に響いていた声が……どうして? 
     くに
 わたしの世界。まことの自由。用済みだ──縋りつづけた幻想を取り上げるような、無慈悲な一声。

夏瑞珂 :
    ・
 自分の躯を抱きしめた。震える躯を。
 噛み合わない歯の根ががちがちと音を鳴らした。

「いや……」

 死を目前にして恐れたのではない。
 仇を討つまではと奮起したのでもない。

夏瑞珂 :
 でも。

「しにたく、ない」 

 死にたくなかった。こんな自分のまま。
 アレックスやみんなが共に築いてくれたものをふいにした、無価値な自分では。
 だが深い失望がささやいた。

 わるい子には罰がいる。罰とは死だった。

夏瑞珂 :
「や──」

 黄色のひとに抱えられた体が、ひときわ大きく震えた。
 びくんと跳ね上がり、天を仰ぐようにのけ反った瞬間──

夏瑞珂 :
 かつてわたしを解き放ったものが、わたしを内から引き裂いた。

 突風は肉の檻から逃れたがるように、疾く強く。
 風に華開く血肉。花弁のようにめくれた胸から、結晶が露出した。

SYSTEM :
 ───こと。嵐に意志はない。

 吹き荒れる時はいつでも予測を越え、都合を跳ね除け、理不尽だ。
 何にも縛られず,何処にでも行くが、どこかに留まることは罷り通らない。

SYSTEM :
 知っているから、そうなりたかったのではないか。
 …知っているなら、分かっているはずではないか。
 ・  ・
 死とは嵐だ。

SYSTEM :
 嵐の導き手が、厳かに告げる…。

『レムス』/ワイズマン :
「…何を、恐れる」

『レムス』/ワイズマン :
「おまえは」

『レムス』/ワイズマン :
「そう、おまえはあの日───」

『レムス』/ワイズマン :
「死す運命に居たのだ」

『レムス』/ワイズマン :
 ローマ
「わたしが、生き永らえさせた」

『レムス』/ワイズマン :
 ローマ
「わたしが、おまえを導いた」

『レムス』/ワイズマン :
 ローマ
「わたしのために───よく報いよ」

“黄の希人”アーキル :
「──────瑞珂!」

SYSTEM :
 血が飛沫になって、再誕の地に飛び散った。
 海向こうのアメリカで生まれ直した娘の血。

SYSTEM :
                    ワイズマン
 それが引き裂かれると共に、白く瞬き、輝く賢者の石より放たれた光が、彼のもとに集う。
 いや、還るのだ。

SYSTEM :
 ひとつ、ふたつ、否………。 
           レムリア
 集ったそれは、かつて黒鉄の狼と呼ばれた肉体の最後の雄叫びを上塗りしながら、
 爆ぜるような稲妻に己を包んだ。
 常人、いや、オーヴァードであろうとも瞬きのうちに焼き焦がす神威のいかずち。 

SYSTEM :
 遺産───雷神の戦槌/タイプ・ケラウノスがそうさせる。
 まことの適合者、その片割れの意を、地上最強の肉体で出迎えた。神話を知る命が歓喜に哭く。 

『レムス』/ワイズマン :
「だが………」

『レムス』/ワイズマン :
「欲竜の血、楽土の魂。
 …混ざりものが、這いつくばらせるのか………」

SYSTEM :
 …しかし。
 強いて述べるならば、彼にとって、あなたのかたちが留まっていることは。
 ごくわずか、命脈の余地があることは。

 少なくとも、眉一つ動かさないなりに、掌をそちらに向ける理由にはなったらしい。

『レムス』/ワイズマン :
「…しがみつくことも、あるまい」

『レムス』/ワイズマン :
「楽になれ………」

SYSTEM :

 彼は一切の躊躇なく。
 その腕、紫電をまとわせる戦槌そのものたる玉体の一部を翳した。
 向けられた掌から、空気が軋み、熱を帯びる。

SYSTEM :
 気体に加えられた莫大な熱エネルギーを起点とした電離現象、それを以て発生したプラズマ球。
 いいや、厳密にはプラズマ“球”などではない。その奔流。丸ごと正面を崩壊させるレーザー砲撃だ。 

SYSTEM :
 まごうことなき殺意の発露。
 視界の正面を丸ごと消し飛ばし、流れ弾で数百人単位の命をたやすく奪う死の嵐。

“黄の希人”アーキル :

「──────クソったれめっ…!!!」

SYSTEM :
 ───解き放たれる。 

SYSTEM :
 文字通り“消し飛ぶ”視界。

 更地を覗かせるだろう数秒前。
 光芒へ目を凝らす“レムス”が、意外げに口を細めた。

『レムス』/ワイズマン :
「ほう」

『レムス』/ワイズマン :
「最強たる欲竜、その化身………
 間隙を作るまでなら、良しとした」

『レムス』/ワイズマン :
「だがやはり…泳がせすぎた、か。
 雑事に感け、実行を遅らせすぎた………」

『レムス』/ワイズマン :
      ローマ
「おかげで、わたしに斯様な雑念を生み………
 剰え、歯向かわせたか………」

SYSTEM :
 煙の晴れた先。立ちはだかっていたものが、ローマの“更地”を阻んでいた。

SYSTEM :
 余波はパラティヌスの大地に火をつけ、雷電を遍くところに拡散させ。
 瀕死の瑞珂と残る“二人”以外のすべてを文字通り皆殺しにはしたし…。

SYSTEM :
 残る二人、厳密には一体と一人。
 躊躇なく飛び出してきた方と、それを見て最早退くに退けなくなった方。
 揃いも揃って、どちらかというと後者が”また”たいへんな手傷を負う羽目になったわけだが。

“アイシャ” :
       このこ
「…アーキル! 瑞珂が!」

“黄の希人”アーキル :
「分かってる! が、いいか次やんなよホントに死ぬぞ…! クソ!」

SYSTEM :
 マグナ・マーテル
 守護女神の燐光と、“黄の希人”の名を貸与した相乗作用とて。
 相殺ですらない。生き永らえるのが手一杯だ。

SYSTEM :
 二つを前にした、レムスを名乗った男が、その眼差しを妖しく光らせる。
 対して、瑞珂を庇うアイシャをさらに覆うような立ち位置で、アーキルがかりそめの弓を番えなおした。

“黄の希人”アーキル :
「………ギルドの穴の貉が、よもやあんたのような男だったとはな。
 まったくやられたよ。漁夫の利なんざ、俺に任せてくれればいいのにさ…!」

『レムス』/ワイズマン :
「…漁夫の利? 異なことを言う」

『レムス』/ワイズマン :
          ローマ
「これは…はじめからわたしのものだ」

SYSTEM :
 この肉体を”どう”手に入れるのか、それだけが…。
 おまえたちの運命だった、と。

 見下ろすような憐憫。身勝手な宣言。

“アイシャ” :
「………“レムス”」

“アイシャ” :
..わたし
「羅馬を造った、国を造った…。
 祖の王弟」

“アイシャ” :
「………いいえ、あなたがそうであるはずがない………!
 あなたは───」

『レムス』/ワイズマン :
 ・・・
「だからこうするのだ…」

SYSTEM :
 “アイシャ”が発した、糾弾とも不可解とも取れる、荒げた声に。
 男は、ただ冷たく笑った。

SYSTEM :
 ・・・
 二発目が掌に集まる。
あなた
 瑞珂を抱き寄せるように背でかばうアイシャを見て、もはや腹を括らない理由がなかったか、観念したように“門を開け”と口にして一歩踏み出すアーキル。 

SYSTEM :
 ──────その、発射直前に。

ラーゼス :
…シーンに登場する!

マスター・ハーヴェスター :
同じく、だ。

“七花胡” :
出ない理由がありませんね……!

GM :
…了解しました。それではどうぞ! 

ガンドルフ :
 ──蒼雷が風を焼き切る直前、炎の中を駆けてきた鬼一匹。

ガンドルフ :
《暫定ターゲットより高エネルギー反応》

マスター・ハーヴェスター :
「怪獣映画か何かのつもりかバカ共が……!」

マスター・ハーヴェスター :
 網膜キーボードを叩く。
 AIDA:ファンタズマの出した演算結果を受けて3度のRT修正。
 乱反射端末で威力を相殺しきれる可能性は限りなく低く、推定規模の破壊力から全員を守る余裕もありはしない。
 
「チ……ならば」

マスター・ハーヴェスター :
「ファンタズマ!
 レフ・ビットを形質変化、ペネトレイトを疑似付与だ」

ガンドルフ :
《了解。仮称ブースト・ビット、レディ》

ガンドルフ :
 ガンドルフの背部から射出された幾つかのディスクフレーム端末が、「コ」の字状に可変する。
 モルフェウスの物質変換の効果を受けて、何基かが変質し、機体直掩上に並ぶ。

 物体を撃ちだす即席のレールシステムを仕立て上げたのだ。
 あとは撃ちだす弾丸が”何か"であるかだが──

マスター・ハーヴェスター :
「跳べラーゼス! カタパルトの使い心地は最悪だが、貴様なら何とかする!」

マスター・ハーヴェスター :
「“黄の希人”に対するデカい貸しだ……フルスロットルでいけ!」

ラーゼス :
「あいさ! 任されよ!」

ラーゼス :



 ────GROWL!!!!

 ────空から響いてなお、地を揺るがす獣の大咆哮。



ラーゼス :
 紛れもなく此度の『敵』を見定めた獣王の鬨の声が響くのが、早いか遅いか。
 鬼王の足に捕まった蒼き外套が翻り、 ・・
 足を強かに殴りつけるものの反動を以て射出される。

ラーゼス :
 女の身体が蒼雷の矢となって──否。
 雷は体をめぐるものの昂りに応ずるように乾いた古血の色が如く黒ずみ──空中にあってさらに勢いを増し──
 そして人の形をした槍となって、男の掌へ愚直に穿たれる!

マスター・ハーヴェスター :
「(──ぶっつけ本番でよく使う……! 優秀な同盟者を得たものだ)」

“七花胡” :
 ────尋常ならざる落雷の気配に介入を決意した途端、充填される極光を目にした。
 嘶く灼光がカラーサングラスを貫く。眩む視界の中で、未だ灰燼ならず、姿かたちを留める陰影を数えて三……否、四に、遠く機影が一つ。
 いずれの形にも見憶えがある。

“七花胡” :
 特に記憶に/目に焼き付く、突出する一の影。
 ・・
 足るか?

“七花胡” :
 否、計算の暇で全てが吹き飛ぶ。
 黒狼の烈波を超克した力そのものの奔流は、獅子の槍/機影の矛とて荷が重い……!

“七花胡” :
「────“アセルス”ッ!」

“七花胡” :
 着弾は己が到達するよりも疾風い。よしんばついたとて、この畜生の身では盾にも鎧にもならない。
 なら己よりも迅風い走狗を遣る。
 呼ばいながらも天秤を開き、いちかばちかで領域を披く。

“七花胡” :
 掌握は無理でも、せめて彼が────そして彼女が、
                  ちから
 届き、堪え得るだけの、ありったけの可能性を!

“七花胡” :
 爆圧の中で紡いだレネゲイドの奔流が、
 かろうじて赤く光り、生き残るための道を織り成す!

SYSTEM :

.     カタパルト    レールガン
 ──────人間砲台。いや、人間電磁砲。
 ガンビットの因子制御を起点とした赤方偏移とは決して非なるが、
 兵器の性能を熟知した歴戦の成せるものか。

 蒼鬼の手で“遠い”三手分をむりやり縮め、迸ったいかずちが、いかずちの中心点へ迫る。

SYSTEM :
 届く、はクリアした。
   たる    いな
 次に均衡を保つ/推測を破るのは。

“アセルス・デスミオス” :
「…は、いよォ!」

SYSTEM :
 飼い主の打った棒銀に応ずる驢馬。
 ぶつかり合いは不得手だが、”逸らす”“かわす””足を引く”は大得意だ。
 その小賢しさを用いた男の指示を、彼は決して、死んでも、しくじらない。
.                      フラッシュゲイズ
 滑るような接近、流れるような光子制御から来る対象の五感封じ。
             オルクス
 計算の狂わぬ駒を足蹴に、領域の王が永遠の王の可能性を上塗りする。

SYSTEM :
 衝突───均衡。爆ぜるいかずち。
 
 獅子が、かつて狼/竜の憑代だったものへ牙を突き立て、激突させる。 

SYSTEM :

            ラーゼス
 …その間合いの時点で、あなた自身の直感が確かに告げていた。

SYSTEM :
 これこそが狼の王だ。
 ・・・・・・・・・・・・ ・・・・
 煮えたぎる混沌を思わせる、黒い欲望…そのものなのだと。

『レムス』/ワイズマン :
「ほう………」

『レムス』/ワイズマン :
「これなる血の香たち、如何に刻を重ねたか…
         ローマ
 ………否。否。このわたしを相手に」

『レムス』/ワイズマン :
.. ■■■■
「永遠の都を相手に取りて、
 崩すことは能わず…」 

SYSTEM :
 均衡と火花。
 眩んだ視界と、想定よりあまりにも早い横入と一太刀。なにより、その後押しを受けた獅子の王。
 それだけお膳立てを整え、互いに、さほどの手応えなしで仕切りなおす。 

“アイシャ” :
「! アーキル…」

“黄の希人”アーキル :
「ようやく来てくれたか…!
 俺たちの人徳も捨てたもんじゃなかったらしい!」 

“黄の希人”アーキル :
「…なんてな! まったく、貸しを作るのがうまいもんだよ」

ラーゼス :
「……!」
 赤き輝き、花の香に導かれるように交錯。
 ばぢばぢと耳を裂く衝突音に、そして激突する雷同士が、互いに互いを拒絶するかたちで弾け飛ぶ。

ラーゼス :
「…………!」

ラーゼス :
 ・・・・・・・・・・ ・・・・・・
「狼からこぼれた血より、生まれるもの……」

ラーゼス :
「貴公のことだな、狼の王!」

ラーゼス :
 地面を大きく削りながら後方に吹き飛ばされつつ、槍を杖にして着地する。
 牙を剥いてその敵を睨み据えた。
 人の身と変じていても、全身の毛が逆立つのを感じる。

ラーゼス :
「探したぞ。龍の血が告げた、我が森の───いいや我が敵!」

ラーゼス :
 唸りながら告げる。
 黒鉄の狼から出でたもの、まさにあれこそが。

ラーゼス :
「礼を言うべきはおれのほうだ、アーキル、アイシャ!
 瑞珂の身を守るのみならず、それにまで先にまみえているとはな……!」

『レムス』/ワイズマン :
「…ほう…狼の王、とな…」

SYSTEM :
 くつ、くつと。男が笑った。
オーヴァード
 妖精騎士の物差しで測ろうとも、これは決定的に、かつ致命的に。
 暗く、滾る己の情動のままに破綻していた。

 破滅の赫き炎、その根源だ。

『レムス』/ワイズマン :
「望む名ではないが…。
 喩えとしては、存外に的は射た呼び名だ…」

『レムス』/ワイズマン :
「如何にも………。
 レムリア
 我が墓場より、玉体と共に生誕したものである」

マスター・ハーヴェスター :
「この分だと当初の化物は死に絶え……腹から野郎が出てきたってところか」

マスター・ハーヴェスター :
「鼠共! 銀の弾丸になり損ねた馬鹿は生きてんだな?」

“黄の希人”アーキル :
「御覧の通りさ! 経緯は現実に頭がちょっと追いついちゃいないんで省くが…」

“黄の希人”アーキル :
「ちゃんと拾ってくれよ、必死こいて波に攫われないようにしたんだぜ…なあ!」

マスター・ハーヴェスター :
「らしくもない嘆願だな、どの道捨てるなら此処に来ちゃいない」

“黄の希人”アーキル :
「ハ…! 軽口くらい叩くもんさ、最悪じゃない証拠としてね」

マスター・ハーヴェスター :
「いい気味だ、精々苦しんでおけ」

SYSTEM :
 口元を吊り上げて応対。

 その銀の弾丸には、立派な赤い華が咲いてから間もない。
 抱えたままの“アイシャ”は、それが付くのも厭わず、趨勢も定かでないレネゲイドの因子と生命を確かめるように意識を集中していた。

“七花胡” :
「無事なら結構。親睦を深めるのは日を改めてくださいね」

マスター・ハーヴェスター :
舌打ち。

“七花胡” :
 吶喊した“隻獅子”を始めとして、砲光に晒された者どもの無事を目視で確認する。
 “黒鉄の狼”の腹を食い破って現れたろくでなしの方は────その我が槍が応対していた。聞きかじるに、あれこそが彼女の求めていた敵らしい。
 彼方も気がかりだが、まずは此方だ。

“七花胡” :
「“アイシャ”、彼女の容態は」

“アイシャ” :
「………生きようとしてる。けど、」

“アイシャ” :
「生きようとしているのは、
    ・・・・・
 彼女のレネゲイド………
 彼女自身にとどまる、風の残響よ」

マスター・ハーヴェスター :
「あァ……?」

“七花胡” :
「レネゲイドの方はまだ宿主を諦めていない……」
   こころ
 だが、欲望の方は?

“七花胡” :
 世界より顧みられず、大事な者を殺され、それでなお復讐の宛まで奪われた。
 このままでは彼女は、野火にも大嵐にも成りきれぬままだ。
 これではまるで────風に煽られ翻弄される、枯れた一葉でしかない。

“七花胡” :
「────起きなさい、夏瑞珂!
 このまま、惨めなままで終わっていいのですか!」

“七花胡” :
「奪われることを認めるな、慣れるな、受け入れるな!
 貴女自身の憎悪を思い出しなさい……!」

マスター・ハーヴェスター :
「……ハン、やけに感情的だな。入れ込んだようでなにより」

マスター・ハーヴェスター :
「まァ──さんざん俺に嚙みついてた割にはその程度で終わるつもりとはな。
 御大層なコードだったな、死にてェならそのまま眠ってろ」

マスター・ハーヴェスター :
「起きるなら考えてやる。俺は弾丸を撃つ方なんでね……」

 正直コイツの事はよく知らん。
 知らんまま此処に来たが、噛みつく割には逃げずに居続けた。
 それが出来るならまだ撃つだけの価値はある。
 自ら闘争の世界に踏み込んだ以上、価値を証明するならば立ち上がるしかない。

「決めるのは貴様自身。
    ・・
 それが自由というモノだ」

ラーゼス :
………。

ラーゼス :
『声がやまないの……ずっと』

 彼女はあのとき、そう言った。
 それは崩れかけた精神がなせるものでありながら、そうでないようにも見えた。
 その「声」の正体があれか?
 故に彼女は狼への決定打となり、そして今あのようになっていると?
 それは嵐ではなく、ただ、声に操られるだけの──

ラーゼス :
「……瑞珂!」

ラーゼス :
……。いいや。

ラーゼス :
「憎しみは貴公を生かしてくれる。
 ──貴公のまことの仇、貴公のすべてを壊したものは目の前だ」

ラーゼス :
「……貴公の父の献身を踏みにじった、その声は! まだそこに在って、貴公を育んだものを踏み躙りつづけている!」

ラーゼス :
「立ち上がれ! おれは、貴公の炎が報いる先を見に来たのだぞ!」

夏瑞珂 :
 血が滂沱と流れ、急速に体温が失われていく。慈母の腕に抱かれてなお凍える全身は、冬の寒空に放り出されたときと同じくらい震えてたまらなかった。
 開いた胸に聳つ結晶も、かの男に光を還してのち、濁った表層を晒している。

 罰とは死だ。死とは嵐だ。なら、嵐とは……

夏瑞珂 :
 ──血肉ごと引き裂かれた精神を、声が繋ぐ……。

 憎悪。わたしの欲望。
 自由。わたしの理由。

 ──声が、起きなさいと叱咤する/眠っていろと揶揄する/立ち上がれと発破する。

夏瑞珂 :
 そうだ。
 立ち上がれ。
 己を開放しろ。

夏瑞珂 :
 悪はすべて、この風のもとに絶やさねば。
 原因は誰だ? 何がこの憎悪を駆り立てる?
 決まっている。悪い狼が、かたちを変えてそこにいる。

夏瑞珂 :
 知らしめねばならない。
 二度とわたしから、何も奪わせてなるものか。

 ──再生の叶わぬ器に、再び熱が宿り始める……。

夏瑞珂 :
「はっ……はっ……」

 カッと見開く双眸。全身を跳ね上げて、喘ぐように酸素を貪る。

夏瑞珂 :
「ぐ、う、う……」

 獣じみて唸りをあげる。屈辱と羞恥が、憎悪と一緒くたになって裡で燃えあがるよう。

夏瑞珂 :
「分かってる!!!!!!!!!!」

 めいっぱい怒鳴り声をあげる。惨めなまま終われないことも、決めるのは自分しかいないことも、この炎で何を為すべきかも! 全部、そう全部だ!

SYSTEM :
 決めるのは自分しかいない。

 …と。反発と癇癪をばねにして、立ち上がったあなたに、もう逆襲の声は聞こえなかった。
 あなた自身の念などではない。わかっているだろう。脈打つものの“代替”と、とどまる風の響きだけが、燻り消えかけた炎を保っていた。

“アイシャ” :
「よかった、無事………ね」

“黄の希人”アーキル :
「それだけ吠えりゃ上等さ。

 だが見事に内側から裏切り食らって現在に至るトコだ、お三方。
 わかってるとは思うが煽りすぎるなよ、しまいにゃ連帯保証も限度が来るからな…!」

SYSTEM :
 普段なら”おっさんは?”と言い返す本人は、あなた/七花胡の指示があるまで一言も言わない。

 それなりに事態を性急なものと見做した飼い主の手綱に従う見込みだ。一方…。

『レムス』/ワイズマン :
「なぜ蘇る………。あわれなものだ。怒りが安らぎを拒んだか。
 ローマ
 わたしは知っているぞ」

『レムス』/ワイズマン :
「火の先に国なしと」

夏瑞珂 :
 再生を早めた肉体が、開いた胸を覆いだす。失血は甚大で、ろくに頭は回らない。でもかまわない。多すぎる血の気は、失血死くらいではどうにもならないから。
 だから無事だ。無事だとも。

夏瑞珂 :
「……る、さいっ」

夏瑞珂 :
     くに
「おまえの世界を引き裂いて、骸を荒野にさらしてやる……」

 声は低く、呪詛のように。除くべき敵へ向けて。

『レムス』/ワイズマン :
「ほう………。
 出来ぬ言葉を囀るそれは…どの猿真似なのだ?」

『レムス』/ワイズマン :
「狼か…そこなる異民どもか…。
 ああ…そうでないのも、いる…」

『レムス』/ワイズマン :
「成程………嗚呼。
 その木偶………覚えがある」

『レムス』/ワイズマン :
「いつかの折、巧く掌中に出来れば…
 相応の種になると踏んだことが…あったな…」

『レムス』/ワイズマン :
「…それとは…少々異なる…が。
 大筋は同じだ」

『レムス』/ワイズマン :
「その鉾で“拓く”気概しか持たぬ蛮族めが………。
 物分かりの良さに、こうも明暗があろうとは」

マスター・ハーヴェスター :
「ほォ、ジジイみてえな喋り方する癖によく知ってるじゃねえの」

マスター・ハーヴェスター :
「ククク! 俺"も"貴様の言う通り蛮族なモンでなァ、
 僭称の仕方が独特な電波野郎の言う事なんざ分かりゃしねえよ」

『レムス』/ワイズマン :
 ギルド
「蛮人共の巣窟には…欲望が集う…」

『レムス』/ワイズマン :

「御しやすく、燃え盛る火だ…。
 だが、ふむ…老体とは、な」

『レムス』/ワイズマン :
「ふっ………  ローマ
 時のよすががわたしを見放すも、今日限りだ」

“七花胡” :
「敗北は貴方のその名に付き纏う」

“七花胡” :
「そうでしょう? 『レムス』」

マスター・ハーヴェスター :
「御大層な名前なことだな」

“七花胡” :
「ええ、全くもって」

『レムス』/ワイズマン :
「…ほう」

“七花胡” :
「貴方が『ローマ』を語るほど、その名前の暗さが浮き立ちますよ」

マスター・ハーヴェスター :
「土地なんぞそんなに大事かね」
 …直前と異なり、その声は実に冷ややかなものだった。

『レムス』/ワイズマン :
「如何にも…その通りだ。
 異民の様相ながら、よく調べ上げた」

『レムス』/ワイズマン :
...   ローマ
「いや…わたしの烙印か。まあ、よい。
 賢しらな小僧よ」

SYSTEM :
 鼻で笑う男の声に郷愁が乗る。
 直前の宣誓を“飼い驢馬”越しに聞き留めていたためか、汚染/破綻した精神とかみ合った波長は、呼びつけた名の暗さ。即ち。

“アイシャ” :
 ・・・・・
「混ざりもの、余所者の血の中に、ずっといた…」

“アイシャ” :
「…レムス」

『レムス』/ワイズマン :
「如何にも…」

『レムス』/ワイズマン :
 ケラウノス
「雷神の戦槌の、まことの適合者。
 絶対の強者たる神祖…クィリヌスの、血塗られた罪の縁」

『レムス』/ワイズマン :
   ・・ ・・・
「………王弟、レムス………」

『レムス』/ワイズマン :
       レジェンド ..ローマ
 ──────斯様な神話から、わたしは生まれた。

SYSTEM :
 羅馬を生む大樹。
 狼の血より生まれ、それを礎として育ち………。
 やがて、世界にその熱を根付かせることの能わなかった木々の片割れ。
    レモラ
 本来、レムリアという名の都を打ち立てるはずだった、闘争の果ての敗者。

ラーゼス :

ラーゼス :
「雷神の戦槌は……もとより、貴公が物語られた力を取り戻すための餌だったと?」

 取り戻すという言葉はおそらく正しくはないのだろう。
 あくまで眼前の男は、生まれなおした幻想存在に過ぎないはずだ。
 いいや、しかし、だからとて──今その手には、あるべき力が握られている。

SYSTEM :
 あるべき力。それは最初から確かに彼のものだ。
 いや、彼と血を繋ぐ王者のものだ。

SYSTEM :
 取り戻す、という言葉には聊かの語弊がある。なぜならば。

“黄の希人”アーキル :
「…“ケラウノス”を使うまでに…。
 ヤツはここまで回りくどい、手間をかけた」

“黄の希人”アーキル :
「思うに、貴様は………」

“黄の希人”アーキル :
「貴様自身が使うわけにはいかなかったのさ…」

『レムス』/ワイズマン :
「………餌、と呼ぶ物言い。
 その指摘。いずれも真実と呼ぼう…」

『レムス』/ワイズマン :
        クィリヌス
「神祖のいかずち。兄者を召し上げた階。
 すべてを破壊し、すべてを創造る、この力…」

『レムス』/ワイズマン :
      ローマ
「その縁持つわたしにこの力は適したが、しかし………」

SYSTEM :
 しかし。
 あなた自身が聞き及んでいた通りなのだ。
 ・・・・・
 強大な遺産には相応の対価が伴う、と。

『レムス』/ワイズマン :
 ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・
「神のごとき肉体でなければ、そもそもこの力には耐えられぬ」

『レムス』/ワイズマン :
「………そこで………。
 ローマ
 わたしは、己が肉体足り得るものを探し…確かに、見出した………」

『レムス』/ワイズマン :
「欲竜が産み落とした最強の化身………。
 これこそ………」

『レムス』/ワイズマン :
 ローマ    ローマ
「わたしが蘇り、わたしが敗者として葬られた地………。
.. レムリア
 逆襲の一歩にふさわしき肉体であった………」

『レムス』/ワイズマン :
「ゆえに、名付けたのだ…。
 我が祖、王を生む狼………。
 レムリア
 “黒鉄の狼”………と」

夏瑞珂 :
 いみ    ゆえ
 価値もなく、理由にさえなりはしない。
 竜のきれはしに見向きもされなかった、わたしの家族たち。

 その非業さえ、撒き餌のひとつに過ぎなかったのか。もっと先にある目的の足掛かりでしか。

夏瑞珂 :
 ない心臓が震える錯覚。気付くな、と本能が叫ぶ。

 傭兵など掃いて捨てるほどいるなかで、なぜ、わたしたちだったのか。設立から半年のPMC。仕事なんてろくに選べやしない。でも、ああ──だって。

夏瑞珂 :
 彼らが軍を離れなければ。
 今もまだ嵐を征する者であったのなら。

 欧州くんだりまで警護に駆り出されることはおろか、死体さえ残らない最期を迎えることだって……

夏瑞珂 :
 それを認めるということは……
 それを認めてしまっては……

夏瑞珂 :
「ふざけるなァァッ──!」

 爆ぜる怒号。舞い上がる毛先。激情に火をつけようとして、しかし空振るように燻った。
 勢いを絶やさないために、必死になって舌を動かす。

夏瑞珂 :
「老いぼれごときが! 畜生の腹からひり出されて満足か!」

夏瑞珂 :
        LOSER
「糞まみれの薄汚い敗者! この街におまえの居場所なんてあるものか!」

マスター・ハーヴェスター :
「……。
 おうおう、いつもの調子に戻ってきたな」

SYSTEM :
 ハ──────と。
 虚からひねり出された自衛の狂瀾を、王弟があざけった。

『レムス』/ワイズマン :
「それは…そうだろうとも。
 ローマ  ローマ
 わたしは、わたしの国土を築くのだ。
      ・・
 のぞみは、在る場所ではない…」

『レムス』/ワイズマン :
「満足ならば、続けよ…。
 なあ。敗者よ…」 

マスター・ハーヴェスター :
……口が達者だなコイツ。

ラーゼス :
「(……グウィン。
  ことの興りは、おそらくおまえの言うとおりか──)」

ラーゼス :
「(……なんということだ)」

“七花胡” :
「……貴方にとって“ケラウノス”とは、本命であり釣り餌……。
 遺産をちらつかせてローマの三つ巴争いを加速させたのは、戦場の気配に敏い“黒鉄の狼”を呼び寄せるため。
 貴方はギルドの手駒を用い、意気揚々と草刈り、及び仕上げを行う。
 その過程で各セルが積極的に“黒鉄の狼”を削ってくれれば、手間が省けて僥倖、と……」

“七花胡” :
「……我々は敵に塩を送った形になるわけですね」
 まさしく苦渋だ。苦虫を噛み潰したような顔を、隠せもしない。

“七花胡” :
「しかし……“ローマ”などと僭称する気位のわりに、よくもまあギルドなどと俗っぽい連中とつるめたものです。
 “黒鉄の狼”が貴方の寄生先に最適だという知恵も含め……
 パトレース
 相談役でも侍らせておいでで?」

『レムス』/ワイズマン :
「小僧………。
 おまえは、なるほど。賢しい男だ」

SYSTEM :
 ・・
 それが返答の始まりだ。否定ではない。
 王弟/王者ならざる男の抱えた宮廷道化師の名を、やすやす吹聴する理由はない。

 ないが、しかし。彼の語り草は。
 その道化師も“是”とした内容とみるには、いささか異なっていた…。

『レムス』/ワイズマン :

「争いの火を興すことはなくとも、望む戦いの場を広げること…。
 ローマ
 わたしの玉体たる狼は、これに対して貪欲だった」

『レムス』/ワイズマン :
       えさ
「それゆえに、敵手さえ用立てたならば、必ず………。
 ケラウノスを、己の腹へ取り込み………火を、掲げると理解っていた」

『レムス』/ワイズマン :
   ・・・
「その賢しさを…羅馬の者どもに持たせぬのも、わけなきことだ。
 …良き道化師だったよ」

SYSTEM :
 だが…。
 同種のレネゲイドでなければ、そもそも傷などつくかも怪しい。
 しかし己が野望を果たすには、無敵の怪物を倒さねばならない。
 
 それは、無敵の怪物を倒すための矛を手に入れるには、
 無敵の怪物を倒さねばならない───それに等しい“無謀”であった。

『レムス』/ワイズマン :
 ローマ      レムリア
「わたしの大地で、“黒鉄の狼”の命脈を断ったその時…」

『レムス』/ワイズマン :
「ケラウノスに込められた我が神意を以て…。
        ローマ
 黒竜の伝説は、わたしのものとなる………」

『レムス』/ワイズマン :
「ならば…次に運命に必要なる者…。
 竜の血を己がさだめとする者………」

SYSTEM :

 つまるところ、彼はもうひとつを求めていた。
 ・・
 狂瀾で覆い隠したものを暴き立てるしぐさは、
 ついこの間、知性と好奇心を骨子とする邪なる賢者のものに似ていたが、決定的に異なる部分がある。

SYSTEM :

 ………傲慢さだ。

『レムス』/ワイズマン :
「…その者に求めていたのは…」

『レムス』/ワイズマン :
「必ず傷をつけ…。
 必ず朽ち果てる…鏃」

『レムス』/ワイズマン :
「誰であろうとも…是非はない。
 必要なものは…己さえも顧みぬ力。

 時に神さえ殺す、弱き者に許された最強の武器…」

『レムス』/ワイズマン :


「その言葉、憎しみ、あるいは…」

『レムス』/ワイズマン :

  オディオ
「………憎悪、という」

SYSTEM :

 ギルド
 蛮人共の巣窟にて、あらゆる争いを起こし。
 ありとあらゆる形で…彼は、狼を火種へと誘った。

 彼に火種のありかを教えてきたのが、
 おそらくはその『相談役』だ。敢えて口にするでもないだろう。

『レムス』/ワイズマン :

「地を焼き…空を墜とし…海を荒れさせ…」

『レムス』/ワイズマン :

「火が起らば、化身の好奇心と、欲望をくすぐった………」

『レムス』/ワイズマン :

「その都度、その全てに、欲竜の血を試し…。
 その全て、よみがえることなく、朽ち果て、息絶え、爆ぜ………」

『レムス』/ワイズマン :
「………遂に適した者が…現れた」

SYSTEM :
 傲慢なる瞳が。
 あなた
 夏瑞珂へ向いた。

 ──────そうとも。
 ああ、そうだろうとも。
 知るべきでない事実だ。

『レムス』/ワイズマン :
「………これがおまえの運命だ。
 おまえは、そう、おまえはあの時から………」

『レムス』/ワイズマン :

. レムリア
「わたしの国の、礎だ───」

SYSTEM :

 ──────そうとも。すべて、すべて。

SYSTEM :

 ──三年。死を取り上げられ、紛れもなく血を吐くような時間。 

 ──最悪の覚醒から生きる場所を授かり、嵐でなく人間としての居場所を手に入れ。

 ──それを失って転げ落ちながら、焦げ付く火に身を焼く日々に追いやられた果ての、さだめの行路。

SYSTEM :
 ──これが、その仕上げだった。
 ・・
 茶番。
 以後、どれだけ言葉を弄しようとも、短くまとめるなら、その二文字に尽きた。

SYSTEM :

 ───歯車の下敷きになったものを、何ら目もくれず踏み躙ってきた男の夢は。ただ一つ。
 愚かしく、浅ましく、けれど。避けられない夢だ。

SYSTEM :

 大きな野望は、足元から燃え広がるように、心の中で広がった夢。

 嵐にぶつかり、炎に気付かず。燻るものの傍らにいたあなたは。それを知っている。

SYSTEM :

 以て、掲げたその欲望は、即ち………。
 ・・
 勝利。
 ただ、その言葉に尽きるのだ。

『レムス』/ワイズマン :
 ローマ
「わたしは…」

『レムス』/ワイズマン :
 レムリア
「われわれは、今度こそ………」

SYSTEM :
 
 復讐を  ・
    / 何に対する勝利だ?

    / 考えなかったのか?


SYSTEM :

 逆襲を  ・
    / 誰による敗北だったのか?

    / その権利は誰の物なのだ?


SYSTEM :

 再戦を  ・・
    / 何処でなぜ挑むというのか?
 
    / 再戦を志したのはどちらだ?


SYSTEM :

  わがえいえんのみやこ
 失われた名誉と未来の回復は、
.クィリヌス
 相手の血を濯ぐことでしか戻らない

SYSTEM :
       ・・・ くに
 やつの骸で、わたしの世界を築くのだ
 そのとき、まことの自由が戻る

『レムス』/ワイズマン :


          ・ ・ ・ ・ ・
「 ────── 永 遠 の 国 を 
          ・ ・ ・ ・
          作 る の だ ────── 」


SYSTEM :

 そうとも
    レクス・レムス=ワイズマン
 我が名を、狼に育てられた王

SYSTEM :

 永遠を創造り、永遠を滅ぼす
 羅馬に為せなかったことを為し、悠久の安息を世に授ける…
 かみ
 悪魔の名だ

SYSTEM :

 ───そして。
 
 神鳴りが響いたとき、パラティヌスは砕け散った。
 甚大なる規模のレネゲイド因子。いわばワーディングのそれと同じだが、散布と構築する規模が違う。

SYSTEM :

 ポメリウム
 都市の境界───侵すことの能わぬ聖域を、冒涜者が焼き払う。嘲り、飛び越える。

SYSTEM :
 かつて建国の地とされたパラティヌスを起点に、やがてレムスが望むまことの”永遠の都”まで目指して。
 緩慢ながら、確実に。雷霆と共に、国/都/城壁が。

 このレネゲイドビーイングの煮え滾るほど思い描いた勝利の形が、現実という名の画用紙を上書きせんとする。

“アイシャ” :
「あなたは………」

“アイシャ” :
 あなたたち
「羅馬の人々は、愛して、いないのね──────」

『レムス』/ワイズマン :
   ・・・
「………だから、こうするのではないか」

『レムス』/ワイズマン :

 ローマ    いま
「わたしは永遠に現在を廻らせ………」

『レムス』/ワイズマン :

 レムリア
「われわれは、すべての頂に立ち………」

『レムス』/ワイズマン :

   ロムルス
「………兄者の不徳は、いまここに………。
 永遠の喜びを伴って、この地上から祓われるのだ………!!」

SYSTEM :


【Check!】
 以下のEロイスが開示されます。

 Eロイス:破壊神顕現 傲慢な理想×3
   Rex/Remus 
 所有者:R²=ワイズマン
  対象:ローマ“以外”

 発動条件:シナリオ終了時に「狼の王/ワイズマン」が生存している場合に使用され、
      発動と同時に基本ステージからローマ『以外』を破壊する
      何らかの用法でもう一度使用することで破壊したステージとローマを『レムリア』に再編する



SYSTEM :

 ───歓喜に哭くいかずちの音に。

 人目も憚らず、
 突きつけた真実にすら目もくれず。

 男が、笑った。

SYSTEM :
 敗れてはならない戦いに敗れ、
   あい
 その結末さえも。
 永遠でなかったことを知った…。
 ・・
 敗者の、狂笑であった。

夏瑞珂 :
DAMMIT
「くそっ! くそ……っ! こんな、ふざけたことがぁっ……」

 茶番だ。何もかも、全部。
 火達磨で転げ落ちていくような三年間、その果てに"黒鉄の狼"を道連れにできるならかまわないと思っていた。

夏瑞珂 :
 復讐の勝利も、
 逆襲の権利も、
 再戦の意思も……

 すべて、何もかもすべて、悪魔の意のままだったと?

夏瑞珂 :
 こんなに可笑しな話はない。 
 わたしを生かしたのが、アレックスの決死でさえないなら──

「はっ……アハ、アハハハハハ……! ひぐっ、うっ……ハ、ハハ、アハァ……!」

 笑う。嗤う。なのに声は裏返って、嗚咽が混じる。

夏瑞珂 :
「ハ、ハ、ハ────ハ、」

 電源が落ちる唐突さで、ふいに哄笑が途絶える。

 喉を押さえて、はくはくと唇を開閉する。声が、出ない。叫ぼうと振り絞っても「かひゅっ」と音が漏れるだけだ。

夏瑞珂 :
 果たして、永遠の一端がここに拓かれる。
 現実を覆う、新たなる現在。これから先すべてを、ここ以外すべて、たった一人の「かくあれ」という傲慢な理想で塗り潰すための──

「    、」

 狂笑すら奪われた敗者が、見開いた双眸から一筋の雫をこぼした。

SYSTEM :
 残っていた理性が白紙になるのに僅かな時間も不要ず。

 それから、声にならない慟哭が上がった。
 開けてはならなかったパンドラの箱が、一度開いて、閉じる兆しはそれきりない。

SYSTEM :
     レムス
 ──────敗者の、掴んだ希望への哄笑だけが響く。

 あざけり、あわれみ。それすらない。
 なぜなら………車輪の下敷きだからだ。

SYSTEM :
   ・・
 仮にそれを、レムスにとってぶつける相手がいたとして。

 それは別にあなたではないからだ………。

マスター・ハーヴェスター :
「……」
 大きく溜息。

マスター・ハーヴェスター :
「誰か相手してやれ」

ラーゼス :
アレウスの言葉より前に、その体を抱えあげている。

ラーゼス :
 ……疑うだけの余地は、ここまでにもあった。
 その陥穽に自ら目をつむり、ここまで歩いてこれてしまった炎の──その果てがこの姿だ。

ラーゼス :
 哀れな娘だ。心底からそう思う。
 いまはただ正常に嘆くすべすら忘れた幼子でしかない。
 ……戦力にはなるまい。いくさびととしての勘が、背に冷たい汗を流させる。

マスター・ハーヴェスター :
 不味ったな。
 戦力のつり合いと現状の把握に関しては恐らく二人も同じことを思っているだろう。
 どこになんのファクターがあってこうなったのかは知らんし、それを知ったところで今更どうしようもないものとしか俺には口に出来んが。

マスター・ハーヴェスター :
「(……やけに上機嫌だな)」

“七花胡” :
 ふざけたことを抜かす時代遅れのロートルへの赫怒。それとは別に、状況を俯瞰する自分が、芳しくない、と目の前の状況を見て判ずる。
 “隻獅子”と“死滅天隕”もギルドの手勢を退けた後だ。“御手翳す開放者”の二人も万全ではない。
 其処に加えて、最も危うかった娘が今まさに戦力外になった。

“七花胡” :
 まず真っ先に思考すべきは、如何にしてレムスの策略の成就を阻止するか/如何にして誰一人として欠けずこの場より離脱するか。
 その二点に尽きることは分かっている。分かっていて……。

“七花胡” :
 ……寸暇を惜しまない。
 獅子の腕に抱えられたまま、空っぽの眼であらぬ場所を見つめる娘に、一歩を寄せた。

“七花胡” :
「たとえ貴女の種も、芽吹きも、水も肥料も土さえ、悪辣に御膳立てされたものだったとしても……」

“七花胡” :
     .はなのいろ
「……貴女の憎悪の理由は、貴女だけのもの」

“七花胡” :
「そう仕向けられたものだとしても、貴女が得たものも、貴女が奪われたものも、全部貴女のものです。
 取り上げられるのを、納得していい理由など、あるはずがない……」

“七花胡” :
 あるはずがない、と嚙み砕く言葉は、誰に言い聞かせるとも曖昧だった。
 けれど、そのパンドラの箱の奥に届くか分からずとも、貴重な時間を消費してでも、告げずにはいられなかった。

“七花胡” :
 伸ばした指の先が、宙で一瞬、躊躇するようにわずかに固まる。
 ……結局、そのまま何事も無かったかのように引っ込められた。
 涙の一滴さえ、これ以上何も貴女から奪われぬようにと言いたげに。

マスター・ハーヴェスター :
 ハン、過保護だな。

“七花胡” :
 「そうする」と決めた以上は。

マスター・ハーヴェスター :
 ハ。
      ・・
(──こいつ、違うな。
 このやり口は無法者じゃない……確証はないが)

夏瑞珂 :
 かくんと揺れたあたまが、声のしたほうへ向く。

 レムリア
「『俺の生んだ偶然に、』」

 "黒鉄の狼"の酷薄な声が響いた。彼の耳元で、スピーカーと化した大気が低く平坦に奏でる……。

夏瑞珂 :
「『何か意味があるのか。考えた』」

夏瑞珂 :
「『よく、理解った』」

夏瑞珂 :
「『戦いだ』『戦いだ』『戦いだ』『戦いだ』……」

“七花胡” :
「…………、」

“七花胡” :
「…………。……」

“七花胡” :
「…………。貴女が貴女のものを取り戻せるように……」

“七花胡” :
「……貴女自身を、取り戻せるように」
 祈る以外に何ができるだろうか。考え込む前にかぶりを振る。

“七花胡” :
「……まずは撤退です」これは全員に向けて。

 放たれたパンドラの箱にエルピスが残っていたとすれば、それは彼女が壊れ切れていないことだ。
 けれど、残された時間はきっと長くない────ローマにとって、自分たちにとって、彼女にとって。
 その時間を最大限に伸ばすために、仕切り直しが必要だった。

夏瑞珂 :
「『ハ ハ ハ』『出来るなら俺が馬鹿だ』」

SYSTEM :
 …徒労を切欠にかすか見えた明日が、いまの彼女に見えているのか。定かでない。

 だがその絶句は、彼女に関心を持っていた相手ならば…。
 誰もが心中で同じ感想を抱いたに違いなかった。

SYSTEM :
 報復の根幹に穴が開いた。新しい相手に燃え移った憎悪の心火はそのままだ。
 
 だが、起こした火を移すという労力に、時の止まった若い心が耐えられるはずはない…。

SYSTEM :
 …耐えられるはずはないから。
 娘は焦がれた自由のうちささやかなものを、火の中にひとつ放り込んだのだ。

SYSTEM :
 ──────しかし。
 しかし、だ。

 その末路を認めながら理性を切り分けたのは、たしかに。この場にいた誰も、己以外に見出した欲望があるからだったが。

SYSTEM :
 重んじた矜持に泥をかけられ、尚も平然とするものはいない。
 平然とできるなら、それはその者が見上げた忍耐を備えているという事実があるに過ぎない…。

SYSTEM :
 …羅馬が、余所者の罅を引き裂いた。
 その事実に対し、あなたたちが手を出さなかった/出すべきでないと分かっていた猶予を縫う。

 光塵───ではない。
 それを撃つべきものは、そもそも、人間の殺意に聡いものではないからだ。 

SYSTEM :

 ──────そのかたちを取った矢の一条を。
 稲妻が堰き止めた。

 変わらずこちらを見ながら、何ら脅威とも見做していないものに。
 あなたがたの同盟者が吐き捨てる。

“黄の希人”アーキル :
「…貴様が…。
 貴様に、“血色の探求”が靡いてくれたなら」

“黄の希人”アーキル :
「残念だよ、一気に悩みが3つ消えたのにな…!!!」

SYSTEM :
 ソラリスの純粋種から放たれた矢は、
 打算で言えば“挑むのがいまではない”と理解らせるためでもあったのだろうし。
 さらに言えば、自分が撃たねば誰が撃つのかを理解っているからでもあった。

 だがそれ以上に、あなたの様子に若さが競り勝ったのもこの男であった。

SYSTEM :
 しかしだ、もちろん…。

SYSTEM :
【Check!】
 以下のコンボが開示されます。

■モレス・ネチェサーリエ
Auto:《球電の盾L5+2》《磁力結界L3+2》《?????L1》《スタンシールドL2+2》 

SYSTEM :
 もちろん。
 彼の冷静な部分が示すとおりに、
 
 意味はなかった。

 もはや微動だにしないまま張り巡らされた雷霆は、彼の鉾であり盾である。
 一切顔色一つ変えず、男が、かみ合わない会話を再開した…。

『レムス』/ワイズマン :
   レムリア 
「…そのわたしに誤算があるとするならば、ひとつ…」

『レムス』/ワイズマン :

「…あのような、屑金があったことだ…」

『レムス』/ワイズマン :

「なるほど確かに………。
 至高の玉体は、おまえの過ぎた行いにて、画竜点睛を欠いたようだが………」

『レムス』/ワイズマン :

「しかし、わけは…ないことだ。
 必定の運命に、もはや変わりはない」

『レムス』/ワイズマン :
「ここで、冥土の土産を用立てたその理由などは………」

『レムス』/ワイズマン :
「絶対的な力を前にした、弱き者の夢想などというのは………」

『レムス』/ワイズマン :
「余分に………過ぎんのだ………」 

SYSTEM :

 三発目。
 
 塵殺の雷霆が。神威より成る殺戮権限が、産声を上げる。

ラーゼス :
「────!」

SYSTEM :
さいぜん
 撤退など、誰もがわかっているから容認する理由はなく。
 まして、“それ”は一度きりの対価などではない。
 呼吸とたいして変わらない遺産の行使だった。

マスター・ハーヴェスター :
「やりやがる──」

SYSTEM :

 ──────だが。

SYSTEM :
 かみ
 悪魔の途上が誇る天雷が。
 誰ぞにも届くことは、なかった。

 ………なぜ?
 臆した? 馴染み切っていない?
 断じてもいい。そのようなことはない。

SYSTEM :
 すくなくともひとり。
 ここで朽ちる運命に。

 煌びやかな地獄の底の底で。
 捨てる悪魔の代わりに、拾う悪魔がいたからだ。

SYSTEM :
 射程圏内にして凡そ1km超、それ以上。

 着弾は一瞬だ。
 瞬きひとつのうちに、寸分の狂いなく、膨れ上がる稲妻に”横槍”が入った。

SYSTEM :
 形態としてはモルフェウス・シンドロームのものであるが、内容としては電磁加速を基底とした粒子加速砲に近しい。
 誰が、なぜ、何のために───回答など意味はない。与えられる必要性もない。

 当然、それに微塵も意味などあったものではないが、瞬き程度の猶予は生まれる。

マスター・ハーヴェスター :
「──駆けろガンドルフッ!」

ガンドルフ :
《了解。リミット解除──セレクト:フルスイング》

マスター・ハーヴェスター :
 電磁加速と粒子加速、思う事がないわけではないが、確かに最短最速で"横やり"をいれるならそれくらいしかない。
 誰がやったかも知らんが、それに感謝をしよう。

 冷めた態度ではいたが、どうにも気に食わん。

 理由のない胸糞悪さを理由に、フットペダルを踏み込む。

ガンドルフ :

 一瞬の踏み込み、その右手に携えた光槍ライフルの切っ先が何重にも重なり──
 『レムス』を僭称するレネゲイドの塊を刺殺さんとする勢いで、光を突き出す!

マスター・ハーヴェスター :
 俺の預かりに糞を擦り付けやがって……。

「喰らえやボケがァッ!」

SYSTEM :
 そしてその瞬きの猶予。
 やつ
 雷速より疾くと、ただそれだけを考えた男の行動はあまりに正しかった。
 
 理由は何だったのか。
 拾う先さえ踏み躙ったことへの若さが皮肉にも“同じ”ように競り勝った?
 あるいは………あなたが送り出した伝説を”屑金”と嘯かれたことを赦さなかった?

 どれでも構わない。あなたの中にしか、理由はありはしない。

SYSTEM :
 一撃加えて確信すらある。いや、自己申告の裏付けか。
 . レムリア        ド ラ ゴ ン
 黒鉄の狼/玉体の無敵の鎧、地上最強の生物の神秘は、剥がれ落ちたままだったのだ。

SYSTEM :
 それは彼に決定打を与えたわけでもなく、傷を残したわけでもない。

 コンマ数秒の猶予を、1秒か2秒の猶予に切り開く。その時間さえ出来たなら。
         .. ワンアクション
 オーヴァードにとって、いち工程は無限の時間だ。

“黄の希人”アーキル :
「──────“守り神”!」

“アイシャ” :
「………彼女を! あなたたちも!」

SYSTEM :
 その猶予の中で退路が開く。

 このまま落とし前をつけた時、確実に死ぬものがいて、その是非について少なくともこの場の意見は一致していた。

 いまさら、あちらの腹先を躊躇う理由もないだろう。あちらにとっても、それで生まれる優位がないからだ。

ラーゼス :
「胡ッ!」
 その寸暇を縫い、胡の腕を引く。

“七花胡” :
「ッ、よろしく!」
 腕を引かれるがままに、剛腕に抱えられる。
 手にしていた天秤を畳み際、出来る限りの攪乱/なけなしの足止めに背後に向けてぶちまけてから、

“七花胡” :
「駄馬ッ! 援護!」

“アセルス・デスミオス” :
「はいよ、お題は見てのお帰り…!」

SYSTEM :
 なけなしの足止めを礎にする無礼/合理を、よもや彼の飼い主は怒りはするまい。この場面では。

 それを踏み台にした彼が、愛用の得物を手に、崩れた姿勢の復旧に“ノイズ”を撃ち込む/混ぜ込んだ。

夏瑞珂 :
    ・・・
「『───危ない!』」

 動乱のさなか、年若い男の声が響く。
 青臭さの抜けきらない、善良な者のあげる音色が……たった一度だけ。

ラーゼス :
「────大事ない! 掴まっていろ!」

ラーゼス :
 主の要請と響く追憶をかき集めた声に、強い自信と信頼でもって応じる。
 二人分の体を抱えたまま駆ける。目標はアレウスの鬼の肩の上。
 いいや、

ラーゼス :
 ・・・・・・・・・・・
 ふたつの足は少なすぎる。

ラーゼス :
 ────────GROWL!!!

 吼えた。雷鳴をかき消す怒りの咆哮。
 駆けながら体が変化する。
 金髪をなびかせた人間の女から、輝く黄金のたてがみをなびかせる獣王のすがたへ。
 ふたりの重みを感じながら、大きく跳躍。

ラーゼス :
『アレウスッ!』

 人間の女の切羽詰まった声をその喉から放ちながら、脚が踏んだのは鬼の腕だ。
 あらゆる障害をものともせず肩まで駆けあがり、身体を大きく伏せる。急加速に対応するための動きだ。
 彼が己が何であるかに気付き、そして撤退に動くことを信じきって。

マスター・ハーヴェスター :
「ぬぅ!?」

ガンドルフ :
《ランディングギアによる姿勢制御が不安定。
 エンジン出力、許容値を僅かにオーバー……飛行可能》

マスター・ハーヴェスター :
「……ええい! 誉め言葉のつもりが本当に"そう"だとはな!」

マスター・ハーヴェスター :
 自分の煽てがそうだったなどとは流石に思うまい。
 だが声もその風貌も、これまでの威信ある掛け声に他ならない。
 諭し、宥め、導いた女の声であったことに違いはない。
 であれば──疑う理由もない。

 網膜キーボードの連打で、ガンドルフのエンジンはフル稼働。
 都合一頭と二人分の重量を抱えながらも、フロート機構により跳びあがる!

マスター・ハーヴェスター :
「長台詞は舌を噛む! せいぜい遊覧飛行を楽しんでおけ!」

マスター・ハーヴェスター :
「──撤退だッ!」

SYSTEM :
.  ペイロード
 PFの積載量にモノを言わせた一工程。戦場での躊躇ほど安い死にざまはないと知っている男に、よもや判断の鈍りがあろうはずはなかった。
 いま         ..むかし
 現代の戦争を知るものと、過去の血泥に這ったものの、命を拾う判断を、その戦火を阻むものが助ける。

 嵐を乗り越えるその仕草に、かつて/最後まで“そう”だった人間の名残が反響いた…。

SYSTEM :
 乗り遅れた男と、待ちぼうけする一組の撤退を最後に。
 あなたたちの行方をその場から一時眩ませる。

SYSTEM :
 いかずちが響き、眩ませた視界を払う。

 王弟が冷酷な殺戮者ならば…。
 己の強者たる所以に僅かでも疑いを持つならば。

 そこでするべきは追撃だった。
 そうであるならば、誰かが対価を払っていただろう。そうではなかった。

『レムス』/ワイズマン :

「………どこへ行く? もはや、逃れ得る術などない」

『レムス』/ワイズマン :
 ・・
「羅馬さえ…兄者さえ…永遠ではなかった」

『レムス』/ワイズマン :
.レムリア
「わたしは違う………」

『レムス』/ワイズマン :
     ゆえ    いみ
「あらゆる弱者を貪り、欲望を躙り…。
 ここに極点を生む…」

『レムス』/ワイズマン :
「そうとも、我が名は王弟レムス………」

SYSTEM :
 ───思うに、世界を己が手に収めること。
 その反対に、何もかも“平ら”にすること。

 誰より剛い、悍ましい、欲望のかたちである。

SYSTEM :
 なるほど彼は確かに、
.. ローマ
 情熱の都の祖と血を分け。
 しかして、善き浪漫を受け継げぬ男であった。

SYSTEM :
 ………男の譫言が響く。

 置き去りにした風の名残に意味を見出すものは、もうここにはいない。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………雲一つなかったはずの空から、不自然に降りしきる雨の意味を、誰も知らない。
 その大元が、かつての神話の創まりで、今やいち観光地であることも。

SYSTEM :
 PFの強化外骨格で漸く運用できるほどのいびつな砲身が彼方を覗く。
 対VT用レールキャノン。過剰火力と言ってもいい大口径ユニットの排熱音が、彼方で響いた。 

SYSTEM :

       ブレイクバレット
 虎の子の対オーヴァード用新型弾頭を排出した直後に帯びる異様な因子の偏りを、
 片手間に調整をかけながら、男は狙撃先を見ずにぼやいた。

“グレイ・スコーピオ” :

“───手前らと来たら、貸しばかり作りやがって”

“グレイ・スコーピオ” :

“だがこれきりだ。そう、これきりで………”

“グレイ・スコーピオ” :

“………………イヤ”

SYSTEM :

 そう、それはぼやきだった。
 嵐の押し寄せる、灰色に濁った空ばかり眺めてきた男の。
 もはや誰かに聞かせる意味さえも失った、世の中への諦観を帯びた呟きだ。

“グレイ・スコーピオ” :

“……どうでも、いいか”

SYSTEM :

 …使い古され、くたびれた装甲板。薄れた型式番号。
 わざわざ、それも執拗に削り取られた痕跡が、放熱の余波で僅かに照らされた…。

─── :

 ───YMF-35A/Bla■t g■■e

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
        そう
 ローマの争いが茶番だと、賢者の知恵を借りて知っていたもの。知らされたもの。そうでないもの。
 灯の消えたものは命を置いて旅立ち、灯す余地さえないものは終ぞ気付くことはない。
 ただ、未だ欲望の灯を点けた者の動きは、ここに来て決定的に二分された。

SYSTEM :
 即ち、だ。
 レムリア
 狼の王国に靡くものと、そうでないもの。
 その欲望に乗ずるものと、そうでないもの。

 結論から言えば、“御手翳す開放者”は後者にならざるを得なかった。

SYSTEM :
 なぜ? あなたたちが後者であることもそうだし、盟主とその共有者の意図が共通しているからだ。

SYSTEM :
 その同盟相手の持つ拠点───曰く“ゲート”を介さねばならない場所───。

 PFの一台程度ならば収容も難しくない彼らの塒に戻ってきたのは、今後の趨勢を決するため。アーキルが招いたのは、急を要する事態だったから。そして、そもそも先刻からいまさら腹の内を隠す理由がないためだ。

SYSTEM :
 出迎えは幾度かあったが、一息ついた直後に来たのは…。
 “貴人の庭”の抑えに回り、直前までは従者を主に“マグナ=マーテル”の護衛につけていた男。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「何があったか? それよりも先に敢えて聞く。
 その女神の痛ましい容貌はどこの───」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「ああ。いや、結構。
 ここまで話して指で”いち”を数える者がいないなら、そのようなことだろうよ」

SYSTEM :
 彼は何があったかより先に聞くべき内容を、概ね、そこにいるだろう何某の顔で察したようだ。
 言い切ると、肩を竦めた。それで立ち去らないのは、確定していない事実がまだあるからだ。

ラーゼス :
 アレウスの機体の肩から、ふたりを乗せたまま降り立つ。
 獣の姿のまま首をもたげてカルロを見上げた。次いで、降りやすいよう体を屈める。

“七花胡” :
「……助かりました。お二人共」
 大小さまざまの古傷を覆い隠す、荘厳なばかりではない毛並みを掌に感じながら、屈められた巨躯より地面に足を付ける。
 同乗者であり、最も負傷が深いと思われる娘の体を支えながら。

夏瑞珂 :
「『ご乗車ありがとうございました』」

 空気を叩く、ありふれたアナウンス。

SYSTEM :
 もはやかたちをなぞる罵詈雑言も、気ままになり切れない言葉も響くことはない。
 唯一の救いは、言葉の代理人選びのセンスに彼女らしさが残っていることであった。

SYSTEM :
 具体的に言うと、車掌は彼女ではない。

マスター・ハーヴェスター :
 二名にガンドルフがマニュピレーターで返事をし、もう一名にはガンドルフのカメラアイが応対した。
 それっきりである。
 鎮座するPFからマスターエージェントは降りてこなかった。

“アセルス・デスミオス” :
 …? ……

“アセルス・デスミオス” :
 ああ、ご対面はNGね。

マスター・ハーヴェスター :
 これでも協定破りを抑えてやってるんだからありがたく思ってほしいがね。

“アセルス・デスミオス” :
 おっさんその辺りのセンチメンタルはノーコメね。発言権カネ(暗喩)かかるから。

“アセルス・デスミオス” :
「いやあ、参った参った。
 今度という今度はホントに死ぬかと思ったよ、おっさんもね」

“黄の希人”アーキル :
「だいたいそのようなことと思ってくれ。
 結論から言うが、黒鉄の狼“は”舞台を降りた…」

“黄の希人”アーキル :
「だがその後がちょっとばかり問題でな。
 整理のために掻い摘んで話すぞ」

夏瑞珂 :
支えられた体がつる~んと溶けるみたいに床へ落ちる。

“アイシャ” :
(二、三度指でつついてから持ち上げるしぐさ) 

夏瑞珂 :
その浮かない顔をちらと見上げる。

夏瑞珂 :
「『女神がお嘆き』『治してあげて』」

“七花胡” :
「言っときますが貴女の方が負傷の度合いは深かったんですよ」

“七花胡” :
「……“黄の希人”。話は手当と並行でもできるでしょう。負傷者の確認を“ながら”で」
 娘だけではない。“黄の希人”も、アイシャも、それに“隻獅子”も、“死滅天隕”も──こちらはどちらかというと「損傷」か?──、一戦交えた後ゆえに決して無傷ではなかろうとの判断だ。
 約一名降りる気配のないものもいるが、音声自体は拾えておろう。彼なりの一線と理解する。

夏瑞珂 :
どっと湧き上がる大勢の笑い声。

SYSTEM :
 肯く両名。
 カルロの視線ははじめから瑞珂に向いていたが、合理の提案が来ると”黄の希人”に視線が行く。

“黄の希人”アーキル :
「はいよ。“血色の探求”」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「不承不承に了承した。では、合間に話を聞かせてもらうとしよう」

SYSTEM :
 ………“血色の探求”向けというよりは、どちらかというと一部始終にたどり着く前のあなたたちに向けた事情解説も加味していた。

SYSTEM :
 ひとつ。“黒鉄の狼”に対して、“赤の鬼人”の忘れ形見を用いた瑞珂がその守りをはがしたが、しかしそれが決定打には至っていなかったこと。

SYSTEM :
 ふたつ…。その攻防の直後、“黒鉄の狼”の肉体を裂くように、推定、彼の取り込んだ遺産『ケラウノス』から雷が迸り、結果”レムス”が現れたこと。

SYSTEM :
 みっつ…。それに前後して、瑞珂自身にも同じ現象が発生したこと。あとは概ね見てきた通りだ。

ラーゼス :
『……遠目で見たときには、我が目を疑ったが』

ラーゼス :
「……遺産が“黒鉄の狼”の身を食い破り、己のものとした。
 そういった理解で、間違いはなかったようだな」
 獣の重い口が開き、女の声を零しながら、身が再度変態する。

夏瑞珂 :
        タテガミ
床に転がったまま長髪に手を伸ばす。

SYSTEM :
 やはりまことのかたちは彼方であられたか…などと、近場からの響き。閑話休題。

“七花胡” :
……一つ嘆息。心底仕方なさそうに、娘の体を抱き上げて適当な椅子に座らせる。
その手から“隻獅子”の一房がまろび落ちぬ範囲で。

ラーゼス :
「……。ギルドや遺産のことを、調べたおり……」

ラーゼス :
「『今の三つ巴の争いを、そもそも誰かが仕組んだ』ということを警告された。彼の言うとおりだ。
 振り返れば遺産が用意され、そして“黒鉄の狼”が現れたことすら……筋書きのうちだったのだろうな」

“黄の希人”アーキル :
「出所はともかくとして、事実を拾えばそうなる。事此処に至っちゃあな…」

“七花胡” :
「当人も否定しませんでしたしね」首を竦める

“黄の希人”アーキル :
「余所者の中にいた”縁”がヤツだったってわけだ。
 …そうガチガチに組んだ計画じゃあないだろうが、時間だけはずいぶん使ったと見える」

“黄の希人”アーキル :
       ・・・・・
「要はあいつ、でかい争いで“黒鉄の狼”が来れば良かったんだからな。
 …みごとに乗って相手の一人だ、骨折り損のくたびれ儲けさ。振り返って見りゃあ…」 

“黄の希人”アーキル :
「…みごとなまでにヤツの対処一辺倒に追われてな。不幸中の幸いはアレだ。
 こっちの手札は案外温存出来ていたこと。全体の色は俺らに風向きがまだあったってトコだが…」

SYSTEM :
 なにしろ有力幹部はともかく、周りはこの若人を半歩脱した男に靡いたオーヴァードたちだ。ローマの現状を二分するとして、半分は、間違いなく彼とそこに与する人間だった。

 対“黒鉄の狼”の打算の恩恵である。それはいい。
 問題は…。

“黄の希人”アーキル :
「第一に、猶予はどのくらいあるのか」

“黄の希人”アーキル :
「第二に、例のふざけた目論見聞いて、“貴人の庭”はどうするのか、一抜けキメた“リグ・ヒンサー”の余りはどうするのか。

 要はドンパチかますとして、どこがあんたらと俺の敵認定するのか…」

SYSTEM :
 猶予については、目測でそこまで長くはない。ない、が…。
 気にかかる発言ならば、他でもないレムス本人の誇示に近しい一言があったはずだ。

夏瑞珂 :
「『どうします?』『どうします?』『どうします?』『どうします?』『どうします?』……」

 人切り包丁の声がくり返される。

“黄の希人”アーキル :
「………第三は任意な。いや、こいつ第一でもいいんだが」

SYSTEM :
 遠回しながら”手を焼く”承知で頭を抱えたそうな宣言であった。

ガンドルフ :
≪どちらも殺す。"貴人の庭"はそうするだろうよ≫

“七花胡” :
「レムスとしても。そして我々としても。でしょう」それは。

ガンドルフ :
≪結局のところやる事は誰も変わらんよ。余りの方は知らんが≫

“黄の希人”アーキル :
「興味ある第二の方から先に片づけてくれてありがとうよ」

夏瑞珂 :
「『アリガトー』」Mr・Aの陽気な声

“黄の希人”アーキル :

“黄の希人”アーキル :
「思った以上に話聞いてんな瑞珂
 わりと半分は狸寝入りだったのか?」

“黄の希人”アーキル :
「………まったく、ここで分かってもな」

ガンドルフ :
《実際のところ、余りがどう動くかは勘定に乗せられん。
 金が全てのやつもいれば、そうでないやつもいる。
 ギルドのゴミ共にしたって、負け犬クンの宣言を聞いてそのままリンボに一緒に行ってやるほどの肚があるとは思えん》

“七花胡” :
「せっかく言及が合ったので便乗してご報告です。
 “帝釈天”に関しては、結論から言えば懸念の必要はありません。此方への協力を取り付けました」
 何を対価に差し出したかについては、あえて口にしない。

夏瑞珂 :
「『減価償却しないとですから』」あいだに挟まる狸寝入りのアンサー

“黄の希人”アーキル :
「何をだよ…つーかコトバの意味わかって言ってねえよな?」

“七花胡” :
自分の声が他方から返ってくるっていうのも何か落ち着かないな…… まあいいが

夏瑞珂 :
「『知らんもん』」

ガンドルフ :
《安値ではあったようだな。売りつけ品は》

ラーゼス :
「……“帝釈天”に?」
 気づかわしげな顔を向ける。さぞむしり取られたのでは、と推し量る。

“黄の希人”アーキル :
 思ったより元気だな 見ろアイシャ
 この様子なら何とか

“アイシャ” :
 なったにしていいの?

“黄の希人”アーキル :
 悪かったよ、話を戻すか

“七花胡” :
「……自分のこと、阿漕な取引を吹っ掛けられてやすやす『云』と頷く奴だとは、貴女も思ってないでしょう?」
 気遣わし気な目への大丈夫ですよ、のアンサー。

夏瑞珂 :
「『ただいまより、一番ゲートへの搭乗を開始いたします。ご案内まで、しばらくお待ちください』」

SYSTEM :
 “帝釈天”への協力の件について、仔細を知るのはあなただけだが。
 彼女にとって、ワイズマンが前言を翻すほどの価値があるかどうか。その答えは、平行線の中で十分にあった。

SYSTEM :
 …あなたが接触しようとしなかったのであれば、彼女は今頃“やる気をなくす”か、それとも。
 去り際に砂をかける程度の気分で向かい風になるか…の、どちらかだろう。

SYSTEM :
 ………それはいい。
 では、残る余りの方だ。

“黄の希人”アーキル :
「この際取引の内容はパスにするが、手は貸してくれると。助かるよ。
 今から丸ごと放り出してケリをつけに行くにしたって、あっちの残党まで相手にするとは思いたくない」

“黄の希人”アーキル :
「…もう片方が…」

SYSTEM :
【Check!】
 特別な判定が発生しました。

 判定内容:“グレイ・スコーピオ”の最終交渉
 使用判定:調達
  目標値:30

 備考:判定がすべて失敗した時、対象ユニットは「ギルド」に移動する
    夏瑞珂のみ目標値を[20]に設定し直す 

ラーゼス :
「ギルド、いやレムスや貴人の庭の動向はさて置くとして……」

ラーゼス :
「“帝釈天”が仮にでもこちらにつくのなら、残る機兵乗りの男がどのようにこの状況を見るか。
 それに関しては疑問の余地があるか……」

ガンドルフ :
《一つ確かなことだけはある》

ガンドルフ :
《金。それが釣り餌だ》

“黄の希人”アーキル :
「そりゃ清々しいことだ。目の前であからさまに“世の中変えます”宣言されてもか?」

ガンドルフ :
《恐らくな。元来……渡り鳥とはそういうものだ》

ガンドルフ :
《尤も当人の心の内までは分からん。だが金で釣る事はできる……物資調達や人員派遣ルートから接触を図るのが好ましいだろうな》

SYSTEM :
 その見立ては正しい。
  イデオロギー
 彼は主義に飽いている。
 たとえ世界を焼き尽くす嵐が訪れ、劫火が洗いざらいを焼き払ったとして、男がするのは火事場泥棒だ。

SYSTEM :
 ………正しいが。
 生粋の悪党が言った話は、また異なる。

ラーゼス :
判定を行う。……望み薄なのだがな

ラーゼス :
3dx+1 (3DX10+1) > 8[7,7,8]+1 > 9

夏瑞珂 :
「『イデオロギーないかんねー』」

ラーゼス :
(1点しかないお小遣いを見つめ やや眉が下がる…)

ガンドルフ :
「………」

 ふと思い返す。
 ボスが魔狼に喰われかけた時、今壊れたラジオになりかけてるこの女の縁がそこに居たこと。
 全てがあの負け犬野郎の仕込みによっていたのであれば、そこで居合わせたのは偶然か?
 あるいは。
 
 運命という言葉が、どれだけ細く、脆くなろうとも断ち切ることのできない縁のようなものであるとしたら。

ガンドルフ :
「(やはり、台風の目は──コイツなんだろうな)」

 どこにベットするかはもう決まった。
 ガンドルフの内部コンピュータを弄り、調達に使用していたルートを割り出す。

ガンドルフ :
判定を振る。ヴィークルに搭乗したままとしたい……《ハイペリオン》は適用されるか?

GM :
描写上PFに載っている状態なので是としましょう  
というか…

GM :
シーン続きなので仮に乗っていなくても大丈夫です そのままどうぞ!

ガンドルフ :
(1+2)dx+5 <調達> (3DX10+5) > 10[6,10,10]+7[4,7]+5 > 22

夏瑞珂 :
『援護の風』!

夏瑞珂 :
11dx (11DX10) > 8[1,3,3,4,4,4,5,5,8,8,8] > 8

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
 タマナシ
『不能』!

ガンドルフ :
誰から覚えやがった。あの人斬りか。

GM :
乱暴な言葉遣いはやめましょう。▼ 

夏瑞珂 :
『そんなー』他称死体のなさけない声

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 107 → 109

“アセルス・デスミオス” :
そんなー(おてほん)

ガンドルフ :
覚えるならルーにしておけ……で、どうする。

“七花胡” :
【天秤を傾ける】

マイナー
 アカリヤザガマの天秤(レインボウファイアル)使用

次に使用するソラリスのEの侵蝕値に-1する
複数組み合わせた場合、全てに適用
1S1回

“七花胡” :
【液肥を注ぐ】

オート
 夢の雫

達成値+8

対象:単体(“死滅天隕”)
射程:視界
侵蝕:2

1R1回

“七花胡” :
これで、“死滅天隕”の判定を成功に。可能ですか?

GM :
良いでしょう………

“七花胡” :
感謝します。では、支払いを済ませますね。

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 81 → 83

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

“七花胡” :
「……“死滅天隕”。今、其方にデータを送りました。ご確認を」
 いつの間にか手元で弄っていた端末から目を上げ、機体の方を見上げる。

“七花胡” :
                    ・・・・
「此方に来てからコツコツ手を広げていた、金に緩いルートです。
 いつでも動かせるようにはしてありますので、よしなにしてください」

“七花胡” :
「何。この分の御代は請求書に乗せておきますので、ご心配なく♡」

ガンドルフ :
《助かるね》

夏瑞珂 :
(Mr・Aのエンジン音の声真似が流れる)

SYSTEM :
 あちらが足元をどの程度見て、どのような形でその仕事を受諾するかは別の問題だが。
 オーヴァードひとりの命の値段として見積もるには十分な金額だ。

 交渉は滞りなく終わるだろう。
 ただ一点を除いて。

SYSTEM :
 …その一点については今明らかになることではないし。ましてや、それでご破算になるようなことでもない。

ガンドルフ :
《……問題はなさそうだな。
 金額も妥当、この件に関しては後はあちらさんの反応次第だ……》

SYSTEM :
 なにしろ世界の分水嶺で命をただ故ひとつで奮い立たせるのは、あなたたちの領分ではない。
 いや、厳密にいえば“あなたの”かもしれないが。

SYSTEM :
 ………ギルドにその伝手があったとしても、つい先日、その筋の役割は手ひどく叩きのめしたばかりである。
 後顧の憂いのうち、残るは二つ。だが、これも既に推察が済んでいる。その補強だけだ。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「過程の会議になったなら、これで私は失礼するがね」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「最後に置き土産だ。
 “貴人の庭”にとって、パラティヌスの建造物は甘い餌であっても巣穴ではないらしいね」

“黄の希人”アーキル :
「ああ。それなら…決着を“そこ”でつけようとすりゃ、必然乱戦だ。
 言い方変えると、“今度こそ”遺産争奪戦が始まる」 

夏瑞珂 :
「『そっかあ よくないねえ』」

“黄の希人”アーキル :
「………良くないだろ? 一番良くないのはこっちが強行軍なことだ。
 目の敵にしているほうは絶対にこっちだからな」

 主にいま置き土産ブチ込んだほうのせいで。

“黄の希人”アーキル :
「動かれる前に連中とケリつけてもいいけどな。その場合は長丁場だぜ」

SYSTEM :
 ………ひとしきり話したところで、本当に“過程の会議”となれば察しがついているからか、カルロは足早にそこを去った。

SYSTEM :
 いや、去ろうとした、だ。

SYSTEM :
 ………去り際。
 からの楽器の横をすれ違う。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「盟主殿すら言わんので、私が言うんだがね。
 ああ、礼には及ばんぞ。極僅か…塵程度には、所以がある」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「貴君は遥けき森の王を穢した」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「貴君は女神の慈愛を穢した」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「…この上貴君の故をどれだけ自身で嘲ろうと…まあ、それは構いはしない、が」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「───地を這う気がついに失せたか知らないが。 
 それで、貴君の運命が楽に幕を引かせてくれるとは思わんことだ」

SYSTEM :
 すれ違いざまの。
 すれ違う距離でしかない女への、嘲りにも満たない戯言である。

“アイシャ” :
 エ ノ ク
「“血色の探求”」

SYSTEM :
 男は答えなかった。
 
 要は罪をなじる一言に近しいその言葉、彼のいう“塵程度の所以”がどこにあるかは本人すら述べる兆しはなかった。
 あるいは───。

SYSTEM :
 あるいは、そう。
 ・・・・・・・
 楽ではないことの心当たりでもあったのかもしれない。

夏瑞珂 :
 すれ違っていく背を、追う視線で見送る。とうに塞がった胸の奥で、残骸が仮初の熱を帯びる──そんな錯覚。

夏瑞珂 :
「『助かるね。その気はない』」

 いつかどこかで、戯言のあるじが口にした言葉が響いた。わたしのものではない言葉が、からからとから回る。

“七花胡” :
「(……自分の妻と娘にも、彼。『あの程度の』関心はあったのでしょうかね)」
 あったところで、それが良い影響を齎すかと問われれば……
 娘の方の性格を慮る限り、「無くて良かった」と回答しよう。

SYSTEM :
 “あった”だ。
 それは、その背を鼻で笑った驢馬の、どこか郷愁めいた色が教えてくれている。

SYSTEM :
 今はもうない。そして、そうでなかった時期は余りにも短い。
 音又めいた返し歌。“苦しんで責任をとれ”に等しい冷徹な言葉のナイフはしょせん錯覚だ。

SYSTEM :
 …彼自身の業に対して何を思っているのか。以前伝えた程度には、あってはならないほどにフラットであり、決定的な区別があったが。それは別の話だ。

 すぐさま話が変わる。“黄の希人”にとっても、何となく察せる出来事ではあったらしい。

ラーゼス :
(それとなく外套の穢れを確認する)

マスター・ハーヴェスター :
「(クッ……クククク……ぬけぬけと言いやがる。
テメェも楽に幕を引けると思うなよ……全て終わったら貴様の番だ……!!)」

 コクピットの中でしきりに腕を抑える。
 最後の最後までアームレイカーに指をかけていたのを自制した。

 心中でそれだけ口にしたのち、AIDAを通じて自身の精神に干渉をかけ……活性をオフにする。

夏瑞珂 :
「『BATTERY LOW』」マントをくいくいする横で流暢な音声

ガンドルフ :
《……チ、スピーカーになっただけでやる事は変わらねえのかお前は》

ラーゼス :
「……たわむれはよせ」

ラーゼス :
「貴公のそれが、貴公にとって必要なことなら、これ以上は言わぬ」

SYSTEM :
 ………あるいはこれを契機に破綻したのではない。時の止まった瞬間から、その気を引くような戯れこそが自衛なのやもしれなかった。

SYSTEM :
 余談ながらあなたの受け持った中にこれほどの“問題児”がいたかと言われると怪しいところである。
 別の方向の問題児ならば、過半数を越えるのにも関わらず。

夏瑞珂 :
「『お後がよろしいようで何より』」

“七花胡” :
「“黄の希人”は、第三を第一にしても良い……と言いましたが」

“七花胡” :
「これは……第一第二とは、別軸の話として切り分けたほうがよいでしょう。
 我々にできることがない、とまでは言いません」

“七花胡” :
「……ですが、このまま停滞することも、此処から何処かに行くかも、彼女自身でしか選べないのです。
 彼女自身が選ぶべきだ」

“七花胡” :
「我々がそれを『第一』に置くのは、自己満足の域を出ないでしょうから。
 『好きなようにさせる』────今まで通りで良いと思いますよ」

“七花胡” :
 獅子の彼女が、自身の髪や外套を弄ぶ指先を好きなようにはさせても、手ずから握らせようとはしないように。
 堅い機体に閉じこもったままの彼とて、口で言いはしても、そのままの彼女を弾丸として認めたように。だ。

マスター・ハーヴェスター :
「(──ハッ、人が出来すぎだ)」

“黄の希人”アーキル :
「…仰る通りかもしれんがね」 

ガンドルフ :
《そうは言ってもそれを待っている余裕がどれだけあるのか、そう言いたいんじゃないのか》

“黄の希人”アーキル :
「…そうさ、そりゃ…目の前に道が見えていたらの話さ。
 道を見る気があるかの話だ」

“黄の希人”アーキル :
「奈落に落下していく時に選べる道なんて一つで。FHが自分の理由で自己満足やって悪いこともない。
 ………少なくとも俺は利害の話もしてんだぜ? せっかく風の一つが吹き込んだんだからな」

“黄の希人”アーキル :
 というか…あんたもハナから思っていたが人の面倒見はいいよな。いい先輩でもいたのか?

ガンドルフ :
《銀の弾丸から祝福儀礼が失われ、只のなまくらになるならそれまでだが……どうもそうじゃないみたいだからな》

“七花胡” :
「ええ。個人の満足まで妨げるつもりはありませんよ。
 与える肥料が変われば、育たなかったものが育つことだって、十分ありえるでしょうから」

“七花胡” :
「あくまでも勢力、同盟として鑑みるなら。という前提の具申です。
 実際、現状にどれだけの猶予があるか……其方次第ですからね」

“七花胡” :
 世話の仕方については……良い先輩というか……反面教師ならいる。といったところですね。
 まあ、ある意味手本か。

“黄の希人”アーキル :
「揃いも揃って。
 こっちは遺産の皮算用なんざしたもんだから、帳尻合わせに大変なんだぜ?」 

“黄の希人”アーキル :
「…ま、そんなら理屈の話からするか。
 猶予のほうだ。いいかい」

夏瑞珂 :
「『出来ない相談だよ!』」

“黄の希人”アーキル :
「わかるぞ とりあえず“ヤ”くらいで言ったよな?」

夏瑞珂 :
「『ご清聴』『アリガトー』」

“黄の希人”アーキル :
アーキルは額に手を当てた。▼ 

“黄の希人”アーキル :
…いいんだよな? いいな? 戻すぞ?

“七花胡” :
聞く前に戻しましょうよ 貴方も大概律儀ですね……

“黄の希人”アーキル :
そうしたいのは山々なんだが
いや 言い訳になっちまうし粛々とやろう

“黄の希人”アーキル :
 ワケ
「理由は本人がベラベラ喋ってくれたが…」

“黄の希人”アーキル :
「万全ならゼロの猶予も、今回は幾許か猶予がある。
         ・・・・・・・・・
 よく言うだろ? 遺産は人を狂わせる。代償の話さ」

“黄の希人”アーキル :
       ケラウノス
「元々あいつ、“雷神の槌”の最大効果でそれをやろうとしてたんだ。
 その反動を受け止めるための肉体として必要なのが”黒鉄の狼”だ。ところが………」

SYSTEM :
 もともと追い詰めてもらう算段だった以上、それは彼の語る通り誤差の範囲で、些事に過ぎない。事実、それを承知の上で諸共薙ぎ払おうとしていたからだ。

 赤の鬼人の命の名残ではがれた鱗までは、想定でなかった。
 文字通り、それに耐え得る肉体に不備がある状態なのだ。

“黄の希人”アーキル :
「そこまで長くはないが、短くもない。
 やつは逆に言えば、粛々とキズを直して、今も広がる自前の“城”に火を入れて………。
 
 思惑を達成するウイニングラン気分ってトコだ」

SYSTEM :
【8-1:デウスエクスマキナチャート】
 本シナリオの進行そのものが下記のいずれか、もしくは諸事情で困難になった場合、シナリオクラフトルール同様の「デウスエクスマキナチャート」を展開します。

・全ての勢力の勢力値が[0]となり、尚且つ“黒鉄の狼”が決戦で撃破不可能な状態にある
・フェーズ2から数えて「5」ラウンド経過  

SYSTEM :
1:“叛逆の聖人”アルフレッド・J・コードウェルによる『マスターレイス』総力介入が発生
2:ヨシュア・ランカスターおよび“天衝華山”謝雲竜、また“帝釈天”による総力介入が発生
3:“プランナー”都築京香による総力介入が発生、事件の黒幕は殺害される。ただし…?
4:“レムス”による三大セルリーダーの殺害が成立し、その後『破壊神顕現』が成立する
 ステージとしては何らかの致命的代償を支払い継続されるが、のちに『ケラウノス』に関する『Adレネゲイド』が発生する
5:彼の持つ『破壊神顕現』でローマ以外は消滅し『レムリア』に再構築されかけたが、何らかの理由、上記いずれか(あるいはすべて)で阻止された
 ただし、この時起きたレネゲイドの波濤が地球外の“ある存在”を呼びつけて破滅的な『Adレネゲイド』が発生する
6:突然現れた“狩猟者”伊庭宗一と“レムス”による他力本願いい空気エンドが発生 二人は星になる

ガンドルフ :
《ハァ……今から急ピッチで敵全員叩き潰せってか。ま、"赤の鬼人"の悪あがきで首の皮一枚繋がったということかね……》

ラーゼス :
「………そう長くはないな」

ラーゼス :
 眉を寄せる。
 結局のところ、やることそのものは大きく変わらない。
 変わりはしないが……。万が一のことが起きた場合、それはもうこの街のみで収まる話ではない。

“七花胡” :
「元々の“雷神の槌”の代償を思えば、長持ちするものではないと考えられたでしょうが……。
 それも通常の契約者の話です。レムスに対して期待は持てないでしょう」

“七花胡” :
「元より、自滅するような雑なプランなど組んではいますまい。
 あれはこのローマだけでなく、他の領域を……」

“七花胡” :
「他国の領土までをも侵そうとする侵略者です。
 犯行声明はとっくに。赦す余地は端からありませんが、事を構えようとした瞬間……
 “貴人の庭”が、矛を向けてくるでしょうね」

“七花胡” :
 自分がここで始末に失敗したとなれば、あるいは師や邸下が介入する可能性もある。師の使命を考えればなおさらだ。
 であれば最悪でも、自分の庭は永らえようが……

 永らえる“だけ”だ。
 守るものはいなくなる。それもまた、同様に赦せないことだった。

夏瑞珂 :
 更地──
 それは何もかも吹き飛ばしたあとの、無謬の荒野だ。

「…… ……」

 椅子の上で抱えた両膝に、頬を埋める。

夏瑞珂 :
 怒りも憎悪も、"黒鉄の狼"を焼くために使うと決めた。他人に回す余裕なんて許さない。

夏瑞珂 :
 ……しかし。
 そうなると、それを仕組んでいた相手にはどんな感情をぶつければいいのだろう?
 次の問題は、一番初めの憎悪を上回る激情が、はたして自分の中にあるかどうか。

夏瑞珂 :
 遡ればきりはなく、行き着くはてにあるのは逃れようのない自責だけだ。

夏瑞珂 :
 わたしは、戦えるのだろうか。世界を背にして──

 この身を突きうごかす衝動もないまま。

 そうする他ないという理由だけで。

“黄の希人”アーキル :
「ああ。急ピッチで片端から、あるいは…。
 血みどろの乱戦に“青の貴人”とその番犬を引き摺り出すか、だ」 

夏瑞珂 :
「『三者面談などしてはたまらん』」

ガンドルフ :
《そうだろうな、貴様はどちらがいい? チッ……》

“黄の希人”アーキル :
「…ギルドに余力ナシ、”リグ・ヒンサー”の主力だった奴らは背中を狙い撃つ理由も除ける。
 
 だったら、後は得意分野か…整理できない気分の問題だ」

“黄の希人”アーキル :
「この状況で尚も“青の貴人”を殴りに行くことは出来るだろうさ。むしろ今こそが手薄かもしれん。
 …逆も然りだ。あっちに勝つ気と目的を果たす気があるなら…」

SYSTEM :
【Check!】
 “レムス”の出現に伴い、
 メインプロセスにおける可能な行動が下記の通り変化しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 内容は以下の通りとなります。

1:FH主要幹部への攻撃
2:ローマ諸勢力への攻撃/支援
3:“血戦”を行う
4:セットアップで可能な行動


SYSTEM :
【Check!】
2:ローマ諸勢力への攻撃/支援

 任意の判定(肉体or運転<任意>/感覚or知覚/精神or知識<任意>/社会or情報)を用いて、指定した勢力へ攻撃を行います。
 レムスが作り出した『レムリア』は「3」のみで攻撃でき、逆にあちらからの干渉も「3」の内部でのみ行われるとお考え下さい。 

SYSTEM :

SYSTEM :
【Check!】
3:“血戦”を行う
 自動的に「クライマックスフェイズ/Fortes fortuna adjuvat-踏破すべきもの」が開始されます。
 クライマックスは「FS判定」およびクライマックス戦闘で行われます。

 この時、残存しているすべてのNPCは、友好常態かそうでないかを確認し、友好でないキャラクターはそれぞれの判断に沿って行動を行います。
 行動時、敵対するキャラクターがいる場合、FS判定の内容や目標値、一部の進行度イベントに変化が生じます。 

SYSTEM :
※『基本内容』は情報タブに記載されます。

SYSTEM :
【Check!】
 “レムス”の出現に伴い、特定のNPC(セルリーダー)への攻撃条件が撤廃されます。

 ただし攻撃を行った場合、専用のFSシーンが発生し、同時に「その時点で生存しているすべての同じ勢力のユニット」がFSシーン後の戦闘に参加します。 

夏瑞珂 :
「『片付けるのはおれなんだぞ!』」

 若い男の声が大気を打つ。すこし困ったような、だけど優しい声。

夏瑞珂 :
 面を上げ、全員を見る。淡く笑み、ちいさく深呼吸。

「『それが得意でそれしか出来ません』」

 銀の弾丸に、どれほどの役割が残っているかは知らない。他に使い道があるのかさえ。

夏瑞珂 :
 ただ──

 そう呼び続けて、そのように取り扱って。
 ひとりでに撃ち放たれる出来損ないを拾いにきては、疵と汚れを拭い、手元に残しておいたことの意味を。

夏瑞珂 :
 されたほうが忘れる道理は、まあ、ないのだ。

夏瑞珂 :
「『最後までご視聴いただき、ありがとうございました』」

 椅子を蹴って、跳ねるように部屋を出る。どうせ帰り道なんて分からないけれど。

“七花胡” :
 貴人の庭を徹底的に焼き払うことは確約事項だ。一人一人か、まとめてか、その違いでしかない。
          今の雇用主
 まあ、そこはそれ、“死滅天隕”の意向もあろう。決めねばならないとして……。

“七花胡” :
 ……沈黙の中にやにわに響いた声は、無論のこと彼女自身の声ではなかった。
 若い男のもの。彼女と同年代か、少し年上くらいと推察する。

 そこに籠められた響きの柔らかさ、ニュアンスは、すなわち鏡に映った彼女自身の記憶だ。
 差し向けた相手の未来が、これからもっと良くなることを無条件に期待するような。
 そういう言葉を、信頼を、夏瑞珂は受けてきたのだという、何よりの証明……。

“七花胡” :
 ……それを喪ってしまったのだという、欠落の証明でもある。
 今やぽっかりと空いた奈落の輪郭こそが、彼女の心を繋ぎ止めている。
 その輪郭が、先の出来事で致命的なまでに広がってしまった。

“七花胡” :
 その致命傷を、繋ぎ止めているのもまた、彼女の中の『彼』の記憶なのだろう。
 どれだけのものを奪われようと、彼女の手の中に「在った」という事実だけは、誰にも奪われやしない。

 それを奪える────捨てられるのは、唯一、彼女自身だけだ。
 何もかもの選択さえ……楽器のように奏でる言葉の選択さえ止めてしまったら、それが多分、限界だろうと。

“七花胡” :
「(……まだ壊れ切ってはいない)」

“七花胡” :
 最後の最後まで、どんな些細なものであろうと、選択することを止めない限りは。
 何処からでも這い上がれる。いくら醜かろうと継ぎ直せる。畜生だって生き抜ける。
 だから『いつも通り』だ。面倒を見るのも始末を付けるのも、自己満足の範疇を出なくていい。

“七花胡” :
「……さて」

“七花胡” :
「散歩の気が済んだところで、迎えに行ってやりましょう。
 どうせ帰り道も見ぬままなのですから……」

ラーゼス :
「………ああ。………」

ラーゼス :
「……ある意味で、だが……」

ラーゼス :
「あの娘にとっては、いちど立ち止まる、よい機会だったのかも知れぬ。
 それに次の戦には、あの力も必要であろう……」

マスター・ハーヴェスター :
「まァ……」

マスター・ハーヴェスター :
「頭数が減るのは、困る」

SYSTEM :
 あなたの言いたい放題に、貌のない彼がいたならば、自分が言う限りは茶化していたに違いない。具体的には…。

“Mr・A” :

“面倒見るのはサイゴまでというわけだね
 迂闊な飼い方をすると次のヤツが学習しちゃうから!”

“Mr・A” :

“ハ ハ ハ !”

SYSTEM :

 このように。
 ………立ち止まったことで二度と熱を起こせなくなるのか、それとも。
 わかることだけを語るならば二つだ。ひとつは、それこそレムスだろうと、“貴人の庭”だろうと、彼女を放つ銃を置いていくことはできないこと。

SYSTEM :

 もうひとつは…。

“黄の希人”アーキル :
「ああ、御尤もなんだが…アイシャ。迎え行ってやってくれ。
 最悪“迷う”じゃ済まんだろう、ここ」

“アイシャ” :
「…」

“アイシャ” :
「…。ん。どこにいるかは分かるわ。
 彼の仕打ちの分くらいは、返せたらいいな」

SYSTEM :
 すく、と足を上げて、小走りで部屋を走り去っていく。
 ………“開放者”たちの居城にはある特徴があり、それを以て彼らは今日まで間隙を縫い続けてきた。

SYSTEM :
 しかしその作りは裏を返せば、ある点において致命的に不便な特徴を持っていることでもあったという。
 アーキルは彼女を見送りながら、やれやれ、とぼやいた。

“黄の希人”アーキル :
「シゴトの続きだ。遺産の話は、どうも揃って“ふい”になりそうだが」

“黄の希人”アーキル :
「…落とし前は付けてやらんとな」

マスター・ハーヴェスター :
「…………クッ!
 踏み躙るだけでは許さんくらいでちょうどいい……」

“黄の希人”アーキル :
「それなら、やり方の度合いはよく学ばせてもらうとするぜ」

“七花胡” :
 ……小走りで去っていった女神の背中を、目の端で追った後。

“七花胡” :
「迎えを彼女に任せてしまいましたね」

“七花胡” :
「実際、自分たちが出ても迷うだけになりそうですが。
 何か特殊な仕掛けでも?」

“黄の希人”アーキル :
「ああ、それか。
 いい加減突っ込まれるかとも思った…というか、分かってて腹を明かしたんだが」

“黄の希人”アーキル :
「なんてことはないさ。そら、見てみな」

SYSTEM :
 アーキルが同じように部屋を出る。
 ゲートの直通となっている区画から外れ、外を一望できる場所となれば…。
 
 要である“女神”が、およそエンジェルハイロゥとオルクス、領域を隔て、隠し、溶け込ませる両シンドロームの複合体であることを理解っているならば…。すぐに、わかる。

SYSTEM :
 そもそも…ローマを決定的に二分する両勢力がいる中、“御手翳す開放者”の拠点というのは。

 ──────いや、そもそも。
               ・・・・・・
 黒鉄の狼との交戦の折、なぜ、どこからでもアイシャとカルロが助勢出来たのか?

SYSTEM :
 答えはこれだ。

 アーキルが部屋を出た先。少し歩いて見えた、古こけた回廊の先には…。

SYSTEM :

 ──────空。

 ──────下にはローマの街並み。

“黄の希人”アーキル :

「こういうことだよ。
 ゼノスじゃ”そいつ”専用の空間をマヨヒガだとかいうんだが…」

“黄の希人”アーキル :

「うちのは特別だ。
   マグナ=マーテル
 だいたい地母神なんて信仰借りたレネゲイドが、神殿の一つや二つ持っていないと思うか?」

SYSTEM :
 回答はこうだ。

 光子制御による外部からの索敵阻害と、オルクスの領域による物質的範囲の制御。
 彼らの拠点はローマのどこかに根付くのではない。“空”だ。それで“リグ・ヒンサー”の追撃も、“貴人の庭”のオルクスの射程圏もかわしてきた。

SYSTEM :
 …そんなだから、外の風景に、形を変じ始めた新たなる都/レムリアの影もすぐに見える。

 見せるのを渋っていたのは単に、これで正真正銘、要が“誰”なのかを教えるも同然だから。見せた理由は再三述べた通りだ。

“黄の希人”アーキル :
「オーヴァードの世じゃ、
..ダブルクロス
 裏切りは常だって言う。やられたって恨まないし、やり返すのも常だ」

“黄の希人”アーキル :
  ..           ユメ
「…この状況でお互い、自分の野望は裏切らんでおきたいもんだよな?」

SYSTEM :
 すべきこと、望むこと、出来ること。

 少なくともアーキルにとってあなたたちは必要な”同盟相手”で。
 それはお互いの意味で通じるだろうと理解っていて。
              ユメ
 仮に別たれるとしても、誰の野望が一番邪魔かは共通しているだろうと宣誓するための行いでもあった。

“七花胡” :
「! “空”……!」

“七花胡” :
 彼の後を追うように覗き込んだ先に、広がるローマの都。
 『レムリア』の侵蝕を受けながらも、未だ壮麗に広がる歴史ある街並みを見下ろすそれは、まさしく雲上の眼差しだった。

“七花胡” :
「“リグ・ヒンサー”と“貴人の庭”の二大セルの狭間で、よくもまあ新興セルを育てたものだとは思いましたが……天空宮殿だったとは」

“七花胡” :
 そして、彼らにとってアイシャの重要性を事細かに説明するにも等しいマヨヒガの仕組みを明かしたということは……。

“七花胡” :
「意外と石橋を叩きますね。
 今更そういう風に捻じ込まなくたって、既に握手は済ませてるでしょうに」

“七花胡” :
「誰が最も邪魔かは歴然です。誰にとっても、あの時代遅れの王さま気取りがいちばん目障りだ。
 それに……」

“七花胡” :
「貴方の言う、『彼ら』との共存……。関心が全くないと言えば、嘘になる」

“七花胡” :
「貴方の採る方法が自分の庭を害すものでない限り、ある程度は目を瞑っておいて差し上げますよ。
 何にもね」

 アーキルという男を此処に寄越した、円卓の女王に対しても、同様に。
 という言葉は、風に流すままだ。

“七花胡” :
 というか あの娘本当に“ここ”を散歩に行ったのか?
 本当に? ……

SYSTEM :
 なお…概ね“それ”こそ、アーキルが時を待たずに持ち主を送り迎えに遣わした理由である。

“黄の希人”アーキル :
「はは。権謀術数と付き合ってやってきた男なんでね。
 やけに高い貸しを売ってきた男と、そいつが是とした奴の勘定が分かってなかったのさ」

“黄の希人”アーキル :
「…それにだ。やってくる明日の備えはいつだってしなくちゃなんない。
 
 嵐だろうと神だろうと、もしも違う星からやってきた生き物だろうとだ」

“黄の希人”アーキル :
「そのためにも、昨日の王様には素早くご退場願うさ。
 お嬢さん…瑞珂にも言ったが、あんたにだって同じことを言うよ。“七花胡”」

“黄の希人”アーキル :
「躊躇わず利用してくれ。
 同じことを俺もする。
           ユメ
 理屈屋のあんたの語る楽園のためにな」

“七花胡” :
「そうですね。心置きなく利用し合いましょう」

“七花胡” :
          ユ メ
「御互い、心置きなく未来図を描けるように」

SYSTEM :

 明日を語り、それに応じたものは、どちらも揃って羅馬に流れた刻のすべてを知らない。現在も過去も未来も。
 だが、お互い流れるべき場所と根付くべき場所を知っていた。その拓けた視野の使い方を。

SYSTEM :

 その彼らの欲し望むものは、世界すべてを呑み込むような大望でなかったが。
 地母神の信仰を基底とした空の居城の宣誓において、確かなのは一つだ。

 誰の欲望も、かたちはどうあれ芽吹く場所は今日のこのローマ/世界から続く先であり…。

SYSTEM :

 FHの利点は。

 御呼びでなければ神も仏も遍く全て、それの語る理屈がなんだろうと。
 ───相容れねば、ねじ伏せて構わないものである点だった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

ラーゼス :
ない。

夏瑞珂 :
『ない。』

マスター・ハーヴェスター :
……そろそろだろうな。

GM :
…ふむ?

マスター・ハーヴェスター :
"青の貴人"に取得する。P○純愛/悔悟だ。

GM :
………良いでしょう。

GM :
キャラシートに記載をお願いします。

マスター・ハーヴェスター :
ああ、これで全て埋まった。

“七花胡” :
自分は特にありません。

マスター・ハーヴェスター :
……そうだ、それと一ついいか?

GM :
両者ともに確認しました。それで…。

GM :
もうひとつとは?

マスター・ハーヴェスター :
先ほど取得した青の貴人へのロイス、Sロイスに指定したい。

GM :
………………

GM :
いいでしょう。

マスター・ハーヴェスター :
すまんな。それで頼む。

GM :
どうぞ望むままに。記入は行いましたか?

マスター・ハーヴェスター :
ああ。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・シーン19「Dovere del guerriero-静寂のムコウ」

SYSTEM :
【シーン:Dovere del guerriero-静寂のムコウ】

 登場PC:夏瑞珂
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 
 衝動:自傷
 死神に嫌われた俺は、死神の振り向く時を待っている。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
レイヴン
 渡り鳥を繋ぎ止める所以はひとつだけ。

 金の切れ目が縁の切れ目であり、
 値段のない戦いを彼らはしない。

SYSTEM :

 ………戦場を渡り歩いたアレウスの感性は、内心はどうあれ男がその前提に忠実な“ハゲタカ”であることを知っていた。
 人を撃ち殺すための理由に、正義やイデオロギーを求めることは決してない。

 つまり、たとえ世界が滅ぼうとも。
 命を高く買った者のために人を撃つことを躊躇しないと。

SYSTEM :

 …逆に言えば…。

 買い方を知っているならば、男は裏表のない兵士だった。そのはずだった。
 事実、交渉に彼は応じたが、ひとつ“おかしな”注文があった。

“グレイ・スコーピオ” :

“引き受けた。一山幾らの命同士、派手に跡を鉄クズで濁すとしよう”

“グレイ・スコーピオ” :

”だが仕事の前に要求がある。
 不発弾は健在かね。使い潰したか?”

“グレイ・スコーピオ” :

“興味本位だ。生きていたらツラを見せてくれ”

SYSTEM :

 ………あまりにもおかしな要求だった。

 そして、その現場には…。
 きっかり居合わせたPFが一台。いや、万一を想定でもしたのかもう一台。
 傭兵にとって仕事の成立とは信頼の成立ではない。落ち合う現場とはまた別の意味を持つからだ。

PFパイロット :

〈二番機、高熱源体確認。PFは数1。
 識別よろし〉

“グレイ・スコーピオ” :

〈よし。回線回す〉

“グレイ・スコーピオ” :

〈───“グレイ・スコーピオ”より“ハーヴェスター”へ。
 機体コードと“積荷”の識別求む。オーバー〉

マスター・ハーヴェスター :
<───こちら"マスター・ハーヴェスター"。
 こちらの機体コードは"G-ドルフ"、識別番号GD-075。
 積荷は"エージェント"一人、オーバー>

“グレイ・スコーピオ” :

〈機体コード受信完了。
 其方も確認されたし。………〉

SYSTEM :

 送られてきた機体コード。
 積荷が外か内にいるのかはともかくとして、内にいるとしても、読み上げるか読み上げないかは自由だ。

SYSTEM :

 YMF-35A Blast Gale

SYSTEM :

 ………着地と同時に、対面する2機と1機。
 あるいは、1機と1人。

 後方の僚機は交渉に参加するためのものではない。武装のロックを解除していない(隙あらば可能な状態であっても)のが最低限のドレスコードだ。

“グレイ・スコーピオ” :

〈よう。ローマの色男。
 ついには一山幾らの傭兵まで口説くほど手すきになったか?〉

マスター・ハーヴェスター :
<大体そんなところだ。
 猫、いや烏の手もかりたい>

“グレイ・スコーピオ” :
〈ク、ク。近頃は餌場も目移りするほどある。
 品のない鳥だろうと、食いっぱぐれなくて有難い限りだがね〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈提示した報酬で締結しよう。
 形の違う出涸らしを殺すだけ。安い命にちょうどいい、安い任務だ〉

“グレイ・スコーピオ” :
...   アスラ
〈………“赤の鬼人”は払いも良かった。
 俺にとっちゃいい雇い主だったんだがね。まあ、そこは過ぎた話だ〉

マスター・ハーヴェスター :
<だろうな。
 やつは自前の部下にも払いのいい男だった>

マスター・ハーヴェスター :
<食いっぱぐれないで済んだろ>

“グレイ・スコーピオ” :
〈おかげ様でな。あの払いは生まれから手にカネが馴染まない人間だ〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈だが何よりいいところは選んだ戦場だった…〉

SYSTEM :
 雑音交じりの電子音声。肉声を伴うものではなかった。
 上機嫌に聞こえる声だが、あなたはよく知っている。
               ・
 その軽口のたたき方は、むしろ逆だ。

SYSTEM :
 ………ところで。

 エンジェルハイロゥは目が鋭い。
 あるいは耳か、あるいは、もはや五感ですらないカンのようなものが。
 それは人の色に、何らかの形で鋭敏さを示す。PF乗りのみならず、銃器を扱う超人兵士や、遠距離をスコープ越しに覗くスナイパーの役割を担うものが、おおかたエンジェルハイロゥである理由だ。

“グレイ・スコーピオ” :
〈知っているか色男?
 傭兵は戦場を択べず、だ。

 カネさえあればどこにでも行くんじゃない。
 カネをぶら下げられたらどこにでも行かなきゃならんのさ〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈………だから雇い主の“手切れ”を見抜くってのは大事なことでな…。
 え? そこのところ。どう思う、餓鬼〉

“グレイ・スコーピオ” :
       リサイクル
〈本当に捨てずに再利用されているとは、ああ。三度見ないと信じられなかったがね…〉

SYSTEM :
 ………酷薄に笑った男の感情の矛先。

 主に上機嫌では”ない”理由が、
 どこに向いていたのか。
 アレウスには、確実に、わかっている。

SYSTEM :
 ・・・・・・・
 あなたではないからだ。

マスター・ハーヴェスター :
 ああ、だろうな、と返事はなく。
 ただヘッドライトがモールス信号めいて"理解した"とだけ伝えた。

マスター・ハーヴェスター :
 薄々思っていた。
 運命とは──かくも残酷、されど切れぬ縁(よすが)である、と…………。

SYSTEM :
 モールス信号に応答が返ってくる。
 …言葉で切り返さないのは、女の返答を待っているからだ。

夏瑞珂 :
 ひょこ、と機体の頭部越しに顔を覗かせる。肩を足場に、そう快適ではない空の旅──のあと。鋼どうしのお喋りから、ふと矛先はこちらに向く。

夏瑞珂 :
 笑顔のかたちのまま、怪訝に眉がたわむ。酷薄なけはいの電子音声に、大気を叩く音が応じた。

夏瑞珂 :
「『えー素人質問で恐縮ですが』『それが悪いなんて話、』『誰が言える?』」

 男の声のパッチワーク。切り貼りされた声が、不自然な応答をかたちづくる。

夏瑞珂 :
           カネ
 ──ぶら下げられた活動資金につられて、風除けは壊れた。

 どうも何もない。それは覆しようのない事実で、事実を辿った先にいるのはわたしという原因だ。

夏瑞珂 :
 かなしみと苛立ちをまぎらわすように、爪先をかつかつと傷つくはずのない機体にぶつける。

“グレイ・スコーピオ” :
〈…ヘヘへ……〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈一度目はスコープで見た。二回目も同じだ。今が三度目。
 …だがおかしいな、そいつ、何の真似だ?〉

“グレイ・スコーピオ” :
.     ロメオ  
〈確認するが色男よ、弾丸に威力だけ求めたのかい?
 ───ああ、心配するな。今更キレイだキタナイだ言いやしねェよ〉

マスター・ハーヴェスター :
 ・・・
<そうだ。
     ・・・・・・
 そして、俺が見誤った>

マスター・ハーヴェスター :
<俺はあんたに……>

マスター・ハーヴェスター :
<詫びなきゃならねえか?>

“グレイ・スコーピオ” :
〈…ほォ〉

SYSTEM :
【Check!】
 “グレイ・スコーピオ”はあなたにイージーエフェクト『真相告白』の使用を試みました。

 ・“夏瑞珂”がジャームであるか否かの確認

 この要求を受け入れますか?
(※受け入れない場合“交渉”の対抗判定が発生します) 

マスター・ハーヴェスター :
……。

マスター・ハーヴェスター :
覗いてみろよ、鴉天狗。

マスター・ハーヴェスター :
対抗判定をしよう。受け入れない、だ。

“グレイ・スコーピオ” :
いい啖呵だ。

SYSTEM :
【Check!】
 “グレイ・スコーピオ”は下記のエフェクト発動を予告しました。

・『リバーサルショット』
・『勝利の女神』 

“グレイ・スコーピオ” :
6dx+16  (6DX10+16) > 7[3,4,5,6,7,7]+16 > 23

マスター・ハーヴェスター :
ハハハ!

マスター・ハーヴェスター :
(1+2)dx+2 <社会:交渉>/ハイペリオン (3DX10+2) > 10[1,9,10]+6[6]+2 > 18

“グレイ・スコーピオ” :
流石に叩き上げだ。そして。

“グレイ・スコーピオ” :
だから言ったのさ。
手合いはとにかく敵に回すと七面倒くさい。

マスター・ハーヴェスター :
負けたよ。そこまでか。

“グレイ・スコーピオ” :
どうだかね。じゃ、改めて聞くとしよう。

“グレイ・スコーピオ” :
その弾丸のザマはどういうワケだ?

マスター・ハーヴェスター :
まあ聞け、少なくとも不良品になっちゃいない。

マスター・ハーヴェスター :
弾頭の火薬も綺麗なまま、弾殻も頑丈なままだ。

マスター・ハーヴェスター :
ただ、今は……。

マスター・ハーヴェスター :
嵐の中で、星を探している最中なんだろうよ。
それが──アンタレスだったかもしれんがね。

“グレイ・スコーピオ” :
…ヘヘヘ………。そうかい。

“グレイ・スコーピオ” :
そのガードの硬さがどういうわけかは聞きやしねェ。しねェ、が…。

“グレイ・スコーピオ” :

〈あんた、死神には嫌われたらしいな。
 残念だよ。見立てが当たったことなんざ数える程度だが〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈嗚呼、けっこうだ。一仕事のあとの余計な手間は増やさんで済んだ。
ボランティア
 慈善事業には懲りているんだ。タチの悪いのがいたもんでね〉

マスター・ハーヴェスター :
<そいつは何よりだ。
 俺も人生最大の危機に直面してるモンでね、ここで羽撃ちって言うのは勘弁願いたい>

“グレイ・スコーピオ” :
〈ハッ。撒いた種の始末に忙しいとかか?〉

マスター・ハーヴェスター :
<クク、どちらかと言えば、お宝盗みってところかな>

夏瑞珂 :
 目下と彼方のやりとりに、ますます怪訝になる。

夏瑞珂 :
「『貴方の顔は、正面からより、裏からの方が映りが良さそうです』」

夏瑞珂 :
「『首がポーンって飛んじゃうからね』」

夏瑞珂 :
 つぎはぎの意味が伝わらずとも、罵倒とは肌で感じ取れるもの。要するに──

夏瑞珂 :
 ──とっととツラ見せろクソ野郎、だ。

“グレイ・スコーピオ” :
〈へッ…わかったよ…。ああ、わかった。
 じゃ…宝の正体については後日聞くとして、質問を変えよう〉

SYSTEM :
 鼻で笑う音。パッチワークの、中身の意味を詳しく知らない伽藍洞の罵倒を冷笑する響き。
 電子音声のノイズが何度か続いて、風の名を冠した古い鋼が携行火器を持ち上げた。

SYSTEM :

 …銀の弾丸は魔性を滅ぼす

SYSTEM :

 …銃は銃を知らない餓鬼から、殺しのハードルを引き下げたギネス記録

SYSTEM :
      ..つみ
 だが…滅ぼす害悪が銃口の先にしかないと…どこに保証があるものか

“グレイ・スコーピオ” :

〈………………〉

“グレイ・スコーピオ” :

 .    ・・・
〈──────おまえ。
 ・・・・・・・ ・・・・・・・・・・
 どの面を下げて、そこで生きていやがる〉

SYSTEM :


 聞き覚えのある肉声が、
 理解を前提にした諦観の音を零した。

SYSTEM :


 おまえを象ったものは本当に死んだのだな、と。
 詰るような言い方は、確実に別の他意を含んでいた。

SYSTEM :


 ………声には覚えがある。断じて顔を見せないが、彼はあなたに配慮するセンチメンタルなど生まれてこの方持ち合わせていなかった。
 確実に他責はこもっていたが、激怒すらなかった。

SYSTEM :

 ・
 彼は、アメリカのためにしか戦おうとしなかった男のはずだった。

夏瑞珂 :
「────────────」

 うそ、と。
 声をうしなった喉が、無音でひきつった。

夏瑞珂 :
 だって──だって。
 その、声は。あなたは。

 こんな場所で銃を手にしているはずは、なくて……。

夏瑞珂 :
「『ビリー』」

 わたしと彼が、いま最も聞きたくない男の声が、名を呼んだ。

 ビリー。ビリー・ウォーカー。

 口が悪くて、しんらつで、いびきが大きくて、誰かのために怒ってばかりいた──

夏瑞珂 :
 なじるような言い方のくせ、寂しく乾いた声。
 答えなんてそう求めてはいない、深い失意のけはい。

夏瑞珂 :
「『ごめんな』」

 俯いて、震える手で機体にしがみつく。

 分かってよ、と叫び出したかった。
 わたしも、わたしだって、わたしが、一番そう思ってる。

 死にたいと笑って、死にたくないと泣くのが、おなじくらい本当で、今だってどうしたらいいか分からない!

“グレイ・スコーピオ” :
〈ハハ…ハ………〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈誰に謝ってんだ…何を?
 言葉はイミが分かってから正しく使えって話が、ついに結びつかなかったらしい〉

SYSTEM :
 パッチワークが絞り出した短い言葉。
 そこに答える男の声は、二度に一度、あなたに対しては悪態だったし。
 見送りの時にも来なかった。来たのは前日だ。
 
 メッセージは来た。半年の間に三度。
 庭先の貸しを嘯いて上がり込んだことも。
 いい大人だったかは、想像にお任せする。

SYSTEM :
 しかし、何れにせよ…。
.                            レイヴン 
 戦いに値段をつけ、嵐の空のもとで平然と火事場泥棒に勤しむ渡り烏から、発される声ではなかった。

SYSTEM :
 彼の声は3年ぶり。しかし、加齢を詰っていたころよりも遥かに老いていた。
 肉体ではない。精神の方だ。失意はいまに始まったことではない。
 その矛先がめちゃくちゃに広がっていた。今のは答えを求めるための糾弾ではない。確定した事実を何度もなぞるような言葉だ。

SYSTEM :
 …さらに言えば。
 “グレイ・スコーピオ”の俗的な陽気の源泉もまた、その辟易を隠さない態度だった。

“グレイ・スコーピオ” :
〈クッ…クク………。
 知っているかよ、兵士の鉄則なんだ〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈いいヤツから先に死ぬ………〉

ガンドルフ :
 そうかもな、と言いたげにガンドルフのモノ・アイが上向きに動く。
 見ているのだろう、そこにいる者を。

SYSTEM :
 一度点灯するモノアイ。
 搭乗者の動きが見えたなら、肩をすくめて冷笑し、肯定したに違いない。

SYSTEM :
 ニホンで曰く、反対の言葉は。
 憎まれっ子ほど世に憚る、だ。

夏瑞珂 :
 あなただ。
 あなた以外の誰に、それを謝れる?

 生きていて、ごめんなさい。
 生き残ったのがわたしで、ごめんなさい──

夏瑞珂 :
 それは、それだけは。
 何があったって、自分の言葉で言わなくてはいけないのに。
 喉からは、ひゅうひゅうと空ろな音しかあがらない。

夏瑞珂 :
 途方に暮れて肩を落とす。

 ……ビリーなんて、だいきらいだ。わたしが言われたくないことばかり狙って口にする、いじわるなやつだ。

夏瑞珂 :
 でも……
 一度だって、わたしを蔑ろにはしなかった。

夏瑞珂 :
 減らず口も物言い変わらないくせ、三年越しのの声は錆びついたように寒々しい。疲れきって、ひどく乾いている。
 聞いていられないくらい悲しいのに、聳える鋼から目が離せなかった。いるんだ。あの向こうに。

夏瑞珂 :
「『ビリー』」

 いいヤツの声が、軋む静寂に波を打った。

夏瑞珂 :
「『あなたの苦しみはわからないわ』」

 慈しみに満ちた声が、わたしのものではない言葉が、跳ね返るように胸へ突き刺さる。でも、その奥にあるのはどうせ、わたしのものではない……。

夏瑞珂 :
「『苦しんでいることしか』」

“グレイ・スコーピオ” :
〈そりゃァそうだ。教える義理がない…。
 終わったことだからな〉

“グレイ・スコーピオ” :
        Bastard
〈そろいも揃って馬鹿野郎が。
 どこのラジオと誰様から教わったか知らんが、そんなに突き付けてほしいなら言ってやる…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈────XX年、■月■日付。
      Archaos
 FHセル『アルケイオス』の摘発を目的とした、対テロ作戦における実行報告書…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈殉職者1名〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈ビリー・ウォーカー伍長は目出度く二階級特進の名誉を授かった。………以上〉

SYSTEM :
 そんな男は、
イデオロギー
 主義にケンカを売って死んだのだから、憐れむコストを割くなと、嘲るような隔たりだった。

SYSTEM :
 鼻で笑う雑音交じり。突き放すような言葉がどこまでも本人の、特に七面倒くさいことを邪険にあしらうときの声だ。

 あなたの姿を要求したのは、断じて罪を責めるためではない。だが、痛みを労わるためでもない。
 苦しみの理解のためですらない。そこにいるのは“神に仇名す毒蠍”だからだ。

ガンドルフ :
<リンボは温かったかい、兄弟>

“グレイ・スコーピオ” :
〈お陰でな…微温いのに馴れ過ぎちまった。
 戻りたいんだが、戻り方が分かりゃしねえ〉

夏瑞珂 :
 ・・・
「『だめだ!』」

 死んだ、なんて──

 終わったこと、だからって──

夏瑞珂 :
「『突き抜けたって、ひとりじゃないか───』」

 悼むような悲しみ。糺すような怒り。
 相容れない感情にすら倦んだ声は、
 自分の中にある都合の悪い面を連想させる。

SYSTEM :
 もっとも普遍的な対話の自由を失ったものを、既にいない理由が繋ぎ止めていた。
 悲しみと怒りは凪いだ風には程遠い。
 男はただ、渇いて笑うだけ。なにせ、突き抜けた先にあるものなど、どう問われたところで彼は知っている。

“グレイ・スコーピオ” :
〈ハッ………ハハハ〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈…手前のそのクソ垂れた言葉選びが、わざとなら、自惚れるなと。甘えるなと教えたところだが…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈…まあいい、その辺言う前によく覚えとけ。他人様は手前が思うほど馬鹿じゃあねえ。
 当たり前を身につけたい手前のために手間かけて言われた…そんな当たり前のハナシを蒸し返して諭せる気になるんじゃあねえ〉

SYSTEM :
 明言こそしないが、辺獄への問いが答えだ。

 突き抜けてひとりになること、
 やがて断崖に行き着くことこそが答えだ。

SYSTEM :
 男が金のために生きているなど世迷言だ。

 彼が本当に欲しいものは。

SYSTEM :
しにばしょ
 戦場だ。
 何もかも裏返したことさえ、
 乾かして、風化させて、忘れられるような。

マスター・ハーヴェスター :
(家族喧嘩に巻き込まれちまった、どうすっかねこりゃ)

 双方の間柄に生じる、運命という縁と、その楔を思えばそんなことなど口には出来ぬが。
 この男には家族など居たこともなければ、人の温かさなど知りようもない。
 
 ただ辺獄の温さに飽きた"兄弟"を、冷やかしの視線で見るくらいが丁度いい。

マスター・ハーヴェスター :
(死にたがりを止める方法は無い。
 縛り付けてもそのままラストダイブするような奴だ。
 一度壊れたものは、二度と同じようには戻らない)

マスター・ハーヴェスター :
(なるほどボス、最期のアンタのところには似た者同士しか集まらんかったようだな)

 それじゃあ俺が場違いなのも当然だ。
 俺はまだ死ぬつもりはない。

夏瑞珂 :
 わかってる──そんなことは全部!
 だって、わかっているから、言葉がみつからない。

夏瑞珂 :
「『おれや誰かがおまえをひとりにしない』」

 みつからないから、宝物をひとつひとつ確かめた。
 それは正真正銘、借り物ではあったけど。
 同じだけ、わたしの気持ちのはずだった。

夏瑞珂 :
「『どんなに神様にそっぽ向かれても、一緒に傷ついてくれる…』」

 だいきらいなビリー。
 スクールの迎えになんか一度も来なかったけど、玄関先で煙草を吹かしてる日はあって。
 わたしが近寄ると、彼は舌打ちしながら火を揉み消していた。

夏瑞珂 :
 終わったことだ。
 でも終わったことに、わたしは生かされていた。 
 一緒にいてほしいし、一緒にいてあげたい。それでは──

「『だめ?』」

 それではだめなのかと問うわたしを、

 だめだった、とわたし自身が断ずる。

夏瑞珂 :
 だって、そうだろう。
 三年間いつでも引き返せたのに、わたしはそれをしなかったし。

 "黒鉄の狼"に挑みかかるときのわたしは、いつだって、その瞬間を最期にする覚悟と期待があったはずだ。

 ……きっと今でも。

夏瑞珂 :
 ……傷ついて、ひとりになったから、わたしたちは突き抜けてしまった。

SYSTEM :
 鼻で笑う静かな音。
 諭すための言葉は、概ね。
 あの日、人並みには見返りを求めて、飲み込んだ男の紡いだものだ。

“グレイ・スコーピオ” :
メルヘン
〈花畑の外側だけなぞって懲りもせず話すようなら、言っておくことがある〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈ひとつ………。連中は連中のためにクソガキひとり囲って生きたんだ。
 治っても二度と、ガキひとりの責任で己惚れたクチ聞こうとするんじゃねえ〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈ふたつ………〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈俺が傷ついてほしかったのは、
 手前らじゃあない。そのテは手前自身のケツ拭いてから言え〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈みっつ………〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈銃を執る俺の理由は、もう。嵐の対抗者じゃない。神にそっぽを向き返した無法者だ〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈わかったら死人に、死人の言葉で話すな…。
 …ク。…クク…〉

SYSTEM :
 半分ほどあなたの存在を責めていたが、半分はあなたの中にある責の過剰さに憤っていた。
 その言葉が、自嘲にも自暴自棄にも聞こえる、亡霊の笑い声に代わる。

 ………それから。あてつけるように。
 
 別に彼女が好きなのは、アメリカではなく、そこにいた彼らであることを確かめなおした辺りで、話を始めた。

“グレイ・スコーピオ” :

〈………そうさ………〉

“グレイ・スコーピオ” :
プロヴィデンス
〈神の意志は………〉

“グレイ・スコーピオ” :

〈客船の底が腐ってたことなんざ、
 教えやしなかったんだ………〉

SYSTEM :

 彼は自暴自棄に笑って。意味もなく告げた。
 己と、あなたが真似た声の主では。
 死人のカテゴリと行く先が違うのだ、と。

SYSTEM :

 ………その発端にして転機は、北米に存在したと目され、
 実態は一切定かでないとある研究用セル…………。

SYSTEM :
     ・・・
 いよいよ用済みになったそのセルで、
 なんの研究が行われていたのか。
 他意は知らない。経緯も知らない。定かにするわけにはいかなかったのだろう。

SYSTEM :
 作戦に投入された当時伍長は、
 
 知ってはならないことの片鱗を知った。
 足元からすべてが崩れ去る音を聞いた。
 
 ………なぜ? それに答えたものはいない。

SYSTEM :
 そこにあったものが、上官のそのまた上官。
 そして彼の戦友たちのDNAデータとR因子だったことについて、彼はあなたたちには語らなかった。もはや暗黙の了解であり周知の疑惑に繋がることさえ嫌ったのかもしれない。

SYSTEM :
 ………問題は、そこではない。

 彼が渾身の、己を“死んだ”と表現し、あなたを隔てた理由は。

“グレイ・スコーピオ” :

〈…ガキがいた…〉

“グレイ・スコーピオ” :

〈…助けなかった〉

SYSTEM :

 なぜか崩落し、手を下すまでもなく消え去ろうとしていたその小さなセル。
 見つけた子供を見て、男のとった行動はひとつだった。

SYSTEM :

 “こんなもの、俺にどうしろというのだ”。

SYSTEM :

 ………見捨てた数分後。
 彼は己の生きてきたすべてに辟易した。

 這うように姿を消した子供の行方は、誰も知らない。
 野垂れ死んだか、売り飛ばされたか、運よく…流浪って死に損なったのか。

SYSTEM :

 ………………。彼にそんなことは出来なかった。
 かみのいし
 愛した祖国に忠実な蠍でいることも。
 白と黒、どちらかの色を選んで傾くことも。

SYSTEM :
グレイ・スコーピオ
 神に仇名す毒蠍の誕生である──────。

SYSTEM :
【Check!】
 情報『“グレイ・スコーピオ”』を開示します。 

SYSTEM :
    グレイスコーピオ
【人物:“神に仇名す毒蠍”】
 ブリード:クロス
 シンドローム:モルフェウス/ノイマン
 ワークス/カヴァー:傭兵/傭兵
 侵蝕率:126% 性別:男 年齢:40

SYSTEM :
 ローマで覇権を争うFHセル『リグ・ヒンサー』のセル構成員。
 厳密に言えば現地で“赤の鬼人”が契約金と引換えに雇った、FHマーセナリー。飄々とした仕事人気質。
 極めてビジネスライク的な俗物だが、レネゲイド解放以来から各地での戦いを見て来た古参兵でもあるという。

 そう優れたオーヴァードではないが、一時期何処かから流出した技術である『PSY FRAME』を何処かから伝手で入手しており、これを手足の如く操る操縦テクニックの高さ、また類似する兵器との豊富な戦闘経験を匂わせる立ち回りなどから、熟練の軍事的組織や天性のオーヴァードとも互角に渡り合う戦闘力を持つ。枯れた技術の老兵。

SYSTEM :
 その実態はアメリカのオーヴァード部隊『テンペスト』の所属構成員。最終階級は曹長。
 本名はビリー・ウォーカー。
          レネゲイド・シビル・ウォー
 かつてアメリカで起きた最大規模の内戦を生き抜いた歴戦の兵士であり、協力関係にあったUGNの凋落やテンペストの再編…。
 FHとの癒着の疑惑の中でも忠実に軍務を全うしながらも、しかし無意識の中で疑念を膨らませていた。
 決定的な出来事は、過去の戦友であり上官であったアレックス・ブリーズと彼が設立したPMCの消息不明…のち行われた作戦に由来する。

SYSTEM :
 ………アメリカ研究セル「アルケイオス」の崩壊にたまさか立ち会ったこと。
 ………その調査の末に見つかった技術が、かつての上官や戦死した朋友のR因子複製体データだったこと。
 ………生きていた最後の子供───のち”崩壊”の主原因と判明した『複製体』───が、憮然としていた彼に目もくれず。助けるべきだったものに何も行動が出来なかったこと。

 この無意識の疑念が爆発するには十分だった。彼は命をかけた戦友に報いなき世にも、彼らと違う己にも、愛した祖国を含めた概ねすべてに辟易し、失望した。

SYSTEM :
 軍を脱走し、「正しく死ねる場所」を求めるかのように戦場を彷徨う亡霊と化した。

 死に場所がないなら、作るしかなかったのだ。

友好条件 :

 グレイは下記の条件のいずれかを満たした際に『友好』NPCとなる。

・フェーズ2以降
・『“リグ・ヒンサー”』と友好関係を結ぶ
 もしくはフェーズ2以降に交渉を成功させる
・『“リグ・ヒンサー”』が夏瑞珂を直接攻撃したとき
 攻撃時のユニットに選ばれる

敵対条件 :
 また、以下の条件で『敵対』NPCとなる。

・フェーズ2以降
 かつ2ラウンド目クリンナップ以降に『友好』でない

SYSTEM :
 友好となった場合は、下記のカードを獲得する。

SYSTEM :
[“グレイスコーピオ”]
     Barrage fire
・コード:間接支援射撃(Round/1)
 指定した「PC」または「NPC」が行う、
 セットアップ・メイン・クリンナップいずれかのプロセスひとつの判定について、そのダイスを[+5dx]する。

・エンブレム:リタイアード/支援要請:空母機動部隊(Scenario/1)
 下記のどちらかの効果から択んで発動する。
 使用した場合このカードは消滅し、“グレイスコーピオ”は死亡する。
1:指定した判定を「次のイベント発生値」まで進める。
(※ただしFS判定の最終イベントに対して使用不能)
2:“黒鉄の狼”に50ダメージを与え『超人的弱点II』を永続解除する。
(※既に解除済みの場合は与えるダメージを[100]に変更)

SYSTEM :
 ………掻い摘んで、かつて“返してくれる”と信じてきたものの顛末を語った男は。
 最後に一度、微風が吹いたように笑った。

“グレイ・スコーピオ” :

〈うんざりだ。ここでも見つかってない…〉

“グレイ・スコーピオ” :

〈わかったか。わかったな?
 俺の場所なんだ。
             ここ
 粗末に扱うな。とっとと、戦場からいなくなっちまえ〉

マスター・ハーヴェスター :
(真面目君め、だからそうなっちまうんだろ)

ガンドルフ :
 機兵は物を言わない。
 モノ・アイの動きも興味関心を示すものだけ。

 刈り取るものも口を開かない。
 誰が言ったか、決めるのは自分自身だからだそうだ。

夏瑞珂 :
 自暴自棄な冷笑は、わたしの知る皮肉げな笑いとは似つかない。
 届かない手を伸ばす。姿をさらして会いにきてくれないビリーを、ひどく恨めしく思った。

夏瑞珂 :
  Bastard
「『馬鹿野郎!』」

 ビリーお得意の罵倒が、癇癪のように爆ぜた。今の錆びついた声に比べたら、ずっとずっと若い。

夏瑞珂 :
「『せめて"イヤ”は言葉で言おうな』『答えのわかりきった問いはやめたまえ』『よくないと思った』『聞かない、聞かない』『だめな人』『ふざけてんじゃねえよ……!』」

 両者の間。あちらとこちらでデタラメに、矢継ぎ早に、他人の声がくりだされた。イヤの代わりが怒涛と溢れかえる。

ガンドルフ :
<ったく、テメェの口で言えって言われたばかりだろうが。俺の言葉なんざ使いやがってクソガキが>

ガンドルフ :
<アンタ大変だなあ? 兄弟よ……くっくっ>

夏瑞珂 :
ガン! ガン! と数度、爆ぜる風が装甲を打った。できるならしてるに決まってる! 

“グレイ・スコーピオ” :
〈ハハ…。分かっていて言ったろ?
 言葉が一度でノド通るなら、だれも…苦労しなかっただろうな〉

SYSTEM :
 癇癪そのものの猛抗議。若いころ、ちょうど彼女の進退を決める時、喧嘩すら半歩超えかけた出来事の第一声をバックグラウンドミュージックにしながら行われる言葉に答えはない。
 ・・
 なぜ、を探すことをやめた人間にとって、彼女は命を賭して守る相手ではない。
 ただ。守ろうとした相手をよく知っているだけだ。

SYSTEM :
 …誰よりも。清廉潔白と言い切りはしなくても、ただ明日を信じるには十分な理由のことを。

“グレイ・スコーピオ” :
〈ソレは聞いてくれるヤツに使いな〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈駄々こねるだけこねやがって。剰え、終わりもしてない。
 そんな半端は誰も教えてなかったと思うがな。ともかく…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈分からねえなら、分からねえまま忘れとけ。俺ぁ………おまえの責任持った連中じゃあない〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈何度も言わせるな。ビリー・ウォーカー伍長は死んだんだ。死なせてくれよ…〉

夏瑞珂 :
 かなしくって、ちかちかと視界が明滅する。
 くるしくって、ぱちぱちと火花が爆ぜだす。

 ──つまり、そう、わたしは、ものすごく、あたまにきていた。

夏瑞珂 :
 そして、彼はたぶん、ものすごく、重要なコトを忘れている。

夏瑞珂 :
 機体のてっぺんに立って、ぐっと身を沈めて──

 夜空へ、わがみを放り投げた。

夏瑞珂 :
 風の援けを借りても、わたしの身体能力ではぎりぎり届かない。ビリーが鋼色の手を伸ばしてくれなかったら、きっと墜落死だ。

夏瑞珂 :
「『ビリー』」 

 アレックスの声がくりかえす。

夏瑞珂 :
 くそじじいのビリー。老いて、疲れて、そんなだから忘れるんだ。

 わたしがあなたのコトバを素直に聞いたコトなんて、一度もなかったって!

マスター・ハーヴェスター :
 やりやがった。

ガンドルフ :
 ガンドルフは──動かなかった。

SYSTEM :
 壁際から応戦していたあの日のあなたと、大人げなさを全開にした大人を諫める時の優しい声色。
 優しい、というより、すこし困ったときの音。放り投げられた矮躯は、オーヴァードである以上容易く繋ぎとめられるだろう。

SYSTEM :
 墜落の痛みはただ”痛い”だけだ。

 男がまこと戦場の亡霊ならば…。
 これは見過ごすしかあり得ない。

SYSTEM :
 そのふざけた蛮行を目で追う。
テンペスト
 海兵隊、ひいては西側諸国の正式採用機に良く見られるゴーグルタイプのカメラアイが鈍く光る。
 墜落の瀬戸際を───。

SYSTEM :
 灰色の毒蠍が、尾で突き刺すことだけはなかった。
 
 受け止める。受け止めざるを得ない。
 あなたのためか? いいや………。

SYSTEM :
 ………その理由は語るだけ野暮だ。
 代わりに、無機質な電子音声が跳ね返る。

“グレイ・スコーピオ” :

〈次はねェぞ〉

“グレイ・スコーピオ” :

〈………三秒の法則なんざ手前の命に当てはめてみろ。次は直接殺す〉

“グレイ・スコーピオ” :
          ・・
〈ヤツを本当の意味で馬鹿にするな。
 ………糞ったれめ。ああ、糞ったれめ………。
 どんな甘えた教育受けてやがったんだ………〉

SYSTEM :
 …あなたを彼が測ったように。
 彼も戦場の亡霊ではなかった。

 言い捨てるような台詞と一緒に。
       アブゾーバー
 着地の衝撃を吸収材が和らげて、嵐に淀む空の下で、風の忘れ形見を男が捉えた。

SYSTEM :
 ………遅い救いだ。
 それは、彼の崩落した足場の代わりにはならない。

SYSTEM :
 ………。

SYSTEM :
 老兵はそれきり、口を閉ざした。

マスター・ハーヴェスター :
 渇いた笑いを口にして、手を叩いた。
 そうするに至った一因が自分にある事も多少は分かったうえで。

(やっちまったな、こいつ。
 だからリンボの微温湯から逃げられねえんだよ)

マスター・ハーヴェスター :
(そうさ、手前も俺も、コイツも、誰も彼も……。
 自分の在り方から逃げることは出来ない……それを捨てることも出来ないのさ)

マスター・ハーヴェスター :
(それが嫌なら──その手に握った銃(もの)で、自分を撃てばよかった。それが出来なかっただけなんだからよ)

マスター・ハーヴェスター :
(そうさ……そんなに死にたきゃ、勝手に死ねばよかったのさ……)

夏瑞珂 :
 ほら、やっぱり。見て見ぬふりは、あなたにはできない。衝撃の心配までしてしまうあなたには。

「『善処するが、保障は出来ないね』」

 次はない、にビリーの癪に障りそうな声を選んで応じる。

夏瑞珂 :
 受け止められた腕のなか、立ち上がってカメラアイに両手を伸ばした。つめたい鋼の棺桶にうずくまるひとを抱きしめるように。

夏瑞珂 :
 ……死にたいね、ビリー。

 声を失くした唇で、そっと囁きかける。

 居たかった場所は崩れ落ちて、二度と戻れない。
 さ迷いはてて、わたしたち、とっくに歩き疲れてしまった。

夏瑞珂 :
 それでも。

「『ビリー』」

 くり返そう。何度でも。
  くそじじい
 痴呆の徘徊老人が思い出すまで。

夏瑞珂 :
 あなたはビリー・ウォーカー。
 わたしのだいきらいな友だち。

夏瑞珂 :
 救いも再会も、あまりに遅すぎた。
 わたしたちに疵を舐めあうような生き方は、きっとできない。

 名残と共に地を這い、名残のために生きられたなら。ビリーは今も嵐の対抗者でいたし、わたしは微風のままでいられた。

SYSTEM :
 …まことに死にたいならば、ひとりで。
 なんのつながりも持たずに死ねば良い。

 引き金を弾き、己を己で終わらせることが出来るのならば。
 あるいは彼自身、それを試そうとしたのだろうか?
           ・・
 ………オーヴァードが、それの適う生き物でないことを知っていて?

SYSTEM :
 ………試さなかったはずはない。

 一度ではなく、二度も三度も。
 同じ選択を強いられたある男が、
 衝動の赴くままに自らを傷つけたように。

 それでも、何度も繰り返せば………。
 その仮定の答えを導き出せるものはいなかったが、彼がそうでなかったことは確かだった。

SYSTEM :
 かつて嵐として、合衆国に押し寄せてきた暴力のかたち。
 彼の軍隊は戦ったものの力を己の手にしてきた。

 真珠湾で日本から空母戦術を。
 ベトナムでゲリラからゲリラ戦を。
 オーヴァードからは化け物じみた力を。
.   シャンバラ
 ………押し寄せた嵐から、PFという兵器を。

SYSTEM :
 …そのようにして、やがて“テンペスト”が少しずつ手足とした、かつては鋼の防波堤だったかもしれないものが、あなたを降ろす。
 その直前に向けられたひとみ。ぱく、ぱくと動いた口。彼がノイマンだったことは人生において不幸だった。 

“グレイ・スコーピオ” :
〈隠れる物陰もねェのに、口だけ達者になりやがって………〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈………だから、こんな余所で、見たくもねェ石の裏を見てきたのにな…〉

SYSTEM :
 だから彼は、声をなくした唇の音にだけ答えて。
 なく
 喪失したアイデンティティの基本的な形のほうには、決して答えなかった。

SYSTEM :
 ………彼は渡り烏だからだ。

 いつかは来るその時のために、死に安い理屈をつけてゆく、神の使いをやめたアンタレス…。

“グレイ・スコーピオ” :
〈こんなことなら、夢見がちに海を渡られる前に、貸しを払ってもらうんだったよ〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈ハ、ハ………甘ちゃんが〉

SYSTEM :
 それでも認めがたいものは、その”甘ちゃん”がほかの道を擲って、隠した人並みの私情と共に負った責任が、道半ばで転がっていることだ。

 あなたが生きたい、と。一言でも言ったなら。戦場の亡霊は、そのために全てを擲っただろうが…わかっているだろう。それは幾分か遅い。

“グレイ・スコーピオ” :
〈…この仕事きりだ。せいぜい、色男に燻り方でも教えてもらえ〉

ガンドルフ :
<利息の払い時を見間違えたんなら、アンタそん仕事向いてないぜ>

“グレイ・スコーピオ” :
〈…ク、ク…〉

ガンドルフ :
<俺はそろそろ払い終わるがね。荷物になるだけだぞ>

“グレイ・スコーピオ” :
 むいた
〈理想の仕事が出来るヤツなんざ、世の中にいくついると思ってんだ。第一、借りたまま返さないヤツのせいだよ…〉

ガンドルフ :
<ハッ>

ガンドルフ :
 ・・・・・・
<返したくねえだけの癖に>

“グレイ・スコーピオ” :
〈傍観席に座った瞬間、エラく辛辣になりやがって。実体験かよ〉

ガンドルフ :
 返答はない。
 ただパイロットは内で笑っていた。

マスター・ハーヴェスター :
「("ごめんなさい"と"ありがとう"で返済が終わるってのに、バカな奴らだな)」

 ま、そいつは俺もだが。

夏瑞珂 :
 降ろす手があまりに慎重で、まんがいちにも壊してしまわないようにと繊細で、だから、とうとうしがみつくコトはできなかった。

夏瑞珂 :
 ……向いてない。ほんとうに。彼もたいがい甘ちゃんだって、みんな知っていたんだから。
 貸しは高くつくと悪態をつくくせ、返済を迫ったことのない男が、かたくなに死をうそぶく。

夏瑞珂 :
 ビリーのカメラをまっすぐに指差す。
 人差し指で、つい、と虚空に文字を描いた。

夏瑞珂 :
 ALIVE──

夏瑞珂 :
"ME"

 自分を指さした手を、次にゆっくりとビリーへ向ける。

"YOU"

夏瑞珂 :
 死にたくても、

 生きていくことに、耐えられなくても。

夏瑞珂 :
 運命はねじくれて、疑念はあふれて──でも。

 わたしたち、それだけは真実だ。

SYSTEM :
       ひる     よる
 どんな楽しい今日も、つらい今日も…ずっと続くことはない。
       いま
 だが、明日が今日になったとき、昨日までのことがまるきり消えるわけでもない…。

SYSTEM :
 ………昨日のまま留める生き方を彼は望んでいたのかもしれないし。何よりあなたがそうだろうけど。
 後ろを向いても太陽は昇ってしまうもの。

 生きていると、文字を描く。
 望んでいなくとも。覆せない。

SYSTEM :
 片膝を突く、標準中型サイズのPF。
 人気のない/人気がなくならざるを得ない夜明け前に、電子音声と肉声が同時に帰ってくる。

“グレイ・スコーピオ” :
〈約束の相手もいないのにか〉

“グレイ・スコーピオ” :
 リンボ
〈辺獄だな…〉

SYSTEM :
 否定だけはしなかった。
 ただ、たいそう答えに苦しんだのか、それが返ってくるまでに十数秒の猶予があった。

“グレイ・スコーピオ” :
〈続けるのか〉

夏瑞珂 :
 ローマにくる前のわたしなら、ためらいなく首を横に振っただろう。でも今は……

"SUCKS"

 しかたない。震える指で綴って、苦笑する。

夏瑞珂 :
 それが禁句だと言った男のようには、わたしは中指を立てられない。
 まだこの両足は、やさしい過去にいたいから。でも現在があるかぎり、いつかは未来へ辿りつく。
 この重すぎる足でさえ。

夏瑞珂 :
 「『貴公が尽きるのは、できれば、あまり見たくはない』」

夏瑞珂 :
 しなないでほしいと、いつか、獅子の王さまがくれた言葉をくりかえす。

 それは今わたしの気持ちをあらわす音であると同時に、
 がらくたのようなわたしを、だいじにしてくれる他者がいるという、確かなあかしだった。

SYSTEM :
 希望があるわけでもない、洛陽の明日を。
 あの幸福な昨日に、どうして想像できただろうか。

 だが、得てしてそんなもの。
 強いも弱いもそのままではいられない。永遠の情熱を誇るローマも、落日はあっけなかった。

SYSTEM :
 そして…本意でなかろうとも、今が続いている。彼はまさにそれで、あなたもそれだった。

 そのあなたがなぞる指の動きに。雑音が混じる。

“グレイ・スコーピオ” :
 く に
〈合衆国が…好きだった…。
 育った場所だったからな…引き金を弾くだけの人生も…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈意味がありゃ…よかったんだ…。
 …戻ってこねェにしても…うまく隠してくれりゃあな…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈ああそうさ、戻ってこない………………〉

SYSTEM :

 殊勲者の若造に確信犯で不吉をブチ撒けたのち、しかも酒までブチ撒け、翌日報いを(二日酔いで)受けた三番手の記憶も。
 …庭先で焼いた肉が片端から、見違えるほど偏食児童に育ったどこぞの娘に持っていかれた記憶も。

 何もかも色あせて戻ってはこない。
 同じ故の成れの果ての言葉さえ拒めば…。

SYSTEM :
 ………男は昨日に帰れただろう。
 男の中で。

SYSTEM :
 ………返答は暫くなかった。雑音が続く。

“グレイ・スコーピオ” :
  Harassment
〈その嫌がらせ、誰から…学んだ〉

夏瑞珂 :
 ノイズまじりの吐露に、ひとつずつ頷く。

 知ってる。
 知ってるよ。

 アメリカ以外のために引鉄を弾きたくないからと、道が分かたれたあとも、メッセージをくれたあなた。
 かんじんな出立当日ではなくて、前日に見送りをするような、センチメンタルでひねくれもののあなた。

夏瑞珂 :
 戻らないものが恋しいと涙しても、もう、ここには、わたしたちしかいない……。

"YOU"

 でも、わたしたち、ここにいる。

夏瑞珂 :
 合衆国はわたしを愛さなかったけど、合衆国を愛したひとたちがわたしを抱きしめてくれた。

 片膝をついた機体に歩みよって、装甲に触れる。合衆国を愛したひとを抱きしめるように、届ききらない腕をまわした。

SYSTEM :
 わかりきっていた問いに、わかりきっていた答えが返ってきた。
 斜に構えて、割り切って。あなたを背負う男のことで喧嘩した回数も数えきれない人間の。

 動けば拒絶の証となるのに/なるから。突風は吹き荒れなかった。
 残ったものは慰めではない。ただの現状確認だ。
 アラシ
 災害に営みを払われて、現実に打ちひしがれる残り物。家財道具も、家族の思い出も掻っ攫われて、それでも。

“グレイ・スコーピオ” :
〈ツラ見せろ、なんて。言うモンじゃなかったな〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈………まったくイヤな人生だ。
 ガキに付きまとわれて………〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈本当に………………〉

SYSTEM :
 戻らない方の年下の声をなぞる。

 ビリー、と呼ぶ声だけでいくつバリエーションがあったやら。
 男にとってはそれが罪を抉る針だ。そんな所以などありはしないのに。

SYSTEM :
 ………だが、生きるしかなかった。

 彼は兵士だ。戦いの間は生きていく。
 死ぬために。理由をあれこれつけて。
 そのあとは………。

SYSTEM :
 ………そのあとも。
 なにひとつ報いのない世を生きねばならぬと。
 そうつつくなら。

 誰が馬鹿になるかわかっているとき、彼は最後に腰を下ろし、へそと意見を曲げた。

“グレイ・スコーピオ” :
 Oy my god
〈糞ったれめが………〉

SYSTEM :
 機体から代わりに雑音が響いた。

 寄る辺にしてくれなければ良かったのにと、心の底から後悔する声。
 からかい、嘲ってきた年下の上官を思って、最後にもう一つ確認を取った。

“グレイ・スコーピオ” :
〈ヤツと同じところにはいけねェぞ…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈本棚の中身も増えねェ…。
 アルバムも足したって意味がねェ…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈…わかってて忘れられないなら、後悔するまで好きにしろ…〉

夏瑞珂 :
"ME TOO"

夏瑞珂 :
"YOU TOO"

夏瑞珂 :
 互いの情は、呆れるくらい一方通行だ。
 あなたにだけは穏やかであってほしいと、身勝手な願い。

夏瑞珂 :
 ひとりよがりの行路が重なっても、何も埋まらない。
 このさき待つ戦いでしくじれば、それさえ続かなくなる。

夏瑞珂 :
 すべてが終わったあと、どうなるかも分からないまま──
    よる
 つらい今日を、わたしは抱きしめつづけた。

SYSTEM :
 傷は時が経てば、瘡蓋が生まれる。
 だが痕は残る。深い傷ほど、決して消えない痕が。

 それは命まで奪うことがないから、尚のことたちが悪い。

SYSTEM :
 応じるものはなく。
 蠍の毒を打ち込む契約に応じたそのかなたで、これから冷え込むだろうことが想像に難くない、明日の兆しが見えた。

 だが、確かに明日ではあった。お互いにとって、向こう側にいない自分こそが不要とは、とんだ賢者の贈り物だ。

SYSTEM :
 ………生誕し直したと祝うような話でもなかった。
 ただそこには、嵐のあと、生きると決めたらすべき多難だけが残っていた。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

夏瑞珂 :
(埋まりきった欄をにらんでいる)

夏瑞珂 :
"NOPE"

マスター・ハーヴェスター :
ねェな。

GM :
(画面の中央上に視線を動かした)

GM :
畏まりました

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・対話シーン7(”七花胡”、ラーゼス)

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 
 邂逅:教え子
 飢えた子供だった。
 放っておけば己の欲望のままに野火を放つだろうと理解できたから、彼が山賊になる前に拾ってやることにした。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

“七花胡” :
 レムスとの邂逅、そこからの緊急避難で、“御手翳す開放者”の拠点へ。
 其処が地母神の天空宮殿であると、セルの主が種と腹を明かした後だった。

 ひとまずの滞在と休憩用にと、“黄の希人”に割り当てられた区画。
 その中央に位置する、小さな談話室にて……。

“七花胡” :
「どうぞ。……思えばこうやって二人きり、対面して話したのも二度目ですね。
 いやに昔に思えますが」

“七花胡” :
 差し出したのは温めたミルクだ。彼女が来る頃合いを見計らって温めたから、今頃は飲みやすい温度だろう。

“七花胡” :
「……今を逃すと、話す機会がなさそうだったので。
 お疲れの所、申し訳ありませんね」

ラーゼス :
「ありがとう」
 わずかにほほえみを刻んで、器を受け取る。
 ……ちょうどよい温かさだった。唇を湿らせながら首を振る。

ラーゼス :
「いいや、かまわない。疲れているのはお互い様というものだ。
 貴公の言うとおり、時間はあまり残されてはいまい……」

ラーゼス :
「……しかし、おれに話とは。
      アセルス
 光栄だが、彼でなくて良かったのか?」

“七花胡” :
「はは。あれ“に”するのは、会話というより命令ですよ。
 自分は貴女“と”、会話をしに来たので。その点、間違えてはいません」にこやかな返答。

“七花胡” :
「……。…」
 何方から話すか、というような、ほんのわずかな迷いを帯びた逡巡。
 敏いものなら気付こう。おそらくは、この獅子ならば。

“七花胡” :
 逡巡を断ち切って、言葉を探す。
 後回しにしていた自分とは、もう違う。

“七花胡” :
「……前に、自分にも、師が居ると言いましたね。
 十年近く、お会いできていない……貴女に似た師が居る、と」

“七花胡” :
「……そう言った矢先にですよ。
 逢えてしまったのです」

“七花胡” :
「全く、影が差すというのか……。
 貴女と話したおかげ、なのでしょうかね」

“七花胡” :
「忘れてと言った手前、恐縮ですが……
 貴女には、まあ、いいかと。
 言わずにはおれなかったのです」

“七花胡” :
 自分も温めたミルクを含みながら、少しだけ微笑みを崩す。
 いつも高いところに留まっている唇の端から、力を抜くようにして。

ラーゼス :
「! それは……」

ラーゼス :
 思わず彼の顔をうかがう。
 あれだけ複雑な感情を抱いた様子の『師』との出会い、さぞ複雑な心境であったろうと、慮るのはたやすいが──

ラーゼス :
「巡り合わせというのはあるものだな。
 態々このような街に来るのだ。ただの偶然の再会とは思えぬが……」

ラーゼス :
「……。……」

ラーゼス :
「……どうだった? いまの貴公にとり、師父はどのように見えた?」

“七花胡” :
「変わってませんでした。本当に、清々しいほどに。
 飽きないのか? とか、思うくらい」

“七花胡” :
「……百年二百年、それから千年……。
 経とうとあの人は変わらない」

“七花胡” :
「変わるのはいつだって自分。あの人の周りの方です」

“七花胡” :
「でもまあ……」

“七花胡” :
「……あの人は、師だけは変わらないことに、少し……
 安心もしました」

“七花胡” :
「どれだけ愛したものからも、いずれ置いて行かれる。
 その痛みは覚悟の上ですし、自分自身ごとリセットしてはい次、なんて仙人みたいにもなりたくはない」

“七花胡” :
「……それでも、世界の何処かには、ずっと変わらないまま、増えることも減ることもないまま。
 時折思い出したように俺を思ってくれる人がいる、ということは……」

“七花胡” :
「……何かの拍子に、救われるものなのかもしれない、と」

“七花胡” :
「……認めるのは結構癪ですけどね? 貴女にしか言いません、こんなこと」
 少年が言葉尻を誤魔化すように、わざとらしく首を竦める。

ラーゼス :
「…………」

ラーゼス :
「そうだな。
 貴公にとって、師父との思い出が……
 振り返ったとて苦しまぬものに見え始めたならば、それはよきことだ」

ラーゼス :
 彼はまだ若い。
 身体の年齢は止まっているように見えるが、さほど歳を重ねたわけではなかろう。
          くに
 いま築き上げた彼の庭が、年月を重ねたその先に、彼の心を刺す刃にならぬと……彼自身にすら、その果ての形はわからぬはずだ。

ラーゼス :
 ……己もそう思う。
 目が覚めたとき、そこに在る景色のなか、ずっと変わっていないものがあることへ。
 いつも深い安堵と、感謝と、悔悟の念が胸を衝く。

ラーゼス :
 彼にとり、それが彼自身を作り上げた生き物であることは──
 きっと、真の意味で不老の陥穽に落ちずにいるための、一つの縁となりうるだろう。それひとつきりで彼を支えないとしてもだ。

ラーゼス :
   ちち
「……師父への感情というのは、いつもそういうもののようだ。
 おれがひとりじめできるというのは、どうにも光栄だな」

“七花胡” :
「あの人と暮らした時間を、この先も『過ぎたこと』として受け止め続けられるかどうかは……分かりませんけどね。
 俺は、変わらないものよりも、変わるものの方を愛することに決めたので」

“七花胡” :
「周りが変われば自分自身も変化する。その過程で癒えたはずの古傷が痛んで、恨み言を言うようになることも……まあ、ないとは言い切れませんね。
 自分、結構根に持つたちなので」

“七花胡” :
「光栄に思ってくださるなら……再会したあかつきには、また自分の愚痴に付き合ってください。
            あなた
 ひとりじめってことは、ひとりにしか明かせないってことなんですから。
 ね?」

“七花胡” :
 ……既に永きを生きていて、おそらくは使命のためだけに活動する彼女と、
 流れゆく時間の中を止まったまま進み続ける自分とでは、もう二度と点が重なるかもわからない。
 だから、こんなもの、端から叶わぬ口約束だ。

“七花胡” :
       めのまえ
 でも、たとえすぐ明日にはなくとも、自分たちは久遠を生きるもの。
 寝て起きて目が覚めている間、この世界の何処かに、同じ約束を交わした相手がいるというだけで。
 どれだけ痛んでも、越えていくことができる。

 そんな気がした。

ラーゼス :
「そうだな。長く生きるということは……」

ラーゼス :
 ・・・・・・・
「肉体が長く保つというだけだ。
 それを動かす精神はうつろいつづけるものでしかない。
 肉体の時とともに精神の時を止めるものもあれば、肉体をおいてこころのみが老いるものもいる。
 そして、成れ果てるのを待たず腐り果てるものも……」

ラーゼス :
「……そして、身体に適応するため、心の形を根から変えるものもいる」

ラーゼス :
 世界の見方を変えることで、初心を守り、存える。
 見立てが正しければ、彼の師は最後の例だろう。

ラーゼス :
 人はうつろう。
 うつろわざるものすら、心はそうならざるを得ない。
 いかに高貴なものも。妖精であってもだ。
 永遠なる龍が、人と交わり淀みだしたように。

ラーゼス :
                      えにし
「貴公がどうなるのかは、貴公自身や、作り上げた庭しだいであろう。
 いつかおれのようなもの以外にも、語れるようになるとよいな」

ラーゼス :
「だが……」

ラーゼス :
「わかった。
 そうでないうちは。
 寂寞のおりに、おれの名を呼んでくれ」

ラーゼス :
 己の人差し指を唇に当てた。
 声を出さず、口のみを動かす。

ラーゼス :
『英国ならば、おれがその力になれよう』。

“七花胡” :
 エフェクトも何も絡まない、ごくごく単純な読唇術によって紡がれた確約は、彼女が未だ神秘が潜む島国、英国に所以あるものだという、そういうあかしだった。
 ……そこから辿れば、彼女の本来の身元も割ることはできよう。普段なら息をするようにやることだ。
 けれどこの約束においてだけは、その行為は意味が無かった。

“七花胡” :
 彼女のことは、この出来事限りの“我が槍”であり……。
 儘ならなくなった時に愚痴を零せる……友人。
 そういうものとして、書き連ねておけば、それでよかった。

“七花胡” :
「……ええ。貴女の言葉、しかと胸に留めておきます。
 でも、貴女にばかり助けられては甲斐がない」

“七花胡” :
「貴女がご自身の庭のため、使命を果たそうと奔走する時……
 策略や情報を欲したらば、この名前でお呼びつけください。
 特にアジアのあたりなら、十分お役に立てると思いますよ」
 そう言って小さなメモ紙にさらさらと何事か書き付け、四角に折ってテーブルの上を滑らせる。

“七花胡” :
「そのメモは、この一連の出来事に始末を付け、互いが最早ローマの何者でもなくなった時……
 開いてくださいね。今はまだお預けです」

“七花胡” :
 封をしたわけでもエフェクトで閉じたわけでもない、ただ折っただけの紙。
 一人になった時に検め、そのうえで素知らぬ振りをすることは十分に可能である。
 だが、決してそれをしない人であるということを存じていたからこそ、自分は貴女の誠意に報いることができた。

ラーゼス :
 その紙を懐に忍ばせながら、彼の目を見つめる。
 わざわざ開かずともわかる。いまの胡にとって致命的な情報なのだろう。

ラーゼス :
 彼が真実、欲望を振りかざして世界を壊せるものであると、なし崩しで付き合い、いまは背を預け合うものたちの中で、心から信じる者はいまい。
 むろん彼の吐露を聞いた己だからこそ、そう思うのかもしれないが。

ラーゼス :
「…………胡」
 あえてその字を呼んだ。
 許される最大限の信頼をもって胸襟を開いた彼へ。

ラーゼス :
「……ありがとう。必ず、そうしよう」

ラーゼス :
 表も裏も訊かず、噛みしめるように感謝を口にする。
 微笑んだ。

ラーゼス :
「……はじめて会ったときより、随分と──軽くなったか?
 師のおかげか、貴公自身がそうしたからなのか。
 わからないが……よいことだ」

“七花胡” :
 差し向けられた微笑みは、磨き抜かれた無垢だった。影を知らぬ貴賓ではない。
 傷もまた勲章。体に、心に、幾多の瑕を負おうとも、彼女を支え包むものによって、彼女自身が磨き上げてきた、不老の肉体に宿るうつろう玉。
 己もまたその「包むもの」に含められたのだと、思い知るには十分だ。

“七花胡” :
「さあ、どうですかねえ……此処に来た時も、此処を出ていく時も、多分自分は同じままだと思いますけど」

“七花胡” :
「“今”そう見えるのなら……
 貴女の前でだけは、そういうことなのかもしれませんね」

ラーゼス :
「………そうかな。そういうことにしておこう」

“七花胡” :
「……さて……私事は此処らで。
 もうひとつ、貴女と話をしたかったのは……彼らのことです」

“七花胡” :
「アレウス・バルバートと、夏瑞珂」

“七花胡” :
「……特に後者。“死滅天隕”の方も、めっきり言葉少なになってしまいましたが」

“七花胡” :
「今彼女は、自分の言葉で話すことを休んでいる……休まざるを得ない状態です。
 先ほどは、彼女への対応は『いつも通りでよい』と話しました。自分の意見に変わりはありません」

“七花胡” :
「ただ……あの時貴女は、何も言わなかったから」
 珍しく、とまで言ったら、知ったかぶりだろうか。

“七花胡” :
「何か伝え損ねがあるのではないかと……
 いえ。貴女がどう考えているかを知りたかった」

ラーゼス :
「……そのことか。気を遣わせたな?」

“七花胡” :
「本心ですよ。
 ……ですが余計な気回しなら、そのように」

ラーゼス :
「いいや……貴公の判断は正しいと思う。
 もしおれが方針を定める立場であったのならば、似たようなことを言ったろうな」

ラーゼス :
 だから口を挟まなかった。

ラーゼス :
「これは、おれがそう受け取っただけ、と言うことに過ぎないが……」

ラーゼス :
「アレウスは彼が思うより幼さを捨てきれておらず、
 瑞珂は外に見せるほど幼くはない」

ラーゼス :
「我らがどう言葉を尽くしても、結論は、彼らの心の中でしか導き出されはしないだろう……」

ラーゼス :
 だから現状維持でよいという結論に同意した。
 彼らの世界は、いま彼らの内側にしかないからだ。
 それは我らの存在がささやかなものでしかない、ということではなく……
 いま彼らに、彼らを蝕む色眼鏡を外して物を見ることは、きっとひどく難しいというだけ。

ラーゼス :
 おそらくは、彼らの心のもっとも柔らかい場所に住むものたちですらも。

“七花胡” :
「……彼らの心に空いた奈落に、優しさや思いやりを投げ込んだからといって。
 それで空いた穴が埋まるはずもない……」

“七花胡” :
「穴をあけたものに風穴を開け返したからといって、穴が無かったことになるわけでもない。
 時が経てば治る傷もあれば、膿む傷もある」

“七花胡” :
「ただ……何も選べぬまま、穴だけ増やされるようなことには……
 なって欲しくはないのです」

“七花胡” :
「……その点、“死滅天隕”の方は、“決め終わった”ようですが」
 だから彼が古巣の庭を焼くことの手伝いを申し入れた。

“七花胡” :
「……選ぶことができないまま、選ぶことさえ奪われれば、ひとは次第に権利があったことさえ忘れてしまうから。
 それは……できるだけ見たくない」

“七花胡” :
「かといって、『見たくない』だけで、どうにかできるわけではないのだから」
 もどかしいですね、の言葉が、さざなみのように空気をわずかに揺らして消える。

“七花胡” :
 それはあるいは、庭師として従事する中で背負わざるを得なかった、数々の遣る瀬無さのかけらかもしれなかった。

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
「……そうだな」

ラーゼス :
「誰かの言葉や仕草だけで、易くその道を変えることができるのならば、それは道ですらないのだろう。
 それに、むろん、誰もがみな、己の道というものを見いだせはしないものだ」

ラーゼス :
 アレウスは主義なく戦いつづけてきた己のこれまでを悔やみ、
 そして生きるかぎり収穫しつづける己の在り方を見定めた。
 もしその果てに断崖があるとしても、おそらく彼は迷いはしないだろう。

ラーゼス :
 その果てに誰もいなかったのだとしても。
 いまは激情で眩んだものがあったとしても、おそらく、彼自身がいつか理解することで──そして目が覚めたのちも、己の行為を後悔などはするまい。

ラーゼス :
「……先がないとしても、決めた道。
 それがファルスハーツというものなのだろうな」

ラーゼス :
 だから彼は正真正銘の無法者だ。
 その先には荒れ狂う紅花の道しかあるまい。
 いまの彼の態度は、その道に己がなじみ切っていないからだ。

ラーゼス :
「…………あの娘は、そうではない」

ラーゼス :
「決めてもいない己の道の果てを、覚悟しきる前に見せつけられた……。
 しるべ無きいまは、さぞ心細かろう」

“七花胡” :
「たとえ先が断崖で、墜落するしかないのだとしても。
 たとえすべて焼き払い、荒野しか残らないのだとしても。
 それが自身で選んだことなのであれば……『最悪の結果』なんて、誰にも言われる筋合いはない」

“七花胡” :
 焼き払った後の荒野に、芽吹くものもあろう。
 血濡れからこそ萌芽するもの、“赤の鬼人”が植えた種が“死滅天隕”の中で実ったことを、自分は確かに見たのだから。
 けれど彼女は……。

“七花胡” :
「……それでも、まだ彼女の心は繋がると信じたい」

“七花胡” :
「いえ。信じています。
 彼女の再生する声は、このローマで出会ったものが大半の中……
 知らない声があった」

“七花胡” :
「それを彼女が択ぶことは……お守りのようなものだと思っています。
 足掻きのあかしだと」

“七花胡” :
「それがなくならない限りは……『いつも通り』で居続けたい。
 たとえ猶予が少なくとも、『変わらない』ことが寄与する何かだってあるはず」

“七花胡” :
「そう信じています。今も昔も。ずっと」

ラーゼス :
「……あの娘が声をなくしてから思った」

ラーゼス :
「見せているよりもずっと、人の言葉を聞いてはいる……」

ラーゼス :
「……まっすぐレムスを目指さないことが、貴公がいう理由であるとだと信じたいものだ」

ラーゼス :
 最低でも、弾丸になると語った。
 それは嘘ではないはずだ。
 ある意味で、というただし書きは必要だろうが、一度冷静になるためには必要な儀式だったのかもしれない。

ラーゼス :
…………………。

ラーゼス :
「がらんどうにも響く声はある」

ラーゼス :
「声を失っても、聞く耳を持たずとも……
 理性をはぎ取られ、ことばを語る智を失ってもだ」

ラーゼス :
……己がそうだったように。

ラーゼス :
「……貴公が届けた誠意は、きっと届く。だいじょうぶだ」

ラーゼス :
「あの娘を育てた善意が、彼女に、目をそむけることをさせないだろう」

“七花胡” :
「……そうですね。全く、ほとほと呆れるほどの再現精度ですよ。
 自分の声を聞かされているときなんか、むず痒いったらありゃしない」首を竦める。

“七花胡” :
 奈落の底がどれだけ暗くとも、投げ入れたものが途中で消えて無くなってるわけではない。
 外側から伝わってきてがらんどうに反響する声ひとつひとつに返す余力が、彼女自身にないだけ。
 それでなくてもひん曲がりなのだろうけれど……まあ、それくらいは慣れっこだ。

“七花胡” :
 ……彼女の心遣いに、小さく首を振る。

“七花胡” :
「届かなくっても、それは別に良いのです。かけたくてかけているだけ。見ているだけでいられないのは、自分の方だから。
 それで自分が悲しいだけなら、さしたることではない」

“七花胡” :
「その地層の奥深くにある、彼女を形作った善意を……
 悲しい『だけの』記憶としてしか、振り返れないようにだけ、彼女がならなければ。
 届くのが自分の声でなくたって、それは別に良いのです」

“七花胡” :
 彼女の口から聞こえる声が、とても優しいものであるうちに。
 自分でなくてもいい。誰かしらの声が届き続ければ、それでよいと思う。

ラーゼス :
「…………」

ラーゼス :
「……そうだな」

ラーゼス :
「……。胡」

ラーゼス :
「あの娘が、本当は復讐などではなく、彼岸へ去ったものを追いたかったのだとしても、そうか?」

“七花胡” :
「……。それは……」

“七花胡” :
 言い澱む。
 過るのは、事件や事故によって身近な者を喪いながら、自分だけ助かってしまった子供たちのこと。
 彼らは往々にしてオーヴァードとして覚醒し、心を繋ぐための縁を軒並み喪った状態で、保護される。

“七花胡” :
 そういった子供たちが、奪われた故人を求めて嘆くさまを目の当たりにするのは、一度や二度の経験ではなかった。
 彼らにとって、昨日と今日の断絶を直視しながら、今日と同じ明日を生きることは、ひどく残酷で、堪え難いものだから。

“七花胡” :
 そういう子供たちに、大人として/助けた者として何をしてやれるか。
 何が正解なのか。ずっと分からないままだ。

“七花胡” :
「……咲かないことを択んだ種に、庭師がしてやれることは、正直ほとんどありません。
 後追いが熟慮の末の選択で、本当に、本当に、迷い無いのなら……」

“七花胡” :
「…………………………止められない」絞り出すような声。

“七花胡” :
「……でも、今の彼女は、嵐というより……それに翻弄される木の葉のようだ。
 熟慮の時間も余裕も無かったのに、『結論だ』と言い切るようなら、それは……」

“七花胡” :
「……短慮でしょう。命を擲つ選択は、その前に選べた無限の選択を放棄することに等しい」

“七花胡” :
「……まずは生きて帰します。彼女だけではない。全員を。決死を前提にした作戦なんて自分が容認しない」

“七花胡” :
「いざレムスと対峙した時、彼女の中に残る善意が何処まで歯止めになるか……正直分かりません。
 衝動の昂ぶりが、彼女を決死に走らせるかもしれない」

“七花胡” :
「……そうしたら、貴女に止めて欲しい。
 お願いできますか」

“七花胡” :
 腕力が無いから。慣れているようだから。託す理由にはそういうものも含まれている。いるが。
 いちばんは、貴女が今、自分の槍だからだった。

ラーゼス :
「わかった。全力を尽くそう」
 迷うことなく頷く。娘の果てが見えぬいま、約せることはその程度でしかなかった。

ラーゼス :
 ……。優しい答えだ。
 心からの自滅願望であれば止められない──その答えには深い慈しみがあった。
 きっと普段から、このように、理不尽にとらわれた子どもたちを支えてきたのだろう。

ラーゼス :
「……あの娘も、アレウスも。そして我らも。
 悔いのない選択ができるよう、最後まで試みるしかないのだろうな」
 それはアーキルも、“血色の探求”も、地母神も同じように。

ラーゼス :
「この状況において……それは、試みることすら、得難き幸運と巡り合わせの上にある」

ラーゼス :
 多くの人が死んだ。
 その中には手の内にあったものも少なくはない。
 屍の上で、得た選択の自由を行使するのなら──

ラーゼス :
「短慮にも、苦しみにも足を取られぬ、少しでも明るい道を、指し示したいものだな」

“七花胡” :
 既に絶たれてしまった糸も、断ち切った糸もある。
 偽のコードネームを纏ったこの身では踏み入れぬ領域もあれば、純粋な力不足で歯噛みしたこともあった。
 選択肢は限られている中で、それでも最善を尽くすことを諦めない。

“七花胡” :
 きっと誰もが藻掻いていることを、それでも言葉で確かめられたことが、心の隅を仄かに温めるようだった。
 多分彼女は、同じことを自身の庭の者たちに施し────施されてきたのだろうと思う。
 野に這う獣であった時分に、施されることで、教わったのだ。

“七花胡” :
 ……貴女が教わった方法が、同じように彼女の心を繋ぐ一助となるように。
 願ってやまない。

“七花胡” :
「……ありがとうございます。ラーゼスさん」

“七花胡” :
「貴女の考えが聞きたいという自分の思いは、正解でした。
 ……お時間を取らせましたね」

ラーゼス :
「かまわない。おれも物思いを整理できたからな」

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
 ・・
「我らにもまた、レムスを除くべき強い理由がある」

ラーゼス :
 例えば、なぜレムスはあれだけの盤面を構築できたのか。
 遺産は破壊することが叶うのか。
 そしてこの地の未来の姿は。
 それらは、無法者の秩序でも焦げ付いた感情でもなく、理性を持って見定める必要がある。

ラーゼス :
「この街を。そしてこの街の外も、何もない荒野にはさせはしない。
 そのためにも、我らにとり、まずあのふたりの協力が不可欠だ。見誤らず、ことに当たろう」

“七花胡” :
「もちろん。彼は戦争を仕掛けてきている……無抵抗でいる気はほとほとありません。
 自分の庭も、貴女の庭も……我ら以外の誰の庭も、あの王さま気取りの一存だけで塗り替えられてよいものではないのだから」

“七花胡” :
「策の方はお任せを。槍は貴女に任せました。
 ……残り少ない時間、互いに努めましょう」

“七花胡” :
 つつがなく自分の庭に帰参し、いつもの日常を続けられるように。
 貴女が渡したメモを開く未来が在るように。
 あかつきには、誰もが望んだ明日を掴めるように。

 ……彼らが帰ってくるまでの時間を、少しの休養としよう。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

ラーゼス :
いいや、ない。ありがとう。

“七花胡” :
ありません。

GM :
了解しました。思えばロイスも既に満杯…。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。


・ミドルフェイズ(フェーズ2/ラウンド2)

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 
 組織:ファントムストークス
 
 セル名は直訳して「亡霊の鸛」。 
 今から三年ほど前にアレウスに賛同した者、
 あるいはアレウスと意気投合した者たちによって立ち上げられ、現在に至る。
 メンバーは神出鬼没な側面があり、所在を掴みづらい「渡鳥の亡霊」として知られている。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 セットアッププロセスに移行します。
 情報判定/調達判定が可能です。 

ラーゼス :
応急祈祷を購入したい。できるか?

“黄の希人”アーキル :
ああ、応急キット………、………

“黄の希人”アーキル :
ちょっと待て
いまなんか発音おかしくなかったか

ラーゼス :

ラーゼス :
応急祈祷

夏瑞珂 :
『応急祈祷』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
愚かなり 貴君覚えておくがいい
応急祈祷とは遡ること六世紀 ゲールの地において

“黄の希人”アーキル :
話を戻そう

ラーゼス :
旅のドルイドに助けを乞うて癒しの儀式をさせることだろう

“七花胡” :
う~ん 時代の隔たりを感じますね

“黄の希人”アーキル :
戻してえのに戻させてくれねえんだが
ブラックドッグの吸引能力か?

夏瑞珂 :
『お気になさらず』『おそらく秒読みだ』

ラーゼス :
(頷く)

SYSTEM :
【Check!】
 調達判定を確認しました。
 判定を行ってください。(目標値:8) 

ラーゼス :
…ちなみに、協力セルによるボーナスは今いかほどだ?

GM :
(確認中)

GM :
+7(少数切り捨て)となります

ラーゼス :
……医療トランクにすればよかったかもしれぬな

ラーゼス :
……いや

ラーゼス :
医療…登欄句

“黄の希人”アーキル :
待て パターンが増えた…

“黄の希人”アーキル :
“血色の探求” おい “血色の探求” こいつは?

夏瑞珂 :
『減価償却しないとですから』

“黄の希人”アーキル :
ふざけろ何に対する劣化だこれ?

夏瑞珂 :
『価値観の断絶をひしひしと感じている』

ラーゼス :
(咳払い)

ラーゼス :
3dx+8 (3DX10+8) > 8[1,5,8]+8 > 16

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
女神の神殿は固定資産ではない 象徴だ

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 調達に成功しました。
 アイテムの記入をお願いします。 

(内容:応急祈祷)

ラーゼス :
行った。ありがとう。

夏瑞珂 :
『すげえな』

“黄の希人”アーキル :
(意外と語彙多いな…)

“アイシャ” :
(私のは? という表情を向けようとしたが、事態の深刻さに対し、“いいのか”と悩み、首を傾げたまましゃがみこんだ…)

夏瑞珂 :
『ローマにようこそ』

夏瑞珂 :
『要求と提案はひとつだ』『“ヘカトンケイル”〈情報:FH〉』『コネ:要人への貸し』

“アイシャ” :
(ちょっとうれしい)

“アイシャ” :
がんばって。

夏瑞珂 :
『ういっす』

GM :
では…判定を どうぞ

夏瑞珂 :
8dx+7 (8DX10+7) > 9[1,6,6,7,8,8,8,9]+7 > 16

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 発生するイベントを確認しています...  

SYSTEM :
【Check!】
 現時点で発生するイベントはありませんでした。
 シーン展開を希望しますか? 

夏瑞珂 :
『無理矢理行くぜ』

SYSTEM :
【Check!】
 シーン展開の希望を確認しました。
 セットアッププロセスの判定確認後、シーンを展開します。 

“七花胡” :
では、自分は……強化ビジネススーツの調達を。目標値は19ですね。

“アセルス・デスミオス” :
 王手を詰める前の支度ってカンジ?

“アセルス・デスミオス” :
 ま、王様二人いるけどねえ。

“七花胡” :
自分は誰にも恭順するつもりはありませんよ。王になる気もない、ガラじゃありません。

“七花胡” :
ただ……庭を焼く心地というものがどういうものかには、興味がある。

“七花胡” :
そのためには備えあれば患いなし。支度はつつがなく進めておきましょう。

“アセルス・デスミオス” :
敵を知り、己を知れば…。
のちの欲望のためだぁねぇ。

SYSTEM :
【Check!】
 調達判定を確認しました。
 判定を行ってください。(目標値:19) 

“七花胡” :
ああそうそう 加えて、ずっと“隻獅子”に貸し出していたものも回収しましょう

“七花胡” :
駄馬、このラウンドは飼い主の元でお仕事ですよ 嬉しいでしょう?

ラーゼス :
(“アセルス・デスミオス”の両脇を掴んで持ち上げる)

ラーゼス :
これまでありがとう。飼い主のところに戻ってくれ

“七花胡” :
(噴き出す)

夏瑞珂 :
『イデオロギーないかんねー』

“アセルス・デスミオス” :
ピッピカチュウ(しわくちゃ)

“七花胡” :
こ れはこれは ッフフ 丁寧なご…… ご返却 まことにありがとうございます

“七花胡” :
お役に立てたなら何より…… ……ッフフ

“アセルス・デスミオス” :
ああさらば めくるめく薔薇色の淑女御供生活
ようこそ 生かさず殺さず…グスン…

“アセルス・デスミオス” :
で マジな話するけど要件なんすか?

“七花胡” :
簡単ですよ お使いです 今から指定したものを受け取ってくるように

“七花胡” :
8dx+8 調達 (8DX10+8) > 10[2,3,3,4,6,8,9,10]+8[8]+8 > 26

“アセルス・デスミオス” :
へいへいっと。いつもこのくらいのお安い御用だと…。

“アセルス・デスミオス” :
(よく考えたら判定のブツ的には安くねえなこれ…)

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 調達に成功しました。
 アイテムの記入をお願いします。 

(内容:強化ビジネススーツ) 

“七花胡” :
承知しました 流石イタリア、良い仕立てですねえ

夏瑞珂 :
『ああ。傷こそつくが、浅かった』

“アイシャ” :
纏う命綱でない評価も
いつか聞きたい…

“アイシャ” :
それはそれとして。わるくない気分。

“七花胡” :
そちらの感想は、鎧として使う必要がなくなった時に。

“七花胡” :
のちの楽しみとしておきましょう?

“アイシャ” :
ん。…ふたつ分の楽しみ。
自分と仕事に手を抜けない人。

“七花胡” :
……せっかくのローマなのですから、庭の見物もしたかったのですよ。
できれば、そちらの分野も語りたいところです。貴女のお気に召すままね。

マスター・ハーヴェスター :
盧、居るか。
居るなら……さっき保護者崩れを釣り上げた流通路がまだ使えるか教えてくれ。

医療トランクでも買うとする。

“Mr・A” :
いるわよ(裏声)

“血穢の蓮花”盧秋華 :
(ヤクザキック) 

マスター・ハーヴェスター :
しばらく阿呆のAだな。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
ご心配なく。カレ、言われてたでしょ?
手の抜けない人だって。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
何ならちょっかいかけられるコはさっき火傷したばかりだしね。それで、お目当ては…。

SYSTEM :
【Check!】
 調達判定を確認しました。
 判定を行ってください。(目標値:20) 

“Mr・A” :
でもお高いんでしょう? というアレだ。
こいつでいいのかい?

マスター・ハーヴェスター :
ダメだったら仲良く死んで死に戻りだ。

マスター・ハーヴェスター :
処理能力が必要だ、ガンドルフのCPUを使う。
……ま、つまりいつもの《ハイペリオン》システム込みだな。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
高くなくても、命は安くしすぎないことね。

“Mr・A” :
失敗したらユメくんに「全軍突撃!」って伝えようね(名案)

“血穢の蓮花”盧秋華 :
 

“Mr・A” :
判定をどうぞ。(と血文字で書かれている)

マスター・ハーヴェスター :
(1+2+3)dx+10 <社会:調達>/勢力B込 (6DX10+10) > 10[2,3,3,4,7,10]+3[3]+10 > 23

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 調達に成功しました。
 アイテムの記入をお願いします。 

(内容:医療トランク) 

“血穢の蓮花”盧秋華 :
 恙なく、ね。使っちゃう?

マスター・ハーヴェスター :
俺が使うのも悪かないが…

マスター・ハーヴェスター :
淑女が先だ。ガキは体力だけはまだ元気だろ。

夏瑞珂 :
『誤射の要求と見える!』

“逢魔狩り”三草由芽 :
どこで彼女こんな言葉を

ラーゼス :
…………。

マスター・ハーヴェスター :
知るか。

マスター・ハーヴェスター :
チッ保護者崩れめ、仕事投げやがって。

ラーゼス :
(もの言いたげにアレウスを見る)

“七花胡” :
(横目で“死滅天隕”を見る それからしらんぷり)

マスター・ハーヴェスター :
どうした淑女。お前のこったよ。使いな。

ラーゼス :
む…。

ラーゼス :
ありがとう。では遠慮せず

ラーゼス :
2d10 (2D10) > 12[4,8] > 12

system :
[ 獅子王 ] HP : 8 → 20

“黄の希人”アーキル :
お、まずまずの戦果ってトコだな

“Mr・A” :
魔法のことばに曰く「いのちだいじに」

夏瑞珂 :
『診察室までお入りください』

“Mr・A” :
何よ! RB差別しようっていうの!(裏声)

“血穢の蓮花”盧秋華 :
ごめんね ちょっと退けるからね

夏瑞珂 :
『アリガトー』

“血穢の蓮花”盧秋華 :
どういたしましてー。

SYSTEM :
【Check!】
 セットアッププロセスの判定を全て確認しました。
 シーンの展開準備を行います…。  

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・シーン「情報収集(“ヘカトンケイル”)」

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 
 欲望:平穏 
 彼の最大の不幸は、戦士の才能があったこと。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 かつてこのローマを三分し、いまや二分に至ったセルのひとつ。
 ローマの高級居住区パリオリに本拠を構え、古くからの知識人、富裕層らを母体としたそのセルも、今や本来の勢力を大きく減退させている。

 …剰え、遺産のまことの主、その到来が、彼らの間に強い緊張の空気を走らせていた。

SYSTEM :
 それでも───“貴人の庭”が一枚岩であるという部分に変化そのものはなかった。
 厳密には、一枚岩では”ない”部分が、そもそも事の興りから悉く塵殺されているがためでも、あった。

 その筆頭。”青の貴人”テレサ・C・クリスティの従える、もっとも剛き戦士。
         ヘカトンケイル
 ギリシャに曰く、醜い巨人の名を冠した男について、何も識ることなく挑むことは出来ただろうが、こと超人は何かしら脛に傷持つものである。

SYSTEM :
 誰が言い出したのか、あるいはそもそも、そんな意図ではないのかもしれないが。
 およそ直接戦闘では崩せないと分かり切ったものの隙を縫うために行われた調査は、程なくして完了し、そしてたいへん暴力的な結論が出た。

SYSTEM :
 およそ真っ当な道ではない手段ながら、先ほど彼女の領域に切り込み、調査と並行した“伺い”が終わったばかりである。

 結論から言うと………。

“グレイ・スコーピオ” :

〈“ヘカトンケイル”ってのには父親がいる〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈その父親ってのは、話は分かったが余所者嫌いだ。
 ここ
 羅馬に来るとき交渉したが、にべもなく突っ撥ねた〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈これも仕事だ。色男のツレと組んでご案内したが、お話して頂く必要はねェ…。
 連中、どうも外様だからな。どうするかは好きにするといい〉

SYSTEM :
 つまるところ。
 彼のおそらく傷と呼べる部分、外様の“ヘカトンケイル”の父親の家に訪問した火事場泥棒だ。

 使われていない古こけた家屋の外側。PFの屈む音と共に、あなたたちに電子音声交じりの声が響く。
 直接伺うことに意味はないとしても、ここで話を止めたのは、その“父親”の前で話を聞くのかどうか、という部分にあるようだった。

夏瑞珂 :
 父親、眉をひそめて、他人の声で呟く。『実に愉快です』。

夏瑞珂 :
 廃墟の玄関マットをまくったり、空の植木鉢を持ちあげたりする。

「『ん~? どうかねェ』」

 好きにするといい、にもうひとりの同行者をふりかえる。一夜明けて落ち合った──というのが正しいけれど。

SYSTEM :
 電子音で警告アラートが返ってきた。
 具体的に言うと他人の声のレパートリーに。

ラーゼス :
「…………。…………」

ラーゼス :
機械兵を見上げ、次いで瑞珂を見る。

ラーゼス :
「……おれは、直接話を聞くべきだと思う」

ラーゼス :
「いや。その前に、すまない。おれも尋ねてよいか?
 経緯は伝え聞いているのだが」

ラーゼス :
「……どうしてこのようなことに?」

“グレイ・スコーピオ” :
〈…念のためを聞き返すが、それは“どれ”に対してだ?
 内容によっては俺にもその答えが判らねェ〉

SYSTEM :
 それは“ヘカトンケイル”の調査のためにとった行動の誘拐、あわよくば人質めいたことについてか。
 それとも“一晩をあちらで過ごす”という、他人の音声のレパートリーで暗号解読を強いてきた瑞珂の先にいたのが、よりによって”リグ・ヒンサー”残党の彼であることか。

SYSTEM :
 イヤ、それ以前の問題だろうか。

夏瑞珂 :
「『つまり…俺たちは分かり合えない敵だったのか………!!!!!』」

“グレイ・スコーピオ” :
〈フー………御覧の通り主犯だが………〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈マスター名乗った色男から…。
 ハイエナの雇用契約をした話でも聞いたんじゃあねェのか。御宅の飼い主は本棚の欠けが嫌いそうだ〉

夏瑞珂 :
「『何。この分の御代は請求書に乗せておきますので、ご心配なく♡』」

夏瑞珂 :
こんなかんじ。

ラーゼス :
「むろん聞いた。おおむねそのようなことを話していた」

“グレイ・スコーピオ” :
あの払いの良さは野郎の入れ知恵か…

“グレイ・スコーピオ” :
〈ああ。………〉

SYSTEM :
 その雇用契約の人間のもとに上がり込むという行いへの根本的疑問について、男は数秒の躊躇があった。

“グレイ・スコーピオ” :
〈納得いきたいのはどの辺だ…〉

ラーゼス :
「……。そうだな」

ラーゼス :
「反抗期の子猫のような娘が、貴公には懐いているのが疑問でならない」

SYSTEM :
 屈む中型タイプのPF。アレウスのものよりは多少機体が大きい。
            ノイズ
 電子音声の中に、溜息の肉声。

“グレイ・スコーピオ” :
〈知人の…面影〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈………〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈イヤ………知人だよ。
 ある意味じゃあ、さっきの言葉が答えかもしれんが…〉

SYSTEM :
 男はその瑞珂の様子を見て…。
 少なくとも知っているたぐいの威嚇がなかったことを一度確認してから、つづけた。

夏瑞珂 :
恨めしい視線。

夏瑞珂 :
じいーーーー

SYSTEM :
 男は意図的に視線を流した。

“グレイ・スコーピオ” :
 ・・・・
〈そうなる前のだ。…どっちの意味でもな。
 “どうしてこうなっている”の答えなんざ俺が知りてえ…それでいいか〉

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
「そうか。よかった」
 嬉しげに表情をゆるめる。

夏瑞珂 :
『「気さくに』『小僧』『と呼んで下さい。名刺は後で作るからね」』

夏瑞珂 :
ビリーを指さす。

“グレイ・スコーピオ” :
〈”グレイ・スコーピオ”〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈………そっちじゃねェ名前のほうは。
                 ムコウ
 豪華客船の底だ。引っ張り出せば、天国からやつらの野次が飛んできちまう〉

SYSTEM :
 男はひとしきり言い訳にも切実な悔いにも似た声を電子音声でこぼした後、もうひとりの来客を見た。意外な反応であったのだろうか、少し会頭に時間がかかる。

“グレイ・スコーピオ” :
〈…ずいぶん気にかけたもんだ。世話好きか? 損なことしやがる〉

ラーゼス :
「放っておけば、今日を待たずに燃え尽きたろう。気を揉んだぞ」

ラーゼス :
…この様子では、こちらの男も形は違えど似たようなものか。互いに鏡写しの自分は気にかけるのやもしれぬ。

“グレイ・スコーピオ” :
〈ヘヘ………そうかい。
 それでまあ、よくも生き延びてきたモンだ〉

SYSTEM :
 概ね納得の混ざった声。“人の出会いで帳尻合わせてるのかもな”と口が裂けても言わなかった。
 そもそも合わせるもなにも最初ので、彼女が満ち足りていたことを知っているためだ。

“グレイ・スコーピオ” :
〈…御宅のようなのが例の華人とよろしくやってんのは、野郎が案外俺の思うより律儀なのか、それとも。
 まあ、いい。燃え尽きるのに困ってくれるなら、他所の誰とも知らん男のもとに上がり込んで、挙句暗号みてェな連絡取るようなのは以降止めさせとけ〉

ラーゼス :
瑞珂を見る。

ラーゼス :
どうなのだ? と言いたげなしぐさ

夏瑞珂 :
 そっちの会話がむずがゆくて植木鉢をすべて逆さまにする仕事(時給0ドル)に従事していた手をはたと止める。

夏瑞珂 :
「『以降文句は聞かん、警告終了』」

 べっと舌を出す。ヤ、の意思表示。

夏瑞珂 :
「『───まったく。当て逃げは犯罪だよ』」

ラーゼス :
「だそうだが……?」

“グレイ・スコーピオ” :
〈今の発言がもっとも当て逃げだと思わねえか え?〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈…しかもこの継ぎ接ぎはいつからだ?
 必須たぁ言わんが、直るなら一日でも早く治してやれ。ただでさえ二十歳が嘘見てェなガキなんだぞ〉

ラーゼス :
…………。…………。

ラーゼス :
「つい数日前からだ。貴公の不安も理解するが、根を絶ったからとてすぐ変わるものでもなかろうな」

夏瑞珂 :
「『おれとて真剣なのだぞ』」

夏瑞珂 :
「『ハ、ハ、ハ!』」

夏瑞珂 :
不便。

“グレイ・スコーピオ” :
〈見りゃ分かる〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈…こいつを見届けたヤツの初心が、メソメソ泣いちまう〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈ガラでもない話だ。…これきりにさせてもらう。
 で、どうすんだ。“親父殿”はこっちに留まって頂いているが、被害者の前で読み上げるようなのが嫌なら先にこっちで口にしたっていいんだぜ〉

ラーゼス :
「会おう。いずれ除くもののことだとしても、知っておくべきだと思う」

夏瑞珂 :
アレックスのはなしを持ちだされて、すす~っと青い背中にへばりついて、額をくっつける。ごちん。硬痛い。

夏瑞珂 :
「『ちょっと興奮した子供くらい、
 アメリカでは敵対のうちに入りませんよ!』」

夏瑞珂 :
ゴーゴー。

SYSTEM :
 年齢としてはもっとも年下の、しかもそれを聞いていた本人が勇んで敵対していた男の戯言を、軍人崩れが聞き流した。

SYSTEM :
 ………

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………このような廃屋の一室にその人物はいた。ずいぶんと老け込んだ男だ。

 椅子に括りつけられた男には暴行(一部切り傷)のあともある。
 やや手荒な真似ではあったらしいが、ひときわ目立つ目の傷は年代ものだ。

“グレイ・スコーピオ” :
〈そいつだ。御子息の話はおろか、連中の爪先ひとつも口を割りやしねェ〉

SYSTEM :
 ふん、と鼻を鳴らす音。
 おそらくは“漸く”に相当する、開いた口から出た言葉も、対話というよりは悪態に近かった。

『貴人の庭』要人 :
「話すことなどない。
 やつのように死体ごと吹っ飛ばしてみたらどうだ…ん?」

夏瑞珂 :
 ごめんください
「『斯うて候ふ』」

ラーゼス :
「失礼する。……瑞珂、その男の声はいかがなものか」

“グレイ・スコーピオ” :
1d2 2で面識あり (1D2) > 1

“グレイ・スコーピオ” :
〈…このガキ 行く先々で何と会ってやがる
 御宅ら放し飼いにでもして…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈いや、だったら余計にだな
 いまのは撤回でいい。それで…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈…爺さんよ。ご無沙汰だ。
 あんたも外様なんだ。金で縁のひとつでもつないでくれりゃあよかったのにな〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈もっとも今となっちゃ泥船でもある。
 ハハ……英断を感謝する、ってのは結果論だ〉

『貴人の庭』要人 :
「………………」

『貴人の庭』要人 :
「話すことなどない。そして…」

『貴人の庭』要人 :
「…わしが話しても…。
 あの娘がキサマらなぞの手で止まるものかね」

SYSTEM :
 それは諦観とは違う。すこし嘲るような声。”よそ者”/外様だったというにしては、畏怖とも別の感情がある。

夏瑞珂 :
「…… ……」

夏瑞珂 :
皺のきざまれた顔を覗きこんで、くりんと首を傾げる。

夏瑞珂 :
「『あら厭だ。いい年した大人が若者を語る気?』」

 あの娘と呼ばれた女の声が、血と埃のにおいがする廃墟に落とされる。

『貴人の庭』要人 :
「フンッ! 安い挑発だ…」

『貴人の庭』要人 :
「他意なんぞとっくに捨ててしまったわ。
 …野良犬にも、狂人にも語られるトコロでない。失せろ!」

“グレイ・スコーピオ” :
〈気の大きいこった。あんた…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈庭の小間使いだったんだってな。
 親子揃って物珍しさと戯れの”東洋人”だ〉

ラーゼス :
「……。なるほど」

ラーゼス :
「以前の者と、“青の貴人”へ含むものが違う。
 彼女の供回りをしていたのか? この男は」

“グレイ・スコーピオ” :
〈イヤ。調べて回ったが…。
 “貴人の庭”ってのはン年前にでかい粛正があったそうだな〉

ラーゼス :
「そう聞いている」

“グレイ・スコーピオ” :
〈こいつはその前後でも特にクロはなく生き残っているやつだが………。
 ・・・・
 小間使いが許されてんのは、別に東洋人の珍しさじゃあねえ〉

SYSTEM :

 ………時に。
 世の中にはごくまれに、そう。
 本当に“稀”と言ってよく、頂点をとることなど今に至っては決してないことだが。

 オーヴァードであることがそもそも強さの理由では“ない”ようなのがいる。

SYSTEM :
 各地を放浪する”カーネイジ”などは、その拳法の異常な精度こそが本懐だ。
 むろん、オーヴァードであることが何の貢献もないというわけではないが。

 彼らが庭に留まることを許されていたのは…。

“グレイ・スコーピオ” :
〈息子のほうだ。
 こいつが、オーヴァード以前に、
      つよ
 生物として強靭すぎたんだよ〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈………そいつの大事にしていたものを留めとくって意味でいることを許された。で…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈そいつを飼っていたやつが粛清されて、飼い主が例の小娘に移って。

 小間使いから目出度く出世した。忠義の理由はそんなところか〉

SYSTEM :
 露悪的に言いはしたが、つまるところ。

 よその国、よその血。物珍しさと強さ、都合の良い浮浪のコマ。そんな“どうでもいい”ものの待遇を気にした最初の相手が、
 テレサ・C・クリスティだった。と。

『貴人の庭』要人 :
「………」

『貴人の庭』要人 :
「痛快だったよ。恐ろしくもあった。
        アレ
 わしではない。息子を軽んじながら恐れていた者たちが跪くのは」

『貴人の庭』要人 :
「我々は受けた恩を忘れん。
 …恨みもだ」

『貴人の庭』要人 :
「………だがそれだけだ。聞いてどうする? キサマらにわかるか? わかるというのか? わかられてたまるかよ!」

SYSTEM :
 とても単純なこと。彼が息子のことをどう思っているかはともかく、男が恐れとは別の理由で彼女に忠義を尽くしているのは。
 
 ただの超人や物珍しい東洋人としてではない、”大勢”の庭の一部として彼らを扱ったからだ。

SYSTEM :
 ならば、その敵意と憎しみの視線から、具体的な口を割ろうはずがない。

 正気なもののうち、残っているのはすべて“それ”だ。種別は違えど。
 ならば、巨人とて変わるまい。

“グレイ・スコーピオ” :

〈………〉

“グレイ・スコーピオ” :
 ・・・・・・・・・・・・
〈自分から檻に留まった巨人、か〉

SYSTEM :
 そして、彼はわかっていて、淡々とパーソナリティを語りだした。

 物珍しい東洋人。
 後天的にオーヴァードとなり、さらに能力を伸ばした貴人の庭最強の“バーサーカー”。
 それ以外のことを長年知らず、教わらず育ってきたくせ………。

SYSTEM :
 与えられた恩に報いる、ただそれだけのために。ここで生きて死のうとする生き物の話。

 およそ暴力性さえ持たなければ、あるいは、ひっそりと暮らしていくこともできた生き物の話…。

SYSTEM :
【Check!】
 情報『“ヘカトンケイル”サン・ウンガロ』を開示します。 

SYSTEM :
【人物:“ヘカトンケイル”サン・ウンガロ】
 ブリード:クロス
 シンドローム:キュマイラ/ハヌマーン
 ワークス/カヴァー:FHチルドレン/FHチルドレン
 侵蝕率:132%(最高記録。平時はこれよりも下) 性別:男性 年齢:29

SYSTEM :
 FHセル『貴人の庭』に所属するFHチルドレン。
 旧体制のメンバーが戯れに『飼って』いた東洋人の息子のほう。

 FHにおいては俗に言うところの利用される側に過ぎず、大望や戦略的視野などは持たない。俗に言うところの下働き。
 野心やそれに類する感情がほぼ皆無であり、過去の『貴人の庭』の本流にいなかったため、今も貴人の庭に残留しているエージェント。
 
 ただし「義理には同じだけの義理で返す」「不義理には同じだけの不義理で返す」という独特の感性を持ち、良くも悪くも恩と怨みを忘れない。
 また、戦場でない時の彼は極めて穏やかであり、平穏に馴染むための努力を欠かさなかったことから、根は戦場に向いていない。

SYSTEM :
 オーヴァードである以前に天性の強靭な肉体を兼ね備え、レネゲイドによる覚醒でそれが更に強化。
 外の世界を一切識ることのない人間であり、自らの肉親にすら、当時たいへんに恐れられてきた彼だが、育ててくれた恩のためそれを苦に思う様子はなかった。

 親を助けてくれたテレサへの『恩』から、そして今に至るまで自らを人として扱う『恩』から、ウンガロは忠実な配下で在り続けている。

SYSTEM :

 なお、その本質的には一人でも生きていけるのだが、彼は殊更に“この生き方”を良しとしている。
 
 自らの理由に繋がれる獣。もっともはじめに、己にそれを与えた人間と、それを育てた大地こそ、彼は生きていく理由にしたがったのだ。

友好条件 :
 サン・ウンガロは下記の条件をすべて満たした際に『友好』NPCとなる。

・フェーズ2以降
・『“貴人の庭”』と友好関係を結ぶ
 もしくはフェーズイベントで“貴人の庭”崩壊/テレサが死亡する時に、救援に向かう

敵対条件 :
 また、以下の条件で『敵対』NPCとなる。

・フェーズ2以降
 一度でも“青の貴人”に攻撃する

SYSTEM :
 友好となった場合は、下記のカードを獲得する。

SYSTEM :
[“ヘカトンケイル”]
・ギガンティックチャージ(Round/1)
 指定した「勢力」に対して即座に「他組織への攻撃」を発生させる。
 その判定を行うPCの達成値は「20」で固定される。

・アウェイキングテンペスト(Scenario/1)
「“青の貴人”テレサ・C・クリスティ」の殺害に関与したキャラクターに対して発動。
 NPCだった場合、かつPCが阻止しなかった場合、
 味方ならば対象のカードを使用不能にし、敵ならばランダムでエフェクトを一つ使用不能にする。
 PCだった場合は離脱不能の戦闘シーンを挿入する。

 以降、このカードは使用不能になる。
 ただし死亡するまでの間のみ、クリンナッププロセスごとに「テレサに敵対していた陣営」に同じ効果を発動する。

ラーゼス :
 語られるその人となりを、静かに飲み下す。
 この男たちにとって、彼らの王は自分たちを人間として扱ったもの。
 恩義に報いる姿に、森へ置いてきた番兵を重ねる。

ラーゼス :
「(……改めて思う。一つの国を滅ぼすようなものだな)」

ラーゼス :
 別の場所に生まれることが叶えば、別の選択肢もあったろう。
 だが悲しいかな、彼らには今しかなく。
 安住の地も貴人の庭にしかなかったということだ。
 それも凋落した前の主ではなく、“青の貴人”になった女王の膝下に。

ラーゼス :
「(邪魔、か……)」

ラーゼス :
 アレウスの言葉を思い出す。
 そうもなろう。青の貴人ではなくティーラに焦がれた男にとって。

ラーゼス :
「……すべて理解できるとは思わぬ。貴公には貴公の理由があるはずだ。そこには、同じものなどないのだから」

ラーゼス :
「だが知っておきたかった。毒虫と手を組んだあるじを見ていた貴公らのことを」

夏瑞珂 :
「『ハッハッハ おかわいいことだ』」

 そうして語りおえた男の、いくぶん若い声による嘲弄。

夏瑞珂 :
 ……自らの理由に繋がれる獣。
 ……生きていく理由のまだ残るもの。

 縛りつけられた老人の背後に回りこんで、嘲るように両肩へ手を這わせる。食いこんだ指先が、老いさらばえた体をみしりと鳴らした。

夏瑞珂 :
「『是非とも、破落戸の首と一緒に、散りゆくものの責任を取って下さいな』」

 わたしは、他人の理由で。
 その妬ましいけものへ、手をかける。

SYSTEM :
 毒虫と手を組んだことに、彼は口を出さなかった。きかなかった。
 まことに庭を思うならば………それは、あるいは主を殺してでも止めるべきだっただろう。

SYSTEM :
 だがそうしなかった。それは…。
 なるほど確かに、彼らは女王の膝下でしか生きられぬからでもあろうが。

『貴人の庭』要人 :
「…ムダだ。あの娘の生きる理由はもう…」

『貴人の庭』要人 :
「玉座を作った屍にしかないのだ。
 いまさら止められぬ。
        ・・・・
 止まるときは、愚かな王の墓標を残さねばならぬ…」

SYSTEM :
 わなわなと男が震え出したのは。
 言葉のさなかに、ほかでもない女王としてしか生きられない人間の…。

 死者の声とともに生きていくか、死ぬかを固め切ったものの声で囁いた娘への所以が、わずかに含まれていた。

『貴人の庭』要人 :
「………それが報いであっていいものか。
 わしの、わしの人生を…あれの人生を渡したものが、たかが数匹の野良犬の感情に…」

『貴人の庭』要人 :
「踏みにじられてなるものか…」

『貴人の庭』要人 :
「──────そうだ。
 殿下を、ウンガロを手にかけてみろ」

『貴人の庭』要人 :
「死んでもその首、ねじ切ってやるぞ小娘──────」

SYSTEM :
 老人の声には、ありありと憎悪が積もっていた。立場など意に介さず。
          ・・・・・・・・・
 あるいはあなたも、手をかけられたからそうしただろうことを知らずして。

 殿下と呼んだ女の生きる道がそれしかないことを、親子は知っているのだ。
 ───彼らにとって恩の矛先が国と土地に命をかけるなら、それ以外の道はない。

SYSTEM :
 ………グレイ・スコーピオと“逢魔狩り”が彼を引っ立てたのは、恐れるばかりの息子を誘き出す格好の餌だからだ。

 その言葉が恐れのみでないのは、打算なのか。そうでもないのか。知る術はない。

“グレイ・スコーピオ” :
〈………〉

“グレイ・スコーピオ” :
        ・・・・・・・・・・・・・
〈その愛息子は、あんたの首で必ず我を忘れる〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈………決めるのは俺じゃねェ。
 やり方は好きにしな。だが…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈やるなら火傷は覚悟しろよ。いいな?〉

SYSTEM :
【Check!】
 “ヘカトンケイル”の対応FSシーンを開示します。 

夏瑞珂 :
「『首がポーンって飛んじゃうからね』」

 憎悪の熾りに、不愉快げに眉をひそめる。
 立ち枯れの体には何の力もない。ただ、その熱の確かさだけは知っている。いやになるほど。

 だから──そう、火傷なんていまさらだ。火達磨になって、焦げついた体にひとつ痛みが増えるくだい。

夏瑞珂 :
 穏やかだと言われたけものは、これで、壊れるだろうか。わたしと同じに。
 なるのだろう。なるべきだ。死に物狂いで、憎い憎いかたきに追いすがる……。

夏瑞珂 :
「『というわけなので泣いて喜び、そのまま永遠に』『土になりなさい』」

 風を走らせる、そのための指先が震えた。

ラーゼス :
乱暴に細い体をつかみ上げ、押しのける。

夏瑞珂 :
「っ」

夏瑞珂 :
とっさの抗議が出ない。

ラーゼス :
「────おまえは」

ラーゼス :
「過去の忘れ形見の前で、自分がされたことを繰り返すのか?」
 静かながらも唸るような、明確な怒気の篭った声。

夏瑞珂 :
「っ……! ……!」

夏瑞珂 :
  Glitched
「『───気狂いが、戦場だぞ…!』」

夏瑞珂 :
 突きとばしにかかった体が、壁に衝突したみたいに跳ね返って尻もちをつく。

SYSTEM :
 背け続ける三年間。風の子と見紛うころだった時は、その程度の発言を忌憚なく吹っ飛ばしたことだろう。

SYSTEM :
 ………かつて海兵隊伍長だった男は知っている。

“グレイ・スコーピオ” :
〈…背け方だけうまくなりやがって、誰の…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈…イヤ…それは過ぎた話だが。
 …手前、いいんだな?〉

ラーゼス :
「……勘違いをするな」

ラーゼス :
「この娘のためでも、貴公のためでもない。
 娘の過去の傷をえぐり返すために殺されるこの男が、ただ不憫というだけだ」

ラーゼス :
 いくぶんか真実だ。
 主を慕うがために腐りゆく主を見ていることしかできなかった、愚かな忠義者の命は、たとえ必要だとしてもたわむれに奪うべきものではない。

ラーゼス :
燃えるように蒼い隻眼が、鋭く娘の暗い瞳を射抜いた。

ラーゼス :
それを最後に外套を翻し、拘束された男へ向き直る。

夏瑞珂 :
 借り物の反駁もない。びくりと肩が跳ね、うなだれて視線を逃がす。感情の行き場をもとめて指先が埃まみれの床板を掻いた。

SYSTEM :
 老人の痩せさばらえた瞳が持ち上がる。

『貴人の庭』要人 :
「行き先は同じ地獄だ…」

『貴人の庭』要人 :
 あれ
「息子は、負けん…
 殿下の、最強の矛であり、盾…」

ラーゼス :
「そうであればよいな」
 杖先に雷を灯し、落ちくぼんだ瞳を見つめる。
 憎悪と忠誠、怯え、怒り、虚しさ、あるいはそれ以外のすべてをないまぜにした従者の瞳を。

ラーゼス :
              つよ
 なるほど確かに、かの巨人は強靭いのだろう。
 だがそれは言葉なき獣の強さであって、いつだとてそれは知恵の実を口にしたものの狡智によって喰い破られるものだ。

ラーゼス :
「貴公の怒りが、恨みが、死のはてでもつづくのなら……」

ラーゼス :
「我が眠りの最中まで、我が首を追うがよい。
 貴公の仇は、いつもそこにいる。
 この心が朽ちるまで付き合おう」

ラーゼス :
 傲岸な宣言とともに、槍先をその心の臓へ突き立てる。

SYSTEM :
 老人の目が見開かれた。
 苦し気にわななく、その直前。
 死の果ての視線は、鬣のごとく金色の髪を靡かせた女に向けられ、喀血した血が地にこびり付いた。

SYSTEM :

 ………地獄に落ちろ、に対する宣言にしては。あまりにも。
 傲岸で慈悲のない、しかし、これ以上ない手向けの言葉。それを受け取った老人は、最後に何事か口を動かしてから、息絶えた。

『貴人の庭』要人 :
 “軽くはないぞ”。

SYSTEM :
 見送ってきたあまたの死者を礎としたものを、ただ見てきた男が。
 その侵略者に対して、最後ひとかけらだけ掴み取った理解は、その言葉であった。

SYSTEM :
 骸に再生の気配はない。

 居場所に留まる獣の理由の片割れは、もう二度と、零れ落ちたまま元の形を取り戻すことはない…。

ラーゼス :
 ……静かに槍を引き抜く。
 血を振るって落とし、ふたりへ振り返った。

ラーゼス :
「……戻ろう。必要なことは知れた」

ラーゼス :
「“グレイ・スコーピオ”。手間を取らせたな」

ラーゼス :
 謝罪の言葉も、哀れみも、死んだ男に発するべきではない。
 我らは彼の国を滅ぼす侵略者でしかないのだ。
 ……しかし、その首を使いもしないのにこの場で殺したのは、凋落してゆく彼の国を見せはするまいという中途半端な物思いがもたらしたものだろう。内心で自嘲する。

“グレイ・スコーピオ” :
〈問題ねェ。使うにしろ、そうじゃねェにしろ…実際、かみつく鼠に手段なんざ贅沢品だ〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈………もっともローマの趨勢は、結果的に漁夫の利したもん勝ちだが…。
 まあ、いい。あんたには、おそらくこれは言うだけ野暮だろう〉

SYSTEM :

 窮鼠が猫を噛むのは命の危機だからだが、しょせん本能の決死など野生では日常茶飯事だ。

SYSTEM :
 かつて守り人だったことを誇っていた時がある男は、命より上に置くものを守る時の死に物狂いを知っていた。
 時として結果以外のすべてを鼻で笑わなくてはいけないことがあるのも。

ラーゼス :
「ああ。結局のところ、どちらも茨道なのだろう」

ラーゼス :
「……であるならば、おれは目の眩んでいないものを見定めたい。
 その上で、踏み超える必要があると思ったのだ」

ラーゼス :
 首を使うも、使わぬも。
 ここにいない胡は歓迎しないかもしれないが、アレウスは憎悪を逆手に取るやり方を殊更に悪し様には捉えまい。
 だがこうしたのは、やはり、己のわがままと言えた。

“グレイ・スコーピオ” :
〈踏み越える、ね…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈FHの看板で知ってる連中は皆、墓の掘り起こしを苦にも思わん野郎だったが。あんたはそういうわけでもないらしい〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈…クク…つくづく世の中ってな皮肉に出来てやがる…〉

ラーゼス :
「馴染みきれていないと、誰にも言われる。面目次第もない」

“グレイ・スコーピオ” :
〈ハハ…誰宛てだ、その詫びは。
 類が友を呼んでんのか、え?〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈だがそれが、よかったのかもな…〉

SYSTEM :
 一呼吸。彼はしょせん、立場上は“ハーヴェスター”とローマにおける“リグ・ヒンサー”から地続きの雇用関係だ。

 首の使い方に干渉はするまい。命を絶ち、特に使わずにするのか。先に彼女の番犬ごと、庭の入り口に晒すのか…。

“グレイ・スコーピオ” :
〈ノコノコと報復待ちで屯すこともねェ、ずらかりたいところだが…。
 …ああ、ひとつだけ最後に聞いてもいいかね〉

ラーゼス :
「おれよりよほど聡明な男だ」
 大真面目にうなずく。

ラーゼス :
「……おれにか? かまわない」

“グレイ・スコーピオ” :
〈…ああいう爺にクドクド恨まれるのには、馴れてるみてェな口ぶりだったな〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈見送り馴れてんなら…何のために人殺しやってんだ?
 ………ああ、答えられないなら答えられないでいい、5カウント口閉じてくれ〉

ラーゼス :
「……なんのために、か」
 沈思する。答えは明白だったが、その伝え方に迷って。

ラーゼス :
「……おれにとり、生きるため殺すことも、それ以外も、いつも同じものだ。
 同族であろうと、そうでないものであろうと」

 守るために戦い喰った。日々の糧を得るために喰った。
 智を得てからは、それに「殺す」という言葉と、その意味がついて回った。
 生きることと恨みを果たすこと、その二つを一度に果たすため、かつて契った竜の一族を喰ったことすらある。

ラーゼス :
「むろん、貴公の言うことが、そのようなおためごかしでないことは理解しているつもりだ。
 言葉で伝えることは、ひどく難しく感じるが……」

ラーゼス :
 ・・・・・・・・・・・・・
「見送ることをよく識るがゆえ、殺すのだ。
 戦い勝ち取るしかないものは、戦わねば、すぐにこの手から零れ落ちる。時は待たないからな」

ラーゼス :
「たとい、それをもって、己が殺めたものに呪われつづけるとしても。どのように責め立てられたとしても。
 それがおれだ。このように生きている」

SYSTEM :
 ………詮索無用の世の中で生きている彼が、なぜそんなことを聞いたのか。

 雑音がひとつふたつ零れる中、重々しい駆動音交じりの肉声。 

“グレイ・スコーピオ” :
〈まったくだ………。
 後学のためと聞いて、何が変わるでもねェが………〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈恨み言を言うのも、零れたヤツも…。
 ………そうかい〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈あんたになぜ、このクソガキが威嚇していたのか…、少しわかったような気分だ〉

SYSTEM :
 ………彼にとって唯一理解できる断片。
 その野生と理性のはざまにいる一番槍は、何をどう聞いてもありふれた欲望に縁はなく。

 むしろ、守護するという生き方に心当たりがある、という小さな疑惑だ。
 聞いて何が変わるでもないから、彼は言葉を渋った。それは己の過ちを浮き立たせるだけだったが、是と確かめたならば。

“グレイ・スコーピオ” :
〈仮に、この先の戦場で出会うとして…銃口の向こう側に、あんたのようなのを置くまいと決められそうだ。七面倒なことになる〉

SYSTEM :
 彼自身に命の頓着はない。
 どちらかというと、この先“も”死ぬために、この場にいるもっとも年若いものがこの行路を行く場合への釘差しにも聞こえた。

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
「そうしてくれ。さぞ手間が掛かるだろうからな」

“グレイ・スコーピオ” :
〈そうするさ。…〉

SYSTEM :
 口にしてから、PFの機体が一度屈む。
 座り込んだとうの本人がへそを曲げる前に回収しようという魂胆だ。

 あなたがしなければ、彼が、いまの彼女の仮上司とでもいうべき男のもとに運ぶだろう。

夏瑞珂 :
 しかばねと化した老体を、ついぞ、まともには見なかった。悼み、哀れむ気持ちからではない。

 何のために殺すか。訊ねて、何が変わるのでもない。わたしもビリーも、答えた彼女でさえ。確かなのは、勝ち取れなかったものから、手をすり抜けていく事実だけ。

 だから、屈んだ機体に飛び乗って、そのまま彼女を置き去りにしてもかまわなかった。……。

夏瑞珂 :
 戻ろう、と先の言葉どおりに遠ざかっていく背中。
 その翻るマントを、かろうじて掴む。ほとんど指先で摘まむだけの、かすかな追行。

夏瑞珂 :
「…… ……」

夏瑞珂 :
 もうおこってない? と、視線としぐさで訴えかける。顔色を伺う上目遣い。

ラーゼス :
「……………」

ラーゼス :
外套をわずかつまむ指に、それでも立ち止まる。

ラーゼス :
「……。怒ってはいる」

夏瑞珂 :
うつむく。薄汚れた床板の上に、内向きになった自分の爪先が見えた。

ラーゼス :
「…………」

ラーゼス :
「おれがなぜ怒ったか、理解しているか?」

ラーゼス :
言葉のわりに、静かで穏やかな声音。いつもとそう変わらない。

夏瑞珂 :
ちょっとぎくりとなる。

夏瑞珂 :
「『ご来場のお客様』『繰り返します』」

夏瑞珂 :
「『お嘆きだぞ』」

夏瑞珂 :
ちら……と視線を持ちあげる。

ラーゼス :
無表情。

ラーゼス :
ただじーっと見つめてくる。

夏瑞珂 :
目が泳ぐ。

夏瑞珂 :
視線を落として、後ろ手を左右にゆらゆら。

ラーゼス :
「……そうか」

夏瑞珂 :
慌てる。慌てすぎて、アテンションプリーズ、と機内放送が流れた。

SYSTEM :
 はじめ訝しげに下ろされていたPFの視線が 後ろ手にした辺りでカメラごと持ち上がった。

ラーゼス :
「……瑞珂」

ラーゼス :
「……自分の傷のために、他人を損なうのはやめるべきだ」

ラーゼス :
「見たものが悲しむ。 ・・・
 知ったものが悲しむ。おまえとて、おまえを気にかける目がいくつもあることを知っていよう」

夏瑞珂 :
 ぴく、と。揺れた視線は爪先に落ちて、いくつかの面影を脳裏に呼び出したあと、ビリーを向き、最後に彼女のもとへ戻ってきた。

夏瑞珂 :
「『まあ、間違っちゃいないさ』」

 場違いな呆れ声に顔をしかめる。もうちょっと神妙な声を出してほしい。

夏瑞珂 :
 ……悲しむ誰か。それがどうしたと振り切れるわたしは、数日前に置いてきてしまった。
 でも、そうでなかったら、わたしもビリーもきっと今ここにはいなくて、それは『いくつも』の大きな部分を占める彼女のおかげだった。

夏瑞珂 :
 でも。だって。

「『やれるならやる。承知の上だろ』」

 伺うように上げた視線が、また落っこちる。

ラーゼス :
「…………」

ラーゼス :
「……。やってしまうのだから、仕方がないと?」

ラーゼス :
「それとも、どうしてもやりたいが、おれがこうなるのは嫌と?」

夏瑞珂 :
「『いや、こいつは少し話がズレたか?』」

 大慌てでごまかす。ちがうんです、というアピール。

夏瑞珂 :
 ……。あんまりちがくないので、困り果てた。でもそれを正直に言ったらどうなるか予想がつくので、とても困った。

夏瑞珂 :
       ヒモなし
「『拙者いつでも断崖飛翔を所望』」

夏瑞珂 :
どうか?

SYSTEM :
 向こう側のPFから思わず、といった様子の雑音が聞こえた。操縦桿から離した手を、“おい…”と言いたげにゆるやかにたたきつける、意図を加味しても呆れ寄りの音。

夏瑞珂 :
ちょっと跳ねる。

ラーゼス :
無言。

ラーゼス :
眉を悲しげに下げる。

夏瑞珂 :
……!

夏瑞珂 :
思ってた方向と逆に眉がうごいて、ますます慌てる。

夏瑞珂 :
「『情熱には情熱、暴力には暴力で歓迎してやろう』」

夏瑞珂 :
勢いよく(元)雇い主になすりつけた。

ラーゼス :
「……………」

ラーゼス :
「……わかった。もうよい」

夏瑞珂 :
おろおろと近寄る。

夏瑞珂 :
上目で顔を見つめながら、ぎゅっと抱きつく。

ラーゼス :
抱きつかれた側は不動。頭の片隅に、ぽいと捨てられて嘆きながら平謝りしていた男がちらつく。それも、たいして反省はしていなかった。

夏瑞珂 :
爪先立ちして、なかなか届かない頬にキスをする。二、三回。

夏瑞珂 :
ひっさつわざだった。

ラーゼス :
ますます思い出す顔がある。場の振り方に困ったときにかまってくる愚か者。

ラーゼス :
「“グレイ・スコーピオ”」

“グレイ・スコーピオ” :
〈…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈どうした…言ってみろ〉

ラーゼス :
「まさかと思うのだが、過去はこれで許されていたのか?」

“グレイ・スコーピオ” :
〈………………………〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈………さっきの、不躾な質問の代金代わりで答えるが………〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈本当に取り返し付かねェ場合じゃなけりゃあ…。
 弱みがあったんでな このガキ抱えた野郎には〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈…詫びの言葉が見つからなかったか? 言う気がねェから、先に“次はねェぞ”でも言わせたかったのか?〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈なんかねェのか 紙とかペンとか…〉

 さっきから同じ男の声ばかり響くんだぞ

ラーゼス :
「すまない……」
 獣の王 年齢不詳 書けるが、書くものなど常備していない

“グレイ・スコーピオ” :
〈………………〉

“グレイ・スコーピオ” :
S1d2 1:グレイ静観 2:ビリー見苦しい気遣い (1D2) > 1

SYSTEM :
 彼は応答をそこで止めた。
 所持していないか、助け舟の役割を死人からかっさらう気はないらしい。

夏瑞珂 :
最後の手段すらも王の城壁を前に敗れる。ものすごく窮地。

夏瑞珂 :
💡

夏瑞珂 :
埃っぽい家の壁に指をすべらせる。目をこらしたら見えないこともなくもない"SORRY"の文字。

夏瑞珂 :
どうか?

ラーゼス :
 しかし うまく きまらなかった!
 獣の王は困り果てた顔をしている…。

ラーゼス :
「……もうよい。瑞珂」

ラーゼス :
「おまえがそのような娘であることは、これまでの中でよくわかっていたつもりだ。
 あのような捨て鉢な行いを、言ったとてやめはするまい……」

ラーゼス :
「だが……もし、あのような言葉を借りて、また人を殺めるのならば」

ラーゼス :
「彼がいたとて、いなかったとて。おれはそれを許容できない」

夏瑞珂 :
 ……ゆっくりと頷く。渇いた喉がひくついて、ちいさく音を鳴らした。

夏瑞珂 :
 自分はやるくせに──とふてくされる気持ちを、肩をつつく手が遮った。

夏瑞珂 :
 殺める。何のために。問いかけと、その答えへ、いつかの声が重なった。したいことではなく、するべきことのために。

夏瑞珂 :
 静電気が走ったみたいに、俯きかけた顔を上げる。まるくした目で、鋭く眇められた双眸を見た。まっすぐに。

夏瑞珂 :
「 、ァ」

 かひゅ、と喉が震えた。その手掛かりを掴みきらないうちに、居ても立っても居られなくなった体が、おうさまの首めがけて抱きついた。

夏瑞珂 :
「『ありがとう』」

 前後のつながらない、まったく独りよがりな応答。
 彼女の声を借りたわたしにだってよく分かってないのだから、見ている彼らにしてみれば、もっとチグハグだろう。

ラーゼス :
 細い体を受け止める。
 もはや手慣れた仕草で抱き上げたが、あとで更に飛んできた己の声に首を傾けた。

ラーゼス :
「……なにに納得して、なにに感謝したのだ? おまえはいつも突拍子がない……」

ラーゼス :
「それに、おれはまだ怒っているのだぞ。
 許されるためにくちづけるのもいけない。わかったな……?」

ラーゼス :
戻りかけた声に安堵を示そうとする己を意識して戒める。こういうときに緩めてはいけないと、子育て中の臣下も言っていたはずだ

夏瑞珂 :
 ぷらんと揺れる爪先。宙ぶらりんのまま、揺るぎない体をぎゅっとする。叶うなら叫び出したい気持ちで、なのに、快哉の理由がちっとも分からない!

夏瑞珂 :
「『ハ、ハ、ハ! 褒められちゃったネ』」

夏瑞珂 :
 怒りの気配が引っ込んだのを察知して、抱えやすいよう足を持ちあげる。どうすれば相手が持ちやすいか、よく知っている動き。

ラーゼス :
……。

ラーゼス :
腕の力がゆるむ。

夏瑞珂 :
ひし……

ラーゼス :
………………。

ラーゼス :
これでよかったのか? と 心なしか不安げに“グレイ・スコーピオ”を見上げた……。

SYSTEM :
 不安げに見上げられた鋼色から、電子音声の代わりに肉声が下ろされた。曰く。

“グレイ・スコーピオ” :
〈繰り返すと、味をしめる〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈だが、………。
 ガキ気分の二十歳のやることだ〉

ラーゼス :
にじゅう?

“グレイ・スコーピオ” :
〈なんだ聞いてなかったのか。
 自立って言葉が頭から抜けて………、………〉

ラーゼス :
「……………すまない。いくら歳を重ねていても……」

ラーゼス :
「じゅうよん……? ぐらいであると……」

“グレイ・スコーピオ” :
〈………〉

SYSTEM :
 …彼の沈黙は「十四くらい」という部分にはぶつかっていなかった。
 
 そこからさらにいくつか削れば、ちょうど。出会いの年月分になる。

SYSTEM :
 ………どちらかといえば。
 名残を引っ込めるための沈黙が続いたあと。

“グレイ・スコーピオ” :
〈戻るぞ。調子よくする前に下ろしてやれ〉

夏瑞珂 :
「『そんなー』」情けない声

ラーゼス :
助言どおり手を離す。

夏瑞珂 :
したたかにおしりを打つ。うらめしいかお。

夏瑞珂 :
「『これ自分が悪いんですか?』」

“グレイ・スコーピオ” :
〈“ごめん”を言い足りないそうだ〉

ラーゼス :
すたすたと歩調を早めて歩き去ろうとする。

夏瑞珂 :
「!!!!」

 走って追いかけてマントを掴むと、早い歩調に体がずるる~っと連れていかれる。

夏瑞珂 :
ふりかえってビリーにべっと舌を出す。

SYSTEM :
 鼻で笑うような、PFの歩行音が二度響く。

 庭から先んじて失われた、枯れかけの花の名残と共に、物音が遠ざかる。
 ・・
 それを先に摘み取ったのは、腐りかけていたからか。それとも…。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

ラーゼス :
ない。

夏瑞珂 :
『ない』

GM :
 畏まりました…ました…ました…(反響)

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。


・対話シーン8(アレウス、”七花胡”)

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 
 欲望:なし
 人並みにはそれがあった。友達もいた。家族もいた。
 一度目は交通事故で全部失くして、二度目は流れ着いた先が悪くて、年上の男ばかり見てるうちに、まるごと削られた。

 人生はとても乾いている。イミはもう感じていない。
 才能だけはあるらしい。三度目の、イミを見出してくれる人も。
 まだ“うれしい”とは思うから、それのために生きている。ながい余生。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

“七花胡” :
 ……薄暗く落とされた照明。広いとは言えない空間。表通りから一本入った先の路地、階段を下った先。
 漂う酒気。まばらな客足。金さえ握らせれば口の堅いマスター。価格帯に応じたそれなりの御行儀に、詮索無用の暗黙の了解。
 つまるところ、内緒話をするにうってつけのバー。

“七花胡” :
 ビールで吐く下戸が何故そんなところに、わざわざ空き時間を縫ってやってきているかというと……。
 明確だ。高い酒でしか釣れぬ輩というのが、この世には明確にいるからだ。

“七花胡” :
 あまり美味さにぴんとこない酒などを惜しむように含みながら、カウンターの片隅で待ち人を待っている。

マスター・ハーヴェスター :
 これまで素顔を見せずに来たのは、それが自分の感情を他人に読ませたくないからだ。
 思考を嗅ぎまわられるのは不愉快だし、何より考えている事を相手に伝えるのは情報戦における損害だ。
 そのうえで、今回それを排してでもその場に素顔で現れたのは、それがもたらす情報の得を優先したからだ。

マスター・ハーヴェスター :
 待ち人の背を確認し、一つ席を空けて座る。
 アペロールを頼み、一口飲む。
 プロセッコの強い炭酸が、よどんだ思考を洗い流すように口の中で弾ける。
 のど元を過ぎるころには、ある程度思考を纏めることが出来た。

マスター・ハーヴェスター :
「なんの用だ」

“七花胡” :
 待ち人来たれり。
 一つ分の席は互いの距離感だ。声は届くが、応じる片手がなければ、掌は爪一枚届かない。それくらいの。
 赤い液体が入った小さなグラスを、音もたてずにテーブルに置く。薫り高さは“リコリス”というハーブの一種に由来していて、その名前に少し前から庭に来た少女のことが浮かび、つい選んでしまったのだった。

“七花胡” :
 まあ、それはいい。
 今大事なのは、慣れたしぐさで食前酒を頼む彼のこと。

“七花胡” :
「いえね。予感があるのですよ。今はいわば、嵐の前の凪……。
 準備に残された最後の時間であると」

“七花胡” :
「……“貴人の庭”の制圧とレムスの討伐、両方に向けてすべきことは山積みです。
 それを承知で、少しばかりの心残りを清算しておきたくて」

マスター・ハーヴェスター :
「心残り?」

“七花胡” :
「そういえば貴方とは、まだ各セルの調査を始めた頃に少ししか話せていなかったな~……と。
 要するに、話したりないのですよ」

“七花胡” :
「自分が『奢る』と言ったなら、付き合ってくださいますか?」
 そう言って、視線を寄越す。素顔の彼は、随分と久々な気がした。

マスター・ハーヴェスター :
「話足りない、ね」

マスター・ハーヴェスター :
「……、……」

 少しグラスを傾けて、微細な炭酸の弾ける音と、ビターな香りを味わう。
 そしてそれを一気に飲み干し、追加のキャンティを頼む。

マスター・ハーヴェスター :
「いいだろう。で、何が聞きたい」

“七花胡” :
「好い飲みっぷり。味わうことも飲み干すことも選べるというのは、少し羨ましいですね」

“七花胡” :
「それでは、お言葉に甘えて……。
 “血色の探求”、カルロ・フェレーリのことです」

“七花胡” :
「どちらかというと、尋ねたい、というより、話しておきたい、なのですがね。
 貴方、彼のこと、始末したがっていたでしょう」

“七花胡” :
「自分は、勢力間のバランスが崩れること。また、一勢力と極端に険悪な仲になることはリスクだと考え、それを抑えるよう貴方に要請しました。
 ……もちろんそれらも理由ではあるのですが」

“七花胡” :
「私情もありました」

“七花胡” :
「自分は貴方が彼を殺したい理由を知っている。
 貴方は自分が……一時的にとはいえ、ああいう屑を守ろうとした理由を知らない」

“七花胡” :
「それが少し、自分の中で引っかかっていたので、聞いてもらおうかと。
 もちろん、興味ないとのことであれば……タダ酒で帰っていただいても結構ですが」

“七花胡” :
 要するに、自分のための清算だ。自分が今後、気持ちよく頭を使うための、刺さったままだった棘を抜くようなもの。
 それに付き合ってくれというのは、此方の我儘であることを承知の上で……無下にするほど薄情な男ではないということを、半ば確信した上での切り出しだった。

マスター・ハーヴェスター :
「一つ誤解を訂正しておく」

マスター・ハーヴェスター :
「俺は今でもヤツを殺すつもりでいる。
 ただ順序を変えた、利用するだけして絞ったら殺すことにした」

マスター・ハーヴェスター :
「お前らは随分と"黄の希人"に入れ込んでいるようだな。
 その結果が勢力関係に出ている、それを覆すのは今更出来ん事だ」

マスター・ハーヴェスター :
「だから訂正だ、"始末したがっていた"ではない。
 "始末したがっている"だ──お前らの顔を立ててやらないでやってるに過ぎん」

マスター・ハーヴェスター :
 勢力バランスが極端に傾いた以上、それを覆すようなやり方は出来ない。
 それこそ全てを敵に回しても良かったが、それをするならウェルギリウスや"ヴィクター"を連れてこなければ話にならない。
 
 だから連中の事を意図的にレンズの中から除外した。
 だがヤツは違う、全てが終わり、"黄の希人"の同盟の効力が失われた瞬間にでも、殺す。

マスター・ハーヴェスター :
 必ず殺す、それだけは決めている。
 地獄の果てまで追ってでも。

マスター・ハーヴェスター :
「……で」

マスター・ハーヴェスター :
「その理由は確かに知らん。
 だが、一つの疑念と併せて知りたいところではあるな」

マスター・ハーヴェスター :
「クッククク……お前、随分と優しいじゃないか。
 咲いた華に向けるとは思えん"やさしさ"というのが隠せていないぞ」

“七花胡” :
「はい。承知しています。何も、全ての件に蹴りがついてなおも、あの屑の命は保留しておけ、などと言うつもりはありません」

“七花胡” :
 彼はあくまで、此方からの要請と大局を慮った上で、殺害を「延期」にしているというだけのこと。
 認識しているという態度の上で、続く言葉には片眉を上げた。

“七花胡” :
「それ……貴方にはそんなに言われたくない言葉ですねえ。
 『踏み入らせた相手だけは保護する』の、御互い様でしょう」

“七花胡” :
「貴方も大概、セルメンバーには慕われておられる。
 あの小娘にも慕われ……」

“七花胡” :
「……懐かれ……まあ、甘えられているようではありませんか」

マスター・ハーヴェスター :
「さァな。
 アレは自分という型から欠け落ちたモノを、探しても無駄だと知っているのに探しているに過ぎん。
 俺はソレに成れんし、誰もソレを埋めることは出来んよ」

マスター・ハーヴェスター :
 ふと思い返す。
 既に抜け落ちたものを埋めるには時間が立ち過ぎた。
 時間という水が、心の欠けた所を削り落としていったのだ。

「だとしても……」

マスター・ハーヴェスター :
「俺はシアを教え導くつもりもなければ、ひざを折ったときに助けてやるつもりはない。
 俺はあくまで、撃った弾丸を拾い上げ、使えるなら撃つ……ただの責任の消化だ」

マスター・ハーヴェスター :
「俺の部下に対しても同じだ。
 俺の逆鱗に触れなきゃ何やってても許す、だが別にその矢印を捻じ曲げるつもりもなければただすつもりもない……」

マスター・ハーヴェスター :
「お前は……矢印を正しくしたいように見えるがな。
 ま、それはいい……それが俺達無法者らしくない、秩序の人となりと思っただけさ」

マスター・ハーヴェスター :
「話を戻そう、それとも不愉快だったならやめてもらって構わんよ」

“七花胡” :
「貴方も大概、紳士であられる。此方から誘いをかけたのです、いまさら信条の違いくらいで目くじら立てませんよ」くつくつと喉奥で笑う

“七花胡” :
 心の歪を慰めるために、欠け落ちたなにかを探そうとする試み。
 それが無為だと分かっていながら付き合ってやることを「優しさ」でないというのなら、一体この世の何をそうと信じればよいのか。

 ただそれを言葉で返したとて、彼は受け取ろうとしないだろう。
 そして返すのは自分の役目でなく、彼の周りにいる人間たちが勝手にやること。
 ほんの軌道修正のために、酒を一拍口に含んで唇を湿らせる。

“七花胡” :
「……自分がカルロの殺害を延期してもらうよう、頼んだのはね。
 彼の娘にとって、あれの存在が未だ影響を及ぼすようなものか……ずっと測っていたからです」

“七花胡” :
「彼は自分の妻と娘を捨てて非道に走った。
 ……その『娘』というのが、いろいろな縁と因果で今、自分の庭にいるのです。
 気付いたのは、お恥ずかしくもあれの素性が判明したその時だったのですがね」

“七花胡” :
「あんな男です、今更引き合わせたところでろくなことにならないのは、明白でしたが……
 子供の方に、理由があるのなら。と」

“七花胡” :
「誰がどう見たって『会わせない方がいい』と言うに決まっています。
 けれど、子にとっては……親なのです。今やたった一人だけの」

“七花胡” :
「……『会いたい』」

“七花胡” :
「そう言い出す万が一を、無下にできなかった。
 それが貴方に復讐の延期を望んだ、三つ目の理由です」

“七花胡” :
「矢印を“正しく”したいなどと……それは買い被りですよ。正しくできるなんて思ってません。
 間違ってでも、望んだことを望んだとおりに果たせるように。させてやりたいだけなのです」

マスター・ハーヴェスター :
「それが優しさだと思うがね」

マスター・ハーヴェスター :
「ふつう、ファルスハーツにそんな事をするヤツは居ない。
 勝手にやらせて、死んだらそれっきりだ。使い捨てが当たり前でね」

マスター・ハーヴェスター :
「……しかし、あんな屑でも人の親か。
 分からんもんだな、俺は時々、家庭を持つ人間の方が精神的に劣っているという言説を信じたくなるね」

マスター・ハーヴェスター :
「……」

思い返す :
"生かしておく価値のないゴミクズでも?"

マスター・ハーヴェスター :
「悪いな」

マスター・ハーヴェスター :
「それを待ってやれる余裕は、あまり無い」

マスター・ハーヴェスター :
「早めに聞くんだな」

マスター・ハーヴェスター :
「"死滅天隕"の最期の仕事は、"貴人の庭"を焼き尽くすこと。
 その結果、何が残ろうと、何も残らずとも……」

マスター・ハーヴェスター :
「あの屑だけが炎を逃れることを、神が許しても俺が許さん」

“七花胡” :
 彼の故郷に等しい場所は、カルロ・フェレーリによって血染めとなった。
 堕落が決して彼だけに起因するものではないとしても、一因を担ったということは、十分憤怒に値する行為だ。
 汚点がのさばることを良しとしない。その潔癖は、彼が執着するテレサ・C・クリスティとよく似ていた。

“七花胡” :
「貴方は迷子の子供を迎えに行くやさしさ。
 自分にも、貴方の言うやさしさがあるというのなら……それは、泥だらけの子供に家を用意してやるやさしさですよ。
 ま、自分のそれは……要するに、人材の浪費が嫌い、に終始するんですけど」

“七花胡” :
「家庭を持つことと胤を残すことは別ですから。彼は後者だけを果たしたのです。
 血のつながりに依らない家族など、いくらでもありましょう」あの娘のようにだ。

“七花胡” :
 悪いな、というシンプルな謝罪の言葉に、首を振る。
 復讐の正当性は十分あろうに、そこで謝罪を択ぶあたり、こいつも随分生き難そうだ。
 “隻獅子”ならば、「無法の道に彼自身が馴染み切っていない」とでも言うだろうか。

“七花胡” :
「良いのです。仕方のないこと。まさか今から電話で尋ねるわけにもいきませんしね。
 与えられない選択なら……最初から知らせるべきではない」

“七花胡” :
「それに、先にカルロと顔を合わせた折に、『やっぱり会わせない方が正解だな』と確信したので。
 全部終わったら、あれのことは貴方の御随意に」

“七花胡” :
 彼が夏瑞珂に投げ掛けた宣告。あれと同程度の関心を、クロエ・フェレーリにもまた平等に投げ掛けるのだとするなら……。
 無関心よりも却って惨い。それならば、端から選択権を取り上げてしまうほうが少しはましだ。自分一人が信条を曲げるだけで済む。
 だから、あの男の存命は、このローマで潰えてしまうべきだった。

マスター・ハーヴェスター :
「そうか」

マスター・ハーヴェスター :
「その"やさしさ"は……ありがたく受け取っておこう」

マスター・ハーヴェスター :
 子に向けられている優しさを受け取るのは筋違いだが。
 煮るなり焼くなりしろという優しさだけは受け取る。

マスター・ハーヴェスター :
 子が親を殺すときは自らに烙印を押すときだ。
 だから俺は失望をしても、ボスに仕返しをしようなどとは思わなかった。
 
 ……いや。
 俺とボスは、只の、破落戸が作り上げた"組織"としての親子関係に過ぎない。
 
 俺に家族などいないし、知らずに生きてきた。

マスター・ハーヴェスター :
「美味かった、此処は良いバーだ……」

“七花胡” :
「ええ、良い処でしょう。貴方もそういう稼業なら御存知でしょうが……交渉事の成否は、囲むテーブルによっても左右される。
 此処はそういう、“いかさま”抜きの時に使う場所として選んだのですよ。
 尤も、酒の良し悪しばかりはぴんと来ず仕舞いですが」

“七花胡” :
 今口に含んでいるものとて、“アルコール度数は”“材料に何が使われているか”“香りづけは何か”“そこに含まれている意図は”は分かっても、肝心要のところはわからずじまいだ。
 それが美味いか、不味いか。回ったら潰れてしまうことがわかっているから、酔うという感覚も分からない。

“七花胡” :
 ただ、酔いを言い訳にしか言えない/できないこともあろうとは思う。

“七花胡” :
「どうせ人の金なのですよ。貴方の荷も、ついでに下ろしていっては?」

マスター・ハーヴェスター :
「なんだ、今度は何が聞きたい」

マスター・ハーヴェスター :
 酒の合間のエスプレッソを口に含む。
 芳醇な香りと、刺激を与える苦味、アルコールで満ちた体にとってクールダウンにそれが必要だ。

「生憎、そういう酒の飲み方は5年くらい前には辞めちまってな」

マスター・ハーヴェスター :
「"ヴィカラーラ"の前で呑んだ時は流石に酔うモンも酔えなくなったがね」

マスター・ハーヴェスター :
「アンタが気になるのは、俺の背負ってる荷の方なんじゃねえのかい」

“七花胡” :
「貴方、御強いのでしょうけど。それを抜きにしても、酔いを言い訳に使うのは“元から”したくないタイプに見えますよ。
 失態にせよ、欲望にせよ。ね」

“七花胡” :
 半分ほどしか減っていないグラスをからりと回す。
 そういう真面目さが滲んでいるのは、FHとしては堅物だろうが、個人としては悪くない。取引相手としても、胸襟を開く相手としてもだ。

“七花胡” :
「……。ではお言葉に甘えて」

“七花胡” :
「少し前にも、別のバーで呑みましたね。あの時は、老警官の彼も一緒でしたが」

“七花胡” :
「その時に、“アドリア”……と」

“七花胡” :
「行方を尋ねていたのを、覚えています。その時は、その名前が貴方にとってどれだけの重みか……知らぬままでしたが」

“七花胡” :
「貴方にとって、『テレサ』と『アドリア』がどういう重みなのか。
 ……よろしければ、聞かせて欲しかったのです」

“七花胡” :
 焼くと決めた。それは変わらない。回顧したところで後悔は戻らない。
 けれど、火を掛けると決めたものが何であるか、知らぬままでは無責任だ。
 燃やし尽くすなら、燃やした灰まで共に被るのが、契約だった。

マスター・ハーヴェスター :
「アドリアには、無い」

マスター・ハーヴェスター :
「もう死んだ。
 あの時俺が見殺しにした」

マスター・ハーヴェスター :
「死人に重みは無い。
 ハデスに向かった魂に、重みがあると思うか?」

マスター・ハーヴェスター :
 生きていたら?
 そんな仮定はするだけ無駄だ、世の中に「もしも」は無い。
 正確には"あった"だ。
 だが死んだ、死んだ以上はもう何もない。何を考えても、死人に思う事になんの意味がある。

マスター・ハーヴェスター :
 俺はアドリアに起きた変化に気が付けず、何があったのかも知ることなく、ヤツを見殺しにした。
 別の手段もあった、だがそれそのものを「あの時」と思ったところで何の意味もない。

 彼女は死んだ。
 俺が気付く前に、それだけが残る事実だ。

マスター・ハーヴェスター :
「で、なんだ、"青の貴人"の事か」

マスター・ハーヴェスター :
「重さを量ったことは一度もない。
 そもそも重みがあったことすら」

マスター・ハーヴェスター :
「ファルスハーツは欲望を叶え、欲望を重視する。
 欲しいモンがあれば何をしてでも手に入れる、成したいことがあれば何をしてでも成し遂げる」

マスター・ハーヴェスター :
「俺は奴が欲しい。重みと言われても、そんなもんだが、それでいいか?」

“七花胡” :
 過日、我々は“不朽讃えし懐刀”を代償に窮地を脱した。だが、彼の指す『あの時』はもっと昔の話だろう。
 彼がその古巣を発った時か。いずれにせよ、彼は立ち会えなかったし、間に合わなかった。

“七花胡” :
 テレサ嬢のことを、彼はコードネームの方で呼んだ。
 もう彼の知る、あるいは愛したテレサ・C・クリスティはもういないと、自分自身に言い聞かせるような響きだった。
 ……それそのものが重みを語ると、知らずは彼ばかりだろう。

“七花胡” :
「(その魂が量れる重さであった頃、彼は居らず。
  秤に無自覚だったがゆえ、取り落としたあとではもう……
  『重い』ということしか、もう分からないのでしょうね)」

“七花胡” :
 手が痺れることも千切れることも厭わず、絡みつく根の全てを焼き尽くし、彼はその『重み』を引きずりだそうとしている。
 そうすることで、彼女の残る寿命を極限まで縮めるようなことになろうとも。そもそも面影もなくなるくらい変わり果てようと。
 その覚悟は、少し前に確かめたばかりだった。

“七花胡” :
「……。貴方は」

“七花胡” :
「テレサ嬢を手に入れたいのですか。
 それとも、テレサ嬢を手に入れることで、何かに納得────」

“七花胡” :
「何かに、諦めを付けたいのですか?」

マスター・ハーヴェスター :
「何に諦めるのか俺にはさっぱり分からんね。
 大体、もう全部終わりかけている事に、諦めるもクソもねェだろ」

マスター・ハーヴェスター :
「納得なら、もうした」

マスター・ハーヴェスター :
「時間が全てを変えたことも、クラウスの爺がゴミクズの研究を使ったことも、
 アドリアが死んだことも、アイツが変わったことも、
 ボスがもう俺の事を見ていない事も、全部納得もした」

マスター・ハーヴェスター :
「全てが過去だ」

マスター・ハーヴェスター :
「諦めの余地はハナから無い」

マスター・ハーヴェスター :
「もう全てが無くなりかけている場所に、俺の欲しいモノが1つでも残ってたら頂く。
 それだけの事で、それ以上もそれ以下もない」

マスター・ハーヴェスター :
「その何かがあるとしたら」

マスター・ハーヴェスター :
「そろそろ燃え尽きるだろ、それは」

“七花胡” :
 彼がその名を択んだ時点で、収穫できるものはとうに一つきり。
 その鎌を振るうまでも無く、他は全て荒野だ。朽ち果てたものが転がるばかりだ。
 それらに憤慨し、後悔し、慚愧したうえで、納得し、

“七花胡” :
「目の前で燃え尽きていくことだけは諦められない、と」

“七花胡” :
 テレサ嬢そのものに希望を抱ける時節は、とうに過ぎてしまっていた。
 収穫者の名を採りながらも、最も収穫に適した時期をいずれも逃してしまっていることは……彼自身が何より自覚しておろう。
 そして多分、彼はその慚愧だけは薪としてくべることはなく、抱えていくのだろうことも。

“七花胡” :
「……聞かせてくださったことに感謝します。
 貴方が……我々が火を掛けようとしているものの一端を、知ることが出来て良かった」

マスター・ハーヴェスター :
「……宝物が、車に轢かれそうになったら、当たり前を無視してでも獲る。
 ファルスハーツとはそういうものだ……それが、諦められないというならそうかもしれんな」

マスター・ハーヴェスター :
「……フン、俺の屈折したレンズでよければだがね」

“七花胡” :
「そうですね。ファルスハーツとはそういうものだ」

“七花胡” :
「丹精込めて育てた庭を荒野にされるのです。罵詈雑言も糾弾も投げつけられましょう。
 毅然と『知ったことか』と言い放つには、まずは知っておきませんと」

マスター・ハーヴェスター :
「テメェがやる必要はねェだろ」
 苦笑する。

“七花胡” :
「そうですか? “雇われだから”と言って貴方に全部押し付けるのは簡単ですし、実際、それでも筋は立ちますが……」

“七花胡” :
「見苦しいのでね。行為の意味も不毛さも分からぬまま、蛮行を働くのは」

マスター・ハーヴェスター :
「ハッ」

マスター・ハーヴェスター :

       ・・・
「お前も大概、らしくはねぇな」

マスター・ハーヴェスター :
「部下にも言われるのさ。
 アンタはらしくない、ってね」

マスター・ハーヴェスター :
「ある意味……同類かもしれんな、俺達は」

“七花胡” :
「アハハ。そうかもしれませんねえ、本当に」らしくないとは、元姉弟子にも言われたばかりだ。

“七花胡” :
「そう在ろうなんて、思ってなかったんですけどね」

“七花胡” :
             ・・・・・
「貴方も自分も、どうにも……抱えていると、ままならないらしい」
 大事なものを。

“七花胡” :
「ま、別にいいのではありませんか。“こういうのもいる”ということで、ひとつ。
 好きに言わせておきましょうよ」

“七花胡” :
「どうせ、やりたいことは変わらないのですから。お互い」

マスター・ハーヴェスター :
「まァな」

マスター・ハーヴェスター :
「気に入らねえことを言ってきたら潰せばいい」

マスター・ハーヴェスター :
「ファルスハーツという船に乗った以上、己の責任さえ取れば何をしても自由だ。
 自由という型に嵌められて、笑ってる方が丁度いい」

マスター・ハーヴェスター :
「つくづく……」

マスター・ハーヴェスター :
「ユダ野郎のシンパがいなくて助かったよ」

“七花胡” :
「コードウェルの威光が無ければ悪さもできない連中など、とっくの昔に“赤の鬼人”が処理を済ませているでしょうよ」

“七花胡” :
「……そうだ。せっかくですから、乾杯でも如何ですか?
 考えてみれば自分、注ぐことが多かったので。そういうのあんまりないんですよね」

“七花胡” :
「とっくに終わってしまったものへの追悼と、これから燃やすものへの献灯と……
 あとは景気付けに」

マスター・ハーヴェスター :
「難儀な男だな」

マスター・ハーヴェスター :
「だがシケた酒を飲むのは好きじゃない……景気づけと」

マスター・ハーヴェスター :

    ・・・
「最後に俺達が勝つ為に」

 俺達。
 それは、同盟相手は含まない、この地で出会った奇妙な縁の4人の為に。

マスター・ハーヴェスター :
「────我らの、勝利の為に」

 グラスを持ち、彼に向けて傾けて。

“七花胡” :
「我らの勝利の為に」

“七花胡” :
「────乾杯」

 傾けたグラス同士を、小さく触れ合わせる。
 かつんと高い音が鳴った。

“七花胡” :
 飲み干す酒の味は、不思議と、鮮やかだった。
 あとさき千年、記憶に残る十指の中で。
 多分これが、最初の一口目だった。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

“七花胡” :
……特にありません。彼に対する誠意に、契約以外のものが加わっただけですので。

GM :
 畏まりました。では…。

GM :
 “マスター・ハーヴェスター”は?

マスター・ハーヴェスター :
…少し考えたが。

マスター・ハーヴェスター :
無しだ。

GM :
 畏まりました…。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・対話シーン9(夏瑞珂、アーキル)

SYSTEM :

        【 Now Loading... 】
   ウィンドブレーカー
 組織:望風旅団
 3年強ほど前に設立された民間軍事会社。
 構成員のほぼ全てが元米国海兵隊上がりで構成され、
 経営初期ということもあって、アグレッサーや護衛、輸送の支援等、幅広い任務に従事していた。半年間のみ活動経歴がある。
      windbreak
 日本語に曰く防風堤のもじり。
 風を留め、嵐に抗するものの名残。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 観光をしよう(続けよう)───と。

 夕陽とほかひとつの観光地だけアーキルが渾身で間に合わせた第一回を経た、性懲りもない第二回の言い始めはどちらだったのか。

SYSTEM :
 パラティヌスの丘、フォロ・ロマーノを軸に、レネゲイドを認知していないものにはそうであることさえ知り得ない、古きもうひとつの都の侵蝕から、意図的に離れた場所。
..あなた
 瑞珂を連れ立った(あるいは振り回した)アーキルと、昼時も兼ねた観光の小休止で、どこかのテラス席に腰掛けていた。

夏瑞珂 :
 観光をしよう──と連れ出されて、未踏のスペイン広場へ。小舟の噴水やナントカという教会を見流して、ひとまずの小休止。

 あと数日、あるいは数時間とない猶予。こんな余分に時間を使ってくれたのは、風車へのお返しなのだろうか。

夏瑞珂 :
 たいへんふべんなコトに、あいかわらず意思疎通は他人の声。『すげえな』と『ハ ハ ハ』をべんりに使い倒せたのは、観光のうちだけだ。

夏瑞珂 :
 土産物のペンとノートをおもむろにテーブルへ乗せて、中央にでかでかと"WRITE"と"CHAT"の文字を書きつづる。

夏瑞珂 :
 とくいげなかお。

SYSTEM :
 つまり「これで書いて話します」。
               .. アーカイブ
 使用される言葉の何割かが自分自身の記録だったため、事と次第によってはかなり不思議な人に見えないこともなかっただろう“黄の希人”が、ひらひらと手を振って応じた。

“黄の希人”アーキル :
「未だ治らずの現状を嘆くよりは、進展を是しと言うべきか。
 仕事柄と、読む方もガキのころに覚えといてよかったよ」

“黄の希人”アーキル :
「で。先日のお急ぎ便の余りを兼ねてみたわけだ。
 どのみち此処から先は、やることやって“見て回る”気があるかもわからんだろ」

SYSTEM :
 その故の半分が自発的なものでないことは、おそらく察してもいいことだ。半分が“誰”なのかも含めて。
 だが、もう半分は回る風車を、一度は“第一”にすることも吝かでなかった男の判断だった。

 口にはしないが、単に………。

SYSTEM :
 ソラに留めておいて、何かの拍子で街を見下ろせば、確実に”見える”からだ。
 精神衛生的によろしくない。

夏瑞珂 :
 ちいさく頷く。ここから先。明日を当たり前に思うこのひとは、楽観ではない理由で、既に先を見据えているんだろう。

夏瑞珂 :
 書き綴ったBLUEの字にバツを重ねる。

夏瑞珂 :
"ローマが黄色だけになったらどうする?"

 貴人の庭と争えば、それは「もしも」の話ではなくなる。
 比較的新参と自認する彼らが、勢力図にゆいいつ残るのだ。

夏瑞珂 :
 あなたはどう考えてるのと、半ば興味本位で訊ねてみた。

SYSTEM :

 …当たり前の話だが。
 貴人の庭は首尾よくいった場合、例外の余地もなく滅亡する。

SYSTEM :
 先人が守ってきたもの、受け継いできたもの、背負わせたもの。
 すべて灰に帰すのならば、もはや魂の後継さえ生まれることはないだろう。

 かといって………。
 ローマにもともと根付いていた絶対的なカリスマも敗れて死んだ。
 ここに残るのは、複雑な組織の糸を絡め合わせた風の軌跡だけだ。

“黄の希人”アーキル :
「ああ、それか………」

“黄の希人”アーキル :
「なった後も考えちゃいるが、固執しちゃいないよ…。
 もともと留まること自体、ガラでもないんだ」

“黄の希人”アーキル :
「ただ、ガラでもないなりに、“留まりたい”のがいるからな。暫くは経過を見守る。
 そのあとは本業に戻るよ。築いた秩序ごとぶっ壊して可能性を拾う旅路は閉ざして、しかも頼みの綱が“アレ”だったんだ。違うやり方の第一歩を探すさ」

“黄の希人”アーキル :
「別に………。
 こう、と生まれたときに決めたものを、終わるまでやらなきゃいけない生き物じゃないしな、人間って」

SYSTEM :
 半分がそうである以上。変わる明日の形がどうだろうと、そこに備えながら生きてきたのが彼だ。
 どうするの答えは『彼女がローマに留まるなら、付き合い切れるまで留まる』以上ではないのだろう。しかも、そのあとの模索とて、別に縁を放り捨てるわけではあるまい。

“黄の希人”アーキル :
「あと、あまり大っぴらにしたくないことだが、ことが終わったら…。
 俺もローマで”しなきゃいけないコト”があるからな。ここの設立の時、いろいろなトコの偉い人のツラ拝んだリスクだ」

夏瑞珂 :
 ものすごく衝撃を受けたかお。けげんな顔を寄せたり離したりする。

“黄の希人”アーキル :
 おい これどういう感情の顔だ?

夏瑞珂 :
"ローマちゃんと"

 続きに困ってペンが止まる。

夏瑞珂 :
 ……ずっと一緒にいるものだと思っていた。
 いつか離れたからといって、彼らの縁が切れるわけではない。ふらりと立ち寄って顔を見せるくらい、まあ、するだろう。

夏瑞珂 :
「『価値観の断絶をひしひしと感じている』」

 その女神にご執心の男の声をつかって、いじけてみせる。なお声のトーン自体はたいへん不遜だった。

“黄の希人”アーキル :
「…ん? ああ…」

“黄の希人”アーキル :
「まず筆談のチョイスを早くも有耶無耶にしたことと、使ったセリフについては議論の余地がありそうだが…」

“黄の希人”アーキル :
「ずっとじゃあないさ。いずれはローマの外も見せてやる気ではいるが、何より」

“黄の希人”アーキル :
「ずっと留まる生き方を“後から”俺が掠め取るんじゃ二重の意味でダメだろ。
 いちばんはアイシャに違う在り方もついてくることだが、そうじゃないにしても振り回した分の責任くらいは取るさ」

夏瑞珂 :
「『有言実行だよ』」
 
 本人の声で応じる。

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
"あなたがうそつきになったら燃やす"

 物騒な文面で出力される安堵と応援。よかった、と思ってるのはほんとうだ。

夏瑞珂 :
 "おしり"と"あたま"と書かれたあいだを往復するペン。好きなほうを選んでよいものとします。

“黄の希人”アーキル :
 どこでそんな脅し方聞いたんだ?
 いや いい 聞くだけ難儀なことになる

“黄の希人”アーキル :
「まあ、いつか言った通りさ」

“黄の希人”アーキル :
「俺は逃げも隠れも暈しも騙しもするけど…口にしたことを曲げるほど自分を裏切ったことはないよ。
 
 もしもそうなら、そん時はうまく吹き飛ばしてくれ」

“黄の希人”アーキル :
「先のことばかりってのも難だが、都合の良いことはいつまでも覚えている主義でね。
 瑞珂。あんたが留まるにせよ、流れていくにせよ。な」

夏瑞珂 :
 うまく吹き飛ばしてくれと言われた瞬間"おしり"をぐるぐるマルで囲んでいた手が止まる。

“黄の希人”アーキル :
そっち
「嵐じゃないあんたのことも歓迎するつもりだ。有言実行したら、もちろん違う訪れ方をしてくれ」

夏瑞珂 :
 少しのためらい。ノートの上に置かれたままのペン先が、紙面にちいさな染みをつくる。

夏瑞珂 :
"わからない"

 貴人の庭を焼いた先が、わたしの本懐だ。復讐を成就させて、でも。

夏瑞珂 :
 その後も、その前も。
 わたしは答えが出せていない。

夏瑞珂 :
"レムリアを殺す"

 レムリアの名を、レムスの文字で上書く。あれがすべての元凶と知った今でさえ、感情は紙面のようにはいかない。

夏瑞珂 :
 レムスに対して怒りや憎しみがないのではない。当然、その逆だ。
 だが燃え移しておしまいなら、わたしが憎悪の火にふりまわれること自体、有り得なかっただろう。

夏瑞珂 :
"わたしはまだ銀の弾丸?"

“黄の希人”アーキル :
「そう居たいのなら。実際…」

“黄の希人”アーキル :
     ユメ
「あんたの野望はそこだといった。あの時だけどな。
  ..       ユメ
 …そこから次にどの余分をやるにも、あんたはそれにはきちんとケリをつけないといけない。昨日はついて回るからだ」

“黄の希人”アーキル :
「だが、あんたを渋ってくれるものとは出会えたはずだ。それがどんなに”一番目の家”から見劣りするとしてもな。

 引き金頭に突き付けて、悪くない人生だったと締めくくる気がないなら。それだって手段だ」

“黄の希人”アーキル :
「銀の弾丸やるのは止めないし、むしろ全員歓迎するだろう。ヤツの頭をブチ抜く権利がある。
 …ただ撃ち抜いたあと、嫌でも全員拾いにくるぜ。そっから好きに選んでやればいい。というか…」

“黄の希人”アーキル :
「アイシャのこともある。俺は拾いに行くから、弾くも利用するも好きにしな」

夏瑞珂 :
 ついて回る昨日に、ケリをつける。

 ……悔しいが、あの囁きはずっと正しかった。失われた未来の回復は、この身を焼く憎悪を濯がないかぎり果たされない。

夏瑞珂 :
  Bastard
「『馬鹿野郎』」

 錆びついた声が、銀の弾丸を拾いにいく物好きたちをまとめて罵った。

夏瑞珂 :
 ……物好きたちに、まだ返せるものがある。わたしが銀の弾丸であるのなら。

夏瑞珂 :
"ASHEN ONE"

 灰の帰人──火の無い灰。

 憎悪の火は燃えつきて、わたしはもうただの灰と燃えがらだ。灰の底から蘇らなくてはいけない……。

夏瑞珂 :
 再生の叶わない器に、かつて赤い息が灯った。奪われ、絶えたはずの火種を、今度はわたしの手で再生させる。

 新たな火を、永遠の国に放つために。

夏瑞珂 :
 その末に……燃えつきて灰に帰るのも、嵐に立ち返るのも、わたしの自由だ。まことの自由を、取り戻しにいくのだから。 

夏瑞珂 :
"でも"

 BUT、と綴る。

 灰にうずもれた風を守ると言ってくれたひとがいた。
 わたしという風が燃えつきることを惜しんでくれるひとがいた。
 風除けに守られた過日がふいになることを悲しむひとがいた。

夏瑞珂 :
ALIVE
"蘇る"

夏瑞珂 :
ないものは拾えないものね?

SYSTEM :
 窓の外の笑い声を遠ざけていても、不思議とやっていける確証。
 その欺瞞を留めてくれる人はいなくなった。
 それは断じて変わりはしないだろう。だから過日を薪に火は燃えあがり…そして跡が残るほどに燃え尽きた。一度は、確実に。

SYSTEM :
 この欠落が彼らの不在の証であるのなら、
 ゴールの先も無彩色のままであればいい。
          ゴール
 終わるための旅路が到達点に近づくにつれて、問いかけが蘇る。

 厭うならば終わらせるべきだ。死ぬなら死ぬべきだ。
 神の意志に二度と従えなくなった毒蠍が、それを試しても試しきれなかったように。
 強きを捻じ伏せたあと、強きに立ち向かった者たちのもとに帰ることはまだ出来る。

 でも。とあなたは言う。

SYSTEM :
 厭わなくていい理由の話。
 灰の中から永遠を騙るものが蘇るように。
 あなたは継ぎ足された残り火の淵から蘇るのだ…と。

 筆談の、声とは異なる宣誓を。男は黙って聞いていた。見届けた。

“黄の希人”アーキル :
「…。ないものは拾えない。そうだな…」

“黄の希人”アーキル :
 ・・・
「留まる苦労が、俺にはよくわかってないんだ。その気がなかった。
 偶さかの縁で野垂れ死なずに済んで、それを切欠にしただけ…」

“黄の希人”アーキル :
「だから、かつて選べる時に“そう”したあんたが。
 昨日のお陰で生きて、今日の先によみがえることを、その連中が誇ってくれると願うよ」

“黄の希人”アーキル :
「看取る一回きりで風車を止めるよりは、そっちの方が俺もいい」

SYSTEM :
 それを勝ち取るために燃え盛る火。灰から解き放たれる弾頭を。
 誰かが悔やむことはないだろう。果てに“やはり”としたら、悲しむことはあってもだ。

SYSTEM :
 途方もない命題に挑むさなかの、羅馬の物好きのひとりが。あなたの答えを微笑って聞き留めた。

 名残のために這う前に、自由のために解き放たれる前に。次の余分を胸に抱える前に。今日をまず生きよう、と。

夏瑞珂 :
 ──うん。

 声なく、しかし確かにそうであればいいと頷く。わたしにとっての偶さかの縁が、わたしを誇ってくれますように。

 銀の弾丸のわたしのあとに、嵐のわたしが待っている。自由のかたち。わたしが取り戻すべきまことの──

夏瑞珂 :
 ところで、と椅子をぴったり横付けして足をひっかける。

夏瑞珂 :
"お金持ちさん。傭兵をふたり雇う懐はお有り?"

 遺産がお金で買えたら? とたずねたわたしに、冗談みたいな金額を見せたひとへ、おぼえてるんだからと自信たっぷりに笑う。

“黄の希人”アーキル :
「なるほど…都合の良いことは、俺以外も確かに覚えてるってコトか………」

“黄の希人”アーキル :
「まあ…知ってるだろ? 寂しくなる予定だったが梯子を外されたんだ」

“黄の希人”アーキル :
「乱暴なやり方を置いただけで、乱暴の手段が不要になるコトないしな、まず。
 商談前に…ああ、そうだ」

夏瑞珂 :
「?」

“黄の希人”アーキル :
「気が済んだら座り方は戻せよ。逃げやしない」

 人前でやるにゃ行儀が悪いぞ、と。
 高くつくかどうかの前の、冗談めいた笑いに対する冗談めいた余談。

夏瑞珂 :
「『こんなチャンス二度とないだろ?』」

“黄の希人”アーキル :
「このタイミングの返しがソレでいいのか???」

“黄の希人”アーキル :
 チャンスってなんだ? しかも
 獲物か扱いが? もしかして

夏瑞珂 :
「『思惑を達成するウイニングラン気分ってトコだ』」

“黄の希人”アーキル :
 これも俺じゃないか? どうなってんだ?

“黄の希人”アーキル :
「…どうあれだ。“もう一人”も察しはつく。
 そん時はそいつ込みで、改めて顔見せてくれ」

“黄の希人”アーキル :
「それから…」

“黄の希人”アーキル :
「高くつく分は期待するぜ。いいな?」 

夏瑞珂 :
「『まあ良しとするさ』」

夏瑞珂 :
ぴっと人差し指を立てる。とくいげな顔。

夏瑞珂 :
「『いいかそれは安心じゃない。さらなる困難へのダイブだ』」

“黄の希人”アーキル :
「もうだいたい俺の都合だけで話すが、
 いまその困難に挑戦しているのは俺だぜ」

夏瑞珂 :
どっ(湧きあがるコメディ番組の笑い声)

SYSTEM :
 この場の会話に耳を欹てているもの、かつ事情を把握していないものが一人でもいたならば。
 そのあまりに高度な一人芝居にどんな反応をしただろうか…。

SYSTEM :
 主に声の引き出し本人はそれをよく分かっているが、それでも、過去との一人芝居に筆談の混じる奇妙な会話はしばらく続いた。
 少なくとも、観光の猶予の間は。

SYSTEM :
 これからふたつの理想が消える。
 あたらしい火種を以て、灰の淵から命がよみがえる。

 あの日の風のかたち。今度は…。

SYSTEM :
 今度はどのようなかたちに。

 あなたは”やっていける”と見出すだろう?

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

夏瑞珂 :
"NOPE"

GM :
Oh...

GM :
畏まりました…。(さっと案内する)

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。


・シーン20「Domina-その血の責務」

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

 ヨシュア・ランカスター。
 ランカスターグループの総帥、UGN評議会議長。
 最愛の息子ジョナサンを失ってから、その精神に翳りは見られど衰えはない。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 メインプロセスに移行します。
 
1:FH主要幹部への攻撃
2:ローマ諸勢力への攻撃/支援
3:“血戦”を行う
4:セットアップで可能な行動

 上記のいずれかが可能です。
 行動を希望する場合、登場侵蝕を振って下さい。  

ラーゼス :
…“青の貴人”を攻撃する。併せて“ヘカトンケイル”もだ。

GM :
 承知しました。念のため確認しておきますが…。

GM :
 シーンへの参加者は?

夏瑞珂 :
(天高く挙手)

“Mr・A” :
(逆立ちして足で挙手)

夏瑞珂 :
(まねする)

“七花胡” :
悪い行儀を真似しない

“七花胡” :
……さておき。無論参加します。貴人の庭を焼くという、契約があるものでね

マスター・ハーヴェスター :
よし、やるか。

“アセルス・デスミオス” :
城攻めならぬ庭攻めだ。使えるものは使っていっちゃおうね。

夏瑞珂 :
(ゆびさす)

“七花胡” :
そうそう 貴方の侵蝕値とかね

“アセルス・デスミオス” :
おっさんのアイテムカテゴリに使い捨てって書いたの誰ェちょっとォ!

SYSTEM :
【Check!】
 “貴人の庭”への攻撃が選択されました。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
  Ally:Shahada
 Enemy:Caesaruleum

.   Physical:Novice
     Sense:High
.   Renegade:Matchless dangerous
. Danger_level:Extremely dangerous

SYSTEM :
..            さだめ
【シーン:Domina-その血の責務】

 登場PC:上記参照(全員推奨)
 登場侵蝕:あり

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

 出自:結社の一員
 経験:喪失

 生まれながらの王の血統。支配者の義務と権利を知る女。
 当たり前のように振る舞ったそんな女は、
 喪失のために生きることを、なんら苦とは思わなかった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 パリオリ/ローマでは名高い、名士や知識人の高級住宅街。
 ローマの様相、水底の風景が変わるさまなど、特にこの地ではいっさいがどこ吹く風であった。
.. カエサルレウム
 “青の貴人”の領域に覆われたこの地は、彼女の統べる庭からひとり、またひとりと、エージェント/あるいはその骸が失われ、すり減っていこうとも、往来の影に一切の影響はない。

 あるいは、彼女が死すその時を超えたとて。そのように秘匿してきた。
 本来そうするべき役回りを5年前に失ってからのことだ。

SYSTEM :
 ………しかし、その庭。
 支配者の環にローマのさだめが仇を返そうとしている。

 街の一角、カンタレラの名を冠した上流階級のための庭こそが領域の中心点。
 侵入を果たした同盟たる“御手翳す解放者”も、貴方達も、気づかれておきながら手を出さないのは、“そこ”ではやり合う気がないということだ。

“Mr・A” :
「モチロン逆手に取るなら、第一歩から片端に火をつけ、誇りにクソをぶつけ、バカ笑いしながら足蹴にするのも手! というわけだが」

“Mr・A” :
「ちなみにこれは言ってみただけ」

“黄の希人”アーキル :
〈冗談でもウチのが威嚇を始める。程々にしてくれ〉

“黄の希人”アーキル :
〈こっちはいつでも。手筈通りだ。
 
 “青の貴人”の特性は伝えた通り。
 ヤツのオルクス能力と干渉数はシャレにならない、先手はまずあっちだが…なんも負担がかからんってわけじゃない〉

“黄の希人”アーキル :
〈御宅らの半分と俺たちで、あっちの管轄に手広く負荷をかけて干渉性をバラけさせる。で、その間に切り込む。
 あっちだって分かってるだろうから、本命はほぼあんたらに集合するが………フルスペックで相手されることはないだろう〉

SYSTEM :
 “ファントムストークス”の3人とアセルス、それから“御手翳す解放者”の所属オーヴァードにRB。
 文字通り無数の手足を持つ“青の貴人”の目を可能な限り穏便に、それでいて徹底してばらけさせるというわけだ。

 その最中に戦力の偏りや不足があれば合流をかけ、彼女の首を獲った(あるいは戦意を失わせた)その瞬間に、一枚岩は烏合の衆と化す。
 概ねそういう手筈。庭と屋敷のかたちをとった、実質的には攻城と総力戦だ。

夏瑞珂 :
きょろきょろする。

“Mr・A” :
 迷子の迷子の子猫ちゃん
 あなたのおうちはどこですか(裏声)

“逢魔狩り”三草由芽 :
 あ これ通信ですよ あっちとの
.. ブラックドッグ
 電子操作持ちがいるんですねえ お顔も名前も知れずの

夏瑞珂 :
(謎のエンジン音)

“七花胡” :
 ……“グレイ・スコーピオ”との連絡路は構築済み。必要とあらば呼びつけられるでしょう。
 “帝釈天”も同様に。

“七花胡” :
「巨人の駒は何処に配されているとお考えですか? “黄の希人”」

SYSTEM :
 なお…その二人のうち片方は渡り烏の生き汚さに律儀だ。
 あなたか、“ハーヴェスター”か。作戦の伝達後、速やかに遊撃に回るだろう。

 もう片方も。何ならあなたは到着前に次のような言葉を聞いている。

“帝釈天”謝暁蕾 :

“では一足先に、秋の風が吹くところを見物しに参りましょう”

“帝釈天”謝暁蕾 :

“警戒するべきを思い浮かべ難いなら、
 鏡をご覧になるとよろしい。ね?”

“黄の希人”アーキル :
〈やつの逆鱗をくすぐってないんだろう?
 じゃ、断言してもいい…〉

“黄の希人”アーキル :
〈絶対に本人の傍を離れない。
 …しょせんオーヴァード同士のやり合いだ。本命は分散させない。    
 外から屋敷ごと殺るようなの、対策の十か二十はしてるぜ〉

ラーゼス :
「おれもそう思う。 オルクス
 “青の貴人”は優秀な魔術師のようだった」

ラーゼス :
「本陣を攻められるとなれば、本命の護衛は手元だろう。それがあれほどの戦士となればなおのことだ」

“黄の希人”アーキル :
〈違いない。………〉

“黄の希人”アーキル :
〈…そうそう。誰からとは言わんが警告があったんで蒸し返すが…。
 戦力の殆どはテレサが“繋いだ”チルドレン。だいたいジャームで、後にも先にもここが仮初の居場所〉

“黄の希人”アーキル :
     ・・・・・・
〈ホントになんでもやるぞ。正面からは付き合ってやるなよ〉

ラーゼス :
「……屍の王か」

SYSTEM :
 昨日に置き去られ、明日の糧になる。
 その屍たちにかりそめの今日を永久に与えるもの。
 レギオン      ..ワイルドハント
 軍勢の王。または、亡霊の王。

SYSTEM :
 げに恐ろしきはその数すべてに『理性』を外付けする干渉能力だが、天は二物を与えない。自分から戦線には出ないのが証拠だ。

 直接戦闘の弱さをフォローするのが、かつて懐刀であり、今は恐らく“彼”だろう。

“七花胡” :
「いちいち葉から剪定せずとも、幹ごと焼けば、あとは全て朽ち落ちる。
 問題は、幹を守護する強靭な枝が在ること……」

“七花胡” :
「……領域の押し合いでは、彼方に分がある勝負です。まずは枝を力づくで捥ぎ、間を置かず火を掛けましょう」

“七花胡” :
                      ・・
「彼女の干渉から三割に戻せるよう、出来る限り除けます。
 その間の力比べは、当てにしていますから。よろしく」三方に向けて。

夏瑞珂 :
話を聞いている間ずっと毛皮のもけもけをいじっている。

“七花胡” :
毟んないでくださいね(放置)

夏瑞珂 :
『将来的にはアリ』

ラーゼス :
「……承知した」

“逢魔狩り”三草由芽 :
 た…たかそうなのに

夏瑞珂 :
つかんで差し出す。どうぞ!

ラーゼス :
しっかりと頷いてから、ふたりには意識を向けず、憂いのまなざしで館のほうを見据える。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「実際に幹の根本に火をかけて、お祭り騒ぎをするのはボスと其方だもの。
 露払いは問題ないわ。ひとり力比べじゃ専門外のがいるけど…」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
      おじさま
「その分はそちらの指先を貸してちょうだいね。いい?」

“アセルス・デスミオス” :
「おっさんの自由意思は?」

夏瑞珂 :
「『おっさんに発言権はないです』」

ガンドルフ :
〈G-ドルフは多人数戦に特化している。
 雑魚がいたら蹴散らすことは出来るが、マンマークだと多少は効率が落ちるな……そこはラーゼスとシアに任せる〉

“七花胡” :
毛皮をつかむ手をやんわり抑えながら「是非に。こき使って結構」

“アセルス・デスミオス” :
「もうひとりのボク!(断末魔)」

ラーゼス :
「任せてほしい。……」

ラーゼス :
「本当ならもう死んでいるものを除くことは得意だ」

ガンドルフ :
〈ストークスは最低限の労力で構わん。
 特にミクサはな〉

“逢魔狩り”三草由芽 :
        オフ  オン
「ボス 私のこと0と100しかないと思ってます?」

夏瑞珂 :
「『そのまま永遠に1と1を足し』『請求書に乗せておきます』」

ガンドルフ :
〈言ったらいつでも100出す奴が何言ってんだ。
 お前が死ぬとただでさえ根暗のキリエが余計に根暗になる〉

“逢魔狩り”三草由芽 :
 うわーん後ろから刺された! 限界突破でサバイバル!
 

“逢魔狩り”三草由芽 :
「ちぇ。どうせ侵蝕モニター不安定ベスト3ですよ」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「………。………」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「じゃ、いつも通りにやってきますから。
 終わったら、いつもの感じでほめてくださいね」

ガンドルフ :
〈そうだな、いつも通りだ〉

“七花胡” :
 『本当なら死んでいるものを除くのは得意』、か。
 貴女がどういう使命のために久遠を生きてきたのか、薄らと分かるような気がした。
 そのうえで……

“七花胡” :
「“隻獅子”。追悼のために槍を取るのも結構ですが……
 どうせなら、我々の明日のために戦って欲しい」

“七花胡” :
「言われなくても、でしょう? 貴女も含んでのことですよ。
 お忘れなきよう」

ラーゼス :
「…………」

ラーゼス :
「……すまない。気遣わせたか」

ラーゼス :
「むろん、そのつもりだ。ただ……少しばかりな」

“七花胡” :
「重なりますか」貴女に。貴女の見てきたものに。

ラーゼス :
「……どうだろう。遠くはないのだと思う」

ラーゼス :
「遠くはないが──けして近くはない」

ラーゼス :
重なるものが多少なりともあることは否定しない。積み上げてきた土地を壊すことには、いつまでも慣れぬものだ。

“七花胡” :
「そうですね。何か一つでも歯車が違えれば、一気に狂って、近くなる」

“七花胡” :
「彼女の庭を焼くことは、もちろん契約のためが一つ目。ですけど」

“七花胡” :
「自分の庭を屍人の国にしないため。とも思っています」

“七花胡” :
「……見詰めすぎることも、ほどほどに」

ラーゼス :
「無用。案ずるな」
 切り捨てるような物言いとは裏腹に淡い笑み。

“七花胡” :
「これはこれは。出過ぎた真似でしたね?」
 笑みを見逃さず、応えるようにひらりと手を振った。

夏瑞珂 :
 バッカーノ
「『馬鹿騒ぎの合図に言葉はない。お求めのものが見つかるよう、派手にやれ』」

 引く裾がないので、機体の足の甲にぴょんと乗る。
 すでに果てた男のいちばんめの注文を、燃え殻にばかり手を伸ばすおとこへ。

ガンドルフ :
〈……なんだ、そいつは褒めてんのか〉

夏瑞珂 :
「『どう思う?』」

ガンドルフ :
 ガンドルフは動かない。
 AIDAとのシンクロ調整を終え、あとは火が入るのを待つだけ。
 そのコクピットが僅かに開き、パイロットスーツの男がヘルメットバイザー越しにその顔を見る。

マスター・ハーヴェスター :
「コレが終わったらお前の番だ」

マスター・ハーヴェスター :
「正直、負け犬クンに俺が手を出す理由はねェが。
 ま、その褒められついでのお礼という事にしてやる」

マスター・ハーヴェスター :
「気張れよ、
           雷雲の嵐
 お前とラーゼスが齎すスーパーセルが頼みの綱なんだからな」

 激励に激励を返したのか否か、それを答える事なくコクピットが閉じる。

夏瑞珂 :
む……ぐ……とまごまごする口元。

夏瑞珂 :
     ぬかよろこび
「『あたしは希望的観測が嫌い』」

 だから、まずは終わらせよう。
 明日と昨日のあわいに留まる、しかばねたちを。

夏瑞珂 :
 だいたい今はともかくヘルメット着けっぱなしで過ごすのはどうかと思う、それに関しては甚だ不満があり、怒る機会をみうしなっているだけなので、クレームも辞さない所存だった。

夏瑞珂 :
 ふんとそっぽを向いて、もうひとつの頼みの綱にまとわりつく。

ガンドルフ :
〈ハッ、クソガキが〉

ガンドルフ :
〈全く手のかかるヤツだ……俺は空から行く、ソイツ頼むぞ〉

ラーゼス :
「ああ。だが、自分で歩けるはずだ。心配するな」

“七花胡” :
「むしろ歩いていただかないと困ります」

ガンドルフ :
〈だとよ〉

夏瑞珂 :
(Mr.Aの声のエンジン音)

夏瑞珂 :
「『ハ、ハ、ハ!』」

ガンドルフ :
〈準備がよろしいようだ。
 では行くか、貴様ら〉

SYSTEM :
         ユメ
 間もなくいずれの欲望は潰える。
 おそらくは次を育てるための肥料にもならず、ただ灰塵に帰す時だ。

SYSTEM :
 ………分かっていながらも、この上なく平常運転であった。外面は確実に。

 過日を獲るには、もはや今日は遠く。
 羅馬の防人、その血のさだめは明日に続くことはない。

SYSTEM :
 侵略者の号令/作戦予定時刻と同時に、
 各々が行動を開始した。
 

SYSTEM :
【Check!】
 FS判定が発生します。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【FS判定シート】
内容:敵セルリーダーを撃破せよ
終了条件:”青の貴人”の撃破(殺害)
完了値:12
難易度:10
判定:〈射撃〉or【肉体】
支援判定:〈知識:レネゲイド〉または【社会】
最大達成値:制限なし
経験点:2
備考:〈射撃〉の場合は難易度が[8]になる
   進行度[0]時点で選択肢が発生する
   経過ラウンド数によって最終戦闘の内容が変化

SYSTEM :
[進行度0]
判定:〈射撃〉or【肉体】
支援判定:〈知識:レネゲイド〉または【社会】
難易度:10

 ローマがパリオリに居城を構えた“貴人の庭”を完全に制圧・殲滅する。
 女王の寵愛を受けた者たちは老若男女問わず、一兵さえ残さずに立ち塞がることが想定されるが、大勢に構っているヒマだけはない。
 より強い『指揮系統』に置かれたものだけを撃破し、負荷をかけつつ、一刻も早い強行突破を試みろ。 

SYSTEM :
[進行度0]
判定:【社会】
支援判定:なし
難易度:0
備考:明確に下記の宣言を行ったとみた場合、進行度を「12」まで移動する
 
 ただし…望むならば、そもそも『貴人の庭』の領地で戦う必要性がない。
 各地で破壊活動、およびローマに対する干渉・浸透工作を行い、オルクスの領域ごと女を引きずり込み、炙り出せばいい。
 ただそれは陣営の内外から、ローマを愛する人間の致命的な怒りを買うだろう。
 
 ※!警告:このルートを選択した場合、『御手翳す解放者』すべての生存ユニットと即座に敵対します※ 

SYSTEM :
【Check!】
 提示された「FS判定」から
 任意の選択を行ってください。 

SYSTEM :
【Check!】
 登場侵蝕を確認します。

 対象:PC1~PC4 

夏瑞珂 :
1D10 (1D10) > 6

ラーゼス :
1d10 (1D10) > 2

“七花胡” :
1d10 登場侵蝕 (1D10) > 5

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 109 → 115

マスター・ハーヴェスター :
1D10 (1D10) > 6

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 83 → 88

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 99 → 104

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] 侵蝕率 : 91 → 97

夏瑞珂 :
(ごそごそ)

夏瑞珂 :
"イデアの恩寵"
"スティルネス"
"ください"

夏瑞珂 :
『高くつく分は期待するぜ』

“アイシャ” :
 わかったわ。
 戦う前にするのは珍しいけど…。

“アイシャ” :
     ..ま も っ て
 喜んで、高い買い物させてあげる。

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。
 対象者を確認・決定してください。

・イデアの恩寵(Scenario/1)
 指定したすべてのPCについて侵蝕率を[7]減らす。 

・スティルネス(Scenario/1)
 指定したPC1名について侵蝕率を[7]減らす。

夏瑞珂 :
(全員を指さす)

“アイシャ” :
     あなたたち  あなたたち
 いいよ。羅馬の人々と、血を流す人。
 壮健にね。抱きしめてあげる。

SYSTEM :
【Check!】
 対象が確定しました。
 侵蝕率へ反映してください。 

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 88 → 81

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] 侵蝕率 : 97 → 90

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 104 → 97

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 115 → 108

夏瑞珂 :
(上向きの矢印を書く)

夏瑞珂 :
"難易度10"
"判定:〈射撃〉or【肉体】"
"強硬突破"

SYSTEM :
【Check!】
 判定が確定しました。 

SYSTEM :
【-Round 1-】 

SYSTEM :
■セットアップ
 ハプニングチャートが発生します。 

GM :
1d100 (1D100) > 37

GM :
36~40:破滅的不運。このラウンド中の進行判定はすべてC値が+1される。

SYSTEM :
 “貴人の庭”の居城に潜り込むと同時…現れた迎撃より先に、彼女の領域が牙を剥く。
 オルクスの持ち主は領域内のすべてをわが物とする。
 先行した面々が体たらくを晒しているわけでもないなら、“流れ”そのものが牙を剥くような躓きの原因は言わずもがなだ。

SYSTEM :
■手番処理
”マスター・ハーヴェスター”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブ(支援判定)を確認しています...  

“七花胡” :
判定:社会で支援を行います。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定を確認しました。
 続けて使用するエフェクトがある場合は宣言・判定を行ってください。 

“七花胡” :
エフェクト等宣言はなし。素振りでいきましょう

“七花胡” :
6dx+9 社会 (6DX10+9) > 9[4,4,6,6,8,9]+9 > 18

“七花胡” :
よろしく頼みましたよ、“死滅天隕”……いえ、“マスター・ハーヴェスター”?

SYSTEM :
■支援判定確認
 判定に成功しました!
 対象となるキャラクターの達成値をラウンド中[+3]します。 

ガンドルフ :
ああ、そうだな。やるか。

SYSTEM :
■メイン
 進行判定の宣言を行ってください。 

ガンドルフ :
射撃で判定をする。

SYSTEM :
■メイン
 判定内容を確認しました。
 続けて使用するエフェクトがある場合は宣言・判定を行ってください。 

ガンドルフ :
エフェクトの宣言はない。が……ハイペリオンを適用する。

ガンドルフ :
(2+3+6)dx11+18 <感覚:射撃> (11DX11+18) > 10[2,3,3,4,5,5,6,6,8,9,10]+18 > 28

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:0→3 

SYSTEM :
 しかし…戦場では不運と最悪は隣り合わせ。
 PFの計器と実際の射撃距離のズレを、あなたは“七花胡”の支援もあって易々切り抜け、敵の指揮系統/女王の指先を寸断する!

SYSTEM :
■手番処理
 ”帯来风暴”が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブ(支援判定)を確認しています...  

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定を確認できませんでした。
 メインプロセスに移行します。 

SYSTEM :
■メイン
 進行判定の宣言を行ってください。 

夏瑞珂 :
(エンジンをふかすジェスチャー)

夏瑞珂 :
"肉体"

SYSTEM :
■メイン
 判定内容を確認しました。
 続けて使用するエフェクトがある場合は宣言・判定を行ってください。 

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
"風の支配者"

夏瑞珂 :
『どう思う?』

GM :
 ………(ピピピ)

GM :
>この効果でキャラクターやキャラクターが所持するアイテムを動かすことはできない。

 判定内容的にはここが足を止めるポイント! まったくの無効ではないかもしれませんが、判定プラスとまでは言い切れませんね

“Mr・A” :
(後ろから操縦しているA)

夏瑞珂 :
『フゥン………』

夏瑞珂 :
7dx11+7 (7DX11+7) > 9[2,4,5,6,6,7,9]+7 > 16

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:3→... 

SYSTEM :
■進行判定確認
 進行度が[4]に到達しました。
 進行イベントが発生します。 

SYSTEM :
 立ち向かってくるオーヴァード、それに可能な限りの味方をする刻の流れを含めた“或る”すべて。
 それを文字通り踏み躙り、蹴散らし、領域の中心点へと急ぐ…。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 やがてその行路が半ばに差し掛かろうという時、あなたたちの前に懲りもせず/懲りられるわけもなく、3名ほどの敵意を持った人間が現れた。

 当然オーヴァードだ。だが。それにしては…。

『貴人の庭』エージェント :
「もう…来たのか、ここまで!」

夏瑞珂 :
「『ハジメマシテ。気さくにMr・Aと呼んで下さい』」

ラーゼス :
「……女王の操り人形ではないな?」

『貴人の庭』エージェント :
 ひとりがかぶりを振る。
 ふたりは何ら反応もしなかったが、
 そう呼ばれることに眉間の皴を下げた。

『貴人の庭』エージェント :
おまえたち
「余所者に…」

『貴人の庭』エージェント :
       わけ
「ここで生きる理由を知らぬ者たちに…。
 その呼び名はふさわしくない」

ラーゼス :
「……わかった。貴公らの理に無用に踏み込んだようだ」

ラーゼス :
「ではこう言い直そう。
『屍荒らしと手を組み、背を向けられた“青の貴人”の、ただの手駒だな』と」

夏瑞珂 :
「『なにしろローマ中の血を血で洗ってもらうんだ、矢鱈と死体が転がる』」

ガンドルフ :
〈キツく言うじゃねえの〉

ラーゼス :
「貴公好みだと思った。違ったか?」

『貴人の庭』エージェント :

『貴人の庭』エージェント :
「ハ…! 手駒…ただの手駒か」

『貴人の庭』エージェント :
「屍漁りどもの手を嘲りながらも、
 御しきれなかったものと笑うか!」

『貴人の庭』エージェント :
「その屍荒らしの長でさえ流れる血を知る
 そうでないお前たちが!」

夏瑞珂 :
「『実務の話しようぜ』『バカ笑いしながら足蹴にするのも手!』」

ラーゼス :
「同じだ、雑兵よ」

ラーゼス :
「なにも変わることはない。
 それとも、死者に守られながら、貴公の手は我らと同じでないと?」

ガンドルフ :
〈興奮するのは好きにやってもらって構わんが……〉

ガンドルフ :
〈俺は手前らの生きる所以を刈り取りに来たものでね。
 根こそぎだ、流れる血も何もかも〉

ガンドルフ :
〈余所者上等……ま、俺はいい、俺は王でもなんでもないからな〉

“七花胡” :
「枝の腐敗が根に伝わり切り、大樹が無残な姿になる前に。
 貴方がたにはできないでしょう?」

“七花胡” :
「降伏勧告は省略でよろしいですね。
 退いていただきますよ、女王の臣下」

『貴人の庭』エージェント :
「同じなものか…。
 血に穢れたものと腐り落ちたものが、
 同じであるものかッ!」

『貴人の庭』エージェント :
「その大樹が我々を救うのだ…。
 その大樹が救われねばならんのだ…」

SYSTEM :
 ところで…。雑兵と呼んだのは正しい。

 彼らは一山幾らの、たかが「5割」を突破しただけの大勢だ。
 だれか一人が小手先で蹴りを入れるだけで、たやすく殲滅できるだろう。

 大樹と呼んだものの望む喜びがそこにしかないと愚直に向かう意思ごと。当然、降伏の意思などはない。

『貴人の庭』エージェント :
         ・・
「………ああ、ならばつぎは我々の番だ…。
 
 おまえたちが簒奪の権利を唄うようであれば、我々とて望みを叶える権利がある…」

SYSTEM :
 しかし血走った目の若者と、覚悟を決めたように瞑目した女エージェントと。
 ただ、罪を許されることもないまま、当たり前の薄氷を維持してきたものが。

 言い切った瞬間に、血相を変えた。

『貴人の庭』エージェント :


「───ローマの薄氷よ永遠なれ!
 殿下、どうかご武運を…!」

『貴人の庭』エージェント :

「どうか……ローマの………!
 うっ、………ぐ………グェアアアアアアアアァァァァァ!!!!」

SYSTEM :
 ───こと。

 戦略とはお互いが守るものを守り、
 討つものを討つという前提で成立する。
 その中に自分の命が含まれているという大前提も含めて。

SYSTEM :
 彼らの場合はそうではない。
 元々生き抜いていたものも含めて、甚だ容易く。
 ほんとうに、容易く。死に候う。
 然るに思惑はたやすくねじくれる。

SYSTEM :

 ───ましてや屍の子らは、かりそめの理性を外から与えられているが。

 その価値観は彼女のものというのを差し引いても………。

SYSTEM :

 いつでも命を返す用意があった。

 これはそれだけの話。
 ・・・・・・
 なんでもするの答え合わせだ。

SYSTEM :

【Check!】
 下記のアイテムが使用されています。

 FHエンブレム:ラストラン×3
(※そのほか複数のアイテムを省略) 

SYSTEM :
【Check!】
 FS判定が更新されました。 

SYSTEM :
[進行度4]
判定:特殊
支援:なし
難易度:後述
備考:場に『命中判定の対象』となるトループは3体配置される
   ラウンド終了時「攻撃判定を行ったキャラ」に2d10のダメージ
   撃破後に[進行度0]の判定を再度適用するが、
   以降のラウンドから『青の貴人』が妨害エフェクト『ジャミング』または『支配の領域/絶対支配』を使用する。

SYSTEM :
 パリオリ居住区におけるクリスティ当家。
 すでにワーディングの展開されたその場所で、ジャームだろうオーヴァードたちが待ち構えている。
 …彼らは一斉に、自身の死を確定させうるほどの高濃度レネゲイド体を服用し、巨大な怪物に変貌した!
 
 怪物たちを撃破せよ。しかしだ、くれぐれも用心せよ。
 彼らは事此処に及んで、命の使い方を厭うことはない。

SYSTEM :

 成功条件:「①」「②」のどちらかを満たす
    ①:任意の攻撃判定による100↑(累計)のダメージ
    ②:判定の成功⇒白兵or射撃orRCor交渉:50↑
    備考:場に『命中判定の対象』となるトループは[3]体配置される
       ラウンド終了時「攻撃判定を行ったキャラ」に2d10のダメージ
       ラウンド終了時に判定が継続している場合「すべての対象」に4d10のダメージ

SYSTEM :
【Check!】
 FS判定を一時停止、簡易戦闘判定を行います。
 可能なPCから宣言・判定を行ってください。 

ラーゼス :
…“アセルス・デスミオス”。この狩りの間、貴公の力を借りたい。よいか?

“アセルス・デスミオス” :
 おっさんには墓の空気馴染みすぎちゃいそうだから、なるべく控えたいんだけどねえ…。

“アセルス・デスミオス” :
 まあよし。ホントに馴染まんように奮って使われにいきますとも。
 シフト変更! お助けに上がるよ~ん!

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

・エンブレム:前科者(Round/1)
 PCを1名指名して発動。
 そのラウンド中(発生シーンを除く)に行う判定のダイスを[+2dx]する。 

ラーゼス :
感謝する。共にゆこう

“アセルス・デスミオス” :
おっさんも大将(※べつの大将です)がこれくらいの美女だったら今の扱いでも喜んで………………

“アセルス・デスミオス” :
この話なんか“事故”るな ナシ
宣言通り真面目にやりましょ

夏瑞珂 :
(すすす)

夏瑞珂 :
『普通の人間の耐久力ってどんなものでしたっけ?』

“七花胡” :
試してみましょうか?

“アセルス・デスミオス” :
もうやめて! 
Wアタッカーでおっさんのライフはゼロよ(競技混同)

ガンドルフ :
では先に攻撃判定を行う。

SYSTEM :
■メイン
 判定内容を確認しました。
 続けて使用するエフェクトがある場合は宣言・判定を行ってください。 

ガンドルフ :
【デゼルト=ランチャ】
《小さな塵》+《コンセントレイト:AH》

“七花胡” :
“マスター・ハーヴェスター”に《狂戦士》を使用します。C値-1、ダイス+4個です。よろしいですか?

ガンドルフ :
受けよう。

GM :
 支援エフェクトの宣言を確認しました。それでは…。

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 81 → 86

SYSTEM :
■メイン
 続けて判定を行ってください。 

マスター・ハーヴェスター :
(6+3+2+4)dx7+19 <感覚:射撃> (15DX7+19) > 10[1,1,2,3,3,4,4,4,4,5,5,7,8,10,10]+10[1,4,6,10]+1[1]+19 > 40

夏瑞珂 :
💡

夏瑞珂 :
『You are correct..』

夏瑞珂 :
"クレタの抱擁"
"あげて"

夏瑞珂 :
(どこにいるか分からないので一旦ノートを空に向ける)

“アイシャ” :
 いいわ。
 羅馬で生きる人の天秤に肩入れは、
 彼があまり喜ばないでしょうけど。

“アイシャ” :
 それとこれは別。楽にさせてあげて。

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。
 
・クレタの抱擁(Round/1)
 指定した「PC」または「NPC」が行った、
 セットアップ・メイン・クリンナップいずれかのプロセスひとつの判定について、
 ダイス1つの出目を[10]に変更する。 

SYSTEM :
【Check!】
 再度ダイスを振ってください。
(1dx7+49)

ガンドルフ :
1dx7+49 (1DX7+49) > 4[4]+49 > 53

夏瑞珂 :

『貴人の庭』エージェント :
(口のあるものは口で、そうでないものは体を軋ませ、掃射の果てに死にゆく愚者たちが怨恨をまとった!)

『貴人の庭』エージェント :
2d10  (2D10) > 17[10,7] > 17

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] HP : 3 → -14

マスター・ハーヴェスター :
リザレクトを使用する。

GM :
…どうぞ!

マスター・ハーヴェスター :
……ついにでさっきのエフェクト分のコストも払う。すまんな。忘れていた。

GM :
フ…問題ありません それも込みでどうぞ

マスター・ハーヴェスター :
1d10 (1D10) > 9

system :
[ マスター・ハーヴェスター ] HP : 0 → 23

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] HP : -14 → 9

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] 侵蝕率 : 90 → 103

マスター・ハーヴェスター :
…フン!ようやく本腰だな

SYSTEM :
 死の間際、迸る生命の鮮血が鉾となってPFの装甲を損壊させ搭乗者に致命を与えたが、それきり彼らの動作はなくなった…。

SYSTEM :
■簡易戦闘判定確認
 判定条件を達成しました!
 簡易戦闘を終了し、FS判定を再開します。 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

“七花胡” :
 女王の臣下が変貌した。
 後は朽ちるだけの仇花。実を付けず、種も残さぬ。
 大樹に生かされた枝葉が、今まさに救われた/掬われた命を返そうとしている。

 ……これではまるで、根と枝の共食いだ。
 咲いたまま腐りゆく庭の、なんと不毛か。

“七花胡” :
「元より作戦は電撃戦、前座に時間を割く余裕はありません。
 すぐ飛べる貴方に助力します。手早くどうぞ」

“七花胡” :
 言い終えた時には、既に精製し、散布し終えている。天秤による補助などなくとも、薬剤生成は元より専売特許だ。
 “マスター・ハーヴェスター”の操る鬼神の各部に纏わりついた朱色の煙が、彼自身のレネゲイドへと干渉する。

“七花胡” :
 より鋭く、より無駄なく。
 パルスとカリキュレイトの世界を飛び越えて、貴方の高揚が、貴方自身の性能を超える────

マスター・ハーヴェスター :
「助かる」

マスター・ハーヴェスター :
 G-ドルフはコクピット内に設置されたシート背面に神経プラグを採用している。
 これは神経を通るレネゲイドを効率よく抽出し、循環し、Rジェネレーターに供給する役割を持っている。
 つまり、搭乗者のレネゲイドに変化があれば、そのレネゲイドの性質を受け取る事となる。

ガンドルフ :
 関節部分を人工筋肉で構成し、パイロットとのリンクをより密接にするように構築されたPFという兵器にとって、ソラリスによるレネゲイドへの干渉は効率のいい援護になるとガンドルフの設計者は考えた。
 それを証明するかのように、ガンドルフが大きく跳ぶ──背部バーニアを吹かしながら、その勢いは以前のものよりも激しい。

マスター・ハーヴェスター :
「コード入力、
 "デゼルト=ランチャ"──"オルランド"」

ガンドルフ :
 その手に握った光槍ライフルの先端が光刃を作り出す。
 大きく振りかぶったそれを、人工筋肉によるブーストをかけて、三人──否、三獣を貫くべく撃ち放たれる。

マスター・ハーヴェスター :
「権利は勝者のもの」

マスター・ハーヴェスター :
「勝者は俺達だ」

SYSTEM :

 ───ここで負けたならば、“貴人の庭”は滅ぶ。
 
 三年以上に渡り、血塗られた歴史と玉座に座り、それでも羅馬に生きるもの、国のかたちに縋ったもの。
 それを憎むことだけは微塵もせずに“現在”を留めることを己の義務だと決めた、若き王女のなれの果てが。
 ・・・・・・・・・・
 なんの意味もなかったと剪定される。

SYSTEM :
 憐れむ庭師が“大樹”とそれをたとえたならば、それはその痛みを知らない人間が鋏を振るうことへの憤りだ。

SYSTEM :
 そして…収穫者に付き合う義理は“ない”。
 断じて存在するはずがない。

 だのに接近戦のアタック・パターン・プログラムを打ち込んだのは、彼の悔恨か。いや、そんなものさえ過ぎ去ったのならば。
..      つよさ
 言葉のまま。魔名で受けて立とうということなのか。
オルランド
 狂戦士の名を借りて、研ぎ澄まされた高揚。矛盾が最高の精度で吶喊した。

『貴人の庭』エージェント :
「グゴ、ゴ───!」

『貴人の庭』エージェント :
「───ゴガ、ァッ………!!」

SYSTEM :

 機動性能で勝るPF、このローマで確認された平均的な中型タイプ、型落ちした先行試作機と比べて、空戦能力は明らかに勝るG-ドルフの光槍ライフル。
 それが、まず一体の心臓を食い破る。レネゲイドと怨恨ごと丸ごと、鬼がしがみついて食い漁る。 

SYSTEM :

 返す刀でもう一体の四肢が飛ぶ。
 もはや残酷なほどの差があった。

SYSTEM :

 レネゲイドは意思を食らって強くなるという。彼らの意思と命を吸って、あだ花は咲き誇ったが。
 より強く、長く意思を食らった鮮やかな青い花が、彼らの輝きをくすませた…。

SYSTEM :

 しかし………ただでやられはしない。
 それは文字通り“一矢を報いる”こと。決死とすら呼び難い執念の一撃だ。

 もともと“ブラム=ストーカー”…己が血を糧とするオーヴァード。
 先ほど敵意をむき出しにしていたもののなれ果てた肉塊から放たれた血色の槍が飛礫めいてG-ドルフを襲撃する!

ラーゼス :
「……アレウス!」

ガンドルフ :
 ガンドルフに搭載されたAIDA:ファンタズマは反撃を見逃さない。
 感覚器官と脳波コントロールに特化したこのAIDAにとって、付け焼刃の反撃は既に見切っている。
 だがAIDAが分かったとて、それを受けてコンマ数秒の刹那を動けるほどではない。

マスター・ハーヴェスター :
「……ククッ! やるな──」

ガンドルフ :
《コクーン起動。
 コア周辺の装甲を一時的強化》

ガンドルフ :
 直後、ガンドルフのコクピットを血槍が貫いた。
 AIDA:ファンタズマが実行したのはコクピット周辺機器の防護。
 搭乗者のリザレクトを前提としたコア防御であり、パイロットは死んだら生き返ればいいという、命のベットを前提としたシステム。

マスター・ハーヴェスター :
 ヘルメット下部から通気口が開く。
 体を貫いた血槍は自らの体内組織に裂傷を幾つも生み、とうとう血を吐いた。
 零れ落ちる血を気にすることなく、ヒーリングファクターを再起動。

マスター・ハーヴェスター :
「だが……死ねん!」

マスター・ハーヴェスター :
「停滞を選んだ貴様らに俺は……殺せん」

 彼らが死に、この男が生き残った理由。
 この庭が現在を停滞させているのであれば、
 この男の欲望の矛先は──進化、進歩、現在を越えるものだからだ。

SYSTEM :
 皮肉な同盟関係の見据えるものは同じだ。
 ・・・
 その先。

SYSTEM :
 まだ死ねないと、死者の遺産を踏みつけにして男が吠える。どこまでも。
 かつて牙獣だった男が、後追いの獣を下した。その損傷は“容易く”の範疇だ。兵士にとっては。

SYSTEM :
 正面の敵は一掃された。
 3体。一山幾らとて、文字通り命を顧みないほどの侵蝕率と多数の強化レネゲイド剤によって“ああ”なった。

 命と倫理を踏み躙るならば。これ以上ないほどに強力な兵器だ。
 そこに踏み切った理由などは、説明するまでもないだろう。

SYSTEM :
 ………続きが来る。

 まるで屍人のように、しかし確かにこちらに向かってくる数名のチルドレン。さらにそれを先導するもの。

 全員がおそらくは同じものを服用した。
 かつてまことに死に、理性をつなぐことで僅かなりとも生きることが出来。
 その長くない今のため、決死の分水嶺を耐え抜かんとして、我先に志願したレミングス。

SYSTEM :
 続きの群れの一角が、しかし………。
 先んじて薙ぎ払われる。

SYSTEM :
 空からだ。
 
 盤石の女帝の領域に、
   イデア
 違う意志が介在する。
 目に見えるすべてが“敵”の空間に、光子の砲撃もろとも綻びが生まれる。
 進軍再開の狼煙としても、先駆けとしてもちょうど良かった。

SYSTEM :
 ………追随するもの。その名残が。
 かたちのない音を波紋のように広げて呟く。

“アイシャ” :
 “優しい子。憎まないのね。
                   サクソン 
. あるのはあなた以外が築いたものを侵す侵略者への、秩序から伸ばした怒りだけ…”

“アイシャ” :
 “悲しい子…”

SYSTEM :
 土足で踏み入ったその侵略者。
 恩寵を与える地母神の、拒絶を知った哀愁の声だけが響いた。

 …だが、光槍に撃ち抜かれた遺骸たちは何も残さない。敗者だからだ。その彼らに、何の慰めにもなりはしない。

マスター・ハーヴェスター :
「……優しさ故、か」

夏瑞珂 :
「!」

 二の矢と飛びかかった躯が、たったいま光の奔流がきれいにした空間を跳び越える。着地の勢いでくるりとターン。天を仰ぐ。

夏瑞珂 :
「『女神がお嘆き』『最後に置き土産』」

夏瑞珂 :
「『助かるね』」手をふりふり。以上、"血色の探究"でお送りしました。

マスター・ハーヴェスター :
「ククク、共感するとは驚きだ。
 俺もまだ情熱の都市の血が流れていたとでも……? 眉唾だ」

“七花胡” :
 爆発の瞬間、醜く膨らんだ肉塊が血槍と化すのを見た。
 人から化物へ変わる工程を経ようと、それが元来、人であったことは変わらない……。
 ……厭なものだ。六年前の地獄を想起させる。誰の目にもつかぬよう、ひっそりと頭を振った。

“七花胡” :
 ……フラッシュバックしている場合ではない。

ラーゼス :
「……だが」

ラーゼス :
「互いに選んだ道だ。
 その血でできた道を、我らは互いに歩むほかない……」

ラーゼス :
「それが相争うということだ。……己を使い果たし、意志に殉じたいくさびとに、敬意を払おう」

マスター・ハーヴェスター :
「狗にしてはよくやった……」

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。 

SYSTEM :
■手番処理
 ”隻獅子”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■メイン
 進行判定の宣言を行ってください。

(※進行判定は再度「進行度0」のもの/最初期に選択したものを使用します) 

ラーゼス :
わかった。【肉体】で判定する。

ラーゼス :
…念のため確認するが、《旅する魔獣》で敵の中を突っ切ることにより、なにか恩恵を得ることはできるか?

GM :
 確認しております...

GM :
 あくまで移動手段だけの確保とありますが…ふむ…

GM :
 …ううむ 正直さっきのといい出来れば受けてやりたいところですが
 今回「撃破」と「進軍」を兼ねる状態です 片方(とくに後者だけ)なら遠慮なく足していましたが、あまり判定のプラスまでは見込めませんな

ラーゼス :
わかった。検討してくれてありがとう。

GM :
 はい。ところで…。

SYSTEM :
【Caution!】
『青の貴人』のエフェクトが使用されています。

 内容:ジャミングL5(判定ダイス-5D) 

ラーゼス :
…来るか、“青の貴人”! だが…!

ラーゼス :
(6+2-5)dx+7 (3DX10+7) > 5[1,4,5]+7 > 12

夏瑞珂 :
『すげえよ』

SYSTEM :
 庭の木々、空気、時の流れ。
 すべてが形を変え、侵入者であるあなたを排撃する。余所者とみなした、ましてや侵略者に対して寸分の狂いなき対応だ。

SYSTEM :
 …しかしあなたはこれを力ずくで、または一定の理解の及ぶ思考と手玉に取り、切り抜けた!

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:4→6 

ラーゼス :
────押し通る!

SYSTEM :
■クリンナップ
 FS判定が未完了です。
 次ラウンドに移行します。 

SYSTEM :
【-Round 2-】 

SYSTEM :
■セットアップ
 ハプニングチャートが発生します。

GM :
1d100 (1D100) > 33

GM :
31~35:幸運がほほ笑む。このラウンド中に行う進行判定はクリティカル値がすべて-1。

SYSTEM :
 生まれた綻びが“青の貴人”の領域を微かに和らげたか、その恩寵が拮抗したのか。

 はたまた、通信から響く状況の順調さが功を奏したのか。彼女の領域が仕掛けてくる妨害と圧力が弱まった。いまが好機だ。

SYSTEM :
■手番処理
 “マスター・ハーヴェスター”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブ(支援判定)を確認しています...  

“七花胡” :
先ほどと同じく。“マスター・ハーヴェスター”に支援判定を行います。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定を確認しました。
 続けて使用するエフェクトがある場合は宣言・判定を行ってください。 

“七花胡” :
6dx+9 社会 (6DX10+9) > 10[4,4,8,8,10,10]+2[1,2]+9 > 21

SYSTEM :
■支援判定確認
 判定に成功しました!
 対象となるキャラクターの達成値をラウンド中[+3]します。 

SYSTEM :
■メイン
 支援判定を確認しました。
 続けて、進行判定の宣言を行ってください。

ガンドルフ :
射撃で行う。

SYSTEM :
S1d2 1:ジャミング 2:絶対支配 (1D2) > 2

SYSTEM :
【Caution!】
『青の貴人』のエフェクトが予告されています。

 内容:『支配の領域L5+1/絶対支配L3+1』
 ・ダイスの出目を最大[4]つまで[1]に変更する 

SYSTEM :
■メイン
 判定内容およびエフェクト宣言を確認しました。続けて判定を行ってください。 

“七花胡” :
 邪魔などさせるものか!

“七花胡” :
 “帝釈天”、仕事の時間です! 約束分は働いていただきますよ!

“帝釈天”謝暁蕾 :
 すなわちここにざんかによい
 即  此  醉  残  花
すなわちともにろうしゅをなめん
 便  同  嘗  臘  酒 ………

“帝釈天”謝暁蕾 :
 ──────確かに。
 良き花の散り際でした。

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

・画竜点睛(Phase/1)
 指定した「PC」もしくは「NPC」が使用したオートエフェクト一つを選んで無効化する。
 この時「制限:-」以外を無効化は出来ない。 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 ──────誰も彼も。
 花も草木も踏み躙るのだけは得意なようね。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 あーあ。…いいわ、いいわよ。

SYSTEM :
【Check!】
『青の貴人』のエフェクトが不発しました。

SYSTEM :
■メイン
 判定内容を確認しました。
 続けてエフェクトの宣言と判定を行ってください。 

マスター・ハーヴェスター :
おっと、《小さな塵》+《コンセントレイト:AH》で行う。

マスター・ハーヴェスター :
(6+3+3)dx6+18 <感覚:射撃> (12DX6+18) > 10[1,2,2,5,7,7,7,7,8,9,9,10]+10[1,1,1,2,3,3,6,9]+10[6,9]+10[1,10]+10[7]+5[5]+18 > 73

GM :
 

マスター・ハーヴェスター :
やってみるか。

夏瑞珂 :
『思惑を達成するウイニングラン気分ってトコだ』

SYSTEM :
 …その僅かな綻びに対する最後の一手も、予めここを訪れ、意図的に“穴”を穿っていた邪仙の横槍を以て機能することは叶わなかった!

SYSTEM :
 であれば、そこからは…。
 PFの機動力と打撃力、何よりもはや意思固く定めたあなたと、あなたが請け負った者たちを阻むものは存在しない! 

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:6→12 

SYSTEM :
■進行判定確認
 進行度が[8]に到達しました。
 判定内容が変化します。 

SYSTEM :
[進行度8]
判定:【社会】or【RC】
支援判定:【肉体】
難易度:10
備考:【社会】の時は判定が[8]になる
   ハプニングチャートが二度振られ、不利なものを採用する

 居城内部はテレサ・C・クリスティのオルクスシンドローム『ラビリンス』相当の効果により、
 見た目の数倍以上は拡張されている。
 彼女の性格から法則性、およびオルクスの中心点を導き出し、術者であるテレサのもとに接近せよ。 

SYSTEM :
■進行判定確認
 進行度が[12]に到達しました。
 最終進行イベントが発生します。

SYSTEM :
 その領域内部への侵入から、中心点への到達。
 それは考えうる限りもっとも速やかに遂行され、彼女の待つ場所…。
 たいじゅ
 領域の王が代償として離れられない根本へ、駒を進めるに至った…。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………そして。
 この貴人の庭のあらゆる領域、あらゆる箇所に向かいながらも、必ずここに帰着するレネゲイドの通り道。
 その、おそらく右に出るものをこの世で探して何人いるかも定かでない、凶悪無比な干渉性からくるオルクス・シンドロームの担い手…。

SYSTEM :
 その因子の導く先こそ終着点だった。

 数倍に拡張されたオルクスの世界。終点の、いばらの玉座。
 女は座したままそこにいて、隣には必要なだけの守り手が控えていた。

 屍たちの女王だ。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「アルフォンス、バルトロメオ、チリーノ、ドナート、エヴェラルド…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「アニェーゼ、ベネデッタ、コンチェッタ、ルドヴィカ、サンドラ…」

SYSTEM :
 後であなたたちのところに行くわ…と。

 …囁くような声を、誰が耳にしただろう。女の瞳は瞑目のあと、変わらぬ平常の顔で。
 おそらく初対面だというのに、聞きなれた声で、青き血を統べるものが答えた。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「ようこそ、お客様。
 とどめを刺すのに疲れてくれた?」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「次は、こっちがやるから。
 明日のことは、何も心配しなくていいのよ」

SYSTEM :
 宣戦布告をするような性質ではない。それはあなたたちがする方で、彼女は受ける方だ。
 彼女のそれは要するに。

 それを受けた、という礼儀で。意思表示だ。

SYSTEM :
 だが用が済めば。
 異様な沈黙の気配は、すぐにでも破れ去るだろう。

夏瑞珂 :
 風に聡い耳朶が聞きたくもない音を拾い、顔をしかめる。いとしい屍に囲まれた、幸福な女王さま。
 いみ  ゆえ
 価値なく理由なく、わたしはさだめに縛られた彼女らを喰らう……。

夏瑞珂 :
「『おっと、念のため言うならその』『疲れてくれた?』『は俺の台詞だぜ』」

 吹き抜ける突風が、背にした扉の奥から血と屍のにおいを引き寄せた。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「あら。お久しぶり、飼い嵐」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「…その道化た仕草はどういう真似なのかしら。罪の告白? それとも野良ネコの自慢?
 節操なく居場所が変わったのね。もろもろ理解しないけど納得はしておいてあげる」

SYSTEM :
 女は、血の気配には一切を言わなかった。

 眉一つ動じないのではない。
 おそらく…。

SYSTEM :
 おそらくそれは、

 扉を開ける前の昨日、
 いずれかにすべて済ませたからだ。

夏瑞珂 :
「『ん~? どうかねェ』」

 足元には夥しい死にいろどられたレッドカーペット。
 この玉座に辿りつくためだけに引かれた、欲望の一条。

 彼女と、彼の。互い違いに伸びたレイルだ。

夏瑞珂 :
「『こういう場じゃ』『この“がんばりましょう”スタンプを押すのみでけっこう』」

 そのユメはわたしに何も関係はないけれど。
 ──傭兵だもの。最後の一働きくらい、サァビスしてあげましょう!

夏瑞珂 :
     アガ
「『なにしろ満足る屍は未だ一つも築いてはおらぬ。
 さーて殺すぞー』」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

「………」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
   ・・・・・
「そ。節操がないのは、そっちだったワケ。
 蓄音機の淑女のあなた?」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「墓の要望くらいは聞いてあげる。
 あの男のトコロじゃあないから、きっと意味は薄れていくでしょうけどね」

夏瑞珂 :
「────────────────────────────────────────────────」

夏瑞珂 :
「『間抜けが』」

夏瑞珂 :
「『───敗け犬に、次があると思うか』」

SYSTEM :
 膨れ上がった風の音に、控えた鎧うものが応じかけた。女が、にこやかに手で制する。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「辞世の句も他人の言葉でいいのね?
 よく覚えておいてあげる」

夏瑞珂 :
 犬歯を剥いて嗤う。端的に、

夏瑞珂 :
「『なお聞かずとも私が勝手に』『ケツ四つに割る』」

 ──こいつ、嫌い。

ラーゼス :
…割って入るように前に出る。

夏瑞珂 :
「『何の真似だ?』」

ラーゼス :
応えない。

夏瑞珂 :
「『ハ ハ ハ!』」音量でチョイス

ラーゼス :
やはり応えない。

夏瑞珂 :
「『重要なのは被害の多寡ではなく、『被害を受けた』という事実そのものですからね』」

SYSTEM :
 食い下がる子供(最年少ではない)じみた言葉に、向こう側も応じなかった。先以上の故はないとしたのだろう。

ラーゼス :
「瑞珂」

ラーゼス :
 名だけ静かに呼び、あとは言葉を投げない。
 少しだけ背後に回した視線を眼前に向ける。

夏瑞珂 :
む……と戻らない視線をしばらく睨んで、唇を尖らせながら半歩下がる。

夏瑞珂 :
隣に並ぶ長身。見上げもせずに毛皮をぎゅうと掴む。

“七花胡” :
纏うものにそっと掛かる体重。軽いそれに、内心で溜息をつくも、結局そのままにさせた。

ラーゼス :
「……誇り高き王よ」

ラーゼス :
    くに
「貴公の庭はここで死ぬ。
      たみ
 我らがその駒を、すべて滅ぼしてきた」

ラーゼス :
   ちかい
「その欲望は、我らにとりいま不要なものだ。ここで退場してもらおう」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 Arrivederla
「ごきげんよう。貴女には初めてだったわね。
 獣の向こう側だと思ったら。なんだ、存外に喋ること」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「では奪い、踏み躙り、
 そして勝ち取り続けてきたもの…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「ここで、すべて返していただきましょう」

SYSTEM :
 ならば滅ぼし、汚してきたことを、
 地獄の底で悔いろと。
 華やかに青い血が笑う。

 死を拒むことはなくとも。
 奪い合う流儀に倣いながらも、
 これがこちらの道理だと知るかたちを掲げる。

SYSTEM :
 ………傍らの男が、静かに指をさす。
 人差し指。拙い口は、王ではない戦士のあなたに。あるいは。誇りを知るあなたに向けられた。

“ヘカトンケイル” :
 ・・・
「おまえ、か」

“ヘカトンケイル” :
「………」

“ヘカトンケイル” :
「おまえは。
 テレサの痛みを。わかるいきものだと…」

“ヘカトンケイル” :
「思っては、いた」

“ヘカトンケイル” :
「わかっても、違った。
 ………残念、だ」

SYSTEM :
 血の名残。その矛の在り方。

 戻らぬ父の気配を獣の直感が掴んだ。
 悲しげな瞳どまりなのは、二つ理由がある。
 
 敬愛する女の前にいる事実が、
 激発の機を制していることと。もう一つは。

SYSTEM :
 おそらくそのあなたが、
 屍を辱めなかったことだ。
     ・・
 だから、それで済んだ。

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
 そのもの思いも、その怒りも、その言葉も。
     カエサルレウム
 どこまでも王だった。

 奪われたものに嘆きを、奪ったものに怒りを。
 穢したものに報いを、殺めたものに死を。
 全身を過去の青き血で化粧した、現代ならざる青き薔薇だ。不可能の花。

ラーゼス :
 その在り方、言葉、理由。
 識っていた。知っている。
 身に杭をもって打ち付けた、もはや剥がれぬ王という鎧だ。

ラーゼス :
「(……アレウス)」

 この戦に加担した理由。思いの果てを見届けるべき男を想う。
 いまは鉄の中に感情を閉じ込めた戦友を。
 “血色の探求”の理解も、爆ぜた男の憂悶も、殺した男の憂慮も、そして己の理解も。おそらくは正しい。
 血で癒着した王冠は、鬼であればはぎ取れるのか?

ラーゼス :
 それを、試みなければならない。
 見届けると約したものとして。
 それがこの戦において己が掲げるゆいいつの義だ。違うまい。

ラーゼス :
「刃に言葉は無用であろう。だからあの時はそうしなかった。
 いまはそうではない。
 おれはひとりの友としてここに立っている」

ラーゼス :
「……義なきことは承知の上だ。
 残念であると、おれも思う。
 ・・・
 だから、おれも侵略者としてこう言おう」
 理解る、とは言わなかった。けして否定はできない。
 だが、巨人の言葉は残った優しさに満ちていた。今はそれを持たせるべきではなかったから。

ラーゼス :
「父君の仇はここだ。“ヘカトンケイル”。この隻獅子の首を狙うがよい」

SYSTEM :
 屍と涙の上に築かれた、未来に続かぬ久遠の仇花。
 それを踏み荒らす一介の侵略者としての言葉に、巨人は眉を下げ切ると、小さく鼻を鳴らした。理解のための猶予。

“ヘカトンケイル” :
「………わかった」

“ヘカトンケイル” :
「父の眠りを見送るものが、
 一人もいないのは…寂しいことだ」

“ヘカトンケイル” :
「狩りの成果を“また”見せることも、
 あきらめたまま遠くに行った………」 

“ヘカトンケイル” :
「………最期に。血祭りにあげた、おまえの首を飾ろう」

SYSTEM :
 巨人はそれきり口を閉ざした。
 もう、彼のするべきことは一つしかない。

ラーゼス :
「できるものならな」

ラーゼス :
 ……間違いなく絆であったことは明白だった。
 慰めなどという無意味な言葉を紡ぐかわりに、挑戦的に言い返す。

“七花胡” :
 一歩前を出ようとして、掴まれたままの上着を思い出す。
 結局、そのまま留まった。視界の端に、獅子の広い背中。
 其処から真っ直ぐ、カラーグラス越しの視線を玉座に眼差す。

“七花胡” :
「お久しぶりです、“青の貴人”。
 貴女の庭を焼きに来ました。
 枝葉末節を灰と化すまで」

“七花胡” :
「恨みはない、とか、契約ですから、とか。貴女にとっては隙間風よりどうでもいいでしょうから、御題目はオールカットで。
 今話しておきたいのは、そういうことではない。戦争の前に少しだけ、聞き流してください」

“七花胡” :
「この庭は美しい」

“七花胡” :
「隅々まで行き届いた貴女の命令。貴女のためにその身さえ擲つ臣下たち。
 女王によって統治された王庭とは、こういうものなのでしょう。

 見事でした」

“七花胡” :
「────だからこそ、貴女は時を停めるべきではなかった」

“七花胡” :
 いくら歪もうと、繋がれた紐帯は強固だった。
 捧げられた献身/応える義務は本物だった。
 彼らが“殿下”と貴女を呼び、命を散らせる間際の稲妻に、何ら偽証は存在し得なかった。

“七花胡” :
 だからこそ惜しい。
 此処が、致命傷の癒えぬままに今日を続ける、氷結庭園であることが。
 花に流れる栄養は、須らく貴女の血でしかないことが。
      余地
 この庭に、明日などないということが……

“七花胡” :
「粛清の後、貴女は枯れ址に種を植えるところから始めるべきだったのです。
               Belvedere
 凋落を受け入れ、貴女は貴女の 王 国 を造れば良かった」

“七花胡” :
「……それがとても、とても惜しい。
 貴女ほどの庭師の手に掛かれば、さぞや素晴らしい眺めだったでしょうに」

“七花胡” :
 寛げたことに偽心は無い。ただそうはならなかったという、現実があるだけ。
 如何な応答が在るにせよ、無いにしたって、平行線であるということが露わになるだけだろう。
 “凋落を受け入れる”ということが、彼女にとってどういうことを意味するかも……理解の上だ。
 けれど、庭の中で息絶えることを望むなら、看取る痛みは其処から引き剥がしようがない。

“七花胡” :
 彼女の選んだ在り方を、決して許容することはできない。一度でも許してしまえば、二度と叱れなくなるから。
 朽ちゆく庭を/灰に還す庭を、一本の聳える大樹と花畑の満開に捧ぐようにただ惜しむことしか、見物客/侵略者にできることはなかった。

SYSTEM :
 あなたの言葉が惜しみとは真逆の、凡そ本人の自負するが如き行いを突き付けるような言葉だろうが。
 彼女は宣誓を黙って、敵意の発露の前までは聞いていただろう。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「そう、ありがとう。節穴を騙るのね。
 本当はもっと綺麗なの」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「…でも、ええ。貴方は…わかる人でいらっしゃるのでしょう“七花胡”。
 答えは返さなくていいんだけどね…?」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「見るに堪えない変化ならしなくていい、と思ったことはあって?」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 ミライ
「明日のために息絶えていく今日を踏み躙る時、何の躊躇もなかったことがあって?」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「昨日から受け継いだものの義務を誇ったことは。あなたの地の繋がりを真っ新に忘れ去ることが出来た試しは?」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「そういう話なの。
 私にソレを真っ向から述べられる貴方の庭は、たとえ世界中が泥に沈もうがくすまないのでしょうね」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

「同じコト返してあげる。
 きっと二度と手入れのされないことだけが残念だわ」

“七花胡” :
「直視すら堪え難くとも、最後まで期待を諦めないことが責任です」

“七花胡” :
「躊躇も後悔も山のように。全部突き刺さろうと、明日を択びましょう」

“七花胡” :
「逝ったものの遺言に、今を生きる者が縛られるべきではない。恨みを覚えておくのは、自分だけで結構」

“七花胡” :
「はい、もちろん。
 貴女に相対する自分の庭は、泥に塗れてくすもうと、槍に撃たれて崩れようと、其処からまた出発します」

“七花胡” :
「何度でも何度でも。
 たとえ自分の存在が消えようたって、育ててきたものは消えません」

“七花胡” :
「でも、貴女の思う通りは癪なので。
 思う存分戦争しましょう、王庭の君よ」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「そう」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「他人の庭を絶景と思わない根性が、ずいぶん遜ってくれたことも含めて、その持論。忘れないわ」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
    よろしく
「いいわ、戦争してあげる。
 あなたの育てた花はそこの顔ぶれの、どこにもいないのでしょうけど…時を恨んでも、鮮やかさを妬まないでね」

SYSTEM :
 それは彼女なりに“あなた”の姿勢を気に入った口ぶりでもあった。
        ・・
 そいつが育てた結果の色を持つものが、戦争しようと用立てた(あるいは利用し合った)眼前の侵略者にはいないことなど、口にしてもらうまでもない事実だと。

SYSTEM :
 そしてその手の個人的感情と、

 義務からくる行動は全く別だということ。
 端的に言って、既に“何をする”かは決まっているがための発言なのだった。

ガンドルフ :
 後方に鎮座していたマシン──サイフレーム"G-ドルフ"は、ただただ動かずにいた。

ガンドルフ :
 ガンドルフの基礎システムとして実装されている"因子管制システム"とその媒介端末は、この庭で埋め込まれた。
 瀕死の重傷だったパイロットを生かす為か、それとも何かの目算があったのか。

 コクピット内部で、レネゲイドが蠢く。
 懐かしさだけを味わうように。

ガンドルフ :
 既に血槍に貫かれた傷は、モルフェウスの物質変換によるダメージコントロールを終え、修復しきっていた。
 そのコクピットがゆっくりと開き、中からパイロットが姿を現す。

SYSTEM :
 開いたコクピットの中身に視線が向いた。何ら特別なものではない。
 少なくとも三者にかけた重みとそれは同じだ。

SYSTEM :
 時を隔てた十年前。穢れを知らず、血の青さの理由も知らず、荒くれ者への興味本位で居丈高に接してきた頃の娘の面影はある。

 なければ懐かしさも過ぎ去って消えただろう。だが…。

SYSTEM :
 それだけでないことを知っていて、
 あなたは顔を出した。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 Arrivederla
「ごきげんよう。
 どなたに挨拶しに来たの?」

SYSTEM :
 だから女はわざと、

 十年前の最初の言葉で応じたのだ。
 言葉の意味合いと声色の違いを致命的なものにするために。

マスター・ハーヴェスター :
 Piacere
「貴方です。
 少しの間、御父上から"構え"と申しつけられまして」

 男に変声を行う能力は無い。
 男に顔を変える能力は無い。
 だがその時発せられた声は、普段の男のものよりもずっと若かった。

 その声を知るのは、ここではもう、一人だけだ。

マスター・ハーヴェスター :
「……不格好だったら申し訳ない。
 何分、貧民街の破落戸でしたもので」

 リフレインのつもりだったわけじゃない。
 だけれど、遠い昔の過去をなぞるように声が発せられる。

マスター・ハーヴェスター :
 血塗られたローマという地をいつしか手にするはずの少女には見えただろうか。
 飢えに苦しみ、血生臭い戦いばかり求める野良犬だった、"牙獣"アレスという男の貌が。
 自分とはかけ離れた存在に触れたときの、男のぎこちのない貌が。

「その為にここに来ました。いや……来てしまったというべきか』

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「そう。ええ、そう!
 不馴れなのね。泥にまみれる殿方は大変ね。おじさま?」

SYSTEM :
 ・・・・
 そこまでが過去をなぞる返しだ。

 不躾に相対的年齢差と、飢えのストレスが刻んだ眉間の皺をからかった妹君をたしなめていた女の声が、まぼろしの形で蘇る。

SYSTEM :
 骸と同じ金色の髪。腹違いの姉。
 あなたに心を最後の最後で許したものは、名残りさえここにない。

 不完全なお芝居が時の継続のしるしとして続けられるのも、だからそこまでだ。
 あるいは、あなたが言葉を区切ったから。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「それで?」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「おじさま、もう一度聞くわね。
 いったい何をしにいらっしゃったの?」

マスター・ハーヴェスター :
「なんだったかな」

マスター・ハーヴェスター :
「色々他にあったはずなんだが。
 全部他の奴らが言ってしまうもんだから、俺個人の目的だけ言わずに残っちまった」

マスター・ハーヴェスター :
 庭を殺す事も、呪いにピリオドを打つことも、あるいは風の向くままに俺への礼儀を返すことも。
 じゃあなんだ、残された事。
 何をしに来たかなんてのは、もうとっくのとうに決まっている。

マスター・ハーヴェスター :
 それを口にして、なんと言われるかも分かっている。
 どの口がそれを言うのかと糾弾されるのも分かっている。

マスター・ハーヴェスター :
 だが──、

マスター・ハーヴェスター :
 例えそれが血濡れた手であろうと……、
 例えそれが闘争で傷ついた手であろうと……、

 そこから逃げない限り、運命は覚悟ある者に微笑むのだと。
 俺は、ボスから教えられた……。

マスター・ハーヴェスター :
「テレサ・C・クリスティ」

マスター・ハーヴェスター :
         ひと
「────お前を俺の女にするために来た」

SYSTEM :
 あなたの言葉に。
 齢にして十以上は人生経験を下回る女が、
 すぐには言葉を返さなかった。

 咀嚼の時間が数秒。戯れの類ではない言葉。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「………。そう」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 ・・
「それを…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「事此処に至ってから…。
 この場で言うのね。おじさま」

SYSTEM :
 あなたとて知ってはいるだろう。

 何を返されるのか。
 そのための手向けに火の花を捧げる以外を思いつかぬデリカシーのなさだ。
 帰ってくる言葉に想像などついていよう。承知の上とし、理解の上で踏破しようというならば、それは避けられない時間だ。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「あのね」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「どうして畜生の道を択び続けたのに、私に向けて人様の理屈を語ってるの?
 それがね…? 私、今、すこし残念な気分だわ」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「別れる道を、ただの敵でいてくれた方が…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「野の泥と血に塗れた略奪者でいてくれた方が…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「だからね? 一度だけ伝えるわ。
 ええ…一度だけ…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
.ベスティア
「牙獣じゃない貴方を、獣の心ごと今から殺すの。
 とても残念だけど。今ので漸く決心がついたわ」

マスター・ハーヴェスター :
「嬉しいことを言ってくれるじゃねえの」

マスター・ハーヴェスター :
 ・・・・・・・・・・・
 その方が都合が良かったと、言ってくれたのか?
 言うわけがない、そういう人間だ。
 言うべきを口にし、言わずをしまいこむ、そういう気高さがあるから、この人に惚れた。

 そこだけは変わらなかった。

マスター・ハーヴェスター :
 男は、人の世に生まれ落ち、銃羽根の天使に迎えられた戦神と云われた。
 劫火を以って焼き尽くし、お告げのままに殺し続ける者は、人ではなかったのだろう。
 
 それが転がり込んだ場所で、歪でありながら……それが日陰者の世界でもありながら、
 男は、人間に堕ちた。

 男は、畜生の道を選び続けた。
 だがその核は……既に、堕ち切った"人"の形だった。
 獣心を、人身で駆使し、人心を、獣身で司る者。

マスター・ハーヴェスター :
「俺も決めたよ、ティーラ」

マスター・ハーヴェスター :
  カエサルレウム
「“青の貴人”の心を……俺が殺す」

マスター・ハーヴェスター :
「そして全てを刈り取って……剝き出しになったお前を、俺の手で奪ってやる。
 すごく嬉しいぜ──惚れた女の為に命を賭けられるってのは、最高の自己満足だ」

マスター・ハーヴェスター :
「俺が爺様の下から居なくなるつったときが、一番新しい喧嘩だったよな。
 またあの時みたいに、俺に向かって喚いてみろよ」

マスター・ハーヴェスター :
「だからもう一度だけだ、
 最後の喧嘩に勝ったら……俺がお前を──貰う!」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「節操なしの証拠を引っ提げて?
 ロメオ
 伊達男が板についたのね」

SYSTEM :
 女はその言葉に出来るといいな、も、買い言葉も口にしなかった。
 なぜなら女にとって、いやさ“青の貴人”にとって、言うべき言葉を閉ざす臆病さはない。

SYSTEM :
 ただ、彼女は永久に変わらぬ美しさと気位の高さで、そこに咲き、根付いていた。

 宣誓を受け取りきったのは礼儀の話。
 そこに向けられている私情を叩き落とすことはなくても、語らう猶予はなかった。

SYSTEM :
 ………なにしろ。

 過程が結果を変えることはなかったからだ。
 玉座に坐した若き女王が、告げる。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

「どうぞ…踏み躙ろうとしてご覧なさい」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

「その屍のひとかけらも残さず、
 名もない礎のひとつにしてあげる」

SYSTEM :
..きょう
 現在のためにすべてを摘み取ったものが。

 現在までのすべてに報いると決めたものが。
 地獄への旗を振った。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 
 ・・・・・・・・
「死んで報いなさい。
 死ぬまで、報いてあげる」

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

[進行度12]
判定:特殊(戦闘)
支援判定:なし
難易度:なし
備考:経過ラウンドが[4]の倍数になると追加の敵対トループが発生

 ──────報いの日々は終わる。
 ひとつの歴史を踏みつぶせ。

SYSTEM :
【Check!】
 戦闘が発生します。 

SYSTEM :
【Engage】

※エンゲージは左上から右下の順に
「A」~「E」の番号を振ります

[A]
1:“帯来风暴”
2:“マスター・ハーヴェスター”
3:“七花胡”
4:“隻獅子”

       -5m-
[B]
5:“ヘカトンケイル”

       -5m-
[C~D]
6~7:『貴人の庭』エージェント

       -5m-
[E]
8:“青の貴人”
9:『貴人の庭』精鋭エージェント

SYSTEM :
【-Round 1-】 

SYSTEM :
■セットアップ
 タイミング:セットアップのエフェクトを宣言出来ます。 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
    ジュディツィオ・デラ・レギナ
■セットアップ:その罪を裁く
《絶望の領域L2+1》《支配の因子L2+1》《空中庭園》
・ラウンド中の指定した相手が与えるダメージを[-20]、判定ダイス数を[-6]
・指定したユニットを移動させる(全セットアップ確認後に決定)

SYSTEM :
【Check!】
 対象が確定しました。

 効果対象:“帯来风暴”、“マスター・ハーヴェスター”、“七花胡”、“隻獅子” 

ラーゼス :
く……。些か足りぬか

ラーゼス :
【王の剛腕】:《フルパワーアタックLv3》
セットアッププロセス / ― / 自動成功 / 自身 / 視界
このラウンド中に行う白兵攻撃の攻撃力を+[Lv*5]。ただし行動値を0にする。

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 97 → 101

夏瑞珂 :
【 Sons Of Liberty 】
セットアップ:怨念の呪石
追加効果:変異暴走

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 101 → 104

マスター・ハーヴェスター :
ハッ、あの日千日手になったボードゲームと同じことしやがって。

マスター・ハーヴェスター :
  ホット・スクランブル
■ガンドルフ、出るぞ!

セットアップ:《コーリングシステム》
 《スカイキッド》に搭乗。

“七花胡” :
セットアップはありません。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 死して報いろ。

 その王者の宣誓に、男が真っ先に答えた。
 ふかく、深く頷いた。

 生まれながらの最強生物に、
 およそ迫撃において最強の後天性を持つもの。
..     ヘカトンケイル
 その名、醜き道理の破壊者。

“ヘカトンケイル” :
「…わかった」

“ヘカトンケイル” :
「テレサ…」

“ヘカトンケイル” :
 ・・
「いま。
 ・・ ・・
 恩を、返す」

“ヘカトンケイル” :
■セットアップ:ティタノマキアー
《エンシェントキーパー:究極獣化L3+1》

《Dロイス:野獣本能》《巨神獣化L1+1》《完全獣化L3+1》
《進化の大爪L3+1》《進化の重鱗L3+1》《進化の末脚L3+1》
・シーン中、肉体を使用したあらゆる判定を[+6]D
・HPを[+50]する代わりにドッジ不可に
・完全獣化中、行動値、ガード値を[+12]
 白兵攻撃力をさらに[+22]、装甲値を[+10]、ダメージを[+4]D

『貴人の庭』エージェントA :
■セットアップ:蒼き狂月に捧ぐ
《エンシェントキーパー:巨神獣化L1+1》
・白兵攻撃力をさらに[+10]
・HPを[+50]する代わりにドッジ不可に

『貴人の庭』エージェントB :
■セットアップ:蒼き狂月に捧ぐ
《エンシェントキーパー:巨神獣化L1+1》
・白兵攻撃力をさらに[+10]
・HPを[+50]する代わりにドッジ不可に

SYSTEM :

 オルクスによる領域すべてを埋め尽くすほど。

 庭の王に傅く巨神がひしめいた。

SYSTEM :

 その中心にいるのは………。

“ヘカトンケイル” :



「──────オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!」

SYSTEM :
【Check!】
 空中庭園の効果でエンゲージが変化します。 

SYSTEM :
【Engage】

※エンゲージは左上から右下の順に
「A」~「E」の番号を振ります

[A]
1:“帯来风暴”
2:“マスター・ハーヴェスター”
3:“七花胡”
4:“隻獅子”
5:“ヘカトンケイル”
6:『貴人の庭』エージェントA

       -10m-
[E]
7:『貴人の庭』エージェントB
8:“青の貴人”
9:『貴人の庭』精鋭エージェント

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

“ヘカトンケイル” :

        誇 り の 虜 囚
■オート:フィラキ・トゥ・イペリファニア
《威圧》
・エンゲージを封鎖する。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 プリヴィレヒオ・デラ・レギナ
■オート:その銘を任ず
《Dロイス:触媒》
・任意の対象にイニシアチブプロセスでメインプロセスを行わせる。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 ───私の矛であれ。盾であれ。
 勝利だけを、約束してあげる。

“ヘカトンケイル” :
 グオオオオオオオオォォォォッ!

SYSTEM :
■手番処理
 “触媒”の対象者に“ヘカトンケイル”が選択されました。
 “ヘカトンケイル”が行動を宣言します。 

“ヘカトンケイル” :
 .     覚 醒 め る 怒 り
■メイン:ネメシス・トゥ・トルメンタ
Major:《魔獣の本能L1》《サイレンの魔女L5+1》《さらなる波L3+1》

 HIT:17dx+9
 ATK:(x+4)d+26
Add'l:シーン全体攻撃
Target:シーン(選択)

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
   スパーダ・デラ・レギナ
■オート:その剣を寿く
《Dロイス:特権階級》
 タイタス昇華:“ヘカトンケイル”サン・ウンガロ
・対象のC値を[-1]。

“ヘカトンケイル” :
 オォォォォォオオオオオオオオッ!

“ヘカトンケイル” :
17dx9+9  (17DX9+9) > 10[1,3,3,3,4,4,4,5,5,5,6,6,7,8,8,9,10]+7[5,7]+9 > 26

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています... 

夏瑞珂 :
『でも落ち着いてください、冷静になりましょう!』

夏瑞珂 :
"サモン・ブラッド"
"かばう"
(ちょっと迷ってから窓にノートを向ける)

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
貴君、狙ってやったなら大層なところに
血のひとかけらとて人様を呼んでくれたものだ…

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
ま…よかろう。あちらに下げる留飲など、ハナからあるまいが。

夏瑞珂 :
『いるわよ(裏声)』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
フ…女神の気を引くのも大変だ
慈愛というのも考え物である 

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
いいだろう。命を拾いたまえよ。

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

・サモン・ブラッド(Phase/1)
「“血色の探求”」の従者を戦闘に参加させる。
 またはそのラウンドのみ、メインプロセスとセットアッププロセスを行わせる。
 従者はHP=30、能力値=8Dとし、
『ラストブラッド』『コンバットブラッド』『フィジカルブラッド』『シールドブラッド』を持つ。


SYSTEM :
■リアクション
 “血色の探求”の従者が戦闘に参加しました。
 『カバーリング』を行わせる場合、対象者を指定してください。 

夏瑞珂 :
(挙手)

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
承った。この場の命の価値は等しく等価だな。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 .Arrivederla
 ごきげんよう、お客様。
 もう一度踏み躙りにきたのね?

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 父君と一緒ではないがね。
 涙と屍の上で築いた楽園に、示せるものなどは持ち合わせておらんよ。姫君。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 そうじゃなきゃ。
 女神サマの目の前に、その首だけ晒してあげる。

夏瑞珂 :
『畏まりました』

夏瑞珂 :
『もうひとりのボク!(断末魔)』

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 貴女も一緒よ。墓は別にしてあげる。

夏瑞珂 :
『アリガトー』

ラーゼス :
【天這う伏竜】:《復讐の刃Lv2》

ラーゼス :
応えよう! リアクションを放棄し反撃する!

“ヘカトンケイル” :
グ…オオ…!

“ヘカトンケイル” :
ヌオオオオオオオオオッ!!!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。
 判定を行ってください。 

ラーゼス :
(6-5+2+2)dx8+8 (5DX8+8) > 6[2,3,4,5,6]+8 > 14

ラーゼス :
友好勢力ボーナスも加え、最終達成値は21だ。味わってもらおう…!

SYSTEM :
■リアクション・ダメージ計算
 ダメージ計算に移行します。 

ラーゼス :
3d10+(11+15-20) (3D10+(11+15-20)) > 22[8,8,6]+(11+15-20) > 28

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 101 → 107

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています…。 

“ヘカトンケイル” :
ゴガァッ!

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
人の盤上に上がって“ソレ”とはね。
其方のあなた、いい槍を見繕ったコト。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 でもダメよ。懐刀がなくなったって。
      ..カエサルレウム
 命を啜った“青の貴人”に敗北はないの。

SYSTEM :
■リアクション
 残るリアクションを確認しています... 

“七花胡” :
 良い槍でしょう? 信に違わぬ鋭き稲妻です。本領を心しておくがよろしい

“七花胡” :
 ……とはいえ、此方は受けるしかありませんね。回避は自動失敗ですので、ガードで。

"マスター・ハーヴェスター" :
俺もだな。ガードだ。

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

“帯来风暴”:被カバーリング
“マスター・ハーヴェスター”:ガード
“七花胡”:ガード
“隻獅子”:復讐の刃(確認済)

“血色の探求”:カバーリング→“帯来风暴” 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

“ヘカトンケイル” :
 グオオオオォォォォ…! 

“ヘカトンケイル” :
7d10+26  (7D10+26) > 36[4,8,2,4,6,7,5]+26 > 62

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 流石は“ヘカトンケイル”。神々さえ慄く野性の権化。
 といってもそのナリでは喋れもしまい。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 ましてや進化には程遠く。
 獣の王への感動などは、間に合っていることだ。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 ………うむ、捨て台詞としてはこんなものだろう。当然私の従者は無事に息を引き取る。

夏瑞珂 :
『最後に置き土産だ』

夏瑞珂 :
"奈落に貧者は夢描く"

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 いい判断だ。貴君、どいつの入れ知恵かね。

夏瑞珂 :
『嗚呼、うちの駄馬がなんとも失敬を……』ヨヨヨ

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 だいたい分かった。では対価の義務とやらを払う姿を見物してやりたまえ。

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

.サクリファイ・ケイジ
・奈落に貧者は夢描く(Scenario/1)
『“マグナ・マーテル”』もしくは『従者』が死亡した時に発動。
 そのシーンに居合わせていた敵対勢力のキャラクター全てに「25」点のダメージを与える。


SYSTEM :
【Check!】
 シーン内の敵対勢力すべてに「25」点のHPダメージが発生しました!

対象者:“青の貴人”、”ヘカトンケイル”、精鋭エージェント、エージェントA、エージェントB 

ラーゼス :
おれは…堪えられぬな

system :
[ 獅子王 ] HP : 20 → 0

ラーゼス :
           タイタス
“黄の希人”アーキルへの思いを胸に立ち上がる。
 貴公へ抱いた危惧はまことのものだったが、はじめ出逢ったときに感じたよりずっと若い男だった。
 その手腕に感謝し、そしてこれよりも頼りにしよう…!

system :
[ 獅子王 ] HP : 0 → 16

system :
[ 獅子王 ] ロイス : 6 → 5

system :
[ "七花胡" ] HP : 5 → 0

“七花胡” :
 ……こちらも堪えられませんね。《リザレクト》を宣言、蘇生します。

“七花胡” :
1d10 リザレクトHP回復分 (1D10) > 3

system :
[ "七花胡" ] HP : 0 → 3

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 86 → 89

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] HP : 9 → 9

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] HP : 9 → 0

"マスター・ハーヴェスター" :
…。

"マスター・ハーヴェスター" :
ボス。さよならだ。
タイタスにし、蘇生する。

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] ロイス : 6 → 5

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] HP : 0 → 11

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
そうでないと。
一度で羽虫のように散られたのなら…。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
出迎えた意味も、ここまで踏みにじられたコの命も申し訳が立たなくなってしまうわ。

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージ結果が確定しました。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています...  

SYSTEM :
■手番処理
 “青の貴人”が行動を宣言します。 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 プリヴィレヒオ・デラ・レギナ
■メイン:その銘を任ず
Major:《ナーブジャックL1》

 HIT:16dx+20
 ATK:Empty
Add'l:対象に一度メジャーアクションを行わせる
Target:“ヘカトンケイル” 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
16dx+20  (16DX10+20) > 10[1,1,1,2,3,3,3,5,5,6,7,7,8,8,8,10]+5[5]+20 > 35

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

”ヘカトンケイル”:放棄(命中) 

SYSTEM :
【Check!】
 “ヘカトンケイル”がメジャーアクションを選択中です…。 

“ヘカトンケイル” :
        巨 岩 砕 き
■メイン:スパス・トゥ・ヴラーフォス
Major:《CRキュマイラL2+1》《銘なき刃Lv20》《大裁断L3+1》《吹き飛ばしL2+1》《グラップルL3+1》

 HIT:16dx7+5
 ATK:(x+6)d+55
Add'l:ダメージを与えるとラウンド中のガードを-[Lv*5]点
  .:ダメージを与えると相手をエンゲージから移動させる(Lv*2m)
Target:(選択中...) 

“ヘカトンケイル” :
S1d4 攻撃対象選択 (1D4) > 1

SYSTEM :
 攻撃対象が確定しました。

 Target:単体→夏瑞珂 

“ヘカトンケイル” :
16dx7+5  (16DX7+5) > 10[2,2,2,3,5,5,5,6,7,7,8,8,9,9,10,10]+10[2,2,3,6,7,8,9,10]+6[3,4,4,6]+5 > 31

夏瑞珂 :
『無礼るなよ犬コロがッ!』

“ヘカトンケイル” :
(巨人の戦意と敵意に満ちた瞳が、朋友たちの血の残滓漂うものに向けられている!)

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています... 

夏瑞珂 :
(アメリカンに肩をすくめる。暴走中)

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

“帯来风暴”:暴走(リアクション不可) 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

“ヘカトンケイル” :
9d10+55  (9D10+55) > 44[2,7,10,4,1,8,5,4,3]+55 > 99

system :
[ 夏瑞珂 ] HP : 14 → -85

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
"鳥のおじさま"
"昇華"
"戦闘不能を回復"

夏瑞珂 :
『───くれぐれも死ぬ気で生き延びてね、おじさま?』

system :
[ 夏瑞珂 ] HP : -85 → 14

マスター・ハーヴェスター :
そりゃテメェの方だろうが。

夏瑞珂 :
『ちなみにこれは言ってみただけ』

マスター・ハーヴェスター :
クソ度胸だけは認めてやる。俺の仕事を手伝うからには死ぬことが裏切りだ、励めよ。

夏瑞珂 :
『分かりました じゃあ次は警告抜きで行きます』

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージが確定しました。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています...  

SYSTEM :
■手番処理
 “ヘカトンケイル”が行動を宣言します。 

“ヘカトンケイル” :
 デヤァッッ…!!!

“ヘカトンケイル” :
■マイナー:
Minor:《破壊の爪L4+1》《ハンティングスタイルL2+1》
・そのシーンの間、[威力:(Lv*2)+8][G値1]の武器を装備

“ヘカトンケイル” :

        巨 岩 砕 き
■メイン:スパス・トゥ・ヴラーフォス
Major:《CRキュマイラL2+1》《銘なき刃Lv20》《大裁断L3+1》《吹き飛ばしL2+1》《グラップルL3+1》《マシラのごとくL3+1》

 HIT:11dx7+5
 ATK:(x+6)d+113
Add'l:ダメージを与えるとラウンド中のガードを-[Lv*5]点
  .:ダメージを与えると相手をエンゲージから移動させる(Lv*2m)
Target:(選択中...)

“ヘカトンケイル” :
S1d4 攻撃対象決定 (1D4) > 4

SYSTEM :
 攻撃対象が確定しました。

 Target:単体→ラーゼス 

“ヘカトンケイル” :
(巨人が狙い定めるべきまことの仇、獣の先達へ、その渾身を込めて雄たけびを上げる!) 

“ヘカトンケイル” :
11dx7+5  (11DX7+5) > 10[1,2,2,4,5,6,7,8,9,9,9]+10[1,4,4,5,10]+4[4]+5 > 29

SYSTEM :
S1d2 2で使用する (1D2) > 2

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 そう。トクベツ主張するのね。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 二言はないわ。いってらっしゃい。
 そして…。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
   スパーダ・デラ・レギナ
■オート:その剣を寿く
《妖精の手L3+1》
・指定したダイスひとつの出目を選択して[10]に変更する。 

SYSTEM :
【Check!】
 ダイスの再判定を行います。
(1dx7+35) 

“ヘカトンケイル” :
1d7+35  (1D7+35) > 2[2]+35 > 37

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています... 

ラーゼス :
────!

ラーゼス :
(獣は忘れがたき友の名をなぞるように吼える!)

ラーゼス :
【獅子王の牙/風薙ぐ雷槍】:《カウンターLv1+1》+《コンセントレイト:ブラックドッグLv2+1》+《アームズリンクLv3+1》+《パワースイングLv3+1》
 備考:タイミング:メジャーアクションのエフェクトと組み合わせ可能。
「対象:単体」の攻撃が行われた場合リアクションとして使用し、命中した側の攻撃が命中。
 未行動時のみ使用可能。【1S/Lv回】

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。
 判定を行ってください。 

ラーゼス :
(6-5+3+2+4)dx7+8+7 (10DX7+15) > 10[1,3,6,7,7,7,7,8,8,9]+10[1,2,4,8,8,9,10]+10[4,5,7,7]+6[5,6]+15 > 51

“ヘカトンケイル” :
グォォォォ…ッ!!!?

ラーゼス :
己を捧げる意志……讃えよう! この首を狙えと、おれもまた言った!

ラーゼス :
だが……千と五百のあいだ千切れなんだこの首、この命! やすやすとはゆかぬぞッ!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

“隻獅子”:カウンター/成功! 

SYSTEM :
■リアクション・ダメージ計算
 エフェクト『カウンター』が成立しました。
 ダメージ計算に移行します。 

ラーゼス :
6d10+(11+15+12-20) (6D10+(11+15+12-20)) > 40[2,8,6,5,9,10]+(11+15+12-20) > 58

“ヘカトンケイル” :
グ…オ…

“ヘカトンケイル” :
ヌゥゥゥアアアアアアアアアアアア!

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージが確定しました。 

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 107 → 118

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
■手番処理
 “マスター・ハーヴェスター”が行動を宣言します。 

マスター・ハーヴェスター :
《イル=ディザストロ》

エフェクト:
 小さな塵+コンセントレイト:AH+マスヴィジョン+レーザーファン+ペネトレイト

備考:
 範囲(選択)。
 装甲値無視。
 エンブレム:蹂躙者によりダメージを+1D。
 攻撃対象がガードを行った際、放心を与える。

マスター・ハーヴェスター :

マスター・ハーヴェスター :
攻撃対象は"青の貴人"、精鋭エージェント、エージェントBの居るエンゲージってとこだな。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
そう。狩人が獣を他所に、手土産ナシにお邪魔しようというのね。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
…あなた、私がそれを許すと思う?

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 プレスィオーネ・デラ・レギナ
■オート:その威で圧す
《支配の領域L5+1》《絶対支配L3+1》《ジャミングL4+1》《束縛の領域L1+1》
・ダイスの出目を最大[4]つまで[1]に変更する(予告)
・対象のダイスを[-5]Dする
・「RC」で対抗判定を行い、成功した場合相手の行動が不発。

マスター・ハーヴェスター :
手荒い歓迎だ。

SYSTEM :
■メジャー
 宣言を確認しました。
 他のエフェクト宣言などがあれば宣言を確認したあと、判定を行ってください。 

夏瑞珂 :
『おおっと“帯来风暴”早かった』

夏瑞珂 :
《援護の風 LV6》

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 104 → 106

マスター・ハーヴェスター :
頼むぞ“帯来风暴”、コイツは少し重い。

夏瑞珂 :
『無駄は省きたいものですな』

マスター・ハーヴェスター :
スマートさを覚えれば一皮剝ける。では…

マスター・ハーヴェスター :
(6+3+3+6-1-6-5)dx7+19 <感覚:射撃> (6DX7+19) > 10[2,5,5,8,9,10]+10[2,3,7]+6[6]+19 > 45

SYSTEM :
【Check!】
 エフェクト『絶対支配』の効果が発動します。
 
[変更ダイス]
 10[2,5,5,8,9,10] 右記四つ
(達成合計値変更:45→24)

SYSTEM :
■リアクション
 エフェクト『束縛の領域』が発動します。
 リアクションの判定を確認しています...。 

“七花胡” :
 ……大人しく見ているだけとでも!

“七花胡” :
【液肥を注ぐ】

オート
 夢の雫

達成値+8

対象:単体(“マスター・ハーヴェスター”)
射程:視界
侵蝕:3

1R1回

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 89 → 92

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 おとなしく見ているだけに留められないのでしょう? いいわよ。それごと踏み潰すためにやったんだものね。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 いらっしゃいな、再起する庭のあるじ。
 し損ねた鬼退治の序でに、進まない今日の礎にしてあげる。

“七花胡” :
 ……土弄りは大得意でも、土塊は御免ですからね……!
 頼みましたよ、“マスター・ハーヴェスター”、我らの狩人!

マスター・ハーヴェスター :
我らね、そう言うならもう少し踏ん張ってやるか。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 そう。じゃあ、血風といっしょに…。
 そのまま断崖に逝きなさい。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 プレスィオーネ・デラ・レギナ
■リアクション:その威で圧す
《RCオルクスL1+1》《束縛の領域L1+1》

 HIT:13dx8+3

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
13dx8+3  (13DX8+3) > 10[1,2,2,3,4,6,7,7,8,8,9,10,10]+10[3,4,5,8,9]+10[7,8]+6[6]+3 > 39

SYSTEM :
S1d2 2で使用する (1D2) > 1

マスター・ハーヴェスター :
まるで水牢の中にいるようだ。

マスター・ハーヴェスター :
だが俺はもう、鳥籠の中でピーピー喚いてる事は出来ないもんでね。

マスター・ハーヴェスター :
……ま、籠を内側から開けるのは厳しいワケだが。
鼠に貸しがあったな、今返してもらうとするか。

マスター・ハーヴェスター :
. アッワル・リフ・タイル
・変革を告ぐ翠風(Phase/1)
 指定したすべての「PC」または「NPC」が行った、
 セットアップ・メイン・クリンナップいずれかのプロセスひとつの判定について、
 その達成値を一度だけ+[12]する。

こいつを宣言する。

マスター・ハーヴェスター :
目瞑って同盟まで組んだんだ、シアばかりもいいが一回くらいは俺に還元しろ、"黄の希人"。

“黄の希人”アーキル :
御宅もそうだが、人に貸しを押し込むのが上手なことだ。後学のため学ばせてもらったよ。

“黄の希人”アーキル :
…が、まあそれはそれとしてだな…。

“黄の希人”アーキル :
ならば遠慮なく!
こっちも伏せ札を切らせてもらうぜ…! 

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。
 アッワル・リフ・タイル
・変革を告ぐ翠風(Phase/1)
 指定したすべての「PC」または「NPC」が行った、
 セットアップ・メイン・クリンナップいずれかのプロセスひとつの判定について、
 その達成値を一度だけ+[12]する。 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
──────!

マスター・ハーヴェスター :
C(24+8+12) c(24+8+12) > 44

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
そう。そこの男の後押しといい…。
プライドも後腐れなく犬に食わせたわけ…。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
馬鹿な男ね。
ここまで手ひどく噛むような牙獣なら、
好奇心なんか出すんじゃあなかった。

マスター・ハーヴェスター :
プライド一つで欲しいモンに手を伸ばせるなら幾らでも喰わせてやるさ。

マスター・ハーヴェスター :
   ボス
俺はある男からそれを教わったんでね……ま、馬鹿一つついでに噛まれてくれるかい。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
───お断り。
私は”青の貴人”。愛する先は満席だもの。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
ごめんなさいねウバルド。
代わりに死んで。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
   スクード・デラ・レギナ
■オート:その命を憂う
《領域の盾L2+1》《領域の守護者L1》
 ・指定した対象に自身をかばわせる。 

『貴人の庭』エージェントB :
(青い鳥が躊躇なく射線上に躍り出た!)

『貴人の庭』精鋭エージェント :
■リアクション:ガード
《磁力結界L2+1》
 ガード値を[+3]D。

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

“青の貴人”:『束縛の領域』/失敗!
精鋭エージェント:ガード
エージェントB:領域の守護者によるカバーリング→青の貴人 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

マスター・ハーヴェスター :
(4+1+1)d10+36 ダメージ/ガード時[放心] (6D10+36) > 22[3,8,2,4,2,3]+36 > 58

『貴人の庭』精鋭エージェント :
3d10  (3D10) > 21[9,9,3] > 21

マスター・ハーヴェスター :
C(58-20) c(58-20) > 38

マスター・ハーヴェスター :
…チ。運のいいヤツだ。

『貴人の庭』精鋭エージェント :
(物言わぬエージェントが、既視感のあるレネゲイド因子をまとった剣を掲げている…。)

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージが確定しました。

『貴人の庭』エージェントB :
 ──────………!!!

SYSTEM :
■ダメージ計算

 貴人の庭エージェントB→撃破! 

マスター・ハーヴェスター :
…これだけやって鳥一匹か。自信無くしそうだな。

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] 侵蝕率 : 103 → 117

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] レーザーファン : 1 → 0

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] マスヴィジョン : 3 → 2

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 ありがとう。さようなら、ウバルド。
 掲げる旗が違ったら、貴方は生きていけたでしょうにね。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています...  

SYSTEM :
■手番処理
 精鋭エージェントが行動を宣言します。 

『貴人の庭』精鋭エージェント :
■メイン
 待機 

SYSTEM :
■メイン
『待機』が選択されました。
 行動値を[0]にし、次の手番処理に移行します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています...  

SYSTEM :
■手番処理
 “七花胡”が行動を宣言します。 

“七花胡” :
【天秤を傾ける】

マイナー
 アカリヤザガマの天秤(レインボウファイアル)使用

次に使用するソラリスのEの侵蝕値に-1する
複数組み合わせた場合、全てに適用
1S1回

“七花胡” :
【花殻を摘む】

オート
 タブレット
 多重生成

メジャー
 導きの華
 戦乙女の導き
 狂戦士

対象:3体(“帯来风暴”、“隻獅子”、“マスター・ハーヴェスター”)
射程:視界
侵蝕:14

バフ内訳:
 ダイス+6個、C値-1、達成値+6、攻撃力+5

『貴人の庭』精鋭エージェント :
(エージェントがこの庭の中で芽生えた異なる『領域/庭』の主に剣を向ける!)

“七花胡” :
 領域は何も王庭の君だけの専売特許ではないのですよ!

“七花胡” :
 侵略しましょう、貴女の庭を!
 そして此れなる軍にて、攻め滅ぼして御覧に入れよう……!

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 笑わせるわ。
 まだ見えぬ貴方の軍でさえない、知り尽くした羅馬の破落戸に私が討てて?

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 でも…どうぞ、挑んで御覧なさい。
 ここの主が誰なのかをわかっていて挑む以上、幾度の洛陽であろうと迎え入れて上げる。

“七花胡” :
 ただの破落戸の集まりと侮っていると……いずれ手酷い目に遭いますよ?

“七花胡” :
 ねえ、“帯来风暴”!

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています...  

SYSTEM :
■手番処理
 “帯来风暴”が行動を宣言します。 

夏瑞珂 :
『結果が手段を正当化する。
 テメェらが正しいか、俺たちが正しいかは、生きてる方が決めんのさ!』

夏瑞珂 :
【 Storm Bringer 】
マイナー:《揺るぎなき心 LV2》
メジャー:《風鳴りの爪 LV2》+《コンセントレイト:ハヌマーン LV3》
判定:〈射撃〉
対象:"青の貴人"

夏瑞珂 :
『ビリー!』

夏瑞珂 :
    Barrage fire
"コード:間接支援射撃"

“グレイ・スコーピオ” :
 ───阿呆が。
 ことば
 呼び名は正しく使え。

夏瑞珂 :
『ああ、それ? つくづく人聞きが悪いな…』

“グレイ・スコーピオ” :
 物陰に隠れた次はひと様の言葉か。
 まあ、そいつは過ぎた話だからいい…。

 どのみち故なく踏み躙る方も3周年だ。

“グレイ・スコーピオ” :
 ヤツの足を止める。
 ───嵐を捻り潰せ。

“グレイ・スコーピオ” :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。
     Barrage fire
・コード:間接支援射撃(Round/1)
 指定した「PC」または「NPC」が行う、
 セットアップ・メイン・クリンナップいずれかのプロセスひとつの判定について、そのダイスを[+5dx]する。


夏瑞珂 :
9dx6+18 (9DX6+18) > 10[3,3,7,7,7,8,8,8,10]+10[1,3,4,7,7,7,10]+10[1,5,8,9]+10[6,10]+10[8,9]+10[5,6]+10[8]+3[3]+18 > 91

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています... 

『貴人の庭』精鋭エージェント :
■オート
《マグネットフォースL1+1》《磁力結界L2+1》
・カバーリングを行う。
・ガード値を[+3]D。

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

“青の貴人:被カバーリングにより割愛
精鋭エージェント:カバーリング→”青の貴人” 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
──────ニルデ!

『貴人の庭』精鋭エージェント :
(とうに自我をささげた無貌が最後の突破口に躍り出た!)

夏瑞珂 :
 Bastard
『馬鹿野郎が』

夏瑞珂 :
『ママのスカートとパパのアーマーが留守の代わりが物陰か?』

夏瑞珂 :
12d10+31 (12D10+31) > 47[3,8,3,5,10,5,1,3,3,1,3,2]+31 > 78

『貴人の庭』精鋭エージェント :
3d10  (3D10) > 21[6,7,8] > 21

夏瑞珂 :
"風鳴りの爪"
"1と1"

GM :
どうぞ!

夏瑞珂 :
2D10 (2D10) > 14[10,4] > 14

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 106 → 111

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 92 → 106

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

『貴人の庭』精鋭エージェント :
(無貌は最後まで懐刀の代理人であることを誇るように、何ら自我も己の名残も見せることなく、庭の一部へと還り、消え去っていった...。) 

夏瑞珂 :
『世の中、兵士も駒も再利用が流行りです』

“グレイ・スコーピオ” :
いいか餓鬼
手前が言われて癇癪起こすコトはほざくな

“グレイ・スコーピオ” :
二階級特進殿の受け売りだ OK?

夏瑞珂 :
『知らんもん』

ラーゼス :
……………。

夏瑞珂 :
……!

夏瑞珂 :
『よくないと思った』

夏瑞珂 :
『実務の話しようぜ』

夏瑞珂 :
『いいの あの堂々たるノーマナー』

夏瑞珂 :
『おそらく秒読みだ』

ラーゼス :
…………。

マスター・ハーヴェスター :
子守りかよ。

SYSTEM :
■ダメージ計算

 貴人の庭精鋭エージェント→撃破! 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 …バカな子ね。ニルデ。
     ..よわ
 貴女がその強さに付き合うことはなかったの。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています...  

SYSTEM :
■手番処理
 貴人の庭エージェントAが行動を宣言します。 

『貴人の庭』エージェントA :
■メイン
 全力移動

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

  アルマトゥラ・デラ・レギナ
■オート:その故を纏う
《縮地L5+1》《間隙の魔術師L3+1》
・同意した対象をシーン内の任意位置に移動させる。 

『貴人の庭』エージェントA :
(巨獣はなれの果てたちが潰えたことに気付くと、目の前の敵を丸ごと無視して走り去っていった…)

ラーゼス :
…王を守りにゆくか!

夏瑞珂 :
『安い命にちょうどいい、安い任務だ』

ラーゼス :
………………………………。

“七花胡” :
言わんこっちゃない

夏瑞珂 :
『まあまあ、お待ちなさい。気が早いですよ』

夏瑞珂 :
『………良くないだろ?』

“七花胡” :
流石に今ばかりは端っこ掴ませて差し上げられませんのでね

夏瑞珂 :
『クソッ、自業自得か………!!!!!』

“七花胡” :
はい、そうです

夏瑞珂 :
『お後がよろしいようで何より』

SYSTEM :
■クリンナップ
 クリンナップの確認をしています... 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
     アモル・デラ・レギナ
■クリンナップ:その命に捧ぐ
《生命の大樹L3+1》
・シーン内の指定した対象すべてのHPを[40]点回復する。
・自身に[暴走]を付与。 

SYSTEM :
【Check!】
 対象者が確定しました。

対象者:“青の貴人”、“ヘカトンケイル”、貴人の庭エージェントA 

“七花胡” :
 流石は王の庭……! 膝元であれば生かすも殺すも自在、というわけですか……!

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
     にわ
ここは私の世界よ。もちろん。
覆らない喪失ならともかく…。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
覆る喪失に手を拱くことがあって。

“七花胡” :
 ハハ、御尤もだ しかし此方とて、黙って見ているわけにもいかないのですよ!

“七花胡” :
 “帝釈天”! 寄らば花の散り時ですよ、意地の悪い貴女が花見の一つと洒落こまないなどと、どうかしている!

“七花胡” :
 《毒如蛇蠍》を“青の貴人”に使用しましょう……!

“帝釈天”謝暁蕾 :
 こ の せ い こ の よ
 此 生 此 夜 不 長 好 ………。
な が く は よ か ら ず

“帝釈天”謝暁蕾 :
 というわけでして。

 散りゆく花も沈む月も、ええ。
 立会うに吝かではなく。

“帝釈天”謝暁蕾 :
 ──────これより災禍が訪れます。
 十分にご注意を。 

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

・毒如蛇蠍(Phase/1)
 指定した敵対的NPCに『邪毒L5』を発生させる。
 この効果で付与した『邪毒』は、“戦闘中”でないミドルフェイズの場合、そのラウンド経過後に解除される。 

SYSTEM :
■クリンナップ
 邪毒L5の効果が発生しました。

 対象:“青の貴人” 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 ───。そ。
 庭の主が毒花を招いたことは、
 お互い様にしておきましょうか。

“帝釈天”謝暁蕾 :
 仇花同士でございましょう。
 仲良く咲き誇ろうではありませんか。もっとも…。

“帝釈天”謝暁蕾 :
 私、枯れたら次の名前で仇花やりますけどね。

“七花胡” :
 大人しく枯れて散る気などさらッさらないくせに、よく言うものですね!

“帝釈天”謝暁蕾 :
 誰も喜びますまい? そも、欲するとは斯様に傲慢なことでありましょう。

“帝釈天”謝暁蕾 :
 ましてとうに枯れた花の前などではね。
 鋏要ります?

“七花胡” :
 ────結構! 今必要なのは鋏よりも炎の方ですよ!

“七花胡” :
 種も枯れ葉も、残さぬが契約ですからね!

“帝釈天”謝暁蕾 :
 御随意に。同郷のあなた。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 言うじゃない。
 咲くたび土の肥やしにしてあげるわ。

SYSTEM :
■クリンナップ
 クリンナップの確認を終了しました。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 時に…。

 賽は投げられた、というが。
 ・・・・・・・・
 神は賽を振らないものだ。

SYSTEM :
 そして人は浪漫の大義のもと、もはや神の手を離れて久しく。
 この場でだれよりも欲する人間こそがその資格を持つ。

 結論から言うなれば。
 争いの始まりの鐘を鳴らした女が、
 にわ
 世界の中では神に等しい生き物だった。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

人は見たいと欲するものしか見ない
「Homines id quod volunt credunt...──────」

SYSTEM :

 だが…そこにあるのは、齢19の人間が持っていていい機能ではない。
 不吉さと達観を帯びた寿く言葉は放つという予備動作を必要としない。

SYSTEM :

 王は人である前に、王であらなければならない。
 女はもっとも貴き血を持ち、もっとも国に身を費やした奉仕者であった。

SYSTEM :
 最大射程距離は一都市………否、場合によってはそれ以上。
 常時展開されていたオルクス・シンドロームの空間掌握能力は、
 常にローマで行われた闘争を検知し、修復と再生に費やされている。

SYSTEM :
 だがそれも、このように膝元に刃を突き付けられたならば別だ。
 屍と涙で舗装されたこの貴人の庭、冷たさのみが宿る世界に命を与える。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「───起きなさい。
 我が臣下。我が命」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「私の声を───聴きなさい」 

SYSTEM :
 ───時がかしずき。
 ───空が意思持ち。
 ───骸が咽び泣く。

 天地悉く女のもの。ただ一歩を踏み出す先の因果さえ。
        レネゲイド
 刺すような空気、背徳者さえも揃ってかしずく満場一致。 

SYSTEM :
 人を相手にするならば万人がこなせるだろう。
 群を相手にする程度の無謀はオーヴァードにとって珍しすぎることはない。
 ましてや理外の存在を相手取ることなども当たり前。

SYSTEM :
 だが。

 ………だが。

“ヘカトンケイル” :
「空気を、撃ったことはあるか」

“ヘカトンケイル” :
「時を踏みつけたことは?」

SYSTEM :
 生きていてただの一度たりとも、
 どれほど小さくとも。
 ・・
 世界を殺したことは?

SYSTEM :
 これはそういう話だ。
 山を削るのに銃は使うまい。空は見上げるもので叩き落とすものでない。海は干上がるほど小さなものでない。

 ましてや………。
 その世界には番人がいる。

“ヘカトンケイル” :
「………おまえたちにはわかるまい…」

“ヘカトンケイル” :
 ・・
「痛みを晴らさないのが、
 どういうことか…」

SYSTEM :
 先程までの凪いだ風のような気配。
 それを根こそぎ薄れさせた、憤怒の瞳が語っている。

SYSTEM :
 ………そもそもの話。
 彼がごく一部の例外を除いて黙っていたのは、
 より大きな痛みの義務を負い、その権利を秘めたものが行使しなかったからだ。

SYSTEM :
 その者が行使を厭わなかった時。
.   あらし
 即ち暴力装置の出番となった時。
 もはや男の憤怒を止めるものなどありはしない。

“ヘカトンケイル” :
「父の無念、友の未練。
 そして我らが大恩…」

SYSTEM :
 男は恨みを忘れない。
 費やされた血、虐げられた縁への報い。
 たかが数えられる程度の単位からの執念程度で、夢と呼ぶには悍ましい無私が費えることへの怒り。

 すべてを綯い交ぜにした瞳。いや、瞳たち。

SYSTEM :
 覚悟の上で己を失し、懐刀の模造品となることを志願した女。
 誰かを守る人間という誇りを、血にまみれることで漸く取り戻した守護者の意匠。
 成れ果ててなお、かりそめの理性を持って得た時間で死後を受け入れたもと被験体。

“ヘカトンケイル” :
「いま………お返しする」

SYSTEM :
 静かに爆ぜるのを待っていた嵐が、彼らの意思を代弁するかのように。
 血染めの大樹のもとでただ告げる。

“ヘカトンケイル” :
「おれの、ただ一人の……」

“ヘカトンケイル” :


「くっ………ぐあ………グガアアアアアアッ!!!」

SYSTEM :
 生粋の破壊者は、争いごとを欲してはいなかった。
 皮肉な話である。

 しかし生来の才能などというものは、生来の人格と必ずしも合致しない。

SYSTEM :
 現象としては同じだ。
 彼だけではない。多くが捧げ、果てて行った。

 超高濃度のレネゲイド体に身をやつし、数値にして限界値の3倍のレネゲイドを一時的に統合。
 瞬時に理性を彼方に送り出し、己が肉体の本能と本質を存分に振るうカタチになる。

 守り人はいなずまの鳥。
 若き俊英は鎧の走狗に。

 そして“貴人の庭”最強の男は、最強の魔獣に。

SYSTEM :
 それは彼らの理性を受け持つ側がいればこそ成立する行いであるが、
 しかしそれは…個人の人生と記憶をコンマ数秒で圧縮して飲み込むようなもの。

 それを一気に三人。
 いや、通算で言えばもはや三桁超。“青の貴人”の精神的負荷と身体的負荷はもはや計り知れない。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「………ええ、そう。そうね」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「最期まで…隣で戦いましょう。
 あげるのは勝利だけよ。我が臣下。醜くも勇ましき“ヘカトンケイル”」

SYSTEM :
 しかし。
 “青の貴人”がそれで音を上げる人間でなかったことは、
 庭で死んでいったすべてにとって最大の幸福であり。

 彼女がそうではないことは、テレサという人間個人の人生にとっては。
 最大の陥穽の要因に等しかった。

SYSTEM :
 故に巨人が………。
 それを知るものが。
 何より心優しきもののなれの果てが。

 ただひとつの報いのために、
 雄々しく吠える。

“ヘカトンケイル” :


「──────オオオオオォォォォォォォォォォッッッッ!!!!!!!!」

“ヘカトンケイル” :


           ・   ・
    ──────   殺   す   !

夏瑞珂 :
 変わり果てたけものが、女王を背に吼える。報いのために、雄々しく……猛々しく。

「────、」

 その荘厳、
 その悲壮を前に。

 音をなくした喉が、乾いた笑いにひきつった。

夏瑞珂 :
 分かるまい、だと。
 痛みを晴らさないのが、どういうことかと。

 そんなふざけた話を、わたしの前でするなら──

夏瑞珂 :
「『片端に火をつけ、誇りにクソをぶつけ、バカ笑いしながら足蹴にするのも手!』」

 いま捨てさった温厚も、彼らの忠心も、献上された人生も、すべて、そう、すべて。

夏瑞珂 :
「『ハ ハ ハ!』」

 嘲り、侮り、笑顔で踏みにじってやろう。そうして喰らったさだめの先で、わたしは──わたしの受けた痛みを晴らすのだから。

マスター・ハーヴェスター :
 ・・・
「知るか」

マスター・ハーヴェスター :
 巨人は、俺にとってただの"障害"、"壁"、それ以上のものでもなければそれ以下のものでもない。
 全ての敵への理解をする必要があるか?
 否である。
 理解というモノは人が他者へ勝手に行う利己的な行動であり、その取り捨て選択も行使する側が決めることだ。

「経験上、"分かるまい"などという言葉を使うヤツを……、
 分かってやったところで何にもならん」

マスター・ハーヴェスター :
「邪魔だ、木偶の坊」

 ガンドルフのツイン・アイが、怪しげに光った。
 知るか/有無を言わさず殺す/邪魔だからどかす──無法者の流儀は、ハナから決まっている。

“七花胡” :
「(ただ一人の君主を戴く、青薔薇の猟犬……
  これがゼウスの朋友、百手の巨人────ヘカトンケイル!)」

“七花胡” :
「(そしてこれこそが────王庭!
  羅馬という地に最も深く根付き、最も痛く傷付き、最も難く堅牢な、守護者の手腕……!)」

“七花胡” :
きこえず
 不可聴の晩鐘が鳴らされたその時、まるで幕が上がったかのような心地に本能が震えた。
 まるで全く場違いな舞台に上げられたかのような、台詞も振る舞いも心得違いの格式に、拵えた虚勢の方が勝手に剥がれ落ちていくような。
 其処に加えて、大音声の咆哮が芯まで揺るがす。
 理性と人生と価値観の一切を煮詰めて飲み込んだ暴力の渾身は、彼の────彼らの忠誠の反照。

“七花胡” :
 無数の幻瞳が満身を食い貫く。
 この庭に散っていった、数多の忠臣が。

“七花胡” :
 ────一歩を退きそうになる片脚を、胸に留めたもので縫い付ける!

“七花胡” :
「────明日なき仇花、枯渇の庭園、自分の恐懼は此処にはない!
 君主の巨人よ、王庭の君よ!」

“七花胡” :
  Belvedere
「“未来のための庭”────それが貴女の庭を滅ぼす、侵略者の名だ……!」

“七花胡” :
 開いた天秤の柄頭を地に叩きつける。
 此処が壇上であるというのなら、いざや仇敵の名を、しかと刻んで散るがいい!

ラーゼス :
「────!」

ラーゼス :
「………。………」

ラーゼス :
「……そうか……」

ラーゼス :
「それほどか」

ラーゼス :
 かつて知った中世が、千と五百を置き去りにしてここにいた。
 忠義という名の毒。
 ここでしか生きてゆけない事実。
 ここで生き抜きたいという意志。

ラーゼス :
 少年たちは己すら残さず、狂乱の果てに去った。
 その行いの正しさなど、無法者の身で語るまい。
 ただ思う。
 愛したもの、残すべきもの、そのために命を捧げたその瞬間は、
 悲しいほどおぞましい恍惚を彼らにもたらしたろう。

ラーゼス :
「ならば───」

ラーゼス :
「おれには、時を踏みにじったこの脚がある。
   ねつ
 その恍惚が醒めぬうちに、我らがすべて食い荒らす!」
 轟音に怯むことなく、なお一歩前へ。
 聳え立つ壁を睨む。

SYSTEM :
 機械仕掛けの巨人の瞳が、凍て付く殺意を投げかける。

 殺意と呼ぶには平坦だ。
. オートメーション
 自動工場の流れ作業ほどの決定しかない、鋼色の荒野。
 その荒野を行く簒奪者の鎌には、最初からひとり分の定員しか席が残されていない。その気がなくとも。そうならずとも。

SYSTEM :
 荒野の中に根付く、正反対の敵意。
 ひきつった笑いは、三年の血反吐を吐くような断崖へ走り征く道の否定じみたせりふからくるものだったのだろうか。

 総じて戦意であった。
 総じて受け止め、浚い、巨人が唸り声を上げる。

“ヘカトンケイル” :
 
 ならばまず、
 おまえたちから血祭りに上げてやる

SYSTEM :
 ───不俱戴天への立派な意思表示。
 地を抉るように響くうなり声。
 オルクスによって従来のはるか数倍に拡大された領域内を、所狭しと暴れまわる魔獣の音。

 その耳を劈く巨人の腕の向こう側。
 時に置き去られ繰り返し廻るものを嘆いた王者の言葉と、留めたまま咲く花を明日に進めてきた庭師の言葉に、弱冠十九の女帝が答えた。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「もうひとつたりとも踏み躙らせはしない。
 挑んでごらんなさい。牙を剥けてごらんなさい」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「ただし…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
     Belvedere
「………ここに“絶景”などないわ。
 明日に根付く糧ごと、今日に刻んで散りなさい」

SYSTEM :
 筆頭たる黄金のまなざしに、もはや理性の光は灯されてなどいない。
 いや、未来永劫そうなることはないだろう。
 たとえ勝利しても。彼はローマを守護る最強の怪物として短い今後を捧げる。

 彼のささげた血を飲み干し、彼らに命を捧げたものが、その献身を知るがため命を下す。
 如何なる時でも。どんな状態だろうと。女の面持ちが曇りふさがることだけはなかった。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

 来たわ、見たの
「Veni, vidi, vici」
 ・・・
 だから勝ちなさい。

SYSTEM :
 そらごとの確約なれども、そこが女の愛した国ならば絶対だ。

 神々さえ屠る巨人───ヘカトンケイルがそれに応え、名に恥じぬ猛りを見せた。

SYSTEM :
        バーサーカー
 究極の肉体を持つ強化兵。
 剛性と迫撃において右に出るもののない、キュマイラとハヌマーンのハイブリッド。
 その打撃のみで容易く世界を削り取る、王ならざる大魔獣。それが彼だ。
 
 その初動において、キュマイラ特有のレネゲイド作用により、
 もはや地球上の物質において比較なきほど異常に強化された筋肉、また心肺。
 そこから放たれたものは──────、

“ヘカトンケイル” :



      ──────ROAR!!!   

SYSTEM :
 ただの咆哮である。
 ただの、咆哮であるが…。

SYSTEM :
 断じたとていい。
 空間を抉り、耳を劈き、あちこちを乱れ撃つように暴れ回る首の動きに合わせて、
 目に入った瞬間根こそぎを消し飛ばすものなど、もう咆哮という喩えでは済まされない。

SYSTEM :
 その名を持つ巨人は山のごとき岩を己が得物とし、
 その朋友ゼウスに相対する神々さえ怯ませたという。

SYSTEM :
       ..トルメンタ
 まさに神殺しの猛り。
     ギガンティック ロア
 はたまた、巨人の轟咆哮───。

SYSTEM :

 庭の中で、嵐の王のまとうもっとも強き嵐が──────。
 目に見える全てを塵に変えながらも、庭そのものだけはかけらも傷つけない。

 不合理のかたまりが、世界を壊すものが。
.         あなたたち
 世界に守られながら眼前の敵だけへ襲い来る!

マスター・ハーヴェスター :
「──!」

ガンドルフ :
《損傷甚大》

マスター・ハーヴェスター :
「無茶苦茶やりやがる……内装死んだらどうする」

ガンドルフ :

 ガンドルフは堅牢に出来ていない。
 地中海沿岸という、機動性を求められる戦場に向けて作られたこのP.F.は、純粋な暴力を乗り越えられる程、強くはない。

ガンドルフ :
 それ故に回避運動での低被弾率を実現する必要があるのだが、事ここに至っては、蜘蛛の巣のように張り巡らされた"領域"の前には無力!

 よって装甲の薄いガンドルフではその暴力を受けざるを得なく、全ての装甲がひしゃげるといった結果を得る。
 ましてやこの嵐の中で、ピンポイントブロックなど出来るはずもない。

ガンドルフ :
 当然、内部コクピットは最低限の増幅によって守られてはいるものの、押された内部装甲がパイロットの身体に突き刺さる。

 装甲越しとはいえ、それを軽く捻り潰す力の奔流と、嵐を受けた以上、その身は全くの無事ではない。

 空間という空間を引き裂き、界を破壊する力に、人の叡智で造られたものは辛うじてその機能を繋ぐことしか出来なかった!

マスター・ハーヴェスター :
(リザレクトの在庫は尽きたか……レネゲイドも万能じゃあねえ)

マスター・ハーヴェスター :
(ここまで追いつめられるのは久しぶりだ! 
 オセアノとの抗争で、俺がヘマこいた日以来か、あれは覚えている)

マスター・ハーヴェスター :
(俺を庇ってアルベロが死んじまったんだっけな。
 そうだ、その時もそうだった、子分が死んだことに怒って……ハハハ)

マスター・ハーヴェスター :
 過去の記憶のリフレインとフラッシュバック。
 何度も何度も己の首を賭けた男に、それが走馬灯のように映る事は無い。

マスター・ハーヴェスター :
(ボス……!
 アンタは、食われた連中一人一人と、頭ン中でどんな別れを告げたんだ?)

マスター・ハーヴェスター :
(俺もアンタに……一言"またな"って、言ってやりたかったよ)

 死なない生物は居ない。
 老いず朽ちずであろうと、その身を零に近づければ生きているモノは皆死ぬ。
 ただ命を永らえているだけのモノでさえも。

 それが生命である限り、死んで、死んで、皆辺獄へ堕ちる。

ガンドルフ :
 オーヴァードにとって死地から蘇る力は安定性を欠く。
 それ故に蝕まれ続けた体を起こすには、別の"薪"が必要だ。

ガンドルフ :
 それがジャームという化外への最後の楔である、絆しを捧げる事。
 もうそこに居ない者への別れを告げ──その記憶をくべて、己の糧とする。

 リグ・ヒンサーの末席に名を連ねた、"牙獣"アレスはここで死ぬ。
 人は己が己であることから逃げることは出来ないが、己が根差した居場所にピリオドを付けることが出来る。
 逃げるのでもなく、ただ過去を過去としてそこに置いて別れを告げる。
    ・・
 それはここでも同じ。

ガンドルフ :
 アレウスの体の中で加速度的に増幅したレネゲイドが、神経接続したガンドルフに行き渡り、その装甲を瞬時に戻していく。

 レネゲイド、すなわち変節を象徴するそれは、過去への別れと縁の変節を以て機能する。
 己が得たものを、己の都合で選択し、過去に置いていく。
 それ故にレネゲイドを保有したものは、最期までが永い。

 一歩ずつの変節が、生物としての変化を生む限り。

ガンドルフ :
 男は神に生かされ、神に殺され、そして神を己の世界から消し去った……己の世界に、この巨人の住まう場所などない。

マスター・ハーヴェスター :
「らしくねえ」

マスター・ハーヴェスター :
「らしくねえが……」

マスター・ハーヴェスター :
 Ignis aurum probat. 
「火は黄金を証明する、という。
 狼殺しは先客が居るが……ハ、ハ、巨人なら見劣りするまい……」

SYSTEM :
 先に行くもの。後に置いていくもの。
 そこに心を置き続けたものが、みな死人に引っ張られていくことを。
 彼らは生きてゆくたび、深く知る…。

SYSTEM :
 ──────戦士は。
 生きている限り、戦わねばならぬ生き物だと。

SYSTEM :
 ならば先人への別れは、避けられぬことだった。
 何を超越たとて、生きている限り絆しからは逃れ得ぬ。

 それを試みるものは幾らでもいて、世紀を跨いだとて答えが出ていない。
 いまだ生き延び続ける男の、その過程のひとつが“これ”だった。

“七花胡” :
「────────ッ!」

“七花胡” :
 勝利の先にさえ明日は無い。
 無いと知って、忠君の剣尖となる以外に、生き方も無い。
 残酷な定めを良しとして/由として、放たれた砲声は────まるで無数の岩礫のように鼓膜を打ち据えた。
 晩鐘に凝りかけた体を揺さぶる咆哮が、頭蓋の中を直接引っ掻き回した。

“七花胡” :
「(自分の役割は……槍でも、矛でも、嵐でもない……。
  彼らの為の礎、土台作り……障害を除け、場所を作ること。
  必要なのは────)」

“七花胡” :
 脳髄、ただ一つだけ。
 手は天秤を握れさえすれば支障ない。足は虚勢を張れさえすれば問題ない。
 最低限生きてさえいれば、世界の内側と外側は繋げられる。
 
 繋げられるなら、賽の数は如何様にでもしてみせる……!

“七花胡” :
 ────手足の防御を原型を留める最低限にまで圧縮し、余ったリソースで、頭部を中心とした護りの形を成した。
 展開した領域内で精製した薬効を循環させ、軽度の痛覚麻痺を意図的に引き起こすことで、意識の寸断から復帰/再生に掛かる時間を短縮する。

“七花胡” :
 イタミ
 毒は久遠を生きていくのに離れがたい。
 けれど手に負えないままにしておく必要はなかった。

“七花胡” :
「……狗の躾は十分なようですが、散らせるとでも?
 生憎、育ちが悪くてね。番犬が吠えた程度で、怖気づくほど御行儀良くはないのですよ!」

“七花胡” :
 口内に溜まった血反吐を吐き捨てて、砕けかけたサングラスを掛け直す。
 威勢の裏側で、この王庭に抗し得るための策を着実に備えながら、天秤を構え直した。

“七花胡” :
            ・・
「……自分に数分ください。陣地を敷きます」
 王庭の裡にあって戦友にのみ聞こえる囁きが、領域を広げ始めたことの証左だった。

ガンドルフ :
 ツイン・アイが僅かに明滅する。
 モールス信号めいて、「わかった」と。
 軽口をたたいている余裕は、無い。

SYSTEM :
 神は賽を振らない。
 振るのは時の縁に身を任せる人間だ。

 それに置いてゆかれるものとしても、彼は“だから”と気ままに世を嘲弄し物見遊山を洒落込む無責任な強さはなかった。

SYSTEM :
 未来のための庭を擁し、なおも天秤を見定める男にとって、災害とは。
 何もかもをなぎ倒していく風と雨は、不可避ゆえに退くものではない。それに必要なものは別の強さだ。

 だから生き延びた。
 だから王庭に“綻び”を生める。ならば───。

夏瑞珂 :
 巨人の猛りが叩きつけられる。わたしの前で嵐を気取る不届きものの、剥き出しの咆哮が。

夏瑞珂 :
     エ ノ ク
「『───“血色の探求”!』」

 瞬間、盟主の声が迸る。
 貧乏籤を引きにいかざるをえなかった男が、死線をくぐるために当てにした偏屈者の名を呼ばわった──まさにその瞬間のオト。

SYSTEM :
 ───ところで。

 解放者を名乗った者たちの、幹部を結びつける縁は一人だ。
 あるいは一体と読み替えたっていい。

SYSTEM :
 生まれて間もない地母神。その機能。
 人類の歴史に刻まれたものを学習し、進化したレネゲイド体。
 片割れは人に寄り添い合うものとして。
 片割れは人を踏み越える進化のかたちとして望んでいた。それが最大の違いだ。

 しかし両者に共通していることが一点だけある。
 有難がった可能性の心傷/断崖を、お互い(意図は違うが)好かないこと。

SYSTEM :
 以て“血色の探求”の狡猾さは、一言も、かけらも明かさず。
 女神と仰いだ個体の慈愛の先を起点として、予め己が因子を設置していたことにある。
 文字通り生命の危機にのみ反応し、短時間行動する従者。

 はじめの意図は違う。不発弾がこちらに向いたら諸共始末するための道具だ。
 それが、それを。知ってか知らずか。あるいは事此処に至って、と“教えて”でもいたのか。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『再三だぞ? だから高く付く、と言っていた………』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
Renegade limited Code
『───穏やかであれ』 

SYSTEM :
 さながら洪水のごとき死を受け止めるナピシュテム。
 神話を受け止める、ただの人間を模した血の塊。
     チカラ
 あらゆる現象はレネゲイドによって構築されることを知り尽くした男の、可能な限りの対R因子防御。

SYSTEM :
.        きょう
 嘲るように嘯く。平穏になんの未練も持たず、ただ明日の地平だけを目指した人間。
 …彼は昨日を一切知らない。知るはずもなく、知る気が決してない。ないなら、それは億分の一の偶然に過ぎない。

 かつて進化を目指して血を消費した者たちの、もっとも優等な人間の“退職金”代わりの系統樹だ。

SYSTEM :
 従者に仕込まれたもののうち一つが、瑞珂の眼前に立つ。
 その、彼にとって憎らしき容貌に、巨獣は心の底から憤るような猛りを零し。

 これの理性をこれより先永久に預かるものが、一切の均衡を崩さずにはにかんだ。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「よく顔を出せたわね」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『私はその正しさに馴染みませぬよ。ご存じであろうに』

SYSTEM :

 穏やかな言葉の波紋。怜悧な敵意に荒ぶる炎の色はない。
 降りしきる雨のような冷たさと、裁きのために勢いを増す嵐の予兆に。
 男のかたちをした従者が死の秒読みにおいて、わざと知り得る恭しい一礼などしてみせた。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『そうですとも、姫君。
 あなたは正しかった』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『魔の差した敬愛する父君も…。
 その一点以外は何ら非のなかった旧臣も…。
 あなたに血以外の価値を何ら見出さなかった配下も…』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『何より他意のみ以て乗り込んだ私もだ。
 すべて、同じ罪と、同じ視点を以て裁こうとした』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『あなたは人である以前に王だ。機能を自分の意志で貫徹し…。
 生涯のすべてを名残のために、這おうとも穢れのないよう振る舞い捧げた…』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
                     マシ
『その一点において、私の知る中ではもっとも優等な人間だった…』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『………だから、いよいよとなれば…。
 ・・              サル
 権利のある貴君に殺される顛末も、我々の因果応報としてはアリだな、と…』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『思っていたことは。あるのですよ』

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「思っていただけよね?」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『無論思っていただけですとも』

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「屍肉を貪った口でよくも言う。ね、味は覚えてる?」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『意味のあることなら覚えております。死んでもね』

SYSTEM :
 その件の審判など疾うに終わっている。
 彼は怨恨を受ける義務があるが、法の外側の男にもはや義務など意味はなく。
 彼は怨恨を与える権利が女にあることを知っているが、
. オーヴァード
 過渡期の礎として生きて死ぬ、その優先順位を曲げられる不真面目さを微塵も持たなかっただけのこと。

SYSTEM :

 故に彼が通す義理と自由などは、そもそも庭にはない。
 当たり前のように踏み台にし、その踏み台に殴り返される覚悟のほうを男がしていないはずはないが。
 それはそれとして、される気が毛頭もなかっただけ。客観的にするならそれだけだ。

SYSTEM :
 故に執行の内容は三年前を焼き直すだけだ。そこに必要なものは殺意ではなかった。
 父の翻意の要因と愛した家族の仇に対しても、人の怒りを発する自由はない。望んで捨てたからだ。

 そして…。
 彼我の天秤が、数秒を以て、彼方に傾く。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

         コキュートス
「───ありがとう。冥府の川へ行きなさい、カルロ」

SYSTEM :

 女王の鞭が振り下ろされる。
 巨人の腕が従者の血色を叩き潰す。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
   ・・・・・・・・・・・・・・
『───百と九十八名が待っております。お先にどうぞ、お嬢様』

SYSTEM :
 賢しらなる愚者が、にこりともせず別れを告げた。

SYSTEM :
 一切の意思表示を後ろにも隣にもすることはなかった。その言葉以外。
 爆ぜた従者は、もうひとつの機能をあらわにする。即ち…。

 即ちその瞬間、爆ぜた血は特定のR因子を持つものにだけ作用し、貧者の一刺しのごとく、痛みの報いを与える。

SYSTEM :
 彼は…あらゆる地のレネゲイド技術を貪欲に学んできた。
 もっともこれが大っぴらに扱える場所で、ブラム=ストーカーの何たるかを心得た。

 即ち血を媒介とした従者作成と物質精製の掛け合わせ。
 これに細部まで見通す意識を与えるエンジェルハィロゥ・シンドロームの組み合わせは、
 彼に従者をいつでも“特定の相手”に対して的確に作用する爆弾に変えられるという事だ。
 何ならば、別に、従者でなくとも。

SYSTEM :
 そこに必要なものは、知性と技能の拡張からなるノイマン・シンドロームではない。
 そんなものがなくても男はその分野における秀才であるからだ。

 かつて自分が処置したもの、そうでなくとも完璧に因子パターンを知っているもの。
 幸か不幸か、貴人の庭に対するすべてを…。
 骸を入れる檻を、本人曰く百と九十八つ作成した彼は記憶していた。
 それだけの話だから、爆ぜるかたちで瑞珂/女神に”余地”を与えた度し難い生き物への嵐を吹き消した瞬間………連鎖的に彼ら“も”爆ぜた。

SYSTEM :
 “どうぞ、踏み台にされよ”。
 男が若し言葉をかけていたとしよう。残るのはこの程度だ。
 
 彼はそれすら特に言わなかった。そういう男なのである。

夏瑞珂 :
「『フー……』」

 いま仮初の姿で爆散した男の声で溜息をつく。あたまに降りかかった血をジャケットの袖でくしくしと拭う。

夏瑞珂 :
 温まりもしない旧交は、わたしには何のコトだか分からない。分かる気もないし、ノーコメントで破裂した彼に送る言葉もなかった。そういう関係なのである。

ラーゼス :

「ッ……!!」

ラーゼス :

 生命の危機に、文字通り全身が総毛だった。
 それはただの咆哮ではない。
 音を聞き取った──いいや食らったものからまるで嵐に巻かれたように吹き飛ばされてゆくさまは、攻撃ではなく災害と呼ぶが相応しい。
 人殺しの剣であった男の極殺の疾風とは質量と技巧を対にする、技巧を投げ捨てて力だけを突き詰めたただの咆哮。
 だがそれがものを殺す。

ラーゼス :
 直感がささやく。
 死ぬ。

ラーゼス :
 瞬間死への備えではなくその次を見たのは、獅子王にとり至極当然のことであった。
 長い歴史の中に変わるものを見てきた。
 かつていくさびととは、死のうちにあって活を見出すものであった。
 時とともに形を変え損耗を減らそうと変わったが、しかし、我が騎士団の中ではむしろそれを誇るように栄え────

ラーゼス :


「─────ならばァッ!!」

 運命のうちにあって身ひとつを投じる、己もまた同じであった。

ラーゼス :
 人間の声で咆える。
 嵐の中に、重い重い一歩が前へ踏み込む。台風の内側へ更に。

 蒼い外套のみが纏わせた力によって護られ、身は千々に裂けてゆく。
 身体を微塵に壊されながらなお、杖の先に灯した雷が長く伸び、
 暴力に暴力をもって相対するように、雷刃が轟音を上げて振りぬかれた!

SYSTEM :
 以て爆ぜる血が、僅かに強靭き肉体に隙を生んだ。
 その程度では収まるはずもない嵐の渦を、しかし稲妻が駆け抜ける。

 まごうことなき死中の行路。正気の沙汰では成し遂げられぬ。
 しかし、猛る伝説から活路を獲ったように。
 古き戦には死は付きまとう。畏れる正しさなど、あるいは無用の長物であることさえあった。

 そのなれ果てに、かつての先人が勇ましく勝利の鉾を翻す!

SYSTEM :
 諸共とばかりに肉を抉る。
 一対一の万全ならば、この巨人の何れを抉っていたものか。

 しかし、ここは王の庭。彼女の世界。
 すべてが敵であるならば、そこに住まうものにとってすべてが味方だ。
 まして、雷霆が嵐の中で渦巻くなど日常茶飯事。

“ヘカトンケイル” :
「グッ………オ、」

“ヘカトンケイル” :
「オォォォオォォォオォォォォォ!!!」

SYSTEM :
 そうともそれは、たかが人の英知程度だ。
 そのぐらい/爆ぜて壊死する程度で、巨いなる人が怯むはずはない。ひとつならば当然のこと。

SYSTEM :
 そうでないものの勇猛が突き刺さる。
 だがそれ/死さえも踏み躙る王の牙も、彼は後追いとて獣だ。知らない怒りでも、知らない暴力でもない。

SYSTEM :
 彼の敵は神々だ。それと戦う資格のあるものが、この先を全て擲って得た暴威。
 これで怯むようなことがどうしてあるものか。

 たかが人体一つ分の細胞を丸ごと壊死させた程度では、超人は死なない。
 刺し穿つ傷諸共、すぐに逆回しの超人的再生能力が働いた。もちろん、限りある命だ。何度も腹に食わされたならば、巨人とてその命を失うほどの痛打ではあったが。

“ヘカトンケイル” :

「ヌォォォオオオオオオッ!!!!」

SYSTEM :
 嵐の中の雷鳴何するものぞと、そこにいないはずの敵の残滓を踏み越えて。
 千切れる肉の痛みさえ意に介さずに。真っ先に、次なる相手を狙った。血ではない意志の、憎悪の残り香を嗅ぎ取るように。

SYSTEM :
 ………否!

 もしもそうだとしたならば………。
 彼には二つの意味で真っ先に狙うべき相手がいる。

SYSTEM :
 そうと定めるべき相手がいる。
 だから、これは、応報が理由ではなかった。

“ヘカトンケイル” :


             おれ
      ────── 嵐は一つだ!

SYSTEM :

.ワイルドハント
 嵐の王に靡く暴力装置は、この場にひとつしか容認されないと。

 剛さと迅さを兼ね備えた最強のモンスターが、同じものを本能的に掴んだ。
 あるいは、先刻そこにふつふつと沸き上がった、喉笛を食いちぎるような戦意を掴んでいた!

SYSTEM :

 殺し得る刃を先に狙い定めた。主に似て、己の怒りより先に脅威たるものを。
 その破城槌もかくやの剛腕を束ね、振り上げ、叩き付ける───! 

夏瑞珂 :
 雷に喰らいつかれた巨人が、不屈を吼える。轟く重低音から挑戦的な意思を汲んで、口の端がつり上がった。

 ──頭上に差す巨影。

 一秒の後。夏瑞珂という生命は、なすすべなく即死した。

夏瑞珂 :
        hammer
 振り下ろされた 大槌 の真下で、全身が砕けた。卵の殻が割れるような音が全身に響いて、ひどく気味が悪い。

「『物欲しげなツラしても何もやれんね』」

 骨格が、血管が、内臓が、潰れて粉微塵になったわたしのすべてが、レネゲイドによって接着されていく。

夏瑞珂 :
「『あたしゃ奪うのはスキだが、くれてやるのは以ての外だ』」

 鼻で笑うハスキーボイス。取りこぼしたミンチで床にへばりついた体を引き剥がしながら、べりべりブチブチと立ち上がる。

 ──そう。あらゆる欠落は補われ、いくつものヒビが覆われる。
 テセウスのわたしたちは、そう簡単には死なない/死ねない。

“ヘカトンケイル” :
「──────」

SYSTEM :
 その腕でかき消えない意志、略奪者のロールに相応しい言葉のアーカイブ。
 すべてを仕分けるほどの理性は巨人にない。

 あるいは理性があれば、どこまでもそれをブレーキにしていた男は、嵐と呼ぶにはか弱く、微風と呼ぶには荒々しくよみがえり続けてきた娘に、言葉のひとつでもかけたのだろうか?

SYSTEM :
        ・・・・
 もちろんすべて過ぎた話だ。
 彼にとって、もうそんな明日は来ない。
 
 世界の主に上乗せされたレネゲイド出力で後押しされ、信じがたい速度で振るわれる剛力は、立ち上がった矮躯を、先の振動で引きはがしていた。
 ただ踏み躙るのではない。決意を持って、抗戦の余地ある領域ごと揺るがすような大破壊。

 欠落が再度火を興せばそのたび薙ぎ払う。
 あるいは、懐に飛び込んでいた牙さえなければ。その状況で間髪入れずこぶしを握りこみ、追撃を打ち込んだかもしれないが。

“ヘカトンケイル” :
「グォォォオオオオオッ!!!」

SYSTEM :
 神に相対する巨人が、彼の知らぬ遥けき過去、それに等しきものに挑んだ隻眼の王へ向き直る。

 巨体からは信じがたい敏捷性。間合いから逃れ得るもの、挑みかかるもの、等しく逃がさぬと、一度で効果の薄かったものが再び来る前にそちらに意識を向けた。

 踏みしめた地面が修復されながら罅割れる。全身の体重を乗せ、一切の賢しさを置き去りにした渾身の───。

SYSTEM :
 渾身の、吶喊じみた拳が。
 放たれる寸前でさえ、大気を叩き割った。

 そのまま放たれたならば、直線状にして数km以上…庭の制御範囲において歪曲されながら、ただ見えるもの全てを、大気と草木ごと叩き潰す極大の暴力となり得る追撃だった。

 もはや人の技がどうにか出来る巨躯でも、
 同じ暴力が御せるものでもない。

SYSTEM :
 ──────神々の死が。号砲が。
 迫りくる!

ラーゼス :
「応えよう」

 見上げる巨人へ、ぽつりとそう囁く。

ラーゼス :

       ・・・・・・・・
 雷で編まれた交差する剣の紋章が、獅子王の足元に閃いた。

ラーゼス :


 ────────GROWL!!!


 幾度目かの咆哮が、緻密に張り巡らされた領域を乱す。
 その吼え声には圧縮した音律が詰め込まれていた。
 雷を呼ぶまじない。
 陣を呼ぶまじない。
 己に巡る血の中より必要な力を汲みだすための韻律。
 そして灯されつづけた、後の先を得手とした片目の名。

ラーゼス :
 握る槍が掲げる蒼き雷に、乾いた血のような黒が混ざった。
 遠慮なく膂力のままに振るわれる槍とは裏腹に緻密に制御され、刃となしていたはずの雷が制御を失ったように形をゆがめだす。
 雷の塊が揺らぎ、弾け、黒い火花を散らした。
 まるで己のものではない力を無理矢理必要な形に閉じ込めつづけているように。

ラーゼス :
 事実己の中に流れつづける黒き龍の力は、千年以上の時を経ても腐ることはなかった。
 ゆえ、相反する二色の雷は常に王の中で荒れ狂いつづけているのだ。

 蒼と黒。獣と龍。地と天。
 その間を生きつづけてきたものが、巨人と全く同じように大地を踏み砕く。

ラーゼス :

「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 巨人の拳と荒れ狂う黒槍が、一切のずれもなく衝突した。
 本来なら釣り合うはずもない身の丈の差。
 本来ならあるはずの覆しがたい膂力の違いを、長躯の女、巨人から見れば豆粒でしかない人間のかたちをしたものが、たった一人で受け止める。

ラーゼス :
 互いのぶつかり合いで、地面に身体がめり込みだす。
 拮抗する力は“ヘカトンケイル”と同様に肉体任せのものでしかなかったが、
 緻密に編んだ雷出力の稠密と収束は、これまでの獣の女からはかけ離れて技巧に富んだものであった。

 そしてその証左のように──足もとに閃いた紋章が、その身体を持ち上げるように爆ぜた。
 爆風を起点に、地を這う獣が巨人の身体を押し返す。

ラーゼス :
「──────────ッ!」

 何者かの名前を高々と吼えながら。
 巨人の身体を押しのけた獣の槍が、勢いを失うことなくその目へ突き立てられた!

SYSTEM :

 猛りに嘶きが応えた。
 解き放たれる拳を迎え撃つが如く、己が内海に陣が敷かれる。
 刻のかなたから、黒い火花の底から、遠き名残が吠え立てていた。

 圧縮された戦への号砲。卓越した魔術師であり、もっとも智慧ある王の臣下。
 その名残を思わせる片目の綴った響きは、荒々しき拳圧の中でさえ響く。
 かつて嵐の中、戦士たちと共に戦った、歴史に残らぬ神話の閉幕。その時と同じように。

SYSTEM :
 制御を解き放ちながら調律する。
 荒ぶる一振りに、卓越した技巧という名の一振りが重なっているようにさえ錯覚する。
 相反の矛盾、双つの在り方。同じ暴威を堰き止める。

 いや、堰き止めるどころの話ではない。
 押し返し──────。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「───………!」

SYSTEM :
 ・・・・
 切り返す。

SYSTEM :
 伝説を従え、伝説に仕えた男たちが。

 弱きものたちの王たる青獅子の進軍を導いた。勢いを失わず、生み出される破壊を挫き。
 突き立てられた一撃が、片目を抉り潰す。 

SYSTEM :
 巨身の傷はすぐ塞がれる。目ほどの精密な機能には手間がかかるが、それとて戦いが終わるころには治る。
 治らねば死んでいるだけだ。

 …だが、解放されるはずだった暴力は行く先を失い、出鼻を挫かれ、内側で掻き消え…結果。
 …彼の足が、はじめて、致命的なほど後ろに退いた!

ラーゼス :
「………ッ、は……っ」

ラーゼス :
「……巨人の一撃。相手を違わせない、理性の鎖……」

ラーゼス :
「……見事な手綱取りだ、王よ」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「断じて誇るものではないわね。
 けれど…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「誇る資格を放り捨てた男への、
 その愚かな理性への報い方をご存じ?」

ラーゼス :
 ・・・・・・・・・
「余さず使いきることだ」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「…ええ。あなたと彼…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「そこで育つものも、見送っていくものも、好きなのね。
 地獄で待っていて。その時はお茶でもしてあげる」

ラーゼス :
「ああ。是非。互いに死の果てがあれば、そうしよう」

ラーゼス :
     ヘカトンケイル
「その時は、彼もともにだ」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「いつになるかしらね。でも、行くのはたやすいわ」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「きっと…血濡れの道は目立つもの」

ラーゼス :
「いいや……? 乾けば、そうでもなかろう」

SYSTEM :
 今日の先を、昨日歩んできた人間の言葉を。女はいっさい知らずとも、伴うひとかけらを察せないほど無知ではなかった。

 無邪気でもない。だから、怜悧に微笑んだ。
 領域にかかる圧、綻びを見逃さぬための因子の結びつきを、なおも変わらぬ戦いの場、啜ってきた臣下たちの命が咲く場のために強めて。

マスター・ハーヴェスター :
(余所見をする余裕があるか、流石だな)

マスター・ハーヴェスター :
 吹き荒れる嵐の中で巨人が蠢く。
 その嵐から一歩逃れるように、フットペダルを踏み込む。

マスター・ハーヴェスター :
(さて、どうしたもんかな)

マスター・ハーヴェスター :
(邪魔なのが三匹。
 デカブツはラーゼスに請け負わせるとして……)

マスター・ハーヴェスター :
(どいつもこいつも忠義たっぷりのナイト様気分だろうな。
 失うモノが何もないヤツにとって命ほど軽く捨てられるものはねェ)

マスター・ハーヴェスター :
 忠義とはそういうものだと、男は思う。
 一歩振れ幅を間違えば思考停止に陥る便利な言葉であり、真の意味でそれを貫ける人間など世界に一握りだ。
 
 彼らは庭の花で在り続けるだろう、それがそこにある限り。
 だがそれを、一切合切、余すことなく刈り取る。

マスター・ハーヴェスター :

     Flōs ūnus nōn facit hortum.
 ──なぜなら一輪の花は庭を造らないからだ。

マスター・ハーヴェスター :
「ドライヴは暖まっているか……なら」

マスター・ハーヴェスター :
  ギブリ
「──砂嵐を見せてやろう」

ガンドルフ :
 ガンドルフが身構えた。
 搭乗者の動きをダイレクトに反映し、その全身を砂が覆い始めた。
 砂は赤熱を帯びて、赤く赤く輝いていく。

 蒼い鬼が、紅く。

マスター・ハーヴェスター :
「リミット解除──フルドライブ」

ガンドルフ :
 ガンドルフがその手に光槍ライフルを構える。
 鋭く変形したものが命を奪うための形であるのは、この場にいる誰もが知っていた。
 それでもなお、完全に殺す為のモノでないのは──目の前にした宝を壊さないようにという、盗賊のような打算からだったのだろうか?

《システム・マスヴィジョン、ファントムリリース》

ガンドルフ :
 エンジェルハイロゥの持つ《マスヴィジョン》は、重ね重ねの幻影を伴うエフェクト。
 それをP.F.《G-ドルフ》に適用するのであれば──その機体そのものを、何度も何度も空間に投影していく荒業。

 それら全てがファントムと言えど、それら全てが現実に映し出されたものだ。

マスター・ハーヴェスター :
「コード……"イル=ディザストロ”!」

 コード入力と共にガンドルフ・ファントム達が一斉にその手の槍を振りかぶり、投擲。
 更に展開されたレフ・ビットがその無数の"槍"を際限なく反射し、ギルドの手勢を葬った際のものとは比べ物にもならない、乱反射の地獄を作り出す。

 一筋の光を無限に束ねれば、世界そのものをそれで包んでしまう。
 その様は正に蹂躙する者……マスター・ハーヴェスターという男は、先代も当代も、
 蝗害の使者として蔑まされたものだ。

ガンドルフ :
 実体のガンドルフが、最後の最後に大きく得物を振りかぶる。
 飽和状態になっている光の中に、それを叩き込めば……臨界となり、爆ぜる。
 全て計算されたシーケンスだ。
 そしてそれを使う相手が──ハーヴェスターの名にふさわしいものであるというのが、この上ない皮肉だろう。

SYSTEM :
 小さいものも調和によって巨きくなる。
 それが道理だ。気位も、誇りも、営みも、進化の歩幅も。
 凡そ彼らが霊長となったのは、その道理あってのこと。ローマの欲望を束ねる青き血と王庭もまた同じ。

SYSTEM :
 Dum aurora fulget, adulescentes, flores colligite.
 曙の光りがさしているうちに、花をつみとれ───などとは。
 よくも言ったもの。

.   オウゴン
 もはや曙の光など過ぎ去って久しくも。そんな理屈は、正気と平静で語る内容ではない。
 鋼の戦士が、伝説を作ったものの面影を超えて踏み込む。

SYSTEM :

 M U S V I S I O N
 質量を持った残像───光子変換による多重の残像。極めにかかったそのすべて。
 目に見える悉くを食らいつくす雲霞の如き蝗の群れと化す。 

SYSTEM :
 生態系のすべて、通り過ぎる過程で収穫し、虫一匹さえ残さない貪食。
 指揮棒を振り抜くものは鬼人…否。断じて否。
 それは地獄の味をこの上なく知るアバドンだ。 
 今日の営みを、力として無に帰すもの。この上なき意志の表れである。

 一体の幻からならば直線的な点の射撃に過ぎない。
 だがそれが十を超えたら。重ねたら、引き離したら。
 もはや疾走する光芒の値は数えるのも億劫なほどになり、一発一発の光条が視界を白光で埋め尽くす。

 それはもう、射撃とは呼んでいいかも怪しい。
 飽和し膨張し続ける因子は、内側をいまにも爆ぜる爆薬の如き臨界させ、亀裂を入れたその瞬間、容易く命を奪う処刑刀のようなものだからだ。

SYSTEM :

 守り人の成れの果て
 いかずちを纏った鳥/が嘶く。

 本来は戦闘要員ですらない女
 懐刀の残響で上書きされた者/が剣を構えた。

SYSTEM :

 まこと、助力もナシに正面から撃ち合えば相手にもなりはしない。
 文字通り、命のすべてを費やして一矢を報いることは叶おうとも。

 事此処に至って、得られる成果はそれ以上でもそれ以下でもありはしない。
 庭先で命を擲った戦士たち。枯れ落ちた草花こそがその証明だ。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
  Qui bene serit, bene metet
「よく種をまく者は、よく刈り取る…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

「───飢えたまま、地獄にお帰り」

SYSTEM :

 ただそれは。助力もナシに、という話だ。
 世界の主が、招かれざる客に眼を向ける。

 空より微笑み、地を拓く蒼き狂月。
 差し込む光が、覆い尽くす白い光に風穴を抉じ開ける。  

SYSTEM :
アルテミス
 月女神に魅入られた魔性のすべてが奮い立つ。

 今日まで変わらず表社会に溶け込み、生きてきた者たちのすべてが。
 おぞましいほど素早い自壊と再生を繰り返しながらも、一切怯むことなく…。
 ただ残り続けるひとかけらのために、許容量を遥か越える限界稼働を見せつける!

SYSTEM :
 …とどのつまり、遍く力とはレネゲイドを媒介とする現象だ。
 瞬きのうちに全てを焼く炎も、浚う嵐も、拒む守りも。
 超人の超人たる所以とは、レネゲイドという未知を己が無限の可能性とできることだ。

 オルクス
 領域の王にとって、
 それを説き伏せることなどとは易い話。

 可能性を曲げる、傾ける。そうした話ではない。テレサ・C・クリスティの領域で、レネゲイドは彼女に屈服する。

SYSTEM :
 生まれながらに与えられることを義務としたもの。捧げ尽くすことを権利とした女にとって。
 世の中とは覆うものだ。その在り方に意志なき全てが傅いて、空間を己の意識で掌握する。
..                キャンセル
 発生し得る事象さえも、結果として遮断しようと、世界が腕の内側を守護らんとする!

マスター・ハーヴェスター :
「ハ、悪いな」

マスター・ハーヴェスター :
「俺は楽観主義でね。
  Dum spīrō spērō.
 息をする間は希望を持つというのさ──!」

“七花胡” :
知己なきを憂うることなかれ
「 莫愁前路、無知己 」

“七花胡” :
天下誰人か、君を知らざらん
「 天下誰人、不識君 」

“七花胡” :
 唱う声は、すなわち領域を切り裂くための剣尖だ。
 何時如何なる御代も、圧制に従わぬ声がこそ時代を切り開いた。
 これはそういう反旗にして、先駆ける者を独りにはしないという、隣るものへの宣誓だ。

“七花胡” :
 構えられた天秤の柄が床に打ち鳴らされ、高い音が二度響く。
 天秤の先端が空中、今まさに無数の残光が打ち消されんとしているその先へ延ばされ────
 絡みつく蛇の眼光が音も無く嘶いた瞬間、世界を閉ざそうとする女王の腕が、不可視の力で留められる。

“七花胡” :
「…………ッ、」

“七花胡” :
 拮抗は易くない。
 総身を押し潰す絶対重力が如き領域の“圧”に堪えることができるのは、以てあと数秒……。
 なれど────それだけあれば剣尖は届くと、重ねた戦場に知っている。

“七花胡” :
「黄昏という意味なら、斜陽でも一緒でしょう……!
 ただしそれは、貴女の庭の終焉だ!」

SYSTEM :
 
 果たして宣言通り。
 数秒の猶予の間に持った希望が応えた。

 空は、十里のかなたまで、重苦しい黄塵が立ち込め。
 輝く太陽さえ、暗かろうともと。
 祝詞は放たれた矢/そうだった男の不敵を是とする祈詞であった。

SYSTEM :
 同じ領域を制するもの。
 戦場をチェス盤にたとえたとき、彼らは法を敷く。新たな理を編み、強いり、馴染ませる。

 打ち消す狂月の響きを、知恵ある蛇が囁くように惑わした。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
  Et in Arcadia ego
「楽園にも終わりはある、ね」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

「………易い希望だこと!」

SYSTEM :
 たかが数秒。しかし。
 一呼吸の合間を、死神の群れはいくつも享受した。
 G-ドルフの多重投影から放たれたエネルギーが、空間への綻びを持って拮抗状態となる。

 なれどもそこにいるのは、永久の黄昏の主。青き血の領域。
 二人がかりでさえ、尚もあなたの行く手を阻む意思に一切の衰えなき中………。

SYSTEM :

  てんびん
 その閉塞を傾けるため。
 ダメ押しにもう一本、矢が走る。 

SYSTEM :
 矢とは言った。実態は知っての通りだ。
 矢という形があると世界を“騙す”男の手練手管。
 だから齎す効果は矢とは限らない。

SYSTEM :
 それは黄燎吹き荒ぶ大地さえも駆け抜け、
 どこまでも道を拓く浩風のよう。

 ”血色の探求”が予め仕込んだように。
 もっとも射程距離に優れ、腰の軽い男からの、こうなることを見越したような不意打ち。

SYSTEM :
 チェス盤に世界と戦闘を見立てたとき。
 オルクスはルールを作り上げ、バロールはチェス盤そのものを破壊する。
 ならばソラリスの真髄とは、ルールが“そういうものだ”と囁いて騙し切ることだ。
 そのように世界を仕立てる。虚言だということにさえ気付かせない。生まれた綻びを不自然なまま自然に変える。

 それとて最初に放てば意味はない。
 だが、数秒の拮抗、大きな力と力の衝突する舞台が整ったときに放てば、どうだ。

“黄の希人”アーキル :
“どうだよ『ハーヴェスター』! これで先日の貸し借りはなしさ───”

“黄の希人”アーキル :
”───おらよ、やっちまえ………!”

SYSTEM :
 ───テレサのオルクス領域に、決定的な一噛みの“穴”を作る!

夏瑞珂 :
 奔る矢に、後追いの暴風が食らいかかる。穿たれた孔を押し広げ、女王の楽園へ火となって放たれた。

 花よ枯れよ、地よ焼けよ。行き詰まった城壁など砕いて、風は荒野の果てへ。
 何時までも、こんな場所に留まってなんざいられるか!

夏瑞珂 :
「『──この俺が、お前の願いを叶えてやる』」

 出会いの日にもらった言葉を、そのまま贈りかえす。気恥ずかしいから、溝鼠と呼んで毛嫌いしたおとこに加担するオマケ付き!

マスター・ハーヴェスター :
「ハッ──……愉しいバカしか居ねぇのか、ここは」

マスター・ハーヴェスター :
 腹の探り合いをして、酒を吞み交わした男が俺に対して"激励"とはな。
 打算ありきの行動を進めてきた男らしくもない──だが、その"理解"と"薫陶"こそこの男の真の在り方だと直感した。
 無法者らしくもないその手口に、冷えた体に熱を灯した酒の味を思い起こさせる。

マスター・ハーヴェスター :
 初っ端から生意気言ってたガキが意趣返しをしてきやがる。
 今思えば結局そいつを叶えてやることは出来なかった、魔狼の中から双頭の鷲の片割れだけ出てきたもんだからな。
 契約不履行ではあるが──ま、コイツはもう気にするようなタマでもないだろう。
     ・・・・
 ご丁寧に嫌がらせ付きだ。

 だが悪くない。
 あと一押し、ダメ押しを実現させるには"俺達"と"貴人の庭"ではない、外の力が必要だ。
 貸し借り無しとは高く付いたもんだが……ま、いい。
 それはそれ、これはこれ……力は認めているからこそ、それをアテにした計算をする。

マスター・ハーヴェスター :
 砂塵の嵐は風に呼び寄せられる化外の力。
 あらゆるものを枯れさせ、砂の中に呑み込む。
Dust to dust
 塵は塵へ──まさにそれを体現するような、光の嵐。
 その砂塵の中を這う蛇が絡み付き、すり抜けるような"矢は嵐の中にいることを忘れさせるもの。
 そして、その砂塵嵐を晴らすのは──いつだって風だと決まっている。

「狙いは付いた──」

マスター・ハーヴェスター :
「荒蕪と化せッ!
 アッドコード"ヴェント=メテオ"!」

 ──ターゲット・インサイト!

ガンドルフ :

 無数のガンドルフ・ファントムの中から唯一の実体を持つ"ラ・フォルトゥーナ"をついに撃ち放った。
 砂塵嵐、不可視の力、謀りの矢、そして嵐──テンペスタ。
 それらの条件がそろって、この押し合いに勝利できる。

 領域制限内とは思えぬそのパワーを──その一点に打ち込むために、投げ降ろした!

SYSTEM :
 ───永遠に沈まぬ月の光に。
 罅が入る。
 
 如何なる現象とてレネゲイドの齎す結果。
 その因子が意思を糧とするとて、これのみで戦いが決まるなら苦労はしない。

 領域の綻びは似て非なるその道を築いてきた男が、百パーセントでない再生直後の機体の“足し”には双つの外より流るる翠風が。
  せかいをどかした
 対等の条件となった時は、マスター/“収穫者”の見せ所だ。

SYSTEM :
 荒廃の風を呼ぶ。
 すべての草木を啄み、薙ぎ払い、
 遍く全てを刈り取る。 

SYSTEM :
 血を吸い、捧げた大樹の枝葉一つ一つ。枯らすと知りながら切り落とす。
 道さえ拓けば斯様なもの。血と硝煙の中、駆け抜けながらも放つトドメの号砲。投げ下ろされた光槍ライフルの一撃は、直撃すれば一撃でその命を臨終させたに違いない。

SYSTEM :
 なにせ、テレサ・C・クリスティは戦士でない。
 類稀なるオルクス・シンドローム能力を持ち、世界を作る権利を持つ数少ない天賦の才は、しかし本人自身が無敵の鎧をまとっていない。

 なにしろ戦場に出なかったのだ。
 彼女自身は無敵の矛と盾を持つに過ぎない。故にそれは余波でさえ、世界が如何に足引きをしようとも、無事を約束することはない。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

「奪い、踏み躙るのね。そこまでして…。
 いいわ、ひとつ分くれてあげる」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「“ハーヴェスター”───」

SYSTEM :

 先行くもののために、
 地獄の支度をしておきなさいな、と。

 青の貴人が言った。そしてそれは。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
     ・・・・
「──────ウバルド!」

SYSTEM :
 そして、それは。
 彼女が血を捧げ、血を吸い上げたもの。
 臣下と呼ぶべき大きな枝葉のひとつを、おのれの手でへし折るような行いをする前触れでもあった。

SYSTEM :
 直撃で即死、あるいは致命傷。そのはずだろうに、彼女には致命傷と呼べる傷はない。

 その身を挺して、雷鳥が庇ったから?
 そうでもない。それで済むほど乗った執念は軽くない。答えはこうだ。

SYSTEM :

 本来彼女が受けるべき手傷を、

 彼と呼ぶ獣が勅命に応えて肩代わりした。
 持てる命を捧げ/返したのだ。 

SYSTEM :
 漲らせていた力が、爆ぜた光の向こうで瞬く間に萎んでいく。
 それは彼だけではない。剣を携え、顔を見せぬ騎士自身からも。
 数えていちと半分。未だ立つ対価は、テレサ自身にレネゲイドごと命を還元することだった。

SYSTEM :
 …そのことを、彼は悔いも怒りもしなかった。喜びもせず、ただその鳴き声には嘆きがあった。

 不条理を嘆く鳴き声。
 報われぬものを悼む声。
 欲望で鎬を削るものらしからぬ声。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

「───お眠り、ウバルド。
 遠き海向こうの守り人」

SYSTEM :
 悔恨と自愛と諸々を零して。
 その血を吸っておぞましくも美しく咲く青い花が。狙いの向こう側からやってくる。

 塵は塵に。あるべきものはあるべき場所に。
 さだめの番人が混沌を引っ提げて、鬼の島からやってきた。だとしても。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

「鬼の先達の後ろについていたときは、
 一度もそんな暴れ馬の話は聞かなかったのに。まあ、」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

「いいわ。続けましょう? 
 また、手向けの花が必要だもの。こっちにはね」

マスター・ハーヴェスター :
  Aequat omnes cinis.
(灰になれば人に違いなし、か──悪いが乗り越えさせてもらった。
 俺は是が非でも貴様らを越えて、貴様らの慕うモノを手にするのさ……)

マスター・ハーヴェスター :
「ああ、続けよう」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「ええ。そうですとも。
 citius, altius, fortius.
 人より早く、人より強くと嘯くものですから」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「その驕りが高くつくと…教えてあげる」

マスター・ハーヴェスター :

       Disce libens.
「くっくっ……楽しく学ばさせてもらうとするか」

SYSTEM :
 社交界で目の遠く、誰とも知らぬ男の手を取っていた時より華やかに笑う女のなかには悔いがあり、愛があった。あなたに向いたものではない。

 あなたに向いたものは、踏み躙り、食い荒らした男に対する責務の怒り。
 男の他意が己であることを知った瞬間に混ざった余分は、おそらく、わかっていようが、決して喜ばしい感情ではない。

SYSTEM :
 …だがわかっていてやったのだろうとも。

 ただ靡く女に用のある易さなど、
 生まれてこのかた、あなたになかったはずだ。

マスター・ハーヴェスター :
 掴めずにいたものに手を伸ばす。
 ただ其処にあるものに執着するのではない、己が高く飛ばねば手に入らぬものに夢を見る。
 それが現状を望む欲望ではなく、進化を望んだからこその欲望だ。

マスター・ハーヴェスター :
 俺を憎み、俺を恨み、俺を悪しきと認め、俺に殺意すら抱く。
 それで構わない、本来育むべき愛など俺の中には無い。

マスター・ハーヴェスター :
 ・・・・・
 それでもだ。
          ・・・・・・・・・
 オーヴァードはその一言を口にするために、人から変節した生き物だと信じている。

マスター・ハーヴェスター :
 ……よく言うだろう?
Amor caecus.
 恋は盲目だと。

マスター・ハーヴェスター :
 それがなんだろうと掴み取る。
 何に忠を尽くすか?

 不条理に呑まれた者達と、無垢なる巨人が彼女に忠を尽くすのであれば。
 俺は彼女へ抱いた身勝手なアイと、それを向ける彼女への忠を尽くす。
 
 嫌われても構わない。
 手にした瞬間、その花弁が散っても構わない。
 塵芥と消え去るくらいならば、その手で摘み取る。

マスター・ハーヴェスター :

 ……そうだ、俺は変わった。
 変わってしまった。
 マシーン・チルドレンだったコード・アレスも、
 世界を知らぬ蛙だった"牙獣"アレスというクソガキも、
 何もかも台無しだ、この女に出会ってから!

 その愛はきっと、己の変節になってしまった事への場違いな憎しみでもあったのかもしれない。
 誰にも口に出来なかったその苦しみを、言葉で表すのであれば……、

マスター・ハーヴェスター :

    Odi et amo.
 われは憎み、そして愛するという。

マスター・ハーヴェスター :
「驕りでも構わん──俺は……"もう一度"という驕りの為に、ここに来た。
 頂いていくさ……"ハーヴェスター"らしく、この手でな」

SYSTEM :
 ───おまえのものではあるまいに、と。
 割れた鏡越しに、鬼の瞳が言う。

 赤い瞳。置き去った過去のまぼろしだ。
 咎めるための物言いではなかった。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「フ、フ」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「アハハ! それが………。
 “マスター”の言うことかしら。なら、続きは彼方でおやりなさい───」

SYSTEM :
 力ですべてを奪い上り詰めた鬼の先達は。

 あなたの愚かさを知れば歓迎しただろう。

SYSTEM :
 知らずにやったならばただの愚か者だ。
 ・・・・・・・・・・
 知っていてやり通したならば、
    こえ
 それが超越るものだと───。

“七花胡” :
「(やれやれ……臆面も無く熱烈だこと。
  重みがどうとか、そりゃあ“欲しい”としか言えませんよねえ)」

“七花胡” :
 内心で苦笑する。だって、欲しいんだもの。欲しいものはこの手に落ちるまで奪い取る。よく馴染む衝動だ。
 量ったことなどないのも頷ける。たとえ量る機会があったとて……きっと彼は、その天秤までをも、“手を取る”ための踏み台として使っただろう。
 高嶺の花だ。これ以上なく。

“七花胡” :
 自分と彼、最初から私情を端とする契約だ。今更そこに惚れた腫れたが乗ったところで、やるべきことは変わらない。
 彼女を王庭の君から、ただの女にするために。
 その楽園を奪い尽くす。

“七花胡” :
 ────地に衝き立てた天秤。著しく片側に傾いたまま凍るようだったそれが、俄かに身動ぎを零した。
 傾きが示すのは、賽の数。戦争の行く末を決める可能性の数は、未だ大部分を剪定され、王庭の君の繊手に掌握されたままだ。
 それが……ようやく変わり始める。

“七花胡” :
 天へと近い皿の上、虚ろのみが鎮座していたフラスコの中に、瞬く間に朱煙が灯った。
 朱色が濃くなるにつれて、底を衝いていた皿が、ゆっくりと確かに、不可視の掌によって押し上げられる。

“七花胡” :
      カミ
「(賽は全て君の掌上、
  奪うも与えるも、その御意こそが思う儘であるというのなら……
     くに
  貴女の領土を侵略する。
  久遠を美しく在れと寿がれた氷結庭園に、
  “不変などない”という、自明の理で風穴を穿つ!)」

“七花胡” :
 均衡。次いで、確かな偏重。
 指先で引っ繰り返したフラスコから、朱煙が零れ落ちる。
 青に染まる不変の庭を、新たな色で塗り替えるように。
 彼岸と此岸を明確に区切る。

“七花胡” :
 広がるのは、何人をも逃れ得ぬ芳香。天上かと見紛う薫風は繁栄のあかし。
 見よ、見よ、天上楽土の極彩色を。楽園の扉は開かれた。
 閉ざされたはずの玉座の間に、あり得ざる花風が流転の気配を呼び込む。

 如何なる反撃の芽をも枯らそうとする荒土────
 蘇らせることをこそ、庭師の本懐と呼ばずして何としよう?

“七花胡” :
 ālea iacta est
「賽は投げられた、などと、何人たりとも嘆かせはしない!
 前進は、後悔と共に語られるべき言葉ではないのだから……!」

“七花胡” :
 築き上げるのは、この夜限りの楽園、即席の楽土。
 枯れ落ちるまで咲き誇る花園であり、ルビコンを越えた我らの橋頭保。
 青薔薇の理は届かずして、此の裡に在る限りは、神の手さえも徴収は叶わない。
 圧制では、侵略者の膝を付かせることは出来ぬと知るがいい。

“七花胡” :
 戦友達の可能性と、進軍の先に勝利を以て綴じられるべき未来とを。
Conquista
 侵略という傲慢を掲げ、“楽園の主”が全霊にて保障しよう……!

ラーゼス :
 とりどりの色が、戦場を底から照らし上げる。
 青き貴人の庭を、七色に好き放題にあるいはあえてそのように咲かせた自由の庭が侵略した。
 進む可能性を言祝ぐような庭園は、作り出した主の性格を表すよう。
 この館に敷かれた理へ真っ向から否を叩きつける意志が、この身にも作用して花開く。

ラーゼス :
「───貴公らしいな」
 身を巡る力を、この光景を、その両方を指して、称賛を呟く。
 そして彼に望まれたように槍を構え直す。ここからだ。

マスター・ハーヴェスター :

 鬼に似合わぬその色を、今は只受け入れる。
 受け入れる理由なんぞ一つ限り。

「ああ、らしいやりかただ。
         Amīcitia sāl vītae.
 ここはひとつ、友情とは人生の塩であると言っておこうか……」

夏瑞珂 :
 ──そして、楽園が華開く。

 芽吹け栄えよと、命を蒔く朱い薫風。豊穣の息吹で荒れた地平を覆うことを蹂躙と言うのなら、わたしは敢えて荒野を押し広げよう。

夏瑞珂 :
 憎悪の火が大地を焼き払っても、
 自由の風が花を吹き散らしても、

「『よいうたですね』」

 それで終わりにしないと、保障してくれるんでしょう?

SYSTEM :
 自分の好きな花と樹で埋め尽くした、自分のためだけの庭。
 求めるだけ求め、奪うだけ奪い、満ちたそばからまた乾く。
 もはや穴の埋まることない餓え。それが微かな時間にすれ違う。

 もちろん…すれ違う、だ。同じではない。
 だが。

SYSTEM :
 だが。理解とは。
 こと対象への相乗を是とするオーヴァードには必須の業。
 彼のそれは、面を捉え、全体の形態で修飾するもの。広がる腕が描いた世界は大師のものにも似通うが…。その本質は何ら変わらぬ。

 この絶景は、こと”楽土”という言葉に集約される。咲き誇った結果の先をなおも廻ると夢想させるかたち。

SYSTEM :

 如何なる蛇の目とて己がものと乗りこなしてきた男の手腕が、
 永遠の庭、沈まぬ月と冬の無明に春を齎す。
 流転する刻の流れ。意識の停滞を許せばその瞬間、二度と共感し得ないサイクルは、確かに明日にしか訪れない。

 不老の命。永遠に時のよすがを置き去りにするもの。
 永遠に別れを告げてきた今日の向こう側をなおも望むものが、その因果を以て…。
        Conquista
 未知なる大陸への侵略を宣言する。

SYSTEM :
 神は賽を振らぬ。悪魔は賽には頼らぬ。賽を振るのはいつも人だ。

 賽を振る権利を捨てたものは、目を細め。それでも、面持ちを崩さなかった。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「ふうん? 貴方…。
    ジャポーネ
 意外と東の島国が好きなのね」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「こういうのがローマに根付いていたなら。

 ──────ええ、まあ。過ぎた話よね。
 昨日は変わらないのだから、今日も変わらないわ」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「だから明日も変わらない。
 誰もが結果を待てる強いコではないもの。…遠慮なく閉ざして差し上げるわ、その春風」

“七花胡” :
 薫風が何れにも届き、橋頭保が成されたことを確かめ、肯く。
 己が扉を開くだけでは意味がない。
 豊穣の風を受けた彼らが、それぞれの受け止め方でそれを取り入れ、己が足場とすることで、楽土は真の意味で完成する……。

 楽園とは其処に棲まうものありきだ。
 一輪きりの花を庭とは呼ばず、ゆえに楽土とは、相関する干渉/受容でしか成立し得ない。

“七花胡” :
「御覧の通り、ルーツは亜細亜圏でしてね。
 生来、空っ風よりも海風の方が馴染みが深いのですよ」

“七花胡” :
「王庭を手ずから切り盛りなさる貴女が、余所の庭の『たられば』を考えなさるとは……随分と買って頂けているらしい。
 ええ、その通り、過ぎた話です。この国に生まれ、根付き育っていたのなら、自分はきっと『庭師』を名乗れてはいない」

“七花胡” :
「考えたって詮無い話です。だから今日、我々が貴女の庭を侵略することだって変わらない。
 昨日までが変わらないから、その分明日をよりよくするために、今日に死力を尽くすのです」

“七花胡” :
「待てが効かない聞かん坊も、だめの穴を突く抜け目なしも、自分は慣れっこですよ?
 明日をいやがる駄々っ子だって、もちろんです」

“七花胡” :
「いくらだって閉ざせばよろしい。自分はその度に、あの手この手で再び、春を蘇らせるとしましょう」

“七花胡” :
「眩しい月影にて、庭をめくるめく照らす王庭の君。
 冬は終わり、季節は巡るもの。
 夜は明け、そして朝日に目を細める時間です」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「そうね。まったく詮無い話。
 その愚かさだって聞き慣れたわ」

SYSTEM :
 待ての効かないものは目の前に、だめの穴をついていた愚か者は過去に。
 明日を嫌がる駄々っ子揃い。生まれ育った場所がソレだった。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「だから春には咲かないの。私はね」 

SYSTEM :
 ──────永遠ならざる秩序を、
 永遠ならざる命の君が詠っていた。

 諦観にも悲観にも程遠い。
 その手の燻る情はどこかに置いていった。

SYSTEM :
 だが、呼び込んだ春を消せはしない。

 どうあっても足を留められはしないのだ。
 あなたの知る限り、オーヴァードとは、確実に。

“七花胡” :
「御要望とあらば何度でも聞かせて差し上げますよ?
 自分、時間だけは沢山あるもので」

“七花胡” :
「……左様で。ならば、黎明に膝を屈するがよろしい。
 ああ、黄泉路を急ぐ必要はございませんよ?
 今は一層、長ぁい順番待ちがあることでしょうからねえ……」

夏瑞珂 :
 手のひらに風を呼ぶと、風は見る間に火に喰られた。
 かぜ   ほのお
 自由を喰らう憎悪。激情の灯火を、手で握りつぶす。

夏瑞珂 :
 指の隙間から炎の揺らめきを漏らす拳を、額に掲げる。祈りにも似た挙措。 

 ──敵を殺せ。わたしを虐げるものを許すな。

 火のついた感情が、過去と現在を結びつける。憎悪から解き放たれるために、まずは殺せと。

夏瑞珂 :
 それを──

 拳を包む両の手が、そっと押し留めた。
 軍用の手袋を嵌めた、大人の手。

「『嵐に負けるつもりはない』」

 リフレイン以外の声が、わたしの外側で響いた。

夏瑞珂 :
 手袋の感触が遠ざかり、自由になった手を開く。風が再び手のひらに集い、重なり、束ねられ──ひとつの形を成した。

 その形も、その姿も。
 ひたすら欲望を解き放つことにのみ特化している。

夏瑞珂 :
 ただ撃ち殺す為。
 欲望を叶えるために、風が銃身を描いた。

 構造なんてはなから理解していない、わたしのイメージのみで象られた長銃。
 誰の物とも似つかない造形は、嵐を征する彼らと同じにはなれないわたしの形だ。

夏瑞珂 :
「『ビリー!』」

 だとしても──わたし、ずっと彼らを見てきた。彼らの腕の中で育ち、彼らの背を仰いできた。

 非ざる引き金に指をかける。ライフルマンの誓いは私になくとも。あるいは彼の裡からも、離れてしまったとしても。

夏瑞珂 :
 一点に圧縮された風の弾丸が、銃口から解き放たれた。屍の玉座に掛ける"青の貴人"めがけて、ソニックブームを引き起こしながら──極彩色の天香を巻き添えに。

夏瑞珂 :
 着弾と同時に、ソレは燃えあがる。置き去りにしたはずの激情に追いつかれて、爆ぜるように火を放つだろう。
 際限知らず、限界知らずに膨れ続ける暴走欲求。たとえ憎悪に焦げついても、原初のカタチはわたしの力を極限まで引きずり出す──!

SYSTEM :
.ソニックブレス
 轟咆哮より小さく、しかし鋭く。
 一点に圧縮された風の弾丸。どこまでも、海向こうにさえも届き、なぎ倒す嵐のかたち。

 かつてその地で恐れられ、崇められ、友とされたマスターキー。
          GUN
 その暴力の名を───自由と。アメリカ国民が嘯いてきた。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「…ニルデ!」

SYSTEM :
 生まれた庭の綻びは彼女の並外れた領域制御の足を引き、対抗という形で効果を落としているが。
 それは彼女が力を分け与えたものの弱体化には繋がらない。
 同じ領域を土台とする形を“七花胡”が与えた、という事だ。

 故に、はじめの戦闘で鉾を交えた懐刀。その模造品。テレサから彼女の名残の因子を与えられた“予備”が。
 どこまでも精巧な昨日の所作で剣を構えた。

『貴人の庭』精鋭エージェント :
「!」 

SYSTEM :
 迸る青き雷霆、それが嵐を跳ね除ける防護壁のかたちをとり、歓びとともに暴ぜ走る炎を迎え撃つ。
 
 嵐一禍…その到来を、留まり続けるものが、記された予測通りの動作で。
 かつて嵐を迎え撃ったものがいたが、彼女はその無機質さとは似て非なる。彼女は明日を約束しなかった。その主もだ。

SYSTEM :

 着弾、コンマ数秒前。
 …射撃の瞬間に遡る。

 いないはずのものの名を呼んだのは、ただの宣誓だったのか。”それ”がくるとでも確信していたのか。

SYSTEM :

 持たせていた通信機から。
 電子音声交じりの呆れ声。

“グレイ・スコーピオ” :
〈───フン。正面からノコノコと…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈…そンな戦い方は誰も教えてなかったと思うがな…〉 

SYSTEM :
 …YMF-35A。
     Blast gale
 その名を爆ぜ狂う風。

SYSTEM :
 かつて死せる自由の国を襲った、新たな地平を拓く無法者たちから、嵐を征する者は力を得た。
 その力の一端こそがPSY FRAME…。

SYSTEM :
 機械化義体技術の粋を凝らした嘗ての最新鋭機。
 オーパーツを動力に組み込み、支部ひとつを精鋭もろとも壊滅させた鋼の暴君の如きものとはいかずとも。
                                 .センチネル
 蓄積された戦闘技術が、かつての理念を風化させながらも、彼らに新たな守衛の剣を与えた。
 やがてその力は、もはや守る国さえない渡り烏にさえも広がって。理念と共に二転三転していった。

SYSTEM :
 火力と機動力の二点に設計段階から振り切ったG-ドルフのようなワンオフの、強者が強者として作り上げるべき特機構想とは異なる。

 そもそも次世代機の試作モデルを基としたその機体は、
 暗部で運用される機械化兵および戦力規格として逸脱しがちな超人兵士とのハイローミックスを前提にしていた。
 いわば、量産試作機だ。性能の総合値では及ぶべくもないが、その拡張性、汎用性においては勝るとも劣らない。

SYSTEM :
 …そして。
 それを己の手足として久しい男は。
 
 戦闘経験、という点に限って、黎明期のまさにその頃から戦場に立ち続けた古参兵であった。

SYSTEM :
 卓越した近距離の機動戦ではかつて若い才能が追い越し、
ソルジャー
 兵士として狙撃も機動射撃もこなす器用さにおいても、寄る年波には勝てない。
 因子管制の祖、同じ老兵でありながらその点においては負傷の瞬間まで(あるいはそのあとすら)衰えなかった男が同じ土俵に後追いで立ったとしてさえ、適うことはないだろう。

 男は枯れた技術しか持ち得ない。
 しかしだ。

“グレイ・スコーピオ” :

    Target in Sight
〈──────照準よし〉

SYSTEM :

  ノイマン                      モルフェウス
 精密動作性と、その技巧に応えるセルフ・オーダーメイドの武装精製。
 オーヴァードとして以前の問題で、視力の衰えと引き換えに“仕分け”る勘の良さで補われた鷹の瞳。
            エ ー ス キ ラ ー
 もともとの彼の役割は、後ろから先んずる狙撃手。
 甘ったれの上官、または、そいつが育んだ縁の代わりに、目立つ敵を殺す始末役だった。

“グレイ・スコーピオ” :
〈…ハ。手前なんざな───〉 

“グレイ・スコーピオ” :
〈一発あれば十分だ………!〉 

SYSTEM :

 ──────炎の後から出て先んずる。

SYSTEM :

 何の変哲もなく、使い古され。
                  レールキャノン
 男が自身のレネゲイド能力で手掛けた電磁砲。領域の外側から、最初に生まれた綻びより、軌道が通れば簡単に人を殺せる、正々堂々もへったくれもない“人を殺す”射撃技術。

SYSTEM :
 超人相手に幾度となく続けた射撃。

 だからとて、そこにいるのは規格外の領域の王だ。彼女が力を与えたものだ。
 それを前にして、型落ちの一発ではいくらなんでも砕けはしない。一発では、守りを崩し、ひるむが関の山。

SYSTEM :

 ………しかしその一発だけで十分だ。

 コンマ数秒の遅れで炎が爆ぜた。
 迎え撃つ姿勢、その万全を崩されて抑え込めるようなら、彼女を相手取った人間は誰も苦労などしていない。

『貴人の庭』精鋭エージェント :
「──────、」

SYSTEM :

 女王を守る一振りが、バラバラに引き裂かれた。聖夜のなごり。白銀の鎧は月夜に砕け散ったが、素敵さではあの日に及ぶべくもない。

 中に何がいたのかさえ、もう定かでないほど、きれいに塵芥となった精鋭エージェントの成れの果て。
 砂煙を、若き女王が悼むように瞑目した。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「…戦う手段がそれしかないなら、
 戦うことなんてなかったのよ、ニルデ」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「ごめんね、貴女を殺したのは私………」

SYSTEM :
 その呟きが誰かに届くことはない。
 小さな詫びの言葉は、遠慮なく燃え盛る炎と、主の危機を察知して、黄金の巨人からすぐさま身を翻した魔獣の嘶きでかき消えた。

“グレイ・スコーピオ” :
            オーダー
〈──────塵掃除ついでの追加指令だったか?
 任務完了だ。あとは手前でやれ〉

夏瑞珂 :
 此方と彼方から、同時に着弾する合衆国の暴風。キレイに砕け散る女王さまの剣は、ペンはもちろん弾丸よりも強くはなかったらしい。

 ブチ殺し確定
「『Exterminate───!』」

 指を鳴らして跳ねあがる。当たった的は狙いとは違ったけれど、タイミングはカウントダウンの花火みたいにカンペキ! わたしはソレが嬉しくって声のないまま狂騒する。

夏瑞珂 :
「『ハ、ハ、ハ!』、……?」

夏瑞珂 :
「『そんなー』」

 もうお開きなんてつまらない、と口を尖らせる。
 あっちはあっちでドンパチやってるのだと、事前に聞いた気がする……しないでもない……説明をあたまで転がした。

夏瑞珂 :
「『暗くなる前に戻っていらっしゃい』」

 ぶち抜かれた壁に手を振って、くるりとターン。護り手のいなくなった女王さまに向き直る。

夏瑞珂 :
        ・・
「『もちろん言葉の意味は互いに分かるな?』」

 あっちが片付くまでに終わらせてあげると、微笑は挑発的に。

“グレイ・スコーピオ” :
〈そんなもこんなもあるか。
 面倒がって後片付けを雇い主に押し付けンなよ〉

夏瑞珂 :
「『だめ?』」

“グレイ・スコーピオ” :
〈そうだ。更に言葉の意味を投げるな〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈御手々繋いで欲しけりゃ、暗くなってからそのへん頼め。
 ──────よし。通信終了、オーバー〉

夏瑞珂 :
「『堂々たるノーマナー』……」

 軽々な声を恨みがましく使う。

SYSTEM :
 続きは帰ってこなかった。
 彼は戦場では笑わない人なのである。

SYSTEM :
 ………特に他人といるときは。

夏瑞珂 :
「『あ~あ~も~』」

 さいきん覚えた、しかたのないものに向ける声だった。オーバー。

SYSTEM :
 吹き荒れる高揚感。
 留めるものはいなくとも、嵐と戦っていた者の名残の風は、炎を酔い痴れるように煽り立てた。

 または、それがわかっているから返答も最低限だったのかもしれないが。

SYSTEM :
 ………だからとて。女王の庭に楽土が抗じて生まれた綻びは、未だ破綻を生んではいない。

 暴れ狂う命は未だ健在だった。
 ローマ、いや、青き血の庭先にて最強無比の“ヘカトンケイル”。
 その漲るばかりの生命力に衰える兆しはない。そればかりか、彼だけならばまだしも。

SYSTEM :
 与えた傷を逆回しにするがごとく。
 まだ失われずに留まった亡者たちが、庭に残る生命の名残を…。
 テレサ 
 大樹より分け与えられた命を糧に、奮い立つ。

SYSTEM :
 ローマにおいて、その影響を二分していたほうの片割れ。

 同じオルクス同士。ローマの水面下の争いが薄氷を壊すことを徹底して阻止していたのは、ひとえに“解放者”の女神と、その倍以上は彼女の貢献がある。
 なお
 再生す術。巻き戻す術。特に、領域の権能をこの場に一転集中しようものなら、もうその手において右に出るものはいなかった。

SYSTEM :
 積みあがってきた血の礎。
 屍と涙の上に築かれた未来を否と断ずるものの、そこに続くと確信さえもある今日。

 彼女は知っているから冬を生き続ける。秋の残り香、黄金の遺産といっしょに。
 敗れるわけにゆかぬ理由のため。涼やかながらに女は乾坤であった。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「…それにしたって不届き者の多いこと。
 千客万来ね。いつぶりかしら」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「問題ないわ、まとめて───」 

SYSTEM :
 ………その女の領域に。

 一瞬、言葉と共にほころびが出来る。

SYSTEM :
 …画布の縞模様の美しさと儚さを、興味と好奇をくすぐる程度に唄った女のことを一つ語る。
 あなた
 七花胡の知る限り、わずかな時間で知る限り、その女はたいへんに趣味のよろしい人間だ。

SYSTEM :

 たかが露払いなど対価がなければしない。
     ・・
 つまり、ここにいないはずはない。
 だが、見かけもしなかったのならば答えは一つ…。

SYSTEM :



 もう来て、瞬きの時間で飽きた。

SYSTEM :

 そして刹那のうちに、あるいは、相対するというそれ相応の対価を払って。
 庭の要へ、崩落の布石を仕込んだ………。

SYSTEM :
 乾坤の一瞬で藪がつつかれる。
 連鎖して、毒蛇が鎌首をもたげる。

 因子の内側が裏返って、
 女に正常に作用したまま崩壊する毒牙を剥いた。

SYSTEM :
 最初の庭、オルクスの領域にいやに都合のいい“綻び”があったのと同じだ。

 なぜなら陥穽とは、罠とは。
 ・・・
 最善手に仕掛けるもの。

SYSTEM :
 信頼などではない、ただ己の理解の上を人が出ないという傲岸さがなければそんな限定的な作用などさせない。

 …なぜそう語るのか?
 すべて。あてつけるように、楽土と王庭のはざま、あの花が咲いている。それが良い証だ。

SYSTEM :
 白い八重咲の花。
 血の祖、時の渡りびとを敬い嘲って、憎しみ歓んだもの。
 花のまぼろしが。

“帝釈天”謝暁蕾 :

 こちょうめずからあいすべしといえども
   古  調  雖  自  愛  
.   こんじんおおくはだんせず
   今  人  多  不  彈


SYSTEM :
 決して夢まぼろしでない、女の戯言を。
 まぼろしの花が、聞いて意味のあるもの相手にだけ残していた。

“七花胡” :
「(────再生の権能! 喪失を新しい皮膚で埋めるのではなく、
  欠落自体あたかも発生しなかったかのような、圧倒的な下賜の才……!)」

“七花胡” :
「(自分と異なるのは前提として……領域守護の賢者であられる師とも異なる方向性。
  明日を顧みず、流転を拒むことが、これほどまでに苛烈な、結界の源となるとは!)」

“七花胡” :
「(師よ、少年期の俺をわりあい好きにさせてくださったこと、心より感謝します。
  貴方に歯向かおうとした試行錯誤の日々が無ければ、この局面はとうに────)」

“七花胡” :
 ────白の八重咲。

 天上楽土にも氷結庭園にも寸差で交わらぬ場所に、我が物顔でいけしゃあしゃあと居座るその花の意を、知るものはこの世にそう多くはない。
 その意を「真意」として使うひとが、この盤面に自ら手出しを行うことは億に一つもあり得ず。
 であるからして……

“七花胡” :
「(あのアマ、来るだけ来て速攻飽きやがったな……!
  当人の姿がないのがいい証拠、それでいて約束を果たして『は』いるのが絶妙にむかつく……!
  どうせやることないんだからもう少し働いていけ!)」

“七花胡” :
 ……まあいい、まあいい。元より浮動票に紐を括ったのみ、重しになるなどと勘定に入れてはいない。
 完全無欠に思えた月冬の女王の逆回しに、今まさにこの瞬間、新たな綻びが生まれた。
 其方の方が重要だ。

“七花胡” :
しんりんひとしらず
「 深林人不知、とはよくも言ったもので……玉琴の如き悲鳴を聞き逃すとは、あれも惜しいことをする」

“七花胡” :
かげつをもって、じんじょうとなすなかれ
「    莫将花月、作尋常     」

“七花胡” :
「花と月の揃う場を自ら逃した粗忽者、貴女が今苦しむソレを仕込んだ犯人は、不本意ながら知己なもので。
 伝言があるなら、承りますよ?」

SYSTEM :

 オルクス・シンドロームの因子を散りばめ、その範囲を限定して形成された、まさに貴人の庭。
 ───そこに発生した目に見えぬ小さな綻びは、戦局に何ら影響を与えたようには見えない。

 もちろん、見えないだけだ。
 領域に生まれた綻びは瞬きのうちに、深く刻んだ傷ごと消えた。認識できるのは、常日頃から己の外側に輪郭を作るものくらい。
 その瞬きの間、最高位の領域の王の、呼吸も臓物も何もが断絶していた。

SYSTEM :
 もっとも高らかに咲き誇った花が刈り取られるべき一瞬にのみ作用し、裏返る毒手。

 しかも苦しめようという悪意を割くほどの興味がその“知人”にはない。
 そんな女が、興味を失せた相手に向けて仕掛けたならば追い詰めるような諧謔になるはずがない…。
                        ・・
 まともな相手に仕掛けたならば、咲き誇った瞬間に即死だ。
 オーヴァードにとって、それが致命的になるかは場合によるが、肉体的にはほぼ確実に命を蝕み切る。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「そう? 貴方、いいご趣味のお友達がいるようね」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「必要ないわ。再び戸を叩いたら、自分で伝えるもの。
 それとも貴方…ひとたび噛まれて不快になっても、名指しで宣うことがおありになって?」

SYSTEM :
 つまり女が涼し気に“おまえがそれを生きて伝えることはない”と流す平静は。
 弱冠十九歳にあるまじき精神力と執念じみた気力の賜物である。
    ・・
 だが、それではどうにもならないものもまた、ある。

SYSTEM :
 ………“青の貴人”にはひとつだけ。
 致命的欠陥があった。それは…。

“七花胡” :
「あれとそれなりに込み入った仲であるのは、まさしくご指摘の通り。全く以て誇れない、汗顔の至りといったところですが」

“七花胡” :
「それはそれは。厚情のつもりでしたのに、勿体ないことをなさる。
 浪費も貴人の嗜みと、そう仰りたいようだ」

“七花胡” :
「何時までも、使い潰せるものが残るといいですねえ?」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「ええ。よく覚えて旅立ちなさい。
 使い切るためにこの椅子に座ったの」

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
【-Round 2-】 

SYSTEM :
■セットアップ
 タイミング:セットアップのエフェクトを宣言出来ます。 

ラーゼス :
【無惨なる雷霆】:《フルパワーアタックLv3+1》+《雷神の降臨Lv3+1》
 備考︰R間の攻撃力+20+20(=40)。行動値を0にする。
 侵蝕値︰10

SYSTEM :
S1d2 2で「コーブス」を使用する (1D2) > 2

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
    ジュディツィオ・デラ・レギナ
■セットアップ:その罪を裁く
《エンブレム:コーブス》
・ラウンド中の指定した相手に「4d10」のダメージを与える。

SYSTEM :
1d4 (1D4) > 1

SYSTEM :
【Check!】
 対象が確定しました。

 効果対象:“帯来风暴” 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 ああ…そうそう。
 故もなく摘み取られた彼女の御代は…。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 返していただかないとね。

夏瑞珂 :
『その気はない』

夏瑞珂 :
『ご存じであろうに』

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 そうね。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 私が聞いてあげる理由がないのも、
 ご存じでしょうね。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
4d10  (4D10) > 30[8,8,9,5] > 30

system :
[ 夏瑞珂 ] HP : 14 → -16

夏瑞珂 :
"御手翳す開放者"
"昇華"
"復活"

system :
[ 夏瑞珂 ] HP : -16 → 14

夏瑞珂 :
Dannazione!
『畜生が!』

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 数える程度に聞いたわ。でも…。
 口にする人は、みな相手の“それ”こそ鼻で笑うのでしょう? 

夏瑞珂 :
(どうなんですか? と書かれたノートを窓に向ける)

SYSTEM :
 あなたのノートに、どこからか声が返ってくる…。▼ 

SYSTEM :
1d4 1:黄 2:グ 3:マ 3:血 (1D4) > 4

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 意味のない命乞いは、
 貴君、どうしてきた?

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 以上。ご清聴ありがとうございました。

夏瑞珂 :
(空の楽器でリピートする)

夏瑞珂 :
前世は交換手かもしれなかった。

SYSTEM :
 テレサは答えなかった…。▼

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 118 → 128

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
■手番処理
 “青の貴人”が行動を宣言します。 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
   アルマトゥラ・デラ・レギナ
■マイナー:その故を纏う
《黒曜の鎧L5+1》
・装甲値[23]の防具を作成する

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 プリヴィレヒオ・デラ・レギナ
■メイン:その銘を任ず
Major:《ナーブジャックL1》

 HIT:16dx+20
 ATK:Empty
Add'l:対象に一度メジャーアクションを行わせる
Target:“ヘカトンケイル” 

“ヘカトンケイル” :
 ──────グゥゥゥオオオオオオオオッ!!!! 

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

”ヘカトンケイル”:放棄(命中) 

SYSTEM :
【Check!】
 “ヘカトンケイル”がメジャーアクションを選択中です…。 

“ヘカトンケイル” :
        巨 岩 砕 き
■メイン:スパス・トゥ・ヴラーフォス
Major:《CRキュマイラL2+1》《銘なき刃Lv20》《大裁断L3+1》《吹き飛ばしL2+1》《グラップルL3+1》

 HIT:16dx7+5
 ATK:(x+6)d+73
Add'l:ダメージを与えるとラウンド中のガードを-[Lv*5]点
  .:ダメージを与えると相手をエンゲージから移動させる(Lv*2m)
Target:(選択中...)

SYSTEM :
【Check!】
 対象が確定しました。

 効果対象:単体→ラーゼス 

“ヘカトンケイル” :
(巨人が尽きぬ怒りと猛りを従えて、獅子の王に挑みかかった!)

“ヘカトンケイル” :
16dx7+5  (16DX7+5) > 10[1,1,2,3,4,4,4,6,6,7,7,7,9,9,10,10]+10[2,3,5,6,7,8,10]+10[2,3,10]+2[2]+5 > 37

SYSTEM :
S1d2 2で使う (1D2) > 1

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています... 

ラーゼス :
【獅子王の牙/風薙ぐ雷槍】:《カウンターLv1+1》+《コンセントレイト:ブラックドッグLv2+1》+《アームズリンクLv3+1》+《パワースイングLv3+1》
 備考:タイミング:メジャーアクションのエフェクトと組み合わせ可能。
   「対象:単体」の攻撃が行われた場合リアクションとして使用し、命中した側の攻撃が命中。
    未行動時のみ使用可能。【1S/Lv回】
 侵蝕値:11

夏瑞珂 :
『我らが盟主から』『ルイクゥ』『を持って参った』

夏瑞珂 :
『貴公のそれが、貴公にとって必要なことなら』『好きに決めたまえ!』

夏瑞珂 :
"援護の風"
"判定ダイス+6"

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 111 → 113

ラーゼス :
ありがとう、瑞珂! 礼は働きで返そう!

夏瑞珂 :
 

ラーゼス :
(6+3+4+6-1)dx7+8+7 (18DX7+15) > 10[1,2,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,8,8,8,9,10]+10[1,2,3,4,6,8]+3[3]+15 > 38

“七花胡” :
……お見事。流石ですね

夏瑞珂 :
『すげえよ』

“七花胡” :
支える必要はなかったようだ

“ヘカトンケイル” :
──────!!!

マスター・ハーヴェスター :
やる!

ラーゼス :
いつも助けられている分を返しているのだ。いま助けられてはな……!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

“隻獅子”:カウンター/成功! 

SYSTEM :
■リアクション・ダメージ計算
 エフェクト『カウンター』が成立しました。
 ダメージ計算に移行します。 

ラーゼス :
4d10+(40+12+11) (4D10+(40+12+11)) > 28[8,8,2,10]+(40+12+11) > 91

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
──────!

“ヘカトンケイル” :
グッ……ガアッ……

SYSTEM :
■ダメージ計算

 “ヘカトンケイル”→撃破! 

“ヘカトンケイル” :
(巨人は不徳を詫びるように膝をつき、倒れ、そのあと静かに息絶えた…。)

ラーゼス :
────その献身。その忠孝。見事であった。

ラーゼス :
だが、おれの、我らの勝ちだ。我が槍の内で猛る父の御霊と、ここで再会するがよい……。

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 128 → 139

SYSTEM :
 もっとも剛きローマの守り手は、庭の一部に還るまで間がある。
 その屍の瞳には、変わらぬ無念と憤怒が宿っていた…。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 ………。ありがとう。ウンガロ。
 よく戦ってくれました。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
■手番処理
 “マスター・ハーヴェスター”が行動を宣言します。 

マスター・ハーヴェスター :
……悪いが貴様らの命を、今だけ俺にくれ。待機を選択する。

ラーゼス :
……『番犬』は退かした。貴公の好きにせよ。

夏瑞珂 :
『いるわよ(裏声)』

“七花胡” :
(気が抜ける……)

マスター・ハーヴェスター :
ハッ!やってやるさ

“七花胡” :
そう遠慮を仰らないで。欲しいのは我らの命ではなく…… でしょう?

SYSTEM :
■メイン
『待機』が選択されました。
 行動値を[0]にし、次の手番処理に移行します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
■手番処理
 “七花胡”が行動を宣言します。 

“七花胡” :
【花殻を摘む】

メジャー
 戦乙女の導き
 狂戦士

対象:単体(“帯来风暴”)
射程:視界
侵蝕:7

バフ内訳:
 ダイス+9個、C値-1、攻撃力+5

“七花胡” :
派手に花道を開けて差し上げましょう 任せましたよ、“帯来风暴”!

夏瑞珂 :
『答える前に一ついいか?』

夏瑞珂 :
                   タマナシ
『スポンサーさん、今みたいに力ずくで』『不能』『を叩きのめすのが正しいやり方なんですか?』

夏瑞珂 :
『ハ、ハ、ハ!』

“七花胡” :
チョイスについてはともかく……

“七花胡” :
馬に蹴られて死ぬのなんて、徹頭徹尾“居る”のが悪いのですよ

夏瑞珂 :
『モノは言いようでございますね、そりゃ』

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 106 → 113

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
■手番処理
 “帯来风暴”が行動を宣言します。

夏瑞珂 :
『要求と提案はひとつだ』『ケツ四つに割る』

夏瑞珂 :
【 Outta My Head 】
マイナー:戦闘移動(後方に10M)
メジャー:《風鳴りの爪 LV2》+《コンセントレイト:ハヌマーン LV3》
対象:"青の貴人"

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。 

夏瑞珂 :
13dx6+12 (13DX6+12) > 10[1,2,4,5,6,6,6,7,7,8,8,9,9]+10[1,2,2,3,3,4,7,7,10]+10[2,5,9]+10[7]+10[6]+10[7]+2[2]+12 > 74

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています...  

夏瑞珂 :
『───くれぐれも死ぬ気で生き延びてね、』『阿婆擦れ』

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 ──────。クウィリーノ。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
   スクード・デラ・レギナ
■オート:その命を憂う
《領域の盾L2+1》
 ・指定した対象に自身をかばわせる。

『貴人の庭』エージェントA :
(かつての己の名前に応じるように、
 最後の魔獣が躍り出る!)

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

“青の貴人”:被カバーリング
エージェントA:領域の盾によるカバーリング→青の貴人 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

夏瑞珂 :
10d10+31 (10D10+31) > 51[2,6,1,9,3,6,7,8,2,7]+31 > 82

夏瑞珂 :
"1と2"
"風鳴りの爪"

GM :
どうぞ!

夏瑞珂 :
2D10 (2D10) > 12[5,7] > 12

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

『貴人の庭』エージェントA :
──────!!!!

SYSTEM :
■ダメージ計算

『貴人の庭』エージェントA→撃破! 

夏瑞珂 :
『以上。ご清聴ありがとうございました』

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
──────ご苦労様。クウィリーノ。
もう好きなだけ、遊びに行っていいわよ。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
■手番処理
『待機』状態のキャラクターを確認しました。
 “マスター・ハーヴェスター”が行動を宣言します。 

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 113 → 117

マスター・ハーヴェスター :
■エル・テゾーロ
マイナー:
 戦闘移動(エンゲージ[A]→[E]へ)

メジャー:
 《光の舞踏Lv1+1》+《小さな塵Lv1+1》+《C:コンセントレイトLv2+1》+《ペネトレイトLV1+1》

侵蝕率増加:
 9

命中:
 (6+3+9-1)dx6+22 ※前Rの“七花胡”からのバフ・勢力バフ込

対象:
 “青の貴人”テレサ・C・クリスティ

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。 

マスター・ハーヴェスター :
(6+3+9-1)dx6+22 <感覚:白兵> (17DX6+22) > 10[1,2,3,3,4,5,5,7,8,8,9,9,9,10,10,10,10]+10[2,4,5,6,7,7,8,8,8,10]+10[2,4,4,6,8,9,10]+10[6,7,7,9]+10[4,7,8,8]+5[2,5,5]+22 > 77

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています… 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 …そう。皆、よく生き抜いたわ。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
..主よ、どこに行かれるのですか
 Q u o v a d i s d o m i n e ?

 ………意味のない自問自答ね。

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

“青の貴人”:リアクション不可 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

マスター・ハーヴェスター :
(7+1)d10+21 <ダメージ:装甲値無視> (8D10+21) > 36[4,6,8,1,2,1,9,5]+21 > 57

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 …そ。
 みんな…間に合わないのね。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 ………悪い王様は滅ぼされる。
 お父様…似合いの結末かしら………?

SYSTEM :
■ダメージ計算

 “青の貴人”:撃破! 

マスター・ハーヴェスター :
…。

マスター・ハーヴェスター :
悪い王は、な。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 許すまじと、恩讐の残火が吹き荒れる。
 主の言葉に──。
   く に                    コーブス
 己の居場所の命とあらば眉一つ動かさず、忠実に従う遺骸の軍団。
 もはや意志も理性も喪ったものの本能が、嘆きの色に雄叫びを染め上げた。

『貴人の庭』エージェントA :
 ───もう十分だろう
 .  友も居場所も奪い、荒らし、踏み躙った

『貴人の庭』エージェントA :
 ───おまえたち、これ以上なにを奪うんだ

SYSTEM :
 キュマイラの剛力のみを得意技とする魔獣たち。
 領域の外側から内側へ、庭先で戯れていた名残さえもないものたちが、潰えるものの鼓動に答えた。

 死んでいたはずのものから、今なお女王の直掩についているものまで。
 今もかなたで根こそぎ踏み散らされた葉脈の端から端だ。それが、“青の貴人”の領域を辿ってここに戻ってきている。 

SYSTEM :
 戻ってきたものたちの行動は単純だ。複雑な思考などありはしない。
 ここでしか生きられない。ここにしか留まりたくない。奪われるとあらば、彼らがどうするかなど聞いていただろう。

『貴人の庭』エージェントA :

“■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!” 

SYSTEM :

 なんでもするのだ。文字通り。
 安いもの、高いもの、なんでも使って。
 ただ己のすみかを守る。
    ・・ ・・・・
 そこに誇りや大義名分がつくかどうかが、守り人と獣の違いであろうとも。
 だからこそ、彼らは躊躇なく、女王の危機と、名代の雄叫びにはせ参じ、雲霞の如く押し寄せた。

SYSTEM :

 押し寄せた群れは等しく襲い掛かるようでいて、明確な偏りがある。

 鋭敏な敵意に彼らは敏感だ。殺すための刃物を直接持たない相手に意識など向かない。鉄の塊の搭乗者はある種、唯一、主に対して向けたものが殺意とは言い難い。

 あとは消去法。その天秤が、血風の向かう先に傾いた。

SYSTEM :
 …瑞珂だ。
 彼らのほとんど過半数は、
 その牙を命脈ごとへし折ろうと本能で襲い掛かる!

夏瑞珂 :
 ウォーキング・デッドが押し寄せる。抗いのように差し向けた風も、ドラマのフェンスとおんなじ末路。
 あっけなく数に負けて、わたしは惨めにガブガブと食らいつかれるのでした!

夏瑞珂 :
「『命の危機だった』」

 瞬間──叩きつけるような突風。向かい風が、嘆くしかばねの群れを貫いて、わたしを安全圏へと放り捨てた。

夏瑞珂 :
「『───実際そうだったろ?』」

 ごろごろと転がって、地に手足を投げ出したまま、成れ果てどもに嗤いかける。

夏瑞珂 :
 すみかを守るために、なんでもするだと? なんでも使って、なんでも擲って?

 ここでしか生きられないから──ここにしか留まりたくないからと?

夏瑞珂 :
 大事も不要も振り捨てて、最後にそんな当たり前しか残らないクズだから、奪われるしかないのだ。貪られるほかないのだ。
 ああ──なんて、意味も価値も足らない無力な愚かものたち!

夏瑞珂 :
「『───腑抜けめ。
 牙の突き立て方さえも、群れれば忘れるのか?』」

夏瑞珂 :
「『ハ ハ ハ!』」

SYSTEM :
 嘆く屍たちの言葉に拘泥する様子はない。
 嗤い掛けられたことの意味さえも、その言葉のすべて、己の傷口を抉りながら取り出したものであるという事実さえ。
 さほども、実感はしないだろう。

 ただ彼らの自分のためでない怒りは、朽ちも薄れもせず。
 死が真の意味で肉体を破壊するその時まで、ひたすらに名残たちを突き動かす。

 それが悪意か敵意であることは彼らとてわかった。

『貴人の庭』エージェントA :

 ・・・・・・・
“その目はなんだ”

SYSTEM :
 彼らの瞳が怒りを増して訴えかけた。
 …風に吹き散らされたものの生き残りが、残り1体に至るまで食いつこうとし、あるいは挑みかかろうとした。

 …その結果自体は、敢えて言うまでもない。残酷な話だ。

SYSTEM :
 何もかもあなたが知っていることだとも。未知など、ありはしない。

 奥の一体を除いてみな砕け散った。彼らには最初から奇跡などない。

夏瑞珂 :
「『なんだその目は!』」

 その瞬間。

 ずっと忘れようとした、
 もっと忘れていたかった、

 頭にこびりついて二度と落ちない穢れが、鏡に向かって吐き散らされる。

夏瑞珂 :
「『なんだその目は!』『なんだその目は!』『なんだその目は!』『なんだその目は!』『なんだその目は!』『なんだその目は!』」

夏瑞珂 :
 吐き出して──出し尽くして、荒く息づく。

 床に這いつくばって、唸る代わりに歯を打ち鳴らした。
 立ち上がる前の身体は、獣のまねごとみたいに不格好だ。ない声を吐き出そうとしてえずく姿は喘ぐ犬のよう。

ラーゼス :
……………。

ラーゼス :
 声は間違いなくこの娘の傷の色だ。
 何が彼女をそうさせたかなど知らぬ。
 わかるとすれば……。

ラーゼス :
 あの時男を殺していても、きっと同じだったろうということ。

ラーゼス :
「……理解したか? 娘」

ラーゼス :
「鏡を見るとはこういうことだ」

ラーゼス :
 嘆息すら混じる、感情の薄い声音。

夏瑞珂 :
「…… ……」

 ぶすくれた顔で背中を睨む。ちくちく。

 でも彼女の冷ややかさに、瞬く間に白熱しかかったものが鎮静した──のは事実だ。
 背中をさする革手袋の感触がちょっと薄い。

夏瑞珂 :
「『法に守って貰う気のないやつらにとっては、
 騙される方が悪いし、殺られる方が悪い』」

ラーゼス :
「己にも同じことを言うのか」

夏瑞珂 :
 ……。

「『ちなみにこれは言ってみただけ』」

夏瑞珂 :
「『お陰で素敵にヒドイ蛇の目だった』」

ラーゼス :
「…………………」

夏瑞珂 :
「……………………………………」

夏瑞珂 :
さっきビリーを呼んだのは早すぎたかもしれなかった。

ラーゼス :
 ……。やめはしまい。
 あるいはこのような者に道理を説き続けることこそ、キースが根気強く続けてきたことなのかもしれないが。

夏瑞珂 :
「『不承不承に了承した』」

夏瑞珂 :
 目線を真横に逸らしたままのゴメンナサイだった。

ラーゼス :
「……あの男から言わせた方が、よい薬か?」

ラーゼス :
 ……いいや。無為なことだ。悲しみとともに受け入れ、身体をかがめる。

ラーゼス :
 堂に入った獣の構え。
 槍をがっちりと咥え、前脚の二本が大地を踏み締める。

SYSTEM :
 その隙。
 礫のように使い切られ、失われていく命を悲しむ心さえ、
 かつての巨人にあったとて、今の巨人になどありはしない。

 怒りのままに果てた同朋たちの業にまみれたものの手前。金色の鬣を、隻眼の巨人が睨みつけるように見据えた。

SYSTEM :
 ただの一室とは思えぬほど拡張され、彼に味方するテレサの世界。
 渾身の一打を凌がれた直後、その抉られた眼に戻る兆しもないというのに…拳に充溢する力の波濤に、いっさいの衰えはない。
 彼が己のためにのみ命を貪る生き物ならば、もっとも清々しく横暴な道があっただろう。
 
 超が付く強靭さも、その巨体に見合わぬ敏捷さも。凡そ現代社会では、その役割を著しく限定される。
 ならば。彼は野性に生きる理由を見出したその時、破壊と殺戮をまき散らしながら、化け物たちの王になれた。その権利も、外付けとてその野心もありはする。そちらの方が大成すらしただろう。

SYSTEM :
 ───だが、そうではない。
 そうではないから、彼はその才能のすべてをここで費やす。

 生きる理由は恩義のため。素朴な父への恩から始まり、何にも代えがたい幸福を与えてくれた主がいた。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

「──────ウンガロ」

“ヘカトンケイル” :

「グォォォオオォォォォオオォォォォッッッ──────!!!!!」

SYSTEM :
 彼は化け物になれた。
    
 それでも別にかまわなかったが、
 それよりずっと誇らしいものを。
 ・・・・・
 生きる理由を持っていたのだ。

SYSTEM :

 その是非、内心、多くは語るまい。語る術さえない。
 故に、結果のみが先行する。

SYSTEM :
 彼の雄叫びは理性さえも超越て、本能を置き去りにし、一つ事のためだけに。
 己が主の啓示を受けて、まっすぐに“結果”のためだけに直進した。

 迸るバーナーのよう。可視化されるレネゲイドの風圧は黄金に輝いて。
 踏み込みと共にテレサの持つ領域にさえ、ひび割れるような波紋を広げた。 

SYSTEM :
 愚直な打撃しか為し得ないが、もとよりそれこそが最強にして最大の攻撃手段。
 獣は技に頼らない。武道も魔道も、極限域に鍛え、作られてきた肉体には無用の長物。如何なる惑わしも、武芸も、これを前にして意味を成さない。

 ミーティア
 流星だ。まるで。
 バロールのものにも似た”失墜”する大質量は、規模を限定したとて、定めた“敵”の根こそぎを焼き焦がすには事足りる。

SYSTEM :
 その威力のすべてを圧縮し、間近なものに叩き付ける。
 拳骨が、叩き付けられる前から、中心からすべてを吹き飛ばすような大気圧を伴って、天から地へと打ち下ろされる!

ラーゼス :
 獣を見つめる。
 おそらくはもっと自由に在れたはずの男。
 思うままに力をふるう権利を握りながら、人のもとに在りつづけた男。

 譲れないもののために狂乱に身を堕とし、己の手綱をもっとも愛する者に握らせた獣。
 その献身、その選択、その────

ラーゼス :

 悲しいほど素朴な愛。

 それはこの街において、あまりに正しすぎた。

ラーゼス :
 背の娘もそうであり、眼前の獣もそう。
 もの
 兵士でいたかったと吐露した収穫者も同じであるのに、
 ただ敵であって、邪魔であるがゆえに、他者は他者を簡単に踏み躙る。

ラーゼス :
 その最中にいる己とて同じだ。
 人間たちは、きっとこう呼ぶはずだ。
『畜生』であると。

 その畜生は、やすやすと己が欲のために他者を殺しなどせぬが。

ラーゼス :
「………だが」

ラーゼス :

 とも
「戦友が欲しいと言うのだ」

ラーゼス :

「なら奪うとも」

 きっぱりとした宣言とともに、喉から唸りが零れた。

ラーゼス :

 足元に陣が展開される。
 交差する剣の紋章。獣自身を除いて意味を誰も知らぬ男の紋が、蒼白にきらめく。
 空を走るための土台となり、そして彼女を撃ち出すための砲塔となるもの。
                       それ
 貴人の庭、青き血と仇なしながら、己もまた義務を知るものであると証すように。
 それを踏みしだきここに立って、いまはただ力で己を示すのだと。

ラーゼス :
 紋章に刻まれた記憶を辿るように身体を低く屈め、布に覆われていない左目を閉じた。

 敵がどのように動くのかを、眼帯の下の潰された右目が思い描く。
 否───計算する。竜の血を媒介に世界を暗算する。
 まるで領域の主がこの世界に篭めた意図を読み解くように、見えない手綱を幻想に生きる眼が手繰った。

ラーゼス :

 異形と化したものに応えるように、四肢が黒雷に包まれる。
 一瞬にしてかたちが金色の獅子へと変わった。

ラーゼス :


 ────────GROWL!!!!!

ラーゼス :
 その脚が、大地を踏み荒らす。
 ただの踏み込みの準備動作だけで、その足元が大きく抉り抜かれた。

夏瑞珂 :
 迫る天墜/猛る顕現──黄金の獣が互い違いの輝きを弥増して、ここに窮極を証明しようとする。

「『つまりだな』」

 指先を鳴らして、窓辺から風を誘い込む。不可視の躍動が獅子の王へと集い、先んずるための可能性を研磨した。

夏瑞珂 :
 一方で。毛先に火が灯り、わたしが焼かれていく。かまわない。憎悪の火は、わたしだけのもの。

 それに。それにね。

夏瑞珂 :
「『”自分の好きな女が恃んだからしぶしぶついてきてやってるんだぞ勘違いするな”…と、話してくれているワケだ』」

 だって、あなたの番だもの。
 今だけは、彼らの誇りを重んじる王さまに合わせてあげる。一回きりのゴメンナサイの使いみち!

ラーゼス :
 まるで互いに示し合わせたように、金色の獣が動き出す。
 “ヘカトンケイル”の動きは鈍重という言葉とは無縁だ。
 人のかたちを取っていたころとまったく変わらぬ速さで振り抜かれる拳は、異形化による質量増大と併せてまるで墜つる星の如く。
 獅子王が寸分違わず同時に踏み込めたのは、領域の王たる“青の貴人”の意図を先に読みほどいたからこそ起こったことだ。

ラーゼス :
 かつて攻撃を読みほどいて掌握する戒めの術式を何度も見て、そして加担したがゆえに修めた相殺の作法。
 地を這う獅子王の、陣を蹴って舞った身体が、圧縮された風によってさらに加速する。
 巨きさの違い、足りぬ膂力を風の援護が埋める。

ラーゼス :
 咥えた杖に灯されていた雷刃が、槍ではなく剣のように広がった。
 激しい音を立てながら不安定に燃焼し爆ぜ散る黒雷が、風に絡んで獣を嵐そのものに変える。

ラーゼス :

 ────────先んじた。

 すれ違いざま、
 巨人の拳を青黒い雷が縫い留める。

ラーゼス :

 ────庭の番人よ、終わりの時だ!
 ────獣の遠吠えが、そのように傲岸に突きつけ、

ラーゼス :
 嵐の弾丸は、拳が纏わせた風などそよ風のように受け流し、

 ただ一点、その喉笛!
 獣の知る急所のみを狙い、黒雷の剣が牙を剥いた!

SYSTEM :
 爆ぜる一瞬の大風。
 大気を捻じ曲げ、砕くは剛力ひとつ。

 叩き付けられるはずの拳。
 嵐の王が従える、もっとも剛き者の猛りの中で、三度音がした。

SYSTEM :
 一度目は獣の遠吠え。足元を抉り抜き、稲光と共に降臨する者。
 遠き地を血とともに継がれた伝説で統べる、隻眼の獅子王。
 そのまことの姿を視認しながらも、しかし、一瞬とて拳打の速度が衰えることはない。

 そこまでは読み取った通り。
 導く青き狂月の招きは、相対するものを無慚に滅ぼすまで止まらない。
 世界そのものが彼の味方であり、獅子の敵だ。なら、如何なる伝説も道理も。今日のために轍とするだろう。

SYSTEM :
 だが、二度目──────風の音。
 嵐の中を縫い、獅子の歩む道先をくすぐる風。
 
 その愚直さ。燻ぶる炎の名残さえいまは残さず、ただ一点のみに牙を研ぐさま。
 それは、今成すべきこととこの上なくかみ合った。 

SYSTEM :
 獅子の歩みが加速する。
 どんな怪物であろうとも、生きている限りはもっとも易く死を導く一点へ、そのいなずまの鉾を突き立てんと獅子が走る。早く、疾く、どこまでも。留まる兆しなく。

SYSTEM :
 轍となったすべてを従え、見送るさま。
 ………まさしく嵐の王であった。

 その情景に、巨人には悲しむ心の余地さえない。

SYSTEM :

   先んずる。
          /
             抜き去った。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「──────」

SYSTEM :
 三度目。嵐が止む直前、雷雨が降り注いだ。
 雨は朱く。いかずちは黒。           とま
 大気そのものを真空に割り断ちながら、微か、時が停止ったような衝撃が残された。

SYSTEM :
 それは錯覚ではない。
    つく
 世界を創造る領域の主に預けられていた記憶と心を、空に還す痛みのフィードバック。

 物理的なものでもあり、精神的なものでもある。
 一瞬。真実、比喩などではなく。領域内の時間には欠けが残されていた。

“ヘカトンケイル” :


「ガッ………グ、アッ………」

SYSTEM :
 如何なる怪物とて生命は無限ではない。
 最初の傷が、戦闘の余波が。繰り返すこと三度、いやそれ以上…。

 この戦争の最前線では三本指に入るほど多くと戦い、多くに突き立てられ続けながら、永遠の庭の守り人として立ち塞がってきた巨星が──────いま。堕ちる。

SYSTEM :
 地を這う番人は、滅ぼし損ね先んじた雷を見て何を思ったのか。
 あなたがそうした最新。隻眼となっていた怪物の瞳は、無念に満ち満ちていた。

 ずしん、と轟音を響かせながら、倒れるものが、呻き声を残していく。

“ヘカトンケイル” :
「ォ、オ、ォオ、ッ………」

SYSTEM :
 巨人は一室の地面を抉るほど強く、倒れ伏した手を握り締める。
 一度、伸ばした手が獅子の鼻先を掠める瀬戸際で、その剛力を最期に一度半ばまで振るい。

SYSTEM :
 ………そして、斃れた。

 おそらくはいくつも、失われてきたものと一緒に。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「………………」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「…貴方は本当に、バカな子…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「…ありがとう。今まで。
 よくぞ、戦ってくれました」

SYSTEM :
 誰に聞かせるためでもない。
 このように生き、このように縛り付けられ、このように去り行くものに対しての清算と悔恨の響きは、血の雨と逆巻く嵐の音で、だれにも届くことはなかった。

 届いたとて、だ。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

“ヘカトンケイル” :
 おれは無能者だった
 歩めたことを何より幸福と思った
 その主の命さえ果たせぬまま逝くのだ

“ヘカトンケイル” :
 しかし、ここで出会うことができた
 その一点に関しては………

“ヘカトンケイル” :
 おれは果報者であった

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

ラーゼス :
 ……残心。
 眼前で振るわれた力を前に、獅子は一切動くことはなく。
 その最期のあがきを余さく見つめていた。

ラーゼス :
 ──堕ちる旗のもと、理性を腐る樹のもとにゆだねたその盲従を、もう誰も穢しはしない。
 ──その忠義、その愛。
 ──余さず見届けた。

ラーゼス :
 獅子の唸りが、そのように語り。
 それを最後に、視線は残されたふたつへ移された。最後の盾と王のほうへ。

SYSTEM :
 残されたものの唸り声。
 女が制するまでもなく、彼は赫怒をまといながら動じることはなかった。己の役目を、誰に言われるまでもなくわきまえている。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「形振り構わないとそうなるのかしら。
 それとも、形から倣った?」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「………約束を果たすその前に。
 その代償は必ず払ってもらうわ」

ラーゼス :
『……』

ラーゼス :
『獣の道理には、獣であたるべきだと──』

ラーゼス :
 身体が切り替わる。獣から人へ。

ラーゼス :
「そう思った。おれなりの礼儀だ。捧げるほうへも、捧げられるほうへも」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「そう。
 踏み入る蛮人があなただったのは…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「何の慰めにもなりませんけど。
 よかったのかもしれないわね」

SYSTEM :
 彼女は”あの子もそう生きていれば”とは口にしなかった。否定するような言葉を、対話の形で使うことだけは。

SYSTEM :
 …ましてや翼を一枚一枚もいでいくような終わりへの道程も。そのふるまいだけは変えることがなかった。おそらくは死ぬまで。

“七花胡” :
 獣と獣の膂力が、交錯した。
 落星が主君と仰いだ者の腕の中であったことは、彼の巨人にとって、まだしもの幸いか。
 しかし自身の膝元で、忠臣の最たるを喪ったことは……庭の主としては、慚愧の極みに違いない。
 実際がどうかは窺いきれない。己の庭たるが片端でも残る以上、彼女は王者としての振る舞いを、決して崩そうとはしないだろうから。

“七花胡” :
 残る牙城は一枚きり。
 なれど先に潰えた怪鳥にも、凶獣にも、模造剣にも、巨人にさえも、その忠節は劣るまい。
 剥がすのであれば。と、最速で準備が整った方へ視線を寄越す。

 ……先刻の折が脳裏を過る。

“七花胡” :
 この庭の満遍なく積みあがる屍、土に還るにも真新しすぎ、黄泉路の入口にしがみつく亡者の群れが娘の体を貪った、まさにその時の反応。
                  もの
 咆哮も嘲笑も、全部他人の物/彼女の記憶。どう使おうと彼女の選択/勝手。
 育てているわけでもないのに、本来なら差し出口なのだろうが……

“七花胡” :
「借り物の声を刃にして、詰るのも、煽るのも結構ですが……」

“七花胡” :
「自分に向けることだけは、やめておきなさい。
 それらの多くは、貴女を傷つけるために、口にされたわけではないのだから」

“七花胡” :
 ────柄の底で床を二叩き。
 足下を覆うまぼろしの花園に、再び薫風が吹き上がる。
 それは今この時も我々を押し潰さんと四方から迫り来る王庭の帳から、一人の娘を守るように極彩色の花弁を纏わせる。

“七花胡” :
 守るのはその身ではない。芽吹きを寿ぐ風それ自体に、拳や炎を退ける力は備わっていない。
 守りたいのは貴女の選択。
 貴女が欲するなら、それは翼になる。肢になる。刃になる。あるいは銃弾、燃焼剤にすら。

“七花胡” :
 たとえ憎悪を燃やすことでしか駈けられないのだとしても、
 荒野こそ在り様とその手で定めた/定めるしかなかったのだとしても……

 それが否定される確率をこそ、この手で剪定しよう。

“七花胡” :
「ただの御節介です。約束じゃありません、守らなくたって、すぐ忘れたって、怒りやしません。
 自分の服の端っこくらい、好きに掴んで構いませんけど」

“七花胡” :
「一応。
 貴女の“もの”には、しておきなさい」

“七花胡” :
 淡々とした言葉とは裏腹に。
 王庭に生じた“欠け”を埋めるように拡がった豊穣楽土が、足下で燦燦と咲き誇っている。

夏瑞珂 :
「『私はその正しさに馴染みませぬよ。ご存じであろうに』」

 体を庇う花弁を一掬い、頭に飾る。気まぐれに着飾ったくらいでおおげさに騒ぐひとたちは、もういない。

夏瑞珂 :
「『………ただまあ…』」

 バカみたいだ、とへそ曲がりに唇を尖らせる。道端の花みたいに優しさが咲いている世界は、やっぱり嵐には生きにくい。

「『善処するが、保障は出来ないね』」

夏瑞珂 :
 豊穣の楽園が、貴人の支配領域を犯しつつあった。
 黒土の上へ膝立ちになり、両腕で架空の銃身を支える。弾を装填する代わりに、薫風を薬莢に詰めこんだ。

夏瑞珂 :
 照準──よし。
 一発──十分。

夏瑞珂 :
「『よし、行くぞ絞りカス殿』」

 青い血に濡れた花ではなく。射線を遮るであろう成れ果てに嘲弄を手向けて、銃爪を引く。
                 KABOOOOM 
 着弾と同時に風は燃えて、爆ぜて、どっかーん!

夏瑞珂 :
 報いの日々は終わり、ひとつの歴史はここに打ち砕かれる。

 あとに残るのは、お姫サマを踏み躙るラブロマンスだけ。ディズニーだって匙を投げ出すに決まってる!

SYSTEM :
 その引き金が僅かでも女王のもとに向けられていたならば…。
 彼女を守るために、獣は命を賭して立ち塞がっただろう。
 そしてあなたも、余計な既知に神経を逆撫でされたに違いない。

 …いや、この場合とてそうならざるを得ない。
 避ければ中る。本能的に優先するべき命を択んだ獣が、四足を踏み締めてうなり声を上げた。

『貴人の庭』エージェントA :
「──────!」

SYSTEM :

 燃えて爆ぜる。
 嘲るように踏み躙る炎の中で、子供と獣の断末魔が入り混じった。 

SYSTEM :
 その先には、死体も名残も遺りはしない。
 彼の存在を留めていたものがすべて消えていく。その名残を胸中に残す女を除いては。

 朽ちていったものたちが、大樹に還り、空に届く。ひとつ、またひとつと。
 彼が最後だった。哀悼の言葉が、炎に紛れる。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「クウィリーノ」 

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「………遊びたがりの貴方には耐えがたい我慢をさせて。私は、どのくらい報いることが出来たかしら?」

SYSTEM :
 ………屍を越えねば今日を巡るすべのない女のもとには、もう誰も残されてはいなかった。あるのは胸のうちの思い出だけだ。

 外側でいくつの命が残っているかも定かでない。
 一つ散るごとに大樹の終わりが近づいていく。しかし、そんなことは問題ではない。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「…当然───まだよ。死に切れるものですか。
 されたように、したように、絞り切って御覧なさい」

夏瑞珂 :
「『───そうだ。二度で分からぬなら三度言うぞ』」

夏瑞珂 :
「『───敗け犬に、次があると思うか』」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
 ・・・
「あなたに次があるのに?」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「…同じコト。忘れることができたら。
 ええ、次など望むべくもないのでしょうね?」

夏瑞珂 :
……。

夏瑞珂 :
「『数秒前の自分の発言を聞き直すがよろしい』」

夏瑞珂 :
「『形振り構わないとそうなる』」

夏瑞珂 :
「『傷がついたら殺せるってんなら、人は神様だって殺せるさ』」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「そう? そうね。
 なら、節操なしと…数秒前に地の底で礼でも言っておくといいわ」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「形振り構わせてくれてありがとうとね」

SYSTEM :
 もう一撃打てば確実に殺せる状況とて、女は一呼吸と言葉さえあれば世界を得物にできる。

 更にはそれに関係することなく。膝を突く強さも弱さも、女は持ちたがらなかった。

夏瑞珂 :
「『ハッハッハ』『ママのスカートとパパのアーマーが留守の代わりが物陰か?』」

夏瑞珂 :
「『言葉は正しく使えガキ』」

SYSTEM :
 テレサは応ずることなく、視線を別の男に。
   ・・・・
 曰く節操なしのほうに向けた。 

マスター・ハーヴェスター :
 揶揄ってやるのは……今じゃないな、全て終わったらだ。
 コクピットの中で大きく息を吐き、フットペダルを踏み込む。

ガンドルフ :
 P.F. G-ドルフは装甲が脆い。
 回避運動をベースにしたこの機体は、電撃作戦による襲撃でその能力を発揮する。
 これほどの長期戦は、この機体にとって想定されたものではない。
 内部フレームの疲労は激しくオーバーホールが必要だ。

 なにより象徴的なのは──その"鬼"たるテクスチャが、剥がれかけている事。

ガンドルフ :
 一歩歩むごとに、その皮膚が剥がれ落ちていく。

ガンドルフ :
 鬼はもう居ない。

ガンドルフ :
 鬼への別れは既に終わった。
 煉獄へその仇名を轟かせにいった男にもう告げることは無い。
 間借りをしていた鬼も、その世界の方が役に立つ。

ガンドルフ :

 ・・  ・・
 機人が、貴人の前に立つ。

ガンドルフ :
 フレームを曲げ、軋む音一つ一つが悲鳴のように聞こえる。
 嘆きのようでもあれば、苦しみのようでもある。
 帰られぬ過去と戻れぬ過去への残滓を、最期の薪とする。

 ガンドルフが、跪いた。

マスター・ハーヴェスター :
 開いたハッチから、男が飛び出した。

マスター・ハーヴェスター :
「立ったぞ、お前の前に」

SYSTEM :
 菫色の機人を、世界が拒んだ。
 青色の貴人を形作るすべてが。
 オルクスの領域。貴人の庭はその蛮人の足を阻み、果てと底を覗かせながらも、要石ある限り費えはしなかった。

 跪いて現れるもの。目をそらしはしない。
 だが訣別を指し示すための十年前の声色で、女は決して己を語りはしない。もう。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「そう。踊りに来てくださったの」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「…踊ってほしいのは死者の踊りだけよ。
 あなたが…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「あなたが踏み躙ってきたものに、頭を垂れて詫びながら死んだら…最期の戯言をまことにしてあげる」

マスター・ハーヴェスター :
 ・・・・・
「してあげる?」

マスター・ハーヴェスター :
「違うな」

マスター・ハーヴェスター :
「俺がさせるのさ。お前に」

マスター・ハーヴェスター :
 ……無法者同士の戦いとは、常にそうだ。
 群れの長が、群れの長に、己の欲望通りに踊ってもらう事。
 互いの糸を手繰り、操り切った方の勝ち。

マスター・ハーヴェスター :
 訣別は既に済ませた。
 だからもう、乞われて手に入れるようなものでもない。
 だから奪い取るのだ。
 だから刈り取るのだ。

マスター・ハーヴェスター :
 FHセルと、FHセル同士の戦いにおいて。
 武力以外の決着がつくことは無い。
 あったとしても、それはすでに武力を別の形で行使している。
 だから最後は手を出さなければならない。

 分かっているはずのそれに苦しさを訴えてもよかった。
 だが苦しさすらも越えなければならない。
 それが今を生き抜き、明日へ一歩を進めるという事だ。

マスター・ハーヴェスター :
 ぐっ、と拳を握りこみ。
 それを、無造作に振るった。
 その身に纏う守護さえもこの"手"で全て刈り取る。
 その意志を乗せた、只のボディブロー。

 それだけで沈む。
 合理さの人格がそれを肯定する。

SYSTEM :
 如何にも。
 ・・・・
 それだけで青の貴人の肉体はたやすく沈むだろう。
 
 二十年、ないし、それより遥か先。
 まことに万能なオーヴァードなど存在しない。ゼウスを名乗るものにレネゲイドの力が備わっていたとしても。

SYSTEM :
 然るに無敵の領域使いの容量は、すべて、その庭を維持することに費やされ、削り取られている。

 戦い抜いて生き残るだけの容量などあれば。はじめから戦場に自ら出向けば済む話だ。

SYSTEM :
 だが。
 ・・
 合理で戦場が片付くことなどないことを、あなたは忘れていなかったはずだ。

SYSTEM :
 領域の護りごと貫徹して、矮躯に入っていた空気がすべて吐き出される。
 微かに伸びる指先。人体が潜在的な死に瀕しても、レネゲイドが意識を繋ぐ。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「──────まだ」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「まだ、終わらせない………」

SYSTEM :


 ──────ならば。
 女の唯一無二の武器が、たかが意識を刈り取った程度で止まるはずはない。

SYSTEM :
..           せかい
 青い月が、クリスティの領域が。

 この近距離まで、いやさ、視界に入るものすべてに“報い”を命じようとした。
 理解の一工程を挟んだ上での、もはや妄執に等しき活路だ。

マスター・ハーヴェスター :
「ま、そうだな」

マスター・ハーヴェスター :
「そこで折れたら、嫌いになってたよ」

マスター・ハーヴェスター :
 光槍ライフルの穂先を、引き抜いた。
 光刃になり得るそれを右手に強く握りしめた。

マスター・ハーヴェスター :
 全てを奪うという事は──何物も遺してはならない。

マスター・ハーヴェスター :
 その命さえも!
 その手で握り締めなければならない。

マスター・ハーヴェスター :
 だから俺が欲しかったのは。
 その権利だ。
 その命を生かすも殺すも、俺の欲望次第。
 そしてその命が、生かす事が出来ないのであれば、この手で仕留める。

 誰の手にもくれてやらない。
 狼に喰われるのだって御免だ。

マスター・ハーヴェスター :
「終わりだ、俺が、全て奪う」

マスター・ハーヴェスター :
「お前から、何もかも」

マスター・ハーヴェスター :
「お前すらも」

マスター・ハーヴェスター :
 伸びた指先に自分の手を合わせた。
 その指を絡めとって、自らに引き寄せた。
 ヘルメットを、もう片方で取って、そこらに放り捨てた。

 全てを奪う。
 妄執さえも、命さえも──その心さえも。

マスター・ハーヴェスター :
 ハーヴェスター。
 刈り取る者。

 この男が生涯、その手に掴むことが出来なかったのは二つある。

マスター・ハーヴェスター :

 自らが尊敬した男からの頼りと。

マスター・ハーヴェスター :

 自らが愛した女からの、お返しの愛情。

マスター・ハーヴェスター :
 二度と手に入るものではない。

マスター・ハーヴェスター :
 引き寄せた体を、抱えた。
 最後の最後まで、今を続けようとするその身体を。
 終わらせぬと紡ぐその口を、己の口で塞ぐ。
 一方的で、傲慢で、相互のそれなど存在しない、征服するだけのもの。
 
 踏み躙るその形は、節操無しと言われれば、そうだとも。

マスター・ハーヴェスター :
 だが全て奪うと決めた。

マスター・ハーヴェスター :
 それは、彼女の純情さえも。

マスター・ハーヴェスター :
 だから、全てを奪った。

マスター・ハーヴェスター :
 契りを押し付け、交わしてくれぬだろうと惜しみ。
 手にした光刃を、抱き留めたその背に突き刺した。
 その刃が、真っすぐに貫いて、己の身体にも熱と痛みを与える。

マスター・ハーヴェスター :
「さようなら、ティーラ……」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「────────────」

SYSTEM :
 …テレサ・C・クリスティは。
 穢れを知らず、血の青さの理由も知らず、しかしそのころから。
 義務をよく識る女だった。
 そこに理由がついて回れば、死するまで手放すことはあるまい。

SYSTEM :
 知っているならば………。
 あなたの行動は、理解と納得を別に置いたものだった。
 わかっていて、最後の僅かな時間ひとつのみが報酬と知っていて。
 
 そこに付随するものが何であるか知りながら、あなたはそうした。
 
 それの答えを出さない暗雲低迷を。
 これより多くの命を狩り、欲望を刈り、明日を駆るものが、是しとしていいはずはなかった。

SYSTEM :
 わかっていても、だ。
 若年の追憶への痛みは、自らの愛銃が下した。
 その僅かな時間の征服と共に。

SYSTEM :
  はつこい
 牙獣の思い出にさよならを。 
 青い血の流れる女の脈動も、唇も、生命の終わりも。
 ただ、朱かった。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 庭を形作っていた因子が消えていく。

 横たわる女を作っていたものが。
 二百を当たり前のように越え、先を行き、空に己を預けに行った者たちに…。続こうとしている。

SYSTEM :
 
 貴人の庭は今日崩壊する。

 有言通り。
 青の貴人を青の貴人たらしめていた責務は、おそらく。
 彼女の致命傷と、領域の消失で。その歴史ごと、二度とよみがえることはない。

SYSTEM :
 その苦悩も、その軌跡も。
 向けられた信奉も慕情も。

SYSTEM :

 …どさり、と倒れたものが。
 あなただけを見る。

 望んだように。臨んだとおりに。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「………………ああ…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「……家族も、友達も、故郷も。
 本当に大切だったものは……何一つ……」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「………」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「…あなた。
 ここまでのことをしておきながら、
 これだけのことがほしかったのね」

SYSTEM :

 ───成人と子供の境目の瞳があなたに向く。

 抱き留めた感触の軽さは、相対的に変わることはない。

 最期まで女の表情で迎え入れることはなかったが、
 最期だけそいつの視線があなた以外を入れることはなかった。

マスター・ハーヴェスター :

 ……その気高さを愛した。

マスター・ハーヴェスター :

 誰のモノにもならない高嶺の花。
 誰もが羨んだその優雅さに魅せられた。
 けれど、愛した気高さは、万人が分かるそれではなかった。

 本当に、誰のモノにもならない。
 どれだけの愛を説いても、何も変わらない、その不変さが。
 変化という時代の流れに逆らえない己にとって、輝かしいものだった。

マスター・ハーヴェスター :
「……そうさ。
 俺は……みみっちい男なんだ」

マスター・ハーヴェスター :
「いつも……誰かが俺に、
 "これだけ"を与えてくれるから、分からなくってな」

マスター・ハーヴェスター :
「ここまでの事しか出来なかった……」

マスター・ハーヴェスター :
「それだけだった……」

マスター・ハーヴェスター :
「…………ただ…………………それだけだったんだ……………………………」

マスター・ハーヴェスター :
 牙獣が、哭いている。
 双眸から滑り落ちる煌めきを見ていいのは、この世に一人だけ。
 最期に、ただ一つだけの"征服"を、プロポーズのように女に残す。

「……俺は、やっぱり……似合わないか?」

SYSTEM :
 ぽつぽつと零れた言葉は、牙獣の今際の際にも思える。弱弱しい響き。
 言葉だけを聞けば、どちらが敗者かもわからないが、手元で命を失う青い貴種と、それを捕まえた牙獣を、ほとんどの人間にとって死角となる窓ガラスが映し出していた。

 それだけが答えだった。

SYSTEM :
 ……多くのことが起こっては、
 流れ去るように過去になっていく。

 これも、そのひとつだ。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「………ふ、ふ。呆れた………」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「奪っておいて………。
 奪った相手に泣き言だなんて………」

SYSTEM :
 ”リグ・ヒンサー”の日々も。
 諳んじた10年前の邂逅も。
 そして、この今でさえも。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「………敢えて聞いてあげましょう。
 満足した?」

SYSTEM :
 それはテレサが。

 あなたがこれまでも、これからも。
 それとは無縁だったことを、10年越しの邂逅で知っていたがためのことだった。

 憐れむためでも呪うためでもない。
 ただ………。

 自分が、庭の滅びの原因だったという現実が、甚だ不本意だった人間の、死に際でしか出さない私情だった。

マスター・ハーヴェスター :
「……出来るかよ」

マスター・ハーヴェスター :
 出来るわけがない。
 その命すらも掌に収めなければならないというのは、自分を納得させるための言い訳だ。
 命あっての物種という言葉は、あれは無法者の世界でも通用するし、重要だとすら思う。
 あらゆる方法を考えた、だが何もかもが通用しなかった。
 その事実を受け入れるのは、酷く時間がかかる。

 だが受け入れなくてはならない。
 籠の中から離れるとはそういうことだ。

マスター・ハーヴェスター :
「……出来ねえんすよ。
 ……それで満足しちまったら───」

 先は紡がない。
 敢えて、だ。
 言わずとも、満足してしまったら、それで銃を降ろしてしまうことを。
 それは、アレウスという男の人生の全てを否定し、彼に縁を見出した者たちへの裏切りだ。

マスター・ハーヴェスター :

 ・・・
 裏切りだけは、出来るはずがない。

マスター・ハーヴェスター :
 それが、当代マスター・ハーヴェスターという者の、信念だ。

マスター・ハーヴェスター :
「……、なぁ、だったら、俺も敢えて聞くよ」

マスター・ハーヴェスター :

   ・・  ・・
「……返事だ。返事が、ほしい」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「………でしょうね?」

SYSTEM :
 薄く笑う。
 愚問に愚答をする証だ。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「だって…知っていて聞いたのよ…?
         ・・・・・
 何を答えるのか、知っていて乗り込まれたのですからね…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「………」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「お父様が…。
 姉さんが…ウンガロが………」

SYSTEM :
 それから、それから、それから…。

SYSTEM :
 数えるように上がった名前には、

『貴人の庭』メンバー :
 あなたに“結末”を教えるように自ら爆ぜた男に、

『貴人の庭』要人 :
 おそらくあなたの知らないところで朽ち果てた巨人の血縁に、

『貴人の庭』エージェント :
 庭で自ら命を捧げ、一矢“しか”報いることのできなかった弱き壁だったものに、

SYSTEM :
 最初の戦闘で失われたものに………。

 おそらく記憶しているすべてを諳んじた後、口にされるまでは満足しないだろう男の望みに、彼女はこう答えた。

SYSTEM :
 涼やかに、あの日のように笑って。
 無邪気さなど欠片もなく、芽生えた一言に曰く…。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「いいわ。答えが聞きたかったら…」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :

     Inferno
「──────地獄で。
 会いましょうね?」

SYSTEM :

 ・・・・・・ ・・・・・・・・・・
 地獄に落ちろ。アレウス・バルバート。
 ・・・・・・・・・・・・・・・ 
 奪ったすべての報いを清算したら、
 ・・・・・・・・・・・・・
 苦しみと一緒に愛してあげる。

SYSTEM :

 ………概ね“生きている限りは断る”に等しく、さらに言うならばあなたの性根を知る限り不可能な言葉だ。なぜなら。

SYSTEM :

 ダンテが綴った神曲に曰く。
 
 最大の罪は裏切りであるという。
 欧州圏にてもっとも偉大なる王の庭を終わらせた騎士が、
 永劫の虚無で凍えるかなたに閉じ込められているように。

 あなたが銃口を下ろし、行く先を定め。
 そこにたどり着くとして………。

SYSTEM :
 ………この娘は必ず地獄に行くだろうが、
   ・・・・
 必ずそこ以外に魂を留めるからだ。

マスター・ハーヴェスター :
「そうか」

マスター・ハーヴェスター :
「それなら……随分先の話になるな」

マスター・ハーヴェスター :
「お前がそうだったように……、
 俺の命は俺だけのものじゃなくなっちまった」

マスター・ハーヴェスター :
「心配するな」

マスター・ハーヴェスター :
「無法者は全員地獄に行く。
 誰であっても例外じゃない、それが欲望を振り翳した者たちの宿命」

マスター・ハーヴェスター :
「いずれ地獄で。
 ───……è mia moglie.」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「…これが心配に聞こえた?」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「………勝手な男」

SYSTEM :
 
 ………その回答は、拒否であると知りながら。あなたは敢えてそうした。
 sit difficile; experiar tamen.
 困難と知りながら試みよう。と。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「でも…そうよ、だから行くの………」

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
「その時には…地獄で凍えきるまで。
 無念を囁いてあげる」

マスター・ハーヴェスター :
「そいつは良いや」

マスター・ハーヴェスター :
「地獄の血酒で酔うのが愉しみだよ」

 最後の最後まで減らず口。
 何年経ってもそれだけは変わらない。
 それを知る者が、また一人。

「またな」

SYSTEM :
 アバドン
 収穫者が奈落に帰るときは、
 どれほどの供物を抱えてのことだろう。

 昨日を清算してきた男にあるのは、
 進歩するべき明日だけ。
 昨日から続き、今日勝ち取ったものだ。

SYSTEM :
 そこに、アレウス・バルバートの…。

 若気の至りを知る人間はいない。

SYSTEM :
 最期のかたちが、あなたに向けられる。

 最期のその瞬間までも。
 女の目線と意識はあなただけに向いていた。

 僅かな征服の代価。
 すべてを根こそぎ搔っ攫っても、
 貴人であることを決してやめなかった人間の…。

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
  Memento mori.
「先で待っていてあげる」

SYSTEM :
 欲望でたどり着き、知りながら突き進んだ人間だけに。
 そうであることを捨ててきた女がはじめて向けた感情だった。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 ………やがて。
 オルクス
 領域の王の死が、貴人の庭を終わらせる。
 遍くすべては支えを失い、
 二度と修復されることはない。

 かろうじて形を保っているのは…。
 ローマの新しい守り神が、
 誰よりこの地を愛した現代の守り神を悼んでいるからだ。

SYSTEM :
 ………それも長くは続くまい。

 やがて、手入れされない庭は枯れ落ち…。
 草も花も、土に帰り、秋風だけを空しく響かせる…。

SYSTEM :
 ………収穫を終えたならばともかく。
 略奪ならば、次の種を植える義務はない。

マスター・ハーヴェスター :
「…………」

マスター・ハーヴェスター :
 立ち上がる。
 アレウスという男の、いびつな因果の巡りは終わった。

マスター・ハーヴェスター :
「全員、作戦終了だ。
 貴人の庭はこの通り、壊滅した」

マスター・ハーヴェスター :
「残りの掃討戦も程なくして終わるだろう。
 よくやってくれた……ま、まだデカい獲物が残ってるがね」

マスター・ハーヴェスター :
 ……俺自身は、そのデカい獲物に加えて、もう一匹。
 だが、ひとまず終わった。

ラーゼス :
………。

ラーゼス :
アレウスの肩を、静かに叩く。

マスター・ハーヴェスター :
「なんだ、ラーゼス」

ラーゼス :
「貴公はよく戦った」

マスター・ハーヴェスター :
「……そうかな」

マスター・ハーヴェスター :
「……過去形にはできんさ、まだ戦争は終わってない」

ラーゼス :
「アレウス」
 そのような話ではない、と諭すように名を呼ぶ。

ラーゼス :
「貴公は。
 ・・・・・・・・・
 あとに何も残らぬ女から、『先』を勝ち取ったのだ」

ラーゼス :
「貴公ら人間の祈りのうちに、死後の苦しみというものがあることは知っている。
 ならばそれは、彼女にとっての最大限のゆるしだ」

ラーゼス :
「……誇るといい。
 それは、“ヘカトンケイル”にも、『アドリア』にも、この庭の誰にもできぬことだよ」

マスター・ハーヴェスター :
「……」

マスター・ハーヴェスター :
「ひでえやつだな、ほんとによ」

 単なる皮肉だ。
 受け入れたような小さな笑いが続く。

ラーゼス :
「この程度しか言えぬ。
 汗顔の至りだ。すまない」

ラーゼス :
 ……庭とともに生まれ。
 庭とともに生き。
 庭を育てるために形を整えられ……
 庭を腐らせ。
 庭とともに死ぬ。
 テレサ・C・クリスティは間違いなく徒花だが、美しき王であった。

ラーゼス :
 ……ああ。
 王として、もっとも美しい死に方だ。
 すべてを剥ぎ取ることなどできずとも、死の淵に至って、その根にわずかな「人」が残されていたことは。
 おそらく僥倖だったのだろう。

ラーゼス :
「……」

ラーゼス :
「……国を失った王の末路。確かに見届けた」

マスター・ハーヴェスター :
「……そうかい」

マスター・ハーヴェスター :
「しょうがねえ、約束は守れたってことだな」

ラーゼス :
「おれは片手落ちだ。すまない」

マスター・ハーヴェスター :
「気にすんなよ」

マスター・ハーヴェスター :
「“七花胡”もシアも付き合ってくれたんだ。
 ひとまずは勝利を喜ぼうじゃないか、なあ?」

“七花胡” :
 声が掛けられるまで、ゆっくりと朽ちゆく玉座の間を眺めていた。
 空の玉座。数々の亡骸。一つの庭の終焉。
 凍らせた今日を殴りつけた後に、残るものは砕けた明日だけだ。
 生まれたものは果てる。流転の理には、決まって寒々しさが寄り添う。

“七花胡” :
「……そうですね」
 ぱちん、と天秤を畳んで仕舞い、視線を切り離す。一つの欲望を貫き切った男の方へ。

“七花胡” :
「いったんは。お疲れ様でした。貴方との契約の一つは完遂です」

“七花胡” :
「御返事は、受け取れましたか」

マスター・ハーヴェスター :
「ん?」

マスター・ハーヴェスター :
「クク、かなり熱のあるお言葉はいただいたぜ」

“七花胡” :
「なるほど。ここまでした甲斐はあったようで、何よりです」

“七花胡” :
 何処か軽々としたような。それでいて、結局、重みは腕に抱えたままのような。
 終えたようで、地続きの。そんな顔だった。

“七花胡” :
 目の前で燃え尽き果てていくことだけを看過できなかった男にとって、「得られた」ことは、幸いだろう。
 その「御返事」が如何様なものであったとて、それはもはや彼の持ち物だ。贈り物の中身を検めるような無粋はしまい。

 貴方が、得られたのであれば。
 結構。

“七花胡” :
 ……玉座は陥落した。
 最早、焦土と化した跡地を均そうと試みる者は誰もいない。
 誰もいない。何もない。寒々しい荒野だ。
 十年も経てば此処にも草木が広がろうが、それはもう彼女の愛した庭ではない。
 彼の故郷でもない。

“七花胡” :
 時よ止まれと願ってしまいたくなる度に、この日のことを想い出そう。
 王庭の君よ。
 貴女の庭を蹂った感触が、躙られた屈辱が、この身にそのまま返るように。

 と。

“七花胡” :
「我々には明日がある。明日のために次の戦争を勝ち取る」

“七花胡” :
「それさえ超えて、そしていつか、黄泉路の先に待つ彼の君に、すっかり皺だらけになった顔をわらってもらいなさい」

“七花胡” :
「貴方には、終わりの日が必ずやってくるのだから」

マスター・ハーヴェスター :
「そうすっかな」

マスター・ハーヴェスター :
「全く困るんだよ。
 ボスも、兄貴たちも、しまいにゃテレサも……人の荷物を増やしやがってよ」

マスター・ハーヴェスター :
「……ま」

マスター・ハーヴェスター :
「俺の願いは叶った。
 いただくものは全部いただいたしな」

“七花胡” :
「重い方がいいでしょうよ。欲しがった結果です。
 欲しがれなくなったら、たとえ定命とて、そこで打ち止めなんですから。何もかも」

“七花胡” :
「此処は貴方の欲望を叶える場だった。それが叶ったのなら、自分も満足です」

夏瑞珂 :
「『わずかばかりの不服はあるが、』」

 腕を組んで睨む。おじさま一人じゃない。全員だ。

夏瑞珂 :
 引継ぎの雇い主にサァビスしてあげようと思ったのは事実で、現に果たされた。
 でも──でも──だからって、何、何が起きて、何で? わたしにはちっとも分からないのに、二人は訳知り顔!

夏瑞珂 :
「『え? そこのところ。どう思う』『………良くないだろ?』『よくないねえ』」

 むっと口をへの字にする。何で、何か、何、だって──だって!

 勝ったのにちっとも楽しくない! おじさまだって笑ってなくて、それは、それはあんまり関係ないけど!

“七花胡” :
「……おやまあ」一瞥。それから“マスター・ハーヴェスター”の方を見る。

マスター・ハーヴェスター :
「あぁ? なんだ、お前……」

ラーゼス :
困り顔でアレウスと瑞珂を交互に見る。

マスター・ハーヴェスター :
「……そりゃあな、"あわよくば"ってのが無いワケじゃねェよ」

マスター・ハーヴェスター :
「だが僅かに届かなかった! 
 それだけ俺の力は足りてなかったんだ」

マスター・ハーヴェスター :
「……生かすのは殺すより難しいってこった。
 わかってんだろお前も」

夏瑞珂 :
絶句する。

夏瑞珂 :
……最低だ!

夏瑞珂 :
思いつくかぎりおじさまの吐き散らかした暴言を全部、全部オトにしてぶちまける。

夏瑞珂 :
「『お陰で素敵にヒドイ蛇の目だった』……」

 壁の大穴めがけて駆け出して、お屋敷の最上階から飛び降りる。踏みだす寸前、振り返って全員にべっと舌を出す。

SYSTEM :
 ──────ひび割れた時計に留まる若さが、割り切れぬものを吐き出す。

 得たものは名残だけ。わかっていた欲望の肌触りは寒々しい。
 それで是しと承知していた大人たちの蚊帳の外。深夜に内緒話をしていたアレックスと、ちょうど自宅を訪れていた『キャプテン』の二人に怒って(そのあと諭された)あの日のような、いじけるとも飲み込み切っていないともいえる仕草。

SYSTEM :
 ………あなたはやがて消えゆく名残から一足先に飛び出した。当たり前だが、その高度数mほど。オーヴァードでも無傷ではない。

SYSTEM :
1d4 あなたを受け止めたのは…
1:アーキル
2:アイシャ
3:グレイ
4:カルロ (1D4) > 4

SYSTEM :
 ………戦いの中で一人でも“道連れ”が出ないよう、あなたたちのところに「借り」を返すことさえ並行しながら戦っていたアーキルではない。

SYSTEM :
 同じくひとりの死者も出ないよう尽力し、この領域を悼んでいたアイシャでもなければ、狙撃手であり、わざわざ敵の死を見に行くようなことを”悪趣味”として終わらせるだろうグレイでもない。

SYSTEM :
 ………その手触りからわかる。

 珍しいことに。
 そう、本当に、初めてのことだが。
 着地を受け止めた長身と変わらぬ面構えは。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :

「そうか。終わったのかね」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「姫君の答えは…ああ、いい。
 聞くまでもない。

 それより女神が観ている。何ならすぐに来る…。
 …人のつもりなら出口は選んで通りたまえよ、貴君。ただでさえ女神は余分に悲しむのだ」

SYSTEM :

 ………数度の比較があるので知っている。

 いまそこにいる“血色の探求”は、
 ・・
 本人であった。

夏瑞珂 :
 落っこちた先が意外で、まじまじと見返す。それでもいまいち実感がわかなかったので、ぺたぺたと触って確かめる。

夏瑞珂 :
 驚いたことに、難しい男はほんものだった。
 のばした頬っぺたから指を外して、眼鏡をかってに拝借する。度の合わない視界にめまいがした。

夏瑞珂 :
 見てるらしいローマちゃんにちいさく手を振って──とりあえず空に向けてみた──首を傾げる。

夏瑞珂 :
「『疑問が増殖しやがる…なんだコレ?』」

 どうしてあなたがここに? と、彼の盟主の声でたずねた。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「同じ過ちを繰り返さなければ生きていけぬとは、哀れな生き物だ………」

 男はこのように言いながら眼鏡をかっぱらった。

SYSTEM :
 手を振ると、夜空の星が瞬いたように錯覚する。

 真昼だろうと無明だろうと、等しく地を照らすマグナ・マーテルの守護衛星だ。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「貴君が女神に案じられていないと思うならば、それは大変業の深い鈍感だ。直ちに一度、レネゲイドに自己再生を命じるといい」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 ・・
「それがひとつだ。
 なお二つ目もあります」

夏瑞珂 :
 ムッとして眼鏡を再び強奪する。分かってないわけじゃ、ない。……と、思う。………。
 だって、約束もした。今も星の瞬きに彼女を感じた。でもだからって、だから──だって。

夏瑞珂 :
 なんでか頭の奥に王さまの静かな視線が浮かんで、ぶんぶんと頭を振った。振り回された長髪がべちんべちんと男をひっぱたく。

夏瑞珂 :
「『二つ目』」

夏瑞珂 :
にま~とわらう。

夏瑞珂 :
「『教えて欲しいのです。駄目ですか?』」

夏瑞珂 :
それは子どもをあやすような、とんでもなく優しい響きだった。

SYSTEM :
 男は長髪による打撃をものともせず、
 再び眼鏡のイニシアチブを制した。

 以後当分続く争奪なので割愛。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「フ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「ダメです」

SYSTEM :
1d20 言った回数 (1D20) > 9

SYSTEM :
男は9回ほど丁寧にダメですと繰り返した。

夏瑞珂 :
「『要求と提案はひとつだ』」

夏瑞珂 :
1d20 (1D20) > 16

夏瑞珂 :
しつこく16回も粘った。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
貴君は傭兵として交渉のすべは教わっておらんようだな 見るがいい女神の顔を

“アイシャ” :
意地悪はダメよ。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「では話を戻すか、二つ目だが」

夏瑞珂 :
「『だめな人』……」

SYSTEM :
 軽く折れたのは女神の頼み以上に”別に拒むことでもない”からだ。だめな人ではあった。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「………」

SYSTEM :
 男の視線が、飛び降りた向こう側。
 これから崩れ落ちる青き大樹の根元を見上げた。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 ・・・・・・・
「あれが二百人目だ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「………命の終わりは、終わっておらぬ命に何らかの影響を与える。
     サル
 そうして我々は進化の限界に達するまで、屍を踏んで生きてきた」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「研究もそうだ。何かの終わりは何かの始まりでもある。
 凡そ意義の薄い、種銭稼ぎの行いであったが、誰かがピリオドを確かめておかねばならんことはある」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「あれが名残のために生きて死んだ女だ。

 決断させてきたのは誰でもない。
 姫君自身だ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「私は意味を見出し終えた。故にピリオド以上の意味はない」
 
「だがしかし女神にも、あの小僧にも…。ローマで生きていくなら、意味のあることだろうよ」

夏瑞珂 :
 ──『百と九十八名が待っております。お先にどうぞ、お嬢様』

 なるほど、とあんまり分かっていない頷き。記念にスロットで大当たりの音を流しておいた。

夏瑞珂 :
「…… ……」

 つられるように仰ぐ。

 ずっと留まる生き方を望まない以上に、掠めとることはできないと言った男と、星空のしたに広がる営みを愛した女神さま。

 それから……。

夏瑞珂 :
「『物事には到達点がある』」

 喪失の記憶にほど近いところにある声を引っ張り出す。

 むずかしい男には、到達点はただの終止符でしかなかった。
 黄色のひととローマちゃんが到達点の先を厭うことはない。

夏瑞珂 :
 ゴールの先を厭うならそこで終わらせるべきだと言った男は、いまも間違った終わりの先にいるのだろうか。

 ……。
 到達点も終止符もないまま、さ迷うひとを想った。

夏瑞珂 :
                           オディオ
 何かの終わりは何かの始まり。わたしがこれから向き合う憎悪は、到達点と終止符、どちらに終着するのだろう。

 ……破れれば、そのどちらでもない。ただの断絶だ。

夏瑞珂 :
「『二つ目』『アリガトー』」

 考えこんだら疲れたし、聞くことは聞いたので満足してしまった。
 ぐったりと体重を預けきる。落とされたらローマちゃんに泣きつこうと思います。

SYSTEM :
 まず“血色の探求”はあなたの企みを看破しないほどの愚か者ではなかった。
 不承不承に預け切り、誠意のかけらもない男の『アリガトー』をそよ風のように受け流す。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :

「ひとつだけ。余分を話しておこう」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :

「たいそう悟ったような男の受け売りをしてくれたので言い返すが。
 到達点などというのはな…、たいていは当事者が自分で定めるものだ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「それにも例外はある。災害に遭った時だ。

 天か地か、はたまた…人か。
 まァ…どれでも構わないが。それは容易く”終わり”を作るものでな」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「………貴君自身の、貴君の天秤を傾けたものの終わりと命を共にするならば。
 
 姫君はいい参考だ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「したくなければ真逆がいい。

 以上。せいぜい苦しんで地を這いたまえ。
 私にとって貴君は人災だった。女神にとってどうであろうともね」

SYSTEM :
 男の言葉は一貫している。

 女神に“肩入れする個人”を作ったおまえが、よもや楽に苦しみから解き放たれると思うな、という念押しだ。

 彷徨い、割り切り、逃げるような選択のみを勧めなかったのがいい証拠である。

SYSTEM :
 …その中に、姫君に対する、ゾウと比較して蟻よりは大きいだろう余分を含んでいたことなど、あなたに分かったのかは定かでない。

 何せ、あったとしても理解して踏み躙る男だ。
 そうと分かっているかもしれない“むずかしい人”の言葉は、満足したあなたにとって子守歌の亜種でも不思議ではあるまい。

夏瑞珂 :
 こっくりこっくり揺れるあたま。寝たふりだ。名残のために生きて死ぬなんて幸福、わたしにはできっこない。

 それが叶うのなら、こんなところまで来てやしない。一貫した恨み節だって困りものだ。

夏瑞珂 :
 嵐は地を這わない。吹き飛ばして、拓くのだ。でも。
 みらい
 地平線に夢見るひと、地を這うひと、この地を愛するひと。それから、それから……。
 燃えつきる前に、わたしの余分も膨れすぎたらしい。

夏瑞珂 :
「『えー素人質問で恐縮ですが』」

 本当にうつらうつらしてきた意識を繋ぐために、思い出したように音を鳴らす。

夏瑞珂 :
「……『姫君』……『青の貴人』……『ティーラ』……『殿下』……」

夏瑞珂 :
 ちょうどいい言葉が見つからなかったので、ふにゃふにゃの腕をもちあげて眼鏡にクエスチョンマークを描く。指先で。

SYSTEM :
 ぱしん、と叩き落とす音。

夏瑞珂 :
「『て゛ぃたーんずッ!』」

夏瑞珂 :
音にびっくりして目が覚めた。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「余分は一度だけでね。いくらでも傷口を抉って聞ける者どもに頼みたまえ」

夏瑞珂 :
……。

夏瑞珂 :
「『いいかそれは安心じゃない。さらなる困難へのダイブだ』」

夏瑞珂 :
とか。

夏瑞珂 :
「『おっさんに発言権はないです』」

夏瑞珂 :
とか?

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「その具体例に”姫君”への答えが出ると思うならそうしたまえ」

夏瑞珂 :
でっかいでっかい音を鳴らしてやろうと思って、ふと気づく。

夏瑞珂 :
「『傷口』」

夏瑞珂 :
いま開きました。あと聞きました。

夏瑞珂 :
「『傷口』」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「貴君オーヴァード
 傷口 リザレクト OK?」

SYSTEM :
 人はこれを塩対応と呼ぶ。

夏瑞珂 :
「『だめな人』」

夏瑞珂 :
ローマちゃんを一目見たら寝てしまおうと決めて、最後に一度だけお屋敷を見上げた。

夏瑞珂 :
 ……。鳥のおじさまには、あれが到達点だったのだろうかと。
 きっと直接問いはしない疑問を胸に浮かべて、しばらく眺めていた。

SYSTEM :
 やがて…。
 “マグナ・マーテル”/アイシャの降り立ち、あなたの開いた傷口を見てよけいな誤解を招く一幕を一目見るまでの微かな猶予。

SYSTEM :
 ………男はあなたのわざと連発する女神の憐憫を流して、月灯りに背を向け口にした。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「アルフォンス、バルトロメオ、チリーノ、ドナート、エヴェラルド。
 アニェーゼ、ベネデッタ、コンチェッタ、ルドヴィカ、サンドラ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「クウィリーノ、ウンガロ………アドリア」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「その名たちには、この世界で数少ない…
   ・・
 私に復讐する理由があった」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「当事者だからな。

 だがその権利を手放した女のために、死してそれを手放した。怨むことではない。尽くすことを選んだ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「まァもちろん私自ら頷くには遅く、
 理由とて不足していたわけだが………」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
       マシ
「………もっとも優等な王者だったろう?
             ..つよ
 応報の火を止めるなどという弱さ、
 そうそうありはせんのだからな………」

SYSTEM :
 男は。
 最後に人の感情で穢れ、責務から解き放たれた娘の臨終を知らないが。

SYSTEM :
 ………庭の終わりを。
 意味のあることと記録するために来ていた。

 あるいは、女神に教えるためにわざわざ自ら出向き、目を向けさせたのかもしれない。

SYSTEM :
 男に…。
 ローマに以降とどまる気が“ない”とわかるのは。
 すこし、先のこと。

 だが、その余談よりも何より先に語るべきことがある。

SYSTEM :
 ──────レネゲイド解放の折より、土地を愛し、国を愛し、己の伝統の鎖に自ら縛られることで“日常”と“欲望”を生んできた者たち。

 その庭が再びローマをいつくしむことは。
 二度と、ない。

SYSTEM :
 同じ気高さと強さは…もう、二度と。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

夏瑞珂 :
(埋まった欄を見る)

マスター・ハーヴェスター :
新規は無いが……

夏瑞珂 :
(画面中央を睨む)

夏瑞珂 :
"NOPE"

GM :
ふむ…既存の変更ですか?

マスター・ハーヴェスター :
いや……タイタスへの変更宣言は出来るか?

GM :
(画面中央から目をそらさせながら)

GM :
………ふむ。構いませんよ。

マスター・ハーヴェスター :
助かるよ。

マスター・ハーヴェスター :
"青の貴人"だ。Sロイスだが……こいつをタイタスにしておく。

GM :

GM :
もちろん、処理上は問題ありませんが…。
よろしいのですね?

マスター・ハーヴェスター :
ああ。

マスター・ハーヴェスター :
言うべきことは、全部言ったからな

GM :
よいでしょう…キャラシートに変化を書き加えておいてください

マスター・ハーヴェスター :
ああ

夏瑞珂 :
…。(意味もなく背後に忍びよる)

ラーゼス :
おれもない。……そうだな、変更もしない。

“七花胡” :
では。自分は感情の変更を。

“七花胡” :
「庭の花たち」にとっているロイスの感情を…… ○傾倒/疎外感 から、 ○慈愛/疎外感へ

“七花胡” :
……異なる庭の在り方、そして庭師の在り方を垣間見ました。彼の庭と相容れぬからこそ、鏡を得たようなもの。

“七花胡” :
見つめ直しの機会を得たことを、手向けにしましょう。
などと、一笑に伏されるのでしょうがね?

GM :
死者は喋りませぬ。ですが…

GM :
確かめる機会が悪かった試しもありません
いいでしょう 変更と記入をお願いします

“七花胡” :
承知しました。速やかに。

GM :
 各自確認しました。それでは…。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
【Check!】
 ”青の貴人”
 “ヘカトンケイルがゲームから退場しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 対象のDロイスを計算しています... 

SYSTEM :
【Check!】
 下記のDロイスを検出しました。

・『特権階級』
・『触媒』
・『強化兵』
・『野獣本能』 

SYSTEM :
【Check!】
 下記のアイテムを獲得しました。

・エンブレム:ハーミットセプター
 PC勢力値を+15する。

・エンブレム:最強の一振り
 任意の武器ひとつに「IA:P152」の効果を適用する。

・エンブレム:コープス
 セットアッププロセスで使用する。
 指定した対象に「4d10」のHPダメージを与える。(使い捨て) 


・対話シーン10(夏瑞珂、”七花胡”)

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
S1d24 (1D24) > 23

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 覚醒:生誕
 特別なものが特別であることに理由などいらない。
 彼は始めから人間としては破綻していた。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 クリンナッププロセスに移行します。 

SYSTEM :
【Check!】
 FH諸勢力が行動中です... 

“黄の希人”アーキル :
 と…言っても。
 この期に及んでする行動なんてのは、
 たかが知れているわけでだな。

“黄の希人”アーキル :
 もはやローマの大勢は決したが、
 そのローマがどうにかなる瀬戸際が決しちゃあいない。「1:自組織の勢力拡大」を宣言する。

“黄の希人”アーキル :
 …毎度やってないか?

“黄の希人”アーキル :
19dx+10  (19DX10+10) > 10[1,2,3,4,5,5,6,6,6,7,8,8,8,8,8,9,9,9,10]+10[10]+7[7]+10 > 37

SYSTEM :
【Check!】
 判定の結果、勢力値が変動します。

     ギルド:0
   “貴人の庭”:0
“御手翳す開放者”:22→26 

SYSTEM :
【Check!】
 クリンナッププロセスの終了を確認しました。
 リザルトに移行します... 

SYSTEM :
[ラウンド]
 4/7

“御手翳す解放者” :
御手翳す解放者
 勢力ゲージ:26+15]/30

[プレイヤーとの関係]
 同盟/協調可能
 
[所属メンバー]
“黄の希人”:生存/居場所判明【攻撃可能】
“アイシャ”:生存/居場所判明【攻撃可能】
“血色の探求”:生存/居場所判明【攻撃可能】

PLAYER :
[プレイヤー/ファントムストークス]
 勢力値:26+[15]/30(“御手翳す解放者”と共有)

[各勢力との関係]
御手翳す解放者:同盟

リグ・ヒンサー:組織消滅済
“貴人の庭”:組織消滅済
ギルド:敵対/勢力減退済

“レムス”:敵対

[所属メンバー]
・”逢魔狩り”/生存
・“Mr・A”/生存
・“血穢の蓮花”/生存

[協力メンバー]
・“アセルス・デスミオス”/生存
・“帝釈天” /生存
・”グレイ・スコーピオ”/生存

『レムス』/ワイズマン :
 HP:???/???

SYSTEM :
【Check!】
 レネゲイドライフのLvが[1]増加しました。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 セットアッププロセスに移行します。
 情報判定/調達判定が可能です。 

ラーゼス :
「ホワイトハーブ」を購入したい。よいか?

GM :
ふむ。確認しております…。

SYSTEM :
【Check!】
 調達判定を確認しました。
 判定を行ってください。(目標値:18)

ラーゼス :
いざ。

ラーゼス :
(1+4)dx+11 (5DX10+11) > 9[2,4,5,9,9]+11 > 20

“黄の希人”アーキル :
恙無く。て、トコか。

“黄の希人”アーキル :
仕切ってた”庭”の姫様が倒れた影響とすりゃ、
戦後を考えると喜ぶには早いが…

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 調達に成功しました。
 アイテムの記入をお願いします。 

(内容:ホワイトハーブ)  

ラーゼス :
とはいえ、今は僥倖を喜ぶべきだな。貴公のお陰だ。ありがとう

ラーゼス :
早速使っても?

GM :
問題ありません。どうぞ!

ラーゼス :
では。

ラーゼス :
2d10 (2D10) > 15[8,7] > 15

system :
[ 獅子王 ] HP : 16 → 31

夏瑞珂 :
『アリガトー』

system :
[ 夏瑞珂 ] HP : 14 → 29

“Mr・A” :
ちなみにワタシのHPは回復しないので
戦闘に参加したりできない。不思議だねエ…。

system :
[ "七花胡" ] HP : 3 → 18

夏瑞珂 :
『いるわよ(裏声)』

“Mr・A” :
フッいないわよ なぜかわかるかな? 
この左上のHPバーをチェックして
こう唱える “存在しない”と

夏瑞珂 :
『“存在しない”』

夏瑞珂 :
『ちなみにこれは言ってみただけ』

“逢魔狩り”三草由芽 :
カレの言葉はTPO弁えないと相手がおこですから
コトが終わったらポカンと忘れるんですよ

夏瑞珂 :
『出来ない相談だよ!』

“Mr・A” :
アラヤダ著作権フリー!

“逢魔狩り”三草由芽 :
乗せるな! 乗らないで!

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] HP : 11 → 26

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] HP : 26 → 23

マスター・ハーヴェスター :
"七花胡"、まだ本調子ではないな

マスター・ハーヴェスター :
ちょうど掻っ攫ってきたモンがある……医療トランクだ、使え

“七花胡” :
おや、気付かれてしまいましたか。とはいえ今後のことを考えれば、虚勢も考え物……

“七花胡” :
有難くいただいておきます。貸し一つですね

“七花胡” :
2d10 医療トランクHP回復分 (2D10) > 11[3,8] > 11

system :
[ "七花胡" ] HP : 18 → 26

“黄の希人”アーキル :
お見事。万全に備えたからって勝てるわけじゃないが
備えなかったことはいつも都合の悪い時に裏切るモンだからな

“アイシャ” :
実体験?

“黄の希人”アーキル :
実体験。いつも不測にちょっかい出されるほうなんでね。
なんで、あんたらがそうだとしても跳ね返すのを願うぜ。

“七花胡” :
何よりも「不測」の確率を剪定することに意義があるものですからね。備えあれば患いなし。良い言葉です

“七花胡” :
ではこちらも、最後の物資調達を。
リアクティブコートを狙いましょうかね、今の利回りであれば不可能ではありませんから。

GM :
ふむふむ。

GM :
良いでしょう、それでは…。

SYSTEM :
【Check!】
 調達判定を確認しました。
 判定を行ってください。(目標値:36) 

“七花胡” :
7dx+13 調達(目標:リアクティブコート) (7DX10+13) > 10[1,4,5,8,9,9,10]+5[5]+13 > 28

“アセルス・デスミオス” :
おっと…流石に戦争やってた最中だ
いつもに輪をかけて品薄だったかね

“アセルス・デスミオス” :
…ちなみに大将
敢えて聞きますけどどうすんの?

“七花胡” :
愚問だこと。貴方も顔に似合わずおしゃべりが好きですねえ

“七花胡” :
今自分の財布の中にある金は、ローマ入りに際して用立てたもの……臨時のお金なのですよ。この仕事以外に使い道のない、ね

“七花胡” :
自分の金でもないのに渋る理由もありません☆ 派手に使ってしまいましょう

“アセルス・デスミオス” :
ナッハッハ。宵越し持つことないってワケ。
ってーと、投資のお時間さね。

“七花胡” :
はい。財産点8点。お支払いで、ちょうどですね?

“七花胡” :
あるところにはあるものですよ。

GM :
わかりました。丁度36になりますので…。

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

system :
[ "七花胡" ] 財産点 : 8 → 0

SYSTEM :
【Check!】
 調達に成功しました。
 アイテムの記入をお願いします。 

(内容:リアクティブコート)  

“七花胡” :
……とはいえ、自分は既に新調済みですし、前にも出ませんしね。こういうものは分配するべきでしょう。

“七花胡” :
“帯来风暴”、貴女が着けておきなさい。サイズは……大丈夫だとは思いますが

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
(ぺたぺた)

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
『イタリアで値札がついてないやつは、9割カモ御用達だ』

夏瑞珂 :
『この分の御代は請求書に乗せておきます』?

“七花胡” :
ご心配なく、お金はとりませんよ。これは先行投資と思っていただければ結構

“七花胡” :
つまり、貴女の働きに期待します、ということです。

夏瑞珂 :
『ハ、ハ、ハ! 褒められちゃったネ』

夏瑞珂 :
『励むとしよう』

夏瑞珂 :
(その場で着替える)

“七花胡” :
あ~も~ せめて向こうで……

“血穢の蓮花”盧秋華 :
ですって。由芽ちゃーん?(そそくさ)

“逢魔狩り”三草由芽 :
今の(現場お着替えは)なかったことにーーー!!!(ひきずる)

“七花胡” :
ハイハイ、頼みましたよ女性陣(手ひらひら)(視線あさって)

マスター・ハーヴェスター :
さて……静かになったところで俺も少し流通路を漁るかね

マスター・ハーヴェスター :
リアクティブアーマーを探しにいくか。まだ残ってんだろ、多分……。

GM :
ふむ…少々お待ちください。

SYSTEM :
【Check!】
 調達判定を確認しました。
 判定を行ってください。(目標値:24) 

マスター・ハーヴェスター :
(1+3+3)dx+15 <社会:調達> (7DX10+15) > 8[3,3,3,4,4,5,8]+15 > 23

“Mr・A” :
さすがに四六時中狼狩りをしていただけはある
「死にゆく男たちは守るべき女たちへ」というやつだネ

“Mr・A” :
連中に女がいたかは分からないが!
ハ ハ ハ!

夏瑞珂 :
『ハ ハ ハ!』

マスター・ハーヴェスター :
そりゃ皮肉のつもりか?だったら痛いがね。

“Mr・A” :
なに、瘡蓋が出来たら笑い飛ばせるサ。

“Mr・A” :
人生をかけた戦いに敗れることなんて
儘あることだと…

実は調達に付き合ってくれたが余計なことしかしなかった”カレ”が言っていたからね

SYSTEM :
【Check!】
 判定に失敗しました。 

“逢魔狩り”三草由芽 :
夏ちゃんの声が戻ってあの笑い方を直にまねしたらどうしようと…

“逢魔狩り”三草由芽 :
思う私なのでした。

夏瑞珂 :
『お後がよろしいようで何より』

マスター・ハーヴェスター :
……それは俺らの責任じゃねえよ。

“Mr・A” :
ほう ならば存分にこのワタシの全カス語録を

SYSTEM :
【Check!】
 残る調達判定を確認しています…。 

ラーゼス :
……。

“Mr・A” :
 フ…物理的鎮圧の次は精神的鎮圧かね
 だが…

“Mr・A” :
 Super Armor...(斜体)

夏瑞珂 :
"ホローポイント弾"

夏瑞珂 :
『を探しにいくか』

GM :
了解しました。確認しています。

SYSTEM :
【Check!】
 調達判定を確認しました。
 判定を行ってください。(目標値:10) 

夏瑞珂 :
5dx+10 (5DX10+10) > 10[1,3,5,9,10]+10[10]+3[3]+10 > 33

SYSTEM :
(おそらく存在する軍属との縁、
 あるいはこの期に及んでセーフハウスに籠りきりの男の顔が浮かぶ…)

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】
 調達に成功しました。
 アイテムの記入をお願いします。 

(内容:ホローポイント弾)  

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
……

夏瑞珂 :
『お望みどおりに詰め込む序で』

夏瑞珂 :
(わざと箱から出した上で鳥のおじさまのポケットというポケットにつめこんでいく)

夏瑞珂 :
『それがひとつだ。なお二つ目もあります』

マスター・ハーヴェスター :
おい、ジャケットの皺になるだろうが…

“アイシャ” :
(後ろから手を置く)

“アイシャ” :
わかってやる“いじわる”は…だめよ。

夏瑞珂 :
『だめ?』

マスター・ハーヴェスター :
もう慣れた

“アイシャ” :
あなたがあとで
誤魔化したくなってしまうから。

“アイシャ” :
………

“アイシャ” :
コミュニケーション………

マスター・ハーヴェスター :
あと躾は俺の役割じゃあない

夏瑞珂 :
……

夏瑞珂 :
『なんとも失敬を……』ヨヨヨ

マスター・ハーヴェスター :
なんだ お前

“七花胡” :
ハ~ まあ菓子屑でもないのです 受け取ってさしあげては

マスター・ハーヴェスター :
そりゃそうだがね 何も受け取らんとは言ってない……

“アイシャ” :
(こく)

マスター・ハーヴェスター :
ジャケットが皺になるのが困るだけだ ったく、誰だ教育係は……

“アイシャ” :
“意地の悪いの”はおこる相手にとっておいて。
あまり褒めたことじゃないけど。

“Mr・A” :
彼女の言葉の教育係? はい。

夏瑞珂 :
『アラヤダ著作権フリー!』

“七花胡” :
女性陣? ほっとくとまた変な語録ふえますよ コレ

“黄の希人”アーキル :
アラヤダ言いてえのは俺なんだよな

マスター・ハーヴェスター :
ルー…

マスター・ハーヴェスター :
やっていいぞ

“血穢の蓮花”盧秋華 :
その前にこの子………
ちょっと気分転換しましょうね

“血穢の蓮花”盧秋華 :
…や こっちのが早いわね
じゃお先に(無言でAを引き摺っていく音)

“Mr・A” :
ではここで一台詞
A死せども…自由は死せず

マスター・ハーヴェスター :
……ま、こいつはありがたく受け取っておく。

マスター・ハーヴェスター :
狼狩り兼……街壊しにはもってこいだ。

マスター・ハーヴェスター :
ありがとよ、瑞珂。

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
『結果が手段を正当化する』

夏瑞珂 :
 

マスター・ハーヴェスター :
ハ、その通りだ。

SYSTEM :
【Check!】
 セットアッププロセスの判定を全て確認しました。

SYSTEM :
【Check!】
 シーン展開を確認しています...。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
S1d24 (1D24) > 3

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】 

 経験:路上孤児
 広すぎる天と地の間、狭すぎる汚い路地裏で鼠のように暮らした。
 醜悪な食い潰し合いこそ世界の平均であると「ただしく」認識した少年にとって、
 自尊など生存のためには一分の扶けにもならなかった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

“七花胡” :
 “貴人の庭”の領地での戦闘を終えた。
 戦いはまだあと一つ残っているとはいえ、王庭の君とその臣下たちとの侵略戦争における被害は看過できるものではない。
 よって、我々は“御手翳す開放者”の拠点に帰還。真っ先に傷の手当を行い、それから諸々の支度を整えるため、一時各自解散と相成った。

“七花胡” :
 その頃には頼んでいたものの工面が出来ていたから、またどこぞへと行かれる前に彼女を呼び止めた。
 ……呼び止めた理由に必要性以上のものがあったことは、とりたてて否定はしない。

“七花胡” :
「着れたら出てきてくださいね。メモ帳は衝立すぐそこ、机の上です」

“七花胡” :
 空っぽの椅子を用意しながら、衝立の裏に声を掛ける。

夏瑞珂 :
 真新しい洋服に袖を通して、軽くなった頭を振る。べつにからからと音が鳴ったりはしない。

「『だがその後がちょっとばかり問題でな』」

 全身に染みついた気がしていた、焦げつく匂い。
 それは、おおよそ三年分の怠慢を切り落とせば簡単におさらばできるモノだったことが、少なからず衝撃だった。

夏瑞珂 :
「『いいんだよな? いいな?』」

 衝立からひょっこり顔を出す。

“七花胡” :
「…………!」

“七花胡” :
「……見違えましたね。店で一目見た時から、似合うと思っていたのです。
 まるで貴女にあつらえたようだ、と」

“七花胡” :
 衝立の裏から出てきた娘を、用立てた服を取りに行くという口実で連れ出し、帰ってきたのがつい先ごろ。
 といっても観光向けの中心街の方ではない。元はと言えば“貴人の庭”が根を張っていた、高級官僚などの住まう地域だ。
 縄張りの主が亡くなっても、それで下々の生活が一変するわけではない。“黒鉄の狼”やセル同士の抗争による被害を受けつつも、我々が少しの間ショッピングに興じるくらいの賑わいはあった。

“七花胡” :
 あちこちがほつれていたり焦げていたり、それでなくとも先の戦闘で血痕だらけだった服のかわりに、過酷な戦闘にさえも堪え得る特殊な製法であつらえた一着を。
 ついでに、ブティックをいくつか巡って服を見繕った。一着買ったら二着も三着もそう変わらない。
 過度に豪奢なものは嫌うだろうかと、それなりのブランドに目星をつけた。

“七花胡” :
 それから。美容院に行って、荒れ果てた茂みのようだった髪を整えさせた。
 切るよう勧めたのは、見苦しかったから、ではない。

 良くも悪くも、彼女にとっては、ずっと付き合ってきたものが一変した。
 ならばそれを機に、身軽になってはどうかと。
 そうすればより高く飛べるのではないかと────そんなところだ。

“七花胡” :
 あくまでも貴女の選択。美容室のふかふかの椅子に座らせたあとは、差し出口を挟むことなく好きに頼みなさいと、本人と美容師に一任した。
 そうしたら、何かを脱ぎ捨てるようにばっさりと切り落としてきて。

“七花胡” :
 黒い羽衣に、艶を増したぬばたまは玉のよう。
 ここまで来たら駄目押しにと、エステに放り込んで全身を磨かせたくなるのも仕方のない話だろう。

“七花胡” :
「試着はしましたし、大丈夫なはずですが……身丈は? 苦しくはありませんか」

“七花胡” :
 不躾にならない程度に時間をかけた成果を眺めてから、空いた片手を取って椅子の方へ導く。
 さて、せっかく贈ったのだ。気に入ったのならよいが。

夏瑞珂 :
 歯の浮くような台詞に面食らう。

 あぜんとして固まる数秒、
 スススと衝立の奥に引っ込む。

夏瑞珂 :
「『ふっ、これは素敵なラブコールだ』」

 ……よりも早く、片手を取られて椅子に連行されてしまった。しぶしぶ座って、ぱたぱた足を揺らす。

「『ああ。だがもちろん、こんな言葉遊びでおまえの疑問を流したいわけじゃあない………』」

夏瑞珂 :
「…… ……」

 言葉が見つからない──どっちの意味で?

夏瑞珂 :
"へいき"
"ぴったり"

 膝に乗せたメモにペン先を滑らせる。

夏瑞珂 :
 この半日を振り返る。面白半分についていったら、行き先は商品に値札のついていない店ばかりだった。
 『カモ御用達だ』。くりかえし忠告したが、全部流されてしまった。

夏瑞珂 :
 お次は美容院。予約もなしに入れる店ではないだろうに、どういう魔法を使ったのか、あっという間に鏡の前。

 あとで整えてもらうがよい。
 いつか側頭が吹き飛びかけたとき、ライオンちゃんに言われたのを思い出した。ずいぶん遅い『あと』だった。

夏瑞珂 :
 最後は人力洗濯機みたいなところへ放り込まれた。剥かれて、塗られて、揉みこまれて──あれは何が起きていたんだろうか?

夏瑞珂 :
「『“なあに”は俺の台詞だぜ』」

 わたしにかけられた手間暇と出費に対するWHYを音にする。

“七花胡” :
「ぴったり。それは良かった。もっと窮屈な服でも、貴女なら見栄えはするでしょうが……わざわざ着心地の悪いものを選ぶ必要もありませんからね」

“七花胡” :
 雲隠れを果たそうとする前に、その掌を攫うことに成功した。座らせても、その造形ぶりに反して、不思議と人形という印象は抱かせない。
 磨き上げれば驚くほど大人びた容姿をしているのに、足を落ち着かなさげにぶらつかせているところなんかが、若年のチルドレンたちの奔放さを彷彿とさせた。

“七花胡” :
「貴女にさんざん付き合っていただいたのは……おっと」
 彼女の目の前のソファに腰を落ち着けようとしたところで、何かに気付いてもう一度立ち上がる。

“七花胡” :
「頭の横が跳ねていますよ。着替えた時に引っ掛けたのでしょうかね。
 失礼、触れても?」
 手鏡を差し出しながら、側頭部を指さす。片手には既に櫛があった。

夏瑞珂 :
「『ははっ。だろう?』」

 手鏡を覗くと、ぴょんと毛束が跳ねていた。

夏瑞珂 :
「…… ……」

 ぼろねずみが身綺麗にされるのは二度目。
 でも触れることに許可を求めるひとは、あまり知らなかった。

夏瑞珂 :
 頭を傾ける。どうぞ。……。

夏瑞珂 :
「『どうぞ』」

 目の前にいる彼の声。

“七花胡” :
「……まったく。貴女の口から自分の声が聞こえてくるの、未だに少し驚きますね。
 では失礼して。書くのに邪魔だったら、手鏡は下ろしてもかまいませんよ」
 苦笑を零しながらも、櫛を片手に背後に回った。滑らかな黒絹に指を通して、優しく梳っていく。

“七花胡” :
 彼女が再生することを択んでいるのだから、レコーダーで自分の声を聞くのとは違う感覚なのが当然だ。
 そこには意図がある────いたずらっ子が指先でつつくような、柔らかいからかいが。
 受け止めながらも、手を止めず、言葉の続きを紡ぐ。

“七花胡” :
「注文の品を取りに行くついでに、試着させたかったのが二割くらい。
 貴女にできることを他に探した結果がこれだった、が三割くらい。
 自分が仕立てた貴女を見たかった、というのがだいたい半分」

“七花胡” :
「総じて、十割自分の我儘です。貴女自身に、外見への興味はあまりなかったのかもしれませんが……。
 『自分のために服を選ぶ』とか『選んでもらう』とか、そういう経験を少しでも多くして欲しかったのです」

“七花胡” :
「慣れないところで落ち着かなかったでしょうに、最後まで付き合ってくださってありがとう」

夏瑞珂 :
 わたしへの親切を自分のわがままと言うひとには、覚えがある。振り返れば両手の指で足りない数は、ローマでさらに増えた。

 クリスマスを迎える前のわたしに言っても、きっと信じない。
 三年前の悪夢に居続けるわたしは、何も言わなかった。

夏瑞珂 :
「『アラヤダ』」

 先にお礼を言われてしまった。
 ちょっと考えてから、わたしの知るなかで、とくべつ厳かでよく通る声を選ぶ。王さまの声。

「『ありがとう』」

夏瑞珂 :
"慣れてる"

 手鏡の代わりにとったメモに綴ってから、遅れて書き足す。

"あなたは"

夏瑞珂 :
 身に纏うものに気をつかい、自分を整えることに。それから。

"がらくた"
"子ども"

 二つの単語を並べる。そうしたものに触れることに、あなたは慣れているように見えると。

“七花胡” :
 すっかり聞きなれてしまった、しかつめらしくも何処か素朴な、低い女性の声。貴女はすっかり彼女がお気に入りですねと、内心でごちる。
 貴女は、この国で出会ったいくつもの人との記憶を、ちゃんと抱こうとしているように見える。
 その分、貴女自身の声を聞けなくなってしまってからは、随分と経っているように感ぜられた。

“七花胡” :
 単語が並べられたメモ帳を視線で捉える。
 習字体ではなく、誰かの書き文字をそのまま手本として育ったような、少し癖のある筆記体。

“七花胡” :
「……そうですね。慣れていると言えば、そうかもしれません。
 自分のところの子供たちは、いずれも何かを奪われ、欠けた状態で見つかるのがほとんどです」

“七花胡” :
「そもそもそういう目に遭わなければ、自分の目に留まることもない……。
 健やかに、望むままに育って欲しいのに、そういう子供たちに限って、人生に生じた欠落、あるいは余分に、囚われてしまう。
 ジレンマですね」

“七花胡” :
「……でも、だからこそ、選べる未来は出来る限り、多くあって欲しいのです。
 否応なしに決断の時はやってくる。その時に見渡せる地平は、往ける先は、足下よりもよりずっと、広く大きくあって欲しい」

“七花胡” :
「そのために、いろんな経験をさせたいのです。知らないものは択べないから。
 『服』と言われるものにどんな種類があるのか、見てみなければ考えることもできないでしょう?」

“七花胡” :
「そういう経験を、貴女にもして欲しかった。
 たくさんの服や靴を見て、選んだことで……『今日』の終わりに、貴女がたくさん悩めるように」

“七花胡” :
「悩んだうえで、納得して、『明日』を択べるように。
 自分からの贈り物は、そういうおまじないみたいなものだと思ってください」

“七花胡” :
「……はい、できましたよ。どうですか?」
 話しているうちに、跳ねていた部分だけでなく、全体に櫛を通し終えた。
 切ったばかりの毛先を綺麗に流して、手鏡で眺めてみるよう促す。

夏瑞珂 :
 鏡の中のじぶんと向き合う。ぱちりと重なる視線。

「『ローマにようこそ』」

 身綺麗になった自分への「初めまして」と「久しぶり」を唱えた。

夏瑞珂 :
 ……。

「『私はその正しさに馴染みませぬよ』」 

 いつかと同じ台詞を再生する。
 おまじないを否定するわけでは、ないけれど。

夏瑞珂 :
 無数に広げた選択肢から、自分の意思で選び取る。
 憎悪に焦げついたままでは明日は選べないし、自由を取り戻したわたしが欲しがるものはひとつだ。

夏瑞珂 :
 見渡せる地平は、嵐に拓かれた荒野がいい。
 往ける先は、足下よりもよりずっと、広く大きく。

夏瑞珂 :
「『それもこういう場じゃ“合わないけど一緒にやって行きましょう”を言える前提あってのことだ』」

夏瑞珂 :
「『いや、こいつは少し話がズレたか?』」

夏瑞珂 :
 手鏡を渡して、ペンを取る。

夏瑞珂 :
"あなたが拾った子どもは"
"きっと幸せ"

夏瑞珂 :
"何かに囚われていても"
"くれたカードから選べなくても"

夏瑞珂 :
"あなたがしてくれたことは"
"なくならない"

夏瑞珂 :
 ……お互いを通して、わたしたちは別の人を見てもいたと思う。少なくとも、わたしはそう。

 もう届かない言葉を、やさしいひとたちへ。

“七花胡” :
「…………参ったな……」
 綴られた筆跡は、紛れもない貴女の声だった。
 思ってもみなかったものを渡されて、つい、浮かべていた微笑みが崩れる。

“七花胡” :
    ただしさ
 あなたの 庭 では、息ができない。

 聞き覚えのある声で再生されたものは、それが交わされた時の文脈を踏まえれば瞭然だ。
 男の声の硬質通りに強固なのに、決して烈しい拒絶を伴わない、柔らかな道別れ。

“七花胡” :
 がらんどうにも響く声はあった。
 彼女の告げた通り。
 口にする言葉を択べるのなら、その心の底は抜けていないはずだと。
 自分の信じた通り。

“七花胡” :
 喪失/憎悪/遭遇/祝福、あまたを経験し、そのうえで、彼女は選択し続けている。
 荒野を築く道を。
 岐路に立つたびに、それはもう、生真面目なくらいに。
 自分の願った通りに……。

“七花胡” :
 彼女は択ばされてなどいない。
 与えたもの、ぜんぶきちんと受け取ったうえで、『明日』を決めている。
 この子はきっと、『自分のために選ぶ』『選んでもらう』練習を、とっくの昔に『誰か』とし終えているのだ。
 自分なんかがあれこれ気を回さずとも。

“七花胡” :
「……貴女は、きれいな靴を履いて街を歩くことと、素足で走り回ることなら、素足の方が好きなのですね。
 そうか。なら……より好い方を選んだほうがいいに、決まっている」

“七花胡” :
 彼女の座る正面に回って、それからカーペットの上に膝を付く。
 膝元のメモ。くせのある筆記体をもう一度、愛おしむように読み直してから、やがて、視線が合うように面立ちを見上げた。

“七花胡” :
「自分はこれからも、服や靴を持たぬ子どもたちに、贈ることを択ぶでしょう。
 貴女にしたのと同じように」

“七花胡” :
「その子どもたちが、幸せだと感じてくれるなら……これ以上はありません」
 貴女が感じてくれたのと同じように。

“七花胡” :
 ただ……

“七花胡” :
「……貴女に、今の貴女を見せたい人は、いますか?」

“七花胡” :
 本当の本当に、我儘だ。尋ねる必要のない蛇足。
 貴女のための問いではない。口にした直後に渇きを感じるくらい、思いやりを度外視した浅慮だ。

 だのに、どうしても、尋ねておきたかった。

夏瑞珂 :
 彼の思う最善と、わたしにとって好いものは違う。両者の差が大きいほど、彼の柔らかな部分は磨り減っていく。

 素足が泥に汚れて、路傍の石に傷つくことを案じてしまうのに、それでも彼は後者を大事にしたいらしい。

夏瑞珂 :
 跪く彼と、視線が重なる。
 きれいな靴を履かせてあげたいひとの位置。

「『貴公のそれが、貴公にとって必要なことなら』『“がんばりましょう”スタンプを押す』」

 あなたが望んで、選んだことなら。
 そして、聖夜の贈り物に救われた子どもとして。

夏瑞珂 :
「…… ……」

 どうだろう、と沈思する。

 今のわたし。彼の目には、どう映っているのだろう?

夏瑞珂 :
 無遠慮にサングラスを外して、双眸を覗く。琥珀の中のわたしは……。

夏瑞珂 :
「──ァ」

 喉から、ひゅうひゅうと空振る音。

夏瑞珂 :
「A──L──」

 隙間風に発音が混じりだす。あのボロ屋敷で掴んだきっかけを、確かに感じた。

夏瑞珂 :
「アレッ ク、ス」

夏瑞珂 :
「アレックス……」

夏瑞珂 :
「アレックス・ブリーズ……!」

夏瑞珂 :
 憎悪に焦げついて、濯がれないまま。
 そんなの見せられないし、見せたくない。

 でも今は、たとえ今だけでも。
 彼の瞳に映るわたしが、三年前よりもっと昔に置き去りにしてきた女の子にそっくりだったから。

“七花胡” :
「────────!」

“七花胡” :
 攫われたサングラスに面食らいつつも、好きにさせた矢先。
 零れ落ちた音の欠片に、息を呑んだ。
 貴女の掴みかけた音律を自分の鼓動の一音が逃させてしまうことなど、罷り間違ってもあってはいけないと……呼吸さえ潜め、束の間を辛抱した。

“七花胡” :
 そうして寛げられた、ひとつの名前。
 声を喪ってなお、自分の音で綴ることを譲れなかった────それが貴女にとって、いちばん大事な名前。
 貴女にとっては荒野を往くことと同じくらい大切な、たぶん、貴女がその文字のお手本としたのであろう、その「誰か」だ。

“七花胡” :
 貴女を形作る善意の名前を、貴女自身の口から聞けたことが。
 これほどまでに嬉しいことだとは、思いもしなかった。

“七花胡” :
「……アレックス・ブリーズ。
 貴女の大切な人だ」

“七花胡” :
 貴女が貴女の声で、届けたのだ。それを貴女自身に返すように、ゆっくりとその名前を復唱する。
 ……自儘で尋ねた不躾の後味を、込み上げる喜びが拭い去る。

 鏡の向こうにいる貴女の大事な人に、自分の瞳を通すことで、その姿が映るように……
 精一杯柔らかく微笑んで、貴女を見つめ返した。

“七花胡” :
「きっとその方も……喜ぶはず。
 自分が、貴女の見違えた姿を嬉しがったように、ね」

 自分が貴女に与えたがっただけなのに、受け取って、あまつさえ返してくれたことが嬉しかったように。
 その彼も、貴女から貰ったものなら、きっと何だって喜ぶはずだ。
 貴女が自分で選んで贈ったものであるのなら、それはもう、格段の、特別に。

“七花胡” :
「……ありがとう」
 教えてくれたことを。受け取ってくれたことを。

“七花胡” :
 貴女が自分の庭を択ばなくても、自分は、貴女の道行きを祈ろう。
 大事なものを山ほど抱えたまま、荒野の果てまでを駆け抜けられることを。

夏瑞珂 :
 切れ長の瞳がほんとうに嬉しそうに笑むから、むず痒くなってサングラスを戻した。
 薄い翳りの向こうへ追いやっても、その瞳は優しいまま。

夏瑞珂 :
 言葉の引き出しを漁ってから、もう、その必要がないと思い出す。喉に手を当てて、すこしの緊張と共に唇を開いた。

「……知ってるわ」

 きっと喜ぶし、いっぱい嬉しがってくれる。急にしどろもどろの口下手になっても、たくさん褒めてくれるんだろう。

夏瑞珂 :
「可笑しなひと。与えたがりなのに、お礼まで言いたいなんて」

夏瑞珂 :
「わたしのぶんがなくなっちゃうわ」

“七花胡” :
 明るくなった視界が、再び偏光グラスで覆われた。
 ずっとこのサングラス越しに貴女を見ていたのだ。今更返却したところで大して変わるまいとは、知っていように。
 くすくすと笑って、好きなように誤魔化させる。

“七花胡” :
「なくなったりしませんよ。貴女が貰ったものです。貴女が要らないと思わない限り、貴女の中から消えはしない」
 そして多分、この娘がそれらを『要らない』と思うことは無いだろう。

“七花胡” :
「無くなることは、怖れることも、惜しむ必要もないのです」

“七花胡” :
 最後にもう一度笑いかけてから、そっと立ち上がる。
 櫛も手鏡もドレッサーに片づけて、扉のノブに手を掛けた。

“七花胡” :
「そろそろ時間ですね。行きましょうか。
 まずはとっておき、びっくりさせて差し上げましょう」

“七花胡” :
「彼や自分以外にも、今の……」

“七花胡” :
「『今日』の貴女を見たいひとは、たくさん居るのだから」

“七花胡” :
 衝立の向こうから導いた時のように、手を取ることはしない。
 貴女が手を引いて欲しい人は、きっと自分ではないだろうし……

“七花胡” :
 貴女は、自分で歩く方が好きだろうから。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

“七花胡” :
ありません。残念ですが、枠がね。

夏瑞珂 :
前後左右に同じく

“Mr・A” :
前!

“Mr・A” :
後!

“Mr・A” :
左!

“Mr・A” :
右!

“Mr・A” :
からッ!

GM :
了解しました。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・対話シーン11(ファントムストークス)

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
S1d24 (1D24) > 17

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】 

 欲望:平穏
 ───自分は人に出来ないことを当たり前に出来るが、人が出来ることは当たり前に出来ない。
 何を臨むのか、何をしたいのか。それのために、いつも同じものを探している。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 貴人の庭は滅びた。
 その長い歴史の名残を世界の何れにも刻むことのなかったくせ、あとから当事者となった男にはこれ以上ないほど刻んでいって。

 ローマの趨勢は決した。
 本来のFHセル同士の争いにおける最終勝利者は、どちらも飛び入り参加。土地を知るものはすべて消えた…。

SYSTEM :
 ………しかし、その後にも戦いが残っている。勝利者を、欲望の到達を目指すものがいる限り、戦いは終わらない。
 無法者の最後の争いのための調達に使った僅かな時間。成果は、結果だけ見れば成功であった。

 その最終チェックのわずかな時間、彼のほうは手早く済んだ。
 済んだ…からか。アレウスは部下たちと共に、イタリアの“かつて”行きつけだったリストランテへ出向いていたところである。

“Mr・A” :
「食事中の賑やかし担当は任せてくれたまえ
 調達を頼んだ結果大暴れした“葬魔灯”と…」

“Mr・A” :
1d3
1:遺産怪盗の
2:ワ タ シ の
3:第二案として連絡しようとしたら取り込み中だった東欧であれこれやってる二人の (1D3) > 3

“Mr・A” :
「第二案として連絡しようとしたら取り込み中だった東欧であれこれやってて連絡繋がらなかったウェルギリウスクンの話をします」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「ボス 私にマナーの話しといて
 コレはいいんですか? ズルでは?」

SYSTEM :
 なお口もその機能もないAはあなたが指示したのかしなかったのか、しれっとついてきて、器用なワーディングの行使をした結果、コース料理を頂く3名を見守るくん(自称)と化していた。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「食事時のマナーと人のマナーって違うの由芽ちゃん。まあ…」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「いつもに増して、今日は口数が減らないけど。ヒマしてたのかしらね」

SYSTEM :
 見守るくんは『ファーブルスコ』と言い出した。黙秘権行使だ。

マスター・ハーヴェスター :
「喋ってないと死んじまうって勢いだからな」

マスター・ハーヴェスター :
「ま、ズルみたいなもんだが……お前はこういう場所に連れ歩くことがあっても、コイツ連れてくることあるか?って話だよ」

“Mr・A” :
「そうですよ ワタシから口が失われた時を想像してごらんなさいよ」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「そりゃそうですけどォ」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「…ちなみに今連れてきたのは何でですか?」

“Mr・A” :
「アラヤダスルー! 硝子の心が傷ついてしまったわ
 12時に解ける魔法と一緒に置いていきます(裏声)」

マスター・ハーヴェスター :
「あん? そりゃお前」

マスター・ハーヴェスター :
「連中は気のいい奴らだ、居心地も悪くないが……それでも外様だ」

マスター・ハーヴェスター :
「身内は身内で囲む時間が少しは必要だと俺は思うがね。
 それが健全な組織運営の秘訣だろうさ」

マスター・ハーヴェスター :
「それに……」

“Mr・A” :
「フム。それに?」

マスター・ハーヴェスター :
「俺の居場所を確かめておきたかった」

SYSTEM :
           第一の皿
 前菜を通過して、プリモ・ピアット。
 ノイマンと矮躯のわりにやけに“入る”同盟/セル最年少(一名違法)が、
 先程までくるくる巻いていたパスタを口に運んだのが十数秒前。
 付け焼刃のマナーでおっかなびっくりフォークを置こうとしている彼女が、意外そうに目を丸くしていた。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「あら。ギルドの時のセンチメンタルの続き?」

マスター・ハーヴェスター :
「笑えるだろ」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「いいえ? 財産どころか家の心配なんて、ここで笑うには純粋だもの」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「確かめられるまでもなく由芽ちゃんさんは健在ですよ」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「撃ち出して貰ったかと思えば
 お外でハンティングだった由芽ちゃんさんはここですよ」

マスター・ハーヴェスター :
「なんだまだ恨んでんのか」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「…」

SYSTEM :
 あなたは一度、彼女に要人…それも名のあるオーヴァードの相手を任せたことがある。

 結果は完璧にこなしてきた。対象が率いる小規模なセルごと、屍山血河が築かれた。

 しかし本人ときたら、一歩間違えれば三途の川であった。
 ───どういう形の“弾”なのかを把握した日のことである。

“逢魔狩り”三草由芽 :
「べつにぃ。恨んではおりませんよ。
 仮にそうだったとしてもプラスの八桁くらいの数字が9の七つ分に代わるくらいです」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「………」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「無礼を承知で言いますけど、ボス…。
     ・・・・
 わざわざ殴られに行くことはなかったでしょ?」

マスター・ハーヴェスター :
「……」

マスター・ハーヴェスター :
「そりゃ、そうさ」

マスター・ハーヴェスター :
「分かり切ってる答えをわざわざ得に行くことほど馬鹿らしいことはねェ」

マスター・ハーヴェスター :
「……だがそれでも俺には必要だったのさ。
 世の中、誰も彼も、自分の中で納得できなきゃな」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「世の中には納得が必要ってアレですか?
 身内とそうじゃないほうでもよーく聞きましたケド」

SYSTEM :
 その隣で、比較的“気遣い屋”のかたちをなぞっている、そのセル最年少より食の細い華人が、二人の会話を見守っていた。
 
 …ところで、全員揃った時にも一度ここを訪れたことがある。
 わかっていてマナーを無視し、堂々とピッツァに口をつけ頬張る人生24時間無礼講の“葬魔灯”はどうしようもなかったのでさておくとして…、セルのメンバーで食事の作法などをはじめから知っていた人間は推定で半数だった。

SYSTEM :
 あれで面倒見がいいのか“戦処女”と、いま眉を下げている”逢魔狩り”をあれ以来外食で連れていき、最低限さまになるような指導を手伝い…。
 そしてそのたびに「そのマスク外さないの?」と聞かれてきた“堕とされしもの”の余談を、なぜか聞かれてもいないのに喋り倒しているAに電磁デコピンを仕掛けて黙らせた彼女は、あなたの言いたいことをわかっているのか、続きを口にしなかった。

 ノイマンだからだ。
 であるならば彼女にも分かって然るべきだが、由芽の対応は違っている。

マスター・ハーヴェスター :
「……そうだ、納得が必要だった」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「………そこは。いつかわかるんで置いときます。
 “青の貴人”の…彼女の話は」

マスター・ハーヴェスター :
「おいおい、そこは見事に振られましたねくらい言ってくれよ」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「私、前職のけーけんで惚れた腫れたには突っ込まないようにしてるんですぅ」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「………」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「ボス、あの“ヘカトンケイル”っての、うまくやれば切り離せるのわかってたんじゃないですか?」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「いちおこれだけ聞かせてください。それで納得します。
 血ィ流すのまで含めて納得でした?」

マスター・ハーヴェスター :
「……そうさ」

マスター・ハーヴェスター :
「だがよ」

マスター・ハーヴェスター :
「笑える話ってのはこれからなんだ」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「(あ、これ笑い難いヤツがくるな)」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
(敢えて何も言わずに向けられた視線をパリィした時の音)

“Mr・A” :
「お任せあれ ワタシが爆笑してあげよう
 続きは?」

マスター・ハーヴェスター :
 ・・・
「可哀想だったのさ。
 俺が何年も前、あの庭に留まっていたら、同じ役割を課せられていただろうよ」

マスター・ハーヴェスター :
「ならせめて……一緒に葬ってやる方が良い。
 それがせめてもの敬意であり、俺にとって通すべき筋だと思ったからだ」

SYSTEM :
セコンド・ピアット
 第 二 の 皿 は多数決で肉料理。
 第一の皿にケリをつけた後、あなたの哀れみ、あるいは“刈り取る”ための義理の言葉を、三人は違った顔で聞いていた。

“逢魔狩り”三草由芽 :
「残したら、マー死んでいないだけでしょうね」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「話に聞いた彼はそれで“是し”とするでしょうね。でも………」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「貴方は宮仕えしていたら、凝った肩と一緒に表情まで動かなくなりそうだわ」

マスター・ハーヴェスター :
「違いない」

マスター・ハーヴェスター :
「そうすればいずれ地獄でご対面した時も、俺一人にヘイトが向けば済むもんだ」

マスター・ハーヴェスター :
「何より切り離して別々にタマ取ってたら……、
 俺の話は聞いてもらえなかったかもしれんしな」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「學好千日不足 學壞一時有余………」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「王様のやり方じゃないものを教えたなら、すぐに身につくでしょうよ。
 追われた時は、どう転んでも責任取ってあげなさいね」

SYSTEM :
 …あなたの言葉はおそらく正解だ。

 厳密に言えば、切り離した際に残るものの数が違うだけで。
 彼女があなたの言葉をそのまま受けることは、どんな形であれなかったかもしれないが。最後の憎しみさえ形を変えていたことは想像に難くない。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「まあ」

マスター・ハーヴェスター :
「ン」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「“どうせなら使ってくれれば良かったのに”なんて話、貴方が頷いていたら困るわ。
 笑える話、なんて言えるなら、それで良かったんじゃあないかしら」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「あーーーーっ刺した! 背中から刺しましたこの人!」

マスター・ハーヴェスター :
「おう、だからお前らを外に回したんだよ」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「だってボス 遠路遥々やってきて私の扱い………。
 “赤の鬼人”の社会科見学と墓掃除!」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「キリエちゃんに…言ってしまったのです!
 褒められてきた分の1/2だけウェルさんの御守したの褒めてあげますからねと!」

SYSTEM :
 この娘は同い年によく見栄を張り、
 たまにアホになる。

SYSTEM :
 …ただ、概ね事実と同時に建前だ。
 そのアホの心と、あなたが“俺のために死ね”といえば喜んで死ぬ娘なことが両立する事実は、おそらくあなたが死ぬまで変わらないだろう。

マスター・ハーヴェスター :
「それは100%生きて帰れますと断言できるようになってから言え」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「“戦場で絶対なんて言うやつを絶対に信じるな”みたいなこと言ったのに………??????」

マスター・ハーヴェスター :
「おう、矛盾だな。だがそういう矛盾は幾らでもある」

マスター・ハーヴェスター :
「言っただろ、俺は今日ここに、自分の居場所を確かめにきた。
 その一角を自分から捨てちまうほど、俺は外道にはなれん」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「くーっああ言えばこう言ったぁ………」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「しかし…私はこう見えて出来る一番槍
 英語で言うとファーストランナー? です 矛盾を矛盾のまま飲み込みましょう…」

“Mr・A” :
「ちなみに野球用語だよ」

“Mr・A” :
「しかし…アレかい。ローマの昔ながらの大家に強盗しに行く前のゲン担ぎってトコ?」

マスター・ハーヴェスター :
「そんなとこだな」

“Mr・A” :
「フム。ではそれが由芽クンのラストチャンスのようだ。
 失敗したら慰めてあげるね」

“Mr・A” :
「ヒドラクンの声真似でデュエットしながら」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「いまが食事中で良かったと思いなさい」

マスター・ハーヴェスター :
「されちゃ困るラストチャンスだな」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「金星は諦めますけどまだ“がんばりました”の機会は失われてないですう」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「………というかボスも、例のケラなんたらの話の割にだいぶ平常心ですけど」

マスター・ハーヴェスター :
「……俺はすでにローマを去った人間だ」

マスター・ハーヴェスター :
「自分から戻るつもりもなかった。
 旧知の男に協力を頼まれたから来たようなもんだ……俺は、この都市に対してなんの未練もない」

マスター・ハーヴェスター :
「だから正直に言えば、国作りをせっせとやってる野郎に興味はないが……」

マスター・ハーヴェスター :
「理由を捻りだすなら二つ。
 一つは俺が惹かれた女に、ギルドというくだらん玩具を手にさせたこと……」

マスター・ハーヴェスター :
「もう一つは……」

SYSTEM :
 コウノトリ
 瑞鳥は渡り鳥だ。
 その名前を定めた鳥の群れに、
 確かに定住の巣は形を持つものでない。

SYSTEM :
 ………あなたが、旧知の男から対価を貰っていたならば。その未来を掴んでいたならば。
 そういうこともあったかもしれないが…。過ぎた話だ。

“Mr・A” :
「フム。もう一つは」

“Mr・A” :
「…やっぱりアレかな?」

“Mr・A” :
「いつまでも一緒じゃあない。次の仕事の時はみんな解散だ。
 もっとユカイに前向きに復讐やっていたら、カレにはいい刺激だと思ったからワタシが誘ったんだけど…」

“Mr・A” :
「そんな感じの、彼らへの義理とか?」

マスター・ハーヴェスター :
「……ま、そうだな」

マスター・ハーヴェスター :
「瑞珂との契約は終わっていない。
 ラーゼスには俺の足跡を見届けてもらった礼をまだしちゃいない。
 “七花胡”とは酒の席で交わした約束を果たしちゃいない」

マスター・ハーヴェスター :
「それらひっくるめて、最後に勝利すれば俺らの作戦は終了だ。
 ……ま、知己に出会えた以上、俺がいつまでも監督ヅラしてるのもおかしい話とは思うがね」

“Mr・A” :
「ハ ハ ハ。
 最強とは生き残ったもののコト。
 最後の勝利者を掻っ攫う有言は実行しなくちゃあだからネエ」

“Mr・A” :
「取り分は“赤の鬼人”の文字通りのほうの遺産くらいになるだろうが。
 しょせんオーヴァードなんだ、気分のため気楽に行こう。力のための責務だの”分相応”だのは、その辺が説くともさ」

マスター・ハーヴェスター :
「普段からしたら大損もいいところさ。
 ガンドルフだってガタが来てる、オーバーホールは当然だが、改修が必要になるだろうしな」

“Mr・A” :
「続きは“こう”だ。命あっての物種」

 という冗談はさておいて、と。
 器用な腕のジェスチャー。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「まあねえ…。短いスパンの戦闘でしょうし、例のレフ・ビット自体そう。あのテが渡り烏に広まらない理由なんて、その消耗の早さ以外にないもの。
 ………ネを上げる前に“ヴィクター”も呼んでおくけど…」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「百里を行く者は九十を半ばとす、だったかしら。
 終わってからの話ね。好きに壊していいわよ、大損分の帳尻は合わせるから」

マスター・ハーヴェスター :
「市街地戦には強くないからな、無理をさせ過ぎた。
 強いていうなら、ヘッドの消耗が一番酷い。
 テクスチャーチェンジで誤魔化してきたが、そろそろ化かすのも限界かもな」

マスター・ハーヴェスター :
「なに、既に大損してるんだ。
 派手に壊した上で……シアに賭けたぶん、大当たりを狙いたいもんだ。
 そうすりゃ売っ払った"遺産"の帳尻も合う」

“Mr・A” :
「もとより電撃戦向けの機体で、出張使いだものネエ。…」

“Mr・A” :
「考えてみれば、よく盧クンと“ヴィクター”を留守番にしたな」

マスター・ハーヴェスター :
「確かになあ?」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「世の中スケジュール通りにコトが埋まったら苦労しないもの。その時は“一戦限りの契約”でしょ?」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「でも良かったわね、間の悪く他のコが帰ってきたタイミングが遅くなくって」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「ちなみに今留守番してんの誰なんですか?」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
1d2
1:そのヴィクターだけど
2:…(ニコッ!) (1D2) > 2

SYSTEM :
 その笑顔は「ぜったい秒で放棄してどこかにいくメンバーに瞬間的に押し付けた」の証であった。
 誰なのかは、おそらくあなたの脳裏にいるものが正解である。

マスター・ハーヴェスター :
「“七花胡”に払うツケをそいつのポケットから出させたんだが……ま、今ごろセーフハウスで一人でさめざめと泣いてるだろうな」

“Mr・A” :
「ツケはいつもそこにある」

 最終話だった。

マスター・ハーヴェスター :
  遺産 
「あんなもん、欲しがる人間からしたらそれこそドリームスそのものなのにな」

“Mr・A” :
「忘れかけた夢が蘇った結果が、いまの王弟殿のようだと思うけどネエ。
 ま、それ自体は別に珍しくもなんともない」

“Mr・A” :
「敗者はすべてを奪われるというが、ぜんぶ奪われ損ねていた敗者がどうするなんて敗者の勝手サ。勝ち切らなかった方が悪いんだ」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「………ところでなんて言って彼女に留まって貰ったんです? 絶対ついてきますよね」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「そういうときのために、彼女に教えてない噂話の在処があってね?
 まあ敏いコだから、調べてる途中で気付いたとは思うけど…」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「アレで隠れ家ほっぽり出すほど無責任じゃないから、まあいいかなって」

SYSTEM :
「遺産争奪戦」と言えばその欲望のためについてきていたことには違いない。
 で、おそらく中身を知ってユカイ、失礼、静かに落胆したことだろうか。

マスター・ハーヴェスター :
「普段なら来てもらったほうが楽だったんだがな、マニア以上の知識持ちだ。
 だがアレはアレで俺たちのような無法者であるべき危険性があるからな……シアを見たら唆しだすだろ、遺産と契約しろと」

マスター・ハーヴェスター :
「それは無しだ。
 うちと蠍野郎との別の戦争が起きる」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「例のケラなんとかを?」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「話じゃ使えるのもたかが知れてるでしょ? その場合、“できなかった”から口実でパクって………あー………」

SYSTEM :
 おそらく危険性の9割は杞憂であるが、どっちみち変な火種にはなっていただろう。

 そう、杞憂ではある。何しろ…。

“Mr・A” :
「そう呼ばれているだけ、そう崇められているだけ…それだけとて、神の知恵なんてヒトの手には余るからネエ。

 取り出せるかわかんない上、壊しておしまいじゃないか? キミの義理の行き先も、似たことを考えると思うぜ」

“Mr・A” :
「ま、猶更ダメだったこともあるかもだがね。盧クン、帰ったらちゃんと『すみません遺産壊しちゃいました』って言うんだよ」

マスター・ハーヴェスター :
「じゃあ賭けるか。
 落胆するか素っ気ない反応するかで」

“Mr・A” :
「ちなみに掛け金は?」

マスター・ハーヴェスター :
「ガンドルフのヘッド交換代だな」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「あの それ3/4でトクする賭け、」

“Mr・A” :
「任せたまえ…今日のワタシは昨日のワタシより強いゾ」

SYSTEM :
 力技で押し流した。わかっていて乗った。
 後ろのエンジニアの片割れは「わかってると思うけどそれで吝嗇しちゃだめよ」と釘を刺した。

“Mr・A” :
1d2
1:落胆に賭けた
2:素っ気ない反応に賭けた (1D2) > 2

“Mr・A” :
「そのワタシのカンが言っている…」

“Mr・A” :
「手に入っているものを手放すならともかく…。
 手に入る前のものを手放して痛がるニンゲンはいなかっただろう?」

SYSTEM :
 冗談めかして言った男の言葉が、ここまでローマで見てきたいくつかの事例(あなたのものも含む)をくすぐっているのは事実で。

 わかりやすく最年少が眉を潜めかけたが、すぐに戻した。“こんなの”でも身内だからだ。まだ。

マスター・ハーヴェスター :
「なんだよ……賭けにならねえな」
 少し笑った。

マスター・ハーヴェスター :
「ま、今回来なかったメンツの誰が残ってようと、それくらいの責任は果たすだろ。
 そういう意味じゃ、例の王弟野郎との戦いは一番気楽だ」

マスター・ハーヴェスター :
「普段は金の為に働いては信頼に裏切られを繰り返してるが……、たまにはそんな裏切りのない戦いというのも気持ちのいいもんだ」

“Mr・A” :
「その裏切りの矛先はほぼ墓下だけどネ。
 マー今回は、轡の前のニンゲンしか墓を作ることはなさそうだ。いいことじゃないか」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「“病从口入,祸从口出”。ね。…」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「たかを括るなんてことはないと思うから、貴方の場合それはそれでいいけど。
 ………去ったあとのローマは? なるようにしちゃう?」

SYSTEM :
 口は災いの元、といったのは、
 A自身の悪癖の話。

マスター・ハーヴェスター :
「……さっきも言ったが、俺はもうこの都市の人間じゃあない。
 巣立ちは既に終えた、断つべき縁を一つ残して、繋がりも全部消え去った」

マスター・ハーヴェスター :
「どのみち此処の均衡状態をみるに、UGNと、そこに近しい別の誰かの意図が見え見えだ。
 三大勢力のうち二つは消えたが、だからといって残された一つが総取りというわけにもいかんだろうよ……流出と流入の激しい場所だ、また別の勢力が雪崩れ込んでくるさ、多分な」

マスター・ハーヴェスター :
「その残された一つと戦争をするにしても割に合わん。
 全部終わったら俺が個人的な復讐を一人にかますだけで、事を構える気もない……」

マスター・ハーヴェスター :
「今回の件で嫌というほど思い知ったが、今後レネゲイドビーイングは確実に殺す手段を得るまで手を出したくはないね」

SYSTEM :
 ・・・
 たぶん、と付けたのは。
 明日のことなど誰にもわかったものではないからだろうが。
 
 その中で曖昧にする気のない部分を確かめた女が、薄く笑って。
 そのもしもに───厳密には『解放者』との争いではない部分に───ちょっとだけいやそうな顔をした最年少が、逃げるようにドルチェとして運ばれたティラミスの甘さに口をつけた。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「ん。終わった後、是非を仮面のカレに相談しちゃダメよ。感化されやすい人だから」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「次来る時は飛びやすい空模様だといいわね」

マスター・ハーヴェスター :
「そうだな……それでうちを抜けられても困る」

マスター・ハーヴェスター :
「全部終われば、またいつものコウノトリに戻るだけさ」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「(この話表面でも聞いたらたぶん長めのせりふで誤魔化すんだろなあウェルさん)」

SYSTEM :
 曲がりなりにも、嘗て諸島を襲った“厄災”のひとかけら/と/遺産の継承者。
 次が時代錯誤の城攻めになることは明白だった。全部終わったら、を先に考える蛮勇は、それが戦場暮らしの日常なことを確かめているようでもある。

SYSTEM :
 失った”後”の戦いにピリオドがつく瞬間を他所に、あなたはひとつを失ったが、それは手に入る前のものだ。
 “またいつもの”が始まる頃。食事の終わり時が近いころに、女がふと諳んじた。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「“萬句言語吃不飽、一捧流水能解渇”…」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
「………誰のユメも、わかりきってる答えばかりだといいのにねえ」

SYSTEM :
 納得のために挑みかかり、納得のために拾ってきたものを今ここで確かめた。
 器用に生きているように見える男のいまに対して、“ノイマン”のうち、はじめから人を零していたらしいほうが紡いだ言葉は、おそらく、返事しようがしまいがさほど弾む会話のタネにはなるまいが。

SYSTEM :
 意味はあっただろう。
 どだい、無頼のアウトローに必要なものなど、大義や物欲ではない。

 納得はなにより優先される。珍しくもないお題目とは、誰もがうなずくから使われるものなのだ。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 “いずれ”を夢見ながらも、血の猛りか安らぎを求め、混沌の中で生きると決めた男は…はじめに人の悪意から生まれたものを見た。

 形のある悪意という矛盾を従えて、いずれの道にも転び得る鳥の旅が始まる。

SYSTEM :
 いずれの道にも導を知らない旅人と行き先を共にして、打ち捨てられた鉄砲玉がより鋭利に生まれ変わる前に己の銃弾にして、断崖の先の火口に暗い欲望を持った男を巻き込んだ。

SYSTEM :
 …そのほか、出会った星は数えきれず。懐に収めたものは概ね凶星だったが。
 彼には導があった。本能からくる進化、混沌の中でもがくように力強くはばたく骨子が。

 彼の旅先で“いずれ”が得られることはおそらくないが。それは、旅の終わりでもないのだろう。

SYSTEM :
万の言葉では飢えを満たすことはできないが、
 萬句言語吃不飽、一捧流水能解渇。
.一すくいの水は渇きを癒すことができる。

SYSTEM :

 逸れ者の戯言である。
 意味を分かっている/察したものは、
 誰も答えなかった。
 なにしろ暗記した答えだからである。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

GM :

 シーンが終了しました。
 ロイスの取得等ございますか?

マスター・ハーヴェスター :
無いな。この通り埋まってる。

GM :
確かに。確認しました。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇