《Fortes_fortuna_adjuvat》 チャットログ:メインログ4


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目次

・ミドルフェイズ(フェーズ2/ラウンド3)
・シーン21「Fortes fortuna adjuvat-踏破すべきもの」
・クライマックス戦闘
・バックトラック
・ED1『Ne vivam si abis-だから/それでもとあなたは言う』
・ED2『Citius, altius, fortius-荒野の果てを踏みしめて』
・ED3『Per asprera ad astra-易きことも、難きことも』
・ED4『Dominus tecum-あなたの旅路は彼らとともに』
・後日談


・ミドルフェイズ(フェーズ2/ラウンド3)

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
S1d24 (1D24) > 16

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 出自:勧誘
 強いて言うなら最初うなずいたことに理由はない。
 たまたまだ。彼に何かを見出したワケでもない。

 それは全て時間とともに追いついてきた。
 ───どう転ぶか分からぬ、すべて不定の我が人生。
 素晴らしきかな、無法者生活。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 メインプロセスに移行します。
 
1:“血戦”を行う
2:セットアップで可能な行動

 上記のいずれかが可能です。
 行動を希望する場合、登場侵蝕を振って下さい。  

ラーゼス :
1D10 (1D10) > 5

獅子王 :

“七花胡” :
1d10 登場侵蝕 (1D10) > 2

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 139 → 144

マスター・ハーヴェスター :
1d10 (1D10) > 4

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 113 → 115

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] 侵蝕率 : 117 → 121

夏瑞珂 :
1D10 (1D10) > 5

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 117 → 122

夏瑞珂 :
復讐を、
逆襲を、
再戦を。

夏瑞珂 :
──ええ、そうね。

憎悪を濯ぎに往きましょう。

夏瑞珂 :
"血戦"よ

SYSTEM :
【Check!】
 選択が確定しました。
「クライマックスフェイズ/Fortes fortuna adjuvat-踏破すべきもの」を開始します。 

SYSTEM :
【Check!】
 残存しているすべてのNPCの状態を確認しています... 

SYSTEM :
【Check!】
「友好」でない生存NPCは存在しませんでした。 

SYSTEM :
【Check!】
 すべての『友好』『敵対』経歴を確認しています... 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・シーン21「Fortes fortuna adjuvat-踏破すべきもの」

SYSTEM :
【Check!】
  Ally:Shahada
 Enemy:Remus

.   Physical:Extremely dangerous
     Sense:Extremely dangerous
.   Renegade:Extremely dangerous
. Danger_level:E r r o r !

SYSTEM :
【シーン:Fortes fortuna adjuvat-踏破すべきもの】

 登場PC:全員
 登場侵蝕:あり(ミドルのものと兼用)

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

『レムス』。
 死によってレネゲイドをまとい、
 生誕によって衝動を滾らせた。
 永遠の都を以て、己を永遠の王とするもの。

 ■■■■■、■■■■。 
 ■■■■■■■■、■■■■■■。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………X月X日。
 その日のローマは、一日中陽が顔を覗かせることはなかった。

SYSTEM :
 稲妻が轟く。石を穿つような雨垂れが、あらゆる場所で響いている…。
 表の世界の人間は気取ることなく(あるいは気取る暇もなく命を終え)。
 幾度、幾日と続きに続いた抗争は、多くの死者を生み出し、夢破れた敗者を作り出した。

SYSTEM :

 得ていた強さのため、墓へ身を投げ入れたもの…。
 血の縁に引き摺られるように、その人生を終えたもの…。
 遺産の名に狂わされるがまま、ありもしない夢想の中で果てたもの…。

 いま生き延びたものと始まりの所以は、いずれであってもさほど変わらない。その是非を分けたものは一つだ。

SYSTEM :
 だから生き延びた。だから勝ち残った。だから………。

SYSTEM :
 ………そして敗者とは何も命を失うものに限ったことではない。

 ローマから立ち去るもののうち一人が、忌々し気に雨雲を見上げ、毒付いた。

FHエージェント :
「チッ、去り際まで空模様にそっぽ向かれるとはな…」

FHエージェント :
「何から何まで、骨折り損のくたびれ儲けだぜ…」

SYSTEM :
 元はといえば、彼は争いに興味などない。
 誰がローマの勝利者となろうがどうだってよい、ただ強いもののお零れに預かるその他のハイエナだ。

 コバンザメのように“赤の鬼人”に夢を掲げた者たちと一緒に引っ付き、成果を掠め取ることを期待して生き抜いてきただけが…その“鮫”は泳ぐことを永遠に忘れてしまっていた。
 …金の切れ目が縁の切れ目。だがFHにおいて縁の切れ目とは、弱り目にこそ訪れる。
 ”ここ”がまことに泥船だと分かった彼は、それでもぎりぎりまで可能性に執着していたものの、その末路を事此処に至って漸く悟り、ローマから出ることを決めたわけである。

SYSTEM :
 そんな彼だが、遺産を掌中に収めた“黒鉄の狼”のため、彼は部下という部下を失い、ここで略奪した蓄えのみが手元に残った。

 盗品には不名誉のタグが付く。それを利益と呼ぶには、熱に逆上せあがって得たものはあまりに少なく…。
 もはやFH/犯罪者として活動していくには、次なる庇護下、次なる居場所を求めるしかない。

FHエージェント :
「どこでケチがついたんだかな…。
 最後にケツの毛までムシる予定だった記者サンも、この土壇場でバックレやがって…」

SYSTEM :
 燃え広がるようにしていた野望がうそのように鎮まったのを感じながら、
 この無法者/FHのエージェントはふと、雨天の向こう側を見上げた。

SYSTEM :
 このトシでローマの観光などしようとも思わない。
 よその国へお上り丸出しで出たことも数度あった男だが、今は特にそんな気分になれなかった。

 だが、仮に成功していたのならば………と、ありきたりに有名なローマの某所を眺めるように目を向ける。

SYSTEM :
 あるいは、成功していたならば。
 冷やかすように訪れていたかもしれない、と。…考えて。そして、気付く。

FHエージェント :
「──────?」

FHエージェント :
「なんだ、ありゃ、」

SYSTEM :
 ・・・・
 光るものがこちらに向かっていること、
 ・・
 何かが空を飛んでいたこと…。

SYSTEM :
 気付いた時、ローマを去ろうとした彼の車は、運悪く。
 “ごう”と音を立てて、バラバラに引き裂かれた。

SYSTEM :
 ………X月X日。
 その日のローマは、一日中陽が顔を覗かせることはなかったが。
 それはほかの国も例外ではない。

SYSTEM :
 ヨーロッパを中心に、予報を裏切る広範囲な“雷雨”があったという。
 頻度の多かった雷が引き起こした事故は二桁に上り、不幸にも彼はそのひとりとなった。

 それがレネゲイドに纏わり、ましてや…。
 世界の果てで、欲望に熱された戦いの果てを彩るものだと知るものは、ほぼいなかった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 外の風景に、形を変じ始めた新たなる都/レムリアの影。

SYSTEM :
 新生を待つばかりの都、塗り替わる兆しの見えるローマの街並みを見下ろし…。または見上げながら。
 一同はアーキルを伴って、宙を行き雨を“はじく”女神の神殿、古こけた回廊の先に広がる場を見据えていた。

 彼方から行動の兆しはない───否。
 ずいぶんと荒れ切った空模様。そこに横溢する傲慢なる意志のかたちが、あるいは彼の意の発露でもあった。

“黄の希人”アーキル :
「じゃ…改めておさらいと行くか」

“黄の希人”アーキル :
「アレが“ワイズマン”…いやさレムスか。
 やつの居城さ。

 ご丁寧に喧嘩の理由になった城壁拵えて、穴熊決め込んで”なじむ”のを待ってる」

“黄の希人”アーキル :
「もちろんバカ正直に完成を待つこともなかったし、そもそも乗り込んでやる義理もない。
 最後の備えの間に小手調べと洒落込んだが…」

“黄の希人”アーキル :
「その上で御宅らを呼んでいるのも含めて、具体的な対処のハナシをしとこう」

夏瑞珂 :
挙手。

“黄の希人”アーキル :
「………、………」

“黄の希人”アーキル :
「わかった、挙手のあとで俺も質問ひとついいか?」

SYSTEM :
 ちなみに彼の沈黙の理由は、つい先刻まで“小手調べ”に出向いていたアイシャのどこかしらからの視線と思わしき気配が、ちょっと優し気なことと一致する。

夏瑞珂 :
頷いて、具体的な対処のハナシを脇に置くジェスチャー。

“黄の希人”アーキル :
おい 本題流れるように置いて行かれたが…

夏瑞珂 :
スカートの裾をつまんで広げて笑顔。一言どうぞ!

“黄の希人”アーキル :
質問と回答がセットにできてうれしいよ俺は

“黄の希人”アーキル :
「………そのナリのチョイスがどっちかは、敢えて棚の上に置いとくが」

夏瑞珂 :
棚の上に置くジェスチャー。架空のインテリアが充実していく。

“黄の希人”アーキル :
S1d3 1服装をほめる 2髪型をほめる 3意気込みをほめる (1D3) > 3

“黄の希人”アーキル :
「ああ、いいんじゃないのか。
 今日を越えた後が“それ”なら、明日はきっと誘い甲斐がある」

“黄の希人”アーキル :
「生憎とレディの口説き文句は品切れだが、そうさな。
 意気込んでめかし込んだおまえの人生の出発点が、いいものになるのを願うよ。瑞珂」

SYSTEM :
なぜか遠方から看板が飛んできた。

“アイシャ” :
“きれいよ。きっとあなたを慈しむひとが整えたのね”

SYSTEM :
 看板の裏側には“褒めるところのズレ”を指摘する、アーキルにしか見えない古い言語があった。
 あなたがあなたの音で話したことのほうを労った男は素知らぬ顔で流したが、ここにいない“血色の探求”がいたなら嘆息したに違いない。

夏瑞珂 :
「!」

 ボブルヘッド人形くらい頷く。

夏瑞珂 :
「あなたの褒め言葉は分かりにくいからやり直し」

“七花胡” :
 ッフフ そんな場面でもないのに噴き出しかけるのを堪えた
 看板の表に記された誉め言葉には、目を細めるにとどめる

“黄の希人”アーキル :
「いま口説き方のマナー教室とかやらされてるのか?」

ラーゼス :
憂いを帯びた眼差しで回廊の先を見つめていたが、聞こえた声に顔を瑞珂へ向ける。

夏瑞珂 :
「前にあなたからもほしいって言ったわ。わたしがぼろぼろになるまでに考えておくように」

夏瑞珂 :
視線に気づいて、てくてく寄る。

“黄の希人”アーキル :
ボロボロは前提でそれ着こなしたのかよ…ある意味すげえな

夏瑞珂 :
知らんぷり。

“黄の希人”アーキル :
見てくれ
盟主の威厳はどこに行ったんだろうな

夏瑞珂 :
「ラーゼス」

夏瑞珂 :
「ここまで火を守ってくれて、ありがとう」

夏瑞珂 :
「けど今日で終わり。自分で消すもの」

 燃え尽きるのか、血で濯ぐのか。血戦は目前だ。

ラーゼス :
…………………。

ラーゼス :
 その声を受け止めるように目を閉じる。
 開いた後に、笑顔を作った。

ラーゼス :
「礼は無用だが、受け取っておく。
 おれにとり……その火を守ったのは、すべての言葉を受け止め、その焦げついた心に刻んだ貴公自身だよ」

ラーゼス :
「もう仔猫とは呼べぬな。
 人の娘として、2つの足で歩くがよい。瑞珂。嵐と炎の道を走りきるまで、おれは貴公のそばにいる」

夏瑞珂 :
 褒められちゃったネ──と陽気な声のリフレインで照れくさいのをごまかそうとして、続く言葉にできなくなってしまう。

夏瑞珂 :
「うん」

夏瑞珂 :
「そばにいてね」

 憎悪の火に焦げついた、自由の嵐と。
 逃げられない明日へ歩きだすわたしを。

 一番近くで──最後まで。みんなと。

夏瑞珂 :
「キャー」

 くるり~んと背を向けて逃げだす。

ラーゼス :
「むろんだ。となりで見ている」

ラーゼス :
「……服も髪も、よく似合っている。大事にするのだぞ」

ラーゼス :
………。凶兆を絶つ以外での理由だな。

ラーゼス :
夏瑞珂をSロイスに指定したい。よいか?

GM :
Sロイスは「この時で大切なロイス」…とあります。
これが「あなたの人生でもっとも大切なロイス」であれば少し気になる記述もございましたが…。

GM :
こうであれば…異論の余地はないでしょう。

GM :
どうぞ! キャラシートに書き加えておいてください。

ラーゼス :
ありがとう。大切にする

マスター・ハーヴェスター :
「────瑞珂、ここまで上がってこい」

 あなたの頭上から声がする。
 新たなる都が生まれゆくその最中、その場に鎮座したPF──ガンドルフのコクピット。
 そのハッチが開き、声が聞こえた。

 ……ひとつ違和感があるとすれば。
 ガンドルフの色と、その頭部が変わっていた事くらいか。

夏瑞珂 :
「?」

夏瑞珂 :
「あなたもお色直しね。なあに?」

 どうせ血と雨で汚れるのに、よじ登るのを惜しんで、風で自分を舞い上げた。鳥のように爪先をハッチへつけて、小首を傾げる。

マスター・ハーヴェスター :
「ほう、こいつは」

マスター・ハーヴェスター :
「好い顔をしている。
 血雨の中には似合わぬものだが……ま、見違えたと言っておこう」

マスター・ハーヴェスター :
 リフレインを頭の中に浮かび上がらせる。
 
「……コウノトリの群れには、風に乗せられて違う渡り鳥が紛れ込む事がある。
 お前は渡り鳥でありながら、風に乗るのではなく、風に抗い続け、自らを風としようとしたな」

マスター・ハーヴェスター :
「最初のランデヴーの時……俺は聞いたな。
 "なにを"願うか、俺に"なにを"して欲しいか」

マスター・ハーヴェスター :
「もはや答えは分かり切っているかもしれんが……今一度それを聞こうと思ってね」

 ……覚えているだろうか? 彼はあなたの願いを叶えてやると言った。
 そしてそれを、今この場にてもう一度確かめに来たのだ。

夏瑞珂 :
「あなたも褒めるのがへたね」

 も、を強調する。再提出のアーキルへ。彼と一緒くたにすることが、アレウスへの抗議だ。

夏瑞珂 :
「…… ……」

夏瑞珂 :
「あなたに願わなくても、
 あなたに何をしてもらわなくても」

夏瑞珂 :
「わたしはやる。それでも聞くのよね、お馬鹿さん」

 今になって、青の貴人の呆れぶりに合点がいく。
 彼、とんでもない頑固者で、とびきり身勝手だ。

夏瑞珂 :
 それでいい。それがいい。
 ぜんぶを手にする『収穫』の名には、そんな頑なさがきっと相応しいのだから。

夏瑞珂 :
            オディオ
「レムスの血で、わたしの憎悪を濯ぐ」

 ──何を願うか。

「永遠の国を、ともに刈り取りましょう」

 ──何をしてほしいか。

マスター・ハーヴェスター :
 ヘルメットを被り直して、あなたのその言葉を聞き届けた。
 彼は一人心中でつぶやいた。

(──ボス、風は来たぞ。
 止んだ荒野に、この大地に)

マスター・ハーヴェスター :
「……かつてお前は言ったな。
 私の為に人生を擲てない男が偉そうに、と」

マスター・ハーヴェスター :
「そして俺は言ったな、
 命を賭けずとも責任を負うのが大人の世界だと」

マスター・ハーヴェスター :
「だがな……命を賭ける時だってあると、俺は思い知らされたよ」

マスター・ハーヴェスター :
「───いいだろう!
 その願い、このマスター・ハーヴェスターが聞き届けた」

マスター・ハーヴェスター :
「───俺が、お前の願いを叶えてやる」

ガンドルフ :
 ガンドルフのコクピットが、道を示すように煌めいた。
 物言わぬ機械の兵士は、このローマでの戦いをあなたの横で飛び続けてきた。
 祝福という綺麗なものではない、だが確かな激励だった。

夏瑞珂 :
「必ずよ。わたし、うそつきは一生ゆるさないの」

夏瑞珂 :
 電子の光が瞬く。わたしがときおり盾や足場にした鋼鉄は無口なだけで、ビリーよりずっと愛想がいいのかもしれない。

夏瑞珂 :
 ぱちんとウインクで応えて、軽やかに飛び降りた。スカートが烏羽のように踊る。

夏瑞珂 :
 せっかくなので胡のもとへ。

夏瑞珂 :
「きれいや似合ってるを言えないひとが多くて残念だわ」

 ラーゼスとアイシャからはもらいました。じまん。

夏瑞珂 :
「こんなに素敵なのに。ね?」

 くれた本人に見せびらかすのも可笑しな話だけど。

“七花胡” :
「ハハハ……素直に言えない連中のことは、貴女の寛大な心で許しておやりなさい。
 そのテのことは、ちょっと面倒な男もいるのです。自分自身や、身の回りがね」

夏瑞珂 :
「かいしょうなし。知ってるわ」

“七花胡” :
「アハハ! 手厳しい」

“七花胡” :
「誰がどう批評したって、今の貴女がローマいち素敵な女性であることには、変わりありませんよ。
 甲斐性なしどものことは、この後の働きで免除、ということにしておくとよろしい。いったんね」

“七花胡” :
「それにね。贈った男がこういうのも何ですが……新品だからといって、あまり気にしすぎることはない。
 汚れようが破れようが、服は買い替えればよいのです。それで貴女の負傷が増えるほうがいけない」

“七花胡” :
「それはもう貴女のものだ。貴女の好きなように着こなしなさい。
 返り血だって、今の貴女ならとびきりの血化粧にできるでしょうから」

“七花胡” :
「夏さん。どうか悔いの無い選択を」

夏瑞珂 :
 ローマでいちばんになってしまった。

夏瑞珂 :
 ……よく合衆国でもいちばんになったことを思い出す。

 胸には火傷の痛み。
 喪失のかたちに焦げついて、二度と戻らない。

 でも今この瞬間だけは、不思議と微笑みに変えられた。

夏瑞珂 :
「そう? じゃあ遠慮なく。とびきりの色で飾りましょう」

 燃えるように赤く、血に濡れて紅く。

 あいにくの雷雨だけれど。
 あなたの手がけた花は、そんなことで折れやしないから。

夏瑞珂 :
「瑞珂よ、胡」

 そうする、と頷く以上の応じ。
 選び取り、勝ち取るわたしの名だ。

夏瑞珂 :
 翻る黒衣。これ以上やさしく囁かれてはたまらないので、わきに寄せておいた本題を拾ってアーキルに投げつける。架空の剛速球は、デッドボール狙いの顔面行きだ。

“七花胡” :
「……本当に、立派な淑女へと見違えたこと。
 そのお名前を許して貰えるなんて、自惚れてしまいますね」

 気紛れにはためいていってしまった黒衣の裾、翻る艶髪のゆくえを、首を竦めて見送る。
 その名前で呼ぶ時は、やっぱりとっておきがいい。そう思って。

SYSTEM :
 …かつて無法者の風は止み、終わり、果てた。
 ひとつの伝説と共に。誇りを以て戦い抜いたのだ。

 勇敢なるものを救った運命を運ぶ風。それに終わりの兆しはなかった。あるいは、終わっていたものの風音が廻り始めた。

SYSTEM :
 反骨精神と共に生き抜いてきたG-ドルフ。
 決戦に備え、先の戦闘で損傷した部分を、当人および“血穢の蓮花”、ここに送り込まれた“ヴィクター”の子機が急ピッチで仕上げ換装した予備パーツのツインアイが、新しい風の興りを寿いた。

 雷雨はあいにくと、明日への門出には逆風であるけれど。
 かつて荒獅子の視界の片隅にいた臣下のように、いつも視界の傍らにいたものによって守られてきた火は、今更それでかき消えはしない。

“Mr・A” :
「ところでワタシ気になります」

“Mr・A” :
「再提出になった気分は?」

“黄の希人”アーキル :
「よく回る口だって誉め言葉は貰ったコトもあるが、
 わかりづらいからやり直し、は四半期の人生で初だな…」

“黄の希人”アーキル :
「提出期限中にいいのを拾ってくるよ、披露宴に遅刻した利子分つけてな。そんでだ」

SYSTEM :
 向こう側。彼のいう“城壁”に覆われた都市のかたちは、雷雨に濡れながらも傷一つついていない。
 さきほど、小手調べに先に打って出たと言っておいたにも関わらず。

“黄の希人”アーキル :
「最初の話題に戻るか。
 あちら、例の“レムス”の居城さ。向こうから打って出る気配はナシ」

SYSTEM :
 出る必要がないのかもな、と。
 涼やかにデッドボールで進塁した男が話を戻した。

“七花胡” :
「小生意気にも、防衛戦争のつもりなのでしょうよ。
 レムスにとってあの都市は、此方側への橋頭保です。固めることで侵略までも進められるというのなら、積極的に打って出る必要はない」

“七花胡” :
「覇で以て正義を唱える王さまというより、軍略家のやり口です。
 自分らのように、裏でこそこそ積み立てるような。王冠の派手さに反して、堅実なのが憎たらしいですね」

“七花胡” :
 実際それで此方は出方を掴みかねているのだから、憎たらしさは本音だ。
 派手に侵攻を仕掛けられても困っていたろうが、そちらの方がまだ、手の内は推測しやすかっただろうに。

“黄の希人”アーキル :
「の、ようだ。
 ムカシの戦争じゃ城攻めには3倍の兵力が要るって言うアレだな」

ラーゼス :
よく知っているな と言いたげな顔

“黄の希人”アーキル :
そりゃな。あんたが当事者みたいなコメント出したことについては後日のツッコミにさせてくれ

“黄の希人”アーキル :
「で、中点から出る気のない“ヤツ”を中心に広がってくあの建造物だが…。
 さっき言った通り”仕掛けて”アレだ」

SYSTEM :
 振り返った先は無傷のまま。雷雨の中心点が崩れる様子などない。
 だが、オーヴァードの認識上にある空想の居城は破壊できなかったのではなく…。

“黄の希人”アーキル :
「破壊したそばから再生した。 
       エグゾースト
 暫定ジャームの排気現象に理屈なんざいちいちつけるほうが難しいが………」

“黄の希人”アーキル :
「ヤツは遺産の力と“黒鉄の狼”の持つレネゲイドを土台に力を行使しようとしてんだ。

 あれ自体が、でかいEXレネゲイドみたいなもんでな」

“黄の希人”アーキル :
「それをイメージする頭脳、そして心臓部そのものがヤツで。
 ローマ中でドンパチやってたレネゲイド全部が、やつの王冠に靡いてる。付き合わず外から“ボン!”ってのは無理だってのが一つだ」

“黄の希人”アーキル :
「まあ、よっっっっぽど大量破壊のトクイなのばかり揃ってりゃ出来ないこともないかもしれんが…ひでえ根競べになるね。

 そういうのでゴーサイン出したい気分でもないだろ? たぶん」

夏瑞珂 :
 ボン!
KABOOM!

“七花胡” :
「ええ。我々が欲しいのは彼の国ではなく、彼の首です。
 自動再生の城壁と根比べなどやった日には、夢中になっている間に国と国の境目が消えてしまう」

マスター・ハーヴェスター :
「そうだ。無い札で考えても何にもならん。
 今ある札で出来ることは果断速攻……その心臓を穿てばケリが付く」

SYSTEM :
          ・・
 いよいよとなれば、それで済むかもしれないが。
 おそらくその担当の“一方通行”と、ローマ諸共崩壊する日常を示すことになる。

 最後の一文に意味を示すものは、表立ってはいない。重要なのは、その最もな飽和攻撃に適う利は“ない”ということだ。

“黄の希人”アーキル :
「正解。あんたの言う通りだ”ハーヴェスター”。
 そんなら細々とした戦力の仔細について出す前に、さっさと結論から言うぜ」

“黄の希人”アーキル :
「ヤツが心臓で、かつ、あの場から動けない。
 で、“小手調べ”した感じアレは城だ。100%迎撃が来るが、同じくらい入り込む余地がある。

 早い話、野郎の肉体に一番利く手段を叩き込んで、遺産ごと破壊すればいい。
 ヤツにまだ手が打てるうちにな」

“黄の希人”アーキル :
「で、その手段ってのは…。
 これでそうだな、四回目か? わかるだろ」

夏瑞珂 :
ウインク。

SYSTEM :
 つまるところ、城ごと総力戦をやっている暇がない以上…。

 あちらが絶対に”迎撃”に出るのを分かった上で、彼女と、レムスに有効な手段を持ち込めるもの/主にあなたたちを、ほかのメンツが全力で露払いする形になる。
 時代遅れの王に情報戦だの小細工だのは通用しない。結局、近代戦の合理の向こう側が戦術レベルでのオーヴァードの戦いだ。

“黄の希人”アーキル :
「本人が乗り気のようで感心だ。

 わかってると思うが、絶対に迎撃が来る。頭数はあっちのが上。
 この“神殿”ごとブチかまして、俺もアイシャも“血色の探求”も…“ハーヴェスター”、あんたのところのメンバーも可能なら。全員、殴り込む前に余計な消耗が起きないよう露払いに入る」

“黄の希人”アーキル :
「で、こっちが瓦解する前に血濡れの王冠を剥いで来るんだ。申し訳ないくらいシンプルだろ?」

ラーゼス :
浅く頷く。

ラーゼス :
「後のないものが行う戦い方だが、我らにとってはもっとも相応しかろう。腹を食い荒らすのは何度目かだ」

夏瑞珂 :
アハー お腹!

夏瑞珂 :
がぶ~っと手と腕を顎に見立てて、後ろからラーゼスのお腹にまきつく。

“黄の希人”アーキル :
「いよいよ既知の情報を無視できなくなってきたが、まあ…何度もあるなら心強いコトだ」

“黄の希人”アーキル :
ところでいま食い荒らされようとしてんだけど

ラーゼス :
愛いやつよ

マスター・ハーヴェスター :
「ハ、囀りが戻っても相変わらずか」

“七花胡” :
「電撃戦の城攻めはこれで二回目。先日じっくり学ばされた分が薄れないうちに、復習かねて腹に一発、といきたいものですね」
 やっぱり気安いのは彼女の方ですねえ などと横目にしつつ

“黄の希人”アーキル :
「勤勉なことで結構。じゃ、置き去りにした部分の話をするが…」

SYSTEM :
すっと挙がる挙手。ちょっとジャンプする音。

“Mr・A” :
「ハイお手付き」

夏瑞珂 :
負けじと挙手してジャンプ。

“逢魔狩り”三草由芽 :
「ボケやってんじゃないんですよあっちょっと違うんです夏ちゃん」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「ステイステイ! そうじゃなくてぇ」

夏瑞珂 :
 

SYSTEM :
ちなみにジャンプ勝負の勝者は後回しにするが
身長が近いので見た目は互角であった。

“逢魔狩り”三草由芽 :
「で、特にツッコまれませんでしたけど、
 頭数はあっちのが上ってのは?」

“逢魔狩り”三草由芽 :
「この期に及んでギルドが妄想社会見学しに行くわけじゃないでしょ」

夏瑞珂 :
ぽん、と片手にこぶしを置く。たしかに。

“黄の希人”アーキル :
「因みにどこに強く納得を入れた?」

夏瑞珂 :
「向こうが多いのが可笑しいって話。寡勢に慣れすぎて、気にもしなかった」

ラーゼス :
同意の頷き

“七花胡” :
「“リグ・ヒンサー”と“貴人の庭”がなくなったことで、散った破落戸を搔き集めでもしたかと思っていましたが」

マスター・ハーヴェスター :
「おおそりゃ、いつもそうだった」

“黄の希人”アーキル :
「揃いも揃ってどういうプランで…。
 …あー、考えてみりゃ全部そうだったが…」

SYSTEM :
 寡勢で多勢の、もっとも尊い首を狩ること3回。厳密には、2回。
 うち1回は賢いやり方に付き合わないための“カチコミ”めいていた。

SYSTEM :
 その点において、確かに今更の話ではあるが。残った破落戸がいくら捕らぬ狸の皮算用を得意とした愚か者ばかりだったとしても、だ。
 さすがにこれほど目に見えてわかる”ジャーム”の現象に肩入れし、アゴで使われる数が多いはずはない。となると残りの”兵”のアテ先はひとつだが…。

“黄の希人”アーキル :
「………ギルドの兵力じゃあない。
 ここまで突っ走った”レムス”がアゴで使えるほど、ギルドは命を安売りしちゃあいないらしくてね」

“黄の希人”アーキル :
「“リグ・ヒンサー”のもだ。

 もともと生き残りにナシつけていたのがあの“グレイ・スコーピオ”と”帝釈天”で、そうじゃないやつはとんずらこいたか、“鬼人”と一緒に斃れたか、オオカミの腹の中…」

“黄の希人”アーキル :
       ・・
「で、代わりがコレだ。理解とか考察は…。
 ああ、聞きたいなら“小手調べ”に付き合ってくれた“血色の探求”の講釈から抜粋するから、そのつもりでいてくれな」

夏瑞珂 :
ぐう。

“七花胡” :
ねないで がんばりなさい

SYSTEM :
 あなたの脳裏から指摘する声に曰く…。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
“貴君のレネゲイド学Aは単位認定ならずだ 留年よろしく”

SYSTEM :
 イマジナリーだったので本物が言うかは定かではなかった。

夏瑞珂 :
ぱちん。

夏瑞珂 :
「留年になったわ」

夏瑞珂 :
続きをどうぞ!

“黄の希人”アーキル :
「おかしいな…言葉のボール打って三塁に走り出しやがった…」

ラーゼス :
「見た目より起きている。気にせず進めてよい」

マスター・ハーヴェスター :
「そうだ。話の肝がまだだぞ」

“黄の希人”アーキル :
「失礼、話を戻そう」

SYSTEM :
 そしてそうこうしているうちに、おそらくはその“小手調べ”を(ローマへの被害もあるから全力ではないにせよ)やったばかりのアイシャ/”マグナ・マーテル”が、自身のエンジェルハィロゥ・シンドロームからくる能力行使で、空に光景を描き出す。

 おそらくは先んじて“乗り込んだ”時の成果だ。遭遇した兵というのを、口でしゃべるより見せた方が“早い”としたのだろう。

SYSTEM :
 ………そこに映っていたもの、大多数はもはや人間ではなかった。
 オーヴァードなどやっていれば、怪物の“なり”をしたものをしとめることなど多々ある。珍しい話ではない。

 だが、これだけの数が、これだけ“同じ”共通項を持っているというのも珍しい。

“黄の希人”アーキル :
「ローマの遡った時代、王と騎士の時代ってのが実際“どう”だったのかは、想像でしかモノも言えない、この際言わんでおくが…。
 こいつがヤツのコマでな」

SYSTEM :
 映し出されていたのはジャームというより、レネゲイドで形作られた生物。
 いわゆるレネゲイドビーイングだ。

 その殆どが、おとぎ話でよく知られるものの形をしていた。

“黄の希人”アーキル :
「城壁からお邪魔して“やんちゃ”したら瓦礫が、かまわず踏み込んだら中身から、そいつらが押し寄せてきた。

 城の一部で、城の兵士ってトコだ。知性のほうは試してないが、一息で蹴散らせる感じじゃあない」

“黄の希人”アーキル :
「かと言って、そいつらに手間暇かけていたらお陀仏か悪戯に時間使うだけ…。
 必要なやつだけ片づける、くらいの気持ちでいてくれ。他に何か備えがないとも限らんしな」

SYSTEM :
 どう考えたとて“レムス”のものではない。

 竜の血を最も強く、色濃く持つものは、彼のいまの肉体となった“黒鉄の狼”──────北欧の欲望が産み落とし、別たれた嵐のかたちだ。

 馴染み始めた時点で、その細胞のひとかけらを…“記憶”のひとかけらを使えるのであれば、馴染み切った時が“どう”なるか。

ラーゼス :
「……」
 冷たい殺気が滲むのを覆い隠す。わずかな吐息。因果なことだ。

マスター・ハーヴェスター :
「フン……なるほど、核となるものは既に肚の中にある。
 それを出力するだけの媒介が存在すれば……か」

マスター・ハーヴェスター :
「魂無き兵士達……別の意味で、ハートレスメモリーと言えるかもしれんな」

夏瑞珂 :
 狼に育てられた王。

 なるほど、と薄笑う。
 この数日どうも脛かじりに忙しくしていたらしい。

夏瑞珂 :
 コマ
「連中とは『よろしく』してあげないのね?」

 知っていて、いじわるに笑う。向こうにその気がない以前に、昨日より古くて遠い遺物と異物だ。

“黄の希人”アーキル :
「その揶揄も、男性陣の声じゃないから懐かしさすらあるトコだな」

夏瑞珂 :
「『モノは言いようでございますね、そりゃ…』」

“黄の希人”アーキル :
「ここぞとばかりにハイブリッドで助かるよ。ま、もともと乱暴にもやれる男だぜ?
 そういうの以外はお断りとされちまったら、これしかないだろ」

“黄の希人”アーキル :
「なにより連中。
 ・・・・・
 ローマには愛着がないっぽくってな。筋の通らない不法占拠には、女神がちょっとお冠だ」

SYSTEM :
 俺も何にも思わんでもないからね、と肩をすくめる男に飛んでくる看板。内容はこうだ。

“アイシャ” :
“その呼び方は彼の流行り?”

“アイシャ” :
“踏み躙るだけ踏み躙って、車輪の下敷きを顧みないやり方が嫌いなのは彼よ 忘れてあげてね”

SYSTEM :
 それが誰の所以に合わせたがためのものなのかを、アーキルだけが肩を竦め切って流した。

夏瑞珂 :
アハー

夏瑞珂 :
手を伸ばして、すくめた肩を下ろさせる。

夏瑞珂 :
これで流れません

“黄の希人”アーキル :
いいや セカンドチャンスだぜ…(す…)

マスター・ハーヴェスター :
「イデオロギーの話で時間を取るよりすることがあるだろう」

夏瑞珂 :
「『イデオロギーないかんねー』」

ラーゼス :
 狼の欠片から出でた竜。
 ……なるほど、馴染みがあったというわけだ。
 風のような男だったが、まさか竜の子だったとは。
 その姿に感じた殺気を沈め、いっときの郷愁に耽る。

ラーゼス :
首を振って槍を握った。アレウスの言葉に違いはない。

“七花胡” :
       イデオロギ-
「そうですか? 主張の確認、自分は結構大事だと思ってますよ。
 何のために戦っているのか、検めるおくことは士気に直結する」
 時間が無いのはそれはそう。なので手早く済ませてしまおう。

“七花胡” :
「彼らは侵略者です。余所の国の土地など侵し、壊し、奪う対象でしかない。
 そうやって他人の土地を尊重できない者は、侵略者と罵られ、火を掛けられ、首を吊られて、史上の染みと化すべきだ」

“七花胡” :
「育てた誇りもなく、王さま一人潰えた瞬間に崩れるものを、自分は国なんかとは呼びません。
 さくっと更地にして、ローマ市民にお返ししちゃいましょう」

夏瑞珂 :
「更地!」きゅっと肘に抱きついて片足を跳ね上げる

“七花胡” :
「おやおや。欲しがりさんだこと」くすくす

SYSTEM :
 …もちろん充填と“馴らし”が終わってしまえばあちらの総取りだ。
 どちらが迎え撃つ側かは言うに及ばない。勝者のみにそれを語る資格があるというならば(あるいは秘めるのみで十分とするならば)、主義主張は屍の上で語るに留めるがよいだろう。

 だが、ここでの宣誓は男の容認せぬ形の表明でもあった。首を傾げるものも居はしない。

“黄の希人”アーキル :
「ああ…そうだろうとも。
 長々と言ったが、やることはひとつさ」

“黄の希人”アーキル :
「はじめの鉾はこっちで撃ち込む。
 乗り込んでからは、防備の“カタ”いとこに切り込みだ。うまく利用してくれ」

SYSTEM :
 神殿が、城塞を目下に捉える。

 突入開始の合図と同時…。
  これ
 マヨヒガを手繰る”マグナ・マーテル”の全霊と、外周で意を削ぐ役割につく者たちが活動を開始する。
 それを差し引いても、迎え撃つ牙の数は…ローマの靡いたレネゲイドの数だけあると言ってもいい。

SYSTEM :
 数十秒後に解き放たれるその輝きを合図とする前に、振り返ったあなたの同盟者が言った。

“黄の希人”アーキル :
「更地にした明日で、馴れても綺麗だ、と言わせてもらうかな。
 ──────さ、始まりだ!」

SYSTEM :
 見送りも宴も明日の晴れ間だ、と。
 男の言葉に、遠い空の守り神が頷いた。

 雷雨が迎え撃つようになびく。
 ──────数十秒後に、死せるオオカミの喉笛めがけて、雨の中を消えぬ炎が奔った。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

 そして…。
 脈打つ心臓の鼓動、高揚感にも似た冷たさと熱さを。
 神話の成れの果ては、静かに味わっていた。

『レムス』/ワイズマン :
「………どこからきて、どこへゆく」

SYSTEM :
 佇む男が纏っていた黒衣は、“庭”に訪れた時の不透明を装うためのものではない。
 刻一刻と数えた時間に合わせて横溢する因子の昂りを放出するように、指先から小さく稲妻が走った。
 
 ケラウノスの雷。呼吸のように放たれた衝動が、空を彩り、数分後、雷霆の影響を齎し得る箇所を焼く。
 まことに力が横溢し、己が都の新生を待つまでの間は、ひたすらにその繰り返し。

 かつての神話の創まりで、今やいち観光地。そこは、彼の浪漫の出発点だった。

SYSTEM :
.. ローマ
 情熱の都の祖と血を分け。
 しかして、善き浪漫を受け継げぬ男。
 そんな彼には…かつて、夢があった。善意にも近く、悪意にも近い。生きていくならば避けられない夢だ。

SYSTEM :
 狼を切欠に生まれた己というものを自覚した者たちの命は、簒奪者への報復から始まった。
 断崖に必ず叩き落としてやると、焼け爛れるような心の痛みを甘美と啜り切った。
  
 だから知っていた。必要なものは、己さえも顧みぬ力。
 弱き者に許された最強の武器とは、即ち憎悪。そこから色づく恩讐なのであると。
 そしてやり遂げた。否、これからだ。
 彼は“それ”を果たした後、成し遂げたいことがあった。成し遂げることはできなかった。

『レムス』/ワイズマン :
  ロムルス
「………兄者よ」

『レムス』/ワイズマン :

「道半ばで夢を違えたもの。
 雷霆なりしクィリヌスよ」

『レムス』/ワイズマン :

「そこで、刮目するがいい。我が永遠。
 そこで、悔恨するがいい。己が不徳」

『レムス』/ワイズマン :
 レムリア
「われわれは、すべての頂に立つ………」

SYSTEM :
.  ガイア
 この地球よりすべての国を駆逐し、すべての強者を叩き伏せ。
 すべての理念を破壊し、すべての敵を灼き祓う。
 すべての悪徳を消滅させ、すべての命を礎としたその時に…。

『レムス』/ワイズマン :
「あらゆるものが亡び、あらゆるかたちが廻るというならば…」

『レムス』/ワイズマン :
「…何度でも………」

『レムス』/ワイズマン :
「………何度でも、ローマを創造り、破壊し…」

『レムス』/ワイズマン :
    レムリア
「………われわれの都を打ち立てよう」

SYSTEM :
 我々の夢は完成するのだと、雷雨の中で誓うように木霊する声。

SYSTEM :
 生まれ出ずる永遠の繁栄を、かつて彼らは共に臨んだという。
 血塗られた復讐の果て。
 愚かしく、浅ましく、避けられない大きな野望を広げて。
          ユメ
 ただひとつ。純粋な欲望のために、国を創造ろうと決めた。

SYSTEM :
 ………たった一つ、何を願うか。
 そのボタンを掛け違えたことで、その野望は終わりを迎えた。
 故に彼は王弟。神ならざる男であったという。

 だが───。
 なればこそ、彼は欲望を持てた。何より強く、浅く、だが誤魔化しようのないもの。

SYSTEM :
 ………男は強欲であった。

 巡る邪な血が、嘶くように巡る。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 FS判定が発生します。 

SYSTEM :
【FS判定シート】
内容:血を以て、審判を行え
終了条件:復讐の成就/欲望の遂行/遺産の破壊/凶兆を断つ
完了値:20
難易度:9
判定:〈白兵〉or【社会】
支援判定:【感覚】
最大達成値:40
経験点:2
備考:生存中の『友好』NPCによって判定内容が変化する
   生存中の『敵対』NPCによって判定内容が変化する

SYSTEM :
[進行度0]
判定:〈白兵〉or【社会】
支援判定:【感覚】
難易度:9

 王弟レムス/ワイズマンは乗っ取った『レムリア』の肉体が持つ古きレネゲイド、
 そして“神の雷霆”を用いて、ローマ内に己の“国”を形成。
 国の外側を『ケラウノス』による雷霆で滅ぼし、内なる大地をクィリヌスの神話もろとも新生させ、
 やがて永遠の都と語る彼の国を作り上げようとしている。

SYSTEM :

 彼はあなたの始まりを踏み躙った元凶であり、
 彼はこの闘争内で最も強い肉体と最も狡猾な精神を備えており、
 彼は世界にとって最大の脅威となり得る遺産の使い方をする愚者であり、
 そして彼の乗っ取った肉体が『狼の王』ならば、彼こそがその篝火に集まる破滅だ。

 賢者が血を流すか否か、それを以て神が誰に味方するかを確かめろ。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :

 ポメリウム
 都市の境界───侵すことの能わぬ聖域。
 
 オーヴァード以外には認識さえも叶わない、血塗れの寿を受けた城門。
 
 “神殿”からの砲撃/紐づけたゲートからの侵入と同時、レネゲイドが渦を巻き、牙を剥く。
 この長い回廊、天頂を目指す歪なる城塞都市こそがレムリアだ。

SYSTEM :
 完成の暁には、やがて彼の描いた形の「王国」が世界となるのだろう。
 もっとも強き欲望のかたち。
 かみ    はいしゃ
 天頂を目指し、悪魔と果てた男が、なおもと目指したのは人の世の永遠。

 だが………。
 斯様なものを、我欲のために振るうものは、いつも破綻してきた。
 今回も同じとなるかまでは、定かでないが。

“黄の希人”アーキル :
「まだお出ましじゃあないようだが…。
 予め理解っておいてくれよ、ヤツが使うのは恐らく“黒鉄の狼”の脛だけじゃあない」

“黄の希人”アーキル :
「ローマを土台にした高みの見物ってやつさ。
 ・
 何が来ても笑って押し通ってやりな…!」

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
【Check!】
 最終FSシーンにおいては、下記の追加ルールが発生します。

I:EXハプニングチャート

II:トループ 

SYSTEM :
【FS追加ルール1-1:EXハプニングチャート】
 従来のハプニングチャートに加えて、専用のハプニングチャートが展開されます。
 このハプニングチャートの効果は「友好的なNPC」および「敵対したNPC」の状況に応じて変動します。 

SYSTEM :
~つまり?~
・ハプニングチャートを汎用と専用で2回振るよ!
・友好的なNPCがいると全体的にちょっと有利になるよ!
・ここまでに敵対NPCをアホほど残していたり「いろんなやつと敵対した」場合は死を覚悟してね!

・二回で事故っても笑ってくれな

SYSTEM :
【FS追加ルール1-2:EXハプニングチャートの内訳】
 解説終了後、情報タブに記載します。 

SYSTEM :
【FS追加ルール2-1:エネミーの出現】
 FSが特定の進行度に到達した場合、場にエネミーユニットが出現することがあります。
 この時、エネミーユニットについては次のような扱いを行います。 

SYSTEM :
【FS追加ルール2-2:エネミーの行動】
 エネミーは登場と同時に『待機』を行い、同時に“行動の予兆”を宣言します。

 FSのクリンナッププロセス(完了の成否判定を行うプロセス)までに対象が撃破されていない、
 または『行動の阻止(後述:2-3を参照)』を宣言しなかった場合、宣言された行動を行います。

 宣言される行動は基本的に
「一定のダメージを与える攻撃エフェクト(達成値・ダメージ固定)」
「次ラウンドに影響を及ぼす妨害エフェクト」のどちらかとなります。 

SYSTEM :
【FS追加ルール2-3:行動の阻止】
 行動の阻止はPCがFSにおける「進行判定」を行うタイミング、つまり対象の手番時に宣言出来ます。
 宣言した場合、事前に横に表示されている“阻止判定”分の数値を合計で達成した場合、
 そのラウンド中のエネミーユニットの行動は不発に終わります。
(※阻止判定は「白兵・射撃・RC・交渉」のいずれかで行います。攻撃判定としては扱いません。)

 また、エネミーユニットにはそれぞれ既定のHPが設定されており、これを0にした場合はエネミーは消失します。
(※ただしエネミーによっては何らかのリアクションエフェクトを所持していることがあります。) 

SYSTEM :
~つまり?~
・FSを進行していくとお邪魔キャラが沸くよ!
・お邪魔キャラはHPを削ってブッ殺すと永久に動かなくなるよ!
 または「阻止判定」を成功させるとそいつは「そのラウンドは」動かなくなるよ!
・阻止しなかった場合は命中判定・ダメージ固定の攻撃か、次ラウンド面倒なことになるよ!
・FSが「ゴール判定」に達した時点で全員消えるよ!

・どのみちロクなやつじゃねーんだ 見つけ次第殺るぞ!

SYSTEM :
【Check!】
 解説は以上です。
 それでは、健闘をお祈りします。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【-Round 1-】 

SYSTEM :
■セットアップ
 ハプニングチャートが発生します。 

SYSTEM :
1d100 (1D100) > 41

SYSTEM :
41~45:一か八かのチャンス。このラウンド中、最大達成値と難易度に+10。

SYSTEM :
■セットアップ
 EXハプニングチャートが発生します。 

SYSTEM :
1d100 (1D100) > 56

SYSTEM :
56~60
 “赤の鬼人”が『敵対』だった場合、ラウンド中一度だけ行われた判定の達成値が[0]になる。
 “赤の鬼人”が『友好』だった場合、ラウンド中一度だけ行われた判定の達成値を[0]にできる。
(※敵対時の効果は特定ハプニングチャートと併用されない)

SYSTEM :
【Check!】
 どちらの条件も満たしていないため、
 効果は発動しませんでした。 

SYSTEM :
 正面に勢揃いで出迎えたものは、確かにアーキルが伝えた通り。
 形も見てくれも様々、生物の細胞/セルの防衛反応だ。

 その厚みは見ての通りだが、逆に言えば一気に手薄にできる好機でもある! 

SYSTEM :
■手番処理
”マスター・ハーヴェスター”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブ(支援判定)を確認しています...  

マスター・ハーヴェスター :
待機だ。

SYSTEM :
■イニシアチブ
『待機』が選択されました。
 行動値を[0]にし、次の手番処理に移行します。

SYSTEM :

SYSTEM :
■手番処理
 ”七花胡”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブ(支援判定)を確認しています...  

マスター・ハーヴェスター :
ここだな……支援判定を行う。構わんか?

GM :
承知致しました。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定を確認しました。
 続けて使用するエフェクトがある場合は宣言・判定を行ってください。 

マスター・ハーヴェスター :
(6+3+3)dx+10 <感覚> (12DX10+10) > 8[2,2,2,3,3,5,5,7,7,7,8,8]+10 > 18

マスター・ハーヴェスター :
……おっと、ハイペリオンの効果を足し忘れていたな。+2で、20だ。

SYSTEM :
■支援判定確認
 判定に成功しました!
 対象となるキャラクターの達成値をラウンド中[+3]します。 

SYSTEM :
■メイン
 続けて“七花胡”が、
 進行判定の宣言を行ってください。

“七花胡” :
"マスター・ハーヴェスター”、助力に感謝を。

“七花胡” :
【社会】で判定を行います。使用エフェクトは無しで。

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。 

“七花胡” :
7dx+15 社会 (7DX10+15) > 10[4,5,7,7,10,10,10]+7[1,2,7]+15 > 32

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:0→4 

SYSTEM :
 レムリアを形作る“竜鱗”に自我も知性もない、あるのは与えられた目的意識だけ。
 半端な野性をあなたはお手の物と手玉に取って、迎撃と進軍を再効率化しながら先を急ぐ…。

SYSTEM :
■手番処理
 ”帯来风暴”が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブ(支援判定)を確認しています... 

夏瑞珂 :
鱗を全部剥がして惨めな丸裸にしてあげる。〈白兵〉で振るわ

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 続けて使用するエフェクトがある場合は宣言・判定を行ってください。 

夏瑞珂 :
7dx+11 (7DX10+11) > 10[3,3,5,5,6,10,10]+9[4,9]+11 > 30

夏瑞珂 :
アッハ!

“黄の希人”アーキル :
よし…上出来! 
おかげ様だ、先に進むにそう手間もかかるまいさ

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:4→8 

SYSTEM :
 目に映るもの片端から叩き潰し、鱗を剥いだ先、欲望を宿す王弟の器の底を目指して、あなたはあなたの心臓の代替品が脈打つままに岐路を我が物顔で突き進む! 

SYSTEM :
■進行判定確認
 進行度が[5]に到達しました。
 進行イベントが発生します。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 天へ延ばされ、螺旋を描くような道を駆け上る。進撃は快調であった。

 突き進む最中の襲撃のはじめのはじめで音を上げるほど柔でもあるまいし、
 進路にかかる敵の付き合うに値しない後続はあなたたち以外が抑えている。

SYSTEM :
 建造の最中であるためか、ところどころ途切れた煉瓦。そこから覗く空の雲海は果たして真か偽りか。
 
 …かつて頂を目指した男の妄執の行く先が何処に繋がるのか。目的の故をいま推察する時間はない。足を止める理由はそれ以上に。

 やがてその進行が、ひと区切りつく場所で留まった。

“黄の希人”アーキル :
「まずは二、三合目ってトコか。今のところは順調で───」

SYSTEM :
 口にした男が秒で“そうでもない”と後悔交じりと撤回。

 それより素早く、雲海の位置などお構いなしに、天より鳴り響くものが地を焼いた。 

SYSTEM :
 数は四つ。狙いは言うに及ばず。

 直撃───ないし、迎撃の前に。
 地から閃光が上る。

 閃光とは言ったが、実際はそうと見紛う投射攻撃だ。
 偶さか開けた場所、地上から”かろうじて”狙いをつけられる程度の飛距離から、二発ほどの雷/レネゲイドのかたまりが撃ち抜かれて霧散する。 

SYSTEM :
 判断材料は地上から。
 高い金かけた傭兵からの通信回線。

“グレイ・スコーピオ” :

〈こちら“グレイ・スコーピオ”。
 どっちの悪いニュースから聞く〉

夏瑞珂 :
「ビリー!」

夏瑞珂 :
いやがるだろうけど、第一声はこうすると決めていた。

“グレイ・スコーピオ” :
〈…一丁前にめかし込んで舞踏会しながら曹長殿の墓に呼びかけても何も出ねェぞ〉

夏瑞珂 :
「皮肉が出たわ」

“グレイ・スコーピオ” :
〈欲しけりゃさらに足してやる〉

“グレイ・スコーピオ” :
              ...レディ
〈…その調子じゃ、見た目通りの淑女殿とつくには10年早いな。
 で、なんだ。アンサーがねェならとっとと報告行くぞ〉

夏瑞珂 :
「だって悪いのしかないんだもの。最悪なほうから聞けばいい?」

ガンドルフ :
《どのみち両方バッドなら程度も変わらんだろうが……ま、俺としても最悪な方からだな》

“七花胡” :
「レディ扱いすることで立派な淑女になるものでしょうに。
 報告は何方からでも御随意に?」
 我々相手よりも数段親し気だ。彼女にとって並々ならぬ縁なのだろうと薄く察する。

夏瑞珂 :
だそうです!

夏瑞珂 :
どうぞ!

“グレイ・スコーピオ” :
〈ク、ク………あいにくガキの躾は生涯に渡って専門外でな〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈報告1。引きこもりが重い腰上げた。
 今のは見えたか? とりあえず手当たり次第ってトコのようだが、神様気分のようだ。
 当たるだけならまだしも、くたばってくれるなよ〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈で、報告2だが…。
     ・・・・
 そっちにでけェのが飛んだ。備えとけ〉

ラーゼス :
「…………」

夏瑞珂 :
 ・・・・
「でけェの?」

ガンドルフ :
《───あァ? 確かに後者の方が程度の低いバッドだな……で、目測サイズはどの程度だ》

SYSTEM :
 応答は“見りゃ分かる”。
 気軽な口調のあたり、想像を絶するようなタイプではないだろうが、そこらのものと違うのは確かだ。

SYSTEM :
 ──────地響き。

 暫定、着地音。人間/オーヴァードが石段を力強く踏みしめた程度でこんな音は出ない。
 よほどの力自慢が、性質に恵まれたシンドロームを掛け合わせて“鳴らせる”たぐいだ。 

SYSTEM :

 ぬう、と大きな影が視界を過る。
 雷の落ちた先、散るはずのレネゲイド因子に誘い込まれるように。
 今までのものと比べて、4~5倍ほどの巨きさを持つ人外の鱗持つもの。伝説から生まれたRB。あるいはこう呼ぶ。

SYSTEM :
 ドラゴン
 幻想存在。

強欲竜のコケラ・成体 :
 ■■■■■■■■■■■■■■■──────!!!

“黄の希人”アーキル :
「要は“上がってこられたのが目障りだから迎撃が強まりますよ”ってことか!
 …いよいよとなりゃアイシャから伝って一点突破に変える、バテるなよ!」

ラーゼス :
「…………!」

夏瑞珂 :
「──呆れた。何アレ」

“七花胡” :
「おや、お気に召さない?」

夏瑞珂 :
「ええ。スクリーンで特殊部隊を無遠慮に蹴散らすような類は、特に」

“七花胡” :
「ハハハ! 怪獣パニックはお嫌いですか」

ガンドルフ :
《だが現実だ》

“七花胡” :
「如何にも! あれは我らの手で粉砕して構わぬものです」

“七花胡” :
「お嫌いですか?」

夏瑞珂 :
「どうかしら? 壊してみなくちゃ分からないわ」

夏瑞珂 :
「ラーゼスは? 森のお友達にトカゲはいないの?」

ラーゼス :
「古き仇。
 かつては友だった。
 そのさらに昔は、森を荒らすよそ者だ」

ラーゼス :
「……懐かしいものよ。
さと
 郷も性も違えど、いまも幻想のものとして生きるか」

夏瑞珂 :
「ふうん。それじゃあ、今回は?」

ラーゼス :
「敵だ」
 手に握る槍に灯る雷が、なお青黒く光る。

ラーゼス :
「だが、ゆかりなき力によって産み落とされたのだろう。あれも憐れだ。
 ……終わらせてやらねばなるまい」

ガンドルフ :
《そうかい……なら時代錯誤のデカブツとして処理させてもらうとするか》

ガンドルフ :
《人もまた巨いなる力を手にしたのだということを教えてやる……!》

“グレイ・スコーピオ” :
〈そうさ。現実の特殊部隊なんて名乗るのがやり合うのはもっとデカい化け物でね…。
 手前もハンティングなら知れたもんだろう。報酬金渡すまでは死んでくれるな?〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈もっともいちいちと群れられても手間だ。仕留めて欲しけりゃ射程内に置くか…。
 ああ、手筈通り強行軍だ。楽な方で頼む、以上。通信終了〉

SYSTEM :
 ..ちからわざでおしながした
 異論を許さず乱暴に切られた通信に聞き耳立てながらも、“黄の希人”が弓に信仰を番える。
 まだ、まだ序の口だ。切れるカードは決して少なくないが、城攻めの道理に則ったならば持久戦を仕掛けられるのはこちらの側である。

“黄の希人”アーキル :
「さて…思ったより手ェ出るのが遅かったな、ヤツも。
 こうなりゃ後は雨天強行だが───」

“黄の希人”アーキル :
「…揃ってツケは払って貰わなくちゃな!」

SYSTEM :
 その“ツケ”の矛先は、狼から血を継承した王なのか。あるいは彼の“厄介者/右腕”の話なのか。

 聞いているかもしれない男は一切言葉を返さなかったが、いずれにせよ“ここから”というのだけは確かだ。

SYSTEM :
【Check!】
 FS判定が更新されました。 

SYSTEM :
[進行度5]
判定:〈射撃〉or【社会】
支援判定:【肉体】
難易度:12

 王弟レムス/ワイズマンは侵入者の気配に玉座から腰を上げ、
 迎撃のため“レネゲイド”に強く呼びかけた。
.ケラウノス
 神の雷霆の迎撃をこちらに切り替え、より強い個体が姿を現している。
 それは臣下というよりは指先/細胞だ。これらの迎撃を潜り抜け、天頂を目指せ。

SYSTEM :
【Check!】
 判定内容の補足が行われます。 

SYSTEM :
FS判定5:判定内容の変化
    判定:〈射撃〉or【社会】
    支援:【肉体】
    備考:“神に仇名す毒蠍”または“ヘカトンケイル”または“血色の探求”または“ソフィア&イザナギ”のうち
       生存中のいずれかと『敵対』が確定していた場合のみ、敵対ユニットとして登場する
       生存中のものが登場した場合はより強力なユニットとして登場する

       またこの判定値に到達した場合、初回のみトループ「欲竜の鱗・成体」が出現し、(※FS判定20に到達すると消滅)
       以降クリンナップごとに対象ひとりに「3d10」のダメージを与える狙撃攻撃が行われる(ラウンド1度・2回まで)

強欲竜のコケラ・成体 :
■強欲竜のコケラ(成体)
 最大HP:45
 阻止判定:30

・エピックブラスト
《サイレンの魔女L3》
(命中達成値20・ダメージ18・シーン攻撃)

SYSTEM :
【Check!】
 NPCカードの内容が変更されます。

強欲竜のコケラ・成体 :
【Check!】
 行動予兆が宣言されました。

・エピックブラスト
《サイレンの魔女L3》
(命中達成値20・ダメージ18・シーン攻撃) 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
■手番処理
 ”隻獅子”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■メイン
 進行判定、または阻止判定のどちらかを宣言してください。 
 阻止判定の場合は内容も含めて宣言してください。

ラーゼス :
竜のコケラに攻撃する。よいな?

SYSTEM :
■メイン
 阻止判定が確認されました。
 続けて使用するエフェクトがある場合は宣言・判定を行ってください。 

ラーゼス :
淀裂く幻月/《コンセントレイト︰ブラックドッグLv2+1》+《アームズリンクLv3+1》+《パワースイングLv3+1》
 侵蝕値︰7
 判定値︰(6+4+4-1)dx7+18
 攻撃力︰nd10+23

夏瑞珂 :
まるかじりにしましょう?

夏瑞珂 :
《援護の風 LV5+1》

ラーゼス :
感謝する! ……ゆくぞ!

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 122 → 124

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 144 → 151

ラーゼス :
(6+4+4-1+6)dx7+18 (19DX7+18) > 10[1,1,1,1,1,2,2,3,3,4,4,4,7,7,7,7,7,7,9]+10[2,2,3,4,8,9,9]+10[1,7,8]+5[3,5]+18 > 53

“黄の希人”アーキル :
(手馴れてやがる! いや…)

“黄の希人”アーキル :
(もっとデカい上限とやり合ったのか?
 だが、いずれにせよ──────!)

強欲竜のコケラ・成体 :
 ■■■■■■■■■■■■■■■──────!!!

ラーゼス :
───押し通る!

ラーゼス :
6d10+23 (6D10+23) > 41[5,4,8,8,9,7]+23 > 64

ラーゼス :
  ナリ
その形の殺し方も、食い方も、血肉の味も! 知っているぞ、小さき竜よ!

強欲竜のコケラ・成体 :
 ■■■■■…■、■、■、■、■………。

SYSTEM :
【Check!】
 強欲竜ののコケラ(成体)のHPが0になりました。
 場から対象ユニットが消滅します。 

夏瑞珂 :
とっても素敵!

“黄の希人”アーキル :
動きが止められたら上出来だったが
仕留めちまえるならそれに越したことない! よくやったもんだぜ

“黄の希人”アーキル :
…とはいえ、だ…別のが来るぞ!
へい
細胞を鎧袖一触されてお冠だ!

夏瑞珂 :
あら楽しみ だってちょうど気付いたの

夏瑞珂 :
自分たちが怪物側のパニック映画の楽しさに!

“黄の希人”アーキル :
ちなみに大方の怪物の死因ってのは、足元が疎かか予想外の銀の矢食らうか、二つに一つだぜ…!

夏瑞珂 :
そっち
銀の矢はわたしだから一つはなくなったわね

夏瑞珂 :
足元は任せました! どうぞ!

“七花胡” :
自分がいる限り、地盤の崩落なんて許しませんよ

“七花胡” :
もっとも……この城の建築がお粗末だった場合は、責任など取るつもりはありませんがね!

SYSTEM :
■クリンナップ
 クリンナップに伴い、
 予告されていた行動を確認します。 

SYSTEM :
■クリンナップ
 “ケラウノス”による狙撃攻撃が行われます。
(進行度イベント参照) 

SYSTEM :
S1d4 (1D4) > 3

『レムス』/ワイズマン :
 懲りぬ奴腹めが………ならば、
 築き上げた永遠の対価を支払ってもらおう

SYSTEM :
■クリンナップ
 対象が確定しました。

 対象→“七花胡” 

SYSTEM :
3d10 (3D10) > 21[3,9,9] > 21

“七花胡” :
ク……! 御自慢の城を嗤われたのが随分堪えたと見える……!

“黄の希人”アーキル :
最初に鮮やかに出る杭だったせいかもな…!
ダメージは! どうだ“七花胡”!

system :
[ "七花胡" ] HP : 26 → 5

“七花胡” :
進むに支障はありません、構わずともよろしい!

“七花胡” :
過ぎる癇癪に手をあげずにはいられなかった御様子、ですが目測を誤りましたね!
自分如き打ったところで、結果は傾きませんよ……!

SYSTEM :
 外へ無作為に向かう雷霆の矛先が変わり、産み落とされた竜鱗がより集合する中、彼の支配する城塞の中をただ進んでいく…。

SYSTEM :
■クリンナップ 
 FS判定が未完了です。
 次ラウンドに移行します。 

SYSTEM :
【-Round 2-】 

SYSTEM :
■セットアップ
 ハプニングチャートが発生します。 

SYSTEM :
1d100  (1D100) > 22

SYSTEM :
21~25:異常な興奮。そのラウンド中、進行判定を失敗したPCは『暴走』を受ける。

SYSTEM :
■セットアップ
 EXハプニングチャートが発生します。 

”遺物怪盗" :
では代理としてわたくしが。

”遺物怪盗" :
1d100 (1D100) > 25

“逢魔狩り”三草由芽 :
ぬけがけだーーーーーー!!!! 
がけだー…だー…だー…!(エコー)

”遺物怪盗" :
おや……おほほ。

”遺物怪盗" :
頑張ってくださいまし〜(逃走)

SYSTEM :
21~25
 ギルドの妨害が発生する。このラウンド中、すべての達成値を[-6]する。

SYSTEM :
 …先の推測でギルドの中に靡くものはもう“ない”とされていたが、僅かにそうではないものがいたようだ!
 レネゲイドの因子を波立たせ、竜鱗たちに紛れながら、俊敏にこちらの命を狙うオーヴァードが立ちふさがっている!

ラーゼス :
充てられたものたちか!? なんと無謀な…

ギルドエージェント :
 …!

夏瑞珂 :
外れくじがいっぱい

“七花胡” :
勝ち馬と踏んだのでしょうが……見る目が無かったと、後悔させて差し上げましょう!

ガンドルフ :
妙に殺意を向けられてる気がするが……まァ、いい

SYSTEM :
■手番処理
 ”マスター・ハーヴェスター”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブ(支援判定)を確認しています... 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブ(支援判定)を確認しています...
(なお手番対象PCが進行判定を宣言した場合、そのまま「メイン」の記述に移行します。) 

マスター・ハーヴェスター :
進行判定を行う。<射撃>だ。

SYSTEM :
■メイン
 判定内容を確認しました。
 続けて使用するエフェクトがある場合は宣言・判定を行ってください。 

マスター・ハーヴェスター :
<小さな塵>+<コンセントレイト:AH>でいく。
構わんか?

GM :
ここまでの事例から鑑みて問題ありません!
それでは…

SYSTEM :
■メイン
 判定内容およびエフェクト宣言を確認しました。続けて判定を行ってください。 

マスター・ハーヴェスター :
(6+3+3)dx7+(18-6) <感覚:射撃> (12DX7+12) > 10[2,2,3,3,4,4,4,4,5,5,8,8]+10[7,10]+10[1,7]+3[3]+12 > 45

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:8→13 

SYSTEM :
 閉所空間で機動性を活かせずとも、局地戦、かつ対多数との戦闘におけるG-ドルフの搭載兵装とその火力は覿面な効果を齎した!
 あなたは“レムス”が展開したギルドエージェント、および竜の鱗の中から重点的な配置が行われた箇所/つまり突破口を見出し、そこを自身の手で切り開くと、先へと歩を進めていく…。

SYSTEM :
■進行判定確認
 進行度が[10]に到達しました。
 進行イベントが発生します。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 …要へと向かう道筋をゆくにつれ、その構造はより変わっていく。

 前時代的な意匠、屋内というのに分け隔てなく堕ち、満ちる雷気の不合理こそが、
 これがオーヴァード…それも“向こう側”に行ったジャームの引き起こした現象であることを示していた。

SYSTEM :
 雷霆が齎すレネゲイドの高まりは、ローマすべてにつもりに積もった信仰を“土台”にしている。
 これだけの規模を一朝一夕で建造するだけの“余分”を果たせるのは。
.   レジェンド
 如何に伝説が、そこに根付く地で力を持ち…如何にレネゲイドの齎す見返りが強いかを示していた。
 薄氷の下で、世界さえも歪めてきたもの。人を変え、大地を変え、進化のためにうねりを起こすもの。

 摂理を否定するものこそレネゲイド。

SYSTEM :
 そこから生まれた新しき申し子と、根付いていた古き血のつながりが写したその光景、
 それはまさに、

“黄の希人”アーキル :
「妄執…ってなワケだ」

SYSTEM :
 妄執と呼んで差し支えのないものだ。

“黄の希人”アーキル :
「都のセンスだの何だの、好悪だのは置いておくが…。
 パラティーノを飛び越えて、錆まみれの野心をここまでデカい妄執引きずって果たそうとは、見上げた根性だよ」

夏瑞珂 :
「アハ……」

 執着の巨きさ、重さ。かけた労力、執念。
 変革したものが、やつの理想に近いほど。

「踏み躙って、吹き飛ばして、刈り取って──」

夏瑞珂 :
「やり甲斐があるわね? とっても」

“黄の希人”アーキル :
「ああ。内容によっちゃ“待った”だが、今回のはそうでもない。
 とりあえず、この馬鹿騒ぎじゃ最後の“更地にしていいぞ”だ」

“黄の希人”アーキル :
「…アイシャはああいうが、あいつ、ローマが心の底からどうでもいいってワケじゃあない…」

“黄の希人”アーキル :
「永遠の都なんてセリフ、あのテの衝動丸出しで喋りゃしない」

SYSTEM :
           ・・
 だったらもうちょっとムダなくやるさ、と。肩をすくめる。
 それは“乱暴にやる気だった”と言った男なりの理解なのかもしれない。

夏瑞珂 :
むっとする。

“黄の希人”アーキル :
「…」

“黄の希人”アーキル :
「遡ってン時間前の俺曰く…。
 イヤは口にしような、だが」

“黄の希人”アーキル :
「先に言うが、別に“だから”ちょっとは思っとけみたいな話じゃないよ。
 新しい国ひとつのために他のすべてが死滅しちまうんじゃ、種として終わってるしな」

夏瑞珂 :
       イヤ
犬歯を剥いて噛みつきの表明をしていた口を閉じる。

“黄の希人”アーキル :
えらいぞ かつて失われた手袋の耐久力は戻らねえが

夏瑞珂 :
替えを用意しておくことをお勧めするわ

夏瑞珂 :
念のためにね

“黄の希人”アーキル :
早くも明日に警鐘が灯ってんな???

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
「信仰篤き土地であるからこそ、目覚めるものは強く、度し難い……」

ラーゼス :
「ただ狼の血で蘇ったのみではないことは、この様子でわかる。気を緩めてはいられぬな」

ガンドルフ :
《執念か、嫌な言葉だ》

“七花胡” :
「全世界に宣戦布告したようなものですからね。並大抵の自信と欲望では、そんな分不相応を試みようとも思いますまい」

“黄の希人”アーキル :
「ご存じの通りさ、バカにゃできない。
 ・・
 執着は共通の価値だよ。だからつけ入るスキもあるが…」

“黄の希人”アーキル :
「RBが人のかたちで、人の歴史から学ぶ限り……その感情の振れ幅は避けられんのかもなってハナシさ」

SYSTEM :
 アーキルに言わせるならば。
 彼らが人に意味を見出し、人から学び、歩み寄ろうとしている限りは、彼のいう可能性は死んでいないということだ。

 そしてFHとしての話に入るものなら、こと、それのみに振り切ったジャームの在り方ともあれば“たいして”変わらない。
 これは世界を守るための戦ではない。
 欲望を以て欲望を踏み躙るための戦だった。

“黄の希人”アーキル :
「ところでだ、“七花胡”」

“七花胡” :
「何か?」

“黄の希人”アーキル :
「あんたがナシつけたっていう例の女」

“七花胡” :
「ああ……」

“黄の希人”アーキル :
「正直、このテの争いは煙たがって雲隠れかますクチだと思っていたんだが…。
 妙に乗り気だったよ。ぶっつけ本番で元気にプランに合わせてくれてる、そこまではいいんだが…」

“黄の希人”アーキル :
「いま何を思ったかアイシャにあんた宛ての伝言ひとつ渡したらしくてな。聞くか?」

“七花胡” :
「…………………………。御宅の大事な女神様には、不本意ながらの知り合いが大変ご面倒をお掛けしましたと、よろしくお伝えください」迂遠な肯定。

夏瑞珂 :
アイシャと聞いて、なあにーと後ろをうろうろ

“黄の希人”アーキル :
「出会ったばかりじゃいざ知らず、数分の会話で旗色濁る育ちじゃないよ」

 ああ、この御仁の不本意知り合いがアイサツしたってハナシ。

SYSTEM :
 …迂遠な肯定の中、道中を行く足音に紛れて彼の言葉が響く。曰く…。

“帝釈天”謝暁蕾 :
  こんねんはなおちてがんしょくあらたまり
“ 今  年  花  落  顏  色  改
  明  年  花  開  復  誰  在………”
  みょうねんはなひらいてまただれかある

“帝釈天”謝暁蕾 :

“ きっと秋風が告げるものを憂う面持ちで…意味を悟って頂けるでしょう
  さ、どうぞ、ご随意に。三つの野望を根こそぎ踏み躙り、浪漫を手になさいませ ”

SYSTEM :
 永遠の都を望んだ男を知ってか知らずか、
 そこに訪れた伝言の矛先が、時の除け者であるのを知っているくせして。
 女の言葉は、世の無常の優美を歌うもの。青春には限りあることをたしなめている翁が、今を生きる人間に語る歌の一節である…。

SYSTEM :

 わかっていると思うが絶対に義憤などではない。女がローマに関心を抱くということもない。
 ましてやそういう人間ならば、あなたに“取り戻せると夢に浸ったもの”を是非も感傷もすべて無視して“ただの脅威”と語りはしない。

 あなたがかつて、伝言の送り主に、ここを画布とすることを拒んだときの言い回しを、端的に言うと揶揄した挨拶だ。

SYSTEM :

 個人的に意味のある約束通りにコトを果たしますよ、というただそれだけの言葉にも…。
 こんなものを付属させねば気が済まない女なのである。
 他意と呼ぶほど強い感情ではない。だが、他意しかなかった。

夏瑞珂 :
むずかしい話だったので裾を翻して離れていく。

“七花胡” :
「………………………………ハア……………………。
 今日日『働いてますよアピール』なんて、子供でももう少しうまくやるというのに……」

“七花胡” :
 なんとまあ救い難い。これが千年生きた人間のやることか。霞を食うだけでは到底満足できぬような、救い難い悪食ぶりだ。
 あれにとって戦いとは義憤で赴くものではない。興味本位で参ずる観測行為だ。
 約束に則った最低限の働きこそ強いれども、それ以上の働きなど期待するべくもないと考えていたが……

“七花胡” :
「(……あの性悪、土壇場にわざわざ嫌がらせかねての伝言なんて、本当にいい趣味をしている。
  花の盛りが限りあるように、花が咲き切るまでの時間にもう幾許も無い……一丁前に警告のつもりか?
  いえ、そんな殊勝じゃないですね。せいぜい花見の祭りを面白おかしく盛り上げてみせろと、そんなところでしょう)」

“七花胡” :
「……"アイシャ”が染まりやすい性質でないことに、心底感謝しますよ。あるいは貴方がそう育てたおかげか。
 あれの悪癖の一分でも移っていたら、流石に自分も、伝言の宛先としてこの土地に顔向けできないので」

“七花胡” :
「伝言は『しかと』受け取りました。そうお伝えください。
 他の人間ならいざ知らず、あれ相手の伝書鳩など、初心なレネゲイドビーイングにやらせるものではない」

“七花胡” :
「花見気分の"お客さん”への『お返し』は、後で此方で遣りますので。お気遣いなく」
 どうせ土壇場で呼び出すことになるのだ。聞く限りの調子であれば反故にすることもあるまい。

“七花胡” :
 いやがらせは当人同士で。性格悪い者同士の鉄則だ。
 あの女に守る気がなくとも、この戦が終わるまでの間は自分が守らせると、そう決めている。

SYSTEM :
 …そのどんなオブラートにも包み難い無法こそが。
 ・・
 永遠など真面目に、想いを果たすための形で突き詰めるようには、
 やっていられないことの証かもしれなかった。
 人に限ったことではない。永遠の繁栄など、この星で果たされた試しは未だない。

 だからとて、この女の生き方が是しとされるべきかは甚だ疑問であるが、ともかく。
 伝言の中継先になった青年は、半ばの言葉に皮肉気に笑った。対処に滲んだ他意に、というよりは、別の内容に。

“黄の希人”アーキル :
「承った。だが、そういう祈り生まれの欲望育ちだぜ?
 目が節穴だった時はお互い詫びるしかないが、その辺りの自信はお蔭様で結構あるよ」

“黄の希人”アーキル :
「と、まあ…そのお客さんも混みで、合図さえありゃいつでも一転集中にシフトできる。
 いい感じの謝礼を用意しておいてやってくれ。ここから、丁度半ばってトコだしな」

SYSTEM :
 永遠の都を目指すものを、彼女は主観の印象で告げた。“取り戻せると夢に浸った”ものと。
 その地母神は、ローマに根付く人々そのものを愛しているわけではないと、彼を評して嘆いた。

SYSTEM :
 この天頂に続くものは果たして。

 雷気の気配がいっそう強まる回廊に足を踏み入れ、そして…。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 …回廊の行く手を阻むものには、見慣れた姿ばかり。
 肉体から生まれてはそぎ落とした竜の鱗たちが、一山幾らのオーヴァードなど歯牙にもかけない強靭さを以て、一山幾らの単位で押し寄せる。

 その数の群れに紛れる、いや…。ひと際目立つ姿があった。

SYSTEM :
 零れ落ちた稲妻は、ローマにおいてはただの“破壊”以上の意味を齎す。

 破壊し、創造る、その術とは。
 ローマ中のレネゲイド体と、これらが持つオリジンを我が物とする点にある。

 言ってしまえば、ここで争ったものの記憶と因子は、神の雷霆を持つものに流れ込む。
 …ましてや持ち主が直接屠り、踏みにじった糧ならば猶のことだ。
 再現も破壊も、そう難しいことでない。

 かつて死者を呼び覚ました事件があったという。“あれ”ほどの惨事ではないが、応用系でそこに指をかけられる。

狼の追憶・青 :
「──────」

SYSTEM :

            ・・
 二つ目の門の番は、その条件にこれ以上ないほど適していた。

SYSTEM :
 ローマに根付き、守り、そして死した。
 生まれていようが死んでいようが関係なく、ただ環を外から愛しんだ。
 ………そしてその最後は、天頂を目指す戦士の糧だ。その追憶を、稲妻が呼び寄せた。
      イマージュパルス
 いわば───電子の陽炎だ。

“黄の希人”アーキル :
「──────で。だ。まったく。
 ああ、だから”驚くな”って話」

“黄の希人”アーキル :
「だが、使えるわりには大事にしまい込んでいたもんだ…! それなりにこっちが目障りらしいぜ!」

SYSTEM :
 当たり前だが…もはや彼女ではない。声掛けに意味はない。
 その実力とて完全に同じかもわからぬものだ。

SYSTEM :
 だが…。
 これを用いたものは『神』を目指そうと思えば目指せてしまうだろう。

 かつて天空に昇ったものがそう成ったように。
          よわ
 生死に振り回される脆弱さを捨てて、より剛く。

ラーゼス :
「! 彼女は──」

夏瑞珂 :
「あら」こてんと首を傾げる

夏瑞珂 :
「忠告が遅いわ。すっごくびっくり」

“七花胡” :
「……引き抜いた花を、手前の都合で再び植えるなど。目も当てられない、醜悪過ぎる……。
 悪趣味の度合いでは此方も負けていませんね」心底の軽蔑が眼に浮かぶ

ガンドルフ :
《フン、今更何を。
 こんなもので驚くと思っているのか》

ガンドルフ :
《死人は死人、戻るものでもない。
 所詮は猿真似にも劣る、ガキの人形遊びだ》

ガンドルフ :
 もはや"こんなもの"で精神を乱される事はない。
 逆撫ではするかもしれないが、それでも怒りを発するには程遠い。

SYSTEM :
 かつてこの地に焼き付き、死にながら生き抜いた残影に応じる口はない。
 ただ、上段に構え、携えた長剣の切っ先だけが向けられた。

“黄の希人”アーキル :
「悪かったよ、予測のつけようがないもんでな!
 それに、やることは変わりゃしない」

SYSTEM :
 肝心かなめな部分として、レムスはこれを悪意を以て行う性質では”ない”ということだ。
 そういう輩ならば、そもそもことの発端、瑞珂にもう少しかけるべき言葉があっただろう。

 ………逆に言えば、意図はひとつ。

SYSTEM :
 ・・・・・・・・・・・
 使えるから守りに置いたのだ。

SYSTEM :
【Check!】
 FS判定が更新されました。

SYSTEM :
[進行度10]
判定:〈白兵〉or【社会】
支援判定:【感覚】
難易度:13

 ローマを構成するレネゲイドは建国の祖たるクィリヌスの雷に従い、
 この地で生まれ、この地で潰えた遍くひとびとの創まりを糧とした。

 故に、これまでの戦いの因果こそが牙を剥く。
 踏み躙ると決め、踏み躙り損ねたものを砕け。

SYSTEM :
【Check!】
 判定内容の補足が行われます。

SYSTEM :
FS判定10:判定内容の変化
    判定:〈白兵〉or【社会】
    支援:【感覚】
    備考:“帝釈天”または“不朽讃えし懐刀”または“マグナ・マーテル”のいずれかについて
       オープニングで『死亡/退場』しているユニットが敵対ユニットとして登場する

       またこの判定値に到達した場合、
       以降クリンナップごとに対象ひとりに「3d10」のダメージを与える狙撃攻撃が行われる(ラウンド1度・2回まで)
      (※回数を残り発動数に加算する形で処理する)

SYSTEM :
【Check!】
 NPCカードの内容が変更されます。

狼の追憶・青 :
【Check!】
 行動予兆が宣言されました。

■不朽讃えし懐刀
 最大HP:50
 阻止判定:40

・テンペスタ・サン・ガルガーノ
《ハードワイヤードL10》《アタックプログラムL5》《クレイジードライブL3》 
(命中達成値50・ダメージ36) 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
■手番処理
 “七花胡”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブ(支援判定)を確認しています...
(なお手番対象PCが進行判定を宣言した場合、そのまま「メイン」の記述に移行します。) 

“七花胡” :
雑草取りは後の二人に任せ、自分は本来の役割を果たすとしましょう……!

“七花胡” :
進行判定を行います。判定項目は【社会】で

SYSTEM :
■メイン
 判定内容を確認しました。
 続けて使用するエフェクトがある場合は宣言・判定を行ってください。 

“七花胡” :
7dx+6 社会 (7DX10+6) > 10[2,4,4,9,9,10,10]+8[3,8]+6 > 24

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:13→16 

SYSTEM :
 その“門番”と敵陣との交戦のさなか、足を止めれば追撃が来る。あちらも逃がす気は毛頭ないと来た。
 迎撃を各々にゆだねている間、あなたは確かに進路を導き出す。そして…。

SYSTEM :
■進行判定確認
 進行度が[15]に到達しました。
 進行イベントが発生します。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 戦闘と進軍の最中。追撃を受けながらも、いよいよ天の階が見えてくる。

 かつて理想を違え、破れ、見届けるしか叶わなかった天頂。
 昇り詰めるものの妄執の具現が“それ”と言ってもよかった。

SYSTEM :
 再び…まことのものかも定かでない空が覗く。
 開けた場所で息つく暇はない。

狼の追憶・青 :
「──────」

SYSTEM :
 それは追うものの気配もありながら、
 何より横溢する竜/王の波濤をただでさえ間近に感じるこの場所で、その強い膨れ上がりを感じ取ったからだ。

 喉笛まで刃物を突き立てられて、迎え撃たない者などいない。逃げる所以などない男にとって、そこまで上り詰めてきた相手に“排除”の意を向けるのは当然のことだ。

SYSTEM :

 ──────稲妻が甲高く鳴り響く。

 地を焼く天の裁きのかたち。
 迸る稲妻が、ローマの記憶を象っていった。

SYSTEM :

 先の言葉に準えるなら曰く。
   ・・・   ・・
 彼は使えるから/強いものから重要な門番にしたのだ。
 狼の追憶、そして羅馬の追憶をなぞって。

SYSTEM :

 ………そのローマにおける、
       ・・
 もっとも強き欲望とは?
 なるほど、もはや二通りしかない。

狼の追憶・鬼人 :
「──────」

狼の追憶・貴人 :
「──────」

SYSTEM :

 言うに及ばず。
 まことの形でなくとも、ただのFHなどセル単位で殺し、弄び、封殺し得るローマ最強の一角!

 あろうことかローマで、長きに渡る闘争に明け暮れ鎬を削った者たちが、ここに残らぬはずはない。

“黄の希人”アーキル :
「地下墓地ならぬ天空墓地で同窓会か。
 とんだ血塗れのご挨拶があったな、全く…」

“黄の希人”アーキル :
「だが──────」

SYSTEM :
【Check!】
 FS判定が更新されました。 

SYSTEM :
[進行度15]
判定:〈白兵〉or〈射撃〉
支援判定:【社会】
難易度:14
                  ユメ
 この地で生まれ、この地で潰えた強き欲望。
 潰えたことを罰とするなら、彼らの罪は弱かったことだ。
 天頂に上り損ねた骸の記憶が渦を巻く。ローマ最強の兵が牙を剥く!

 …だが、あるいはあなたたちの同盟者にローマを“委ねる”気があるならば。
 自分の縄張りのことは自分にやってもらうよりほかにあるまい。

SYSTEM :
【Check!】
 判定内容の補足が行われます。 

SYSTEM :
FS判定15:判定内容の変化
    判定:〈白兵〉or〈射撃〉
    支援:【社会】
    備考:“赤の鬼人”または“青の貴人”または“黄の希人”のうち、生存中のいずれかと敵対、
       また該当するセルリーダーが友好でなかった場合は、敵対ユニットとして登場する
       生存中のものが登場した場合はより強力なユニットとして登場する

       いずれかのセルリーダーと友好、かつ登場したユニットがすべて死亡しているものであれば、
       ゴール時の戦闘判定、レムスとの戦闘において対象の協力を受けられない代わりに、
       この進行イベントで発生した敵対ユニットの登場を無効化できる(選択可能)

狼の追憶・鬼人 :
■狼の追憶・鬼人
 最大HP:100
 阻止判定:70

グッドバイ・ファウスト
・抵抗は無駄だ
《漆黒の拳L7》《漆黒の波濤7》《紡ぎの魔眼L3》
(命中達成値30・ダメージ40・シーン攻撃) 

狼の追憶・貴人 :
■狼の追憶・貴人
 最大HP:50
 阻止判定:70

ジュディツィオ・デラ・レギナ
・そ の 罪 を 裁 く
《エンブレム:セイクリッド》《支配の領域L5》《絶対支配L3》
(次R中、一度だけ指定したPCのダイスを-10dx、ダイスの出目を[3]つまで[1]にする) 

SYSTEM :
【Check!】
 行動予兆の宣言前に、
 アーキルにより登場を無効化するかを確認します。

夏瑞珂 :
いいえ。最後まで付き合ってもらうわ

夏瑞珂 :
拾いにきてくれるんでしょう?

“黄の希人”アーキル :
お転婆なこったな! だが…まあそうだ。
逃げも隠れもするが自分に正直でいたいモンでね

“黄の希人”アーキル :
その気なら抑えきれよ!
俺に有言実行させてもらおうじゃないか、瑞珂!

SYSTEM :
【Check!】
 登場が確定しました。
 判定を継続します。 

狼の追憶・鬼人 :
【Check!】
 行動予兆が宣言されました。

グッドバイ・ファウスト
・抵抗は無駄だ
《漆黒の拳L7》《漆黒の波濤7》《紡ぎの魔眼L3》
(命中達成値30・ダメージ40・シーン攻撃) 

狼の追憶・貴人 :
【Check!】
 行動予兆が宣言されました。

■狼の追憶・貴人
 最大HP:50
 阻止判定:70

ジュディツィオ・デラ・レギナ
・そ の 罪 を 裁 く
《エンブレム:セイクリッド》《支配の領域L5》《絶対支配L3》
(次R中、一度だけ指定したPCのダイスを-10dx、ダイスの出目を[3]つまで[1]にする) 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
■手番処理
 ”帯来风暴”が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブ(支援判定)を確認しています...
(なお手番対象PCが進行判定を宣言した場合、そのまま「メイン」の記述に移行します。) 

夏瑞珂 :
胡の驢馬さん、力を貸して? 「エンブレム:前科者」の使用を宣言します

“アセルス・デスミオス” :
あらいやだ、オッサンのパシられ人生も堂に入って…

“アセルス・デスミオス” :
ま、いいともさ、承った!
ほんじゃま活路の一歩目を頂こうかい…!

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

・エンブレム:前科者(Round/1)
 PCを1名指名して発動。
 そのラウンド中(発生シーンを除く)に行う判定のダイスを[+2dx]する。 

夏瑞珂 :
〈白兵〉で進行判定を行うわ

SYSTEM :
■メイン
 判定内容を確認しました。
 続けて使用するエフェクトがある場合は宣言・判定を行ってください。 

夏瑞珂 :
【 Outta My Head 】
メジャー:《風鳴りの爪 LV1+1》+《コンセントレイト:ハヌマーン LV2+1》+《援護の風 LV5+1》

夏瑞珂 :
14dx7+5 (14DX7+5) > 10[1,3,4,4,4,6,6,6,7,7,7,9,9,10]+10[3,6,6,7,8,8]+6[1,4,6]+5 > 31

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 124 → 130

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:16→20

SYSTEM :
 …その“門番”との戦闘の最中、乾坤で作り出した隙の中を進軍する。
 如何な遺産の齎した力とて、使い勝手がいいのであれば最初から札を切り、差し向けていたことだろう。

 彼の座す場所、天頂に広がる羅馬の終着点が見え始めてきたその時、与えた傷か、あるいは“留める”要石から離れたためか、彼らは音もなく、再びその記憶を羅馬に預けていった…。

SYSTEM :
【Check!】
 ゴール判定の到達に伴い、
『狼の追憶・青』『狼の追憶・鬼人』『狼の追憶・貴人』が消滅します。 

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] 侵蝕率 : 121 → 125

SYSTEM :
■進行判定確認
 進行度が[20]に到達しました。
 最終進行イベントが発生します。  

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】
 かみ    はいしゃ
 天頂を目指し、悪魔と果てた。
 ただ、何より剛き者の鼓動を宿し、天命の先征く絶対強者。

 ──────あるいは、その名を。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 国造りを語る浪漫に曰く。
 ・ 
 神の血と交わり、忌むべき縁を孕んで、死すべきさだめを義務付けられた者どもがいた。

SYSTEM :
 その名こそ、国を作り上げたのちの神祖ロムルス。
 そして、天空に召されしものの名をクィリヌス。

SYSTEM :

 彼は、王位の簒奪者たるものに正当なる報いを下し。
 悪しきを憎み、弱きを拒み、強きを挫き、そして……。
 ひとつの国を創造ることを決めた。

 だが、その男には双子の弟がいた。
    ・・・・・
 国を、なんのために築くのか。その望みが、永久に王者を隔てた。
 召し上げられるべき血を持ちながら、その弟には驕りがあったからだ。

SYSTEM :
 驕りは死を招いた。それはいい。
 彼は国を築けず、彼の兄、クィリヌスなりしロムルスが永遠の都を願った。それもいい。

SYSTEM :
 ………その永遠の都はかつての栄華を失って久しく。いま二人目の登頂者を以て清算されようとしていた。
 名をレムス。王弟、レムス。 

SYSTEM :
 その玉体の完成を待ち望んでいた男が立ち上がる。
 地面を踏みしめ、黒衣をはためかせ。
 澱んだ決意の色をまとった、凍てつく眼光をこちらに向けた。

 瞳には憤懣や出迎えの感嘆などはない。

 徹頭徹尾、出会った当時の傲岸さをまとったままだ。

『レムス』/ワイズマン :

「………須らくを理解したとは言わぬ」

『レムス』/ワイズマン :

「だが、甚だ理解に苦しむ…。
 斯様な無謀で、おまえたち…何を成しにきたのだ?」

ラーゼス :
「………」
 杖を大地に突き立てる。
 僅かに大地が捲れるが、すぐにそれも修復された。

ラーゼス :
「貴公には理解できまいな。ひととはときに、かのような無謀をこそ善しとするものだ」

夏瑞珂 :
「復讐を、逆襲を、再戦を──」

 高鳴る鼓動は錯覚だ。胸の焦げつきがじりじりと痛んで、傷んで、失ったものに悼みを訴える。

夏瑞珂 :
「おまえの血でわたしの憎悪を濯ぎ、自由を取り戻すわ」

 血を吐く三年間の末、ようやく辿り着いた。
 身も心も憎悪に焼けて、無価値と無意味の灰にまみれ、真実の泥に燻りながらも──やっと。

夏瑞珂 :
「分からないなんて言わせない。あんなに囁いてくれたでしょう?」

夏瑞珂 :
  FUCK OFF PARASITE
「──くたばれ、寄生虫」

 狼の腹に、わたしの憎悪に、へばりつかなければ成し遂げられなかった弱者と──あらん限りの侮蔑と嚇怒を込めて。おまえを育んだものごと殺してやると。

ガンドルフ :
 レフ・ビットが周囲を舞う。
 一枚一枚が、作り上げている居城そのものを嘲笑い、その正体を見透かすかのように照らす。

ガンドルフ :
 それは失われた栄華に手を伸ばす、その誇大幻想に中指を突き立てるかのよう。
 永遠の都市を嘯くそれを、テクニカ・ティターンが蹂躙せんと、そこに両足を乗せた。

マスター・ハーヴェスター :
「気に入らねえテメェを、刈りに来た──それだけだ!」

 そこに──無法者の流儀を携えて。

“七花胡” :
「宣戦布告をなさったのは其方でしょう?
 貴方の宣言には全世界が絶対服従だとか、まさかそんな寝言を本気で宣うわけじゃありませんよね?」

“七花胡” :
「貴方は御存知ないかもしれませんが、ラテン語が公用語の座から陥落して、もう優に1500年は経っているのですよ。
 ニュアンスの捉え違いなら失敬、失敬!」

“七花胡” :
「王さまを気取るなら、貴方はその正当性を証明せねばなりません。
 そして自分は、何人をも頭上に戴くつもりはない。民を持たぬ孤王ならば猶更だ」

“七花胡” :
「此処が貴方の国土であるというのなら、塵になるまで叩き壊し、その骸を床として、自分がその上に楽園を築きましょう」

“七花胡” :
「────貴様にだけは成し得ない、万花の咲き乱れる豊穣楽土を!」

 羽織の裾を後ろに流し、目線は高く。
 此処までの傷など、目の前の大敵を看過して我が庭が受ける仕打ちを思えば無に等しい。
 これは自国を護るための防衛戦争にして、他国を侵す侵略戦争だ。
 驕った王とやらに、近代国家の戦を教えて差し上げる!

SYSTEM :
 男の不可解は挑むことに対してではない。
 己のいまに対して挑むことそのものだ。

 神にも等しきケラウノスの祈り、神さえ貪る強欲のかけら。
 すべてを手に収めた男に“負ける”という思考はおろか、戦いをするという感性さえもない。

 故にはじめ。同じ古き刻の王者に、彼はこう答えた。

『レムス』/ワイズマン :
「それにいったい何の益があろう…。
 …否、益ではないと宣うのか」

『レムス』/ワイズマン :
「…だがな、それは…」

『レムス』/ワイズマン :
「下すべき所以、挑むべき強靭さ…
 その凶刃を収めてこそ是しとするもの」

『レムス』/ワイズマン :
.          レムリア
「では何を以て…貴様はわたしに挑むを是しとするのだ。
 その下らぬ脆弱き見栄と…蟷螂の斧で…何が守れるという。守れたつもりか?」

SYSTEM :
 …彼の視線が、時の忘れ人に向いた。

 決して異なる楽土の創設者。
   にわ
 その領域の持ち主のサガをよく知るがための警戒が先の雷霆を生んだが、結果は致命には程遠い。

『レムス』/ワイズマン :
「小僧…。
 おまえは、賢しいだけの魔術師どもとは…
 なるほど、違うようだが」

『レムス』/ワイズマン :
「それだけだ…」

『レムス』/ワイズマン :
「その理想…。
..レムリア
 わたしの前で語るには、掌中に収めたさだめの数が足りぬな」

SYSTEM :
 男の言葉は自分の国の自負というよりは、楽土を宣誓した若造の思想への、冷淡な敵意に向いていた。
 嘲りにも似たが、怒りにも近い。薄らとした波風のような、玉体を揺るがすには遠い感情…。

SYSTEM :
 …続いて視線が、鋼の人機に向いた。

 PSY FRAME…その源流を正せば、強靭きが脆弱きを踏み躙る野性と、最新が最古を淘汰する技術の傲慢の合わせ技。
 進化する蛮人の愛用する得物として、もっとも相応しい。

 その傲慢のまかり通る世界を彼は隠れ蓑としていた。だから知っている。あるいは、遡った先においても。

『レムス』/ワイズマン :
「…刈り取った麦を腐らせるのみの蛮徒めが。
 雨後の筍のごとく湧く癖して、須く変わりがない」

『レムス』/ワイズマン :
「おまえは己の強靭さ故に…。
 その無法を罷り通してきたが…」

『レムス』/ワイズマン :
.            レムリア
「おまえは己の脆弱さ故に、わたしにその無法を通されるのみ…。
 巨人が、神を足蹴にする伝説など、因果地平の彼方にさえもないと、冥府に伝え逝くがいい…」

SYSTEM :
 …最後に。

 もっとも不可解とばかりに、
 返り咲く王者のひとみがあなた/瑞珂に向いた。

 なぜ? その所以など、先にさんざ語っている…。

『レムス』/ワイズマン :
「おまえは………なぜ還らぬ」

『レムス』/ワイズマン :
「おまえの国は…
 この現世のどこにもありはすまい…」

『レムス』/ワイズマン :
 ・・・・ ・・・・・・・・・・・・・
「ましてや、それはおまえのものではない…」

SYSTEM :
 復讐を望んだものも、逆襲に臨む理由も。再戦に希む心さえも。

 男にとっては、分け与えた機会。
 あるはずのない機会なのだと。

『レムス』/ワイズマン :
「…復讐とは、甘美にして、愚直にして、最強の刃…
 おまえは…確かにそのさだめを果たした…」

『レムス』/ワイズマン :
「で、あるならば…」

『レムス』/ワイズマン :
「それを竜の逆鱗に突き立てたその時…。
 おまえのさだめは終わっているのだよ………」

『レムス』/ワイズマン :
「………わからぬなら、おまえの言葉に合わせてやるが…」

『レムス』/ワイズマン :
「その囁きを妨げる、燻る火の…。
 無意味さをわかっておろう」

『レムス』/ワイズマン :

「おまえの自由など、

 この世の誰が喜ぶ?」

夏瑞珂 :
 ──生まれた家は焼け落ちて、育った家は置き去りに。生きていくはずの場所は塵と化した。

 目的のために生かされて、成し遂げたからには用済みだとしても。

夏瑞珂 :
「──っ」

 ギッと軋ませた犬歯に火花が散る。

 わたしの自由。嵐のかたちをした欲望と衝動。
 何も生まない暴力性を、いったい誰が喜ぶのか。

夏瑞珂 :
「────」

夏瑞珂 :
「誰も……」

夏瑞珂 :
「誰でもないわたしが、わたし自身を祝福する」

 もうここにない手を繋ぐ──強く、力強く。手袋の感触。分厚いのに、泣きたくなるくらい暖かい。

夏瑞珂 :
「わたしは、わたしの名誉を取り戻す」  

 かつて留まっていた嵐を……たった一度でも不自由を選べた、疵だらけの自由を。

 アレックスが生きた証を、取り戻すんだ。

ラーゼス :
「……何をもって、か」

ラーゼス :
 血の責務。凶兆を断つべきさだめ。
 いくらでもある。が、いまは。

ラーゼス :
 娘を見た。
 ただ自らただひとりの由をもって立つ男を見た。
 自らの楽園をとこしえに守ることを誓った男を。

ラーゼス :
 ・・
「彼らでよい。貴公に差し出すには勿体ない理由だ」

『レムス』/ワイズマン :
「………愚かなり…」

『レムス』/ワイズマン :
「おまえたちの…その言葉は…。
..レムリア
 わたしのさだめの下敷きにしか…なりはせぬ」

『レムス』/ワイズマン :
「“今一度”と寿く…その席は我がものだ
 いや…」

『レムス』/ワイズマン :
「我らの…ものなのだ」

SYSTEM :
 瞳がいちど、閉じられる。

『レムス』/ワイズマン :
「………かつて…。
      ・・
 この国に、我らは野望を抱いた…」

『レムス』/ワイズマン :
「あるべきものを、あるべき場所へ…。
 尊ぶべきを尊び、憎むべきを憎む…」

『レムス』/ワイズマン :
「罷り通らぬ世に報いを下し…。
 なれば、その喜びを永遠のものとするべく…」

『レムス』/ワイズマン :
「国を築いた………」

SYSTEM :
 ローマ建国の祖ロムルス。その弟レムス。
          ・・
 彼らのはじまりは、報復である。
 少なくとも建国の伝説に語られる限りにおいて。

SYSTEM :
 野生の底で足掻くように生き、手にした強さを糧とし、居場所を築くと定めた。
.つよさ    ろまん
 自由への欲求も平穏への慈愛も、互いに等しくあった。
 ・
 彼は前者が、兄は後者が。ほんの僅かに上回る。
 諍いの結果、彼は王になり損ねた。血の示すまま、天に召し上げられる道を取り損ね。
 あとは、歴史…ないし、“神話”の形になった通りだ。

『レムス』/ワイズマン :
「兄者が我を罰すること適ったというなら…」

『レムス』/ワイズマン :
「天へと、この雷霆を賜ること適ったなら…」

『レムス』/ワイズマン :
「それは天命が…兄者を認めたのだ…
 兄者こそ残るべき強きかたちと……」

『レムス』/ワイズマン :
 ・・・・・
「それならば是とした…」

『レムス』/ワイズマン :
「だが…見るがいい、このざまを」

SYSTEM :
 だが、その男の言葉には明白な感情のいろがあった。
 怒りだ。
 
 あなたたちとの応対ではこれっぽっちも向けはしなかったものだ。

SYSTEM :
 彼はローマを愛していない。当然だ。
    ・・・
 ただ、無関心でもない。

SYSTEM :
 憎しみは土台がなければ、生まれない。

『レムス』/ワイズマン :
「普遍を不偏と出来ず、
 幸福を永遠と出来ず、
 版図を彼方まで広げられず…」

『レムス』/ワイズマン :
      よわ
「兄者の国は脆弱さ故に消えたのだ」

SYSTEM :
 激する男の言葉に、黒き竜のまぼろしが連なる。
 世界を欲する、天頂を欲する…。

 そこに行けることを知るならば、どこまでも行く、ただそれだけを使命とするもの。

SYSTEM :
 運命を従える黒き風。
 己を智慧あるものと符合した男の欲望は世界に向いた。

 世界を我がものに。収めるのではない、取り戻すのだ。
 己と、己を下した勝者の過ちを清算する。
 淀んだ欲望が欲するものは、ただひとつ。

SYSTEM :

        かみ
 己が王となり、天頂と達すること…。

『レムス』/ワイズマン :
「地に降り立り根付くさだめも、天へ昇り切り裁くさだめも、すべて振り捨てて…。
 斯様な脆弱さが…何を残した。何を招いた」

『レムス』/ワイズマン :
「ならばその過ちは………
 …勝者の行いでは、ない……」

SYSTEM :

   /以て、おのれの末路への復讐を。

『レムス』/ワイズマン :
「時のうねりがすべてを飲み込もうとて、 
 潮のながれが不変を嘲笑うとて…」

SYSTEM :

  /依って、ローマへの逆襲を。

『レムス』/ワイズマン :

「なればこそ 変わらぬ地平を求める
 兄者が果たせねば我が果たす」

『レムス』/ワイズマン :
「ただ、我が王名の下に…」

『レムス』/ワイズマン :
「神の雷霆を礎として…」

SYSTEM :

 /達して、はじめて未来への再戦を。

『レムス』/ワイズマン :
「きさまたちのさだめをすべて食らって…
 久遠の繁栄を、築けばよい…!」

SYSTEM :
 その唯一の頂、彼が愛するかつて描いた国と双肩の使命。
 野心ある王子の片割れ、その伝承より形を成したレネゲイドから生まれしもの。

 彼は己を下した浪漫の強さを愛し、それが名残さえ残らぬことに憤慨し失望した。

SYSTEM :
 己の敗北は過ちだった。
                         つよ
 己は、兄の夢想を信じたが、それは淘汰される程度の強靭さだった。

SYSTEM :

 ならば、そのローマ建国の瞬間から、
 
 何度だろうとやり直すべきなのだ───と。

SYSTEM :

 男にとって、
 それと比肩する”祝福”などありはしない。

マスター・ハーヴェスター :
「フ、ハハハッ!
 何を言い出すかと思えば、ただの癇癪とはな!
 負けを負けと認めて、リベンジを狙う方がよっぽど立派だったろうに!」

『レムス』/ワイズマン :
.レムリア
「わたしにはその資格がある…」

『レムス』/ワイズマン :
「かつて一度たりとも認めたものの…。
 愚かさを清算する所以がある…」

『レムス』/ワイズマン :
「ああ、おまえ…。

 おまえの行いが一度たりとも、感情に赴くままでない、立派であったなどと思っているのか?」

マスター・ハーヴェスター :
「糞真面目な野郎だ、開き直り方も堂に入ってらぁな……だがな」

マスター・ハーヴェスター :
「テメェの性根も、テメェの野望も、血の一滴まで"傲り"で出来ている!
 同じ開き直りをしたヤツでもテメェは……魔狼の喰い残し以下だ、そんなものは誇りでもなんでもねェ!
 そんな野郎に殺されるほど、マスター・ハーヴェスターは軟弱じゃあねえのさ!」

マスター・ハーヴェスター :
「いいだろう、テメェの強さと俺らの強さ、どちらが上回るか……。
  Fortes fortuna adjuvat.
 運命は、強い者を助けると言うからな! 精々足掻いて魅せろ!」

SYSTEM :
 すべてを放り捨てて挑むものの姿勢と、その結末(あるいは偉大さ)を知っているあなたが、風上以外を知らぬ制圧者を嘲り、引き金を向けた。

 …男は風を吹かせるものではなかった。あるいは。そのことだけでも、彼を傲るものと呼ぶには十分だ。

『レムス』/ワイズマン :
「…笑止よ。
 いずれが強きさだめか、魂に刻むがいい」

“七花胡” :
「随分長々と御高説を……これだから時代遅れは!」
 鼻で嗤う。

“七花胡” :
「権力者が万民の幸福を保障できた時代など、ラテン語と共にとっくの昔に終焉を迎えているのですよ。
 貴方に約されずとも、人は自らの手で国を築き、自らの選択で繁栄を築けます」

“七花胡” :
「それと、御心配なく? 自分は王さまではありませんが、力加減の分かる男ですから。
 掌の中のさだめの数こそ少なくとも、握り潰すようなことはいたしませんし……
 そもそも、自分だけの手元に縛り置こうなどと、思ったこともありません」

“七花胡” :
「貴方の国を完膚なきまでに塗り潰したあと、今後千年を掛け、我が楽土は薫風で満たされる。
 貴方が足りないと仰る分は、それで十分、事足りましょう」

“七花胡” :
「今が神の世ではなく人の時代であること。
 我が楽園を前に、須らく知るがよろしい!」

 全身を突き刺す敵意は、自分の言葉をこそ驕りと殴りつけるよう。
 なれどあくまで、涼やかに微笑みを返す。
 貴様の屍を踏みつけた先に、自分は千年巡る花園を築くのだと……
 それが貴様の欲望を塗り潰す────俺だけの欲望だ!

『レムス』/ワイズマン :
「…千年の繁栄なぞ…。
 アウスピキウムの思し召しも受けぬ若造がよくぞほざく」

『レムス』/ワイズマン :
 つよ
「強靭さこそが、最後に…。
..   レムリア
 兄者とわたしを隔てた。肉体の、魂の…」

SYSTEM :
 だが。

 彼は、あの遥けき彼方の時に、
 永久に己を留めた男。

 自覚の是非を問わず、そこからやり直すべき人間だ。

SYSTEM :
 あなたの言葉をこそ脆弱と切り捨てる王弟に、花の色彩は…整えた庭先の安らぎは。
 あなたが野望と呼んだものの難さと強靭さを、おそらく理解しまい。

 だが、その強さを是しと言うものはいた。かつて杖にできなかったもの、真逆の道を行けば成り代わったやもしれぬもの。永遠の今日にしか生きられない弱さを愛すると決めてきたもの。
 そして、溝と呼ぶべき無法者の巣窟で”さだめ”のごとく巡り合ったもの。

SYSTEM :
 ………祝福を切り捨てた先。
 弓を弾く音がする。

 瑞珂のすぐ隣から一歩前へ。

“黄の希人”アーキル :
「…貴様は」

“黄の希人”アーキル :
「確かにローマに無関心じゃない…」

“黄の希人”アーキル :
   ・
「だが民には無関心なんだ…。
 貴様の王位は、貴様の狭い世界に応えるためだけの…椅子ってコトだ」

“黄の希人”アーキル :
    ..        FH
「ま…それくらいやってこそ俺達なんだろうが…」

SYSTEM :
 あらゆる時の流れに負けぬほど強く残るもの。
     ・・
 つまり、淘汰、だ。
 彼の言う建国がそうである以上…。

“黄の希人”アーキル :
「昨日にしがみつき、今日を焼き直し、明日さえも隔てる…」

“黄の希人”アーキル :
「その隔て、車輪の下敷きになっても…今日を越えようと立ったものの方が…。
    ・・・・・・
 俺には価値あるものに見えてね。誘いに乗らなくてよかったよ、ワイズマン」

“黄の希人”アーキル :
「………なあ…」

“黄の希人”アーキル :
「…そうだろう、アイシャ」 

SYSTEM :
 マヨヒガ───神殿───を介して、戦場の各所を連結させる“領域”が、開く。
  /同時にレムスより横溢する雷気が、剥がれた鱗を従える。 

SYSTEM :
 予定通りだ。
 ここから先は、これまで以上に。
 あなたたち以外の全員が、
  あ   な   た   た   ち
 玉座の喉元に突きつける刃物を持った人間の露払いをする。

“アイシャ” :
『あなたの怒りも、驕りも、悲しみも』

“アイシャ” :
『鍛ち直されることはないのね』

“アイシャ” :
『王弟なりしレムス。
 空のかなたに轟く稲妻を追う、あなた』

“アイシャ” :
『あなたは、
 稲妻を愛したものを知るべきだった』

“アイシャ” :
『…ローマにようこそ。
 そして、』

“アイシャ” :
 あなたたち
『明日の人々のためにお眠り』

SYSTEM :
 黄金色の雷気が満ちる。

 迎え撃つものに語る言葉は、
 もうこれ以上にない。

『レムス』/ワイズマン :
「ならば…」

『レムス』/ワイズマン :
「ならば知るがいい…!」

『レムス』/ワイズマン :
.ケラウノス
「神の雷霆とは…まさしく…」

『レムス』/ワイズマン :
「すべてを創造り、破壊すもの!」

『レムス』/ワイズマン :

「その無謀の、望みどおりに…」 

『レムス』/ワイズマン :

「………天から堕ちよ──────!」

SYSTEM :

 ………嵐にぶつかり、炎に気付かず。燻るものの傍らにいた、あなたが。
 力の為に。望みの為に。ここに来た。

SYSTEM :
          ・
 今一度、あの日見た夢と。

 明日にも消える幻だとしても、
 また会うために。

夏瑞珂 :
「今日という今日は……」

夏瑞珂 :
「……自由になろう」

 嵐に明日はないなんて──
 あなたは言わなかったのだから。

SYSTEM :
 どれほどその過程が不格好だったとしても。
 あの時、男はただ、あまりに正しくない理由のためにあなたを止める選択を取った…。

SYSTEM :
 あの日、断崖を是しとしなかったくせ。
 望むように吹くことを慈しんだ者達が。

 形はなくとも、生きるあなたを以て残っている。

SYSTEM :
 …まるで夢を見ているよう。
 
 やがて覚めた現実で、あなたは漸く走り抜けてここに来た。今日の終わり。見える明日の先に。

SYSTEM :
    ・・・  ユメ
 今度はあちらが、欲望から覚める時だ。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・クライマックス戦闘

SYSTEM :
【Check!】
 戦闘が発生します。 

SYSTEM :
【Engage】

※エンゲージは左上から右下の順に
「A」~「B」の番号を振ります

[A]
1:“帯来风暴”
2:“マスター・ハーヴェスター”
3:“七花胡”
4:“隻獅子”

       -10m-
[B]
5:『レムス』/ワイズマン
6:強欲竜の鱗・成体
7:強欲竜の鱗A
8:強欲竜の鱗B 

SYSTEM :
【Check!】
・衝動判定を確認します。
 判定後、侵蝕率を増加させてください。

 対象:PC1、PC2、PC3、PC4
 目標値:8 

ラーゼス :
思い出の一品を使用する。よいか?

GM :
問題ありません! どうぞ。

ラーゼス :
(1+4)dx+2 (5DX10+2) > 7[2,4,5,7,7]+2 > 9

ラーゼス :
2d10 (2D10) > 12[9,3] > 12

夏瑞珂 :
6dx (6DX10) > 9[2,2,5,6,7,9] > 9

夏瑞珂 :
2D10 (2D10) > 11[6,5] > 11

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 151 → 163

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 130 → 141

“七花胡” :
同じく思い出の一品を使用します。

GM :
こちらも問題ありません。どうぞ!

“七花胡” :
7dx+2 衝動判定 (7DX10+2) > 8[1,1,2,2,3,4,8]+2 > 10

“七花胡” :
2d10 侵蝕値上昇 (2D10) > 19[9,10] > 19

マスター・ハーヴェスター :
4dx+2 <精神:意志> (4DX10+2) > 9[6,9,9,9]+2 > 11

マスター・ハーヴェスター :
2d10 (2D10) > 5[1,4] > 5

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 115 → 134

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] 侵蝕率 : 125 → 130

SYSTEM :
【-Round 1-】 

SYSTEM :
■セットアップ
 タイミング:セットアップのエフェクトを宣言出来ます。 

『レムス』/ワイズマン :
 …この玉体はわれらが国土…。
 強欲なりしファヴニールの化身。

『レムス』/ワイズマン :
.     .     レムリア
 ………成るまでに或ったわたしは、すなわち、かりそめの器に過ぎぬ。
 瘦せさばらえた躯体も、おまえに預けた我が因子も、もはや用はない。すべて合一した…。

『レムス』/ワイズマン :
 ──────が。

『レムス』/ワイズマン :
 ちょうどいい…神なる雷霆の力が…。
 如何なるものか!
 手始めに見せてくれよう…!  

『レムス』/ワイズマン :
■セットアップ:パンタシアレイヴン
《高速分身L1》
・自身と全く同じステータスを持つエネミーを[Lv]体作り出す。
(HP、エフェクトの使用回数制限等を共有する)

『レムス』/ワイズマン :
■セットアップ:ルプス・ベネディクトゥス
《限界突破L3+1》
・任意の「ラウンドに1度まで」のエフェクト1つの使用回数を「ラウンドに2度まで」に変更する。
→「波紋の方陣」

『レムス』/ワイズマン :
■セットアップ(分身):ポメリウム[ファルス]
《波紋の城塞L3+2》
・自身が「移動」に相当する行動を行うまで、範囲内の装甲値を[15]点増加させる。

ラーゼス :
神なる雷霆とは……笑止!

ラーゼス :
この身も同じこと! ほんの欠片とて、見せてくれよう!

ラーゼス :
▶無惨なる雷霆/《フルパワーアタックLv3+2》+《雷神の降臨Lv3+2》
 備考︰R間の攻撃力+25+25(=50)。行動値を0にする。
 侵蝕値︰10

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 163 → 173

マスター・ハーヴェスター :
本領発揮か獅子王よゥ! 最後にふさわしい盛り上がりだ……ガンドルフ! まだ付き合ってもらうぞ!

マスター・ハーヴェスター :
  ホット・スクランブル
■ベルヴァ・ガンドルフ、出るぞ!

セットアップ:《コーリングシステム》
 《スカイキッド》に搭乗。

『レムス』/ワイズマン :
 ほう…

『レムス』/ワイズマン :
 以前見た時と…異なる…。
 月の狂気に充てられる愚帝はここにおらぬぞ、若造…!

夏瑞珂 :
【 Sons Of Liberty 】
セットアップ:怨念の呪石
追加効果:変異暴走

夏瑞珂 :
時代遅れのライトアップごと吹き飛ばしてあげる

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 141 → 144

『レムス』/ワイズマン :
…笑止よ。復讐の刃とて…

『レムス』/ワイズマン :
レムリア
.わたしは滅ぼせぬ…!

“七花胡” :
自分にセットアップ行動はありませんが……

“七花胡” :
────この地をかねてより見守り続けてきた、ローマの女神よ!
他国の血ゆえ、僭越は承知。しかしながら、この時ばかりは貴女の朋友を名乗ることをお許し願いたい!

“アイシャ” :
     そ と
 いいわ。余所者のあなた。

“アイシャ” :
 拓いた地の歓びを留め、
 花開かせることの難さに免じて…。

“アイシャ” :
 その報いのために、先んじてあげる。

“七花胡” :
感謝します……!

“七花胡” :
“キュベレーの慈愛”を宣言します!
対象はレムス、レムス(分身)、及び強欲竜の鱗・成体、A、B……!

“七花胡” :
貴女の土地は、この戦いののちより再びまた、瓦礫の山を押し退け返り咲くことでしょう……
                  あなた
自分はそう信じている────そのために、朋友の力を貸してください!

“アイシャ” :
 あなたは“せーるす”が上手ね。

“アイシャ” :
 ええ。道を開くわ。
 ローマ
 わたしの前で、狼の夜明けはない───。

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

・キュベレーの慈愛(Scenario/1)
 シーン内の指定したすべてのユニットに「攻撃力=40」のシーン攻撃が発生する。(装甲無視)

SYSTEM :
■リアクション
 NPC効果が発動したため、
 リアクションを確認しています… 

『レムス』/ワイズマン :
 祈りの子が…。
 寿きを阻むばかりか、牙を剥く。

『レムス』/ワイズマン :
 だが、まことの神ならばいざ知らず。

『レムス』/ワイズマン :
 ………王ならざるもの、神ならざるもの!
 神なるものの現身ふぜいに、
 戦いになる道理なぞありはせぬ………!
 

『レムス』/ワイズマン :
■オート:パラドクス・パラティヌス
《波紋の方陣L4+2》《電磁バリアL2+2》
・自分を対象にできない。
・対象が受ける予定のダメージを[8d+8]点軽減する。

→レムス(分身)へ使用

『レムス』/ワイズマン :
■オート(分身):パラドクス・パラティヌス
《波紋の方陣L4+2》《電磁バリアL2+2》
・自分を対象にできない。
・対象が受ける予定のダメージを[8d+8]点軽減する。

→レムスへ使用

強欲竜のコケラ・成体 :
■オート:エピックシフト
《竜鱗L3》《衝撃相殺L1》
・受けるダメージを[5]点軽減し、装甲値を計算時のみ[30]点増加させる。

強欲竜のコケラ :
■オート:エピックシフト
《竜鱗L2》
・装甲値を計算時のみ[20]点増加させる。
(A・B共通)

『レムス』/ワイズマン :
8d10+8 本体 (8D10+8) > 47[10,5,8,1,3,10,4,6]+8 > 55

『レムス』/ワイズマン :
8d10+8 分身 (8D10+8) > 56[6,8,10,8,1,4,9,10]+8 > 64

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

SYSTEM :
■ダメージ計算

 幼体A、B:撃破! 

『レムス』/ワイズマン :
 わずか残る竜の鱗の半身をたやすく削るか…。
 兄者の地に根付く信仰、なるほど易くはない。

『レムス』/ワイズマン :
 だが………なればこそ楽には滅ぼさぬ。
 先に、朋友の滅びを看取らせてくれる…!

SYSTEM :
■手番処理
 レムス、レムス(分身)が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

『レムス』/ワイズマン :
■メジャー:トニトルス・ユピテル
《CRブラックドッグL2+2》《アームズリンクL3+2》《アタックプログラムL3+2》《転生体:罪人の枷L8》

 HIT:20dx7+15
 ATK:xd+15
 Add'l:命中した対象がそのラウンドで行う達成値を[-16]
Target:

『レムス』/ワイズマン :
■メジャー(分身):トニトルス・ユピテル
《CRブラックドッグL2+2》《アームズリンクL3+2》《アタックプログラムL3+2》《転生体:罪人の枷L8》

 HIT:20dx7+15
 ATK:xd+15
 Add'l:命中した対象がそのラウンドで行う達成値を[-16]
Target:

『レムス』/ワイズマン :
1d4 攻撃対象を選択... (1D4) > 3

『レムス』/ワイズマン :
1d4 (3が出た場合降り直し) (1D4) > 3

『レムス』/ワイズマン :
1d4  (1D4) > 2

『レムス』/ワイズマン :
 領域の王…オルクス。
 その価値は先に知れた。

『レムス』/ワイズマン :
 まずは貴様と………。
..レムリア
 わたしの前の傲れるものに対価を払ってもらう。

『レムス』/ワイズマン :
20dx7+15 本体(→七花胡) (20DX7+15) > 10[1,1,1,2,2,2,2,3,5,5,6,6,7,7,8,9,9,9,10,10]+10[2,2,3,5,5,6,7,9]+10[3,8]+6[6]+15 > 51

『レムス』/ワイズマン :
20dx7+15 分身(→アレウス) (20DX7+15) > 10[1,1,1,1,2,2,3,3,3,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,10]+10[2,3,8,9,9,10]+10[3,3,8,9]+10[4,10]+4[4]+15 > 59

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています... 

マスター・ハーヴェスター :
やってくれる!回避間に合わんか!ならば受けるのみだ……ガードでいく!

“七花胡” :
誰が誰に対価を払うって? 債務の積み立て御苦労さま! 取り立てはのちほど彼らが伺いますよ!

“七花胡” :
ガードを宣言します!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

アレウス:ガード
七花胡:ガード 

『レムス』/ワイズマン :
 その蛮勇や良し………

『レムス』/ワイズマン :
6d10+15 本体(→七花胡) (6D10+15) > 30[6,9,3,1,3,8]+15 > 45

『レムス』/ワイズマン :
6d10+15 分身(→アレウス) (6D10+15) > 26[6,2,7,6,3,2]+15 > 41

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

“七花胡” :
くっ……装甲値3点引いて、42点通し……!

system :
[ "七花胡" ] HP : 5 → -37

マスター・ハーヴェスター :
C(23-(41-4)) c(23-(41-4)) > -14

system :
[ マスター・ハーヴェスター ] HP : 23 → -14

マスター・ハーヴェスター :
……チ。

マスター・ハーヴェスター :
テメェを認めるつもりはねぇが……テメェの矜持の理解は出来た。理解してなお、だがな。

マスター・ハーヴェスター :
"黄の希人"へのロイスをタイタスにする。そのまま昇華し、蘇生する!

“黄の希人”アーキル :
 いいともさ。
 徹頭徹尾の不干渉より余程いい。

“黄の希人”アーキル :
 …その悪態もそろそろ聞きなれてきたトコでな、こんなところで手放すのも惜しいのさ。
 勝ち取れよ、“マスター・ハーヴェスター”…!

『レムス』/ワイズマン :
 懲りもせずに…よくも立つ。
 なまじ、有象無象より抜きん出たことを悔やむがいい…。

マスター・ハーヴェスター :
誰にモノを言ってやがる……俺は、"蹂躙者"だ!

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] HP : -14 → 11

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] ロイス : 4 → 3

夏瑞珂 :
ビリー!

夏瑞珂 :
             レディ
舞踏会のお礼をしてあげて。淑女からのお願いよ

“グレイ・スコーピオ” :
 いつまで経っても言いつけを守らねェ淑女なんざ聞いたこともねェ………。

“グレイ・スコーピオ” :
 ………揃いも揃って手前のツケを人様に払わせやがる。
 一呼吸分以上にはまけてやれねェ、せいぜい巧くやれよ。

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。
    Encount Fire
・コード:即応対処射撃(Scenario/1)
 指定したPCのHPが[0]になった時に発動する。
 戦闘不能になる前に、即座にメインプロセスを1度行う。 

“グレイ・スコーピオ” :
 ──────どうだ、惜しかったなあ王様…! 

夏瑞珂 :
どうだ!

『レムス』/ワイズマン :
 屑鉄めが………

『レムス』/ワイズマン :
 だが、それでなんのあがきになる…

SYSTEM :
■手番処理
 NPC効果が発動したため、
 “七花胡”が行動を行います。 

“七花胡” :
 感謝します! “グレイ・スコーピオ”……それから────瑞珂さん!

“七花胡” :
 貴女の、貴方がたの踊る庭の支度は、自分の仕事です!
 一呼吸分? ────上等!

“七花胡” :

“七花胡” :

“七花胡” :
 この一手は、万人が等しく夢見る権利を獲得するための、最初の布石……!
 ────“黄の希人”!

“七花胡” :
 貴方の描く未来図の一端を、今一時、自分に貸しなさい!

“黄の希人”アーキル :
 ───上等!
 さっそく有言実行してくれるってワケだ。

“黄の希人”アーキル :
 いいだろう!
 凶星を落とした先で、その手腕!
 拝見させてもらおうか! 

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

カダル・ナジュム・ダウ・ダナブ
・巡りし刻の落星(Scenario/1)
 指定した一名のPCが次に行うメジャーアクション中、全てのエフェクトレベルを+1する。 

“七花胡” :
【天秤を傾ける】

マイナー
 アカリヤザガマの天秤(レインボウファイアル)使用

次に使用するソラリスのEの侵蝕値に-1する
複数組み合わせた場合、全てに適用
1S1回

“七花胡” :
【花殻を摘む】

オート
 タブレット
 多重生成

メジャー
 導きの華
 戦乙女の導き
 狂戦士

対象:3体(“帯来风暴”、“マスター・ハーヴェスター”、“隻獅子”)
射程:視界
侵蝕:14

バフ内訳:
 ダイス+12個、C値-1、達成値+10、攻撃力+5

“七花胡” :
 自分にできることは、せいぜい水を遣り、肥料を備えることのみ……

“七花胡” :
 しかし貴方がたの選択を阻む、如何なる支配をも……通しはしない!

“七花胡” :
 零す血よりも鮮やかに────此処は自分の庭だ……!

『レムス』/ワイズマン :
.    レムリア
 ………このわたしの前で、己が道理を説くか。
 剰え、天頂に届きもせぬ花が…永遠の国にも勝るなどと…。

『レムス』/ワイズマン :
 ………痴れ者が。
 やはり小僧、おまえは登り詰める前に、
 その息の根を止めるべきであったか。

“七花胡” :
 ハハハ! 神に成り代ろうと目論む者が、一丁前に後悔ですか?

“七花胡” :
 随分、人間臭いですね!

『レムス』/ワイズマン :
 ではその悔恨は…。

『レムス』/ワイズマン :
 おまえたちから摘み取った命で…。
 拭うとしよう…!

“七花胡” :
 ……やれるものならね……!

“七花胡” :
「ヨシュア・ランカスター」のロイスをタイタスに変化、昇華し、復活します……!
まだ倒れてなどいられるものか!

“グレイ・スコーピオ” :
 命がけのお膳立てとはな。
 気取りやがる………だが………

“グレイ・スコーピオ” :
 野郎は領域勝負なんざするタマじゃあねェ…
 臆病でなかったコトの意義は必ずある!

SYSTEM :
■手番処理
 “マスター・ハーヴェスター”が行動を宣言します。 

system :
[ "七花胡" ] HP : -37 → 11

system :
[ "七花胡" ] ロイス : 6 → 5

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 134 → 148

マスター・ハーヴェスター :
分身までするとはな……芸の多い奴だ。

マスター・ハーヴェスター :
だが丁度いい……俺も少し、"領域の王"の真似事をしようと思っていたところでね。

マスター・ハーヴェスター :
最後の薪だ……、くれてやる。地獄の底までな。

マスター・ハーヴェスター :
"青の貴人"のSロイス/タイタスを……昇華する!
効果は"再起"!レーザーファンの回数を回復する!

『レムス』/ワイズマン :
 意が灯り、威となるか………

『レムス』/ワイズマン :
 だが…戯けめ…!
 “青の貴人”ほどの術者はいない。

『レムス』/ワイズマン :
..     レムリア
 あの娘にもわたしは、当然下せぬ…。
 猿真似で何が出来ようものか…!

マスター・ハーヴェスター :
おいおい、忘れてねえか……?

マスター・ハーヴェスター :
今、ガンドルフの飛ぶ空には……もう一人の領域の王が居るんでなッ!

マスター・ハーヴェスター :
《イル=ディザストロ》

メジャー:
 小さな塵+コンセントレイト:AH+マスヴィジョン+レーザーファン+ペネトレイト

ダイス:
 (6+3+4+12-1)dx6+(32-16)

侵蝕率:
 14

備考:
 範囲(選択)。
 装甲値無視。
 エンブレム:蹂躙者によりダメージを+1D。
 攻撃対象がガードを行った際、放心を与える。

攻撃対象:
 レムス、レムス(分身)、強欲竜の断片・成体A

ガンドルフ :
(6+3+4+12-1)dx6+(32-16) <感覚:射撃> (24DX6+16) > 10[1,1,2,2,4,4,5,5,5,6,6,6,6,6,7,7,9,9,9,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,2,2,3,3,3,5,5,7,7,7,8,8]+10[5,5,9,9,10]+5[2,3,5]+16 > 51

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています... 

『レムス』/ワイズマン :
.レムリア
 わたしの城壁に、破城槌をぶつけようというのか…。
 だが、如何なる重撃とて。

『レムス』/ワイズマン :
■オート:モレス・ネチェサーリエ
《球電の盾L5+2》《磁力結界L3+2》《スタンシールドL2+2》 
・ガード値+[5d+14]。
・白兵攻撃のガードであれば、対象に[8]点のダメージと放心を与える

『レムス』/ワイズマン :
■オート(分身):モレス・ネチェサーリエ
《球電の盾L5+2》《磁力結界L3+2》《スタンシールドL2+2》 
・ガード値+[5d+14]
・白兵攻撃のガードであれば、対象に[8]点のダメージと放心を与える

強欲竜のコケラ・成体 :
■オート:エピックシフト
《竜鱗L3》《衝撃相殺L1》
・受けるダメージを[5]点軽減し、装甲値を計算時のみ[30]点増加させる。

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

ガンドルフ :
(5+1+1)d10+41 <ダメージ> (7D10+41) > 28[5,5,1,1,7,6,3]+41 > 69

『レムス』/ワイズマン :
5d10+14 本体 (5D10+14) > 26[3,7,6,8,2]+14 > 40

『レムス』/ワイズマン :
5d10+14 分身 (5D10+14) > 28[6,9,9,1,3]+14 > 42

『レムス』/ワイズマン :
 古きローマに根付く大樹…。
 いっとう優等だった、兄者の浪漫を受け継ぎし小娘…。

『レムス』/ワイズマン :
 確かにそれを叩き折っただけはある…。
 だが…。

『レムス』/ワイズマン :
 ここにあるのは大樹”ごとき”ではない…。
..           レムリア
 倒せると思うてか、このわたしを!

マスター・ハーヴェスター :
 チ……。

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージが確定しました。

 →成体:撃破!

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] 侵蝕率 : 130 → 144

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] マスヴィジョン : 2 → 1

マスター・ハーヴェスター :
 ……、……。

マスター・ハーヴェスター :
 フ、ハハハハハハァ!!!

マスター・ハーヴェスター :
 テメェは随分視野が狭ェ!

マスター・ハーヴェスター :
 テメェという老木をぶった斬りにかかってるのは……、
 俺だけじゃねえってことを、よく思い出すんだな!

『レムス』/ワイズマン :
 ………小癪!

SYSTEM :
■手番処理
 “七花胡”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

“七花胡” :
【開花を促す】

イニシアチブ
 コンダクト

対象:単体(“隻獅子”)
射程:至近
侵蝕:10

対象はイニシアチブプロセスにメインプロセスを行える
自身は対象にできず、対象が未行動でないと使用不能
組み合わせ不可
1シナリオ1回

“七花胡” :
 ────我が槍よ!

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 148 → 158

ラーゼス :
 ────無論だ、我が主!

SYSTEM :
■手番処理
『開花を促す』の効果により、
 “ラーゼス”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

ラーゼス :

ラーゼス :
イニシアチブ
▶応撃の雷
 《マグネットムーブ》
 他エフェクトと組み合わせ不可。[Lv*10]m以内にいる相手を自分のいるエンゲージへ移動させる。離脱可能。
 元のエンゲージから離脱した上で別のエンゲージに進入可能。

 対象:『レムス』(本体)

system :
[ 獅子王 ] マグネットムーブ : 1 → 0

『レムス』/ワイズマン :
 我が喉笛の狙うだけでは飽き足らず、
 不遜にも呼びつけようとは…。

『レムス』/ワイズマン :
 ………けだものめが、良かろう…。
 仕留めきれねば高く付くぞ………!

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 173 → 176

ラーゼス :
おのれを育てた畜生に喰らわれるとは、業腹であろうな!

ラーゼス :
メジャーアクション
▶淀裂く幻月/《コンセントレイト︰ブラックドッグLv2+2》+《アームズリンクLv3+2》+《パワースイングLv3+2》
 侵蝕値︰7
 判定値︰(6+4+5-1+12)dx6+28
 攻撃力︰nd10+16+15+5+50+5

ラーゼス :
(6+4+5-1+12)dx6+28 (26DX6+28) > 10[1,1,1,2,2,2,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7,8,8,8,9,10,10,10]+10[1,4,4,5,5,5,6,7,8,8,9,9]+10[2,2,3,4,4,10]+10[7]+10[9]+2[2]+28 > 80

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています... 

『レムス』/ワイズマン :
 ──────無礼るでないわ…!
..レムリア
 わたしの恩寵を賜る獣に、
 弁えぬ獅子など不要…

『レムス』/ワイズマン :
■オート:モレス・ネチェサーリエ
《球電の盾L5+2》《磁力結界L3+2》《電磁障壁L1》《スタンシールドL2+2》
・ガード値+[9d+14]
・白兵攻撃のガードであれば、対象に[8]点のダメージと放心を与える

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

“七花胡” :
 いくら閉じ篭ろうと、無駄ですよ! 雷の槍は地を駆け、必ずやその殻を貫くのだから……!

“七花胡” :
【液肥を注ぐ】

オート
 夢の雫

達成値+10

対象:単体(“隻獅子”)
射程:視界
侵蝕:3

1R1回

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 158 → 161

ラーゼス :
忝い! ああ、無論だ──

ラーゼス :
9d10+16+15+5+50+5 (9D10+16+15+5+50+5) > 47[9,10,3,4,8,1,7,1,4]+16+15+5+50+5 > 138

ラーゼス :
積み上げられた祈りに変わりがないのなら、互いに喰らい・喰らわれるのを別けるのは欲望のみ! そして!

ラーゼス :
おれはいま、紛れもなく欲望の徒だッ!!

system :
[ 獅子王 ] HP : 31 → 23

『レムス』/ワイズマン :
 オオオ…オオオオオオオッ!

『レムス』/ワイズマン :
..       レムリア
 戯れるな、このわたしが…
 二度、天頂を前に膝をつくなぞ…

『レムス』/ワイズマン :
 ………冗談ではないわ──────!

『レムス』/ワイズマン :
9d10+14  (9D10+14) > 36[5,3,5,3,7,4,3,2,4]+14 > 50

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 176 → 183

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージが確定しました。 

『レムス』/ワイズマン :
 まだ………死なぬぞ
..        レムリア
 この永遠を従えたわたしこそが…!

SYSTEM :
■手番処理
 “七花胡”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

“七花胡” :
再度のイニシアチブ行動はなし。そのまま待機を選択します。

“七花胡” :
友も、軍も、民のひとつとして持ち得ぬ貴様とは違う!
自分はただ、彼らの選択を信ずるのみ!

SYSTEM :
■メイン:待機
 待機が宣言されました。
 “七花胡”の行動値を[0]にし、待機状態とします。 

SYSTEM :
■手番処理
 “帯来风暴”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

『レムス』/ワイズマン :
 すべて、全て、凡て、総て!
 つよ
 強靭さ故にそれはついて回る…!

『レムス』/ワイズマン :
.          レムリア
 …驕るでないわ、このわたしに…
 貧者のひと噛みで!
      よわ
 有象無象の脆弱さで何を成すか!

夏瑞珂 :
弱き者に許された最強の武器……

夏瑞珂 :
それをわたしに与えたのはおまえよ

『レムス』/ワイズマン :
 だが…二振り目が。
 おまえ如きに赦されるとでも!

夏瑞珂 :
赦し? いいえ。──勝ち取るの

夏瑞珂 :
【 World On Fire 】
メジャー:《風鳴りの爪 LV1+1》+《コンセントレイト:ハヌマーン LV2+1》+《リミットリリース LV1+1》+《援護の風 LV5+1》
対象:『レムス』(本体)

夏瑞珂 :
《欲竜血晶》を使うわ。この攻撃に〈Dロイス:賢者の石〉と〈Dロイス:愚者の黄金〉の効果を重ねます。

『レムス』/ワイズマン :
 …よもや!

夏瑞珂 :
R²のロイスをタイタスに、昇華してC値を-1……

夏瑞珂 :
……
ビリー

夏瑞珂 :
仇を討とう

“グレイ・スコーピオ” :
 最後まで………、………。

“グレイ・スコーピオ” :
 ………。

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。
     Barrage fire
・コード:間接支援射撃(Round/1)
 指定した「PC」または「NPC」が行う、
 セットアップ・メイン・クリンナップいずれかのプロセスひとつの判定について、そのダイスを[+5dx]する。 

“グレイ・スコーピオ” :
 そういや…そうだ。
カイジュウ
 嵐を討つ役は…海向こうで休暇とってやがったな…。

“グレイ・スコーピオ” :
 ………。じゃ。墓から”エース・キラー”のお通りだ。
 あの日の映画の締めを見せてやる。

夏瑞珂 :
ええ──照準よし

夏瑞珂 :
33dx2+25 (33DX2+25) > 10[1,1,1,2,3,3,3,3,4,4,5,5,5,6,6,6,7,7,7,8,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,2,2,3,3,3,3,4,4,5,5,5,6,6,6,6,7,7,7,7,8,8,9,9,9,9,10,10]+10[1,1,2,3,3,3,3,3,4,4,5,5,5,5,6,6,7,7,7,7,8,8,9,9,10,10,10]+10[1,1,1,2,2,2,3,3,4,4,4,5,6,6,6,6,6,7,7,8,8,10,10,10,10]+10[1,1,1,2,2,4,4,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,10,10,10,10]+10[1,2,2,4,4,4,4,4,4,4,5,6,6,7,7,8,9,9,10]+10[1,1,2,3,3,3,3,4,4,4,5,5,6,9,9,9,9,10]+10[1,2,3,4,4,5,6,7,8,8,8,8,8,8,8,9]+10[1,2,2,3,3,4,4,5,6,6,7,8,9,9,9]+10[1,1,2,2,2,3,3,4,4,5,6,6,8,10]+10[1,2,2,2,3,3,4,4,5,7,10,10]+10[1,3,3,3,3,6,7,8,8,10,10]+10[2,3,4,4,5,7,8,8,9,10]+10[3,4,4,4,5,5,7,8,8,9]+10[1,2,2,2,3,5,6,6,9,10]+10[2,2,3,4,5,6,8,8,9]+10[3,3,4,6,7,8,9,9,9]+10[3,4,5,6,6,7,7,9,10]+10[1,1,2,4,6,6,8,9,9]+10[1,2,3,6,8,9,10]+10[3,5,6,6,7,10]+10[2,3,4,6,7,9]+10[5,6,6,6,8,9]+10[1,2,3,4,5,5]+10[3,4,4,5,5]+10[1,2,7,7,8]+10[4,4,9,10]+10[1,3,4,8]+10[9,9,9]+10[3,7,10]+10[2,2,3]+10[4,7,9]+10[1,4,5]+10[3,5]+10[2,7]+10[6,10]+10[6,8]+10[3,9]+10[1,8]+10[3]+10[4]+1[1]+25 > 436

夏瑞珂 :
まだいけるわ、いきたいの……アイシャ

夏瑞珂 :
憎悪に焼かれて、灰に残るわたしを守って

“アイシャ” :
 ───進むあなたに明日があるように。

“アイシャ” :
 ───あなたを留めた歓びが。
 そこにあることを貴びます。

“アイシャ” :
 いってらっしゃい。

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

・クレタの抱擁(Round/1)
 指定した「PC」または「NPC」が行った、
 セットアップ・メイン・クリンナップいずれかのプロセスひとつの判定について、
 ダイス1つの出目を[10]に変更する。 

夏瑞珂 :
いってきます。……おかしいの、もう誰かに言うことなんてないと思ってた──

夏瑞珂 :
1dx2+445 (1DX2+445) > 1[1]+445 > 0 (ファンブル)

夏瑞珂 :
……

“黄の希人”アーキル :
いやまだだ 使った時点で効果はある…

“黄の希人”アーキル :
そこで気を抜くな! 泣くのもまだ!
終わりよければ良しだ、やれ、瑞珂!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています... 

『レムス』/ワイズマン :
 ──────ほざくか!
..  レムリア
 このわたしを崩せるつもりでいると…!

『レムス』/ワイズマン :
■オート:モレス・ネチェサーリエ
《球電の盾L5+2》《磁力結界L3+2》
・ガード値+[5d+14]

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

夏瑞珂 :
──崩す!

夏瑞珂 :
47d10+31 (47D10+31) > 259[9,4,3,5,10,1,5,10,1,8,8,1,2,3,8,9,1,2,2,4,1,5,10,6,7,1,9,10,3,5,7,9,3,3,10,8,6,4,10,5,1,8,2,9,6,6,9]+31 > 290

『レムス』/ワイズマン :
ぬ………ぐ、お、オオオ………!

『レムス』/ワイズマン :
5d10+14  (5D10+14) > 25[8,2,2,5,8]+14 > 39

『レムス』/ワイズマン :
 なぜ………

『レムス』/ワイズマン :
 なぜ………だ………!

夏瑞珂 :
まだ許さない。1を3つ、振り直すわ

夏瑞珂 :
3D10 (3D10) > 15[6,6,3] > 15

『レムス』/ワイズマン :
 き………さまッ!

『レムス』/ワイズマン :
 我が…永遠の都を…!

夏瑞珂 :
言ってあげましょうか?

夏瑞珂 :
──これがおまえの運命よ、負け犬

『レムス』/ワイズマン :
 ──────オオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!! 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージ結果が──────。

SYSTEM :
■オート:■■の■■
《エンブレム:ネバーダイ》
・HPを#縺#励#s▟▅█▇▞▄

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

夏瑞珂 :
1D10 (1D10) > 5

夏瑞珂 :
2D10 (2D10) > 8[4,4] > 8

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 144 → 161

system :
[ 夏瑞珂 ] HP : 29 → 21

夏瑞珂 :
「アハ──」

 復讐にいざなう囁きは、もう響かない。でも。
     ・・
 わたしはあの聖夜に生まれ直し、そして生き延びた。焦げついたとて、贈られたカタチは変わらない──変われない。

夏瑞珂 :
「ハ、ハ、ハ……!」

 立ち上がれ。己を開放しろ。
 あの日の衝動を、搔き立てる狂奔を。

 瞬間。吹き抜けた暴風が後追う炎に食い尽くされて、赤く燃えた。忌々しく貴き神殿に炎の闘技場を上書く。

夏瑞珂 :
「二度とわたしを礎なんて言わせない」

 これが、あるべき姿だ。
 これぞ、あるべき形だ。
                       自由の息子たち
 かつて自由を勝ち取ろうとした獣、わが名を──Sons Of Liberty!

SYSTEM :
..       きょうかぎり 
 黙っているのも今夜が最後だ───と。
 洞より焦げ付く炎を載せて、風が彼方より吹き荒ぶ。
 
 どこまでも、どこまでも。
 かつて断崖に飛ぶはずだったものを、 
 再び奔らせた創まりの炎。

 閉塞と陥穽の息苦しさを吹き飛ばす嵐のかたち。
 正しさの是非は今更語るまいが、確かに…。

SYSTEM :
 あの日、飛ばし損ねた国の”代わり”が目の前にいる。

ラーゼス :



 ─────ROAR!!!

ラーゼス :
 その遠吠えの中に極限まで圧縮された韻律が編まれていることを、この魔を手繰る獅子の王以外は誰も知らない。
 握る槍から蒼黒き稲妻が迸る。
 棒切れが雷をまとい、光の束の如く輝いた。

ラーゼス :
「神騙る者よ……」

ラーゼス :
「永遠を望むことが……貴公の罪だ。
 膿み果て、腐りゆくさま、己が眼で見る前に終わらせてくれる!」

SYSTEM :
 久遠の彼方に一度失われた知性が、猛りの中に響く。
 弱き者達を守護する王が、怒れる瞳に蒼黒の稲光を映していた。

 永遠を望み、語るもの…。
 かつてその万分の一にも満たない“僅か”な名残を求めたがため、長きに渡り清算し得ない罪を負ったものがいたことも。
 その永遠を以て民草を救おうと、淀んでも尚、洛陽さえ跳ね除けんとするほどに浪漫の国を愛し/隔てた先の民草を躊躇なく貪らんとした男がいたことも。

 獣の王は知っている。

『レムス』/ワイズマン :
「………笑止…」

『レムス』/ワイズマン :
..レムリア
「わたしに膿むもの、腐るものなく…。
 万人の望んだ恩寵は、我が血の過ちを清算した時、はじめて世に廻る…」

『レムス』/ワイズマン :
「この炎も、怒りも…。
 すべて礎とするは必定!

 それを故とした、おまえの眼に刻み付けてやろう」

『レムス』/ワイズマン :
.レムリア
「わたしこそが…永遠だ………!」

ラーゼス :
「……時の澱みで、始めから腐り果てているか!」

夏瑞珂 :
「愚かな男」

夏瑞珂 :
「火の先に国なしと、おまえが言ったのにね」

夏瑞珂 :
「────殺すわ。必ず」

『レムス』/ワイズマン :
「復讐の一振りは…人を屠ることは出来よう、国を穿つことも臨めよう、神に報いることも赦されよう」

『レムス』/ワイズマン :
「それ故におまえは…。
 この玉体に牙を突き立てたのだ、だが…」

『レムス』/ワイズマン :
「これ以上の報いが、おまえふぜいに…。
.. レムリア
 このわたしに、齎せようものか………」

『レムス』/ワイズマン :
「…思い上がりも甚だしい。
 その泡沫、その残り火。ひと踏みでかき消してくれようぞ」

“七花胡” :
「思い上がりは何方か!
 刹那の脆さを尊ばぬ者に、永遠を語る資格など無い……!」

“七花胡” :
「そして貴女こそが、それを最もよく識るはずだ────
 羅馬の母たる貴女よ!」

“七花胡” :
「自分に神など要らない。
                     ・・
 だからまつろわぬ者の僭越を承知で、貴女の朋友を名乗ります。
 朋友のために、貴女の力を貸して欲しい────!」

“七花胡” :
 いかなる雷鳴をも貫いて、臨と声が天へと放られる。
 旧く彼方に座した君よ。眼差しを豊かに、手足で以て空を往くことを得た新たな君よ。

“七花胡” :
 貴女の土地を亡国の成れ果てと哀れむ僭主、その喉元を穿つ最初の牙は、
       イカリ
 きっと貴女の慈愛であるべきなのだから……!

SYSTEM :
 ここに根付くを是としない、まつろわぬ者を騙る男の欲望が。
 ここではない何処にこそ、始まりの種子を植え、育て、誇ることを、すべて知るものは恐らくいない。

 だから、その嘆願。
 既に真っ先に門を潜ってきたものに、
 轟く稲妻にさえ打ち消せぬほど明朗に響いた。

SYSTEM :
マグナ・マーテル
 羅馬の地母神───斯様に銘打たれた娘とて“そのもの”ではない。
 …ガイアに沈殿していった信仰のかたちを源流に、レネゲイドが新しい学習の形を作ったに過ぎぬ。

SYSTEM :
 それを差し引いたとて、彼女はローマを慈しむ者。
 隔てた壁を崩しもした、その無機を誰もが尽力した。
 慈愛の外向きの兆しはまだ兆しだ。元来、彼女は“余所”に向けるものなどない。

 その上で、空より轟く音。
 ───応ずる言葉は少なかったが、応じぬという形だけはあり得なかった。

“アイシャ” :
         ユメ
「ひと時、あなたの世界を覗きましょう。
 代わりに、宙を御覧なさい、今を生きるあなた」

SYSTEM :
 …オルクスの領域制御とエンジェル・ハイロゥの複合形態で襲い掛かり、
 標的か否かの、徹底的な差別のもとに放たれる絨毯爆撃。

 はじめの邂逅で行われたものだ。

SYSTEM :
.       ビーコン
 その正体は己を羅針盤とし、おのれの宙に常時展開された巨大領域からの一斉掃射。
 中継たる守護神殿は“露払い”と、各戦場へのゲートのために用いられているが、それを差し引いたとて、攻撃の行使に中継点さえ必要ない。

 空に広がるオルクスの領域のもとで、女神のかたちが指揮棒代わりに腕を向けた。

“アイシャ” :
「おいでなさい…」

“アイシャ” :
「………そして悔いなさい、蛮勇なりしレムス。
 あなたにローマは、手に余る…!」 

SYSTEM :

 輝く御名のマグナ・マーテル。
 その命に応じ、いくつもの領域をなぞって、天より降り注ぐ雷のように光柱が衝き落ちる。

SYSTEM :

 色褪せることを知らない歌う雨。
 罪なきものの礼讃と、罪あるものの悔恨で彩られた、慈悲とは真逆の破壊のかたち。
 裁きのかたちを想像したならば、もっとも普遍的なかたちこそ、天を衝くこの城塞の更に“上”から迫る光芒。

SYSTEM :

 近代兵器の無慈悲さを、その存在の影も形もないものが、それ以上の精度で容易くやってのける。
 もとより隔絶した余所と見なした相手への“この”苛烈さのみは、如何なる月日を持っても変えられはすまい。

 守護には、まだ人の世はその剣呑さを避けられぬ。

SYSTEM :
 女神のかたちにとって許し難きは、
 この地に持ち込まれた強欲の権化でも、大地の色を塗り替える他所者の傲岸でもない。
 困難さを知らぬものの宣う創造のいろ。その点において、確かにあなたの意は的を射ていた。

 国を造る一挙手一投足も、国/住処を追われたものの嘆きも怒りも見届けてきた娘にとっては。

SYSTEM :

 最初の一発で、鱗の一欠片が粉微塵に砕け散り…。
 続く四、五、六で跡形もなく消し飛んだ。

 “数枚”の合一した個体は掃射と見るや否や、鱗を不定に作り替え…。
 生じた熱を阻み、蹲るように耐えることを選んだが、その代償は見るまでもない。
 手前から奥へと立て続けざまの大量射撃は、レムスの作り出した城塞都市にさえ、
 どのみち再生するとは言っても、確かに傷をつけるほど。

『レムス』/ワイズマン :
「ほう………」

SYSTEM :
 だが。
 矛先、余裕綽々。

SYSTEM :
 なぜならば───。

 神なる雷霆、その真髄。
 雷気満ちる羅馬、漂う因子が持つ記憶を源とする力。

SYSTEM :
 彼はケラウノスの力を以てローマのレネゲイドを靡かせ…。
 収束し、合一し、空想をなぞることで万物の形を作り出した。
 
 だが神に等しき力を振るわば振るうほど、並の肉体では反動に堪えられない。
 そうであるべき、という因子の礼讃をあらゆる方位から浴びるようなものだ。
 それを受け止めるための肉体を得た彼にとって、法則は己の手元。

SYSTEM :
 ………。
    つよ
 そして強靭さのみを絶対と信仰し、それを以て永遠に挑む男。
 彼は、門番と定めた者たちを、如何程に弱者を退けたかで選び抜いた。

SYSTEM :
             ・・・・・・・・・・・・・・
 そしてこの局面で、彼が、最も信ずるに足ると見込むものは…。

『レムス』/ワイズマン :
「ならば、しかと見るがいい………」

『レムス』/ワイズマン :
「………これよりの永遠を治める、気高き我が姿を…」

『レムス』/ワイズマン :
「そして………」

『レムス』/ワイズマン :
「───敗者より蘇りし…。
 我が影の姿をッ!」 

SYSTEM :

 光芒の中から男が現れる。

 ひとり、否。
 ・・・
 ふたり。

“アイシャ” :
「──────!」

SYSTEM :

     ・・・
 そうとも己自身だ。 

SYSTEM :

 語られに騙られた神話の敗残者。
 王弟なりしレムス、天空に行くこと敵わぬ報復者レムス!

 己自身と全く同じ起源を掘り起こし、
 その影に己のすべてを転写する。
 その果てなき自我が成せるは、すなわち完全に近い自己転写…。

『レムス』/ワイズマン :

.      レムリア
「ではやるか…わたしよ」

『パンタシアレイヴン』 :

.     レムリア
『よかろう…わたしよ』

SYSTEM :

 それぞれが一方に、まったく同じ規模と威力の雷嵐を形成。
 左方と右方の螺旋が描く回転圧力、その気流を以て瞬く間に達する氷点下。
 高まる電荷。以て生じた真空状態の圧倒的破壊空間は、際限なき真空と放電によるもの。

SYSTEM :

 面を覆う大破壊を、しかし線のそれより勝る破壊で突破する。
 己のみに作用する絶対防御。
 本人同士なのだから、呼吸の合わせも意思疎通も必要はない。

 双つの稲妻、一人の王!

『パンタシアレイヴン』 :

.        レムリア
「神威の戯れ事でこのわたしに適うと…愚かな」

『レムス』/ワイズマン :

「我が挑む永遠に、もはやローマも敵ではない…。
 忌まわしき記憶と共に潰えよ、祈りの子………!」

SYSTEM :

 握りしめた拳と共に、逆に天へと逆巻く雷が迸る。
 絶対防御の攻性変化。領域を叩き切る真空波さえ伴う一本槍。

 空の雲を切り裂いて、展開された領域から降り注ぐ光芒を打ち消す。 

“アイシャ” :
「っ………」

“黄の希人”アーキル :
「アイシャ!」

“アイシャ” :
「へいき……」

SYSTEM :
 領域は彼女を形作るレネゲイドの一部であるが、ダメージの反映される躯体の一部ではない。
 再構築に時間が掛かるだけ。だが。

『レムス』/ワイズマン :

 ・・・・・・・・・・
「次を撃つには間が要る…」

SYSTEM :
.   ラウンド
 その再構築の間だけで事足りる。
 何においても揺るがぬ絶対の自負が、レムスにはある。
 
 己こそに相応しき天の雷霆、神さえ喰らう強欲竜の躯体!
 永遠に挑みかかり、手に入れ、今度こそ成し遂げられるべき万人の欲望の色。
..               オディオ
 彼には澱めども絶対の、反転した憎しみが彩る原動力がある。

『レムス』/ワイズマン :
「二度の機会は廻らぬ………
 その眼で、しかと見るがいい………」

ラーゼス :
「傲岸な……!」

SYSTEM :
 オーヴァードがオーヴァード足り得る所以は、己以外の容認にあるといってもいい。
 ・・・・
 そこには善悪等しく関係はない。例えば…。

 あなた方は度し難いものとも時に手を結び、時に容認する部分を見出し、故を使い合ったが、彼らとて“他者”ないし他の“生命”を認識する容量がある。

SYSTEM :
 ………だが。

 究極的に使うものさえも己。
 一片の疑う余地なく、彼は魔を宿した澱みの王だ。

『レムス』/ワイズマン :
「降臨せし先の刻にて馴染んだ我が一端、まずは………」

SYSTEM :
 ゆるりとした動作は“仕留めきれる”と確信しているからだ。
 だが、彼の衝動は後手制圧を当然とする“傲岸”とはまるで違う。

 内に秘める衝動すなわち破壊。
 まことに見境をなくせば、その爆雷はすべてを焼き切ってなお有り余る。
 その一端を見せんとばかりに、レムスの掌に、陽炎が生まれ。
 そこに、無明さえも見境なく照らし出す凛々の星が煌めいた。

『レムス』/ワイズマン :

「小僧、そして蛮徒よ。
 おまえたちの死で示すとしよう………!」

SYSTEM :
 ひとつ…ふたつ。
 影なるものと合わせて、否──────。

『レムス』/ワイズマン :


 Fiat lux
「光あれ──────!!!」

SYSTEM :
 否。
 瞬きのうちに増えた数、都合数十。
 一発一発が白黒に明滅し、意思を持つように脈打ち、空間を引き裂き迸る大雷球。

 ひとつの操者につき数十。それが、分たれた肉体も全く同じ数を産み出して百以上。

SYSTEM :
 号令と共に。すべてを食めと稲妻が走る。
 容易く一帯を打ち据えられる数と範囲。

 己の赴くままに振るわば必ずそうなるものを、城ごと砕くを是としないか、あるいは思惑ありきか、敢えて───収束。
 その全弾、ひとりひとり確実に射殺すためとばかりに二極化された。

 外付けの兵装を先に破壊すれば継戦能力を失う───と、彼が認識する───PFを駆るアレウス。
 もう一人は、最初の稲妻で狙いを定めた、武力でない手段を以て玉座に踏み入る術を持つ“七花胡”!

ガンドルフ :
 ガンドルフは堅牢ではない。
 これは、"貴人の庭"との戦いで周知の事実となっている。
 装甲を限りなく廃し、ドラムフレーム状に沿って装着された仕様では、敵の攻撃を受けきることなど出来ない。
 先手必勝を全として造られたこのPFにとって、純粋な暴力ほど皮肉な脅威は無い。

ガンドルフ :
 よってガンドルフの取る行動はクロスガード体勢になる事だけである。
 奏でられる雷によって殺意が跳ね回る──それら全てを余すことなく受けて、ガンドルフの装甲は焼き切れていく。

 当然、内部にいるアレウスも無事では済まない。

ガンドルフ :
 生きながら焼かれているアレウスは、しかしそれでも死にはしなかった。
 それ自体がアレウスの行動原理であり、彼自身が「そう」と決めた以上はテコでも動かない。
 もう既に一度やったことだ──記憶を燃やし、過去を燃やし、再起する。
 ボスへの別れが一度目ならば、二度目は嫌う敵への理解への昇華。

 ……余談ではあるが。
 理解というのは決して良い事だけではない。
 理解をすることで、やはり相容れぬとわかる事もあるのだ。

 つまりそれは、未来の敵への理解であり、未来の敵への宣戦布告に等しい昇華だ。

マスター・ハーヴェスター :
「バカめが!」

マスター・ハーヴェスター :
「死ぬものかよ! こいつはただの、自分を守りたいだけの臆病者の雷なのだからなあ!」

ガンドルフ :
 その昇華によるレネゲイドの急速隆起が、ガンドルフのエネルギー回路を再度叩く。
 焼き切れた装甲をモルフェウスの能力が補い、輝きと共に再起動を果たす。

ガンドルフ :
 ガンドルフの真の武器は、光槍ライフルでも、ラック内で生成されるビットでもない。
 それは──有人型PFにおいては決定的であり、絶対になくてはならないモノ、パイロット自身である。

 それを──奴は見誤ったのだ!

SYSTEM :
 あなたの宣戦布告は、あなたの中でだけ響くものに過ぎない。
 同じ進化を望むものとて、変化の道程が同じとも限らない。
  
 聞けばその当人は笑って言うだろう。
 明日のことが誰かにわかるかよ、と。
 ───それでも明日がそうならば、西部劇の真似事だ。

SYSTEM :
 その余談は刹那に過ぎ去り。
 焼き切れた装甲が、光を失った双眸のカメラ・アイが。

 いつもすべてを捨て去るように、目の前の望むものを掴んできた男の影を追って目覚めた。

SYSTEM :
 軽装のG-ドルフでそれを成したのは、確かに、PFの利点である装甲や耐久性能から来るものではない。
 人の智慧が生み出したものが、人の手で如何様に変わるものか───。

 稲妻の簒奪者に、その生死を分けた分水嶺。永劫理解るまい。

SYSTEM :
 だが───。軽装とてPF。
 必定とて、血を流し慣れた牙獣だからこそ成せる業だ。

 確実に仕留める、の矛先はもうひとつある。

“七花胡” :
「(────────来る!)」

“七花胡” :
 迫る極光の帯は流星よりも眩く、さながら神話に兆す天墜だ。
 先の雷霆などと比べるべくもない。いや、打ち仕損じたからこその天雷か。
 
 創世の前の破壊は天罰などと騙るつもりか?
                     ナマ
 神座なんて大それた欲望の癖に────随分と人間臭い!

“七花胡” :
 己の身体能力で回避は能わず。まずもって応報することなど得手ではない。
 ならば選択はただ一つ。
 
 この身を破壊する、全ての“現実”を観察する。
 今日が須らく明日へと地続きであるなら、痛みとて未来に繋がるべきだ。

“七花胡” :
「が────あ゛あ゛ああああああああッッ…………!!!!」

“七花胡” :
 開闢の光が矮小な身を焼き尽くす。
 表皮が焦げ、飽き足らず、引き攣れ逆剥いた亀裂から滲む血が極温に触れて蒸発する。
 存在の端から端までを罪ありきと断たれ、一片と残さず焼却されていくような。

“七花胡” :
 ────だが! だが、だが!
 サングラスどころか、眼球の水分が蒸発し、視力のほとんどが失せようとも!
 決して目を逸らすことだけは────無い!

“七花胡” :
 蓮華は泥中より返り咲くものだと識っている。
 己を「花」だと考えたことは微塵も無いけれど……

“七花胡” :
 血反吐を吐き、致死量の苦痛を得て、憤怒と屈辱に脳を焼かれてなお。
 可能性とは、汗みずくの知恵と泥だらけの手で掴み取るものだと、

 己が衝動が知っている!

SYSTEM :

SYSTEM :

夏瑞珂 :
 雷霆に劈かれる長身へ、

「────危ない!」

 奔るわたしの聲。
 重ねたのでも、まして被せたのでもない。
 わたしは人より耳がよくて、ビリー自身より彼という人を信じていて、だからいま呼びかけた。

SYSTEM :
 ───そうとも。

 如何に頑強と無縁のシンドロームとて彼はオーヴァード。
 ましてや、死線を潜り抜けた数とて両手足の指を軽々超えよう。

 だが、物事には得意不得意がある。
 彼は最強の矛を作り出すことは出来る。
 無敵の盾を備えるすべを知っている。

 だが、己自身がそうなることはない。
 斯様な剛いだけのものに、彼は彼の未来を投じていない。

SYSTEM :
 雷霆は戦術の要をまず撃つ。
 それは理性からくるものではない、彼の理性はとうに置き去られたもの。
 であれば。
..    かんじょう
 理性よりも本能は疾い。
 不遜で天秤を傾けた。どちらが彼にとって度し難いのか、その答えのみが次の引き金を弾かせる。

『パンタシアレイヴン』 :
「誹るのみの、その不遜…
 いまは置こう………」

『パンタシアレイヴン』 :
      ・・
「だが…その命脈は………」

『レムス』/ワイズマン :
「………いまを以て断つ………」

SYSTEM :
 コンマ1秒。それだけあれば彼は次に繋ぐ。その執念がある。
 わかっている、いないではない。
 その“よもや”の余地さえも残す魂胆はない。それほどまでに、彼は己の永遠に“その形”が踏み入ることを望んではいなかった。

SYSTEM :
 続く雷霆は瞬きのうちに────。
 眼前のものを焼き切らんとする。

 そして、実際に何かを焼き切った。

SYSTEM :
 ………だが。

 焼いたもの、焦がすにおいは人のものではない。

SYSTEM :
 鉛と、鉄と。
 
 不自然に膨れ上がる煙の中。
 手繰られた領域の音の中、直前、遠雷のように轟いた懐旧に炎が応えた。 

SYSTEM :
 煙の向こう側。

 卓越した視力の持ち主と、
 割り込んできたものを間近で見る当事者と、
 墓下の男が“そう”だったころを知っているあなたなら、何が起きたかすぐに分かる。

SYSTEM :
 割り込んできたのは、

“グレイ・スコーピオ” :
〈──────ハハ…ハハハ……〉

SYSTEM :
 機体の右腕部を喪失しながら。
 とどめの一発に割り込んできたものは、
 荒ぶる風の名を冠した一騎のPF。

 理由など定かでない。
 ただ“領域”越しにありえない夢でも見たか、
 その先の光景でその不理解を重ねでもしたのか。それとも。

『レムス』/ワイズマン :
「雑音………」

『レムス』/ワイズマン :
「気でも触れ、──────」

SYSTEM :
 そこで。
 レムスとあろうものが、僅かに悟り損ねた。
 ・・・・
 なぜ笑う? その正体だ。
 ただ気がふれたのだと最初は錯覚した。

SYSTEM :
 なにしろ、今のは蘇生諸共吹き飛ばすのを押し留めただけ。
 今のは無謀な突撃だ。
 金の切れ目が縁/命の切れ目、そういう傭兵がやってはならない短絡さだ。
 彼はこの男を知らない。知るはずはない。
 
 だから、有象無象より先の認識など敵うはずもなく。
    ・・・・・・・・・
 故に、知っているはずの熱を悟り損ねた。

SYSTEM :
 その意味を悟った彼が、稲妻で己を覆う───よりも。
 一刻早く。

“グレイ・スコーピオ” :
〈ハ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ!〉 

“グレイ・スコーピオ” :
〈惜しかった………なあ!〉

SYSTEM :
 瞬間───どてっ腹へ突き付けられた鉄の塊。
 対VT用レールキャノン。

SYSTEM :
 PFの強化された外骨格、強靭な人工筋肉とこれを支えるジェネレータ出力。
 それで漸く”火器”として運用できるオーバード・ウェポン。
 狙撃のために彼が好んで用いていた武器だ。

.             クロスコンバット
 それが今。あまりにらしからぬ零距離射撃で、火華を咲かせる。
    わるあがき
 狙撃手の奥の手である。

 その無謀。小人を撃つ巨人、強いものいじめの構図をたまらないと愉快気に嗤った男が、告げるに曰く。

“グレイ・スコーピオ” :
〈今だけだ………今だけだが………〉

“グレイ・スコーピオ” :
 ・・・・・・・・・・・・・・・
〈生きててよかったよクソッタレめ…!!!〉

SYSTEM :
   ブレイクバレット
 対オーヴァード用新型弾頭。虎の子の弐つ目。
 腹の内側で、憎しみの華が、残り火とともに爆ぜる。

 あなたを留めたものがそうしたようには、彼はやらない。そういう男ではないからだ。

SYSTEM :
 ………ただあなたを留めたものの生きた証の声か、その光景か。
 思惑の主のことを知ってでもいたのか。

 はたまた………。
 真正面から貧乏籤に立ち向かうような/ただ強いだけの人間にはできない愚行に、対抗者の残り滓が、勝手にペダルでも踏んだのか。

『レムス』/ワイズマン :
「小癪──────!」

SYSTEM :
 焼き切るような射撃、
 血を吐くような喝采。

 数発目で振り払った、その時間の猶予は数秒。嵐に立ち向かう者ならいざ知らず、彼は何も寄る辺のない毒蠍。
 神を刺しても”痛い目”しか合わせられはすまい。

SYSTEM :
 ・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・
 数秒、しがみつかれたレムスがスキを晒す。

 そして…。

SYSTEM :
 コンマ1秒。それだけあれば。
 あなたにはその執念があった。

夏瑞珂 :
「──ほら、やっぱり」

 狙撃手にあるまじき泥臭いあがき。
 金で動く傭兵らしからぬ無茶無謀。
 余人にはありえない光景でも、わたしには違う。

夏瑞珂 :
「そこにいるもの」

 あなたを象ったものは決して死なないのだと、認めない意固地に代わって胸を張る。

“七花胡” :
 傭兵とは。
 本来理想や主義ではなく、金塊のために能力を売る生き物だ。
 力は切り売りしても、命懸けなんて以ての外。そもそも金を稼ぐだけで良いのなら、世の中もっと楽な方法がある。
 “通りすがりのお友達”殿に曰く、荒くれものにしては随分と“行儀の良い”御仁の……

“七花胡” :
       ナラティブ
 戦場に留まる理由の一端を、機影と舞う火花に垣間見る。
 嵐にも臆さぬ命知らずの研ぎ澄まされた翼が、雷霆の二撃目を引き受けたことで血油を滲ませた。
 なおも空を切り裂く姿は、華麗と言わずとも苛烈と称するべき使い古しの機械仕掛けの鳥。
                   ヴィジランテ
 アフターバーナーの閃光を牙槍と化して、傭兵の一撃が僭主の土手っ腹に炸裂する。

“七花胡” :
 炸裂音、巻きあがる煙。
 彼の齎した数秒の猶予。

 晴れた時、僭主が目の当たりにしたのは……

“七花胡” :
 ────天秤を傾けた先に、広がるのは極彩色の花の海。
 フラスコから立ち昇り微睡む朱煙が、清涼な平原の風と化して、此処こそが天の国だと錯覚を引き起こす。

“七花胡” :
 意を示すためだけに建てられたモニュメント、瓦礫の山と砕けた亀裂を、緑色の絨毯が敷き詰めていく。
 たとえ幻と理解できても、身動げばたしかに葉は揺れ花弁が舞った。
 ひとたび稲妻が降り注げば、それは破壊から豊穣へ。慈雨と共に芽を育む流転の一部へと、現象は書き換えられる。
 曇天の下巻き起こる絶風さえ、領域に踏み入れれば途端、芽吹きを待ちわびる薫風へと因果を塗り替えられる。

“七花胡” :
 それは無上の楽園。
 共に歩む者たちの未来を種とし、可能性を芽として、たちどころに返り咲く天上楽土。
 無数の花々は、この領域内に横たわる確率の結晶にして、不都合を剪定した結果だ。
 それらはただ美しいだけ。雷を砕く力も無ければ、刃を防ぐ盾にすらなりはしない。

“七花胡” :
 けれど並び立つ者が────ひとたび“選択”したならば。
 花弁は融ける。代わりに、あなたを扶ける。
 孤王の城砦の内であろうと、此処はあなたの独壇場になる。

“七花胡” :

Let there be light.
「 光あれ 」


“七花胡” :
 手を掲げ唱えれば……音は融けソラに消えゆく。
 韻律の一つ一つが暗雲を解き、そうして披いた隙間から、
 晴れ間が差す。

“七花胡” :
 たとえ一時でも、齎された陽光は我らの背を照らし、僭主の瞳を曇らせるだろう。
 目に眩しくは映るまい────花畑に描き出された影は、あなたの刻んできた軌跡そのもの。
 長く伸びる黒は苦悩と刻苦のしるし。だがその痛みもまた、あなたを形作るあかし。

“七花胡” :
 先触れを寿ぐように、朱煙の狭間を蝶が舞う。
 たしかな礎を踏み、あなたのために誂えた舞台を越えて、
 
 そして天高く/音鋭く/力強く征きなさい……!

“七花胡” :
「────“レムリア”とは何か?」

“七花胡” :
「それは人でも土地でも無い。兄に敗北し置いて行かれた、孤独な貴様自身でしかありません。
 国を作るだと? 欲望のために愛し育むことを捨てた男が、つくづく嗤わせる!」

“七花胡” :
 クニ             ・・
「庭を作るとはどういうことか、これが御手本です。自分如きに教わるなどと、さぞや業腹でしょうね?
 在り様をしかと目に刻んだなら、己の不出来を悔み、そして果てまで朽ちるがいい……!」

“七花胡” :
 未だ痛覚に纏わりつく激痛を嘲笑う顔で綺麗に覆い隠し、啖呵を切った。
 存在の端から端までを焼き尽くすような雷火に、そうすぐ再生が追いつくわけもない。

 握り締めるものは終の棲家に残したよすが。代償に、この国にやってきた所以を最初に切り捨てた。
 今の俺には、仕事である以上の此処に立つ理由がある。だからもう、あの老翁の記憶は手放しても問題はない。
 
 どうせまた顔を合わせることになるのだから。

“七花胡” :
 ……ふと視線に気付く。
 見違えるまでに羽化を遂げた娘には、この背中が見えてしまうだろうか?

 再生し、元のように見えるのは前面だけだ。背面なんて見るも無惨。
 遅々として修復の進まぬ焼け爛れた皮膚のあわいからは、剥き出しの赤い筋繊維と千切れた血管がまろびでている。
 薫風が胸骨の隙間に潜り込んでは、半ば崩れかけの内臓を擽って去っていく。

 案じさせてしまうかな。
 其方に一瞬だけ視線を寄越し、人差し指を一本立てて、唇に寄せる。

“七花胡” :
 Shh……
“大丈夫”

“七花胡” :
 微笑む。
 背中に隠す不甲斐なさは、ただ貴女の胸に、秘密にして欲しくて。

“七花胡” :
「────“黄の希人”!」
 すぐさま視線を切り返す。

“七花胡” :
「利子は数え終わりましたか?
 此処をおいて、返済のしどころは他にありませんよ!」

 快哉を叫びたくなるような機会には、必ずその身を間に合わせてきた男だ。
 最良の時節に最適な人間を利用するのなら、彼が今を逃すはずがない。

“七花胡” :
 きっと貴方なら、もう備えているのでしょう?

SYSTEM :
 …中破したPFの再生は、もともとそれを前提としたG-ドルフのようには行かない。
 人間の片腕が欠損するよりは遥かに易く、しかし難い代償。
 嵐に立つのに無傷が罷り通るはずもない。まして、それでもぎ取った時間は“たかが”数秒である。一呼吸、ひとつの動作が入り込めば事足りる程度の時間。

SYSTEM :
     ・・
 だがその数秒の間で、あなたは立つ。
 その証明こそが、永遠を騙る都に、永遠を負う人間が作り上げた楽土。

 留まる権利を持った、進む義務を是とするもの。
 咲き誇る花の色がなんであろうとも。
 そこに根付くものと先触れを行き、共に責を負い、道のりの果てを見送る───芽吹きを寿く春の風。

SYSTEM :
 舞い降りる光ではなく、雲間から幾度でも差し込む光。
 どしゃぶり
 青天の霹靂程度で怯む生き方をあなたはしていない。
 廃れず拓くことも、澱ませず保つことも、それで膝を突いたままの人間には適わない。

 選択を終え切った男の前に花は咲かない。だから、王弟レムスに花弁は応えない。
 …かすかな花びらの名残が、灰色の機体に落ちた。

“グレイ・スコーピオ” :
〈気取った野郎だコト………
 安い命だ、らしくねェことの分は今のでチャラにしてやるさ───〉

SYSTEM :
 気取った中にある真のいろに触れた兵士の、損耗の中の呟きは、聡いものにだけ届く。

 微かな停滞の中を切り裂くのは、あなた/“七花胡”がここに至るまで、返済する傍から貸しという貸しと押し付けてきた相手。
 
 有言を実行しろとばかりの指摘に、彼はこう答えた。

“黄の希人”アーキル :
「とんでもない、待っていたのさ!
 さあ…御覧じろ!」

SYSTEM :
 男に領域を形作る術はない。
 彼は世界の王ではない。

 あるいは、そういう義務を押し付けられたら”やる”のかもしれないが、男の本質は留まる人間とは無縁だ。
 かき回す颶風。どれほどに凪ぐことがあったとて、人のサガは易々変わらない。

 だが男は、隔てを崩すことには何より向いていた。

 届かぬ星を見る。誰もが手を伸ばす。
 ところが彼は───。

SYSTEM :
 星と語らうためなら、
   ・・・・・・
 星を撃ち落とせる。 

SYSTEM :
 ───矢を番え、弓を弾く。
 波紋のように広がるレネゲイドの因子は、信仰を得物とし、伝説を盾としてきた。
          はずさず
 逆も然りだ。彼の弓は必中の弓。
 逃げも隠れも手段は択ばず、自分が信じたものだけには背かない。

SYSTEM :
 その伝説をわが物とする男の神髄は、レネゲイドさえも”錯覚”させる状況操作能力。

 星のように瞬く矢が、晴れ間を縫った次の瞬間───。
 ・・・・・・
 伝説の持ち主を、彼らの希薄な自我が誤認する。

SYSTEM :
 誰が国の主で、誰が羅馬で正しきを敷くのか。
 お手本を見せると宣った男の有言を世界に実行させ、その見物人から“数秒”だけ世界に掌を変えさせ───以て“七花胡”のもたらす領域の出力される限界値は倍以上に跳ね上がる。

 持てるものと持たざるものの一方通行。もちろん、永遠に騙せるわけではないが。
 
 領域の押し合い/取り合い、そして一度己の陣地/世界と定めた場所を維持するなど、オルクスにとっては容易いこと。

『レムス』/ワイズマン :
「………小癪」

『レムス』/ワイズマン :
「──────小癪。
..   レムリア
 小僧、わたしの前で国を語るか。
 隣る世界さえ侵せぬ脆弱さで」

“黄の希人”アーキル :
「僭越ながら申し上げるが───。

 生きてるんでな、貴様と違って!
 欲望は進化するし、国の作り方も変わるもんさ…」

“黄の希人”アーキル :
「影さえも自分しかついてこないのがいい証拠だ。
 貴様の下には“これ”は生めまい…
..       レネゲイド
 その味を知った国民諸君は、ここからどうしてくれるかな!」

『レムス』/ワイズマン :
「やはり貴様たち………、
 我が目に映る前に土に還しておくのだったよ」

SYSTEM :
 欺かれ、突き付けられた王弟が。
 
 変化という名の浪漫を突き付けられて、薄らと置き去りにしてきた憤怒を纏った。
 あの時、あなたの言葉に一瞬見せたものと同じだ。

SYSTEM :

 なぜならその曖昧な強さこそ、
 男が”不出来”と結論づけたものでしかないからだ。

“七花胡” :
「隣る者が怖い。利用する度胸も、手を取る素直さも無い……。
 侵略を択んだのは、二度目の敗北が怖いからでしょう?」

“七花胡” :
「共存共栄が近代国家のトレンドだということを、学ぶには少々遅すぎましたね?
 後悔ならばご心配なく。黄泉の国への順番待ちで────うんとたっぷり、悔やむ時間を取れることでしょうよ!」

『レムス』/ワイズマン :
. レムリア
「このわたしを愚弄する口のみは、揃いも揃ってよく回る…」

『レムス』/ワイズマン :
「ましてや、二度目の敗北など…有り得ぬ。

 開花を待つまでもない、いま…!
 ここで滅ぼしてくれようぞ───」

SYSTEM :
 古き陽炎をまとい、横溢する雷気が。
 その腕を向ける。

 光さえも己のものと、意趣返しもろとも叩き潰さんとばかりに。
 だが───。

SYSTEM :
     ・・
 確かに、学ぶのは遅かったと言えよう。

ガンドルフ :

 まさに。

 その近代の技術の塊が、領域という"庭"ないし"国"の空に躍り出る。

ガンドルフ :
 レネゲイドと人は共生関係にある。
 人がその手で作りしものに、レネゲイドが宿り、進化させる。
 サイフレームと呼ばれる兵器はまさにその"共存共生"の極致の一つと言える兵器だと、アレウスは想う。

ガンドルフ :
 あらゆるところから噛みつき、牙を突き立てて食い破る。
 牙獣と呼ばれた男は、その技術を、戦いの術を、己の手で進化させてきた。
 此度もそう──遺産という強大な力、古き時代の神の力を、人の手で越えるという命題。

 彼は確かに闘争の中に生きる男だ。
 だが闘争を愉しむ"だけ"ではない──よりその先を見るために、彼の欲望は常に進化に傾く。

 その一端を示すかのように、G-ドルフがその両手を大きく広げる。
 ラックから射出された無数の"ビット"が、庭園を埋め尽くす華の如く開く。

マスター・ハーヴェスター :
「侵蝕率は? 今どうなっている」

ガンドルフ :
《限界値オーバー、射出量増大》

マスター・ハーヴェスター :
「よかろう。本来ならば弾は底を尽きたが……」

マスター・ハーヴェスター :
「これだけいい"領域"があるんだ、俺も少しはあやからんとなァ!」

ガンドルフ :
《フィールド検知──包囲再展開》

ガンドルフ :
 アレウスという男は、過去を薪にした。
 それは己が明日へと進むための訣別であり、別れであり、過去を背負うモノではなく、過去を置いておくモノとして認識したからこその行い。
 死人に引き摺られるのでもなく、死人をただ記憶に置きとどめる。

 生きているのだから、生きている限り進まなければならない。
 その過去の記憶を──過去の残滓を、過去の全てを、領域の王が広げた庭というネットワークに、ビットに形を変えて広げさせてゆく。

 道が違えてなければ、あるいはそれを成し遂げたのは、地獄で踊る彼女だったのかもしれない。
 
 だが、今は違う。
 その領域を押し広げる庭の主へ、力を使って魅せることでその礼とする。

ガンドルフ :
 ガンドルフが──飛ぶ。
 その速度は増し、天を廻り、神を見下ろす鳥のように。

マスター・ハーヴェスター :
 ・・・・・・
「リフレクター・ビット、広域展開だ!
 領域に沿ってフォーメーションを組む!」

ガンドルフ :
 神がなんだ、国がなんだ、と。
 国を捨てた男にとって、それらは只の軛に過ぎず。
 それを越え、天という自由に住まうストークスには窮屈なだけだ。
 今それらすべてを撃ち、全てを刈り取ってくれる!

ガンドルフ :
 無数のリフレクター・ビットが、光速で飛び回るガンドルフを投影。
 質量ある残像が、その手に構えた光槍ライフルを一斉に振りかぶった。

ガンドルフ :
 幻想など、所詮幻想!

 それを証明すると言わんばかりの、技術と科学によって作り上げられたPFが、その手の光槍を投げた。
 無数の光が伸び、リフレクトされ、竜だろうが神だろうが撃ち、そして焼き滅ぼす殺戮領域を作り上げる。

ガンドルフ :
 全てを死滅させる災害、
 天隕のごとく降り注ぐ光の数々。

 それらは刈り取るための殺意であり、欲望の嵐だ。
 彼自身もまた──この瞬間だけは、災厄の如き砂嵐であり続けた。

マスター・ハーヴェスター :
「噛みつくべき時に噛みつけなかった貴様のようなのを!
 ・・・
 負け犬と言うんだよ!」

マスター・ハーヴェスター :
「蜥蜴共と纏めて──死ねよやァ!!」

SYSTEM :
..コンタクト
 接敵は、空から。
 高熱原体が迫る。
 
 翳していた死の原理に、水を差すプレッシャー。ひとつの飽き足らず、天の光はすべて敵。
 稲妻をまとう神なるものがすぐに腕を翻した。永遠を蝕む愚か者、敵の気配において、討つという行動の迅速さは変わりようがない。

『レムス』/ワイズマン :
   ソラ
「───宙か…」

『レムス』/ワイズマン :
シロッコ
「熱風めが囀る───」

SYSTEM :
 レネゲイドと人。天秤が僅かでも傾けば互いを食らうものが、調和を起こすように。
 人と機械もまた調和の果てに新しい境涯を見せる事もある。
 ただの兵器。鋼の殺人マシン…その源流には、間違いなく顧みることのない欲望があった。
 
 その種のひとつが。煮え滾る血と、興し続けた風の赴くままに飛翔ぶ。
 鸛の王が、研いだ爪、穿ちに穿ってきた嘴を向けて告げる。

SYSTEM :
 どこまでも行けるものは何も風だけでない。
 黄金の風と離別し、刹那の止まり木にした王庭より発った鸛たちには、己の所以で飛べる翼がある。

 それを証明するように、磨き抜かれた翼のひとつひとつが、月下に出撃る。

 一羽、また一羽と。宙を駆け………幾何学的な光の模様。
 ニューロンを駆け巡る電磁波の動きが、瞬く間に織り成す火の芸術は、刹那のうちに広がった領域に楔を打ち込むが如く拡散した。

SYSTEM :

 海向こうより流れ着いた因子管制。
 その根底を思わばあるいは必然だ。
 ・・
 発端はその幻想をこそ忌まわしき記憶とした。これを制し、圧し、留めることに妄執を割いた。
 …むろん、あなたにその臆病さはなく、臆病さに至る“不幸”もない。これは是非を語るものではない。

 だが。
 人の意で、空想を従えるという意のみは、
 なるほど確かに、いまここで。荒野を流離う牙獣の糧となった!

SYSTEM :
 キル・ゾーン
 殺戮領域の中で、再び王の陽炎が腕を交わす。光が彼を覆う直前、同じように因子をねじ伏せた王弟が。

 幻想を制する己が最強を以て、国を崩す嵐に牙を向けた。
 国を獲る、築く。どちらとて欲望だ。欲望同士がぶつかった時、こうするしかないというのは分かりきっている。

『パンタシアレイヴン』 :
「よく燥ぐ…」

『レムス』/ワイズマン :
..  レムリア   レムリア
「だがわたしは、このわたしを敗者と認めてはおらぬ──────!」

SYSTEM :
 すなわち、先の光景と同じだ。
 転写した影と己自身。

 遺産が齎す雷電のエネルギー、引き起こした暴風が、再び真空状態と超連続の電荷を引き起こす。
 己たちのみを守り、敵を打ち砕く絶対防御。

 その範囲から洩れた成体は、その頑強さの死角を貫くように跳ね返るビームのサーカスに焼き焦がされ、残るは王者ただ一対。

SYSTEM :

 しかし…。

 “マグナ・マーテル”の領域を打ち砕く時の出力は彼にはない。なぜか?

SYSTEM :
 ローマのすべて、漂うレネゲイドを従える王の徴は、ここに咲き誇る楽土の喜びで綻んだ。
 すべてではない、過半数は未だ彼のものだ。軟な一撃、脆弱な抵抗。

 口先だけが喧しい鳥の囀りであるならば、生まれた光をねじ伏せ、彼は無傷でここに君臨しただろう。だが──────。

 だが、そうはならない。
 収穫者が収穫者たる所以は、その武器を操る空間認識能力…ではない。

 挑むべき時に必ず挑む、破落戸の無謀さを突き詰めたものでも。
 根付いた己以外のものにすべてを捧げる幸福の王子様めいた献身でも。
 常に明日を見据え、可能性の手触りを有難がりながら追及する探究の気質でもない。

SYSTEM :
 彼はその誰もが持っている、
 ・・
 前進する意思において。
 明確に一歩、レムスの絶対防御を打ち破るほど先を行った。

SYSTEM :
 高まるレネゲイドを乗りこなした男が、
 嵐の中を貫いて。
             ・
 先ほど負わなかった明確な傷を負わせる。影にフィードバックされたそれは、全能のケラウノスも無敵でないことの証だった。

『レムス』/ワイズマン :
「ぬ………──────」

『レムス』/ワイズマン :
「囀ることだけは容易いものよ…。
 挑むべき時を逃した流離い人が、
..  レムリア
 このわたしを崩すなど烏滸がましい…」

『レムス』/ワイズマン :
「この傷の礼は、すぐにさせてやろう──────」

マスター・ハーヴェスター :
「ハハハ! だからこそだ、テメェも同じ目に遭わせてやるってんだよ!」

『レムス』/ワイズマン :
「ふん…戯れているか…!」

マスター・ハーヴェスター :
「だが──余所見はいかんよなァ!?」

“七花胡” :
 鸛が天を舞う。
 敷き詰められた因子を光の糸で結びながら、風に乗って疾く────鋭く。

“七花胡” :
 その様を、目を閉じ、雲上の目より俯瞰する。
 流転を揺蕩う、竜の眼。
 理を揺るがす暴威に対してのみ、介入を良しとする、竜の爪……。
 
 時空因果を丸ごと覆す絶技にして、分不相応にも程がある権能。
 刹那の行使を────ただその使徒の血が赦す。

“七花胡” :
 庭を縁取る茨は、彼岸と此岸を切り分ける境界。
 慈しむものと退けるものとを分かつ目印にして、時間軸の中に因果を搦め取る掌だ。
 僭主が既に此方を撃つ用意を済ませていようが関係ない。
 刹那のうちに後/先を入れ替え、生じた亜空の誤謬を逃さずに────

“七花胡” :
「────我が槍よ!」

“七花胡” :
「貴女こそが、誰よりも眩く、稲光となれ……!」

“七花胡” :
 突如として生じた間隙、弄ばれた時空の隙間に、無数の花弁を宙に浮かべて、花嵐が舞い踊った。
 それらはやがて、獅子の背を強く、強く────彼方までも往けと、掌のように吹き付ける!

ラーゼス :
「────!」

 灯そうとしていた力が、呼吸の間にこの手に宿る。
 数秒先の因果を手繰り寄せる御業は、いと高き場所から降りるようでいて。

ラーゼス :
 それを手繰るものはしかし、大地に根付き花を咲かせるものだ。
 ならばこの竜の手は、彼の父祖の贈り物か。

ラーゼス :
「ああ……」

ラーゼス :
「────任せよ、我が主!
 龍の牙をお目に掛けよう!」

ラーゼス :


「ROAR!!!!」

     エイショウ
 二度目の咆哮。
 本来ならば届かぬ領域へ、いまこのとき槍をゆだねた主の加護をもって手を伸ばす。

ラーゼス :

 差し出すように伸ばした手を、強く握り込むとともに、
 神を騙るものが降り落す雷と性質を異にする、蒼い雷が王の意志によって形を成した。

 象られたのは巨大な腕だ。
 指は4本、獣のものよりも長く、そして節くれだち、爬虫類の特徴を備えていた。
 獣と遜色ない爪を携えたそれは────まさしく龍の腕と呼ぶにふさわしい。

ラーゼス :
 それは欲竜ならぬものの似姿。

 海向こう、騎士道華やかなりし頃のログレスの地にて、現実に存在した幻想の神龍の影法師。
 突然に舞い降り、絆しによって身体を現世に縫い留められ、絆しによって幻想の彼方へ消えたもの。

ラーゼス :

 其の名を、黒龍クロム───
 いまやその血を身に巡らせたこの獣のみが識るもの。

 彼女の身体を呪い、生かす龍餐の聖杯の成せる業。

ラーゼス :
 神の領域に傲岸に手を掛けた獣の龍たる腕が、レムスの身体を掴み取り、引き寄せる。
 その先に待ち構えるラーゼスは、既に応ずる準備を終えている。
 蒼黒の雷熱を束ねた槍は、身の内にたぎる血を呼び覚ました末に、身の丈を超す長さにまで肥大化しきっていた。

ラーゼス :
 槍先へ留まった胡蝶が、雷をなお鮮やかに輝かせる。
 雷槍と龍を騙る雷腕が交錯する狭間で、獣が歯を剥いて唸った。

ラーゼス :
「天頂に至るには、智が足りず────」

ラーゼス :
「────人の王を騙るには余分が足りぬ!!」

ラーゼス :
             レネゲイド
「貴公はただの澱みだ、哀れな妖精の果て!
 祈りによって生まれ、欲望によって腐った敗者の僭主!」

ラーゼス :
「この人の世にこびり付いた歴史を象るのならば、受けよこの槍、この雷!」

ラーゼス :
「この槍は嘗てこの国を憂いた厄竜を堕とし──
 千と五百を流れ、澱みつづけてきたッ」

ラーゼス :

「────────地を這う命の、槍だァッ!」

 紫電、一閃。
 完成されつくした肉体を、携えた槍が深々と穿つ。
 瞬間、この場を覆うあらゆる光が生微温く思える蒼き閃光が爆ぜた。
 それは領域によって庇護され、澱んだ祈りによって形成された神殿を余波のみで破壊して。
 
 必滅の一刺しはこのひととき、この一瞬のみ、神の雷霆がもたらす破滅を凌ぐほどの結果をもたらす!

SYSTEM :
 …高く上げた慢心の足は、傷が付いたとて、彼の余裕が保たれている証だ。

 雷霆の初速は音を超える。
 オーヴァードにおいては希少でもない速度のかたちだが。
 何れのひと呼吸よりも、その指先が敵に死を振りまく方が遥かに迅速い。

SYSTEM :
 ましてや彼の注視は間合いには遠いものではなく、再度の出力調律が必要なG-ドルフでもない。

 あと一つ、この戦いから常に一挙手一投足に片隅の意識を割いている方を除けば。
 領域を拓いた方に向いていた。彼の無粋を許すほど愚かでもない。

SYSTEM :
 光を潜り抜けた先で、己の知らぬ理が花を開こうとしている。
 ・・
 それを許す道理はない。彼は確かに腕を向けていた。
 あとは瞬きのうちに”七花胡”の心の臓、稲妻が軽々と跳ね飛ばす。
 
 確信さえあったその光景は、しかし。

『レムス』/ワイズマン :
「──────」

SYSTEM :
 先んじたのは雷霆であっても、神なるものの雷ではない。
  
 脈々と流れ、不変であろうはずの刻の流れ。
     それ
 すなわち自然と共に生きるものには、どうあっても摂理は動かせない。

 ところが彼は、いや、彼ら/彼女らは。そこから外れ、留まる所以を持つものだった。
 時の縁から外れ、流れゆくものを遥か堯きより見守り、久遠の名を持つ雲海を泳ぐもの。その血が、さだめのもとに奮い立った。

SYSTEM :
 時が歪む。一の次は二にならず、太陽は西から昇って東に変える。
 起こる結果の配置が入れ替わり、彼の先手必殺は最初で最後、致命的な破綻を起こした。

 先んじたはずなのに、眼前にもう迫っている。
 その不可解さ───紐解くより前に、男には度し難いものがある。

 あとより先んじたその腕。
 感嘆とも憤怒とも、薄っすらとした意思の色が、口をついて出る。

『レムス』/ワイズマン :
「───よもや…」

『レムス』/ワイズマン :
「───よもや…!」

『レムス』/ワイズマン :
 ・・ ・・
「竜の、腕か………!」

SYSTEM :
 欲界の覇者を。
 己が追い求めた最強の玉体を。遠く幻視したのも僅かなこと。
 口走ったものとの相違点が、月下でなおも増す金色の輝きに濡れていた。

SYSTEM :
 獣のものより鋭く長きその指先が、欲したものなど些細に過ぎぬ。
 鮮烈な生の充足も、異なる他者への絆しも知ることはなく。
 なれども確かに味わったその名残を拭えぬままに、永遠の刹那を望んだ黒き龍。
 彼を、この地に訪れた狼の血肉と比べた時……、決定的な差異が確かにあった。

 戦士のサガだ。

SYSTEM :
 迎え撃ち、挑むもの。ただ一つを除いて、いや、あるいは。
 最後の最後で、そのただ一つさえも恐れに打ち克ったものの腕が────。

『レムス』/ワイズマン :
「ぬ───ゥウウッ…!」

SYSTEM :
 玉座より王の肉体を招き寄せる。戦士たちの生きて死ぬ戦場へ。

 蒼き稲妻を宿したその姿ごと、まなざしが捉えたその槍は、万里に広がる城壁さえも崩す威容を誇っていた。
 鮮烈なりし神威の導をまとわせながらも、彼の矛先は天より下されるものではなかった。
 いつだとて、変わりなく。

SYSTEM :
 忠節がいまも王を生かし、防人の誓いが幻想より木霊する。
 獅子の王を糾し、励するものはすなわち…。
                      とも
 かつて森をもう一度平らげようとしたあなたに臣下が拵えた、あの蒼雷。
 ・・
 永遠などないことを誰もが知りながら、それでもと。もっとも重要な想いを継いできた伝説の担い手たちの秘蹟!

曰く───── :
 その伝説を指して隻獅子。

曰く───── :
    Lases, The Demi-Lion
 ──────弱きを救う王。

 神話と後世の狭間を生きる伝説の名。

SYSTEM :
 彼/王弟レムスはいま、その“伝説”に挑みかかる/立ちふさがられたのだ。

 神に挑むこの男の目に、痛みはもう目覚ましになりはしない。
 強靭いか脆弱いか、その二つのみが男の指標だ。
 余波でさえ、彼の夢想を崩落させていく。正しき嚇怒と共にある一刺しを、すべての生き物/意思が捉えた。
 相対する賢者/ワイズマンのサガも、また。

 王の座でなく、戦士の座に。引き摺り出された王弟の対応は───。

『レムス』/ワイズマン :
「───無礼るな…!
..  レムリア
 このわたしが、二度も、頂の手前で落伍するなど…」

『レムス』/ワイズマン :
.  レムリア
「このわたしを…朽ちゆくものが、有象無象が、再び終わらせようなどと、」

『レムス』/ワイズマン :
 ・・・・・・・
「冗談ではないわ──────!」

SYSTEM :
 ──────愚問。

 引き返す道も意志もありはしない。
 今一度と、狂おしいほどの渇望が、渇きが。
 すべてを破壊し、創造るケラウノスの継承者たるその器が、強烈な自負をまとって吠えた。 

SYSTEM :
 王は己ひとりと。
 ましてや、彼はその地を這う命から天へと至ろうとした者だ。

 未だ抱く使命が、打ち立てるべき夢想が、彼の命を燃やし、身にまとう雷霆を極限域まで膨れ上がらせる!
 衝突を何の理解もなく凝視したものがいれば、目を焼かれ、刹那の光を永遠に味わうこととなるだろう。

SYSTEM :
 ───だがその天秤。
 はじめ拮抗し、槍に射抜かれることを拒んだレムスの玉体も。
 やがて、威の趨勢が決して行く。

SYSTEM :
   くに
 この世界の頂で。
 ケラウノス  ししのきば
 旧き神の雷を、旧き神の雷が噛み砕く。

 深々と穿たれたその肉体から零れ落ちた血は皮肉なほどに朱く………。
 失われてゆく命は、彼を永遠でありながら、望むものとは程遠い世界へと誘おうとしていた。

SYSTEM :
 ………だが。

 神話の時代の意思を喰らい生まれた、
レジェンド
 伝説を源流とするもの。久遠の妄執が培ってきた胆力が、たかが死など何するものぞと吠えている。

SYSTEM :
 そうとも、彼の肉体は。
 一度その理屈に傷こそつけども、竜の肉体。

 一部の隙もなく完成に至った…。
 無尽蔵の生命持つ幻想のかたち!

『レムス』/ワイズマン :
「ぬ──────ゥんッ!!!」

SYSTEM :
 土壇場で迸る稲妻が、その槍に抱かれ死ぬ最期を阻み。さらには逆に牙もろとも“射貫く”ように広がった。
 阻み、弾き、痛みを分かち合ったのち、ついた傷は逆回しのように癒えていく。

 残るすべてを屠り、再び補填に努めれば、時間さえかければ、その傷とて治る。
 そして彼は、その傷で戦いを厭うような生き物ではない。だが…。

『レムス』/ワイズマン :
「ならば…」

『レムス』/ワイズマン :
「諸共地に這い、久遠の礎のひとつとなれ…。
 遥けき彼方の、民草どもの王よ…!」

『レムス』/ワイズマン :
      つよ
「それを勝る強靭さを、今度こそ…!」

SYSTEM :
 ………終わりだけは。
 望まざるとも近づいていた。

ラーゼス :
「ッ………ぐ!」

 貫き通すことはかなわない。
 互いに体を強かに焼かれながら、後ろへ押されそうになる身体を渾身の踏み込みによって縫い止める。

ラーゼス :
 つよ
「強靭さ……とは」

ラーゼス :
「笑わせる……!
 それのみが王の資格であると、そうとしか思えぬから、貴公はそのレムスという殻を脱げぬのだ!」

『レムス』/ワイズマン :
「ならば死に土産に、その思い上がり…。
 正してくれようか…!」

『レムス』/ワイズマン :
 ..  レムリア
「………このわたしを、二度は貫けるものでないぞ…。
 如何なる咢も、鉾も…」

『レムス』/ワイズマン :
「この頂の前では、ただ下される敗者に過ぎぬ…!」

SYSTEM :
 荒ぶる稲妻。
. カテゴリ
 本来の遺産通りの数十から数百倍の力をまとって、王にも神にもかつてなれなかったものが猛る。
 その反動を制するのは───欲することのみを今もなお続ける邪竜の鱗。

SYSTEM :
 だが神話に準えれば準えるほど、
 ”無敵”などありはしない。
   つよ
 ただ強靭いだけの王も。だから、彼はこの瞬間、なおも片時たりとも目を離そうとしていないものがいるのだ。

マスター・ハーヴェスター :
 ・・・・・・・・・・
「今度こそなんてお願いを口にする奴が、よく言うもんだ」

『レムス』/ワイズマン :
「…囀るでないわ、小僧…!」

『レムス』/ワイズマン :
「噛みつくべき時には、などとおまえは宣ったな…
 ・・
 これがその時なのだ!」

マスター・ハーヴェスター :
「フハハハハ! 遅い遅い!」

マスター・ハーヴェスター :
「俺達を秒で消し炭にできない時点で! 遅いんだよ!」

『レムス』/ワイズマン :
「冥府への囀りは、それで充分と見える───!」

夏瑞珂 :
 ──この日は殊更に、夢を見ているようだった。目が覚めた今も、わたしの現実は悪夢に蝕まれている。

 炎に中てられるようにした、忘れられない悪夢だ。
 燃え移った炎はわたしにとって真実で。衝き動かされるように踊り出した。

夏瑞珂 :
 憎むべき狼の死によって火は絶え、あとには用済みと打ち捨てられた灰と燃え殻だけが残った。

 茶番だ。どれだけ言葉を弄そうと、わたしの三年間と家族の死はその一言に尽きる。

夏瑞珂 :
 ・・・
(いいえ)

 火の無い灰に、熱が蘇る。

 それは時に神さえ殺す、
 弱き者に許された最強の武器……

 オディオ
 憎悪の火だ。

夏瑞珂 :
「おまえの過ちは……

 火の先に国はないと分かっていながら……
 憎悪の齎す強靭さを誰より知りながら……」

夏瑞珂 :
「おのれには届かないと驕り、侮り、嵐を礎としたこと」

 これ以上の茶番がどこにある? 心の底から微笑んで、わたしは胸に手を添えた。

夏瑞珂 :
「は、──あッ……」

 突き立てた爪が肌を破り、血管をかきわけ、深く潜っていく。
 深奥の真中。失われた心臓に代わる欲竜の血を握りしめ、体外へ引きずり出す。

夏瑞珂 :
 血晶を掲げた手に風が集った。薫香を含んで朱く色づいた風が、架空の長銃を形成する。
 銃把も、銃爪も、銃身も。風が抱き込んだ極彩色の花に縁取られ、象られ、彩られている。

 前後の逆転したデタラメな装填。銃に弾を込めるのではなく、銀の弾丸を解き放つために風が銃身を生んだのだ。

夏瑞珂 :
(その力を振るう時は、何がしたい、じゃない……
 ・・・・・・
 何をするべき、のために──)

夏瑞珂 :
 無価値と踏みにじられた彼らの名誉を、
 憎悪の火に穢された彼らの生きた証を、

 永遠の終わりと、勝利を以て取り戻す。

 選ばれたと思うなら食い破れ──用済みと下した傲慢もろとも!

夏瑞珂 :
 撃ち抜く意思に呼応した欲竜血晶が、先んじて代償を求める。人の身に馴染むことを知らない凶性が暴発──牙剥く反動は、もはや先日の比ではない。

「う、ああああっ……!」

 猛烈なバックファイアに巻かれ、後方へ吹き飛ぶ。
 ボールみたいに跳ね転がる身体で、わたしは飛びそうな意識をかき集めてレムスを睨んだ。

夏瑞珂 :
 痛覚はとうに麻痺し、残りの感覚も死にかけ。いま脳に伝わる苦痛は、空っぽの胸からの侵蝕だけだ。
 かまうものかと自棄ではない感情で吼える。だってわたし、ほとんど守らなかった言いつけを、ずっとずっと憶えてた!

夏瑞珂 :
 すべきことのために力を振るう今いっとき。
 同じ目的のために、誰かがわたしをひとりにしない。
 一緒に戦ってくれる……守ってくれる!

夏瑞珂 :
 そうでしょう、アレックス。

SYSTEM :
 かつて男は玉座から転げ落ちても、手にしていたすべてを誇り続けるために命を賭した。
 偶然に紛れたものを受け身で掴むことをやめたその時。すべてを擲って、すべてを手に入れたのだ。

 その風の残滓が、あなたにこう伝えたことがある。

 己を出し抜いた意味は何なのか、と。

SYSTEM :
        ・・
 あなたにとってそれは変わることはないのだろう。

SYSTEM :
 いずれで作られた墓の下に、骨粉の一粒もなく。
 生きていた証は使命を果たしたと、あなたの火の薪に成ったことで掃き捨てられた。
 
 男にとってのより巨きなもののために、車輪の下敷きになった小さな砂粒。
 かつてあなたという名の嵐に対する、唯一無二の…世界で一番”ばか”な銀の弾丸があったこと。
 何も殺せない、あまりに“優しい”鋼色があったこと。熱に浮かされ息苦しさに耐え切れない旅路の中で、心の奥底がずっと、ずっと覚えていた。

SYSTEM :

 戻りはしない。
 爆ぜるように音を立てる。

 代わりに、無くなりはしないもの。
 あの日、抑圧と秩序の名のもと、どうあれ“被害者”だったすべてに解放を呼ぶハーメルンの笛と共に贈られた誕生日プレゼント。

 銀の弾丸、その揶揄の通りに。
 自由を呼ぶ風の声が、自由の国のマスターキーを形作る。

 今日の先に向かうマスターキー。心の臓を食い破り、“そう”と欲するものに善悪問わず答える強欲なる異形が目覚めた。

SYSTEM :
 ───何を隠そう、竜の血肉を食って無敵となった男。
          シグルズ
 歪みに歪み切ったこの王者にとって、同種のレネゲイドだけは話が変わる。
 ・・
 それだけは、彼の再生する肉体を滅ぼせる。
 自我諸共消し飛ばし、永遠の国を断崖に押し込む。

SYSTEM :
     ・
 であるに彼がそれを予見しないはずはないのだ。

『レムス』/ワイズマン :
 ・・・
「戯けが──────!」

『レムス』/ワイズマン :
「おまえの過ちは…」

『レムス』/ワイズマン :
「己の無常を知りながら…。
 ・・・・・・・・・・・・・
 このわたしに通じると驕ったことよ…!」

SYSTEM :
 それが己の破滅と知っている。
 知っているなら警戒しないはずがあるまいと。
 男は残る全てを用いて先んじる。

 すべてを賭した一矢よりも、予め備えた後の先。
 最速最強の雷霆は、いま腹を射抜かれた直後というのに揺るぎはしない。

 そうだとも。
 ユメ
 欲望ならば、男は誰より愚かであさましいが、
 その行く先に限っては誰も追随しようがない。

SYSTEM :
 ………男の真の過ちは。
 
 あなたが糾弾しなかった方にある。

SYSTEM :
 礎とした嵐の心根に宿る創まりを、
 彼は知らない。

 その者たちは力の振るい方を、実に辛抱強く説いた。
 あなたが、息苦しくても、突き抜けた先でひとりにならないように。
 それに勝るものを終ぞ見つけられなくても。そうすることが、彼女にとってきっと支えになるのだと信じて。

SYSTEM :
..            テンペスト
 手に余るほどの国を亡ぼす嵐の怪物が…。
 心の臓もろとも打ち砕く雷霆が…。

 結果を築くより先に”それ”らは訪れた。

SYSTEM :


 ──────甲高く響いた、鉄の咆哮。

SYSTEM :

 単発ならば一秒とて王者の威勢を揺るがせはするまい…が。
 ここは、”気障な男”が拓いた楽土だ。ましてや創まりから、いまを生きたものを慈しむかたちの愛した国だ。

SYSTEM :
 因果を剪定すること六度。

 その都度に加速した実弾が、彼の眉間を撃ち抜いた。

『レムス』/ワイズマン :
「ぬ──────ゥ!」

『レムス』/ワイズマン :
「──────禿げ鷹がァッ!」

SYSTEM :
 脳を揺らし、ついた傷はすぐに再生し。
 しかし、機先を制するはずの一撃が今ので揺らいだ。
..   Blast Gale
 半壊した”嵐”の名を冠する灰色の蠍が、その銃口の先へ、静かに笑う。

“グレイ・スコーピオ” :

〈手前らときたら、ああ…。
 死んでも貸し作りやがった…〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈………だが…。
    ユメ
 餓鬼の戯言くらいは…守ってやらにゃあなァ───!〉

SYSTEM :
 …それはあなたの言葉でもあったが、それよりも。

 あの聖夜の。
 半分は私情と勢いから来た行いのことだった。
 もし、もしも。
 嘲られてはならないものがあるとして、彼にとってはそれは合衆国だった。過去形だ。

 それを失って残るもの。取り戻せず、変わったかたちに二度と嵌らないピースだが。
 慈しんでならないという理由はなかった。

SYSTEM :
 ………彼女の居場所を慈しんだもの。
 
 兵士の猛りと同じように、跳ね飛ばされるあなたの手に、誰かの手が重なる。
 幻で見る男の手だったかは定かでない。重なり、狙いの“ね”の字も定まらないあなたの身を背中で支えるものの形は、彼らのような長身ではなかった。

SYSTEM :
.レネゲイド
 妖精の手だ。

“アイシャ” :
「どうぞ。隔てた壁を飛び越えて…。
 きっと。何処にでも行きましょう」

“アイシャ” :
「…ゆきなさい。
..    ローマ
 あなたのお家がきっと見てる」

SYSTEM :
 その手を借りてなおも反動が”安く”なることはない。
 当然といえば当然だ。二つの因子はどちらもあなたのものではない。

 だが………。

SYSTEM :
 撃つべき、があるとして。
   ・・・
 嵐の対抗者になる時があるとして。
 それを成せるのは、後にも先にもこの瞬間だけだった。

夏瑞珂 :
「あ……!」

 吹き飛んだ体を、誰かの手がやわらかに抱き留める。彼方の拮抗とは違うかたちで、反動に焼かれるわたしを守る手。

 ……わたしを育んだ滾る色でないものが、空っぽの胸に灯る。

夏瑞珂 :
 ……わたしは彼らとは同じになれなかった。等身大の勇者のようには。
                 ユメ
 だけど後にも先にもない瞬間が今、幻想のように。

夏瑞珂 :
「わたしは……『嵐に負けるつもりはない』!」

 十数年前のアレックスと現在のわたしの声が重奏する。
 引き金にかけた指に、幻の手が重なった。

夏瑞珂 :
「一発あればッ……十分だ────!」
 
 瞬間、銀の弾丸と化した心臓が撃ち放たれた。

 圧縮された暴風は炎に巻かれながら、尽きるさだめに抗い、風の唸りを絶やさない。何もかも、もはや瞬きのうち。生きた伝承の一滴と人生ふたつを重ねた解放のかたちが、嵐に立ち向かう力を形作る。
               レネゲイド
 まだ許さない。まだ足りない。解けた風花の銃身が、燃え上がる銀の弾丸に追いすがり、着弾と同時に朱く誘爆する……!

SYSTEM :
 ──────以て。
    ・・・
 運命はあなたに微笑んだ。
        レムス
 より正しくは、臆病者が賜る微笑みはなかった。

SYSTEM :
 当然だ。
 運命とは自ら助けるものにこそ微笑むのだと、
 破落戸たちのミームを受け継いだ男が戦いのさなかで告げたが。

 あなた/彼が拓いてきた道が。男のものに劣る道理はなかった。

SYSTEM :
 荒々しくも駆けたその風の華、せめてもとばかりにレムスの肉体が限界まで稲妻を迸らせる。
        ・・
 諦観とは無縁の執念だった。

『レムス』/ワイズマン :
「き………さ、ま!」

『レムス』/ワイズマン :
. レムリア
「このわたしの、悲願、を………
 きさま、などに………」

『レムス』/ワイズマン :
「我が大願、を、ヲ、オオ、オオオオッ………!」 

『レムス』/ワイズマン :
「うううぉぉぉぉぉぉぉぉッッ──────!!」 

SYSTEM :

 玉体にしがみつく狼の王。
 その片割れたるレムスのレネゲイドが、数十度再生/崩壊する。

SYSTEM :
 先の一刺しで致命的に空いた風穴は彼に守る余力を与えず、
シロッコ
 熱嵐を凌ぎ切るために一時費やしたエネルギーは足りず。

 それではもはや、彼の命が保つ保障などはない。 
 あらゆる地平において、その形の暴力は。煮詰まったすべてを容易く“解決”してしまう。

SYSTEM :
 文字通り破滅的な音を立て、血風が吹き荒れた。
 転写した影は余波で蒸発し、ただでさえ余波で砕けた竜鱗にはトドメが入る。
 かみ
 天頂に至るその座、根本が砕ける音がした。

SYSTEM :
 崩落の気配。永遠の都が、完成を待たずして時代に別れを告げる。
 ズタズタに引き裂かれ、息絶える手前の貧者が転げ落ち、伏せる。

SYSTEM :
 かろうじて息はあった。
                   ・・
 それは生命の道理などではない。ただの執念だ。

SYSTEM :
 だが、レムスがレムスとして或る所以が…。
          レムリア
 彼の意思の象徴たる永遠の都が、今砕けた。
 
 なるほど、確かに───過ちだ。
 火の先に、国などありはしない。

『レムス』/ワイズマン :
「…み、………と、めぬ………」

『レムス』/ワイズマン :
「今度、こそ…今度、こそ、は………」

SYSTEM :
 夜明けとともにおそらく崩れ行くだろうものに、男の手がしがみついている。
はいしゃ かみ
 悪魔は、天頂にはなれぬ。残酷なまでに。

夏瑞珂 :
 虚ろの胸から滂沱と血を流したまま、しかし崩れゆく永遠とは対極の確かさで刹那の命が立ち上がる。

夏瑞珂 :
「なんだ、その目は」

 ──それは、わたしの知るかぎり。最低最悪の、侮蔑と呪詛のこもった言葉だった。

SYSTEM :
 それもまた過日に過ぎ去って帰ることはない。
 産声を上げたその日、何もかも吹き飛ばした、飲んだくれの…。

 あなたに何ら、誇れるものを継がせてくれなかった、かつて吹いた風の行き着く吹き溜まりの、衝動的な言葉だ。

SYSTEM :
  ただの人
 ………弱者が。
 ・・・・・・・
 より弱い生き物に告げる言葉だった。

『レムス』/ワイズマン :
「この竜血、こそが………」

『レムス』/ワイズマン :
「この強靭さ、こそが………」

『レムス』/ワイズマン :
「永遠を…平穏を…。
 兄者の目指した、その、先を…」

『レムス』/ワイズマン :
「つくる…はず、だったのだ…」

『レムス』/ワイズマン :
「それを………。
 おまえに…おまえ、ごとき、に………」

SYSTEM :
 なおも轟く稲妻は。
 もう、彼を寿いてくれない。

ラーゼス :
「血と涙のみによって磨かれた国に、平穏はなく、永遠もない……」

ラーゼス :
「……かつてこの国を守ろうとした愚者も、同じように嘆いたぞ」

“七花胡” :
 クニ
「庭とは、誰かの故郷であり、棲処であり、墓土なのですよ」

“七花胡” :
「山月を望むことしか眼中に無いものに、どうして庭土を耕せましょうか。
 貴様には初めからできようもなかったのですよ」

マスター・ハーヴェスター :
「……ま、大体そういうことだ」

マスター・ハーヴェスター :
「テメェは世の中の絶対的な摂理に負けたんだ。
 『今度こそ』だの『はずだった』だの、後ろ向きな事しか言えねえ奴は、ハナから弱者だったんだ」

マスター・ハーヴェスター :
 ・・・・
「弱肉強食、それが摂理だ」

SYSTEM :
 所詮は栄華に集る蛆の一に過ぎないと、
           ・・・
 その思慮深く尽力した愚か者は最後に失意の中で果てた。
 愛ゆえか、憂いゆえのものか。いずれとて定かでなく、彼らのすべてが同じではない。ただ…。

SYSTEM :
 ・・
 なぜ国を興そうとしたのか。
 それを生まれ直した際に忘れ去っていたことは、なるほど。
 この男を敗者たらしめた理由だった。

『レムス』/ワイズマン :
.レムリア
「わたしは…潰え、ぬ…。
 潰えて、は………」

『レムス』/ワイズマン :
「われらの、国は………」

SYSTEM :
 ………欲する者を従えるものは、欲する者自身でしかなく。
 故にレネゲイドに魅入られたものは、抗おうとも受け入れようとも、ひとつの概念と向き合わざるを得なくなる。
 ・・・・ ・・・・・
 我の強さ。意思の強さ。
 突き詰めてしまえば、他者と共存しない求道。

SYSTEM :
 …ただ。それを突き詰めたものは概ね、等しく、望みも適わず破滅するよう世の中は出来ている。

 なぜか? 逆立ちしたとて、人は神になれはしないからだ。
 正しく報いがあるかも定かでないくせに、そうした形だけはよく出来ている。

 彼にはそういう意味で報いが来た。それ以上でもそれ以下でもなかった。

SYSTEM :
 ………だが──────。

SYSTEM :
 知っているはずだったのだ。

 こと、羅馬で彼を見たものに限って。

『レムス』/ワイズマン :
「──────、」

『レムス』/ワイズマン :
「バカ、な………」

SYSTEM :
 さながら逆回しのように。
 彼を形作る信仰の崩壊を起こした次の瞬間。

SYSTEM :
 鋭いものが、貧者の腹から突き出た。
 獣のものよりも長く、そして節くれだち、爬虫類の特徴を備えていて。
 
 それが、開いた風穴から、鈍い光をまとっていた。

SYSTEM :

 そうとも知っているはずだったのだ。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 玉体がそもそも人ではないことなど。

『レムス』/ワイズマン :
「ぐ──────ぬ、──────」

SYSTEM :
【ERROR!】
 “□□□□”が──────。▼  

SYSTEM :
【ERROR!】
 以下のEロイスが開示されます。

 Eロイス:修羅の世界

 所有者:“□□□□”
 対象者:自分自身
 ・受けている不利な効果をすべて打ち消す。
 (どこまでも“不利な効果”とするかはGMが決定する。) 

SYSTEM :

【ERROR!】
 “□□の□□”が『無限を継ぐ者』の効果を解除しました。


『レムス』/ワイズマン :
「──────おまえが」

『レムス』/ワイズマン :
「おまえが………!」

『レムス』/ワイズマン :



 .   レムリア
「おまえがわたしになるなァァァァァァァッッッッ…!!!」

SYSTEM :
【ERROR!】
 ・・・・・・・・・・
 意思判定が発生します。

 対象者:“□□の□□”、『レムス』 

□□の□□ :
18dx+99  (18DX10+99) > 10[2,2,2,5,6,6,7,7,7,7,7,8,8,8,8,9,9,10]+6[6]+99 > 115

『レムス』/ワイズマン :
15dx+15  (15DX10+15) > 10[2,2,3,4,4,4,4,5,6,6,8,9,10,10,10]+10[1,9,10]+5[5]+15 > 40

□□の□□ :

 
 思 い 上 が る な

□□の□□ :

  そ の 力 ご と

   俺 の も の に し て や る  

SYSTEM :

【ERROR!】
 以下のエフェクトを“□□の□□”が獲得します。

・罪人の枷Lv8
・ソニックブリッツLv5
・アームズリンクLv3
・球電の盾Lv3 
・電磁障壁Lv2
・スタンシールドLv2
・爆雷撃Lv2
・波紋の城塞Lv3
・磁力結界Lv3
・援護の風Lv5
・ウィンドブレスLv5
・リペアウーンズLv1 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 彼はこの世に残る最後の幻想、
 その一角から生まれしもの。
.. レ ム リ ア 
 不死なりし狼の王。

SYSTEM :

 ………生きていた、とは語弊がある。

 その純粋な欲望を、
 持ち主以外が御せるはずはなく。結果。

SYSTEM :

    だんまつま
 ──────産声。

SYSTEM :

 崩落する永遠の名残を微塵に砕き。

 ひとつだけの欲望を宿したもの。
 王弟の砕け散った望みが、かき混ぜられた混沌の中に放り込まれ…。

SYSTEM :

 地響き/放出される黒闇の中。

 無数の竜の嘶きの中。
 かろうじて生き物だとはわかるものの眼差しが、あなたを見た。

□□の□□ :
4d10  (4D10) > 18[1,2,8,7] > 18

SYSTEM :
 かみ    はいしゃ
 天頂を目指し、悪魔と果てた。
 ただ、何より剛き者の鼓動を宿し、天命の先征く絶対強者。

 ──────狼の王。

SYSTEM :
 だがあるいは、その名を。
 
 もはやどちらともつかなくなった、
    かみ
 生物の天頂の仔を、このように呼ぶ。

SYSTEM :



   .Warrior of Chaos
  混 沌 の 戦 士 。

夏瑞珂 :
 再起を誓う執念も、
 奇跡を掴む情熱も、再誕には関わりがない。

 それら一切をかみ砕く、わたしの本当の仇敵。

夏瑞珂 :
「────ハ」

 肩が震え、前屈みになった身体が揺れる。
 こんな可笑しな話はないと、嗤いが溢れてたまらない。

夏瑞珂 :
「ア、ハ、ハハハ────!」

 仰け反った胸から血を噴いて、高く哄笑する。

夏瑞珂 :
 二度と顔を見せるな
「 会いたかったわ 」

 灰より蘇った憎悪の火が、濯がれたがって火勢を増す。
 躯はとうに限界を迎えていて、今わたしを立たせている力は激情と意思のどちらかだけだ。勝機も勝算も、思い描くより先に勝利を求めている。
                 呪い
 今日という今日は、ああ──なんて祝福に満ちた──

ラーゼス :
「……なんと、いう……」

 生まれてしまったものの強大さに戦慄する。
 レムスでもレムリアでもあり、そのどちらでもない──ふたつの狼の血から生まれたもの。
 ふるき血はこれを予期していたのか? あるいは知らずに、ただ欲望がこれを招いたか?
 いいや、それは重要ではない。

ラーゼス :
 生まれ落ちたのは欲望と力の残滓が肉体を得た、まさしく成れ果てのもの。
 生きているのか死んでいるのかすら混沌とした、ただのいくさびと。
 ただ腐臭がしないだけで、それはひどく既視感があり──そして、一切重なっていないただ一点が、獣の背に冷たい汗を流させた。

ラーゼス :
 この純粋な力に、今度こそ区別などというものは存在しないだろうという恐ろしい確信。
 力が欠けたものと、祈りの欠けたものが、祈りによる力を祈りなき心で奮うということ──
 もし目的がかつてのレムリアと同じだとしても、操る力は神の雷霆そのもののはずだ。

ラーゼス :

 ……比喩でなくこの世が滅ぶ。
 ただの欲望の副産物として。掃いて捨てるように。

ラーゼス :
 何という暴虐。
   ・・
 妖精騎士などと呼べはすまい。
 たといそれがただの力への称賛だとしても。
 彼の名は。

「────混沌の戦士……!」

マスター・ハーヴェスター :
「────ハッ!」

 男は笑い飛ばした。
 それは別に、一蹴するようなものではなかった。

マスター・ハーヴェスター :
 生まれ落ちたものの強大さに身震いをする事もすれば、戦慄だってするだろう。
 各々の全力を叩き込んでなお、こんなイレギュラーが発生すれば慄きたくもなろう。

 ……だが。
 この進化の世界に生きている以上、あり得ない事はあり得ない!

マスター・ハーヴェスター :

 オーヴァードがレネゲイドを隆起させ、あるいは繋がりを糧に蘇る。
 それは見方を変えれば、今ある場所から一歩別の場所へ踏み入れた進化の過程であるのだ。
 
 それが──、
 それが、レムス/レムリアに起こるという事もまた、有り得る話なのだ。

マスター・ハーヴェスター :
「ハハハハハ! 往生際が悪いのは誰も彼も変わらねえってか!?
 どいつもこいつも、素直に死に切らねえ奴らだ!」

 死の間際に一矢報いたあの男も
 死の間際にも手綱を放そうとしなかったあの女も、
 誰も彼も、死ぬ寸前まで目論見と目算を諦めない。
 この地にいるのは、そういう連中ばかり。
 それは無論、俺達もそうだ!

マスター・ハーヴェスター :
「ありがたいもんだ……殺すのは先約がいるが……俺も丁度貴様を殴りたかったものでな!
 王弟なんぞに喰われるなんて拍子抜けで終わらずに済んで良かったよ」

マスター・ハーヴェスター :
 欲望は世界という単位を越える。
 目の前のそれが膨れ上がって世界を代償にするのであれば……、
 変わらず意地と意地のぶつかり合いだ、欲望を、押し通したものが勝つ。

マスター・ハーヴェスター :
「混沌の戦士か……乱痴気騒ぎの終幕には相応しい名だ」

マスター・ハーヴェスター :
「そして俺達にとっての……この戦争の最後の敵としてもな!」

“七花胡” :
「な────ッ……!?」

“七花胡” :
 僭主の謳った永遠は、脆弱くも砂と化して流転の定めへと消えゆく。
 あとはそれを見届けるのみと、ちらと考えた瞬間に────全ての思考が吹き飛ばされた。

 最早用済みとばかりに、宿主の骸を食らいながら生まれ出ずる戦の申し子。
 あれを再誕と呼ばうには、あまりにも────

“七花胡” :
「(────悍ましい!
  僭主の腹の中で、じっとこの時を待っていたというのか……!)」

“七花胡” :
 それが纏う凶風は、たとえ身動ぎ程度であろうと花弁を刻むに容易い。
 戦争は人同士が行うものであるからして……アレが行おうとするものは斯様な行いではない。

 狩りである。果ては、殺戮だ。

 遺産の力/僭主の死骸までも取り込んだアレの剣の一振りで、冗談でなく国が一つ亡ぶ。
 二つ三つと無数に踏み潰し、順々に。
 そうしていずれは……

“七花胡” :
 ────楽園が周縁から削られ始れた。花も茎も根も塵となる。風に乗ることさえ許されない。
 一番忌まわしいのは、其処に意識を割きたくても、度を越した脅威に本能がまずもって退路を探させること。
 
 逃げたい恐ろしい死にたくない/逃がしてくれるなら泥でも啜る/死にさえしなければなんでもいい/此処じゃない何処かで這い上がればいい/だから/こんな奴/避けて逃げてどうにかして────

“七花胡” :
「(避けてどうする?)」

“七花胡” :
 俺の楽園を壊し得る可能性を前に尻尾撒いて逃げ出したら、それこそ犬畜生だ。
 欲望一つで世界にしがみついているような山賊が、それさえ捨てたら一体何が残る?
 元より人の三倍努力してようやく人の“振り”になるのに、一体何処まで落ちぶれれば気が済む?

“七花胡” :
「────此度に“二度”は無い!」
 自分にとり。
 怪物にとろうとも。
 ちらとも過りかけた恥ずべき考えを唾棄するように、喝破する。

“七花胡” :
 此処を逃せば後は、大地全てを更地にするまでこの災害は止まらない。
 よくも俺の築いたものを踏み躙ろうとした。
 俺の庭にだけは、その絶死の爪牙の一片たりとも、届かせてなるものか……!

“七花胡” :
「穿てる可能性が千分の一でも在るのなら、自分がそれを、定めにしてみせる……!」
 己は孤群にあらず。此処には、銀の弾丸も、機械の電影も、雷の剛槍も、何れとて揃っているのだから!

SYSTEM :
..       うろこ
 黒曜の如く輝く毛皮を纏って。
 煮えたぎる混沌を思わせる、黒い欲望を貪る狼。
 
 際限なく貪り、その爪と牙から零れ落ちた血をまとい。確かにそれは、ひとつの巨きなものを生んだ…。

SYSTEM :
 生きとし生けるすべてを下し、天頂に至るもの。
 火は知恵の証とも言う。竜の篝火は、知恵を得るものを確かに招いたが…。

 篝火に依った全てを焼き焦がして、尚も狂える猛火は鎮まることなく荒ぶっている。
 ああ、だが。だからこそ。
 ・
 彼のすることなどは変わるまい。

SYSTEM :

 天頂に至る。
 戦い、闘い、勝ち、克って───。 
  た だ い き る
 もっとも強きを証明する。


SYSTEM :

 あまりにも純粋で、裏表がない。
 究極に近いほど、生き物はもっとも陳腐な表現になるというが、これはそのものだ。

SYSTEM :
        レムリア
 ほんの僅かに“黒鉄の狼”が纏っていた雑味も。
 賢者を名乗る古き王に焼き付いた執着も。その姿には最早ない。
 レネゲイドから生まれたものが、伝説さえも脱ぎ捨てたその姿。

 生まれ、眠り、戦い。
 死の形を経て彼はここまで到達した。

“黄の希人”アーキル :
      ・・・・・
「なるほど…最強の生物か…」

SYSTEM :
         かるくち
 …いま可能な最大の口笛と、
 かすかに上擦った声。

 だが。挑まねばならない理由は確かにあった。誰より早く再燃した火のかたちと共に。

 もっとも純粋な欲望/強さを前に、咄嗟の判断で間合いを取り直して“彼女”を守れる位置についた傭兵のPFと共に、弓を引き直す。
 忘我の守り神に状況を教えるためでもあった。

“黄の希人”アーキル :
「………だが…ああ、そうとも。
 二度はない」

“黄の希人”アーキル :
  ・・・・・・・・・・・
「…今しかこいつは殺せない…!」

SYSTEM :
 あれは、これでも生まれたての生物だ。
 すべてを飲み込んだ混沌が形を整えたとき、その得物に確かな意味を与えたとき。

 いま誰ぞが想像した通りの事が起きるだろう。

SYSTEM :
 …産声と共に死ぬこと自体は、あり得ない話でない。

 それはもはや彼のお得意の賢しさでどうにかなるものではなかった。
 男が倣うべきは、土壇場の、あの娘の、そして未来の敵/今日の戦友の姿勢であった。

SYSTEM :
 ………もちろん。

 その敵意を浴びた彼方が微動だにしないわけでも、ない。

SYSTEM :
 ・・
 それは言葉をいっさい発しなかったが。
 兜越しに伝わる赤い眼光が、
 ・・・・・
 敵を見る瞳が。波紋のように意思を伝えている…。

混沌の戦士 :
 ・・・
 つぎは
 ・・・・・・・・
 おまえたちの番だ

SYSTEM :
 ・・・・
 ようやく、と。
 狩るものの眼差しが荒々しく輝く。

 その最後の雑味の名残ごと貪って。
 浪漫と神話のすべてを踏み台に、欲望の断崖が完成する時だ。

“グレイ・スコーピオ” :

「…ああ…」

“グレイ・スコーピオ” :

「だったら…今殺そう。
 天の国に、こいつの骨も肉も送れやしねェ。土産話も出来まいが…」

“グレイ・スコーピオ” :
   ・・・
「………こいつに勝たなきゃ。
 ・・
 昨日がいつまでも、終わらねェ…」

“アイシャ” :

「………。………」

“アイシャ” :

「…生きたいのね。でも…」

“アイシャ” :

「あなたはどこの国に行っても、
     ・・・
 自分から余所者になる生き物だわ」

SYSTEM :

 余力のかけらもないが、
 今を逃せば勝ち取るものは何もない。

 事此処に至って最後の争いに、
 遍く賢しさも杞憂も排除された。
          わざわい
 世界を滅ぼす狼の牙。遺産の持ち主。
 最強の生物。そして───。

SYSTEM :
   ・
 その瞳は。

 まぎれもなく、あなたの仇だ。
 血染の手袋を叩きつけて。
 闘って、自由を取り戻さねば。

夏瑞珂 :
 血と欲望、浪漫と神話、そして混沌。全てを死で濾過して、ソレは純粋なカタチに生まれ直した。

   マサカ
 ──真逆。

夏瑞珂 :
 つぎ
「二度はない」

 赤い瞳が、あの悪夢を呼び覚ます。
 憎悪の火を煽って、大火へ変える。
 間違いない。紛れもない。この怪物は、わたしの仇に他ならない!

夏瑞珂 :
「殺すわ。今、必ず」

 昨日と訣別して、自由を取り戻すために。
 幾度となく重ねた宣誓を、性懲りもなく叩きつける。それが合図。

 ────最後の血闘が、幕を開ける。

SYSTEM :
 その無謀をあなたは幾度となく口にしてきた。

 今日という今日は、と。
 我武者羅に走り、一度ならず二度までも、足元から全てを崩落させて…。

SYSTEM :
 …だが。

 それは正真正銘の最後だ。
 いき
 生存るための野性をまとった最強を打破する、最初で最後の機会。

────── :

 耳あらば聞け
 其は誇りを砕くもの

────── :

 目あらば刻め
 其は誓いを滅するもの

────── :

 喉あらば叫べ
 其は望みを喰らうもの

────── :
        てん
 那由多の果てに天頂へ至り、
 さだめを振るう主君なき騎士

────── :

 降り立つもの
 月光に雌雄を決するものの名を曰く───

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

■手番処理
 戦闘を再開します。
 “七花胡”が行動を宣言します。 

“七花胡” :
 ────“帝釈天”! いくら貴女でも、最早題材を選り好みしている場合ではないと御分かりですね!

“七花胡” :
 貸しなさい、その絵筆のありったけ!

“帝釈天”謝暁蕾 :
 なんとまた。
 立ち会う歴史の悉くを貪ろうとは、
 これでは“りくつ”を躱す余地がない…。

“帝釈天”謝暁蕾 :
 …あるいはこれなら望みの通りにもなりましょうが。
 是。約定をまことに果たすとしましょう。

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

・毒如蛇蠍(Phase/1)
 指定した敵対的NPCに『邪毒L5』を発生させる。
 この効果で付与した『邪毒』は、“戦闘中”でないミドルフェイズの場合、そのラウンド経過後に解除される。 

“帝釈天”謝暁蕾 :
 まあ、存じていましょうが。
 もとから洛陽の王庭とは話が違います。

“帝釈天”謝暁蕾 :
 間違っても時を与えて甘やかさぬように。ね?

“七花胡” :
 誰に言いますか! そんなに刻限通りを褒めて欲しいのなら、全部終わって、師に強請るがよろしい!

“帝釈天”謝暁蕾 :
 あら。約定とは双方の益を以て是とするのですよ。

“帝釈天”謝暁蕾 :
 もちろんそうします。
 お膳立てをお願いしますね。

“七花胡” :
 その言葉、その通りにお返ししますよ。
 「次」の呼び出しにも、遅刻しないように!

“七花胡” :
 それでは此方も。手抜かりはありませんよ……!

“七花胡” :
【花殻を摘む】

オート
 タブレット
 多重生成

メジャー
 導きの華
 戦乙女の導き
 狂戦士

対象:3体(“帯来风暴”、“マスター・ハーヴェスター”、“隻獅子”)
射程:視界
侵蝕:16

バフ内訳:
 ダイス+12個、C値-1、達成値+10、攻撃力+5

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 161 → 177

夏瑞珂 :
アハ!とっても素敵

ラーゼス :
たしかに受け取った! ……振り絞る!

SYSTEM :
■クリンナップ
 クリンナップの確認をしています...

ラーゼス :
放心を回復する。

SYSTEM :
■クリンナップ
 邪毒L5の効果が発生しました。

 対象:混沌の戦士

system :
[ NPC:混沌の戦士 ] HP : 19 → 4

混沌の戦士 :
■クリンナップ:フューリーオブカオス
《高速再生L5+2》
・HPを[70]点回復する。(シーン3度まで)

system :
[ NPC:混沌の戦士 ] HP : 4 → 74

混沌の戦士 :
(生誕と同時、瞬きの度、肉体に漲る活力が彼に著しい生命力を与えていく…。)▼ 

SYSTEM :
【-Round 2-】

SYSTEM :
■セットアップ
 タイミング:セットアップのエフェクトを宣言出来ます。 

ラーゼス :
▶セットアップ
 無惨なる雷霆/《フルパワーアタックLv3+2》+《雷神の降臨Lv3+2》
 備 考︰R間の攻撃力+25+25(=50)。行動値を0にする。
 侵蝕値︰10

ラーゼス :
……熾しなおす! まだまだ、ここからだ!

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 183 → 193

混沌の戦士 :
(彼は眼前の稲妻を見つめたのち、その分厚い骨剣の切っ先を向けた…。)▼ 

混沌の戦士 :
■セットアップ:ソウルオブカオス
《狂想の旋律L3+2》《異形への変貌》
《限界突破L2+2》《異能の継承:波紋の城塞L3+2》
・攻撃力[+15]、BS付与:暴走
・「侵蝕率」によるボーナスを2倍にする。
・自身が「移動」に相当する行動を行うまで、[範囲:自身]の装甲値を[15]点増加させる。
・任意の「ラウンドに1度まで」のエフェクト1つの使用回数を「ラウンドに2度まで」に変更する。
→「加速する刻I」

SYSTEM :
■手番処理
 混沌の戦士が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブ宣言は行われませんでした。 

混沌の戦士 :
■メジャー:エンドオブカオス
《変異種:クロックアップ》《CRバロールL2+2》《巨人の斧L3+2》《魔人の弩L3+2》《吼え猛る爪L5+2》《居合いL3+2》
《異能の継承:アームズリンクL3+2》《異能の継承:罪人の枷L8+2》
《異能の継承:クレイジードライブL5(3)+2》《異能の継承:アタックプログラムL5+2》《異能の継承:雷光撃L1+2》

 HIT:60dx7+(8+24)
 ATK:xd+(70+20)
Add'l:装甲値無視
    命中した対象がそのラウンドで行う達成値を[-20]

SYSTEM :
■メジャー
 攻撃対象を選択しています... 

混沌の戦士 :
(彼は手にした得物に、焼き付いた記憶のかけらをなぞるようなしぐさで稲妻を纏わせると…。)▼ 

混沌の戦士 :
1d4  (1D4) > 2

SYSTEM :
【Check!】
 対象が確定しました。

 効果対象:アレウス 

混沌の戦士 :
 ──────戦士は。
 挑む気概の持ち主こそ屠らんと、
 躊躇さえなく飛び掛かった!

混沌の戦士 :
60dx7+32  (60DX7+32) > 10[1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10]+10[1,1,2,2,3,3,3,3,3,5,5,5,5,5,5,6,6,6,7,7,7,9,9,10,10]+10[1,1,2,4,4,4,9]+10[8]+10[8]+10[10]+4[4]+32 > 96

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています... 

マスター・ハーヴェスター :
……フン!いいだろう。

マスター・ハーヴェスター :
回避を選択する。

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。
 判定を行ってください。 

ガンドルフ :
(1+4)dx+1 <肉体:回避> (5DX10+1) > 8[1,1,4,7,8]+1 > 9

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

アレウス:ドッジ/失敗 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

混沌の戦士 :
 ──────!

混沌の戦士 :
10d10+90  (10D10+90) > 58[1,7,6,3,8,10,3,4,8,8]+90 > 148

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] HP : 11 → -137

マスター・ハーヴェスター :
チ……

マスター・ハーヴェスター :
……ハ、こんなものが、俺の死であるものか。

マスター・ハーヴェスター :
……だがそうだな、俺の死を看取るものがいるとすれば……。

マスター・ハーヴェスター :
それは気高い者であって欲しいと願う……これが終われば、奇妙な出会いも終わりだ。

マスター・ハーヴェスター :
ラーゼスへのロイスをタイタスへ昇華させる。……それを使用し、蘇生するぞ。

混沌の戦士 :
 この戦士が騎士であるならば、
 あなたの矜持に理解を示す。
      ・・
 そのような選択を取っただろう。

混沌の戦士 :
 だが………。

マスター・ハーヴェスター :
そうだ……テメェは、ただの欲望の化身だ!

SYSTEM :
【Check!】
 下記のEロイスが発動します。

Eロイス:敗者死すべし
・自身の攻撃で戦闘不能になった対象が先頭不能から回復した時に発動。
・あらゆる判定のダイスを戦闘中[+1D]する。(累積可能) 

混沌の戦士 :
(彼はあなたの言葉に是の回答を示すかのように、殺気を強めた!)▼ 

マスター・ハーヴェスター :
そうかよ……まだ俺は獲物で在れているか!

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] HP : -137 → 11

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] ロイス : 3 → 2

SYSTEM :
■手番処理
 “マスター・ハーヴェスター”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 
(なお手番対象PCが判定を宣言した場合、そのまま「メイン」の記述に移行します。) 

マスター・ハーヴェスター :
《ラ・ディストルツィオーネ》

メジャー:
 小さな塵+コンセントレイト:AH+マスヴィジョン+ペネトレイト

ダイス:
 (6+3+4+12-1)dx6+(32-20)

侵蝕率:
 11

備考:
 装甲値無視。
 
攻撃対象:
 混沌の戦士

SYSTEM :
■メジャー
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。 

ガンドルフ :
(6+3+4+12-1)dx6+(32-20) <感覚:射撃> (24DX6+12) > 10[1,1,2,3,3,3,4,4,4,4,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,9,9,10,10]+10[1,2,2,3,3,4,5,5,6,7,8,9,10,10]+10[2,6,6,7,8,8]+10[2,3,3,5,9]+4[4]+12 > 56

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています… 

混沌の戦士 :
 戦士は一切の身の守りを行わず、
 悠然と歩を進めた…。

混沌の戦士 :
 …しかし…。
 その肉体を覆う竜鱗を!
 何人の侵入も許さぬ破滅の雷霆を見るがいい!

混沌の戦士 :
■オート:シールドオブカオス
《斥力障壁L5+2》《拒絶領域L3+2》《レネゲイドウォールL5》
・受けるダメージを[1d+31]軽減する。
・暴走中はさらに[15]軽減。 

混沌の戦士 :
1d10  (1D10) > 2

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

混沌の戦士:リアクション不可 

ガンドルフ :
(5+1)d10+41 <ダメージ/装甲値無視> (6D10+41) > 49[7,4,9,9,10,10]+41 > 90

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

system :
[ NPC:混沌の戦士 ] HP : 74 → 32

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] 侵蝕率 : 144 → 155

"マスター・ハーヴェスター" :

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] マスヴィジョン : 1 → 0

混沌の戦士 :
 ………………。

混沌の戦士 :
(彼は身を焼く光の中を、眉も瞳も顰めることなく、生じていく傷と共に踏み越えていく…。)▼ 

マスター・ハーヴェスター :
ぬゥ……微動だにか!

マスター・ハーヴェスター :
だが一の矢は刺したぞ!

“グレイ・スコーピオ” :
 いや、通じている…が!

“グレイ・スコーピオ” :
 ・・・・・・・・
 そっちじゃあねェ! 

SYSTEM :
■手番処理
 “七花胡”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

混沌の戦士 :
 戦士が一切の歩みを止めなかった理由は、
 なにも無傷だからでも…。
 身を守る必要もなかったから、ではない…。

混沌の戦士 :
■オート:レイジオブカオス
《加速する刻IL5》
・イニシアチブにメインプロセスを行う。 

混沌の戦士 :
 ──────死さえ恐れず。
      あなた
 生きるため、敵を殺すためだ!

SYSTEM :
■手番処理
 “混沌の戦士”が行動を宣言します。 

混沌の戦士 :
■メジャー:エンドオブカオス
《変異種:クロックアップ》《CRバロールL2+2》《巨人の斧L3+2》《魔人の弩L3+2》《吼え猛る爪L5+2》
《異能の継承:アームズリンクL3+2》《異能の継承:罪人の枷L8+2》
《異能の継承:クレイジードライブL5(3)+2》《異能の継承:アタックプログラムL5+2》《異能の継承:雷光撃L1+2》

 HIT:60dx7+(8+14)
 ATK:xd+(70+20)
Add'l:装甲値無視
    命中した対象がそのラウンドで行う達成値を[-20]

SYSTEM :
【Check!】
 攻撃対象が指定されています。

 効果対象:アレウス 

混沌の戦士 :
60dx7+22  (60DX7+22) > 10[1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,8,8,9,9,10,10,10]+10[1,1,3,3,3,3,4,5,5,5,6,8,10,10]+10[4,6,8]+10[8]+2[2]+22 > 64

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています... 

マスター・ハーヴェスター :
────上等ォ!!

マスター・ハーヴェスター :
ドッジだ!

混沌の戦士 :
(彼は己の間合いにおいて動きを損なわない敵手を捉えようと、その意識を集中している!)▼ 

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。
 判定を行ってください。 

ガンドルフ :
(1+4)dx+1 <肉体:回避> (5DX10+1) > 9[1,3,3,8,9]+1 > 10

マスター・ハーヴェスター :
────ハ!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

アレウス:ドッジ/失敗 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

混沌の戦士 :
 ──────!

混沌の戦士 :
7d10+90  (7D10+90) > 31[5,1,2,10,4,3,6]+90 > 121

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] HP : 11 → -110

ガンドルフ :
──コアブロック損傷甚大、システム維持不可能……

マスター・ハーヴェスター :
……くっくっ。

マスター・ハーヴェスター :
──勝てよ。

混沌の戦士 :
(彼は熾烈に争った眼前の敵が”いま”動くものではないことを悟ると、先に負った光の熱傷を証と掲げ、すぐさまその矛先を変えた…。)▼ 

ラーゼス :
……アレウス!

ラーゼス :
必ず繋ぐ──案ずるな!

SYSTEM :
■手番処理
 “七花胡”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 
(なお手番対象PCが判定を宣言した場合、そのまま「メイン」の記述に移行します。) 

“七花胡” :
く……彼が墜ちましたか……!

“七花胡” :
……まだすべきことは残っている! 待機を宣言します!

SYSTEM :
■メジャー:待機
 待機が宣言されました。
 “七花胡”の行動値を[0]にし、待機状態とします。 

SYSTEM :
■手番処理
 “帯来风暴”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 
(なお手番対象PCが判定を宣言した場合、そのまま「メイン」の記述に移行します。)

“黄の希人”アーキル :
 ああ、やれることは残ってる…。
 だが、”やれること”をぶつける機会はそうなさそうだぜ

“黄の希人”アーキル :
 先達がせっかく手本見せてくれたんだ、
 上手く機会を伺わにゃな…!

ラーゼス :
………委細承知している!

ラーゼス :
    ・・・・・
瑞珂──いまは止せ!

ラーゼス :
おれは、おまえの復讐の果てを見たい!

夏瑞珂 :

夏瑞珂 :
……

夏瑞珂 :
……わがままはきらいって、言ったのに

夏瑞珂 :
今だけ、今回だけよ……

夏瑞珂 :
待機を宣言するわ。……

夏瑞珂 :
必ずやるから……見ていてね

ラーゼス :
……隣で。見ている!

SYSTEM :
■メジャー:待機
 待機が宣言されました。
 “帯来风暴”の行動値を[0]にし、待機状態とします。 

SYSTEM :
■手番処理
 “ラーゼス”が行動を宣言します。 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 
(なお手番対象PCが判定を宣言した場合、そのまま「メイン」の記述に移行します。) 

ラーゼス :
行動する! ……久しいな、邪竜の仔!

混沌の戦士 :
(彼の瞳が、次の”戦意”へと向けられた!)▼ 

ラーゼス :
雑味が消えて──悍しいほど彼に似ている!

ラーゼス :
面影を思い出させてくれた礼に、渾身のひと刺しを贈ろうッ!

ラーゼス :
▶マイナーアクション
 なし

▶メジャーアクション
 継繋ぐ蛍火/《コンセントレイト︰ブラックドッグLv2+2》+《アームズリンクLv3+2》+《パワースイングLv3+2》
 侵蝕値︰7
 判定値︰(6+5+5-1+12)dx6+28
 攻撃力︰nd10+16+15+5+50+5

SYSTEM :
■メジャー
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。 

ラーゼス :
(6+5+5-1+12)dx6+28 (27DX6+28) > 10[1,2,2,3,4,4,4,5,5,5,6,6,6,6,7,7,7,8,8,8,9,9,10,10,10,10,10]+10[1,2,2,2,3,4,5,5,6,8,8,8,8,8,9,10,10]+10[2,2,3,3,5,5,6,7,8]+10[4,5,8]+10[7]+1[1]+28 > 79

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています... 

混沌の戦士 :
 ………! ………。

混沌の戦士 :
(彼の喉笛が、声なき声が。猛りとも叫びとも、笑い声とも言えぬ音を木霊させている…。)▼ 

混沌の戦士 :
 ──────! 

混沌の戦士 :
■オート:カラミティオブカオス
《『ケラウノス』/エンブレム:エンジェル》
・任意のエフェクトの使用回数を回復する。
→《斥力障壁L5+2》 

混沌の戦士 :
■オート:シールドオブカオス
《斥力障壁L5+2》《拒絶領域L3+2》《レネゲイドウォールL5》
・受けるダメージを[1d+31]軽減する。
・暴走中はさらに[15]軽減。 

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

混沌の戦士:リアクション不可 

ラーゼス :
その意気や……佳し!

ラーゼス :
8d10+91 (8D10+91) > 43[5,7,1,8,9,7,2,4]+91 > 134

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

混沌の戦士 :
1d10  (1D10) > 6

system :
[ NPC:混沌の戦士 ] HP : 32 → -15

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 193 → 200

混沌の戦士 :
(一度その守りを砕かれてなお、彼を形作る無敵の竜鱗、破滅の雷霆が…ついに砕ける!)▼ 

混沌の戦士 :
 ………だが。
 戦士の眼差しから…。
           クライム
 さだめのその先を望む意志が消えていない! 

混沌の戦士 :
■オート:クライムオブカオス
《異能の継承:蘇生復活L1》
・HPを[1]回復して復活する。 

system :
[ NPC:混沌の戦士 ] HP : -15 → 1

ラーゼス :
………!

SYSTEM :
■手番処理
 待機中のキャラクターが行動を宣言します。
 行動するキャラが宣言を行ってください。

・“七花胡”
・“帯来风暴” 

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 

混沌の戦士 :
 …そして戦士の瞳は…。

 己の命を脅かすものへと向いた!

混沌の戦士 :
■オート:レイジオブカオス
《加速する刻IL5》
・イニシアチブにメインプロセスを行う。 

SYSTEM :
■手番処理
 “混沌の戦士”が行動を宣言します。 

混沌の戦士 :
■メジャー:エンドオブカオス
《変異種:クロックアップ》《CRバロールL2+2》《巨人の斧L3+2》《魔人の弩L3+2》《吼え猛る爪L5+2》
《異能の継承:アームズリンクL3+2》《異能の継承:罪人の枷L8+2》
《異能の継承:クレイジードライブL5(3)+2》《異能の継承:アタックプログラムL5+2》《異能の継承:雷光撃L1+2》

 HIT:60dx7+(8+14)
 ATK:xd+(70+20)
Add'l:装甲値無視
    命中した対象がそのラウンドで行う達成値を[-20]

SYSTEM :
【Check!】
 攻撃対象が指定されています。

 効果対象:ラーゼス 

混沌の戦士 :
60dx7+22  (60DX7+22) > 10[1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10]+10[1,1,2,2,3,3,5,5,6,6,7,7,7,8,8,8,8,9,9,9,9,10,10,10,10]+10[1,2,2,4,4,4,4,4,7,7,7,8,8,9,9]+10[1,1,2,4,4,5,9]+5[5]+22 > 67

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています... 

ラーゼス :
……ドッジする!

ラーゼス :
11dx+1 (11DX10+1) > 10[1,2,3,3,4,6,7,8,9,9,10]+8[8]+1 > 19

混沌の戦士 :
(彼は砕けた鎧の欠片を踏みつぶし、ろ過された欲望を宿した瞳の持つ敵意を刃に載せながら、伝説を食い破るべく踏み込んだ…!)▼ 

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

ラーゼス:ドッジ(失敗) 

ラーゼス :
ッ……! だが、見ていると言った!

ラーゼス :
“血色の探求”! 貴公を頼りたい!

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 御身には借りはなく。引け目もない。
 しかしこの場は…。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 …この場は確かに、理由が勝る。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

・サモン・ブラッド(Phase/1)
「“血色の探求”」の従者を戦闘に参加させる。
 またはそのラウンドのみ、メインプロセスとセットアッププロセスを行わせる。
 従者はHP=30、能力値=8Dとし、
『ラストブラッド』『コンバットブラッド』『フィジカルブラッド』『シールドブラッド』を持つ。 

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 ──────願わくば御身。
 その身、壮健であられますよう。

 断じて踏み入ることのない伝説とて、
 なかなか得難い理解でありました。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 ………そして、
 このような生き物と巡り会えたことも。
 死の間際まで覚えておくに足りましょうや。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 …しかし…。
 ・・・・・
 最強の生物など一度見ている…!
 
 人間が成れるものと同じなどは、
 求めていないのだ、竜の君よ…!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが再確定しました。

ラーゼス:ドッジ(失敗)
”血色の従者”:カバーリング→ラーゼス 

ラーゼス :
……徹底した男よ

ラーゼス :
 だが……探求の颶風のそばにこのような男がいるのも、また因果だな。
 森は貴公を迎えぬが、その心のみは覚えていよう。感謝する

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

混沌の戦士 :
 ──────!

混沌の戦士 :
7d10+90  (7D10+90) > 49[10,10,1,8,8,8,4]+90 > 139

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 お忘れいただいてけっこう。
 我々はしょせん過渡期なのです。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 …と、御身でなければ言ったでしょうな。
 御身の場合は、変われども、忘れぬことこそが所以なのでしょう。私の望みとは違いますが、致し方ないこと。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 では意味のある限りでけっこう。
 ───そして。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 …望外の幸運とともに…。
 …満たされることもなく…。

 断崖の先を飛ぶがいい。風の娘。

SYSTEM :
■手番処理
 待機中のキャラクターが行動を宣言します。
 行動するキャラが宣言を行ってください。

・“七花胡”
・“帯来风暴”  

SYSTEM :
■イニシアチブ
 イニシアチブを確認しています... 
(なお手番対象PCが判定を宣言した場合、そのまま「メイン」の記述に移行します。) 

夏瑞珂 :
──では堕ちるように羽搏きましょう

夏瑞珂 :
火は消えてゆくけれど、
風ならば、きっと戻ってこれるわ

夏瑞珂 :
【 WIND BREAKER 】
メジャー:《風鳴りの爪 LV1+2》+《コンセントレイト:ハヌマーン LV2+2》+《援護の風 LV5+2》
対象:混沌の戦士

SYSTEM :
■メジャー
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。 

夏瑞珂 :
29dx6+25 (29DX6+25) > 10[1,1,2,2,2,3,3,3,4,4,5,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,8,8,9,9,10,10,10]+10[2,3,4,4,4,5,5,6,6,6,7,7,7,8,8,9,10,10]+10[1,3,5,6,7,8,8,8,8,9,10]+10[3,4,4,5,7,8,10,10]+10[5,6,8,9]+10[4,6,10]+10[7,10]+10[5,9]+10[8]+3[3]+25 > 118

“七花胡” :
    みち
貴女の「選択」が、彼方までも続くように……

“七花胡” :
────堕ちるように、天へと舞い上がりなさい

“七花胡” :
【液肥を注ぐ】

オート
 夢の雫

達成値+12

対象:単体(瑞珂さん)
射程:視界
侵蝕:3

1R1回

“七花胡” :
……それから、“これ”も。踏み切り台くらいにはなるでしょう

“七花胡” :
駄馬!

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 177 → 180

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 161 → 167

“アセルス・デスミオス” :
あいよ!

SYSTEM :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しています。

・エンブレム:前科者(Round/1)
 PCを1名指名して発動。
 そのラウンド中(発生シーンを除く)に行う判定のダイスを[+2dx]する。 

夏瑞珂 :
……ありがとう、魔法使いさん

夏瑞珂 :
ね、知ってた?

夏瑞珂 :
良い娘は天国へ行けるけれど、
悪い娘はどこへでも行けるって!

夏瑞珂 :
どこへでも拾いに来てくれるんでしょう、アーキル!

“黄の希人”アーキル :
 よく覚えてるもんだ。その通り。

“黄の希人”アーキル :
 風車を回してもらうのは…。
 今日、ここだけじゃない。さあ───。

“黄の希人”アーキル :
 …やっちまえ、瑞珂!

“黄の希人”アーキル :
【Check!】
 下記のNPC効果が発動しました。

. アッワル・リフ・タイル
・変革を告ぐ翠風(Phase/1)
 指定したすべての「PC」または「NPC」が行った、
 セットアップ・メイン・クリンナップいずれかのプロセスひとつの判定について、
 その達成値を一度だけ+[12]する。 

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

混沌の戦士 :
(彼の魂が、最後の“戦意”に向けて猛りを上げた!)▼ 

混沌の戦士 :
■オート:シールドオブカオス
《拒絶領域L3+2》《レネゲイドウォールL5》
・受けるダメージを[10]軽減する。
・暴走中はさらに[15]軽減。 

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションが確定しました。

混沌の戦士:リアクション不可 

夏瑞珂 :
──さだめはおしまい。

夏瑞珂 :
17d10+31 (17D10+31) > 96[5,5,8,9,4,1,9,9,7,4,1,8,5,2,6,5,8]+31 > 127

夏瑞珂 :
1をふたつ、2をひとつ。振り直すわ

GM :
…よいでしょう! どうぞ!

夏瑞珂 :
3D10 (3D10) > 24[10,7,7] > 24

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージを計算しています... 

system :
[ NPC:混沌の戦士 ] HP : 1 → -86

混沌の戦士 :
 ………! ………。

混沌の戦士 :
 ──────。

混沌の戦士 :
(彼は最後の一歩をあなたに向けて踏み出そうとしたが、その間合いは微かに。
 しかし、永遠に届くことはなかった…。)▼ 

SYSTEM :
 天頂を駆けゆくその脚が…。
 すべてを轍にしてきた強き呪縛が…。

 遂に、倒れ伏した。▼ 

SYSTEM :
■ダメージ計算
 ダメージ計算を完了しました。

混沌の戦士:撃破! 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

“七花胡” :
 彼の怪物は未だ再誕したばかり。
 とはいえ、此方が行動を起せばすぐにでも交戦は再開されるだろう。そうなれば、ろくな牙を持たぬ軟弱な身に差しはさむ余地はない。
 彼らが駆け出す前に、先に「支度」を整えておくのなら……

“七花胡” :
しゅんしょういっこくあたいせんきん
「    春宵一刻直千金、
はなにせいこうあり、つきにかげあり
     花有清香月有陰」

“七花胡” :
「時間の感覚が早いのは老人の証拠ですよ。
 秋風を嗜むつもりでいるのなら、随分と気が早い……」

“七花胡” :
「高見を決め込んでいる暇で、花見の酒代代わりに、一仕事していきなさい!
 ────“帝釈天”ッ!」

SYSTEM :

 かかんろうだい こえさいさい
「歌 管 楼 台  声 細 細 …」

SYSTEM :

 ───守り神の境界を潜って。
 鈴鳴る音をなぞって奔る、龍の尾。 

SYSTEM :
..エグザイル
 身体変化の己が因子を投じ、自らのレネゲイドにのみ呼応して、如何様にも間合いを変ぜる邪仙の鉾。

 敵意ですらなくとも、害意ではある。
 当然のように、くろがねの代わりに生え変わった竜鱗を束ね、戦士がこれを弾き落とした。

SYSTEM :
 そしてその竜鱗に、何ら衰える兆しはない。一秒ごとに最新最硬の防御に更新され、生命をより盤石なものへと切り替えていく。

 だが、その第一歩…。

SYSTEM :
 瞬きのうちに始まり、一息のはてに終わる戦士の完成に不純物。

 画竜点睛を欠くが如く、楽土のものでない無形の領域の切れ端が差し込まれ、稲妻が迸る。

 それなるは、十を超える世紀を生きた邪仙の鉾。永遠に時に置き去られるが故に、あらゆるものに“ズレ”を引き起こす淀みの一振り。
 ・          ・ ・
 地脈より伝い、鳴り響く雷の鞭。

SYSTEM :
 掠めた数秒。
 
 天つを翔ぶものの動きを鈍らせるには程遠いが、無傷というわけにはいかない。
             ・・
 いまなおほとばしる稲妻、それが少なくとも、一息に終わるはずの再生、進化を遅らせる。

 悠々と現れた女の語る声は高慢をまとってこそいたが、少なくともここまで会話した中では相応の真摯さがあったと言えた。

“帝釈天”謝暁蕾 :

「───やがて成る一城の主を名残と詰るとは、まあ。傲慢なこと」

“帝釈天”謝暁蕾 :
「更ける夜を惜しみに参上しました。
    みごたえ
 欲望にも品性の是非があろうというもの。どうぞ………」

“帝釈天”謝暁蕾 :
   しろ
「己が楽土を誇るまま、
 災いなど一息に引きずり降ろしてご覧なさい」

“七花胡” :
「嬉々として廃墟のブランコ乗るような女に品性説かれるとか……
 ……まあ、いいでしょう。ひねくれものにしては、今のはまあまあ素直な方でありますしね」

“七花胡” :
「お勤めご苦労。言われるまでもありません。
 ────花の盛りを、特等席で目に刻むがよろしい」

“七花胡” :
 花は散り、土は腐って。蝶は地に落ち、栄えた楽園に、斜陽が訪れる。
 輝きを誇った花畑は見るも無残に、薫風は流れることを忘れて澱むばかり。
 凍る現在を否定し、枯れる未来を良しとした。ゆえにこそ、これは必然の凋落。

 唱えた光言は蝕まれ、暗雲が万象を蹂躙して、暴威による常闇の時代が訪れる……

“七花胡” :
「────ならば、もう一度育てればいい。
 大地のあまねくを、茨でひとつなぎ。
 風は北から南へ、太陽は東から西へ巡り……」

“七花胡” :

「月下に咲く花のあることを、御覧に入れましょう」


“七花胡” :
 灰色の理性が、沸き立つ血のように滾るレネゲイドを制する。
 天秤の一振りで振り撒かれた朱煙は、いつの間にか色彩を変えてなお鮮やかに。
 曇りなき蒼で染められた導が、暗雲を振り払い。
 怪物の眼光さえも欺いて、世界を月下に覆す。

“七花胡” :
 ────足下から、極彩色が波濤のように拡がりゆく。
 明日の所在さえ曖昧な戦場の混迷を、鋏を持って手入れして、秩序だった混沌を再構築する。

“七花胡” :
 二度目の開花は、決して一度目の躯を蔑ろにしない。枯れ果てた草木は地に還り、堆肥へと姿を変えていった。
 何もかもを礎に咲き誇る天上楽土は……いつだって昨日の延長線上の今日が/今日の先にある明日が、いちばん美しい。

“七花胡” :
 掲げたのは刻まれた流転の理。日が沈めば夜が訪い来る。雨も雷も、大いなる流れの一部に過ぎない。
 彼の怪物とて、生まれては朽ちる生き物に過ぎぬというのであれば、それらに違いのあろうものか。

“七花胡” :
 風雨に晒された若芽はより一層強く天を向き、己の咲く方向を定めた。
 踏み均された轍に、それでなお芽吹く誇りが在ることを知っている。
 幾度雷に打たれようと、古木は泰然として人の営みに添い続けるだろう。
 
 青天に霹靂ありて怯まぬように。
 拡げた結界が、如何な豪雨とて彼らを腐らせはしない。

“七花胡” :
「泥濘に在りて腐枯ることなく。
 世界を芳しくする花の如くあれ」

“七花胡” :
「楽園は、荒土より再び巡る……」

“七花胡” :
 鼻腔を擽る涼風は、夜に人知れず咲く花々の生きるあかし。
 たとえ誰にも顧みられずとも、庭師だけは、その凛と伸びた背筋を知っている。
 時の摂理に爪弾き。
 先往くものたちの立ち姿を眼差しに刻む特権は、ゆえにこそ、自分だけのものだ。

“七花胡” :
 振り返る必要は無い。
 あなたの目に飛び込む花弁の横顔に、何時だとて自分の志は映るのだから────

SYSTEM :
 夜更けの無明に翼がはためく。

 幾度とない停滞と挫折、
  グラウンド・ゼロ
 足元が崩れ去る爆心地にあって尚も、その名残から芽は出る。
 芽を出す意思が潰えない限り。昨日の種が芽吹き、明日のために今日花が咲く。

 願いのかたちを特等席で見物した女が何を思ったのかは、あえて記さずに置くが…。

“アイシャ” :
     くに
「あなたの楽土なのね。それが。
 まつろわぬものを語るのに、
 芽吹く浪漫を覆い隠せない人」

“黄の希人”アーキル :

「はは。つくづく相手じゃなくてよかったかもな。
 華が散るのをまったく惜しめないほど、人間止めちゃいない。やめる気だってない───」

SYSTEM :
 軽口たたきながらも、矢をつがえた先は一瞬たりとも怯む様子はない。
 今しかない。その時間の中、限られた機会の中で、再臨する意思の華は、死にゆく戦士が生を勝ち取るための確かな助けであった。

SYSTEM :
 そして銃口/砲口の先は、
 これを解することはないだろう。

 あらゆる風景の向こう側にこそ天頂はある。

混沌の戦士 :
「──────。」

SYSTEM :
 ただ悠然と。

 稲妻の根幹を引きちぎり、
 得物を引き抜き。骨剣の切っ先を向けた。

 迎え撃つ姿勢にも似ているが、否。
 彼は超然を気取りなどしない。
 まして超然の中で、戦士であることを誇りもしない。
 ならば、それは避けられぬ予告であった。

“七花胡” :
「(戦士には万分の一の驕りだって生じない……
  戦端が開かれれば、あっという間でしょう)」

“七花胡” :
「(────頼みました)」

 怖気立つほど鋭利に研ぎ澄まされた、闘争のみを旨とする切っ先を向けられようとも。
 彼らの背中を前に、もう、逃げたくなるような恐ろしさに襲われることはなかった。

ラーゼス :

 雷で編まれた獣の牙が、幾度目かの唸りを上げる。
 神話に謳われた光の槍を思わせる力の奔流が、王の手にしっかりと握られた。
 咲き誇る花を踏み荒らさぬよう、慎重に足を退らせて身を低める。

ラーゼス :
 限界は近い。

 妖精騎士の身を呪うレネゲイドの力が、久しく感じたことのないほどの昂りを訴えているが、奇妙なほど焦りは感じない。

ラーゼス :
 身を震わせるような危機感は変わらず残っているが、それがもたらす緊張が心地よくすらあった。
 背後の胡が、己の理性をしっかりと捉まえているからだ──
 はじめは懐かしくもあったその感覚は、この羅馬の地に在って幾度目かの戦いを過ぎ、今や“七花胡”のもたらすもの以外の何とも重ならない。
 この地に花を咲かせ、己をひととき楽園の麾下に招き入れた彼の。

ラーゼス :
「……応えよう。必ず」

SYSTEM :
      オーヴァード
 龍の前に躍る妖精騎士は、妖精に魅入られ、只人を凌駕する者達だった。
 その彼らにはいつだとて絆しがいる。理性を繋ぎ、共に祈りを預け合い。帰るための道しるべ。

 傍らにある華の色。
 死線を潜り抜けてきた時の力の一端が如何に重要なのかを、あなたは久遠の刻の中で知っていた。

SYSTEM :
 なれど龍。その名を翳した怪物の前では、如何なる超人も等しく只人と化す。
 どれほど衰えていようが、どれほど傷付いていようが、そこには絶対の差がある。

 何時も、そうだ。

 龍の前で生死を拾うということは、無限に広がる砂原で輝く金色を見つけ出すようなもの。
 そこに理性や必然はない。ただ偶然、ただ天命───無我夢中。 
 万全を期し、人事を尽くし、それでなお理不尽に粉砕されることのなんと多きこと。

SYSTEM :

   ・・・ 
 だがその時が来たのだ。
 あなたがかつて知るあの時のように。
..               オディオ
 眼前のそれは、もはや羅馬を疎む憎しみの王でも。竜そのものでもありはしないが。

 双つの魂が。ひとつの頂点が唸りを上げたその時が、死線の始まりであった。

SYSTEM :
 混ざり沌れる魂は──────黒。

 融けあう欲望は面影というひとつの雑味を残した、純粋なる黒。
 混沌をつくる欲望、すなわち。生存のための勝利。生存のための破壊。
 
 闘い、争う。

SYSTEM :


 闘争の果てを征くものが、

混沌の戦士 :
「────────────!!!!」

SYSTEM :
 ・・・
 吠えた。

 空気の波濤、戦いの声。終わりを呼ぶニーベルングの詩は高らかに。
 英雄たちも、蛮徒も怪物も、等しく破滅へと導いていく。

混沌の戦士 :
 戦士がまとう竜の鱗が、ぎり、と歯軋りするような悍ましい音を立てる。
 その巨体が砲弾のように轟音を立て、さらに上回る鉄躯へ跳躍して迫る! 

SYSTEM :
 …剣と呼ぶにはあまりに分厚く、巨きく、粗削りの骨剣…それはまさに鋼も紙屑のように砕き、神さえ屠る欲望の咢。

SYSTEM :
 ここまでの戦いにおいて、強さとは如何様にもあった。

 精神的なもの、肉体的なもの。
 レネゲイドと呼ばれるリスクを如何にねじ伏せたか、魅入られたか、欺いてきたのか。
 力を持つ以上、もてる以上は、その研鑽と研究から離れることは適わない。捨てる術がこの世に見つからない限り。

 そして、此度最後の戦。
 あなたたちに立ち塞がるものがまとう強さに曰く…。

混沌の戦士 :

スラッシュ  スタブ
 払う/そして/突く──────

混沌の戦士 :
 
   バッシュ   パリィ
    叩く/または/弾く──────。

SYSTEM :

 危機を悟られるよりも先に間合いを詰め、
 敵の呼吸を上回る早さで、
 敵の守りを打ち砕く強さを叩き込む。

 貪欲さ、否。行動の純粋さにおいては、
     おうかん
 マスターの戦績を持つあなたの知る限り、
 これより上のものはいない。

SYSTEM :

 …何も特徴的なことは、ない。
 ただ原始的な戦いと殺しの術。

 棒を持ち、獣を追い立て屠る。
 はたまた、牙と爪で死ぬまで挑みかかり、殺すまで食らいつく。
 究極に近しくあれば表現は陳腐になる…再三繰り返すが、これはその究極系。

SYSTEM :

 生まれたて、と評された彼に。
 ・・
 強い、以上はない。

SYSTEM :

 そこに精神的プレッシャーや、細やかなメカニズムなどない。
   はや    かた   .おお
 ただ疾風く、ただ堅牢く、ただ巨きく………。
   つよ
 ただ強靭い。
.       アプローチ
 いちの妨害を百の攻撃で捻じ伏せるが如き行い。
..    ベルセルク
 まさに狂戦士の騎行である。

SYSTEM :
 生きている在り方が違う。そこに切れる呼吸も見出す隙もない。
 人と戦うための技ではなく、人を殺すための術。
 一呼吸のたびに勘所を探り当て、殺されぬために呼吸を見極め。
 陥穽を詰める狩りの本能を伴って、いま。

SYSTEM :
  あ ら し
 最大最強の一撃が爪牙となって…。
 文字通り“死す”時まで叩き込まれる! 

ガンドルフ :
 PF──特筆して専用機は、用いるオーヴァードに合わせることが多い。

ガンドルフ :
 敵と肉薄し、白兵戦を行う機体ならば、その装甲は頑丈に積み上げられるだろう。
 相手の攻撃を受け、それを吸収し、内部にダメージを連動させない堅牢さを求める。
 ……では、遠くから撃つという、近代戦の極致のスタイルにとっては?

 これまでもガンドルフの弱点はあらゆる者に突かれてきた。
 これはその極致──これをやってのけたのは、史上二人目。

ガンドルフ :
 ・・・・
 ごり押しだ。

 巨人の名を冠した、女王の"剣"は自らの嵐を以てそれを体現した。
 ではこの戦士は? 決まっている──この世界の黎明期に敷かれ、今なお根幹に存在する絶対のルール。

ガンドルフ :


 強いものが勝つ
 弱 肉 強 食 。


 絶対にして誰にも覆せないルール。
 レネゲイドを用いるものならば誰もが直面する、単純な出力勝負という土台。
 差が大きければ大きいほど、それは絶望的だろう。

マスター・ハーヴェスター :
「ぐ──うぉッ、なんだッ!?」

ガンドルフ :
 繰り返される暴力→暴力→暴力……、純粋な自然の暴力に、人の技術は対抗できない。

ガンドルフ :
 ガンドルフの装甲がひしゃげ、その左腕が飛んだ。
 神経接続上、疑似再現された激痛がアレウスを襲う。
 だが叫ばない、苦悶の表情も浮かべない、彼はただそこで食いしばった。

マスター・ハーヴェスター :
「────」

マスター・ハーヴェスター :
 純粋な暴力を求めた。

マスター・ハーヴェスター :

 ただそこにある力を求めた。
 自分では物事を決められない、ただ命じられるだけに力を振るい続けてきた。
 だが、その力の導を決めて呉れた男が居た。

マスター・ハーヴェスター :
 その男はもういない。

 力を振るう先を、力を振るう意味を、ただ振るうだけでなく、その先を考え続けた。
 その果てを──その進化を考え続けた。

マスター・ハーヴェスター :
 その力を向けるに至った女との闘いを見届けた者がいた。
 ヤツはオレの力のその先をどう評価するだろうか?
 慧眼を持ち、浮世離れしているように見せて、ただ真理を突く者に、俺はこの力を評してほしいとすら思った。

 ……それは今か? おそらく、今かもしれない。

マスター・ハーヴェスター :
「ガンドルフッ!!」

マスター・ハーヴェスター :
「────飛ぶぞ!!」

ガンドルフ :
 ガンドルフのレフビットが全て打ち出された。
 触れたものを際限なく反射するそれは、暴力にさらされるその機体を天高く打ち上げた。
 ビットたちはその"仕事"を終え、嵐の中に消えてゆく。

マスター・ハーヴェスター :
「ポイント入力……」

マスター・ハーヴェスター :
「ルート固定……」

ガンドルフ :
《機体損傷率大──反動計算、完了済》

ガンドルフ :
《ターゲット・インサイト》

マスター・ハーヴェスター :
「────突っ込むぞッ!!」

ガンドルフ :
 ガンドルフが、その手に光槍ライフルを構える。
 その姿勢は正に、突撃兵。
 ただ一直線に暴力を突きつける──暴力を叩きつけられたのであれば、それに追いすがる力で叩き込むだけだと!

ガンドルフ :
 ブースターを最大で噴射。
 残ったブースト・ビットがその機体速度を急加速、何重にも重ねあわて一つの槍とする。
 後先考えない一撃──だがそれは、誇りを穂先に乗せた、一矢報いる最大の一撃!

マスター・ハーヴェスター :
「────今度は貴様を……」

マスター・ハーヴェスター :
「俺達が喰らう番だッ!!」

ガンドルフ :
 もはやガンドルフは満身創痍。
 ビットもなく、ただ残されたのは手にした槍のみだ。
 だがそれでも、それでも、それでも、それでも食らいつく!
 それがこの街で得られた教訓だからだ!

 例え絶望に苛まれようとも、己の誇りを守り、宿命を越えるために牙を突き立て──、
 例え使命に縛られようとも、今ある意志を貫き、命を落とすまでその手綱を放さない在り方の様に!

SYSTEM :
 弱肉強食のほかに、もうひとつ。
 自然ならざる人間界に、当たり前の掟、というものがある。
        やったら、やり返される
 曰く──────因  果  応  報  。

 ………だがその形を。
 より、破落戸たちの流儀で呼ぶならこうなる。

SYSTEM :
 無礼られたままでは終われない。

 奪われたままでは。
 己が己たらんとするものを踏み躙られたまま、暴力の賛歌で一度でも生きたものは終われない。

SYSTEM :
 青く輝く炎が、狂月の名残が齎す光に馴染む。欠けた月は役割を終え、そこにはただひとつの鉄騎だけがいた。

 PFの推進力と質量のすべてを乗せた光槍ライフルが…。
 エンジェル・ハィロゥの波長、レネゲイドを伴う精神波を以て。
 その矛を、この戦いにおける最高潮にまで引き上げる。

SYSTEM :
 もとより“ハーヴェスター”の戦いにおいて、ビットは古馴染みではない。
 その技術は手札のひとつで十八番ではなく。
 彼がそうならば、牙獣の名はもう少し賢しい符号に取って代わったことだろう。

SYSTEM :
 ──────そうとも彼の始まりは。
 何も持たないまま、ただ引き金を弾く躊躇いのなさで取り立てられた鉄砲玉から始まり。
 ただ進みゆく意志の強さだけが、名無しの小僧を不屈の“マスター・ハーヴェスター”にしたのだ。

SYSTEM :
 
 掟破りの何重加速。
 レールガン
 電磁加速砲にも似て決定的に非なるものが、
 月に吼える。

SYSTEM :
 迎え撃つくろがねの戦士が、矛を引き抜いた。挑みかかる意思が失せていないならば、戦士に敵と見做される理由が残っているならば。
 須らくを叩き伏せると、その瞳が告げていた。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :

 …伝説に曰く。
 アスラ
 “赤の鬼人”は、路地裏の貧者から始まったという。

SYSTEM :

 何も持たないまま、ただ“腕っぷしが強い”ことで取り立てられた鉄砲玉から始まり。
 ただ人を殴る才能だけが、名無しの小僧を無敵のファウスト・デル・テスタにした。

 時が飛ぶ。そう錯覚するほど、過剰分泌されたアドレナリンはあらゆる破落戸の血気を奪い去り。
 やがてバロール・シンドロームが錯覚を誠とした。

 積み上げられた栄光の果ては。
 あなたが知っての通りである。

SYSTEM :
 だがその黄金が見出したものが…。
            リグ・ヒンサー
 初心を最後に見届けた、暴力主義者たちの栄光が。
 あなたの知るはずのない、最後のこぶしが。
  ラスト・シューティング
 最後の撃ち合いならざる交錯に重なる。
 なぜなら………。

SYSTEM :

 …あなたが狙った場所、それは。
 再生を果たしてなおも玉体と呼ばれた狼の身体にわずか残る、
 世界に挑んだ重みこそが残していった打撃痕…。

 昨日の初心を越えるため、すべてを賭して戦った男の………。
 無心が刻んだ痕跡!

"赤の鬼人” :
        Magna voluisse magnum.
 ───偉大さとは、偉大であろうとする行為そのものだ!  

SYSTEM :
 運命がいかに変えようのないものであろうとも。
 ただ、戦って。先に進むという、形も名誉もない誇りのために。
 眠れる奴隷を解き放ち、彼は終わりへと立ち向かった。

 残るレネゲイドの形が、本来ならばありえない出力の猛りを、今生にて二度は聞くことのない魂の叫びを興し。
 あなたの征する意思のすべてを燃やして叩き込んだ先へと行く時、その誇りとあなたは僅かに邂逅する。

SYSTEM :
 あなたの昇華した名残さえも。
 超越る意思が、昨日の最強の先を征く。

 まさにその時だ。
 そこを起点に意思の一刺しを通したその時…。無敵の竜鱗、最強の生物に破滅の起点を、あなたが作り上げた。

SYSTEM :
 三年の男の意地が無為でなかったこと、
 その証明───。

 だが。

SYSTEM :
 だが───。

 だが!

SYSTEM :
 底なしの命を削り、戦いの渦にて己を叫べば叫ぶほど。
    
 混沌は、なおも強く脈動する。
   
 己が価値を譲らぬとばかりに。

 死をねじ伏せ、勝利を掴む暴力的な欲望の化身が、
 あなたの意を受けて一分の衰えさえも見せはしない。

SYSTEM :
 否、傷はある。
 うろこは剥がれ、まだ戦いの土俵にあるうちに、乾坤は彼を飲み込んでいる。致命であることに違いはなく、ならばこそ。戦士は守勢に回らない。

 生存るための最善をくみ取る能力にかけて、純粋な戦うための生物が劣るはずはない。
 心の臓を逸らし、砕けた鱗を意にも介さず、骨剣が唸り声を挙げた。

SYSTEM :
 宙を駆けた戦士の軌跡。
 それさえも飲み込まんとした混沌は。

 あなたの光槍がついに彼の心臓を断つよりわずか早く。
 その鋼もろとも戦意を爆ぜさせんとばかりに、最後の一撃を叩き込んだ。

マスター・ハーヴェスター :
「…………!!」

ガンドルフ :
 ──殺気。

 戦士の持つ純粋な黒い感情。
 その最後の一振りを前に、見上げたアレウスとは対照的に。
 ガンドルフは、最後を前にして──自らの意志で動いた。
 もはや既に終わりは見えている。

 だからこそ、最後の、僅かな時間を作るために。
 機体の頭部と残りの片腕を構え、その一撃を押しとどめ始める。

ガンドルフ :
《損傷、甚大──AIDA:ファンタズマ、稼働、停止》

マスター・ハーヴェスター :
 そのわずかな時間で何をするべきか。

マスター・ハーヴェスター :
 ガンドルフのひしゃげたコクピットから、オープン回線の音量を最大にまで上げる。
 そして彼は、コクピット越しの、ノイズだらけのセンサーから、只一人の契約人を見た。

マスター・ハーヴェスター :
           ストームブリンガー
「これで契約完了だ────“帯来风暴”」

マスター・ハーヴェスター :
「報酬は……ま、今はこれだけで我慢してくれ」

マスター・ハーヴェスター :
  Fortes fortuna adjuvat.
「運命は臆病者の味方をしない──だが、
 Audaces fortuna iuvat
 運命は勇気ある者を好む!」

 俺が尊敬した男の言葉を、お前にくれてやる。
 それが、報酬だ。

ガンドルフ :
 ガンドルフのカメラ・アイから、光が失われる。
 コクピットブロックを守るようにその四肢を抱え込み、ひしゃげた装甲が更にほつれ、溶かされ、崩れていく。

ガンドルフ :
 最後の一撃から、己の主を守り、鉄の海豚は爆ぜた。
 コクピットブロックに残されたアレウスはその身を投げ出され、大地に身を堕とす。
 仮にもオーヴァード、即死をしたわけではあるまいが──、このローマの空を、枷に縛られなお飛び続けた"蹂躙者"は、堕ちた。

マスター・ハーヴェスター :
「ぐ、が、──ァッ」

マスター・ハーヴェスター :
 ……彼は死んだのか?
 敗者の喉笛を嚙み砕く魔狼が、その命を狙えばだが。

 彼は死なないと、きっと戦士以外の誰もが思う要因だけはある。

マスター・ハーヴェスター :
 ・・ ・・・・・・・・・
 まだ、地獄に行くには早い。

 それだけだ。

マスター・ハーヴェスター :
 ……庭にその血を捧げるのは、まだ。

“七花胡” :
「! “マスター・ハーヴェスター”……!」

“七花胡” :
 華麗な天空を捨ててまで描いた愚直な直線が、流星よりも疾く、鋭く、巨体を貫いた。
 メテオ・インパクトよりも派手に爆ぜ散った機体の欠片が、次々に花園の中に転がり込む。
 泥臭く貫き切った男の体から流れ出すレネゲイドの残滓の熱さは、契約を果たした満身創痍が、如何にあらゆるものの限界に迫り成し得たものかを物語っていた。

“七花胡” :
 彼は繋ぐように力を尽くし、轍を証しきった。膝を付くことは敗北に非ず、彼が齎したのは勝利の兆しに他ならぬ。
 なら、今はそれに乱されるわけにはいかない。
 せめてもその体からの流れ出るものを食い止めんと、幻で編まれた茨でなけなしの防波堤をその周囲に築きながらも、自分自身の視線を寄越したのは驚愕のその一瞬だけ。

 ずっと、前方に留め続ける。

夏瑞珂 :
 空の蹂躙者、収穫を司る男が失墜する。
        ・・・
 物言わぬくせにお喋りな鋼は、そんな彼を守って散った。

夏瑞珂 :
 わたしは、ほとんど瞬間的に、沸騰した感情で言い放った。

「勝手なひと!」

 だって運命は、臆病者ではない家族の味方をしなかった。勇気ある家族を愛しきらなかった。
 破落戸の訓示を、わたしがありがたがるコトはない。

夏瑞珂 :
「一方的で、押しつけがましい。だからふられるのよ、本当に勝手……」

 拗ねた顔で、早口でまくし立てる。熔けた鉄のにおいに膿んだ記憶がじくじくと痛みだしていた。

夏瑞珂 :
「……死んだら恨むわ。報酬の価値が下がるもの」

 受領は渋々と。万が一があれば兄貴分の言葉が嘘になるぞと、焚きつけるように。

ラーゼス :
 鋼の海豚がついに翼をもぎ取られ、地に墜ちる。
 先に致命の一撃を刻もうとしたアレウスに追いすがる恐るべき生存への嗅覚。恐るべき生存への欲求。
 ここまでの争いの中で欠けたことのなかった蹂躙者が、主の身体を守りきって果ててゆく。

 花園に投げ出され限界寸前まで戦い抜いた男の体が胡によって守られたことを確認すれば、ラーゼスに迷うべきことはなかった。

ラーゼス :
 損耗を考えるのは胡のすべきこと。
 もたらした言葉を受け取るのは瑞珂のすべきこと。
 そして己がすべきことは、行動で混沌の戦士のサガを証明した戦友へ報いることだった。

ラーゼス :
「一番槍に報いる」
 迷いはない。
 その左目は、混沌の戦士をただ射抜きつづけている。

SYSTEM :
 奇しくも。
 鬼人の名を一度だけ継いだ男の乾坤は、竜鱗をはぎ取る先駆けとなった。彼がそうであったように。
       ・・
 それをただの敗者と蔑むことは誰にもできまい。与えられた祝福が、ひと時戦士を覆い…残る二つ、いや三つに戦意を迸らせたもののまなざしが鋭く走る。

SYSTEM :
 破落戸の訓示をそうと知りながら…また、運命が微笑まなかったものを握りしめていた男も。
 弓を番えたまま、その分水嶺の中でこそ得難い出会いを生んできた男も。瑞珂の言葉に何も答えなかった。

 あるいは同調も。ただ銃口だけが、これから動くものへ向くだけ。

“アイシャ” :
 ・・・・・・・
「勝手に贈られたことがあるのね。彼」

“アイシャ” :
「大事なものなら、きっとしがみ付くわ。
 …あとで言う分も取っておいて」

SYSTEM :
 是非の代わりに、そうでないものが答える。
 あるいは彼に対して、いちばん遠い間合いだからだ。

 その男があなたに勝手に押し付けてきたものが、勝手に贈られたもので。“良いもの”の受け売りなのだと感想を零す。

SYSTEM :
 ………その中でも、だれの注意とて逸れることはない。

 報いを語ったものに、真っ先に戦士の瞳が向いた。
 その、挑むものに。善も悪もありはしない。

混沌の戦士 :
「──────」

ラーゼス :
「…………」
 動乱のはじめに見出したものと同じだが違う。
 あの時まみえた“黒鉄の狼”と今の彼は、驚くほど別物だった。

ラーゼス :
「……あの風は、だが……」

 雷霆など飾りにすぎぬ。
 本質は時を貫く黒き風。
 時をうつろう青き風と似て非なるものだ。

ラーゼス :
 それは探求の翠風でも自由の東風でもなく、破滅の西風ですらなく。
 生まれたての嵐が奏でる気儘な産声でしかない。
 まさしく生まれたての獣の如く。
 獣というならば“ヘカトンケイル”とてそうだったが、混沌の戦士のそれはもっと違う。

ラーゼス :
 巨人すら生ぬるい、純然たる暴力。
 彼は闘争の輪廻の果てに生み出された赤子だ。

 ……結局のところ、それがすべてなのだ。

ラーゼス :

 アレウスがもたらしたのは大いなる気付きだ。

 混沌の戦士は、向けられた殺意に反応して己が殺意を滾らせるのだ。

 生まれたばかりの赤子が、生きるため糧を求め泣くのと同じに。
 まさしくわれら生命が、生きるためにそうするように。

ラーゼス :
 ああ。迷うことはない。
 瑞珂は心の臓すら使った渾身で消耗しきっている。
 胡は後方を戦場とする魔術師であり、ならば先鋒を務めるべきは誰か、ラーゼスにはわかりきっていた。

ラーゼス :
「瑞珂」
 呼んだ時には、その小さな背を抜き去っている。
 歩を進める。その動きには迷いがなく、そして気負いもなかった。

ラーゼス :
「先にゆくぞ」

夏瑞珂 :
「────」

 一迅の風が吹きゆくのにも似た刹那。
 離れていく背中を、どこか忘我の心地で見送る。何をすべきか、迷うまでもなく理解している後ろ姿。

夏瑞珂 :
 見届ける瞬間まで、傍にいると彼女は言った。半ば反射的に伸ばしかけた手を、穴のあいた胸の前に抱く。
 置き去られるわけではない……。

夏瑞珂 :
「うん」

 彼女の腕で眠りについた幼子の声が、無垢に微笑う。あなたの先駆を信じていると言葉にする以上の雄弁さで。

ラーゼス :
「任せよ。そうだな──」

ラーゼス :
「いちばん食いでがあるところは残す」

ラーゼス :
 笑みは一瞬のことだった。
 蒼い雷熱が滾る。
 重い踏み込みが、神殿を揺るがせた。

ラーゼス :
「────さあ。ゆくぞ、戦士よ!」

ラーゼス :
 弾丸の如き勢いで、その身が地を蹴破った。

 槍が、骨の剣と真っ向からぶつかり合う。
 そのすべてが必殺。
 一撃一撃、すべてが神の雷霆に迫るほどの雷電を纏っていた。

ラーゼス :


 払いを受け止められる。
 そのたび神殿が捲れ上がった。

ラーゼス :

 大上段からの叩き落しを弾き返される。
 咲き誇る花を燃やさぬように立ち回ることなどできず、花弁が土ごと振り払われる。
  楽園を踏み荒らす罪悪感はここにはない。彼が荒れた大地にすらまた種を蒔くはずだからだ。

ラーゼス :
 
 突きを搔い潜られる。
 直線上を雷が焼き切る。
 混沌の戦士の鎧を貫くことが叶わなかった余熱ですら、彼方に大穴が空いた。

ラーゼス :

 それらすべて、互いに沁み付いた技などない。
          ・・・・・・・・
 技巧ではなく直感、ここが浅いはずだという生き物の急所だけを狙う原始的な交錯が繰り返される。
 その度に、骨と形なきものが重なって立てる音ではない轟音が幾度も響いた。

 その繰り返しを以て、獅子は一歩、一歩、花園を踏みしだきながら前へ進む。

ラーゼス :

 だが進むごと、ラーゼスの動きに技が宿る。
 臨界を遥かに超えたレネゲイドがもたらす彼方からの囁き。
 妄想衝動の発露が、あるわけがない技量、人の技を獣の槍に植え付ける。

ラーゼス :
「────隻獅子は」

ラーゼス :
「死出の道こそ誉れよッ!!」

ラーゼス :

 アレウスがすべてを懸けて作り上げた龍鱗の隙間を狙う、人がひとまわり強きものを殺すために作り上げた技によって磨かれた幾度目かの突きが、
 雷速をもって混沌の戦士の剣をほんの一瞬振り払い、絶死の領域を潜り抜ける。
 懐に入った。
 瞬間、ラーゼスは食いしばった歯の隙間から唸りを上げ。

ラーゼス :




 ROOOOOOAAAAAAAAAAAAAAAAAARRRRRRRRRRR────!!!!

ラーゼス :

 吼えて。
 この都全域に響き渡るような、地を揺るがし天に届く雷鳴の如き声で。
 いま一度形成された竜の爪牙が、蒼く撓った。
 たった一点、たった一つの活路、戦友が作り上げた致命の一点を、引き裂くように、王たる一撃が食い破る!

SYSTEM :

 まるで踏み込みに合わせるように、否。

 敵意が開戦を告げたとわかったから、戦士は大きく震脚した。
 弾丸のように迫るものへ、骨剣が寸分違わず襲い掛かる。

SYSTEM :
          ・
 その姿勢からして、彼は異なる。
 自らより巨きなもの、より強いもの、それを屠るために牙を研いだ我流の剣。
 激した心、昂る魂、響き渡るニーベルングの戦いの詩の中であれ淀むことなき冷徹な剣。

 蒼き風に似て、決して異なるもの。戦士の強さは真逆だ。
 巨きい、強い、その是非などいっさい問わず、ただ食らうための本能の牙。
 激した心、昂る魂、響き渡るニーベルングの戦いの詩の中でこそ輝きを増す猛りの剣…。

SYSTEM :
 怒れる王の、理性を置き去りにした一振り。かつてそうだったもの。
 迎え撃ち、食らい合い、その天頂で行われる究極の闘争に終わりなどない。

 あるべき終わりが、反響く鋼の音、裂かれる大気の音。耳を劈く神鳴の中、遠ざかりながらも近づいてくる。
 やがてその牙のどちらかが、どちらかを無惨に引き裂くのだろうと確信すらある、二つの暴風の衝突………。

SYSTEM :
 生命を限りなく使いに使い。
 
 やがて、その時は訪れた。

SYSTEM :
..       カオス
 己の業を宿した混沌の戦士たちが。何度も何度も穿ち、削り取ってきた場所──。

 かつてと同じく。心の臓!

SYSTEM :
.                   ほだし
 零から生まれたものに、零の先を絞り出す宝物はなく。
 ならばこそ、廻る光景の分水嶺を再び分けたものは。

 やがて眠りにつき、またも目を覚ますあなたが、はじまりの廻りに信じたもの。
 それが残した衝動が、あらざる贈り物を槍に宿したのだ。 

SYSTEM :
 雷が雷を切り裂いた。

 骨が、音を立てて砕け。
 血と呼ぶにはどす黒い、超越者の生命が零れる。
 たった一点を穿ち、命脈を引き裂いたその手ごたえが、あなたの手元にある。

 余波で割れた空の雲。月灯りの源が雲にわずか隠れたその時。
 紅蓮の瞳から光が、わずかに消えた。

混沌の戦士 :
「──────」

SYSTEM :
 そうとも。同じになるはずはない。

混沌の戦士 :
[負けを認める]  

混沌の戦士 :
[負けを認__]  

混沌の戦士 :
[_______]  

SYSTEM :
 だが………しかし、だ。

混沌の戦士 :
「────────────!!」 

SYSTEM :
 その一点。勝利し、生存する。
 生きるもの、普遍に持つその罪のみは。

 彼は生まれた時から持っていた。

SYSTEM :
 曰く。

.    ファヴニール
 ──────悪龍現象。

SYSTEM :
 死なずのさだめを常とする龍のひとかけらが。
 死するさだめを捻じ伏せ、欲するままに掴み取る。

 しょせんは主持たぬ騎士のやること。忠義も知らねば、護る強さも踏み躙るばかり。
 だが、戦う者のやることだ。

SYSTEM :
 最後の一撃を…荒ぶるその腕が、切り裂かれながら弾く。

 黒い風が吹き荒れる。争いの風。
 すべてを平らげて焼き払うものの興り。

 道半ばで果てること能わぬとばかりに、
 殺戮の荒野を行くものの瞳が、眩く輝く!

ラーゼス :
「─────ッ!!」

SYSTEM :
 …万全ならば、お互いの骨を断ち合うことも。あるいはあっただろう。
        
 だがそれとて、一撃を受け止める、という方向ではなかったはずだ。
 死線の分水嶺。残るものの側に、戦士が一歩踏み込む。

 乾坤の去ったあと。
 そここそが勝機と。

SYSTEM :


 だが。だからこそ。
 その一撃を受け止めたものは、
 あなたではなかった。

SYSTEM :

 血の飛沫が、間に挟まる。
 飛沫、否。

 意思持つレネゲイドのかけらたち…。
 統制された傍から解れていき、嵐に血風を混ぜ、あなたを安全圏に弾き飛ばしたもの。
 ・・
 従者だと分かるのは、直前にその声を聴いたもの、そして“やり口”を知るものしかない。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :

.Age Quod Agis
『今がその時だ』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :

    Renegade Unlimited Code
『──────決意を以て実行せよ』 

SYSTEM :

 …それは彼が庭の手向け(ないし手切れ)に用いたものではない。
                  ・
 荒ぶるを鎮めるためのものではない。逆だ。
 零から一を作るもの。生きるために可能性を拓くもの。己を対価に、世界を覆う次の現象に”応えさせる”もの。

SYSTEM :

 己の命などそこらの有象無象と同じ程度にしか思うまいこの男が。
 あなたの乾坤に割って入った無粋を弁解は決してすまい。

 その代わりに。消えゆく嵐がモノを語る。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『───…まったく素晴らしい』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『ここまで行くのか。
 …十数年の月日。片鱗より先掴めずじまいの強きとは、彼らに掛かればここまで』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
         ・
『しかし出会うのが今で良かった…』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
『竜よ。王よ。戦士よ!』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
    サ ル
『欠落の過渡期を食んで生まれた未来が、
 人の業と寸分違わぬを孕むのでは………』

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
.        トカゲ
『………先に果てた恐竜どもが、嘆きの海に溺れよう…!』

SYSTEM :

 男なりの感嘆と否定の入り混じった言葉を、一撃で戦士が吹き飛ばす。

 承知の上だ。
 彼が未来を想像した守り神はけっきょくのところ人に寄り添った。
 しかしその無垢の先に“価値あるもの”を見出したのは、あの旗の下に二人いて。彼はその顛末を嘆きはしたが、卓袱台を返そうとは思わなかった。

SYSTEM :
 ………つまりその僅かな目晦ましは、

 一目で道を同じくできない現実を悟り尊重した獅子の王への手向けであり、それが概ねを占めるのだが。
 僅かな他意はあった。好悪ではない。

SYSTEM :
 自分が渋々でも容認した顛末を、
 当事者の手で守るようにという、一方的な命令だった。

SYSTEM :
 血の嵐が消し飛び、一度きりの(何度目か知らないが、過去最大の酷使)仕込み札が消える。

混沌の戦士 :
「──────」

SYSTEM :
 奥からそれを払って出てきたものの瞳は、心の臓を一度砕かれたというのに。
 何も、光を翳らせていなかった。

SYSTEM :
 死ぬその時まで………。
 彼は挑み、喰らい、登り続けるだろう。

 だが、あなたは知っている。

SYSTEM :
 ・・・・・・
 今がその時だ。

夏瑞珂 :
 道は開けた。時は訪れた。
 風除けは失われて、二度と戻らなくても。
           困難
 憎悪の火は、あらゆる雨風から庇われて……遂に。

夏瑞珂 :
 空っぽの胸を抱く手。熱く濡れた小指の先を、唇に滑らせた。
 鮮紅のルージュ。
 フィナーレ
 終幕を飾る、とびきりの血化粧だ。

夏瑞珂 :
 血濡れた手に花の夜風を掬いあげる。
 ぼっと音を立てて燃え上がる、一握の花。
 拓いた荒野にいつか芽吹くと夢見る浪漫、再起の象徴を。

夏瑞珂 :
 果たして──
 再度形成したのは、手のひらに収まるごく小型の拳銃だった。
 たった一発しか装填されていないデリンジャー。それは効率など度外視した、ひたすらに我を通すための形状だ。

夏瑞珂 :
 なぜならわたしは神話に身を投じる戦士ではなく、等身大の勇者にもなれなかった落ちこぼれで。
 今は、ただの復讐者に過ぎないのだから。

夏瑞珂 :
     レムリア
「わたしは運命を否定する」

夏瑞珂 :
「仕組まれた必然も、折り重なった偶然も……」

 何もかも、
 ありはしないのだと吐き捨てる。

夏瑞珂 :
「三年前、おまえは戦う相手を間違えた。だから死ぬ。それだけの話なのよ、最初からね」

夏瑞珂 :
 銃爪に指をかける。引けば終わる。
 何かが。そして、どちらかの命が。
 仕留めきれなければ死ぬのはわたしだ。幾度となく死に損なったが、今度こそ。

“七花胡” :
 蹂躙者の一刺しに、獅子の猛攻が重なって竜鱗が剥がれ落ちる。
 番えられた弾丸は、そう時を置かずして放たれる。
 それは如何なる定めをも時の彼方に置き去りにして、そして怪物の心臓を食い破るだろう。
 
 結末は間近。
 前にして、あろうことかあらゆる論理思考を置き去りに、口と手が先に動いた。

“七花胡” :
「ひとつ。
 ……貴女の気が許すなら、覚えておいて欲しいことがあるのです」

“七花胡” :
 花園の盛りを携えた天秤で支えながら、空に差し出した右手から透明な雨垂れが滴り落ちる。
 それは頂芽を摘み花殻を捥ぎ、磨き上げた宝石のように輝く、あなたのための最後の贈り物。

“七花胡” :
 ゆ め
 可能性の雫が、夜花の香と混ざって赤く青く。極彩色に光り……最後には躊躇いがちに、金色の蛇へと姿を変えた。
 掌の中から抜け出した蛇が、軌跡を描いてあなたの元へ。

“七花胡” :
「空を舞う貴女を、天を仰ぐたびに、地より思い返す者のあることを。
 そしてそれは、決して一人だけではないことを……」

“七花胡” :
 蛇はあなたの頬に擦り寄ってから、呆気なく、空に融けて霧散した。
 触れることは、すなわちあなたを縛ることで。
 最早いっときでも、それは許し難いとでも言うかのように。

“七花胡” :
 その代わりに満ち溢れるのは、このためだけに整えたとっておき。
 逸れる/掠める/外れる────
 そういう未来の須らくを、丁寧すぎるくらいに切り取って整えた必中の祝福を、花束のように重ねてあなたに贈ろう。

“七花胡” :
 それから忘れずに、空いた指先を彼方に向けてくい、と引く。
 贈り物というには少々くたびれて覇気の無い、けれど使い勝手は別に悪くない、実用性重視の/手に馴染んだ剣を手繰るように招き寄せる。
 下知さえなくとも、あれは誰の踏み台となるべきか、きっとよくよく知っている……

SYSTEM :
 彼が指示に一切何も言わないのは。
   ・・・
 この土壇場であろうとも、男の人生の変わる余地はない。
 今更変わる優先順位の余地を持っていないからだ。

SYSTEM :
 燃え尽きた後の灰が、灰からよみがえることを奇跡と呼ぶ。

 男にその奇跡は必要ない。
 もし…あっても、相応しいものの手に握らせてきた。

“アセルス・デスミオス” :
「あいよ」

SYSTEM :
 そして応答を起こしたということはそういうことだ。
 おそらく望むだろうことは先んじて、もう終わっている。一瞥さえ必要ない。

 あなたが使いつぶせというなら、彼は喜びも嘆きも特になく実行に移すだろうと。

SYSTEM :
 寿を敵意と気づいて動くより先に。

 かつて呼吸しながら握手を交わし、
                テムジン
 その手でラグなく人間を殺してきた欲望の残り滓。
 …丁寧な贈り物は、戦場の祝福に似つかわしくないなら。あなたが送ったそれはきっと正しい。

“七花胡” :
 よろしい、と労いは頷き一つ。かつては最前線で工作戦を戦った相手だ、手の内もやり口も知れている。
 彼がこと此処に至り手を抜くたちでないことも。
 そして言葉は、隆盛をとうに過ぎた出涸らしよりも、この先を往く黎明にこそ注ぐべきだった。

“七花胡” :
「────瑞珂さん」

“七花胡” :
「断崖を越えて何処までも。
 果てに辿り着いた時、貴女の心が納得に充たされることを……」

“七花胡” :
「庭の片隅から、祈っています」

“七花胡” :
 薫香に混ざって煌めく鱗粉が、あなたの手を支えるように優しく包む。
 あなたはもう、手を引かれなくても何処へでも吹いてゆけるけれど……
 今だけは、この手を以て、より遠くまで翔んで欲しいと。
 あなたのスタートラインに立ち会わせて欲しいと。

“七花胡” :
 願ってしまったのは、きっと“らしくない”我儘だ。

“七花胡” :
 ……そして、納得と共に貴女を見送れることは。
 きっと自分にとっても、望外の幸福だった。

夏瑞珂 :
 死の誘惑が照準をぶれさせ、より強い意志が狙いを定めた。
 終わらせるための力と地に蒔くひとの祈りが、指先を動かす。その果てに。

夏瑞珂 :
 架空の弾丸が、解き放たれた。
 金と翠の二重螺旋を描いて翔ける弾丸。先走る風は音をも置き去りに、抗う大気を引き裂いて。

夏瑞珂 :
 着弾の瞬間、脳裏に面影が瞬いた。

 アラン。
 クラーク。
 パティ。
 ジョッシュ。

 ……アレックス。

 滲んだ涙が一雫、目尻からこぼれて蒸発する。

夏瑞珂 :
 同時に、全てがスローモーションと化した世界で、風の弾丸が爆ぜるように炎へ転じた。

 かつて再生の叶わぬ器に宿った、厄災から分かたれた一滴の放つ熱。際限なく力を解き放つことに特化した因子が、宿主の限界を度外視して強く激しく火を熾す。

夏瑞珂 :
 ──いいや。

 竜が、竜を殺すのではない。
 嵐さえ、この刹那において彼方の端役だ。

夏瑞珂 :
 憎悪。弱き者に残された最後の導、嚇怒と慟哭の化合物──おまえだけは許さないという只人の嘆きが、貴様を殺す! ただ、それだけの話だ!

「レムリアァァッ──!」

SYSTEM :
 …その銃に人は守れない。
 …その銃に多くは殺せない。
   
 その銃に出来ることは、たったひとつだけだ。

SYSTEM :
 たったひとりを殺す。
.      コロシ
 普遍となった殺人の手段の中で、もっとも手軽なものが銃だが。
 これは、その中でもさらに手軽な、女子供でも扱える暴力の形だった。

SYSTEM :

 軍人がこれを用いることなど滅多にあるまい。いや、あるいは、だからこそだ。

 あなたがこれを最後に選んだのは…。
 ケリ
 決着をつけねばならないその時に。
 いまこの時、何より燃え盛る限りに炎を燃え上がらせ、それきり断崖の手前に置いていく今この時。

 その炎と、風を留めたものを混同しないためだったのかもしれない。

SYSTEM :
 死にゆくものへの祈りが、あなたに手を添えることはない。

 いつか会う遠い時まで、あなたを留めておいたものの声は響かない。

 やがて薄れてゆく思い出の、それでも留め切った宝物。
 それがあっさりと滅んだことをさだめと呼ぶのならば。
 あなたは、それを受動的に受けてはならなかったのだから。

SYSTEM :
 まして。これは英雄の物語ではない。
     ジークフリート
 ならば、竜を殺す英雄など無用である。

SYSTEM :
 また。欲望を叶えるための物語ではない。
     ・・
 然らば。欲竜の息吹は不要であった。

SYSTEM :
   ・・・
 そのあなたに必要なものは。
 嵐を望んだ小娘の開放感ではない。
 焦げ付いた炎。何より昏く甘い激情ひとつ。

 その刃こそは、天頂の神々さえ切り崩す───。

 超人の分際で、なんと凡庸なこと。
 だからこそ。

混沌の戦士 :
「────────────」

SYSTEM :
 だからこそだ。

 雄叫びに乗った敵意に敏く動いたものを止めたものは。
 その普遍を知る者だった。

 あなたに名残と我儘を残していった男の餞別。
        ・・・・・
 銃弾の下敷きを放っていた男に敵意はなかったから、
 必ず迎撃するくろがねの戦士の呼吸をひと時遅らせる。 

SYSTEM :

 庭に埋もれ、決して彩りを妨げなかった土の肥やし。
 エグザイル
 身体変化で潜り込んだものは、彼のみの網膜を焼いていた。

SYSTEM :
 あるいは。灰から蘇るための名残を心に持てなかった男。
 あなたが踏み台にするには、皮肉にも十分すぎた。

 車輪の中の砂粒を踏みしめたがため“必定”の迎撃を損ねた戦士と、条件は互角だ。
 本能が銃弾を捉える紙一重。激突となれば彼が勝る。

 鉄と血が火花を散らす。
 その火をあおる風が、思い出をかなたに運び、断崖の先を火の鳥が飛翔ぶ。 

SYSTEM :
 ………しかしだ。決着の分水嶺。
 ・・
 そこにたどり着けばあなたが勝つことを、
 介助人たちは知っていた。

“黄の希人”アーキル :
「…悪いな──────」

“黄の希人”アーキル :
「こっちも生きるためだ───
    ・
 淑女に先を譲って頂こう、混沌の戦士よ!」 

SYSTEM :
 衝突の瞬間。わずかな一コマの風景。
 その風景のみを“アセルス・デスミオス”ともども、彼らは全身全霊で誤認させた。

 彼女の憎悪を。先に行くため置いていくべき宿痾をぶつけるためだけに。
 必ず受けねばならなくなる分岐点で、混沌の戦士は現実を誤認し………。

SYSTEM :
 結果。
 炎で焦がれることのない竜のうろこ。
 紡がれてきた運命ごと火を点け、あまりに激しく、烈しく…。 

SYSTEM :
 あの日から長く燃え上がってきたものが、ようやく火種を失う時が来たと示すように。

 ………あの日、彼を作ったものが。
 よわ
 脆弱いと不理解を示した所以の、生きてきた証が。3年の時を以て追いついた。

SYSTEM :
 

 ──────戦士に。
 二度、負けを覆す宝物はない。

SYSTEM :


 ──────ところがあなたにはあった。
 掛け替えのないものと、
 代わりにはならないものが。

SYSTEM :


 勝敗を分けたのは生物の強さでない。
 けっきょく、そんな程度の話だ。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 そして………。

 崩落を迎え行く天頂の地。
 さだめの都レムリアの頂点に。
 敗者の屍が横たわる。

SYSTEM :
 鱗は砕け。足は爛れた。

 もはや再起の兆しはない。
 あなた(あなたたち)が上で、その生き物が下だった。

SYSTEM :
 だが。
 そのめ
 眼差しだけが、わずかに鈍く光る。

SYSTEM :
 ………かつてあなたの夢が終わる時、

 狼は二度あなたをチリに還したが。

SYSTEM :
 笑ってしまうほどに。

 最後の状況は”それ”と同じだった。
     よる
 明けない悪夢の始まりと、同じ………。

夏瑞珂 :
 虚脱した躯を引きずって、死に体へと向かう。
 重なる状景。一命を取り留めたソレを、今度はわたしが見下ろしている。

 しかし鈍い眼光は、死の淵に追いやられてなお衰えない生存本能の放つ光そのものに思えた。

夏瑞珂 :
 なんだ、その目は/脆弱い/無力い/二度と……

 三年間、この瞬間を思わなかった日はない。最強たる在り方を貶め、ぶざまな死を嘲笑うのだと。

夏瑞珂 :
                   フラット
 だけどいざ叶ってみれば、心中はあまりに平坦だ。

夏瑞珂 :
 どんな侮辱も挑発も、生命の天頂を穢せない。雑味と執着が精錬された純粋な在り方は、生き物でありながら現象のよう。

 けれど生存と勝利をイコールで結びつける現象が、敗北した。事実と結果だけが、この怪物に対する最大の否定になる。

夏瑞珂 :
「……可笑しな話。こんな、奇跡みたいな勝利を」

 快哉はない。胸に去来するのは、ただ空虚な笑いだ。

「どうしてわたしは、あのとき掴み取れなかったんだろう―――」

夏瑞珂 :
 砕けた鱗の表層、胸の真中に触れた。
 手のひらに自然の理が宿る。おまえがわたしの手でこれから死ぬのは、おまえが弱いのが悪いだけだと……
 かつて雑味を抱えた生き物が、わたしたちにそうしたのと同じように。

夏瑞珂 :
 以て、最後の一撃。

「二度と顔を見せるな」

 爆ぜる嵐が、混沌を塵に還す。

夏瑞珂 :
 伝説から生まれ落ちたこの世で最も新しい神話の具現が、語り継がれることのないように。
 わずかの名残も許さず、完膚なきまでに。敗北を、死を、刻みつける……。

SYSTEM :
 辞世の句など語ることはなかった。
 時を軋ませるその眼が、時を取り戻したあなたを見上げる。

 因果応報。他人の目で見ればそう片付けられる顛末を、
 あなたはかつて成し遂げようと、這って、焦がれて…。

SYSTEM :
 だが、復讐の炎とは須らく。
 執着にたどり着いた時ほど、高揚とは無縁なもの。

混沌の戦士 :
「──────」

SYSTEM :
 かつてあなたがされたような顛末とは、少し違った。
 あなたの最後に振るった刃は、強きものが、より強きものを消し去るような顛末を作るためのものではなかった。

 それは、力に焦がれた男と、力に意味づけられた生き物の輪廻が途切れることの証だった…。

SYSTEM :

 ………微風は二度は吹かない。
 凶風が、鱗を薙ぐ。そして。

SYSTEM :

 ………そして彼の痕跡は。
 強欲なるものから生まれた王は、
 この地から姿を消した。

SYSTEM :

 生物だったのだ。だから、呆気なく。
 産声を上げた地と同じ場所で、
 彼は短い滅びの人生に幕を下ろした。

 あなたの時が動き出す。
 その勝利と呼ぶには乾いていて、
 だが敗北と呼ぶことだけはないものを。
 誰もがその眼に見つめていた。

SYSTEM :
 なんのことはない。

 強弱の天秤にのみ微笑んだ運命こそが、
 ローマで最後にそっぽを向かれていた。

ラーゼス :
「…………」

ラーゼス :
 消えたものの名残、最期に吹き抜けた風を追うように、視線を空中へ向ける。

ラーゼス :
 凶兆は消えた。神の雷霆ごと、跡形もなく。

ラーゼス :
「……いつも。戦士などという生き物は、娘のひたむきな祈りには勝てぬものだと聞いたが」

ラーゼス :
「どうにも、そのとおりであったようだ」

ラーゼス :
「よく戦った、瑞珂」

夏瑞珂 :
 両膝がかくんと落ちるのに任せ、その場に座りこむ。
 最後まで立っていようとする意思は、あいにく品切れだ。

夏瑞珂 :
「血に濡れた祈りもあったものね」

夏瑞珂 :
「…… ……」

夏瑞珂 :
「もっと愉しいと思ってた……」

夏瑞珂 :
「ラーゼス。あなたのときは……笑えた?」

ラーゼス :
 語ってはいない経験を問う言葉を否定せず、考え込む。あの鮮やかな記憶の中で、しかし強く残っているのは昂揚ばかりだ。

ラーゼス :
「……いいや。笑えはしなかったし、『これで終わってしまうのか』と思った。
 ひどく安堵したが、むなしくもなったよ」

ラーゼス :
「生きるべき理由。
 生きていたい理由。
 つづけなければならない理由……」

ラーゼス :
「その全てなのだ。
 もっと大きく、途方もなく、果てのないものなのだと……
 そう思い込み、思いたがっていたのは、己自身であったのだろうな」

ラーゼス :
 結局のところ、復讐というのは──
 死にたいが死ねない生き物が、次へ歩き出すための楔であって。
 半ばのまま無為に絶たれた『これまでの日々』に区切りをつけるもの以上でも、以下でも、ないのかもしれない。

ラーゼス :
 瑞珂のそばまで歩み寄り、槍を抱いてその場に座り込む。

夏瑞珂 :
「変わらないのね」

 安堵と虚しさ。
 終わってしまえば、手に入るのはそんなものらしい。
 遠く隔てられた時代でさえ。

夏瑞珂 :
「わたしとあなたの疵は……一緒ではないのに」

 傷痕の覗く眼帯へ、そっと手を伸ばす。

夏瑞珂 :
「でも、やってよかった」

夏瑞珂 :
「これも同じ?」

ラーゼス :
「……そのようなものだ。おかしなことに」

 拒みはしない。
 眼帯では覆いきれない引き攣れた爪痕は、生々しいが古びた傷だった。
 覗きこめば、目ごと引き裂かれた痕が出迎える。

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
「……そうだな。
 あの時復讐を決めて、生きながらえることがなければ──」
 獅子は従騎士と出会うことはなく。
 知恵を失い、森を荒らす一介の獣として果てるのみであったろう。

ラーゼス :
「ここにいることはなかった。
 血塗れた道であっても、道は道だ。得難いものを得た」

ラーゼス :
「おまえも。そうだろう」

夏瑞珂 :
「……わからないわ」

 振り返って、灰色の機体と黄色の人影を探す。仰いだ空は座りこんだわたしをきっと見守っていて、偏屈な男も見届けはするのだろう。

夏瑞珂 :
 失わなければ出会わなかった事実を、今ある得難さで埋めるには、わたしの傷はまだ血に濡れている。

 流れ続ける血が瘡蓋になって、いつか傷痕になる日が来るのだろうか。眼帯でも覆いきれない痕を恥じない彼女のように。

“七花胡” :
 怪物の死に体が頽れたあと……
 天秤を畳みながら、広げた楽園を空に返す。ごく一部、倒れ伏す彼の周りだけを守るように残して、極彩色が花弁から粒子となって風に乗って去っていく。
 そして、ずりずりと、凱旋には程遠い、彼女の重い足取りを見送った。

 最後の瞬間は、これまでの戦いに比べれば、随分と呆気ない。

“七花胡” :
 自分から所以を/居場所を奪っていったものに、復讐したいと望む者は……驚くほど多い。
 復讐の末路に快哉は無い。名誉の復元は成されても、喪われた家も命も戻ることは無いのだ。
 自身の選択への納得/あるいは後悔を得るためだけに、残る一生を捧ぐような行為だ。

“七花胡” :
 「それがあなたの選択なら」と言って、そんな行為に向かって、寄る辺ない子供の背を押すことは、果たして最善なのか?
 怨念の連鎖に自ら組み込まれようとする者の背を、放任する免罪符にしてはいないか?

“七花胡” :
 ……いつも確証は持てないまま。
 それでも、あなたにとっては、あなたの選択こそが最良だと……信じてきた。

“七花胡” :
 少なくともあなたにとっては────信じてよかったのだと、そう思えた。
 その胸に去来するのが何であれ、選択を完遂した者に己が掛けるべき言葉は、いつも一つきりだ。

“七花胡” :
「おかえりなさい、瑞珂さん。
 ……頑張りましたね」

“七花胡” :
 そして、所々が破け煤けた上着を、そっとその細い背中に掛ける。
 最中に掛けた言葉の通りに。
 たとえその眼に映らなくても、今この時ばかりは独りではないと……想ってくれたなら、それだけで良かった。

夏瑞珂 :
 いってらっしゃいと送り出されて、
 おかえりなさいと迎え入れられる。

 どちらも、もう二度とないと思っていたのに。だから、ああ。今日はほんとうに可笑しな日だ。

夏瑞珂 :
 虚しさは埋まらない。誰も代わりにはなれやしない。それでも、

「……あったかい」

 手持ち無沙汰なそら寒さは、すこし、ほんの少しだけ。ましになったような気がした。

夏瑞珂 :
「可笑しなひとたち。わたしばかり、労うのね」

夏瑞珂 :
「ここまで連れてきてくれたのは、あなたたちなのに」

“七花胡” :
「このローマで、ずっと貴女が藻掻いていたのを、見てきましたから」

“七花胡” :
             リユウ
「各々にとり、此処まで来る欲望がありました。
 けれど幾人かのその中には、確かに貴女のことも含まれていたのです」

“七花胡” :
「だから、真っ先に貴女を労いたいと考えるのは……とても自然なことですよ。
 簡単な道ではなかったでしょう。貴女が貴女自身の選択を全うすることができて、本当に、良かった」
 貴女が傍らの獅子に答える横顔を見て、心から、そう思うことが出来た。

“七花胡” :
「ようやく……いたむことができますね」

 燃える憎悪に衝き動かされながらではなく。
 この娘には、立ち止まり、傷んだものを、悼み、痛んで、愛おしむ時間がきっと必要なのだと……そう思った。

夏瑞珂 :
 わたしを理由にしてくれた彼ら。ひどく気恥ずかしくて、報いるには足りなくて、どうしていいか分からない。

「馬鹿なひとたち……」

 万感を込めて、ありがとうの代わりに。
 ちょっとだけ涙ぐんだ声をかくすように挑発的な笑みを浮かべる。

夏瑞珂 :
「……いたむ」

 激情にくるうのではなく、ありのままに悲しむ。誰の作為からも解放されて、まことの自由を取り戻した心で。
     ゆめ     ひる
 明けない悪夢が、地続きの現実になろうとしていた。

夏瑞珂 :
「道は、道。血に塗れても、先へ続いてしまうのね……」
  ALIVE
 "生きている"かぎり、ずっと。
 果ても見えないくせに永遠などない、この道を。

“七花胡” :
「……大丈夫」
 貴女を挟んで獅子の反対側へ。膝を付く。
 涙声には気付かない振りをしながら、ただ、貴女の口元の微笑みだけを目に焼き付ける。

“七花胡” :
「貴女なら、『彼』の名前を、涙ではなく笑顔と共に紡げる日を……きっとまた迎えられる」

“七花胡” :
「いくら泥を被ろうと、血に濡れようと、それらは貴女の中で、くすむことは無い。
 貴女がもう一度その日を迎えることを、貴女の中できっとずっと、待っていることでしょう」

“七花胡” :
「……ゆっくりでいいのです。もう貴女を急かすものは、何もないのだから……」

“七花胡” :
 貴女の中のその永遠の輝きが、癒えない傷のように思える日もあるだろう。
 思い出が茨の如く自らを苛み、嘆き叫びだしたくなる日も……きっと来る。

 それでも今の、たくさんのものを受け止められた貴女なら。
 焼き付いた情景と、失って開いた穴さえ、輪郭をなぞって懐かしむことができるようになると……
 そう、信じられたのだ。

夏瑞珂 :
「…… ……」

 頷くには、このさき続く穏やかさはわたしにはあまり毒で。
 否むには、彼の祝福は手持ち無沙汰なわたしに温かすぎる。 

夏瑞珂 :
 だから。

 お返しのかわりに彼の頬に口づける。
 わたしの唇を染めていた赤色が彼に移った。血痕のキスマーク。悪戯っぽく笑ってみせる。

“七花胡” :
「……!」

“七花胡” :
 不意を衝かれた。全く予想だにしない、頬に触れる柔らかな感触。
 まるで白昼夢のように刹那の、悪戯めいて濡れた痕を賜ってしまった。
 ……意表を突かれた己の面は、随分間抜けだろう。すぐに自分で確認できなかったことを、悔やむべきか、幸いとするべきか……。

“七花胡” :
       .りっぱ
「……やれやれ。お転婆な淑女になられたこと」

 これが子供たちなら軽率を叱っただろうか?
 でも今目の前に居るのは、見事に返り咲いた、よそさまの花だ。
 小さく笑って、受け入れた。

SYSTEM :
 かるいイタズラを仕掛けたのち、ふと視線を向けていた先には、あなたの想像した通りの姿がいる。

 偏屈な男の姿だけは、おそらく、視界に入ることもなく。
 想像通りの姿などこの場で見ることはないだろうけど。

SYSTEM :
 破損した灰色の機体が。手を下したあなたの姿を。途切れても生き抜くものを、いつまでも見ていた。

 傭兵の手切れは仕事の完遂だ。
 彼がまことにそうするなら、この時、あなたではなく…。
 “マスター・ハーヴェスター”の様態の確認をするか、依頼主の伝言とともに去ることを決めただろう。

“グレイ・スコーピオ” :
〈…ここまで来て…。
 ここから先が…来ちまうのか〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈眠いまま、目を閉じて大団円なら…。
 会いにいけやしなくても、誇っていける…〉

“アイシャ” :
「したくても。しないのね」

SYSTEM :
 遠巻き同士の片割れが舌打ち。

“グレイ・スコーピオ” :
〈そうだよ。
 そんなら、なお良かったのにな………〉

“グレイ・スコーピオ” :
〈………いつになったら返してくれんだか〉

SYSTEM :
 返せと言ったことは一度もない思い出の形から、ずいぶんと変わったものを。
 心の物置から取り出す小さな時間の猶予。
 レムリア
 運命の都の崩落の中で、本当なら仕事の完了が次の死地への旅立ちだった人間が嘯いた。

 己の意思かは別としても。彼はその悪戯の被害者の名残と、悪戯が運んできた小さな風の音を、生き延びた子守上手の向こうに見ていたからだ。

“黄の希人”アーキル :
「そうだろうよ。明日は来るんだ。
 昨日に不満と後悔があって、今日に苦痛と反省があっても…」

“黄の希人”アーキル :
「…続くんだから、“やっていける”をやるのさ。
 お疲れ。それから…」

“黄の希人”アーキル :
「…夜が明けたら“ようこそ”だ。
 長くたって構いやしないよ」

SYSTEM :
 そっちのと一緒にな、と。
 いつかの有言を蒸し返す。(蒸し返されたほうは揶揄るようにカメラアイを感光させた)

 あなたの気が変わらない限りはそうなる。

SYSTEM :
 …夜明けと共に、この都も幻と消えるだろう。

 帰るべき始まりの家はもう戻らない。
 生きていけると決めた場所は。それでも。
          ユメ
 それでもあなたは、伝説の縁を伝って、いまを生きていく…。

SYSTEM :
 ふたりの時の旅人に慈しまれ、
 ひとりの戦士に導かれた娘に、
 流離う自由の風が、普段と変わらぬ調子で笑った。

 ことの終わりだ。
 報告が入っていれば、おそらく血相を変えて飛び込んでくる鸛たちと共に、この場所に何かがあった痕跡はなくなる。
            メモリー
 あなたたちの脳裏に残る追憶を除いて。

SYSTEM :
 ………そのあなたの肩に置かれる手は。
 いくつあっただろうか。

夏瑞珂 :
 肩に置かれる手に頬を寄せる。軍用手袋の感触。クリスマスの夜にわたしを抱きしめてくれた、たいせつな家族の手だ。

夏瑞珂 :
 彼の存在を身近に感じても、わたしは一度も振り向かなかった。
 彼はもうそこにいないと理解するのが怖かったから。
 今日からは違う。

夏瑞珂 :
 形に思いは残る。見たものに宿る。聞いたものに継がれて、触れたものに打ち付けられる。だから……

 ──あなたに触れ続ける。この先も、ずっと。

夏瑞珂 :
 まぼろしは、まぼろしだ。
 いま肩に置かれた手はアレックスじゃない。でもアレックスが遺したものだ。

夏瑞珂 :
「わたしの幽霊」

 これでいい。
 余人が未練と憐れみ、狂気と謗るとも。
 わたしには、これがいい。

SYSTEM :
 振り返ることのなかった腕に振り返る。
 ・・・
 危ない、と。あなたの心を軋ませる虫の知らせに耳を澄ませた日々。

 彼のなにもかもは元通りとならなくても。
 彼の生きた証は形を変えて継がれていく。

 お別れにも似て、これからも。
 まぼろしと知りながら、あなたの人生のそこに、風の留まった痕跡がついてくる。

SYSTEM :
 あの日誰かが守りつづけた、聖夜の奇跡を信じた少女が。
 夜明けと一緒に、花開くような笑顔で息を吹き返した。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :


 ………X月某日を以て。
 ローマにおける『ケラウノス』を巡る争いに終止符が打たれた。

 小競り合いも後釜狙いも、この日から暫く、信じがたいほどに途絶えたのは、強さの徴、神の恩寵が呪われたパンドラの箱だと、薄々と誰もが悟ったからか。
 あるいは、ただ単に自らより強いものがローマのオーヴァードたちの天頂に立ったからかもしれない。

SYSTEM :

 “リグ・ヒンサー”。
 壊滅し、離散。客将だったエージェントたちの行方は知れず。

 “貴人の庭”。
 シンパを含めた全て、消滅。

 “御手翳す解放者”。
 戦力の半ばを喪失し、ローマを手にしたが、
 遺産を手にするには至らず。

SYSTEM :

 ………勝利者は誰だったのか。
 何のための争いだったのか。
 まことの意味で語られるそれを知るものは、あなたたちだけだ。

SYSTEM :

 速やかに去っていく鸛の声が、
 いまはまだ無明の空へ響く…。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・バックトラック

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :


      Back track Standby...▼ 

SYSTEM :
【Check!】

 クライマックスシーンの終了を確認しました。
 おつかれさまでした。▼

SYSTEM :
【Check!】

 バックトラックフェイズへ移行します。
 開示されるD/Eロイス情報を確認のち、
 GMとの協議のもと、日常への帰還の為にバックトラックを実行してください。▼ 

『イザナギ』 :
Descript
・達人
・工作員

Exhaust
・Empty

“ヘカトンケイル” :
Descript
・強化兵
・野獣本能

Exhaust
・Empty

“青の貴人”テレサ・C・クリスティ :
Descript
・触媒
・特権階級

Exhaust
・Empty

『レムス』/ワイズマン :
Descript
・転生体
・遺産継承者:雷神の槌

Exhaust
・無限を継ぐもの
・破壊神顕現
・傲慢な理想(×3)

”黒鉄の狼” :
Descript
・変異種(ハヌマーン)

Exhaust
・殺戒現出
・修羅の世界
・不死英雄:社会
・敗者死すべし
・ありえざる存在(メンタルインベイション)

SYSTEM :

  合計D/Eロイス:19
 D/Eロイス経験点:19 

SYSTEM :
【Check!】

 バックトラックの手順を公開します。
 参考までにご確認下さい。 

SYSTEM :
1:Eロイスの数から任意の数を宣言する。(今回は0〜19)
  その数だけ「1d10」を振り、その数値分侵蝕率を減らす。

2:自身の残ロイスの数だけ「1d10」を振る。
  この時「2倍振る」ことを宣言してもよい。
  宣言した場合、後述のバックトラック経験点が[3]となる。

3:「2」を経て侵蝕率が[100]を上回っている場合、
  再び自身の残ロイスの数だけ「1d10」を振ることを宣言してもよい。
  宣言した場合、後述のバックトラック経験点が[0]となる。
  また、[100]を下回っている場合、この項目は無視してよい。

4:自身の侵蝕率が「1」「2」「3」を経て[100]を下回っている場合、
  日常への生還は完了する。
  下記の「バックトラック経験点」を参照し、自身の経験点とすること。

SYSTEM :
[バックトラック経験点]
   100〜:3点
  71〜99:5点
  51〜70:4点
  31〜50:3点
   0〜30:2点  

夏瑞珂 :
まずはわたしね Eロイスから15個振るわ

GM :
どうぞ!

夏瑞珂 :
15d10 (15D10) > 78[8,7,1,2,2,6,7,3,3,2,4,8,9,10,6] > 78

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 167 → 89

GM :
帰還は確定です! 残りは…

夏瑞珂 :
残りは等倍!

夏瑞珂 :
2D10 (2D10) > 12[9,3] > 12

system :
[ 夏瑞珂 ] 侵蝕率 : 89 → 77

GM :
【Check!】
 PC1『夏瑞珂』の帰還を確認しました。 

GM :
お帰りなさい! 
ようこそはGMではない者のために取っておきましょう。

夏瑞珂 :
アハ! ありがとう

ラーゼス :
次はおれだな。Eロイスは全て振る。19個だ

GM :
では…どうぞ!

ラーゼス :
19d10 (19D10) > 106[3,8,1,9,4,7,1,9,10,5,4,2,10,4,5,7,1,7,9] > 106

GM :
見事な確定帰還! しかしこれは…

ラーゼス :
…気合を入れすぎたか? ロイス分を振るぞ

ラーゼス :
5d10 (5D10) > 31[5,4,10,4,8] > 31

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 200 → 94

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 94 → 63

GM :
だいぶ戻りましたな。とはいえ帰還は帰還…

GM :
【Check!】
 PC4『ラーゼス』の帰還を確認しました。 

GM :
 お帰りなさい。此度の遠征、お見事でした。

ラーゼス :

system :
[ ラーゼス ] 侵蝕率 : 40 → 30

system :
[ 獅子王 ] 侵蝕率 : 63 → 53

GM :
 しかしメモリー分を差し引いても、
 どうにか「4」点のラインでございます

GM :
 気を落とさずに…落とさずに…

ラーゼス :
レムス。ラルヴァ。…どうにも片手落ちだったようだぞ、おれは

GM :
(GMが慌てている…。) 

GM :
 さて…それでは気を…取り直して…

マスター・ハーヴェスター :
俺だ。Eロイスは……9個にしよう。

GM :
ほう…なかなか絞りますな

GM :
いいでしょう

マスター・ハーヴェスター :
9d10 (9D10) > 49[6,3,9,3,10,1,8,5,4] > 49

GM :
オールオアナッシングの射程圏内…!
お次は?

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] 侵蝕率 : 155 → 106

マスター・ハーヴェスター :
なら博打といくか……ロイス分は通常で振るぞ。

マスター・ハーヴェスター :
2d10 (2D10) > 15[9,6] > 15

system :
[ "マスター・ハーヴェスター" ] 侵蝕率 : 106 → 91

GM :
…お見事。大勝ですね。

GM :
【Check!】
 PC2『アレウス・バルバート』の帰還を確認しました。 

GM :
 お帰りなさい。立つ鳥の後始末を忘れずに。

マスター・ハーヴェスター :
言われるまでもない。

GM :
それでは、最後は…。

“七花胡” :
はい。自分ですね。振るEロイス分の数は19個、全てです。

GM :
どうぞ!

“七花胡” :
19d10 Eロイス分 (19D10) > 117[6,3,9,10,10,7,5,9,5,10,9,1,7,6,1,7,6,5,1] > 117

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 180 → 63

GM :
なんとまた…

GM :
しかし確実な帰還となりました。残りは…。

“七花胡” :
まあ……今回の出張で、元より支部長の座を明け渡したつもりはありませんでしたからね。

“七花胡” :
残りは等倍です。

GM :
どうぞ!

“七花胡” :
5d10 ロイス分 (5D10) > 37[7,9,5,9,7] > 37

system :
[ "七花胡" ] 侵蝕値 : 63 → 26

“七花胡” :
ハハハ 初期侵蝕値より下回ってしまいましたねえ

GM :
バックトラックとはこうも行くものなのか…

GM :
【Check!】
 PC3『”七花胡”/謝花纏』の帰還を確認しました。 

GM :
 とはいえ…。

GM :
 おかえりなさい。今度も忙しくなりそうですが、ひとまずはあなたの庭へ。

“七花胡” :
はい、ただいま。それこそが自分の欲望ですから、忙しいのは本望というもの。
一番最初のただいまを、貴方に差し上げたことは……彼らには秘密にしてくださいね。

GM :
光栄です。そしてご心配なく。

GM :
あなたが“正しく”ただいまを言うのは、
きっとその彼らでしょうからね

“七花胡” :
はい、もちろん。

GM :
【Check!】

 バックトラックフェイズを終了します。

  帰還:4名
 未帰還:0名 

SYSTEM :

 シナリオの目的を達成した:4点

(内訳
 ・復讐を達成する
 ・”赤の鬼人”からの依頼を果たす
 ・遺産を回収、もしくは破壊する
 ・凶兆を断つ          )

 同盟対象となったキャラが生存した
 もしくは対象を殺害した     :3点(上限)

(内訳
 ・”黄の希人”が生存している
 ・“マグナ・マーテル”が生存している
 ・“血色の探求が生存している    )

 ローマ内の敵オーヴァードを倒した:3点(上限)
(内訳
 ・“イザナギ&ソフィア”を撃破した
 ・“青の貴人”を撃破した
 ・“ヘカトンケイル”を撃破した   )

SYSTEM :

 セッションに最後まで参加した   1点
 使用されたD・Eロイス      19点
 よいロールプレイをした      1点
 ほかのプレイヤーを助ける発言   1点
 進行を助けた           1点
(Sロイスがタイタスにならなかった 5点)
 FS判定をクリアした      最大6点
(内訳
 ・ 対ギルド強襲戦→PC2,PC4
 ・“貴人の庭”総力戦→全員
 ・“レムリア”攻防戦→全員    )
 ──────────────────
 基礎       33~39点(38~44点)
 バックトラック経験点+1~5点

GM :
【Check!】

 おつかれさまでした!
 これよりエンディングフェイズに移行します。 


・ED1『Ne vivam si abis-だから/それでもとあなたは言う』

SYSTEM :
【Check!】

 エンディング/HO1を開始します。
 暫くそのままでお待ち下さい...。 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。  

SYSTEM :

 …おしまいの先について話をしよう。

 物事には到達点がある。
 到達点ですべてを終わらせることが出来るのは、
 物語の主人公の特権だ。 

SYSTEM :

 だが、多くはそうではない。現実は、そうとは限らない。
 ゴールの先を厭うことがあっても、そこで終わらせることは本来叶わない。
 それを知らずして、世界に二度と風を呼び込めなくなったものの、なんと多いことか。 

SYSTEM :

 その理想を留めてくれる人はいない。
 窓の外の笑い声を遠ざけていても、不思議とやっていける確証を与えてくれた人も。  

SYSTEM :

 あるいは、今日からも。
 仮令、悪夢のような奇跡から目が覚めて、幻と地続きのいま。
 次の聖誕祭のお祝いに、望む顔ぶれがいなくても─────。 

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

【シーン:Ne vivam si abis-だから/それでもとあなたは言う】

 登場PC:夏瑞珂

SYSTEM :

        【 Now Loading... 】

 夏瑞珂。
 あの日誰かが守りつづけた、聖夜の奇跡を信じた少女。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

 …ローマの争いは、かくして幕を閉じた。

SYSTEM :
 表向き、この地を平定したのは“御手翳す解放者”…。
 あらゆる組織の思惑を乗りこなした、若き盟主アーキル。

 だが、あなた方の協力を受けてなお、元より正面切った争いを得意とする組織でなく。
 何より出来上がろうとしていたその地盤は、奇しくもローマを守るための戦いで消耗した。

SYSTEM :
 つまり、嵐の通り過ぎた後にはいつでも復興が待っている。
 あるいは、次の争いのための余熱に触れる時間だ。
 
 おかしなことに、“これから”も留まることを決めたものの過半数が、
 本来ならば、事と次第を終え、風と共に去る気だったものだった。

 契約は一方的に、また一名の(おそらく断る気もなかったが)自由意思を無視して成立した。無視された側は曰く…。

“グレイ・スコーピオ” :
 Bastard
“馬鹿野郎どもが………”

SYSTEM :
 このような悪態を叩いてそれきりだった。

SYSTEM :
 そして、これまたおかしなことがひとつあり…。
 あなたは、その悪態をたたいた悪い蠍の提案の前の余談と向き合っていた。

“アイシャ” :
「………行くのね」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「如何にも。
 貴女は我々に聡すぎました」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 ・・・・
「これ以上は他意を学ばせるだけでしょう。
 まァ、それだけでもありませぬが…これまでなのです、我が女神」

SYSTEM :
 はじめに契約満了とともに立ち去ったファントムストークスから半日足らず。
 残る、と定めてはいなかったとはいえ、“血色の探求”は、その日前触れなく去ることを決めた。

 立ち会ったのは、ローマの”これから”にいる者たちだ。

“黄の希人”アーキル :
「ご期待に沿えなかったってやつらしいが、
 こいつにしちゃ筋の通した話だよ。心配するな、アイシャ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「そうだな、これからの貴君のことを考えるとこみ上げる失笑がある」

“黄の希人”アーキル :
「海向こうの月のない夜は覚えとけよ」

SYSTEM :
 彼の“迎え”にいない一人は、その“グレイ・スコーピオ”くらいのもの。
 あるいは、予想されていた、女神を見届ける二人の道別れだ。

ルイクゥ・ブリーズ :
 あれからと、これから。全てに通じる道に導かれた旅人たちが各々の行路へと戻っていくなか、去っていく男がひとり。

 付き合わないなら代わりによろしくと旅支度をビリーに押しつけて、アイシャとアーキルに並んで見送るわたしの顔はふきげんだ。

ルイクゥ・ブリーズ :
 うらぎりもの、とまなざしで非難する。
 あんなに女神女神とキモやかましかった男が自ら離れていくのが、どうしても納得いかなかった。

ルイクゥ・ブリーズ :
「あなたたちのそういうところ、きらい」

 つんけんと範囲攻撃。

ルイクゥ・ブリーズ :
 だってアイシャはアイシャだ。何を学び、何を想い、受け入れていくかは彼女次第なのに──わたしには好きにしろって言うのに──それはイヤあれはイヤと口に出して、あげく離れていくなんて!

“黄の希人”アーキル :
「巻き添えにされた分の弁明も俺がやるのか? 構いやしないが」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「想定通りの視線でけっこう
 礼など言わぬからそのつもりでよろしく頼む」

ルイクゥ・ブリーズ :
「命乞いなんて聞かないからそのつもりでよろしくお願い」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 肩をすくめる。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「嫌っていただいてもまた結構だが………」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「人生の命題は死ぬ時まで易々と終わらぬ。

 私には探し物があるのだ、と、
 貴君説明しても”イヤ”の次を言うまいな」

ルイクゥ・ブリーズ :
いいのよ ここで

ルイクゥ・ブリーズ :
アーキルのマントはぎとって地面に敷いて駄々を捏ねても

“黄の希人”アーキル :
「さらっと俺を脅迫して多数決を勝ち取ろうとは巧くなりやがったなこいつ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「構わんが………」

SYSTEM :
 心の底からどうでもよさげな一言だった。

ルイクゥ・ブリーズ :
掴む。

“黄の希人”アーキル :
「待て待て待て待て待て待て」

ルイクゥ・ブリーズ :
「だって」

ルイクゥ・ブリーズ :
「だって」カルロを指さす。

“黄の希人”アーキル :
「だっても何も…あるかもしれないが」

“黄の希人”アーキル :
「こう、と生まれたときに決めたものを、終わるまでやらなきゃいけない生き物が人間ってわけじゃない。
 前どっかで言ったろ」

“黄の希人”アーキル :
「…ところが頑固者のカルロ・フェレーリ先生は、生まれた時に生まれた感情にケリをつけないとならんのさ。
 なにしろ、いなかったか? ”これがいい”と言やぁいいのに“これでいい”でケリつけていったヤツを」

“黄の希人”アーキル :
「ここにいても、自分を納得させられなくなるってことさ。だろう」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「勝手な説明をしてくれてありがとう
 そこの娘に“貴君のせい”と聞かせておいてくれたまえ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「私の命題に責任を取ってくれるならば話は僅かばかり別だが、そうでないのなら…。
 せいぜい自分のことだけ、いや訂正、女神のことだけ考えることだ」

ルイクゥ・ブリーズ :
 アイシャがわたしに良くしてくれるのがうれしいのがアーキルで、そうでないのがカルロ。
 わたし(たち)が当面彼らに寄りかかるとなれば、命題とやらの進展は期待できないのだろう。

ルイクゥ・ブリーズ :
「がんこもの」

 そんなの知らないと、うらめしく睨む。

ルイクゥ・ブリーズ :
 徹底的に平行線だ。決めた生き方を徹底しようとする男と、好きなのに離れ離れを選ぶのはおかしいと拘泥するわたし。
 論点は始めからずれていて、足並みを揃える気はお互いになし。あとはもう、アーキルをゴリゴリと嚙み合わない歯車同士の軋轢で削るだけだ。

ルイクゥ・ブリーズ :
 きにしなかった。
 どうせだいじょうぶだから。

“黄の希人”アーキル :
 

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「ほう、すばらしい。ついに自己紹介が正しくなったな。
 女神よ、どう思う?」

“アイシャ” :
「貴方の…」

“アイシャ” :
「分かってて追い打ちをかけるところは
 どうかと思うわ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「失礼しました」

SYSTEM :
 しかしその“わかっていて意地悪しない”の訂正の2秒後。平行線を補強しだす男に撤回の気配はなかった。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「私は女神の慈しむものまで慈しまない」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「………そして彼女は人から離れることを選ばない。
 であれば、獅子の王と同じだ。同じ船に乗るには、互いに悲しもう」

SYSTEM :
 …“血色の探求”の語り草に嘘も厭もありはしなかった。彼のこの発想自体は事実だ。

 個人に寄り添った、人の歴史から生まれたもの。
 その選択自体を拒みはしなかったが、その選択を己がとることは決してない。
 それ自体が偽らざる本音だから、その薄皮一枚の先にある余分を彼は何の意味もなく覆った。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「狼の亡骸から取り戻した命だ。
 せいぜい苦しんで使い切るがいい」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「ろくに進歩はなかったが、ごくまれに思い出すこともある。
 なればその時まで、同じことを続けるだけだよ」

“アイシャ” :
「いいのね? 貴方は…」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「良いですとも。
 望みと違えど、あなたの成長そのものは十分に意味があった」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「そのあなたにはローマを愛する理由と、報いを望む相手を選ぶ権利がありましょう。誰よりもね」

SYSTEM :
 ”マグナ・マーテル”の…。
 アイシャの眉が少し下がる。

 彼の言葉を手探りで飲み込み納得しようとしているようにも見えたし。
 幾度か”フッ”た彼の言葉に、これまでも思うところがあったようにも思えた。

ルイクゥ・ブリーズ :
 眉を下げたアイシャとは対照に、むっとつり上げて考える。
 互いを重んじればこその選択ではあるのが、いっそう腹立たしい。

ルイクゥ・ブリーズ :
「……でも、でも、急だと思う。ローマあわただしい、あなたいそがしい。いえー」

ルイクゥ・ブリーズ :
なにかないかと空中を捏ねる手。

ルイクゥ・ブリーズ :
「全治三か月……」

ルイクゥ・ブリーズ :
これではないか?

ルイクゥ・ブリーズ :
ひらめきだった。どうか?

ルイクゥ・ブリーズ :
出発を遅らせるたったひとつのソリューション!

“黄の希人”アーキル :
「三か月でローテ組む気か瑞珂」

ルイクゥ・ブリーズ :
「火傷と骨折と打撲と爆発でローテすれば一年!」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「棍棒を持って野山を駆ける時代の人間になりたくなくば、今すぐ言われる前に閃きの問題点を悟りたまえよ 貴君」

“アイシャ” :
「………瑞珂」

“アイシャ” :
「きもちはうれしいけど
 善意の乱暴は だめよ」

 かなり言葉を選んでいた。

ルイクゥ・ブリーズ :
だめだった……

ルイクゥ・ブリーズ :
「事故は……?」

ルイクゥ・ブリーズ :
不慮の……

ルイクゥ・ブリーズ :
やむにやまれないようなかんじの……

“黄の希人”アーキル :
「まず暴力から離れないか?」

ルイクゥ・ブリーズ :
「話し合いのフェーズは通過したもの」

ルイクゥ・ブリーズ :
もう力技で(出発の予定を)押し流すしか

“黄の希人”アーキル :
「ガードを下げれば分かり合えるってか
 これは分かり合うんじゃない“わからせる”なんだぞ瑞珂」

SYSTEM :
 その押し流しの悪用には、
 何処かから抗議の意思が見える…

ルイクゥ・ブリーズ :
あの? みたいな突っつきを肩に感じたけど知らんぷり。

ルイクゥ・ブリーズ :
「じゃあ……」

ルイクゥ・ブリーズ :
「次の行き先は?」

ルイクゥ・ブリーズ :
あと航空券を入れているポケットの位置……

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「惜しい 30点」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「単位認定ならずだ
 またのお越しをお待ちしています」

ルイクゥ・ブリーズ :
「変革を告ぐ翠風を使います!」

ルイクゥ・ブリーズ :
12点増やして単位取得です!

“黄の希人”アーキル :
不正行為じゃねえかよ

ルイクゥ・ブリーズ :
持ち込み可能だからいいの

“黄の希人”アーキル :
見なさいよ試験官の顔を

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
判定X

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「………で、もういいかね?
 同じ言葉を繰り返すのも本意ではない」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「ましてや貴君が明日の責任を押し付ける相手は私ではない。
 履き違えんことだ。地を這わず、忘れ去らず、そのような半端など、同じ半端でなければピースは繋がらん」

ルイクゥ・ブリーズ :
「べつにわたしだって」

 あなたに何かを求めてるわけじゃないし。ちがうし。

ルイクゥ・ブリーズ :
「でもあなたが離れていくのはなにか、こう」

 むかつく……? 理由にはいくらかの不満があるけど、ちょっと違う。
 いやかと言われると、それほどでも。じゃあ……?

ルイクゥ・ブリーズ :
「さみ……しい……?」

 一番それっぽい答えがよりにもよって「そう」なことに、びびびと落ちる電撃。まっさおにとりはだ。

ルイクゥ・ブリーズ :
 昨日まで居た人の、今日からの不在に対する、ごく自然な反応だ。
 べつに彼に限らないから、わたしは誰を見送るにも引き延ばしに引き延ばしを重ねていて、でも、でも、うわぁ。

ルイクゥ・ブリーズ :
 はよいけ
「GO AWAY」

SYSTEM :
 至極当然の、”ある”ものが”ない”になる反応。
 短い間とて常であった、我が道を行く男の言葉の喪失に。あなたが得たものは寂寥だった。

 おそらく否定したいだろうし、厳密にはそうでないかもしれないが。
 少なくとも、その人間嫌いはあなたとの対話をあしらえども、同じ過渡期の者に興味を持とうとしないのが事実でも。
 拒否することも、悪意を持って触れることもなかったことは、何に対してもぬぐいようのない事実だ。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「ハッ」

SYSTEM :
 男はそれを必要最小限の力で受け流した。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「早く行くともさ。
 二度と会うかも定かではないが、精々早く安らがぬようにすることだ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
   サ ル
「こと過渡期ほど…。
 余分にこそ悩むものだからな」

SYSTEM :
 もはや返答も聞かぬ帰路の最後に、
 あなたが罵声をブチ撒けるか、
 中指でカウントダウンをするかの瀬戸際。
 それよりも早く。

“アイシャ” :
「──────貴方の」

“アイシャ” :
「貴方の探求に納得がありますように。
 カルロ・フェレーリ。ローマの、わるい人」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「───無論ですとも。
 息災で、我が女神。そして愚か者たち」

SYSTEM :
 もっとも度し難くも、裏表のない。
 人間嫌いの、未来に誠実な探究者。
 彼は彼のためだけに、これから別れゆく夢へ最後の最後で“ありきたり”な言葉を告げた。

 薄皮一枚の理由を誰よりも悟っていた”同業”は。
 そいつだけは背中を見送りきるまで、肩をすくめ、あきれたようにしていたけど。

“黄の希人”アーキル :
「仮に野垂れ死んでもあの調子だろうな…。
 ………ったく」

“黄の希人”アーキル :
「聞こえちゃいないだろうが…。
 迷惑の分以上には手を貸してもらったよ。カルロ・フェレーリ」

ルイクゥ・ブリーズ :
「わたしあのひときらい」

 いじけた顔でふてくされる。

ルイクゥ・ブリーズ :
 きらいだけど、世話にはなった。
 彼のしてくれたことの大半はアイシャの意向に過ぎないけど、わたしだって復讐のためだったし。それに。

ルイクゥ・ブリーズ :
 苦しんで生きろと。
 どうでもよさそうに繰り返された言葉は……
                     サルども
 地べたで何度も転がって、足掻くしかない愚かな生き物への、確かな激励だったと思うのだ。

ルイクゥ・ブリーズ :
「ばいばい、カルロ」

 去っていく背中にちいさく手を振る。

ルイクゥ・ブリーズ :
 見送りは、それでおしまい。もうほしい言葉をもらった彼には、どんなさよならも見劣りしてならないだろうから。アホめ。

SYSTEM :
 それは恐らく余分に許せる最大限の誠意だったのだろう。あなたにとっては。

 その別れが、“これまで”が“これから”に行くにあたって、最初の相手。
 あるいは練習だったのかもしれない。

“アイシャ” :
「…よくはないけれど」

“アイシャ” :
「ひとは、出会えば別れるのね。
 なら、次は出会いも、あるでしょう」

“黄の希人”アーキル :
「…かもな。再びか、新しいのか。そのとき次第だが。
 暫く火の車になりそうだしな、羅馬の外を覗けるころにはどうなっているやら」

SYSTEM :
 …なお。明らかな怨恨の矛先があったことを彼は知っている。
 知っていて、最初に言い出したのはほかでもないカルロだった。

 それが薄皮一枚の余談だ。
 それは殊勝さとは全く違ったけれど。

SYSTEM :
 ………閑話休題。

 先も繰り返したが、あなたには、“これまで”のうち、整理をつけるものが残っている。
 しかもひとつは、ローマでつけるものではないやつだった。

 ここにいない、見送りには来なかった男に任せた旅支度はそのためだ。

“アイシャ” :
「…アーキル」

“黄の希人”アーキル :
「“ついていけないかしら”って言いたげな顔するんじゃありません おまえの身体は一つだぞ」

“アイシャ” :
「ローマの留守は大変だもの
 わかっているわ うん………」

SYSTEM :
 その女神は”離れないで”を、あなた(または“曹長殿”)を発端にしたこととはいえ一時的に反故にすることに、ちょっとだけ気を揉んでいる様子であった。

ルイクゥ・ブリーズ :
 スカートの前を掴んでもじもじと俯く。
 アイシャが約束を大事にしてくれるのが、嬉しいのと同じくらい照れくさかった。頸筋からじわっと熱がのぼる感覚。

ルイクゥ・ブリーズ :
 ……合衆国に戻る。

 三年前にできなかった、弔いを果たしに……空の墓前へ。

ルイクゥ・ブリーズ :
「……怖いわ。ついてきてほしいくらい」

 正直、不安はあった。今も。
 でもそれを提案したのが祖国に裏切られたひとだったから、わたしは躊躇いがちに頷いた。

ルイクゥ・ブリーズ :
「いやなわけじゃ、ないのよ」

 いつかは必要なことだった。
 その『いつか』があまりに近く、早すぎて、気持ちの整理が間に合っていないだけで。

ルイクゥ・ブリーズ :
 こっち
「ローマのことも、ちょっとは心配」

 やっぱり行かせるべきではなかったのではないか、あの頭数無限男。

SYSTEM :
 提案をしてきたのはあなたではない。
 他でもない、神の意志に背いた毒蠍。

 おそらくその空の墓前に二階級特進した自分の名前が書かれている方の男だ。
 なんと言って…あなたにその“これから”を示したのかは。敢えて記さないが。

SYSTEM :
 だが、いつかは必要なことだった。

 特に。手袋を拾わせ、生きて帰ってきた後のことを思えば。

“アイシャ” :
「治さないわけにはいかない。のね。
 ええ。………」

“アイシャ” :
「………アーキル」

“黄の希人”アーキル :
「俺も分身できません」

“黄の希人”アーキル :
「…ローマのことは心配いらんさ。
 これから暫くは火種がなくもないが、一発で燃え広がりゃしない。主に、今はまだいる二人のおかげでな」

“黄の希人”アーキル :
「ついていく栄誉をせっかく“グレイ・スコーピオ”が独り占めするんだ。余分は一緒に背負ってもらえ、と言いたいところだが…。
 ま、これだけは言っとこう」

“黄の希人”アーキル :
「心配せずとも、行っている間に回してもらう風車は離れやしないし…。
 気持ちの整理をするときなんて、早かろうが遅かろうが億劫がどっかにあるもんでな。気にせず吹き飛ばしちまえ」

ルイクゥ・ブリーズ :
 今はまだいる二人のうち一人のほうが、えへんと胸を張ります。えへん。

ルイクゥ・ブリーズ :
「かんたんに言うんだから」

 これが案外、嵐と旋風の違いなのかもしれない。彼は彼で風の人なのだと、改めて思い知る。

「でも悪くないわ」

ルイクゥ・ブリーズ :
 もしかしたら、今の言葉がほんとうに必要なのは言い出しっぺのほうかもしれないけれど。

 だから、ふたりで行くことを選んだんだろう。わたしたちは。

ルイクゥ・ブリーズ :
 アイシャに近寄って、そっと耳打ち。
 「ちょっと待ってて」と。
 いってらっしゃいと送り出してほしくて、でも、それは最後に取っておきたかったから。

ルイクゥ・ブリーズ :
 ちょっと離れた位置にアーキルを連行。ぐいぐい。

SYSTEM :
 耳打ちされたほうは緩やかに首を傾げたが、首を傾げるよりも早く連行されるアーキルの姿にさらに傾きの角度が上がっていた。

“黄の希人”アーキル :
「なんだなんだ、どうした。
 理由のないマントへの暴行はお控え願い…」

“黄の希人”アーキル :
「たいが、そういう感じでもないな」

ルイクゥ・ブリーズ :
「うん。あのね」

ルイクゥ・ブリーズ :
「わたし、あなたたちの野望に協力したい。そう思ってるのは本当。信じてくれる?」

 ちょっとだけ、どきどきした。緊張で。ないけど。心臓。

“黄の希人”アーキル :
「冥利に尽きるね」 

SYSTEM :
 それはあなたが、最初の邂逅のあと。
 “黒鉄の狼”の一度目の交戦のあと。
 あなたたちに味方してもいい、と。

 口にした一秒後の後悔を分かっていてした言葉の焼き直しだ。彼なりの前置き。

“黄の希人”アーキル :
「普段向けの言葉は、まあ。そうだな、今は使わんでおこうか。
 あの日に”高くつく”って言って、今日の前に狼の息の根を止めたおまえが、長く同じ方を向くことを信じているよ」

“黄の希人”アーキル :
「なにしろ俺は、俺の覚えておきたい言葉はそうそう忘れないほうなんでね」

ルイクゥ・ブリーズ :
 ぱちくりと目を開く。見透かされたのかと思っ

ルイクゥ・ブリーズ :
 ……ちょっとあるかもしれない。けげんな顔を寄せたり遠ざけたりする。

ルイクゥ・ブリーズ :
「じゃあ、これも……。覚えておきたい言葉であることを願うわ」

ルイクゥ・ブリーズ :
 すこし迷ってから彼の手袋に触れる。このあと払われるのがこわくて、重ねるだけにした。

ルイクゥ・ブリーズ :
「あなたの野望がいつか壁に衝突して……風が滞ったとき」

ルイクゥ・ブリーズ :
 わたし
「 嵐 を解き放って」

ルイクゥ・ブリーズ :
「壁を壊してあげる。あなたの望むかたちでは、きっとないけれど。通り道は作ってあげられる……」

ルイクゥ・ブリーズ :
「でも、でもね……」

ルイクゥ・ブリーズ :
「あなたの野望にまだ1%でも可能性のあるうちは……嵐が望まれない、そのあいだは……。わたし、留まっているから」

ルイクゥ・ブリーズ :
 名残のために、地を這うような生き方はできない。
 風が留まることを選べたのは、かつて風除けのあった場所でだけ……。

 ・・・
 だから、これは順序が逆なのだ。

ルイクゥ・ブリーズ :
 いつか嵐が解き放たれる日を夢見て、風は留まる。
 アーキルとアイシャの野望が続くかぎり、嵐の夜は訪れない。

ルイクゥ・ブリーズ :
「だから、お願い……」

 ──わたしに言い訳を与えて。

 野望の共有者には、なれないから……
 野望の背反者として。

ルイクゥ・ブリーズ :
 YES
「いいよと言って……」

 ──留まっていられる理由を作って。

SYSTEM :
 その拙い言葉選びが、
 今日までに対する最大の誠意などという殊勝さではなく。
     ロイス
 自分の中に楔を作ると誤魔化す、嘆願にも似た儀式であること。
 よもや壁と相対し続ける人間に分からぬはずはなかった。

SYSTEM :
 くすぶる火を置いていった後の嵐は、どこにでも行けるはず。
 行けてしまい、“なぜか”の安全装置もない。彼女にはそれが出来るのだ。

 となれば、それは留まるという約束ではない。
 “それまでは”留まるという期限の話。もしかしたら、という淡い希望の糸をなぞり続けて、我慢できるという約束。

 はじめの家はそうではなかったから。どこまでも代わりにはならないが。
 それは、彼女が彼女の中で、もう一度微風の名残を、到達点の先に持ってこようとした証。順序が逆でも、あなたの考えた”おしまい”の先の話…。

“黄の希人”アーキル :
「………」

SYSTEM :

 アーキルは努めてアイシャのほうを見なかった。
 わざわざ距離を取らせた理由のほうを。見ないで、あなたの言葉がいったん止まるまで待っていた。

“黄の希人”アーキル :
「俺は神様じゃないから、明日のことなんて想像もつかないが………そうだな…」

“黄の希人”アーキル :
「例えば…だが」

“黄の希人”アーキル :
「俺にはこれから猶のこと、解いて行く気のあるしがらみがいくつもあるわけだが…。
 そのどれかが滅茶苦茶に絡まって、取り返しがつかなくなったり…」

“黄の希人”アーキル :
「ローマに思い入れなんてかけらもなさそうに帰ったのが、気が変わって腹いせで乗り込んできたり…」

“黄の希人”アーキル :
「あるいは…想像もつかない”滅茶苦茶”が起きたとしよう」

“黄の希人”アーキル :
「全てが滅茶苦茶になって、乱暴になってもいいともっぺん思ったら…」

SYSTEM :
 曰く。

 毎日、1%ずつ減っていく可能性が、
 二度と「0%」から変わらなくなったなら。

“黄の希人”アーキル :
   YES
「…いいよ、だな。そうするか。
 風車を回す程度じゃ済むまいが、
 あたり一面荒野の黄燎にしてもらおう」

“黄の希人”アーキル :
「ああ、ただな…」

“黄の希人”アーキル :
.おしまい
「その時は、精一杯やってくれ。派手に、誰かに、誰もに見えるようにだ。
 おまえにとっては始まりだが、俺にとっては後の祭りにもなる。宴は盛大にやりたいもんでね」 

“黄の希人”アーキル :
「そうならんことと、そうなることを…。
 ユメ
 幻想の折り合いのつけ方を、残りの一生でやっていくよ。ひとつもふたつも変わらんしな」

SYSTEM :
 あなたたちの来た道では一切やらなかった”もしも”は失われたわけでもなく。
 だから彼は、口元を緩ませて、決して“彼”のものではない重ねた手袋越しに手を握った。
 
 概ねそうはならないが、
 そうなった時のことを一生忘れない、だ。

SYSTEM :
 男のいうしがらみが恐らく“元鞘”なことも。
 女神と呼んだ娘を生んだ人の祈りが、彼の捧ぐものを旋風に留めたことも。
 その態度が、留まり下手の娘への、先人としての友愛であることも。

 まあ、口にすることはおそらくない。

ルイクゥ・ブリーズ :
「……!」

 手が握り返される。間違えようのない確かさで。
 安堵でほどけた緊張が、喜びとなって心臓のない胸を踊らせた。

ルイクゥ・ブリーズ :
 アイシャには言えない。ビリーにも聞かせられない。
 あるかもしれない『いつか』の共犯者の、一度きりの約束だ。

 たった一度きり。でも一生忘れない。

ルイクゥ・ブリーズ :
「もちろん! とびきり派手に、誰にも届くようにね。
 庭師さんが飛んできて、王様が叩き起こされちゃうくらい、思いっきり!」

 そうなるように、そして、なりませんように。

SYSTEM :
 その時のあなたの笑顔は、今に似て、限りなく異なる花のような彩りになるだろうけど。

 その時まで、異郷の空に風が渦を巻いて待っている。どこまでもゆける、自由の颶風が。

“黄の希人”アーキル :
「…よし! 決まりだ。
 だが、それはそれとして」 

“黄の希人”アーキル :
「それまでもやっていくとしよう。
 よろしく。瑞珂」

“黄の希人”アーキル :
「それとも、そうじゃない呼び方のほうがいいかもだが。
 そっちは、一番呼ぶべきやつが呼ぶまで、取っておくとするさ」

ルイクゥ・ブリーズ :
「ええ、よろしく。アーキル」

 握り返して、せっかくだから軽く振る。
 初めての握手が出発と約束の日なのは、うん、悪くない縁起だと思う。

ルイクゥ・ブリーズ :
「アハ! いつになるかしらね」

 ガキとかオイとか、往生際がわるいのだ。

ルイクゥ・ブリーズ :
「ね……」

ルイクゥ・ブリーズ :
「アメリカに戻るの、ほんとに怖いんだから。自分が何を感じて、どう思うのか、見当もつかなくて……」

ルイクゥ・ブリーズ :
「足がすくんで、動けなくなっちゃうかも」

ルイクゥ・ブリーズ :
       ・・
「そのときは……また迎えにきてね」

 今度はたぶん、命懸けの必要はないと思うけど。

“黄の希人”アーキル :
「いいともさ。悪態の度合いも落としてやろう。
 海向こうでも、合衆国は数えるほどにも足を運んだことがない」

SYSTEM :
 だが足の軽いのが俺の立場の幸いなところでな、と嘯いてみせるのが先だ。
 昨日までの理由を確かめるその足。留まることの余分を先に知っていたものの言葉を、彼は知っているが、わかりきっているわけでもない。

“黄の希人”アーキル :
「困るのは初めから分かってることだ。きれいな解決がないことも。
 ただ………」

“黄の希人”アーキル :
「お出迎えが悪くなることはないさ。たぶんな」

SYSTEM :
 だから足が竦むのかもしれないがね、と半笑い。約束を最初に口にしたのは、其方こそは確約できることだからだ。

ルイクゥ・ブリーズ :
「そうよ、だから困ってるし先延ばしにするつもりだったのよ。まったく伍長殿ってば」

ルイクゥ・ブリーズ :
 それにしても、と下から顔を覗く。

ルイクゥ・ブリーズ :
「可笑しなひと。わたし、あなたの権謀術数を見たことがあったかしら」

ルイクゥ・ブリーズ :
「お願いを聞いてもらってばかりね」

 たくさんのお返しをしたいけど、彼にとってはわたしが無自覚にもたらすものにこそ意味があるのだろう。

ルイクゥ・ブリーズ :
「ずっとありがとう、アーキル。
 だいすきは言い過ぎだけど、すきよ。あなたのこと」

 頬にキスしようと爪先立ちして、やっぱりやめた。身を翻して、アイシャのもとへぱたぱたと駆け戻っていく。

SYSTEM :
 ローマの争いのさなか。
 あなたが、何れここを去る庭師からの餞別をまとって、はじめて口にした“ありがとう”。

 ぱたぱたと走る、年不相応と相応の混じる姿を、男は苦笑いして見守った。

“黄の希人”アーキル :
「見せなかっただけかも知れないのにな。まったく」

“黄の希人”アーキル :
 …ほんの少しだけだが。見守る気持ちがわかったよ、先人殿。

SYSTEM :
 権謀術数と疑心暗鬼の男のぼやきは、
 誰に聞こえるでもない。

 いや、ひょっとするとその娘を風の子だと知りながら“ぼやいた”形にしたのが具体例だったのかもしれないが。

“アイシャ” :
「…何の話だったの?」

ルイクゥ・ブリーズ :
「ないけどある話!」

“アイシャ” :
「ないけどある」

“アイシャ” :
「………よかった話?」

ルイクゥ・ブリーズ :
「よくないけど、よくなる話」

“アイシャ” :
「そう。気の長い…話をしたのね」

“アイシャ” :
「…今日のことも。”よくなる”の一環だと願うわ。
 だから、“おかえりなさい”、言わせてね」

ルイクゥ・ブリーズ :
「……そうだといいな」

 ごく自然に、明日の約束をして。未来への展望を口にする。
 夢にも思わなかったゴールの向こう側が続いていくとして。その道しるべはきっと彼女だ。

ルイクゥ・ブリーズ :
「きっと言うわ。言いたいの……」

ルイクゥ・ブリーズ :
 あのね、あのね、とくりかえす。言い出すのが照れくさくて、でも聞いてほしくて。

ルイクゥ・ブリーズ :
「送り出してくれる?」

ルイクゥ・ブリーズ :
 あなた
「羅馬を離れるわたしが、また戻ってこられるように」

“アイシャ” :
「ええ」

SYSTEM :
 どうやら遠目で、先ほどの仕草“は”見ていたらしい。
 私も、とばかりにあなたの手に自分の手を重ねて。人の形を持つ、人でないものがはにかんだ。こうなるまでにずいぶん時間のかかった命だ。

“アイシャ” :
「いってらっしゃい。ルイクゥ」

SYSTEM :
 そ と
 余所者の子ではない呼び名。
 フルネームではないので、たぶん抜け駆けではなかった。

ルイクゥ・ブリーズ :
 重なる手と手。触れる生命を慈しむ手指が、これからも風のわたしたちを撫でてくれるようにと願う。

ルイクゥ・ブリーズ :
「いってきます、アイシャ」

SYSTEM :
 …最後まで、あなたは神話の子の名ではなく、はじめて出会ったほうの名を呼んだから。
 重ねた手を離したあとも、背中を振り返れば、にこやかに振り返された手が見えたのだろう。

SYSTEM :
 翠色の風が頬を撫でた。

 帰路を懐いてゆく出立は、あなたの“これから”に対する、ほんの僅かな寄り道だった。
 しかし、決して。誰に指示されておらずとも、やらねばならないことだったのだろう。

SYSTEM :
 ………それは………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

 ………3年と半年以上は前に一度潜ったきりの空港と、とんだきりの飛行機。
 風変わりなアメリカ旅行の目的地は、ワシントンD.Cから車を走らせ一時間余りの場所。

SYSTEM :

 日が沈み始めるすこし前。
 曰く、アーリントン集合墓地……
   パトリオット
 多くの愛 国 者が眠る地だった。

SYSTEM :
 ………立ち並ぶ墓石の数をあなたは数えたことはないが。
 あなたを連れていった、自称“蠍”のくすんだ手が、増えた墓石の先へ、淀みなくあなたを連れて行ってくれた。

 はじめ、提案した男がそもそもそいつだった。

SYSTEM :

     アレックス・ブリーズ 
       Alex Breeze

SYSTEM :

      アラン・ハーシェル
       Alan Herschel 

SYSTEM :

       ジョッシュ・タイナー
         Josh Tiner 

SYSTEM :

       パトリシア・ハント
        Patricia Hunte 

SYSTEM :

      クラーク・アッカーソン
        Clark Ackerson

SYSTEM :

       ビリー・ウォーカー
         Billy Walker

SYSTEM :


            ...R.I.P

『   』 :

「………名誉の二階級特進というわけだ」

『   』 :

「…墓の下にゃ何も埋まっちゃいない。
 だが………見てみろ」

SYSTEM :
 すべてを終えたあとにつけるとした、最後の清算が。そこにあった。
 墓石の下には何もなくとも、そう古くはない献花が六人分に供えられている。

 …呆れ気味に零した言葉の持ち主の名前もそこにあった。呼ばれても、名乗ることは(おそらくは)二度とないと思っている名前だ。

『   』 :

「3年な。見てなかった。
 見ちまえば…」

『   』 :

「認めることになる…」

SYSTEM :

 …もちろん、墓の下から言葉が返ることはない。
 男たちは己が為したツケも支払えず、その動乱の人生を終えていたからだ。

 だから。それでも。残してきたものにとって、真に彼の人生を終わらせるには、ここしかなかったのだろう。

ルイクゥ・ブリーズ :
 白い墓標に埋めつくされた、戦死者たちの寝所。
 迷路みたいに果ても途方もないように映るのに、ビリーの歩みは慣れた風だった。

ルイクゥ・ブリーズ :
 手を繋いで、ぴったりとビリーの真横に着いて歩く。
 ……可笑しな話だ。昔はアレックスを挟んで言い合ってばかりだったのに。

ルイクゥ・ブリーズ :
 身を寄せ合っても、一人分の空隙は埋まらない。
 でも不在を痛感しながら迎えた明日で、わたしたちは一人じゃなかった。

 ……だから、ここに来れた。

ルイクゥ・ブリーズ :
 ひとつひとつ、みんなの名前を指先でなぞっていく。アラン。ジョッシュ。パティ。クラーク。そして……

ルイクゥ・ブリーズ :
「…… ……」

  かたくなに死をうそぶく頑固者の名と、

ルイクゥ・ブリーズ :
「アレックス」

    ほんとう
 わたしに一番目のお家をくれたひとの名。

ルイクゥ・ブリーズ :
 膝を折って、白い墓標にしなだれかかる。
 つめたい石にわたしの体温が移ってじわりと温んでいくのに、ひどく寒々しい。

ルイクゥ・ブリーズ :
 捧げられた花の瑞々しさが、彼らの死が忘れ去られた名残でないと教えてくれているようで、それだけが救いだった。

ルイクゥ・ブリーズ :
「わからないよ、ビリー」

ルイクゥ・ブリーズ :
「こんな……ただの、石ころなのに。見たって、何も変わらないよ」

ルイクゥ・ブリーズ :
「なのに、なんで……どうして」

ルイクゥ・ブリーズ :
「こんなに……寂しいの」

SYSTEM :
 縁起の悪さから、あなたをここに連れてきたことは誰もない。
 仮に誰かが行くときがあったとしても。
 常にあなたの元には誰かがいて、何事もなかったように、弔いは終わっていた。

 だから、墓石の冷たさを感じるのはきっと初めてだ。知ろうとしたこともないだろう。
 あなたにとって、悼むための死は、それが最初のはずだからだ。

SYSTEM :
 …そして、そこに来る間の口数もそう多くはなかった。
 大抵はあちらへこちらへと歩くあなたを咎めるのが言い合いの始まりで。
 真ん中のアレックスは───見えないはずなのに───基本的に困った顔をしながら二人を宥めていた。

『   』 :
「…止せ、行儀の悪い」

『   』 :
「放蕩娘を嘆いて、死者が、目を覚ますぞ」

SYSTEM :

 例えばこういう台詞が発端だ。
 …ただ、そんなことも、もうない。

SYSTEM :
 そして、そんなことで目を覚ますなら、このくたびれた老兵も、
 最早一切の遠慮なく墓石に飛び乗ったのだろうけど。そんなことはない。
 そんなことはないから、彼は、そのまだ時間の経ってはいない墓たちに。いつまでも辛気臭い顔立ちで、しゃがみ込んで花を添えた。

『   』 :
「見たら、認めなきゃいけなくなる」

『   』 :
「だが見なきゃ………。
 思い出してやることも、伝えることも、できなくなる」

『   』 :
「…あの日…。
 おまえたちと共に行けば、墓の数は6つ…」

『   』 :
「いや…7つは減ったのかもしれねェ…。
 …だが、そんな後悔と同じくらい、することがある」

『   』 :
 ・・・
「おまえを…。
 この馬鹿どもに、見せなきゃならん」

ルイクゥ・ブリーズ :
 ぶんぶんとかぶりを振って、物言わぬ墓から離れない。雨汚れも芝生の土も、弔いの傍にあればこそ、わたしには汚れではないから。

ルイクゥ・ブリーズ :
 死者の墓前で、わたしたちはどうしようもなく生者だった。
 絵空事を、辛気臭い顔のままでも冗談にできる……するしかない。

 ……だから怖かった。こうなってしまうのが。見て、認めなくてはいけないことが。

ルイクゥ・ブリーズ :
「ビリー……」

 後悔は限りない。わたしが合衆国を離れなければと思ったように、彼はあのとき発っていたらと悔やんだ。

 たとえ、それが……
      いま
 辿り着いた明日だから言える、
 かこ
 昨日のわたしたちには選びようのない道だとしても。

ルイクゥ・ブリーズ :
 ぱ、と面をあげる。ひどいと思った。いまので余計に気持ちはめちゃくちゃで、もう、どうしたらいいか分からない。

ルイクゥ・ブリーズ :
「がっかりしないかな」

ルイクゥ・ブリーズ :
「みんなの仇を討ったよって、わたし頑張ったんだよって、わたし、それしか言えない……」

SYSTEM :
 呆れたように肩を竦める死に損ないが、無くしたものから離れることのない生き残りを見ている。

 墓の下には何もないが、そこに“在る”ことが死者の証だ。
 ただの石なのに。野晒しの汚れと同じくらい、振り返った先の思い出をまとっている。

『   』 :
「笑わせるな…散々手前の家で好き放題した我儘が、今更気にするクチか」

『   』 :
「…酒の席で、いつの間にか。
 酒癖の悪いクラークの爺も、ましてやアランの野郎まで、ガキこさえたみたいに手前の話をした。
 だから、ああ、どんな話でも聞くんだろう。肩は落とす。泣きもするかもな」

『   』 :
「だが………」

SYSTEM :
 墓石のひとつ。あなたがもたれ掛かる方。いちばんなじみのある名前。

 弔花のまとった白は、彼らのどれかが(どういう形かはともかく)一度は願ったものに似て。あなたの装束は、それとは正反対だけど。

『   』 :
「外側だけでもレディ気取ったおまえのことを。
 最初に見てよかった、聞いてよかったのは“おまえ”なんだと、悔しがらせにゃ…。貸しがなくならんのだ」

『   』 :
「今頃咽び泣いてる。泣かせるだけ泣かせろ。
 別に忘れんでもいい…ケリ付けるなんて、こんなことでいい」

SYSTEM :
 男が貸しをそれで“なくす”気には到底見えなかった。
 ほぼ方便だ。彼が昨日を生きるまま、昨日のことだとそれを認めなくてはいけない理由があるとすれば、あなたが振り絞った勇気の理由に遠くて近いものなのだと、口にすらしない。

 ………だが、ああ。言われてしまえば、どうだろう?

SYSTEM :
 庭師の餞別をすっかりわが物にしたあなたの姿、3年越しに“やり返し”たあなたの言葉。彼らが見て、聞いたら、なんて言うだろう。
 たぶん、どんなにひどくても、最後は仕方がない、とか、そういうので済ませてくれるはずだ。一番甘くなかった男がこのザマなのだから。

ルイクゥ・ブリーズ :
 だって、と口ごもる。
 良い子じゃいられなかったわたしに、いまさら落ちる株なんてないけれど。

ルイクゥ・ブリーズ :
「なにそれ……」

 つい笑ってしまう。貸しは高くつくぞと悪態をつくくせ、返済を迫ったことはなかった男の、墓前の取り立て。
 この先も帳消しになることなんてない貸しを、きっと数え続ける。

ルイクゥ・ブリーズ :
「アランはおおげさに褒めてくれて、クラークは言い回しが古臭いの。ジョッシュは絵を描いてくれるのかな。パティならお化粧を教えてくれて……」

ルイクゥ・ブリーズ :
「可笑しなアレックスは、前なんて見えそうにないくらい泣くのよね」

ルイクゥ・ブリーズ :
 ……復讐のために自他を犠牲にしたわたしを、みんなはきっと良くは思わない。誰も望まないなんて、最初から分かっていた道だった。

ルイクゥ・ブリーズ :
 でも、どんなにわたしが悪くても、見放されなかった。だから、わたしは今もここにいる。手探りでも危うくても、留まるかたちを選んで。

ルイクゥ・ブリーズ :
「ふしぎね」

ルイクゥ・ブリーズ :
「復讐を遂げたとき、これで終わってしまうんだと思った」

ルイクゥ・ブリーズ :
「いまも、似た気持ち……」

ルイクゥ・ブリーズ :
「終わらせるためにやったのにね」

SYSTEM :
 ずっと昔から綺麗だった、もしくは。
 いまが一番幸せかもしれない、だ。
 
 前なんて見えそうにないくらい泣く男の言うだろうせりふを、もと軍人が諳んじて、あなたの想像に答えた。

SYSTEM :
 やつはデリカシーがない、着飾っても前者が有り得る…だの。
 女の口説き文句では一番デリカシーがないといわれてきた当事者から、墓下への風評被害を聞くような明日など、はじめは想像もしていまい。

 望まれない道だと知っていたからだ。見放されないと信じることが出来ていても。
 だが、それでも…。

『   』 :
「本当に終わらせるなら、か…」

『   』 :
「…終わらせるためにやったのに、いざってなると、半端が出ちまう。
 やり残しなんてこれ以上ないくらい、片づけてもだ」

『   』 :
「アルバムに…ページが増えなくても。
 振り返ることができちまうから、かもなァ…」

『   』 :
「………だが、まあ、そうだ。
 もう、簡単にゃ終わらんぞ」

『   』 :
「ここの石の下に、おまえが、ほんとの意味で会うことはない…。
 会う“かもしれない”のだって、ここまで来ちまえば、ずっと後だ」

『   』 :
「勿論そいつは終わったが………。
 終わらせた後の続きが来るようなのを、おまえはやっちまったのだろう。
 ちゃんと伝えておけ。それが…」

SYSTEM :
 それが。

 あの日のマイナスのすべてを清算して、自由に。
 ゼロ
 始点に還ったものの礼儀だ。
 どれほど死にたくても、到達点で終わりのお伽噺を望んでも。たとえ、振り返ることだけはいつでも許されるとしても。
 何かを成し遂げ、炎を置いて行ったあと、それが現実なのだと…。

ルイクゥ・ブリーズ :
 アルバムのページは増えない。返されない貸しを増やしても、もういない人の手を感じても。
 でも形に思いは残る。振り返ればいつでも思い出が微笑んでくれる。
 背を向けきって、なかったことにしないかぎり……。

ルイクゥ・ブリーズ :
「……終わりは、最後じゃない。次の始まりがあるだけ。やさしくて、残酷」

ルイクゥ・ブリーズ :
 ここから先はゴールの向こうだ。
 いつかこの判断を憎む日が来るのかもしれない。
 終わらせ方を間違ったと悔やんで、
 あのとき死んでおけばと銃口に口づける日が。

ルイクゥ・ブリーズ :
 でも、どうだろう?

 死にたいと涙したわたしたちが、
 死ねなかったねとふたりで笑っている。

ルイクゥ・ブリーズ :
 終わらせた後の続きの始まりにしては縁起は悪いし、辛気臭いけれど。
 墓石に縋りつく体の寂しさは、少しだけましになっていた。

ルイクゥ・ブリーズ :
「どこから話そうかな」

 濡れた頬をぬぐって、ふらつく足で立ち上がる。

「いろんなことがあったの。聞いてほしい話はたくさんあって、聞かれたくない話はもっと」

ルイクゥ・ブリーズ :
「でも安心してね」

 白い墓碑は泣きそうになるくらい無口だけれど、こらえて笑顔をつくる。見せたい表情はそれだったから。

ルイクゥ・ブリーズ :
 その場でくるりとターンして、スカートを翻す。
 憎悪の火を燃やしつくして灰から蘇ったわたしの、きれいにしてもらった姿。

ルイクゥ・ブリーズ :
「悲しい結末じゃないって、約束するから」

SYSTEM :
 大人になったあなたの、無邪気な笑顔。
 ずっと昔に止まって、動いて、を繰り返した時計の針の音といっしょに。
 涙ぐんだ声が長く綴る言葉の始まりは、結末はきっと朝につながるのだ、という約束からだった。

SYSTEM :
 ………もちろん。そこに奇跡はない。
 聖夜の奇跡は一度きりだから、墓下から、誰かが蘇るなんてこともない。

SYSTEM :
 だが。奇跡と歩んだ先の断崖を超えて、なおも羽搏き、囀る鳥の姿を。
 物言わぬ白い墓石は、まるで揃って見入っているみたいに見えた。

SYSTEM :
 ………新しい花を。まだ、そう時間の経っていない花に合わせて添えて。
 決して忘れるわけでもない、約束ごと。いつでも会えるが、いつも遠く。それでも色褪せることはないもの。

SYSTEM :
 今日の最後は、昨日を悼むこと。
 それで漸く、夜が明けるのだと。
 望む望まざるではなく、これがそうなのだ、と。

 足元が崩れ去って、再出発を語ることはただの理想だが。
 同じ色ではなくても、あなたの世界には色がついていた。それを示すような笑顔が、墓下に眠る魂の、成すべきことを成した戦士たちの軌跡の証だった。

『   』 :
「………次の春が来る。
 ああ、そん時にゃ───」

SYSTEM :
 ………墓参りの終わり。
 墓は六つ分あったが、立ち上がった彼は、これできょうのするべきことを終えたと思ったのかもしれないし。
 ・・・
 七つ目、を探そうとしたのかもしれない。少なくともアレックス・ブリーズと、退役した連中を知る男ならば、その隣にあるべき墓がもう一つあるのを知っているからだ。

SYSTEM :
 ………だが、すこし遠くから響く靴の音。

 振り返った老兵の声が止まった。

SYSTEM :
 余談だが。彼らの墓で死を見送るのは、何も、あなたたちに限ったことではなかった。
 いや、ここは戦士たちの墓だ。見送りに来る人間の数は、墓の数だけある。

 …まして、もっと昔にケリをつけ、次の春の度に見送ってきたようなのは。

『   』 :
「………………あんたは………」

SYSTEM :
 当然のように。
 3年の月日は少し顔つきに目立つ傷の違いを作ってしまったけど、それ以外は殆ど変わらない。
 同じ墓を、おそらく先に悼みに来ていた男の厳めしい面持ちが、あなたたちの姿を見て…固まる老兵とは対照的に瞑目した。

『キャプテン』 :
  シルバー
「…老人ホームの世話になる前に…。
 約束を果たしてくれた、と喜ぶべきか」

『キャプテン』 :
「それとも、半端に果たしたものだ、と悲しむべきか…」

『キャプテン』 :
「………どちらでも。爺さんの墓参りなど、続けてみるものだな。
 ──────久しぶり」

SYSTEM :
 その戦傷と面持ちはすっかり”僕”が似合わなくなってしまったが。
 あなたを諭す時、見送る時に聞いた声色にはこれ以上ない覚えがあった。

 …なにしろ彼も先人だったのだ。
 すべての昨日を清算して、零に還って。それでも、振り返ることが決して“ない”とは言わなかったような。形は違っても、そういう部分に関しては。

ルイクゥ・ブリーズ :
 近づく足音に、遅れて意識が向く。傍らでビリーの大柄な体格が強張るのをけげんに見上げる、……よりも先。視線は釘付けになった。

ルイクゥ・ブリーズ :
「……ダンおじさん」

 余りの衝撃に、点と点が繋がるまで長い長い沈黙を要した。
 年の功が刻まれた面立ちと、三年前にはなかった傷。だけど穏やかな声色だけは聞き間違えようがない。

ルイクゥ・ブリーズ :
 思いがけない再会は、喜び以上の当惑をもたらした。
 三年前に墓碑の彼らと一緒くたに消えたはずのわたしと、公的には二階級特進のビリー。当然だけど会わせる顔なんてない。

ルイクゥ・ブリーズ :
「あ えぅ」

 あまりの後ろめたさにビリーを振り仰、だめそう。

SYSTEM :
 だめそう、ではない。
 “だめ”であった。唖然としていたからだ。

ルイクゥ・ブリーズ :
 だめだった。

ルイクゥ・ブリーズ :
「……ひさしぶり すっごく」

ルイクゥ・ブリーズ :
「あの わ、忘れてたわけじゃなくて」

ルイクゥ・ブリーズ :
「おこってる……?」

ルイクゥ・ブリーズ :
 何にとか、もろもろすっ飛ばしてうかがう。何って、いろんなことにだ。

『キャプテン』 :
「それは“まさか”というものだろう。
 仮に…そうして欲しかったとて、怒る理由を探さねばならん」

『キャプテン』 :
「そしてそうすれば、死者が目を覚ます。………おまえのそこにいる努力が台無しになってしまっては、私のほうこそ言葉に詰まってしまう」

SYSTEM :
 遠回しの“怒ってないよ”は、強面ながら変わらぬ声のおかげで、裏表ないものには聞こえた。

『   』 :
     ・
「………………僕じゃないのか、レイリー大尉殿」

『キャプテン』 :
「ああ、約束通りまだ”おじさん”で留まったが、流石にこの面ではな…」

『キャプテン』 :
「………まあ、それはいい。
 すっかり、らしくなったものだが…」

『キャプテン』 :
「覚悟をして飛ぶような事態では、なかったのだな。ルイクゥ」

SYSTEM :
 嵐を留めるものは失われたことを分かっていたが、男には…。
 あなたが、これから嵐になりに行くような気配もないことを、一目で気付き、まずはそれを遠回しに労った。
 ・・     ・・・・・
 怒るでもない。よくやったでもない。
 ただ、そこに来て、ケリをつけて、生きねばならない人間のことを、一部始終を知らずとも………。

SYSTEM :
 …あるいは。
          ・・
 ここを訪れたものがそうで。
 あの貧乏籤の若者の善因が善果と実っていなかったのなら。
 空の過日と共に引導を渡すつもりだったのかもしれなかった。

ルイクゥ・ブリーズ :
 ほっと息をゆるめる。

 ……怒ってくれたほうがよかったのかも、なんて内心もあったけど。横でだめになってる頑固者には必要なくすりだ。

ルイクゥ・ブリーズ :
 遠回しな労いは、見送りのときから変わっていない。何かを手放して、新たなかたちで生きていく人間を、無言のうちに認める静穏さ。
 あの頃とちがう一人称と、傷痕の覗く隻眼。明確な変化はあっても、ダンおじさんはダンおじさんだった。

ルイクゥ・ブリーズ :
「うん……なんでもお見通しなのね」

 キャプテンはどんな機微にも敏くて、わたしもアレックスも隠し事はできなかった。
 それは翻せば、気付いてほしい気持ちをすぐに見つけてくれるってこと。

ルイクゥ・ブリーズ :
「あ」

 うっかり返事をしたと気付く。
 いまさら別人ぶるつもりはなかったとはいえ。

『キャプテン』 :
「さて、どうかな…。
 これで落とし穴に気づかぬこともあったものだ」

『キャプテン』 :
「…が」

『キャプテン』 :
「…記憶にある範囲がそうなら、私も大人をやれていたということだ。
 今ので確信、としておくとも」

SYSTEM :
 うっかり、の返事。あの日の名残にもっとも近しい言葉を皮切りに。
 ようやく、年輪を重ねた男の顔が笑ってのけた。

『キャプテン』 :
「アレックスのことは………。
 重ねては聞かないが」

『キャプテン』 :
「ゴールテープを切るたび、“次”が始まるとしても。
 …心には準備がいる。残したものの中にある、初志を見つめる時間だ」

『キャプテン』 :
「…伍長は」

『   』 :
「俺は………」

『   』 :
「…ここにいるのは…ただのアメリカ人ですよ、大尉殿」

『キャプテン』 :
「そういうことにしておく代わりに、私もいまは大尉殿ではない。曰く、ただのダンおじさんだ」

ルイクゥ・ブリーズ :
「しないで」

『キャプテン』 :
「すまん。だがこの年頃の男が傷を負うと、なかなか治らんものだからな」

『キャプテン』 :
「………だが。おまえが生きて、ここのことまで拒絶するようでなかったことは、嬉しいと思っているよ。そうだろう」

『キャプテン』 :
「足場が崩れても“やっていく”と言い直すのは、難しいものだからな。
 ………当然、ルイクゥ。おまえのこともだ。今は…」

『キャプテン』 :
 ・・
「どこに留まる?」

SYSTEM :
 それは、どこに留まりたいと思っているのか、だ。
 本当にアテがなかったのなら、彼は彼なりに、銃を置いた人間にする“約束”を果たそうとしたのだろうか。

ルイクゥ・ブリーズ :
 崩れた足場の次。
 足を着ける地面と、歩いていく道。

 燃えつきて灰に埋もれた先にも、それはあった。
 ダンおじさんの問いかけに出せる答えと、そうなるかもしなかった分かれ道が、いくつも。

ルイクゥ・ブリーズ :
 誰も彼も、願えば応じてくれたのだろう。あのアレウスでさえ。
 森と庭の秩序と折り合えないがために、風は別の空を選んだけれど。
               ジ・エンド
 掬いと救いの数々が、わたしを復讐譚の結末の先へ導いてくれた。

ルイクゥ・ブリーズ :
「ユメ見る明日に」

 “やっていく”を途方もなく広げたふたりの野望。
 いつか解き放たれる日を待ち望むわたしの希望。

 そして……

 二度と増えないアルバムのページを、
 それでもとなぞり、共有される顧望。

ルイクゥ・ブリーズ :
 先のことなんて分からないけれど。
 そんな日々はきっと、
 続いてほしいと願えるゴールの向こうだ。

ルイクゥ・ブリーズ :
「あのね……形に思いは残るんですって。知ってた?」

 見たものに宿る。聞いたものに継がれて、触れたものに打ち付けられる……。

「さっきダンおじさんは聞かないって言ったけど、わたしは知ってほしい」

ルイクゥ・ブリーズ :
「みんなのこと、わたしとビリーのこと」

 強張ったままのビリーの手を取る。

 わたしに語りきらなかった、苦悩の仔細を……押し殺すうちに膿んでしまった深い傷を、彼が明かせる人がいるとすれば、それはダンおじさんだけだと思った。受け止められるのも。

ルイクゥ・ブリーズ :
 強制はしない。できることでもない。
 でも分かってほしかった。

 傷を、傷のままにしなかったから、わたしはここにいて……それができたのはビリーがいたからなんだってことを。

ルイクゥ・ブリーズ :
「それから……わたしが出会った、可笑しなひとたちのことも」

ルイクゥ・ブリーズ :
「だめ?」

『キャプテン』 :

「ユメ見る、明日か…」

『キャプテン』 :
        オーガ
「明日の話をすると鬼が笑う、などとも言うが…。
 思うに、なかなかのロマンチストと巡り合ったのだな」

SYSTEM :
 いつかを待ち続ける切欠。長い、長い明日の道行。
 アルバムは二つあって、一つは二度と増えることはなくても。
 だから、それでもとあなたは言う。

 いやあるいは。彼に限ったことではない。
 綺羅星のような夢の担い手たちが、あなたの崩れ落ちた先の奈落を照らしていた。
 燃え尽きても、再び飛び上がれるほどに。

『キャプテン』 :

「明日がなければ、未来もありはしない…か」

『キャプテン』 :

「…ああ。知っているとも。
 経験、というには少し遠いがね」

SYSTEM :
 彼は、彼の郷愁にかけて。

 かつて、形に思いを残してもらって、
 それと穏やかに別れを告げたひとりの少女の名を出さなかった。
 何ならそれとはあり方も異なる。瑞珂の…否、ルイクゥの所以は。

 先人たちがただ生きてきた証。
 いくら吹き飛ばされても消えることのなかった花のようなものだ。
 それが、少女の息も絶え絶えの輪郭を残し。その傷に相違を見出した戦士の庇護を受け。その傷を見て祈るものを作り。その傷に名残を覚えた先達を引き寄せた。

SYSTEM :
 そのことを、このかつて嵐の対抗者だった男は知らない。
 だが、その前向きで能天気な“だめ?”は、彼にとって喜ばしいことではあった。

『キャプテン』 :
「これでも上官だったのだ。知っていることは知っている。
 だから、その先で出会ったもの、培ったもの、それを教えてくれることもそうだが、何よりも…」

『キャプテン』 :
「おまえたちにとって…。
..アレックス
 あの若者の思い出が、分かち合えるように戻ったのならば。
 それが嬉しくないことはないよ」

『キャプテン』 :
「どうなのだ、ビリー。
 ここで冷や水を浴びせるのがおまえの性分だったな?」

『   』 :
「そいつは墓下から聞いて頂きたい…」

『   』 :
「…だが、あんたには…。
 あんたには、言わなきゃいけないようなことも。聞いてもらわなきゃいけないことも、ある」

『   』 :
「このガキがどうやって生き延びたのか、どうやっていくのか、この、たいして変わらん語り草で…」

『キャプテン』 :
「聞くともさ。これでも、“やらかし”の数はおまえより多いんだ」

SYSTEM :
 肩を竦めて応じた男が、功績と士官学校卒の割にも生涯大尉だったことは、品行方正の反対側にいたようなビリー・ウォーカー伍長(または曹長)と似たようなものだったのかもしれない。
 笑い飛ばした彼が、その男の悔恨を聞くのには、あなたの話を聞いたあとでも十分に時間がありそうだった。

ルイクゥ・ブリーズ :
 筋金入りの馬鹿者で、誰より努力家。みんなアレックスが大好きだった。
 寂しさを埋める必要もない。思い出に火傷の痛みが伴わなくなった今、この寂しささえ彼の名残。ひとりの青年の生きたあかしだ。

ルイクゥ・ブリーズ :
「アッハ! ばしゃ~っ」

 繋いだ手をぶんぶんと振り回す。行き場のない冷や水は、ほろ苦い顔で飲みほされたようだ。

ルイクゥ・ブリーズ :
 ……ひそやかに息をついて、顔をほころばせる。

 言わなきゃいけないようなこと。
 聞いてもらわなきゃいけないこと。

 長い、長い話になるだろう。
 お酒の時間になったら、知らん顔で寝てあげようと思った。

ルイクゥ・ブリーズ :
「やらかしの話も聞きたいわ、わたし。眼帯の理由もね」

ルイクゥ・ブリーズ :
「そしたらね、お礼にロマンチストの話をいっぱいしてあげる」

 情熱の国でいくつものユメとロマンを見た。
 憎んだ男でさえ、心に掲げるものがあって。

 だから、そう。広がった熱に中てられて、わたしもユメを見始めたのだろう。

SYSTEM :
 時たま冷笑の意図で向けられることもあった冷や水も、さすがに戦友の眠る地では形無し、ということなのだろうか。
 振り回した手の矛先は、ついに何も言わなくなったが、乱暴に引きはがすこともしなかった。

『キャプテン』 :
「やらかしの方は内容によりけりであることだし…。
 これ
 眼帯に至っては名誉の負傷でな。
 まあ、それでもいいなら…聞いてもらおう」

『キャプテン』 :
「…と、なればだ、未練で周りごと目を覚まさせてやるにも行くまいな。
 その立派になった淑女の振る舞いを、十分アレックスに聞かせてやったなら、場所を移すとするか」

SYSTEM :
 そのアレックスの話も、当人が聞けば空の上で何度もひっくり返ってしまうからな、と付け加えて。男もまた、墓石を見やる。

 …おそらくその長い話の中には、決して愉快ではないものも含まれるのだろうか。

SYSTEM :
 だが、それでも、と。
 呼吸も苦しいくらい長く走った時間を無駄ではなかったのだと示すには、立派な整理の時間だ。

 本当の意味で、あなたが、帰るための。

『キャプテン』 :
「…そうだな、移す、といえばだが」

『キャプテン』 :
「…見送ったよしみもあってな。
 あの家は、まだ残っている」

SYSTEM :
 …間違って。ひとつ余分に作ったらしい、ここにおけない墓石と、ここにもある墓石も含めて。

ルイクゥ・ブリーズ :
「…… ……」

 びっくりして目をまるくする。知ってた? と一度ビリーを確かめてから、震える呼気を吐きだした。

ルイクゥ・ブリーズ :
「そう。そうなの」

 愛国者のお墓と、ただのアメリカ人の……家族の墓と。三年前にアレックスといってきますをしたきりの、わたしたちのお家。

「空っぽのお家はもう……帰る場所では、ないけれど」

ルイクゥ・ブリーズ :
「行きたいわ。すごく」

ルイクゥ・ブリーズ :
「途中で足が止まっても……かならず」

 行き道にも、思い出を見つけるんだろう。
 行きつけのダイナーや見慣れた街路。通りすぎていくスクールバスにさえ、それは残っている。

ルイクゥ・ブリーズ :

ルイクゥ・ブリーズ :
 ……困ったな。困るのは、わたしじゃないけど。
 ほんとうにお迎えが必要になってしまいそう。

SYSTEM :
 かつて自分の居場所を作った人間にした所作を、ひとりの嵐を留めてみせたものにしたあと…。あなたの意思表示に、彼はうなずいた。

 その横で、震える呼気を耳にした男が何も言葉を発しなかったのは…。

『   』 :
「………そう、か」

『   』 :
「………もう何年…。
 行ってなかったっけな…」

『   』 :
「…死人に引っ張られるべきじゃない、と説いてきたのに、らしくないことをしたものですな」

『キャプテン』 :
「まあ、な」

『キャプテン』 :
「しかし、もしも銃を握る時があっても。
 最後に納得できるような、そんな方向に進めてやりたい…と」

『キャプテン』 :
   ・・・・・
「次のキャプテンの、心残りでな」

『キャプテン』 :
「未来を思うというのは、この程度に無責任でもいいのだ、と。
 だからこそ教えてやらねばいけなかったのさ」

SYSTEM :
 生前、あれほど、意識せず貧乏くじに吸い寄せられてきた彼の尽力は、
 彼の命を救う形にはまったく活かされなかった。帰ってきたのは一人だけ。

 だが、そうだ。それでも。

『キャプテン』 :
「………それに、無駄でもなかったではないか

 おまえも扉を、潜るだけ潜ってみよう。なに、おまえほどの男が反動で萎れる所以など、全部ではないが分かってやれるさ」

『キャプテン』 :
「…そうだろう、ルイクゥ。ああ…」

『キャプテン』 :
「今は、なんと?」

ルイクゥ・ブリーズ :
「……ディアスおじさんまで。そうよね、だって」

 いなくなったみんなは、彼らの戦友だった。
 わたしは嵐の対抗者たちに娘や妹のように育んでもらって、かつてあった時間がなくなることはない。どんなに遠く離れていても。

ルイクゥ・ブリーズ :
「無責任でもいい、なんて。ダンおじさんの口から聞くと思わなかった」

ルイクゥ・ブリーズ :
「でも素敵ね。今の言葉、聞かせたい相手がいるの」
 
 期待する未来を目指す行路で、穏当を選んだ男に。

ルイクゥ・ブリーズ :
「そうよビリー。一緒に行くんだからね。忘れ物のジャケット、そのままだったらハンガーにかけっぱなしなんだから」

 もちろん方便だ。出立が決まったときには返してるハズ。

ルイクゥ・ブリーズ :
「……今は」

 かぶりを振る。

「今も、」

ルイクゥ・ブリーズ :
「ルイクゥ・ブリーズ。だって、アレックスの家族だもの!」

『キャプテン』 :

「ああ」

SYSTEM :
 養子縁組の提案の始まりは、まさにそこにいる男と、名前の持ち主の、後にも先にもない取っ組み合いの大喧嘩で。あなたにはその理由も、少なくとも当時は分からず。
 始まりのあとからも、前途は多難であり続けた。

SYSTEM :
 しかし決して、聖夜そのものを憎むようなことはなかった。

 もし一度でも手を挙げていたら離れることができたけど、そんなことはなく。
 ベッドに潜り込んだりするような悪戯も、本人は死線をくぐるような気持ちで“うまく”付き合っていたし。
 英語の文字を書く練習にも、辛抱強く付き合ってくれた。そんな男と、そんな男と一緒に作ってきた人の環が、あなたを作ってきた。

SYSTEM :
 その証が…その名前だ。
  Breeze
 留まる微風、と。それは…。

『キャプテン』 :
「いい名前だ」

SYSTEM :
 それを否定することを、老兵はしなかった。
 ただ………重たい鉛が入ったような首を、数秒かけて、縦に振って。

SYSTEM :
 それが、合図だ。

 今度の帰りは、すこし長くなる。
 話したいことが多すぎるから。

SYSTEM :
 なにより、思い出を抱えて、名残を置いて。眠る場所を後にするには。
 もう十分な時間だ。

SYSTEM :
 ああ。とても───夢のような日々だった。
 
 だが。
 だから/それでも。あなたは現実を生きていく。
 ユメの続き。いつか放たれる嵐の前の、長いまどろみを。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :

【シーン:Ne vivam si abis-だから/それでもとあなたは言う】

                          Fin...

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・ED2『Citius, altius, fortius-荒野の果てを踏みしめて』

SYSTEM :
【Check!】

 エンディング/HO2を開始します。
 暫くそのままでお待ち下さい...。 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 世界に蔓延るレネゲイドの因子は、人の欲望と情動にしがみつき、彼らに新しい力を与えた。

 それは守るための力であり、それは奪うための力だった。
 そしてそれを持った時、彼らは戦わずにはいられなかった。喉から手が出るほど欲しいもののために。

 だが、何もそれが戦いの”始まり”ではない。
 人が戦わずにいられないのは、レネゲイドあってのことでもなかった。もっと単純で、醜悪で、痛快な、欲のためだからだ。

SYSTEM :
 故に力も欲も、同じところにはいられない。明日には何かが変わり、何かが失われ、何かが生まれる。
 その激動の中を、鸛たちは飛び続ける…。望まれずとも、臨むように…。

SYSTEM :
        Back track          Epilogue
 ならば飛び立つ前の清算の話と。飛び立つ後の、日常的闘争の話をしよう。
               ・・
 黄金の名残を持ち帰った羅馬の牙獣を振り返るには、うってつけの時間だ。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

【シーン:Citius, altius, fortius-荒野の果てを踏みしめて】

 登場PC:アレウス

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

 “マスター・ハーヴェスター”。アレウス・バルバート。
 闘争を征するもの。伝説の続きを歩むもの。
 だが、大それた称号よりも、よほど相応しい呼び名が男にはある。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 斯くて、ローマの争いは終わり。
 あなた達の仕事は完了した。

 結果として見れば、金銭の支出的には、もとより糸目というものをつけていなかった“赤の鬼人”の、今となっては遺産に等しいキャッシュが、あなたたちの仕事の成果を黒字に変え。
 あなたは、おそらく手に入れるべきものの代わりに、進むべき目標を手にしたが。
 
 遺産という名前の力が手に入ることはなかった。

SYSTEM :
 …筋を違えた依頼主への制裁も、”ファントムストークス”の名が知れ渡っていようがいまいが、決して絶えるものではない。

 だが、今回仕事を終えて真っ先に帰路にあくとき、あなたがそれを考えなかったのであれば、それはなるほど、気分の良い仕事ではあっただろう。
 ねじ伏せるべきをねじ伏せ、あり得ないと言えるものを下し。貫くべきは貫いた。闘争の幕は既に降り、血の闘いは果たされた。

SYSTEM :
 だから、あなたは真っ先に帰路を選んだのだと………。

 あなた自身がいまの内容を、一文のみ欺瞞が含まれていることをわかっているだろう。

SYSTEM :
 ………そうとも。戦いの幕は下りた。

 だが日常に帰る若者や、明日に進む鳥がいるように。
 伝説に還る守り人が、己の居場所に舞い戻る導き手がいるように。

 戦士には、戦士の帰路がある。
 いつもならばただ、血と硝煙をなぞり、愚か者たちの戯言でも聞いて終わることだったが。

“Mr・A” :

”では先に帰っているよ”

“Mr・A” :

“拗ねたり迷子になったら教えてくれたまえ
 どちらかが血相を変えて──────”

SYSTEM :
 今回は、そうではなかった。

 言いにくいことを一番早く言い出し、余計な言葉を付け加えたため首根っこを掴まれていった名無しのいう通り。

 あなたの帰路は、いつもと違っていた。
 そうとも。わかっていたから、一番最初にローマを去った。

SYSTEM :
    ・・・・・
 そして知っていたから、そいつは二番目にローマを去ったのだ。

 ワーディングの中。どちらの待ち伏せか。あなたたちはすぐに対面した。
 はじめの邂逅以降は一度も(少なくともあなたは)言葉らしい言葉を交わすことのなかった男と。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :

「なんとまあ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :

「ここまで思う通りでは、もはや言葉もない。
 いいだろう、先に聞いて差し上げるが…」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :

「貴君、何用か」

マスター・ハーヴェスター :
「ああ」

マスター・ハーヴェスター :
 感情と欲望の二つ。
 合理と理性を超える憎悪がある。

マスター・ハーヴェスター :
 誰の理由でもない。

マスター・ハーヴェスター :
「殺しにきた」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「殺しに、か」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「もっともらしい理由を並べるより。
 野蛮で、原始的で、遥かに道理はある」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 サル
「我々の道理だ。
           モノ
 貴君が理由にしていい人間は、
 須らくローマを根城にしてはいなかった」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「しかし………」

SYSTEM :
 ──────その言葉を皮切りに。
 彼の足元から、現れる従者の数。

 一体に限らない。          
 二、三、四………だが二桁は越えない。

SYSTEM :
 そもそもだ。余力をわざと残すような時間はなかった。そのような猶予も魂胆も。
 まして彼は、己の道の同行者と、重んじたもののために、少なくとも数度“余計”な消耗さえもした。

SYSTEM :
 だが、そのうえでコレだ。一日の遅れは、一日の遅れで確実に“返り討ち”に…。
 または、殺意もろとも踏みつけるための仕込みだった。

 もはや正々堂々の彼方を行くが、しかしそれは意にも介すまい。
 戦いにおける卑怯姑息などという罵倒、破落戸が使っていい道理はない。何より、ただ武器を使うことを“そう”呼ぶほど温い生き方はしていまい。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「しかしまさかと思うが、私が…。
 それだけ露骨な殺意に何も気付かず…。
 のうのうと今日を迎えたと、思っていまい」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「…我が価値、我が生涯はしょせん途上。
 過渡期ゆえ、意味など、見出すものが勝手に見出す」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「だがその切欠を終わらせるのはいまではない。
 貴君ではないのだ。

 …その過程は毒だ。好きに喚き、好きに吠えろ。いまが頓挫の時と知れ」

マスター・ハーヴェスター :
「舌の廻るヤツだ」

マスター・ハーヴェスター :
「他人が価値を勝手に見出すと言っておきながら、
 品定めの終わりは自分で選ぶか、勝手な事だな」

マスター・ハーヴェスター :
「まあ、いい」

マスター・ハーヴェスター :
「義理立ての時間は終わった」

マスター・ハーヴェスター :
「この時を待ちわびていた……」

マスター・ハーヴェスター :
 一秒も視線はくれてやらず、一言も言葉を紡ぐことはない。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
 何故ならすぐにでも殺したくなるから。
 自分の中に敷いた、自分なりの故の全てを土足で踏み抜いていったこの男を。

 すべて義理立てだ。
 この瞬間が無ければ耐えられない屈辱だった。

マスター・ハーヴェスター :
「ヤツとは……明日の敵同士。だから今日は手を出さない……だが……」

マスター・ハーヴェスター :
            と
「テメェは今日、ここで停滞まってもらう……」

 最低限の治療だけ終えた体だが──それでもなお、自分が敵と見定めたのならば刈り取る。
 それが収穫者たる所以だと示すように、その手に光槍を握り締めた。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「勝手…ふむ…」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「貴君から”それ”で糾弾されるとは」

SYSTEM :
 表情はさほどと変わらない。
 呆れも失意も。

 そんなものを人間に改めて抱くような男が、
 “血色の探求”であることはない。
 それほどに俗の色を知る男なら、今日まで預けることはなかっただろう。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「…二百人が結果の礎として逝った。
 社会的秩序に照らし合わせてそれは悪行であろうが、
 そんなものを指針に置く人生など辞めて久しい。許しなど、覚えていればコキュートスあたりで乞う」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「………どうも無意味とて確認のために口にせずにはおれんから、これだけ言うが」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
              ・・
「貴君は二百人の誰に対して、責任を持ったつもりでいるのだ?」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「羅馬に根を下ろさず、何一つ捨てる結論も見出さず…。

 ああ、復讐と呼ばなかったことだけは覚えておいてやろう。なぜならな」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
    ・・    ・・
「それは私怨と呼び、暴力と呼ぶのだ。
 そのいち個人の勝手など、サルの頭数が互角ならば阿ることがあろうものか」

SYSTEM :
 是非を問う気がないのは互いだ。

 それで引いてもらおうと思っているならば、それを時間稼ぎにするつもりならば。
 彼はこの際、展開した従者を“いま”使い切るほうに懸けるべきだ。そうはしない。

 ただの確認に過ぎない。

SYSTEM :
 そしてあなたにとっても。

 その是非を裁かれるために、
 この男の前に顔を出したのではない。

SYSTEM :
 ただ、憂いなく飛び立つためには。
 血で、雪がねばならぬものがあり。

 そしてそれは、あの少女だけではなかった。それだけのことだ。

SYSTEM :
 羅馬の牙獣が。

 伝説に見送られ、
 新しい街道を歩いてゆくために、
 清算しなくてはならないものがあると。
 
 他人を理由にしたものではない。これは…。

SYSTEM :
    ...・・
 これは…血闘であったのだ。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
             とま
「とっくにオーヴァードなど停滞っている。
 重要なのは未来への礎だ」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「それ以外の貴君を…覚えておくことはない。
 ああ、いずれの最期とて、それが確かめられたのは光栄だよ───」

SYSTEM :

 ………そう。

 誰も知ることはなく、気づくことはない。
 意味さえも定かではない。
 ・・・・・・・・ 
 もうひとつの血闘。最後の清算。

SYSTEM :

    Back track
 あなたの帰り道が、静かに幕を開けた。

SYSTEM :



 ──────   Fatal battle   ──────



SYSTEM :
【Check!】
 特別な判定が発生しました。 

SYSTEM :

 判定:血闘

 判定:〈任意の攻撃宣言/命中判定〉
 目標:〈対抗〉→「カルロ・フェレーリ/赤色の従者の攻撃宣言/命中判定」
 ※判定対象者の侵蝕は『バックトラック』を行う前のものを適用します(参照:155)
 ※この判定で「勢力値ボーナス」は両名に適用されません 

SYSTEM :

 成功:「創まり」を清算する
 失敗:血の導べは終わらず、やがて明日へ

SYSTEM :
【Check!】
 “血色の探求”/赤色の従者が命中判定を行います。 

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
.     サクリファイ・ケイジ
■メジャー:奈落に貧者は夢描く
Major:《CRブラム=ストーカーL1+1》《闇夜の呪いL3+1》
Auto:《砂の加護L1+1》《栄光の血L2+1》《フィジカルブラッド》

判定:14dx8+(9)

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
14dx8+9 (14DX8+9) > 10[1,1,2,3,4,4,4,5,5,5,6,6,7,9]+1[1]+9 > 20

SYSTEM :
【Check!】
 “マスター・ハーヴェスター”の命中判定を行います。
 必要なエフェクトなどの宣言をお願いします。 

マスター・ハーヴェスター :
《デゼルト=ランチャ》

メジャー:
 小さな塵+コンセントレイト:AH

ダイス:
 (6+3+4)dx7+12

マスター・ハーヴェスター :
(6+3+4)dx7+12 <感覚:射撃> (13DX7+12) > 10[1,1,2,2,3,4,7,7,7,8,8,10,10]+10[1,1,1,1,8,9,10]+10[2,8,10]+6[6,6]+12 > 48

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 戦傷、消耗の状況は互角…。
 あちらが上と見ていいはずだが…。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
 …なるほど蛮徒だ…よくも血を啜ってきた! 

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 ──────従者の数、合計で十二。

 本来はレムリア攻防戦でほぼすべての“雑兵”を賄い、それ以前から多角的におのれの手を広げてきた“血色の探求”としては…見る影もない寡勢。
 それは男にとって、数度の余分の消耗が決して軽くないことの証でもあった。

 しかし、条件は同じだ。
 損壊したPFを抜きに、路地裏で「鉄砲玉」をやっていた初心をなぞるあなたが万全とは言い難い。

SYSTEM :
 まして一撃で仕留め損なえば、そのR因子の塊はたやすく爆ぜて人体を弾き飛ばす。
 そんなものが、一瞬の邂逅で先んじた。都合12体、それぞれが己の指先が如き精度で襲い掛かる。

SYSTEM :

 重ねてきた罪の数。
 誰のものかはさておいて。
 名残をすべて清算するには丁度いい縁起だ。

マスター・ハーヴェスター :
「責任? バカ言うな」

マスター・ハーヴェスター :
「所以も理由も欲望も全て俺だ」

 満身創痍の体で武器を構える。
 歩みは遅く、されどその視線はただ、殺すだけの機械的な視線に満ちている。

マスター・ハーヴェスター :
 手負いの獣。
 だがそれが最も恐ろしい。

 それを示すかのように、ただ愚直に進み続ける。
 前へ前へ───この手で掴み取り握り潰す。

マスター・ハーヴェスター :
 踏み込むと同時に、全てを体で受けながら、その他の槍を相手の心臓へ突き出す。
 その槍を、突き抜かせ、その心臓を、我が手にと!

SYSTEM :
 都合十二体…決して素早い撃破ではない。
 これまでに見せてきたG-ドルフの卓越した操縦技巧も、また進歩の証明ともいえる管制機構をはじめとした装備もない。

チャカひとつ
 雷将神器。それだけがあなたの武器だ。
 相手の首を取るたび「よくやった」を向けられた創まりの牙獣と、収穫者は何も変わらない。こと、今に限っては。

SYSTEM :
 迎え撃つ姿勢に淀みなく。
 
 もはや執着と呼んでも差し支えない、紅蓮に滾る熱を燃料に、男が踏み込んだ。
 守勢さえ放棄した結果は、連鎖的な血色の爆発。計り知れない衝撃は、しかしシンプルで、理性も何もない解答のみを優先した最短経路。 

SYSTEM :
 “血色の探求”は優れた超人であり、ローマにおいて見劣りすることのない傑物であった。

SYSTEM :
 ただし。
            ・・
 死線の上に生を見出す、戦士では。
 決してなかった。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「ぬ………──────!」

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 勝負あり。

 鮮血に塗れたその手が、
 幾度となく繰り返した命の鼓動を抉り取る。

SYSTEM :
 オーヴァードとて、いや。
 オーヴァードだからこそ、だ。

  リザレクト
 急激な自己回復で、もともと人体は強い負荷をかけている。その傷と、ここまでの消耗を加算し、レネゲイドが反応すれば、死ぬよりほかにない。

SYSTEM :
 死は呆気ない。
 倒れ伏すカルロ・フェレーリが、その灰色の脳細胞につながる視野を白濁させるわずかな時間の中で、たわ言を呟いた。

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「ここが………終、点………か」

“血色の探求”カルロ・フェレーリ :
「………なるほど…。

 願望の残り滓とは、
 死の間際にこそ沸くもの、だ、な………」

SYSTEM :
 最期の台詞は一切が、

 覚える気のないあなたに向けたものではなかった。
 認めるような言葉でもない。
 無念の呪詛を吐きかけるような態度でさえも。

SYSTEM :
 ただ純然たる確認だった。
 ほんのわずかな、雑味を乗せた…。

SYSTEM :

 ───元:■■■■■傘下研究セル「アルケイオス」。
   所長、カルロ・フェレーリ。

 ………すべてを放り捨てて始め、すべてを踏みつけにして終わった探求の旅に得た、一縷の納得であった。

SYSTEM :

 そして…それが。
 ・・・
 あなたの帰路だった。
 もう二度と帰ることはない羅馬から、
 あなたが拓き続ける空への帰路。

SYSTEM :
 “赤の鬼人”の「よくやった」の幻は。

 混沌の戦士を討ったあの時に薄れていった。
 もし今、聞こえたとしたならば。
               ・・
 ここでケリをつけたこの瞬間が最後だ。

マスター・ハーヴェスター :
「……ハァ、……ハァ、……クソが」

マスター・ハーヴェスター :

 ・・・
 この時しか、チャンスは無かった。
 全てが終わった祭りの後、その一瞬のさなかでなければ。
 そして、それは……俺自身が傷つき、苦しみの果てにある時も理解していた。

マスター・ハーヴェスター :
 自己満足。
 ただの自己満足だ。

 こいつを殺すことは全て俺の自己満足に過ぎない。
 俺は俺自身の快楽と欲望で人を殺したのだ。
 ……それは虐殺と何が違う。

マスター・ハーヴェスター :
 吐き散らした血反吐を踏みつけて、壁に背を預ける。
 肩で息をしながら、それでもそれを受け入れて進まなければならないのだろう。
 それが欲望という道を進む事……それを携えなければならないのだ。

マスター・ハーヴェスター :
「……、……ハァ、……ハァ……ッ、……ひとつ……」

マスター・ハーヴェスター :
「ひとつ……言い忘れた……」

マスター・ハーヴェスター :
「たった……ひとつ、……そう、たったひとつだ……ひとつだけ……テメェには感謝しておく事があったな……」

マスター・ハーヴェスター :
 ガンドルフの残骸から引き揚げたものを、己の背に付け直す。
 脊髄を通じたレネゲイドの循環の再動を感じ取る。
 AIDA、ロットコードは"ファンタズマ"。
 幻影の名をたたえた、亡霊の如くさ迷う鸛の背に付けられたもの。
・・・・・・・
 R因子管制技術という──今日の勝利には欠かせなかったもの。

 癪ではあった。
 だが──それだけは敬意を表する必要がある。

「あばよ……カルロ・フェレーリ」

マスター・ハーヴェスター :
「……クソが、もう二度とここまで酷使してやるものか……」

マスター・ハーヴェスター :
 悪態をつきながら、夥しい十二の傷から流れ落ちる血を引きずって、悠然とその場を後にする。
 口の中が血であふれている。
 全く面倒だ、ガンドルフの後継機を用意しなくちゃならん。

マスター・ハーヴェスター :
 ただ、それだけ。

マスター・ハーヴェスター :
 それだけの名残をここに残して、男は立ち去った。

SYSTEM :


 この戦いの顛末を知るものは、誰もいない。


 いたとしても、その断片から事実を悟ることは難しくなく、
 その者の判断が“そう”だった以上、これはただ一人にしか残らない血闘だ。

SYSTEM :

 勝利の雄叫びも、怨恨の火もない。ただ、肩で息を吐くような、衝動の声にも似たものだけが、そこに残る。

 今日まで使い果たした歩みの徴。
 かつて国という防人のために作られたものは、巡り巡って大欲のままに荒野を行くものに渡ったが、彼は紛れもない戦士であった。

 今日の悪態が、明日もないとは限らない。あなたが、その傷を切っ掛けに淀まぬ限り。

SYSTEM :
 血を引きずり、再生の負荷を引きずり。あなたは、羅馬へ最後の名残を置いていく。

SYSTEM :

 ───“死滅天隕”はその後、どのような戦場においても、その姿を確認されていない。

SYSTEM :

 ───黄金の伝説の終わりを刈り取り、
 今日より歩むものの名こそは。

 偉大であろうとする男の名こそは。
 
 ───“マスター・ハーヴェスター”。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 その後、侵蝕率報告91%。
 凡そ長時間150%超の出力を維持し、なにがなんでも、という執念で挑んだ最後の戦いののち帰還したのは、あなたの生きることへの渇望。戦い抜く、戦場の徒としての才能だった。

 精神の均衡およびジャームか否かのレネゲイド変質をチェックした“血穢の蓮花”は、三度に渡り、己の確認が真かどうかを確かめ、続いてこう言ったというが、真相は定かではない。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
“三度目は目に見える範囲でやってね”

SYSTEM :
 成れ果てたら根無し草に戻るからな、とも。または別の意味を含んでいるようにも見えた女は、そのあとの新型機調達に協力してくれなかった。

 もう一人のノイマンは理解っていて複雑気に頷き、あとは一切尾を引かずというのにだ。

SYSTEM :
 なぜか? それは…。

“ヴィクター” :

「へそを曲げおったな」

“葬魔灯” :

「カハッ! あのアマ、拗ねるタマかよ!
 おうボス、爺に手前の新車見繕ってもらう気分はどうだ、え?」

“葬魔灯” :

「序に言やァ………アンタがそのざまの戦争だ、もちっと早く帰ってくンだったなア。
 まさかイタリアのくんだりで祭りごとやってるとは誤算だったぜ」

SYSTEM :
 ちなみに“七花胡”へのツケを払わされた女は、遺産の話を聞いて、まったく意味のない賭けの成果通りの反応をした。

 で、あとは平時の通りだ。
 差し引き、十分な黒字。死線を潜った見返りとして正しいのかどうかはともかく…。
 鸛たちは次の戦場の止まり木にいる。

 生きている限り戦う算段でも、その戦傷で間髪入れず、とは言えるまい。

“Mr・A” :
「ま、結果は宝物こそパンドラの箱だったが…。
 恙無くだ。客観的に見てみれば上々だったろうねェ」

“Mr・A” :
「主観としては…どうやら迷子じゃなさそうで結構!
 キミの天秤は納得のほうに転んだわけだネ」

マスター・ハーヴェスター :
「テメェ連れてったら余計ややこしくなってただろーがよ」
 “葬魔灯”の事である。
 Aとコイツがセットであそこに居たら、それはもう花火どころの話では無かっただろう。

マスター・ハーヴェスター :
「……納得ね、まぁ、まぁそうかね」

マスター・ハーヴェスター :
「ひと眠りしたら気が済んだ。
 "牙獣"としての俺も、"死滅天隕"としての俺も、綺麗さっぱり置いてきたよ……」

“Mr・A” :
「これからは遠慮なくマスターの看板振り回すというわけだ。
 キミの部分まで綺麗さっぱり置きすぎては話も別だったが」

“Mr・A” :
「ワタシ調べではだねボス?
 人生でもっとも必要なものは納得なのだという」

“葬魔灯” :
「それ、口にした野郎ォほど人生縛られがちだけどなァ」

マスター・ハーヴェスター :
「程々さ、どれもこれも」

マスター・ハーヴェスター :
「とはいえ、"そこ"を置いてくるようであればウェルの奴に介錯を頼んでたんでね……で、帰ってきて早々そうならなかったことを伝えたら、アイツなんて言ったと思う」

“Mr・A” :
「声色がそう“悪い気はしない”一色なことだけはわかるんだけどねェ」

"堕とされしもの" :
"ああ良かった。私はリーダーになりたくないのでね"

マスター・ハーヴェスター :
「だそうだ」

SYSTEM :
 なお、ちょうど帰還してきたばかりだからか、
 隣にいた娘はそれを聞いて…。

“戦処女” :
“半分くらいそっぽ向くわ”

SYSTEM :
 思ってもいない冗談はその仮面外してから言えと、気を許した相手への無粋を死角から打ち込んだという。

“Mr・A” :
「ちなみにワタシはついていく派だが
 楽しみが減ることは間違いなさそうだ」

“葬魔灯” :
「いつでも想定しとくことではあるがね。
 ックク…それで? なんだって?」

“葬魔灯” :

「ややこしくなるだろうがって、したに決まってンだろ。
 さぞや大層ォで、踏み躙り甲斐のあるヤツが、
 ・・・・・・・・・・
 手前だけは殺られねェとタカ括ってたに違いねェ」

“葬魔灯” :
「そうだろォ? いまこの瞬間だって、隕石の真下にいたから命を失うかもしれねェんだ。
 俺ぁその辺りの『死なねェ』と思ってる輩がエラソーに欲望垂れてンの見るのが嫌いでね」

マスター・ハーヴェスター :
「ハッ、そういう意味ではお前向けだったかもしれんが……」

マスター・ハーヴェスター :
「悪いな、もう刈っちまったよ」

“葬魔灯” :
「そりゃ残念! 腹に入れたモン取り出すほど趣味悪かァねェェェよ」

“ヴィクター” :
「あるいは、命を失うのは貴様だったろうよ」

“葬魔灯” :
「そん時は笑いながら“畜生が”だ。
 だろォ爺? 手前こそ中国のトンチキに半殺しにされながら追い縋ってたケースあるくせに」

“ヴィクター” :
「あれは…惜しかったな…」

SYSTEM :
 彼は然る日の“逸材”について、
 後悔はしているが反省していなかった。

マスター・ハーヴェスター :
「未練がましいこったなあ……おっと俺の言えたことではないな、ククク……」

マスター・ハーヴェスター :
「で、“ヴィクター”……」

“ヴィクター” :
「うむ」

マスター・ハーヴェスター :
「例の西側から、コンマ数秒だけ流出したという設計図。
 新車の見繕いが出来たという事は、解読に成功したとみて良いな?」

“ヴィクター” :
「“ヘルタースケルター”の存在を知るものほど、電子の海への信用を放り捨てるものだが…」

“ヴィクター” :
「抜かりはない…。
 こと、P.Fに限らず、戦争の技術は加速的に古きを置き去りにする。
    ・・
 どうせ新造とあらば、鳴り物入りの新型のほうが良かろう?」

“ヴィクター” :
「…そう。G-ドルフはもとより耐久性を蔑ろにした機体…。
 あの時点でそうもなろうと思いはしたが、よくもやってくれたものだ。ほとほと、極まると食らいつく戦い方に偏ると見える」

マスター・ハーヴェスター :
「否定は出来んな……」

マスター・ハーヴェスター :
「無理はさせ過ぎた。
 その新型由来のヘッドパーツもオシャカにしちまったもんだからな」

“ヴィクター” :
「“G”の系譜とやらか………。
 我が望みには聊か気色が違うとて、あれは手に入れがたい部品であった」

マスター・ハーヴェスター :
「……戦争に使われるのであれば、避けて通れぬ名だ」

マスター・ハーヴェスター :
「人類が手にした叡智である火……それを突き詰めた結果が、
GUN
 銃なのだからな……丁度いい、その新型にも付けるとしよう」

“ヴィクター” :
 ドルフ
「…海豚の次か。よかろう。
 貴様の傷が癒えるころには仕上げる。小娘とて、よもや聞き分けのない稚児のような真似はすまい」

“Mr・A” :
「どうかな~ アレ
 マジメさんって一回根に持つと長いんだよ」

“Mr・A” :
「キミの場合は分かっているからヨケイにだ。まあ、手を抜くとかそういうことはなかろうし…」

マスター・ハーヴェスター :
「勘弁してもらいたいんだがねえ……」

“Mr・A” :
「フ………」

“Mr・A” :
「勘弁してくれと言って、
 勘弁してくれたものが今までいたかな!?」

SYSTEM :
 恐らくいなかった。
 なんのかんの言って、全員、あぶれ者だろうと破落戸だ。たいへん、好意的に見ても、百八の侠客あたりがいいところのサガである。

マスター・ハーヴェスター :
「いた試しがない」

マスター・ハーヴェスター :
「どっかのバカは勝手に宝物庫作るしよ……」

”遺物怪盗" :
"おほほほほ〜"

“Mr・A” :
「こないだ由芽くんが始末したヤツの遺書捏造して宝物庫に紛れさせたんだ」

“Mr・A” :
「”遺産”って言って。マジギレされた」

マスター・ハーヴェスター :
「ありゃケッサクだったな」

SYSTEM :
 彼の命は軽いので、
 こうやってたまにギリギリの一線を越えることがある。

“葬魔灯” :
「違いねェ。あのアマ普段からアクセル踏みっぱなんだ。
 たまにゃあ素面にしねェとなあ」

“Mr・A” :
「鏡いる?」

“Mr・A” :
「で? そういえば…。
 次の仕事を聞く前に、これは聞いておかなくちゃあね」

“Mr・A” :
     ・・・・
「本格的にマスターやるのかい?」

SYSTEM :
 それはその名前の使い方の話だ。

 ただ戦場で使うのか、それとも。
 ある種、このセル共通の“仮想敵”の始末のため、賢しさを混ぜて使うのか。

 今すぐ決めるようなことでもない。ただ、そうでないFHの破落戸としての名を置いてきたと名乗った男に、その傾きを聞く性根の悪さは、おそらくあなたが死ぬまで変わりはしないだろう。

マスター・ハーヴェスター :
「使うさ、あらゆるところでな」

マスター・ハーヴェスター :
「両方だ。
 その上で仮想敵はいくらでも居るが………」

マスター・ハーヴェスター :
「例えばそうだな」

マスター・ハーヴェスター :
「"マスターブシドー"……例えば奴が率いるセルのように」

“ヴィクター” :
「………“ウォッチドッグス”か」

マスター・ハーヴェスター :
「いつかは衝突するだろうよ」

“ヴィクター” :
   ・・
「………ユダめの指先だ。厭はないが…。
 ニホンに行くならば、まず、火薬庫に火をつけることになろうな」

“ヴィクター” :
「わたしとしても………。
 己の欲望を“こそこそ”と叶えるつもりはない」

“Mr・A” :
「血気盛んで結構だ。
 引き続き、戦場の赤い空を飛ぶってワケかい」

マスター・ハーヴェスター :
「ああ、銃を持ってな」

SYSTEM :
 あるいは…あなたにとって。
  GUN
 その銃の形程度しか、PFも、先の武器も。初心の得物も、違いはないのかもしれない。

SYSTEM :
 生まれたその時から兵士として始まり、
 そこに渇望を見出した男にとっては。

“Mr・A” :
「ワタシは、戦場の後腐れない死別より…。
 こないだのようなドロドロのほうが馴染むんだが」

“Mr・A” :
「そちらはそちらで楽しめそうだ。
 さて、」

“Mr・A” :
「次の仕事を見繕いに行くとしよう───」

SYSTEM :
 オーヴァードの戦傷など、兵士のものとして見れば驚くほど早く。

 もとより亡き妻の“完成”を目指して奔走する鋼人の手は決して鈍くない。
 その休暇と呼ぶには日常から遠く、小休止と呼ぶには非日常からも遠い時間は、半月もあれば長い方。

 …しかも全員が集まることなど稀の鸛だから、“珍しく”全員がいたのはこの日限り。

“逢魔狩り”三草由芽 :
“次はいいとこ見せてきまーす!
 ほら、行きましょ行きましょキリエちゃん”

“戦処女” :
“普段の倍浮かれてんだけど大丈夫よねこれ
 ねえ コラ 逸らすな目”

SYSTEM :
 などと…。
 よほど「大事に」銃弾を保たれていたことで見栄を張り損ねた娘が、ここに記載できない程度の“やらかし”を何処でやったり。

 御守から解き放たれたウェルギリウスが、よりにもよって“葬魔灯”を連れ、北米の親コードウェル派と一大事をやらかしたり。

SYSTEM :
 なによりこの翌日に姿を消したAが、仕事以前のものを見繕うなどあったが。

 社会的悪党の誹りを免れない彼らは、それでも、戦場と同じ程度にあなたの人生の一部であった。

SYSTEM :
 ………そう。

 あなたの人生の一部と切り離せないものがこれであるとしても。
 もっとも巨きなものは、やはり。

 生まれついてのグリーンカラーであるアレウス・バルバートの生涯において避けられないものは、一つしかなかった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
Mission Record:
20XX
『北海:ギルド残党勢力掃討戦』
『北米:FH戦闘セル「タイタン」救援戦』
『南米:親コードウェル派複合セル「エレズム」強襲戦』

SYSTEM :
 依頼記録を確認しています...

『北海:ギルド残党勢力掃討戦』

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

 ………北海には嘘かまことか、囁かれる逸話がある。

SYSTEM :

 かつて、この海を『嵐』が通ったという逸話だ。

SYSTEM :

 嵐は海も鳥も、そして生けるものを根こそぎ薙ぎ倒し、喰らい尽くし。
 ノリッジの海峡へ、記録的惨事を引き起こした。
 その当時を誰もが夢うつつの如くと覚え、不思議なことに証は何も残っておらず。
 ただ、災いとして、記憶の海を揺蕩い、溶けていった。

SYSTEM :

 その時『嵐』と呼ばれるものが…。
 のち10年にわたって知られる、北欧の『厄災』。強欲竜であること。
 強欲竜は数多くの、当時の名高き超人、名もなき超人、あらゆる血を吸い…。
 撃退の対価として、歴史の表舞台から彼らの日常、痕跡を“なかったこと”にしたこと。
 
 知る人ぞ知る、惨劇の爪痕だ。

SYSTEM :
 そして、それの通り道となり。
 また、“妖精王”の命を賭して作られた領域を礎にして、戦場となった北の海は。
 彼らの戦いの因子が色濃く残るが故、時に空間を歪ませ、時に監視衛星にさえ残らぬ“余波”を作り、時にオーヴァードでさえない哀れな被害者を飲み込むことから、次のように呼ばれる。

SYSTEM :
 ・・・・・
 厄災の爪跡。

SYSTEM :
 ………ブラックドッグ・シンドロームのワーディングを伴う通信障害。
 そちらは、あなたの部下のものでもあるが、同時に“いま”対峙している相手のものでもある。

SYSTEM :
 こと、クロドヴァ公国のような、表舞台に認識できず、またPFが常態化し、さらに言えば戦場全体でリスクケアがされているような場所でもない限り…。
 明確なオーバー・テクノロジーであるPFは。良識があれば常に『隠蔽』という言葉と隣り合わせだ。

 超人のいち形態にも関わらず、目に見えて、そこに非日常を展開できる。簡単に世界を変貌させられる。
 破壊者御用達のその道具を、あるものは技術的優位のため、あるものは薄氷を守るため、あるものは単なる“奇襲性”のため…。
 基本的に、PF同士の戦場がおいそれと記録の残らないよう、バックアップ要員がついて回るのが暗黙の了解であるからだ。

SYSTEM :
 あなたはローマをかつて踏み荒らしたギルドの溝鼠、その生き残りのうち…。

 首魁であるところのR²=ワイズマンの死をきっかけに浮足立った欧州派閥を、前々から疎ましく思っていたフェルディナンド・フランコからの依頼を受けて、彼らの掃討に当たった。

 北海を通り、厄災の爪痕に差し掛かるその空域で、彼らは知られざる魔の海域ならではの“新商品”の実践テストを試み…。
 あなたはそれを、依頼通りすべて破壊。関係者を全員サメの餌にした。

 そこまではいい。

SYSTEM :
 ひとつだけケチがついたことがある。
 そのフェルディナンド・フランコから事前に警鐘が一つあった。
 自分ら
 ギルドを疎ましく思う勢力は身内だけでもない、と。

SYSTEM :
 故に早急な処理を推奨されていたあなただが、新商品および、これの守護に回っていた手練れのオーヴァード集団の処理に、慣らし運転なしで新たな愛機を投じたあなたは“ほんのわずか”手間がかかった。

 その手間は10秒にも満たないごくわずかなブレに過ぎない。
 しかし………。

SYSTEM :
 そのごくわずかな10秒が、
 任務終了直後の警鐘を呼んだ。

“血穢の蓮花”盧秋華 :
『熱源探知。速度からしてPF…。

 礼儀知らずでもないみたい。
 同じ穴の貉…では、なさそうね』

ガンオルカ :
 文字通りのサメの餌。
 肥えたサメはいずれ、真なる海の王に喰われる。
 それを示すような名を付けられたPFが、即座に戦闘態勢に入る。

マスター・ハーヴェスター :
「そいつはちと妙だな……同業が漁夫の利を狙いに来たにしては遅すぎる」

マスター・ハーヴェスター :
「……UGNか?」

“血穢の蓮花”盧秋華 :
『どうかしら。テンペストならいざ知らず…。
 社会体制に紐づく彼らが、これほど露骨に目立つものを好き好んで運用するかは疑問が残るわ』

“血穢の蓮花”盧秋華 :
『まあ、ないわけじゃないけど…』

マスター・ハーヴェスター :
「いずれにせよ、独自の情報網とルート構築をした連中であることに違いはない。
 それだけの戦力を有した組織は……」

マスター・ハーヴェスター :
「……この時代じゃ数えてもキリがないな」

SYSTEM :
 ………そう。別に、ないわけではない。

 そもそも衛星そのものが本体のUGN支部長が日本にいるほどだ。そしてこれは極例だが、別に抜きんでた極例というわけでもない。
 彼らにとって、こと『隠蔽』とはお家芸とルビを振っても差し支えない。そうして日常を守ってきた者たちであるからだ。

SYSTEM :
 だが、これだけの機動力、そして対応力。
 数えてもキリがない銃火の担い手であるが、口にするあなた自身が薄々と回答を脳裏に過らせていたことだろう。

SYSTEM :
 そも、社会体制と結びつく彼らでも、例外はある。例えば兵器開発においてオーヴァードの存在に目を付けない理由がない、東側への抑止力…。
 あるいは本場であるアメリカの独走を危惧した者によるモルモット的運用。

 いずれにせよ、破落戸たちにとって、この手の武力が延髄ものであったように。
 それは守護するもの、若しくは縄張りを持つものにとっても、同様のことが言えた。

SYSTEM :
 接近速度は時速にして500kmをゆうに越える。
 北海、否、ブリテン諸島はそもそも”連中”の縄張りだ。

 あなたは一度だけ、海豚が愛機だったころ。

 その守護竜…守護騎士…。
 いずれの名前でもいいが、それと会ったことがあった。

SYSTEM :

 青い、PF。
 かつてと装備は違うが、
 皮肉なことにその機体の装備には覚えがある。

 明日を経て、散逸し。
 あなたも使った因子管制技術と空間認識能力の合わせ技で、まるで複数の“手”を飛ばし、おのれの思うがままに戦場を差配するもの。
 トイ・ボックス
 秘密兵器…またの名を“ガン・ビット”。

SYSTEM :
 刃を伴い、周囲を空気抵抗など無視して飛ぶソレは、時代が、かつての海豚を先行したことの証だったが。

 機体そのものはまるで変わっていない。
 いや、まことしやかに囁かれた当時から何も。

SYSTEM :

Lancelot,Kinght of Legacy
  勇壮なる明鏡の騎士   。

SYSTEM :
 ──────嘘かまことか。

 厄災と黄昏の時代から現存し続ける、
 ・・・・
 ラウンズ最強のオーヴァード。

PF『サーペントテイル』 :

〈──────驚いたな。
 一番乗りのつもりだったんだが〉

PF『サーペントテイル』 :

〈ギルドの鼠じゃないが、識別のない機体だ。
 黙って見送るわけにはいかない。投降、いや………〉

PF『サーペントテイル』 :
〈きみには愚問か。
 ・・
 海豚はどうした? 悪くない機体だったが〉

SYSTEM :
 曰くかつての戦闘であなたに対して、

 その伝説に反比例する子供の声が、
 次のように口にしたことがある。

PFパイロット :

“こいつは私の手足より自由だ。
 まったく憎らしいほど知恵は先を行くくせ、空を切る音は気持ちよくてたまらない”

PFパイロット :

”ただ唯一嫌いなのは名前でね。
サーペントテイル
 龍の尾など、よくもあてつける”

SYSTEM :
 ───その当時から何も変わらない。

 同じ戦場で生きて、戦場で死ぬ囚われ人。
 唯一の違いは、身を置く場所、その所以。

SYSTEM :
 荒野の果てはいずれも似たもの同士という。

 先の管制技術をもたらした昨日の友(広義)が、
 または…あなたも知らない“昨日の友”の元鞘が。
 いままさに、今日の敵となる。

マスター・ハーヴェスター :
「────ハ、ハ、ハ!!」

マスター・ハーヴェスター :
「鬼が出るか蛇が出るか……東の言葉で表そうとしたが無粋なくらいの大物だ。
 久しいなドラゴーネ、四つのカントリーという鎖を嵌められた者よ」

ガンオルカ :
 ガン・オルカのツインアイが明滅する。
 有視界内距離で機能する通信回線が開かれ、パイロットの声を滞空下においても強く伝えている。

ガンオルカ :
《ドルフィンは名誉を抱えて自由の身だ。
 今や技術という名の大海で伸び伸びとしているだろうよ》

ガンオルカ :
《そっちこそなんだ?
 手足より自由と言っておきながら、羽根まで付けやがって。
   輪   廻
 自ら龍の尾を噛みながらも羽ばたくことはやめられんか》

ガンオルカ :
 西側諸国から、ほんのコンマ数秒だけ流出した極秘の開発計画。
 そこからサルベージしたデータを、"ヴィクター"の持つ技術と、これまでの戦闘データを統合して独自に再設計した機体……それが海を駆けまわる海豚を凌駕する、海の王──オルカの名をたたえたのだ。

 己がこの目で見た獅子の王への当てつけか、あるいは挑戦状か、あるいは敬意か……。
 いずれにせよその名は、"竜"を相手にする相応しい王の銘だ。

ガンオルカ :
《──G-オルカ。
 よく覚えておけ、それが食い千切る者の名だ》

 オルカ。
 そう名付けられた者の手足に、どこからか飛来したパーツが組み合わせられていく。
 大気圏内におけるリアルタイムの組み立てが、オルカを更なる領域へ引き上げようとしていた。

PF『サーペントテイル』 :
〈如何にも。前者には悔恨をまとおうものだが、後者は光栄だ。
 空を捨て去ることなど、考えもしなかった身がよく言う〉

PF『サーペントテイル』 :
    ・・
〈特に、ここでソレを聞くのはね〉

SYSTEM :

 展開されたガン・ビットが宙を舞い、それぞれの矛が空を泳ぐ鯱を向く。
 否、それは竜の翼。翼爪にも似た刃の切っ先は、兵器の恐竜的進化の一つの形でもあった。 

SYSTEM :
 もとガーディアンズの一員が、灰色の境界線、鈍色の戦場に身を置く所以などは。
 あなたには然程の興味もあるまいが、興味もないなりに存じていることもある。

SYSTEM :
 カラード
 首輪つきの竜騎士は戦傷で不可逆の損壊と、有限の停滞を負い。
 猶も存在意義のために、鋼の手足を手に入れた、守り人の行く末であった。

SYSTEM :
 暴力の是非を、秩序に委ね。それ以上に信に置いた。黄昏の初志に片腕で別れを告げて。
 以て生まれたものこそが、龍の尾…。
.                 サーペントテイル
 厄災の二度目の襲来を建前に作られた、竜殺しの竜。

PF『サーペントテイル』 :
〈海越えの客人の中でも、
 行儀の悪い渡り烏を見送れとは伺っていない〉

PF『サーペントテイル』 :
〈ましてや空を飛ぶ鯱などとはね。
 見逃す理由を考えてみたが、浮かばないことであるし…〉

PF『サーペントテイル』 :
〈うわさの“マスター”が年甲斐もなく浮かれた鍍金なのかどうか。見てあげよう〉

SYSTEM :
 ローマ帰りがどんなものかを、
 もう一度確かめるいい機会だ………と。

 ノイズ交じりの通信が帰ってくる。
 引き金を弾かないのは慢心ではなく、立場上の都合だ。ここが記録に残らない欧州のバミューダとて、ギルドの相手でないと“分かっている”ものに引き金を向ける以上はしない。

 わかっているのは、明確な秩序の…。
 鎖の大元の敵だという事実だけ。それだけでも十分理由になり、それ以外にも、度し難い理由がある。

SYSTEM :
 つまりあどけない少女の声色らしからぬ、

 立派な宣戦布告で挑発だ。
 ・・・・・・・・・・・
 先に引き金を弾いてみろ、と。

マスター・ハーヴェスター :
「(俺を試すか──全く小柄な女はどいつもこいつも)」

マスター・ハーヴェスター :
「だがいい──確かめたくもあった。丁度いい機会だ」

ガンオルカ :
 ──"堕とされし者"に調整を頼んだ装備が飛来する。
 極度の空間認識能力を持つアレウスならばできるだろうという極大の無茶ぶり。
 ミッションに応じて変動する追加装備を、現地で装備する荒業……それを可能とするのが、このガンオルカ。

 そのスマートなシルエットが、徐々に姿かたちを変えていく。

ガンオルカ :
 ウェポン・ナベルス。
 冥府の黒犬ケルベロスを、悪魔に歪めた名を持つその装備は、三つ首を言わずに幾つもの"ガンビット"をその宙に浮かせた。

ガンオルカ :
 ガンオルカ・TYPE-Nがその戦列にガンビットを並べる。
 ガンビット搭載型PF同士の対決は記録上に残りづらいが、唯一のセオリーというものが存在する。
 それは互いのビット同士による、ミクロにまで範囲を限定した、小規模な艦隊戦。

 この制空権を左右する闘いを勝利しなければ、PF同士の肉薄などあり得ない。

ガンオルカ :
 仕掛けたのはオルカだ。
 お望みどおりにと、センサーをかく乱させる稲妻機動で躍動する。

ガンオルカ :
 ガンビットがそれに追従し、ほうき星のような軌跡を生む。
 円を描くような機動と、そこから放射状に絶え間なくビットからの"光"が飛ぶ。
 
 獲物が一つでも容赦なく。
 その肉の一片たりとも残さず刈りつくす、正に蹂躙者。
 それを体現するかのようなハーヴェスト・フォーメーションが襲い掛かる。

ガンオルカ :
 鯱は全てを海へ引きずり込み食い荒らす。
 それが例え竜であっても構わない。

SYSTEM :
..ウェルギリウス
 神曲の案内人が、己の業を預けたが如き黒き魔犬。
 かみ砕く牙は、例えば眼前の相手が何であろうとも挑みかかり、
 勝利してきた…勝利しようと登り続けてきた者たちの系譜の徴。

 牙持つ獣の幻想は置いた。死滅の咢も今や遠く。
 なれどもすべてが消え去ることはない。
 ほし
 伝説を継ぐもの………G-オルカが“ハーヴェスター”の軌跡を作るさまを、竜の伝説に尾を引かれ、尾を食むよう命じられたものが見つめる。

PFパイロット :
〈───それでこそだ。
 望む空は違っても、平和になじめない人間同士。
 引き金は己の意思で引きたいもの〉

PFパイロット :
 
〈…だが、そうでない空も好きなんだ。
 海豚のいる海にお帰り願おう…!〉

SYSTEM :
 ドッグファイト
 ───機動戦の幕開けである。

SYSTEM :
 架空の空を作る厄災の爪痕を、所狭しと、ニューロンを駆け巡る電磁波の光を模してビットが走る。
 撃ち合いは秒間数発、光の網は、ありもしないが、これを眺めたものからは流星雨のようにも見えるだろうか。

 その中を、ひときわ大きな青き星が走った。ロックオンカメラの中心から幾度もブレるG-オルカの機体が、同じく衝突しに掛かる青き星に向かい合う。

SYSTEM :
 放出されたビットを、並列機動のソード・ビットが迎撃する。
 エンジェルハィロゥ・シンドロームから成る光子屈折領域の形成は、古きに完成した歪曲空間の亜種だ。

 それも、データとして散逸したものではない。かつて誰かがたどり着いたやり方を、自然と別の戦いに身を置くものがたどり着いただけのこと。
 根こそぎを奪い去るビットの放射を、そのビーム・バリアが弾きながら、間合いは急速に白兵戦へと転換される。

 鋼の手足、外側の指先。
 なれども手を血で汚す、原初の戦いは。
 常に白兵戦を以て行われる。

SYSTEM :
      サーペントテイル
 ビットが器用に龍の尾の手元に舞い戻り、スナップを利かせた手首がそれに応じる。
 空中でも一切よどみなく、その刃を振り下ろす…!

マスター・ハーヴェスター :
「──来るかッ! お望み通り相手をしてやる!!」

ガンオルカ :
 振り下ろされた刃金を、
 振り上げた刃金が迎え撃ち、交錯し──閃光が溢れた!

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
        たたかい
 ──────あなたの人生は続く。
 
 誰よりも烈しく、戦士として。

SYSTEM :

 Citius,   altius,  fortius
 辿り着き、挑み、そして勝つ。
 その繰り返しに終わりはない。

 いずれの到達点を、星々と交差して。
 あの日の飢えにたどり着くその時まで…。

SYSTEM :
  亡 霊 の 鸛
 ファントムストークスと呼ばれたそのセルは、幾度の戦いに介入し、幾度の戦いより飛び去った。
 ………今回も、またいずれ。その一幕。

SYSTEM :
       Epilogue
 あなたの、日常的闘争である。

SYSTEM :

【シーン:Citius, altius, fortius-荒野の果てを踏みしめて】

                        Fin...

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・ED3『Per asprera ad astra-易きことも、難きことも』

SYSTEM :
【Check!】

 エンディング/HO3を開始します。
 暫くそのままでお待ち下さい...。 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :

 青天を裏切る霹靂から、驟雨の如く難事が降り注いだ。
 あるものはかなたの悪縁であり、あるものは地に根付くものの末路であり。
 あるものは秩序のために泥をまとい、神の誕生を挫く難題であった。

SYSTEM :

 期待の通りにこれを切り抜けたあなたには、雲間から太陽の光が降り注いだ。

 だがその光を享受し合うものの居場所は…、
 あなたの居場所は、この海向こうではない。

SYSTEM :

     ビジター  ホーム
 すなわち来訪者から、管理者へ。
 楽園の守人の帰還である──────。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

【シーン:Per asprera ad astra-易きことも、難きことも】

 登場PC:“七花胡”/謝花纏

SYSTEM :
        【 Now Loading... 】

 謝花纏。
 昨日の夢想を仕舞い込み、明日に開く花を想い。
 今日を彩る大地の色彩と共に生きる男。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

 ………UGN日本支部、Q市支部の支部長。以前の経歴に曰く本部エージェント。

 表向きは相互利益の信条を伴う実業家として、裏向きは世界の守り人として。
 その裏向きの中に、理由を内包し、今日まで“昨日”を続けて来た楽園の担い手。

SYSTEM :

 そのあなたには…ついこの間まで、別の名前があった。
ベルヴェデーレ
 “七花胡”。絶景の名を冠した欲望の徒。
 己が理想の庭のため、他者の望みを糧とするもの。

SYSTEM :

 そして、その名を冠したあなたには。
 任務があった。

SYSTEM :
カテゴリ
 金型は『雷神の槌』。
.タイプ
 形態は『ケラウノス』…。

 ローマに蔓延る破落戸たちが、三者三様、目の色を変えて飛び掛かった雷霆を司る遺産。
 ローマにおいてのみは、まさしくすべてを創造り、すべてを破壊す…神と成る導。

 クィリヌスの神の雷。
 これを巡った争いに身を投じ、奪取、もしくは破壊を任とし、あなたは情熱の国へ訪れた。

SYSTEM :
 その遺産をチラつかせ、礎にし、永遠の都を作らんとした『ワイズマン』…王弟レムス。
 彼さえも礎として拓き、すべてに挑み、滅ぼし、血肉としただろう怪物…混沌の戦士。
 そして…。これらに関与の痕跡を残していた、ランカスターの親不孝者。

 本筋となる任務の遂行を以て、あなたはローマより帰国した。
 帰国の前の過程。イングランドの某荘園で略式の報告のみを受けた彼は、瞑目し…。

SYSTEM :
 ただ、一言。
 ご苦労とだけ残し、あとはあなたの提示した(あるいはあちらから示唆した)“対価”との交渉を始めた。

 相応の無理難題。厄介事を片付けたあなたにとって、これは貸しであり、また次の面倒ごとの予兆でないとは言い切れない節もあったが…。

ヨシュア・ランカスター :

『大義であった。………』

ヨシュア・ランカスター :

『ギルドの手のものについては、こちらで追うことにする。
 貴公の庭へ戻るが良い』

ヨシュア・ランカスター :

『それから…』

SYSTEM :
 ”あれ”には、私から釘を刺しておく。
 
 …あなたに概ね察しの付く言葉を最後に、略式の報告と、後日の“対価”を以て。
 青天の霹靂、過去最大の、ランカスター当家からの招致を発端とする出来事は幕を下ろしたのであった。

SYSTEM :
 ………なにしろ。

 “七花胡”は目出度く勝利者となり、ローマを去って行方を晦ましたわけだがそうもいかない。
 まつろわぬ人であるところの彼ならともかく。あなたは“楽園の看守”である。

 己が育て上げてきたものは、留守にした程度で荒地の兆しを見せるほど柔ではないこともわかっているだろうが。
 さりとて、庭師が己の庭を野放しにする時間など、少しでも短くしたいのが信条というものである。

SYSTEM :
 はじめこの場を訪れてから、今日に至るまでの出来事。
 あなたが、何故、野火と共に駆け回り、略奪を是とする山賊に身をやつさなかったのかの所以をまったく欠けさせることなく制したローマでの日々は。
 あなたにとって鮮烈で、ある種、忘れがたきものを与えていったこと、それに変わりはあるまい。

SYSTEM :

 しかし、あなたにとって、自らが生涯をかけ、歩みに付き合っていく場所は、前線指揮官としての本部でも、ランカスターの信を受けて得た茶席でもなかったのだから。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 …ところ変わって。
 帰国の直後。

 本来の席/支部長の椅子に座ったあなたには、一先ずするべきことがあった。

SYSTEM :
 場所はQ市UGN支部、支部長室。
 この支部にとっての、いつも通りの日常の風景とともに、留守の最中の確認と、略式で済ませた報告の整理。
 また帰還直後にも行いはしたが、支部にて改めて侵蝕率の経過チェック。その他諸々。

SYSTEM :
 騒がしいか、そうでないかは想像にお任せするが…。
 ひとまず、あなたにとっての”普段”が戻ってきたわけである。

SYSTEM :
 ………時に。

 ”七花胡”の持ち物であり、エージェントとしてのあなたの持ち物でもある男。
 もう個人の名前など捨てて久しい蜂の亡骸に、Q市の門を潜る所以はない。

 当人にその気もあるまい。かつての欲望の徒は、欲望諸共すべてが崩れ去ったときに燃え尽きたのだ。
 だから、当然この場にはいない。去り際の言葉のみを回想するに曰く。

“アセルス・デスミオス” :
“んじゃまたね、大将。
 弾除けいる時に呼んでちょ”

“アセルス・デスミオス” :
    ..にわ
“あんたの世界のお嬢様を恃むよ。
 不養生とかは気にしてないけどね。昔は引きこもり癖ついてたから”

SYSTEM :
 …その男の言葉の先をあなたは知っている。

 Q市アールラボ所属、もとFHチルドレン。
 いま、侵蝕率の経過チェックの結果を手渡しに来た娘だ。

“万象論理回路”クロエ :

「はい。これ」

SYSTEM :
 彼がこの娘と出会うのは、あって月1。Q市の他所での出来事。
 彼女からすれば、知っているけど知らないおっさん(仮称)。

 名をクロエ。クロエ・フェレーリ。
 天涯孤独の学者肌(引きこもり癖あり)、その血の源流を、本人が知ることだけはないだろう。恐らくは、ほぼ永久的に。

 親御の愛を知らずとも、似たものとすれ違ったことのあるあなたの判断がある限り。

“万象論理回路”クロエ :
.. あっち
「海向こうでチェックしたらしい時と一緒。
 安定域でも下のほう、任務直後に出す人なんて、珍しいもんですけど」

“万象論理回路”クロエ :
「何やったの支部長」

SYSTEM :
 その人見知りが“支部長”とあなたを呼び、ここの人間だと自分を認識するのも、それなりに時間の掛かったことではあった。
 余談である。

謝花纏 :
 ローマへの出張が終わった。
 邸下への報告も、略式ながらひとまず完了。緊急性のある事柄──ランカスター何某が関与していたという裏付け等──のみイギリスで報告を済ませたから、正式な報告書は追って提出するのみだ。

 邸下のコメントもまあ。なんとも味気ないものである。
 かといってあの方に手厚く労われたところで、せっかく止んだ霹靂がまた降るのではないかと戦々恐々とするところだから、あれくらいあっさりでいいけれど。
 無駄話や腹の探り合いで時間の浪費をしないところが、他のお歴々と違ってあの老翁の良い処だ。

謝花纏 :
 邸下からのお呼びがかかった時点で、職員たちには、本部からの招集と伝えてあった。大枠間違ってはいない。
 まさかFHとしてローマで一仕事してきます、などとは口が裂けても言えないからだ。
 自分に指示を寄越す男の性格が悪いのはまあ百歩譲れたとしても、それがまるきり敵対勢力のエージェントをやれるほど向こう側寄りの人間だとは、誰しも思いたくはないだろうから。

 謝花纏は、あくまで秩序を造り、秩序を糺し、秩序を守る側の人間だ。
 建前上。

謝花纏 :
 そんなわけで、さんざんこき使った駄馬はQ市の門前で任務御苦労の御触れを出し、首輪はそのままに、再び野に放逐。
 うちで引き取った件のお嬢さんのことは、元より普段の業務の延長で様子を見るつもりだった。

 彼が自身のこの先一生と引き換えにした恃みだから────というのは二の次。
 クロエさんは、もうとっくに、自分がこの庭で育てている大切な花の一輪だからだ。

謝花纏 :
 ありがとうございます、と差し出された経過チェックカルテを受け取ってから、自分でもさっと目を通す。
 見事に安定域の下の方だ。相当酷使した自覚はあるのだけれど、どうやらそれよりも、帰還の意志の方が大幅に上回ったらしい。

謝花纏 :
「まあ、その反応になりますよねえ……。
 長期出張から帰ってきたと思ったら、侵蝕値は通常値より低いわ、山ほど土産は持って帰ってきたとなれば……」
 多分自分でも同じ反応すると思います、と答えつつ、机の一画を占有するピサの斜塔をチラ見する。
 ルイクゥさんに貰った、例の光るピサの斜塔だ。ローマなのに。

謝花纏 :
「何って……そうですねえ、ローマで本部の仕事して、ついでに観光もしてきた、みたいな。
 ああ。そこ。テーブルの上。皆さん宛てにと買ってきたイタリア土産です。戻るときに、好きなの適当に持って行ってくださいね」
 指さした先には、チョコレート菓子やコーヒーのパックを中心としたお土産物フリーコーナーと化した、面談用のローテーブル。
 抜け目なく「一人一種類ずつ」と書いてある。

謝花纏 :
 ……書類から目を上げて、クロエさんの顔を見返す。
 顔色は悪くない。精神面も安定しているようだ。
 うっかりすると外に出ないまま平気で過ごすタイプだが、そのあたりの面倒は、コミュニケーションがてら周りのラボ職員に気に掛けてもらうようにしている。

 父親────カルロ・フェレーリとは。
 打ち込むと一辺倒の気質以外、やはり、似ているようには見えなかった。
 似たところ探しをするつもりが、自分の側にほぼ無いというのも。大きいのだろうけれど。

SYSTEM :
 …あなたのローマでの出来事をなぞる思考を幾度か繰り返しても、血筋の源流と重なる部分はそうない。
 ・・
 覚醒の原風景からくる人間嫌いと、
 ・・
 経験からくる人間嫌いでは話が違う。ということだ。

SYSTEM :
 ………そんな彼女だが、あなたの言葉と同時に、面談用のローテーブルを見て。そして視線を戻し。やがて最後に、机の一画を占領するものに目をやっていた。

 もはや何を言いたいか一目瞭然の表情である。

“万象論理回路”クロエ :
「…それはいーけど…」

“万象論理回路”クロエ :
「いや、全然良くないけど、先にひとつ聞いていい?」

“万象論理回路”クロエ :
「ローマなのになんで斜塔なのよ……」

謝花纏 :
「いやあ」

謝花纏 :
「御尤も」

“万象論理回路”クロエ :
「あんt…支部長が投げたら話が終わるじゃないのよ」

 なんか七色に光るし。

“万象論理回路”クロエ :
「…まあ、そのあたりよりよっぽど不思議なのがさっきのデータだけど……。
 ともかく、出したからね。こっちからはこれで………」

“万象論理回路”クロエ :
「…あ」

謝花纏 :
ぽち

謝花纏 :
七色に光り出す斜塔 眼鏡にも反射している

謝花纏 :
「どうかしましたか」

“万象論理回路”クロエ :
「無理でしょこの状態からフツーの話」

“万象論理回路”クロエ :
 どうかしてんですけど目の前の土産が?

謝花纏 :
「これ、人からの貰いものなんですけど。その時色々情報量過多で、聞きそびれちゃったんですよねえ。つい」

謝花纏 :
「これピサですけど? とか、もう少し小さいサイズなかったんですか? とか、カモられてません? とか……」

謝花纏 :
「楽しそうだったので。贈り主が」

“万象論理回路”クロエ :
「ソレ困り待ちじゃ、いやいいわ」

 ぜったい詳細を聞いたら頭痛くなる

“万象論理回路”クロエ :
「…まあいいわ。で、支部長。
 その本部で思い出したんだけど」

謝花纏 :
「はい」ぽち。光を消す。ちゃんと話をするモード。

“万象論理回路”クロエ :
「さっき、その本部から連絡があって。
 いちおその伝達も兼ねてたんだったわ」

“万象論理回路”クロエ :
「…そろそろ約束を守りに行く、だってさ。
 そーいう知り合いいたのね、支部長」

SYSTEM :
 そんな曖昧な(※あとあと話を聞いてみたらおそらく今日)「今から行きます」など、心当たりは一名しかいない。

 基本的にアポなしでふらりとやって来がちな人間である。

SYSTEM :
 その日取りがすぐではなかったり、ローマでの巡りあわせでもなかったのは、彼にも評議員の仕事があり、何よりも…。

 あなたはそのローマでひとり、他でもない“謝雲竜”を出汁に釣った魚がいたからだろう。
 それにつけても妙に行動が速いのは、あなたの“どうせ会うなら庭での自分のほうにしてくれ”を、彼なりに組もうとしているだろうことは、想像の付く話だ。

謝花纏 :
「………………………………………………約束」
 いやにしたって今日?
 これからまだ……珊瑚さんたちの報告も受けないといけないのに?

“万象論理回路”クロエ :
「…ン。何、その重い沈黙。理由つけて今日は断っといたほうが良かったヤツ?」

謝花纏 :
 ……………………誰から、なんて、たとえ言われなくたって分かっただろう。
 ふつう人にはその日の予定とかあるんですよとか、言ったって合わせようたって、そもそもの尺度自体が違う方だ。
 事前連絡があっただけ、まだマシと思うべきだろう。多分……。

謝花纏 :
「…………いえ。確かに、それは自分宛の約束です。
 伝言、ありがとう。手間を掛けさせましたね」
 強張った顔を意識してほぐすように、ゆっくり微笑む。

謝花纏 :
「……貴女の用は此処までですか?」迂遠に、此方の用が一つある、のサイン。

SYSTEM :
 伝言の礼には、やや早い口調のそっけない「べつに」。

“万象論理回路”クロエ :
「ン。確かにこんなトコだけど。
 支部長には別の報告付きだろうし。すぐラボに…」

“万象論理回路”クロエ :
「………いや違うか。なに?」

謝花纏 :
「……そうですね。簡単な質問です。アンケートのようなものだと思って、思うままに答えて欲しいのですが」

謝花纏 :
「貴女にとって、この街は……この庭は、居心地の良いものでしょうか?」

 ゲームの駒として使い捨てられかけた“ビーハイヴ”から、一人の男が全てを擲ってまで助命を嘆願した子供。
 親の顔もろくろくしらない、現UGNの元FHチルドレンに、今自分は、自分らしく生きられる場所を与えられているだろうか────と。
 つい。確かめずにはいられなかった。

“万象論理回路”クロエ :
「ナニ言い出すかと思ったら………、………」

SYSTEM :
 数秒の沈黙。
 珍しい問いの形に面食らったというよりは、
 すぐに何かを答えようとして思い直した時の態度だ。

“万象論理回路”クロエ :
「アールラボでひと様が資料確認してる時に、ズケズケ上がり込んでくるのはいるし」

“万象論理回路”クロエ :
「それだけやらせるのかと思ったらフツーに外回りやらすこともあるし」

“万象論理回路”クロエ :
「…多くて月1で知ってるけど知らないおっさん面会に来るし」

“万象論理回路”クロエ :
「………」

SYSTEM :
 また数秒の沈黙。

 基本的に態度のそっけない娘だが、それは根から冷たい性格でないことも。
 育ててきた花の経過を見てきたあなたには、わかっていることだ。

“万象論理回路”クロエ :
「べつに。悪くは。ないんじゃない」

“万象論理回路”クロエ :
「………もういい? あたし帰るわよ」

謝花纏 :
 まだ素直に表現するには、言葉の数も態度の取り方も、それから経験そのものも未熟な少女の。
 もじもじとした「悪くはない」の言葉こそが、今においては、もっとも分かりやすい答えだった。

謝花纏 :
 ……胸に安堵が満ちる。もしこの娘が、父親に対して少しでも未練や思慕を残していたのだとしたら。
 選択を提示することなく奪い取ってしまったのは、あるいは間違いだったのかもしれないと、胸の片隅に曇りがぬぐい切れずにいた。

 此処にきて貴女のその答えを聞いて、ようやくその曇りが晴れた心地だった。
 あんな男のことなど。最早とっくに終わった過去として、そのまま貴女は、前を向き進み続ければ良い。
 この庭で……。

謝花纏 :
「……そうでしたか。はい、十分です。
 変なことを尋ねましたね、クロエさん」

謝花纏 :
「月一で面会に来る変なおじさんのことも、あまり邪険にせず。その時だけでいいので、適当に構って差し上げてください。そうしたら満足しますので。
 自分からのお願いです」

謝花纏 :
「御苦労さま。これからも引き続き、よろしく頼みます」
 そうやって、いつも通りに。にっこりと微笑んだ。

SYSTEM :
 本人的には憎まれ口の突き放した言葉を、柳のように受け流されたクロエは釈然としない(というよりはやや梯子を外された)様子で、一度だけ頷いた。

“万象論理回路”クロエ :
「いや、昔から基本覚えなくていいみたいな態度とるんだけど、あのおっさん…。
 …ともかくわかったわ。わかったわよ。言われなくたって、やることやるわ」

SYSTEM :
 あなたが知っている限り。
 はじめはもっと厭世的で、よく噛みつき癖のある少女だった。

 仕事は与えられたからやる人間で、付き合いはラボの範囲から広げようとすることもない。
 人の名前を覚えないことなどザラだったが。それは後にしてみれば、彼女が”されて”学んだことを返しているだけだった。

SYSTEM :
 FHから持ち出してきた然る技術───あとで判明したのは“ハーヴェスター”の口にしていた因子管制との類似性───と、その腕前。
 要求の矛先は概ね其方だった。そんなクロエにとって、先の経験は、裏を返せば概ねそうそう触れたことのない経験である。

 いつも通りの言葉に、いつも通りで答えるようになったのも、そう前のことではないが。たった今、でもなかった。

“万象論理回路”クロエ :
「その」

“万象論理回路”クロエ :
「お疲れ様。支部長」

SYSTEM :
 戸惑いよりは礼の気恥ずかしさだろうか。逃げるように戸を閉める、そんな退室だった。

謝花纏 :
「……おやまあ」
 ありがとうを言いそびれてしまったけれど、その背中へのほほえましさと嬉しさが唇に滲むのを、堪えることはどうしてもできなかった。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「謝花。わたしだ」
 申し訳程度の3度のノック。
 詐欺の如き宣言が早いか遅いか、片手にタブレットを抱えて翠簾野珊瑚が入室してくる。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「しぶちょお! ボクです」
 こここここん! と1d10回のノック音。てこてこと沙上浅雪が後を追う。

謝花纏 :
「あのねえ珊瑚さん。多分承知の上だと思うのですが、ノックってふつう、『どうぞ』って言われたら入ってくるものなんですよ」

謝花纏 :
「沙上さんも。いくら叩いたって、この部屋から出てくるのは自分の顔しかありませんよ」

謝花纏 :
「……ともかく。お二人とも、お疲れ様です。待っておりましたよ」
 報告を受ける予定だった部下たちの到着だ。クロエさんとは入れ違いだろう。
 正確には待っていたのは珊瑚さんの方だが、まあ、沙上さんが常に彼の後をついてくるのは彼女の習性のようなもの。いつものことだった。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
(廊下に上半身傾けて「クロエちゃーーーーん! おつかれさまーーーーああああ!」と後ろ姿に呼びかけている)

“万象論理回路”クロエ :
 うっさいこの距離でその叫び方しないでも聞こえてるわ!!!

SYSTEM :
 大音量の人工的やまびこであった…。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
廊下のほうへ手を伸ばして適当に手を振る

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
ふ〜らふ〜ら

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
あわせて首振っちゃお

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
ゆ~らゆ~ら

“万象論理回路”クロエ :
 こいつら………………………。

“万象論理回路”クロエ :
1d2 (手を2で振り返した) (1D2) > 2

SYSTEM :
 ぎこちない手の振り返し。
 入れ違いの一部始終である。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
満足してからばたんとドアを閉める。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「というわけだ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
あけてぇ

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
なんでぇ

謝花纏 :
「いや締め出してるじゃないですか」あけたげなさいよ

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
格付けチェックのハズレドアを開ける要領で開けたり閉めたりする。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
あっ! あぁぁ あっ! ぁぁぁー……

謝花纏 :
ものの見事に遊ばれ…… 弄ばれている

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「結果発表」ぱか。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「ぃやった~!」飛び込んで前転

謝花纏 :
「埃立てない」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
ころり~ん

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「しぶちょぉ~のお部屋きれいだから大丈夫だよう」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「先日も鶫が神経質に掃除していたよ」

謝花纏 :
「鶫さんが……ほどほどでいいと指示したはずなんですがねえ。どうにも気を抜くことが苦手な性分なようですから」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「鶫の場合、雑務に真剣に取り組むことが息抜きだ。よい薬なのではないか」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
マイペースに斜塔の方に行ってしげしげと眺める。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「あ~今日のお土産コーナーだ」こっちはお菓子に一直線

謝花纏 :
「まあ、業務の合間の息抜きにはなってるんでしょうが。その雑務も彼女、たいてい120%だから……」

謝花纏 :
「一人一個です。お好きなのをどうぞ」斜塔を眺めてる珊瑚さんも。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「ひとりいっこ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「ですが」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「ほんじつにかぎり……?」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「なんと……?」

謝花纏 :
「なんと……」

謝花纏 :
「一人一個です」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
ア~ン 真剣に向き合って選びだす

謝花纏 :
「選択は後悔のないようにね」しっかり釘刺しを終える。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
斜塔のボタンを押す。

謝花纏 :
七色に光り出す斜塔 眼鏡に反射する光

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
なにごとぉーーーー!?

謝花纏 :
いいリアクションですね

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「ピサとローマをはしごしたのか?」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
うわ~~~~お お部屋がディスコ

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
踊っちゃお わっさわっさ

謝花纏 :
「いえ? 任地はローマでした。まあ外に人をやったりなんだりはしましたけど」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「………」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「関西で東京ばな奈を買えるのと同じだな」

謝花纏 :
「おおむねその通りです。といっても買ったのは自分ではなくて、ローマで知り合った方に持たされた、という方が正しいですが」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「…………」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
首を45度曲げる。

謝花纏 :
「なんですかその顔と角度」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「……いや」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「みやげを持たされる関係の知り合いを現地につくるなど、珍しいと思ってな」

謝花纏 :
「ああ……まあね」光るピサの斜塔を指先でつつきつつ

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「おともだち?」

謝花纏 :
「……そうですね」

謝花纏 :
「友人です」

謝花纏 :
「守秘義務がありますから、詳しくは話せませんが……色々と込み入った仕事だったのですよ。
 主義信条が異なる人たちと轡を並べることになったのは、最初はあくまで成り行きでしたが……」

謝花纏 :
「ハードな局面を乗り越えるために、互いに、それなりに踏み込んだコミュニケーションを取りました。現場ならよくあることでしょう。
 主義信条は違っても、その内容自体は、悪くはないなと感じたので。土産を貰ったり、出立を見送るくらいは。
 まあいいか、と」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「…………………」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「ぽかーん」声に出た

謝花纏 :
「なんですかその、植えた種と違う芽が出てきたみたいな顔は」

謝花纏 :
「わざわざ声に出すほどですか」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「だってえ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
ね~とさんごくんと顔を見合わせる

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
沙上と顔を見合わせて頷く。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「しぶちょおはさ、なんて言うのかな……えっと『支部長』がしゅぎしゅちょーだから、ボクたちじゃあんまり踏み込めないときがあるのね」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
          急所
「ふところはいちばん心臓に近くて、だいじな場所だけど……」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「それ以上は奥にいけないし、外側を見れないでしょお」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「ちがう人たちだから、まあいいか、で付き合えたのかな? って……」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「えへへ……うまく言えないや」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「ちょっとやきもち。お菓子二個もらっていい?」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「……」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「沙上の言い方も理解はする。
 この言い方が適切かは知らないが、『友達』と『うちのお子さん』の違いなのではないか」

謝花纏 :
 沙上さんの言葉は、舌っ足らずだからこそ正鵠を射た評価だった。
 珊瑚さんの理解の仕方も、同様に。
 流石、自分の就任当初から此処に居る二人なだけある。

 ルイクゥさんだけは例外かつ結果論になるが……“マスター・ハーヴェスター”も、ラーゼスさんも、自分自身の群れがあり、庭があり、全てが丸く収まれば、必ず其処に戻っていくことが分かっていた人たちだった。
 結んだ絆に偽りはなくとも、抱いた感情の置き所は、今目の前に居る彼らに対してとは────明確に違う。

 はっきりと、切り分けている。
 自分の中で。

謝花纏 :
 けれど……彼らが友人や兄弟にしか見せぬ面が在るように、自分にも、支部長としての顔と友人としての顔があることを。
 理解した上で、彼らがこうして伝えてきたことは……

 ……信頼だと捉えて良いのだと思う。

謝花纏 :
 ピサの斜塔の電灯をオフにしてから、珊瑚さんを沙上さんがお土産ものとにらめっこしていたソファの方へと腰掛けるよう促す。
 彼らを並んで座らせ、自分はその対面のソファに、向かい合うように。
 同じ目線だ。

謝花纏 :
「……そうですね。その通りだと思います。
 彼らには彼らの場所があった。彼らのことを慮るのは、自分でなくても良かったのです。
 そのあたり、気軽に……もっと言えば、無責任に付き合えたのかもしれません」

謝花纏 :
「貴方がたに対しては……そうもいきませんから。それは自分自身が一番許せない」

謝花纏 :
「貴方がたには、貴方がた自身のことでめいっぱい悩んで欲しいのです。
 本来皆さんが自分の将来や、やりたいこと、やるべきこと、成し遂げたいことのために使うはずだったリソースを、自分などのことで食わせたくはない」

謝花纏 :
「貴方がたが一番大事です。ローマにいた時だってずっとそうでした。
 でも、『一番大事』の中に、順位は付けられないのです」

謝花纏 :
「だから、お菓子は一人一個。
 余った時に、余った分を、欲しい人たちで分けなさい。平等にね」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
他方、こちらは梅干を食べたあとの顔をしている。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「んも~重症! また『自分など』ってゆった! 困ったさん格付けトップランカー!」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
 ぷんすこぷんと膨れて、知ってるもんと口を尖らせる。

 種が蒔かれる前の小さな一画から、立派な庭になるまでを共に過ごしてきた少女だ。
 なんでも計算尽くの頭脳が、そんなものかなぐり捨てて全部を『みんな』に傾けていることくらい。呆れるほど。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「ふ~んだ、もういいも~ん。余ったときにもらうやつ今から決めちゃうんだから」

謝花纏 :
「『困ったさん格付けトップランカー』……」なんだそれは。トップランカーということは他にもいるのか。の顔をしてから、

謝花纏 :
「……珊瑚さんも何か仰りたいのならどうぞ?」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「では遠慮なく」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「浮気を見とがめられた時の『おまえが一番大切だよ』を言われた気分だよ」

謝花纏 :
「失敬な、今『貴方が本命です』って言ったばかりではありませんか」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「だからぁ! それぇ!」

謝花纏 :
「ええ……」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「怜ちゃん呼ぼう怜ちゃん、いちばんくわしいから」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「やめておけ。先日マチアプで大外れを引いて傷心だった」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「こないだは街コンで失敗してたのに……」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「ガッツには一定の評価をしたいところだ」

謝花纏 :
「また彼女外れ引いたんですか……なんという……男運の無さ」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「……鶫の連敗記録は酒にとっておくとするが」

謝花纏 :
「やめたげなさい」あの子悪酔いして大泣きして翌朝消沈するタイプだから

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「チ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「~怜ちゃんの男運について~」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「内側で済ませるのもできないのだろう。後に引けないというやつだ」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「で。……知っていたが重症だな。
 相変わらずと言えば相変わらずで、自覚ができたぶん上々か? どう思う、沙上」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「本命に弱みを見せないカッコつけして息抜きの浮気にズブズブになるのはほんまつてんとーと存じます!」

謝花纏 :
「こ」

謝花纏 :
「……の言い草、確実に貴方の影響では?」珊瑚さんを見る

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「いや? 普段見ている洋ホラーだろう」

謝花纏 :
「そっちか……」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
フフ~ン

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
じゃなくて!

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
しぶちょおのうわきもの!

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
おかしみっつ!

謝花纏 :
「そういう言い草は使いどころを見極めないとしっぺ返し食らいますからね。身内相手だけになさい」余った時に余った分を以下略。

謝花纏 :
「……で……」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「なんだ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「なによう」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「ちなみにわたしはおおむね同感だ。
 ついでに言えば、あの手のやつはわれわれではなく、須磨か天童従妹あたり向きだよ」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「……氷ヶ崎もそうか。おおむねうちの花扱いしている」

謝花纏 :
「まあ……貴方がたにはいまいち響かない言い回しなのは知ってますが。
 何分、これが嘘偽りない本音でね」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「んぬぅ」ふくれながらピスタチオとストロベリーで迷い迷い

謝花纏 :
「個人的な弱みを見せることだけが、信頼表現ではないのではありませんか。
 むしろ自分が困った時、真っ先に頼りにしたいと思うのは珊瑚さんと沙上さん、貴方がたお二人ですよ。
 S市の時だってそうだったでしょう」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
 

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
 

謝花纏 :
「え~ご納得いただけてない……」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「何度も言うが、それは『おまえが本命だから安心して』だよ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
おみやげの箱にかぶさる。

謝花纏 :
「本命なんですからそりゃそうになるに決まってるでしょう、そもそも浮気だってしてませんよ」
 よしなさい、と沙上さんの肩を手で軽く叩く。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「はあ」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
首が90度に曲がる。

謝花纏 :
「それ他の子が怯えるからあんまりやらないでくださいね」鶫さんとかクロエさんとか……

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
ううっ

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
えらべない

謝花纏 :
択びなさい くじで運任せしてもいいですけど、それだと納得しないでしょう

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「………」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「謝花」

謝花纏 :
「はい」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「この際だから言っておく。きみの主義とは130度は違うはずなので、愚問だと思えば聞き流せ」

謝花纏 :
「……? はい。聞き流すかは、聞いてから決めましょう」
 130度か……

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「『一番大事』の中に順位をつけないというのは、きみが上から平たくわれわれを見ているからだ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
ちら……と目線だけあげるお土産の屋根。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「それがどういう主義なのかは知らん。
 推察するならきみの体質だが、現状の技術では不可逆なことをとやかく言うつもりもない。
 ・・・・・
 興味もないし、きみも話すつもりなどないだろう」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
ぺちゃ……とおなかの下敷きにするテーブルの番人。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「わたしは自分と家族とついでに自分の周りのものどもがとても好きで、それ以外は別にどうだっていい。
 その中とてグラデーションはある。それは当然のことだ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
苦手な話になってとうとう箱を抱えたままテーブルの下に潜り込む。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
 ・・・・・・
「この庭の神様になりたくないのなら、もう少し大地に降りてものを言え。
 庭師なのだろう」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
マイペースに箱に手を突っ込んでピスタチオを食べる

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
ああん

謝花纏 :
「神様……」

謝花纏 :
「……。……」

 テーブルの下に引っ込んでしまった沙上さんを両手で引っ張り出して、隣に座らせ、それから箱をテーブルの上に戻す。
 そういうことを人に任せず、手ずからするのは、彼女が大事だからだ。
 でも、今目の前にいる珊瑚さんと彼女、何方が好きか?などと問われてしまったら……

 おそらく答えに窮すだろうことは、容易く予想がついた。

謝花纏 :
 ……主義。
 そういう、世界を雲上から見下ろして満足するような「主義」に、長年鬱屈を覚えて反発していたはずなのに。
 皮肉なことだ。今度は自分の方が、それを抱かれる側になるなどと……。

謝花纏 :
「……落ちた月の光を地上の霜と見間違えるのは、端から見分けをつけようとしていないから、か」
 暁蕾との会話が脳裏を過る。元・姉弟子には大層なことを宣っておいて、実際はこれだ。

謝花纏 :
 ……大きくため息を吐く。

謝花纏 :
「……。……唐突ですが」

謝花纏 :
「今からするのは、雑談です。余談みたいなものです。
 業務とは何ら関係ないので、覚えても覚えなくても、査定への影響はありません」

謝花纏 :
「……自分の生まれは、中国の貧民街です。
 名前もついていないようなド田舎の、学も無ければ身寄りも無い、名前すら貰えなかった孤児でした」

謝花纏 :
「それが、たまたま覚醒して。能力を生きるための悪事にばかり使っていたところで、ある人に拾われて、育てられることになりました。
 自分の……師匠です」

謝花纏 :
「それがね。まあ随分と徹底した平等主義者で……拾われはしましたが、自分と他の年長の弟子たちとで、扱いは全く一緒。
 親がいなかったのもあって、結構最近まで、それが本当に本当に厭で仕方なかったんですけど……」

謝花纏 :
「……珊瑚さんが『上から平たく見ているよう』と仰ったのは、そういう、師匠の厭なところを継いでしまっていたからでしょう」

謝花纏 :
「でもね。
 ……それだけではないのです」

謝花纏 :
 沈黙が数拍置かれた。それから、指先ががし、と頭を掻く。
 人前ではめったにやらない、どう伝えれば伝わるか、本気で考えあぐねているときの乱暴な仕草。

謝花纏 :
「貴方がたにとって自分は、共に暮らし、そして時に、厳しい戦場へ向かえと命令する立場の人間です。
 その命令を……私情の軽重で決めているとは、絶対に思わせたくない。
 たった一瞬でも。ほんのひとひらでも」

謝花纏 :
「……そういう指揮官だと、思われたくなかったのです。
 自分にとって貴方がたは、心の底から、誰一人欠けて欲しくないものだから」

謝花纏 :
 グラデーションがあると悟られてしまったら、色の薄いところから死地に向かわせているという恐れを/疑いを、一番大事な彼らに抱かせてしまうのではないか?
 自分がどれだけ振る舞いに気を付けても、敏い子は気付いてしまうだろう。珊瑚さんや沙上さんのように。
 それが不信につながり、不信が迷いを呼び、迷いが死を招いてしまうようなことがあれば……。

 ……そんなことがあれば。腹を切っても首を差し出しても、何をしたって謝り切れない。
 だから、そんな疑いを持たせてしまうような可能性、それそのものを剪定した。

謝花纏 :
 神様にも王様にもなりたくない。なりたいと望んだことさえない。
 自分は彼らにとって、ただの一介の庭師でいい/なければならない。
 自分は花でも種でもない。
 
 レムスを/混沌の戦士を排した時と同じように。
 自分はただ、貴方たちを揺るがせにする可能性を、不可思議の先とて認められないだけだった。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
 テーブルの下から引っこ抜かれてソファの上へ。横並びは対面よりずっと近い。

 初めて聞く過去も、
 久しく見なかった粗暴なしぐさも。

 開いてくれた胸襟と同じくらい、確かなものだ。だからこそ少女には分からない。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「あおん……」

 くっつけた人差し指同士をこねこねする。
 かくあるべきと定めた形に則り、逸脱を不実と見なす。甘えも妥協も許さない。気高い生き方なのだとは思う。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
 隣り合わせの手袋を外して、素手と手を繋ぐ。
 ・・
 ここにきてほしいと言っているのに、あなたときたら平等の所以を詳らかに説くのだ。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
 それは、つまり。迷わせたくない苦心や失いたくない苦悩を乗り越えたら、あなたはいよいよもって神様になってしまう。

 長すぎる前途が克服や解決をもたらさない保証はどこにもない。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
 投げかけた本人はどう思ったのだろう。空いてる片手で彼の手も掴んで握る。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
 

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
こう思っている
という顔をしている。

謝花纏 :
「納得も何もないって顔してますね」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「そうだな。ない」

謝花纏 :
 手袋を奪われるがままに握られた手を見た。
 度重なる庭仕事で御世辞にも綺麗とは言えない手を、握らせてしまったことに内心で気が引ける。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「堂々めぐりだな。わたしも詮無きコトを言った。死ぬまで治らんたぐいだ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「死ぬまで治らないってぇ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「悪化しないとは言ってなくてぇ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「時間がいっぱいあるのがたち悪くってぇ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
繋いだ手を両方ともゆ~らゆ~らさせる

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「とりあえず見張っていればよいのではないか。わたしは途中退場だが」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「そうだけどデリカシーがないぃぃぃぃ~~~~」

謝花纏 :
「………………」
 ゆ~らゆ~らと不規則に揺らされる手を、少しだけ握り返す。
 この手だ。そして振りほどく素振りも無い反対側の手だ。テレサ嬢の庭園の厳粛さ、氷結庭園の在り様にだけは、ちらとも触れさせたくなかったのは。

謝花纏 :
「……すみません。本当に。師匠のことを抜きにしたって、こればかりは性根で。
 それ以上に、“やる”と決めたことなんです」

謝花纏 :
 この庭で生きるすべての定命の人が、自らの選択を終えるまで。
 傍らに居る自分よりも年若き不老の子が、摩耗への備えを得るまで。
 この命に代えても此処を守り、貴方がたを守ることが、それすなわち自分の欲望だ。

 出来る限り、貴方たちに障らないやり方を模索したつもりだった。
 自分では。

謝花纏 :
「だから……貴方がたの優しさに付け込んで、酷いことを言います」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「ヤッ」ぱたりと伏せる

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
あー!手つないでるから耳ふさげない

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
哀れなことよ

謝花纏 :
 にこっと笑って、ここぞとばかりに緩く握られたままだった手をしっかりと握り返す。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
ひぃ

謝花纏 :
「自分のこと、見張っていてください。
 神さまにならないように」

謝花纏 :
「お願いできますか? 二人とも」

謝花纏 :
「お目付け役に選ぶなら。自分、お二人がいいんです」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「……………………」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「……………………」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「だそうだよ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「ボクに振るのお!? さんごくんも連帯だからね!?」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「うぬぬぬぬ……」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「いいけどお……そのつもりだったし……。でも、ふわふわ上に浮いてかない努力もしなきゃだめなんだよう!」

謝花纏 :
「支部長職がしょっちゅう上の空になれるような閑職だったら、もっと成り手も多いんでしょうがねえ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「そおじゃなくてえー!」

謝花纏 :
「ふふ、わかってますよ。大丈夫です。神さまにも王さまにも、なりたいなんて思ったことありません。
 第一、空に飛んでっちゃったら、貴方たちの顔が見えないでしょう」
 ほんのりと眦を緩ませて、膨れ顔を見返す。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「ふぐぐぐ……この伝わってるような伝わってないような感触……!」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「もう今日は誰か来るまで手離してあげない。あーあ、いけないんだいけないんだ。お仕事遅れちゃうんだ」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「誰より引くべき相手は目の前にいたようだ。がんばってくれ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「他人事!?」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「連帯! 連帯!」ウオォー

謝花纏 :
「そうですよ~お二人って言ったじゃないですか。
 珊瑚さんはお返事、くれないんですか?」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「かまわないよ。断るからな」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「あれえ!?」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「あっあれーーーー」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「さっきご自分で見張るってーーーー」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「あのおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
おおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーん

謝花纏 :
「おや。つれない返事。“お願い”では肯いてくださらないと?」隣の咆哮からは明らかに耳を遠ざける

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「『見張ってればいいじゃない』と言っただけで、わたしがどうするかは言っていないからね」アメリカンに肩をすくめる。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「あふん」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「……じゃあ、どうするの?」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
きゅっと繋いだ手に力がこもる。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「どうするもなにも」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「わたしを見張るのはきみのほうだろ、謝花。なにを甘えたことを言っている」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「そのようなくだらないことを二度言ったら、わたしは今度こそ転属願を出すからな。
 神に額づく気もなければ、
      おはなちゃん
 浮いた馬鹿者の庭師を馬鹿正直にやりつづける気もないよ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「あわ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「ぅ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
ぺったんこに伏せる。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
えらそうに腕を組もうとしたが手が離れない。仕方ないのであごだけ上げる。

謝花纏 :
「……それは……」

謝花纏 :
 ……困る、と思った。
 困るのは誰? この庭の人間? もそうだろうが……
 一番は……自分だ。

脳裏に思い出す声がある :



 ────いつかおれのようなもの以外にも、語れるようになるとよいな

謝花纏 :
「(……そうしたら繋ぎ止められる?
  自分の世界は貴方がたを中心に回っていると、何処にいても貴方がたを見ていると、何度言葉にしてもあまり意味は無かった。
  弱いところを曝け出せば? 弱いも何も、強くなれたためしがないのに。これ以上……)」

 いつも軽口めいて告げられる彼の「転属願」という言葉に、今日ほど顔が強張ったことはなかった。

謝花纏 :
「…………それは……困ります。貴方に抜けられるのは」

謝花纏 :
「……いえ。違う」

謝花纏 :
「違わくはないですけど……」

謝花纏 :
 ……………………唇が重い。肺の中の酸素が、全部重力に置き換わってしまったよう。
 息をするようにできた「話す」という行為が、こんなに億劫に感じたことは無い。
 レムス/混沌の王と相対した時だって、今よりは全然いつも通りだった。
 師匠の前でさえも。

謝花纏 :
「…………………………嫌です。
 だから、出されても転属願は受理しません」
 苦汁を舐め尽くしたような、絞り出すような声。

謝花纏 :
「戻る前提の帰省や出張なら受理しますが。
 戻らないつもりなら、自分を殺した後にしてください」
 そしてそれは貴女もだと、言わんばかりに握られた片手をもう一度握り締める。先ほどよりも強く。

謝花纏 :
 やってしまった。言ってしまった。言ったら困らせるとばかり思ってきて言わずにおいたものを。
 でも音になったものは戻らない。こんなもの、テレサ嬢よりも悪質で俗悪だ。黄泉路で煽られても何も言い返せない。

 ……なのに、後悔の片隅に残るのは、重荷を下ろしたような安堵だった。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「…………………」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
かたく握られる手にぴゃっと跳ね起きる。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
せわしない振り子のように左右を往復する顔。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
どうしようどうしようどうしよう。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
……。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
さんごくんを見上げる。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
無駄にまっすぐ伸びている背が弛緩して、ふかふかのソファに身体が埋まる。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
ソファのかたよりにつられて身体がかたむく。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「ならいい。これで『それもまたあなたの選択です』などと言われたら、うん」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「いますぐ荷物をまとめていた」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「心底呆れたやつだ。
 知らないのは大地への根の張り方でも人間のなり方でもなく、他人への甘え方のようだな」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「ここで『嫌だ』が出せるならいい。
 わたしの口説き方を知っているようでけっこうだ。
 わたしがつきあってやろうと思っているのは平等な指揮官ではなく、自分だけの安心できる居場所をつくろうとギラギラしている謝花纏だからね」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「それなりに踏み込んだコミュニケーションとやら、われわれ相手にもできるといいなあ? そうは思わないか、謝花?」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「……!!!!」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「……!!!!!!!!」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
目がまったく笑っていない。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「あー! ボクもそれボクもそれ! ボクもそれ言ったことにしたい! いい?」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「そうは思いませんか、しぶちょお!?」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「では書いておこう、さく・え サガミアサユキ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
やった~不労所得だあ!

謝花纏 :
「……………………何処に書くつもりですか。ソレ」
 図星を突かれてあからさまにぶすくれている……

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
マッキーを取り出す。

謝花纏 :
「……待ちなさい」

謝花纏 :
見覚えがあるぞ この展開

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
きゅぽん

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
きゅっと握って離れない片手

謝花纏 :
察して逃げようとする が握られた手を邪険にできずソファから立ち上がった半端なところで固まる

謝花纏 :
「……油性でしょうソレ……!!!!!!!!」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「油性だよ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「油性だね」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
つ~んとにおうマッキー独特のかおり

謝花纏 :
「…………………………ッ!!!!!!!!」絶句 屈辱と驚愕とその他呑み込めない諸々

謝花纏 :
「……せめて水性になさい!!!!!」

謝花纏 :
「分かったから……!!!!!!」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「え~でもぉ」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「手繋いだままだと届かないもんね? ペン立て」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「そうだな。届かないので仕方がない」

謝花纏 :
「……………………ッ!!!!!」ギッ 亜光速で回る思考 沙上さんを持ち上げれば いや年下を盾にするのは 倫理観 道徳観 畜生にも畜生なりの一線が

謝花纏 :
 バカタレ
あの玄坂と一緒!?!?!?俺が!?!?!?!?

謝花纏 :
「イ゛…………………………」

謝花纏 :
「………………………………中にしなさい!!!!!!!!!」
 ソファにどっかりと乱暴に座り直し、空いた片手で雑にネクタイを緩める。
 謝花纏二十七歳、苦渋の決断であった。

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
きゃっきゃ どっかりの衝撃でちょっと跳ねる

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「つぎボクね、つぎね、ねこちゃん描いたげる」

謝花纏 :
「落書き帳じゃないんですけど……」じろ……

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「わかった。まあ見ておけ」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「どエロい場所につけて、しばらく小恥ずかしい気持ちにさせてやろう。首筋でいいな?」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
書くのは「さく・え サガミアサユキ」である。

謝花纏 :
「やめろつったってやるんでしょうが! なにがどエロいですか、油性マッキーのくせに」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「ちなみに脱がしたのも玄坂とおそろいだ。泣いて喜べ」

謝花纏 :
「最悪!!!!!!!」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「今度お蕎麦食べようね」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「最近はなかなか上達したよ」

謝花纏 :
「まだやってるんですかあの品位最低の催し!?」

謝花纏 :
「いい加減マシな暇潰しみつけなさいよもう少し……」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「おいしい天ぷら屋さんの開拓も進んでおります」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「先日のは良かったな。リピートするか」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「ししとうおいしかったねえ!」

謝花纏 :
「渋い……」好みが……

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「ふっふっふ ではボクはほっぺたにしちゃお」

謝花纏 :
「か・お・は・勘弁してください~! これからまだ予定あるんですよ!」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「見せつけちゃう!」

謝花纏 :
「……ならこっち!」もう片方の手袋も取って甲を差し出す 苦渋の決断(第二弾)

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
「摩擦で掠れるだろう しばらく素手で生活するように」

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
「どんな黒猫ちゃんにしようかな〜」ふんふん

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
器用にメモにねこですを書く

謝花纏 :
「そりゃあさっさと消したいですからねえ~!? イヤでしょう体にねこちゃん飾った上司とか!」

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
どうだろう

謝花纏 :
「この画伯!」芸術とってこい!

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
収容違反!!!!

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
よろしくお願いします

謝花纏 :
せんでいい!

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
うわあああああ〜〜〜〜ん

SYSTEM :
 はじめての苗を植え、育て。
 花が咲くのを喜びと共に見守り、枯れる悲しみを分かち合えぬ時の性を知る…。
 庭師を志した、“性分”の始まりだ。

SYSTEM :
 そのあなたが、やがて独り立ちしてからはじめて耕し、彩り、育てた花たち。
 その興りを知る、同じネバーランドの子供たち。

 …訂正。ひとりは途中下車が決まっている。だがそれも今ではない。

SYSTEM :
 やがて、を悔いるでもなく。
 小さな画布に描いた美しさを留め置くでもない。
 あなたか、“彼女”の知って通った道のような、雲と風の凪ぐような残酷さは。今ではなく、そこにはなかった。

SYSTEM :
 なにしろ…比較的、情けない悲鳴と意地の悪い笑い声と、数日間残るぶきみな猫の落書きに、そんな時のさだめの色は感じようがなかったからだ。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 …このように、ひと悶着と呼ぶにはあまりに地に寄り添った騒ぎの痕跡を残したあなたであるが、
 何もやることはこれで終わり、というわけではない。

SYSTEM :
 ここ暫く空けていたQ市で起きた案件、巡回等の近況報告。
 あなた自身の(守秘義務の部分を除いた)報告の次は、市全体の声、庭先から今日咲く花に至るまでの話が待っている。

 たいへんよろしい笑顔で行われたそれなりの付き合いの成果は、
 見るもの見るものに続々とみごとな反応を招いたものだが、まあ、それはさておくとしよう。

SYSTEM :
 その“普段”に戻るための通過儀礼、出張帰りの荷物整理にも似た作業もあと一件だ。

 エージェントやチルドレンとの報告予定や仕上げた書類をよそに、
 件の人………“謝雲竜”/UGNアクシズの一員があなたの庭を、あるいは初めて「面と向かって」訪れるまでの時間が、少しずつ迫る。

SYSTEM :
 …ちょうどいいことに、次のチルドレンできょう人と会う用事は最後だ。

 遡って曰く、那須花市から出向し、以降はこちらの預かりになった少女のことである。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
 こんこん、とノックをする。
 ノックの間隔と、ノックの音の大きさが、依然聞いたものよりは少し大きい。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「──支部長、経過報告に来ました」

謝花纏 :
「はい、どうぞ。お入りなさい」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「失礼します」
 ドアノブを軽く握って開け、部屋に入る。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……持国さんの経過観察は順調です。
 意図的な刺激が与えられない限りは、初期状態のままだと思いま」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……す……」

謝花纏 :
ニコ…… かまわず続きをどうぞ?の顔

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
 ……無理がある。
 視線を逸らした。

謝花纏 :
ハハハ ですよねえ

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「なんか……大体、誰がやったかは……想像、付くんですけど……」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「ご、ごほん……えっと、それで……その。
 他の経過観察者に関しても現状は問題ないと思います。
 詳細な報告はラボの方からあると思いますし、ぱっと見ってだけですけど……」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「支部長が不在の間は、大きな問題はありませんでした……ということです……ハイ」

謝花纏 :
「多分『これ』の説明がないと話が入らないと思うので、先に済ませてしまいますね。
 下手人はおおむね氷ヶ崎さんの御想像通りです」
 とんとん、と諦めた顔で首元、それから素手の甲のラクガキ(油性マッキー)を指さす。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
やっぱりと言いたい目。

謝花纏 :
「……まあ、原因は自分の不徳の致すところ、なのですがね。
 なので、我慢せず笑ってくださって結構。まあ、困る方の方が多かったですが」今の氷ヶ崎さんみたいに。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……まあ、その」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「そういう隙を見せない人って印象、ありますから」

謝花纏 :
「隙を見せないようにしていましたからね」

謝花纏 :
「上が抜け作では困るでしょうと……ですが、それも『やりすぎ』だと。
 怒られ……いえ、詰められてしまいました。その結果がこれです」首を竦める

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……実はちょっとだけ聞こえました。
 通りがかったときに、ほんのちょっとだけ」

 自分の耳を軽く触る。
 小学生の時に付けられた鋏の傷が消えない、その部分を。
 キュマイラの鋭敏感覚が、偶然捉えた一部始終。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……、意外でした」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「私にとって……あなたはちゃんとした大人のひとです。
 だから、"自分なんか"って口にしていたのが、少し」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
 そのことに少しだけ自己嫌悪もした。
 他人を「凄い人」だとか「こういう事はしなさそう」という、ポジティブな捉え方も……レッテル貼りの一種なのだし。

謝花纏 :
 聞こえてしまった、と申し訳なさそうに零す顔には、いいのですよ、と微笑みを返す。
 キュマイラの────貴女のその耳の良さは、貴女の特質だ。通りがかりに偶然耳にしてしまったことを、どうして責められよう。
 気にさせるようなことを、音にしてしまった自分が悪い。

謝花纏 :
「……自分がこうやって、誰にでも敬語を使って、誰にでも穏当に接するのはね」

謝花纏 :
「そうする方が色々うまく運ぶ……という、実利的な理由もありますが。
 一番は、そう振る舞うことで、貴女がたに信じてもらいたいから。なのですよ」

謝花纏 :
「“ちゃんとした大人の人”だと、思って欲しくてそう振る舞っているのです。
 貴女がそう思ってくれているということは……そう寛げてくれることは、素直に嬉しい」

謝花纏 :
「……一方でね。根っこのところでは、自分自身、あまり自分のことが好きではないのです」苦笑をこぼす。

謝花纏 :
「いくらやっても、完璧だと思えた例がないのです。でも、それで貴女がたに不安を与えたくは無かった。
 だからいつも、そういうのは心の中だけにしていました」

謝花纏 :
「……それが、しばらく離れていたせいで、うっかり出てしまったみたいです。
 変なところを聞かせましたね」

 優しく繊細な貴女に負担を掛けないように、慎重に優しい言葉を選び取る。
 畜生だとか、そういう言葉は、彼らにはあまり聞かせたくなかった。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
   ・・・・
 ……一緒だな、と思った。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
 私は完ぺき性を自分に求めたことはない。
 けど、私は普通の人以下だと自分を卑下していなければ、やっていられなかった。
 どれだけやっても、自分なんか、という思いはずっとあった。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
 この人は優しいから。
 自分の事を自分でどう称しているかを口にしなかったのだと思う。
 奇妙な共感性で、そこの配慮だけはなんとなくわかった。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……えらそうなことを言います」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「人は思ったよりも他人を見ていません」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……あと、人は……それほど人に、完璧であることも求めません」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……自分がこう見えてほしいって思って、それを実践して、そうみられているなら、それは支部長の努力の賜物です。
 それ自体は、良いことだと思います……だけど、もしもそうみられなかったからって、それは支部長自身の欠点でもなんでもないんです」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
 しどろもどろになる。
 上手く言いたいことが紡げない。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……、……その、私が言いたいのは」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……本心が見えたからって、じゃあそれでおしまいってなる人は、ここには居ないと思う、……って事です」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「私は……聞こえたからって、不安になったわけじゃないんです。
 私は自分の事が嫌いだったから、……そういう疵が、誰にでもあるんだって思って」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「だから……その本心を、隠さなきゃいけないものって思うのは……たぶん、もったいない、です。
 ……適度に自分を許すのって、大事です」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……言わなきゃ知ってもらえないし、言わなきゃ分かってももらえないし。
 ……、……隠してもあんまりいいことはないから」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……それだけです。変なところじゃありませんよ」

謝花纏 :
「…………!」
 驚愕を露わに、目を見開く。えらそうなことを言われたから、ではない。そんなところに苛立ちを覚えはしない。

謝花纏 :
 彼女の経歴を知っている。必要以上に人目に敏感にならざるを得なかった彼女が、そう言い切れるようになったことを。
 完璧である必要は無い。以前彼女に任せた任務の総括の折に、そう伝えたことがある。できないことは、すなわち貴女の成長の余地であると。

 伝えた言葉が。与えた肥料が。土の下に蓄えられ、そうして貴女のことを芽吹かせていたということが。
 その助けになれていたことの、実感。

謝花纏 :
 ……彼女たちを助けるつもりで/育てるつもりで庭を繕った自分が、
 咲いた花のうつくしさに、心救われている。

謝花纏 :
「……ありがとう、氷ヶ崎さん」
 そっと頬を綻ばせて、貴女の一生懸命紡いでくれた言葉を噛み締める。

謝花纏 :
「……貴女がたには完璧でなくていいと言うくせに、自分は自分に、ずっと完璧を求めていました。
 多分、これが自分の性根です。そう簡単には変えられないのだと思っています。
 貴女がたにとって、より好い場所で在りたいという欲望も変わらないから」

謝花纏 :
「でもそれで、上手くいかないことへの怒りとか、悲しさとか……
 そういうことまで、執拗に包み隠す必要までは……なかったのかもしれません」
 先の珊瑚さんと沙上さんとの会話を想い出す。断腸の思いで寛げた「此処にいて欲しい」という自分の本音をこそ、彼は欲しがっていた。

謝花纏 :
「何より。貴女がたには、思うことなんでも言ってほしい……と言っておいて。
 自分だけそれをしないのは……フェアではなかった。
 そう思います」

謝花纏 :
「まあ……とはいえ、加減は大事でしょう。全て曝け出せば無条件に理解してもらえるわけではありませんし、相容れないこともある」

謝花纏 :
「誰かが容れられないことは、他の誰かに容れてもらいましょう。
 貴女が納得できないことは、自分が代わりに、丸く収める方法を探します。
 だから、自分に容れられないことがあった時には、貴女にそれを肩代わりして欲しい」

謝花纏 :
「何処まで本音を言ったらいいかとか。多分、貴女より自分の方が下手でしょうけど……。
 一緒に練習していきましょう。氷ヶ崎さん」

謝花纏 :
 自分が彼らを助けるのは、支部長として/庭師として当たり前のことで。
 彼らが自分を助けてくれるのは、部下だから/管理人だからに過ぎないと思っていた。

 ……けれど、実は。
 そんな上司の本音を聞きたがった人は、きっとこの三人だけではないのかもしれなかった。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
 人は思ったよりも他人を見ていないし、
 人は思ったよりも他人に求めない。

 人と人との繋がりは、意外と淡泊だ。
 だけど、だからこそ、深くつながる時は、ちょっとやそっとでは途切れないよすが──ロイスになる。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
 この支部にいる人たちは、目の前の大人の人によすがを繋いでいる。
 それはもう、その人が本心を口にしたからと言って易々と切れるものではない。
 ……出向している私にもそれが分かるのだから、元からここに居た人は猶更だ。

 深くなければ、さっさと別のところに行ってしまうだろう。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……そうですね、全部言う必要は無いと思います。
 けど、全部隠す必要もない……ああでもないこうでもないって愚痴を言うのも、大事なことだと思います」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……それを口に出来れば、みんなが聞いて、助けてくれます。
 支部長は、ずっと助け続けてきたんですから、助けられたっていいんです」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……だから、はい、その時は私"も"支部長を助けます。
 みんな手を貸してくれます……きっと」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……練習ですね」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
 観察報告のファイルを抱えて、少し笑う。

謝花纏 :
「……皆さんが助けてくれる……」

謝花纏 :
「……そうですね。『助けて』を言う、練習ですね」

謝花纏 :
 自分が頼めば、きっと彼らはなんだかんだと力を貸してくれるだろう。
 あるいは、支部長ではない自分の、ごくごく個人的な頼みだとしても、応えてくれるだろうか?

 ……そこはまだ、躊躇いも引け目もある。こんな自分の私的なごたごたなどと、上司然とした耳触りの良い俯瞰で自己嫌悪を包み隠そうとしてしまう。
 けれど、それも含めての、「練習」だった。

謝花纏 :
「……とりいそぎ」

謝花纏 :
「できるだけ早く、油性ペンのインクを落とすのに……」

謝花纏 :
「良い方法。御存知じゃありませんか?」
 眉尻を下げて、いつもよりかは気の抜けた顔で、そう笑った。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「えっ」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……ゆ、油性だし、ハンドクリームとか……あとなんか、クレンジングオイルで落ちるのかも……」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……鶫さんなら持ってるんじゃないかな……?」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
 私持ってませんという遠回しな意思表示だった。

謝花纏 :
「……………………」そっと時計を確認する。

謝花纏 :
 それから鶫さんの予定を確認する。
 この時間は……

 「外出」。

謝花纏 :
「…………………………」珊瑚さん?尋ねるまでもなくあの笑顔が返ってくるだろう。

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
 

謝花纏 :
 ええい 脳裏から出て来なくていいです 分かるから

“境界の蛇身”翠簾野 珊瑚 :
(シュワワワワワ…)

"巡らずの秒針"沙上浅雪 :
(シュワワワワワ…)

謝花纏 :
 甘いシュワシュワを求めてやってきたであろう沙上さんをくっつけて脳内で追い払う

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
何か見える・・・。

謝花纏 :
「………………あと数日、このままっぽいので。
 見慣れてくださいね……」
 諦めた。

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「……………………………………」

"ビーストチェイサー"氷ヶ崎 冷 :
「努力します…………」

SYSTEM :
 あなたのあらたな努力の第一歩は、何気ない言葉遣いの、何気しかない悪戯の対応策。結果は御覧の通りだった。

 しかし…。その一歩が役に立つことが、いつか来るだろう。
 宙の白雲のように、地の営みを慈しむものとの別れの証として、あなたは地の庭を志したのだ。

SYSTEM :
 その結果が、あなたと共にその努力を始めてきた(あるいは続ける)娘であること。あなたの義務の先を聞きたがる者たちがいることなら。
 それを間違いだとは、その庭師の人柄を知ってきた者たちに限って口にはするまい。

SYSTEM :
 ………かつてあなたが諭し、支えたものの絆しこそが。ローマより舞い戻ったあなたにとって、適切な“帰還”の導だったなら、なおのことだ。

SYSTEM :
 その庭での目下の懸念事項、すなわち導とある姿こそ見てほしいと願った相手に対し。
 その痕跡を披露することについては避けられぬ道となるだろうが。

 ………なに、大方想像はついているだろう。
 彼はそれであらぬ誤解をする男ではなかった。一字一句、想像通りの言葉を返すに違いない。

SYSTEM :

 きょうの分の業務、少なくとも人に会うものは"ビーストチェイサー"からの報告を以て、すべて完了した。

 ………来客の足音は。ちょうど、そこから間もない時だ。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 その来客。UGNアクシズ評議員としてではない、ただの知己。
 支部長室ではなく、庭の一角…。
 かつて咲かせた植木鉢の何十、何百倍の敷地と、種類。千差万別の花の色に向かうさなか、珍しい来客に振り返ったチルドレンやエージェントらの姿を他所に、丁寧に拵えられたガーデンチェアの並ぶ一角へと、その男とあなたは来ていた。

SYSTEM :
 もっとも、説明することも、今更ないだろう。曰く、二度あることは三度あるという。
 平気で海を渡り、山を越え、空を征く。時に置いてゆかれるのが古き血を持つ古代種の因果ならば、彼は時から望んで外れた人間だ。
 慈しんだ風景、人々。流転の中と知りながらも、会うと願ったときいつでも会いに来る。
 彼の性根を知っているものならば、来客の知らせなど、むしろ律儀にやった方だった。

SYSTEM :
 ちなみに…最初の挨拶はこうだった。

“天衝華山”謝雲竜 :
“ふむ”

“天衝華山”謝雲竜 :
“無事息災か”

SYSTEM :
 一時一句、青天の霹靂(二度目)の当時と変わらずじまい。

 …発言前のごくわずかな時間、あなたのもとにあった落書きに目をやって。
 心底珍しいことながら、その口元を僅かに緩ませていたことを追記する。明確な違いはそこと、語調の違いだ。

SYSTEM :
 ………あるいは彼なりに、庭に正常の“ふり”をして戻るあなたを気にしたのかもしれないが。
 それはそうとなぜか妖しげな箇所に記されたミスマッチな徴に、敢えて言及することのなかった男が。生真面目で、欲求に反比例して遊びの乏しい己の弟子にあるまじきものに、果たして何を思ったのか。
 敢えて記しはしまい…。

SYSTEM :
 代わりに彼は庭の一角を訪れ、ここに来るまでの姿を遡り。ただ、このように零した。

“天衝華山”謝雲竜 :
「御前は」

“天衝華山”謝雲竜 :
「御前は、此処を充足の導と望むのだな」

SYSTEM :
 …ガーデンチェアのひとつに、あなたが促せば座ったのち。
 そうでないならば、庭の花の、苦心と労力と知識と理解が込められた庭園と、行く先に見かけた顔ぶれを確かめるように見つめながらの言葉が。あなたの庭をはじめて面と向かって訪れた男の、理解だった。

謝花纏 :
 変わらない挨拶。変わらない風貌。
 流れる世界で変わらぬままに佇む、巌の如きひと。
 流れる世界で流れながら巡る、雲の如きひと。
 俺を眼差すその瞳の穏やかさだけは、何時にも増して。

謝花纏 :
 ……予告を寄越しただけ、まだ殊勝と言えよう。前回腹の底から叫んだ分だけは響いてくれたと見える。
 とはいえ折に伝えた言葉が、こんなにも早く果たされるなどとは。クロエさんから連絡を貰うまで、まるで考えもしていなかった。
 本来評議員にするべき迎えの準備などまるで整っていない、いないが……

謝花纏 :
 今日の面会は、どちらかというと私事の履行だ。
 立場が評議員/支部長だから、視察という建前を使うだけで。
 自分とて欲望に公的立場を使いこんでいるのだから──管轄範囲を「庭」と呼ぶなど、まあ意地の悪い人なら私物化とか詰るだろう──、そこに文句は付けられなかった。

謝花纏 :
「生温い目で見られるよか、いっそ言及された方がマシなんですけどねえ~?」

 首筋と、素手の甲のラクガキ。氷ヶ崎さんの面会の後、結局落とす手段を見つける前に時間切れだった。
 積極的に弱味をつつく/踏み込むような人ではないとわかってはいても、ほほえましげに無言を貫かれると、昔に戻ったみたいでいたたまれない。

謝花纏 :
 ……それでも、「どうせ見に来るなら支部長やってる時にしろ」と伝えたのは俺の方だった。彼を案内する責務は自分にある。

 都会の真ん中に、其処だけ凹んだように。広がる庭園は、自分がこのQ市に着任して以降に、少しずつ手を入れていったものだ。
 幸い、日当たりは悪くなかった。土を少しずつ植物を育てるのに向いた土壌に改良し、はじめはほんの小さな花壇を。
 それから少しずつ種の植わる範囲を拡げて、今ではすっかり、見渡す限りの四方八方にさまざまな花の咲き乱れる庭を築き上げた。

謝花纏 :
 師を案内したのは、その中でもいっとう眺めの良い席だ。少し小高い丘に誂えた、茶会用のテラス。
 自分にとって、一番のお気に入りの場所でもある。
 急な来客用に取ってある茶葉を支部長室の戸棚から引っ張り出してきて、規定の時間蒸らして淹れたあと、カップに注ぐ。
 腰掛ける彼の前と、対面する席に一つずつ。

謝花纏 :
「……そうですね。導。導だ」

 零された言葉を、頭の中でひとめぐり。ローマで再会するまで、貴方のことが頭を過るたびに込み上げてきた怒りめいた感情は、もう不思議と湧かなかった。
 素直に肯定する。

謝花纏 :
「俺は、此処で自分の器を満たせるだけのものを造ると、そう決めました」

謝花纏 :
「だから、導です。まだ完成とはいえない。まだ彼らのために、できることがたくさんある。まだ満足できない」

謝花纏 :
「……でも、同時に。羅馬で、朽ちる定めを受け入れました。
 俺が完成だと思おうと思わなかろうと、造ったものは必ず……枯れていく」

謝花纏 :
 淹れた茶が冷めるように。育てた花が枯れるように。
 青の女王を斃すことで、俺は久遠の現在に留まることを拒んだのだ。

謝花纏 :
「だから多分、ずっと充たされずじまいです。導は導のまま。
 辿り着くことはないのだろうけれど……まあ、それでもいいかと、今は思ってます」

 充足を得ること。完璧な楽園を造ること。諦めたつもりはないけれど。
 そのために時を凍らせてしまうのは……「自分のやり方」ではないと思った。

SYSTEM :
 すう、と通る茶葉の香りが、咲き乱れた花の芳香に溶け込む。
 かつて何物でもない少年が謝花纏の名をつける前、あるいは後。他でもない男がはじめ教えた作法だが、そこから好悪を枝分かれさせ、この庭と馴染むものを選んだのはあなた自身の歴史/時間のたまものだった。

SYSTEM :
 ………語るさなか。
 男の口元が、緩やかに開く。

“天衝華山”謝雲竜 :
「…なに。
 論よりも確りと証があるものと、意を得たまでのこと」

SYSTEM :
 彼が…結果的には“消せなかった”であり”消さなかった”ではないが…。
 あなたの落書きを見て薄らと笑ったのは、ただ微笑ましきものを見ただけが所以ではない。

 少年(いまだ彼にとっては)の乱高下する自尊心が、その間合いを、おのれの知らぬものに許したことの方だ。
 仔細までは、口にしなかったが。

SYSTEM :
 …故にこの部分は余談だ。
 男は、かつて己の居場所を宣言し、誇りと述べたもの。二度にわたる約束の風景を、彼がそう評したことを聞き届けた。

“天衝華山”謝雲竜 :

  しょうそういくときぞ
「………少壯幾時兮奈老何…」
   ろうをいかんせん

“天衝華山”謝雲竜 :

「などと云う。
 御前は、武帝の如く、その刻こそ途方に暮れるやもしれぬが」

“天衝華山”謝雲竜 :

「はじめの花は御前の中で生きている。
 凶らず、外れず。ならば…それは、おまえにとって確か是と言えような」

SYSTEM :
                 ・・
 あなたの老いではない。いや、心の老いはあるのかもしれないが。
 盛んなる時が人生に幾度あったとしても、やがてそれは来てしまう。

 その時の廻りにもっとも利巧に付き合ったものが、彼の最初の教え子であり。
 その廻りの幾度かの誘いにすべて靡かず、ただそこに在る生き方を続けてきたものが彼であるが、それとて“別れ”はあった。

SYSTEM :
 そうとも。やがて、別れを告げねばならぬものが来る。そしてそれは、生きる限りずっと。
 永遠を生きるということは、そういうものだ。言葉ほど易くなく。言葉を弄するあなたの平時の戦いより、あるいは難いものだ。

SYSTEM :
 …彼の生き方ではない。
 無くさぬための生き方でもない。
 あなたの、生き方だ。

謝花纏 :
 はじめの花を思う。
 この支部に来て一番最初、玄関脇のプランターで試行錯誤しながら咲かせた、一番最初の花。初志そのもの。
 幾度もの昼夜を、俺の支部長としての時間と同じだけ繰り返して生き延びてきた、俺の感染源たる最初の花。オーヴァードとしての始まり。

 前者は種として。後者は花として。
 ずっと、この胸に/懐に残していた。

謝花纏 :
かくのごときこうか、かくのごときつき
「   如此好花、如此月
かげつをもって、じんじょうとなすなかれ
    莫将花月、作尋常     」

謝花纏 :
 テレサ嬢との戦いの折、口にした一節。
 何方かと言えば、仕事だけして高みの見物を決め込んだ元・姉弟子に擦ったものだったけれど。
 今は、違う使い方を────本来の使い方をした。

謝花纏 :
「老いは……避けられないものでしょう。体は朽ちずとも、心はそうもいかない。
 貴方とて、それは免れぬのだと……貴方の友人が、そう教えてくれた」

謝花纏 :
「でも、だからといって。足元ばかりを見てはいられない。
 往くべき先は一本でも、見渡せる地平は、足下よりもよりずっと、広く大きいほうがいい。
 そうやって顔を上げた先で……あるがままに咲き誇る花を、出来る限り大事にしたいのです」

謝花纏 :
「一瞬を逃せば、もうその花が咲くところは、見られないかもしれないから」

謝花纏 :
「俺は、山月を望むより故郷を想う方ですけど。だからといって、世界がこの庭だけで完結するなんて思ってはいない。
 他でもない貴方が、『世界』という言葉はしみったれた狭い路地裏だけを指すのではないのだと、教えてくださったから」

謝花纏 :
「……とはいえね。もう今は、あんたのことを完全完璧の師匠だとは思っちゃいませんよ。
                   ・・
 うっかりあんたの真似しようものなら、これだったので!」

 これみよがしに手の甲を突きだす。油性ペンで書かれたねこちゃんが笑っている。

謝花纏 :
「これからも自分のやり方で……生き方でやっていきます。
 そのためなら、あんたのことも、あの傍迷惑な元・姉弟子のことも、使えるだけ使いますから」

謝花纏 :
 その時は是非「うん」と言ってくださいね、と語尾を誤魔化すように淹れた茶をすする。
 羅馬で暁蕾に重しを括りつけるためにダシにしたことを、後悔することも謝るつもりもないと、そういう意味の言葉でもあった。

SYSTEM :
『己を生きるための杖とさせてはいけない』。
           たびびと
 その、限りなく遠い時の友人は、あなたにかつてそう述べた。
 だが、それを願った時に、彼は無下にすることもなかっただろう、とも。

 …すべて遅い話だ。もしもであって、あなたにとっては振り切った未練の色。

SYSTEM :
 同じ真似はしない、の宣誓にも。
 かつて、限りあるものと向き合うことを是とした教えを振り返るためのものでもある言葉。花と月が当たり前に揃わぬ世の節を、彼は一度聞き留めた。

“天衝華山”謝雲竜 :
かうくは うえがたくして
「“好花難種不長開”………か」
 ながくはひらかず

“天衝華山”謝雲竜 :
「然り…吾とて、時とすれ違い、うつろうたび。
 幾度か追憶を置いた。学ぶことと引換に」

“天衝華山”謝雲竜 :
「故に、戻らぬものを嘆くなとは云わぬが…、」

SYSTEM :
 戻らぬことを先んじて花の前で嘆くこともない。
 地平の先に、やがて見る花も、出会う人も。
 かつて置き去ったものもまた、あろう、と。
 
 かつて述べた話を再びなぞったのは、あなたなりの生き方が。
 天山のさだめに殉じて長きを廻る男の生き方と逸れるものを是としたからだ。
 彼自身、最初から自分の類ずるものを作ろうと思っていた素振りもなかった。

“天衝華山”謝雲竜 :
「それが良い。
   ・・
 その悪縁の件も、もとはと言えば吾の清算だ」

“天衝華山”謝雲竜 :
「…序に述べるが、御前を…。
 朋友の難題に適う唯一としたのも吾だ。

 それで天秤も釣り合おう。
 若し天秤が傾かば、御前の学びをその都度吾に教えてくれ」

SYSTEM :
 端的に、教えること以上に見出したものを使うこと、そのために己の縁を糧とすることを拒まぬ、でもあった。

“天衝華山”謝雲竜 :
「…何より…そこは然程とて悔やむことではない。その件は此度に来る前に終えた」

謝花纏 :
「(……俺があんたを杖にしたがるよりも前に、初めから、あんたが俺のこと、同種にするために育ててたんだとしたら……。
  こんなラクガキとは御縁も無かった。その代わりに、今よりもっと充たされることのないまま、瘦せ細って死んでいたのかもしれない)」

 既に振り切った未練の、そのうえあるはずのない、「もしも」の話だ。
 己の果てなき飢渇を満たすのに、絆を結ぶ先が一人では飢え死にするタイプだという、そういう自覚は、既にあった。

謝花纏 :
「……やっぱあんたの推薦だったんですか? まあ……羅馬行きも、得られるものの多い旅路だったと、今でなら言えますけど。
 邸下に呼び出された時は、本当にイヤだったんですからね。誰が好んで庭を離れたい庭師などいるものかと……」
 まあ、彼の地での収穫を話すのは吝かでもないが、それより……

謝花纏 :
「……あの国にあんたの元弟子がいるのも、端っから分かってて、推薦を?
 《八仙過海》討伐の時だって、元はと言えば、あんたと“応龍”の意見の一致が発端でしたっけね……」

“天衝華山”謝雲竜 :
「…朋友に応ずるための椅子が、思いのほか嵩張ってな。だが…」

“天衝華山”謝雲竜 :
「あれが吾に限って尾を掴ませるほど杜撰で、変わらず蛇のふるまいなど続けようものならば、速やかに事を終わらせていたよ。
 故に、そうではない。御前であった理由は、そうではないのだ」

“天衝華山”謝雲竜 :
「風の便りで…御前の生き方を耳にした」

SYSTEM :
 それが。
 然る日の、血に染まり、後々にさえ響いた争いの“あと”のことであることは。今更言うまい。

 彼は評議員だ。さすがに知らぬはずはない。
 その是非、顛末、行く末、諸々について……。彼とてわかっているから口にしない。これは余談だ。

SYSTEM :
 だが庭の始まりを、まるで知らぬほど、個人個人に無関心というわけではない。
 知っての通りだ。彼にとって、彼が責を負った子らの足取りは、やすやす目から外れるものではない。

 失われゆくものの中で“猶も”と。
 かつて枯れたプランターの花がなくなることを憂いに憂いたが、けっきょくは命の興りと終わりに向き合い続けたあなたの、初心/故が失われておらぬのだと知るには十分だった。

“天衝華山”謝雲竜 :
「故に、御前であれば…
 如何に近くとも、所以は見失うまいと」

“天衝華山”謝雲竜 :
「そう思わば、よもやであった」

SYSTEM :
 故に彼はああ言ったのだ。

 いよいよとあらばそれは己が対する、に類する言葉を。
 まさか想定していればその台詞は出すまい。

謝花纏 :
 異国で勃発した凄惨な内戦。前線指揮官としての任務を果たしたあと、本部エージェントを辞した。
 それまではずっと、自分の楽園は何処にあるものかと、探し回るばかりだった。

 ……オーレリオの戦いで、探すことに、飛び回ることに、疲れた部分があったのかもしれない。
 小さくてもいいから、自分だけの、自分が好きにできる花壇が欲しかった。
 そのあと、空席になっていたところを埋める形で、Q市の支部長に就任した。

 探すのではなく、造ればよいのだと。エフェクトで叶えるように、実際に、この手で。
 気付いたのがその頃だ。

謝花纏 :
 各地を転戦していた弟子が、そうやってひとところに腰を落ち着けたことを。
 そしてどうやら、その方が性に合っていたらしいことを。
 世界を巡る風に乗せて、噂を聞きつけていたらしい。
 邸下に寄せて伝言を託すなどとする前に、師は、とっくの昔に。

謝花纏 :
「……本当に。いやになるほど、千里眼ですね……」

 滲むものは、嫌悪感とは裏腹だった。
 変わりゆく世界の中でも、変わらぬままに、時折思い出してくれる人が在るということは……きっと、救いの一つだった。

謝花纏 :
「まあ……彼女がいたのが偶然だってなら、いいですけど。
 いやよかないか。あの女、いつか俺の庭も観光しに来るとか言ってやがって。
 本当に来たあかつきには、尻の毛までむしり取ってやりますけど」

謝花纏 :
「だいたい、悪縁ならとっとと煮るなり焼くなりしたらいいではありませんか。
 簡単に捕まえさせるようなタチじゃないとはいえ、あれがあんたに構ってもらいに姿を顕したこと、一回や二回どころじゃ済まないでしょう?」

謝花纏 :
「それとも。“もう終えた”んですか?」

“天衝華山”謝雲竜 :
 ・・
「ある」

謝花纏 :
じゃあなんで と顔に書いてある

“天衝華山”謝雲竜 :
「………終わらせると決め、損じ。
 吾と同じにした」

“天衝華山”謝雲竜 :
「それ故………かれこれ幾度か定かでないが。
 世の色彩は己ひとつでは賄えぬと、
 立ち止まり、試そうとしたことがあったのも、見ていた」

“天衝華山”謝雲竜 :
    . ただあいにくる
「故…あれが、吾に留める分には。
 そこより先を留めている。

 もとより時の忘れ人だ。それさえもしなくなった時、あれの時間を留めおくのが…はじめ手を焼いた分の義理であろうさ」

SYSTEM :
 端的に“同じ立場にした者の余分が残っている”ので、一回や二回どころでなく、出会うだけなら出会うだけにとどめている、と。

 ………ちなみに。
 企みと並行して向かった場合はどうなるかなど、おそらく聞くでもないことだ。
 彼女自身がよく知っていることである。

“天衝華山”謝雲竜 :
「………」

“天衝華山”謝雲竜 :
「だが…その事実の是非がいずれだろうとも…」

“天衝華山”謝雲竜 :
「御前の築くと願った道理に対しても…そこに住むものにも、聊か礼を失したことではあった。
 その重みに比肩するなら、いずれの確約などは易いことだ」

謝花纏 :
「破門できてないじゃないですか……」

 悪縁だろうと縁を許したら、もうそれは破門ではないのではないか。
 思う一方で、暁蕾も師も、互いに、最早腐り落ちることだけはない身の上だ。
 生きながらに腐ることだけは無いように、会いに来ることだけは許す。
 それが師の、自分と同じ苗字を名乗ることに決めた者に対する、公平の在り方らしかった。

謝花纏 :
「まあ……いいですよ。あんたが庭師としての俺を軽んじたわけではなく……むしろ見込んで、任せたんだっていうなら。
 それはそれとして。言質はしっかりとりましたけど」

謝花纏 :
「羅馬での仕事は、くたびれもうけよりはもう少し、得るものがありましたよ。
 貴方と似た、貴方とは違う、永い古代種と友人になりました。
 憎悪に身を焦がし藻掻きながら、新しい一歩を踏み出す子を見送りました。
 全部なくしたあとに、それでも矜持を貫く人を見ました」

謝花纏 :
「……それから戻ってきて、地に足付けてないと駄目なんだってことも、再確認しました。
 疲れる仕事だからって、骨折り損にしたらそれこそ時間の無駄です。
 あんたの申し訳なさ分以上には、有意義な時間にしてやりましたから」

謝花纏 :
「どうぞ、ご心配なく?」

SYSTEM :
 払った労の大きさ以上に、手に入れたものの大きさを語る時の、吊り上げるような笑み。
 その笑みはあなたの知ってか知らずか、本の山を前にして彼を出し抜こうと即座に決めた時の、そしてそれをやめた後、知識の一部から得た内容で彼を感嘆させたときの笑みだった。

 命に曰く不変なし。何かが必ず変わってゆくとして…。それでも、変わらぬもの、変わり難いものはある。

“天衝華山”謝雲竜 :
「ならば、それも是し。
 御前にとって、その出会いが、いや。
 己に云わずにおいたものも含めて、忘れ難きものであり、よき記憶になったのだろうな」

“天衝華山”謝雲竜 :
「…いずれを振り返る時、その意味を噛み締めることもあろう。
 それを忘れねば、この花の彩りが薄れることもあるまい」

SYSTEM :
 あるいは。

 男自身が、今の言葉、仕草に…。
 風化していく記憶のひとつをなぞったのかもしれなかった。

SYSTEM :
 良縁も悪縁も、等しく…。
 時を巡るもの、片足で道理を跳び越すものに取りて、
..  じかん
 ただ歴史を共に分かち合うことの、なんと贅沢で確かな礎か。

 それは、古代種がどうのに限ったことではない。彼とて、使命を片時たりとも忘れぬ白雲の君とて、断じて例外ではないからだ。

“天衝華山”謝雲竜 :
「…では、その有意義をもう少し聞かせてもらうとするが。
 あれに言い含めた建前は視察でもある…」

“天衝華山”謝雲竜 :
「………御前の庭には命が色づいている。
 そちらの案内も恃みたい」

“天衝華山”謝雲竜 :
「なにしろ吾も、“あれ”も…。
 終ぞ、選んでいなかった所以だ」

SYSTEM :
 ………。
 あるいは、あの時。あの場で。

 あなたがそれを言っていたならば、彼の廻る旅に一時の終わり、または、永劫の変化があったのかもしれない。繰り返すが、過ぎたことだ。

SYSTEM :
 過ぎたことだから。

 誰かにとっての難きを選んだあなたの得意げに誇るさまを、
 いずれ振り返ることのできる追憶にすることを彼は望んでいたのかもしれない。

謝花纏 :
「(さっきといい、この人また随分昔のことまで思い出してないか?)」まあいいか……

謝花纏 :
「はい、ええ。案内はもちろん。彼らの仕事ぶりと、華やかさを、好きなだけ御覧になってください。
 まあ、少しばかり毒づく手なんかもいますがね。粗相があるやもしれませんが、個性ということで。多少はご容赦ください」

 分別も何もないガキのやりたい放題にさえ根気強く相対せる人だ。
 それが今更、多少の無礼などで目くじらを立てるまいが、念のためだ。

謝花纏 :
「ですがその前に……そうだ。一つだけ」

謝花纏 :
「師。貴方にとって、“絶景”と呼べる景色はありますか?」

謝花纏 :
        .ベルヴェデーレ
「自分にとっての“うつくしき眺め”は、此処です。この場所。一望できる、貴方のその席。
 この庭もこの支部も、此処からが、いっとうよく見えるから」

 今回の仕事で自分がコードネームに選んだのも、「この眺めを忘れることのないように」「本来あるべき場所を忘れることなかれ」という、楔の代わりだった。

謝花纏 :
「貴方にも、そういうものがあるのかなと。
 ……ほんの少し。気になりました」

謝花纏 :
 ほんの少しどころではなく結構気になる、と顔には書いてあった。

“天衝華山”謝雲竜 :
「絶景…」

SYSTEM :
 余所では見ることのできない、
 忘れがたい風景の記憶。

 あなたが選んだ場所こそ、
 男があなたの導は“ここ”だと理解したまさにこの場所だった。

SYSTEM :
 …では。彼には?

“天衝華山”謝雲竜 :
「心に留めた景色は、いくつもあるが…」

SYSTEM :
 万物は常に変転し、確かなものなど一つもなく。
 大地でさえ途方もない時をかけて変化していく。
 その中で、彼は営みの形を見るために旅をした。

 それが、彼の創まりだ。
 時の変わりゆく中で、故さえ風化していく。
 絆は薄れ、あり方は変われども。
 ・・・・
 もっとも、留めておきたいものがあったとすれば………。

“天衝華山”謝雲竜 :
「旅のはじめ…ただ在るだけの山があった」

“天衝華山”謝雲竜 :
「…若き日の故であるから、仔細まではなぞれないが。
 そこを、登ったことがある」

“天衝華山”謝雲竜 :
「………だが、そこから覗く雲海ではない。

 その日の、雲下の営みのほうだ」

SYSTEM :
 点のようだったが…然るものが教えてくれたもの。
 人々の声と姿が溶け込み馴染んだ風景。

 ………彼は彼方からありふれた景色を喜んだ。使命の旅路を始める一歩のことである。

“天衝華山”謝雲竜 :
「…ともに分かち合うことは、やはり難しかろうが。
 御前の興味があらば、なぞるなりに話はできる」

謝花纏 :
 師の始まりは、霊山よりの使命の受諾。
 旅路の最初は、自分の護らんとする世界のかたちを観るためのものだったという。幼いころの俺を連れてやってみせたものと同じ。
 その第一歩目に、若き日の彼が垣間見たもの……。

謝花纏 :
 それをこそ、彼の人は「絶景」と呼ぶらしかった。
 なんとなく予想はできていたのかもしれない。さほど驚きは無かった。
 いずれの時代にせよ、人の暮らす場所をこそ、彼は佳き場所と想うのだろうと。
 彼が俺に見せてくれた景色には、大自然だけが支配する未開の土地よりも、細々とつつましやかに、暖かな営みが連綿と続く、そういう場所の方が多かったから。

謝花纏 :
「色んな土地の話は、折に触れて聞かされてきましたけど。
 思えば、貴方の始まりのことは、そんなに話してもらった記憶がありませんから」

謝花纏 :
「聞かせてください。曖昧だっていいですよ、千云年昔の話でしょう?
 弟子への教育でもなく、評議員の訓話でもなく。謝雲竜の思い出話を」

謝花纏 :
「その分、俺からは……」

謝花纏 :
「自分からは、謝花纏が此処で育ててきたものの話をしますよ。
 そんなに切羽詰まったスケジュールでもないんでしょう」

謝花纏 :
「たっぷり時間をかけて。この広い庭を、ご案内いたしますよ」

“天衝華山”謝雲竜 :
「相分かった。
 そも…、御前の所以を聞く時間のために来た」

“天衝華山”謝雲竜 :
「語らうには、少々不確かなところもあるが…。
 もっとも肝要な部分は、そうそう忘れぬ」

SYSTEM :
 ………もう、名の始まりの故も定かでないが。
 それでも、消えずに残っているものはあるのだと。
 彼は、めったに動かさない口元を僅かに緩めた。

SYSTEM :
 あなたが育て、あなたが支え。
 そして、教え返されてきたこの庭で。
 “これまで”と“これから”を語るための時間など、幾らあっても足りまいが。

 必要な時間だ。今日の先を生きていくものにとっては。何度だって…。

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 以て、あなたの帰還の顛末はひとつの区切りに達したが。
 あるいは、語らった中の一部に含まれた話をする。

SYSTEM :

 或る日。ひとりの娘がいた。
 歴史の編纂に、遠き文言から立ち会う資格を得た、歴史家の娘。

SYSTEM :

 抑圧された子供だった。
 放っておけば、己の才能のままに、悪意を囁く蛇を生むだろう。
 そう理解できたから、彼女が蛇になる前に拾ってやることにした。
 
 後に思えば曰く、娘が目を輝かせたのは、霊山より賜った使命の話であった。
 世の道理、ただ或る風光明媚、枯れ行く花を理解しても、微塵の興味を示すことはなかった。
 娘は咲き誇る花を愛でることもあったが、今あるものに別れを告げることをそれなりに惜しんだ。
.                       じかん
 否、惜しんだのは。それによって失われる今までの歴史だったのかもしれない。

SYSTEM :
 教えるべきことは教えた、と伝えるはずが。
 教えることはもうないと伝えたのは、別れを告げる猶予ののち、娘の悪行が露になったからだ。

 何れとて、蛇は蛇のままであった。
 いずれの災いを生む前にと、一晩の猶予のあと、歴史に別れを告げた。

SYSTEM :
 今までの清算のため、初めての隣人/ひとつの命を絶つ直前。
 ………脱皮を果たしたあの娘が、あらゆるものをかなぐり捨てて口にした言葉を覚えている。

望郷の女 :

“私はあなたの“使命”とやらから外れます”

望郷の女 :

         じかん
“風化していくだけの歴史の一部などは”

望郷の女 :

“いつまでも…親御の目線で見下ろす大地の一部などは。御免被る”

SYSTEM :
 邪心と他意が、やがて幾星霜の果てに形を変える前の。
 あるいは、初めの一言。
 
 なんと返したかも覚えている。

“天衝華山”謝雲竜 :

 きみにとう
 “問君何所之”
なんのゆくところぞ

“帝釈天”謝暁蕾 :
 きみはいふ いをえず
「“君言不得意 歸臥南山陲”」
かえりてなんざんのほとりにがせん

“天衝華山”謝雲竜 :

ただされ またとうことなし
「但去莫復問 白雲無盡時………」
はくうんはつくることなし

SYSTEM :

 ………送別の詩の一節。

 続いた言葉に曰く、
 送り出されるものが儘ならぬ世を歌い。
 どこに行ってもたなびく白雲と青空が、去るものを送り出すのだとか。

SYSTEM :

 分かっていてここに訪れた女。

 転換の折、必ず来る場所は、
 いつも望郷の地であったが。
 今回は過去より遥か短い周期で訪れた。

“天衝華山”謝雲竜 :

「高みに座すのは御前の悪癖だ」

“帝釈天”謝暁蕾 :

「よく仰る。
 みな、雲の下に置くのでしょう?」

“天衝華山”謝雲竜 :

「そうと頷かば、自惚れが過ぎるな」

“天衝華山”謝雲竜 :

「…御前は未だ…花を知らなんだな」

“帝釈天”謝暁蕾 :

じんせいいにしえよりだれかしなからん
「人生自古誰無死、留取丹心照汗靑」
たんしんをりゅうしゅしてかんせいをてらさん

“帝釈天”謝暁蕾 :
         ・・
「………照らすものを選ぶのは私ですよ。大師」

“天衝華山”謝雲竜 :

「御前が嘆くのは零丁のみであろう」

“天衝華山”謝雲竜 :

「………御前だけの景色にはならぬよ」

“天衝華山”謝雲竜 :

「世の色彩は、御前ひとつでは賄えぬ。
 …あと幾度の転換の折に、その寂寥に気付かば会おう」

“天衝華山”謝雲竜 :

「若しくは………言うに及ばずか。
 その会い方でないことを切に願う」

“帝釈天”謝暁蕾 :

「知っているくせに」

“天衝華山”謝雲竜 :

「先の歴史を、御前の父は描いたか?」

SYSTEM :


 ・・・・・・・
 行儀のよい周期を一旦やめにしてから、
 十数年ぶりの会話。
 打ち切ったのは、今回は自分だった。

 今はそちらではない。企みに次が生まれたとき、目に留まれば引導を渡しに来るだろう。
 乱れる世と縁のいずれかを選べと言われたとき、迷わず前者を鎮めることを選んだ男が、
 悪縁と語るものに躊躇はしない。

SYSTEM :

 だが、悪とは凡そ無縁の仙人が…他者を裁定するときに情を乗せはしない。
 男の前では何れとて只人であった。

 やがて潰える命を悲しみ、嘆いて、ともにあった時間の一部を糧としても。
 すべて等しく、擦り切れるほど遡る間に風化させてゆく…。
 創まりの師のその様子に、見上げるような度し難さを覚えたのが、李暁蕾の始まりだった。

SYSTEM :

 あるいは、ここにいない、もっとも新しい高弟の道半ばにあった感情だ。
 だから。と、思うことはある。

SYSTEM :

 不老の命を得たその時に、
       ・・・・・・・
 この男の手を掴もうとしないことを選んでいたら。
 掴もうとする時、斯様なやり方でないものを選んでいたら?

SYSTEM :

 そういう夢想が芽吹かなかったことはない。
 芽吹くたびに、胸元に仕舞い込んでいたものを思い出す。
 生きていく向きを転換するたびに、幾度も。

SYSTEM :
     ・・
 わざわざ有限と知るものに心を重ねたことも。あるには、あった。
 かつて問い、不理解を突き付けられた時の答え通り。
 けっきょく道連れまでは、択ぼうとしなかったのだ。

SYSTEM :
 知り得る限り殆どはそうだった。創まりの師は、同時に彼らの父でもあった。
 するべきことを教え、そのすべてに責を負い、やがて巣立つ。鳥の教えのように。

 だが、本当の意味で巣立った例を知らず。
 そのお互いに矛を向けあうような澱みが、花を色褪せさせることを知るから。
 己の弟子を同じ時の廻りの見物人とすることを、雲竜という男は千の月日より前に、己に禁じていたからだ。

SYSTEM :

 …偶然の結果。
 羅馬で出会った小僧の顛末は、
 真逆であった。

“帝釈天”謝暁蕾 :

「──────まったく」

SYSTEM :

 女は雲下の、自ずと然るものを友とする生き方を選ばなかった。
 選ぶたび、変わらない自分を悟るためだ。

 男は雲海を越えて、竜を引きずり下ろすような、秦長城を築く真似をしなかった。
 選ぶたび、選んだ時の隣人が、彼を雲下の「日常」に留めおくからだ。

SYSTEM :

 それだけのことだ。
 堯階は未だ三尺の高きに及ぶことなく、画布は完成に至らない。
 やがて吹く秋風は幾度、花が咲き誇ったとて付き纏う。

 どちらも易く、どちらも難く…。

“帝釈天”謝暁蕾 :

「忌々しいこと」

SYSTEM :
 陥穽のなんとも遠きこと。
 
 心の底から楽し気に、腹立たしさを寿く言葉が雲海に響いた。

SYSTEM :

【ED3:Per asprera ad astra-易きことも、難きことも】

                      Fin...

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・ED4『Dominus tecum-あなたの旅路は彼らとともに』

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】

 エンディング/HO4を開始します。
 暫くそのままでお待ち下さい...。 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
 …雷鳴は立ち消え、暴風は収まり。
 混沌は何処へ消え失せた。
 情熱宿す浪漫の都に、生の余熱だけを残して。

 彼らの欲望の物語は、そこで幕を下ろした。 

SYSTEM :
 さりとて。あなたの幕は、ここではない。

 森を守らねばならない時、その眠りから覚め、為すべきを為した。
 凶兆の調べが途絶えたいま、あなたには、あなたの愛した地へと帰る時が近づいていた。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

【ED4:Dominus tecum-あなたの旅路は彼らとともに】

 登場PC:ラーゼス

SYSTEM :

        【 Now Loading... 】

 ドゥミリオン
『“隻獅子”』。ラーゼス。
 弱き者を救う、蒼き獅子の王。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :

 …ここに至るまでの喧騒が嘘のように。
 ローマ…かつて腐り蝕まれようとも、永遠の繁栄を願われた都の”いま”は、平常の街並みを取り戻していた。

 もう、ここに、かつてこの地の今日を守り続けてきたものはいない。
 それを引き継いだものの最後の尽力、あるいは、散りゆく大樹の恩恵が、この地の平時より聞こえる声を保っていたのだ。

SYSTEM :

 事を成したあなた/ラーゼスが、そのローマに幾日留まっていたのかは定かでない。
 だが、ずっとというわけにはいかなかった。

 最初、契約の終了と共に立ち去ったのは“ファントムストークス”。
 次の縁の名残さえ残すことのない、概ねは彼らなりの戦友の流儀を残して。

 次に去ったのは“血色の探求”。
 彼が何をどのように語ったのかは、
 敢えて記さずに置く…。

SYSTEM :
 ………そしてその次が。
 あなただった。

 羅馬をあなたなりの旅路で去る、その直前にあたって、見送る姿があった。

ラーゼス :
 グウィン
 臣下は先に帰らせた。
 正確に言うのなら、こちらから取り立てて指示はしていない。
 ただ帰っていないだけだが、聡明な騎士はこちらの意思を正確にくみ取ることをわかっている。

ラーゼス :
 ひとり残った己は、ほんの少しばかりの力仕事を手伝い……
 それから胸の奥で血が凍り始めたのを悟って、この地を離れることを選んだ。

ラーゼス :
「……おれもここまでだ。
    ・・
 先日、連絡があってな。ふるさとがおれを呼んでいる」

ラーゼス :
 そう告げたのは、この遠征で傍にいつづけたふたりの戦友へだ。
 彼ら以外のものたちとの別れは既に済ませた。あとは、彼らだけ。

“七花胡” :
「最初に顔合わせしてから、案外あっという間でしたね。“隻獅子”」

“七花胡” :
「いえ、もういいか。
 ラーゼスさん、お世話になりました」

“七花胡” :
「この通り、自分は単独では馬を駆ることくらいしかできない、非力な男ですから。
 貴女の剛力と聡明さに、大いに助けられました」

“七花胡” :
「一時とはいえ、槍たる貴女の主君を務められたことは……光栄なことであり、得難い経験でした」

“七花胡” :
 元来、所有物でもない誰かの主など、柄ではない。
 自分はあくまで一介の庭師であって、その中の物を好き勝手に掴み取ることが許される、王さまではないからだ。
 庭の中に住まう彼らの主権までも、掌握したなどと思い上がれたことは無い。職員である彼らへの指示権は、あくまで彼らの同意が前提にあってこそ。

 それがたまさか出張先で、「対等な主従関係」などという奇妙な絆を結べたのは……間違いなく貴女としか得られない経験だった。

“七花胡” :
「……ご苦労様でした、我が槍。
 そして此処までありがとう、ラーゼスさん」

ラーゼス :
「長丁場になると踏んで、実にそのとおりであったが……」

ラーゼス :
「心持ちのうえでは、貴公の言うとおりだな。
 振り返ってみれば、まさしく嵐のごとき日々だった」

ラーゼス :
 すこし低いところにある彼の目を見つめる。
 ひとときの間の、我が主。
 たわむれのように始め、実情はまさしくそのとおりであろうが──そのつながりに救われたことは幾度もあった。

ラーゼス :
「こちらこそ。世話になったな、“七花胡”。
 はじめからおわりまで、見事な采配だった。貴公がなくば、おれもこれだけの我儘は通しきれなかったろう」

“七花胡” :
「それは良かった。とはいえ、自分はあくまで、自分の好きなように貴女を唆しただけですよ。
 元々、自分の術は本人にその気がなければ、あまり用を成さないものです。選択し、行動しないものに、可能性などとあったところで意味がない」

“七花胡” :
「貴女が唆されてくださったから、今回は上手く嵌ったのです。
 貴女のほうこそ、利害の一致した男をうまく使うことができたと……そう思ってくださってかまいません」

 下手に恩義の被せ合いになれば、それはもう対等ではなくなる。
 貴女とはあくまでも対等でありたい。だから過度に恩義を感じる必要もないし、此方もまた同様だと、そういう本音だった。

“七花胡” :
「……メモ。お渡ししましたね。
 その分だと、約束は守っていただけたようだ」

ラーゼス :
「……わかった。では、お互いそういうことにするとしよう」
 落としどころと判断して、鷹揚に頷く。
 結局のところ、互いによき『主従関係』であったということに尽きるのだろう。

ラーゼス :
「うん。先日の雷にも耐えてくれた。……胡」

“七花胡” :
「はい」

ラーゼス :
        ・・
「あれは、おれの臣下に見せても?」

“七花胡” :
「かまいませんよ。貴女の御身内なら、良きに計らうでしょう」何よりも、貴女自身が悪用を許すまい?

ラーゼス :
「わかった。……おれが思うに」

ラーゼス :
「気が合うと思う。雰囲気ばかりは陰鬱だが、心熱き男だ」

“七花胡” :
「ふふ、そうですか。御声が掛かったならば、力を尽くすといたしましょう」陰鬱ねえ。

“七花胡” :
「……時に」

“七花胡” :
「貴女の庭は、何処にあるものか。貴女にとり、どういう場所か……。
 ……最後に尋ねても?」

ラーゼス :
「…………」

ラーゼス :
「海向こうの森だ。冬になると雪深く、傍に古びた城が寄り添っている」

ラーゼス :
 てらうことなく口にする。
   ・・
 もし誰かがいたとしてもかまいはしない。
 ここより先、“隻獅子”というエージェントの記録が現れるのはすぐではない。
 それに、単純な字だ。辿ればすぐにあの城と騎士団へたどり着くだろう。

 なにより──何かがあれば、彼女にも伝える心づもりであったからだ。

ラーゼス :
「おれにとっては……」

ラーゼス :
      みぎめ
「忘れがたい友人が、その人生をかけて……おれと己が国のために、亡びる伝説の今わの際に残した」

ラーゼス :
「我がふるさとだ。おれのための空席を、ずっと空けてくれている場所だ」

“七花胡” :
 ……なるほど。場所については十分だ。これだけヒントを貰えれば、彼女の背景は自ずと絞られる。
 今更この国に、それをよからぬ企みに使おうなどという度胸ある輩も、最早いるまい。
 いたとして、駄馬にやらせる帰り際の始末が一つ増えるだけだ。

“七花胡” :
「……ふるさと。故郷か……」

“七花胡” :
「貴女なら、雲上にも在れましょうに。そうしないのは、仰がれるのではなく、共に立ち並びたいのですね」

“七花胡” :
「貴女の庭は、貴女の人生そのものだ。
 ならば彼らも、きっと首を長くして貴女の御帰りを待っていることでしょう」

ラーゼス :
「『ガラではない』というやつだ。
 人間にかしずかれるのはどうにもむずがゆいし、余計なものが多すぎる」

ラーゼス :
「だからやめてもらった。
 ……だが、貴公の言うとおりだ。きっと心配されているだろうな」

ラーゼス :
「別れは惜しいが、待つものを無下にもできない。……だから」

ラーゼス :
「そろそろ出てきてくれないか。名を呼びたい」

ルイクゥ・ブリーズ :
ひょっこり。

ルイクゥ・ブリーズ :
 付き添いをレジカウンターに置き去りに、売店からぱったたぱったた駆ける『見送る姿』がもうひとり。
 両手いっぱいの紙袋を、旅荷のろくにないラーゼスに次々と押しつける。

ルイクゥ・ブリーズ :
どうぞ!

“七花胡” :
「おやまあ」彼女が断るたちでないのを良いことにどかどかと積まれていく紙袋を眺める。

ラーゼス :
びっくり。

ラーゼス :
ぱちぱちと瞬いて、瑞珂と荷物を交互に見る。

ラーゼス :
「……これは?」

ルイクゥ・ブリーズ :
「おみやげ」

ルイクゥ・ブリーズ :
保存の利く食品類に、いかにもイタリアな雑貨。いちばん良いのは円盤型のクッションで、マルゲリータと真実の口だ。

ラーゼス :
袋をのぞき込む。

ラーゼス :
「……………」

ラーゼス :
クッションをつまみあげる。

ルイクゥ・ブリーズ :
「うそつきのおててを食べるのよ」

ルイクゥ・ブリーズ :
こっちはピザ

ラーゼス :
「それは、後ろで待っているものに備え付けておいたほうがよいな」

ラーゼス :
もっともらしく頷く。

“七花胡” :
きまじめな顔とチョイスされたおみやげのそぐわなさに、思わず笑いそうになるのを堪えた。

ルイクゥ・ブリーズ :
「アハ! 両手がなくなっちゃう」

ルイクゥ・ブリーズ :
「赤の瓶がトマトソースで、緑の瓶がバジルソースなのよ。一緒に入れたパスタに使うんですって。それから、それから……」

ルイクゥ・ブリーズ :
最終的にコロッセオのスノードームや宗教画のポスターなど明らかにカモられている品々が出てくる。

ラーゼス :
ポスターとスノードームをありがたそうに持ち上げる

“七花胡” :
これは……一体幾らで……ううん……見事なカモ…… いえ、本人たちが良いのであれば……無粋は言わないでおきましょう

ラーゼス :
どうだろう と言いたげに胡を見る。

ルイクゥ・ブリーズ :
いいでしょう と言いたげに胡を見る

“七花胡” :
「…………」

“七花胡” :
「いずれも此処でしか買えないものです。一足早く出立する友人に差し上げるおみやげには、ぴったりのチョイスだと思いますよ」にっこり。

“七花胡” :
値段には触れなかった。

ルイクゥ・ブリーズ :
「あなたにはこれ」とくいげに渡す

ルイクゥ・ブリーズ :
ピサの斜塔よ ボタンを押すと七色に光ります

“七花胡” :
……恐る恐るボタンを押す。ぽち……

ルイクゥ・ブリーズ :
(一抱えほどの大きさをした斜塔の内側から七色の光が溢れる)

“七花胡” :
本当に光った……まあまあでかい……

“七花胡” :
「……ありがとうございます、ルイクゥさん。なんとかして持ち帰って、飾らせてもらいますよ」
 もう一度ボタンを押して光を止めてから(大事)、両手で受け取ろうとする。

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
「おおきいな」

“七花胡” :
「……。ええ、はい」

“七花胡” :
「持って帰る甲斐があります」ずし……

ラーゼス :
「そうだな。これだけ大きければ、自慢には良いみやげだ」

ラーゼス :
うんうん頷く。

ルイクゥ・ブリーズ :
うんうん。

ルイクゥ・ブリーズ :
そっとボタンを押す。

ルイクゥ・ブリーズ :
人込みの中で、斜塔はひときわ輝いて見えた。

“七花胡” :
まぶし…… サングラスが反射を受けて七色に光る

ラーゼス :
「よい導だ」満足そうにうなずく。

“七花胡” :
導……?

ラーゼス :
………

ラーゼス :
少々はでな灯りではなく?

“七花胡” :
まあ……そうですね 停電の時とか、役立ちそうですね

“七花胡” :
七色ですけど……

“七花胡” :
(そっとボタンを押して光を止めた)

ラーゼス :
…………………。

ラーゼス :
ぽち……。

ルイクゥ・ブリーズ :
ぴかー

“七花胡” :
またサングラスが七色に光る

“七花胡” :
遊ばれてないか? これ……

ラーゼス :
うん……。

“七花胡” :
(また無言でボタンを押し、光を止めた)

“七花胡” :
(そしてさりげなくボタンを掌で覆い隠す)

ルイクゥ・ブリーズ :
両手に紙袋いっぱいのラーゼスにすすすと寄って、真横にぴったりとつく。

ルイクゥ・ブリーズ :
「ほんとうに行っちゃうの?」

ルイクゥ・ブリーズ :
おみやげまでおしつけて、いまさらな話だけど。

ラーゼス :
「ああ。そろそろ行かねばならない。時が近いようだ」

ルイクゥ・ブリーズ :
「どうしても?」

ルイクゥ・ブリーズ :
「ぜったいに?」

ラーゼス :
「ン……」

“七花胡” :
食い下がるなあ、と苦笑

ラーゼス :
「……ああ。おれの心持ちの上はともかく、『ぜったいに』だ」

ルイクゥ・ブリーズ :
「……」

ルイクゥ・ブリーズ :
「はしっこちょっと燃やしてもだめ?」

ルイクゥ・ブリーズ :
ローマ以外にするから……

ラーゼス :
「……おれより前に、血相を変えた胡が飛んでくるかもしれないな」

“七花胡” :
「貴女がたと速さ比べなんて、自分に分があるとでも? まあ、場所によっては、血相変えて飛んでくることになるかもしれませんけど」

ルイクゥ・ブリーズ :
……?

ルイクゥ・ブリーズ :

“七花胡” :
何か閃いたな……

ルイクゥ・ブリーズ :
「しっぽを見つけたわ」

ルイクゥ・ブリーズ :
 ・・
「それで飛んでくるひとが悪い子なんてこと、きっとないのよ」

ルイクゥ・ブリーズ :
「へたっぴさん。でも内緒にしておいてあげる」

“七花胡” :
「……、」目を見開いてから、してやられた、とばかりに苦笑を零す。

“七花胡” :
「……やれやれ。これじゃあ形無しですねえ。性根なんて早々変わりはしないと思ってはいたのですが……詰めが甘かったらしい」

“七花胡” :
「お二人の……いえ、既に去ってしまわれた彼も含め。
 目溢しに救われましたね。そのまま、あなたがたの胸にしまっておいてください?」
 ピサの斜塔を片腕に寄せながら、人差し指を立ててシー。

ラーゼス :
「わかっている。それに、貴公がそういう御仁だったから良かったのだ」

ラーゼス :
                   ・・
「アレウスは図体こそ大きいが、まだまだ少年だったからな」

“七花胡” :
「今の台詞、彼に聞かせられなかったのが随分惜しい」

“七花胡” :
「……まあ。自分としては、大差は無かったつもりなのですよ。やり口が多少変わっただけでね。
 今も昔も、自分は変わらず、欲望の徒です」

ラーゼス :
「だそうだが」

ルイクゥ・ブリーズ :
すきあり! ぽち

ルイクゥ・ブリーズ :
ぴかーーーー

ラーゼス :
「『まだまだね』だそうだ」

“七花胡” :
「せめて口で言って欲しかったですね~!」またサングラスが七色に光る

ルイクゥ・ブリーズ :
まんぞくしたのでオフにする。

ルイクゥ・ブリーズ :
「もうちょっといたらいいのに」

 これから何人かにもするだろう、本日数度目のぼやきを再度。うち一人は聞かせる前にどっかにいった。

ルイクゥ・ブリーズ :
「おやすみとさよなら、どっちがいい?」

ラーゼス :
「もう少しこの街を見ていたい気持ちはあるが……」

ラーゼス :
 手袋を脱いで、ルイクゥに手を差し出す。
 触れれば温かった指が、氷に浸けたように冷たい。

ラーゼス :
「『別れを惜しむのはほどほどに』と言われているようでな」

ルイクゥ・ブリーズ :
「あ……」

ルイクゥ・ブリーズ :
えい、と手に灯した熱があっけなく打ち消される。

ラーゼス :
すこしあつい。

ルイクゥ・ブリーズ :
とてもつめたい。

ラーゼス :
「すまない。
      ・・・・・
 できれば、冷え切ったあとの姿は見せたくない」

ラーゼス :
「……だが、おれはどうにも淋しがりでな」

ラーゼス :
「今生の別れかも決まったわけではないだろう?
 だから、『おやすみ』がよいと思う。どうかな」

ルイクゥ・ブリーズ :
「……わかったわ。胡、あなたもいい?」

“七花胡” :
「……はい。かまいませんよ」穏やかに肯く。

“七花胡” :
 彼女の掌を蝕む冷たさは、雲上人が低き地に降りて民と共に肩を並べるための、代償なのだろう。
 時の流れから爪弾き。目覚めた頃に一変した故郷の姿に、心を削り取られてしまわぬように。
 あえてその身を氷と化すことで、彼女は民と同じ時を過ごす。
 そんな貴女に……。

“七花胡” :
「貴女の次の目覚めが何時になるかはわかりませんが……何時になるとて、自分は遠く離れた地で、今と変わらず庭師をしていることでしょう」

“七花胡” :
「変わる景色が在れば、変わらぬ絆も在ること。どうか夢の向こうまで、持って行ってくださいね。
 久遠の何処かで、また逢う日まで」

“七花胡” :
「良い夢を。ラーゼスさん」

ラーゼス :
 ルイクゥに渡していないほうの手を差し出す。

ラーゼス :
 それから、大きく頷いた。
 わかっている、と、ありがとう、ふたつの思いを込めて。

ラーゼス :
「ああ。いつか、また。おやすみ、胡」

ラーゼス :
「おれにはひどく難しいことで。そして起こらぬなら起こらぬほどよいことだが。
 いつか、貴公の庭も見に行きたいものだ」

“七花胡” :
 片手で器用に手袋を外してから、差し出された手を握り返す。
 冬の日の朝、薄く氷の張った泉を覗き込むような、芯から凍える冷たさだった。
 ……多分、此方の手は、ルイクゥさんと違って大して暖かくはあるまい。首を竦める。

“七花胡” :
「大丈夫ですよ。何があったって、空位の玉座を守ってきた、貴女の最新の臣下と。
 今日も明日も形を変えて在り続ける自分の庭が、その時また、貴女を援けるのだから」

“七花胡” :
「また今日と同じ眠る前の暇に、好きなだけ見て回ればよろしい。
 何度だって、何時だって、自分は其処で、友を迎えましょう」

“七花胡” :
 最後に、もう一度だけ掌を握り返す。
 最初に交わした掌の温かさも。最後に交わした、指先の冷たさも。
 何方も共に、時の流れに擦り切れてしまわぬように。
 しっかりと……。

ラーゼス :
 若き古代種の力強い肯定に微笑む。
 彼にも守るべきものと、いるべき場所と、ともにいたいものたちがいる。
 それを叶うかぎり永くつづけていたいという思いもまた。

ラーゼス :
「泳がない場所ならば、労なくゆけるかもしれないな。
 ありがとう、若き傍輩よ。次も、また」

“七花胡” :
 貰った言葉に小さく、確かに肯いて。名残惜しさを次への期待で上書くように、掌を離す。
 それから、ルイクゥさんに目配せ。どうぞ、の合図だ。

ルイクゥ・ブリーズ :
 ぴょんと首に抱きつく。
 つかない爪先を揺らしたまま、耳元で重なる声。

「『おやすみなさい』」

 わたしと家族で贈る、二人分のおやすみだ。

ラーゼス :
 その身体を抱きかかえる。
 よく知る声と、何度か聞いた誰かの声。彼女にとって忘れがたきものの声だ。

ラーゼス :
「おやすみ、ルイクゥ。
   くに
 我が故郷に寄ることがあれば、我が名をしるべに。歓迎する」

ラーゼス :
「……それから。最後にひとつよいか」

ルイクゥ・ブリーズ :
「なあに?」

ラーゼス :
「名を教えてくれ。
 いまの名を。
 おまえの口から聞きたい」

ルイクゥ・ブリーズ :
きょとん。

ルイクゥ・ブリーズ :
 

ルイクゥ・ブリーズ :
「わたしはルイクゥ・ブリーズ」

ルイクゥ・ブリーズ :
「あなたのおともだちよ、ラーゼス」

ラーゼス :
「……ルイクゥ・ブリーズ」

ラーゼス :
「よい名だ。これ以上なく」

ラーゼス :
 抱いた身体に頬をすり寄せた。親が子にそうするように。
 もう二度と会えぬかもしれないものを刻むように。

ラーゼス :
「……またいつか。時の果てで会おう。
 おまえがこのようにある姿を、この目で見ることができて良かった」

ルイクゥ・ブリーズ :
「あなたと、みんなが守ってくれたから」

 深くこぼれる吐息。
 抱き返してくれる腕の確かさを、記憶に刻む。

ルイクゥ・ブリーズ :
「ええ、またいつか。ねぼすけさんでも許してあげる。あなただけ、とくべつよ……」

 冷ややかに微睡んでいく身体に、めいっぱいの抱擁であらがう。もうわずかしかない時間が少しでも長くなりますようにと祈る心地で。

ラーゼス :
「……それは、光栄だな」

ラーゼス :
 いたずらに返して、名残を惜しみながら体を離す。
 紙袋を苦心して外套の内側にしまい込んでから、あらためて二人を見つめた。

ラーゼス :
「………」

ラーゼス :
「……泳いでは濡れてしまうな。戻り方は考え直さねば」

ルイクゥ・ブリーズ :
アハ~

ルイクゥ・ブリーズ :
水の上は走れないの?

ラーゼス :
…………。

ラーゼス :
右の足が沈む前に左の足を出せば

ルイクゥ・ブリーズ :
ゴー!

“七花胡” :
出来ても随分、距離があるように思えますがねえ……

ラーゼス :
……少々目立つが、別の方法にするしかないな

“七花胡” :
……どうするんですか? 陸……? それとも……

ラーゼス :
飛ぶ。

ルイクゥ・ブリーズ :

“七花胡” :
……翼があるようには……

ラーゼス :
正確に言うと……

ラーゼス :
跳ぶ。

ラーゼス :
うんうんと我が意を得たような顔になり、手を振りながら青い外套が遠ざかっていく……。

ルイクゥ・ブリーズ :
……?

ルイクゥ・ブリーズ :
首をかしげながら手を振りかえす。

ルイクゥ・ブリーズ :
彼女に用事のあった男が置き去りになっているのを思い出したけど、何も言わなかった。

ルイクゥ・ブリーズ :
ぽち。

ルイクゥ・ブリーズ :
七色の光があふれた。

“七花胡” :
跳べるなら海も走って渡れるのではないかと思いはしたが、思うだけにとどめた

“七花胡” :
並んで手を振る男のサングラスが、五度七色に光るのだった

SYSTEM :

 幾度繰り返したものか、定かでない別れの言葉。
 だが、振り返った時、それらはいずれもあなたの旅路を彩ってきたものとして、色あせることはなかった。

 災いの兆しとともに目覚め、断っては微睡む。その繰り返し…。
 その惜しむ心に足を惹かれた時、その愛しむ心を失った時、いずれも罪の兆しとなるがため、その別れの言葉は、あなたにとってなくてはならない行いだった。

SYSTEM :

 人の旅ではない。獅子の旅。
 始まれば、あとは帰るだけ。その最中。
 いざ行くあなたに、声がかかる。
 はじめの、颶風との出会いが追い付いた。

“黄の希人”アーキル :

「もう行くのか? 道案内は?」

SYSTEM :

 必要ないこと(あるいは、もう十分であること)を分かっての軽口だ。

ラーゼス :
「不要だ。来た道を戻るだけゆえな」

ラーゼス :
 低く屈めようとしていた身体を持ち上げて、この地で出会う最後のものにそう返す。
 彼とて、わかって口にしているのだろうが。

ラーゼス :
「貴公こそ、おれにかかずらっていてよいのか? これまでもこれからも、随分と忙しかろう」

“黄の希人”アーキル :
「確かに野暮用を済ませてたトコだよ。
 結果…見送りに遅刻したようだが、寸でのところだったらしい」

“黄の希人”アーキル :
「で、そうだな。俺は…。留まるより興す方だ。
 馴れないことをやる割合も、おそらく増えると来たが…」

“黄の希人”アーキル :
「乱暴に火をつけずに済んだ火種のひとつに、礼くらいは言っておこうと思ってな。
 こういうコトやってると、一度会ったやつが次に会えるかも定かじゃない」

ラーゼス :
「そうだな。その遅刻のお蔭で、ゆっくりと別れを惜しめたようだ」

ラーゼス :
悪い意味ではない。どちらかというと、言えることの範囲が減っていたろうからな、という話だ。

“黄の希人”アーキル :
「はは。惜しむほうはあっちの特権だが…。“七花胡”もか?」

“黄の希人”アーキル :
「いや、まあそうおかしなことじゃあないが。
 庭の隅の隅まで花の形を覚えるような男が、ひと時とて間近のあんたを淡白に送ったことはないだろう。

 野暮用の主には、近いうちその話で華でも添えておくよ」

SYSTEM :
 軽口をひとつたたいた後、男はふとあなたが戻る道を振り返る。

 情熱の都。これから暫く、どこにでも行く風の男が拓く、古き歴史を伴う場所。

“黄の希人”アーキル :
「…それにだ。旅先の惜しみも悪いことじゃない」

“黄の希人”アーキル :
「生きることには余分があってはいけない、なんて。そうないからな」

ラーゼス :
アーキルをじっと見る。

“黄の希人”アーキル :
「どうした。改まって」

ラーゼス :
「……そう聞くと、貴公は本当に“青の貴人”と正反対であったな。アレウスが避けた理由も理解できる」

ラーゼス :
「ルイクゥが、いったんの宿に貴公を選んだことも。その颶風が心地よいのだろう」

ラーゼス :
 余分を捨てた女と、その余分を拾い上げた男。
 もし我らが別のものと手を組んだとして、同じ帰り道にあの娘がいたかは知れない。
 あるいは別れをこそ、必要なこととして定めたのかもわからないが。

“黄の希人”アーキル :
「さて。はじめの是非は置いとくよ。
 ”ハーヴェスター”だって、根っこを考えりゃ、お姫様とは彼方だ」

SYSTEM :
 だからなんだろうけどな、と軽く肩を竦める。

“黄の希人”アーキル :
「『一番目の家』だから留まっていられた。あの娘の話だ」

“黄の希人”アーキル :
「でも、二つ目、三つ目と、生きていくことはできる。できると思えるものを見つける限り。
 いったんの宿から離れたって、パッと出会ったりできるかもな。それがいいさ」

“黄の希人”アーキル :
「とはいえ、拾いに行くと約束した身でね。そっぽ向かれるまではお転婆に付き合うよ。
 
 その余分に首を横に振ったんじゃ、せっかく選んだ違う明日が報われない」

ラーゼス :
「……ああ。生きるかぎり、生きたい場所は己で決められる」

ラーゼス :
「それが人間だ。
 貴公も、あの娘も、彼も。存分にうつろえばよい」

ラーゼス :
「貴公とて、まだ若いのだろう?
 若者はおおいに迷い、決めたものを揺らがせ、悩んで選べ、と、昔出会ったものは言っていたよ」

“黄の希人”アーキル :
「…どうかな? 若い、が言い訳に使えるのもあと少しさ」

“黄の希人”アーキル :
「しかしだ。こいつはルイクゥにも言ったが…。

 使えるうちだから、軌道を変えたのさ。
 いまの賢しいやり方以上に、乱暴なやり方も出来た」

“黄の希人”アーキル :
「結果の出会いがこれなら。そうやって、一度振り返ってみるのも悪くなかったってコトだ…」

SYSTEM :
 たとえば一番目の思い出に勝ることがなくても。
 比べ得るものがなくても。どこにでも行ける。

 彼は風の赴くままに、これからも生きてゆくのだろう。ひとつ事の命題を抱いて。
 だがその行いに、その行い以外の感情を持ってはならぬと思うほど、彼は自他の人生を窮屈にすることを望まなかった。

“黄の希人”アーキル :
「…そうだ。ひとつ聞かせてくれるか?」

ラーゼス :
「そうであろうな。貴公はどうにでも在れたろう」

 理解したようにうなずく。
 はじめに受けた印象よりも、ずいぶんと穏やかに収めた──それが、彼への感想だ。
 理由も理解できる。かの女神だろう。

ラーゼス :
 目的のために濁を呑み込み、利害関係を完全に心得ておらねば、“血色の探求”のような男はアーキルを仮宿にはすまい。
 あくまでこの結果を引き寄せたのは、彼にとって『賢いやり方』が、今このときの最善であったから……。
 そういっためぐり合わせに過ぎないのだろう。

ラーゼス :
 だが、結果がこれならば悪くないというのも。また彼と意見が一致するところでもあった。

ラーゼス :
「……聞きたいこと? むろん、おれに答えられることであれば」

“黄の希人”アーキル :
「ああ。そんな難しい事じゃない………。
 いや、当人にとっては難しいかもだが」

“黄の希人”アーキル :
「あんたの帰るところで、あんたは…何と共に生きてゆく?」

SYSTEM :
      ヒト
 あなたが、人間から遠ざかった命なことを。
 ここまでろくに隠す故もなかったがための言葉だ。

 森のかなたを知る由はない。であれば、彼が彼なりに答えを拾おうとしている娘の形の先にある”ひとつこと”を思っての話に聞こえた。

ラーゼス :
 いのち
「生命と」

ラーゼス :
「生まれ、育ち、老い、愚かしく、果ててゆく……。その営みとともに生きている」

ラーゼス :
 それはけっして、思い出とともに生きるばかりではなく。
 今を生きるものと、未来で出会えるもの。過去に出会ったもの──そのすべてと。あるがままに。
 森に生きるすべての命がごく自然にそう在れるよう戦いつづけるのが、己のさだめた運命なのだから。

“黄の希人”アーキル :
 いのち
「生命と、か…」

SYSTEM :
 個人ではない。個人に傾くものは王ではないからだ。
 なればそれは遠い眼差しで、生きていくものの営みを守るものの言葉であったが。
 その環の形を以て、あなたは生きていた。

 彼は、すべてではないにせよ、納得したように頷く。

“黄の希人”アーキル :
「ずいぶん遠いトコロからだな。進むでも、留めるでもなく、あるがまま、か…」

“黄の希人”アーキル :
    ユメ
「…俺の野望は、あんたのように“違う”目線の生き物とも、同じところでやっていくことだった。
 変わっていく世の中で、少しでもいい明日をってな。そうすれば…」

“黄の希人”アーキル :
「”次”を生きていくものを、俺たちは安心して送り出せる。
 …あんたがいう“あるがまま”なのかは、またちょっと別かもしれないが」

SYSTEM :
 少なくとも…。
 彼は“彼女”を見て、排斥の方向性を捨てた。
 その、生まれ、育ち、滅びゆくものから学んだ結果が『こう』であるならばと。
 
 あなたがどういう認識をしていたかは、ともかく。
 彼にとってのあなたがどういう立ち位置だったのか、というと…。

“黄の希人”アーキル :
「その遠いトコロで見守ることをとっくに決めているんなら、こいつはお節介だろうけどな」

“黄の希人”アーキル :
「…報いてきたあんたの旅に、この先も惜しめる出会いがあるのを願うよ。
 俺も、忙しい時たまに思い出す」

ラーゼス :
言葉を選ぼうと数秒の間をおいてから、苦笑いする。気恥ずかしさをこらえるような仕草。

ラーゼス :
「ありがとう。おれもいつか、貴公の名を風聞することがあればよいと思っている」

ラーゼス :
「しかし……そうだな」

ラーゼス :
「こうなったのはおれが決めたからだが、このように在ることはおれが整えたことではないのだ。
 ……おれの言うことがわかるか、アーキル?」

ラーゼス :
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
「現実と幻想に折り合いをつける人間が、おれをこの座に届けたのだ。いまの貴公のように」

ラーゼス :
 お れ
「隻獅子の隻眼は、未来と過去を見つめるためのものだが。
 それを形作ったのもまた、おれではない」

ラーゼス :
   ゆめ
「その野望は、叶う望みだ。
 貴公の歩幅が彼女と揃い続けるならば。安心せよ。
 貴公の女神は、優しい御仁だからな」

SYSTEM :

 あなたが旅人に告げたことは。
 現と幻が交わる森に命を拾われたものが、はじめに決めたこと。
 そして、あなたがそう在るように道を整えることを、ただ一つの恩を返す道と歩み切った男のことだった。

SYSTEM :
 アーキルのよく回る舌が一瞬止まる。
 どこか考え込む様子。あるいは、感嘆にも似た様子。

“黄の希人”アーキル :
「幻想を幻想のまま、現実と手を取り合わせる生き方、か…」

“黄の希人”アーキル :
「…案外すれ違うだけだったかも知れんが、出会ってみたくもなる」

SYSTEM :
 おそらくは望む形とは違うが、お互いを尊重した未来のかたちだ。
 それは、どうあっても変わっていく世界…薄氷の下に閉じ込めたままではいられないと、少なくとも男が思っている世界の変わり方としては、決して悪いものではなかったのだろう。

“黄の希人”アーキル :
「いい導だ。それじゃあ、また会おう。
 俺はその“女神”と…」

“黄の希人”アーキル :
「歩幅が違っても同じ道の奴らと、
 夢のために歩いていくさ」

SYSTEM :
 それはもしあなたと出会うときがあったとしても、穏当なものであることを望んだ…。
    
 今日に留まり続けることのない男の、彼にとって、なぞりきることはない生き方に対する恩寵だった。

ラーゼス :
「ああ。いつか、また会おう。
 その足跡を追うときを楽しみにしている」

ラーゼス :
         まえあし
 その言葉を最後に、両腕を地についた。
 金髪をなびかせた女が、金のたてがみを風に流す獅子の姿へと変わり。
 中空に刻んだ雷の紋章を踏んで、空の彼方へ駆け出してゆく──

SYSTEM :
 そして。
 熱した空気の向こう側に発ち、あなたの旅が終わる。

 幻想をなぞる雷霆に導かれ、
 そこを追う翠風を背にして、
 帰路へつく道が再び始まった。

SYSTEM :
 かたちを裂くように変えて、名残を奪い合い、伝説が色褪せて尚も。
 そこで生きるものの形を残したローマは、次の目覚めの折にはまた姿を変えていることだろう。

 永遠など、そうはない。今日は昨日と同じではない。何かが、一つずつ、変わってゆく…。

SYSTEM :
 だが、それを知りながら。
 あなたの座るその座を整えた男がいた。

 故に、あなたの帰路はそこであった。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 朽ちゆき、形を変え、受け入れ、それでも、喪ってはならぬもののみを守り通し…。
 今も尚、時の中にただ在る幻想の森。
 かつてここが、生きる場所であったものたちがいた。

 いまもまた、同じだ。ここで生きて、育つ者たちがいる。

SYSTEM :
 眠りにつくまでの僅かな風景を。
 あなたは、きっと、罪にならぬほどに留めおいて…。

 隻獅子の騎士らとの見送りを経たのち、森の深層にある不可侵の地へと、足を動かしていく。

SYSTEM :
 未だ逞しく残る森の天然自然は、あなたが目覚めるまで変わらず。
 故に、すこし留守にした程度で変わるものではない。

 空の玉座…誓いの先を、一匹の動物が佇むように守っていた。

森の番兵 :
“陛下”

SYSTEM :
 ・・
 それが、低い声を挙げた。
 はじめの声よりも、ほんの少し柔らかい。

SYSTEM :
 …頭を垂れ。あなたを出迎えたもの。

 あの、すこし体格の小さい、巌のような森の動物だ。

 その向こう側が、あなたの眠りにつく場所。「おはよう」のあとの言葉を言うべき場所であった。

ラーゼス :
 玉座への道を歩む。
 足取りはけして軽くない。眠りの冷ややかさが、なおこの身に迫るのを感じる。

ラーゼス :
『……ただいま。無事に戻ったぞ』

ラーゼス :
『凶兆は絶った。少しばかり長い遠征だったが、これで終わりだ』

森の番兵 :
“………は”

森の番兵 :
“…お見事でありました。陛下。
 おれも、あなたの帰還を迎えられたことが、とても喜ばしい”

SYSTEM :
 森に住まう動物の囁きで、すべてを知らずとも。
 彼は、己の役目を果たしながら待っていたあなたの帰還を寿いた。

ラーゼス :
『おまえこそ。守りの任、大儀であった。
 ……森に変わりはなかったか?』

ラーゼス :
 まつろわぬものたちばかりが暮らしているからか、
 この森の円環は、人間の世界よりずっとゆるやかだ。
 あわただしい人間の都の中にいるよりも、ずっと穏やかな心持になる。

ラーゼス :
『遠征の間は、時間が早く過ぎ去ったように思えたが……帰ってみると、長かったと感じるものだな。気が落ち着いた』

森の番兵 :
“いずれとて…変わりなく。鳥の囀りが、外の目まぐるしさを伝える程度です”

森の番兵 :
“…おれは、陛下の遠征を此度のものしか知りませぬが”

森の番兵 :
“その様子は、大きな戦であったように、思えます”

SYSTEM :
 あなたの気の安らぎこそ、遠征の果てに王が狂していないことの証だった。
 “すこしやわらかい声”の発端は、おそらくそれだろう…。

 森に抱かれ、大地の恵みを従え、森とともに生きるものすべてを守護する、地に這い死すべき運命のものたちの王。彼の王の健在こそを。

ラーゼス :
『安心した。遠征先は、ひどい嵐でな……』

ラーゼス :
『ことも、おれが考えていたよりもずっと危険な状態にあった。
 数百年に一度の大戦と言えたろう。……こちらに影響がないものかと、気をもんでいたのだが』

ラーゼス :
『そのようなことはないようだ。
 天を揺るがすものが、遠い過去の置き土産を使って起こした……途方もない災いだった』

森の番兵 :
“それこそが…森が畏れた、凶いであったと”

SYSTEM :
 成った暁には…さて。
 王の懸念も、番兵の想像も。
 おそらくはそれ以上が出たに違いない。

 目覚めた混沌は、国一つ分の礎を平らげ。
 きっと、世に新たな火を興したはずだ。

SYSTEM :
 その火が…森をゆく動物たちの、森に根付いた幻想たちの、森にやがて訪れる、色づく命を侵すことは、お陰で遂になかった。
 ・・
 凶兆の終わりを告げる冷たさこそ、そも、その証明だ。

ラーゼス :
『ああ……』
 物憂げな声で、その時を思い返す。

ラーゼス :
『森が外つ国の問題を恐れ、おれを起こした理由もわかったよ。
 恣に大地を平らげる、混沌の戦士……』

ラーゼス :
『もたらされる災いとは、彼自身によっても、彼を狙うものたちによっても起こされたのだろうな。
 あるいはおれ自身もまた、その一角を担っていたかもしれぬ』

ラーゼス :
『だが、それもこれで終わり。
 この身が冷えきり、凍りつくのを感じる……また眠りのときがやってきたようだ』

SYSTEM :
       ・・・・
 あらたな火のいずれかが土足で踏み込む。
 あなたに伝わった兆しのかたちだ。

 ならば、確かに。
 その災いの興りに集い、魅せられた何れが、
 それを引き起こしたのだろう。

SYSTEM :
 ………かつて羅馬に永遠の繁栄を願った男が。
 
 不死への欲求。
 目を背けがたいほどの力を、
 救国の兆しに臨んだように。

SYSTEM :
 ………だが、そうとも。

 それもいま終わった。

 雷霆が空を焼くことはなく。
 色づく前に森の命が歪むさまもない。

森の番兵 :
”………は”

森の番兵 :
“…次の目覚めが、いつとて。
 おれがそれを見ることは叶わぬでしょう”

森の番兵 :
“聊かの心残りもあれど、そう願っております。
 …そして、おれたちは、あなたの守るこの地で、この命を受け継いでゆきましょう”

森の番兵 :
“あなたの次の目覚めを、おれの次が迎えます。
 …眠りのたび、こう在ることが。恩への報い。恩への誇りです”

SYSTEM :
 彼は…。
 あなたの行いの意味と守ったものを、
 仕える立場の限りに伝えるように、言葉を選んだ。

ラーゼス :
『……』

ラーゼス :
『……すまないな。おまえを、この森に縛りつけている』

ラーゼス :
 彼の父祖にも、同じことを伝えたことがある。
 彼は、こう在ることはおれの誇りであると──かつてそう答えた。
 己が気に病むことなど、なにもないのだと。

ラーゼス :
 だが、ああ。わかっている。
 同じ答えを聞きたくて、こうして問うているのだ。

SYSTEM :
 その問いは知るためではなく。
 確かめるための問だったのだろうか。

 ならば…。帰ってくる言葉は、
 概ね想像のついていた通りのはずだ。

森の番兵 :
“…いいえ。少なくともおれは、あなたがいたからこそ、今日も生きてゆける”

森の番兵 :
“この森で、こう在ることがおれの誇り…”

森の番兵 :
“おれは、果報者なのです。陛下”

SYSTEM :
 一字一句ではないが、概ね意味は同じだ。

 こうして“おはよう”を聞き届け。
 ………その次の言葉を最初に伝えるもの。
 森で彼らがその役回りを賜ったのは、
 恩も仇も、魂に刻み付けて忘れぬ生き物であるがためのことだった。

森の番兵 :
“………ウーイル。おれの名です”

森の番兵 :
“…さぞ、お疲れでしょう。
 安心してお眠りください。…われらが王。ラーゼス”

SYSTEM :
 あなたと、かつて約束通り。
 彼は一度だけ、“その役回り”のため。

 大きな恩を返せるなら、と。
 無礼を働いた。

SYSTEM :

 …ウーイル。古き言葉で土を意味する。
 この地で生きて、この地とゆく。
  カーリグ
 巌の如きものから生まれた子の名だ。

ラーゼス :
『…………そうか』

ラーゼス :
『ああ、そうか……良かった』

ラーゼス :
 心底から安堵して。
 差し出された名を、大事に受け止め……思い出したのは、あの巨人のことだった。
 “ヘカトンケイル”……恩を返すため、魔獣と堕ちたもの。

ラーゼス :
 彼と、その父もまた。
 ウーイルとカーリグのように在ったのだろう。

ラーゼス :
 悲しみより先に、覚えるのは──彼もまた、あのように果てて幸福だったのだろうか、ということ。
 殺めた側のものが思うべきではない冒涜だ。それでも。

ラーゼス :
『……ウーイル』

ラーゼス :
『いつもおまえたちが、おれの目醒めを迎えてくれる……それが、とても嬉しいよ』

ラーゼス :
『此度の遠征で、またそう思った……』

ラーゼス :
 声が眠たげに沈んでゆく。
 重い足取りで、氷の園を進む。

ラーゼス :
 いまは大地にひとふりだけ刺された古びた剣と墓標。
 そこに、此度も世話になった蒼い外套を掛ける。

ラーゼス :
 咥えてきていたものを、そっと雪のそばに置いた。
 まるい硝子の中にコロッセオの模型が沈められたもの。
 此度のみやげだ。

ラーゼス :
『……レムス、ラルヴァ。グローバー。キース。……カーリグ。ウーイル』

ラーゼス :
『此度は……なつかしい面影を見た。
 覚えているか? あの妖精騎士だ。
 彼の足跡は、どこへつづいたのだろうな……』

ラーゼス :
『それに……得難い友と出会った。
 欲望を伴とするものたちだが、彼らもまた……おれにとっては好ましかったよ』

ラーゼス :
『彼らも……己がために歩いている。
 それになんの違いもなかった……』

ラーゼス :
『………生きるとは』

ラーゼス :
『……なんと困難で──なんと眩しいことだろうな……』

ラーゼス :
 足元を氷が浸してゆく。
 瞼が重く、持ち上げているのも難しい。
 その奥に見える従者の姿を目に焼き付けるように、できるかぎり長く開けていたが──それもまた限界だった。

ラーゼス :

『…………おやすみ、ウーイル』

ラーゼス :
 それを最後に、体は真白の氷の向こうに閉ざされた。
 隻眼が、伏せられる。

SYSTEM :
 雪原の墓標。ひざまずいたまま崩れ落ちた、古びた骨の群れ。

 そここそは、あなたの言う…。

 現実と幻想に折り合いをつけた者たちの、消えない誓いの地。
 如何に形を変えようとも、受け継がれてきた思いの証だった。

SYSTEM :
 真白の氷が覆って、伏せられた隻眼の最後。
 見えた光景は、どれだったのだろうか。

 淀む森での旅の記憶。情熱の都での旅の記憶。あるいは、それより前か。

SYSTEM :
 生命とともに生きてゆく王の。
 此度の眠りとともに見る夢を。

 旅路をともにゆく生命たちが。
 今も、見守っている…。

SYSTEM :
【ED4:Dominus tecum-あなたの旅路は彼らとともに】

                      Fin...

SYSTEM :
◇ ◆ ◇


・後日談

SYSTEM :
【Check!】

 すべてのエンディングを完了しました。
 暫くそのままでお待ち下さい...。 

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :


           戦 績

SYSTEM :

Opening Result
Rig himsa:15/30
Aura domina:20/30
Shahada:15/30

Lemuria:606/606
Exit...Custode

SYSTEM :

Turn 1 Result
Rig himsa:12/30
Aura domina:14/30
Shahada:20/30

Lemuria:444/606 

SYSTEM :

Turn 2 Result
Rig himsa:11/30
Aura domina:13/30
Shahada:17/30

Lemuria:339/606
Exit...Faust 

SYSTEM :

Turn 3 Result
Rig himsa:0/30 Guild:15→0
Aura domina:11/30
Shahada:22/30

Lemuria:145/606
Exit...Izanagi 

SYSTEM :

Turn 4 Result
Rig himsa:0/30 Guild:0
Aura domina:0/30
Shahada:26/30

Lemuria:-/606
Exit...Caesaruleum,Hekatoncheir 

SYSTEM :

Player Record
Max Damage:290
Max Middle Damage:105
Max Middle value:30
Max Erosion:200
Max Back track:-154 

SYSTEM :

After Episode...

SYSTEM :

“灰の貴人”ルイクゥ・ブリーズ
 戦績: 12戦 8勝
 
 3年前に失われた名誉と命を取り戻す戦いを終えたルイクゥは、
 その事実を報告するべく、“グレイ・スコーピオ”の提案もあってアメリカへと帰還。
 この日を以て、“帯来风暴”はひと時、あるいは以後永遠に、その姿を戦場で見かけることはなくなる。
 
 やがて“黄の希人”らと共に生きていくその場所が、
 如何に己の衝動と折り合いのつかぬ大地でも……。
 彼女はやがての解放を夢見ながら、まどろむように明日へ向かっていった。
 
 かつて一人の男の人生観を根こそぎに破壊し、そのすべてを掛けて慈しまれた少女。
 その人生の軌跡には今も、二人分の生涯の証が続いている。

SYSTEM :

“マスターハーヴェスター”アレウス・バルバート
 戦績: 12戦 10勝
 
 ローマの“赤の鬼人”の要請を受けたアレウスは、
 クライアントの死、クライアントと敵対する人間との共闘など紆余曲折を経て、
 彼のまことの依頼を達成。前額として振り込まれていた“鬼人の遺産”を以て、ファントムストークスは更なる躍進を遂げる。
 
 しかし、それは安寧の日々を意味しない。
 やがてマスターの名を用いた彼は、いくつもの戦いに身を投じ。
 己が戦うに値するものと戦い、蹂躙者の誉れを、新たな戦場の伝説として轟かせた。

 歴史と薄氷に覆われ、表舞台に出ることのない、数々の戦い…。
 幼き日の飢えは満つることなく。しかし、その体を衝き動かすもののため、男は戦い続ける。

SYSTEM :

“七花胡”■■■ /“楽園の看守”謝花纏
 戦績: 9戦 8勝
 
 “リグ・ヒンサー”の客将であり、庭を手にする欲望を抱いていた“七花胡”であるが、
 予め得ていた報酬を手に、しかしローマでは何も望まず、彼は何処へと消え去った。
 ローマに留まる所以を持たず、ローマを庭とすることを選ばなかったのは、
 かつての先人の作り出した永遠ならざる秩序への、敬意と隔意故の事とされるが、真相は定かでない…。

 ………“彼”はやがて日本に帰還し。再び、己の庭に根を下ろしたという。
 やがて来る別れと、想像もつかない出会いに、
 決して失われることのない初志を胸に抱いて。その流動こそ、彼の知る“絶景”であった。

SYSTEM :

“隻獅子”ラーゼス
 戦績: 12戦 9勝
 
 やがて幻想を知るものからまことしやかに囁かれし“隻獅子”の伝説は、
 かつての宿縁と共にローマから姿を消した。

 また眠りに付いたラーゼスの目覚めは、かつて生きると誓った森の危機を意味する。
 その都度よみがえり、敵を討ち、弱きを救う蒼き獅子の王の伝説は…。
 その都度、目覚めの傍らに在る者たちと、足跡が刻んだ追憶によって支えられていることを。
 他ならぬ獅子の王本人が知っている………。

SYSTEM :

“黄の希人”アーキル
 
 多大な損失を支払いながらも、ローマにおけるセル攻防戦に勝利。
 彼と”御手翳す開放者”は便宜上は親コードウェル派に近しい『オーヴァードの新しい世界』のため、
 しかし実態は新たなる隣人との「共存」のため。
 あらゆる勢力と共存/反目し、奇跡的なバランスを演じながら、幻想と現実のはざまで生きていく。

 やがて、然る事件を切っ掛けに再び流入も増加し、不安定さを取り戻したローマにおいて、
 彼はその中で指導者として、
 本人の得意とする目の覚めるような策謀とは縁遠い、一歩一歩という成果を残したとされるが…実態は定かでない。
 この時期についての情報には諸説がある。

 ただ…嘗て“留まる”生き方を己より先に知ったものと、己の“留まる”所以のため。
 アーキルは彼なりの親愛を以て、残る人生を生きたことのみを事実とする。

SYSTEM :

“マグナ・マーテル”アイシャ

 かつて共感を起点とする因子の種火と、ひとりの男が吹き込んだ風で生まれた娘。
 ローマの平定と共に、知らぬ人の在り方に寄り添うことを選び、今後を生きていった。
 
 生まれたその時より、感情を知り得ぬ“遠い”ものへの酷薄さを伴っていた人ならざるものが、
 感情の色づきを覚えるまでにかけた時間より、はるか長く。
「人を理解したい」の先にあるものに、彼が希望を見出す所以を、多くのすれ違う逸れ者に齎した。

 …やがて彼女の感情に小さな偏りが生まれたとも、そうでないとも言われるが。真相は定かでない。

SYSTEM :

“グレイ・スコーピオ”
 
 戦後、ビリー・ウォーカー曹長のMIA判定が更新されることはなく。
 しかし、ローマにおいて、何れのものとも定かでないPFの活動記録が不思議と更新され続けた。

 その搭乗者が自らを「ただのアメリカ人」と呼称したこと以外の情報は隠蔽され、
 一介の兵士の名に意味などないがため、そこにいるものは最後まで“灰色の蠍”であった。

 しかし戦場を流離い、危機に好んで身を投じ、高い報酬をせびる“グレイ・スコーピオ”の経歴は、
 この時期を機に奇妙な転換を見せていた。

 ………時に。かつて乗っていた豪華客船の底を見た男が懺悔したものは、神ではなく戦友だった。
 同じ疵を仄めかしたこと、その“名残”がのち日本にいるとやがて知った男が最初に零した言葉は、
 恐怖でも失意でもなく、ただの安堵だったという。

SYSTEM :
 
 “帝釈天”謝暁蕾

 その名を冠したオーヴァードは、ことの終結と共にローマを去った。
 やがて中国大陸において幾度かのジャームが起こした出来事に関与したとも、
 ローマの不安定と流入に際して再び訪れ、気まぐれで嘗ての縁に施しを齎したともされるが、
 日本を訪れたUGNアクシズ議員を狙った一事を引き起こしたのち“帝釈天”は歴史の舞台から姿を消す。

 ………然る未来。
 オーヴァードの在り方に幾度も変化の兆しが齎されたのちも、尚、骨子を同じくする、あるUGN支部を。
『行儀の良い』周期のその女が、秋風と共に訪れたというが。
 類似する特徴。白い八重咲の花飾りの女が、いずこかに留まることを選んだことは、ついになかった。

SYSTEM :

”アセルス・デスミオス”

 任務の完了と共に姿を消す。もはや彼自身の欲望は尽きて久しく、秩序への願いも持っていない。
 ただ月に一度、ふらりと、その都度呼び名を変えた男が、
 任務で果てるその時まで同じ娘のもとを訪れていたことのみが、そのチルドレンの記録に残されている…。

SYSTEM :

“天衝華山”謝雲竜

 Q市支部を一度訪れたのち、UGNアクシズとしての職務、旧き朋友との約束を果たしに戻る。
 一方で彼自身は初志を貫徹し、世界を周遊し、変わることのない秤を携えて為すべきを為し続けた。
 
 この際に…幾人もの人間と師弟関係を築き、そのすべてを等しく慈しみ、等しく尽力した。
 しかし、己と同じ因果を分け与えたものは、ある二人を除いて未だ確認されておらず、
 そして彼自身が、誰かと共行く旅の道を選んだという事実は、終ぞ確認されることはなかった。

SYSTEM :

”Mr・A”
“逢魔狩り”三草 由芽
“血穢の蓮花”盧秋華

 ファントムストークスの依頼終了に伴い、再び元鞘に戻る。
 ただ只管に不定の感情を弄び続ける傍観者の生き方も。
 空っぽになり果てた“余生”を、見出したもののために生きる少女のかたちも。
 望みの形を探し求め続ける不定の渡り烏も、のち1年、少なくとも“下らぬ”戦いで足を止めることはなく…。
 また、逸れもの同士の行き交う群れを去ることもなかった。
 
 その1年を経て…。
 やがて“Mr・A”が構成員の一人の滅びゆく過程に、友誼とも悪意ともとれる意志を見せた、ともされるが。
 事実は定かでない。まことにそのようなことがあったのか、さえも。

SYSTEM :

“赤の鬼人”ファウスト・デル・テスタ

 ローマにおける三大セル攻防戦中、“黒鉄の狼”の介入を結果として戦死する。
 彼自身が残してきたものは、ローマにおける“リグ・ヒンサー”の残党に『遺産』として引き裂かれたが、
 今もなお、死すまで挑み続け、勝利の価値を誇り続けてきた蛮勇の覇者…鬼人の伝説は、裏社会で語り継がれている。

SYSTEM :

“青の貴人”テレサ・カンタレラ・クリスティ

 ローマにおける三大セル攻防戦中、“御手翳す開放者”との正面対決の結果、戦死する。
 一説には然るセルによる介入があったとも、
 その結果として“貴人の庭”は一切を失い、組織として崩壊したのだとも言われた。
 ローマのパリオリに在る名家クリスティの血は、その日を以て断絶することになり…。
 やがての復興の際、彼らの刻んだ光と闇と志が受け継がれることも、今後一切なかった。

SYSTEM :

“不朽讃えし懐刀”
“ヘカトンケイル”サン・ウンガロ

 ローマにおける三大セル攻防戦中に戦死。
 いずれとも、死してなお、己の生き方を悔いることはなかった。

SYSTEM :

“血色の探求”カルロ・フェレーリ

 ローマにおける遺産争奪戦のち、 多大な貢献をした“御手翳す開放者”のもとを去る。
 のち、消息を絶つも、彼自身が残し発展させた技術、そして“RBの発生法”について、
 各地で良しも悪しも騒乱を生み、また事態の解決を生み、また誕生の祝福を生んだ。

 のち、かつて彼が使用していた部屋から、白いガーベラの花が見つかる。
 それ以外のすべては整頓され、実験の資料なども残っていない部屋で、
 何に希望を見出し、なぜその花のみを遺したのかを、語られることはない。

SYSTEM :

“ソフィア”

 ローマにおける彼女はギルドの構成員であり、それ以上でもそれ以下でもないが。
 ヨシュア・ランカスターについに『認知』されたことを切っ掛けに、一時姿を消す。

 ───なお。のちに五つ目の名で確認されたが、それ以降の名は記されていない。

SYSTEM :

“イザナギ”

 ギルドの構成員であったが、ローマにおいて敗死。それ以上の記録は残っていない。
 しかし不可思議なことに、のち、まったく同じコードネームの剣士が発見。
 その人物があわや致命に至る騒動を引き起こしたとも、逆に“イリーガル”として協力したともされる。

 情報の錯綜につき、正しいことの一切は判明していない。ただ一点………。
 彼が求めているのは人を斬っていい許可だけだった、という事実を除いて。

SYSTEM :

“黒鉄の狼”

 やがて、戦場の伝説…頂点を掴む狼の恐怖は、完全に世界から消え去った。
 その旅は何も残さず、その旅はあらゆる風景を染め上げながらも彩らず。
 その命は、ひとつの到達点を生んだ。

SYSTEM :

 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :

 最終戦績
   OP: Battle1/1
(三大セル介入戦)

 Turn1: Battle1/1
(レムリア遭遇戦)
 
 Turn2:Battle3/3
(レムリア遭遇戦
 ヘカトンケイル強襲戦
 “リグ・ヒンサー”救出戦)

 Turn3:Battle3/3
(レムリア遭遇戦
 対ギルド掃討戦-道中
 対ギルド掃討戦-イザナギ)

 Turn4:Battle3/3
(『貴人の庭』攻略戦-道中
 『貴人の庭』攻略戦-テレサ)

 Turn5:Battle5/5
(『レムリア』攻防戦-欲竜の鱗
 『レムリア』攻防戦-狼の影
 『レムリア』攻防戦-狼の影
 『レムリア』攻防戦-王弟レムス
 『レムリア』攻防戦-混沌の戦士)

SYSTEM :

 ダブルクロス The 3rd Edetion
『Fortes fortuna adjuvat』

 プレイヤー想定人数:3~4人
 経験値想定:フルスクラッチ+44 = 174点
 一部サプリメント適用

     ────── Fin...

SYSTEM :



         Thank you for playing!

SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。

SYSTEM :
◇ ◆ ◇

SYSTEM :


      【Fortes fortuna adjuvat】

          最初から始める+

          続きから始める

           ▽エクストラ


SYSTEM :
 ………。

 ………………。
 ………………。