《Beyond_the_sea》 チャットログ:メイン2


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目次

・ミドルフェイズ解説
・シーン8「幕間・壱」
・ミドルフェイズ〜ラウンド1〜
・情報シーン1「K市の遺産と池田咲楽」
・シーン9「変遷」
・プライズシーン7
・シーン10「古址」
・戦闘:『骸:■■■■■■■』
・シーン11「火折」
・シーン12「幕間・弐」
・シーン13「幕間・参」
・情報シーン2「『蝕みの君』」
・シーン14「幕間・肆」
・シーン15「因縁」
・シーン16「幕間・伍」
・シーン17「幕間・陸」
・ミドルフェイズ〜ラウンド2後半〜
・情報シーン3「明夜白銀」
・シーン18「幕間・漆」
・シーン19「幕間・捌」
・シーン20「彷徨」
・シーン21「萌蘖」
・プライズシーン6
・シーン22「火折」
・シーン23「幕間・玖」
・シーン24「幕間・拾」
・シーン25「幕間・拾壱」
・シーン26「幕間・拾弐」


・ミドルフェイズ解説

SYSTEM :
【ミドルフェイズ:『リュウグウジマ』】

SYSTEM :
 ミドルフェイズの進行に伴い、
 ローカルルール「リュウグウジマ」を適用します。

 長期の解説になりますが、
 適宜質問等あれば雑談タブで回答します。

SYSTEM :
【其ノ零:はじめに】
 ミドルフェイズの進行については、
 基本的にローカルルールです。
 ルール上のガバがあった場合はプレイヤーフレンドリーに対応したいと思っています。

SYSTEM :
【其ノ壱:ミドルフェイズの目的】

 PL/PCは下記の判定を並列して行います。

壱:島内部に取り残された(あるいは行方不明になった)民間人、および諸勢力エージェントの捜索

弐:島内部に上陸しているFHセル『魔獣の巣』関係者の討伐

参:当ステージ内の真相を解き明かすための調査と探索

SYSTEM :
 ミドルフェイズ終了条件は下記の条件をすべて満たした時となります。

壱:NPC「□□□□」の接触または『□□』
弐:プライズ「20」以上の獲得
参:トリガーシーン「□□」の発生

SYSTEM :
 また、下記の条件を満たした場合でもミドルフェイズは終了し、
 デウスエクスマキナチャートに移行します。

壱:9ラウンド目が終了

SYSTEM :
【其ノ弐:ミドルフェイズの流れ】

 ミドルフェイズは下記の流れを「1ラウンド」と定義して行います。
 仮称として「1ラウンドの流れ」と同じものを使いますが、厳密には異なっています。
 
セットアッププロセス:情報収集
イニシアチブプロセス:行動決定
メインプロセス:行動判定
クリンナッププロセス:島の変化

SYSTEM :
[セットアッププロセス:情報収集]

 セットアッププロセスでは下記の行動が行えます。

SYSTEM :
・島の調査(知覚 or RC or 有効と認められる判定:10)
 既に解放されているエリアの周囲1マス(上下左右)について調査を行います。
 エリアの定義等については後述する「イニシアチブプロセス」の解説の際に併せて解説します。

SYSTEM :
・情報収集
 NPC『ホデリ』か『タイガーアイ』または『特定のエフェクトを持ったブラックドッグシンドロームのNPC』が活動可能である時、
 対象となるNPCどれか一人に関する行動権を、そのラウンド中放棄することが条件となります。
 予め決まっている項目について『情報:○○』で判定を行えます。

GM :
※分かるように説明しろ※ 

GM :
・情報収集をする時は「ホデリ」か「タイガーアイ」の行動権を放棄しないといけないよ!
・別についていく分には構わないよ(重要)

SYSTEM :
[イニシアチブプロセス:行動決定/島の探索]

 島の探索を行います。

SYSTEM :
 島は全部で「5×5」のマップ構成となっていますが、その全貌は判明しておらず、
 何処にどのようなものがあるのかも判断がついていません。

 よって、上記の目的を達成するためにも、島での活動範囲を少しずつ広げていく必要があります。

SYSTEM :
 PL/PCおよびNPCは、どちらかの条件を満たすエリアで「行動判定」を行うことが出来ます。
 PC、NPCを、行動判定が可能なエリアに任意に振り分け、メインプロセスで「誰が」「何を」行うかを決定します。

・既に『調査済み』となっているエリアの「周囲2マス」であること
・『エリア詳細』の判明しているエリアであること

SYSTEM :
 島の各エリアの詳細は次の手段で判明します。

・セットアッププロセスで、島の調査(知覚 or RC or 有効と認められる判定:10)を行った場合
 なお「島の調査」は既に解放されているエリアの周囲1マスまでしか行えない
・プライズ(※後述)が一定ポイント蓄積された時、未開示のエリアまたは『開示済みのエリア』が変化した場合

SYSTEM :
 各地の探索に用いられる判定はマップの詳細を開示した時に決定されます。
 ただし例外があります。

・プライズ(※後述)が一定ポイント蓄積される
・特定のイベントシーンが発生する
・特定のNPCと出会う  
 
 これらの条件によっては、
 既に確定しているが『未調査』のエリアについて、変化が発生する場合があります。

GM :
※分かるように説明しろ※
・赤いマーカーになっている場所か、青いマーカーの周囲2マス(上下左右+斜め)で判定をして詳細を明かそう!
・詳細が分かっていないと何の判定かも分からないよ!
・青いマーカーの周囲1マス(上下左右)はセットアッププロセスの時に調査が出来るよ!

GM :
 赤いマーカーについては先程説明した通り「セットアッププロセス」で作成します。

 最初の1個は此処ですね。

GM :
 セットアップの時に、「知覚 or RC or 有効と認められる判定:10」を振り、成功すると「?」マークが赤マーカーに変わります。

GM :1dx+9 知覚 (1DX10+9) > 2[2]+9 > 11

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。 

SYSTEM :
【Check!】

・「1−3」の判定が開示されます。

進行/〈肉体〉:8
   〈知覚〉:10
   〈知識:レネゲイド、オカルト(その他適宜)〉:11

支援/〈知覚〉or〈肉体〉:6

SYSTEM :
[メインプロセス:行動判定]

 調査先を確定した後、メインプロセスでは各エリアの探索を行います。
 エリアの探索には詳細が判明している場合、予め「要求される判定内容」が開示されていますが、
 もしも詳細の判明していないエリアにおいて行動する場合、事前に「要求される判定内容」を決定します。

SYSTEM :
 判定時は常に「進行判定」「支援判定」が存在します。
 支援判定を行った場合、同じエリアで進行判定を行うキャラクターの達成値を+3します。

SYSTEM :
 参加しているキャラクターが一人でも判定に成功した場合は、次の処理を行います。

・「[判定達成値/10(小数切り捨て)]+1」の数値を『プライズ』として獲得する。
(※この時、複数の判定参加者が居た場合でも、成功した「最も高い判定値」を参照する)
・判定達成と状況からイベントシーンが発生するかどうかを確認し、発生する場合はイベントシーンを展開する。

SYSTEM :
 参加しているキャラクターすべてが判定に失敗した場合は、次の処理を行います。

・「侵蝕率+1d10」か「1d10ダメージ」のどちらかを、その失敗したエリアの判定に参加した全てのPCが受ける。
・判定達成と状況からイベントシーンが発生するかどうかを確認し、発生する場合はイベントシーンを展開する

SYSTEM :
 判定にNPCが参加していた場合は、次の処理を行います。

・対象となるNPCは次ラウンドの「クリンナッププロセス」まで『活動不能』になる。(例外あり)

GM :
※分かるように説明しろ※
・「赤いマーカーの場所」は事前に何の判定を行うかがわかるよ!
・「?」マークの場合は誰が行くか決まってから判定が始まるよ!
・成功すると1ポイント、達成値が10を越えるごとに1ポイントプライズが溜まるよ!
・複数人で行った時、FSの支援判定みたいに、判定の成功しそうな人を援けることも出来るよ!
 最初に「どっちの判定」をやるのか宣言⇒支援判定⇒進行判定の流れで進むよ!
・ポイントが一定まで溜まると島の迷子とかやらかしとかが分かるかも!
・NPCも判定に参加させられるけど成否を問わず次R終了までお休みになるよ!

・失敗した者に明日はない

GM :
 実際に1−3の判定を行います。
 今回は〈肉体〉で進行判定を行います。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

GM :1dx+9 〈肉体〉 (1DX10+9) > 5[5]+9 > 14

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

 プライズ0⇒2
(※OP中のポイントはミドルフェイズに反映されません)

SYSTEM :
[クリンナッププロセス:島の変化・壱]

 クリンナッププロセスにおいては、島に何らかの変化が発生する場合があります。
 天候の変化やレネゲイドの活性化など、プラスにもマイナスにもなり得る判定が発生し、これはハプニングチャートと同じ仕様を使って決定されます。

 その他、ゲームの進行に応じて、このクリンナッププロセスで発生する出来事が追加される場合があります。

GM :
※分かるように説明しろ※
・ハプニングチャート

SYSTEM :
【其ノ参:プライズについて】

 プライズは『メインプロセスの進行結果』を主な獲得手段としています。
 いわば『探索で得た情報成果』や『イベントのきっかけとなる要素の積み重ね』を数値化したものです。

 獲得した数値が一定の数値に到達するごとにそこでカウンターを停止し、
 その時の数値に応じて、対応する結果を反映させたシーンが発生します。

GM :
※分かるように説明しろ※
・特定ポイントまで溜まるとトリガーシーンが起きたり「コイツここいるよ!」が分かるよ!

SYSTEM :
【其ノ四:NPCについて】
 NPCは大きく分けて次の二つに分類されています。

・友好NPC(PL/PCが指示を出せる、判定を幇助する、進行を助けるエフェクトを所持する)
・敵対NPC(PL/PCが指示を出せない、何らかの形で進行を阻害する)

SYSTEM :
[友好NPCについて]
 友好NPCはメインプロセス中の行動結果によってPL/PCが「生存状態」で発見する等の条件により、
 以降のラウンドより指示と活動を行えるようになります。

SYSTEM :
 彼らは下記の特徴を持っています。

・セットアッププロセスでの行動は不可能(一部例外を除く)
・イニシアチブプロセス、メインプロセスでは「PL/PC」と同じように「2人」まで扱える
 この時、各々が所持するエフェクトを、記載されているデータに従って使用させることが出来る
・NPCは「行動を行う」などの要因で『活動不能』となる場合がある
 この時『活動不能』となったNPCは、次ラウンドのクリンナッププロセスまで行動を行えない

GM :
※分かるように説明しろ※

・赤いマーカーを青いマーカーにするための探索を行う時やそこでのイベントの時、
 イニシアチブプロセスに最大「2人」まで配置して手伝って貰えるよ!
・エフェクトを使って探索判定と行動判定を便利に進めよう!
・何かがあったり傷付いちゃったり働くと動けなくなる時があるよ! 
・次のラウンドの最後まで休ませてあげてね ブラック労働させると訴えられるよ

・死んだものに明日はない

SYSTEM :
[敵対NPCについて]

 敵対NPCは「生存状態」でいる限り、様々なアクシデントや不利な条件に繋がります。
 彼らを発見するためには『プライズ』の獲得や、特定イベントシーンの発生が必要となります。

SYSTEM :
 彼らは下記の特徴を持っています。

・全プロセスにおいて活動が不可能(一部例外を除く)
・対応するイベントシーン、もしくはエリアに接触することで登場
・敵対NPCが「生存状態」でいる場合、メインプロセス中に何らかの妨害行動が行われる場合がある。

GM :
※分かるように説明しろ※
・生存しているとプレイヤーのラウンド活動を色んな形で妨害するよ!
・『プライズ』が一定値になったり、特定のイベントシーンが出ると倒せるよ!
・どの道ろくなやつじゃねーんだ 見つけ次第殺るぞ!

SYSTEM :
【其ノ五:友好NPCについて・詳細】

 友好NPCのうち、現時点で詳細の判明しているキャラクターを公開します。
 ゲーム開始時、PL/PCと共に活動を行っているのは『ホデリ』『タイガーアイ』『“イリュシデイター”』です。

『ホデリ』 :
[ホデリ]
 肉体:6 感覚:6 精神:1 社会:2
〈情報:????〉:4
 シンドローム:バロール/エグザイル/キュマイラ

・所持エフェクト
 時空の裂け目(シナリオ1)
  /あらゆる判定失敗時に発生する『不利なイベント』を打ち消す
   メインプロセス中同エリアでなくとも使用可能

 スティルネス(シナリオ1)
  /同じ判定を行っているユニット1名の侵蝕率を[7]点減らす

タイガーアイ :
[タイガーアイ]
 肉体:1 感覚:4 精神:8 社会:7
〈知覚〉:6 〈交渉〉:7
 シンドローム:エンジェルハイロゥ/オルクス

※!:タイガーアイは現在『シホ』と
   同エリア以外では判定を行いません。
   行えません、ではなく、行いません。

・所持エフェクト
 ナーブジャック(シナリオ1)
  /任意の『敵対NPC』に対して使用可能
   対象が行う判定1つを自動失敗させる
 異界の万華鏡(シナリオ1)
  /行動判定が可能なエリアに使用可能
   そのエリアを『調査済み』に変え、プライズを[1]ポイント獲得する
  (※「プライズ」効果で開示されたエリアには使用不可)

“イリュシデイター” :
[“イリュシデイター”ノエル=ド=ヴィルフォール]
 肉体:1 感覚:1 精神:3 社会:5
〈知覚〉:3 〈知識:レネゲイド〉:4
 シンドローム:ソラリス/ハヌマーン
 
・所持エフェクト
 戦乙女の導き(シナリオ3/ラウンド1)
  /同じ判定を行っている全てのPCユニットに『判定ダイス+3DX』の効果
   攻撃を行う場合、これに更に『攻撃力+5』の効果

 ツインバースト(シナリオ1)
  /ダメージを与える判定の時に発動可能
   即座に『累計ダメージ』に[20]を加算する

SYSTEM :

【其ノ六:クリンナッププロセス・詳細】

 クリンナッププロセス時に発生する出来事は[1d100]を使って決定され、
 発生した出来事は基本的に『次のラウンドのクリンナッププロセス』まで適用されます。

 なおミドルフェイズ開始時1ラウンド目のみ、この判定は「セットアッププロセス」に発生します。

SYSTEM :

『蝕みの君』生存状態の時、「46〜70」が全て専用の効果を持つマイナスイベントに変化します。
『渇望喰い』生存状態の時、「出目が素数」で最大5回まで追加のイベントが発生します。

SYSTEM :
※!:オープニングイベントによる変化
・『蝕みの君』は「3ラウンド目の開始時」まで『生存状態』として扱われない
・3ラウンド目の『終了時』までに居場所を判明させた場合、対決イベントの難易度が低下する
・4ラウンド目の『終了時』に『蝕みの君』が生存していた場合、追加シーンが発生する(※注意)

GM :
※分かるように説明しろ※
・ハプニングチャート
・1ラウンド目のみ先にセットアップで効果を決め、それ以降は「次ラウンドの効果」をクリンナップで決めます

SYSTEM :
【其ノ七:デウスエクスマキナチャート】
 
 9ラウンド目が終了した時点でクライマックスフェイズに移行する条件を満たさない場合、
 下記の専用デクスエクスマキナチャートを振ります。

SYSTEM :
【デウスエクスマキナ】


1:▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇の介入
2:“プランナー”の介入
3:▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇の介入
4:“プランナー”の介入
5:通りすがれる“プレデター”伊庭宗一が笑いながら怪物を調理して終了
6:『リュウグウジマ』崩壊/▇▇▇▇


SYSTEM :

【其ノ八:規定シーン以外のシーン】

 シナリオの進行によっては「この人物と話をしたい」となることがあると思います。
 その場合については基本的に『イニシアチブプロセス』または『クリンナッププロセス』において、
 GMに、またPC同士の場合は相互PCの合意を得た上で打診をお願いします。

 状況によっては分割したシーン展開を行うこともあります。

SYSTEM :
【其ノ九:結局どうすればいいの?】

・セットアッププロセス
 ⇒情報確認/情報判定
  島の「?」マーカーを赤いマーカーに変えるか情報を集めよう!
  情報判定を行う時はタイガーアイかホデリ、
  または『ブラックドッグに関係ありそうなNPC』がお留守番になる必要があるぞ!

・イニシアチブプロセス
 ⇒行動決定 ?マーカーか赤いマーカーを青いマーカーに変えるため
  誰がどこに行くか決めよう!

・メインプロセス
 ⇒行動判定 ?マーカーか赤いマーカーの箇所を調べて判定を達成しよう!
  判定後に得たプライズが一定以上になると何かがあるぞ!

・クリンナッププロセス
 ⇒次ラウンドのハプニングチャートを決めるぞ!

SYSTEM :
[余談:想定され得る疑問]
1:登場侵蝕は?
⇒『トリガーシーン』で発生します
 シーン開始時の『登場侵蝕:あり』の有無で判断してください

2:NPCのエフェクトはどういう状況で使えるの?
⇒固有の記述がない場合は『メインプロセス中に同じエリア』で使えます

3:セットアッププロセスの情報判定については?
⇒ラウンド1開始時、セットアップ情報と共に提出します

SYSTEM :
[終わりに]
 説明は以上となります。

 なんか良い感じに行方不明者を拾い
 なんか良い感じにオーヴァードと呼べるか怪しい生き物をしばき
 なんか良い感じに島の謎を解き明かしましょう

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・シーン8「幕間・壱」

SYSTEM :

【シーン8:幕間・壱】

 登場PC:シホ
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-ゼノス
 FH日本支部長、“プランナー”都築京香が設立に関わった組織。
 少数のレネゲイドビーイングおよび協力者で構築されたこの来訪者を名乗る組織は、
 目的を操る“プランナー”の複雑怪奇な思考により、その行動は神出鬼没となっている。
 
 点のみで見た場合意図不明な行いが屡々見受けられる。
 が、一本の線としてつなげようとした場合、
 それは公言した目的である「レネゲイドビーイングの進化」に繋がる…と。推測される。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 それから数刻。
 島の周辺地理、遭難者や敵対勢力の確認のために動き出すより少し前。

 あなた/シホは、『ホデリ』が曰く“自分が手掛けられる”というこの空間/屋敷の一室にいた。

SYSTEM :
 通信状況の確認という名目がてら、そもそもこの屋敷が何なのか探ろうとしたか。
 そうだとして、それをどちらが言い出したのかは定かでない。

 ただ彼の言葉に曰く、堀を越えた先について保証はしないと言われたこの平屋造りは、せいぜい“思っているよりは”広い造りのようだ。

 当たり前だが、いろいろ持ち込んでいたり、本人(?)に造詣の深いらしい平安時代の様式とは思えない区画さえある一方で、電子機器の類はあろうはずもなく。
 ある意味でタイガーアイが持ち込んで来たかりそめの器は、ブラックドッグに類するシンドロームを持ち、なんとも状況に適した存在とも言えた。

タイガーアイ :
「ふむ」

タイガーアイ :
「建前のつもりだったが、本当に“ブラザーフッド”のコアを介するならば長距離通信そのものは可能か。
 ………此処でやったところで、いったいどこに繋がるやら、と言ったものだが」

タイガーアイ :
「実際にやるなら、我かあの『ホデリ』とやらを介して外に繋げるか試す程度だろう」 

SYSTEM :
 概ね建前の話はそれで終わり。

 外に『出る』は不可能でも、此処ならば繋がる“かもしれない”。
 そう、お互いかりそめの仮面を介して伝えればいいだろう。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……或いは、試してみる価値はありそうだな。もしかすると常世にでもコンタクトが取れるかもしれん」

タイガーアイ :
「亡者の語る言葉なぞは、怨恨か疑問のどちらかと相場が決まっている。
 対話ではなく宣誓で終わるだろう」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……軽い軽口の応酬で罅割れた仮面の隙間を埋める。
 銃の整備もやってしまいたいところだった。先の戦闘でそれなりの負荷が掛かっていたはずだ。
 

”朧の狩人/残骸” シホ :
 Vanitas
  無記銘……そう名付けた、銘を削り取られたワタシの銃。いつから手元にあったか。
 銃弾単位でのカスタムを可能とする、モルフェウスの技術を応用したと思われる銃だ。ワタシには扱えない機能も備えているらしいが、ひとまずは現状で満足に扱えている。

”朧の狩人/残骸” シホ :
ああ、ところで……この部屋から部屋の“外”の様子は見られるだろうか?

GM :
 確認は少し出たなら可能です。
 ただ、庭と塀の先を越えた辺りは島と地続きの風景とは思えず、朧げな蜃気楼みたいな印象を持てるでしょう。

”朧の狩人/残骸” シホ :見られるようならEEで少々確認したかったところだが、それなら見ても仕方がないな。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「しかし、なんだ。
 オマエからワタシに語りかける分には自由に出来るが、いざ他人もいる前でとなると満足に意思疎通も出来ないな。」

 軽く嘆息。実際、案外厄介な話だ。
 “ブラザーフッド”と“残骸”の仮面を通して語れることは堂々と語り合えるのだが。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 今も念には念を入れ、ワタシたちだけをピンポイントで囲うように《不可視の領域》を展開している。

タイガーアイ :
「拘りは翼となるが時に枷となる。
.           ファルスハーツ
 あの時の仮身分はやはり無法者が安牌だったと思うが、たらればに意味もない」

タイガーアイ :
「仮面の下の素顔を晒す無謀を良しとするか、仮面のままあの小僧どもと別れる臆病を良しとするかはお主の意図で構わんよ」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「…………………」

 実際、言い返せない。

SYSTEM :
 なおそれは「自分に任せたら今すぐ解除する」の合図でもある。
 どうも“ブラザーフッド”を介した電子的システム音を通した対話に億劫さを感じているようだ。とはいっても、精々不便なだけで、耐えかねるほどでもないだろうが。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……まぁ、とにかくだ。
 漸くその選択を先延ばしに出来るだけの時間を貰えたんだ。二つほどオマエからの忠言について確認しておきたくてな」

SYSTEM :
 タイガーアイからの返答はない。
 緩やかな明滅。聞くには聞く、という肯定。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「まず一つ。
 あの『ホデリ』と名乗る個体についてだ」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「ワタシにもアレが訳知りなのは判った。無謀を冒して得られたにしては少ない情報だが……
 ワタシから見ると、アレは一般的なAオーヴァードもしくは“お仲間”……RBのどちらかにしか見えないのだが」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「オマエはわざわざワタシにこう言った。
 『折りを見て接触させろ』とか、『あれはお仲間ではないかも』だとか……。
 ……何かオマエの方で掴めたことがあるのか?」

タイガーアイ :
「ふむ。
 賢者の知恵の買い叩きを望んだということか」

タイガーアイ :
「疑問への回答を渋るほどでもない。
 まして知恵は仕舞うものでもない。使わねば、遺ることなく消えるものだ」

SYSTEM :などという彼の口調と共に等間隔的な明滅。ちょっと分かっていてやっている勿体ぶり方だ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「…………オマエなぁ」

 どこでそんな商人のような真似を学んだ。書庫か?アレクサンドロスか?

タイガーアイ :
「敢えて言えば………。
 このありふれた石に我が意識が宿ったその時は、お主の意識が漂着した時より早いぞ」

タイガーアイ :
「ま、良い。わざわざ時間を絞り出してやることが揶揄では、この“ブラザーフッド”のコアも浮かばれぬ」

”朧の狩人/残骸” シホ :浮かばれるかどうかはそれが基準なのか…?

タイガーアイ :人を知りたいという厚意がこの人工RBの根底だ 動機は違えど過程に何の違いもありはせぬ

SYSTEM :
 そしてタイガーアイは、ひとしきりの軽口を叩き終えた辺りで。

タイガーアイ :
「結論から言っておく。
   レネゲイドビーイング
 アレは我々の同朋に等しい起源を保有し、そのように生命構造を持つのだろう」

タイガーアイ :だが…

”朧の狩人/残骸” シホ :だが…?

タイガーアイ :
「断じてもいい。思考、所作、感性………。
           ・・・・・・・・・・・・・・・
 何もかも違う。アレがヒトに好奇心を持った生物の行動に見えるか?」

タイガーアイ :
「アレが───。
... レネゲイドビーイング
 人になり切れぬものの行動原理か?
 そう思うほど、お主の周りの逸れ者どもは半端さに満ちていたか?」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「そう、言われてみれば───」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 勿論、ゼノスとは人間から魑魅魍魎まで渾然一体となった“逸れもの”たちの集積場だ。
 RBという括りからすら逸れたような個体と遭遇したことも、ないではない。
           ・・
 斯くいうワタシもその例外寄りだろう。しかし……

”朧の狩人/残骸” シホ :
「…………根拠にはなるな。
             オリジン
 『ホデリ』とワタシたちの“起源”が根本的に異なる可能性の」

タイガーアイ :
「その通りだ。

 あれは外観としては紛れもなく”そう”であり、
 我々の同朋は概ね多様性という言葉を鼻で笑う存在である以上、全くの零ではないが」

タイガーアイ :
「内面のみに触れた感想は“そう”だ。
 これならばあの愉快な二重人格疑惑が、実はノイマンシンドロームを基底とした人間エミュレーターを遂行するヒューマンタイプの『起源』だと言われた方がしっくりくる」

SYSTEM :
 ………。
          ゲスト
 これはゼノスというお客様に属する者達との比較だ。

 何ならば、眼前のタイガーアイの態度こそが最も致命的な差異だろう。
 彼は人間を理解したいと言いながら、しかしその行動論理は人間と異なる。
 
 例えば彼は興味のないもの、興味あるものの生涯に対し、
 その心根を鷲掴みにしてぼろくずのように捨てることに、何のためらいもないだろう。

                 ナーブジャック
 輸送車両襲撃の折、呼吸するように精神侵蝕を行ったように。

SYSTEM :
 理解したい、とは。
 言い換えるならば、理解しなければ分からないものでしかないのだ。
 その格差が埋まることがあったとて、基本は「たまたま噛み合う」に過ぎぬ。
 
 例外はあるにはある。それは確かだ。
 ただ、何処までやっても根本的にはフリか、残骸の集積から成るエミュレートに過ぎない。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……そういうことなら、今後も『ホデリ』に対しては何らかの接触を試みよう。
 もしかするとアレがこの“リュウグウジマ”とやらの起点に関わっている可能性もある。場合によってはこの事案の早期解決に繋がるかもしれん」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「ワタシはUGNの外部協力者。所詮は外様さ。
 先の接触然り、イリーガルが独りで勝手に逸ったとすれば格好もつくだろう」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……まぁ、先程は少し気を急いたかもしれないが」

タイガーアイ :
「結論に目を向けるとそうだろうがね」

タイガーアイ :
「………それに、正直に言わば興味がある」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「…………………」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「もし、“やる”ことになったとしてもだ。
 あまり踏みつけにはしてくれるなよ。ワタシも寝覚が余計に悪くなる」

タイガーアイ :
「自覚があるならば振るわぬことだな。
 我にとっての“寝覚”という言葉は辞書以外で伴とはならぬぞ」

タイガーアイ :
「………あの生物は、外観のみ我々の同朋そのものの起源を有し………。
 しかし内面においてはまるで違う。
.            ダブルクロス
 オーヴァードが人と怪物の半端者に過ぎぬものなのは存じていようが、ヤツはRBとオーヴァードの半端者だ」

タイガーアイ :
「であるならば、あの生物は何を考え、何を求め、何と繋がり………。

 何のために生きるのか………」

SYSTEM :
 自ら達に最も近い性質を備えながら、決して同一ではない感性を有したモノの選択。

 はじめは、前者を持ちながらもかけ離れたサガを有するものの選択に“手がかり”を嘯いたことを思えば、これはこれでそう外れたことではない。あくまで、タイガーアイにとっては。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……皮肉だな。ワタシはワタシ自身のそれを追うために此処に来たのに」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「まぁ、いいさ。話を続けよう。
 少々話題は遡るが、件の我々RBのお仲間第二候補のアレだ」

タイガーアイ :
「構わんが第二候補としてもいいのか?
 本当に同朋であった時、お主の理性が耐えられるか?」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「その時はその時だ。記憶から焼き捨てよう」

タイガーアイ :
「割り切りは時に美徳であり時に自らを刺し殺す諸刃だ。
 この場合は大変どちらでもいい」

タイガーアイ :
「尤も、戦闘中の様子から現在に至るまで。
 ただオモシロいだけの習性を持ったモノでもなさそうだが」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「そう。そこが厄介な話だ。そうだろう?」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 そもそも、もし我々が彼と接触して───
 “本当に何も知らぬ存ぜぬの被害者その?”と見做せていたなら。
 ワタシたちは彼の珍妙な言動をいちいち真に受ける必要もなかったのだ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「ツッコミどころが多いと何処から話し始めるが苦慮するところだが、ええと…。
 まず、そうだな。まずどうして彼が“リュウグウジマ”にやってきたのか、というところが疑問点にあたる」

タイガーアイ :
 ・・
「遭難と聞いたがね」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「颯や“ナイトホーク”の話でもそうだし、ワタシたち自身経験したことだが。
 この島に“偶然”引き込まれるとはどうにも考え難い……」

 “巻き込まれて”、ならありえる話だが。

タイガーアイ :
「おまけに期待に反して愉快を通り越して白ける話をして頂いた。
 あれをカバーにするような男にも思えんが、あれが真実に聞こえるオーヴァードは世界に何人いるのだろうか」

SYSTEM :
 しかし、と一つ区切る。
 そんな余談はさておいて、偶然引き込まれることへの不透明さというのは、恐らく誰もが口にせずとも感じていた事実だ。

 ひとりだけ、経緯がおかしい。

タイガーアイ :
「元より振る舞いだけではなく、単純な交戦時の判断からして“妙”だ。引き金に迷いがなさすぎる」

タイガーアイ :
「どこの時代に、いざ人型の死を向けて来たものを恐慌しながら正確無比に撃ち殺す探偵がいる。その冷静さが何故普段に適用されぬ。

 ………中身を覗きたいのは此方もだが、覗いたところで得られるものがあるという確信は薄い。どうも虚偽には感じぬ」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「オマエもそう思うか。
 アレは明らかに“場慣れ”をしている人間の判断だ。それもかなり血煙が飛び交うような類の……」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「だがしかし、一方で。
 あの振る舞いが丸きり嘘かというと、それも違和感が残る。言動を見る限りでは、探偵だという言葉も頷ける部分があるのも確かだ……」

”朧の狩人/残骸” シホ :
何より普通アレを“擬態”として選ぶか? 正気か?

SYSTEM :
 尤もな話である。
 正気で擬態として択んでいたならば、あとはもう『ヤツは木口龍だ』という理由で全てを完結させてしまってよいだろう。

SYSTEM :
 しかしそうではなかった。
 そうではない巻き込まれとして、
 彼はこの場所に確かに存在し、協力体制に裏表なく同意したことに間違いはない。

 そうなった時に浮上する疑問は一つだ。

タイガーアイ :
「あの男は何者なのか」

タイガーアイ :
「………警戒は必要とあらばすれば良い。
 島の脱出を目的とするならば恐らく付き合ってくれるだろう」

タイガーアイ :
「しかしそこを気にするのならば………。

 ヤツに、我々ではあり得ぬ驚嘆の意を見せたものがいるようなことを期待せねばならんのかもしれんな」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「ああ……。アレに警戒することはない。
 したとして、一定の間合いを保っておけば……それも不要か?」

タイガーアイ :
「無警戒の隙間を縫って頭を撃ち抜かれるような危険性を懐くようなら、一定の間合いであればよかろう」

”朧の狩人/残骸” シホ :
…………。
当座の納得のために、可能性を挙げるとすれば……。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「………………。もしかすると。
 アレ、或いは本当にワタシの“お仲間”なのかもな」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「つまり───
 “一時的な記憶喪失”、とか。」

 納得のためにとはいえ、多少無理もある可能性だが。

タイガーアイ :
「無難と胡乱を織り交ぜるではないか」

タイガーアイ :
「後者の可能性はある。故意か不本意か偶然かは知らんが。
 ・・
 一応、それならば全ての辻褄が通る」

SYSTEM :
 もちろん“一応”だ。

 多少無理があるという自覚もあろうが、そんな偶然を必然のように語っていいかは疑問が残る。
 そして………。

タイガーアイ :
「それが偶然か必然か、心当たりをつけられるほど、我もお主も“木口龍”を知らぬな。
 疑惑が確信に変わり得るものを見つけた時にでも手を下すがいい」

SYSTEM :
 少なくとも平時の彼は。

 頼りにならない、どこにでもいる普通の青年/本人の名誉的にはなにわ探偵なのだ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「結局は、そこに着地するな。
 まあいい、アレでも頭脳が役立ちそうなことはつい先ほど見られた。せいぜい利用させてもらうとしよう」

”朧の狩人/残骸” シホ :
───

追憶する、曰く─── :
「ど、どどど、どーすんだよコレぇ!!!
 なん、なん、なんで俺は今モンハンやってんだ……。
 ああああなんでこんな目に───」

追憶する、曰く─── :「……うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 …………あのとき、私には何が出来たっけ?

追憶する、曰く─── :
『半端を取ったな。
 あるいは何ぞ残っていたか…お主も我も、一手遅れたぞ』

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……アレが本当に、私と同じ状況に置かれているなら。
 ……とんだ喜劇だな。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「───さ、確認したいこともこれで粗方確認できた。
 戻るぞ、“タイガーアイ”。 あまり待たせると不審がられる」

タイガーアイ :
「よかろう」

SYSTEM :
 端的な音の交錯。

 あの時、あの場所の差異など、
 精々が『択んだ』速度の違いでしかない。
   レネゲイドビーイング
 そして奇妙な隣人にとっての人間などは、
 極めて近くも、限りなく遠い。

 ならばその心境のうずまきは。
 誰のものなのか。

SYSTEM :
 ………去り際、相変わらず首に提げられたタイガーアイが、答えを返す暇もないタイミングを見計らったかのように。

 幾度かの明滅の後に告げた。

タイガーアイ :
「択んだ以上は、せいぜい入れ込む意味を確かめるがいい」

タイガーアイ :
「まあ、確かめずとも、ここから雲隠れも出来まいし。
 元より観察の故より先はないのだ。理由などない成り行きの世話焼きもよかろう」

SYSTEM :
   ・・・
 時にりくつでないのが人間だという。

 タイガーアイの幾度かの明滅は、それを最後にして、ブラザーフッドとしての活動のためか、なりを潜めた。

SYSTEM :◇ ◆ ◇


ミドルフェイズ〜ラウンド1〜

SYSTEM :
【ミドルフェイズ:『リュウグウジマ』】

SYSTEM :

[ - ラウンド/1 - ]

【経過ラウンド】
 0/9
 
【島の変化】
 -/島に目立った変化はない…

【プライズ】
 □□□□□ □□□□□ □□□□□ □□□□□

3:?????
5:?????
8:?????
11:?????
14:?????
17:?????
20:?????

【友好ユニット】
 3/?
 まだ民間人が「3名」取り残されている…。

【敵対ユニット】
 3/?

SYSTEM :
※!:ラウンド1のため、セットアッププロセス前に『クリンナッププロセス』の判定が先行して行われます。 

SYSTEM :1d100 島の変化 (1D100) > 58

SYSTEM :46〜60:膠着した進行。修正は特にない

SYSTEM :
[セットアッププロセス]

SYSTEM :
 セットアッププロセスを開始します。
 選択可能な行動を確認した後、各自の宣言をお願いします。

SYSTEM :
[セットアップ・行動選択]

・島の調査(知覚 or RC or 有効と認められる判定:10)
 既に解放されているエリアの周囲1マスからどこか1つを選択
 そのマスを開示する
(候補:[2-1]、[3-2]、[4-1])

・情報:『渇望喰い』/〈情報:UGN or 裏社会〉:10
・情報:『蝕みの君』/〈情報:UGN or 裏社会〉:10
・情報:『明夜白銀』/〈情報:FH or 軍事〉:14

・情報:『K市の遺産と池田咲楽』/〈情報:UGN〉:9
・情報:『リュウグウジマの外部状況』/〈情報:UGN〉:7

GM :
「情報判定」の選択を行ったその時点で、ホデリもしくはタイガーアイは『外部との通信・連絡』を試みます。

GM :
 そのため彼らのどちらかは、情報判定を使用した時点でこのR中『行動権がない≒エフェクトを使用できず、判定には参加できない』状態になります。

荻野目 旭 :とりあえず……情報を調べるほうがいいかな。ホデリさん、力を借りていいですか?

『ホデリ』 :承りき。先の鉄細工…“ぶらざぁふっど”から聞いた。

『ホデリ』 :進退は同時に決めずとも良いが そのつもりというならば…あの場所では少しは通じ? もするのだろう

荻野目 旭 :じゃあ遠慮なく! 僕は『リュウグウジマの外部状況』の調査をするつもりですよ

GM :
 畏まりました。
 情報:『リュウグウジマの外部状況』については、
 目標は〈情報:UGN〉の「7」となります。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

荻野目 旭 :はいはーい! んんん〜……

荻野目 旭 :5dx+1 (5DX10+1) > 9[1,3,4,8,9]+1 > 10

荻野目 旭 :ほっ

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :
【Check!】
・「セットアッププロセスをはじめて行う」

 上記達成により、トリガーシーンが発生します。
 対象者:旭

荻野目 旭 :ほげ〜!

GM :なんて声…出してやがる… 

木口龍 :えーっと、ぶらざーふっと? サン? 少し調べたいことがあるので大変恐縮ではございますがお力をお借りしてもよろしいでしょうか?

タイガーアイ :(了承の電子音声) 

木口龍 :『K市の遺産と池田咲楽』/〈情報:UGN〉:9について調べたいんですけどぉ

タイガーアイ :
 長距離通信開始...
 警告:現環境における接続状況は[不安定]...

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

GM :…あ!

GM :判定前になにか宣言しておくことはございますか?

木口龍 :当然それはあれだろう

木口龍 :砂の加護だ(保険)

system :[ 木口龍 ] 侵蝕率 : 52 → 55

GM :(侵蝕率が高ェヤツなのか…!?)

GM :わかりました。では改めまして。

木口龍 :60になってからが本番なんだよ!!(1/10を信じていない

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

木口龍 : (4D10+6) > 17[3,6,7,1]+6 > 23

木口龍 :あれ

GM :失礼…「4dx」ですね

木口龍 :x抜けてる

GM :であればもう一度。なに…

木口龍 :4dx+6 ノーカンノーカン (4DX10+6) > 10[2,5,7,10]+9[9]+6 > 25

木口龍 :おいどういうことだ

GM :で 何が信じてないですって????

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :
【Check!】
 トリガーシーンの発生はありませんでした。

木口龍 :わかったぜ。

GM :
 この場合、獲得した情報は希望するならシーンを展開し、そうでない場合は判定が一定段階まで進んだ後となります。

木口龍 :うーむ、今はいいか。

GM :む。よろしいので?

GM :であれば…

GM :ひとまずセットアップを一巡させたところで開示を行いましょう、というところで。

”朧の狩人/残骸” シホ :
さて、不本意だが『侵蝕率が高ェヤツ』より高い個体のエントリーだ

GM :この瞬間リュウグウ=ワールドは壮絶なイクサの開始点と化す!

GM :どうぞ

”朧の狩人/残骸” シホ :
島の調査[3-2]:難易度10 を知覚で判定したいのだが。
具体的にはどのように調査するイメージだ?

GM :
 調査内容については知覚およびRCで示すように、基本的には「そこまで時間をかけずに現地を偵察する」程度のものです。
 また、PCは当人以外存じませんが、颯が「きわめて不可解な景色の移り変わり」に遭遇したように、少し先がどんな繋がり方をしているかも定かではありません。

 島自体が非常識なので、どこにどうレネゲイドの影響があり、先に行くなり安全を確保するなりするためにはどうしたらいいか…を確認するための判定! というイメージです。

GM :
 RCの場合はより直接的に「その辺行ってレネゲイドの流れを感知したり、生物や敵対的な存在などがいないか先行でチェックする(対応EEを使用する)」感じです。知覚でも変わりませんが、大概物理的・五感的なものをイメージしていました。

GM :
 ………この回答は参考になりましたか?

[はい]  [いいえ]  [通報する]

”朧の狩人/残骸” シホ :
>[通報する]

GM : 

”朧の狩人/残骸” シホ :冗談はさておき、ワタシはエンジェルハィロゥのEE「真昼の星」を保有している。
これは視界を望遠鏡のように拡張したり…まぁ、掻い摘んで言えば視覚を大幅に強化するEEだ。
ダメ元で確認するが、これで補正値を得ることは可能か?

GM :なるほど。

GM :有効でない理由もありませんね。以降、それを使用するなら判定を[10]→[9]とすることが出来ます。

”朧の狩人/残骸” シホ :感謝する。では今後はそれを適用させてもらいたい。

GM :了解いたしました。では…

GM :他に何か宣言はございますか?

”朧の狩人/残骸” シホ :いや、ワタシに出来ることは特にないな。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

”朧の狩人/残骸” シホ :8dx+1 (8DX10+1) > 10[2,4,5,5,6,8,9,10]+9[9]+1 > 20

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。
 

SYSTEM :1d20 (1D20) > 15

SYSTEM :
【Check!】

・「3−2」の判定が開示されます。

進行/特殊
 戦闘を行う(鎧武者×4、????)
 
支援/存在しない

壱:「□□□□」撃破後に判定が消滅する
弐:プライズ[3]固定

GM :
 この判定は少々特殊なパターンで、
 3-2に接触すると同時に「接触したPCとNPC」を対象としたシーンおよび戦闘が展開されます。

GM :
 エリア通過後に得られるプライズについては、「エリアクリア」と同時に[3]ポイントとなります。

”朧の狩人/残骸” シホ :
……どう伝えたものか悩むが、口頭で確実に伝えた方がいいかもしれない案件だな。

三廻部 颯 :
えっと……じゃあ、次、行きます。
[島の調査]で……[4-1]、かな……。

判定は、えっと、知覚で。

GM :畏まりました。判定に何か使用するものはありますか?

三廻部 颯 :えっと……現地を手早く偵察する、感じなんですよね。

GM :そうですね。本腰入れる前に何か危険なものがないかを探るイメージです。

三廻部 颯 :
イージーエフェクトの[壁抜け]で、ある程度、障害物を無視しながら忍んで偵察できないかなーって……

GM :よろしい。場所によりますが…セットアップでは場所までは定かでない以上、有効なものとします。

GM :これも[10]→[9]ですね。

三廻部 颯 :ありがとうございます。

三廻部 颯 :他は……ないかな。これで。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

三廻部 颯 :4dx+1>=9 <感覚:知覚> (4DX10+1>=9) > 8[5,6,7,8]+1 > 9 > 成功

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :1d19 (1D19) > 4

SYSTEM :
【Check!】

・「4−1」の判定が開示されます。

進行/〈肉体〉〈RC〉:10

支援/〈知覚〉〈情報〉:6

三廻部 颯 :………川流れ、なんてことにならないようにしないと……。

GM :危ないと思ったら誰かの手を借りてみても良いでしょう。

GM :さて…最後は…

久外境耶 :おれが調べるのは[2-1]だな。……

久外境耶 :今回は無策で突っ込むのを調査って言わねーんだろ? RC判定で熱感知知覚使えばちょっとはマシになるか?

『ホデリ』 :汝…いかなる扱いを いやいい望んでやっておるな

久外境耶 :分かってきたなア!

GM :
 ちなみに当然有効です。
 熱感知知覚も場所によりますが、おおよそ生物の気配を感知するには役立つでしょう。

GM :これも[10]→[9]ですね。汎用的に役立つラインです。

GM :なにか判定に他に使用するものはございますか?

久外境耶 :あー ウーン

久外境耶 :異形の歩みで悪路も踏破できるなら島の調査に役立つ……

久外境耶 :のか……? これ判定基準が肉体なんだよな

GM :ふむ

GM :判定基準は「GMが必要と判断した場合は肉体」ですね………

GM :セットアップのこの部分では極端に有効ではありませんが、有効でないとも言い難く、何かしらの対応点をあげたいところですが………。
とはいえ、セットアップの使用判定的には少し難しいかもしれません。

GM :…ですが…

久外境耶 :お?

GM :まあいいでしょう。「これ単体で使用したら肉体判定要求として意味もなし」としますが、「熱感知知覚と組み合わせての運用」として、危機を避けるには有効としましょう。

GM :[9]→[8]を認めます。

久外境耶 :マジで? サンキュ!

久外境耶 :よっしゃいくぜいくぜー

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

久外境耶 :1dx+1 (1DX10+1) > 6[6]+1 > 7

GM :沢蟹をどうぞ

久外境耶 :っっっだーーーーー!引くほど持ち帰ってやらあ!

『ホデリ』 :島と外では勝手も違おう、無理もな…そもそも持ち帰って如何にする 食うか?

SYSTEM :
【Check!】
 判定に失敗しました。

久外境耶 :食うか……焼けばいけんだろ タブン

『ホデリ』 :乱暴なる…

GM :

SYSTEM :
[セットアッププロセス]

 セットアッププロセスを終了します。
 また、開示が確定した情報のうち、
 トリガーシーンの挿入されなかったものを開示します。

SYSTEM :
【Check!】

 情報:K市の遺産と池田咲楽 について開示を行います。

SYSTEM :
【情報:K市の遺産と池田咲楽 →遺産「塩乾珠」 】 

 池田咲楽は非オーヴァードである。
 これは池田家の人間も変わらない。

 しかし池田家は古くから受け継がれて来たとある遺産を所持しており………これを遺産と判明させた段階から、過去、UGNが『護人会』と呼ばれていたころより多少の縁がある。そして池田咲楽は、無自覚の【非オーヴァードであると同時に遺産継承者】である。

 ただ、これを『正しく扱える血』の持ち主からある一定以上手放した時、遺産が暴走の兆しを見せ始めたようで、現在この遺産は後継となる子供に託される形で“鎮め”られている。
 これが曰く「先祖の血」に由来するものなのか、遺産自体の性質に由来するものなのかは、未だ区別がついていない。
 
 遺産のカテゴリは『海鳴の石板』、その名は『塩乾珠』と名付けられている。
 また対となる遺産が存在し、これは同種の効果を持つものと推測されているが………。
『片割れは血の絆と共に永遠に失われた』という伝承のみが、この家に語り継がれている。

GM :
 情報内容については以上となります。

SYSTEM :
【Check!】
 シーン展開希望を確認しました。
 セットアッププロセス時点でラウンド進行を一時中断し、シーンを展開します。

SYSTEM :◇ ◆ ◇ 


情報シーン1「K市の遺産と池田咲楽」

SYSTEM :
【情報シーン1:K市の遺産と池田咲楽】

 登場PC:木口龍
 登場侵蝕:なし(特殊)

SYSTEM :
※このシーンは「トリガー」指定がされていません。
 よって、登場侵蝕は『任意』となります。

木口龍 :まぁ振らんわな。砂の加護で調整効くうちは加護にまわしたい。

GM :了解しました。

SYSTEM :
 いざ周辺状況の捜索に乗り出す前、
 UGNイリーガル“残骸”および、UGNの人工AI『ブラザーフッドG03』からの報告があった。

SYSTEM :
 内容───“裂け目”の内部であれば、極めて不安定ながら回線の接続が可能。
 ブラックドッグ・シンドロームの成せる技か、はたまた空間内が、言うなれば「そこだけはホデリが自由に手掛けられるから」なのか………。

 あなた/龍はちょうどそれを聞ける場所に居合わせていた。

SYSTEM :
 どこかの組織に紐づいた立場でもなかった彼がするべきことは現状報告と確認などではない。
 というか、する相手もいない。
 御握りを対価に留守番してくれる元気な近所のお姉ちゃんなどいない。

GM[存在しない記憶] :
 空島はあったろう?
 “元気な近所のお姉ちゃん”もそうさ! 実在する!

SYSTEM :
 よって、あなたがそれをする人物もいない以上、するべきことは別だ。
 回線が繋がる場所が“ある”ということは、幸いにしてあなたの脳内に展開されたノイマン顔負けのデータベース機構が、宝の持ち腐れとかジャンクとかそういう呼称にならなかったことの証左でもあった。何のタクティカルアドバンテージも感じられない(暴言未遂)。

SYSTEM :
 唯一問題があるとすれば。
 そのあなたのノイマン顔負けのデータベースを使う前提に必要なのは………。

タイガーアイ :
「長距離通信開始...
 警告:現環境における接続状況は[不安定]」

SYSTEM :
 それはコレだ。
 データベースを開くためのいわば『アンテナ』代わりは、得体の知れないというほどではないが気心は知れないAIである。

 しかもAIという言い方をしたのは、便宜上、颯に専門用語を叩き込みすぎて混乱させないようにしただけであり………。
 その実態は所謂レネゲイドビーイングであった。 

 言っていないのでわかることではない。
 彼/ブラザーフッドを名乗る無機物が内心で別のことを考えているなど誰が知ろう。

木口龍 :
「……そりゃそうか……中継基地なんてこの島の近くにあるわけないよなぁ」

 天下の印籠もとい、脳内に埋め込まれたハードディスク(便宜上)は自動更新式だ。
 よって、外部からの知識を仕入れるにあたっては、必然的に通信環境のいいところじゃあないと発揮出来ないが──ダウンロードするにも、なかなか時間がかかっていた。

「いやぁそれでもお頼みできますかね、いやマジで、たのめますかね……?」

 それでも、こんな無人島でアン◯ャーテッドやイン◯ィージョーンズ、ト◯ームレイダーをやれるほど、全員あそこまでサバイバル慣れしてるわけではない。
 文明の利器に頼れるものなら、頼りたかった。

タイガーアイ :
「了承
 原理不明なれど、個体名『ホデリ』の形成した空間内とシマ内部には差異が存在」

SYSTEM :
 ホデリと名乗ったものが言うには、この島は物の怪の島───。
 そしてレネゲイドは、往々にして現実的に“こう”という常識へ片端からケリを入れて追いやるものだ。

SYSTEM :
 こちらで機能して、島では機能しない理由については定かでないが、ともかく。

木口龍 :
 そう。例えば、遺産の知識とか。
 その辺を仕入れてるのと仕入れてないのとじゃあ、探索における精度がぐっと上がる。
 何も知らない島を闇雲に探すよりは、よっぽど。

タイガーアイ :
「準備完了。
 最終確認後にモジュールを起動」

荻野目 旭 :シーン登場してもいいですか? さすがに必要そうですからね

GM :畏まりました。雑談タブで龍さんの了承も出ていますので、そのままどうぞ。

荻野目 旭 :「木口さん、調子はどうですか? 外との通信って話でしたけど……」

木口龍 :
「もうそろそろ出来る……と思う。
 基地局無いっぽいから正直怪しかったんだが、なんとかなりそうだ」

荻野目 旭 :
「よかったあ……ホントにありがとうございます、助かりますよ。
 こんな状況なのに情報も現地収集オンリーなんて、さすがに気が遠くなりそうですもん」

タイガーアイ :
「空間内において電子機器類は不安定ながら起動確認
 懸念事項:島内部と当空間の差異不明につき持続保障無し」

タイガーアイ :ピピピ...

木口龍 :「まったくだ。未開の島なもんだから、ため息が出る……お、そろそろっぽいぞ。必要なものだけ集めなきゃな」

荻野目 旭 :「ハーイ」

SYSTEM :
 ………まさか探偵とあろうものが、データブレインと神経加速、モルフェウスの技術によるデバイス形成を柱とするハッキング/クラッキング機能の持ち主が、オッケーグーグルだとかほざいたり、イルカにお前を消す方法を聞くこともないだろう。

 回線の起動と共に、あなたの脳内データベースが自動的に更新を開始する。 

SYSTEM :
 この島がどうだかは知らないが、現代社会においてネットワークは切り離せない。
 然るに、どれだけ閉鎖的な環境だろうとも、掛かるものによっては引き摺り出せない情報はない。

SYSTEM :
 FHの電子戦闘専門セル、ラットフィンクの悪名高き筆頭株“ヘルタースケルター”がいい例だ。
 この女ひとりのために、UGNの余程の機密文書やデータはダミーを交え、あるいは現実の物質での輸送や展開を余儀なくされている。

 龍がこの女の足元にも及ぶかどうかは諸説すらなくNoだとしてもだ。
 しかしそれは、あなたが電子技術に精通しないということではない。
 探偵が足で稼ぐ時代は終わったのである。(要出展)

SYSTEM :
 ………探る先は千葉県K市。
 
 キーワードは、あの攫われた少女の名前。
 確か、池田咲楽。

SYSTEM :
 ………そしてあなたは、何時ものように、コンマ数秒の僅かな時間で、脳内データベースからアクセスした電子の海に潜り込む。

 此処にキーボードも何もないが、少なくとも不安定だろうと、繋がってしまえばこちらのものだ。

SYSTEM :
 まずはUGNのものを。そして次はFHのもの。そうかと思えばまたUGNの『アングラ』な方を。
 回線の不安定さ故か、それともこの空間からの接続に起因するものか、頻繁に情報が追記され、また削減され…を繰り返すネットワークの中で───。

 然程現実換算の時間はかけず/体感時間では相応の手間をかけて、“それ”を見つけた。

SYSTEM :
 ………池田咲楽は、確かに非オーヴァードだ。

 だが同時に───。

SYSTEM :
 彼女の家に受け継がれて来た遺産が択んだ、
 遺産を正当に扱える“継承者”であった。

SYSTEM :
【情報:K市の遺産と池田咲楽 →遺産「塩乾珠」 】 

 池田咲楽は非オーヴァードである。
 これは池田家の人間も変わらない。

 しかし池田家は古くから受け継がれて来たとある遺産を所持しており………これを遺産と判明させた段階から、過去、UGNが『護人会』と呼ばれていたころより多少の縁がある。そして池田咲楽は、無自覚の【非オーヴァードであると同時に遺産継承者】である。

 ただ、これを『正しく扱える血』の持ち主からある一定以上手放した時、遺産が暴走の兆しを見せ始めたようで、現在この遺産は後継となる子供に託される形で“鎮め”られている。
 これが曰く「先祖の血」に由来するものなのか、遺産自体の性質に由来するものなのかは、未だ区別がついていない。
 
 遺産のカテゴリは『海鳴の石板』、その名は『塩乾珠』と名付けられている。
 また対となる遺産が存在し、これは同種の効果を持つものと推測されているが………。
『片割れは血の絆と共に永遠に失われた』という伝承のみが、この家に語り継がれている。

木口龍 :GM、一個大前提を確認したい。

GM :ふむ?

GM :構いませんが…大前提ですか?

木口龍 :遺産の名前は、UGNが発見したときにつけたのか、それともその家に伝わっている時点でその名前だったのか?

GM :なるほど。後者です。

木口龍 :OK。UGNが把握しきれているというわけではないということか。まぁオレの知らないシーン部分でなんとなくそんな気配はあったが(ログ)

木口龍 :
 ……当たり前の話だが、零からの調査は本当に骨が折れる。
 有名なものだと素行調査。
 何も情報がない場所から、これを特定しろと言われているのと、
 N県Y市に住んでいるこの男を調査しろ、と言われるのでは、作業量に膨大な違いが出る。

木口龍 :
 そうして接続したデータベースには、大量の電子データが並べられていた。
 まずはそれを絞り込む為に、キーワードを打ち込んでいく。

木口龍 :
 キーワードは──。

木口龍 :

『池田咲楽』

木口龍 :

 ──名前が分かると早い。一気に絞り込まれた。

木口龍 :
 そこから、家族構成や交友関係、それらを取り除くべく、

木口龍 :

『遺産』

木口龍 :
 ……一件、ヒットがあった。
 データベースからそれを引っ張り出し、眺める──。

木口龍 :
(……神話、ねぇ)

木口龍 :

 塩乾珠、対になるのは塩盈珠。神話における効果は、潮の満ち引きを操れるものである。
 原典において登場する神話は、海幸彦山幸彦だ。
 東南アジアを起源とする神話であり、古くは隼人に起因するものとされている。
 有り体に言えばワダツミに纏わる神話であり、世間一般においては各地の神話体系と似たようなモデリングを持つ話だ。
 

木口龍 :
 さて本題──それを伝えられているのは、とある家系。
 ここからは、現実に戻った時にでも話をしよう。

SYSTEM :
 検索を終了する。

 ………これほどスムーズに事が進んだのは、
 良くも悪くも木口龍の情報基底は、けっきょく己自身のデータベースだからだ。

 状況に左右されないとでも言うか。
 本人の言動はこんなに左右されるのに。

SYSTEM :
 では、外部からの伝聞となった時にどうなるのか───。

 少なくとも此処では、それは謎のままだ。

SYSTEM :
 現実時間の何倍も体感時間の検索を掛け終える。
 それなり以上ではない頭の負荷と共に、意識が元に戻った。

三廻部 颯 :シーン登場したいです。

GM :どうぞ。例の如く雑談タブで問題なしとありましたので…丁度龍さんが脳内検索を終えたところです。

三廻部 颯 :
 とぼとぼと歩いて歩いて、まとまらない考えをまとめようとしていたところで。

「……あっ、旭くん……と、木口さん」

三廻部 颯 :「なにやってるんですか?」

荻野目 旭 :「あ、三廻部さん」

荻野目 旭 :軽く手を振りながら、内心ちょっと悩む。今あなたの友達の厄ネタがどんな厄なのか確認してました〜とか言うの、だいぶ気まずいぞぅ。

三廻部 颯 :手を振りかえす。ちょっと控えめ。

荻野目 旭 :「木口さんが、“ブラザーフッド”と一緒に外との通信を試みてたんです。助けを求めるとかは無理そうなんで、状況打破のための情報厚めってところですね」

三廻部 颯 :
「情報集め……どんなの?」
 なんとなく何を調べていたのかは想像がつく。
 つくが……自分から聞く勇気はなかった。

荻野目 旭 :……。……。

荻野目 旭 :……木口さんに言わせるのも申し訳ないかな。

荻野目 旭 :「池田さんについてです」

三廻部 颯 :
「……あの、首飾りのこと?」

荻野目 旭 :「勾玉だけじゃなくて、勾玉ごと彼女をさらわれたってことは、彼女にも、なにかある……って思ったほうが自然ですからね」

三廻部 颯 :
「そっか───そうだよね。
 ……、あのね、別に、目を背けたいとか、耳を塞ぎたいってわけじゃないの」

「ただ……まだ飲み込み切れてないだけだったから」

三廻部 颯 :
「私にも教えてください。
 たぶん、私が生き返ったことにも関わってるかもって、おもうし」

木口龍 :じゃあこの辺か

荻野目 旭 :「………。………」

荻野目 旭 :「先に言っておきますよ?」

荻野目 旭 :「ムリはしないこと、背負わないこと。あと、」

荻野目 旭 :
 ・・・・・・・・・・・
「僕らを信じなくてもいいってこと」

荻野目 旭 :「友達だって言ってくれるのは、うれしいですけどね」

荻野目 旭 :とか言いながら、木口さんに視線を流します。さっきからこっくりこっくりしてますけど…

木口龍 :
 じゃあそんな時、

木口龍 :
「レッドブル……レッドブルはどこじゃおじいさん……。
 おじいさん、レッドブルはもう飲んだでしょ……」

木口龍 :

>>>Red Bull 翼をさずけぇ〜る<<<

木口龍 :
 と謎のうわ言を吐いた後、

荻野目 旭 :「ヒィ!?」

木口龍 :
「──ハッ」

三廻部 颯 :「(この人ほんとに大丈夫なのかな)」

木口龍 :
「おや、颯さん、キミも来ていたのか」

 と自分がなにを喋っていたかすら記憶していないかのような素知らぬ顔で挨拶をしつつ、旭には耳打ちする、

木口龍 :
(おい、大丈夫なのか。話して。一応、収集は終わったが……)

三廻部 颯 :
「え、あ、はい」

荻野目 旭 :この人、大丈夫かな。僕は真剣にそう思った。

荻野目 旭 :いえ、うん、はい、ごほごほ。耳打ちの内容はまともだった。よかった。

荻野目 旭 :「本人的には大丈夫みたいなんで……。僕はあんまり賛成しませんけども」こそこそ。

タイガーアイ :◇タイガーアイは無言で譫言を録音した。

荻野目 旭 :メモリの無駄じゃないかなァ

木口龍 :「ふーむ、了解した。オレはどこまで取り扱うべきなのかは外部判断ってところがあったが……話していいなら、そのまま話そう」 ここで耳打ちを終了し、

三廻部 颯 :「お願いします」

木口龍 :「……キミがいいっていうんなら、まぁ、分かったこと、というより資料化されてるものをそのまま話すが──」

木口龍 :「まず、結論だけ言えば、
 池田咲楽は"オーヴァードではない"が、勾玉の力を扱うことの出来る人間である──旭さんに分かるように言えば、遺産継承者だ」

三廻部 颯 :
「オーヴァードじゃないけど、使える?」
 それって凄い特例なんじゃ?

木口龍 :
「レアケースと言われれば、レアケースだが、特例を探そうと思えば幾らでも探せはする、程度だろうな」

 冗談はさておいて相当疲れたのか、腰掛ける。

荻野目 旭 :「……。……け、継承者……」

荻野目 旭 :「実際問題、その疑いがあったから僕の任務があったわけですけど……」

三廻部 颯 :「そっか……ずっと身につけてたのはそういう事だったんだ」

三廻部 颯 :
「……あの人──虎の人が首飾りだけ持っていかなかったのは、
 首飾りだけ持ってても意味がないから……」

木口龍 :「その見立てで正しいだろうな。使える人間の手元に無ければ、それ事態が活性化しかねない」 うなずいて、

木口龍 :
「こういった場合のケースは幾つかある。
 例えば、外部から別のオーヴァードが抑えることで、当人の発芽を防いでいるもの。
 だがこのケースはありえないだろう。よほど大掛かりな真似をしなければUGNに感づかれるし、旭さんが"疑い"で済ませるはずもない」

 ……手帳に書いてあった事件は、その特例だが。
 今回の場合は別のケースを想定する必要がある。

「もう一つは、そもそもそういったアイテムを扱うことの出来る一族、というものだ」

木口龍 :
「インターネットとかで見たことはないか?
 "神職"の一族という人間が、その地に存在するオカルトなアイテムを持ち回りで封印している。
 今年はウチの番で、来年はあの家の番、……といったような、いわゆる土着の信仰、口伝に近いものだ」

木口龍 :
「池田家に伝わっている遺産、塩乾珠は、いわゆるそういった"その家に伝わっているアイテム"として遺っていたようだ。
 彼女に限らず、父、母、祖父、祖母、何世代にも渡って受け継がれてきたものだろう」

三廻部 颯 :
「マジかあ……」
 まじりっけなしの本音。

SYSTEM :
 ………遺産は、遺産を手にしたものがノーリスクで力を扱えるような、単純な代物ではない。
 ・・             ・・・
 人が遺産を手にするのではなく、遺産が人を引き込むのだ。
 それ故に、択ばれなかったものが手に取ったところで何ら意味はない。

SYSTEM :
 ただし時と次第によっては、持ち主と認定したものの変調を引き金に、
 遺産そのものの性質が凶悪に変貌することとて、珍しすぎることではない。

 繰り返すが、遺産「が」人を択ぶのだ。
 遺産に充てられたものがおかしくなることなども、ましてや遺産自体が意思を伴って何かを動かすことなども、また零ではない。

SYSTEM :
 彼女の世代ではないどこかで“それ”があった。
 それ故に、この遺産は手放されず、明かされず。
 表舞台は当然ながら、オーヴァードたちの世界にも関わらない何処かにあった。

SYSTEM :
 ………文字通り。薄氷の上。
 咲楽は、当人が知ってか知らずか、恐らくは知らぬまま、そういう家の出の子だった。

 ───あるいは。
 だから何時かのあの時まで、外と隔たりのあるような、少し“浮いた”子供だったのだろう。

SYSTEM :
 跡取りであることが決まっているのも随分早かったようだし、家の事情が何かと複雑なのも、友達やっていれば分かることだ。
 家族がそうした悪意と縁ある人間には思えなかったが。

 少なくとも龍の話が確かならば、彼女は殊更に“そういうこと”に適性のある個人で。尚のこと、慎重に保護されてきたらしい。

荻野目 旭 :
「『遺産』っていうのは、本当にデリケートなもので……
 危険だから、と、鎮静状態にある遺産を持ち主から引き剥がしたら逆に暴走する、なんてパターンも珍しくないんです」

荻野目 旭 :「正しく扱えるのも、ひとつの遺産に対してひとつの継承者。そのセットがたいてい決まってます。ゲームの伝説の剣とかもそうでしょ」

荻野目 旭 :
「UGNって組織は、割と若い組織なんですけど……対して、池田さんちは年季の入った一族だと聞きます。
 僕らの把握してない場所で、こういう封印や継承の歴史が紡がれてきたとしても、ぜんぜんおかしくありません」

三廻部 颯 :
「だから受け継がれて、っていうやつか……。
 お家の神社、そんなに大きい感じじゃないのも、カモフラージュだったのかな」

木口龍 :
「池田の家には、『片割れは血の絆と共に永遠に失われた』、という教えがあるそうだ。
 丁度、塩乾珠の伝承も、対となるものが存在してる」

荻野目 旭 :「しおひるたま……かあ」

SYSTEM :
 池田咲楽が曰く“古くさい御守り”、そのカテゴリは『海鳴りの石板』。
 海流を操り、海を統べる、そうした力に関連性を持つものを総じてこのカテゴリとする。

 TYPE───塩乾珠。
 
 そう記された遺産の名だけがそこにあった。

SYSTEM :
 ………ただこれらは結局データベースだ。
 当人たちの言葉ではない。

 どこかに齟齬や空白があるのかもしれないが………。遺産については間違いないだろう。失われた、という部分も含めて。

木口龍 :「──漁って出てきたのは、こんなところだな」

荻野目 旭 :「遺産の名前と、『片割れ』、それに『ホデリ』さん……けっこう邪推はしちゃう名前の並びですね」

三廻部 颯 :
「えっ、そうなの?」

木口龍 :「だが、結局、遺産が選んだのか、それとも血が遺産と惹かれ合った結果なのかは、鶏が先か卵が先かと同じ問いだ。つまり分からん」

木口龍 :「で、遺産の名前についてだが……その家で伝えられている名だ。つまり、名付けは池田家……の祖先ということになる。あるいは創った本人か」

荻野目 旭 :「なぞらえた、って考えるのが、まあ自然なんですけど……。三廻部さん、七五三のときに絵本とかもらいませんでした?」うなずきながら。

三廻部 颯 :
「貰ったような……でもあんまり覚えてない……」

荻野目 旭 :「海幸彦、山幸彦……っていう、ふたりの兄弟の話なんです」

荻野目 旭 :「ひとりが山で狩りを、ひとりが海で漁を……だけどあるとき、お互いの道具を交換して、持ち場を変えてみようと片方が言い出して」

荻野目 旭 :「だけど当然うまく行かないし、山幸彦は兄弟の仕事道具をなくしてしまう。そんな話に出てくる道具が、『塩乾珠』と『潮盈珠』なんです」

荻野目 旭 :「……で」

荻野目 旭 :「その海幸、山幸の、神様としての名前が……ほでりのみことと、ほおりのみこと」

三廻部 颯 :
「ほでり、…と……ほおり」

荻野目 旭 :
「もちろん、推測の域はぜんぜん出ませんけどね。
 ただホデリさんが持ってるほうの勾玉が『片割れ』だったりするかもな……とか、名前の偶然の一致から考えたりするわけです」
 指を立てる。

荻野目 旭 :「ここで重要なのは、いろいろ照らすと、『失われた』とされている遺産が、ここにある可能性がとっても高い……って話かな」

三廻部 颯 :
「そっか……全然ある話なんだね」
 二人の兄弟。
 片方がホデリ。
 もう片方は──ふと思い至った可能性に、思わず顔を顰めた。

三廻部 颯 :
「片割れは血の絆と共に永遠に失われた───か……」

木口龍 :
(……だが、分からないことがある)

 神話通りなら、片方は満潮、もう片方は干潮を司る勾玉のはずだ。
 もし本当にそれになぞらえた能力であったなら、あの時感じた"同じ?"という感覚はなんだったのか。そもそも片割れと呼ぶには、奇妙な話だ。何せ、同じ力を持つ別個体なのだから。

 ──言語化出来ない以上は、調べるまでは言及を控えるべきだろう。

荻野目 旭 :「『失われた』……は、ここじゃ『ない』理由にはならなさそうですしね」

荻野目 旭 :「『蝕みの君』は、一度ぜったい死んでます。だけど僕が見たあいつは本物だったし、かつての記憶をなぞるみたいに僕やノエルさん、──を、追いました」

荻野目 旭 :「それが今回のホデリさんの勾玉にも言えるのなら、資料がこの島のどこかしらにある可能性も否めません。……調べてみないとですね」

SYSTEM :
 神話通りならば、だが。
 塩乾珠と塩満珠は、それぞれ対になる力を有していた。

 その片割れは失われて久しいとされながらも、確かに此処に片割れと見込むやもしれないものがあった。
 ………それは捨て置くことではないのだろう。島を恐らくこの場の誰より識る生き物が、その銘を被っていることも。

SYSTEM :
 ………だが。

 遺産の継承者は池田咲楽だ。
 決して目覚めぬよう、鎮静化した状態で今そこにいるとしても。
 これを「あつかえる」し「えらばれた」のは彼女だ。

SYSTEM :
 ………では。
 ・・・ ・・・・・・・・
 あなた/颯を起こしたものは何なのか。

SYSTEM :◇ ◆ ◇


シーン9「変遷」

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【シーン9:変遷】

 登場PC:荻野目 旭
 登場侵蝕:あり

SYSTEM :
Tips-ユニバーサル・ガーディアンズ・ネットワーク
 略称「UGN」。
 16年前にアルフレッド・J・コードウェル博士とその仲間たちにより設立された。
 レネゲイド対策を目的とした組織の先駆けであるこのUGNは、
 人間以上の力を持ち、人間性を失い敵になる可能性を持つオーヴァードが、
 世界の一部として、隣人として、人間と共存するための活動を続けている。

 内外に潜む敵の存在は、いつしか組織の在り方を、薄氷のような秩序を守る装置に変えていった。
 コードウェル博士の離反が招いた混乱により更にそれは歪もうとしているが、これは過去形ではない。
 そして歪めようとする者達もまた、悪意を以てではない。

SYSTEM :
 長距離通信そのものが可能だった以上、
 本格的な捜索を始める前にするべきことがある。

 巻き込まれた颯や木口龍にとっては伺いを立てるものはないし、FHは大概自由と引き換えの自己責任。あと一つ、明かされていないものがないではないが、それも含めてこの辺りに問題はないだろう。

 ところが、これがUGNとなると話が代わって来る。

SYSTEM :
 流石に、ここから状況報告も、伝達も、一切ナシで話を進めることはないだろう。
 世知辛いことである。社会秩序に根差した/根ざす努力をした組織とはそういうものだ。

 ………そして“ブラザーフッド”を介さずとも、ホデリを名乗る白い狗が存在するならば「多少」の安定が成ると分かった以上。
 通信方法の確立と共に、旭が知るべきことは一つ。

SYSTEM :
 ………外の状況はどうなっているのか、だ。

 多少、その不安をあおる出来事も、
 少なくともこの島の内部には存在した。

SYSTEM :
 残した端末と、恐らくは別のエージェント/“イリュシデイター”が持ち込んでいた、本来は「ブラザーフッド」を介して使う可能性のあったモニターは、1000年近い時の向こう岸に置き去りにされたかのようなこの島、この空間、そこにとってはあまりにもミスマッチな形でこの部屋に残されている。

SYSTEM :
 その空間が「外」に連絡を繋ごうにも、ブラザーフッドのようなブラックドッグ・シンドロームのモジュールを内蔵した個体か、あるいはこの空間の主(らしい)であり、凡そ時空間の干渉の専門家でもある唯一のバロール・シンドローム………ホデリの援けが必要というわけだ。

SYSTEM :
 最も、本当にそれだけかは疑わしいが………。

『ホデリ』 :『その鉄細工を以て何をす?』

SYSTEM :
 同伴には頷いたそいつが、意思の疎通として必要なこと以外を喋ってくれるかは。
 良くも悪くも、言葉の掛け方、理解の仕方次第だったのかもしれない。

荻野目 旭 :とりあえず登場侵蝕振りますね。ころころっと

荻野目 旭 :1d10 (1D10) > 2

荻野目 旭 :……先が思いやられるスタートにもほどがある。

荻野目 旭 :僕らエージェントに、基本『万全』とか『順風満帆』って言葉はない。まずもって事案があってから対処するってシゴトに、そういうものは訪れないもんだ。悲しいけど。

荻野目 旭 :
 でも、でもだぞ。同僚エージェントと覚醒しちゃった元一般人以外全員怪しいって、なかなかない。
 ……なんと、仕事があっても思考回路がシンプルな“ラッキージンクス”が、一番怪しくない。

荻野目 旭 :競合別会社(しかもうちよりおおっぴらな犯罪者集団!)が一番警戒せずにいられるって、いったいどうなんだろう。

荻野目 旭 :はあーあ。このわんちゃん、ちょっとでいいから“ラッキージンクス”の包囲網を抜けてもふもふさせてくれないかな。

荻野目 旭 :………………このわんちゃんが、どう見たって一番絶対完全に怪しいんだけどさ。

荻野目 旭 :閑話休題だ。ため息ついててもどうにもならないし、思考を仕事の脳みそで追いやる。

荻野目 旭 :
 とりあえず、目下一番の心配は、『ここ』と『外』の時間軸が、ものすごい高確率で狂ってるってこと。

荻野目 旭 :
 ──“残骸”と“イリュシデイター”は、僕が任務に入った数か月前には既に行方不明になっていた。
 ──あえて“ラッキージンクス”と言うけど、とにかく彼が連れてきていたらしいFHエージェントの時間表示は遥か昔を指していた。遺体は傷んでいなかったのにだ。

荻野目 旭 :
 時間軸があべこべだ。
 もしFHのみなさんが“イリュシデイター”たちよりはるか昔に来ていたとして、それならたかだか十数年前に正式成立したUGNをばっちり知っているような口調が、境耶くんから出てくるはずがない。

荻野目 旭 :
 ……で。
 浮上する問題は、僕がこれからこのホデリくんをとおして行おうとしている連絡が、いったい何年前、あるいは何年後の上司にたどり着くのかってハナシ。

荻野目 旭 :
 そういうのがありえないって思ったことはない。
 おねえさん──名塚真というチルドレンが経験した『繰り返される電子世界の中での実験』だって、まあ似たようなものだからだ。
 ありえないって思わないからこそ、半信半疑じゃなくって本気でため息ついてるんだよね。

荻野目 旭 :
 やるしかないんだけど。

                 にちじょう
 僕らUGNっていうのは20年前から、一般社会に振り落とされないように必死でしがみついている集団だ。
 そういう集団なら当然、社会に迎合するためのホウレンソウってやつをしなければいけない。
 僕はこの年で社会に混ざってこざかしい交渉仕事を山ほどしてきたけど、そういう訓練を始めたてのころに教官に口すっぱく言われたことだ。

荻野目 旭 :たたみにあぐらをかいて、端末の前でかたかたキーボードをいじる。とりあえず電源はついたので問題なさそうだ。

荻野目 旭 :「これで、この島の外に連絡を取りたいんですよね。木口さんが“ブラザーフッド”経由で成功してたんで、いけそうかなって思って」

『ホデリ』 :
『あやしきものだ。
 小僧、この鉄細工が汝の公………』

『ホデリ』 :
『という次第ではないようだな。
 構わぬ。仕組みは定かでもない…好きにするとよかろう』

SYSTEM :
 どうも自分が触ってもハッキリしないものであるせいか、彼はわりと早々に“そういうもの”として一度理解を横に置いたらしい。

荻野目 旭 :「助かります。僕の専門じゃないんで、ホデリさんなり“ブラザーフッド”なりに、アンテナ──」

荻野目 旭 :「ん−と、飛脚? やってもらわないといけないみたいなんですよね」

『ホデリ』 :
『………それも幾年経たばこうもなるか』

『ホデリ』 :『分かった。走らば良いというわけでないことも』

荻野目 旭 :「はい。だいたいここにおちゃんしててくれればなんとかなりそうです」

『ホデリ』 :おちゃん。

SYSTEM :彼は一先ずそこであなたの様子と、ふと一度部屋の外側を交互に見て、あとは状況を見守る素振りに戻った。

荻野目 旭 :……………。

荻野目 旭 :うーん。番犬。

荻野目 旭 :「……ホデリさん? 僕も後学のために聞いておきたいんですけど」

『ホデリ』 :『如何にした』

荻野目 旭 :
 キョウヤクン
「彼、ほんとにさっき会ったばかりなんですか?」

『ホデリ』 :『然り。だが………』

『ホデリ』 :『名を聞かず応じた』

『ホデリ』 :『その酔狂に裏表なくば、わたしにも相応の身の構えが要る………』

SYSTEM :
 さっき会ったのは本当だが、名も事情も聴かず伴行きに頷いた男を無下にしないという言葉。

 どちらかというと、そういう願望優先の“奇人”としか言いようのない所作に垣間見えたものに思うところのあった仕草にも思えたが、聞いたところで仔細を応えようとはしないだろう。

荻野目 旭 :……ふうん。

荻野目 旭 :なんとなく思い出したのは、いつか会ったろくでなし人間たちだ。あの人たちが使っていた仁義とかいうやつとか、まあ、なにか響くものが彼なりにあったってことなんだろうか。

荻野目 旭 :正直、“ラッキージンクス”へあんまり裏があるとは思ってない。ちょっと会ったばかりの子に死ぬほどなついていた子っていうのを見たのも、彼がそうなら二人目だし。

荻野目 旭 :「それは、うーん、なかなか幸運な協力者を引いたんですねえ。いやあ、運が良かったのか悪かったのかかな」

『ホデリ』 :
『如何ならむな。
 本当にそうと語るには、まだ兆しの域にあろう』

『ホデリ』 :
『幸運の徴であるというなら、………。
 いや、ぜいたくを語りかけた』

SYSTEM :ホデリは軽く顎で、あなたの触れたキーボードと、その向こう側のモニターをしゃくった。

荻野目 旭 :「そですね。あなたのことも彼のことも、まだ第一印象でしか判断してませんから。あなたもそうってわけですか」

荻野目 旭 :「お互い、彼からラッキーの分け前を貰えたらいいんですけど。……たとえば、目の前のこれとかね」

荻野目 旭 :かちかちと端末をいじる。要領はいつも使ってるやつと、そう変わらない。

SYSTEM :
 そうして通信を開始する。

 ………ところで。

SYSTEM :
.           オペレート
 木口龍が何の支障もなく通信を完了させたのは、
 あくまでも情報のダウンロードとアップデートに留めたからだ。
 ・・ ・・  ・   
 いつ、どこの、誰と、この島から繋ぐという状況を想定していない。

SYSTEM :
 そしてその状態ですら、
 彼が更新した情報は、不自然かつ唐突な情報追記と削除が繰り返されており。

 龍はそれを特に危惧にもせず、ましてや気にも留めなかった。
 良くも悪くも、自己完結する『データブレイン』の成せる業だ。

SYSTEM :
 何を言わんとしているかと言えば、
 これはそうした状況を想定した行いでは“ない”ということ。

 そして、あなた/旭の危惧と懸念と悪い予感は、大概の人間が『悪い予感だけ当たる』とぼやくように、今回もその例外ではないということ。

SYSTEM :
 ───通信直後のノイズと、僅かではない視界の乱れ。
 あなた自身の体調ではなく、空間そのものの揺らぎ。

SYSTEM :
 揺らぐ傍から、ホデリが意識的に展開した『ワーディング』が。
 まるで、テクスチャに楔を打つようにコレを縫い留める。

SYSTEM :
 画面に広がるモザイクのシグナル。

 モニターに時刻表示がもしもあるならば、
 それが有り得ない動きを始めた。

SYSTEM :

 数ヶ月前にデジタルの時刻が捻じ曲がって、そうかと思えば月日はそのまま1年先に動く。
 そういう目まぐるしい不規則な動きと、部屋そのものの妙な“乱れ”が起きて数十秒。

SYSTEM :
 ………幸いなことに。
 
 確かに、モニター越しに、通信は繋がった。

SYSTEM :
 少なくともN市に繋いだはずなのであれば、出て来た人物に驚きはするまい。

 上司に仮に繋いだとしていたら、本来そういう仕事をするようなのでもない男の面に、明日の島の天気を疑うところだろうか。

《───》 :
《───》

《───》 :
 ・・
《小僧か》

《───》 :
《今度は何に巻き込まれた?
 簡潔に言え。簡潔に返す》

荻野目 旭 :「あぇ」

荻野目 旭 :思わずひっくり返りそうになる。こういう時に出るには──ちょっと──だいぶ不釣り合いな声。

荻野目 旭 :
「ぼ──僕、霧谷さんにつないだはずなんですけど。
 もしかして……いつの間に霧谷さんのご家族に婿入りとかしました?」

《───》 :
《“リヴァイアサン”の苦労など何分の一でも御免被る》

《───》 :
《だが、冗談は宣えるようだな。
 簡潔に返す》

SYSTEM :
 思うにそいつは“にこり”ともする男ではない。
 
 ノイマンシンドロームがはしりでもある三種混合の所以か、
 ちょっとやそっとで驚くような人物ではなかった。
 
 普段から不機嫌な面ながら、
 衝動の都合かいざ命の奪い合いとなると躁的な面を露とする。
                      ・・・
 社会的な折り合いと言う意味ならば間違いなく不審者だ。

SYSTEM :
 おねえさん──名塚真というチルドレンが経験した『繰り返される電子世界の中での実験』の時、
 あなたは少々の焦りと共に、行方不明の彼女を探していた。

 当時、それを発端とした一件に居合わせたエージェントが、そいつだ。

“巌窟王” :

《───公的記録で行方不明だ。

 ずいぶん楽しい家出をしているな、小僧》

SYSTEM :
        モンテ・クリスト
 コードネームを“巌窟王”。
 名前をアベル・デュマ・フィス。

 十中八九偽名だが、本名は不明。
 繰り返すように、UGNの中でも珍しいが、珍しすぎることはない、経歴不透明の不審者である。

SYSTEM :
 つながった先は何故かそいつだ。

荻野目 旭 :「………………」

荻野目 旭 :
「……や、やっぱりぃ……」
 正直そんなことだろうとは思ったけど、『そうかな〜』と『やっぱりそうだった〜』は天地の差がある。最悪だ。がっくり。

“巌窟王” :
《現世の亡者に足を引っ張られたかと思えば、
 今度は何だ。常世でも覗いたか》

“巌窟王” :
《もう一度言う。

 公的記録で行方不明。
 20XX/09/XX。K市某校の修学旅行の折、正体不明の飛行機の所在不明に伴い、数名のエージェントと共におまえは消息を絶っている》

“巌窟王” :
       ・・・
《そしてそれが一年前だ》

荻野目 旭 :「いッ」

荻野目 旭 :「一年前!!!!???????」

荻野目 旭 :し……始末書……顛末文……事故報告……始末書……!!!!

“巌窟王” :
《………。
 認めたくない過ちが先ずそれか》

“巌窟王” :
《正直オレも本当に”おまえ”なのかを聊か疑いたくもあるが、
 その欠かさぬふざけた口振りを忘れられるほど手間をかけられた記憶はなくならんようだ》

荻野目 旭 :「僕もですう! 華の14歳をスキップして大人の階段上りたくありませ〜ん!!」

荻野目 旭 :「大丈夫です僕です“ナイトホーク”です、なんなら本物の証拠を並べましょうか! フィーネさんが雪乃さんのところに転がり込んだのは20XX/10/XXの天気がいい崖の上です!」

“巌窟王” :
《そもそも今どこの誰につないでいるのかさえ確かではないのだ。
 黄泉から這い出た手に捕まれるのは御免被る………が》

“巌窟王” :
《………その台詞、その記憶。
 まあよかろう。用意周到に真似る気だったのなら、それはそれでたわけた努力と褒めてやればいい話だ》

SYSTEM :
 一先ず彼の中で“その当時の記憶”の口振りは合点の行くものだったらしい。

 男とて正確に状況を呑んだわけではないようだが、此処から無下に会話を切ることはないだろう。

“巌窟王” :
《それで。こちらは簡潔に述べた。
 ”リヴァイアサン”にかけたつもりというのが個人的に不可解だが、そんなことを言えばおまえが今平気でコンタクトを取って来た今が不可解だ》

“巌窟王” :
《事情を話せ。行方不明後の、言える部分だけで構わん。
 言えばややこしい話は飛ばせ》

“巌窟王” :
《また、絶対にないとは思うし聞く気もなかろうが、“成り立て”などが生まれていた場合も飛ばせ。
 オレに情操教育の是非なぞ聞かれても困る》

荻野目 旭 :「無責任!」

“巌窟王” :
《………》

“巌窟王” :
《いたのか》

荻野目 旭 :「いました! というか『できちゃった』が正しいです──要点だけ絞りますからね!」

SYSTEM :
 彼の場合、返事がないということは肯定の意だ。

荻野目 旭 :
「九割半の確率で遺産案件です! 行方不明になる直前にあたっていた任務の僕含めたチームが護衛していた池田咲楽が無自覚継承者で、最悪の場合覚醒しちゃった子もそうです!
 行方不明だった“イリュシデイター”とイリーガルの”残骸”、および備品AIの“ブラザーフッド”と合流しています、
 死んだはずの大型RBが生き返ってジャームになって、
 漂着した島の中は時空がゆがんで大混乱です!
 三名と一体は最低でも生存しているのでお給料残しておいてくださいって霧谷さんとストックホルム支部の人に伝言お願いします!」

 とっても滑舌のいい早口で一息!

“巌窟王” :
《………………》

“巌窟王” :
《UGNイリーガル“残骸”は20XX/08/XX。
 UGNエージェント“イリュシデイター”、以下数名は同様》

“巌窟王” :
《“ハイウインド”、以下数名。
 またK市高校の池田咲楽もおまえと同時期》

SYSTEM :ぶつぶつとつぶやく話は、滑舌よく切り込んだあなたとは対象的だが、少なくとも“もう一度”とか辛辣かつ心無い意見が飛んでくることはなく。

“巌窟王” :
《どういうやり方で、いま此方と通信を繋いでいるのか定かでないが………。
                .レ ネ ゲ イ ド
 有り得ない話が起きた時は、まず現実に有り得ないものを疑う》

“巌窟王” :
《分からん部分は敢えて触れん。
 ………よって、有り得るもの、理解ったことのみ言及する》

“巌窟王” :
..     バロール
《そちらに空間系持ちはいるか?
     ・・・・・
 そいつが第一容疑者だ》

SYSTEM :
 時を歪める専門家以外に、年単位を跨いだ荒唐無稽をされたとは思えないし、思わない───。

 どうも彼はあなたの話を聞くなり、多少の時間をかけ。
 大型RBの蘇生や遺産案件などは“わからない”と早々に投げ捨てて、ここにだけ触れた。

SYSTEM :
 ………。

 誰ぞが言うには。
          ・・
 この島は、物の怪の妄執で出来ているという。

 そしてレネゲイドの中でも、特に物理法則や当たり前を破壊して我を通すのは、真っ当なオーヴァードではないものが常だった。

“巌窟王” :
《そして…可能ならで構わんが。
 もう一度通信をオレ以外の誰かにかけられる状況なら、そいつにも時刻を聞け》

SYSTEM :
【Check!】

 情報:リュウグウジマの外部状況 について開示を行います

SYSTEM :
【情報:リュウグウジマ】
 エフェクト:『時空の裂け目』+『Eロイス:虚実崩壊』+『Eロイス:傲慢な理想』×3

 リュウグウジマは、ジャームの持つEロイス『虚実崩壊』および
 何らかの副次的効果を多数加え、効果内容を変更したEエフェクト『時空の裂け目』で構築される。

 これによって内部・外部において時間の流れがきわめて異なっており、外部への通信は不可能、可能だとしても「いつ」に飛ぶかが定かではなくなっている可能性が高い。

 何らかの条件下においてのみ、ある程度狙って連続した「いつ」の流れに通信が可能となっているようだが、その条件は現在「『ホデリ』が製作した、時空の裂け目の内部」であること以外判明していない。
 
 データ上の脱出条件は「Eロイス所有者の殺害・消滅」もしくは「自主的な解除」となり、
 内部ステージでは特定条件下以外での情報判定が、また「内部と外部を行き来出来ない」ため購入判定が行えない。
 また、外部から内部に侵入する方法とその基準は「特定海域」以外の共通点は現在判明していない。

荻野目 旭 :「……ですよねえ……! 了解です!」

荻野目 旭 :誰でも疑う。僕も疑った。そのシンドロームを持つ、現地民のホデリさんが『そう』じゃないと判断してる理由っていうのは、ざっくり言えば彼が正気だからだ。

荻野目 旭 :
 ……アベルさんにも僕にも余計な情報は不要なので、もし求められたとしても彼の話は伏せておくけど。
 大事なのはホデリさんの言う『もののけの妄執』に、信頼できるUGNエージェントからお墨付きがもらえたことだ。

“巌窟王” :《合点が行ったか。結構だ》

“巌窟王” :
《オレとしては、見かけ次第殺っても構わんとは思うが、その辺りは“リヴァイアサン”の言葉でも借りるか》

“巌窟王” :
《現場で判断しろ。余分を行使したくばしろ。
 ・・・・ .    ダブルクロス
 やり残しはただでさえ半端者の我々にとって毒だ》

荻野目 旭 :「……! ……」

荻野目 旭 :
                 ・・・・・
「……わかってます! 僕は僕なりに、霧谷さんのUGNが大好きなのでっ」

荻野目 旭 :
「覚醒しちゃった女の子をおうちに返して、ついでに僕のやり残しも始末します!
 帰るのいつになるかわかりませんけど、浦島った僕がおじいさんのあなたの前に現れたらめちゃくちゃ褒めてくださいね!」

荻野目 旭 :「死ぬほど泣きますよ!」

“巌窟王” :
《ひと目は憚れ。忘れる前に顔を出せ》

“巌窟王” :
《………。
 
 遺産案件なぞ、オレとて初めて聞いた。
 念のため言うが、何が起きても驚き過ぎるなよ》

“巌窟王” :
《覚醒したてか、して暫くか。
 どちらでも、餓鬼は。誰もが雪乃のように聞き分けの良い者でも、受け入れの早い者でもないぞ》

SYSTEM :
 意訳は、覚えておいてやるので精々気張れ、でいいだろう。

 彼は基本、言葉選びが迂遠な男だ。

荻野目 旭 :…………。

荻野目 旭 :いろいろこみあげそうになってきたので、すごくシリアスな顔をつくる。まだ大丈夫、まだ大丈夫、仕事中、仕事中、僕は冷静沈着なチルドレン。

荻野目 旭 :
「……僕も、さすがにフィーネさんと雪乃さんの卒業式には帰りたいです!
 いま護衛してる子の青春投げっぱなしにするのも、さすがに気まずいですしね」

荻野目 旭 :
「とにかく、そういうわけです。
 実は体感だと遭難一日目なので、次に連絡したとき、僕目線明日の霧谷さんとか支部長なんかに繋がってる可能性は考慮しておきます」

荻野目 旭 :
「……正直功を奏するかはかなり微妙ですし、アベルさん的に今更かもですけど、巻き込まれた一般人へのケアもよろしくお願いします!
           アナタキジュンノジカン
 万が一おうち帰れたら一年後帰還だったときとか、ちょっと悲惨ですからっ」

“巌窟王” :
《………精々善処はする。
 無理難題を言われるのは初めてでもない。

 恐らくはそうなるが、そうでなかった場合の時、帰還直後に新しい火種が増えても誰のためにもならん》

SYSTEM :
 それ以外に何か聞くこともない。
 少なくとも『島』に関する仮説は、これで随分と鵜呑みに出来る情報にはなった。
 ・・・
 物の怪とやらを探す理由もだ。

 …通信終了と相成る、いざその段階。

SYSTEM :
 こん、こん。と。
 戸を叩く音。

“イリュシデイター” :
「“ナイトホーク”───」

SYSTEM :
 恐らくは今後の捜索分担や、先んじて周囲観察に出向いたものの報告・相談のために、いまあなたが此処にいると聞いて来たのだろう。

SYSTEM :
 それと全く同じ頃合い。

 戸越しに、通信音声が響く状況で。

“巌窟王” :
《以上だ。
   ・・
 次も此処に掛かるとは思えん。
 精々、その都度オレを納得させろよ》

“イリュシデイター” :
「───。──────」

SYSTEM :
 ………何の変哲もない別れの挨拶。
 あなたにとっては聞き慣れた言葉。

 気付いたか、気付くまいか。
 戸越しの女には、それがどうも“違って”聞こえたようだった。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
[イニシアチブプロセス] 

SYSTEM :

[1-5] [2-5] [3-5] [4-5] [5-5]
 ?  ?  ?  ?  ?
[1-4] [2-4] [3-4] [4-4] [5-4]
 ?  ?  ?  ?  ?
[1-3] [2-3] [3-3] [4-3] [5-3]
 ?  ?  ?  ?  ?
[1-2] [2-2] [3-2] [4-2] [5-2]
 ?  ?  ×  ?  ?
[1-1] [2-1] [3-1] [4-1] [5-1]
 ?  ?  ○  ×  ?

○:青マーカー
×:赤マーカー
☆:イベントマーカー
?:?マーカー

SYSTEM :
 イニシアチブプロセスを開始します。
 選択可能な箇所を確認後、各自の行動決定をお願いします。

三廻部 颯 :
えっと……[4-1]を選択します。

GM :畏まりました。

SYSTEM :
【Check!】
 移動先を確認しています...

“イリュシデイター” :
 では、ああ言った手前、昨日の今日に一人放り出すわけにもいきませんね。
 三廻部さんについて行くつもりです。“ナイトホーク”、よろしいですか?

荻野目 旭 :お願いします! まずそうだったら僕も顔出しますんでっ

“イリュシデイター” :はい。お互い、アクシデントがありすぎないよう祈っておきましょうか。

三廻部 颯 :おねがいします。

荻野目 旭 :了解で〜す! 僕もがんばりますよ〜

“イリュシデイター” :こちらこそ。無責任は言いませんが、何とかならないとは言いませんよ。

SYSTEM :
【Check!】
 移動先を確認しています...

荻野目 旭 :では、僕は……問題の、戦闘がある場所に行きますよ! 3-2です!

”朧の狩人/残骸” シホ :同じく、ワタシも3-2の戦闘に赴こう。

久外境耶 :おれも混ぜろよ 3-2行くぜ行くぜー

木口龍 :更に上に同じく。3-2だ。

『ホデリ』 :用心を怠るでないぞ

SYSTEM :
【Check!】
 移動先を確認しています...

SYSTEM :
【Check!】
 移動先を確認しました。
 メインプロセスに移行します。

SYSTEM :[メインプロセス]

SYSTEM :
[メインプロセス・確認]

 颯:4-1/通常判定
境耶:3-2/特殊判定
 旭:3-2/特殊判定
シホ:3-2/特殊判定
 龍:3-2/特殊判定

   ホデリ:待機/行動不可
タイガーアイ:待機/行動不可
   ノエル:4-1/行動可能

SYSTEM :
【Check!】
 判定:[4-1]を行います。
 判定対象者:颯、ノエル

 進行/〈肉体〉〈RC〉:10
 支援/〈知覚〉〈情報〉:6

SYSTEM :使用する判定を宣言後、判定を行います。

三廻部 颯 :<肉体>で判定をします。

三廻部 颯 :心許ないので、支援判定がほしいです。

“イリュシデイター” :了解。こちらから先に《情報》で振りましょう。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

“イリュシデイター” :5dx 〈支援判定:情報〉 (5DX10) > 10[3,4,7,10,10]+9[4,9] > 19

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。
 進行判定に[+3]のボーナス修正を加え、
 そのまま進行判定を行ってください。

三廻部 颯 :ありがとうございます。それじゃ…

三廻部 颯 :3dx+3>=10 <肉体> (3DX10+3>=10) > 2[1,2,2]+3 > 5 > 失敗

GM :おっと…これは…

三廻部 颯 :……

三廻部 颯 :ど、どうしよう…

GM :…(おもむろにキャラシートを確認する)

GM :…(ちら…とこの場にいないもののキャラシを読み始める)

荻野目 旭 :……。………。

荻野目 旭 :……《ハンドリング》で登場して、《妖精の手》を使用してもいいですか?

GM :よろしい。判定となると流石に難色を示しますが…

GM :回数含めたコスト支払いとあらばいいでしょう。侵蝕お支払いのち、妖精の手による再判定をお願いします。

三廻部 颯 :ごめんなさい…

荻野目 旭 :ふっふっふ……ミドル一発目で尽きる妖精の手! 楽しくなってきましたよ

荻野目 旭 :おそらきれい

“イリュシデイター” :まさか舌の根乾かぬうちに頼る羽目になるとは すみません 

三廻部 颯 :うああ〜〜

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 49 → 53

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 53 → 54

system :[ 荻野目 旭 ] 妖精の手 : 1 → 0

GM :では、妖精の手適用後………具体的に言うとたぶん[1dx+13]で再度判定をお願いします。

三廻部 颯 :はいぃ…

三廻部 颯 :1dx+13 (1DX10+13) > 6[6]+13 > 19

荻野目 旭 :ストップです、追加でエンブレム《バディムーヴ》を宣言します。

荻野目 旭 :判定結果にさらに+3してくださいね。

三廻部 颯 :22!

“イリュシデイター” :ずいぶん手を借りましたね。手がかりの一つでも見つかれば良いのですが。

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

プライズ:0⇒3

SYSTEM :
【Check!】
 プライズが規定値に達しました。

SYSTEM :S1d7 プライズイベント決定 (1D7) > 7

SYSTEM :
【Check!】
・プライズイベント(7)が発生

 上記達成により、トリガーシーンが発生します。
 対象者:颯、旭

SYSTEM :

SYSTEM :◇ ◆ ◇


プライズシーン7

SYSTEM :
【プライズシーン7】

 登場PC:三廻部 颯、荻野目 旭
 登場侵蝕:あり

SYSTEM :
Tips-ファルスハーツ
.   パブリックエネミー
 広義、社会の敵。
 略称は「FH」。

 レネゲイド解放以前から存在し、レネゲイドを知る者達であり、
 レネゲイド解放以後から激増したオーヴァードたちによって組織規模を拡大した。

 目的の根幹は不明───なれど。
 中核となるリエゾンロード以外にとって、組織のお題目など至極どうでも良い話。
 末端の手足と脳の思惑が異なる歪ささえ容認するこの組織において、
 何より欲望という言葉が正当化される。倫理、手段、在るべきものに背を向けて。

 闇に蠢く背徳者たちのみを肯定する彼らに、味方はいない。
 今日の味方は、明日の味方ではない。

GM :登場侵蝕をどうぞ!!!(さわやか)

荻野目 旭 :あれえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜????????????

三廻部 颯 :(ちら)

荻野目 旭 :1d10 (1D10) > 10

荻野目 旭 :あれえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜????????????

三廻部 颯 :1d10 (1D10) > 5

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 54 → 64

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 57 → 62

SYSTEM :
 さて………。

 軽く見て回った島の環境について、改めて此処に記しておくことがある。
 少なくとも颯からしてみれば四六時中迷子で、誰も彼も逸れていったこの島だが、良くも悪くも途方に暮れたその足が───あの廃村から出た先、この島の“つくり”について、少なからず理解を深め始めていた。

SYSTEM :
 島はある程度の距離ごとに、不自然に雰囲気を変える。
 現実ならば有り得ない繋がり方───例えば四方山に囲まれていた隠れ里めいた気配を醸し出していた廃村から、少し距離を取ってみれば、その山の姿など欠片も見えなかった。
     ・・・
 ………曰く物の怪の島。
 これでは何も知らず、普通に歩き回った結果が迷子になるのもむべなるかな、だ。

 上樹や山田さん等も、そういう理由で逸れたのかもしれない。

SYSTEM :
 次に島の形状は、そこらの孤島からイメージされるものよりかはずいぶん険しい。
 何処からどこまで人の手もついていない/つけようのない場所だからなのか、その分、人の痕跡ははっきりと付いていた。

 眼前に広がる渓流を横切って数刻。
 もう、多少のことで歩き疲れるほど柔な身体ではないが、それを差し引いても“ちょっと”手間だった。

“イリュシデイター” :
「………とはいえ。
 流石に舌の根乾かぬうちに世話になるとは思いませんでしたが」

SYSTEM :
 頼りない大人でごめんなさいね、と颯に苦笑いした後、彼の“動物”にイリュシデイターが声をかける。

 まるで島自体が意思持つかのような自然の洗礼に、颯は当然としても、彼女も戸惑ったのか。あるいは、何か“万全でない”理由でもあったか。

 あわや迷いかけるところだったことだけを留意しておこう。

三廻部 颯 :
 ……壁とか、邪魔なものをすり抜けて移動できる。
 かくれんぼの時に欲しかったな、なんて思うのは楽観のしすぎだろうか。
 勝手が違いすぎるから、もたついてしまった。

「お、お荷物なのは私の方ですから……!」

 というか、鳥……?

荻野目 旭 :“イリュシデイター”の肩に留まったワシが、人間味のある笑いを零した。

荻野目 旭 :『──まあまあ、慣れない場所で勝手が違うことは仕方ないんで。僕もフォローが間に合ってよかったですよ』

荻野目 旭 :
    アサヒ
 鳥が、僕の声を出す。
 オルクスの力の賜物で、僕の端末をここまで飛ばしてきているわけだ。
 コードネームの由来もこれだったりする。

三廻部 颯 :
「わぁ……びっくりした。
 そんなこともできちゃうんだ……」

荻野目 旭 :『実はそうなんです。こういうのできるから、偵察とかあれとかそれとか得意なんですよね』

荻野目 旭 :『僕はオルクスっていうシンドロームを持っていて、僕が「僕の陣地」だって決めたものをある程度好きに動かせるんですよ。この仔はそもそも僕が創ってるんで、実質動く僕の陣地ってわけです』

三廻部 颯 :
「……なんだかおとぎ話みたい」

 鳥を創るっていうのもびっくりだ。

“イリュシデイター” :
「最初から外側に自分の力を向けることが多いシンドローム………能力であることが殆どです。
 他のオーヴァードの助力なんかは得意な傾向がありますね」

三廻部 颯 :
「……あ、そっか。
 だからえっと、あの……ドラゴンの戦いの時に……」

“イリュシデイター” :「ええ。………御伽噺だったなら、さて、旭くんの役は何でしょうね」

SYSTEM :
 軽口ひとつ後、肩に乗る鷲へ“ありがとうございました”の礼。
 少なくとも、フォローが間に合う直前の、少しらしくない気の迷いのようなものは彼女になかった。

荻野目 旭 :『ふふふ、コードネーム的にはお星様になる鳥なんですけど! ちょっと格好良すぎるんで、もうちょっと黒くなって導きの鳥さんとしましょう』

荻野目 旭 :
  よ だ か
 ナイトホークってわけだ。燃え尽きるのは、ちょっといまは縁起がわるいしね。

三廻部 颯 :
「かっこいいな…」
 素直な表情。

SYSTEM :
 ………そうした「一定範囲ごとに切り替わる景色」に区切りをつけるならば。
 この渓流についても一通り、何処を通ればどこに出るのか、何があるのかの判断はついた。

 戻って来ること自体は、ホデリの───。
 島を識る生き物の力を借りれば、どこでも容易く済むことは、先んじて調査に行った時に把握済みだ。
 定期的に戻り、探索箇所を広げ、その繰り返しで、どうにか行方不明の同級生を探す、前途多難の道の始まりくらいにはついたと言える。

SYSTEM :
 そんな中………。

“イリュシデイター” :
「───待った。
 ここから少し離れますが、足音です」

SYSTEM :
 まず、片側においては少なくとも『音』に一家言あるハヌマーン・シンドロームの持ち主が。
 続いて把握しようとすれば、すぐに颯や旭も。無用心なのか、周囲に“警戒先”がいないからなのか。
 草を踏み分ける微かな音が、渓流の向こう側、木々生い茂る暗闇の中にあった。

SYSTEM :
 ………間違いなく獣の足音では“ない”。

 ついでに言うならば、“蝕みの君”はもう隠れようとて隠しようがない。
 アレが空を飛べば、どんな位置でも何をしているかがわかるだろう。

三廻部 颯 :
「ほえ……、あっ」

 身構える。
 

荻野目 旭 :『……ホントだ。三廻部さん、気をつけて』

三廻部 颯 :
「う、うん……」

 いつでも砂を操れるように。
 指先に少しだけ意識を置く。

SYSTEM :
 ………身構えるが早いか、遅いか。
 その足音が、ふっと止まる。 

SYSTEM :
 そして、再び動き出す。
 ───それも最初のものより聊か以上に早め。理由は言うに及ばない。
 何をしているのかも、同じく語るに及ばない。

SYSTEM :
 これはあなたたちに近付く動作ではない。

 あなたたちを確認し、何かを厭って“離れる”動作だ。

“イリュシデイター” :「少なくとも、知り合いではなさそうですね」

SYSTEM :
 意図の読めない誰かの動作に、彼女は其方の方角を見た。
 そう遠くには行っていない。恐らく追い付こうと思えば、遭遇しようと思えば、すぐにでも遭遇出来るだろう。

SYSTEM :
 この場の面子以外の、この島を先にふらついていた”だれか”だ。

荻野目 旭 :『──ちょっと待ってください、先に様子見てきます』

三廻部 颯 :
「え、あ、うんっ」

三廻部 颯 :
「同級生、だといいな……」

“イリュシデイター” :
「分かりました。何かあればワーディング………。
 は、少々どころでなく後を引きますね」

“イリュシデイター” :
「こちらは状況が動かない限り待機しておきますが、気を付けて」

荻野目 旭 :『オッケーです。僕の体にもフィードバックあるんで、無茶しないようにしますよ』

荻野目 旭 :言いながら、潜んで飛び上がる。音の方向へ。

“イリュシデイター” :「………」

SYSTEM :
 同級生だといいな、という言葉に。
 イリュシデイターの名を冠したエージェントは、まず相槌以上の声を掛けなかった。
 ただ彼女に視線を向け、耳を澄ませ、空や死角からの襲撃がないかを見守りながら………。

“イリュシデイター” :「見つけますよ。順番が違っても、きっと」

SYSTEM :それはある意味自分の境遇を分かち合えない、旭を除いて友達と“独り”はぐれた少女への、意識的な気遣いだった。

三廻部 颯 :
「……はい」

 表情は暗いまま。 
 だけれど、声色は幾分か前向きだった。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………そして結論から言えば。
 ・・・
 そいつは、断じて颯の期待していた人物ではなかった。

 これは考えればわかることだが、颯の姿を見てやって来ない同級生はいない。
 才人とて流石に「大丈夫そうだからいいか」と見放しはしない(というか自分が大丈夫じゃない)だろうし、赤城ですら気まずさよりも顔見知りを優先するだろう。

SYSTEM :
 草むらをかき分け、木々の中に入り。
 物音の主の後姿を見つける。

 その瞬間───。

〈──〉 :
「───」

SYSTEM :
 オルクス・シンドロームの持つ領域の因子が、
 奇しくも同種のシンドロームに”ぶつかった”と互いに分かった瞬間。

 後ろ姿からして華奢な女の、渾身の舌打ちが響いた。

SYSTEM :
 続いて溜息。草木の向こう側の鷲を一羽目敏く見つけ、睨んでいるのか困っているのか、フード越しには定かでない女/恐らく10代後半の面持ちは、淡々とした口ぶりで、あなた/旭に声をかける。

 片腕を伸ばし。
 オルクスの領域範囲内に“そいつ”を捉えた臨戦態勢で。

“ミッドナイト・アイ” :
「………。
 ゆっくり降りてきて。5秒」

“ミッドナイト・アイ” :
「YES以外の選択肢出すか、
 後ろ向いたら撃つ」

SYSTEM :
 ───結論から言えば。
 
 そいつは少なくとも、この場の誰も存じ上げず。
 この場にいない唯一1名にとっての『探し人(ついで)』であった。

久外境耶 :見つかってんじゃねーか!出るわ

GM :承りました。改めて出るタイミングに…

GM :この[1d10]をどうぞ。(目敏い)

久外境耶 :おう!

荻野目 旭 :
 ──領域がぶつかった。
   互いに広げなくても伝わる気配で、相手もオルクスだとわかる。

荻野目 旭 :
『…………』

 UGNじゃないかな。
 “イリュシデイター”の話を聞くに、同行したエージェントにこういうタイプはいなかったと聞く──

荻野目 旭 :
  と り
 ……花媒鳥の体が撃たれる前にアクションしてから、境耶君に一度共有しよう。
 まあその前に、こっちが死なないように立ち回らないとな。
 最低でも理性はあるみたいだし、交渉は通じるといいんだけど。

荻野目 旭 :
『……危害を加える意思はありませんよ。
 言うとおりにします。ホールドアップです』

 鷲の嘴から少年の声──すなわち僕の声を出しながら、言われるがままにゆっくりと降りる。
 一定の距離を保って慎重に。

SYSTEM :
 要求通りに降りて来た鷲が、
 想像通りの対話のテーブルに着くのを確認。
 
 顔色一つ変えなかった女が、それに眉を顰めたのかどうかは。
 平常心の仮面を被るのが“お上手”な優等生からは計り知れない。
 少なくとも、その一定距離を保つ所作さえ気に入らないと、領域内に訴えかけて地面やら樹木やらが牙を剥くような絵面は免れた。

SYSTEM :
 まず間違いなく、UGNの出ではない───とも言い切れない。
. ヒト
 日常を知らないチルドレン。
 そこにあるのは『ホーム』で過ごすか、蟲毒で過ごすかの違いだけ。
 先天的に生まれた力の持ち主同士で触れ合うか、蹴落とし合うか。

 例外はあれども、マジョリティはそのようなものであり。
 眼前の10代後半がマイノリティに該当するとは思えない。

SYSTEM :
 その上で、間違いなくではないにせよ。
 UGNの出ではないと認定したあなた/旭は正しい。

“ミッドナイト・アイ” :
「ふうん………まともに話聞くじゃん。
    アッチ
 やっぱUGN育ちか。めんど………」

“ミッドナイト・アイ” :
      ナカミ
「まいいや、本体出して。
 さっき見た。ほかにツレいたでしょ。
 オネガイ
 交渉あるけど、決裂した後が面倒そうな顔してるのいたから」

荻野目 旭 :
     ソチラサン
『あなたがFHなことも、正直よぉくわかりました』

荻野目 旭 :
 だけど、交渉のテーブルに着こうとしている。
 彼女はひとり、僕らは三人。武器の引き金を引かず、いやいやでも会話に持ち込もうとするのは不利な方と相場が決まってる。

荻野目 旭 :……だけど──

荻野目 旭 :『それはかまいません。かまわないんですけど、僕も先にあなたに確認しておきたいことがありますね』

荻野目 旭 :『あなた、遭難したほうですか? それとも、そうじゃないほうですか?』

“ミッドナイト・アイ” :「………」

“ミッドナイト・アイ” :「連中のこと『そうじゃない方』認識なんだ」

“ミッドナイト・アイ” :
「それ確認したってことは何。
 遭難したオトモダチが他にいる系? どこでもグループ単位じゃんそっち」

荻野目 旭 :……。…………。

荻野目 旭 :うーん、ビンゴかもしれない。話の通じる人でよかったかもだ。

荻野目 旭 :もし違ったら、境耶くんにはゴメンネ♡言っちゃいました♡で許してもらうとしましょう

荻野目 旭 :『……連中はやりたいことがあってここに来ているでしょ、たぶん。そういうことなら話は早いです』

荻野目 旭 :『……今“ラッキージンクス”と共同戦線を張ってます。僕の本体は彼と同行しているんですけど』

“ミッドナイト・アイ” :「は?」

荻野目 旭 :
『どうしますか?』
            ひとりでなんとでもできる
 こちらのカードは、彼ぐらい打たれ強い人間がわざわざ誰かとつるんでるって事実。
 しかもUGNとだ。お味方さんどころじゃない。
 それを彼女が「捕虜にさせられてる」と取るのか、ホントに言葉どおりの意味だと取るのかは彼女しだいだ。

SYSTEM :
 誰の名前が出たとて淡々とした口ぶりを続けたのだろう彼女だが………。
    UGN
 どうもあなたの口からその名前がするりと出ることに対しては、どうも想定とは少し違ったらしい。

 気のせいでなければ一瞬鋭い殺気が、華奢で浮いた服装の少女の虚から露になり………それがすぐに収まる。

SYSTEM :
 ………どういう感情の動き方があったのかは定かではない。

“ミッドナイト・アイ” :
「………じゃあその“ラッキージンクス”。
 面出せる?」

荻野目 旭 :……僕らのデメリットは、敵の敵ってだけで手を組んだ彼が、手数を得てどうするかがまだ未知数だってこと。

SYSTEM :
 補足しておくなら。
 そのままラッキージンクス“だけ”を連れてご対面などしたなら、このよくわかるFH育ちがどういう行動をとるかは想像に難くないだろう。

 最も、それに対して“ラッキージンクス”こそ、どういう行動を取るのかは不明瞭なところがあるが………。

荻野目 旭 :『いいでしょう』

荻野目 旭 :『だけど、僕のトモダチと一緒にご対面ですよ』

“ミッドナイト・アイ” :「…妥当」

SYSTEM :
 口振りとは裏腹に堂々と舌打ち一発。

 別に隠す必要もないと判断したのか、
 素で気の短い方なのか。

“ミッドナイト・アイ” :「まあいいよ。とりあえず、本人の弁解聞くし…」

“ミッドナイト・アイ” :「しょうがないけど数倍マシかな」

久外境耶 :そろそろ追いついていいだろ。シーンに出るぜー

GM :了解しました。では…

GM :1d10をどうぞ

久外境耶 :1D10 (1D10) > 7

久外境耶 :グエ

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 51 → 58

荻野目 旭 :動揺してますよね? ね?

GM :そのようなこともありけり

SYSTEM :
 ………結局。
 ナカミ
 本体出して、の要望に思わぬ返答を返された彼女の理解は少なくとも得られたらしい。
 もともと“イリュシデイター”が待っていた合流ポイントへ踵を返し、訪ね人とのご対面というかたちで話が纏まった。

久外境耶 :
「お、ラッキー。マジで生きてんじゃん」

 苔むした岩場から岩場へと移り、着地で折り曲げた膝を伸ばす。駆けつけた甲斐もあって、赤毛のFHらしきオルクス女は生き別れの部下その2で正解だったようだ。

久外境耶 :
「よう、見つかっちまったなミッドナイト。クソガキだったろ、こいつ」

 隠れ家からこっち、肩に担いできたご所望のナカミを降ろして、声に違わぬこまっしゃくれたツラを顎で指す。

荻野目 旭 :せ゛か゛い゛が゛ま゛わ゛る゛……

荻野目 旭 :きゅう。

久外境耶 :弱っ

荻野目 旭 :儚い生き物なんですぅ

久外境耶 :だから自分で言うかよ……

“ミッドナイト・アイ” :
「ほんとにいる………。
 何してんの? 何考えてんの?」

“ミッドナイト・アイ” :
「まあでも、ついでに言うなら………。
 よくクチ利く前にグーしなかったね。
. おはこ
 同調圧力食らったの?」

SYSTEM :
 などと言いながら、合流直後の二人───心なしか“イリュシデイター”の表情は少し張り詰めた───を軽く顎でしゃくる。

 どうも意図は分かっている半分、予想下回るかも半分と言ったところで、口振りも冗談半分の様子だ。

久外境耶 :「マジでな」ややウケ。こうなるとは思わんフツー

久外境耶 :「つうかクチ利けない相手にグーされてたときの縁? どっから話したもんか……」

久外境耶 :
 ……。
 いやまあ、いいか。まんま話そ。

 森ん中を強引に突っ切ったが、着いてこれてるはずのホデリを示す。

「おれ、こいつのハナシに乗ったから。

 仕事もあるし、連中と手組んだほうが効率いいっぽいんだよ。よく言うだろ、敵の敵は今んとこ味方って」

“ミッドナイト・アイ” :「は?」

SYSTEM :
“ミッドナイト・アイ”/本名不詳は同伴していた、遅れて姿を現した白い狗を見た。

『ホデリ』 :『見世物ならぬぞ』

“ミッドナイト・アイ” :「…」

SYSTEM :
“ミッドナイト・アイ”/本名不詳は同伴していた、喋るとは思っていなかったものの『シークレットトーク』と思しき音の波紋に目を顰めた。
 より正しく言うと、理由が、直球で「こいつ気に入りました」だという現実に目を顰めた。

“ミッドナイト・アイ” :
「………まあ確かに。
 ウチの全体家訓。私欲歓迎、自己責任」

“ミッドナイト・アイ” :
「今んとこ味方ってのは覚えとけばいいし、“コイツ”っていうのが探し物するのにいちいち困らせてくれるような生物じゃないならいい」

SYSTEM :
 あと序でに、と区切った辺り、
 彼女的にはこれが一番大事らしいのだが。

“ミッドナイト・アイ” :
「『リュウグウジマ』探しで遭難して日和った発言でもなさそうだし………。
 じゃあいいや。言うことない。前言撤回ナシ、数倍マシ」

SYSTEM :
 手を組んだ理由がなし崩し的な弱気だったかどうかを本気で気にしていたらしい。

 これで旭がラッキージンクスの名を出した時、僅か感じ取った殺意の理由はハッキリした。
 本当に捕虜方向だった、または『潜在的敵』に絆されました/本人からその距離感のカドを取っていた場合───この涼しい顔した世俗離れのチルドレン(推定)は、すぐにその可能性を薄いと切って捨ててはいたようだが、即座にそういう行動に出るつもりだったというだけのことだ。

“ミッドナイト・アイ” :
「いちお浦島太郎やってる間はそっちがボスだし。飽きたら分かるように教えて」

SYSTEM :
 ひとまず当人の中では、再三繰り返した“まあマシ”でケリもついたらしい。

“ミッドナイト・アイ” :
「“ミッドナイト・アイ”。コードネーム」

SYSTEM :いまのが自己紹介だったのだろう。本名、素性、目的全部口を閉ざして、“とりあえず敵の敵は味方でいいなら”を良しとしたようだ。

久外境耶 :「さ〜っすがァ! 話が分かる女は良い女だぜ」

久外境耶 :
 とりあえず"あのあと"起きたことはざっくり共有。やりあった敵連中のハナシと横取り任務はUGNと競合しないコトはミッドナイトのほうが大事だろ、タブン。

久外境耶 :
「で、そこの辛気くさいのが成り立てな。いびんなよ〜。つかもう死にそうなツラしてんな」

“イリュシデイター” :
「ではその機敏が分かる程度の気遣いは
 あなたもしてあげてくださいね」

三廻部 颯 :
“イリュシデイター” に身を寄せる。

“ミッドナイト・アイ” :
「………」

久外境耶 :オカーチャンかよ

“ミッドナイト・アイ” :
シンドローム
「戦力は?」

荻野目 旭 :近所のオネーチャンぐらいじゃないですかね

“ミッドナイト・アイ” :
「使えなかったら触れないし…別に何考えて何しようが興味ないから安心していいよ。そっちにとっての私が何かはそっちで決めて」

久外境耶 :「お優しいコトで」

三廻部 颯 :
 手のひらを少しだけ地面に向ける。
 川沿いの小さな礫や砂が浮かび上がり、その手の周囲を巡っている。

“ミッドナイト・アイ” :「そっちは随分構ったんだ」

久外境耶 :「かるく嫌われる程度に」

“ミッドナイト・アイ” :「さっきの理屈で続けるなら、つつきすぎて羽むしんないでよ」

SYSTEM :
 とは言いつつも別に止める様子がない辺り、確かに“お優しい”で問題ないだろう。
 続いて彼女は、”イリュシデイター”の傍に寄った颯の微かな自己の意思表示を確認。それがモルフェウスに類するものだと分かると、淡々と口を利き始めた。

“ミッドナイト・アイ” :
      モルフェウス
「………ああ、物質形成か。
..きらわれもの
 化物一直線のキュマイラ辺りじゃなくて良かったね」

三廻部 颯 :
 曖昧な表情。

SYSTEM :
 曖昧な表情に彼女が何か口出しをしようとしたところで、インターセプト。

“イリュシデイター” :
「………此方の事情について共有したところですが、其方もわざわざお願いの一つや二つしたい事情もあるのでしょう。聞かせて貰っても?」

SYSTEM :
 ………どうも次に発するだろう言葉を何となく察したからだろう。
 その様子に、軽く“ミッドナイト・アイ”が境耶の方を見る。

“ミッドナイト・アイ” :
「そっちのガキんちょならまだしも、
 よくこっちとOK出したね。肩凝らない?」

荻野目 旭 :合理的な判断とほめてくれてもいいんですよ

“ミッドナイト・アイ” :クソガキって言ったのにもいま追加で賛成

荻野目 旭 :きこえな〜い

久外境耶 :だろ、こっちのが万倍凝るわ

“ミッドナイト・アイ” :納得

久外境耶 :
「お願いつってもな。マジで物の怪退治っつー段階になったらおたくら無視できないだろ」道連れヨロシク

久外境耶 :「……あー、でもそうだな」

久外境耶 :
    UGN
「べつにおまえら連れて合流する気なかったからよ、ミッドナイトが先に見つかったのは想定外なわけ。ついでだしもう一人も探すの手伝ってくんね?」

荻野目 旭 :「……あなたの戦闘スタイルからして、ひとりじゃないことは想定してましたけど」

荻野目 旭 :「あと三人……ああええと、たしか四人ですか。うーん」

荻野目 旭 :「あなたがホデリさんでその人説得できるなら、まあ。どうなんですか? そのあたり」

久外境耶 :
「知るかよ! あっちが納得しねーなら楽しくお別れ会だ」

久外境耶 :
「ま、大丈夫だろ。なんせあの"パラディン"だ、いくらか融通は利くだろうよ」

荻野目 旭 :「は?」

荻野目 旭 :「……パラ……なんて?」

“ミッドナイト・アイ” :「ああ…普通に言うんだ」

三廻部 颯 :
「……?」

久外境耶 :
「だから"パラディン"だよ、おたくらのほうが知ってるだろ」

 そりゃ言う。裏で探すよか効率的だし、第一そういうのは性に合わん。

荻野目 旭 :パッッッッッッ────!

“イリュシデイター” :「………“パラディン”………」

SYSTEM :
 イリュシデイターの眉が少し下がる。
 首を傾げた颯に、それから小さな声で。

“イリュシデイター” :
「………“パラディン”。
 またの名前を、的場啓吾」

“イリュシデイター” :
「かつてUGNの日本支部に所属していましたが、不慮、もしくは過失と呼ぶべき事故で家族を失って………」

荻野目 旭 :「……ノエルさん」

“イリュシデイター” :「………、すみません。らしくないことを」

荻野目 旭 :首を振る。

久外境耶 :
            ・・・・・・・
「そうだぜ、気にすんな。よくある話だろ?」

“ミッドナイト・アイ” :「よくある話の、よくある続き………ね」

荻野目 旭 :「──だからってフツウの女の子の前でする話じゃないです、マナー違反です。的場さんのことは会ってから考えませんか」

荻野目 旭 :早口で話を切ろうとする。……動揺が滲んでることは否定しないけど、これもホンネ。

SYSTEM :
 思うところあったのか饒舌な“現在のボス”の言葉に軽く付け足した当人も、他意は特にないのだろう。
 その発言を聞くや否や、さっと口を止めた。

 良くある話の、良くある続きだ。
 ・・・・・・ ・・・・・・・・
 喪った繋がり/独りになった現実を、
 まともな手段では取り返せない男の。

久外境耶 :「ヘエ。ま、いいけどよ」

久外境耶 :
「二人揃って先延ばしは不味いんじゃねえの」

 颯に視線を投げて、こっちからはそれで終わってやる。

三廻部 颯 :

 旭くんの滲む動揺を見て、見え隠れする程度に拳を握る。
 UGNとFH、どちらも信を置くにはまだ難しい。
 けれど今のいっぱいいっぱいな状況で、少なくともまだ前者には寄りかかれる。

 ……それが揺らぐのが怖かった。

三廻部 颯 :
「……耳、塞いでおけばいい?」

久外境耶 :「そうしたいならな」

久外境耶 :「いいんじゃねえの。お似合いだぜ」

三廻部 颯 :
 視線を逸らす。
 颯はゆっくりと、両手を自分の耳に持っていこうとして──

荻野目 旭 :「……三廻部さん?」

荻野目 旭 :「僕は、あなたの前で『誰かが死んだ』って話をしたくないだけなんです」

荻野目 旭 :「……僕らにとっては日常だけど、あなたにとっては違うでしょ?」

荻野目 旭 :
「僕はあなたがどう考えるかを制限したくないし、止めもしません。
 うちのセンシティブな話の象徴みたいな人がここに出てきてるみたいなんで、なお気まずいんですが──」

荻野目 旭 :
 ・・・
「僕らの都合で、あなたが耳を塞ぐ必要はないと思います」

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
 両の手を下げる。
 苦しいことだらけで、ずっと辛いし、
 情報を耳に入れることすら痛いけれど。

 多分、逃げちゃいけないんだと思った。

「わかった──じゃあ、塞ぐのやめる」

SYSTEM :
 その様子を、どうにも“パラディン”の名か経緯に思うところのあった“らしい”女は、年下の少年の振る舞いに嘆息ひとつ。

“イリュシデイター” :
「はい。………すみません。
 今のは、我ながらすこし軽率でした」 

SYSTEM :
 とはいえ口にした事は事実だ。
 今までの台詞も。
 そして推定、動転からか“虚偽は言うまい”として、肝心要の部分──颯がついこの間まで普通の子供だった──を頭から除いて、肝要な部分を言い切った台詞も。

SYSTEM :
 ところで、それはFHの小僧小娘には関係もないこと。
 唯一これを今の今まで黙って聞いていたホデリも、また何か思うところがあったのか瞑目し………

『ホデリ』 :
『誰とて思うことは同じか………』

SYSTEM :
 意味を聞いたとて決して応えない言葉を残し───残そうとした瞬間。

“ミッドナイト・アイ” :
「じゃあこっちの事情。
 話していい?」

久外境耶 :なんかあったっけ

“ミッドナイト・アイ” :「あと“パラディン”に会った時お別れ会するなら、骨は拾っとくね」

久外境耶 :おーヨロシク 猫の前に投げといて

荻野目 旭 : 

“ミッドナイト・アイ” :わかった 覚えておいたら野良猫の餌にしとく

SYSTEM :
 ………端的に彼女は、目の前でUGNの裏事情………言い換えると「辛気臭い」事情と都合で、自分の話を切り出せないのを嫌ったらしい。

 恐らく、意図的に空気を踏み倒しに来た。

“ミッドナイト・アイ” :
「というか私の事情と経緯だけど………」

“ミッドナイト・アイ” :
 レーダー
「領域引っ掛かった犬コロ………狼………犬コロ………。
 腹立つから犬コロでいい。そいつについさっきまで喧嘩売られてた」

久外境耶 :大ウケ

“ミッドナイト・アイ” :しばくよ 犬コロしばかせてから

荻野目 旭 :うわあ〜

荻野目 旭 :ご愁傷様ですう

“ミッドナイト・アイ” :
「本題はお宝総取り………。
 その過程で、何。物の怪? あの時の寝起き不機嫌のヤツをやるっていうのは事実………そこは付き合うし、付き合って貰うけど」

“ミッドナイト・アイ” :
「その前にお礼参りがしたい。

 赤くてデカいサラマンダーの犬コロ。死ぬほど逃げ足早いから、殴り返そうと思った時にはもういない。
 万が一逃がしたくない時は呼んで。逃がしたくない時がなくても、殺る時呼んで」

久外境耶 :「おまえ意外と血の気多いのな! いーんじゃね、つかスゲーいいわ、おれは問題ナシ」

“ミッドナイト・アイ” :
「当たり前………。
 帰った後も無礼られるのはいいけど、殺しに掛かって来るのと、仕事の邪魔されるのだけは勘弁」

三廻部 颯 :
 胸を押さえる。
 自分を殺した"狼"──、その爪による傷がないはずなのに疼く。

“ミッドナイト・アイ” :「………」

“ミッドナイト・アイ” :
「まあ、そういう話。
 後は聞きたいこと聞いて。聞かせたいことなら答えるから」

SYSTEM :
 一瞬だけ颯に向いた視線は、恐らく“ミッドナイト・アイ”なりに薄々経緯を察したものだったようだ。

 彼女の気分としては、もしも此処で隣の二人がいなければ、甘言ひとつブチ込んだに違いない。

久外境耶 :「えー。じゃあおまえ本名なに? おれ聞かれたしおまえも言えよ」悪ノリ

“ミッドナイト・アイ” :「は?」

SYSTEM :聞かせたいことではないらしい。

荻野目 旭 :「そんな小学生みたいな」

久外境耶 :だめかよ。ちぇー

“ミッドナイト・アイ” :別に大事じゃないけど

“ミッドナイト・アイ” :いたずらに名乗って記録されると私が身内に殺されるし

久外境耶 :ダハハおっかね〜

“ミッドナイト・アイ” :本当に勘弁してほしい…

三廻部 颯 :(大変そう……)

荻野目 旭 :「ま、ともかく」

荻野目 旭 :「かわらず共同戦線ってことには賛成です。敵の敵はっていいますし、それまでうまくやりましょ」

“ミッドナイト・アイ” :「適当によろしく」

三廻部 颯 :
「(この人も──……)」

三廻部 颯 :
「(……この人も、
  咲楽のことを、"物"のように思うのかな)」

 心中がざわつく。
 "横取り"、その言葉がずっと頭に残って、つっかえている。
 そのざわつきは、すぐに解決するものでもなかった。

久外境耶 :「おーす。おまえもそれでいいか、ホデリ」

『ホデリ』 :『構わぬ。元より汝の伴を探す手筈であろう』

『ホデリ』 :
『それが………聊か波風を立つものだったことはさておく。
 わたしの都合に付き合う以上、わたしがとやかくは言わぬ。動機も問わぬ』

久外境耶 :「左様か」口調を真似て頷く

『ホデリ』 :『ぬう………………』

SYSTEM :もしもこの気難しい白狗が人の顔をしているならば、今のは少し“ふくれた”が正しいのだろう。低く唸り、しかし早々にそれを正すと、言葉を区切った。

SYSTEM :
 ………その名を“ミッドナイト・アイ”。

 当たり前の日常に馴染まず、
 持っているものを使うことにためらいがない。
 曰く「ロクでなし」の一角。

 あなたの日常に土足で踏み入って来たもの。
 あるいは、その片割れの本質的にはお仲間でも言おうか。

SYSTEM :
 颯は知らない。意地は悪いが悪意はない少年が後天的なら、こちらは先天的だ。
            
 ある意味、そして思った通り。
 こちらの方が遥かに性質が悪い。

 ………ただ。

SYSTEM :
 颯は知らない。
 ───その“パラディン”がどんな男かを。

 不幸にも、あるいは幸運にも。
 不謹慎で愉快な悪餓鬼たちにも、引率の先生相当の存在がいることを、まだ。
 そして、それがどんな影響と理解をあなたに齎してくれるかも………まだ。

SYSTEM :
【Check!】
・プライズシーン7:ミッドナイト・アイとの合流

 プライズシーンを終了します。
 これにより以降ラウンドから、NPC「”ミッドナイト・アイ”」が使用可能になりました。

“ミッドナイト・アイ” :
[“ミッドナイト・アイ”]
 肉体:1 感覚:4 精神:4 社会:4
〈RC〉:3
 シンドローム:オルクス

・所持エフェクト
 妖精の手(シナリオ2/ラウンド1)
  /任意の判定の出目一つを[10]に変更する
   メインプロセス中同エリアでなくとも使用可能

 ラビリンス(シナリオ1)
  /『渇望喰い』の「瞬間退場」を阻止する
   “ミッドナイト・アイ”が行動不能でも使用可能
   同エリア内にいないと使用不可能

SYSTEM :
【Check!】
・プライズシーン7:ミッドナイト・アイとの合流

 プライズシーンの結果により、渇望喰いの敵対イベントについて詳細を開示します。

SYSTEM :
[渇望喰い/マイナスイベント]
 帰還中、『渇望喰い』に襲撃を受けた!

 このラウンドで探索を行ったエリアのいずれかに対し『渇望喰い』はが即座にメジャーアクションを一度宣言して「攻撃」する。

 使用後、「瞬間退場I」or「瞬間移動III」を行使して即座に離脱する。(シナリオ5回まで)

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 判定:[3-2]を行います。
 判定対象者:境耶、旭、シホ、龍

 進行/特殊判定(戦闘)

壱:「□□□□」撃破後に判定が消滅する
弐:プライズ[3]固定

SYSTEM :◇ ◆ ◇


シーン10「古址」

SYSTEM :
【シーン10:跳梁】

 登場PC:境耶、旭、シホ、龍
 登場侵蝕:なし(特殊)

SYSTEM :
Tips-物の怪
 死霊。生霊。邪気、化物。
 総じて、平安京が繁栄を極め。歴史の影で陰陽師、安倍晴明と蘆屋道満等が名を遺したという、
 あの平安時代におけるジャームのことではないか………と、過去を遡る者達からは憶測される。

 現代においても、何らかのエフェクトが死後にさえも影響を及ぼすことは珍しくないが、
 それはだいたい時間や切欠と共に錆びゆく───あるいは、歪むものである。

SYSTEM :
 ───常ならざる気配。
 島そのものからして現実から浮いたこの島であるが、
 その中でもひときわ強いものをあなた達は今に至るまで感じて来た。

 例えば“渇望喰い”がそうで。
 例えば“蝕みの君”がそうだ。
 彼ら(推定)は同じく外から来たものなれど、そこに通常のオーヴァードらしさはなかった。たとえ話に、ファンタジーやアニメのそれを使ったのが良い例だ。

SYSTEM :
 ………しかしそれとはまた違った異質さを感じたその時、ひとしきりの地形把握に行ったもの/シホは早々に身を翻した。

 言葉として、理屈として言語化できるものではない。
 脅威と言う意味なら以前戦ったあの二体のほうがよほど具体的で、物理的に分かりやすく“厄介”を感じもしよう。

 ………あるいは進んだ先々にて見える空模様も違うのか。日の沈む逢魔が時の森は、世辞にも清廉さや静けさとは無縁だ。

SYSTEM :
 ………そしてそれは。

 大概、可視化される化外・狂人・成れの果て。ひっくるめてジャームとされるもの。
 ホデリに語らせたならば『物の怪』の怪しげなる気であった………。

荻野目 旭 :
「……つまり、明らかに敵がいますってことですか。
 三廻部さんにも来てもらわなかったの、半分正解で半分不正解でしたね」

荻野目 旭 :
 半分の正解は、いまの彼女に戦闘は刺激が強すぎって話。
 もう半分は、彼女の戦力は明らかに最前線で殴る方に適性を示していたから、いないことの影響はそこそこあるって話だ。

久外境耶 :「しょぼくれたまま前線いられてもいい迷惑だ。早いとこケツ蹴るなりツラ引っぱたくなりして寝ボケ気分抜かねえと手遅れなんぞ、アレ」

荻野目 旭 :「言い草はともかく、ぜんぜん否定できないのは悩ましいですう」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「少なくとも、敵方戦力の多寡は不透明ですが……
 ワタシが見る限り彼女はいろいろな意味で消耗が激しい。『万が一』が起こった場合、庇いながら対処するのは困難ですからね」

木口龍 :「シホさんの言う通りだぜ……いや実際マジで何がどうなってるのかすら分かんないからな……最低限しか分からんし……」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「アナタも正直その不安要素に含まれるか否か些か微妙なところですが…」

木口龍 :「おいおいオレは死にたくないから後ろで撃ってるぜ」

久外境耶 :
「無能な味方ならいないほうがマシだ。宿代分はきっちり働いてもらうぜ、イロ男」

 もちろんあのガキもな。

木口龍 :「へいへい……」 クソァ! 仕事果たさなきゃ帰らんねえのはマジだけど!

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……まぁ、『不安要素』とは口では言ったものの。
 彼の不安定さは、少女の内面に由来するそれとは性質を異にする。
 戦場に於ける適性は先の交戦時に見た通りだ。不明は多いが、恐らく宿代程度なら釣りが来る働きをするだろう。

荻野目 旭 :「……まあ正直、木口さんのことは大して心配してないんですよね」

荻野目 旭 :「あなた、なんだかやけに荒事慣れしてますし。シホさんもそうでしょ」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「ええ。もちろん油断は禁物ですけど。」

 何より、そこを不安視するならそもそもワタシ以上にシビアな人たちが当座の同胞だ。

木口龍 :「そりゃあ、あぶない刑事(デカ)よろしく銃撃戦だってやったことあるけどよぉ……。オレの本分は興信所の職員なわけで」

木口龍 :「ビビるのは仕方ないわけなんですよ」

久外境耶 :「興信所の職員はドンパチしねーだろ」半眼。

SYSTEM :
 足を踏み入れて数刻。
 当事者抜きの言葉への答えを出すのは今であるべきか、あるいは刻の解決こそが答えなのか。

 そして半眼で見つめられた青年の本分は本当に正しい記憶なのか。漂流の折にどこか大切なものを打っていないだろうか。
 その答えは、いまは置くべきだろう。

SYSTEM :
 原因が行方不明の何某たちにあるならば、少なくとも手探りの間合いを広げねば一歩も踏み出せない。
 ましてや“蝕みの君”は回復こそするまいが、次に姿を出した時、少なからず“めんどう”なことを引き起こすことが、火を見るより明らかであった。

 そのための一歩を踏み出す先で、これ見よがしの通行止めを計ろうとばかりの澱んだ気は、決して勘違いではない。

 虎児の有無はさておいて、虎穴だった。
 慎重に、気配を手繰る。

SYSTEM :
 ───その時。

SYSTEM :
 ───不意に。
 視界に“もや”がかかる。

SYSTEM :
 速やかに晴れた以上は幻惑の類などではなく。
 ましてや、それ以上に直接的に、足を踏み入れたものに訴えかけるものがあった。

 元より迂回しようが何処を辿ろうが構わず“引っ掛ける”気でいたのか。
 それはオーヴァードが、オーヴァード以外を締め出し、同類を狙い打つための《ワーディング》───誰でも行えるが故に、誰でも探知し得る、R因子の発露。

SYSTEM :
 友好的な態度やSoSではなかった。
 発しながら接近してくる以上、
          ・・
 それは端的に言って挑発であったからだ。 

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ──────!

荻野目 旭 :「《ワーディング》……!」

木口龍 :「うおっ……!?」

久外境耶 :「ハ、挨拶かましてくれやがる! そうでなくっちゃなア!」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 軽く片手を上げる。散開の合図の用意。
 しかし───
 この《ワーディング》、既に捕捉されていたか───!?

SYSTEM :
 ───はたして。
 そこに夥しい血臭と腐臭を纏い。

 ゆらり、と影が形を表したのは。
 その合図より早くであった。

SYSTEM :
 腐り落ちる肉など持たず。
     イロ
 ましてや感情宿す魂などありはしない。
 骸の軍団………。

鎧武者A :
『───』

SYSTEM :
      ・・
 なればその腐臭とは、魂の臭いだ。
 骸の武者どもを侍らせた、なびく影。

 ワーディングの発信元。

SYSTEM :
 その肉ではない。その躯ではない。
 大柄でも小柄でもない、器たる影の容貌からではない。

 ならばそれは挑発に在らず。
 亡者、魑魅魍魎のいざないである。

 亡者とは常に───。
 独り彷徨い、群れたる生者の足を引き道連れにすると相場が決まっている。

『何者かの影?』 :
『──────』

『何者かの影?』 :
『は、は、は。ははははは!
 ははははははははははは!』

『何者かの影?』 :
『小癪小癪!
 鼠めが、わざわざ墓穴を虎穴と見込んだか!』

SYSTEM :
 ノイズ
 雑音。

 それは影の口から発された声ではない。
 影は男か女か定かでもなく………。
 また、その背丈は恐らく男であることしかわからない。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……………………。」

 用意していた片手を下げる。
 既に無用な隙は晒せない。1秒単位ですらも。

木口龍 :
「(ガタガタガタガタ)」

うおああああああああ幽霊だあああああああ!!!

荻野目 旭 :や……やっぱり撃てないものはだめって感じかなあ〜

久外境耶 :
 腐肉のように融け、蛆の塊じみて這う──青褪めた死臭。だがそれは、生々しく馨るものではない。本質から滲み出る隠しようのない悪臭に、つい、笑みが漏れた。

「おォ、良いモン探しに来たぜ。けどよ……まずはおたくが虎だっつーこと見せてもらわねえとな」

久外境耶 :
「やんだろ、やろうぜ、やる以外あんのかないだろ!」

『何者かの影?』 :
『は───暗し者めが。
 生き死に罵り立つなど獣と変わらぬわ』

SYSTEM :
 一言。
 その口振りに通ずるものはホデリの口振りだ。

 言語形態は日本語だが、そいつの言葉選びはわざとでなければどこか遠く、旧かった。
 嘲り嗤う声。何よりも、そう遠い。

 そしてそういうものに心当たりもあろう。
 大して差異はない。

 あるいはその骸どもと、その影に差異などない。

SYSTEM :
..      ブラム=ストーカー
 影の持ち主は従者使い。
 
 差し詰め、”虎”と呼ぶべき女に愚痴たれ呼びつけて、
 追手を差し向けることを見込んでヤマを張ったとでも語ろうか。

『何者かの影?』 :
『なれど、如何にも死合いに来た。
 その血肉啜り、骸を晒し………』

『我が大望阻むもの、塵芥と臨んでくれよう』

SYSTEM :
 良く言えば血の気多く”殺しに”応じ。
 悪く言うならば、これは所詮従者だ。

 ………何なら。
 鎧武者と比較しても、こちらは文字通り、“喋るための”従者でしかないように思える。

SYSTEM :
 そして次に視線が向いたのは………。

『何者かの影?』 :
『然れど………』

『何者かの影?』 :
 ・・
『貴様、然れば何者なりや?』

SYSTEM :
 その影の視線。
 誰か曰く恐怖のアテは「幽霊」だというものが、目に見えて分かるほどの訝し気な面を見せたのは。
 
 果たして男の、速攻で尻餅付いた情けない仕草なのか。
 それを嘲り訝しんだ声なのか?

木口龍 :
「いやもう誰ってアンタそれオレの台詞だから!!!
 島に憑いた地縛霊とかそういうのに何者ですか?って言われる筋合いはナッシングなんだがオレ!!!」

「オレはねえ! 大阪の(ここら辺個人情報)在住のしがない探偵なわけ!!! 漂流一日目!!! 数々の難事件を解決してきたなにわのポアロなだけだから!!!」

木口龍 :
「できればこう、あの、成仏とかですねえ、穏便にしていただけないでしょうか……?」

木口龍 :オレはそう言いながらも、ヤツの視線の意図を探りたい。
判定はいるか? オレは怖がりだから、他人の視線が気になるんだ。

GM :視線の意図ですか。ふうむ…。

木口龍 :こんな場面で、ケンカふっかけたやつでもなんでもなく、わざわざオレを見た意図を知りたい。

GM :“それ”を探って得られる情報は、判定なしで得られるもの以上はありませんね。少々お待ちください。

木口龍 :了解

『何者かの影?』 :
『如何にもふざけし口の聞き様よ。
 貴様、こなたの理のものに非ずや?』

SYSTEM :
 あなたを見た視線の意図など、分かろうはずがない。
 言葉を交わすどころか、交わせるか定かでないものを前に、どうして“視線”から悟れるものがあろうか。

 ただし敢えて探ろうとするならばそれはこうだ。

 4つ並んだものの中に、ひとつだけ違うものを認め………そちらに目線をやった“だけ”に過ぎない。

SYSTEM :
 当たり前だが前半の大変長ったらしい懇願に応えてくれるほど彼(推定)は寛大でもなければユーモアという言葉の分かる存在ではないようだ。

 ───否、訂正。
 厳密には一点だけ応じることがある。

『何者かの影?』 :
『叶わぬ、叶わぬ!
 我が大望、そして幾星霜を経て成った妄執………など止むものか』

木口龍 :「……えーっと……もしやあなたマジの地縛霊?」

木口龍 :単刀直入に聞こう。コイツ生きた人間?
判定要るならダイス振ろう。

『何者かの影?』 :
『───地縛霊!
 心外なるうえ腹立たし』
 

GM :さて。彼はどうもバリエーション違いの『従者』のようです。そこから「生きた人間」か否かを探るのは少し難しい気がしますね。

『何者かの影?』 :
『さりとて冥土の土産とするにも時期早し。精々惑いて死ぬがいいわ。
 ………はては六銭さえ心当たりやなきものか? なればその懐具合、いま見て進ぜよう』

久外境耶 :「ハ──六銭どころか宵越しの銭もありゃしねえよ!」

『何者かの影?』 :
『なれば為む方無し!
 黄泉さえ渡らず死すが良いわ』

『何者かの影?』 :
『満つる鍵持つ者はここならずと見ゆ。
 なれども………あの獣めと相見えば最早必要もなし!』

SYSTEM :
 意気込み哄笑、続いて嘲笑。
 会話の余地の乏しさは、
 オーヴァードとして生きて相見れば、必ず出会うもの。

 音を外側に反射し得ぬ音又そのもの。
 ジャームの奏でる声色だ。

木口龍 :
「ひぃぃぃぃぃぃすいませんでしたぁぁぁぁ!!!
 これ六文銭にして許してください!!!」

 超速で土下座しながら、オレはポケットのレシートと後生大事にくるまれた五円玉を差し出す!!!

木口龍 :
 ──つーかこいつ、"満つる鍵"って言わなかったか?

 名称を言わなかったってことは、少なくとも管理する側の人間じゃあない。
 もっと深く、それも源流(ルーツ)に近いバケモノだ。
 リスクはあるが、上手いことやれれば島の抱える秘密(れきし)に近づける。
 最悪これで許してもらえなかったら、逆ギレしながらひっ捕まえて情報吐き出させた方がいい。

荻野目 旭 :ごえんだま!?

久外境耶 :ガチで?

”朧の狩人/残骸” シホ :勘弁してくれ…

木口龍 :レシートにはすき家と書いてある! 牛丼が好きならこれも満足の種だろう!

久外境耶 :「つーかチョイ聞き捨てならなねーカンジのこと言ってくれたな? じゃ、いい加減お待ちかねの時間と行こうや!」スルー

SYSTEM :
 久外境耶(17)。
 完全に扱いというものを心得た渾身のスルースキルであった。

SYSTEM :
 それはさておいて。

『何者かの影?』 :『──────』

SYSTEM :
 あなたはご存じのはずだろう。
 ご存じの上で分かっていて差し出しているだろう。

 彼はあなたの死ぬほど長く、死ぬほどどうでもいい話には一切口を聞かなかった。
 それを介して哄笑するほどユーモアに向いた人格では“ない”。
 あなたはこれをユーモアのつもりではなく大変真面目に嘆願したのであろうが、どうもその沈黙からして、六銭の意味を本当に「有り金」と勘違いして差し出すとは思ってもみなかったらしい。

 すき屋のレシートに至っては最早常人ならば憤怒も止む無しだ。
 そんなものは帳簿に仕舞い込め。

『何者かの影?』 :
『なかなかふざけし男と見ゆ───。
 なれば虎穴に踏み込みし報い、覚は出来らむな!』

SYSTEM :
 その口振り、その態度。
 1名には希望通りだが。
    ・
 とても癪に障ったらしい。

『何者かの影?』 :
『───急急如律令!
 来やれ、妄執の影!』

『何者かの影?』 :
『独つ彷徨う火出の尊よ!』

SYSTEM :
 瞬間───。

 視界を覆う“もや”がひとつに集まり。
 赤く染まり、そして………。

SYSTEM :
 爆ぜる。

SYSTEM :
【Check!】

 ???がEロイス『さらなる絶望』を宣言しました。
 ・特定条件エリアでのみ宣言。
 ・場に『骸:???????』を配置する。

SYSTEM :
【Check!】

 ???が下記のエフェクトを宣言しました。

 Major:鮮赤の牙
 併用による効果:?????

SYSTEM :
 爆ぜて渦巻く血は、従者を介して従者を形作る所業に等しくもあり、
 一方でこの『リュウグウジマ』に眠るものを起こす鐘の音にも聞こえた。

SYSTEM :
 なれども、あの巨きな朱色の目持つ海鳴りの化外。
 このような場所に現れるはずもない。

 渦巻く血風は、やがて一カ所に集まり………。

荻野目 旭 :
「──冗談は終わりですっ、構えて! 戦闘準備!
 あいつも多分従者ですけど、従者なりに小回りが利くやつですよ!」

久外境耶 :
「誰にナマ言ってやがる! いつでも殺しに来いよ、死なねーけどなア!」

 ──ちっとばかし別の意味でマズそうなのは胸に留めておく。ここにホデリがいないのは良いんだか悪いんだか!

”朧の狩人/残骸” シホ :
 Copy
 “了解”───応答する代わりに短くアイコンタクト。

木口龍 :
「って、テメエ!!! オレの全財産だぞ!!!! 
 これで極楽浄土行きを許さないってんならあらゆる情報全部吐いてもらってからお縄についてもらうからなァ!!!!」 咆哮の間に本音が漏れる

SYSTEM :
 臨戦───3名。
 お門違いの私怨───1名。

 それを意にも介さず、血が渦巻く。

SYSTEM :やがて───。

SYSTEM :
 ───やがて。
 収束した血色の従者を形作るものが。
 テクスチャ
 血色の様相が、まるごと潰れるように塗り替わる。

SYSTEM :
 血渦から現れたものは。
 バロールの重力の濃淡が織り成す幻。
 
 幻にしては、質量のある影。
 理性を宿さないソレが“目”なのだと識っているならば、
 誰より素早く視線が重なった。

『骸』 :
『──────』

SYSTEM :
    ・
 これは幻だった。
 況や、ジャームの妄執が水面に映し出す影のようなもの。
     ・ 
 それに、形を与えたものだ。

SYSTEM :
 言葉を借りるなら。
 血色の水底から彷徨い出たそれは、

『骸』 :
『█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅』

SYSTEM :
 声にならぬ声と共に。

 虚空にその手を彷徨わせる。
 一度、二度。

 それは何かを手探りするような仕草にも、
 あるはずのものがないような仕草にも、
 遠くにあるものが手元に来るよう願う仕草にも見えた。

SYSTEM :
 その首には。

 古く煤けた、ホデリや咲楽のものに似た首飾り。
 誰が知ろう。その正体。
 いま語ることはなかれども、断片のみ語るならば。

『何者かの影?』 :
『───来ませい、来ませい火出の者!
 貴様の妄執阻む暗し者、薙ぎ倒せィ!』

SYSTEM :
 ………それは。

 少なくとも二人があの“海”に見た物の怪の影。断末魔挙げた怪物と同じジャームだ。

荻野目 旭 :「──あいつ……」

久外境耶 :「……」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 …………。
 トリガーにかけた指が強張る。これは…………

木口龍 :「──」

 あ、やべ、死んだ。ヤバイのにケンカ売ったかも。
 と思いつつ、首元を探すようなソレの動作を注視する。

久外境耶 :
「ま、いーや。頭ヒネんのは任すわ。それよかブッ倒して追い剥ぐのが手っ取り早いと思わん?」

荻野目 旭 :「……悲しいことに同感です! 考えてるほうに割くリソースはなさそうですからね!」

”朧の狩人/残骸” シホ :
……生憎だが、同意見だ!

木口龍 :
「……あー、うん、そうだな……」

 それに、あの……骸、とでも呼ぼうか。
 あれを見ると、オレの手帳に書き綴られていた事件記録が頭を過る。

「それに、死者は、安らかに眠ってほしいもんなぁ。死者か分からんけど」

SYSTEM :
 ………それは「刀」を探す仕草だったのだろう。
 
 そう思わせたのは、そいつがおもむろに鎧武者の1体から、簡潔に、そして乱暴に得物を手渡されたところからだ。
 虚空を彷徨う腕の仕草。不可解な欠落が埋まるのを確認した時に、それは止まった。

SYSTEM :
 その、生者のものではない。

 従者と呼ぶにはあまりにも個我を認め得るものが。
 紅色の眼光を、禍々しく迸らせる。

『骸』 :
『█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅』

SYSTEM :
 それと共に吹き荒ぶ無形の波濤。
 黒い渦が彼を覆い、得物にそれが移る。
 
 敵意なき殺意。
 個人を視ないソレは。
 ただ『目の前』のはるか遠くに臨むものの前に、あなたたちが立ち塞がることを厭うように思えた。

SYSTEM :
 それに伴って鎧武者どもが動き出す。

 憤怒を纏って哄笑する影が、
 死合いと嘯くものの始まりを告げるように叫んだ。

『何者かの影?』 :
『愚かにも“リュウグウジマ”に足踏み入れ───』

『何者かの影?』 :
『愚かにも我が怨敵との邂逅阻む暗し者ども───』

『何者かの影?』 :
『───ここで息の根を止めてくれるわッ!』

SYSTEM :◇ ◆ ◇


戦闘:『骸:■■■■■■■』

SYSTEM :
【Check!】
 戦闘が発生します。

[Enemy]
・骸:■■■■■■■
・骸武者(従者)×4

[備考]
・すべてのエネミーのHP0でシーンが進行します。

SYSTEM :
【Engage】

※エンゲージは左上から右下の順に
「A」〜「B」の番号を振ります

[A]
5:骸:■■■■■■■
6:鎧武者
7:鎧武者
8:鎧武者
9:鎧武者

       -5m-

[B]
1:“ラッキージンクス”九外 境耶
2:“ナイトホーク”荻野目 旭
3:“■■■■”木口 龍
4:“朧の狩人/残骸”シホ

SYSTEM :
【-Round 1-】

SYSTEM :
【Round 1 -Set Up Process-】

SYSTEM :
■セットアップ
 タイミング:セットアップのエフェクトを宣言出来ます。

『骸』 :
■セットアップ:トキワスルカネ
《グラビティエリアL1》
・自身以外がタイミング:「イニシアチブプロセス」使用不可能
・あらゆる判定Dを[Lv*2]減少させる

鎧武者A :
■セットアップ:なし
(※以下A〜Dともに同回答)

荻野目 旭 :…さしあたり使用しません! もう少し僕が元気になってきたらペンディングです!

木口龍 :オレはそもそも使用出来るものがない!

久外境耶 :ナシ! でもいーが! 武器装備と異形の痕だ!

”朧の狩人/残骸” シホ :ワタシからも宣言はない。

SYSTEM :
■セットアッププロセス
 宣言結果が確認されました。

SYSTEM :
■手番処理
 シホが行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトがありませんでした。
 他宣言を確認後、メインプロセスに移行します。

SYSTEM :
■メインプロセス
 任意の宣言、判定を行ってください。

”朧の狩人/残骸” シホ :さて、ワタシの出番だな……。同じ轍は踏まないと言いたいところだが。

”朧の狩人/残骸” シホ :こればかりは天運も絡む、いい結末を願おうか!

”朧の狩人/残骸” シホ :□判定宣言
     Cyhyraeth
▼Combo:《災告》

Minor:《陽炎の衣》+《オリジン:ヒューマン[Lv.1]▼
Major:《コンセントレイト:オルクス[Lv.3]》+《形なき剣[Lv.1]》+《要の陣形》【未知なる陣形】▼

 Atk : 6dx7+10
 Damage : xd10+1d+22
 Cost : 5+7 HP:-1D
 Range:300m

効果:最大[5]体捕捉
   同一エンゲージ攻撃不可
   メインプロセス終了まで隠密状態
   この攻撃に対するドッジD:—[《形なき剣》のLv ]
Loading……

GM :判定確認後にリアクションを行います…さあ…

GM :ダイスを…お持ちになって

”朧の狩人/残骸” シホ :…………

”朧の狩人/残骸” シホ :6dx7+10 (6DX7+10) > 10[2,2,5,5,6,10]+1[1]+10 > 21

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています………。

『骸』 :
 ………………。

『骸』 :
■オート:ヤマサチノタテ
 Passive:《レネゲイドウォールL10》
 Auto:Empty
 ・受ける予定のダメージを合計[20]点減少させる。

『骸』 :
■リアクション:ガード

鎧武者A :
■リアクション:ガード
(A〜B)

鎧武者C :
■リアクション:ドッジ
(C〜D)

鎧武者C :9dx ドッジ (9DX10) > 10[3,4,4,4,6,6,8,9,10]+6[6] > 16

鎧武者D :9dx ドッジ (9DX10) > 10[1,3,4,5,6,7,8,10,10]+9[1,9] > 19

鎧武者D :(鎧武者は無念とばかりに膝をついた………)

”朧の狩人/残骸” シホ :辛うじて面目躍如といったところか……

SYSTEM :
■リアクション
 リアクション結果を確認します。

骸:■■■■■■■:ガード/命中
鎧武者A、B:ガード/命中
鎧武者C、D:ドッジ/命中

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

”朧の狩人/残骸” シホ :さて、こちらの調子は……!

”朧の狩人/残骸” シホ :3d10+1d10+22 (3D10+1D10+22) > 16[6,1,9]+9[9]+22 > 47

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しています…。

SYSTEM :
■ダメージ結果

鎧武者A,B,C,D:撃破!

『何者かの影?』 :
 木端どもめ!
 所詮は検異の者とて弱卒、力不足か!

”朧の狩人/残骸” シホ :
 相応にこちらの反動も大きいがな……!

”朧の狩人/残骸” シホ :1d10 自傷ダメージ (1D10) > 6

system :[ ”朧の狩人/残骸” シホ ] HP : 10 → 4

system :[ ”朧の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 60 → 72

『何者かの影?』 :
 小癪、小癪! くろがねの鉄砲畏るべし!
 

『何者かの影?』 :
 行けい! 火出の尊!
 水底より罵り立てよ!

SYSTEM :
■手番処理
 骸:■■■■■■■が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 エフェクト宣言がありませんでした。
 他宣言を確認後、メインプロセスに移行します。

SYSTEM :
■メインプロセス
 任意の宣言、判定を行ってください。

『骸』 :
■トキノイクタチ
 Minor:《インフィニティウェポンL3》
 ・攻撃力[16]、G値[3]の武器を作成。

『骸』 :
■マイナー:《斥力跳躍L5》
 ・戦闘移動を行う。(エンゲージ移動)

『骸』 :
■メイン:ウミサチノホコ
 Passive:????
 Major:《CRバロールL3》《巨人の斧L2》《黒星の門L5》《因果歪曲L3》
 Minor:《ダークマターL5》《過剰収縮L5》《斥力跳躍L2》
 Auto:宣言なし
 
 判定:17dx7+12
攻撃力:xd+42
・攻撃対象を範囲(選択)に変更
・「同エンゲージ不可」を無視

『骸』 :(名すら遺らぬ勇者の骸が、目に映るもの悉くに狙いを定めた)

『骸』 :17dx7+12 《ウミサチノホコ》 (17DX7+12) > 10[1,1,2,3,4,4,4,4,5,6,7,7,7,7,8,9,9]+10[1,2,3,5,6,7,10]+10[10,10]+10[1,7]+10[8]+3[3]+12 > 65

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

”朧の狩人/残骸” シホ :            ガ-ド
回避は試みるだけ無駄だ、覚悟を決める……!

荻野目 旭 :ガードでーす! どうせワンチャンなんて求めても無駄でーす!

木口龍 :避──否、死──!!!(ガードです)

久外境耶 :崩れずの群れで"残骸"をカバーリング、併用するエフェクトは氷盾だ

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

境耶:ガード(氷盾)/カバーリング/命中
旭:ガード/命中
シホ:被カバーリング/境耶
龍:ガード/命中

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 58 → 62

『骸』 :───!

『骸』 :7d10+42 《ウミサチノホコ》  (7D10+42) > 38[2,7,1,8,7,4,9]+42 > 80

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 92 → 2

久外境耶 :ッッッぶねーーーー!

荻野目 旭 :《リザレクト》しまぁす!

system :[ 荻野目 旭 ] HP : 16 → 0

荻野目 旭 :1d10 (1D10) > 10

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 64 → 74

木口龍 :《リザレクト》ォ!!!

system :[ 荻野目 旭 ] HP : 0 → 10

system :[ 木口龍 ] HP : 27 → 0

木口龍 :1d10 (1D10) > 9

system :[ 木口龍 ] HP : 0 → 9

system :[ 木口龍 ] 侵蝕率 : 55 → 64

『何者かの影?』 :───小癪ッ! 検異の者に連なる一の兵を、耐え凌ぐか!

久外境耶 :おォよ驚いてくれてどうもなア! 踏ん張った甲斐があるってもんよ!

”朧の狩人/残骸” シホ :恩に着る!が……それにしても凄まじい……!

『何者かの影?』 :おのれが 調子に乗りて囀りよる!

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しました。

SYSTEM :
■手番処理
 木口 龍が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 

木口龍 :待った。オレは待機を宣言する。

『骸』 :

木口龍 :おいなんでこっち見てる

『骸』 :
■イニシアチブ:レネゲイドアクセル
 ・自身の行動値を[0]にする。
 ・自身を[未行動]にする。

『骸』 :

『骸』 :(いいのか? という視線)

木口龍 : 

木口龍 :すみませんでした行動します

SYSTEM :
■メインプロセス
 任意の宣言・判定を行ってください。

木口龍 :
[マイナーアクション]
《ハンドレッドガンズ》(Lv3):攻撃+13武器作成

system :[ 木口龍 ] 侵蝕率 : 64 → 67

木口龍 :
[メジャーアクション]
《コンセントレイト:モルフェウス》(Lv2)+《雷の残滓》(Lv5)

[オートアクション]
《砂の加護》(Lv2)

判定ダイス:4d+1d(侵蝕)+3-2(Gエリア)=6d
C値:8
固定値:6
追加効果:HIT時《邪毒(ランク5)》付与

GM :さあ…ダイスに力をお込めになって

GM :リアクションは判定後に決定されますわ

木口龍 :テメーなんか怖くねえ!!!ぶっ殺してやる!!!

木口龍 :6dx8+6 (6DX8+6) > 10[3,4,8,10,10,10]+10[3,3,6,9]+1[1]+6 > 27

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

『骸』 :

『骸』 :S1d2 1:使う 2:使わない (1D2) > 2

『骸』 :

『骸』 :
■オート:ヤマサチノタテ
 Passive:《レネゲイドウォールL10》
 Auto:Empty
 ・受ける予定のダメージを合計[20]点減少させる。

『骸』 :
■リアクション:ガード

SYSTEM :
■リアクション
 リアクション結果を確認します。

骸:■■■■■■■:ガード/命中

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

木口龍 :オーケー、オーケー……ダメージロールの前に、命中してるから、邪毒ランク5は受けてもらう。

木口龍 :で、ダメージロールか。

木口龍 :3d10+2d10+13 唸れ!!!! (3D10+2D10+13) > 17[8,8,1]+15[5,10]+13 > 45

木口龍 :2 dは対抗種分!

『骸』 :

『骸』 :
■オート:コノハナサクヤ
 Auto:《斥力障壁L3》
 ・HPダメージを受ける直前に使用
 ・受けるダメージを[1d+9]点軽減する

『骸』 :1d10+9  (1D10+9) > 1[1]+9 > 10

system :[ 木口龍 ] 侵蝕率 : 67 → 74

『骸』 :… 

木口龍 :どうやら通ったようだな(震えている)

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しています…。

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果が確定しました。

木口龍 :忘れない内に自傷分減らすぞ

system :[ 木口龍 ] HP : 9 → 6

SYSTEM :
■手番処理
 荻野目 旭が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトがありませんでした。
 他宣言を確認後、メインプロセスに移行します。

SYSTEM :
■メインプロセス
 任意の宣言・判定を行ってください。

荻野目 旭 :いきますよ〜! 整列〜!

荻野目 旭 :

荻野目 旭 :マイナーアクションはなし、メジャーアクションで《癒しの水Lv4》を境耶くんに撃ちます! ちくっとしますよ〜!

荻野目 旭 :4d10+2 (4D10+2) > 15[1,7,1,6]+2 > 17

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 2 → 19

久外境耶 :これで保ちゃいいが──ま、ありがとよ!

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 74 → 76

SYSTEM :
■手番処理
 久外境耶が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトがありませんでした。
 他宣言を確認後、メインプロセスに移行します。

SYSTEM :
■メインプロセス
 任意の宣言・判定を行ってください。

久外境耶 :待機だ待機! おら来いよ死体野郎!

『何者かの影?』 :
 小癪小癪ゥ!
 調子に乗りし報いを受くる程なり!

SYSTEM :
■メインプロセス
 メインプロセスの「行動済み」を確認しました。
 メインプロセスを終了します。

久外境耶 :うっせーぞ外野ぁ!

『何者かの影?』 :フフフハハハハ! そのけたたましきを辞世の句に変えてくれる!

SYSTEM :
■手番処理
 骸:■■■■■■■が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトがありませんでした。
 他宣言を確認後、メインプロセスに移行します。

SYSTEM :
■メインプロセス
 任意の宣言・判定を行ってください。

『骸』 :
■メイン:ウミサチノホコ
 Passive:????
 Major:《CRバロールL3》《巨人の斧L2》《黒星の門L5》
 Minor:《ダークマターL5》《過剰収縮L5》《斥力跳躍L2》
 Auto:宣言なし
 
 判定:17dx7+12
攻撃力:xd+42
・「同エンゲージ不可」を無視

『骸』 :1d4 1:境耶 2:旭 3:シホ 4:龍 (1D4) > 4

『何者かの影?』 :この我への嘲弄許すまじ!

『何者かの影?』 :
 屠れい火出の尊!
 そして………死ねい若造ッ! 

木口龍 :オレの5円玉が眼に入らなかったのかテメーーー!!!!

久外境耶 :気に入らなかったんだろ

『骸』 :(名も遺らぬ骸は、一太刀振り終えたばかりの刃を担ぎ直すと、すぐさま狙いを妄言の主に定めた…)

荻野目 旭 :やっぱり昔の人には5円玉の価値とかわからないのかも

”朧の狩人/残骸” シホ :目に入ったから、な気もする…

『骸』 :17dx7+12 《ウミサチノホコ》 (17DX7+12) > 10[1,2,3,4,4,4,4,5,5,6,6,6,7,8,9,10,10]+10[2,3,4,7,7]+6[4,6]+12 > 38

木口龍 :ぎぃぃぃぃいやぁぁぁぁぁああああ!!!(ここらへん07年)

木口龍 :

SYSTEM :
■リアクション
 リアクション結果を確認しています…

久外境耶 :……サボりでケチつくのも癪だ、行動放棄してかばう! んで氷盾も使っとく!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクション結果を確認します。

境耶:ガード(氷盾)/カバーリング/命中
龍:被カバーリング⇒境耶

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 62 → 64

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

『骸』 :4d10+42 《ウミサチノホコ》 (4D10+42) > 21[4,1,8,8]+42 > 63

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 19 → -9

久外境耶 :リザレクトだ! まだ死なねえよ……!

久外境耶 :1d10 (1D10) > 3

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 64 → 67

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : -9 → 3

『何者かの影?』 :おのれが…! 興じ回るわ!

SYSTEM :

【Round 1 -Clean up Process-】

SYSTEM :
■クリンナップ
・《邪毒L5》のダメージ判定を行います。

『骸』 :………

SYSTEM :
■ダメージ結果

骸:■■■■■■■:撃破!

SYSTEM :
 ネツ
 命の宿らぬ赤い瞳。
        ・・・
 死蝋の肌から、こぽりと泡が零れる。

 泡───そう例えたのは、そのレネゲイドの発露において。
 始めこそは彼から漂う剣呑さと、成れの果てであれば伴う“終わったもの”への嫌悪感とは無縁だったからだ。

 鎧武者たちと系統を同じくしながらも、あるいは“それ”だけが何もかも隔てていた。

SYSTEM :
 泡───水面に打ち上がり、零れる気泡。
 はじめ浮かんだそれは、場違いにも逢魔が時の樹木をかき分けて。
 空気に溶け込み、呆気に取られるほど簡単に爆ぜる。

 水面に波紋広がるがごとく。
 不可視の泡が融けて消え───。

『骸』 :
『█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅』 

SYSTEM :
   ・・・・
 ───ぐしゃり、と。

 空気が、軋んだ。

SYSTEM :
 波濤はすぐさま戦場に広がり。
 およそ地球上でかかる負荷ではない暴力的な圧力と負荷をかける。
.            グラビティ・エリア
 バロール・シンドロームの重力空間だ。
 誰が言ったか。
 覚えているものこそが、その波濤に既視感を持つ。

SYSTEM :
 なれば二度目ともあれば答えも出よう。

 これは水圧であった。
 水底に沈み、今もなおもがきながら、底へ底へと目指すものが、手当たり次第に空気を混ぜて“周り”までをもそう変える。
 己が虚の理を、外に広げて押し潰す───故にこその水底の空間。時を忘れ、溺れて死する亡者の在り方。

 なるほど確かに、眼前の夢幻/死人こそ、
 あの怪物そのモノだ。

荻野目 旭 :「火出の者、って──ッ、く!」

木口龍 :
「───ご、むぐ、ゴハァッ……」

 なんだこれは。
 重力とも言い難い、なにか。
 宇宙飛行士は訓練の際に、水底に突き落とされるという──生身で体験させられるものではない。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「──────っ」

 この圧力は───間違いない。
             ブラザ-フッド
 あのときだ。あのとき、仮初の相棒ごとワタシたちを水底へ喚び込んだもの……!

久外境耶 :
「踏みつけにすんならよ──手前の足ィ、使いやがれ……!」

 虚の理に抗う身体が、異形に転化する。纏わりつくような水底の重力は、なおも鋼の足を引く。

久外境耶 :
「あアあア……きな臭え、水臭え、面倒臭え!」

 身に覚えのある重力に、聞き覚えのある言葉! 気になるコトは山積みで、問い質したい相手とそっとしてやりたい奴が同じ矛盾に反吐が出る。だから……

「全部知ったことか! 今は楽しんでやらァ!」

『何者かの影?』 :
『クククハハハハ! 矮小、矮小ォ!
 ───遠き行く末とてこれこの通り! 海鳴りの妄執阻むものなし!』

『何者かの影?』 :
『なればやはり我が敵は一人ぞ!
 待っておれ、▇▇───』

SYSTEM :
 哄笑と妄執。
 呼び出した先が成れの果てならば、
 紐付けて敵を示す方もまた同様だ。

 ジャームは言葉を音として捉え、
 外部に反響する“もの”以上には見ない。
 例外はあれども、会話とは基本、強く響く音に打ち返すだけの行いだ。

SYSTEM :
 なれども吠え立て鈍るさまを嗤ったものの行動は単純。
 はじめ憤った獲物を前に軽く嘲り、その腕が宙を踊る。

『何者かの影?』 :
『そうら骸を晒せ! 山築け!
 貴様らの輩を増やす時だ!』

SYSTEM :
 踊った腕───おそらく青年か少年程度の───が、雑音交じりに鎧武者に声かける。
 それこそが鬨の声。
 死してなお、死さえ忘れて修羅の道に興ずることのみ遺した武者どもを、かたかたと動かす銅鑼であった。

荻野目 旭 :
(バロールの重力操作……あの裂け目と結びつけるのはちょっと気が早いかなあ!?
               ヒト
 そもそも従者そのものは、あの女が逃げるときにその援護みたいな動きをしてたけど──)

荻野目 旭 :(確かブラム=ストーカーって、相手を自分の従者にする力があるって聞く……)

荻野目 旭 :(……あれだけ多弁なら、煽れば話してくれるかもな! タイミング見て、吹っ掛けてみよう……!)

”朧の狩人/残骸” シホ :
 光も遠き昏い底、底知れぬ絶望を幻視する。
 見えぬ死神が足を掴んで引き摺り続け、追いすがる景色を幻視する。
 ゆらめく朧の向こう側に、形なき声を幻視する。

”朧の狩人/残骸” シホ :
《Renegade Smith Hearth
 抗レネゲイド弾薬精製機構の起動を確認。
     EML
 仮想電磁加速砲モジュール構築。エネルギー充填開始…》

 その幻想に無粋を加えた、妄執と嘲笑を視認する。
 死にステレオタイプの鋳型を与え、蛆と腐肉を注ぎ込んだヒトの成れ果てが迫り来る。

”朧の狩人/残骸” シホ :
《レネゲイド:オルクス/エンジェルハィロゥの入力を確認しました。
 銃身の適応を開始します…………》

 彼あるいは彼女は、一皮剥けど自分とそう変わらないことを再認識する。意識の容れ物が血肉か腐肉か、きっとワタシが望むほどそこに大した差異はない。
 ワタシの全ては借り物だ。異能も、銃も、或いはこの感情すらも。
 借り物をみな手放せば、ワタシには痛みしか残らない。

”朧の狩人/残骸” シホ :
  Complete
《……完了。 ステータス:高度光学迷彩を確認。
 銃身及びRSH関連兵装に量子真空状態を付与。レートリデューサー機能を解除します》

 ただひとつそこに違いがあるとすれば───
 ワタシはワタシの内側に巣喰う空虚を識っている。
 埋め難い欠落の痛みを。

 手放した空洞は何に囚われることもない。
 交錯した殺意の線も、足引く重力さえも、鬱陶しい葛藤からもワタシは自由を手に入れる。
 手放したあとに残る“透明”を、そうしてワタシは武器にする。

”朧の狩人/残骸” シホ :
《射手保護機能を一時的に凍結。
 警告。Taxus Protocol
   “擬似対抗種弾精製”を限定解放。
 周囲との安全距離を確保してください。繰り返します───》


           カツテ    カツテ    カツテ
 空っぽのワタシの中に、骸の動作、骸の思考、骸の反応を模倣する。
 重い水圧に圧し留められ、照星の動きが鈍ってなおも、骸の記憶に刻まれた動作は澱みなく反復できる。
 オマエたちには理解るまい。窮鼠が掴む悪運も、ワタシを護った先人の技術の精度も、ワタシが握ったこの銃も。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 銃口を擡げ、照星を掲げ、照準を合せ、引鉄を引く。
 ただそれだけの行程ならば敢えて語るべくもあるまいが、
 それが五発“全く同時に”放たれる理外を伴えば話は別。
 意識の外から放たれる、無音、不可視の弾丸が幻水を切り裂き飛翔する───!

SYSTEM :
 良く言えば死を畏れず、知らず、取り合わぬ不死の行軍。
 それが、骸武者たちの在り方だった。

 従者としてそう在るのか、それとも個我を以て尚“そう”なのか。
 いずれとて、目的を遂行する亡者のレギオンは、眼前のひとりが自分たちの死神であることに気付くことはない。
 身構えることも、運命を悟ることも。そのような機能はなく、また識ることはないのだ。

SYSTEM :
 その彼らが反応するものと言えば、
 須らく殺意のみ。

 くろがねの筒が死を吐き出し、空気を引き裂き、己を塵に還すという事実のみだ。

SYSTEM :
 くろがねの大筒が。
 水底へ星を落とす。 

SYSTEM :
 踏み込んだ果てに築き上げられた屍から窺い知る者達の行動は、凡そ、先の浜辺での戦いよりも洗練されていたが。

 一度見て尚、その対応は付け焼刃だった。急所を護り、踏み込みの姿勢を適度に逸らし。貫通の破壊力を加味した直列陣を形成する………そこまではやったが、ただそれだけ。
 心うちに曰く『理解るまい』としたことはまさにその通り。

SYSTEM :
 彼らは銃を知らず。

 また知っていても、
 その筒が、かつて一射にして必中五殺を成し遂げる、森の狩人の忘れ物だということを知らなかった。

鎧武者A :『───』

SYSTEM :
 ───直撃。 

SYSTEM :
 直列陣を形成し、屍乗り越える態勢だった四体が。
 ひとりずつ、誰のものでもない己だけの死と共に砕け散る。

SYSTEM :
 やがて倒れ伏した黒い武者甲冑が、時間もかけずに解れて消える。
 からん、と音を立て。こぽり、と、どす黒い血の塊が地面に溶け込む。

 最後にその存在がいたことを証明する証は。
 最初の時と同じように、一枚の御札だけだ。
 生命須らくに通い、流れ、生まれる赤色を基底とした従者ども。

 ブラム=ストーカーの眷属と呼称するには、あまりに横文字の似合わない者達。それは、はじめから存在しなかった夢まぼろしかのように消えた。

『何者かの影?』 :
『おのれ小癪なることを!
 くろがねの砲、なほ畏きものよ』

『何者かの影?』 :
『だが───』

SYSTEM :
 ・・
 だが。
 
 撃った当人も、撃たれた者達の駆り手たる従者使いも。
 恐らくはそれをすぐに理解しているからこそ、従者使いの男は牙を剥くがごとく嗤う。

『何者かの影?』 :
『無駄、無駄、無駄の一言ォ!
 少しでもそれに勝つべき気なりや! 暗し者どもめ!』

SYSTEM :
 唯一、鎧の武者どもとは様相の異なるもの。

 そいつについてだけは、話が別だ。

SYSTEM :
 地響きと共に踏み込み、冥府へ葬送る弾丸を意に介さない。
 体躯にして二尺六寸。その質量は確かに成人した男児と見れば十分だろうが、
 踏み込むごとに大地が“割れる”ほどの圧力は並大抵ではない。

SYSTEM :
 空気ごとかき分け、浸透するように空気を塗り替えていく、耽溺するかの如き重さを伴う。
 現実にはあり得ぬ、そらごとの怪物。

 だが、努々忘れるなかれ。
 オーヴァードとは、それそのものが現実から半歩逸脱した超人。
 夢物語の存在なれば、夢物語を信じる愚直さも、時としてモノを言う。

SYSTEM :
 名も知らず、遺らぬ勇者だったのだろうものは。
 携えた刀を、だらりと脱力した仕草で上段に向け、次の瞬間───。

『骸』 :
『──────』

SYSTEM :
 ───海色の光をまとい。
 その刀が、異形へと変わった。

SYSTEM :
 それは分厚く、重く。まるで鉄板のように。
 細身の倭刀からは凡そ想像もつかない、もはや物理法則を無視した変形。
 バロール
 重力制御の領分を遥か越える得物のかたち。
 
 呼吸するような武装形成と変質は。
 その手に殺意と言う名の刃を握らせ。剣と呼ぶべきかも分からぬものを盾に、
 寸分の躊躇いもない足運びで、骸の勇者を“死”へと向かわせた。

SYSTEM :
 激突。
 同時に火花の代わりに、黒い大渦が弾丸を弾く。荒れ狂う海の渦潮にも似て、神鳴る響きを伴う嵐の様にも似通う。

 バロールのものと思わしき重力場。
 その規模、その使い方。紛れもなく比較にならないが、本質的なものは決して初見ではない。 

SYSTEM :
 ホデリが生み出す無形の防御障壁。
 あれの扱い方を、100倍『殺し馴れ』したものが使えば、きっと彼のようになるだろう。

 ───誰ぞがそう思ったかは知らないが。
 思ったならば、それを断ち切るように状況が動く。

SYSTEM :
 空間が、軋む。

 迫りくる死のかたち。不可視のものをそもそも捉えず、ただ“殺意”のみ見込んで剣を置いた先。
 変じた異形の剣/そしてそれを覆う超重圧が、虚ろの終わりを、同じ虚ろの殻で弾き───。

SYSTEM :
 返す刀で、一振り。

 ありもせぬ咆哮/鬨の声が、
 遥か地の底より響き渡る。

SYSTEM :
 その時───遠当てというにはあまりにも荒唐無稽な現象が起きる。

 間合いにして剣の届く射程圏内ではない。
 だのに、遥か彼方へ離れていたそいつが、振り抜きと共に此方に近付く───否。
 ・・・・・
 引き寄せる。

SYSTEM :
 振るうもの皆削り取り、引き寄せるは深き水底より振るわれた重力の腕。
 妄執の形は、もはや斬撃や打撃等、そういう類ではない。骸が骸となる前も“そう”だったのかは定かでないが、少なくとも『武器を扱う技』からはかけ離れていた。

 それは分厚い鉄板のような剣/矛に見えるが、そう見えるだけで───水平の一振りと共に起きた現象は、眼前の、己の妄執/重圧が浸透した空気ごと、視界に入るものを”削り取る”一振りだ。

 よってその刃、何処だろうとお構いなし。
 遠かろうが近かろうが、必ず間合いに入れて斬り殺し、圧して捻じ伏せる。

荻野目 旭 :
「──ぁ、ぎッ……!」

 身体が引き寄せられるのを感じた瞬間には遅かった。
 重力に押さえつけられた体はその攻撃を見切れもせず、切り裂かれた結果だけが鮮やかに残る。
 脳みそばかりが一丁前に働いて、今の攻撃の正体を探ろうとうるさく騒ぎ立てる。
 その瞬間にも、裂かれた体はレネゲイドウイルスによる再生を始めていた。

荻野目 旭 :
(バロール……!)

     バロール
《そちらに空間系持ちはいるか?
     ・・・・・
 そいつが第一容疑者だ》

 ──その言葉を、咄嗟に思い出す。

荻野目 旭 :
 アベルさんの見立ては、僕の予測ともそう外れてなかった。
 ホデリさんは見たところまだ正気で、ならこいつが今の第一容疑者だ。
 無理矢理でも間合いに引き寄せる空間圧縮の魔眼も手慣れたもの、僕が下手人ですと言ってるようじゃないか。
 ──ここでこいつを倒したら全部片付きますなんて、都合の良いこと期待してはいないけど!

荻野目 旭 :
 あいつに引っかかることは山ほどある。
『火出の者』、それにいま輝いた海色の光。
 情報と結びつけるにも無理のない情報とはいえ、今はそれを詰めてる時間なんてない。

 とりあえずわかってればいいのは、鳴り物入りで出してきただけあって、あの骸が一番のとっときだってこと。
 あいつさえなんとかしてしまえば……この場は切り抜けられるってことだ。

荻野目 旭 :
「痛っ、たぁ……ッ」

 そこまで考えて、限界が来た。
 痛い、超痛すぎる! リザレクトで致命傷は治ってもつらいものはつらい!
 気がついたら体は切り飛ばされたまま後ろに転がされていたので、土まみれの体を叱咤して起き上がる。
 まだまだ!

木口龍 :
 地鳴りが響き、ぬるりと抜かれた刃が異形によって構えられた。
 剣圧、とでも呼べばいいのだろうか。そんな、非現実的なものを今肌で確かに感じ取っている。
 まずい、何かしなければ大変なことになる。全身をガンガンと打ち鳴らす危険信号がそう告げている。
 やっとの思いで銃を構え、

木口龍 :

「は──え──」

木口龍 :
 ずるり、と視界の一部が横にずれた。
 人間に眼は三個あったとでもいうのだろうか。眼の前が万華鏡でも覗いたかのように分かたれている。
 びちゃりと聞こえてきそうな勢いで自分の視界に赤黒いものが割り込んでくる。

 ぼと、と何かが目の前に落ちた。
 銃を持った、オレの右腕だった。

木口龍 :

 ──痛みと、情報が、後から遅れてやってきた。

木口龍 :
「ぎっ、ぎぃゃああああああああああああああああッッ!!??
 うでっ、か、からだがッ、オレのカラッ、ぁっ!!!」

 もはや思考する能力さえない。眼の前に敵がいるというのに、お構い無しに叫び散らす。
 ぐちゅぐちゅずるずると再生する違和感でさえ気持ち悪い。
 未知の攻撃への恐怖。死への恐怖、あらゆるものが襲いくる。

木口龍 :
「くっ、くっつけ、くっつけなきゃ……ああああ血、血、血っ……!!!」

 ・・・・・・・・・・・
 だが腕がないと撃てない。
 不気味なくらいにそれだけは分かっていたから、地面に転がされたそれを死にものぐるいで拾い、慌ててくっつけようとする。
 無様で間抜けな光景である──。

 殺さなければ、殺されるのは分かっている。
 ならば、殺さなければならない。
 場違いにも、オレはそんなことを考えていた。

久外境耶 :
 細い刀身が、大得物へ転じる。異形に成り果てるのに似て、系統樹を逸脱した武装の再形成。護りに転じながら、その挙動はあまりに破壊的だった。

久外境耶 :
「……ハ」

 唾吐くように顎を逸らす。

 ・・ ・・     ・・
 あれがああなったら、こうなるだろう。

 意味のない仮定はしない。
 頭に浮かぶのは、それが確信に程近いからだ。

久外境耶 :
 思考に耽ることはない。
 生憎と/幸いにも、返す刀のほうが何万倍も迅かった。

「──う、お」
                 インチキ
 振り抜かれる──引き寄せられる。荒唐無稽お得意シンドロームのやるコトに驚いてたらキリはないが、それはもう武器を用いた戦り方じゃなかった。

 斬り、潰す。得物の重さではなく、妄執の強さで。
 端的に、ソレは問答無用だった。

久外境耶 :
 ヨユーで死ねると十分イケるは大体表裏。迫る重圧ではなく、背後に腕を振り上げる。

 内から爆ぜるように自壊した掌の孔が、白く排気した。ジェットめいて吐き出される凍結の力を帯びたレネゲイド。それは瞬時に"残骸"の前へ防壁を築き、代わりに空間ごと削がれていった。
 必殺の間合いに余分一個挟んで凌ぐっていうケチなやり口だ。

久外境耶 :
「づ……!」

 代わりに自分の守りはがら空きになった。ブツリだとかリクツだとか、まるごと捻じ伏せて削る一撃をもろに浴びる。

 血は流れない。腸は零れない。ただ粉雪じみて白く凍える冷気だけが、一度だけ吹き荒んだ。

「無駄、無駄、無駄……! 死人は気合いが足りなくって欠伸が出るねエ!」

 ギリ耐えのくたばり損ないを、隠しもせずにゲラゲラ笑う。死んでないからおれの勝ちだと、ガキのように誇って。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 銃口から放たれた精密の死は、暴虐と理不尽が為した埒外の死に弾かれた。
 此方の理外の代償が全身にのし掛かる。吐き損ねていた空気混じりの血が泡立って肺から込み上げる。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 膝に込めた力が解けその場に崩れ落ちる───ことすらも許さず強引に胸倉を掴み上げてくる引力に、直感する。

 ・・・・・・
 アレはダメだ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 回避どころか、超人には“ありきたりな死”に備える準備すら今のワタシには儘ならない……!
 通算、何度目かも知れない死の薫りがいよいよ脳裏に具体の象を結んだ。視界が歪み、砕け、白んでいき──────

”朧の狩人/残骸” シホ :
─────────いや、違う!

”朧の狩人/残骸” シホ :
「“ラッキージンクス”、あなた───ッ!」

 ほとんど悲鳴に近い叫び。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 半ばホワイトアウトした思考とは裏腹に、骸に刻まれた記憶が瞬時に凍てついた空間を蹴り付ける。
 引力を利用した反作用が辛うじて寸分の回避を成立させた───が………

 思考が回らない。彼はいま無事で
      /そんなはずはない
 /喰らったのはあの子だけじゃない
/“ナイトホーク”の声は聞こえた
  /龍さんのバックアップを───

SYSTEM :
 海原を圧が奔る。
 それがたまたま「斬る」という形をとっただけの斬撃/波濤は、言うなれば、実像を持った幻越しに攻撃を出力したようなものだ。

 ならば、妄執で“捻じ伏せる”という見立ては正しい。
 これは「巨大化させた剣による引力と空間掘削を伴う斬撃」というテクスチャにしただけで、本質は剣の技でもなんでもない。

SYSTEM :
 思うにその技、本来はそうした使い方をするものではないのだろう。
 文字通り空間を“跳ぶ”一振り。
 彼に技巧が備わっているならば、いくらでも悪用の術がある。
 それを、こうした極端な力技───自らの間合いに無理矢理ひきつけながら“断ち切る”ように使う辺り………。

 それこそ。
 幻を通して、あの怪物そのものが物理的に腕を叩きつけたかのような。

SYSTEM :
 ならば、やはりこれは内側に閉じこもる怪物のようでもあった。
 しょせんは微睡む幻へ、男が識る限りの腐肉の器を与えたに過ぎない。

SYSTEM :
 其の災害を指し示した従者使いはと言えば。
 紙屑のように吹き飛び舞いながらも情報の点と点を線で結び付けた小僧と、
 ヒトの迎撃と行動の要と言える腕ごと切り捨てられ這い蹲ってもがく男の、
 合計二人を嘲笑うでもない。

 否、四方纏めて吹き飛んだならば痛快愉快、無様なりと任意の長句を垂れ流したに違いなかろうが。

SYSTEM :
 距離・防御。
 凡そ真っ当な手段では防ぎようのない『空間断ち』が、空間と空間を咄嗟に隔てる停滞に激突する。
 どこから、どこまで───律儀に設定しただろう射程距離などコレにはないが、さりとて断ち切る所作に大きな『余分』が混ざったのも事実。

 結果、隔てられた空間と、死神を騙る対価を払った直後のシホが留まる場所は、確かにその無形の津波を免れた。
 あるいは、免れるだけの時間的余裕があった。

SYSTEM :
 ともあれ………如何にもそれが中々に面白くなかったらしい。
 初手にて決着さえ望んだ男の、どこか唸るような声が聞こえる。

『何者かの影?』 :
『おのれ───往生際悪し小僧が吼えたるもの!
 だが二度目は非ずと知れい………!』

『何者かの影?』 :
『そして是が非でも思ひ知るべし!
 死者に加わるは貴様らの方なり!』

SYSTEM :
 沸点のそう高い方ではないのだろう。
     ・・
 あるいは気位が高いのか。
 居丈高で、古風な言葉の羅列をよそに、骸の瞳がまだ動くものを捉える。

SYSTEM :
 そこに生者の面影はない。
 ただ、遠く、遠く───かなたの届かぬものを臨む虚ろな目があるだけだ。

久外境耶 :
「カハハ、なんつー声出してやがる! ンな可愛げあんならもっと早く見せとけ!」

 "残骸"のほとんど悲鳴みたいな声にけたけたと返して、表面だけは修復の済んだ身体から氷を払う。

久外境耶 :
 朗々とした反駁のわきで、虚ろの双眸がゆらりと揺れる。生気を追従するようでいながら、目の前すら見えてないような視線。

「……ごめんだね。こんな、つまんねえツラ晒すのは」

荻野目 旭 :そんなこと言ってる場合ですか! と喉元まで出かかったのをごくんと嚥下。痩せ我慢なのは見なくてもわかるし、こういうのを指摘するのは彼に悪いってものだ。

荻野目 旭 :「木口さん……シホさん! 生きてます!? 特に木口さん……!」

久外境耶 :「腕拾えたかよ。こっちにゃ飛んできてねえぞ」野次

木口龍 :「あ、あああああ腕、うでがあああ……く、くっついた、なんとかくっついた……大丈夫痛みは引いた大丈夫大丈夫……」 ぶつぶつぶつぶつ

荻野目 旭 :やっぱり大丈夫じゃないかもなあ!?

『何者かの影?』 :
『貧弱貧弱! 意地を張るならずや!
 それが何時まで保つかな!』

久外境耶 :煽ってんじゃねーよおめーも!

木口龍 :ハァーッ、ハァーッ……

木口龍 :

 ──撃たなければ、死ぬ。殺される。殺されるというのは、恐れるべきことである。
   無明の闇に突き落とされれば何も出来なくなるのだから。

「く、クソ……ふざけんな、ふざけんな、なんでオレがこんな、こんな目に……」

 まだ体は蝕まれきっていないが、精神はもはや限界だ。
 刀を振るだけで、大気を収縮──あれは空間ごと叩き斬ったといっても過言ではない──させ、こちらを切り飛ばすだと?
 馬鹿げているにも程がある。勝てるわけがないこんなもの。出来れば今すぐにでも逃げ出したい。

木口龍 :
 血反吐を、吐き散らかす。
 足腰が震えている。

「……クソ、クソッタレ……やりたくなかったんだこんな仕事ォ……」

 ……恐怖に振り切れ、心が擦り切れる。
 目の前の屍を見る。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 貴様はどうしてそんなにも動じずに要られるのか、という場違いな怒りさえ湧いてくる。
 揃いも揃ってバケモノだろうが貴様ら。一般人の探偵であるオレを甚振って何が楽しいんだ。

木口龍 :

木口龍 :

「──やっきょうに、サン・甜・苦・辣・鹹・澀・腥・沖、河畔ノ薬草……

木口龍 :

        ジゴク
 ──オレと同じ土俵に、堕ちて来い。

木口龍 :
 頭の中で、何かが反響する。
 全身を突き刺す針のような痛みと共に、口をついて出たのは呪詛と呼ぶべき音色だった。

「……忘川河ノ水ヲ混ゼ合ワセタ物ヲ詰メヨ」

 実に手に馴染んでいる。そういう割には、あまりにも。オレ自身が驚くほどに。
 照準を合わせるだけでいい。そして、当てるだけでいい。
 必殺とはそういうものだと、何故か知っている。

「銃身ハ冥吏ノ肉体、撃鉄ハ星君ノ指、此レヲ以テ拳銃ノ鋳造ヲ完了トス」

木口龍 :

   とっとと、起きろ、
「 泰 山 之 霤 穿 石 ──せめて、どっかへ消えろ、《醧忘台・北斗星君》……!」

木口龍 :
 ──そうとも! それでこそ、暗黒街に活きたお前の意志!

 銃弾が発射された。
 放たれたそれは、地獄に生きる者が最後に立たされる魂の分水嶺。
 精々侮り首を洗って眺めているといい。直撃が、お前の末路を引き出してくれる。

木口龍 :
「しね、死ね、死にやがれぇ!!! うあああああああ!!!!」

 絶叫しながら、撃つ、撃つ、撃つ!

『骸』 :『───』

SYSTEM :
 ───ぎろり、と。
 赤眼がうごめいた。

SYSTEM :
 決して男の面も所業も言葉も殺意の形も一切合切聞いてなどいないが。
 ただそれが、遠くに臨むものを阻む有象無象だということのみを識る瞳だ。

SYSTEM :
 
 そして放たれることを予想されるものは、何の変哲もない銃弾。
 それを放つだろうと予想される、先の大筒より幾分か“小さい”得物。
 彼らにとっては恐らく知らぬし………。
 その小筒から放たれる弾丸は人殺しの最小単位。一工程で人間滅する、最も普遍的かつ安直な現代暴力/破壊の形であるが。

 これほど明確に殺気を露としておいて、まさか気付かない道理はない。
 矛先となった骸は微動だにせず、これの操り糸を手繰るものはまた明確に哄笑した。

『何者かの影?』 :
『クククハハハハハ、矮小無様! 
 小心翼翼の若造めが、分をわきまえず良くぞ来しもの───』

SYSTEM :
 はじめその言霊を怪訝に思いつつも、
 乱高下する狂乱と冷静は、珍しからざる発狂の類と受け取ったらしい。

 少なくとも発射の瞬間まで男は嘲った。
 …嘲ったが。

『何者かの影?』 :
『………いや待て、貴様、』

『何者かの影?』 :
『───さては!』

SYSTEM :
 彼は発射の直前に、己の懸念を励起させ、点と点を線で繋ぎ。
 
 そしてそいつの慢心の致命的遅れより早く、骸の生存本能/夢うつつに残る戦闘本能が躯体を動かした。

 あるいはそれを抜きとしていれば。
 パッシブ
 自動防御のみの得物と浸透した無形の障壁のみであれば。今の一撃は、確実にこれを形作る命令の中枢を撃ち抜いたに違いない。

SYSTEM :
 ───黒々とした殺意。
 瀕死ゆえの、狂奔にも似た、衝動的殺気を伴い。

 あまりに意図の明白な銃弾が、あまりに隠す気のない軌道を通って解き放たれた。

SYSTEM :
 彼の空気に彷徨い漂い浸透する、無形の重力場。
 夢うつつのまま/夢ならば何でも成せるからと、その腕がまず先に躍り出た。

 正面に突き出したそいつが、放出された弾丸。その隠れ蓑を纏った夜摩天の果たし状を迎え撃つべく、不可視だったものを可視化させる。 

SYSTEM :
 可視化したものは、先程シホの銃弾を防いだ黒い渦潮。
 それがうねりを帯び、狂乱の感情を携えて、真っ向から銃弾と、そこに込められた“超人殺し”の因子の勢いを削ぎに掛かる。

 見た目そのものに違いはない。
 唯一無二の違いは、その瞬間。
 腕を向けた時、言葉の一つも紡がぬものの感情/衝動が織りなすものが、伝播したという部分だけ。

SYSTEM :
 即ち───。

『骸』 :
   う た て し
 █▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

 さ は り な す な
 █▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :
 ・・・・・・
 邪魔をするな。だ。

SYSTEM :
 はじめて眼前の、石くれの如く扱ったものに目を向けたと共に、渦を成した黒い波濤が、銃弾の悉くを呑み喰らう。

 依って、直撃したのは一発。さしたる瑕もなければ、それが致命を穿った感触もない。

SYSTEM :
 だがそれが。

 稚拙な技巧を装い、
 凡庸な銃弾を騙り、
 無様な道化を介して放たれたソレが。

 あるいは致死の引金であろうことに、
 そいつも“従者使い”も気付きはしなかった。

荻野目 旭 :(当たった……けど、なんだ? モルフェウスの物質生成で作ったからって、当たり方は多くない──)

荻野目 旭 :(──なのに、なんだか寒気がする……)

荻野目 旭 :
 一般人と言い張っていた彼が垣間見せた、いっそ異様なほどの殺意に大きく驚いてる暇は……たぶんない。
 夢うつつを漂う骸の従者が口走った言葉を吟味する余裕も……ない。
 “ラッキージンクス”も見た目だけ繕ってるだけに見える、かなり限界だ。

荻野目 旭 :
(……優先順位!)

 染み付いた優先順位に従うように、手のひらを差し伸べた。
 どこかから飛来した鳥──そう見せた幻が、“ラッキージンクス”の肩に止まる。
 翼を畳んで頭を伏せたかと思えば、鳥の肉体を突き破るかのように花が咲いた。小さな翁草の花。
 花は小さく瞬いた瞬間、花びらとなって彼の体に降り積もる。
 表面の傷を見えないように舗装した彼の状態に適応するように、内側を修復する《癒しの水》だ──。

荻野目 旭 :「あいつ……まだ生きてますよ! ええ、僕らもですけど!」

荻野目 旭 :「ぱったり死んでくれると思ったら大間違い……! あなたたちこそ、邪魔しないでほしいですね!」

久外境耶 :
「……あ?」

 肩口で、幻の鳥が散華する。落ちた花弁が水のように沁みゆき、差し迫ったもう一つの死が遠退いた。

久外境耶 :
 …… ……。
 異形の體は、空ろの洞だ。
 人体を稼働させる器官は形状を失い、備え付けの機能に成り下がった。生命に宿るべき熱量は血の一滴も残らず、この身は今や、ただ死を蓄えるための容れ物だ。

久外境耶 :
 死を手前で押し留め、生き永らえる。矛盾すれすれ、ガキの屁理屈もいいとこだが、死に際で踏ん張ってるうちは死んじゃいない。

 そうやって生きてきた。これからも、そうなる。

久外境耶 :「……おォそうだ、よく分かってんじゃん」 

久外境耶 :
「そういうツラぁしてる時のおまえは嫌いじゃないよ、"ナイトホーク"」

 ……だから、修復されたのは文字通りの内側。肝心要の器に、あと一歩は食いしばれるだけの力が戻ってきた。

荻野目 旭 :「それはなによりです! ……まだ来ますよぉ!」

SYSTEM :
 
 異形の體に、降りかかるべきかりそめの死が遠ざかっていく。
 オルクスの領域操作と、ソラリスによる他者の治療。

 彼に言わせてしまえば、3年間、ずっと鍛えて来た少年なりの戦い方と言ったところ。
 なるほど確かに、その治癒は功を奏した。
 幽鬼の仲間入りとは行くまいが、その境界線を反復横跳びする死出の旅路の体験会は、どうにか少年に訪れることはなかったからだ。

『骸』 :『───』

SYSTEM :
 ───海色の渦が、吐息のように零れる。
 それは目前の行軍を阻む石くれの不自然な再生に依るものか。
 ネツ
 感情を持たない死の朋友。
 停滞った時から二度とは動き出さぬ夢まぼろしが、呻いて寝返りを打つがごとく、おもむろにその足を踏み出した。

SYSTEM :
 ことオーヴァードについて。
 不可逆たる死を可逆にすることは出来ても、それを遠ざけることは難しく。
 他者の不可逆を己の命で代替し、尚且つ生残するということは難しい。それは言うなれば素質だった。

 本質的に、オーヴァード同士の戦闘は前のめりだ。
 死に際で踏ん張って、相手の胸倉掴んで死に落とす。
 闘争とはそういうもの。殺られる前に殺れば、後はなんとでも帳尻が付く。

 かりそめの死を可逆とし、まことの死を遠ざけていくが故に。
 無意識で大抵のものがそう“成る”ならば。
 そうした適正の持ち主は、あるいは集団での戦闘と考えれば脅威だ。

SYSTEM :
 よって、彼に思考があるのならば。
           ・・・・・・・・・・・・・・・
 いや、ないとしても、従者使いが彼を誘導できるならば。
 矛先はそうなる。

SYSTEM :
 よって矛先は。
 剣を携え、地を蹴って踏み込んだ彼の回答は───。

『骸』 :
    な ど か 
 █▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

『骸』 :

 な ん じ な る か
 █▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :
 ・・・・
 その二人を、見えていないがごとく素通り。

『何者かの影?』 :
『───な、』

『何者かの影?』 :
『に、ィ───』

SYSTEM :
 怨みか僻みか憤りか。
 その海底からこぽこぽと音を立てるような低く重たい声と共に、
 引き摺るように得物を持ち上げて、叩きつけようとした先ときたら………。

『骸』 :
   け は い す
 █▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
  
  なにせり ゆるさぬ
 █▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :
 ───何故か。

 木口龍。

SYSTEM :
 先程の銃弾。
 殺意の矛先になった瞬間からというものの、
 それは見てわかるほど明白に───従者使いの思惑を無視していた。

 前列、不死の猛者どもを一度に送り還したシホでもなく、
 それを庇い一撃を耐えられた境耶でもなく、
 ましてやこれを回復し持ち直させ、打開の手を隠し持つだろう旭ですらない。

SYSTEM :
 ただ銃を向けただけの龍に。
 お礼参りには、あまりに無慙な一振りが唸りを上げた。

『骸』 :『───』 

SYSTEM :
 跳躍と共に、空が軋む。
 嵐の如く逆巻く黒渦が、剣そのものを柄に見立てて束ねられる。

SYSTEM :
 渦のかたちは、あの時海で見かけた幻───。
 あれの触腕ほどの長さ。叩き付ければ、大型船舶のひとつやふたつ、軽く圧壊させよう。

 先程に輪をかけた技のなさ。芸のなさ。
 しかし、ここに宿るものだけは確かであり、その重さのみが、今のこの骸をよしとする武器であり原動力なことは事実であった。

SYSTEM :
 ・・ 
 何故。
 ジャーム
 妄執の塊が振るったのは、不可解を基底とする拒絶だ。

”朧の狩人/残骸” シホ :

”朧の狩人/残骸” シホ :
 氷壁を蹴って死を振り切り、その勢いのままに情けなく地面に崩れ落ちていたワタシは。
 伽藍に響くけたけた笑いと、少年の叫んだ警告に停止していた思考をようやく再起動できた。

”朧の狩人/残骸” シホ :
       ・・・・・
 そうだ、まだ生きている。奴らも、“ラッキージンクス”も、ワタシたちも。
 目の前の出来事と逡巡に思考を止めている場合ではない! 急ぎ銃弾を装填し、焦げ臭い銃身に付け焼き刃なモルフェウスの知識で補修を施す。
 姿と手札を晒した以上、戦力のバランスからして奴はまだ此方を狙っている可能性が高い。今度こそ誰に頼るでもなく、攻撃から逃れる用意をしなければ──────

”朧の狩人/残骸” シホ :
 なら、な──────

”朧の狩人/残骸” シホ :
「───っ!?
 龍さん、退避を──────」

──────なんで。


 咄嗟に叫んだことばも、咄嗟に向け直そうとした銃も……今からでは間に合わない───!

 “イリュシデイター”たちと共に乗った船の末路が脳裏を過る。
 思い出すまでもなく、ほんの数十秒か数分前に見た光景がフラッシュバックした。
 大雑把に振るわれた一撃ですらあの威力なのに、それが個に集中してしまったら……今度こそ───

 

久外境耶 :
 海底から響くような低い泡混じりの聲。他律を離れた報復は、嵐の唸りを引き連れて。
 逆巻く渦を刀身に、大得物を柄に──手管のひとつもない振り下ろしが、ただ重さによってのみ暴力性を保証された一撃が、迫る。

久外境耶 :
 が──

「プロの肉盾舐めんじゃねーッ!」

 生憎こっちも伊達に人外やってない。一秒、いや、一瞬でいい。反応さえできれば間に合うし、間に合わせてみせる。

久外境耶 :
「ぐ、ゥッ……!」

 だから。金属質と化した体表も、この一撃のもとでは硬度など意味を為さなかった。

 折れる骨もない。中身ごと仕組みを変えた身体が、器物のようにバキバキと損壊する。砕け、剥離した表層と、黒い渦に抗うように──あるいは引き寄せられるように迸る白い奔流。

久外境耶 :
 ホントは一瞬のくせに永遠じみた鬩ぎ合いのなか。

 ──ぁ。

 直感が、身体より先に結果を見た。それと同時に凍りつくような死の空虚が、精神を支配していく。

久外境耶 :
 苦痛や恐怖は死に対する反応であっても、死という現象の一部分ではない。死は無彩色で、無感動なものだ。"何もない"に支配されたとき、すべてが失われる。自分というすべてが。

「っ……だ、……」

 押し寄せる空虚を、励起したレネゲイドが阻んだ。罅割れのラインを逆上っていく青白いフレア。

久外境耶 :
 見栄と意地で外装だけ繕って、余剰の冷気を吹雪かせる。カスダメにもならねえ振り払いのあと、

「まだ──まだア! ……あ!? ハ、ハ……! テッパン言わせやがって、ちょっと照れんだろうが!」

 戻ってきた情動の熱に浮かされたように、げらげら声をあげる。

木口龍 :
 ──終わった。

 あれを受けてまだ動ける輩なぞ、もはや化物と呼称する以外になんて呼べようか。
 銃弾をその身に浴び、腐り落ちた血を流しながら宙を舞うソレをただ黙って見ているだけしか出来なかった。
 否、見ているだけというと語弊があるのかもしれない。

木口龍 :
(……分かっている。分かってるんだ。オレは場違いのヤツなんだって)
(こんな戦場に、ヘボで弱音吐きの三下探偵なんざお呼びじゃないって)

木口龍 :
 銃を撃って、必殺の毒を仕込む。
 毒を撃たれた相手は確実な死が約束される。

 ・ ・・・
 で、だから?

 当てれば必殺、外せば即死。
 それはあくまで同格相手の話だ。魂単位で格が違う生物を、気合と根性だけで乗り越えられたら世界から悲劇は消えている。
 そうじゃないのだから、世界は正常に回っているのだ。
 その弱者側に、自分が来るだけの話。まして、他の連中では通りが悪いし──もう一人の射手なんか明らかに平静を保っていない。

木口龍 :
 斬艦刀が振ってくる。
 静かに目を閉じる。
 オレの人生は静かに幕を下ろす。
 最後に、囮になれただけでもマシと思って──。

木口龍 :
「──」

 ──終わらない。

木口龍 :
 異形が、斬艦刀を相手に大立ち回りしている。久外境耶と名乗った少年だった。
 直撃寸前に滑り込んだ彼が体を張り、そしてその身を再構築する様を、目の前で眺めるしかなかった。

木口龍 :
「──アンタ、死んじまうぞ。本当に」

 ぽつりと呟いたオレの脳裏にあったのは、所持品に一個だけあったまともなもの、"手帳"であった。
 人生の指針だ。自らに命を賭して呈した者に対して、それ相応の価値を差し出さないヤツは"漢"ではない。
 それが出来ないならば、その手にある拳銃で潔く頭を撃って自分で死ね。出来ないならば、足掻くしかない。

木口龍 :
 ……死の淵に立って、それを不思議に思わない自分がいることに、少し不気味ささえ覚えたが。

木口龍 :
「……いや、助かった。ありがとう。
 晴れて、全員生きて生還だ。"このくらいの時間"があれば、もう、効果は出る」

 その足掻きの成果は、もう少しで出る。

■■■ :

 ──さァ死者どのォ! 我(おれ)と遊ぼうぜ!

 ──手前(テメェ)にくだるのは閻魔の裁きよ!

 ──我(おれ)が死ぬか、テメエがくたばるか、裁きでドッジボールして遊ぼうじゃないか!

 ──呵呵ッ、呵呵呵呵ッッッ!!!!

SYSTEM :
 
 停滞った時同士がぶつかり合い。
 やがて凍て付いた時が砕け散る。
 
 死を想うかたちの虚より、どれほど手を突っ込んでも届かぬ彼方から。
 虚ろなる死が顔を覗かせ………。
             ネツ
 まだまだ、の言葉と共に、生命がこれを上書きする。
 金属質の體。空っぽに意地を詰め込んで、負けには早いと馬鹿笑い。

SYSTEM :
 燃え上がりながら吹雪く。相反する熱はサラマンダー・シンドロームにならば造作もなくこなせる矛盾。

 それがダメージになったかと言えば答えは全くの否だが。
 少なくとも、仕切り直す時間は与えられた。

『何者かの影?』 :
『たわごとを!
 火出の尊は狂えど猛者ぞ!』

『何者かの影?』 :
『………だが彼奴め、なにゆえかかる木端を狙いけり。
 あの者は………あの者………』

SYSTEM :
 そして。

 仕切り直す時間が与えられた時点で詰みだった。

『何者かの影?』 :
   ・・・
『───そうか!』 

SYSTEM :
 我が意を得たりと叫ぶ声が。

 どこぞで爆ぜるいかずちの音に掻き消えた。

SYSTEM :
 稚拙な技巧を装い、
 凡庸な銃弾を騙り、
 無様な道化を介して放たれたソレが。

 ついに、顔を出した。

SYSTEM :
    ネツ
 内側の感情を喰らい肥え太るは神鳴る音。
 死を厭い、死を疎み、死を憎んで───。
 生き足掻きながらも、無自覚、遮二無二走り抜け。
                       スパーク・ラダー
 この世に非ざるものを道連れに地獄へ駆け落ちる雷電螺旋。 

SYSTEM :
 誰ぞ識る。
 それは生きていようが死んでいようが、
 その理を嗤うもの等しく裁く夜摩天の催促状。

 死滅を競う閻魔の哄笑。
 誰も彼も等しく地獄行きの判決を前に、
 そもそも黄泉の者が耳を塞ぐ道理はない。

『骸』 :『────────、』 

SYSTEM :
 内側から、いかずちが爆ぜる。
 それはまぼろしをこの世に留め置く、一枚のことわり描きし符を灼き、焦がし、塵とした。

『骸』 :
 
   ゆ る さ ぬ
 █▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

『骸』 :

    独 り は
 █▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅───

SYSTEM :
 二度爆ぜて。
 形あるもの。現世に紛れた常世のまれびとが、解れかき消えていく。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【-Battle Finish-】

SYSTEM :
【Check!】
 シーン移行/バトル終了条件を満たしました。

・“骸:■■■■■■■”のHP0
 

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………空気に染み込んだ、不可視の圧が紐解ける。
 武者の姿はそこになく。
 これとは一線を画す物の怪の姿もそこにない。

SYSTEM :
 残るものは、微かに散らばる焼き切れた符の残骸。
 そして、鉄火場の外れにて囃し立て、操り、何事かに気付いた刹那、それを成す駒を手放した従者使いひとりだけ。

『何者かの影?』 :
『ぬ───』

『何者かの影?』 :
『う───おのれ!
 おのれおのれおのれ………!』
 

『何者かの影?』 :
『倒すか、夢うつつの物の怪を………!
 小癪な小僧どもめが 我としたことが見誤ったわ!』

SYSTEM :
 地団駄ひとつ今にも踏みそうな、虚偽でもないように思える口惜しみ。
 いや、実際に踏んだかもしれない。軽い土を踏み抜く音と、そこから覗いた、背格好で言えば大柄な男のそれではないだろう、フード越しの中身。

久外境耶 :「最後まで生きてりゃ勝ちがおれの戦いだ。はなっから死んでるヤツじゃ相手になんっ……」

久外境耶 :
「……くそ、1リザいかれたのは不覚だった」

 ぐらつく膝を踏ん張って、マスクを戻す。……不意の解除にナカミは凍傷でズタズタ、外側も氷に食い破られていたが、死んじゃない。ジューブンだ。

『何者かの影?』 :
『癪なれど理あり………。
 死して屍拾うものなしよ』

『何者かの影?』 :
『しかし………あの獣めが。
 よほど好かれきや。厄介者ばかりあまた連れてきよる』

SYSTEM :
 口振りはあろうことか同意。

 影のように揺らぎ、声とて何処から発されるか定かでない者の。
 同じように、墓下で眠るものを嘲るが如き言葉。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「………、………………」

 逸る心を抑えつけ、銃口を下げたままに保つ。
 今は、奴からそうと悟られずなるべく多くを聞き出さねばならない。

『何者かの影?』 :
『は、は、は。
 ───くろがねの砲のさても畏れしことよ』

『何者かの影?』 :
『だがァ…貴様はどうかな。
 ・・
 それを畏れども、貴様はァ…どうかな』

SYSTEM :
 続いて嘲り。
 それは余裕の表れか、元より居丈高な素振りのある彼の口振りからして………。
 余裕なくとも悪意以て振る舞うが、成れの果ての性なのか。

SYSTEM :
 肝心なことは。
    ・・
 意図がそうならば、これは特に勘付いていないということ。
 あるいは万一に勘付いていても“見逃した”ということだ。驕りと取るか、底知らずと取るかは人にも依ろうが………。

”█▇▅▇▇▅” シホ :
「…………それは」

言葉が、出てこない。

久外境耶 :「だ〜っ、まだるっこしい! ドーカナが遺言でいいか、ええ!?」

『何者かの影?』 :
『フハハハハハハハ!

 遺言………遺言ンン?』

『何者かの影?』 :
『この我が遺言とは!
 片腹痛いわ!』

『何者かの影?』 :
『この小僧なぞはしょせん我が陰陽手繰りし傀儡! 
 物の怪は夢うつつのひとかけらァ!』

『何者かの影?』 :
『そう、如何にしたかァ………。

 死なねば負けでないだったか?
 ハハハハハハハハ!』

SYSTEM :
 ひとしきりの哄笑。
 要約:遺言も何もこんなものは使い走り。

木口龍 :
「……」

 衝動的な恐怖に支配されていた感情が、落ち着いてきた。
 目の前で喚き立てるソレと、皆のやり取りを見ながら──。

久外境耶 :「────────」

久外境耶 :このボケぜってー殺す

木口龍 :「……落ち着け」 と境耶に制して

SYSTEM :
 言うなれば負け惜しみでもあるが、同時にずいぶんと感情の起伏が烈しいものらしい。
 堂々と人差し指突き出して、見栄切りひとつしでかそうものならば、しかし………。

久外境耶 :「今ガソリン注ぐか騒音男!?!?!?!??」

『何者かの影?』 :
『で。撃たぬか。
      ・・・
 ───ほう、撃てぬか?』

木口龍 :
「まぁ見てろ……オレも疲れて何かを言う気力はないから真面目になるぜ・・・」

「……そんなくだらない生物の俺達にわかりやすく教えてほしいんだが、お前、今元号は何か言えるか?」

 黒い影法師に聞く。

『何者かの影?』 :
『手弱女のように喚き、閻魔の如く撃ち抜いておきながらァ!
 ・・・・・
 今になって冷酷無比に撃てぬかァ!』

SYSTEM :
 その指が今度はシホに遅ればせながら向いて、そうかと思えば龍に向く。
 ただ、その打てば響く多弁のわりに、彼の豹変(もはや平時なのではないかという疑問さえ沸く)に対して語る言葉は一つだけだった。

『何者かの影?』 :
『そこでだ、貴様。
 そうだ貴様………下らぬとはよくも抜かした』

木口龍 :「いやもう大変オレたちはくだらぬ人種なものでして、御高説をいただきたいかなぁと」 へこへこ

『何者かの影?』 :
 ・・・・・・・ ・・
『正体を見したり、貴様。
 ・
 誰の使いぞ?』

木口龍 :「使い?」 何言ってるんだ貴様

木口龍 :「オレは常にオレの魂に遣われているが・・・」

久外境耶 :膝裏を蹴る

木口龍 :「があああああああああああああああああ!!!!????」 転げ回る

荻野目 旭 :(うそつけ)

『何者かの影?』 :『二の太刀入れよ』

木口龍 :「テメエ!!!!!!!!!さらっと乗っかってんじゃねえ!!!!!!」

木口龍 :「で、えーっと、使い?」

木口龍 :
マジで心当たりがないという顔をしている……

荻野目 旭 :(……彼の対応はともかく、ホデリさんもあの骸も、こいつも、木口さんのなにかに反応してた)

『何者かの影?』 :
『ふん。知らぬ、知らぬと………ののしりよるわ。
 
 この奇天烈さ。八百比丘尼めか。
 あるいは………』

木口龍 :「オレは質問に答えたぜ!!!!今西暦何年だ!!!!言え!!!!吐け!!!!ゲロれ!!!!」

『何者かの影?』 :1d3 1:石を投げる 2:水を飛ばす 3:無視する (1D3) > 1

久外境耶 :ややウケ

木口龍 :(眉間に直撃し後ろに倒れる)

”朧の狩人/残骸” シホ :………………はぁ。

久外境耶 :「おい旭、おまえ話せ」アホじゃ埒あかん

久外境耶 :おれ? 無理だわ殴りたくなるから

荻野目 旭 :やっぱり? ぼくもそう思いますう

荻野目 旭 :あ、後ろに倒れた木口さんのデコにぞんざいに絆創膏を貼ります

荻野目 旭 :ぺた!

木口龍 :「復活した・・・」 だが黙って話を聞く姿勢になるぜ。正座で

”朧の狩人/残骸” シホ :痕とか残りそうだなぁ、アレ……

『何者かの影?』 :有り得ぬ…眉間に一当てなべきぞ

SYSTEM :
 ………その挙動に付き合いがいいというよりは、どうもそいつ自身、それなりに“癪”を認めつつも木口龍に視線が向いているのは確かだ。

 こいつを気にしているから、戯れごとに“まだ”付き合っているとも言える。

荻野目 旭 :(まあ、彼の言動はともかく──)

荻野目 旭 :(八尾比丘尼? それって不死の力を得た尼さん──ケガイシって言っていた、ホデリさんの話と同じ、当時のオーヴァードのこと?)

荻野目 旭 :(……)

荻野目 旭 :
「……八尾比丘尼の使いだったらどうするんです?
 あなたの優秀な従者は、あれで本当に滅びたわけじゃあないはず──取るに足らないものじゃないんですかね」

荻野目 旭 :「ああ、ん−、それとも……八尾比丘尼が出てきたら、あなたもおっかない?」

『何者かの影?』 :
『は、は、は! 戯れるわ小僧め!
 聞きしばかりの言葉、よくも齧るわ』

『何者かの影?』 :
『アレは己から顔を出すものに非じよ。己が意思と嘯いて、因果の糸掴ませ、それで終いぞ。
 そも、いまやこの世にあれなる者が在ろうか。畏れる理由が何処に在ろうか!』

『何者かの影?』 :
『なれどその男、如何にもあやしきもの。
 
 かくも有り得ぬことをするものなぞ、我はこの世に三人と知らず………。
 よもや、と思うたが………』

SYSTEM :
 ………よもや、とは。

 本当に、そんなものが、現代に生きていれば。
 どうも彼は、如何にも不思議な(何もかもが)青年を前に───いや。

SYSTEM :
 何か別の判断理由で以て、彼を異物と見た。これはそういう話のようだ。

久外境耶 :……。

久外境耶 :このレベルのイロモノ何人もいられちゃたまんねーし まあ……?

荻野目 旭 :絶対そこじゃないですよね? ね? ね?

木口龍 :まったくだ。オレのように聡明な探偵が二人もいてたまるか。

『何者かの影?』 :1d3 1:石を投げる 2:石を投げる 3:石を投げる (1D3) > 3

木口龍 :一択じゃねーか思考を読むなテメエエエエエエエゲホフォァッ

久外境耶 :ナイスキル

『何者かの影?』 :
『………ただ奇天烈なだけ………否………。
 否否否否………』

『何者かの影?』 :
『今は捨て置く。だが………。
 そも、我から何ぞ答えなど聞き出して如何にする?』

『何者かの影?』 :
『無様に命を乞い媚びるか?
 無駄無駄! “リュウグウジマ”は我と物の怪の望み叶えて、海を神を怒らせ還るもの!』

『何者かの影?』 :
『如何に足掻こうと助からぬぞ!
 ふ、は、は! ははははは!』

久外境耶 :「物の怪の望みだあ? そいつァ聞き捨てならねーな」

久外境耶 :「おれはおまえが獣って呼びやがるやつの伴でね。──そら、もう分かんだろ。全面衝突だ」

『何者かの影?』 :
『………ほう!
 ほう、ほう、ほう!』

『何者かの影?』 :
『ほざくや! ほざききや! さても生意気なる小僧!
 この我を殺すと宣うつもりか!?』

SYSTEM :
 少年の言葉に、影がゆらゆらと、嗤う。
 揺れに揺れながらも、それは口を利ける生身を伴った影法師だ。

 呵々大笑のようにも、泡を食うような怒りの形にも取れる声。
 少なくとも、敵意に敵意で返して嘲るその様が。口振りからどんな感情を懐いたのか、それを悟るのは難しくない。

 たいへんに身近で矮小な例え方をするならば、それは小生意気な小僧に口答えをされて憤る年配だ。

『何者かの影?』 :
『あの獣の伴とは。そも、思えば何時島に出できたりや………。
 まあよい。なればますます生かしておけぬなあ』

『何者かの影?』 :
『口惜しや、かりそめの僕なぞ用いるでなかったわ』

久外境耶 :「あ……?」

 ──何時、ねえ。島に取り残されたってんなら、何時も何も始めからじゃあないのか。
 ……いや。あいつは「目覚めていくつの月が経ったのかも、もう定かでない」とも言ってたっけ。

「……そうかい、んじゃあ首洗って待ってな。マジの吠え面キッチリ拝んでやるからよ!」

荻野目 旭 :(──え?)

荻野目 旭 :(……明らかに勾玉──ふたつの遺産はこの島に根差してるものなのに、この影はホデリさんの出自が何なのかを知らないってこと?)

荻野目 旭 :(……こいつ、どこまで知っててどこまで知らないんだろう? それに、ホデリさん自身も……)

荻野目 旭 :(……だめだ、そっちは今わからない。今聞いておいたほうが良いのは──)

荻野目 旭 :
「……今度はあの女も一緒にけしかけます? 見知らぬわんちゃんがいるからって警戒しますね。
 従者と死人の後ろに隠れてはやし立てたかと思えば、次は彼女ですか」

荻野目 旭 :
 あの女──"喚楽の人食い虎"。
 どうしても、ここのラインだけは向こうに吐かせておきたかった。

『何者かの影?』 :
『───ほざけい小僧!
 自らを捨て置き我を嘲るとは良き身の上よ』

SYSTEM :
 こちらも概ね態度は変わらない。
 呵々大笑、嘲り嗤えども抑えきれぬ癪をそこかしこに感じる言葉選び。

 少なくとも彼が囃し立てたこの影が、今ここで手を下せる代物ということはないらしい。

『何者かの影?』 :
『たいそう下らぬ餓えた虎だがな。
 必要もない。そう………』

『何者かの影?』 :
『そこなる小僧ども! よくもほざいた!
 何処に逃げようとも、獣の宝珠奪ひ、貴様ら眼前で縊り殺してくれる』

SYSTEM :
 影が音を立てて揺らいでいく。
 怒り滲ませなおも嗤う、少なくとも実体ともなう旧い影。

 その龍よりは劣る程度の背丈持つ、推定男性の暗い影へ渦巻く血色の砂塵が、何のためのものかを語るかは言うまでもなかった。

『何者かの影?』 :
『そうとも、虚ろの虎一匹などなんで使うものか。
 ───この我の敵は生涯ただ一人! 木端に無礼られるものでないわ』

『何者かの影?』 :
『縊り殺してやるぞ。
 現世に魂魄彷徨えど、あまた悔恨の海に沈めども………』

『何者かの影?』 :
『この身紐づく肉の器にて………
 六銭掠めて蘇りし………』

『何者かの影?』 :

   ・・
『───この!』

『何者かの影?』 :


 ・・・・
『蘆屋道満の手でなッ!』

SYSTEM :
■オート
《瞬間退場I.L2》

SYSTEM :
 砂塵が勢いを増し、少年か青年くらいのかたちをした影を攫って消えていく。
 ───言葉のわりに几帳面なのか、使った道具をくれてやるとばかりに使い捨てるほど剛毅でないのか。彼にとっては、その「口が利ける従者」はまだ意味のあるもののようだ。

SYSTEM :
 ………砂塵と、澱んだ空気が消えていく。
 少なくとも、どこぞの狼めいただまし討ちの気配はないと見て良いだろう───。

久外境耶 :
「ああ……? ゴタイソーな名前わざわざフルで名乗りやがって」

 気に入らねー、と不満を隠しもせず。

荻野目 旭 :「……あ、あしやどうまん? ネームバリューだけはとんでもないですけど──」

久外境耶 :「ナニ、知ってんの」

木口龍 :「......だが今は2,000年代だぞ?」 うーむ

荻野目 旭 :「安倍晴明ってわかります? あれのライバルだった、すごい呪術師です」ざっくり言うと。

荻野目 旭 :「自分のことをアシヤドウマンって思ってるただそのコードネーム使ってるだけの人説もぬぐえませんけど、いまのこの島、ほんとうに何が起こってもおかしくないからなあ……」

久外境耶 :「あー、ンー。マンガでたまに見るやつな」

久外境耶 :「マジのホンモノだったらウケんな、アシヤマン。いい話の種になるぜ」

荻野目 旭 :「アシヤマンて」悪魔の力身に着けてそう

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……どうにも皆、胡乱なところは幾分か含むところはあるものの。彼らはみな優秀なエージェントたちだ。
 目的は十分に果たしている。正体不明の“影”を相手に、この場で引き出せうる限りの情報は大方引き出せただろう。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……やたらと視界が揺れ動いて気分が悪い。
 きっと戦闘の余波で残った重力場のせいだろう……。何せ空間を歪めてしまうほどだ。

 ……まあ、そんな風に思ったままでいつでも攻撃姿勢に移れるように銃を固く握り締めていたわけだが。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 …………結局のところ、それがワタシ自身の呼吸のせいだと気がついたのは、
 “影”がすっかりこの場を立ち去ってしまってからのことだった。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……気配はない。完全に撤退したようですね。
 皆さん、傷の具合は大丈夫ですか?」

 呼吸を整え、強張った指を銃から解く。

荻野目 旭 :「……」

荻野目 旭 :「見たところ境耶君の傷が一番おおごとで、治すのに手間がかかりそうですけど──」

荻野目 旭 :「僕はあなたのことが一番心配です。シホさん、さっきからすごく調子悪そうですよ」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「そう、ですか……?
 すみません、お見苦しいところを見せてしまって」

荻野目 旭 :「いえ、それはぜんぜんいいんですけど──」シホさんに近寄って見上げます。

荻野目 旭 :「いろいろ起こって混乱してるのはお互い様です。あんまり無理しないでくださいね」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「…………。
 ええ、大丈夫。任務に支障は来さないつもりです」

”朧の狩人/残骸” シホ :

”朧の狩人/残骸” シホ :
「それに、ワタシのことよりも───アナタ自身の容態の方が心配です。
 アナタも、そこの彼の傷も浅くはなかったはず……」

 眼鏡の彼へと視線を向ける。
 “ラッキージンクス”の尽力により、ワタシは辛くもあの骸の攻撃から逃れている。
 そうでなかった彼らはかなり重い───ひとつの“死”を経る程度の負傷はしていたはずだ。

荻野目 旭 :ぴっと指を立てます。

荻野目 旭 :
「オーヴァードの精神不調は、正直肉体損傷に優先します!
 そりゃあ痛いですけど、『任務に支障はきたさない』でやらかしちゃった子のこと大勢知ってますよ」

荻野目 旭 :
「『言いたくない』ならぜんぜんいいですし、僕も立ち入るつもりはありませんけど!
 生まれた瞬間から14年レネゲイドとおともだちの人間の忠言は聞いてくれると嬉しいです」

木口龍 :話題に出されたオレは、今更になってやっべ関節逆にくっつけたかもってなりつつ、いや大丈夫くっついてるわって一人でやってる。

”朧の狩人/残骸” シホ :

「……………」

 ……どう返答したものだろうか。自分でこの立場を選んでおいて、皮肉なものだが。自嘲混じりの苦笑が混じる。
 どの口が、まさにそのレネゲイドの塊が“ワタシは貴方の隣人です”と応えられるだろうか。ワタシはアナタの仲間たちもこの手で殺してきたかもしれないのに。

久外境耶 :おれはかったり〜話し出したあたりでさっさと帰ろうとしてる

”朧の狩人/残骸” シホ :
「ええ、善処します。ありがとう、“ナイトホーク”」

 ……まあ、いい。いまはそこに答えを探している場合ではない。仮面の裏側は、それを被る者にしか見えていないはずだ。

荻野目 旭 :「……。わかりました」真顔でシホさんを見つめます。

荻野目 旭 :一秒だけ見つめてから、表情をいつも通りに変えて慌てた素振りになりますよ。

荻野目 旭 :「──いえ待って待って! 境耶くん!? その1リザほやほやの体内臓終わってますよね!? 治療してから帰ってくださーい!」

久外境耶 :「るせ〜、くせえハナシ終わるまでこっち来んな」

木口龍 :「どっちにしても安全な空間に帰ってから治療の方がいいだろ……この場で喋り倒して今度こそ例の虎に、

 "こんにちは!!!用事がないのでTASさんごっこします!!!"

 か、あの黒い野郎に、

 "傷だらけじゃねえか全員死ね"。

 って来たら終わりだぞオレ達」 腕がまだ痛む感じがする。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……口調はともかくとして。確かにそれもそうです。
 先の“彼”の口振りからして“喚楽の人喰い虎”をここにけしかけてくるとは考え難いですが、他にも脅威対象は点在しますし」

荻野目 旭 :「断固却下です! その血ぃべちょべちょの状態で三廻部さんの前に現れたら張り倒しますよ!!」

”朧の狩人/残骸” シホ :確かにそれもそうだった。

久外境耶 :

久外境耶 :

荻野目 旭 :きゅ〜ん

木口龍 :「……まぁ、そもそも」

木口龍 :
「精神衛生云々の前に、オレたちの身の安全が先だろう……全員揃って帰って来ませんでしたよりはマシだ。動けるうちに、戻って、なんとかしてえ」

 なるべく刺激しないような言い回し。本音はちょっとセーフハウスで休みたい。

”朧の狩人/残骸” シホ :

荻野目 旭 :「却下です! 僕がいるんですから、応急処置してから帰りますよ! ほらほら並んだ並んだ!」

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 [3-2]の特殊判定に成功しました。

プライズ:3⇒6

SYSTEM :

【Check!】
 プライズが規定値に達しました。


SYSTEM :1d6 プライズイベント発生 (1D6) > 1

SYSTEM :
【Check!】
・プライズイベント(1)が発生

 上記結果により、周囲2マスランダムの[未開示エリア]1つが下記のものに変更されます。

・「明夜白銀の居場所」
 判定/なし

 支援/存在しない
 
壱:トリガーシーンのみ発生

SYSTEM :シークレットダイス

SYSTEM :
【Check!】


 [1-1]が『イベントマス』に変化します。
 イベントマスは『トリガーシーン』として扱います。


SYSTEM :
[クリンナッププロセス]

SYSTEM :
[クリンナッププロセス/島の変化]
 次ラウンドに発生する「島の変化」を確認します...

SYSTEM :1d100  (1D100) > 34

SYSTEM :31〜35:次ラウンド中、『探索』時の判定を行う際のC値を-1する

SYSTEM :
[ - ラウンド/1(結果) - ]

【経過ラウンド】
 1/9
 
【島の変化】
 30〜35/次ラウンド中、『探索』時の判定を行う際のC値を-1する

【プライズ】
 □□□□□ □□□□□ □□□□□ □□□□□

3:“ミッドナイト・アイ”を発見、合流
5:「明夜白銀」の居場所を発見
8:?????
11:?????
14:?????
17:?????
20:?????

【友好ユニット】
 4/?
 まだ民間人が「3名」取り残されている…。

【敵対ユニット】
 4/4 COMPLETE!

SYSTEM :
【Check!】

・「ラウンド1終了/または『ミドルフェイズ』で対象者のリザレクト」

 上記達成により、トリガーシーンが発生します。
 対象者:颯

GM :
 ラウンド1終了となりました!
 なお、ラウンド2移行前に「必要なシーン」がありましたら、この場、もしくは雑談席で宣誓のほどよろしくお願いします。

荻野目 旭 :僕、三廻部さん以外に、前回アベルさんと会った時の情報について共有しておきます。かくかくがしかじかと。

荻野目 旭 :あと境耶君には例の勾玉の話も! これはオープニングの肉盾代です!

久外境耶 :まいどあり〜

木口龍 :いちねッ、一年!? いや関係無いか西成は人が毎日生まれてはパルメザンチーズと共に消えるからな……

”朧の狩人/残骸” シホ :これで最初の“ズレ”の答えはある程度鮮明にはなったな…

GM :了解しました。

GM :…念のためお伺いしますが「3-2に出向いたPC」で問題ありませんか? それとも「上手く間を縫ってホデリ以下4名のNPCにもお伝えする」つもりでいましたか?

荻野目 旭 :共有します! 戦略的に隠す理由ないですしね

GM :分かりました。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 血風吹き荒れた時を幾分か遡って。
 あなた/颯は、いま、屋敷にいる。

SYSTEM :
 数刻のち、ファルスハーツ───曰く、コソつく意味もあるモン使わねー理由もわかんねーやつの集まり───のコードネーム“ミッドナイト・アイ”を連れた颯らであるが、そこから先、軽い疲労か、ごく少数での“渇望喰い”からの捕捉を厭ったのか………。

 そもそもオーヴァードにおける死活問題とは、身体に住まうレネゲイド/曰くウイルスとの共生がメリットだけではないということであり、疲労と体力の低下がイコールで侵蝕の加速に繋がると誰かが提言したのか。
 ホデリの持つ空間を開く術を用いて、一度、先の隔たれた屋敷へと戻ることになった理由は、概ねそんなところだろう。
 曰く“ゲート”なるものが近いらしい、その白狗の能力。彼は呼び名を肯定も否定もしやしなかったが、使用することについては厭もない様だった。

SYSTEM :
 
 中の薄明りと、襖向こうの太陽が灯り代わりの屋敷。
 戻って来た先の一部屋に、まだ人の帰ってくる気配はない。
 ちょっと探検気分で出歩いてみれば見つかるかもしれないが、其方方面の少年心をお構いなく表に出す腕白坊主が、あなたの今日知り合った人間の中にいるかは判断に迷うところ。
 
 余談ながら、辿り着くや否や、事の本人は………。

“ミッドナイト・アイ” :
“ バロールじゃんこいつ。
 よく組んだね“ラッキージンクス” ”

“ミッドナイト・アイ” :
“ まあほったらかすより妥当か。
 じゃ……仕事の時、それからお礼参りする時に呼んで ”

SYSTEM :
 こう述べるが早いか。
 見た目より広く出来た屋敷の中、この一室とは違う場所へふらふらと行ってしまった。
 
 もしも話がしたければ呼べば来るだろう。
 曰く、彼らが“コソつく”必要のある場所にいたあなたが呼びかけて、望む通りの会話をしてくれるかどうかは怪しいところだが。口を利いてくれない、という様子でもない。

SYSTEM :
 残る二人(一人と一匹)。
 前者はなるべくあなたの視界に入る位置にいる。
 後者はあなたの視界に入る位置に入って来ることもあるが、基本は障子の外側の軒下で、変わらぬ青色の空を見上げて黄昏ていることが殆どだ。

SYSTEM :
 はじめ此処に辿り着くまではずいぶんと忙しない始まりだったが、今はどうだろう。
 じっとしていたり、一人で物思いに耽ると、考えることも増えるものだった。

三廻部 颯 :
 ざり、ざり。
 人差し指を突き立てる。
 なるべく爪が食い込まないように。
 畳に座るのは慣れているから、足が痺れたりすることもない。
 
 ざり、ざり。
 ストロークを描くように指で畳をなぞる。
 

三廻部 颯 :
 ここに落ち着くまでに起きた全てのこと。
 改めて咀嚼する時間は十分に与えられた。
 それで納得がいくかはまた別の問題だが、ストレージを超えるような事はなくなった。

 どうにもこうにも……、
 自分でどうにか立たないといけないらしい。

三廻部 颯 :
 武器を一本与えられて放り込まれて、
 何にも縋る事なく自分の足で立つというのは、あまりに難しい。
 颯は……少なくとも、小学生の後半からそうだった。
 自主性のない、現代にありがちな"流される"子ども。
 
 自分の確固たる何かなどない。
 周りに合わせていれば、とりあえず失敗はしないだろうと、合わせることを選ぶ。

、  、  、 ・・
 そうじゃなきゃ独りになるから。

三廻部 颯 :
 というか……、
 基本、みんなそうだ。
 学校の集団生活とかもそうだ。
 "才能"のある人は自分の足で立って、リーダーシップをとっていくけど、
 そんなの一握りだけだし。

三廻部 颯 :
 文化祭の時とか体育祭の時もそう。
 颯は自分から矢面に立つ事はない。
 立つ必要もないから、したことがない。

 水は低きに流れる。
 人は易きに流れる。

 颯は易きに流れる側の、数多くの人間の一人でしかなかった。

三廻部 颯 :
(……けど……)

三廻部 颯 :
 ・・・・・
 ここは違う。

三廻部 颯 :
 流されて生きていく事はできない。
 流されていては生きていけない。
 何をするにしても何をやるにしても自分で決めて、自分で前を向かなきゃいけない。
 人に手助けをしてもらう事はできるかもしれないけれど。
 選択を委ねる事はできない。

 無我夢中でしてきた自分の選択を、やっぱり間違ってました、って言う事はできない。

三廻部 颯 :
 私があの海の底で見たもの、知ったもの、聞いたもの。
 それを経た上で、自分が人じゃなくなることを選んだ事。
 それはもう覆すことのできない、私自身が選んだ事実なのだ。

三廻部 颯 :
「…………、…………、…………」

三廻部 颯 :
「あ────────────っ! もぉ!!」

 畳にちょっかいをかけるのをやめて、どかっと背を預ける。
 仰向けになって、自分の両手を思いっきりあげる。

三廻部 颯 :
「人の気も知らないでみんな勝手ばっかりーっ!!!」

 ・・・
 みんなが具体的に誰を指すのかはともかく。
 溜まったものを口から吐き出したのは二度目だ。

三廻部 颯 :
「……はぁ! もう! 『そんなの知らないよ』って言えれば楽なんだろな!」

 ゆっくりと体を起こす。
 突然大声を出したようなものだ、この場にいる一人と一匹には驚かれるのかもしれない。

三廻部 颯 :
 ……まあ、叫んでちょっとスッキリした。
 人が少ない時じゃないと、こういう風な口を開く事はできないだろう。
 
 で、結局私がした選択というか……。

「……今はあんまり考えすぎてもだめ!」
 
 両頬をぱん、と自分を叩く。

三廻部 颯 :
「今は咲楽を助けることを考えなきゃ」

 両手を自分の体の前で合わせる。
 むむ、と念じて、小さなほこりや砂粒から何か作れないかと。
 こういう時間で自分のできることを増やしていかないといけないのだと。

 とまあ。

三廻部 颯 :
 ・・・・・・・・・・・・・
 ここまで全部独り言なのだが。
 ハタから見たら可哀想な子だ。

SYSTEM :
 ストロークを描く手遊びの動き。
 くるくると回る思考が、空元気でも前を向こうとしたのか。
 理不尽じゃん、と憤った部分にどうにか折り合いを付けようとしたのか。

 少なくともそこから先の発奮とも発散とも取れる、襖の外側まで思いっきり響くその声。一先ず気付いていないで発したものなのは確かと見える。

SYSTEM :
 現実を突きつける鏡がない代わりに、
 障子のがら、と開く音が見えない鏡のように響いた。

SYSTEM :
 器用に前足で、ちょっと乱雑に戸を開けた、全長はさておき全高では座ったあなたが丁度目線を上から下ろせそうな、白い狗。

 何事か言いたげに視線を泳がして、第一声。

『ホデリ』 :
『…存外にかしがまし者だな、小娘…』

SYSTEM :
 そしてそいつは特に近付くでもなく、ただ顎を別の方角にしゃくって、一室であなたの様子に声を掛けようとした瞬間のシャウトに機先を失した20代を指した。

三廻部 颯 :
「叫ばないとやってられな───あぇ」

“イリュシデイター” :「………」 

“イリュシデイター” :「“ミンナニハナイショ”ということにしときましょうか」

三廻部 颯 :
「……そういうことで……。
 からかわれたら嫌だし……」

“イリュシデイター” :「からかう以前に二人ほどは青い顔ですね」

三廻部 颯 :
「ゔぇっ」

SYSTEM :
 青い顔か、眉を下げるか。
 あるいは、承知の上で苦笑いとするか…。

 曰く年下だが挙動は年上の少年はどんな顔をするだろうか。

三廻部 颯 :
「ひ、ひどいなあ……。
 なんてゆーか……、色々切羽詰まって考え込んでただけなのに」

“イリュシデイター” :
「分かっていますよ。
 と言っても、事情は先程聞いたばかりですけどね」

“イリュシデイター” :
「………皆………。
 あなたが“からかう”で頭に浮かべた方が、特にですが」

“イリュシデイター” :
「方向性が少し違いますけど、あなたを邪険にしたいわけではないことは、そうですね………。“しょうがない”って溜息吐きながらでもいいので、分かってあげてください」 

“イリュシデイター” :
「咲楽さん………件の子も。
 島にいることには代わりはないでしょう。戻って来た彼らの状況を聞きながら、また捜索を再開しましょう」

SYSTEM :
 切羽詰まって考えた彼女が、一先ず空元気から、分からないなりのがむしゃらにシフトした/しようとしたこと自体は否定する口振りではなかった。
 ………邪険にしないという意味がちょっと人ごとに違う部分は、言って並べ出すとややこしいが。

三廻部 颯 :
「……ちょっと難しいです」

三廻部 颯 :
「まあ、あの、えっとぉ……なんていうか。
 ……この先言う機会はいくらでもある、かもしれないんだけど。
 なんていうか……言うタイミングは逃しちゃった感じもするんだけど」

三廻部 颯 :
「……嘘でもいいから、優しい言葉が欲しかったんです。
 あ、いや、別にそういう気持ちが無いって言ってるわけじゃなくて」

三廻部 颯 :
「……嘘でもいいから、突き放してほしくなかったんです。
 なんというか……えっと、お仕事だからしょうがないって思う自分もいるから、強く言えないですけど」

三廻部 颯 :
 言えればいいな、言えるといいな。
 それだとまあまあ時間はかかってしまいそうだけれど。
 そうしなきゃいけない理由も、噛み砕いて理解できた気もする。

三廻部 颯 :
「しょうじき……私としてはずっと、
 『そんなこと言われても』って言いたかったんですけど」

三廻部 颯 :
「……それじゃいられないっていうのは、よくわかりました」

“イリュシデイター” :「………」 

SYSTEM :
 その時の彼女の沈黙が何を意味していたのか、何に思うところがあったのかは、敢えて何も言うまいが。

“イリュシデイター” :
「私は実際にあなたがそうしていたところを見たわけではありませんが…」

“イリュシデイター” :
「戦ったでしょう?
 少なくとも“痛い”の一つや二つがあることです」

“イリュシデイター” :
「ああいうのに馴れて日常に帰って欲しくないのです。
 ………オーヴァードってね、自分の大切なものとか、日常って言葉には、そこそこ臆病なんですよ」

SYSTEM :
 これから先。
 あなたがちょこっと隠し事をする先。
 そういうところに何気なく変えるための、“こちらの印象”を持ってほしくないがための優しさだったのだろうそれを、あなたは理解していて。
 その上で、あなたの欲しい優しさは、恐らく誰かに言わせると、数歩間違えれば『いきなり怪物にけしかける』にちょっと引っ掛かるタイプの優しさだったのだろうか。

SYSTEM :
 力を貸すタイプの、たとえ話にもあったが、ゲームやらなにやらの方の優しさということにする。

“イリュシデイター” :
「何か言うのに、早い遅いもないですよ。
 こちらにも、あなたを理解しようとはさせてください。今みたいに」

“イリュシデイター” :
「実際、”それじゃいられない”も強ち間違いではないですからね。
 ………とはいえ、」

“イリュシデイター” : 
「言って“そうですか”と頷くほど簡単な話でもないです。
 万一喧嘩になったら、………まあ、その時はその時としましょう。10代のうちですよ、色んな意味で」

SYSTEM :
 ………少なくとも“分かってあげて下さいね”とは、その通りにしてくださいね、でもない。
 あなたにそうしてあげたい、があるように。あなたにも、少なくともクラスメイトではあった少年にはしてやりたいことがあるのだろうし。

三廻部 颯 :
「──……」

三廻部 颯 :
「……喧嘩、あんまり好きじゃ無いんです」

三廻部 颯 :
「だから無い方がいいと言えば、いいんですけど……」

三廻部 颯 :
「……難しいことなのはわかってます。
 だからまあ、ぶつかれるなら、ぶつかった方がいいんだろうなとは思ってます」

三廻部 颯 :
 そういう意味では───、と。
 その視線がホデリの方へと向く。

SYSTEM :
 視線の矛先にいるものは、特に距離を詰めるでもなく。
 あなたの視線の意味を察せないほど愚鈍でもあるまいが。

“イリュシデイター” :
「ええ。苦手なら苦手でも大丈夫なことです。旭くん、それなりに苦労性のコのようですしね。
 そうは言いましたが、あなたが何も言ってはいけないってコトでもない…くらいの意味合いですよ」

SYSTEM :
 そう口にした彼女もまた、ホデリに視線を向け………ようとはしなかった。
 問い詰める形ではへそを曲げると分かっているからだろうか?

三廻部 颯 :
「私が旭くんにおもしを乗っけちゃってるのは……申し訳ないと思ってます。
 だからなるべくそれを、早く降ろさせてあげたい気持ちはちょっとあって……」

三廻部 颯 :
 こくん、とうなずいて同意する。
 そのまま颯はゆっくりとホデリの方へと足を進めて──……

三廻部 颯 :
「ホデリさん」

三廻部 颯 :
「……聞きたいことがあります」

 これから話す事は、まだ誰にも話していない事。
 ここにいる、一人と一匹だけが、先に聞けた事だ。

『ホデリ』 :『………』

『ホデリ』 :『申せ』

SYSTEM :少ない言葉は、何かを判断しあぐねている様子にも取れた。

三廻部 颯 :
 頷く。
 颯はゆっくりと、自分の身に起きたことをかいつまんで話した。
 自分が見たもの──海の底。
 自分が聞いたもの──男の声。
 自分が成ったもの──受け取った"もの"。

 それらを、わかりやすく、噛み砕いて話した。
 普段なら変な擬音が混じるところを、少女はすごく冷静に話した。

三廻部 颯 :
「……ホデリさん」

三廻部 颯 :
「私は……"海の底"で、一人の男の人と会いました。
 それで私、旭くんから、山幸彦って神様の話を聞いたんです。
 それで思い至って……」

「……今の話を聞いて、何か思い当たることがあるんじゃないかって」

三廻部 颯 :
「……どうですか? 言えませんか?」

SYSTEM :
 もう一人は、疑いこそしないものの、“何”を起因でそうなるのかを掴みかねた様子だった。
 こちらについては、語ることはない。理解し、胸に置いて、留めて。それくらいだ。

 だが少なくとも。
 あなたのその言葉に、非常に気難しい性格の白狗は初めて目を見開いた。

『ホデリ』 :『………烏滸なることやあるか』

SYSTEM :
 だが。
 それは山幸彦がどうのという言葉の方ではない。
 そちらについてはしらを切ったか、理解らないか、あるいは誰ぞへの義理立てなのか。一切口火を切ろうともしなかった。

 そいつが目を見開いた部分がどこだったのか。
 ホデリという白狗は、何かがたいそう気に食わなかったのか、はじめて、次のように声を荒げた。

『ホデリ』 :『………暗し者め………!』

SYSTEM :
 それは怒りではなかった。
 何かを指した哀しみ───とも言い切れない。少なくとも、10代後半のティーンで、その辺とは無縁だったのだろう颯には分からぬ感情だ。

SYSTEM :
 そいつが何か口を聞こうとする。
 いや、零した言葉を取り繕おうとしたのか。少なくとも揺れ動いたものの何かを隠し通したいのか。
 彼が、あの時と何ら変わらぬ三文字の言葉を吐こうとした時。あるいは、それを耳にした時………。

SYSTEM :
 ………ふっと、あなたの瞼が重くなった。

SYSTEM :
 ………眠気?
 それともちょっと違う。
 小休止を挟んだとて、メンタル的な疲労感に依るものなのか。
 恐らくはそうだろうが、何かが違うように思える。

SYSTEM :
 ………視界がぐらつく。
 瞼の重さが、ちょっと夜更かしして悪いことした気分の翌日の、昼間の眠さが生易しいくらいのものに。
 気分の悪さというより、否が応でも“ぱたり”と行くようなくらいに。

SYSTEM :
 ………あなたの中の何かが。
 水の底の小さな音を拾う。

三廻部 颯 :
「え───何───」

三廻部 颯 :
「あ───れ───、
 なんで、ねむく───……」

“イリュシデイター” :
「………三廻部さん?」

SYSTEM :

 その異変に気付いたのはどちらが先か。
 
 少なくとも“人”は存じていますとばかりのホデリの反応に、思うところもあったのだろう“イリュシデイター”/ノエルの声が響く。

 軽い遠吠えのような声が、あなたの中で、渦巻くものの音にかき消される。

SYSTEM :
 どさり、と斃れる音。
 先程まで座していた畳の感触。

“イリュシデイター” :「───さん───三廻部さん───!?」

SYSTEM :………遠ざかっていく、あなたを呼ぶ声。

SYSTEM :
 引き摺り込まれるように墜落し、
 押し流されるように浮遊して。
 海底へ潜り込むように移転する。

SYSTEM :
 水底に人はまぼろしを夢想した。
 ならば、あなたの視界に映るものは。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 昨日を振り返りながら、明日に時計の針を進めるような、全身の寄る辺を失った覚束なさ───。

 その感覚がふっと途切れ途切れに続いた後。

SYSTEM :
 あなたは、鳥の声と虫の音。
 凡そ都会では聞かない/強いて言えば例の神社やら、小さい頃の遠足先やらなにやらでたまに聞いたかもしれないもので、目を覚ました。

SYSTEM :
 ………ふと気が付くと。
 あなたは、あの屋敷に来る前通った村に、ぽつりと立っている。

 違うのは、空がもうずいぶんと沈み切っていて、そこらに灯り───現代のイメージとはずいぶん異なる───がついているくらいか。

SYSTEM :
 あの引き込まれるような感覚は、どこから来て、なんのためにあなたを呼んだのか。
 答えるものはいなかったが………これだけは分かる。

SYSTEM :
 ………それは。

 此処に来る時に垣間見たものと。
 あの水底と見紛う空想と同じ過程であり、結果だった。


シーン11「火折」

SYSTEM :

【シーン11:火折】

 登場PC:三廻部 颯
 登場侵蝕:なし(特殊)


SYSTEM :
Tips-█▇▅▇▇▅█
 カヴァー/ワークス:█████/█████
 性別:█████ 年齢:█████ 侵蝕率:███%
 シンドローム:バロール
 
 所持Dロイス
『遺█継██/█り██花』

 所持ロイス
『███████』

 生█れつ█て天█無双███を持った若者。
 全█期は安███にすら██████強靭な██異█であり、時代と巡り合わせが█████に███いた██。
 凡█な██ない海辺の██で███、名を████に███なかった██。

 だが、その███は特異██の持ち主ゆえに█に█████、██からもまた███。
 ███に██の██を██したことで█からついに██を█████ことに起因する。
 素朴な████ら██対話██に欠如███は、己██を他人の██に████に躊躇いがなかったが。
 ██力█、██隔絶████という██の話に█████いなかった。
 █は、█████████孤独███。
  
 ………███████、███████████、██████████████。
 █████████████、███、█████████████。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 もしも瞬きのちにあなたがこれを字面通り「夢」と受け取って何かしら“ベタ”な目覚め方と確認を取ったならば、残念なことにそれは全て否という答えを出しただろう。

 ………さりとて、今まで地続きだった会話の風景や、あの屋敷が幻というわけでもない。

SYSTEM :
 何より………此処には見覚えがある。
 ・・・・・
 あの廃村だ。

SYSTEM :
 その辺りの結論が、目覚めた後についたころ。

 その非現実感を強める夜の帳も、オーヴァードなりたてのあなたからしてみた微かな経験も。
 ………ひょっとすると。何もせずに放っておけば、またあの時のように、水底から水面へ浮き上がるように“元”のところに辿り着く気配だけを感じた。

三廻部 颯 :
 りん、りん、と。
 鈴虫だろうか──心地の良い音色とともに意識がふと昇ってくる。

三廻部 颯 :
「あ、れ──……」

 同じだ。
 同じ感覚がずっと体に伝わってくる。
 あわや水の底かと思ったが、光が満ちた視界を見て、「えっ」と呟いた。

三廻部 颯 :
「え、え───え? はっ? え?」

 ここは──。
 ここは見た事ないわけじゃ無い、むしろさっきまで見ていた光景に近い。
 この村があった年代とか、色々時代の考察があったりしたけれど……、

「う、嘘……タイムスリップ……?」

三廻部 颯 :
 驚きのままに、後ろに一歩。
 そして小さく「ぱき」という音。
 枝か何かを踏んでしまったみたいだ。

「あっ」

 それに気づいて声をあげて、ばっと口をふさぐ。

 待て待て、待って待って……、これ、これ。
 夢? また? でも、あの"夢"にも人がいた。
 もしかして……、と思い口を塞いだ。

三廻部 颯 :
「う、」

三廻部 颯 :
「うそぉ……………………」

SYSTEM : 
 むなしく空に木霊し、へなへなと糸を引く“うそ”の声。 
 枝をぱき、と踏んだ音も、踏んだ時のちょっと靴越しに違和感のある感触も、五感から聞き取れる情報はほぼ現実のものであった。

 何故、とか。何のために、とか。
 応えてくれるかはさておき、聞きたいことも生まれるだろう頃合いだ。

SYSTEM :
 だが同時に………。

 あなたは、その人のいるかも定かでない灯りから。
 囁き合うような声がしたのを、聞き逃さなかった。
 消え入るような小さな声なのに、妙に鮮明な、翳りの差す人の声たちだ。

三廻部 颯 :
「!」

三廻部 颯 :
 最近読んだフィクション──というよりも昔の名作の知識なのだが。
 昔はこういう小さな村は"よそもの"に対して目敏いというらしい。
 ここが本当に平安時代で、その頃からそうだとしたら"すごい"ことかもしれないが。

「(な、なんかやばそう……)」

 逃げないとヤバいかも、と。
 逃げてもヤバいかも、は両立する。
 また一つ学んだ。

SYSTEM :
 その辺りのカルチャーには“まめ”だったあなたの考える通り。というより、昔も今も問わず、閉ざされた環境は大概、外から流れ入るものには厳しい。
 変わることを拒むし、変えようとするものを拒まねば存続できぬとも言う。

 だが………そんな警戒が杞憂であるかのように。

 村落の、古い家屋からずいぶん遠く、か細いにも関わらず。鮮明な声が聞こえてくる。

人の声 :『───彼の男の話を聞ききや』

人の声 :
『聞きしとも
 █▂▅▇▇▅█めも遂に愛想尽かしきや』

人の声 :
『強ちもあらぬ あの男めは化外だ
 にこりとも笑はぬ あやかしの仲間でやなき?』

SYSTEM :
 声から遠ざかっても、近付いても。
 あなたの耳元に届くそれは、か細いながらに鮮明で。
 少なくともあなたを指しているものでは、なさそうだった。

 ………名前だけが遠い。
 耳をそば立てても、そこだけが。

三廻部 颯 :
「……?」

 聞こえる。
 ちょっと距離を離しても、大きさも何も変わらず。
 不思議な感覚──というのも、ちょっと考えれば分かることなのかもしれない。
 眠くなった末にここにいるということは、これは本当に夢なのかもしれない。
 
 現実感のある夢──というのは、きっと、"この世界"では珍しくないのかも。

三廻部 颯 :
 そして確実に聞き取れない部分がある。
 それは『名前』だ。
 誰かのことを話しているのはわかるけれど、それが誰なのか特定できない。

 分からない言語なのか、それとも聞こえないようになっているのか……。

三廻部 颯 :
 少なくとも男の人ではあるらしい。
 心中に抱いた期待と不安を抱えて、もう少し話を聞き入ってみる。

SYSTEM :
 █▂▅▇▇▅█。
 その音の並びはどこかで聞いたことがあるようにも感じたが、感覚としては確かではない。

SYSTEM :
 そして言葉を聞こうと近付いてみても、やはり………。
 音は通り過ぎ去るようにか細く、それでいてやけに心に残るように鮮明だ。
 あなた自身を指している言葉でも、ない。だが………。

人の声 :
『然り
 ならば█▂▅▇▇▅█めは正しきことを択びけり』

人の声 :
『あな 心地悪し 心地悪し───』

人の声 :
『童が我等より力こはく、丈夫なるなど』

SYSTEM :
 ………言葉の意味は定かでなくとも。
 そこに指されている人物は、どうも村と思しき所の中では、ずいぶんと”浮いた”やつだったらしい。

 段々と近付いていく…。

SYSTEM :
 月明かりの照らす中。
 灯りのついている場所から、消えた場所へ。辿り着けば声が収まっていた。
 振り返って近づこうとしても───家屋の中を除いたとしても、そこに、言葉で応じることの出来る「ひと」の姿はなかったことだけ留意しておく。

SYSTEM :
 ここはあの村だ。
 ………最初の確信に間違いはなかった。

 あの寂れた神社も、石段を登ればすぐ見つかるだろう。
 何処から響く声の主がどこなのか、探り当てようと奮闘してもいいけれど。

三廻部 颯 :
「あっ、あれ?」

三廻部 颯 :
 誰もいない。
 声が聞こえなくなって──ただ月明かりだけがそこにある。
 ざわざわと心を蝕む孤独感に、思わず胸を抑える。

「あ、あれ……どうして聞こえなくなっちゃったんだろ──」

三廻部 颯 :
えっと……、EE:《壁抜け》を使ったりして、周囲をもう一度散策してみたいです。

三廻部 颯 :ぐるーっと探し回りながら最後に神社にいく感じで……。

GM :ふむ………

GM :分かりました。「壁抜けを使った場合」の結論を含めてお伝えしましょう。

SYSTEM :

 島の探索の時。夢みたいな力だっていうのをいいことに、
 あなたは壁を通り抜けるなんていうことを現実に変えた。
 具体的にどうやったのかは、あなたのみが知るところだろうが。

 此処でもそれは使えるだろうと、音のかき消えた心細さからか、厭が応にも軽くなる足取りが、ぐるっと一周を回る。
 村落は神社の所に向かう前までに軽く見た廃村と変わらず………。
 しかし村々の家屋に足を踏み入れようと思えば、すぐに違和感に気付いた。

SYSTEM :
 岩盤だろうと「頑張れば」通り抜けられたあなたが、ふと、あるところから見えない壁に“こつん”と当たるかのような違和感が過った。
 家の中、村から離れた先、灯りのない方。そこに踏み込もうとしても、そこから先に踏み込めていなかった。
 そもそも、そういった場所について、月明かりの届かないところは薄暗く、先が見通せないようにもなっている。

SYSTEM :
 風景画に描かれた風景があって、その外側に当たるものを想像しようとしたとする。
 その光景はイメージするより他にないが、イメージの土台となる経験や見聞がないのであれば、ずいぶんと現実感のない、違和感のあるものにしかならないだろう。

 ………この廃村は。
 外面と人の声、そうした一部だけは確かだけど。中を除いたりするものに対しては、“はりぼて”という言葉の似合う風景しか保障してくれなかった。

SYSTEM :
 ………ならば神社は? あなたの脚が、つい先刻のあの場所へ向かう。石段の先だ。

SYSTEM :
 神社の鳥居も、その様相も。
 ついこの間見たばかりの場所によく似ている。

SYSTEM :
 ………石段を登る時、あなたのものではないような段を登る音が聞こえた。先客でもいるのだろうか?

三廻部 颯 :
 ……誰かいる。

三廻部 颯 :
 ゆっくりと階段を登りながら、おそるおそる覗き込むような形で体をせり出していく。
 鳥居の先に───もしかしたら……なんていう期待を込めて。

 ……ここは空虚だ、とすら感じる。
 その空虚の感じを破ってくれるという期待を、抱かずにはいられなくて。

三廻部 颯 :
「誰かー……い、ますかー……」

 ・・・・・・
 誰かいますか。
 私の最初の死を決定づけた一言を、恐る恐る口にする。
 ここはまるであの島みたいだ。
 出ようとすれば、何かに阻まれる───まるでゲームの"作られていない場所"みたいに。

SYSTEM :
 ………作られていない場所。
 夢というには現実感があって、そのくせに空虚という言葉が喉を通って違和感なく出てしまう。
 
 そんな場所で繰り返した言葉/なにげない言葉に応答が返って来ていたのならば、あなたはどんな反応をしただろうか?
 それすら攻撃的なものだったら?

SYSTEM :
 ………ただ先んじて言っておくと、それは攻撃的なものであったが、またしてもあなたに向けたものではなかった。
 恐る恐る鳥居の先を潜って、石段を登ろうとしたまさにその時である。

男の声 :

『───なにゆえのこのこと帰り来られきものかッ!』

SYSTEM :
 言葉の意味は全ては分からない/少なくとも「なぜ帰って来た」という意味合いを含んだものだろうが。
 石段の向こう側で、憤心のままに叫んだ男の声が、図らずとも“誰かいませんか”の答えになっていた。

三廻部 颯 :
「ひっ……!」
 
 ──怒鳴り声に身が強張って、思わず屈んでしまう。
 自分に向けたものじゃない、というのは"なんとなく"わかるのだが。
   ・・・・
 ……誰かいる、というのは間違いないらしい。
 男の人の声、それが誰に向けたものなのか……それはきっと、途中から聞こえてきた足音の主へだろうか。

三廻部 颯 :
 怖い。
 よくわからないから、怖い。
 声の主も、足音の主も……ここが"あの村"であるということしかわからないから。
 けど……それでも、少女の足取りは、重くゆっくりでも、石段を登ろうとしていた。

SYSTEM :
 足取り重くとも、ゆっくりとでも。
 まるで突き刺すような音のする方に歩いて行く。

 ………その音の広がり方も、怒鳴る男の憤り方も。
 あるいは、そういう部分だけは空虚ではなかった。

 朧げな部分と、そうでない部分。
 鳥居をくぐった先は兎角鮮明で………。

SYSTEM :
 男が、二人。
 それも男というには年若い。片方はあなたよりも若く、片方はあなたと同じくらいかもしれない。その程度の背格好と声の持ち主。

 怒りも露の剣幕で怒鳴り立てる方と、後ろ姿からでは表情も定かでないが、聞いている方。

SYSTEM :
 ………その後ろ姿だけの少年。
 装いはずいぶん時代がかったものだったが、それにしても。
 それにしても、あの日の鳥居から顔を出した男の影がチラついた。

怒鳴る若者の声 :
『我が釣針を何処へやったッ!
 申しあげよ! いずこの海辺で失くしき!』

若者の声 :
『見つからず』

若者の声 :
『兄上 如何でか怒りを鎮めたまへ
 釣針ならばわが剣をとかして作ろふ どうか』

怒鳴る若者の声 :
『知らぬ知らぬ!』

怒鳴る若者の声 :
『汝の顔なぞいま懐しからず!
 釣針を手に入るまで───いや───』

怒鳴る若者の声 :
 ・・・・・・・・・・
『もはや汝なぞ弟ならぬ! 帰りてな来そ!』

SYSTEM :
 ………取り付く島もないとはこのことで。
 踵を返した少年が、あなたの存在に気付くことすらなく通り過ぎて行ってしまった。

SYSTEM :
 ………いや。
 それを言うならば、先程から怒り狂った感情をぶつけていた方。
 それはあなたを視界に入れているにも関わらず、“何者だ”とすら言わなかった。

三廻部 颯 :
「(あれ───)」

三廻部 颯 :
 ──知っている。
 それは偶然でもない、記憶の中に残っている姿を思い起こさせるもの。
 記憶の人物よりも随分幼く見えたが、それでも気配というものがある。

 思わず身を乗り出しかけて、聞こえてきた剣幕にまた身を強張らせる。

三廻部 颯 :
 要するにそれは──喧嘩だ。
 
 怒られている方は、釣り針をなくして。
 その代わりを自分の"剣"から差し出そうとした。
 けど怒っている方は、それを受け取らず。
 
 ……兄弟だったのだろう。
 だが、今まさにその関係は断ち切られてしまった。
 

三廻部 颯 :
 そして───、おそらく"弟"の方は、踵を返して行ってしまった。
 ・・・・・・・・
 私に気が付かずに。

 そして───、おそらく"兄"の方も、私が視界に入っていないはずがないのに。
 ・・・・・・・・・・・
 私に気が付かないでいた。

三廻部 颯 :
「(やっぱり───)」

 そうだ。
 見えていない、聞こえていない。
 ここは過去の世界かもしれない、それを再現した夢かもしれない。
 だからこそ私はここに存在していない──まるで"見ている"だけのようだ。

三廻部 颯 :
 ……それでも、ほんとにそうなのかな?

 と思って。
 どうせ見えていないなら、と怒っていた方に近寄ってみる。
 手を振ってみたり、色々。

SYSTEM :
 やはり、を覆すような反応は得られなかった。
 ………だが。

 本当にそうなのか、と留まったあなたは。
 すぐに”気付いた”ことがある。

SYSTEM :
 手を振っても反応はなく。
 近寄って何をしても───絶対にやってはいないだろうが、恐らくは“殴って”も───反応はない、その男の姿が。

 段々と、おぼろげになっていく。

SYSTEM :
 ………見ているだけと言ったが、なるほどその通りだ。

 ならば“彼”について鮮明な部分はそこだけであって、そこから先のことは確かでないのだろう。あなたの見ている場所を作り、想ったものにとって。

SYSTEM :
 ………ここまで来て“わからぬ”こともないだろう。
 鮮明なのは、先程の少年が行く先だ。

 それ故に出される答えはひとつ。

SYSTEM :

           ・・
 これは少年/だれかの記憶だ。

 あなたが見ているものは、
 誰ぞの記憶の頁だった。

▄█▀██ :
 ───。

 ・・・・・・・ ・・・・・・・
 それが誰なのか、■には分かった。

 証拠など何一つないが、確信のようなものがあった。
 それが誰なのか、確定もしていないけれど、心がそう言っている気がした。

▄█▀██ :
 記憶は言っている。

 "俺に知り合いはいない。
 ずっと此処にいて、ずっと探し物をしている………" 

三廻部 颯 :
「……!」

三廻部 颯 :
 颯は駆け出した。
 一段、いや二段も飛ばす勢いで石段を駆け降りていく。
 昔、神社の周辺を駆けずり回ったような勢いで。
 無我夢中で走る、走る、走る。

 これが誰かの記憶を見ている状態で……、
 そして、その"誰か"が、私が海の底で出会った"あの人"のなら。
 走った先に、辿り着く場所は───。

SYSTEM :
 立ち去る少年の足取りは考えるまでもない。
 何処に行こうとするのか、
 何を探そうとするのかは、
 どうも直前の言葉こそが何より雄弁に示していた。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………少年/誰かの歩く先々だけが只管に鮮明で。
 そこ以外が朧げとなっていくのであれば、あなたの足取りもまた、自然とそうなる。

SYSTEM :
 林を越え、村を離れ。あわや転びそうなほどの速度で駆け下りて、道のない道を駆けずり回って、辿り着く場所も定かでないその背を追いかける。

 今にして思えば、あの翳りのある声が、遠くからいやに鮮明だった答えも出る。

SYSTEM :
 これが彼の記憶ならば───。
 鮮明な部分は、少年がよく覚えている部分ならば。

 少年は、村の“仲間外れ”であった、ということだ。

SYSTEM :
 劣っていたのか優れていたのか。
 どちらだろうと、出る杭打たれるという言葉が示すように、”違う”ものは容易く打たれると相場が決まっている。
 本当にそれだけなのかは、さて。分かったものではない。

SYSTEM :
 ましてや海の底で出会った彼だとして………。
 その記憶をあなたが“何故”見ているのかも。

SYSTEM :
 とはいえ疑問に答えをつけている暇もない。歩くだけなのに遠ざかっていく少年の背を、あなたは追い掛けるだけ追い掛けた。

 月明かりの中。腰に刀を差して携えた若者の背は、勇壮にも、頼りなくも見えた。

SYSTEM :
 ………。
 ………そして。

 幾分か走り通した先。
 木々の開けるまでに“見覚えのある道”と“ない道”を行き来してきたあなたが、ふと知っている場所についた。

SYSTEM :
 知っている、というのも少々語弊があるけど。
 灯りのない夜と、その風景を差し引いても、木々を潜り抜けて出た先の浜辺には、そこはかとない既視感があった。
 
 あの廃村を潜り抜けた先は、あの時の浜辺。
 ………あなたが夢枕へ不本意にも沈んだ先で見ているものは、あの“島”で見て来たものが殆どだったようにも思えた。

SYSTEM :
 ………少年は、その装いの腰布から下を潮と水に濡らしながらも。しかし何をするでもなく、海を見つめていた。
 失くしたものが“釣針”だとして、どこかに都合よく流されてきているわけでもないだろうに。

 ああいうのは。
 ・・・・・・
 途方に暮れる、という言葉が正しいのだろう。

三廻部 颯 :
 知っている。
 見たことがある。
 石段を駆け降りて、村を駆け抜けて、辿り着いた先。
 そこがなんであるかを、辿り着く前から分かっていた気がした。

三廻部 颯 :
 これは私だけが知っていた記憶。
 眠りに落ちる前/記憶を垣間見る前、"お姉さん"と"一匹"にだけ話したこと。
 それを追うように辿り着いた、あの浜辺。

「はぁ、はっ、ぁ……っあ───」

 息を整えながら、胸の部分をぎゅっと押さえ付ける。

三廻部 颯 :
 見上げた視界に映った、呆然と言う言葉が合う背中。
 海という、この星の上でもっとも広い場所で無くしたもの。
 見つかるはずもない──それは、きっと、分かっているはずなのだ。

▄█▀██ :
 記憶は識っている。

  
       独りは転てし
 "───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅"

▄█▀██ :
 記憶は云っている。

 "…… …… ……独りは、いやだな───"

▄█▀██ :
 記憶は聴いている。

 "『童が我等より力こはく、丈夫なるなど』"

▄█▀██ :
 ……忌み嫌われ、陰を囁かれ、

 ……一つの過ちで、己の肉親から見切りをつけられ、

 ……見つかるはずのない針を探して、海をただ見つめる。

▄█▀██ :
 ……彼は。
 いま、独りだ。

三廻部 颯 :
 その姿が──その背中が、
 暗い昏い海の底で、独りを嘆いた自分とダブって見えた。
 
 聞こえない。
 どうせ声をあげても聞こえない。
 触れない。
 どうせ手を伸ばしても触れない。

 けど体は勝手に、動いた。

三廻部 颯 :
「あ、の───」

 砂に足を取られて転びかけて、あわやというところで。
 伸ばした手が届きそうなところまでゆく。

SYSTEM :
 どこまでも見て来たものと同じ風景が広がるならば。
 少年が途方に暮れた海の先には何があるのだろうか。

 さざなみの音の向こう側。
 あなたはそれに、恐らく答えを持っていた。

 ………そしてそれを前に途方に暮れたかのような“人”を前に、あなたがそれを行ったのは、もはや衝動的な感情に依るものだったのだろう。

SYSTEM :
 あわや、というところまで届く。
 触れられるか触れられないかの距離。声をかける、ギリギリの距離だ。

 そこに辿り着く直前。
 有り得ぬことだが、少年が振り返って、あなたのいる方角を見た。
 微か合わさった視線と面持ちは、ここまで一度も顔を見ていなかったあなたにとって、もはや確信そのものであったものを確信に変えるには十分だった。

 眉一つ動かさず、顔色一つ変えず。
 ただそれでも。瞳だけが雄弁にモノを訴えていた。あなたの言葉に“いいのか”と気遣った青年の名残が、そいつの顔にはあった。

SYSTEM :
 ………だが。そんな時だった。

SYSTEM :
 ぽつり、ぽつりと。
 海辺に、光が差し。

 彼の視線は、ふっと湧き出す”それ”に気取られるように………。
 再び海へと向いた。

SYSTEM :
 後にして考えると。
 その、海辺から、海上から、海の底から、ふわふわと湧き出す光は。
 海の中の、ぼうっとした光の広がりによく似ていたようにも思えた。

 ………そして。

SYSTEM :
 その瞬間。
 海辺の風景は、何より鮮明に映っていた。

 厳密に言おう。

 海上にゆらり動くものに。
 そこだけに、彼/記憶の持ち主の世界が凝縮されていた。

▇▇▇▇▇▇▇ :「──────」

SYSTEM :
 女だった。

 首から、見覚えのある首飾りを下げていて。
 恐らくは少年など気にも留めていない、海上で“たわむれた”、年頃としては、少年とそう変わらない姿の。

 ただ、人のなりをしているけど。
 人とは思えないくらいに“きれいな”少女だった。

SYSTEM :
 誰が知ろう。
 それを知り、あなたに告げられる人物はここにいない。

 湧き上がる仄かな光は、己が浮かび上がる時に、人から半歩抜け出したものだけが気付ける足跡で。
 少年は、それに“偶然”巡り会っただけだった。

SYSTEM :
 ………しかしその偶然が。

 たまたま、あなたを───。
 少年の居る先を捉えて。ふっと、笑いかけた。

SYSTEM :
 始めて見たヒトの、始めて見た笑顔。
 そして。

▇▇▇▇▇▇▇ :
『───』

SYSTEM :
 推定。
 ・・・・・・・
 お邪魔しましたと直感的に伝わるような音の響きは。
 知らないのに、知っている響き。
 似たもの、同じもの、二度は聞いたことのある、そういう類の声だった。

▄█▀██ :
 間違いない。
 記憶との一致。
 だがそれは、完全なものではない。
 あくまで"名残"を感じさせるものだが──それでも。
 それでも確信をさらなるものへと押し上げるに充分で。

 そんな確信も──文字通り、水に流れる。

三廻部 颯 :
「えっ───」

三廻部 颯 :
 ……綺麗だ。
 颯は、そんな感想をまず抱いた。
 場違いな気持ちを抱かせるほどに美しかったその"少女"。

 その首飾りに気がついて、何かがずっと頭を駆け巡る。
 夢を見る前──探偵さん(?)と旭くんが話していたこと。
 咲楽がいつも身につけている、あの御守り。

 それがずっと、頭から離れない。

▄█▀██ :
 記憶は、戸惑っている。

 “彼………そんなことしちゃったのね”

▄█▀██ :
 昏く闇い重力の井戸のそこから抜け出る時、
 ふと聞こえてきた"懐かしさ"を感じる声。

 あれは、もしかして。
 もしかして──でも、その答え合わせをする事は、できるのだろうか。

三廻部 颯 :
 海でもなお輝く海色の光。
 似ている響きの声が全身を駆け巡って、ずっとデジャヴュを報せている。

「って──お邪魔しました、って。
 私が見えて……?」

SYSTEM :
 彼女にあなたが見えていたのかどうかは、定かでない。
 これは彼の記憶だ。が。

 ………あなたの記憶の既知感は正しい。
 海にゆらゆら揺蕩う女の声。
 浮上する時の、少なからず詫びる言葉と共に“彼”を委ねた女の声と、そいつの発した音はそっくりだった。

SYSTEM :
 そして少年にとって。
 声をかけて向き合ったその少女がどう映ったのか。
 
 曰く、知り合いも、並び立つものも。
 血を分けた肉親さえも愛想を尽かされたばかりの男に。
 凡そ、人とは外れたものだったのだろう、少年の歩む足が、海辺へと歩き出す。

若者の声 :
「あなや」

若者の声 :
「待たれよ」

若者の声 :
「如何か 待たれよ」

若者の声 :
「汝の名は───」

SYSTEM :
 少年の足は、海辺から海上へ。
 引き摺り込むはずの重力さえものともしないその歩みが、少女のところへ歩いて行く。

 驚く少女の顔。それから、

▇▇▇▇▇▇▇ :『───』

SYSTEM :
    ・・・・・・・
 推定、遊んでくれるの?
 少し弾んだ声は、あなたより遠いところから発せられたが、何を、何の目的で行ったか。それがどういうことになるかだけははっきりしていた。

 海より出でた“そいつ”が。
 たまさか、顔を合わせた者の縋る手の意味も分からず、ひょいと手を取って。

SYSTEM :
 ………そのまま、海底へと引き込まれるように、二人は消えていく。
 少年が見たまぼろしのようにも、自死を伴う妄想のようにも思えた光景。

SYSTEM :
 時間にして数秒とない。
 しかし、たとえ地獄に行こうとも、その姿を忘れることはないのだろうと思わせるほどの鮮明さで、一部始終が過ぎていく。

 あなたの知っている限り、この時代にいたオーヴァードというやつだったのだろう少年の───理屈ではないものの顛末だった。

SYSTEM :
 ………敢えて言うならそいつを、孤独からの反動からきた“一目惚れ”とかいうのだが。
 あなたがそんなことにも詳しいのかは、定かではなかった。

三廻部 颯 :
「あっ───」

▄█▀██ :
 あるキッカケで人と人とは出会う。
 そして、それは人以外のものにも当てはまる。
 たまさかそれが人のような姿をしていたとしても。
 
 それを運命と呼ぶのであれば、そうなのだろう。
 その果てが──きっと、海の底に留まり続けている"彼"なのだ。

三廻部 颯 :
 思わず伸ばしかけた手。
 その反動で転んで、冷たい感覚が体に残る。
 ぷは、と息継ぎをして見上げた時、もう既に二人はいなかった。

 それが孤独ゆえの幻だったのか、
 それとも本当に"そう"であったのか。
 これは彼の記憶であるから、断定する事はできない。

 だけど───。

三廻部 颯 :
「……あの時の、声……」

 あの時。
 海色に惹かれて浮上した私の体と意識を繋ぎ止めてくれた何か。
 青年の声ではない誰か───あれは確かに存在していたのだ。

三廻部 颯 :
「いっちゃった……」

 ざざあん、ざざあん、と。
 波音と、独り残された自分の声だけが響く。
 水平線の先を見ながら、ずっとずっと時間だけがすぎていく──そんな感じがして……、

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「!」

 颯はそこで自分の得た確信を思い出した。
 これはあの海の底で出会った"彼"の記憶だ。
 ということは──つまり、ここから先、もしかしたらあるかもしれないのだ。
 
 ……この先の"記憶"が!

三廻部 颯 :
「い、息とかできるかな……なんとかならないかな……オーヴァードだし……」

三廻部 颯 :
「……な、なんか念じたら物が作れたし!
 なんとでもなる! なる!」

 空元気。
 ハッパを自分にかけて、ちょっと砂浜の方まで下がってからクラウチング。
 どん、と自分で掛け声あげて───あろうことか、自ら海へ走り出した。

三廻部 颯 :
 思えば壁や建物の材質をちょこっといじって、
 通り抜けるように移動していたのだ。
 
 砂から何か物を作ったように、この力は触れた物を作り替えることができる。
 ……海の水もなんとかならないかな!? ならないかな!?

三廻部 颯 :
EE:《壁抜け》って……海にも使えますか!?!?

GM :………

GM :その宣言に回答を行う前に………

GM :少々お待ちくださいね。

三廻部 颯 :(すわる)

SYSTEM :
 これが少年の記憶をなぞるものならば。
 誰かの虚に、焼き付いた名残であれば。
 ・・・
 その時を通り過ぎたものが、いつまでも同じかたちであるはずはない。

SYSTEM :
 夢まぼろしのように解れていく浜辺の色。
 文字通り、薄れて消える記憶のひと欠片。
 そこに留まっていたならば、あなたの顛末は、また、ふわりと浮き上がるように元の場所に戻るのだろう。

SYSTEM :
 結論から言うと、海中への全力疾走がそのまま成功していた場合………。
 潜ることそのものは不可能でなくとも、海中というものの中で忘れてはならぬピースが欠けていた以上。
 それはそれで、途中で別の形で夢から覚めていたに違いあるまい。

SYSTEM :
 ………しかしそれは“もしも”の話。
 たられば、というやつだ。

SYSTEM :
 なぜなら、あなたはそこで足を止めた。海中へいちかばちか(またはいちか九、十か)を仕掛けて、その先を手繰ろうとしたあなたの足は。

 ふっと気が付いた時。
 あなたを“見る”ものの音で止まった。

█▇▅▇▇▅█ :
      な ん じ 
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

█▇▅▇▇▅█ :
    何 者 な り や 
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :
 響く声は、海底から。
 いや………。

 はじめからそこにいたかのように。
 あなたの眼前に、阻むように。
 赤い虚ろな瞳に光を覗かせたものが、立っている。

SYSTEM :
 底から響く声。
 近いのに、遠い声。
 そこにいるけど、そこにいないあなたに“いま”気付いたかのように。
 段々と、どういう意味合いの言葉を諳んじているかもはっきりしてきたそいつの言葉は、概ね次の意味合いに収束された。

█▇▅▇▇▅█ :
  .お ん な の も と に
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
     彼女のところに

█▇▅▇▇▅█ :
   な に ゆ え あ る
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
   なぜお前のようなのがいる

SYSTEM :
 不可解と、不愉快。
 未知への戸惑いと煩わしさ。

 肌色は生者のものではなく、面はなにひとつ面影のようなものを遺せず。
 その目に、ただ諦観と、“それでも”と零したものを讃えながら。

SYSTEM :
 ………そいつは。

 いるけどいないあなたを認識した。

█▇▅▇▇▅█ :
     た ち さ れ
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
お前のようなのが、なぜ彼女を見ている

SYSTEM :
 焼き付いた記憶の頁を閉じる瞬間、あなたの視界に入ったものが。
 その“先”に踏み入るものを良しとしないかのように、瞳を向け、佇んでいた。

▄█▀██ :
 夢は夢でしかなく。
 幻覚は幻覚でしかなく。
 それ以上を望むこともできれば───それ以上を望まぬ者もいる。
 
 少女の儚い幻想を、その蒼白い手で掴む者。
 深淵に佇み、海色を背に少女を睨む者。

三廻部 颯 :
「───っ」

 少女の顔が青ざめた。
 なけなしの勇気を総動員した"狼"と"竜"との戦いとは違う、異質な相手。
 それが本当に"そう"であるか"そう"でないかはさておいて──

 彼女が人の形をした者に敵意を向けられるのは、これで二度目だ。

三廻部 颯 :
 後ずさる。
 砂に足を取られかける。
 少女の胸の中に淡い海色の光が仄かに生まれだす。
 
「……っ、私が、見えて……?」

█▇▅▇▇▅█ :
   み え ぬ も の か
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

█▇▅▇▇▅█ :
.  なにゆえ 我以外 在るものか
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
.  何故 俺以外がここにいるのだ

SYSTEM :
 困惑と不可解。/殺意と不愉快。
 男のそれは概ね、そうした拒絶の意にも近い。

SYSTEM :
 いつか聞いたか、ジャームというやつの話。
 歪んだ欲望だけを抱え、それ以外の全てを取り零した理性なき怪物というが。

 ………少なくとも真っ当な“ひと”には見えないそいつにとって、たった一つ抱えた欲望を言葉にするならば。

█▇▅▇▇▅█ :
     かのうみにもどる
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
  幾年かけても、必ずこの海に帰る

▄█▀██ :
 記憶は言っている。

 "だからそうなってしまった人のことを、ジャームって呼びます "

▄█▀██ :
 記憶は聞いている。

 "どこの世界に手前の患部ふりかざして気に入らないモン吹っ飛ばす患者がいんだ"

▄█▀██ :
 記憶は見つめている。

 "……人を超えた存在は、日常には馴染みませんから"

▄█▀██ :
 そう──形容するのならば"それ"。

 曰く、ウイルスに心を奪われた者。
 曰く、ウイルスから力を引き出した者。
 曰く、ウイルスに"人"を殺された者。

▄█▀██ :
 一つの強い欲望。
 そこから来る"拒絶"は──少女の心を、強く刺激した。

三廻部 颯 :
「……っ!」

 両の手を握り、胸の前で合わせる。
 仄かに宿った光を手に収め、そこから"引き抜く"ようにして解放する。
 天高く突き上げた右腕から青い光が少女を包み込む。

三廻部 颯 :
 青灰色の髪の毛がまばゆい光を吸い込んで、金色に輝く。
 燃える翼のように変わった髪型は、少女の勇気/蛮勇を現している。
 身長も、体格も、ひとまわり"成長"した闘うための姿。

 ──力を得た経緯(やりとり)を空に描いた、幻想(テクスチャ)の張り替え。

三廻部 颯 :
「っ……どうしてここにいるのかなんて私が知りたいくらいですけど!」

 拳を握りしめて構える。
 腰を落として、両掌を下に向けて突き出した構えは、相手を迎え撃つと叫んでいる。

SYSTEM :
 なんのために。
 その言葉に応えるほど彼は殊勝でもなく、
 たとえ応えてくれたとて器用でもないが。

 そこに伴った執念のようなものは、変えようがない。

SYSTEM :
 そいつの瞳は、あなたを見てはいるけど。

 思うに三廻部 颯を個人として見ているわけでもなかった。

 ただ、ずっと遠く、遥か彼方。
 どこかに残してきたたった一つの思い出を手繰って、そこに歩むだけの亡霊が。
 これを覆うもの、この中に“混ざる”ものに、強い敵愾心を形にしただけだった。

█▇▅▇▇▅█ :
.     このうみより
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :
 夢なればなんでも成せる。
 あなたの思うだけに留めた言葉に是と応じるように。男が剣を引き抜いた。

 戦うための姿に仰々しく“成る”わけではない。それは生まれながら、戦うための機能を備えていたからだ。

 人を超越た力を当たり前に振るうことを知っていたからだ。
 恐らくは、生まれつき。

SYSTEM :
 血色の塵が舞い踊る。
 うたかたの浜辺から砂塵を、手も使わず巻き上げて。
 折れた刀にこびりつくように、一振りの刀が姿を現す。

SYSTEM :
 ───共に鳴り響く。
 そう書いて、共鳴と呼ぶ。

 海色の輝きが、剣にまとわりつく。
 見知った光の色。
 呼吸するかの如く、現実に有り得ないものを描き出す、空想の実体化。

 何もかもが違っても、本質は変わらない。

█▇▅▇▇▅█ :
.     き  え  よ
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :
 ………男の一振りは。
 夢を描き出す過程は。

 暗黒の中から、引き抜かれた十拳の刃は。

SYSTEM :
 あなたが夢を描き出す工程を援けるもの。

 あなたが、あの青年から譲り受けた剣そのものだったからだ。

SYSTEM :
【Check!】
 判定が発生しました。

 判定:〈白兵〉
 目標:40
 Success:『???』後にイベント進行
  Failed:イベント進行

 備考:成否を問わずシナリオ進行
.   失敗後、別シーンで再度挑戦可能

三廻部 颯 :
……

三廻部 颯 :
(目標値を見る)

GM :誤記ではありません。

三廻部 颯 :
こ……コラ画像だよね?

三廻部 颯 :
あうう

GM :また、失敗に伴うデメリットもございません。

三廻部 颯 :
……じゃあ頑張ります!

GM :はい。(正座)

三廻部 颯 :

三廻部 颯 :3dx+6 <肉体:白兵> (3DX10+6) > 7[1,5,7]+6 > 13

三廻部 颯 :ですよね!!!!!!!

GM :(そっと首を横に振る)

SYSTEM :
【Check!】
 判定に失敗しました。

三廻部 颯 :くやしい……

SYSTEM :
 ………少なくともあなたに幸いなことが一つあるならば。
 ここが現実と地続きの場所なんかではない、ということだった。

 あるいは、敵愾心を形にし、あなたと全く同じ工程で、一振りのあの時見た刀と同じものを作り出したその骸に。
 
 青年の面影を残していたものと漸く分かったその骸に、僅かなりともあなたは目を奪われたのか。

SYSTEM :
 瞬きのうちに、間合いに彼が来ていた。

 譫言のように何かを呟き、きっとあそこに留まり続けるようになる前も後もこうだったのだろうと思わせる、白光のような動きの冴えと刃の閃き。

SYSTEM :
 繊細な挙動に反して、その一振りが何を起こしたのか、あなたが気取ることは出来ない。
 なぜなら痛みもなく、実感もなく、このコンマ数秒後に視界と感覚が途切れる/“記憶の頁が閉じる”からだ。

 だがその瞬間。
 譫言のようにつぶやいた言葉だけは、
 それが届く間際。
 いずこからか響いた言葉だけは、あなたの思考に残った。

█▇▅▇▇▅█ :
 独りは 半ばに死ぬのは
 ただ 何も▇▇▇に死ぬのは

█▇▅▇▇▅█ :
   ・・
 ───イヤだ

SYSTEM :
 白刃が閃くその瞬間。
 あなたは、確かに女の“いけない”という聊かに慌てた声と。

 その男の、妄執のかたちだけを聞いていた。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
Tips-█▇▅▇▇▅█
 カヴァー/ワークス:█████/█████
 性別:█████ 年齢:█████ 侵蝕率:███%
 シンドローム:バロール
 
 所持Dロイス
『遺█継██/█り██花』

 所持ロイス
『ト████ヒ█』

 生█れつ█て天█無双███を持った若者。
 全█期は安███にすら██████強靭な██異█であり、時代と巡り合わせが█████に███いた██。
 凡█な██ない海辺の██で███、名を████に███なかった██。

 だが、その始まりは特異な力の持ち主ゆえに兄に手を焼かれ、村人からもまた疎まれ。
 幼少期に自分の道具を失くしたことで兄からついに愛想を尽くされたことに起因する。
 素朴な人柄ながら凡そ対話能力に欠如した彼は、己の力を他人のために使うことに躊躇いがなかったが。
 己の力が、人と隔絶しているという当然の話に気が付いていなかった。
 すなわち彼は、無双であると同時に孤独だった。
  
 ………███████、███████████、██████████████。
 █████████████、███、█████████████。

SYSTEM :
 ………。
 ………、………。

SYSTEM :
 あなた自身の身体が、最初の夢の時のように、ふわりと引き上げられていく感覚がする。
 最後に見たのは、身構えた瞬間と同時に煌めく白刃のかたちくらいのものだったが。不思議とそこに痛みはなかった。あの場所だからか、それとも別の何某があったのか。

 ………堂々白昼夢でも見ていたような気分だったが、その光景を忘れるようなことはなかっただろう。

SYSTEM :
 見えぬはずの水面から、光が差し込んでくる。
 だがそれは、眠い日の瞼を空ける時のものにも似ていた。
 幾分以上に自覚と既視感のある、お覚醒めの気配。記憶の蓋を閉じて、地続きの現実(と呼ぶには怪しいところのある、あの島)に戻って来る感覚だ。

SYSTEM :
 ………ところで。御寝坊さんという言葉に縁があるならば、遅刻ギリギリの時、弟や両親があなたにどういうことをしたのかは、けっこう心当たりがあるだろう。

SYSTEM :
 幾度か揺すられる寝起き直前の感覚。
 ・・・
 起きて、と呼ばれるような声。

 後者こそ厳密には違うが、仰向けに寝転んだあなたに行われていた対応とは、概ねそんなものだ。
 縁がないなら、とりあえず始めての経験と受け取っていいだろう。

“イリュシデイター” :「───三廻部さん、」

SYSTEM :
 こちらを覗き込む女の声。
 恐らく隣を見れば、位置こそ変わらないが、まだ居座っているのだろうあの白い狗。
 周囲の者から、戻ってきているか否かまで、なにひとつ変わらぬ風景。

SYSTEM :
 ………あの白刃を最後に。
 一瞬のまぼろしのように、海辺で見たものは綺麗さっぱり消えてしまっていた。

三廻部 颯 :
「………………、………………、………………」

 少女起床。
 その顔はまるで何かに"やられた"かのような表情だった。

三廻部 颯 :
「……あれ」

三廻部 颯 :
「い、生きてる!」

 首、あるいは胴体を自分でぺたぺたと触って、
 「生きてる」と漏らしたのが第一声。

三廻部 颯 :
「ゆ……夢だったのかな……? あ、おはようございます……」

“イリュシデイター” :「………“生きてる”? ですか………?」

SYSTEM :困惑混じりの“おはようございます”への応答、もそこそこに。

“イリュシデイター” :
「………心配しました。
 数分前、理由も定かでなく急激に倒れて………。
 
 正直に言えば、先程の話で得たものについてを真っ先に疑うところでしたが、」

“イリュシデイター” :「………そこは止しておきましょう。体に異常はありませんか?」

三廻部 颯 :
「えっと……はい、なにも……」

三廻部 颯 :
 正直びっくりしすぎていて何もわからない。
 最後に見たものも、脳に焼き付くように映った"剣/刀"も。

SYSTEM :
 少なくとも斃れたのは数分前。旭と一部同種のシンドロームの持ち主でもあった彼女が、最低限の措置と容態を確認していた正にその時の目覚めだったらしい。
 外側から見ても見当のつかぬことだが、当人すら良く分かっていないのだ。僅かな沈黙の後に、“イリュシデイター”が意識を切り替えるように息を吸う。

“イリュシデイター” :「それならば、今は一安心ですが………」

“イリュシデイター” :「何か………心当たりは?」

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「…………」

 視線が一瞬だけ、ホデリに向く。
 けれどその視線はすぐに外される。
 その行動は、突然ワッと話しかけて言葉の洪水を浴びせかけた"お詫び"のあらわれだった。

三廻部 颯 :
「……私が眠っちゃう前に話したことと、関係があると思います」

 手に浮かぶ小さな砂埃が渦となって、貝殻のような形になる。
 つまり彼女がオーヴァードに目覚めた"キッカケ"……それが深く関係しているのだと。

“イリュシデイター” :「先程の………?」

SYSTEM :
 目覚めた切欠。
 それは何処とも知れぬ彼方で、一人の男に刀を手渡されたことだった。

男の言葉 :
“その刀は………。
 おまえを、隣の人間と“同じ”ではなくする。

 俺が嘗てそうであったように、おまえもそうなる”

SYSTEM :
 あれがオーヴァードになった切欠だとして、何を意味するのか。
 何かを譲渡された結果、三廻部 颯は命を繋いだのだとすることが真実だとして…。

SYSTEM :
 暫し考える“イリュシデイター”の脳裏に、とてもではないが、オーヴァードの凡例など引き出せるはずはなかった。
 元より不可思議、かつ、非常識なことを起こして憚らないのがオーヴァードという種である。突然あなたの意識が飛んで、数分足らずで目を覚ますまでに見たものとの関係性を、すぐさま言い当てられるようなものには恵まれていない。

『ホデリ』 :
『………………』

三廻部 颯 :
「……、ホデリさん?」

『ホデリ』 :
『小娘………先の話、』

『ホデリ』 :
『その“ひとり”の男、何を訪へりや』

三廻部 颯 :
「え──っと、……」

三廻部 颯 :
  ・
「……海、でいいのかな」

 現代文をとっている颯にとってホデリの言葉遣いは慣れないものだった。
 なんとか意味を理解しようとして──夢を思い出しながら、"海"と応える。

三廻部 颯 :
「あ……合ってる?」

SYSTEM :尾が軽く揺れ、鼻を鳴らす音が聞こえる。

ホデリ :

『ホデリ』 :『………猶か』

『ホデリ』 :『………………』

『ホデリ』 :
『………ならば、よく覚えおくがいい』

『ホデリ』 :
『その男は………。    ・・・
 その男が、この島に眠る物の怪だ』

SYSTEM :
 口振りこそ邪険に扱う忌々し気な択び方だが、その声色には、そうした怨敵や因縁、憎らしいものに向けるべきだろうものがまるでなかった。
 強い嘆息のあとに、彼は尾を地に下ろす。そうであろうよ、とぽつぽつと繰り返しながら。

▄█▀██ :
 物の怪。
 全てがそこに収束する。
 此度の一件、その全ての中心、重力の中心点。

 颯は、その事実を前にして──ただ、ごくりと唾を飲み込むだけだった。
 驚きはあった、動揺もした、けれど……それ以上の動きはなかった。

 なぜならその言葉に、納得がいくような気がしてしまったから。

▄█▀██ :
 夢の中の世界。
 あるいは彼の中の記憶。

 孤独。
 疎外され、血を分けた兄からも断絶され、ただ独り残された彼の嘆き/欲望。
 記憶の中で出会った亡者と、それが持っていた"見覚えしかない"刀。

 あの時であって、
 私を海の底から送ってくれたひとが──関わっていないわけがない、と。
 心のどこかで認めてしまっていた。

三廻部 颯 :
「───……、……」

三廻部 颯 :
「そう……なん、ですね」

 ゆっくりと言葉を吐き出した。
 『ホデリ』の声色を聞いて、必要以上に警戒を抱く必要も無くなったのだろう。

三廻部 颯 :
「……でも、それなら……あの海の底で出会ったのは」

三廻部 颯 :
「……ちょっと無愛想だったけど、
 優しい人だと思ったのに。
 ……善悪で分かれちゃったとか……?」

『ホデリ』 :『分からいでか。分からぬはずはない………』

SYSTEM :
 ふかい、ふかい嘆息。それから踵をすぐに返してしまう。
 遠回しの、此処から先を言う気はない、の意思表示にも見えたが。

 ………しかし。あなたがそれを指して“優しい”と述べたことに、彼はぴくりと毛を逆立てかけ、一度足を止めた。
 振り返らず、遠くへ吼えるような音の響きが、あなたに伝わる。

『ホデリ』 :
『その者に、裏表など非ずよ。
 だが………』

『ホデリ』 :
『そう思うたのならば………。
 そう思いひままにせよ』

SYSTEM :
 どうか、そう思ったままにしてやってくれ、という意味合いを含んだ言葉は。
 物事を素直に考えたければ考えたいほど、良く分からなくなる感情が籠っていた。

SYSTEM :
 ホデリはその背を向け、のそのそと開けた障子の隙間から、歩いて行ってしまおうとする。

“イリュシデイター” :
「………ご存じなのですか?」

SYSTEM :
 ホデリは応えようともしなかったが、
 それが言い換えると答えだった。

 言えぬ/言うわけにはゆかぬ、という。
 自分か、それ以外の何か。頑なに口を閉ざしたい/「物の怪」以上に広げたくない事情があるものの仕草だった。

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「『言えない』んですね」

三廻部 颯 :
          ・
「……わかりました。今は聞きません」

三廻部 颯 :
「でも……」

三廻部 颯 :
        イヤダイヤダナンテイッテイラレナイ
「……ずっと、そうではいられないはずです。
 わたしも、あなたも」

三廻部 颯 :
「……待ってます」

 それは"いつ"の話になるだろうか。
 あるいは──その気がなければ、この島を抜けでてからも続くのかもしれない。

『ホデリ』 :『…知りしふうな口を』

『ホデリ』 :『だが………』

SYSTEM :
 決して応じようとも、撤回しようともしなかったが、あなたの困り眉でまとめた言葉が終わるまで。
 そいつは足を止めたままだった。

『ホデリ』 :
『………あの暗し者めが………。
 ・・・・・
 斯様なこと、汝に望んだのならば………』

SYSTEM :
 気難し気に唸り、滅多に心を開かない、妙に人間めいた仕草の白い狗。
 “やもしれぬ”と、肯定も否定もし切ろうとはしないそいつの立ち去る背中は、いやに小さく見えた。

三廻部 颯 :
「……ごめんなさい、狡い言い方をして」

 立ち去る背中に、小さく頭を下げる。
 それを引き止めることもできない。
 私にはその資格もない。

SYSTEM :
 そうしてその場を後にしたホデリの姿は完全に見えなくなり………。

 如何にも訳を識るものの頑迷さを、むりに抉じ開けて“開戦”となることを惑ったのか、その言葉選びと仕草に、なにか思うところでもあったのか。あなたより幾分年を重ねた女は、何を言うでもなく目を瞑っていた。

三廻部 颯 :
「……私、ずるい子だ。
 ずるい状況で、ずるい言い方して」

三廻部 颯 :
「言いたくないことなんて誰にだってあるのに」

三廻部 颯 :
「……私だって、ずっと口を閉ざしてるのに……」

 イリュシデイターの前で、しゃがみこむ。
 自分が嫌いだと思う相手には、口を開かず。
 かといって、忠告をしてくれる相手にも心を開かず。
 こうやって、自分の都合のいい時にしか動かないし、動けない。

「わたしのよわむし……」

SYSTEM :
 ずるい言い方、としょぼくれた彼女/あなたの肩に、そっと手が置かれる。
 目線を合わせた、年齢としては大人の入り口近くでしかない女性の言葉。

“イリュシデイター” :
「そうかもしれませんね」

“イリュシデイター” :
「ですが、時間が解決してくれることと、時間が解決してくれないことがあって。
 彼のものは、後者です」

“イリュシデイター” :
「………ここだけの話ね。
 私にも、言いたくないことがあります。おあいこです。ですが…」 

“イリュシデイター” :
「ズルだなって思うようなことでも、臆病じゃいけない時もあります。前を向いて、口にしないと、駄目なことも。
 ………コレ、大人がやるものなんですけどね。あなたにやること全部取られた大人の言い訳と笑ってください」

SYSTEM :
 概ね、間違ってないから心配するな/私も一緒だから“いずれ”の勇気が出るように一歩一歩やっていけばいい、という彼女なりの励ましの言葉だ。

SYSTEM :
 ………言いたくないこと、が。
 あなたに対してなのか、それ以外に対してなのかは定かでないが。
 少なくとも、あなたが“ちょっとずるい言い方をして、自分の出来ることを探した”こと自体を咎めはしなかった。

▄█▀██ :
 誰にだって言いたくない事はある。
 誰にだって本音というものがある。
 それを言うも言わないも、人それぞれ。

▄█▀██ :
 そのちょっとした"いじけ"は、
 人──人というよりは犬だが──の隠していた感情を掘り起こしてしまったような罪悪感。
 
 けれど島のことを知っていくにつれて、
 避けようのない事実が詰まっている。

 颯は悩みながらも、"大人"の言葉に頷いた。

三廻部 颯 :
「……はい」

三廻部 颯 :
「……後ろを向いてたら、今は何もできない。
 ずっと前を歩くのはできないし、後ろを向いたほうがいいことだってあるけど──」

三廻部 颯 :
「今だけは、前を向いています。
 私、がんばるっ」

三廻部 颯 :
「……しょげたのはナイショで」

“イリュシデイター” :
「ふふ。ご心配なく。
 私があなたの立場なら、最後は一字一句同じことを言います」

“イリュシデイター” :
「…それじゃ。帰って来るまで、友達と再会した時のことでも考えてみましょうか」

SYSTEM :
 それで、一旦の情報共有の必要ありと戻って来るだろう彼らが来るまでのわずかな時間。
 もう一度出会った時になんとするか、そもそも連れて来たらどんな反応するか、なんて。見通しの見えないなりの、前向きな話に切り替えて。

 ………そう長くない隙間の時間が過ぎていく。

SYSTEM :
 ………。

 誰が知ろう。
 その隠していた感情は、決して正だけでも負だけでもないなどと。

 誰が知ろう。
 その隠している動機こそが、彼の、”物の怪”を滅ぼすではなく『眠らせる』とした理由などと。

SYSTEM :◇ ◆ ◇


シーン12「幕間・弐」

SYSTEM :
【シーン12:幕間・弐】

 登場PC:境耶
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-ホデリ
 カヴァー/ワークス:???/レネゲイドビーイング?
 性別:雄 年齢:成体の犬ないし狼くらい 侵蝕率:不明(40%〜?)
 シンドローム:バロール/エグザイル/?????

 久外境耶が、名も知れぬ島で最初に出会ったレネゲイドを操る生物。
 白い犬ないし狼のような姿をしており、どこか古風な口調で喋る。
 どのような経緯で、どのようなオリジンを持ったのか、そもそもRBであるかさえ定かではない。

SYSTEM :

 いざ捜索開始の運びとなるや否や、行く手を阻み嘲るように展開された『ワーディング』。
 その正体であった“蘆屋道満”を騙る者を退けるも、負傷や消耗を加味して、あの古ぼけた屋敷へと『ゲート』を手繰って戻って来たあなた/境耶。

SYSTEM :
 あなたが元より呉越同舟の面々をどう扱いながら帰って来たのかは定かでもない。
 その帰還の最中、仔細は何れ語るが…堂々と薙ぎ倒されていた木々や、如何なる事情かオーヴァード/ジャーム化を果たしていた原生生物の死体の群れなどから、暢気にその辺を闊歩している可能性が高まって来た”喚楽の人喰い虎”の所在が分かったからどうする───というのは分かり切った結論であろうし、わざわざ会議をすることもない。

 脅威をどうこう語るのは、ファルスハーツ/ロクでなしの領分ではないはずだ。

SYSTEM :
 ………そのあなたが戻ってきてすることは、恐らくは”彼”を探すことだったのだろう。
 一室ですぐに見つかったそいつは尾を地につけ垂れさせで座り込んでおり、何処か黄昏ているようにも、物思いに耽るようにも、ただ寝ぼけ眼で微睡んでいるようにも思える。

久外境耶 :
「…… ……」

 ……それは。いつかの後ろ姿より、ずっとしょぼくれて見えた。

久外境耶 :
 油断も隙もありゃしない。こっちのアタリマエはオトシマエだと踵を返しかけて──

 それは今、さほど大事ではないと思い直す。

 海幸山幸。あのおとぎばなしを、ここの敷居を跨げるほとんどのやつが共有している。

久外境耶 :
「しけたつら。鼻乾いたか?」

 どかどか足音を立てて、よいせと座り込んで言う。

『ホデリ』 :『ぬかせ 童でも相手にせるつもりか』

SYSTEM :ふん、と鼻を鳴らす。ぱちりと目を開けるが、そのまま姿勢を”ぴん”と立たせるわけでもない。

『ホデリ』 :『変わらぬ面だ。大事ないようだな、境耶』

久外境耶 :「おう。いっぺん死んだ程度」

久外境耶 :「そっちは何事かあったってカンジだな。大体予想つくけど」

『ホデリ』 :『死するを朝餉前のごとく言ふにないわ』

SYSTEM :
 軽い嘆息。
 良くも悪くも分かり始めて来た“クセ”であるというならば止める気もなかったのだろうが、実際のところ“死ぬ”という言葉にありふれた応答で返してから事の重大さに気付き、思わず、目力の強まる三度見が待っていたのは余談だ。

SYSTEM :
 ………さておき。

『ホデリ』 :
『大したことでない。………と言いたいが。
 ま、良し。つまらぬと笑い飛ばせ』
 

『ホデリ』 :
『少々、己が小人に直面した程度よ。
 誰とて誤りはあれども、わたしの誤りとは、即ち取り返しのつかぬものだったというだけ…』

久外境耶 :
「……おん」

 なくしたのは弟のほうじゃねえの──と無神経が顔を出しかける。この手の判断がイチゼロのおれには、余計なコト言や首落としてくる相手のほうがいっそラクな気すらした。

久外境耶 :
「おまえ、頭固そうだもんなあ」

 思考にちらついた"ナイトホーク"をしっしと追い出す。ああいうのはおれには出来ねーし、ついでに悩むのも向いてないんで、

久外境耶 :
 引かれた線のぎりぎりに、爪先をくっつける。

「分かってるだろ。いつまでも伏せてはおけない」

 どうせ、どこかの誰かもこれを言ったのだろう。おれとは違うニュアンスで。

久外境耶 :
「けどよ……」

 いいか? と首をかたむける。
 その手のハナシにうんざりなら、ここまでだ。

『ホデリ』 :『…ぬう』

SYSTEM :
 元々心根を隠さぬ/隠せぬこの生き物が、“頭の固い”を“認め難い”と、そんな感情を低い唸り声で表したのはすぐのこと。
 それを取りやめるのもすぐのことだった。

『ホデリ』 :
『………その様子には、存じていような。
 わたしも、承知はしておる』

『ホデリ』 :
『わたしがこの話をせば…。
 彼の者、いよいよ暗し者として、汝らの記憶に残ってしまう』

SYSTEM :
 深い深いため息。
 あなたの首を傾けた線引きそのものについてではなく、彼が口をきいた最大の理由は他にあった。

『ホデリ』 :
『………汝は何をば言わずわたしの伴をした。
 その礼も報いもわたしは見出せぬ』

『ホデリ』 :
『だが、これに意味を見出すかは別とて…。
 ・・・・・
 つまらぬ話と承知の上なら、問答への“さわり”程度、してもよかろう』

SYSTEM :
 要は、何も聞かずに乗った心根への礼儀であり、それをためらわず行ったものへの恐らく”呆れ”から来る言葉だった。
 ………聞きたければ聞かせてやると言った彼が本当に全てを語るのかは、口振り通りと言ったところ。あなたが“知っている”ことを突きつけて、それに応ずる程度はしてくれるだろう。

SYSTEM :
 ………何故ならこの聊かにヒトの名残を遺した生物が、何某の沈黙を保っている理由は、自分のためではなかった。恐らくは。

久外境耶 :「いーよ、べつに」

久外境耶 :
「だってよ……
 もし『言いたくねえ』が一番にくんなら、しゃあねえよ」

久外境耶 :
「連中とは手切ったっていいんだ。最悪うちのともな」

久外境耶 :
「おれしか残んないかもしんねーが、少なくとも『おれ』は残るからよ。好きにしな」

久外境耶 :
「……元々そう伝えるつもりだったんだ。おまえにはヘンに映るかもしんないけど、おれ慣れてっし」

 聞かされないのも、聞かないのも。
 命を使わせてもいいと決めたなら、おれにはそれが全てだ。

SYSTEM :
 白狗の尻尾が、一度ぴんと跳ねた。
 それから足元へと垂れ下がり、目が細められる。すぐさま逸れた視線は、敵意の表れではないのだろう。

『ホデリ』 :
『なにゆえそこまでし、猶望まぬ………』

『ホデリ』 :
『いや………。理解るのと、聞かざるは別だ。
 それが己が欲とても、わたしは汝に報いる術を知らぬ。わたしに汝を“あご”で遣へと申すか?』

SYSTEM :
 難しげに唸るそいつが、少なくとも”伏せたまま”をあまり望ましく思わない部分を持っているのは確かだ。
 それ以上に、“伏せたまま”事を為したいと思っているだろう辺りも。

 ちょっと梯子を外すような、彼にとってはなんてことのない意志表明に、この白狗はたじろぎつつも、意図の咀嚼を始める。

『ホデリ』 :『………分かってはおるのだ………我が高慢をな』

SYSTEM : 
 少なくとも己が“物の怪”の名を口にしない理由は、「弟」という言葉に心当たりの出来たあなたならば、そろそろ察してきただろう。
       ・・・
 恐らく彼は、そいつの名前に。
 物の怪に成った痴れ者という傷跡をつけたくないのだ。

久外境耶 :
「言ったらやってくれんのかよ」

 あごで遣う、にくつくつと喉奥でわらう。おれはらくだが、こいつがしんどいだろう。それじゃあ本末転倒だ。

久外境耶 :
「報いだ礼だ、おれにはそっちのが分からんし。返ってくるもんより、残るもんのほうがおれは好きだね」

 ……あの人についてったのは、おれに何かしてほしかったからじゃない。彼が成し遂げる何かを、おれが見たかっただけだ。

 それは結局、叶わなかったが。

久外境耶 :
「…………」

久外境耶 :
 それ
「高慢、問題か?」

久外境耶 :
「やりたいことやれよ。おれはそうしてる」

久外境耶 :
「……ああ、そうだな。それがいい。おまえ、おれに返すもんがねえって気にすんならよ──」

久外境耶 :
「おまえの大事なもん守るために、何でも犠牲にしちまえ。もっと取り返しつかなくなって、疵が増えても。絶対やり遂げようぜ」

久外境耶 :
「おれは、それがいいな」

久外境耶 :
 おまえが口にも出したがらない願いが、欲望になって──
 かたちのない名誉が、ひとつだけ残る。

 おれはそれを、見届けたい。

SYSTEM :
 口にした言葉がどの程度難儀なものかは敢えて言うまい。
 白狗の“大事なもの”はどうあっても遺るものではない───恐らくは“そう”であろうということに気付いて口にし、その願い正しきと欲を誘うというなら、とんだ悪魔の戯言だ。

 なれど、悪魔とは常々嘘だけは吐けぬ生き物と相場が決まっている。
     ファルス
 どれだけ喜劇と客観視されようとも。その言葉に虚はなかった。

『ホデリ』 :
『………いまさら瑕の一つや二つ。
 半端に気に耽ることの方が、むしろ頑しと申すか』

『ホデリ』 :
『汝は残酷なることを言ふな。
 ………だが、ああ、そうだ、元より………』

『ホデリ』 :
『頑しを承知のもと………
 取り返しのつかぬを承知のうえ………。
 わたしは時の忘れものと化したのだ』

SYSTEM :
 …瞑目と共に語った彼の言葉は。その、あまりにも乱暴で、“最悪”を想定した矛先を特に否定しなかった。
 強いて苦言を呈したことがあるとすれば、それは先程の“最悪”への近道だということくらいだが。

 ………ふん、と鼻で笑う平時の調子で語った言葉は、恐らく彼の願望だった。

久外境耶 :
「いい調子だ、相棒。

 ……やっべこれ初めて言うんだけど結構アガるわ」

『ホデリ』 :『相棒とはな』

『ホデリ』 :
『いざその時まで、向こう見ずを伴とするとは…。
 因果なものだが、汝の様なるは始めてだ』

『ホデリ』 :
『………わたしは物の怪と共に還るだろう。
 ただ………一つ事のために流れに取り残され、一つ事を成し得て帰る。だが、』

『ホデリ』 :
『非に塗れども己が高慢を貫くこと、何より頑しに非ずというのは………。
 ………ああ、わたしとて始めて耳にした。相棒、などと呼ばれしもな』

久外境耶 :
 ……らしい最期。
 まったく、どの口で報いだ何だと言っているのか。
 こういう性分のやつは大抵自分が見えてないし、おれよか『あちらさん』のが心当たりは多いだろう。

久外境耶 :
 だから──ああ、おれが言うのもなんだけど。

 こいつ、運無いかもな。
 よりによって最初に掴んだ運が、こんな不良なんだから。

久外境耶 :
「そうかい。おれも……ケリつけにいくやつを見送るのは初めてだよ」

久外境耶 :
 今度こそ、見届ける。
           こんどは、まもるよ。

久外境耶 :
「…………」

 片一方をふりはらって、立ち上がる。欲望と断片をごっちゃにする気はない。

「じゃ、改めてよろしくサンと。いーかげん連中んとこ戻んないとなー」

『ホデリ』 :
『…うむ』

『ホデリ』 :
『思いひままにせよ。汝がそう在るなら…わたしも…思いひままに、“頑し”を返上する』

SYSTEM :
 敢えて語るではない欲望の断片を、彼らは語らじとも良しとした。ならば、この話は此処まで。
 恨まれどもな、と零した生物の拾い上げた意思を良しとするか悪しとするかは人に依ろうが。

 ………ましてや白狗に“聞けば”応じただろうものを、あなたは敢えて聞かなかった。それに慣れている、それで良いのだとばかりに。

SYSTEM :
 ───敢えて聞かぬならば、心内を明かすでもあるまいが。

 この死神から好かれぬ葬送り人が、縁もゆかりもなかろうこの生物を是と喝采した理由は。
 その、断片の親近感に依るものだったのかもしれなかった。

SYSTEM :

 ………。
 ・・・・
 今度こそ、など。
 面影の無い己が轍にこそ、未練のある生き物が使うセリフだ。

SYSTEM :◇ ◆ ◇


シーン13「幕間・参」

SYSTEM :
【シーン13:幕間・参】

 登場PC:境耶、シホ
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-タイガーアイ
 カヴァー/ワークス:レネゲイドビーイング/ゼノスメンバー
 性別:不明 年齢:不明 侵蝕率:158%
 シンドローム:エンジェルハイロゥ/オルクス
 
 レッドタイガーアイに感染したEXレネゲイドにして、その石を身体とする支配型RB。
 所有者の精神に侵蝕して意のままに操る能力を持つ。
 尊大な性格、時代がかった口調、好奇心や知識欲の強さは偏屈な賢者を思わせる。

 シホとは自我が物心つくころから、利害関係の一致による緩やかな縁を持つ。

SYSTEM :
 暫くして。“いい加減に”と呉越同舟、舟に相乗りした面子の顔でも見にやって来た境耶か。
 あるいは、その呉越同舟、数少ない───表に晒しているものに限れば───異分子でもある少年にこそ用事のあったシホか。

 単純に境耶自身の傷が最も深手だったことを流石に咎めたが故の示し合わせた邂逅なのか…あるいは、そこに“ふたり”のみだったのは、本当に偶然なのか。

SYSTEM :
 ………あなたたちはそれぞれの理由で、そしてたまさか、屋敷の内側で面と向かう機会を拾った。

GM :…ところで。

GM :シーンに『幕間』とある時は、シーンへの登場に関わらず「次のシーン/ラウンドに移行する前に応急キット等の所持品の使用」を望む場合、シーンには登場せずここでその宣言をしても構わない、ということにしましょう。この時、対象者についても任意となります。

GM :以上…北の地からでした。

久外境耶 :
「あ〜……いっぺん寝るかな」

 畳に手足を投げ出して、木目のつまった天井を仰ぐ。こっち見て、あっち探して、いや向こうが来いよめんどくせーなが現状だ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……さて、その“面倒臭いの”がその間に果たして何をしていたかといえば。
 やっていたことはといえばただ一人、ちょうど誰も居なかった片隅の部屋の壁に、ひとり身を預けていた。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 どうにも、何をするにも気が重い。特に今は、あの“賢者”と顔を合わせる気にはなれなかった。
 心さえも全て無遠慮に見透かすような視座を持つ彼は……ワタシの“隣人”と呼ぶには、少し遠い心地がする。
 幸いここは、アレが興味を惹くものも多い。多少放置したところで問題はないはずだった。

回想する、曰く─── :
「僕はあなたのことが一番心配です。シホさん、さっきからすごく調子悪そうですよ」──────

回想する、曰く─── :
「『言いたくない』ならぜんぜんいいですし、僕も立ち入るつもりはありませんけど!
 生まれた瞬間から14年レネゲイドとおともだちの人間の忠言は聞いてくれると嬉しいです」───

”朧の狩人/残骸” シホ :
 かといって、自らその隣人に名乗り出てくれたあの少年の肩に寄り掛かるわけにもいかないだろう。
 ……どちらの顔を使うにしても、あの言葉を、あの子の口から言わせたのは間違いなく失態だった。
 彼自身が言うよりも、きっと彼もまた動揺をひた隠していることはワタシも見てきたことだ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 何が私を、ここまで不必要に揺らがせているのだろうか。
 ……自覚は、ある。
 懸念も、恐らくはその答えも。

”朧の狩人/残骸” シホ :             
 ワタシはこの“リュウグウジマ”を訪ねるにあたり、当初は予定通りに───現状は半ば意図しない形で、二つの顔を使い別け続けていた。

 一つ目は、人並みにお人好しで人並みに任務をこなし、たまには勇み足で失敗もしてしまう未熟者。
                     レムナント
 UGNイリーガルとして秩序を護る助力を担うの仮初の仮面。

 もう一つは、無用な肩入れなど行わず、ただ己の欲望の為に銃を握る狙撃手。
                              ホロウハンター
 冷酷に、正確に、生きながらにして死を騙る、獲物を屠る亡霊の狩人。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 そんなことを引き摺るように、大した意味もなく続けていれば、嫌でも気がつく。
 結局のところ、狩人も私を覆い隠すための仮面に過ぎないのだろう。
 もはや癒着したそれを、無理に引き剥がしてしまえば、血が流れてしまうのを恐れていただけで───

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ───それも何かが違う気がして。
 その答えが出せないまま、宙ぶらりんになっていて。

 そうして今、私がそれを手にしたのは、多分答えを捜しにいくための手掛かりを求めてのことだった。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「………………」

 渡航の直前に、念の為と手配していた応急手当の為の用具。
 これで彼の……“ラッキージンクス”が負った傷と、その溝を埋められるとは到底思えないが。何もないよりはマシだったはずだ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 何の偶然が運んでくれた機会だったか。どうやら今は、彼とワタシを除いては大体が出払っているか、それぞれの所要を済ませているか。

 少しは意味もなく機会を待った甲斐もあるかと、秘匿の領域を解いて立ち上がる。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 “ラッキージンクス”がいるであろう部屋の入り口を軽く叩く。

「失礼します……
 遅くなりましたが、応急処置の準備が整いました。入っても構いませんか?」

久外境耶 :
「あ〜?」

 上体を起こして、がしがしと後ろ頭をかく。

久外境耶 :
 声をかけてきたのは、連中のなかでも一番よくわか いや 流石にアレを差し置いて一番はない すまん 

久外境耶 :
 まあともかく、よく分からないのはマジだ。
 森に身を隠して淡々と狙撃を重ねてきた女と、たかが肉盾で悲鳴じみた声をあげる女が、おれの中ではどうも一致しない。
 いちいちレーギ払う律儀さと、敵意を前に踏み込んでくる強引さも。

久外境耶 :「好きにしろよ」と入室を促して、あぐらで迎える。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「ありがとうございます。
 それでは、こちらで軽く治療の時を始めますね。とはいえ、ごく簡易的なものにはなってしまいますが…」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 応えてくれた彼の言葉は、少なくともあの一瞬の───“ホデリ”と名乗る彼を巡った問答よりかは棘が少ないように思えた。
 ……どちらかといえば、敵意よりは心なしか困惑の色が強い気もするような。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 それが実際、そうだとして…。
 やはり自覚はある。“ラッキージンクス”に対する此方の態度は───というより、この島で起こった全般に対して───一貫しているものとは到底言いがたいものだったし。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「その、先程は……
 守っていただけて、とても助かりました。改めて御礼を申し上げます」

 治療用のアレコレを床に並べていきながら、“ラッキージンクス”の斜め前に腰を屈める。
 正面に相対して座るのは、どうも腰が引けるような気がして。

久外境耶 :
「……? なに、おたく二人いたりする?」

 "残骸"の前髪めくって、まじまじとデコさらしたツラを検める。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「へっ?」

 硬直。おもわず手が止まる。

久外境耶 :「ジョーダンに決まってんだろ」けたけた

久外境耶 :
「で──お礼ねえ。リチギなこって」

「ま、オタガイサマだろ。おれが殴りにいくよか、おまえがブチ抜いたほうが早いってハナシ」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「は、ハハ……。ええと、その……。」

 どうも調子が狂ってしまう。ただでさえ狂いが隠せていないのに。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 それに……。
 実際、彼の言葉も、あの場での判断も戦術的に間違っていない。
 あの場で最も有効な手札を持つのがワタシとあの眼鏡の彼だったというだけの話。事実、“ラッキージンクス”が庇っていたのはワタシだけではなかったのだし。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……その、ワタシ、逸ってしまったことにちゃんとしたお詫びも済んでいなかったですから。
 先の非礼についても、重ねてお詫びしたいと思いまして」

 止まっていた準備を再開。それらしい注射器だとか包帯だとかの準備は粗方出来ていた。あとは前髪を整えるだけで済む。

久外境耶 :「ヘエ……」

久外境耶 :
「あれが非礼ってわかってんなら、うまくやってけるだろ。それで手打ちだ」

 ころっと機嫌よく笑って、準備された医療品からそっと消毒液を除ける。

久外境耶 :「つか、すげ〜しおらしくなったな。それ素?」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……………………。
 消毒液は……まぁ、その。今はいいか。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「あのときは緊張状態だった……というのも少し違いますが。
 どうしても『これ』と決まったら、向こう見ずになってしまう悪癖があるんです」

”朧の狩人/残骸” シホ :
……戦略的な判断がゼロだったかと言えば嘘になるが。
 いまはそれを敢えて掘り返す意味も薄かった。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 …………。……。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 “ラッキージンクス”は……確かに、典型的なFHの側面を持つ少年だ。それは理解できる。
 けれども、何というか……。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ───この子ならば、やっぱり…。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「お待たせしました。これから手当を始めます。
 治療中はなるべく動かないようにして下さいね。」

 多分、消毒液なしでも多少は沁みるだろう。なんか見覚えのある薬品が混じっていたし。

”朧の狩人/残骸” シホ :……というわけで、そろそろ治療に入ろうと思うのだが。改めて宣言は必要だろうか?

GM :応急キットの使用ですね?

GM :宣言自体は今のが宣言のようなものでしょう。そのままダイス(2d10)を振ってくれて構いません。

”朧の狩人/残骸” シホ :2d10 手元が狂わないといいが…。 (2D10) > 16[8,8] > 16

”朧の狩人/残骸” シホ :
 調達してきた道具には事前に心得があるものも多かった。
 いつも通りの手順を踏めば、多少相手が身動ぎしたところで治療の手が滞ることはない。話しながらでも問題ないほどこの“身体”に染みついた、反復行動の一つだった。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……その。“ラッキージンクス”。
 先ほどの戦闘の際、アナタにひとつ伺いたいことができました。
 答えたくなければそれで構いませんので……質問してもいいですか?」

久外境耶 :
「……ッッッッ〜〜〜〜!」

なかっただろ……マキロン!

久外境耶 :
 一度肩が跳ね上がったが、向こうは慣れた手つきで粛々と処置していく。じき薬液にも慣れて任せきりでいると、思いがけない言葉がかかった。

「おれに? ……言ってみ、逆にそっちのがキョーミあるわ」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「この応急キット、効き目が良い分結構痛むんですよね〜…」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……こうして慣れない、気遣いめいたことを言うワタシの顔も。結局のところは仮初の仮面に過ぎない。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ワタシはワタシに慣れていない。
         
 きっと、これからもなれはしない。
 我々は“成り果てねば安い”生き物なのだ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 そして、こうして語るこの“素顔”もきっと。
 いつの間にか癒着して離れない、出来合いの仮面の一つに過ぎない。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 …………なら、本当の私はどこにいる?

”朧の狩人/残骸” シホ :
 陶器で出来た貯金箱は、その中身にこそ価値がある。
 本当は中身が空だったとしても。

 ソトガワ
 外殻を無理に割ってしまえば、貯金箱には価値がなくなる。中身が空っぽなら、尚更に。
 それが怖くてたまらないから、私はワタシを引き剥がせない。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 『なぜ庇ってくれたのか』───それは分かり切った話だ。盾代わりに身を呈するのがあの場での最適だったという、戦術的な判断に過ぎないだろう。超人にとっての“一時的な死”とは、もしかすると最も安いコストでさえあるのだ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 『どうしてアナタはFHに身を置いているのか』───遠くはないが、不適当だ。其々の理由がすべて欲望に依拠するのなら、ワタシはこうして生きていない。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 そしてなにより……
     私のききたいこと
 それらは 本質的な問い ではない。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「こういった訊き方が適切かは、ワタシにも分からないのですが……」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「先ほど、アナタは戦闘で負傷し…恐らくは“死”を迎えた。
 ですがオーヴァードにとって、肉体的損傷そのものはあまり意味を持たないところもある、というのはご存じの通りです」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「“ナイトホーク”から忠告されたことの受け売りですが、オーヴァードにとって危険なのはむしろ“精神的な死”の方です。
 精神的に折られてしまえば、超人の不死性は効力を発揮しなくなる」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……前置きが長くなりましたが、伺いたいことというのは……。
 あなたは“戻ってくる”ときに、何を思い戻ってくるのだろう……ということなんです」

”朧の狩人/残骸” シホ :
───何処か希死念慮めいたことさえ口にする、しかしそうではない彼に。

 “つまらない面を晒す”ことを厭わせた彼の感情は何なのか。

 あるいは、何が彼を戦わせるのか。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……そしてあるいは、なぜ生きるのか?

久外境耶 :「ぶはっ……」

久外境耶 :「ま……まじめくさったツラで何聞くかと思えばよ」くつくつ

久外境耶 :「なにか意味のある答えを求めてたんなら人選ミスだぜ。それこそ"ナイトホーク"にでも聞きな」

久外境耶 :
「死んでたまるか、おれは負けねえ。

 ──なんせ、おれのはそんだけだからな」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……ええと、それだけ?」

 本当に? 思わず口に出た確認。

久外境耶 :「おう」

久外境耶 :
「セーシンテキな死は、おたくらの理屈だろ。おれには関係ないね。最後まで立って、おれの勝ちだって叫ぶほうが重要だ」

久外境耶 :
「勝負ってのは、生き残ったやつの勝ちだからな」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ──、────。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「ふ、ふ………………」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「フフフ……!
 ふ、ははっ……! それもそうか……アハハっ!」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 驚愕、納得、そして諸々を通り越し。
 なんだか、自分でもよくわからない笑いが込み上げてきた。
 その拍子に、仕上げに巻いていた包帯が少しキュッと強く締まる。

久外境耶 :「お、ウケとる。い〜のかよ、おまえ一応あっち側だろ」

久外境耶 :「おれは歓迎だぜ。しみったれた反省ツラよか大口開けて笑ったほうがマシ──っっっっでえ!」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「フフフ───ああっ、ごめんなさい……!」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……失礼しました。アナタのFH流の考え方に完全に同調することはできませんけど…。
 真面目くさってアナタに質問するワタシの顔を想像すると、確かになんだか自分で自分がバカバカしく思えてきちゃって」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「なんだかすみません。ワタシの個人的な話に付き合わせてしまって。それと……ありがとうございます。
 ───傷の具合はいかがですか?」

久外境耶 :
「お堅えやつ! ダベるたび礼言ってちゃキリねーだろ」

久外境耶 :
「つか、逆だろタブン。

 ……ほら分かるだろ。あれだ、……ありがとよ。おかげでマシなったわ」

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 3 → 19

”朧の狩人/残骸” シホ :
「ならよかったです。治療を施した甲斐があります。
 でも、あくまでこれは応急処置の範疇ですから、傷が塞がるまでは無理をせず───」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「───と言いたいところですが。
 背中、きっとまたお借りします。そのときはアナタのこと、頼りにしてもいいですか?」

久外境耶 :「バッカ、照れんだろが! やめろそれ!」げらげら

久外境耶 :「おれは勝手にやるだけだ。おまえはうまく乗っかるなり使うなり、好きにすりゃいい」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「では、ワタシはそのお言葉通りに。
 『負けない』アナタのことを勝手に信じましょう」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……聞きたいことは聞けた。
 その答えはワタシにとって役立つものでも、答えを与えてくれるようなものでもなかったが。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 きっと今はそれでいいし、それがいいのだ。
 それがワタシの確かめたいことだったから。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 治療に使った諸々を片付けて、立ち去り側。
 改めての感謝を込めて言葉を贈る。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「───その負けないアナタを信じる為に、アナタにはもう少し治療を受けてもらう必要があるかも。
 応急処置用のキットは他にも在庫があったはずですから」

 多分マキロンも含めた一式が。

久外境耶 :「…… ……」

久外境耶 :「か──」

久外境耶 :
「かかってこいやア!」

 おれは……負けねえ!!!!!!!!!!

SYSTEM :

”朧の狩人/残骸” シホ :GM、ここでひとつロイスの取得を宣言したい。

GM :承りました。

”朧の狩人/残骸” シホ :対象は“ラッキージンクス” 久外境耶。
感情の内容は……
◯憧憬/嫉妬
ということにしよう。

GM :ふむ。憧憬と来ましたか…

GM :よいでしょう! キャラシートの方への記入を忘れずに。

system :[ ”朧の狩人/残骸” シホ ] ロイス : 3 → 4

GM :なおその境耶くんは何かロイスの取得等ございますか?

久外境耶 :ン〜 いや、おれはヘーキ

GM :了解しました。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
[ - ラウンド/2 - ]

SYSTEM :
【経過ラウンド】
 1/9
 
【島の変化】
 30〜35/次ラウンド中、『探索』時の判定を行う際のC値を-1する

【プライズ】
 □□□□□ □□□□□ □□□□□ □□□□□

3:“ミッドナイト・アイ”を発見、合流
5:「明夜白銀」の居場所を発見
8:?????
11:?????
14:?????
17:?????
20:?????

【友好ユニット】
 4/?
 まだ民間人が「3名」取り残されている…。

【敵対ユニット】
 4/4 COMPLETE!

SYSTEM :

[セットアッププロセス]


SYSTEM :
 セットアッププロセスを開始します。
 選択可能な行動を確認した後、各自の宣言をお願いします。

SYSTEM :
[セットアッププロセス・情報判定]

・島の調査(知覚 or RC or 有効と認められる判定:10)
 既に解放されているエリアの周囲1マスからどこか1つを選択
 そのマスを開示する
(候補:[2-1]、[2-2]、[3-3]、[4-2]、[5-1])

・情報:『渇望喰い』/〈情報:UGN or 裏社会〉:10
・情報:『蝕みの君』/〈情報:UGN or 裏社会〉:10
・情報:『明夜白銀』/〈情報:FH or 軍事〉:14

GM :
 改めておさらいを。
「情報判定」の選択をひとつ行うごとに、ホデリもしくはタイガーアイのどちらかは『外部との通信・連絡』を試みます。

GM :
 そのため彼らのどちらかは、情報判定を使用した時点でこのR中『行動権がない≒エフェクトを使用できず、判定には参加できない』状態になります。

GM :
 なおシーンに入る前、判定を行う前、セットアップの行動ではなく「ラウンド2が始まる前」と仮定した、応急キット等の所持品の使用、癒しのメジャー水アクション等による行動は1PCにつき1度まで認可されます。

荻野目 旭 :はい! はいはい! 《癒しの水》を境耶くんに使用します

GM :承りました…

GM :ではお祈りのちダイスの準備をどうぞ

荻野目 旭 :4d10+2 (4D10+2) > 22[9,6,1,6]+2 > 24

荻野目 旭 :そこそこ!

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 76 → 78

久外境耶 :やるじゃん!さんきゅ

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 19 → 43

GM :しかしHP43で赤文字の方なんて初めて見ましたね

GM :他の方が応急…や 何か『セットアップ前、ラウンド移行前にシーンを挟むつもりはないがしておきたいことがあった』なら、前述の前提を踏まえた上でどうぞ。

GM :ないならば………改めてセットアップの宣言に移りましょうか。

木口龍 :つーわけで[2-1]のパネル開けに移りたい。

GM :かしこまりました。では判定はどれで行いますか?

木口龍 :知覚で行う。

GM :知覚、RCならば確認の必要はないでしょう。そのまま振ってしまって構いませんよ。

木口龍 :うむ

木口龍 :5dx 1/10を5回転で当てるとラッシュ突入 (5DX10) > 10[5,5,6,7,10]+9[9] > 19

木口龍 :ほんとに当てるやつがあるか

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :1d18 (1D18) > 13

SYSTEM :
【Check!】

・「2−1」の判定が開示されます。

進行/〈知識:レネゲイド〉:9
         〈交渉〉:10

支援/〈知覚〉〈情報〉:6

”朧の狩人/残骸” シホ :では、続けてワタシも調査に入りたい。
対象は[3-3] だ

GM :かしこまりました。では、判定を行う技能を宣言のち振って下さい。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

”朧の狩人/残骸” シホ :技能は〈知覚〉を使用し、EE〈真昼の星〉を併用する。の、だが……

GM :はい。

”朧の狩人/残骸” シホ :念には念を入れておきたい。
このタイミングで〈オリジン:ヒューマン〉を使用してもいいだろうか?

GM :なるほど。確実な達成値は加算されますが、コストはその分かかりますよ。それでよろしいのなら…

GM :なお真昼の星の使用は判定を[10]→[9]として進めます。前ラウンドと同じですね。

”朧の狩人/残骸” シホ :ありがとう。それでは、そのようにさせてもらおう。

system :[ ”朧の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 72 → 74

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

”朧の狩人/残骸” シホ :8dx10+2 知覚判定 (8DX10+2) > 10[4,6,6,7,9,9,9,10]+7[7]+2 > 19

GM : 

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :1d17  (1D17) > 7

SYSTEM :
【Check!】

・「3−3」の判定が開示されます。

進行/〈知覚〉〈芸術〉〈知識〉〈情報〉:7

支援/〈肉体〉:6

三廻部 颯 :[5-1]を開けに行きます!

GM :かしこまりました。判定の種類の宣言と………前ラウンド同様に宣言しておくようなものはありますか?

三廻部 颯 :判定は[知覚]で……また「EE:壁抜け」使えたらなって

GM :了解しました。説明は前と同じく、セットアップ時点では壁抜けは基本有効判定です。

GM :というわけでこれも[10]→[9]ですね。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

三廻部 颯 :まちがえたー

三廻部 颯 :4dx+1 <感覚:知覚> (4DX10+1) > 10[3,5,7,10]+4[4]+1 > 15

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

GM :中々。開示がこれで3ヶ所ですね。

SYSTEM :1d16 (1D16) > 1

SYSTEM :
【Check!】

・「5−1」の判定が開示されます。

進行/〈肉体〉:8
   〈知覚〉:10
   〈知識:レネゲイド、オカルト(その他適宜)〉:11

支援/〈RC〉〈情報〉:6

荻野目 旭 :

荻野目 旭 :“ブラザーフッド”、協力お願いしていいですか? 『蝕みの君』について調査したいです

タイガーアイ :(了承の電子音声) 

タイガーアイ :
 再度の長距離通信要請を確認...

GM :調査内容を確認します。えー…

GM :
・情報:『蝕みの君』/〈情報:UGN or 裏社会〉:10

 こちらですね。
 判定前の宣言はございますか?

荻野目 旭 :使えるもの……うん、特にないですね。営業スマイル(超越的竹馬の友)も意味ないしぃ

荻野目 旭 :では!

荻野目 旭 :情報:UGNで振ります!

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

荻野目 旭 :6dx+1 (6DX10+1) > 9[2,3,4,6,8,9]+1 > 10

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :
【Check!】
 トリガーシーンの発生はありませんでした。

GM :
 獲得した情報は希望するならセットアップ終了後にシーンを展開します。
 また、セットアップ終了時に取得情報を開示しますので、その時改めて判断しても構いません。

荻野目 旭 :承知です! 情報見て判断させてくださ〜い

久外境耶 :2-2を調べる。前回と同じく《異形の歩み》と《熱感知知覚》を使うぜー

GM :かしこまりました。此処についても前ラウンドと同じ裁定を行うことにします。

GM :というわけで目標値が[8]になりますが…言い方からして知覚ですね? では、そのまま。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

久外境耶 :あ〜っと悪い!言い忘れてたけどRCで頼むわ

GM :あ! 了解です、失礼しました。

GM :ではそのままRCでどうぞ!

久外境耶 :2dx+1 (2DX10+1) > 4[3,4]+1 > 5

久外境耶 :……

久外境耶 :1D100 (1D100) > 79

『ホデリ』 :早業であるな…

久外境耶 :こっちはデケエんだよなあ!毎度!

『ホデリ』 :気を落とすな…シマの形状はわたしも存じぬ

SYSTEM :
【Check!】
 判定に失敗しました。

SYSTEM :
[セットアッププロセス]

 セットアッププロセスを終了します。
 また、開示が確定した情報について確認します。

SYSTEM :
【Check!】

 情報:『蝕みの君』 について開示を行います。

SYSTEM : 
    レーレ・シュヴェア
【人物:“蝕みの君”】
 ブリード:トライブリード
 シンドローム:ソラリス/ハヌマーン/キュマイラ
 ワークス/カヴァー:幻想存在A/幻想存在A
 侵蝕率:142% 性別:? 年齢:?

 所持Dロイス
『変異種:キュマイラ』『???』

 所持エフェクト
『レネゲイドキラー』『混沌の宿命(マシラのごとく)』『治らずの病』『竜鱗』
『鷹の翼』『風の渡し手』『狂乱の一声』『抗い難き言葉』『絶対の恐怖』『超人的弱点』…等

SYSTEM :
 3年前のストックホルム支部に発生プロセスが記録されているレネゲイドビーイング。
 オリジンはレジェンドと目される。

 当時の荻野目旭らとイリーガル“ロクスレイ”を加えた部隊らが偶発的に遭遇し、旭を残して部隊は全滅。
 このRB自体も何らかの襲撃に遭って消滅。
 しかしその消滅後、ある時期から、全く同じ特性の個体が『魔獣の巣』を追跡するように確認され始めた。

 レネゲイドの因子を触媒とし強烈な毒性を発生させる特異なソラリス由来の鱗粉を纏っており、彼への接近は心身ともに致命的な被害を被るとされることから、都市部への出現だけは今まで何としても阻止されて来た。その鱗や甲殻で覆われた躯体は異常な耐久性を誇り、装甲に対策を取らない並大抵の衝撃では傷ひとつつかないことが確認されている。
 しかしその反面、鱗は火薬などを始めとする燃焼反応を起こす物質に弱いほか、別のソラリス由来の効力で再生反応を止められると一気に柔軟性を失うようだ。

 なお、このタイプの竜型RBの発生は10年前の『厄災』の折に多数確認されており、
 種類・個性は多々あれど、いわば『厄災』が生み出す“指先”に相当すると考えられる。

SYSTEM :
 この情報を獲得してから、“蝕みの君”に『ソラリスのエフェクトによって強化を受けた』射撃攻撃を受けることで、『超人的弱点』のダメージが追加されるようになる。
 また、“蝕みの君”が放つ『治らずの病』の効果は、同じエリア内にソラリスシンドロームの保有者がいると無効化される。

SYSTEM :
 治らずの病を含んだコンボが発動した場合、該当エリアに『非オーヴァード』が居た場合は死亡する。

GM :
 情報内容については以上となります。

荻野目 旭 :……。さすがにシーン展開を希望します。ノエルさん、同行お願いできますか?

“イリュシデイター” :分かりました。…こればかりは、知らぬ存ぜぬの顔も出来ませんか。

SYSTEM :
【Check!】
 シーン展開希望を確認しました。
 セットアッププロセス時点でラウンド進行を一時中断し、シーンを展開します。


情報シーン2「『蝕みの君』」

SYSTEM :
【情報シーン2:『蝕みの君』】

 登場PC:旭、シホ
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
※このシーンは「トリガー」指定がされていません。
 よって、登場侵蝕は『任意』となります。

SYSTEM :

.  . レーレ・シュヴェア
 ───『蝕みの君』。

 あるものにとっては馴染みの深く、
 あるものにとっては此処で出会ったばかりの“ばけもの”の名前。

 先刻の傷を以てして、ついに正真正銘、相互不理解の生き物になり果てたものの名をこのように記す。

SYSTEM :
 その所在は、未だ知れず。
 いずこかに飛び去った竜の躯体はまず致命傷。
 しかし同時に彼/彼女の撒く鱗粉は、オーヴァード・非オーヴァードを問わず、その心身に甚大な被害を齎す、もはや毒と呼んで差し支えない代物だった。

 捜索のち思わぬ奇貨は拾えども、少なくとも最優先の討伐目標である彼/彼女の尾も影も掴めぬ状況である。
 万が一瑕で弱るならいいが、そうでなかった場合を考えると、再度の調査に赴く必要があるのは当然とも言えた。

SYSTEM :
 …その、調査に赴く少し前。

 あなた/旭は、気が難しく、言葉選びが下手寄りの先輩の言葉を忘れてはいなかったのだろうし。
 敗残の追憶が、再び向こう見ずに拙速を択ばせることはなかったのだろう。

 “ブラザーフッド”による長距離通信。ホデリのものとは違う、彼をアンテナ代わりにした“外部”への接触。
 これを再度試みがてら、少なくともUGNに繋げられるならばと、“蝕みの君”について当たろうとしたわけだ。

タイガーアイ :
「長距離通信準備完了...
 警告:現環境における通信状況[不安定] 接続先の予測不能」

SYSTEM :
 一室に安置された(誰かが弄るわけでもなかったのでそのままにされていた)”ブラザーフッド”の電子的音声が反響する。
 一室には、あなたと、調査に赴く前の面子───特に、ついこの間追われた縁の持ち主同士がいた。

荻野目 旭 :「ありがとうございます、“ブラザーフッド”。……う〜ん、これで『いつ』の『誰』に繋がるかは博打なのが怖いですね」

”朧の狩人/残骸” シホ :「せめて、通信先が顔見知りに辿り着けばいいのですが……」

 といっても、ワタシの顔見知りなど高が知れているが。特に“残骸”としてのワタシは希薄な繋がりしか持っていない。
 その辺りは『ホンモノ』の人脈の広さに頼らざるを得ないところだ。

タイガーアイ :
「甚だ懐疑 しかし疑問の解決を認識
 “なにわ探偵(仮)”の要望による通信時、ダウンロードする電子データの不自然な時期変動あり」

SYSTEM :
 いつの誰に繋がるのか。

 前と同じように“1年後のアベル”に出会うのかどうか───そもそも”日本”に通るのか、そこら辺も含めた試行錯誤が理由の一つだ。

“イリュシデイター” :
「繋がる以上は…と、考えるより他にありませんね。
 一見しただけとはいえあの傷ですから、すぐには動かないでしょうが───」

SYSTEM :
 すぐには動くまいが、それはずっとではない。
 致命傷のまま、いつ、自分の感情に従って、予測不能なまま動き出すのかも定かではない。

 そうなった時は誰にとっても破滅的な被害が待っているだろう。
 ───帰るところ、戻る場所を想定しない一方通行のフライトは特攻と呼び、理性ある人間の盤上をしばしばかき乱して来たからだ。

荻野目 旭 :「楽観できる状況でもないですしねぇ。民間人も取り残し状態ですし……」

荻野目 旭 :「手をこまねいていて取り返しつかなくなるより、適当にかけてヤクザかレディースにつながるほうが百倍マシってもんです」

荻野目 旭 :「それに、僕の前回は気心の知れたエージェントが出てくれましたしね。案外ロイスで選別してくれてるんだったりして」

”朧の狩人/残骸” シホ :
だとしたら、寧ろワタシにとっては厄介なことになるかもな……。心の中で呟いてみる。
下手すると“プランナー”に直で接続しかねない。

“イリュシデイター” :「気心の知れた、ですか。本当にそうなら…」

“イリュシデイター” :
「…一先ず試してみましょうか。
 先のコトは伝聞で伺いましたが、実際に“どういう”繋がり方をするのかには興味もあります」

荻野目 旭 :
「承知です。同じ時間のアベルさんにつながってくれるなら楽なんだけどなぁ」
 唇を尖らせる。ちょっとわざとらしめに、いかにもすねた少年っぽく。

SYSTEM :
 アベル、の名を口にしたあなたに、一度だけ”イリュシデイター”の視線が行く。
 沈黙───それから、何事か言葉を発しようとした仕草は、しかし自分で促した手前もあるのか閉じられ、続きを紡ぐことはなかった。

 そして、それを知ってか知らずか、言葉を遮るような電子音声があたりに木霊する。

タイガーアイ :
「長距離通信開始...」

SYSTEM :
 先に使用したものと同じ端末を介して、二度目の通信が開始される。
 いつの、どこの、誰に繋がるのか予測不能───これについて、冗談めいて繋がりから作為的に…なんて仄めかした彼の言葉が、当るか外れるかは、今語ることではないだろう。

SYSTEM :
 ───通信直後のノイズと、僅かではない視界の乱れ。
 あなた自身の体調ではなく、空間そのものの揺らぎ。

SYSTEM :
 特に二度目ともなれば、その通信直前のノイズについても、偶然のたぐいではないことは分かるだろう。

 いわく“リュウグウシマ”の内部は元々閉じているかのように電波や通信を受け付けなかったが、此処でだけは何故かそれが容認される。
 期待通り/希望通りの場所/時間ではない、どこか“ズレ”た箇所に繋がるという欠点を除けば、これが今のところ、外部から必要なパズルのピースを埋める手段でもあった。

SYSTEM :
 画面に広がるモザイクのシグナル。

 数ヶ月前にデジタルの時刻が捻じ曲がって、そうかと思えば月日はそのまま1年先に動く。
 そういう目まぐるしい不規則な動きと、部屋そのものの妙な“乱れ”が起きて数十秒。

SYSTEM :
 おそらくはN市に繋いだはずのあなたは、少なくとも気難しい顔の先輩か、そうでなければあそこの引金が軽いこと以外は仕事をする気概のあるマフィア上がりの支部長か、安牌でもあった“リヴァイアサン”との繋がりを期待したに違いない。

 結論から言えば、つながった相手は全く意思の疎通が不可能というわけでも、気難しい人間というわけでもなかった。

SYSTEM :
 ただ、あなたが顔を合わせたことは一度か二度くらいで………。

《───》 :《───》

《───》 :
   ・・・・・・・・・・・・
《───こちらストックホルム支部》

《───》 :
《UGNの回線のようだが………。
 誰だ? 所属と名前を明かして貰おう》

荻野目 旭 :(──ストックホルム支部!?)

荻野目 旭 :3年前以来の地名! とっさにノエルさんに振りかけるけど、彼女のあのあとのことを思い出すとやぶ蛇かもしれない。慎重に口を開く。

荻野目 旭 :「……日本支部所属、チルドレンの“ナイトホーク”荻野目・旭です。すみません、突然のご連絡で」

《───》 :
《………ああ。“ナイトホーク”。
 丁度1年前になる。あれから息災ないと思っていたが、どうも火急の用めいて聞こえるな》

SYSTEM :
 聞こえて来た声は、それなりに年季の入った成人男性のもの。

 当時のストックホルム支部の支部長であり、あなたが出向した時の頃の人間だ。
 そして、そいつが”1年ぶり”と懐旧を口にしたということは。

荻野目 旭 :
  ・・・
(……2年前だ)

SYSTEM :
 はじめつながったのは、あなたが行方不明になった“らしい”1年後のアベル・デュマ・フィス。

 そして通信越しに懐旧を口にした北欧ストックホルムの“当時”支部長───現在は別の人物が支部長を務めているという───は、今から2年前。

 どうも、あなたの口にした『その場にいる人間でつながる先がある程度変わる』というのは、法螺でもなさそうだ。

《───》 :
《改めて、》

ストックホルム支部長(当時) :
《こちらでは随分な目に遭わせてしまったと記憶しているが………。
 1年越しの忘れ物にしては、UGNの秘匿回線を繋げてくるなど。“悪戯”ではないな、“ナイトホーク”?》

SYSTEM :
 その声はノエルにとっても聞き覚えのある声だったのだろうが、あなた/旭が先んじて口を開いた意味が分からないわけでもないのか、一度あなたに視線を向けると、申し訳なさそうに軽く頭を下げた。

荻野目 旭 :ぱち、とウインク。おまかせください。

荻野目 旭 :「その節はご迷惑をおかけしました、お久しぶりです──支部長さん」

ストックホルム支部長(当時) :
《ああ。息災で良かったよ。
 声にも余裕はある。どんなつもりかはさておき、一刻を争うということではないようだな》

荻野目 旭 :「それを言われると申し訳なく……。とりあえず、霧谷さんたちのおかげでなんとかなってます」

荻野目 旭 :「連絡をさせてもらった用件っていうのも、急ぎといえば急ぎ、正直あなたにつながったのは大助かり……って感じでして」

ストックホルム支部長(当時) :
《“リヴァイアサン”か》

SYSTEM :
 言葉尻にはそれなりの───噂くらいは聞いているレベルの───信用が見て取れる。
 顔も対面もしたわけではない、そんな程度の塩梅だが、悪い印象ではないのは確実だ。

ストックホルム支部長(当時) :
《しかし………気になる言葉選びをするな。
 此方に用件があって繋げたわけではないのか?》

荻野目 旭 :「………ん〜………んんん」

荻野目 旭 :「……それがですね。あの、驚かないで聞いてくださいね?」

荻野目 旭 :「カクカクシカジカ、トラトラトカゲトカゲ、ワンワンのバタバタという具合でして……」

荻野目 旭 :という具合でしてざっくりとカクカクシカジカします。信用できる人だって僕は記憶していると認識して大丈夫ですよね?

GM :もちろん問題ありません。親しい関係性ではないにせよ、短い滞在の中で悪いイメージのあった支部長ではないでしょう。

”朧の狩人/残骸” シホ :
……まず驚くなという方が中々難しかろう事の顛末を説明する“ナイトホーク”の背と、
 どこか所在なさげにも見える“イリュシデイター”の姿を交互に見る。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 “大助かり”の通信先を引き当ててくれた“偶然”か。
 ……まったく、タチの悪い冗談だ。
 

SYSTEM :
 ところで、ざっくりと説明した内容は極めて特異なものである。
 
 元より常識を彼方に放り投げたような案件も少なくないのがR案件であり、エージェント歴の長い人間であっても予測不可能な事案にはしばしば突き当たる。

 ひどい話は現在の日本だと枚挙に暇がなく、報告書をざっと読むだけで人によっては頭痛で寝込めるラインナップだ。
 たぶん退屈はしないだろう。当人にとってはそれどころじゃないとしても。

SYSTEM :
 ───そして『リュウグウジマ』にまつわる話もその案件だった。

 驚くな、という方が無理の分類。
 タチの悪い冗談だと、お互いに零しても無理はない。日付をまず最初に確認したり、通信を切られたりしないのが、正味第一関門でさえあった。

ストックホルム支部長(当時) :
《………話は分かった。
 ただ、俄かには信じがたいな。
 コチラ
 北欧でも信じられない出来事は多々あった。ニホンでも、ジャームにせよRBにせよ、こうした真っ当な論理で語れない出来事は多い》

ストックホルム支部長(当時) :
《………しかし、何か………。
 私がこれを日付違いのエイプリルフールや、とくにタチの悪い日の“フィン爺さん”の仕込みだと思わなくてもいい証拠は………》

SYSTEM :
 冗談でそれを言う少年とは思っていない…そんな口振りだが、それにしたって半信半疑だ。
       ジンガイマキョウ
 逆に言えば、北欧勤務だからこそ半信半疑と言えるのかもしれない。
イツワリノキュウナンシンゴウ
 妖精の悪戯なども北欧では零ではない、と…冗談めかして零していた日もあった。

荻野目 旭 :
「ですよねぇ……」
 いくらストックホルム支部でも、タイムスリップしてますとか昨日は一年後の同僚と会いましたとかはレアケースど真ん中のはずだ。……さすがにそうだよね?

荻野目 旭 :この反応で済ませてくれること自体が奇跡なんだけど…! ありがたみをかみしめる僕。

SYSTEM :

SYSTEM :
 通信の向こう側からううむ、という声が響く。少なくとも当惑したあなたの声は、当時と全く変わらないわけでもないが、それを理由にし切っていいのかも微妙なところだ。

 少し考えたなら、あなた/旭のことだ、違う根拠や理由を提示したのかもしれないが───。

“イリュシデイター” :
「………。お久しぶりです。
 支部長」

ストックホルム支部長(当時) :
《その声は………》

“イリュシデイター” :
「“イリュシデイター”です」

“イリュシデイター” :
「………。
 ・・・・・・・・・・・・・・・
 私がいまあなたに口を利いたことは、
 理由になりませんか?」

ストックホルム支部長(当時) :
《………“イリュシデイター”………。
 妖精の悪戯にしては、聞き慣れた声だ。完全に本調子でもないようだが、“今”のきみは………、》

ストックホルム支部長(当時) :
        ワレワレ
《………分かった。北欧のいつもの領分だ。
 そういうこともある、とする。“ナイトホーク”、疑ってすまなかった》

SYSTEM :
 舌の根乾かないうちで申し訳ありません、旭くん。
 礼を口にした後、あなた/旭に冗談めかしたような言葉選びをして、また二人に会話の主導権を手渡した。

荻野目 旭 :「……いえ。ごめんなさいノエルさん、わざわざ」

荻野目 旭 :「僕もいろいろあったくせにぴんぴんしてるのは、まあ……そういうことです。そういうことなんですけど……」

荻野目 旭 :
「……そうもいかなくって。
 それが、さっき話した──『蝕みの君』の件です」

ストックホルム支部長(当時) :
.   レーレ・シュヴェア
《………『蝕みの君』か?
 あのRBは倒されて久しかったが………丁度こちらでも、眉唾物として処理していた話があった。
 ゴースト
 亡霊の類など、いくらでもあったからな》

荻野目 旭 :「……はい。あの時死んだはずのやつの話──」

荻野目 旭 :「……亡霊、ですか?」

ストックホルム支部長(当時) :
《ああ………。
 元々、死んだやつが再びレネゲイドの力を借りて此処に現れました、なんていうのは珍しすぎるわけでもない話だ。
 メカニズムや、よみがえったものが同じ人物・個体なのかは定かでないが》

”朧の狩人/残骸” シホ :…………。

ストックホルム支部長(当時) :
《………『蝕みの君』にもその情報があった。

 北欧ではない何処ぞの地で。
 ある支部の壊滅間際に現れたという情報1件を皮切りに…》

SYSTEM :
 彼の語る言葉には、いくつかの共通点があった。

 必ず戦闘状況にあるものを聞きつけて現れる。
 いくつか例外はあるが、その全て………北欧の当時事件で展開していた死者/エージェントや、それに近しいレネゲイド構成のものばかりで。

SYSTEM :
 ………一番多く狙われていた”らしい”人物の特徴は、現代のあなた方だから分かる。
 “喚楽の人喰い虎”───嘗て己を殺した人物だ。

 見つかった件数は5件にも満たず、極めて異例な情報として、多少の警戒はされども、討伐ではなく、基本的には『都市部』に向かう可能性があるか否かの警戒のみされてきたという。

荻野目 旭 :「………。…………」

荻野目 旭 :「“喚楽の人喰い虎”を狙う、亡霊のドラゴン……ですか」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 彼の───ストックホルムの支部長だという男の話が真であるとすれば、この島で奴が見せた奇妙な行動傾向にも合致する部分は多い。
 執拗なまでに“ナイトホーク”を狙い続けていたことも、恐らくはその一環だ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 しかし。
 だとすれば、それは───

ストックホルム支部長(当時) :
.  マンティコア
《“喚楽の人喰い虎”………。
 当時北欧に現れ、あの後も数度、何かを探しに、よりによって我々の最大警戒区に平気で侵入し………。
 その後、こちらでは名も影も掴めなくなった推定FHエージェントだな》

ストックホルム支部長(当時) :
《他にも標的としていたのは、キュマイラ、ブラム=ストーカー、モルフェウス、オルクス、ソラリス、バロール………。
 あの当時と同じ組み合わせのシンドロームを持つオーヴァードに、優先的に狙いをつける傾向にあったとは聞く》

ストックホルム支部長(当時) :
《まさか、其方に変わらぬ調子でいるとは。
 ………頭の痛い話だが、だとしたら放置するわけにもいかないな》

荻野目 旭 :「………はい」

荻野目 旭 :「あいつ、僕のことも狙ってきたんです。ノエルさんのことも。僕は、当時に関連したオーヴァードを狙っているんだと思っていたんですが──」

荻野目 旭 :ちらりとシホさんを見る。……やつは彼女のことも狙っていた。

”朧の狩人/残骸” シホ :──────。

ストックホルム支部長(当時) :
《当時に関連していたエージェントか。ジャームだったのなら執着で結論が付くのだがな》

ストックホルム支部長(当時) :
《ただ、傾向を聞いていて、行動原理の仮説はつけられる。
 参考になるかもわからないが、どうする?》

荻野目 旭 :「……あの戦闘中にジャームになったんですもんね」

荻野目 旭 :鳥肌をごまかすみたいに腕を摩る。

“イリュシデイター” :
「気を病まずに。
 そうなること自体、予測のつけようのないことでしょう」 

“イリュシデイター” :「それに………、」

SYSTEM :
 それに、の後に何事か言葉を択んで、“なんでもありません”と区切った彼女は、あなたの腕を摩る仕草を気遣うものにも、彼女は彼女の理由で『その名前』に傷口めいたもののある反応にも見える。

 ………いずれにせよ………。

ストックホルム支部長(当時) :
《ジャームの前も後も、『蝕みの君』のソラリス・シンドロームは極めて危険な特性を持っていた。
 ………あの時、他のエージェントたちだけでなく、きみだけが致命的被害を受けなかったのは、ソラリス・シンドローム系列の…いわばヤツの持つウイルスに対する免疫を持っていたからだ》

ストックホルム支部長(当時) :
《そいつを無遠慮にばら撒かれるだけで、島の非オーヴァードは命に係わる。オーヴァードも。
 ………そしてヤツの行動原理がよほど予想から外れていなければ、そういう無軌道なアクションに出てくる可能性はゼロではないだろう》

荻野目 旭 :「……………」

荻野目 旭 :「…… ……よく覚えてます」

荻野目 旭 :
「……。……ジャーム化した以上──カレなりの理性もなくなった。
 そうだとするなら……楽観できるわけないですよね」

荻野目 旭 :いつもどおりに拭いきれなくて、暗い声で返す。

”朧の狩人/残骸” シホ :結果論とはいえ……そのジャームに至る最終的なトリガーを引いたのが、ジャームの狩人を名乗るワタシとはな……。
運命は皮肉なストーリーがお好みらしい。

SYSTEM :
 沈黙と、どこか暗い声。
 “イリュシデイター”の言葉も相俟って、時の向こうの当時支部長も、あなたの心境と心持を受け取り切らない程度には受け取ったらしい。

ストックホルム支部長(当時) :
《あまり気の利いた言葉はかけてやれないが………》

ストックホルム支部長(当時) :
《手負いのうちが好機とも言える。引き摺っても引き摺り過ぎる前に、手遅れになる前に手を打てる。

 ………ヤツの装甲に最後まで有効打があったのは“彼女”………》

SYSTEM :
 その時。

 ”ブラザーフッド”が緩やかに、決まったパターンで明滅した。
 ………誰が知ろう。
 タイガーアイを名乗る賢者は、興味のある事柄の時、その水晶体の明滅で感情を表す。特に、特定のパターンの連続は、分かり切った答えを待っている時のものだ。

ストックホルム支部長(当時) :
《………、“ロクスレイ”のもの。

 ソラリス・シンドロームによる幇助を受けた弾丸による燃焼反応だった》

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ─────────!

SYSTEM :
 この時ロクスレイの名前に、反応を示したものは、前後を含めて3名いた。

 あなた/旭にとっては、自分を”おねーさん”などと呼ばれて来た、お気楽な………最後まであなたが気に病まないような言葉択びを震えた手毎押し殺して口にしていた女の、恐らくコードネームだ。

荻野目 旭 :「……………”ロクスレイ”──」

荻野目 旭 :「……『おねーさん』の弾丸ですか」

荻野目 旭 :御守りのなかに入れていた金属片を取り出す。

ストックホルム支部長(当時) :
《その名で呼ぶことはあまり好いていなかったが………。
 面倒見の良い女性だった。イリーガルだが、付き合いもあった分、よく見ていた》

ストックホルム支部長(当時) :
《彼女が生きていて、目の前でそういう声を出せば。3割増しの声で必要以上にお節介を、………いや、話が逸れたな》

ストックホルム支部長(当時) :
《元々飛行能力のあるタイプだ。

 ………ついさっき“最大警戒区”がどうと言ったが、そこで眠っている、とある推定RBから零れ落ちたものによく似ている。
 共通して翼を持ち、また奴らの躯体は並大抵の衝撃を通さなかった…と聞く》

ストックホルム支部長(当時) :
《その気になれば間合いの届かない上空から一方的に攻撃できる類の存在だ。突破するなら、先人に倣う方が良いと考える。

 あるいは話にあった、装甲への衝撃ではなく“分解”のような真似が出来るモルフェウスの持ち主でもいれば、トドメを刺すことは難しくないはずだが》

SYSTEM :
 ………おねーさん/ロクスレイの話を、彼は敢えて区切った。あるいは、聊かの感傷に流されかけたのを、少し不自然に。

 それは。
 その名前が出てから、一度シホの方を見て、どこか所在なさげに視線を逸らした“イリュシデイター”の、取り繕うような平常心の顔を、画面を視なくても察しているかのようでもあった。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 …………。
 ……………………。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 …………なんだ。
 本当に、タチの悪い冗談じゃないか。

荻野目 旭 :
「……目に浮かびます。
 本名も教えてくれなかったけれど、やさしい人でした」
 つぶやくように返す。
 できる限り、沈んで聞こえないように。
 浸ってる暇がないことぐらいわかっているつもりだ。

荻野目 旭 :
「……つまり、あの鎧を真っ向から貫くんじゃなく。
 あの時のように僕や、あるいはノエルさんによる支援を受けた弾丸……。
 もしくは内側を直接叩けるオーヴァードによる攻撃ってことですね」

 確認するように反芻しながら、ふたりして意味ありげなリアクションを起こしたのを横目で見る。
 ……。

荻野目 旭 :
 ……。
 触れてもいいものかな。
 支部長の仕草は多分ノエルさんを気遣ったものだけれど、彼が知らないもう一人の様子もなんだかおかしい。

荻野目 旭 :
 さっきもそう。
 彼女の冷静な射手の顔と、少年の肉盾一枚で動揺する少女の顔のふたつは、どうにもアンバランスで矛盾する。
 だったけれど……先ほど明確に立てられた壁が、人付き合いで仕事してきた僕を躊躇わせる。

 つまり、『ここを飛び越えないほうが、互いに楽』──だ。

ストックホルム支部長(当時) :
《ああ。それに、今は手負いと聞いた。ジャームの”手負い”はそうそう簡単に修復しない。
 ………特に、“アレ”から生まれた類のものは》

SYSTEM :
 言葉の中にあった僅かな葛藤を、ストックホルムの当時支部長が悟るには聊か情報が足りない。

 飛び越えない方が互いに楽───。
 そう見切って、”ロクスレイの名前”を聞かずに置いたことについては。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……逡巡があった。
 任務───島からの脱出と安全確保に必要な情報はこれで聞けたのだ。
 ワタシが口を挟まずとも……このまま通信が終わってしまっても、おそらく大きな支障はない。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 それに……きっと、口を開かない方が、ずっと楽だ。
 ワタシはこの胸に巣喰った空洞を埋めるため、これからもアテのない旅を続けることになるのだろう。そうしていられるうちは、きっとワタシはその虚無から目を逸らせる。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 でも───
 もしかしたら、これは二度と来ない機会。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「──────ひとつ、ワタシから伺ってもよろしいでしょうか?」

SYSTEM :
 あなたはその虚に隔てて独りにしたものをなんと呼ぶべきなのか。
 あるいは、聞くべきではなかったのかもしれない。

 理解っていように、いま愚行の権利に手を掛けた。
 その心の動きならば、気づきはすまい。

SYSTEM :
ブラザーフッド
 隣人愛を嘯きながら、欠片もそんなものを持ち合わせない水晶体が。
 
 分かっている質問と回答を待つ時の、億劫で諧謔を込めた明滅をした瞬間を。

ストックホルム支部長(当時) :
《む………? その声は………。
 恐らくは初めましてだな。“イリュシデイター”と“ナイトホーク”が同席を赦した以上は構わないが。

 どうした、まだ気にかかることがあったか》

荻野目 旭 :「……シホさん?」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ほんの少しの怪訝と疑念混じりだろう、当然の疑問符の声を聞く。
 それでも……開いてしまった口は、いやに滑らかに動く。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……失礼しました、ワタシはUGNイリーガルの“残骸”と云うものです。
 気にかかること……任務ではない、私情の話で恐縮ですが。ひとつ、どうしても貴方に伺いたいことがあります」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「──────“ロクスレイ”とは、どのような方だったのですか?
 どうか、その人について……聞かせていただけないでしょうか」

荻野目 旭 :

SYSTEM :
 当然のことながら。

 “残骸”の名が生まれた時期は、もう少し後だ。
 UGNのイリーガルの立場の方が“何かと都合が合う”あなたのことを、ゼノスの人間/いきものたちが理解したのは、あなたの物心/人格が形成されてから少しした頃であり。

 北欧にまで“それ”が届いたことはない。
 ………いや。

SYSTEM :
 そもそも北欧になど。
 ・・・
 アナタは行った覚えはなかった。

 それ故に識る機会がなかったのか、
 分かっていたから遠ざけていたのか。

ストックホルム支部長(当時) :
《………》

ストックホルム支部長(当時) :
《なぜ、とは聞くまいが………。………》

SYSTEM :
 その沈黙を。

 恐らく最も彼として気を遣うべき相手からの肯定と見込んだ当時支部長は、間を置いて、続けざまに口を聞く。

 それは沈黙などではない。
 疑惑が確信に変わった時の、閉口であり、唖然なのだと。息を呑む“程度”の反応に留め硬直しただけなのだと、姿を視ぬ間には気付もしないからだ。

ストックホルム支部長(当時) :
《そもそも、自分のことを碌に話そうとはしなかった。だがそれでも………名前は教えてくれたし、性格は分かる》

ストックホルム支部長(当時) :
《よく笑い、よく怒り、しょうもないことで泣き、年下には見栄を張りたがる。

 だが根っこのところは、いつでも冷淡だった。善くある人間ではなく、善く“在ろうと”する人間だと思ったよ》

ストックホルム支部長(当時) :
《名前は………》

SYSTEM :
 ───。

SYSTEM :
 はじまりは家族。次はたぶん好いた男。
 それから………。

SYSTEM :
 ………それから。

 見栄と虚勢で生きて来て、失ったものを誤魔化して。
.     ..ロ ク ス レ イ
 名前すら、名無しの旅人がふさわしいと覆い隠した。
            ロール
 顔のない、正義の味方の役割希望。

SYSTEM :
 喪ったものに報いるようによく笑い。
 ただ心が赦さぬと決めたものに立ち向かい。

 喪ったものが当然のように備えていた力については。
 そこらの凡人と変わらなかったので。
 あっけなく。

SYSTEM :
 その中で、ずっと虚勢を張っていたものの最期。
 ・・・
 あなたのものだけど。
 ・・・
 アナタのものではない。
 
 ───べつに。珍しすぎることはない、超人の終わり方。
 名前を聞くと予感した時に、違和感とともに、手元に伝わる現実のフラッシュバック。

ストックホルム支部長(当時) :
《………名前は。
 ・・・・
 水崎志穂》

SYSTEM :
 ………あなたのものだけど。
 アナタのものではない。

 だれかにとってのトモダチであり、隣人でもあり、調子のいい“おねーさん”でもあったらしい人間の、名前だ。

荻野目 旭 :「………。…………『シホ』……」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ………………、……………。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 みずさき、しほ。
     わたし
 それが……彼女のなまえ。
 ワタシがほしかった、こたえのかたち。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 …………そっか。
 私がこわがった、このからっぽも。
 私のものでは、なかった。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 どうしたって埋まらない、初めから失って出来ていた、虚を埋めるように。
 言葉の代わりに、どうしようもなく私の心が流れ出す。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ぽつぽつと畳に落ちるその音を、どうにか掻き消すように。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「──────そう、ですか。
 ありがとう……ございます」

 何とか口にできた言葉が、それだけだった。

SYSTEM :
 ・・・・
 やっぱり、と。

 誰かの呟く声がしたのは。
 その場の空気が、比喩抜きで一瞬、何の音も赦さぬほど静まったせいもあった。

SYSTEM :
 それは土壇場だろうが平静でいた人間の、
 先に立たなかった後悔の証だったからだ。

 ………その、“礼を言うには明らかにとぎれとぎれの声”に、時向こうの男も、流石に怪訝と不安のようなものを覚えた沈黙があった。

荻野目 旭 :「………………。………………」

荻野目 旭 :
「……………」

 ・・・・
 やっぱり、か……。

 驚きは2回。いまの問答と、沈黙に続いたつぶやき。

荻野目 旭 :
 少しためらう。ためらってから、正座の姿勢からずりずりシホさんに近づいた。
 すみません、とささやくように声をかけて、彼女の手を取る。
 両手で包んだ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 …………、………………。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 とめどなく溢れるものの止め方を、私は知らなかった。
 きっと、彼女なら知っていたはずだった。
 この手を包むあたたかさを、笑って守ろうとした人だから。

荻野目 旭 :大きく息を吸って切り替える。手は離さないまま。

荻野目 旭 :……強いて、声に笑みを作った。

荻野目 旭 :
「僕らからの確認はこのぐらいです。……支部長から見て2年後か、3年後かな?
 無事に帰ってきた頃に、挨拶に行きますね。ありがとうございました」

ストックホルム支部長(当時) :
《また具体的な約束だな》

ストックホルム支部長(当時) :
《その頃まで私が支部長をやっていれば………いや、いずれにしてもストックホルムにはいるさ。
 いろいろ、この年になると積もる約束もある》

ストックホルム支部長(当時) :
《………用心するように。
 手負いの獣も、亡霊も。得てして、執着は強いぞ》

SYSTEM :
 どういう原理は分からないが、復活し………。
 どういう理由にせよ、当時の関係者と思しきものを狙っていた。

 あるいは、あなたの畏れの証でもあり。
 だれかにとっての死神でもある生物の。

 本当の、翔んでいた理由に触れながら。何もなければ、そのまま通信が切られるだろう。

荻野目 旭 :「そのへんで帰りたいなって目標です! 連絡来なかったら祈っててくださいねっ」

荻野目 旭 :苦笑いして、僕も通信を切ります。

SYSTEM :
 現地の生き物の機嫌を損ねない程度に祈っておくよ、という返しと共に。
      ノイズ
 生じていた隔たりが消えていく。

SYSTEM :
 あとに残るものは。
 ・・・
 当事者だけだ。

“イリュシデイター” :「………、」

SYSTEM :
 なにごとか口を聞こうとした女が、欠片のつぎはぎを続けているだろう少女の面持ちを見て、また閉ざす。

 その滑稽な“ラグ”をいくつか挟んだあと。少し自嘲めいて呟いた。

“イリュシデイター” :
「………知らぬ存ぜぬでは、もう通せませんか」

“イリュシデイター” :
 ・・
「シホ。………。
    ・・・・・・・
 私の、世話焼きの友達の名前です」

“イリュシデイター” :
「………同じ名前、ちがう姿。その偶然で、とても片付けられると思えなかったこと。
 ………それでも“悪い子”には見えなかったこと。だから黙って、背ける気でいましたが」

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :シホさんの手をとっていた両手から片手だけ離して、ふところのお守りを取り出す。

荻野目 旭 :封を開けて、中から金属片を取り出した。……彼女のものだ。

荻野目 旭 :「彼女のライフルのかけらです」

荻野目 旭 :「それと、『蝕みの君』の反応から……関係はあるんじゃないかと思ってました」

荻野目 旭 :「ノエルさんの反応も。……そういうことだったんですね」

“イリュシデイター” :こくりと頷いて、“ライフルのかけら”を見る。

”朧の狩人/残骸” シホ :
             ギモ ン
 ……………口に出したワタシの欲望の答えは、
 たった一欠片でさえ、私の心を張り裂いた。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……怖かった。
 お腹の奥が、まだどうしようもなく震えている。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……………その、」

 それでも、私が口を開いたのは。
 なけなしの勇気を出せたのは。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「…………ありがとう、旭くん。
 手、握ってくれて……」

 どこかの“悪い子”が、私の苦しみを諧謔と笑い飛ばしてくれたからかもしれなかった。

荻野目 旭 :「お気になさらず」

荻野目 旭 :「こういうときの女性はちゃんと気にかけろって、父に言われてるんです。紳士なので」

荻野目 旭 :いたずらっぽく言ってから、ちょっと顔を引き締める。

荻野目 旭 :
「……無理には訊くつもり、ないですよ」
 ……僕もノエルさんも、『そうじゃないかな』の答えは、多分持ってる。

荻野目 旭 :「だけど、お地蔵さんぐらいにはなれるつもりです」

荻野目 旭 :「彼は傷のなめ合いって言うかもしれませんけど。こういうの大事ですからね」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「フフ…………紳士、か。
 そうしてアナタがここにいるなら、きっといいお父さんなんですね……」

 お父さんとは、そういうものなのだろうか。
 その温もりの形は、私の手からはすり抜けてしまったものだけど。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「…………。
 あなたのその言葉を、できればそのまま受け取りたいですが。
 きっと、避けてはいけないことだと……思います。だから……聞いてくれますか。傷の舐め合いだとしても…」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 少し、乱れたままの呼吸を整える。
 心を整えるように。

SYSTEM :
 その様子に、もう片方。大人になり立ての方は、何も言わなかった。
 それは問われた先が少年であるからなのか。“無理に聞く気はない”を肯定するためなのか。

 ………あるいは、その穏やかな言葉語りに、ますます”偶然”で片付けたくないものでも覚えたのか。

荻野目 旭 :こくりと頷く。

荻野目 旭 :「……聞かせてください」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……私は、UGNイリーガルの“残骸”。
 それは嘘じゃありません。本当に私はその名前で活動しています」
 

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……嘘では、ないんです。
 私は、過去が置いていった影法師……
 “取り残された、骸”ですから」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「──────私のもう一つの名前。
 “ロクスレイ”……『水崎志穂』を蝕んだ、治らない病の名前」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「それがゼノスに属するレネゲイドビーイング。
    オリジン
 自らの在処も不確かなまま、『未来のワタシ』を在るべき場所へと送り還す亡霊の狩人。
     ホロウ ハンタ-
 それが『朧の狩人』───ワタシを定義する名前です」

荻野目 旭 :「………!」

荻野目 旭 :
 レネゲイドビーイング……しかもゼノスの。
 思わず顔が引き締まる。
 僕らにとっては……敵か味方かも曖昧な、中間点の隣人。

荻野目 旭 :
 だけど……。  ゼノス
 僕は意識して、それを脳から追いやった。いま重要なのは、そこじゃなくって──

荻野目 旭 :
「あなたは……『彼女』で、自分を定義したんですね」
 その言い方が正しければ、たぶんその意識すら曖昧なままに。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 こくりと、頷く。
 きっと、それがワタシにとって唯一の縁だったから。

SYSTEM :
 敵か味方か、それすら定かでない………。
 人にきわめて近く、限りなく遠い生き物。

 レネゲイドビーイング。
 その共通項はただ一つ。

SYSTEM :
 人間を理解したい、という感情を。

 基本的に彼らは外側に向ける。
 ………向けるが、往々にして例外があるもので。

 彼女は、自ら世界に産声を上げた時、己であると定義したもの/他人に、その矛先を向けていたわけだ。それだって”人間”であるのだから。

 シホは、志穂という自分/他人の欠如を以て、
    オリジン:ヒューマン
 自らを人間由来のレネゲイドに定義した。

“イリュシデイター” :
  ホロウハンター
「『朧の狩人』………」

“イリュシデイター” :
「………納得は行きました。たぶん、理解も。
 幾分か、時間は要りますが」

SYSTEM :
 疑惑と呼ぶのも定かでないものが確信に変わった時、それでも彼女は追及や糾弾をしなかった。いや、出来るわけがなかった。

 なんのことはない。

 彼女がたまさか“残骸”を見つけられなかった理由。
 誰より真っ先にそいつの安否を気にした理由。
“蝕みの君”相手に、普段の冷静さをかなぐり捨てて一撃加えた理由。
 ………少なくとも『2年前』には、口の利ける状態などではなかった理由。

 それは、あなたに向けたものだが。
 アナタに向けたものであったかは怪しかった。

SYSTEM :
 沈黙は、          ..つづき
 あなた/シホの口から出される意志表明を妨げないためのものだ。
 一度や二度の深い深呼吸と、ずいぶん減った口数を伴って。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 “朧の狩人”───そう名乗り、いつの間にか癒着していたその仮面を剥がすのは、覚悟していたほどの痛みを伴わなかった。
 既に、もう直せそうにもないほどに、粉々になってしまっていたから。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 それよりも、ずっと……“残骸”の仮面を取る方が、私にとっては遥かに怖くなっていた。
 仮面に手を掛けて、いまさら気がついたことだ。出来合いの、不出来な仮面と思っていたものが、ずっと私を護っていたなんて。知られたら、きっとあの勝気な子に笑われてしまう。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……ノエルさん。私があなたと共にこの島を目指したのは、私自身の為でした。
 “リュウグウジマ”にいるという私の同胞に会えば私の探す答えが見つかるかも───なんて、少し偏屈な『友達』に唆されて」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「そうして、あなたについていって……。そしたら船が転覆して、旭くんと出逢って、あの巨きなものに見つかって……
 そうした果てに、探した答えの欠片がここで見つかりました」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「………そんな私が、虫のいい話かもしれませんが。
 どうか……まだあなたたちと一緒に、答えの続きを探させてもらえませんか?」

荻野目 旭 :
 ……。想像してぞっとする。
 自分がどこの誰なのかはわかっても、それ以外何もわからずに放り出されるなんて、考えるだけで怖い。
 握る力をどう定義して、どう振るい、どう生きるか。
 それを知ろうとするのは、あたりまえのことだ。

荻野目 旭 :
 小さく首を振る。

 ある日、その大きなライフルだけを抱えた顔のない狩人として在ること。
 その狩りは生きるためのものではなく、ただ狩るためのもので、本当はなんのためなのかも朧。
 ……それなら『人を知る』というレネゲイドビーイングに刷り込まれる本能が、『己を知る』となっても、ぜんぜん不思議じゃないことだ。

荻野目 旭 :
 ……僕と大違い。苦笑いする。

荻野目 旭 :
「……もちろんです。
 そうじゃなくったって、助けてもらったお礼もしなきゃいけませんし」

荻野目 旭 :
「僕も、虫がいいのは同じですよ?
 “マンティコア”に、仕事づらして三廻部さんけしかけましたもん」

SYSTEM :
 などと───内心の想像をおくびにも出さず、苦笑いする少年の声をよそに、偏屈だと揶揄した『友人』からの声はなかった。
 あるいは、あれほどまでに“窮屈だ”と、隣人愛の殻を嫌わずとも厭っていたのに。

 そいつの明滅は、いつのまにか平常のものになっていた。

SYSTEM :
 眼前の“解明者”なんて名前を他称で期待された二十歳を越えた程度の女が、アナタを通してあなたを見る。
 ………自覚していたそれを、呼吸すら忘れて。それでも、よく言えば肩を貸し、悪く言えば傷の舐め合いかもしれない少年の言葉に“つかえ”を取ったのか。

“イリュシデイター” :
「………そうですね。
 では、偶然と背けて黙っていた事についてで、イーブンとしましょう」

“イリュシデイター” :
「とりあえず、それで帳消しです。
 此処にいる間だけでも、あなたのことを教えて下さい」

SYSTEM :
 ………少なくとも守る相手/漸く本調子を取り戻し始めたなりたての学生がいる以上は、言葉の通じ、目的の一致する人間を手放すわけにはいかない、というエージェントの理性的な感情を付随させて。
 それは、曰く“世話焼きの友達”と、仮面を外した、はるか年下の少女だったもの/ヒトに対する感情を、いったん切り離そうと努める振る舞いだった。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ありがとう、と口にするのはとても簡単で。
 だから、それを口に出してしまうのは、なんだかとても違うような気がして。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 感謝と、忸怩と、少しの気恥ずかしさと。
 ……握られた手に縋るように、ただ強く握り返すのが、私にとって精一杯の返答だった。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 止まったはずのものが、またぽつり、ぽつりとその手を濡らしてしまうのは。
 私の傷口に、薬が沁みてしまっただろうか?

SYSTEM :
 しばしの静寂が、虚な洞へと響く。
 いずれその静寂が気にならなくなる時も来るだろう。“いつ”になるかは定かでないが。

 産まれ落ち、形成される人格のはじまりを見失ったが故に、己を識ることをこそ命題として生まれたもの。
 終わった者の影から生まれたあなたの手元に握りしめられた、残骸から漁られ姿を現したひと欠片。
 それは、あなたではない誰かを示していたから残酷に仮面を砕き割ってしまったけど、無意味でもなかった。

SYSTEM :
 朧の狩人でもあり、誰かの残骸でもあり。
 そう己を定義してきた、虚ろの空に独り在るものが、なんのために生きるのか。

 その答えを誰より望んでいるのは、あるいは。今はもう諧謔の明滅を止めていた、一体のRBだったのかもしれない。

SYSTEM :
 ………ともかく沈黙は、しばらく続いた。
 少なくとも体裁が整って、誰かが“戻ろう”と言い出すまでは。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :情報シーン2を終了します。ロイス取得等ありますか?

”朧の狩人/残骸” シホ :……“ナイトホーク”、荻野目 旭くんにロイスを取得します。

荻野目 旭 : 

GM :承りました。では…

GM :PおよびNの感情、どちらが表か宣言後、キャラシートに書き加えておいてくださいね。

”朧の狩人/残骸” シホ :…………。私の感情は……
◯好意/恐怖 です。

”朧の狩人/残骸” シホ :握ってくれた手の温もりが…離れてしまうと、思うと。

GM :…成程。

GM :確かにロイスとして適切な理由でしょう。手放さずに居たいですね。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
[イニシアチブプロセス]

SYSTEM :
[1-5] [2-5] [3-5] [4-5] [5-5]
 ?  ?  ?  ?  ?
[1-4] [2-4] [3-4] [4-4] [5-4]
 ?  ?  ?  ?  ?
[1-3] [2-3] [3-3] [4-3] [5-3]
 ?  ?  ×  ?  ?
[1-2] [2-2] [3-2] [4-2] [5-2]
 ?  ?  ○  ?  ?
[1-1] [2-1] [3-1] [4-1] [5-1]
 ☆  ×  ○  ○  ×

○:青マーカー
×:赤マーカー
☆:イベントマーカー
?:?マーカー

SYSTEM :
 イニシアチブプロセスを開始します。
 選択可能な箇所を確認後、
 各自の行動を行う場所の決定をお願いします。



[情報開示済み]
 1-1、2-1、3-3、5-1

[情報未開示だが行動は可能]
 1-2、2-2、4-2、5-2、2-3、4-3

荻野目 旭 :2-1に進みます! ただ…ちょっと技能が足りなくてェ

荻野目 旭 :(ちらっ…ちらっ…)

三廻部 颯 :わたし、手伝います!

荻野目 旭 : 

三廻部 颯 :がんばるっ。

SYSTEM :
【Check!】
 移動先を確認しています...

荻野目 旭 :〈交渉〉での探索判定をしまーす。

荻野目 旭 :(ちらっ ちらっ)

三廻部 颯 :<知覚>で支援します!

GM :了解しました。ですが…

GM :「イニシアチブプロセス」の時は先に「どこで判定するか(どこに向かうか)」を決めるだけなので、メインプロセス時に恐縮ですが改めて宣言して頂くことになります!

荻野目 旭 :ハーイ

三廻部 颯 :ごめんなさーい!

GM :(慈愛の声)

木口龍 :まぁそうとあらば早く決めた方が進行しやすいだろう。

木口龍 :せっかくだから、オレはこの3-3の扉を選ぶぜ。

GM :(頭を掴む)

GM :おまえは文字が見えぬのか……… 

木口龍 :やべ言ってるそばから間違えた

GM :メインプロセスで…宣言して…
───下さいねッ!

木口龍 :(´・ω・`)

SYSTEM :
【Check!】
 移動先を確認しています...

久外境耶 :5-1いくぜ〜 ホデリも頼めるか

『ホデリ』 :良かろう 先刻のように力を奮った後でもなし 良く見おけ

”朧の狩人/残骸” シホ :…私も5-1の調査に向かいます。

GM :了解しました。

SYSTEM :
【Check!】
 移動先を確認しました。
 メインプロセスに移行します。

SYSTEM :[メインプロセス]

SYSTEM :
[メインプロセス・確認]

 颯:2-1
境耶:5-1
 旭:2-1
シホ:5-1
 龍:3-3

      ホデリ:5-1/行動可能
   タイガーアイ:待機/行動不可
      ノエル:待機/行動可能
ミッドナイト・アイ:待機/行動可能

SYSTEM :
※!:NPCをあと[1]名動かすことが可能です。
   待機させますか?
 

荻野目 旭 :支援判定って重ねづけ可能ですよね? ノエルさんについてきてほしいんですけど…

“イリュシデイター” :分かりました。では、汚名返上のつもりで行きましょう。

荻野目 旭 :お願いします!

SYSTEM :
[メインプロセス・確認]

 颯:2-1
境耶:5-1
 旭:2-1
シホ:5-1
 龍:3-3

      ホデリ:5-1/行動可能
   タイガーアイ:待機/行動不可
      ノエル:2-1/行動可能
ミッドナイト・アイ:待機/行動可能

SYSTEM :
【Check!】
 判定:[2-1]を行います。
 判定対象者:颯、旭、ノエル

進行/〈知識:レネゲイド〉:9
         〈交渉〉:10

支援/〈知覚〉〈情報〉:6

SYSTEM :使用する判定を宣言後、判定を行います。

荻野目 旭 :うーん 僕とノエルさんの社会値は同じ…でもノエルさんには知覚がある! ということで支援判定をしてほしいでーす

三廻部 颯 :私も<知覚>で支援!

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

三廻部 颯 :

三廻部 颯 :4dx+1 <感覚:知覚> (4DX10+1) > 10[4,8,9,10]+1[1]+1 > 12

“イリュシデイター” :ではこちらも。

“イリュシデイター” :ところで…先に確認しておきますが「知覚」ですか? 情報ではなく?

荻野目 旭 :グォ…!グギ…!情報でオネガイシマス…

三廻部 颯 :すごい声出てる……

“イリュシデイター” :なんですかその二者択一を迫られた時のような…

“イリュシデイター” :では

“イリュシデイター” :5dx 〈情報〉 (5DX10) > 10[2,4,6,6,10]+10[10]+1[1] > 21

SYSTEM :
【Check!】
 支援判定に成功しました。
 進行判定に[+6]のボーナス修正を加え、
 そのまま進行判定を行ってください。

荻野目 旭 :よぉ〜し 今回進行判定はC値-1ですよね!

荻野目 旭 :7dx9+6 (7DX9+6) > 8[1,2,5,6,8,8,8]+6 > 14

GM :はい 確かにC値-1でした

GM :そうですね。

荻野目 旭 :そんなに1足りないことありますか!!!!!??????

SYSTEM :
【Check!】
(たとえ1足りずとも)判定に成功しました。

プライズ:6⇒8

三廻部 颯 :わ〜……

荻野目 旭 :導きの華ァ〜!!(暗転する画面に顔だけ映る)

SYSTEM :

【Check!】
 プライズが規定値に達しました。


SYSTEM :1d5 プライズイベント (1D5) > 3

SYSTEM :
【Check!】
・プライズイベント(3)が発生

 上記結果により、周囲2マスランダムの[未開示エリア]1つが下記のものに変更されます。

・「死ねずの渇望喰い」

 判定/特殊

 支援/存在しない
 
壱:FSシーン発生
弐:推奨【肉体】【運転】
参:推奨【ミッドナイト・アイ】

SYSTEM :1d11 (1D11) > 11

SYSTEM :
【Check!】


 [5-2]が『イベントマス』に変化します。
 イベントマスは『トリガーシーン』として扱います。


SYSTEM :
【Check!】
 判定:[3-3]を行います。
 判定対象者:龍

進行/〈知覚〉〈芸術〉〈知識〉〈情報〉:7

支援/〈肉体〉:6

SYSTEM :使用する判定を宣言後、判定を行います。

つくよみ :

GM :

GM :

木口龍 :せっかくだから おれはこの、知識:──

木口龍 :火曜サスペンス劇場で振るぜ。

GM :馬鹿が………! 

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認し(てし)ま(いま)した。
 判定を行ってください。

木口龍 :2dx+6  知識:火曜サスペンス劇場 (2DX10+6) > 7[3,7]+6 > 13

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

プライズ:8⇒10

SYSTEM :

【Check!】
・「3-3にはじめて到達する」

 上記達成により、トリガーシーンが発生します。
 対象者:龍


SYSTEM :
【Check!】
 判定:[5-1]を行います。
 判定対象者:境耶、シホ、ホデリ

進行/〈肉体〉:8
   〈知覚〉:10
   〈知識:レネゲイド、オカルト(その他適宜)〉:11

支援/〈RC〉〈情報〉:6

『ホデリ』 :わたしには何をば望む?

久外境耶 :情報で支援任せた。おれは肉体で、異形の歩みを使う

GM :ふむ。このシチュエーションではてきめんとも言えるでしょう。

GM :判定達成値に+1として構いませんよ。

久外境耶 :よっしゃ

『ホデリ』 :承った。島の在り方には一日の長ありぞ

”朧の狩人/残骸” シホ :…それと同時並行で、こちらも〈知覚〉で調査します。EE:真昼の星を併用して。

GM :真昼の星ですか…

GM :まあ知覚が使える以上効果はあるでしょう。こちらも判定達成値に+1とします。

『ホデリ』 :では先んじて征く。《情報:????》だ

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

『ホデリ』 :2dx+4 〈情報〉 (2DX10+4) > 10[6,10]+5[5]+4 > 19

『ホデリ』 :………うむ………

SYSTEM :
【Check!】
 支援判定に成功しました。
 進行判定に[+3]のボーナス修正を加え、
 そのまま各自、進行判定を行ってください。

久外境耶 :おっしゃ〜やるぜやるぜ〜 いいかげん沢蟹集めは飽きたからな

久外境耶 :6dx9+4 (6DX9+4) > 6[1,1,2,4,5,6]+4 > 10

GM :この時点で成功は成功、2ポイント相当ですね ですがここから…

久外境耶 :あっっっっっぶねえ!

”朧の狩人/残骸” シホ :今は、〈オリジン:ヒューマン〉による効果が適用されます。
……………。

”朧の狩人/残骸” シホ :8dx9+5 (8DX9+5) > 10[1,1,2,4,4,7,7,10]+7[7]+5 > 22

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

プライズ:10⇒13

SYSTEM : 
 
【Check!】
 プライズが規定値に達しました。


SYSTEM :1d4 (1D4) > 4

SYSTEM :
【Check!】
・プライズイベント(6)が発生

 上記結果により、周囲2マスランダムの[未開示エリア]1つが下記のものに変更されます。

・「帰郷」

 判定/特殊

 支援/存在しない
 
壱:FSシーン発生
弐:推奨【射撃】【情報】
参:推奨【ソラリス】【モルフェウス】

SYSTEM :1d10 (1D10) > 8

SYSTEM : 
 
【Check!】

 [3-5]が『イベントマス』に変化します。
 イベントマスは『トリガーシーン』として扱います。


SYSTEM :
【Check!】
 トリガーシーンは発生しませんでした。

SYSTEM :
【Check!】
 メインプロセスの終了を確認しました。

GM :
 なお各自発生したプライズエリアに関してシーン展開を希望する場合は、セットアップ/クリンナップでもやっていた「自由会話」の扱いとして処理します。

SYSTEM :
【Check!】
 シーン展開希望を確認しました。
 ラウンド進行を一時中断し、シーンを展開します。

SYSTEM :◇ ◆ ◇ 


シーン14「幕間・肆」

SYSTEM :
【シーン14:幕間・肆】

 登場PC:境耶、シホ
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-オリジン
 レネゲイドビーイングには生命体となるにあたって、ベースとなるものがある。
 動物がレネゲイドの力で覚醒したもの、群体からなる生物が一個の意思を持つもの、
 ネット上のプログラムや伝説上の存在に与えられたイメージを借り受けて生まれたもの。
 人間を模したもの、植物や鉱物が変異したもの………など、多岐に渡る。
 
 人間は物心つく時の発見を始まりとし、人格形成のスタートにする。
 レネゲイドビーイングは、この誕生こそが人格形成のスタートである。 

SYSTEM :
 ───ある者にとっては行方不明の“友達”を探す迷い路であり。
 ある者にとっては火事場泥棒のため奇貨を抱えた獣の皮算用を実行する最中(だったはずの道)であり。
 ある者にとっては………。

SYSTEM :
 そんな、行く末知れず、前途多難の『難』を片付ける道の最中。

 島の隅から隅までを探索し、レネゲイドの痕跡を追い。
 ある程度の距離ごとに、不自然に雰囲気を変えていくこの島が、ふと川のせせらぎを越えた辺りで、光すら差さない鬱蒼とした天然の迷宮に変わろうとも。
 自然の皮を被った歪みと物の怪の大地を我が物顔で通り抜け、踏み越え、征服できるオーヴァードにとっては、せいぜい風景が変わるだけに過ぎなかった。

SYSTEM :
 シホよりも一足先に踏破したのか、あるいは一先ず”島”の端に浜辺を見かけるところまで来て引き返す頃合いか。
 あなた/境耶は一時、行動を共にしていた彼女と離れ、森を歩いていた。

SYSTEM :
 厳密には…。
 一人と一匹か。

『ホデリ』 :
『童の訪ね人は此処に非ずか。
 ………何より、島の中枢、探し物の気配も此処ではない………』

『ホデリ』 :
『こうもあやかしの気配が混じれば、探るも億劫なり』

SYSTEM :
 森を進む傍らでそこらのジャーム化したと思しき生物に茶々を出されることも一度や二度はあった。
 それが件の“マンティコア”のワーディングが齎したものなのか、元からなのか、例の『蘆屋道満』のものなのかは区別もつくまいが、彼の言うあやかしとは概ね、そういう…“戻れなくなった”Aオーヴァード/RBで構築された、まさに魔獣の群の話だった。

久外境耶 :
             ・・・・・・
 細部の探索は"残骸"に任せ、不自然な自然を強引に踏破する。着いた先は魔境じみた深い森。風のざわめきに混じって、獣の声はひっきりなし。照りつけるはずの日射しは生い茂る緑に遮られて、足元まで届かない。

久外境耶 :
「まーなア。あいつ通ったあとなら死骸転がってそうだし」

久外境耶 :
「こんなトコまで来てハズレだったら森の連中狩ってくか? ジャーム食ったらどうなるのか知らんけど、肉は肉だろ」

『ホデリ』 :『わたしが喰ふものに泥むことはないが………』

SYSTEM :
 汝らは流石に拘らんかとばかりの言外の視線。実際、どういうわけか”ジャーム化した”Aオーヴァードとかそれ以前に、まともでない島の生物がまともなのかの保証はない。

SYSTEM :流石に沢蟹のことは知らない。

『ホデリ』 :
『それに…いずれが通ろうとも足跡は…。
 いや、一体は然程に非ずか』

久外境耶 :「へーきへーき、毒見役にテキニンそーなのいるし」

久外境耶 :「ま、"残骸"もいるしもーちょい進むか。おまえとアンテナの張り方違や、見つけるモンも変わってくるだろうよ」

久外境耶 :
「…… ……」

 ふと、周囲を見回す。
 ……人目はない。トーゼン人気も。

久外境耶 :「……ところでさあ」

久外境耶 :立ち止まってしゃがみ込み、視線を合わせる。

『ホデリ』 :『如何にした………?』

SYSTEM :
 白い狗の尾がふわりと持ち上がる。
 耳が一度跳ねピンと立ったのは、何か見つけたか、という警戒にも、聞き耳を立て注目する人間の仕草にも似た。

久外境耶 :「いや その」

久外境耶 :「なんっ……てーかなあ」

久外境耶 :「いいか、これはな……おれとおまえのコケンに関わるコトだ」ひそめた声

『ホデリ』 :『………』

SYSTEM :
 ところで彼はその少年の腹を割って話すかのような真剣さに変わらず耳を立てていた。

 そこからどんな妄言が飛び出すのか、という疑心があったかは疑わしい。元々そういう性根なのだろうか。

久外境耶 :「……………………………………………ちょっと触らせてくんね?」

『ホデリ』 :『は』 は。

久外境耶 :「だっ……その なあ!」

久外境耶 :「おまえ すっごいあれじゃん」

久外境耶 :(ほどよいおおきさの まるくて ふかふかしたものを表現する無音のジェスチャー)

SYSTEM :
 沽券にかかわるという至極真剣な意見に立てられていた耳が一瞬で萎れた。

久外境耶 :だ……大事なことだろ! おまえ的にオッケーかどうか とか……

久外境耶 :他の連中に見られると ちょっと

久外境耶 :アレだろ……!!!!

『ホデリ』 :『………小僧………もとい境耶………』

久外境耶 :「……うす」

『ホデリ』 :
『酔狂だ酔狂だ思うておったが………。
 ………頑しを気にする前に………いや、そうか………』

SYSTEM :
 白狗は何かを納得するような………。
 いや、理解はしたが心の底から何かを納得しかねて天に唸った………。

 強いて言うなら“見られるわけにはいかない”の部分にかける男の子の本音だけ同調した空気はあった。

久外境耶 :「しゃーないだろ〜、ゲンダイジンは毛皮のついた生き物には弱いようにできてんの」

久外境耶 :「こう……あれだ 望んで猫に隷属する人間がいるとかいないとか……」

『ホデリ』 :『野良畜生を前に心折れきや…』

SYSTEM :
 ホデリの頭の中にある構図は、
 化け猫を前にひれ伏す現代人である。

『ホデリ』 :『修羅とあやかしの…都か…』

SYSTEM :
 絶対にそんなことはないが、しかしホデリの瞳は“では他の者らは例外なのか? 現代人に非ずか?”と問いただしている………。

久外境耶 :(想像上の東京が魔都と化してる感触がする……)

久外境耶 :「そりゃあ その タブンそれどころじゃなかっ あ〜 うそです自分で蒔いた種で〜す……」

久外境耶 :「おれがおまえを上に置いて手出すなってツラしてなきゃまあ……撫でられてたかもな」

久外境耶 :「……ぶっちゃけ犬扱い、おまえ的にアリナシどっちなん」

『ホデリ』 :『………………』

SYSTEM :
 そう。
 見ていれば分かることだが………彼が複雑気な顔をしている時とは、常に己の扱いが狗/動物扱いだった時でもあった。

 ぶっちゃけ、とは言ったが。
 あなた/境耶なりに、それなりの確信を持った一言であったのだろう。

『ホデリ』 :『野良にて駆ける狗と並ぶには聊かこの身は卑しかろうが………』

『ホデリ』 :
『それを差し引いても………。
 戸惑いはあるが、さほど困りはせぬ』

SYSTEM :
 アリというには彼の尊厳的何かが邪魔をし、
 ナシというには曰く『高慢』が邪魔をする。そんな塩梅であるようだ。

久外境耶 :
 ……そりゃそうだろうって知ったかぶりの納得で頷くのも躊躇われて、なんとなく口をへの字に曲げる。

久外境耶 :

久外境耶 :
「ん゛ん〜〜〜〜……」

 がしがしと後ろ頭をかいて、

久外境耶 :「どっちつかずで吞み込むなっつの、むっずかしーヤツ。じゃーもうおれが決める。ナシだナシ」

久外境耶 :「ま、だからってドーシロとは言わねえけどよ。今度おまえがワンちゃん言われたらおれは勝手にテーセーするぜ」

『ホデリ』 :『ぬう………』

『ホデリ』 :
『“難し”は汝もだな、境耶。
 ………”毛皮のある生物”は、島より戻りて探せ』

SYSTEM :
 人間的に言えば、そのくるくると唸る声は、いわば笑い声に相当するものかもしれない。
 存外に律儀というか、肩入れするものには直線で肩入れする彼の対応と、直前までの少年の仕草を見て、難しいはお互い様だとばかりの。

久外境耶 :
「グエ……んだよ〜流せよ〜。あーあ、ガチ失言フツーに恥ずいわ」

 ごまかすように地についた膝を勢いよく持ち上げて、さっさとマスクを戻す。

『ホデリ』 :『“コケンに関わる”場面に小娘が居らぬが幸いか?』

SYSTEM :
 フ…と鼻音を鳴らす。
 ………その小娘が戻って来る気配はまだなかった。見えているとしても、これを後で逐一揶揄するタイプでもないだろう。恐らく。

久外境耶 :「お〜〜〜〜マジでなあ! おれ運いいからな〜〜〜〜!」
 やけくそで声をはりあげて、ずんずか草木を踏み倒して進む。

SYSTEM :
 “ラッキージンクス”の名を(乱暴に)盾にし誇って謳い上げる少年の喜怒哀楽はさておき、わが物顔で闊歩した道行には、やはり連中の気配はない。

 あなたは特に探す気も薄かろうが、民間人の姿も。そして付け加えるならば………最も痕跡を残しそうにない者、既に痕跡が見つかっている者の残り香もなかった。

SYSTEM :
 暫定FHとしての探し人については、概ね此方ではない。
 
 曰く“ミコサン”らしい、空元気だった/奮起し始めたての少女の友達を連れ、何処かに向かう最中であると思わしい女は、既に“どのあたりを通ったか”について答えが出ている。

 向かおうとしている最中、急がば回れの形で、彼女/“喚楽の人喰い虎”に縁ある二人が年齢上の保護者同伴のもと向かっているくらいだ。こちらについては、もう分かっているのだから見つけようもない。強いて言えば、移動し終えた可能性なんてのを探るくらい。

SYSTEM :
 ………なので。その草木を踏み分ける乱暴な脚と。

 どこか遠くで、状況の仔細を見守っていた眼が。

 それぞれ違う処から、最も“痕跡を残さざるを得ない”ものを前にしたのは、それからすぐのこと。

SYSTEM :
 天の彼方、草木を抜け、ソラへの視界が多少開けた先から見える“向こう側”より響く声。

 そして………。

SYSTEM :
 ………枯れ落ちた草木と、ぐずぐずに崩ればらけた島の生物/充てられた獣たちの遺骸。

 よく目を凝らさねば分かりづらいが、あの『蘆屋道満』などと名乗った男が用いていた札の残骸が。
 だいたいこの辺りを通って消えていった傍迷惑な生き物の存在を教えてくれていた。

SYSTEM :
 ………あの黒い渦と、身を以て体感した、心身を“蝕む”因子の毒。
 それは弱弱しい慟哭のような叫びとは裏腹に、あまりに強く、勢いを増している。

久外境耶 :
「!」

 開けた視界、落ちてくる日射しに目を庇うよりも先に、聞き覚えのある叫びを捉える。咆哮と言うには悲痛な、劈く啼き声。おまけに……

久外境耶 :
「……あん? んだ、このゴミ──」

 動植物の残骸。そこへ混じっていた紙片も、摘まみ上げたそばから黒く崩れ落ちていく。

「──じゃあ、ねえわな。おれのじゃねーが、当たりクジだ」

久外境耶 :「行き過ぎたやつは度も過ぎらアな。ここまで毒々しい気配がしてきやがる」

SYSTEM :
 当たり籤を辿って行った先には、時間さえかければ確かに“そいつ”に行き当たることだろう。

 行き過ぎたやつ。己の欲望以外の全てを………あるいは己が本質さえ履き違え。ただ一つ事のために全てを踏み躙るその性。

 世界へ己の痕跡を刻むこと/他の意志と繋がりを持つことを許されなくなった、どこにも存在しない傍迷惑なジョン・ドウ。
 それがジャームだ。

『ホデリ』 :
『あの空飛ぶ物の怪か。
 ………もはや長い命に非ざるもの、何を求めて飛ぶのか………』

SYSTEM :
 咆哮は、もはや慟哭に等しかった。
 目を瞑り、思い起こそうとして出てくるものなど、迷い子か、弱弱しい赤子のようにすら聞こえてならない。

 ………それが”行き過ぎた”以上、ただのジャームよりなお始末の悪いものとなるのは明白だった。

SYSTEM :………時を、僅か遡る。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 森を進む傍ら、一つや二つでは利かない数の“茶々”を受け、細部の探索を任されるかたちで一旦境耶、ホデリのもとから離れ、周辺捜索に回っていたあなた/シホ。

 つい先ほどの出来事の直後だ。
 剥がした仮面をかぶり直したのかどうかは定かでないが、曰く“偏屈な友人”の茶々入れもなく、姿を見失った颯の知人、そして島に潜伏/散開した「同朋」と呼ばざるを得ないものの捜索に意識を傾けていたことだろう。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「これは……違う、他の子の痕跡か……。
 ええと、確かこっちはまだ……」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……あれから、しばらく。
 私は“ラッキージンクス”…境耶君と共に島の探索をしながら、少し腫れぼったいままの瞼を持て余していた。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 誰かの痕跡らしいものをみつけて、それが違うと捨てて……しばらくはその繰り返し。
 正直なところ、探索は少々暗礁に乗り上げかけていた。
 この一帯はどうやらAオーヴァードたちの棲家のようなものだったらしい。私の領域があれば彼らを直接避けることは簡単だったけれど……どれもこれも因子混じりの痕跡が入り乱れている。決定的な手掛かりはなかなか見つからない。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……私自身のことも、少し暗礁に乗り上げかけている。
 あれから結局、私は他の誰かに自分のことを話す機会を見つけられないままでここまで来てしまった。境耶君も、颯ちゃんも、私のことは多分“残骸”として見ているままだ。……それと眼鏡の彼も。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 そもそも、話すことが正しいことなのかも私には分からなかった。話せば、特に颯ちゃんは余計に混乱してしまうかもしれない。たたでさえ不安でいっぱいだろうに……。
 …………。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 少し途方に暮れて、空を見上げる。
 木々に覆われた青空は、まるで私の心を表しているようで───

”朧の狩人/残骸” シホ :
「───痛っ…………!」

 ───刺すような激しい痛みが目を襲ったのと、それはどちらが先だったのか。

SYSTEM :
 ………物憂げな声は内心にのみ響く。
 無理はない。島の在り方は、そもそも現代社会では凡そ“有り得ない”形だ。既存の調査とは分野の傾向とワケが違う。

 アフリカ某所に存在するというAオーヴァードの楽園………。
 誰も識る由はなく、オーヴァードのいる世界の裏側ですら決して認知されているわけではない、誰が言ったか『カオスガーデン』。
 その在り方に近しくもあり、しかし決定的に隔絶している。

SYSTEM :
 何故なら。
 それらは今の今までそうではなかったものも大半を占める上に、
 ここにある『リュウグウジマ』などと呼称される地には不可解なことの方が多い。

 ・・
 何時の島なのか、なぜ時に隔たりがあるのか。
 なぜ、は探ろうとすれば幾らでもあるけれど。

SYSTEM :
 その答えを、木々と葉に覆われ無明を装った、先も見えない空に求めたのは。
 正しく冷酷に葬送人を成して来た“朧の狩人”の行いではない。
 ましてや…『UGNイリーガル』という立場にこそ足を置きたがった未熟者の骸が取る行いでもない。

 注意力散漫。
 なればこそ、それは平時よりも強く、刺すような錯覚を伴っていたのだろうか。

SYSTEM :
 爆ぜるようでか細い声。
 彼方から響く吼えた音。距離感は定かでないが………分かることはある。

SYSTEM :
 空を覆う天蓋が、慟哭にて一度揺れた。
 その痛みが、微睡むような悔恨の目覚ましであるかのように。

 因子の毒───。
 生物を片端から蝕み道連れに追い込むものの名残と残り香。
 その痕跡が、見落とした足元に、踏み込んだ先になおも漂っていた。

 目の痛みが錯覚でないならば、それか爆ぜた音の衝撃によるものだろう。

SYSTEM :
 だがもし………錯覚ならば。

 聞いても見てもならないものへの怯えが生んだ錯覚ならば。

 蝕みの君。そう呼ばれた死神の咆哮は、幾度も聞けば違った感想を持てる。
 人にすら半歩も足を置けず、オーヴァードとさえ隔てた者には。アレは───。

SYSTEM :
    ・・ ・・・・・
 あれは故郷/自分の在処を探して彷徨うものの咆哮なのだ、と。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 予兆もなく走る引き裂かれるような痛みに、思わずその場で崩れ落ちる。
 痛みを抑え込むように両手で痛みを感じた目を塞ぐ。
 遠く、咆哮の残響を知覚したのはそれからだった。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 痛みは一瞬で、まるで嘘のように消えていた。
 恐る恐る放した手にも、押さえた目そのものにも流血の跡はない。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ───それから、気がついた。
 これは“身体の記憶”だ。恐らく、“彼女”が感じた痛み。
 ……或いは、切り離された“彼女”そのものの幻肢痛。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 残響は遥か彼方。恐らく、島の最奥に近いところから響いた声。
 だというのに響いた声は……“彼女”の痛みを引き出せるほどの形を伴っている。それこそが、他でもない巨きなものの印。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 …………。しかし…………。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 この胸騒ぎは……響いてくる声を合図に、早まったこの動悸は……。
 ……………本当に、それだけ?

”朧の狩人/残骸” シホ :
 …………………。
 絡みつく感情を振り払うように、思考を切り替えて走り出す。
 今は先行していた境耶くんと合流を急ぐ必要がある。きっと、彼もこの声を捉えたはずだ。今ここに転がっているような痕跡に辿り着いているかもしれない。
 幸い、この森林の中で彼の通過した“獣道”は何よりもハッキリしていた。

SYSTEM :
 あなたの痛みであって、アナタの痛みではないもの。
 奥底に刺さったままの棘が、痛覚の信号を強制していた。

 それとは別の違和感を、警戒を押し込んで。あなたは走り出す。
 ………朽ち果てたソラリス由来のレネゲイドの『毒』、そして哭き声に揺れた草木、元より把握していただろう少年の居場所。

 近いか遠いかも分からないが。いずれにせよ、居場所を辿るには十分だ。どちらの意味にとっても。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 開けた視界の向こう側。
 森林の中の獣道。そこには確かに、あなた/シホが見たものよりも鮮明に残るものがある。

 森の木々をかき分けた向こう側のどこにいるかは定かでないが、今なお発されるレネゲイドの流れ、血のようにこびりついた蝕みの黒渦は、確かに“そいつ”の足取りを追う決定的な痕跡ではあったわけだ。

SYSTEM :
 そして、それを先に見ていた境耶らも。
 一先ずは無事のようだった。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「はあっ、はあっ───…………
 よかった、無事ですね……っ、はあっ………」

久外境耶 :「まあな。そっちは血相変えてご苦労サンだ」

『ホデリ』 :『大事ない。足跡に過ぎぬのは幸いやもしれぬな』

”朧の狩人/残骸” シホ :
「はあっ……す、すこし焦ってしまって……。
 でも……無事で、よかった……」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「…………あなたたちも聴きましたか?
 あの飛竜の……『蝕みの君』の咆哮を」

久外境耶 :
「おう。ついでにご覧のとーりだ、いろいろ残ってるぜ」
 と、残骸のあつまりを顎で指す。

”朧の狩人/残骸” シホ :「──────」

『ホデリ』 :
『………弱りし者のなきとよむものにも聞こえしもの。
 だが、得てしてああいうものほど、血迷うものだ』

SYSTEM :
 死に瀕する時。
 世界から切り離される時。

 オーヴァードは…いや、オーヴァードでなくとも。
 その心は、平時ならば有り得ぬ解に辿り着くもの。

 咆哮が慟哭だろうとも、脅威は変わるまい。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……改めて“これが残骸だ”と指し示して見せられると、少したじろいでしまう。
 こういうのは……私自身の姿を重ねてしまうようで。あまり、気分の良くない景色だった。いまさら私が言えるようなことでもないのだけれど。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ただ、それ以上に……。
 ホデリと名乗るこの子の言葉が、私の心を揺さぶっていた。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「…………ホデリさん。あの声、あなたにもそんな風に聴こえましたか?
 なんというか……どこか泣いているような」

『ホデリ』 :『…然る者の所以までは知らぬ』

SYSTEM :
 それは遠回しの肯定でもある。
 とはいえ、だから気にするという素振りではない。仮に何かを思っていても、彼が重ねているものは彼方だ。

 ………それの正しきを解する者がいるならば、少なくともホデリに依るものではなかった。

久外境耶 :「泣いてりゃどうしたよ。どう聞こえようがバケモンの鳴き声だぜ」

SYSTEM :
 さらに言うならば彼でもない。
 喋らないから屠殺出来る牛や豚と扱いも尺度もそうは変わらぬ一言だ。恐らく喋ってもそれはそれで“や”れる少年ならば、むべなるかな。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「それは、そうなんですが……」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……彼の言うとおり、あの竜が何を想い、何を願い、何が為にこの島へ現れたのであろうと、先ほどの声はバケモノの声には変わりない。
 旭くんとノエル……そして、“ロクスレイ”に癒えない傷を遺したこともそうだ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 だから……こんな感情は。
 私は“彼女”ではないからできるだけの、安い同情なのかもしれないけれど。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……今の『蝕みの君』はジャームですが……あの戦闘で斃すまで、あの飛竜は理性を喪失はしていなかった。
 だけど、いや、理性も振り解いてしまった今だからこそ……『蝕みの君』は、最期に何かを求めて彷徨っているんじゃないかって」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……こんなこと、考えすぎかもしれませんね。改めます」

久外境耶 :「好きにしろよ。それで照準ブレねーなら、おまえがドラゴンにどんな妄想抱いてようが自由だぜ」

久外境耶 :
「あ、おまえモルだっけ? じゃあ車作ってやれば?」

 ほらアレ、ドラゴンカーセッ……

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……? なぜ、車を………?」

 記憶の欠落だろうか……。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「それに……私、モルフェウスではありますが、“モルフェウスらしい”能力はほとんど使えないんです。
 銃に力を込めて撃ち出すくらいで……。すみません」

久外境耶 :あ〜あ〜知らんか 素が優等生っぽいもんなコイツ

久外境耶 :「じゃ、なおさらブチ抜いてもらわんとなー。お仕事ヨロシク」

SYSTEM :
 余談ながら彼が冗談10割で口にしたワードを適切に受け取り適切に冗句で返してくる人間など、この島にいて1人か2人である。
 なぜならホデリは首を傾げた。恐らく“揶揄”の類だろうとは分かっている顔つきではあったが。

SYSTEM :
 ………ともあれ。

 何をどう懐こうと、野放しにしておくことが、どこにいるかも定かでない颯の友人にとってどんな影響を及ぼすか分かったものではない。
 あるいは、それが最もこの辺りの思考を打ち切る要因だったが。

SYSTEM :
 何をどう懐いても、それはそれと抱えること自体に厭はないのだ。
 思う事は自由と、免罪符のように現代では使われるモノ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 けらけらと笑うようにも聞こえる声。
 彼が口にした“揶揄い”らしきものの意味は、いまいち理解ができなかったけれど……。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……やはりこの子は、私にとっての楔のひとつなんだろう。
 銃を握る手と、頬の硬直は、彼の言葉で幾分かの弛みを取り戻していた。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 …………。こうして今も揺れる心が何に揺らいでいるのかを、“彼女”が教えてくれることはないけれど。
 いつかは答えを出さなければならない。
 ……あの温もりを。“彼女”が愛したはずのものを、私が手放さずにいるためには。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :幕間シーンを終了します。ロイス取得等ありますか?

久外境耶 :ホデリをSロイスに指定したい。いいか?

GM :ほう…

GM :構いませんよ。キャラシに書き加えておいてください。

久外境耶 :おう、どーもな

SYSTEM :◇ ◆ ◇


シーン15「因縁」

SYSTEM :
【シーン15:因縁】

 登場PC:木口龍
 登場侵蝕:あり

SYSTEM :

Tips-リュウグウジマ
 リュウグウジマは、ジャームの持つEロイス『虚実崩壊』および
 何らかの副次的効果を多数加え、効果内容を変更したEエフェクト『時空の裂け目』で構築される。

 これによって内部・外部において時間の流れがきわめて異なっており、外部への通信は不可能。
 可能だとしても「いつ」に飛ぶかが定かではなくなっている。

 何らかの条件下においてのみ、ある程度狙って連続した「いつ」の流れに通信が可能となっているようだが、
 その条件は現在「『ホデリ』が製作した、時空の裂け目の内部」であること以外は判明していない。
 また、その所以も。
 
 ───時から隔たれ、世界に残され、猶も水底へ妄執を滾らせる物の怪の島。
 ひとりとひとり。微か残る正気か名残か、ただ叫び、世界を蝕む重力の井戸。

GM :

木口龍 :どうした

SYSTEM :
Tips-火曜サスペンス
 実はGMはこのジャンルを一切見たことがなく、知らない。
 

GM :登場侵蝕を振ってください。(有無を言わさない)

木口龍 :1d10 (1D10) > 3

system :[ 木口龍 ] 侵蝕率 : 74 → 77

SYSTEM :
 ───木口龍はなにわ探偵である。
 探偵と言えば? そうだね事件だね。

SYSTEM :
 誰が決めたか、彼らには宿命がある。
 あれれおかしいぞ、と。難癖をつけ“妙”を突き付け解き明かす義務が。
 
 あなたは何の変哲もない植物の群生地が、
 ある日よりにもよって『竹』であることに気付いてしまったその時………。
 クソミテェナハンテイ
 芸術:火サスが火を噴いた。
 その孤独なSilhouette………それは紛れもなくヤツだった。

SYSTEM :
 現実にあるのかも定かではない島/森に住まい………。
 レネゲイドに充てられ姿かたちを変じた動物たち………。

SYSTEM :
 この世ならざる幻想的な風景………。
 焼きつけられたその様を突如と侵した血の痕跡………。

SYSTEM :
 ………動物たちのどこの何に非があったのか………。
 なぜ人は戦うことをやめないのか………。

SYSTEM :
 あなたは間違いなく要らないのに高度な調査の末………。

 ついにある時辿り着くべき場所からシームレスに脱線し、血の痕跡を起こした、ジャーム化したAオーヴァードの下に辿り着いていた。

SYSTEM :(※高度な調査風景) 

SYSTEM :
 そして今………あなたは犯人を追い詰めている。

 別に………この島の出来事とは一切関係ないが、
 それはそれとして島の中央を彷徨い歩いていたAオーヴァード………。

もりのくまさん :
『▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇!!!』

SYSTEM :
 もりのくまさんを!

■■■ :

 なにわ探偵シリーズ 1d100話

   リュウグウジマ

木口龍 :
 ──もりのくまさん、あなたはなぜこんなことをしたのですか。……そこにあるはちみつは、政府官僚が殺したゆうたさんのものだというのなら、復讐など考えるべきではなかった。

 そしてオレは今、犯人(くま)を島の中心にて発見した。
 ヤツはこれから何をしようとしているのか。
 殺人依頼に加担したふんたーXXとの取引に参加しようとしているのか。
 ライ姉貴は言っていた……これ以上凶行を重ねる前に、どうか止めてくれと。

木口龍 :というわけで様子を伺いたい。もりのくまさんは興奮状態か、それとも、餌場を探しているのか?

GM :もりのくまさんは…

GM :1d3
1:カバディで興奮状態にある
2:餌場を探している
3:叫びで何かを訴えている (1D3) > 1

SYSTEM :
 もりのくまさんはロイス「XX」が失われた衝動で激しく暴れ狂い、竹を恃みに失われた闘法『カバディ』の構えを取っていた。

 復讐を果たしたXXの魂の慟哭、裏切りヌルヌルが彼の心を深く脅かしたのだ。

SYSTEM :
 勿論もりのくまさんは決してそんなことを訴えていないとは思うが、気にしてはならないことが世の中にはある。

 あなたは彼の尊厳を守るためにするべきことがあった。
 人間が命をどうこうしようなんて烏滸がましいと思わんかね(ここブラックジャック)

木口龍 :

木口龍 :
「もうやめるんだ──大人しく、警察と一緒にいって、全てを話しましょう!!!」

 そうして、波打ち際で波しぶきが打ち付ける崖(生えた)でカバディのポーズを取り、
 慟哭を叫ぶもりのくまさんをなだめるべく、

木口龍 :
「ハァーッ!!!イヤッハッハッホォー!!!」

 ハカの踊りで対抗する。

GM :※背景はイメージです

SYSTEM :
 戦いの前の心構えの儀式として、民族同士の団結力や士気を高める民族舞踊………。
 ニュージーランドに伝わるハカの踊り。その祈りは彼に通じたのか。

 否………通じようはずがない!

もりのくまさん :
 
  イクラが足りない
『▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇!!!』 

SYSTEM :
 もりのくまさんが求めていたものはハチミツなどではない………。
 彼は無敵の人ならぬ無敵の熊だった!

SYSTEM :
 失われた時を求めて、月の下、取り戻しようのない、置き去りにされた過去に手を伸ばす。
 あなたの説得と対抗するクマパンチ(C値7)の命を削るような戦いは、無限にも続くように思われたが………。

SYSTEM :
 ………ついにその時がやって来た。
 野生の熊という、強者であるが故に盾にされ、食らい合う、あわれな生き物に、訪れねばならない天命が。

SYSTEM :
 崖の端まで追い詰めたくまさんは。
 最早島の中心部なのに森も関係ない(あるわけがない)崖に立ち、その目から血の涙を流していた。

SYSTEM :
 怒り狂ったカバディも、竹を失った彼に出来ることはない。
 怒りが引けば、くまさんに遺るものは、喪ったという事実だけだ。

 ………彼はもはや罪に対する罰など求めていなかった。

SYSTEM :
 彼は………。

 崖っぷちのポニョだった。

木口龍 :
「──まだ、まだやり直せるんですよ。過ちは、繰り返さなければいいのです!」

木口龍 :
「さあ、そこにいては危ない、ゆっくり、ゆっくり……前へ、前へ!」

木口龍 :
「そのまま、帰りましょう……!」

もりのくまさん :
 . ポテチが足りない
『▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇!!!』

SYSTEM :
 魂の張り裂けるような言葉は…。
 崖っぷちの彼の意志が揺らがないことをこれでもかと示していた。

SYSTEM :
 ………ああ。もはや手遅れだ!

 もりのくまさんに帰るところなどない!
 現地調達30分で作られたアイコン等に!

 彼は犯した罪の償いから逃げ、己から逃げ、喪ったものから逃げ、いや、そこに還るように………水底に向かって身を投げた!

木口龍 :
  モリノクマ
「森乃紅馬さんっ……!!!」

 私はその手を伸ばすも、間に合わない。
 崖に打ち付ける波の下へ、彼/彼女/くまは落ちていった……。

SYSTEM :
 ………誰が間違っていたのか。
 何が足りなかったのか。

 人とくまの心の結びつきは、時にこんな哀しいすれ違いを起こす。
 だが、あなたは森乃紅馬の切なる願いを………内なるゆうたに惑わされたXXに心を蝕まれ、拠り所を失う前の彼を知っていた。

SYSTEM :
 ああ………。
 ならばひょっとすると。

 崖で手を伸ばすあなたと、
 崖に落ちていく、光ない瞳のくまさんは………。

SYSTEM :逆だったかもしれねえ… 

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :
※島の中心に進む調査風景のイメージです。
 実際の展開、思考、行動、崖とは異なる場合があります。 

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ───木口龍は漂流者である。

 その他一切のことは当人すら定かではない。

SYSTEM :
 彼の肩書や、立ち位置にラベルを付けることはいくつか出来ても。
 彼は本質的に、この島の誰より何よりも浮いていた。
 
 ひとりだけやって来た理由は忘却の彼方にいき、
 ひとりだけ成し遂げねばならないことも確かではない。
 島の調査を進めていく理由は、あなただけは等身大の善意だったのかもしれないが、それにしても成り行きだった。

SYSTEM :
            ・・・・・
 ………いや、そう言えば。もうひとり浮いているのがいたはずだが。
 まあ、それはいい。少なくとも、今は。

SYSTEM :
 あなたは幸いにも島の調査を進め、何事もない植物の群生地を越えて。
 ひと悶着を起こすこともなく、月の見える風景を下って、そこに辿り着いた…。

SYSTEM :
 ただこれと言って、島の中央だという自覚もなければ、そこを目指していた素振りもない。

 そもそもこの『リュウグウジマ』と呼ばれた場所は、ある程度の距離と区画ごとに、不自然かつ、周囲の情景さえ無視して雰囲気を変えていた。
 本当に向かっている先が島の中央だったのかさえ、怪しいところだ。

SYSTEM :
 ………大きな湖。
 吸い込まれるように広い藍色の表面。

 幾ら見通しても底の見えない、海か虚と見紛う、巨大な碧の穴に張られた水面。

 群生地を越えて、向かった先に広がっていたものは、先程までにわかにざわついていた動物の気配も、オーヴァードの気配もない、静寂の中だった。

SYSTEM :
 水面とその周囲に生物の気配はない。
 先程までの喧騒(※個人差があります)が嘘のように。

木口龍 :

 ──こうして火曜日のサスペンス二時間ドラマの枠は終わった。

木口龍 :
 今やあなたの番ですなどというクソドラマがたまに地上波に流れるくらいで、深夜の方が面白いと言われる時代なのだ。
 クリストファー・ロビンの犠牲を経て(※)、あれを見ろ木口龍!することが出来るお祭り会場(※)へと辿り着く。

木口龍 :

 ……さて、ここからは真面目な話をしよう。

木口龍 :
 目の前に広がっていたのは、澄み渡る青い湖だ。
 島の中心に広がっているのだから、これはまた幻想的とさえ呼べる。

木口龍 :
「……ふむ……カルデラ湖の類か?
 透明度は高い。連絡が取れれば、地質調査を依頼してみたかったんだが」

木口龍 :
 リュウグウジマについては、未発見の謎が多すぎる。
 島の伝説からはじめ、成り立ちや何やらに至るまで、その全てがレネゲイドのベールが覆い尽くしていたのだから。
 

木口龍 :GM、その湖にオレはまずその辺にあった石を投げ入れる。するとどうなる?

GM :ふむ…。

SYSTEM :
 投げ入れた石が、ちゃぽん、と音を立てる。
 広がった波紋は、ごくごく小さな、掌で覆い隠せるようなものなのに、当然のように大きく広がっていったが………。

SYSTEM :
 石が落ちた先を見ることは出来なかったし、それに何か反応があったわけでもなかった。

 ………ただそこが、湖にしてはずいぶんと深く広いのが分かるくらいだ。

木口龍 :
「……」

 これそのものが、異常性を持つわけではない。
 とはいえこんな島だ。水面を覗き込んだら引き摺りこまれるだなどというホラーはあるかもしれない。

木口龍 :GM、次は手で水をすくってみるが、手に異常はないか?
何度も聞いてもあれだから……
?手に異常がなければ、その水を飲んでみる。
?それでも何も起きなければ、警戒しながら覗き込む。
まで一気に行動は出しておこう。

GM :ふうむ………。

GM :分かりました。

SYSTEM :
 あなた/龍の視点に、それがどう映っていたのかは定かでない。
 ただ、少なくとも島の先に広がる湖を、ただの風景の一部と捨て置かなかったのは、それこそあなたの探偵の勘が働いたからか。

 それとも、オーヴァードである限り避けられない不条理を、その目が経験したことは一度や二度ではなかったからか。
 ………あなたにとって過去を確かめる術は正気を疑う吉野家のレシートと5円玉とメモしかなく、メモを見つめればより正気を疑い返したくなる指針だけが残っているというもの。

 実際、どうなのかを推し量ることは出来ない。よりによってあなた自身が。

SYSTEM :
 あなたはその湖の水にやれ手を差し出してみたり、問題なければ飲んでみたりと、表面から見ればいったい何をテーマにしているか分からないような調査の動きを取ってみたが、それで分かることがある。

 底が見えず、場所/『リュウグウジマ』がそもそも現実と比較して異様だ…という部分を除けば。
 ここは、ただの湖だ。

SYSTEM :
 ………恐らく覗き込む時までは、
 その結果に安堵と落胆のどちらかを懐いたに違いない。空振りだ、と。しかし………。

SYSTEM :
 覗き込んだ先。底一つ見えず、飛び込めば堕ちた底から帰ってこれまいと思う風景を前にした時。

 ………あなたは、ふと忘我の境地にいた。

▇▇▇▇▇▇▇ :
 █▇▅▇█▇▇█▅▇█▅───。

SYSTEM :
 それを幻でないと証明する手立てはなく。

 あなたの脳裏に響き、いざなう声は、ただ初めてではない言葉を置いていった。

SYSTEM :
 ………水面が、揺らめいた。
 投げ落とされた石の波紋など残っていないのに。

 まなこのように錯覚する、大きく揺らいだ水面のかたちは。
 まるで光の通さぬ遥か底から、あなたを見ているように思えた。

木口龍 :
「……」

 ……海神の遺産が絡んでいるような島だ。
 水周りには警戒しておくに越したことはない。
 それに、水の性質さえ分かれば、地質学から島の成り立ち(ルーツ)を探れるかもしれない。
 何がヒントに繋がるかは分からん。石橋を殴って破壊してから飛行機で渡ることしか出来ないチキン野郎には、それしかない。

木口龍 :
「──こんな"はいこれが秘密ですよ"というロケーションに宝が眠っているはずもないか」

 幾らなんでも、現実がラノベのように進むはずもない。
 水は軟質、泥が混じっている様子も無し。
 これ自体に何かおかしなことはない。山奥にある綺麗な湖止まりだ。

木口龍 :
 とはいえ一人でこれ以上こんなところにいられるはずもなし。
 最後に、ここまで透明度が高かったら底に何かあるんじゃないかと、淡い期待を■き■を■■■んで──

■■■ :

 ──■■■ ■■■■■ ■■■■ ───

木口龍 :
「──ッ!?」

 ──今、オレはあろうことかこんな状況でぼうっとしていたのか?
 最後になにかに見つめ返された。ソレに対する本能的な危機感から、弾かれるように後ろへ後退りする。

木口龍 :
 ……そして、オレの手元には、いつの間にか手帳が握られていた。
 明らかに自分の字だ。だが、こんなもの、書いた覚えがない。

 ──湖の先? 御守り? 叱って欲しい人? 的はそいつを唆してるやつ? 

 ……単語だけの羅列が並べられている。

木口龍 :
「なんなんだ、なんなんだこれは!」

 オレは慌てて、もう一度湖を覗き込んだ。時間が飛んだような錯覚が、現実じゃないって思い込みたかったからだ。

SYSTEM :
 なんだこれは、と。
 あなたが問いかける言葉は、内側に反響したのもつかの間、答えの出ない自問自答と分かってすぐに萎んでいく。

 書きなぐられた単語の羅列。
 あなたは意味の分からないことはしても、意味のないことは基本しなかったが。
 あなた/龍にとっては、それの意味を呑み込めというのも無理な話だ。

SYSTEM :
 ………後ずさり。
 それからもう一度覗き込んだ水面からは、何にも反応がない。

 返される言葉も、時の飛んだ感覚もしない。
 白昼夢でも見たような、そんな違和感だけが、心の中に積もる。

木口龍 :周囲に気配が無いなら……うーん

GM :おや………周囲の気配を気にしたのですね。

木口龍 :まぁ気にするわな。見つめ返されてるんだぞ。

GM :分かりました。

SYSTEM :
 ………周囲の気配を気にし始めたあなたは、はじめこそ、水面の向こう側から覗くものを知ろうとしたに違いない。
 
 なんなんだこれは、の。
 ・
 何、に決着をつけようと。

SYSTEM :
 ………しかしあなたのそんなおっかなびっくりの気配に。
            ・・
 背中から突き刺すような殺意が牙を剥いた。

SYSTEM :
 偶然か、必然か。
 気取らなければ、それこそ、よくあるサスペンスやミステリーで、探偵よりも先に逸って証拠を掴んだ人間のようになったに違いない。

 間一髪。
 あなた/龍はこれを避けた。あるいは、殺気を纏うレネゲイドに恐怖心が先んじて/□□□□が疼いて、その銃口を向けた。

木口龍 :GM、確認だ。それは獣の発する殺気か?

木口龍 :具体的に言うと熊とかそのあたりが発する、本能的なやつ。

GM :いいえ。…しかし、あなたはこの殺気に心当たりがありますね。つい最近のことです。

木口龍 :つい最近でオレが知っている……いやあのバケモン女ならこの時点で首飛んでそうだな。ついでに言うと黒いワンワンだったら殺気なんて出しやしねえ。

木口龍 :だがオレのやることは決まっている。

木口龍 :

      ・・・
 ──お前、死ぬぞ。

木口龍 :
 周囲の気配を気にした瞬間に、背中に突き刺さる殺意がそれを教えてくれる。
 オレの行動はもちろん早い。こういう時に撃ち返すのは三流も三流だ。
 なぜなら、背後を取られた時点でオレを躊躇いなく殺すことが出来るという詰みの状況が出来上がってしまっているからだ。
 オレが振り返って、銃を精製して撃つという3アクションを必要とする間に、相手は1アクションあれば首を飛ばせる。

木口龍 :
 ならば、ここから助かる為には時間稼ぎという手段が最も効果的だ。
 オレはその方角へ、ぐるりと勢いよく振り返り、

木口龍 :
「すんまっせんっしたァー!!!!!この通りだ見逃してください!!!!!オレ何もしてません!!!!単なるなにわの探偵です!!!」

 ──そう、謝罪の究極系、土下座である。

木口龍 :土下座しながら、ちらちらと下手人の様子を伺おう。

SYSTEM :
 あなたは一流の戦士の反射神経をフルに発揮し、

 馬鹿の世界チャンピオンの初手を奮ってみせた。

SYSTEM :
 先に言っておくが、これで状況を切り抜ける気だったとしたらもう大したものである。
 殺気に対してすることが土下座で通用するのはこの島には一人しかいない。

 ………つまり結論から言うのだが、その殺気は何の意味もなく。
 しかし、業腹ながら計算された(ことにしたい)その動きは、あなたの首を断たんとばかりの一振りから身を守って見せた。

SYSTEM :
 下手人の様子を伺う表情は、すぐにそこにいるものの姿を認めるだろう。

 ………そして悟る。
 あなたが得た既視感は、この群生地を越えた湖に来る前のこと。

『検異の骸/乙』 :『───』

『検異の骸/甲』 :『───』

SYSTEM :
 物言わぬ伽藍洞の骸。

 幽玄の気に覆われ、生死さえ定かでない、物の怪の指先。
 ───誰が言ったか、その姿。その手先操るもの。

〈───〉 :
『───は!
 は、は、は! ふはははは!』

〈───〉 :
『無様なり!
 いよいよ見放されしか! だが都合良し!』

SYSTEM :

 そしてそれは。
 あの時出会った、何処から発されるか定かでない声の持ち主ではあったが。
     ・・・・・・・・・・・・・・・・
 それは、何処から発されるか定かでないものではなかった。

SYSTEM :
 骸のふたりを従えて。

(よりによって土下座姿勢の)木口龍が目にしたものは。
 
 あまりにも、当代日本はおろか、世の中から浮いた姿。
 繋がりを持てず、繋がりに取り残されたもの………。

〈───〉 :
『殊勝な出迎え結構!
 なれば冥土の土産に再び聞けい!』

〈───〉 :
『この身紐づく肉の器にて………
 六銭掠めて蘇りし………』

〈───〉 :
   ・・
『───この!』

『蘆屋道満』 :

 ・・・・
『蘆屋道満の名をなッ!』

木口龍 :

「ああああああああああああもおおおおおおまたかよおおおおおおおおお!!!!!」

 オレは叫んだ。
 土下座を選んだ相手は、的外れの見当違い。
 あのゲキヤバドラゴンと一緒にいた札付きのやばい連中だ。
 言語を介さぬ獣でないとマジで助かるといった淡い期待は消え失せた。
 
 ……が、ここに一縷の希望が訪れる。
 一応は人間の言語によるやり取りが出来る存在がいたのだ!

木口龍 :オレはそれはもう、仰々しく驚き、

木口龍 :
「あっ、あのっ、伝説的陰陽師、蘆屋道満ッ……!!! そんなッ、このオレごときが顔を拝謁するなどと……!!!
 五円玉ごときで申し訳ございませんでしたァーッ!!!」

 一瞬だけその顔を見たのち、再度土下座姿勢。姿勢は崩さず、その名前と功績を全力で褒め称える!!!

『蘆屋道満』 :
『は、は、は!
 ───戯れるでないわ、木端め!』

『蘆屋道満』 :
『この蘆屋道満、市井の声なぞとうに飽いた!
 まして敵など、ただ一人を除いて地に伏せ飽いたわ!』

SYSTEM :
       ・・・・
 それが実際に蘆屋道満なのかは定かでない。
 ただそいつの装いは、あなたの記憶が確かならば平安時代のソレであったし、居丈高な振る舞いはさておき、先の戦いで斃れた骸武者どもの符に描かれていたものを思えば、どれだけ低く見積もっても”それらしい者”として結論はつく。

 星形の印と、格子状の印。
 ひらり舞い落ちる符に描かれていたものは、それだった。

『蘆屋道満』 :
『されど、如何にも顔を拝んでも…分からぬことぞ。
 承知の上で地を這い、“リュウグウジマ”の要に辿り着いておきながら、未だ得心の素振りなし………』

『蘆屋道満』 :『………なれば貴様、命は惜しいか?』

木口龍 :「いやそれはもう命は惜しいですよへっへっへ……」

SYSTEM :
 あなたのこれから3秒で何もかも売っていきそうな言葉に、男はそこそこ気をよくしたらしい。
 ………今日の都合で左右される感情など明日にも崩れるものだし、本心からそうとは思えないが、ともかく。

『蘆屋道満』 :
『ならば頭を垂れよ。尾を振れィ! 
 興が乗ればこの道満、その無様に免じ生を赦そう』

『蘆屋道満』 :
『………そう、貴様。
    ・
 貴様、誰の使いか知らぬが、その者から我へと忠を替えよ』

木口龍 :
「ははーーーっ!!! なんなり、t──」

木口龍 :
「──大変恐縮でございますが蘆屋道満様、私めが他人の遣いに見えるのでしょうか……?」

木口龍 :
「こんな!!!!
 五円玉だけで放り出す主などいるわけがないでしょう!!! 
 そう!!!! 真に素晴らしき御身を拝謁するためだけに私は生まれてきたのです!!!!」

『蘆屋道満』 :
『………』

木口龍 :「……」

『蘆屋道満』 :
『………しょせん稀人どもは………。
 彼奴めが“めくら”で風穴開けた先から、迷ひ来たに過ぎぬ』

『我とて、差異はあれど本質は変わらぬ。
 あのあわれなる虚ろの娘もな』

『蘆屋道満』 :
『………それを、この期に及んで白切るか。
 ・・
 貴様が迷い込むのは道理が通らぬ』

『蘆屋道満』 :
『………火出の者の妄執を解きに参ったな?
 ・・・・・
 当代の人間に、彼の者の妄執識るはずなし。なれば八百比丘尼めの使いかと思うたが、あの者が貴様の如し奇妙なる男を遣うとは思えぬ………』

『蘆屋道満』 :
『………答えよ。
 この蘆屋道満が千載一遇を妨ぐるもの、悉く除けねばならぬ』

『蘆屋道満』 :
『───答えよ。

 ”リュウグウジマ”の彼方ならぬところより出でし貴様。何者だ』

SYSTEM :
 その瞳の怒気は、この島においては、あるいは常に漂う妄執を持っていた。

 そいつもまた。あなたを見ながら、あなたでない何かを遠くに臨んでいた。

SYSTEM :
 ………その臨むものの影を僅かなりとも感じたか、単に“邪魔”だからか。
 
 この、島どころか、島の内外からあまりに“浮いた”繋がり持てぬ存在は、あなたをこの島で見た誰よりも強く敵視しているように思えた。

SYSTEM :


 ───□□□□□□□を遣うにあたって。
   誰よりも。

木口龍 :
 ──やべこれ地雷踏んだか。

 ならばハッタリ通すしかねえ!
 ここでマジで何も知りませんとか、普通にやりそうな動揺とか見せたら殺される!
 もうお前これ念のために一人のうちに消しておくかとかそういうやつじゃねえか!
 もしかしなくてもこいつ何も知らねえなという一点に賭けて、オレは賭けに打って出る。

木口龍 :
「──あ、あああああ分かりました、分かりましたとも!!!
 そう、落ち着いて、落ち着いて聞いてください蘆屋道満様。

       ・・・
 オレの主は、磐長姫です」

 オレが口にしたのは、今まで聞いた部分から連想出来る範囲の言葉だった。

木口龍 :
「……あなた様が邪魔に思うのも無理はありません。
 磐長姫は排斥された恨みつらみの魂を全てオレに籠めました。
 火出を解き放ち世界を支配し焼き払ってしまえと! ──そう、その目的を果たす為にオレは此処に参ったのです」

木口龍 :
「が、磐長姫様は恨みつらみを吐き散らすばかり。
 そのせいか呪力も大幅に増してしまっており、オレは毎夜毎夜苦しめられているのです。ああ今も!!!!今もオレの脳内を支配している!!
 ですのでどうか! そう、蘆屋道満様。災い祓うあなた様のお力になると共に、あなた様のお恵みを私に与えていただけませんでしょうかァ!!!」

木口龍 :

 ……正直これ通んなかったら絶叫しながら強行突破してやる、ぐらいの気概は見せておこう。

SYSTEM :
 ………あなた/龍の言葉に、曰く『蘆屋道満』と名乗った男が腕を組む。

 あなたの行動に落ち度は………。
 落ち度………。
 
 落ち度と呼べるものはそれなりにあったが、その全ては誤差の範囲に過ぎない。それは、男の行動の決定的な要因足り得ない。

 なれば此度の最大の落ち度は一つだ。

SYSTEM :
 あなたの言葉は蘆屋道満という伝承上の陰陽師にとって、そして日本に語り継がれた神話を識る者にとって筋が通ろうが。

 リュウグウジマという環境にとっては筋の通るものではなかった。
 ・・・・
 火出の者が何を意味するのか存じていれば、今の発言は口が裂けても出るはずがなかった。

『蘆屋道満』 :
『………………』

『蘆屋道満』 :
『───は。は、は、は!
 ふはははははははァ!』

『蘆屋道満』 :
『左様かァ! 孤つ彷徨い水底の果てを泳ぐ者………。
            ・・・・・
 火出の者の望みがァ! 世界の支配と申すかァ!』

『蘆屋道満』 :
『頑しに振る舞い、猶も口堅く結ぶ姿勢!
 けっこう! だがな………』

『蘆屋道満』 :
『うつけめがッ!

 やはり貴様、此処で死ねいッ!』 

SYSTEM :

 ───あなたの言葉の何か。
 どこか致命的な何かが「よほど」癪に障ったか。

 男の言葉は決定的に、あなたへの殺意へと傾いた。
 嘲りを通り越し、憎しみを通り越し。その態度を、概ね“愚弄”と取った。

『検異の骸/甲』 :『───』

『検異の骸/乙』 :『───』

SYSTEM :
 レネゲイドを纏い、恐らく先に銃撃していても一度の射撃では死ななかっただろう者が。
 その矛を振り上げる。

 忘我の中で、ただ眼前の敵滅ぼせと。
 主を守れと、その身命賭して成すべきを、怒れる陰陽師の命のもと実行せんと踏み出す。

木口龍 :
「う"ォ"あ"あ"あ"あ"テ"メ"エ"が死"ね"ええええ!!!!!
 テメエみてえな子供向けの歴史書にすら残らない陰険陰陽師なんざこっちから願いさげじゃあああああ!!!!」

 断られた。というか何か地雷を踏んだらしく、殺害予告までされた。
 ならば、プランBである。
 万国共通の宣戦布告の証。ファッキュー指を立てながら、売り言葉に買い言葉、銃を形成しようとして──。

SYSTEM :
 ………あなたの行動に落ち度と呼べるものはそれなりにあったが、その全ては誤差の範囲に過ぎない。それは、男の行動の決定的な要因足り得ない。
 
 しかし。
 あなたの行動が功を奏したことがあるとすれば。
 その、無為とも取れる長い言葉択びと、頑しとまで言われるざまが齎したものはひとつだ。

SYSTEM :

 結論から言って。
 あなたが、強行突破の意識を割いても、実行に移す必要性はなかった。

SYSTEM :
 振り上げた刃がいつまでもやって来ない。

 からから、と崩れ落ちる何かの音。
        エージェント
 やがてそれが、検異の者と名付けられたのだろう者共の骸だったと、破片と符のみが物語る中。

『蘆屋道満』 :
『───何奴!』

SYSTEM :
 返す刀と共に、あなたの視界には二人が消え、ひとりが稲妻と共に立っていた。

 知らぬ顔、知らぬ背だ。
 こういうもののことをなんと呼ぶのか。

“パラディン”的場啓吾 :
   ロクデナシ
「───落伍者さ」

SYSTEM :

 ………敵の敵。
     ・・
 または、悪運というのだ。

木口龍 :
「うへぁっ!?」

 情けない悲鳴をあげながら、間に割り込んだ存在に尻もちをついた。
 目の前の骸共は皆、突如現れた偉丈夫によって斬り伏せられていた。

木口龍 :
「あっ、スンマセン……ありがとうございます……」

 だが醜態を晒していても、何よりたまたまカチあっただけにしても、礼を言うのが美徳である。
 それが、先程まで三秒で命乞いし、命惜しさに嘘八百を並べ立てて陣営を寝返った上で情報を抜き取ろうとした挙げ句、絶許宣言の末に掌をドリルして口汚く罵ったあとでも、だ。

SYSTEM :
 その男の背には、分厚い鉄の塊があった。

 はじめ、そう見做したものの正体。
 飾り気もない武骨さ。
 鉄板のような分厚さ。
 それは即ち、剣だった。身の丈はるかに超える、名無の業物。

 ………UGNがまだガーディアンズなどと呼ばれていた時の当事者ならば、誰ぞが知っていよう。

SYSTEM :
 レネゲイドに反応・増幅し、その破壊力を増す刀身。
 バトルガーディアン
 戦士の守り刀───嘗て黎明の時代、近代的な『戦争』から原始的な『決闘』に一時期は逆戻りしたオーヴァード同士による戦闘行為が、再び近代的な『戦争』に立ち返ろうとするまでの僅かな過渡期(少なくとも片方の陣営については)において使われていた武器のひとつ。

SYSTEM :
 だが実際のところ、骸を追い払うのに使ったのは、その剣ですらなかった。
              モ ル フ ェ ウ ス
 ただの徒手空拳。それから、物質形成能力で作った即席の太刀。
 準備体操でもするような呆気なさと気軽さ。
 決して軽い相手ではなかったものが、埃でも払うように斃れて消えていたが、それは断じて、その守り刀に依るものではなかった。

SYSTEM :
 わけではないにも関わらず………。
 その刀身には、幾分かの欠けと汚れと擦り減りがあった。

 長きに渡り遣われて来た、歴戦の一太刀だ。
 あるいは、男の手に渡る前からも、ずっと。

『蘆屋道満』 :
『ぬう………用もない鼠めがチョロチョロ!
 この道満ともあろうもの、聊か刻と戯れすぎたか』

SYSTEM :
 吐き捨てるような男の呟き。
 砕け斃れた骸ふたつ分と、そこから破け、火でもついたかのように燃え滓になり果てようとする符にかかずらうことなく。

 道満の瞳が、あなた/龍と、あなたの前に立った男を見る。

SYSTEM :
 背は大きいが、すぐに直感する。
 ・・・・
 たまたま、だ。
 あなたの悪運と呼べるものがまたしても強く、あるいは男の分別がいいから。
 たまたま“放っておいてもいいだろう”にカテゴライズされただけ。

“パラディン”的場啓吾 :
「まさか本当に虎だけじゃなかったとはな。
 迂闊なことは言うものじゃない」

SYSTEM :
 そいつは現に、あなたの言葉など、耳にしていようがいまいが一切関係なく。
 次のように返した。

“パラディン”的場啓吾 :
「取り込み中だったか?
 だが、漸くクチの利けるのが見つかったところなんだ」

SYSTEM :

 つまり彼が来たのは、別にあなたを援けるためではなかった。
 結果的にはそうだったが………要するに。

 はじめて理性を有する“目印”を見つけたから、とりあえずどういう結果でも踏み込んで来ただけ。

 ───かつて聖騎士、今は狂戦士との別名も聞こえる者の第一声。名を知らずとも、どちらとも取れる、第一印象。
 

SYSTEM :
 ………そしてあなた/龍にとっては。
           ・・・・
 たぶん、いや確実に、悪いことではなかった。

“パラディン”的場啓吾 :
「ほう。存外に…クチが利ける余裕はあるな。
 まさかと思うが、そのザマでオーヴァードだったか?」

SYSTEM :
 嘲りでも疑惑でも侮蔑でもない確認。
 強いて言うなら幾分か呆れ。

 男は特に視線を向け返すでもなく、そのまま声色を特に変えず、眼前にのみ相対した。
 あなたが何かの間違いで”こいつの首で勘弁してもらおう!”とか思い至ったところで、その背は決して無防備ではなかったことを思い知るだけに終わるだろう、という確信だけを残して。

木口龍 :
「いやもう、それはもうあれですよ、オーヴァードってやつらしいんですよ私は……」

 ダブルスパイなどと考えていた木口龍に、今助けてくれた人間を売り渡すなどという思考はない。断じて。
 仮にあったところで──。

(……地雷踏み抜いてっから無理だよなあ。あわよくば抜き取れる部分は抜き取ろうとは思ってたんだが)

“パラディン”的場啓吾 :
「だったら次は…頭こすりつけて土下座するのは持ってるモンを使った後の最後にすることだな。
 やり過ぎて馴れるか、馴れるのに併せて自分が腐るぞ」

SYSTEM :
 はっ、と鼻で笑う音。
 幸い………幸い? こっちは致命的侮蔑や嘲笑の類ではなく、
 そして手駒のいない“蘆屋道満”の様子は、途端に何かを考えあぐねる面に変わった。

『蘆屋道満』 :
『小癪………。
 しょせん渦中の端に触れ迷い込んだ木端めが、斯様な時に現れ命拾いなど───』

SYSTEM :
 彼我の距離において、平安時代に名高き陰陽師の片割れ/蘆屋道満を名乗った推定ジャームの衝動は、しかしここで“事を構える”には至らなかったらしい。

『蘆屋道満』 :
『然れどその顔確かに覚えたり!

 法螺吹きの男、そして───。
 如何なるものか知らぬが、火出の者の妄執識る者の使いよ!』

SYSTEM :
 現代語訳にして、曰く”次は殺す”。

 その言葉と共に、破けかけた骸と符が再び形を取るが、しょせんは目晦ましだ。
 分が悪しと見たのか、それとも意図あってのことか。その道満を名乗った男自身が追撃を仕掛ける様子はない。

 仕掛ける様子があるとすれば。

『検異の骸/甲』 :『───』

『検異の骸/乙』 :『───』

SYSTEM :
 次、とばかりに現れ出でし。
 武者の骸。

 二度あることは何とやら。
 以前“喚楽の人喰い虎”の行く手を阻むように鎧武者どもが立ち塞がったように、それが再びかたちを成す。

 逃げるに至っての置き土産と言ったところ。

木口龍 :
「二度とごめんだねテメーみたいなおでんに入ってるソーセージみてえな陰険面!!!」

 消えゆく背中に、調子づいたのか、要約すると"ばーかばーか"と送る。
 男の助言? 呆れ? も何のその、味方がついた木口龍というのはこうも態度が大きくなるのである。

“パラディン”的場啓吾 :(こいつ思ったより調子がいいな、の顔)

SYSTEM :
 小学生並みの罵倒………いやさ、小学生はもう少し単純かつ明快な意味で罵倒するだろう。兎に角そんな感じの罵倒を手土産に持って帰らせたのもつかの間。
 骸たちに耳もなければ頭もない。

 幾度か立ち会った鎧武者と本質的には同じだ。これらは主の意を身命賭して実行するだけの暴力装置。
 なればそれは、正面から襲い掛かり───。

 あなたが知っていたのかは定かでないが、それはまたしても、そこに到達することはなかった。かすりもしない、とはこのことだ。

SYSTEM :
 またしても、瞬きのうち。
 即席の得物が二度閃いて、ばらばら、と骸を象っていたものが両断される。

SYSTEM :
 起き上がろうとしたものには、容赦のない無慈悲な追い打ちが一度入り。
 とうの本人は、涼しい顔で、事の次第への所感など述べる始末だ。

“パラディン”的場啓吾 :
「“ブラム=ストーカー”………”モルフェウス”もか」

“パラディン”的場啓吾 :
「『リュウグウジマ』に虎が来て、大仰なドラゴンがいたら、次は蘆屋道満。
 ………なるほど、“ヴィカラーラ”が人伝でも確認したがるトンチキだ」

SYSTEM :
 ………あっという間の顛末である。

 嵐のようにやって来た命の危機(?)は、嵐のようにやって来たものに巻き込まれたうち、あれよあれよと過ぎ去っていた。

“パラディン”的場啓吾 :
「逃がしたか。まあいい、あっちは話の通じる面じゃなかった。
 ………ではそうだな、」

“パラディン”的場啓吾 :
「そっちの。
.     FH
 見たとこ“同類”じゃないだろう。名前は」

SYSTEM :
 それが終われば………。
 戦い未満の行動に余韻など何もないかのように、男はあなたに視線を向けた。

 ………勘違いしないでほしいのは、彼は別に味方ではない。
 敵の敵ではあったし、敵と見ている顔ではなかったし、良心はゼロでもなかったのかもしれないが。”それはそれ”が出来ない顔では、なかった。

木口龍 :
 よしまだギリギリまともな人間だ……クソ強いが。

「った、助かったぜ……いやマジ助かったぜ……。
 オレの名前は木口龍。UGNでもFHでもない、大阪市西成地区(個人情報)在住の、なにわの探偵さ。あっこちら名刺です」

木口龍 :オレは名刺を差し出そう。

“パラディン”的場啓吾 :そいつは受け取る価値が出来てから貰おうか

木口龍 :ビジネスマナーとばかり・・・・

“パラディン”的場啓吾 :そりゃいい。こんなトコにビジネスで来る酔狂さがあれば、当分はやっていけるぞ。

“パラディン”的場啓吾 :
「探偵が海で失せ物探しか?
 ま、冗談でも本気でもいいさ」

“パラディン”的場啓吾 :
「見たところ、話が通じるのと出会ったのはおまえが初めてでな。一人か?」

木口龍 :「まぁあの人探しといいますか、失せ物探しなのは間違いないといいますか……」

木口龍 :「いや、マジな話すると話の通じる人間が何人か生き残っている。オレはそこに身を寄せてなんとか生き延びているといったところだな」

“パラディン”的場啓吾 :
「知らずにノコノコ一人で出歩いていたのか、脅威を知った上で択んだ初手が“アレ”なのか………」

“パラディン”的場啓吾 :
「ま、そっちはいい。
 特段興味はないが………そうか、何人か、か」

SYSTEM :
 そう聞いた彼は、あごに手を当てて“ふむ”と考え込む仕草。

木口龍 :「……? どうかしたのか?」

“パラディン”的場啓吾 :
「いやなに。噂はウソでもなかったのかもしれんと思ってな」

木口龍 :「噂」

SYSTEM :
 男の口調は一先ず、あなた以外に“数人がいる”ことをすんなりと納得したように見えた。
 そしてそうこうしている間に、疑問を軽く横に置いて流しながら、あなたが“来た”道を顎でしゃくる。

“パラディン”的場啓吾 :
. UGN  .. FH
「“あっち”と“こっち”は分かるようだな。
 じゃ、聞き方変えるか。おまえ、お友達はどっちだ?」

SYSTEM :
 友好的に見える口振り。
 微笑すら交えてくることもある男だが、基本的に“渋った”場合の回答は極めてスムーズかつ簡潔だ。

 それが赦されるのが、彼の言う『こっち』。
 または『落伍者』の流儀である。

木口龍 :「ふーむ」 ふーーーーむ……と少し考えてから、

木口龍 :
「分からん。なにせ、オレにはまともと呼べる記憶が無い。
 自分の持っていた手帳で、自分のはずなのに自分じゃない指針に従うような男だからな」

 ──曖昧な返答をした。
 "コイツになら態度を変えていいか"と平然と切り替えられるのは、オレ自身も知らない、木口龍の異常性とも呼ぶべき部分ではあった。

木口龍 :
「だが、"人助けをしろ"と書いていて、"依頼人"の望みは必ず叶えるべきだと書いてある。
 他ならぬオレが書いてるんだから、まぁ、うん、やらなきゃならんだろうとオレは思う。

 そこにUGN(あっち)も、FH(こっち)も、関係無いだろう?」

木口龍 :
「うん、まぁ、だからさっきの蘆屋道満が言っていた遣いとやらも案外マジだったりしてな!」

 だってそもそもオレだけ流れ着いた経緯おかしいらしいし。

SYSTEM :
 包み隠さない第一声。
 普通ならば、というか普通でなくとも。よくて頭がおかしいと受け取り、悪くて“はぐらかし”と受け取る綱渡り。

 さっき骸を切り裂いた一太刀が、そうかの一言と共に飛んだって文句は言えないグレーゾーンである。

“パラディン”的場啓吾 :「………ふ、」

“パラディン”的場啓吾 :
「は、は、は! そうかそうか。正真正銘、身一つの漂流者か!
 何処の誰がそんな天地のひっくり返ったような遭難をする? 長く“ふざけた”世の中にいるつもりだが、このタイプのジョークは始めてだ」

SYSTEM :
 それが事実だとしたら、更にほんのちょっと愉快だ。
 笑って口にした彼が、どの程度あなたの言葉を『真実だ』と呑み込んだのかは定かではない。少なくとも、ここで理性のない生物認定はしていないし、言葉から微かに刃の見えるような素振りも、まあなかった。

SYSTEM :
 で、それはそれとして、だ。

“パラディン”的場啓吾 :
「なるほどな? お前の事情は、まあそれでいい。分かった。で、だ」

“パラディン”的場啓吾 :
「俺が聞いたのは。
 ・・・・・・・・・・・・・
 この島で身を寄せ合っているお前のお友達がどっちなのかって話だ」

“パラディン”的場啓吾 :
「『もう一度だけ』聞くぞ。いいか。
 おまえ、一人で行動する前にどういうのと出会った?」

木口龍 :
「……なるほど」

 FHというのはなるほど、油断ならない相手のようだ──いやなんか手帳に書いてあったな。
 とはいえここは慎重に言葉を選ばなければならない。罷り間違って迂闊に口走れば、揃って敵対も有りうる。

木口龍 :
「言っただろ?
    ・・・・・・・・・・・・
 オレは誰とも知らん依頼人の味方をしなくちゃならん。
 オレ自身の思想信条あるいはその他諸々で、どっちの立ち位置だ?と言っているのであればどちらでもないとだけ言うが──」

木口龍 :
「……話してもいいが、一個だけ確認だ。
 悪いが、ここでUGNに寄せたか、FHに寄せたかって聞いてくる辺り、どうしてもオレは裏を勘ぐってしまう。すまんね、こんな性分で」

木口龍 :
「アンタは、どこの……まぁ自分で言うとおりFHなんだろうが、誰だ?

 仮にオレがUGNに助けを求めたって言った途端に背中を刺すなんて真似されちゃあ、あの世で顔向けできん」

“パラディン”的場啓吾 :
「どこの誰、か」

SYSTEM :
 軽く顎に手を当ててから。
 男が口にした名前は、此処に来るつい前、FHの二人が零していたものと同じだ。つまり………。

“パラディン”的場啓吾 :
「“パラディン”」

SYSTEM :
 伝わるヤツなら名乗る必要はないし、伝わらないヤツなら名乗る意味はない。
 悪名込みで広まったダブルクロスの勲章/疵を、彼は自分の名前として使った。

“パラディン”的場啓吾 :
「それに………これでも随分ストレートに言ったつもりなんだがな」

SYSTEM :
 おまえの事情は興味が出来てから聞くし、おまえの良い、悪いは興味が出来ていない時には意味がない。
 男の話は『訪ねる』ものではなかったというそれだけの話であり。

 彼が聞きたいのは理由や説明ではない。
 ・・・・・
 人数と旗色だけだ。
 呆れ気味の溜息は、警戒の色を買いはしたが───。

久外境耶 :おれ行ったほうがハナシはやそーだ。GM、登場いいか?

GM :ふむ。…。

GM :改めて宣言しておきましょうか。

GM :
いえ、仰々しい言い方は止しましょう。
どうもGM側のヒューマンエラーを感じます! なので、例外的処置として、今回は『トリガーシーン』ですが登場侵蝕を見なかったことにして構いません。

GM :そのまま登場どうぞ。

久外境耶 :サンキュー!

久外境耶 :うっす。ホデリも頼めるか?

GM :おや? 構いませんが

久外境耶 :やり〜 じゃ、行きますかア!

久外境耶 :
 魔獣の森を抜け、報告に戻った"残骸"と分かれたあと。
 道なき道を進んで、それっぽい気配を追っかけた先。

「……は?」

 なんか、すげえ取り合わせを見た。

久外境耶 :
「うーわ、しかも何あの空気。土下座か? 初手土下座したんか? あいつ……」

 ぼやきつつ、一緒に来てるはずのホデリに振り返る。

「いたわ〜ラスト部下。つって、見りゃわかんだろうけどアッチのが格上な。……とりあえずナシつけにいくかア」

久外境耶 :
「ちょい待ち、タンマーーーー! それ一応ツレ……? なんでえーーーー! 待ってもらっていースかあ!?」

 とりあえずでっけー声出して報連相! の、相抜き!

SYSTEM :
 ………大きな湖。
 吸い込まれるように広い藍色の表面。

 幾ら見通しても底の見えない、海か虚と見紛う、巨大な碧の穴に張られた水面。
 やって来た理由は、自称なにわ探偵、他称ナマモノ以下複数の青年の探索先について向かったあなたが、森を抜けて“そこ”に辿り着いたのは、あなたの境目で拾われがちな幸いに依るものか。

 それともなければ。

『ホデリ』 :
『………ここは』

『ホデリ』 :
『心得たり、というには早いが…。
 もしや───?』

SYSTEM :
 その光景を前に訪れ、何事か言いたげに暫し閉口し唸り、鼻をふるわせていたホデリのものか。

 いずれなのかは定かでもない。
 というか、あなた/境耶も反応する前に、ナシつけに行く部下/先達の反応が時限爆弾のスイッチ残り5秒前程度の感覚だったことはアタリを付けていたのだろう。

SYSTEM :
 もしも気を取られて『なんかご存じ?』のなの字でも発していようものなら、男は平常心のまま“目的に適さず”とかたづけた青年を片手で切り捨てて次に行ったに違いない。

 結果。モルフェウスのエフェクトが適用される前、ツレ呼ぶのも不承不承の大音量を前にして………。

“パラディン”的場啓吾 :
「ん? “ラッキージンクス”か」

“パラディン”的場啓吾 :
   コード
「その願掛けは偽りじゃないようで結構だ。
 ところで………他称虎とドラゴンと自称歴史の偉人以外、“運よく”愉快なものと出会ったか?」

SYSTEM :
 5秒前に起こしたかも知れないアクションの予兆など欠片も見せないまま。
.         シリアイ
 彼は、やって来た来訪者に声を掛けた。

久外境耶 :
「グエ、そっちもおおかた制覇してんじゃんウケる」うそウケない

久外境耶 :
「い〜や? "運悪く"そこのイロ男拾って、いまあんたの古巣連中と一緒。ゴエツなんとかね」

 遠目にも分かっちゃいたが、やっぱ話通ってないっぽい。まさかイロ男、おれらに義理立てでもしたか? 仲間の情報は売りません的な?

 ……だとしたら間は悪かったが、まあ。おれも男の子なんで? そういうノリは嫌いじゃないデスけど?

「ミッドナイトも後から見つかって──あ、そうそう」

久外境耶 :
「あいつ、ワンコロにけつ追いかけ回されてマジキレててさあ。
 お礼参りするって息巻いてたのおもれーから、あんたも都合つけば行きましょうね」

久外境耶 :
「──って、おれが脱線してどうする」

「"運良く"もあったんで、願掛けの成果は半々スかね。ホデリって言うんですけど」

久外境耶 :
 わはは見ますかーどうぞこちらですジャーン、と気持ちテンション高めに指し示す。

 ……そういや、焦って聞き逃したけど。なんかご存じ?

“パラディン”的場啓吾 :
     ミッドナイト・アイ
「あいつ、“夜目代わり”じゃないのか?」

SYSTEM :
 ………どこか気だるげな、任務以外は割かしどうでもいいとばかりの。
 ファルスハーツでは“遣われる”側でしかない少女の様子。
.                            チルドレン
 マーダーオヴブラックが『目』の役割を担う、血も涙もない子供たち。
 そのはずのヤツの、あまりに血の気の多い行動指針に、男は冗談だろと笑う。
 そんな軽口で返していい程度の脱線に程々に付き合ってから───。

“パラディン”的場啓吾 :
「そいつは愉快な災難だった。お互いにな。
 こっちもちょっと訪ねごとをしていたんだが、色々手間は省けたようだ」

SYSTEM :
 ついでに、あなたの仮想は、ひょっとすると外れでもなさそうだった。
 陽気に笑う男/決して陽気な理由で正しさから落伍していない“パラディン”は、それから隣の男に『なあ?』とアメリカンに肩を竦めて。

“パラディン”的場啓吾 :
「悪くない判断だろう。たまに例外はいるが、連中はなんだかんだ“それはそれ”が上手でな。
 人手足らずか、やむを得ずか、いずれにしたって………最善かはともかく悪手でもない」

SYSTEM :
 というわけであなたの収穫の『運が良い方』。
 そう呼んだホデリという名の白い狗に話題が移る。

『ホデリ』 :
『これなる男が………“パラディン”か?』

“パラディン”的場啓吾 :
「ほう。名付けまでして見かけによらず酔狂やったかと思ったが、ずいぶん個性的なコミュニケーションの仕方をする。
 そいつ…RBか? それにしちゃ…」

SYSTEM :
 それにしては。
 この回答は誰もが、少なくとも境耶は心当たりを持っている。

 ひととちがういきもの
 レネゲイドビーイングにしては、あまりにも───というやつだ。

SYSTEM :
 そして、あなた/境耶が”運悪く”と指して彼/龍のなりを示したことで、少なくともパラディンは、身を寄せ合っているのが、即席の、現在の日本ではあまりに人聞きの悪い混成軍だということも理解したらしい。

 最終的にどうするにせよ、悪い判断でもない───少なくとも咎める様子はなかった。前述の通りだ。

久外境耶 :
「話が分かる大人で助かるなあ〜」ざ〜とらしい声を出しつつ、ホデリに首肯で応じる。

久外境耶 :
「いや〜、マジでこんなコトなるとは。成り行きってコエーね」

 そういやどいつだかが魚のエサ野郎の残骸見つけたらしいっすよ〜と寄り道しつつ、ざっくり経緯をかくかくしかじか。

久外境耶 :
「で、パンピー遺産女は虎が咥えてったんで今んとこそいつ持って帰ればいーんかなってカンジっす。オシゴト的には」

“パラディン”的場啓吾 :“パープル・スパーク”だったか? ロクでなしがエサになったなら大躍進だ

久外境耶 :ちがいねえ!ゲラゲラ

SYSTEM :意訳は“適当に手でも合わせとけ”。同業の順当な死に対する扱いなど、彼らにとってはこんなものである。

木口龍 :
「……」

 うん、これオレが余計なこと言って引っ掻き回したせいしかないな──何か聞かれるまでは黙っておこう。

“パラディン”的場啓吾 :
「先のことが読めたらヴィカラーラだって今頃自分で飛び込んでるか、送り付けやしない。

 ………しかし呉越同舟はいいが、なんだ?」

“パラディン”的場啓吾 :
「こっちの探偵サンの口調から薄々そんな気はしたが、絶賛遭難中は俺達とUGNだけでもないらしいな。
 目的だけはシンプルなままなのが幸いか」

SYSTEM :
 とはいえ、上司の命令素直に聞いて帰って来る、がFHの仕事ではない。

 上司の命令建前にしてやりたい放題するのが、彼ら的に言う“ロクでなし”寄りFHの流儀であり仕事である。

 そうさせないためのミッドナイト・アイもあの調子だったが、そもそも”リュウグウジマ”の実体がどうとか、総取りできるかできないかとか、概ね確信を持ってのものでもなかった。

SYSTEM :
 ………あなたがしれっと“まあ聞かないでいいや”と流した情報の中に、その辺りの答えがある。

 ヴィカラーラがこっそりデータチップを拝借した理由が、ただのコードウェル博士への“““いやがらせ”””であり、その発端から来る『じゃあ序でに』レベルだったことなど。

 今となっては、割とどうでもいいことだ。

久外境耶 :
「どっちみち全員虎がマトだ。このまま行けばゴエツ……ドーシューで終われるんじゃないですかね。

 ま──おれもミッドナイトのコト言ってらんないスけどね」

「さっき紹介したっしょ、ホデリ。こいつのやりてえコトに付き合うって決めたんで、もしものときは手伝い頼みます」

    ・・
 これはまだお願いだ。
 何か含むでもなく、ごく自然に。

 なんせ、こちとらやりたいコトやるロクデナシ。肩肘張ってお願いしますも違うワケだ。

久外境耶 :
「グタイセーとかは追々ね。たぶん虎追っかけてりゃ自然と……ってカンジなんで、今はそんだけ」

 オシゴトついでなのか、ついでにオシゴトやってくのかも、一旦置いといて。両取り前提ならそのあたりの前後はどーでもいい。

“パラディン”的場啓吾 :
「大した酔狂だ。
 ジンクスがそっぽを向くくらい行き当たりばったりだな」

SYSTEM :
 鼻で笑う音。
 まだ出会って間もないものにそこまで入れ込む事情など、この“パラディン”に然したる意味があろうはずもないが。

 ごく自然な“じゃあよろしく”の経緯は、逸れた時間も加味すればすさまじく直線的であるのも事実だった。

SYSTEM :とはいえ………。

“パラディン”的場啓吾 :
「仮ボスが懐かれたもんだ。
 そっちの“ホデリ”としてはいいのか?」

『ホデリ』 :
『名も知らぬ者に命を賭そうなぞ………わたしも初めてだが』

『ホデリ』 :
 ・・
『ゆえ、伴を恃んだ。
 高慢にな。わたしの望みは、ここで始まりここにて終わる』

“パラディン”的場啓吾 :
「そうかい。“ラッキージンクス”」

SYSTEM :
 その時男は、そいつに何を見たのか。
 いや、見るものなど恐らくはなかった。

 見てわかるような類の力などなければ、彼のして来た経験は、一切ホデリという白狗の歩んだ経験と合致するものはない。

 なので、口にしたのは、彼の自我から来る所感にすぎない。

“パラディン”的場啓吾 :
「いい目標だ。滅多にない。
 手前の都合で“誰かのため”をやるなんざ」

SYSTEM :
 俺がやるかどうかは別としてな。

 冗談めかしたものを言う時の皮肉気な面で、とりあえず彼はあなたの“お願い”を否定はしなかった。

久外境耶 :
 静かな誓いと、何てコトのない感想。

「イエ〜イ、あざす」

 なんで、こっちもフツーに応じる。ぴーすぴーす。

久外境耶 :
「せっかくだしあんたもなんか遊んじゃえば? ほら、黒須の坊ちゃんみたいなさあ〜」

 サカイメがどーたら? のやつ、とろくろを回す。

久外境耶 :
「成り立てのダチ連中がそのへん落ちてるらしーけど、ぜーんぜん会わねえの。
 おれ、てっきりあんたが一人くらい拾ってるかもなーとか思ってました」

SYSTEM :
 なんてことのない感想、
 なんてことのない返礼。
 
 元より他人のプラスとマイナスなど、前者は儲けで、後者は関せず。そんな程度で上々だ。

“パラディン”的場啓吾 :
「俺がシャレの分からん杓子定規をやってもいいならな。
 だいいちヤツが来ても、此処で境目だ何だと………」

“パラディン”的場啓吾 :いや、案外言うかもな。

“パラディン”的場啓吾 :
「ま、具体性の話は“生き残り”の皆様と顔を合わせてからやるとしよう。それに………」

SYSTEM :
 元々“パラディン”と来たら、“ヴィカラーラ”の下した嫌がらせのついでの嫌がらせを貸しにする気満々でシマに乗り込んで来た人物だ。ごくわずかな例外を除いて、そもそも彼自身『リュウグウジマ』に用事などない。

 そのごくわずかな例外に、この地が掠るのかと言えば………答えはまた別。
 “せっかくだから”と遊ぼうにも、彼は古巣に未練たらたらというわけにも見えない。

SYSTEM :
 そんな彼の話が、それはそれとして、で。
 変わるのは、あなたが“なり立てのダチ”の話をした時だった。

“パラディン”的場啓吾 :
「ああ、その話か………。
 丁度良かった。“なり立て”どうこうは知らんが、さっき言った通り、遭難中なのはUGN以外のも紛れているそうだな」

SYSTEM :
 ・・
 実物で見せるのが早いか、と。
 彼は、龍の眼前に散らばる骸の、まだ燃え滓として残ってはいた“符”を踏み潰した。

SYSTEM :
 ………次の瞬間。

 砕けた骸の骨や鎧装のことごとくが、まるでそこになかったかのように解れて消えていく。
 
 代わりに現れるのは………。

“パラディン”的場啓吾 :
「他称虎、ドラゴン、自称歴史偉人…最後のはいまさっきだが。
 それ以外にも、こういうタイムスリップしたようなのとは会ってな」

“パラディン”的場啓吾 :
「で、こいつらとさっきのヤツで確信した。

 こいつらは“従者”で、素材は迷い人。
 ───“そういうの”は見ていないが、斬ったかもしれん。死体で転がっていたらすまないと伝えてくれ」

SYSTEM :
 ………その言葉通り。

 代わりに現れたのは、おそらくUGNの意匠と思しき装備の名残がある骸がひとつと、FHの正式採用品であるライフルで武装した骸だ。

 あなたは知らないが、あなた以外の誰かは、ひょっとすると知っているかもしれない。
 というか後者は知っていたかもしれない。割と興味ないので、名前も覚えなくていい分類の“その他大勢”。

SYSTEM :
【Check!】
『蘆屋道満』のエフェクトおよびコンボの所持を確認しました。
(※今回は演出のみとなり、実際に使用は行われません)

SYSTEM :
■メジャー:黄泉比良坂
《鮮赤の牙L1》

 対象者を《検異の骸》《道満の影》《鎧武者》のいずれかに変更する。詳細やルールは『鮮赤の牙』および蘆屋道満が持つ『赤色の従者』に準拠する。
 この効果はエキストラ、または非オーヴァードにのみ使用できる。

 解除方法は対象の戦闘不能(死亡)もしくは▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇。

久外境耶 :
「……ガチで?」

 しゃがんで、その場に散らばったモンを検める。どっちがどっちの持ちモンか、なんとなーくアタリがつく程度。

久外境耶 :
    ブラッドサッカー
「さすが吸血野郎。陰険なコトすんねエ」

        エンブレム
 ……あっちさんの 意匠 を選んで拾いあげる。ゴエツとケアルぶんの義理くらいは、果たしてやらんでもない。

久外境耶 :
「あ〜あ〜! まーいいスけど、ガキ泣かすくらい……」

久外境耶 :
           ジャムって
「や、よかねーわ。いまブッ壊れて内輪揉めが一番だるい。見かけてね〜って話だけ受け取っときます」

木口龍 :「.......おいおいおいおい、確か難破者って少なくないんじゃ......」

“パラディン”的場啓吾 :

木口龍 :「いや生きたままされるよりはマシか.....?」

“パラディン”的場啓吾 :
「件のなり立て、そこまでキてるのか?」

“パラディン”的場啓吾 :
「それなら“初耳です”という顔をしておいた方がいいだろう」

SYSTEM :
 とりあえずあなたにとってソレは嫌ではなく“だるい”だが、実際のところ、聞かされる側としては溜まったものでもない話。

 心の準備をしていてよい時とそうでない時があったとして、彼女は少なくとも、あなたが知っている段階では後者だ。
 今、それなりにエンジン入れ直したのだとしても、前者だと断言できるかは別である。”ふつうの子”には、特に。

“パラディン”的場啓吾 :
「さてな。遭難者の数は知らんが、見たのは2組4体。“ロクでなし”の余り物だけだった。

 仮ボスと目ぼしいのが居たら哀悼の意でも捧げてやる気分だったからな。
 ───気になるなら術者当人を叩くか、そいつの影響をハズしてやればいい。言うのは簡単だから言っておいたぞ、探偵サン」

木口龍 :
「あ、はい......」

 探偵だしな。
 別に、死体も、凄惨な現場も見慣れてるから驚きは無い。
 ないが......なんだろうか、酷く、ああ、あの陰険陰陽師は生かしてこの島から帰しちゃいかんな、という考えがあたまからよぎった。

久外境耶 :
「ドラゴンぶっ飛ばしたときは元気あったんスけど、FHだのUGNだのチュートリアル叩き込んだあたりからツラ死んでましたね」

久外境耶 :
「啖呵切ってる姿は悪くなかったが──」

 見込み違い……とは、まだ思わないでおく。ロクデナシなりに親切心で茶々入れるくらいには、まあ、あの姿は爽快だったし。

久外境耶 :「グエ……」向いてないんスけど、と顔をしかめつつ助言を受け取っておく。その場しのぎではあるがブナンだ。

久外境耶 :
「わははアイトーって! じゃ、あれもやってくださいよ。あれ、墓に酒ぶっかけるやつ!」

久外境耶 :
「どのみちアシヤマンもどかさなきゃだったしな〜。ま、戻ってチビふたりに聞かせ──」

久外境耶 :
「──そういえば。あんたはゴエツんとこ来ないかんじ? です?」

 口振りはそうっぽかったけど、と"パラディン"を見る。

SYSTEM :
 あなたが“パラディン”の是非を聞く最中、ふとした拍子に、沈黙気味だったものが面を上げる。

『ホデリ』 :
   ・・・
『───アシヤ?』

『ホデリ』 :
 ・・  ・・
『蘆屋───道満か?
 あの…』

SYSTEM :
 その声色は、平安当時の著名なる法師を指して呼ぶにしては、憮然としたものが聊か籠っているように思えたが、ともかく。

“パラディン”的場啓吾 :
「そうしてもいいが………」

“パラディン”的場啓吾 :
「仮ボスからさっき“なんか遊んでくれば”とゴーサインを貰ったとこだ。
   ・・・・
 その蘆屋道満とかいうのも含めて、確認したいこともあるし。何より今聞いていて思ったが………」

“パラディン”的場啓吾 :
「“なり立て”にだいぶちょっかいをかけたな?

 寄り掛かる先があったとしてお前じゃないと見える。俺が行けば呉越が一色。それこそ、その“ホデリ”とかいうのがいい顔はすまい」

SYSTEM :
 これは彼の背中が物語っているが、恐らく、というか十中八九建前である。
      ・・
 あるいは、一応“ヴィカラーラ”の目的意識に照らし合わせた虎探しを意識してやろうという認識なのかも分からないが。
 全く島で“ついで”を見つける気がないわけでもないらしい。
 あるいは、直前の『蘆屋道満』………所業ではなく“名前”に何か思うところがあったか。

“パラディン”的場啓吾 :
「そういうわけだ。
 ・・・・
 お手伝いの時は分かるサインで呼びつけろ。虎探しか、偉人への茶々入れをして遊びたい気分なんだ」

久外境耶 :
「うえっ。悪い、言ってなかったか?」

「セーメーに負けてるやつ? だっけ? ウソマジ確定してないからご本人かは分かんないんだと……」

 ……と、ホデリに説明する間もなく"パラディン"が背を向ける。

久外境耶 :
「んな気もねーですって。ちょっといじめたのは事実ですケド?」

 あんたもタブンするだろ、と揶揄い混じりに。

 一見安全そうな道にも石は転がってるし、
 落とし穴はいきなり開くモンだって、知ってるヤツなりの義理。

久外境耶 :
 それらしいタテマエについ吹き出しながら、

「オーライ。よろしく、仮部下その二」

 わざとらしく不敬で応じる。

“パラディン”的場啓吾 :
 ・・
「かもな」

SYSTEM :
 薄氷の下が、薄氷の上と同じくらい“何事もない”ことはない。
 
 よしんばそうであったとしても。
 彼は、海の上から海の下に、あらゆる間の悪さで転がり込んだ側だ。

SYSTEM :
 一見安全そうな道に転がる石を教える早さの差はあれど………。
 落とし穴に気を張るべき時の是非はさておけども………。
 そもそも善意ではない経験則というやつなら、此処に非はない。

“パラディン”的場啓吾 :
「了解、仮ボス。
 では置き土産の一つはしておいてやろう。死んだ時の酒は成人してからだ、欲しいなら気長に待ってろ」

“パラディン”的場啓吾 :
「“マンティコア”が『遺産』持ちを掻っ攫ったんだったか?

 ヤツが無軌道にやって生き延びた間抜けじゃなくて、この“リュウグウジマ”に来た理由が打算なら………。
 ほっとくと、ふらりと目的のひとつふたつは終わってるかもな」

SYSTEM :
 要約。

 目的果たしてバンバンザイのところを横槍したいか、目的果たさせる前に茶々入れたいか、一応決めておけよ、という見解と所感。

 それと、日本人であったらしい“パラディン”の、どこかで聞いたことはあるかもしれない酒と煙草絡みの標語が、あなた方への置き土産だった。

久外境耶 :
「なんじゃそりゃ」

 二重に、それも主に酒煙草のあたりに。

 しかもソレ結局忘れるやつじゃん! とぼやきかけたが、マジでやりそうにも見える。その場合どっちが気長なんだか分からない。

久外境耶 :
「にしても、ほっとくと……ねえ。ま、道理だわな」

 カンペキ後手はおれら。虎はとっくに目当ての一つを果たしてるんだし。

 置き土産にどーもと手を振る。ちょっかい出す口実にはなるが、さて── 

SYSTEM :
 ………思えば“戦える相手の所に行きたがる”と話された彼女が、何を思って『遺産持ち』をひっ捕まえたのか。

 何より、立ち向かったあなたに対しては特に妙だった、基本笑ってばかりの反応は何だったのか。

 まあ───ちょっかい出す口実以上のものではない。後手は後手のまま行くか、先手の口実が出来たなら待ったをかけるか。その選択権はまだ手元にありそうだ。

SYSTEM :
 “パラディン”の去り際に併せ。
 この、何とも分からぬ湖から気配がぽつり、ぽつりと消えていく。
 後にして思えば、島の中心───真偽はともかく、そう感じられる場所も。今、用向きと呼べるものはなくなったからだ。

SYSTEM :
 ………だがその去り際。
 あなたが声をかける最後の最後まで、白い狗の視線は、湖を向いていた。

SYSTEM :

 ………大きな湖。
 吸い込まれるように広い藍色の表面。

 幾ら見通しても底の見えない、海か虚と見紛う、巨大な碧の穴に張られた水面。

 わずか揺らめいた水面を。
 ホデリは、去り際まで、じっと見ていた。

『ホデリ』 :
『………そこにいるのか? ホオリよ』

『ホデリ』 :
『そして………』

SYSTEM :
 安倍晴明に負けたご本人未定の二番手陰陽師。
 歴史、神話、踏み台上等の若者の注釈を思い返して。

 ホデリの尾は天に逆立ち、それから足の間に丸まった。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :トリガーシーンを終了します。ロイス取得等ありますか?

久外境耶 :おれはナシ。

木口龍 :遅れてすまない。オレも無い。

GM :かしこまりました。では…。

SYSTEM :◇ ◆ ◇


シーン16「幕間・伍」

SYSTEM :
【シーン16:幕間・伍】

 登場PC:三廻部 颯、荻野目 旭
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-ユニバーサル・ガーディアンズ・ネットワーク
 略称「UGN」。
 16年前にアルフレッド・J・コードウェル博士とその仲間たちにより設立された。
 レネゲイド対策を目的とした組織の先駆けであるこのUGNは、
 人間以上の力を持ちながら、人間性を失うことで『人の敵』になる可能性を持つオーヴァードが、
 世界の一部として、隣人として、人間と共存するための活動を続けている。

 内外に潜む敵の存在は、いつしか組織の在り方を、薄氷のような秩序を守る装置に変えていった。
 コードウェル博士の離反が招いた混乱により更にそれは歪もうとしているが、これは過去形ではない。
 そして歪めようとする者達もまた、悪意を以てではない。

SYSTEM :
 先刻、“蘆屋道満”を名乗った者と、彼が招き寄せた『火出の物』との遭遇/交戦の後。
 ホデリを待つ帰路にて、堂々と薙ぎ倒されていた木々や、如何なる事情かオーヴァード/ジャーム化を果たしていた原生生物の死体の真新しい群れが、少なくとも島の端に、暢気に闊歩している“マンティコア”の存在を裏付けていたと分かって………また時間が経つ。

SYSTEM :
 ………行くたび行くたび、その風景を様変わりさせるのは、時に隔たれたリュウグウジマ。

 草木生い茂り、一寸先は闇とばかりの森を“通り過ぎた”と自覚する暇もなく、切り立った登山道に変わったかと思えば。
 今度に訪れた先は、少なくとも人の行き交う都を彷彿とさせる形ではあったが、現代で見かけるような『街』ではなかった。

SYSTEM :
 人の気配はなく。
 あったのは、少なくとも颯の生きる現代ではオカルトで片付けて良さそうな、コミュニケーションも定かでない、幽けき揺らぐ蛍光くらい。
 触らぬ神に何とやら。触っても荒立てぬと態度で示せば何事もなかったソレが、人格形成のスタートの段階にすら踏めなかった、いまだ誰も全貌もメカニズムもはっきりと定めていないレネゲイドビーイング“もどき”であり、そんなものが平気で彷徨う場所………。

 そこまで、一先ず辿り着いて。
 何ら妨害や干渉の気配もなく、一通りのものを見て回った後だった。

SYSTEM :
 だがいずれの形にも………未だ島の半分は全景定かでない有様ではあるが。

 決して、ある時代の風景からかけ離れたものはなく。
 まして颯にとってこれは、入れ替わる風景とも思えなかった。

SYSTEM :
 ………朧げなところと鮮明なところ。
 あの日の夢かまぼろしか、あなたしか知らぬ追想の風景と同じように、前者と後者でくっきりと形を分けられていたもの。

 入れ替わる風景というよりは。
 誰ぞの焼き付いた風景のようなもの。

 この人気のない、鳴く閑古鳥もどこへやらと消えた市の形は、そう見えた。

SYSTEM :
 あなたたち/颯と旭が、“イリュシデイター”を連れ立って、恐らくはこの方角に残る“喚楽の人喰い虎”の痕跡を目指し進んでいた最中のことである…。

三廻部 颯 :
 三廻部颯の姿は変わっていた。
 藍色の髪ではなく、東洋人から大きくかけ離れた金の髪を持つ姿へ。
 彼女自身が望まねば成らない姿に、成って今この場にいることには、少しばかり理由がある。

 颯はまだ恐れている。
 人でなくなり、人を超越した自分を、学友たちが見てどう思うか。
 そこに大きな自信など無かった少女は、明らかに変わり果てる姿をもってして自分を隠した。
 バットマンがその本性を黒いマスクで隠すように。

三廻部 颯 :
「思い出した……」

 ふと、颯は移り変わる景色を回想しながら合点がいったと手を叩く。

三廻部 颯 :
「わたしと、咲楽と、本当はもう二人いたの。 
 かみき君と、山ちゃ──山田さん」

 あの時、かみき君はさっさと進んでしまった。
 それを追った私たち3人は、草原に出て……そう、気づいたら山田さんはいなくなっていた。
 ちょっと進むだけで、まるで場面を転換したかのように景色が移り変わるこの島の実態を見て、あの時二人がいなくなったのはこういう理屈だったのだろう、と思い返す。

荻野目 旭 :
 隣を歩きながら、失礼でない程度に様子をうかがう。
 ……なんとなく理由はわかるし、ある意味合理的だ。
 おとながお化粧をするのと、改造人間がマスクをかぶるのと同じで、違う形になることは利便性の高い防衛手段だから。

荻野目 旭 :
 『ばけもの』──

 そう言われるのは自分じゃないって薄皮が、自分を守る。

荻野目 旭 :
 ……首尾よく他の子たちと合流できたら、うまくやらないとな。
 そう思い直しながら、改めて三廻部さんに目を向けた。

荻野目 旭 :
「はじめは四人でいたけど、はぐれちゃった……ってことなんですね?
 そうなると、カミキ君たちは間違いなくこの島の巻き添えかあ……」

荻野目 旭 :「……池田さんと“マンティコア”を探すのも大事ですけど、そちらも早めに見つけてあげたいですね。さすがに心配です」

荻野目 旭 :はしっこにある本音を人命救助の4文字ですっぽり覆って、ちょっと考え込む仕草。

“イリュシデイター” :
「“カミキ君”というのは………。
 三廻部さんの学友ですね。池田さんも」

“イリュシデイター” :
「年頃の子供です。ただでさえ遭難して平常心というのは難しいでしょう。
 ………近隣にいないとしても、“居た”ことが一つでも分かれば早いのですが」

荻野目 旭 :「勝ち気な子ですけど、こんな状況じゃあなあ……」

三廻部 颯 :
「……うん」
 みんなは私とちがうから、という言葉を飲み込む。
 それは私だって、ついさっきまで同じだったことだ。

三廻部 颯 :
「……あのね、一個だけ、ほんとは良くないなって思うんだけど」

三廻部 颯 :
「出来る限り、かみき君と山田さん。他にもいるなら、その人たちも。
 ・・・・・・・・
 先に見つけたいの」

 先に───というのは、本人は口にこそしないが「咲楽より」という主語を抜いていることがわかる。

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :「先に、ですか?」

三廻部 颯 :
「……うん」

三廻部 颯 :
「良くないことだって、わかってるの。
 分かってるんだけど」

三廻部 颯 :
 マンティコア
「あの人は咲楽に……あの首飾りに用があるんでしょ。
 だから……少なくとも、自分の目的を達成するまでは……咲楽のことを手放す気がない。
 それって、死んじゃったら意味がない、ってことでしょ?」

三廻部 颯 :
「だから……裏を返せば、
 "今のうちは安全"、だって思っちゃって」

三廻部 颯 :
「それより……狼とか竜がウロウロしてるところに、
 なんの便りもないまま投げ出されちゃった二人の方が、よっぽど危険かも、って……」

三廻部 颯 :
「……良くない考え方なのは、分かってるの」

荻野目 旭 :「…………」

SYSTEM :
 よくない───以前の皮算用だ。

 虎と呼称された女の思考回路が、
 本当にそういう打算を有しているのか。
 ホワイダニット
 なんのためも定かでない状況から出たその思考は、考察や予想というより願望の類と言っていい。

荻野目 旭 :「……なるほど」

荻野目 旭 :
 その言葉を受容して、ちょっと考え込む。
 完全に間違いじゃないと思う。

    ひと
 ……あの女の無軌道さが、いつ明後日に向くかわからないってことだけ除けば。

荻野目 旭 :「……いえ。三廻部さんはたぶん、できる限り冷静に、いまの状況を見て、優先順位を決めようとしてくれてますね?」

荻野目 旭 :「いいことでもあると思います。彼らを優先したほうがいい点も、一面では絶対にあるでしょうから……」

荻野目 旭 :ぴっと人差し指をたてる。

荻野目 旭 :
「ただ、それは『池田さんをほっとくことで、知らないうちにもっとずっと大変なことが起こるかも──』とか、
『あの人が池田さんに飽きる』って可能性が抜けてるかもって僕は思います」

荻野目 旭 :「……悩ましいところですけど」

“イリュシデイター” :
「どちらも“ない”とは言い切れません」

荻野目 旭 :こくり。

“イリュシデイター” :
「………まず“どちらが今逆説的に安全なのか”については、三廻部さんの言葉の方が正しい。そう私は思います」

三廻部 颯 :「あう」

SYSTEM :
 それは単純に。

 そもそも言葉の通じない“蝕みの君”の存在が、そして目的が何か存在し、そこから外れるものは簡単に殺してしまえる“渇望喰い”の存在がそうさせる。

 腕を振るえば素手で人くらい殺れるかもしれない生き物の、殺意の引き金があまりにも軽い現状だ。見つけないといけない、と思うこと自体は間違いではない。それは全員共通の話。

“イリュシデイター” :
「………彼女。“マンティコア”。
 それが無軌道な性格である以前に………基本的に、彼女は『魔獣の巣』の統括という形で、此方には伝わっています」

“イリュシデイター” :
「その当時の無軌道さを考えると、今までが目的もなく各地をうろつくかのようだった彼女の現在の行動がそもそもおかしく………。
   
 ………彼女と手を組んだ、行動指針を変える何かを引っ提げた者がいるならば、“ずっと”でもない」

“イリュシデイター” :
「という風に考えています。
 ………正直、どちらも一刻を争うことに代わりはないですね」

荻野目 旭 :「……どう考えても、“蝕みの君”の状態はヤバめですしねぇ」

荻野目 旭 :「……んっと」

荻野目 旭 :「その『よくない考え方』、無理をしました?」

三廻部 颯 :
「……ううん」

三廻部 颯 :
「自分のしたいことと、しなきゃいけないことを、計りにかけてたら……」

三廻部 颯 :
「『もしかしてそうなんじゃない?』って思っちゃって。
 だから、さっき初めて言ったの」

荻野目 旭 :「……。……」

三廻部 颯 :
「……だから良くないな、って」

三廻部 颯 :
「人の命を、計りにかけるようなことをするのって……、
 言葉にしたり、自分で考えるより、ずっと怖いことだって……」

荻野目 旭 :「……そうですね」

SYSTEM :何か思うところありげに、横で“イリュシデイター”が頷く。それで当然と、さり気なく肯定するように。

荻野目 旭 :「僕もそう思います。『誰かが助けられる』ってときに、そうしなきゃいけない人がたくさんいて……その中から選ばなきゃいけないのって……重いですね」

荻野目 旭 :
 馴れなくてもいいですよ、と、彼女のがんばりを潰すみたいにさらりと言うのは簡単だ。
 言うまでもないことだし。僕は彼女にそうなってほしくない。
 だけどそれを口に出してやり通せるのは、僕らが支部に根ざして状況に対応できる今じゃないはなし。

荻野目 旭 :「三廻部さん、訊いていいですか?」

荻野目 旭 :「三廻部さんの『やりたいこと』って……どっちでしょうか」

三廻部 颯 :
「え、あ」

三廻部 颯 :
「……それって、
 咲楽と、他の子の、こと?」

荻野目 旭 :こくり。

三廻部 颯 :
「───……」

荻野目 旭 :「……その聞き方で、なんとなくわかっちゃいますけどね」苦笑い。言わなくてもいいですよ、と示す。

三廻部 颯 :
 少し俯いて、かぶりを振る。

三廻部 颯 :
「……旭くんは、旭くんが考えなきゃいけないことがあって、
 きっと私が思ってるより、ずっと重いことなんでしょ?
 UGNってところの説明を聞いて、思ってたの。口で言葉にするより、とっても大変なことだって……」

三廻部 颯 :
「……だから、えっと。
 そんなに心配させたくなくって、だから聞き返しちゃって……」

 両手の人差し指を合わせながら、ぽつぽつとつぶやいて───

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
 ・・・・
「どっちも、って答え」

三廻部 颯 :
「……アリかな」

荻野目 旭 :「………」

荻野目 旭 :ぱちくり。

三廻部 颯 :「あえ」

三廻部 颯 :「へ、変だった?」

荻野目 旭 :「あ! ん〜と、いえ」

荻野目 旭 :「……笑わないで聞いてくださいね?」

荻野目 旭 :「僕、三廻部さんのクラスメイトだったなあって……いま思っちゃって」気まずそうに頬を掻く。

三廻部 颯 :「……………」

三廻部 颯 :「そうだよ!」

三廻部 颯 :
「旭くんも大事だよ!」

 人の命を天秤にかける良くないこと。
 そしてその天秤の上に乗っているのは何も口にした人たちだけじゃなくて。

荻野目 旭 :「いやあ、あの、えへ」

荻野目 旭 :「つい。だめですね。ごめんなさい、なんだかヘンなとこで驚いて」

荻野目 旭 :ごめんなさい ちょっと引き戻しますね? こねこね

荻野目 旭 :きり

三廻部 颯 :そんな粘土みたいな。

荻野目 旭 :もち〜っ

荻野目 旭 :
「『どっちも』で、大丈夫ですよ。
 僕ももちろんそうです。
 みんなおうちに返したい、に、誰は良くて誰は良くないとかないですもん」

三廻部 颯 :
「……うん」
 

三廻部 颯 :
「……誰一人欠けちゃだめだって、おもうの。
 だって、みんな、私だって、まだ、子供だもん」

三廻部 颯 :
 ・・・・・・・
「独りになるのは──誰だって、嫌だと思う……」

“イリュシデイター” :「………独りは嫌、ですか」

SYSTEM :
 子供の当然の論理。
 友達に優先順位をつけたくないとか、どっちを選ばなきゃいけないなんて選択肢自体が嫌だとか、そういうもの以上の言葉。

“イリュシデイター” :
「まあ。置いて行かれるのは嫌ですね。
 オーヴァードだとか、それ以前の話です」

三廻部 颯 :
 こくり、と頷く。

荻野目 旭 :「……そうですね」

荻野目 旭 :「カミキ君なんてとくに、いじっぱりだけど……一人にするのは心配ですしね?」

三廻部 颯 :
「……うん、きっと、強がっちゃう」

三廻部 颯 :
「……強がるのって、大事なことだと思う。
 けど、それって、時と場合があるし」

三廻部 颯 :
「……万が一、あの狼に出会っちゃったら……って」

 意地を張る。強がりを見せる。
 その結果が、今の自分であることを思い、胸にぎゅっと握った拳を当てる。

三廻部 颯 :
 ……あ。
 いろいろ話し込んで、いろいろ考えて、何を旭くんに言おうとしたのかをすっかり忘れていた。
 視線がノエルの方へ向く。

「あっ、そ、そうだ、ノエルさん、あの。
 ……"さっきの事"って、旭くんに言いました……?」

“イリュシデイター” :
「………先刻のことですね?」
 

三廻部 颯 :
こく。

荻野目 旭 :がんばりへのありがたみと申し訳なさを感じていたら、ん? という感じでふたりを交互に見ますよ。

“イリュシデイター” :「いえ。聊かデリケートな話でしたから」

SYSTEM :少なくとも、先刻の夢物語を一気に共有したところで、首を傾げるか、あるいは誰ぞが予想外の反応をするかだろう。

同時にこの言い方をしたのも、“言う気のない確認”だったかどうかの確認として使った節もあった。

荻野目 旭 :「でりけーと……?」

三廻部 颯 :
 ノエルの方を見て、ちょっと伺うような視線をして──ちょっとホッとして。

三廻部 颯 :
「……うん、あの、さっきね。
 他のみんなが島の探索に行ってる時のことで……」

三廻部 颯 :
 颯はそこで「内緒」にした部分を除いて、
 自分が見た"夢"の話をした。
 所々「どーん」だの「きらきら」だの要領を得ないオノマトペが挟まった事で微妙に難解だったが。

 夢で見た──推定"山幸彦と海幸彦"の話。
 "海"に惹かれた青年の姿。
 そして、それを追おうとした自分を引き留めた"武者"の話。

三廻部 颯 :
 ……颯にとっては預かり知らぬ事だが。
 その最後に颯を"引き留めた武者"の姿形を、自分以外の者は知っている。

「……そんなことがあって……」

“イリュシデイター” :

“イリュシデイター” :(………“どーん”と“きらきら”の出る瞬間が変わっている………)

SYSTEM :とはいえ、難解と言っても伝わり切らぬほどではないだろう。おそらく。きっと。

荻野目 旭 :
「そ、れは……」
 け……結構まずい?
 もしかしてこれって勾玉のつながりでなんかすごいことがあったり……いえ、僕の勝手な想像で三廻部さんに負担はかけたくない……

荻野目 旭 :この高い社会5の交渉力で全部ピキーンと理解した僕は、やや擬音の多い説明にほのぼのするのもそこそこに顔がどんどん張り詰めていきます

荻野目 旭 :「……そ、れは………」

三廻部 颯 :
「……旭くん?」

荻野目 旭 :「そ……その最後に出てきた人のことなんですけど」

荻野目 旭 :
「……その人、いま島にいるかもしれないです。
 それも、悪いやつに操られた状態で……」

三廻部 颯 :
「───……」

三廻部 颯 :
 ・・ ・・・
「そう、だよね──」

 颯は、ふとここでそんな反応を漏らした。
 まるで"知っていました"と言わんばかりの。

荻野目 旭 :「……。もしかして、わりと心当たりが……?」

三廻部 颯 :
「……」

 ちょっと目を逸らす。
 けど、隠している必要もなかった。
 私が目指すべきところを考えたら、一人でそれを抱えているわけにもいかなくて。

三廻部 颯 :
「……、なんで操られてるのとか、
 誰に操られてるのとかは、私にはわからないんだけど──」

憶えている声 :
"その男は………。     ・・・
 その男が、この島に眠る物の怪だ"

三廻部 颯 :

「……その人が、きっと……、
 ・・・・・・・ ・・・・・・・・
 この島にとって、一番中心にいる人」

三廻部 颯 :
「……、そして……私を……、…………
 にちじょう   ひにちじょうへ
 昏い海の底から、引き上げてくれた人」

SYSTEM :
 火出の者と呼ばれた骸。
 池田咲楽と三廻部颯。

 三者を繋ぐのは、全て勾玉のかたちをした遺産だった。
 夢や空想というには、どこか真に迫ったそれを“見せた”ものとして現実的にあり得る繋がりはコレしかない。

荻野目 旭 :「……」

荻野目 旭 :「……ひ」

荻野目 旭 :「ひきあげてくれたひと!?」

三廻部 颯 :
「あう、えっと、なんて言えばいいんだろ……えっと……そんな感じ……あの」

三廻部 颯 :
「わたし……一回死んじゃったし……」

荻野目 旭 :「しッ」

荻野目 旭 :「どッ」うみても確かに致命傷だったけど……!

荻野目 旭 :「いッ」……遺産!? イエス遺産!?

“イリュシデイター” :「………、落ち着………」

“イリュシデイター” :「いて、と言っても、落ち着けられる話題でもありませんね。それは」

三廻部 颯 :
「……い」

三廻部 颯 :
「言うタイミングが見つからなくってぇぇ……」

“イリュシデイター” :まあ、ゴタついていましたし…

三廻部 颯 :
「え……えっとね、あの狼にね、バーッて襲われてね、爪でグワッってされちゃってね、
 ほんとはね、えっとね、咲楽はアイツに捕まっちゃっててね、えっとね……わたし、そのあと夢?見た感じで……えっと海の底にね……」

“イリュシデイター” :「冷静に上から順に紐解きましょうか」 どうどう

荻野目 旭 :ス〜ッ ハ〜ッ ス〜ッ

三廻部 颯 :ふぅー はぁー……

荻野目 旭 :3周ほど回って安らかな顔になります

“イリュシデイター” :いけません それは悟りと諦観の顔………

“イリュシデイター” :
「………まず。
 狼───旭くんたちが“渇望喰い”と呼んだレネゲイドビーイング、またはAオーヴァードですね」 

三廻部 颯 :
「えと、はい、そうです」

“イリュシデイター” :
「その者に致命傷を受け、気が付いたら、現実かどうかも定かでない『海の底』と見紛う場所にいて………。
 ………そこで、先の夢の最後に出て来た人らしき人物に出会った………」

“イリュシデイター” :
「………まで、大丈夫ですか?」

荻野目 旭 :「さすがノエルさんだぁ とってもわかりやすいです」

三廻部 颯 :
「えっと……はい」

三廻部 颯 :
「でも、おっかなくはなかったです」

荻野目 旭 :僕の胃は今大回転してます

三廻部 颯 :顔と発言が合ってないよぉ……

三廻部 颯 :さ、さすれば治る?

荻野目 旭 :あったか〜い

三廻部 颯 :《モルフェウス》の力でおなかにやさしい食べ物をつくらないと……だ、だいこん。

荻野目 旭 :おいしそ〜 ホーム組のチルドレンにそんなあだ名で呼ばれてた子がいたんですよ

三廻部 颯 :だ、だいこんがあだ名……?(少女大困惑)

“イリュシデイター” :旭くんはいま…そうですね…

“イリュシデイター” :“テストの範囲を一夜で全て覚えてください”…と言われたような具合の衝撃を受けている最中です

三廻部 颯 :(颯に電流走る)

SYSTEM :つまるところ情報量の洪水。迫る夏休みの締め切り。取り返しつくかギリギリ(やや不可能寄り)の宿題…。

SYSTEM :…“イリュシデイター”、咳払い。

荻野目 旭 :へへ……

“イリュシデイター” :
「………ですが。

 死に瀕した人間が、オーヴァードの手で蘇ること自体は、極めて珍しくても………前例が全くないわけでもないのです」

SYSTEM :
 むしろ、人がオーヴァードに覚醒める時の定番ですらある。

 死を切欠に潜伏していたウイルスが動き出し、刺激された生存本能が目覚めと修復を促して目を覚ますこと。
 ・・
 それがなくても───“ウイルス”に最も近しいシンドロームである『ソラリス』や、作り出すことに掛けては一流の『モルフェウス』には。

 ウイルスが潜伏してすらいないものに働きかけ、生命活動を止める前の者を、不可逆の代償あれど起こすことも、不可能じゃない。

SYSTEM :
 ………それは不可逆の代償で済めば“まだいい”手段である、という注釈は。今は不要だろう。

 しかし………。

SYSTEM :
 火出の者と呼ばれた骸とそいつが同一人物かはさておき、前者は、僅か戦って分かる限りではモルフェウスでもソラリスでもない。

 この手の『作り出す』とは無縁の形質を持っていた。
 ましてや、本当に死に瀕したとして、その場にいない状態で“ソレ”を行えるなど誰も聞いたことがない。

“イリュシデイター” :
「………正直に言えば。
 私も、冷静に今を振り返れば、何を分析しようとしているのか分からなくなるところですが」

荻野目 旭 :わかりますよ 僕が冷静じゃないから冷静になれるきもち

三廻部 颯 :かお!かお!

“イリュシデイター” :すみません旭くん 耐えて下さいもうちょっと

“イリュシデイター” :いえ………それ自体が高慢なのかもしれません 置いてはいきませんからね

SYSTEM :“イリュシデイター”、10分ぶり二度目の咳払い。

荻野目 旭 :のえるしゃん……

“イリュシデイター” :
「………三廻部さん」

“イリュシデイター” :
「念のため………お聞きしますが。
 何かを受け渡されたりしていませんか?」

三廻部 颯 :
「……あ、えっと……」

三廻部 颯 :
 ・・・・
「あります………………」

 返事は重かった。
 お腹の心配の意味で。
 つまり"何かを渡された"という話で、その"何か"がなんであるか。
 流石に颯も分かってしまったのだ。

 探偵(?)と旭の話を、横で聞いていたから。

荻野目 旭 :「………!!!!」

SYSTEM :一方の“イリュシデイター”は、自分で聞いておきながら、そこに確信を持つような反応でもなかった。とはいえ。

SYSTEM :遺産管理局の人間がいれば、もっと怪訝な反応をしていただろう。

“イリュシデイター” :
「………手段や具体的方法は定かではありません。
 ですが、その“おっかなくなかった人”………暫定、山幸彦が。
      
 三廻部さんに、自分のレネゲイドを譲渡した、もしくは感染させる形でオーヴァードにして、死に体から復帰させた………」

“イリュシデイター” :
「………細やかな矛盾点や、都合の悪いところ全てに目を瞑って行こうと思うと。
 恐らく、今の話の“前者”です」

SYSTEM :
 レネゲイド、まして「なり立て」に見合わぬ出力のものをどうやって譲渡など出来るのか。
 そもそもそいつは何故“海の底”にいて、しかもあなたは彼に何故干渉した/されたのか。

SYSTEM :
 ………そういうところを全て無視していけば。あくまで仮説に過ぎぬとはいえ、そんな話だ。

 譲渡したものが、島の中心にいるという男のレネゲイド/遺産であるから、あなたはこの島で“彼”を識る機会を持てているのかもしれない、と。

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「……正直"なんで"なのかはわかんないんです」

三廻部 颯 :
「だって、死んじゃったら、そこでおしまいだし。
 そもそも"夢"なんて見るはずもないし」

三廻部 颯 :
「ただ──理由になるかは、わからないんですけど。
 思い当たるとしたら……咲楽の"お守り"のことってだけで……」

SYSTEM :
 御守り/遺産の名は『塩乾珠』。
 知る必要のない系統樹の名は海鳴の石板。嵐や海流を操ると呼ばれるこの遺産は、片割れを持つものだと、眉唾物の伝承と共に伝えられていた。らしかった。
 
 ………それと同じものを、少なくとも。
 ・
 彼は持っている。

荻野目 旭 :顔をもちもちこねこねします

荻野目 旭 :スーハースーハー

荻野目 旭 :ハア…

三廻部 颯 :あうあう…

“イリュシデイター” :あなたたちが悪いわけではないのです あなたたちが悪いわけでは…

荻野目 旭 :そうですよ 本当にそうなんです

荻野目 旭 :ただ始末書がばよえ〜んだなって…

三廻部 颯 :……何枚くらい?

荻野目 旭 :えいっ ファイヤー アイスストーム ダイヤキュート ブレインダムド ジュゲム ばよえ〜ん ばよえ〜ん ばよえ〜ん ぐらいですかね……

三廻部 颯 :わぁ〜……お邪魔ぷよいっぱい……

SYSTEM :空の彼方からあなたに声がする………

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
 大丈夫 きみが最善を尽くそうとした結果であることを私は信じますよ

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
      始 末 書
 きっとこのお邪魔ぷよも一つ一つ片付けていけるはずです…

SYSTEM :
 空に浮かぶ幻聴であった。

荻野目 旭 :ええええ〜〜〜〜〜ん………

荻野目 旭 :………。首をブンブン振りますよ セーフ! イマジナリー霧谷さんまで召喚するなんてジャームの入り口!

SYSTEM :
 既に若干来るところまできているあなた/旭の“人生最悪”の境界線はさておき、三廻部颯のお覚醒めの経緯は、概ねそのようなかたちになる。

 彼女と、咲楽と、“火出の者”を繋いだ遺産。それに心当たりのありそうなものは、しかし口を基本的に閉ざした有様だ。

三廻部 颯 :
  めざめ
 私を覚醒させた人。
 それがこの島の中心──"もののけ"の類であること。
 それを言ったのが"誰"なのかは、この時、颯は口にしなかった。
 自ずとわかることかもしれないが、言える気分ではなかった。

荻野目 旭 :「………………ま、あ……それはともかく」

三廻部 颯 :「あう、えっあう、ふぁ、はい」

荻野目 旭 :「正直、三廻部さんの『勾玉』のハナシが本格的にホントっぽいので……タイミングを見てお話しておきたいことはあるんですけど」

三廻部 颯 :「? うん」

荻野目 旭 :「それはそれとして、やっぱり『ホデリ』さんですね。境耶くん、いじめっこなのに彼には無理に話させたくなさそうなんだよなぁ」

三廻部 颯 :先刻の苦い記憶が蘇ってきたのか、眉間に17歳の少女が浮かべるべきでないシワができていた。

荻野目 旭 :「ま〜ま〜」眉間をこねこねしますよ

荻野目 旭 :
「彼か、その『夢のお兄さん』か。どちらかか、どちらもと、きっとその勾玉が今回の鍵でしょうしね。
 無理しない程度に彼に色々吐かせられるように、しまっていきましょ」

三廻部 颯 :
「あうあう……」
 捏ねられた結果、見事な「八」の字をつくっていた。

三廻部 颯 :
「……ほんとは、ちょっと怖いんです。
 私はべつに、当事者ってわけじゃないんだけど」

三廻部 颯 :
「……出会っちゃったら、って……」

 ……するべき心配かどうか、定かではない。
 するべき相手ならもう居るし、私にはもっと気にするべきことがあるはずだ。

三廻部 颯 :「……」

三廻部 颯 :
「……私が"海の底"でもらったもの、
 他の人には、もうちょっと内緒でもいいよね?」

 よぎった不安を声にする。
 よもや自分が手にしたものが、くだんの"遺産"なるものであれば……、
 コレが終わった後の自分の立場を考えて少しだけ頭が痛くなった。

荻野目 旭 :「………う〜〜〜ん」

荻野目 旭 :「僕も今後のことも考えて、ぜひとも最後までバレずにおきたいんですけど」

荻野目 旭 :
 ……“ラッキージンクス”も“ミッドナイトアイ”も、この島を出たらそれまでの仲だ。
 楽観して共有はしにくい。
 彼らはあんなだけど、あんなだから、3秒前まで話していた人間に、へいきで武器を向けられるだろう。

SYSTEM :
 前者はあなたが思うより無軌道でないけど、あなたが思う以上に定めた骨子を跨いだものに乾いた結論を向けられるし。

 後者はあなたが思うほど冷酷でないけれど、あなたが思う以上に『引き金を引く』のに躊躇いがない。

“イリュシデイター” :
「………“ミンナニハナイショ”───としたいところではありますが。
 此処から出るために、島を識る以上、避けて通れないものでもあります」

三廻部 颯 :「……戦ってたらいずれバレそう……」

“イリュシデイター” :
「何より………。
 呉越同舟にしている意味がなくなったなら、彼らの立場から見て、取る行動を考えるのはそう難しくないですしね」

“イリュシデイター” :
「………今すぐ決めずともいいのは幸いですし、遺産であるなら正直、あなた自身が渦中の人になりかねない。なるべく避けたいところというのは確かですが」

SYSTEM :
 それでも何れはやって来る。

 なにせこの島は、漂流先というには現実に根差していない、世の中の流れに“取り残された”ような島だ。
 ………手がかりを探るどころか、手がかりの方からコンタクトを取って来るならば、彼らとて気付くことには気付くだろう。

荻野目 旭 :「……幸運なのは、片方が“渇望喰い”にお熱で、境耶くんがホデリさんにお熱なことですね」

荻野目 旭 :
「コトがなんとかなるまでは、いやいやでも僕らと同行してくれるんじゃないかと思ってます。
 ……ある意味、三廻部さんのそれはカードでもあるってことですね」

三廻部 颯 :「かーど?」

荻野目 旭 :「はい。『三廻部さんは今回の状況を打破するキーだから、ここから出るまでは手出し無用』……」

荻野目 旭 :
「そういうのを、僕らの関係が万一悪くなったときや、“ラッキージンクス”がはぐれた部下たちを回収できて、向こうが僕らとの共闘なんて不要と思ったころ……
 境耶くん相手なら、引き出せるんじゃないかと」

三廻部 颯 :
「……! なる、ほど」
 なんとなく理解した。

荻野目 旭 :“ラッキージンクス”と『境耶くん』を、わざと分けて使いながら、慎重に言葉を選ぶ。

“イリュシデイター” :「…彼の肩入れしているのが“ホデリ”さんだから、ですね」

荻野目 旭 :「はい」

SYSTEM :
 ラッキージンクス/FHのエージェントとしては中指上等の状況だろうと、なまじ彼らは自分の内側の感情を時に優先する。優先できる。

 ………ホデリの望みは、少なくともこの島のこと。曰く『物の怪を目覚めさせず、眠らせる』ことだった。

SYSTEM :
 そこが違えられず、そこを盾にしてつけあがらない限り、彼らの関係は善意でも悪意でもないちょっかいに留まるだろう。

 ───そうでなくなったならば、後は単純。遭難日誌の登場人物が“あいつ”と“あいつ”と”あいつ”の個人単位に枝分かれするだけだ。

三廻部 颯 :
「……………………」

三廻部 颯 :
「……うん、そう、だね」

 なんとなくの納得でこの場は済ます。
 事の深い意味まで分かりきるほど、まだ彼女は非日常を考えきれていない。

三廻部 颯 :
「ってなると……もたもたしてないで、
 早く解決する方がいいのかも」

 脱線してしまった気もするが──ここまで歩いてきた目的を思い返す。

荻野目 旭 :「って──ま、そんなこと考えてるってだけです。大丈夫、交渉ごとは僕に任せてください」

荻野目 旭 :「いざという時はがんばってケジメつけますから! ……無理だったらゴメンなさいですけどっ」

三廻部 颯 :「なにからなにまで、ほんとにごめん……でも……」

三廻部 颯 :
「なんか、空港の時みたい」
 そういえば私、色んな人にしんぱいされていた。

荻野目 旭 :「三廻部さん、普段はおねぼうさんなのにがんばってたから」くすくす笑う。

三廻部 颯 :
「頑張って起きたのに!」

荻野目 旭 :「普段はおねぼうさんな人が早起きだと心配しちゃうからなぁ」

荻野目 旭 :「ま、おまかせください。カミキくんみたいに、境耶くんたちも手のひらでコロコロしてみせますからっ」

荻野目 旭 :言いながら歩き出しますよ〜。善は急げ!

三廻部 颯 :
 ……。
 ……やっぱり、かわってない。
 かわらない。
 そう思って、ついていく。

 それがちょっとおかしくて、
 くすっと笑った。

SYSTEM :
 当人の目の前で言ったなら、“俺がいつ掌で転がされた!”なんて、真相も識る由はないのだから言えもしない、どこか噛みつきぐせのある少年の声でも帰って来るだろうか。

 ふと、益体もないことを考えながら、その人のいるべきだけど、人気のない、廃れた市の情景を後にする。

SYSTEM :
 ………正確には、後にしようとした、だ。

 先は誰ぞの焼き付いた風景のようと捉えたこの場所も、ものは動かせるし。試していなければ、壊すことだって難しくはない。

 それだけに、中心点から外れた朧げな場所で、あなた達は“それ”を見つけた。

SYSTEM :
 その、廃れた市の中心点から外れ、門を隔てて野原が広がろうというところ。風景より先に、大きくかぎ爪のように拡がる痕跡に目が行く。

 力技の一撃、人の手であって人の手ではないものを、思い切り乱暴に振り抜いて、引き裂いたような残り痕。 

SYSTEM :
 ………焦げ付いた草むら/そこに“狙われた”ものが留まっていた証を起点としたソレは、推定、サラマンダーのシンドロームの持ち主を狙った一撃であり。

 攻撃の痕跡は決して新しくないにもかかわらず、深く深くこびりついていた。

SYSTEM :
 曰く『ミコサン』と呼んで、いちおう咲楽にもご執心の様子があったあの生物と、あとひとり、話題の人。それくらいしか、熱を伴とし、排してきたオーヴァードはいない。

 ならば、どういう流れの何があったかは想像に難くない。
 面影が想像できないほど砕け散った岩片からしても、誰ぞを、見知りたくもない“ばけもの”が返り討ちにした風景。

SYSTEM :
 それは。
 何より生き延びることを重んじたあの獣が。
 .マーナガルム
 “渇望喰い”が、当分『こちら』の方角には近寄って来ないだろうことの証でもあった。

三廻部 颯 :「……これ!」

荻野目 旭 :「……明らかに燃えてましたって感じですね。それに」

荻野目 旭 :
   ヒト
「あの女に……痛い目あわされそうになったのかな」

“イリュシデイター” :
「この島に、我々の知っている者以外のオーヴァードがいれば話は別ですが」

“イリュシデイター” :
「概ねはそうでしょう。
 ………サラマンダーシンドローム。熱量を操るオーヴァードの特性の一つ。

 それに該当するのは、“ラッキージンクス”と───」

SYSTEM :
 彼女は伝聞だが、あなたは実感した通りの“渇望喰い”。その二人(一人と一体)だ。

 きわめて執念深いアレが二度と此方に来ないということは流石にないだろうが、一度でも『警戒された』と思ったが最後、文字通り臆病なまでに遁走するさまも想像がつく。
 ・
 彼を探そうとするならば、探す必要のある範囲も、それなりに絞れるだろう。

SYSTEM :
 ………時に。
 実際にその名前を口にしようとした”イリュシデイター”が、ふっと、目を細めた。
 その焼き払われた野原の痕跡に何かを見つけたように。

荻野目 旭 :「ノエルさん?」

三廻部 颯 :「?」

“イリュシデイター” :「いえ、今なにか………」

SYSTEM :
 遠ざかる直前の声に応え、その痕跡の後に近付く。

 未だ熱を帯びて燃え盛り、燻る炎は、決して爪跡が新しくないにも関わらず、あの生物に込められた熱の総量をうかがわせるものだったが。

“イリュシデイター” :「───此方に」

SYSTEM :
 そう口にしながらも、どうも腑に落ちないという様子の彼女が気にしているのは、別にそこではなく。
 その痕跡の方に近付いてみてわかる、不自然な色合いに瞬き描かれたものの輪郭の方だった。

荻野目 旭 :「……というと?」

荻野目 旭 :近付いてみましょう。ひょこひょこ

三廻部 颯 :おなじくいっしょに。

SYSTEM :
 あの遠くから彼女が見つけたのは、別段、視覚強化も感覚強化もない”イリュシデイター”からするとたまたまで。
 近付いて見るまでは違和感から歩み寄っただけなのだろう。

 ………炎の色残る痕跡の近く。
 そこに、黄昏色の風景に溶け込み切れない、色彩の模様があることに気が付いたのは、恐らく視覚の都合で颯の方が先だ。

SYSTEM :
 ………しかしそれの意味合いを識るのは、旭か、“イリュシデイター”の方が早い。

 分かってしまえばなんてことはない。落書きのように地に描かれて遺されたもの。
 現実に決して馴染まず、同じく馴染めないものにしか見えず、そして突き詰めると初歩の一種でしかないそれは………。

“イリュシデイター” :
「………“マーキング”です。
 “喚楽の人喰い虎”も、推定し得る”渇望喰い”の性格も、こういうのを残す性質ではないはずですが」

三廻部 颯 :
「まーきんぐ……?
 それって、自分はここにいたぞー!っていう?」

“イリュシデイター” :
「はい。オーヴァードがオーヴァードを呼びつけるようなやり方とはまた別で………。
 オーヴァードが、そうであるものにだけ“気付ける”ようにサインを作るようなものです」

SYSTEM :
 ………稲妻とも剣とも取れる意匠のマーク。
 つらつらと書かれた意味も定かでない文字列に、どこか/二人はどこかで見たような気がする風景のデッサン。

 伝えたい意味は定かではないが。
 断じてもいいことがあるとすれば、“渇望喰い”は逃げた先でわざわざそんなことをしない。

SYSTEM :
 そして“ミッドナイト・アイ”もこんな茶目っ気のようなことはしないし。

 修学旅行に紛れていたUGNのチームならば、百歩譲ってサインを残すにしても、分かりやすい残し方をするだろう。

荻野目 旭 :「………。………」

荻野目 旭 :「マーキングはマーキングでも、なんだかそれなりの意図を感じますけど……」

三廻部 颯 :
「……え、え、だ、誰かもわからないってこと?」

“イリュシデイター” :
「ええ。
 ”残骸”………彼女とのチームのメンバーがやったとは考えにくい」

“イリュシデイター” :
「………そもそも、恐らく自分が関わっていない戦闘の痕跡に、しかも此処までわざとらしく、あたかも『見つけて下さい』とばかりに足跡を残すのも妙な話です」

荻野目 旭 :「罠か、『助けてください』か……判然としませんけど」

荻野目 旭 :「ううん……。僕のチームの──先生たちも、こんなことする人とは思えないですね」

三廻部 颯 :「……」

三廻部 颯 :「じゃあ、じゃあ誰ぇ……」

SYSTEM :
 であるならば、後の可能性は二つ。

 あなたたちの知らないオーヴァードか。
 境耶の知っている“部下さん”か。

SYSTEM :
 ちなみに大穴として何かを間違えたなにわ探偵の絵心と言う可能性を思い浮かべたならば、それは丸めて捨ててくれて構わない。

 ………肝心なことは。

“イリュシデイター” :
「………この先にまだ“彼女”がいること、“渇望喰い”は当面此処に近寄ろうとしないこと。
 確実でない以上、推察か願望かになってしまいますが………」

“イリュシデイター” :
「此処にコレを記した者の思惑はともかくとして………。
 “渇望喰い”が隠れ潜もうとする場所は、ある程度絞れるかもしれません」

SYSTEM :
 じゃあ誰、については歯切れの悪い回答すらしなかった辺り、口に出来る憶測すら纏まっていないらしい。
 ………思惑がなんであれ、“それなり”に悪戯の気があるか。あるいは、けっこうな他意を持って痕を残したようだ。

荻野目 旭 :「……う〜ん」

荻野目 旭 :「“渇望喰い”が厄介なのはホントですし……これは貴重な情報ですよね。場所は割り出しておいたほうが良さそうだなぁ」

三廻部 颯 :
「……うん、ほっとけないし」

“イリュシデイター” :
「ええ。………ただ」

SYSTEM :
 ついていた膝を戻し、焦げ切った草を軽く払ってから、彼女がその痕跡を見つめたまま言葉を続ける。

“イリュシデイター” :
「此処でも、少なくとも傷を負ったような跡はない。
 ………逃げ足も優劣の機敏を見るのも、いずれも速かったとも聞いています」

“イリュシデイター” :
「あとでこの”マーキング”の話ごと、合流次第伝えるつもりではありますが………。

 病的に慎重なタイプが、不測の事態に遭遇した時とる行動は一つです。向かう時は、それを踏まえて打てる手を打った方がいいかもしれませんね」

荻野目 旭 :「……ですね。あんまり頼りたくないけど、頼りどきでしょうか」

三廻部 颯 :「……うん」

SYSTEM :
 劣勢を悟った瞬間、何より『生残』を優先した生き物の仕草を止められる手段は大きく分けて二つある。

 そうと感じさせないまま殺す、力技中の力技。もう一つは………。

SYSTEM :
 オルクスの十八番。
 逃走経路を先に封じるやり口。

 ………あるいは消耗覚悟で“追いかけっこ”でもしてみるか。そんなところだろう。

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
 ぱん、と。
 拳を手のひらに当てる。

「……あいつは卑怯ものだ。
 だから、何をするかわからない」

三廻部 颯 :
「……アイツに、みんなが見つかったら大変。
 さいあく、人質にだってされかねない」

荻野目 旭 :
「はい……逃げた先にみんながいました──っていうのが、最悪のパターンです。
 猫の手でも借りて、早めに追い込み猟としましょうっ」

三廻部 颯 :
「……うん」

三廻部 颯 :
「……私、やるよ」

 震えそうな拳を手のひらで覆って、握って、真っ直ぐな目で二人を見る。

三廻部 颯 :
「……相手が人じゃなくたって、生き物を攻撃するのは怖い。
 今だって、暴力を振るうのは怖い……! けど……」

三廻部 颯 :
「……けど後ろを向いてばっかりじゃ、私は"あの人"の優しさをふいにしちゃう。
 みんなを探して、
 みんなを守るのは、
 ・・・・・・・・
 私の義務じゃないけれど──」

三廻部 颯 :
「……わたし、みんなを守りたい。
 、  、 ・・・・・・
 わたし──それがしたい……!」

 義務じゃない。
 けど、
 権利はある。

三廻部 颯 :
「だから───えっと……あの」

 震える姿を見せてきた。
 受け入れきれていない姿を見せてきた。
 それで"気遣い"をさせてしまったのが、ちょっと苦しくて、
 ずっとずっと考えてた。

 私の体にある遺産(もの)、私の心に託された意志(もの)……、
 それを、このまま燻らせちゃだめだ。

「……私もやります。
 私も……戦わせてください」

荻野目 旭 :「……三廻部さん……」

荻野目 旭 :
 こぶしを覆った仕草で、彼女の葛藤は見て取れた。
 申し訳ないな、とも思う。……いつも、どたんばで巻き込んでしまった人たちを見るたびに考えることだ。
 フィーネさんや、雪乃さんに思ったのと同じ。

荻野目 旭 :
 住む場所がそこじゃない人に、そうさせる僕らの後ろめたさ。
 がんばる彼女を応援したいような、正直言うと感じるありがたさ。
 あと、丁寧に蓋をして地面に埋めている一欠片。

荻野目 旭 :
 ……だけど結局、こうやって決めた人たちに、僕や、僕らが言えるのはひとつだけだった。

荻野目 旭 :
「……むりは今が確かにしどきですけど、しすぎちゃ駄目ですよ?
 あと、つらくなったら、できれば誰かに相談してください。それから」

荻野目 旭 :「……ありがとうございます。そう言ってくれると、僕も心強いんですよ」

SYSTEM :
     ・・・
 戦わせて下さい。
 そうあなた/颯は口にする。

 戦うことが、この島に限るものなのか。
 ここを出ても、なおも続くものなのか。
 それは今考えるべきでもないことだ。
 
 ………震える手は、理不尽に軋み/憤った名残を確かに抱えていて。
 いつまでもそうしてはいられないと、受け売りの言葉を自分に言い聞かせた少女の意思表示だということを、僅か知り合ったばかりの、大人見習いは知っていた。

“イリュシデイター” :
「…あなたにとっては。
 それは、時間で解決させたくないことなのですね」 

“イリュシデイター” :
「───。分かりました。
 力を貸しますから。貸して下さいね」

“イリュシデイター” :
「あの時話したことのためにも」

SYSTEM :
 友達と再会した時どうするのか。
 話題を切り替えた時の話を思い出す。それを絵空事にしないことが、自分のするべきことだとも告げているようだった。

 ………沈黙が、旭のものより長いか短いかに意味はない。
 ただその解答には、ほんのちょっとの間があった。前を向くあなたを喜ばしく思う部分とは、また別の。

 本当なら一切晒さない隙間。
 別離の瑕と一緒に零れたものだ。

三廻部 颯 :
 頷く。
 そして、お辞儀をする。
 心配性にさせるような女の子/理不尽に憤るような普通の子/慌てん坊な少女には、
 少しばかり似つかわしくない"礼儀"の姿。
 ・・・・
 いつかは決めなければならなかった。
 けどそれを決める時、ちゃんとお礼をしなきゃいけない。
 おじいちゃんはいつも、"礼儀だけは忘れるな"と言っていたから。

三廻部 颯 :
「……はいっ。
 わたし、がんばります。
 それでがんばっても、難しかったり、辛い時は……」

三廻部 颯 :
「まずは旭くんに相談するねっ。
 つぎがノエルさん!」

 まずは友達。そして次に大人。
 二人の顔を交互に見て、二人の手をとって、ちょっと強めに握る。

三廻部 颯 :
「わたし、友達みんな大好きだから。
 大好きなみんなを頼りたいし、頼ってもらいたいの。
 ノエルさんも、これからわたしのともだち!」

 ぶんぶん。
 取った手を振るう。

荻野目 旭 :あわわわわ

荻野目 旭 :「ぜひ! そうしてください! ……ふふ」

荻野目 旭 :「なんだか安心しました。三廻部さんはやっぱり、そういうお顔が一番似合います」

三廻部 颯 :「えへへ」

SYSTEM :
 握手されたもう片方。
 年下の少女の”ともだち”宣言に、大人見習いとてしょせん20と1歳である。

 ぱち、と。目を丸くして、文字通り呆気にとられた様子で手を握られていたけれど。

“イリュシデイター” :
「では………友達と。
 まったく、かないませんね」

三廻部 颯 :「えへへ〜」二度目

“イリュシデイター” :
「では…そう呼んでくれた分、がんばりましょうか」

SYSTEM :
 くすりと笑った地金の表情で、手を握り返す。
 裏表のないあなた/颯の反応を前にちょっとつられるかのような所作。

三廻部 颯 :
「じゃ、みんなでがんばろうっ!
 友達助けて、無事に帰れるように!」

 えいえいおーと意気込んで腕組み。

荻野目 旭 :おーっ

SYSTEM :
        ・・・
 意気込みの声が三人分響く。
 緩やかな時の中で、それを聞きつけるものも咎めるものもいない。

 迎えがやって来るのは、懸念や今後の展望を知りながらも、それだけではないことも知り、一度件の“屋敷”に戻ることにした少し後のこと。

SYSTEM :
 ………あるいは。
 ・・・
 だれかが一度たりとも手にしたことのない、普遍と素朴のかたちであった。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :幕間シーンを終了します。ロイス取得等ありますか?

三廻部 颯 :あります!旭くんとノエルさんにとります!

GM :おや。複数取るのですね?

三廻部 颯 :です!

GM :大丈夫ですよ。それぞれPとNの感情、どちらを表にするかを宣言後、キャラシートに書き加えておいてください。

三廻部 颯 :
はい、えーっと。
Pはどっちも友情で、○で。
Nは、旭くんが悔悟、ノエルさんが劣等感、です。

三廻部 颯 :シートにもかきました!

GM :ユウジョウ!

GM :了解しました! 旭くんはどうしますか?

荻野目 旭 :ん……んぬぬぬ! いえ……今回はまだステイです! あと一枠……よく考え抜きます!

GM :そちらも了解です。もう時間がない、というわけでもありませんからね。

SYSTEM :◇ ◆ ◇


シーン17「幕間・陸」

SYSTEM :
【シーン17:幕間・陸】

 登場PC:シホ
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-リィンカーネーション
 人の記憶によって意識を得たとされるレネゲイドビーイングであるが、
 その発生プロセスは明確化されていない。
 ・・・
 自分の記憶である必要がないのならば、どのような発生方法も有り得る。

 勿論、本人ではない。
 記憶を受け継いだ他者は、いかに完璧に記憶を受け継ごうとも、
 自己を連続させた同一人物ではないからだ。

SYSTEM :
 ………『リュウグウジマ』と呼称される島とも、現実の空とも、いずれとも隔たれた、ホデリとそれに携わるものの行き来し得る屋敷。
 そこに一足早く戻って来たあなた/シホが、どのくらい時間が経ったかも定かでない、かりそめの逢魔が時を見上げている。

 境耶やホデリとも共に戻って来たわけであるが、二人(または一人と一体)とは一旦別れたあなたが、何を求め、情報共有までの僅かな時間を過ごしているかは分からない。

SYSTEM :
 ………だが。
 そこには確かに、普段使っている一室に安置されっぱなしの“ブラザーフッド”が………。

 いや。タイガーアイがいた。
 いわく偏屈な友人と呼称された、あの場でも、あなたが明かそうとしなかった以上、その無機質な装甲の内側に潜んだ宝石こそが己の人格形成のスタートであるのだと、未だ誰にも知られていないものが。

SYSTEM :
 転がる水晶体は、あなたが持ってきたのかも知れないし。
 手持ち無沙汰で黄昏ているあなたの横に“いつのまにか”転がって来たのかも知れない。

 前者ならば、今のうちに言葉を交わす機会が欲しかったのだろうが。
 後者ならば、まさに、剥がれ落ちた仮面を見ての振る舞いだ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 さらなる調査の続行をするらしかった境耶くんたちと別れ、私は一足先に帰還することにした。
 まだ戦闘の後遺症が抜けきっていなかったことも、その一因だったけれど……。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……なにより、私は拠点に残してきた“忘れ物”を取りに帰りたかった。
 “タイガーアイ”……私をこの島へと導いた賢者のもとへ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 部屋でひとり黄昏ていた彼に私は声を掛けようとして……
 言葉を探す時間が欲しくて、外へとついてきてもらった。空が見渡せる場所だ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「…………ええと、その」

”朧の狩人/残骸” シホ :
        バディ
「ありがとう、“同業者”
 私の茶番に付き合ってくれて」

 口を開いて出てきたのは、格好がつかないことを自覚している……
ワタシ
 私 なりのつよがりだった。

SYSTEM :
 ホロウハンター
 朧の狩人………。

SYSTEM :
 銃口を擡げ、照星を掲げ、照準を合せ、引鉄を引く。
 ただそれだけの行程に敢えて大仰な名を附す理由もなく。
 いつも何ら変わらない。ただ無味なだけの乾いた作業───そう言い捨てて。

 飽きもせず惜別を告げてきた、亡者を臨終させる弾丸の担い手の名前だ。
 あなたの、ゼノスでの名前/記号/仮面だ。

SYSTEM :
 そしてその仮面越しに濾過されてきた音が外れた今。
 その顔しか知らぬものは驚愕を露にしようが、“タイガーアイ”の反応と来たらどうか。

タイガーアイ :
「仮面の紐を締め直すことは諦めたか」

タイガーアイ :
「別に構わぬ。“ブラザーフッド”の内で語るも少々難だが、いい加減、我もいちいち二度手間を踏むのに飽いて来たところではあった」

SYSTEM :
 淡々とした言葉選びは、別に慈悲や気遣いではない。ほぼ事実だ。

 入れ込む意味を精々考えて入れ込めよ、と。時にりくつでないものが人だ、と。あなたの行動に”待った”をかけようともしなかったものの、まあこうなるだろう…という理解を込めた言葉。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……まだ、仮面を外しきれてはいないけど。
 ハハ……私、思っていたより臆病だったみたい」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 私は、まだ恐れていた。
 人ではなく、死神にもなりきれない自分を、受け入れてもらえるかどうか。
 変わり果てた“彼女”の成れ果てが、ひとたび手にした……二度とは得られそうもない温もりを、手放してしまうことを。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「気付かなかったよ。いつの間に、私……こんなに臆病になったんだろう。
 …………最初から、かな。“朧の狩人”になってから、ずっと?」

タイガーアイ :
「臆病であることが時に命を拾うのだと知らない生物は、より強いものに喰らわれるか、強くなる以外の道を失う………」

タイガーアイ :
「であれば、入れ込みたいものには近づいたとも言える」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「──────」

SYSTEM :
 恐竜的進化の道から降りたようなものだ、と。
 これも、事実。慰めや、寂しげで自嘲的な笑みを気遣うものではない。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 人間に、という一般論みたいなものか。
 或いは……“彼女”に、という意味だったのだろうか。
 どちらにせよ…………

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……笑うしかないな。
 私を護っていた仮面が、私を知りたかったことから遠ざけていたなんて」

SYSTEM :
 そして。
     ・・・
 あなたが茶番劇と卑下した、身体へと覚え込ませた所作。
 狩人の仕草は、いわば、その与えられた役割を鎧とする所作でもあった。

 なぜならば。

タイガーアイ :
「それに。
 いつから、と言えば最初からだ。
 お主の場合、背けたものを実感したに過ぎぬよ」

タイガーアイ :
「そうであろう………」

SYSTEM :
 あなたが生まれ落ちた時のことを、
 あなたは朧げにしか覚えていない。

 だが、人格形成の始まりとなる骨子が抜け落ちた少女は、狩人という、外面だけの役割を身にまとった。
 ロビンフッド
 名無しの義賊の内側を知らずに弓を取った。

SYSTEM :
 ………それゆえに。
 外面を取った後に残るものは、言うまでもなく空洞だ。

SYSTEM :
 あなたが自覚してその名前を付けたのではない。

 その時、どこかの、ひどく冷たい大地で目を覚まし。
 後にして思えば、あれが最初にして、現在に至るまで一切訪れた覚えのない、北欧の地でのお覚醒めだったが。

 そこにいた“タイガーアイ”は、そして今ここにいない”プランナー”は、あなた自身さえ知らない、シホというひとりが、初めて出会った生物であり。

タイガーアイ :
. ホロウハンター
「“虚の狩人”」

SYSTEM :
    ・・・・
 前者は名付け親だ。
 誰に恃まれるまでもなく。記号をそう付けたものだった。
 
 がらんどうの生き物が身にまとった、
 狩人という役柄。虚名の“鎧”の名を。

タイガーアイ :
「………仮面の紐が切れるのも道理であるな。月日も経った。育ちもした。何時までも同じ仮面を使えば、擦り減り痛むも道理であろうよ」

SYSTEM :
 だから。賢者はあなたに、いつだって物知り顔が出来る。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 私が生まれ落ちた故郷は……曖昧な記憶の彼方。
 やたら手が悴んで、冷たくなった銃を抱えて……わけもわからずに、ブルブルと震えていたことだけ覚えている。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 “虚の狩人”───私がひとから与えられた“はじめて”がそれだった。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 見栄と虚勢で生きて来て、失ったものを誤魔化して。その顔すらも覆い隠した“名無しの旅人”。
 その在り方と抱え込んだ空洞は、ある種、“虚の狩人”の在り方によく似ていたのだけれど。

 はじめましての空洞と、さようならの空洞は、全く違うものだと気付くのに随分と時間がかかってしまった。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「またそういう偉そうな───」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「───いや、違うか。
 ……お待たせ、が正しいかな?」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……彼がどこまでを識っていて、私に“虚”の名前を与えたのか。それは分からないけれど……
 その空洞の違いに私自身が気付くまで、近すぎない距離の隣人として私を見守っていたのが隣にいる“賢者”の贈り物だった。
 ……その理由が、たとえ善意でないとしてもだ。

タイガーアイ :
「偉そうにも振る舞おうさ。我が何か忘れたわけではあるまい。
 そして………」

タイガーアイ :
「いよいよ、入れ込む理由を己の理由にしたくなったか。
 確かにずいぶん経過に時間が掛かった」

タイガーアイ :
「生まれるに足る理由を持てず………。
 無事にかたちを持つために、他のレネゲイドの因子を縁として。
 なおも生まれ落ちようとしたものの顔を正しく見るのに、さて、何年だったか」

SYSTEM :
 お待たせ、への回答がソレだ。

 あなたの行く末を。
 恐らく、あなたが知らない理由で見守っていたものの。

 それは臆病者の『はじめまして』を皮肉ったようにも聞こえ、寝起きの『おはよう』に同じ言葉を言い返す日常の反復のようにも聞こえる。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「──────」

”朧の狩人/残骸” シホ :
    わたし
「…………“彼女”の姿を追いかけて、これで何年だったかな。
 それを追っていけば、きっと、いつか私は空っぽを埋められると思ってた」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……それが違かったって、認めるのは辛かった。
 ワタシは“ロクスレイ”にはなれない、わかっていたけれど……正直、いまも苦しい」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「それでも……今なら、言えるかな。
 この空っぽも含めて、私。しんどくて、苦しいいまが、私なんだ……って」

タイガーアイ :
「我はゼノスで他者を傍観し。
 お主を臨み。それより以前、多く独つのはぐれものを見て来た」

タイガーアイ :
「それ故に言えることもあってな」

SYSTEM :
 誰より何より知識を欲し、修め。
      ゼノス
 人を解するお客様の中核に食い込むが故、
 人と隔てた逸れ者にしかなることの出来ないもの。
  オリジン:ミネラル
 無機物から生まれた観測者が、あなたの絞り出す宣誓を聞いて。
 いつまでも変わらぬ声で応えた。声を変える術を知らないものの回答だ。

タイガーアイ :
「人は己以外の何にもなれぬよ。

 そして、人を識ろうとするがあまり、人のかたちを望んだ我々も。“そのようにある”と生まれて決めたものからは逃げられぬ」

SYSTEM :
 たとえ。

 如何なる人の記憶から生まれようとも。
 如何なる獣の骸に取りつこうとも。
 如何なる自然から根付こうとも。
 如何なる零と壱から乱数として弾かれても。
 如何なる伝説をもとにして作られても、だ。

 そこに宿ったものは、
 それを下に作られた全く新しい、別の”壱”に過ぎない。

SYSTEM :
 レネゲイドから生まれしものとは、
 よくも言ったもの。

 ………然るに、あなたはある意味で特別であったのかもしれないが。ある意味で、やはり同じだ。

タイガーアイ :
「………お主は“ロクスレイ”の記憶と業のかけらを受け継いだものだ。

 そこまでが同じとて、そこからが違ってしまえば、差異が生まれるのは必定であろう。
 もっとも………」

タイガーアイ :
「認めた以上は進むか退くしかない。
 お主にそれは、初めての痛みであろうな」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……溢れそうになったものを拭う。偏屈な、この賢い友達のまえではそれを見せたくなかったから。
 わたし
  私 なりのつよがりだ。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 代わりに、“彼女”が得意だったらしい顔を、不恰好でも真似てみる。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「みんなが我慢してきた痛みなら……私も頑張らなきゃ。
 “ロクスレイ”にも……笑顔で応えられるように。」

SYSTEM :
 ちくちくと刺す針の痛みを握りしめるような笑顔。
 ・・
 彼女と呼ぶものが隣にいたならば、どこかの支部長の言葉を借りるに曰く、3割増しで世話を焼く面構えだったかもしれないが。

 それは何もかも崩れ落ちたがれきの山から、新しい指標を探す行いでもあった。

タイガーアイ :
「音を上げぬ程度にすることだ。

 未知と見込んでやってきた行いから、
 既知の経験を話すとだな」

タイガーアイ :
「痛みを痛みと気付くべき時………
 ・・・
 敢えて鈍感に振る舞うものの先は短い」

タイガーアイ :
「精々、その面に己で違和感を持たぬようにするがいい。
 半端を気には病むな。どうせ、オーヴァードという生き物そのものが半端なのだ」

SYSTEM :
 ………そのあなたの様子に。

 人より遥か強く生物として完成度を高めたくせに、
 人よりも繋がりに拘らねば生きていけない/独りを嫌がる不完全性が、人とそれ以外の中間点にいるオーヴァードの“当たり前”だと、事実で殴りながら飾り立てるそいつの言葉は、賢者というよりは………。

SYSTEM :
 ………いいや。
 友人、というよりは。

”朧の狩人/残骸” シホ :
「──、────」

”朧の狩人/残骸” シホ :
「……わかった。
 その言葉、忘れない。……覚えているうちはね」

”朧の狩人/残骸” シホ :
 雛が、自らの殻を破ったならば。
 次は空へ翔ぶ準備をするときだ。大空へ、自らの翼で。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 片方の掌を見つめる。
 握られた手は、温かく。もう悴んでいない。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 ……自らの理由。空っぽを埋められなくても、そこに寄り添う答えを探す旅。

”朧の狩人/残骸” シホ :
 答えのつづきを探したい。
 “彼女”が護ろうとした、その温かさを側で感じたい。
 “彼女”の模倣ではなく───私自身の願いで、護りたい。

SYSTEM :
 覚えているうちは忘れない。
 金言とも小言とも見て取れる台詞を、あなたは素面の笑顔/苦笑いで流して。
 架空の空に飛び立つ支度を始めた。 

SYSTEM :
 空の穴を埋める術を、かつて、レネゲイドに根付くものが探した。
 ………埋めなくてもいいのだ、という答えは、苦痛と渇きの隣り合わせ。

 寄り添うことを答えとして、その続きを望んだあなたに、タイガーアイの水晶体が幾度か明滅する。
 分かり切った答えを臨むものとはまた違う、穏やかな輝き。踏み込むべきものに踏み込まなかった/知らなくてもよい『蛇足』を知らずに行くことを、それはそれでよしとする色。

SYSTEM :
 ………ところで。

SYSTEM :
 プランナーも、タイガーアイも。
 あなたが最初に出会った、隣人と呼ぶにはあまりに異形の生き物だが。

SYSTEM :
 北欧の地で探し求めるものが、あなた/シホというのは。あまりにも偶然が過ぎる。
 そして、偶然の散歩をする組み合わせとしても、彼らはあまりに異質だ。

SYSTEM :
 知っていて聞かなかったのか。
 知らずに除けたのか。

 どちらだったかは知らないが、それにこいつが掘り返すことはなかった。

SYSTEM :
 ………水晶体が一度明滅する。

 飛び立つ友人の手向けというには遠く。
 観察対象の均衡を崩さぬ計らいというには冷たさがなく。
 雪の地の名残を持つ、レッドタイガーアイに反射して光の色が、飛び立つものの背を照らした。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :幕間シーンを終了します。ロイス取得等ありますか?

”朧の狩人/残骸” シホ :……新たな取得はありませんが、感情の変更を行いたいです。

GM :わかりました。どのようにしますか?

”朧の狩人/残骸” シホ :まず、一つ目のロイス……
『水崎志穂』についての感情を、
○遺志/疎外感 に。

GM :了解しました! しかし…「一つ目」ですか

”朧の狩人/残骸” シホ :二つ目…
“タイガーアイ”に対する感情を
○ 慕情/猜疑心 に。

GM :なるほど…

GM :
『水崎志穂』が「執着→遺志」「疎外感→疎外感」
『タイガーアイ』が「友情→慕情」「食傷→猜疑心」

 …と言ったところですか。

GM :なかなか大胆な心境の変化ですが問題ありません。キャラシートへの変更と記入をお忘れなく。

SYSTEM :◇ ◆ ◇


ミドルフェイズ〜ラウンド2後半〜

SYSTEM :
[クリンナッププロセス]

SYSTEM :
[クリンナッププロセス/島の変化]
 次ラウンドに発生する「島の変化」を確認します...

SYSTEM :1d100  (1D100) > 81

SYSTEM :81〜85:次ラウンドで「トリガーシーンを除くメインプロセス中の判定」に参加すると、判定後に侵蝕率+1D10

SYSTEM :
[ - ラウンド/2(結果)- ]

【経過ラウンド】
 2/9
 
【島の変化】
 81〜85/次ラウンドで「トリガーシーンを除くメインプロセス中の判定」に参加すると、判定後に侵蝕率+1D10

【プライズ】
 □□□□□ □□□□□ □□□□□ □□□□□

3:“ミッドナイト・アイ”を発見、合流
5:「明夜白銀」の居場所を発見
8:「渇望喰い」の居場所を発見
11:「蝕みの君」の居場所を発見
14:?????
17:?????
20:?????

 合計:13/20

【友好ユニット】
 4/?
 まだ民間人が「3名」取り残されている…。

【敵対ユニット】
 4/4 COMPLETE!

GM :
 ラウンド2終了となりました!
 なお前回同様、ラウンド3移行前に「必要なシーン」がありましたら、この場、もしくは雑談席で宣誓のほどよろしくお願いします。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :[ - ラウンド/3 - ]  

SYSTEM :
[ - ラウンド/3 - ]

【経過ラウンド】
 2/9
 
【島の変化】
 81〜85/次ラウンドで「トリガーシーンを除くメインプロセス中の判定」に参加すると、判定後に侵蝕率+1D10

【プライズ】
 □□□□□ □□□□□ □□□□□ □□□□□

3:“ミッドナイト・アイ”を発見、合流
5:「明夜白銀」の居場所を発見
8:「渇望喰い」の居場所を発見
11:「蝕みの君」の居場所を発見
14:?????
17:?????
20:?????

 合計:13/20

【友好ユニット】
 4/?
 まだ民間人が「3名」取り残されている…。

【敵対ユニット】
 4/4 COMPLETE!

SYSTEM :

[セットアッププロセス]


SYSTEM :
 セットアッププロセスを開始します。
 選択可能な行動を確認した後、各自の宣言をお願いします。

SYSTEM :
[セットアッププロセス・情報判定]

・島の調査(知覚 or RC or 有効と認められる判定:10)
 既に解放されているエリアの周囲1マスからどこか1つを選択
 そのマスを開示する
(候補:[1-2]、[2-2]、[2-3]、[3-4]、[3-5]、[4-2]、[4-3]、[4-4])

・情報:『渇望喰い』/〈情報:UGN or 裏社会〉:10
・情報:『明夜白銀』/〈情報:FH or 軍事〉:14

木口龍 :つーわけで話が纏まったみたいだし、
オレは情報:『明夜白銀』を、<FH>で調べる。ホデリさん、頼めますか?

『ホデリ』 :あれなる娘か………

『ホデリ』 :よかろう 捨て置いてはならぬと見ゆ

木口龍 :オレの中の何かの勘が囁いているんだ……

久外境耶 :(うろんな目)

『ホデリ』 :かくもあやしき男だが いつわりではない

『ホデリ』 :試してみるとしよう…

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

GM :…あ

木口龍 :

GM :判定の時のエフェクト宣言等がまだでしたね

GM :「情報:FH」の宣言時、何らかのエフェクトや使用するものはございますか?

木口龍 :ああ。8出さないといけないから砂の加護使おうかと思っていた。

GM :良いでしょう…では砂の加護の使用でよろしいですね?

木口龍 :含みのある言い方だな……。
砂の加護を宣言する。この判定のダイスを+3個だ。

GM :まさか。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

system :[ 木口龍 ] 侵蝕率 : 77 → 80

木口龍 :で、80だからボーナスも増える。戦闘時にあまり使わないぶんはこうやって稼がんとな……。

木口龍 :6dx+6 (6DX10+6) > 10[1,3,3,3,7,10]+8[8]+6 > 24

木口龍 :

GM : 

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :
【Check!】
 トリガーシーンの発生はありませんでした。
 

GM :
 ………ですが………。

木口龍 :が?

GM :
「シーン展開」をそれなりに推奨します。

木口龍 :ん? ああ。

木口龍 :まぁするわな。推奨14で何も無いわけがなかろう。

荻野目 旭 :はい!はいはいはい!僕も行きます!

GM :承りました。

GM :が 情報判定した龍さんの反応も聞きましょうか

木口龍 :オレは構わんぞ。なにせ因縁なぞほぼ聞いていない身だ。今のオレはまだギリギリまたしても何も知らない大泉洋だからな。

三廻部 颯 :はいはいはい!私も行きます!

久外境耶 :お邪魔しまア〜す

木口龍 :二人とも構わん。シホさんにはあとで共有すればいいか。
どうせオレも3-3の件で喋んなきゃならんことがある。

GM :了解しました。では…

GM :例の如くセットアップ終了時に当該シーンを展開するとして…

GM :残りをやっていきましょう この?マークが目に入らぬか

”朧の狩人/残骸” シホ :では、続けて私も島の調査に移ります。
指定は[3-4]、使用技能は〈知覚〉。
前回と同じく『オリジン:ヒューマン』と『EE:真昼の星』を併用するつもりです。

GM :
 了解しました。
 裁定は前回、前々回と同じもの(達成値に+1)としますが…

GM :
 オリジン:ヒューマンの使用とは中々思い切りますね。

”朧の狩人/残骸” シホ :目前に迫るものがありますから……。

GM :なるほど。とはいえ、今はベターなところです。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

system :[ ”朧の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 74 → 76

”朧の狩人/残骸” シホ :8dx10+2 〈知覚〉 (8DX10+2) > 7[3,3,4,4,5,6,6,7]+2 > 9

GM :お…御待ちなさい

GM :1足りない…ではありませんか

GM :いえすみませんこれ真昼の星で1足りてますね

GM :失礼しました

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :1d15 (1D15) > 6

SYSTEM :
【Check!】

・「3−4」の判定が開示されます。

進行/〈射撃〉:12
   〈知識:UGN、FH〉:14

支援/〈肉体〉〈RC〉:6

壱:「判定失敗」の時、強化された『渇望喰い』との戦闘が発生する
弐:『渇望喰い』撃破、もしくは『ジャーム化』時に「壱」は発生しない

荻野目 旭 :僕も行きます! 《ハンドリング》を併用して知覚判定するつもりなんですが、このときは《猫の道》を組み合わせてなんらかの有利な裁定を得ることはむずかしいですか?

GM :定番中の定番ですね。しかし猫の道は『近道を見つける』手段…

GM :メインプロセスの探索判定ならノータイムで頷きましたが、「その場所に何があるのかの把握」となりますと………

GM :僕を言い負かせ………もとい“具体的用法”はありますか?

荻野目 旭 :猫の道と鳥の視界で探す範囲が広がるかなあと思ったんですが……

GM :ああ…成程

荻野目 旭 :どうでしょう?(上目遣い)

GM :ハンドリングと組み合わせるのですね

GM :1d6 (1D6) > 5

GM :大人(のドラゴン)を無礼るな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 小僧!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

GM :OKです

荻野目 旭 :やった〜♡

GM :こちらも判定目標値を10⇒9とするものとしましょうか

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

荻野目 旭 :では「4-2」を調査します! 記念受験記念受験!

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 78 → 79

荻野目 旭 :2dx+3 (2DX10+3) > 5[1,5]+3 > 8

GM :

荻野目 旭 :………。………………。

GM :すみません 今度こそ1足りないように見えますが

久外境耶 :ワッハッハどうだ大漁かあ!?

荻野目 旭 :鮎おいしいですねえ!!!!!!(やけくそ)

荻野目 旭 :1d100 (1D100) > 11

荻野目 旭 :しかも釣果すくな!

SYSTEM :
【Check!】
 判定に失敗しました。

三廻部 颯 :よ………[4-4]あけまあす……。

GM :うぬら…二人か…!

GM :技能はどれにしますか? また、宣言しておきたいものはございますか?

三廻部 颯 :えっと、前みたいに《壁抜け》使います!

三廻部 颯 :技能は知覚で!

GM :では前々回、および前回の査定で行きましょうか。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

三廻部 颯 :4dx+1 <感覚:知覚> (4DX10+1) > 4[1,4,4,4]+1 > 5

GM :

三廻部 颯 :がーーーーーーーん……

GM :こちら…

久外境耶 :ワーハッハッハ通りすがりの冷やかしです

久外境耶 :バケツくらいなら貸してやるよ

GM :子供心向けのエクスカリバー(棒)です

三廻部 颯 :1d100 鮎とさわがに (1D100) > 23

三廻部 颯 :びみょう…

SYSTEM :
【Check!】
 判定に失敗しました。

GM :では…

GM :最後は境耶くんです

久外境耶 :悪いな おまえらの運もらっていくぜ

久外境耶 :場所は「4-3」、例によって《異形の歩み》だ

GM :分かりました…が…

GM :前回まで使用していた『熱感知知覚』は併用しないのですね?

久外境耶 :お? 忘れてたわ、使う使う

久外境耶 :で、RCだな

GM :了解しました。では前回同様の裁定を執りましょう

GM :目標値は[8]。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

久外境耶 :2dx+1 カッ (2DX10+1) > 9[3,9]+1 > 10

GM :おお…

久外境耶 :ッシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

“ミッドナイト・アイ” :3度目の正直に失敗すると死ぬ病気?

久外境耶 :おう沢蟹の毒が全身に回って死ぬぜ

“ミッドナイト・アイ” :沢蟹のジャイアントキリング…この島のいきものなら有り得たり…

“ミッドナイト・アイ” :…都合のいい使い捨てが死んじゃってるな…惜しい…

久外境耶 :ああ 惜しいやつを亡くした

久外境耶 :着いてからのほうが遊べたのに

FHエージェント : 

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :1d14 (1D14) > 13

SYSTEM :
【Check!】

・「4−3」の判定が開示されます。
 進行/〈交渉〉:7
    〈知覚〉〈情報:FH〉:10

 支援/〈情報:FH〉:6

GM :さて…

GM :先程の颯さん…

GM :外部指摘により「侵蝕分のダイスボーナス」が抜けていたことが判明しました

三廻部 颯 :はい…

GM :正しくは「5dx+1」であった様子。ですがそのまま振り直すとほぼ確定ゴール…。

GM :なので…「増加分の1dx」について追加で振って下さい。

三廻部 颯 :はい!

三廻部 颯 :いきます!

SYSTEM :
【Check!】
 再判定を行います。

三廻部 颯 :1dx <追加分> (1DX10) > 8[8] > 8

GM :ま…まて…やめろ…!

GM : 

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

GM :(※なお念のためお伝えしておきますと知覚Lv1により、先の結果は「5dx=8+1」、壁抜けによる目標値緩和「10⇒9」の結果、同値による成功としています)

SYSTEM :1d13 (1D13) > 4

三廻部 颯 :よん? よん

SYSTEM :
【Check!】

・「4−4」の判定が開示されます。

判定/〈射撃〉:16
   〈任意戦闘判定の算出ダメージ〉:20(2回)

支援/〈白兵〉〈射撃〉〈RC〉:6

壱:『蝕みの君』撃破、もしくは『ジャーム化』時は目標値が
  『〈射撃〉:16⇒10、算出ダメージ回数:2回⇒1回』になり、「弐」は発生しない

弐:「判定失敗」の時、強化された『蝕みの君』との戦闘が発生する

SYSTEM :
[セットアッププロセス]

 セットアッププロセスを終了します。
 また、開示が確定した情報の一部について確認後、
 セットアッププロセス時点でラウンド進行を一時中断し、シーンを展開します。

SYSTEM :
.     マンティコア
【人物:“喚楽の人食い虎”明夜白銀/▇▇▇▇▇▇01】
 ブリード:クロスブリード
 シンドローム:キュマイラ/バロール
 ワークス/カヴァー:FHチルドレン/FHセルリーダー
 侵蝕率:150% 性別:女性 年齢:20

SYSTEM :
 所持Dロイス
『▇▇▇▇▇▇』『▇▇▇▇▇▇』『▇▇▇▇▇▇』『生還者』『野獣本能』

 所持タイタス
『“????”????』

 所持メモリー
『Empty』『Empty』『Empty』

SYSTEM :

 FHがレネゲイド拡散当初から既に存在したという、
 レネゲイドビーイングの戦闘能力に着目して作り出した『最終兵士』の成功作。
 レネゲイドビーイングのRC適正と人間の応用力、そして「あるオーヴァード」の持つ空間認識能力を備え、
 何より“衝動に引っ張られない”ための心の空白を備えて生まれた、凡そ戦士として最高格の素質と能力を持つ怪物。

SYSTEM :
 が………。

SYSTEM :◇ ◆ ◇


情報シーン3「明夜白銀」

SYSTEM :
【情報シーン3:『明夜白銀』】

 登場PC:龍、旭、颯、境耶
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
   マンティコア
Tips“喚楽の人喰い虎”明夜白銀
 カヴァー/ワークス:FHチルドレン/FHセルリーダー
 性別:女性 年齢:20 侵蝕率:150%
 シンドローム:キュマイラ/バロール

 FHがレネゲイド拡散当初から既に存在したという、
 レネゲイドビーイングの戦闘能力に着目して作り出した『最終兵士』の成功作。 
 荻野目旭が、約3年ほど前に北欧のとあるRBに部隊を全滅させられた折、最後に横入りを掛け、そのRBを殺害した張本人。

 ありふれた生き方を識ることさえ適わず、
 誰とも隣り合う術を識ろうとさえ思えず。

SYSTEM :
 ………必要な分の情報共有(という名の押し寄せるハチャメチャ)を済ませ。
 一度情報を整理した際に浮き上がるものは、やはり“蝕みの君”と呼ばれる、北欧で死したはずの竜型レネゲイドビーイングであった。

 もはや命長くないその個体は、しかし在るだけでオーヴァードにも非オーヴァードにも等しく死をばら撒く、世界に存在してはならない生物となった。これの排除を捨て置くのは、誰にとっても得とはならないだろう。

 ………そこで合致したのと同じ程度に。
 誰が言い出したのか、あるいは自然と纏まったのか。『リュウグウジマ』と呼称される場所に降り立っていた一人について、あなたたちは意識を傾けた。

SYSTEM :
 明夜白銀(あかしや・しろがね)。
         マンティコア
 コードネームを“喚楽の人喰い虎”。

 誰の記憶にも『笑う』以外の顔を見せず、遊び相手を探すのに必要と、颯の友達である池田咲楽に何らかの他意を以て誘拐、居場所が漸く特退で来た現在に至るまで、その行動は明らかになっていない。

 ………先ず衝突が考慮される3人/体(4人/体)のオーヴァード/ジャームのうち一人である彼女について。
 本格的な調査、そして一刻を争う『蝕みの君』の討伐を開始する前に、通信が繋がり、情報を拾える場所であるこの地で、先に藪をつつくことを決めた………というわけだ。

SYSTEM :
 その接続の安定と維持/隔たれた外とのつながりを保つために招いたホデリは、前回のこともあってか、前足と後ろ脚をたたむようにして座り、門外漢の自覚と共に鎮座していた。

SYSTEM :
 回線の起動と共に、あなたの脳内データベースの情報は再度更新される。
 しかし………。手間はかかるだろう。

 UGNにもFHにも仔細は乗っていなかった/乗っているならこの場の誰かが触れていた相手だ。

SYSTEM :
 “ブラザーフッド”/タイガーアイをつれて、先に支度と哨戒に出たシホらを除けば…。
 あなた/龍がいざその用意を整えた時点で、すぐに自身のデータベースを用いたアクセスが行われ、その結果についての共有も始まるだろう。文字通り、行動前の再確認も兼ねていたわけだ。

木口龍 :
「──よし、……まだ電波が繋がるようでよかったぜ・・・」 3G回線・・・

 冗談はさておいて。

荻野目 旭 :不安になってきたなぁ

木口龍 :

木口龍 :
「──うん、何とか繋がりそうだ。期待はしないで待っていてくれ。

 "オレの灰色の脳細胞(データブレイン)が火を吹くぜ!"」(この辺なんかねっとりしてる)

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :「こんなだけどホントに有能だからなぁ」こんなだけど…

久外境耶 :「プライマイゼロ」小声

SYSTEM :プラスもマイナスも両極端な青年であった。

『ホデリ』 :
『此度は鉄の箱は使わざるか。
 仔細は委ねる』

荻野目 旭 :「僕はこう……がんばって機械を使って干渉するんですけど、木口さんの場合頭の中でがんばる感じですからね」

三廻部 颯 :「あたまのなかで」

木口龍 :「ああ、オレの頭の中に爆弾がじゃなくて」

三廻部 颯 :「はい……?」

木口龍 :「鉄の箱に入れてるような機械が、オレの頭の中に埋まってるんだよ。"電撃使い(ブラックドッグ)”でそれを使えるって寸法さ」

三廻部 颯 :「あ、ああ……そういう……」

SYSTEM :ホデリはあなた/龍を三度見した。

SYSTEM :
 ………彼からすればどうも現代社会でありふれにありふれた“機械”の在り方は、文字通り空想の向こう側にあるらしい。
 凄まじい絵面を想像したのか、心なしか視線が同情と僅か引き気味なものに変わるのに時間はかからなかった………。

久外境耶 :大ウケ

木口龍 :「……あー」 思い出したが颯はさておいてホデリさんって確か平安の……

木口龍 :「陰陽術を使うための祝詞?だっけか」

木口龍 :「あれがオレの頭の中に書いてあるようなもん。で、オレはそれを使えるってこと」 精一杯の説明

『ホデリ』 :
『………我が手の彼方にあること分かれり』

SYSTEM :
 ぽつりと呟いた白い狗は、軽く唸って再び姿勢を戻した。
 説明を無下にしたくはないのか途中まで聞いていたが、そもそも重要なのはそこでもないからだ。

久外境耶 :「そーそー。イロ男の頭のナカミより、それ使って何が出てくるかのほうが大事だしな」

三廻部 颯 :同意の頷き。

木口龍 :
「ま、精々大人は泥に塗れて探してくるさ──」

 接続準備オーケー。いつでもいける。

荻野目 旭 :いまさらオトナなんて言われてもなぁ

久外境耶 :ヨゴレ芸人の話した?

SYSTEM :あなたはオトナと言い切っていい時と言ってはならない時が存在した。その割合は3:7…いや2:8くらいである。

三廻部 颯 :こんな大人にはなりたくない……

SYSTEM :さておき…。

SYSTEM :
 空間内において電子機器類は不安定ながら起動を確認している。

 回線の起動と同時、あなたの脳内データベースが自動的に更新を開始。
 ………コンマ数秒の僅かな時間で出力された、脳内データベースからアクセスした電子の海へと意識をダイブさせた。

SYSTEM :
 この空間からの接続に起因する『時間』の不安定さ………。
 今にして思えば、はじめに池田咲楽に関する情報を探った時の、あの情報の奇妙な変動は、旭らの出くわした、この『リュウグウジマ』から接続した外部は“いつの時間”に繋がるのか分からない、という荒唐無稽を裏付けるものだったのだろう。

 颯には敢えて聞かせず遠ざけたその情報についてはさておいて。
 あなたは、“喚楽の人喰い虎”と呼ばれたFHセルリーダーについて情報を検索し始めた…。

SYSTEM :
 とはいえ。

 UGNのエージェントが半年追い掛けて詳細を存じず、FHにも名前以外は知れ渡っていないような人物だ。
 それを一朝一夕で、しかもまともに探したのではキリがない。
 検索を掛けて、重複するような情報を切り捨て、些細な情報を繋ぎ合わせて思考する。

SYSTEM :
 行動履歴、保有するシンドローム、戦闘中の仕草。
 何時頃から名が独り歩きし、行動にどんな特徴性があるのか。
 無敵の生命体など絵空事にしかいないように。
 つなぎ合わせた情報を銀の弾丸へと作り変える………。

SYSTEM :
 ………。
 ………………。

〈──〉 :
 20XX/05/13
  同一のシンドロームを持つ『チルドレン』が、当時アメリカで活動の痕跡を残す

〈──〉 :
 20XX/06/22
  前述したチルドレンと同じコード名を持つ“マンティコア”の姿は各地に紛れて確認され、あらゆる戦場に姿を現した
  アフリカ某国におけるテロ活動に関与していたFHセル『ナハト』とUGNの交戦に介入
  徒に被害のみを広げながらも、当時UGN名うてのエージェントおよび『ナハト』セルリーダーの死亡が確認

〈──〉 :
  同上、“マンティコア”は基本的に伴とするものを連れ立つことはなかったが
  関与していた何らかのセルの痕跡を持ち、以後暫く、作為的な襲撃が幾つか確認される…

〈──〉 :
 20XX/12/17
  イタリア・ローマ某都におけるUGNローマ支部攻略において意図的な協力・介入の痕跡がある
  なお関与していた何らかのセルについては此処で存在と痕跡を途絶えさせた

〈──〉 :
 20XX/1/9
  FHセルの存在の有無、UGN支部の完成の有無を問わず、今まで作為的な襲撃が行われていたが
  偶発的な目撃や、アクシデントのような戦闘行動が目立ち始める

〈──〉 :
 20XX/9/X
  始めてUGNにその足跡を残した、
  当時北欧での対大型RB戦闘における戦闘レポートを確認

〈──〉 :
 20XX/1/16
  日本都市部において多発的なAオーヴァード/ジャームを率いた襲撃の記録
  先ずUGN、次にFH、同時期に居合わせていたストレンジャーズが多大な被害を受けつつも撃退

〈──〉 :
 20XX/3/5
  再度、北欧において襲撃というにはあまりに無軌道な“横断”の記録
  この件を持って『魔獣の巣』の追撃と調査が認可された

SYSTEM :
 外部でのあなた/龍の表情や態度、行動の履歴が嘘のような行動の正確さ。
 しかしそれは、誰にも姿を見せることはなかった。

 ………だが。
 そのあなたが、核心的な部分に辿り着いたのはずいぶんと後だった。

〈──〉 :


  最終■■計画
                遺産■■■
               破壊の子
           複製体     ホワイト・スカイ
         衝動の空洞化            
                       ローマ
                  野獣本能
   オーガスタ        日本
                   ■■■■■


〈──〉 :

       行動の共通性
              /
                結果的な破壊活動


〈──〉 :

      戦えない相手
             /
               見向きもしない・“比較的”友好


〈──〉 :
    無軌道な行動
            /
               全て発端となる箇所に
               オーヴァード・レネゲイド関係者が存在

〈──〉 :

   潜在的な欲求
           /  ・・・・・ ・・・・・
              戦いになる/同じ目線の相手を探している


SYSTEM :
 ………不可思議なことに、あなたの技量を持って尚、彼女のパーソナリティ的な部分には一切触れられなかった。
 UGNでは当然ながら、FHですら。
              ルーツ
 であるならば、何処に存在の起源があるのか───。

SYSTEM :
 おそらくはそれを探ろうとした場合、島の探索どころではない時間が掛かるだろうと、
 あなた/龍が考えたのかは定かでない。
 その行動の無軌道にすら思える足跡、組織としてあまりに不自然な足運び。
 そちらに引っ掛かるものがあって、あなたは彼女のプロファイリングよりも其方を優先したころだ…。

SYSTEM :
 ………。

 あなたは。
 ある事実に気が付いた。

SYSTEM :


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 魔獣の巣などという名前のセルは恐らく存在しない。

SYSTEM :

 厳密に言い換えよう。
 魔獣の巣、という名前は………FHのデータベースには存在しなかった。

SYSTEM :
 そして、彼女の行動はある時期から終始、神出鬼没かつ、場所に一貫性を持たない。
 バロール・シンドロームの応用と言えばそれまでだろうが、組織の人間がする行動ではない。

 ………そう考えたならば、一気にある内容について辻褄が合う。

SYSTEM :
 このセルの名前は、彼女の何らかの目的を持っての放浪の結果発生する破壊活動に”ラベル”をつけるため/身を隠すための誰かの行いであり…。

SYSTEM :
 ………そこに意識を向けた途端。

 あなたの結論はとてもスムーズに纏まった。
 ある時期まで彼女を作為的に操縦し、痕跡の途絶えたセル。
 そして、ある実験の失敗で崩壊したというその場所の、一部についての情報は徹底的に隠蔽されていたが………。

 ここで、漸く結論を得た。

〈──〉 :“きみのこと、どうせ覚えないので、私が一方的にお話します!”

SYSTEM :

 あれは比喩でも挑発でもない。
 ・・
 代償だ。

SYSTEM :
.ディスクリプト
 特異性を意図的、かつ先天的に、
 素体となるものに付与するように調整し。
 
 レネゲイドが齎す衝動に対抗するための”機能”を備え付けた。
 いわば、永久に使い勝手の悪くならず、それでいて『レネゲイドそのもの』とも呼べる存在と対等に渡り合えるような………。

 人だけど人でないものを作ろうとした結果の。
 最初で最後の、部分的成功者だ。

SYSTEM :

 明夜白銀なんていうのも、
 たぶん自分で適当に付けた名前。

SYSTEM :
. コードネーム
 かりそめの名前は人喰い虎。
  マ ン テ ィ コ ア
 継ぎ接ぎの異常性で武装した獣。
 あらゆる兵士を殺し得る、並び立つもののない最終兵士。

SYSTEM :

 オリジナルとなったオーヴァードが、
 空にちなんだコードネームを持っていたことを皮肉って。
 この計画で作られるオーヴァード兵士は、こう名付けられた。

SYSTEM :
アーカーシャ
 虚ろな空。

 時に縛られることも、何にさだめられることもなく。
 ただ、それそのものを現実のものではないと嘲るための名前。

SYSTEM :
【Check!】

 情報を開示します。

SYSTEM :
.     マンティコア
【人物:“喚楽の人食い虎”明夜白銀/アーカーシャ01】
 ブリード:クロスブリード
 シンドローム:キュマイラ/バロール
 ワークス/カヴァー:FHチルドレン/FHセルリーダー
 侵蝕率:150% 性別:女性 年齢:20

 所持Dロイス
『複製体』『強化兵』『破壊の子』『生還者』『野獣本能』

 所持タイタス
『“????”????』

 所持メモリー
『Empty』『Empty』『Empty』

 所持エンブレム
『エンシェントキーパー:巨獣の爪牙』

SYSTEM :

 FHがレネゲイド拡散当初から既に存在したという、
 レネゲイドビーイングの戦闘能力に着目して作り出した『最終兵士』の成功作。
 レネゲイドビーイングのRC適正と人間の応用力、そして「あるオーヴァード」の持つ空間認識能力を備え、
 何より“衝動に引っ張られない”ための心の空白を備えて生まれた、凡そ戦士として最高格の素質と能力を持つ怪物。

SYSTEM :
 が、代償として本来人間の記憶容量に使う脳機能を『衝動を逃がす心の空洞』として転換しているためか、彼女は「戦闘・生命活動に関わる内容を除いた記憶を定期的に喪失する」体質であり、
 同時に対衝動を「他者との共感性の欠落(それに繋がる『ロイス』の徹底的排斥)」による生物としての隔絶性を要としたためか、戦闘行動に不必要な感情の一部に欠落(あるいは出力異常)が見られる。

 さらに彼女のレネゲイドと『ワーディング』には、自分の性質に充てられる形で周囲の非知性レネゲイド、および野生動物を高い確率でAオーヴァード/ジャーム化させる特質が備わっており、一度戦闘行動に発展するだけで、その場を致命的かつ広範囲の戦闘状態に変貌させる。

 ………このように、とある目的のもと作られた兵士としては部分的な完成と成功に留まり、これ以上は致命的な破綻を起こすものとして、以降の個体は安定性と再現性に意識を割かれたという。

SYSTEM :
 混沌・善。外向的・受動的。

 断じて悪意を伴った生物ではないが、性格および人間が作った社会秩序に存在し得ない。
 にこやかに話しかけてくるものの、基本的に一方的なのは「どうせ覚えない」から。

 他者を理解しようとする行動に然したる必要性を覚えずともコレを行うのは“それがオーヴァードの在り方”という断片的な学習の成果に過ぎない。

 ありふれた生き方を識ることさえ適わず、
 誰とも隣り合う術を識ろうとさえ思えず、
 平和な現代ではどうやっても生きていけない孤独の魔人。

SYSTEM :
 なお、明夜白銀は心底から「覚えていたい」ものに『ロイス』を取得する。
 これによって発生する効果は不明。

SYSTEM :
 ………あなた/龍は必要な分の情報を探り、判明し得ない奇妙な部分はどうあっても無理と分かって労力を割かずに置き………。
 意識を浮上させた。

SYSTEM :
 ………。
 ………、………。

SYSTEM :
 検索を終了する。
 
 現実時間の何倍も体感時間、電子の海の…。
 それこそ『世界』規模を股にかけた、10分前後の旅が終わる。

SYSTEM :
 ………ノイマン顔負けの電子操作。
 因みにノイマンがあったならば、
 少年少女の目は3倍胡乱なものを見るものとなっていただろう。

 それはさておいて…。

木口龍 :
「────」

 驚きのあまり、情報の記録用に走らせていたペンを、取り落とす。

木口龍 :
「────どいつも、こいつも、本当にロクなことを考えない」

 ……口をついて出た言葉に、まるで身に覚えでもあるかのような感触が伴って出た理由は、自分でも分からないが……。

木口龍 :
「……あー、うん、えーっと、とりあえず全部調べ終えた。終えたんだが……何から話すべきか」

荻野目 旭 :「………」

荻野目 旭 :「そ、そんなとんでもない話が明らかになったんですか? ど、どんな……?」

三廻部 颯 :「? ?」

木口龍 :
「まず第一に、"魔獣の巣(ネスト)"なんていうセルは文字通り"""存在しない"""。
 FHにもハッカーの長一人だけでセルを名乗っていたりする、という事例こそあるが……これは、明夜白銀という一個人を、セルという単位で覆い隠しているだけだ」

荻野目 旭 :「……存在しない……?」

三廻部 颯 :「ぺーぱーかんぱにー?」

木口龍 :
「ペーパーカンパニーは妥当ではないかな。
 どっちかといえば、
 これは個人が行ったテロ活動を、
 "これは集団で行った組織的な行為だぞ"、と触れ回るようなものだ」

 これも厳密には言い方が違うが、問題はそこではない。

荻野目 旭 :「……ん〜と」

荻野目 旭 :「つまり、彼女の目的をぼやかすためのカモフラージュとして、『バックになにかがいたり、誰かが付いている可能性があるぞ』って言っているってことですよね?」

木口龍 :「……いや、厳密にそう言いきるのは難しい。その可能性もあるにはあるが、今考えるのはノイズだ。というのも──」

木口龍 :

「明夜白銀は、文字通りの"人間兵器"だ」

 ……ここでオレは、先程拾ってきた情報のメモを見せながら喋る。

木口龍 :
「マンガやアニメの比喩なんかじゃない。
 人間に必要な機能を削ぎ落とし、代わりにジャーム化のリスクを大幅に下げるための機能を増設したことで、フルパワーで出力を可能にした人間兵器。

 増産を目指して創られた内の一個体が、寄る辺もなく歩き回っているものと思ってくれていい」

木口龍 :
「その一端を、オレ達も聞いているし、何より旭、お前は身に覚えがあるような様子だったな?

 ──そう、"どうせ覚えないので"、だ」

荻野目 旭 :「……」

SYSTEM :
 そういう人物が、覚醒めた颯を見た時の顔が。
 ・・・・・・・・・・・・
 すがるような期待の目つきだったこと。

SYSTEM :
 そういう人物が、自分に向かって来た境耶に対し、
 恐らく見ている限り一番“嬉しそうな”反応をしたこと…。

SYSTEM :
 ………遊び相手を探していること。

 掘り下げてしまえば、なんてことはない。

SYSTEM :
 明夜白銀がこの“リュウグウシマ”を何処で知ったかはさておき、その動機もさておき。何がやりたいことなのかは単純だ。
 
 彼女は───。

SYSTEM :

 ───自分が“戦い”になる相手を探しているだけだ。
 そのために「目覚めさせたい」ものが、曰く“物の怪”というやつなのだろう。

木口龍 :
「7秒しか記憶することが出来ない病、という難病がある。
 その子は付箋を大量に貼り付けて、日常生活を補っていた」

木口龍 :
「明夜白銀も、脳の構造は同じ状態だ。
 違うのは、記憶野に入り切らないものは、文字通り捨てて、覚えていたいものだけをしまっておく。
 そしてその覚えていたいものは──対等な目線で戦える相手だ、とオレは考えている」

荻野目 旭 :「…………………」

荻野目 旭 :
 体ごと乗り出す。
 メモを食い入るように読む。 

木口龍 :じゃあこの辺で、全員に見えるようにメモを置いておこう。これをかくしかということにする。

荻野目 旭 :
 “魔獣の巣”──言い得て妙だ。  コード
 この情報が全部ホントなら、この記号が示すのは『魔獣の巣』の中に彼女がいることではなく彼女自身が『魔獣の巣』だってこと。

荻野目 旭 :
 手当たり次第に魔獣を造り出し、周りごと狂乱させながら暴れ回る──

 なのにジャームじゃなくて、

 自分のかたちで閉じた心を埋めるなにかを欲しがっている。

 拾った先から抜け落ちるかもしれないものを。

荻野目 旭 :
 ……下ろした手の、指先が、かりそめの畳表をくじる音がした。
 ……それを僕自身がやったのだと気付くのに、すこしだけ時間を要した。

 ……表情だけがいつもどおりを顔に貼り付けていることにも、自覚は薄かった。

荻野目 旭 :
 …………僕の冷静な部分は知っている。

 彼女は何かを探していた。
 巨きくてつよいものをだ。

                    ・・・・・・・・・・・・・
 だから遺産に適合したオーヴァードというつよくなるかもしれないものに、
 期待の視線を寄越した。

荻野目 旭 :
 ……だから境耶くんへの態度が変わった。
 今度はまともに戦いになるかもしれないと思ったから。

荻野目 旭 :………………張り付いた平静の表情のまま、うつむいた。手のひらで顔を覆う。髪の毛が表情を隠す。

荻野目 旭 :
(──────じゃあ僕、)

荻野目 旭 :
    ・・・・
(…………こんなのに?)

久外境耶 :
「なんだ、おまえもかよ──」

 ばからしくって、笑いがこぼれた。
 名前のない被験者。閉じた可能性。満たされない渇望。
 立ち上がったのが死体の山の頂点か底辺かの違いが、いっそう笑えてくる。おもしろくもないのに、くつくつと喉の奥が鳴った。

久外境耶 :
 衝動に引きずられない代わりに、まともな生き方をごっそりダストシュートした欠陥品。
 あげく部分的には成功なんて結果で、頭でっかちに夢を見せたばかりに研究は続いたオマケつき。

 こいつの兄弟姉妹がどうしてるかなんて知りはしないが、アタリはつく。互角以上を求めてやまない最高品質の怪物サマは自分の後継に期待をかけて、結果が出なかったから今もここにいる。

久外境耶 :
 戦って、戦って、戦って──
 何かが胸に刻まれるのを望んでいる。

 そして、生きてるかぎり"それ"は終わらない。

久外境耶 :
 でもおれは"それ"だけじゃ虚しいから、他の理由を求めた。他人の道に乗っかれる余分が、『まだなってないだけ』と『ならないだけ』の差なんだろう。

久外境耶 :
「どうしたよ"ナイトホーク"、ツラと動きが合ってないぜ。その分じゃおまえ、どこぞであのオンナの通り道に転がってたクチか?」

荻野目 旭 :「…………………」

荻野目 旭 :「…………“蝕みの君”ですよ」

荻野目 旭 :
   ヒト
「あの女があいつをおもちゃ候補だって思って、踏み潰したときです」

久外境耶 :「へえ。で、おまえは? 黙って見てたワケ?」

荻野目 旭 :「攻撃能力はありませんから」

荻野目 旭 :……からからに渇いた声。取り繕うのもちょっとむずかしい。

久外境耶 :「人に馬車馬みたく働いてもらうのが得意なんだもんな」

荻野目 旭 :……………。

荻野目 旭 :『馬車馬になってくれる人はみんな死んだんだよ』と答えるのを、ぎりぎりで堪える。

久外境耶 :「あーあ。シケたツラしやがって、テンション上げるとこだぜココ」

久外境耶 :
「おめーの相手はおれらだ! つってあいつボコすの一択だろ。

 わざわざ拝みにきたデカブツよか、バカどもけしかけてくるチビのほうがツエーんだぜ? 忘れらんね〜だろうな、ウケすぎて」

SYSTEM :
 あなたの理性的な目的は、この事態から颯を、咲楽を、巻き込まれただけの薄氷の上側/海に落ちて来なかった子供たちを無事に帰してやることだ。

 ………だが。
 あなたに年相応の“やすいプライド”があるなら、個人的な動機の一つは。まさにこの少年の、激励か揶揄かも定かでない言葉だった。

SYSTEM :
   ・・・・
 ………路傍の石扱いをして。
        ・・・・・・・・
 今にして思えばあわれみと気遣いでアレを吐いた女に。

荻野目 旭 :「……………」顔を上げる。変わらない表情を彼に向ける。

荻野目 旭 :
   ・・
「……『それ』やるまでは馬車馬になってくれるつもりではいるって、受け止めますけど」

久外境耶 :「バカ言え。おれはもう理由見つけてんだ、今回はおまえじゃねえ」

久外境耶 :「バカどもけしかけるやつも頭バカなってるほうがおもしれーだろ」

荻野目 旭 :「…………………」

荻野目 旭 :信じらんないな。命使うのに、あきれたたわけっぷり。

荻野目 旭 :……でも、都合いいのはホントだった。

久外境耶 :
                  バカ
「男の子だろ、気合い見せろよ。おれはFHだろうが使えるもんは使う"ナイトホーク"となら肩組んでいいって言ってんだ」

荻野目 旭 :「…………………」

荻野目 旭 :……呆れるなあ。いまの僕のマジの理由、こっち寄りじゃないか。

荻野目 旭 :「……じゃあ、つきあってくださいよ」

荻野目 旭 :「……僕……なんだか……おかしくなっちゃって」

荻野目 旭 :「……もっと人を外れた怪物なら、あきらめもついたんですけど」

荻野目 旭 :
 ・・・・・・・・
「遊び相手がほしいなんて……
      ・・・・・
 まるきり、ただの人間じゃないですか」

荻野目 旭 :
「……そんなの、信じられます?」
 逆立ちしたって届かないと思ってた怪物が、
 モルモットこじらせただけなんて──

荻野目 旭 :「ジャームですらなくって……ただ強いだけ?」

荻野目 旭 :
 戦うの向いてないですよ、が、
     ・・・・・・・・・・・・・・・・
 そいつが戦うのしかできなかっただけだからなんて。

荻野目 旭 :「………………そんなの」

荻野目 旭 :
「……どうにでもできちゃうじゃないですか」

 ぜったい、引きずり落とせるじゃないか。

久外境耶 :
「ダッハハハ、い〜ねえ! かわいいツラして言うじゃねえの。それだよそれ、おれが組みてえ"ナイトホーク"は!」

 細い肩に腕をかけて、けたけたと笑う。

SYSTEM :
 無軌道に十年彷徨って変わらずの暴れ馬をやるような、
 後先考えない間抜けが生き延びることがあったとして。

 それは悪運が強いか、単純に誰も適わなかったかの二つしか有り得ない。
 ───この場にいない、オーヴァードの“先達”の言葉である。

SYSTEM :
 以て此処に、わざわざ繰り返すまでもなく結論はついた。

 獅子の躯と人の智慧。
 あらゆる異常性と特異性を付与し、
..マイソロジー
 物語の生き物だって徒手で殴り倒して笑う超人の実態は。

『ホデリ』 :
『………ただこはきばかり………か』

SYSTEM :
 そいつは無欠の超人でもなく、
 神の如き隔たりを持った存在でもない。
 ・・・・・・・・・・・・
 無軌道にやっても死なないだけだ。
 戦場にて不敗。不敗ゆえの生還者。

 形なき虚ろの塒から這い出た彼女の目的、なんてこともない。単に敵を探しているに過ぎぬとあらば。

『ホデリ』 :『さても皮肉か』

SYSTEM :
 後半の言葉だけは、誰に聞かせるでもなく浮かんで消えた。
 尾がだらりと垂れ下がる。しかし、彼の反応はそれ以上でもそれ以下でもない。であるならば………。

SYSTEM :
 ジャームではなかった/この生き物の言葉を借りるならば“目覚めさせる”ことそのものが悪行である物の怪に手を出したものへの扱いは、概ね、あなたたちに委ねられる。
 彼方がどうするかは別として。

荻野目 旭 :
「……ホント、最悪です。
 こんなときに、こんなチャンス巡ってこなくったっていいのにな」
 腕は拒まないけど、いろんな意味で複雑だ。……ホントに。心底。

荻野目 旭 :ただ、笑い飛ばされるとこっちが冷静になる……なんて当たり前の理屈どおりになるのは助かった。ゆっくり息をついて、心をリベンジなんて言葉に支配された部分から引き剥がす。

荻野目 旭 :
「ただ……状況しだいってやつです。
 あの……んーとですね。ごめんなさい、動転して」
 三廻部さんと木口さんに視線を向ける。ちょっと、ううんだいぶ申し訳ないな。

荻野目 旭 :
「僕、いろいろあって、すごく個人的に彼女をやり込めたいって思ってるんですね」
 全滅のこととか、それが何に、だとか。
 さっきの境耶くんとの会話でわかることはわかるかもしれないけど。

荻野目 旭 :「仕事は最優先にするのは間違いないです。僕の大事な仕事は、三廻部さんたちをおうちに帰すことなんで」

荻野目 旭 :
「ただ……チャンスがあったら、
              ・・・・
 僕は人を巻き込んであの人をやり込めに行きたいってだけで……。
 勝手な話なんですけど、その時は、僕のこと見逃してくれると助かります」

三廻部 颯 :
「旭くん」

 少女はそれを聞いて、ちょっと食い気味に──けれど驚かせない程度に、
 友達の手を取って、名前を呼んだ。

三廻部 颯 :
「その時は私も巻き込んで、頼って欲しいな」

 で──あろうことか口にしたのは、「そのために私を使え」というような事。
 もう既に一緒の舟に乗り込んだ以上、颯は何事からも逃げるつもりはなかった。
 だから今の話を聞いても、颯はただ「頼って」と言った。

 少女は知らない。
 最初の邂逅の時、"獣"しか知らない女が自分に向けた視線も。
 その視線を見て、少年が何を思ったかも。
 知らないから言えるのだが──この分は知らない方がきっと良いのだろう。

三廻部 颯 :
「さっき言ったでしょ? 頼りたいし、頼って欲しいの。
 だから気にしないで。私は、友達を助けたくて、死ぬのをやめたんだから」

三廻部 颯 :
「……だめかな?」

荻野目 旭 :……。言わせちゃったなあ。と、ちょっと思う。

荻野目 旭 :「……そんなこと言ったら、三廻部さんも『馬車馬』ですからね?」

三廻部 颯 :「うん」

三廻部 颯 :
「大丈夫だよ。
 わたし、友達のためなら無敵だもん」

荻野目 旭 :「……すみません。遠慮なく、よろしくお願いします」

三廻部 颯 :
 最後にぎゅっと強く手を握って離れる。
 少女はきっと、少年が"獣"に向けるものに気づかなかったわけではない。
 けど──それに一言も言及することはなかった。

SYSTEM :
 独りを厭ったあなたの手が、仮初でも友達だと信じる少年の手に重なる。

 その様子、“兵士”をやり込める意気込みとは裏腹の絆しへ別の少年/“ラッキージンクス”が見せた、軽い辟易の一幕はともかく。

 あるいは、その何の隔たりもない/あっても横に置ける不確かな繋がりこそ。“彼”も“彼女”も求めたものなのかもしれなかった。

SYSTEM :
 ………ところで。
 先の情報に不足していることがある。

 それは動機だ。
 行動の結果や指針ではない。動機の話。

SYSTEM :
 辟易としていたあなた/境耶だけが、手を差し伸べる少女の様子/そのレネゲイドのかたちと、向こうにいる“同じもの”である少年の、これを受け入れる所作を見たホデリの面持ちを識る。

SYSTEM :
 何事なしに呟いた言葉も。

〈──〉 :
 
 わたしがさてもやらば

 おまえはああならざりきや

SYSTEM :
【Check!】

 情報を開示します。

SYSTEM :
     ネ ス ト
【組織:“魔獣の巣”】
 所属:FH

 活動圏域は不明かつ不定。勢力構成も定かではない。
 セルリーダーが“喚楽の人食い虎”明夜白銀(あかしや・しろがね)であること、
 彼女を中心とした多数の構成員………特に人間とは呼べぬ異形の比率が多いことなどが特徴。

SYSTEM :
 しかし実態としてこのようなセルは存在せず、白銀自身にも“セルリーダーである”ことの自覚は特にない。
.          ディスクリプト
 その正体は白銀が持つ特異性により、近隣の野生動物や知性の薄い疑似レネゲイド体が本能的に屈服ないし狂奔。その性質に充てられるかたちでAオーヴァード(もしくはジャーム)化するかたちで、彼女の通り掛かった先に被害が発生。
 また彼女を何らかの理由で追いかけ回し続けているようないくつかのRBによって、さらにその被害が拡大している───要するに『通った先に無条件で多数のRB・Aオーヴァードが発生して、それによる二次災害が起きる』が故に、多数の軍勢を率いているように見えるだけ。

 そしてその性質を都合よく認識した者達により、あたかも“そうしたセルがある”かのように振る舞われているだけである。
 実体としては組織内部の連携などもないに等しく、とりあえず“都合がいい”からそのような名称を許容しているだけとも言える。

 横の繋がりも縦の繋がりも薄いFHならではの、名のみが独り歩きした虚ろな塒。
 多数を統べる独りに赦された、伽藍洞の城の名前。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :情報シーンを終了します。ロイス取得等ありますか?

荻野目 旭 :う〜ん……う〜ん! “喚楽の人喰い虎”明夜白銀へのロイスの表と裏を入れ替えます。

荻野目 旭 :つまり○執着/劣等感になりますね

GM :ふむ。

GM :当然問題ないです もしやと思いましたがキャラシートに変更を既に済ませていますね

荻野目 旭 :ちゃっかりさんなので

GM :文字通り『劣等感』が一旦仕舞われたということですか(押し流す)

荻野目 旭 :あ〜ん

三廻部 颯 :たいだるうぇいぶ〜

GM :お任せください

GM :ではなく…他の方はどうなさいますか?

久外境耶 :“喚楽の人喰い虎”に○打倒/劣等感だ! やるぜやるぜー

GM :打倒ですと???

GM :いえ 大丈夫です 言わんとすることは理解しました

久外境耶 :おう!

GM :言わんとすることは理解しました 問題もないので、キャラシートにそのまま記載しておいてください

三廻部 颯 :わたしはないです!

GM :了解しました。

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・シーン18「幕間・漆」

SYSTEM :
【シーン18:幕間・漆】

 登場PC:旭、境耶
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
 .ミッドナイト・アイ
Tips-“夜目代わり”
 カヴァー/ワークス:FHチルドレン/FHチルドレン
 性別:女性 年齢:18 侵蝕率:84%
 シンドローム:オルクス
 欲望:従属?

“黒き者”ヴィカラーラが率いる暗殺クラン『マーダーオヴブラック』の一員。
 生まれも育ちもFH。一般常識も日常も、さほど知らねば識りたいという興味さえもない。

 彼女が持っている探知型オーヴァードのストックの一人であり、特筆するべきことはない。
 成果を以て栄光かゴミ捨て場かの篩にかけられるような環境で生き抜いてきたと同時に、
 ぎらついた野心を持っていた同期の少年少女があっさりと使い潰されるのを“反面教師”としてきた子供。

 その性格は面倒事を嫌い、厄介者を疎み、微温湯のまともな子供を嘲笑う、典型的、かつ、閉鎖的なFHチルドレン。
 そんな彼女の欲望は組織に根差すもの、まさに「寄らば大樹の陰」を地で行く様子でもあるのだが、
 与えられた役割のわりにナメられっぱなしを嫌うという攻撃的な態度から、真の欲望は別にあるようだ。

SYSTEM :
 “喚楽の人喰い虎”に関する結論はエージェントとしても、私的ないち個人としてもいずれ付けねばならず、そのタイムリミットも迫る最中ながら、最も注視するべき存在がこの島にはいた。
 レーレ・シュヴェア
 ”蝕みの君”───そう呼称され、侵蝕率の臨界点を越えると共に、いよいよ後戻りできないジャームと化した怪物の名前だ。

 彼、または彼女の命は長くないが、その正に名前が表すが如きレネゲイドの波濤が何を起こすか分かったものではない。
 居場所を突き止めた以上、早急にこれの命を終わらせる必要があった。

SYSTEM :
 ………その、出立直前のことだ。

 探索直前に呼び止めたのが境耶からか、旭からかは知らないが。
 少なくとも此処で話すことは、その一刻を争う二体のどちらにも、出だしについては掠りもしないもので。しかし、何の他愛もない話ではなかった。

久外境耶 :
 人払い──の考えはべつにない。どこかの誰かさんも別行動してる間にずいぶんマシな面に戻って、今度は隠し事も減るのかもしれないが、おれには関係ナシ。

 なんで、人がはけてるのはホントにグーゼン。
   ・・・
 案外こいつの運かもしれないが、ともかく。

久外境耶 :
「おい」

 一声。振り返るのを見越して、湖で拾ったゴミ──お互いにとって見慣れた意匠の残骸──を放り投げる。あるべき場所から引き剥がされ、血に濡れていると一目で分かるソレを。

荻野目 旭 :「──? 境耶くん、なにか用件でも、あ……」

荻野目 旭 :「……りまし……?」

荻野目 旭 :床に放られたものの正体に気付くのが、情けないことに数秒遅れる。UGNのエンブレム。

荻野目 旭 :──血に濡れた誰かの。

荻野目 旭 :「…………。……………。…………」

荻野目 旭 :切り出す言葉に悩む。これがどういう意図あっての行為なのか、僕はすぐにははかりかねた。

荻野目 旭 :「…………これ」

荻野目 旭 :「どこで?」

久外境耶 :「島の中央。でけえ湖あるトコ」

久外境耶 :「ま、正確には"ソコ"にあったもんじゃないだろうな」

荻野目 旭 :…………………。

荻野目 旭 :『最悪の想定』が当たってないことに、まず安堵した。ひとを損得と数で考える発想は、いま日常に歩み寄っている立場には気まずい。

荻野目 旭 :「……島の、真ん中……木口さんがヘンなのに遭ったとかいう?」

久外境耶 :「あ? あー、ンなコト言ってたっけ」そういえば

久外境耶 :「アシヤマンいるだろ。あいつにちょっかい出された……のか、イロ男が引っかけたのかは知らんけど。あいつも出たっぽくて、そのオコボレで拾ったハナシ」

久外境耶 :「おまえに渡したソレが従者の素材……の、残骸。迷い込んだ連中使ってるみてーだな」

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :……じゃあ、これが文字どおりの遺品だってことだ。

荻野目 旭 :「……そう、ですか」

荻野目 旭 :
 そちら
「FHのエージェントもああなっていた以上、こちらの損耗がないとは……思ってなかったんですけど」

荻野目 旭 :「……。いえ。ありがとうございます、境耶くん」

久外境耶 :「ハ、礼言ってる場合かよ。あっちの残機わかってねーんだぜ」

久外境耶 :「一号のダチとか、おまえの顔見知りとか、今後出てくるかもしんねーワケだ」

荻野目 旭 :「そうですね。……彼女には酷なものを見せるかも」

久外境耶 :「彼女には、ねえ」

荻野目 旭 :「含みのある言い方だなぁ」唇を尖らせる。

久外境耶 :「含んだからな」

荻野目 旭 :「堂々と言う」

久外境耶 :「背伸びしてるガキには直球でジューブンだろ」

荻野目 旭 :「そりゃもう。背伸びするのが仕事ですから」

久外境耶 :「それでへし折れねーなら好きにすりゃいいけど」

久外境耶 :「"パラディン"の名前出しただけでグラついた坊ちゃんが、従者から知った顔出てきてヘーキでいられるとは思わねえな」

荻野目 旭 :「……………………………」

荻野目 旭 :「痛いトコつく」

荻野目 旭 :「……まあ、認めますけど」

荻野目 旭 :ため息をつく。くやしいけど、けっこう事実だし。

荻野目 旭 :「けっこう自覚はしてるんですよ? なんというか……」

荻野目 旭 :「いろいろ通り越してるので、平気なふうに感じるだけっていうの」

久外境耶 :「ガキ」

荻野目 旭 :「ひとことで片付けるぅ……」

久外境耶 :「事実だろ。処理追いついてねーのがその証拠」

久外境耶 :「オニーサンが話聞いてやろうか? 大体のコトは鼻で笑ってやるよ」

荻野目 旭 :「けっこ〜です。帰還したらセンパイの服をいっこダメにさせる予定なので」

荻野目 旭 :
「……まあ、その帰還がいつになるかわかりませんけどね。
 どうします? この島の一件なんとかしてみたものの、うちとそちらの戦いが片付いた時期に飛ばされました、とかあったら」

久外境耶 :「どーもせんし、何も変わらん。どっちが勝とうが、どっちかが消えてようが、紐なしバンジーに困るコトはねえしな」

荻野目 旭 :「どうもしないって……」

荻野目 旭 :「………」

荻野目 旭 :「……もしかしてと思ってきくんですけど」

荻野目 旭 :「まさかそれですか? あの……紐無しバンジーするのが、そっちにいる理由?」

久外境耶 :「おう」

荻野目 旭 :即答……

久外境耶 :「ロコツにあきれやがって」

久外境耶 :「あのな。おれからしたら、おまえ……っつーかおまえら? がUGNをありがたがってるほうがフシギなんだからな」

荻野目 旭 :「………」

荻野目 旭 :「そうかなあ」

荻野目 旭 :「まあ、見解の相違なんですかね。……この際訊いちゃいますよ?」

荻野目 旭 :「境耶くん、うちと関係あるひとですか?」

久外境耶 :「躊躇なしかよ」

久外境耶 :「ま、お互いサマか。……」

久外境耶 :「そ。ついでに、元同僚ってワケでもない」

久外境耶 :「おたくらの実験に付き合わされたガキどもが廃棄されて……運の良かったやつがゴミ捨て場から這い出した。そんだけの話」

荻野目 旭 :

荻野目 旭 :「……………!」

荻野目 旭 :「──それじゃあ、君は……」

荻野目 旭 :
      モルモット
 ……UGNの実験動物。

久外境耶 :「半分はな」

久外境耶 :「プロジェクト・アダムカドモン。無数にいる失敗作の中でも、おれは数値でしかデータの残ってないようなゴミだったワケだ」

荻野目 旭 :…………よりにもよって、それ?

荻野目 旭 :つながるところが、ちょっと最悪だ。その実験の裏側でなにがあって、どう動いていたのかは、ある程度前から霧谷さんについていた人ならうっすら知ってる。

荻野目 旭 :
 プロジェクト・アダムカドモン──オーヴァードという病気を治療するために、UGNとFH、互いに背を向けあった組織同士が組んではじめた実験が、おぞましい人体実験の連鎖を生んで。
 最後には自分たちが生み出した最悪の魔剣によって強制的に幕を降ろされた、博士の件を抜けばUGNでも最大に近い汚点。

荻野目 旭 :僕がこういうのをある程度知ってるのは仕事柄だ。裏側にどういうことがあったのか、なんとなくは知ってても……別に実情に関わったわけでもないし。その産物には、これではじめて出会った。

久外境耶 :
「だからって、どうってコトでもない。よくある話だ」

久外境耶 :
「おれらのほうじゃアタリマエで、おたくらもやるトコじゃ今もやってる。出所不明の"喚楽の人喰い虎"ですら実験の産物だ」

久外境耶 :
「おまえこそ、どうなんだ。
 ミクルベサンをおうちに帰す、だったか? おまえがそーやって必死こいて守ろうとしてるもんを、裏で台無しにしてるような連中だぜ」

久外境耶 :
「それでもUGNがありがてえのかよ」

荻野目 旭 :「……」

荻野目 旭 :かわいそうだとか、僕らのせいだとか、すみませんだとか。そういうのを望むどころか鼻で笑うヒトなのは、ここまでの短い付き合いの中でもよくわかってる。

荻野目 旭 :
 あのプロジェクトがどこで歪んで、誰がなぜ、どうして、あのように。
 名を呼ぶことすら憚られる最高機密で守られた特大の汚点は、いまも誰もが口をつぐみ、あるいは物理的に口封じされて、秘密のヴェールの中。
 ただ『そうされた』ひとがいた事実だけが鮮やかだ。

荻野目 旭 :……それでもひとつはわかる。彼が知っているのは、UGNって組織の、一番アタマがおかしいところだ。

荻野目 旭 :
 それだけじゃない。
 たぶんこれまでの任務の中で、僕らが隠している後ろ暗い部分に遭遇することだってあっただろう。
 危険な爆弾を抱えた異能力者たちが、とりあえずでつくりだした寄り合い──UGNのはじまりは結局それで。

 ユニバーサルガーディアン
 世界の守護者なんて半分はおためごかしだってことを、彼は知ってる。

荻野目 旭 :
 そのユニバーサルガーディアンが守ってるのは、世界じゃない。

 いつ爆ぜるともしらない危険なウイルスを保菌した僕ら危険物が、
 人目をはばかりながらうずくまる、世界の裏側のちっぽけな陽だまりだ。

荻野目 旭 :
 もうかんぜんに事実。
 ぐうの音も出ない。
 事実陳列罪って言葉が世の中にあるのをぜったい彼は知ってる。
 このいじめっこめ。

荻野目 旭 :……仕方がないから、彼がぜったい気にしない彼の傷をついた分のお返しはするけど。

荻野目 旭 :「……そうですね」

荻野目 旭 :
「チルドレンの訓練施設だってけっこうろくでもないですし。
 そちら顔負けの最悪をミルフィーユしてるところがあるのは知ってます」

荻野目 旭 :「それにね。別に僕、UGNが好きなわけじゃありません」

荻野目 旭 :
「偉い人も別に好きじゃないですし、最近は内部紛争もごたごた。
 コードウェル博士がアイソつかしても仕方ないんじゃないでしょうか」

荻野目 旭 :
「ただ──
 僕が感謝していて、命かけて働いてるのは、はぐれものを『いまの社会』に溶け込ませてくれる、いまのUGNがやってるおためごかしですから」

荻野目 旭 :……“パラディン”、的場さんの離脱が、けっこう効いたのは。

荻野目 旭 :同じことを思って戦っていたはずの人が、その『おためごかし』に足をすくわれたからだ。

久外境耶 :
「ふうん。そういうワケなら、ちっとは分からんでもない」

久外境耶 :
「居てえトコに居て、好きなモンのために命張るってんなら、こっちもそっちもねえよ。同じ穴ン中だ」

久外境耶 :
「なあおい、おれは結構おまえを気に入ってるんだぜ"ナイトホーク"。間に立ったのがおまえじゃなきゃ、おれはおたくらと手切ってただろうよ」

久外境耶 :
「……だからまあ、なんだ」

久外境耶 :
「折れるならさっさと済ませとけ。で、はよ直れ。ケツ蹴っ飛ばされんのがお好みなら、おれを呼んでもいい」

荻野目 旭 :………………。

荻野目 旭 :……も〜。“ラッキージンクス”にロイスを取得します。

荻野目 旭 :P有為/○N厭気。表にするのは厭気のほうです。

GM :おっと…! 失礼しました、確認を取り忘れましたね。

GM :最後の一枠は“ラッキージンクス”ですね。問題ありませんよ。キャラシートに書き加えておいてください。

荻野目 旭 :不覚ですう…。書きましたあ…。

荻野目 旭 :「………………」

荻野目 旭 :「…………………」

荻野目 旭 :「………………………」

荻野目 旭 :「……………………………………」

荻野目 旭 :「…… …… …… …… …… ……」

荻野目 旭 :「も〜…… なんでそういう、言ってほしいこと言うかなぁ」

荻野目 旭 :「…… …… …… …… ……」

荻野目 旭 :
「……言いたくないですけど、僕も同感です。
 呉越同舟するのがあなたなのは、島に来てから一番ラッキーなことでした」

久外境耶 :「そいつはどーも! 今後とも御贔屓に──ってか」

荻野目 旭 :いじめっこめ

久外境耶 :ケケケ

荻野目 旭 :「……」

荻野目 旭 :「限界そうだったら、勝手に服ダメにしますからね」

久外境耶 :「なんじゃそりゃ」まあいーケド、とは言わんでおく。どうせ分かってやがる。

荻野目 旭 :ほぼオーケー出たな。アベルさんより先に犠牲にしてやる。

荻野目 旭 :UGNのエンブレムを、大事にお守りの中にしまう。誰のものかは…たぶん血でわかる。必ず帰らないとな。

荻野目 旭 :とりあえず、いまはそれこそさっきの彼が押し付けてくれた発破のおかげでエンジンはかかってる。なので、それに乗っていつもの顔をばっちり作り出す。

荻野目 旭 :「……言いましたね? 吐いた唾は呑み込まないでくださいよ?」

荻野目 旭 :
 ・・・・・・・・・・・
「たよりにしてますからね、境耶くん」

 言質取ったからな。というさわやかな営業スマイルで、だいぶ高い位置にある彼の肩をぺしっと叩く。
 それで、どうせ彼にとってはたいしてありがたくないお礼は終わりだ。


・シーン19「幕間・捌」

SYSTEM :
【シーン19:幕間・捌】

 登場PC:境耶
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
※このシーンは幕間シーン扱いですが、
 途中、またはシーン開始前の登場自体は任意のものとして扱います。

SYSTEM :
Tips-タケミカヅチ
 T市をはじめとした関東地方で活動していた戦闘用セル。
 名の由来は剣と雷の神『タケミカヅチ』。

 セルリーダーでありリエゾンエージェントでもあった“アメノオハバリ”千家楓が、
 レネゲイドの存在を知った日本出身の者と創設。日本支部が『護人会』と呼ばれる頃からの潜在的な敵対組織だった。
 彼の持つ思想と意向が強く出ており、武闘派、かつオーヴァード比重の高いセルだったという。

 相応の統制が取られたセルというのはFHとして見れば希少な例であるが、彼はその武力を合理的かつ積極的に行使し、UGNとの交戦・暗殺、場合によっては他FHの粛正など多岐に渡る行動を取っていた。
 日本国内の人間の比率が多く、様式や構成も国家絡みの関係者が少なくなかったというが、全てではない。

 ある事件の結果、セルリーダーである千家が死亡。
 セルに残る者は死んだか、あるいはそれぞれの欲望のままに散っていったのだが、
 日本T市で『ギルド』や現地UGNも含めた大掛かりな抗争が行われたこと以外、下手人や抗争の詳細は明らかになっていない。
 

SYSTEM :
 出立直前のこと。
 あなた/境耶が、まさに渦中の人である“喚楽の人喰い虎”と邂逅しに行こうとしたのか、あるいは“ナイトホーク”クンの宣言を受けたついでに、例の死に損ないにちょっかいを出しに行こうとしたのかは定かでない。

SYSTEM :
 定かでないし、あるいは今からそれを決めるところだったのかもしれない。
 白い狗/ホデリを連れ立ち(あるいは彼方からついてきて)、広いんだか狭いんだか分からない、古ぼけた屋敷の中を歩いて、見知った場所に行く最中のこと。

 あなたと、UGNエージェントの視線が合った。“気に入っている方”と話した後の、たぶん優等生の方だ。

SYSTEM :
 そいつ/“イリュシデイター”があなたに気付くとしたら、それはあなたがそいつの存在に気付くよりずいぶん後だ。
 何事か物思いに耽りながら、片手間にメモなど残して歩く姿はずいぶん不注意にも思える。そういうタイプにも見えなかった。

 何かしら確認したいことがあったか、あるいは自分の知らない間に腑に落ちないことでもあったのか…。

久外境耶 :…………。

久外境耶 :💡

久外境耶 :
 ホデリにふりかえりつつ、マスク越しの口元に人差し指を寄せる。足音のかくせない相棒を物陰に残し、こそこそと忍び寄って──

「おつかれサマでえーーーーす!」

 わざとでっかい声で呼びかける。距離詰めて、なるべく死角から。

SYSTEM :
 以て先の印象に追記。
 あなたはいじめっこ以上にいたずらっ子であった。

SYSTEM :
 何ならホデリと来たら、どうもその様子に僅か首を傾げたものの、何となく口を出そうとは思わなかったらしい。
 その振り返りの仕草には、ついこの間、平然と死の前に命を曝け出して張り合う姿がなかったせいか。

 ………ともあれ。
 オーヴァードとて万能ではない。
 それなりに仕掛けた戯れの成果は。

SYSTEM :
 “きゃ──”から続く悲鳴なし。
 ピンと背が強張って、すわ何事かと血相変えて、自覚を持った死角に振り向いて。

“イリュシデイター” :「………………」 

“イリュシデイター” :
「………ふ、う。
 素行不良の生徒でも持った気分になるとは、思いませんでした」

SYSTEM :
 一度目だからそうなのか、悪意ナシだから“通した”のか。
 とりあえず。

“イリュシデイター” :「程々にして下さいね、ソレ」

SYSTEM :
 とりあえず、そこから含み持った対応に発展することはなさそうだ。
 あなたのことだから、別に打算持っての徒ではなかったと思うけど。

久外境耶 :「心外だなあ〜。挨拶のできるイイコちゃんだぜ、おれは」

“イリュシデイター” :「そうですね。人の目を見てやって貰えたら言うことナシだったのですが」

久外境耶 :怒りのこもった仏の顔──残機減りたて──に「へいへい」と返事をしつつ、物陰のホデリを手招きする。

久外境耶 :「見た? ダイセーコー」ケケケ

SYSTEM :ホデリはオーヴァードならば伝わる声色で何かを語ることはなかったが、あの僅かに鳴らした鼻音が何を伝えたいかは言うまでもなかった。

SYSTEM :どこか懐かし気以上の態度は、なんとなく実体験でもあるかのような腕白な小僧を思わせ、あるいはそんな小僧の成功報告を笑って聞く兄貴分にも取れた。

SYSTEM :…軽度の“やれやれ”で済んだらしい感情を余所に、その優等生の方があなたの顔を見て言葉を続ける。

“イリュシデイター” :「…では」

“イリュシデイター” :
「挨拶がてら、少し時間をお借りしましょう。
 餅は何とやらです。餅かも分かりませんが………」

久外境耶 :「あ? モチ? ……まあ構わねえけど」暇してたし

三廻部 颯 :私参上!したいです!

GM :おっと! どうぞ。前述の通り幕間シーン扱いですので、登場侵蝕等はございません。

三廻部 颯 :
「……あれ、なんか、珍しい組み合わせ」

 汗を(適当な端材で生成したタオルで)ふきながら現れた少女が、意外な場面を見つけて目を丸くしながら現れた。

SYSTEM :
 言葉の綾です、と冗談っぽく笑った彼女が、口火を切ろうとしたその時。
 かかった声に、ふっと振り返る。珍しい組み合わせに拍車がかかったところだ。

“イリュシデイター” :「───おや。三廻部さん」

“イリュシデイター” :
「珍しい組み合わせと言えば、まあ。そうですが。
 挨拶序でに相談に乗って貰うところでして」

久外境耶 :イエ〜 よくわからんまま両手の親指を自分に向ける

三廻部 颯 :
「そうだん……」
 これまた珍しい相手に……。

『ホデリ』 :
『時に…』

『ホデリ』 :
『汝こそ如何せれ。何らで散歩でもしたか』

SYSTEM :
 両手の親指を向けて元気な数十秒前のいたずらっ子と、先程したりと笑ったのをおくびにすら出さない白狗の姿であった。

久外境耶 :コイツいま失礼なコト考えてなかったか? 放り出すぞ庭に

三廻部 颯 :ふ〜〜〜〜〜〜〜〜んだ。

三廻部 颯 :
「え? 私? 私は〜、とっくん」

『ホデリ』 :とっくん。

久外境耶 :よ〜〜〜〜し いい覚悟だ 話の途中で両膝抱えて持ち上げる

久外境耶 :「受け身とれよォ、頭から落とすけど」

三廻部 颯 :
「わ゛ぎゃ───っ!?」
 取れるけど!空手と柔道やってます!

久外境耶 :いやそれとこれとは別じゃ……ないのか?

久外境耶 :結果の見えてない実験だからいいか じゃあ──

SYSTEM :じゃあ、の直前にそれが実行されることはなかった。何故なら…

三廻部 颯 :かくごかんりょ───ありゃ。

“イリュシデイター” :「はい、そこまで」 

SYSTEM :
..ソラリス/ハヌマーン
 非白兵型の片手が少年へデコピン一発、片手が颯のもとに差し伸べる形で向かう。
 庭の先がどうかまでは定かでもなかったし、ホデリが特に止めなかった辺りは、単なるおふざけにしかなるまいが。

三廻部 颯 :たすかった。

“イリュシデイター” :「年頃の女の子をいたずらに持ち上げたりしない」 ついでに受け身チャレンジさせたりもしない 

久外境耶 :「口うるせ〜っ。オヤゴサンかよ」

久外境耶 :「つか女の子ってタマでもないだろ。見てくれはご立派だけどな」

三廻部 颯 :「女の子ですけど〜!!」

三廻部 颯 :「じゅーしちの!女の子!ですけど〜!!」

三廻部 颯 :「……ちょっと身長伸びてるっぽいけど!」

久外境耶 :「いや身長は知らんけど……なあ?」

久外境耶 :胸の前で曲線を描く メロン大の

三廻部 颯 :「……」

SYSTEM :ホデリは静かに…

SYSTEM :1d2
1:遠吠えをしてごまかした
2:鼻で笑った (1D2) > 2

三廻部 颯 :「…………」

『ホデリ』 :『………境耶よ』

『ホデリ』 :『思ふだけに留めるべきであったな』

SYSTEM :
 彼はちょっと枯れていたか、概ね“子供”にそちらで思うことなどなかったか。
 あるいはこざかしいことに口にしないだけでそっちの思考を隠す分別があったようだ。

三廻部 颯 :
 鼻で笑っていた『ホデリ』を横目に、
 颯の対応は妙にしおらしかった。

「せ……せくはらです……」

 抱え込むように両腕をたたみ込んで、さっと顔を背ける。

久外境耶 :「いやいやいや客観的なハナシだって! おまえだって思ってんだろ絶対!?」

久外境耶 :「グエ〜っ、勘違いすんなよ。おまえみたいなのは胸でかかろーがちんちくりん判定だっつの」

三廻部 颯 :「どっ…………」

三廻部 颯 :「どっちにしろ恥ずかしいものは恥ずかしいの───っ!!!」

SYSTEM :そしてあなたの正面で残機減り立ての仏の心の残機が一つ減った音がした。

久外境耶 :くそ〜っ

三廻部 颯 :「やっぱ……男子って……どこの世界でも"そう"なんだ!?」

“イリュシデイター” : 

久外境耶 :「何がだよ……タブンそうだけどよ……」

久外境耶 :「や、でもおまえはない。ガキだし、つーかガキだし」

三廻部 颯 :「ガキじゃないもん。颯って名前があるもん」

久外境耶 :「ああ思い出したわ。一号な」

三廻部 颯 :ぐぬぬ〜〜っ……

三廻部 颯 :精一杯の威嚇。そもそも、この集まりの話の始まりがなんであるかは完全に忘れている。

『ホデリ』 :『何時の世なれど男児は同じか…ふ、ふ』

『ホデリ』 :『境耶よ…わたしの言葉を敢えて語るとだ』

『ホデリ』 :『何時の世なれど女子は手厳しい』

SYSTEM :
 彼の発言は腕白の過去形の平行線にあった。程々にしろとは言わないし、間違っても諫めて来ない辺りがそうだ。

“イリュシデイター” :
「………………」

“イリュシデイター” :
「そういうのは、いけませんよ」

SYSTEM :
 こっちの発言を要約すると、
 二度目はないぞ、であった。

久外境耶 :
「なんっ……だその感想! 
 だからぁ、やましー気持ちじゃなくってさあ〜」

 これドツボはまったか? 弁解するほど残機の点滅音が聞こえてくる気がする……。

久外境耶 :
 ────てか、胸より腰じゃね?

 喉まで出かかった本音をしまっておいたのは、おれにしては賢明な判断だったコトだろう。

SYSTEM :
 あなたの視界に映る残機は、ドツボ直前の回避か、そもそも本題がそうでなかったことからか、レッドゾーンに辿り着くことなくイエローゾーンで留まったようだ。

SYSTEM :
 少し後ろで現在進行形の表情百面相と化していた颯と、そんな弁解の様子を後ろから見ていた、ちょっと小賢しい立ち位置に逃れたホデリ。
 後者ともども、もしも本音など口にしていたならば、20代なりたての大人の目がそろそろ真顔にシフトしたかもしれないが、ともかく。

『ホデリ』 :
『其はさておき』

『ホデリ』 :
『境耶に何ぞ聞くことが在ったのではないか』

三廻部 颯 :
「あ───そうだったそうだった」

 相談をしようとしていたらしいノエルの事を思い出して、威嚇行動をやめる。
 珍しい組み合わせと珍しい内容なのでつい気になってしまった。

「あ……わたし、おじゃま虫?」

SYSTEM :
 それはそう、と。
 
 目の前の守りが崩されたら次は己という誰にも見えないほんのわずかな危機感が、
 ホデリに話の舵を握らせるという方向を択ばせたらしい。

“イリュシデイター” :
「いえ…隠すようなことでもなし。
 三廻部さんに至っては当事者です」

“イリュシデイター” :
「再度調査に戻る前に気にかかることがありましてね。
 もう“ナイトホーク”………旭くんから聞いたかも知れませんが、
.   マーナガルム
 件の“渇望喰い”の痕跡に残っていたマーキングの様式の話です」 

SYSTEM :
 あなた/境耶が、“ナイトホーク”/旭から話を聞いたかは定かでないが、颯ならば覚えてもいるだろう。

 推定とて、“マンティコア”を前にして逃げ帰った渇望喰いの戦闘痕跡。今も火を燻らせた残りものの中に、曰くオーヴァードが記した紋様があった。
 意思表示かどうか定かでないが、ちょっと“あからさま”なヤツだ。

久外境耶 :
「マーキングねえ。……」

 その時点で、遭難したガキどもの線は薄くなる。"パラディン"の親切心……は分からんけど、そもそもアッチは狼が自分からちょっかい出すような相手じゃない。実際会ってないみたいだしな。

 首を傾げつつ、続きを促す。

SYSTEM :続きを促したあなたに、“イリュシデイター”が「ええ」と頷く。

“イリュシデイター” :
.        レムナント
「少なくとも私と“残骸”のチームにこの手の意匠はありませんし………。
 旭くんの知っているメンバーが救難信号のように残すなら、別のやり方をするでしょう」

“イリュシデイター” :
「………“パラディン”がそういうのをする、とも特に思いませんが………。
             UGN
 心当たりがあるとしたら、此方の人間ではないのかも、と思いましてね」

SYSTEM :
 メモを開いて見せる。
 短い時間だったが、そこに残されていた意匠と情報は、一先ず見て伝わる程度には模写され残されていたようだ。

SYSTEM :
 稲妻とも剣とも取れる意匠のマーク。
 つらつらと書かれた意味も定かでない文字列に、どこかで見たような気がする風景のデッサン………。

SYSTEM :
 伝えたい意味は定かではないが。
 断じてもいいことがあるとすれば、“渇望喰い”は逃げた先でわざわざそんなことをしない。
 
 そして“ミッドナイト・アイ”もこんな茶目っ気のようなことはしないし、
 さらに言えば“パラディン”がこれを大真面目にやっている絵面が既に面白いまである。それに、“渇望喰い”は的場啓吾のようなのに歓び勇んで襲い掛かるほどの勇敢/蛮勇を持っていなかった。

“イリュシデイター” :
「………その風景については後で分かりました。
 “ミッドナイトアイ”…そちらのチームの彼女と出会った場所です。ですが───」

SYSTEM :
 ………が。
 彼女の言葉とほぼ同じ頃。

 あなた/境耶と来たら、これに、まあ見事なまでに覚えを感じざるを得なかった。
 見覚えがあったというか、雷と剣の名を冠したものに心当たりがあったとでも言おうか。

SYSTEM :

 一度たりとも笑った面を見せず、
 能力あるものならば素性を問わず、
 能力ないものならば眉一つ変えず潰し。

 死ぬ、とは欠片も無縁だったようなのに。
 どこぞの抗争で、最後はあっけなく死に瀕し。それを以て、あっさりと瓦解した雷帝の牙城。
.   アメノオハバリ
 決して千家楓が己の城を誇示したことはなかったが、だとしても朧げだろうとも、見覚えがある。

SYSTEM :
      タケミカヅチ
 ………それはあなたの古巣のエンブレムだからだ。

久外境耶 :
「……は」

 一瞬、
 思考が断絶した。

久外境耶 :
 ──かつて、笑わない男のもとにいた。

 あるいは今も、まだ。
 未練たらしく、楔としているうちは。

久外境耶 :
「……なんだって、また。こんなトコで見るかね」
  
 あの人がソレをあえて掲げるコトがなくとも、下にとっては象徴で、符号だ。忘れはしない。

久外境耶 :
「……心当たりどころか、大当たりだよ。おれのいたセルのエンブレムを、まさかおまえらが拾ってくるなんてな」

“イリュシデイター” :
「あなたのいたセルの………?」

“イリュシデイター” :
「ならば………何故それを、あの場に───」

SYSTEM :
 思わぬ答えにも程のある回答だからか、
 彼女の表情に当惑が宿る。しかし………。

SYSTEM :
 それが意味することなど単純だ。
 あなたが口にしなくても、少し時間を与えたなら、境耶の反応で“イリュシデイター”は、仔細は知りようがないからさておき、勝手に結論部分の答えには至るだろう。

 存在を誇示しようとはしなかっただけで。
 存在が知られていないはずもないのが古巣だった。
 ならばわざわざ今掲げる意味は“ない”。
 ましてや、実は生きていましたなんてこともないだろう。

SYSTEM :
     ・・・・・・・・・・・・
 なぜなら彼の夢を継ぐ人間はいないからだ。

 千家楓に後継者はいない。
 友も伴もいなければ、気を許した部下などいない。
 時のセル関係者の誰もが、不可避の闘争を闘争で制しようとした、ある種、本末転倒でもあった野望を知らない。

 …あるいはだからこそ潰えたわけだが。

SYSTEM :
 これを戯れで痕に残すとあらば答えは一つ。

 ………島のどこかにタケミカヅチの人間がいて。
 そいつが、自分の同郷がいることに『アタリ』を付けたのだ。

SYSTEM :
 意図は不明。からかい、呼びかけ、悪ふざけ。
 .ジャマナモノ  ______
 “渇望喰い”に元同朋を嗾けたい………どうとっても構わない。すべて憶測であり、一周回って『無駄』にも映る以上、考えることは自由だ。

久外境耶 :
「さあな。ワンコロ追い返したあとにラクガキする余力のある元同期ってーと、おれより上の人間かもわからん」

久外境耶 :
「……おれの古巣はな、タケミカヅチってんだ。聞いたことあるか? 結構でけえトコ。ま、おれはただのチルドレンだったけど」

 古巣を明かしたのは、
 伏せる理由がないからでも、
 共有する益を取ったわけでもない。

 ……もう終わった話だからだ。あの人がいなくなった時点で、壊滅するまでもなく、おれには『古巣』だった。

久外境耶 :
「トップが遊びのない人だったんで、内部もそんなカンジ。徹底した実力主義で、役に立たない無能は即クビ」

 手で首を落とすジェスチャー。一号はともかく、"イリュシデイター"は察するだろう。

「逆に言えば、使えるなら何でもアリ。経歴わかんねーの多かったし、所属してた連中には遊び心のわかるヤツもいたかもな」

三廻部 颯 :「ぶ、ブラック……」

“イリュシデイター” :
「………。私の活動先は欧州の方でしたから。
 それこそ、日本のエージェントならば存じているかもしれませんが」

SYSTEM :
 例えばこれを旭に聞いたり、
 旭と共にやって来ていた“先生”に突きつけたのならば。
 また違った反応もあっただろう。

 しれませんが、で区切ったのは、
 ・・・・・・・・・
 意味を分かったから続けなかっただけだ。

“イリュシデイター” :
「………実際、FHのセル………“だいたい同じ目的の集団”のようなものですが。
 縦の繋がりも横の繋がりも薄いのがお決まりです。そのひとつの区切りで、上が強いから下を従えるケースは、儘あることですよ」

“イリュシデイター” :
「ここに理屈や規範を混ぜるタイプもいます。
 …珍しすぎないだけで、珍しい分類ですけどね」

“イリュシデイター” :
「しかし…。
 所属していた、ですか。どうもセル全体としては過去のもののようにも聞こえます。
 わざわざ、何処とも知れないこの場所に用向きがあるとしても………本当に個人の目的かもしれませんね」

SYSTEM :
 実際、壊滅した後に『遊び心のあるヤツ』がいたとして………全員また別の塒を見つけるか、あるいは独力で“やりたいこと”を始めるくらいだろう。

 雷霆轟かず、青空に晒された古巣にわざわざ留まるような心当たりも、そいつの在り方に固執した愚か者の記憶もなかった。

久外境耶 :
「おう。なんせ死んだトップの代わりになれるヤツが、どこにもいなかったんでね」

久外境耶 :
「いまさらタケミカヅチの名を使って何かしようってヤツがいるとも思えないしな」

久外境耶 :
「ミッドナイト拾った場所の絵も残ってたんだったか? シンプルに考えりゃ、おれ宛のお呼び出しってトコか」

“イリュシデイター” :
「文字通り、ひとりの野心のための城だったわけですか。…」

三廻部 颯 :「……砂の城みたい」

“イリュシデイター” :
「崩れる時は一瞬と言えばそうですが…。
 話を聞く限りでは、文字通り、そのトップの足跡の大きさについていった者が多かったのでしょう」

SYSTEM :
 実力主義の裏側は、
 強さが伴えば概ねのことに目を瞑る男だったという話だ。
 ・・・・・
 やりやすさ、で塒に択んだものだっていただろう。

“イリュシデイター” :
「順当に考えればそうです。

 この島にいて、尚且つ敵対的なFHエージェントやジャームは、話を聞く限り、その“タケミカヅチ”の生き残りとグルという線は考えられない」

三廻部 颯 :「じゃあ、ほんとにおひとり様ってこと?」

“イリュシデイター” :
「ほんとにおひとり様ですね。
 集団で此処に来たなら、もう少し目立つか、それこそこんなことはしないでしょう」

“イリュシデイター” :
「セルの形態から思うに、内側からあなたが怨みを買うような節もありません。

 と、すれば…。
 呼び出しか、あるいはその人物にとって“渇望喰い”が邪魔か…」

“イリュシデイター” :
「一先ず………。
 極端に優先順位の高いものではないでしょう。今更潜んでいたものに気を配らないといけない、というわけではなさそうです」

SYSTEM :
 彼女が気にかけていたことは、
 これから“蝕みの君”や“喚楽の人喰い虎”を前にした時、伏せられていた札が、そこに向かう者を傷つけないかどうかだ。

 そうでない/悲観的に見ても『一対一の呼出』か『共倒れの誘発』でしかないものについて、一刻を争うことではないと判断したのだろう。口振りほど安堵した様子はなかったが、此処から先を思考するつもりはないように思えた。

久外境耶 :
 砂の城、のあたりで「ハハハ」と露骨に逸らしていた視線を戻す。

久外境耶 :
「そりゃよ〜ござんしたね。同窓会行ったおれが変な気起こしても、そんときはそんときってか」

“イリュシデイター” :
「その変な気を起こすかもしれない先で、あなたの目的の中身まで意気投合したなら」

“イリュシデイター” :
「その時は、………まあ。
 勝手な期待を押し付けたものと、悔やむだけ悔やみますが」

SYSTEM :
 その時はその時だとしておきながら、
 どうも彼女の中では、こういう後から古巣を出汁にちょっかいをかける相手とあなたが意気投合するビジョンが然程ないらしい。
 勝手な期待、というのはそういう話だ。

三廻部 颯 :
 ……表情にこそ出さないが、颯の現状の懸念点もそこだ。
 何かキッカケがあれば、今この場で積み上げられている砂の城も簡単に崩れる。
 
 考えを顔に出さないように、“イリュシデイター”の言葉に横で頷く。

久外境耶 :なにいっちょ前にポーカーフェイスしてんだこいつ、の意をこめて一号にデコピンする。

久外境耶 :「へえ、いいコト聞いた。じゃ、そーなったらあんたの後悔してますってツラ拝みにいくわ」

“イリュシデイター” :
「…“泣きっ面を刺しに行きます”宣言で返されるとは思いませんでしたけど」

三廻部 颯 :「いでっ」

SYSTEM :軽快な“ぱちん”という音。

“イリュシデイター” :「まあ………」

“イリュシデイター” :
「そうならないことの序でに、同窓会と称して闇討ちされないことくらいは願っています。
 素行不良のいたずらっ子で済ませてくれるものと、とりあえず思わせておいて下さいな」

久外境耶 :
「おう。ま、どーにでもなるだろ」

 おれも、あんたらも。いまのところ手切るビジョンがあんま見えないのはこっちも同じなワケで。

三廻部 颯 :
 その横で少女の額にはいつの間にかバッテン絆創膏(適当に作った)が貼られていた。
 別段そんな痛くないのだが、無力な抗議のつもりだったのかもしれない……。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ───千家楓は笑わなかった。

SYSTEM :
 デザイア
 欲望があることだけを確かめさせながら、
 冷たき雷霆が鳴り響くことは二度とない。

 そいつの話は、誰にとっても。
 もう終わったことだ。

SYSTEM :
 寝首をかいた人間、
 背に意味を見出した人間、
 ただ立ち寄っただけの人間。
.  デザイア
 誰の欲望とも掠りもしなかったなら。
 孤高の雷帝に、意図して遺すものはない。

SYSTEM :
 総じて余談ならば、誰が識るものか。
 足跡を遺した、何者でもないものの意図。

 それを故人の男が聞いたとて。
 やはり、動じもしないだろう。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
[イニシアチブプロセス]

SYSTEM :
[イニシアチブプロセス]

[1-5] [2-5] [3-5] [4-5] [5-5]
 ?  ?  ☆  ?  ?
[1-4] [2-4] [3-4] [4-4] [5-4]
 ?  ?  ×  ×  ?
[1-3] [2-3] [3-3] [4-3] [5-3]
 ?  ?  ○  ×  ?
[1-2] [2-2] [3-2] [4-2] [5-2]
 ?  ?  ○  ?  ☆
[1-1] [2-1] [3-1] [4-1] [5-1]
 ☆  ○  ○  ○  ○

○:青マーカー
×:赤マーカー
☆:イベントマーカー
?:?マーカー

SYSTEM :
 イニシアチブプロセスを開始します。
 選択可能な箇所を確認後、
 各自の行動を行う場所の決定をお願いします。



[情報開示済み]
 1-1、3-4、3-5、4-3、4-4、5-2

[情報未開示だが行動は可能]
 1-2、1-3、2-2、2-3、2-4、4-2、5-3

荻野目 旭 :……3-5に向かいましょう!

”虚の狩人/残骸” シホ :……同じく、私も3-5へ。
同行願えますか、ノエルさん。

”虚の狩人/残骸” シホ :それと……“タイガーアイ”も。

木口龍 :う、うおおおお待ってくれ、オレも3-5へいかないと死ぬぜ!!!!

タイガーアイ :左様か

タイガーアイ :承った。せいぜい調子を言い訳にせぬ程度には気を入れておくがいい

“イリュシデイター” :こちらも了解しました。…三廻部さんたちの方に問題はありませんか?

久外境耶 :じゃーおれは1-1見てくるわ。ホデリもいいか

三廻部 颯 :あっ、はい、私は……

三廻部 颯 :……私も1-1で!

『ホデリ』 :心得た。なれど用心せよ、境耶。

『ホデリ』 :今なお覚えてるかは定かではないが…あれは汝を心に適ふておるのだろう。日頃の調子で荒立てる時は、荒立てて良しと思うた時にせよ。

久外境耶 :……わーったよ。ま、ぶちのめすには役者が足りてねえしな。

久外境耶 :"ナイトホーク"、おまえもそれでいいな

荻野目 旭 :はい。…抜け駆けはナシですからねっ

三廻部 颯 :(私も忘れないでのひりきな身振り手振り)

久外境耶 :(わざと前に立つ)

三廻部 颯 :あーーーーっ(中国武術ぐるぐるパンチ)

“イリュシデイター” :(咳払い) 

“イリュシデイター” :当然忘れていませんよ。

“イリュシデイター” :ただ…まだ咲楽さんもそこにいるはずです。御気を付けて。

三廻部 颯 :……はい!

SYSTEM :
【Check!】
 移動先を確認しています... 

SYSTEM :
【Check!】
 移動先を確認しました。
 メインプロセスに移行します。 

SYSTEM :
[メインプロセス]

SYSTEM :
[メインプロセス・確認]

 颯:1-1
境耶:1-1
 旭:3-5
シホ:3-5
 龍:3-5

      ホデリ:1-1/行動不可
   タイガーアイ:3-5/行動可能
      ノエル:3-5/行動可能
ミッドナイト・アイ:待機/行動可能

SYSTEM :
【Check!】
 判定:[3-5]を行います。
 判定対象者:旭、シホ、龍、ノエル、タイガーアイ

 判定/特殊

 支援/存在しない
 
壱:FSシーン発生
弐:推奨【射撃】【情報】
参:推奨【ソラリス】【モルフェウス】

SYSTEM :
【Check!】
 FSシーン『帰郷』が発生します。

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・シーン20「彷徨」

SYSTEM :
【シーン20:彷徨】

 登場PC:旭、シホ、龍
 登場侵蝕:あり

SYSTEM :
Tips-EXレネゲイドとRB(レネゲイドビーイング)の違い

 動物が自意識を持ったままオーヴァード/ジャームになった場合がEXレネゲイド(またはAオーヴァード)であり、
 死んだ動物をレネゲイドが読み取り、その形を『真似た』ものとして生まれ、行動するのがRBである。
 例外は往々にしてあるが、基本、「レネゲイドによる模倣」か否かで区別を行うことが出来ると言える。

 両者は似ている存在であるが、実態は全く以て違う。
 動物が行動しているのか、レネゲイドウイルスが行動しているのか。
 それにより、行使される本能、付随する理性、何もかもが異なってしまうからだ。
 
 ………動物には本能があり、元より生まれ落ちた場所があり、培ってきた歴史がある。
 およそ世界から隔たれやすいのは、まっさらな場所に生まれたRBの方だとも言える。

GM :では先んじて…

GM :登場侵蝕を…どうぞ

荻野目 旭 :1d10 (1D10) > 4

木口龍 :1d10 (1D10) > 1

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 79 → 83

”虚の狩人/残骸” シホ :1D10 (1D10) > 1

system :[ 木口龍 ] 侵蝕率 : 80 → 81

system :[ ”虚の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 76 → 77

SYSTEM :
 枯れ落ちた草木と、ぐずぐずに崩ればらけた島の生物/充てられた獣たちの遺骸。
 島の何処かで境耶とシホがそれを見つけ、辿った先。
 保々に逃げおおせたかのように、あなたたちがいる場所の対岸に『蝕みの君』がいるという確証を得て、そう時間もない。
 これよりするべきことは手を拱いているのではなく、一刻も早い彼ないし彼女の撃破であったのは自明の理だった。

SYSTEM :
 既にそう長くない命だというのは、再三繰り返した通り。
 だが、オーヴァードにとって、そう長くない命というのは決して侮っていいこととイコールではない。

 レネゲイドが宿主を活かす限り。
 ましてや、レネゲイドそのものであるならば………。
 死に瀕した時、本能は容易く、暴れ狂うレネゲイドのサガに呑み込まれ、魔性に堕ちるという。

タイガーアイ :
「その具体例など、示すまでもあるまいな」

SYSTEM :
 素性を明かしたあなた/シホの首に提がった、未だ“ブラザーフッド”の外枠に収まったもの。
 偏屈で、人間味のないトモダチ/賢者が空言のような声色で事実をばら撒くのを余所に、湖を越え、木々を越え、捻じ曲がる空間の局所を余所にして、あなたたちはそこに辿り着いた。

 対岸に広がるのは、草原だった。
 遠くから見つめた時、この辺りにあったものは確かに山岳だというのにも関わらず。

SYSTEM :
 ………生物の声や草木の音も、また何処にもない。「いまいつごろ」かさえ定かでない黄昏色の草原は、不気味なほど静まり返っていた。

”虚の狩人/残骸” シホ :
 ざわめく心。

”虚の狩人/残骸” シホ :
 不気味なほどの静謐を前にして。
 心の戦ぐあの吹雪が、脳裏に蘇る。

”虚の狩人/残骸” シホ :
 ………、……………………。

”虚の狩人/残骸” シホ :
 ……あるいは、あの巨きなものも。
 あの吹雪を振り払おうと、もがいていたのだろうか。

”虚の狩人/残骸” シホ :
「気配は、ありませんが……。
 警戒を。この静寂こそが、あの飛竜が闊歩した痕跡かもしれません」

 草を掻き分けて先行する。
 斥候の役割は私が一番の適任だ。

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :寒くはない。あの冬の気配は遠い。

荻野目 旭 :「『静か』ってことは、逆を言えば彼女がこのあたりにいない可能性が高いってことでもありますから……」

荻野目 旭 :「ある意味、都合はいいのかもしれませんけど。それにしても……」

荻野目 旭 :「この風景でなーんにも聞こえず、音もしない……って、な〜んともいかにもって感じです」

木口龍 :
「ぜぇ……ぜぇ……お前ら早いんだよ……このままじゃ着く前に息切れしちまうぜ・・・
 空気は気持ち悪いくらいに綺麗だってのによ・・・」

 でもそろそろあの蝕みの君を殺さないとみんな死ぬぜ!!!というのは分かっている・・・

タイガーアイ :案ずるな 息切れした程度でオーヴァードは死なぬ

木口龍 :げっほげほげほごほぇ!?

タイガーアイ :
 .       リザレクト
「あわや息切れで自己再生などは未知の領域だ
 どう思う」

“イリュシデイター” :
「いや、どう思うと言われましても」

“イリュシデイター” :
「…気配はしませんが、いつ来るかも定かではない。息を整えておいてください、木口さん」

木口龍 :「あ、ああ、すまない、すーはーすーはー」

木口龍 :「ひっひっふー」

荻野目 旭 :でもこのヒトだとなんだかありそうでヤなんだよなぁ 過呼吸リザレクトぐらいは

荻野目 旭 :……なんとあの“タイガーアイ”ですって言われた元ブラザーフッドより、この人のほうが未知の生命体だなってちょっと思う僕であった

SYSTEM :
 現代UGNにおいて『胡乱な出来事で戦闘に支障が出るほどの軽傷を負った』案件は零ではないが、『過呼吸でリザレクトした』は零である。

 タイガーアイは既に彼の扱い方を弁えていた。かもしれない。たぶん。

木口龍 :「大丈夫だ。いざとなればオレはこんなものを出せる」

木口龍 :「木口カッタァー!!!!」

荻野目 旭 :「はあ…」

“イリュシデイター” :「木口さん」

木口龍 :「はい」

SYSTEM :その呼び方は『お静かに』の類義語であった。

木口龍 :「いやですね、オレはこの素晴らしく張り詰めた空気を和ませようとですねゲッホゴホ」

”虚の狩人/残骸” シホ :
「……まぁ、それはともかくとして。」

 無理矢理押し流す。

”虚の狩人/残骸” シホ :
「幸か不幸か、視界は開けています。粒子を遮るものもありません。
 標的が接近すれば、否応なく互いの存在に気付く」

”虚の狩人/残骸” シホ :
 即ち、接敵は交戦と近似だ。

木口龍 :「へっ、オレには神のお告げがある。一番守りの薄い目を撃てば楽勝よ!!!」

SYSTEM :
“イリュシデイター”は敢えて何かを口にしなかった。言わぬが花だ。

SYSTEM :
 …そんな彼、張り詰めた空気を蝕みのきみ/龍の力で、未知の生命体というお株の危機にあるタイガーアイ。
                    ブラザーフッド
 シホが素性を明かすが早いか、まさに秒で人類愛の殻を投げ捨て、
 同じように己の名を名乗った彼の様子に、実はそれなりに狼狽した“イリュシデイター”の姿があったりしたのだが。
 それはあまり重要なことではない。割愛する。

タイガーアイ :
「プランナーめが、にこりともせず“リュウグウジマ”とやらへ行くのを良しとしたこと。
 覚えておるか。シホ」

”虚の狩人/残骸” シホ :
「……覚えてる。
 “超巨大レネゲイドビーイングとの遭遇”。
 普段の彼女なら、喜んで私たちを差し向けそうな話だったのに………」

タイガーアイ :
 ・・・・
「その理由を我は知っている。
 いや…知っているというよりは、あの“ざま”で疑惑が確信に至ったというべきか」

SYSTEM :
 そして彼は、恐らく間もなく起こり得る予定調和に備えるように。
 淡々と事実を告げ始めた。

タイガーアイ :
「これより生きるお主の道に…然して必要のあるものではないから。仔細は省くのだが。
 北欧に、たいそう傍迷惑な『竜』がいる」

タイガーアイ : 
 レネゲイドビーイング
「我々の同朋だが、”プランナー”とは相容れないサガの生き物でな。
     ・・
 その竜が戯れで起こす影響を、基本的に厭う。どんなかたちであってもだ」

タイガーアイ :
「………それで合点が行ったよ。

 やけに仔細を問わず我の好奇心を通したのは、
   ・・
 その戯れで生まれたものが此処にいるからだ」

SYSTEM :
 タイガーアイの言葉を素直に受け取るならば。
 
 あの時プランナーが嫌悪さえ懐いたことの本体とは即ち、超巨大レネゲイドビーイングの方ではない。
 あちらには異様なまでの無関心で、彼女の意識はその“たわむれ”で産み落とされて彷徨うものの成れ果てを厭っただけだ。

SYSTEM :
 あるいは、今から見るものが。

 このように閉じた場所ではなく、
 多くの者に作用する可能性を。

SYSTEM :
 ───風が哭いた。

SYSTEM :
 苦痛と癇癪を織り交ぜて。
 死の鱗粉を伴った、黒い風。

 静寂の中は見晴らしがよく、ならばこそ。
 近付いて来るものの姿もこれこの通り、すぐに分かる。
 分かるから、死に瀕したそいつの目にあなたたちは、きっとお迎えの死神か何かのように映ったのだろう。

SYSTEM :
 ………黒い風の正体は言うに及ばない。

 ゼノスの同朋が赴いた理由は一人と一体で異なっても。
 プランナーに限って言えば、単にこのような、世界に共存し得ないもの…“生かしておきたくないもの”が島にいることを知っていたからだった。

”虚の狩人/残骸” シホ :
「つまり…………」

”虚の狩人/残骸” シホ :
             ロ - ル
「彼女のプランの中で、私の役割は最初から変わってない。
 ………“狩人”をやってこい、ってことか」
 

”虚の狩人/残骸” シホ :
 風が吹き抜ける。
    ・
 互いの死が、対峙する。

”虚の狩人/残骸” シホ :
「…………。
  虚なる病
 “Leere schwer”の出現を確認。各自、応戦の準備を」

荻野目 旭 :「……“プランナー”が……」

荻野目 旭 :思わず息を呑む。プランナーというのは今のところ、レネゲイドという『種族』を繁栄させるためにFHから抜けたヒト、というふうに、僕らUGNの中では扱われている。

荻野目 旭 :彼女がシホさんとタイガーアイさんに、暗にでもそのような指令を下したというのは……その彼女にとって、間引きすべき害獣がアレだという話だ。

荻野目 旭 :レネゲイドを殺すくろき風──そんなものを戯れで生み出すものがいることにもぞっとするけど、それは応えるように吹きすさび始めたものにもだ。

荻野目 旭 :
 黄金の草原を、黒が乱す。
 怯えた獣を狩りたてる僕らは、ジャームになった『そいつ』にとってどんなに恐怖の対象なんだろう。

荻野目 旭 :(──だけど)

荻野目 旭 :(……逆になっただけじゃないか)

荻野目 旭 :
  コピー
「……了解です。後方支援は任せてください」

荻野目 旭 :「僕はよく見える目じゃないですけど……それを外付けはできるつもりですよ」

木口龍 :
「やべえ、やべえよ……南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏……」

 おお、神よ、カミサマよ、とりあえずここから全員無事に脱出出来るよう見ててください……。ジーザス。
 あの黒い風が災厄を運んでくる。やってくる、やってくるぞ。かいぶつがやってくるぞ。
 かいぶつが、オレを殺さないでくれと怯えながら死を撒き散らすぞ。

木口龍 :

 ──そんなもの、迷惑だから死んでくれという以外にはないわけだが。

SYSTEM :
  コピー
 了解の意をまず旭が、次に“イリュシデイター”が示す。
 応戦の準備をするが早いか。空に、黒点がぽつりと落ちた。

SYSTEM :
 零れ落ちたソラリスの因子を含んだ風は、
 オーヴァードにも非オーヴァードにも等しく崩壊の毒素として作用する。
 
 であるに、生物がいなかった理由など単純だ。
  ウ ロ ボ ロ ス
 共存し得ないレネゲイドのなり損ないが、
 ただ在るだけでそこにいたものを全て駆逐した───。

SYSTEM :
 それを証明するように。
 空に、黒の帳が落ちる。
 逢魔が時はこれより魔性の時間に傾いたのだと、大地が枯れ澱んだ。

 翼をはためかせ。微睡む意識が、体躯に合わぬ畏れを伴う。

SYSTEM :
 あるいは。
 あなた方が手を拱いていたのであれば、

 その黄昏色の空に舞うものは、もっと残酷で、手のつけようのない。
 遍く命にとっての、死のかたちとなっていたかもしれない。

SYSTEM :
 ・・
 恐怖を以て駆動するレネゲイドは。
 不可避の死を遠ざけるため、あらゆる無謀と無理を通した姿に彼ないし彼女を仕上げ。
 そして…尚も訪れた死と共に、まこと厄災を撒き散らしたかもしれない。

SYSTEM :
 だが、そんなものは“もしも”だ。

 何を思って黄泉還り、何を思って天涯を飛翔したのか。
 彼ないし彼女が言葉を解さない以上、分かることはない。

 だが、掻き毟るような咆哮。
 風の音色に紛れたものの声が、全てを物語る。

“蝕みの君” :
   ・・・・・ ・・・・・・・・・
 ───かえりたい/やすらかなところへ

SYSTEM :
 咆哮のかたちは、最初から最後までそれだった。

SYSTEM :
 生まれ落ちた己のかたちを知っているものにずっと縋りついたのも。
 ただ、そいつらのレネゲイドが、知っているにおいとかたちをしていたから。

 怨恨ではなく、嘆願だ。
 あの場所に帰してくれという、零れ落ちたものが“元の所”に還ろうとする本能。
 
 親御知らずの見知らぬ地を彷徨する子供、うちに帰りたいと嘆くもの。
 それを、何百倍のスケールでやっているに過ぎなかった。

SYSTEM :
 ………嗚呼。

SYSTEM :
 雄叫びが心を揺らす。
 全高にして10m後半強の体躯が、着地と同時に無造作に巻き起こす振動は、
 文字通り何の配慮も容赦もなく。
 
 ずしん、と。大地が揺れる。
 蒼穹を我が物顔で暴れ回る絶対者に、空も陸も何もかもが。
 下敷きにされた何もかもが、磨り潰されて悲鳴を上げている。

SYSTEM :
 摂理に囚われぬレネゲイドが如何に理不尽で恐ろしいものかを、
 かつて誰かに教えたものが───。

 

SYSTEM :

 端的に。             ファンタジー
 フィクションの世界の、最も代表的な幻想存在が。

 いま一度、眼前に舞い降りた。 

“蝕みの君” :

『▂▅▇█████████████!!!!』

荻野目 旭 :「……………ッ!」

荻野目 旭 :
 体が意思と反してがたがた震えるのがわかる。
 僕はノイマンじゃない。
 理屈で支配しきれない体は、刻み込まれた恐怖を再生する。

 ・・
 寒い──寒くてたまらない。
 黄金の草原の中に、あの日の吹雪を見る。
 かじかむ体を温めたのは、誰かが撒き散らした鮮血だったあの日のこと。

荻野目 旭 :
 勇敢に立ち向かおうとしたひとから先に死んだ。
 強い人から先にその風が齎す同属殺しに呑まれて、最後に残ったのは臆病者だけ。

     こえ
 強がりの幻聴がする。
 あの大きな大きな爪に、誰かの衣服の切れ端がないかを眼球が勝手に探す。

荻野目 旭 :「……………ッ……………!」

荻野目 旭 :
 息が荒くなる。
 吹き飛ばされそうな体は、あの日より大きくなったけど小さいままだ。
 戦うすべも、結局修められないまま。
 僕はここに立っていた。

荻野目 旭 :
 ……唇を噛み切る。
 痛みで意識を引っ張り戻すのは、自己回復促進のエフェクトを覚えてから癖になっていた。

 だけどいつものルーティンをなぞることで、頭は体を置いてきぼりにして冷静を取り戻す。

荻野目 旭 :
 あの日の再現のようで──まるきり違う。

 追ったのは僕らで、逃げたのはあいつ。
 恐怖に撒かれたのはあいつで……

荻野目 旭 :
「…………狩るのは、僕らだ」

荻野目 旭 :声変わりもまだの喉が、それでも地を這うような声を絞り出した。

荻野目 旭 :
「──おウチに帰すなんてさせるわけないじゃないですか。
 リベンジいっこめ……君から泥かけて、足跡つけてやる!」

”虚の狩人/残骸” シホ :
 ──────。
 ときどき、私は考える。
 人が死を恐れ、悼むのはなぜだろうと。

”虚の狩人/残骸” シホ :
 人が死ぬことを悲しむのは、死が悲しいことだからではなく。
 思うにそれは理由のひとつに過ぎないのだろう。

”虚の狩人/残骸” シホ :
 いつかの、優しい顔のまま……二度と逢えない面影を、どこか遠くに探してしまうから。
 人は死を恐れ、哀しむのだろう。

”虚の狩人/残骸” シホ :
 ……この巨きなものが、もし、そうなのだとしたら。
 心にだけ残された、あたたかいふるさとを、いまも探しているのだとしたら。
 私には、その畏れを癒してあげることはできないけれど。

”虚の狩人/残骸” シホ :
 ……安らぎならば与えられる。

”虚の狩人/残骸” シホ :
 名に負いし役割の通り。
 癒えぬ空虚を、狩る時が来た。

木口龍 :

「う、うお……」

 死を前にして、ころさないでくれ、ころさないでくれ、いえでやすみたいだけなのだと叫び散らかしている。
 それを癒やすのはもちろん、その是非について考えることは探偵の仕事ではない。
 紫毒を撒き散らして最期の抵抗をしている──そこに悲哀を覚えることも、探偵の仕事ではない。

 探偵の仕事とは常に解き明かすことであり、その真実の果てに邪魔になる者は消すだけである。

木口龍 :
「いいか、落ち着け、なるべく抵抗しないで死んでくれよ頼むから……」

 ガクガク震えながら、銃を構える動作をする。
 そこにピッタリと吸い付くように、レネゲイドによって手繰られた鉄が形をなし始めた──。

“蝕みの君” :

『▂▅▇█████████████!!!!』 

SYSTEM :
 見る影もなく膿んで澱んだ鱗と甲殻は、
 秒単位で崩壊と再生を繰り返しながら、
 より死を遠ざける強度/死を弾くものに再構築を繰り返す。

 それを以て、自分の命をぼろぼろと鑢で削っていることを自覚せぬままに。
 閉ざした陽の光の中、まぼろしの狭間で凍て付こうとする躯体が唸りをあげる。

“イリュシデイター” :
.   レーレ・シュヴェア
「………“蝕みの君”───」 

SYSTEM :
 そのざまを見た、“薄氷を繕い裁つ”ようと称されたエージェントの言葉に。
 幾分の感情が籠ったのかは定かでない。
 少なくとも───。

 初めて出会った時のそれと比較できるならば。
 今の声は、あの当時の声色が、微かな時間とて確実に我を忘れていたことを示す証左だった。

SYSTEM :

 八つ当たりの自覚 . 無自覚の復讐心
 自覚ある自己嫌悪と、それでも赦さないという激情の。

 ───それをおくびにも出さず仕舞い込んだのは。あまりに変わり果てた元イレギュラーへの憐憫故か。エージェントとして、その変わり果てた姿に見た警戒故か。

“イリュシデイター” :
「あの鱗、最初の邂逅とは形質が違う。
  キ ュ マ イ ラ
 《身体強化》タイプのものから変質して………?」

“イリュシデイター” :
「敵は手負いです。ですが………。
          ・・・・・・・・・・・・       
 ジャームに対して、普通のオーヴァードの物差は無用の長物!
 くれぐれも用心を!」

SYSTEM :
 
 その檄の向こう側。

 理性の光を宿さない瞳は、何を見ているか分かったものではないが。
 本当に見ているものは此処ではないどこか遠くても。
 己の命を阻むものと見定めた時、宿っている色が変わることは遂にない。

SYSTEM :
 あなた/旭を嘗てあの瞬間独りに追い込んだ怪物が。
 どこまでも遠く。無惨に変わり果てても、その威容だけは色褪せず。

 ただ、その舞台だけがまるきり逆だった。
 あなたが、たぶん自分に言い聞かせた通りに。

SYSTEM :
             ファンブル
 あなた/だれかにとっての致命的不運があった日から。
 何年が経っただろう。
 
 その似姿たちが、己を映す死を掲げている。

荻野目 旭 :「エグゾースト・ロイスの徴候……? とにかく、警戒ですね!」

荻野目 旭 :「今度こそ……生きて帰します!」

SYSTEM :
 もはや何のために咆哮し、彷徨したのか分からず。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 何のために己の古き縁を追いかけていたのかすら、定かでないモノへと変貌したそいつが、死を呼ぶ咆哮を挙げる。

 葬送り人を前に。
 決して埋まることのない空洞の中、ただ一念だけが響き渡った。

SYSTEM :
 二度と望みを果たせぬ怪物が。
  リュウグウジマ
 時に取り残された島にて、無形の叫びを挙げる…。

“蝕みの君” :
 ───独りは 半ばに死ぬのは
   ただ 何も▇▇▇に死ぬのは

“蝕みの君” :

   ・・
 ───イヤだ


“蝕みの君” :

『▇███████████████████▇▅ッッッ!!!!』 

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
内容:『蝕みの君』を撃破せよ
終了条件:『蝕みの君』を倒す
完了値:12
難易度:8→7
進行判定:〈交渉〉〈知識:レネゲイド〉〈情報:〉
支援判定:〈射撃〉
最大達成値:30
経験点:3点
備考
・FS中常に『レネゲイドキラーL2』が発生
・FS開始時に『ソラリス』シンドローム所持者がいない場合
 そのラウンド開始時にコンボ『底ヲ喪ス絶望』が発生

SYSTEM :
FSシーン『帰郷』
 FSシーン『帰郷』では『FS判定』の形式で判定を進め、『蝕みの君』を倒すこととなります。

 FS判定の基本的な手順については左記をお読みください。 

GM :

※わかるように説明しろ※
1:ハプニングチャートをGMが振るよ! 震えるがいい

2:戦闘時と同じように「行動値の一番高いキャラ」のイニシアチブが回って来るよ!

3:この時、他のキャラは『イニシアチブで宣言するエフェクト』のノリで
  支援判定と書かれている技能にチャレンジすることが出来るよ!
  支援判定を行うと、そのキャラのメインプロセスの達成値を+3(重複可)するよ!

4:ただし支援判定を行うと『行動済』になるのでそのキャラはラウンド中
  メジャーアクションで出来ること(※エフェクトの使用、進行判定、等々…)が行えないよ!

5:全員の行動が終わると便宜上「クリンナッププロセス」に移行して、ラウンドが移行するよ!
  戦闘の時と違ってこれは確認だけの意味しかないよ! 

6:ハッキリ言うぜ! おまえややこしいって言われるだろ!(闇遊戯)

SYSTEM :
 従来のFSシーンの仕様に加えて、
 下記の仕様が存在します。

壱:『蝕みの君』の行動

弐:『決戦判定』

参:NPCの特殊裁定

肆:OPイベントによる変化

SYSTEM :
[壱:『蝕みの君』の行動]

 蝕みの君は『ハプニングチャート』を振った後、『自身の行動』について予告を行います。

 行動の予告後、ラウンド中に[20(10)]を越えるダメージが発生するか、
『射撃』を用いた一度の判定で[20]以上の達成値を出さなかった場合、
 FS判定における『クリンナッププロセス』において、蝕みの君が妨害行動を行います。
 蝕みの君は1ラウンドに1度だけ『竜鱗L3(L2)』を使用します。

 行われる行動は「1d6」で決定します。

“蝕みの君” :
1〜2:隔テ無キ蹂躙
・シーン参加中の全てのPCへ[4d10+10]のダメージが発生
(※装甲・G値有効。また『ドッジ』を試みた場合判定[30(20)]でダメージそのものを回避可能)

3〜4:掻キ毟ル慟哭
・シーン参加中の全てのPC・NPCが行う次のラウンドの判定ダイスを[6dx]減少させる

5〜6:底ヲ喪ス絶望
・意志判定[12(10)]に失敗した、シーン参加中の全てのPCに『邪毒L3』を付与
・ソラリス所有者には必要な意志判定が[8(6)]となる

GM :
※わかるように説明しろ※
・セットアップ時に『止めないとコレします』が宣言されるよ!
・『射撃』で20以上の判定を出すか、皆で[20(10)]以上のダメージをラウンド中に出すと日和って止まるよ!
・ダメージを受けそうになるとラウンド1度だけ『竜鱗』でダメージを30(20)点減らすよ!

SYSTEM :
[弐:『決戦判定』] 
 FSが『完了値』に達した時、『蝕みの君』との簡易戦闘が行われます。
 FSを『完了値』とする&蝕みの君を撃破することで、当シーンは終了します。

GM :
※わかるように説明しろ※
・完了値に達成したらQTEが始まるよ

SYSTEM :
[参:『NPC』]
 FSシーン中のNPCについては、下記の裁定を執ります。

・所持エフェクトを『オートアクション』としても扱う(※便宜上)

GM :
※わかるように説明しろ※
・NPCの所持エフェクトは左の行動値をシカトして使えるよ!

SYSTEM :
[肆:『OPイベントによる変化』]
 OP戦闘中のプレイヤーの行動によっては、蝕みの君は『ジャーム化』していることがあります。
 ジャーム化している場合、下記の変化があります。

SYSTEM :
・『3ラウンド目終了時』までにFSシーンをプライズとして出現させている場合、
 全ての判定やエフェクトLvが括弧内のものに下方修正され、戦闘が『簡易』に変化する

・上記条件で戦闘が行われなかった場合、
『蝕みの君』は従来より強化された状態で戦闘/『決戦判定』を行う

・『4ラウンド目終了時』までにFSシーンがプレイされなかった場合、
 ラウンド終了時に強制的にFSシーンが発生する

・Eロイス『超越活性』+対象ごとに異なる固有Eロイスを所持して登場する
『蝕みの君』は超越活性により『抗い難き言葉』のLvを+2する

GM :
※わかるように説明しろ※
・3ラウンド目終了までに挑んでいたら良かったね
(基本的には)難易度が下がっているよ! 相手の各種数値は『括弧』内を確認してね!

・4ラウンド目終了までほったらかしてこの項目を読んだあなた
 覚悟の準備をしておいてください 近いうちに殺します 墓も用意します

SYSTEM :
 以上でFSシーン『帰郷』の説明を終了します。

SYSTEM :
 ………。
 ………………。

SYSTEM :
 混濁する意志を伴う叫びと共に。
 黒い風が、二度哭いた。 

SYSTEM :
 遍く生物を狂奔させ、心を澱ませる。
                    デス・ゲイル
 大地を腐らせ、枯れ落とす、背教者殺しの死の旋風。 
 それは彼ないし彼女の生存と切り離すことが出来ず。
 彼ないし彼女の生存はあらゆる生物の喉元にナイフを押し当てるようなものだという事実に等しく。 

SYSTEM :
 また質量を伴う翼状のレネゲイド体が引き起こすハヌマーンの振動と、
 そこに散布されたソラリス・シンドロームによる死毒の鱗粉は、“蝕みの君”にとっての盾となる。

SYSTEM :
 あなた/旭や、“イリュシデイター”…同じソラリスならば、その死毒とてレネゲイドに過ぎない。
 解し、介して、中和し、一先ず戦場での影響を“まし”にすることは出来るだろう。

 それでも、己の崩壊厭わぬほどの因子の放出によってこれを纏った“蝕みの君”に近付くこと、そして矛を届かせることは、物理的な障壁を纏ったことを差し引いても、至難の業だ。

SYSTEM :
[進行度0]
進行判定:〈交渉〉〈知識:レネゲイド〉〈情報:指定なし〉
支援判定:〈射撃〉
難易度:7

『蝕みの君』は眼前のあなた達が自らに害を成すものだと見做すや否や、
 己を構成するレネゲイド体を暴走・伝播させ、自身の鱗粉を伴う『風』の壁で周囲を覆い始めた。

 同種のソラリスエフェクト等を用いた精神干渉による『蝕みの君』のエフェクト行使への干渉、
 または頻繁に変化する風の性質を中和・相殺する手段を適切に導き出す知識がなければ、
 彼ないし彼女が振るう同属殺しの風は、あらゆる攻撃が有効打として『蝕みの君』に届くことを拒むだろう。

SYSTEM :
【 Round 1 】 

SYSTEM :
■セットアップ
 ハプニングチャートおよび『行動予告』が発生します。

SYSTEM :1d100 〈ハプニング〉 (1D100) > 45

SYSTEM :41~45:一か八かのチャンス。このR中、最大達成値と難易度に+10。

“蝕みの君” :1d6 行動予告 (1D6) > 3

“蝕みの君” :
3〜4:掻キ毟ル慟哭
・シーン参加中の全てのPC・NPCが行う次のラウンドの判定ダイスを[6dx]減少させる

SYSTEM :
 行動予告が発生しました。
 条件未達成時、クリンナッププロセスに該当行動が発生します。 

SYSTEM :
■手番処理
 シホが行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定の有無を確認しています…。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定が確認できませんでした。
 このラウンド中の『支援判定確認』をスキップしますか?

”虚の狩人/残骸” シホ :
間違いなくここが分水嶺になる……!
確実に支援を受けられる状況まで待機します!

SYSTEM :
■イニシアチブ
 該当R中の支援判定確認スキップを確認しました。

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・『蝕みの君』の行動阻止判定を行う

SYSTEM :
■メイン
 同時に『待機』宣言を確認しました。
 

SYSTEM :
■手番処理
 タイガーアイが行動を宣言します。

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・『蝕みの君』の行動阻止判定を行う

タイガーアイ :先んずれば何とやらとはよく言ったが、我の仕事ではあるまいな。『待機』する。

SYSTEM :
■メイン
『待機』宣言を確認しました。

SYSTEM :
■手番処理
 木口龍が行動を宣言します。

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・『蝕みの君』の行動阻止判定を行う

木口龍 :待機だぜ・・・・石橋は核ミサイルで破壊してから宇宙船で渡るに限るぜ

タイガーアイ :命と世界がいくつあっても足らぬ渡り方であるな

SYSTEM :
■メイン
『待機』宣言を確認しました。

SYSTEM :
■手番処理
 複数のキャラクターが同じ行動値となっています。
 先に行動する方を宣言してください。

・荻野目 旭
・“イリュシデイター”
 

荻野目 旭 :僕ですね!

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・『蝕みの君』の行動阻止判定を行う

荻野目 旭 :第三の選択肢…

荻野目 旭 :支援エフェクトを使用します!

GM :よろしい!(選択肢に書いておかなかったことを詫びるように爆発した) 

荻野目 旭 :
▼ツメクサの灯/《タブレットLv3》+《多重生成Lv3》+《狂戦士Lv2》+《癒しの水Lv4》

効果:HPを[4D10+2]点回復。
対象の次のメジャーアクション判定ダイスに+[狂戦士のLv*2=4個]、C値-1。
そのメジャーアクションが攻撃の場合、攻撃力を[+5]。
 対象:シホ、龍、タイガーアイ、ノエル

荻野目 旭 :回復振りますよ〜! んんんん……!

SYSTEM :
■メイン
 判定宣言を確認しました。
 エフェクトの判定を行ってください。 

荻野目 旭 :4d10+2 (4D10+2) > 23[6,8,3,6]+2 > 25

system :[ ”虚の狩人/残骸” シホ ] HP : 4 → 29

system :[ ”虚の狩人/残骸” シホ ] HP : 29 → 23

system :[ 木口龍 ] HP : 6 → 27

タイガーアイ :見事なものだ。ただし…。

SYSTEM :
備考
  ↓
・FS中常に『レネゲイドキラーL2』が発生
  ↑

・FS開始時に『ソラリス』シンドローム所持者がいない場合
 そのラウンド開始時にコンボ『底ヲ喪ス絶望』が発生

タイガーアイ :綱渡りでもある 忘れるでないぞ

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 83 → 95

荻野目 旭 :そう…!

荻野目 旭 :

system :[ 荻野目 旭 ] HP : 10 → 2

荻野目 旭 :瀕死で〜〜〜す……!

“イリュシデイター” :多少干渉は出来ても、根本的な影響までは避けられませんか…! 旭くん自身の侵蝕率を思えば、二度は避けたいところですね

荻野目 旭 :まったくもってです……! 僕がかわいいならがんばってくださいよ!

“イリュシデイター” :喜んで。それが言える余裕があるうちに参りましょう。

SYSTEM :
■手番処理
“イリュシデイター”が行動を宣言します。

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・『蝕みの君』の行動阻止判定を行う

“イリュシデイター” :
 進行判定を〈知識:レネゲイド〉で。
 ですがその前に………。

SYSTEM :
【Check!】
“イリュシデイター”が
 NPCエフェクト『戦乙女の導き』を使用します。

・同じ判定を行っている全てのPCユニットに『判定ダイス+3DX』の効果
 攻撃を行う場合、これに更に『攻撃力+5』の効果
 

SYSTEM :
■メイン
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

“イリュシデイター” :10dx+4 〈進行判定〉 (10DX10+4) > 8[1,2,3,4,5,5,6,6,7,8]+4 > 12

“イリュシデイター” :10dx9+4 〈進行判定〉(※『狂戦士』の効果によるC値付け忘れのため再度判定) (10DX9+4) > 10[1,2,4,5,6,7,9,10,10,10]+7[4,6,7,7]+4 > 21

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:1→4 

SYSTEM :
■手番処理
 状態が『待機』を宣言したユニットのみになりました。

SYSTEM :
■手番処理
 木口龍が行動を宣言します。

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・『蝕みの君』の行動阻止判定を行う
・エフェクトを使用する
・その他

木口龍 :進行判定だぜ。
オレは表しかないはずなのに、《情報:裏社会》で判定を行うぜ・・・。

SYSTEM :
■メイン
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

木口龍 :10dx9+7 うなれオレのアーム!!!! (10DX9+7) > 10[1,1,1,4,6,7,7,7,8,10]+7[7]+7 > 24

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:4→7 

SYSTEM :
■進行判定確認
 進行イベントが発生します。

SYSTEM :
 吹き荒れる死の風、己とそれ以外を隔てる無自覚の拒絶の帳。
 それが見切られた/剥がされたことを知るや否や、そいつの本能は次なる行動を取った。

“蝕みの君” :
『▇███████████████████▇▅ッッッ!!!!』

SYSTEM :
 黒い風が巻き上がる。
 突然変わった風向きは、力の行使によるものではなく、
 そこにいると拙いという理解のもと、彼ないし彼女が持つ翼がはためき、その巨躯が空に飛び立ったが故。

SYSTEM :
 風を纏い、身を変じさせ。
 誰の手も届かぬ天涯へと独り逃げ込む。
 
 己と違ういきものが、
 その爪も牙も届かせ得ることのないところへ。

SYSTEM :
[進行度7]
進行判定:〈射撃〉〈精神〉
支援判定:〈交渉〉〈知識:レネゲイド〉
難易度:7

『蝕みの君』の鱗粉は中和、ないし解除されたが、同時に彼ないし彼女はその翼を用いて飛翔。
 秒単位で変化する鱗と甲殻は、あらゆる死を遠ざけるべく、より堅牢に発達しようとしている。

 有効打を通すには、地に足をつけたまま空を舞う『蝕みの君』を叩き落とす手段が必要そうだ。
 また、秒単位で性質を組み替える装甲を適切に見抜く目も。

SYSTEM :
■手番処理
 タイガーアイが行動を宣言します。

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・『蝕みの君』の行動阻止判定を行う
・エフェクトを使用する
・その他

タイガーアイ :我が領分で通すには…聊か間の悪いことになったな。

タイガーアイ :まあ良かろう。〈精神〉で進行判定を行う。

SYSTEM :
■メイン
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

タイガーアイ :15dx9 〈進行判定〉 (15DX9) > 10[2,2,2,3,4,5,6,6,8,8,8,8,8,9,10]+7[2,7] > 17

タイガーアイ :このようなものだ。

荻野目 旭 :なんと鮮やかなダイス回し…!

荻野目 旭 :このレネビ…できる!

”虚の狩人/残骸” シホ :
       バディ
そりゃあ、私の同業者ですから!

木口龍 :レネビ!!!軽々と成功しやがる!!!

SYSTEM : 
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:7→9 

SYSTEM :
■手番処理
 シホが行動を宣言します。

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・『蝕みの君』の行動阻止判定を行う
・エフェクトを使用する
・その他

”虚の狩人/残骸” シホ :
 私は《射撃》で『蝕みの君』の攻撃を阻止します!やらせはしません……!

SYSTEM :
■メイン
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

“蝕みの君” :█████████████████▇▅───! 

”虚の狩人/残骸” シホ :□判定宣言
     Nemain
▼Combo:《葬送》

Minor:- ▼
Major:《コンセントレイト:オルクス[Lv.3]》+《形なき剣[Lv.1]》▼

 Atk : 15dx6+10
 Damage : xd10+1d+22+5
 Cost : 5 HP:-4(-1D)
 Range:300m

”虚の狩人/残骸” シホ : (15DX7+9) > 10[1,1,1,2,2,3,3,5,6,6,7,9,10,10,10]+10[2,4,5,6,7]+4[4]+9 > 33

SYSTEM :
■阻止判定確認
『蝕みの君』の行動阻止に成功しました!
 このR中の予告がキャンセルされます。

“蝕みの君” :───! 

system :[ ”虚の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 77 → 82

system :[ ”虚の狩人/残骸” シホ ] HP : 23 → 19

”虚の狩人/残骸” シホ :
………っ!

SYSTEM :
 あなた/シホの一射が、『蝕みの君』の内側より今まさに解き放たれようとしていた、黒いレネゲイドの塊を霧散させる。

 成れ果てた直後、眼前で害意を伴った攻撃が“爆ぜた”ことで怯んだように、『蝕みの君』の行動が一瞬弱まった!

SYSTEM :
■クリンナップ
『行動予告』はキャンセルされています。

SYSTEM :
【 Round 2 】 

SYSTEM :
■セットアップ
 ハプニングチャートおよび『行動予告』が発生します。

SYSTEM :1d100 ハプニングチャート (1D100) > 52

SYSTEM :46〜55:膠着した進行。修正は特にない。

“蝕みの君” :1d6 行動予告 (1D6) > 1

“蝕みの君” :
1〜2:隔テ無キ蹂躙
・シーン参加中の全てのPCへ[4d10+10]のダメージが発生
(※装甲・G値有効。また『ドッジ』を試みた場合判定[30(20)]でダメージそのものを回避可能)

SYSTEM :
 行動予告が発生しました。
 条件未達成時、クリンナッププロセスに該当行動が発生します。 

SYSTEM :
■手番処理
 シホが行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定の有無を確認しています…。

”虚の狩人/残骸” シホ :
みんなには“次”に備えてもらわなきゃ……。
ここは私が自力で決めにいきます!

荻野目 旭 :支援はひとまず控えます…! がんばって、シホさん!

木口龍 :やっちまえ!

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・『蝕みの君』の行動阻止判定を行う
・エフェクトを使用する
・その他

”虚の狩人/残骸” シホ :
《射撃》による進行判定を。私たちのもとに降りてもらう……!

SYSTEM :
■メイン
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

”虚の狩人/残骸” シホ :□判定宣言
     Nemain
▼Combo:《葬送》

Minor:-(オリジン:ヒューマン) ▼
Major:《コンセントレイト:オルクス[Lv.3]》+《形なき剣[Lv.1]》▼

 Atk : 9dx7+9+1
 Damage : xd10+1d+22+5
 Cost : 5 HP:-4(-1D)
 Range:300m

”虚の狩人/残骸” シホ :9dx7+9+1 《射撃》 (9DX7+10) > 10[1,2,5,5,6,7,8,8,10]+10[4,5,8,10]+10[1,8]+10[8]+10[8]+1[1]+10 > 61

GM : 

”虚の狩人/残骸” シホ :間違いなく───捉えたっ!

system :[ ”虚の狩人/残骸” シホ ] HP : 19 → 15

system :[ ”虚の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 82 → 87

“イリュシデイター” :いまの一撃なら───いえ、まだ!

タイガーアイ :しかし翼は折れ、還り先の輪郭を捉えたと見える。引導を渡してやるがいい。

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:9→12

SYSTEM :
■進行判定確認
 進行イベントが発生します。

SYSTEM :
 天涯を舞う竜の翼。
 ひとの世から隔たれた忌子にして、ひとの世にて思うさま振る舞った落胤の竜が、
 しかしそれに弓を引くものの慈悲に、空の帳もろとも撃ち貫かれる。 

SYSTEM :
 墜落か───否。
 空より降りて来たその姿は、いよいよ以て逃げ帰る場所なき満身創痍は。

 死の自覚なく、死から僅かでも逃れる唯一無二を悟ったが故の行いだった。

“蝕みの君” :

『▇█████████████████▇▅───!!!!』 

SYSTEM :
 着地と共に吼え猛る。

 己が因子の付着と共に枯れ細る空想の地に、しがみつくように爪を立て。
 あなたたちの向こう側にありもしない水平線を見た瞳が、ただ一つ事を求めて光を宿していた。

SYSTEM :
 ───彷徨うその身は、温もりとはほど遠い地で生まれて。
 ───咆哮るその心は、在りもしないもの以外で埋まらず。

 天涯孤独の落胤竜。
 苦難の旅路/自覚なき災禍と共に、
 その身に灯る命の刻限が近づいている。

SYSTEM :
─決戦判定─
進行判定:〈特殊〉
支援判定:〈なし〉
難易度:後述

『蝕みの君』を地上に叩き落とした今、彼ないし彼女は生存本能の赴くままに渾身を叩き込もうとしている。
 それが放たれる前に『蝕みの君』を倒し、竜を御伽噺の世界に還せ。

SYSTEM :
 進行度12(終了値)を達成したラウンドから、下記の条件どちらかを満たすことでFSシーンは終了する。

・〈白兵〉〈射撃〉〈RC〉による判定達成値が[40]を越える
・『蝕みの君』に与えたダメージが累計で[60]を越える

 この進行イベントが発生した次R以降、セットアップでの行動予告は必ず『隔テ無キ蹂躙』になる。
 また、同名の行動で与えるダメージが[6d10+10]に変化し、
『進行イベントが発生した次R以降』の行動予告に際して、自身の妨害行動を阻害されなくなる。

SYSTEM :
■手番処理
 木口龍が行動を宣言します。

 ※タイガーアイは『決戦判定』時に有効な行動を所持していないため、判定を割愛します。

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・『決戦判定』を行う
・『蝕みの君』の行動阻止判定を行う
・エフェクトを使用する
・その他

木口龍 :……『決戦判定』を行う

SYSTEM :
■メイン
 行動を確認しました。
 判定に使用する技能、エフェクト等の宣言後、
 判定を行って下さい。

“蝕みの君” :█████████████████▇▅───!!!! 

木口龍 :
マイナー(オート扱い)《ハンドレッドガンズ》
《コンセントレイト:モルフェウス》+《砂の加護》+《雷の残滓》+《サポートデバイス》

system :[ 木口龍 ] サポートデバイス : 3 → 2

system :[ 木口龍 ] 侵蝕率 : 81 → 97

木口龍 :これで腐ったらオレは泣いたぜ

タイガーアイ :案ずるな 男が泣くのは全てを終えた時だそうだ

木口龍 :タイガーアイの援護セリフ背中を押された龍リュリュ・・・蝕みの君は硬いが弾丸を通せれば勝てるぞ

木口龍 :11dx8+6 おらあああああああああ!!! (11DX8+6) > 10[1,1,3,3,5,5,6,8,8,9,9]+7[3,6,6,7]+6 > 23

“蝕みの君” :───!!!!

“蝕みの君” :
■リアクション
《竜鱗L2》

SYSTEM :
■ダメージ判定
 判定を行って下さい。

木口龍 :これで頑張るぜじっちゃん(いない)の名と花京院の魂を賭けてな

木口龍 :5d10+13 (5D10+13) > 20[3,2,4,2,9]+13 > 33

SYSTEM :
■決戦判定確認
 累計ダメージの蓄積を確認しました。

要累計ダメージ:60→52

木口龍 :だが邪毒Lv5は受けてもらう。

“蝕みの君” :██████▇▅───!!!!

system :[ 木口龍 ] HP : 27 → 24

“イリュシデイター” :あの鱗の変化はそこまで短時間では起きません。それに内側への侵蝕なら…! 

タイガーアイ :悠長に構えたな。だが亀が童話でいつも贔屓されるように、無駄足ではあるまい。

木口龍 :傷が響いたぜ・・・

system :[ 木口龍 ] HP : 24 → 14

SYSTEM :
■手番処理
 複数のキャラクターが同じ行動値となっています。
 先に行動する方を宣言してください。

・荻野目 旭
・“イリュシデイター”

荻野目 旭 :僕は…この状況だとどうにもなりませんね、行動放棄です。

荻野目 旭 :ノエルさん……お願いしていいですか?

“イリュシデイター” :───はい。お願いされましょう。

“イリュシデイター” :きみと来たら見かけてからずっと働き詰めですしね。…それでは───。

SYSTEM :
【Check!】
“イリュシデイター”が、
 NPCエフェクト『ツインバースト』を宣言します。

・ダメージを与える判定の時に発動可能
 即座に『累計ダメージ』に[20]を加算する

SYSTEM :
■阻止判定確認
『蝕みの君』の行動阻止に成功しました!
 このR中の予告がキャンセルされます。

SYSTEM :
■クリンナップ
・『行動予告』はキャンセルされています。
・『邪毒L5』の効果が発生します。

SYSTEM :
■決戦判定確認
 累計ダメージの蓄積を確認しました。

要累計ダメージ:52→37

SYSTEM :
【 Round 3 】

SYSTEM :
■セットアップ
 ハプニングチャートが発生します。

SYSTEM :1d100 ハプニングチャート (1D100) > 28

SYSTEM :26〜30:プレッシャー。そのラウンド中に進行判定を行ったキャラクターは、判定の直後に重圧を受ける。

“蝕みの君” :※行動予告は固定されています

“蝕みの君” :
1〜2:隔テ無キ蹂躙
・シーン参加中の全てのPCへ[6d10+10]のダメージが発生
(※装甲・G値有効。また『ドッジ』を試みた場合判定[30(20)]でダメージそのものを回避可能)

SYSTEM :
■手番処理
 シホが行動を宣言します。

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・『決戦判定』を行う
・『蝕みの君』の行動阻止判定を行う
・エフェクトを使用する
・その他

”虚の狩人/残骸” シホ :
……『決戦判定』を行います。

SYSTEM :
■メイン
 行動を確認しました。
 判定に使用する技能、エフェクト等の宣言後、
 判定を行って下さい。

”虚の狩人/残骸” シホ :
そして……ノエルさん。
どうか───押してください。私の背を。

“イリュシデイター” :………、わかりました。

“イリュシデイター” :
 大人ぶろうと決めて来たところです。
 あなたの道行く背中を、喜んで押しましょう。“残骸”…シホ。

SYSTEM :
【Check!】
“イリュシデイター”が
 NPCエフェクト『戦乙女の導き』を使用します。

・同じ判定を行っている全てのPCユニットに『判定ダイス+3DX』の効果
 攻撃を行う場合、これに更に『攻撃力+5』の効果

”虚の狩人/残骸” シホ :
□判定宣言
     Nemain
▼Combo:《葬送》

Minor:- (オリジン:ヒューマン)▼
Major:《コンセントレイト:オルクス[Lv.3]》+《形なき剣[Lv.1]》▼

 Atk : 12dx7+10
 Damage : xd10+1d+22+5
 Cost : 5 HP:-1D-4

判定技能:《射撃》を選択
 Range:300m

”虚の狩人/残骸” シホ :…………いきます!

”虚の狩人/残骸” シホ :12dx7+10 (12DX7+10) > 10[3,3,4,6,6,7,7,8,8,8,9,10]+10[4,5,7,7,7,9,10]+10[5,6,7,8,9]+10[5,8,8]+2[2,2]+10 > 52

“蝕みの君” :██████...▇▅...!!!! 

SYSTEM :
■決戦判定確認
 下記の条件を達成しました。

・〈白兵〉〈射撃〉〈RC〉による判定達成値が[40]を越える

system :[ ”虚の狩人/残骸” シホ ] HP : 15 → 11

system :[ ”虚の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 87 → 92

SYSTEM :
■終了宣言
・FSシーン『帰郷』のクリア条件達成を確認しました。

SYSTEM :
  展開   散布   拡 散
 あらぶり、はためき、うずをまく。

SYSTEM :
 ───吼え猛る『蝕みの君』の呼吸と共に、黒い風が空を覆う。
 地に沁み込めば草花を容易く枯らせ、
 この地に根付いた生けるもの全てにとって毒となる、黒い風。

 ソラリス・シンドロームで形成された彼ないし彼女の血。
 膿んで今なお零れ落ち続ける、己の血肉を象るレネゲイドのかたまりが空気に混ざり。

 はためく翼が巻き起こしたハヌマーン・シンドローム特有の振動を伴う運動エネルギーが、
 質量さえ伴う風の障壁を作り出し、これを外側に押し広げていく。

SYSTEM :
 地に爪を立て、全霊のはためきを伴って放出された黒い風は、
 実体的攻撃を凌ぎ/拒む壁であると同時に、触れたものを排斥する死の空間でもある。

 淡水の中に、海水魚が落ち。
 生き足掻くためと、海の至るところへ塩をばら撒き『海水』に作り替えるようなもの。
 
 いや、ことによると海水という表現すら生温い。

“イリュシデイター” :
 レネゲイドキラー
「背教者殺し───これが、」

SYSTEM :
 レネゲイドという異物の中でもひときわ際立つ、レネゲイドそのものを否定するレネゲイド。
 そのなり損ないこそが、彼ないし彼女に流れる血なれば。
 同じように人間社会という表の世界に堂々と居場所を築けぬオーヴァードすらも、しかし『蝕みの君』とだけは共存し得ない。

SYSTEM :
    ブラム=ストーカー
 かつて顰め面の男は、自らの血に拒絶反応という形のバグを混ぜ込まれて発狂死した。
 その本質は侵蝕。病さえも殺す虚飾の病。名が体を表す、とはよく言ったものだ。

 だが。

“イリュシデイター” :
   レネゲイド
「………本質が同じならば、干渉も、対抗も、可能なはず!」

SYSTEM :
 どのような特異性だろうと。
 成れの果てだろうと。レネゲイドから生まれたものだろうと。
       超える者
 そいつは、オーヴァードと呼ばれる人間たちの半分を人間以外に変えたレネゲイドが生んだことだ。

 使ったものが同じと知っているならば、決して攻略不能ではない。
 再び生まれ落ちたものについては、特に。

 原理はソラリスによるレネゲイド体の変質/対レネゲイドの特質を伴いアレルギー反応を引き起こす毒性物質に変換しての放出。
 であれば毒/薬への処置と解体は、ソラリスの十八番でもあり、またそれだけが有効な手段と限ったわけでもなかった。

荻野目 旭 :(それに──)

荻野目 旭 :
(……毒性が想像以上に強いけど……あの時ほどじゃない!)
 それは僕が変わったのか、あいつが変わったのか──
 おそらく両者で、どちらがどちらってわけではない。

 こちらに数の利があり、あちらに質量の利があることは変わらないけど、

荻野目 旭 :
(死ぬほどじゃない)

 癒しの力を振り回して生と死の境目を見極めてきた3年間が、
 僕にそれを確信させる。

荻野目 旭 :
「“いのししむしゃのかぶとむし”──」

               ・・・・・
 さっき噛み切った唇の端から、花が咲いた。
 道端にあふれるほど咲いている、きゃしゃでちいさな花だ。
 タネもシカケもあるレネゲイド因子が用意した幻覚。僕の傷口を裂くように咲く幻媒花。

荻野目 旭 :
 《癒しの水Lv4》
 自己回復促進剤をひとにぎり。
 体内工場から生産された特製のお薬を、
                   《多重生成Lv3》
 花という、僕の中で一番明確なイメージとして固形化。

荻野目 旭 :
「“つきのあかりもつめくさの
  ともすあかりも眼に入らず
  めくらめっぽに飛んで来て”」

 ここからが本番だ。唇の花を千切って、祈るように手を組む。
 握った手の中に神経とレネゲイドを集中。
 慎重に手を離す。

 ──ほどいた手の中から、小さな鳥が現れた。

荻野目 旭 :
「“山猫馬丁につきあたり
  あわててひょろひょろ
  落ちるをやっとふみとまり”」

   《狂戦士Lv2》
 それは覚醒物質を混ぜた、鳥の幻覚をまとう特製タブレット。
 二羽、三羽、四羽──草原を埋めるように。
 道端にのんきに留まった鳥が、瞬きの間に──

荻野目 旭 :
「“いそいでかぶとをしめなおし”……」

 黄金の草原を、白い花が埋めた。
 黒い死の風にも呑まれない、小さな癖にたくましいツメクサの灯が、競うように咲き誇る。

荻野目 旭 :
「“月のあかりもつめくさの
  ともすあかりも目に入らず
  飛んでもない方に飛んで行く”……」

 花たちが、一斉に割れる。
 ぱあん、と、音を立てて。
 周囲一帯に舞い散った花は、この場にいる全員に届く薬の花粉を散らしながら幻へ還る──

 傷を癒し、活性をもたらす、
 見た目だけは幻想的な、僕の一番得意な調合による支援エフェクトだ!

SYSTEM :
 陽の光を厭う黒い帳の中に、白い花が咲き誇る。
 死とは相反する命の色彩が、微かな刻の幻として、何物をも定かとしないリュウグウジマの大地にあかしを刻む。

 舞い散る花粉は、元を正せば同じソラリス。
 眼前の落胤竜と同じ、毒にも薬にもなり得る、レネゲイドを介した生体工場の産物だ。

SYSTEM :
 同じであるが、それは決定的に違う。

 違うと言えば、あなた/旭のそれは強がりや奮い立たせる台詞であったのかもしれないが、幾分かの事実を秘めていた。

 決定的な銀の弾丸であったのかもしれないが、それ以上に、“あっさり”と颯の拳に突き破られた鱗が指し示すように。
 その生物は、あなたに理不尽を教え込んだものと同じ姿をしていながら、何かが違っていたからだ。

SYSTEM :
 変わったのはどちらか。どちらも、なのか。

 黒白する幻想の中で、絶えず吹き荒ぶ風は、先程までの致死性を失っている。
 あるいは致死性はあったが、それを和らげ/治すためのツメクサの花粉だったか。

 目には目、歯には歯。
..     ジャンル
 幻想には、分類違いとて幻想が筋であった。

SYSTEM :
 そしてそうなれば………。
 接触即ち致命だった黒い風の壁に弱まりと揺らぎが出来たならば、前提は違って来る。
 突破の仕方も。

木口龍 :

「う、うおおあああああああ助けてえええええええ!!!!」

 ……ど、どうするどうするどうするどうするどうする……。

 ああは言ったものの、実際の所はカミサママジで助けてくださいいやほんと──といった部分は変わっていない。
 レネゲイドなんて目の前の連中の方が専門家だし、軍事の知識なんてご尤もだ。
 あの紫毒を吸い込んだせいで、体内の細胞が過剰反応しているし──。

木口龍 :
「仕方ねえここはブッパするしか……」

 この花園の中で傷は癒え、活力は漲ってきたとしても、背中を押す材料がない。
 震える手が拳銃のトリガーに指をかけた──。

■■■ : 

■■■ :

 "否、否、否──お前ならば知っている。"
 "お前は裏の人間である。裏社会に馴染みの深い人間である。"

木口龍 :


「──一気に殺せ。手負いの獣は、まずは足だ」

木口龍 :
 宙ぶらりんの操り人形のように。
 あの湖と同じように、言葉を吐くだけの機械と化したように。
 男は、その場における殺しの最適解を吐き出した。

「その次に目を潰せ。俺達を認識させるな。生物ならば必ず薄い部位がある。最後はそこを狙え」

 次々と思考が流れてくる。その思考を言語化し、言葉として吐き出し続ける。

「いいか、実行しろ。手早くやらねば奴は必ず此方に牙を剝くぞ!」

SYSTEM :
 そして。
 彼ないし彼女を守る無形の盾が和らいだ時。
 あるいは、和らいでいなくとも、治癒の恩恵を以て、風の内側に押し通すだけの猶予が生まれたと誰かが/誰もが悟った時。

 次に響いたものは、攻撃ではない。

SYSTEM :
             ノイマン
 彼のシンドロームは断じて思考強化の類ではなく。
 彼の口から吐き出される九割九分は概ね妄言の類だった。ご存じの通りだ。

 だが今しがた口にし、同時に有無を言わせなかった台詞は。
 妄言を吐き出す青年の口調ではなかった。

 誰が知ろう。いや、誰が思おうか。
 震える手で拳銃のトリガーに手をかけるような男が。
 殺すと定めた時に事を終えられるような人間だと。

“イリュシデイター” :
「木口さん───?」

SYSTEM :
 ただ、その剥離をラグなく聞き留める人間がいるとすれば。
 それは何処かがズレていないと話にならない。

 ズレを矯正する側の人間しかその場におらず。
 ましてや年上の頼りない姿しか覚えのない“イリュシデイター”の手は、エージェントである以上止まりはしなかったが、そこにコンマ数秒の躊躇いが生まれ───。

タイガーアイ :
 ・・ ・・・・・・・
『左腕。3秒後の変化に』

SYSTEM :
 る、前に。
 ・・・・・・・・
 脚の次の弱い部分を示唆するモノの声が、疑問を払拭させる。
 そうなれば、なに、なぜと問うて迂闊を晒す真似を彼女はしない。

SYSTEM :
 あるいは、出来なかったのか。
 ………コトの当事者二人の前でおくびにも出さなかった、罪悪のカタチが。

 いや、それがなくとも。
 先に投与されたソラリス由来の物質による精神作用も由来して、消えゆく幻想の中で巻き添えになって生まれた穴へと───。

SYSTEM :
 二度、爆ぜる。 
 
 鱗粉に狙いを定め、その因子を同種のソラリスで以て組み替えて。
 発火性の物質と混ぜ込んで、爆ぜた一度目は足、二度目は左腕。

 丁度、崩壊からの再生直後。
 弱くなった部分。
 元より目の機能など怪しい生き物であるから、認識を拒むならば、目代わりの鱗粉に触れるのが直度良い。 

“蝕みの君” :
『████████████████▇▅───!!!!』 

SYSTEM :
 底冷えする寒さの中に、突如として現れた燃える痛みへ。訴えるように、竜の叫びが木霊する。

 流れ出る血は毒になって世界を侵し。
 もがいた爪は容易く周囲を割り断つ。

SYSTEM :
 生きていてはならないものになったことなど、自覚すらない。
 生物にとって何より優先するべきことは、須らく生存である。

 それを体現するように、翼がはためく。
 今までのような、風を起こし、振動で己の世界を広げるためのものでなく。
  し
 恐怖を、遠ざけるために。

SYSTEM :
 竜は、天涯孤独の寒空へと飛翔んだ。 

SYSTEM :
 巨躯が宙を舞うにつれ、鱗の色が鮮やかに変わっては、また元の膿んで腐り落ちた色に戻る。

SYSTEM :
“イリュシデイター”やタイガーアイに言わせれば、秒単位で変化するレネゲイド体ならではの防御変化。

 かつて『最適な形質』に変化しながら己を分解される苦痛と憂き目に遭ったことを覚えているのか、あるいはそれ以来、構成するレネゲイドが変わったのか。
 彼ないし彼女の纏う鱗という名の装甲は、堅くもなれば柔らかくもなり、熱くもなれば冷たくもなる異質なものになっていた。

SYSTEM :
 6秒前は銃弾を弾く傾斜だらけ、5秒前は熱を取り込む性質を備え。 
 4秒前は斬撃を絡めとる柔軟性、3秒前は徒手を取り込む弾力に富む。
 2秒前は爆ぜるようにして衝撃を殺し、1秒前は霧のように細やかに。

 代償は己の命。
 己すら蝕みながらも、外面の死のみに怒り畏れて狂奔するそいつにとって。
 狙い定めるものは決まっていた。

“蝕みの君” :
『████████████████▇▅───!!!!』 

SYSTEM :
 空を舞う。
 黒い霧を身にまとい、効力薄くなった/己の居場所でなくなった地上から逃れたものは。

 必然、己の居場所を奪った幻想のあるじへ、その矛を向けた。

 誰の手も届かぬ此方から。
 己の牙のみ届く彼方へと。

SYSTEM :
 猛る咆哮と共に、面を上げた“蝕みの君”の口元でウイルスの鱗粉が渦を巻く。
 途方もない肺活量、振動と共に形成される風の“球”。
 色のないはずの空気が、どす黒く変色して形をとっている。

 二度振るわれようと蠢く気体は、
 彼ないし彼女が正気だったころの名残。爆ぜるような衝撃波と共に放たれた、御伽噺の“ドラゴン”の特権。

 空の彼方を飛ぶ”蝕みの君”が、己の住処を踏み抜き作り替えたあなた/旭を狙ってそれを放つのに、時間はかからなかった。

SYSTEM :
 ………しかしそれも、狙いを付けるまでには間がある。

 ならばやることは一つ。
 
 目に値する機先を制し、
 秒単位で変化する『薄い部位』を撃つ。

SYSTEM :
 ………アナタ/シホが知る限り。

 あなた/志穂には、
 ひとりを逃がすのにいっぱいで、それをする好機すらめぐって来なかったことだ。

荻野目 旭 :「──ッ!」

”虚の狩人/残骸” シホ :
「………、……………」

”虚の狩人/残骸” シホ :
 ……記憶を辿る。
 あの日、貴女が遺した言葉は。
 あの日、貴女が果たせなかった約束だった。

”虚の狩人/残骸” シホ :
            ロビン
 ツメクサの草原に舞う、駒鳥 の姿を幻視する。
 私は、あなたにはなれない。
 私には、空を舞う翼はない。
 あなたの代わりになることも、あなたと手を取り合うことも、私にはできない。
 

”虚の狩人/残骸” シホ :
 ……それでも、きっと、私は言える。
 きっとあの日、あなたが本当に言いたかったことならば。

”虚の狩人/残骸” シホ :
「───大丈夫。
 私を、信じて。」

”虚の狩人/残骸” シホ :
くろがね
  鉄  に火を灯す。

- :

《Renegade Smith Hearth
 抗レネゲイド弾薬精製機構の起動を確認。
     EML
 仮想電磁加速砲モジュール構築。エネルギー充填開始…》

”虚の狩人/残骸” シホ :
 ただひとつ遺された、消えぬ痛みを自覚する。

- :

《レネゲイド:オルクス/ソラリスの入力を確認しました。
 銃身の適応を開始します…………》

”虚の狩人/残骸” シホ :
 喪ったものに報いるようによく笑い。
 ただ心が赦さぬと決めたものに立ち向かったひと。
 恐れに震える銃身を、その面影を支えに保ち。

”虚の狩人/残骸” シホ :

 ───心臓に火を放つ。

”虚の狩人/残骸” シホ :
 早鐘と共に血潮を送る。さあ指先まで火が回る。
 前頭葉に血を回せ。側頭葉は応答急げ。脊髄を疾る冷たい衝動が、温ままった身体中に鳥肌を立てていく。

”虚の狩人/残骸” シホ :
 一呼吸の時間が無限遠に引き延ばされる。
 景色さえも置き去りにして、思考をなだらかに加速する───

”虚の狩人/残骸” シホ :
「──────此処だ。」

荻野目 旭 :「────ぁ」

荻野目 旭 :
 脳に焼き付いたあの日の恐怖が、向けられた殺意に竦む。
 自分にも射っとけばよかった──そんな泣き言も通じない。

 ただ。
 一瞬白んだ頭は、それでも、ちゃんと、隣から届いた言葉を聞き届ける。

荻野目 旭 :
「…………………」

荻野目 旭 :
 ……震えの残る体で、それでも頷く。
 すべてをかけた一瞬に没入した彼女の邪魔をしないよう、それでも、風にかき消されないように声を張る。

荻野目 旭 :
「ッ信じてます……!
 やっちゃってください、シホさん!」

SYSTEM :
 6秒前、甲殻が変質する
 /鉄に火が灯る

SYSTEM :
 射撃に伴うコンマ数秒のシークエンス。
 咆哮と共に向けられた砲口の機先を制しようというのは、
.            ロクスレイ
 業病に否を突きつける、名無しの狩人が放つ一矢。

.Taxus Protocol
 疑似対抗種弾による葬送ではない。
 電磁加速による、後の先を穿つものだった。

SYSTEM :
 5秒前、翼に血がにじむ
 /心臓に火を放つ

SYSTEM :
 悪徳領主を撃つのが精々の女狩人に、英雄が相見える竜の相手は荷が勝とう。
 なれど………。
.                ロクスレイ
 誰かの落とし物を借りた少女は、名無しの狩人ではなく。
 天涯へ逃げ延びた竜は、英雄以外を踏み散らかす怪物ではなかった。

SYSTEM :
 4秒前、因子が喉を通る
 /早鐘と共に血潮を送る

SYSTEM :
 …かつて、そいつは敵とすら見做していないものの前に現れた。

 逃げたものを追いかける、習性や本能の延長線で。
 命だったものを踏み散らかしながら、いま、いずこで竦みかけた少年にとっての最初の“理不尽”となった。

SYSTEM :
 3秒前、零れ落ちた鱗粉を吸い寄せる
 /指先まで火が回る

SYSTEM :
 あの時果てたものは、今一度蘇った。
 その故などは今語ることではなく。語るに値する事実を知っている人間もいない。

 しかし、よみがえったものに遺ったのは、たった一つの望みだけだった。

SYSTEM :
 2秒前、死を遠ざける、熱なきものを象る
 /血を介して熱が廻る

SYSTEM :
 死は離別に等しい。
 声を忘れ、顔が煤けて。思い出すらも色あせる。

 此方の場合は、生まれ落ちた場所こそが離別の対象で。
 彼方の場合は、ただひとつ遺された痛みの向こう側こそが離別の対象だった。

SYSTEM :
 1秒前

   思考をなだらかに加速する

SYSTEM :
 ………誰が識る。
 息を呑んだのは、あなた/旭だけでなかった。

 生死の瀬戸際で。
 それ以外の感情もあろうに笑って『信じて』と告げたヒトを前にして。

SYSTEM :
 その後ろ姿に、ありもしない夢幻を見たのが。
 その、ありもしない夢幻を以て惑わすのが本懐の業を抱えたエージェントなどと。

 与り知らぬところで置いて行かれた/行かせてしまった、世話焼きのトモダチの影。

SYSTEM :
 それが、追憶のかたちと重なって。
 重なり切らなかった時に。

SYSTEM :
 ほんの僅かだけ早く。
 黒い死の風を切り裂いて。

 澱む迷い子を葬送る弾丸が天へ飛翔ぶ。 

SYSTEM :
 電磁加速した銃弾が、
 収束/放射間近のレネゲイド体ごと打ち抜いて、霧散させる。

 此処と定めた一点に狂いなし。
 .し
 恐怖が形を変えて。
 竜の喉笛を食い千切り、しかし。

“蝕みの君” :

『───!!!!!!!』 

SYSTEM :
 嘗ての約束は、生きて帰ることで。
 かつてと/互いに違うことは、その内側の本音を覆い隠した決死行でないことだった。

 なればこそ。
 一射の追憶をなぞって、それきりで竜は終わらない。

 かなた/シホがただ一つ残された痛みを思うものなら。
 こなた/“蝕みの君”はただ一つ残った熱に縋るものだ。

SYSTEM :
 蒼穹に未だ縋るものが、落ちもせず、空を舞う。
 ───否。

タイガーアイ :
『二度目の迷惑料代わりだ。
 受け取るがいい』

タイガーアイ :
『そして、欲望の落胤よ』
 Shutdown
『臨終の時だ』

SYSTEM :
 ───直撃、僅か1秒。
 過剰な致命なれど決定打でなかったが、その痛撃が生んだ隙間は、ゼノスきっての偏屈生命が、両翼の制御を奪うだけの『ジャック』を仕掛けるには十分だった。

SYSTEM :
 その言葉にどんな情念があったのか。
 いや、情念などというものがあったのかは定かでない。

 己を確立する第一歩以前のものだった、一体の“同朋”の門出への遅れた祝いは───。
 これまた、即座の墜落とは行かずとも、そいつと相対する『蝕みの君』を蒼穹に留めることを拒んでいた。

SYSTEM :
 左翼腕を痛め、次は何処とも知れぬ中。
 
 遅ればせながら脅威を脅威と認識したそいつが成せること。
 
 逃げても命が続かぬことを何処かで悟っていたのか、それとも。
 眼前の死のかたちに、ありもしない記憶の断片を見出したのか………。

“蝕みの君” :

『████▇▅█▇▅...█████████████▇▅───!!!!』 

SYSTEM :
 大地に堕ちたものが吼える。
 爪を地に立て、喪われる熱の中で、真っ直ぐに視線を宿す。
    くるしみ
 繰り返す咆哮の反響と共に、臨終間際とは思えぬ速度で落胤の竜が駆け抜ける。

SYSTEM :
 技などありはしないが、
 御伽噺の怪物などそういうものだ。

 駆け抜け、叩き潰すだけで全てが終わる。
 狂奔する玃猿は相対する者の気勢を削いで圧倒すると相場が決まっているが、それを竜がやろうものなら答えは必然だ。

 眼前に立とうものなら、根こそぎ踏みにじり、吹き飛ばす厄災の具現───。

 産み落とした大元の忌み名に等しき所業と共に、彼ないし彼女はなおも吼えていた。

“蝕みの君” :

   ・・・・・・・・
 ───よくもそこにいた

“蝕みの君” :
    ・・・・・・・・・
    あのかぜのところに
    ・・・・・・・
    かえらせてくれ

“蝕みの君” :
    ・・・・・・・・・・
    望みはただそれだけだ

SYSTEM :
 生命が世界に零れ落ちてから、刻が来るまで続く旅。
 それの終わりを希うものの叫びが木霊する。

 無意識に。衝動という嵐の中に紛れ込んで。
 
 追憶のままに。
 己が踏み潰して来た足跡の似姿に、
 己が踏み潰し損ねた名残のもとへ。

 孤独の落胤竜が、唸りを挙げ、最後の疾駆を開始した。

木口龍 :

 一条の星が駆けた──夜空を裂く銃弾。

木口龍 :
 切っ掛けはそれだけで十分であった。智慧の宝玉の精神支配の網が、両翼を絡め取り、地を這うがいいと引き摺り下ろす。
 手負いの獣は止まれない。止まるという機能はもはや失われてしまっている。ただ只管に這い蹲りながら疾走り続ける。

木口龍 :

 思考の純化が進んでいく。不純物が取り除かれていくような感覚に襲われる。

木口龍 :

「──」

 吐いたのは血反吐だ。

木口龍 :
 異能を行使すればするほどに体内が掻き混ぜられ蹂躙され、肉袋へと変質していくこの感覚。
 オレは誰だ? そんなものはどうでもいい。
 目の前の連中がこんなにも自らの意志に従っているというのに、
 どうしてもこうも俺という人間は照準を合わせ、雷管を叩くまでに時間がかかっているというのだろうか。
 その事実こそが何よりももどかしい。

木口龍 :

 ──迫りくる死の感覚。

木口龍 :
 口角が釣り上がる。懐かしきこの感覚。
 安楽椅子に座り謎を解き明かすだけでは得られない、この興奮、狂気、恐怖と隣り合わせの感覚!
 喜悦だ。これは紛れもない、死と血と暴力の世界において、自分が確かに生きているという実感!

木口龍 :

 ・・・・・・・・・・・・・・
 どうしてこの感覚を忘れていた?

木口龍 :
「──突破口は俺が開く。俺が、前に出る。
 シホさん、アンタはその間に弾を込めていてくれ。狙撃手には、呼吸と、集中が、いるだろう」

 木口■/龍■■に出来ることと言えばただ前に立つことである。漢は狙撃手などではない。ただの銃使いだ。
 それ以上でもそれ以下でもない──。

木口龍 :

 立ち去れ。私は混乱も壊れもしない。
 気づけ。復讐がすぐ傍まで来ている!

木口龍 :
 轟音、爆走、疾駆疾駆疾駆怒涛怒涛怒涛──!!!
 獣が前へ出る。龍が前へ出る。銃弾は一発だけでいい。どこにでも当てれば、それでいい。

木口龍 :

 落とし前をつけるときだ。
 お前は、お前の業で自滅するべきなのだ。

木口龍 :
 撃鉄が起こされる。雷管が叩かれる。銃弾のケツが弾かれる。
 放たれる銃弾、螺旋を描く。これで仕留められずとも構わない。
 俺を、この俺なんぞを脅威として認識してくれさえすればそれでいい。
 正しい位置に、狙った場所に、それは吸い込まれるように直撃する。生命の絶叫、歓喜の唄声!

木口龍 :
「獣畜生に堕ちたやつが、高み(アイツら)を踏み潰せるわけねえだろ。
 せめて俺を潰してから、逝きやがれ」

木口龍 :

 俺はまだ生きている。
 全てを解決する、銀の弾丸。

SYSTEM :
 さて。男の瞳に何が宿っていたのかを。
 この一秒を争う状況で追求するものはいなかった。

SYSTEM :
 ………幾度かの片鱗はあった。
 
 タイガーアイに言わせるに曰く、死地を前にした反応の手馴れた様。
 なれどホデリに言わせるに曰く、記憶を失くしたのは偽りではないという確信。
 ・・    ・・
 虚偽ならず、忘却だと思い至ったものがどれほどいたことか。
 あるいは忘我の中、身体でなく精神でなく、魂だけがそうさせたのか。

SYSTEM :
 ───智慧者はみな、死兵に思考を乱される
   ・・
   帰ることを頭に入れていないから、盤上の前提が違うのだ、と

SYSTEM :
 鉄火場の手負いの獣にするべきことなどコレでいい、と。
 真っ先に死ぬ場所に立ちながら、違和感すら置き去りにして。

 あの時、あの場で、喜悦と並行して加減なしで“狩り”を断行した女のように。
 本質的には何より冷徹で酷薄だったもののように、もうひとりの葬送り人となった木口龍/■■■が。

SYSTEM :
     レッドカード
 御伽噺の禁止事項───。
.テガルナヒトゴロシノドウグ
 携行できる銃器に、殺意を載せた。

 

SYSTEM :
 それ単体に竜の鱗が怯むことも、
 構わず打ち抜くこともありはするまい。

 そこまで、この生き物はやわではない。
 ………しかし。

“蝕みの君” :
『████████████████▇▅───!!!!』 

SYSTEM :
 毒を以て毒を制するとはこのことだ。

 既にいつ、その中核を成す意識が砕け散り。
 レネゲイド体の連結が解れようともおかしくない死に体の幻想にとって。

 夜摩天の嘲るような慈悲は、殊更に覿面の効果を齎していた。

SYSTEM :
 流血が鱗粉と混ざり、零れ落ちては大地が枯れる。
 己が生まれ落ちた業を知れと、
 己を覆う冷たさよりも凍て付いた熱が竜の死を装飾する。

 ………断末魔の響きと共に、しかし旅の終点へ駆け込むものの走りが終わることはない。
 決死であり、乾坤であった。
 あの時、あの場で。彼ないし彼女が無自覚のうちに踏み潰して来たもののように。
 17m強の全高と体格を持つまさに“魔物”がだ。

SYSTEM :
 しかし、人間のみが持つことを赦された残酷な智慧の証。

 それは彼ないし彼女に、10秒の死を約束するには十分で。突進の勢いを緩めるには十分。
 やがて零れた血が黒い霧を作り、そのものとなって溶けながら、足を止め───。

“蝕みの君” :

『████████████████▇▅───!!!!』 

SYSTEM :
 ………は、しない。

SYSTEM :
 あるいは10秒後に朽ち果てる命だったが、手負いの獣ほど恐ろしいとは、まさについ先ほどあなた自身が述べた通りだ。

SYSTEM :
 技も道理も勝敗もなく。ただ、そいつは地を駆けていた。

 目はとっくのとうに潰れている。目に等しき鱗粉も、既に和らいで久しい。
 翼は折れ、足は秒間で何度も再生を繰り返す。
 何もかも定かでない中で、ただ、廻る環の中を駆けるように。
 そこに求めたものがあるのだとばかりに、ひた疾走る。

 事此処に至って彼に落ち度はない。
 現にそいつは、今のが決定打となって消えるだろう。“必要経費”が出るだけで、この時点で勝ちは揺らがない。
      エグゾースト
 その生き物の名残こそが、竜をそうさせただけ。
 転じて、言っていた通りだ。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ジャームを常識の物差しで測ってはいけない。

SYSTEM :
 なれど疾走には猶予が出来た。ほんのわずかな猶予。誤差に過ぎない猶予。

 かつて彼女が手に入れられなかったカンダタの蜘蛛糸であり、何処まで行ってもカンダタの蜘蛛糸。
 それが生まれたのも、また龍の忘我が死神の鎌を振るったが故のことだ。

 …あなたが撃つ時間はある。
 今もなおその身を巡る、かつてその手を取った幻想のあるじ。
 御伽噺を読み聞かせる暖かな人の贈り物が、その糸を教えてくれている。

SYSTEM :
          ・・
 だが、撃つのとほぼ同時に、落胤の竜は大地を駆け。
 あの日と同じく、その爪牙を振り上げるだろう。

 本当に折れた脚で、最後に真っ向相対し、
 不浄を祓うイチイの矢を放つと共に抉り砕かれた、
 あなたであってアナタでない追憶をなぞるように。

SYSTEM :
 ───だから。

“イリュシデイター” :

   ・・
「───シホ!」 

SYSTEM :
 だれかの、無意識に一歩前に踏み出して翳した手。
 こびりつく黎の瘴気ごと薙ぎ払うように爆ぜる炎。 

SYSTEM :
 ───あなたであってアナタでない人の呼び名を、アナタに向けて使った女の声。
 あなたであってアナタでない人に、置いて行かれた、大人の過渡期のだれかの声は、戦いの分水嶺の時、旭が齎したものに後押しされた、無我夢中の色を宿していた。

 それが齎したものは、本質的には誰より誤差だ。
 
 勝ちを手繰り寄せただけでも、撃つための時間を用意してくれたわけでもない。

SYSTEM :
 ただ、その炎は辿り着く瞬間の“蝕みの君”を縫い留めて。
 ほんの数秒、相討つだけの射撃の時間に、生きて帰る猶予をくれただけ。

 それだけだったが。
 そいつにとっては、心残りで、本懐で、決死だった。

SYSTEM :
 ………あとのことは蛇足だ。

SYSTEM :
 鮮明になった視界の中で、
 永遠にも錯覚する時間に、

 死線が交差する。
 これより命を終え、旅の終わりに辿り着いたもの。

 同じ、記憶のかけらを巡るものの眼が───。

“蝕みの君” : 

シホ :
────────────。

シホ :
───きぃんと、景色が止まる。

シホ :
 ───。
 そういえば、これがはじめてだ。
 この子の目を見るのは。
 ずっと、あの紫に覆われていたから……。

シホ :
 その目は、私を通して、どこか遠くを見つめていたような気がした。
 なつかしいふるさとを、ずっと夢見ていたのかもしれない。

シホ :
 ………………。
 ………、………………。

シホ :
 ………………どうか。

シホ :
 ……どうか、いい夢を。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「──────っ、これで……!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 黎の瘴気を炎が裂く。
 死毒の雷が疵を焼く。
 ───刹那。鱗と死に阻まれた中核への路が、眼前に開かれる。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「とった─────────!」

 弾丸が飛翔する。
 心の臓を貫く、銀色のイチイの矢。

SYSTEM :
 ───離別の時は、あっけなく。

SYSTEM :
 どれほど幸福な看取りだろうとも。
 どれほど無念な野垂れ死だろうとも。
 葬送の瞬間は、決して劇的なものばかりではない。

 生きとし生けるものの、不文律である。

SYSTEM :
 ………だから。
 1秒後に終わる命への贈り物。
 念を押すピリオド。
 それに、余計な修飾は要らない。

SYSTEM :
 ただそれは。
 終わるべきもの、空虚な穴を心に開けた落胤竜を眠らせるには十分だった。

SYSTEM :
 叫びが、木霊する。
 途切れ途切れの咆哮は、今までのものに似た感情を纏っていなかった。 

“蝕みの君” :

   ───あの星をいくつ見て 幾度廻ったろうか

“蝕みの君” :

   ───風が冷たい 息も苦しい 熱が逃げていく

“蝕みの君” :

   ───だが

“蝕みの君” :
  
   ───わたしが失くした熱が ずっと向こうから誘っている

“蝕みの君” :

   ───これがきっと…

“蝕みの君” :
     ・・・ ・・・
   ───故郷だ 帰ろう

SYSTEM :
    ………落胤竜、臨終。

    天涯に、
    二度とその翼が彷徨うことはない。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ───地に身を横たえて、安らいで息絶えたもの。

 最果ての強欲竜、その落胤の命は、かりそめの陽と共に没した。

SYSTEM :
 ………この島に夜も昼も定かでないが。誂えたようではある。
 眠りにつく時は、怪物だろうと、人間だろうと、須らく、夜の帳であるべきだ。

SYSTEM :
 二度と目を開けることはない。
 失われた熱は、あるいは、空を渡り歩く度、出くわしたものから奪ってきたものか。

 独りただ空を飛ぶものが溜め込んで来た宝は、横たわり、レネゲイドが『宿主の価値なし』と見捨て、これより分解けるのだろうレネゲイドの亡骸に残ることはない。

 ………当然、怨みごとの一つもない。
 そもそも、怪物は言葉を発するものではない。

SYSTEM :
 横たわるものも、暫くの時が経てばほつれて消えていくだろう。
 人の死がどうかは知らないが…。

タイガーアイ :
『御伽噺から出て来た怪物の亡くなる時は、御伽噺ほど劇的ではない…』

タイガーアイ :
『末期の夢は如何なるものかな』

SYSTEM :
 この場で人よりもっとも遠く、
 御伽噺と隔てた壁が最も薄いものが、
 無機質な音を弾かせる。

 戦いの終わりであった。ひとつの。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 まるで刺し違えるように鳴った、乾いた炸裂音。
 その残響以外の音は、みんな遠くに過ぎ去って。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「───っ、はあっ、はあっっ……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 振り下ろされることなく地に横たわった爪牙を見る。次いで呼吸。
 賢者の言葉を皮切りに、置き去りにしてきた感覚を逆巻きに取り戻していく。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………っ、はあっ……はあっ……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………勝てたんだ、私たち……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 事が終わったのだという確信を取り戻すにはいちばん時間を要したけれど。
 それを得ると同時に、全身を強張らせていた緊張が一気に身体から抜けていって。
 とうとう自分の脚では、身体が支えきれなくなってしまった。視界がよろよろと揺れて、べちゃっとその場に崩れ落ちてしまう。

SYSTEM :
 戦いの間、いやさ、生まれ落ちてからの部分もあろうか。
 張った肩肘を緩めることに馴れていない、生まれて幾年か/十代後半の体躯が、がくりと崩れ落ちる。

SYSTEM :
 ………崩れ落ちる瞬間。
 あるいは崩れ落ちて、ばったり斃れたころ。

SYSTEM :
 その彼女/シホに差し伸べられる手。

 一呼吸ほどの猶予を置くまでは無言で。同じように、息も忘れていたのか、少し途切れ途切れの声だったけど。

“イリュシデイター” :
「………お疲れ様」

SYSTEM :
 応じるほどの余力もなかろう身に掛けられた声。
 それを口にした当人も、今漸く“終わった”ことへの実感を持つような感覚でさえあった。

“虚の狩人/残骸” シホ :
───かくっと崩れ落ちた視界が、やさしく繋ぎ止められる。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「ノエル、さん───」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………私、わたし─────」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……気がついたら、その頬へと手を伸ばしていた。
 その輪郭を確かめるように触れる手は、果たして誰の感情だったのだろう。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………………あり、がとう。」

 言葉では表し切れない感情を、それでも努めて言葉に出してみる。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……そうだ、みんなは!
 みんなは無事ですか!?」

SYSTEM :
 触れ返す手。不安と歓びがないまぜになった、確かめる仕草。
 年上/年下の女性が、いろいろなものをないまぜにして、肯定の仕草で微笑む。

 聞きなれない声の聞きなれない素直さを、知っている名前が零すことへの、戸惑いは、減っても消えゆくものではなかったのかもしれないが。

“イリュシデイター” :
「どういたしまして、シホ。………」

SYSTEM :
 あなた/シホを確かめ返すような呼び名のあと。
 さっと視線が動く。逸らすというよりは、“あちらをどうぞ”という、安否を気遣うあなたへの言外の回答。

荻野目 旭 :
「………………ッ」

荻野目 旭 :
 巨大な身体が、崩れ落ちるのを見る。
 目は思わず、そいつを穿ったのが爪ではなく銃弾であることを、何度も何度も、焼き付けるように確認する。
 終わりは呆気なくすらあって、草原は拍子抜けするほど静かで。
 僕は自分の作り出した花園の中で立ちすくむ。

荻野目 旭 :
 3年間。
 3年間、仮想の怪物を倒すときのシミュレーションを繰り返してきた。
 そうしなければならない理由が、いま死んだのだ。

 …………これがただの『あくび』だなんて、最悪の事実さえ抜いたら。

荻野目 旭 :
 …………。
 …………………。

 顔を覆う。
 一番自慢の口が、うまく動かない。
 本当がどうであっても……この島でずっと僕を脅かしていた死の気配が、僕の背を追わなくなったことへの安堵で。

荻野目 旭 :「………ふしぎだ………」

荻野目 旭 :(……ぜんぜんうれしくない)

木口龍 :
 生き残った──Your Survive。
 今はただそれだけが事実であるのだ。
 オレの脳内に当たり前のように宿った死への覚悟やら、何やらというのはこの際どうでもいいのだ。

「……う、うおお」

木口龍 :
「うおおおおおおおおおお!!!!」

 生き残ったのはこちら側なのであるということを、
 男はただ雄叫びをあげるということだけで表現した。
 

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……………、……………………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 促されて見た光景は……まぁ、とても反応に困る光景だったけれど。
 ひとまず、彼らも無事そうだ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ………、……………………。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 いまの私には、まだ戦場の残滓が残っていたらしい。
 “目が良すぎる”のも、その目に映った表情にも、複雑な心境だった。

SYSTEM :
 生残の実感など、人による。
 
 あるいは誰かにとって、死を遠ざけたことは安堵であって朗報でなく。
 あるいは、生きていることを実感した不安定な感情が叫びとなった者もいた…。

タイガーアイ :
「元気だなこやつ」

タイガーアイ :
「ああ…それはそれとして、だ。
 UGNの小僧、報復が名目の一つであったようだが…」

タイガーアイ :
 ・・・・・
「ざまを見ろと事情を無視して喝采する方が、復讐は後々が上手くいくそうだ。お主のは、その手の陰惨とは無縁で、少しばかり幼気のあるものだったようだな」

荻野目 旭 :「…………………」

荻野目 旭 :「そう……ですね。お恥ずかしながら……」

荻野目 旭 :「『やってやったぞ』より、これが3年前にもできたら、って思っちゃうのは……僕みたいな立場で戦う人間の性分なんでしょうね」

荻野目 旭 :
 潰された体と、
 のたうち回って事切れた凄惨な死に顔と、
 爪に引っかかった銃のかけらを思い出す。今でも目の前にあるように。

「ないものねだりなんですけど」

荻野目 旭 :「……最低でも……もう、死に顔としょっちゅう夢でご対面、は、もうおしまいになれるかもしれません」

タイガーアイ :
「総合的には無意味な思考実験だ。過去に戻って親は殺せぬ」

タイガーアイ :
「だが、過去に戻って親を殺してでも変えたい事柄など、人間には普遍のもの。

 ごく、ありふれた葛藤と悔恨だ。
 ならば己で理解する通りに、折り合いをつけるが良かろう」

SYSTEM :
 “ないものねだりなど人間は少なからずする”という、本人の体験ではなく膨大な記録と追憶から来る回答をどう受け取るかは、あなた/旭に委ねられたものだ。

SYSTEM :
 過去を戻せるものがいたら、
 思うにそんなものは人間ではいられない。
 
 ………その音の広がりと関係があるか否か、あなた/シホを支えていたノエルの腕が微か動く。目を逸らすことはしなかった。

 あなた/シホが彼女の表情。戸惑いか慈しみか、どちらにせよ区別していた前者に折り合いを付ける最中の、大人半人前に見出したものが何であるかは、定かではないが。

荻野目 旭 :「………ですよねえ」

荻野目 旭 :
 人間じゃないものの、人間味のある結論──記録の中から導き出されたひとつの真理。
 どうしようもないことは、どうにもならないって話。

 ……。
 静かに、大きくため息をつく。
 切り替えなきゃいけない。

荻野目 旭 :
 僕にとっての3年前はやっとスタートラインに立てただけで、まだ終わっちゃいない。
 いないけど……ぺちん、と頬を叩きながら、なんとかいつもどおりの顔をつくった。

荻野目 旭 :「とりあえず、僕も。木口さんみたいにヨッシャーって言える練習しようかな」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………………。」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 視界に捉えた旭くんの表情と、風が運んだ彼の言葉は……。
 私が抱えて宙ぶらりんのままにしていた/それが良いのだと言い聞かせていた疑問を、確信へと変えてしまった。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……。賢者の訓戒を、旭くんはそのままに受け取ったのだろうか。
 温かみのようなものはあるけれど、血の通わない彼の言葉を………。

 あるいは、ただ呑み込んだのだろうか。今までここではずっと、悟られないよう努めてそうしてきたように。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ………ノエルも、ずっと、こんな気持ちだったのだろうか。
 私を支えてくれるこの手も、まなざしも……。いまならやっとその奥に見えるようになった、微かな揺らぎも。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 だとしたら、私は…………。
 今度は……私が、何かを返すべきときなのだろうか。
 ノエルが、彼が、私にそうしてくれたように……。

 ……それはただ、いたずらに傷を開くだけの自己満足なのだろうか?

“虚の狩人/残骸” シホ :
 …………、………………。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………それでは、そろそろ帰還しましょうか?
 あまり遅くなるといけません。颯ちゃんのお友達を探しに行く準備を整えないと」

“イリュシデイター” :
「───と。そうですね。
 レーレ・シュヴェア
 “蝕みの君”の影響による刻限はなくなりましたが、かといって何時までも無事と太鼓判を押せる状況でもない…」 

“イリュシデイター” :
「………一区切りは一区切りです。少し落ち着いたらにしたいところですけどね」

SYSTEM :
 木口さんみたいな大声を“ナイトホーク”が出すのはあんまり想像つきませんね、と。軽口に軽口で応じ返しながらも、彼女はあなた/シホが立つならば、それを支えるように姿勢を変える。

SYSTEM :
 ………追撃の様子も今はない。

 切り替えねばいけないのは事実とて、
 そこにあるのは、眠るものを起こさぬような静寂でもあった。(25歳渾身のシャウトによる一瞬を除く)

荻野目 旭 :「──ですねっ。差し当たり、一番の警戒対象はこうしてなんとかなったわけで……」

荻野目 旭 :「……あ」

荻野目 旭 :ふと思い至って、竜のなきがらに歩み寄る。

荻野目 旭 :やたらとでかいその翼を、えいっと踏みつけ。

荻野目 旭 :フンフン。よし。

荻野目 旭 :あっかんべー。と、死んだのをいいことに好き勝手してから、お守りから取り出した紙をちぎって振りかける。

荻野目 旭 :「……気が済みました! 戻りましょうかっ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「───ええっと、いまのは…………?」

荻野目 旭 :「お気になさらず! さ〜さささ」

タイガーアイ :(ここで空気を読まず言い切ってやろうかどうかを考える時の顔)

木口龍 :「なんでもいいだろ、起き上がんないならゾ◯ビだって踏みつけ放題だ」

“イリュシデイター” :「なぜゾンビを喩えに…?」

“イリュシデイター” :「…まあ、それはともかく…。立てますか、シホ?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…….あっ、ええ、はい。
 少し、肩借りますね……っとと」

 体重を預けっぱなしにしていたことをようやく思い出す。
 身体の節々が抜けきらない死毒で痛むけれど……とりあえず、動くには支障はなさそうだ。

木口龍 :「ゲームだよゲーム。よくある光景だ。そうたとえねえとやってらんねえぜ・・・」

荻野目 旭 :「ゾンビとドラゴンスリラーものはよくあるラインにしたくないなぁ…」でも言いたいことはわかるし同感ですう

“虚の狩人/残骸” シホ :「ゾンビのゲームか……あまりゲームはやったことがないからな……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 そんな他愛もないことを口にしながら、竜の亡骸をあとにする。
 ……そんな立ち去り際。少しだけ振り返る。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 静かに斃れ伏した巨きなものの目が、きちんと閉じられていたことに。
 ちょっぴり安堵したのは、きっとただの自己満足だった。

SYSTEM :
 緩やかに明けていく空。
 ジャームに自己修復はない。元より、リザレクトの余地を持たない彼らだ。
 あまつさえ、レネゲイドから生まれたその存在が、何処に還ると決まったものか。 

SYSTEM :
 そいつの覚醒めは、あなた/シホより早くとも、そう離れ過ぎたものでなく。
 彼ないし彼女もまた、己の縁を見つめ、その根底にある故郷へ戻ることを願っていた。

 その旅の終わりは独りであり。
 その過程で喰らった因果の応報であったが。
 看取るものがいて、思うものがいたことは、僅かな救いの形であった。

SYSTEM :
 ………誰かが、音を弾ませる。

 お主の宿題の続きは此処からだ、と。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 ユニット『蝕みの君』がゲームから退場します。

 所持Dロイス、Eロイスを確認しています...

SYSTEM :
【Check!】
 下記の特異なロイスを検知しました。

・『Dロイス:転生者』
・『Eロイス:超越活性』
・『Eロイス:絶対拒絶』(未開放)

SYSTEM :
【Check!】
 判定:[1-1]を行います。
 判定対象者:颯、境耶

 進行/判定なし

SYSTEM :
【Check!】
・「ラウンド3終了までに特定トリガーシーンが発生」

 上記達成により、トリガーシーンが発生します。
 対象者:颯、境耶

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・シーン21「萌蘖」

SYSTEM :
 二人と一匹分の、草木を踏みしめる音。

SYSTEM :
 “喚楽の人喰い虎”の居場所に当たりを付けてから、少しばかりの時間が経ちはしたが、そこに辿り着くための目印を目印だと気付くのに時間はかからない。

 薙ぎ倒された草木/好き勝手暴れた痕跡。
 不自然なかたちをした動物の亡骸/自分の手で自覚なく侵蝕し、ジャーム化した、現実かも定かでない島に住まう動物。

SYSTEM :
 ………凡そ身を隠すという行動は、死を識る生き物がするものであり。命に“危機感”を覚えたものが本能で行う行動でもある。

 最初からそうだったのか、後天的にそうなったのか。
 死を識らないそいつに、自分の居場所を隠そうという気概はなく。素人目に見ても、此処を辿ったのだろう、とアタリを付けることが出来た。

SYSTEM :
 ………誰か/愚か者が虚空に呟く。

 誰とも並び立てず、無意識の隔たりを越えられず。
 そんな生物とまた巡り会うことへの、郷愁を。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【シーン21:萌蘖】

 登場PC:颯、境耶
 登場侵蝕:あり

SYSTEM :
Tips-タイタス
 自ら以外の隣人。転じて、その者の心が帰って来るところをロイスと呼ぶならば。
 そのロイスと、決定的に関係性が変わったものをタイタスと呼ぶ。

 その者に裏切られた、死別した。裏切った、決別した………。
 あるいは、今までは護るべきだったものが、今度は肩を並べるようになったもの………。
 どちらにせよ、もう二度と、その時、心の拠り所として見出した関係にはなり得ないもの。

 良しも悪しも、その人物との関係性の変化を指し示す。

SYSTEM :
 草木を踏みしめた向こう側。
 鬱蒼とした木々を抜けて、切り立った崖からは、島の内と外を隔てる水平線が垣間見えた。

 颯にとっては二度目の。
 森を歩いていたら、いつの間にか風景が変わる摩訶不思議の体験だ。

SYSTEM :
 意識的にか、無意識なのか。
 
 自分は此処ですよ、という表現を何ら隠そうともしないレネゲイドの流れは、誰もがオン/オフをはっきり切り替えられるワーディングの形に近しい。

SYSTEM :
 だから、追い掛けるのは、そう難しくなかった。
 あなたたちの後ろを歩く白い狗が、軽く唸るような声を天に掲げる。

『ホデリ』 :
『彼奴の探し物は未だ見つからず、ということか』

『ホデリ』 :
『………よほど気が急いているか、浮かれておるのか。何れと思ふ』

SYSTEM :
 ひとり/一匹、ああではない、こうではないと口にしながら、のそのそと地面を踏みしめる白い狗。
 要は『探し物が近い』ことに浮かれた無意識か、気が急いての“そこを退け”感覚か。ワーディングめいたレネゲイドのかたちを放出しながら征くさま、縄張り主張に似て非なる空気の圧迫感を、彼はこのように評した。

GM :…ところで…

GM :今気付きましたが(素直) 
登場侵蝕を…お願いします

久外境耶 :1D10 ほいっと (1D10) > 9

久外境耶 :グエ……

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 67 → 76

『ホデリ』 :あてられたか?

久外境耶 :二重に笑えね〜! かもなって言えるわ全然

三廻部 颯 :1d10 (1D10) > 3

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 62 → 65

久外境耶 :
「なーんも考えてないだけじゃね。アタマふわふわしてっときの記憶だって残りゃしないんだろ」

久外境耶 :
 膜のような大気を、わずわらしく手で払う。
 たれながされる無色のレネゲイド。
 獣除けには仰々しく、人集めには逆効果。

 おおかた意味が分かった上で侵入する期待値ラインを選り分けるためのフィルターってトコか。

久外境耶 :
「ま、あっちもストレート解決してないなら及第点だ。目的さっさとカタしておさらばされんのがおれら的に一番困んだろ」

久外境耶 :
「ダチの死体転がってないといいなあ、え?」

 振り返ってわざとらしく笑顔。ナイだろと分かってて言ってる。

『ホデリ』 :汝…

SYSTEM :10割悪戯心を把握したホデリの声は若干のやんちゃに苦笑が半分、諫めるのが半分と言ったところか。

三廻部 颯 :
 ひゅっ、と右手が伸びる。
 振り返った笑顔の顔に右ストレート──が飛ぶことはなく、デコピンのわざとらしい空振りで済んだ。

久外境耶 :おい調子乗ってきたなこいつ 捨ててくか

三廻部 颯 :ふーんだ。

『ホデリ』 :止さぬか止さぬか 見失う方が難きとて、見失えば事だぞ

三廻部 颯 :
 比較的身体の調子が良い。
 漂うレネゲイドの残滓も、見えることにはもう慣れてきた。
 そして既に決めたからこそ、"ちょっかい"にも応じるくらいの気持ちではいられた。

「……案外、あっちも正解の行動じゃなかったりして」

 で──そこそこ時間がたった割には、"虎"の目的が済んでないことのありがたさは同意した。

『ホデリ』 :
『島の物の怪を起こさば、”おさらば”では済まぬやもしれん』

『ホデリ』 :
『阻みに参ったと正直に言へども、然りと返すわけではあるまい…用意はしておく』

SYSTEM :
 居場所にアタリを付け、これから向かってするべきことは、曰く『起こす手立て』に関わりがあるという少女/颯の友達を援けることだ。

 だが、当人がそれを阻まれて「そうですね」と返す保障はない。
 ………ホデリの言葉は、よほど拗れ、命の危険を認めた時の逃げ支度だが。
 わざわざ口にした辺り、あなた/境耶の是非に多少判断を委ねてくれるようでもある。

久外境耶 :
「オーライ。うまくやるさ、向いてないけど」

 煽るときは、マジで闘り合うときだけ。ざっくりと噛み砕いた警句は頭の片隅、その脇に「ほっとくと、ふらりと目的のひとつふたつ──」の推測。

久外境耶 :
「いますぐ叩き起こします──なんてほざかれないかぎり、こっちだって本番は先送りにしたいからな。義理とか以前に無理筋だ」

久外境耶 :
 ……ぼちぼちツラ合すタイミングか。

三廻部 颯 :
 ホデリと境耶の言葉に頷く。
 そうなった時の心構えもしてきた──少なくとも意識を向けさせるだけの考えも。

「わかったっ」

SYSTEM :
 了解の意に、ホデリは一度頷くと、軽く尾を垂直に伸ばした。
 肌に浸透するレネゲイドの波長。
             バロール
 曰く時間を束ね空間を操る魔眼の主───その本質を何と見出すのかは、使い手によるものが大きい。

SYSTEM :
 これはその特質を含んだものではない。重苦しさというより、隣に、軽く一振りすれば“命”を吹き飛ばすものが座るような緊迫感。
 にもかかわらず、ホデリの毛は“其方”ではないものを辿った結果として、見てわかるほど逆立っていた。そしてそれは、警戒や恐怖ではなかった。

SYSTEM :
 ………崖を沿い、水平線を横目にしながら道を征く。

 レネゲイドの形は、やがて見えぬ圧から、見えるかたちに。
 意識して形作ったものではないのだろう。
 あるいは、彼女のレネゲイドではなく、此処に積もった残り物か。

SYSTEM :
 水平線の向こう側には、何も映らない。
 他の島はおろか、行き来する生命/渡り鳥や魚群さえ。
 仮に探したとて、ここから遠くに向かおうとするものは、見つかるまい。

 何処で探そうとも同じだ。この島は時に取り残されている───誰かが口にしたように。島そのものが、進む当たり前を拒むように。

 ………島を受け入れるものは。
 当たり前の流れに逆らった果てのみと宣うかのように。

SYSTEM :
 ………かすか降っては溶ける雪の中。
 その白に紛れたものが煌めく。

SYSTEM :
 脚を止めていた、女性にしては高い背丈の後ろ姿。片方の腕は、最後に見た時と同じように、丁重に抱えた荷物でふさがっている。

SYSTEM :
 白雪のように美しく、明星のように鮮やかで。
 鋼色のように煌いて、宵闇のように悍ましい。

SYSTEM :
 そいつが足を止める。
  イツモドオリノカオ
 楽しそうな笑顔で、遠く掠れた足の音を気取って振り返る。
 
 逃げるでも、先に打って出るでも、迎え撃つでもない。

“喚楽の人喰い虎” :
 ・・・・・
「はじめまし、」

“喚楽の人喰い虎” :
「て………、ではないですね」

“喚楽の人喰い虎” :
「ああそうそう、“ラッキージンクス”。
 もう片方のは………名乗ってくれなかったので、かたちしか残っていませんが」

SYSTEM :
 反芻するように、喋る前から名前を並べる。
 どこか物珍しさすら感じるような仕草で。

 そうしている最中も笑うさまは、あるいは。
 ・・・・・・・
 それ以外の表現は、最適化されたいびつなものにとっての余分であるから、脳に容認されないのか。

久外境耶 :
 降っては溶ける淡雪に、ハ、と呆れた笑みをこぼす。積もることはおろか、留まり、流れを生みさえしない。

 ……時に取り残された、果ての島。

久外境耶 :
 終着点にふさわしい、どこへも進めないものたちの断崖に。

 成れ果てることのない代わり、
 自分以外に成れなくなった女がいた。

久外境耶 :
「お、脈アリ? いーねえ、あいつに聞かせたかったわ今の」

 笑顔には笑顔で応じてやろう。あっちさんはともかく、おれはちゃんと愉しい。

久外境耶 :
「お久しぶりィ。ほら、あんたも言いなよ。あんまり使ったコトないだろ、この言葉」

“喚楽の人喰い虎” :
「ではお言葉に甘えまして………。
 お久しぶりです、“ラッキージンクス”!」

“喚楽の人喰い虎” :
「覚えているうちに会いに来たのは、珍しかったかな、けっこういたかな………。
 まあ、なんでもいいや。こういう感触がするなら、たぶん“飽きた”感じではないんでしょうね」

三廻部 颯 :
 ぐ、っと拳を握る。
 がんがん、と拳同士をかち合わせて、高鳴る心臓を抑えながら前を向く。
 まだそうなると決まったわけじゃない。
 だから頭の中にある"型"を、今は体に適応させず、自然体で向き合う。

「……かたちは憶えてるんですねっ! なら……」

三廻部 颯 :
「私は三廻部颯! です!! ジューシチです!!」

 年齢まで添える必要はないのだが、勢いで口をついていた。
 笑顔に笑顔で返すようなことはできないが──少なくとも腑抜けた面ではなく。
 "会いにきた”ことを確かに伝える、覚悟ある表情で。

 心に抱えたもの、あるいは憶えたもの。
 彼女に向けて抱いた一つの感情。
 これまで起きたことを鑑みても、ただ幼馴染を取り返すための追跡ではなくなっているのだ。

久外境耶 :
 ……へえ、そういう覚え方ね。
 そりゃあそうか。人から外れちゃいるが、機械じゃない。忘れるなりに名残は抱えてるらしい。

久外境耶 :
「飽きたと言やあ、その荷物まだ必要? 抱えたまま忘れてました〜、とかメガネみたいなこと言わんよな」

 意気込み全乗せの自己紹介を横目にしつつ。

“喚楽の人喰い虎” :
「ジューシチ? ………どっちが名前───あ、それ年齢か。
 愚妹と一緒だ。思ったより年齢重ねてますね、ミクルベハヤテ」

SYSTEM :
 どこか楽し気に。
 そうかと思えば、首を傾げてみたり。

 此処から例えば不意を打って殴りかかったところで、恐らく何の脈絡もなく反射神経に身を任せながら会話を続ける生き物の第一声。

SYSTEM :
 ファーストコンタクトと、そこからくみ上げるものはそう変わらない。
 それが、理解の難しいばけものと見えるか、そうとは言い難くとも、何とも浮いたものに見えるかの違いくらい。

SYSTEM :
 スケールをとらえきれない感覚は空を見上げるようでいて、けれども、雲も色も何一つないから、こみ上げるものは虚しさだけ。

.    アーカーシャ
 ───巨きな虚ろの空とは、よくも言ったもの。
 定期的に白紙に戻り、名残が淡雪のように積み重なって溶けていく。

“喚楽の人喰い虎” :
「まさか。まだ必要ですよ、咲楽は。
 咲楽が必要なのか、咲楽の持ち物が必要なのかはともかくとして………」

“喚楽の人喰い虎” :
「抱えてるのは、まあ、ホラ。
 ・・・・・・・・・・・・・・
 そうしないと簡単に死んじゃうでしょ?
 別にこっちが必要なくとも、それはなんとなく気乗りしなくてですね」

“喚楽の人喰い虎” :
「私、アソびたいのであって…。
 別に逃げる牛とか豚とか、弱っちいのを虐めたり殺したりしても楽しくない性質っぽいんですよね」

SYSTEM :
 ぺらぺらと喋ったそいつの言いたいことなど、結局はこうだ。

“喚楽の人喰い虎” :
「だから、えー、そうそう! ゴメンナサイ!
 用事が済んでないうちはお返ししたくありません」

SYSTEM :
 まだ必要だから、返す気はない。

 無邪気に語る傲岸不遜さに、
 見え隠れする欲求のかたち。

久外境耶 :
「コスパ悪いねえ。弱いのいっぱい殺したら強いの寄ってくるとは思わん?」

“喚楽の人喰い虎” :
「ああそれ。
 最終的な結果変わんないんだから、要は気分の問題ですよ」

三廻部 颯 :「……最終的な結果……っ?」

“喚楽の人喰い虎” :
「ええ。第一それやってると、続かないし。

 やったところでやって来るモノが大して変わんなかったんじゃ、ほら」

“喚楽の人喰い虎” :
 ・・・・
「気分悪いので。わたしが欲しいものは数じゃないし。
 だからまあ、特にニホンでは止めにしてるんですよ」

SYSTEM :
 これも言い分は、結局こうだ。

『ホデリ』 :
『驕りしものよ、娘』

『ホデリ』 :
『何をとっても………。
 己より弱きしかいないと申すか?』

“喚楽の人喰い虎” :
「おや詳しい」

“喚楽の人喰い虎” :
「でもまあ、そうです。

 気分悪いやり方やっても、
 気分いい方法を択んでも、

 基本、誰も彼も、楽しいを向け続けると死んじゃうんじゃあ。効率よくやったって意味ないでしょ?」

“喚楽の人喰い虎” :
「そういうわけだから、覚えたくもないもの重ねないために、色々やり方考えてる最中です。
 参考になりました?」

SYSTEM :
 その”コストパフォーマンス”への答えもまた然り。

 効率的にやろうが、無軌道にやろうが、
        ・・・・・・・・・・・・・・
 結果はだいたい一度滅茶苦茶に殴っておしまいだ。

SYSTEM :
 であれば後は気分の問題。

 1回分の“楽しい”のために100匹の虫を潰して樹を引っこ抜くやり方は。
 なんというか、気分が悪いにカテゴライズされる方の生き物であるらしい。

久外境耶 :
 気分が悪い──ねえ。

「どうせ忘れんのに? ……ああ、逆か。覚えておけないから、体感あるうちは楽しいで埋めたいクチかね」

 知らんけど。こいつは悪性ではないのかもしれないが、やはりそれだけだ。
 徹底して共存不可能な、スケールの違う生き物。人が何で鉄格子の向こうに猛獣を置きたがるのか分からないものに、通じる理屈なんてない。

久外境耶 :
「考えて行き着いた先がここかよ。どーよ、調子は。当たりの感触とかする?」

SYSTEM :
        ・・
 どうせ覚えないのに、ではなく。
        ・・
 どうせ覚えないから、だ。
 あなた/境耶の推察は、概ね正しい。

SYSTEM :
 ───何もかも溶けて消えていくとしても。
 その名残は、なるべく綺麗なものが良い。

 その感性の物差しが歪んでいれば、平気で彼女は、逃げる牛も豚も、怪物も、同類も、等しく食い殺す魔獣になったのだろうけど。

 悲しきかな。
 なり果てる道“だけ”はそいつからは遠い。
 概ね今がそのようなものだという事実を差し引いても。

“喚楽の人喰い虎” :
「うん───あれ。そうですけど詳しいですね? 誰から聞いたんですか?」

“喚楽の人喰い虎” :
「ドウマンからですか? 
 それとも、………えー………」

“喚楽の人喰い虎” :
「………アサヒ………あさヒ?
 旭。あ、これか。───旭から? 

 なんか私のこと、ご存じのようでしたから。『お久しぶり』よりちょっと飽きた感じはします」

“喚楽の人喰い虎” :
「どうでしょうねえ。当たりじゃないなら、いよいよどうしましょう」

“喚楽の人喰い虎” :
「思い切りやって後腐れない場所なんて、
ココデハナイドコカ
 御伽噺しか思いつかなくってですね。
 起こしたものが、今度は、ずっと。アソんでくれるといいんですが」

久外境耶 :
「……アシヤマン? ……」

"そういうわけで私………。
 いま『さっさと来い』って愚痴られたので帰りますね"

「ナニ、マジでつるんでるんだ、おたくら。てか、オネーサンひとと行動できんのね」

 ……できてんのか? 呼出には応じるらしいけど、見たトコ別行動だ。

久外境耶 :
「……いーや? ま、気にすんなよ。

 あんた覚えちゃいないようなのが、あんたの情報を引っこ抜いた……って言っても、タブン『そうなんですね!』で済ますだろ」

 途中ではさまれた「記憶容量の隅っこにはあります」程度の感触には、内心ご愁傷サマと不在のやつへイジリ半分にモクトーしつつ。

久外境耶 :
「ナリのわりにガキくせえね。メルヘンっつーの?」

 なんてお笑い種だ。たった一回で壊しきってしまうものが、永遠を夢見ている? 怪物とずっと踊り続けられるようなのは、それこそ同じ怪物だけだ。

 だから、こんな御伽の島までやってきた。自分自身がそうであるくせに、現実には怪物がいないと見切りをつけて。

三廻部 颯 :
 ……やっぱり。

 幻想的とも言える光景の中で、私が思ったちっぽけなシンパシー。
 深い海の中に堕ちた時に聞こえた"声"に抱いたものと、まったく同じもの。

三廻部 颯 :
 この島を形作る"物の怪"を目覚めさせる。
 そのために、咲楽を連れ去った。
 目的のためとはいえ──その命に多少の意識を向けるだけの人間性がある。

 それらが最終的に行き着くのは、
、 ・・・・・
 "独りは嫌だ"ということだけ。

三廻部 颯 :
「……ダメだったら、また探すんですか?」

三廻部 颯 :
「独りじゃ、無くなるまで……?」

“喚楽の人喰い虎” :
「ええ。何度目かの自己紹介と念を押して挨拶されました。
 どうもこう、長いこと付き纏われているようですね、私」

“喚楽の人喰い虎” :

「まあでも、『リュウグウジマ』を作った独りぼっちの怪物の話を教えてくれたのは彼ですよ?
 自慢じゃありませんが、私、何処に誰それがいるなんて話、今までこれっぽっちも覚えて───………」

“喚楽の人喰い虎” :
「………うん。覚えてませんからね!」

SYSTEM :
 他称アシヤマン/自称蘆屋道満の性格は、見て分かる傲岸不遜。自意識過剰。
 プライドの高さと、一つ事以外を歯牙にかけぬ性格。
 そいつが、自分から顔を出して、彼女を使いたがる理由。
 
 彼女でなければならない理由か、彼女が丁度いい理由。
 後者は今までの会話から心当たりもつく。

 強いだけの白痴/空洞など、彼の気位からすれば、御して当然と自負するだろう。
 指摘するものもいないし、指摘はジャームにとって無意味だ。

“喚楽の人喰い虎” :
「ちょっと話が長いし、使ってやるぞ感すごいし、だいぶ鬱陶しいタイプですけどね! あははは!」

SYSTEM :
 そしてこいつの反応は。

 馬脚を現したら遠慮なく殺せる、と。花開くような笑顔で語るのが全てだ。

 概ねソレが自称蘆屋道満と、“人喰い虎”の関係性。都合いいうちはつるむとは、陳腐と言ってもいい悪人/FHの人間関係の基礎だ。

“喚楽の人喰い虎” :
「そんなわけでメルヘンやってるわけですが。
 そうですね。私、たぶんきみよりは年上で───」

SYSTEM :
 あなた/境耶の理解はそう外れちゃいない。

 島に来た理由は、これだけ裏表なく。
 そうですと公言して看板を掲げるのだから、察しもつくというものだろう。

 現実に自分の同類はいないと。
 どこかで。あるいは初めから、見切りを付けたから、現実離れした男から伝えられたのだろう夢物語に飛びついた。

 違ったら、まあその時はその時でいいや、と。

SYSTEM :
 ………そんなやつが、朗らかに自分の都合で喋るのは何時ものことだが。
 
 あなた/颯が、何を思ったか投げかけた言葉で。

SYSTEM :
 これまた、彼方も何を思ったか。
 一度言葉が止まった。

“喚楽の人喰い虎” :
「んん。そりゃそうですけど。
 ………ああそっか。ミクルベハヤテは、なったばっかでした?」

“喚楽の人喰い虎” :
  オーヴァード
「普通じゃない人達って、ふつうより繋がりを持つものらしくて、ですね」

“喚楽の人喰い虎” :
「指ではじいたら簡単に死んでしまうようなものを有難がって。
 自分と同じようなものを血眼になって探して、手を繋いで。
 楽しいを向けられるような相手のかたちを、自分に打ち込んで」

SYSTEM :
 らしい、と付くことの意味は今更語るでもないが、ともかく。

“喚楽の人喰い虎” :
「北欧では結局掠りもしなかった話もありますし、ニホンでは結構あちこちで目立つ話があるとかないとかドウマンから聞いたような覚えがあります」 

“喚楽の人喰い虎” :
「だからまあ、此処で見つからないならしょうがないけど。

 私はそのオーヴァードというやつなので───そうですね、また、です。“うんざり”とするのは、ないと思うけど死ぬまでお預けでしょう」

SYSTEM :
 そいつにとって、あなたの言葉への回答は。

 つい先程したものと同じなくせに、
 ほんの少しばかりの間隙が残った。

 無地以外を知らないものなれば、言葉に何を乗せて来たのかをそれなりに気取ったのだろう。基本、意味も理由も解さずとも。

SYSTEM :
 最初の時、あなたに告げた言葉。
 とりあえず怒りを覚えているのは分かるから、形から入った『ゴメンナサイ』と同じだ。

 恐らく珍しいと感じるような目つきと声色を向けられたから、ほんの少し考えた。そのくらいで、本質的な結論は特に変わらない。

SYSTEM :
 もしもの話。『リュウグウジマ』の怪物を塵殺したならば。
 その時は、また何処かを彷徨うのだろう。うんざりしても、うんざりしたという事実を雪のように融かしながら。あてもなく、楽し気に。

三廻部 颯 :
 人を超えたものは、人だった名残を残し続ける。
 自分がまだ、人の延長にあるものだと信じたいために、ロイスというつながりを残す。
 ・・・・・・・・・
 そういうものだから、探している。

 軛から解き放たれた、自由の魔物ではない。
 彼女は彼女なりに、自分の中に孤独を感じている。
 0を1にしようと探し続けている。

三廻部 颯 :
 私が最初、"狼"に爪を振るわれて、命を落とした時。
 自分の体が、深く昏い、綺麗な海の底に堕ちていったとき。
 あの時、聞いた声にシンパシーを感じたのは、孤独が嫌だったから。
 
 私が超人になって、海の底から光の世界へ浮上する時に、
 抱いたものと反する感情を抱いたのは……、
 人であった自分への別れと、人である友達との繋がりが切れるのではないかと恐れたから。

 独りになるのが嫌だった。

三廻部 颯 :
 私は独りが嫌だ。

 独りでいたくないから、誰かと繋がりを求める。

 独りでいたくないから、独りでいる子を見てしまう。

 独りでいたくないから、独りじゃないよと手を差し伸べてしまう。

三廻部 颯 :
 たぶん、きっと。

 あの日と同じ目で、あの日と同じ声で。
 お社の世界に居た子に、手を差し出した時のような声で。

「……じゃあ、もし、ダメだったら──」

三廻部 颯 :
   ・ ・・・・・・・・・・・・
「……私、あなたと友達になりたいな」

▄█▀██ :
 少女の行動は、半ば無意識だった。
 相手は自分の親友を、自分の目的のために連れ去った者だ。
 その在り方も、これまで何をしてきたのかも、颯は全てを聞いてきた。
 その結果──彼女を追う者も居れば、彼女を打倒しようとする者もいて、
 
 ましてやその性質の悪さからして、ありえないとしか言いようのない言葉を少女は吐いた。

▄█▀██ :
 まるでとち狂っている。
 そう思われても仕方のない提案。
 普通なら、そこに打算の一つでもあるものだと思うだろう。

 ……だが。
 三廻部颯の目は、ずっと“喚楽の人喰い虎” をまっすぐと見続け、
 淀みなく、静かに、海色の目はそれを"本気"であると伝えていた。

三廻部 颯 :
「あっ……で、でも……あの……咲楽は絶対連れ戻しますからっ。
 あの、終わった後ですからっ、それまでにえっとあの、私がんばって強くなるしっ」

“喚楽の人喰い虎” :
「………………」

“喚楽の人喰い虎” :
 ・・・ ・・
「きみが、私に?」

SYSTEM :
 変わらず笑うだけのものが、
 矛盾を含んだ敵対宣言に、本当ならいったい何を出力したかったのか。
 打っても虚しく、空寒く響いた音の中。
 女が、いつもと違う形を含んで笑った。

SYSTEM :
 いつもと、明確に違う形。
 
 挑まれた時のいつも以上に嬉しそうな面とは違う、
 颯が拳を怒りに任せて振るった時の声のトーンを落とした笑顔とも違う。

 ………その場にいない以上は、余談に過ぎないが。 
 嘗てこのように肌寒い日のこと。
 見守り、取りこぼすだけに見えたものに対し。
 落としものを届ける気まぐれ程度の善意と気遣いで口にした時のようなのとも違う。

SYSTEM :
 そして、これは先程もそうだ。

 先程結論をまるで変えないくせに、言葉を多少択んだのは、自分に向けて来た言葉に幾許かの歩み寄りがあったから。

 恐らくは『飽きる』とは無縁の“なんとなく珍しいもの”を向けられたからこういう反応をした。

SYSTEM :
 ………冗談や他意抜きの。
 心底よくわからないものを向けられた時。
        ・・・
 そいつは確かに笑った。

“喚楽の人喰い虎” :
「したい話があるので話を変えますね」

SYSTEM :
 それからそいつの言葉は。

 眼前の誰に何を言わせるとかではなく。
 初見であなた/境耶に言ったような態度を取った。

“喚楽の人喰い虎” :
「わたしね。妹がね、いたんですよ。

 ………妹でいいのかな?
 私より後に生まれたことは確かなので、まあソレでいいでしょう」

“喚楽の人喰い虎” :
「割と真っ当な名前名乗って、何処かで死にたくないって喚いたのかな。
 なんか知らないけど、ニホンにいたらしいんですよ。いやね、嬉しくなっちゃいまして」

SYSTEM :

 表情は変わらないし、好き勝手に物を言うのも変わらないが。

 その発言が、懐かしむようなものはあっても。喜ばしさをにじませた声に聞こえるかは、人による。興味がなければそう聞こえよう。

“喚楽の人喰い虎” :
「───まあそれが。
 きっと同じようなものだと思ったんですけど、違いまして」

“喚楽の人喰い虎” :
「次はコレ、って見つけて行って、簡単に壊れるものと大して変わらなかったんですよね。
 それで………どうしたんだったかな。………楽しそうじゃなかったから………、ああ、まあ、それはいいや」

“喚楽の人喰い虎” :
「………そうだ、ミクルベハヤテ。
 きみは私に向かってきた時、この咲楽という子を返してほしそうでしたね」

SYSTEM :
 返しませんが聞きますね、と。
 笑って口にした言葉。

“喚楽の人喰い虎” :
「きみがあの時殴りかかったものが、ほんのちょっと逸れるだけで。
 私がうっかり、欠伸でもするように力加減を間違えるだけで……」

“喚楽の人喰い虎” :
「簡単に死んでしまってそれきりのものを。
     ・・・・
 きみは、シンユウと呼びましたけど」

“喚楽の人喰い虎” :
「私はね。ミクルベハヤテ。

 きみが差し出した握手の手を、えいって握りつぶせるし。
 それが出来るような弱いのと、友達になる気はないですよ」

SYSTEM :
 ………それは。

 要約するに。
 差し伸べた手も握りつぶすようなものに手を出すな/次は潰すぞ、の柔らかな拒絶にも似ているが、それだけではなかった。

 これこれこういう理由だから私ときみは友達なれませんよ、というりくつを、ずらりと並べ立てて門前払いするようなのは。
 それこそ、口で長々言わず、実演すればいい話を口で済ませたのは。

三廻部 颯 :
「そっか」

 声色が表すに……、
 どうにも本気で残念だったようで。
 少女の純真は、どうにも、その気になれば手を繋ぐことは出来る、と本気で信じてしまうような真っ新なものだった。

三廻部 颯 :
 その"やんわりとした拒絶"に何を思ったのか、
 それとも理屈を並べた門前払いに何か思うところがあったのか……、
 わたしは向けた手を暫くは降さなかった。

▄█▀██ :
 ……もしも。
 もしも三廻部颯に"危うさ"があるとすれば。

 それは日常の世界では「まだ」危うくなくとも、
 非日常の世界で「危うい」ものであり。

▄█▀██ :
 少女はどうにも、負けず嫌いで……、
 少女はどうにも、すぱっと諦めることのできない頑固さがあった。

 だから迷わずオーヴァードになることを選択した。

三廻部 颯 :
 ・・・・
「わかった。
 今はそれでいいや、まだ、お互い何も知らないままだし」

三廻部 颯 :
「じゃあわたし、
 友達になってくれるまで諦めないから!」

 彼女は、友達が追う者。
 その願い/欲望に手を貸さなくなるわけではない。
 ・・・・・・・・
 それはそれとして。
 三廻部 颯という少女の性質の悪さは、一度拒絶した程度では全く下がる気のない頑固さにあった。

三廻部 颯 :
「あなた、勝手にしてるんだから!
 わたしも勝手にします!!」

 傲慢ですらあるその宣誓は話の腰を折るにはあまりに威力が高いものだが……、
 少なくとも本人には状況をどうにかしたいと思う一心があったのは、ここで付け加えておく。

「それに私の手はそんな簡単に潰されるほどヤワじゃないもんね!!」

久外境耶 :
 ……妹。親友。どの面下げて何を言っているんだか。

 弱い者いじめは気分が悪いって感性と、最強不敗のレジェンダリー性能。その噛み合わせは最悪だ。

久外境耶 :
 手を伸ばしたら壊れると学習してるくせに、
 無自覚に踏みにじったものを知覚できない。

 傲慢ふりかざすのは強者の特権だから、おれはなんも言わんし思わんけど。

久外境耶 :
 で──そっちのアホは知らん。本格的に知らん。おれには、これ聞いて頭抱える連中のほうが遊び甲斐がある。

SYSTEM :
 何故あなたがそれを口にしたのか。
 何故尚もそこに拘ったのか。
 
 理由はあなた/颯だけが知っている。
 孤独の怪物の、ただ一点に絆されたのか。勘違いしたのか。
 見るものが見れば青褪めるか、たわけたことをと軌道を逸らすかだろう。

 境耶が何も言わなかったのは、文字通り「海向こう」と遠ざけたからか。
 ホデリが何をば言わなかったのは、その傲慢に言葉を失っている(ように見えた)からか。

SYSTEM :
 あるいはそいつ自身がそうだった。
 何も言わずのリアクションをしなかったのは、単に誠意の色に鸚鵡返しをしたに過ぎない。
 そういうのは分かってあげられないから分かる相手にやれ、という拒否反応を滲ませたに過ぎない。

 それは概ね答えが出ている。

“喚楽の人喰い虎” :
「そうですか。では勝手にどうぞ。
 覚えているうちに果たせるといいですね」

SYSTEM :
 ………と。
 これは、勝手にしますへの応答でもある。

 誰かに言わせると、傲慢は強者の特権。
 外で誰が何を言おうと、文字通り“知ったこと”ではない。我の強い弱いではなく、ぶつかった時捻じ伏せて道を“譲らせる”ことを本能で解しているからだ。

 後は、そのぶつかり方を択びたがるだけだが。自分から譲る、をやったことのあるタイプでもない。そういうことが出来るなら、行き先はもう少し違うものを択ぼうとしただろう。

SYSTEM :
 話はコレで終わり。

 一方的な宣誓と分かれば一方的な宣誓。
 そうするだけで終わるものと、隔たりの向こうで揺らす声に笑いかける。

 ………故に。

“喚楽の人喰い虎” :
「しかし、今は何も知らない、ですか」 

“喚楽の人喰い虎” :
「それならさっきも言いましたが、きみには。
 ミクルベハヤテには、ちょびっとだけ聞けることがありまして………」

SYSTEM :
 その問いかけは、一方的宣誓でもあり。
 
 不可解なものを気まぐれか、
 すがるような期待で解する所作であった。

“喚楽の人喰い虎” :
「さっきも言ったんですけど。
 この咲楽って子を、シンユウと呼びましたね。少し力を加えれば、折れてしまうようなのを」

“喚楽の人喰い虎” :
 ・・
「ソレ…今でも言えますか?」

“喚楽の人喰い虎” :
..  き み
「“オーヴァード”は。私よりは弱い生き物でも、“ふつう”が逆立ちしても勝てない生き物です」

“喚楽の人喰い虎” :
「同じではない生き物の目線に合わせてしゃがんで、
 同じじゃない部分は見せないように覆い隠して。
        コレ 
 きみにとって、咲楽は………。
 そういうことをしても楽しいものですか?」

“喚楽の人喰い虎” :
     ・・
「きみが、それをしたがる理由が。
 さっきから割とさっぱりでして。

 案外、何処かで聞いていたなら、答えてもらったようなことかも知れませんけどね」

SYSTEM :
 ただ、そいつの眼は。
 穏やかに、声のトーンを落として笑いながら、こういう風に問いかけているようにも見えた。

SYSTEM :
        ・・・・・
 おまえにとって都合がいいから、

 こいつ/私にそう言っただけではないのか? と。

SYSTEM :
 ………気まぐれではない。
 知るための言葉だが、そいつに人間社会のコミュニケーション能力がきちんと備わっているのかは怪しい。

 人の関係など単純な言葉で終わらないことなど、幼少期に自然と教わるものだろうが。
 その幼少期が、ただでさえいびつなものに、忘却を上塗りしたそいつにとっては………。

SYSTEM :
 自分が息を潜めて、腫物を触るようにしなくてはいけないものを愛しむやり方など、せいぜい一つしか知らない。

 そんなだから、理解しがたいものに、理解できる項目を探そうとする台詞が出たわけだ。

▄█▀██ :
 ……都合がいいだけではないか?
 ・・・・・・・・・・
 その言葉は全く正論だ。

 言い返すことは出来るが、
 ・・・・・・・・・・・・
 全くの否定もできやしない。

▄█▀██ :
 友人関係、信頼関係というのは……とどのつまり、互いが互いに対してどれだけメリットを得られるかという話だ。
 友人関係を結ぶことに、メリットを感じるのであれば、それこそ都合がいいのだろう。

三廻部 颯 :
「……そうだなあ」

三廻部 颯 :
「……私は、一緒にいて楽しくなる人が友達だと私は思うの。
 そこに強いとか、弱いとかの物差しは、あんまり関係ないかなあって」

 でもそれは、咲楽や──他の友達に向けたもの。
 

三廻部 颯 :
「私は一緒にいて楽しくなる人を友達だと思ってて……、
 私が友達だと思ってる人には、私が一緒にいて楽しくなってくれるように努力してる」

三廻部 颯 :
「それはね、あなたに向けても変わらないの。
 ただ……、
 楽しくなる方法は、人によって違うから。
 私はそれに合わせられたらなって思うの」

三廻部 颯 :
 それにね、と付け加えるように。
 颯は自分の手をかち合わせて、ぎゅっと握った。

記憶の声 :

「ダメになって悪いのかよ。望みを叶えた結果なら、おまえは満足してるはずだぜ──」

▄█▀██ :

 ああ、それは。
 ・・・・・・・・・・・・
 全く否定の出来ない事実だ。

三廻部 颯 :
「……ちょっとズルいことだけどね」

 楽しいとか、楽しくないとかではなく。
 ただ、そうしていれば友達でいられると思ったから。
 それでそうならなかったら? それを考えるのは、ちょっと野暮だと思う。
 その時はその時だ。

 人間の友達でいたい自分と、
 超人の力を振るいたい自分、
 それは否定しようのない、どちらも同じ自分なのだ。

三廻部 颯 :
「ちょっとわかりづらいのかな、ごめん。
 でも、わたしはそう思ってる」

三廻部 颯 :
「そのうえで、友達になりたいなと思ってるの。
 方法も考えも、ぜんぜんちがうけど」

SYSTEM :
 指で弾くだけで殺せても、弾きたくないからしない。
 
 探すものは、別に自分と同じようなものでなくてもいい。
 
 楽しいを向けるのではなく、向け合えるものを探せばいい………。

“喚楽の人喰い虎” :
「そうですか」

SYSTEM :
 あなたの回答は、回答ではない。
 これが数式を当てはめるような問答であるのならば、
 理知の欠片もない回答だろうが。

 しかし、問いを投げかけて来た方がそもそも理性的ではない。
 他意のない言葉に他意の無い言葉で返しただけの、

 言うなれば「なぜ」「なに」「なんで」を何も飾らず投げつけて来ただけだ。

SYSTEM :
 だから、回答などそれでいい。
 変に着飾るような回答だったならば。
 彼女はその瞬間に、何時も通りの笑い方を返しただろう。

“喚楽の人喰い虎” :
「………………」

“喚楽の人喰い虎” :
「………うん。
 やはり、とんと分かりませんね」

“喚楽の人喰い虎” :
「だって、そうでしょう?
 合わせるやり方も、強い弱い以外の形で測るやり方も」

“喚楽の人喰い虎” :
「それ、私に遺んないんですよね」

SYSTEM :
 その音の並び、言葉の並び。
 何度も対面すれば流石に分かる。
.. できない
 分からない回答が返って来た当たり前と、当たり前をこの場で言うおかしな成り立てという間の悪さを、寂しがるような笑い方だ。

“喚楽の人喰い虎” :
              オナジ
「………それが同じでないものも対等にするやり方ならば、」 

“喚楽の人喰い虎” :
 同じように生まれたものすら、
 私が分かち合う余地を持たないのであれば…。

“喚楽の人喰い虎” :
「私は強い弱い以外、
 どういう関係を遺せるんでしょうね?」

SYSTEM :
 ………ほんの一瞬だけ。
 笑った顔に、違うものが混ざって。

 雑音は、それきり。

SYSTEM :
 かなわないやり方。
 真っ当でないものが、真っ当なことをやろうと差し伸べて来た手に、彼女は何となく結論を付けたらしい。

“喚楽の人喰い虎” :
    ・・
「じゃあコレ、返します」

SYSTEM :
 ………そっと。担いでいた、もっとも隔たりの大きいもの/咲楽を、足元に下ろす。
 本人が口にするような、少しの力加減を間違えるだけで圧し折れるもの。

 ………笑っているが、何となく困っている顔。
 仰向けに寝かせた少女の首には、見慣れた首飾りの形が無い辺り、本人の直感か独断か、そういう方向に変えたらしい。

“喚楽の人喰い虎” :
「きみのそれは、嬉しいのかな。困るのかな。
 よく分かんないんですけど。
      
 少なくとも私の欲しいものではないから」

“喚楽の人喰い虎” :
「こっちにあげてやって下さい。
 その上で、さっきのヤツを言いに来るなら、そうですね」

“喚楽の人喰い虎” :
「物の怪を起こして、私は私のためにしたいことをするので。
..     アソんで
 その時、止めに来てくださいね」

SYSTEM :
 ………おまえのソレに応じるかたちなど、昔も今もそれだけ、と。いつもの笑顔に戻った女の面には、決定的な隔たりがあった。

 あるいは、あの瞬間に見せた顔こそが。
 そこに宿った、“楽しい”では覆えない、何とも言い切れない感情こそが、そいつの地金だったのかもしれないが。それは過ぎたことだ。

SYSTEM :
 ………その姿を見ていたものが。
 合点が行ったように、零す。

『ホデリ』 :
 ・・
『ああ』

『ホデリ』 :
『気の迷い、であったか』

SYSTEM :
 その瞬間に。
 先程からあった、緊張の色/同情の形がゆるりと失せて、別のものになる。

SYSTEM :
 ………彼にとっての何より後悔のかたち。
 あなた/境耶が敢えて聞かず、名誉を守らせることに頷いたもの。
         ・・・
 誰とも隔てを作るそいつは確かに似ていたが、似ているだけだった、と。哀れむように、割り切るように、息を洩らした。

久外境耶 :
 "私は強い弱い以外、
  どういう関係を遺せるんでしょうね?"

 どうも何も、ないものはない。誰かが憐れみ、情を施したとして。その事実が、あいつの裡に遺らないかぎりは。

久外境耶 :
 あの困ったような表情にだって、どうせ大した意味はない。無自覚に脅かして踏みにじる生き物が、怒りや恐れ以外には不慣れで疎かっただけのハナシ。
 それだって、おれに言わせりゃただのグーゼンだ。
 "喚楽の人喰い虎"が一号の大事なものを丁重に扱っていなければ、あの手が差し伸べられるコトもなかった。

久外境耶 :
 ……傍らで零される独白。
 吐息ごと、張り詰めていたものが抜けていくような。

「────、」

 似て非なるみたいなニュアンスに、なんとなく察しはつく。ホデリの勘所といったら、答えなんて決まってるようなものだし。

久外境耶 :
 ・・
 アレと? ガチで? どんなんよソレ。

 ……なんて率直の野暮は、まあ言わんケド。

久外境耶 :
 壊れ物のように手放されたものへ、意識を向ける。遺産だとかいう飾りはきっちり回収済み。小さく舌打ち。

 ……ま、ここいらが潮時だろ。

久外境耶 :
「お土産もらっちゃあ、いつまでも居座るのは筋が通らんわな。帰んぞ一号」

 はよ拾え、と顎で指す。

三廻部 颯 :

「……」

▄█▀██ :
 そもそもの生まれが違う。
 そもそもの育ちが違う。
 異なる世界で生きてきた者同士が融和をすることなど不可能である。
 そういった現実の世界の縮図を、今まさにここで味わったような気がした。
 なんとなしに聞いていた歴史の授業が、どうにも生々しさを帯びて蘇ってくる。

 笑顔の中に混じったモノは、笑顔を浮かべた本人にしかわからない。

▄█▀██ :

 救いの手というのは、概ね傲慢さを孕んでいる。
 他人が誰かを救う時に100%の善意などありはしない。

 ダサン
 悪意があって当然なのだ。

 人間という生き物、そして人間から派生したオーヴァードという生き物は、善悪の混ぜ物。

 "原液"と"水"が剥離すると、成立しなくなるもの。
 白いだけの絵の具では、黒い絵の具とは共存できない。

▄█▀██ :
 「施す側の考え」と「施される側の考え」は必ずしも一致しないこと。

 「施す側」が善意で思ったことも、ボタンをかけちがえれば「施される側」にとっては不要になる。

 少女の純真は、確かに目の前の"人喰い虎"に歩み寄るもので、
 ただ純粋に──ただ愚直に、寂しさへの共感で手を差し伸べた。

 それに対する応じ方は、"人喰い虎"にとってひとつだけで。

 少女はその時、一つの現実を知った。

▄█▀██ :
 ……最も。
 知って変わる程度なら、少女はあの時、死ぬことを選んでいたかもしれないが。

▄█▀██ :
 ・・・・・
 後ろめたさ。
 それが、少女の感じた現実。
 良かれと思ってやったことが、良くなかったこと。

三廻部 颯 :
「えっ───」

 だから咲楽が降ろされた時に、私はすごく驚いた。
 結局のところ、線引きがされてしまっている以上は、これでおしまいだと思っていた。
 思っていたから、咲楽を奪還するチャンスは別のところにあると思っていた。

 ……ただ、首飾りが外されていることは私の目にも分かった。
 
 やろうと思えば最初からそれもできたはずなのだ。
 そこにある意味を考えようとして、何かが肩にずっしりと乗っかった。

三廻部 颯 :
「えっ、あっ、うん……」

 促されるままに咲楽に駆け寄って、その身を優しく抱き上げる。

 ……、
 …………。

 ・・・・・・・・・・・・・
 少しの力加減を間違えるだけで圧し折れるもの。
 彼女の言葉が脳裏をよぎって、少し手間取った。

▄█▀██ :
 少女は改めて、思い知る。

 ・・・・・・・・・・・
 自分は既に人間ではなく、
 ・・・・・・・・・・・・・・
 人間なんぞ玩具のように捻れる───
 ・・・・・・・・・・・
 怪物であるということを。

記憶の声 :
"せっかく得た力を抑圧してどうする。力はな、使うもんだ。

 1号、おまえだって実感しただろ。ダチ助けてえっていう望み……ドラ公ぶん殴ったときの馬力がありゃあ不可能じゃないって"

▄█▀██ :
 そう───誰を救うも、誰を殺すも、力があるからできること。
 自分は今、その大きな狭間の上に立っている。

記憶の声 :
   ・ ・
 "……人を超えた存在は、日常には馴染みませんから"

三廻部 颯 :
 ……私は、

三廻部 颯 :
 私は、咲楽が目を覚ました時。

三廻部 颯 :
 ・・・・
 三廻部颯でいられるのだろうか。

三廻部 颯 :「……っ」

 息を呑みながら、ゆっくりと後ずさる。
 視線は抱えた咲楽と、たたずむ"虎"を、交互に向く。

池田咲楽 :

「───ぅぅ、………ん………」

SYSTEM :
 かすれた呻き声。
 忘我と思考の中。
 らしからぬことを考えた、その隙間に差し込むように。
 あなた/颯のトモダチの、無意識の言葉が木霊する。

SYSTEM :
 かける言葉もかかる言葉もなく。
 近付くその最中も、“喚楽の人喰い虎”と銘を持つ女は微動だにしない。

 行きがけの駄賃で殴りかかられてもそれはそれ。いやむしろ、分かりやすい形に収まったと嬉々としてくれただろう。
 そういう無防備さの中で、そいつは普段通りに笑ってみせた。

“喚楽の人喰い虎” :
「もし、起こすのに必要なのがコレじゃなくて、その子だった時は………。
 まあ、アシヤの反応見てから考えます。何とかするでしょ」

SYSTEM :
 必要だったら一足早く会いに行きますね/その時は力ずくで奪うので抵抗してくださいね、と朗らかに笑って。
 あの一瞬見せた顔は、面影すら遺らない。

 率直の野暮を呑み込んだあなた/境耶の懸念は概ね正しい。

 究極的には違っても、これと、彼の理由は在る部分が似ていた。
 だからこそ、それと向き合うことに持っていた緊張感は………今にして思えば、それは罪悪の感情だけではなかったのだろう。
          
 違うと分かった/思ったほどのものではなかったから、それが哀れみに変わっただけだ。
 先に、もっと骨の髄まで怪物に染まったモノを空想していた少年のように。

『ホデリ』 :
『………娘よ』

『ホデリ』 :
『物の怪は、汝を視ること非ずよ』

“喚楽の人喰い虎” :
「見て貰います」

“喚楽の人喰い虎” :
「見てなくても、付き合って貰いますよ。
 そのためにわざわざニホンまで戻って来たんですからね」

SYSTEM :
 言葉の膜の内側に何が籠っていたのか。ホデリは、少なくともいつものように笑うそいつの顔に、先程までの警戒心を向けようとは思わなかったらしい。

『ホデリ』 :
『境耶の言通りよ。帰ろう』

SYSTEM :
 どうせ止めぬだろう、と言外の発言。
 あるいは此方が留まっていてもいいが、その場合、“帰る”のは彼方だろう。

久外境耶 :
 ……虎に言い残す言葉はべつにない。おれとあいつの会話は、たぶん殺し合ってるときのほうが弾むだろう。

久外境耶 :
 なんでかもたつきだした一号からガキを取り上げて、おざなりに担ぐ。

「おれに荷物持ちさせたコトおぼえとけよ。利息トイチな」

久外境耶 :
 ちなみに十秒で一割。
 言うだけ言って、背中を向ける。
 
 一号がムキになって追ってくるなら、それでいい。ぼさっと突っ立ったままなら、いずれ虎にも置き去りくらうだけだろう。

三廻部 颯 :「ああっ」

三廻部 颯 :
「トイチってなに!?」

 ───なんて反応をしながら、さすがに後を追うように動き出す。
 時折、後ろは振り向く。
 どうしても、目を離していられなくて。

SYSTEM :
 後ろを振り向いてもそこにいるのは、笑って此方を見送る女の姿だけ。

 気が変わった、とか言って得物を取り出すわけでもなければ。言葉を投げてくるわけでもない。
 ついでに言えば、”トイチ”を識るものは恐ろしいことにこの場にいなかった。誰も彼のボケ(本気で言っているとしたら別の意味でボケとなるだろう)に応える知識がない以上、立ち去って、そのまま終わりだ。

SYSTEM :
 遺したとして、あなたの耳にそれが入ることは先ずないだろう。
 何処までも朗らかに、楽しそうに。淡雪の中で、やがて溶けた名残のみが残る心のうちなら、そいつが口にした言葉に、基本そこまで意味はない。

“喚楽の人喰い虎” :
「ヘンな子」
 

“喚楽の人喰い虎” :
「きみのことも忘れるんでしょうが、
 そうでないなら………」

“喚楽の人喰い虎” :
「………。あーやめやめ。
 ただでさえロクに遺らないのに、つまらないものは遺したくないですね」

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ワーディングの範囲から抜ける。
 射貫くような獣の瞳が見据える重圧感が、遥か彼方へと走り去っていく。

 ぼさっと突っ立ったままではなかった一号/颯が、あなたの背を追いかけてくるのに、然程時間はかからなかった。

SYSTEM :
 その、追いかけてくるのを見ながら。
 随伴するホデリが、一言零す。

『ホデリ』 :
『ああいふのは』

『ホデリ』 :
『島の外では、珍しきものか?』

SYSTEM :
 ああいう、はみ出し者がいるのは。
 今でもそう変わらないのか? という言葉。ふとした問いかけの形に、あなた/境耶は応えてもいい。問いかけ返してもいいだろう。

久外境耶 :
「そうだな。どこにでもいるよ」

 同じようなのを探すのは難しいが、
 同じように逸れているやつなら多分いくらでも。

久外境耶 :
「ま、時代と場所が違っても結局は人の世だ。そうそう簡単に変わりゃしないんじゃね、そーいうのって」

『ホデリ』 :
『然るものだろうな』

SYSTEM :
 UGNとFH。
 その実態を知らずとも、差異の説明を受け取った時に零した言葉と、先程の呟きは大して変わらなかった。
 であるにそれは、分かっていた答えへの“だろうな”という肯定でもあり。

『ホデリ』 :
『何時の日も“逸れ”は出るか。
 頑しことよ』

SYSTEM :
 あるいは、それを作ったものへの嘆くような言葉は。
 自分にも向いていた。

 達観したというより、老人が、自分の記憶を書物に変えて読み耽り、その恥辱の足跡を感傷と共に朗読するような言葉。
 ………腹を決めた後だからか、後ろから追いつく音が聞こえたからか。あるいは、あなたの”荷物”に動きがあったからか。そこから続きは仕舞い込んだ。

SYSTEM :
 あなた/颯が追いついたいまこの時には。
 あなた/境耶の荷物が、もう一度、小さく呻くような声を零していた。

 であれば友達と、見知らぬ人と、見知らぬ狗とのご対面まで、そう時間はないだろう。

久外境耶 :
「……」

 ……かけてやるべき言葉を、おれは持っていない。無力感は小骨じみて、嚥下できずに引っかかっている。

 べつにかまわない。おれは慰め方なんて知らないが、行動で応じるやり方ならずっとしてきた。

久外境耶 :
 最後に結果が出れば、それがすべてだ。
 こいつの悔いが、あの雪モドキのように溶けて──
 どこに留まることもなく流れ、静かな眠りになりさえすれば。

久外境耶 :
 追いついてくる足音に振り返ると、動かされた荷物が声をこぼす。

久外境耶 :
 …………。

久外境耶 :💡

久外境耶 :「ホデリ、合わせろよ。いち、にの──さん、だ!」

久外境耶 :ミコサン? サクラ? まあどっちでもいいわ。こいつ抱えたままダッシュで一号から距離取るぜ!

久外境耶 :ワハハ見ろこれが《異形の歩み》の脚力だーっ

SYSTEM :
 …ところで忘れてはならない。
 あなた/境耶は現代日本の価値観に照らし合わせてちょっと悪ガキであった。

 いたずらっ子という言葉は生温い。
 ちょっと度を越すか越さないかを反復横跳びし、先生の仏の顔の残機を一つか二つ削りゆくいじめっ子精神である。

SYSTEM :
 その答えを引き連れ、まさにいま躍動する筋肉。
 かかる言葉まで含めて洗練されたフォームは、沈殿するはずの痛みも隔たりも何もかもを置き去りに………訂正、一名(一匹でも可)には声をかけた後で置き去りにしていく!

『ホデリ』 :
『む、何を、待たぬか………、』

『ホデリ』 :
『………、………』

三廻部 颯 :「はぁ!?」

SYSTEM :
 ワンテンポ遅れた後でとりあえず意味を察したようで、
 そのままホデリも釣られてダッシュを始めた。

SYSTEM :
 どうでもいいがこれは何もさふべきとは関係がない。

三廻部 颯 :「はぁぁぁぁぁ!!!?」

久外境耶 :大ウケ

SYSTEM :
 遠くから少女の叫びだけが木霊する。
 先程までのしんみりした振り返る仕草などどこ吹く風。

 感情を的確に表すなら、そう…。

SYSTEM :
 たぶんこんな感じだ。 

SYSTEM :
 ………そしてお忘れの方はいないと思うが、
 曰く「お荷物」は丁度目を覚ますか覚まさないかの瀬戸際にいたのである。

 問1だ。
 つまり起きるちょっと手前の頭に、オーヴァードの全力疾走が来るとどうなるか?

池田咲楽 :
「ん、ぅ、………おはようござ、」

池田咲楽 :
「ござ、ぁ───、ああああああーーーーっ………!?」

SYSTEM :
 あなた/颯の遠くから、ドップラー効果つけて木霊するジェットコースター感覚の悲鳴。
 気を失う寸前に見た光景の感情と、それはそれとしてナニコレ感覚のおはようフルスロットルが悪気しかなく一般人を襲っていた。

SYSTEM :
 ダレーーーーッ! とか、
 夢の中かーーッ! とか、
 なんか余裕あるのかないのか分からない声だけが、はるかかなたから木霊する。分かるのは、とりあえずテンパってることだけだ。

 そう、これこそがBEYOND...

久外境耶 :「ダハハハハハハハ! おはざーーーーす!」

池田咲楽 :
「なに、なに、何何々、颯は!? なんで!? 
 私!? というかあの犬は!?」

『ホデリ』 :

池田咲楽 :「イメチェンしてる!?」

久外境耶 :「ちっげーよ! いや、ちげーわよ! アタシ颯!!!!!!!」甲高い裏声でカスの嘘

池田咲楽 :
「お………下ろしてーーーーッ!!」

SYSTEM :3秒でバレた。

久外境耶 :「あっクソ騙されねえこいつ」

『ホデリ』 :『(それで)謀らむ気だったのか…』

三廻部 颯 :
 あっ、やべ──と顔を一瞬触るが、まあ。
 大丈夫だろう。

 ……いやいやそんなこと考えてる暇じゃない!

三廻部 颯 :
「逃がす、かッ!!!!!!!」

 クラウチングスタートの体勢!
 頭の中で思い浮かべた"速い"イメージを可視化し、足に纏った鎧を変形させる。
 どんな悪路でも走り抜けて、追いつけるくらい速い足のイメージ!
 スピードを出して出して、風に乗る! 波に乗るドルフィンのように!

「いち、にの……どん!!」

   ブラストオフ
 ───発射!!

久外境耶 :っしゃあ! 勝負だオラーッ

久外境耶 :6dx (6DX10) > 8[3,4,5,6,7,8] > 8

久外境耶 :ばっ……………………や、もしかしてこいつクッソ重い? な? じゃないとおかしいもんな?

三廻部 颯 :3dx <肉体> (3DX10) > 9[3,7,9] > 9

池田咲楽 :私の尊厳にかけて追いつくな、いや追いついて!(遠ざかっていく声)

SYSTEM :
 仮に何も言わずとも木霊する『重くないわ』という心の断末魔。
 それも虚しく、颯の切ったスタートダッシュの早さたるや否や、どんどんと距離を詰め、ついに境耶を射程圏内に捉えていた!

SYSTEM :
 そう、この世に悪の栄えた試しなし…。(※効果の実感には個人差があります)

三廻部 颯 :
 いち、にの、だんっ!
 踏み切って跳躍!
 そのまま大回転! 

三廻部 颯 :
「ドロップキックはこうする───っ!!」

 ぎゅるるると大回転したのち、
 両足を思いっきり伸ばして、足の裏で境耶の顔面目掛けて怒りのキックが飛ぶ。
 その姿まさに日曜朝に放送されている"悲しき涙を仮面で覆う戦士"の如し。
 ……いや、あるいは名を消した男の方なのかもしれない。

SYSTEM :
 なるほど日曜朝でちびっ子たちと握手でもしそうなフォームだが、
 これが日曜朝に流れようものなら、小さいお友達のお父さんお母さんが黙っていないだろう。

SYSTEM :
 なお、挙動を見た瞬間ホデリは“そそくさ”と、ドロップキックのちどうなるか定かでない“荷物”の有事に備えるように、そして巻き添えを避けるように身を逸らしたことを追記しておく。

久外境耶 :
「痛っっっっでえーーーーーーーー!?!?」

 星が! 星が見えたスター!

久外境耶 :
 どがん、みたいなカンジの音が後頭部に炸裂する。自前ダッシュの勢いごと、前のめりにスッ転びかける体! コンマ一秒の浮遊感! 様式美的に両手はピンと伸びて、うん、そう、両手──

久外境耶 :
「あ」

 荷物は片手で、しかも肩に抱えていたワケで。
 まあ、当然それは宙に投げ出される。

久外境耶 :
「────っぶねえ〜〜〜〜!」

 転ぶ体のブレーキにするはずだった足をアクセルに、一歩かろうじて跳んで──キャッチ!

久外境耶 : 
 ……とはいかない。因果応報とか、タブンそんな感じの末路。
 みっともなく全身でスライディングした背中に、遅れて衝撃が走る。荷物がぶじ緩衝材の上に落ちてきたのだ。

久外境耶 :「グエ……」撃沈。

三廻部 颯 :
キック後反転! 着地!

SYSTEM :
 ───瞬間、浮き上がった荷物がふわりと空中飛行の紐無しバンジー。
 
 意識を失う直前の出来事を思えば恐怖が当然のアクシデントとハプニング、しかし泣きも叫びもしないその理由は至極単純。
 処理できる情報量の限界を超えると感情に麻痺する。冷静に見えても何をしているのか分からなくなるようなもの。

 これ即ちキャパシティオーバーである。
 人間の脳ってのなあ! 自分の身を自分で守れるというぞ!(実況:Q市某社所属某イリーガル)

SYSTEM :
 ………着地と共に、ぎゃっ、と声が響く。
 緩衝材が何かを言うより早く、ぽかんとした顔をした彼女の思考は、現在進行形の動転を隠さず。おもむろに、ぽつりと声を上げた。

 丁度尻餅をついた彼女が(下敷きが比較的同年代の男子であることに気付かず)、見上げた少女/あなた/颯に向けて………。

池田咲楽 :
「………は………颯、だよね………」

三廻部 颯 :
「……………………………………………………………………………………………………………………」

池田咲楽 :
「………………。
 シュミ?」

三廻部 颯 :
「……………………………………………………………………………………………………………………」

三廻部 颯 :
 その時、颯は大変味わい深い顔をした。
 (※画像はイメージです)

SYSTEM :
 とりあえず、ひとつひとつ脳の中を処理しようと決めたらしい、あなたの“シンユウ”の第一声。

 あらゆる感情を織り交ぜた言葉と言及先はそこだったわけだが、
 そこにあなたがなんて答えたのかは定かでない。

SYSTEM :
 ………本当に定かでない。

 ずっと上に乗られている可哀そう………でもない程度に自業自得の少年が、そろそろ降りろコールをするのに何秒かかるのか、とかも。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
..  ソンナコトガアッテ
 ………閑話休題。

SYSTEM :
 F1のコースに焼き芋屋の屋台引いて突っ込んでくるようなお目覚めを味わった、この場ではきっと誰より逸れ者の、なんでもない学生。

 誰かに曰く“ミコサン”の、池田咲楽。

SYSTEM :
 いそいそと第一印象のすごい下敷きさん(仮)から降りて、深呼吸して。
 幾つか時間が経ってみると、あなた/颯を見る目は、今日飛行機に乗る時のものとはちょっと違っていた。

SYSTEM :
 ………あなたの方を向いて、彼女が。声を発したか定かでない“トモダチ”に口を利く。

池田咲楽 :
「………やっぱり。颯だ」

池田咲楽 :
「無事で、良かった。良かったけど………。
 そのカッコに、その人に、あの時の黒いヤツは、何がどうなって、………」

SYSTEM :
 ………自分でも何を言いたいのかをまとめきれていないことに自覚はあるらしく、額に手を当てて、白狗/ホデリよろしく軽く唸る。

 困惑の熱を冷ませば、お目覚め前の記憶が戻って来るのは当然で。

 彼女が最後に見たあなたがなんだったかは、颯が一番知っていることだった。

三廻部 颯 :
「なんで分かんのぉ????」

 バレたら色々……そう色々大変だと思ったから、
 思ったから変身したのに!?

池田咲楽 :「………」

池田咲楽 :「声」

三廻部 颯 :
「…………」

三廻部 颯 :
「キノセイデスヨー」

三廻部 颯 :
「ワタシチガウヨー」

池田咲楽 :
「………。
 ちなみにいまので9割から、10割みたいな………」

久外境耶 :「じゃあおれ。おれおれ」

久外境耶 :「ワタシデスヨー」

池田咲楽 :
「この寝起きドッキリはどちら様?」

三廻部 颯 :「……」

三廻部 颯 :
「かみき君みたいな人」

池田咲楽 :
「………オレオレ詐欺? あの黒いヤツ?
 何がどうなって………、」

池田咲楽 :
「いや、あいつもっとワケわかんないよ。
 いちいち噛みついて来る理由も。気に入らないならほっといてくれればいいのに」

池田咲楽 :
「………あ、待って? こっちも第一印象がワケわかんなくない? なるほど」

久外境耶 :「誰だよカミツキクン」

池田咲楽 :「その『誰だよ』の部分だけは…私返す権利があると思うんだ」

久外境耶 :「笑える。おまえ荷物に自己紹介するやつがどこにいんだよ」

池田咲楽 :「───誰が、」

三廻部 颯 :
「(いやあ〜ほらなあ〜……)」
 あまりに見たことのある光景すぎてやや頭を抱えかけた。

SYSTEM :
 至極当然の“おまけ”扱いだが、当人からすれば知らぬ間の生殺与奪だ。
 一度目の扱われ方を思えば、公言されて勝るものは怒り。次点は“黒いの”/“渇望喰い”を思い出して竦む恐怖のかたち。

 直前に黙らさせられた記憶が、ほぼ脊髄反射で上げかけた手を止める。

『ホデリ』 :
『………』

『ホデリ』 :
『わたしの声が聞こえしことはあるまいが………』

『ホデリ』 :
『………忘れ得ぬ気色………いずこで………』

SYSTEM :
 ホデリの確かめるような言葉に応じることもない。

 オーヴァードの第一歩は、レネゲイドの因子が、心身に強い負荷をかけて覚醒めるものだ。状況はどうあれ。

 それに聞こえる声が「遠吠え」としか聞けぬならば、今のところ、彼女はハグレモノ。例外/凡庸/そのままであるらしかった。

三廻部 颯 :
 とりあえず二人の間に割って入りながら、ホデリの方を見て首を傾げる。

三廻部 颯 :
「……え? 知り合い?」

 そんなわけあるか?

久外境耶 :「んだよビビんなって。おれは荷物は大事に扱うほうだぜ? 運送業的な」

久外境耶 :
「……はん?」

 遺産絡みとか、そんな感じかね。

 渇望喰いがミコサンと呼んで探してたあたり、こいつにまだ何かある可能性はゼロじゃないし。

 ……そもそも奴はどこで嗅ぎつけた?

SYSTEM :
 ………目は口ほどに物を言う。
 日本の人間が作った諺だ。

 そして今、それはあまりにも的を射る。

SYSTEM :
 ふざけた「おはようございます」も、荷物呼ばわりする時の声も。
 なんでもないような安心し難い台詞も、全部平常のトーンと変わらないのであれば。

 颯が間に入るまで、気丈に食って掛かろうとする顔つきとは裏腹に、強張った身体が回答の全てと言えた。

 ………姿が違っても受け入れたということなのか。
 あるいは、何も信用し難い、ユメと言われたら一も二もなく頷きたい状況の中で、あなた/颯だけが、自分の日常と繋がりを持つが故のことなのか。

SYSTEM :
 ………いやそもそも。

 この場にいない少年に言わせてしまえば、元より彼女の表情が良く動く相手は、颯が最初で、今のところ最後である。
 それは当然の反応だろう。

池田咲楽 :
「───。
 知り合いって、いや別に。うちじゃ犬飼ってないし………」

池田咲楽 :
「………? あ。
 このコ、なんで私の御守りつけて───いや、ちょっと違う………?」

SYSTEM :
 白い狗に伸びた手は、おっかなびっくりという形で。
 触れるわけではないが、しゃがんだ姿勢と視線が合う。

 ………一度深呼吸した後、むう、と眉を顰める彼女は。
 誰も彼も疑問の全てには応じてくれない中でも、一先ず混乱する渦中の思考を落ち着かせたようにも見えた。

三廻部 颯 :
「ちょっと違う……」

 "お守り"の正体を知っている以上、そこで迂闊なことは言えない。
 かといって、言及をしないわけにもいかない。
 で、思い出すことといえば……。

三廻部 颯 :
「……あっ」

 そういえば盗られてたんだった───!!

久外境耶 :
「あーそうな、おたくの家が代々継いできたっつー御守りあんだろ。パクられたのは気付いてる?」

 ……ワケないか。あのオンナといる間ずっと気ぃ失ってたんだもんな。

池田咲楽 :
「な、なに、そんな声出して───、」

SYSTEM :
 そこで前半愉快犯の意図説明と言う名のレシーブをトスした彼女は、途中で言葉を止め、首元を軽くさすった。
 ………いつもなら首に掛かっている、曰く”古くさい御守り”の姿がないことを識らぬは当人ばかり。

三廻部 颯 :
「すみません盗まれてました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

池田咲楽 :
「ほ、ホントだ、いつの間に…!? 落としたとかじゃなくて!? 例の黒いヤツ?」 

池田咲楽 :
「いや、別に、盗まれたのは颯のせいでもないし………。
 でも、うわ、どうしよ………」

三廻部 颯 :
「あ〜いや……あのバカ犬ではないかなあ……」

 ナチュラル愚弄。

 なんて説明すればいいんだろ?
 視線が右往左往する。

久外境耶 :
「あ? あー」

 トーシロとパンピーだったわこいつら。
 ……これ帰って"ナイトホーク"に丸投げするほうが早くねえ? まあいいけど。

久外境耶 :
「おまえその黒いのに巫女さん呼ばわりされてたけど自覚ある?
 池田サン家の血筋がフツーじゃなくて、御守りもただの由緒ある石コロじゃ済まねえブツってトコまで割れてんだけど」

SYSTEM :
 ずけずけと投げかけられた/慌てふためく一名と右往左往する一名を余所に、必要事項を切り出す彼の姿勢に、一度声を詰まらせる音がする。

池田咲楽 :
「いやそりゃ、うち、確かに神職ですケド………アレが? 私を?」

池田咲楽 :
「自覚だとか、フツーじゃないとか、いきなりそんなこと言われても………。
 御守りだって、”手離すな”しか言われてないよ」

SYSTEM :
 玉虫色の回答。

 然したる意味なしと、如何にも”ナイトホーク"へ放り投げて良い言葉。

SYSTEM :
 ただ、そう語り戸惑う彼女の視線は、ホデリがぶら下げていた"よく似た御守り”の方に向いている。

池田咲楽 :
「だいたいここ日本の何処で、この子、なんでウチのに似た御守り持ってるの?
 ………もう片方は昔からなかった、みたいな話、ずっと聞いてたのに」

SYSTEM :
 ………曰くつきの遺産の名。
 彼女が持っていたものの方を、塩乾珠。

SYSTEM :
 視線を向けられた先のホデリは───。

『ホデリ』 :
『………。
 忘れ得ぬワケだ………』

『ホデリ』 :
『………境耶。
 煩からざれば、この娘に一言訪ねなむ』

『ホデリ』 :
     ・・・
『ないのは塩満珠か? と』

SYSTEM :
 ………どう見積もっても素人だ。
 颯に輪をかけた彼女から、必要な情報が出るかは怪しい。

 血筋か、遺産か、何かが。蚊帳の外になることを赦さない人物だとしても。
 そいつから希望通りの答えが来るとも限るまい。

SYSTEM :
 それを踏まえて、『面倒でなければ』という言葉なわけだ。

久外境耶 :「ン」

久外境耶 :
 ……血の絆と共に失われた片割れの名前。島の外側で脈々と継がれてきたものが塩乾珠なら、それはほとんど答え合わせに等しい。

久外境耶 :
「……その昔からなかった片方って、塩満珠?」

池田咲楽 :
「………?
 ソレ、今聞くコト───ああ、いや」

池田咲楽 :
「良く分からないけど。
 そういうの………そのままにしておくのは、慣れてるし。話せばいいの?」

SYSTEM :
 トモダチの反応は自分と(何故か)どっこいどっこいで、もう片方はこう。
 自分の疑問が解消されることはなさそうだ、と悟った彼女が。少し長めの溜息を零して答える。

三廻部 颯 :
 頷きまくる。

 答えるべきところに答えないもどかしさはあるのだが……、あるのだが。
 今じゃ……ない気がするのだ……と頭を抱えたくなる颯だった。

久外境耶 :「あーあー拗ねんなって。こっちの用件終わったら教えてやるよ」

三廻部 颯 :
 身振り手振りで同意する。

池田咲楽 :「拗ねてないです」 即答。

三廻部 颯 :
「(うーん記憶の限りは拗ねてる対応……)」

池田咲楽 :
「………」

SYSTEM :
 記憶の限りは拗ねてる反応。
 どちらかと言えば達観/諦観寄りの。旧い神社の跡取り娘───その外側を隔てていた時を知っていれば、見覚えのある顔。

池田咲楽 :
「『片割れは血の絆と共に永遠に失われた』………。

 ずいぶん聞かされたけど。そうだよ。なんだったかな」

池田咲楽 :
 ・・・・
「御先祖様の、お兄さん…弟…?
 なにかひどいゴタゴタがあったんだって」

池田咲楽 :
「何があったかとか、お父さんお母さんが教えてくれたことないけど。
 残ったのが、私の持ってるヤツ………持ってたヤツね。いちお訂正」

SYSTEM :
 ………そしてそれは。
 誰が言ったか、その通り。答え合わせに過ぎない。

 池田咲楽。当たり障りのない名前に扮した彼女の家を遡った先が。
 ・・・・
 どちらかに辿り着くことの。

『ホデリ』 :
『………………』

『ホデリ』 :
『やはり………だが、だが何故………。
 誰からあの者の珠の使ひ道を………』

『ホデリ』 :
『───蘆屋、道満───』

SYSTEM :
 ………そしてその言葉。
 答え合わせのち、漸く合点が行ったように。あの時、あなたに訝しげに聞いた名前を、ホデリは諳んじた。

 尾が軽く逆立つ。緊張の現れだろう。

『ホデリ』 :
『拙い………!』

SYSTEM :
 今更意味がないことを知ったからか。そいつは駆けはせずとも、去って行った『人喰い虎』などと皮肉られた名前のいる向こう側を見やる。

 島の中枢と思しきところで「蘆屋道満」の名を聞いた時、彼は確かに憮然の反応を見せた。

SYSTEM :
 ………どうもホデリの中で。
 その名前には、よほど思うところがあるようだ。

久外境耶 :  
「ご先祖サマねえ……。ま、でなきゃ未覚醒の契約者なんて生まれないか。しっかし、だとすると一つ問題──うお」

久外境耶 :
「どした急に。……ナニ、知り合い?」

 湖でもおかしな反応をしていたが、どうも有名人だからってだけじゃあなさそうだ。

『ホデリ』 :
『分からいでか!
 トヨタマの贈物、その所以をなぜあれなる娘が知っているか、甚だ疑問であったが………』

『ホデリ』 :
『そうだ、道満! 彼奴ならば知るもむべなる!
 蘆屋道満………彼奴めは!』

SYSTEM :
 音の波長は焦燥か、いや。

 いつも諦観と、多少の卑下。錆びついた心のものが見せるには、がなり立てるような声は怒りの音だ。
 老いたる者の奥底にこびりついた怨恨を原動力とする音と言ってよい。 

SYSTEM :
 ………そして外側にそれは、吠えたてる音だ。咲楽の眼が一度ぎょっとして、軽く息を呑む音に気付くと、ホデリは荒々しく息を零した。

『ホデリ』 :
『………まことだ。
 その者、戯れてその名を名乗ったに非じ』

『ホデリ』 :
『蘆屋道満………。
 其は在りし日に狂ひし果てに………あやしきを目論んだ者』

『ホデリ』 :
『物の怪の………………』

SYSTEM :
 元凶か、身内か、はたまた別の言葉か?
 続く言葉を彼は口にしなかった。逆立った毛が今度は項垂れる。あなた/境耶がよほど強く揺さぶりでもしなければ、この場では口にしようとはしないだろう。

久外境耶 :
「へえ、マジなんだ。ま、歴史の偉人が赤ん坊みたいな女に振り回されてたあげく名乗りも自称じゃカッコつかんしな」

 おどけた口振りは概ね、言わなくていい、と遮る代わりだった。

久外境耶 :
「じゃ、一歩進展だ。真アシヤマンがどうやって今も存在して、今度は何企んでんのかってハナシになんだろ?」

久外境耶 :
「……そーなると、ちょい気がかりあんだけど」

三廻部 颯 :
「確かに……え? 気がかり?」

三廻部 颯 :
 正直色々と分かったことが多すぎて頭が揺さぶられている。
 けれど考え直すのは戻ってからでもいいのだ。

SYSTEM :
 ………余談であるが、ホデリの一連の話は全て、ひとりだけ聞こえていない。聞こえる道理がない。
 トモダチの様子と、愉快犯/相対的知識人の様子に惑う彼女の口振りは、概ね此処に書くでもないようなことだ。

久外境耶 :「塩乾珠のハナシ。正しく扱える血、だったか? そいつが手放したら暴走の兆しがどうのっつー件」

久外境耶 :「あの女は独断でこいつだけ返したけどよ。結果的にその状況になってねえかコレ」

三廻部 颯 :「……」

三廻部 颯 :「わ、わー……確かに……」

三廻部 颯 :「……マズくない?」

SYSTEM :
 ………拙い、の理由。ホデリとあなた達が想像したものは概ね同じだ。全てではないが。

 持ち主の手を離れた遺産が“どう”なるのか、その前例など、この分では彼女が知っていることもないだろう。

『ホデリ』 :
『………道満の名を聞きしためしのあるわたしが、何より初めに識るべきであった』

『ホデリ』 :
『一先ず戻るが………道満。
 あやつか、あの娘か。再び追い立てる必要はあろう』

SYSTEM :
 それに、と。ホデリは、努めて訝し気に見るのを止めていたらしい"咲楽”を顎で指す。
 追い掛けるのは、今となっては難しいだろう。先程までの能天気な/あるいは無意識下のワーディングも、今となってはない。

 何より追いかけて手を出せば、それはそれで、彼方も"その気”になるだけだからだ。

三廻部 颯 :
「……そう、だね」

久外境耶 :「なんならこいつ返しにいくか? やっぱいりませんつって」

久外境耶 :「……んだよ、冗談だって」

三廻部 颯 :「本気パンチするところだったよ」

三廻部 颯 :「……しないけど」

『ホデリ』 :『戯れる余裕あらば上等よ』

SYSTEM :
 ちなみに言われた本人はと言えば、

池田咲楽 :
「………百歩譲って荷物扱いされるのはいいけど、秒で反故にされかけてた、私?」

池田咲楽 :
「とりあえず………ついてくけど。颯」

池田咲楽 :
「………やっぱり。
 何あったかは、聞いちゃダメ?」

三廻部 颯 :「……」

三廻部 颯 :
「……今はね」

三廻部 颯 :
「でも、後で必ず話すから」

池田咲楽 :
「ん。………」

池田咲楽 :
「思ったより安心。
 颯、わりと顔に出すからね」

三廻部 颯 :
「でしょ? ……笑ってられるから、まだ大丈夫」

池田咲楽 :
「積もりに積もった昔の"もうやだ”の夜中大癇癪の話する?」

池田咲楽 :
「………いや、今やると本気で送り返されそうだし………。
 じゃ、待ってるよ」

三廻部 颯 :
「あはは、それは……後でね?」

三廻部 颯 :
「うん。
 ちゃんと、話すから」

「……いっぱい話したいこと、あるから……」
 

SYSTEM :
 じゃあ待ってる、と。
 あなたの沈黙から覗いた微かな不安を打ち消すような顔に、今までの声色とは違った音で応じる。

 ………あなた/颯が知っている池田咲楽。
 変わらず、分かりにくい気遣いの形だ。

三廻部 颯 :
 やっぱり──変わらない。
 ……まあ、時間はそんなに経過してないから、変わることは早々ない。
 ……むしろ変わったのは、私の方だからだ。

 だから、変わらないままの親友がいることが……
 今の私にとっては、一番の安心だった。

三廻部 颯 :
「……よかった、ほんとに」

久外境耶 :
「なーんかナシつけた空気なってっけど、おれが横でべらべら垂れ流す可能性忘れんなよ一号」

久外境耶 :
「じゃあまずこいつの初陣パンチが叩き出したダメージの話から──」

池田咲楽 :初陣………なに?

三廻部 颯 :「コラコラコラコラコラ!!」

久外境耶 :
「それとも年下のガキ相手にへそ曲げてた話にするか? ネタは少ねえけど上質ですよお客サン」

三廻部 颯 :「こらぁ───っ!!」

池田咲楽 :
「やっぱり悪………悪くない気はするけど、タチ悪目のとはつるんでるよね、颯」

SYSTEM :
 愉快犯、揺るぎなく健在。
 お約束的なキックという名の制裁が入っても、境界の死線を脱兎のごとく走る止まらじの男に隙はない。自制心もない。HPも減らない。

SYSTEM :
 ………ちなみにあなたのからかい先ではない方は、そのブラック擦れ擦れの話題を聞きたくないとは言わなかった。

 自分は知らないが、テレビや漫画の向こう側で起きているようなこと───それこそ颯自身が口にしていたようなことの片鱗が、眼前で繰り広げられていたから、かも知れないし。
 単純に、トモダチの変わらぬ様子に安心した序でに触発された平時の悪戯心だったのかも知れない。

SYSTEM :
 ………あなた/颯のトモダチは。
 昔から、割合受動的な性質だった。

 本当に、何も言わずとも。
 恐らくは明かしてはならない、颯が辿り着いた薄氷の下側のことを明かさずに駆け抜けたとて、決して何も言わないだろう。

SYSTEM :
 それを、あなたが択ぶのかは別として。

SYSTEM :
 "ナイトホーク”/旭や、"イリュシデイター”/ノエルが体験してきたこととはまた違うが。

 隔たりを前提として、その向こう側にどう触れるか。どういう付き合いをよしとするのか。

 人を超えたもの、オーヴァードが、未だ社会に惹かれて飛べない以上は続く通過儀礼。こんな御伽噺の舞台の中でも、それは存在した。

SYSTEM :
 その機会すらなかったものも、また。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 情報収集判定に下記の項目が追加されました。

・情報:『蘆屋道満』/〈情報:■■■■〉:30
 ※この情報は特定NPCとの接触、会話でも解除されます。

SYSTEM :
【Check!】
 メインプロセスの終了を確認しました。

SYSTEM :
[クリンナッププロセス]

SYSTEM :
[クリンナッププロセス/島の変化]
 次ラウンドに発生する「島の変化」を確認します...

SYSTEM :1d100 (1D100) > 52

SYSTEM :46〜60:膠着した進行。修正は特にない

GM : 

SYSTEM :
【Check!】
・「『蝕みの君』または『渇望喰い』が撃破される/1回目」

 上記達成により、
 プライズシーン&トリガーシーンが発生します。
 
 プライズシーン対象者:旭、シホ、龍
 トリガーシーン対象者:颯

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・プライズシーン6

SYSTEM :
【プライズシーン6】

 登場PC:旭、シホ、龍
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-沖川才人
 
 カヴァー/ワークス:高校生/高校生
 性別:男性 年齢:17 侵蝕率:0%
 シンドローム:なし

 三廻部 颯と同じ千葉県K市の某高校に通う高校生。
 赤都上樹とよくつるんでいる仲。活動派で割り切りの出来ない上樹と、事勿れ主義で物事へのハードルが低い才人では概ね主義主張が異なるはずだが、何故かうまく回っている。基本的に此方が聞き手。

 受動的。自制出来る無神経。
 興味のあることには危機的なのめり込みを見せる一方、興味のないことには微塵も意識を向けない。

SYSTEM :
“蝕みの君”が斃れたことは、事態の進行と同異議ではない。

 しかし、存在していた一つの刻限───この『リュウグウジマ』に関わる多くのものに連なり、それぞれにとって意味の異なる刻限───に辿り着く前に彼ないし彼女が討たれたことは、一旦の猶予を作るには十分だった。

SYSTEM :
 その同時刻で、別の懸念が噴出しているのを余所に。
 あなたたちは、来た道を戻る。
 この分ならば、他の………この島を作り出した何某、曰く『物の怪』用向きのある他の者との警戒するべき遭遇もないだろう。

SYSTEM :
 ………ホデリが『ゲート』と共に現れる箇所は、もう少し先だ。
 
 いつ、何のためにあったのかも分からない、いつの間にか塗り替わる風景。
 古ぼけた門の下。

SYSTEM :
 ぽつりと人影が見えたのが。

 帰る前の、ちょっとした余談の始まりだった。

荻野目 旭 :「……あれ」

木口龍 :「──ン?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「───あれは……」

SYSTEM :
 ぽつりと見えた人影は、目の良いものから順番に気付くだろう。

 背丈はそう高い方でなく、戦闘要員と認定するための持ち物もない。
 途方に暮れたような顔もなく、門下に座って、あなたたちに見えない門の裏側をぼんやりと眺めている。

SYSTEM :
 ………だから先ずシホが気付き。
 木口龍が気付いて、順当に旭とノエルが遅れて気付き。

 旭はそれが、すぐに………見覚えのある顔だと分かった。

SYSTEM :
 “蝕みの君”を早期に討たねばならなかった原因。
 それは要するに、非オーヴァードにとって彼ないし彼女のレネゲイドが死活問題であるからだったのだが………。

 そのうちの一人だった。

荻野目 旭 :「…………!」

荻野目 旭 :
「サイトくん……!?」
 少しだけ足を早めて、姿形を確認する。
 大きく声を上げたのは誰何の意味と、同行してる3人に『保護対象』だってことを示す意味合いだ。

木口龍 :
「んっ、お、おう……」

 遭難者か──旭と同行していたのだろう。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 始めに、警戒。
 有事に備えようと銃のホルダーに手をかけて……

“虚の狩人/残骸” シホ :
 どうやらその必要はないらしいと分かったのは直後のことだ。
 “旭くんの知り合い”───そうなれば候補は限られる。あえて彼が名を出したことを思えば、その意図も。

SYSTEM :
 敢えて出された「サイトくん」の呼び名に、ノエルが駆け出す彼を追う。
 その意図は探していた民間人/颯のクラスメイトだと考えるのはすぐだったが、こうしてこのような場所に居合わせているのはずいぶん奇妙な話………もう少し言ってしまうと、ちょっと都合の良いところだ。

SYSTEM :
 才人は知っている限りで聡明な方である。
 だが同時に、なんとも、ものぐさな少年だ。

 こういう状況で、偏見かも知れないが………自分からいちいち彼方此方に動くようなタイプでもなかった。

生徒B :
「………おや、」

生徒B :
「荻野目………? 
 動かない幻覚の次は動く幻覚じゃないといいけど」

SYSTEM :
 少年が、門の裏側に向けていた表情から。
 走って来たクラスメイトの姿を見て、軽く手を挙げる。
 声をかけて来ないのは、それで反応を見ようというものらしい。

荻野目 旭 :
 ……心配なのは、彼みたいな賢い少年がこんな場所でひとりだってこと。
 あと、こんな都合のいい場所にいることだ。

荻野目 旭 :
 懸念はある。
 悩みもするけど、たぶん様子をうかがうのはお互い様だ。
 僕の呼び方も同じだし。

荻野目 旭 :……一瞬悩むけど、それを切り捨てる。立ち止まったままの彼に駆け寄って、怪我したままで走ったせいで乱れた息を整えた。

荻野目 旭 :「幻覚じゃないですよっ、僕です! 転校生の旭くん! サイトくん、無事でよかったあ……!」

“イリュシデイター” :
「どうやら………懸念事項の一つが薄れてくれたみたいですね。良かっ───」

SYSTEM :
 そう。

 こんな場所にひとり動いて来たということは、
 ・・・・・・・・・・・・・・
 こんな場所に動く理由があったということだ。

 後から背を追って様子を見守っていた“イリュシデイター”の、知らずとも無事を安堵するような声が、ふと止まる。

SYSTEM :
 ………しかしその一方で、近付いて来たあなたの声に応答する才人の反応は、何処までも知っている沖川才人だ。

生徒B :
「いや、良かった。
 正直知っている顔に出会うのはこれが初めてで」

生徒B :
「…そう見えていると嬉しいんだけど、これで結構困っている。
 後々生きて話の種にするころには、この時何を喋っているのか分からないくらいにだ」

SYSTEM :
 その少年が、ふと、門の裏側を振り返る。

 もしも旭が視線を合わせたならば。
 後方の同じUGNエージェントと同じように、言葉に困ることもあろう。何故なら。

生徒B :
「………そういうわけで………。
 何をしゃべったもんか知らないけど」

生徒B :
「ひとつ参考になった。

 漫画やゲームは外で見るから滅茶苦茶やっても笑えるんであって、自分で体験したら気が気じゃないってことだ」

生徒B :
「何が言いたいかっていうと、僕は現在進行形で“人質ってこんな気分か”というのを感じている」

SYSTEM :
 ………後ろから呆れたような大人の声。
 青年というには少し年を食ったが、中年というには聊か若いぐらいの声だ。

声の主 :
「おい、ひどい言い草だな。
 おまえを物の序でに拾ったのはこっちだ。『捨てる神あらば拾う神あり』とか言ってみるもんじゃないのか、日本の学生は」

生徒B :
「そうかも知れませんけどねえ。
 ………じゃ、荻野目。そう、なんというか」

生徒B :
「知り合い? 僕の後ろの…。
 漫画の登場人物が話したいって」

SYSTEM :
 そう。
 彼の口調はちょっとばかり早かったが、
 言いたいことは要約する限り“手土産代わりに使われた”だった。

SYSTEM :
 で、その手土産を持ってきたのが。

“パラディン”的場啓吾 :
「あの時の探偵サン。
 “ラッキージンクス”が居たなら話が早かったし………探していたのとは少し違うんだが、まあ、これはこれでいいだろう」

“パラディン”的場啓吾 :
「初めましてだ、UGN」

SYSTEM :
 あるいはこの言いぐさからして………。

 もう少し別の使い方/役割を少年に頼んでいた節もあるが。

 それはそれとして、知っている顔だ。
 知っている顔でも、恐らく、その立場では会いたくなかった人物だ。

“イリュシデイター” :
「───………“パラディン”………」

荻野目 旭 :「──!」

木口龍 :
「うぉっ、アンタ……またお会いしたな……」

 湖で出会ったときよりなんか悪役っぽくね……?

“パラディン”的場啓吾 :そりゃ、悪役だからな。

荻野目 旭 :「…………ま」

荻野目 旭 :「的場さん……」

木口龍 :そうかFHって悪役かぁ……(すっと話したいやつらがいるだろうので後ろへ下がる図)

荻野目 旭 :
 冷静になれ僕。
 大丈夫僕。
 とりあえず……わかることはいくつかある。

荻野目 旭 :………木口さんと境耶くん、この人ともう会ってたこと黙っていたな!?

荻野目 旭 :
 いやいやいや。
 首を振る。
 そういうのじゃなく。
 鍛え上げられた社会性と目の前のサイトくんが、ばっちり僕の社会性センサーを叩き起こしてくれた。
 動揺しきりの心を置いていって、口はなんとか回る。

荻野目 旭 :「……あな、たが……僕らを『UGN』と呼ぶの……複雑ですね」

荻野目 旭 :「………、」

荻野目 旭 :
「“ラッキージンクス”から……話は聞いてます。
           ・・
 サイトくんのこと、『保護』してくれたんですね……?」

“パラディン”的場啓吾 :
「複雑ね。
 その呼び名に、そういう感情を交えて出されるのは随分慣れた」

“パラディン”的場啓吾 :
「まあ湿気るな。終わったことだ。
 ………それで、そうかこいつ、才人というのか」

SYSTEM :
 ふ、と微笑う。
 時の出来事を、うわべだけでも『微笑』で終わらせるまでに、どれくらいの時間がなければならず、どれくらいの『礎』が必要だったのか。

 口調は渇いていない。UGNという言葉に乗せられたものは、想像通りか予想外か、ずいぶんとフラットだった。

“パラディン”的場啓吾 :
「結果的にはな? そう思ってくれると嬉しい。
 恩に着てくれると何よりだ」 

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ───彼が、“パラディン”。
 私は……その勇名を、僅かに聞き及んだことがある程度。彼の言葉に乗せられた感情が何色を帯びているのかは解らない。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 解らない……けれど。たった今、此の場に立ってはじめて理解できたこともある。

 ───いまは銃を取り出してはいけない。
 照星が向くまでの一瞬で、彼は此の場全てを容易く“枯葉”に変えられる。

荻野目 旭 :「…………………………」

荻野目 旭 :「…………じゃあ」

荻野目 旭 :「まず、用件を聞きますけど。あなたの『上司』さんも、じきご到着ですよ」

“パラディン”的場啓吾 :
「そいつは重役出勤で何より。
 それに、えらく仲良くやっているようじゃないか」

“パラディン”的場啓吾 :
「ま、大したことじゃない。
 元々望みも薄かったものが、ここじゃ零に等しいと分かったんでな。そろそろ上司に“遅刻しました”と頭を下げに行きたいところなのさ」

“パラディン”的場啓吾 :
「それで一先ず、生きてるヤツでも探していたんだが………。
 お探しのようで良かったよ。なあ?」

生徒B :
「知り合いの空気じゃないね、当然だけど。
 口挟まないでいい?」

荻野目 旭 :「お察しのとおりです」

荻野目 旭 :「でも口は挟んでくださいね! 人質扱いってひどいことされてません!?」

生徒B :
「ああ心配はいらない。
 されてないというか未遂だから。きみの顔見るまで人生の辞世の句って思いつかないもんだなと本気で考えてた」

荻野目 旭 :未遂!?

“パラディン”的場啓吾 :
「だいたい間抜けな一文字か二文字だ。
 
 しかし人聞きの悪い話だな」

荻野目 旭 :すごい……! 英雄の口から聞きたくない治安悪言語セレクト! 次男で良かった! 僕が次男じゃなかったら泣いてたかもしれない!

“パラディン”的場啓吾 :
      ロクデナシ
「まあ、元よりFHの端くれだ。
 人聞きが悪くて当然と言ったところだが…」

「幾つか考えていたとは言っただろ?
 考える段階で止まって起きもしないことを『酷い事』カウントするなら、まあそうだな」

生徒B :
「勘弁してほしい。夢に出るかもしれない。
 確かに助けては貰ったが、援けた傍から魚の餌感覚で放置されるとは思わなかった」

SYSTEM :
 ………なお“きみが見えて一安心した”という台詞から色々お察しのことだろう。

 見えた人影が知っている声を出さなかったケース。“この辺りを通る”と踏んでいた理由は不明だが、考えていたというのはその辺りらしい。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……ついさきほど“声色が解らない”と考えたばかりだけれど。
 人質未遂の件について“冗談”の色が感じ取れなかったのは、その一連の話として同様と片付けてよかったのだろうか?

木口龍 :(ほんとに魚釣り感覚だったのか……)

“パラディン”的場啓吾 :
「で、首尾よく出会えたところでだ。
 こっちの目的は聞いているかもしれないが、改めて伝えておこう」

“パラディン”的場啓吾 :
「御伽噺からお目当ての話を拾って来い…と、仮上司ともども無茶振りされてね。
 高い貸し目当てでやって来て、気になる名前も拾ったが、いろいろな意味で“アテ”が外れた」

“パラディン”的場啓吾 :
「となれば、後は片すもの片しておさらばだが。寄り道で熱を上げたのはその仮上司も同じと聞く」

“パラディン”的場啓吾 :
「そっちは呉越で同舟してるんだろ?
 なに。困るようならこいつ押し付けて、再びサヨナラだ」

SYSTEM :
 彼は“ラッキージンクス”に『必要な時は分かるサインで呼べ』と伝えてあることはおくびにも出さない。

 そしてこの語り口、嘘でもないことはすぐにわかるだろう。
 彼の目当て/言うに及ばないコトに、この『リュウグウジマ』はかすりもしなかった以上………。

SYSTEM :
 ・・・・
 おさらば、の質を上げたいだけだ。
 後味の悪いものより良いものがいい。関与できることは猶更。

荻野目 旭 :「…………………………」

荻野目 旭 :「とりあえず、サイトくんは無事でほんとによかったです。……動機はともかく、お礼は言っておきます」

“パラディン”的場啓吾 :
「中々人が出来てるな」

“パラディン”的場啓吾 :
「では“どういたしまして”と言っておこう。
 実際危機一髪だ。こいつも運がいい」

荻野目 旭 :「仕事ですんで」

“パラディン”的場啓吾 :「納得いかなくてもか?」

荻野目 旭 :ため息。あらゆることが複雑だけど……かつてと離れた立ち居振る舞いは、ある意味有難くもあった。

荻野目 旭 :
 ・・
 別人だって思えるからだ。

荻野目 旭 :「……上司に似た意地悪を言いますね、FHの“パラディン”さん。納得しなくても受け入れるよう振舞ってるのはあなたでしょ」

“パラディン”的場啓吾 :
「思ったより顔に出すな。
 だが、それでいい、その通り。こっちはFHの“パラディン”だ」

“パラディン”的場啓吾 :
「誇りと夢を天秤にかけて、後者を択んだ方のな。
 モンスターの夢など世界征服くらいのものだが、これが悪人の夢となると幅がまだ残る」

SYSTEM :
 冗談めかした笑い。特に否定しない音。
 子供の意地悪など“笑って”受け止めてやるのが筋とばかりの所作。

 だが同時に、それは隔たりでもあった。
 同じだと思っていたものの、どうしようもない隔たり。

荻野目 旭 :
「顔に出した方が、いろいろよくわかるでしょ」
 嘘。正直余裕がないだけです。

“パラディン”的場啓吾 :
「口に出さずとも伝わるなんてのは、案外幻想だけどな」

“パラディン”的場啓吾 :
「だが、お陰でそれなりに伝わったよ。
 泣きつくヤツの一人や二人も作るようには、其方がまだUGNなら教わってるだろう」

荻野目 旭 :「………………」

荻野目 旭 :知ってるから、こんな仕事してるんですよ。言いたくなるのは、とりあえずこらえる。

荻野目 旭 :頭の奥で、そうじゃないなと思い直す。サイトくんもいるし、後ろにはシホさんたちも。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………、…………」

木口龍 :「……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 忘れようとしても、どうしても脳裏を過ってしまう。
……その背に目を瞑ることしか、私には出来ないのだろうか。

SYSTEM :
 ………その背からいくつかの視線。
 小さく息を呑んで、それから何事か言いたげに口を開いて、閉じるを繰り返す、同じUGNエージェント/”イリュシデイター”の姿。

 あとは…。

SYSTEM :
 首に掛かった“タイガーアイ”、ゆっくりと数回明滅。

 分かり切った答えを識る時の諧謔の光。

荻野目 旭 :

荻野目 旭 :「……とりあえず」

荻野目 旭 :「あなたのお仲間もここです。呉越同舟ってコトバの意味をばっちり覚えてくれているなら、サイトくんだけ受け取ってさようならは勘弁してあげましょう」

“パラディン”的場啓吾 :
「親切だな。
 とりあえず、仮上司にレクチャーした内容が的外れじゃなくて安心だ」

SYSTEM :
 それが、なんだかんだ呉越同舟の得意な連中と、古巣を比較的わざと他人事めいて紹介した時の台詞であることを彼は言わない。

荻野目 旭 :「……………」

荻野目 旭 :「手段は選んでられませんし」

荻野目 旭 :ため息をついてから、サイトくんに向きなおる。

荻野目 旭 :「そんなわけで……サイトくん」

荻野目 旭 :「申し訳ないんですけど……なんといいますか」

荻野目 旭 :「まだ驚くと思います。がまんしてくださいね」

生徒B :
「ああ。
 何がそんなわけなのかサッパリだが、問題しかないことは分かった」

生徒B :
「本当に驚くと声も出ないらしい。
 それで…」

SYSTEM :
 その少年が思ったより冷静に見える理由は、先に語った通りだ。

 今この時を後で振り返った時、自分が何をしていたのかも定かでないような。
 比較的無感動に見える少年は少年なりに、現実の咀嚼に時間を要しているだけのこと。

 …そいつが、ふと顎で、目を逸らしたものを指す。恐らくは最初の、時間を要した“現実”を引き連れて来たものだ。

生徒B :
「アレの話しなくていいんですか?
 僕の『捨てる神あらば拾う神あり』の具体例の話」

“パラディン”的場啓吾 :
「そうしたいのは山々だが、横耳に挟むと何があるか分からんぞ?
 
 おまえが“驚くこと”を当たり前にした連中は、おまえのリアクションがそうであるために人生懸けてるわけだからな」

“パラディン”的場啓吾 :
「だから土産話は後にしておくとして、だ。
 ───改めて。“さようなら”じゃないなら、こっちの答えを提示しよう」

SYSTEM :
 そして恐らくは“そう”答えるだろう古巣の人間の対応に、彼はふっと微笑って返す。
 恐らくは今も“リヴァイアサン”が変わらずその手綱を握る日本支部の子供たち/チルドレンを前に。

“パラディン”的場啓吾 :
..              チルドレン
「裏切らないうちはよろしく。子供たち。

 それ以外で呼んでほしければ、自分から名乗れ。
 同じ船のうちは汲んでやるとも」

荻野目 旭 :「……“ナイトホーク”です」

“パラディン”的場啓吾 :
「いいだろう。
 明日の敵に名乗るには正しい名だよ」

SYSTEM :
 薄らと笑う表情は少し皮肉めいていて。
 男はひらひらと手を振って、遠くに臨む白い獣の陽炎を見つけると、背を向ける。

 人がいなくなり次第、話すこともある───少なくとも『クラスメイトの才人くん』がいる間に、ダイレクトでぶちまけない程度の配慮が必要な軽い世間話。

SYSTEM :
 その背中に。
 少年の反応を庇うように、
 あるいは抑えきれなかったように、言葉が響く。

“イリュシデイター” :
 ・・・・
「あなたは」

“イリュシデイター” :
「あなたは、何と呼ばれたいのですか」

“パラディン”的場啓吾 :
「“パラディン”さ。

 置いて行かれちまっても、
 これで呼ばれるのは慣れたからな」

SYSTEM :
 ………的場啓吾の名を名乗らなかったこと。
 それが自分の発言と照らし合わせての答えだ。

 恨みや憎しみがあるわけではない。
 いやむしろ、この場に限れば隔たりも蟠りもなく手を貸してくれるだろう。

 ………だが、だからこそだ。

SYSTEM :
 彼の名乗り名、それは。
 彼の意志で敵に回すと決めた相手に使う、守るものに置いて行かれた騎士の銘。

SYSTEM :
【Check!】
 以降ラウンドから、NPC「”パラディン”的場啓吾」が使用可能になりました。

パラディン :
[“パラディン”的場啓吾]
 肉体:11 感覚:4 精神:5 社会:2
〈白兵〉:20 〈回避〉:10
 シンドローム:ブラックドッグ/モルフェウス

・所持エフェクト
 球電の盾(ラウンド1)
  /メインプロセスの結果以外で『活動不能』になるNPCが出た時
   同じエリアに居合わせていたならば、その効果を自身が引き受ける
   またはPCの受けるダメージを[10]点減らす(片方のみ効果を適用できる)
   メインプロセス中同エリアでなくとも使用可能

 超電磁バリア(シナリオ1)
  /対象が受ける予定のダメージを[6D]軽減する

 ????(????)
  /ゲーム開始時は使用不可能

SYSTEM :
※!:“パラディン”は『蝕みの君』ならびに『渇望喰い』との『FS判定』には参加しません。

木口龍 :
「──しっかし、コードネームねえ。通り名で呼ぶのは特殊部隊にありがちなんだが」

 ううむ。オレにはその感覚がわからん・・・。と呟いておく。

荻野目 旭 :「そりゃあまあ、ぼくら特殊部隊ですからね」

木口龍 :「どういう風につけるもんなんだ? やっぱ人から呼ばれたのをそのままってカンジなのか?」

“虚の狩人/残骸” シホ :「それは、まぁ、自称も他称もありますが…」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 どちらにせよ“コードネーム”は大抵の場合、その人物の名刺代わりになる。
 その人物が“日常の裏側”で歩んだ道程が名前に刻まれる。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ───“パラディン”。
 その名に、彼は何を刻んだのだろう。

木口龍 :
「……そういうモンか。パラディンといやあ騎士だが……」

 ……はて、オレのコードネームはほんとになにわの探偵だったんだろうか。記憶無いから適当に名乗ってるだけかもしれん。

タイガーアイ :
「諧謔か? 偶然か? 
 素行が奇天烈でも前者でないと見える」

タイガーアイ :
「そこから先は止しておけ。
     そ       れ
 守護者の集まりから出た守護者の勘繰りが、
 お主の依頼ならば構わぬが」

木口龍 :「ああいや、単純な疑問で、オレの悪いクセだよ。考え始めると、どうにも止まらない」

木口龍 :「そう、なにわの探偵なんていう児童書みたいな名前を何故オレは名乗っているのだろうかという部分から始まる。人間は考える葦だ。考えることだけが、世界を廻す……いやいいオレの話はこの場じゃあどうでもいいか」

木口龍 :「遮ったようで悪かった。続けてくれ」 すっと促します。

タイガーアイ :
「その疑問は我々が最初の邂逅から懐いていた部分だ
 考え始めの遅い葦であるな お主」

タイガーアイ :
「だが、理屈がなければ気が済まぬのが所以であるなら………。
 物事など、存外、どんな他愛のないものにも理由があるという」

タイガーアイ :
 ・・
「何故を忘れた人間など、置いて去られるだけだ。
 この場を離れた後、掘り起こせる場所に置いておくのだな」

SYSTEM :
 わざとらしい明滅。
 
 あなたの諧謔に付き合ったのか、単純にあなたの不透明さへの興味だったのか。
 ………“パラディン”の名前をこれ以上掘り下げることを、敢えて遠ざけることに好奇心でも見出したか。そいつは、シホの首に下がった出不精のまま、賢者の仕草を続けていた。

木口龍 :「いやいや、いざ考え始めるとってだけであってだなぁ……考えなければそう、とめどなく出てくるもんだ。金田一耕助もそう言っている」

 ほんとかは知らん。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………、…………………」

荻野目 旭 :「……………」

木口龍 :「……な、なんだ、揃いも揃って」

荻野目 旭 :「えっと……」

荻野目 旭 :「突っ込み待ちですよね?」

木口龍 :「なぜ」

SYSTEM :“タイガーアイ”は激しく明滅した。

SYSTEM :少しウケている。

“イリュシデイター” :「………ともかく」 咳払い。

“イリュシデイター” :
「一旦戻りましょうか。
 サイトくんのことや“パラディン”のこともそうですが………」

“イリュシデイター” :
「戻って来る二人の進退も含めて、
 一旦整理したいこともあるでしょう」

生徒B :
「驚くハードルだけは高く保っておくよ。
 ……ただ、命の危機以上に驚けるかは分からないな」

生徒B :
「………ああそうそう。あっちから話さないなら僕の方から話すんだけどね、荻野目」

生徒B :
「僕が襲われたのは変な札のついた骸骨。

 さっきの…なに、“パラディン”?
 その人の探し物でもあったらしいよ。勝手に納得してたから、意味は知らないけどね」

SYSTEM :
 自分が襲われてなけりゃ、首を突っ込みたいところではあるんだけどな、という台詞を最後に。

 無神経で割と知的好奇心の強い少年が、“今まで知らなかったことを、あなただけが知っていることの意味”についてあなたに問わず、言いたいことだけ言って区切ったのは、現在進行形でクラスメイトの少年への気遣いなのか。

荻野目 旭 :「……骸骨ですか」

荻野目 旭 :想像できるのは自称ドウマンだ。……それが探し物ってことかな。

荻野目 旭 :そうやって思うのと同時に、申し訳なくもある。……気遣わせたかなあ。そうだよね。はあーあ。

荻野目 旭 :「……わかりました。あの」

荻野目 旭 :「……ありがとう、サイトくん。いろいろとですよ、いろいろと……あれこれと」

荻野目 旭 :「話してること、話せないこと、あるんですけどね。……すみません」

生徒B :
「そう? いいよ別に。
 薄々そんな感じはしたからね。一日経ったら全く違うことを言うかもしれないし、全く興味がないわけじゃないけど」

生徒B :
「今朝かな…昨日か? 此処にいると時間が曖昧だ。
 その時のカミキの手間分と………案内先でゆっくり寝れることでイーブンにしといてくれ」

SYSTEM :
 彼は聡明だが、彼の立場では当然分からないことがある。
 
 全く興味がないわけじゃない、がそいつの本心であり…あなた/旭がUGNの人間である以上、戦後の判断はほぼ一択だろうが。

SYSTEM :
 少なくとも、『リュウグウジマ』のいざこざの間。
 驚きのハードルだけはすさまじく上がった方は、この調子で居てくれそうだ。

荻野目 旭 :「……ふふ」

荻野目 旭 :「わかりました。じゃあそれで。『お宿』はだいぶ和風ですけど、寝心地はよかったですよっ」

生徒B :「保障つきならひと安心だ」

SYSTEM :
 軽く、ひらひらと手を振る。
 迎えの白い狗の面影が浮かぶ門の向こう側。先征く“パラディン”、かつて守護者だった時の矜持に置いて行かれた男の姿の反対側に、悪夢の象徴/魂の拠り所を探した落胤の竜を置いてゆく。

 ひとつことの終わりは、そのまま全てのピリオドとイコールではない。
 いまその気持ちを体感したことだろう。己自身が。あるいは、その向こう側から。

SYSTEM :
 そして“クラスメイトの才人くん”の耳に入らない場所で、
 手土産代わりにと、一言二言、さらりと告げたもの───。

SYSTEM :
 ───それは………。

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・シーン22「火折」

SYSTEM :
【シーン22:──】

 登場PC:三廻部 颯
 登場侵蝕:なし(特殊)

SYSTEM :
 ………その数刻後。

 白い狗/ホデリの作った“ゲート”の向こう側。

 “蝕みの君”を討ったこと、“喚楽の人喰い虎”のこと、彼女があっさりと(遺産はさておき)池田咲楽を手放したこと…。
 
 あと、ひょっとすると、仮上司が仮部下について黙っていたこと。
 話すことは幾つもあり、それは話した前なのか、後なのかはさておくとしてだ。

SYSTEM :
 少なくともあなた/颯にとっては。
 話している最中に何も起きない場所、まだ“落ち着ける”と言える場所。そこにトモダチがいるという状況は進展であり。

池田咲楽 :
「………沖川くん?」

生徒B :
「ああ、驚くことまだあるってそういう…」

生徒B :
「いや、勘繰り過ぎかな。
 しばらくぶり…でもないな。なんて言おう。元気?」

SYSTEM :
 ………積もる話を切り出そうとした最中。

 本当に偶然。
 あちらで“見つかった”方と出会ったのが、事の始まりだった。

三廻部 颯 :
「さ、さ、さ、…………サイトくん!!!!!!!!!!!!!!!!」

生徒B :
「こ………声大きいな 聞こえてるよ」

三廻部 颯 :「よ」

SYSTEM :
 お手本の如き驚愕と、
 お手本の如きリアクションだった。

 少年は若干”うへえ”とするのも余所に、軽く手を振る。
 何のかんの、旭が初めてだったとはいえ。知っている数少ない人間だ。

三廻部 颯 :「よがっだあ〜〜〜〜〜…………」

三廻部 颯 :ぐじぐじ

三廻部 颯 :
「よがっだ……ほんどに、ぶぢで……うう」

 なんのかんの、押し留めていたものが決壊する。

生徒B :
「全力で泣くじゃん…。
 まあ、いやでも、冷静になるとよく無事でいたな」

SYSTEM :
 呆れたような声は自分にも向いたもの。
 他人事のように処理するには身近に過ぎるクラスメイトの反応に、冷静になってみるとふつふつと不幸中の幸いが響いて来たらしい。

 少年は幾つかぼやいてから、

生徒B :
「そっちこそよく無事だったね。
 間一髪? 荻野目? それ以外?」

三廻部 颯 :「間一髪……で」

三廻部 颯 :「旭くんとばったりって感じに」

三廻部 颯 :
 あの時、
 砂浜で起こったことは告げない──告げれない。
 少なくとも目の前の彼には。

池田咲楽 :「無事と言いますか、………」

池田咲楽 :
「ぎりぎり何事もなかった。でいいかな。
 私はついさっきだけど」

生徒B :
「ふうん…そう。

 荻野目、“ああ”だった上に僕ら探しもしてたなら、やること多そうだな」

三廻部 颯 :「それはそう……」

SYSTEM :
 あなたの反応に本当に気付いていないのか、何かあると分かった顔でも詮索を止したのか。
 少年は、一旦これを置いておく選択をしたらしい。と、なれば、三人で共通の話題は………。

生徒B :
「なんにせよ無事は無事だ。歩き疲れた。
 よく自然がどうこう言うし、その辺のバラエティ番組で無人島がどうのってのは見かけるが、僕は二度と御免だ」

三廻部 颯 :「そうだね……0円生活って苦しいんだなあ」

生徒B :
「せめて鉄腕の方にしときなよ
 なんでそっちに詳しいんだ三廻部」

三廻部 颯 :
「ちっちゃい頃見てた」

三廻部 颯 :
「……でもこんな話が出来る状態でいられてよかったと思う」

池田咲楽 :「(この言い方からして沖川くんの方も普通に知ってるよねコレ)」

生徒B :
「それはそうだ」

生徒B :
「だから、まあ。
 こうなってくると、他の連中のことも少しは気に出来る」

三廻部 颯 :「かみきくんとか……」

SYSTEM :
 そして三人共通の話題が何かと言えば、
 ・・
 これだ。

 遭難者が、まさか自分と颯と咲楽しかいないとは思わない/思えない。現に才人以外は、自分たち以外にも島に流れ着いたのがいることを知っている。

生徒B :
「普通の島なら“まあなんとかするんじゃないか”で片付けたんだけどね。カミキ」

三廻部 颯 :「……うん、あ、そ、そうだそう」

三廻部 颯 :「やまちゃんも居るの、見なかった?」

生徒B :
「ここで残念な事実を言うなら、僕が最初に会った話の出来る人は“カタギ”じゃない感じの人。最初に会ったクラスメイトはなんと荻野目だ」

生徒B :
「で、その言い方………。
 二人か、あるいは咲楽かな。それが山田さんとカミキを見ていたが、此処にはいないと」

三廻部 颯 :「……うん、そうなるね」

SYSTEM :
 淡々と内容を整理する才人の言葉に、どこかばつが悪そうに視線を逸らす咲楽。
 それもそのはずだ。黙っていても、付き合いの長い颯と、自分の言いたいことしか言わないこの少年に甘えてコミュニケーションは進むが、それがますます「ばつの悪さ」を加速させたらしい。

池田咲楽 :
「………。居るには居たよ。
 というか、最初に会ったのがその二人」

池田咲楽 :
「目ェ覚まさない颯の面倒は任せるから、他のクラスメイト探してくるって言いたいことだけ言って。
 止めたら逆ギレで…止める言い方が悪くなかったとは言わないけど」

生徒B :
「いや? たぶん悪いのカミキだよ。

 最初に山田さんか、三廻部が言えば、たぶん渋々残った」

生徒B :
 ・・・・・・・
「きみが言うからムキになったんだ、あいつ」

三廻部 颯 :「そうなの?」

SYSTEM :
 その場を見て来たわけでもない彼が、まあそうだろうな…と言わんばかりの指摘を終える。

 目の敵にしていた相手からの指摘だから、というよりは。

生徒B :
「そうだと思うよ? 
 ああ、これオフレコね。この状況でムキになるくらいなら、いい加減巻き込んで吹っ切って貰おう」

生徒B :
「あいつ、親父さんと仲悪い一番の理由が、
 ウチの事情に束縛されるのが嫌だからで」

生徒B :
「だから、きみが大人しく家の事情聴いてるように見えるのがなんか嫌なんじゃない?」

池田咲楽 :
「………いや、そうだとしてああいう態度になるの?
 別に、うちの事情が“ヘン”なのは今に始まったことでもないけど」

三廻部 颯 :「……嫉妬だ!」

生徒B :
「なるんじゃな………嫉妬かなあ?」

三廻部 颯 :「だってそういう感じじゃない?」

三廻部 颯 :「他にいい言葉あったらそっちでもいいと思うけど……」

SYSTEM :
 ………曰くカミキとよくつるむ少年の言葉。本人からの又聞きか、あるいは推察か。
 
 ただクラスでの彼は概ね“ない”ものの少ないタイプだった。あなた/颯が環の中心に近いところにいたように、彼はクラスの環を作る側だ。

SYSTEM :
 その赤都上樹が家の事情を話したことはない。敢えて言うなら、リュウグウジマのあれそれには関係のないことだ。

 そして上樹が、聊か裏の多かったらしい池田咲楽の実家と、そこの事情でよくクラスから『浮いた』彼女を見て、それを良しとする仕草を見て、何を思ったのか………。

 それも、言ってしまえば、あまり関係のない話だ。

池田咲楽 :
「………それだと私が何言っても拗れるじゃん」

三廻部 颯 :「まあ……」

三廻部 颯 :「そうだね……」

生徒B :
「だろうね。ああ、言ってもいない時からその辺突っついてはやらないでほしいが」

生徒B :
「流石に、この状況で変に意固地になられても困るしさ。
 帰り方探して、僕が蚊帳の外になったら幾らでも拗れていいけどね。その時はあっちの肩持つし」

SYSTEM :
 ………そしてもう一人の“山田さん”と、あるいは、まだいるかもしれないクラスメイトや先生。

 少なくともあなたの前にいる二人は、知っている顔のままだったが。
 残る者達が、知っている顔のままいてくれるだろうか。

三廻部 颯 :「喧嘩なんてしてほしくないんだけどなあ……」

三廻部 颯 :
 本質的に言えば……、
 颯という少女は争いごとを好まない。
 必要ならば自分が口を開くこともあるし、よほどのことがあれば拳を振るうこともあるが、
 少なくとも本人はそれを肯定的に捉えたことは……表面上はない。

三廻部 颯 :
 本当は喧嘩はしてほしくない。
 だからこそ、こういう時は手を取り合うことをしてほしい……と思っている。
 実際に再会したらどうなるのかは、分かったものではないのだが。

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
 ふと思う。
 私はもう、不可逆の存在になってしまった。
 人に戻ることはできない。
 だから……彼らはいつか、この島のことを「忘れさせられる」のだろう。
 その時は私のことも、忘れてしまうんだろうか。
 都合よく、私の人間の部分だけを見るようになるのだろうか。

「………」

三廻部 颯 :
「……早く見つけないとね。
 喧嘩するにしろしないにしろ、生きてなきゃできないもん」

池田咲楽 :
「………そう、だね。
 その時は、拗れるくらい安いものかも」

生徒B :
「そうだけど、何、三廻部。
 変なもの拾い喰いしたの」

三廻部 颯 :「なんでよ」

生徒B :
「なんでだろうね」

三廻部 颯 :
「変なきのこなんて食べてないってば!」

生徒B :
「色の鮮やかなやつは100%ヤバいやつだよ 池田さんも手綱持ってやって」

池田咲楽 :
「えっ、ああ、うん…いやそこで私に振る?」

SYSTEM :
 して欲しくないことが実際にどう転ぶのかの後、脳裏をよぎったものが、若干の殊勝さを滲ませたからか。
 それを聞いた少年が他愛もないところに話の舵を切る。

三廻部 颯 :
「う〜〜〜………」

三廻部 颯 :
「わ……私だって結構深刻に考えてるんだい!」

生徒B :
「ふうん。そう。
 トランプとかやらせた時『なんでわかるの』って台詞出してそうな三廻部がね」

生徒B :
「まあいいや、それで………」

SYSTEM :
 そう。他愛もない話が、ふと違う方向に切り出されようとした時だった。

SYSTEM :
 あなた/颯の視界に。
 それがふと目に留まる。 

SYSTEM :
 少年/沖川才人の身から、ゆるりと浮き上がるもの。

 ふわりと浮かんだ光の粒。いや…海色を宿したそれは雫だったのか。

SYSTEM :
 空に紛れるような薄らとした色の塊。
 少年からゆらりと浮いたそれが、天へと昇るように浮かび上がっていく。

 …彼に一切の自覚もないことは、口を開いている最中だったから分かることだ。
 だが。

池田咲楽 :
「? アレ………───」

SYSTEM :
 海色の光の粒は。ふるくから水底に馴染んだもののひとかけら。
 あなたにとっては、見覚えのないものではないし。

 それを仮に視線で追っていたとしたら。
 追いかけていたのは、あなただけではなかった。

SYSTEM :
 視線で追っていたそれは、海色の光の粒。やがて少年の外側から遠ざかって。
 

SYSTEM :
 ───ぱしゃん、と。 
 それが、はじける。 

三廻部 颯 :「……え?」

SYSTEM :
 ………なんでもないクラスメイトに宿っていたのか。
 その水のかたまりは何処に向かったのか。

 波紋のように空に広がり、
 空気に融け込んで混ざる。

 ………空想を作るひとかけらが。
 空想の島へと還ってゆく。

SYSTEM :
 その時───。

█▇▅▇▇▅█ :
    またせきこと ゆるせ
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

█▇▅▇▇▅█ :
   なんじのかえりしところに
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

   かのうみに かならず
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :
 あなたにとっては、知っている音。
 水の底の、小さな音。

 波紋のように拡がった感覚と一緒に、
 それに呼応するように響いたものが。

 頭を、いざなうように 揺らし。
 瞼を、安らぐ揺り籠の内のように重くする。

SYSTEM :
 渦巻くものの音が。
 それ以外のみなを、意識の外側に遠ざけていく。

とおい声 :
「………───は、やて───?」

とおい声 :
「あれ───なんで───」

とおい声 :
『───おい───ちょっと………───?』

SYSTEM :
 倒れ込む音がする。
 あなた自身の音だ。

 心配にしては少し間延びした、少年の声が、水の音に拾われて遠ざかる。
 それきり響くことは、今はない。

SYSTEM :
 引き摺り込まれるように墜落し、
 押し流されるように浮遊して。
 海底へ潜り込むように移転する。

SYSTEM :
 水底に人はまぼろしを夢想した。
 ならば、あなたの視界に映るものは。

▇▇▇▇▇▇▇ :
“ああ。やっぱり此処にいた”

▇▇▇▇▇▇▇ :
“………けれど、あなたのトモダチだったのね。
 ごめんなさいを言う回数が、また増えてしまったかも”

▇▇▇▇▇▇▇ :
“こういう時は…。
「がっかり」されるのかしら?”

SYSTEM :
【シーン22:火遠】

 登場PC:三廻部 颯
 登場侵蝕:なし(特殊)

SYSTEM :
Tips-ホオリノ▇▅█
 カヴァー/ワークス:█████/検怪異使
 性別:男性 年齢:█████ 侵蝕率:██6%
 シンドローム:バロール
 
 所持Dロイス
『遺█継██/█り██花』

 所持ロイス
『████ノ██』

 生まれついて天下無双の素質を持った若者。
 全盛期は安倍晴明にすら覚えのあった強靭な検怪異使であり、時代と巡り合わせがあれば英雄になっていた人物。
 凡庸な名もない海辺の村落で生まれ、名を遺す機会に恵まれなかった勇者。

 だが、その始まりは特異な力の持ち主ゆえに兄に手を焼かれ、村人からもまた疎まれ。
 幼少期に自分の道具を失くしたことで兄からついに愛想を尽くされたことに起因する。
 素朴な人柄ながら凡そ対話能力に欠如した彼は、己の力を他人のために使うことに躊躇いがなかったが。
 己の力が、人と隔絶しているという当然の話に気が付いていなかった。
 すなわち彼は、無双であると同時に孤独だった。
  
 ………彼は途方に暮れ、何処かへと彷徨うある時、夜の海辺でひとりの女に出会う。
 その女に恋い焦がれたことが、若者の、終わらない夢の始まりだった。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………瞼を開ける。
 あなたは、水の滴る音で目を覚ました。

SYSTEM :
 身を預けていた地面は岩肌なのに、堅さとは無縁で。
 薄暗く仄かな洞の中なのに、水に触れているような感覚がする。

 途切れた本の頁を、差していた栞から読み返すように。
 少しばかりの既知感を切欠に記憶をたどるあなたには、気付くことがあった。

SYSTEM :

 なにしろ二度目だ。
 ここは───海の底。

 あの青年が少年だったころ、ひとりの女に誘われて消えて行った水の底。そこで途切れた、焼き付くように遺った記憶の底。

 文字通り、薄れて消える記憶のひと欠片。

SYSTEM :
 なにが切欠か、いま再び引き込まれた、泡沫の旅路に………しいて違うものを挙げるとすれば。

反響する声 :
「………ぅ………う、ん………」

SYSTEM :
 反響する声は、そのゆめまぼろしとは無縁のはずの。
 あなたのトモダチ/咲楽だったことだ。

三廻部 颯 :
「ま───」

 たこれだ。
 夢にしてはあまりに実感がありすぎて、幻にしてはあまりに現実味がありすぎるもの。
 この島に眠るであろうものの記憶を辿るログコース。

三廻部 颯 :
 まあ、それだけなら辿っていけばいいと思っていたのだが……。

三廻部 颯 :
「あぇ!?」

三廻部 颯 :
 ……よりによって、
 なんで咲楽がここにいるの!?

三廻部 颯 :
 いや……なんとなく理由はわかる。
 お守りのことと、家系のことを考えれば、引き摺り込まれるのは想像できてたことだ……!

反響する声 :
「───あ、れ。
 ………水の音? なんで………」

SYSTEM :
     池田咲楽
 ………目覚めのいい方が瞼を開ける。
 寝つきの良い彼女だが、
 起きた出来事は眠りからのお目覚めではなく、途中でぶつ切りにした意識の再起動だ。

 何が起きているのかを頭が受け入れるには時間もかかる。
 ぼんやりとした瞳が、知っている声と驚きの顔を見上げた。

反響する声 :
「颯? なんだ颯………、」

池田咲楽 :
「………いや、いや待っておかしい」

SYSTEM :
 何時も通りの象徴を取り囲む、
 何時も通りでないものの纏まりに。

 がば、と跳ね起きる。
 ほんの僅かな時間のうちに様変わりした風景に身を強張らせた彼女が、あなた/颯に目を向けた。

池田咲楽 :
「此処………何処? 沖川くんは?
 颯は………いるんだよね。これ幻覚とかじゃないよね」

三廻部 颯 :
「う、うん、私はいるよ! あっ」

三廻部 颯 :
 ふと思って、胸に手を当てる。
 海色の光を身に纏って、自分の姿を書き換える。

「ここ……幻でも夢でもないよ」

池田咲楽 :
「ソレ、さっきのヤツ………」

三廻部 颯 :
「万が一、危ないから……」

SYSTEM :
 夢まぼろしのようでいて、夢まぼろしじゃない。
 何処かふわふわと浮いたような感覚の中。レネゲイド/不思議な力は、これが確かに、誰かの足跡の地続きだと示していた。

 ………万が一は、途切れた時のことを覚えているからだろうか?
 眉を下げたあなたの言葉に、咲楽の視線が泳ぐ。

池田咲楽 :
「…危ないって」

池田咲楽 :
「じゃ、万が一があったらどうするの」

三廻部 颯 :
「逃げる」

三廻部 颯 :
「逃げれなかったら……」

池田咲楽 :「逃げられなかったら?」

三廻部 颯 :
 逃げれなかったら。
 想起する野良犬の一件、あるいは砂浜の時の出来事。

「……空手で追っ払う」

池田咲楽 :
「………」

池田咲楽 :
「その顔で言っても説得力ないよ。
 ………いや、私もおんなじかな?」

三廻部 颯 :
「……まあ、そう」

SYSTEM :
 嘆息ひとつ。
 あなたの“まだ言えない”/“いつか言う”に接触することなのを呑み込もうとする複雑そうな顔が数秒続く。

池田咲楽 :
「責めてるんじゃないよ」

池田咲楽 :
「前みたいなのはやめてね。
 いなくなる想像は、身構えてないと、ちょっと無理」

池田咲楽 :
「………。んああ。違う違う、そういうこと言いたいんじゃない。
 えっと、その…」

三廻部 颯 :「落ち着いて喋ろ?」

池田咲楽 :「普段の私の台詞ぅ!」

池田咲楽 :
「………。ごめん。
 “それ”と言い、此処と言い、ずっと何が起きてるのかサッパリで。けっこうテンパってる」

池田咲楽 :
「でもいつか言ってくれるんでしょ?
 …じゃあ、今は黙ってるし、“分かんない”に首突っ込まない」

池田咲楽 :
「…あんまムリしないでね。
 とりあえず、それだけ。うん…」

三廻部 颯 :「心の準備がね」苦笑する。

SYSTEM :
 ムリしないでね、を。
 恐らくムリしないといけない状況なのは分かっていても、途切れ途切れな彼女の声は、眉が下がったあなたに無反応ではいられなかったらしい。

 苦笑いが告白した些細な臆病につられて、くすり、と笑う間も。何かが起きたり、何時かのような“理不尽”が舞い込むことがないのが、不幸中の幸いだった。

SYSTEM :
 水音がいくつか響く。
 
 朧げな風景は、いつかの古風な村とは違う。もはや現実の何処に根差すかも定かでない場所だ。
 ぽつり、ぽつりと光が浮かんでは水泡のように消えていき、それと共に波紋のような音が広がっては消えていく。

 ………ここに。
 もしもいないはずの/あなたが知り合った誰かが居たのならば、その意味に気付いたかもしれないが。

SYSTEM :
 それはただの雑音だ。

 足跡の持ち主がそうと認識していたわけではないのか、はっきりと音の響くけど、雑音。

 ………洞の中は、真っ直ぐに伸びているが、そもそも洞というには壁も何もない。
 ただ、はっきりとしたところに歩いて行けるだけ。水底の、形ないものの住処。

SYSTEM :
 行き来する光の粒が、魚群を横切る。
 ………夢まぼろしでないと分かっていても、俯瞰すれば、夢まぼろしと言われた方が腑に落ちる風景。

三廻部 颯 :
 無理はできない。
 無茶をすると、お腹を痛くする人たちがいる。
 難しい話だ。
 成し遂げたいことのためには、きっと無理をしなくちゃならないけれど……、
 それをすると悲しむ人がいる。

 咲楽は、そういうひと。

三廻部 颯 :
「……にしても、おっかしいなぁ……」

三廻部 颯 :
「……前もこんな不思議なことがあったんだけどさ。
 その時はなんていうかこう……村?みたいなところだったんだよ」

三廻部 颯 :
「ここ……海じゃんね?」

池田咲楽 :
「そうですけど。
 ほんとに夢…じゃないんだよね」

池田咲楽 :
「………不思議なことって言うけど、村からコレは色々変わり過ぎだ。
 冷静になると呼吸出来てるのも変だし、水の中にいる感覚も曖昧だし………生きてるうちにこんな経験二度としなさそう」

池田咲楽 :
「…しなさそう、なんだけど…」

三廻部 颯 :
「生身でダイビングなんてふつーありえないしね」

三廻部 颯 :
「けど?」

池田咲楽 :
「………いや」

池田咲楽 :
「………知らないはずなのに………。
 ちょっと落ち着くのが、逆にむず痒い感じで………?」

三廻部 颯 :
「……そういえばさ」

三廻部 颯 :
「空港でなんかそれっぽいこと言ってたよね。
 海に対してそんなに怖いかなーとかそういう」

池田咲楽 :
「ああ、言った言った。
 というか、話してなかったっけ」

池田咲楽 :
「そう言えばアウトドア系あちこち突っ込んだ気分でいたけど、こういうのは初だったかな。今懐かしむ空気じゃあないけどさ」

三廻部 颯 :
「色々ありすぎて記憶の引き出しが………」 
 ごにょごにょ

池田咲楽 :
「どうすんの今からソレでおばあちゃんなったら」

三廻部 颯 :
「玉手箱開けてないよお」

池田咲楽 :
「誰と誰が浦島太郎じゃ」

SYSTEM :
 冗談半分に言葉を投げかけながら、その引き出し量/基本受動の彼女を引っ張りまわした回数の多いあなたの記憶に曰く。

 池田咲楽は、凡そ水回りのことで隙がなかった。 

SYSTEM :
 ………実際に海に行った回数がどの程度だったかはともかく、泳げるようになるのはあなたよりも早かったし。
 家では滅多に見れないテレビをあなたの家に言ってみる時、『本当は怖い海の生物!』みたいなドキュメンタリーがやっていた際も、それを怖がるような仕草が特になかった。

 向いている、向いていないとは別で。
 それが運動神経の話となると、彼女は凡庸だったけれど。

池田咲楽 :
「昨日の今日だけど」

三廻部 颯 :「うん」

池田咲楽 :
「目に見えるもの殆ど不思議風景なのに、自分はあんまりおかしくないって思ってて、それでテンパり薄れてる感じ」

三廻部 颯 :「実感がないってこと?」

池田咲楽 :
「それもあるかもだけど。
 拙いな、ここ掘り下げたら私だんだんアホなこと言い出してる気がする…」

三廻部 颯 :「ふふ……落ちてきな……」
 雑なキメ顔。

池田咲楽 :
「水の中? …で無理心中希望しないで、芥川龍之介でも目指す気なの颯は?」

池田咲楽 :咳払い。

池田咲楽 :
       ・・・・
「………あんまり怖くないんだ。

 あの黒い狗とか…人のこと担いで大爆走してくれた時はそうでもなかった、悪い方の颯のトモダチとか…。
 あの辺みたいな、ぞわぞわするというか、寒気のする感覚がないの」

SYSTEM :
 そう言いながら、彼女は「むー」と唸り始める。
 ………そうしている間にも何かが起きる気配はない。足跡をたどる序の口にすら入っていないからかもしれない。

SYSTEM :
 水の中に広がる洞。
 少しずつ鮮明になっていく、周囲に浮かぶもの、泳ぐものの残滓で仄かに光る道筋がそれだ。

 しかしそれはそれとして、颯に、自分の中で浮かぶ言葉を、疑問交じりに口にする咲楽の様子は、ずいぶん珍しいものでもあった。

SYSTEM :
 面倒がる時は多くても、言う時はわりとハッキリ言うクチだからだ。

三廻部 颯 :
「ふむう……」

三廻部 颯 :
 ・・・
 確かに。
 砂浜で私がやられちゃった時とか、全力疾走の時と違って、
 一般人が知るわけもない現象に巻き込まれてなお──落ち着いている。
 そりゃあ、戸惑いこそあるけれど。

三廻部 颯 :
「……お守りの話。
 あのお守り、この島に、すごく深く関わってるんだって」

三廻部 颯 :
「……咲楽のお守りとか、ご先祖様のこととか……。
 もしかしたら、それ由来なんじゃない?」

池田咲楽 :
「持ってかれちゃってたみたいだしなあ…」

池田咲楽 :
「………まあ。ウチが、いろいろ“まだ早い”で見せてくれないものの多いトコなのは知ってるつもりだったんだけどさ」

三廻部 颯 :
「まあ、そうじゃないと……」

三廻部 颯 :
「この光景に、咲楽がいる説明がつかないし……?」

池田咲楽 :
「巻き込まれ整理券みたいなのあるの?
 ご先祖様由来だったらすごいありがた迷惑かもしれない、それは」

三廻部 颯 :
「それはそうなんだよね〜」

池田咲楽 :
「………御守りも………なんだったかな。
 元々は水回りのことに関わってたらしいし。ホントにそうかもね」

池田咲楽 :
「あんまり知らないけど、いま手元にないのが良くないんだっけ。
 ………実感ないな。けっこう雑に扱ってたし、アレ………」

三廻部 颯 :
「雑ってどんくらい?」

池田咲楽 :
「帰って来て虫の居所が悪かった時に、ぽいって机に投げたりとか………たまに放り出したりとかもあったし」

池田咲楽 :
「でも、持ってなさい、の理由教えてくれないんだものね」 

SYSTEM :
 ………こんなコトならこっそりとでも調べ回るんだった、と。
 咲楽が、いろいろなものを含んで息を零す。

三廻部 颯 :
「まあ……」

三廻部 颯 :
「そもそも私たちがこんなことに巻き込まれること自体、予想できないんだしさー。
 後悔したってはじまらないとおもう、たぶんね」

三廻部 颯 :
「……となるとさー。
 この海の光景も、そのお守り由来ってことになるんだろうけど……」

三廻部 颯 :
「歩いてみる? ここでウダウダしてても意味ないだろうしさ」

池田咲楽 :
「そうしてみよ。さもないと…颯」

池田咲楽 :
「ほんとに浦島太郎なっちゃったりするかもだし」

三廻部 颯 :
「この姿のままお婆ちゃんになるのかな」

池田咲楽 :
「なんか昔見せてくれたアニメの…なんだっけ…なんかにいたね、そういう人」

池田咲楽 :
「まあ冗談。ここで魚の数数え出す前に…出方でも考えがてら行こうか」

三廻部 颯 :
「うん……あ」

池田咲楽 :「どしたの」

三廻部 颯 :
「はい」
 右手を差し出す。
 誰にでも向けてきた右手。
 友達だろうと、そうじゃなかろうと、はたまたそれが虎でも。

三廻部 颯 :
「はぐれたらたいへん!」

池田咲楽 :
「ほー、はぐれたら。はぐれたらですか。
 いつもあっちこっち寄り道するの颯だったくせに」

SYSTEM :
 冗談めかした台詞と一緒に、あなたの右手には左手が返された。
 躊躇う仕草も特になかった。

 ………幼馴染になる出来事の前。もっと小さい頃は、差し出しても無反応か、呆れたように“他の子探せば”で返してきた。何ならたまに門前払いの居留守でもあった。
 めげずに付き合った昔と今の差だ。

三廻部 颯 :「ここはあっちこっちの行きようがないしなあ〜」

三廻部 颯 :「……それにさ」

池田咲楽 :「それに?」

三廻部 颯 :
「また……あんなことみたいになったら嫌だから。
 今度は二人で、ちゃんと逃げよう!」

池田咲楽 :
「…じゃ、今度こそね。何もないのが一番だけど」

SYSTEM :
 何もない、を想像するのは難しい風景の中で。
 咲楽が、改めてあなたの手を取る。それが、歩き出す合図だった。

SYSTEM :
 仄かに光る形のない道。水の中で水面を歩くような、脳が戸惑う風景。
 ぽつりぽつりと響く水の音。数を増していく、揺らぐ光の粒。

 波紋のように拡がる雑音は、通るものに話しかけているようでもあるが、あなたたちに向けられたものではないのも、何時かと同じだ。

SYSTEM :
 親しみ、好奇、歓び、興味。
 無邪気なものの希薄な色。

 ………ややあって、その雑音を敷いた道を歩いてゆく先。
 恐らくは“そう”だろうという、ひとの背が見えた。

SYSTEM :
 かつて少年だった青年の後ろ姿。
 途切れた追想の主だった少年は、薄々察していた通り………。
 あなたに刀を譲り渡したあの青年だったからだ。

 それが、広がる海の行き止まりと錯覚するところで止まって、何かを見上げていた。

SYSTEM :
 そこに何かがいることだけは分かっても。それを“何”と形容するのは難しいものだ。

 ………それに向かって、何事か口を開いているのが分かる。

池田咲楽 :
「あれ…人?」

池田咲楽 :
「すみません、ちょっといいですか………───」

SYSTEM :
 背に言葉を投げかけた咲楽に対する反応はない。

 それもそのはずだ。
 ………夢のかたちは地続きだった。
 ならばそれが、追想に過ぎず。流れるものに立ち会う以上のことが出来ないことは、颯も存じているだろう。

SYSTEM :
 ………咲楽は呼びかけに応じない青年に、怪訝に眉を下げるけど、あなたの手をぐいと引っ張って、正面に立って再度試す…なんてことはしなかった。

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「これ、多分ね。
 誰かの記憶を……映像のように再生してるものだと思うの。
 だから、声をかけても反応がないし、触れないし……」

三廻部 颯 :
「ちょっと難しいけどね。
 ……この人が誰と喋ってるのかとか見ていかない?」

池田咲楽 :
「動画流してるみたいに?
 ………不思議だ不思議だと思ってたけど、なんでまた」

三廻部 颯 :
「そこは……わかんにゃい」

池田咲楽 :
「雰囲気だけ掴んでってことね。
 分かんないけど、分かるよ」

三廻部 颯 :
「そうしてほしいなあ」

SYSTEM :
 ならばなんで自分たちが? と戸惑う仕草もそこそこに、
 彼女は青年と言葉を交わしているのだろうものを見ようと見上げる。 

SYSTEM :
 そこには、仄かな光の集まりがあるだけだ。

 あるいはそう見えるだけで、具体的なかたちを想像しがたいようなものが。

SYSTEM :
 会話と呼ぶには、どこか打ち付けるような音が、波紋のように拡がる。
 ………その間に見えたものに、咲楽が、困ったように目を細めた。

池田咲楽 :
「あの首飾り………」

三廻部 颯 :「もしかして」

SYSTEM :
 あなたにとっては既に確信のあることで。今までの話から結論のついたことでもある。
 ただ彼女にとって、それは“なんで”に等しい話だ。

池田咲楽 :
「………おんなじだ。
 これが、何時のころなのか知らないけど…」

『青年』 :
『───今日までの持て成し、忝し』

SYSTEM :
 ………そのあなたたちの言葉と。
 少女の戸惑いを遮るように。

 光の群れに、青年が頭を下げる。
 誠意か、詫びか。

SYSTEM :
 再び広がる音の群れに、彼は言葉を紡ぎ直した。

『青年』 :
『されど、我が身には兄がいる…』

『青年』 :
『失せものを、返して詫びねば』

『青年』 :
『………我が身の、たった一つの血の繋がりなのだ。
 喪わば、如何に恩返そうか』

SYSTEM :
 ………音の広がりが数度跳ね返る。

 それは、意味のないことを諫めるようにも、哀れむようにも、引き留めるようにも聞こえた。
 青年はその都度『否』か『忝し』とその後に『されど』を繰り返すだけだ。

『青年』 :
『あやかしと蔑まれども
 兄はそのあやかしの世話をした』

『青年』 :
『水底恋しく思えども、彼女恋しく思えども…
 人、かのようにあるべしと教わった…』

SYSTEM :
 ………仄かな光が、うっすらと弱まる。
 そいつのところにやって来た一つの束が、彼に何かを授けるように降りてくる。

『忝し』の言葉と共に受け取った青年が、深々と頭を下げた。

『青年』 :
『彼女によしなに願い奉る』

SYSTEM :
 …しきりに“彼女”を気にして。
 恐らくは、あの村よりも遥か居心地が良かったのかもしれない場所に、恩義を返せぬことを詫びて。

 それで、彼は踵を返した。何処かへと歩いて行く。
 ………その背に、光の束が波紋のように拡がる音の波をぶつけた。悲しむような、哀れむような。素朴で希薄な、大きく年輪を重ねた赤子の矛盾した音。

三廻部 颯 :
   ・・・・・
「……ホオリさん」

三廻部 颯 :
 呼び声は背中に届かない。
 海の底の中で、泡とともに消失していくだけの媒介だ。
 
 彼は海の底に居続けているわけじゃなかった。
 伝承通り──お兄さん、つまり……ホデリさんのところに帰った。

 ここは居心地が良くても、
 ……あの人にとっては、唯一の家族なのだ。

池田咲楽 :
「ホオリ………? 
 それが、あの人の名前?」

三廻部 颯 :「たぶん……」

池田咲楽 :
「………なんだかフクザツだな。“あれ”持ってる人が、家族とあんまり仲良くない感じなの」 

池田咲楽 :
「どっか行っちゃうよ。…どうする?」

三廻部 颯 :「いこう……追っかけよう」

池田咲楽 :
「オッケー。…実際、さっきの話だと動画みたいなんでしょ? だいぶサッパリだったけど」

池田咲楽 :
「今の人をなぞるなら…とりあえず、此処から出る手掛かりかもだし。それに…」

池田咲楽 :
「………それに………いや、いいや。
 勘違いにしときたい」

三廻部 颯 :「んー……あとで聴ける?」

池田咲楽 :
「変な思い込みしてるだけかもだけど。
 じゃ、イーブンだ」

三廻部 颯 :「ん、そうしよう」

三廻部 颯 :「……じゃあ、急いで追いかけよう!」

SYSTEM :
 あなたの手を取ったままの彼女が、知らぬ間に手を確かめるように握り返していた。

 海の底だという朧げな洞を、そう悪いものと受け取っていなかった青年の仕草が。
 此処を怖いものと思わなかった自分の胸中に似通うと感じた彼女の思い込みなど、察するのは容易いだろう。

SYSTEM :
 ………先を行く男の背を追う。
 追い越すほどの距離には辿り着かず、見失うような位置にもいかない。

 光を辿るように歩く先が、ないはずの石段を空想させる。

SYSTEM :
 ………やがて………。
 そう短くない距離を行った先。

SYSTEM :
 知っている場所に辿り着いた。
 海の底とは違うけれど、海の底に繋がったどこかに。

SYSTEM :
 後ろを振り返っても、そこには石段があるだけで。
 あなたの記憶している限り、ついさきほどまで広がっていた海の蒼はない。
 あの、幻のような風景もない。

SYSTEM :
 ………正面、言うに及ばない。
 咲楽があなたの手を、また確かめるように握る。伝わってくるのは、さっきより少し強い戸惑いだ。

SYSTEM :
 鳥居。
 ───あの青年と出会った鳥居。

 彼がくぐろうとしていた場所は。
 あの海の底で、あなたが最後に辿り着いた場所だ。

三廻部 颯 :
「っ、ここは……」

三廻部 颯 :
 忘れもしない、あの鳥居。
 自分がここで、それまでの自分と別れを告げて、今ある自分と初めて出会った場所。
 当然と言えば当然なのだ──あそこにいたのだから、ここに行き着くのは。

三廻部 颯 :「───……っ」

三廻部 颯 :

「……っ、ホオリさ───ん!!」

 両手をメガホンがわりにして、名前を叫ぶ。
 ……望み薄ではあるのだけど。

池田咲楽 :「っわ、………た、」

SYSTEM :
 一礼もしない青年の仕草を、平時の彼女ならばいつものように反応したかもしれないが。
 あなたが“雰囲気が似ていた”と思う場所だ。当の本人にとって“それ”どころでは済まなかったのかも知れない。

 勢いよく、しかも間近で不意打ちめいて響くシャウトに、咲楽がたたらを踏む。

SYSTEM :
 そして当然のことながら、名前に応えてくれるわけではない。
 ………彼は鳥居を潜り、そして、あの向こう側から現れたように、今度は消えて何処かに向かうのだろう。

 あるいは“そこ”が。
 海の此方と彼方を隔てる場所なのかもしれない。

SYSTEM :
 ………彼は鳥居を潜った。

 いや、潜ろうとしたのだ。
 そう述べるべき状況の所以は、青年が足を止めたから。

『青年』 :
『………』

『青年』 :
『何故来たり?』

SYSTEM :
 そしてそれは誤解を招く言いぐさだったが、あなたの声に反応したわけではなかった。

SYSTEM :
 ………石段に、水滴が落ちる。
 

SYSTEM :
 振り返ったのは、咲楽が先だったが。

池田咲楽 :
「………あっ───」

SYSTEM :
 声にならない感嘆か、別の色が零れたことが、背後のヒト/モノへの第一印象。
 振り返ったならば、気配の隠れないそいつに、あなた/颯もまた、似たような感想を懐くだろう。

SYSTEM :
 人のなりをしているけど。
 人とは思えないくらいに“きれいな”少女。

 あの時、海上で“たわむれて”いた彼女。
 唯一の違いは、その姿が少し育ったことと、恐らくは首飾りを青年に渡していたこと。

▇▇▇▇▇▇▇ :
 困った人
『──────』

▇▇▇▇▇▇▇ :
 行ってしまうの?
『──────────』

SYSTEM :
 ………音は、いつかの時と同じように。
 知らないのに知っている響き。

SYSTEM :
 以前と比べて格段に、声らしい声。

 薄く笑っていたそいつの用件の先は、
 間違いなく青年にあって。

SYSTEM :
 ………青年が足を止めた名残。

 水底に向かった理由が。
 きっと、出会った時は言葉すら定かでない彼女だった。

三廻部 颯 :
 咲楽が振り向く。
 つられて私も振り向いて──「あっ」と声を上げる。
 見覚えしかない姿。
 以前の記憶を巡ったときにも見た、青い髪の。

 知らないはずなのに、
 聞いたことのある響きを出すひと。

三廻部 颯 :
「首飾りが……」

▇▇▇▇▇▇▇ :
 水面の向こうで獣を追い回す日々の話も
「──────────────────────────」

▇▇▇▇▇▇▇ :
 貴方のしかたがない“お兄さん”の話も
「────────────────────────」

▇▇▇▇▇▇▇ :
 これで聞けなくなるのね
「────────────────」

SYSTEM :
 にこやかに笑った女の言葉は、無意識が聞き留めたものよりははるかに拙く。
 かつて水辺で戯れた姿よりはずいぶんと人の言葉になっていた。

 青年は応えない。瞑目するばかり。
 それが”困っている”仕草など誰が分かろうものか。

▇▇▇▇▇▇▇ :
 お兄さんは、あなたと違うのに…
「─────────────────────」

▇▇▇▇▇▇▇ :
 それでも帰るの?
「────────────」

『青年』 :
「帰らぬ理由なくば。…」

『青年』 :
「置き行くことを赦せ。
 ▇▇▇▇▇▇▇」

SYSTEM :
 名前を呼ぶ。
 ただその呼び名は、眼前の女の名前だということがわかるだけで、なんと言っているのかははっきりしない。

 ………構図は簡単だ。
 海の上に戻る方と、“同じ”を引き留める方。

『青年』 :
「汝、彼方で生きられぬ」

SYSTEM :
 たとえ女が近づいても“赦せ”を繰り返すばかりの男は、腰に差した一振り以外は身の着のままで、鳥居の向こうに何が広がるかも定かでない。

 ………だから、女が『あきれた』ように息を吐く。そういう仕草を見様見真似でやるような形の溜息。

▇▇▇▇▇▇▇ :
 .贈り物、失くさないようにね
「───────────────────」

▇▇▇▇▇▇▇ :
その珠が、わたしとの繋がり
「────────────────」

▇▇▇▇▇▇▇ :
その刀が、わたしとの繋がり
「────────────────」

▇▇▇▇▇▇▇ :
それがあれば、会いにいけるもの 
「────────────────────」

SYSTEM :
 ………手放すなと。念を押す仕草。
 無遠慮に着物を掴んだ手が、恐らく本音だろう。

 青年は、振り返る前に、その手を掴んで、口数少なく語るだけ。

『青年』 :
「ここに誓う」

『青年』 :
「………再び逢おう。
 ただひとりの海の巫女」

SYSTEM :
 海の上では生きられぬと語りながら、兄のもとに戻らねばと語りながら。
 いくぶん言の葉を紡ぐのが上手になった、と、珍しい感情を口にするなどした青年にとっては、どうもその“海の巫女”は大事なヒト/モノであるようだった。

SYSTEM :
 ………男が、鳥居の方へと歩いて行く。

 足取りの遅さと、それを見送る女の手が。
 名残であることを知らぬのは本人ばかりだ。

SYSTEM :
 …光が広がる。
 それと共に、あなた/颯の身体に伝わるのは浮遊感だった。

 あの時、此処から浮き上がる瞬間と同じような。

池田咲楽 :
「………巫女───」

SYSTEM :
 ぼんやりと、あなたの手を取ったままの彼女の声だけが響く。
 ………目覚めの時には遠い地続きの道の中。ただ、なんでもない、珍しすぎない別れの風景を、あなたは目にしていた。

三廻部 颯 :「……」

三廻部 颯 :「ねえ、さっきなんか、ここに見覚えありそうな反応してたけど」

池田咲楽 :
「………似てるだけ。似てるだけだから」

三廻部 颯 :「ほんとに?」

池田咲楽 :
「首飾りも、この風景も、あの女の人の雰囲気も。
 ………本当に。本当、かな………」

SYSTEM :
 所在なさげに空いた方の手で指折数えた彼女が、一度あなたの方を見る。
 かぶりを振った仕草は、全く縁もゆかりもない、顔すら知らないものに郷愁めいたものを感じる自分の”おかしさ”への不安でもあった。

SYSTEM :
 ………何なら既知感で言えばあなたも同じだ。

 彼が腰に下げていた一振りの刀は、
 あなたに、あの青年が渡した刀とそっくりだ。

SYSTEM :
 ………そう。
 ・・・・
 手放すな、と。
 海/私との繋がりだから、と。
 
 伝える側が未成熟であるから、それを手放すことの意味が別にあるかもしれないことを差し引いても、
 恐らくは彼にとって手放す理由のなかったものと。

三廻部 颯 :
「……きっと、似てるだけじゃないと思う」

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「私が"こう"なった理由も、
 きっとそれと無関係じゃないから」

三廻部 颯 :
 手放してはならないものと、渡されたもの。
 私の体の中にあるものを思って、胸を押さえる。

「まだ追いかける?」

池田咲楽 :
「───じゃあ私が、」

SYSTEM :
 いろいろなものを織り交ぜにして口にし掛けた台詞は、途中で止まった。

 口にする猶予がなかったからか。
 そこから先は口にすると拗れるかもしれないことだったからか。息を吸って、小さな“ごめん”の言葉と共に、二人は気付く。

SYSTEM :
 伝わるちいさな浮遊感は。

 男の追想と風景が切り替わる合図。
 それにあなた/颯と咲楽が引き摺られる合図でもあったからだ。

SYSTEM :
 ………。
 ………………。

SYSTEM :
 ………潮風が遠ざかる。
 仄かに立ち昇る光は、間近の手の感触以外を曖昧にしていたが。
 それが元に戻った後の、どことなく曖昧な風景は、きっと、ある事実の証明でもあった。

SYSTEM :
 ………青年が浮き上がって、辿り着いたのは、彼の知っている村ではなかった。
 少なくとも、少年が青年になるまでの月日が空いていたせいか。あるいは、単に同じ場所に出て来れるわけではなかったのか。

 ………兄の行方と手掛かりは何処にもなく。
 青年は、それから暫く、人の気配を辿るひとり旅だった。

SYSTEM :
 時たま、水の音に振り返る仕草が視界に入る。後ろ髪を引かれるような感触と共に、彼は、兄の居所を探す旅路を始めた。

 ………旅路は、さほど彼にとって“おもしろい”ものではなかったらしい。
 たまにすれ違う者の、他愛もない話を。彼が、「人の多いところ」に向かうための指標にしていることがわかるくらいだ。

池田咲楽 :
「………」

池田咲楽 :
「なんか、ずっと。楽しそうではないよね」

池田咲楽 :
「そんなに億劫なら、さっきの人のところに居れば………。
 ………いいってわけでも、ないのか………」

SYSTEM :
 浮上直前の“ごめん”も、直後の旅路で飛んでいったのか。
 トモダチの眉はそれなりに長い時間下がったまま。どこか、外に隔たりを作って、兄と記憶の手掛かりを探る旅を始めた青年の背を見ていた。

三廻部 颯 :
 なんとなく"ごめん"を言った理由はわかる気がする。
 わかるからこそ、颯も問い詰めはしなかった。

三廻部 颯 :
「家族が……大事なんじゃない?」

三廻部 颯 :
「どんなに喧嘩しても、どんなに仲違いしても……、
 家族は家族だから」

 楽しくなくても、それが人生だったのだろう。

池田咲楽 :
「…だって。だけどさ」

池田咲楽 :
「…ほんとに…ご先祖様なら。
 ほんとに…さっきまでの気持ちが勘違いとかじゃないなら、あの人…」

池田咲楽 :
「………。今日になってから、ずっとトンチンカン言ってるし、聞かされてる気分だ。
 私、どんな顔してればいいの………?」

SYSTEM :
 ・・・・
 御先祖様の、お兄さんか弟は、なにかひどいゴタゴタがあった………。
 他でもない彼女が言った言葉だ。

 本当に“そう”なら。
 あるいは、この『弟』は………。

SYSTEM :
 弟が兄に会うことだけを目的としたなら、きっと生きているうちに何かを残すことはないのだろう。

 …そういう残酷な認識の第三者を、遠い時代の身近に置かされる感覚。薄氷の下に引きずり込まれる者の戸惑うような台詞を絞り出した咲楽は、それからかぶりを振る。

池田咲楽 :
「…考えすぎだといいな。
 もう少し追ってみる?」

三廻部 颯 :
「そうしよ」

三廻部 颯 :
「どんな顔をすればいいかは、私にもわかんないけれど……。
 中途半端な状態だと、なんにも結論は出せないと思うし」

池田咲楽 :
「そうかな…」

池田咲楽 :
「ちょっとアタマ冷えるまで、先送り出来る余裕はあるって信じたいな…。
 こんなことなら本当に、もうちょっと、ウチの言いつけに不真面目になるんだった」 

三廻部 颯 :「冷やしたいね……まあ、実は私もだし」

池田咲楽 :「これでお揃いなってもなあ」

池田咲楽 :
「…ん。よし、大丈夫。
 そう言えばさ、颯…」

池田咲楽 :
「この間も似たようなことがあったって言うけど、その時はどうやって帰ったの?」

三廻部 颯 :
「えっと……ねえ」

三廻部 颯 :
「怖い人が出てきて目が覚めた」

池田咲楽 :
「すごい夢見悪い時の夢の終わり方なんだけど、
 ねえこれホントに夢でもまぼろしでもないの?」

三廻部 颯 :「そうみたい」

池田咲楽 :
「ここでボケて来ない辺りは本当だな…。
 …いや、分かってる。分かってるよ」

三廻部 颯 :「む〜」

池田咲楽 :「あ、タイム、何その予想外の困惑」

三廻部 颯 :「そこまで軽んじられているとは……」

池田咲楽 :「普段の自分といま見比べてみなさいちょっと」

三廻部 颯 :
「普段は普段!」

池田咲楽 :
 .  禁  じ  手
「“それはそれ、これはこれ”じゃん。
 ………いや本当に、分かってる。分かってるからさ」

池田咲楽 :
「テレビの向こう側とか、目が覚めたら飛行機の中とか。
 …そういうのは過ぎてるんだなってのは」

三廻部 颯 :「……まあ、なんていうか」

三廻部 颯 :「頑張って飲み込むしかないっていうか」

三廻部 颯 :「がんばろ?」

池田咲楽 :「なんじゃいその優しい台詞は 諭すな先生か」

池田咲楽 :咳払い。

池田咲楽 :
「とりあえず、今は…それで何とか呑み込むよ。無理そうだったら…」

三廻部 颯 :「だったら?」

池田咲楽 :
「あー…何時もみたいにしてて」

三廻部 颯 :
「ん」

SYSTEM :
 誤魔化すようでも、少し寄り掛かるようでも、大丈夫だとあなたに伝えたいようでもある台詞の後、彼女は颯の手をぐいと引っ張った。

 これだけ話していても、青年の背姿は視界から途切れなかったからだ。

SYSTEM :
 ………その行く道が、やがて。
 誰の足跡もないようなところではなくなるまでに、青年はどれだけの時間を歩いたのだろう。

 顔色一つ変えていないことも、歩幅と間隔が落ちていないことも、その背中からはすぐに窺えた。

SYSTEM :
 今まで見ていてわかることはひとつで、彼は一つ事のために前に進んで、回り道をしない、良くも悪くも愚直で素朴な人間だったということだ。

 その辿り着いた先で、青年の人柄を見抜いて、悪用を思い付かないような、都合の良い出会いでもない限り、彼が兄のもとに辿り着くことはないだろう。
 そして、それを伝えたところで、彼/首飾りと刀の青年は行動を変えないのだろう。

SYSTEM :
 ………夢まぼろしのように解れていく大地と草花の色。
 文字通り、薄れて消える記憶のひと欠片。
 そのままここに留まっていたならば、あなたの顛末は、また、ふわりと浮き上がるように元の場所に戻るのだろう。

 以前と同じように、だ。

SYSTEM :
 ………青年が、ちょうど何処と知れない、村か都かの姿を認め、歩く姿。
 そこから先を辿ろうとした時に、それは訪れた。

SYSTEM :
 ふと逸らした視線を戻した時。
 まるで、最初からそこにいたように。

█▇▅▇▇▅█ :
      な ん じ 
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

█▇▅▇▇▅█ :
    なにゆえ 再びある
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :
 はじめからそこにいたかのように。
 あなたの眼前に、阻むように。
 赤い虚ろな瞳に光を覗かせたものが、立っている。

 いつかに曰く。
 夢の終わりに訪れる“怖い者”。

SYSTEM :
 底から響く声。
 近いのに、遠い声。
 そこにいるけど、そこにいないあなたに“いま”気付いたところまで同じだが。

 そいつの視線は、まずあなたを見てから、咲楽を見て。

█▇▅▇▇▅█ :
    なにゆえ そこにいる
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

█▇▅▇▇▅█ :
   彼女ならざる 彼女似る
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
  

█▇▅▇▇▅█ :
      汝 何者なるや
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

池田咲楽 :
「え、───は?」

SYSTEM :
 揺らぐ赤い瞳が。
 あの時は不快と嫌悪を織り交ぜた殺意で、あなた/颯を見た、死者の瞳が。

 そこにいないのにいるものに。
 目を血走らせるように光らせた。

█▇▅▇▇▅█ :
    きとほくなれど
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
  あの者の誘いに溺れ幾星霜

█▇▅▇▇▅█ :
      ようやく
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
 ようやく 彼女のもとに着いた

█▇▅▇▇▅█ :
   だが いつわらざれば
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
  だが 彼女を騙るものならば 

SYSTEM :
 喜びと訝しみの入り混じった言葉と共に。
 ゆらりと、その体が持ち上がる。

SYSTEM :
 瞳を向け、佇み。
 己の識るところに、己の知らぬものがいたことを厭った成れの果てが。

 ゆるりと、距離を詰めようとする。

SYSTEM :
 …息を呑む、小さな声。

SYSTEM :
 何が起きるかは、明白でなくとも。
 それは咲楽にとっては、
 二度目の理不尽の形だった。

三廻部 颯 :
 間髪入れず、咲楽の前に出る。
 右手に握った砂に熱を込め、光を与え、一本の長物に変じさせる。
 剣というには無骨すぎるし、槍というには短い。
 なんとなくというイメージで作られたものであったからだ。

「……"ホオリさん"」

三廻部 颯 :
 漠然とした推論で導いた名前を口にする。
 "ホデリ"さんの言う事を信じれば、きっとそうだ。
 だから名前を呼ぶことで少しでも意識をこちらに割かせたい。

SYSTEM :
 呼び名を呼ぶことよりも、前に赴いたことの方が。
 彼にとっては、ずっと、意識に留まることだった。

 確かめようと、その顔を覗こうと歩いて来た男が。立ちはだかる一振りに目をやる。
 何のために、に応えてくれることは前もなかった。ならば、名前に如何程の価値があろうか。

█▇▅▇▇▅█ :
   汝 なにゆえ阻む
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
  そこを退け 用などない

SYSTEM :
 それ故に、起こることは単純で。
 前に出たあなたがそうしたのも、逃げられるか怪しいことだったからだろう。

█▇▅▇▇▅█ :
     遺しし無二
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
 俺の遺したただ一つの心残り

█▇▅▇▇▅█ :
     阻むとあらば
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :

 暗黒の中から、再び刃が夢を纏う。
. モ ル フ ェ ウ ス
 思い描くものを形にする為の、あなたと同じに見えて、異なるすがた。
 今にして思えば、それが似通うのは当たり前だ。

SYSTEM :
 どんな、誰のレネゲイドにも、等しく同じ力を授ける守り刀。

 ───男の無事を願って渡したレネゲイドの標こそが、その一振りだった。

池田咲楽 :
「───だめ、待って颯、」

SYSTEM :
 震えた声が背に掛かる。
 待っての次は逃げようなのか、逃げなきゃ、なのか。似たような意味なことは確かだが、それを紡ぐよりも先に。

█▇▅▇▇▅█ :
      うせよ
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅ 

SYSTEM :
 あの時のように、その一振りが持ち上がる。

 赫怒を宿した、双つと無き無双の剣客。
 火出の尊───誰ぞが言った、平安にて名を遺せぬ無銘の兵。

SYSTEM :
 名残に伸ばした手を阻むものがいると分かったそいつの行動は、単純だった。

 ───単純だからこそ。
 いつかのように。誰にも止められは、しなかった。

SYSTEM :
【Check!】
 判定が発生しました。

 判定:〈白兵〉
 目標:30
 Success:『???』後にイベント進行
  Failed:イベント進行

 備考:成否を問わずシナリオ進行
.   失敗後、別シーンで再度挑戦可能

三廻部 颯 :わ、わあ〜っ……

GM :

GM :左様…

GM :30です。

三廻部 颯 :
えっと……エフェクトを使います!
<カスタマイズ>+<c:モルフェウス>で!

GM :ふむ………

GM :分かりました。それもいいでしょう。

三廻部 颯 :いきまあす!

三廻部 颯 :(3+1+5)dx7+6 <白兵> (9DX7+6) > 10[1,1,2,3,3,4,7,7,9]+5[3,4,5]+6 > 21

SYSTEM :
【Check!】
 判定に失敗しました。

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 65 → 69

SYSTEM :
 ふたたび、瞬きのうちに間合いが詰まる。

SYSTEM :
 呼吸すら忘れる、微かな時間の間隙を縫ったひと太刀は、
 最初に途切れた記憶の栞の中、反応の余地なくあなたを斬った太刀だ。

SYSTEM :

 忘我か、意図してか。それに反応できたのは、目が馴れたから。 

SYSTEM :
 同じ得物の、同じ矛先。
 海色の光を伴い、裂帛の気合を携えて振り抜かれた打ち込みは、
 突き詰めてしまえば、あなたに出来ないことでもなかったから。 

SYSTEM :
 ───であれば。 
       ・・
 次はそれが、二度来る。

SYSTEM :
 瞬きのうち、間合いも常識も跳ね除けて。
 時を捻じ伏せて左右から同時に挟み込む死の咢。

 それも防げば、次は三度。
 海色を塗り潰す黒星は、鋭く断つのではなく。
 刃が纏った黒きちからで圧し潰す一太刀。骸に嘗ての冴えなどなくとも、十分に荷の勝つ相手だった。

SYSTEM :
 ………その刃の苛烈さが増していく中で。
 亡者の情念も、また苛烈を纏う。

█▇▅▇▇▅█ :
   ・・・・・・・・
 ───何も遺らなかった

█▇▅▇▇▅█ :
   ・・・・・・ ・・
 ───俺がいた証は 何も

SYSTEM :
 その情念は赫怒であり悲嘆であり。
 あるいは、己が識るもの/必ず待っていてくれるものへの情念でもあったが。
 ・・・・・
 ホオリさんとは似ても似つかぬ感情だ。今のところは、確実に。

 ………そしてこれを測っている暇なども、颯にはなかった。

SYSTEM :
 瞬きのうちに目が覚めた時と比べれば、
 幾分の進歩ではあったかもしれないが。

 瞬きのその向こう側に訪れる嵐は、押し通れるものでも、捌き切れるものでもなく。

 であれば、ああ順当に───。

池田咲楽 :
   ・・・
「───やめて!!!」

▇▇▇▇▇▇▇ :
   ・・・
 ───ホオリ!

SYSTEM :
【Check!】

 Dロイス『遺産継承者/海鳴の石板』の所持が確認されました。

 所有者:池田咲楽、▇▇▇▇▇▇▇
 

SYSTEM :
【Check!】

 Eエフェクト『時空の裂け目』の発動が確認されました。

 所有者:▇▇▇▇▇▇▇
 

SYSTEM :
 数十回目の白刃の煌めきの後。
 最後に聞いたのは、トモダチの絶叫に重なる、どこかで聞いたことのある聊か慌てた声。

SYSTEM :
 …数十回目、白刃が煌めく最中に聞いたのは。

 双つ目をついに得られなかったのだろう、
 過程を飛ばした物の怪の動機だった。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
Tips-▇▇▇▇▇▇▇
 カヴァー/ワークス:海の巫女/▇▇▇▇▇
 性別:女性 年齢:█████ 侵蝕率:███%
 シンドローム:????
 
 所持Dロイス
『神▇』『遺産継承者:海鳴の石板』

 所持ロイス
『ホオリノ███』

 海の底にて揺蕩うだけ、
 海の上にて戯れるだけだった、海に連なる豊穣の巫女。

 たった一度、月下で独り戯れた姿を捉えた、独りの少年と引き合った。
    ・・
 人とは違うもの同士の邂逅は、鏡を合わせるようなものでしかないけれど。
 彼女は彼を通して人になり、彼は彼女を通してよすがを知っていった。

 ………これはそれだけの話。それが残し繋いだものは、決して多くなく。
 その多くないものは、目で確かに見える形でなかった。

SYSTEM :
 ………。
 ………、………。

SYSTEM :
 既知感を伴って、ふわりと引き上げられていく感覚がする。
 刃の痛みはない。そもそも切り結んでいる時も、痛覚の警鐘はなかった。

 微睡む中で見て、邂逅したものの歩みに影響はなく。それがあなたの身体に影響を及ぼすこともない。

SYSTEM :
 ………ならば途切れた意識がふっと戻って来た時。見上げるものは、古風な天井で。
 肌を撫でるものは、この場所にあるのかも定かでない微風で。

生徒B :
「………。起きた? おーい?」

SYSTEM :
 目覚まし代わりの声は、
 直前に他愛もない話をしていた少年のものだった。

SYSTEM :
 ………誰かの歩みに、あなただけは触れる機会があり。
 そこに、なぜか咲楽だけは巻き込まれる理由があり。
 咲楽と“ホオリさん”の間には、定かでない繋がりと所以があった。

 目覚まし代わりの声を聴いても、残ることだ。

三廻部 颯 :
「わ、っ───」

 眩い光と共に、ちょっと成長した体格の姿で颯は目を覚ます。

三廻部 颯 :
「……お、おきました」

生徒B :
「そう。寝てる間の数分で百面相してた挙句のイメチェンについては目を瞑った方がいいのかな」

三廻部 颯 :
「つ、瞑ってくれると嬉しいかもな〜……あはは」

生徒B :
「荻野目曰くの“言えないこと”シリーズ?
 気にしなくていい。興味ないって言えば全然嘘すぎるけど」

三廻部 颯 :
「ごもっともです……」

SYSTEM :
 後者が概ね本音のようだ。
 好奇心が勝らなかったのは、自分と身近なものが当事者だからだろう。

 ………そうこう喋っている頃には、隣で倒れていたトモダチが、軽く身動ぎする。

SYSTEM :
 身動ぎは意識のお覚醒めの合図。

 頭が暈ける時間も許されなかったのか、
 そいつと来たらすぐに跳ね起きて。

池田咲楽 :「っ───」

池田咲楽 :「颯! ………」

池田咲楽 :「あ………あれ、なんともない」

三廻部 颯 :「なんともないです……」

SYSTEM :
 跳ね起きた瞬間彼女が、
 視界に映った颯を何度か揺さぶる。

SYSTEM :
 なんともないのアンサーが鸚鵡返しで、数秒ほど思考が現実を受け入れる時間が必要な間、がしっと肩を掴みっぱなし。

 ………大き目の安堵の息。額にふっと浮かぶ冷や汗がぽつりと床に落ちる。

池田咲楽 :「………なんとも………ほんとに、怖いヤツで目が覚めた………」

三廻部 颯 :
「ほんとに怖い人です……」

池田咲楽 :「………」

生徒B :
「これも目を瞑っといた方がいいやつ?」

池田咲楽 :「いま説明しろって言われても『分かんない』しか出ないことって人生経験でなかった?」

生徒B :
「現在進行形だけど? まあいいや。
 とりあえずおはよう。疲れてる? まさかと思うけど寝心地悪いの此処?」

三廻部 颯 :「個人差」

生徒B :
「僕は荻野目にお墨付き貰って来たんだけど となれば後は個人差が近いことを信じるしかないな」

SYSTEM :
 微睡みの切欠は、少年の身の内から出て来て、はじけた海色の雫だった。
 確かめようとしても、その痕跡は何処にもない。そして彼自身には自覚もあるように思えなかった。

SYSTEM :
 ………起きた“何事か”は。
 今のところは、あなたと咲楽の胸中だ。

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「び、びっくりさせちゃったね、ほんとごめん」

生徒B :
「これが少し前ならどんな反応したものか分からなかったけど、今びっくりのハードル上がり切ってるんだよね」

生徒B :
「………ほんとに疲れてるなら休めなくても休んどきなよ。あれこれ大変そうなのは分かるけど」

三廻部 颯 :
「うん……」

生徒B :
「君の事情なんか今見ても分からないから、僕はこうやって言いたいことを言うしかない」

生徒B :
「次は空港前の時くらいの調子でよろしく」

三廻部 颯 :
「正直その方がサイトくんっぽいし、
 そっちの方が安心するけど」

三廻部 颯 :
「……咲楽も休む?」

 休む、ということは。
 いよいよ説明をせざるを得ないと颯は確信している。

池田咲楽 :
「だ………、いじょうぶ、」

池田咲楽 :
「いや………アタマ冷やしたいな。
 まだ、じぶんの心臓の音がうるさい………」

三廻部 颯 :「でしょ」

SYSTEM :
 途中まで、あなたがしょぼくれた時に決まって強がろうとする池田咲楽の顔が出たが、しかしそれも、さすがにキャパシティというものがあったらしい。
 近くの手摺に寄り掛かり、もう片方の手があなたのもとに覚束なく伸ばされる。

池田咲楽 :「ぐうの音も出ない…」

三廻部 颯 :きゃっち。

三廻部 颯 :
「気持ち的にも落ち着いた方がいいしね。
 空き部屋で時間潰そ?」

SYSTEM :
 咲楽が、こくり、とあなたの言葉に小さく頷く様子は、はたから見れば『急に倒れて目を覚ましてから挙動不審』だが、そこをつつかない分別/あるいはハードルの高さから来る麻痺/あるいは本人の自覚が、少年にもあったらしい。

生徒B :
「なら僕はコレで。
 落ち着いて、カミキか、他の奴が見つかったら、話の続きでもしようか」

SYSTEM :
 立ち去っていく少年を余所に、少し息の荒かった少女/咲楽の呼吸が少しずつ落ち着いてくる。

池田咲楽 :「気を…使わせたな」

池田咲楽 :
「颯も。
 ごめん、手一杯みたいなのに」

三廻部 颯 :
「いいの。
 ……ちょっと前なら、結構手一杯だったけど」

三廻部 颯 :
「咲楽も、サイトくんも見つかった。
 だから、私は今結構きらく!」

池田咲楽 :「………、」

池田咲楽 :
「………そっか。
 知ってる暢気で何よりです」

三廻部 颯 :「でしょ」

SYSTEM :
 苦笑い気味の仕草は、何度か繰り返した“とりあえずは呑み込む”の所作でもあった。

 それこそ、大丈夫じゃない時は“いつも通り”にして、と言っていたように。
 彼女なりの、トモダチへの信頼/不安の手綱を取るトリガーだった。

池田咲楽 :「ありがと」

三廻部 颯 :
 にへ、と笑いながら手を握る。
 ……その信頼を試す、事実を話すことには変わりないのだが。

三廻部 颯 :
「あ、サイトくん」

生徒B :
「この空気に僕呼び止められることある?」

三廻部 颯 :「あるある。一個聞いておこうと思って」

生徒B :「聞いておきたいことね」

三廻部 颯 :
「うん───この姿どう思う?」

 それは突然だった。

生徒B :
「何かと思えば」

生徒B :
「どうと言われてもね。見慣れないとしか。
 あとコレを突き詰めていくと、僕は多分きみにとって面倒な答えを返すよ、三廻部」

三廻部 颯 :
「えっ……」

三廻部 颯 :
「じゃ、じゃあ……かっこいいとかかわいいとかそういう、抽象的な……」

生徒B :
「“どう思う”? のタイプをさり気なくプラス限定にしてくる辺りけっこうふてぶてしいタイプだな 今改めて知ったよ」

三廻部 颯 :「あう」

生徒B :
「僕にとっては本当に、見慣れない、で終わりだよ。
 どういう答えを予想したのか知らないけど」

三廻部 颯 :「あうう……」

生徒B :
「いま殴りかかられたら答えは一つだし、全く知らないヤツがそれで親し気にしたら、流石に距離取るけどね。

 そんなもんだよ。
 サブカルの感想言ったって、中身が三廻部じゃね」

三廻部 颯 :「あう〜〜〜……」

SYSTEM :
 要は『三廻部颯が見慣れない恰好した』で終わり。
 忘れる事勿れ。少年は性格的なもの以上に、ついこの間、生死のハードルで色々なものが麻痺している最中だ。

 あとそれを差し引いても、感性と興味がヒーローショーだのスペクタクルだのに向いていなかった。この夏ゴ○ジ泣きとか言われても先ず『ゴジラ』の意味から聞くタイプだ。

生徒B :
「じゃ、僕荻野目レビューの真実を確かめて来るから…またね」

三廻部 颯 :「…………」がーん……

三廻部 颯 :「またねえ……」

池田咲楽 :「(………ああ、今のは単純に『おしゃれ』とか『似合ってる』とか高評価聞きたかったヤツか………)」

三廻部 颯 :「……いこ……」
 とぼとぼ。

SYSTEM :
 海色の光は、名残さえなく。
 微睡む夢の中、青年と彼女の因果が何処で巡り会うのかも定かでないまま。
 それでも、あなたのトモダチを、どうにか蚊帳の外に置く形で守るのは、難しい話かもしれない。
 その事実と共に、そんな、何気ない出来事に一区切りをつける。

SYSTEM :
 ………その後、あなたの本意がどうあれ、平常運転の友達をどうどう宥める咲楽の手から伝わる動悸は少しずつ収まって行ったが。

SYSTEM :
 …ところで余談を一つ語っておくと。

 咲楽もそんなにサブカルチャーには詳しくなかった。だいたい、というか全部あなたからの又聞きだ。

SYSTEM :
 宥めか慰めか知らないその話が、適切なものだったのかは、さて。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :…ところで。

GM :念のため(先に忘れていたのを)確認しておきますが、ロイスは取得・変更しますか?

三廻部 颯 :ないです!

GM :オッケー!(謎の七つの珠が光を放つ)

SYSTEM :
【Check!】

 プライズシーンの完了に伴い、
 下記の情報が開示されます。

・『蘆屋道満の居場所』

SYSTEM :1d10  (1D10) > 10

SYSTEM :
【Check!】

・「5−3」の判定が開示されます。

・いざなう亡者

 判定/特殊

 支援/存在しない
 
壱:FSシーン発生の可能性あり
弐:推奨【三廻部 颯】【木口 龍】

SYSTEM :

[ - ラウンド/3(結果) - ]

【経過ラウンド】
 3/9
 
【島の変化】
 46〜60:膠着した進行。修正は特にない

【プライズ】
 □□□□□ □□□□□ □□□□□ □□□□□

3:“ミッドナイト・アイ”を発見、合流
5:「明夜白銀」の居場所を発見
8:「渇望喰い」の居場所を発見
11:「蝕みの君」の居場所を発見
14:?????
17:?????
20:?????

 合計:13/20

【友好ユニット】
 5/?
 まだ民間人が「2名」取り残されている…。

【敵対ユニット】
 3/4 COMPLETE!

GM :
 ラウンド3終了となりました!
 なお前回同様、ラウンド4移行前に「必要なシーン」がありましたら、この場、もしくは雑談席で宣誓のほどよろしくお願いします。

三廻部 颯 :(おずおずと手を上げる)

GM :ハイ。

三廻部 颯 :咲楽とお話ししたいでーす……なんて

GM :分かりました。丁度良いタイミングではあるでしょうね。

三廻部 颯 :お願いしまあす

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・シーン23「幕間・玖」

SYSTEM :
【シーン23:幕間・玖】

 登場PC:三廻部 颯
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-遺産『海鳴りの石版』
 効果:嵐や海流を操る術を持つ
 代償:合理的な判断を優先し情を忘れていく

 カテゴリ『海鳴りの石板』。
 嵐や海流…水を操る術を持つ遺産が属する。
 その源流は嘗て海を割ったという偉人が遺した契約の言葉を刻んだ石板であるが、
 旧き時代からいまの池田家に受け継がれた遺産『塩乾珠』もまた、効力の系統樹としてはこの遺産に該当する。 

SYSTEM :
 
 すこし落ち着こう、時間をつぶそう、と。
 白い狗/ホデリがいざなった屋敷の中にいくつもある空き部屋の一つに、あなた/颯が咲楽を連れて来て、少し時間が経った。

SYSTEM :
 はふ、と。小さく息を吐いて、畳に腰を下ろす。
 無理もない。目覚めから間もない彼女にとっては、黒い狼/他称は狗/“渇望喰い”が颯を手にかけた出来事から然程の時間が経った感覚もないのだ。

 テレビや漫画の向こう側で起きるような出来事の当事者───そういう意味では、あなたも然程変わらないのかもしれないけど。

SYSTEM :
 時間にいつまでも余裕があるわけじゃないが、何も余裕がないというわけではない。

 後で話す/後で聞く、には十分な時間だ。

三廻部 颯 :
「よっと」

 胸に手を当て、中心のカラーt……クリスタルを触って光を手に戻す。
 背が少し縮んで、友達たちにとっては見覚えと馴染みのある姿に戻る。

三廻部 颯 :
「……落ち着いた?」

 最も颯自身もあまり落ち着いてはいない。
 今のいままでは咲楽を取り戻すという一心で戦っていたのだから。
 目的の何割かを達成してしまった気持ちと、「自分のこと」の説明がこんなにも早くなるとは思っていなかったことへの準備不足が響いている。

池田咲楽 :
「どうかな。また、わけわかんない話が出たらぶり返すかも」

池田咲楽 :
「“関係ない”で遠ざけられることかって言われると、それも違うみたいだし…あ、顔戻った。オンオフあるんだそれ、やっぱり」

三廻部 颯 :
「うん、っていうか、なんだろな」

三廻部 颯 :
「変身アイテム的な……」

 まあ、それはさておきだが。
 咲楽の立ち位置は確かに、すごく微妙なところにある。
 オーヴァードでない以上、オーヴァード同士のいざこざに巻き込むべきではないが。
 この島には密接に関わっているという、ややこしい状態だ。

三廻部 颯 :
「……まあ、わけわかんない話は多分これからも続くと思うけど───そうだなあ」

三廻部 颯 :
「……何から聞きたい?」

池田咲楽 :
「ずいぶん大きめのキラーパスだな…というか変身アイテムって言葉、しれっと出されるんだ」

SYSTEM :
 ほんの僅か、考え込む仕草。
 
 あなたが聞きたいことがあるように、彼女にもいちばん説明してほしいことがある。
 咲楽が、今の今までそれを聞かなかったのは、友達が『聞けば答える』のを分かった上で、そうするのを何となく憚られる顔をしていたからだ。

池田咲楽 :
「何も、誰も…一番は」

池田咲楽 :
「………颯、あの黒い狗? に、その………。
 ………いや、うん。そこはいい。無事なら、無事以上は、聞きたくない」

池田咲楽 :
「その変身アイテム的なやつ、って。何処で拾って来たの。
 誰かに押し付けられた?」

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「ぶっちゃけられるのと、
 そこそこ長い説明入るのどっちがいい?」

 誰かに押し付けられた、というのは……
 概ね正解だ。
 それが"誰"であるかが問題なのだが。

池田咲楽 :「そんなしょげた顔で二択迫るくらい、苦めの話?」

三廻部 颯 :
「それなりに」

三廻部 颯 :
「それなりどころじゃないかも……」

池田咲楽 :「ハードル上がるなあ…」

池田咲楽 :
「まあぶっちゃけで良いよ」

 颯、長めの説明すると擬音混ざるし。

三廻部 颯 :
・・・・・・・・・・・
「ホオリさんから貰ったの」

 ぶっちゃけるなら、そういうこと。
 それは、直前の記憶回りを共にした咲楽なら、なんとなくわかること。

三廻部 颯 :
「……色々あってね?
 いや、まあ、色々は色々というか……うん……」

 お茶を濁すような言い方になったのは、
 咲楽が自分から切り上げた"最初の質問"にも微妙に関わってくることだからだ。

SYSTEM :
 何故そうなったのか、どういう経緯だったのか。
 どう見ても致命傷だった颯の様子を思い返したくないのか、
 変に気まずい空気を作りたくなかったのか。
 敢えて聞かなかった内容は暗黙の了解でもあり、彼女の想像の外側にある出来事でもあった。

 誰が、下地なしに納得するものか。 
 死んでから生き返りました、など。

池田咲楽 :
「………………」

SYSTEM :
 強い沈黙と下がった眉は。
 言外の、“自分が言ってほしいこと”を相手が言うのを待っている仕草でもあった。

 喧嘩した時、少し落ち着いてから彼女がやる、小狡い所作だ。………が。

池田咲楽 :
「………あの人、か。
 じゃ、質問変える。もうちょっと聞こう」

池田咲楽 :
「颯、流石にあそこまでは足早くなかったでしょ。“それ”のせい?」

三廻部 颯 :
「……うん」

三廻部 颯 :
「……足の速さもそうだし。
 ……その、なんていうか」

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
 座り込んで、目線を同じにする。
 時折そらしがちなそれは、言うことを躊躇っている現れだ。

「……私、ね。
 普通の人間……じゃなくなっちゃったんだって」

池田咲楽 :
「…普通の人間じゃないって、」

池田咲楽 :
「冗談のスケール大きいよ。
 普通に喋ってるじゃん。いつもの颯じゃん。妙に知識の偏るトコも、考え顔に出るトコも、気楽な時いつ疲れるか分かんないようなトコも」

池田咲楽 :
「誰さ、その馬鹿みたいないちゃもんつけたの」

三廻部 颯 :
「……」

▄█▀██ :
 当然の反応だ。
 死んだから生き返りました。
 生き返ったら人間じゃなくなりました。

 そんなものを信じられるはずがない。

▄█▀██ :
 そんなことを言われたら、
 「目の前の少女は本当に自分の知っている少女なのか」とすら思いたくなるだろう。

 だから"馬鹿みたいないちゃもん"なのだ。

三廻部 颯 :
「……うん」

三廻部 颯 :
「それも、私」

三廻部 颯 :
「全部、私なの。
 でも、ね」

三廻部 颯 :
 ・・・・
「これも私、になっちゃったの」

 少しだけ、背丈の伸びた姿。
 自分がそう願ったときに、そう成れるもの。
 颯は、小さな砂埃を手に集約させて、小さな小さな剣に組み上げた。
 手を動かすまでもなく、ただ翳すだけで。

三廻部 颯 :
「……あの、ね」

三廻部 颯 :
 声が、少しだけ上擦った。

三廻部 颯 :
「……冗談じゃ、ないの」

SYSTEM :
 眉の下がった、同じ声の、違う姿。
 あなたの言葉に、咲楽が息を呑む。

 “あのね”の続きに、じっと目をやって。

池田咲楽 :
「………っ」

池田咲楽 :
「誰のせいで!」

SYSTEM :
 あなたの上擦った声に混ざったものに。
 言うなれば”ぶり返した”ものが反射的に零れる。

池田咲楽 :
「誰が………。
 何の理由で、"そんなのしょうがない”みたいに言わせて!」

池田咲楽 :
「………、………そんな顔で。
 報告するようなヤツだと、思わないじゃん」

SYSTEM :
 ………彼女にとっては欠片しか知らないような。『変身アイテム』なんてものがある架空の世界。

 奨めたことは一度か二度くらいあっただろうか? 咲楽はノリは悪い方だったが、とりあえず最後までは聞いてくれた。
 その時のあなたが楽しそうだったかどうかはさておき。少なくとも"そんな顔”では言っていないだろう。

SYSTEM : 
 魔法みたいなこと、当事者でなければ「おお」と感嘆の声一つで流したようなことを、浮かない顔でやったあなたの手へ。まるで確かめるように、触れる手がある。

 ………咲楽の手だ。

三廻部 颯 :
 ・・・・・・・・・
「誰のせいでもないの」

▄█▀██ :
 自分のせいだ、なんてのは一言も言えなかった。

▄█▀██ :
 選択したのは自分だ。
 自分が選択したから、こうなっている。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 あそこで死を選ぶこともできたのだ。

三廻部 颯 :
 重ねられた手を、強く握る。
 手が震えていた。
 溢れた涙は、拭えなかった。

「……誰の、せいでもない」

SYSTEM :
 その震えた手の感触が伝わったのはお互い様。沈黙が僅かに続けば、絞り出すように声が出る。

池田咲楽 :
 ・・・・・・
「不思議なだけじゃ、ないんでしょ」

池田咲楽 :
「あの御守りと、ご先祖様の…」

SYSTEM :
 ………ぎゅ、と握った手と。
 言いかけて止まる仕草は、頭の中で、どんな言葉をかけていいのか/それを口にしていいのかをためらう仕草だったが。

池田咲楽 :
「…なに、したらいい?」

池田咲楽 :
「…だってそれ、理不尽じゃない」

SYSTEM :
 途切れ途切れに零した理不尽の裏に隠れた言葉は、幾分かの、実感の沸かないごちゃまぜの罪悪感で。
 いつか自分の手を取ったトモダチの泣いた顔への、彼女なりの"伝えたいこと”でもあった。

SYSTEM :
 あるいはあなたが今力を込めたり加減を間違えても。手を放そうとはしないだろう。後でそれなりに"ひどいこと”になるだろうが。

▄█▀██ :
 理不尽。
 
 ああ、そうだ、理不尽だ。

▄█▀██ :
 友達の先祖のあれそれに巻き込まれて、命を落としたことも。
 それで、人間をやめるか、やめずに死ぬかの二択を選ばされたことも。
 理不尽と言えば、理不尽だ。

▄█▀██ :
 だけど、それを理不尽という言葉では片付けたくなかった。

▄█▀██ :
 だって、

▄█▀██ :
 ・・・ ・・・・・・・・
 少女は、友達を助けたくて、人間をやめたのだ。

▄█▀██ :
 誰がそんなことを言えるだろう。
 だから"自分のせい"なのだ。
 ・・・・・・・・・・・
 自分で選んだ結果なのだ。

▄█▀██ :
 なにをしたらいい?

 親友の願いを受け止めて、泣きじゃくる少女の手が震えを抑える。
 少しでも力加減を間違えてしまえば──くしゃりと潰してしまいそうなくらいの。

 少女と、少女を分ける絶対的な違い。
 いま、あの”虎"の言葉が、重く重くのしかかってくる。

三廻部 颯 :
「わた、し」

三廻部 颯 :
「わたし、っ、ずっと、ずっど……、ただの、颯でいられると、思ってたのに」

三廻部 颯 :
「みんな、と、卒業、できると、おもってたのに。
 わだし、それも、できなくなる、気がして」

三廻部 颯 :
「わがんない、……わがんないよ、わたし。
 みんなに、どうしてほしいのかも、わかんない」

三廻部 颯 :
「わたしのこと、覚えててほしいってことしか、わかんない」

三廻部 颯 :
 学校だって、終わってから、このまま行けるかもわからない。
 私は私の選択で、人間じゃなくなったけれど。
 じゃあ、この島を出たら?
 私の体の中にあるモノ───"遺産"というものが、私をいつも通りにさせてくれる保証はない。

 だって。
 だって、目の前の友達がそうなのだ。
 "遺産"というものを持っていたから、こんなことに巻き込まれて、誰かに狙われて……。

三廻部 颯 :
「……やだ……」

三廻部 颯 :
「……いやだ……一人に、なりたくない……」

SYSTEM :
 隔たりを前に、何をしたらいいか分からないのはお互い様で。

 よく笑ってよく怒って、ぎゃんぎゃんと泣いても一日でけろっとする友達の、一日では絶対に治りそうもないと見せられた傷口を前に。
 あなた/颯の手を取っていたトモダチが、泣きじゃくるあなたに身を寄せ抱き留めたことに、理由はあっても思考の余地はなかった。

SYSTEM :
 普段受動的なトモダチ/咲楽の、そんな感情的な仕草は、知っているよりずっとか弱い。
 いいや。か弱いのではなく、あなたがずっと強くなっただけ。

池田咲楽 :
「………」

池田咲楽 :
「昔、毎日じゃなかったけど…。
 やけにウチに、遊びに来たよね」 

池田咲楽 :
「帰ってひとりで、言いつけ通りの私を、何が気になったのか、その時は分かんなかったけど」

池田咲楽 :
「居留守使っても普通にズケズケ上がるわ、
 一礼しろって言った翌日には忘れてるわ、
 毎日じゃないけど、ずっと、ずっと………」

池田咲楽 :
「………覚えてるから。それまでも。
 今の顔も。大丈夫」

池田咲楽 :
「だから、うん。
 分かんないなら、したいことしよう」

池田咲楽 :
「ソレがイヤだったら、私が颯に、同じコトやるから。
 ………大丈夫。大丈夫………」

SYSTEM :
 言い聞かせるような大丈夫は不安の証であり、励ましの証だ。
 いつかの保健室、よくばんそうこう付けていたお転婆な小学生が"やらかし”て泣いた時の仕草にしていたのと、ニュアンスは一緒。

 思考の余地はなかったが、理由はあった。

SYSTEM :
 繕うように笑って。
 無意識の涙を厭わず、手を握る。

 押しかけたあなたが言った台詞の、十数年越しの意趣返し。
 隔たりの出来た違う生き物の、地続きの繋がり。

池田咲楽 :
「友達なんだよ。
 これまでも、これからも」

SYSTEM :
 ………あなたが"泣いてほしくない”をした彼女が。
 トモダチだから、同じことをしない理由はなかった。

▄█▀██ :
"きみがあの時殴りかかったものが、ほんのちょっと逸れるだけで。
 私がうっかり、欠伸でもするように力加減を間違えるだけで…… "

▄█▀██ :
"簡単に死んでしまってそれきりのものを。
     ・・・・
 きみは、シンユウと呼びましたけど"

▄█▀██ :
"私はね。ミクルベハヤテ。

 きみが差し出した握手の手を、えいって握りつぶせるし。
 それが出来るような弱いのと、友達になる気はないですよ"

▄█▀██ :
 残響が、蘇る。

▄█▀██ :
"さっきも言ったんですけど。
 この咲楽って子を、シンユウと呼びましたね。少し力を加えれば、折れてしまうようなのを"

▄█▀██ :
"同じではない生き物の目線に合わせてしゃがんで、
 同じじゃない部分は見せないように覆い隠して。
        コレ 
 きみにとって、咲楽は………。
 そういうことをしても楽しいものですか?"

▄█▀██ :
 握られた手。
 少しでも加減を間違えてしまえば、砕けてしまうもの。
 

▄█▀██ :
 オーヴァードは、オーヴァードであるために繋がりを必要とする。
 人を超えた"人"。
 それが、人を超えた"獣"に成り果てないために。

▄█▀██ :
 颯はその繋がりを、口では宣言こそしていたものの。
 やはりどこかでは漠然と捉えていたのだろう。
 それこそ、
 一つの大きな目的を達成してしまったが故に、その後の現実を大きく知ってしまった。

三廻部 颯 :
「……、ほん、とに?」

三廻部 颯 :
「だっで……、わだし、人間、じゃないんだよ。
 ……あの、あの、狼と、同じなんだよ、わたしは。
 人だって、簡単に、壊せちゃう、化け物なんだよ」

池田咲楽 :
 ・・・・
「壊したいの?
 大丈夫だよ。見せてくれたヤツの中にもあったじゃない、そういうの」

SYSTEM :
 作品の名前覚えてないけど、なんて苦笑いして。

池田咲楽 :
「………颯が、そのカッコでしないといけないって思ってることに。私が何の力になれなくても。
 覚えてる。待ってるからさ。胸張って"きらく”にやれるように」

池田咲楽 :
「………それでいい。それがいい。
 だからホント。うん」

池田咲楽 :
「たまにはこっちがこういう"きらく”をやるの。難しいけど、悪くないね」

SYSTEM :
   ・・・・
 ………ごめんね、が残ったままの彼女が。
 それを面に出さなかったのはわざとだ。

▄█▀██ :
 触れれば壊れてしまうもの。
 握れば砕けてしまうもの。
 
 それは、そうしようと思ったときに、そうなること。

▄█▀██ :
"……私は、一緒にいて楽しくなる人が友達だと私は思うの。
 そこに強いとか、弱いとかの物差しは、あんまり関係ないかなあって"

▄█▀██ :
"私は一緒にいて楽しくなる人を友達だと思ってて……、
 私が友達だと思ってる人には、私が一緒にいて楽しくなってくれるように努力してる"

三廻部 颯 :
 ……私は。
 私は、怖いのだ。
 私が、人じゃなくなったことで、みんなが、私のことをそう認識しなくなって……、
 友達でいられなくなることが。

三廻部 颯 :
 でも……、
 でも───咲楽は、そう言ってくれた。

三廻部 颯 :
「……、…………、…………うん」

三廻部 颯 :
「…………うん…………」

三廻部 颯 :
 震える手を、そっと背に伸ばす。
 今はただ──私が、人でなくなっても、人としての暖かさを持っていることを知ってほしかった。
 心臓も、血の流れも、確かなものがあることを知ってほしかった。

三廻部 颯 :
「……ごめん。
 泣いてばっか」

三廻部 颯 :
「泣きたいのは……そっちかもしれないのに」

SYSTEM :
 抱き留めて、受け止め返す。
 落ち着いていない、はお互い様だという主張の中に、
 ちょっと困った声色で、友達/普通から片足外れていたかもしれない人が穏やかに笑う。
 

池田咲楽 :
「じゃ、ホントにイーブンだったね。
 ………いーよ、泣きたい時泣かせてくれれば」

池田咲楽 :
「………だから、まあ、なんてことない。
 ごめんって言っちゃうなら、お互い様」

SYSTEM :
 気にしないで、の言い換えた形で応じる。”わからない”がぶり返さないわけでもないという遠回しの弱音を握りながら、次の日に"けろっと”するまで泣く時はよく泣くあなたを宥めるように。

 ………。

SYSTEM :
 握った手越しに動悸が伝わる。
 穏やかな口振りの友達が、心中まで穏やかとは限らない。
 いっぱいいっぱいで、薄々"自分がそのあなた/颯の力になれることは限られている”と、あの目覚め直後で悟る切欠を持たされていても、泣く友達を優先しただけの話。

SYSTEM :
 ひとりを厭う無自覚に手を差し伸べたあなたの逆。
 ………か弱く、物理的な隔たりをあなた/颯こそが自覚しながらも。背伸びした、同じ目線の友達で居ようとする仕草。

三廻部 颯 :
 泣いて、泣いて、泣いて。
 泣きたくなるのは私だけじゃないのに。
 

三廻部 颯 :
 きっと弱さは克服できない。
 "わからない"ことが増えれば、咲楽だってどう考えるかもわからない。
 先のことなんて何一つわからない。

 結局、
 これが終わった後の私がどうなるかも、わからない。
 何も解決してないといえば、していない。

三廻部 颯 :
 ……解決していないからこそ。

三廻部 颯 :
 今は、ただ……

三廻部 颯 :
 これまでも、これからも、
 友達でいつづけてくれると言ってくれたことが……、救いだった。

三廻部 颯 :
、   、  ・・・・
「……帰ろう、みんなで、絶対に」

SYSTEM :
 残った不安の形は幾つもある。
 
 遺産と呼ばれるレネゲイドのこと。
 海のかなたとのつながりを、それぞれ片割れずつ持っていたあなたと咲楽が、時に置き去りにされたこの島で何をするべきかを解決する目途はまだついていない。

 ………ただ。

池田咲楽 :
「うん。せっかく早起きしたんだものね」

SYSTEM :
 ………冗談めかした彼女が。
 変わったあなたの変わらないものを見ながら、不透明な水平線の彼方へ、敢えて前向きにそう言ったことは。

 たぶんあなたたちにとって、大事なことだったのだろう。

▄█▀██ :

 目覚め。
 多くの存在が目覚めている。
 追い求めたものを見つけて目覚めたモノ。
 友達を守るために、人を捨てて、目覚めたモノ。

 今挫けていても、もっと恐ろしいことが待っているのかもしれない。

▄█▀██ :
 けれど、

▄█▀██ :
 奇跡は、信じていれば起きるもの。
 奇跡は、信じていれば起こせるもの。
 ・・・・・・・・・・・・・
 友情の奇跡が残っている限り───

三廻部 颯 :
「……うん」

 ……そう、友達で居続ける限り。
  ・・
 私たちは、絶対無敵だ。

SYSTEM :
 いつまでもはないが、全くないわけではない時間の余裕を、
 どちらかが忘れかけて、どちらかが寸でのところで思い出すまで。
 そこから、意識しない“普段通り”は続いた。

SYSTEM :
 初めから“そこ”に飛び込むと決めて生きて来たわけでもない少女と。
 その友達と御守りから、自分だけが切り離されながらも、無関係にはされないことだけを自覚させられている少女の。

 なんでもなくないことばかりで、胸中全部が穏やかではないけれど。

SYSTEM :
 それでも。なんのことはない。
 あなたたちは友達だから、手を繋いで、笑い合えていた。

SYSTEM :
 あなたにとっては、友達と、なんてことない学校の風景と、「ただいま」を言う家が、帰るところだった。
 今だって、変わっていない。

 いま確かめたのは。
 片足を置いた、帰るところだ。

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・シーン24「幕間・拾」

SYSTEM :
【シーン24:幕間・拾】

 登場PC:シホ
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-“プランナー”都築京香 
 カヴァー/ワークス:ゼノスリーダー/レネゲイドビーイング
 性別:女性 年齢:不明 侵蝕率:不明
 シンドローム:ノイマン

 所持エフェクト
『アドヴァイスL3』『生き字引きL3』等
 
 世界最古の独立型レネゲイドビーイング。
 かつては日本中のFHエージェントをまとめ上げ、多くのプランを実行し、
 手腕と冷徹さに心酔した多くの者達を作り出したFH日本支部長でもあり、
 今は知性と意志を持つレネゲイドウイルス『レネゲイドビーイング』を集めた『ゼノス』のリーダー。
 
 レネゲイドを進化させる───それこそが彼女の目的である。
 しかし彼女の目的に、最古にして最新のレネゲイド『ウロボロス』は決してそぐうものではなく、
 これに限ったことではないが、レネゲイドの進化を阻害するものに対し、一切の容赦をすることはない。

 善悪の概念を知らぬではなく、善悪の概念より優先するものを持つ者。
 微笑む無機質。未来を想う最強最古。

SYSTEM :
 "蝕みの君”………。
 賢者に曰く、彼方で微睡む巨いなる竜の戯れが生んだ、孤独の落胤竜。

 死の間際、木霊する苦悶と共に世界を侵すその因子がばら撒かれることはなく、彼ないし彼女はこの島で確かに眠りに着き。
 誰かにとっての因縁と、誰かにとっての逆襲にひとつのピリオドが打たれた。

SYSTEM :
 ………ただ、それは事態の終わりではない。
 あらゆる事柄においても。

 一度戻って小休止の運びとなったあなたが、改めて戻って来る颯や境耶らからの話を聞くまでの間、何を思い、何をしていたのかは定かでない。

SYSTEM :
 ただそこには、変わらず賢者がいた。

 独りでは動くこともままならず、
 生まれからしてこの場の誰よりも隔てた、
.レネゲイドビーイング
 人を識る者。あなた/シホの同類だ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……別働隊からの報告にはまだ猶予があった。
 空き時間には銃の整備をするのがこの島にやってくるより随分前からの習慣だった。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 銃身を磨く。歪みがないかを確認し、あれば適宜補正を行う。
 身体に染みついている行動の反復は、気を紛らわせるいいルーティンで……

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……………………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 なんて誤魔化すには、少し気分は重たい。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……“タイガーアイ”。」

 重い口を開く。
 語調は、何か存ぜぬことの在処を賢者に問うときの抑揚。
 ……或いは、何かばつの悪いことを親にでも報告するときの。

タイガーアイ :
「上の空か?
 入れ込む手がずいぶん広がったな、シホよ」

SYSTEM :
 何故を問う時の口調に、振り向く顔も持たないものが応ずる。
 彼方から『何があった』と問う時は、その口調で話した時には決してない。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「またそうやって───」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……いや、違うな。いまの私にとってはむしろ助かる反応。
 銃の整備をやめ、かぶりを振って仕切り直す。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「ひとつ……聞きたいことが増えたんだ。
 “蝕みの君”を斃してから……その、いろいろと。答えて……くれるかな」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……遡れば、少し前の話。
 殻を破り、翼を広げて飛び発とうと決めたときの、巣に残してきた忘れ物の話だ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ───そうだ。
 敢えて、あのときには触れはしなかった話。
 “狩人”の始まりを識るヒトが、識っているはずの話。

SYSTEM :
 聞きたいことが増えた、と。
 仮面をつけたままならば単刀直入に切り出すだろう生まれたての、言葉を択んで回り道を辿るさま。
 彼はいっさい言葉を挟まなかったが、分かり切ったものに対するお決まりの、数度の等間隔の明滅を起こしていた。

タイガーアイ :
「そうもしよう。
 分かっていて落とし物の名乗り出をせぬならともかく、
 分からずままに落とし物を探しているなら、如何するかと考えたところだ」

タイガーアイ :
「まあ良かろうさ。
 心当たりを申してみよ。仕舞い込む刻限を過ぎていない以上、応じてやろう」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……ありがとう。……、…………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 自分でも分かっている。
 これは、“蛇足”だ。私が私として歩むだけのことならば、きっとこれは余分の話。
 けれど……

回想に曰く─── :
「だが、理屈がなければ気が済まぬのが所以であるなら………。
 物事など、存外、どんな他愛のないものにも理由があるという」

 ・・
「何故を忘れた人間など、置いて去られるだけだ。
 この場を離れた後、掘り起こせる場所に置いておくのだな」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 幾許かの軽い諧謔を込めていたはずの言葉が、私の中でやけに重く響いていた。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ・・
 何故を忘れて、それを取り戻す機会が目の前にあって。それを取り戻さずに居続けて……。
 そのままでいて、どうしてあの子たちに寄り添えるのだろう?

“虚の狩人/残骸” シホ :
 あるいは、レネゲイドビーイングとしての本能がそうさせているだけなのかもしれないけれど。
 迷うことが愚かさならば、拾うことの愚かさもあっていいはずだ。だから……

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……教えて、ほしいんだ。
 私は、どうして生まれたのか。
 そして……どうしてあなたは、生まれた私と出会ったのか」

SYSTEM :
 明滅は変わらない。
 言葉を発しても、人の顔のように感情を表す術を持たない“タイガーアイ”に、その感情への善しも悪しもない。

 知っているが聞かれなかったことの種明かし。
 問われねば仕舞い込むだけの余談。

 客観的に見て、何故と問うことが今である必要性は全くなかったが。
 ただ彼に言わせてみれば、その結論は全くの的外れだ。

タイガーアイ :
「そうか」

タイガーアイ :
            バディ
「今になって聞くか。我が同業者。
 では、リュウグウジマを訪れた意味はあったな」

SYSTEM :
 その語り草は老獪な賢者のようでもあり、
 真摯に答える友人のようでもあり、
 監察結果を淡々と報告する監視者のようにも思えたが。

 決してそのどれとも違った。
 恐らくは。

タイガーアイ :
「“プランナー”めが諧謔で北方に出向くことなどない………。
 あれに何がどう見えているかの興味は、行動を伴にしてから失せたよ。いつも同じだ」

タイガーアイ :
「先に話したな。“蝕みの君”は、北欧のとある古き者が戯れで生んだもの………。

 あれにとっては、そいつを源流としたものの形に、特に容認できぬものがあった」

SYSTEM :
 背徳の十三番目。
 裏切り者の中の裏切り者。
   
 そんな、尾を喰む蛇の名をウロボロスと呼ぶ。
 その在り方を進化の歪みとして容赦なく消し去るプランナーの行いの先は、いつも同じだ。

 とどのつまり───レネゲイドの進化。
 言ってしまえば"プラン”。

SYSTEM :
 賢者はその付き添いとして北欧を訪れたが、"プランナー”の行動に意味がないことは先ずない。

 そして、彼女の目的が変わることも先ずない。
 しかしそれはあなたの求めた回答に、近いようでいて、遠い話だ。

SYSTEM :
 ………本当に?

タイガーアイ :
「レネゲイドビーイングにはいくつかの生まれ方がある。何を基底とし、骨子とし、切欠とするか…様々だが分かっていることはある」

タイガーアイ :
 ・・・・・・・・・・・・・
「死んだものと全く同じものは、
 ・・・・・・・・
 偶然には生まれぬ」

SYSTEM :
 全く同じように見えるものも、またそうだ。
 彼は淡々と語ったが、その意味はこうなる。

SYSTEM :
 ………"蝕みの君”は嘗て一度、完膚なきまでに粉砕され。
 その1年後にまた姿を確認された。古き記憶のかけらを携えて。

SYSTEM :
 それとほぼ同じ時期に、あなたは産声を上げた。古き記憶のかけらを携えて。

タイガーアイ :
「この、故意に蘇った、同じであるはずのものの記憶を携えた存在を…。
      リィンカーネーション
 どこぞでは、転生者などと嘯く」

タイガーアイ :
「誰が、何の目的で試したのかまでは知らぬよ。興味もない。

 それを"プランナー”はいたく気に召さなかったようでな」

タイガーアイ :
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そいつを殺すための狩人を探しに来た」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ・・
「狩人──────」

SYSTEM :
 そう、狩人だ。

 誰ぞの手で蘇り、故郷を廻る落胤竜。
 徒に己を振り撒き、無自覚に破壊を散らし。何にとっても不幸を齎すだろうもの。

 プランナーが訪れた理由は、この時、この場で、何らかの手を片手間でも打っておいた方が良いと、よくある出来事なりの優先度で考えたからに過ぎない。

タイガーアイ :
「良しも悪しもなく………。
    オリジン:ヒューマン
 人間の記憶を源流とする者は、星に遺った、誰ぞの生きたあかしを読み取って生まれることがある。
 我らの概ねは、記憶から生まれ、記憶に還るものであるからだ」

タイガーアイ :
「───当然。

 北欧の地に、都合よく蘇るものはない。
 忘れ去られ、風化し朽ちた名残が積もるのみ」

タイガーアイ :
「………であるに、当時我は考えた。

 断片に生まれるに足る切欠を与えたならば」

タイガーアイ :
 ・・・・・・・・・
「我自身のレネゲイドを糧として、記憶をよすがに生まれた、その者であってその者でない赤子は………」

タイガーアイ :
「如何なる心を持つのか」

タイガーアイ :
「その命の所以を、良しと喝采するのか。
 悪しと嘆くのか」

SYSTEM :
 レネゲイドによって生まれたもの。
 レネゲイドビーイング。

 人を識りたがる、人に隔たりを持つ者。

SYSTEM :
 ………レネゲイドビーイング自身がレネゲイドビーイングを作ろうとしたならば。

 人の記憶から故意に生まれた残骸が、その携えた断片から心と呼ぶべきものを生んだならば。

SYSTEM :
 そいつは何処に立ち、何を志すのか。

 単純な話。
 賢者がプランナーに戯れて付き合った理由は己の命題のためであり、あなた自身に彼がついて回った理由もその命題のため。

 決して埋まらない隔たりを縮めた者から。
 ・  ・
 心を、人を、識るためだ。

SYSTEM :
 何を考え、何を求め、何と繋がり、
 ・・・・・・・・
 何のために生きるのかを…。

タイガーアイ :
「門出の祝い代わりとなるとはな。
 だが、それがすべてだ」

SYSTEM :
 淡々と語るそいつは、何もあなたの反応を予測していないわけではない。

 ただ委ねるように、何もしないだけだ。
 沙汰を待つのとはまた別の理性で以て。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 …………、…………………。

 ………………………………………。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 狩人の仮面を被り、狩人の仕草を真似て。
 それでも残り、覆い隠せはしなかった、
 オルクス/エンジェルハィロゥ
   ワタシを構築する宿痾   。
 私が厭い、遠ざけ、それでも頼りとしたもの。
   わたし
 私を志穂でなくしていたもの。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 その、はじまりが、まさか。
 まさか、そんな。

PC4 :
ここで宣言を行います。
この情報の開示により、ロイス“タイガーアイ”をタイタスに変更します。

GM :よろしい! キャラシートに書き加えておいてください。

system :[ “虚の狩人/残骸” シホ ] ロイス : 5 → 4

“虚の狩人/残骸” シホ :
「ならば……なら……
 はじめから…………“タイガーアイ”…………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「あなたは………、っ………!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 あのときとは違う嗚咽が混じる。
 自分の感情がいまどこに属しているのかも判らない。
 哀しみなのか、怒りなのか、喜びなのか……それさえも、ぐんと不確かな容に変わっていく。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………あなたは、すべてを、すべてを……しっていて。
 私の………そばに?」

タイガーアイ :
「買い叩きを我が渋ったことがあったか」

SYSTEM :
 聞かなかっただろう、と。
 叩きつけられた、不確かな駄々か慟哭に応じる言葉は、
 一度だけの明滅を経由したものだ。

タイガーアイ :
「そうだ。はじめから。
 始めたものには、如何なる形でも結びがなければならぬ」

タイガーアイ :
「我はそのようにあれと、
 眠るべき者を起こした。
 お主に───シホに名を与えた」

タイガーアイ :
「たいそう半端だったが、後はまあ…。
 語るでもない」

SYSTEM :
 知らないでか、と彼は宣う。
 監視者でもあり、友人でもあり、賢者でもあり、また別の何かでもあったもの。

 知っていて傍にいた。
 知っていてあなたの道を見守っていた。
 
 あるいは。
 生まれることを望んだのか定かでない誰かの、誕生を見届けたものとして。

タイガーアイ :
「であるに。
 望まぬならば、ここが門出だ」

SYSTEM :

 例えばこの瞬間。もしも、だが。

 あなたが憎しみでタイガーアイを撃ち殺したとて。
 何を同朋とし直すとしても。
 彼は殊更抵抗すまい。

“虚の狩人” :
「…………、………………」

“狩人” :
 ……狩人の役割は、獲物を屠ることにある。

“狩人” :
 ……両手を伸ばす。
 “親愛なる友”の外殻を被ったままの賢者の元へ。

“狩人” :
「…………、…………………」

“狩人” :
 両手を、振り上げて──────

“虚の狩人” シホ :
「そんなの…………」

“虚の狩人” シホ :
「そんなのっ………………!」

“虚の狩人” シホ :
 抱き寄せるように、抱え込む。
 額を押し当てるように、強く、抱き寄せる。

“虚の狩人” シホ :
 言葉が、見つからなかった。
 感情の意味もわからない、殻がついたままのこどもには……こうするほか、なかった。

“虚の狩人” シホ :
 名無しの狩人が死んで。
 巨きなものが生まれて、私が生まれた。
 その意味を語る言葉が、どうして私に見つけられるだろう。

“虚の狩人” シホ :
 聞かないほうがよかったのかな、 なんて。
 そんな言葉では、額を伝って胸に満ちる安堵は区切れない。

タイガーアイ :
「そうか」

SYSTEM :
. オリジン:ミネラル 
 人ではないものから生まれ、
 レネゲイドビーイング
 人ではないものとして象った、

 人を識らぬ賢者の無機質な声。
 それが、決して届かぬ微温の中で反響した。

SYSTEM :
 人のよすがと、
 人でないもののよすがの扶けで生まれた、
 巣立ちも儘ならぬ雛鳥。

 そいつが欲した命題を発したのかどうか、それは問うだけ愚かというもの。
 ただ事実のみを述べるならば、生まれた切欠を偶発にて果たした彼女の手元に残る残骸こそが………。

タイガーアイ :
「どだい、お主の年月など片手で数えるほど」

タイガーアイ :
「ならば…ふむ。
 理解らぬ、が通らぬ道理もないのか」
 

SYSTEM :
 そしてそいつにとっては。

 あるいはその2年こそが。
 決して生涯知り得ない体験であり、命題の切欠でもあった。

 故に彼は、"そんなの”という形のない糾弾には明確な答えを返さなかった。

“虚の狩人” シホ :
「………………ずるいよ」

“虚の狩人” シホ :
「……そんなの。
 わかるわけ、ないよ……」

“虚の狩人” シホ :
 なぜだろう。
 殻を破ろうとするたびに、涙がよく出てしまう。

“虚の狩人” シホ :
 涙を流せるのは、一人でも生きていけるための強さなんだとせめて信じたかった。

“虚の狩人” シホ :
 それでも、ひとりはさびしいから……。
 あたたかい場所で/あたたかい場所にいきたかった。
 それを素直に認められるのも、きっと強さなのだろうか。
 抱き寄せたひとは、きっとこたえてはくれない。

“虚の狩人” シホ :
「……門出までに聞きたいこと、まだたくさんあるな」

タイガーアイ :
「飛ぶには存外に未練があると見える」

タイガーアイ :
「生き物はいつか、先達の下から巣立つという。
 そのように在る理由を見つけたならば………」

タイガーアイ :
「否、探している最中か。
 せいぜい『何故』を問え」

タイガーアイ :
「その過程をこのように望むのならば。
 何故をぶつけた先の輪郭に意味を見出したならば、それがお主の門出なのだろうよ」

SYSTEM :
 抱き寄せたモノ/ひとの無機質な殻。

 隣人愛には程遠い賢者の冷たさが、
 抱き寄せた肌に伝わる。
 目覚めた時の凍て付く寒さとは非なる冷たさだ。

SYSTEM :
 ただその冷たさに終わりが付く時、雛鳥は巣立たねばならないと相場が決まっている。

 分からぬことを分かるためにも。そのモラトリアムが、全くないわけではなかった。

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・シーン25「幕間・拾壱」

SYSTEM :
【シーン25:幕間・拾壱】

 登場PC:全員
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-遺産
 別名は『レガシー』。
 
 莫大な力を持ち、レネゲイドに関与を持つ物品。
 古くから存在するものが殆どであり、
 何より使用者を自ら選ぶ意思を持ち、契約を以てその力の行使を成立させる。

 契約には代償が付いて回り、その契約は人生を狂わせる。

 遺産とは、この星が持つ力(記憶やそこに宿る信仰)を借り受けるものだとも言われるが、
 ………結局のところ“こう”だと確定されるものはない。 

 また一説に曰く、同じ効果傾向を持つ遺産が複数確認されたことがあり、
 それは「同カテゴリの中の違うタイプ」として、遺産管理局で区分されているという。
 

SYSTEM :
 …この暫定『リュウグウジマ』に流れ着き、呉越同舟と洒落込んだオーヴァードの、
 全てではないが概ねにとって、倒すべきと定められていたものがある。

 レーレ・シュヴェア
“蝕みの君”───瀕死に伴う本能と衝動の励起に伴い、一線を越した大型RB。
  オリジン:レジェンド
 巨いなるものの落胤、その安らかな終わりは、彼ないし彼女が起こすはずだった末期の暴走を阻み、それによる行方不明者の被害は未然に防いだ。

SYSTEM :
 結果的に見たのならば、行方不明になっていた颯のクラスメイトも見つかり、
 FHのメンバーも見つかりと、一息吐いても支障のないところには持ち込んだ。

 ………それだけで終わってくれれば、というところではある。
 
 逆説、お互い島先で/帰って来てから見たこと、臨んだことは“それだけ”では済まなかったということでもあった。

SYSTEM :
『時空の裂け目』で空間を隔てた屋敷の一室に、あなたたち五人と一匹(ひとり)が集まる。

 参考人(?)として連れ立ったホデリ以外は、交代して島の捜索に出向いている最中だ。
 此処に向かう最中、”パラディン”が道中のUGNに伝え残した内容を投げるだけ投げて。

SYSTEM :
 それは曰く………。
     ・・
 いよいよ自称の称号が外れるやもしれぬ、
 蘆屋道満の今の潜伏場所。

 そして、島で自分が見つけた“ただのガキ”はひとり/才人だけだけだった、という情報だ。

SYSTEM :
 …それを言い残した後。
 情報の共有に入る前に、余談ながら“パラディン”と“ミッドナイト・アイ”の第一声を此処に記しておく。

“ミッドナイト・アイ” :
“あ、流石に死んでなかったんだ”

“パラディン”的場啓吾 :
“とことん死に損なうさ。一度や二度じゃない。
 其方もずいぶん愉快な動機が出来たそうじゃないか”

SYSTEM :
 …「死んでいたらうちの上司は喜んでいたかも」とか「帰る前にあの犬の首だけは泣き別れにする」だとか。
 少なくともこちら側でない人間には聞かせたくない物騒なワードを一通り交わした彼女の動機は、とりあえず変わってないようだし、それを何ら恥じることもなさそうだった。

SYSTEM :
 ………閑話休題。
 ともあれ、道満の居場所の真偽確認や、軽く触れた情報を基にした捜索なども並行した所為か。
      タイガーアイ  イリュシデイター
 あるいは茶々入れ役も、諫める役もいない、珍しい集まり方だった。

SYSTEM :
 唯一いる白い狗/ホデリは、境耶の傍にいながらも、少し落ち着かぬ様子で座り込んでいる。

 先の『他称』も確定した蘆屋道満の話が、どうにも思うところのある様子だ。

荻野目 旭 :「…………………………と、言うわけでですね?」

荻野目 旭 :
「腑に落ちないトコはありますけど、“蝕みの君”は無事に撃破できて……。
 あとは、カクカクシカジカという感じです」

荻野目 旭 :言うだけ言ってから境耶くんをにらみますよ。このいじめっこ。

久外境耶 :「こっちはウマシカガキガキってトコだな」肩をすくめる

SYSTEM :その略し方で良いのか? …と、ホデリはちらと面を上げるが止めなかった。

荻野目 旭 :………………………………………………………………………………………。

三廻部 颯 :「……」
 誰が……!!とは言わなかった。

木口龍 :「死んだ」 死ぬかと思った

“虚の狩人/残骸” シホ :
 何も言うまい……。
 私もヒトノコトは言えた立場じゃないし。

SYSTEM :
※データ的に死んでいません。
 彼は嘘を吐いています。

三廻部 颯 :
「旭くんとシホさんは、大事ない?」
 木口さんの言ってることは本当かどうかわからないから考えないようにしよう。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………、……………」

木口龍 :>>>オレの心配は?<<<

“虚の狩人/残骸” シホ :
「私は大丈夫。ありがとう、颯ちゃん」

久外境耶 :死んだんだろ?

木口龍 :ガラッオレ木口蝕みの猛毒アタックにより死んだぜ・・・

SYSTEM :
※データ的に彼は殺した方です。

荻野目 旭 :じゃあこの人は波にさらわれてどんぶらこしてもらいましょうか……。

木口龍 :すみませんでしたもう何も言いません

三廻部 颯 :
「よかった…、大変だっただろうし」
 旭くんは?と視線がうごく。

荻野目 旭 :「なんとか五体無事って感じです。……特にヨッシャー! キモチー! とはなりませんでしたけどね」

久外境耶 :「ヘエ。そんなんで本番アガれんのかよ、もっと頭カラッポにしたらどうだ?」

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :「……怯えてるだけのでかい災害を有利性に任せて倒しても、あんまり気持ちよくないことは学びです」口をとがらせる。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………………………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 私がこの場でいたずらに疵口に触れることは、どうにも躊躇われた。
 彼らは彼らなりの道で傷ついて、また立ち上がる権利がある……。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「それに、龍さんも再三繰り返していますが……“蝕みの君”の討伐にはそれなりに消耗を強いられました。
 『本番』までの先行きは依然不透明ですし……少し配分について気を配る必要もありそうです」

三廻部 颯 :
「狼も残ってるしね……」

荻野目 旭 :「ですね。……ぼくらもフルスロットルできた分、次は三廻部さんにも頼っちゃおうかな」

久外境耶 :「やれんのか〜〜〜〜? 敵とお手手ニギニギしようとしたお子ちゃまが〜〜〜〜?」

木口龍 :何があったんだ……という目

三廻部 颯 :
「───」

三廻部 颯 :
「───任せて。
 ……咲楽は連れ戻せたけど、私のやることはまだ残ってるから」

三廻部 颯 :
「頑張るよ。
 "やれんのか?"って言われても、"やれるよ"って言い返せるくらいに」

 あっかんべ。
 ……はしないけど、ちょっと意思表明。

久外境耶 :「そうかい。じゃセーゼー頑張ってもらうとしますかねエ」

三廻部 颯 :
「ふふん。
 こう見えて空手も柔道もやってるんだからね!」

久外境耶 :「知らんケド……」

久外境耶 :「あ、そんなら瓦割れよ瓦」これな、となにわ探偵を指して

木口龍 :「おい」

木口龍 :「オレの眼鏡は瓦じゃねえ」 そこやないで!

『ホデリ』 :『瓦と呼ぶには聊かあやしきこと…』

久外境耶 :眼鏡じゃねえよ おまえの背骨だよ

三廻部 颯 :
「アレって嘘っぱちだからなー……」

木口龍 :「オレの背骨は金剛だぜ!!!!」

“虚の狩人/残骸” シホ :「やってもいいかもしれませんね」

久外境耶 :「やっていいってよ」

木口龍 :「やめてください大嘘こきました」

三廻部 颯 :「割るより投げた方がわかるかも」

『ホデリ』 :
『その気がないなら止さぬか。
 汝もだぞ境耶 この木口めは在りしだけの見栄を張ると承知であろう』

木口龍 :「オレは室伏広治に投げられる鉄球じゃねえんだぞ!!!!」

荻野目 旭 :見栄だって

久外境耶 :ワハハ!

久外境耶 :「……にしてもまア」

久外境耶 :「どいつも大なり小なり曰く付きでココいんのに、このアホ探偵だけはわっかんねーんだよな……」

“虚の狩人/残骸” シホ :……“タイガーアイ”も言っていたな、そんなこと。

荻野目 旭 :木口さんを見ます。

木口龍 :「な、なんだよ」 ナンではない

SYSTEM :
 ・・・・
 記憶無しを信じざるを得ない。
 はじめの出会いの印象は“それ”だった。

 何故なら彼は記憶なしでなければ、
 流石に何もかもがおかしいからだ。
 そして…。

『ホデリ』 :
『あやしきは今に始まったことではないが…。
 いつわりではない。それは、今も変わらぬよ』

SYSTEM :
 ちょっと“いつわり”であってほしい経緯があるだけだ。
 ………彼が本当に小市民なだけの男なら、“蝕みの君”との戦いであの振る舞いはしない。そして、颯の倒れ伏した瀕死の躯に駆け寄り守ろうとも、しなかっただろう。

SYSTEM :
 そう…ちょっと“いつわり”であってほしい言動もあるだけで。

久外境耶 :マジでな

荻野目 旭 :ほんとになぁ

久外境耶 :「ベツにそりゃいーけどよ。アシヤマンもなんか引っかかってそうな反応してたのは気になンな」

三廻部 颯 :「あやしすぎる……」

『ホデリ』 :『…あれなる男の性、変わらじとあらば…』

『ホデリ』 :
『なべて、凡に非じ者、逸れ者には目敏いはずだ…。
 ………それがこの者とどうかかわるかは、定かでもないが』

木口龍 :「くっオレの記憶になにがおきたんだぜ・・・」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 遭難の果てに偶然流れ着いた、といういかにもありがちな可能性は……この島の構造上、まず有り得ない。

久外境耶 :「っっっぱ割ろうぜ瓦! 衝撃与えたらなんか思い出すかもしんねーからなあ!」

荻野目 旭 :「……当の本人がこんななんですよねぇ」木口さんの背中にフキンをオンします

“虚の狩人/残骸” シホ :「ここは万が一の可能性に賭けるしか……」

木口龍 :「ばかやめろ思い出す為の記憶が消える」

『ホデリ』 :『それ以前に命まで露と消えよう』

三廻部 颯 :「畳だし投げれますよ」

荻野目 旭 :「大丈夫ですよぉ まだぎりぎりリザレクトききますって」

久外境耶 :「おれのややウケかこいつの命か……じゃあおれだな」

木口龍 :「それオレ受け身取れなかったら腕折れるやつゥ!!!」

木口龍 :「おいバカやめろこの治療は終了ですね」

“虚の狩人/残骸” シホ :腕で済むかな……?

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ───とまあ、割と半分強くらい真剣な茶番は置いといて。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……龍さん。先ほど境耶くんが触れた通りですが……私たちは“ 大なり小なり曰く付きで”この島に辿り着いています。
 龍さんも恐らくは、何らかの理由があってこの島にやってきたと考えるのが妥当なところなのですが……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……そこを辿ろうとすると、どうしてももっと根本的な謎に辿り着いてしまいます。
 そもそもこの島は誰の、どんな理由で維持されているのか……とか」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 それに、どうやってこの島から脱出するかという点も未だ何も見えていない。
 まだ颯ちゃんには伝えていないけれど……時空間の断絶・歪みという問題も残されたままだ。仮に脱出できるとして、単に出るだけではリスクの方が大きい。

荻野目 旭 :「……木口さんの言葉を信じるなら、ひとりだけ例の裂け目を通ってきていないって話でしたっけ」

荻野目 旭 :
「その『裂け目』をつくったモノ……いえ、つくったヒトに当たりはつけられそうですけど、思えばこの島そのものの謎にはあんまり手がかけられてない状況です。
 なんだか歯がゆいトコですね」

荻野目 旭 :「とはいえ……」

三廻部 颯 :「とはいえ?」

荻野目 旭 :
「ヒントがあるのも確かです。
 三廻部さんと池田さんの遺産──勾玉と、アシヤドウマンが従えていたというジャーム。
 それから、“マンティコア”が遺産だけを持って池田さんを放り出したコト……」

荻野目 旭 :
「遺産はまちがいなく、この地と密接に結びついているんでしょう。
 最低でも、この島のことに心得がありそうなアシヤドウマンはそう判断してるってことですよね」

木口龍 :「そこまでさえ分かればオレの記憶にも……いや案外頭打っただけかもしれないが」

SYSTEM :
 意図を察してか察さずともか。
 ホデリは黙したまま。
 …知らずではなく黙したままだ。

 その、間違いなく結びついた遺産のことについて、彼は決して無知ではない。
 それは、出会ってから今しがたまでの様子を見れば、薄々勘付くことでもある。

久外境耶 :「……まあな。んで、ヒントっつうのは?」

荻野目 旭 :「……………」

荻野目 旭 :「……三廻部さん?」

荻野目 旭 :
「なにかぼくらに言いそこねてること、ありますよね」
 ぼくは軽く聞いたけど、あくまで軽くの話だ。全体で共有は……まだしてない。

三廻部 颯 :
「……えっと、……うん」

三廻部 颯 :
「この島を作った、……っていうか、なんだろう。
 あの……中心にいるっていう、"モノノ怪"の正体なんだけど」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「──────!」

木口龍 :「む」

久外境耶 :「……」

三廻部 颯 :
 ・・・
「ホオリ、って言うの」

SYSTEM :
 ホオリとホデリ───。
 海幸彦、山幸彦、二人の兄弟の別名だ。

 同じ人物かどうか、
 そしてそれが現実にあった話なのか、
 一連の神話照会はさておき。

SYSTEM :
 確かに、物の怪…島の中心。
 あなたが二度見た記憶の主の名前は『ホオリ』と呼ぶ。

久外境耶 :
 その名前が告げられる寸前、空気が凍りついた。比喩ではなく、まして錯覚でもなく、和室には霜が降りている。氷がパキパキと凝結の跫をあげて四隅から空間を侵していく。

 枝分かれする末端は血管じみて、白く結晶しながら浅く脈打つ様は閉じた一室を取り込もうと──

久外境耶 :
 ──否。同化して、中の誰一人逃がすまいとしているように思えた。
 
 こんなのは脅しでも、ましてエフェクトの行使でさえない。昂った感情がレネゲイドを蹴り起して、外れかかった箍の隙間からダダ漏れているだけだ。

久外境耶 :
「悪り、よく聞こえなかったわ。
 ……トーゼンおまえらもだよな?」

 遮ったのだから、現に音は拾えていない──はずだが。
               ・・・・
 聞こえませんでしたを鵜呑みにしてやるのは、そっちの流儀に合わせる一歩譲りで、ロクデナシなりの義理だ。

久外境耶 :
「おっと、返答ミスんなよ。お互いまだ手組んでたいだろ」

 おれはいつでも反故にしていいぞ、と言外に。

久外境耶 :
 なんせコトの解決はカンタンだ。
 全員消せば、残る記憶もないワケだ。

 それをやって大損こくのはコッチだが、はなから損得や可不可のハナシじゃない。理に適わないからこそ道理外れの欲望。

荻野目 旭 :
 ……背筋が凍ったのは、心情的な意味だけじゃない。

荻野目 旭 :
 感情の発露から来たレネゲイドの発露。
 暴発しかけといっていいつめたさに、かろうじて最後の一線が危うい鍵をかけている。
 サラマンダーの氷が座る畳にも這わされて、靴下がぴったりと凍りつくのを感じた。

荻野目 旭 :
 明確にわかる。

                    ・・・・・
 紐無しバンジーをするのがライフワークのひとでなしが、ひとでなしなりに心を砕いたものの柔らかいところがここで、ぼくらはそこに触れた。
 風情は本能的に巣の中のいのちを守る獣。
 縄張りの中にぼくらはいない。
 あのホデリさんだけがいる。

荻野目 旭 :
 いつかはやらなきゃならなかったことだろうけど。
 だからっていま素手で触るものじゃなかったかな。
 少し反省。
 だけど最悪なことに、いまの反応がもらえたのならそれで十二分だったりもする……。

荻野目 旭 :
 ミクルベサン
 遺産継承者と化け物との間に、明確なラインが引かれたのも驚いた。
 三廻部さんが、どこからか──予想はつくけれど──から、それを引き当てたことも。
 正座した足の甲をつつく霜焼けがなければ、声が出てただろう。

 名前は……聞けないか。
 それが最後のラインなんだろう。

荻野目 旭 :細く、長く息を吐く。気温の急激に下がった部屋で、白い息が部屋にたゆたって消える。

荻野目 旭 :……場違いに、実家が飼っていた犬を思い出した。彼は兎だけど。

荻野目 旭 :「……聞こえてませんよ」

荻野目 旭 :だけどこのままじゃいかないってことを、誰より知ってるのは……多分、彼の巣の中のヒトだ。

三廻部 颯 :
「な───」

 んで。

▄█▀██ :
 残念ながら、少女はそこまで考えの至るほど、日陰には慣れていない。
 だからその時、旭に向いた少女の視線は、純粋な疑問と動揺に満ちていた。

▄█▀██ :
 最も。

▄█▀██ :
 最も彼女がそういう心理のやりとりの方法を知っていたとして。
 今口にしたことを"否定"することは、出来ない。
 ・・・・・・・・・・・・
 やろうと思っても出来ない。

▄█▀██ :
 ・・・ ・・・・・・・・・・・・・
 彼女は、後ろを向くことを許されない。

▄█▀██ :
 だから──最終的にこの場における全員が立場上の敵になったとしても、少女は自分の弁論を維持せざるを得ない。

 少女自身も、知らぬことだが。

▄█▀██ :
 だから──少女の心は今、裏切られたというような気持ちに満ちた。

SYSTEM :
 …九月の半ばに、季節外れの霜風が吹いている。

SYSTEM :
 音と呼吸を忘却する波濤と朗らかなコミュニケーションは、
 その荒唐無稽な雪景色の、さきを臨むものには冬暁を拝ませぬという意志表示。

 そもそもFHの流儀はソレのみだ。
 道が同じなうちは笑って肩組んで、ズレたら即座に頭を撃ち抜いて死体を蹴飛ばす。
 裏切り者のチキンレース、先手を動かれたから後手で応ずる、無礼には無礼が常套句。

SYSTEM :
 だから、一旦そこで止めてやった。
 そいつを律儀と評するのか、狂犬の所業と評するのか。
 
 単に捨てがまりの鬩ぎ合いが好きなだけの少年でないと思わせるには十分。
 死色の冬化粧は誰のものかはさておいて、三途の川への片道切符。文字通り返答を間違えたならば、呉越同舟の旅は船頭を二つとし海の底に沈むだろう。

 その意味で、三文芝居に乗ろうとした少年の対応は。
 仮に”それ”が起きずとも事を修める方法を知っている、優等生のチルドレンの技だ。

SYSTEM :しかし…。

『ホデリ』 :
  ・・
『…よい』

SYSTEM :
 かまわない、と。
 もとより死に物怖じしないような胆力など持たないものが。
 かつて人/今はけだものが、正真正銘の心に準ずる捨てがまりをいさめるように吼えた。

 冷気に身震いすることなく。
 ただそいつに聊かの自嘲と慈しみ交えながらも、穏やかな口振りで。

SYSTEM :
 何者なのかという問いを「言えぬ」で切り捨てたものが。白い息を、ゆるりと吐いた。

『ホデリ』 :
『成程確かに…その名だ。
 物の怪…わたしが眠らせねばならぬものの名は』

久外境耶 :
「っ……おまえなあ!」

久外境耶 :
「……いいのかよ。だって、おまえは──くそ」

 苦い感情が先走る。ぐしゃりと前髪を搔き、あたまの中のごちゃつきは一向にまとまろうとしない。数秒。息を吸って、吐いて、アホみたいな時間のあと。

久外境耶 :
「"よくねえけど仕方ねえ"でやってるんなら……おれぁ終わったあとに全員消して回るぜ」

『ホデリ』 :
『すまぬな。
 だが、半端に気に耽るが如し、頑しことには非ずよ…』

SYSTEM :

 はは、と笑う。
 その表情は、そうでなかった場合の情景/死する数、終わるもの…を、ためらうことなく天秤にかける勇気のないものの仕草でもあった。
 そこまで(あるいはそこから先すらも)あの時あの場で言うつもりだったことである以上は尚のことだ。

 なにより、彼はすれすれで小人の枠を免れるような生き物だ。
 何故、歪んだ善意を涼しい顔で流して「もみ消せ、さもなくば潰せ」などと命令できる胆力などはない。

『ホデリ』 :
『心地違しと言わば然りだが、何物にも知られじというわけにはいかぬよ。
 そこの娘にも言うたろう』

SYSTEM :
 微かな言葉を択ぶ所作と諫めの言葉は、前向きな複雑。そのままでいられないことを、あるいは話す前から承知の上の仕草。

 ………物の怪とそれが結びつくことそのものは、己の存在が示してしまうだろうことを、あるいはあの『刀』を見出した時から知っていたものの声。

久外境耶 :
「……は。ほんと、甲斐のないやつ……」

 ……どうしようもなさに力が抜ける。だって、そうだろう。たかが十数年以内と長くて二十年ちょいの群れと、こいつが留まってきた時間は、天秤にかける余地さえないだろうに。

久外境耶 :
「でも……付き合うって決めたの、おれだもんな」

 こんなお人好しに何かを見出したのが運の尽き。肩の力を抜いて、どかっと座り直す。

 ……いつしか。引き潮が遠ざかるように、冷気は去っていた。空間ごと貪って、胃におさめて閉じ込めるような感覚ごと。

久外境耶 :
「……悪かったな」

 ホデリの続きを待ってる間。
 腕組んで顔は見ないまま、旭に小声を投げる。

 別に何がってハナシじゃない。悪いとも実際思っちゃいないし。ただなんとなく、そうするのが筋と感じた──というか……。

荻野目 旭 :三廻部さんの顔とか、“ラッキージンクス”の百面相とかを、申し訳ない気持ちで見る。焚きつけたのも黙ったのも僕って心底気まずい。

荻野目 旭 :いやいやいや。だめだめだめ。仕事仕事。アイアムチルドレン。心はかためのガラス。……良し。

荻野目 旭 :返答代わりに、“ラッキージンクス”にだけ見えるところで例のエンブレムをちらつかせた。このぶんの義理は果たしますよ、って話。

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :「……ごめんなさい、三廻部さん。話、続けてもいいみたい」

三廻部 颯 :
 びく、と肩が震える。
 梯子を外されたばかりなのに、もう一度梯子をかけられて、頭が働いていない様子だった。

「う、ん……」

 返事の時に──視線はもう外れて、畳を見ていた。

▄█▀██ :
 苛まれるような孤独。
 人の思うところは、人それぞれ。

三廻部 颯 :
 視線が游ぐ。
 舌の根が乾きそうになる。
 頭が痛い。
 
 言葉を口にするのが、怖い。

「……わた、……私を」

三廻部 颯 :
「……オー……ヴァードに"してくれた"のも、
 その、ひと……なの」

木口龍 :
(……む)

 メモメモ。しかし、オーヴァードにしてくれた──か。

久外境耶 :「…… ……」

荻野目 旭 :……胃がキリキリしてきたかもしれない。おなかをおさえるのを我慢する。

“虚の狩人/残骸” シホ :オーヴァードに“してくれた”……
それって、つまり…………

SYSTEM :
 視線の泳ぐ最中、ホデリが、ふ、と口元を緩め、尾を一度往復して振る。
 おくりびとがあなたなのは彼にとっての運の尽きなら、こんな“半端”にサガを見出したあなたも運の尽き。

 ………穏やかに笑う所作は、過ちを背負って老成した生き物の所作と。
 己の“頑し”と、蘆屋道満、そして未来を天秤にかけた腹積もりの所作。

『ホデリ』 :
『あれに裏表なぞない。
         ・・・・・
 考えなしに、汝に斯様なことをする者ぞ』

『ホデリ』 :
『なれば…目覚めて周囲を憚るものではない。純粋なのだ。

 出会うたばかりの縁に命を投げ出すことと、還るために遍くを邪険とすることは、曇りのなさ故に相容れる』

SYSTEM :
 なんのために生きるのか。

 島の中枢に居座り、長き刻を続けてきたもの。
 ・・・・・
 かえるため、が理由なのだと語り終えると、そのまま横から入れる口を閉ざした。

三廻部 颯 :
「……わたし、あの、砂浜で……狼に殺されて。
 気づいたら、海の底に、いたの。
 真っ暗で、何もないとこ……」

三廻部 颯 :
「……そしたら、不思議な光があって、
 それを、追いかけたら……、鳥居がある、ところに着いて。
 ……あの人は、そこにいた……」

三廻部 颯 :
「……それで、私に、生き返る代わりに、人間じゃなくなる力を、くれたの。
 ……その時は──……"刀"の形、だったけど」

 それが旭に口にした"遺産"であることは明白だった。

三廻部 颯 :
「それで……私、……ちょっと、前から……、突然、眠くなっちゃって、
 夢を、見るようになって……、……それが……その、……えっと、……」

三廻部 颯 :
「……ホオリさんの、記憶、って感じで──」

SYSTEM :
 ほんの一瞬、白い狗のまなこが細められるも、それは“最初”に聞き及んだこと。

 ………彼にしてみれば合点の行く話でもある。

『ホデリ』 :
『………先に言うたな。“出会うたばかりの縁に命を投げ出す”、と』

三廻部 颯 :こく、と頷く。

『ホデリ』 :
『辿り着きしその所以は知らぬ。分からいでか。
 ………なれども合点は行っていたことだ』

『ホデリ』 :
    ・・・・・・・・
『あれは譲れば死ぬ繋がりを………。

 ただ、死する者が流れ着いたから、
 裏表なく譲り渡したに過ぎぬ』

SYSTEM :
【Check!】

 Dロイス『遺産継承者/祈りの造花』
 Eエフェクト『異能の継承』の所持を公開します。
 所有者:█▇▅▇▇▅█

SYSTEM :
【Check!】

 Eロイス『虚実崩壊』の所持を、再度確認しています。
 所有者:█▇▅▇▇▅█
 効果:ステージ内のルールを変更する
   (※この効果で一部エフェクトのルールと制限を無視している)

三廻部 颯 :
「───っ……」

三廻部 颯 :
 譲れば死ぬ繋がり。
 ……ふと、脳裏によぎったものは───

三廻部 颯 :
 視線が、再度游ぐ。
 
「……、…………。
 …………、…………」

三廻部 颯 :
「……ところで、皆さん、は。
 ……黒い、お侍さんとか、見ましたか。
 ……この、島で」

 ホデリの言葉への返答は、
 今はできない───という目で、返された。

木口龍 :「黒い侍っていうと……オレ達が危うく殺され駆けたアレのことか?」

木口龍 :「蘆屋道満が使役してたっぽいなんかだ。侍っていやあれしか出てこねえな」

久外境耶 :「年だな」

“虚の狩人/残骸” シホ :
そういえば……あの襲撃を受けたとき、颯ちゃんとホデリさんのふたりはいなかったっけ。

木口龍 :「やかましいオレはまだ30にもなってないぞ」

三廻部 颯 :老化現象……。

木口龍 :「なってないよな?」 記憶喪失

久外境耶 :知らねえよ……

荻野目 旭 :「……待って、譲れば死ぬってどういうことですか?」

荻野目 旭 :「いくら遺産の譲渡だからって、受け渡されたほう──三廻部さんはともかく、受け渡したほうになにかが起こるなんて……」

荻野目 旭 :
 ありえるとしたら、例えば遺産で命をつないでいたような場合なんだけど……そんな例聞いたこともない。
 万が一あったとしても、それこそ遺物管理局案件だ。
 いや、僕みたいな支部の下請けチルドレンなんかに上がってくる話じゃないのは、まあ確かではあるんだけども。

荻野目 旭 :……譲ったから死んで、死んだからアシヤマンに使役されてます……っていうと、筋は通っている気はするのも困りものだ。三廻部さんの問いかけには、あいまいにうなずく。

三廻部 颯 :
 "───はじめて、人に何かを遺した"

「(……もしかして、アレはそういう)」

三廻部 颯 :
「……、……居るんだ、現実の方にも……。
 あ、えっと、……その、あの。
 ……私の夢にも、黒い、甲冑の……お侍さんが、出てきて」

三廻部 颯 :
「……今の……"譲れば死ぬ"って話を考えると、
 その人が───……」

 ・・・・・・ ・・・・・
 ホオリさんの、成れの果て。
 とまでは、続かなかった。

久外境耶 :「────」

SYSTEM :
 その続きを補強する所作を、
 断じて白狗は取らなかった。

 そうだ、とも。違う、とも。

SYSTEM :
 代わりに…。

『ホデリ』 :
 ホオリ
『その者にとって末期の縁となりしものが…。
 持てる者の“思う”に応じし彼の一振り』

『ホデリ』 :
『物の怪に、心遺ることこそあやしきことなれば、所以は彼の一振り。
 ………死ぬとは仮令に過ぎずとも、譲りし物の怪に心は遺らじ』

SYSTEM :
 ………それは。
 未だオーヴァード/検怪の者という言葉さえ疎い生き物が知っている。
 オーヴァードの死に値する言葉。

SYSTEM :
 ………その抽象的な言葉は、言わない、言えない、ではない。

 彼自身は刀のまことの所以を知らず、
 ただ、その場にそれがあり、あなたに“そのようなこと”をしたことから、遡って辻褄の合う結論を話しているに過ぎない。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「末期の、縁───」

木口龍 :「……託した、ということか」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……ホデリさんの語ることが事実と仮定すれば、ひとつの結論が導ける。その結論は───

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ・・・・・
 狩ってきたからこそ、分かる。
 縁を喪った果ての末路なら、筋は通っている。……その残響が託したものが、果たして遺産でなかったとしても。

荻野目 旭 :「………………………」

荻野目 旭 :……とんでもない話だ。気が遠くなりそう。

荻野目 旭 :
 どちらにせよ、ホデリさんが遺産の詳細を知るわけでも……たぶん、ない。
 正直深堀しようと思うたびにさっきの視線が胸に突き刺さって痛いので、できればやめておきたい……ってところでは、ある。

荻野目 旭 :
  ただ、わかったことはいくつかある。
 ジャームに本来の人格を持たせるだけの遺産を、彼は三廻部さんに譲り渡したってことだ。
 それだけの力と、それだけの代償を求めるものだって可能性が高い。

 ……それがどのカテゴリに類するものなのか、
 そして代償になにを求めるのか。
 それがわからないからって、代償があることすら伏せてクラスメイト面してるのも、つくづく卑怯だ。
 と思うけど、いやいや。やめようやめよう。

荻野目 旭 :気分じゃなく現実にキリキリ痛みだした胃を押さえたい気持ちになりながら、おなかの代わりに眉間を揉んでみる。

荻野目 旭 :「……だいたい、わかったような……さらにもやもやするような」

久外境耶 :
 ……火出の者。夢うつつの物の怪。アシヤマンの置いてった言葉と一号を取り巻く状況は、腹立つくらい何もかんも符合している。

 実際、遅かれ早かれではあったんだろう──なんてオタメゴカシクソ食らえだ。不利と無理を踏み倒すくらいの気概で、『それがいい』などと手前から持ち掛けたんだから。

久外境耶 :
「……はん。だとしても、やるコトは変わんねえよ」

 知られた時点で手落ちは免れない。だが、まだ通すべき欲がある。一つ事を成し得て共に還る──その一点だけは、必ず。

久外境耶 :
「で、夢つったか。その手の変調と言やあ、遺産の……」

 代償、と言いかけた声を寸でのところで引っ込める。これでナニソレってツラされたら余計ハナシが進まない。

久外境耶 :
「……や、わかんね。元含めて身内に契約者なんてレアもん、ほとんどいなかったしな。
 それよか、あれだ。夢で見たのは黒い武者だけなんか、一号」

三廻部 颯 :
「あ、えっと……あの……その」

三廻部 颯 :
「……黒い侍は、夢から覚める時に必ず出てきてた。
 夢を……なんだろう、強制リセットさせる感じで……えっと……あとは……」

三廻部 颯 :
 ……そういえば。
 思い返すに──ホオリさんが追い求めた人は、びっくりするくらいこの島で片鱗を見かけない。
 ……唯一として言えば、この場にいない私の友達二人が見たもの。

「……ホオリさんは……、」

三廻部 颯 :
   ・・・・・・・・・・・・
「……海の中から出てきた女の人に、出会ってました。
 えっと……青い髪……だったかな。
 ……私が、オーヴァードになる時、意識が戻る時に、女の人の声が聞こえたのもその人かも……」

久外境耶 :「……なんじゃそら。ミコサンの次はアマサンってか?」

三廻部 颯 :「わかんない……なんだろう……リュウグウジマ……だから……竜宮城のお姫様……?」

久外境耶 :心当たりは、と問う代わりにホデリへ視線を投げる。言いたくねえなら──ってのは、もう部分的にしか聞かんのだろうし判断任せる。

木口龍 :(ここまで考えるなら、符号としては関係者という線があるだろうが……)

SYSTEM :
 海の中から出てきた女の人。

 ………その呼び名と頓珍漢な喩えに、
 首を傾げるのは然るべき応対だろう。
 
 しかしまず、間違いない話だ。
     タイガーアイ
 この場に専門家がいたならば容赦なく断言し、そうでないものも消去法で辿り着いてもおかしくない。

SYSTEM :
 オーヴァードならば例外はいくつかある。

 ハヌマーン・シンドロームの振動操作能力ならば成し得る水中活動。
 エグザイル キュマイラ
  体内操作や肉体活性ならではの対応。………しかしそれも、何処か全ての筋が通るものではないように思える。

SYSTEM :
 ………そして投げかけられた視線の先に、白い狗が白い息を零す。
 よもや、という小さな怪訝の声。そいつは多くを語らずに、しかし黙して終わるとは行かなかったようだ。

『ホデリ』 :
『…物の怪は必ずや、還るために遍くを邪険とする。幾度か述べし試しなり』

『ホデリ』 :
『物の怪は必ず…海を目指す。海に還る。
 探し人に差し合ふために』

SYSTEM :
 それは遠回しに、物の怪の探し人は海にいる/概ねそいつという意味だろう。

 心当たりはそこまで。過去をなぞるとあらば、その者がそうだと覚えておくように告げたようにも見えるし。
 その女については自分の“さふべき”と聊かズレていると、心当たりを投げかけて来たものに示すような仕草にも取れる。

SYSTEM :
 …分かるのは。

 白狗/ホデリはそんなに“海より現れた女”が好きではないことだ。
 野生の姿が聞いて飽きれる人間の名残を纏ったものの反応は、その地に立てた四肢が示している。

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「その女の人と一緒に、ホオリさんは、……海の中に行って。
 それで……、……海の底から、もう一度地上に戻りました。
 …………今の所、見ている夢は、そこまでです」

荻野目 旭 :「………………」

久外境耶 :
「……探し人ねえ」

『ホデリ』 :
『名残であるな』

久外境耶 :
「なんにせよ女のケツ追っかけてるわけだ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「それにしても……“竜宮城のお姫様”、か。その探し人」

 “突拍子もない話”でもないし、そこに然したる驚きはない。
 いま私たちが置かれている状況自体が突拍子がないだろう、というのはともかくとして。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……そもそも、“私たち”はそういうものだから、というのが驚きを抱かない理由であって結論だ。

『ホデリ』 :
『やも知れぬな』

三廻部 颯 :
「……でも」

SYSTEM :
 どちらに応じたものかと言えば、境耶の方。
 少しばかりの(今回は特にその傾向がある)自嘲じみた響きを交えながらも、それそのものは否定しない口振り。

三廻部 颯 :
「結局は一回は、海から地上に戻ったみたい……」

SYSTEM :
 すべては記憶をたどる最中のこと。

 そこで終わりではなく、
 現代に繋がる結果が“こう”であるならば。

SYSTEM :
 ………海より地上に戻るという話など聞いた覚えがなくとも。
 それを白昼夢と呼ぶには、島の在り方はあまりにもゆめまぼろしが過ぎた。少なくとも“そういうもの”という判断は、分からぬものへの理解としては正しい。

三廻部 颯 :
「……よ迷いごとすぎるから、
 ……言うの迷ってたの」

 ……主に、夢の話。

木口龍 :「……」 メモを取り終える。

木口龍 :
「……よく話してくれた、でいいのか、これ? 
 まぁ、気にしなくていいと思うぜ」

木口龍 :「オレの頭の中身が世迷い言みたいなもんだしな。冗談抜きに」

久外境耶 :「よかねーよ。オメー自身オーヴァードなんつう世迷言みてえな存在になっといて何言ってんだ」

久外境耶 :「それはまあそうですね」

荻野目 旭 :世迷言の擬人化がいるからなお言いにくかったのかもなぁ

木口龍 :「敬語で突っ込まれるとすごい顔になるからなオレ?」

三廻部 颯 :「まあ、……そう……」

SYSTEM :
※あなたの出会い頭の行動を思い出して下さい。

三廻部 颯 :
 特に否定しなかった。

SYSTEM :
 そしてその意味でなくとも、
 確かにオーヴァードに『世迷言』という言葉の使用頻度は極めて少ない。

 物理法則など鼻で笑って当然の生き物に、
 今更どんな顔で当たり前を喋ったものか。

久外境耶 :「メンドくせっ! 後ねーか黙ってること。言わねえなら喉の奥に指つっこんで吐かすぞ」物理的に

荻野目 旭 :「暴力的!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
    ナーブジャック
……もっと穏当で物騒な方法を検討していたことと、ここでは言わぬが花だろうな。

三廻部 颯 :「噛んでやる……」

三廻部 颯 :
「あとは……あ」

三廻部 颯 :
 ……どうかな。
 正直、よくわからないままだ。

「……その、女の人? を、夢以外で一回見たことがあって。
 見たっていうか、聞いた、んだけど……」

 それはちょっと前……サイトくんと話した時。
 彼から淡い光が発せられたような気がして、それで夢を見たことを伝える。

三廻部 颯 :
「もしかしたら……どこかにいるのかも」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「オーヴァードの異能は千差万別です。
 たとえば、何かしらのレネゲイドによる干渉を起点として夢の中にも影響を及ぼす技術を持つオーヴァードもいるとは聞きますが……」

 その方法がいま語られたような《光》によるものかどうかは……正直、類似例は記憶にない。記録の方にも。

SYSTEM :
 記憶を探る術を持つ、例外がいる。

 まぼろしと縁深いソラリス・シンドロームの持ち主の中でも、特に“こころ”に造詣の深いものがそうだ。

SYSTEM :
 ………しかしこれは例外というか、
 例外中の例外に値する。

 何よりそれ以外の在り方の中でも、レネゲイドは心と結びつく。
 そうした『例外』がこれだけだと決まったわけでもなく、有り得ないわけでもない。

SYSTEM :
 ………何処かにいるとすれば。

 その答えについては、ホデリも黙してしまった。言えない/言わないというより、どうも定かでない様子だ。

荻野目 旭 :
「……夢による遺産との感応っていうのは、ある線ですけど──」
 けっきょく、遺産というのも要はレネゲイドだ。頭にEX、とつくけど。

荻野目 旭 :
「同じぐらい、その『いるかも』っていうのも気にかかりますね。
 それはつまり、夢の中の『太郎さん』が、乙姫様に会えるチャンスがあるってことなわけで……」

荻野目 旭 :「………それにですよ?」

荻野目 旭 :「その『太郎さん』をこき使ってるアシヤマンさんの目的はそっちだって考えてみたら……筋が通る気がして」

三廻部 颯 :「……そうなの?」

三廻部 颯 :「私は……ちゃんと会ってないから、わかんないけど、……その、アシヤマンって人」

久外境耶 :「表出て名前呼びながら練り歩いてみるか? 案外来てくれるかもだぜ」

SYSTEM :
 筋は通る。

 島の中に、そのような不思議な”レネゲイド”の持ち主がいるならば。
 蘆屋道満を名乗る者は、少なからずこの場所に理解がありながらも、全貌を知り得ない…立場としては、あなたたちと極端には違わない男だった。

木口龍 :「......そういえば、蘆屋道満がオレを見て何かの手のものかと言っていたな......」

SYSTEM :
 しかしだ。

『ホデリ』 :
『あれはかくも朧げなる女子を臨まぬ』

『ホデリ』 :
『…わたしの知る道満法師…蘆屋道満は。
 悪鬼の如き男。嵐のような者』

『ホデリ』 :
『その女子を掌中に収めようなど宣ったならば、いよいよ別人ぞ』

SYSTEM :
 彼が“記憶の中の海から出てきた女性”を好きではないことを隠す気がないのは明白だが、蘆屋道満に対して込めたものはそれを一回りも二回りも勝っていた。

 そもそも名前を聞いた時点で憮然としていたのは、平安の都では天地に名を轟かせた者だから、というだけでもないのかもしれない。

SYSTEM :
 …そいつに言わせてしまえば。

 蘆屋道満にとってしてみても、
 ・・・
 乙姫様などと呼ばれた娘には、
 喉から手を出す価値はないという。

 遺産に意味があったとしても、
 当人を巡ることにはならない、と。

荻野目 旭 :「……う〜〜〜ん。なるほど」

荻野目 旭 :「言い方を聞くに……蘆屋道満って、ホデリさん的にはご本人なんですもんね。愉快な人なのかどうかはともかく、そう単純な話でもないってコトかなあ」

『ホデリ』 :
『差し合えば確かとなろうが、
 あの遺産を識ることが何よりの証拠』

『ホデリ』 :
『………愉快な男であるものか。
 ゆめ用心せよ』

SYSTEM :
 言い捨てるような言葉の後、最初の時の様子とつながる仕草と低い唸り声。
 
 どうにも“ロクな男ではない”が彼の一貫した主張のようだ。

久外境耶 :「おう、おれが見る分にはオモシロ愉快だったぜ。虎に振り回されてるあたりも含めてな」

久外境耶 :「つって、一筋縄ではいかねーのはマジだろうしな。気ィ付けとくわ」

『ホデリ』 :
『わたしとすれば、甚だ“ふしぎ”に思うが…
 もとよりあれなる男、何の由縁で蘇ったのかも定かでない。
 まことであっても、時の彼方、島の外とあながち馴染むこと能わぬのかもしれん』

“虚の狩人/残骸” シホ :
 蘆屋道満、島の外、時の彼方……。
 ああ、そういえば───

“虚の狩人/残骸” シホ :
「そうだ、その“蘆屋道満”についてですが……」

 視線を龍さんへと向ける。
 危うくいつもの流れで右から左へ聞き流しそうになったけど……

木口龍 :「ん?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「“蘆屋道満”は龍さんを指して……ええと、何だったっけ……
 “何かの手のものか”、だとか言っていたような……」

 確かにこの辺り、ハッキリさせておきたい点だ。
 蘆屋道満を名乗る男がホデリさんの知る何某かとの対立関係にあったなら……それを足掛かりに解ることもあるかもしれない。

木口龍 :「ああ、そう、それなんだ。ヤツはしきりにオレのバックを気にしていたが......オレに心当たりはない」

木口龍 :「もしかするとそれが記憶喪失の理由なのかもしれんが、そもそも手がかりがあの蘆屋道満だけだ。現状確かめる術がないぜ」

荻野目 旭 :「………………」

久外境耶 :「思い出すまで何発かかるか賭けようぜ」

荻野目 旭 :1d10 (1D10) > 3

荻野目 旭 :「3発です」

木口龍 :「死ぬわ!!!!!」

久外境耶 :1D10 (1D10) > 10

久外境耶 :「おれ10!」

“虚の狩人/残骸” シホ :1D10 (1D10) > 2

“虚の狩人/残骸” シホ :「いえ、案外2回くらいで……」

SYSTEM :
 思うに境耶の10発だけは、『口実』の10発だろう。
 ………ホデリは思ったことを述べなかった。止めに入るまでもない空気なのを段々察し始めて来たらしい。

木口龍 :「オレの脳みそはこんなにも軽かったとは......」

荻野目 旭 :「やっぱりこの島特有の怪異 ナニワタンテイかもなぁって」

“虚の狩人/残骸” シホ :……ハッキリしていることはある。ここリュウグウジマで何よりも不明点が多いのは間違いなくこの眼鏡の人だ。

オオトリ :「(うわあ)」

三廻部 颯 :こっちい

荻野目 旭 :「……逆さにしても何も出てこなさそうですねぇ」

木口龍 :「都市伝説みたいに言うんじゃないよ」

“虚の狩人/残骸” シホ :……それに。

“虚の狩人/残骸” シホ :
龍さんは不明点が多いと再三繰り返してきたが。
……『いつこの島にやってきたのか』も含めて、島を訪れるまでの龍さんの動向だけが全く分からないのだ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……或いは、“蘆屋道満”、もしくは“魔獣の巣”に関連する何かが為に島を訪れたのかも知れないし。
 それとは全く関係なく、UGNやFHの動きを知ったあとで───即ち、エージェントの幾人かが行方知らずになったことを認識したうえであの海域を訪れた可能性もある。
 彼の記憶や、そこに関連する何かから意味を見出そうとするのは……まだ時期尚早なのだろうか?

SYSTEM :
 記憶に蓋をしたか、あるいは本当に失ったもの。
 誰が見ても不格好な建前で身を覆ったこの木口龍が、本当はどのような存在なのかは、未だ推測でしか語る術がない。

 ………無理くり引き摺り出すなら、それこそ………。
 シホには脳裏に過る人物、いやさRBがいないではなかったが。

SYSTEM :
 ………しかし“蘆屋道満”のみならず、件の池田咲楽の遺産については、少なくとも前から存在したものであり、警護から一月は経っている。

 彼が、この辺りに関わりを持たない存在と言い切れるわけでもない。

 かくも不確かな男が今もそこにいるのは、皮肉にもその出鱈目な建前こそが“何だろうとそこまで不思議ではない”木口龍を作り、それが比較的善意に傾くから、というだけだ。
 ………そして、彼に意味を見出すのに必要なものは、少なくとも今目に見えていないという部分も、事態をややこしくしている。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……まあ、龍さんのことはいったん置いておくとしても───」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「推定“蘆屋道満”の動向を注視し、可能ならば目的等について探りを入れる───というのが今後の課題になるのは間違いありませんね」

荻野目 旭 :「ですね。一つがなんとかなったとはいえ……まだまだ問題は山積みです」

荻野目 旭 :「学校の子たちも、たぶんまだもう少しいるはずですし……誰かが動き出すより前に保護しておきたいな」

三廻部 颯 :弱々しく頷く。

久外境耶 :またヘニョってんのかこいつ。や、まー何割かはおれのせいだろうけど。

久外境耶 :
「山に載せてねーほうの問題も片しとけよ」

 誰とも何とも言わんけど。

荻野目 旭 :ポーカーフェイス ポーカーフェイス

“虚の狩人/残骸” シホ :………、…………。

久外境耶 :やめろよ 遊びたくなんだろ

荻野目 旭 :じゃあニコ! ってしておきます

荻野目 旭 :ニコ!

久外境耶 :わり見てなかったわ 畳数えてたから

三廻部 颯 :「……私の話も……さっきで終わりです」

荻野目 旭 : 

『ホデリ』 :
『弄じてやるでない。が、まあ…』

『ホデリ』 :
『弄する余裕あらば十分。控えおけ。
 何故、も終わったところであろう』

SYSTEM :
 からかわれる少年に軽く言及しつつも、ホデリを名乗る白狗は、互いの“何故”が今は一旦収まったことを確認する。
 強いて、彼が蛇足と余分を語ることあらば。

『ホデリ』 :
『………物の怪の名を識らば。
 物の怪を如何に思うか、それは汝次第よ』

『ホデリ』 :
『わたしが言うべきと、これより”さふべき”は変わらねど。
 ………あれに裏表なしと、それのみ覚えおくこと願う』

SYSTEM :
 堅い言い回しは彼なりの気遣い。
 梯子外しの要因としての義理から来るもの。意気消沈の子供に掛ける言葉を、思うに彼は知らないわけではないのだろうが。

SYSTEM :
「意気消沈の子供」にそれ以外の付加価値が加わった時、語る言葉には堅さが足される。
 …以上を語ると、彼はそのまま畳から、すく、と四肢を伸ばして立った。立ち去ろうというわけではないが、語ることがなければお開きという意志表示だ。

久外境耶 :
 ……まあ、たしかに。汚名として残らないのなら、及第点ではあるワケだ。
 もうちょっと欲張ってもいいだろとは思うが、こいつにゃそれが難しいってのも分かるし。

「そーいうこった」

 後に続くように立ち上がって、一足先に襖を開ける。

荻野目 旭 :番犬……。

荻野目 旭 :
「あの。……聞かせてくれて、ありがとうございます。
 それが話したくないことなのは、わかったつもりですから」

荻野目 旭 :これは三人に向けてだ。言うのを止めなかった人、守ろうとした人、僕が焚き付けた人。みんなに対して。

三廻部 颯 :
 辿々しく視線が泳ぐ。
 頷きは小さく、わかりづらいものではあったが。

SYSTEM :
 ………その泳ぐ視線をよそに。
 白羽の矢を立てられるべきもの/立てられ終えたものが、鼻を軽く鳴らす。

『ホデリ』 :
『よい』

『ホデリ』 :
『拭うための行いに、礼などはな』

SYSTEM :
 それは恩に着せるにはそもそも、あなたの立場が“そう”でもないことを測り。
 その上で、誰ぞに言わせれば『及第点』、最初から見込んでいた部分まで歩み寄ったことを恩に着せる気がない所作だ。

SYSTEM :
 誰かが思うほどこの時に忘れられた生き物は善良でなく、高潔ではない。
 しかしそれは悪しきを臨んで振るうほど我欲の強い生き物でもない。

 総じて、薄氷の下に関わるにしては、聊か“不足”の性格に過ぎぬもの。
 そいつがそこにいるのは、彼自身が誰ぞに口にした言葉を借りるならば………。

SYSTEM :
   ・・ 
 己の頑しあやまちを拭うため。
 ………それだけのことだから。鼻を鳴らして、しかめ面を緩めもしない。

久外境耶 :
 背を向けてひらと片手を振る。こいつが『よい』なら、おれにはそれまでの話だ。良くも悪くも。

 ついでに言えば、まあ。
 ……いや、やっぱいいわ。

SYSTEM :

SYSTEM :
 …ひとつひとつその手で、薄氷の上と下を脅かすものを除けて。なお残るものは山積み。

 ただ分かるのは。
 良しも悪しも、訪ね人の名、物の怪の名。

SYSTEM :
 ………ホオリと銘持つ者の話。
 曰く、人喰い虎に似て非なる、双つと無き逸れ者。

SYSTEM :
 そいつに纏わる話には決定的に一つことが欠けていたが。
 誰しも悟ろうと思わば悟れることもある。

 そいつの見出すもの、臨むものは、そこまで珍しくもない。
 それを求めるものは、オーヴァードに限った話ではなかったからだ。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :合流シーンの終了確認しました。…ところで。

GM :ロイスの取得・変更について宣言ございますか?

久外境耶 :
感情の変更しとくぜー
ホデリを○好意/不信感から○尽力/憤懣に、
"ナイトホーク"を○有為/隔意から○好意/隔意にする

GM :なるほど…承りました。

GM :キャラシートに変更したものの記入をお願いしますね。

久外境耶 :おう


・シーン26「幕間・拾弐」

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【シーン26:幕間・拾弐】

 登場PC:颯、旭
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :

Tips-UGNチルドレン
 幼少期にオーヴァードとして覚醒し、UGNの保護施設で養育された20歳以下のエージェントの事。
 彼ら彼女らはUGNの施設で育ち、レネゲイドに関する知識と能力を教え込まれ、
 自分たちにとっては定かでない、硝子の向こうの日常を守るために戦っている。この点、人間社会と常識に“ズレ”を持つという部分においてのみ、どう擁護しても、皮肉にもFHチルドレンと何ら変わることがない。

 扱いや任務の傾向はその実、昨今の人手不足も相俟ってUGNのエージェントと基本的には変わらず、
 訓練施設(ホームと呼ばれる)は大なり小なり、倫理の優先順位が低いケースも少なくない。

 なお、UGNチルドレンの定義、扱い方、施設については諸説があるが、
 概ね「幼少期からオーヴァードだった人物」「UGNの保護施設で養育された未成年エージェント」をそう呼ぶものとしてここでは記載している。

 誰が呼んだか、UGNの子供たち。

SYSTEM :
 ひとつがなんとかなって、残るはふたつ。いやみっつ。
 行方不明のクラスメイト、島からの脱出方法、推定とて本人の色濃い蘆屋道満とそいつを振り回す“喚楽の人喰い虎”の目的………。

 長いようで短い時間ながら、島での出来事は良くも悪くも折り返しに過ぎない。

SYSTEM :
 そんな出立と整理の最中、どちらがどちらから声を掛けたか…までは定かでないが。
 颯と旭、クラスメイトの間柄で、薄氷が張られた水面下を識ってしまった颯にとっては、違う意味も持ち得る少年と、僅かなりとも話す機会が出来た。

 先のような数人を交えたものでも、先程より多い人数でもない。
 面と向かわねば言えないこともあるだろう。あるいは、その逆も。

▄█▀██ :
 順調。
 ただただ順調。
 クラスメイトは最低でも残り二人。
 確認できている怪物のうち、片方は討伐済み。
 “喚楽の人喰い虎”の最終的な目的。
 この島に巣食う”物の怪"の正体。

 紐解くべきものは紐解かれていく。
 順調。
 そう言ってもいいくらい。

▄█▀██ :
 だが事態の進行に対して、
 巻き込まれた少女の心境は穏やかなものではなかった。
 最初のうちは現実を飲み込めていなかったり、ただ流されていたからというのもあるのだが。
 今は違う。
 親友を取り戻し、事態が大きく前に進んだからこそ、
 飲み込んだはずの現実に心が侵されている。

▄█▀██ :
 ……少女の傷心は、正しいものなのか。
 少女はそれを知りたくて、"クラスメイト"である──或いは"だった"──少年に声を掛けた。

 視線も合わせられないほど怯えた様子ではあったが、それでも後ろを向くことだけは許されなかった。

三廻部 颯 :
「……ちょっと、お話、したいな。いい?」

荻野目 旭 :
 振り向いた先の顔は、ずいぶん怯えていることがわかる。
 表情から不安は隠せず、日常と非日常を彼女なりに分ける『皮』も脱げないままだ。
 申し訳なさ半分、理解半分。
 そんな気持ちで、いつも通りの顔をつくる。

荻野目 旭 :「もちろん。……池田さんやサイトくんには話せないようなコトですか?」

三廻部 颯 :
「……うん」

三廻部 颯 :
「二人は……"オーヴァード"じゃないから」

三廻部 颯 :
「……、……っていうより、なんだろう、な。
 ……二人はあんまり、関係なくて。
 旭くんと、話したいことと、聞きたいことなの」

 縁側の向こうに広がる景色を細くした目で見て、そのまま座り込む。
 隣を手で叩いて、座って欲しい、と言うように。

荻野目 旭 :「……僕と?」自分を指差す。

荻野目 旭 :じゃあ、応じるように隣に座ります。

三廻部 颯 :
 こく、と頷く。
 元々緊張するとそうなのか、また舌が乾いてきた。
 人差し指同士を絡めながら、視線が泳ぐ。

「……さっきの、ホオリさんの、話のこと」

三廻部 颯 :
「……あの時さ」

三廻部 颯 :
「……、……あの時……」

三廻部 颯 :
 顔を合わすことができない。
 震える声色と、かさつく唇が鬱陶しい。
    ・・・
「…………あの時、
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 ホデリさんが割って入らなかったら……旭くんは、どうするつもりだったの?」

荻野目 旭 :……ああ。それか。

荻野目 旭 :合わない視線を気にしない素振りで、彼女の顔を見つめる。

荻野目 旭 :
「そのまま、『聞きませんでした』で流すつもりでしたよ。
 そうしないと、殺されるのは僕らでした」

三廻部 颯 :
「……そっか」

▄█▀██ :
 分かりやすい落胆。
 それが正しい判断だと理解したからこその。
 

三廻部 颯 :
「……私はね、あの時ね。
 旭くんとか、シホさんが、あの時、味方をしてくれるんじゃないかって、思ってたの」

 口にこそしなかったが、
 "それってただの思い上がりだったんだね"と続くことが、よくわかった。

三廻部 颯 :
「だって……、この島の事を追いかけていくなら、
 絶対、避けれないところだし。
  ・・
 "嫌だ"なんて言っていられない事だし」

▄█▀██ :
 分かりやすい感情。
 少なくとも"少女にとっては"──あの時の、"ラッキージンクス"の行動は「ズルい」と思ったのだろう。
 
 最も。
 "自分は我慢しているのに"という言葉は、そこでは口にしなかった。
 出来なかった。
 口にしてしまえば、自分の価値観が壊れる気がしたからだ。
 自責として背負い込まなければいけないものだと思った。

三廻部 颯 :
「……ごめんを言って欲しいわけじゃないの。
 ただ、理由が聞きたかったから。
 うん、…………、…………充分、かな」

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :
 それが人の道として正しいことは知ってる。
 これが今みたいな状況じゃなければ、僕は三廻部さんが求めているようなことをしてあげられただろう。
 それはたぶんシホさんも同じだ。

荻野目 旭 :だけど今じゃない。

荻野目 旭 :「……三廻部さん」

荻野目 旭 :
「ごめんなさい。僕はさっきのあれを、謝ってあげられません。
 同じ状況に立ったら、また多分同じ行動をすると思います。最良の判断だと思ってますから」

荻野目 旭 :「境耶くん────いえ」

荻野目 旭 :
 ・・・・・・・・
「“ラッキージンクス”は。
 ホデリさんが何も言わず、僕らが『その名前を聞きました』と言ったら、他の二人を巻き込んで僕らとの同盟を解除していたでしょう」

荻野目 旭 :「それは……なんというのかな」

荻野目 旭 :
「彼らが、『自分の大切なもののためなら、平気で、他人の大切なものなんて踏み潰します』って決めた人たちの集団にいるからです。
 たぶん、“ラッキージンクス”にとって。今それはホデリさんですから。
 残ったふたりも、都合がよければ横紙破りなんて平気でしたでしょうね──都合がよくなかったら、こちらにまだつくこともあるかもしれませんけれど」

荻野目 旭 :「僕は関わってもいないふたりのエージェントの、そんなあやふやで不確かな『欲望』に、あなたの命を預けられません」

荻野目 旭 :
 優しいとか、ひどいとか、わがままとかそうじゃないとか。
 そういうのじゃない。

 彼は一般的な『我慢する、我慢しない』の枠の中で生きちゃいないからだ。

荻野目 旭 :
 ……そんなこと考える時点で、僕もファルスハーツの理念にいまはしっぽ振ってるのと変わらないんだよね。
 ため息をつくのをいつもどおり堪えながら、三廻部さんの目を見つめる。
 こんな正しさで納得できるはずないよね、っていうのを肌身で感じながら。

三廻部 颯 :
「ずるいなあ」

三廻部 颯 :
「人には"そうしろ"って言う割に、
 自分が"嫌だ"と思ったら、そういうことするんだもん」
 ・・・・・・・・・・
 ただの少女だった颯に、それは"そう"映った。
 一般的な社会の規範の中で生きてきたからこそ、
 その規範から外れた行動を取る意味は理解できず、それが許されていることも理解できなかった。

三廻部 颯 :
「しゃべった私が馬鹿みたい……」

 やっとのことで絞り出した"嫌味"は、口にした瞬間に颯の心を蝕んだ。
 見つめてくる目に、ようやく目が合う。
 最も合理的で、正しい判断。
 感情とは相入れぬものを、そうすぐに受け入れることはできない。

▄█▀██ :
 結局ホデリの介入で話したとはいえ。
 結局、FHという枠組みの中にいる者達の撃鉄を気にし続けなければいけない状況なのは変わらない。
 意にそぐわなければ暴発する火薬庫に火をつけないためなら、感情よりも合理が優先される。
 
 そんなことは頭で分かっている。
 ……ただ、体と心がそれについていけていないだけ。

三廻部 颯 :
 理不尽だ。
 それが、口にはできなかったこと。

「……ごめんね。
 友達だから頼ってとか、思い上がったこと言って」

三廻部 颯 :
 結局、私は、お荷物になっているのだ。
 私の命のことを天秤に乗せて考えさせてしまっている時点で。
 そりゃあ、そうだ。
 覚醒したてのオーヴァードを勘定に入れることなどできない。
 
 結局、私の知っている旭くんは……、
 クラスメイトの荻野目旭 であって。
 今ここにいるのは、"ナイトホーク"なのだ。

三廻部 颯 :
「……弱くて、ごめんなさい……」

荻野目 旭 :……そっとハンカチを差し出す。

荻野目 旭 :
 ……虫のいいことばっかりしてられないよな。
 彼女からしたら、クラスメイトも今の自分とは違って、同じ領域の人間にもなり切れない状況なんだ。

荻野目 旭 :「……あのね、三廻部さん」

三廻部 颯 :「……? うん……」

 差し出されたハンカチに、一旦視線を落とす。
 けど、すぐにそれを手に取ることはしなかった。

荻野目 旭 :「頼るって言ったのはホント。うれしかったのもホントです」

荻野目 旭 :
「だけど、僕はすごく打算的な人間なんです。
 優しいってあなたが思ってくれてるなら、それは僕があなたに好かれるよう動いてるからです。
 だけど彼相手にあなたを矢面に立たせられるほど勇気あるわけじゃなくって。それならああやって、あなたが嫌がるやり方した方がましなんです」

荻野目 旭 :
 これが脳みそで考えてるかどうかは、彼女の判断しだいだ。
 僕にとっては半分半分。

荻野目 旭 :「あなたが僕を友達だって思ってくれるなら……いくつか覚えていて」

荻野目 旭 :
「僕はあなたが思ってるより、ずっとひどいことをしながら生きてます。
 それをわかろうとしなくっていいし、わからないことを苦しまなくってもいいです」

荻野目 旭 :
           ・・・・・・・・・・・・
「“ラッキージンクス”もカミキくんじゃありません。
 彼も気持ちのいいヒトだと思うけど、それと、彼が『ふざけるな』って思ったものを迷わず握りつぶせる人間であることは矛盾しないんです」

荻野目 旭 :
「あなたが思った『おかしい』を握りつぶさなくていいです。僕を責めて。
 その『おかしい』をどこかに置いていったら……あなたは昨日と同じ今日に戻れません」

▄█▀██ :
 自分の発したものの意図と、受け取ったものの意図は、必ずしも一致しない。
 そこには人の思惑や感情というものが必ず介在する。
 それに嫌悪感を抱くも、抱かないのもまた、人の自由であり個別の意思だ。
 
 ……差し出されたハンカチで、涙を拭う。
 拭切れないほど零れ落ちるものだったとしても。
 そのまま、少女は少年に預けるようにして体を傾ける。

三廻部 颯 :
 友達ってなんなんだろう。
 一緒にいて気持ちがよい間柄なのか。
 気兼ねなく自分のことを話せる間柄なのか。

 私が優しいと思う旭くんは、旭くんがそう行動した結果から生まれたもの。
 なら、私は表面上の旭くんしか知らない。
 それって、友達なんだろうか。
 友達で───いられるんだろうか。そのままで。

「……ずるいよ……」

三廻部 颯 :
「私が……そうやって……人を責めるのは、嫌いなのに。
 ……ずるい、ずるい。もっと、はっきり言ってくれたっていいのに」

 我儘だ。
 反射的に口から出た我儘に過ぎない。
 旭くんのいう"ずっとひどいこと"をしなければならない世界と、"それをわかろうとしない"世界……、
 私はどっちにも居ることができなくて、その間を漂っている。
 ・・・・
 中途半端なんだ。

三廻部 颯 :
「私、わかんないよ。
 昨日と同じ今日なんて、ほんとにあるの?

 だって、悪い人たちが咲楽のことを狙ってたのは、遺産っていうもののせいなんでしょ?

 ……じゃあ、私だって、そうなるんじゃないの?
 ……そうなったら、そうなっちゃったら、わたし」

三廻部 颯 :
「……どっちにも居られない私は、
 どこにいけばいいの……?」

 ──どう足掻いたって、普通の女子高生になんて戻れない。
 けど──打算で人を利用するようなことも、出来ない。
 そんな半端者に行く場所なんて、あるのだろうか。

三廻部 颯 :
「…………、………………、
 …………、……………………」

三廻部 颯 :
「……ごめん。
 なんでもない」

荻野目 旭 :「………」

荻野目 旭 :「この島には……極端な例しかありませんから」

荻野目 旭 :「この島にあることが、世界のすべてじゃないことは……わかっていてほしいんです」

荻野目 旭 :
「どこに行けばいいのか、どこにいればいいのか、その正解なんて……本当は誰もわかってないんです。
 あるのは三つです。僕の知るかぎり」

荻野目 旭 :
「『ここにいちゃいけない』
 『ここじゃないと息ができない』
 『ここにいたい、ここがいい』──」

荻野目 旭 :
「とはいえすべての人が、それを決めて自分の場所にいるわけでも、ありません。
 今のあなたも、多分そうですよね。
 だけど──」

荻野目 旭 :
「ひとつめ選ぶと、後ろめたいですよ。僕はおすすめしません。経験則です」

▄█▀██ :
 体をもたげて、預けた少女が、少年にしがみつくように手を動かす。
 "友情"という言葉を皮肉るような、遠い遠い距離を、埋めたがるような手つきで。

▄█▀██ :
 それはただ、独りになりたくないというだけの、小さな小さな我儘。
 咲楽も、他のクラスメイトも、確かに彼女の友達だ。
 だけど、少女と"同じ"ではない。
 大きな大きな壁が生まれてしまった以上、それを繋いでいることはできても、違和感を完全に拭い去ることはできない。

▄█▀██ :
 だから多分、無意識に求めた。
 自分と同じ目線に立っている者、立ってしまった者。
 それは少女の小さな欲望で、小さな傲慢。

▄█▀██ :
 だから、どこにいくかの正解なんてない。
 結局それは自分が決めることで、他人に委ねるものではない。
 ただ……もといた陽だまりに、自分から離れるのは、後悔をし続けるということだけ。

三廻部 颯 :
「…………、…………」

三廻部 颯 :
「……咲楽に、みんなとも、友達でいたい」

三廻部 颯 :
「……でも」

三廻部 颯 :
「……旭くんとも、……ほんとの旭くんとも、友達でいたい」

三廻部 颯 :
「……欲張りかな」

荻野目 旭 :苦笑する。

荻野目 旭 :
「あなたにお任せします。さっきみたいなことするのが仕事なので。
 それをあなたが嫌いにならない限りは、僕らお友達です」

荻野目 旭 :数センチ高い頭を軽く撫でる。なんとなく新鮮だ。

荻野目 旭 :
「僕はUGNチルドレンという人種なので。
 あなたの苦しみを、完全にはわかってあげられません」

 嘘だ。

荻野目 旭 :
「あなたの感じてる溝を、認知してもあげられない」
 嘘。

荻野目 旭 :
「……だけど、ちゃんと友達です」
 これはホント。
 あなたが僕を最初に友達だって思ったのは僕が暗示をしたからだけど、いまは効いてないんだしね。

荻野目 旭 :
「池田さんとサイトくんに言えないところは、僕に言ってください。
 相談する相手をその物事によって選ぶのは、傲慢じゃなくって正統な権利だし。
 それで友達失格になったりはしませんし、言えないからっている場所が違うなんて決まったわけじゃありません」

▄█▀██ :
 嘘と真実。
 織り交ぜられれば、どちらがほんとかなどわからない。
 オーヴァードという、日常から爪弾きにされた者たちの世界は、常にそう。
 裏切って、裏切られて当然なのだ。

▄█▀██ :
 だから、その世界の中で確かな繋がりを持とうとするのは、本能的な欲求なのかもしれない。

三廻部 颯 :
 撫でられる感覚に、こそばゆさを感じる。

 優しさを感じる壁に、ゆっくり手をかけるような感覚が自分の中にある。

「……」

三廻部 颯 :
「……うん……」

三廻部 颯 :
 ず、と黒ずむ胸の輝き。
 それは、現実を理解して、一歩進んだ証。
 少女の一つ、強くなった証明。

「…………、……うん」

三廻部 颯 :
「……ほんとはね、わかってほしいの。
 でもね、私も、わかる努力をしなかったの」

三廻部 颯 :
「わからないから苦しいとか、
 わからないって言うだけで、わかろうとしなかったの。
 ……誰のことも」

三廻部 颯 :
「……だからね」

三廻部 颯 :
「がんばるよ、わたし。
 わたし、……旭くんの、友達でいたいから」

 何を、とか。
 そういうことは言わなかったけど。
 颯なりに、現実を受け止めて、現実を飲み込もうとして、それを跳ね返さないやり方を、考えた。
 

荻野目 旭 :「期待しないように、期待してます」

荻野目 旭 :彼女の胸の輝きには気づいたけど、触れないようにして。笑顔のままうなずく。

荻野目 旭 :「僕もね」

荻野目 旭 :
「まだ言えてないこと、けっこうあるんです。
 だけどその『言ってない』は、あなたを遠ざけたり、仲間外れにしたりするためにやってるわけじゃないこと、できたら覚えててください」

荻野目 旭 :
「そういう『言えない』を繰り返して、たくさん後ろめたいことをしてるけど──
 いつもどおりの隣人って位置にどうにかしがみついてるのが、僕らだってこと」

三廻部 颯 :
「……うん」

三廻部 颯 :
「……期待しすぎると、さっきの私みたいになっちゃうから。
 それくらいが、きっと、ちょうどいいんだと思う」

三廻部 颯 :
「……うん、だから……」

三廻部 颯 :
「……何があっても、何を言われても、
 ……もう一度信じさせて欲しい。
 ……友達のこと、信じたいから」

「……今度は、ずっと手を繋げていたいから」

荻野目 旭 :
 一瞬だけ、言葉に迷った。
 安請け合いするのは簡単だ。
 いつもはそうしてる。理由は簡単、それが一番都合がいいから。

荻野目 旭 :
 だけど……きっと大丈夫か。     イブツ
 僕の、はじめのひどい突き放し方が──僕に寄りかかっちゃいけないってわかってもらうためだったこと。
 彼女はもうわかるだろう。

荻野目 旭 :「あなたにお任せします。……やっぱりひどいやつだ! 嫌い! って思っても、別に後ろめたく思わなくっていいんですからね?」

荻野目 旭 :「なんちゃって」

三廻部 颯 :
「……ずるいなあっ」

 嬉しいのか、悲しいのか、悔しいのか、何が何だかわからない涙を堪えて。
 何があっても信じるし、何があっても友達でいたいというのだから、やっぱり嫌い、なんてならないのに。

三廻部 颯 :
「……うん、わかった。
 ……だから、いつかさ」

三廻部 颯 :
「……いつか、本当の旭くんとお話しさせてね」

 颯にとっての本当の旭というのは、
 そういう都合とか何もかもを取っ払って──人間同士として、お話しできるように、という願いだ。

三廻部 颯 :
「また、よろしくね。
 クラスメイトの旭くんも、"ナイトホーク"の旭くんも」

荻野目 旭 :
「機会がないことを祈ってます」
 ぱちん、とウインク。

荻野目 旭 :「たぶん嫌われちゃいますからね」

荻野目 旭 :「……しばらく休んでていいですよ。僕のつやつや膝枕貸してあげましょう! どうですか?」

三廻部 颯 :
「……むう、ずるいなあ」

三廻部 颯 :
「……わかった。
 けど、私、結構負けず嫌いなんだからね」

三廻部 颯 :
 じゃあ、お言葉に甘えてお邪魔します。
 なんて口にしながら、困った笑顔のまま、お膝を借りることにする。

「……なんか変な感じ」

荻野目 旭 :「よく知っております」

荻野目 旭 :
 できれば、今回は負けてくれるといいなと思いながら。
 おやすみなさい、とささやいた。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :シーン終了後、ロイスの変更や更新はございますか?

荻野目 旭 :変更なしです!

三廻部 颯 :あ、あります。

三廻部 颯 :旭くんへのロイスを、
○好意/隔意に変えたいです。

GM :成程。分かりました、キャラシートに書き加えておいてくださいね。

三廻部 颯 :オッケーです!