《Beyond_the_sea》 チャットログ:メイン3


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目次

・ミドルフェイズ〜ラウンド4〜
・情報シーン4「渇望喰い」
・プライズシーン5
・シーン27「幕間・拾参」
・シーン28「羅刹」
・シーン29「火織」
・シーン30「幕間・拾肆」
・シーン31「幕間・拾伍」
・シーン32「幕間・拾陸」
・シーン33「幕間・拾漆」
・シーン34「幕間・拾捌」
・ミドルフェイズ〜ラウンド5〜
・シーン35「余聞」
・シーン36「妄執」
・シーン37「海鳴」
・シーン38「切望」
・ミドルフェイズ終了〜合流シーン



ミドルフェイズ〜ラウンド4〜

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :[ - ラウンド/4 - ]  

SYSTEM :
[ - ラウンド/4 - ]

【経過ラウンド】
 3/9
 
【島の変化】
 46〜60:膠着した進行。修正は特にない

【プライズ】
 □□□□□ □□□□□ □□□□□ □□□□□

3:“ミッドナイト・アイ”を発見、合流
5:「明夜白銀」の居場所を発見
8:「渇望喰い」の居場所を発見
11:「蝕みの君」の居場所を発見
14:?????
17:?????
20:?????

 合計:13/20

【友好ユニット】
 5/?
 まだ民間人が「2名」取り残されている…。

【敵対ユニット】
 3/4 COMPLETE!
 

SYSTEM :

[セットアッププロセス]


SYSTEM :
 セットアッププロセスを開始します。
 選択可能な行動を確認した後、各自の宣言をお願いします。

SYSTEM :
[セットアッププロセス・情報判定]

・島の調査(知覚 or RC or 有効と認められる判定:10)
 既に解放されているエリアの周囲1マスからどこか1つを選択
 そのマスを開示する
(候補:[1-2]、[1-3]、[2-2]、[2-3]、[2-4]、[2-5]、[4-2]、[5-5])

・情報:『渇望喰い』/〈情報:UGN or 裏社会〉:10
・情報:『蘆屋道満』/〈情報:■■■■〉:30

三廻部 颯 :
[4-2]、開けにいきたいです。
判定は[知覚]で、いつも通り[EE:壁抜け]を使っていきたいです。

GM :よろしい。では、定例通りの目標値低下として判定を進めましょうか。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

三廻部 颯 :(4+1)dx+1 <感覚:知覚> (5DX10+1) > 10[1,3,5,7,10]+10[10]+6[6]+1 > 27

三廻部 颯 :わぁ……。

GM : 

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :1d11 (1D11) > 6

SYSTEM :
【Check!】

・「4−2」の判定が開示されます。

  判定/〈交渉〉:6 
     〈知識:オカルト、レネゲイド〉:7
  支援/〈情報:UGN、FH、ゼノス、裏社会〉:9

荻野目 旭 :癒しの水!! 癒しの水忘れてました!! 境耶く〜ん! おやつの時間ですよ〜!

『ホデリ』 :(おやつ?)

“ミッドナイト・アイ” :(おやつて)

久外境耶 :おやつて

久外境耶 :まーもらえるモンならありがたく!頼むわ

荻野目 旭 :お任せください! このリュウグウジマそのへんで見つけた椰子の実をえいえいゴリゴリ……

久外境耶 :おやつじゃねーか!

荻野目 旭 :では! いざ調味!

荻野目 旭 :4d10+2 (4D10+2) > 33[8,8,10,7]+2 > 35

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 43 → 78

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 95 → 97

久外境耶 :うっっっっっっま スッゲ

荻野目 旭 :フフ〜〜ン

『ホデリ』 :これがおやつといふもの…こよなきものだ…

“虚の狩人/残骸” シホ :(甘いのかな……)

“虚の狩人/残骸” シホ :……じゃなかった
[2-3]の調査を行います。使用技能は〈知覚〉、以前と同様に《EE:真昼の星》を使用します。

GM :前回同様のEE使用ですね? いいでしょう。

GM :であればこちらも同じく目標値修正(10→9)を行うものとして進めます。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

“虚の狩人/残骸” シホ :

“虚の狩人/残骸” シホ :

“虚の狩人/残骸” シホ :9dx10+1 〈知覚〉 (9DX10+1) > 10[1,3,4,4,4,5,5,10,10]+9[3,9]+1 > 20

GM : 

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

GM :(※デカい出目につられて颯判定時の『判定成功』メッセージを挿入し忘れたことをお詫びします)
(※なおログ内では修正済みです)

SYSTEM :1d10 (1D10) > 5

SYSTEM :
【Check!】

・「2−3」の判定が開示されます。

進行/〈射撃〉:6
   〈社会〉:8
   〈肉体〉:10
支援/〈知識:動物〉:7

久外境耶 :じゃ〜おれ1-2!
技能はRCで《異形の歩み》と《熱感知知覚》を使うぜ

久外境耶 :この流れならいけんだろ!

『ホデリ』 :勢い猛るあまり躓くでないぞ

久外境耶 :ワッハッハまあ見とけって

GM :それはそうとこちらも判例のあるEE使用ケースです。合わせ技が有効な効果フレーバー同士とGMが受け取ったので、目標値減少(10→8)が認められるアレですね。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

久外境耶 :2dx+1 (2DX10+1) > 9[9,9]+1 > 10

久外境耶 :ッシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあばよ蟹ども!

『ホデリ』 :うむ、見事なり では中身を覗こうぞ

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :1d9 (1D9) > 2

SYSTEM :
【Check!】

・「1−2」の判定が開示されます。

進行/〈肉体〉〈RC〉:10
支援/〈肉体〉〈感覚〉:6

荻野目 旭 :では〜……僕は2-2を覗きに行きましょう! RCで判定しますが、〈猫の道〉併用は可能ですか?

GM :ふむ どれどれ…

GM :猫の道もラウンド3にて判例が出ていますが この時は《ハンドリング》の併用による回答となっていますね

荻野目 旭 :そうなんです! なので〈RC〉だと裁定が違うかなあ…と確認なんですがぁ…

GM :ふうむ…

GM :猫の道は『近道を見つける』手段…というのは以前お話したところで、メインプロセスの探索中であれば一も二もなく頷く効果です。あとシーン中の補助的運用とか。

GM :これが「だいたいこの辺に何がある」を探る手段として使うとなると…前回は「鳥の視界とのあわせ技」で納得しましたが、単品の場合の使い方の想定はございますか?

荻野目 旭 :そう…! いい言い訳が思いつかないのです! 猫の道であぶないものとの遭遇を避けながら奥に進んでいきます! という感じでどうでしょう〜…?

GM :ふうむ………『必ずそこに危ないものがいる』というわけではないのですが しかし 現時点

GM :"蝕みの君”以外の敵対ネームドが生きている状況です。アリとしましょうか。

GM :前回同様、判定目標値を10⇒9とするものとして処理します。それでよろしいですか?

荻野目 旭 :ありがとうございま〜す! では…! 僕は椰子の実を探しに行きますよ!

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

荻野目 旭 :4dx+1 (4DX10+1) > 10[4,5,5,10]+1[1]+1 > 12

荻野目 旭 :椰子の実ありませんでした

“イリュシデイター” :探し物が変わっていませんか?

“イリュシデイター” :何はともあれ成功ですね。お疲れ様です。

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :1d8 イベント確認 (1D8) > 2

SYSTEM :
【Check!】

・「2−2」の判定が開示されます。

進行/〈肉体〉〈調達〉:8
       〈知覚〉:10
支援/〈知識:任意〉〈RC〉:6

木口龍 :さて……

木口龍 :
・情報:『渇望喰い』/〈情報:UGN or 裏社会〉:10

これを裏社会で振りたい。

GM :承りました。ですが…

木口龍 :む?

GM :「使用する技能」と「ホデリかタイガーアイ、どちらをこのセットアップ行動に費やすか」の確認もしておきましょうか。

木口龍 :了解。タイガーアイがフリーとのことで、オレはこの赤のタイガーアイを選ぶぜ

木口龍 :で、使用技能は先に宣言した通り、裏社会だ

タイガーアイ :赤くないところまで礼儀の一つ 中々の"KOTY”道だ

木口龍 :KOTYは死んだのにコンシューマーでクソゲーが出まくっているのはなんなんだろうな

タイガーアイ :理解らぬかなにわ探偵よ 受け継がれた緑の衣と探偵の名が泣くわ

タイガーアイ :──我も理解らぬ。

木口龍 :分かんねえのかよ・・・・・

“虚の狩人/残骸” シホ :(また“賢者”がムダな叡智を授けている気配がする…)

SYSTEM :
【Check!】
 無駄な知識と判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

木口龍 :3dx+7 明日使えない無駄知識 (3DX10+7) > 10[1,5,10]+2[2]+7 > 19

木口龍 :

タイガーアイ :情けは無用 パパラッチの如く全てを解明せよ

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :
[セットアッププロセス]

 セットアッププロセスを終了します。
 また、開示が確定した情報の一部について確認後、
 セットアッププロセス時点でラウンド進行を一時中断し、シーンを展開します。

GM :※今回プレイヤーの日程等のやんごとなき事情により、希望があった場合でも「メインプロセス行動先決定後」にシーンが展開されます。ご了承下さい。

SYSTEM :
     マーナガルム
【人物:“渇望喰い”】
 ブリード:クロスブリード
 シンドローム:ブラックドッグ/サラマンダー
 ワークス/カヴァー:ダークワン(オオカミ)/ダークワン
 侵蝕率:130% 性別:? 年齢:?

 所持Dロイス
『超侵蝕』

 所持エフェクト
『瞬間退場I』『瞬間退場II』『瞬間退場III』『オリジン:アニマル』
『灼熱の結界』『氷の回廊』『雷神の降臨』『超電磁バリア』『超人的弱点』…等

SYSTEM :
 20世紀始まり頃から存在した『ダークワン』と呼ばれる異形の存在/レネゲイドを宿した怪物『串刺し公』に飼われていた一匹の狼。

 その者が何らかの理由で死亡した際に、自らのレネゲイドを与えられたことで、Aオーヴァードに変質した。
 苛烈で過激、自己中心的な性格をしているが、同時に臆病すぎるほど臆病な性格であり、勝てる戦いしかしない───本質的には、後述するが「生き残ること」を無意識に最優先順位に設定している。

 彼を此処まで存在たらしめているのはその異常な逃げ腰と執念深さ、イコールで生き汚さ。
 一度標的に定めたものに執拗に纏わりついて勝機を見出そうとする一方、狙われた時の逃げ足の早さについては筆舌に尽くし難く、日本、アメリカ、そして『怪異』特化の拝み屋蔓延るイギリスでまで、今まで幾度かの突発的、災害的な被害を撒き散らしておきながら彼が捕縛されなかったことからも、その能力が伺える。

 このAオーヴァードを倒すには“逃げ道を封じる手段”が必要になる。
 対応する手段を持たずシーンに入った場合、開始時に登場侵蝕を計算した後に【瞬間退場I】または【瞬間退場III】が使用され、強制的にシーンが終了する。

SYSTEM :
 その身体にはレネゲイドが再生し切れていない『Aオーヴァードになる前の古傷』がある。
 この情報を獲得してから、“渇望喰い”が『雷神の降臨』を使った攻撃を使用した後に『コンセントレイト』を併用した白兵攻撃を受けた時、以降全ての攻撃で『超人的弱点』のダメージが追加されるようになる。

SYSTEM :
[イニシアチブプロセス]

SYSTEM :
[イニシアチブプロセス]

[1-5] [2-5] [3-5] [4-5] [5-5]
 ?  ?  ○  ?  ?
[1-4] [2-4] [3-4] [4-4] [5-4]
 ?  ?  ×  ×  ?
[1-3] [2-3] [3-3] [4-3] [5-3]
 ?  ×  ○  ×  ☆
[1-2] [2-2] [3-2] [4-2] [5-2]
 ×  ×  ○  ?  ☆
[1-1] [2-1] [3-1] [4-1] [5-1]
 ○  ○  ○  ○  ○

SYSTEM :
 イニシアチブプロセスを開始します。
 選択可能な箇所を確認後、
 各自の行動を行う場所の決定をお願いします。



[情報開示済み]
 1-2、2-2、2-3、3-4、4-2、4-3、4-4、5-2、5-3

[情報未開示だが行動は可能]
 1-3、1-5、2-4、2-5、4-5、5-5

久外境耶 :渇望喰いブン殴りにいくかぁ! 5-2だな? 行こうぜホデリ。ミッドナイトも来んだろ?

荻野目 旭 :僕も行きます! 監督責任がありますので!

『ホデリ』 :相分かった。あの獣めのもとへ参るとしよう

『ホデリ』 :汝もそれでいいのだな

“ミッドナイト・アイ” :愚問…仮上司からそこのところ聞いてなかった?

“ミッドナイト・アイ” :行くよ、無礼られたまま帰ると後が困るし…

久外境耶 :ヒューッ ずっとキレててウケんな

“ミッドナイト・アイ” :評判に疵つくと命に係わる…

“ミッドナイト・アイ” :見えてる地雷踏んで爆発させたいくらい自殺趣味じゃないなら…分かると思う…

“虚の狩人/残骸” シホ :……逃亡を計る相手には後詰めの狙撃手も必要でしょう。
それと……

“虚の狩人/残骸” シホ :……いまは、あなたの力を貸してほしい。
一緒に来てくれますか、颯さん。

三廻部 颯 :あ……わかりました、行きます。

“虚の狩人/残骸” シホ :……、…………。

荻野目 旭 :……。

久外境耶 :え 何この空気

三廻部 颯 :(私何かおかしいこと言ったのかな……)

“ミッドナイト・アイ” :さあ…。仮部下兼もと古巣に聞けば…?

“イリュシデイター” :(咳払い)

“イリュシデイター” :話に聞く限りで、ひどく慎重かつ臆病な相手です。"備えない”ことを数える方が楽でしょう。

“イリュシデイター” :
 …皆さん、お気を付けて。
 三廻部さんも、肩肘張りすぎずにね。

“パラディン”的場啓吾 :ところで…その仮部下兼もと古巣から言っておくことがあるが…

久外境耶 :イエ〜イ傾聴〜

“パラディン”的場啓吾 :"探偵さん”は獣狩りからハブか?

久外境耶 :そっちか!ワハハ

木口龍 :ん? ああ、オレか。少し足使って調べてくるぜ・・・

木口龍 :というわけで4-3へ行く

“パラディン”的場啓吾 :そりゃそうさ。面倒を見る年下のジャンルをいちいち切り替えるのもな。…で。

“パラディン”的場啓吾 :自称蘆屋道満の塒には"まだ”行く気なしか。それなら精々逃げ上手の鼻を明かして、気分よく勝ち誇って来い。

SYSTEM :
【Check!】
 移動先を確認しています... 

SYSTEM :
【Check!】
 移動先を確認しました。
 メインプロセスに移行します。

SYSTEM :
[メインプロセス]

SYSTEM :

[メインプロセス・確認]

 颯:5-2
境耶:5-2
 旭:5-2
シホ:5-2
 龍:4-3

      ホデリ:5-2/行動可能
ミッドナイト・アイ:5-2/行動可能

SYSTEM :
【Check!】
 判定:[4-3]を行います。
 判定対象者:龍

進行/〈交渉〉:7
   〈知覚〉〈情報:FH〉:10

支援/〈情報:FH〉:6

木口龍 :んじゃまあ

木口龍 :<情報:FH>で振ろう。難易度は10だな

GM :了解しました。特に宣言する内容はありませんか?

木口龍 :無い。下振れが怖いが加護打つほどじゃない

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

木口龍 :3dx+6 情報:FH ギコギコはしません。一度刃が入ると (3DX10+6) > 5[2,4,5]+6 > 11

木口龍 :っっっぶね

タイガーアイ :この感じ 完全に波紋…刃は入った

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

プライズ:13⇒15

SYSTEM :


【Check!】
 プライズが規定値に達しました。



SYSTEM :1d3 (1D3) > 3

SYSTEM :
【Check!】
・プライズイベント(5)が発生

 上記結果により、下記の出来事が発生します。

壱:トリガーシーンが発生
(※対象者:龍)

弐:[4-1]がイベントマーカーに変化


・情報シーン4「渇望喰い」

SYSTEM :
【情報シーン4:“渇望喰い”】

 登場PC:龍、境耶、旭、シホ
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
   マーナガルム
Tips-“渇望喰い”
 ブリード:クロスブリード
 シンドローム:ブラックドッグ/サラマンダー
 ワークス/カヴァー:ダークワン(オオカミ)/ダークワン
 侵蝕率:130% 性別:? 年齢:?

 20世紀始まり頃から存在した『ダークワン』と呼ばれる異形の存在/レネゲイドを宿した怪物『串刺し公』に飼われていた一匹の狼。

 その者が何らかの理由で死亡した際に、自らのレネゲイドを与えられたことで、Aオーヴァードに変質した。
 苛烈で過激、自己中心的な性格をしているが、同時に臆病すぎるほど臆病な性格であり、勝てる戦いしかしない───本質的には、「生き残ること」を無意識に最優先順位に設定している。

 病的なまでに生残を優先する一方で極めて嗜虐的で残忍。
 何故生き残るのか。その理由は、あるいは本人でさえ定かでもない。

SYSTEM :
    マーナガルム
 ───『渇望喰い』。
 
 その名の由来、月の狗。太陽を追うもの。
 あるものにとっては水底を覗く切欠となり、
 あるものにとっては因縁をつけた/つけられた相手だ。

SYSTEM :
 所在が知れたのと同様に、その性根と魂胆は既に周知のところである。
 狡猾で残忍で、臆病で暴力的。
 慎重という言葉さえも生温い一方で、その本質は刹那的かつ野性の獣のソレだ。
 欲しいものを欲しがる本能へのブレーキを一切持たないが、しかしそいつはジャームにしては何かがズレている。即ち、理性が何処かに残っている。

 ………何をしでかすか定かでない生き物を前に、今まで、“蝕みの君”や“喚楽の人喰い虎”相手にそうしたように、解決の糸口を引っ張って来ようとしたのは誰だったのか。
 これで通算二度目になる龍か。あるいは。

SYSTEM :
 どちらにせよ島で通信回路を開いた時。または、情報探査のため自身のデータベースを更新/アクセスした時。

 不思議と“そこ”に繋がる情報が手元に転がって来る。偶然も三回続けば必然で、今回は四度目。不慮の事故を気にするかどうかは、ここで性格が現れるものだろう。

SYSTEM :
 その回線の安定のために安置された“ブラザーフッド”/タイガーアイを余所に、当事者に別の意味で用があった、少なくともこれについては初見のFHエージェントが、腕を組んで真顔でひとり無益な言葉を囀った。

“ミッドナイト・アイ” :
「絵面が中毒者…」

“ミッドナイト・アイ” :
「こいつが話の探偵………。
 出来るの? 本当に? 今までの話、だいたい適当言ったら全部当たった奇跡とかじゃない…?」

SYSTEM :
 横に転がり安置されたタイガーアイは何も言わなかった。
 コアパーツの中に入っている水晶体。それらしい人間がこれを持ち襤褸布でも羽織れば、だいたいそれらしいことを言うことに人生懸けている詐欺まがいの占い師の出来上がりだ。

SYSTEM :
 …しかしその詐欺まがいの組み合わせが、今まで2度、いやさ3度、滅茶苦茶な時の流れから必要なものを拾い上げてきているのも事実だった。

久外境耶 :「じゃ次で奇跡ネタ切れしたら罰ゲームな! 沢蟹余ってるしよー」

“ミッドナイト・アイ” :「ええ…もう新しいの入荷しないんじゃなかったの」

“ミッドナイト・アイ” :「まあ私が食べるわけじゃないしいいか…焼いとけばいいんじゃない」

木口龍 :「揚げ焼きで頼む。あと日本酒があると嬉しい。ってそうじゃねーーよ」

久外境耶 :「お、言ったな! グッツグツの油ん中手ぇ突っ込んでもらうぜ〜覚悟しろよォ」

木口龍 :「ばかがよ。探湯でもせんわんなこと!!!」

“虚の狩人/残骸” シホ :いつからここは磯香る呑み屋になったんだろう……

タイガーアイ :
「見物であるやもしれんが、期待には応えられんな。
 我の立場と尊厳が掛かっている」

久外境耶 :「あんの? 球にソンゲン」

タイガーアイ :
「珠とRBの区別がつかぬものに、
 見えぬ程度のものがな」

“虚の狩人/残骸” シホ :「時と場合によってあったりなかったりして構いませんよ」

そのヒトだって尊厳遵守する側じゃないし。

久外境耶 :「ああん!?」

久外境耶 :「いいのかよ! ヨッシャー!」

木口龍 :「……シホさん? 最初の頃よりなんか辛辣じゃありませんか???」 タイガーアイを指して

タイガーアイ :「ふむ」

タイガーアイ :
「人間の環境ではこのような状況に適切な言葉があるというが、さて…」

“虚の狩人/残骸” シホ :「シメンソカとかでしょうね」

タイガーアイ :「虞や虞や 汝を如何せん」

タイガーアイ :「ではその暫定虞としてはどうしてくれるつもりだ」

久外境耶 :「じゃあおれフーリンカザン」

久外境耶 :いみしらんけど

“ミッドナイト・アイ” :「"林”で止まったじゃん」

“虚の狩人/残骸” シホ :「まぁ、見ての通り……
 適当な扱いに変えただけですから、龍さんはご心配なく」

木口龍 :「アッハイ……」

荻野目 旭 :「正当な区別なんじゃないかなぁ」

荻野目 旭 :…行動してれば何かわかるんじゃないかなあと思ってましたけど

荻野目 旭 :へんないきものだなあって思うばかりですし…

木口龍 :「──とにかく!」

木口龍 :「逃げられる前に準備は急ぐべきだとオレは思うわけ。なので、そろそろ""探り""ってヤツを入れるぞ」

荻野目 旭 :「あっはい」

荻野目 旭 :「……なんだろう? この腑に落ちない気持ち……」

久外境耶 :「こいつに諭されると なんか……そうなんだよな」

木口龍 :「オレ手ぇ油突っ込むかかかってんだから主導権ぐらい握らせろよ!!!!」

荻野目 旭 :「じゃあ油を香味油にしてあげますネ」

木口龍 :「変わんねえよ!!!ネギ油かエビ油にしておけ!!!」

木口龍 :「ラーメンにいれるとおいしい」

久外境耶 :「ご注文入りましたア!」

“虚の狩人/残骸” シホ :「中華風の手が出来上がりそうですね…」

“ミッドナイト・アイ” :「もう成功してもかけといてよくない 既に茹ってるじゃん」

SYSTEM :…さておき…。

SYSTEM :
 あなたにはどうあれ、複数の手段を介して外の情報を拾い上げる手段があり。
 冗談を余所に、空間内において電子機器類は不安定ながら起動出来ていることも確認した。

SYSTEM :
 …回線の起動と同時、あなたの脳内データベースが自動的に更新を開始。
 コンマ数秒の僅かな時間で出力された、脳内データベースからアクセスした電子の海。

 このような特例と特例が肩を並べるような事態においても。技術と経験は、少なくとも今日は裏切ることもない。

SYSTEM :
 ………堂々と、自分の感情に従って名乗りを上げるようなタイプだ。

 どういうパーソナリティなのかは、恐らくすぐに拾ってこれるだろう。
 どれほど逃げ足が早くとも、どれほど勝ちの確信がなければ顔すら出さないような姑息な生き物でも。暗闇を照らす灯の量は、彼らの生きる野性と現代では比較にならない。

 いずれは何処かに足がつく。

SYSTEM :
 そのついた足の成果は、ひどく断片的で。
 あるいは、あなたが以前見た女よりもはるかに無軌道だ。
 
 あちらが曲がりなりにも目的を持っているように見えるのに対して、此方はそんなものがない。何を目当てにしているかは言動通り/生き残ること、死なないこと………なのだろうが、足取りから見えてくるものはない。

 足取りは、少なくともそれを探すものではない。

 気に入らないものをぷちりと潰し、興味を示したものには誘蛾灯のように誘われ、それでいて『死ぬ』と分かると一瞬で行動のスイッチが切り替わる………。

SYSTEM :
 ………遡って分かることは、コレが───。

 レネゲイド解放以前にも。
 似たような『雷を纏う狼』が怪談話として、欧州くんだりに残っていた、ということだけ。

 彼/"渇望喰い”は、まず人間ではない。だが、ひょっとするとレネゲイドビーイングでもないのかもしれない。

SYSTEM :
 ………その事実の中に"揺らぎ”が起きる。

 あなただけの脳内/データベースに、
 奇妙な輪郭が浮かぶ。

 矮躯のかたちを、0と1の情報の狭間からくり抜いて。
 更新した情報網から必要なものを抜き出すあなたの手に、それがそっと触れる。

SYSTEM :
【Check!】

"■■■■■”?が下記のエフェクトを宣言しました。

 Major:ドミネーション
 併用による効果:?????

SYSTEM :
 ………あなたのデータベースの中にある電子リソースを使って。
 
 あなたに接触してきたものが、現実でホログラムの形を取ろうとしている。
 ───お節介と受け取るか、要らぬ干渉と受け取るか。考えている間に、計算中の木口龍に、0と1の羅列が『意味』を伝えた。

 悪いようにはしない、だ。

木口龍 :

 ──さて、電脳空間にはいつも通りに接続出来た。

木口龍 :
 ああは言ったが、電波塔の概念があるかすらも怪しいこの地で通信インフラを利用出来る事自体が奇跡なのだ。
 黒稲妻の使徒(ブラックドッグ)の力、電流に纏わる異能の延長線として用いられる生体デバイスは確かに便利だが、
 所詮はどこまでいっても既存文明の技術に乗っかるだけの代物にしか過ぎない。

(……まぁ、うん、あそこまで堂々と名乗ってるなら、情報はすぐ見つかるだろ……)

 先に調べた女とは違って、自分で名乗ってる通り名であれば、定着しているのは間違いない。
 だからまず名前で絞り込めば……ほら、一発だ。
 勝てる戦いにしか挑まない獣。負けないことではなく、勝てない戦いはそもそも避ける。
 堅実といえば聞こえがいいが、実態は逃げ足が早いだけのそれ。

木口龍 :
 オレはデータブレインの空き容量に書き込む。
 10%……20%……ERROR、外部からのアクセスを検知。

木口龍 :
(……)

木口龍 :
 何かが空き容量に滑り込む。
 網膜の裏側に映し出された光景。
 こちらの脳のリソースを使って肉体を再現しようとしている。

木口龍 :
011000001010101000110000010001000011000010001000001100000100011000110000011010110011000001101111001100000101011100110000011010100011000001000100──
 

木口龍 :

 翻訳──悪いようにはしない。

木口龍 :(……おいおいおい、逆探でアクセスかけてくるのかぁ?)

木口龍 :GM、念のためアクセスかけてきたやつのログを辿りたい。
玉葱VPN噛ませてる可能性あるからなんとも言えないが……

木口龍 :どこのサーバー経由でアクセスしてきた? それとも、サーバーは存在しないか?

GM :なるほど。敢えて言うなら…

GM :ザックリ結論だけ話しますと、この人物(?)がアクセスを掛けて来た場所に逆探知するのはとても難しいように思いますが、島の外側でも内側でもないようです。

GM :あなたの無自覚的なものに心当たりのあるようなものでもありません。

木口龍 :
(……経由サーバー無し、アクセスポイント不明……無から電脳空間に湧いてでた。作成者も不明なら、こりゃあ……)

木口龍 :
(──名前、あるならなんでもいい。オレが出力するときに不便だから、あるなら名乗ってくれ)

SYSTEM :
 0と1のプログラムの羅列が、形を取る。

 あるならば名乗れという部分について、それが特に憚ることはなかった。
 数字の羅列が打ち込んだのは、少なくとも名前と呼ぶにはあまりに不自然な二文字の英単語だけだ。

 本当にそれが名前なのかもしれないが、それはあなたの探し物とは特に関係がなく、何なら“依頼”とも繋がりが薄いように思える。

SYSTEM :
 0と1のプログラムの羅列が、
 ノイズ交じりのホログラムとなって。
 データブレイン
 電脳空間のリソースを外に出力するまでに然程時間はかからない。

 どうも…外に出したいものは当人ではなく、このプログラムが持ち込んだ、何かの映像データのようだ。

SYSTEM :
               ソトガワ
 ノイズ交じりのホログラムが、現実に形を描く。
 それはあなたが目覚めて、渇望喰いに関する一通りの情報/少なくとも彼が逃げ上手で、古傷を残していて、行動が無軌道な部分………を拾ってきたのとほぼ同じ頃だ。

SYSTEM :
 現実に、そのホログラムが形を取る。

 龍と同じかそれ以上の等身の男性。
 少なくとも旭が対話した二人は通信越しの声のみこの島に介在していたものの、本質的にはこの島の内側に彼らは存在しない。

 従って、いま形を取ったホログラムも、島には厳密には存在しない。
 
 言ってしまえば映像データだ。
 時に取り残された島のことを予期した誰かが用意した/あるいは龍自身が拾い上げてきたようにも見える、ブラックドッグ特有の電子データ。

男の声 :
『始めまして』

“ファンタズマ” :
.  ゼ  ノ  ス
『近くて遠い奇妙なお客様から仕事を受けてお伺いに参りました。
 “ファンタズマ”と申します』

“ファンタズマ” :
『承った内容はAオーヴァード“渇望喰い”に対する説明。
 私が仕事を斡旋される側というのは新鮮ですが、それ故にいくつか注意事項がございます』

“ファンタズマ” :
『私が承った仕事は、このAオーヴァードに関する情報の調査結果を、私の口から直接語り、これをプログラムデータとして“お客様”にお届けすることとなっています。

 よって5分後に調査結果を報告のち、この電子データは破棄されることをご了承下さい』

SYSTEM :
 木口龍が拾い上げてきた/あなただけは知っているが、あなたに“干渉”してそのデータを寄越して来た者が見せたい内容は、曰く…。

 フリーランスのオーヴァードに“のぞむもの”を対価に仕事を与えるフィクサー。
 神出鬼没のファンタズマの調査報告データ。

SYSTEM :
 ………文字通り当人ではない映像記録。
 
 少なくとも仕事を斡旋するフィクサーであるはずの彼に仕事を斡旋した何某がゼノスであること以外定かでない…。

 そんな拾いものだ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「な……、……………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「“ファンタズマ”───!?」

 口から溢れ出る疑問符の言葉は、視線に姿を変えて“タイガーアイ”へと注がれる。

タイガーアイ :
「存じておらぬか。
 ”ファンタズマ”はフィクサー…足のつかぬフリーランスの望むものと臨む場所を揃える、神出鬼没の男だ」

タイガーアイ :
「この者の隣人となったつもりが我にないことだけは伝えておこうか」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「いや、仕事で噂だけは聞いたことがあるけど……
 というかその口振りじゃ、もしかして……」

 この“幻燈”を寄越したのは“タイガーアイ”じゃない、のか……?
 だとしたら………誰が、何の目的で……!?

荻野目 旭 :「ふ………」

荻野目 旭 :「“ファンタズマ”!? ど……どうして木口さん経由で!?」

木口龍 :
じゃあ同時に目を覚まして、
「……わからん……ネットの海にいたらアクセスされた……オレの脳に」

荻野目 旭 :やっぱりRBなのかな……!? って顔で木口さんと“ファンタズマ”を交互に見てます 3度見!

SYSTEM :
 木口龍はRBではなかった。仮にそうだとして、何がオリジンなのか判断に苦しむところである。
 ………“ファンタズマ”は複数人の当惑に応える様子はない。それも道理だ。

 そこにあるのは、言ってしまえば誰かが丁寧に『前置きと会話内容』を定めた記録でしかない。

木口龍 :そこじゃねーーーだろ問題は!!!って顔だけしときます。

久外境耶 :「おあ……」

久外境耶 :
「──って、映像かよ! しかもゼノス依頼で解説役のオシゴトしてまーすって、」

 なんじゃそりゃ、とホログラムを前に目と口をまるくする。

SYSTEM :
 あなたの横にいる、普段から気だるげな女は。
 眉を顰めて“珠コロ”を見て、そいつの抑揚のない波紋にまた眉を顰め、“ええ…”と、彼女が辟易した時に零す声を解答にするのみだった。

SYSTEM :
 …映像に各々反応を返す最中。
 ファンタズマのホログラムが口を開く。

 5分経過。前置から本題に移る所作だ。

“ファンタズマ” :
              マーナガルム
『調査報告。Aオーヴァード“渇望喰い”。
 発生シンドローム、ブラックドッグ。続いてサラマンダー。
 主流となるのは前者であり、後者は偶発的、かつ後天的精神状態の変化に伴う獲得と考えられます。

 眉唾物の報告となりますが、結論から申し上げましょう』

“ファンタズマ” :
『19世紀〜20世紀初頭より存在を認められた古きレネゲイドの申し子たち…
.                             ダークワン
 それが、自らを伝承や神話の怪物だと誤認して名乗るに曰く“闇の血族”』

“ファンタズマ” :
『彼らの末裔…厳密に言えば。

 彼の奉ずる、今はもう亡き主と。
 同じレネゲイドに充てられた者共に飼われながらも共に死ねなかった───』

“ファンタズマ” :
 ・・・・・
『死に損ないの名であるようです』

“ファンタズマ” :
『一分後、簡単な経緯の説明。
 および推察される思考の説明に移行します………ふむ』

“ファンタズマ” :
『このようなメッセージの形では“依頼人”の顔が見えぬのが、少々モチベーションに支障を来すところですね。
 ご容赦下さい』

久外境耶 :
「ヘエ。……不死身じゃなくて死に損ない、ねえ」

 どこかで聞いたようなハナシだと鼻で笑う。

久外境耶 :
「あーあー、映像で助かった。フリーんとき仕事回してもらったけど、そゆトコやりづれーんだよな。このヒト」

荻野目 旭 :
「この情報量の嵐、一気に押し込んできますからね……」
 そんな当たり障りのないこと言いながら、境耶くんをちらっと見る。

荻野目 旭 :
 ……にしても、ダークワン? アニマルオーヴァード?
 Aオーヴァードだけなら“カブズ”とかいう特殊部隊の話を風の噂で聞いたことあるけど、前者はものスゴくオカルトだ。

SYSTEM :
 映像である彼は、事前に眼前にあなたたちがいるものとして言葉を編んでいない。

 もしも、いたのならば。
 その反応に、この人を見透かすように、のぞみを言い当てる男がなんと反応しただろう?

“ファンタズマ” :
『時間ですね。では、続きを…』

“ファンタズマ” :
『レネゲイド解放…20年前の飛行機事故によって拡散され、現在『起源種』と呼ばれるレネゲイドが各地に散布された出来事…』

“ファンタズマ” :
『しかし、それ以前より存在を確認されていたオーヴァード…。
 またそうでなければ説明のつかない時代のレネゲイドに依る現象は枚挙に暇がないのです。

 探ろうとも思いつかない彼方に誰も彼もが隠すだけでね』

SYSTEM :
 現にあなたたちが体験してきたことだろう。

 火出の尊を名乗る骸も、
“蝕みの君”と呼ばれた大型RB、それを生み出したという根底も。
 皆、レネゲイド解放の20年で急に生まれ、存在したものではない。

 それが世界を様変わりさせた最も大きな出来事であることは事実だし、
 それ以上でもそれ以下でもないことは確かだが、
 この己を“渇望喰い”と名乗るオーヴァードの生まれは少なくとも、様変わりする前の水面下、あるいは暗闇の中であったらしい。

“ファンタズマ” :
『…20世紀初頭、如何なるものの差し金か。闇の血族…。
.    カズィクル・ベイ
 名前を“串刺し公”と名乗るオーヴァードが誕生しました』

“ファンタズマ” :
『その者がブラム=ストーカーの所以を築き上げたのか、
 ブラム=ストーカーの名にちなんで己がその名を名乗ったのか…そこは存じ上げません。
 どちらだろうと、お会いできぬ以上は推察するしかありません。その望みもね…』

“ファンタズマ” :
『重要なのは、この“串刺し公”………ずいぶん多くの手下を抱えていたようです。
                  モダンタイムズ
 無視できないほどの勢力を築き上げ、科学万能の近代に逆行する牙城を作り上げた』

“ファンタズマ” :
 ・・・
『赤い月の吸血鬼…。
 オカルトそのものの代表として振る舞い、悪逆を働き非道を敷いて。
 太陽の照らさぬ暗闇の王として、自らを偽らずに生きた享楽の主として、欧州で活動し、レネゲイドを識る時の諮問探偵の耳に入るくらいにね』

SYSTEM :
 しかし現代に、そんな名前はいっぺんたりとも存在しない。
 
 訂正。
 護国の英雄ヴラド三世の名と、それを下地に広がった伝説の吸血鬼ドラキュラの名はあっても、
 それはこんな時代に生まれたものではない。
 
 ならば…。
 …ファンタズマは彼を“死に損ない”と言ったのだ。結論は言うに及ばない。ゆえに、さらりと彼は話を続けた。

“ファンタズマ” :
『“串刺し公”とその手下どもは、時の諮問探偵………。
 シャーロック・ホームズ。陰に埋もれたオーヴァードの存在を知る男と、
 それが率いる、同じ志を持つ遊撃隊、そこに与した多くの“専門家”の手で葬られ、闇の外側に出ることはかないませんでした』

“ファンタズマ” :
『ところが当時………

 この“渇望喰い”はオーヴァードですらない一匹の「珍しい飼い狼」に過ぎなかったものであることから。
 “串刺し公”の最後の悪あがきを、彼らは阻めなかった』

“ファンタズマ” :
『己のレネゲイドを与え………。

 ただの狼だったもの。
 本来ならば人ほどに理性なきまま、レネゲイドの衝動に呑み込まれるだけのものを、オーヴァードとして覚醒めさせ………』

“ファンタズマ” :
 ・・・
『生きろと命令を与えたそうです』

“ファンタズマ” :
『………なお。理由は存じません。
 気まぐれか、悪意か、怨みを晴らせとするものか、愛情か。なんでも好きなラベルをつけてあげるがよろしい。

 どちらにせよ………』

SYSTEM :
 ・・・
 月の狗、太陽を嘲る魔狼は。

 今も彼方を走り続けている。
 当てもなく、ただ確固たる本能で。

SYSTEM :
 ………ただそれを語る仮面の男の口調は、“そこ”でこいつの話が終わるわけではないことを示しているようにも思えた。

久外境耶 :
「…… ……」

“ファンタズマ” :
『こうして“渇望喰い”の名を付けられたものは、数十年、いやさ、ひとつの世紀を跨ぐ程度の時間を走り抜けました』

“ファンタズマ” :
『隠遁し、狂奔し。己のあるがまま………。
 ・・・
 ですが』

“ファンタズマ” :
『ですが人間が、忘れてはならぬことほど忘却するように………。

 数十年の老い。放浪。不変とは、如何なる生き物にも忘却を齎すものです。
 どんな名剣も朽ちて錆びるように…ね』

“ファンタズマ” :
『彼は享楽のままに時に殺し、奪い、侵し、しかし………。
     ・・・・・・
 恐らくは何某のために生きろと命令されたその本分があったのでしょうが。

 堕落か、摩耗か。時に死の淵から蘇り、時に他のオーヴァードの血肉と“のぞみ”を貪り喰らう中で………いつしかその行いは無軌道になり果てました』

“ファンタズマ” :
『月を追いかけるあまり、あらぬものを見誤り、狂ったローマの皇帝のように…。

 残っているものは、“何故か分からないが死んではならない”という不死の執念のみです』

SYSTEM :
 無意識の中で死に損ない続けるものが、
 なんのために死に損なうかを忘れた。
 なんのために独り解き放たれたのかを。

 決して褒められたものではなかったのだろう、何か/さだめとくびきから解き放たれ、神話と負の逸話の怪物どもの名を名乗った、串刺し公の軍団の生き残り。

 皆死んで、一体だけ生き残り。
 今もなお、理由を忘れてただ“生きて”いるもの。

SYSTEM :

 ───独つ走る、羅刹の獣。
 鬼畜外道の残り滓。

久外境耶 :
「ハ……」

 "それ"しか持たなかったものが、
 "それ"を見失っても走り続けた成れの果て。

久外境耶 :
 独走はいつ終わる? その先に何がある? ありはしない。何も。

 終わりにできないから、死に損なっている。他人の血肉を浴びて、ときに混じり合いながら。あてもないままに。

久外境耶 :
「……どいつも、こいつも。知ったような話、しやがる」

  なんのために
 命より大事なモンをどっかで落っことしてきたやつを嗤いはしない。煽って馬鹿を見るのはこっちだ。何せおれにはそんなもの、ありはしなかった。一度だって。

久外境耶 :
 空白と余白の違い。二度と戻らないものと、他で埋められるなにか。

久外境耶 :
 だからこれは一生の不覚。
 不覚にも──不服にも、羨ましいと思ってしまった。たとえ爪の先未満のミクロ感情だって認めがたい、人生モンの大失態!

久外境耶 :
                      アンデッド
「自称不死身がただの死に損ないってオチじゃ、不死者の名にケチついてしょうがねえ。ボケたロートルはここいらで退場してもらおうか」

久外境耶 :
 ソレはソレ、コレはコレ。お互い何故が無くとも愉しくやっていけるあたり、時を隔てようがロクデナシは万国共通。

 要は同じ穴のナントカ。狼と兎をまとめて放り込んだら一方しか残らないのは摂理だが、どちらとは誰も言ってねえ。

荻野目 旭 :「……生きろ……」

荻野目 旭 :
 途方もない話だけど、理屈はわかる。
          ・・・
 僕らには事実として帰る家が必要だ。

荻野目 旭 :
 たかが精神論と侮るなかれ、僕らオーヴァードはつくりからして寂しがりの生き物だ。
 寂しがるから境界線のこっち側で理性を保つ。
 僕を保護したエージェントは、たしかそんなことを言っていたし。僕も真理だと思ってる。

荻野目 旭 :
 ──僕らがどうしようもなく不完全なのは、
 ロイス
 その家が現実味をなくしたら、そこには帰れなくなってしまうってこと。

荻野目 旭 :
 そしてそれを、自分の手で握りつぶさなければいけないときもあるってこと。生きるために。
 狼はそうして、家に帰れなくなったんだろう。
 捨てた家を、宝物じゃなくなったからどこかに落っことしたのだ。

荻野目 旭 :
 ……別に同情はしない。
 もしそういう流れで行き着いた孤独に僕が想いを馳せるとすれば、
 こいつが死する直前にそれを思い出して、彼女の重石にされるのは嫌だなっていう、ただの冷静な計算だ。

荻野目 旭 :「……デッドマンというか、死にぞこない、か」

荻野目 旭 :「……『怪物と思いきや、ものを知らないお子さん』とお揃いですね。この島、そういう法則でもあるんでしょうか」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「忘れてはならぬことほど、か……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 生残せよ───
 何故を忘れた空虚の穴を、すべきで塗り潰すように幾星霜を彷徨い続けた。その成れの果てが“渇望喰い”。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 不思議と、腑に落ちる共感があった。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 私の始まりは、“ただそこに在った”で完結し。
 銃は屠るべき標的のみを示し、何故を示してはくれなかった。“賢者”も、そして“計画者”も。
 私はその宿運の糸に絡め取られて…いまも脱け出せていないままだ。恐らくは、永久に。

“虚の狩人/残骸” シホ :
      レネゲイド オ-ダ-
 与えられた宿痾 と 宿命。
 始りを喪い、それゆえに終りさえも喪った奈落の太陽。
 
 ワークス     オリジン
 種別ではなく、起源の次元において、狩人と怪物はよく似ていた。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 しかし……ならばこそ、運命とは不思議なものだ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 十重二十重に織り重ねられた因果の織物は、
 一人の少女を贄にして、羅刹に安らぎを近づけた。
        ・・・・・
 その引き金は、ワタシの手に握られている。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………。
 その起源はともあれ……“渇望喰い”の生存能力の厄介さは、彼が生き抜いてきた年月が何よりの証明ですね。
 それこそ、あの交戦的で喧嘩早い性格のうえで命令の意味を取り零してしまうほどの年月ですから。」

SYSTEM :
 あくまでもホログラム。
     レコード
 過去形の記録を流すに過ぎぬもの。

 だから、その舌打ちの一つも混じろうという結論に込められた感情にも、冷徹に正しく理解を終えた少年の判断にも、起源の話から意図的して主題を逸らした狩人の感傷にも。“ファンタズマ”は応じなかった。

 これは粛々と、その経緯を説明しただけに過ぎない。
 山も海も悉く、求められれば対価と共に暴くが領分の男だ。

“ファンタズマ” :
『以上が“渇望喰い”の骨子。
 および基本指針です。

 続いて最も特徴的な所作について報告します』

“ファンタズマ” :
『シンドロームは二種。

 後天性の覚醒によるブラックドッグおよびサラマンダー。
 超電圧を伴う高熱を纏っており、その格闘技術は対人戦闘のために整えられたものとはまた別のもの、文字通り“力任せ”が本分と考えて良いでしょう』

“ファンタズマ” :
『ですがこれよりもはるかに特徴的な部分として、彼の生存本能が、無自覚ながら最優先の領域にあることが挙げられますね。

 ただそれを脅威と見るかは、まさに人によるというところですか。いやはや』

“ファンタズマ” :
. マーナガルム
『“渇望喰い”は常時、体内に補完したレネゲイドの余剰エネルギーを蓄積しており…
 
 死の危険を感じた場合、何より優先してコレを解放。
 全ての状況、因果関係を無視し、脅威と認定したものからの離脱を試みるものと結論されています』

SYSTEM :
 ───具体例は既にご存知の通り。

SYSTEM :
 死に際の“蝕みの君”に、僅かなりとも己の死を感知した途端。
 彼はその場の誰よりも素早く、また誰よりも見境なく、誰の意識を挟む余地さえない見切りで以てその場を離れた。

 あるいは尾行していたという明夜白銀に反撃を受けたと分かった途端、そこから戦闘行動に移る気概すらなく、蜘蛛の子散らすように逃げ去ったとも言う。

SYSTEM :
 逃げる準備を始めるのではない。
     ・・・・・・・・・・・
 アレは、いつでも逃げる気でいるのだ。

SYSTEM :
 どれだけ彼より格が上の存在で、瞬き一つで獣を捉える速度の持ち主でも。
 そいつの初速に、“渇望喰い”は逃げの一手に限って最高速度で太刀打ちする。

 そうまでしてでも生き延びろと教わったのか、そうやって“当時”を生き抜いたのか………。

SYSTEM :
 アンデッド
 死に損ないとはよくも言う。

 土壇場で彼を支配するのは本能だ。
.. オーヴァード
 半端な怪物になり果てる前の。
 その断片こそが、生きるだけの屍も同然の狼に続きを与える。

SYSTEM :     
 死ねずの渇望、不死の吸血鬼を騙った者。
 その異形の血肉を喰らい、
       シネズ
 いつしか己が不死となり果てたものに。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 全ての状況、因果関係を無視して脅威対象からの逃亡を優先する……
 砂浜での遭遇戦がまさにその事例に当て嵌まる。
 渇望喰いの生命力であれば、多少手傷を負うにせよ“蝕みの君”がジャーム化した混乱に乗じて目的を───といってもその目的が未だ不明ではあるけど───果たせそうなタイミングだったし、私もそれを警戒していた。
 ところが、彼の選んだ択は逃亡だ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……あのときは目前の状況がそれどころではなかったからやらなかった/できなかったけれど。
 逃亡を察知し即座に銃で追撃を行っていたとして、その額を射抜けたどうかは分からない。
 目算ではあるものの……多分、装填していた弾丸の飛翔速度を逃亡が上回っていたからだ。

荻野目 旭 :「徹底してるなぁ」

荻野目 旭 :
 本能に刷り込まれてるから、思考より早い。何より自分の生存を優先する。
 ……“ミッドナイト・アイ”がいなければ、こんな相手とまともにやり合おうなんて思えないところだけど。

久外境耶 :
 "なんのために"があったアホと、はなからないバカの相違点。
 あるいは死から逃れ続ける狼と、死に飛び掛かる兎の違い。とはいえ──

「勝てない相手に張り合わないやつが、勝てると思った相手にちょっかい出したせいで十八番潰されるワケか」

SYSTEM :
.ミッドナイト・アイ
“勝てると思った相手”の表情に変化なし。

 ───否、訂正。
 見る人間が見れば分かる。目的はあくまで己に“夜目代わり”を与えた暗殺者集団の流儀と面子だろうが、私情はもはや言うに及ばないところにあるようだった。

“ファンタズマ” :
『対策は単純明快。

 逃げる危機を抱かせるだけ…ですが。
 “渇望喰い”が何らかの目的意識を懐いている場合、一度逃げても再び仕掛けてくる可能性は低くありません』

“ファンタズマ” :
『根本的な解決でもありませんからね。

 ただ一度退けるだけならば問題ありませんが、同時に狙ったものには執拗に、かつ根気よく気を窺う性格でもあるようです』

“ファンタズマ” :
『よって根本的な解決、つまり彼という存在の抹殺を試みるならば………。
 ・・・・・・・・・・・
 逃げる危機を抱いた時に、
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 既に逃げ場がない状況に如何に追い込むことが肝要となります』

SYSTEM :
 それもまた単純明快な話だ。

 退路を断つまで危機感を抱かせず、
 危機感を抱かせた段階で退路を断ち、
 尚且つその状況で持ち込める戦力で彼を倒す必要がある。

 で、言及されないとうの本人はと言えば。
 今まで説明された身の上話には何の反応も示さなかったくせに───。

“ミッドナイト・アイ” :
「見つけるのと、逃がさないのは、得意だから。そっちは問題ない」

“ミッドナイト・アイ” :
「話の内容的に、仕掛けるタイミングが早かったり、間合いに入り切ってないとバレるかもだから…。
 誘い込むのがちょっと手間だけど。ちゃんと殺せるよ」

“ファンタズマ” :
『数十年、時に己の力量を遥か越える者からさえ逃げ続け。
                マーナガルム
 生き延び続けてきた魔狼こそが“渇望喰い”です。
 それを成し遂げるのは、骨が折れることでしょうが…ね』

SYSTEM :
 もはやそれ以上は必要ないとばかりに。

 “夜目代わり”はファンタズマの解説中であることさえ無視して、一度見解を述べて、それで終わり。

 出会い頭に領域内に取り込もうとすれば間違いなく彼方は気取るだろう、と注釈を加えはしたが。そこ以外はプラスもマイナスもない、ニュートラルな“処理”の発言だ。

久外境耶 :「だとよ! 頼もしいこって。あとはおれらがワンコロのケツに火ぃ点けてやるだけだな」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「知覚的な欺瞞であれば私の領分です。接近の秘匿などは領域操作である程度対応可能かと」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……ただ、いくつかの懸念点は拭い切れませんね」

荻野目 旭 :「懸念……ですか?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……端的に言えば、2つ。
 “渇望喰い”を誘い込める範囲内での有効戦力の確保と、“渇望喰い”のジャーム化です」

久外境耶 :「ああ、それなら簡単だぜ」

久外境耶 :「1、おれ! 2、知らん!」

久外境耶 :ワーハッハッハ

荻野目 旭 : 

“虚の狩人/残骸” シホ :はぁ…

“ミッドナイト・アイ” :「泥仕合希望なの? 死んだら骨はその辺に埋めるよ」

久外境耶 :「せめて海まで持ってけや!」ゲラゲラ

“ミッドナイト・アイ” :「死に場所不定、B級ホラーの開幕になるじゃん…」

“ミッドナイト・アイ” :
「…別にそれでもいい、いやよくない。
 そうなったら骨埋めるけど、骨埋めたいのはどっちかというとあっちの犬コロ…」

“ミッドナイト・アイ” :
「あと、ジャームだろうがジャームじゃなかろうが、皆同じ。話聞くか聞かないかの違いだけ。いちいち気にして、怯えることない…」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「倫理を傍に置いておけば一理ありますが……
 あなたは“蝕みの君”の事例について情報共有を受けていますか?」

荻野目 旭 :実はしてます。の頷きをします。

“ミッドナイト・アイ” :
「されてる。されてるから言った。
 
 例のヤツが“そう”だからこっちも“そう”。その懸念はいいけど、それで何か行動が変わる?
 例外気にしすぎても、それはそれで早死にするよ」

木口龍 :「……」 メモを取る手を止める。

“ミッドナイト・アイ” :
「困ることがあるとすれば、一度逃がしたらたぶんあっちは本気で引き籠るってことだけ…。
 そうなると個人的にはとても困るし…そっちの誰それと誰それと誰それも困る…」

木口龍 :
「……まぁ、動機があるなら手は鈍らんだろ。
 なまじ自我が強い分、蝕みよりも強く影響は出るだろうが……」

久外境耶 :イエーイおれおれ 両手の親指で自分を指す

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……つまり、そういうことです。
 “蝕みの君”はジャーム化以前と以後、二度に渡って討伐に成功こそしていますが……彼、あるいは彼女一体に対してこちらは激しい消耗を強いられています」

“ミッドナイト・アイ” :ウザ…そのアピールは自我の話…? 困る話…? 

“ミッドナイト・アイ” :「…で?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「島内の推定敵方は未知数の戦力が残ってる以上、同じように“渇望喰い”がジャーム化して消耗する……というのは避けたいところです。
 この点の対策としては、“ジャーム化を許さないほど圧殺する”というのがセオリーの一つではありますが……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「“渇望喰い”は主にブラッグドッグに由来すると思われる電磁フィールドらしきものを展開します。
 それがある以上、弾丸の刺さりはどうしても甘くなる。これは恐らく龍さんも同様かと……」

木口龍 :「ああ。オレも組成は鉄由来だ。電磁フィールドを貫通できるほどのものはない」

SYSTEM :
 ………“ジャーム”になり果てると同時、自身のレネゲイド侵蝕率の変化や、その時の感情が変貌し、有り得ない法則の『現象』を引き起こす事例は決して少なくない。

 だが、それは見違える変貌ではない。
 見違える変貌になるとしたら、多くの場合ソレは、文字通り殺し損ねて時間が経ち、もっと“ひどい”歪み方をした時だけ。
 ・・
 あれ/“蝕みの君”は例外中の例外だ。

SYSTEM :
 だが、その懸念については抑えようのないものであるし、
 
 そこのそいつはそもそもそんな懸念を気にするような女ではない。
 ………よって仲裁をしたのは、タイガーアイ───。

SYSTEM :では、なく。

“ファンタズマ” :
『なお、ここよりは余談ですが』

久外境耶 :「うお」

“虚の狩人/残骸” シホ :「あっ」

“ファンタズマ” :
『“渇望喰い”がそのように実際に追い詰められた事例はありません。
 厳密には、第三者に本気で“追い詰めよう”と思われる立ち回りは、今の今までしておられなかったようです。

 多くの場合は“やるだけやった”後に脅威を察知しての離脱ですね』

“ファンタズマ” :
『その中で、再生能力を擁する彼は常に真新しい状態で姿を確認されていましたが………。

 必ず、同じところに“疵”を確認しています。普段は意識的か、無意識か、防御している箇所のようですが』

“ファンタズマ” :
『………尤も私にこのような依頼をする方が現れたとあらば。
 一世紀の放浪も、何も残さず終わるということでしょう。

 興味深い話でしたが。ただの、過去形ですね』

SYSTEM :
 …そのレコードが曰く『効き目』および『疵』となり得る部分。

 銃弾とて通し得る可能性のある個所を指示したのは、記録映像の終了が近い段階になってだ。
 “ファンタズマ”が語った内容は、その懸念を裏付けるものでも遠ざけるものでもない。どちらかと言えば、予測不能という意味での前者だが………。

“ファンタズマ” :
『調査報告、Aオーヴァード“渇望喰い”。
 これを以て、同時に記録映像の終了とします』

“ファンタズマ” :
『たいそう奇天烈な依頼の申し込みでしたが、これはこれで悪くない。
 ただ次は私の本分で、ゼノスの方々に立ち会わせて頂きたいところですね』

SYSTEM :
 最後の軽口か不満か、あるいは“依頼主”と呼んだ人間の不明瞭さか何かを楽しむような、態度とは裏腹の口調で、ホログラムと記録映像が途切れる。

SYSTEM :
 ………木口龍の“拾い物”の成果は、以上だ。

久外境耶 :

久外境耶 :「おーっしゃ、これで納得いったか? やっぱおれ正解じゃんな。軍師なれるわ」

荻野目 旭 :そうかなぁ

荻野目 旭 :自爆を求めるタイプの軍師ならなれるかも

久外境耶 :総員突撃!!!!

木口龍 :仮借なく、加減なく……

“虚の狩人/残骸” シホ :なんか言い始めたな眼鏡の人…………

“ミッドナイト・アイ” :見えてる地雷は虚無すぎ…

“ミッドナイト・アイ” :
「………で。
 
 最初から殺す気で行くと、たぶんあっち、スイッチ入ると思う。
 誘い込むのに手間かかるって言ったのはそういう話だけど、ここから頭数引けても足せないし」

“ミッドナイト・アイ” :
「こっちのところに誘い込むか、追っかけて引き込むか。後は………、どうなのそっち。
 仮上司。死に損ないの首もげる自信」

久外境耶 :「もげる、つーかもぐ!」

久外境耶 :
「マジな話、スマートにやる必要はねえし。多少沼っても結果的に追い込めりゃいいんなら何とかするわ」

久外境耶 :
        ・・・
「ま、もうちょい動ける駒がほしいってのはあるが……"ナイトホーク"、一号使えそうか?」

荻野目 旭 :「……やっぱりそうなりますよね?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………………」

 “戦力が足りない”とは言ったけれど……
 実のところ、パズルのピースだけを数えたならば足りている。
 ……ただ、嵌めたが最後そのピースが外れず壊れやしないかと目を逸らしていただけだ。

久外境耶 :「おまえが代わりに全力ダッシュして飛んだり跳ねたりしてくれてもいいんだぜ」わざとらしい声

SYSTEM :
 戦力として不足することもなく、むしろ“通じる”という具体例を引っ提げた颯を動かさない理由は少ない。
 敢えて言及しなかったならば、その理由も。そう多くない。

荻野目 旭 :「それはちょっとむりで〜す」

久外境耶 :「チッ」

荻野目 旭 :「いいんですか? 僕がいなくなったら…」

荻野目 旭 :「愛嬌がなくなりますよ」

久外境耶 :「そんときゃ代打ミッドナイトな」

“ミッドナイト・アイ” :「泥仕合の道連れ…」

荻野目 旭 :「……いえ、すみません。まじめな話しますか」

“ミッドナイト・アイ” :「…下手に意識逸らすというか、間合い入ると普通に逃がすから勘弁してほしい…で、」

久外境耶 :「いや愛嬌。ちょっと一発やってみ」

“ミッドナイト・アイ” :「は?」

SYSTEM :求めるだけ無駄な愛嬌の面 即ち真顔であった

久外境耶 :「ナイトホークの代わりはいねえってよ! よかったな」背中バンバン

荻野目 旭 :やった〜♡

荻野目 旭 :スン…

久外境耶 : 

“虚の狩人/残骸” シホ :ウン…

タイガーアイ :切替が早いなこやつ 漫才の馴れがあると見える

“虚の狩人/残骸” シホ :どうしようか すこしついていけないきがしてきた…

木口龍 :オレの対応に素早く反応できているからな・・・

木口龍 :吉本なんてどうだ吉本

“虚の狩人/残骸” シホ :こっちはこれだし…

荻野目 旭 :ええ〜 僕関東ものだからなぁ

久外境耶 :庭の池と島の湖どっちか嫌なほうを選んでいいぜ

荻野目 旭 :

木口龍 :それどっちにしても突き落とされるだけじゃねえかよ

荻野目 旭 :「まあ、木口さんの進路はおいおい決めるとして……」

“ミッドナイト・アイ” :そう言えば奇跡っぽいのは起こしたけどどうなの

“ミッドナイト・アイ” :「…ああ、そうそう」

“ミッドナイト・アイ” :
「壱号? は知らないけど、元民間の方…。
 好きにすればいいけど、焚きつけないんだ」

“ミッドナイト・アイ” :
「見つかってないオトモダチが危ないかも、って。
 後で鎮静化するまで、それだけ理由にさせたら」

SYSTEM :
 敢えて言うがそれは興味がないからこその茶々入れであり、
 本質的には“好きにすればいいけど”が全てだ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……概ね、順当な選択だろう。
 但し書きを幾つも付ければ、いま必要な戦力のピースを確実に揃える手法としては。
 他の民間人に影響を及ぼしかねない懸念も事実ではある。嘘ではない。

 しかし……それが巡り巡ってもたらすものが何であるかもまた、想像には難くない。

荻野目 旭 :
「……とりあえず、この場を凌ぐ理由になるとは思いますけどね。
 今の彼女の様子じゃあ、『自分にしかだめなら』でがんばってくれるでしょ」

荻野目 旭 :
 素直な見解を口にする。
 ただ……境耶くんが言ってるのは、もっと根本的な話。

荻野目 旭 :「それが、『もつか』『もたないか』って話なら、僕は『もたない』だと思います」

荻野目 旭 :
 ・・・・・・・・・・・・
 自分がやらなきゃいけないという幻覚は、
 ときとして人間を強くする。

 でも──そんなのエナドリみたいなもので、
 24時間働けても72時間働けるのとは別の話ってこと。

荻野目 旭 :
「……池田さんとサイトくんが戻ってきたなら、って思ってましたけど、却って崩れちゃってますからね。
   ヒト
 あの女、三廻部さんになに吹き込んだんですか?」

荻野目 旭 :「あのへんからまた様子がおかしいので、そこかな……と思ったんですけど」

木口龍 :「……つか、現実問題を言っていいか。彼女が乗る乗らないどっちにせよだ」

木口龍 :「誰がこの頼み事をするんだ?」

久外境耶 :「えーくじ引きとかでいいんじゃね。……で、だ」

 半分マジ。甲斐甲斐しいのが何人かはりついてダメなら、最悪おれでも変わらん。

久外境耶 :
「なに吹き込んだっつうか、どれ刺さってんだつうか……」

 女心が分かった試しは1d10くらいしかないが、あの手合いはいっそう難解だ。

久外境耶 :
「一号、あの女とダチになりたいんだと。ふられてたけどな。手を握り返すのに力加減の要るようなのとダチになる気はねえとさ」

 つらつら理屈ならべて拒むのが、分からずとも学びはする生き物の善性なのか、無自覚の防衛なのかは知らんけど。

久外境耶 :
「で……その関係、一号と遺産女にも当てはまるだろ。今でも親友って呼べんのかって直球かましてたぜ」

 加減か狙いをまちがったら死ぬような生き物に合わせて、違う部分を必死に隠して。それを続けてもいいと思える相手なのか、と。

荻野目 旭 :「……………」

荻野目 旭 :「……なる、ほど」

久外境耶 :「でもよぉ」

久外境耶 :
「一緒にいて楽しい相手がダチ! で返して、遺産女にもあとで必ず話すつってたから、あとは気持ちよく全員ぶっ飛ばしてくモンだと思ってたぜおれぁ」

 なんで落ちてんの? と首を傾げる。

荻野目 旭 :……。膝の上においた手が、気まずそうにうごうごする。

荻野目 旭 :「やっぱり僕かなぁ」しおしおとうなだれる。

久外境耶 :「はあ〜〜〜〜?」

荻野目 旭 :「……いやですね? なんというか」

荻野目 旭 :「たぶんなんですけど……彼女の『ともだち』像と、僕はうまく重ならないんですよ」

荻野目 旭 :「僕は……まあ言葉を選ばずに言いますと、対人関係調整・諜報が主務のエージェントでしょ。言ってない気がしますけど、まあそうなんです」

久外境耶 :あーウン、ぽいわー。

“虚の狩人/残骸” シホ :……そうだったんだ。

荻野目 旭 :「でですね。僕の『ともだち』の定義は、『困ったときに絶対に助けてくれる心強い人』じゃありません」

荻野目 旭 :
「彼女、それがショックだったっぽくて……。
 なんというか、味方で居続けられないことで負担をかけてたみたいなんですよね」

荻野目 旭 :とりあえずフォローはさせてもらえたので良かったんですけど。しおしお。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………………」

 一概に、それは違う、とは返せないところはある……。
 そのことならば私もある意味で当事者だった自覚はある。颯ちゃんと『友達』という関係性を築いていたかはともかく…それはあくまで表象のことに過ぎない。話としては同じだ。

久外境耶 :「すげえ、一から十まで何言ってるかマジでわかんなかった」

久外境耶 :「や、あいつがおれにもわかるコト言い出すほうがやべーか! いーんじゃね逆に。ケンゼンっつうの?」ワハハ

タイガーアイ :「………ふむ」

タイガーアイ :
「三廻部颯が見ていたのは
 ・・・・・・・
 クラスメイトの“アサヒくん”であり…。
 UGNチルドレンの“ナイトホーク”ではない」

タイガーアイ :
「または、そちらも知っていても、それでも前者に重きを置いた。
 そんなところか………」

SYSTEM :
 ころころと転がったタイガーアイが、
 どうにもならぬなと戯れる。

 どうにもならないのは認識の違い。
 ・・・・
 なり立てで地続きの印象残る彼女に呉越同舟の場は“納得”のつかないところもあったのだろう、と。
 逆に言うならば、初めから“そう”だったもの、その流儀で生きてきたものに、これが分かろうはずがない。頷く理由も、また、好悪以外では。

SYSTEM :
 何よりタイガーアイの与り知らぬところで起きたFHの流儀に折り合いを付ける姿/優先順位をつけて仕事を果たそうとした所作が、聊か冷酷に映ったのかもしれない。

荻野目 旭 :「おおむね、そういうことかと……」

久外境耶 :「つか、そもそも潜入任務なんだろ。もうダチじゃねーから仕事の手間増やすなで済……」

久外境耶 :「おまえまさか正体バレてからも友達ごっこしてねえだろうな」

荻野目 旭 :「そりゃあしますよ! この辺の折り合いをいい感じにつけるのもお仕事なんですう」

久外境耶 :「じゃーつけろよ早く!」

荻野目 旭 :「ビビっとつけさせられてあげたらUGNはいませ〜ん!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……それに、颯ちゃんには少し酷な話でしょう。
 ある日いきなり、日常から放り出されて……
 そのうえ、“此方側”でも拠り所を喪ってしまっては」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ・・・・・・
「日常の地続きには狩人も銃もありませんしね」

 それが、私が彼女の止まり木になろうと試みなかった理由でもある。

荻野目 旭 :「……日常の地続きには、降って湧いてきたお友達も長居はできませんよ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……、…………。」

 概ね、正論。
 エージェントとしてはともかく、日常のいち個人として支え続けるには、急拵えの止まり木では不安定だ。
 彼女が、彼女自身の確かな拠り所を見つけなければ、それは延命の応急処置にしかならない。

久外境耶 :「拠り所、ねえ」

久外境耶 :「……成り立て早々腹パンかましたやつだぜ? ヤワじゃねーとは言わんが、ガッツがないとも思わねえ」

久外境耶 :「ねーもんはどうしたってねえし、やるしかねーだろ。それが分かってないはずはねえんだ、あいつだって」

久外境耶 :「……あーやめやめ。今のナシ。いねえやつ相手に何言ってんだかな」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………。」

 結局のところ……。
 人の感情、その根底は、他人には推し量ることしかできない。ただその当事者の口から出た言葉と行動の機微からしか。
 少女を苛むモノが何なのか。その孤立を定義する言葉が、“拠り所”や“友達”で正しいのかもまた、本人にしか分からない。或いは、本人にすら分かりはしないのかもしれないけれど。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……ここからはあくまで私見ですが。
 最初に話を戻せば、颯ちゃんは協力を要請すればきっと力を貸してくれるでしょう。戦力としてカウントすることもできる。そこは同意見です」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「少し打算的な話でもありますが……。
 誰が交渉に出ようが、おそらく彼女は出撃に同意します。それもまた、同意見です」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「ただ……。その接し方を間違えれば、言葉を借りれば彼女はまず『もたない』。
 それは心根の強さの問題ではなく……そもそも、彼女は根を張るべき土台を何処にも築けていないのだと思うんです。
 日常の土台は崩れ、非日常の土台はまだ固まってもいない。激情に任せればそれも踏み倒せるでしょうが、それは結局のところは使い捨ての感情に過ぎません」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……時間や年月が解決することかもしれませんが。土台を築けないままにそのまま過ぎ去ることを選べば、彼女は何処にも行けなくなる可能性がある。
 況してや、受け継いだものが本当に遺産だとすれば……。颯ちゃんの人生は、穏やかなものではないはずです」

“虚の狩人/残骸” シホ :
これは誰の、何を護るための言葉だったか。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「彼女と、同じく巻き込まれた同級生の皆さんを無事に日常へと帰すこと。
              ・・・・
 それはUGNの職務でもあり、私の欲望でもある。
 だからどうしても、私は慎重にならざるを得ないところがあるんです」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……颯ちゃんへの協力要請は私が行います。
 旭くんは、彼女の土台ができるまでお話を続けてあげてください。
 ……“日常に帰す”ための話ではなく、“非日常を知る”までのガイドとしてです」

荻野目 旭 :……。

荻野目 旭 :わざわざ、『欲望』って言葉を使う意図は──それを誰かが咎めたとしてもやり抜くという決定の現れ?

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……つまるところは。
 “重要な戦力として駒のようにカウントしながらまだ不安定な一人の少女として取り扱い”、
 “必ず無事に日常に帰すためには、非日常に慣れさせるべき”という矛盾律だ。

荻野目 旭 :「………」

荻野目 旭 :「この状況で、貧乏くじを誰が引いたかなんて……そう関係ないですよ」

荻野目 旭 :
「すべてが終わったら離れなきゃいけないのは、この場にいるみんな、お互い様です。
『誰が』『どうやって』なんて……彼女からしたらなにも関係ないと思います」

荻野目 旭 :それだけ言ってから、僕は苦笑いを作る。

荻野目 旭 :
「距離とったところで、彼女はもう狩人も銃も知らない彼女には戻れないんです。
 そういうのって、『僕ら』がすることじゃないですか?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……一理はあります。
 ただ……そうですね」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「『誰が』『どうやって』は、時に人を生かしも殺しもする。
 それはオーヴァードにも共通する点です。
 自分の姿は鏡には映りません。他人からの視線に映るものですから」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「いままで仮初でも日常の側にあった人がそれをするのと、
 銃を持った怪物の仲間がそれをするのは、
 持つ意味が同じでも結論には影響を及ぼします。たとえそれがほんの一時の差であっても───」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「───なんて、ただの私見でしかありませんが。
 これが空回りの杞憂なら、それはそれですね」

久外境耶 :「おれはいーけど。……」

久外境耶 :
「"普通だった自分"と"もう普通じゃない自分"の矛盾にまだ納得してないやつを、元の場所に戻したがるのはいい。

 けどソレ、成り立てからすりゃ同じオーヴァードに『おまえは同じじゃない』って言われてるようなもんだろ」

久外境耶 :
「だから、あいつはどこにも拠りかかれないんじゃねーの」

 普通に戻れるか分からないまま、
 普通じゃないものの輪にも入れず。

 ほしいものはそれじゃないと、無言で駄々を捏ねて。

久外境耶 :
「あ、勘違いすんなよ。おたくらの教育方針は知らんし、欲望ってんなら好きにやりゃいい」

久外境耶 :
「ただ……一号も欲望を持てるってコトだけ忘れんなよ」

木口龍 :「.....ふーむ」 着地点ではある....あるのか?

木口龍 :「まぁ.....その、なんだ。本人いない場で決められることなんて少ないだろ」

荻野目 旭 :………。

荻野目 旭 :
「……ま、そうですね。
 先に言っておくと、方針には異議ないです。
 そもそも問題として、彼女の戦力を期待しないなんて贅沢なこと、これまでもできてませんし」

 こういう話がもう一度持ち上がるのは、ある程度こちらの頭数が増えてきたこと。
 あと、抱え込まなきゃいけない一般人の人数とかもあるだろう。

荻野目 旭 :「ただ……」ぴっと指を立てる。

荻野目 旭 :「これは僕の邪推なので、違ったら怒ってくださいね?」

荻野目 旭 :
     ・
「シホさんが、三廻部さんと距離を置きたいんですか?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ──────。

“虚の狩人/残骸” シホ :
     ・・・
「…………。いいえ。」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「ただ……不可分の境界を分ける線であろうと考えています。
 日常と、その裏側。颯ちゃんが“此方側”を離れることを望むのなら、自ずと私は距離を置くことになる」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「私は、颯ちゃんを日常へと帰したい。
 ただ、あの子の抱えたものが完全にそれを許してくれるとは思えない。そして、それを颯ちゃん自身が望むのかも分からない。
 そうなったとき、非日常に在って日常を置き忘れてしまわないための鏡になりたいと……そうは考えています」

木口龍 :「......むずかしい生き方してんなぁ......」 呟く

木口龍 :
「日常、非日常、関わり方なんてそれぞれなんだろうが、
もっとこう......シンプルでいいんじゃないか? 見守る大人でいたいとか、友達だとか」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「それができるのなら、それが一番いいのかもしれませんね」

木口龍 :
「......」

「希望言ってる暇あるなら出来るようにする、のがやりたい事やるコツなんだとよ。手帳に書いてあった」

木口龍 :「まぁ、シホさんが決めるといいさ。雷管叩いて撃ちだした弾丸は誰にも止められないしな」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「雷管を───」

木口龍 :「そ、叩いて、火薬を炸裂させる。そういう生き方なんだとよ。手帳の俺、とやらは」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「なんというか……こう、
 随分と…………豪放ですね、手帳のあなた」

木口龍 :「オレが書いたもののはずなのにな。信じられん」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「その、細かいコメントは差し控えますけど……。
 参考にしておきます。ありがとう、龍さん」

木口龍 :「役に立ったならいいよ。オレ自身、まだ記憶がな」

タイガーアイ :「………」

タイガーアイ :
「拙速は巧遅に勝る………ではないな。
 手帳のお主とやらは、豪放というより───」

SYSTEM :
 鉄砲玉だ、という発言を。
 彼は思い付いたがしなかった。

 理由がある時、悩む前に放って。
 その楔を元に、考える人間が“あと”を考える/そう振る舞わせるような。

タイガーアイ :
「我から言うことはない。確かめるべきことは、むしろ島の奥底のみだ。あの娘が如何に繋がるかも付け加えて。
 その上で何某か言うのであれば…」

タイガーアイ :
「…択んだ以上は、せいぜい入れ込む意味を確かめろ。
 いつかそう言ったか。望まぬ限り、その意味に対する半端は忌避することだ」

SYSTEM :
 その抱えたものの全貌が見えぬ以上、
 当人が突っ込んだ、片足を何処に動かすと望んだか定かでない以上。
 バディ
 同業者と今も呼ぶものの宣誓に、彼が返すのはそれだけ。“やるならやっている最中に悔やむな”と。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………、………………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 “覚えているよ”も、“分かった”も、返事としては正しくない気がした。
 ただ、無言の瞠目を返事にした。そのつもりだ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 人は、本人の言動以上のものから他人の抱えたものを察することはできない。オーヴァードでなくとも、誰もが多かれ少なかれ抱える孤独。
 私も皆もそうだから、そういう返事を選んだ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……それでは改めて、“渇望喰い”の討伐については颯ちゃんに協力を頼む。その方針には相違はありませんね?」

久外境耶 :「何度目だよ! いーっつの!」ややウケ

“虚の狩人/残骸” シホ :「一応形式ってこともありますし…」
私もそこそこ自覚はある…

久外境耶 :「UGNみてえ」

荻野目 旭 :「うちの流儀が馴染んでらっしゃるみたいですし、転職希望なら口利きしますよ?」

“虚の狩人/残骸” シホ :「……こっちはこっちで馴染んでますし。」
 UGNとして動くなら“残骸”もあるし……

久外境耶 :「つか、さっき欲望つったな? じゃあおれら側じゃね? やべートコ知ってるけど紹介すっか?」

久外境耶 :信賞必罰の信賞抜きなんだけど

“ミッドナイト・アイ” :「大なり小なりそうじゃん………ちなみに何処?」

荻野目 旭 :うわっ! 悩んで言わなかったとこついた!

“虚の狩人/残骸” シホ :罰しかないじゃないかそれ!

久外境耶 :「イグニスんトコ」

荻野目 旭 :「イッッッ」

“ミッドナイト・アイ” :「…やめときなって…」 即答

木口龍 :(罰だけなのは労働と言えるのだろうか……)

“虚の狩人/残骸” シホ :「まあ……今の話の通り……
 UGNにもFHにも寄り添った半端のところが、今の私の立ち位置なんです」多分。

タイガーアイ :
「元より我等がそうだ。
 ゼノス
 来訪者などというのは」

タイガーアイ :
「何の理由でどちらの流儀を汲むかが違う程度であるな」

荻野目 旭 :「都合いいなぁ」唇を尖らせる。

タイガーアイ :
「お主らが鳥や雲を自由と宣っても実際はそうでないように、
 都合良い生き物には都合良い生き物なりの苦労があるものでな」

“虚の狩人/残骸” シホ :「旭くんもなります?ゼノス」

久外境耶 :「つか、ソレ一号に教えてやれよ。あいつ仮ダチ同業者とカスチームの二択しか知らねーだろ今」

“虚の狩人/残骸” シホ :「ああ、そういえば……」

いろいろ……まぁいろいろあったから、ゼノスの説明は颯ちゃんにしてなかったっけ。

タイガーアイ :「………」

タイガーアイ :
「望むとは思わんが、心内など考えるだけ無駄だ。
 言うだけ言っても構わん」

タイガーアイ :
「どのみち“あれくらい”の性根、珍しくあっても珍しすぎはせぬ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
………私もいるくらいだし、とは口に出さないでおいた。

タイガーアイ :
「いずれにせよ…
 此処までに意義あれど、これ以上は狸の皮算用。
 あの娘にとっての切欠らしきものに、ひと世紀ぶりの引導を渡すのが先決だ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………そうだね」

荻野目 旭 :「ですね。あ、ゼノスは遠慮しときま〜す」

荻野目 旭 :「そっちにプランナーはいても霧谷さんはいないんで! ちょっと遠慮しときます!」

久外境耶 :「じゃあFHなら!?」

木口龍 :「図太いな」

荻野目 旭 :「ここで僕が『行きま〜す! 行く行く!』って言ったらどこ放り込むつもりですかあ!? わかってますよわかってますよ!」

久外境耶 :ヒューッ以心伝心! ダハハハハ

荻野目 旭 :「そもそもですねよりにもよってうちと超気まずいエージェントのセルの名前出すのどうなんですか? あらゆる意味で……」ぶちぶち

荻野目 旭 :そんなこと言いながら、僕は所属支部のことを思い出す。いま身をおいてる場所じゃなくて、N市のことだ。

荻野目 旭 :
 雪乃さんとフィーネさん──突然非日常に放り込まれた女の子と、突然日常に放り込まれた非日常の産物。
 シホさんのことを見ていると、なんとなく思い出す。
 ……いや、いつもの態度見てたら、正直似ても似つかないけど。フィーネさん、いろんな意味でふわふわしてるし。

荻野目 旭 :
 ……。
 ……まあ、本人のしたい姿でいさせてあげるのが、たぶん一番なんだろうな。
 僕は言おうとしたいらない釘をポッケに詰め直して、お守りに軽く手を触れた。

荻野目 旭 :『彼女も、命を預け合う相手に、一番大事な名前を教えてくれないままいなくなっちゃったな』──って。

SYSTEM :
 いるべき場所を失った少女の姿と、
 いるべき場所から出ていったのだろう女性の名残をふと思う。

 感傷の名は少年のみが識ることだ。

SYSTEM :
 ………どこまで行っても、オーヴァードと、その“感傷”は逃れようがない。
 同じところにいるもの、違うところにいるもの、等しく。

 それを失っても生きてゆけるという事実と、それを失ったかたちを示すものが、羅刹の獣。死に損なった無法者。
 だれにとっても/この場にいない颯にとってさえ、この島以上の縁もゆかりもなかろうが、避けて通れない引導を渡す道であった。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :
 シーンを終了します。
 ロイスの変更や新規の取得はありますか?

荻野目 旭 :あ、はーい。シホさんへのロイスのN「不信感」を「不安」に変更していいですか?

久外境耶 :"渇望喰い"に懐旧/〇敵愾心で取るぜ

GM :双方ともに問題ありません!

GM :キャラシートに変更の旨を書き記しておいて下さいね。…しかし敵愾心…

GM :打倒といい敵愾心といい物理的に攻めたものです とりあえず他にはいらっしゃいませんか?

“虚の狩人/残骸” シホ :私は変更はないです。

GM :分かりました。であれば………こんなところですね。

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・プライズシーン5

SYSTEM :
【プライズシーン5】

 登場PC:龍
 登場侵蝕:あり

SYSTEM :
Tips-EXレネゲイド
 動植物、場合によっては無機物にレネゲイドが感染。変貌したものを指す。

 ほとんどの場合は理性を持ち得ないためかジャーム化し、
 レネゲイドによって獲得した能力を本能に従って行使する。
 だがまれにジャームではなく、オーヴァード化するものがいる。

 そしてこのオーヴァード化したものは大抵の場合、
 レネゲイドウイルスによって理性と言葉を獲得する。
 
 うち、動物に感染したものをAオーヴァードと呼称する。
 彼らは自然を超越し、自然界と相容れなくなった、種としての裏切り者だ。

GM :

GM :プライズシーンの時の出来事は…概ね準トリガー的扱いになるということは…

GM :”ミッドナイト・アイ”の時の裁定でご存知かと思います

GM :さあ1d10を振れ!!!!!!!!!!! 冷静に要らなかっただろうと思いはするが振れ!!!!!!!!!!!

木口龍 :オーケー(?)

木口龍 :1d10 (1D10) > 10

system :[ 木口龍 ] 侵蝕率 : 97 → 107

木口龍 :リザ使えなくなってしまった。。。。

GM :俺が蛇に見えたか、利根川?

GM :1d6 (1D6) > 2

木口龍 :ならお前が蛇なんDA☆(バァン

SYSTEM :
 ………………。
 …………………………………。

SYSTEM :
 リュウグウジマ。
 曰くタイガーアイが“ディアボロス”の脳内から読み取った、
 FHの人間の中でかすかに囁かれてきた、この島の俗称である。

SYSTEM :
 この島に辿り着いたものは概ね次のように区分けされた。
 
 文字通り偶然招き寄せられた者と、故意にこの島を知って乗り込もうとした者。

 ………どちらとて受動。蘆屋道満の言葉を借りればさほど差異はない。
 だからこの中から、およそ所属と目的で、また少しずつ区分けできる。

SYSTEM :
 第一に、島に眠る何某を求める方。
 第二に、島からの脱出を求める方。

 あなたの知る限り、“喚楽の人喰い虎”と蘆屋道満は前者。
 ことと次第によっては“渇望喰い”すら前者だ。

 そして元々は非オーヴァードの颯らと学生は後者。
 UGNの人間も、半分は島に辿り着いた“喚楽の人喰い虎”を追っただけであり、島を形造る物の怪になにかの用があるというわけでもない。

SYSTEM :
 ………あなたはどちらだったのだろうか?
 持ち歩いていたメモに記された依頼は誰からの依頼で。
 この島の『物の怪』とは如何程の関係性があったのか?


 あなたの引き金は無意味には弾かれない。

 探偵を嘯く小心者にとっては違っても、
 ・・・・・・・・
 メモの中のあなたは違う。

SYSTEM :
 自問したとて答えは出ないし。
 今は、とりあえずそれどころではなかった。

SYSTEM :
 ………そこで話を、先程のものに戻す。
 島に眠る何某を求めに来たのは、何もあなたに敵対的な人間だけではなかった。

SYSTEM :
 FH。曰く“黒き力”ヴィカラーラからの嵐のように襲い掛かった命令を受けて、
 このリュウグウジマに眠る何某の横取りを命じられた人間。忘れてはいないだろうが、久外境耶も“ミッドナイト・アイ”も、嫌がらせ半分とはいえ“パラディン”でさえ、主目標と書いて建前はコレだが、彼らは別に三人で来たわけではなかった。

 聞いたところで"パラディン”が覚えているかもしれない程度だが。

 ちゃんといたのだ。箸にも棒にもかからない"あまり”が。

SYSTEM :
 大半はFHの流儀における弱者にちなんだ結末を歩んだか、何処に行ったと知れず消息不明。
 野垂れ死、従者の素体………形が残ればマシなこともあるだろう。

 あるいはこれ幸いと、見知らぬ土地の見知らぬ場所で独走を開始するような”間抜け”だっている。
 そしてそういうのは、別に今までの区分の中でもない、言ってしまえば"犠牲者”的な連中にも当てはまること。

SYSTEM :
 あなた/龍はいま、そんな“あまり”と顔を合わせている。
 不幸か幸いか。なし崩し的に顔を合わせても一触即発にならない状況で。

SYSTEM :
 ………つい先ほどまで、蘆屋道満の作り出した従者たちに襲撃され、すわ全滅かという状況にいた彼らをあなたが援けた理由は定かでない。

 ひょっとすると助けたというよりたまたま巻き添え喰らったのかも知れないが。
 そんなゴタゴタの間に「敵の敵は味方」で共闘して現在に至った。

 FHの野良犬二匹。最初からそうだったのか、"減って”こうなったのか。
 彼らとの対面は、そんなロケットスタートの恩恵あって(あるいは交渉の成果もあって)悪いものじゃあなかった。

FHエージェントB :
「う………うォ………うおおおお生きてる!
 生きてるぜアーメンハレルヤピーナツバター! 心底感謝だ兄ちゃん! じゃあ用済み───」

FHエージェントB :
「………したら今度こそ俺ら死にそう!
 今のナシで!」

木口龍 :

 ここまでの、木口ハザードリベレーションズ。

木口龍 :
 ギャオオオオオオ(蝕みの君)
 なんなんだ傘の企業ってやつは!(存在しない)
 あなた、お笑い芸人をやっているそうじゃない(幻覚ヴィカラーラ)
 このままでは滅ぶぞ──なにかが!

木口龍 :

 ──Chapter 忘れた 【お前今それを言える立場か?】

木口龍 :
「泣けるぜ──ああそうだ。よく分かっているじゃないか。
 この島にいる以上は殺人事件からは逃れられないってやつだ」

 そういうわけだから、オレは何かの情報と何かの情報を対価に、交渉を成功させていた・・・

SYSTEM :
 たったいま滅んだものは
 持ち直したあなたの大人という属性だ。

 リンク…目を覚まして…リンク…。

FHエージェントB :
「はっは。それアレでしょ?
 こんなトコ居られるかって言ったヤツがバラバラのヤーツ!」

FHエージェントB :
「アベックが爆発するヤツだ。
 そう、故郷に女がいるんだ、俺この島から帰ったら…」

FHエージェントA :
「まあそれはともかく、いやー捨てる神あらば拾う神だね。
 オヴァやっといてゾンビパニックのやられ役なったら世話ナイナイ」

木口龍 :「いいや違うね。お前だけ船に乗ったら、そこに爆弾がってやつだ……まぁそれもそうだ。一人でも助け合える方がいい」

FHエージェントA :
「身に染みたって言いたいトコなんだけど、ウチらこのままトンズラ決めたくてサ。
 ああでも、命の礼くらいするよ。ワンコイン分ね」

FHエージェントB :
「そこのお前! 一個じゃコンティニューも出来ないぜ!」

FHエージェントB :
「てか、オニーサン何処の方?
 さっきまでマジの空気過ぎて"助けて!”しか言ってなかったけど。ウチの人間じゃないよね?」

FHエージェントB :
「俺らの事情はもうだいたいゲロった通りだけど」

SYSTEM :
 想像上のヴィカラーラは何を隠そう彼らのボケによって生まれた。

木口龍 :「オレは内陸大阪の人間でね。オーヴァード能力持ちの探偵ってところだ。所属はどっちでもないが、まぁ身分だけは証明しておけってことでUGNに籍だけ置いてる」

木口龍 :「FHだっていうやつなら他にも会った。そいつらと行動中だ」

FHエージェントB :
「あー、本気? じゃあ普段なら三歩歩いて撃ち殺す仲説じゃん。
 ウケ
 笑止るわ! 命だけは助けて下さい!」

FHエージェントA :
「そー、多分その辺の坊ちゃん嬢ちゃんが仮上司というかいじめっ子ヒエラルキー上位でさー…いやこれはいいや」

FHエージェントA :
「で、そのナイリクオーサカのお兄さんも島に何かお探しのクチ?
 災難だったねー」

SYSTEM :
 危機感がない方と、わりと色々諦め気味の方。彼らはそれこそ束でもあなた一人に勝てるか定かでないようなので、その辺り自覚して下の方でよろしくやっている群れだ。

 これを拾ったところで戦力としても人間としても然したる意味はないが、彼らが歩いて来た場所と話は別。

FHエージェントA :
「いやーアハハ、気合入ったジャパンコスプレの大将いてさあ。
 ヤバイと思って逃げ出したらさっきのけしかけられたの。なんか色々喚いてたけど、意味は分かんない」

FHエージェントA :
「次あっても多分足手纏いだし、いい機会だからそもそもそのいじめっ子ヒエラルキー上位に顔合わせずドロップアウトしたいのよねー」

FHエージェントB :
「あ! そうそうオニーサン探偵なんだって?
 人探し? 猫探し?」

木口龍 :「人探しの方だな、オレは。島に流れ着いちまったヤツを可能な限り保護しなきゃあならない」

木口龍 :「無論キミ達も同様にだ。なんせ単独行動=YOU DIED(>continue)の可能性があるからな。良ければセーフハウスを紹介してやろうか?」

FHエージェントB :
「でもよおオニーサン、俺らの命って基本チョーシいい時は5回分くらい行けるぜ」

FHエージェントA :
「ごめんねーこんな感じで
 で、なに 人探し中? そんなら丁度良かった」

SYSTEM :
 ………その彼ら的には分け前というか代わりの報酬のつもりだったのか。
 平時ならともかく"いま”拾ったところで何の儲けにもならないというので、居場所だけメドつけて見逃した非オーヴァードがいるという話をしてくれた。

 他はだいたいあなたが知っていることと、この辺りに"探し人”はいないという結論の補強くらいだ。

FHエージェントA :
「これが普段の後ろ盾いる時なら片手指くらい使い方思い付くんだけどー、今それやってると多分死ぬからさ。
 保護? してどーすんのか知らないけど。参考にしてよ」

FHエージェントB :
「はいセンセー! セーフハウスに女いますか!」

FHエージェントA :
「ごめんねえこんなヤツで」

木口龍 :
「すまない、助かるよ。あとはオレが足で行ってくるだけだ」

「ああ、(手を出した瞬間に眉間を撃ち抜いてきそうな)女もいるぞ」

FHエージェントB :
「ヒュウ! センセーは話が分かる!
 あっ、でも後腐れない感じじゃなさそう 今の一部撤回でいいすか?」

FHエージェントA :
「…というかえ、なに、助けて貰ってなんだけどホントに保護目的で此処来たの? 早死にするよ?
 ジャパンのナイリクオーサカって皆そのくらいトチってる系?」

木口龍 :
「そりゃお前オレだって大金かかってなきゃこんな仕事してねえよ。仕事だぞ仕事。相応のものがなきゃ受けてないかんな」

 記憶無いから振込あるかもわからんが。

FHエージェントA :
「逆にすげー、いくら積まれても首縦に頷きたくねー」

木口龍 :「ワンチャン生きるか死ぬかの状況で、半年飯に困らない金が来るんだ。得だろ」

SYSTEM :
 あなたのメモにそんなことは書いてなかった気はするが、
 これも多分あなたなりの話の合わせ方なんだろう。

FHエージェントA :
「あーでも 半年に一回なら相対的にマシかなあ
 ウチらの仕事、おUGN様だろうがなかろうが真っ当なやつは無理だもんねえ」

FHエージェントB :
「あ、ちなみに俺らほぼ拒否権ナーシ!
 マン………なんだっけ? の横取りしろってふんわり命令の果てにバカンス!」

FHエージェントB :
「暫く海見たくないんで生きて帰ったらナイチ籠る! むり!」

SYSTEM :
 こちらは割と生きて帰る気満々だが、
 片方は恐らく無理だろうなあ…という白昼夢に付き合う感覚である。本当に箸にも棒にも掛からない人間性というか、エージェント人生やってきた連中なんだろう。

木口龍 :「海洋恐怖症ってやつか。まぁ無理もないな」

FHエージェントB :
「だってオニーサンすげーよ 海からでけえ足ドバーッて! 船ごとオダブツ。
 なもんで、次の夏にはシーズン来るからそれまで開けるんだ」

FHエージェントA :
「普段と変わんないじゃん」

SYSTEM :
 …彼らから分かる話は、とりあえず"移動していなければ”そこに「非オーヴァード」がいる”ということくらい。
 
 この状況でそんな認定される人物など、颯のクラスメイトが精々だ。

SYSTEM :
 彼らについてはほっといてもいいし、セーフハウスと称して比較的安全圏に放り出す算段でもいいだろう。

 あと、ホデリは何となくだが許可してくれない空気がするし、いじめっ子上位ヒエラルキーとは恐らく先程まであなたがつるんでいたFHチルドレンたちだ。

木口龍 :じゃあなんか異空間出入り口見られないけど、比較的海岸沿いに近いとこを教えておこう。

SYSTEM :
 仮に村を見つけたとて、ゲートを開くのはホデリだ。そもそも"そこ”からいつも出ているわけではない。
 問題なく放り出せるだろうし、嘘も言っていない。この辺りよりはずっとマシだ。

FHエージェントA :
「さんきゅお兄さん。
 払うモンあったら払うんだけど、ツケにしたところでたぶん会う機会なさそうだし」

FHエージェントB :
「ナニワタンテイのセンセー、じゃあな!
 えー本日はお日柄も…? そうじゃない、今後の益々のご活躍をお祈り申し上げます! みたいな!」

木口龍 :「それ残念ながらご縁がございませんでしたなやつなんだよな」

FHエージェントB :「マジで!?」

木口龍 :「マジだぞ」

FHエージェントA :「逆になんでそんな詳しいの?」

FHエージェントB :「バカ野郎! センセーは大先輩だぞ!」

木口龍 :「いいか、これでも探偵なんてものをやる前は色々と食いつなぐために就活を──」

木口龍 :「──というわけだ」 すごい難しいはなし

FHエージェントA :「10分前の『用済みだ死ね』未遂のこと思いだそ? そっちは身の上話で変化球投げるのやめよ???」

FHエージェントB :
「バナナはストレスによく利くってところだけ分かったぜ!
 んじゃ俺らこれで! 間の飯どうする?」

FHエージェントA :
「蟹焼こか」

FHエージェントB :
「よっしゃ!」

木口龍 :「ああ、どんどん食え……」

SYSTEM :
 その台詞は腹いっぱい食ったものから死ぬフラグであるが、
 彼らの進退はあなたには割と関係のないことである。

SYSTEM :
 ………見送った直後に襲われるようなことも、何となくだがないだろう。

 消滅した蘆屋道満の従者の骸。
 何時も通り残る残骸には、基底となるあの符。良く言えば学生が巻き込まれた証拠はまだないが、意図してか"序で”か、散らすように展開した骸武者たちが、無作為に島の遭難者を襲っていることは事実だ。

SYSTEM :
 意図してならば手駒を増やすためだが、意図があるかも怪しい。ことジャームに理屈は無用のもの。
 
 ………いずれにせよ、そんなFHの生き残りと"あまり”から得た話の場所は、そう遠くない。これで捜索終わりにして帰るには、ちょっと早いだろう。

木口龍 :
「──さて」

 まだまだ時間はある。
 渇望喰い攻略作戦を抜け出しているんだ。オレに使えるのは足だけ。

「まずは、要救助者のとこ、か」

木口龍 :というわけで時間がありそうならそっちの探索をする、という方針でいこう。

GM :もちろんございます。

SYSTEM :
 何処とも定かでない島、道なき道を行くは無頼のなにわ探偵。

 "渇望喰い”攻略の傍らで捜索を続けるあなたにとって、引き上げたところで待っているのは待ちぼうけの時間、それから同じように捜索を続けている”イリュシデイター”や"パラディン”と何事か話すかくらいのもの。

SYSTEM :
 それを申し訳ないと思ったのか、まではあなたしか知らないことだが。
 …ともあれ立ち去った”あまり”の彼らの話を纏めるなり、その非オーヴァードの隠れ家は、日の当たるような場所ではない。

 ひと一人隠れるにはあまりに贅沢な洞の中。曰く動いていなければ此処にいる───との話だった。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………洞の中を覗く。
 外からの灯りと、奥に響く水滴の音。

 風の音はなく、ワーディングの気配も根本から無縁。
 そもそもからしてこの島がそうだが、現実では今時見つけることも難しいような、人の手が入らない風景だ。

SYSTEM :
 あなたはそこに辿り着いた。

 長年(※諸説あり)の探偵の勘は、あなたに危機を訴えていない。
 そのまま奥まで行ったところで、襲われる気配もないだろう。

木口龍 :
「……」

 指し示したのは祠だ。
 天然自然か、あるいは人為的にくり抜いたか。その中へと、ゆっくり歩いていく。

 ──敵意とか、殺気とか、そういうものは感じない。

木口龍 :「おい! 誰かいないのか!」

 声をあげて、呼びかける。

SYSTEM :
 水滴の音の中に、青年の声が木霊する。
 反響した呼びかけに答えるものはいない。少なくとも、言葉では。

 呼びかけに応じる代わりの音があるとすれば………。

SYSTEM :
 ………ころころ、と石の転がる音。
 丁度誰かが立ち上がったり、踵を返した時に、石を蹴って転がしてしまった音だ。

 砂利を続いて蹴る音がする。
 どうも、警戒させたらしい。奥には一先ず誰かがいるようで、"隠れる”必要がある状況…と、少なくとも奥の「非オーヴァード」が見做しているのは確実だ。

木口龍 :
「……」

 誰かいる──それは間違いない。
 そして、警戒するのも無理はない。
 オレは両手を挙げて、音のした方へ声をかける。

木口龍 :
「三廻部颯さんをこちらで保護している! まずは話を聞いてほしい!」 

 関係者の名前を出して、反応があるかどうかだ。
 反応があれば、幸いだが……。

SYSTEM :
 害意のないことの証明が見える位置かは定かでなく、仮にそうだとしてもあなたを信用するかはその人間に委ねられるところ。

 まして今の状況は猜疑と縁深い状況、どうしてそこで安心して顔を出すものか。 

SYSTEM :
 ………しかし。
 あなたがアテを『三廻部颯の関係者』に絞り、名前を出したことはある種、手慣れた探偵ならではの行いだった。(此処までの行動がそうかは議論の余地がある)

少女の声 :
「………み、三廻部さんの?」

少女の声 :
「けどこの声…先生じゃない…。
 どなたですか! お名前を!」

SYSTEM :
 少なくともその名前を問いかける仕草は、
 あなたがどちら様なのか、話を聞こうという意志を持ってくれた証だ。

木口龍 :
「オレは木口龍という!
 他に……荻野目旭さん、池田咲楽さんも保護している! ひとまず全員無事だ!」

 颯の関係者で引っ掛かったなら……この辺りの名前も出しておこう。

SYSTEM :
 はじめの名前、聞いた覚えのない文字の羅列。
 残る生徒の名前に、遠くで息を詰まらせる音。どうも、そう遠いところに"彼女”はいないらしい。

 ………様子をうかがうように、暫くして音が帰って来る。

少女の声 :
「その二人は…どんな子ですか!
 いま話せますか!」

少女の声 :
「それより助けてくれるってことは…警察ですか!? 自衛隊!?
 本当ならごめんなさい! あたしがあなたを信用していい証拠が欲しいんです!」

木口龍 :「すまないが警察でも自衛隊でもない!!!!! だが生存者で集まっている寄り合いにいる!!!」 そこはハッキリさせておきつつ

木口龍 :
「で──」

 ……警戒心高いな。声聞かせるのが一番早かったが──。

「颯さんが活発な女性!!!旭さんがちょっと気を抜くとなんか大人っぽくね?あれ違う?ってなるタイプの少年だ!!!咲楽さんに関してはそこまで喋ってないので分からん!!!」

SYSTEM :
 再びの沈黙。

 ただ、概ね想像と一致する内容は、少なからず………。
 名前だけ聞いただけという可能性を先ず排したらしい。

 次に浮かぶ、あるいは最も警戒するべき可能性を気にしているのか…。
 砂利が一度、擦れる音が鳴る。

SYSTEM :
 …あなたが見知らぬ一人だということを確認する。
 外側の気配も特になく。半信半疑の瞳が、"会話の余地なく逃げ出す”という最終選択肢を一旦棚上げする。

 僅かだけ身を乗り出す。暗がりの影から現れた少女について、特筆するべきことはない。本当に、年頃の10代後半だ。

少女の声 :
「………あたし、」

生徒C :
「綾城って言います。
 ………ほんとに先生じゃなかった。信じていいんですか?」

木口龍 :
「……綾城さんか。
 キミが警戒するのも無理はない、が……オレが仮に名前だけを聞いていたとして、今その三人の名前を出してキミを引っ張り出すことになんのメリットがある?」

 警戒心は強い上に、そこそこ頭も回る方と見た。理論的な部分も交えて、説得する。

「うん……オレ達は今セーフハウスにいる。
 本当は声を聞かせられれば良かったんだが、あいにく、電波が死んでいるんでな。キミのも、そうだろ」

生徒C :
「…あたしの名前、その感じだとご存知じゃないみたいですし。転校生のあのコのことまで詳しいのは気になりますけど」

生徒C :
「あと、電波もサッパリです。
 …見た感じホントに一人みたいですけど、大丈夫だったんですか?」

木口龍 :
「護身術とサバイバルにはある程度心得がある。それでなんとかした」

 ……しかしまぁ、転校生、か。話は適当に合わせておこう。

「実を言えば職業は探偵でね。
 人を見る目がある程度はある方だと思っている方だ。旭さんについては、オレとほぼ同時期に流れ着いて合流したからな……」

木口龍 :
「すまないが、オレも巻き込まれた方で、何が何やらさっぱりって状態でな……生存者同士でコミュニティを作って、脱出の手がかりを探していたところだ」

生徒C :
「探偵で護身術って今時で………」

SYSTEM :
 ………アレ、護身術で何とかなるのかしら………? ぼやく声を耳に拾ったのはオーヴァードならではのものだ。エンジェルハイロゥやハヌマーン辺りなら、もっと適切にぼやきを拾っただろう。

 ………それはさておき。

生徒C :
「…分かりました。一人で…。
 いえ、途中までは一人じゃなかったんですけど、心細いし。胡散臭いけどウソじゃなさそうですし」

生徒C :
「信用します」

SYSTEM :
 決して助けを乞う立場に行かないのは不安の裏返しにも取れるが、兎に角…。
 あなたの言動に嘘はない。言っていないことがあるだけで、殆ど事実だ。そして、そいつを見抜けるような人生経験を、平和な現代日本のマジョリティが積むわけでもない。

SYSTEM :
 ………警戒心の強さはどうも島の中での出来事に理由があるらしい。聞いてみてもいいだろう。

木口龍 :
 ……よし、とりあえずはなんとかなりそうだ。
 意地でも動かんと言われたらどうしようとなっていたが──。

「──実を言えば、ここについては何も分かっていないことが多いんだ。
 キミが見聞きしたものを、ゆっくり、落ち着いて、一から聞かせてほしい。キミを連れて安全圏まで送る際、危険な場所を踏まないためにも」

SYSTEM :
 分かっていない、はお互い様。
 少し考え込む仕草の後、彼女はぽつぽつと、起きたことを語り始めた。 

生徒C :
「あたしたち、修学旅行の飛行機で突然事故? に遭って…。
 目が覚めたらこの島にいたんですけど、あたしの周りには誰もいなくて」

生徒C :
「………じっとしていようと思ったんだけど、その時山田さんと出会って───。

 そうだ、山田さん。黒い髪の、ちょっと間延びした口調のコです。見かけませんでしたか?」

木口龍 :「……山田さん……? いや、見ていないし、話も聞いていないな」

生徒C :
「………そうですか………」

SYSTEM :
 落胆の意。
 見えにくい表情に宿るものは、大方"知っているかも”の微かな期待の裏返しだ。

生徒C :
「途中で会ったんですけど、ここの島、すごく道が分かりづらくて………?

 何処かで逸れたと思うんです」

生徒C :
「…場所は辺りが木々だらけで…水の音がしてたから、川でも近くにあったのかしら。
 探そうと思ったんですけど、それどころじゃなくて………途中でそのコに出会った以外は、ずっと一人であちこち歩いて、疲れたら隠れての繰り返しでした」

SYSTEM :
 ………辺りが木々だらけで、川が近くにある場所。あなたは知らないが、島について2/3を調査した以上、場所の心当たりは、ある人間にはあるはずだ。

木口龍 :メモを取りながら、続きがあれば聞こう。

生徒C :
「その山田さんも、確か途中でクラスのコに会ってて…そう、三廻部さんと池田さんには顔を会わせてたみたいで。いるかと思ったんですが…」

生徒C :
「………でも、この島のこと分からないって言いましたけど、本当に出歩いて大丈夫なんですか?

 山田さんと逸れた時、私、見たんですよ、とんでもないの」

生徒C :
「このくらいの大きさの、真っ黒なオオカミ。
 足から煙が出てて、バチバチなってて……。

 でも、もっととんでもないのはそこじゃなくて…」

生徒C :
「その大きさのオオカミを、なんだろ。
 ドラマでもみないようなばかみたいに大きい…剣? 担いだ人が、すごい勢いで殴って。ものすごい音がして。
 
 怖くって逃げ出したけど、あんなの…」

SYSTEM :
 ………状況証拠は概ね揃う。

 今しがた討伐秒読みの何某と、
 運わるく出くわして、
 運よく怪獣同士の殴り合いのお陰で難を逃れたということだ。

 口調には緊張と警戒が混ざる。

SYSTEM :
 ………何処まで行っても"ふつう”だ。
 警戒心の強さは生来からか。定かでないが、あなたが良くも悪くも外見に影響の出るタイプのオーヴァードでないことは幸いだった。

 出ていたら、今の倍は警戒を解くのに時間が必要だったことだろう。

木口龍 :
「……」

 ああ、運悪く見てしまっていたヤツか。
 どのみち颯に会わせるといろいろ分かってしまいそう、というものはあるが。

「──疲れで幻覚でも見ていたんだろうな。
 関わらなかったら、忘れるに限る。特にこの島はガラパゴス化しているし、巨大な黒い狼がいてもおかしくはない」

木口龍 :
「獣がいない安全な道は知っている。出会すことも、よほど運が悪いとかじゃなきゃあ無いようにはするさ」

生徒C :
「嘘、幻覚なんて…!
 あんなハッキリしたんですよ!? あんなに…あたし、死ぬかと思って…」

SYSTEM :
 そんな真に迫った“まぼろし”があるものかと声を荒げる彼女は、あなたのその言葉に関してだけは呑み込み切れていない様子だったが………。
 あるいはそこで『動じない』仕草を取った龍を、怪訝に思いつつも、どのみち他がないことは察しつつあるようだった。

生徒C :
「………本当に、お願いしますよ。
 それと………そうだ、出来ればでいいんです。厚かましい話だと思ってます」

生徒C :
「山田さん…そちらで見なかったら、探してみて貰えませんか?
 頭のいいコだから…気が付いたら居なくなってて、ひょっとすると置いて行ったんじゃないかと思うこともあるんですけど…」

木口龍 :
「オレも自衛手段があるとはいえ、獣には見つからないに越したことはない」

「──山田さんについても了解だ。
 ツテがあるから、探しておこうか。詳しい外見を聞かせてくれるか?」

木口龍 :さっきのFH凸凹コンビにもいたらオレに教えろって伝えておくか……的に考えている。お前ら一蓮托生だぞ。

生徒C :
「! ありがとうございます。
 外見はええと、これぐらいの身長の、おっとりしたコで───」

SYSTEM :
 どうも思うところがないではない“姿の晦まし方”だったことは確かだが、今の彼女にとっては数少ない顔見知りだ。

 保護されている他の名前を挙げようにも、まずは自分と自分が見たもので手一杯と言ったところ。

SYSTEM :
 ………ところで………。

SYSTEM :
 だいたいこの辺りで消えた、と言った場所。

 あなたが境耶/“ラッキージンクス”や、“イリュシデイター”から聞いているのかは定かでないが、そこは………。

SYSTEM :
【Check!】

 プライズシーンの進行に伴い、
 下記のトリガーマーカーが更新されます。

・4-1

SYSTEM :
・「山田さんを探す」

進行:なし
支援:なし

推奨:????
備考:イベントシーンのみ(非トリガー)

『水の流れる音がずっとしていた』、
『木々に囲まれた場所』。
 あなたたちが調べていない場所のことはともかく、知っている範囲なら…“山田さん”はこの辺りにいるはずだ。

木口龍 :
「──こんなところか。ありがとう。
 はぐれた場所についてはなんとなく心当たりが出来た。キミを送り届けたら、そっちをあたろうと思う」

SYSTEM :
 あなたの言葉に一度彼女が頷く。完全に信用したという様子ではないが、少なくとも今の状況、(ここまでの態度とは裏腹に)落ち着いた、言い聞かせるような態度で触れたことは功を奏したようだ。

 少なくとも話を聞いてくれる様子はある。
 送った先でパニックを起こした時、あなたの対応の仕方や、彼女にとっての頼れる大人がいれば、何とかなるくらいには。

SYSTEM :
 ………それと同時に、彼女は恐らく不運だったが悪運があった。

 蘆屋道満の従者が“何か”の目的で解き放たれ彷徨い、つい先刻までは接触即ち死の空を飛ぶ“ばけもの”が居たのだ。
 こうしたものと出会わずに居られたのは、学生の誰もに言えることだが、不幸中の幸いだろう。

SYSTEM :
 ………此処でするべきことはこれ以上なさそうだが。まだ、聞くことはあるだろうか?

木口龍 :いや、無いな。むしろ彼女の方が聞きたいことが山程だろうが……まずは送り届けるのが先だ。

SYSTEM :
 …むしろ彼女にとってのオーヴァードの認識がどうなるかも定かでないところ。
 酷だが、多くは説明せずに、誤魔化せるだけ誤魔化せる今の状態の方が却って健全かもしれない。

 まずは送り届けて、歩き詰めから解放してやるというあなたの判断は正しく。
 幸いにも、ここで何事かの追撃を受けることはなかった。

SYSTEM :
 ………颯の口から聞いたことは、少なくともあなたの立場だとあるまいが。

 もう一人、クラスメイトがいたはずだ。

SYSTEM :
 赤都上樹………。

 恐らく「行方不明のクラスメイトを探す」つもりだった彼はどこに行ったのだろう?

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :以上でプライズシーンを終了します。ロイスの取得や更新はありますか?

木口龍 :無い

GM :ふむ…まあ順当なところですね。今回取得する候補も少なかったところです。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :
※本来の場合はこのままFSシーンに移行しますが、諸事情で『セットアッププロセス後の任意シーン』希望を後回しにしていたため、この段階で確認を行います。

“虚の狩人/残骸” シホ :……名乗り出た役割です。
颯ちゃんに協力を頼む時間が欲しいと考えています。

GM :分かりました。PC1…颯ちゃんはどうですか?

三廻部 颯 :いいですよ

GM :合意と見てよろしいようですね。では…


・シーン27「幕間・拾参」

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【シーン27:幕間・拾参】

 登場PC:颯、シホ
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-ディスクリプトロイス

 境遇、能力、才能を示すロイスのかたち。
 通常のロイス(繋がり)が他者に取り、日常の帰る証となるのであれば、
 これは自ら自身に取った、自らの能力の証として認識されるもの。先天・後天問わぬ“とくべつ”の証。

 一説によれば、この特別性を持つ者ほど、ジャームになる可能性が高いと言われている。
 オーヴァードという、人を半分ほどやめてしまった生物たち。
 その中でも特別であるということ───その中でも“同じ”を分かち合い切れない者達は。
 いつだって、力のために、見えない代償を支払っている。

SYSTEM :
 ………時刻を僅か遡る。

 “渇望喰い”との衝突を間近に控え、その生き物が死なずではなく『死ねず』に過ぎぬと分かった今、あとはこれを屠るだけだ。

 そこに突きつけられた純然たる人出の不足。
 ないものはなく、使えるものは使わなければどうしようもない今。誰もが浮かぶ適解に、しかし半歩の躊躇いがあったのも事実なのだろう。

SYSTEM :
 ………一連の呉越同舟の、どこにも奇妙な折り合いをつけた立ち位置のあなた/シホが、空間を隔てたこの屋敷の屋外にいる颯を見つけ、何を思って近づこうとするのかは、既に語ったところである。

 いつもならば此処で一言、良くも悪くも“余分”を忘れさせないタイガーアイは、今どこか別のところを転がっている。
 あるいは狩人の時、そうしてきたように。此処で口にするのはあなたの言葉だけだ。

SYSTEM :
 颯にとっても、また。
 そこで外にいたからには、“これから”について、あなたなりの心身の準備が必要だったのだろうか?

“虚の狩人/残骸” シホ :
 作戦会議を終えて、席を立ってから暫く。
 私は長い廊下を歩いていた。
 きしり、きしり、と木材の軋む小さな音が嫌に大きく響く。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 自らが望んで背負った役割は……
 言ってしまえば、何のことはない。
 誰がどのようにやったとしても、余程のことがない限りはさして影響はない話。
 抱えた言葉を伝えようとしている、その相手にとってもまた、そんな些事では大した影響はない話。

回想に曰く─── :
 いままで仮初でも日常の側にあった人がそれをするのと、
 銃を持った怪物の仲間がそれをするのは、
 持つ意味が同じでも結論には影響を及ぼします。たとえそれがほんの一時の差であっても───

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……声が震えそうになるのを、私は上手く隠せていただろうか。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「あっ……」

 掌を見つめながら暫く歩いていると、気づけばそこは屋外に通じる渡り廊下のような場所。
 果たしてそこに、預かった言葉を伝えるべき相手はいた。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「颯……、……さん」

 ……小さくなりそうな声をなんとか押し上げて、幾分か凛然とした口調を保つ。
 “エージェントとしての顔”を強調する仕草。

▄█▀██ :
 ひゅ、っ。

 風を切る音。

 ぱっ。

 小気味のいい"折れる"音。

▄█▀██ :
 渡り廊下から見える小さなスペースに少女は居た。
 ”モルフェウス"の物質変換は、少し力を込めれば小さな砂や木片から何かを生み出せる。
 
 少女はそこで簡易的な木人を作っていた。
 出来はいいものではないが、練習用には申し分ない程度の。

三廻部 颯 :
 感情を乗せない足の動き。
 冷静に立ち回り、攻撃を打ち込むための動作。
 何も起こらなければ静かに、波紋が起きれば流動的に動く構え。

 人間の世界では、護身に使われるもの。
 だがそれを、超人が行えば──それは瞬く間に"殺人拳"となる。

 滑り落ちる汗を拭い、木人を造っては壊し、造っては壊し……

三廻部 颯 :
 都合、100体目の木人を壊したところで、動きが止まる。

三廻部 颯 :
「あ! “虚の狩人"さん。
 どうかしましたか?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ──────。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……少し、お時間を頂いてもいいでしょうか?
 島の探索について進展があったので、ひとつ報告を兼ねてご相談があります」

 努めて表情を固める。

三廻部 颯 :「いいですよ!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………兼ねてより居所を掴んでいた“渇望喰い”について、行動の傾向と弱点が判明しました。
 颯さんも砂浜で遭遇した、あの狼のことです。」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「後ほど改めて情報をまとめた資料をお渡ししますが……
 どうやら“渇望喰い”には旧くよりの傷痕があり、そこが弱点に相当するようです」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 渡り廊下から外へと出て、木人の瓦礫を避けながら颯ちゃんへと近づく。
 手持ちのデバイスのディスプレイには簡素な資料。約一世紀の過去を捨象した、冷たく文字列で示される致命の源。

三廻部 颯 :
「あ、なるほど。
 じゃあ、私もそれに参加すればいいんですね?」

 即答。
 資料にある程度目を通して、やるべき役割を理解する。
 他の人たちは黒いドラゴンの戦いで消耗しているし、攻撃手ができるのは私くらいだろう。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「え、ええ……。
 資料にあったように、“渇望喰い”は電気の障壁を防御に使うため、弾薬を用いた攻撃では効力が薄いんです。
 ですから、最終的には白兵戦に持ち込む必要がある………との相談だったのですが」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……………呑み込みが早く、助かります」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 辺り一帯を、気取られないように見回す。
 無数の木人の瓦礫。10、50はくだらない。
 それだけの力と時間を修練に費やし、自らの意志で研鑽を重ねている証。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……喜ばしいことじゃないか。
 颯ちゃんは、目の前の現実を受け止めて、“非日常”で闘う為の準備をしている。
 それは、私が“そうすべき”とこの口で言ったことだ。

三廻部 颯 :
「古傷があるなら、そこに打ち込めば、ダメージを結構与えられそうですね」

 拳を握ったり開いたり。
 

三廻部 颯 :
「あいつ、立ち上がって二足歩行になってたし。
 急所の位置も人間とそんなに変わらないのかも」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ──────。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 人は、本人の言動以上のものから他人の抱えたものを察することはできない。
 彼女が現状を前向きに捉え、求められる役割を正しく把握し、実行する意志を見せているのならば。
 三廻部 颯はそれを望み、闘う道を行くのだろう。求めに応じる、夢のヒーローのように。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ──────奥歯が、軋む。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 なんだ。
 私の懸念など、ちっぽけな杞憂だった。
 彼女は“非日常”でしっかりと生きる土台を築いているじゃないか。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ─────────違う。

回想に曰く─── :
「……それに、颯ちゃんには少し酷な話でしょう。
 ある日いきなり、日常から放り出されて……
 そのうえ、“此方側”でも拠り所を喪ってしまっては」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ──────そうじゃ、ない、だろう。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……………………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「は、はは……………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………。
 なにかっこつけてんだろ、私…………」

三廻部 颯 :
「…………………………………………、
 …………………………………………」

三廻部 颯 :
「……え? どうしたんですか?」

▄█▀██ :
 少なくとも少女に……、
 そんなことは分かりっこない。
 "渇望喰い"の攻略を目的とした会議の内容など、知るはずがない。
 だから彼女の目には、"急に自嘲を口にした"ようにしか見えない。

三廻部 颯 :
「あのぉ……だ、大丈夫、ですか?
 ……大丈夫で合ってるのかな……?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……そうだよね。
 ごめんね、いきなり。びっくり、させちゃったかな……」

三廻部 颯 :「わりとビックリしました」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「はは……。やっぱりそうか。
 うん、……ちょっと、ね。だいじょうぶ……じゃないかも」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……この役目に名乗り出たのは私なのに。
 颯ちゃんを連れていく役割なら……もう、終わっているはずなのに。
 嫌になるほど、私は、私が可愛いいらしかった。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………随分、特訓してたんだね。
 自分で思いついたの? どれくらい、やってたのかな?」

三廻部 颯 :
「え? うーん……1セットで100体ですかね。
 木人を作って、急所を狙った攻撃で破壊できて1カウントって感じです」

三廻部 颯 :
「まあ、自分で思いついたといえば……そうなんですけど。
 なにせ空手とか柔道の技を普通に使っても、あんまり良い効果がなかったし」

三廻部 颯 :
「ダメージを与えるにはもうちょっと効率のいいことしたほうがいい気はするんだけどなあ……。
 まあ、私、あんまり頭良くないし」

三廻部 颯 :
 首を傾げながらも、木人を試しにもう一体作る。
 素早い身のこなしから回し蹴りを繰り出し、木人の首を一撃で粉砕。

「とりあえず何が起きてもいいようにって」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……偉いね。自分でそこまで考えられるようになったんだ。
 オーヴァードにもなったばかりなのに……」

三廻部 颯 :
「死んじゃいますしね。
 今のままだと」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………ひとつ、聞かせてくれるかな」

三廻部 颯 :「なんですか?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「戦うのは、怖い?」

三廻部 颯 :
「正直なことを言うと……"今更"ですね」

三廻部 颯 :
「わかんないです。
 怖いとか怖くないとか、考えると動きが鈍りそうで」

三廻部 颯 :
「仮に怖かったとしても"怖い"なんて言ってられないですし」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ───、──────。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 こちら側の世界では、生半可ではオーヴァードだろうが容易く命を喪う。
 敵を目前にして恐怖に身が竦むような兵では、拳を振るうことも引き鉄を引くことも叶わない。
 ……戦禍を経て彼女が得たものは、確かに概ね正しい知見だ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 そして……ここで私が採るべき正しい選択は。
 たとえ遮二無二だろうが前を向き、戦場に赴かねばならない現実を受け入れた彼女の意志を尊重することだ。
 打算的にも、戦力が不足した現状で手を選んではいられない。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……だから、いま、口を開いてしまうのは、正しくない選択だ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………。
 正直なこと、言うとね」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ・ ・・・・・・・
「私、ずっと怖いんだ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「銃を持つのも、狙うのも、撃つのも。
 ・・・・・・・・・・・
 みんなが一緒に並んでるのも、ずっと怖い」

三廻部 颯 :
「……先に、言っておこうと思うんですけど」

三廻部 颯 :
「私、今、誰かを気遣えるほどの余裕はないんです。
 ・・
 独りで立って、自分で戦わなくちゃいけないから、あんまり気の利いたことは言えません」

三廻部 颯 :
「その上で、言うとしたら……うーん、そうですね」

三廻部 颯 :
「"シホさん"はそれで──今戦うことを、やめれますか?」

三廻部 颯 :
「"虚の狩人"さんはそれで───戦うのを諦められますか?」

三廻部 颯 :
「そこで出てくる選択肢が、その"怖い"ということへの答えなんじゃないでしょうか。
 武器を捨てるのは自由だし、それを誰かが咎めることだってしないと思いますよ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 …………“三廻部 颯”の言葉の意図は、裏返すまでもない。
 「戦うことをやめる」───その選択肢があるか、ないか。それ以前の話だ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 彼女を縫いつけるものは、私が継いだ宿痾のカタチと同じ色をしている。
 私を戦場へと生み出し、育て、いまなお呪い続けるものと同じ音の響きを持っている。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「私は、“狩人として在れ”と願われて生まれました。
 私の生まれた、そして生きる意味が、あなたの呼んだその“二つ名”です」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「“虚の狩人”───私はそうあれと生まれ、そのあとを知りませんでした。
 それでも、ずっと、怖いものは怖いまま」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「銃を構えて、スコープ越しに見る背中が怖い。
 瞬きをしたら、その間にみんな消えてしまうんじゃないかって。
 だから、私は独りで戦うことを選んできました。
 ずっと痛くないふりができる“便利な仮面”をつけて」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「それでも……怖さは、都合よく麻痺してくれなくて。
 颯ちゃんも、本当は戦いに連れて行きたくはないんです」

▄█▀██ :
 戦いの場に身を置く万人が経験すること。
 "戦う自分"とそうでない自分。
 後者を隠すための仮面を人々は付けることを強いられる。
 あるいは、己で強いる。

 それが十全に機能することなど、まずあり得ない。

三廻部 颯 :
「お気遣いありがとうございます。
 気持ちだけ受け取っておきますね」

三廻部 颯 :
「でも……」

三廻部 颯 :
「私、今は──
 ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・
 そうやって遠ざけられるほうが、嫌です」

三廻部 颯 :
「私は私自身で色々考えて、戦うことを選択しました。
 だから気持ちだけにしておこうと思います。
 私の選択まで、遠ざけられたら、こんどこそ本当に拗ねますから」

三廻部 颯 :
「きっと私の"怖い"と、“虚の狩人"さんの"怖い"は違います。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
 違うものを無理に分かろうとするのは、大変ですから。
 あなたはあなたの怖いを抱いて、これから頑張ればいいんだと思いますよ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……わかってるつもりだよ。
 自分で戦うって決めたあなたに、戦ってくれって言っていた私が、遠ざけるようなことをするのは。
 凄く……自分勝手な、わがままだ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 颯ちゃんの決意は、固い。
 何で固められたのか、強いられてそうなったのか───それは彼女にしか分からないことで、ヒトが土足で踏み入ってはいけないところ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 彼女を遠ざけないこと。
 それが正しい選択だとしても───

“虚の狩人/残骸” シホ :
「私、どこまで自分勝手なんだろう。
 颯ちゃんにも、旭くんにも、境耶くんにも、龍さんにも───
 クラスメイトのみんなも、UGNの人たちも……私の前に立ってほしくない。
 みんな、みんな、笑っててほしいって勝手に思ってる。
 あったかいままでいてほしいって……。側から離れないでって……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「私、みんなを護りたかった。
 “みんなを護る私”を護りたかったんだ。
 そうじゃないって思いたくて。だから、まるでみんな遠ざかっていくことを期待するような真似をして」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「──────。
 だから、いまのは全部、私のわがまま。
 嫌われても、拗ねられても、“あなたを必ず帰したい”っていう私のエゴ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「お話を聞いてくれて、ありがとう。
 気持ちだけでも、受け取ってほしい。ちょっと押し付けがましいけど」

三廻部 颯 :
「あはは、難しいですよね。
 "自分が思ってること"と"他人が思ってること"が一致することなんて、稀なんですし。
 言い方を悪くすれば、それは自分の理想や期待を他人に押し付けることですから」

    ・・・
 これは経験則。

三廻部 颯 :
「まあ、それが自分勝手でもいいんじゃないですかね。
 別に"みんなを守る私"を護ったっていいと思いますよ。
 自分の心を守れるのは自分だけですから」

三廻部 颯 :
 エゴを、受け取る。
 そのエゴを、受け入れるかまでは人次第。

「いいですよ、私なんかで良ければ。
 私もそれ以上のことは望みません。
 ・・・・
 望まないって、ついさっき決めたんです」

三廻部 颯 :
「だから"それ"は……受け取っておきますけど。
 後で反故にされても怒らないでくださいね?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………。そっか。
 受け取ってくれるなら、それでいいんだ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……改めて。
 先程お伝えした通りの時刻に、“渇望喰い”討伐の為の隊がここを出立します。
 協力してくださるのであれば、遅れずに集合していただければ助かります」

三廻部 颯 :
「はい、わかりました。
 一度私を殺してくれたやつなので、仕返しの一つでもやっておかないと気は済まないですし」

三廻部 颯 :
「時間までは、体を動かしておきます」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「承知しました。それでは、後ほど……」

 踵を返し、屋内へと続く渡り廊下へ。
 私も銃の最終調整をしなければならない───。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「──────最後に、ひとつだけ」

三廻部 颯 :「? なんですか?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……颯さんがどんな未来を択ぶにせよ。
 私は、この島からあなたを帰す。あなたの同級生の方々も、きっと」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「そんな私のエゴを聞いて、それでも私を遠ざけないでくれるのならば───」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「“渇望喰い”の討伐を終えた後、私の元に来てください。
 狩人として培った“こちら側”での知識と戦い方を、あなたにお伝えします。この先、颯さんには必要になるかもしれないものです」

三廻部 颯 :
「……わかりました。
 そうですね、その時そうだったら」

三廻部 颯 :「お願いします」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「───承知しました」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 振り返らず、渡り廊下を進む。
 私が伝えるべきは、これで伝えた。
 そこから先は、彼女の選択だ。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :シーン終了に伴うロイスの更新・変更等はございますか?

三廻部 颯 :ありません。

“虚の狩人/残骸” シホ :こちらは……ロイスの新規取得を行います。

GM :ほう。どのように?

“虚の狩人/残骸” シホ :対象は三廻部 颯。
感情は……庇護/⚪︎不安 です。

GM :ふむ。承りました。

system :[ “虚の狩人/残骸” シホ ] ロイス : 4 → 5

GM :確かにこの状況で取るとなれば対象は一人…。では、キャラシートに書き加えておいてください。

SYSTEM :
【Check!】

 判定:[5-2]を行います。
 判定対象者:颯、境耶、旭、シホ、ホデリ、“ミッドナイト・アイ”

 判定/特殊

 支援/存在しない
 
壱:FSシーン発生
弐:推奨【肉体】【運転】
参:推奨【ミッドナイト・アイ】

・シーン28「羅刹」

SYSTEM :
【シーン28:羅刹】

 登場PC:颯、境耶、旭、シホ
 登場侵蝕:あり

SYSTEM :
Tips-ダークワン
 人狼や吸血鬼に代表される闇の者たちの血族。
 またはその血(才能)を受け継いだ存在を指す言葉だとされる。

 言葉の興りは19世紀末から20世紀初頭。
 一部のオーヴァードが、吸血鬼や人狼のような怪物/精霊と見做された時代、
 人々から疎まれたものは闇に潜み生きて行った。
 やがて時代の移り変わりとともに廃れて行ったが、夜の影にそれが潜むことに変わりなく。

 それがオーヴァードと呼ばれる時代になるまで、太陽の届かぬ月のもと、
 彼らは今と何ら変わらぬ血で血を洗う闘争を続けていたという。

SYSTEM :
 生い茂る木々。古きも新しきも行き来する足跡。
 乾いた土を踏みしめる音だけが響く。

SYSTEM :
 幾たび景色の変わる中、ここに多人数で訪れた理由など他でもない。
 可及的速やかに───というほど急を要することはなくとも、
 その好戦性と目的から来る不確定さから、捨て置くことが選択肢に入っていなかったもの。
 
 FHのエージェント改め、Aオーヴァード“渇望喰い”。

SYSTEM :
 もちろん馬鹿正直に気配を晒すようならば、彼は“死ねず”で居られない。

 しかし彼がこの島に留まる以上、場所を探り当てるのは時間の問題であり………。
 それを突き止めたのは、“喚楽の人喰い虎”が彼を追い返した事実が判明してから然程とない。


 その塒は決して定められたところになく。
 しかし彼は脅威と定めたもののところには決して寄り付かない。
 何より最優先を一つ事に定めている生物だから、その見た目に反して辛抱強い。

 あらゆる場所を転々とするそいつの「今」の逃げ込み先は、
 何処からでも逃亡出来、何処からでも仕掛けられる木々生い茂る樹林の中だ。
 しかし視認し、少しでも不信感を覚えさせたならば、彼の取る行動は分かり切っている。

SYSTEM :
 そこで………。
 必要となったのが、ヴィカラーラの誇る暗殺集団“マーダーオヴブラック”の端くれ。
       ミッドナイト・アイ
 言ってしまえば“夜目代わり”以上でも以下でもない役目の女である。
                    ラビリンス
 領域内に入ったと認識することさえ難しい、殺し間の空間。
 索敵のち「そこ」に囲い込んで抹殺するのが役割の女であり、
 しかし彼女に出来ることは『逃がさない』ことであって、殺すとなれば確実ではない/恐らく単身でその算段が立つことは“ない”。

 ………自己申告に曰く、息の根を止める矛代わりが必要だった。

SYSTEM :
 したがって………。

SYSTEM :
 いま木々の中を行くのは、“ミッドナイト・アイ”の領域内に“渇望喰い”を捉え、逃げる算段を立てる前に『詰み』に運ぶための索敵段階。

 首尾よく発見したならば、そのまま、長期戦承知の追い込み漁だ。

GM :………ところで。

GM :登場侵蝕を忘れかけるところでございました。

荻野目 旭 :緊張の一瞬…!

荻野目 旭 :ふんぬ!

荻野目 旭 :1d10 (1D10) > 3

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 97 → 100

荻野目 旭 :こんなことあります?

“虚の狩人/残骸” シホ :1D10 (1D10) > 1

三廻部 颯 :1d10 (1D10) > 8

system :[ “虚の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 92 → 93

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 69 → 77

久外境耶 :1D10 (1D10) > 8

久外境耶 :グエ

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 76 → 84

『ホデリ』 :荒ぶっておるな

system :[ 荻野目 旭 ] 妖精の手 : 0 → 1

system :[ 荻野目 旭 ] 女王の降臨 : 1 → 2

『ホデリ』 :猛々しきと取るか…思ひ鎮める必要ある時、さふべきを出来るよう気に留めておくのだな

『ホデリ』 :汝にその辺りは無用なお節介かもしれんが…

久外境耶 :い〜や? 外付けブレーキあったほうが気持ちよくアクセル踏めるだろ……って伝わんねえか

『ホデリ』 :鑑みること僅かの方が良きと

『ホデリ』 :ううむ…

SYSTEM :
 ………”ミッドナイト・アイ”はやや後ろをつく形で、特に多くを喋ることなく、かといって正負のどちらにも感情を傾けることもない平常心だ。

 彼女が”見つける”までの時間が僅かな猶予だろう。

“虚の狩人/残骸” シホ :
……発見までは念のため隠密行動をした方が良さそう。
しばらくの間、EE:不可視の領域の使用を宣言します。

GM :fm? 良いでしょう。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……パタリ、パタリと乾いた靴音が幾つか並ぶ。
 有事に備えて銃を構えながら、慎重に木々の鳴らす音の変調を聴き分ける。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……領域の調整で、しばらくの間は私たちの姿や音は知覚的に遮蔽されています。
 多少は物音を立てても勘付かれることはないと思いますが……念のため警戒は怠らないでください」

久外境耶 :
「だめって言われるとやりたくなるよなあ!」

 やっと回ってきたお鉢にテンションは上向き。フダンは追い立てられてる獲物を囲いの外に逃がす役割だが、今回は逆だ。いいねえ、バカンス万歳!

“ミッドナイト・アイ” :
「いざって時は名誉の戦死にしていいよ
 この仮ボス 殺しても死なないと思う」

荻野目 旭 :「僕もそんな気がしてきました〜……うっかり襲われても大喜びじゃないですか、ぜったい」

久外境耶 :「おうともよ! 先手とられたら後手もくれてやれってキリストも言ってんだろ」

“虚の狩人/残骸” シホ :「そんな酔狂言ってませんよ!少しくらいは我慢してください!」

子供じゃないんだから……とは続けられないのがなぁ。

“ミッドナイト・アイ” :
「キリストもわりと自分のことしか考えてないと思う」

“ミッドナイト・アイ” :
「まあ…それはそれとして…」

“ミッドナイト・アイ” :
「これで気付かれなかったら、逆に楽でいい…
 そういうことだと思ってくれれば、なんでもいいよ」

三廻部 颯 :
「一人だけ音出して、"釣れれば"まだまあ……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「実際、作戦としてはそれもありえる範疇ですが……
 少なくとも“ミッドナイト・アイ”が領域に捉えてからでないと、リスクの大きさが無視できません」

SYSTEM :
 軽く肩を竦める仕草。
 リスクの大きさを持ち出した彼女に対して、失敗したら死ぬだけを地で行くロクでなしの端くれの答えはこうだ。

“ミッドナイト・アイ” :
「というか…そっちがメイン。

 普通にやったら、普通に逃げ出す」

“ミッドナイト・アイ” :
「釣り出す、誘い出す、追い込む、なんでもいいけど…。
                      オルクス
 あっちが『死ぬ』って思わない程度に、こっちの領域の中心に誘い込んでほしいワケ。
 端っこで捕まえても、たぶん逃がすから嫌」

SYSTEM :
 私情というよりは経験則。
 ・・・・・・・・・・・・・・・
 戦闘態勢に移った瞬間逃げられた、というのは伊達でもないらしい。

荻野目 旭 :「う〜ん……どっちみち鬼ごっこの構図は必要ってわけですか」

荻野目 旭 :「それなら前言撤回ですねっ。案山子さんの真似はお願いしますよ〜」

三廻部 颯 :「私のこと嘗めててくれたら釣れそうなんだけどな……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……まあ、順番の問題もありますから」

 先にこの五人……いや六人がまとめて察知されてしまうのは、どちらにせよ避けたいところだ。
 “殺しに来た”と確実視されてしまえば、それはそれで逃げられてしまう可能性が高い。
 六人を察知されても構わないのは、退路を断つか追い込むポイントを絞ってから。

久外境耶 :「へいへい。ま〜手間増えて怠いのはおれらだしな」

SYSTEM :
 然るに、追い込み漁というのは比喩でもなんでもない。
 領域内に引っ掛けて、攻撃と離脱を繰り返し、“万が一”さえ死を遠ざけてきた不死の獣を逆に蜘蛛糸に引きずり込む。

 一世紀分の先達、その経験と因子の持ち主。
 そいつが、まことに命の脅威を感じていない間/感じるまでの猶予時間の間に誘い込み、まともな戦闘行動に持ち込む。

SYSTEM :
 ………“蝕みの君”が真っ向であり、可及的速やかでなければならなかったのは、どちらにとっても時間が敵だったからだ。

 ただ、此度に時間が敵なのは此方だけ。
 捨て置いたり、一度喉元に刃を突きつけるだけ突きつける半端をした時が最後だ。

SYSTEM :
 ………その前提の確認の微かな猶予を前に、白い狗/ホデリの尾が微かに立つ。
 
 周囲を一度見渡す、獣というには理性が足りすぎるまなざしが、何を捉えて何を思ったか。

“ミッドナイト・アイ” :
「───。引っ掛かった。
 ここがヘンな島なのが幸い」

SYSTEM :
 その是非を問う後か、前か。

 ヘンな島だから“まだ”脅威のきの字さえ認識せずに走る、死ねずの獣が網に触れたことを彼女が伝える。
 行き先を示すように、オルクスのR因子が微かな指向性を持った。

 此処から彼女がするのは“領域”造りだ。
 獣狩りの、檻造り。元より自分の役割に忠実な/ある種の一周回って凡庸な欲望を持つ女が、これを反故にすることはない。

SYSTEM :
 ただ逆に言えば、何も言わなければ本当に何も言わない性質だ。
 彼女は猶予の終わりを感じ取って、木々の向こうには届かずかき消される程度の声量を響かせる。

“ミッドナイト・アイ” :
「引き込んで逃がさない役と………後は。
 ヘマしそうな時のフォローはしたげる」

“ミッドナイト・アイ” :
「あんまり派手にやって狙われるのは勘弁だけど………。
 以上で」

久外境耶 :
「おー頼んだわ! おれらは死に損ないのワンちゃんと楽しくお散歩だ」

 預ける命はお互い軽い。
 どっちがヘマしても死ぬだけのハナシ。

 が、そのへんのワリキリと仕事人の矜持はベツんとこにあるワケで。やるときゃやるからまだ生きてるってコトだ。

久外境耶 :「いこうぜホデリ。おまえ犬コロ呼びしたあいつに格の違い理解らせんぞ」

荻野目 旭 :縄張り争いじゃないんだから

荻野目 旭 :
「……まあ、気合は理解です。
 “ミッドナイトアイ”、あなたもいちおう気をつけて。
 どこまで感知できるわんちゃんなのかわかったものじゃないですし」
 言いながら、僕もアタマの片隅でレネゲイドを意識する。指先を裂いてぽんと咲いた花を揺らす。

荻野目 旭 :だけど今回の場合、一番気をつけてほしいのは……実戦が二回目の三廻部さんだ。

荻野目 旭 :
「三廻部さんは、一番気をつけて。
 捕獲役の“ミッドナイトアイ”を抜いたら、あなたが今回一番の要です。
 ……って言ったら、プレッシャーだなあ」

荻野目 旭 :「ガツンといってバン! で大丈夫! そうなるように、僕がフォローしますんで」

三廻部 颯 :「うん──わかった」

三廻部 颯 :
「前は虚仮にされたけど──今度はちゃんとぶっ倒す」

『ホデリ』 :
『狗呼ばわりは然ばかりに………、いや』

『ホデリ』 :
『左様か。───それも良し、あの狼めに蚊帳の外と教えてくれよう。
 ただ何を想ひ企むかも定かでない…。侮ることないように』

SYSTEM :
 言いかけた台詞を“言いかけた”で終えるのは、少なくともそれがあなた/境耶の流儀だと存じているからだ。白い狗があなただけにコレを言ったのかは定かでないが。
 
 ただなにより───。

 この“リュウグウジマ”/■■■の■■を我が物顔で駆け巡って。
 何ぞ私欲的な目的で、上澄みを啜るそいつに対して思うところが、たったいま微かに漏れていたのも、また事実であった。

SYSTEM :
 ………あわせて、この場にいる中で誰よりも”それ”を気にしない女が、未来の敵同士のあなたを、相応の距離で見送る。

“ミッドナイト・アイ” :
「気にするリソース、未来の敵に割くなんてヒマ人…
 いいよ別に。大丈夫じゃなくても、噛みつかれたら、死んでも喉笛食い千切るのが教え」

“ミッドナイト・アイ” :
「それ気にするくらいなら、せいぜい早死にしないようにして。
 私が困るから…話の“まだ”分かる方がいなくなると、残ってる方、相性悪そうだし…」

荻野目 旭 :「ノエルさん、まじめだからなぁ」

“ミッドナイト・アイ” :「そっちらしすぎて困る。あとは…」

“ミッドナイト・アイ” :「…いや、まあいいか」

荻野目 旭 :意味深な沈黙だなぁ

“虚の狩人/残骸” シホ :“言わぬが花”なのかどうか……。

久外境耶 :
 ノリのいい返事にニッと笑みで応じる。その調子! っつーのも、なんか違えケド。

「もち、腐っても死に損ないパイセンだ。クソの足しにもならねえミリ分量の敬意とタイトルマッチばりの気合い全ツッパでぶっ──あ、道場破り的な感じな!」

 あんのか知らんけど。ヘーアンにドージョー。

久外境耶 :
「ところで……」

久外境耶 :
「おれを忘れてんじゃねーッ! なに勝手に二番以下にしてやがる!」
 げらげら笑ってナイトホークの横合いから軽く体揺れる程度にぶつかりにいく。

荻野目 旭 :「そういうとこが優先度落ちる一番の理由なんですけど〜!?」

荻野目 旭 :ぐわんぐわん

久外境耶 :「あ〜!? 沢蟹持ってこれるイイコだろうがおれはよ〜!」

『ホデリ』 :『なにゆえ沢蟹だけだったのだ…』

“虚の狩人/残骸” シホ :まったくもう……。
見方を変えれば、この状況でそれができるならある意味頼もしいかもだけど……。

久外境耶 :「手掴みで魚はきちーって! 万一イケるようなったらおれもうここ住めっからな!?」

荻野目 旭 :「手づかみであの量の沢蟹捕まえてくるのもきついんじゃないかなぁ」僕のコンブのほうが上等ですよ

“虚の狩人/残骸” シホ :「食材調達に上達してどうするんですか!」
なんか……二人揃って!

『ホデリ』 :
『斯様なコトあらば努めて貰わねばな。
 その時は、時の残りものの不格好で善しとするなら教えるとも』

『ホデリ』 :
『………さて。そうこう述べていればまことに取り逃がすぞ。
 行くとしよう』

“虚の狩人/残骸” シホ :
「──────ええ」

三廻部 颯 :「うん」

久外境耶 :
「オーライ、獣狩りだ!」

荻野目 旭 :「あんなのぐらい笑ってざまあみろしないとっ、次がつかえてますんでね!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「最後に、改めて目標を再確認します。
 第一に、“渇望喰い”を“ミッドナイト・アイ”の生成する領域中央部に誘い込むこと。
 第二に、領域の構築までこの作戦を悟られないこと。
 第三に、誘い込んだ標的を確実に討伐すること。それを実現するまでの作戦は───」

 ちらりと、面々の顔を見る。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「───“高度な柔軟性を持って臨機応変に”、でいきましょうか」

SYSTEM :
     ・・・・・・・・・
 要するに行き当たりばったりだ。

 ここにいない“賢者”がいて、モノを言えば、必ずそのように応答したことだろう。
 自分もそのようにほざくものだから。

SYSTEM :
 “ミッドナイト・アイ”のオルクス・シンドロームによって広がる領域が、シホのものに重なるようにして溶け込む。それが合図だ。

 彼女のそれを阻害することなく………否、折り重なることさえ悟らせない。
 元より“夜目代わり”の役割はそれだ。

 敵に気取られず、敵を気取り。詰みのための布石を整える。
 当人は気にしてもいないし、聞かれないから言わないだけで………。“夜目代わり”の役割は、基本それに終始し。また、そのため”だけ”に育てられてきたからだ。

SYSTEM :
 ───木々の生い茂る中を踏み越える。

SYSTEM :
 やがて刻一刻と変わっていく風景も、彼が縄張りと定めた場所のひとつは、視界という意味では終始『悪い』まま。

 文字通り、己だけがいつでも能動的に仕掛け、あるいは逃げ込めるような場所を、択んで転々としている。
 そこを通れば───あるいは通らずとも、起点として、気の遠くなるような時間をかけて、自分の「ほしいもの」を掴もうとする性質が、彼の性質だ。

SYSTEM :
 ………幸いと呼ぶか不幸と呼ぶか。

 誰にとってのものかは言うに及ばずとも、ここは『リュウグウジマ』。
 物の怪の妄執で作られ、現実から隔たれ、時に取り残された御伽噺と夢想の大地だ。レネゲイドの因子という意味では、現代以上に“見分け”の付けづらい地でもある。

SYSTEM :
 ………故に彼は、それを罠だと悟り切ることもない。ここまでは予定調和だ。

 しかし同時に、“罠だ”と思わねば、順当正着に、百万分の一(自己認識)だろうと自分を殺し得るものは、徹底的に、安全に、詰めて殺しに行きたがる。

SYSTEM :
 したがって───。

 それはどちらにとっても必然で、
 かつ絶好の機会だった。 

SYSTEM :
 爆音が、響く。
       アカ
 瞬きのうちに熱い軌跡が奔って。
 あらゆる地を駆け抜け、貪り、殺し、食らって来た、太陽/“まとも”を嗤う獣が吼え猛る。

 どちらも想定の上。なれどこの生き物は、脈絡も情緒も容赦も長考もありはしなかった。

獣の声 :

「グァハハハハハハハ───!」

“渇望喰い” :
「一石二鳥じゃ生温い!
 俺様のは三鳥だ、死ねーーーーーッ!!!!」

SYSTEM :

 つまり彼がやったことは。
 敵だと分かれば、殺せるうちに殺しに行くこと。

 色々なものをかなぐり捨てた、真っ向からの奇襲と突撃。
 ───雷光にも例えられよう速度と、ミサイルか何かの着弾を思わせる爆音と熱量。

 彼に言わせれば“ちゃち”をしない、初手より、たとえ微塵でも己に害を成すと定めたものへは躊躇いのない全力の不意打ちであった。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「な、ッ──────!」

 しまった、既に気取られていたか────!

久外境耶 :
 赫灼が、轟と迸る。着弾地点を中心に拡散する炎は、波濤のように。人跡未踏の自然は瞬く間に食い荒らされ、炭化したものさえあった。

     インパクト
 その只中、衝撃の中心点。立ち込めた蒸気の奥で、金属質の輝きが炎の照り返しを受けてぎらりと輝く。

久外境耶 :
「言ってろ! こちとら一兎で耐えてんぞコラア……!」

 獣の燃える吐息を感じるほどの至近で、交差させた腕越しに吼える。

 向こうの魂胆は脅威がまとまっているうちに先手必勝、一網打尽。たった一人でも残れば"渇望喰い"の敗けだが、一人欠けるだけでこっちは詰みだ。

久外境耶 :
「こっ──の、くそ、マジで全力くれやがって!」

 死の手触りは刻々と鮮明になる。形状変化が間に合わなければリザレクトの余地なく消し飛んでいただろう。逃げの一手だけが、この狼を生かしてきたワケじゃない。

 ここで死ぬのは簡単だが、耐えるのは不可能ではない。
 背にした連中の無事を度外視すれば。

久外境耶 :
 ……仕方ないから1リザはくれてやる!

 全員まとめて吹き飛ばされるよりは一人で押し負けるほうがマシと腹を決めて、『はよ下がれ』の視線を肩越しに投げ──

三廻部 颯 :
「───そのまま抑えてて!!」

 違反一名。
 ミサイルの如く猛進してきた"渇望喰い”と、それを受け止めた”ラッキージンクス"。
 対消滅すら起きかねないほどの凄まじい閃光の中で、私はいの一番に動いた。
 攻撃を仕掛けた側は奇襲を仕掛けたつもりでいる。
 それを"受け止め"きられれば、その目論見は瓦解する。
 そして、受け止める側が押し切られる可能性があるのならば───

三廻部 颯 :
「───やられるのは!!」

三廻部 颯 :
 その拮抗状態を完全に崩す方法は簡単だ。
 横ばいから、思いっきりぶっ飛ばす。

三廻部 颯 :
「───お前の方だバカ犬ッ!!」

 "渇望喰い"の体そのものを蹴り台とし、
 三角跳びの要領で敵の顔へ接近。
 きりもみ回転を加えながらの強烈なキックを繰り出す。
 狙うは顎──体の構造はわからないが、顎を揺らせば脳が揺れる!

SYSTEM :
 …こと、オーヴァードの戦いは“それ”に終始する。

 どちらにもリザレクトという鬼札があり、
 例外はあれど、大抵頭を潰さない限りは止まらない。

 機先を制して致命打を与え、残る敵を嬲り貪る───。
 そこで終わらせぬ手段、そこから続く手段などの話を無視してしまえば、基本はそれだ。先に殴った方が主導権を握れる。

 言い換えると、その「機先を制する」において緩みがあってはならない。

SYSTEM :
 敵は、殺せるときに殺す。
 ただ、それだけの話だ。
 信念や覚悟の話ではない。そんなものはこの悪鬼羅刹にあろうはずがない。
 
 見かけたから、動きの頭を抑えた。
  
 であれば、日ごろ欲望に突き立てて来たその牙。
 地を駆ける、燃ゆる流星。
 日頃より停滞を知らぬ。停滞の機能を彼方に置いて暴れ走るは人喰い悪鬼。隔たりなくば、日ごろの如く眼前に焦土広げて嗤うのみだが…。

“渇望喰い” :
「───オォッ!?」

SYSTEM :
 その羅刹が勘付いたものは、その熱に“水”を差すもの。

 後にも先にも行くことの出来ない、凍れる時のへだたり。
 金属質の輝きは今まで数百回燃やし溶かしてきたが、ぶつかった感触には覚えがあり、ちょっとやそっとでは死ねぬ悪運の野良兎だ。

 それ故に、彼は思い切り熱をあげた。

SYSTEM :
 厳密には、あげようとした、だ。
 100で押し留められるならば、200に勢いを上げるが道理と、理屈ではない力押し。

 しかし。

“渇望喰い” :
「アァン!?」

SYSTEM :
 眼には眼、歯には歯。
 力押しに力押し。拮抗の状況に、ラグなしに相互に力が加わる。

 伝わる熱気越しにも肌を焦がし水を蒸発させる火達磨の獣が。咄嗟の判断で、食い殺すその牙を振り上げた。

 獲物ごと黒焦げにするのではなく。それを弾き飛ばすように。翳る太陽を食い千切る。
 そうなった時、彼は殺す方ではなく“不測”をはねのける方に舵を取る。攻めでない、獣の本能が見出す守りの姿勢ゆえの即応と拮抗。

SYSTEM :
 ───個々人のサガに染まり偏向したレネゲイド因子、都合最低でも三種。最大不明。

 それが爆ぜるような音と、衝撃の相殺音を上げ、ばちばちと稲光を散らし、火花を舞わせて仕切り直す。 

SYSTEM :
 痛み分けでもない。

 お互いにマウント取り合うような頭の掴み合いを“最初”にやったのだから、余波も被害もお構いなし。

 疵という疵は互いにつかず。
 その衝突の余波は、幸運の徴が請け負って、結果的に堂々の睨み合い。

“渇望喰い” :
「誰かと思えばご存知テメェら………」

“渇望喰い” :
「揃いも揃ってお強い俺様のケツ追っかけましたってか!」

SYSTEM :
 仕切り直しの第一声。
 減らず口が、燃ゆる草花のノイズを貫通して木霊する。

久外境耶 :
「う、おっ──!?」

 奇襲上等、ヒット・アンド・アウェーの玄人は流石に同じ手口じゃやられてはくれないらしい。当然と言えば当然、生存に張ってる本能が段違い。
 呆れたくなるほどの即応に内心舌を打つ。

久外境耶 :
 ……状況は互いに仕切り直し。先手を凌いだ結果は悪くはないが、べつだん有利もない。

 予想外だったのは、場のリセットに持ち込んだのが一号だってコトだが──

久外境耶 :「おオよ尻尾振って喜びなワン公! オニーサンたちが遊んでやるからよ!」

“渇望喰い” :「グァハハハハハハ! 小僧が生意気な!」 

“渇望喰い” :
「せいぜいサイン色紙を用意しときな…。
        ソク
 テメェらの血で爆速に描いてやっからよォ!」

三廻部 颯 :
「お前なんてただの通過点だッ!」

三廻部 颯 :
 拳を握って残心。
 すぐにでもカウンターを仕掛けられる構えを取り、敵を見据える。

「けど───」

三廻部 颯 :
「……私のこと一度殺した仕返しだ、覚悟しろ……!!」

SYSTEM :
 上機嫌ではないが不機嫌でもない野性の権化が、地べた這いずり回る御同類と熱気の中で罵声を投げ合うのを余所に、響く声。

 ほんの僅か───彼にとってすら───違う素振りに、人間で言えば眉をひそめた態度も長く続かず。

“渇望喰い” :
「あァん………?」

“渇望喰い” :
「ちょっと見ないウチになんだそのツラ?
 思い上がって有頂天かコラ?」

“渇望喰い” :
「それとも死に上がりでボケたかァ!
               ・・
 グァハハハハ! 一度じゃねえ二度だ!
 そしてこれからァ! 片手指じゃ利かなくなるぜェ!」

“渇望喰い” :
「そして俺様は死なねえ!
 忘れたならもっかい教えてやるからよーく聞きな───」

SYSTEM :
 オーヴァードの死などそんなものと嘲笑いながら。
 そうだとしろ示すように、羅刹の獣が輝く炎天へと吼え猛る。

“渇望喰い” :
 ブリテン シケ
「英国の湿気た拝み屋どもにも、
. アメコウ
 合衆国のトチった化物どもにも、
 ジャップ
 日本の意味分からん理不尽野郎どもにも………

 ずうううううっと…殺られやしなかった…」

“渇望喰い” :
        マーナガルム
「俺ァ不死身の…“渇望喰い”様だ!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……ならば、今のうちに新しい名乗りを考えておくといい」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「私達が、お前の“不死身”の終点になる」

“渇望喰い” :
「ああん? そういうテメェはあの時コソコソジョートーくれた馬鹿野郎………」

“渇望喰い” :
「誰の、何を止めるって?
 どォーやらクソガキ1号以上に耳が飛んでるらしいなあ…ええオイ!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「そういうお前は目も耳も良いらしい。
 よく私達の接近に気付いたものだ。いつから私達が見えていた?」

SYSTEM :
 カッ、と牙を打ち鳴らして獣が嗤う。
 いつから、と言われれば…。

“渇望喰い” :
「俺様これでも年代物の不死身でよォ…。
 万が一、いや億が一でも“死ぬかも”は分かるワケ。走ってよーが寝てよーが、メシ食ってよーが、クソしてよーが!」

“渇望喰い” :
「だが、たとえそれが…。

 こんなチャチな”なりたて”のクソガキ1号でも、悉く邪魔に入るクソガキ2号でも、テメェみてぇなちみっこでも。
 俺様、自分が死ぬ原因は排除しねえと眠れねえからよォ───」

SYSTEM :
 要するに“なんとなくざわついた”から向かって、とりあえず殺してから考える。

 ごくわずかでも己を殺し得るものは殺さねば気が済まない。羅刹の獣とはよくも言う。渇望喰いとはよくも言う。
 不死の獣は、こうして多くの“不死”を喰らい、食らわれながら育ったのだ。

久外境耶 :
「ハ──」

 ずっと殺られやしなかっただと? ああ、そりゃあそうだろう。文字通り死に物狂いでやってきたんだろうさ。

 そして、それは今も続いている。

久外境耶 :
「ナリのわりに仕事が丁寧なこって! けどロートルの栄光は今日でおしまいだ。
 こちとら不死者の"ラッキージンクス"だ、イマドキ逃げ腰は流行らねえって教えてやるよ……!」

 死を跳ね除ける他方、
 死に挑み続ける此方。

 その優劣は、どちらが残るかという結果でしか決しない。

荻野目 旭 :
「──! ナイスです、三廻部さん!
 でもまだ油断禁物ですよ! あいつ、おくちよりおつむは上等ですからね!」

荻野目 旭 :
「あと……お生憎です、わんちゃん!
 こっちの死にぞこないにはお薬がついてますんでっ、そのステキな称号はそろそろ下ろしてもらうことになりますよ!」

“渇望喰い” :
「クックック…!
 
 逃げ腰だろうがなんだろうが最後に立った方が勝つし強ェんだ! クソガキが小僧の特権撒き散らしやがって!」

“渇望喰い” :
「ああ───そういやテメェにゃあ最後の最後で気持ちよくなるのを邪魔されたっけなあ!
 お約束通り、火で焼いて煮て勢い余って食ってやらァ!」

SYSTEM :
 獣の遠吠えと共に、無意識に身にまとう熱が勢いよく天を衝く。
 ・・・・・
 わんちゃん呼ばわりされて憤る方は、そのチンピラのナイフを向けるような言い合いの中でも、彼の言葉を流さなかったらしい。

“渇望喰い” :
「その名前で俺様を呼び腐ったテメェはもれなく治療用スペアからクソガキ3号に訂正だ!

 お薬飲めなくしてやるから膝突いて首差し出しなァ!」

三廻部 颯 :
「わかった……!」

 拳同士をかちあわせ、ともだちの言葉に頷く。
 残心とともに腰を落とし、お腹の下に深く力を込める。
 有頂天と言われたのは──まあ、概ね間違っていない。
、   、   ・・・・・
 私は今、とてもノッている。

三廻部 颯 :
 私は暴力は嫌い。
 傷つけることに、抵抗があるから。
 けれど、自分のその"嫌"は、いくつかの状況で枷を外した事がある。
 たぶん、野良犬を追い払った時。
 たぶん、こいつをぶっ飛ばした時。

 言いようもない高揚感とともに、力を振るうことに前向きな気持ちを抱ける。

三廻部 颯 :
 楽しい、とまではいかないけど。

三廻部 颯 :
 どこまでいけるんだろう?
 どこまでやれるんだろう?

 オーヴァードになったことで拡張された能力が、可能性を広げてくれる。
 学んできたことも、覚えてきたことも、全部全部。
 人の延長線上にあるオーヴァードなら、どこまでこなせるのか。

三廻部 颯 :
「───そう、じゃあ。
 引導を渡すのが私たちだってことを、その小さな頭に叩き込んであげる」

三廻部 颯 :
 砂が舞う。
 "物質変換"を駆使するかのように、潮風に捲かれた砂が少女を包み込む。
     ・・
 染めるは海色。
 沈んだ深い蒼の中から生まれ落ちるように。
 自分を一度殺してくれた相手への激情の"朱"を添えながら。

三廻部 颯 :
「……せいぜい怯えてろ
、   、   、 ・・・・・・・
 今から私たちで……お前をぶっ潰す……!!」

SYSTEM :
 時に。
 オーヴァードが起こす現象の形は一定ではない。

 使い込むほど“馴染む”かたちに整えられ、研ぎ澄まされていくものだが。
 それですら時として、出力、経験、本能、衝動………あらゆる”状況”により高低差がが生まれる。

 なり立ての、超人のかたちも定かでないもの。
 ましてや『想う』かたちがダイレクトに適用されるモルフェウス・シンドロームと、それの根幹となる海色の神剣───。

SYSTEM :
 ならば、それは必然でさえあった。

“渇望喰い” :
「あァん?
 コロコロと姿を変えやがって………」

“渇望喰い” :
「けっ…いいぜぇ、俺様が何人この手の跳ね返り理解らせたと思ってんだ。
 プチプチから昇進してクソガキ、クソガキから昇進してビックリドッキリ箱! お祝いは精々派手な花火にしてやるよ!」

SYSTEM :
 そしてその微かな“ゆらぎ”、波紋のように拡がり変わる激情に、これ以上の指摘を起こすような理由もない以上。
 彼は彼の流儀で、海色に照らされた太陽を嗤うのみだ。

SYSTEM :

 なれどもそこに理由を持つ方がいる。
 彼女がそう成ったゆえを識る者だ。
 
 まず断じておくが、三廻部颯のかたちと“物の怪”/ホオリのかたちは違う。
 同じものを媒介とし、同じものを起点とし。
 切り拓くかたちを作り出しても、そこに付随する知識に違いがある。
 そして彼は、こと“検異の者”と呼ぶもの…オーヴァードへの知識に偏りがある。

 そのちぐはぐの部分が、颯を認識した。

『ホデリ』 :
『その独つ煌めく輝き………。
 汝………』

SYSTEM :
 
  ■    ■
 ホデリが、ホオリを幻視した。

SYSTEM :
 ………尾が、逆立つ。
 かつてがらんどうの人喰い虎。虚ろな大空を掌る娘に、途中まで懐いたもの。
 知らずのうちの、微かな変調/浮いたかたちに“視”たもの。

 微か零した呟きには、それが乗っていた。

SYSTEM :
 ───ところで。
 倒す潰す終わらせると、敵意向けられた“渇望喰い”の話に戻るのだが。

 彼は、不機嫌ではなかった。

 何度でも言おう。
 億が一の死を前に、不機嫌では、なかった。

“渇望喰い” :
「しかぁぁぁし………しかしだ、クソガキ1号アンド2号よ」

SYSTEM :
 それを向けられて。

 本来なら、この短気な生き物が………。
 他称「プチプチ」に意味のない抵抗をされただけで“序で”で殺しに掛かるような生き物が。
 ・・・・
 この程度の反応で済むはずがないのに。

SYSTEM :
 それは勝利を確信したものでも、
 姦計を携え、これから目に物見せるような類でもない。

 出来る材料は島にいたが、運悪く/良く、それを手にする機会はなかった。

SYSTEM :
 ………そいつの瞳が何処に向いていた?

 答えは、ひとつだ。

“渇望喰い” :
「俺様のトサカを反復横跳びしちゃってくれるだけのガキだと思っていたがよ…。
 どうやらネギもしょっちゃってお詫びしてくれるタイプみたいだなァ」

“渇望喰い” :
「そこのワンコロだよ…ワンコロ。
 ククク………! 俺様知っちゃってるのォ………!」

SYSTEM :
 そいつが不機嫌でも怒りでもない理由は。
   ・・・
 己のゴールが間近にあるからだ。

“渇望喰い” :
「そいつとミコサンの首飾り………この『リュウグウジマ』を終わらせちまうんだって?
 そうだよ、そうそう。いいこと聞いたって思わねェか? 思わねェ?」

SYSTEM :

 彼が何処から“それ”を知ったのかは定かでない。
 知っている人間など数も知れている。
 何のためにそれを教えるのか、その理由の内訳も。

 少し考えれば辿り着く相手がいるが、
 ともかくとして。

SYSTEM :
 彼にとってはそれはたいへんに魅力的な餌だった。

 沈む太陽に追われ、沈む月を追い続け、その理由さえ忘れた亡者の獣が。
 なんのために、この『リュウグウジマ』を訪れ………。

 なんのために………それを追いかけたのか。追い掛ける理由が、あったからだ。

“渇望喰い” :
「それを奪って捨てちまって、
 何事もないように持ち主ごと殺しちまえば………此処の最強は未来永劫俺様………」

“渇望喰い” :
「この時に取り残された島で………。
 もう何にも追われない、死ぬことに怯えなくてもいい………!」

“渇望喰い” :
       ・・
「俺様だけの、楽園の出来上がりだッ!」

SYSTEM :

 答えは、ひとつ。

 にたにたと笑って牙を打ち鳴らした狼の遠吠えが、
 鳥のひとつすら横切らぬ青空へと虚ろに木霊する。

SYSTEM :
  
 死なないため。
 外来など有り得ない、時に取り残された絶海の孤島を作る物の怪が、
 目覚める理由と終わる理由の二つを断ち切る事で。
           ゼロ
 どこにも行かぬ永遠の停滞に己を置こうとしている。

SYSTEM :
 誰からも害されず、自らは赴くままに。
 気が向いたら島の、何時から発生したかも知れない野性を貪り喰らう。
          カオスガーデン
 ありえざる二つ目の、混沌の庭。

SYSTEM :
 誰が識る。識るはずがない。
 識るものである彼こそが、忘却の彼方にそれを置いた。

 それは形こそ違えど。害されず、の部分“だけ”は違えども。
 嘗て闇の中で、己を飼い慣らした紅い月の吸血公爵が作ったものだ。

SYSTEM :


 見てくれ、過程、意義から周りまで何もかも違っても。
.   ダークワン
 ───闇の血族と蔑まれ、刹那を生きた。
    鬼畜の王の栄光を。それは無意識に追いかけている。

 太陽から追われ。月を追う獣の所以のために。
 ・・・・
 ワンコロの命と物の怪のお覚醒めは、
 不倶戴天であった。

荻野目 旭 :
「そんな、勝手な理屈……!」

 頭ではそう言うけど、そもそもの価値倫理観が人間じゃないこいつへ、引き合いに出せる社会なんてない。
 叩き込まれたレネゲイドへの知識が告げる、

荻野目 旭 :
 こいつは安らかに生きたいんだ。

 情報によれば記憶も摩耗して擦り切れ、はじまりの気持ちしかないそいつにあるのは、ほとんど暴走がもたらすものと変わらない。
 欲しければ奪うだけ、奪われることのない世界。
 いずれ本当の意味でレネゲイドのもたらす狂気に陥りきったとしても、きっとそれに気づけない。
 今までどおりに生きていける。……他者に脅かされなくていい/隣人とより合わなくていいから。

荻野目 旭 :
 ……孤高でしか息ができない生き物の次は、孤独になりたい生き物!
 この島はなんて寂しい場所なんだろう──
 目が眩みそうになる常識人の僕を、エージェントの僕が全力で上から押さえつける!

荻野目 旭 :
「そんなのっ、あなたが他の森から爪弾きにされただけじゃあないですか!
 勝手だなあっ……あなたたちみたいなのがいるから、僕らずっと穴蔵の中の秘密結社です!」

久外境耶 :
 何のために島を訪れ、遺産を求めていたのか。
 その空欄が埋められる。

 孤島という環境こそが奴の目的だった。何にも脅かされることのない停滞の中で、生きて、生きて、生き続けるために。

 最強を恣にする楽園の主。井の中のナントカでも、誰の手のも届かない井戸の底がこいつのお望みなら、ここほどお誂え向きな場所はない。

久外境耶 :
 ……気の迷いで済ませた感情が、蛇のように這い上がってくる。

 与り知らぬところで全てが終わっていた間抜けの、当事者でいられた者へ向けた羨望。最後に下された命令の『何故』を忘れようとも、仰いだ姿が今なお無自覚の底に……魂とでも呼ぶべき場所に刻まれていると悟ったときの、共感とも憧憬ともつかない思い。

 そして、それらの感情を懐いた事実に対する激烈な反感。

久外境耶 :
「ハ──」

 嘲笑う。
 
「ハ、ハ、ハ……!」

         おのれ
 嘲笑う。ちっぽけな感傷を、丸呑みにするように。

久外境耶 :
「ご機嫌な余生プランで結構! 実現不可能なエソラゴトって点を除けば悪かねえ!」

        ・・・・・・・・・
 おれも──いや、おれは現在進行形だ!

久外境耶 :
「おれの前でホデリに手出しできると思うなよ! そんでもっておれは何遍でも死地から戻ってくるラッキー野郎でなア!

 おまえの望みは叶わねえっつう理屈なワケ! お分かり!?」

SYSTEM :
 嘲る笑いは誰に向けてだったのか。

 骸から成れ果てたものが、
 骸から這い出ずるものへ吠え立てる。
 シナズ
 不死を勝ち誇る悪運の魔兎が、
 シネズ
 不死を振り翳す羅刹の魔獣へ。

 ───独つ走る獣。
 確かにそいつのプランは、ご機嫌で、滅茶苦茶で、無理ではない話だ。

SYSTEM :
 ………成れ果てて、その彼方へ己を置き去りにしても。
 気付くものがいないならば意味はない。

 ましてや、それが害を及ぼさないなら。
 放っておいてもいい生き物だ。
 ───ただそれは、当事者でないのなら、という注釈つきの話。

“渇望喰い” :
「あぁ、ああ、アァアァ!

 テメェと来たら二度も俺様の前で不死身を模倣/パクり散らかしやがる!
 言ったはずだぞ、仏の顔より俺様は許容の門が小せぇんだ。
 そのワンコロ差し出すなら楽に首刈りで死なせてもいいかなっていう俺様の慈悲も想像1秒で終了だ!」

“渇望喰い” :
「クソガキ2号! あと1号!

 今度はしっかり殺すぜ………。
 プチプチの成り上がりと、獲物の延長の雑魚のくせに俺様の邪魔ばかりしやがって!」 

SYSTEM :
 威勢よく吠え立てる獣同士のところに。

 もう一体の“成れの果て”が吼え猛る。

『ホデリ』 :
『斯様な由無しに…
 わたしの“さふべき”も、あれの行く末も定められてはたまらぬ』

『ホデリ』 :
『ましてや此処にて竦むほど安らかでも、やむことない立場でもない。
 ───悪しと思えど、その望み。喰らうに躊躇いなしと知れ』

“渇望喰い” :
「けっ…! ワンコロが御守の隣でペラペラキャンキャン!
 
 心配せずともテメェの“それ”が絵空事だ!
 キャンバスごと砕いて“望みだったもの”にしてくれるぜェ!」

SYSTEM :
 それは、あるいは超人の世を知らぬものの義理のかたち。
 どこにも属せぬ半端が関の山の獣の、しかし古き時代ではどこにでもある”喰らう”心構え。

 ………故のない”ただの人”や、義理を踏み躙る度胸なくとも。
 己に牙向けられた時、それを突き返すことの、ああなんと簡単なことか。

▄█▀██ :
 死ぬことに怯えなくてもいい。
 安らかに生きれる。
 自分だけの楽園───

▄█▀██ :
 社会から弾かれた者の末路。
 怪物の行先と、その終着点。
 第三者の目線で見れば──確かに可哀想と思えるようなところもあるかもしれない。

▄█▀██ :
 もっとも。

 当事者からすれば───

三廻部 颯 :
「───うるさいッ!」

 ・・・・・・・・・・・・・・・
 そんなことは知ったことではない。

三廻部 颯 :
「目を閉じることも、
 口を噤むことも、
 耳を塞ぐこともしないで、なにが楽園だッ!!」

三廻部 颯 :
 そんなこと。
 そんなことのために──私の命は絶たれて、
 そんなことのために──私はずっと、ずっと、人とそうでないものの境目で苦しんでいる。

 ……思い返したら全部全部こいつのせいじゃないか!!

三廻部 颯 :
「今度もしっかりもこっちのセリフだ、絶対に逃がさない───」

三廻部 颯 :
、  、めざめ
「お前が覚醒させた私の事!!
 死んでも後悔させてやる!!」

 選択は自分の結果。
 けど選択せざるを得ない状況に追い込んだのは、目の前の"コイツ"。
 私は私に授かった力を──今はじめて、私のために使う。

 私がそうやりたいと、そう思ったから!!

SYSTEM :
 理不尽の根幹は、島に“たまたまいただけ”同士。
 それは加害者と被害者だが、今ばかりは立場が追いついた。

 そんなことのために───。
 そんなことのために。
 あなたの友達は振り回されて、あなたに“いま”を与えるために、推定ホオリは、ホデリに言わせれば愚かな行いをして。
 何よりあなた自身が、そこに叩き込まれた。確かに、憤らいでか。

SYSTEM :
 吼える獣の中に飛び込む輝き。
 太陽を嗤う獣の前に飛び込んだ海色の灯火が、赫怒を纏って拳を向ける。

 それとて承知の上だ。
 竦む性根も、憚る気高さも、燃え上がる闘志もない。
 そもそも不死の魔が互いに吠え立てたのは、そんなものを要因にしてはいなかった。

SYSTEM :
 だから気持ちよく───。
 .. ファルスハーツ
 我が儘な主役達の名に相応しきものが、
 己が燃え残ったものを、高らかに、長々と吼える。

“渇望喰い” :
「グァハハハハハハ! キャンキャンサラウンドか馬鹿どもがァ!

 …あーいいぜェ、俺様は超絶究極東西南北天下無敵だから力も強ければ頭も強い!
 死に土産に“そんなこと”の説明タップリしてやるぜ…」

“渇望喰い” :
「そうさ、死ぬんだよ。
 テメェらも…天地ひっくり返って億が一くらいで俺様もォ!」

“渇望喰い” :
 ・・・・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・・・
「どれだけ強かろうが、恰好良かろうが、仲間がいようが、
 ・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・   ・・・・・
 頭が良かろうが、トクベツだろうが関係なく───死ぬんだよ」

SYSTEM :
 それは。

 何もかも取りこぼした死にぞこないの。

 仲間も主も怨敵も、全てから“無関係”になったものが、
 唯一つだけに拘るようにして、抱え込み覚えている理由。

SYSTEM :
 そこの何故さえ抜けても。
 本能が奮い、彼はひとの渇望を喰らって走り続けてきた。

“渇望喰い” :
「だが…俺様は違ェ!」

“渇望喰い” :

「生きて、生きて、生き抜いてしがみついて!
 何千年経っても、月が昇って沈む限りに生き続けてやる!」

SYSTEM :
 ───太陽を嘲り。
    太陽に嘲られたもの。

.   ダ  ー  ク  ワ  ン
 闇の血族の、たった一匹の死にぞこないが、無意識に熱を上げる。

SYSTEM :
 燃え移る草花と木々。

 熱を滾らせ、燻らせるサラマンダー・シンドロームの炎が。到達点に歓び、阻むものに憤り。

 ───本懐ではない姿
   .憧憬する二足歩行にかたちを変える。

“渇望喰い” :


「───誰の何を喰らっても! 生き続けてやる!」

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
内容:『渇望喰い』を撃破せよ
終了条件:『渇望喰い』を倒す
完了値:10
難易度:8(6)
進行判定:〈肉体〉〈運転〉
支援判定:〈知識:森orレネゲイド〉〈RC〉〈射撃〉
最大達成値:30
経験点:3点
備考
・“ミッドナイト・アイ”がいない場合、FSシーンが『失敗』する
・両者の進行判定が[5]以上離れた場合FSシーンが『失敗』する
・『渇望喰い』も進行判定を行う

SYSTEM :
FSシーン『死ねずの渇望喰い』
 FSシーン『死ねずの渇望喰い』では『FS判定』の形式で判定を進め、
『渇望喰い』を誘導し、最終的に倒すこととなります。

SYSTEM :
※わかるように説明しろ(二度目)※
1:ハプニングチャートをGMが振るよ! 震えるがいい
 (※一部の致命的に不利な効果を、今回別の効果に読み替えています)

2:戦闘時と同じように「行動値の一番高いキャラ」のイニシアチブが回って来るよ!

3:この時、他のキャラは『イニシアチブで宣言するエフェクト』のノリで
  支援判定と書かれている技能にチャレンジすることが出来るよ!
  支援判定を行うと、そのキャラのメインプロセスの達成値を+3(重複可)するよ!

4:ただし支援判定を行うと『行動済』になるのでそのキャラはラウンド中
  メジャーアクションで出来ること(※エフェクトの使用、進行判定、等々…)が行えないよ!

5:全員の行動が終わると便宜上「クリンナッププロセス」に移行して、ラウンドが移行するよ!
  戦闘の時と違ってこれは確認だけの意味しかないよ! 

6:ハッキリ言うぜ! この項目二回も要らないだろ!(闇遊戯)

SYSTEM :
 従来のFSシーンの仕様に加えて、下記の仕様が存在します。

壱:『渇望喰い』の行動

弐:『決戦判定』

参:NPCの特殊裁定

肆:OPイベントによる変化

SYSTEM :
[壱:『渇望喰い』の行動]

『ハプニングチャート』を振った後、渇望喰いの行動を決定します。
 
 また、渇望喰いはプレイヤーが『判定に失敗した』時、
 もしくは『最大進行値』を算出した時、予告した行動を行います。

 この時、『肉体』『運転』どちらかを用いた一度の判定で[12(7)]以上の達成値を出すことに成功した場合、行動を阻止出来ます。

 なお、カバーリングエフェクトを所持したキャラクターがいる場合、これを宣言する、
 もしくは行動を消費してかばう宣言を行った場合に限り、渇望喰いは『本来予告行動が行われる対象』ではなく、そのキャラクターに対して、予告宣言に関係なく『ソル・グレイヴ』を使用します。

 行動はラウンド開始時に「1d6」で決定します。

“渇望喰い” :

1〜2:ソル・グレイヴ
・命中[14dx7+5]、威力[40]の白兵攻撃を即座に行う

3〜4:ソル・ゲイル
・次R中常に『苛烈なる熱気L4』が発動する
・発動R中、PCが行う全てのC値を[+1]する

5〜6:ソル・フリスト
・PCの「進行度」を-3する
・または自身の「進行度」を+3する

SYSTEM :
※わかるように説明しろ※
・セットアップ時に『判定に失敗したり最大判定で追い詰めてガチ警戒される』とする行動を宣言するよ!
・条件を満たした時に『肉体』『運転』で判定して12以上(弱体化時は7)の判定を出せると止まるよ!
・ただしカバーリングエフェクトを使うとオートでキレて、行動が『ソル・グレイヴ』になるよ!

SYSTEM :
[弐:『決戦判定』] 
 FSが『完了値』に達した時、『渇望喰い』との戦闘が行われます。
 FSを『完了値』とする&渇望喰いを撃破することで、当シーンは終了します。

SYSTEM :
※わかるように説明しろ※
・完了値に達成したらQTEが始まるよ

SYSTEM :

[参:『NPC』]
 FSシーン中のNPCについては、下記の裁定を執ります。

・所持エフェクトを『オートアクション』としても扱う(※便宜上)
・参加させたNPCがそのラウンド中、所持エフェクトを宣言していない場合は、対象に進行判定、支援判定を行わせることが可能
(※この時、行動値は対象の行動値に準拠する)

SYSTEM :
 また、NPC『“ミッドナイト・アイ”』は特殊な裁定が行われます。

・“ミッドナイト・アイ”は判定に参加出来ないが『妖精の手』は使用可能
 この時『決戦判定』前であれば使用回数を消費しない

・ただし『決戦判定』前に「2度」使用した場合、渇望喰いが“ミッドナイト・アイ”を探知
 即座に『妨害行動』の発動条件を満たしたものとして処理を行う。この時、必ず『ソル・グレイヴ』を使用する

・“ミッドナイト・アイ”が『決戦判定』までにダメージを受けた場合、FS判定は失敗する

SYSTEM :
※わかるように説明しろ※
・NPCの所持エフェクトは左の行動値をシカトして使えるよ!
・でも使わせるとそのラウンド中は進行判定も支援判定もしてくれないよ!

・ミッドナイト・アイはラビリンスに集中しているので何もしてくれない…
 と見せかけて妖精の手を本来のミドルフェイズとは別枠で、無料で遊べちまうんだ!

・2回使うと流石にバレて殺しに来るよ
・ミッドナイト・アイはヒロインめいて虚弱体質なのでカラテで爆発四散!
 秋の夜 実際安い インガオホー

SYSTEM :
[肆:『OPイベントによる変化』]
 OP戦闘中のプレイヤーの行動によっては、渇望喰いは『ジャーム化』していることがあります。
 ジャーム化している場合、下記の変化があります。

・『3ラウンド目終了時』までにFSシーンをプライズとして出現させている場合、
 全ての判定やエフェクトLvが括弧内のものに下方修正され、戦闘が『簡易』に変化する

・上記条件で戦闘が行われなかった場合、
『渇望喰い』は従来より強化された状態で戦闘/『決戦判定』を行う

・『4ラウンド目終了時』までにFSシーンがプレイされなかった場合、
 ラウンド終了時に強制的にFSシーンが発生する

・Eロイス『超越活性』+対象ごとに異なる固有Eロイスを所持して登場する
『渇望喰い』は超越活性により『フェニックスの翼』のLvを+2する

SYSTEM :
※わかるように説明しろ※
・3ラウンド目終了までに挑んでいたら良かったね
(基本的には)難易度が下がっているよ! 相手の各種数値は『括弧』内を確認してね!
・OPで倒しておいて4ラウンド目終了までほったらかしてこの項目を読んだあなた
 覚悟の準備をしておいてください 近いうちに殺します 墓も用意します

SYSTEM :
 以上でFSシーン『死ねずの渇望喰い』の説明を終了します。

SYSTEM :
 ………。
 ………………。

SYSTEM :
 爆ぜる炎の中で、獣が吠え立てる。

 威勢よく勇ましく、なれど義も仁もありはしない。
 臨む儘に人を貪り、望まぬとあらば脱兎のごとく。
 羅刹の獣は必勝に非ずとも不敗。

SYSTEM :
 ───故にこれは戦闘でない。

 狩りだ。
 過ち犯したものが獲物で、
 過ち悟られぬものが狩人になる。

 彼はそんなことなど露知らずとも。
 本能的に、牙を打ち鳴らし、炎を宿して高らかに叫ぶ。生存のための悉くを、この場で叩き潰さんと。

“渇望喰い” :
「頭数揃えりゃ勝てる気か!
 死なずの“渇望喰い”様にか!」

“渇望喰い” :

「せいぜい…。
 丸焦げになって後悔しなァ!」


SYSTEM :
進行度0
進行判定:〈肉体〉〈運転〉
支援判定:〈知識:森orレネゲイド〉〈RC〉〈射撃〉
難易度:8

 炎雷を纏う“渇望喰い”は森を自在に駆け巡り、付かず離れずの距離であなたたちと交戦を開始した!
 しかし疑心暗鬼の中にいる“渇望喰い”は、
 今も広がる『ラビリンス』の牢獄に、少しでも違和感を感じ取ればすぐに逃げ出すための行動を打とうとするだろう。

 ………誘い込もうとしていること、そして“ミッドナイト・アイ”の存在を気取られてはいけないが、悠長にやっても意味はない! 彼女の領域、その中心まで狼を誘導しよう。

SYSTEM :
【 Round 1 】 

SYSTEM :
■セットアップ
 ハプニングチャートおよび『行動予告』が発生します。

SYSTEM :1d100 〈ハプニングチャート〉 (1D100) > 16

SYSTEM :
16〜20(特殊):一歩間違えれば致命的な状況。達成値[20]以上でも渇望喰いが行動する。

“渇望喰い” :1d6 行動予告 (1D6) > 1

“渇望喰い” :
1〜2:ソル・グレイヴ
・命中[14dx7+5]、威力[40]の白兵攻撃を即座に行う

“渇望喰い” :
■セットアップ:ソル・フリスト
《先陣の火L2+1》《トーチライトL3+1》
・行動値を[Lv*5]増加させる

SYSTEM :
 行動予告が発生しました。
 条件未達成時、クリンナッププロセスに該当行動が発生します。

 また、“渇望喰い”の行動値が変化します。
(6→21)

SYSTEM :
■手番処理
 “渇望喰い”が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定を行う対象がいません。

SYSTEM :
■メイン
 行動を確認しています…。

“渇望喰い” :
□判定宣言
 進行判定→肉体

《炎神の怒りL3+1》

Dice:15dx10

“渇望喰い” :ククク………俺様のこのこ堂々戦闘る気で来たと思ったかァ!! アァン!?

“渇望喰い” :森から爪弾きがどうのこうのと言ったが御明察! こちとら森という森でやりたい放題よ! 見せてやんぜ…!

SYSTEM :
■メイン
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

“渇望喰い” :15dx10 〈進行判定〉 (15DX10) > 9[2,2,3,4,4,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9] > 9

“渇望喰い” :

久外境耶 :? ……じゃねーわ! 誤魔化すな!

“渇望喰い” :馬鹿が! 今のはリハーサルだ!!!!!!!!!!

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化:0→1 

“渇望喰い” :ガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!

SYSTEM :
■手番処理
 シホが行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定の有無を確認しています…。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定が確認できませんでした。

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・エフェクトを使用する
・その他

“虚の狩人/残骸” シホ :ここは待機します。
……そう易々とは逃しませんから。

“渇望喰い” :ククク…デカブツ担いでえんやこらのスナイパーが姿晒しといてイキがりやがって! 陽が沈むころには後悔と一緒に辞世の句だァ!

“虚の狩人/残骸” シホ :……死がいつも白日に容を晒すとは限りませんよ。

“渇望喰い” :説教か? ───知ってるよォ!

SYSTEM :
■メイン
『待機』宣言を確認しました。

SYSTEM :
■手番処理
 ホデリが行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定の有無を確認しています…。

久外境耶 :よっしゃ、やるぜやるぜー! ……つって、おれ後のほうだかんなー。進行判定頼むわ!

『ホデリ』 :
 心得た!
 先駆け承った以上、ますます二の言は紡げぬな。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定をせずにメインに移行します。

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・エフェクトを使用する
・その他

SYSTEM :
■メイン
 “ホデリ”から進行判定(肉体)が宣言されています。
 判定を行ってください。

『ホデリ』 :6dx 〈進行判定〉 (6DX10) > 10[3,4,6,7,9,10]+7[7] > 17

久外境耶 :ヒューーーーッッッッ!

『ホデリ』 :矛向くるものに向け返すことの…なんと気安いことか!

“渇望喰い” :頭が高ぇぇぇぇぞワンコロがァ!

久外境耶 :ダーハッハッハ遠吠えあんがとよォ!

“渇望喰い” :抜かせェ! 1分後はテメェの遠吠えチャンスだ!

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化(プレイヤー):0→2

SYSTEM :
■手番処理
 三廻部颯 が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定の有無を確認しています…。

“虚の狩人/残骸” シホ :
私が〈射撃〉により逃走ルートを狭めます!
颯さんは後詰めを!

三廻部 颯 :はい、行きます!

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定宣言を確認しました。
 技能宣言後に判定を行ってください。

“虚の狩人/残骸” シホ :技能は〈射撃〉……逃しはしない!

“虚の狩人/残骸” シホ :9DX10+9 〈射撃〉 (9DX10+9) > 10[1,2,2,4,5,5,7,10,10]+6[2,6]+9 > 25

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定に成功しました!
 三廻部颯の進行判定時、達成値を+3します。

“渇望喰い” :けっ…! ほざいた次は鉛玉か! 安眠妨害が達者だなァ!

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・エフェクトを使用する
・その他

三廻部 颯 :
EE《壁抜け》を使いたいです!これで進行判定を有利にできませんか?

GM :ふむ。場は森…、そもそも“ミッドナイト・アイ”の《ラビリンス》が待っています。この状況ならば使い方に困ることも少ないでしょう。

GM :構いませんよ。達成値に+1した状態で進めて下さい。

三廻部 颯 :ありがとうございます! 《肉体》で進行判定をします!

SYSTEM :
■メイン
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

三廻部 颯 :(3+1)dx+4 <肉体> (4DX10+4) > 10[8,9,9,10]+9[9]+4 > 23

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化(プレイヤー):2→5

“渇望喰い” :あぁん? テメェいまの動き…

三廻部 颯 :わっとと……!

SYSTEM :
■警告
 “渇望喰い”の行動条件を達成しました。

・カバーリングエフェクト宣言 or かばう宣言
(※行動の強制変更)

・《肉体》による判定(目標値:12)の達成
(※行動の不発)

 いずれかの条件を満たさなかった場合、
 渇望喰いが予告行動を対象者に行います。

三廻部 颯 :──!

三廻部 颯 :負けないぞ! 《肉体》で判定します! ……また《壁抜け》でなんか悪さできないかなあ!?

GM :この時の肉体判定は「回避」または「迎撃」に近いイメージです。

GM :移動しながらの使用…という具合に なんか良い感じで頑張って頂きましょう。いちおう達成値を+1していいですよ。

三廻部 颯 :はい!!ありがとうございます!!

SYSTEM :
■対抗判定
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

三廻部 颯 :(3+1)dx+1 <肉体> (4DX10+1) > 4[1,3,3,4]+1 > 5

三廻部 颯 :……ダメか! なむさんっ!!

久外境耶 :なむさんっ! じゃねえーーーーーー!

“渇望喰い” :潔いと楽で好きだぜェ!? …ああそうそう、二度ブッ殺しただけで俺様チャラにするタイプじゃねぇ〜〜〜〜のォ!

“渇望喰い” :ありゃ痛かった………痛かったぜェェェェェェェェェェ!!!!!!!!!!

三廻部 颯 :こっちの方が痛かったっつーーーーーのバカ犬が!!!!!!!!!!

三廻部 颯 :ごめんなさい助けて!!!

SYSTEM :
■警告
“渇望喰い”の『ソル・グレイヴ』の発動が確定しました。
 カバーリング宣言を行いますか?
(対象者:三廻部颯)

久外境耶 :素直か! んじゃまあ、オーダー通り行くとしますかね。手番放棄しておれが受けるぜ

“渇望喰い” :またテメェかコラ! 今ので俺様1.5倍、仏様も堪忍袋の緒が切れるぜ…!

SYSTEM :
■対抗判定
 カバーリング宣言を確認しました。
 

“渇望喰い” :14dx7+5 〈ソル・グレイヴ/命中判定〉 (14DX7+5) > 10[1,2,4,4,5,5,5,7,7,7,7,7,9,10]+10[4,4,4,5,7,8,10]+10[3,9,10]+5[4,5]+5 > 40

久外境耶 :マジでキレた出目しやがって! 《氷盾》宣言だ!

“渇望喰い” :覚えてンぜェ、人様俺様が気持ちよくなるタイミングで冷水大洪水しやがって…

“渇望喰い” :だが俺様が覚えてんだ、忘れちゃいねえなァ!? 次はガチのやるってよォ…!!!

“渇望喰い” :5d10+40 〈ソル・グレイヴ/ダメージ〉 (5D10+40) > 17[6,5,1,4,1]+40 > 57

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 78 → 56

久外境耶 :お冷のおかわりいかがっすかアーーーー!? ギャハハハハ!

“渇望喰い” :殺ぉす!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

SYSTEM :
■対抗判定
 “渇望喰い”の妨害行動を終了します。

SYSTEM :

■進行判定確認(進行値:5)
 進行イベントが発生します。


SYSTEM :
 ………。
 ………………。

SYSTEM :
 バロール・シンドロームの、まるで圧し潰すような水底の圧力をすり抜けて。
 曰く“クソガキ1号”の猛追を退ける。

 時に間合いに飛び込むものに反撃の一つや二つもくれてやれば。
 それを阻まれ三度の水差しに罵詈雑言に近しい遠吠えが響き渡る。

SYSTEM :
 だがなおも、疲れ知らずで木々の中を我が物顔で駆け巡る二足の獣。
 二本の手と足持ちながら、その機敏さは人間のそれとはかけ離れている。

 死角に紛れ、炎を伴い。
 仕掛けては離脱を繰り返し、誰の土俵にも乗ることはない。
 高らかに吠え立てながらも、この獣の脳裏にいつもあるのは死だ。

SYSTEM :
 ───彼は木々の闇の中で、いつも変わらず捕食者だ。
 
 そう在って来た。
 そこに驕りはあったが、隙はない。

 須らく、灯りの届かぬ鬱然とした地において、彼は引き際を良く弁えている。
 どれだけ強く気高く、周到だろうと“死ぬ”のだという無意識の理解と一緒に。

SYSTEM :
 であるに………。

 狩人を決める道半ば。
 獲物を見つける夜目の灯、オルクスの不可視の領域が獣を取り込んだ時。

 その領域が”閉じる”前に、彼の本能が、揺れる草木のようにざわついた。

“渇望喰い” :

「───あん?」

SYSTEM :
 ざわつきの形は理屈ではない。
 違和感は根拠でもなんでもない。

 ただそこにいると億が一死ぬのではと思うだけで逃げに移行するくらい、そいつは臆病なだけ。

“渇望喰い” :
「クソガキ3号───!」

“渇望喰い” :
「(じゃ、ねェ………。
  こいつは誰のだ。誰の網だ?)」

“渇望喰い” :
「(こいつら寄ってたかって俺様を………殺す気だとして………イヤイヤイヤ、負けるわけねえが………………)」

SYSTEM :
 ・・・ ・・・ ・・・
 万が一、億が一、兆が一。

 それがあったのならば。
 ………無意識が彼に囁く。

 本当にそれで死んだとしか思えぬものを、無意識だけが知っている。
 ならば、世界一臆病で狡猾で、乱暴な羅刹の獣の行いは一つだ。

“渇望喰い” :

「───どいつだ! どこだ!
 何処に隠れて何様気分で俺様見下してワイン片手に悦に浸ってやがる!」

“渇望喰い” :
「だったらよォ───」

SYSTEM :

SYSTEM :
 根拠はないが、直感が囁く。

 それだけの理由で十分。
 彼はその場の誰しも───『万が一』自分を殺せる誰もを置き去りにして、走り出す。 

SYSTEM :
進行度5
進行判定:〈白兵〉〈射撃〉〈RC〉
支援判定:〈知識:森orレネゲイド〉〈肉体〉
難易度:8

“渇望喰い”は彼女の領域内に入ったが、同時に違和感を察知した。
 そしてそれは、彼が“全力で逃げ出す”前提条件を満たしたも同然のことだ。

“渇望喰い”が“ミッドナイト・アイ”の存在に勘付いてしまえば、彼は己の逃走経路を阻む彼女を速やかに排除し、離脱に移行するだろう。
 彼が『ラビリンス』に勘付き、紐解き、狩人になる前に、“渇望喰い”を袋小路に追い詰めろ。

 以降、「そのラウンド中一度も進行判定を行っていない」場合、
“渇望喰い”が“ミッドナイト・アイ”を捕捉し、行動パターンが変化。
 また“渇望喰い”自体の行動パターンも変化する。

SYSTEM :
■手番処理
 荻野目旭が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定の有無を確認しています…。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定をスキップしますか?

荻野目 旭 :支援判定はなしで問題ありません! 僕の行動はエフェクト《癒しの水》です。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定スキップを確認しました。

荻野目 旭 :対象は境耶くんです! ちくっとしますよ〜

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 100 → 102

荻野目 旭 :5d10+2 (5D10+2) > 30[9,3,9,4,5]+2 > 32

久外境耶 :ヒューッ 持ってかれた分ヨユーで戻ってきたぜ! あんがとよ

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 56 → 88

“渇望喰い” :おんぶに抱っこの不死身じゃねえか! ノーサイドだ!!

久外境耶 :シーン1回こっきりの不死鳥がなんか言ってんなあ〜〜〜〜〜!!!!!!!!!

“渇望喰い” :おうよ上等だマッハで5の倍数が有難くなる死に体に変えてやんぜェ!!!!!!!!!!!!!!!!!

SYSTEM :
■手番処理
 久外境耶は行動済です。
 手番処理を終了します。

SYSTEM :
■クリンナップ
 判定や宣言出来るエフェクトがありません。

SYSTEM :
【 Round 2 】 

SYSTEM :
■セットアップ
 ハプニングチャートおよび『行動予告』が発生します。

“渇望喰い” :1d6 (1D6) > 3

“渇望喰い” :
3〜4:ソル・ゲイル
・次R中常に『苛烈なる熱気L3』が発動する
・発動R中、PCが行う全てのC値を[+1]する

“渇望喰い” :
■セットアップ:ソル・フリスト
《先陣の火L2+1》《トーチライトL3+1》
・行動値を[Lv*5]増加させる

SYSTEM :
 行動予告が発生しました。
 条件未達成時、クリンナッププロセスに該当行動が発生します。

 また、“渇望喰い”の行動値が変化します。
(6→21)

SYSTEM :1d100 ハプニングチャート (1D100) > 52

SYSTEM :46〜55:膠着した進行。修正は特にない。

SYSTEM :
■手番処理
 “渇望喰い”が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定を行う対象がいません。

SYSTEM :
■メイン
 行動を確認しています…。

“渇望喰い” :クク…ククク…

“渇望喰い” :さっきの俺様はちょっと、たまたま、万が一が起きて二の足を踏んだだけだがそうはいかねえ…

“渇望喰い” :
□判定宣言
 進行判定→白兵

《雷の牙L2+1》《CRブラックドッグL2+1》

Dice:10dx7+5

“渇望喰い” :精々目ん玉ひん剥いて拝み倒せや! 行くぜぇぇぇぇ!

SYSTEM :
■メイン
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

“渇望喰い” :10dx7+5 〈進行判定〉 (10DX7+5) > 10[1,2,4,4,5,5,8,8,9,10]+10[3,4,5,10]+3[3]+5 > 28

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化(エネミー):1→4

SYSTEM :
■手番処理
 シホが行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定の有無を確認しています…

“虚の狩人/残骸” シホ :そろそろ刻限も近い…私も最後の詰めに回ります!
支援は不要です!

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定スキップを確認しました。

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・エフェクトを使用する
・その他

“虚の狩人/残骸” シホ :進行判定を!通常の〈射撃〉で追い込みます……!

SYSTEM :
■メイン
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

“虚の狩人/残骸” シホ :9dx10+9 〈射撃〉 (9DX10+9) > 10[2,3,3,4,5,6,7,9,10]+10[10]+3[3]+9 > 32

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化(プレイヤー):5→9

“渇望喰い” :コソコソ撃たれるのは癪だがよォ…真っ向からバカスカ撃たれんのはも〜っと癪だ。

“渇望喰い” :何が言いてえかっていうとォ…

SYSTEM :
■警告
 “渇望喰い”の行動条件を達成しました。

・カバーリングエフェクト宣言 or かばう宣言
(※行動の強制変更)

・《肉体》による判定(目標値:12)の達成
(※行動の不発)

 いずれかの条件を満たさなかった場合、
 渇望喰いが予告行動を行います。

“渇望喰い” :黙って聞いてればバンバンキャンキャン! 丸ごと焼き払ってくれるぜェ!

“虚の狩人/残骸” シホ :厳しいけど……見え透いた攻撃ならばッ!

“虚の狩人/残骸” シホ :3dx10 【肉体】 (3DX10) > 5[3,4,5] > 5

“渇望喰い” :見え透いた…なんだって?

“渇望喰い” :グァハハハハ…! 俺様が赦すのは二度まで! とっくに許容範囲オーバー!!!!!

“渇望喰い” :テメェは電子レンジに入れられたダイナマイトだ!!!!

SYSTEM :
■警告
“渇望喰い”の『ソル・ゲイル』の発動が確定しました。
 カバーリング宣言を行いますか?
(対象者:シホ)

久外境耶 :妨害の速達お届けでエーーーーーっす! 《崩れずの群れ》と《氷盾》だ!

“虚の狩人/残骸” シホ :……っ、
すみません、ここは任せます……!

“渇望喰い” :始めてでもないが過去最大だぜェ!? 此処まで人様ならぬ俺様をコケにし腐った野郎はァ!!!

“渇望喰い” :そんなに死にてえなら出血大サービスでチップ代わりをくれてやるよ───!

SYSTEM :
■対抗判定
 カバーリング宣言を確認しました。

“渇望喰い” :14dx7+5 〈ソル・グレイヴ/命中判定〉 (14DX7+5) > 10[2,3,3,4,5,5,6,7,8,8,8,9,10,10]+10[2,3,3,4,5,6,8]+2[2]+5 > 27

“渇望喰い” :グァハハハハハ! 十分十分、行くぜぇ…!

“渇望喰い” :4d10+40 〈ダメージ〉 (4D10+40) > 9[3,2,1,3]+40 > 49

“渇望喰い” :

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 88 → 74

“虚の狩人/残骸” シホ :…………なんだか安心感ありますね。もはや。

久外境耶 :ケチくせえチップだなあオイ! もっと血流させたら気前良くなるかあ〜!?

“渇望喰い” :(声にならない怒りの咆哮)

SYSTEM :
■対抗判定
 “渇望喰い”の妨害行動を終了します。

SYSTEM :
■手番処理
 ホデリが行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定の有無を確認しています…。

『ホデリ』 :かくも振り回せば、間合から逃れようか…

SYSTEM :
■イニシアチブ
 現在進行判定を行った場合、
 FSシーン失敗の可能性があります。

 希望PCのみ判定を行いますか?

(※イニシアチブ中に何らかの行動が発生する場合があります)

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 84 → 88

荻野目 旭 :行動します! …といっても進行じゃありませんけどね!

『ホデリ』 :左様か。他の者は何とする?

久外境耶 :なんかヤバそーだし待機待機! ホデリもちょい待ってくれな

『ホデリ』 :心得た。努々、詰め見誤ることのないように。

『ホデリ』 :であればわたしも汝も、あれに敗れるやうな事非じよ

久外境耶 :トーゼン!

三廻部 颯 :私も待ちます!

『ホデリ』 :うむ。汝もなら、然るに此処は…

SYSTEM :
■イニシアチブ
 複数のPC/NPCからの待機宣言を確認しました。

SYSTEM :
■手番処理
 荻野目旭が行動判定を行います。

荻野目 旭 :はいはーい!

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定の有無を確認しています…。

荻野目 旭 :エフェクト使用なのでなしです!

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・エフェクトを使用する
・その他

荻野目 旭 :よぉ〜し

荻野目 旭 :
▼ツメクサの灯/《タブレットLv4》+《多重生成Lv4》+《狂戦士Lv3》+《戦乙女の導きLv2》+《癒しの水Lv5》

効果:HPを[5D10+2]点回復。
対象の次のメジャーアクション判定ダイスに+[狂戦士のLv*2+戦乙女の導きのLv=8個]、C値-1。
そのメジャーアクションが攻撃の場合、攻撃力を[+5]。
 対象:颯、境耶、シホ、旭、ホデリ
 侵蝕:14

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 102 → 116

荻野目 旭 :回復いきます!

荻野目 旭 :5d10+2 (5D10+2) > 14[1,3,6,1,3]+2 > 16

system :[ “虚の狩人/残骸” シホ ] HP : 11 → 23

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 74 → 90

system :[ 荻野目 旭 ] HP : 2 → 16

system :[ 三廻部 颯 ] HP : 5 → 21

“虚の狩人/残骸” シホ :助かります、これでまだ弾が保つ……!

三廻部 颯 :ありがとう旭くん!!!

荻野目 旭 :値の腐り方すごいですけどお! どういたしましてぇ!

久外境耶 :おーし、借りは後でゆーっくり返してやる 期待しときな!

『ホデリ』 :(闘諍の言葉遣い…)

『ホデリ』 :(下衆の勘繰りか…)

SYSTEM :
■手番処理
 待機宣言中のPC/NPCを確認しています…。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 “渇望喰い”が《加速する刻II》を宣言します。

SYSTEM :
■手番処理
 “渇望喰い”が行動を宣言します。

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・エフェクトを使用する
・その他

“渇望喰い” :

“渇望喰い” :虚仮にされたまま終われねえよなァ! 行くぜェ!!!

“渇望喰い” :

■メイン:ソル・グレイヴ
 Passive:????
 Major:《CRブラックドッグL2+1》《炎神の怒りL3+1》《雷の牙L2+1》《炎の刃L5+1》
 Minor:《オリジン:アニマルLV4+1》《白熱L3+1》
 Auto:宣言なし

 判定:14dx7+5
攻撃力:xd+40
・攻撃対象のドッジダイス-2個

“渇望喰い” :このまま追いついて追い越してやってもいいんだがあ…

“渇望喰い” :それはそれとして「エフェクトの使用」でこいつを宣言してどいつか1名ブン殴るぜ!!

久外境耶 :立候補ってアリ?

SYSTEM :choice[アリ,ナシ] (choice[アリ,ナシ]) > ナシ

久外境耶 :チッッッッッ

“渇望喰い” :馬鹿が!!! 古今東西自分から殴られに来る野郎はロクなことしねえ!!!

SYSTEM :choice[颯,境耶,旭,シホ] (choice[颯,境耶,旭,シホ]) > 颯

“渇望喰い” :リベンジってことはこういうことだァ!!!!!!!!!!!! 死ねェクソガキ1号!!!!!!!!!!!!!

三廻部 颯 :クソガキってなんだクソ狼!!!!!!!!!!!!!!!!!

“渇望喰い” :グァハハハハ! 語彙もパワーも勝負は俺様の勝ちだ!!!! 辞世の句を10秒でぶちまけなァ!!!!

“渇望喰い” :14dx7+5 〈命中判定〉 (14DX7+5) > 10[1,1,1,2,3,4,5,7,8,8,9,9,10,10]+10[1,3,4,5,7,8,10]+4[2,3,4]+5 > 29

三廻部 颯 :こなくそ!!

三廻部 颯 :<回避>!

“渇望喰い” :グァハハハハ! ドッジダイス-2個ォ!

三廻部 颯 :(3+1-2)dx+1 <肉体:回避> (2DX10+1) > 9[1,9]+1 > 10

“渇望喰い” :ククク…!

“渇望喰い” :虚仮にされた怨みでいやあクソガキ2号の方が上だが俺様先着を大事にするタイプ!!

“渇望喰い” :4d10+40 〈ダメージ〉 (4D10+40) > 27[10,7,6,4]+40 > 67

system :[ 三廻部 颯 ] HP : 21 → -46

“渇望喰い” :二度目の痛みはどうだァ? ええクソガキ1号! 泣いて謝っても動かなくなるまで繰り返すぜェ!?

“渇望喰い” :だがオーヴァードってな“ちゃんと死ぬ”けど”死ににくい”んだ…ホラホラ起き上がれよォ!

三廻部 颯 :──泣かない!! 謝らない!! 動き続ける!!

“渇望喰い” :上等だコラァ!

三廻部 颯 :お前の思い通りになんてなってやるかバーーーーッカ!!!!!!!!!

三廻部 颯 :《リザレクト》を使います!

GM :どうぞ!

三廻部 颯 :1d10 <リザレクト> (1D10) > 5

system :[ 三廻部 颯 ] HP : -46 → 5

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 77 → 82

“渇望喰い” :手本見てぇな立ち直り方しやがる…グァハハハハ、こんな島じゃなきゃ面倒なガキになったかもなぁ?

三廻部 颯 :誰がめんどくさい17歳だって!?

三廻部 颯 :ぶっ飛ばすよほんとに!! するけど!!

“渇望喰い” :しかし俺様はチュートリアルで10人中10人の新人を潰す“渇望喰い”!(左から右へ)

久外境耶 :おう見たか! 手遅れだぜ、もうとっくに面倒なガキだ!

三廻部 颯 :そーだそーだ! "渇望喰い"なんかに潰されるほどヤワじゃない!!

“渇望喰い” :おう一番面倒なのはテメェだテメェ!!!!!!! 次はその減らずグチ、叩き割って一緒に永遠に黙らせてやるからよォ!!!!!!

久外境耶 :一号おまえおれに乗ったら面倒なガキ認知になるの分かってんのか????

三廻部 颯 :あのバカ狼に言われるよりマシ!

久外境耶 :お おお

荻野目 旭 :(あいまいなほほえみ)

久外境耶 :よーーーーし気を取り直して減らず口五倍盛りでいくぜーーーーーーーー!(押し流す)

“虚の狩人/残骸” シホ :…………。

三廻部 颯 :おー!!

SYSTEM :
■クリンナップ
 判定や宣言出来るエフェクトがありません。
 

SYSTEM :
【 Round 3 】 

SYSTEM :
■セットアップ
 ハプニングチャートおよび『行動予告』が発生します。

SYSTEM :1d100 〈ハプニングチャート〉 (1D100) > 53

SYSTEM :46〜55:膠着した進行。修正は特にない。

“渇望喰い” :1d6  (1D6) > 3

“渇望喰い” :
3〜4:ソル・ゲイル
・次R中常に『苛烈なる熱気L3』が発動する
・発動R中、PCが行う全てのC値を[+1]する

“渇望喰い” :
■セットアップ:ソル・フリスト
《先陣の火L2+1》《トーチライトL3+1》
・行動値を[Lv*5]増加させる

SYSTEM :
 行動予告が発生しました。
 条件未達成時、クリンナッププロセスに該当行動が発生します。

 また、“渇望喰い”の行動値が変化します。
(6→21)

SYSTEM :
■手番処理
 “渇望喰い”が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定を行う対象がいません。

SYSTEM :
■メイン
 行動を確認しています…。

“渇望喰い” :
□判定宣言
 進行判定→白兵

《雷の牙L2+1》《CRブラックドッグL2+1》

Dice:10dx7+5

“渇望喰い” :ここでの宣言は変えねえぜ…殴る時は『待って』『溜めて』が基本だからよォ

SYSTEM :
■メイン
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

“渇望喰い” :10dx7+5 〈進行判定〉 (10DX7+5) > 10[2,4,5,6,7,7,8,10,10,10]+10[4,4,5,6,7,9]+10[3,7]+2[2]+5 > 37

“渇望喰い” :

“渇望喰い” :なんだ…この? 掴んだものが崩れるが如き虚しさ…

“虚の狩人/残骸” シホ :学びを深めたようですね。それが虚ですよ。

“渇望喰い” :そうか…こいつが…

“渇望喰い” :過去五本指の無駄な知識だぜェェェェェェ!

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化(エネミー):4→8

SYSTEM :
■手番処理
 シホが行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定の有無を確認しています…。

“虚の狩人/残骸” シホ :さて……。
張られた網も巡り巡って、ようやく狼を絡げる罠に成った。

“虚の狩人/残骸” シホ :私は待機します。狼を奈落の檻へ叩き込む、最後の詰めはお委ねしましょう。
……狩りの時間が近いですから

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定を確認できませんでした。

SYSTEM :
■メイン
『待機』宣言を確認しました。

SYSTEM :
■手番処理
 ホデリが行動を宣言します。

『ホデリ』 :承った。然るにわたしの務めと認めるが

『ホデリ』 :構わぬか?

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定の有無を確認しています…。

久外境耶 :頼んだ! ナイトホークの援護もあるコトだし、あとはカッ飛ばすだけだ。景気よく行こうや!

『ホデリ』 :任せよ。羅刹の獣、みごと迫めて見せようぞ!

SYSTEM :
■イニシアチブ
 支援判定が確認できませんでした。

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・進行判定を行う
・エフェクトを使用する
・その他

『ホデリ』 :獣なればこれこそ似つかはしい。

『ホデリ』 :『白兵』にて行き、喰らい破る。

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

『ホデリ』 :14dx9 〈進行判定/白兵〉 (14DX9) > 10[1,2,2,2,2,4,4,6,7,7,8,8,8,10]+10[10]+10[10]+2[2] > 32

『ホデリ』 :非家にてこれほど振る舞えるとは、大したものよ、小僧

『ホデリ』 :だが………

“渇望喰い” :そう、だが!

“渇望喰い” :獣の年季の違いよォ!!!!!!! 

SYSTEM :

■警告
 “渇望喰い”の行動条件を達成しました。

・カバーリングエフェクト宣言 or かばう宣言
(※行動の強制変更)

・《肉体》による判定(目標値:12)の達成
(※行動の不発)

 いずれかの条件を満たさなかった場合、
 渇望喰いが予告行動を対象者に行います。

SYSTEM :
■対抗判定
 ホデリが《肉体》による対抗判定を行います。

『ホデリ』 :6dx 〈肉体〉 (6DX10) > 6[1,2,4,4,5,6] > 6

『ホデリ』 :ぬう…虎の尾を踏んだか!

久外境耶 :ヨッシャーおれの出番! あとは任せろ!

“虚の狩人/残骸” シホ :……待って。まだ私たちにはカードが残されています。

“虚の狩人/残骸” シホ :詰めを逐えた今、躊躇う理由はありません!
───お願いします、“ミッドナイト・アイ”!

“ミッドナイト・アイ” :けっきょく完成ギリギリまで手ぇ煩わせなかったね。やるじゃん。

“ミッドナイト・アイ” :それじゃやるよ。

SYSTEM :
【Check!】
“ミッドナイト・アイ”が
 NPCエフェクト『妖精の手』を宣言します。

・任意の判定の出目一つを[10]に変更する

『ホデリ』 :忝し! では…

『ホデリ』 :1dx+10 〈対抗判定〉 (1DX10+10) > 8[8]+10 > 18

久外境耶 :ヒューーーーッッッッ!

久外境耶 :ナイスぅ! 最強最強!

『ホデリ』 :威を借りたまでの………ああ、いや

『ホデリ』 :ああも言うてしくじれば“頑し”というものよ

“渇望喰い” :グ…ガ、ギ………!

“渇望喰い” :いやいまこのワンコロの話してる場合じゃねえ、今のは………おい………今のは!!!

SYSTEM :
■進行判定確認
 判定に成功しました!
 進行値を進めます。

進行値変化(プレイヤー):9→10

SYSTEM :

■進行判定確認(進行値:10)
 進行イベントが発生します。


SYSTEM :
 ………。
 ………………。

SYSTEM :
 ・・ 
 それがついに訪れたのは、獣と人のなりそこないが牙を交差させた時のことだった。

SYSTEM :
 ただ牙、というのも語弊がある。

 もとより獣というにはあまりに人間らしい“ホデリ”の一振りは、
 手の代わりに口、爪の代わりに形なき重力の矛。

 対する二足歩行というにはあまりに獣から離れられないものの腕。
 己を過程として、己の“さふべき”に差し支えのある羅刹の獣。

 ふたつとも。牙というには雑味が過ぎる。

SYSTEM :
 オーヴァードに伝わる波紋の形ではない。
 吠え立てる声は、人の声ではなく獣のノドを通り、野生の形で口を衝いて出て。
 ないはずの得物が、見えぬ泡のように集まって、圧し潰すための矛へとすがたを変える。

SYSTEM :
 技などあったものではない。
 ちょっと訓練し、まともを外れる第一歩を進んだチルドレンの方が、まだましな動きをする。

 ましてやその得物の仕草は、人の技の仕草だ。
 獣に技は不要。そもそも身に着きやせず、残滓を誇ろうにも凡庸の域は出ない。誇るものでも卑下するでもないものが、どうしてこの場所で役に立とう。

SYSTEM :
 その“ちぐはぐ”さは、今まで敵という敵に向けられなかった───。
 誰ぞが、幾らでも心のなかで繰り返す。
 
 敵と定め、矛を向けて来たものに打ち返すことの、なんと容易いことなのか、と。

SYSTEM :
          オーヴァード
 彼は、蚊帳の外のまま超人になったもの。故に獣性という補助輪が必要だった。
 
 そしてそれだけならば、獣の牙など届きようがない。
 年季が違う。生き抜く意思が遥かに異なり、踏み躙る厚顔が遥かに劣る。

“渇望喰い” :
「がぁぁぁああああああッ───!」

SYSTEM :
 ・・・
 ならば、と届かぬ一振りを押し込んだのは、ツメクサのみちしるべ。 
 それが非家/門外漢の我武者羅に、生き抜く専門家を押し込むほどの力を与えて。

SYSTEM :
 ・・・
 おのれ、と振るう剛腕をかわさせたのは、隔てる妖精の死刑宣告。
 夜の闇にも灯り、逃げのびるものに安息の眠りを赦さない辻手の瞳が彼を逃がす。

SYSTEM :

 手傷らしい手傷ではない。
    ・
 それが彼に死の危機感を抱かせるようなものならば、もっと違う行動を取っただろう。
 つかず離れず、襲っては逃げ出し、追われては身を隠して不意を衝き、衝けば阻まれの繰り返し。

 違和感を覚えてもそこを探る猶予なく。
 ・・
 拙いの思考が本能の導火線に火をつけ切らない。
 彼が常時、無意識のうちに溜め込み、死ぬ寸前まで使わない“逃げ”の余剰エネルギー。“拙い”を感じ取るのが、その時は必然的に遅かった。

“渇望喰い” :
「けっ! 寄ってたかってこの一世紀の不死身様に虐めて叩いてかぶって好き放題か!
 だがよ、効かねえ効かねえ意味もねえ! ワンコロがなけなしの一発打った頃にはこのオルクス! そろそろ───」

SYSTEM :
 ………だから。
 そいつに”なにくそ”と悪態吐いた時、“それ”がついに訪れた。

SYSTEM :
 薄々の違和感。
 木々が行方を遮り、黄昏に留まる太陽は見下ろすように輝く。
 形などない迷宮の在り方。

 物珍しいが、珍しすぎない、入り組んだ/親しんだ森の形。

SYSTEM :
 曰く『ラビリンス』。
 オルクス・シンドロームの巧者が稀に起こす現象にて、
 領域内のあらゆる物の位置を組み替える。

 組み換えは一度でなく、踏破されなければならないという誓約などもない。
    ミッドナイト・アイ
 故に“夜目代わり”を襲名する使い捨ては必ず、追う術と捉える術のみを叩き込まれる。彼女自体が、その時によって違う矛代わりを必ず用意すること前提の補助輪だからだ。

SYSTEM :
 ひと世紀分の系譜。
 欲望抱え、それを喰らい走るもの。

 その天敵は、喰うこと叶わぬほどに、より強く巨きい欲望の持ち主だ。
 結局のところそれは“端くれ”に過ぎず、単体にて意味のないものだが、追い詰めるピースが揃いすぎていた。

 ならば、何処からそうだったのか?

SYSTEM :
 不死身を果たす術を『リュウグウジマ』に択んだ時から?
 非力な獲物と見定めて“夜目代わり”を狙った時から?
 誰とも知らない意味のない抵抗に怒り狂い、いつものように“プチプチ”(簡単に潰せるから)を潰した時から?
 自分より強い”バケモノ”を前にして逃げたのに、性懲りもなく横着しようとあの現場で息を潜めて漁夫の利を待っていた時から?

 ………それとも。
 理由を忘れて羅刹の性に身を浸した時から?

SYSTEM :
 答えは定かでない。
 いま分かることはひとつ。

“渇望喰い” :
   ・・
「───あっ」

SYSTEM :
.   ラビリンス
 ───領域が、閉じた。

SYSTEM :
【Check!】
“ミッドナイト・アイ”が
 NPCエフェクト『ラビリンス』の発動を完了しました。
・『渇望喰い』の「瞬間退場I〜III」を阻止する

SYSTEM :
 閉じた領域が彼を逃がすことはない。
 領域内にそもそも彼女はおらず、トドメは完全にあなたたちに任せっきりで、そっちが劣勢になっても多分解除はしないだろうが。

 効果は文字通り“獲物が死ぬまで”だ。

久外境耶 :
「っしゃナイスゥーーーー! ダーハハハ、おまえも怒らせる相手間違えたな! 次から女キレさすときは後のことも考えるこった!」

久外境耶 :
「ま……もう『後』なんてねえケド! ここが終点だ、看板よこせやパイセン!」

荻野目 旭 :
   とじ
(──封鎖た!)

 花の導いた場所の先──ラビリンスの始点にたどり着いた獣を、領域が捉えたのを感じとる。

荻野目 旭 :「これで……チェックです! 覚悟してくださいよ、わんちゃん!」

“渇望喰い” :
「な………ぁ、は? え?」

SYSTEM :
 そして。
 その瞬間、あれほど威勢の良かった生き物が………。

 事態を漸く飲み込んだ。
 オルクス・シンドロームの…はじめ“クソガキ3号”にランクアップしたものの領域とは異なる、
 間近にありながらも決定的に隔てた冷たい領域。

SYSTEM :
 
 その場にあるもの、その中心にいるものを、配慮も風情もなく真似て欺く即席迷宮。
 そいつのレネゲイドが導き出すイメージの断片すら利用して、
 時間はかかるが文字通り“そこ”を内外で断つのが仕組みだ。
 
 こうなった以上、彼の全霊が何処に向こうが関係はない。
 そもそも何処かに向いた想定外があるように、
 リエゾンロードは自分の手駒を作らない。あるとしても、嬉しい方に向くだけだ。

SYSTEM :

 ・・・・・・
 逃げられない。
 ・・・・・・・
 試すまでもない。

SYSTEM :
 …そしてこうなった時…。

 渇望喰いの不死身の根源。
「逃げ」の意識が向いた瞬間の、何より疾い逃走速度と正しい逃走経路を活かす手段は失われたならば、残るものは一山幾らの破落戸。

 百年物の、持てる全てを使って死線から全て逃れてきただけの生き物が残るだけだ。

“渇望喰い” :
「………………話し合いましょ?」

荻野目 旭 :「もちろん、かまいませんよ?」

荻野目 旭 :
   カンオケ    レイトウコ
「つめたいばしょか、つめたいばしょ、会場はどっちがいいですか?」

三廻部 颯 :「それってどっちも一緒じゃあ……」

久外境耶 :「ここはラスト決めたやつに選択権やるべきだろ! な〜ホデリ、どっちにするよ?」

『ホデリ』 :
「因果は廻るなど、わたしが宣うに値せぬことだが」

『ホデリ』 :
「…命を乞う無様など、流してきたのであろう?」

SYSTEM :
 とおいとおい死刑宣告。
 
 誰より残酷な一言を皮切りにしたその様に、彼は一歩退いた。
 あれだけ巨きく、威張り散らし、燃え盛っていた炎が、不自然に縮こまっていった。

SYSTEM :
 再三繰り返すが。

 彼は持てる全てを使って死線から”逃げ”た。

 万が一でもそこに辿り着く可能性を見た時、最初にそれを浮かべるたちだ。
 石橋をたたいて渡るとかそういう塩梅ですらない。見たら叩き壊してから回り道して、自分の跡に続くものさえ対岸に置き去りにするくらいの妄執が原動力。

SYSTEM :
 ………それが閉じた時。
 ・・・・・・・・・・・・
 いざという時はそれでいい、が。
 彼の手元になくなった時の反応。

 それ以外の隣にも後ろにも前にも頼るものなき羅刹の獣が、一周回って掠れた渾身の唸り声を零す。

“渇望喰い” :
「ん……な、馬鹿な事がっ…あっ…あって………たまるかっ……てんだ………!」

“渇望喰い” :
「俺様は……ふっ……不死身だ……不死身の…渇望喰いが、テメェら何ぞに……」

“渇望喰い” :
「俺…俺が……俺様が………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 “渇望喰い”が喜び勇んで進んだ先は、今か今かと刻限を待つ処刑斧が振り下ろされようとする断頭台。
 獣は自ら手枷を嵌めて、二度とは逃げられぬ虜になった。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 とんだ皮肉だ。
 獣が焦がれ求めたモノが、獣の目を曇らせて、
 獣が怯え遠ざけ続けたモノにそいつ自身を近づけた。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「もう伝えたはずですよ。新しい名乗りを考えておいた方がいいと。
 ……その“不死身”の口上に未練は残したくないでしょう?」

“渇望喰い” :
「なっ………あ………」

“渇望喰い” :
「き………きさま………」

SYSTEM :
 不死身のなりそこない。
 死ねずの旅の終わりを告げる死神の言葉に、獣の顔から血が引く。

 獣というには雑味のつきすぎたものが。
 いよいよ、あとひとつだけを残して逃げ道を失ったのだ。

SYSTEM :
 

 ところで。

SYSTEM :
 彼の…オーヴァードである限り逃れられない衝動についての話をする。

SYSTEM :
 獣の衝動は、まず自傷ではないだろう。
 これは生来から“そう”なだけ。狡猾で慎重で臆病だが傲慢で乱暴で粗野なだけ。

SYSTEM :
 有り得ないことだが吸血でもない。それは主のサガだ。
 憎悪、嫌悪。そうした形を内側か外側に持つならば、無意識にでも、もっと異なる兆しを持ったはずだ。少なくともひとり、この島にいる“それ”の持ち主のように。

SYSTEM :
 殺戮ならば。こんな島に閉じ籠る形そのものを忌避するはずだ。
 外側に「餌」が満ち満ちていることを知らなければそうするだろうけど、無自覚でも知っているならそんな選択肢は絶対に択べない。

SYSTEM :
 ………そう。
 彼は一世紀生きてきた。

 一世紀生きてきて、自分が何のために逃げ続けたのかを忘れて来た。
 ではそれを、忘れた後なんのために行ったのか。

“渇望喰い” :

「(ウ………っ、ソだ………俺様が………み、認めたくねえ…が……
  本当に………し、………アレ…? 今……いまから………? 死…ぬ……?)」

SYSTEM :
..      おそれ
 それは断じて恐怖ではなかった。

SYSTEM :
            恐 怖
 それに反することへの“おそれ”こそ彼の根幹ならば。
 そもそも、戦うかたちなど取る必要はない。

 はじめから獣のかたちで良かったのだ。
 足でいいはずの部分を、武器を取る腕に変えようなどという発想。

SYSTEM :
      ・・・・
 たたかう/敵を殺す発想は、その衝動から生まれない。

“渇望喰い” :

「───嘘だ………死んで、たたた、たまるか………」

SYSTEM :

 残る手段がひとつしかない状況を、
 彼は今まで作らなかった。

 幸いにも。だ。
 何処かで何か間違えば、此処まで死ねずをだらだら続けることはなかったろうけど。

SYSTEM :
 ───その時だった。

SYSTEM :

 うわ言のようにうめく獣の内側から、

SYSTEM :

 ・
 炎がかおを出したのは。

荻野目 旭 :「────ッ! まさか……」

久外境耶 :
                       ・・・
 逃げ道を失くし、残すところは乾坤一擲の背水。手負う獣が厄介なのは承知の上で、囲い込みの成功はイコール勝ち確じゃない。

 慎重に距離を詰めようとした瞬間、それは起きた。うねる爆炎。体表に纏うのではなく、内側から噴き出すように。

「……あ?」

SYSTEM :
 ………死を感じ、導火線に火をつける時。
 生きている限り常に蓄積する“逃げ”の電力。レネゲイドの余剰エネルギー。

 残る手段が一つしかない時に。
 その引き金を弾くことは、なかった。

SYSTEM :

 そもそも、だ。

 戦うしかない、という状況をひと世紀忌避してきた生き物が。
 どうして“その発想”に辿り着こう。ましてや積極的に択ぼう。

SYSTEM :
 ───檻の中。処刑を待つ時。
 ・
 死のストレスが、
 無意識にうわごとを紡がせた。

“渇望喰い” :

 ・・・
「じゃあ、」

SYSTEM :
 ・・・・・・
 生き残るには

“渇望喰い” :
 ・・
「もう、」

SYSTEM :


  殺

 
    す


      し

  
        か

 
          ね


            え

SYSTEM :


 ───誰が識る。

..・・・・           ・・
“渇望喰い”が忘れたまことの衝動は闘争だ。



SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
進行度10-β
進行判定:〈特殊〉
支援判定:なし
難易度:後述

 ついに“渇望喰い”を追い詰めることに成功した。
 あとは戦うだけ───。

 しかし“渇望喰い”の体内に込められた余剰エネルギーは、
 いよいよ『生き残る』ための選択肢がひとつとなった事で、逃げ以外の行動に解き放たれ、彼はいま“初心”に帰った。
 
 あなたたちにも彼にも、眼前の敵を倒す以外の逃げ道はない。
“渇望喰い”を倒し、生き続け、貪り続けた羅刹に報いを与えろ。

 以降、そのラウンド状況を維持した状態で『渇望喰い』との戦闘を開始する。

SYSTEM :
 ………。
 ………………。

SYSTEM :

 無意識のあこがれと共に残したかたち。

 ただ、アニマルオーヴァードのそれは、必ずしも強化ではない。
 馴染む身体を捨ててでも、無意識のために二足を択んだだけ。
.ダークワン
 闇の一族がそうした理由。もう覚えていないが、それでも生まれの根元はそこだ。

SYSTEM :

 炎が───。
 檻の内側で荒ぶり、猛る。

 内側に留まっていたものが。
 いま、生存本能というレールに乗っかって突っ込んでくる。

“渇望喰い” :
「オオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーッ!!!!!!!」 

SYSTEM :
 生きるために殺す。

 それに躊躇いを持たないのは、
 野生で生きるものの基本だからだ。

荻野目 旭 :
(……違う、ジャームじゃない!?
 だけど──ひょっとしたら、それよりもずっと厄介かもしれない……!)

三廻部 颯 :「……!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……忘れるな。処刑斧は自ずから振り下ろされはしない。
 ・・・・・・・・・・・・・・
 いま処刑斧を握るのは私たちだ。
 断頭台に退路はない。死を喰らい続けた羅刹の熱量を超克しない限り、斧は振り上げた私たちの頭蓋を割ることになる。

久外境耶 :
「……ッんだよ! イケる口なんじゃねーか、なあ!」 

 猛り、爆ぜる。狡猾な生存の意思は背水の戦意となり、非現実の熱を帯びて全身を圧倒する。
 たまらなくなって身を仰け反らせて大笑した。そっちのほうが断然いいと、無遠慮に、生意気に。

久外境耶 :
「どこまで逃げても死は振り払えねえ! 殺るか殺られるかのイチバチ抜けた一秒後だけが安息だ!」

久外境耶 :
「じゃあ────闘るしかねえよなあ!」

SYSTEM :
 長い間積んだ、何処で覚えたかも分からない語彙もない。
 あっても、それを再現する声帯など、獣の基本にあろうはずがない。

 拡張し盛り上がった筋肉。肥大化した尾と角、爪と牙。
 零れる炎が止むことないのは、そいつが“成った”時から止まることを忘れただけ。
 迸る雷がなおも響き渡るなか、古傷だらけのラストサバイバーが、死に損ないの血路を拓いてきたものの戦意に咆哮で応えた。

SYSTEM :
 言葉にせずとも、その滾る炎の如き自己本位で身勝手な熱意は、あなたたちのレネゲイドを伝わって広がっていく。

“渇望喰い” :

 ・・・・・・・・・・
 俺は誰にも殺されない

“渇望喰い” :

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 その目障りなクチをいますぐ黙らせてやる

SYSTEM :

 ───本質に代わりなし。
 仁も義も…後者は定かでないが、まあ前者はあったものでない。

 敬意もへったくれもなく、転ばした相手踏みつけて『ざまあみろ』を言うような場所の延長線。

SYSTEM :
 それが、もっと純粋になっただけだ。

『ホデリ』 :
「これよりもただ矛交えるのみか………!
 ならば、」

SYSTEM :
 臆さぬと、理由抱えた獣のなりそこないが。

 人のなりそこない。
 闇からこぼれて月を追う、最後の鬼畜生に吼える。

 処刑台とは成程よく言った。
 炎が静まらなかったら、死ぬのはあなた方。
 剥き出しの敵意。生存を脅かし合う生存競争。

▄█▀██ :
 衝動。

 オーヴァードが向き合うものであり、
 オーヴァードが乗りこなすものであり、
 オーヴァードが呑まれてしまうもの。

▄█▀██ :
 それはどのオーヴァードであろうと例外ではない。

▄█▀██ :
 それが、成り立ての未熟者であったとしても。

▄█▀██ :
 そして、それは自覚するまで誰も知らぬもの。
 口にせねば誰にもわからぬもの。
 他ならぬ自分の心の内であり──本能に近しいものだから。

▄█▀██ :
 誰も知らぬし。

 少女も知らぬことだが───

▄█▀██ :
 少女の衝動は───

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
 汗が気持ち悪い。
 すぐに蒸発するものだったとしても。
 けど何故か心中はそこまで噴き上がっていない。

 意思をまっすぐ伝えてくる炎を、私はただ見つめていた。

三廻部 颯 :
「……来なよ。
 私はもう逃げない」

三廻部 颯 :
「逃げるのやめたんでしょ?
 私だって───私だって、目を背けないって決めたんだ。
 なににも、だれにも……おまえにも」

 本当は──怖い。
 自分を一度殺した存在。
 人を超越してなお、あの痛みと衝撃は残り続けている。

三廻部 颯 :
「私も───私も、もう……誰にも殺されてやるもんか。
 誰にも……お前にも……!!」

三廻部 颯 :
「───来い!!
、  、   コロ
 私がお前を、壊してやるッ!!」

 理不尽への怒り。
 自分を襲う運命への怒り。
 どうしようもないものへの怒り。
 それら全てを含めて───少女の衝動は危うく、黒いものを孕んでいる。

、   、   、 殺戮
 されど少女は、その衝動を自覚せぬまま……、
 己の拳に握り締め、レネゲイドの共鳴を起こした。

 そうしたい、あるいは、そうすることを。
 強く願ったからこその同調が果たされる。

SYSTEM :
 ただでさえ、踏み躙る者のこころに興味などなかった生き物が、眼前で猛る炎だ。
 
 そこにどんな変遷があったのかを押し測る術、理由なく。あってもしない。
 ただ本能が。長くて短い時の中でねじ曲がった羅刹の咆哮が、純然たる暴力を露とする。

 ───人生初の敵対者を踏み躙る黒い波動に。
 ───生涯最初/または最後の闘争が矛を向ける。

SYSTEM :
 いまあなたの前にいる名前を理不尽と呼ぶならば。その孤独………否。

 孤高に成れ果て、はじめて闘争に齧り付いた羅刹の炎。
 ひとが入れば一瞬で燃え尽き焦げる、獣型の火口の内側。
 そこに決して置くことの出来ないものに、何を思い、どう触れるのか。その切欠の象徴が───。

“渇望喰い” :

 ・・・・・・・・・・・ 
 上にいるものは皆死んだ

“渇望喰い” :

 ・・・・・・・・・・・・・
 下にいるものは置いていった

“渇望喰い” :

 ・・・・・・
 だが俺は違う

“渇望喰い” :

 ・・・・・・・・・・・
 望みを食って生き続ける 

SYSTEM :
【Check!】
 戦闘が発生します。

[Enemy]
・“渇望喰い”

[備考]
・すべてのエネミーのHP0でシーンが進行します。
・ラウンド状況や手番処理は直前のFSシーンを引き継ぎます。

SYSTEM :
【Engage】

※エンゲージは左上から右下の順に
「A」〜「B」の番号を振ります

[A]
5:“渇望喰い”

       -5m-

[B]
1:三廻部 颯
2:“ラッキージンクス”九外 境耶
3:“ナイトホーク”荻野目 旭
4:“朧の狩人/残骸”シホ

SYSTEM :
■手番処理
 三廻部 颯が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言を確認しています…。

“渇望喰い” :
■イニシアチブ:ソル・ハティ
 Initiative:《魂焦がしてL3+1》
 
・アージ/闘争
・自身の現在&最大HPを[Lv]D増加させる

“渇望喰い” :4d10 〈ソル・ハティ〉 (4D10) > 13[5,1,2,5] > 13

SYSTEM :
■イニシアチブ
 “渇望喰い”のHPが増加します。

SYSTEM :
■メインプロセス
 任意の宣言を行ってください。

荻野目 旭 :バフ残ってますからね! ガツンとやっちゃってください!

三廻部 颯 :……うんっ!

三廻部 颯 :
《"斧の構え" 断海斬》

マイナー:
 【インフィニティウェポン 】→武器作成(攻撃力16/G値3)
 【スーパーランナー】→戦闘移動(19m)

メジャー:
 【カスタマイズ】+【ペネトレイト】+【咎人の剣】+【C:モルフェウス】

三廻部 颯 :対象はもちろん……"渇望喰い"!

“渇望喰い” :(羅刹の獣は視界に飛び込んでくる“敵”に赫怒と共に吼えた!)

SYSTEM :
■メインプロセス
 判定を行ってください。

三廻部 颯 :(3+2+5+8)dx7+6 <肉体:白兵> (18DX7+6) > 10[1,1,1,2,5,5,6,6,6,6,7,7,7,8,8,9,10,10]+10[2,3,3,4,6,6,6,7]+10[8]+2[2]+6 > 38

荻野目 旭 :…“ミッドナイト・アイ”! お願いしてもいいですかあ!?

“ミッドナイト・アイ” :成り立てに気前がいい…そっち特有…

“ミッドナイト・アイ” :まあ…いいよ 別に前しか見ないコの扱い方は始めてじゃないし…

三廻部 颯 :(ぶんぶん)

SYSTEM :
【Check!】
“ミッドナイト・アイ”が
 NPCエフェクト『妖精の手』を宣言します。

・任意の判定の出目一つを[10]に変更する

“ミッドナイト・アイ” :じゃ…精々馴染むように振るえば? 使うか使わないかなんて、幾らでも悩めるし

三廻部 颯 :ありがとうございます!

三廻部 颯 :1dx7+46 <追加:妖精の手> (1DX7+46) > 5[5]+46 > 51

“ミッドナイト・アイ” :まともに通るかはそっち次第…いや、

“ミッドナイト・アイ” :あっち次第…かな 頑張って

三廻部 颯 :……はい!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

“渇望喰い” :
■オート:ソル・ドランク
 Auto:《炎陣L1(不発)》《灼熱の結界L5+1》《超電磁バリアL3+1》

・自分のガード値を[8D+12]増加させる

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

“渇望喰い”:ガード

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

三廻部 颯 :(5+1)d10+41 <ダメージ:装甲値無視> (6D10+41) > 35[7,9,1,10,4,4]+41 > 76

“渇望喰い” :

“渇望喰い” :8d10+12 〈ガード〉 (8D10+12) > 44[1,10,9,4,1,10,3,6]+12 > 56

三廻部 颯 :ッ───……でも通ったッ!

“ミッドナイト・アイ” :連発できるようなのじゃない…にしてもよく今のが“通った”に収まるな

三廻部 颯 :パワーには自信があります!

三廻部 颯 :あと拳で触れたところをぐずぐずにする方法も覚えました

“ミッドナイト・アイ” :ええ…なりたて一週間未満で覚えが早い…

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しました。

SYSTEM :
■手番処理
 荻野目 旭が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言を確認しています…。

“渇望喰い” :───ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーッ!!!!!!!

SYSTEM :

■イニシアチブ:ソル・ガロン
 Initiative:《フルインストールL3+1+1》《加速する刻II L3+1》
 
・自分が行うラウンド中のダイスを+[Lv*3]D
・イニシアチブでメインプロセスを行う

SYSTEM :

■手番処理
 “渇望喰い”が行動(加速する刻II)を宣言します。


SYSTEM :
 
■メインプロセス
 任意の宣言を行ってください。


“渇望喰い” :
■メイン:アンクルボダ
 Passive:????
 Major:《CRブラックドッグL2+1》《雷神の槌L2+1》《サンダーストームL1+1》
    .《灼熱の砦L3+1》《雷の剣L2+1》《Dロイス:超侵蝕》《MAXボルテージL2+1》
 Minor:《オリジン:アニマルLV4+1》《白熱L3+1》
 Auto:宣言なし

 判定:20dx7+20
攻撃力:x+3d+40
・「隣接するエンゲージへの使用不可」を無効

“渇望喰い” :20dx7+20 〈命中判定〉 (20DX7+20) > 10[1,1,1,2,2,2,3,3,3,3,3,4,4,4,5,5,5,6,8,9]+10[5,10]+4[4]+20 > 44

SYSTEM :
■メインプロセス
 攻撃対象を確認しています…。
 

“渇望喰い” :(“渇望喰い”は「目ざわりな口」の持ち主の周辺に狙いを定めた!)

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

攻撃対象:エンゲージB(境耶、旭、シホ)

久外境耶 :カハハ! わりーな巻き添えだ! イチレンタクショーってことで一つ

久外境耶 :一人分くらいはケツ持ったる メイン放棄でナイトホーク庇って《氷盾》でガードだ!

『ホデリ』 :ぬう…生き止まれよ境耶!

荻野目 旭 :すみませぇん! 助かります!

“虚の狩人/残骸” シホ :回避は……間に合わない!ここは甘んじて受けるしか……!

久外境耶 :おうよ見とけオメーら おれ『も』じゃねえ、おれ『が』不死身だ!

三廻部 颯 :頼りにします!

久外境耶 :るせーっ! 急にデレんな前見ろ前!

荻野目 旭 :じゃあ僕も! パチパチ

三廻部 颯 :えぇーっ!!!!?

“虚の狩人/残骸” シホ :それはともかく、攻撃が来ますよ……!

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 88 → 90

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 82 → 99

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

境耶:《崩れずの群れ》→旭(ガード)
旭:カバーリングによりリアクション放棄(割愛)
シホ:ガード

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

“渇望喰い” :8d10+40 〈ダメージ〉 (8D10+40) > 41[7,5,10,1,1,10,3,4]+40 > 81

system :[ “虚の狩人/残骸” シホ ] HP : 23 → -58

“虚の狩人/残骸” シホ :………、ッ、まだだ!

“虚の狩人/残骸” シホ :1D10 〈リザレクション〉 (1D10) > 2

system :[ “虚の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 93 → 95

久外境耶 :ゲ! 遂に持ってかれたなア……

三廻部 颯 :2号さん……!

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 90 → -2

『ホデリ』 :境耶! いかん!

久外境耶 :任せろリザったらあ!

久外境耶 :1D10 (1D10) > 1

久外境耶 :なあこれ幸運と悪運どっちだと思う!?

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : -2 → 1

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 90 → 91

“虚の狩人/残骸” シホ :両方という選択肢を用意しておいてください!

『ホデリ』 :自ら変えるなら幸いにせよ!

久外境耶 :クソアーッ

荻野目 旭 :つまり……中吉ってことじゃないですか!?

『ホデリ』 :中…吉…

“渇望喰い” :
(羅刹の獣がなおも起き上がるものに敵意を滾らせる!)

三廻部 颯 :信じれば大吉!!

久外境耶 :こなくそ!こーなったら超吉に変えてやらア

SYSTEM :
■手番処理
 荻野目 旭が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言を確認しています…。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言は行われませんでした。

SYSTEM :
■メイン
 行動を宣言してください。

荻野目 旭 :《癒しの水Lv5》をシホさんに使用します!

“虚の狩人/残骸” シホ :ありがとう、助かります……!

荻野目 旭 :いきますよ〜…!

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

荻野目 旭 :5d10+2 (5D10+2) > 24[6,6,4,6,2]+2 > 26

荻野目 旭 :きたいちい!

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 116 → 118

system :[ “虚の狩人/残骸” シホ ] HP : 2 → 23

“虚の狩人/残骸” シホ :おかげで全力全快です!これなら……

“虚の狩人/残骸” シホ :これなら次の弾が装填できる……!

“渇望喰い” :
(羅刹の獣の敵意は、先程薙ぎ払ったばかりの焦土に向いたままだ!) 

荻野目 旭 :ドカンと遠慮なく!やっちゃってください!

SYSTEM :
■手番処理
 待機中のPC/NPCを確認しました。
 シホが行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトがありませんでした。
 他宣言を確認後、メインプロセスに移行します。

SYSTEM :
■メインプロセス
 任意の宣言を行ってください。

“虚の狩人/残骸” シホ :弾丸を届かせるには限界があるけれど……
颯さんの攻撃の余波はまだ残っているはず!

“虚の狩人/残骸” シホ :□判定宣言
     Nemain
▼Combo:《葬送》

Minor:戦闘移動[25m]▼
Major:《コンセントレイト:オルクス[Lv.3]》+《形なき剣[Lv.1]》▼

 Atk : 9+8dx6+9
 Damage : xd10+1d+22+5
 Cost : 4 HP:-1D
 Range:300m

効果:同一エンゲージ攻撃不可
   この攻撃に対するドッジD:—[《形なき剣》のLv ]
Loading……

SYSTEM :
■メインプロセス
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

“虚の狩人/残骸” シホ :17dx6+9 《葬送》 (17DX6+9) > 10[1,2,4,4,5,5,5,6,7,7,8,8,8,9,9,10,10]+10[1,2,2,3,3,5,8,8,10,10]+10[1,4,6,6]+10[2,6]+10[10]+1[1]+9 > 60

『ホデリ』 :有りつる雷の護りはない、これならば──。

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

“渇望喰い” :…!

“渇望喰い” :
■リアクション:ドッジ
《炎神の怒りL3+1》

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

“渇望喰い:ドッジ

“渇望喰い” :28dx10+10 《ドッジ》 (28DX10+10) > 10[1,2,2,2,3,3,4,4,4,6,7,7,7,8,8,8,8,8,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,4,6,9,10,10]+8[5,8]+10 > 38

“虚の狩人/残骸” シホ :よく見えている───けれど遅いッ!

“渇望喰い” :………!!! 

SYSTEM :
■リアクション
 リアクション結果を確認しました。

“渇望喰い:ドッジ/命中

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

“虚の狩人/残骸” シホ :肉は捉えた……あとは弾丸の刺さり次第!

“虚の狩人/残骸” シホ :7d+1d+22+5 〈ダメージ判定〉 (7D10+1D10+22+5) > 12[2,2,2,2,2,1,1]+10[10]+22+5 > 49

“虚の狩人/残骸” シホ :1d10 〈反動ダメージ判定〉 (1D10) > 4

system :[ “虚の狩人/残骸” シホ ] HP : 23 → 19

system :[ “虚の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 95 → 99

タイガーアイ :

タイガーアイ :

タイガーアイ :

“渇望喰い” :…!

“虚の狩人/残骸” シホ :……っ、弾かれた!?
でも弾丸の毒は効いたはず……!

“渇望喰い” :(過剰放出された雷光を纏う渇望喰いの鎧が、そして獣の本能から来る身のこなしが致命傷を避けている…!) 

SYSTEM :
■クリンナップ
 FS判定の終了は確認できませんでした。
 通常のクリンナップ処理に移行します。

SYSTEM :
■クリンナップ
 宣言を確認しています…。

“渇望喰い” :
■クリンナップ:ソル・ワーグ
 Clean up:《フェニックスの翼L2+1》

・自身のHPを[Lv*5]点回復

三廻部 颯 :ありません!

久外境耶 :ナシ! さっさと続きやんぞ!

“虚の狩人/残骸” シホ :同じくありません……次こそは中る!

荻野目 旭 :なしでーす!

SYSTEM :
【-Round 3 End-】

“渇望喰い” :

「───ギャオオオオオオオオオーーーーンッ!!!!!!」 

SYSTEM :
 天へと雷光が架かる。
 荒ぶる御魂のままに、稲光が迸る。
 紅蓮の体躯から漏出したのは、今まで纏っていた高熱の炎。

SYSTEM :
 中心点は鉄すら融かすその炎は、しかしあくまでも副産物だ。
 爆発的に広がり、あらゆる害意の接触を拒むそれは、いわば余剰電力の解放に過ぎない。己の本能の引き金を引いた時、爆ぜる雷が“死”を物理的に跳ね除けようとしているだけ。熱を生み出し外側に零れさせるほどの“それ”が、いま真っ向から放出されたのだ。 

SYSTEM :
 具体的に“どう”制御しようというわけではなく、それは方々に飛び散り、時として木々に直撃し炎を広げ、時として接近前/交戦前の態勢を取るあなたたちの横を掠め、視界を明滅させる程度の、当たってはならない”こけおどし”に過ぎぬが。

 それはただ撒き散らすだけで攻撃となり、少し向きを偏らせるだけで、あらゆる攻撃を隔てる壁となる。
 なによりそれは、古傷に覆われた体躯の、真新しい傷を修復し、その生命力を殊更強くみなぎらせている。

SYSTEM :
 それも、そのはず。
 “渇望喰い”は今がどうあれ、レネゲイドがそいつに魅入り、世界の壁を越えさせるまでは、ただの獣だ。
 
 環境への適応、細やかな器用さ、賢しき生存能力………。
 これを全て省き、ただ生きるために喰らい合うにあたって、その姿勢こそ“適した”形態だ。

SYSTEM :

 雑味と呼ぶべき部分は別の形に変わり。
 賢しく弱みを狙う行いに代わりはないが、そこに嬲る、嘲ると言った、理性と共に学んだ悪意はない。

 だが悪意の雑味があった時の方が、多少はかわいいというもの。何故なら…。

SYSTEM :
 ………人も獣も、レネゲイドに魅入られたものの強きと弱きを分けるものの一つは。

 どれほど、こちらにすり寄り囁くものに、強固な可能性のかたちを与えられるか。
 どれほど強く信ずるかであるからだ。

“渇望喰い” :
 ・・・・・・・・・・・・
 手前の方こそ掛かってこい

“渇望喰い” :
 ・・・・・・・・・・
 俺は誰にも殺されない

SYSTEM :

 無自覚の栄光が隠れ、
 忌むべき太陽が沈みゆく黄昏刻に。

 夜に無敵の怪物たちの、最後の生き残りが。
 気高さとは無縁の、ただ本能と共に零れゆく闘争の熱をあげた。

三廻部 颯 :
 この島に来て───、
 この力を託されて───、
 この運命に覚醒めて───、

 わたしの集中力は、今までよりも鋭く研ぎ澄まされたものとなった。
 視界が淡い青の光に包まれて、揺めき高鳴る炎に睨みをきかす。

 "心が信じて、導くままに"

三廻部 颯 :
 左腕をゆっくりと円環を描くように動かす。
 螺旋を描くような鋭いカウンターを放てるように、しかし右手は手刀の構えを作って、相手に向かって突きつけるように伸ばす。

 呼吸のタイミングを変化させる。
 いくつも、いくつも、いくつも、相手に調子を気取らせないように。

三廻部 颯 :
「───"急"!」

 掛け声とともに大地を踏み締め、地面に螺旋を描く。
 噴き上がった砂煙が少女の足に巻き付き、"ばね"を作り上げ少女を天高く跳躍させる。
 跳躍の衝撃で舞い上がった土塊を、手を使わず空にかき集め、即席の足場を形成。

 宙返りとともにその足場を蹴って、"渇望喰い"の元まで急降下。

三廻部 颯 :
 右手の手刀の構えは"振り下ろす構え"。
 剣でもなく、刀でもなく、拳でもなく、獣を狩る者たちが振るう"斧"のように。
 ダイレクトなイメージが形を作り、威力を底上げする。
 獣を殺す。
 獣を狩る。
 そのイメージによって作り上げられたのが斧。

 崩落した即席足場の残骸をリビルドし、急降下の最中で戦斧へと作り替える。

三廻部 颯 :
「割れろ───ッ!!」

 急降下。ばね。
 二つの要因から速度という重さ、そして質量を獲得した少女の躯体が、戦斧を振り下ろす。
 海を割り、海を裂き、海を断つ天からの一振り。

 必ず倒す。
 その強い意志のもと、刃はより鋭く、より優れた形へ。
 刃に触れれば最後──その身の強靭さなど、腐らせ滅ぼす!

SYSTEM :
 相対するものが雑味と余分を捨てたが故の変貌であるならば。
 そこに一撃入れようと、我先に足踏み入れたものが。
 雑味のない真っ直ぐな打撃に、重ねるべき価値と在り様を積もうとするのは如何なる皮肉か。

 前者が獣のやり方ならば、後者は人のやり方だった。
 学ぶものの違いによって賢者だ愚者だと区別も付けようが、総じて危機から学び、遺したものを継ぎ、繋がりに適応するというのは人の特権だ。

SYSTEM :
 ただ獣狩りの斧に、具体的な想像例などあるまい。
 あるとするならば、もっと抽象的に浴びた殺意の形。

 打撃という概念から斬撃にシフトしたのは間違いなくこの場の誰の影響でもない。
 強いて影響があろうとすればそこの付加価値であり、シホの撃ち出した疑似対抗種の弾丸が、そして木口龍の(今なお仔細を明らかとしないが)本物の《対抗種》たる冥府の夜摩天をかたちより真似たものというところか。

 故に付け焼刃。
 しかし今に至っては有為となる、いずれ己の形になる付け焼刃だ。

SYSTEM :
 なれどそれで大人しく地に付すならば、
 羅刹の獣が食った渇望は自分のものだけだろう。

 ………理性に本能勝れども、瑕と共に積み重ねた経験が本能に付随する。
 執念と読み替えるべきものが彼を活かし、臆病と小心が“渇望”を護って来た。

 そう長くない時間を遡れば、かつて魔狼は眼前の少女にしてやられたのだが。
 今の彼女は、過去のそれとは異なる捉え方をするべきものだった。
 喚こうが逆らおうが意味がなく、故にこそ煩わしかった“プチプチ”などではない───いや、嘲り、見下ろし、嬲るなど獣には雑味だ。最後の一つにしたって、そこには冷酷無情な『狩り』の仕組みの一環に過ぎない。

SYSTEM :
 …もしもこれが今言葉を喋ったならば、こうだ。

“渇望喰い” :
 ・・・
 抜かせ

SYSTEM :
 
 御伽噺が我が物顔で跋扈する孤島の中。

 見様見真似の獣狩り、何するものぞと死ねずが奮う。 

SYSTEM :
 太陽を嘲る月の魔狼が、意識せずとも内側から外側に零す白熱の自動防御。
 それとて繰り返すが副産物。本来のかたちとして解き放たれた稲妻が、今度は辺りではなく、己のもとに偏って降り立つ。

 天に架かる雷は、ラビリンスが隔てた架空の空へと昇っていく。 
 月なき空、夜遠き空に、己が在る場は此処と証を吼えるように。

 孤独の魔獣。魔道を走る羅刹が、女の激情を跳ね除けようと唸りを上げて衝突する。

SYSTEM :
 天より地へと蒼光が煌めき、
 地から天へと稲光が立ち昇る。

 振り下ろしは概ね「止め」に値する技であり、その時点で極度の興奮状態に後押しされた颯の無手のひと太刀が今までと違うことは明白である。
 よってそれは、先の焼き直しにはならなかった。躓くような油断もなく、“倒す”の先を悟り学ぶ先あらば、こうもなろうというもの。 

SYSTEM :
 激突は拮抗。
 それが獣を割り断つには値せずとも、獣の咆哮が少女を叩き落とすほどでもない。

 時間を掛けたら傾く方向は自ずと見えるが、それとて修復出来る傷が精々というものだろう。

SYSTEM :
 ただ………。
 
 それは一対一の話。
 少女が獣を前に、一対一で屠らねばならないほど、情け無用の戦場だった場合の話だ。

SYSTEM :
 その檻にて中心に君臨するものが“渇望喰い”ならば。
 その檻を作り出した持ち主は、いまここにいない一人。

 言ってしまえばここは、少し前まで戦士の「せ」の字ですらなかったような少女に、なにひとつ阿るところを持たないような非情が日常の“夜目代わり”。

SYSTEM :
 そいつからしてみれば、少女の様子が何処にどう転ぼうが特に興味はない。

 例えばそこにいたのが“イリュシデイター”なら様子の変調に思うところの一つもあろう。
 ホデリとて尾が口ほどにモノを言っていた。
“タイガーアイ”ならば、断じて彼女のためではない茶々入れをしただろう。

 ………それがそいつからしてみれば、基本有為か無関心の二択で終わるというだけで。

SYSTEM :
 檻の中に押し込んだ呉越同舟の群れは、概ね“落とし前”の武器だ。究極的に優先順位が違う瞬間、数秒前まで話していた内容を突然ドブに投げ捨て、どの面下げてと言われれば、この面下げてと涼しくほざけるロクでなしの端くれだ。
 
 オルクス・シンドロームに視覚などそこまで意味はない。
 彼等には領域こそが目であり、耳であり、鼻である。
 その中の、生半可を跳ね除ける獣に抗し得るものを見つけたならば、対応は素早い。

“ミッドナイト・アイ” :
.・・・・・・
“そのままやれ”

SYSTEM :

 あまりに冷酷だが、あまりに的確。
 投げやりな音の響き。

 …オルクスは領域内において万能。自分の仕組みを広げて押し付ける形の現れだ。

SYSTEM :
 その“広げる”と“捉える”のみに全てを費やした女は、
 やろうと思えば複雑怪奇な因果を捉えて攻撃を通させることも出来ただろうが。伊達にFHではない。

 なりたての不幸なヤツを正しく奮起させる/有効活用するやり方など知らない筈がない。

SYSTEM :
 ───適切にかみ砕き。
 適当な補助輪に変換する。

 応用とか理論とか話されても困る人間に言うことなど、「たくさん用意したから全部使って思いっきり殴れ」以上はもう蛇足だ。

SYSTEM :
“渇望喰い”から立ち昇る雷に変化なく。
 ただし押し込む方の威力は、本人が“そう”と見立てた威力と技巧に下駄を履かせて強くなる。

 その誤差は、もとより早いか遅いかの違いでしかなかったとはいえ、堅牢無比の巨躯に手刀を届かせ、海色の刃が、紅き羅刹を大地ごと叩き切るには十分だ。

SYSTEM :
 そう、付け焼刃だ。

 ………だが。
 剣の技の学習元など一つしかなく。

 もしも“それ”ならば。
 そいつの技は、文字通り世界を白けさせるような怪物だった。骸とて、己の形に取り込めばひとかどの技となろう。
 ただの付け焼刃ならば、ひと世紀かけて生きた闘争者に届くものか。

SYSTEM :
 …大したものと。
 純粋にそれのみを纏うことのない唸り声が、木々の焼ける音、雷の落ちる音に混ざって、何処かに木霊した。

三廻部 颯 :
「!」

 耳に直接聞こえたのか、それとも頭に響いたのか、
 未だ分からぬままだが、その言葉に否定や反発をするほど、少女は愚鈍でもない。

三廻部 颯 :
 言葉通り。
 そして、下駄を履かせた事を裏付けるように、斧を押し込む力が強くなる。
 
「───っらぁ!!」

 無理にでも届かせる。
 信念だとかそういうものじゃない、純粋な激情を乗せた斧は、
 正反対の意図を支えにし、その獣の身に届かせた。

荻野目 旭 :

荻野目 旭 :……決まった!

荻野目 旭 :
「ナイスですっ、三廻部さん!
 大丈夫──そのまま押し込みましょう!」

三廻部 颯 :
「い───け、ぇぇええええええッ!!」

 

SYSTEM :
 後押しひとつ、否、ふたつ。
 応える気勢を持たぬよりは、
 言葉が耳に入るほどの隙間が意識にないのか。

 あるいはその姿勢が『押し込む』に対しての回答か。
 確かに振り下ろしの一太刀が、それを切り伏せるにかける時間はそう長くない。

SYSTEM :
 ただ、短くはない。

 その時間中、何もせず斃れるような潔さを“渇望喰い”は持っていない。

 太陽をいつまでも追う愚直さの持ち主だ。
 その気勢は聊かに早すぎるというもの。

“渇望喰い” :

「グゥウルル…、オオオオオオォォォォオオオオーーーーーーッッッッ!!!!」 

SYSTEM :
 おのれと気勢を上げる雷の二層目。
 いまなお血しぶき上げる無手の刃を、持ち主ごと弾き飛ばすように電熱の護りが彼女を跳ね除ける。

SYSTEM :
 執念深く、また狡猾な彼が、懐に飛び込んで来た少女という格好の獲物を逃す理由がない。

 だから、ああそれは。
   ハナ
 ───最初から弾いた彼女ではない方向に意識を傾けているのは、決定的な違いだった。

SYSTEM :
 理性が獣の本能(衝動に非ず)に勝っていればそうしただろう。
 だがいまは違う。彼は今や“人の形を真似した魔獣”ではない。

 長年「逃亡」のために常に過剰に蓄積されたレネゲイド因子を伴う電力エネルギーを暴れまわりながら撒き散らし、敵意に反応し、雑多な束のまま叩きつけるようにして防御に用いているのだが、その使い方は決して悧巧でも効率的でもない。

 要は“攻撃”にそれを転化した時、彼は内側のソレを抑えていられないのだ。

SYSTEM :

 その、抑えていられないものの使い先。
 先も繰り返した通り、これはただ方向性を偏らせるだけで凶器となる。

 天然自然が齎す落雷の横殴り版。
 文字通り、重火器の一斉掃射、前方焼け野原の制圧射撃に等しきものとなるソレを、
 しかし“渇望喰い”は、先に一撃捻じ込んだ少女ではなく、彼方を見据えていた。

 つまるところいま彼女を弾いた電熱は。
 お構いなく面を上げ、収束していた“モノ”の副産物だ。

SYSTEM :
       ・・・・・・・
 執念の形が、二人目の不死身などという不倶戴天を蛇蝎のように厭う。
 これは最早理屈や理性に依るものではない。
 本能的な敵の優先順位───矛の片割れに一歩出遅れた盾と、癒しの手を“先に”殺そうという取捨選択の上に置きながら、本質は断じて違う。
 
 脅威を取り分ける本能が無意識に訴えかけ、
 しかし矛の片割れが歩みを進めるのに邪魔であった時、行ったのは眩暈がするほど単純で、呆れるほどおかしな力押し。

SYSTEM :
 雷光が渦を巻く。
 口元に束ねられ、収束する熱を帯びた光球の正体は、
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 電荷を帯びたレネゲイド因子のかたまり───。
 

SYSTEM :
 ひととき、周りに飛び散る雷が止んだこと。
 それは、なにも先刻の痛打のみに起因しない。

 外側に零れ出して荒ぶるエネルギーが、その超高熱のかたまり………。
 触れるもの全て消し飛ばすような極熱の球体に集約されている。

SYSTEM :
 天を仰ぐように面を上げ、口先にそれを束ね吼える“渇望喰い”。
 その牙を解し、口腔を通り抜けるように、忌むべき太陽の似姿を召し上げる。

 圧縮されたレネゲイド体を再度取り込んだ魔獣が、その腹を一度膨れ上がらせたかと思えば───。

“渇望喰い” :

「オォォォォォオオオオオオオオオ───!!!!!!」 

SYSTEM :
 次の瞬間起きたのは。
 文字通り、視界に映るもの全てを光の中に飲み込む雷光の波濤。

 言葉を濁さず言うなれば、
 彼の時代に存在し得るものでも、論理を立てて作られたものでもない概念で。
 これを荷電粒子砲などと言うこともあるらしい。

SYSTEM :
 己を砲にし、一度体内に取り込んだ電荷を帯びたレネゲイド粒子の塊を、体内にて加速し。
 撃ち出すと共に拡散したエネルギー砲は、飛距離に比例する威力減衰などまるで考慮せず。
 それこそ“それを束ねて殴りかかる”方が何倍も凶悪な代物だが。

 桁違いの範囲と射程距離。
 概念的な“書き換え”で以て隔てられたラビリンスの領域は、そもそも出力の土俵にないが故に、
 これで檻が砕かれることだけはないが、中の、たまたま射程を逃れた颯以外の矛先が無事なはずもない。

SYSTEM :
 ひとかけらも残さず蒸発して消え失せるか、光の奔流で押し流されながら跡形もなくなるか。
 これは、その程度の違いしかないものだ。

SYSTEM :

 ───今や誰も識らぬ、その稲光。

 当時を識るものあらば、それに自ずと答えが出るが。
 此処にそのようなものはいない。故にこれは、さほどの意味も持たない“余談”に過ぎず、微かな輪郭を悟るやもしれない程度。

SYSTEM :
 かつて己を飼い慣らし、主と仰いだ鬼畜の王………。
 血を束ね、血を介する串刺しの魔人は雷光を扱う紫電の魔人でもあり。
 その最期を飾ったものは、電光か閃光か、定かでないがこのような光芒の一条であったという。
 
 無意識に奉ずる“最強”を飾るもの。
 そしてそれを屠ったもの。憎しみと共に放たれた、忌むべき太陽。喰らうべき太陽のかたち。

 ア ン ク ル ボ ダ
 太陽を喰らう魔狼の始点───。
 混ざって取り出せない名残のかたち。

久外境耶 :
 雷が奔り、炎が踊る。
 野放図に勢いを増す熱の顕象は、直接的な害意ではない。寧ろ真逆。あれは生存本能に駆り立てられた獣が脅威に抗うための、極めて攻撃的な護りの姿勢だ。

「ハッ、小賢しくキャンキャン吼えるのはやめにしたかよ──」

久外境耶 :
「──イカすぜパイセン、今のほうが百億倍おれ好みだ」

 死に怯え、逃げ続けるのではなく。
          ここに我在る
 迫る死を跳ね除けて、 不死性 を謳う。

 ──金属質の体表を炙る熱気が、闘争心を火達磨にした。

久外境耶 :
 タイトルマッチだ何だとハシャいでも、結局は生存競争だ。
 試合に勝って勝負に負けるなんて変則はあり得ないし許されない。生き残った者だけが勝者という、獣同士の食い合い。

 掲げられた光球は、そこいら中に拡散した熱とは比べ物にならない。指向性を持った一塊はまるで太陽だ。
 奴にとっては嘲笑って、背を背けるべき──

「……なんか思い出しでもしたか? だとしたら、走馬灯ってやつだぜそれア──」

久外境耶 :
 蓄え込んだ余剰を収束させ、亜光速の域まで押し上げて射出。表向きファンタジーの域に収まっている兵器と等価の火力が、レネゲイドによって現実のものとなる。

 奔る光芒の一条、いや奔流と呼ぶべきものが、この身に至る寸前。

久外境耶 :
 ・・・・・・・
「判断ミスんなよ!」

 ……引っ掴んだ"ナイトホーク"の首根っこを射程の外へ放り投げる!

 "渇望喰い"の孤独/孤高が生存の結果なら、こっちは生残の戦略。群れの『ひとかど』を間借りするものの、生存を勝ち取るための最適解を実行する。

荻野目 旭 :「う──わあぁあっ!?」

久外境耶 :
 そして光が届く。光芒と攻防は刹那にも満たない。

「かッ……」

 その声は、はたして現実に響いたのか。耐えたという実感を持つ余地さえなく、己という輪郭が消失する。
 文字通り蒸発だ、アトカタもない。光の過ぎ去ったあとには抉れた大地と、きっかり一人ぶんの空きが出来たスペース。

久外境耶 :
 ・・
 それを死んだと認めて、終わるのは易い。

 ああ────簡単すぎて話にならないね!

久外境耶 :
 失われつつある命を、揺り起こす。
 たっぷり数回分の死を受けて、たまらなく凍えたレネゲイドが結晶する。バキバキと破砕にも似た音は栄えある喝采だ。

 虚空に連なり、無作為に形を築き……そうして築き上げられた氷塊を内から砕いて、蘇らせた肉体を現実にさらす。

久外境耶 :
「ハ──温い温い! 黙って火ぃ噴いときゃもうちっと効いたんだがなア!」

久外境耶 :
「おれを雷霆で殺そうなんざ数年遅えんだ間抜け────!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ───ああ、ところでもう一人。
 此処にはその稲光と相対した者が居た。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 雷光の烈しさにも、陽光の熱にも縁遠い。
 ただ雪原の讃えた冷気に霞んだ命の残り香が、その生き物の正体だ。
 天を衝く羅刹の憤怒抗する手段など到底持ち得ず、牙も剣も持ち得ない。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 その、怪物が吹けば飛ばされるような微かな命が。
 荒れ狂う波濤を前に選んだのは───

“虚の狩人/残骸” シホ :
「──────」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 片膝を着き、腕を身に引き寄せ、銃身を安定させる。
 戦斧や鋭牙を得物としない、もうひとつの狩人の所作だった。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 雑味と余分を捨て、ただ本能に任せて生残を貪るのが獣のやり方。
 思念と意志を宿し、重ねた研鑽に刃を研ぎ澄ますのが人のやり方。
 人も獣も、同じレネゲイドに魅入られたものならば其処に優劣は存在しない。雌雄を決するものは、その先にあるものだからだ。

    ・・・・
 では、魅入る側の視点はどうだ。
 獣では非ず、人にも成れず、ただその傍らに寄り添うのみを許された生命には。なるほどそれにはそれなりの利点というものはある。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 構えを取るとほぼ同時、狩人の身体を雷霆が包む。
 身を灼く電熱と激痛を、灼ける傍から衝動と冷徹で燬き潰す。
 光を捉える網膜が灼けた。音を拾う鼓膜も融けた。
 ・・・・・・・
 たかがそれだけで狩人の銃口は揺らがない。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 オルクス・シンドロームに視覚など意味はない。
 領域こそが目であり、耳であり、鼻である。

 ───この狩人とてそうだ。
 目も、耳も、鼻も、鼓動も、何処までも借り物に過ぎない。
 レネゲイドの在る限り、敵を知覚する“視点”は消えやしない。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ………つまるところ、狩人が選んだ択はこうだ。
 荒れ狂う雷光の中、狩人は撃鉄を蹴り起こし。
 眼球、鼓膜、脳髄、心臓───
 生命ひとつが維持と継戦に必要とする全ての器官の再生を止め、
 ・・・・・・・・・・・・・・
 すべてのレネゲイドの再生力を、銃を支える為に必要な骨格のみに傾けた。

 銘を厭った旅人がひとつ遺した、銘のない墓標が得物なら……
 死者が託した熱量を、たかが太陽が奪えるものか。

荻野目 旭 :
 吹っ飛ばされながら、そのコンマ数秒後に瞳を焼く光から逃げるように目をつむる。
 瞼の裏でひらめいた光が僕を逃がした彼の体を焼いたのを、領域を通して観じとる。

『判断ミスんなよ!』

 その言葉に背を押されたなんて口が裂けても言わないけれど、それに似たかたちで。
 僕は迷わず、受け身を放棄して手のひらをかみ切った。
 ごろごろとぶざまに転がりながら、擦り傷からこぼれた血が燃える大地にまぼろしの花を咲かせる。

荻野目 旭 :

荻野目 旭 :
 守るべきは受ける体のある不死身じゃない。
 体を組成するレネゲイドというウイルスが臨界に達しかけている、彼女のほうだ。

荻野目 旭 :
「──さそりの炎に恋するのは早いですよ、シホさんっ!」

 それに。         ムチャ
 同じ銃を持つ彼女を、同じ炎で焦がすつもりなんて……もとからない!

荻野目 旭 :
 銃と骨格だけで立つ彼女の体を補強するように、
 花の蔓が少女のかたちを覆うように咲き誇り、失われたものを補って──やがて消える。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「───、──────」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ───外界の光を再び知覚するのと、トリガーに指を掛けたのは同時。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「──────!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 一死を以て一矢を報う、
 ひとでなし   クロスカウンター
  半端者   の   報復射撃。

 凍てつくように、蝕むように。死は獲物を放さない。
 螺旋を描く雷光の残滓を貫いて、一条の銀光が空を裂く───!

SYSTEM :
 生存と生残は違う。

 たった独りの生き物に後者は択べないが、
 どうあれ群れの選択を取った生き物に前者は時として贅沢だ。

SYSTEM :
 群れそのもののため、いや………。
 ・・・・・・・・・
 群れをつくった理由のために、後者を選ばねばならない時がある。
 この場合の理由は、彼だけが知っていればいいこと。

 不死身の魔獣に、不死身の悪童。
 視界いっぱいに広がる必殺には、威勢の良い愚弄が炸裂する。
 スネア
 捨て駒の意地が。
 かつて自らを置き去りにした雷速の世界を空想する。

SYSTEM :
 輪郭すら残さぬ死の光。忌むべき太陽の波濤において、彼の意志とかたちがそこに残る。
 
 誰にも殺されない。
 それは屍の山にひとり立つものの、たった一つの証。
 幸運のジンクスは伊達ではなく。故に後述の状態が成立する。

SYSTEM :
 如何なる場においても死せずの幸運が、
 確かな徴として残るように。

 かつて死のその時まで、銃を手放さなかった名無しの狩人…。
 その熱を灯した陽炎が、光の中でくっきりと地面に刻まれる。

 やがて光が薄れると共に、消えゆく影法師。
 
 常世から現世にこれを留めるのは、破壊と退廃の炎の中において正反対の花の蔓。
 三重に束ねた領域の中なれど、こと、その戦い方は少年の十八番だった。

 花畑の中で何もかもを取りこぼして、それを悔やんだ少年の紡ぐ御伽噺は、影が影のまま去ることを赦さず───。

SYSTEM :
 そしてその影が、身構えた魔狼に。

 なぞるような狩りを実行する。
 理屈がどうこうの賢しさなどない。
 まして激情の鎖が彼女を死から生へと留めたのではない。

SYSTEM :
 レネゲイドビーイング
 レネゲイドのかたまりでも、
   水崎志穂
 だれかのお姉さんでもない狩人の領域は、“夜目代わり”の監視網より冷たく。荻野目颯の御伽噺より残酷だ。

 稲光が残るなか、瞬きさえ許さず。

 憎しみと忌避を吐き散らした彼方から、
 その権化が襲い掛かる。

SYSTEM :

 ───だが。

“渇望喰い” :
「ギャォオォオオオオォオオオオオオオーーーーーーッ!!!!」 

SYSTEM :
 狙撃と同時。いや、一呼吸だけ遅れて。
 逆に言えば、あの質量の砲撃と同時に。

 ”渇望喰い”の余剰電力が極限まで加速させた反射神経が、キュマイラ顔負けの強靭な肉体と、ハヌマーンが裸足で逃げ出す瞬速を実現する。

 ごくわずかな時間のみしか成立せぬ副産物。理性で択んだわけではなく、単に『発射』と同時に死を検知しただけ。

 獣の本能としての、攻撃と迎撃の並列稼働。それが、脳天を撃ち抜き“中核”たるものを消し去れば確実に追いやったはずの『死』から彼を遠ざけた。 

SYSTEM :
 まさに電光石火の早業である。

 それとて即死を避ける以上ではないが、命を引き換えにした『報復』………これ以上なく、古今東西における普遍の死の要因で、猶もこの獣は死ななかった。

 人の雑味を遺した肉体のままであれば。
 今ので文字通り息の根は止まっただろう。

『ホデリ』 :
『ぬう───!』

SYSTEM :
 雷光から免れたものが、何事かを口にし掛ける。
 ただ、それは愚弄だった。

 不死身の獣の前で不死身を主張する若者に“無事か”などというのは。
 この半端者にさえ分かる愚弄だ。吼え猛る白狗が、代わりに告げたのは………。

『ホデリ』 :
『然る動き、二度は続かぬ!
 ………なれども雷気満ちる猶予ありと見る!』

『ホデリ』 :
『再び凌げ! 我が伴よ!』

SYSTEM :
 ただ勝ての言葉と、少し足を止めたぶんを脳に費やせば分かる筋道だけだ。
 
 次に雷気/充電が終われば、それをこいつは必ず一つ事の為に使う。

SYSTEM :
 筋道が分かっているなら容易かろうと、承知の無茶振り。
 聊かの罪悪を呑み込んだ、攻防の暗示だった。

久外境耶 :
「オーライ……! 千回、いや万回! 浴びるみてーにカッ食らっても最後まで立っててやるぜーッ」

 無茶振りに倍掛けの無茶を重ねて大笑する。
 おれは死なない。殺されやしない。ここで証明する。
 あの苦味をこらえた声が、おれの命を当たり前に擲てるように。

荻野目 旭 :「よく言います! あといっぺんは確定ですからねっ、踏ん張ってくださいよ……!」

久外境耶 :「過労のくせに言いやがる! おれよりトバしてんの透けてんぜ!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………っ、づゥぅ──────……!」

 身体と一緒に置き去りにしていた痛覚が、数秒遅れでフィードバック。
 容を取り戻したあとから全身を襲う幻肢痛。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「───っ、ハアッ……ハアッ…………
 ……厳しいとこ、ありがとう……旭くん」

 それでも……

“虚の狩人/残骸” シホ :
「おかげで、標的の動きを直視できました。
 次は逃さない───!」

荻野目 旭 :「バレました!? けっこうきついでーす!」

荻野目 旭 :「それでも治すならがんばりますからねっ、踏ん張って! 僕ら、あと三回ぐらい死ぬぐらいで収まるといいですねっ!」

『ホデリ』 :
『斯様な労を背負った挙句が縁起でもないものよ…!』

久外境耶 :「カハハ、運が回れば三倍はいけらア!」

三廻部 颯 :
 思わず振り返って、声をあげかける。
 けど、考えてみれば、三人とも私よりも"オーヴァード"であることに慣れているのだ。
 大変だったのかもしれないけれど、なんとか乗り切った。
 視線を正面に戻して、構え直す。
 今一番前に出ているのは私だから。

『ホデリ』 :
『なれば心して気を張れよ…!』

SYSTEM :
 常套句の経験が廻る生を軽口にし。
 運任せの気楽さで応じた言葉に白狗が応じるその最中、炎に隔てた獣が吼える。

“渇望喰い” :
 ・・・ ・・・・・
 その剣、二度はない 

“渇望喰い” :
 ・・・・・・・・
 そしてその銃にも

SYSTEM :
 荒ぶる炎のかたまり。
    ノゾミ
 他者の血肉を喰らい貪り生きてきた獣が、手負いの中、むしろその膂力を増して猛る。

 炎が受けた傷を塞ぎ、造り変える。
 死に損なって燻らせてきた命のほのおが、“敵意”と共に燃えた。

SYSTEM :
【-Round 4-】 

SYSTEM :
【Engage】

※エンゲージは左上から右下の順に
「A」〜「C」の番号を振ります

[A]
5:“渇望喰い”
1:三廻部 颯

       -5m-

[B]
2:“ラッキージンクス”九外 境耶
3:“ナイトホーク”荻野目 旭

       -25m-

[C]
4:“朧の狩人/残骸”シホ

SYSTEM :
■セットアップ
 タイミング:セットアップのエフェクトを宣言出来ます。
 宣言を確認しています…。

“渇望喰い” :グゥルルルルル…!

“渇望喰い” :
■セットアップ:ソル・デリング
 Set up:《雷神の降臨L3+1》+《不死身の炎L1+1》
・ラウンド中、自身の行動値を[0]にする
・ラウンド中、自身の攻撃力を[Lv*5]増加させる
・自身のHPと最大HPをシーン中[Lv*10]増加させる

荻野目 旭 :…ステイします! さすがにここでは尚早ですね!

SYSTEM :
■セットアップ

 “渇望喰い”の行動値が変化します。
(6→0)

久外境耶 :なんもなーし! かかってこいオラァ!

三廻部 颯 :ないです!

“虚の狩人/残骸” シホ :同じく、ありません!

SYSTEM :
■セットアップ
 セットアップ結果を確認しました。

SYSTEM :
■手番処理
 シホが行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言を確認しています…。

SYSTEM :
■イニシアチブ:ソル・ガロン
 Initiative:《加速する刻I L3+1》 
・イニシアチブでメインプロセスを行う

SYSTEM :
■手番処理
 “渇望喰い”が行動(加速する刻I)を宣言します。

“渇望喰い” :

■メイン:ソル・グレイヴ
 Passive:????
 Major:《CRブラックドッグL2+1》《炎神の怒りL3+1》《雷の牙L2+1》《炎の刃L5+1》《灼熱の砦L3+1》《MAXボルテージL2+1》
 Minor:《オリジン:アニマルLV4+1》《白熱L3+1》
 Auto:宣言なし

 判定:15dx7+5
攻撃力:xd+82
・攻撃対象のドッジダイス-2個

SYSTEM :
■メインプロセス
 攻撃対象を確認しています…。

“渇望喰い” :
(“渇望喰い”は先に己の護りを打ち砕いたものを屠るべく、渾身の力を爪牙に乗せ、狙いを定めた!) 

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

攻撃対象:颯

SYSTEM :
■メインプロセス:処理ミス確認

 リアクション確認時点で“渇望喰い”の命中判定を確認できていないため、
 この場で判定を行います。申し訳ありません。

“渇望喰い” :15dx7+5 〈命中判定〉 (15DX7+5) > 10[1,2,2,2,3,3,4,5,6,6,6,8,9,9,9]+10[2,4,6,8]+6[6]+5 > 31

SYSTEM :
■リアクション:処理ミス確認
 再度、リアクションを確認しています…。

攻撃対象:颯

三廻部 颯 :……ドッジで!

“渇望喰い” :…!! 

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。
 判定を行ってください。

三廻部 颯 :(3+1-2)dx+1 <肉体:回避> (2DX10+1) > 8[8,8]+1 > 9

SYSTEM :
■リアクション:結果
 リアクション結果を確認しました。

颯:ドッジ/失敗

SYSTEM :

SYSTEM :
■リアクション:結果確認ミス
 ドッジ時の判定ダイスに誤り(個数不足:2dx→3dx)を確認しました。
 先程の結果確認を巻き戻し、判定を行ってください。申し訳ありません。

三廻部 颯 :ごめんなさい!

三廻部 颯 :(3+2-2)dx+1 <肉体:回避> (3DX10+1) > 10[4,7,10]+8[8]+1 > 19

SYSTEM :
■リアクション:結果
 リアクション結果を確認しました。
(結果変動なし)

“渇望喰い” :(“渇望喰い”が雄叫びと共に、古傷を顧みないひと世紀ぶりの全力を振るう…!)

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

“渇望喰い” :4d10+82 〈ダメージ〉 (4D10+82) > 20[8,8,1,3]+82 > 102

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しています…。

system :[ 三廻部 颯 ] HP : 5 → -97

三廻部 颯 :……リザレクトします! 最後の!

“渇望喰い” :…!!! 

“渇望喰い” :(”渇望喰い”は尚も起き上がるものに赫怒の雄叫びをぶつけている!)

三廻部 颯 :1d10 <リザレクト> (1D10) > 8

system :[ 三廻部 颯 ] HP : -97 → 0

system :[ 三廻部 颯 ] HP : 0 → 8

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 99 → 107

三廻部 颯 :……っだ、まだ、……ァッ!

“渇望喰い” :………!!! 

三廻部 颯 :そんな攻撃じゃ……私は死なない……!!

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しました。

SYSTEM :
■手番処理
 シホが行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトがありませんでした。
 他宣言を確認後、メインプロセスに移行します。

SYSTEM :
■メインプロセス
 任意の宣言・判定を行ってください。

“虚の狩人/残骸” シホ :
……私は私の仕事をする。変わらず射撃で応戦します!

“渇望喰い” :(“渇望喰い”が忌々しい『盾』に守られた矛に、稲光と敵意を向ける!)

“虚の狩人/残骸” シホ :□判定宣言
     Nemain
▼Combo:《葬送》

Minor:《オリジン:ヒューマン[Lv.1]》▼
Major:《コンセントレイト:オルクス[Lv.3]》+《形なき剣[Lv.1]》▼

 Atk : 9dx7+10
 Damage : xd10+1d+22
 Cost : 6 HP:-1D
 Range:300m

効果:同一エンゲージ攻撃不可
   この攻撃に対するドッジD:—[《形なき剣》のLv ]
Loading……

“虚の狩人/残骸” シホ :9dx7+10 〈射撃〉 (9DX7+10) > 10[2,3,4,5,6,7,8,9,10]+4[2,3,4,4]+10 > 24

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

“渇望喰い” :
■オート:ソル・ドランク
 Auto:《炎陣L1(不発)》《灼熱の結界L5+1》《超電磁バリアL3+1》

・自分のガード値を[8D+12]増加させる

“渇望喰い” :8d10+12 〈ガード〉 (8D10+12) > 49[8,10,8,5,3,2,7,6]+12 > 61

“虚の狩人/残骸” シホ :───!

“渇望喰い” :(“渇望喰い”の生存本能が、迫る死に雷気を増幅させる!)

SYSTEM :
■リアクション:結果
 リアクションを確認しました。

“渇望喰い”:ガード

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

“虚の狩人/残骸” シホ :3d10+1d10+22 〈ダメージ〉 (3D10+1D10+22) > 13[3,8,2]+1[1]+22 > 36

system :[ “虚の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 99 → 105

“虚の狩人/残骸” シホ :1D10 〈反動ダメージ〉 (1D10) > 6

system :[ “虚の狩人/残骸” シホ ] HP : 19 → 13

“渇望喰い” :ォオォオオオオオオオオオッ!!! 

“虚の狩人/残骸” シホ :やっぱり弾かれた……けれど!

“虚の狩人/残骸” シホ :これで厄介な盾は剥がしました! 後は任せます、颯さん───!

SYSTEM :
■手番処理
 三廻部 颯が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトがありませんでした。
 他宣言を確認後、メインプロセスに移行します。

SYSTEM :
■メインプロセス
 任意の宣言・判定を行ってください。

三廻部 颯 :
《"刀の構え" 断空》

メジャー:
 【カスタマイズ】+【ペネトレイト】+【咎人の剣】+【C:モルフェウス】

三廻部 颯 :攻撃対象:"渇望喰い"

三廻部 颯 :(3+2+5-1)dx8+6 <肉体:白兵> (9DX8+6) > 10[1,1,3,4,6,7,8,9,10]+10[5,6,9]+10[8]+10[9]+6[6]+6 > 52

“渇望喰い” :…!!!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

“渇望喰い” :
■オート:ソル・ドランク
 Auto:《炎陣L1(不発)》《灼熱の結界L5+1》

・自分のガード値を[12]増加させる

SYSTEM :
■リアクション:結果
 リアクションを確認しまし───

SYSTEM :
■確認:エネミーエフェクト
 条件を満たしたため、この攻撃を含めた以降において《超人的弱点L5》の効果が発動します。

・《雷神の降臨》使用後に攻撃を行う
・上記条件後、《コンセントレイト》で白兵攻撃を行う

“渇望喰い” :(“渇望喰い”が嘗てオーヴァードとなる前の、もはや治らぬ古傷があなたの視界に入る)

“渇望喰い” :(自覚のない最後の急所、直しようのない生の痕跡を護る猶予は“渇望喰い”にはない!) 

SYSTEM :
■リアクション:結果
 リアクションを確認しました。

“渇望喰い”:ガード

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

三廻部 颯 :6d10+41+10 <ダメージ> (6D10+41+10) > 40[6,9,10,2,7,6]+41+10 > 91

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しています…

“渇望喰い” :(渇望喰いはその一撃と共に、もがき、足掻くように身を暴れさせたが…)

“渇望喰い” :(それが、彼の生の終着点だった) 

SYSTEM :
■決戦判定確認
 下記の条件を達成しました。

・“渇望喰い”のHP0(撃破)

SYSTEM :
■終了宣言
 FSシーン『死ねずの渇望喰い』のクリア条件達成を確認しました。

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 107 → 114

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 114 → 122

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 122 → 118

SYSTEM :
 …………。
 ……………………。

SYSTEM : 
 火を見るよりも明らかなことがある。
 少なくともこの場においては、“渇望喰い”がそれだ。

SYSTEM :
 莫大に溜め込んだ、元より逃げの為の余剰エネルギー。
 制御の手綱を手放して解き放った、喰らうべき太陽の波濤。
 しかし、今までレネゲイドコントロールを起点とした攻撃など欠片もしなかったものの攻撃だ。

 それが意味のあるものになったのは、“渇望喰い”が溜め込み放出したものが、文字通り培った年月の桁が違うためだ。

 無論、二度撃つことはかなわず。そもそも屠るべきものは先程悪気を込めて高らかに快哉をあげたばかり。

SYSTEM :
 ならば、これは優先順位の問題だ。

 矛のどちらが己に死を突きつけているのか。
 そしてそれを、どちらから先に殺すことが出来るのか。

 それ以前の問題を解決する猶予はもうない。
 
 雷霆を、光芒を、憎しみと共に解き放つような暇があれば。
 彼は真っ先に、その矛を護る不死の隔てのもとに赴き、この拳を振り下ろすべきだった。爪を立て、牙を振るい。不死身を騙るもの、跡形もなく砕いてしまうべきだったのだ。

SYSTEM :
 ………だが、彼に後で悔やむ機能はない。
 獣に懺悔や躊躇なく。しくじれば、次を本能が選び取る。

 そうやって生きてきた。
 生き続けろ/証を遺せ/誰にも負けるなと。もはや忘れ切った初心を、無自覚に胸に。

SYSTEM :
 だから彼は、その凍れる時の狢が守るものではなく。
 庇護から離れ“倒す”を優先したものに、彼は牙を向けた。

 いつかと同じように。

SYSTEM :
 ………己が生んだ外敵が。

 これより繰り出すひと世紀ぶりの“全力”の矛先だ。 

SYSTEM :
 一度目は圧倒的な力の差で、無惨にかっ切って。

 二度目は不意を討ち、思考諸共零に戻して叩きのめした。

 三度目は───ならば三度目は。

SYSTEM :
        ・・
 三度目も、また同じだ。
 誰が見ても“そう”としか思えまい。

“渇望喰い” :


「───ォ、オ、オ、オ、オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッ!!!!!」 

SYSTEM :
 その確信が、数秒の瞬間。
 爆音とともに増幅された雷光の轟きと共に、誰もの脳に答えを打ち出させる。

 すでに振り上げられた爪、否。
 限界まで迸る雷が斥力を生み、跳躍と共に縦に回った尾が渦を巻く。 

SYSTEM :
 意趣返しのつもりか───否。そのような“戯れ”を彼は持っていない。

SYSTEM :

 一度目は驕りと共に潰し。
 二度目は怨みと共に屠り。
 三度目に、そのような感情はなかった。

 ただ純粋に敵を殺し、生の椅子をもぎとる野生の執念。
 生き残るために闘い争うサバイバー。
 
 その本質は“生きる”までは同じでも、そのための手段は彼とは違う。
 死なずと死ねずの違い。闘争の果てに見出す道に“伴”を許容するか否かの、違い。

 即ち、必要とあらば己の手で殺す手段を、どうあれ携えねばならなかった。大小の差はあれど同じことだ。

SYSTEM :
 いまこの瞬間放たれたものは、刃だった。

 はるか肥大化した尾が雷光を帯び、回転の勢いを持ってその全質量を叩きつける。
 斬撃というには分厚く鈍が過ぎても、打撃というにはあまりに鋭すぎる。

 オルクスの空間を裂くことは、繰り返す通り、土俵が違うゆえ出来ずとも。
 稲光と共に、架空の木々が引き裂かれる。 

SYSTEM :

“渇望喰い”が溜めに溜めた雷気を瞬時に増幅し。まさに後先を厭わぬ渾身。

 ここまで追い詰められなければ自覚すらも出来ないひと世紀ぶりの全力は、しかしその瞬間、彼の古傷を晒した。

 胴の懐に、鋭く刻まれた稲妻のような傷の跡。
 普段隠し通し、見据えることさえ叶わぬもの。

SYSTEM :
 だがそれを───それを。
 これから喰らわれる“渇望”の持ち主が認識することは叶うまい。

 オーヴァードの死は絶対でなくとも。
 死を覆すことが出来るかは。
 先を閉ざす理不尽をこじ開けるものを持っているかは、結局のところそいつ次第だからだ。

三廻部 颯 :
 後先考えず、
 なりふり構わず。
 そういう"馬鹿"になった時の生物が発揮する力は、凄まじいものを持つ。
 それが戦いだろうと、そうでなかろうと。

 生きるという本能に応じて振われる力は、まさに凄絶の如し。

三廻部 颯 :
 みし、という音などすぐにかき消える。
 地面にクレーターを何度も生みながら、爆破に次ぐ爆破、連鎖に次ぐ連鎖。
 腕を交差して受け止めた少女の体は徐々に押され、あまりに鋭い"それ"を受け止めることには限りがある。

「ぎっ───う、……ん、ッ───!!」

三廻部 颯 :
 青の光が閃光とともに弾ける。
 ガラス片のように砕け散ったそれは、少女を支えていた"意志"の象徴───、
 空想に描いたような姿を文字通り"解除”させ、ただの少女に戻してしまう。

 状況や───力関係こそ、変動したものの。
 あの海岸の時と、そう変わらず。

三廻部 颯 :
 驕りも怒りもない。
 ただ本能のままに振るわれた尾刃が、少女の体を袈裟気味に切り裂く。
 避ける動きが幸いしたのかどうかは定かではないが、その体はまだ繋がっている。
 だが深々と抉られ、裂かれ、噴き出る血すら焼き尽くされ、

「ふ、っづぅ、ゥァ───ぐ…………、……ぅぅうううう……!!」

 痛い。
 意識がある。
 痛い。
 痛い、痛い。
 人間を辞めてしまって、人間を超えてしまって、ちょっとの痛みなんて平気だったのに。
 痛くて、痛くて、痛くてたまらない。

三廻部 颯 :
 それでも死ねない。

三廻部 颯 :
 それでも、意識を落とせない。

三廻部 颯 :
 私の心は───私の意志は、
 ・・・・・
 立って戦えと言っている。

三廻部 颯 :
 だから、どれだけ血に塗れても、
 だから、どれだけ傷を負わされても、
 その身を裂かれても、その身を焼かれても───私は立ち上がった。
 息を戻すまでに何秒かかったのかはわからない。
 視界はずっとセピア色。
 全身があつくて、いたくて、しびれて、ずっと上の空。

 私の体に、意識はまだ戻らない。
 肉体の再生と、意識の帰結が、まだ一致しない。
 強い意志と激情が体を起こし、動かしている。

三廻部 颯 :
「ま───だ、……ま、だ。
 ……殺され、て───やるもん、か……ッ!!」

SYSTEM :
 圧し潰し、打ち倒す。
 技も何もありはしない。ただ純粋な速度と剛力の合わせ技。
 
 そうする方が一番強いと無自覚に知っている者の、枷の外れたその姿に何が宿る。
 後先を厭わぬものに何を懸けるか。

 そこにあるものは獣の本能。生きるために喰い、殺し、徒党を組み、駆け抜けて。
 太陽に追われながら嘲笑い、月を追いかける魔狼の積年の執念。

 断じて、人間めいた負けん気とは別だ。

SYSTEM :
 いま、向けられたものとは別だ。
 ただ………。

“渇望喰い” :

「ォ、オ、ォ、オ、ォ、オ、」

“渇望喰い” :

「ォォオオオオオオオオオオオオ───ッッッッ!!!!!」 

SYSTEM :

 息がある。死んでいない。
 虫の息で身動ぎ一つなくとも、
 掠れるような細い声がする程度でも。

 殺すと決めたならば、止めを刺さぬ理由にならない。
 生き抜くために殺さねばならぬと決めたものに、野生が情けをかけることはない。

SYSTEM :
 故に行動は単純だ。誰が見ても明白かつ明快。

 叩きつけて弾き飛ばしたものに、魔狼が駆け抜ける。
 外に発して踏み散らした熱を、内側から尚も滾らせる。

SYSTEM :
 ───振り上げた爪は。

 今までと同じ理由を、
 今までと違う過程で繰り出すもの。
      ・・・
 追い討ち/トドメの一撃であった。

久外境耶 :
「ハ──そうだ、それでいい! 馴染んできたかよ、それがオーヴァードの戦い方だ! 死なねえ! 殺す! 簡単だろ!?」

 痛みにも死にも馴染まないくせ、悲鳴を生理的なものにだけ留めて起き上がった一号へ、景気よく野次を飛ばす。

久外境耶 :
 ただのガキにしてはガッツがありすぎると、違和感を懐くのはおれの役目じゃない。希望的に捉えるならアドレナリンの魔力で、妥当なセンは遺産の影響。

 ベツにどっちだってかまやしない。衝動も代償も、一生モンの付き合いで手前の一部だ。

久外境耶 :
 楽しめよ! ──声に出す代わりに、貌の横でパッと握った手を開くしぐさ。弾けてハイになったアタマじゃメソつく暇もないだろ?

三廻部 颯 :
 頷く。
 それが野次に応えたものであるかどうかは本人にも定かではない。
 けれど私の頭の中には、UGNとFHの人、ふた通りの人から心構えを教えられている。
 だから体が覚えている。

 涙も怒りも、なにもかも、全部私の衝動(どうき)だ……!

“虚の狩人/残骸” シホ :
「─────────」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 死を前に尚も煮え滾る地獄の釜の光景と、未だ鳴り止まない心臓の音とは裏腹に、私はやけに冷静だった。
 

“虚の狩人/残骸” シホ :
 狙撃の為に誂えた精神の残り香か。
 たったの一秒前が、ぐんと遠ざかっていく。
 まだ痛む身体/こころの反応を置き去りに、思考は空へと澄んでいく。
 
 視界に映る光景を、ひとつずつ精査する。
 立ち上がりはしたものの未だ意識が覚束ない様子の三廻部颯と、今度こそその息の根を止めんと疾駆する獣の爪。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ───奥底に眠った衝動が、私に告げる。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ・・・
 好機だ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 思考回路を衝動で満たす。心の撃鉄を蹴り起こす。
 意志の表象を纏った碧は、まだあの子から絶えてはいない。
 ならば、お前はいまするべきことを考えろ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 弾を装填しながら思考を回す。
 もうひとりの同輩
  “蝕みの君”   にさえ、とうとうくれてやらなかった命を賭して掴んだ千載一遇は、それでも遥か太陽には届かなかった。

 振り捨てた余分を残していたならば、確実にその滾り続ける心臓を捉えていた一撃。
 狩る者ならば少なからず弛むはずの、獲物を仕留めた瞬間の空隙でさえ、撃たれたことを認識してから回避を成立させる理不尽を見せつけた。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 それで、確信した。
    フェンリル
 お前は“魔狼”などではない。
 強くはあるが、靭くはなく。
 鋭くはあるが、巨きくはない。
 陽光に灼かれ、渇望を貪り続けた、一匹の狼だ。


 獣は反射的に、本能として、迫る死の気配を払い除けようとしただけだ。野生動物には降伏の二字はないものだから。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 このまま弾を撃ったなら、お前は真っ先にそれを防ごうと動くだろう。後先考えず、なりふり構わず。
 それでいい。幾たび灼き払われようとも、弾丸は冥府の冷気を伴にする。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 スローモーションの視界の中で照準を合わせながら、いつか戯れに賜った賢者の言葉を反芻する。
 “力を失ったライオン、自由をうばわれたワシ、愛する者をなくしたハトは胸の痛みに耐えかねてかならず死ぬという。”

“虚の狩人/残骸” シホ :
 だが、不死を騙った狼よ。力を誇り、自由を謳い、孤独を求めた狼よ。
    ブランカ
 お前に番う白狼がいないなら───

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ───これが、安らぐ最後の機会だ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 架空の木々の合間を縫って、未確定の死を携えた弾が翔ぶ───

SYSTEM :
 獲物を喰らうその瞬間こそ、万事あらゆる獣や人は隙を晒す。
 狩人ならば知るべきこと。
 己が理由で獣と相対し、それを生業とすると定めて生きてきたものならば。

SYSTEM :
 彼女は狩人の残骸だった。

 何のためにその手に銃を執り、何のために妄執を葬送ると決めたのか。その始点が、これから埋めていく空洞だとしても。

 あの日、あの時、守るために命を落とした理由が。結局のところ、あなたとアナタでは似て非なるものに過ぎぬとしても。

 いまのシホは虚とて狩人。
 残骸を抱き抱え、スコープに視線を通して引き金に指をかける者。
 知らぬ道理はありはしない。

SYSTEM :
     カルマ
 故に死神が業を問う。

 ひと世紀身構え続けてきた獣。
 渇望を喰らい、渇望を追い、静寂の楽園に辿り着いた無法者へ。

SYSTEM :
 孤独を百年貫いて、孤高となった獣が。
 熱気を切り裂く鋼の風。
 怒りを滾らせ群れから逸れた孤狼を捉える“罠”に勘付いた。

“渇望喰い” :

 ・・・・・
 射程圏内だ

SYSTEM :

 ───その事実に。

 ほんの少しのラグを残して対応した“渇望喰い”が吼え猛る。
 意識して発露させた眩いばかりの稲妻の輝き。頁を巻き戻し、過去を焼き直すように。

 襲い掛かった弾丸は蜘蛛の糸か、執行のための処刑刀か。
 知った事ではないとばかりに、僅かに腕を止め、意識を割いた大雷霆が守りの形を作った。 

SYSTEM :
 死の証。熱を隔てる冷たさを纏った弾丸を、融け落とし、弾いて爆ぜる。
 追われ続けてきたものに、猪口才なとばかりに奮う雷は確かに彼の身を護って見せた。

 …“渇望喰い”がそこに割いた時間は数秒に過ぎない。
 ならば順当に、紅蓮に染まらぬ青い異物を叩き潰して赤く染めるだけ。それを4回繰り返し、檻から放たれた時、自分は高らかに吼えるだろう。

SYSTEM :

 だが。
 数秒だ。数秒だけ、殺すための一振りに時間が出来た。

 並行すれば確実に“穿たれる”一箇所。
 それは彼の急所であり、罪であり、恥であり、また唯一残った傷という記憶の縁。
 死神は、ひと世紀前の業へと鎌を突き立てた。

SYSTEM :
 胴の懐、狼の腹より上へ、鋭く刻まれた稲妻のような傷の跡。
 普段隠し通し、見据えることさえ叶わぬもの。

SYSTEM :
 成り果てる前の、
 立ち向かったひと世紀前の名残。

 払拭するその時が、何者よりも俺は強いと叫んだその時で。
 彼の旅は決して終わらないから、その傷が癒えることはなかった。

SYSTEM :
 ───相対すること四回目。

 少女の視界に、その傷跡が。
 生死の分水嶺となって姿を晒した。

荻野目 旭 :「──三廻部さんっ!!!」

三廻部 颯 :「……!」

荻野目 旭 :
「絶対やれます! ぶっとばせますから、イメージして!
 あなたのかかった病気は、誰より夢をかたちにするのが上手な、そういう神様の名前です!」

三廻部 颯 :
 誰よりも、夢を形にするのが上手。

三廻部 颯 :
 私が授かった力は、そういうもの。
 私がもらったものは、そういう力。

 私に───

記憶の声 :
 "どうせなら役立つことを願う。
  
 ───はじめて、人に何かを遺した"

三廻部 颯 :
 化け物を倒す力。
 化け物を穿つ力。
 化け物を斬る力。
 化け物を倒す力。

 私が今、欲しいもの。
 私が今、夢見るもの。
 私が今、願うもの。

     デザイア
 私の───願い……、

記憶の声 :
 "───刀の形はおまえが決める。
 それは俺のものだ。
 俺が、俺の理由のために振るったものだ"

記憶の声 :
 "思うといい。
 おまえは、おまえの理由のために振るえる形をだ"

三廻部 颯 :
、  、 ヨクボウ
 私の───願い。

、  、  ネガイ
 私の───欲望。

三廻部 颯 :
 私は、理不尽に怒った。
 その理不尽は、いくらでもある。
 目の前の脅威、今の状況、私たちが巻き込まれたもの───……、そして……、
 ……そして。

三廻部 颯 :
 夢で見た、あの人のこと。
 あの人の願いと、あの人の思いと、あの人の記憶。
 私が、ただ一方的に知ったそれ。

三廻部 颯 :
(───あの人が、初めて誰かに遺したのなら。
 消えゆく島に残るあの人は、一体誰が憶えているのだろう)

三廻部 颯 :
(……私の願い、
 私の───今、やりたいこと)

三廻部 颯 :
  ホオリ
(あの人を、忘れずに……遺されたものを継いで、記憶していきたい)

三廻部 颯 :
 ───私が、今、成りたいもの。

三廻部 颯 :
 傷つき憔悴しきっていた少女の体は、怪我こそ直りつつあった。
 だが、その体にもう一度海の光が集ったとき、構築されるものは少女の描いたものではなかった。
 ……あの姿は、はじめて願った、人ならざる戦士の姿。
 今願うものは、自分に何かを遺してくれた誰かへの、小さな憧れと、小さなお礼。

 私は私。
 私は化け物になっても、私であるように。
 もう、私は私の別の姿で、私を偽る必要はない。

記憶の声 :
 "………覚えてるから。それまでも。
 今の顔も。大丈夫"

三廻部 颯 :
(咲楽が、私を覚えてくれているように。
 私も、ホオリさんを覚えていたい)

三廻部 颯 :
(あの人が──この空の下に、この大地の上に、この海の中にいたことを、覚えていたい)

三廻部 颯 :
 海の光が、少女に集う。
 海の光が、少女を救う。

 私は───私の思うままに。

「──……やるよ、私!」

三廻部 颯 :
 跳ぶ。
 翔ぶ。
 跳ねて、跳ねて、跳ねて。
 その手に刀なんて高尚なものは作り出せない。
 私ができるのはイメージ、夢を叶えること。
 だから刀のように、手を鋭く突き立てて、穿って、斬って、断つ。

 狙いは、一度死ぬ前に見えたもの。
 幾多の逃走(たたかい)のなかで負ってきた傷の中で一際隠れていたもの。

「海を穿ち───……
 大地を削り───……

 私の拳は空を断つ!!」

三廻部 颯 :
 ユメ
「"渇望"に還し─── 


   貫け"断空"ッ──────!!」

三廻部 颯 :
 拳を突き出して、当てる。
 勢いと、反動と、衝撃と、意志と、いろいろなものをないまぜにして。
 怒りも悲しみも戸惑いも、なにもかも。

 押して、
 手を刃のように見立てて、突き破る。
 
 ちいさな一匹の獣の、ユメを終わらせるために。

SYSTEM :
 ………その瞬間に。
 誰より真っ先に反応したものがいる。

 戦闘中の変化などそう珍しいものでない。
 珍しいが、珍しすぎるものではない。
 ただのアドレナリンの魔力と言えばそれまで。超人の年下先輩から提示された“手本”を実践したと言えばそれまでだ。

SYSTEM :
 ………ただ。
 そいつだけは、今までのまぼろしがまことであったことを示すように。
 言の葉もなく、ただそれが答えだとばかりに、息を吐いた。

『ホデリ』 :

『──────』

SYSTEM :
 ───尾が、逆立つ。
 
  まぼろし
 その幻視が、まことであったことを示すように。
 万感の溜息が、炎の爆ぜ散る音の中を駆け抜けた。

SYSTEM :
 技は似ていない。
 骸ですら常軌を逸した剣の技。
 人が気味悪がり、人を逸した者さえも近寄れず。
 その技、その智慧、そのすべてには、どう依怙贔屓をしようとも程遠い。
            ケン ケン
 そもそも刀ですらない。剣を拳で代用しようなどと、烏滸がましいというものだ。

SYSTEM :
 育ちも似ていない。
 善くも悪くもなく、ただ罪深い小人の■だった男は。
 断じて、理由“以外”を抱え込めるようなものに育っていない。

 もっと深く広く、だから手を伸ばせないような形を生まれながらに持って“しまった”者と。
 たかだか17歳の小娘が、一夜の付け焼刃で生んだものがなんで似ているものかと、彼が明け透けに全てを騙れるほど強い生き物なら、誇りつつ嘆いたことだろう。

SYSTEM :
 似ていないところを述べた場合は無数にある。
 いくらだって並べられる。

SYSTEM :
 だが。

『ホデリ』 :
 ホオリ
『彼奴………………』

SYSTEM :
 ………だが。
 ・・・・・・・・ ・・・・・・・・
 一番危ういところ/一番大事なところが、よく似ていた。

SYSTEM :
  ■    ■
 ホデリが、ホオリを回想する。

SYSTEM :
      ばか
 思うにあの暗し者の理由は───

 後にも先にもたった一人だったことを─── 

SYSTEM :
 ………敢えて記せば。

 そこから先…。
 決して知られたくない顛末と共に思った。

SYSTEM :
 ………そして。

 戦う者ですらない生き物の後悔などは余談であって。
 その余談の断絶は、戦いの終わりと共に来るのであれば、瞬きのうちにやってきた。

“渇望喰い” :

「グ、ル、ゥゥゥウウウウアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」 

SYSTEM :
 紅と蒼が双つ、逢魔が時に食らい合う。
 数秒の隙間。そのトドメの僅かな瞬間。

SYSTEM :
 
 三度食らい潰したものが、四度立ち向かう。

 本能が全身が、それが死の色だと気付かなかった。
 死にしてはやけに淡く、また深々と広がる海色に映る羅刹のはるか上に。
 追いかけていた太陽が映ったからだ。

SYSTEM :
 ………それが決定的な生死の分水嶺となったのかは定かじゃない。
 
 空に向けて爪牙を振り上げた獣と、地に向けてつるぎを打ち付けた人。
 掠めるように颯と交錯したその腕が、雷鳴の音と共に空を切る。
 分厚い紙一重。決して覆らない紙一重。
            ブランカ
 誰ぞが言ったが、彼に寄り添う理由はいない。
 そいつはもうとっくの昔に零して、あとは魂に焼き付く無自覚だけが縁のかたち。

SYSTEM :
 剣光が一条、煌めいて───
 それがひと世紀前から今の道に終わりを告げた時。

SYSTEM :
 …意味のある“否”を吼える余力のかけらが、彼にはなかった。

“渇望喰い” :

「───ォ、オ、オ………」

SYSTEM :
 
“渇望喰い”は孤独であり、孤高であり、不死身であったけど。別に、無敵ではなかった。
 敵がいる限り、彼の旅は終わらなかったのだから。

 だから。旅の終わりがいつか来るものである以上、いつかが来ただけだ。
 もう忘れた理由を後生大事に戒めの疵と一緒に抱えて。
 好きなようにやって、好きなように死ぬだけの。

SYSTEM :
. マーナガルム 
 太陽を嗤う魔狼が。

SYSTEM :
 
 英国の澱みを断ち慣れた魔祓いに追われ、
 米国の化外を殺し慣れた歴戦を測り間違え、
 日本の新芽に不可能と常識を塗り替えられ続け。
         しねず
 それでも果てない不死身の獣が…。

SYSTEM :
 擦り切れるような断末魔を上げる。

 向こう側の海色に、
 もがくように腕を振るう。
 命の灯が消えるその時まで、あがく音が木霊する。

SYSTEM :
 命の灯が枯れる時のそれは、納得とは無縁だ。
 ・・
 未練がないはずはなく。

 だから、これが生き物の終わり方として、あまりに自然だった。

SYSTEM :
  ………不死狼、臨終。

    荒野を、
    二度とその羅刹が駆けることはない。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………。
 地面を一度、二度、ひっかいたような音と一緒に。
 人間の言葉に直したら、きっと“畜生が”以上でも以下でもない末期の咆哮と共に。

 渇望喰いは地に伏した。

SYSTEM :
 オルクスの檻が外れる。

 かりそめの空とかりそめの木々。
 燃ゆる炎は嘘のように鎮まって、あとに残るのは檻の中の戦いの名残。

 彼の言う楽園の爪痕。

SYSTEM :
 …炎の残りものが。
 かつてただの狼だったものから、
 蛍火のように噴きこぼれていく。

 それがすべて薄れ消える時、これは跡形もなくなるのだろう。

三廻部 颯 :
 貫いて、貫いた先。
 もがいて、あがく音を耳にしながら、消えゆく炎の中で大地を踏みしめる。
 数秒、構えは解かなかった──残心を怠らず、ただ数秒、意識を尖らせた。

 手を振るって、砂を溢れ落とす。
 海色の砂が散らばって、星屑のように舞う。

三廻部 颯 :
「───……ふう」

 今まさに広がっていたものが闇の中に消える時。
 ようやくその緊張と警戒を解いて、海色の光が弾けて消えていく。

荻野目 旭 :「……!」

荻野目 旭 :「三廻部さん、体は平気ですか!? 僕たしかにイメージとは言いましたけど、その姿は……」

三廻部 颯 :「平気!」

三廻部 颯 :「傷は……頑張ったらなんか治った!」

三廻部 颯 :
「あはは、なんか……別に、
 かっこいいヒーローとかを思い浮かべなくてもいいかなあって。
 そしたらこうなった」

 そしたらこうなった。

荻野目 旭 :「そっかあ……」

荻野目 旭 :
「がんばったら治った、は僕らオーヴァード──もとい、
           リザレクト
 レネゲイドが持ってる自己修復現象によるものなんで、過信は禁物ですよ? でもとりあえず、感覚で大丈夫ってことなら安心です」

三廻部 颯 :
「うんっ。
 ……ちょっと興奮してるから、次は上手くいかなさそうだけどぉ」

荻野目 旭 :「ですね。あとで侵蝕率もよく確認しましょ」

荻野目 旭 :「……僕は、いまの姿のほうが好きかなあ。おつかれさまです、三廻部さん」

三廻部 颯 :「そぉ?」

三廻部 颯 :「……まあ、でも」

三廻部 颯 :
「イメージが大事なこと、教えてくれたの旭くんだよ。
 ……ありがとう、ほんとに」

 ゆっくり、静かに駆け寄って、その手を取って。
 

荻野目 旭 :「役に立ててなによりです!」

荻野目 旭 :
「最終的に自分で最適なかたちを描けたのは、もちろん三廻部さんですから。
 僕はそのお手伝いをしただけですけどね。そのお手伝いが一番得意なことなんで、役立ててハッピーです」

荻野目 旭 :僕も手を握り返してから、残火がもやもやしている“渇望喰い”のほうを向きましょう。

SYSTEM :
 別にかっこいいヒーローでなくてもいいかも、が。いったいどの程度の裏と表を持っていたのか。

 ただその言葉に、誰にも見えぬ角度に面持ちを下げた白い狗が何かを答えることはなかった。
 小さく吠えたその挙動は、気落ちしたのとは違う。
   
 その等身大の言い草が“そう”だということを、何となく安堵するような音のかたち。

SYSTEM :
 ………残り火は今にも消える間近。
 放っておけば、なにの何処にもその痕跡は残るまい。

 それはいい。因果応報、悪因悪果。
 なにより他人事なら、本人(獣)でさえ当然のように流していたこと。

SYSTEM :
 ただ起き上がる素振りもない。

 生き汚いこの生き物のこと、死んだフリなどこのナリでなければまず本当に死ぬまでは試すだろう。

久外境耶 :
 海色の輝きが閃き、誰かの吐息が轟音に呑まれていった。

 そして──
 一つの末路と、名残の疵を見た。

 この瞬間まで続いた、いっとう大事なものを取りこぼすほどに永い旅路。おそらくは始まりに刻まれた、無意識と無自覚に連なる証を。

久外境耶 :
「ハ。やっぱムカつくわ、おまえ……」

 ガキくさく吐き捨てて、終いにする。
 ないものねだりはしない。
 するだけ無駄で、"無い"もおれだ。おれの一部だ。

久外境耶 :
  こ え
 断末魔が枯れ、命が絶える。
 足掻くような終わりを無様とは思わない。好きに生きて、力尽きた末路なんて土台こんなもんだろう。

 空が晴れ、炎もやがて鎮まるだろう。
 地を裂いた爪痕も、いつかは風雨が消し去っていく。

 …… ……。

久外境耶 :
「よう、勝ったぜパイセン。──おれ"が"不死身だ」

 残火を滴らせる死骸へからからと嗤い、歩みを寄せる。

久外境耶 :
「言ったろ。看板よこせってなア……」

 太陽を嘲る魔狼。白日に晒された屍が吼え返すことはない。二度と。

 胸郭が開く。内側から引き裂かれるように歪な開口。息衝くように、虚ろの空洞から冷気が吐き出された。

久外境耶 :
 死に満ちた空隙。脈打つ心臓はなく、全身に巡る血管もない姿。底無しのようでありながら、平面じみて奥行きのない虚から、白い連なりが屍めがけて殺到した。

 競い合うように炎へと伸び、拡がっていく。太く白い血管が別の生き物に寄生したがっているような、貪食の状景。

久外境耶 :
 白い血管の正体は手だ。十にも満たない子供の、細い腕と小さな手。
 それが無数に連なって、無秩序に分岐しながら魔狼の全身を覆いつくし──圧屈する。圧搾する。圧縮する。残り火と血肉の熱が、死に凍えた冷気と混じり合って白い蒸気を噴き上げた。

久外境耶 :
 圧し潰し、搾り取り……貪って、奪い尽くす。横取りに怯えるみたいに手の群れがそそくさと引っ込めば、後にはもう何も残らない。

「……っと」

 閉じた胸郭を抑えて、片膝をつく。同時に、氷が砕けるような音と共に形状変化が解ける。

SYSTEM :
 
 こと、自然において死肉はそのまま腐り落ちない。
 厳密に言うと、腐ったとて、腐ったままにはなり得ない。

 虫がたかり、屍をハイエナが喰い貪り。
 やがて別の生命の糧になって、何事もなかったかのように土に帰っていく………。
 それが自然の在り方、いや、野生の道理で生きてきた生き物の“死に方”だ。

SYSTEM :
 ならばこれはその早回し。
 肉食の兎なんぞ聞いたこともあるまいが。
 あいにくといま集ったものは兎ですらなかった。

 どこの世に、あんな細い腕と小さな手を無数に生やした兎がいる。
 幸運の魔兎。唯一の不死身を勝ち取ったこの生き物から競い合うように伸びたものは、あるいは、ジンクスすら遺らず、死の中にしか形を残せぬ胎児未満。

SYSTEM :
 ………不死身の看板をもぎ取ったその生き物が、“渇望喰い”を還したのは自然か。

 あるいは不死身の薄皮を捲った先の、時と死の隔たりか。

荻野目 旭 :……思わず、思い出したのは彼の言葉だ。プロジェクト・アダムカドモン。彼のなかみからこぼれたうつろな手の群れに、それを連想する。

荻野目 旭 :彼は軽く流した言葉。彼というオーヴァードの成り立ちにおいて、たぶん切り離せないもの。それに不死身を騙った元番犬が飲み込まれていく様を、遠く見る。

久外境耶 :
「は──くそ、熱いし煩えな。鬼抗議かよ」

 胸の中央を、握りつぶさん勢いで掴む。
 心臓は、火を放ったみたいに脈打っている。

久外境耶 :
 他人どろこか他狼のレネゲイドは、もう意思なんて残っちゃいないだろうが。
 ……あったところで第二ラウンドだ。オンブにダッコだのケチがつけらんねーくらいカンペキ負かしておれの勝ち。

久外境耶 :「っし、勝った勝った。褒めてつかわせ夜目子」

SYSTEM :
 オルクスの領域のあるじであり、
 獲物の死を認めて“これ”を解除したばかりの夜目子………。

“ミッドナイト・アイ” :

「…それ誰の呼び名…いや言わなくていいや…
 つっこむのもだるい」

SYSTEM :
 失礼、“ミッドナイト・アイ”。

 呼びかけに丁度応えるように顔を出した彼女が、微か燻る炎と、リュウグウジマの木々の燃え滓を雑に払いのけて現れる。

 消え失せた骸の一部始終を見た彼女が特に彼の行いとセンチメンタルに突っ込んでこないのは、基本FHが縦も横も詮索無用の組織だから。

SYSTEM :
 厳密には例外がいるが、それは手前の詮索無用何ぞ知ったことではないという我欲の鍵あって行われる。

 そして組織の尖兵の立場を崩さない彼女は、自分を無礼た生き物の終わりを、淡々と記録する以上はしなかった。

 自分で殴れたら、みたいな幻想は懐かない。その気持ちがあるかどうかは、彼女の出会い頭の発言を思い返せば一目瞭然だろうが…それはそれだ。

三廻部 颯 :
「あの……ありがとうございました」

ミッドナイトアイ
 彼女は決して誰かのためにやったのではない。
 自分の受けた仕打ちの"返し"としてやったのだ、ということを、今なら頭でわかる。
 その上で、お礼を告げる。

“ミッドナイト・アイ” :
「………」

“ミッドナイト・アイ” :
「え…なに 今こっちに言ったの?」

久外境耶 :「いやおれだろおれ。どういたしましてエ!!!!!!」わざとらし〜声

“ミッドナイト・アイ” :
「だって」

三廻部 颯 :「う〜ん……じゃあ、どっちもで」

“ミッドナイト・アイ” :
「からかい甲斐ないねこいつ。
 耐性つけてるじゃん」

久外境耶 :「チッ……しゃーねえ、こいつのツレ増えたし一匹連れてくるか」

三廻部 颯 :
「チェスト───っ!!」
 ずどん!パンチ!

SYSTEM :
 終始淡々とものを言う彼女は、その様子に始めて小さく「ウケる」と零した。

久外境耶 :「はい無敵バリア〜」

SYSTEM :
 それはあの日見た小学生の切り札であった。

荻野目 旭 :「しょうもないからかいしてるんじゃありません! 小学校低学年じゃないですか」

荻野目 旭 :はいはいバリア貫通!

久外境耶 :おあーっ

SYSTEM :
 小学生の戦いに中学生(現役)が出た。
 無事に鎮圧。

 ………なお。

 その様子でひとり軽くウケていたそいつは、断じて、易しくても優しくない。
 あなたが礼など言ったことは誠実で、9割そうであるべきで。
 たまに、その礼がなければ漬け込むような場合すらあるだけだが。そいつは基本、その1割だ。

三廻部 颯 :「アーマーぐずぐず使えばよかった」よくない

“ミッドナイト・アイ” :
「で、さっきの話…。いいよ別に。普段なら貸し1だけど。
 というか次御礼みたいな言い方したら本気で貸し1にするけど…」

“ミッドナイト・アイ” :
「ぶっ飛ばしたいものはぶっ飛ばす、くらいが健全…
 
 それが馴染んで、それ以外が取り返しつかなくなったら、まあ…。
 適当にどこかの門でも叩いたら? 死ぬまでは歓迎するよ」

三廻部 颯 :
「あ、えっと……なんかこう、癖で。
 いいことしてもらったら、お礼を言わないと…」

SYSTEM :
 だから平気でそういう台詞を口に出すし。
 そういう価値観には興味なさげに「そ」と呟くだけ。

 あなたへのかかわり方として見たら、これは例外中の例外だが。
 少なくともこの場で、この場以降で、フラット以上でも以下でもないあなたに”何か”をする性質ではなかった。
 

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………、………………」

 さて、一方その頃。
 役割を遂げた狩人は、果たして仕事のやり残しというヤツがないものかと少し離れた森の中、スコープを覗き込んだままの狙撃姿勢を崩していなかった。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ───ジャーム化の兆候は無い。その引鉄を引くに足るものを、獣は余分と切り捨てた。
 死の偽装はどうだ? やはりそれもありえない。断絶を告げる咆哮はその色を帯びていなかったし、なにより少女の剣の鋭さはそれを許しはしなかったろう。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 狩人はスコープ越しに、確かな命の終着を見届けた。
 獣が何段飛ばしで死の虚無へと還される、歪んだ自然の摂理をも。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 スコープから目を離せば、降り頻る雪を逆巻くように、微かに残った仄かな灯が浮かんでは架空の空へと融けていく。

 ……“渇望喰い”は、あの雪原の冷たさを知っていて、太陽から逃れる為に孤高を掴もうとしたのだろうか?
 冷たさを望んだのなら。彼は手に入れたことだろう。望んだ通りに、永久の冷たさを。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……しかし、まぁ、なんというか。
 思えば紙一重の勝利だ。それも、三廻部颯の宿した剣の今際の際での激発に賭けて掴んだ勝利。
 誰が賭けたというわけでもないが、敢えてそこでチップの意味を自覚して引鉄を引いたのが誰がといえば……。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……………………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「はぁ………………」

 これが文字通り、“焼きが回った”というやつなのだろうか?
 なんだか違う気もする。あとで丁度いい格言でも賢者の知恵にでも賜ってみようか。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……みなさん、お疲れ様です!
 どうやらご無事のようですが……ひとまず態勢を立て直しに帰還しましょう! 」

 茶々合戦は拠点でじっくりやれますから!

荻野目 旭 :「ですね。シホさんもあんなんなったばっかりですし」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……流石に無茶しすぎましたね、アレは。
 あのときは助かりました」

 思い返せば、援護がなければ回復が間に合っていたかどうか……。花の楔がなければ蠍座にでも恋するところだ。

荻野目 旭 :「そうですよそうですよ、無茶しどきなのはわかってましたけど! ほらほら、元気そうな境耶くんの背中でも借りてください」

三廻部 颯 :「(貸すのかな)」

久外境耶 :「ベツにいいけどケツ揉むぜ」

荻野目 旭 :「実質3歳にそんなことさせない! 警察呼びますよ!」

三廻部 颯 :「あーっセクハラだ!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「あのねぇ……」

 いやうん……そもそもレネゲイドビーイング相手にそれをして楽しいのだろうか……?虚しくならないか……?

久外境耶 :「セクハラだあ? セートーな報酬だっつの」

久外境耶 :「つかトータルならハタチ超えてんだろ? セーフセーフ」

三廻部 颯 :「…………嬉しいのそれ?」

『ホデリ』 :『……』

『ホデリ』 :
『いくつ時を越え、有為にせよ無為にせよ年を重ねても…。
 男児とは時に愚かなり』

SYSTEM :
 彼の発言は推定十世紀前の罪の自白に等しかったが、それはさておいて。

“虚の狩人/残骸” シホ :
無言の首肯。なんかこう、志穂さんにも悪い。

久外境耶 :「マジになんなよ! からかっただけだわ!」ホデリも一号も!

『ホデリ』 :
『然り…と言いたくあるが 
 戯れほどほどにな 境耶』

荻野目 旭 :ホデリさん、まさか… いえ…

荻野目 旭 :武士の情け 聞かずにおきましょう

『ホデリ』 :
『わたしの秤で世を測るもよろしくなかろう
 存じている 斯様な事柄においては多数の意が勝つ』

SYSTEM :
 彼はこういう時の立ち位置を本能で察していた。
 素知らぬ顔で語っている彼の推定十世紀前には笑えない過ちの他に、笑える過ちがあるというだけのこと。

三廻部 颯 :
「男児とは時に愚か……」

 視線が──さっきまで手を繋いでいた友達にむきかけて、
 いやそんなことは……と直前で逸らすことに成功する。

『ホデリ』 :(そちらに飛び火するとは思っていなかった顔をしている)

荻野目 旭 :にこ〜

久外境耶 :「おーおー、そいつだって付いてるモン付いてんだぜ〜」

三廻部 颯 :
「そういうのいいからぁーーー!!!」
 大声で誤魔化した。

久外境耶 :そうそうこれこれ〜 やっとからかい甲斐のある反応なってきたな

“ミッドナイト・アイ” :

“ミッドナイト・アイ” :
「なりたて」

荻野目 旭 :僕はオトナなので、オトナのお姉さんに媚びるのが得意ですとはいわないのであった

“ミッドナイト・アイ” :
「いいことを教えてあげる。
 ついてるものがついてる人間の黙らせ方」

久外境耶 : 

三廻部 颯 :「……」

SYSTEM :
 ホデリは危機を察知し静かにその場を離れた。

 ”ミッドナイト・アイ”の足の構えは、男児全てが恐怖を感じる狙い先だった。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……」

 数秒後の未来が見えた気がする。

荻野目 旭 :「それは黙らせ方じゃなくてトドメの刺し方ですけどお!?」

三廻部 颯 :
「……は……反則技!!」
 空手の。

“ミッドナイト・アイ” :
「過程が違うだけ…効果実例もある…」

久外境耶 :「か……かかってこいや!!!!おれは誰にも殺されないが平均数回は死ねるぞ!!!!」ヤケクソ負けん気

三廻部 颯 :
「……い、……いや……流石に……」

SYSTEM :
 天の上から存在しない男の言葉が聞こえる…

FHセルリーダー :
 いいか“ラッキージンクス”

 そいつらのかつての同僚的なアドバイスしておくと、ガチで不甲斐ない真似すると背中からブッ刺してくるタイプが多数派だが

FHセルリーダー :
 男の冗談は正面からタマブチ抜いてくるノリの悪いタイプが多数派だ

..見えてる1リザ
 1 d 1 0 を覚悟しろ

SYSTEM :
 彼の負けん気の是正にも奮起にも何の参考にもならないアドバイスであったが
 それがあなたの幻想上の声だったのかどうかは定かでしかない。幻覚でしかない。

久外境耶 :リーダー……

久外境耶 :おれ若さで乗り切れるけどリーダーは正直厳しそうだもんな……!

FHセルリーダー :ハハハこのやろこいつ帰って来たら送ってやるぞ地獄に

SYSTEM :幻覚は中指を立てる精度の高い幻覚だった。

SYSTEM :
 ………実際その空手の反則が、ルール無視上等の人生を出だしから今に至るまで歩んでいる彼女の手で炸裂したかは定かではない。

SYSTEM :
 その時はさぞ悲しい音が響くだろう(あと1/131すら削れない虚しい現実が顔を覗かせるだろう)が、

 ともあれ状況に水を差すものはなく。
 ぽつりと揺蕩う蛍火も、さきほどその源泉を失ったことで名残ごと消え失せた。

SYSTEM :
 ………ひと世紀分の旅の終わり。

 自然ならざる自然に還ったものの名残は、ただ、不死身の看板だけ。
 積み上がる屍の山の端くれは、喰らい損ねた太陽の余熱を滾らせる。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「───ほら、もう!
 馬鹿なことやってないで早く帰りますよ!」

 冷静になると割ととんでもないこと言われてなかったか私───?
 そんな雑念を振り捨てるように、未だ残火の燻る森に背を向ける。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……。
 還れぬ故郷を探し求め、狂い果てた竜の落胤。
 終りを喪った一世紀の旅路を、遂に断たれた孤高の狼。


 時の流れから遠く切り離された、遠い孤独の島の中。私たちは、流れ着いた二つの時代にピリオドを打ったことになる。

 ……残る時代は、あと幾つだ。
 ピリオドを待つのは、あと幾つだ。

SYSTEM :

SYSTEM :
 葬送るものを個ではなく、時代とするならば。
 そこに臨むものは、地に足付いた前と後ろを含んで、片手指でしかないだろう。

SYSTEM :
 闇夜の塒に逸れ狼が帰ることはなく、
 神秘の帳を竜の子が潜ることもない。

 残火が二度と灯ることはなく、
 死風が二度と吹くこともない。

 時に遺されたものの仇花を覚えておく価値は薄く、理由も少ない。
 彼等はその価値と理由を、望む望まざるにかかわらず、手放して来た生き物だ。

SYSTEM :
 ………オーヴァードは孤独に…。
 己の内側以外に情報のない現実には、ほとほと弱い。
 ただそれは、知性のある生物であれば、限ることでもない。

SYSTEM :
 
 王を失って、逸れ者の暴君になり果てた羅刹が。
 その事実と共に速やかに至り果てる旅路は、ついに未踏となった。

 もう、目を覚ますことはない。

 彼を照らすのは月の空か、あるいは、灰色の冷たく堅い処理場に薄らと灯るヒトの灯か。その中で燻るように燃える熱だけだからだ。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :

【Check!】
 ユニット『渇望喰い』がゲームから退場します。

 所持Dロイス、Eロイスを確認しています...

SYSTEM :
【Check!】
 下記の特異なロイスを検知しました。

・『Dロイス:超侵蝕』

SYSTEM :
 ………、………。
 ………………………………。

GM :シーン終了に伴うロイスの更新・変更等はございますか?

荻野目 旭 :ありません!

久外境耶 :ンー。じゃあ"渇望喰い"のロイスを〇勝利にしてやろ! Nそのまんまな!

三廻部 颯 :私はないです!

“虚の狩人/残骸” シホ :ええと……はい。ロイスの変動はないです。境耶くんについてもそのままで。

GM :畏まりました。しかし勝利…

GM :まあ確かにポジティブでありましょうな。問題ありません、キャラシに書き加えて…

GM :

GM :書き加えておりますね。

久外境耶 :イエーイ! 勝利!

SYSTEM :※流れた音声はイメージです。 

SYSTEM :
【Check!】
 メインプロセスの終了を確認しました。

SYSTEM :
[クリンナッププロセス]

SYSTEM :
[クリンナッププロセス/島の変化]
 次ラウンドに発生する「島の変化」を確認します...

SYSTEM :1d100 ハプニングチャート (1D100) > 83

SYSTEM :
81〜85:次ラウンドで「トリガーシーンを除くメインプロセス中の判定」に参加すると、判定後に侵蝕率+1D10

SYSTEM :
【Check!】
・「『蝕みの君』または『渇望喰い』が撃破される/2回目」

 上記達成により、トリガーシーン発生が予告されています。

 トリガーシーン対象者:颯

SYSTEM :
[ - ラウンド/4(結果) - ]

【経過ラウンド】
 4/9
 
【島の変化】
 81〜85:次ラウンドで「トリガーシーンを除くメインプロセス中の判定」に参加すると、判定後に侵蝕率+1D10

【プライズ】
 □□□□□ □□□□□ □□□□□ □□□□□

3:“ミッドナイト・アイ”を発見、合流
5:「明夜白銀」の居場所を発見
8:「渇望喰い」の居場所を発見
11:「蝕みの君」の居場所を発見
14:『民間人(ナミ)』の居場所が判明し、合流
17:?????
20:?????

 合計:15/20

【友好ユニット】
 6/?
 まだ民間人が「1名」取り残されている…。

【敵対ユニット】
 2/4 COMPLETE!

GM :
 ラウンド4終了となりました!
 便宜上、「ラウンド5移行前に行うシーンのひとつ」としてトリガーシーンを処理します。

 なお前回同様、ラウンド5移行前に「必要なシーン」がありましたら…。
『トリガーシーン終了後、確認が終わる』までの間に、この場、もしくは雑談席で宣誓のほどよろしくお願いします。


・シーン29「火織」

SYSTEM :
【シーン29:──】

 登場PC:三廻部颯
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
 “渇望喰い”の亡きあとに、あなたたちは再びホデリの作ったゲートを介して元の場所に戻って来る。
 どことも知れぬ屋敷の中。片付けられた木人形を余所に、留守のともだちと、別行動の誰かの下へ。

SYSTEM : 
 あなたの知り合いが見つかった、という話は…。
 これで2度目だ。

 眼鏡の、所在不明、職業の真偽も不明の青年からその事実を軽く伝えられた直後のあなたが、どんな反応をしたのか定かでない。

 赤都と、山田さんと、先生の話はまだ知れなくとも、無事で済んだクラスメイトの方が、いま過半数に達したところだ。

生徒C :
「………そんなことが、ねえ」

生徒B :
「そうそう。“そんなこと”。
 災難だったけど、別にこっちでなら襲われたりしなかったし…」

生徒B :
「きみが心配するほどでもないんじゃない。知らないけど」

生徒C :
「投げやりにするくらいならノータッチでいてほしいわ…」

SYSTEM :
 そして出会った直後のクラスメイト。

 比較的交友関係のある方ではないが、仲が悪いのかと言われると決して違う程度だろう。あなた次第だが、そもそも顔見知り以上ではないかもしれない。

 同席している”トモダチ”は特になにも喋らず。あなたがもしも、この警戒心の強いクラスメイトに何も言わず、当たり障りなく流す気だったならば、そこまでの過程は「それらしく」沖川が纏めて、対岸の火事にしてくれているところだ。

SYSTEM :
 ………。
 尤もそこは、あなた/颯がどうしたかにもよるところ。

三廻部 颯 :
「よかったぁ……」

三廻部 颯 :
 まず私が口にしたのは心底の安堵。
 いくら前を向いて、戦う決意をしたところで、緊張をしていたことには変わりない。
 それが解けて、友達がもう一人見つかって……そりゃあ、ヘナヘナにでもなる。

「いきなり探偵……?さんなんて来てビックリしたでしょ」

三廻部 颯 :
 まあ未だに私はあの人が探偵とは思えてないんだけど。

生徒C :
「そうそう、探偵さん。
 …ただなるべく会話の選び方を合わせる努力はしてくれたし、あの状況でここに連れてくることにした人がクロだったらもうみんなクロだわ」

生徒C :
「赤都さんや山田さんは?いないのよね。けど、“みんないませんでした”じゃないだけ、私も安心だわ」

三廻部 颯 :「はぐれちゃった……」

SYSTEM :
 この探偵の是非に対する感想の違いは、概ね木口龍が“ふつうの人”にはそれ相応の、今までから想像できない保護の立場を取ったことの証でもあった。

 あるいは彼一人の時は真面目にやるだけなのか。諸説ある。

生徒C :
「はぐれちゃったって…え? どっちも?」

生徒C :
「…ええ、私だけだと思ってた…。
 ここ、そんなに迷いやすいのかしら。疲れてるのか知らないけど、ずっと風景が滅茶苦茶だし」

三廻部 颯 :「うん……」

三廻部 颯 :
「実際、めちゃくちゃで、迷いやすいと思う。
 咲楽とも一回はぐれちゃったし」

生徒C :
「目を離さなくても逸れるくらいに?
 …まあ、でも。山田さんも実際そうだったのよね」

三廻部 颯 :「うん」

三廻部 颯 :「……まあ、かみき君は自分のせいでもあるけど……」

生徒C :
「気づいたらどこかにいなくなっちゃってたし…。
 …たまに見かける子はなんかちょっと不思議めのコスプレチックだし…」

「赤都くんがどうしたのよ。何か喧嘩したの?」

生徒C :
「いえ、貴女“が”喧嘩するっていうか…」

生徒B :
「まあだいたい想像通りっぽいよ」

生徒C :
「そうなの。ううーん、無事だといいんだけど」

三廻部 颯 :「そうだなあ……ほんとにそう」

三廻部 颯 :「流石に弁えてるとは思うんだけど……」

池田咲楽 :
「………」

SYSTEM :
 ………咲楽は喋ることが浮かばないのではなく。
 そもそも、どちらかというと赤都と親しい寄りの彼女と話すことが大してないだけだ。

 最初の出会った時の『無事でよかった』と『早く帰りたい』に、当たり障りのない相槌を返したくらい。

三廻部 颯 :わっはっはいつもどおり

SYSTEM :
 普段なら面倒がった沖川が、何となく”さらに面倒な予感”を感じてそれとなく言葉を返さないことには、ちょっと拗れた話になっただろうが、それはともかく。

SYSTEM :
 あなたは彼女に対して、薄氷の下にある出来事を伝えなかった。

 多少、訝し気な視線が来たけど。
 不可抗力、逆説的な信頼であるところの探偵さんと、クラスメイトのあなた。二人に同じことを言われてしまえば、その疑心の中に鬼が潜むこともない。

SYSTEM :ただ…。

生徒C :
「そう言えば…」

三廻部 颯 :「んー?」

生徒C :「…その髪型、イメチェン?」

三廻部 颯 :「……」

三廻部 颯 :「うーん、そんなとこ」

生徒C :「そ。似合ってるけど、ちょっとイメージ変わるわ」

生徒C :「なんかもうちょっと派手というか…泥んこつけて駆け回るタイプというか…」

三廻部 颯 :「海水まみれになっちゃってえ……」

三廻部 颯 :
「くしなんてないから、あの手この手で髪の毛いじってたらこんなことになったの」

生徒C :
「うまく帰ったらすぐに応急処置の先に行った方がいいわ 髪痛むわよ」

三廻部 颯 :「やっぱりかあ……」

SYSTEM :
 控えめに言って本気のトーンの第一声。
 ちょっと無理のある説明だったが、そんなことを言えば彼女を取り巻く現状の方が、冷静に突き詰めていくと無理がある話だ。

 木を隠すなら何とやらである。

SYSTEM :
 そのあとも、恙なく話が終わって…。

生徒C :
「それじゃ、また。怪しいものがないかはずっと回ったけど…」

生徒C :
「あんまり居心地良い感じはしないから。
 何かあったら、あっちの…ほら、あのあたりの部屋貸して貰ってるの。呼んで頂戴ね」

三廻部 颯 :
「うん、また。
 大丈夫大丈夫、ちゃんと男女お部屋分かれてるし」

三廻部 颯 :
「はーい!」

三廻部 颯 :
 手を振って見送る。
 そして、どっと疲れたように両手をだらんと降ろす。

SYSTEM :
 このまま全てを片付けたなら。
 彼女は何事もなく、疑いをかたちにすることなく日常に戻るだろう。
 あなたにその気があるなら、戻った先で、“これまで”のように“これから”を振る舞える。

 ………どっと疲れたような腕の動きは、そういう誤魔化しが17歳の生涯で滅多になかったせいだろうか?

生徒B :
「正しいと思うよ」

生徒B :
「僕も“具体例”ない時に当たり障りある話されたら、きみのこと邪推しない自信がない」

三廻部 颯 :「ですよねー……」

生徒B :
「…というか…。
 意外だな。仲悪いの、池田。綾城と」

三廻部 颯 :
「……まあ、ほら」

三廻部 颯 :
「ほら」
 かみき君の特徴的な前髪のジェスチャーをする。

生徒B :
「ああ。そう言えばまあまあつるんでたな…ノリが合いすぎない程度に合うっぽいんだよね」

SYSTEM :
 つまり赤都の色々と複雑に絡み合った感情の矛先を、居合わせたらうわべだけ真似するか、大義名分をこねる間柄。
 そのわりに単身で出会えば、良くも悪くも「クラスメイト」以上でも以下でもない振る舞いだ。で、そこの誤解や会話を、そもそも苦手なものは遠ざけて視界に入れない咲楽のこと、事態が特に進展しようはずもなく。

池田咲楽 :
「悪くないけど…、良くもないよ。
 別にいま、そこで突っつきあっても皆困るだろうし、元々する気もないから、しないけど」

池田咲楽 :
「それはそれとして…。
 別に話すことないし…」

三廻部 颯 :
「女の子同士、らしい話すればいいじゃない」
 らしくない女。

池田咲楽 :
「それ先月の男子グーパン事件と去年の体育祭辺りを思い返してから言える…? ほんとに言える?」

生徒B :
「…ところで」

三廻部 颯 :「そんな根に持つかなあ……んー?」

生徒B :
「いや、気にしすぎることもないか…。
 あんまり深く考えると、いよいよ“後で全部忘れよう”の棚にしまったものが溢れて来そうだ」

SYSTEM :
 具体的にはその自称イメチェンなんだけど…という心の声が微か零れたあとの沖川は、ひとまず事情の確認が終わったと見たらしい。

生徒B :
「残りの面倒はよろしく。
 池田、きみがいない間に話したんだが…」

生徒B :
          アイツ
「けっこう直線的だ。上樹と似た者同士まである。
 気を付けた方がいいよ」

三廻部 颯 :
「───」

池田咲楽 :
「そんな言い逃げみたいな台詞で、あ、待って、こら───」

三廻部 颯 :「……」

三廻部 颯 :ちら。

池田咲楽 :「なにその目」

池田咲楽 :「…なにそのめ!」

SYSTEM :
 仲の良し悪しはともかく。
 …とりあえず、あなたが留守の間、彼女がクラスメイトと致命的に拗れることはなさそうだ。

 唯一の問題が帰ってこないうちは、かもしれないが。

SYSTEM :
 ………才人が踵を返して“じゃあ夕寝する”と冗談かどうかも分からない一言を残していく。

 ちらっと見たあなたの瞳がなんの感想を抱いたのかを追求したげな、遠回しの“わりとこまったさん”があなたの肩に手を掛ける………。

SYSTEM :
 ………その時に。
 
 あなた/颯の視界に。
 それがふと目に留まる。

SYSTEM :
 少女/綾城奈美の立ち去っていった方角から。
 ふわりと浮かんだ光の粒。

SYSTEM :
 空に紛れるような薄らとした色の塊。
 彼女のいる“らしい”部屋から、ゆらりと出てきたそれが、廊下を抜けて、天へと昇るように浮かび上がっていく。

SYSTEM :
 視線で追っていたそれは、海色の光の粒。

池田咲楽 :
「………あれ、また───」

SYSTEM :
 口にした少女の顔つきが一瞬強張った。

 ついこの間“見た”もの。
 聞いたものと同じ形。

 見覚えは一度だけ。それ以上でもそれ以下でもない。
 ただ、役目を終えたように、“おそらく”少女のもとから離れ…。

SYSTEM :
 また、同じ場所で…。
 ぱしゃん、と弾ける。

SYSTEM :
 波紋のように空に広がり、
 空気に融け込んで混ざる。

 ………空想を作るひとかけらが。
 空想の島へと還ってゆく。

SYSTEM :
 ………すぐさま三度目の正直を警戒したあなたに、それが訪れることは、すぐにはなかった。
 ただ、その代わりに………。

█▇▅▇▇▅█ :

.    わがいを えたり
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

█▇▅▇▇▅█ :

.   なんじなき うつしよに
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

█▇▅▇▇▅█ :

.    わがよすが なし
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :
 あなたにとっては、知っている音。
 水の底の、小さな音が。
 
 今までよりもはるかに明確に。
 なげき/さとりの形を作った。

池田咲楽 :
「………───颯」 

SYSTEM :
 ばっ、と彼女が振り返る。
 
 いま何事もなかったそれが、
 いつ三度目の正直を起こすのか。
 それに備える/あなたを案じるような瞳の色。

三廻部 颯 :
 煌めく光が、水の交わりのように弾ける。
 波紋を描いて広がり、還るように消えていくもの。
 何度目かの兆候、そして……"クラスメイト"から出ている光。
 最初だけならまだしも、同じことが二度起こった……もう、偶然じゃないだろう。

 そう、そして何度目かの音も、同じこと。
 けれども、今度ははっきりと、輪郭が見えるような。

三廻部 颯 :
「うん」

 頷いて、肩にかかる友達の手を握る。
 身構えるように、心構えるように。

SYSTEM :
 一度目は沖川才人から。
 二度目は綾城奈美から。
 ぽつりと浮かび上がり、雫のようにはじけて消えるもの。

 あなたにとっては三度目だが、彼女にとっては丁度往復。
 握ろうと伸ばした手を咲楽が掴むのに時間はかからなかったし。

 聞こえてきた声が誰のものなのかも、あなたにはハッキリしていた。

SYSTEM :
 水底から独つ響く怪物の嘆き。

 ただどこにもよすがと寄る辺を持たぬもの。その記憶が、ぽつりと形を作る。

SYSTEM :
 …五秒…十秒…。

 いや、もっと長い時間だったろうか?
 それは眠れないのに、眠気が来るのを待っているようなもの。
 誰かの夢をなぞる/見るのを待ちぼうけるように、あなたと咲楽が口数少なく時の流れを見守る。

SYSTEM :
 …十五秒…二十秒…。
          ・・
 やや遅れを持って、それが来た。
 二度目とは違う。
 ためらいがちに頁を開ける時のように。
 かくり、と力の抜ける感触。

SYSTEM :
 渦巻くものの音が。
 それ以外のみなを、意識の外側に遠ざけていく。

SYSTEM :
 引き摺り込まれるように墜落し、
 押し流されるように浮遊して。
 海底へ潜り込むように移転する。

SYSTEM :
 水底に人はまぼろしを夢想した。
 ならば、あなたの視界に映るものは。

▇▇▇▇▇▇▇ :
“ずっと考えていることがあるのよ”

▇▇▇▇▇▇▇ :
”私は彼に出会わない方が良かったのか、どうか…”

▇▇▇▇▇▇▇ :
“もちろん私にとっては良かったのだけど。
 ずっと、考えずにはいられない…”

▇▇▇▇▇▇▇ :
“彼の縁は、あとにもさきにも一つだけだったから”

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 微睡みから目を開けるのに、時間は然してかからない。
 人の声とざわめきのかたち。
 朝に鳴く小鳥の囀りと比べると何十倍もやかましいそれは、賑わいの最中にあった。

 ずいぶんと趣の違う起き方に、あなたは手の感触を確かめるだろう。
 すぐにその先に、誰かの手があることにも気付く。

SYSTEM :
 ………後は“いつの”“どこで”起きたのかだけ。

 これはひとりの男の記憶。
 かつて兄の行方を探す旅に出て、兄の下に辿り着くべく一人の女と別れを告げた後のこと。

 途切れた頁のその続き。

SYSTEM :
 薄れて消える記憶のひと欠片。
 それは………。

SYSTEM :
 遡って十世紀は前。

 少し、“あの後”から時を隔てたあとのこと。
 喧騒の中で、あなたが目を覚まし、倒れ込んだ友達の様子を確認するのと同じくらいの頃合いに………。

『青年』 :
『………………』

SYSTEM :
 三度目も変わらず、あなたを見ることなく。
 否、誰を見るでもなく、賑わいの中を縫って先を行く青年の姿があった。

SYSTEM :
【シーン29:火織】

 登場PC:三廻部颯
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
 
Tips-遺産『祈りの造花』
効果:祈りと共に戦闘用の衣装と武具を形成する
代償:対象者に絶望(指針・その具体例は異なる)との同居を赦さず
   ジャームとなった際の存在を否定する

 カテゴリ『祈りの造花』。
 多くの少女の祈りを力に変えて来たバラを基本形とし、
 タイプによって多くの差が存在する。
 際物の事例において、最初から武器である形も存在するという。

 うち、タイプ『■■■』はこのカテゴリに属する。
 海に眠るまことの一振り。
 その一振りは持ち主の想像に沿って際限なく姿を変え、
 持ち主の敵を倒す矛にも、たましいを守る盾にもなる。

 ───しかしてその代償。
 指定する絶望の形は孤独という名の■■■■■■■■■■。

SYSTEM :
 …目を覚ましたあなたは、すぐに道行く先を歩く青年の姿と、となりで倒れて目を覚ます間際の少女の声を聴く。

 一度の偶然ではなく。
 迷い込む所以が、彼女にもあったという話。

空に響く声 :
「ぅう、………ん───」

三廻部 颯 :
 微睡とまぼろし。
 海の底の夢の中で聞こえる声と、見えるもの。
 もはやそれが幻視とも、幻聴とも思わない。

 その果てに──

三廻部 颯 :
 今度は確かな人の賑わいの中で目を覚ます。
 これまでの記憶の中だと一番、……ちょっとうるさく感じくらいの。
 片手に伝わる感触から、まどろむ直前の予想が当たっていることもわかった。

「……咲楽、に───」

 ……やっぱり、遺産がきっかけなんだろう。
 そんな考えののち、過ぎ去っていくホオリに視線が向く。

SYSTEM :
 
 どこぞのみやこの市、その真ん中で寝転んでいても気付かれず。
 踏まれて痛みを覚えたこともない。
 文字通り、あなた/颯は外から眺める傍観席だ。
 芝居を演じる方ではなく見る方と言ってもよい。

 そしてそれは、あなたの“トモダチ”も同じこと。
 

池田咲楽 :
「ん………ぅう、」

SYSTEM :
 いま起きるから、と身振り手振り。
 ぱちりと目を開けた彼女の、どこか浮足立った視線。

池田咲楽 :
「───うわ。何処、此処…?
 こないだよりは理解の追いつくトコだけど…」

池田咲楽 :
「…。颯はなんともない?」

三廻部 颯 :「あ……、うん、そっちは?」

SYSTEM :
 あなたの視線の先。歩いていく青年の姿を余所に、最初に確認したのは手を握る向こう側の人の話。

池田咲楽 :
「ごらんの通り。どっか痛むようでもないし、気にかかることがあるわけでも…」

池田咲楽 :
「いや、余裕であるけど、こっち来てからは別に…」

三廻部 颯 :「ん……」

三廻部 颯 :
「……町、っぽいよね」

 あたりを見回しながら、まだ見失っていないホオリの背を指さす。
 ここがどういうところなのかは、前回の時に伝えられたはず。
 私は先に立ち上がって、咲楽を起こすように引っ張る。

SYSTEM :
 ぐい、と起き上がる咲楽も、つられて彼の背中を見る。
 見失わないというよりは、きちんと歩いているのに、追うまではそこで止まっているようにも見えた。

 あるいは…そう…。
 村の時と同じように…。
 彼にとって、この街並み自体はさほど記憶に刻むものでもなかったのか。

池田咲楽 :
「町にしちゃ古いけど…前の最後の時は、お兄さん探しに行ったんだっけ?」

三廻部 颯 :「うん、……海から戻ったね」

池田咲楽 :
「その時に見えた町並みと比べると、此処のはちょっと大きい…かな。
 どのくらい探して回ったんだろう」

池田咲楽 :土地勘ないとか?

三廻部 颯 :
「……わかんない。
 けど……そんな簡単じゃなかったのかも」

三廻部 颯 :
「ここがそんなに記憶に残ってないなら、
 他もそういう場所ばっかなのかもしれないけど……とりあえず、追っかけよっか」

池田咲楽 :
「ん。一先ず行くところまで行けば、あの時は元のところに帰れたよね」

池田咲楽 :
「…あれ帰れたっていうにはだいぶホラー極まってるから、今度はないといいんだけど…」

三廻部 颯 :「うん……制限時間でもあるのかなあ」

三廻部 颯 :
「……いや、今度もホオリさんは出てくると思うんだ。
 どうも、あれが、記憶を見ることを"中断"させてる感じがする」

池田咲楽 :
「なにそれ、見られたくないみたいに?」

三廻部 颯 :
「そんな感じかも。
 あるいは……」

三廻部 颯 :
「私たち、異物みたいな扱いなのかも」

SYSTEM :
 冷静に状況を整理するようにつぶやくあなたの言葉に、咲楽が、むー、と唇を尖らせる。

池田咲楽 :
「颯も私も、こっちだって好きで来たわけじゃないのに…」

池田咲楽 :
「というかあの時の鬼みたいなのも、あの仏頂面のひとなんだ。呼んでたけど。
 ………」

三廻部 颯 :
「それは〜……そう」

三廻部 颯 :
「……あ、うん、……そんな感じ」

SYSTEM :
 その背中と、ただ町並みをあるく先が何処を目指しているのか。彼の言葉を借りるなら、いつまでも、その男が探しているのは“兄”なのだろうけど。

SYSTEM :
 ………ふっと咲楽が空いた手を胸の上に当てる。思うところのある態度を余所に、ちょいちょい、と軽く颯を引っ張った。 

池田咲楽 :
「とりあえず後を追うのはサンセーだけど…。
 なんだか話し声しない? 気のせい?」

SYSTEM :
 ざわつきの中から拾える言葉は、概ね他愛もない、当時の時代の言葉択びがせいぜいだが。
 その中に、概ね“そういう意味”/ホオリの姿に向けられた言葉、陰口か噂話なのだろうと取れるものもあった。

 追いかけている間で、とりあえず聞きたいぶんは勝手に聞けそうだ。

三廻部 颯 :
「───」

三廻部 颯 :
「……全部"悪口"なんだよ。
 最初に見た夢でもそうだった」

記憶の声 :
『あな 心地悪し 心地悪し───』

『童が我等より力こはく、丈夫なるなど』

三廻部 颯 :
 きっと、彼は。

「言われたことは……覚えてたんだろうね」

 ゆっくりと足を前に進める。
 声は、聞いても意味がない。きっと。

指すような声 :
『あれなる者を見よ、知りたるものか?』

指すような声 :
『怪しげなる宮仕の若者…。
 京の名高き陰陽師殿の誘いを辞したとも、京いちの兵とも音に聞こえしものだが、いずれも不確かなり』

指すような声 :
『だが宮仕の若者、時に輩伴って町を行き交うと識る
 あれなる者は常に一人ぞ』

SYSTEM :
 どこ吹く風とばかりに道を行く青年を、誰かが指さして告げる。

 ひとりでいない時のない男。
 彼が旅路の中で、どのように歩んだかまでを伺い知ることは出来ないが、少なくともあの時絶たれた記憶の直後ではない。

 それなりの時間が経って…。
 文字通り「食う」と「寝る」に困窮しない方法を探す必要もあって…。
 それが一通り保てているから、彼は生きているのだろうが…。

SYSTEM :
 そこに親しき人間の姿は、ないように見える。
 あるいは、ひとを隔てた技の使い手、ひとを隔てた力の持ち主が、“気味が悪い”と言われずに溶け込むなど出来るはずもないということなのか。

SYSTEM :
 ………それを耳にしながら先を行けば、そのうち風景が、在り様を変えていく。
 町並みから、やがて、時代劇やその辺の大河ドラマで見るような古めかしい建物へと。

SYSTEM :
 そこで今度は青年の前に立つ若者たちが、彼を囲んでいた。
 そのまなざしは奇異や侮蔑の類ではなかったが、しかし…。

若者の声 :
『ああ、天晴なり天晴なり!
 音に聞こえしあれなる化外、道真公の遣わし妖魔をひと太刀と聞き挟んだ次第!』

若者の声 :
『流石なりホオリノミコト殿!
 検怪いちばんの兵で候はんずらん』

SYSTEM :
 ………彼がそっけない/素朴な飾らない応対をする風景を、追い掛けた先のこの場であなたたちは聞いていた。

 専門的な話は分からないが、何を言われているのかは概ね分かるだろう。
 それは陰口の類ではないが…。

SYSTEM :
         ・・
 陰口の類ではないだけだ。

 それは敬いではあるが、親しみではない。
 己の側についた、己ではどう頑張ってもたどり着けないものへの…過度で隔たりのある礼賛の形。

三廻部 颯 :
 強いというのはそれだけで人を遠ざける。
 命の奪い合いでなくても、スポーツの世界でもそれは時折起こりうる。
 人は他人を羨む生き物で、他人が自分より優れていると、羨んで、妬んで、遠ざける。
 颯はそれを一身に受けたことはないが──そういうことが起こることを、知っている。

「……」

三廻部 颯 :
「……ホオリさん、どこにいっても、独りだったんだ」

三廻部 颯 :
 ふと、思う。
 独りを厭がる声。音。心のすべて。
 私も──形と違えど思ったこと。

「……なにそれ、……淋しい、だけじゃない」

SYSTEM :

SYSTEM :
 その感想は。
 程度こそ違っても、咲楽も同じだったらしい。
 眉下げて、言葉を零すあなたの袖をぐい、と引っ張る。

池田咲楽 :
「聞かなくっていい」

三廻部 颯 :「……、わかってる」

池田咲楽 :
「この人だって、まあ…。
 友達作ろうとしたのかは知らないけど…なりたくてなったんじゃないだろうし」

池田咲楽 :
「………あと、失礼かもしれないけど。
 最初から最後までこうだったら………」

池田咲楽 :
「ごせ………ホオリさん………だって。
 颯がたまにいうような優しいこと、しなかったでしょ」

SYSTEM :
 それは彼女なりの、それなりに感情移入の様相を醸し出した颯への気遣いだったのかもしれない。

 何処かで───というより、あの海の中で少なくとも一度は確実に───独りじゃなかった時があり、独りじゃない家族の繋がりがあるから、彼はこれをどこ吹く風にしているのではないか、と。

三廻部 颯 :「……」

三廻部 颯 :
「……、そう、かもね」

三廻部 颯 :
「まあ……、海の底で会った時も、
 そんなかんじだったし」

池田咲楽 :
「でしょう?」

池田咲楽 :
「…それにしたってこの人も、お兄さん探しで何処に寄ってるんだって感じだけど。
 なんか、話の感じからして、全然関係ないことの手伝いしてない?」

三廻部 颯 :
「……断れないんじゃないかなあ」

三廻部 颯 :
「あるいは───……」

池田咲楽 :「あるいは?」

記憶の声 :
"その者に、裏表など非ずよ。"

三廻部 颯 :
「……困っている人がいたら、助ける。
 ・・・・・・・・・・・
 そうしたいと思ったから、なのかも」

SYSTEM :
 それはきっと正しい。

 彼は打算や切欠のために、その腕を振るったのではなく。
 断じて、生き抜くために相対する獣の強さを持っていたわけではない。
 己の居場所が“そこ”なのだと定めることもしていない。 

池田咲楽 :
「たまたま困ってる人が目の前にいたから…。
 そうすることにしてきた、みたいな」

池田咲楽 :
「たまーに颯が話してたロープレの…。
 勇者さんみたいな感性してるね、それ」

三廻部 颯 :
「……うわー、なんか言われるとそれっぽい」

三廻部 颯 :
「……なんか、そういう人のアンチテーゼの作品とかあったなあ。
 現実がこうだとは思わなかったけど」

池田咲楽 :
「事実は小説より何とかって言うじゃん?
 “ナントカ”の度が過ぎるけどさ」

三廻部 颯 :「まあ、ねえ」

三廻部 颯 :
「……ここで大事なのは多分、どこにいっても独りだったこと。
 本人のせいとか、そういうのは、まあ、さておいて……」

池田咲楽 :「………」

SYSTEM :
 つん、と。
 あなたの眉間へ小突くように人差し指が当たる。

池田咲楽 :
「ちょっと眉間に皺寄ってる」

三廻部 颯 :「あう」

池田咲楽 :
「ま、とりあえず追っかけてみよ」

三廻部 颯 :「うん」

池田咲楽 :
「私も、気になんないわけじゃないから。
 この人のことと、あと………」

三廻部 颯 :「あと?」

池田咲楽 :
「海の底のあの人…なんだけど、」

池田咲楽 :
「いない時に考えてもしょうがないしね。今はそういうことにしとく」

SYSTEM :
 そこで咲楽が軽く首を横に振ったのと、ホオリがまたどこかに歩き出すのは同じだった。

SYSTEM :
 またどこかに歩き出せば、風景が切り替わる。
 一日の中ではなく、長すぎない程度に長い時間。日が昇り、沈むものの繰り返しの中で…。

 兄と、兄のいる村を探す傍らに、彼はいろいろなところを歩いたらしい。 

SYSTEM :
 屋敷から、森の中。
 森の中では、周囲の者達が見守る中、剣が閃く。

 技のかたちは、骸だった時よりずっと鮮やかだ。
 圧し潰すような重みとは無縁で、
 叩き切るような乱暴さとも無縁。

 あなたが今まで見て来た『斬る』のどれにも該当しないような。
 生まれた時から棒を振っていたような人間の一振り。 

SYSTEM :
 そうかと思えば森の中から、今度は未だ見慣れない町並み…。
 そこで荷運びを手伝う姿がある。

 かけられている言葉と、応じる言葉からして、恐らく出会った“ばかり”の相手だろう。
 親切の礼も求めず、親切の意図すらなかったらしい。

SYSTEM :
 感謝が全くなかったわけでもないし。
 憧憬や信用がなかったわけでもない。

 ただ彼の旅路や、時として立ち寄った”検怪異使”たちと肩を並べた戦い。
 人生を凝縮したような風景の切り変わり。カメラのフィルムを順番に眺めるような行き先の中で、ずっと変わらないことがあったとすれば…。

SYSTEM :
 彼という人間に、上も下もないような繋がりがあるとしたら、海の底のひとりきり。
         ・・・
 いいや、それを「ひとり」と呼んでいいのかも定かでないけど。

 基本、何処に行くにも青年は顔色一つ変えずの一人旅だった。
 
 自分の力がひとより隔てていて、それが“おかしい”ことを悟っているかのように。
 あるいは帰ると決めた場所があるからか。長くは基本、居着くことをしなかった。

SYSTEM :
 ………似たような人が、現代のどこかにいるけれど。彼女は厳密にはそのものずばりの“人”ではないし。
 そのがらんどうの大元に抱え込んだもの/あなたは知らないかたちの持ち主は、こんな裏表ない人間ではなかったけども。

 それは、ともかく。

SYSTEM :
 ………遡った古い時代。兄の面影を探す術などそうはない。

 地図などというのが発展しているのはずいぶん後のことだ。道行くもの、行き交う人々の話から、旅の到達点に近付いては離れ、近付いては離れを繰り返して………。

SYSTEM :
 そんな風景が続いた中…。
 ある時、ある町でのことだった。

SYSTEM :
 いつものように町並みを行き、また離れ…。

 それを繰り返す風景を、この短時間で見つめたあなたと咲楽だったが。
 追いかけたホオリの背中が………。

SYSTEM :
 ………今日/その時/この町ではなにか違っていた。

SYSTEM :
 三人ほどの恐らく“検怪異使”とかいうのの集まり。
 その者達の、人の輪や井戸端からずいぶん離れた話の中に、彼が自発的に首を突っ込んでいる。

SYSTEM :
 いつもの風景に似ているが、いつもと何かが違っていた。

三廻部 颯 :
「……???」

三廻部 颯 :
 市井の話に興味なんてないように、とんとんと場所を変えるホオリ。
 その彼からすると、何かおかしい──というより、微妙な違和感。

「……」

三廻部 颯 :
「なんか話の輪にいる……?」

三廻部 颯 :
 ちょっとした驚きとともに、咲楽の手を引いて、その集まりに近づいてみる。
 大丈夫、夢だし、どうせ見られてないし。

池田咲楽 :
「んっ、と、わ、颯、急にどうし───」

SYSTEM :
 くいくいと引っ張った彼女は、丁度違うところを見ていたらしい。
 はじめ驚いたが、輪に近付くにつれて、あなたにはその微妙な違和感の正体がついた。

SYSTEM :
 はじめの村…。

 鮮明に色が付くように残った風景と、
 曖昧模糊で断片的な風景があったのを覚えているだろうか。

SYSTEM :
 …この瞬間、この風景。
 今までのものが、どうも彼からしたら“なんてことのない普段”であり、特に覚えておくほど噛み締めておくものでもなかったとする。

SYSTEM :
 …この瞬間、この風景。
 ここから、町並、風景、彼が首を突っ込んだ話は、ずいぶん丁寧に、尚且つ『忘れがたい』ことの始まりだったようだ。

『青年』 :
『その話………。
 いまいちど、能く教え給う』

検怪異使? の声 :
『あなや 如何に其方の如し兵とて確かに非ざることでございます』

検怪異使? の声 :
『其は彼の陰陽師、安倍晴明さまが征伐に出向くほどの大怪異! 海より出でしそのもの、嵐となりけるもの』

検怪異使? の声 :
『その怪異、ここよりはるか遠し海沿う村に現れ…。
 水難とともに怨恨を振り撒くもの!』

検怪異使? の声 :
『宮中にてその所以、耳に挟めば曰く…
 あの…』

検怪異使? の声 :
 ・・・・
『道摩法師の仕業であると!』

SYSTEM :
 ………その単語の意味。
 言葉の羅列に、いかほどあなたが意味を見出したか。

 安倍晴明───平安最強最大の、少し齧ると藤原道長の次に記憶に収まる陰陽師と。
 そのライバル、二番手、概ね“悪の陰陽師”という風評と共に知られる男の名/道摩法師、またの名を蘆屋道満………そこについて識る機会、前者は少なくともよほど其方に詳しくないと有り得ない。

SYSTEM :
 ただ、大事なのは………。
 ・
 海から現れたという怪物という話題と、
 ・
 海から襲われたという村の話。

 ここから先が鮮明な理由は、ひとつだ。

『青年』 :
『村は何方にあらむか』

検怪異使? の声 :
『あなや いまより出向くとて甚だ遠し!
 着いたとて無謀にございますれば』

『青年』 :
『───二言言わぬ。
 何方にあらむか』

SYSTEM :
 …彼になんの根拠があったのか。

 海沿いの村が、故郷の村だという保証はないのに。
 海から出た怪物が、海に揺蕩う巫女を“どうした”も定かでないのに。

SYSTEM :
 有無を言わさぬ言葉は、
 その若い検怪異使から行き先を聞き出し………。

『青年』 :
『忝い』

SYSTEM :
 ………そこから彼は、明確に方角を定めて歩き出した。

 今までの長い旅路を行く、旅行きの歩き方とはわけが違う。

池田咲楽 :
「颯、あの人…ホオリさん、何処かに行くみたい───」

池田咲楽 :
「…じゃ、ない!
 なんか足取りが明らかに早い!」

SYSTEM :
 そこから先の足取りは。
 行くところを定めたもの。“今から行っても間に合わない”の道理を無視した強行だった。

SYSTEM :
 瞬きのうちに背中が遠ざかっていく。
 追うまで先に行かぬと分かっていても、追い掛けた傍から消えていくのではないかと思うほどに!

SYSTEM :
 ………それもそのはず。

 彼はいま、兄がいる“かもしれない”村を襲う、
 海から出て何かをした“かもしれない”ものの話を聞いて…。

SYSTEM :
 地上ゆいいつの縁と信じるもの…。
 海底ゆいいつの縁となったもの…。

 それの可能性に不安で、居ても立っても居られなくなっただけだからだ。

三廻部 颯 :
「……!!」

三廻部 颯 :
 走り出すのも当然だ。
 走ってる、というか、足取りが早くなって当たり前だ。
 ホオリさんが無愛想を極めてまで放浪していたのは、自分の故郷を探すためで。
 推定、その故郷っぽい場所が襲われているというのだから、そうもなる!

「……急ごう!」

三廻部 颯 :
 道摩法師……っていうのが誰なのかはわからない。
 記憶の中の出来事だから、ぼんやりとしかわからないし。
 話に聞いたアシヤマン?って人かもしれないけど、それを確かめる術はない。

三廻部 颯 :
 とにかく今は急げ!
 咲楽の手を掴む──よりも、おぶった方が早いと判断したのか、やや強引に背負って。
 あれやそれやと走り出す!

池田咲楽 :
「へ───わ、待って急に、」

SYSTEM :
 急にスピード出さないでえ! と。
 この島通算二度目の背負っている間のトップスピードに見舞われた少女/トモダチの悲鳴一つ。

 背負って走り出したその判断は追い掛ける分には正しい。腕をひいて引っ張ろうものなら、その前に咲楽の側が残念/大変なことになっていただろう。

池田咲楽 :
「追い付けるの!? というかなんで急に…」

三廻部 颯 :「色々!」

池田咲楽 :
「…いや、うん、なんでもかんでもないのか!
 分かってるけど短時間で二度のこの扱い!」

三廻部 颯 :「それはごめん!!」

池田咲楽 :「当てつけっぽくなってゴメンだけど大丈夫!」

SYSTEM :
 これであなたが重いとか言った日には彼女は”ラッキージンクス”もとい境耶の時の出来事とWパンチで立ち直れなくなっただろう。

SYSTEM :
 が、そんなことはともかく。

 あなたの全速力で追いつく…かと言えばそうでもない。
 あなた自身が背負う彼女を意識して無自覚にセーブしたか、あるいは単に、オーヴァード/検怪異使の者たちからも“異常”と恐れられたその若者が早すぎるだけなのか…。

 ただ、少なくともその背を視界に入れて離さぬことは出来た。

SYSTEM :
 やがて駆け抜けていく先。
 風景を見ている余裕などないかもしれないが、関所に森にと辿っていくにつれて、見覚えのある風景がいくつかあった。

SYSTEM :
 街道に始まり、

SYSTEM :
 木々や森を抜け。
 一目散に”その方角”と差された場所にひた走る。

SYSTEM :
 あなたが見た風景、だれかが通った風景。
 そもそもからして、
 先の断片的な旅路の中でもそのような形はあったけど。

 すべて、リュウグウジマの何処かで…。
 もしかしたら見覚えのあるような場所。

SYSTEM :
 せせらぎの音がする川も、
 虫や鳥の声が喧しくさえある林の内も。

 ………何度かの道を潜り抜けて、また関所へ。

SYSTEM :
 思うに、いや、既に薄々分かっていたことかもしれないが………。

 あなたが通って来た道/リュウグウジマで見た風景。
 件の島を作ったという”物の怪”の正体が彼ならば、その理由はなんてこともないのだろう。

 夢のかたちと、あの島のかたち。
 それを形造るものは、揃ってホオリノミコトと呼ばれた青年の記憶のかけらであるならば。

三廻部 颯 :
 違和感に次ぐ違和感。
 既視感に次ぐ既視感。
 
 考えれば辻褄なんてすぐに合う。
 何度も何度も駆け抜けるたびに、見たことのある風景だけが続く。

(……やっぱり───)

三廻部 颯 :
 あの島と、この夢は、
 ……同じなのだ、きっと。

三廻部 颯 :
「……っもう! 早く気づけばよかった!!」

池田咲楽 :
「った、わ…気付くって! 何を!」

池田咲楽 :
「…いや、ひょっとしていま突っ込まない方がいいコレ!? 揺れ───」

三廻部 颯 :「後で説明する! っ────」

SYSTEM :
 道なき道も、敷かれた道も。
 
 現代でやってしまえば一瞬で今まで数多のUGNエージェントたちが苦労と努力の末維持してきた薄氷を全力で踏み抜き粉砕していく速度と見境のなさで、青年が駆けていく。

 人間にはまず不可能だろうと言い切られる距離であり。
 あるいは辿り着いても、間に合わない可能性すらあると釘を刺された行く先であるが。

SYSTEM :
 ………追い掛ける背中を見る限り、そんなことは概ね彼にとっては気に掛けることでないようだった。

 やがてその旅路も、空の雲行きがあやしくなり、見覚えのある風景に近付いていく。

SYSTEM :
 果たして───。
 その懸念は正しかった、ということだ。

SYSTEM :
 水難という言葉で生温い荒れ模様の海と村。
 豪雨/あなたたちの身に打ち付けるわけではないが、青年の身から熱を奪うほどの水の流れを前に、

 彼は村に乗り込むでもなく、
 兄に会おうとするでもなく。

SYSTEM :
 その嵐の根幹へと赴いた。

 ………そこに荒ぶる怪異と、その天辺にて猛る男。
 悪名高き蘆屋道満!

SYSTEM :
 彼は嵐に呑まれ覆った船、
 未だ嵐に呑まれず行く船、
 それを勝手に飛び乗り継ぐようにして、あなたの視界から遠ざかり。
 そのあなたたちも、いつのまにか、走っていたはずが、後者の船に居座っている始末だ。

SYSTEM :
 ………それはつまり。
 荒ぶる大怪異と、それを然る男に嗾けた蘆屋道満。
 そして然る男、京の守り人たる安倍晴明。

SYSTEM :
 しかしその宿縁なぞ、
 ・・・
 知らぬとばかりに詰め寄ったホオリが───。

 如何に、そこでの戦いを…。
 今までよりはずっと鮮明に“覚えざるを得ない”ものだったのかを示すほど、細やかな記憶のかたちだった。

SYSTEM :
 走って追いかけて、気付けば嵐の海に揺れる船の上。
 あなた以上に、背負われた彼女にとっては何がなんだか、てんてこ舞いだ。
 しがみつくようにしたその手は加減もお構いなしだが、
 それがあなたにとって痛く感じることは当然なく……。

 そもそも仮に痛みを感じる程度に咲楽の力があったとて、それを気にしている暇はあるまい。

SYSTEM :
 すぐに、あなた/颯は気付く。
 いや、あなたと咲楽はすぐに気付く。

池田咲楽 :
「───颯、」

池田咲楽 :
   ・・
「………アレ…!」

SYSTEM :
 努めて平静に振る舞おうとしている少女の声が、あなたに指し示したもの。
 嵐の海に居座る、荒ぶる波のあるじ。

 空を飛ぶ───子供のころ誰もが想う魔法と空想のかたち。
 それを成し得て嘲笑う、外道を征く陰陽師の傍ら。

SYSTEM :
 それが蛸だったのか、烏賊だったのか。
 もっと別の奇妙な生き物だったのか。
 なんだって構わない。ある意味怯える必要もない。
    ・
 これは夢だ。
 誰ぞの記憶の頁を捲り焼き付いてきたものに過ぎず、あなたたちに害が及ぶことはないけれど。

SYSTEM :
 その揺れと、眼前の異様に───。

 双つ並び相対する陰陽師、
 片方の男の傍で荒ぶるものの姿に…。

大怪異 : 

『蘆屋道満』 :

「は───」

『蘆屋道満』 :
「は、は、は、は、は、は!
 暗し者めが安倍晴明! 晴明! 晴明ィ!」

『蘆屋道満』 :
 ・・・
「たかが百鬼夜行と“たか”括った、己が弛みを思ひ嘆くさまを見赦そう!
 これなるは海底より出でし大怪異…否々! 物の怪のものどもとは“道理”が違う!」

『蘆屋道満』 :
「我が牙にて濁りし海の守り神、その堕したひとかけら、それにて取り込みし海の使い!」

『蘆屋道満』 :
「斯様なる海で………挑みたる全て………。
 貴様とて敵に非ず! だのに───」

SYSTEM :
 過ぎ去った記憶の“あと”であろうと、
 ゆめまぼろしとは思えぬ大質量。

SYSTEM :
 ・・
 アレとだけでも声を出したのは、気にしないでいいと伝えたかった、無力な足手纏いの意思表示。
 これが実際に居たのならば、手に負えまい。もしかすると、そこに無遠慮に飛び込んだホオリでさえも。

 ………それが、焼き付いた残影だというのに確かに伝わる。それくらいには鮮明で、鮮烈で。
 ・・・・・・・・・・
 負けてはいけない戦いだったらしい。彼にとって。

三廻部 颯 :
 怪獣大戦争の中にでも迷い込んだような空想の世界。
 絵空事と笑いたいけれど、これは記憶の夢──彼が見てきたものなのだ。

「っ──……」

 ぎゅっと手を握って、意思表示を受け止める。
 というか私だって無理だ、あんなの!

SYSTEM :
 さっきまで、とか、おかしい、とか。
 こんなことある、とか。

 一生分言うだけ言いたいところかもしれないが、そんな余裕はないだろう。

SYSTEM :
 そしてこの時、この場所で。
 誰が時代の先頭を歩いていたのかというならば、それはホオリノミコトだ。
 違ったとしても、笑う陰陽師と相対し、空を我が物顔で舞うもう一人の陰陽師くらいのものだから、あなたと彼女の反応をお構いなしに事が進む。

SYSTEM :
 …その怪異の元で勝ち誇るようにも、これから怒る前触れのように言葉を紡いでいるようにも見える人物を、あなたは知らない。
 それが“蘆屋道満”で、もう少し胡乱な呼び方をされていた人物であることを。

 その、“蘆屋道満”。
 上機嫌に振る舞っていたのかと言えばそうではない。
 彼は、記憶の頁の番人のように巨きくも分厚くもない、ただ一振りの刀“だけ”を携えて己に迫るものへと、怒りを交えて声を張り上げ───。

『蘆屋道満』 :
   ・・
「───貴様は何ぞ!」

『蘆屋道満』 :
「暗し者がぞろぞろと! 殺し損ねた検異の者か!
 無為と分からぬか! 不足と知らぬか!」

『蘆屋道満』 :
「我が敵たるもの、我が対等たるもの!
 これなる先にも後にも晴明のみ!」

『蘆屋道満』 :
「───死ねい!」 

SYSTEM :
 生涯───。
 まっとうに生きていては浴びることのない横殴りの殺意。

 ただ彼にとって越えるべきものに割り込んだ“無粋”に炸裂する、掛け値なしの殺意の塊。

SYSTEM :
 ───叩き付ける大海嘯。
 海の大怪異の渾身が炸裂する。

 文字通り耳をつんざくような、水が水を叩きつけるが如き音。

『蘆屋道満』 :
■メイン:五行相侮・土虚水侮
 Passive:????
 Major:《CRブラム=ストーカーL?》《紅の刃L10?》《砂の刃L10?》《封印の呪L?》
 Minor:Empty
 Auto:《砂の加護L?》《砂塵霊L?》
 
 判定:26dx7+25
攻撃力:xd+46

『蘆屋道満』 :26dx7+25 (26DX7+25) > 10[1,1,1,1,2,2,2,3,3,3,4,4,4,5,5,5,5,5,6,6,6,6,7,8,10,10]+10[2,3,7,9]+10[8,9]+10[6,7]+1[1]+25 > 66

『青年』 :
■オート:ヤマサチノタテ
 Auto:《斥力障壁L5+1》《レネゲイドウォールL5》
・受けるダメージを[1d+25]点減らす

『青年』 :1d10+25  (1D10+25) > 4[4]+25 > 29

SYSTEM :
 船が転覆せず、沈まない理由など定かでないけど。

 こんなものがそこらの船に叩き付けられたら、一瞬で海水の底に真っ逆さまだ。
 その所以をあなたたちは識ることもないし、説明する必要性も薄い。

SYSTEM :
 青年が。
 ホオリノミコトが。
 それを真っ向から───登り、いなして。

『青年』 :
■メイン:ウミサチノホコ
 Passive:????
 Major:《CRバロールL3》《巨人の斧L3》《黒星の門L5》
 Minor:《ダークマターL5》《過剰収縮L5》《因果歪曲L3》《斥力跳躍L2》
 Auto:宣言なし
 
 判定:20dx7+40
攻撃力:xd+45

『青年』 :20dx7+40  (20DX7+40) > 10[1,1,2,2,2,3,4,4,5,6,7,8,8,8,8,9,10,10,10,10]+10[1,3,3,4,6,7,7,8,10,10]+10[1,3,7,7,9]+10[3,9,10]+10[2,10]+6[6]+40 > 96

『蘆屋道満』 :
■オート:五行相剋
 Auto:《形代L1》
・受けるダメージを[3d]点減らす

『蘆屋道満』 :3d10  (3D10) > 24[7,8,9] > 24

SYSTEM :
 ───叩き斬る。

『青年』 :
「汝に告げる要無し。ただ…」

『青年』 :
「この先にも後にも、おまえをやるまいぞ」 

『青年』 :
「六銭携えよ、陰陽師。
 常世に送ってくれる」

『蘆屋道満』 :
「ほざけ───」

『蘆屋道満』 :
「ほざけい塵芥!
 この蘆屋道満を前に六銭と申すか!」

SYSTEM :
 一対一。いいや。
 海の怪異と“もうひとり”が、ホオリノミコトと蘆屋道満と名乗るものが。

 文字通り、“けた”の違う争いを続ける。

SYSTEM :
 青年は傷付いて、そのたびについた傷を拭う。
 刀ではどうにもならないものを、“どうにか”してしまう度に払った対価は少なくない。

 ………あなたも何度か経験しただろう。
 死ぬと分かっているものを“死んでたまるか”で押し返すこと。自分の中での“これは無理”を、無理ではなくすること………。

SYSTEM :
 島で見て戦う事の出来る誰もがそれをしたし、彼も同じだった。
 多いか少ないか、良いか悪いか。どんな名前でどんな思いかが違うだけで、彼も“理由”はそう変わらない。

 同じだからこそ、分かる隔たりもまたある。

SYSTEM :
 あなただけではない。

 あなたの手を払った“彼女”だって、
 逆立ちしてもこんな出鱈目は出来まい。

三廻部 颯 :
 唖然。
 声も出ない。

三廻部 颯 :
「なに……これ……」

 隔絶した世界を目の当たりにして、思わず声が出てしまう。
 けれど、どうして、そこまで? 体に刻まれていく傷が増えているのを見るたびに思ってしまう。

SYSTEM :
 背負ったままの少女もまた、声が出ないのは同じだが、違うのは唖然の一歩先なこと。

 背中越しに手の震えが伝わる。
 抑えようとしても残るもの。直に浴びたならば、そんな葛藤や恐怖などより先に意識を手放していようか。

SYSTEM :
 振り返ることはなかっただろうし、彼女は彼女であなたを振り返らせようとしなかっただろうけど、彼女の視線はずっと同じところを向いていた。

 海の大怪異などと呼称された、蘆屋道満が曰くそこいらの『物の怪』とは道理も話も違うという化外だ。

SYSTEM :
 血肉のみならず、魂を削るような戦いは。
 旭日が昇って沈むほどに長く。
 しかし、そんなことを感じさせないほどに短く。

 怪異を”もうひとり”が封じた瞬間を見計らって───。

『青年』 :
「───!」

『蘆屋道満』 :
「ぬう───!」

SYSTEM :
 嵐雨を切り裂いて。

 海底の姫巫女から譲り受けた一振りが唸りを上げる。

SYSTEM :
 あまたの術を駆使し、血を持って無限の従者を操り。
 あなたのように、雨粒一つからすら無数で多様の矛と盾を作り出す“モルフェウス”のちからを駆使した道満であったけど。

 一呼吸の間合いに近付かれてしまえば。
 彼がさかしくも3手を講ずるより、その一振りが彼を断つ方が早かった。

『蘆屋道満』 :
「ぬ、お、お、お、お、お───」

『蘆屋道満』 :
「───うおおおおおおおおおおっ!!!!」 

SYSTEM :
 雲を突き破るような断末魔が木霊する。

 一刀。
 あからさまに”不利”極まる海上で、のちの世の『八艘』ほどではないけれど、神業であることに違いはない、足運びと剣の技が。

 歴史の何処にも書かれず、ただ“その時には”既に悪党であったものにトドメを刺した。

SYSTEM :
 いや、トドメというには厳密には異なる。

 なおもひと足掻き。
 塵のように消えていく“蘆屋道満”が、全霊の恨み節を音に零す。

『蘆屋道満』 :
「おのれ…おのれ!
 斯様にして”掠め”し海の珠使えども!」

『蘆屋道満』 :
「斯様にして染めあげしもの遣えども!
 ………此度は貴様ですらなし者に! 我が! 道満が!」

『蘆屋道満』 :
「晴明! 晴明! 晴明ィ!
 ───そしてそこなる小僧…あな憎し、火出の小僧!」

『蘆屋道満』 :
「この怨み………」

『蘆屋道満』 :
「───決して忘れぬぞッ!」 

SYSTEM :
 恨み節が、空に木霊する。
 未だ嵐止まぬ空と海。

 鎮められた大怪異と下に見下ろし。
 “もうひとり”と青年だけが残る。

SYSTEM :
 ………顔色一つ変えずとも、じっと見るにはあまりにも凄惨で、二度目があればどちらに天秤が傾くかも定かでない戦い。

 通せば、自分を育てた村が───。

SYSTEM :
 たとえ、おまえなど兄弟ではないと怒り狂っても。
 それまでは兄であり、己は今でも兄だと思うものがいる/いた村が滅ぶと。

 ただそれだけの理由でやって来て、
 それを理由の一つに死を跳ね除け続けた…。

 青年にとっては、生涯最後の戦いだった。

三廻部 颯 :
 揺れる。揺れる。揺れる。
 風と雨が吹き荒れる中で、私は目を奪われていた。
 それは憧れでもなく、奇異の目でもなかったけれど、ないまぜだったものなのは間違いない。

「──……」

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「…………」

三廻部 颯 :
「……ホオリ、さん───」

SYSTEM :
 ───雨が止む兆しもなく。
 潮が引く兆しもない。

 嵐の中で、青年が怪異に手を伸ばす。
 海の姫巫女から、おのれとの繋がりとして賜ったというひと太刀を握って。

 怪異は───。

池田咲楽 :
「………海、に」

池田咲楽 :
「海の、底に。
 はじめに夢を見た時に居た、見えなかったやつだ、アレ」

池田咲楽 :
「わかんないのに、わかる…」

SYSTEM :
 意味のないことを諫めるようにも、哀れむようにも、引き留めるようにもしていた。

 青年が目で識ることの出来なかった、海のほのかな光。
 全てではなく、一部だったことまでは、彼女に分かる由もない。

 分かっていい理由のない彼女には。
 そして………。

池田咲楽 :
「さっきのご………ホオリさん、と言い。“わからない”とか、“おかしい”とか、一生分言ったし、言う気がす、る───」

SYSTEM :
 しがみついたまま、根幹が失せた今、少しずつ収まっていった震えの残りを背中で感じながら、あなたがそれを見るのと、咲楽が唖然とするのは同じ瞬間だった。

SYSTEM :
 ───鎮めて、海に浮かぶ大怪異。
 それが姿を解れさせ、なにかに戻っていく。

 あの海底にいたのだろうけど、見えなかった、海の仄かな光たちに。
 その中心に───。

SYSTEM :
 あなたは。
 人を見た。

 海色の髪をした。
 彼を送り出した姫巫女の、ふわりと浮いた姿。

SYSTEM :
【Check!】
 蘆屋道満がEエフェクト『鮮赤の牙』を解除しました。
(※過去の出来事のため、使用回数等に影響はありません)

三廻部 颯 :
 わからない。
 おかしい。
 当たり前の反応。

 "わかんないのに、わかる"。
 私の背筋に冷や汗が滑り落ちる。
 私のようなケースもあるけれど──オーヴァードが自然発生みたいな感じで覚醒するとか、あるのだろうか。
 ……そういう兆候? ……そんな、わけ。

三廻部 颯 :
 でも、そんな懸念と不安を吹き飛ばすように。
 海の中に沈む大怪異が収縮し、何かに戻る様を見た。
 それは───、……。

三廻部 颯 :
「───……!!
 う、そ……でしょ……? なんで───」

三廻部 颯 :

 あの時見た。
 あの時聞いた。
 ……、あの、女の人。

「そんな──」

SYSTEM :
 そして。
 海の解れた光から出てきた女を。

 あの首飾りを───。
 ・・・
 塩満珠をつけた、姫巫女を。
 青年が、海面で抱え、船に降りる。 

SYSTEM :
 知っている顔だ。

 ひとめ見て分かるほどに美しく。
 人とは決定的に隔てている、
 海底にて唯一無二の、海の巫女。

 それを扱う素質持つものが。
 面をあげる。

『青年』 :
「………」

『青年』 :
「重ねて会うこと…
 心ゆも思はぬ間であった」

SYSTEM :
 淡々とした言葉使いだが、
 彼にしては饒舌で迂遠でもない一言。

▇▇▇▇▇▇▇ :
 ええ 久しく
「─────────」

▇▇▇▇▇▇▇ :
 会えて 嬉しいわ
「────────」

▇▇▇▇▇▇▇ :
 ここで長くいられなくとも
「─────────────」

▇▇▇▇▇▇▇ :
 いつかは帰らなくてはいけないとしても
「──────────────────」

▇▇▇▇▇▇▇ :
 ありがとう
「───────」

▇▇▇▇▇▇▇ :
持っていて くれたのね
「──────────────」

SYSTEM :
 彼女が、笑いかける。
 まこと、すべてが“喜ばしい”と振る舞うには、すこしばかり寂しげに。
 その珠に…ホオリの首にかかるものへ、手をかける。

SYSTEM :
 …荒ぶる嵐。満ちる潮。
 村を襲う水難は、自然に起きたものでない。

SYSTEM :
【Check!】

 Dロイス『遺産継承者/海鳴の石板』の使用が確認されました。
 所有者:▇▇▇▇▇▇▇

SYSTEM :
 嵐が引いていき、水が引いていく。

 荒ぶり怒る空と海が、嘘のように凪いで。
 静まって。

 ………見覚えのある遺産の、見覚えのない使い方。

SYSTEM :
 ないはずの“御守り”を探すように、あなたのトモダチが片手を離して、すぐに戻す。
 ………その様子を余所に、それを見ていた“もうひとり”が言葉を投げかける。

『青年』 :
「異しこと承知にて申し上げる」

『青年』 :
「彼女が帰りし時まで…。
 手出しなきよう、目を瞑り給ひてむや」

SYSTEM :
“もうひとり”は、それに頷いたけど。
 古めかしい言葉で、たぶんこんなことを言った。

SYSTEM :
『彼女を連れて村に戻るなら』
『きみはたぶん後悔するよ』と。

 聞いたことも見たこともない声と振る舞い。
 穏やかな言葉択びは、しかし本気で止めるつもりだけはなかった。

SYSTEM :
 止めようとしてもそうなるだろう、と。
 青年が何事も言わなかったから、彼は穏やかに首を振って。

 せめて“つけこむ”ものがないように、と、するような言葉を残した。

『青年』 :
「忝し」

『青年』 :
「汝に仕む道、望まざることを…。
 どうか赦し給え。安倍晴明」

SYSTEM :
 止められないのは当然だった。
..  ロイス
 彼の理由はふたつしかない。
 そこまでは、あなたも何となくわかっていることだ。

SYSTEM :

 そして、これはあなたも知らないこと。

SYSTEM :
 彼には。

 帰る場所と、残して来た“つながり”しか。
    ・・・
 ■■■のさだめから逃れ得る要石はない。
 それがなくば、何処かで“野垂れ死に”をしていたとしても。

SYSTEM :
『どうか 終わる時まで胸を張りなさい』
『短くても長くとも』。

 たぶんそんなことを、安倍晴明などと呼ばれた男は残した。

SYSTEM :
 ………きっとまた、風景が変わるだろう。

 次は、村に帰る時だ。

三廻部 颯 :「……咲楽」

三廻部 颯 :
「……大丈夫? 
 ……すごい人だね、ご先祖さま」

池田咲楽 :
「………………」

池田咲楽 :
「大丈夫かな…わかんない…。
 …」

池田咲楽 :
「あれ、うちの、御守りで。
 いま、何かしたら、雨が止んで、潮がひいて……」

池田咲楽 :
「………私も、それを、使えて…?」

三廻部 颯 :「……ううん」

池田咲楽 :
「…こういうの、喜んでいいの?
 …“すごい人”で終わらせていいやつなの?」

SYSTEM :
 あなたの「ううん」に、彼女が眉を下げている。それは不服とかそう言う感情ではない。
 少し参っているが、心の底からってほどでもない。

三廻部 颯 :「……、それは───……あう……」

SYSTEM :あなたの言いよどむ仕草が、たぶん必死に言葉を択んでいるのだと分かると。彼女は、背越しに言葉を紡いだ。

池田咲楽 :
「…ふふ」

池田咲楽 :「ごめん、困らせた?」

三廻部 颯 :「……こういう時なんて言えばいいかわかんなくて」

池田咲楽 :「それ本人に言うとこが颯で安心した」

池田咲楽 :「…帰って来てから変に落ち着いてたし。なんかあったんじゃないかとは思ったんだけど」

三廻部 颯 :「あぐ」

池田咲楽 :「いや、いま落ち着いてないのは私の方かな」

池田咲楽 :「………私がさ。ひょっとしたら、私が………」

SYSTEM :
 
 ここに颯を連れて来た原因かもしれない、と。

 ごめんね、の理由が半分くらい顔を出す。
 少なくとも人ではない現れ方と所以をした者が、たぶん”ご先祖様”の片割れだからだ。

三廻部 颯 :
「……もう!」

三廻部 颯 :
「そういうの、ナシ!」

池田咲楽 :「わ───」

池田咲楽 :「わ、う。………」

三廻部 颯 :
「あのね、仮にそうだったとしても。
 そんなの咲楽にはわかりっこない話じゃん」

三廻部 颯 :
「わかりようのないことに責任なんてないよ。
 後悔はしても何も始まらないの、してどうにかなるもんでもなし!」

SYSTEM :
 ・・・・・
 わからない、がぶり返した彼女が。
 耳元であなたの“いつも”のようにした声色を聞いて押し黙る。

 きっと約束通りだ。

池田咲楽 :
「ホントに…イーブンだ」

池田咲楽 :
「ただ、ごめん。追い掛けるまでの間でいいから…。
 背中貸しててくれる?」

三廻部 颯 :「お安い御用!」

池田咲楽 :「………さんきゅ」 

SYSTEM :
 振り返らずとも、なんとなく強がって笑ったのが分かる。

 ぽつぽつと零した言葉と、ちょっとだけ湿気った感触。
 参っていない、のは間違いなくウソだが。そこで、少し前のあなたと同じような甘え方をしてきたのが、信頼の現れでもあった。 

池田咲楽 :
「………自分は自分、それで終わりだと思ってたし。
 漠然と“遠い”で片付けててさ」

池田咲楽 :
「うちの事情も、なんとなく…。
 “そんなもんでしょ”で片付けてた。片付けられると思ってた。離れられそうになかったし」

池田咲楽 :
「ただ、思ったより…。
 生まれ育ちがどうこうっていうより…」

池田咲楽 :
「………それが原因で、あの時一人にしないでくれた颯が泣いた“かもしれない”の。
 案外、きっついなって。思いかけちゃった」

池田咲楽 :
「あれも、けっこうイーブンなんだよ」

SYSTEM :
 一人になりたくない、を。
 
 “そんなもの”で遠ざけていたし遠ざけられたし、家の事情も“そんなもの”で受け入れた、ちょっと醒めた感性の子供の。
 世界の狭い/隔たりと一緒の子供の、背中越しのちょっとした本音と弱音。

 沈み切っていない声は、後で悔やんでも始まらないからと置いていく序での吐露。

SYSTEM :
 答えても、答えなくてもいい。
 ただそれが、あなたに預ける/本当に、たまに聞くような心のかたちってだけだ。

三廻部 颯 :
 支える手が、少し強くなる。
 漠然とした遠ざけは、あくまで、"そんなもの"があったから。
 一つ剥がしてしまえば、この通り。
 ……だから、私は咲楽の友達でいられる。
 
「でも、泣いてすっきりした」

三廻部 颯 :
「それは咲楽がいてくれたからだよ。
 ありがとう───ほんっとに、ありがとう」

三廻部 颯 :
「……だから、また"きつい"って思ったら。
 私が胸を貸したげる。それでおあいこね?」

SYSTEM :
 背中越しに、またぽつりと雫が落ちる。
 止んだ雨のまぼろしが、あなたに当たったわけでもない。
 言うのはあまりにも無粋だ。

池田咲楽 :「おあいこね。うん」

池田咲楽 :「それでいい。それが…いいな、私も」

SYSTEM :
  颯
 あなたの名前を、あなたの友達が一度呼ぶ。

三廻部 颯 :
「うん?」

池田咲楽 :「ありがと」

三廻部 颯 :
「……うん」

SYSTEM :
 ………敢えて語るなら。
 
 三廻部颯と池田咲楽には決定的な違いが一つあって。
 池田咲楽とホオリを名乗った青年の“これから”には、決定的な共通項があった。

 ただ、それは“なんとかできる”違いだ。
 あなたのお陰で、まことに彼女の世界が閉じてはいなかったから。

SYSTEM :
 小さく笑いかけて。少し目元の赤い少女を背負って、道を行く。

 これからは村に戻った後の話だが。
 先程の“敢えて”の続きは語るまい。

SYSTEM :
 代わりにちょっとした余談をば。

SYSTEM :
 どこか口数が多く、つかみどころがなく。
 しかし、割り込んだホオリに何も言わず共に戦った“もうひとり”。
 正しいと定めたこと。己が、正しき理を通して見守る陰陽師。

 それでいて、成すと決めたものに、然して躊躇いを持たないもの。

SYSTEM :
 あなたは知らぬ名前。
 陰陽師───安倍晴明。

SYSTEM :
 彼は恐らくだが。
 ・・・
 だれかに、似ていた。
 ………いつか意味を持つ余談である。

SYSTEM :
 ………その余談を潜り抜けて。
 これから先の話をしよう。

SYSTEM :

 もしも、リュウグウジマを生んだ原因があるとするならば。

SYSTEM :

 誰が悪い、を。張本人/彼以外から探すとするならば。

SYSTEM :

 ───あまりに言いがかりとて、悔やむものがあるとするならば。

SYSTEM :

 ………それは。

SYSTEM :
 ………、………。
 ……………………………。

SYSTEM :
 そして…。
 ホオリは、長くもあり短くもある時間の旅を経て。
 確かに帰郷した。

 一度は立ち去ったところでも。
 そこが帰る場所なのだ、と。

SYSTEM :
 雨の止んだばかりの空。
 辺りに残る水溜まり。

 水難、の一言で片付けるにはずいぶんな“災難”に見舞われたのだろう、荒れた村の様子。
 青年はそこに、見知った姿を見つけた。

SYSTEM :
 ………あなた/颯にも見知った姿だ。

 多少年を経たとて、そう変わった様子はない。村の中を見回っていた男衆と共にいた彼に、青年は変わらぬ足取りで近付いていく。
 浮かれた様子もない。沈んださまも見受けられない。こわばることもなく、ただ彼は。

『青年』 :
「兄上」

『兄上』 :
「そこな者は…」

『兄上』 :
「汝は…あるかなきかと…もう思ひていたが…」

SYSTEM :
 ただ彼は、隣にいる姫巫女のことを置いて。
 おどろく兄上と男衆を関せずという様子で。

 握っていた手を開いて、見せる。

SYSTEM :
 ………元より兄が愛想を尽かした理由は、ひとつの過ちにあった。

 そのことを切欠に飛び出した言葉の撤回の機会はそれしかなく。
 彼が承知の上で地上に出た理由も、帰る場所がそこであるというのと同じくらいに………海底で見つけた”それ”を持ち帰るためであった。

SYSTEM :
 ただ…胸中を語ろうともしないものの思いが、どうして分かるものか。
 
 ホオリは『兄上』と呼んだ男に、開いた手の中にあったものを見せて、続けたが。

『兄上』 :
「…何処にて、見つけけり…?」

『青年』 :
「海にて。…大事ない」

『兄上』 :
「………そこな者は何ぞ?」

『青年』 :
「言えぬ。なれど…。
 心得ずとも聞き召さるな」

『青年』 :
「これで───」

SYSTEM :
 ………続けたが。
 そのホオリの言葉が、いま止まった。

 おそらくは。
 これで許してくれるか? と。
 昔のような言葉を投げかけようとしたのだろう。

SYSTEM :
 そう。
 ・・・・・・・・・
 投げかけようとしたのだ。

SYSTEM :
 ………あなた/颯は彼の行く先を見て来た。

 感謝がなかったわけではなく。
 触れあうことがなかったわけでもない。

 ただ………。
 彼を取り巻く声と言葉は、畏敬か恐怖か困惑かであって、隔たりの内側に入って来るものではなかった。
 好悪はいずれも外から来るものだった。

SYSTEM :
 彼が"それ”を止めたのは、なんということもない。

 兄の見る目に気付いて。
 この次の言葉に、うそ偽りなく答えたからだ。

 それが詰るものでなかったことだけは確かだとしても。

『兄上』 :
「…この水難…雨騒ぎ…。
 京の陰陽師殿が止めたと申した」

『兄上』 :
「なれど…空のあやしきことを前に…
 望んでここに来るものはいなかった」

『兄上』 :
「汝は…如何にしていたのだ?」

SYSTEM :
 それが。
 安否を気遣う言葉か、無謀を叱る言葉か。

 只人の隔たりの外側にいる、
 陰陽師と同様の畏敬だったのかは定かでないが。
 あなた/颯は、兄上の瞳に、少なくとも僅かは混じっていたものを知っている。

SYSTEM :

 いたわりが事実でも。
 ・・  ・・・・・・・・・・・・・・
 そこに、今まで見て来たものと同じものがあって。

『青年』 :
「………我が手にて。
 海鳴止めにけり」

『青年』 :
「釣針、確かに。では………。
 息災で。兄上」

SYSTEM :
 ………その声はいつもと変わらず。
 踵を返そうとした青年に。

 兄上と呼ばれた男は、次のように返した。

『兄上』 :
「待たれよ」

『兄上』 :
「───待たれよ!」

『兄上』 :
「…汝、何処へ行く。
 あてもなく、その者と、何処へ行く」

SYSTEM :
 返答はなかった。
 遠ざかりはしないが、近くもない場所に。

『兄上』 :
「村救いし礼させ給へ。
 …せめて、せめて。侘びさせ給へ」

SYSTEM :

 ………誰も知らぬ。

 焼き付いた残影に。
 未練の獣にとって、それがまことの後悔である。

SYSTEM :
 彼は確かにここで言うべきことを言い、
 いたわりを持ち、恩義に感じ。
 男衆の瞳に訝し気が混じる"前”に、村の向きを傾けた。けれど。

SYSTEM :
        弟
 ………けれどもホオリが望んだ言葉は。
    ・・
 断じてそれではなかった。

『青年』 :
「…忝し。兄上。では」

『青年』 :
 ・・
「暫く、厄介に」

SYSTEM :
 彼が求めていたのは村を救った英雄でも、
 天下無敵の京の守り人めいた扱いでも、
 恩義の筋を通した隣人でもない。

SYSTEM :

 ………嗚呼。

SYSTEM :
【Check!】
 ロイスの『タイタス化』を確認しました。

SYSTEM :
 踵を返して、その背を『兄上』が見守る。
 案内は不要だったというより、なぜか足を動かさなかった。動かしては、いけなかった。

 おそらくは客人のための、この村にはずいぶんと"過ぎた”屋敷へ。
 姫巫女を伴って、青年が行く。

SYSTEM :
 いままで。

 たぶん普通の人とは言葉が違うからと、
 黙していた姫巫女が、口を利く。

▇▇▇▇▇▇▇ :
 いいの?
「─────」

『青年』 :
「………」

SYSTEM :
 ………それは。

 のちの世まで正されることもなく、
 正せるものが気付くこともなかったがため。

 昇華されることのない名残のかたち。
 そんなことはなかったのかもしれないけど。
 断じて、それは穿った視線だったのだろうけど。

『青年』 :
「我が意を得たり」

『青年』 :
「………此処に………。
 血の縁、既になしと………」

SYSTEM :
 ………。

 彼の言葉は変わらぬ音だった。
 むしろ、仕方がないと振る舞うような音さえあった。"それが当然”と。怒ることさえしなかった。

SYSTEM :
 しなかったけれど。

 兄と思っていたのはもう自分だけだったらしい、と。
 それを否と正せるものがいなかったから。

SYSTEM :
 ………敢えて遡り、二度語る。
 
 三廻部颯と池田咲楽には決定的な違いが一つあって。
 池田咲楽とホオリを名乗った青年の“これから”には、決定的な共通項があるとした。

SYSTEM :
 それは隔たりの内側。

 確かな絆の繋がりを持つものが、
 ・・・
 ひとりだけだということだった。

三廻部 颯 :
「……………………」

 しばらく、声が出なかった。
 言いたいことなんていくらでもある、口にしたいことなんて何個でもある。
 
 どうして見ているだけなんだとか、どうして干渉できないんだとか、そんなことは何遍も言える。

 言えるけれど。

三廻部 颯 :
 ……、……暫し悩んで、悩んだ末。
 おぶっている友達に聞かせるわけでもなく、ただ独り言のように呟く。

「なにが───、…………なにが……っ」

三廻部 颯 :
「……そんなの、……そう、なるじゃん。
 自分の……言いたいこと言ってもらえなかったからって……そんな……そんなの……、
   ・・・・
 ……自分から、独りになっただけじゃない───」

 ……これはあくまで、わたしの主観で。
 さっきまでの私を見ているかのような、気持ちの悪さがあって、
 そこから絞り出した言葉が、それだけだった。

 

三廻部 颯 :
 人に何かを求めるときに、ちらつかせるようなことだけして、
 求めたものが来なかったときに不貞腐れて、ボタンを掛け違う。
 ……それを自分から、というのは、少し露悪的過ぎるだろうか。
 思うことなんて、形にしなければ他人になんて分かりやしない。
 
 小さなすれ違いから、知らぬ間に溝は取り返しがつかないくらい深くなった。
 それを埋めることなんて、きっと、誰にもできないことだ。

三廻部 颯 :
 あんなにスケールの大きいことがあったのに、
 そこにいた当事者は、どうしようもないくらいに人間だった。
 ただ、奇異の力を持つというだけで、その心は人間のそれだった。
 だから、傷つくし、悲しむし、欠けたものを求めようとする。
 酷いデジャヴだ、"渇望喰い"との戦いの前を思い出して、頭痛がする。

三廻部 颯 :
「…………………………、
 …………………………、

 …………なんか」

三廻部 颯 :
「……遣る瀬ないって、こういうことかな」

SYSTEM :
 答える声はなかった。
 ひとりごとのような台詞に、少し絞るような吐息が零れるだけ。

池田咲楽 :
「………」

池田咲楽 :
「この後は………」

SYSTEM :
 この後は。どうだろうか。

 喉元過ぎて熱さを忘れられることは、
 恐らくないのだろう。

SYSTEM :ただ…。

SYSTEM :
 ………ただ。
 彼はその屋敷に、二人で戻り。

 それこそ普段と変わらぬ過ごし方をした。
 長く居着くつもりは本当になかったのだろうけど、彼には居着かないといけない理由があったからだ。

SYSTEM :
 その間、村の人間にも変わらぬ態度で接して。それこそ『兄上』とも同じように接した。

 憎むでも隔てるでもない。
 そもそも彼は、他人がそう嫌いではなく。隣人に、隣人と知らずとも接せる男ではあったけど。

 いざという時その手を掴む縁は、もうひとつだけだった。

SYSTEM :
 その縁が地上についてこなかった理由があり。
 そのために、彼は此処に居座った。

池田咲楽 :
「ここ………あの、屋敷だ」

池田咲楽 :
「あの狗…名前分かんないけど、御守り持ってたコ。
 あれが、真っ暗な空みたいなのを作って、通った先にあったやつ…」

SYSTEM :
 ホデリが、空間を隔てた先にあった屋敷に、何もかもが似ていた。

 似ていた、ではなく、そのもの。
 そこに彼は居座って。庭先を共に眺めていた。

▇▇▇▇▇▇▇ :
あなたは いいの?
「──────────」

▇▇▇▇▇▇▇ :
 いつかが くるわ 私には
「──────────────────」

『青年』 :
「………構わぬ」

『青年』 :
「俺が………。
 俺が"ああ”なのは、是非に及ばぬことだ」

『青年』 :
「彼方からそうだったことを…。
 此方にて引き違ふこと能わず」

『青年』 :
「暫し経てば去らざるを得ずとも…。
 今は、こうさせ給へ」

▇▇▇▇▇▇▇ :
 うれしいわ けれど
「─────────────」

▇▇▇▇▇▇▇ :
 うれしいだけではないときが
「──────────────────」

▇▇▇▇▇▇▇ :
 あるものなのね 地上には
「─────────────────」

SYSTEM :
 人ならざる音のかたちが、泡のようにはじけて消える。
 お互いの言葉に、ただ応じて。

 ぽつり、ぽつりと話をする。
 話をした"あと”のことは野暮だ。本当に、普通に暮らして、普通を続けて………。

SYSTEM :
 ………いつかが来るまでの、短い猶予。

 ただ彼は、この時だけは。
 ありきたりの幸福と一緒にあった。
 
 無双の超人と…。
 海にて唯一無二の女の。

 隔てた生き物同士の、微かな時の寄る辺。

SYSTEM :
 ………けれどいつかは来るだろう。

 その時に胸を張れる人生であったのか、どうか。
 その答えを識ることは、かなわない。

SYSTEM :
 少なくとも…今は。

三廻部 颯 :
 ……"あの"屋敷。
 ありのままに映し出されていたものが、目の前にあって……、
 それがどういう意味を持つのかは、推し量るにしては、難しいものがあった。
 言葉と言葉に正解はない。
 自分がそう思ってることが、合っているかは限らない。
 それを、合っているかと問いただすのも……違うことだろう。


「──……うん」

 そして……彼女のいう"狗"が、
 先の『兄』であるなどとは、今は言えなかった。

三廻部 颯 :
 ただ、ただ、ずっと。
 見ていたものは記憶、それが夢のように映し出されている。
 だから当然、時間は過ぎていく。
 類稀なるものいがいは逆らえない時間の流れ。

「……、"いつか"は来る、か」

三廻部 颯 :
 "いつか"はやってくる。誰にとっても。
 誰にとっても、時間が永遠に続かないための分岐点が来る。
 卒業だったり、進学だったり、就職だったり、……それこそ、死ぬことだって。
 
 咲楽にも、……わたしにも。
 ……そう、わたしにも。

SYSTEM :
 そうだ。

 いつかは必ず来る。

SYSTEM :
 そのいつか。
 ホオリにとっての答えは、頁を捲れば…。
      ・・・
 彼の幸福の終わりを綴り。
   ・・・
 命の終わりを綴った時に。
 果たして、分かる事なのかもしれないが。

SYSTEM :
 ………忘れてはいるまい。
 夢の骸が、顔を出す。

█▇▅▇▇▅█ :

      な ん じ 
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

█▇▅▇▇▅█ :

    なにゆえ 三度ある
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :

 ふと下に向けた視線を戻した時。
 まるで、最初からそこにいたように。

SYSTEM :
 はじめからそこにいたかのように。
 あなたの眼前に、阻むように。
 赤い虚ろな瞳に光を覗かせたものが、立っている。

SYSTEM :
 いつかに曰く。
 夢の終わりに訪れる“怖い者”。

 底から響く声。
 近いのに、遠い声。
 そこにいるけど、そこにいないあなたに“いま”気付いたところまですべて同じ。

SYSTEM :
 何十年…何百年…。
 気の遠くなる年月を費やした“骸”は、しかしつい先ほどまでのかたちに見る影もない。
 鮮烈に、蘆屋道満なる大陰陽師と魂を削り合った剣士の面影は何もない。

SYSTEM :
 あなたが簡単に切り伏せられた1度目、
 応対してもそこから先には行かなかった2度目…。

 まるで変わらぬ3度目が。
 ゆらりと地に焼き付く残滓から這い出る。

 ホオリノミコトのなれのはてが。

SYSTEM :
 その、揺らぐ赤い瞳が。
 かつてのように咲楽を見る。

 いや、咲楽ではない。
 見ているものは咲楽ではなく。
 そこに微か過る面影であり。名残であり。理由である。

█▇▅▇▇▅█ :
    きとほくなれど
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
  再び会いに趣いて幾星霜

█▇▅▇▇▅█ :
  かさねて あいにひける
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
 もう一度、彼女に会いにいける

█▇▅▇▇▅█ :
 わがよすが このよにあらじ
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
   此処にもう用などない

SYSTEM :
 如何なる道理も無視して。
 理由のために足を急がせたもの。

 その成れの果てが、名残に手を伸ばす。

池田咲楽 :
「っ、………また………」

池田咲楽 :
 ・・
「まだ………」

SYSTEM :
 恐怖混じりの声に、違うものが混じる。

 遣る瀬無いとあなた/颯が言ったようなもの。ただひとつの理由のためなら、なんでもしてきた男の名残に向ける感情。

 たかだか10代の後半が。“それはそれ”で遠ざけるには、身近に見過ぎたもののかたち。
 ・・
 まだ、それをするのかと。絞るように零す、血の縁への“遣る瀬無い”が後ろから響く。

SYSTEM :
 …しかし三度目ともあらば。

 これがこの後に“何”をするかを。
 あなたは知っていよう。

三廻部 颯 :
 分かっていた。
 三度目ともなれば、この夢/記憶巡りで、"いつか"起こるものを。
 分かっていたから、視線を上げたときに"驚き"はなかった。
 小さな勇気を焚べて、舞った海砂をその手に纏わせる。

「……ホオリさん」

三廻部 颯 :
 後ろから聞こえてくる声、
 ……の続きが分かってしまうくらい。
 彼が自分の先祖なんて言われて、こんな記憶を見せられれば、そうもなる。
 咲楽をゆっくり降ろす。
 そして、その肩に手を置いて───

「……ちょっと、行ってくるね」

三廻部 颯 :
 イメージする。

 モルフェウス
 "形作るもの"は、夢を形にし、夢を宿すもの。
 その"やり方"は、旭くんが教えてくれた。
 その通りにイメージすれば、きっと描き出せる。
 ……"渇望喰い"の時は、アドバイスを受けてもまだ漠然としたもののままだった。

 ……今度は、もっと。もっと……直線的に───。

三廻部 颯 :
 形こそ覚束ないものの、
 見てくれこそ、不恰好ではあるものの。
 剣道なんてやってないから、構えだって成ってない。

 ……それでいい、と思って。
 その手に海色の剣を生み出し、前を向く。

三廻部 颯 :
「……三度目の正直っ!」

池田咲楽 :
「───颯、」

SYSTEM :
 行って来る、に。
 あなたの名前を呼ぶ声がかかる。

 待って、ではなく。逃げよう、でもない。
 眼前の不安とフクザツを押し殺すような響き。

池田咲楽 :
「…待ってる」

SYSTEM :
 ・・・・
 なんとか紡いだ四文字が間に合って。
 そこから、眼前の骸が足を止める。

 赤い眼光が、あなた/颯に向けられた。

█▇▅▇▇▅█ :

   汝 なにゆえ阻む
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
  そこを退け 用などない

█▇▅▇▇▅█ :
     遺しし無二
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
 俺の遺したただ一つの心残り

█▇▅▇▇▅█ :
  みたび はばめしものよ
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
  その邪魔を三度するなら…

█▇▅▇▇▅█ :
 如何なる者とて変わりはせぬ
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
  誰だろうと赦しはしない

█▇▅▇▇▅█ :
      うせよ
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :
 暗黒の中から、再び刃が夢を纏う。
. モ ル フ ェ ウ ス
 思い描くものを形にする為の、あなたと同じに見えて、異なるすがた。

 男の無事を願って渡した、レネゲイドの標。
 いまなお彼の魂と結びつく名残のかたちは、しかし…。

SYSTEM :

 誰が識るものか。成れ果てたものには、断じてその手に残らぬものと。
 そもそも、いまはあなたの手に渡り、それ以上でもそれ以下でもない。

 たったいま、不格好に…付け焼刃とて…。
 確かにかたちを通したものが、颯の手にあるからだ。
 
 ならばこれはその名残に過ぎない。 
 名残に過ぎないから、毎回同じ形なのだ。

SYSTEM :
 火出の尊───誰ぞが言った、平安にて名を遺せぬ無銘の兵。

 混沌の坩堝たる蘆屋道満、そして彼が使役せし大海異。
 “もうひとり”の助けあれど、それさえ渡り合いしはホオリノミコト。

SYSTEM :

 骸が牙を剥く。

 もはや些事に過ぎぬと断じた、
 ただひとつこと以外のすべてへ。

SYSTEM :

【Check!】
 判定が発生しました。

 判定:〈白兵〉
 目標:20
 Success:『???』後にイベント進行
  Failed:イベント進行

 備考:成否を問わずシナリオ進行
.   失敗後、別シーンで再度挑戦可能

GM :既に予想をしていたかと思いますが…

GM :成否を問わず進行します。如何にしますか?

三廻部 颯 :……やります!

GM :ふむ。

GM :エフェクトの宣言等はありますか?

三廻部 颯 :
使います!
《カスタマイズ》と《C:モルフェウス 》で!

GM :良いでしょう!

SYSTEM :
【Check!】
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

三廻部 颯 :

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 118 → 122

三廻部 颯 :(3+3+6)dx7+6 <肉体:白兵> (12DX7+6) > 10[1,3,6,6,6,6,7,8,8,9,10,10]+10[3,3,4,6,6,7]+1[1]+6 > 27

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :
 一度目、成す術と瞬きのうちに。

 二度目。拮抗したのは初撃だけ。

 三度目………。

SYSTEM :
 形ばかりの剣と、名残の大刀が衝突する。

 固唾を飲んだ友達が、
 あなたから目を逸らさない中。
 ひとつ間違えたら、再び現実に起き上がる光景が待っている中。 

SYSTEM :
 数十回目の白刃の煌めきの中で。

 あなたが望むように、あるいは。
 オーヴァードを識るものに言わせたら、レネゲイドが体に馴染み“すぎる”頃合いを越えているがために。

 動きが体についていく。
 思い、なぞり。組み替えたかたちが。

SYSTEM :
 戦いになったのは。
 あなたのお陰か、彼方のせいか。

█▇▅▇▇▅█ :
   ・・・・・・・・
 ───何も遺らなかった

█▇▅▇▇▅█ :
   ・・・・・・ ・・
 ───俺がいた証は 何も

█▇▅▇▇▅█ :
   ・・・・・・ ・・・・・・・
 ───双つ目はなく それを是とした

█▇▅▇▇▅█ :
 ───この小人の身なれど、
   祖なる父母から何かを受け継いできた身

█▇▅▇▇▅█ :
 ───その己が生を振り返る時。
   ふとした拍子に気がついた

█▇▅▇▇▅█ :
     ・・・
 ───俺はこの世に何を遺した?

SYSTEM :
 ───打ち合うかたちの中で、彼の輪郭が薄れていく。
 無我夢中のあなたに、それを押し測る暇はないけれど。

SYSTEM :
 ただ、勝てる/勝てた。

 あるいは。三度。
 その剣の名残を見たあなたには…。

SYSTEM :
 今がそれを乗り越える時だった。

三廻部 颯 :
 本当に無我夢中だ。
 自分の記憶の中にあるイメージを、形にしようと必死で仕方がない。
 自分の今の姿を形作る砂が、記憶にある動きをトレースして、それを真似るように動いていく。
 どこから刃がきて、どこに刃を向ければいいか、そんなの分からないから"殺気"にぶつけていく。
 間合いだって全然違う、得物なんて持ったことすらない。
 
 けれど、打ち合えた。
 夢を形作るように、思い描くことができる。
 夢が作用するなら、即ち本人の意志や心の状態が大きく関わるのではないか。
 ……いまの私は、打ち合うことも恐れないし、負けるつもりだってないと、本気で思ってる。
 だから、と思いたい。

「──……、っ、…………」

三廻部 颯 :
 声を絞り出す。
 海色の軌跡を辿るように、残光を引きながら、何度も何度も打ち合う最中に。

「そんな、こと───ない、……!!」

三廻部 颯 :
「だって──、……だって!
 "今の"あなたは、……憶えてないかもしれないけれど! 知らないかもしれないけど……!」

三廻部 颯 :
「"はじめて、人に何かを遺した"って!
 ……あなたは……そう言ってくれた!!」

 その"遺したもの"が、今打ち合っている刀であると、何度も何度も、訴えるように振るう。

、   、   、 ・・
「私のこと、いっぱい援けてくれたよ!
 私の、……私の理由に、応えてもくれた!」

三廻部 颯 :
「だから───、今、……こうして、……ッ!」

 踏み込む。
 踏み込んで、無我夢中で、振るって。

「……私"が"!

 ホオリさん
 あなたのことを、憶えてる……!!」

SYSTEM :
 応える声はない。

 …いや、応えているのがあなたの方なのだ。

SYSTEM :
 虚ろの譫言に、違うと叫んでいるのがあなたの方。
 応じ返して、切り返して、ただ。
 伝えるものがあるとしたのが、あなたの方だからだ。

 であるならば、これは道理だろう。
 あなたが応じる側だ。殺意と悲嘆に、あなたの方が。

SYSTEM :

 理由を一つしか持たず、その理由を失って………。

 終わりが来たその後に。何事かで“成れ果て”たものへ。
 オーヴァードである限り必ず忌避するべきであり、それを差し引いても………。
 人である限り。このように放り捨ててはならぬものへ。何も遺らなかったものと、あなたは手を伸ばすかわりに剣を振るう。 

SYSTEM :
 ………そして。
 振るった最後の一振りが。

 まともに当たって切り裂いた時。 

SYSTEM :
 薄れ、解れ、消えていく輪郭が…。
 仄かな海色の光へと変わっていく。

SYSTEM :
 同じ遺産と、同じ標を持つもの。
 先に振るい託した方と、
 後に担い託された方が、

 虚実の狂った、時に遺された島で…。
 名残の扉を開いた。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………、………。
 ………………………………。

SYSTEM :
 仄かな光のかたちを、あなたは知っていた。

 つくづく二度だの三度だの、同じ在り様を目にする機会が多いのだから、忘れようとしてもそうやすやすとは忘れまい。

SYSTEM :
 ………海底の光。名残のかたち。

 ひと目で見てわかる恐ろしさ/怖さを伴わないもの。
 それは───。

SYSTEM :
 ………それは。
 目を開けて即座に気付く。

 あの鳥居。
 海底と地上を繋ぐもの。青年と海の巫女が“別れた”場所であり、彼とあなたが出会ったところ。

池田咲楽 :
「………颯? 颯?」

池田咲楽 :
「さっきのは…この光は…
 それに此処は…この間見たような…」

SYSTEM :
 まばゆい光の向こう側。
 戸惑い交じりの言葉を投げかけるあなたの友達が、たぶん、無意識にそうした/そうするだろうあなたと同じように。鳥居の向こう側を見た。

SYSTEM :

三廻部 颯 :
「っ……」

三廻部 颯 :
「あれ───ここは……」

 忘れるはずもない場所だ。
 今の私のはじまりの場所で、記憶を辿っていくうちに眺めた場所で。
 鳥居の先を見つめる視線は変わらず、自分の名前を呼ぶほうへ体を動かし、手を伸ばす。

三廻部 颯 :
「……うん、……見たことある。
 知ってる場所だ……」

三廻部 颯 :
「……立てる?」

池田咲楽 :
「うん…。大丈夫。ちゃんと立てる」

池田咲楽 :
「けどいつもなら、あそこで───」

三廻部 颯 :「……そうだね、覚めてたはずだけど」

SYSTEM :
 そうだ。夢から覚めるはず。
 その言葉を、彼女は紡がなかった。

 いや正しくは紡げなかった、の方だろうか。

池田咲楽 :
「────」

SYSTEM :
 あなたの方ではない。
 たまたま向いた鳥居の先を、彼女が目を見開いて絶句する。

 …知っている姿だけど。
 ふるい時代のひとだから。出会う事の有り得ないものの、姿。

知っている声 :
「………俺のところに、もとより誰かが辿り着くことはなかった。
 俺はいつも独り………」

知っている声 :
「いや。此処にいる時から、独りになった。
 独りで死んでいくものを、見て来た」

知っている声 :
「それも終わりだと思っていたが………」

SYSTEM :
 その声は、いつも通りと変わらないが。

 だからこそ微かに“驚き”が混ざっているのが分かる。
 ………ここは夢まぼろしではなかった。まして、あなたたちが死んだのでもない。

 何故───何故を考える猶予は、後にすればいいだろう。

『青年』 :
「おまえか」

『青年』 :
「もう誰ぞに会うことは…。
 ないと思っていたのだが」

SYSTEM :
 鳥居の向こうから、知っている青年が顔を出す。

 だが、薄れた輪郭は。
 彼が、何処まで行ったって、もうこの海底の“名残”だということを示していた。
 少なくとも…出会った時とは違って。

三廻部 颯 :
「えっ!!!」

 続くデジャヴ。
 さっきまで見ていたのは彼の夢で、そこに出てきた骸を打ち破って、
 それで光に包まれたら……私が一回死んだときに流れ着いた場所に居る。
 じゃあここは現実? ダメだ、わからなくなってきた。
 多分今はその辺りを考えてる場合じゃないのかもしれない。

三廻部 颯 :
「あ、……ありゃりゃ……。
 ……わたし、お元気でとか言っちゃったのに」

 絶句もそりゃあするだろう。
 けれど、違うことが一つだけあった。
 まぼろしのように、薄れている。
 なんていうかこう、地縛霊、のような感じ。

三廻部 颯 :
「……そういえば」

三廻部 颯 :
「……別れるときに言ってましたね。
 "いずれ会う時があったならば、その時は"って」

三廻部 颯 :
「……それって……今??」

『青年』 :
  ・・・・・・・・・・・・・
「…いずれ会う時があったならば、と。
 言いはしたが…」

『青年』 :
「こうではない。
 …どう応じるべきかを測り兼ねているが…」

『青年』 :
 ・・
「それを遺した時点で………。
 ・
 俺がおまえと出会うことはなく…」

『青年』 :
「おまえといずれ出会う俺とは即ち…。
         
 この島で未練を求め、巻き込み…。
          ・・・
 今なおそれを続ける物の怪に過ぎない」

三廻部 颯 :「ですよねえ……」

SYSTEM :
 ………彼の言う言葉は、相変わらずだったが。何となく会話をしようという意思はある。

 単に、いずれ会う自分とは『物の怪』の話であり………。
 彼が二度、あなたと出会うことを想像していたわけではなかった、と。

池田咲楽 :
「………だったら………」 

池田咲楽 :
「遺した、って。
 何をですか」

『青年』 :
「………」

三廻部 颯 :「咲楽……」

『青年』 :
「………知っているが、知らん顔だ。
 ………だが………答えない理由もないだろう」

『青年』 :
「俺がいま、ここだけに居たのは…。
 ある一振りを携えた為のことだ」

『青年』 :
      ・・・・
「それが俺に成り果てを赦さず…。
 なれどそれ以上も叶えず。ただ此処に遺ることを赦した」

『青年』 :
「………それを………おまえに遺した以上。
 俺が此処に留まる理由がない。いずれ消え、なくなるだろう」

『青年』 :
「と思っていたのだが」

三廻部 颯 :「なんかまだ居る、……って?」

SYSTEM :
 ………それが意味することを。
 あなたも、咲楽も、知らないが。

 彼はあなたの言葉に続けた。

『青年』 :
「理由は分かる…その一振り…いや…」

『青年』 :
「もう出会わぬと思っていたものが…。
 何かの拍子に俺を見つけ出したらしい…」

三廻部 颯 :
「……それってもしかして……」

 視線が、咲楽に向く。

『青年』 :
「おまえは“なんか”ではない」

『青年』 :
「おまえは三廻部颯だ」

三廻部 颯 :唖然。

SYSTEM :
 なお彼の性根は何処までも割とそのままだったので、“なんかまだいる”を別の意味合いと捉えて言葉を続けた。

SYSTEM :
 視線を向けられた咲楽は、どこかばつが悪そうに一度逸らしかけたが、向き直る。

 すごく複雑な顔で、一度頷いた。

池田咲楽 :
「途中から。見て来ました。
 ………あなたが………あなたの“御守り”が、家に受け継がれているのと同じことも」

池田咲楽 :
「あなたが………。
 出会った女の人の、こと、も」

池田咲楽 :
「あの人、ですか」

『青年』 :
「少なくとも俺は…
 今でも、彼女に会うために此処にいる」

『青年』 :
「それの善し悪しなどは分からないし………。
 俺が分かったとて、物の怪となり果てた『俺』が止まることはないだろうが」

『青年』 :
「…そうだ。ならばおまえは…。
 ………」

SYSTEM :
 ………何かに納得がいったように。
 彼は、ほう、と息を吐いた。

 ひどく複雑気に。交互に二人の顔を見る咲楽に視線を合わせて。
 短く、ふたりが言葉を交わす。

池田咲楽 :
「颯に…何したの」

『青年』 :
「…譲った」

池田咲楽 :
「………〜〜〜ッ。
 譲った、じゃなくて!」

池田咲楽 :
「何を譲って、なんで出会って、何させて…!
 それは誰が原因で………!」

『青年』 :
「おまえではない」

『青年』 :
「島にて死の淵を彷徨ったものは、やがて独りで海に還り…。
 島にて、その名残が焼き付く」

『青年』 :
「そうなる前に、たまさか流れ着いたのが三廻部颯で。
 …ならば…」

『青年』 :
「もはや理由もない俺よりは…。
 理由のあるものならば、生きてゆけるだろうとした」

『青年』 :
「………その様子。役立たなかったか?」

三廻部 颯 :
「いや、いや、そういうわけじゃあ……」

SYSTEM :
 あなたの隣で咲楽が凄く困った顔をした。

三廻部 颯 :「……」

三廻部 颯 :
「(……な、なにこれ! 気不味……!!)」

『青年』 :
「だが………」

『青年』 :
「彼女が………何処かにいて………」

『青年』 :
「流れ着いたものを守ろうとしていることは………分かる。
 あるいは、おまえたちの元にいるのやも知れぬが………」

『青年』 :
「見えぬとあらば…。
 俺に会う資格は、もはやないのだろう」

三廻部 颯 :
「……ホオリさん……」

三廻部 颯 :
 ……やっぱり、とは口にしなかった。
 クラスメイトから光が出てくるのを、二度見かけている。
 だから多分、"守ってくれている"というのは……当たっているのだ。

池田咲楽 :
「………島に………。

 ここに、私や颯を引き込んだのは………」

『青年』 :
「おまえではない」

『青年』 :
「そして…俺でもない。

 どちらの俺にも、外などもはや理由がない…」

三廻部 颯 :「……ってことは」

三廻部 颯 :「島の中心にいるのは……怖い方のホオリさんだけど、原因じゃないってことで……」

三廻部 颯 :「じゃあ誰が黒幕……アシヤの人?」

『青年』 :
「………」

『青年』 :
「蘆屋道満は死んだ。だが…」

SYSTEM :
 ふっと考え込むように彼が腕を組む。

 死んだ、という言葉には確信がある。
 それは“もうひとり”が彼にとっての越えられぬ大敵であるがためか。

『青年』 :
「もしも………。
 死なずというならば………」

『青年』 :
「俺に………。
 塩満珠と塩乾珠の使い方を教え………」

『青年』 :
「彼女に会う方法を教えたのは…。
 蘆屋道満だった」

三廻部 颯 :
「……!」

三廻部 颯 :
「そ、それほんとですか!?」

池田咲楽 :
「そんなの───、なんで聞いて…!」

SYSTEM :
 あなたが真偽を問うなら、咲楽が食ってかかったのは、少なくとも海底/理由に手を出したものが道満であったからだ。

 悪いと断じたものの話をなんで聞いたと、ずっと怒り切れない複雑な顔をしながら。

SYSTEM :
 理由は先祖だから、というのもあるだろうが、それ以上に…。

『青年』 :
「世迷言と…切り捨てた。
 それははじめのこと。ヤツがのち亡くなっても、片隅に遺っても、試しもしなかったこと」

『青年』 :
「………だが………。

 頂に立ち、あとは幕を引くだけとなった時。
 ふとした拍子に魔が差した」

SYSTEM :
 それ以上に、咲楽がずっと何事か言いたげにしているのは。

 ただこれが…。
 末期の時に縋った“だけ”なのだろうと分かっているからだ。

『青年』 :
「俺に…それの善し悪しを測ることは出来ない。それが物の怪の『俺』にとって、止まる理由にはならない」

『青年』 :
「だが………。
 ………………」

「………島から出る術は………。
 島に遺るもの全てを解き放ち、もとの場所にかえす術は………その『俺』が覚めぬ眠りにつくより他にない」

『青年』 :
「………おまえが…。
 おまえたちが、それをするなら………。
       ..・・
 …。俺は自分の悪しに疑問を持たず逝けるだろう」

三廻部 颯 :
「…………」

三廻部 颯 :
 ……どのみち。
 島から、元の場所に帰るためには、そうせざるを得ない。
 どのような経緯があれど。

「……お兄さんには、もう会わないんですか?」

『青年』 :
「過ぎた兄だ。
 もう、いるはずがない」

『青年』 :
「…いたとて、俺は間もなく居なくなる。
 会うことは難しいだろう」

三廻部 颯 :
「……どうにかできないんですか?
 その……、……"これ"に、ぱーっと宿るみたいな感じで」

 淡い海色の光が胸に小さく宿る。
 ……世迷い事でしかないのは、自分でも分かってるつもりだ。

『青年』 :
「俺は小さくならない」

三廻部 颯 :「んぎょぎょ……」

『青年』 :
「それに…十分だ」

SYSTEM :
 悟るような言葉の響き。
 名残は名残である以上、海の中に融けて消えていき。
 あかしを求めて足掻き、よすがに手を伸ばし続ける物の怪だけが残るだろう。

SYSTEM :
 そもそも。

 あなたは素知らぬことだが。
 ホオリノミコトに委ねられた遺産は、彼の言葉通り、持ち主がジャームであることを赦さない。

 驕り、溺れ、終わることを赦さず。
 世界から何もかもを隔てた時、その在り方を失うものだ。

SYSTEM :
 ………。

 ただ海の巫女があまりに特異な存在で、この持ち主もまたそうで。
 遺産の性質が、とある異常事態を起こした。

 識る由はない。
 ただ敢えて、余談として語ろう。

SYSTEM :
【Check!】
 ホオリノミコトがEロイス『ファイトクラブ』『虚実崩壊』を開示・宣言しました。(特殊裁定)

SYSTEM :
【Check!】
 ※この仕様は『虚実崩壊』および『傲慢な理想×3』により、
  形成されたステージ『リュウグウジマ』でのみ適用されています。
  他ステージにおける仕様を保証するものではないことを、予め強くご了承ください。

SYSTEM :
【Check!】
 
 内容
 ・ステージ内で『海の怪物』のみ、Dロイスによって獲得したエフェクトを「Dロイス毎」譲渡出来る
 ・この時、生死問わず非オーヴァードに譲渡した場合はオーヴァードへの覚醒が予想される
 ・ただし譲渡した場合、ファイトクラブによって発生している『ホオリの残滓』を留めておくもの=遺産タイプ「十束剣」が消滅
  特定条件以外ではシーンに登場できず、シナリオ終了後に『ホオリノミコト』は消滅する

 ・ステージ『リュウグウジマ』を構成する要素として、『海の怪物』は───(未開示項目)
 ・この時、何らかの異常で姿が───(未開示項目)

『青年』 :
「…はじめて何かを遺した」

『青年』 :
「それに…。
 ・・・・・
 遺したものがあったのだと分かった」

『青年』 :
「十分だ」

『青年』 :
「願わくば…
 おまえに魔が差さぬよう。
 そして、俺の未練に押しつぶされぬよう」

SYSTEM :
 青年の名残が、うっすらと消えていく。

 …海色の光に宿れはしないのか、という話についてだが。
 全くの的外れではない。

 その“名残”はやがてモノも言わず、世界に何も遺さず消えていくだろうが。
 それ自体が、遺産に異常を起こさせるだけの、レネゲイドとの繋がり深い魂の形だ。

 ただ、三度剣を重ね合わせるだけで…素人のあなたに、剣の振るい方を『追わせる』に足るだけの、名残だ。

SYSTEM :
 名残がまことに消える前に。
 青年は、あなたに手を出した。

『青年』 :
「好きに使え。
 意味があると思わば…」

『青年』 :
「おまえの思う理由のために…。
 いずれ会う俺に───」

SYSTEM :
【Check!】

 ホオリノミコト/『海の怪物』がエネミーエフェクト「異能の継承」の使用を宣言します。

 内容:アージエフェクト『死の魔眼L3』
    もしくはバロールエフェクト『黒星の門L3』のどちらか一つの譲渡

    ※アージエフェクト譲渡時、変異暴走の適用は行わないものとして処理する

SYSTEM :


 時にこれもまったくの余談であるが。

SYSTEM :

 あなたを見て、あなたに彼を重ねたものの、
 まことに危うしとした部分………。

SYSTEM :

 いざという時に心うちをくすぐる、
 ・・・・・・・・・・・
 己であって己でない欲求が………。
 全く同じであると。戦いの時に悟ったからだ。

 元来オーヴァードではないはずの、
 小人が。末期に悟ったものと、重なったからだ。

三廻部 颯 :
「ホ、オリさん───」

三廻部 颯 :
 なんでとか、どうしてとか、もっと言いたいことはたくさんある。
 けれど、ホオリさんが私に遺してくれた時点で、ここに居た彼はもうすぐ消えてしまう。
 小さな小さな未練はそこで終わり、彼はそこで"十分だ"と言ったのだ。

 ……これを引き止めるのは、野暮でしかない。

三廻部 颯 :
 差し出された手を、握る。
 強く、強く、その感覚を手の内に遺しておくために。

三廻部 颯 :
 ……同じものを感じる。
 私の心のうちにあるもの、心の動き、本能が見つめるところ。
 それを思って、ちょっと目を細めた。

 けれど、それが歪であっても……繋がりは繋がりだ。

三廻部 颯 :
「……はい」

三廻部 颯 :
「……もう一人の方は、ちゃんと」

 頷いて、その手に宿った衝動をしっかりと握りしめる。

三廻部 颯 :『死の魔眼L3』を……貰います。

GM :畏まりました。

SYSTEM :
 引き留めるのは野暮だと知っている。
 彼にとって、長年の未練は、そう特別でもない未練のかたちでしかなく。
      ・・・・
 なにより、遺るものが二つもあったのだと。恐らくは、名残でない『物の怪』すらそれを悟らば消える程度でしかない。

 そんなことのために、これはずっと。
 ありもしない、届きもしない海の底に手を伸ばし続けた。

SYSTEM :
 だから、野暮だ。
 だが。

池田咲楽 :
「………っ」

池田咲楽 :
「………そこまでやるくらいに…
 いつかの後で、諦め切れないくらいに…」

池田咲楽 :
「会いたかったんじゃないの…!?
 なんで…今更…! なにを、納得したみたいなツラして…!」

SYSTEM :
   ・・・・・
 その遺したものが野暮をする時。
 青年は、なんとなく曖昧にだけど、笑った。

『青年』 :
「それでいいのか、か」

『青年』 :
「確かに…同じことを聞く…」

『青年』 :
「………三廻部颯」

三廻部 颯 :「……、はい」

『青年』 :
「自惚れる気はないが…。
 遺したものを恃む」

三廻部 颯 :「……!」

『青年』 :
「………そしておまえも…」

『青年』 :
「息災で。
 どうか独りで、再び海に還ることのなきよう───」

三廻部 颯 :
「……はい!
 まかせてください、……私、親友だから!」

SYSTEM :
 ただ。
 最後まで口の下手な男の、見送りの言葉。

 どうして、と、なんで、には。
 答えているのか答えてないのかも分からない台詞だが。
 友達の激情と、誰より当時強かった者の名残が、その言葉で薄れていく。

SYSTEM :
 ………礼の言葉が、雫のようにはじけた。
    ・・・
 それはどちらの言葉だったのか。

SYSTEM :
Tips-ホオリノミコト
 カヴァー/ワークス:検怪異使/検怪異使
 性別:男性 年齢:不明 侵蝕率:106%(対:蘆屋道満当時)
 シンドローム:バロール
 
 所持Dロイス
『遺産継承者/祈りの造花』

 所持ロイス
『████ノヒメ』

 生まれついて天下無双の素質を持った若者。
 全盛期は安倍晴明にすら覚えを持ち、蘆屋道満と大海異にさえ渡り合った、
 時代と巡り合わせがあれば英雄になっていた人物。
 凡庸な名もない海辺の村落で生まれ、名を遺す機会に恵まれなかった勇者。

 並ぶもののない無双の剣士は、
 兄の失くした釣針を返し、家族のもとに帰るというそれだけのために長きを彷徨い。
 その兄が己を見る目が、隔たりの外側においた人間たちと同じだったから、繋がりを戻すことを諦めた。
 
 ひとつで十分だとした。ひとりでは耐え切れなかったが、ふたりならば、と。
 それがやがて消え去る泡沫だと分かっていても。その名残が、己を生かすだろう、と。

 
 ───兄の過ちをその最中とするならば、弟の過ちは“その”結論であった。


SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………。
 ………、………。

SYSTEM :
 既知感を伴って、ふわりと引き上げられていく感覚がする。

 またあの微睡みに戻ることが、あるのかないのか。
 それは定かではないけれど。なんとなく、確信がある。

SYSTEM :
 ………夢の番人。
 彼の“名残”と出会うことは、二度とないだろう。

SYSTEM :
 だから、目を覚ました時見上げるものは、あの屋敷の『名残』。
 リュウグウジマ。時を置き去り、時に忘れられた、時を貫いて沈んでいくものの、焼き付いた名残のかたち。

 その、安らぎの記憶が残る屋敷。

SYSTEM :
 あなたは、目を覚ました。
 隣には、今までよりは“まし”な複雑さを抱えて、目を瞑った、あなたの友達がいる。

池田咲楽 :
「………」

池田咲楽 :
「…すごく…勝手だった…。
 あれが私の御先祖か…」

三廻部 颯 :
「おもてたんとちゃう!って?」

池田咲楽 :
「そうかなー。そうかもだけど…」

池田咲楽 :
「何となく、今までで…
 すっっっごい口下手男なのは分かってたし…」

池田咲楽 :
「割れ鍋に綴じ蓋っぽいのも分かってたけど…」

三廻部 颯 :
「(先祖譲りって言ったら怒られそうだな……)」

池田咲楽 :
「なにそのめ」

SYSTEM :
 まとめて不理解というよりは、半分くらい分かるが故の、なんとも言いたげな声。

 ただそれは、なんで、と、どうして、には結局答えなかったことへの拗ね以上ではない。

三廻部 颯 :「ナンデモゴザイマセヌ」

SYSTEM :
 ………つまり本人もちょっと自覚があるタイプの視線だったのだ。
 肩を揺する僅かな抗議の音。

三廻部 颯 :
「うごご、船酔い……」

三廻部 颯 :
「まあ、でも……うん、最初に会った時もあんな感じだったし。
 そういう性分って感じなのかな……なんか……なんだろう、気を悪くしないで欲しいんだけど……」

三廻部 颯 :
「生きづらそうだなーって……」

 実際、そうだったが。

池田咲楽 :
「多分………あんまり深いこと、考えてないと思うよ」

池田咲楽 :
「ただ、なんだろ。
 ・・・・
 関わり方でピンとくることがあれで、それを指摘する人がいなかったんだと思う」

三廻部 颯 :
「……あー」

池田咲楽 :
「ちょっと見ただけでエラソーにって自分でも思うけど」

三廻部 颯 :
「友達いなかったのかも」

 ひどいことを言った気がする。

池田咲楽 :
「“しょうがない”で壁やっちゃったのかな」

池田咲楽 :
「でも難しいじゃん。颯、はじめましてレベルのコに何時も結構な頻度で凸るけど」

三廻部 颯 :
「そりゃあ」

三廻部 颯 :
「ぶち抜いて大丈夫そうな壁はぶち抜くものと言います」

池田咲楽 :
「そんなのもっとちっちゃい子供のころですら聞いたことない〇と×のクイズくらいだよ」

三廻部 颯 :
「まあ、あとは……」

三廻部 颯 :
「昔は今みたいに、人が寄り合うとかは、あんまりなかったのかもしれないし。
 時代の面もあるんじゃないかなあ……」

三廻部 颯 :
「私はねー……」

池田咲楽 :「ン。…颯は?」

三廻部 颯 :
「咲楽と仲良くなる前はねえ、結構浮いてたというか……。
 ちっちゃい頃から空手とか柔道とかやってたから……」

三廻部 颯 :
「男子からは『女子がそんなのやってるなんて』みたいな感じで、
 女子からも『可愛くない』とかそんな感じで……」

三廻部 颯 :
「だから浮いてることを見るとほっとけないっていうか。
 だから……もしも私があの時代にいても、ホオリさんにおんなじことした気もするし」

三廻部 颯 :
「人間、一人じゃ生きてけないしね……」

池田咲楽 :
「まあね。…だから、もしもだけど…」

池田咲楽 :
「………、………」

三廻部 颯 :「なあに」

池田咲楽 :
「…ま、それはいいや。
 なんか、改まって言うことでもないもんね」

三廻部 颯 :
「……」
 顔を覗き込む。

三廻部 颯 :
「悪い意味で抱えてないね?」

池田咲楽 :
「ないよ。ナイナイ」

三廻部 颯 :
「ならばよし」

池田咲楽 :
「…なんも驚いてないの? って言われると全然ノーだけど。
 例の…ええと、なに、遺産? 御守り? だって、使えばいいのか、持っていればいいのかサッパリだし」

池田咲楽 :
「とりあえずそこは…後にしようと思う」

三廻部 颯 :
「なんだかウゴウゴ言ってたから、鳥居の前に着いても。
 この私がどーんと受け止めてあげようと思ってたのに」

池田咲楽 :
「ウゴウゴ言いましたけどお」

三廻部 颯 :
「モゴモゴもしてたね」

池田咲楽 :
「モガモガさせたろうかその口」

三廻部 颯 :
「いやですうー、ガジガジしますぅー」

池田咲楽 :
「転んでもただでは起きぬと申すか」

SYSTEM :…などとひとしきりほざき合ったあと。

池田咲楽 :
「ほっといてくれないんだろうし、
 ちょっと考えているより何とかなるかもだから」

池田咲楽 :
「…だから、うん。
 ──ほら、いこいこ。ずっとここにいても難だし」

三廻部 颯 :
「……」

池田咲楽 :
「私、このタイミングで飛び出しそうなあのオニーサンに三度目の誘拐されるのはヤだからね───?」

三廻部 颯 :
「わかった。
 けど、ちょっと待って」

三廻部 颯 :
 ぽん、と片手を咲楽の頭の上に乗っける。
 近しいからといって、咲楽が日常側の人間であることに変わりはない。
 私は自分が生きるために、そっちの方へ傾いたけれど。
 咲楽まで、それを追う必要もないのだ。

 ……だから、あの夢に付き合わせたことを、少しだけ悔やんでる。
 けど、それでも、乗り切ってくれたから。
 せめてもの労りだ。

池田咲楽 :
「…もう。なあに、急に」

池田咲楽 :
「お姉さんぶるなら、ほんとに浦島太郎してからの話だよ」

三廻部 颯 :
「いいの」

三廻部 颯 :
「ホオリさんに頼まれたし。
 それに……友達だし」

三廻部 颯 :
「よくがんばりました。あともうちょっとだよ」

SYSTEM :
 この時言わなかったことについて、敢えて此処で記すというのは野暮が過ぎるだろう。
 あなたのその感情に、咲楽が気付いたのかどうかも。
 
 ただそれは、本人が照れくさいから言わなかった程度のことだし。
 気付いても気付かなくても、彼女はその言葉に”ゴール間際でいきなり全力で走り抜けるのナシだよ”と、冗談で返すだけだ。

SYSTEM :
 ………誰かの穏やかな日々の名残。

 その血の流れる彼方の子供が、
 そこであなた/颯と、穏やかに笑った。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :シーンを終了します。ロイス取得等ありますか?

三廻部 颯 :んーっ……ないです!

GM :畏まりました…


・シーン30「幕間・拾肆」

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【シーン30:幕間・拾肆】

 登場PC:颯、シホ
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-ゼノスと外部協力者
 ゼノスの中核メンバーは“プランナー”都築京香と、24名のRBで構築されている。
 しかし起源が多様なRBは、主義・主張・趣味・嗜好に統一性がなく、
 能力も極端で不安定であり、“プランナー”の思惑を実現するには不足があった。

 そのため、様々なルート、思惑、望みを持って外部協力者が存在する。
 レネゲイドそのものの進化を目指すという目的への共感、
 UGNにもFHにも“どっちつかず”で居られることを利点と受け取る者、
 レネゲイドそのものに触れる、識ることにこそ重きを置いた発展途上の者………。

「総当たりでトライ&エラーを繰り返す出来の悪いハッキングプログラム」と称されるほど、
 時としてその手段、計画の幅、手を組む人材は無軌道で、法則性を感じさせない。

 現在、彼女は多くの外部協力者を受け入れ、それに伴い外部協力者自身の思惑や希望を合わせて達成出来るようにプランを調整しているが、そこには面影島事件以降、人間に対するレネゲイドを介した接し方を変えた節が見られることも、理由の一つであるかもしれない。

SYSTEM :
 “渇望喰い”と“蝕みの君”…。
 かねてからの想定通り、二つの逸れ者を打倒し、消息の掴めなかったクラスメイトも二人は見つかった。
 
 その最中の小休止──“次”を見出す小さな猶予の間に、どちらがどちらを呼びつけたのか、あるいはまったくの偶然か。
 まさに“ついさっき”もあった話す機会を、行く前と後のふたつで、颯とシホが得ることになった。

SYSTEM :
 あなたたち以外の者は今のところ同席していない。話すことも、目下の敵が限られてきたところだ。

 これが偶然の出会いでないとするならば、理由を伴って、どちらかがどちらかを呼びつけたのだろうけど。
 ともすれば、今後か。はたまた、そのための指標か。

 島での出来事が終わって、無事に帰って、それで“めでたし”ではいかない。
 浦島太郎は別に“めでたし”ではなかったけど、彼のように終わりと区切りがあるでもないのだ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……『渇望喰い』の討伐から帰還して、しばらく。
 私は空いている部屋のひとつに座って、銃の整備を行っていた。努めて、今までしてきたのと同じように。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……ぐ、ぱ、と。
 時折、整備の手を止めて掌を見つめたりするのが今までとは違うところだ。

 どことなく、あの電光に灼かれた輪郭が不確かなままになった心地が拭えないままだった。
 臨界というのか、閾値とでもいうものか。
 何か、超えてはならない一線に手を掛けているような感覚は───恐らく、今となっては私だけが抱いている感覚ではないのだろう。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 これが初めてではないが、あまり多くを経験したこともない。
 ……況してや、初めて『これ』を識ったものがどんな感想を抱くのかは私の知るところではなく。
 いまその筆頭であるところの、三廻部 颯という一人の少女が、そこに何を思うのかも想像は及ばない。

 『渇望喰い』を終点に導くその前に彼女に語ったことを思い返しながら……
 昂ったまま戻らない宿痾を持て余す代わりの動作が、その掌を見つめる動作だった。

三廻部 颯 :
「疲れたー……」

 ──で、その筆頭は間の抜けた声を出して、障子をスパンと開けて入ってくる。
 部屋に先に人がいるとは思っていなかったようだ。
 少女は硬直していた。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「──────」

 びくっ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「あ、えーと………」

 硬直その2。
 今ようやく分かったことだけど、どうやら不意を突かれるのには慣れていなかったらしい。

三廻部 颯 :
「あ……ごめんなさい……休んでました?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「あ、ああ……その……
 だ、大丈夫ですよ。銃の整備をしていただけですから」

 こちらこそごめんなさい、と言いかけたのは喉にしまう。それはそれでなにか違う気もしたので。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「ちょっぴりビックリしてしまっただけです。
 お疲れでしょう、ほら、座って座って」

三廻部 颯 :
「え、あー、じゃあ、お邪魔します……?」

 座る。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「ええ、どうぞどうぞ
 遠慮なく──────」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ───なんだろうか、この空気。
 ふと過去のやりとりを思い返してみて……遅れて納得がやってくる。
 座ってと勧めておいてなんだけど、そりゃ、その……このままゆったり世間話なんてするには気まずい状況のままだった気がする。そもそも識っている『世間』の色も随分と違う。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ただ……ひとつ、思い出した。
 颯さんには、話しておきたいことがあったっけ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……改めて、ありがとうございます。
 先の『渇望喰い』との戦闘では随分頼りにしてしまいましたね」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「こんな状況です、あまり“寛いでくれ”なんてことは言えませんが……
 身体にしんどさとか残っていませんか? レネゲイドの余波とか、いろいろ」

三廻部 颯 :
「あ、それは全然大丈夫ですよ!
 傷はじっとしてたら治りますし」

三廻部 颯 :
「それに……白兵をするのって私くらいですし。
 頑張らないといけないから、全然頼ってくれていいんですよ!』

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……ありがとう。率直に言って、あなたの頑張りには本当に助けられています。
 境耶くんも近接戦の適性はありますが、役割上あまり白兵戦を通せる機会がありませんからね……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 これは本心だ。
 実際、彼女がいなければ乗り越えられなかっただろう苦境は多い。『渇望喰い』との戦闘も、砂浜で『蝕みの君』を退かせたのもそのひとつ。
 結果だけを見れば、歴戦のエージェントたちと比較しても遜色のない立ち回りを彼女は見事にこなしてみせている。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……。
 だから、まぁ、これはもしかすると余計なのかもしれない話。
 この島で彼女がそれを知る必要は、あまりないのかもしれないが。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……そういえば、颯さんは覚えていますか?
 “ホデリ”さんに連れられてこの屋敷にやってきたときに最初にお話ししたことです」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「UGNエージェントだとか、イリーガルとか、FHとか、いろいろ。
 二つ名なんてことも話しましたが……仕方ないとはいえ、あのときは一気にお話しし過ぎたかもしれませんね」

三廻部 颯 :
「ああ、まあ……あの時は正直ずっと混乱していて、
 そんなこと話されても覚えてられないよって感じだったんですけど……」

三廻部 颯 :
「それが、どうかしました?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「ハハ……そうですよね。私も初めは何が何だか分かりませんでした。
 私にはそれを親身に教えてくれる“センセイ”がいて、ゆっくりと学んでいったのですが……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……組織としてのあれこれはともかく、あなたはこの島の中で実践を通し、それらを見てきました。
 UGNのエージェントである旭くんやノエル、そしてFHのエージェントである境耶くん、“ミッドナイト・アイ”、“パラディン”……」

三廻部 颯 :頷く

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……現代においてオーヴァードと言われる人々は、大半はUGNとFHという二つの組織のどちらかに身を置いています。
 ……彼らを通してそれぞれにどんな印象を抱いているとか、ありますか?」

三廻部 颯 :
「うーん……」

三廻部 颯 :
「どっちもどっち……? かな……」

三廻部 颯 :
 どちらを見ても、どちらも同じ、というか。
 あまり大きな差はないように思える。
 オープンなのかクローズなのかくらいで、秘密結社的な感じなのはどっちも同じなのではないか。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「どっちもどっち……ですか。
 ある意味では、それも当たっているのかもしれません」

“虚の狩人/残骸” シホ :
    オ-ヴァ-ド
「一方は“超人”の存在を“そうでない人”に隠したままで活動し、
        オ-ヴァ-ド
 また一方では“超人”であることを憚らず、その力を奮い己の欲望を掴もうとする。
 超人の世界では大きな違いでも、ここではあまり大きな差としては顕れませんからね……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………ですが。
 あなたは近い将来に、その裏に根差す違いを識る必要があります」

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「……まあ、"このまま"じゃいられないっていうのは、分かってるんです。
 この島から出た後に、何もないなんて、言い切れないし……」

三廻部 颯 :
「……そういうのを、知っていかなきゃいけない、とは思うんですけど──」

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
 そこで、少し黙る。
 シホの表情を伺っているようでもあった。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……、………………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 …………。
 ある意味で、これはいま語るには酷かもしれない話。
 最初から一時限りの呉越同舟と割り切っているならばともかく、彼女はその呉と越の存在を知る前に舟の中に放り込まれた。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 そして、これはいま語るには冗長で余分かもしれない話でもあった。
 すべてが……すべてが、うまくいったとして。
 三廻部 颯が歩むだろう人生の中で、“このまま”のモラトリアムがどれほどあるかも、まだ分からないのだし。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………。
 もしも、もうしばらく“このまま”のままでありたいと思うのであれば。
 あなたにはまだ、それを選ぶ権利があります」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「いまはまだ、迷っていても構わない。
 ただ……もしも、“このまま”の先を知りたいと思うのなら。
 ほんの少し、私のお話を聞いていただけますか?」

三廻部 颯 :
「"このまま"の先……?」

 首を傾げながら、「いいですよ」と二つ返事で承諾する。
 座り方を体育座りに変えて、リラックスし。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「ありがとう、颯さん」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 …………。
 このまま彼女に語るのが正しいことなのか、私が語る言葉が果たして正しいものなのか。その指標になるものは、残骸のなかに埋もれてしまったままだけど。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「UGNとFH。その違いを一言で区切ることは難しいですが……
 ひとつ明確に違うと言えるのは、己の中に存在する“欲望”と“理性”に対する態度の違いです」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「アレがしたい、コレがしたい───
 “超人”の力は、人が抱える願いを容易く叶えてしまいうる。
 何かを護るために敵を討ち払うこともまた、ある意味ではそのひとつでしょう」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「でも同時に、その力を容易く振るうようになってしまえば……人を踏みつけにすることもいとも容易くできてしまう。
 人には畏れられ、遠ざけられ、やがては独りになってしまう。そうなれば、レネゲイドの侵蝕を抑える“理由”は簡単に崩れ落ちてしまいます」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「UGNでは、欲望を抑え制御するようにと教えられる。自らの欲望をコントロールして、自分とその周りの人を傷つけてしまわないように。
 対してFHでは、欲望に身を任せ力を解き放つようにと教えられる。誰を傷つけてでも、欲望の前に立ち塞がる敵を討ち崩せるように」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「───颯さん、身に覚えはありませんか?
 『渇望喰い』との死闘を通して、自分の中で【決定的な枷】が外れたような感覚に」

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「──まぁ、ありますけど……」

 言葉を濁したのは、それに対してあまり否定的な気持ちになれなかったからだ。
 欲望という言葉は、良い意味でも悪い意味でも作用する。
 "友達を助けたい"とか"友達を守りたい"だって、欲望なんじゃないのか。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「やはり、そうでしたか───」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……ならば、もしも」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「もしも、同じように……
 同じように、颯さんの友達が襲われたとして……。
 襲ってくるその相手が、旭くんやノエル、境耶くんや龍さんだったとしたら。あなたはそれでも、同じようにその衝動に身を任せられますか?」

三廻部 颯 :
「(うわー……嫌な質問……)」

三廻部 颯 :
 ……即答はできない。できるはずがない。
 正直どう答えたって"正解"なんてあるように思えない。

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「友達の方が大事だから、そうします。
 ……まあ、衝動に完全に任せるかったら、全然そうじゃないし、そうならないやり方を探しますけど」

三廻部 颯 :
 ……襲ってくる方も、守る方も友達だったら?
 ……そんな可能性については、考えなかった。考えたくなかった。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 困惑と倦厭も微かに滲みはしているけれど、彼女が彼女なりに考えた、等身大で素朴な回答。
 彼女が出した答えを誤りと断ずることは、少なくとも私にはできない。

 できないが、しかし。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……この質問の場合、『友達を守ること』を欲望とするのであれば。
 FHに属する人の多くは『衝動に身を任せる』と即答し、迷いなく実行に移すでしょう」

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
 ふと思い返す。
 ホオリさんの話をみんなの前でしようとした時、部屋の空気が凍りついたことを。
 
 視線で、続きを促す。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「そして、UGNの場合。一般的には『友達を守る』ことを是とはするでしょうし、そのために穏当な結末を目指しはするでしょうが……
      ・・・・・・・・・・・・・・・
 時として、友達を見捨てることを強いられることもある」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「他の欲望であっても、多くの場合は同様です。
 FHは欲望の為に全てを踏み倒し、UGNは欲望を抑える為には時に犠牲を強いる。
 両者は決定的に対立していますが……似ている、というのはある意味当たらずとも遠からずのところなんです」

三廻部 颯 :「……」

三廻部 颯 :頷く。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……“このまま”の先に進むのであれば、先程の質問は避けては通れないものになる。
 あるいは、一生涯をかけてそこに自分なりの答えを導くことが求められます。
 UGNとFH、それが全てではありませんが……オーヴァードとして生きるとき、その2つの組織に無関係でいることは難しいですから」

三廻部 颯 :「……」

三廻部 颯 :
「それで───」

 この話の帰結点は?と、目が訴える。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………、…………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……私はあなたに言いました。狩人として培った“こちら側”での知識を、あなたにお伝えする、と。
 そのひとつが、UGNとFHの在り方です」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「あなたにはもうしばらく“このまま”を選ぶ権利があります。
 ありますが……島から帰ったなら、あなたには否応無く選択が迫られる。あなたが“超人”として何を大切とし、何の為に戦い続けるのか」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「最初に私が問われたとき、私は答えるためのものを持っていませんでした。
                  ゼノス
 いまでも答えが出せないから……私は、“隣人”であることを選んだ。誰にでも寄り添い、誰とも対立しうる、中途半端の探求者たちの集いです」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……あなたには、持っていてほしい。
 選択を迫られたときに、自らの意志で何かを選ぶためのものを。
 それを得るためには、あなたには多くの知識と経験が必要です。だから……この話をしました」

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「ありがとうございます。
 ……まあ、その、そんなことないほうが本当はいいですけれど」

 ここにきて知らない立場が出てきた、が。
 どっちにせよ、選択肢は考えているよりも多いらしい。
 ……選ぶのは自分だから、どこがどう、というのはないけれど。

三廻部 颯 :
「人間社会も難しいのに、
 こっちはもっと難しいんですね」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「確かに、難しいですね。
 オーヴァードって存外に気分屋さんですから」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「どこにいても、答えはみんな手探りで探し続けています。
 色々なものと折り合いをつけながら、自分の譲れないものを護ったり、あるいはそうしたいと思えるものを探し求めたりするために」

三廻部 颯 :
「……ありがとうございます。
 今の話、ちゃんと参考にして、島を出た時の参考にしますね」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「そうしていただけるならば、幸いです。
 ………。」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……あえて、言うのならば」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「あなたがこの島を出て、自らの行きたいと望む路を選ぶとき……あなたはその手で、口で、心で、外に向けて何かを伝える術を持つことができる。
 それが“真の意味で島を出ること”なのだと、私は捉えています」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……選択肢は、何かを知るほどに増えていく。
 あなたが心から願うことに沿う路を見つけられることを願っています」

三廻部 颯 :
 頷く。
 確かに、この摩訶不思議な島から本当に出るには、そういうことになる。
 ……最もそれは私だけだ。他のみんなは、きっと違う。

「……はい」

三廻部 颯 :
「……改めて、ありがとうございます。シホさん」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「礼には及びません、私は私のしたいことをしたまで……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……なんか、少しカッコつけ過ぎましたかね?
 強くなったあなたの目に、ちょっぴり引っ張られちゃいました」

三廻部 颯 :
「そうでもないですよ。
 先生みたいでした」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「ふふっ、なら私は帰ったらUGNのセンセイでもやってみようかなぁ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……いや、ダメだな。
 旭くんの方がずっと上手かもだし」

三廻部 颯 :
「あはは、まあ」

三廻部 颯 :
「やってみてもいいんじゃないですか?
 結構勝手なこと言ってますけども」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………ものは試しかな、うん」

 既に返答に含まれた声色で試しの答えが返ってきたような気もするけど。

三廻部 颯 :「あはは」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……さて、思いのほか長話に付き合わせてしまいましたね。
 銃の整備も終わったし、私は少し仕上げの調整も兼ねて試射をしてきます」

三廻部 颯 :
「はーい……あ」

三廻部 颯 :
「あんまり散らかすと、"ラッキージンクス"さんに怒られちゃうから。
 ほどほどにしておいてくださいね」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「あ、ああ……。
 はい、忠告ありがとうございます……!」

 うん、多分木人形のことだな…………。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 どこに撃ったものか、銃を撃っていいものか、そもそもレッドゾーンはどこからなのか……。
 思案しながら、銃を片手にその場を後にする。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……慣れないことをしたものだ。
 いまだに自分の道にも迷ってばかりの、殻がついたままの雛が、センセイの真似事なんて出過ぎたことだっただろうか。

三廻部 颯 :
 その場を後にしたシホさんの背中に手を振る。
 ……その後、か。
 オーヴァードとしても、人間としても、人生の先を考える段階らしい。

「……」

三廻部 颯 :
 ・・
「卒業、……かあ」

 ……そう、いつかは。
 "いつか"は必ず、やってくる。

SYSTEM :
 はじめはなんてことのない修学旅行。

 いろいろな建前など、学生の時分には建前以上でしかなく。
 その本質は卒業前のモラトリアムだ。

SYSTEM :
 これを修学旅行と呼ぶにはちょっとブッソウが過ぎるけど。

 ………ずっと"そのまま”は、何処にもない。
 時に取り残される我儘は、この島で小さく残り、つい先程かき消えた程度の未練と一緒に置いていくべきものなのだろう。

SYSTEM :
 誰にとっても。
 するべきことを果たしてそれで終わりが罷り通るのは、幻想/物語の話だ。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :シーンが終了しました。ロイス取得、更新等ありますか?

“虚の狩人/残骸” シホ :こちらから感情について変更はありません。

三廻部 颯 :っと、ないです!


・シーン31「幕間・拾伍」

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【シーン31:幕間・拾伍】

 登場PC:境耶
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-オーダーオヴブラック/クランとは
“黒き者”ヴィカラーラに仕えるクラン。
 徹底した秘密主義、完全な実力主義によりつくられた、彼女の手先。

 戦闘力に秀でたオーヴァードのみが評価され、
 弱きものは若年時の訓練でふるい落とされて死亡する暗殺集団。
 命令に忠実で、戦闘集団としても完成された彼らは、
 それぞれの役目、用途、特性において無類の性能を発揮。
 特に隠密行動と集団戦闘においては、彼の春日一族に匹敵、互角以上にわたり合う総合性能を持つ。
 
 なおクランとは、FHにおいてセルに限定されない、特定の『リエゾンロード』に仕える集団。
 20年前のレネゲイド解放以前から存在する、古い集団を表す言葉である。

SYSTEM :

SYSTEM :
※シナリオ中何度か「オーダーオヴブラック」ではなく「マーダーオヴブラック」と記載したことがありますが、概ね誤記であったことをお詫びします。

SYSTEM :
 島においては外周に当たる場所。

 ホデリのゲートを通った先にある屋敷から出て、"ミッドナイト・アイ”が向かった先というのは、曰く『戦いたがり』の伽藍洞が、大きめの荷物を寄越した場所。

 元より呉越同舟の人間で、群れで事を成すことも不可能でなくとも、そこに"馴れ合う”に相当した情のある人間かは疑問が残る。
 そんな彼女が、基本、探索行動か、先程のような例外的な戦闘への加担でもない限りやっていることは二つだ。

 じっとしているか、何処かにふらりと消えるか。

SYSTEM :
 ………その後者の場合、概ね彼女は人の痕跡の在った場所へ出向く。
 その探し物は民間人───などではない。

 探しているのはどちらかというと………。

SYSTEM :
 どちらかというと。
 それとは真逆の生き物たちだ。

 降り積もった雪のひとつもない場所で、軽い舌打ちの音。どうも外れだったらしい。

 ………あなた/境耶が彼女に"暇つぶし”で付き合ったのか、何となく追跡したのか。そこまでは測り兼ねるが。
 踵を返す直前。前者ならばちょうど目の合うころだ。

久外境耶 :
 こいつにとっては仕事、おれにとっては暇つぶし。

 「おーす、暇? おれは暇〜」で雑に声かけて、なんか成り行きで年長者探しが始まって……何時間か? 収穫ナシで、ワンチャンスとオマケを期待した先でも結局ハズレが現状。

久外境耶 :
「な〜、やっぱデケー声で呼びながら探し回ろうぜ。迷子呼出ってやつ?」

 サイアク別のが釣れるかもしらんけど!

“ミッドナイト・アイ” :
「二通りとも大きい迷子………。
 それでやって来る方、話通じなさそうだからパス………」

“ミッドナイト・アイ” :
「ちなみにこれ3回目…。
 ………やっぱり最初から難癖つけて監視に回るんだった。足が早い…」

SYSTEM :
 足が早い───正確には現在のパラディンは概ねいちから十まで余分。
 例の"蘆屋道満”に目を付けていた時期もあったらしいが、それが厳密には違うと何処かで当たりをつけたらしく、今は彼を追いかけている様子でもない。

 恃めば此方の行動に協力してくれるだろうが、そうでない時はご覧の有様。

SYSTEM :
 そして、似たような彼女/夜目代わりの動機は聞いた通り。

 組織の頭の名目が嫌がらせであることを知っている、組織の"端くれ”が暇つぶしで択んだことは意味のない掣肘。
 相対的にひどい理由で出向いてみればご覧の有様お陰様だ。

久外境耶 :
「夜目代わりが分の悪い相手にイヤガラセ代行ってウケんな。
 おまえベツに上司好きじゃねーっしょ? なんでいんの?」

 縦も横も詮索無用。
 特におれみたいな下っ端は、横にいるヤツの素性なんて気にしない──ワケだが。

久外境耶 :
「おれんトコのリーダーが古巣そっちだって言うからさあ〜。なんつーの? 現役のハナシ聞いてみようと思って」

  きにしない    きになる
 「仕事に無関係」と「興味本位」はベツモノ。
 言いたくなければオシマイのハナシを雑に振る。

“ミッドナイト・アイ” :
「先に聞くけど“どの”上司の話…ああ…そっち…」

久外境耶 :そーそー黒くておっかないほう

“ミッドナイト・アイ” :
「一応…好きにさせてやるために送ったわけじゃないし…。
 好き嫌いと…仕事は別だし…」

“ミッドナイト・アイ” :
「家、気に入らない相手は隙あらば脚を引くのが好きだから…。
 ………と、いうか」

“ミッドナイト・アイ” :
        あっち
「現役でも元でもUGNの話聞きたきゃ、
 適任いたじゃん…屋敷の中に色々………?」

SYSTEM :
 淡々とした台詞に感情が乗らないのは性分。元々ダウナー気味なだけ。
 上司、の意味合いを喋る前に建前振り撒いた後、彼女はこともなげに言った。

“ミッドナイト・アイ” :
「…それに好き嫌いで言えばどっちでもないって分かるんなら…。
 “なんで”、は分かるんじゃないの」

SYSTEM :
 上司が誰だろうと気に入らなければ後ろ刺すのがFHの基本。彼女と、彼女を従えた女は典型的なソレだ。

 態度で分かる。この女が忠実なのは…。

SYSTEM :
 組織/寄った大樹の方。
 そこに欲望があることだけは否定しないし。上司の顔や人格には何とも思わない、というところまでは”秘密主義”にも該当しないらしい。

久外境耶 :
「ふーん。……」

 何も明かさず、一切を残さず……のつもりもないらしい。
 ダウナーは見たまんま、ドライは予想通り。イエスノーはっきりした同業者は駄弁るにいい相手だ。

久外境耶 :
「分かっけど半分ってトコ。おれの欲望で振られた命令に刃突き返す必要なんてほぼねーし」

久外境耶 :
「組織の目的とか、あんまカンケーないかんな。気に入った上司んトコで、その人のために働くんが一番好き」

“ミッドナイト・アイ” :
「それで死んでも………ああいや、今の言わなくてもいいや」

“ミッドナイト・アイ” :
「あと…振られた命令に刃突き返してるわけでもない。
 気に入る気に入らないでそれやると大抵あとが面倒で、前例と反面………」

“ミッドナイト・アイ” :
「反面何とかがいたから…」

久外境耶 :
「そりゃな。おれもおまえもイエスしてゴーだろ大概」

 したいしたくない、気に入る気に入らない、はあんまりないか有っても関係ない。あとが面倒なのもガチで、やる意味ないのもマジ。

久外境耶 :
「キョーシ? ……前例、反面……」

久外境耶 :
「それ猫みたいな名前だったりせん? こう、人喰う感じの」

“ミッドナイト・アイ” :
「ああ…それ。反面教師」

SYSTEM :
 反面何とか、はイコールで反面教師。
 元々育ちは日本ではないらしい。

 命令イコール実行の鉄砲玉に代わりはない。
 それについても否定はしなかった。
 ミッドナイト・アイ
“夜目代わり”がオーダーオヴブラックの中で持たされた役割とは、
 即ち監視、偵察、先鋒役。最悪、死で痕跡を残す「殺しの布石」であるからだ。

SYSTEM :
 で………。

 あなたの脳裏に浮かんだイマジナリーが、
 なんとも言いたげな顔をした名前に、彼女は特に顔色を変えず応答した。

“ミッドナイト・アイ” :

  バステト
「…“人喰い猫”? 
 意外なとこから意外な名前出たね。もううちの管轄じゃないし、違ってもいいけど…」

“ミッドナイト・アイ” :
「あれは違う…同期でもない。
 そっちじゃあない。

 ただ死ににくくて、世渡り上手で、忠実な家の典型…。
 たぶん馬鹿じゃないと思ってたけど、なんでやらかしたのか、そのやらかした後も放逐で済んだのか…」

“ミッドナイト・アイ” :
「そこそこ理想的な位置についていたから、ますますよく分からない…なに…とうとう何処かで野垂れ死んだ? かち合ったりしたの?」

久外境耶 :
「マッッッッジで言ってる? 世間狭え〜〜〜〜」

久外境耶 :うわウケんな〜。帰ったらゼッテいじったろ! 死ににくくて? 世渡り上手で? 忠実な家の出で? へえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ

FHセルリーダー :はっはっは 
覚悟と共につつけよ古巣に堂々ブチ撒け散らかしやがって

SYSTEM :
 あなたの中の存在しないイマジナリーが
 何かを笑って囁いた…

久外境耶 :ワッハッハ 売られた分のシカエシってコトで!

久外境耶 :
「い〜や、それどころか拾われたね。いまおれがいるセル、"迷い小路"つーんだけど、その"人喰い猫"サンがリーダーやってんの」

久外境耶 :
「路頭に迷ってるよーなのを拾って仕事回してくれんの。おれがココにいんのも現上司の上司のツテ」

 それはそれとして、まあ感謝もしてるワケで。とくに今回はおれ的にはいいシゴト。割も運も。

“ミッドナイト・アイ” :
「いるんだ………しかも………
.     チルドレン
 けっこう安価な方の物持ち…人持ち…悪いタイプだったんだけど」

“ミッドナイト・アイ” :
「ただ何年も前の話………間に牙でも抜かれた? 正直イメージが付かない…。
 ひょっとしてよく似た別人とかじゃないの」

SYSTEM :
 そう口にする当人の顔が変わらなかった辺り、全く想像も出来ないタイプではないが、それはそれとして路地裏の袋小路でひとり寂しく野垂れ死ぬ前の気紛れを振るう老いた猫の姿など、なんともイメージがつかなくはあるらしい。
..       バステト
 本当にそいつ”人喰い猫”? という確認が二度続いて、三度目は流石にそこまでつつくほど強めの興味もなかったようだ。

“ミッドナイト・アイ” :
「ほっとかれてる理由も分かった…。

 それだとつついて起こす意味もない…。
 家の頭がそんな嫌がらせをするほど変な爪痕遺したわけでもないし…」

“ミッドナイト・アイ” :
 なんかあればすぐに息の根止まりそうなとこいるし…。

久外境耶 :
「スゲ〜。ふわっと聞いた話と大体一致するわ、ガチだってガチ。なんなら仕事上がりツラ見にくる?」

 マジで? になるミッドナイトに対して、
 マジで! の確信が強まるおれ。

久外境耶 :
 派手にやらかしたあげく後ろ足で砂ひっかけたから次機嫌損ねるとマズい──もうカンペキそうじゃん。これで違ったら本物見つけてきてリーダーと並べてやるわ。

 にしてもナニ、捨て駒ガンガン浪費するタイプ? 見えね〜、見てえ〜。
 おれわりと昔のリーダーのほうが好みだったりしてな! 

“ミッドナイト・アイ” :
「…ニホン? 塒。
 じゃあ、特に帰りの指示なければそれで。どっちみち、指示仰ぐ序でに仮上司の塒寄るし…」

“ミッドナイト・アイ” :
         .バステト
「………ちなみにその"人喰い猫”の名に恥じそうな現状…。
 上司的にはそれなりなんだ。ますます不思議」

“ミッドナイト・アイ” :
「さっきまでの言い方からして、
 もう少しやる気あるタイプの上司担ぐクチだと思ってた…」

SYSTEM :
 余談ながら、いまが"帰ったらあなたの現在の塒のボスのよく見るとひきつった顔が確定した”瞬間である。
 もっとも元上司が待っている以上誤差の範囲。年齢的に後輩の板挟み、秘密主義の地雷原の当たり判定が増えただけ。

久外境耶 :
「ダハハハハハ! うちのリーダー名に恥晒してんの!? そんなになん!?」

 言われ放題にも想像つかんギャップにも一通りウケたあと、ヒーヒー言って目尻の涙拭いながら話を戻す。

久外境耶 :
「ブッフフ……エホッ……おう、ニホンニホン。夜目子は生まれ? つか本拠? ちがうんか」

 クランに属する家の出で、リーダー的には古巣の後輩。それと上司が揃って来んのか。
 いやおもしれ〜絶対生きて帰ろ。死なんけどそもそも。

久外境耶 :
「昔、つっても比較的最近だけど。最初に流れ着いたトコのボスはそうだったぜー。やる気あるっつーか、闘る気の鬼? みたいな?
 リーダーは……あー、ノリの合う先輩的な? 居候させてもらってるカンケー」

“ミッドナイト・アイ” :
「そんなに…言ったじゃん“それなりに理想の位置”って………。
 変に使い捨て喰らわなければ、家の頭からいらない興味向けられすぎもしない…大きい傘の利点だけ使える位置…」

“ミッドナイト・アイ” :
「てか夜目子ってなに…。
 ダルい名前つけないで」

SYSTEM :
 流れ着いたところのボスについては、元よりFHなど人の命が善し悪しはさておき値段付けされる場所。
 昨日馬鹿笑いした相手を今日蹴り飛ばして突き落とし、明日になって忘れるなど、珍しいが珍しすぎることではない。

 イメージと一致する“人使いの荒そうなリーダー”の方には、納得寄りの顔をしたがそこまで。言い方からして『死んだ』もの、そこに宿る所感をつつくほど彼女は暇を持て余し過ぎていてもなく馬鹿でもない。

久外境耶 :「んだよ〜、わかりやすいだろ。夜目子」だるだる

“ミッドナイト・アイ” :ダルさがウザさに変換されてく…

久外境耶 :
「……気に入った相手の下に着くのが好きなのは今もだけど。あいつ、死んでこいって言えねーのは玉に瑕」

 一号やそのお連れサンどもからしたら、それが普通なんだろう。あいつ……ホデリは本来あっち側なんだって気付いたのはわりと最近。

久外境耶 :
「おまえもさ〜、一号にありがとうとか言われてたじゃんな。イイコトしてもらったらお礼? だっけ」

久外境耶 :
「あれ意味わかる?」

 見えている実験の結果でハシャいだのはもう結構前。
 今のは、答えの分かっている質問だった。

“ミッドナイト・アイ” :
「…“ラッキージンクス”…」

“ミッドナイト・アイ” :
「答え読んでから答え合わせするのは何…
 いまのはジョーク? まあいいけど」

SYSTEM :
 見えている実験の結果で、
 現上司の在り方にウケ散らかしたとするなら。

 こっちは事実確認のようなものだろう。
 たいして改まって話すようなものでない。

“ミッドナイト・アイ” :
「別に。やらないし、使わないし、出来ないだけで意味は分かるよ。
 分からないといざって時に”そういう”の武器に出来ないから」

“ミッドナイト・アイ” :
「ただ今言ったの…そういう話じゃなさそうだし…。
 仕事の話抜きにして言うなら…」

SYSTEM :
 いまの話───。

 礼や恩の話が…特に無償のやつが、分かるか分からないかで言えば答えはYESだ。
 単に自分がやらないだけ。そういう利他性を不理解にしないことは、歩み寄りとイコールではない。

“ミッドナイト・アイ” :
「別に…。
 十人飛んで百人…。似たタイプが死ぬと…」

“ミッドナイト・アイ” :
「ああ馬鹿だな、とは思うようになるよ。大なり小なり。
 これも…そのカテゴリ」

SYSTEM :
 普通が分からないわけでもないが。
 それは外国の常識を本で読んで「へー」と適当に頷いて終わらせる感覚だ。
    ・・
 普通をここで使うことは、単純に間抜けか死にたがりだと思う、以上の答えはない。

 なので、それを是とする場所や理念とは相容れない生き物の常識。海水の魚は淡水に棲めないと、使い古されたりくつの話。

“ミッドナイト・アイ” :
「分かる分からないの話というか…。

 やる、やらない…使うか、使わない…
 そこから先の答えは、私に聞くのはお門違い…」

SYSTEM :
 人ではなく組織に仕える女の所感は。
 とてもフラットだ。求めていた答えかは別として。

久外境耶 :
「だよな〜」

 おれはこっち側。ベツに卑下とか自嘲でもなく、単なる事実だ。

 おれは義理や人情みたいな余分が好きだから、"ミッドナイト・アイ"と違ってゼロじゃないだけで。

久外境耶 :
 結局は、余分だ。
 やるかやらないかは、いま理由にしてるもので決まる。

 「理由」のために余分を捨てても、おれは抑圧されているとは思わない。思わなかった。笑わない男のもとで、後ろ手組んで了解だけを発し、命を擲っていた日々がそうだったように。

久外境耶 :
 ……今は。
 ホデリが心にしこりを残さないように。

 でもおれは、あいつの「普通」ってやつが分からない。
 差し出せるものは命っていう、
 おれにとっては軽すぎる、
 あいつには重すぎるブツが一つだけ。

久外境耶 :
「……ま〜しゃあねえよな」

 ないもんはない。金と一緒!

久外境耶 :
 おれのやり方で、おれの出せるモン全部出して何とかする。そんだけだ。

久外境耶 :
「つまんねえジョークに付き合わせて悪かったな。タブン今日もう見つかんねーから帰ろうぜ」

“ミッドナイト・アイ” :
「そ。やっぱり出待ちか、初手難癖が良かったな…。
 参考になった。あと1回あったらいい程度の参考…」

SYSTEM :
 ジョークの話に深く言及はしない。

 あなたが、彼女のまことの欲望と、彼女の"理由”に突っ込み入れなかった程度に。

 ただそれが………。

SYSTEM :
 夜目代わりの感性からしてみれば"無意味ではないけど馬鹿”のカテゴリであることなども。まさか悟るはずがない。

 理解する、と、理解が深い、は、また別。元々育つはずの"普通”が育つ土壌を根こそぎ洗い流して、代わりのものを植え込んで育ったのがFHチルドレン。
         スネア
 別名のひとつ───捨て駒だ。

SYSTEM :
 …であるに分からずして当然。
 価値が等価にならずして当然。

 そしてそれは。
 普通を理解しないまま歩み寄ってはならない、とも違う。
 誰ぞが言ったが。貧乏くじを承知で踏み込んだのがFH/欲望の徒なら、そうしたいの情動を振り回すのがむしろ当たり前だからだ。

SYSTEM :
 例えばそいつが、
 与えられる側にとって悪魔の誘惑でも。

 ………そんなことを分かるはずもない/そこまで分かる必要性がない女の前で確かめたこと。
 奈落の命綱を馬鹿笑いして走り抜けるようなこの少年が、そうして得たものに、いったいどのくらいの価値を見出し終えるものか。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :シーンを終了します。ロイスの取得、更新等ありますか?

久外境耶 :んじゃあリーダーに! 〇好奇心/悔悟

久外境耶 :Pはまんまだな ウケる過去 んでNはもっと早くに会ってたらどーなってたかな〜的な悔悟!

FHセルリーダー :抜かせ抜かせ〜 ケツに毛生えた今ほどキマってない頃に出会っても困るだけだっての

GM :ともかく了解しました キャラシートに書き加えておいてください

久外境耶 :おう!


・シーン32「幕間・拾陸」

SYSTEM :◇ ◆ ◇ 

SYSTEM :
【シーン32:幕間・拾陸】

 登場PC:旭
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-UGNの外部協力者
 
 UGNはその発足当時こそコードウェル博士と後のランカスターグループを始めとする有志、
 そして原型となるガーディアンズによって形成されたものであるが、
 各国の活動においては、資金源、またはエージェントの活動戸籍などの問題から、各国ごとに存在する、UGNの理念に対する造詣の深浅はともかく、協力的な出資者がいることが多い。日本においては、UGNに大きな借りを多数つくったことを切欠にして神城グループが、世界においては、コードウェル博士と友誼を結んだ時の一族、ジョナサン・ランカスターの所縁を持つ先のランカスターグループがその代表である。

 しかしレネゲイド解放からコードウェル博士の反旗まで20年も経つまでもなく、レネゲイドという存在が裏社会に浸透していくのは素早く、時間もかからず、大きな力を人は使いたがるもの。
 上記の二グループにさえ”その動き”がある現代、必ずしも「UGNを介してレネゲイドを知ったもの」が何時までも刎頸の交わりを維持するとは限らない。

SYSTEM :
   モンテ・クリスト
Tips-“巌窟王”アベル・デュマ・フィス
 カヴァー/ワークス:UGNエージェント/UGNエージェント
 性別:男性 年齢:23 侵蝕率:33%?
 シンドローム:ブラックドッグ/エンジェルハイロゥ/ノイマン
 Dロイス:復讐者

 N市在住、UGNエージェントの一人。白髪をなびかせた長身の男。
 仰々しい物言いと、迂遠かつ不審な立ち回りをし、
 UGNエージェントとして以外の立場が“どう”であるのかを明らかとしない。
 百戦錬磨とは言わないが、それなりの修羅場を潜った彼であるが、何故日本支部に属し、にもかかわらず霧谷雄吾を介する以外でそこに触れずと言った………比較的「群れ」から遠ざかるような性質であるのかは、当人がいっさい語ろうとしないため不明。
 
 過去、荻野目旭とFH関連組織《七つの丘》が、街一つを介し、極道の領分すら食い荒らして行ったとある"実験”の阻止に関わった記録があるが、それ以外は明らかでない。

SYSTEM :
 ふたつの逸れ者が島でその命を終えて以降のこと。
 遺す謎は島そのもの、その根底たる部分への出向き方と、此処で暗躍する自他称蘆屋道満。
 あとは謎ではないが、御伽噺にこそ欲望の矛先を求めた人喰い虎が精々だ。

 段取りも良く進んで、あとは考えることではなく、実際に動いて残りの民間人の捜索と島からの脱出に意識を傾ける頃合い。
 ………となればどうしても、"その後”に思考が転がり込むころだ。

SYSTEM :
 特に、標的となった"魔獣の巣”の実態が明らかになったのを差し引いても、この島に持ち込まれた遺産と、それとは明らかに違う遺産と思わしき力について、何も触れず送り返しました、とはUGNのエージェントの道理が赦さぬというもの。当然、"事後処理”を考え出す頃合いだった。


 さて、それを。
 あなた/旭が建前としたのか本音としたのかまでは識る由もないけど。

 

SYSTEM :
 UGNの"イリュシデイター”と、過去、一度情報収集の時の外部接続に使った部屋にあなたはいる。
 あなたが来るまでの間にまとめ終えたのだろう現時点の報告書と一緒にだ。

荻野目 旭 :「思えば……こう経緯を書いてみると、荒唐無稽もいいところですね」

荻野目 旭 :
 報告書をさらっと読み流してから、ため息。
 本部様、遺物探索局様あたりはこういうのに慣れっこかもしれないけれど、僕みたいな一般通過チルドレンには少々荷が重い案件だ。ほんとに。

“イリュシデイター” :
「信じてくれる支部があるとすれば、きほん、荒唐無稽が当たり前のところですからね」

“イリュシデイター” :
「本部については尚のこと。それこそ"疑いたい”内容の多い場所です、案外驚かないかもしれませんよ。
 ………とはいえ………」

“イリュシデイター” :
「驚く驚かないと、何度も出くわしたいかは別です。
 想定内のことを数える方が楽なケースでしたからね」

荻野目 旭 :「ひええ。ストックホルムも大概でしたけど、そこに『千年』だの『遺産』だのが絡んでくると──も〜お手上げって感じですよお」

荻野目 旭 :
「不幸中の幸いに恵まれてるのもまた、ありがたいやらありがたくないやら。
 首尾よく元通りの時間に戻れたとして……どこまで書いて、どこまで書かないものですかね」

“イリュシデイター” :
「そこは首尾よく“何事もない時間”に戻った…としておきましょう。
 
 そうでないケースをいま考えたところで、出来ることは心構えだけですね」

SYSTEM :
 そうだったらもうどうしようもないことは、考えれば考えるだけ“どうしようも出来ること”に影響が出るから、始めから考えない───。

SYSTEM :
 昔の教えだが善し悪しですね、と。
 まずそこについては置いておく意思表明。実際、戻れなかったら後は証明手段と心構えと切り替える精神の余裕以外に持参していくものはない。

“イリュシデイター” :
「ということで、…。
 ………問題の話に入りますが」 

“イリュシデイター” :
「………その遺産です。

 止むを得ず手を組んだ現在進行形のお相手のことは、何とかします。責任問題が飛んでいったりはしません。ただ…」

“イリュシデイター” :
「これについては………」

SYSTEM :
 目下、今後を思うと一番気にしなくてはいけないこと。

 遺産についてUGNの、それなりの場数を踏んだエージェントが…。
 誰しも共通して知っていることがある。
 まことしやかに囁かれる噂の話。かかわったもの、使うもの、全てが恐らく先人たちの欠片に触れて悟る現実。

SYSTEM :
 遺産は人を狂わせる。だ。

SYSTEM :
 しかもその遺産の持ち主が、

 片やオーヴァードではなく、手放させ続ければ暴走の余地があるとして…。
 片や“そう”としか思えないEXレネゲイドで覚醒した元・非オーヴァード。

 不幸中の幸いに恵まれたとは言ったが、その不幸には、恵まれた相手が普段なら反対側の行儀の悪い船の乗組員なことも含まれる。

SYSTEM :
 たまさか、話の通じる相手だったこと/そちらに渡る余地を持っていることは、対応を間違えて待っているものが、かつてのとあるUGNイリーガル/現マスターレイスに通ずる可能性を含んでいることでもあるからだ。

“イリュシデイター” :
「…彼女の暮らす千葉県K市の支部に扱い切れるかどうか、それを差し引いても前者についてどうするか。

 普段の流儀を普段通りに遂行できるのは他のクラスメイトの子の方ですが、此方に“どう”するか…」

“イリュシデイター” :
「ブラックボックスも多い以上、今のところは保留寄りとしていたのですが…。
 ………この手の話。年頃のきみではなく、チルドレンのきみは、ともすれば私より造詣が深いでしょう?」

SYSTEM :
 敢えて区分けして読んだのは、前者の感情と後者の理屈を聞く意思表示。

 あなたが最初から“それ”だけのつもりで来たのかはともかく、彼女の用件は其方。
 徹頭徹尾、誰かに言わせるとそういうエージェントとしての生真面目さがある人間だ。

荻野目 旭 :「正直、そこは悩みの種でして……」

荻野目 旭 :「今回の案件が日本支部だけの話に収まるなら、この案件が終わったあとも彼女は『経過観察』で済むんじゃないかな──っていうのが、僕の所見ではあるんですけど」

“イリュシデイター” :
「…日本支部だけの話に収まれば、ですね」

荻野目 旭 :「イエスです。今回の案件が霧谷さんの手を離れたら、ほかの人たちがどう判断するかは正直ビミョウですよね」

荻野目 旭 :
 というのは、遺産継承者っていう存在以前にオーヴァードという存在のむずかしさによるものだ。
 社会的存在ではないレネゲイドウイルスという生き物を御するためには、どうしても人の間にいなきゃいけない。
 僕らチルドレンですら、そういう理由からホームで共同生活を行い、集団行動のいろはってものを叩き込まれている。

荻野目 旭 :
 最初の五割を乗り越えてオーヴァードになった覚醒例が、巻き込まれた一般人への記憶処理を行いながらも覚醒当時の環境に身を置いているのは、まあだいたいそれで。
 帰る場所ってものを認識できなくなって、バックトラックする日常のありかを忘れてしまわないようにするための対策。

 ……だけど遺産っていうのは、そういう不文律を抜きにしてでも確保、ないし管理しておきたいって人の多い、危険なオモチャであって。

荻野目 旭 :「そうならないよう、僕らもがんばってブロックしますけど──かばいきれなかった例の話も、それなりに聞いてるからなぁ」

荻野目 旭 :「聞いてます? 遺産殺しを制圧するために街ひとつ吹っ飛ばされそうになったナイトフォール案件の話。あれはまあ、極端な例ですけども」

“イリュシデイター” :
「小耳に挟む程度には。
 …遺産ひとつで、文字通り町一つでは済まない範囲を巻き込むような事例も日本には合ったそうですね」

“イリュシデイター” :
.           クローズ
「良くも悪くも、ここが閉鎖的環境だったことは、情報の歯止めには十分なことでしょうが…。
 その後がそうとも限りませんか」

SYSTEM :
 元より海向こうからのエージェントで、“魔獣の巣”を追って来た彼女。
 ただでさえ、方々で“やらかし”た以上…。
 それは少なからず、海隔てて探す理由に足るエージェントだ。その足跡をたどって全く違うものに当たる可能性も零ではない。

 ………そして千葉県K市で、該当者二人について知られない可能性も零ではない。

SYSTEM :
 そもそも…。

 片方の遺産の仔細は木口龍が外部のデータベースを収集、高速演算で拾って来たものだ。
 他の人間───極例を挙げるならヘルタースケルター───がそれをしないとも限らない。

“イリュシデイター” :
「………。とはいえ。
 
 オーヴァードが、隣人の縁に欠けを作るのは…。
 遠回しの死刑宣告です。日本支部内では彼がいますから、そのことに心配はいりませんが」

“イリュシデイター” :
「欧州の方でも同様のことは言えますが、ともかく…。
 後は経過を見つつ庇い切る以上でもないんでしょうね。其方がそう言うのであれば」

荻野目 旭 :こくりとうなずき。

荻野目 旭 :
「同じぐらい心配なのは、まだ表に出てきてない代償のことでもあるんですけど。
 これがなあ、街に戻ったら表面化しないとも限らないので……どっちにせよ、僕はしばらく居残りですね。センセイたちも同じでしょう」

“イリュシデイター” :
「その“センセイ”…島ではまだ見つかっていない方のUGNエージェントですね」

“イリュシデイター” :
「その“今後”と、なにより島自体の敵性存在を思うと見つけ出しておくに越したことはないでしょう」

SYSTEM :
 遺産の代償…。

 遺産の在り方については、あなたたちは囁かれるうわさを受け取る側だ。実感する方ではない。

 そして、それは“珍しすぎる”に片足突っ込んだタイプの生き物なケースもある存在。専門家と当事者の話次第なところも大きかった。

SYSTEM :
 ………センセイも、そう簡単に何処かで野垂れ死ぬエージェントではないだろう。

 自他称“蘆屋道満”と接触していないことを願うばかり、というところ。

荻野目 旭 :「はい。頼りになることは知ってますし──現状、彼の私物が出てきたこともありませんし。アレとかソレとかと遭遇してないことを祈るばかり、という感じです」

荻野目 旭 :「ふだんバディ組んでるエージェントさんではないんですけどね。僕も別支部からの派遣でして」

荻野目 旭 :“ハイウインド”──今のところ、境耶くんのくれたエンブレムの持ち主であるとも思ってない。たぶん大丈夫だろう、とは、思う。

荻野目 旭 :実のとこ、今回ちょっと気になっていたのは──その『ふだんバディ組んでるエージェント』の話。

“イリュシデイター” :
「先程も“居残り”だ、とは言っていましたね。
 ………バディというのは………」
 

“イリュシデイター” :
「ストックホルム支部の時に、名前だけはきみの口から伺っていますが…その方ですか?」 

SYSTEM :
 いかにも拗ねた少年の仕草で、あなたはその名前/アベルさんの名前を出していた。

 名前と、仔細が繋がることはないだろう。あるいは、思うところがあっても面に一切出していないだけか。

SYSTEM :
 ………あなたが知ってか知らずか。

 通信を終える直後。
 何かの相談か報告のため、通信中のあなたを訪ねた彼女の言葉と声は、遮った“通信終了”の一言に不自然に止まった。

荻野目 旭 :「そうです、そうです。この島に来て、情報収集で日本支部に連絡を繋げたと思ったら……なぜかあの人が応答しましてね?」

荻野目 旭 :「訊きたいことは聞けたんで、良かったんですけど……」

荻野目 旭 :
 そこで言葉を切って、ノエルさんにちらりと視線を投げる。
 僕は性質上、そんなに空間把握に長けているわけじゃないけど……その通信の終わり際にやってきたノエルさんの、ちょっと違和感を感じる仕草に関しては、少々気にかかっていたわけだ。

“イリュシデイター” :
「確かに。終わり際ですが、丁度その時らしきところには」

“イリュシデイター” :
「常々………”いつ”の"どこ”に繋がるか定かでないというのは、不可思議な話ですが。
 それで………」

SYSTEM :
 ………彼女が、視線に気づかないわけはない。
 ただし明言しなかったあなたのそれを、彼女は先んじて喋るようなことはしなかった。

 投げた視線を悟らないほど愚鈍なら、この島に来て悟っていないことがいくつもある。
 今視線に答えなかった理由は、決して喋ったことが建前というわけではないが、その理由はあまりにもありふれた普通の人間のものだ。

SYSTEM :
 つまり…。

SYSTEM :
 ・・・・・・
 答えたくない、だ。
 少なくとも、何も言わないうちからは。

荻野目 旭 :「………」

荻野目 旭 :いちおう確認なんですけど、僕ってノエルさんの休職のことは知っていて問題ないんでしたっけ?

GM :無論問題ないです。

GM :…なぜならストックホルム支部での言動で"そう”と分かる余地があるからですね。

荻野目 旭 :よぉし

荻野目 旭 :「……あのぅ」

“イリュシデイター” :「…はい」

荻野目 旭 :
       モンテ・クリスト
「エージェント“巌窟王”は、正直社会性のないひとで」

荻野目 旭 :
「しかも秘密主義で、あと言いたいことにしか多弁じゃないし、
 あんまりバックグラウンドとか明かしたくない主義のひとなんですね。
 そこそこの間つきあってますけど、正直どこから来た誰さんなのかとか、ぜーんぜん知らないんですよ」

“イリュシデイター” :「………………」

荻野目 旭 :
「霧谷さんが彼を懐に入れると決めて、僕は僕なりに彼のこと信頼してるんで。
 彼がどうしてあんな社会不適合者なのかは訊かないことにしているんですけど。
 そもそも、訊いたとこで絶対しゃべってくれないでしょうし」

“イリュシデイター” :「………………」

SYSTEM :
 すこし、渇いた空気。
 応じてくることはなく、ただ頷いて聞いているだけ。

 その人間に対する拒絶とは違う。まして。
.や め て く だ さ い
 会話を断ち切るような嘆願とも違うが………。

SYSTEM :
 自分に話したそれが必要なのか問うことも、
 苦笑いして相槌を打つようなことも。
 あなたが話し終えるまでは、この分ではして来るまい。

荻野目 旭 :
   ふくしゅうしゃ
「……モンテ・クリストなんてコードネームを名乗ってる時点で、あんまりロクな話じゃないのもわかっているつもりなんですが」

荻野目 旭 :「話しておいたほうがいいかなって」

荻野目 旭 :「……ノエルさん、彼に心当たりがありますよね?」

“イリュシデイター” :
 ・・・・・
「知りません」

SYSTEM :
 渇いた声の次に、冷たい声。

SYSTEM :
 …ただそれは。

“イリュシデイター” :
「………。いえ。今のは意地悪ですね。
 正確には、何から何までは、知りません、です」

SYSTEM :
 正確には。
 こころの柔らかいところ/割り切りきってはいないところに触れる意地悪な尋問に対する、とても大人げない意趣返しというだけで。

“イリュシデイター” :
「本当に…。
 あの場で聞いたのは声だけ。

 聞こえる話も印象から食い違う」

“イリュシデイター” :
「………正直に言います。

 今更のことです。あんまり話したいことでは、ないです。
 私の聞き違いかもしれません」

“イリュシデイター” :
「ただ、………。
. ア  ベ  ル
 身内に殺された者なんて名前を名乗って、
..モンテ・クリスト
 代表的な復讐者を名乗るような者と…あの声が同じなら…」

“イリュシデイター” :
「………そうですね。
          ・・・・・・・・
 覚えは、あります。理由も分かります。
 その上で………」

“イリュシデイター” :
「その上で………改めて、お聞きします。

 その話を聞いて、どうするおつもりですか?」

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :
「どうもしないです」
 さっぱりと切り返す。彼女の傷を掘り返してまで聞こうとするのは、フェアじゃないし失礼だ。

荻野目 旭 :「どうもしないんですが……」

荻野目 旭 :「そういう反応なら、なんとな〜く話しておいてよかったと思っています。っていうのが、正直なトコです」

荻野目 旭 :
「僕の知っているアベル・デュマ・フィスという困ったさんは。
 名前どおり、メルセデスを遠ざける人でもあるんだろうなと思ったので」

荻野目 旭 :
「だからです。
 なので……僕がこうやって、あなたに彼のことを伝えたことが。あなたにとって忘れたいことなら、なかったことにしちゃってください」

荻野目 旭 :「見てみれば、確かに女の子の二人や三人は泣かせていそうな顔です。そういうことだと、僕も納得しますんで」

SYSTEM :
 しれっとした顔で、淡々と事実を並べるようにしながら、決して詰め寄るべきところを詰める冷たさを振るわずに。
 ただ、共通の話題の人のいまを語り、それ以上までいかないのは。
 彼なりの、“イリュシデイター”に対する適切な距離の形なのだろう。

SYSTEM :
 何かを言いたげで、口を噤む瞑目の仕草。

“イリュシデイター” :
「忘れたいことを、忘れられるなら…」

“イリュシデイター” :
「なかったことを、本当になかったとして振り向くのは…。
 それは利巧なことかもしれませんが」

SYSTEM :
 長々と同意ともつかぬ言葉を語っているのは、単に“自分がそうじゃない”の意志表示。

 それから、大きく息を零す。

“イリュシデイター” :
「きみに人の弱みを握られるのは二度目ですね。
 困りました。一度目は、不可抗力で、必要なことで………」

“イリュシデイター” :
. シホ   ..志穂
「あの子に、私の友達以上のことはきっとしなかった私が…。
 一つ目を恨みがましく言う所以もありませんが」

SYSTEM :
 長い念押しと前置きは、あなたの“どうもしない”を信じるものとも違う。

 なにを言いたいのかを語るのは野暮ゆえ、止めておくけれど。言葉通り、裏表ない“困り果てた”様子のあと。
 少なくとも今まで、なるべく、大人として振る舞おうとしていた女が、傷口をなぞるように口を利いた。

“イリュシデイター” :

「………。
 いま、アベル・デュマ・フィスを名乗る者。
 聞き間違えるはずのない、声のあるじ………」

“イリュシデイター” :
「名前を、シャルル。
      ・・・・・・
 3年前に、作戦中の事故で亡くなった…。
 私の兄です」

SYSTEM :
 …知らぬはずがない。
 間違えるはずもないと。
 ・・・・・・
 どうもしない、を反故にするか否かを敢えて聞かずに彼女は口を聞いた。

SYSTEM :
 珍しい話かもしれないが、別に珍しすぎる話でもない。

 UGNの人間が、UGNの"仲間”を失う事例など。
 そしてそれならば、この「生真面目なエージェント」とあなたが評価した人物は、ここまでの傷口にすることもなかっただろう。

荻野目 旭 :「あ………」

荻野目 旭 :あに!?

“イリュシデイター” :頷く。

荻野目 旭 :お兄ちゃん…!? あのアベルさんが…!? あ…

SYSTEM :
 あなたの頭の中にいるアベル・デュマ・フィスが、兄として家族に接する姿が浮かぶ。

 想像できるだろうか? 立派なテロだ。

SYSTEM :
 ………だが。
 その”イリュシデイター”からは、そうしたふざけたものは欠片もなかった。
 あるいは、その名前から連想できるものが………逸れ者の後ろ指差される一匹狼で"ない”ものの絆を、それごと捨てたものが彼であったように。

荻野目 旭 :あ…あんななのに!? いえ…色々あったからあんなんに!? い、いえ…僕は人付き合い専門チルドレン! あらゆる理性をかき集めてまじめな顔を取り戻しますよ

荻野目 旭 :まあ確かに面倒見は悪くないし…なんだかんだ先輩ではある…うん…よし。

荻野目 旭 :「……お──兄さん、ですか……」

“イリュシデイター” :
「………その言葉だけで、逆に今が"どう”なのかを、私の方が測りかねるところですが………」

“イリュシデイター” :
「口数はそう多くありません。情も、表に見せることは少ない方です。
 基本、思慮を伝えることのない性根でしたが…」

“イリュシデイター” :
「………。兄です。私にとっては。
 見えないだけで、情の深い性格でした。

 私が自惚れていなければ、自ら望みもしていないUGNの門戸を叩いた理由も───」

“イリュシデイター” :
「…いえ。この辺りは蛇足ですね。
 やめておきます」

荻野目 旭 :…………。

荻野目 旭 :困ったなあ。お兄ちゃんか。社会不適合者先輩とかうかつに呼びにくくなるじゃないか。

荻野目 旭 :「いろいろ困ったとこはありますけど、いいヒトですよ。……ノエルさんの知っている『シャルル』さんと、根っこは変わってないんじゃないかなと──うん、思います。たぶんですけどね」

“イリュシデイター” :
「そうですか。………」

“イリュシデイター” :
「………このような話をしておいて、難ですが。
 頼みごとをしても?」

荻野目 旭 :「もちろんです」

“イリュシデイター” :
       ・・
「兄に、断じてそれを仄めかさないで下さい。
 問い詰めるようなことも。…あなたの大事なものが、何れかでも侵されない限り」

SYSTEM :
 困ったとこはあるけどいいヒト、と。

 彼女の知っている人物像とつなぎ合わせるように口にしても、“イリュシデイター”/ノエル=ド=ヴィルフォールは断じて眉を下げたまま元に戻さなかった。

“イリュシデイター” :
「…兄と共に亡くなった方がいます。
 仔細は避けますが、ただの友人関係以上の」

“イリュシデイター” :
「しかし兄が亡くなった最後の任務は………。
     ・・
 その方の抹殺でした。
 …いろいろ、耳に入ることもある立場なので。それで調べたことがあります」

“イリュシデイター” :
         ダブルクロス
「あとの記録書には“裏切り者”の烙印のみが残り………。
 ………“誰”の思惑だったのか、本当にそうだったのかも分かりません」

“イリュシデイター” :
「しかし………」

SYSTEM :
 そこから先の意味を彼女は紡がなかったが。

 あなたの知っている限り。
 この口数少なく、気難しく、闘争衝動の赴くままに躁鬱の躁を振り翳して敵に銃口を突きつけた男は。
           ・・
 あんがい、理屈よりも感情で動く者だ。

SYSTEM :
 静観し、名前を捨てて。

 名乗った名前とコードネームが、
 よりによって例の二つ。
.   ア    ベ    ル
 死を神に訴えた家族殺しの被害者と…。

SYSTEM :
    .. モンテ・クリスト
 殺人者───巌窟王。

SYSTEM :
 ………これはリュウグウジマの何某と一切関係はない。
 蛇足で、余談で。あなた自身にも、そこまで関係はない。

 ただの、社会的振る舞いを見せたことの決して少ない世捨て人/先輩エージェントの後ろ暗い事情の話。

SYSTEM :
 ただ目の前の人間にとっては。
..        ロイス
 立て続けに失った命綱の話で。

 それも過去のことだ。何をどうこうするものではなかった。

荻野目 旭 :「……………」

荻野目 旭 :
「……わかりました。言わずにおきます」
 素直にうなずいたのは、
 以前示唆された休みのことと、『お姉さん』のこと。
 それから、『シャルル』さんのこと……。

荻野目 旭 :
 それらは全部、3年前という時期に重なる。
 つまり……。………。

 ……彼女がいままでどう過ごし、どういう気持ちで復帰をしたのか……そういうのに思いを馳せずにいるほど、僕は割り切れなかったし。

 同情もする。
 それが自分の手の届かない場所で消えたのか、自分自身の手でそうしてしまったのか、
 どこかで生きているのか、眠ったままなのか。
 そういう違いはあるけれど。安い同情を感じるには十分だったから。

荻野目 旭 :「……あの、ノエルさん」

“イリュシデイター” :「…はい」

荻野目 旭 :「僕……そうと知らない頃、彼に“イリュシデイター”のコードネームを伝えていたことがあって」

荻野目 旭 :「それから…今回の任務、本当は僕、いつもどおり彼と組んでくる予定だったんですけど。彼がごねて、お留守番になったと聞いています」

荻野目 旭 :「当てずっぽうでしか言えないのも、心苦しいんですが……あの人、ノエルさんのこと。気にかけてたんじゃないかなと」

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :「なんというか」

荻野目 旭 :「お兄ちゃんが、どんな形であれ。どこかで生きて、自分の足で歩いているって……きっと、すごく、いいことだと思います。彼にとっても、あなたにとっても」

荻野目 旭 :ものすごく言葉に悩んで、指先をもじもじとする。いつもどおりにならなくて、ちょっと気まずい。

SYSTEM :
 どんな形であれ、のかたちに。
 彼女が何を思っているのかをつつく野暮をあなたはしなかった。

 いや。
 エージェントとしての顔ならともかく、弱冠20歳を越したばかりの女性の表情に憂いが残っていたことが。
 全ての回答かもしれないが。

“イリュシデイター” :
「…そうですね」 

“イリュシデイター” :
「なんであれ…割り切れないまま引き摺ったものですから。
 実感は、日を置かないと、確かな重みにならないのでしょうが」

“イリュシデイター” :
「その分だと、無理を押して居場所を突き止めたとて…
 会うことは難しいでしょうし。誰の為にもならないでしょう」

SYSTEM :
 ごねて配置を変更した理由も、あなたの想像通りだ。当てずっぽうを、もう少し具体的な形にすればいいだけ。

SYSTEM :
 会いに行く理由はなかった。
 ただそれを、平時の表情で語る。

 彼女は彼女なりの理由を持っているけど。
 それが兄とは、噛み合うようで噛み合わないことを、どこかに悟っていたのかもしれない。

荻野目 旭 :「………」

荻野目 旭 :「『今日のお兄ちゃん』とか、やりましょうか」

荻野目 旭 :いろんな言葉を振り払うように、ちょっとだけ茶化して。

荻野目 旭 :「近況報告ぐらいなら、僕からしますよ。自慢じゃあないですけど、バレない自信あります」

“イリュシデイター” :
「…。………」

“イリュシデイター” :
「“今日の”だと、恐らくつれない日誌が連続で続くでしょうから、流石にそこまでは結構です」 

SYSTEM :
 茶化しに付き合ったあと、彼女はふっと笑った。

“イリュシデイター” :
「きみが困らない範囲で…。
 兄のことをお願いしますね」

“イリュシデイター” :
「きっと戻らないものでも…。
 懐かしむくらいは出来そうです」

荻野目 旭 :「わかりました! 毎日のおゆはんぐらいまでにレベルを落として報告しますねっ」

“イリュシデイター” :「レベルを落とした方が、逆に見せてくれるか心配なカテゴリですね」

荻野目 旭 :「う〜ん、そうかも……。思えばコーヒーばっかり飲んでる気がするなあ……」

荻野目 旭 :代謝制御ってるのかなあ…

荻野目 旭 :とか思いもするけど、それはそれ。勝手に作った約束を頭の片隅にちゃんと書きとめながら、僕は苦笑い。

荻野目 旭 :「すみません、ヤなこと訊いちゃって。僕もいろいろ割り切れてないのに、お恥ずかしい話です」

“イリュシデイター” :
「いいえ、大丈夫。
 ………困っていなかったと言えば、まあ、ウソになりますが」

“イリュシデイター” :
「その場で起きたこと、全部割り切れたら苦労もしませんし…」

“イリュシデイター” :
「苦しい時ほど恰好付けて笑うのが良いそうです。
 …それでも無理なら、その場の恥を覚悟しろと。昔、割り切り方の答えを聞いた時の、トモダチの言葉でした」

荻野目 旭 :
「いいコト言いますね、オトモダチさんは」
 …それが誰のことなのかも、なんとなくわかるけど。

“イリュシデイター” :
「ええ。実践してみると、結構理想言われたなと痛感しますが」

“イリュシデイター” :
「…その“いいコト”を懐かしむだけの時間は、十分立ち止まったつもりですので。
 きみが、その“割り切れないこと”に区切りをつけられるように願っています」

“イリュシデイター” :
「困った時は肩の一つも貸しますよ。
 今日の姿で説得力を失いましたが、先輩ですので」

荻野目 旭 :「……へへ。ありがとうございます」

荻野目 旭 :「実のところ、たぶん、どうすべきなのかはわかっていて……あとは、それが僕と、僕の手の届く中でかなうかどうかの話なんだと、思っているんです」

“イリュシデイター” :「それは、出来れば届く中で叶えたいような?」

荻野目 旭 :「それが、『できる』『できない』じゃなくて、『やれるか』『やらないか』って話だったら──」

荻野目 旭 :
「『やる』、です。
 ここを逃したら……たぶんだめなんだと思うから」

荻野目 旭 :「正直、キャパオーバーぎりぎりで、いっぱいいっぱいなのはホントですけど……そんなの理由にしたら、僕は永遠に、戦うのが向いてないそのへんの小石ですから」

“イリュシデイター” :
「…」

“イリュシデイター” :
「それは、きみの…“ナイトホーク”の任務としてではなく。ですね」

“イリュシデイター” :
「そこに善し悪しは言いません。
 
 持ってしまったものをどう使うのか、どうやって世の中に関わるのか………。
 半分は今までの外側に、半分は内側に足を入れることにした方の、私たちオーヴァードにとって。終わらない課題ですから」

“イリュシデイター” :
「………でも。
 エージェントの大義名分に隠したものを隠したまま蔑ろにしては、残るのは“コードネーム”だけで、人間やっていけませんからね」

“イリュシデイター” :
「だから、まあ止めません。

 背を押すことは“イリュシデイター”に出来ませんが、いけないことだと私は言いません。………やる理由があるのでしょう?」

SYSTEM :
 それはあなたの小さく安いプライドの話。

 小さくても安くても、たぶん“小石”で終わらせるわけにはいかない、向いていないものを続けてきた理由の話。
 変えられない過去の向こう側、如何様にも変えられる未来のために、どうしても片付けなくてはいけない………半分内側に置いた足が叫ぶ、等身大の意地の形なのだろう。

荻野目 旭 :「……はい。僕は……たぶん」

荻野目 旭 :「いまのやり方で、彼女を超えないと……永遠に小鳥のままだ」

荻野目 旭 :『彼女』が誰で、何者なのかなんて、たぶん僕のこれまでの態度からまるわかりだろう。ノエルさんもある意味当事者だ。

荻野目 旭 :
 お世辞にもユニバーサルガーディアンのするべきことじゃない。
 僕は自分の理由のために彼女を負かさなきゃいけない。
 武器の代わりに絵本を並べて、
 燃やすのは自分の正気と、自分じゃない誰かの命だ。

 ナイトホーク
 よだかのように──或いは笑う不死身みたいに。
 自分を赤い火にするのは、できなくなってから随分経つ。
 感情の昂りでおかしくなった僕のレネゲイドが、僕の兄を永遠の眠りに突き落としたあの日から。

荻野目 旭 :
「誰かを応援して、安全地帯から指示を飛ばすだけの最悪なやり方で……
 僕の名前を、彼女に刻みつけなきゃいけないんです。
 それができなかったら、たぶんナイトホークの旭くんは弱虫小虫の旭くんにクラスチェンジですね」

荻野目 旭 :
 ………そういう最悪なやり方で超えたい相手がこの島にいるから。
 僕は三廻部さんに嫉妬して、遠ざけた。あの日の彼女の『力になるよ』を免罪符に、たぶん迷わず武器に使う。
 それと折り合う日も、きっと遠くない。

荻野目 旭 :「リベンジってやつ。今度はあの時より虚しくなく、気持ちよく終わらせたいですね?」

SYSTEM :
 喚くものを前に、逸楽以外の在り方を共有し得ない生き物…。
..              アーカーシャ
 人喰い虎の名を冠しただけの虚ろの空に響く音が、あなたの中にはいつまでもある。 

『怪物』 :
 ・・・
 きみね。
 ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・
 戦う人は向いてないから、やめた方がいいですよ

SYSTEM :
 覚えている限りで、あれは場違いな気遣いであり、小石を積み上げる子供を哀れんだ諭しの声。

 あなたはそれを向けられて、それに甘える幼年期を終わらせた人だ。自分の手で。
 どんな名馬だろうと、どこの馬の骨か定かでないものに、今更哀れまれることも───このやり方で“戦う人”を続けることを言われる筋合いもない。

 理由のために戦う権利を振り翳すとして。それを終わらせていいのは、あなただけだ。

“イリュシデイター” :
「そのために…。
 あなたは“やれる”“やらない”を、”やる”に変えるのでしょうね」

“イリュシデイター” :
「終わらせたとき、胸を張って…。
 立ち止まって、取り残されないために」

SYSTEM :
 後押しの代わり。
 リベンジに送ったのはその言葉ではなく、
 遠回しの確認。

 愚問に過ぎない言葉が。
 あなたなら出来る、という安いエールの代わり。
 
 UGNに限らず、誰かが、誰もが………。

SYSTEM :
 その適性を持った誰もが、一人では戦えない、"戦う人”として立つに値する、それぞれの理由のための。
 全てではなくとも識るものの、エージェントの立場で言える、未来への礎の話で。

SYSTEM :
 先に過去を懐かしみ終えないといけないものからの、贈り物だ。

荻野目 旭 :「はい。……アテにしますよ?」

荻野目 旭 :「他力本願が、僕の胸の張り方ですんで。……言葉にするとかっこわるいなあ」

“イリュシデイター” :
「もちろん。
 言葉は繰り返すものではないそうですが…先輩ですからね」

SYSTEM :
 齢にして10も離れたものではない、大人なり立ての言葉が。
 あなたの宣誓を見届けた証だ。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :シーンを終了しました。ロイスの取得、更新等はありますか?

荻野目 旭 :とれるロイスがありませえん! 変更もないです!

GM :(確かに…の顔)

久外境耶 :おれのP最強にしようぜ!

久外境耶 :不死でも可!

荻野目 旭 :ちゃんと営業してから交渉してくださ〜い

久外境耶 :チッッッ


・シーン33「幕間・拾漆」

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【シーン33:幕間・拾漆】

 登場PC:颯、旭
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-UGNの構造
 UGNは12人の評議員で構成される中枢評議会、通称『アクシズ』を最高意思決定機関として持つ。
 その下にUGN本部があり、さらにここが管轄する特別支部が存在。
 それから「ノース」「イースト」「サウス」「ウエスト」からなる、東西南北を担当する4つの支部があり、
 ここから各国支部、各都市の支部と続く…という仕組みになっている。

 もっとも、各国内の組織運営については国ごとに差異があり、
 現在はこれを疑問視、是正する改革派の台頭、対抗があるが、仔細は割愛する。

 その構成は基本的に研究班である“アールラボ”、
 医療班であり戦闘部隊の支援とオーヴァードの保護を目的とする“ホワイトハンド”、
 情報班やその他の班、そして事件解決やジャームの被害抑制を主目的とする戦闘班での構築が基本となる。

SYSTEM :
 ついさっき、此処でだれかの”慣れないこと”が終わって。
 同じように、だれかの気持ちの整理がつきかけて。
 それのちょっと前に、だれかの決意表明が聞き届けられて。
 …屋敷の向こう側、島の大地で、分かり切った問いの答えが終わった。
 
 丁度、そんなころ。
 颯がそろそろ立ち上がろうとする(もしくはまだ此処で一人心を落ち着けていた最中の)ころに、そこにいただろうどちらかに用向きがあった旭が一室を訪れる。

SYSTEM :
 あるいは用向きというより、今後の行く先について皆纏めるつもりで。その時集まる場所が、誰が決めたでもなく、始めここに来た時辿り着いたこの部屋だったからかもしれないが。

SYSTEM :
 ともかく、その部屋にいた二人のうちシホは、レッドゾーンを定める魔の番犬(兎なのに)の不在の中、狩人の錆び落としの仕上げへ入ったところ。

 此処にいた(いる)のは、颯と旭の二人。
 ちょうど”渇望喰い”に挑む前に、言葉を交わし合ったのも、先程の来客と同じだ。

三廻部 颯 :
 ごろ〜ん……と寝ており、襖に背を向けている。
 何かぶつぶつ言っていて、部屋に来客が訪れたなど気づかない様子だった……。

荻野目 旭 :「失礼しま〜……」

荻野目 旭 :「ありゃ、三廻部さん。……三廻部さ〜ん?」

三廻部 颯 :
「はぁ〜い………………」

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「わぎゃ」

三廻部 颯 :
 跳ね起きる。

荻野目 旭 :「うぉわ」

荻野目 旭 :「お、おはようございます…? ですか? これって」

三廻部 颯 :
「……うたた寝はしかけてたかも」

三廻部 颯 :
「おはようございます……、……すっかり寝そうになってた……」

荻野目 旭 :「はい、おはよございます。寝るなら武装解いて、いつもの姿にしたほうがいいですよ〜?」

荻野目 旭 :でもいつもの姿だと制服にしわできちゃうか

荻野目 旭 :「定時連絡の時間かと思ったんですが……みなさん、まだいないみたいですね。ここでおやすみするなら、場所を変えること伝えておきましょうか?」

三廻部 颯 :
「あう、慣れちゃって……。
 あ、えっとぉ、大丈夫。今のでバッチリ目覚めたから」

三廻部 颯 :
「……まあ、待っててもいいんじゃないかな〜って思うけど。
 探偵さん……?も探索帰りだし、私たちは言わずもがなだし……もうちょっと休んでもいいのかなーって皆」

荻野目 旭 :「そうですねえ、さっきの戦闘もきつかったですもんね。交代で休むとか、木口さんに相談してこようかなあ…」

荻野目 旭 :「余裕がないことに変わりはないとはいえ、一歩前進はできてる状況なわけですし。カミキくんたちの捜索の手は休められないとはいえ、ですね」

三廻部 颯 :
「……旭くんは大丈夫?」

荻野目 旭 :「僕ですか?」きょとんと首を傾ける。

三廻部 颯 :
「うん。
 旭くんだって、結構、大変でしょ?
 なんだろう……えっと、ゲームでいう……ヒーラーみたいな感じで」

荻野目 旭 :
「あは。まさしくそんな感じですもんね、僕。
 実際問題、消耗はそれなりにあるんですが……」

荻野目 旭 :「まだ許容範囲って感じです。カバーに入ってくれる人もいますしね。心配してくれてありがとうございます」

三廻部 颯 :
「そっかぁ、良かった……」

三廻部 颯 :
「……やっぱりそういうのって、ちゃんとコントロールを教えてもらったって感じなの?」

荻野目 旭 :「そですね。最終的にどう戦うかとかは、僕らの希望や適性に左右されますけど…」

荻野目 旭 :
「僕を含めて……UGNに所属するオーヴァードがなにより最初に教えてもらうのが、
 レネゲイドコントロール
  R Cというやつです。限界点をわきまえて、暴走しないように……」

荻野目 旭 :
「自分をわきまえるってこと。
 レネゲイドって、本当に繊細なもので……実のとこ、感覚で扱えるものかと言われるとそうじゃないんですよね」

荻野目 旭 :三廻部さんはかなりのレアケースだ。シンプルに才能がある。

三廻部 颯 :
「そうなんだ……」

三廻部 颯 :
「……私が成ったキッカケって、ほら、前話したホオリさんなんだけど。
 あの人が言った……「望むままに」って感じでやってたからさ」

三廻部 颯 :
「前みたいに変身したり、武器を作ったり……なんてしてたんだけど。
 もしかして私って……結構すごい??」

荻野目 旭 :「おっしゃるとおりです。三廻部さんはすごいんですよ、ほんとに」

三廻部 颯 :頭の後ろに手をやって「ソレホドデモ」ともにょもにょ。

荻野目 旭 :「実際問題、驚かされっぱなしです。いまだから言いますが……」

荻野目 旭 :ひとさし指を立てる。

荻野目 旭 :「オーヴァードに覚醒したものが、覚醒と同時にジャーム化──暴走による変調が取り返しがつかない状態になる確率は、およそ5割って言われてます。つまりにぶんのいち」

三廻部 颯 :「そんなに」

荻野目 旭 :「はい。僕やセンセイが、池田さんとつかず離れず接してた理由です」

荻野目 旭 :
「力が手に入る、なんて言葉は響きがいいですけど……要は、自分の脳みその中に危険な生き物を飼うってことです。
 それをまず檻に入れる才能がないと、僕らは最初の一歩すら踏み出せずに壊れちゃうのです」

三廻部 颯 :
 指を口に当てて考え込む。
 思い浮かべているのは──海岸で遭遇した、二体の怪物のうち……、
 黒いドラゴンの方。

「……そっかあ」

三廻部 颯 :
「……UGNの人って、思ったよりずっとたいへん。
 暴走した人のことも対処しなくちゃいけないのに、自分のことも考えなきゃいけないなんて」

荻野目 旭 :苦笑い。

荻野目 旭 :「そうですね。ただ、ひっくり返して言うと……」

荻野目 旭 :
「自分のこと考えてるから、UGNは暴走したオーヴァードに対処するんです。
 ここまでのことでおわかりのとおり……僕らはみんな、ふつうの人が逆立ちしてもできないことを、簡単にやってのける生き物です」

三廻部 颯 :頷く。

荻野目 旭 :
「それでも僕らは……これまでの社会の中で、生きてたいだけなんです。
 だから自分の有用性を証明するために、
 それから自分たちって生き物があまりに危険なものだって、広く広く悟られないように。
 暴走を鎮めて、怪異に対処して、覚醒例を保護するんです」

荻野目 旭 :「UGNの始まりの理念はたぶんそういうことなんだと、僕は理解してますよ」

荻野目 旭 :僕はこうも思ってる。ユニバーサルガーディアンが守るのは世界じゃなく、自分たちだ。

三廻部 颯 :
「───……」
 深く聞き入る。

荻野目 旭 :「……ま、すれすれのこともやってるのはホントですけどね。僕がいい証拠です」

三廻部 颯 :苦笑い。

三廻部 颯 :
「……今ならちょっとわかるっていうか。
 私が結構無理を言ってたの……」

三廻部 颯 :
「……正直ね、この後のこと、どうすればいいのかよくわかんなくて。
 無事に島から帰れたとしても、私が人間に戻るわけじゃないでしょ?」

三廻部 颯 :
「学校に復帰するのはいいけど──……その後。
 ……卒業したら、そのまま大学生になれるのかなとか、社会人になれるのかな、とか……。
 正直、全然わかんなくて……シホさんにも、いずれ選ばなきゃいけない、って言われたんだけど……」

三廻部 颯 :
「……選択肢として『UGN』のこと、もっと聞きたいなって思って」

荻野目 旭 :「……なるほど」

荻野目 旭 :
「先に言っておくと。UGNに所属しながら学校通いを続けたり、社会人としてふつうに働いたり……そういう人はいます。
 そういう人たちのことを、UGNイリーガルっていいますね」

荻野目 旭 :
「僕が三廻部さんに、はじめ『ちゃんとおうちに帰れるようにします』って言ったの、覚えてます?
 ああ言ったのも、できればそうあってほしいなってコトでもありました」

三廻部 颯 :「ほわ……あ、えっと、あれか、あの」

三廻部 颯 :「バイト」

荻野目 旭 :「そうです。お金も出ますよ〜、ちゃんと」

三廻部 颯 :「ほえ〜……」

三廻部 颯 :「……」

三廻部 颯 :
「……でも、さ、その」

三廻部 颯 :
「私の場合は───普通のオーヴァードの人と……、あ、えっと……こういう表現でごめんね。
 ……で、その……ちがう、じゃん?」

三廻部 颯 :
「それもあって……」

三廻部 颯 :
「なんていうか、その……、
 "両立"できるのかどうか、……不安になっちゃって……」

荻野目 旭 :「……遺産のことですね」

三廻部 颯 :「……うん」

三廻部 颯 :
「……託されたものだから、悪くは言わない。
 けど……、これ、……悪い人とか、狙うタイプの代物でしょ?」

荻野目 旭 :「……言ってしまえば、そうですね。伝説の剣とか、そういうカテゴリのしろものです」

荻野目 旭 :
「心配なのは、すごくわかります。
 僕らとして絶対にこうなります、とは、ただのチルドレンの僕にははっきり言えませんしね」

三廻部 颯 :「ごめん……」

荻野目 旭 :「へーきです。心配なのはわかりますもん」

荻野目 旭 :「ただ……そうですね」

荻野目 旭 :
「『両立』なんて考えすぎなくても、大丈夫だと思いますよ。
 ようは定期健診の感覚で僕らUGNと付き合ってくれれば、自分の体の状態も知れてウィンウィン。そんな感じとかね」

荻野目 旭 :
「三廻部さんの場合は、確かに覚醒に至るまでと、その特性がレアケースだってことはホントですけど……
 僕の上司は、だからって三廻部さんがいままでどおり学生をすることを止める人じゃありません」

三廻部 颯 :
「───……」

三廻部 颯 :
「……そっか、そっか」

 言いようのない不安感を抱えていたことをあらわすように、表情がちょっと崩れる。
 自分の抱えた劇物で、どこからも厄介払いをされたらどうしよう、なんてことも考えていた。
 それはもちろん、咲楽のことも含めてである。

三廻部 颯 :
「みんな……優しいんだね」

 少なくとも、私のようなケースには。

三廻部 颯 :
「……もう一個、不安になってることもあるの。
 そういう扱いをしてくれるの、嬉しいし、優しいなって思うんだけど──」

三廻部 颯 :
「……私ね、あの狼との戦いで、……なんていうか。
 ざわざわした感じを、ずっと感じてて」

三廻部 颯 :
「……なんて言うんだろ。
 ……邪魔する奴らみんな、ぶっ飛ばす、っていうか……その、……もっと物騒な言い方で考えちゃって」

 ……本人こそ自覚してないが、つまるところ衝動のことだ。
 自分の抱えてしまった殺意に、まだ納得も自覚もできていないようにみえる。

荻野目 旭 :「物騒な言い方……。……」

荻野目 旭 :「……なるほど。こわかったですよね」

荻野目 旭 :「以前…レネゲイドコントロールの話をしたときに、ちょっとだけしかその話には触れてなかったですし。びっくりするのは当然です」

荻野目 旭 :「まず。たぶん三廻部さんの感じた『キモチ』は、三廻部さん自身の性格じゃありません。そこは僕が保障します」

三廻部 颯 :
「……そうなの?」

荻野目 旭 :「はい。というのも、それは多分……僕らオーヴァードが共通して抱えているものだからです」

荻野目 旭 :「レネゲイドウイルスは僕らを超人にする代わりに、そのウイルス自身に由来した感情を、僕らの中で増幅するんです」

三廻部 颯 :
「ウイルス自身に由来した……感情──」

荻野目 旭 :
「それを……『衝動』って言います。
 たぶん三廻部さんは、あの戦闘の中でたくさん力を使ったので、レネゲイドが体を占める量が増えていっていて……」

荻野目 旭 :「『三廻部さん自身のこころ』と、『レネゲイドのこころ』の比率が、逆に傾いている状態なんだと思います」

三廻部 颯 :
「『衝動』……」

三廻部 颯 :
「……それって、結構危なかったりする?
 バランスが崩れるってことは……さっき言ってた、暴走に繋がるとか……」

荻野目 旭 :「とっても」

荻野目 旭 :「『レネゲイドのこころ』が『三廻部さんのこころ』を完全に覆ってしまったとき……僕らはジャームになります。あの蝕みの君みたいにです」

三廻部 颯 :
「……!」

三廻部 颯 :
「……それは───……怖いな」

荻野目 旭 :こくり。

荻野目 旭 :
「それに対抗するには、自分の心を保つための大切なもの……
        バックトラック     ロイス
 いつもの自分への帰り道をつくる、拠り所が必要なんです。
 イリーガルなんて地位を僕らUGNが持ってるのは、実のとこそれも理由にあるんですね」

三廻部 颯 :
「拠り所……」

三廻部 颯 :
「そっか、それが、家とか……友達とかなんだ。
 ……じゃあ、UGNに居る人は……自分の組織?とか?」

荻野目 旭 :「それに同僚とか、ですかね。……僕らが『普通でいたい人間たちの寄り合い』だって、前言ったでしょ?」

荻野目 旭 :
「文字どおりの意味なんです。
 今まで生きてた世界にそっぽ向かれた人たちが、自分のままでいるために、変わった自分のための居場所が必要ですから」

荻野目 旭 :「それも、けっこう切実にね。……ナンギな生き物でしょ」

三廻部 颯 :
「……あはは、私もそう思う。自分自身もふくめて」

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「……ありがと、旭くん」

 お礼を言う。
 知りたいことはいっぱい知れて、UGNって組織が、どういうことをして、どういう人たちの集まりなのかも知った。
 

三廻部 颯 :
「やっぱり私、旭くんのこと、嫌いになれないかも」

 冗談めかして笑いながら、立ち上がる。
 ちょこちょこと彼の後ろに回って、えいやと背中に身を寄せる。

「……わたし、狼と戦う前より、強くなれたかな?」

 肉体的な意味じゃない。
 精神的な強さは、自分では推し量れない。

荻野目 旭 :「おわ」

荻野目 旭 :後ろの感覚! めちゃくちゃびっくりするのを、フン! と鉄の理性で堪えきる。いろいろ抜かすと、なんだか思い出すのはあの人のあったかさだ。

荻野目 旭 :「……それは残念です。チルドレンの旭くんは、当初の思惑大失敗かもしれません」

荻野目 旭 :ただあのひととかそのひと流に言うなら、悪くないってやつ。

荻野目 旭 :
「はじめ見たときよりずっと、心強いなって思いますよ。
 まわりを見れるようになって、きっと三廻部さんがちょっと楽でしょ?」

三廻部 颯 :
「……うん。
 自分の事とか、みんなの事とか、知れば知るほど気持ちが落ち着いて……、
 ……あとは……さっきまでの自分のことを見つめ直す機会もあったし」

三廻部 颯 :
 誰かに寄りかかるわけじゃない。
 誰かを知って、誰かと心をつなげる。
 それがきっと、人間としても、オーヴァードとしても、私に適した在り方なのかも知れない。
 それを強く実感するのが咲楽と、旭くんだって、今思えた。

「わたしね、独りになりたくなかったの。
 でもね……、そう思うのが、なんていうか、エラソーな感じっていうか」

三廻部 颯 :
「わたし、そうやって思う前から独りじゃなかったんだ。
 この島に来て、咲楽や、他のみんなとはぐれちゃって……それでオーヴァードになっても、旭くんがいてくれて……、
 私、それが分かってなかったみたい……自分で「友達だ」って言ったのにね?」

三廻部 颯 :
「……これからのことは、もっと考えて決めるけど。
 わたし、居場所は決めたよ」

 あるのは三つ。
 

:
"『ここにいちゃいけない』
 『ここじゃないと息ができない』
 『ここにいたい、ここがいい』── "

三廻部 颯 :
「私、咲楽や旭くんの隣に居たい。
 友達の隣に居たいんだ」

 こつん、とおでこを背中に当てる。
 そうやって頭をもたげる仕草は、"渇望喰い"との戦いの前のあれそれに対して、ちょっと申し訳なく思ったから、謝る感じのうごき。

「……それでね。
 私みたいに独りになりたくないって思ってる人に、手を差し伸べてあげたいの」

三廻部 颯 :
「……」

 そうした宣言のあと、少し口をもごもごさせて、濁した感じになって……、

三廻部 颯 :
“喚楽の人喰い虎”
「……あの人と遭遇した事、聞いた?」

 避けられないように、そのことを口にした。

荻野目 旭 :
「…………。……」
 なるほどお。それが、あれにつながったわけだ。

荻野目 旭 :「……聞きました。境耶くんから、さらっとですけど」

三廻部 颯 :
「……そっか」

三廻部 颯 :
「……ごめん。なんていうか、勝手な事言ったかなって。
 ……頼ってなんて言っておいてさ」

三廻部 颯 :
「……謝りたかったの、そのこと」

荻野目 旭 :「それは……もしかして、『友達になりたい』の話ですか?」

三廻部 颯 :
「……うん」

三廻部 颯 :
「……その、スケールとか色々違うのは分かってるんだけど。
 ……一人ぼっちの人を見ちゃうと、なんていうか、声をかけちゃうというか、……」

三廻部 颯 :
「身勝手なこと言ったなあって……」

荻野目 旭 :「三廻部さんがそういうコなのは、僕もわかってるつもりですよ」苦笑する。

荻野目 旭 :あるいは、苦笑いがうまくつくれているように努力する。

三廻部 颯 :
「あう」

三廻部 颯 :
「……ほんとは、どう思ったの?」

 旭くんが……"かお"を変える人だっていうのはわかってる。
 わかってるつもりで、聞いてみる。

荻野目 旭 :「……それ、聞いちゃいますう?」

三廻部 颯 :
「うん……、……いっぱいあるよ? 聞きたいこと。
 ……リベンジした後のこととか」

三廻部 颯 :
 なんていうか。
 随分、これも勝手なことだ。
 けど、知らないままだと、もどかしいし。
 そういうのがギクシャクしたままだと、個人的には寝覚も悪い。

「……やっぱ言いたくない、かな」

荻野目 旭 :「……うーん」

荻野目 旭 :「……。じゃあ、言っちゃおうかな」

三廻部 颯 :おでこが旭くんの背中から離れる。

荻野目 旭 :
   ヒト
「あの女の性質と僕のハナシを知ったうえでそう言うなら、
 ひどいことするなあって思いました」

三廻部 颯 :
 こつん、と旭くんの背中にまたおでこを押し付ける。

「……だよねー」

荻野目 旭 :「残念ながら。僕、ここはあんまり割り切れてないみたいで」

荻野目 旭 :
「孤独の生き物が立ってる高みとやらをだるま落としして、上から笑ってやりたいのに……
 先にそこから降ろされたら、たまったもんじゃありません」

三廻部 颯 :
「うん、……うん、ごめん、その、……わかってるつもりだった。
 ごめん……、デリカシー、なくて……」

三廻部 颯 :
「……じゃあさー」

三廻部 颯 :
「そのだるま落としが終わったら、……でもいい?」

荻野目 旭 :「……うーん」

荻野目 旭 :「ノーコメントです。僕はいつでも牙をむける野生の猛獣に『ともだちになろう』って言うともだちを止めずにいられる自信は、あんまりないかな」

三廻部 颯 :
 縮こまる音。

三廻部 颯 :
「……その時は、あの人に言えなかったんだけどさ。
 なんていうか、"この人は猛獣です"で、終わらせるのも……ちょっとなーって思っちゃって……あう、言いたいことがごっちゃになってきた……」

三廻部 颯 :
「あ、でも……でも、でもね。
 ……頼って欲しいのはほんとだし、頼ってくれるからには頑張るから。
 そこはちゃんと……うん、約束できるから。

 だからその……あの……、遠慮だけはしないでねっ」

荻野目 旭 :「……言いたいことはわかりますよ。僕もたぶんいまの状況じゃなかったら、似たこと考えたと思うんで」

三廻部 颯 :「うん……えっと、……じゃあ、あの、あの……」

三廻部 颯 :
「……終わったら考えよう!
 ……私はそういう気持ちっていうの、知ってもらえただけでもって」

三廻部 颯 :
「余計に気を揉ましちゃうかもしれないんだけど。
 えっと、その、その時が終わるまで、私はちゃんと……旭くんの"武器"になったげるから」

三廻部 颯 :
 余計なこと色々言ってるなーとか、
 色々思いながら、両肩にばしーんと両手を置いて立ち上がる。
 
「……色々教えてくれて、聞いてくれてありがと!」

荻野目 旭 :「………………」

荻野目 旭 :「………ひどいこと言うなあ」

荻野目 旭 :ぽつりと洩らす。ため息交じりに、ぼやくみたいに。

荻野目 旭 :いつもの友達の顔でおさめようとしていたものが、ちょっと漏れる。平静の表情のまま、顔は凍り付いたように動かない。

荻野目 旭 :
 UGNの理性は言う/あれを無事では返せない。
 僕の激情は言う/あれの持ち物を増やして、無事で返すなんてさせてやらない。

荻野目 旭 :
 ひっかいて、爪立てて、永遠の傷にして、冷凍庫でずっと眠らせてやる────。

荻野目 旭 :……そうするのが、『僕』の目的だ。

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :「覚えておいてほしいことがあるんです」

荻野目 旭 :何度目かの言葉。

荻野目 旭 :「僕は、彼女がキライです」

荻野目 旭 :「だから……あなたが彼女の手なんか取らないことを、願っています」

荻野目 旭 :「……。………」首を振る。

荻野目 旭 :「──戻りましょうか。僕もぼちぼち境耶くん探して、戦える状態までもってかないと」

三廻部 颯 :「───……」

三廻部 颯 :
 友達の、嫌いな人。
 その人は、一人ぼっちで、私の目には、寂しい人に見えた。
 それに手を差し伸べるのは、正しいことなの?
 
 ……わからない。
 旭くんのことは、大好きで、友達だと思ってて、
 そのままでいたいと、思っているのなら───……

三廻部 颯 :
「……うん」

三廻部 颯 :
 ……それでも多分、
 私のやることは、変わらない気がする。

SYSTEM :
 あなた/颯の、これまでのトモダチで。
 これから、違う形で手をつなぐトモダチの、何度目かの忠告。

 それは肉食獣へ無遠慮に手を出す者への善意の忠告か、価値の一部が零落した『強い人』に対する激情の滲んだ警告なのか。

SYSTEM :
 ………その部分に、正しいか否かを語るのはお門違いというもので。
 それを後押しも掣肘もするものはいなかった。

SYSTEM :
 誰ぞに曰く。

 あなたが見つめた深海の先にいた、孤独の主と彼女は"似ている”という。
 ・・・・
 似ている、だ。同じでは、ない。

SYSTEM :
 ………では何が違うのか。
     兄     弟
 何が、ホデリの見るホオリの面影から、彼女を"ズレ”させたのか。

SYSTEM :
 ………あなたはその是非を問わず。

 あまりに素朴な理由で。
 ただ出来るという理由で作られた最後の兵士のなり損ないに答えを出すだろう。

 あなたが持ってきた、来るつもりの答えとはきっと違うものを。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :シーンが終了しました。ロイスの取得・更新等ありますか?

三廻部 颯 :……ありませんっ。

荻野目 旭 :ないでーす。


・シーン34「幕間・拾捌」

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【シーン34:幕間・拾捌】

 登場PC:颯、境耶
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :

Tips-ホデリノミコト
 カヴァー/ワークス:???/レネゲイドビーイング
 性別:雄 年齢:成体の犬ないし狼くらい(外見年齢。本来の年齢は不明) 侵蝕率:不明(40%〜?)
 シンドローム:キュマイラ/エグザイル/バロール

 久外境耶が、名も知れぬ島で最初に出会ったRB。
 白い犬ないし狼のような姿をしており、どこか古風な口調で喋る。

 まことの名、ホデリノミコト。
 かつて名も知れぬ海沿いの村にて“鬼”と蔑まれていた弟ホオリと共に、
 自らは海の、ホオリは山にて漁師として暮らしていた。
 しかしある時、ホオリと役割を入れ替わる戯れの末に“釣針”を失くした事で、
 これまで溜め込んでいた鬱憤が抑え込めず、ホオリを半ば追放するような結論を取る。

 やがて再び出会う時、彼はふたつの過ちを犯した。
 ひとつは、釣針を持ち帰ったホオリの意を汲み切らず、弟以外のものとしてその瞳で応えたこと。
 そしてもうひとつは………。

 たとえ誰が“過ちでない”と太鼓判を押したとて。
 他でもない彼が、その行いを頑しものと、自ずと嘲る。


 なお、彼自身の姿はE■■■■■■■■■■───
 これによる変化の自覚はないが、記憶■■■■■■■■■■───。


SYSTEM :

 風が、凪いでいる。

SYSTEM :
 リュウグウジマのいずこかに隔たりと共にある、この屋敷。
 そこに風が吹くようなことはない。
 どのくらいの時が経てば日が沈み、どのくらいの時が経てば日が昇るのか。
 縁側にて空を見上げたとて、定かでない。

 時に置き去りにされた島の、そのまた記憶。
 さる青年の、もっとも穏やかで、もっとも短かった平穏の名残。

SYSTEM :
 ホデリを名乗る白い狗は、用向きなければいつも此処にいて。
 あなたたちとこの場所のよすがを繋げる役目をしている。
 そうかと思えば、この場所と彼方のよすがを繋げる役目を自覚なく執り行っている。
 何処にいるのかは時と場合によって違う。

 屋内にいる時もあれば、入って来た時の居間にて微睡む姿であることもある。
 そして、この縁側にいる時も。
 此処に座して、変わらぬ空雲を追う時の尾は、緩やかに左右に揺れる穏やかな色。
 あるいは───名残への郷愁の色をしている。

SYSTEM :
 短くも長い“ひまつぶし”を収穫なし/ある意味ありで帰って来た少年が、
 彼を探していたならば、辿り着く場所は此処だったが。

 そこには───夢の栞を挟んだ最後の場所には、もう一人先客がいた。
 いや、今から来るところだった。

久外境耶 :
 ──いた。

 付き合いは短いし、この先だって長くはないが。自然と覚えたパターンを辿っていけば、いずれは行き当たる。

 ただ、なんとなく。
 この場所を探すのは、いつも最後だった。

久外境耶 :
 見つけた後ろ姿。ゆるゆると揺れる白い尾が何を想っているのか、もう気付いていたから、踏み抜けろバーカと板張りの廊下を足音荒く突き進む。

久外境耶 :
「おーす、今戻ったわ。パラディンどこにもいねえでやんの」

久外境耶 :
「……あ? オメーまたやってんのか一号、ゴミ撒きなら余所でやったのち全部片せ」

 と、そこでようやく、もう一人の姿に気が付いた。

三廻部 颯 :
「はひっ! すみません!!」

 ……もっとドヤされると思ってた!
 なんて、普段の「ワー」とか「ギャー」みたいな喧騒を思い返した。
 木人の残骸をせっせと集めて、砂に戻して大地に還す。

三廻部 颯 :
「……"パラディン"って、あのおっきな剣持ってる人ですよね。
 ……放浪癖……?」

 なんてことはないが、なんてことかなと思ってしまった。

SYSTEM :
 散らばった木人の残骸は、 
 あなた/颯が思っているよりは多くなかったはずだ。
 特に何をば言わず/言ってもそう長い言葉を交わさず。あなたはそこにいて、彼も動じずそこにいた。

『ホデリ』 :
『む………』

『ホデリ』 :
『疾き帰り…に非ずとも、あの男は見つからずか。
 斯様に告げることあらば、ついて行けば良かったろうに』

SYSTEM :
 戻ったか、と口にして。白い狗が、あなたを暫く視線で追う。

『ホデリ』 :
『徒然なるは紛れたか?』

久外境耶 :
「いや無に還して外に撒いたらノーカンじゃねーんだよ、残んだろうが砂がよ。おれの元上司は死体を砂にしたあとちゃ〜んと袋詰めて持って帰ってたぜ」

久外境耶 :
「で、そうそう。それで合ってる。放浪癖っつーか、まあ……」

 気遣ったんじゃね? っつーのは邪推か。

久外境耶 :
「い〜んだよ、おれは用事なかったし。つか合図出しゃ来てくれるでナシついてんの夜目子に黙ってたかんな」ひひひ

久外境耶 :「おう、暇潰しにはなったわ。で……あー」

『ホデリ』 :『む…』

『ホデリ』 :『如何にした。あの娘が、戯れ聞き付けばただには終わらぬことでも悟ったか』

SYSTEM :冗談めかした、二の句を択ぶ様子をつつく言葉択び。自分相手なら気にするな、の意。

三廻部 颯 : 律儀に袋を生成して砂を集めながら話を聞いている。

久外境耶 :
「……かもな。だから黙っててくれよ」

 …… ……。じゃあ、と促しに乗る。

久外境耶 :
「一号」人差し指引いて呼……死体袋のほう参考にすんの???????????

三廻部 颯 :「え!」

久外境耶 :どっちに対する「え」なんだよそれは!

三廻部 颯 :
「いやァ……」
 もごもご、でも砂は散らかさないから……と言い訳三昧。

久外境耶 :聞こえてますか旭クーン おれこいつ大丈夫だと思いマース

『ホデリ』 :
『律儀なり。なれど、斯様にまで気にかけるでもない。
 この屋敷はわたしのものに非ずよ。気に掛けるものも、また』

『ホデリ』 :
『ただ、そうさな…。過度に散らかさずこそ、あらまほしきこと。
 目立たぬところに除けておけ』

三廻部 颯 :「ハーイ……」

三廻部 颯 :
 片付けながら、
 "この屋敷はわたしのものに非ずよ"という発言に、ちょっと表情が変わる。
 ……この屋敷が"なんであるか"を、私と咲楽だけ、ちょっとずるい方法で知っている。

 というのが態度でバレバレだった。

久外境耶 :オメーの陣地だしオメーのもんでいいだろうがよ〜

久外境耶 :
「あとでいーから一旦ここ座れ。おまえ立たせっぱなしで詰めるとおれが怒られんだろ」

 また何か隠してんなという気付きに、だるく溜息をつく。さっきの呼びかの続き。ホデリに促された本題がそれだった。

久外境耶 :
「おまえさ、前言ってた夢……だっけ。あれまだ見んの」

三廻部 颯 :「───、……あ」

三廻部 颯 :
 促されるままに座る。
 多分、隠すようなものでもないんじゃないか、と思って……。

三廻部 颯 :
 こくん、と頷く。

『ホデリ』 :『………』

『ホデリ』 :
『臨みて見たものでもあるまいが。
 ………続きか………』

SYSTEM :彼がぼんやりと空を眺めてからぼやく。そこに危惧や焦りの類はない。”あなた”が聞くこと/見ることを掣肘することは、今のところなさそうだ。

久外境耶 :「……何を見た?」

三廻部 颯 :「……」

三廻部 颯 :
 目線を二度、ホデリと境耶に向ける。
    弟
「…………ホオリさんのことです。
 ……あの人が、帰ってきた後のこと」

 座った縁側の板を撫でる。
 それはこの屋敷の由来を知っているかのような手つき。

久外境耶 :
 ……ホデリに向きかける視線を、一号に固定する。初めの頃と随分かわった出で立ちと、少し前よかマシになった顔つき。

久外境耶 : 
「……おれにゃ、それじゃ分からん。言う気あんなら全部吐け。
 おまえだって、思うトコがあっからこんな場所で剣振ってたんだろが」

三廻部 颯 :
「……はい」

三廻部 颯 :
 話すのは、夢のあらまし。
 見てきたこと、聞いてきたことを、全部。
 アシヤ?のことも、ホオリさんが退けた怪物のことも、ホオリさんがホデリさんと再会した時のことも。
 
 ……付け加えるのならば、それは本当に淡々と"第三者"の目線で話されていたこと。
 颯は第三者の視点でそれを見てきた。
 だからそれを語るのに、私情を交えなかった。

三廻部 颯 :
 交えたかったのは、ある。
 だけど──ホオリの「悪いところ」も見てきた自分にとって、
 ホデリさんの取ってしまった過ちを指摘する気には、なれなかった。

三廻部 颯 :
「……見たのは、以上です」

三廻部 颯 :
「……ホオリさんとは、それっきり。
 あの人はもう、……海の底にはいなくて。
 ……みなさんが遭遇したって言う、骸の方だけが、この島に残ってる」

SYSTEM :
 ホデリは───。
 ホデリノミコトは、あなたが全てを口にし終えるまで、何も言わなかった。

 ただ一言、左様か、と。黄昏る狗の横貌と共に告げるが精々。

SYSTEM :
 交えなかった私情が、彼の主観にとっては正論であろうと察したからか、つつくことさえしなかった。それで気を悪くすることも。

SYSTEM :
 ただ少なくとも、彼にとってその話が事実であることは確かで。そして、海の彼方に葬りたい事情でもなかった。
 沈黙は、まさに。それでいい、と。

SYSTEM :    
    ・・
 まこと頑し生き物は………。
 今ここにいるのだとばかりに。

久外境耶 :
 黙って聞いてたのは、たぶん、忍耐じゃなかった。呆れ果ててものも言えないとか、そんな感じ。

「…… ……」

 あほくさ、と。
 いつか聞いたぼやきが脳裏に蘇って、感情に火を着けた。

久外境耶 :
 勝手に拗ねて、諦めて、あげく魔が差した……? ふざけんじゃねえぞ間抜け──!

久外境耶 :
 むっっっっかつく……! 何もかんも頭にきた。並べられた罪状を受け入れるみたいに頷いているホデリにも、ハナシややこしくした女にも──

 ──どいつもこいつも理解できない、自分自身にも。

久外境耶 :
「……野郎、遺してばっかじゃねえか」

 一番むかつくのは、多分それだった。

 現代まで子孫は平和に暮らしていて──
 残りかすの分際で命をくれてやって──

 知らんトコで勝手に報われてるくせに、
 そいつの兄貴はずっと取り残され続けてきた。

久外境耶 :
 ……『暗し者として記憶に残る』? 上等じゃねえか事実だろうが。

久外境耶 :
「……くっだんね……」

 怒りに任せて立ち上がっていたことに気付いて、どかっと座り直す。しばらく手前の足元を睨んだ後、やっと顔をあげた。

久外境耶 :
「……ホデリさあ。マジでいいのかよ。バカの死体と一緒にオネンネして、それでおまえに何が遺るってんだ……」

三廻部 颯 :「……」

 遺してばっか。
 そこには、赤べこの勢いで頷いていた。

『ホデリ』 :
『…思いひままにせよ、と。
 汝はわたしに言うたろう?』

SYSTEM :
 その、全力の不貞腐れに。
 ホデリが薄らと笑った。しょうがないとするような、その怒りの理由を受け止めて、少しまぶしくも、申し訳なくも思うような。

『ホデリ』 :
『ただ………一つ事のために流れに取り残され、一つ事を成し得て帰る。
 そのための高慢に。残るものなど、なるほど。わたしのうちにしかあるまいし…』

『ホデリ』 :
『暗し者は互い様とて…』

『ホデリ』 :
 ・
『兄なのだ』

『ホデリ』 :
『わたしは。
 ・
 兄なのだ。斯様に暗し者でも、魔が差そうとも。ものを申したいこと少なからじあっても』

『ホデリ』 :
『その無念に、如何なことか、縋る二度があった…。
 微睡むような長い無念であったが』

『ホデリ』 :
『二度縋るは頑しこととて………。
 二度見過ごすは、より頑しであろう』

SYSTEM :
 ・・・・
 今度こそ。
           ジ ン ク ス
 悪魔が何より微笑む、蜘蛛の糸の兆しに縋る言葉を、彼は言外に告げる。

SYSTEM :
 彼の理由は、人が見て想うほど善人ではなく。
 己が見つめて詰るほどの悪人ではない。

SYSTEM :
 次は
   兄として弟にいいところを見せたい。
   弟を楽にしてやりたい。

 自ずと手放しても、喪われても、なおも血の繋がりだったものを。

SYSTEM :
       ダサイ
 そのために、頑し真似を、
 より頑しことを避けるために。今度こそと定めて…。あなたに出会った。

SYSTEM :
   ・・・・・・・
 ………それだけのことだった。

 本人が一番愚かと承知していたが、
 その一つことこそが、未練を吹き消す、胸を張る“のこるもの”であるのだと。

久外境耶 :
「……ありえねえ、なんだよそれ」

 マジでありえねえ。最悪だ。だっておれは、よりによってソレだけは分かってしまえる。

久外境耶 :
「ハ……」 

 兄貴だから、弟にはカッコつけたい。
 何かあったら、助けてやりたい。

 ……トーゼンだよな。

久外境耶 :
「かっこつけやがって……」

 「ふざけんじゃねえ」と「ならしゃあねえ」が両立して、アタマん中はグチャグチャだ。絞り出すような声を出すのがやっとだった。

三廻部 颯 :
「…………」

三廻部 颯 :
「……なんか、そっくり」

 過ぎた兄だ。
 そう、言っていたっけ。
 すれ違って、もう取り戻せなくても、二人ともどこか、自分が持った兄弟のことを誇らしく言っていた気がする。

『ホデリ』 :
『似通うか? 如何様にしたものかな』

三廻部 颯 :
「あ、いや……えっと。
 ……ホオリさんも、似たようなこと言ってたなって」

久外境耶 :「クソボケがぁ?」野次

三廻部 颯 :
「……帰らないって選択肢もあったはずなんです。
 それでもあの人、何がなんでも故郷に帰るって……」

三廻部 颯 :
「あはは、そうですそうです」

SYSTEM :ホデリの口からこぼれるような笑い声。

『ホデリ』 :
『………したり顔も道理だろう。
 兄なのでな。楽な道は残してやるもの』

『ホデリ』 :
『…それが果たせずと思い知ることあらば、二度目は当然のことよ。
 次はわたしが、彼奴の愚直を突きつけて、労る番ぞ』

SYSTEM :
 弟のやることだから総て赦す、でもない。

 その辺りは、節々に紛れる言葉/裏表のない性格、と呼んだ前の呼び方が暗し者(概ね「バカもの」に相当する)であったことや…。
 今の颯の言葉に、しょうがないものを聞くような声色が混じったことからもそれが窺えた。

SYSTEM :
 ただしそれよりも大きな理由と感情が、

 今しがた語ったものであるというだけ。
 
 超人の世界を知らぬ一度目が、
 超人の世界に臨んだ二度目で。
 己が斯様なあり方をした所以などを探ること“より”も、そうしただけ。

久外境耶 :
「………おれもさ、"兄ちゃん"だったよ。タブンな」

 ……あぐらかいた脚に肘をついて、そっぽ向きながら呟く。

久外境耶 :
 今まで言わなかったのは、ホデリに隠し事があったからだ。あいつは言わない、おれも言わない。そんでイーブンの単純計算。

 一号も聞いてっけど、おれは隠してるつもりないし。夢の件の礼じゃあないが、ここで仲間外れは筋が通らない。

久外境耶 :
                 そいつ
「つって、ろくにおぼえてないけど。 弟 死んじまったし」

久外境耶 :
「おかしな話だよな。顔も名前も……声だって思い出せないのに、そいつがいて、守れなかったコトだけおぼえてんだ」

久外境耶 :
「『今度こそ』が、二度目のチャンスが回ってくんなら……そりゃあ何百何千年だって待てるよな」

久外境耶 :
「……おまえのバカ弟は気に入らねーけど、おまえの気持ちは分かる。だから、伴は続けちゃる」

 べつに解消とかミリも思わんかったけど、あてつけがましく。あーあ、ホントむかつく!

SYSTEM :
 あなたのその告解というには軽々しく、
 世間話というには染み込むような言葉。

 今度こそ、という言葉に。
 誘惑し、喜劇に放り込むべきファルスハーツの下っ端が。当てつけがましく、言い聞かせるみたいに言葉を紡いでいた。

『ホデリ』 :
『忝い』

SYSTEM :
 意訳はありがとう。
 白い狗が、高らかに、それでいて、涼やかに吼える。
 多くは言わない。負い目に思うでもない。”今度こそ”に込めたものに、己の感想をぶつけて同情する若さはホデリにはない。

SYSTEM :
 あるのは、ただ。
 兄だったという者。

 生死の境目を奔るのに、その術は死を隔てる断熱の花弁であり、無貌であった者への礼だ。
 これまで通りを続けるものへの、これまで通りの言葉。

『ホデリ』 :
『わたしの"さふべき”を…。
 為む方無しとしておいてくれ。な』

久外境耶 :
 おれの同道に、理解は必要ない。たまたま一時的な怒りの消火剤が、それだっただけで。
 一ミリも理解の及ばないりくつだろうが、おれは一度決めたおれの心に従い続ける。

「…………」

 こっちの返事なんて分かりきってる宥め方。
 悔しいので、何も返さなかった。

SYSTEM :
 その少年の残した仕草。

 時に世界さえ敵に回す彼らの流儀に、本質的には遠い/下手な生き物がこの白い狗だが。それは、理解が叶わないということではない。
 ただ“これまで通り”に“これまで通り”の礼を述べたホデリが、たまに見せる、聊か小狡いからかいの仕草を見せることはなかった。

SYSTEM :
 礼儀で誠意だ。
 彼の消火から、暫しの時間/時のゆるみを置いて………。

 夢の当事者に、言わぬは筋が通らぬとしたことを、ホデリが口にし始める。

『ホデリ』 :
『斯様な夢…彼奴が望みて汝に見せたか…
 彼奴の遺しものが汝を導いたのか…』

『ホデリ』 :
『だが…確かに、』

『ホデリ』 :
『あの暗し者は独りとなり…。
 やがて“唆し”と共に、海へと還り…』

『ホデリ』 :
『時に自ずと逆らいながら………
 この島となったのだろう………』

SYSTEM :
 ………この島は、ホオリノミコトの夢であり。
 まとった鎧であり。
 海底にて見たまぼろしのため、届かぬ彼方に潜り続ける時の孔。

『ホデリ』 :
『微睡みながら、かなわぬ夢を追うておる…。
 だが…』

『ホデリ』 :
『いつかは目覚め…終わらせねばならぬ夢だ』

SYSTEM :
 ・・・・
 いつかは。
 誰かが、何度も聞いた言葉のかたち。

三廻部 颯 :
 ……頷く。

『ホデリ』 :
『わたしは斯様な理由で…島に赴く。
 兄ゆえな』

『ホデリ』 :
『そしてさふべきの伴は二人も恃むものでなくば、これだけ語ろう』

『ホデリ』 :
『…ホオリが…彼奴めが…』

『ホデリ』 :
『彼奴が汝に“遺す”としたのが汝なら…。
 ・・・
 その時は、何卒恃む』

『ホデリ』 :
『あれが見込んだ理由に“とくべつ”など非ずとも。
 汝、事のあらましに聊かの不本意あろうとも…敢えて言わば…』

『ホデリ』 :
『汝が無念を除くものであり、
 無念を悼む者だったことは…是しと思う』

SYSTEM :
 意訳で、弟のことへの小さな礼と。
 それでもあなたの理由のため、自分の弟にいいたいこと/やりたいことなどやって構わないという言葉。

 自分の理由に付き合う者は既に間に合って、果てまでは続けてくれると宣誓があったが故の、言っておかねばならない言葉。

SYSTEM :
 ものすごく端的に言うと。

 弟が世話になりました、に該当する言葉が。
 あの日、兄としてはいなかった男/生き物からの言葉だ。

:
"………島から出る術は………。
 島に遺るもの全てを解き放ち、もとの場所にかえす術は………その『俺』が覚めぬ眠りにつくより他にない"

:
"………おまえが…。
 おまえたちが、それをするなら………。
       ..・・
 …。俺は自分の悪しに疑問を持たず逝けるだろう"

三廻部 颯 :
「……」

 頷く。
 私の理由、考えれば考えるほどいっぱい出てくる、私の理由。
 その最中に、壁として"骸"が立ちはだかるのなら、立ち向かうことの許しを得た。

三廻部 颯 :
「……夢は、醒めるものだと思います。
 ……夢も、執着も」

三廻部 颯 :
「その終わりが……安らかであってほしいと、私は思うし。
 ……そうなるように、私は私の理由で、戦います」

三廻部 颯 :
 手を、柔らかく握って。
 脳裏に浮かぶいくつかの顔に、あたりをつけて。

「……もし、それで……対立することが、まだあったとしても。
 なんとかできると思うし、します」

三廻部 颯 :
「そして……最後は、……友達と一緒に、この島にお別れを言いに行きます。
 私も……帰らなきゃいけない場所があるし。
 ……私も、お姉ちゃんだから」

三廻部 颯 :
 選ぶ道はきっと変わらないし、
 選んだこともきっと変わらない。
 それで──何かが起きたとしても、もう、そこで歩みを止めるようなことは、したくない。

「……後少し、よろしくお願いします」

 二人に、静かにそう告げる。

『ホデリ』 :
『夢醒む時は、それで終わりに非ずよ。
 また始めることもあろうさ』

『ホデリ』 :
『終わりゆく形を如何様に成すか…。
 汝とはそれが別れの言葉ぞ』

SYSTEM :
 だが己や弟にそれが能うものではないと続けて。彼は、やがてのお別れに否を言わなかった。

 ならば今の言葉は。あなたから滲んだ、
 微かな不安への激励に近かった。

 もしも。
 夢かなわず、能わず、諦めたとしても。
 新しいかたちと思いが備わるだろうと。
 何とか出来るの所以を忘れぬ限り。

SYSTEM :
 無論、叶えばそれで良しと。

 よろしくお願いしますのお返しは、
 ただ別れの予言こそがふさわしい。

 兄からの言葉だ。
 ………“余分”が残るものが人間とて、
 ホデリの余分はその器がそう大きくない。

 大きくないなりの、激励だと思えばいい。

SYSTEM :
 名残の庭に、微風が吹く。
 滅多にない風の音色。

久外境耶 : 
 弟のために礼を言う姿にはあぐらに肘ついて「ケッ」とぼやきつつ。

久外境耶 : 
「はん、そーいうのは"ナイトホーク"にでも言っとけ。虎女の気が変わってミコサン狙うんなら、おれらは敵同士だぜ」

 バケモンじみてるが「じみてる」だけの律義女が掌返すなんざ思っちゃいない。ただのイジリだ。

 ……だいいち。そーいう成長したっぽい姿は、一号の浮き沈みに振り回されたやつにこそ見せてやるべきだし。

久外境耶 :
 ……グエ。なーーーーんか妙に肩入れしちまう理由に指先かすりかけたので、思考からあのしたり顔を追い出す。

荻野目 旭 :ほわんほわんほわ〜ん

久外境耶 :追い出してんだよ出てくんな!

荻野目 旭 :きゅ〜ん

三廻部 颯 :「あはは……」
 ちょっと、困ったような笑い。

SYSTEM :
 あとすこしの“よろしく”に。
 素直じゃない/回りくどい生き方で“今度こそ”と走って来た者が応える。

SYSTEM :
 ………いつかは、何度もやって来る。

 あなたにとって。また、誰にとっても。
 ホオリのこと/“人喰い虎”のこと/ひっくるめて孤独の生き物のことは。
 そこまで、遠い話ではなかった。

SYSTEM :◇ ◆ ◇ 

GM :シーンを終了します。ロイスの取得、更新等ありますか?

久外境耶 :ねえなー 目の前でバーカ!つってロイス捨ててやろーってくらいむかついたけど抜け殻しかないんじゃなぁ

久外境耶 :つか枠ねえし!

三廻部 颯 :境耶さんへのロイスのPとN、ひっくり返します。
○P誠意/N嫌悪です

GM :(色んな意味で)双方了解いたしました。

GM :枠数…それはオーヴァードの(メタ的な)宿命…とりあえずキャラシに反映をお願いしますね。

三廻部 颯 :はーい、やりました


・ミドルフェイズ〜ラウンド5〜

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :[ - ラウンド/5 - ]  

SYSTEM :

【経過ラウンド】
 4/9
 
【島の変化】
 81〜85:次ラウンドで「トリガーシーンを除くメインプロセス中の判定」に参加すると、判定後に侵蝕率+1D10

【プライズ】
 □□□□□ □□□□□ □□□□□ □□□□□

3:“ミッドナイト・アイ”を発見、合流
5:「明夜白銀」の居場所を発見
8:「渇望喰い」の居場所を発見
11:「蝕みの君」の居場所を発見
14:『民間人(ナミ)』の居場所が判明し、合流
17:?????
20:?????

 合計:15/20

【友好ユニット】
 6/?
 まだ民間人が「1名」取り残されている…。

【敵対ユニット】
 2/4 COMPLETE!

SYSTEM :

[セットアッププロセス]


SYSTEM :
 セットアッププロセスを開始します。
 選択可能な行動を確認した後、各自の宣言をお願いします。

SYSTEM :
・島の調査(知覚 or RC or 有効と認められる判定:10)
 既に解放されているエリアの周囲1マスからどこか1つを選択
 そのマスを開示する
(候補:[1-3]、[1-5]、[2-4]、[2-5]、[4-2]、[4-5]、[5-4]、[5-5])

・情報:『蘆屋道満』/〈情報:■■■■〉:30

荻野目 旭 :境耶くんに《癒しの水》をして…ちなみにGM、僕の手持ちの応急キットを手渡しながら僕はエフェクト使用って可能ですか?

GM :fmmm...

GM :此処でゲーム的な話をしますと…『手渡し』はメジャーアクションに相当するものと記憶しており、癒しの水も同じものと伺っています。

GM :なんですが…

久外境耶 :ですが……!?

GM :
・シーンに『幕間』とある時は、シーンへの登場に関わらず「次のシーン/ラウンドに移行する前に応急キット等の所持品の使用」を望む場合、シーンには登場せずここでその宣言をしても構わない、ということにしましょう。この時、対象者についても任意となります。(過去の発言から抜粋)

GM :
 このような発言をした以上応急キットとは「過去の幕間中、横でこっそり譲渡が行われていた」としても何らおかしくないアイテムです。

GM :
 つまり「ゲーム的にはこの瞬間に素早い譲渡を行う」のは無理でも「過去そんなことあった」として『譲渡を"""した”””』とする体で話を進めることにしましょう。

荻野目 旭 :ヤッタ〜♡

久外境耶 :ヨッシャー! アザス!

荻野目 旭 :ありがとうございます! では…(いそいそ)

荻野目 旭 :僕の持ち込みの応急キットを渡しながら、それはそれとして《癒しの水》使います! ちくっとしますよ〜

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 118 → 120

荻野目 旭 :5d10+2 (5D10+2) > 27[9,2,3,9,4]+2 > 29

久外境耶 :おお〜っやるじゃん!サンキュー

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 1 → 30

GM :中々の回復量…

GM :他の方が応急…や 何か『セットアップ前、ラウンド移行前にシーンを挟むつもりはないがしておきたいことがあった』なら、前述の前提を踏まえた上でどうぞ。

久外境耶 :よっしゃ!オコトバに甘えて貰った応急キット使うぜ〜

GM :
また………もしも………そうもしもですが………
「?」エリアを開けるつもりがないのであれば、セットアップ中は『待機』としても構いませ

アッハイ了解しました 判定をどうぞ

SYSTEM :
【Check!】
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

久外境耶 :2D10 (2D10) > 12[9,3] > 12

久外境耶 :おーし無駄にはしなかった!

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 30 → 42

荻野目 旭 :もったいないので島の調査をします! 1-3とかにヤシの実探しに行きますよ〜

GM :了解しましt…

GM :(ヤシの実でいいのか?)

荻野目 旭 :では!

GM :あっ待って下さい

GM :待って下さい(念押し)

GM :
 使用する判定、およびエフェクト宣言の後、
 確認画面の次に判定を行って下さいますよう…。

荻野目 旭 :はーい。〈RC〉で振ります! 猫の道は今回ごねられる理由なさそうなので素振りをしますが、大丈夫ですか?

GM :使用しないのですね? 分かりました、問題ありません。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

荻野目 旭 :5dx+1 (5DX10+1) > 9[5,5,7,8,9]+1 > 10

荻野目 旭 :あんなにフラグ立てたのに普通にできちゃいましたね!?

タイガーアイ :よくぞ覚えておくがいい 時に成否の予兆とは

タイガーアイ :自ら建てたものほど意味がない

荻野目 旭 :おかしいなァ

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :1d7 (1D7) > 1

SYSTEM :
【Check!】

・「1−3」の判定が開示されます。

進行/〈白兵〉〈射撃〉:11
支援/〈知識:任意〉〈RC〉:6

“虚の狩人/残骸” シホ :続けて私も島の調査に移行します。
調査対象は[2-4]で……えーと……サワガニを獲りに?

“イリュシデイター” :…なぜ沢蟹?

“イリュシデイター” :いえ、ともかく…お気を付けて。

“虚の狩人/残骸” シホ :なんか、こう……どうも名産地っぽそうなので……

“イリュシデイター” :推定オーヴァードの深く関与した島が沢蟹名産地…大変に妙な響きですね 

GM :では宣言をおたずねしましょう…

“虚の狩人/残骸” シホ :……判定は〈知覚〉、いつも通り《EE:真昼の星》を併用してもいいでしょうか?

GM :問題ありません。変わらず有効、としましょうか。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

“虚の狩人/残骸” シホ :10dx10+1 〈知覚〉 (10DX10+1) > 10[1,3,3,4,4,7,8,9,9,10]+10[10]+10[10]+6[6]+1 > 37

GM : 

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :1d6 (1D6) > 6

SYSTEM :

【Check!】

・「2−4」の判定が開示されます。

進行/〈交渉〉:18

壱:『明夜白銀』と既に「致命的な接触」をしている場合は判定が発生しない
弐:交渉結果を望んで失敗することが可能
参:成功させて『戦闘行為』を持ちかけた場合、または『望んで失敗した』場合
  強化された『明夜白銀』との戦闘になる

“虚の狩人/残骸” シホ :沢蟹は獲れませんでした……が……………

“虚の狩人/残骸” シホ :薄々感じ始めてました
私なんかこの島で妙なものを見つける傾向にありますね?

荻野目 旭 :沢蟹じゃなくて鬼引いてませんかあ…?

タイガーアイ :このような運勢をオモシr…芸人………

タイガーアイ :悪運の強き者と言う

久外境耶 :……おれは気付いたぜ

久外境耶 :沢蟹とるつもりで行けば判定に失敗しねえってことをな……

久外境耶 :つ〜わけで1-4で蟹狩りだア! RC判定! 《異形の歩み》と《熱感知知覚》を使うぜー

GM :分かりました。例の如く使用判定とEEに問題ありませんので、裁定はそのまま(10→8への目標値下落)として行います。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

久外境耶 :3dx+1 おれは蟹狩りのプロ (3DX10+1) > 6[3,6,6]+1 > 7

久外境耶 :ああプロだよ見たかオラア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

“虚の狩人/残骸” シホ :流石、境耶くんには敵いそうにありませんね。

久外境耶 :クソアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『ホデリ』 :"空振り”なれば沢蟹以外も見するとしよう

SYSTEM :
【Check!】
 判定に失敗しました。
 

木口龍 :オレも沢蟹とヒトデとわかめと昆布集めて鍋作るか……4-5開示判定いいか?

木口龍 :使うのは知覚だ。

GM :何の鍋だよ(了解しました)

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

木口龍 :7dx 4-5開示 (7DX10) > 9[4,4,5,6,8,8,9] > 9

パラディン :鍋は”よくわからないもの”をぶち込んで食うためのものじゃないぞ

木口龍 :これは美味い鍋が出来るぞ!!!!!

木口龍 :ホモサピの動画は確かだったんだ!!!!

“パラディン”的場啓吾 :出来たら野生の仲間入りだ。めでたくな…いや、聞いちゃいないか? さては

木口龍 :今日はカツオノエボシで出汁採ってラーメンだ!!!!

SYSTEM :
【Check!】
 判定と人間の限界に失敗しました。

久外境耶 :えぇ おれこいつ側なの

“パラディン”的場啓吾 :気にするな 悪運はありそうだぞ

“パラディン”的場啓吾 :どんなふざけた理由で放り出されてもなんだかんだ生き残る方の悪運だ。UGNの本土の映画見たことあるか? ステレオタイプで、ニホンにも流れるような"チャチ”なやつ

久外境耶 :落石からダッシュで逃げるとか床崩れるとかぁ? ま〜〜〜〜あんたがそういうならいいスけどお

三廻部 颯 :じゃあ……どっちかカバーで開けに行こうかなって。

久外境耶 :ッシャー表出ろ探偵! 人望バトルだ!

久外境耶 :1D100 (1D100) > 44

木口龍 :ほう。オレに勝てるとでも?

木口龍 :やってやろうじゃねええええええええか!!!(石橋貴明)

木口龍 :1d100 (1D100) > 70

荻野目 旭 :(思ったよりあるな…)

久外境耶 :っっっっっんでだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

“パラディン”的場啓吾 :

“パラディン”的場啓吾 :(ややウケ)

木口龍 :リアル野球BANは正義ということだ

“虚の狩人/残骸” シホ :(放っておけないって意味も含まれてそうだな…)

“ミッドナイト・アイ” :で 実際当人はどうなの?

三廻部 颯 :高い方が勝ちとは誰も言ってないんじゃ……

“ミッドナイト・アイ” :だって

久外境耶 :確かに

木口龍 :でもよぉ

久外境耶 :じゃーゾロ目だからおれの勝ち!!!!!!!!!!!!!!!!

三廻部 颯 :ほんとに探偵なんですか……??(疑惑の目つき)

木口龍 :オレ達はなんの為にダイスを振ったんだ……?(我に返る)

木口龍 :何を言ってるんだ?

木口龍 :7は幸運の数字。

木口龍 :大当たりだ。

“イリュシデイター” :すみません進めて貰っていいですか?

木口龍 :ハイ

久外境耶 :あ? 一号がどっちかのカバーするっつうから

“イリュシデイター” :いいですか?

久外境耶 :選ばれたほうが人望勝ちかなと……うわ怖

GM :では改めて…

GM :(あのダイスの結果を守るも壊すも自由ですが)どちらになさいますか?

三廻部 颯 :わ、わかりました、4-5いきますう……知覚で……

GM :畏まりました。では…。

SYSTEM :
【Check!】
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

三廻部 颯 :(4+3)dx+1 <知覚> (7DX10+1) > 10[1,2,3,4,4,9,10]+3[3]+1 > 14

“イリュシデイター” :おめでとう。成功ですね。

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

SYSTEM :1d5  (1D5) > 4

三廻部 颯 :あ、あはは……

SYSTEM :
【Check!】

・「4−5」の判定が開示されます。

進行/〈情報:UGNor裏社会〉〈知識:機械工学〉:8

支援/〈調達〉〈RC〉:8

SYSTEM :
[セットアッププロセス]

 セットアッププロセスを終了します。

SYSTEM :

[イニシアチブプロセス]


SYSTEM :
[1-5] [2-5] [3-5] [4-5] [5-5]
 ?  ?  ○  ×  ?
[1-4] [2-4] [3-4] [4-4] [5-4]
 ?  ×  ×  ×  ?
[1-3] [2-3] [3-3] [4-3] [5-3]
 ×  ×  ○  ○  ☆
[1-2] [2-2] [3-2] [4-2] [5-2]
 ×  ×  ○  ×  ○
[1-1] [2-1] [3-1] [4-1] [5-1]
 ☆  ○  ○  ☆  ○

SYSTEM :
 イニシアチブプロセスを開始します。
 選択可能な箇所を確認後、
 各自の行動を行う場所の決定をお願いします。

[情報開示済み]
 1-2、1-3、2-2、2-3、2-4、3-4、4-1、4-2、4-3、4-4、4-5、5-3

[情報未開示だが行動は可能]
 1-5、2-5、5-4、5-5

[イベントトリガーあり]
 4-1、5-3

久外境耶 :さーて、どいつか知らんが感動の再会といくか。4-1だ。ホデリも行こうぜ〜

『ホデリ』 :心得た。だがあれなる地は…

『ホデリ』 :いや、用件は別か。行こう。

久外境耶 :おう! ま〜観光気分でいてくれよ おもれ〜かは知らんけど

久外境耶 :……と、そうだ。負担かけてわりーけど、スティルネス頼んでいいか?

『ホデリ』 :とうりうすふこともなし。その役、確かに承った。

SYSTEM :
【Check!】
“ホデリ”が
 NPCエフェクト『スティルネス』を宣言します。

・ユニット1名の侵蝕率を[7]減らす

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 91 → 84

久外境耶 :あんがとよ! おかげでまだまだ死に戻れそーだ!

『ホデリ』 :命の振るい時は汝の領分 なれど心を懸くように

三廻部 颯 :っと……じゃあ、私は[5-3]にいきます。

三廻部 颯 :ホオリさんに要らんこと吹き込んだお礼参りしなきゃ。

“パラディン”的場啓吾 :伝えるだけにしておいて難だが、何時誰が行くのかと思っていたぞ。

三廻部 颯 :いやぁ〜

三廻部 颯 :……その……まだ分かんなくて……木口さんのこと……(真顔)

“パラディン”的場啓吾 :別に責めてるわけじゃないし、探偵サンが行くとも決まったわけじゃないが…。

木口龍 :いやオレも行くが……ここでオレを殺そうとした報いを受けさせてやるだけだが……

“パラディン”的場啓吾 :まあそうだな。分からんやつを分かるいい方法なんてのは、結局自ら触れてみるしかないのさ。

木口龍 :あ、5-3です(我に返る

“パラディン”的場啓吾 :みろこの言動を これが探偵の台詞か? 

木口龍 :くっ芦屋道満わかんないやつだぜ木口は謎を解き明かす・・・

“パラディン”的場啓吾 :…。

“パラディン”的場啓吾 :さて。

三廻部 颯 :あはは……はい。

“パラディン”的場啓吾 :ああ気にするな。此方の話だ。

“パラディン”的場啓吾 :行って来るといい。精々、するべきことと"したいこと”を間違えんことだな。

久外境耶 :あれ〜? なんかやさしくね〜?

三廻部 颯 :……。

“パラディン”的場啓吾 :そりゃ得るものなしと分かっていても、見落としは今の主義に聊か反するからな。

三廻部 颯 :はい、気をつけます。

久外境耶 :じゃ〜やさしいついでにお守りしてきてくれよ そいつの本命お守り今回休憩かもしんねーから

荻野目 旭 :ごめんなさ〜い グロッキーで〜す

“パラディン”的場啓吾 :やれやれ。部下使いの荒さはどの辺りの"先輩”から学んだ?

木口龍 :オレはナントカして道満をナントカするからよ、心配すんな……

“パラディン”的場啓吾 :まあいいだろう。途中までは、まだしも追う意味のありそうな男だった。末路を見届けてやろう。

“パラディン”的場啓吾 :"本命”とやらが青い顔しない程度にな。 

久外境耶 :ワッハッハ あとでそいつ連れて遊びにいこ〜かな

“パラディン”的場啓吾 :構わんぞ 古巣のガキに話す種くらいはないでもない

“パラディン”的場啓吾 :尤も知られてる話の種かもしれんが

荻野目 旭 :そんな古巣のガキは今回おやすみいただきま〜す…これは戦略的撤退です!戦略的撤退!

タイガーアイ :一時的撤退は戦略の一つ 最後に牙を突き立てたもののみが勝利を叫ぶ権利を持つ

タイガーアイ :過去…我の知らぬいずこの地 戦士たちが胸に秘めたという戦の常だ

タイガーアイ :それでかくいうお主は如何にするか。シホよ

“虚の狩人/残骸” シホ :牙を突き立てるにも二種類。窮鼠が猫に立てる牙と、獲物を屠る狩人の牙。

“虚の狩人/残骸” シホ :後者を選ぶなら、相応の布石が必要でしょう?
ならば私は[2-3]に赴くつもり。妙な胸騒ぎはするけど……あまり猶予もなさそうだしね。

タイガーアイ :天命を待つには早いか。では行くがいい

“虚の狩人/残骸” シホ :了解。人事を尽くしてくるよ。

SYSTEM :
【Check!】
 移動先を確認しました。
 メインプロセスに移行します。

SYSTEM :

[メインプロセス]


SYSTEM :


[メインプロセス・確認]

 颯:5-3
境耶:4-1
 旭:待機
シホ:2-3
 龍:5-3

      ホデリ:4-1/行動可能
    パラディン:5-3/行動可能

SYSTEM :
【Check!】
 判定:[2-3]を行います。
 判定対象者:シホ

進行/〈射撃〉:6
   〈社会〉:8
   〈肉体〉:10
支援/〈知識:動物〉:7

SYSTEM :
【Check!】
 使用する技能、エフェクト等を宣言後
 判定を行ってください。

“虚の狩人/残骸” シホ :ただ調査をするだけなら簡単だけど…少し気がかりなこともあります。
負荷は承知で、一気にカタをつけにいきましょう!

“虚の狩人/残骸” シホ :
◽︎宣言
使用技能:〈射撃〉
使用エフェクト:《形なき剣 Lv.2》 + 《コンセントレイト Lv.4》
侵蝕値:4
判定:10dx7+9
備考:判定終了後に侵蝕率 +1d10

“虚の狩人/残骸” シホ :10dx7+9 〈射撃〉 (10DX7+9) > 10[1,1,2,3,7,8,8,8,9,9]+10[1,3,6,8,8,9]+10[1,6,9]+3[3]+9 > 42

指鳴り :

system :[ “虚の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 105 → 109

GM : 

GM :…こ…これ…これは…

SYSTEM :
【Check!】
 判定に成功しました。

プライズ:15→20

SYSTEM : 
 
 
【Check!】
 プライズが規定値に達しました。



SYSTEM : 
 
 
【Check!】
 プライズが最大値に達しました。



SYSTEM :
【Check!】
・プライズイベント(4)が発生

 上記達成により、トリガーシーン発生が予告されています。
 対象者:シホ

SYSTEM :
【Check!】
・プライズイベント全達成

 上記達成により、トリガーシーン発生が予告されています。
(※同時トリガー達成のため、イベント内容を統合して進行します)
 対象者:シホ

 コモンイベント:[2-4]が消滅します。

“虚の狩人/残骸” シホ :…………なんというか、こう。
フラグと言うんでしたっけ。自らで建築しては成立しないとか先ほどいってたやつ。

タイガーアイ :如何にも申した。

タイガーアイ :お主はウk………波乱万丈な星の下に生まれたと見える。

“虚の狩人/残骸” シホ :帰れたら覚えておいてくださいね。

タイガーアイ :覚えるという行いはそれほど難しいものではないが、賢者は時に書に己の記憶を書き記し、そして己に忘却を与える。忘れる、という権利を行使するためだ。

タイガーアイ :我が何を言いたいかは分かったな。では行くがいい。

“虚の狩人/残骸” シホ :1D10 それはそうと、この探索は少し消耗しましたね…… (1D10) > 10

system :[ “虚の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 109 → 119

“虚の狩人/残骸” シホ :……………。

荻野目 旭 :………。

タイガーアイ :お主は波乱万丈な…

荻野目 旭 :あの おつかれさまです…

タイガーアイ :いやオモシロの天命にいると見える 何を考えている? 命を燃やす気か? 我にどういう結果を記させる気なのだ?

“虚の狩人/残骸” シホ :……“タイガーアイ”。その……私のことは、忘れないでほしい。

荻野目 旭 :急にフラグ建築やめてくれますかあ!?

タイガーアイ :儚き人生を悔やめばゼノスの書籍に確かに名前が残ろう 恥と思わば生きて帰るがいい

久外境耶 :どうせ積むならもっとやっとけ 故郷に帰ったら結婚とこんな部屋いられるか!な

“虚の狩人/残骸” シホ :そういえば……ノエルと子安貝がどうとか話してたっけなぁ……。

“イリュシデイター” :き…希望を捨てないで下さい ちょっと 走馬灯を…

“イリュシデイター” :…走馬灯を!?

“イリュシデイター” :思い出すことそれでいいんですかあなた!?

“虚の狩人/残骸” シホ :
ほら、私、まだ空っぽの方が多かったから……

“イリュシデイター” :温度差で攻めないで下さい! ほら、気を取り直して!


・シーン35「余聞」

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【シーン35:余聞】

 登場PC:久外境耶
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :

Tips-山田葵
 カヴァー/ワークス:高校生/高校生
 性別:女性 年齢:17 侵蝕率:なし
 シンドローム:なし

 三廻部 颯と同じ千葉県K市の某高校に通う高校生。
 気さくで間延びした口調が特徴。
 親しみの是非を問わず「山田さん」「山ちゃん」などと呼ばれる。

SYSTEM :
 千家楓は笑わない。

 あのセルの誰もが知っている不文律。

SYSTEM :
 彼が求め、指針とし、重きを置いたのはそいつの力の話。
 その力を以て行う何に是非を置くのかさえ、誰かに語ったことはなく。
 ついにいた証もろとも錆び付いて砂と消え、後には何も残らない。

 その、何も遺らぬ古巣の名残。
 稲妻と剣の名を冠した意匠、無関係な場所で見つかったものの心当たりが、あなたには一つだけあった。
 心当たりというには鮮明すぎるもの。今更掲げるには値しない程度のものだ。

SYSTEM :
 その意図は不明。からかい、呼びかけ、悪ふざけ。
 .ジャマナモノ   ______
 “渇望喰い”に元同朋を嗾けたい………どうとっても構わない。

SYSTEM :

 ただあなたは、そこに来ていた。
 某探偵から事の次第を聞いてなどいれば、そこにいるものを知っているだろう。

 クラスメイト───。
 他称“クソガキ1号”(お気に入り度は不明)の知り合い。
 名前は、たぶん覚えていようが覚えていまいがどうだっていい。

SYSTEM :
 波の音と、流木を歩く音だけが聞こえる。
. 人 寄 せ
 ワーディングの気配はない。

 同窓会の合図なのか、それとも用済みの合図なのかも。少なくとも、いつかに“ミッドナイト・アイ”を拾った辺りの場所には見つかる気配もない。

 分かりづらいが分からないわけでもないような、人の足跡が残っているだけ。

『ホデリ』 :
『如何にするつもりか』

SYSTEM :
 あなたの横で、連れ添った白い狗が呟く。
 何も、クラスメイトとやらを連れ帰るつもりで来たのではないだろうということは、
 恐らく公言していようがいまいが、彼でなくとも分かることだった。

久外境耶 :
「さあなア」

 いざ来てみれば、待ち構えてる──なんてコトもなく。頭の後ろで手を組んで、おれが知りてえ、と素直に白状する。

久外境耶 :
「旧交レンチンするよーなトコじゃなかったかんな。古巣の人間つっても、おれ下っ端だったし?」

 ……。いや、マジでな。

 秒で行くと決めたくせ、肝心のおれが何をしたいのか、さっぱり定まらない。

久外境耶 :
 呼び出しの目的が何にせよ、あの人の牙城は跡形もなく崩れ去った。お互い、いまさら会って何をしようってんだ? 

「これでイタズラだったら笑えてくるけどな……」

 いる? そんなタイプの元上司。ないない絶対ありえねーってツラなら思い浮かぶのに。

『ホデリ』 :
『ふむ…』

『ホデリ』 :
『斯様な“ざま”にて謀られることもなかろうが…ああ、いや…』

SYSTEM :
 いざやって来てみて、同窓会と称して寝首をかくわけでもない。
 出会い頭に「待っていた」とあいさつして来るわけでもない…。

 そのエンブレムを掲げての挨拶など、どの方向から見ても今更とはあなた自身の言葉だ。ならば。

『ホデリ』 :
『その者、汝が来しこと、然てもあり果てず…と見ゆ』

SYSTEM :
 そいつも案外、あなただけを待ち人と見込んで置いたわけではないのではないか? と。
 ホデリが、流木と水にぬれた石を踏みしめながら続く。

久外境耶 :
「あ〜〜〜〜。見つけたのも一号たちだっけな、そういや。あとイロ男もナントカ言って……そうだ、田中。あれ? 長谷川だっけ」

 わかんねえけど、と切り替えて。

久外境耶 :
「同年代でガッコ通うような女……? 女……女〜〜〜〜〜〜?」

 ……一人、それが出来る人に心当たりはある。
 あるケド、なんで? ってハナシ。

『ホデリ』 :
『…山…』

『ホデリ』 :1d2 2で覚えている (1D2) > 2

『ホデリ』 :
『…うむ…山田といふ…』

『ホデリ』 :
『然りとて、そのような名前に心得たりという様でもなしか』

久外境耶 :「山田ぁ? 偽名すぎてウケんな。花子だったりして」

久外境耶 :「ねーなあ。当時のおれがミリも気にしてなかった可能性あっけど」

久外境耶 :
「おれの古巣、役に立たないザコは物理的に首跳ぶようなトコでさ。それでもいる……いた以上、どいつにも手前の目的があったワケ。

 おれの場合は『ボスに使われる』コトで、下された命令こなすんがタノシーって毎日やってたから他んこと気にしてなかったわ」

久外境耶 :
 ちょっとゴヘーあるケド。あの人の欲望の実現に、おれの命が運用されてるなら何だってよかったのは事実だ。

 ……で、元先輩ないし元上司は。目的か、理由か。もっと根本的に欲望が噛み合わなくなって、あの合理性で武装した戦士を砂にして。

 いる意味を失くしたおれは、古巣を振り返るコトもしなかった。

『ホデリ』 :
『なんとまあ。
 明日をも知れぬ血の道だったか』

SYSTEM :
 その言葉がまことの共感を伴っていたわけではない。
 如何に平安の時代が存外に血で湿気っていようとも、
 それ/踏み躙り合う組織を聞いて間髪入れず理解で頷く時代はもう少し後だ。

 その時、その場所で、あなた/境耶が時のセルリーダーに何を見出したのかを。
 ホデリノミコトは、自分に何を見出してあの時“さふべき”の伴を承ったのかと同じくらい定かではなかったが。

『ホデリ』 :
『名残を掘り起こすこと、わたしがとやかく言うでもなかろうが………』

『ホデリ』 :
『汝…』

『ホデリ』 :
『殆とに報いは望めよ』

SYSTEM :
 あるいはその行い、辿り着く道行きこそが彼の報いであり願いなのだろうと承知しても。

 聞けば聞くだけ、此処に着く前も後も、変わらず筋金入りの”さま”に、愚問を零して道を行く。

SYSTEM :
 一つ事を成し遂げ消えるだろう生き物の、あるいは報いてやれるものがあるだろうかという問いにも似た声と共に、足跡をたどり行く。

久外境耶 :「ぶはっ。──おまえが言うかよ!」

SYSTEM :
 言うともさ、と。
 狗の吼える声と一緒に、音が広がり水面に波紋を作る。

SYSTEM :
 報いと呼ぶには客観的に不足だろうが、求めているのは誰が見ても文句なしのことではない。

 未練とは、後悔とは、渇くような望みとは。時として道理でない。

SYSTEM :
 ………ところで。

 先のあなたの言葉通り。
 斯様なことをする人間に“心当たり”があるならば、だが。

SYSTEM :
 そいつは。あそこにいた人間の例に及ばず。
 特に、望みを開帳したり、仄めかしたり、見せることもなかったような気がする。

 ああ、単に。
 していても、あなたの興味や肩入れに及ばないタイプの人間だったかもしれないけど。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 河を渡って木立を抜けて。
 あなたは、水のせせらぎが聞こえなくなるころに合わせて、様変わりした風景の先に出た。

 死に損ないの野良犬/太陽を嗤う獣のくたばった場所と似たような木々生い茂る場所だが、湿気り方や見晴らしは段違いである。

SYSTEM :
 このリュウグウジマと呼称される場所の繋がりなど、いつだって希薄なもの。
 何処が何処に繋がり、あの数十メートル先がどんな風景に切り替わるか分かったものではない。

SYSTEM :
 現実味のない夢まぼろしを踏み分けて。
 
 より深い木々の先を見下ろせる切り立ったひとかどに、座り込んでいた女がひとり。
 特に、これと言って目立つものを持たない、黒い髪の女。

久外境耶 :

久外境耶 :
 川向うの木立を抜ける。
 地形パッチワークの先で、眼下の森を見下ろしている女がいた。

久外境耶 :
 見覚えのある制服と、ありふれた風貌。
 決して目立たず、印象を残さず。

 この呼び出し人がどかしてほしかったヤツの言葉を借りるならプチプチ。その他大勢に1d10人いるツラだ。

久外境耶 :
「……あー」

 訂正。心当たりは厳密に言やあ二人。

 なんで? はどっちも変わらんけど、たぶん──

久外境耶 :「どーも、エイダ先輩。何してんすかあんた」

生徒D :
「………ん。誰っすか? 赤都君?
 ウチ、いまお先真っ暗のナイーブ真っ最中なところで………」

SYSTEM :
 口を聞くのも億劫とばかりの、返事からは気力を感じない声。
 これが“差出人”とは思えないような口調で、少女が振り返る。

SYSTEM :
 それこそ今、後ろから手を出せば…。 
 ワーディングの一つなどしてしまえば、あっさりと鎮圧出来るだろう。
 
 して意味があるかはともかく、いよいよ“見込み違い”なら雑にそれをやっても悪くない。
 越えてはいけないラインには、ホデリが苦言を呈するだけだ。

SYSTEM :
 が。
 それは、他称“山田さん”を、
 最初から“山田さん”として、断定せずに会話しに行った場合の話であって…。

生徒D :
「? その口調、吹っ掛け方………」

生徒D :
「というかその呼び名………あ。あー…?」

SYSTEM :
 振り返って、何かに合点が行ったような台詞を零し始めた女は。
 とりあえず、途中まで何がなんだかさっぱりという表情をしていたが、そこにいるのが一人と一匹と分かって、数秒立つと。

生徒D :
「………おー。
.     デスマスク
 仮暮らしの亡骸なんぞ、ばら撒いてみるもんっすねー」

『山田さん』 :
    ・・・・・・・・・
「いや、本当に関係者がいるなんて思わなかったっす!
 てっきりヤロウを除いて全員くたばってるもんだと!」

SYSTEM :
 
【Check!】
“山田さん”のエネミーエフェクト『生体侵入』『メンタルインベイション』を確認し、
 並びに同名のキャラクターが同名のエフェクトを解除しました。

 効果:「山田さん」に侵入し、自身が解除するor「山田さん」が死亡するまで、
    自身を「山田さん」と同一化して扱う。
    この時「山田さん」のリアクションは無意識下で制御出来るが、対象は非オーヴァードとして扱う。
    解除後、シーン終了時まで「山田さん」は気絶する。この時、再宣言で元の状態に戻る。

 

SYSTEM :
       イッパンジン
 あなたはその有象無象を知らないが。

SYSTEM :
 その振る舞いを知らないでもなかったし。

『山田さん』 :
「何してるかと言われれば、言うほど込み入ってもない事情があるんすけどー…」

『山田さん』 :
        エイダ
「とりあえずそのAIDAさんは、使い終わったストックなんで呼び方としてはやめてほしいっすね。
 たまにいるんすよ。人のこと使い終わった名前で呼んでくるヤツ」

『山田さん』 :
「ハンス、エリカ、ジェーン、スミシー…。あとなんだっけ。まーいいや。そんなワケで」

SYSTEM :
 指折り数えて選んだ「不特定多数」の名前を並べる時の声には、
 本当に記憶の片隅にだけ、残してくれるような位置にいないものとして覚えがあった。

 千家楓は常に独りだ。使う人間を信頼しない。
 しかし組織の意味を知っているから、彼はタケミカヅチを率いていた。
 その、意味のある率い方をしていた組織の中で見かけた先輩/年齢的にどうかまでは定かでないが、彼女だ。

『山田さん』 :
「とりあえず呼び直し。
 先輩後輩で通すなら、」

『山田さん』 :
「『山田さん』でいいっすよ。親しみと礼儀を込めて呼んで下さい」

SYSTEM :
 そいつの面と来たら、うろ覚えの記憶とすら一致するくらいに変わらない。

 年齢十代の後半。軽口零して、口元緩めて。饒舌だが、簡単に人の背中を蹴り飛ばすような…。

SYSTEM :
      アンタッチャブル
 FHらしい、正体不明の人でなし。

久外境耶 :
                  チルドレン
 タケミカヅチではイイコちゃんしてた少年兵のおれが、ハシャギ見られて気にしない程度には位置取りの違う人間。

 バリバリ武闘派のタケミカヅチの中じゃ、こっちからしたら印象的なほう。使い回しのきく捨て駒じゃ追いつけない有用性が、この元AIDAにはあった。

 ──ああいや、イッコ訂正。

久外境耶 :
「……山田サン」

 うろんな顔。

 いやだって、なあ?
 借り暮らし先の選考理由、まさか名前じゃねーよなあ。

久外境耶 :
 プチプチごっこをやめた元先輩が、見覚えのある姿に切り替わる。愛嬌あんのは顔立ちと態度だけ。それだって本人のモンかあやしいもんだが、とりあえず、おれが知ってるツラはこれだ。

久外境耶 :
「事情はともかく、状況は込み入ってるでしょ。あんたこんな島飛ばされるような仕事するタイプでしたっけ」

久外境耶 :
「……まあ、こっちと衝突しない内容ってアタリはつくけど」

 もしそうなら『山田さん』をフル活用してとっくに屋敷内のハズだ。うわー考えたくねえ。

SYSTEM :よろしい、と、現在の正式名称に一度頷く。ちなみにあなたの(しょうもない)懸念についてだが。

『山田さん』 :
「ン。そこには語るも涙の事情があるっていうか」
 

『山田さん』 :
「丁度いい名前してたからウチが使ってたこのコ、
 捨てても良かったんすけどそれすると後に支障が出るっつーか…」

SYSTEM :
 事実である。
 
 エイダ時代の前後を知らないあなたには何のこっちゃで、知っていてもサッパリだろうが。

 そいつは自分の名前には妙な拘りのある性質で。”手間のかかるやり口”の時、誰でもいいスケープゴートを選べる余地があるなら、その拘りを優先するタイプでもあった。

『山田さん』 :
「まあいいや。端折って経緯話すからそれで納得してくれます?」

『山田さん』 :
「あ、そうそう。改めて…」

『山田さん』 :
 .    スネア
「おひさ、“捨て駒”。っす」

『山田さん』 :
「ああいや、“ラッキージンクス”の方がいいっすかね。
 流石にハシゴした組織でまで鉄砲玉やってねーでしょ?」

久外境耶 :
 ──マジで名前かよ!

久外境耶 :
「うす、お久しぶりです。ハナシも端折りでオッケ……」

久外境耶 :
     おれ
「どっちも他称なんで任せます」

 死地に投じられる駒も、死地から戻る悪運も。
           しなず
 似合いで気に入りの、不死の証だ。

久外境耶 :
「そーでもないです。おれ、やりてーコト他にないし」

 他にないからやってる、じゃなくて。
 それ以上にやりてえコトがないってイミ。

久外境耶 :
 あのときと違うのは銃を握る人の有無。……でもないか?

 勝手に火着いて、後先を顧みない。いずれ力尽きてくたばろうが本望だと、笑って飛び出していく。

 そんな生き方をずっと続けている──今も続いている。

『山田さん』 :
「あっマジっすか? 筋金入りかよ」

SYSTEM :
 
 早死に待ったなしっすね、と。
 少なからず肯定はしないが止めはしない、わらう声。

 理解を望んで口にしたことでもなく、そもそもFHでの他人の欲望など二文字程度の感嘆と一緒に流す感情だ。
 理解不能が、ことFHでやっていくと、普通に生きていくよりはずっと多い。そのことをよく弁えているが故の軽口。

『山田さん』 :
「まあ他に優先順位勝つことないなら好きに生きろっつー話っすけど。

 ウチらは細かいことに囚われず、もっと自由にあるべき───世界一嫌いな人間のド正論っす」

『山田さん』 :
「それはさておき話を戻すと…」

SYSTEM :
 以下、端折った経緯。
 外見年齢未成年でもなければ、酒の席で愚痴るようなトーンだが、これこそ使い走りであれこれ任される捨て駒の口ではない。

 ………ただ、そもそもこの島。
 望んで訪れる酔狂など、基本やりようがない。で、あれば答えは一つだ。

『山田さん』 :
. 遺産持ち
「咲楽ちゃん───」

『山田さん』 :
「ウチの借りてるこのコの身内に、UGNと紐づき切ってない遺産持ちがいて。
 こいつとその遺産自体は、ちょっと使いどころサッパリだから要・監視レベルなんすけど」

『山田さん』 :
  遺産持ち        R  B
「咲楽ちゃんに用事のある物理的人デナシが…。
 ちょっとばかし問題でして」

『山田さん』 :
「そいつについて何考えてるかの監視と報告が用事だったっつーか…。
 絶対に接触はしてくるだろうと思っていたら全然関係ないトコでパンチ喰らったっつーか…」

SYSTEM :
 答えは一つ。あなたに縁遠い話だが。

 遺産とは“普通じゃない”オーヴァードたちの中でも、さらに輪をかけて普通じゃないものを指す話。
 UGNが目を掛けて、然る少年を送り込んで要監視だったように、FHの何処かがそれを考えていたっておかしくない。

 で、それを踏まえた上で………。
 彼女が何の観察を任されていたのかというと、だ。

『山田さん』 :
「んで、その物理的人デナシが…。

 蘆屋道満っすよ。蘆屋道満。
 ニホンの人間、言われても何割かは『誰?』みたいな顔するヤツっす」

『ホデリ』 :
『───道満!』

『山田さん』 :
「───うわ吃驚した。
 え、これ拾って来たはぐれRBとか知り合いのオルクスの手先とかっすか?」

久外境耶 :
「──うお吃驚した」

久外境耶 :
       りゆー
「いんや、今の欲望っす。筋金入りなりに外付け意義はないよかあったほうがいいんで」

 いーでしょ、と自慢げに。いや山田サンに良さ分かるとは思ってねーケド、おれにとっちゃ誇るトコだから。

久外境耶 :
「サクラチャン? ああ、ミコサンとかいう」

 おれの爆走レース敗因となった重量(諸説)の……

 ……は、ともかく。この件でおれが痛めるような頭も胃もないが、遺産の厄さってのがよく伝わるハナシだ。

久外境耶 :
「あ〜見ました見ました、アシヤマンっしょ。安倍晴明に負けるっていう……は? あいつレネゲイドビーイングなの? ……ですか?」

 本人未定が本人未満になったじゃん。マジで?

『山田さん』 :
「ウチ的にはいまノータイムで“理由”言われたトコの方が『マジで?』って感想っすけど」

SYSTEM :
 コレが? ちなみに出会って何時間?
 きっと答えたら変わらぬ笑顔でドストレートな暴言が宣誓されただろう。

『ホデリ』 :
『然れども、蘆屋道満…。
 聞きし話はまごうことなき真であった』

『ホデリ』 :
『如何なる事情を…』

『山田さん』 :
「ウチ的なツッコミどころ増やさんで下さいますかねコイツ?」

『山田さん』 :
「えーでもなに、理由? コレ?
 じゃあワケシリ顔っぽいし、ここらへんも端折って話しますけど」

SYSTEM :
 とりあえず“よくわからないナマモノ”で彼女の中では片付いたらしい。
 理解しなくていい人の欲望に深入りすると面倒なことを知っている者ほど、“じゃあそれで”くらいの流し方をするとも言われる。

『山田さん』 :
「そりゃそうっす。
 本物偽物は知ったこっちゃねーんすけど、発生したメカニズムは分かってて…」

『山田さん』 :
「昔の話なんすけどね。
 昔々、ヤロウと互角のネジ外した女の頼みで調べた機会があって…」

SYSTEM :
 まあまあ笑顔で言い捨てる態度の辺り、発端か何某かに思うところのありそうな態度。ヤロウが誰を指すかは割愛する。

『山田さん』 :
「レネゲイドビーイングって物理的人デナシが市民権拾ったの、
 だいたい面影島事件の後っすけど………その前からも、話はないではなかったんすよ」

『山田さん』 :
          プランナー
「昔のFH牛耳ってたトンチキ女もそのクチだったってハナシですし」

『山田さん』 :
「大事なのは…。
               
 こいつが死んだ人間を学習して、“そいつ”になって、記憶や心が本人と全く変わらないなら。
 それはもう実質的に不老不死なんじゃないか! っていうバカ考えたのがいるんすよ」

『山田さん』 :
「何処の、誰と誰が、手を組んだのかはさておいて。

 これが一回失敗したのに、最低でもそれ含めて三回“やらかし”たパターンがあるらしくて…」

『山田さん』 :
  リィンカーネーション
「───転生者。

 現代版蘆屋道満…?
 出会ったヤツが本物偽物かはどうでもいいけど、それがウチの監視先のラベルの名前っす」

SYSTEM : 
【Check!】
 下記の項目について開示条件を達成しました。

・情報:『蘆屋道満』/〈情報:■■■■〉:30

SYSTEM :
【Check!】
 情報:『蘆屋道満』について開示を行います。

SYSTEM :
 
Tips-蘆屋道満
 カヴァー/ワークス:声聞師/声聞師
 性別:男性 年齢:30代ほどの外見 侵蝕率:133%?
 シンドローム:ブラム=ストーカー/モルフェウス
 
所持エフェクト
『形代』『砂の加護』『砂塵霊』『赤色の従者』『血色の蛇』『鮮赤の牙』
『声なき者ども』『紅の刃』『血の宴』『生命増強II』『アーマークリエイト』…等

所持Dロイス
『転生者』

SYSTEM :
 旧き平安の時代に活躍した大陰陽師。
 その中でも地方で活動し、実際は陰陽師や法師であったのかも怪しい怪人。
 後ろ暗いところのある公家などはよく彼を用いたと言われる。
 
 民間説話では晴明のライバルとされており、直接対決のエピソードも存在。
 藤原顕光の依頼を受けて道長の呪殺を試みるも、これを見破られ追放されている。

 実話においてはむしろ弱者に施し、医術の心得を持つ穏やかな人格者だったとされるが、
 いずれかの時代、いずれかの“成れの果て”において、彼は甚だおぞましい悪霊と化し。
 歴史の中には一切語られることのない戦いを、安倍晴明と繰り広げ続けた、あるいは…。
 続けている、という。

 安倍晴明以外に並び立つもののいなかった最強の陰陽師、その二番手である彼は、
 安倍晴明に勝ちたいという願望が歪み『安倍晴明を殺す』にいつしか変貌していた。

SYSTEM :
 そして彼はその陰陽師のレネゲイドビーイング。
. オリジン:ヒューマン
 過去の人間を起源とする、孤独の亡霊。
 時に取り残され、時から取り上げられた、遡行の怪物の名。
.                         リィンカーネーション
 繋がりの残滓を『安倍晴明への殺意』しか持たない、断片の転生者。

SYSTEM :
 
 さる人物、ランカスター家における『ランカスター兄弟』と呼ばれる人物たち(※兄は既に故人)が、
 かつてまことの不老不死、まことの解放を目指して作り出した『転生者』実験の対象者であるという。
 が、『第一号』であるとあるRB同様にもれなくジャーム化(あるいは最初・生前からジャームだったのかもしれない)。

 その動機は依然変わらず、そのために過去己と縁があった『リュウグウジマ』の存在を聞きつけ、
 乗り込み、目的のためにある過程を無自覚に歩もうとしている。

 なお、ジャームであること以外は極めて狡猾で残忍、視野の広い人物だったようだが、
 明夜白銀との接触は極めて偶然なもの。そして現在も手放さないのは確固たる他意ありきの模様。

SYSTEM :
 蘆屋道満をRB:蘆屋道満たらしめるものは『過去の己』であり、現代とは究極的にズレを持っている。
 それ故に『彼自身の繋がり・彼の識る時代の技術や遺産』による攻撃は、自覚以上の傷を齎す。

 過去に関連する遺産の持ち主、あるいはその遺産の持ち主が助力した攻撃が、
 彼ないし、彼の関与した存在にダメージを与えた場合、『超人的弱点』が発動する。

SYSTEM :
※『蘆屋道満』または『蘆屋道満が「????」を使用したエネミー』に、遺産『祈りの造花/タイプ:十束剣』または遺産『海鳴りの石板/タイプ:塩満珠/塩乾珠』の関連する攻撃を受けた場合、オートでダメージが増加します。

久外境耶 :
「マジ? プライバシー厳重すね」

 紐なしバンジーで完結してるおれは、欲望さらけ出すほうが火種も物種も巡ってくる。理由はケースバイケース。
 この場合はだから手出さんでくださいねってハナシで、実際向こうも面倒察知してノータッチで本題ゴー。

久外境耶 :
「転生者──ねえ。おれ的にケチつく類なんで、そーいうの不死とは思わんケド」

 実際、成功はしなかった。少なくともアシヤマンは本物の断片しか引き継げなかった、過去の怨霊だ。

 過去を置き去りにした魔狼の次は、
 過去にしがみつくしかない転生者。

 ……不死になりそこなった連中。おれも、ここでくたばれば仲間入りってワケだ。

久外境耶 :
「……で、過去の自分──ホンモノ縁の地に来て、何か企んでるのはわかったっす。虎女に使い途見出してんのと具体的に何してーのかが謎だけど」

久外境耶 :
「いねえヤツは殺せねえ。代わりで納得するクチでもねえ。
 傍から見りゃ生まれた時点で詰みでしょう、そいつ」

『山田さん』 :
「まあねー。いないものは殺せない…当然っす」

『山田さん』 :
「…たださあ」

『山田さん』 :
「それ言われて君引き下がらないでしょ?

 普通のオーヴァードでそれなのに、
  ジ ャ ー ム  
 刃物持ったキ○○○がそれ聞いて引き下がると思います?」

『山田さん』 :
「出来る出来ないとか、具体的方法のあるなしじゃあないンすよ。
 ・・  ・・・・・・・・
 やるし、出来ると思ってるから、傍から見た意味不明な方法を“確信”を以てやろうとするだけ。コトが起こるってワケで…」

久外境耶 :
                  アホ
「なるほど、そりゃ道理。いま抜かした愚問忘れてもらっていいです?」

久外境耶 :
 言ってみりゃ、アシヤマンの生まれた経緯からして『そう』だ。

 死んだ人間をラーニングして、まったく同じモンを作れば死を超越できると思ったバカがいて。そいつはやったし、部分的にできちまった。

久外境耶 :
 欲望はりくつじゃない。ましてジャームなんつう突き抜けちまった連中なら尚更だ。

      デザイア
 肥大化した欲望は理を超えて、世界に作用する。それがカンペキな『やったし、出来た』になるかはともかく、何かは起きる。

 大概はメーワク極まりないカタチで。

SYSTEM :
 手をひらひら。無言の承諾。
 正論は愚問として。平常は異常として一旦よそに置く。

『山田さん』 :
.   遺産持ち
「別に咲楽ちゃんがどっちに転ぼうと、よほどロクでもないことにならなきゃ静観でオッケー!
 ………なんすけど。持ち主が9割9分パンピーだし」

『山田さん』 :
「このバックボーンで、日本がホームグラウンドのヤツが、何起こすか分からん遺産に目を付けてるらしい噂が流れて………。
 何もない海域に自分が手ェ付けた女送り込んで。そこにはバカみたいなRBの反応がありました!

 …普通に何しでかすか分かんないでしょ? それがウチの恃まれごとだったわけっす」

『山田さん』 :
.      タケミカヅチ
「んでウチがなくなったセルのアレ何ぞバラ撒いたのは…
 これね。あんまり大っぴらにばら撒いても困る話なんすよ。ウチも目立ちたかねーし。そもそもその先に何ぞあるとは思ってたけど、こんな滅茶苦茶まで考慮するほどオーヴァードも万能じゃねーし…」

SYSTEM :
 なるべく不特定多数で居たい、監視元も自分も足跡を残したくない。
 しかしこんな“専門外”になったからには、動ける輩が個人として必要になった。

 今の話でそれなりの危機感を持ち、心当たりを持ち、後序でに“自分の立場”を崩さずに、影でぶっちゃけられるようなのが、だ。

 そのために───。
 あれでも日本ではいっぱしの牙城であったタケミカヅチの名を使って、悪戯紛いの“エージェント”何ぞが、うまく撒いた学生さんと同じようなところにいるように見せて。

『山田さん』 :
「だからヘンな邪推してきた貧乏くじの中から、適当に都合よさそ〜な馬鹿一匹見つけて………。
 コトの次第を投げ渡して、あとは人質ならぬ宿質のつもりだったんすけど…」

『山田さん』 :
「………」

『山田さん』 :
「………いやあ………。
 日単位でヒト様の首切るのがボスの家、武力で負けたら骨も残らねえと思ってたのを訂正するっす」

SYSTEM :
 つまり結論から言うと。

 本当にタケミカヅチの関係者がいて、しかも一人でノコノコと来る方を考えていたわけではない、という話。

久外境耶 :
「そりゃまたご苦労サマです。……ちなみに恃まれゴトって、誰からの?」

 半分バカンス気分でオシゴトの気楽な身。こっから蹴り入れ合う局面にもならなそうなんで、興味本位してみる。

『山田さん』 :
「他人の秘密ほど軽いものはないけど、ウチだってそこまで口軽くはなれないっすねー」

久外境耶 :ちぇー。

久外境耶 :
「残ってねーでしょ実際。あんだけ面子いて、誰も乗っ取れずに離散してるのが良い証拠!
 砂になろうが何だろうが、あの牙城が"アメノオハバリ"にしか仕切れなかったのは事実です」

久外境耶 :
「……てか、おれいんの分かっててアレやったんかと。や、それならまだるっこしー真似せんわな……」

 つまり貧乏くじ待ちのつもりがハズレ引いたのは山田サンってオチらしい。

「どうするんすか。おれ相手に宿質も何もってハナシですけど」

『山田さん』 :
「違いない。てか、滅ぶモンは滅ぶし変わるモンは変わるってだけっす。
 変わるものが出るまでに大抵の首が吹っ飛んで、長の首刈ったヤロウに少なくともなり変わる気がなけりゃ、たとえUGNのコードウェルが100人いたって同じっすね」

『山田さん』 :
「まあ正直何もかも的外れってワケでもないし………。
 蘇り損ないの監視10割の中の1〜2割には、パンピーの経過観察もあるんす。これ手放すと後が怠いんすよね」

SYSTEM :
 仮にいま離れた山田さん(本物)にナイフ当ててみたところで、あなたがやるのは『じゃあそれで』と静観するか、気に入らん相手ならとりあえずナイフを持つ腕を押してトドメを刺すかの二択だろう。
 
 そういう意味では検討違いを引いたわけだが…。

『山田さん』 :
「とりあえず同窓会の結果は物別れ。山田さんはクラスメイトのところにお帰り。
 ウチ、今までもこれからも、基本的に“その他”で居たいんす」

『山田さん』 :
「………適当にお使い下請けの駄賃でもやろうかと思ったけど、ひょっとしなくても見た目より余裕あるでしょ?」

久外境耶 :
「っすね。なんで、さっきのも興味本位です」

 ホンモノの山田さんはともかく、これ山田サンだし。おれの仕事と欲望に差し支えないならノリ合わすのは全然オッケー。

久外境耶 :「あ、でもお駄賃くれんなら一つ。"ラスティリッパー"の連絡先」

久外境耶 :「そしたら、あんたの都合のいいようにやります。こっちの状況話すんで、そっちで判断して指示ください」

『山田さん』 :
「え、ヤロウの? 
 そんなんでいいならいいっすけど迂闊にバチボコ連絡かけると多分使えなくなるっすよ」

SYSTEM :
 これ二つ目なんで。
 そう口にして取り出した名刺束のうちの一つ。それが真実なのか遠回しの“同窓会気分で踏み込むと自分ごと一緒に砂丘の一部だからやめろよ”なのかは判断が分かれる。

『山田さん』 :
「つってもまあ、このワケも分からない島で、精神的人デナシ連れて何ぞ企んでるのは事実ですし。

 一番都合いいのなんざ、悩みの種が物理的に消えること以外にゃないっすけど…」

『山田さん』 :
「………あー。そうそう。
 駄賃じゃなくてこっちは忠告っす。あいや、憶測…怪談…?」

久外境耶 :
「っしゃ、あざす!」

 いえーい気をつけまーす、と貰った名刺をいそいそしまう。

 グタイテキに何か目的があったワケじゃない。
 おれ的に切れたら勿体ない縁を、運良く拾っただけ。

久外境耶 :
「おれ、頭のいい人好きなんですよね」
 
 貧乏くじが当たりくじに早変わりだ。幸運サイコ〜

久外境耶 :
「忠告……はありがたいすけど、怪談って?」うろんな目

SYSTEM :
 なお直前まで胡乱な目で見ていたのは彼方である。

 頭のいい人が好きな人間の行いは、
 恐らく深堀すればするほどそれとは対極に位置するから…かもしれない。

SYSTEM :
 閑話休題。

 では胡乱な目で見つめ返された方が、
 んー、と、普段通りの調子で唸って。続ける。

『山田さん』 :
「この島ね。
 何処にあるかも分からないわりに、わりと生き物いるじゃないっすか」

『山田さん』 :
「追われがてら、追いがてら、観察がてら………」

『山田さん』 :
「あと序でに、その道満がせっせと現地調達したっぽい、推定ブラム絡みの手駒とか…
 人様を何処から嗅ぎ付けたか知らないけど仲良く『お話』希望してきた元UGNのブッソウなのとか…」

『山田さん』 :
.    このコ
「ウチも山田さん乗り捨てないようにと…。
 まあ、いろいろやってたんすけど」

『山田さん』 :
「うち、喋りもしない獣畜生については、概ねワーディングっても怯まないヤツしかいなかったっす。

 もっぴきの精神的人デナシのせいかな? ってのまでは分かんねっすけど」

『山田さん』 :
「こいつらね。
 全員同じシンドロームです」

『山田さん』 :
「で、そん中のバロール・シンドロームって…。
 
 変な方向に適性伸ばしたやつほど、時間に喧嘩売る真似が大得意なんすよね」

『山田さん』 :
「蘆屋道満にその適性は欠片もないけど。

 こいつがバロールの持ち主を他意で連れ歩いてて………。
 こいつのかかわったっぽい島の共通項が“それ”なのは、どう思います? って怪談です」

SYSTEM :
 別に何が繋がる話でもない。

 実際は一瞬だったり、遡って変えることは出来なかったり、未来を臨むことも出来はしない。
 歴史に取り残された生き物が、その逸れ元をどうこうするなど、基本は考えられないことだ。

SYSTEM :
 ………だから怪談。
 お駄賃をそれで満足して、後は表舞台に関わりたがらない正体不明のヒマつぶし。

 ありふれた社会に二人がいたら、カフェで口やかましい先生の黒歴史や弱みをポロッと零してふざける時のような声のトーンでしかない余聞だ。

久外境耶 :
 AオーヴァードやRBが群生してるのは、めずらしいが無いハナシじゃない。優等生の旭クンにでも聞きゃ例の一つ二つ出るだろう。

 ……全員おんなじシンドロームっつうのは、流石にフツーじゃない。

久外境耶 :
「バロール……」

        バカ    ゴミ
 ホデリ。虎女。愚弟と、その抜け殻。

 舞台の中心におかれた連中は、確かにこぞってソレの罹患者だ。

久外境耶 :
 ……死人を殺す方法。過去の怨霊が、時間にケンカ売るシンドロームとやたら縁深い理由。

 ……あいつが虎女に期待してるのが、単純な戦闘力じゃないとしたら。

久外境耶 :
「憶測できそうなラインだけど、口に出したとたん怪談っつーか与太になりますね。ただ……」

久外境耶 :
「やるし出来ると思ってるやつが、やるんなら。喧嘩売られるのは時間だけで済まねーでしょうね」

『山田さん』 :
「そゆ話です。
 言ったでしょう? 憶測とか怪談とか」

『山田さん』 :
「真面目に言うのも馬鹿らしい話っすが、
 馬鹿らしい話ほど平気で起きるのもこのご時世の常です」

SYSTEM :
 総じて…余聞だ。

 叶える術のないことを真剣に叶えようとする狂人の真似などして、自分も狂人になってはたまったものじゃない。

SYSTEM :
 だから、この話はこれでおしまい。

 白い狗が、小さく吠える。
 蘆屋道満───事の発端である狂人/妄執の化身、その名残が望むものを。
 悟るように、小さく、静かに。

『山田さん』 :
「そんじゃ、ウチは一旦ハケる頃です。
 理由がソイツなら、精々零さんようにするんすね」

『山田さん』 :
「人デナシ予備軍が他人に理由委ねる時って、失敗したダメージデケーっすからね。
   アッチ ..コッチ
 ───UGNもFHも、その他大勢のしょうもないヤツも。いなくなる理由はみ〜んな“ソレ”っす」

SYSTEM :
 気遣いでもなんでもない。
 踏み込まないが揶揄る茶化しの類。

 望んで“不特定多数”に紛れたがる生き物に、何も話すことがなければ…。
 いや、仮にあっても此処までだ。

SYSTEM :
【Check!】
“山田さん”がエネミーエフェクト『生体侵入』『メンタルインベイション』を再宣言しました。

※効果は割愛

久外境耶 :
 そん時はおれが先にくたばってるでしょうよ。

 ……と言えたのは昔のハナシ。
 おれはしくじるコトさえできなかった。

久外境耶 :
「ご忠告どーも」

 要件はおしまいとばかりに山田サンのツラに戻る古巣の先輩に、肩をすくめて応じる。

 零すつもりはない。
 すり抜けていくと分かっていてもだ。

久外境耶 :
「……で?」

 あと帰るだけだし、と最後の最後でホデリに水を向ける。

「おまえ的にどうなん。因縁のアシヤマン、本物っつーか部分的本物だったけど」

『ホデリ』 :
『なにも憎まじと言わば嘘になろうな』

『ホデリ』 :
『音に聞こえし蘆屋道満は…。
 半ばいつわりにあろうとも、半ばまこと。その所業に代わりない』

『ホデリ』 :
『ましてや同じ時のなくしものと在らば…。
 善しも悪しも、如何もない。叶えば共に還し、封ずまでだ』

『ホデリ』 :
『………魔の差した一押しはあやつであり、
 そこに触れたものは彼奴であり、
 根幹はわたしとてな。半ば“そう”なら、半ば分の報いはともに付けよう』

SYSTEM :
 答えはそのくらい。
 本物であるか偽物であるかなど今更の話。

 単に、自分の“さふべき”に。
 眠らせるべきものに対して手を伸ばしたならば、半ばとて半ば分の報いをやるまでだ、と。

SYSTEM :
 零れ落ちるもの。
 本を閉じ直すために栞をたどる生き物が、答えを返す。

 伴に、の言葉はどちらに向けたものか。
 この小人に臆せず宣う度胸はないが。

久外境耶 :
「バ〜ッカ、しみったれたコト言いやがって。おれはそのリクツ認めてねーからな」

 ホデリが兄としてカタつけるっつうのはいい。
 けどコイツのせいでは絶っっっっ対ない!

久外境耶 :
 コイツが違えって言おうが、愚弟が頷こうが、"ヴィカラーラ"が『あなた、謝りなさい』と言おうが──うわ存在しない記憶──ともかく!

久外境耶 :
 気に入らねえってそっぽ向いたクチも効けん甘ったれのために、こいつがありもしねえ非を背負う必要は一切ねえんだ。報いはバカどもが揃って引き受けりゃいい。

久外境耶 :
「だから、こーいう時の答えは一択だ! 気に入らねえ、即ちブチのめす──ってな! あいつの悔しがる姿はいい寝物語になるだろうよ」

SYSTEM :
 その答えを望む台詞はいつかと同じで。
 根幹は、不特定多数のFHが通って来た道の名前。

 気に入らぬものは殴って壊す、荒野行く者の合言葉。
 伴ゆく無法者。高慢にて頑しを振り払う道を提示した、道半ばの悪魔の祝詞。

『ホデリ』 :
『思いひままにか』
 

『ホデリ』 :
『ああ、それは…。
 過分にして贅を尽くすというもの』

SYSTEM :
 己がため、いい恰好して帰るために、
 首を長くして待ち続けた小人の報いとしては。

 思うままに振る舞って帰るのは、十分な贅沢であろう、と。

SYSTEM :
 感慨深く、なぞるようにつぶやいた言葉が。
 あなたの教示への返礼だった。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :シーンが終了しました。ロイスの取得・変更等ありますか?

久外境耶 :なし! サンキュなー

GM :承りました。

GM :卵焼き。


・シーン36「妄執」

SYSTEM :
【Check!】
 判定:[5-3]を行います。
 判定対象者:颯、龍

 判定/特殊

 支援/存在しない
 
壱:FSシーン発生の可能性あり
弐:推奨【三廻部 颯】【木口 龍】

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【シーン36:妄執】

 登場PC:三廻部颯、木口龍
 登場侵蝕:あり
 

SYSTEM :
Tips-赤色の従者
 ブラム=ストーカー・シンドロームのオーヴァードの一部が、
 自らの血を媒介として作り出す、己の思うがままに動く存在。
 
 その姿はオーヴァードによって大きく異なり、
 自らと同じ姿であることもあれば、オーヴァードとしてではない精神的暗示や原理を用いるがため、
 時には人とかけ離れた姿や武装を伴う事もある。総じて、行使している最中は多大な集中力と負荷を擁する。

 時にこれに自我を与えるものや、自らの血を与えることで対象を『従者』として操る、造り変えるものもいる。
 いるのであればそれは『可能』ということであり、従者とは『血』さえ媒介にすれば有機物・無機物を問わず全てが対象になり得ると言える。

 ………こうした、ともすれば「他者の意志や尊厳」をためらいなく踏み躙る使用方法に関しては、UGNでは、人道的な意味を除いても「極めてレネゲイドの暴力性に身を任せる手段」であるものと捉えられる。
 烈しい侵蝕率の増加や「衝動」への段階を飛び越した順応/暴走の第一歩とされているため、基本的に人間社会の側に立つような組織、勢力では使用されない。これを使用するのは、“極めて特異な才能を積みながら、倫理的問題を自覚・無自覚を問わず無視できる存在”………。
.    パブリックエネミー               エフェクト
 つまり“社会の敵”的な性質を持つものに赦された“現象”こそが『従者』の応用であると言えるだろう。

GM :このイベントはトリガーシーンとなっております。よって…

GM :登場侵蝕のお時間でございます。

木口龍 :1d10 侵蝕 (1D10) > 7

木口龍 :クソッ高い。

system :[ 木口龍 ] 侵蝕率 : 107 → 114

三廻部 颯 :1d10 (1D10) > 1

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 122 → 123

GM :ざっと覚醒なり立ての7倍の緊張…

GM :そういうことですね

木口龍 :くっそんな緊張と道満は許せないぜ・・・

SYSTEM :
 薄灯りの道を行く。

 この『リュウグウジマ』に焼き付いた記憶の路に法則性はなく、
 この先が何処に繋がっているのかも定かではない。

SYSTEM :
 行く道は人の名残などなく、営みの痕跡遺せどもそれ以上ではない。
 あなたたちが此処をたどり、先に行く理由も。
 夜遊びの類ではない。

“パラディン”的場啓吾 :
「蘆屋道満…だったか?」

“パラディン”的場啓吾 :
「日本じゃ有数の陰陽師、骨董品中の骨董品だ。
 この島に来てからというもの、よくよく時計の針を逆回しにしてばかりのな」

“パラディン”的場啓吾 :
「そいつは概ねこの近辺に陣取っている───。
 自らは動かず、探し物はお友達と手足に任せきりの良い御身分というわけだ」

SYSTEM :
 何を隠そう、同伴の男/“ラッキージンクス”らと同じ立場だが、完全に同じとも呼びきれぬ間柄の男が口にした通り。

 蘆屋道満───。
 何処ではその銘に違う意味が見出されて、あなたにとっては、古にて“彼”に宿縁を持つもの。現代によみがえった妄執の化身、悪の名残だ。

SYSTEM :
 行方不明者を探す傍らであり、
 遺産の行方を識る最中にあるとあっては、この訳知り顔がどう転んでも、あなたたちに“悪しき”しかもたらさないのは明白であった。

 そこで辿り着いたのが、今この場所だ。

SYSTEM :
 ………気配は当然感じない。誘うようなレネゲイドの因子の滾りも、うねりも。
 もう少し先。ここはただの焼き付いた名残の道中と言ったところ。

木口龍 :
「クソッ……出来れば早いこと遭遇してナントカしてどうにか葬れねえかな……」

 俺アレに勝てる? なんとかなる? って感じで、周りを警戒しながら進もう。

三廻部 颯 :
「……罠いっぱいだったりしませんか?」

 ぐ、ぱと手を握ったり開いたり。
 何が起きてもどうにかする気持ちだが、ここは慎重に行くしかないと思う。

“パラディン”的場啓吾 :
「承知の上で虎児を得に来たんだろ?」

“パラディン”的場啓吾 :
「逆に罠の“わ”の字もなかった方が気味も悪い…そんなところだが」

SYSTEM :
 あと、ナントカとどうにかが被る方に彼は言葉をやらなかった。
 こういうものが何とかすることを知っているからかもしれないし、単に流しの姿勢に入ったからかもしれない。

“パラディン”的場啓吾 :
「しかしそうだな。一つだけ教えておいてやろう」

“パラディン”的場啓吾 :
 や ら れ て 嫌 な 事
「その場に直面したくない現実を一つ思い浮かべる。
 ・・
 それが来なかったら儲けもの。自分の勝ちだ。不安な時はそのくらいがいいだろう」

三廻部 颯 :
 頷く。
 戦いとはすなわち、「相手の嫌なことをしたもの勝ち」だ。
 これはルールで定められた公正な戦いではないのだから。

「ポジティブシンキングですね」

三廻部 颯 :
 ……まあ、あんまり想像はできない。
 これは感情ではなく、知識のなさ故だ。

「罠は承知の上で進む。
 その上で、倒す」

三廻部 颯 :
「……あっちから出てくるってこともあるんでしょうか?」

“パラディン”的場啓吾 :
「しびれを切らすか、って話か?
          アレ
 理由があればな。自称道満が“辿り着いた”前なのか後なのか知らんが、後なら理屈で考えるだけムダだ」

“パラディン”的場啓吾 :
「………しかしどうだ。
 成ったばかりと聞いているが、見かけより飲み込みが早い。
 スパルタの一つや二つ喰らったか?」

“パラディン”的場啓吾 :どうなんだ探偵サン。

木口龍 :オレに聞かれましても……。

三廻部 颯 :「色々あって……」

木口龍 :なんかいい具合に若いのと話していたっぽいっすけど……

“パラディン”的場啓吾 :なぜ接続詞がだいたい浮つくんだろうな この男

三廻部 颯 :
「……頼ってばっかりじゃ自分の身は守れないし。
 ほんとは悩んだりしたいですけど、そうもいかないっていうのも分かってます」

“パラディン”的場啓吾 :
「そこは考えのズレだな」

SYSTEM :
 恐らく彼がUGNの立場なら。
 此処に繋げる言葉があった。

 身の丈に合わないものを背負い始めた者に、頼ってばかりという視点を持ってほしくないのがおまえの御守の”本命”だぞと。
 ただし───。

SYSTEM :
 彼は別にそうではないから、
 その言葉とは全く違う言葉を続けた。

“パラディン”的場啓吾 :
「だが、いつか…。
 いつか何かを択ぶ必要が出た時に、だ」

“パラディン”的場啓吾 :
        ・・・・・
「おまえがその時何をしたいか、だ。
 それが後々で悔やまん程度の答えになる程度には悩んでおけよ」

“パラディン”的場啓吾 :
「敢えて聞かなかったんだろうが、
 さっき言った“それ”が来た時もな」

SYSTEM :

 それはつまり。
 万が一“されると一番嫌な事”が来た時。

 その時の選択を悔やむような真似はするなよという、茶化しか教授かも分からない話。
 それが、少なくとも敵ではない偉丈夫のあなたに投げかけた気紛れであった。

三廻部 颯 :
「胸に刻んでおきます。
 ……多分、大きな選択が必要な時がすぐ近くに迫ってて。
 でもその時は……私は多分、自分の心に従います」

 悔やむ、悔やまないと言うよりは、その時自分に嘘をつきたくない。
 私は私が思ってるより、どうにもエゴイストらしい。

三廻部 颯 :
「……まあ、来なきゃ勝ちですし!」

“パラディン”的場啓吾 :「図太くていい。では、行くか」

SYSTEM :
 昼も夜も定かでない、まぼろしの島。
 灯りなき夜道は、視界を墨で塗りつぶしたよう。

SYSTEM :
 暫く、歩く。
 いずれ変わる風景を待つ時間は、
 そう長くもない。

SYSTEM :
 朧げな名残の道が、少しずつ鮮明になる。

 その場所にあなた/颯は覚えのあることだろう。
 歩く道が、少しずつ登る道に代わるころ。
 踏みしめるものが土でなく石段に代わるころ。その行く先が何処であるのか、悟るのは難しくない。

 石段を僅か登った先。鳥居にて仕切られたその場所が、今なお確かな形として残っている。

SYSTEM :
 この島が、概ねホオリノミコトの夢の残骸というのは、あなたが知った事実だ。

 それを踏まえて、“ここ”が鮮明な理由は当然と言えた。
 知ってか知らずか、ここに陣取るものが、推定蘆屋道満だという趣味の悪さには、当然などとは言えるまいが。

SYSTEM :
 暗闇の中。ここが、行き止まり。
 人気のない場所であるが、

 澱んだ不可視のかたまりが………。
 目視出来ずとも、ただ背筋をさするような悪寒のかたちとして。この場所に留まる怨の情が伝わる。

木口龍 :
「……よりにもよって鳥居かよ……。
 ぜってえ真ん中歩きたくねえ。歩いたら取り憑かれそうだぜ──」

 銃を顕現させながら、おっかなびっくり周囲を警戒。

三廻部 颯 :
「……」
 
 知りすぎている景色。
 ここが朧げな光景でなくて、鮮明である理由ははっきりしている。

「……逆に真ん中を歩けば、釣られて出てきたり」

木口龍 :「いいか神様は怒らせちゃあいけねえんだ。そこにいるのがどんなにアレな芦屋道満だろうとな……」

SYSTEM :
 おっかなびっくりの様子か、
 激情とは無縁の様子か。

 鳥居に目が向くが、ここはもとより彼の根城ではない。
 どう通ろうが“バチ”など当たるまい。

SYSTEM :
 祀るものもなくなって久しければ、
 ここにいるのは筋も場も違う怨霊一つ。なれば。

『蘆屋道満』 :

「───フ、」
 

『蘆屋道満』 :

「フフフハハハハハハ愉快ィ!」

『蘆屋道満』 :

「いつぞやの虚け! 暗し者めが!
 ひとたびの目暗にて“めくら”となりにけるか!」

『蘆屋道満』 :

「この蘆屋道満を…殺せると!」

『蘆屋道満』 :

「わらべは走狗! 木端は用心!
 追い立てる狩人の如きにか!」

SYSTEM :

 憤怒まじる嘲笑のかたち。
 どうも島の中枢に値する湖、そこに至るまでの火出の尊なるものと相対せし戦いの最中。
 あなたの暴挙と狂言、彼の中では忘れ得ざる不可解な記憶として刻まれているらしかった。

SYSTEM :
 姿見えぬ暗闇の中。
 帳の向こう側か、空の彼方か。あるいは隣か。
 かもいないかも分からぬ不定形がせせら笑う。

木口龍 :
「──で、出やがった……いや出てきてない……」

木口龍 :
「オレぁとりあえずお前をナントカしなきゃ仕事にならねーんだよォ!!!
 早く姿晒しやがれ!!!」

三廻部 颯 :
(仕事……)

三廻部 颯 :
 無言で手に光を宿す。
 いつでも戦えるように。

『蘆屋道満』 :
「暗し者め!
 三度その戯けが通ると思うてか!」

『蘆屋道満』 :
「法螺吹きの男、そして───。
 如何なるものかは知らぬが、火出の者の妄執識る者の使いよ!」

『蘆屋道満』 :
「貴様、我が謹言忘れたか!
 その顔確かに覚えたり! 応とも、覚えて久しく!」

“パラディン”的場啓吾 :
「よく燥ぐ。ご自慢の玩具はお使いか?
 それとも歓待の用意が整っていないうちだったのか?」

『蘆屋道満』 :
「愚問なり! 然らば応えよう!
 わらべ連れ、狩りと意気込みし使いの者!」

三廻部 颯 :
「……来る!」

 口は災いの元。
 とまではいかないが、今は臨戦態勢。

木口龍 :「……か、かかってこいよオラァ!!! 侍なんて捨ててかかってこいよ!!!」

SYSTEM :
 存じているか否かは知らないが。
 蘆屋道満がその身に宿す宿痾の名。
 即ち、ブラム=ストーカーとモルフェウス。

 血にて盟約を交わし、式神にて万象を成す。
 彼が喚び起こしは、その咒を介し、妄執憑りつかせて生み出す死霊武者。
             オーヴァード
 いちから生むのではなく、検怪の者を素として生むものなれば。
 出会い頭の特別製。
 呼び起こした夢見心地の記憶の栞でなくとも、瞬きのうちに百戦錬磨の戦団を作り出す。

SYSTEM :
 彼が暢気に、ある種“ゆるり”と時を待っていた理由など一つのみ。
 限りない手札と、味方する時の形。
 その成就する地を識れば全てが叶うという傲り。
 そして、その傲りを阻みに来ようと退けるという自信のほど。

 未だ渦巻く野望の形。
 もはやそれのみを糧としてきた怨霊が、いま、黄泉比良坂より姿を現す。

『蘆屋道満』 :

「天・元・行・躰・神・変・神・通・力!」 

SYSTEM :
 天に掲げしは五芒星。
 あの咒に描かれた、星と格子。

 陰陽師なぞに今時詳しいものならば。
 これを燥いでこう呼ぶまでもなく。
 微かに形を変えた呪の徴と共に、蘆屋道満がその妄執を露とする。

SYSTEM :
 暗闇のベールを剥ぎ取って。

 来よと言われれば応ともと。
 蘆屋道満が行く。

『蘆屋道満』 :
「───急急如律令!
 そうれ、それ! 来やれ、来い我が僕ども!」

『蘆屋道満』 :
「我が宿願、我が大敵…
 彼方隔てし時の帳、阻むとあらば…」

『蘆屋道満』 :
「一足先に!」

『蘆屋道満』 :
「奈落の底に叩き落としてくれるわッ!」 

SYSTEM :
【Check!】

“蘆屋道満”がエフェクトを宣言しています。

 Major:赤色の従者+愚者の軍団

SYSTEM :
 ずらりと。
 骸が地より這い出て、血に依りて形を帯びる。

 舞い降りる蘆屋道満、その行く手阻むように。
 見知ったかたち、見知らぬかたち。
 象った古強者の数。三に留まらず。

『検異の骸/甲』 :『───』

『検異の骸/乙』 :『───』

『何者かの影?』 :『───』

SYSTEM :
 それのみに留まらず。
 湧き出す群れ、十を超える。

 先に、その素体はオーヴァードとしたが、元より蘆屋道満と呼ぶべき男、腐っても日本有数の陰陽師。
 式神とそれを為す咒あらば造作もなく───。

『蘆屋道満』 :
「のこのこと!
 出ずるが貴様の運の尽きよ───」

『蘆屋道満』 :
「この蘆屋道満、情けをかけぬ!」 

三廻部 颯 :
「なんて数……!」

 まずい、私は複数の戦いには向いていない。
 一人一人、骸を倒していくことで活路を見出すか、術者本人を叩くかの二択に絞られる。

木口龍 :

「──」

 は? いやいや数多いって。すげえ多いって。
 どうすんだ。どうすんのこれ。これ無限に作られたらジリ貧やろがい。

 銃を構える。へっぴり腰で照準を合わせる。発砲するたびに自分の血液を使うもんだから、無限ってわけにはいかない。
 おおどうしよう。これこそがゾンビパニックというやつか。

三廻部 颯 :
 右手の青い光を形に、すぐできるように構える。
 が、この数だとどうしようもない。

「……あっちはやる気! どうしますか!」

SYSTEM :
 左右に控えし武者侍らせて。
 高らかに嘲笑うは蘆屋道満。

 古にて安倍晴明の大敵として振る舞い、何をば成し遂げず滅び。
 今なお妄執を滾らせるもの。
 かつて嵐の海にて、名も残らぬものと相対した大陰陽師。

SYSTEM :
 しかしその咒は、この大群でさえも及ばない。
 ・・・・・・
 見る影もないとはこのこと。
 その絡繰、知るものと比較し得るものがいれば、すぐに指摘も出来ようか。

 だが、それを振るって猶も、ひとりふたりのオーヴァードならば叩き潰し得る。
 一体一体は吹けば飛ぶが、十体とあらば話は違う。

SYSTEM :
 この場は───リュウグウジマは。

 あまりにも。
 蘆屋道満の咒に適している。

SYSTEM :
【Check!】
 █▇▅▇▇▅█のEロイス「ファイトクラブ」を確認しました。

 ・ステージ『リュウグウジマ』を構成する要素として、『海の怪物』は自らが殺害したエキストラ───(未開示項目)
 ・この時、何らかの異常で姿が───(未開示項目)

SYSTEM :
 …なれども。
 張子───そう、張子だ。

 肉を持たず、入れ物持たず。
 咒と宣うレネゲイドの因子が形を成した骸の戦団。これは戦い馴れしているものにしてみれば、次のようにしか映らない。

“パラディン”的場啓吾 :
          エキストラ
「8割方は中身なしの即席だ。
 前の三つ以外は、どうも張子の虎のようだな」

『蘆屋道満』 :
「戯れるでない、戯れるでない!
 
 数多、張子で十分と申しておる!」

『蘆屋道満』 :
「…尤もこれなる張子の群れも、検怪の者らも惑わしの人形も、火出の者目覚めし時には御役も御免よ!
 
 黄泉には盛大に骸を添え、沈むこの島の遍く暗し者どもを捧げてやろうぞ!」

SYSTEM :
 左右の武者が武器を構える。
 真中の外套まとう影、微動だにせず。

 影は男か女か定かでもなく………。
 また、その背丈は恐らく男であることしかわからない。いつか見た時と同じだ。

SYSTEM :
 ………そう。

SYSTEM :
 鎧武者と比較しても、こちらは文字通り、“喋るための”従者でしかなく。

 龍の知る限り、あの時の戦いで“戦闘に使う”従者ではなかったものが。
 堂々と真ん中に置かれている。

木口龍 :
「……張り子──つうか待て、アレ確か戦うのには不向きなやつだって言ってたような……」

 真ん中に堂々といるアレを指す。

三廻部 颯 :
「……なら、正面突破すれば……!」

 拳を構える。
 突破自体は容易なのではないかというちょっとした希望的観測。

SYSTEM :
 そう。
 朧げなのか戯れなのか。あなたはこのように指を向けた。

 背恰好、男性。颯よりも、旭よりも、境耶よりも背が高い。
 だが龍ほどではないその体躯。
 日本の男性としては、別に珍しいわけでもない背恰好。

 突破は難しいワケではない。その通り。
 希望的観測ではなく。
 敢えて言うが事実だ。

 蘆屋道満。消耗を対価とするが、
 普通に鎬を削ればあなたたちが勝つだろう。

SYSTEM :
 凝視する。凝視する。
 凝視、して。

 ………蘆屋道満が。
 かつて龍らと相対する時に使っていたその影と、顔を覗かせた後ろの蘆屋道満の巨躯を見比べる。

SYSTEM :
 ………この影は。

 蘆屋道満と、かたちが違う。
 背恰好は。そう。

 何度も誤魔化し、誤魔化せるような装いでしかなかったから。
 ただの男性であることしか分かるまいし。
 少なくとも戦うための“道具”でないこと以外は、分からなかっただろう。

SYSTEM :
 なれば今。どうか思い出してほしいのだが。

『何者かの影?』 :
『───で』

『何者かの影?』 :
『───なンで、オマエ、なんだ』

SYSTEM :
【Check!】

■メジャー:黄泉比良坂
《鮮赤の牙L1》

 対象者を《検異の骸》《道満の影》《鎧武者》のいずれかに変更する。詳細やルールは『鮮赤の牙』および蘆屋道満が持つ『赤色の従者』に準拠する。
 この効果はエキストラ、または非オーヴァードにのみ使用できる。

 解除方法は対象の戦闘不能(死亡)もしくは▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇。

SYSTEM :

 この怨みがましく響く雑音。

 あなたたちより高いが、
 大人よりは高くない背恰好。
 男性の、戦闘用ではないものが元の“従者”。

SYSTEM :

 ………あなた/颯。
 ・・・・・・・
 覚えてはいないか?

三廻部 颯 :
「───え」

三廻部 颯 :
 考えが、及ばないわけじゃなかった。
 心のどこかでその可能性がないわけじゃないことを、考えていないわけじゃなかった。
 けど、それは、そんなことは、心のどこかで、それだけはないと思っていた。

三廻部 颯 : 
 たとえどんな最悪なことがあったとしても、
 それだけは絶対にないと、どこかで過信していた。

三廻部 颯 :
「う、そ」

三廻部 颯 :
「なんで」

三廻部 颯 :
「なんでよ───なんで」

 それの中身が、
 普段の私からしたら、やっかみを飛ばし合うような仲だったとしても。

 なんで、と言わざるを得ない。

三廻部 颯 :

「い───、やだ」

三廻部 颯 :
「いやだ───いやだ、

 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……!!」

三廻部 颯 :

「なんで、あなた、なの…………!!」

 理不尽。
 抗いようのないもの。
 私はそれがひどく嫌いで、嫌で、そう思っていたのに。

木口龍 :
「っお、おいどうした!?」

 颯の動きが止まった──急だ。戦意と共に、ブレーキがかかったように。
 何かに縛られ、そこに立ち止まった。足が竦んでいた。
 オレにもわかる。明らかに様子がおかしい。
 殴っちゃいけないものに出会ったような。

SYSTEM :
 誓って語っておくならば。

 蘆屋道満に、あなたと彼と“海の巫女”の関係を識る由はない。そこまでは分かるはずがない。

 本当に偶然だ。
 ただ、誰の手が間に合うよりも早くに…。
 己が動くための足を欲しがった道満が、たまたま手を付けただけ。

SYSTEM :
 手を付けるにあたって。
 心の中を刺激しただけ。

 ブラム=ストーカーにはそういうことが出来て。
 乱れた自我の方が、確立していない自我よりも都合がいいから。そうしていただけ。

SYSTEM :
 ………その矛先が。

 なぜ。颯に向いたのか。
 徒手の影が、なぜ。

『何者かの影?』 :
『───アノ、女、ハ』

『何者かの影?』 :
『───ナンデ、親ニ、頭ごなしニ、言われてモ、気にシテなくて。
 ・・・
 イヤだヲ、イヤだトモ、言オウと、しない』

SYSTEM :

 覚えているだろうか?

SYSTEM :
“いや? たぶん悪いのカミキだよ。

 最初に山田さんか、三廻部が言えば、たぶん渋々残った”

SYSTEM :
.・・・・・・・
“きみが言うからムキになったんだ、あいつ”

SYSTEM :
 曰くカミキとよくつるむ少年の言葉。本人からの又聞きか、あるいは推察か。
 赤都上樹が家の事情を話したことはない。敢えて言うなら、リュウグウジマのあれそれには関係のないことだ。

 そして上樹が、聊か裏の多かったらしい池田咲楽の実家と。
 そこの事情でよくクラスから『浮いた』彼女を見て、それを良しとする仕草を見て、何を思ったのか。
 
 転校生にも隠れて人の良い、けれども現代社会の世知辛さに少し“擦れた”男。
 己と似て非なる、輪に入ろうとしない女を見て。自分の立場で何を思ったか。

SYSTEM :
 その女の肩を預ける先。
 
 何処だったのか。

SYSTEM :
 リュウグウジマには何も関係がない。
 ましてや、あなたにすら関係がない。

 誰に非などありはしないが。
 強いて非をあげるならば、そこをくすぐったものが、ただ一つ以外を些事と踏み躙ることをよしできる“物の怪”/ジャームであったこと。

『何者かの影?』 :
『コッチを見ようとモしない───』

『何者かの影?』 :
『ナンデ───
 ・・・・・
 助けられルのが───』

『何者かの影?』 :
『───オマエなんだ』

SYSTEM :
   貴女の知人
 ………赤色の従者が。
 無手にて、言葉で牙を剥く。

三廻部 颯 :
 呼吸が続く。
 言葉の刃物は容赦なく私の、全身を突き刺すように振るわれる。
 血の代わりに嗚咽を、悲鳴の代わりに呼吸の連鎖を。

「か……み、きく、ん───」

三廻部 颯 :
 心臓が高鳴る。
 身体が動こうとする。
 頭/本能は何をするべきかを分かっていて、海色の砂と光は纏うことをやめず。
 その手の上に、相手を屠る得物を作り出そうと指令(コマンド)を待っている。

 心臓が高鳴る。
 心が否定しようとする。
 あれを───あれに向かって拳を振るうのだけは、ダメだ。
 あれが、他の誰かであってもだめだ。

 だめだ。
 それだけは、絶対にだめなのに。

三廻部 颯 :
「わた、しっ……そんな……ちが……そんな───ぁ……」

木口龍 :GM、反応挟む前に確認したいんだが、他の従者どもは動きそうか?

GM :ふむ? まあ…まだ動いておりませんよ。

木口龍 :OK。

木口龍 :

 ──まずい。

 まずい、不味い不味い非常に不味い。
 アタッカーが行動不能は洒落にならねえ。
 ここで彼女がダウン取られたら次はオレだ。オレ達だ。

 っていうかほんとにやべえ……もはや動けてすらいない彼女を見るしかない。
 幸い、他の奴らはまだ刀を抜いていない。

木口龍 :
「──お、おい! どうした、返事をしろ颯!!」

 冷や汗がつぅと背筋を伝うのが分かる。
 動いていないからといっていつ動くかは、誰にも分からない。
 オレの探偵……。……探偵? 人生の経験がモノを言っている。通されればデッドエンドだ。
 こ、こういう時こそ手帳だ。ここにはなんか色々と役に立つことが書いてある。あるような気がする。

SYSTEM :
 誰が悪いでもないその有様。
 戦えると意気込んだあなたの前にて、男が嗤う。

 それだけは無理だと竦んだ足に。敵も味方も、誰も彼も視線が向く。

 微かな時のみ視線を向ける“パラディン”だった無法者も。
 それは、偶然の一致を繋げた蘆屋道満とて同じこと。
 神恃みならぬ■恃みに走った木口龍ですら、同じ方向を一度向いた。

『蘆屋道満』 :
「貴様! わらべ! そうか、貴様!

 この小僧の知己にて!
 検怪の者に足踏み入れしもの───」

『蘆屋道満』 :
「それだけではない…。
 貴様に宿る海色のえにし! 覚えているぞ………あの暗し者!」

SYSTEM :
 得難きを得たりと、男が嗤う。

 蘆屋道満が。
 海色の衣と拳。光のかたちを前に。
 
 ただ一人への殺意のみを縁とする孤独の亡霊が、それを阻んだ疎ましきを、残滓よりなぞって。ひと時、傲り酔い痴れて、従者の駆動さえ忘れて振る舞う。

『蘆屋道満』 :
「如何なる因果か! あなや目出度し!
 晴明への道切り拓く最中………貴様を! 我が道阻みし“石くれ”を!」

『蘆屋道満』 :
 ・・・・・・・
「ホオリノミコトを───」

『蘆屋道満』 :
 ・・
「三度、足蹴にするとはッ!」

『蘆屋道満』 :
「は、は、は、は、は、は!
 フフフハハハハハハハハ!」

SYSTEM :
 殺意にて狂った成れの果てが。
 はちきれんばかりに声をあげ、哄笑する。

 己の望み以外の悉く。
 喜悦と共に踏み躙る。
 魂腐り落ちた者の、おらぬ幻をこそ嘲笑う声。

SYSTEM :
 皮肉な話だが。

 正体を知らぬものからすれば空言でも。
 ここにいるのは、その矛先向けられたものの正体を識るものばかりだった。

三廻部 颯 :
「───」

三廻部 颯 :
 震えが止まった。
 撃鉄を引くには充分すぎる言葉が飛び交った。
 "逆鱗に触れる"という言葉があるように、私の中の大事なものに触れられたような気持ちの悪さ。

 私が、あの人の願いを遺された理由と、
 私が、あの人の願いを手にして生き返った理由は、根本的に同じものだ。
 
 私はただ、私や私の友達に降りかかる理不尽が許せなかった。
 選択を迫られることも、選択を強いるようなことも、何もかも。

三廻部 颯 :
 そして私には、何より自分の大切だと思うものを馬鹿にされたことが、どうしようもなく不快だった。

三廻部 颯 :
、  、  、   ・・・
「───黙れッ!! "負け犬"ッ!!」

 衝動に抗うでもなく、衝動を乗りこなすでもなく。
 けれど衝動に呑まれるでもなく、衝動をただ発露する。
 発作的で突発的な怒りの感情は、愕然としていた私の意識を平手打ちして、はっきりと現実に戻した。
 その怒りを示すようなレッドアラートが、海色の砂を染め上げて赤く警告を発する。

三廻部 颯 :
 竦んでいた足は見えた敵を撃滅するための勇ましさを帯びた。
 「なにがあった」「どうしてそうなった」の過程は、もう聞くだけ無駄だ。
 今目の前にある結果が全てで、その結果が私の導火線に盛大に火をつけてくれた。

 私の同級生が生きているか死んでいるかを確かめている余裕が、今はない。
 ないから最短で確実であろう方法を取りたいと思った。
 ・・・・・・
 術者を殺せば、それで上手く済むと。

三廻部 颯 :
 今でも飛びかかりそうな激情を少ない理性で押し留めている。
 右手を突き出し、左手は内に秘めて、突撃でも迎撃でもどちらでも対応できるような拳の形を作る。

「絶対許さない……!! 謝っても許さない!!
、   、   、 コロ
 お前を……ここで……壊す! 
 『蘆屋道満』 ───ッ!!」

SYSTEM :
 怯懦が、別の何かに代わる。
 天に向かって猛るような、哭くような焔の響き。海色の衣に、紅の光が舞い散る。

 それが虎の尾を踏まれた故の反応なのか、一点の黒いシミを、オーヴァードが抱える病は容易く膨れ上がらせるだけなのか…。
 チリチリと燃える炎。既に侵蝕臨界点を突破して久しいあなた/颯の振るう拳は、たかが怨霊の従者の十や二十、三十や四十、傷を厭わねばいつかは踏み込み、掛かって、蘆屋道満を殺し得るだろう。

SYSTEM :
 なにしろ、蘆屋道満は…。

 あなた/颯が見た、
 あなた/■が識った、
 蘆屋道満という男は、斯様に無様ではない。

 海鳴と共に出でし大怪異さえ調伏し、安倍晴明と競い、人智を隔てた“彼”を迎え撃つ側として幾度死の淵を彷徨わせた。

 それと比較して見る影もない、悪辣なれども無敵でない大陰陽師が彼だ。
 突破が出来ない理由はないだろう。

SYSTEM :ない、が。

『蘆屋道満』 :
「戯るでない、戯るでないわ! 童!

 この蘆屋道満を…。
 もう一度殺めると申すかッ!?」

『蘆屋道満』 :
「震えた腕で! 荒ぶる御魂で!
 ───驕るでないわッ!」

『蘆屋道満』 :
「たかが怒れる検怪の者の十とんで百!
 この我の手で調伏し、骸に加えてくれようが…」

『蘆屋道満』 :
「しかし、斯様な小僧がそれほど慈しめしと見ゆ。
 ───良いのか? ならば。良いのか良いのか?」

『蘆屋道満』 :
「式神にて従え、咒にて手繰りし肉の器!
 この蘆屋道満を殺さばその時…」

『蘆屋道満』 :
「その時!
 我が傀儡、みな死ぬぞッ!?」

SYSTEM :
【Check!】

 蘆屋道満のエネミーエフェクト『サクリファイス』を検知しました。

SYSTEM :
【Check!】

■オート:形代・五芒呪占
《サクリファイスL1》

 エネミー戦闘不能時に発動。
 従者ひとりを選択し、選択した従者のHPを[0]にする。
 代わりに、自身のHPを[選択した従者のHP]分回復する。

『蘆屋道満』 :
「この道満、それほどまでに殺したくば…」

『蘆屋道満』 :
「六銭持て! その懐具合を数えいッ!
 我が生み、貴様が屠りし骸の山に沈め、我が凱旋の道中…黄泉に送ってくれようぞ!」

SYSTEM :
 己を殺したくば、この八割の“伽藍洞”と…眼前の従者どもを殺してみせよと急所晒すは、その傲りに等しき自信ゆえか。
 
 怒りに竦むものは既に死した。
 島にも、道満の嘗ての心の内にも。

三廻部 颯 :
 軋む音は怒りのあらわれ。
 今にでも振るいたい拳が、突きつけられた最悪の条件を前に理性で押し留められている。 

「ふざけんなぁッ!!!!」

 手綱を握る、握り続ける。
 手に生まれた刀の鋒が誰に向けられようとも。

「そうやってッ! そうやって……!!
 化け物を生み出し続けて、ホオリさんまでその中に引き摺り込んで……!!」

『蘆屋道満』 :
「戯れと申すか! フフハハハ!
 この我が戯れと! 血に塗れし火出の者! その縁結んでよくほざく!」

『蘆屋道満』 :
「───よくもほざく!」

「この我が引き摺り込んだなどと、
 最初から海底のさだめに囚えし物の怪めの爪先がッ!」

SYSTEM :
 しかしその哄笑。
 狂相がふと細められる。

 神恃みならぬ■恃みの矛先。
 まことを掴めぬものの観察など始めたのは、文字通り、負ける由なしとたかを括ったがため。

『蘆屋道満』 :
「因縁三度と、こうまで来れば不快も裏返る。

 足掻くかァ法螺吹きよ?
 それともそこなる童の如く、成せもせぬ”戯れ”を、乞児の如く吼えるかァ!?」

『蘆屋道満』 :
「貴様が誰の使いか…遂に分からなんだが最早結構!

 我を止める義なし!
 ただ安倍晴明置いて、我を止める者なかれば、その悪運此処までと知るがいい!」

木口龍 :
「……胸糞悪ぃな……」

 ぎり、と奥歯が鳴る。

 なんていうかこう、アレだ。
 非常にゆるい一般人的思考と感性を持つオレですら、心の底からそう吐き捨てたくなってくる。
 だけど現実っていうのは非常なものだ。勇気は潰え希望は絶たれ、跡には何も残らない。

木口龍 :
 ……考えろ。
 考えるしか、出来ないのが自分なのだ。
 だが考えたところで良案は出てこない──こういう時は直感に頼れというのだが、果たしてそれでどうにかなるのか?

 得物は拳銃一丁。当たらなければ意味のない閻魔の裁き。
 ■を使えと激痛がせせら笑っている。

木口龍 :
 いやそれやったら死んじゃうだろうがよ……と臆病になる自分も、いる。

 ──ええいままよ。こういう時は、考えるのだ。アイツが散々言っている、その使いとやらの意味を。
 使いってのはなんだ。主がいるのか? あの芦屋道満が警戒する何かがいるのか?

木口龍 :
「……いや、案外なんとかなるかもしれないぜ。
 世の中に万能があったら、そいつはもう世界の覇者になれている。なぜ大国は負けたのか、歴史学者は研究真っ盛りだ──」

 ならんかったら知らん。木口龍とは責任皆無な男だ。

木口龍 :ここ以外むしろ切り時はないと見た。
GM、《インスピレーション》を宣言する。

GM :

GM :………

GM :念のため聞きますが…

GM :『何に対して』?

木口龍 :これ通るかどうかのアレなのか……? いやミドルはもう終盤だ。情報収集の機会なんぞ今更無かろう。

木口龍 :
>>
 解除方法は対象の戦闘不能(死亡)もしくは▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇。

この伏せ字部分の開示を《インスピレーション》で要求する。要はどうすりゃいいのこれ、だ。

GM :結論から言うんですが…。

GM :問題ありません。少しお待ちください。

木口龍 :よっっっっし!!!

SYSTEM :
【Check!】

 木口龍/■■■が、
 ・・・・・・・
 ■■■■■■■に『インスピレーション』の使用を要求しました。

SYSTEM :
【Check!】

 ■■■■■■■が『インスピレーション』を発動します。

SYSTEM :
 ───海鳴の音が響く。

 遠く、遠く、彼方より。
 ここではないどこかから、
 ここにはないあなたへと。

 何とかなるかもしれない、は。
 何とかする方法がある”はずだ”という希望の滲んだ答え───では、ない。

 何とかする方法がある“だろう”という確信を持った要求である。

SYSTEM :
 ・・・
 アナタ以外にその答えを識るものはいない。
 あなた自身はその答えに無自覚でも、だ。

 何をするべきか、と。

 世の中にある万能というには弱く、仕事の餞別というにはあまりに横暴で。しかし、唯一無二の縁に手をかけた。

SYSTEM :
 海鳴りの音が、二度響く。

SYSTEM :

【Check!】


『インスピレーション』の結果を確認しました。 


SYSTEM :
■メジャー:黄泉比良坂
《鮮赤の牙L1》

 対象者を《検異の骸》《道満の影》《鎧武者》のいずれかに変更する。詳細やルールは『鮮赤の牙』および蘆屋道満が持つ『赤色の従者』に準拠する。
 この効果はエキストラ、または非オーヴァードにのみ使用できる。

 解除方法は対象の戦闘不能(死亡)のみである。
 蘆屋道満は「対象の自我を遺す」という余聞と非効率をしない。

 本来ならば。

SYSTEM :
 しかし、蘆屋道満がこのメジャーエフェクトを使用した対象のうち、赤都上樹(および民間人と記載された3名)のみ、この『リュウグウジマ』に流れ着いた───(以下、『インスピレーション使用対象のみに開示部分を省略)。

SYSTEM :
 颯、ホデリ自身、『ホデリにロイスを取得した人物』いずれかが『至近』で「従者:生徒A」に対し、エフェクトを使用しない 白兵orRCor交渉 で[8]以上の目標値を出した場合、対象となった従者(生徒A)の『鮮赤の牙』が解除される。

 これは特殊ミドルシーン中「判定・弐」として行うことが可能である。

SYSTEM :
 ………。
 ………、………。

SYSTEM :
 その海鳴りの音が聞こえたのは。
 ・・・
 アナタだけだ。

SYSTEM :
 ………だが。聞こえずとも、その揺らぎが。
 澱みの主に。

 陰陽師、蘆屋道満に何かを感じ取らせたらしい。

『蘆屋道満』 :

「───………ぬ?
 斯様な気、いずこで見えたか………」

『蘆屋道満』 :
「この道満が、いよいよ昂りて白昼夢など見たか!
 ───良い! 良し! 然らば夢見心地で踏み潰してくれる!」

SYSTEM :
 …一方で。

 あなたの「なんとかなる」という根拠のない言葉に。
 沈黙を保っていたパラディンが口を利く。

“パラディン”的場啓吾 :
「その台詞、中々自信がありそうだな。
 夢と命を天秤にかけるようなのは嫌いか?」

SYSTEM :
 男が固く結んだ口元を釣り上げて語る。

 嘲笑うでもないが、皮肉るような面構え。
 あなたがもっと幼い頃に出会っていれば。
 この男が、夢と誇りを天秤にかける前でないのなら。
 そこにあった表情はきっと、違ったものかもしれないが。

“パラディン”的場啓吾 :
「ああ、そうそう…。

 探偵さんの自信を利く前に…。
 ・・・・
 念のため言っておいてやるが」

“パラディン”的場啓吾 :
「択んだ時は言え。
 そして、択べん時は…目を瞑って手を放せ。お嬢さん」

“パラディン”的場啓吾 :
「おまえの隣にいる男が…」

“パラディン”的場啓吾 :
「おまえにちょっかいかけてくる小僧が…
 おまえが分かってて礼を言ったらしい女が…」

“パラディン”的場啓吾 :

 ・・
「FHが。
    ・・・・・
 どんなロクでなしなのかを、目を瞑っている間に教えてやる」

SYSTEM :
 そして…。
 もしも貴女が目を瞑り、背け。
 あるいは、意地の末に乗り越えることが出来なかったのであれば。

 アナタが掴んだ糸口を、
 あなたが無駄にしたのならば。

 男はためらいなく言葉を実行に移すだろう。
         ・・・・・・
 …彼は。あなたを待ってくれるだけ。

SYSTEM :
    ・・
 それがイヤなら、
 あなたに自分を利用する選択肢を提示してくれるだけ。彼はFHでは“まだ”良心的な男だ。

三廻部 颯 : 
 ……頷く。
 私は別に理性を失ったわけじゃない。
 溢れんばかりの衝動を、わずかな理性で止めているだけ。
 だから、その猶予にも耳を傾けて、頷く。

「……」

三廻部 颯 :
「……はい」

 刀を持つ手と、持たぬ手を交互に突き出して。
 どちらでもいけるようにと奮い立たせる。

三廻部 颯 :
「……夢は醒めるものだけど、
 夢は叶えるものでもある……!」

木口龍 :
 ……海鳴りが鳴る。
 必要なものが、必要な時に、降ってくるあの感覚。
 奇妙で不気味だ。だが一番欲しかった答えがそこにある。

木口龍 :

「さあね、
 だが、俺は──どうやら確実性ばかりを求め、保険を敷くのが好きらしい。
 同居人にも随分とどやされたような気がする。……いや、同居人なんていないはずだが……」

 ひりついた感情を乗り越えた時、血と修羅場に塗れた感覚が湧き上がってくる。

木口龍 :

 ・ ・・・・・
 俺は笑っている。
 コインの表裏で決まる人生こそが素晴らしいだなどとは言わないが。

木口龍 :
「こういう場面で、狂気の沙汰に身を浸らせる方が、生を実感出来るロクでなしだ。
 だが勝ち筋だけはきっちりと掴んでいく。その方が楽しいだろうよ」

木口龍 :
「──うん、まぁ、なんだ。
 俺を信じろ。俺が勝たせてやる。こういう時の俺は、どうも強いらしい。
 アンタがブン殴れば全て解決する」

 正直に言えば、記憶なんて戻っていない。
 だが覚えていないはずの経験がモノを言っている。
 だからこそ、隣の少女に確信を持った言葉で告げる。

木口龍 :
「だが心の雷管を叩くのはアンタだ、三廻部颯。
 そして撃針は、俺でも、パラディンでも、UGNでもFHでもゼノスでもそのどれでもない。
 
 ……いいや違うな」

木口龍 :

「──他の誰にもそれを叩かせちゃいけないんだ」

木口龍 :
 するすると出てくる言葉に、淀みはない。
 記憶を失くしていても、それは意志という形で残っているらしい。

木口龍 :
「お前自身が撃針となって、お前自身薬を爆発させ、弾丸となるのはアンタだ。
 お前が殴れ。今までのあれやこれや全部を込めて、殴るんだ」

三廻部 颯 :
 頷く。右手の刀は溢れた砂のように消え、右手を硬く握りしめる。

SYSTEM :
 骸の群れを前に。激情が鞘から解き放たれるのを、今か今かを待っている。

 アナタが語りかけた言葉が。
 ありもしない経験と記憶に導かれた言葉が、ただ先に行くべきものを示す中。

 蘆屋道満の中にひとつ膨らむ“疑惑”、未だ確信に至らずとも。
 この場においての覇者は己と驕る心、いっぺんの揺らぎもない。

SYSTEM :
 ………あなたは幸いにも知らなかった。
 知らずに済んだ。今の今まで。

 隣にいる、いまは味方のロクでなしたちのようなものが、己の願いのために踏み入り、容易く壊れるものの名が。
 日常。誰かの“いつも”、ありふれた領分であり、夢を見る前の地続きであるのだと。

SYSTEM :
 ・・・
 その時が来たのだ、と。
 反芻する。

『蘆屋道満』 :
「我が眼前に立ち…
 我が宿痾阻みし、暗し者ども…」

『蘆屋道満』 :
「その一切、その生涯。
 悔やみながら───」

『蘆屋道満』 :
「───死して八熱を廻れッ! 童どもッ!」

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【Check!】
 判定・壱が発生しました。

 判定・壱:蘆屋道満を倒す

 判定:〈??〉or〈??〉
 目標:??
 Success:イベント終了

備考
・「判定・弐」の成功回数に応じて一部の情報が開示&目標値が低下する
・「目標・判定未開示」状態の場合、正解の判定以外は『自動失敗』

SYSTEM :
【Check!】
 判定・弐が発生しました。

 判定・弐:従者の群れを倒す

 判定:〈白兵〉〈射撃〉
 目標:ダメージ[20]以上
   ..または該当する判定[15]以上
 Success:イベント進行

備考
・判定・壱、または判定・参をクリアすると消滅
・「エフェクト宣言なし」で白兵を宣言し、
 「従者:生徒A」に攻撃することが可能(インスピレーション情報)

・判定『失敗』時、即座に従者による妨害判定が発生
・1度目の通常成功時に「検異の者:甲」が消滅&判定値上昇
・2度目の通常成功時に「検異の者:乙」が消滅&判定値上昇
・3度目の成功時に「従者:生徒A」が消滅する

SYSTEM :
【Check!】
 判定・参が発生しました。

 判定・参:『選択する』/『目を瞑る』

 判定:〈白兵〉
 目標:不要
 Success:イベント終了

備考
・判定・壱、または判定・弐をクリアすると消滅
・FS戦闘に移行

SYSTEM :

特殊ミドルシーン『いざなう亡者』
 特殊ミドルシーン『いざなう亡者』では開示された判定の何れかを選択し、
 イベントを終了させることを目的とします。

 下記のルールに沿って進行します。 

SYSTEM :
壱:判定の進め方/クリア条件

弐:『蘆屋道満』/従者の行動

参:NPCの特殊裁定

SYSTEM :
[壱:判定の進め方/クリア条件]
 開示された「判定・壱」「判定・弐」「判定・参」のいずれかから、
 シーンに参加したPC・NPCが判定を択びます。
 この時、行う判定は重複しても構いませんが、「行動値」の順番で行います。
 
 判定の成否等によって、連動して解除・緩和される条件があります。
 必要な判定を選択し、行動しましょう。

 なお、今回は戦闘として処理を行いませんが、便宜上ラウンドは次の流れで行います。

壱:PC・NPCが全員判定を宣言する
弐:『従者の行動』が発生する

 「壱」→「弐」→(ラウンド経過)→「壱」→「弐」...という流れになります。

SYSTEM :
[弐:『蘆屋道満』/従者の行動]
 蘆屋道満は『従者』による妨害行動を行います。
 PC・NPCが行動を終えた時、『従者』による妨害アクション(攻撃)が発生します。
 
 妨害は下記の「メイン」からどれかが択ばれ、
 自動的に「同じエンゲージ」にいるものと仮定して発生します

『検異の骸/甲』 :
■メイン:妖ノ太刀・おぼろ
 Passive:《愚者の兵装L4》
 Major:《かりそめの剣士L4》《封印の呪L2》
 Minor:なし
 Auto:なし

 判定:13dx+2
攻撃力:xd+8
・命中時、相手のダイス-2個/ラウンド
・命中時、対象が次に行う行動のC値を+1

『検異の骸/乙』 :
■メイン:妖ノ太刀・かすみ
 Passive:《愚者の兵装L4》
 Major:《かりそめの剣士L4》《従者の呪いL4》
 Minor:なし
 Auto:なし
 
 判定:13dx+2
攻撃力:xd+8
・命中時、相手のダイス-7個/ラウンド

『何者かの影?』 :
■メイン:妖ノ太刀・かげり
 Passive:《愚者の兵装L4》
 Major:《かりそめの剣士L4》《亡者の一撃L2》
 Minor:なし
 Auto:なし
 
 判定:13dx+2
攻撃力:xd+14
・命中時、相手のダイス-2個/ラウンド

SYSTEM :
 蘆屋道満はシーン中1度だけ、下記の行動を行います。

『蘆屋道満』 :
■オート:五行相剋
 Auto:《形代L1》
・受けるダメージを[3d]点減らす

『蘆屋道満』 :
■メジャー:急急如律令・式神招来
 Major:《赤色の従者L2+1》《愚者の軍団L2》
・その場に従者を「3」体召喚する。
 召還した従者は『判定・弐』で消滅する。

SYSTEM :
[参:NPCの特殊裁定]
 NPCによってはこのミドルシーンにおいて、
 通常の判定参加を含め、それぞれ対応した効果を発揮します。
 ただしこれらのエフェクトや効果、裁定は他シーンでは発揮されません。

SYSTEM :
・“パラディン”/“イリュシデイター”
→『急急如律令・式神招来』を無効化します。また、
 パラディンは『マグネットフォース』を1度だけ宣言できます。
 “イリュシデイター”は『領域の盾』を1度だけ宣言できます。

・“ホデリノミコト”
→シーン中『デモンズウェブL2』or『崩壊のスフィアL2』をどちらか1回宣言できます。
 宣言可能エフェクトの記載は『助けた民間人』で変化します。また───(秘匿内容)。

・“ミッドナイト・アイ”
→ラウンド2終了時自動的にイベントを『判定・参』で終了させます。
(※ただし特定PCからの発言、または「ラウンド2終了までに彼女を攻撃する」と不発します)

・?????
→シーン中1度だけ『子羊の歌L1』を宣言し、ダメージを肩代わりします。

・“タイガーアイ”
→特殊な効果を持ちません。ただし───(秘匿内容)。

・池田咲楽/民間人
→逆に聞くけど何を思ってこいつら連れて来ようと思った?(※できません)

GM :

※わかるように説明しろ※
・判定・壱〜参のうちどれをやるかを「行動値順」でPC毎に択んでね! 重複していいよ!

・「壱」は道満をブッ殺すよ! でも数が多くてどうすればいいか分からないから
 「弐」を択んで邪魔を減らしながら『何をすればいいのか』を考えたり、当て勘で判定を出そうね!

・「弐」は従者をブッ殺すよ! 最初は3体いるけど成功するごとに1体もげるよ!
 でもこの判定に失敗すると従者が即座にカウンター仕掛けてくるから気を付けようね!

・全部終わったら「残っている従者の数」だけ攻撃が飛んでくるよ! ロイスの数を数えてね!
・NPCも参加してくれるよ! あとそれぞれ特別な効果があるよ!

・上記の説明がめんどくさいって思ったら判定・参を択ぼう! サイヤ人は皆殺しだ!(豹変)
 

SYSTEM :
[終わりに]
 説明は以上となります。
 何か疑問等あれば雑談席にてご質問下さい。誠心誠意お答えします。

SYSTEM :【 Round 1 】 

SYSTEM :
■手番処理
 木口龍が行動を宣言します。
(※便宜上の処理です)

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・判定を行う
(判定・壱、判定・弐、判定・参より選択)
・その他

木口龍 :判定・弐:従者の群れを倒す、これを選択する。

“パラディン”的場啓吾 :
 もはや躊躇いの余地なしか。
 最初の出会いと言い、悪運だけの男でもなさそうだ。

『蘆屋道満』 :
 我が従者、貴様如きかくも小人に射貫けるなりや?
 図って進ぜよう!

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 
 使用する判定、エフェクトを宣言してください。
(※判定はお待ち下さい)

木口龍 :該当する判定15以上……とりあえずは、マイナーで<ハンドレッドガンズ>を宣言する。そこの処理だけしよう。

GM :畏まりました。では侵蝕率の増加からですね。

木口龍 :

system :[ 木口龍 ] 侵蝕率 : 114 → 117

木口龍 :それで、判定の射撃とあるが、こっちはエフェクト無しで振って達成値を出せということか?
それとも、命中判定で出した数値という意味か?

GM :おっと失礼。こちらについてですが…

GM :ここは今までのFS判定、簡易戦闘の要領と同じにしましょう。「エフェクトの使用の有無を問わず、命中判定の結果」を達成値とします。

GM :なので後者の意味合いとし、どちらかに挑戦するのではなく「命中判定振る→失敗したらダメージに移行」くらいの感覚でよろしいかと。

木口龍 :了解……ううむ。
雷の残滓を正直に言えば宣言したくない()

『蘆屋道満』 :臆したか…

木口龍 :これ以上はコストがキツいんだよ!!!(悲鳴)

木口龍 :……というか言ってて思ったが(長くなるので雑談で聞きます

木口龍 :長くなった。
《雷の残滓》+《砂の加護》+《コンセントレイト:モルフェウス》の宣言でいこう。

『蘆屋道満』 :検怪の者のさだめから逃れる術なし! 良かろう…乾坤にて己が死出の道を飾れ!

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

system :[ 木口龍 ] 侵蝕率 : 117 → 124

木口龍 :11dx7+6  (11DX7+6) > 10[2,2,4,5,5,6,6,7,7,8,10]+10[2,4,6,9]+10[9]+1[1]+6 > 37

木口龍 :まぁレベル上がってるしこれくらい出してもらわんとな……

GM :(嘘やん…の顔)

木口龍 :ついでに邪毒のレベルは100越え恩恵で+1で6。

木口龍 :2点入ればいいわけだがオーヴァード殴ったから対抗種も乗っている。リソースが足りねえ。

『検異の骸/甲』 :───!

system :[ 木口龍 ] HP : 14 → 11

SYSTEM :
■判定確認/判定・弐
 判定に成功しました。

 従者数:3→2

SYSTEM :
【Check!】
 判定・壱が変化しました。

 判定・壱:蘆屋道満を倒す

 判定:〈射撃〉or〈RC〉
 目標:??
 Success:イベント終了

備考
・「判定・弐」の成功回数に応じて一部の情報が開示&目標値が低下する
・「目標・判定未開示」状態の場合、正解の判定以外は『自動失敗』

SYSTEM :
【Check!】
 判定・弐が変化しました。

 判定・弐:従者の群れを倒す

 判定:〈白兵〉〈射撃〉
 目標:ダメージ[25]以上
   または判定[18]以上
 Success:イベント進行

備考
・判定・壱、または判定・参をクリアすると消滅
・「エフェクト宣言なし」で白兵を宣言し、
 「従者:生徒A」に攻撃することが可能(インスピレーション情報)

・判定『失敗』時、即座に従者による妨害判定が発生
・2度目の通常成功時に「検異の者:乙」が消滅&判定値上昇
・3度目の成功時に「従者:生徒A」が消滅する

『検異の骸/甲』 :
(形ある従者の片割れが、引鉄を引き、吸い込まれるように伽藍洞へ放たれた弾丸一つのあと、烈しく振動し崩壊した…)

木口龍 :反動を抑える水平に構え、撃ち慣れた様子で眉間にニ発!

SYSTEM :
 崩れ落ちた従者の片割れだったもの、たった壱枚の咒を刻んだ札のみを遺し、あとはそれを形造る骸の灰だけが残る。

 残り二体。なれど───。

『蘆屋道満』 :
「───小癪!
 くろがねの鉄砲、猶も賢しく使いける!」

SYSTEM :
 見る影のない蘆屋道満の成れの果てとて。
 二度目を赦す蒙昧ではない。
..    エキストラ
 八割の有象無象だが、寄せ集めれば彼らの守衛としては十分だ。

SYSTEM :
■手番処理
 三廻部颯が行動を宣言します。
(※便宜上の処理です)

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・判定を行う
(判定・壱、判定・弐、判定・参より選択)
・その他

三廻部 颯 :
……判定・弐です!エフェクト不使用、白兵で!

『蘆屋道満』 :
 ───ハ!

『蘆屋道満』 :
 フフフハハハハハ無力なりし無手で何を為す!
 見縊るな! 蘆屋道満の咒、斯様な拳では蚊ほどにも響かぬわ!

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 
 使用する判定、エフェクトを宣言してください。
(※判定はお待ち下さい)

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

三廻部 颯 :……うるさい!

三廻部 颯 :(3+3)dx+6 <肉体:白兵> (6DX10+6) > 8[1,1,2,5,8,8]+6 > 14

『何者かの影?』 :───!

SYSTEM :
■判定確認/判定・弐
 判定に成功しました。(特殊)

 従者:2→1

SYSTEM :
【Check!】
 従者:生徒A/赤都上樹の
『鮮赤の牙』が条件達成により解除されます。

SYSTEM :
 ───従者の八割は容れ物のない有象無象。

 なれども並ぶ三体。
 うち一体は己が言葉を伝播させる以上の意味を持たずとも、二体については確かな矛であり盾だ。
 
 太陽を嗤う獣の力強さはない。
 落胤竜の持つ悍ましさと得体の知れなさもない。
 彼らは時の忘れ物。何時までも留まる魂のかたちを、蘆屋道満が咒とレネゲイドの情動にて揺り動かされた成れの果てだ。

SYSTEM :
 それらが道満の視線の先。
 あなたたちと彼を阻むように“ずらり”と並ぶ。一体一体に意味はなくとも、十体、二十体とすれば話は別。

『検異の骸/甲』 :
「─────」 

SYSTEM :
 そのなか、ひときわ目立つ骸が先陣を切る。

 得物の射程に達するまで5秒も不要。
 刃の威力は知らねども、彼らは人を切り、殺しに慣れた、弱きを重んじる道理を知らぬ時代の賊ども、鬼狩ども、武芸者ども。
     オーヴァード
 転じて、検怪の者。その先人。
 間合いに入らば、刃が閃けば、確かに矛先に定めたあなた/龍を切り捨てることは夢物語でないあだろう。

SYSTEM :だが───。

木口龍 :
 水平に構え、狙いを付ける。反動による照準のブレを体幹で消す。
 引き金を引く。撃鉄を起こす。撃針が雷管を叩く──BANGBANGBANG!

木口龍 :
  俺
 自分はこういう時のやり方を知っている。あの蝕みの君との命の取り合いで、体が思い出してきた。
 鎧武者の隙間を正確に射抜けるような弓使いはここにはいない。だから隙間に照準は合わせないし、そこを撃ち抜くなどという夢物語を実行はしない。

木口龍 :
 一発目──膝当てを狙い、衝撃と威力で体勢を崩す。
 ポインターは中の魔神が教えてくれる。その通りに眉間に合わせ、

 ニ発目、三発目。
 空薬莢が空を舞う。
 放たれた銃弾が頭部を撃ち抜く。
 確実に殺すなら脳幹ニ発。守りが崩れた瞬間に、破壊しつくす。

SYSTEM :
 抜剣突撃、白兵戦の概念は時代と共に廃れていったが。
 超人の世においては道理など例外であり。
 そもそも、その前提には「数」という土台が必要である。

 有視界のこの間合いにおいて、たかだか銃撃の一つや二つ………。
 受けたところでものともしない。
 骸に痛覚なく、丸腰でない。音を立てた鎧、月下にて舞う見当違いの怨みが矛に募り、いざそれを承知の上で踏み込んだ。

 …これは。
 踏み込もうとした、が正解だ。

SYSTEM :
 有象無象の護りを越え、膝/足を止める。
 突撃の前傾姿勢、体重と呼ぶにはいびつなその体躯の加速を補助していたものが今ばかりは仇となる。

 二発、三発。
 命中と共に、レネゲイドを形造る道満の咒/ブラム=ストーカーによる従者形成エフェクトの中核としてイメージされた札が、頭部ごとバラバラに砕け散る。 

『蘆屋道満』 :
「───ぬう! 小癪!
 一度ならず二度までも、我が指先屠りけるか!」

『蘆屋道満』 :
「なれど驕るな! 
 二つあらざれば…貴様ら如き石くれ、掃うに事足りる!」

SYSTEM :
 小癪な童の足を止めるに人形が。
 その止めた足を切るにはもう一体が。

 そう宣言し、有象無象たちが群がって壁となる。

SYSTEM :
      ・・・・
 蘆屋道満のこしゃくなところは、自分が従者を形造る時、自我など不可逆にして久しいことを露ほども喋らないことだ。

 成り果てたものに倫理と良心などない。
 そうすることに何ら重みも、悪行の意志もない。嘲笑うなど以ての外。

 たまたま、颯があの反応をしたから、彼は“命綱”とした有象無象とさして変わらぬ小僧を盾とし矛とした。
 微睡むように怨を振り撒き唸る、黄泉平坂に誘われし道のりの最中を行く従者を。

SYSTEM :
 ………ただ。
 ・・・
 アナタは知っている。
 物事の確率は決して百にならない。

SYSTEM :
 流れ着いた被害者に纏わりついて、
 その魂守護するものの名───■■■■■■■!

 その因子に連なるものならば、
 肉の器破壊せぬ程度に力を留めれば………。

SYSTEM :
 纏う咒、道満の与えし躍動する憎悪のレネゲイドを、掃うように刺激を与えれば───。

 人間的に言い直すと。
 子供の喧嘩で殴り倒すように、お互いスッキリすれば十分だ。

三廻部 颯 :
 特殊な型は要らない。
 特異な拳も要らない。
 ただ一点、ただ一発、打ち込むようにブチかませばいい。

 木口さんを信じていいかは分からない。
 でもあれだけ真っ直ぐに言い放ったのだから、何もないわけがない。
 だから信じて真っ直ぐ進むだけだ。

三廻部 颯 :
 ただ一点。
 ただ一人目掛けて走れば、邪魔なんてかい潜れる。
 ただ一つ、ただ一発のために。

三廻部 颯 :
「───こんの……!!』

 力は込めなくていい、ただ勢いに乗せて振るえばいい。
 でも拳を振るうのは違う、押し出すような暴力では形にならない。

三廻部 颯 :

 つまり、色々なものを詰め込んで、邪なものを振り払うには。

「馬鹿───!!!!!!!!」

 ・・・・・・・・・・
 平手打ちで充分なのだ。

SYSTEM :
 道満の咒、即ちレネゲイドを宿す血液。
 それを形を変えて作り上げしは五芒星刻んだ呪符。

            オーヴァード
 それを用いて、骸ないし検怪の者ならざる者の自我を乱し、喰い破り。
 怨/憎悪宿した魂を招き寄せて、作り上げる己が影。即ち、従者だ。

 そう成り果てたものは、術者を屠れば大抵元に戻る。それは当然の事。
 その当然を阻む仕掛けがある以上…殺さねば、殺されるより他にない。

SYSTEM :
 しかし龍の言葉は“とにかく殴れ”であった。
 倒せ、ではない。殺せ、でもない。

 それが意味するところ。
 小賢しい理屈ではないという部分が、どうも噛み合いでもしたのか。
 あなたの行動は、一名は確信を持ち、一名は感嘆し。一名は失笑を買うものだった。

『蘆屋道満』 :
「この上なく戯れるか、童めが!

 如何なる“人形”とて、検怪の者とて!
 咒なく、術なく圧するなど笑止!」 

『蘆屋道満』 :
「ましてやその拳にて我が呪消えぬわ!」

SYSTEM :
 時にオーヴァードたるものが求められる不条理にして。
 人間のセンチメンタル以上でも以下でもないものの動き。

 ただの感情。
 時として、己を人の側に留めおくものの根幹。
.  エ  フ  ェ  ク  ト
 超人が超人を殴りつけるための武器ですらない当たり前だ。
 
 道満にとっての不都合は、
 前提条件という部分で、曰く“人形”が例外だったこと。

SYSTEM :
    ・・・
 彼女をアナタだけが知っているわけではないけど。
            ・・・
 それを知り得る人間が、アナタしかいなかったこと。

SYSTEM :
 波紋のように伝わる感情の動き。
 
 無意識下に働く因子の動きは、しかし無意識以上ではない。ただの平手打ち。ただの一喝。ただの喧嘩。ただの揉め事だ。

『何者かの影?』 :
『オレ───だっテ───ナア!』

『何者かの影?』 :
『ショウガナイ、で───
 カッコつけるな、っテよ───』

SYSTEM :
  パー     グー
 平手打ちを前に本気の拳。

 しかし付け焼刃の陽炎では、曲がりなりにも二度三度、死と修羅場を越えて来たものに、ハンデ付きでもかなうまい。

SYSTEM :

 拳が入る。
 一拍早く、平手打ち炸裂。 

SYSTEM :
 …。ところで。
 あなたにこの男が意地悪だったのは…。

 池田咲楽の“友達”だったが故の流れ弾というだけでもない。

SYSTEM :
“あいつ、親父さんと仲悪い一番の理由が、
 ウチの事情に束縛されるのが嫌だからで”

SYSTEM :
“だから、きみが大人しく家の事情聴いてるように見えるのがなんか嫌なんじゃない?”

SYSTEM :
“……嫉妬だ!”

SYSTEM :
 嫉妬とは。当たらずとも遠からず。
 独りにしない、を先にやったものへの。

 家の事情でクラスから浮いていた子供が気に入らない、
 /気持ちは分かるし、だから何とかしてやろう、が。

   ・・・・・・
 半ば余計なお世話でしかなかったことを、あるいは薄々勘付いていた男の煮え切らなさが。何度か向いていただけで。

SYSTEM :
 ………当たり前の感情の動きが。
 道満の影の内側で蠢いた時。

 零距離のあなた/颯は確かに気付き、
      ・・・
 知っているアナタは遠目でも悟る。

SYSTEM :
 名もなき影/衝動の外殻纏うものの内側から。

 颯の海色の衣に呼応するように。
 海色の光が、零れて共に瞬いた。 

SYSTEM :
【Check!】

 従者:生徒A/赤都上樹の
『鮮赤の牙』が条件達成により解除されます。

SYSTEM :
 ───あの光が、浮き上がって。
 平手打ちと共に引き起こした因子の動き。それだけで道満の影を倒す/消し去るに足る威力の拳(拳?)の威力が。

 外側、衝動の外殻のみを祓うように向けられる。
 颯自身の力ではない。
 
 颯自身の力に連なるものの作為で。だ。

SYSTEM :
 影を祓った先に、知っている少年の姿が“どさり”と地面に倒れ伏す。
 レネゲイドの気配なく、先程までの邪な情動さえもない。

 手ごたえを感じた、その時だ。

『蘆屋道満』 :

 ・・
「貴様!」

SYSTEM :

 その言葉は颯───に、向けられていない。

 その言葉は、あなたに。
 木口龍に向けられていた。

 遅まきながら、悟るに足る出来事を前に。
 これまでの傲り、嘲り、一切合切かなぐり捨てて。陰陽師が猛り狂う。

『蘆屋道満』 :
「おのれ、そうか、今更なれど合点行った………!

 貴様、よくも頑しに黙してくれよった!」

『蘆屋道満』 :


「───貴様!
 ・・・・・・・・・・・
 トヨタマノヒメの使いかッッ!!!!」

SYSTEM :

 海鳴の名。
 怪異となり果てたものより生まれ、別たれ。
 嘗て海にて、あるものと巡り合った海巫女の名。
     ・・・
 識るのはアナタだけだ。

三廻部 颯 :
 意地の悪さというか。
 ジェラシーというか。
 要するに気にかけていた子のあれそれに対する、自分の行動や感情を認めきれず、
 かといってそれを諦めるわけでもない煮え切らなさ。
 感情の揺れ動きの激しい学生だから、そうもなるんだろうし。

 それを悟って、叩いた時に、呆れというか、苦笑混じりの「なんだそれ」という感想が浮かんだ。

三廻部 颯 :
 それが届いたのか。
 あるいは別の力──であることはすぐに分かった。
 眼前に広がる海色の光と、確かな手応えによって、助けることができたと確信して───

三廻部 颯 :
「……その名前───」

三廻部 颯 :
 トヨタマノヒメ、と負け犬陰陽師の成れの果ては口にした。
 その名前が誰を指すかなんてもう直感ですら必要ないくらいに分かった。

SYSTEM :
 その名前を───
 颯は、誰であるかの確信を持たない。
 持たねども、“何”であるかの理解に時間はかかるまい。

 海に連なる姫巫女の名。
 心当たりは一人だけ。
 ホオリノミコトを孤独としなかった、片時なれども幸福な時間を作った、彼の唯一の絆しの名前だ。 

SYSTEM :
 ………しかし。
 ・・・
 アナタは、それを最初から知っている。

 引き金を弾き、陰陽師屠る道の最中。
 いま、長々と語り明かす必要がなく、
 しかしそれを伝える意味があることも。

SYSTEM :
     ・・・
 なぜなら木口龍は───。

SYSTEM :
 まどろみの中にて変わらぬ一本芯。
                ・・
 徹頭徹尾変わらぬ道理以て受けた依頼。
    ・・・
 その、依頼主というのは。

SYSTEM :
【Check!】

 
 トリガーハンドアウトの開示条件を満たしました。
 イベント終了後に詳細を開示します。

 

SYSTEM :

トリガーハンドアウト
 対象PC:HO?
 開示可能条件:どれか一つを満たす
 ?:自身が「ロイス対象者」からロイスを取得される(※PC間ロイスによる取得はカウントしない)
 ?:シナリオ中、自身以外から一度でも『トヨタマノヒメ』の名が出る
 ?:シナリオ中に登場するすべての非オーヴァードNPCを救助する

SYSTEM :
 ※詳細はイベント終了時に記載されます。

木口龍 :

「──────」

木口龍 :

「なんだ、奸計の時間は終わりか? 芦屋道満。
 笑えよ。笑顔は世界を救うって言うぜ? ……ああいや、笑えなくしたのは俺か」

■口龍 :
「うん、すまん。騙すような真似をした。
 だが、俺は黙っていたわけじゃあない。これは本当だ、信じてくれていい。誓って嘘はいわんさ。
 ・
 神なんていないし、何に誓うかは知らんが」

■■龍 :
 男は笑っていた。
 優勢であり、圧倒して、踏み潰しきったからこそ言える言葉だった。

■■龍 :
「アンタほどの奴だ。並大抵の仕込みじゃあ、すぐに看破してくるだろう。
 オマケに、式神に協力者のオンパレードだ。冷静に考えれば物量で潰せるだろう。

 ……俺は此処に"来るまでに"頭を捻ったよ。
 なにせ、仕事の内容が内容だ。勘付かれれば全部パァになるというわけだ。笑えない。恐怖で寒気すら覚える」

■■■ :
「そこで俺は考えた。

■■■ :

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 自力で答えに辿り着けないくらいの間抜けなら、アンタは俺をきっと捨て置くはずだ。
 誰々の使いだろうがなんだろうが、こんなビビリでチキンで震えている間抜けなぞ、捨て置いてくれるだろうと」

龍■■ :

 ・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・
「知らなかったし、気づくような脳みそもなかった。
 ……まぁ、普段なら中々このようなことも出来ないし、新鮮だから楽しくなかったといえば嘘にはなるんだが」

龍■■ :
「……もっと分かりやすく言ってやる。
                ・・・
 俺は自分のパーソナリティを全て消した。
 で、俺が思い出した以上は、刻限は近いってことだ」

 奸計の時間は終わりだ。
 ・
 俺の仕事は、此処で8割方終わったようなものだ。
 大掛かりな一芝居と舞台装置の役割は、これにて終い。

龍嘉■ :
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
「お前のような奴に出し抜かれるのが我慢ならんから、
 使いであることも悟られないようにした。中々だっただろ?」

 ……その下地には、あらゆるものを出し抜いて一人勝ちを決めた魔性菩薩があった。
 知恵比べにも力比べにも完全敗北だ。二度あんなのと対峙したら、今度こそ何が起きるか分からない。

“害群之马"龍嘉睿 :
「我が名は“害群之马/ハイチュージーマー"。
 依頼主トヨタマノヒメの命に基づき、芦屋道満貴様にとっての凶兆となる男だ」

“害群之马"龍嘉睿 :

「……直に、北斗星君の裁きが貴様に下る。
 六文銭の用意を済ませておけ。舟守に身ぐるみ剥がされんようにな」

『蘆屋道満』 :
「おのれ戯れたかッ! 謀ったかッ!
 挙句に我の前で六銭催すとは───不遜!」

SYSTEM :
 あまりに嵌り過ぎた道化の仮面も当然だ。
 思い出すものがないのであれば、
       ・・・・
 それが如何にふざけたカヴァーだろうと現実になる。
 疑いようがない。ただただ残念なだけで、疑惑が疑惑以上に行く鍵がない。

SYSTEM :
 ………彼の役目は二つあった。
 ・・・・・・ ・ ・・・・・・
 助けて欲しい、と、叱って欲しい。
 それを阻むもの、蘆屋道満の名───。

 さて、救うにいかほどの感情が籠っているか、どれだけの同意があったのかまではさておくが。

 それが仕事であり、果たす義理あらば。
 ハイチュージーマー
 害群之马に為せぬことはない。
 百で詰み切らない計算式を、詰め切らぬまま導くことなど。

SYSTEM :
 如何程までが作為で、如何程までが偶然か。

 青年との接触を切欠に蘆屋道満に狙いを定めたFHの男を連れて。
 自らへの疑惑を口実に、知り得る一つ事を抱えて懐に飛び込み。

 なにより、辿り着く術さえない島に………。
 識るもの識れば憤ろう外法で以て、男はひとり作為で訪れた。
     ・・
 恐らくはそこを気取れるもの。
 いまここに一人しかいないが。

『蘆屋道満』 :
「───あの法螺、あの理、嘘偽りに非じ、ならば………。
 なれば斯様な咒の揺らぎ、咒のかたち! 確かに!」

『蘆屋道満』 :
「───気でも違えたか!
 よくも斯様な願いに応じた!」

『蘆屋道満』 :
「………だが!」

『蘆屋道満』 :
「驕るでないぞ、海鳴の徒ッ!

 この蘆屋道満、斯様な小僧めに滅されるさだめに非ずよッッ!!」

SYSTEM :
 蘆屋道満、最大の不覚。
 不覚そのもの幾つかあれど、まことの失態。

 女の情を嘲り、
 女の情を義理にて介した者を視野に置かずにいたことである。

SYSTEM :
 ………これは繰り返す機会があろう。
 努々忘れることなきように。

SYSTEM :
 ふ、と。
 その矜持、すれすれの狂気の沙汰に男/“パラディン”が笑う。

 皮肉に口元釣り上げて、道化の仮面を外したその先。
 外す前も後も聊かズレた男だったこと、なるほど擁護のしようはないが。

 ただ一つだけ確かなコトはある。
 この男が誰の味方で、何の立場のもとに戦うのかという事実。
 どうも譲らぬと定めたことを、この男は、あるいは10代半ばの少女よりずっと頑なに留めていた。

SYSTEM :
 この男の味方は蘆屋道満でも、あるいは颯でもない。
 この少年でもないだろうし、当然自分でもない。
 この男の味方は、たとえどんな場所だろうが一つだ。

SYSTEM :
 心の雷管を叩き、弾丸を撃つ先を決める銃口。
 それを決めるものを重んじてきた男の本質は。

“パラディン”的場啓吾 :
「なるほど。
 仮上司のネーミングは正しい」

“パラディン”的場啓吾 :
 ・・・
「イロ男だ」

SYSTEM :
 せ い ぎ 
 自分の理屈の味方だ。

SYSTEM :
 ───なんとも阿呆らしく、乱暴で、狂気と隣り合わせでも。
 嘗てそうだった男は、これが恐らく、その類の男なのだと知っていた。

“パラディン”的場啓吾 :
「ああそうだ───お嬢さん。

 その小僧、大事なものなら落とさんように守っておけよ」

三廻部 颯 :
「───、……はい!』

SYSTEM :
 良い声だ、と一つ軽口。

 囲む敵の群、有象無象とて未だ健在だ。
 あなたが引き寄せた、もはや超人の断片すら持たない少年を庇いながら戦うには手間がかかり過ぎるし、道満はその間の猶予を待ちはしない。

 だが、この場に彼を識る人間がいるなら要らぬ心配と励ますだろう。なぜならば───。

SYSTEM :
■手番処理
 “パラディン”的場啓吾が行動を宣言します。

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・判定を行う
(判定・壱、判定・弐、判定・参より選択)
・その他

“パラディン”的場啓吾 :
 目を瞑りもしなかったらしいな。
 では…。

SYSTEM :
■メイン
 “パラディン”的場啓吾が、『判定・弐(ダメージ[25]以上、または判定[18]以上)』を〈白兵〉で宣言しようとしています。許可しますか?

三廻部 颯 :……私はいいと思います!

“害群之马"龍嘉睿 :構わん。やれ!

“パラディン”的場啓吾 :いいだろう。では見逃すなよ。

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

“パラディン”的場啓吾 :11dx+20 〈白兵〉 (11DX10+20) > 9[1,1,2,3,3,4,5,5,5,7,9]+20 > 29

『蘆屋道満』 :
 ───おのれが!
 我が傀儡、十や二十臥して燥ぐか!

SYSTEM :
■判定確認/判定・弐
 判定に成功しました!

従者:1→0

『蘆屋道満』 :
 だが見縊るな! 
 返す返すも暗し者ども!

 この蘆屋道満と…。火出の者の骸の地!
 その悔恨、我が手に掛かりてまさに限り無し骸の兵と教えてくれる!

『蘆屋道満』 :
■メジャー:急急如律令・式神招来
 Major:《赤色の従者L2+1》《愚者の軍団L2》
・その場に従者を「3」体召喚する

“パラディン”的場啓吾 :
 どうかな。
 言ったはずだぞ、有象無象と。

“パラディン”的場啓吾 :
 此方の台詞だ。
 見縊るなよ───いくらか返上しても、お前の目の前に立つのは“パラディン”だ。

SYSTEM :
■システム/NPC
 
“パラディン”が『急急如律令・式神招来』を無効化しました。
 従者の増加は行われませんでした。

SYSTEM :

 では見逃すな、と。
 男が、背負った限り引き抜くところを見ない剣を抜いた。

 夢の中で見たホオリノミコトの一振りと比較など出来ようはずがない。
 それは確かに剣であり、雷霆を纏い、刃を鋭く靭く煌めかせたその現象は、夢をかたどるあなたの力と同じものであったが。

 剣が違い過ぎる。 

SYSTEM :
 それは正に剣というには分厚く。大きく。まるで刃というより板のよう。
 人が片腕で抱えて担ぐことは、オーヴァードであるなら出来るかもしれないが。流麗に舞うように切り結ぶことなど出来ない。
 こんなものを着飾った騎士の刃にするには、まことの修練と、それを苦にしない理由が必要だった。

 そう、例えば───帰る場所とか。
 オーヴァードの、心のよりどころ。それを守り、それに守られるものたちの黎明と共にあった武器だった。
 

SYSTEM :
 誰が呼んだか、その名。
バトルガーディアン
 士師の剣。

SYSTEM :
 欲に依らず、信にて振るうを信条とした………。
 ガーディアンズの最古参、何もかも手探りの時代に、コードウェル博士らと共にいた人間の武器である。

SYSTEM :
 もちろん、彼は違う。その頃日本は、まだオーヴァードの在り方が伝わり切っていない。
 ましてやオーヴァードになる理由も、パラディンなどやってやる理由もありはしなかった。

 ならば誇りを後追いの者たちに託し、夢と共に眠った男の形見と名残。
 それと全く同じ形の刃を、如何にして手に入れたのかは定かでないけど。
        ユメ
 彼は嘗て、その幻想を現代で振るう人間だったという。

SYSTEM :

 ───伝説に曰く。 

SYSTEM :
 縦横無尽の獅子奮迅に駆けるその稲妻。
 ハードラッシュ
 重い打撃の連打と重ね合わせたその武技は、攻めたならばあらゆる魔獣の因子を正面から叩きのめし。 

SYSTEM :
 護らば、その男の背中で命を失ったものはいないという。

 日本支部最強。
 斯様な男に託されることこそふさわしきは、士師の剣。
 喩えその担い手が、その夢と正反対のところに行き、誇りを望んで封じようとも。その武技、その強さ、その背は健在だった。

 ただ只管に、オーヴァードである、ないを通り越した技の極限。
 洗練されたノイマンの頭脳などなく、剛力無双のキュマイラの筋力などなく、改造したブラックドッグの装甲義肢とは無縁ながら。

 ひとたび振るえば骸が飛び散る。
 にたび振るえば守りごと砕き。
 三度使えば、掠り傷さえ残さず防ぎ切る。

SYSTEM :
 誰ぞが言ったか。
         ・・
 聖騎士などという幻想は落として久しかろうと。
 なるほど、その通り。

SYSTEM :
 男はその武技を以て守るものを限定し、振るう時すら限定した。
 ・・・・・・
 その気がない時に、剣は抜かない。
 抜かずとも勝てるし、勝てねば捨てた甲斐もなしと。基本、彼は徒手にて戦っていた(今の今までそうだった)が。

 なれど。
 この場の何れも知らずとも、敢えて記す。

SYSTEM :
 男は、どう足掻いても。
    ユメ
 例えば幻想を卒業しても、
  ソ レ
 先人の誇りを使う時は守り人であったのだ。

SYSTEM :

 これに、容さえない有象無象の亡者集団。
 適う道理が最初からない。 

 切り伏せること数度。視界はずいぶん開けた。

『蘆屋道満』 :
「おのれ………! おのれ!
 たかがひとりの検怪の者が打ち早る!」

SYSTEM :
 陰陽師・蘆屋道満。
 その懐を通る道はずいぶん開けて久しい。

 再び、曰く“火出の骸”から未練悔恨を呼び出すことも出来ようが、今や男は不死の軍団、その指揮者ではなく裸の王様だ。

SYSTEM :
【Check!】
 判定・壱が変化しました。

 判定・壱:蘆屋道満を倒す

 判定:〈射撃〉or〈RC〉or〈白兵〉
 目標:??→15
 Success:イベント終了

備考
・「判定・弐」の成功回数に応じて一部の情報が開示&目標値が低下する
・「目標・判定未開示」状態の場合、正解の判定以外は『自動失敗』

SYSTEM :
■ラウンド処理/従者の行動
『蘆屋道満の従者』が存在しません。

SYSTEM :【-Round 2-】 

SYSTEM :
■手番処理
 複数のキャラクターが同じ行動値となっています。
 行動する方を選択してください。

・三廻部颯
・龍嘉睿

三廻部 颯 :……私が行きます!

『蘆屋道満』 :
 気が逸ったか、童!
 この蘆屋道満! 我が首、付け焼き刃にて断つるほど易くないぞ!

SYSTEM :
■メイン
 任意の行動を宣言してください。
・判定を行う
(判定・壱、判定・弐、判定・参より選択)
・その他

三廻部 颯 :
判定・壱……<白兵>で!
<カスタマイズ >を使います!

SYSTEM :
■メイン
 判定宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 123 → 125

三廻部 颯 :(3+3+6)dx+6 <肉体:白兵> (12DX10+6) > 10[2,2,4,4,5,7,7,8,10,10,10,10]+10[5,6,6,10]+9[9]+6 > 35

『蘆屋道満』 :
 ───疾い! そして靭い!

 付け焼刃と侮るは我か!
 蘆屋道満とあろうものが…。

『蘆屋道満』 :
 この…蘆屋道満とあろうものが!

三廻部 颯 :
 ・・・・・・・
 それがどうした───ッ!!

『蘆屋道満』 :
 ぬ………ううううううううぅぅぅぅぅぅッッッ!!!!! 

三廻部 颯 :
 倒れた友達の体を巻き添えにならぬようにと端に移動させる。
 燃えるような怒りは、確かに友人に傷をつけられたということもあるが───

 なにより、目の前の"蘆屋道満"なる男には、別の怒りがあった。

三廻部 颯 :
 曰く、彼は魔が差したのだと云う。
 ではその原因は何か。
 それをしてみようと考えてしまった理由は何か───。

 ……この男の大元が吹き込んだ方法に他ならない。
 よくも、という気持ちが溢れてるのは、あの夢を実際に見てきたから。
 

三廻部 颯 :
 ・・・
「あの時のホオリさんの、分も含めて───」

三廻部 颯 :
「往生!! し───なさァァァいッッ!!」

 地面を蹴って、蹴って、蹴って。
 今やこの弾丸超特急を守る従者はいない。
 その横っ面をぶっ飛ばすために──型も形もない、ただの純粋な拳が飛ぶ。

SYSTEM :
 蘆屋道満はそれを知っている。
 いや、知っているというよりはその揺らぐ陽炎にこそ覚えがあるとでも言うか。

SYSTEM :

 鍛え抜かれ、遍く検怪の者どもと隔てた向こう側に立つ、ホオリノミコトの絶技には程遠く。
 さらには得物も違う。ただの徒手だ。技の欠片もなく、武芸納めて同じ立場に立った検怪の者ならば───例えば、いま蹴散らされて久しい骸どもならば。凌ぎき方もあるだろう。

 ましてや体格も違う。その少女の矮躯は、踏み込みも打ち込みも、全てが記憶の名残には遠い。

SYSTEM :
 …遠くとも、そこには面影があった。

『蘆屋道満』 :
「晴明! 否………。
 三度我が道阻むか、血に塗れし火出の骸!」

『蘆屋道満』 :
「斯様な童に、この道満が!

 海面の彼方にて、時の彼方にて!
 酬い果たせし、この蘆屋道満が───ッ!」

SYSTEM :
 あの暗し者。己を二度阻みしホオリノミコト。
 往生などと、出来る男は既に死した。

 此処にいるのは蘆屋道満、その名残。
 もはや殺意のみが己をそうと証明し、その殺意のみで浦島太郎の如き時代を生き抜いて、島に臨んで流れ着いたものだ。

 赦さず、認めず、受け入れない。
 瞬く光、血色の咒が呪符を通じて瞬き、盾となり壁となる。 

SYSTEM :
 だが───彼女は。
 ホオリノミコトではないのだ。

 直線的なところは同じでも。
 レネゲイドなる物の怪の因子が齎す災いが同じでも。
 技を塞ぐもので、意地が如何にして止められようか。

 咒の壁、都合3枚。
 形代を用いた五行相克の自動防御が………。

SYSTEM :
 叩き割る。 

SYSTEM :
 吹き飛んで。 

SYSTEM :
 激突して───。
 蘆屋道満、その間合いを赦した時。

 等身大の弾丸が、虚ろな因子に編まれた肉体を、単純な理屈で吹き飛ばす。

SYSTEM :
 そらごとの器から響く、まことの断末魔。
 軋み砕ける骨の音、破け散る衣の音。
 護れず消え去る鎧の音───いくつも混ざって、いわば“ドミノ”でも倒すように、がたがたと崩れ。鳥居の向こう、名残の家屋へ蘆屋道満が吹っ飛ぶ。 

SYSTEM :
 現代から古きに至るまで変わらぬ道理は二つ。

 女の情は恐るるべくして恐れるものであり、
 単純なものほど破り難いものはない。

SYSTEM :
         ・・
 ………蘆屋道満───敗北。
 猶も、海の彼方に辿り着けず。

SYSTEM :
■終了宣言
 特殊ミドルシーン『いざなう亡者』のクリア条件達成を確認しました。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………、………。
 ………………………………。

SYSTEM :
 強かに骨を折り、呪符を失い。
 かりそめの血を散らして、道満が崩れ落ちる。

 まこと致命傷であるが、薄れゆくその姿は”人の消え方”とは程遠い。

SYSTEM :
 見れば、従者の骸も一つ一つ消えていく。

 もはやその枠組みを脱したらしい少年には一切の影響なくとも、8割の有象無象も、2割のそうでないものも。

 そうでないものは、血の鎧と兜が解れ、もとの亡骸に変わる。
 どちらがUGNのもので、どちらがFHのものか。それは、知っている人間が一人いたが、この場で口にすることはなかった。

 あとで思い出した時、仮上司には惚けて語り、“本命”の子供/朧の護り人には聞かれた時に語る程度で十分としたのだろう。

SYSTEM :
 ………害群之马の受けた仕事は終わりではない。

 あくまで蘆屋道満は、
 その仕事を果たすにあたって一番邪魔になるものだ。

SYSTEM :
 道化の面を被ってまで現れた所以は、未だ。ひと段落しても、次がある。

SYSTEM :
 その中で。
 息のある蘆屋道満の恨みがましげな視線/未だ残る意識だけが、各々に向いていた。

三廻部 颯 :
「はぁ、……はぁ、……はっ……」

 振り下ろした拳を抑える。
 熱を帯びた拳は、化外だったとしても、殴ったことに変わりはない。

 恨みつらみの視線に、怒りの視線が向く。

“害群之马"龍嘉睿 :
「……」

 終わったか。
 一先ずの障害は排除した。
 依頼人(クライアント)の懸念の一つは、これで取り除かれた──。

 すた、すた、と崩れ落ちた道満に向けて歩いていく。

『蘆屋道満』 :
「………たわぶれし、男よ………」

『蘆屋道満』 :
「この道満、欺くため………。
            ・・・・・
 半端に傾かせしため………斯様な真似を………」

『蘆屋道満』 :
「………この、道満が………」

『蘆屋道満』 :
「蘇りて金鳥追いし道満が………」

『蘆屋道満』 :
「斯様にはかなく去ぬとは………
 あな口惜しや………」

“パラディン”的場啓吾 :
「その蘇り方がもう少しまともだったら、
 ぜひとも経緯をお聞かせ願ったんだがな」

“パラディン”的場啓吾 :
「ま、過ぎたことだ。
 いつの日も悪行はやるならスマートでないといかん」

SYSTEM :
 曰く。

 悪とは物事の近道であり、それだけに怨みを募る独りの道という。
 進めるものは強く薄情か、いびつな情の持ち主がほとんどだ。

 蘆屋道満は前者であったが、派手に過ぎたと、守り人の名残を背に仕舞わば、いつもの“ロクでなし”が顔を出す男が呟く。

“害群之马"龍嘉睿 :
「俺は半ば舞台装置だ。何もしちゃいないし、最後にふっとばしたのは颯の拳だ。
 ……別に、アンタが弱かったわけじゃあねえよ」

「手際は完璧だったし、支配下に置いたやつの扱い方も、
 俺が何も知らなきゃ術中に嵌っていただろうさ」

 コッキング、スライド。
 銃弾を装填する。

“害群之马"龍嘉睿 :
「──俺は十分に、"芦屋道満"を恐れていた。
 だから、可能な限りの手を打った。賭け金に俺の命を乗せて、
 可能な限り被害が及ばないようにした。それだけの話だ」

“害群之马"龍嘉睿 :
「……遺言──いや、辞世の句は?」

 額に、銃口を当てます。

SYSTEM :
 断じて宣言しておくが。

 撃っても撃たずとも結果は同じだ。
 それは慈悲などではなく確認であり、
 蘆屋道満にこれを解する余聞はない。

 名残の亡霊は、ひたいに突きつけられたくろがねの鉄砲に物怖じもせず。
 譫言のように呟き続けていた。

『蘆屋道満』 :
「………ああ、まこと………。
 まこと、口惜しや………」

『蘆屋道満』 :

「我が手にて………晴明、滅ぼせぬこと………。
 幾多の時越え、見悪し逃避の欲望にて蘇りしこの肉体………」

『蘆屋道満』 :
 ・・・・ ・・・・・・・・・・
「己が宿痾、見届けずして死ぬとは…」

SYSTEM :

 そう。
 蘆屋道満は、ジャームだ。

 もしもここで撃ったとて、結果が少し早まるだけだったと、何度も繰り返しておくけど。

SYSTEM :
 彼にとって生きる理由は。
 安倍晴明の死だけだ。

 超えることは理由ではない。かつてはそうだったかもしれない、この名残は確実にそうではない。
 ならば蘆屋道満は───自分の生死なぞ、あるいは問題でもなかった。

『蘆屋道満』 :
「………虚ろなる空の子よ………。

 無欠ならざる禍津日ノ神楽よ!」

『蘆屋道満』 :
「蘆屋道満が………。

 我が怨の一文字を以て、命ずる!」

SYSTEM :

【Check!】

 
『蘆屋道満』は
 Eロイス『■■憎■』を発動済みです。


『蘆屋道満』 :
 
「フ、フフ………フフフフハハハ!
 あな口惜しや…我が手にて適わずとは!」

『蘆屋道満』 :
「おのれ検怪の者!
 おのれ火出の者!
 おのれ晴明! 六文銭携え、地獄の底よりこの怨念轟かせてくれよう!」

『蘆屋道満』 :
「この怨み!
 決して忘れぬぞ………!!!!!!!」 

SYSTEM :
 蘆屋道満。
 響く万感の呪祖は、その場にいるものに意味はない。

SYSTEM :

 ただ虚ろなる、リュウグウジマの空に。
       オディオ
 孤独の亡霊の憎しみが響く。
 それが、遺言だ。

三廻部 颯 :「───!?」

“害群之马"龍嘉睿 :GM、芦屋道満に対しロイスを取得したい。
P:感服/N:無関心だ。

GM :ほう…

GM :いいでしょう。

GM :ちなみに…敢えて伺いますが…

GM :どちらが表ですか?

“害群之马"龍嘉睿 :表はP。敬意は評す。敵であれど、お前の策謀は見事であった。

GM :勝負は何とかを履くまでとか。でもキャラシには書き加えておいてくださいね。

“害群之马"龍嘉睿 :ああ。書き加えた。それじゃ──。

“害群之马"龍嘉睿 :

「人間到処有青山──」

 ……世の中のどこで死んでも、骨を埋める場所ぐらいはあるのだ――。

“害群之马"龍嘉睿 :
 脳幹にニ発撃ち込む。
 これを以て、一区切りとする。

SYSTEM :
 血の華が咲くその時まで。

 ただ、ここになきものへ憎悪を叫ぶ。
 未練がましく縋るように。
 その魂が求めるものへ、水の中でじたばたともがくように手を伸ばして…。

SYSTEM :
 蘆屋道満………。

 その骸が、解れて消えていく。

SYSTEM :
 不吉の呪詛は届かず。
 追いかける金鳥の翼に手は届かず。
 ああ、永遠に。

 死した男の、その懐具合は如何程か。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 そして、静寂が戻る。
 後に残るのは3人、いや、4人だけだ。

SYSTEM :
 蘆屋道満の従者はこの場では見えない。
 
 あとはひとつの疑問を残しながらも、
 少年を連れて帰るのみだろう。

SYSTEM :
 そう、ひとつの疑問。

“パラディン”的場啓吾 :
「終わったな。…ところで探偵サン。
 改めイロ男よ」

“パラディン”的場啓吾 :
「さっきの話…少しばかり詳しく願おうか」

SYSTEM :
 男の、まことの依頼主。

 仮面を被る所以。

 そして、誰ぞに曰く………。
 あまりにも“どうしようもない”方法について。

“害群之马"龍嘉睿 :
      ・・
「俺はただの遣いだよ。パラディン。
 それ以上でも、それ以下でもない。それが俺の今回の仕事だ」

“害群之马"龍嘉睿 :
 クライアント
「依頼人からの依頼は二つ」

「島に迷い込んだ人間の保護と、悪しき企みを挫くこと。
 その真意は──」

SYSTEM :
 ほう、と。
 意外そうに“パラディン”が口元を釣り上げる。

“パラディン”的場啓吾 :
「以前の頑なさが嘘のようだな。
 まあいい、聞かせて貰───」

SYSTEM :
 ………まさに。
 その時のことであった。

 静観していたのか、測りかねていたのか。
 たまたま、少年の近くにいた颯が。
 三度仰ぐその光に勘付く。

SYSTEM :
 この闇夜の空においては却って目立つ、薄らとした色の塊。
 少年/赤都上樹の輪郭をかたどり、離れ、ゆらりと浮いたそれが、天へと昇るように浮かび上がっていく。

SYSTEM :
 海色の光の粒は。ふるくから水底に馴染んだもののひとかけら。
 視線で追っていたそれは、海色の光の粒。

 はじけたそれは。あなたの先程の平手打ちに呼応して零れ、瞬いた海色の光。

SYSTEM :
 彼方から、しずくが飛ぶ。

 ひとつ、ふたつ、みっつ。
 これなるもの、自我持つレネゲイドのかたまりが、己が名残を生み出すもの。

 己を別たれさせ、かたちを守るもの。
 海鳴の音。あなたを懐旧に誘う雫の音。

SYSTEM :
 ………しかし今回は。
 
 断じて、そのための音色でない。
 あなたはこのほころぶような光を知っている。

 ホオリノミコトが、海鳴の大怪異を屠りし時。
 そこから現れたものを、知っている。

SYSTEM :
 薄らと形を持ち、触れれば消えてしまいそうに儚くとも。

 いままで、夢の名残にしかなかったもの。
 人のかたちをしながら、人と共に居られないもの。

SYSTEM :それは。

SYSTEM :
【Check!】
“トヨタマノヒメ”がEエフェクト
『ファーコンタクト』の使用を宣言しました。

効果:シーンに登場可能になる
条件:『民間人』の救助完了後から使用可能
 

SYSTEM :
 それを。

 ただ、人のなりをしているけど。
 人とは思えないくらいに美しい女を。
 見覚えのある首飾りの“名残”をまとって。

 聞いた覚えのある声と一緒に、薄らとした形で現れるものを。

「女の声」 :
『お疲れ様。
 現代の検怪の者…あ、ええと。こう呼ぶのよね』

「女の声」 :

『“害群之马"』

「女の声」 :

『それから………はじめまして。
 ・・・・・・
 聞こえていたなら、こんにちは』

SYSTEM :
 聞き覚えのある声が。
 
 懐旧にいざない、夢の栞を辿り。
 せめてそれを託した者達を識ってほしいと、上から頼み込むようにあなたに語り続けたものが。

SYSTEM :
 この、ホオリノミコトの骸。
 その名残にて揺蕩い、見守り、誰も触れ得ぬまま、海の彼方にて生きるものが。

 たったいま聞いた名前を、冠として己に被せる。

“トヨタマノヒメ” :
『“トヨタマノヒメ”』

“トヨタマノヒメ” :
『その刀の持ち主、海の巫女。
 置いてけぼりにしちゃった生き物。なんでもいいけど』

“トヨタマノヒメ” :
『その人に………。
 叱って欲しい人と、扶けてほしい人の、頼みごとをした………。
 ・・・
 依頼主というのね? そういうものです』

SYSTEM :
 形造ったものが。
 真意を語る龍の言葉と合わせて語る。

SYSTEM :
 道化の仮面をかぶった男の始まりを。

 それが馴染み過ぎたものの証人とするには、たぶん。
 颯にとっては十分だろう。

SYSTEM :
 ………そいつの助けてほしいひとと、叱って欲しいひとなんて。

 ひとりしかいないからだ。

SYSTEM :
【Check!】

 
 トリガーハンドアウトの開示条件を満たしました。
 トリガーシーンに一時移行します。


SYSTEM :
トリガーハンドアウト
 対象PC:HO?
 開示可能条件:どれか一つを満たす
 ?:自身がロイス対象者からロイスを取得される(※PC間ロイスによる取得はカウントしない)
 ?:シナリオ中、自身以外から一度でも『トヨタマノヒメ』の名が出る
 ?:シナリオ中に登場するすべての非オーヴァードNPCを救助する

SYSTEM :
 あなたは『トヨタマノヒメ』と呼ばれる存在と夢の中でコンタクトを持ち、
「ある一人の男と、その願いに巻き込まれる人々を助けてあげて欲しい」という願いに同意した。
         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
 そのことにより、本当のあなたの記憶と力を模して造られた複製体である。

SYSTEM :
 あなたはその事実をシナリオ開始時に認識していないが、開示と同時に認識。
 以後、『トヨタマノヒメ』にコンタクトを取るトリガーシーンを発生させることが可能になる。
 また『インスピレーション』の効果は彼女からの知識となり、あなたの言葉として出力される。

SYSTEM :
 任意のPCの登場シーンに割り込む形で登場OPが挿入されるが、
 事前に「どのPCのOPに割り込んで登場する」のかを指定すること。
 割り込みタイミングはシーン3以降。
「PC?のOP中盤」「PC?のOP中盤」「他PCの合流タイミング」の何れかである。

SYSTEM :
 また、トリガーハンドアウト開示の瞬間からシナリオロイスを『トヨタマノヒメ』に再指定出来る。
 これはプレイヤーの任意とする。

GM :トリガーシーンへの移行に伴い…

GM :シナリオロイスの再指定を確認します。

GM :如何いたしますか?

“害群之马"龍嘉睿 :再指定する。トヨタマノヒメ、P誠意/N不安、表はPだ。

GM :了解しました。

GM :では、キャラシートへの記入をお願いしますね。

“害群之马"龍嘉睿 :記入完了

GM :確認しました。それでは…。

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・シーン37「海鳴」

SYSTEM :
 ───龍嘉睿。

 人蛇達の密航ビジネスを展開する中国の黒社会。
 およそ日の当たるところを歩かぬ落伍者どもの鉄砲玉。

 擲つものさえ擲てば。
 その依頼に、己の理が価値を見出せば。
 それを全霊以て遂行する、自分の理屈の味方の名前だ。

SYSTEM :
 あなたの仕事の意味は、あなただけが知っていればいい。

 その日の睡眠/身体のクールダウンが何時間だったのか、どういう状況の最中だったのか、は。特にどうでもいいことだ。
 あなた以外にとっては重要であっても、あなたにとっては、やると決めたらやるだけで、過程に拘っても結果に違いは───例外はあるが───ないことでしかない。

 ましてや、そのインターバルに見る夢などには。

SYSTEM :
 夢が、貴方の人生に影響したことはない。

 夢のように弾けてしまった泡沫が、記憶の底に残ることはあっても。

SYSTEM :
 夢が、貴方の人生の礎になることはない。
 
 醒めたら欠片もなくなっている命を、貴方がいくつ作ったとしても。

SYSTEM :
 ただその日の夢は、特に明晰で。
 オーヴァードの世界の中でも、荒唐無稽な出来事があったことを。

 あなたはきっと覚えている。

SYSTEM :
【シーン37:海鳴】

 登場PC:龍嘉睿
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-プランナーという人物
 
 プランナーは最古のレネゲイドビーイングであるが、
 彼女が「都築京香」という名前で活動を続けていたという報告はない。
 
 だれかが語る眉唾物に曰く、プランナーはその歴史、その歴史ごとに、
 これまでもこれからも名前を変え続け、姿を変え続け、長い時間の中で“プラン”を進めたという。
 今はどうであれ、少なくとも昔は、レネゲイドのために人間を滅ぼすことさえ辞さなかった危険人物が、如何様な選択を取っているかは、神話や昔話を紐解いて分かるものではないが。
 
 逆説的に、プランナーはある意味「どんな時間」「どんな世界」にも存在し得ると言える。

SYSTEM :
 地球の七割を占める海の底。
 一足早いダイビングの体験にしては、ずいぶんと現実離れした風景。

 ふわふわと浮いたような感覚は、水の中にいるような感覚によく似ていたけど。呼吸にも、歩くことにも、なんら支障はない。

SYSTEM :
 仄かな光のかたちは、自我のないレネゲイドのひとかけら。
 夢というにはあまりにも奥行きがあり過ぎる。動ける認識が、体がそれについて行き過ぎる場所だった。

 目覚めの風景というには異様な。
 ある日の回想である。

“害群之马"龍嘉睿 :

 ……胡蝶の夢、という言葉がある。

“害群之马"龍嘉睿 :
 実に有名な言葉だ。この世全ては蝶の見る夢であるのだと。
 つい最近あったデカい山を見るまでは、精々が隔絶された世界の向こうで、詩人が奏でる詩でしかないと思っていた。

“害群之马"龍嘉睿 :


 ……夢を見るというのは、そういうものだ。

“害群之马"龍嘉睿 :
 そう締めくくった手帳をアイマスクの代わりにし、一人事務所のソファで目を瞑る。

“害群之马"龍嘉睿 :

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

“害群之马"龍嘉睿 :

 ……夢とは所詮、脳の記憶の整理にしかすぎない。

“害群之马"龍嘉睿 :
 故に眠らなければ脳が故障する。
 これもまた、有名な話だ。
 そして、見る夢というのは往々にして、自分に起因することしか出てこない……。

“害群之马"龍嘉睿 :
 ……水中、か。
 水に纏わる出来事など、最近あったのだろうか。いいや、無い。
 トーカのやつに頼めば適当な夢占いでもしてくれるのだろうが──。

 ──それにしては、やけに生々しい体感であった。手に触れる水の感覚が、抵抗が、一つ一つが脳を騙しにかかってくる感覚。

“害群之马"龍嘉睿 :
「……自分探しでもしろと? どうやら、今日の俺の脳は、随分ロマンスにかぶれているらしい」

“害群之马"龍嘉睿 :
 前へ、進む。

SYSTEM :
 夢が記憶の整理に過ぎぬというならば、
 夢とは、既知の組み合わせにて構築されるものでしかない。
 
 微睡む記憶の処理を、ノイマン・シンドロームが誤ることはないだろう。
 たまたま視界に入ったものの追憶を組み合わせたものが、どんな摩訶不思議になるかは、それこそあなたが識る一期一会の夢見人でも引っ張って来た方が早い。

SYSTEM :
 誤解を招かぬように言っておくが。

 断じてあなたの心象風景でもない。
 そもそも、こんな海底にあなたは潜ったことも………あるかもしれないが、此処までではない。

 光の差さない彼方まで行くことはなかっただろう。

SYSTEM :
 探るあなたに、問いかける音がする。

 何ら躊躇わず前に進んだあなたを。
 出迎えるものが、ひとつ。

SYSTEM :
 0と1のプログラムの羅列。
 水底の中に走る小さなノイズと、揺らぐ影。

 女の顔は知らずとも。
 その女をなんと呼ぶのかを、きっと龍は知っていた。 

『プランナー?』 :
「『おはようございます』」

『プランナー?』 :
「『貴方のことを、彼女から聞きました。
  龍嘉睿。夜摩にて裁きを振るう、北斗星君』」

『プランナー?』 :
「『貴方に頼みたいことがあります。
  私は、その方に貴方を紹介しました』」

SYSTEM :
 ところどころに混じる雑音。
 得体の知れないそれは、人ではなかった。

SYSTEM :
 レネゲイドビーイング。
 レネゲイドから生まれし命のかたちが、あなたに言葉をかけている。
 どうあっても同じにはなれない、奇妙な隣人たち。人を理解しなくては人と共に居られないもの。

 夢の主の戸を叩いたもの。
 夢の仲介人なのだと嘯く。

“害群之马"龍嘉睿 :
 ……、……。

 俺はそれの姿、正体、その全てを理解出来ているとは言い難いが。
 光刺さぬ地で0と1の羅列を以て、こちらに挨拶を交わすそれがなんであるのかを、知っている。

“害群之马"龍嘉睿 :

“害群之马"龍嘉睿 :
「──"プランナー"……。
 お前が俺に接触するとはな。しかもまた、随分と回りくどい手段だ。
 トーカを通じて俺に言えばいいものを」

 出来れば、これはただの夢で済ませて欲しかったが。
 宇宙人としか形容の出来ないソレが、わざわざこちらに挨拶を交わしてきた。
 それも、自分はあくまで仲介人であるのだという立場を崩さずに。

“害群之马"龍嘉睿 :
「──それとも、この手の……そう、言うなれば精神空間。
 そこでなければ接触が不可能な相手とでも?」

『プランナー?』 :
「『物事には順序というものがあります』」

『プランナー?』 :
「『その順序が、あなたの前に現れる“だけ”ではすまないこともあります。
  回りくどい通り道を択ぶ時は、それが最も近道とも言えるのです』」

『プランナー?』 :
「『ですが…』」

『プランナー?』 :
「『貴方の理が、価値なしと見込めば。
  その時、貴方は夢から醒めるでしょう。
  あとには何も残りません』」

『プランナー?』 :
「『彼女がなんと仰るかは分かりませんが。私は私で、この先を見たいものですから。
  どう転ぶか分からないことに、骨を折るのも吝かではない、ということですね』」

“害群之马"龍嘉睿 :
「よく分かった。現実に出しちゃいけない類のファンタジーで、
 俺を不思議の国に繋がる穴に突き落とそうとしているということだけは」

“害群之马"龍嘉睿 :
 ……頭が痛い。
 これだから宇宙人は──と心の中で嘆息しつつ。

「……とにかく、
 俺に依頼をしたいやつがこの精神世界にいて、アンタが仕事を俺に取ってきた。
 その認識で間違いないなら、このまま案内しろ」

『プランナー?』 :
「『不思議の国のアリス役はまっぴらですか?
  ネバーランドはお嫌いと?』」

“害群之马"龍嘉睿 :
「頼むからルイス・キャロルを気取るのは勘弁してくれ。お前が乗ると本当にそうなるから怖いんだ」

『プランナー?』 :
「『不思議の国は、あんがいオーヴァードと縁深いものですよ』」

『プランナー?』 :
「『ですので、まあご心配なく。
  それも馴れます。そして…』」

『プランナー?』 :
「『頼み事の持ち主は、ちょっと海向こうの話には疎い方ですよ。
  ルイス・キャロルを話を仕立てる隙間はありません。私も、他の誰も』」

SYSTEM :
 冗談とも取れぬ言葉を雑音交じりにこぼし。
 0と1の羅列が複雑に重なっていく中。

 あなたの認識の是非に、それが応じる。

『プランナー?』 :
  ・・
「『退治、してほしいものがあるのです。
  私にとっては、ですが』」

『プランナー?』 :
「『彼女がなんというかは分かりませんがね。

  ───では、治外法権も此処までとしましょう。
  この先です。迷うことは、ありますまい』」

SYSTEM :
 ここはあなたの微睡みの中で、お邪魔したのは“彼女”と、そのレネゲイドビーイングの方であるからだ。

 前に進めば、お客様の行く先には勝手に辿り着くだろう。
 プランナーとあなたが呼んだものは、それきり雑音諸共、その影を薄れさせていく…。

“害群之马"龍嘉睿 :
「見えるもの全てを疑い、ラビットホールから非日常に迷い込めと?
 音楽性の違いでバンドが解散しないことを祈ってろよ」

 ……しかし、海の向こうの話題には縁遠い、か。
 この女のことだ。今俺が考えた以上のものを混ぜているだろうに。

「……治外法権を行使したと思うなら、今眠っている俺の疲れが取れる薬でも置いておいてくれ」

 "退治"という言葉は頭の片隅に置いておき、そのまま前へ進む。

SYSTEM :
 光を、潜る。
 水底の、さらにその底へと泳ぐようにゆく。

SYSTEM :
 非日常と日常の間を反復横跳びするあなたのようなオーヴァードにとっても、これは度の過ぎた非日常だ。

 微睡みの中を、鮮明な意識と共に歩く。海鳴りの音が出迎える中、そこに辿り着くのは然して時間も掛からない。

SYSTEM :
 まぼろしの中の、海の底。
 現実で知られているものとはずいぶん違う。

 今もなお、ずっと。
 そこに朧げにかかる圧力が、ずっと下を目指しているよう。

SYSTEM :
 遠く、遠く。底を潜って、かなたまで。
 ………迷い込んだ非日常の中。
 ひときわ目立つものが、あなたの依頼人だとすぐに分かった。

SYSTEM :
 こんな場所で出会うものが。

 普通の人間、普通のオーヴァードとは。
 思っていまいが、敢えて記そう。

“トヨタマノヒメ” :
「はじめまして」

“トヨタマノヒメ” :
「トヨタマノヒメ。というの」

“トヨタマノヒメ” :
「発音は、ちゃんと合っている?
 私の。名前」

SYSTEM :
 それも。
 レネゲイドビーイング。
 人間離れした美しさと、人間と同じところには居られない隔たりを気品として纏う姿。

SYSTEM :
 トヨタマノヒメ。豊玉姫。
 神の霊が依る巫女。浦島太郎が出会う唯一無二の名前である。
 
 その真実、その歴史を紐解く必要性は今はない。
 ただ、それは、その名前を名乗るにふさわしい非人間であったということだけ。
 そしてその名を語った女が、あなたの理にこれから、擲つべきものを擲つものであるということだけを。

 覚えていてくれれば、それでいいのだ。

“害群之马"龍嘉睿 :
 海の底、と形容するに相応しい。
 だがそれは、現実に知られているマリアナ海溝ではない。
 ちゃぷ、ちゃぷ、……水圧が更に下へと、誘っていく。

“害群之马"龍嘉睿 :

 ──……これは。

“害群之马"龍嘉睿 :
「問題無い。無い、が……」

 ・・・・・
 合っている?
 開口一番、名乗りと共に龍に向けて問うたのは、発音であった。
 彼女は奥深くにいた。文字通り人間からかけ離れた美しさと、儚さを身に纏うそれ。
 だが同時に俗世には馴染めないだろうということもすぐに分かる。どこにいても、その存在は浮き上がるのだ。

“害群之马"龍嘉睿 :
 それに、トヨタマノヒメ、と名乗ったか。
 よもやプランナーが引き合わせたのは、少し神話に詳しければピンとくる神と来た。
 笑い話だ。この間まで神気取りを引きずり下ろそうとしていたら、今度は神から頼み事か。

「──聞いていると思うが、龍嘉睿(リュウ・ジャルイ)だ。
 仲介人の紹介で、此処に来た。

 まったく、世の中とは何が起こるか分からん。

SYSTEM :
 あなたの中に、一匹の雑音が招いて紛れ込んだRB。
 それは少なからず断片に過ぎない。
 
 ましてや、神の実在を証明する手段を未だ人間は知らない。
 これは百歩譲って、神なるものの名前を冠していても………。
 もっと巨きなものが、人の記憶の海から作り出したようなもの。

SYSTEM :
 巨きなものを、あるいは星とするならば。
 これは、その星に流れる記憶のスクロールを作る知性体が、かくあれと生んだもの。

 オリジン:レジェンド
 伝説から生まれしもの、というのだ。

SYSTEM :
 須らくオーヴァードに近しい神威など、正直にこれで9割9分説明が付く。

 かくあれかしを願われて生まれたもの。
 トヨタマノヒメを作ったものは、海への信仰のかたち。
 数多ある海の伝説、その名残。この中の、特に純粋なかたちが彼女だ。

 ………その、浮世離れを一周回りそうなものが、小さくはにかむ。

“トヨタマノヒメ” :
「ええ。聞いたわ。
 親切な、とおいところのお知り合いから」

“トヨタマノヒメ” :
「だけど来たのはわたしの方。
 恃みがあって。恃みに応える人を、探していたの」

“害群之马"龍嘉睿 :
 ......プランナーが出てくるわけだ。
 祈りとは、人の総意である。
 神に祈りを捧げたから、レネゲイドが形を作った。
 つまり、彼女はそういう存在。

「そうか。......その口ぶりだと、どこにでも行ける、と言いたげだが。
 まぁ、その詮索は今は不要だろう」

“害群之马"龍嘉睿 :
「トヨタマノヒメ、アンタは俺に、何を頼みたいんだ?」

 やることは変わらない。
 まずはオーダーの確認だ。依頼人との擦り合わせから、仕事は始まる。

SYSTEM :
 どうかしら、と。
 あなたの”いまは不要”とした詮索に、彼女が笑う。

“トヨタマノヒメ” :
「何処にでも行ける、は。
 何処にもいない、と一緒」

“トヨタマノヒメ” :
「そのわがままは。一度やったもの」 

“トヨタマノヒメ” :
「───叱って欲しい人と、扶けて欲しい人。
 どっちも、同じなのだけど」

SYSTEM :
 何をしてほしい、に。
 淀みなく、海の巫女が答える。

SYSTEM :
 答える音は、いくつもの波紋になって波打つ。

 いちから十まで、その過程を説明するのも冗長というものだろうから、必要なことだけを抜き出そう。

“トヨタマノヒメ” :
「いまも、未練を持って海に留まって………。

 ふるい海から、あたらしい海まで。
 どこにもいるけど、どこにもいない、時のよどみの主」

SYSTEM :
 ジャームとは、世界の何処にも繋がりを持てない生き物だ。
 他者だけではない。その極小単位ですら適わないものが、どうして他に繋がりを持てようものか。

 どこかに繋がりを持てないものは。
 どこにも、存在のあかしがないこと。

 あるべき時の流れにさえ、取り残されてしまうこと。
 そんなことが出来るのかは、さておいて。

SYSTEM :
 波打つ音のかたちを解するなら、こうだ。

 平安時代   貴方達の時代
 ふるい海から、あたらしい海まで。
 同じ海に揺蕩って、時の裂け目を作り、そこで微睡む海の怪物。

SYSTEM :
 誰の何は、あなたが聞くまで答えようとしない。
 というより、ところどころで顔を見るのは、そいつがそいつなりに“会話をしよう”という拙い努力の証だった。

 だから、して欲しいことだけを女は率直に言う。つまり。

“トヨタマノヒメ” :
「彼を………。
 ホオリノミコトを。扶けてほしいの」

“トヨタマノヒメ” :
「いつかが来て。
 ちゃんと、終わらせないといけなくなってしまったから」

“害群之马"龍嘉睿 :
「だが、俺の前にアンタはいる。
 いて、その意思を言葉に変えて話をしている。
 それに違いは無い。俺にとっては、視界に映るものが全てだ」

 ……それそのものに興味がないと言われれば嘘になるが──。

「……海の化性、時を経てもなお取り残されている存在。
 ホオリノミコト──」

 ──その話をする彼女は、まるで泡沫のようだった。

“害群之马"龍嘉睿 :
「……了解した。
 スケールの大きな話だが、要するにアンタはケジメを付けたいということだな」

 普通ならば、自分の手で付ければいいのではないか?
 なぜ、ただの人間になどと頭に過るだろうが。
 龍は静かに頷いて、いつものように、確認をするのみだ。

“害群之马"龍嘉睿 :
「──……一つだけ、聞かせて欲しい。
 これは俺なりの流儀のようなものだ。
 恐らくアンタは人間社会には疎いと来た。なので、出来る限り分かりやすく言おう」

“害群之马"龍嘉睿 :

 ・・・・・・ ・・・・・
「アンタは俺に、何を出せる?」

“害群之马"龍嘉睿 :
 ──龍嘉睿にとって、それは儀式のようなものだった。
 自らを擲つことが出来るのか。自ら口にした言葉は、それをするに相応しいものであるのか。
 それが覚悟の証明であるという、ちっぽけな持論だった。

SYSTEM :
 あなたが「なぜ」を全く聞かないことに。
 彼女は一度だけ、かくりと首を傾げたが。

 続く言葉に、瞑目した。それは回答の拒否ではない。
 あなたの理屈を飲み込もうとすることに、時間が必要だった。

 人と隔てた生き物が、その隙間を飛び越えるのに必要な、時間。

“トヨタマノヒメ” :
「私にあげられるものは命だけよ」

“トヨタマノヒメ” :
「この。私というかたちが培ってきたものだけ。
 人の世と、微睡む星の中にある、海のかけらを繋ぐ不確かな思い出だけ…」

“トヨタマノヒメ” :
    ・・・・・・・・・・・・・・・
「私は、あなたであってあなたでないものを送り出し………。
 彼の未練がかたちになった島に、訪れてしまったもののかたちを守り………」

“トヨタマノヒメ” :
「………そして彼が正しく扶けられて。
 きちんと夢から覚めた時。
 夢から覚めないまま、彼の望みを悪用するひとを止めた時………」

“トヨタマノヒメ” :
.   あなたたち
「………ひとのせかいと私の縁は消えてしまう。
 海に還るの。だから、まあ。あげられるものは命と思い出だけ。

 あなたたちのところに、形あるものを残すのは、とおいところのおともだちの出来ることだけど」

“トヨタマノヒメ” :
「………“それ”が欲しいのではないのね?

 なら、それだけ」

“トヨタマノヒメ” :
「波一つ立たない穏やかで、強い心のひと。
 澄んだ水の中に、他のなにかを入れることが出来なかったひと」

“トヨタマノヒメ” :
「私の大事なひと。
 夢を夢のまましまっておくことが出来ないなら。
 夢がひとを、彼を傷つけてしまうなら。そのために私を擲ちましょう」

“トヨタマノヒメ” :
「………これは。ええと。そう。
 ちゃんと…答えになっている?」

“トヨタマノヒメ” :
「あなたの理の。答えになるかしら」

SYSTEM :
 ………何を擲つものもない。

 何を出せると言われて持つもの。
 人の世に残ることのできないものが、唯一人の世に干渉する術は、その思い出の糸だけだという。
 
 ひとつことを成し遂げて、そして還る。

SYSTEM :
 その気は今までなかったけれど、
 それ
 未練と天秤にかけなくてはならないものがあり。
 あまりにも短い夢の名残を終わらせるために。自分の望むあなた/人間を、手繰って、こうして顔を合わせているのだと。

“害群之马"龍嘉睿 :
「……その命を、天秤に乗せるか。
 否、旧き存在であるからこそ、命/存在を対価にするか」

 ありきたりな答えだ。
 そこに悲壮感はない。
 あるべきものをあるべき場所へ還し、元通りにすることこそが使命である。
 そして彼を止める為ならば、この存在すら惜しく無いと彼女の瞳は雄弁に語っている。
 その姿形とは裏腹にずっと芯が出来ているようだ。

 ……あるいは、カミという総意だからこそ、存在を解くほどの覚悟というべきか。

“害群之马"龍嘉睿 :
「……形のあるものは、仲介人が支払ってくれるだろう。
 その親切な友人は、人のことをタダ働きさせるような奴ではない。少なくとも。その上で──」

 そこに関して、お前が心配することはないという前置き。

“害群之马"龍嘉睿 :

「──いいだろう。その依頼、しかと聞き届けた」

“害群之马"龍嘉睿 :
      ロン・ジャーリー
「その依頼、龍 嘉 睿が引き受けた! 交换契约/ここに契約は交わされた!

              スネークヘッド
 今この時より、俺の意志は、 蛇頭 の総意であるものと見なす。アンタの血と存在を擲つ覚悟そのものに、黒社会は応えたのだ!」

“害群之马"龍嘉睿 :
 オーシンリューイェー
「呕心沥血、その血と魂に、俺は応えよう。
 それだけが、今、アンタと俺の間で交わされた、たった一つの掟(ルール)だ。
 アンタがその覚悟を失わない限り、俺は必ずその依頼を全うしよう。
 ……これを以て、返答とする」

“トヨタマノヒメ” :
「ありがとう。
 理の味方の、あなた」

“トヨタマノヒメ” :
「その理。その掟。
 わたしの最後のよすがとしましょう」

SYSTEM :

 それが、誰の味方でもなく。
         ルール
 あなたの、その“筋”の味方であること。
 
 細やかな言葉、人の社会の理屈。
 その一切を飲み込むほど、これは人間社会に精通していないが。
 ただ、それのみを解した。
 もっとも理解するべき一点───その対価を以て己の理が、夢を終わらせる鏑矢になるのだという部分を。

SYSTEM :
 ほのかに笑う。音が波打つ。

 次は、その過程。
 本来は最初に聞くべきあべこべの動機だが、あなたが行くならば、きっと知っておくべきことだ。

“トヨタマノヒメ” :
「波一つ立たない穏やかで、強い心のひと。
 澄んだ水の中に、他のなにかを入れることが出来なかったひと」

“トヨタマノヒメ” :
「ホオリノミコト」

“トヨタマノヒメ” :
「出会って良かったのかどうかは、分からないわ。
 彼にとっても、私にとっても、お互いが唯一だったけど。
 私は確かに、彼にとっての遺すものを遺したけれど。
       ・・・・
 ひとの世は、唯一だけではいられないのね」

“トヨタマノヒメ” :
「私は、人の世には居られない。
 たまたま、人の世に“すこし”居座る機会を作ってしまって。 
 彼を置いていかねばならなかった」

SYSTEM :
 曰く。

 澄んだ水の中に、他の何をも入れられなかった孤独のオーヴァード。
 並び立つものなき、無双の徒は。
 唯一のつながりを失って/あったはずのつながりを零して、一人に戻った。

 そのことを語る仕草に。
 いかほどに、ひとに寄せた情があったのか。

“トヨタマノヒメ” :
「蘆屋道満………」

“トヨタマノヒメ” :
「海の彼方にいちど辿り着き。
 私を産み落としたものを、その血で従えた、陰陽師」

“トヨタマノヒメ” :
「その名前の人の手で。
 ひとり静かに命を終えるはずの彼に、“魔”が差して………。
 物の怪になり果てた彼は、骸に未練を残して島を作ったわ」

“トヨタマノヒメ” :
「彼自身が島なの。

 夢から覚めた時、消えてなくなる。
 彼自身の、未練と名残を表層にした島」

“トヨタマノヒメ” :
「どこにもあるけど、どこにもいない。
 ふるい海に残りながら、いまこの時まで、ずっと………。
 あたらしい海まで続いて、その名残を焼き付け続けて………」

“トヨタマノヒメ” :
「彼方まで、潜ろうとしているの。
 会おうと、しているの。私にね」

「微睡みながら、水をかき分けて、潜って………」

SYSTEM :
 きっと、世界が終わるその時まで。
 あるいは、その果てなき潜行の無謀が。何を齎しても、気付くことなく。

“トヨタマノヒメ” :
「本当は、かなうはずのない夢で。
 誰も踏み入ることが出来ないまま、永遠に、この海に揺蕩い続けるだけだった」

“トヨタマノヒメ” :
「………その蘆屋道満が蘇って、気付いたの。
 ・・・・・・・
 時を越えるすべを持つ検怪の者………ああ。ええと」

“トヨタマノヒメ” :
「オーヴァード、というのね。
 彼女を見つけて、連れ出して、ここに来た」

“トヨタマノヒメ” :
「理屈は。“彼女”に聞いて。プランナーという名前の人。
 とてもむずかしい話で。分からなくても大丈夫だと言っていたけど。
 ・・・ 
 万が一成り立つと、世の中が凄く困ってしまうらしいの」

“トヨタマノヒメ” :
「………彼のあかしが残る世界に。
          ・・・・・・・
 彼が、ひとりでも、魔が差すまでは傷付けようとはしなかったものに………」

“トヨタマノヒメ” :
「………その困った終わりがつくのは。
 とても寂しいことでしょう?」

“害群之马"龍嘉睿 :
 ……契約は交わした、ならば"仕事"の話だ。

「置いていった、が言葉通りの意味ではないことか。
 そして今も、お前に会おうとしている」

 時間流からも逸れたその場所に、骨を埋めるはずの存在。
 だが何の因果か、偶然流れ着いた悪性によって暴走した──その結果が、あの島だ。
 かつての思い出だけを胸に、ソレは探し続けている。
 夢を見ながら、夢を求めている。自らが見る胡蝶の夢に、浸っている。

“害群之马"龍嘉睿 :
「……ホオリノミコトが自分の成すべきことをしようとすれば、世界が耐えられない。
 だからそうなる前に止めてほしい。その上で、叱って欲しい。
 その上で、そいつを利用しようとしているターゲットが芦屋道満──そういう意味だな?」

 ……標的の一人目は、芦屋道満だ。
 魔眼遣い(バロール)の能力者も気になるが──芦屋道満の名を冠する以上は、それに見合う謀略を張り巡らせることだろう。

SYSTEM :
 頷きの代わりに、音が波打つ。

 なぜ、どうして。
 旧い平安時代ゆかりの人間が生きてゆける道理などはなく。
 彼は死んだ人間だ。しかし……。

“トヨタマノヒメ” :
「彼には、探している相手がいるの。

 自分と戦える、理の味方。
 自分を越える、理の味方。
 安倍晴明───」

“トヨタマノヒメ” :
「あなたの海でまた生まれた彼は。きっと。
 ・・・・・・・・・・・
 安倍晴明のいるふるい海に、帰りたいのね」

SYSTEM :
 そしてそれは、出来る、出来ないではない。

 これは───。
 この海の中では、あなたが知らぬ事実だが。
 あなたに名誉の渾名を付けた少年と、何者でもいたくない”だけ”の少女が識ることだが。

 ジャームに、出来る、出来ないなど関係がない。
 やるか、やらないかだけだ。

SYSTEM :
 ………何の理由か分からずとも。

 ホオリノミコトが微睡み続けていることを、蘆屋道満は知った。
 そして、彼は“海のかなた”を目指すものに、古き海を目指して貰おうとしたのだ、と。

 仔細は、それこそプランナーが喋ってくれるだろうが。重要なことではない。
 ・・
 標的がそれだ、ということだけ。覚えておけばいい。
 あなたにとって、守るべきは、夢から覚めるべき骸が抱く一線と………その島に巻き込まれたものだけで良く。討つべきも、それでいい、という話。

“害群之马"龍嘉睿 :
「──なれど、お前の依頼に、ソイツの夢を乗せることは出来ない。……確かに、承った」

SYSTEM :
 ええ、と。波打つ音。
 それが、もう少しかたちを変える。

 契約の次は、仕事の話。
 動機と、敵の話をしたならば。次は手段だ。

“トヨタマノヒメ” :
「彼のところに行く術は、とても限られているの。
 何処にもいて、何処にもいないもの。

 ふるい海とあたらしい海のどちらとも繋がる、時の裂け目。行くも常には叶わないし、還るすべはひとつだけ」

“トヨタマノヒメ” :
「………だけど。

 彼と私には、今もつながりがある。
 それを使って、あなたを………」

“トヨタマノヒメ” :
「あなたの心、あなたのかたち。
 凪いでいて、だけど、鞘から抜けば何より烈しい夜摩のかたち。
           しかる
 その力を持った、彼を扶けるためのあなたを、私が作るわ」

SYSTEM :
 ………あなた自身を送ることは、
 偶然にかけることしか叶わない。

 だから、と。
 彼女があなたに提示したやり方は、こういう話だ。

SYSTEM :
 あなたのオーヴァードの力を。
 あなたがあなたであるための記憶を。

 全く同じものを持った“あなた”が、彼女の消えゆく繋がりを持ってあの地に現れる。
 
 万が一があっても。いま、恃んだあなたを滅ぼさぬように───そして、万が一があっても。トヨタマノヒメと名付けられたRBにとっては、その終わるための道に迷うことがないように。

SYSTEM :
 ………アナタは。覚めぬ夢の旅人を。
            ・・・
 何を置いても救うためのあなたを送る。

“害群之马"龍嘉睿 :
「それが、先程話していた俺であって俺でない誰か、か」

 ……つくづく、スケールの大きさを思い知らされる。
 通常であれば干渉出来ないが故に、干渉の糸を手繰り、抜け道を見つけ出した。

“害群之马"龍嘉睿 :
「……理屈も、方法も理解した。
 なら、もう一人の俺に関する注文はしても構わないな?」

 俺が死んでも依頼が果たせればいい。
 ・・・・・・・
 実に簡単な仕事だ。
 チューニングさえ済ませてしまえば、綿密に計画を張り巡らせる。
 自分自身のことはよく知っているし、それ故に自分自身に纏わるもののうち、どれが厄介で、どれが弱点になりうるかも。

“トヨタマノヒメ” :
「私に、ひとの世は分からないけれど。
 必要なことは、必要なだけ」

“害群之马"龍嘉睿 :
 ・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・
「俺の記憶を封印し、偽の記憶を植え付けろ。期限はアンタがいいと言うまでだ。

 持ち物もある程度は引き継げるなら、それが出来た方がいい。
 偽の記憶の内容は……まぁ、今から考える」

“トヨタマノヒメ” :
「………理由は………」

“トヨタマノヒメ” :
「いえ。出来るわ。出来ずとも、欠けは望むものしか作らない」

SYSTEM :
 ・・・・・・・・・・・・・
 死んでもいいなら温い仕事だ、などと。
 
 分かっていて口に出来る豪胆さの持ち主は、
 探せばいるかもしれないが、探さなければ決して見つかるまい。
 だが、ましてや………。
    ・・・・・・
 此処でそのような事を考える男は。
 彼くらいのものだろう。

SYSTEM :
 その控えめに言っても正気でない注文のチューニングに、対し、彼女が何を思ったかは定かでないけど。
 二言目が『出来る』なのは、その姿、その面影に。似て非なるものを見出したが故の信だった。

“トヨタマノヒメ” :
「これがひとの時代の“探偵”? なら、そうするけど」

“トヨタマノヒメ” :
「理の味方のあなた。いいの?」

SYSTEM :
 いいの、にあなたが答えた言葉は一つだろう。
 
 それでは”このあなた”が浮いてしまうがいいのか、という意訳を言葉にせずとも、彼女が問いたいことを理解した上で、あなたは狂気と紙一重の回答を返したに違いない。

SYSTEM :
 ………その上で。

 探偵という概念にあらぬ誤解を植え付け切ったに、違いない。

“害群之马"龍嘉睿 :

 依頼人のオーダーは必ず果たすが、
 同時に依頼人を守ることもまた、仕事だ。

 ……以前に、探りすぎた結果手ひどくやられたことがあってね。
 お前なら隠している武器くらいはあるだろう、と言われた上で完膚なきまでにやられた。

 ……それに、当の芦屋道満自身にアンタの目論見が透かされれば、何をされるか分からない。
 だが知られるのは時間の問題だ。王手をかける準備が整うまでに、
 芦屋道満にも、当の俺にも、こんな石ころ道端に捨てておけと思わせておきたい。

“害群之马"龍嘉睿 :

 ──あらん限り、バカバカしいと思わせるような内容を詰め込んだ。
   今思えばやりすぎたと思うし、トーカに聞かれたが最後、

“害群之马"龍嘉睿 :

 "龍くん? ちょっといたいけな女の子に何吹き込んだのかな? こっち来ようか^^"

トーカチャン : 

“害群之马"龍嘉睿 :

 ……やめておこう。どうせこれは夢だ。プランナーだって守秘義務くらいは守ってくれるはずだ。

“害群之马"龍嘉睿 :
 なにはともあれ、

「……ああ。これぞ現代における少年漫画の王道──いやそういう話じゃないか」

 その問いに、頷いた上で。

“害群之马"龍嘉睿 :
 ・・・・・・・
「仕事に必要なら、
 テーブルにおいた賭け金(命)に、上乗せはするだろう。
 なにせアンタは命を賭けているんだ。俺がそれと同等に応えなくて、何になる」

 アンタがそれほどの覚悟を持っているのだ。
 なぜここで、日和ることがある? と当たり前のように返すのだ。

SYSTEM :
 それが。
 仕事をこなすにあたっての信頼のかたちだというただ一点。
 仔細、道理、過程が分からずとも、この”トヨタマノヒメ”と呼ばれるRBは、ただあなたの理を…似て非なる既視の在り方を信じた。
     セイギ
 あなたの理を、だ。 

SYSTEM :
 これが。唯一の例外。

 島に招かれた悉く、偶然の稀人。
 時すら同じでない、澱みの迷い人である中。
          バックボーン
 望んで訪れた迷い人の背景。

 ただ、ひとりの願いに応えるためのあなた。

SYSTEM :

 そして。
 
 島の稀人。迷い人。

SYSTEM :
 一から十まで欺瞞なれど。
 それ以外の縁を持たない、出来の悪いパッチワークの仮面を携えたものが生まれた。
 
 木口龍。
 依頼でやって来た、なにわ探偵という男。
 ただ蜂の一刺しを携えたものが。

 螺子を巻いた通りに、道化の役割にふさわしい第一声を解き放つ。

回想する、曰く :


「すみませんでしたあああああああああ!!!!!」


SYSTEM :
 ………狂気と紙一重の大仕掛け。
 依頼人を守るための無知の盾であり、
 蘆屋道満の眼を騙すための無知の矛。

 のち数名の被害者を作った彼の、
 島に訪れた所以であった。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 以上が………。
      あらまし
 長くも短い経緯解説である。
 これを語ったのは龍嘉睿だったのか、あるいは、今も薄らと視界に浮かびながらも、形を持てぬ、海の姫巫女のまぼろしか。

SYSTEM :
 この語り草にはすこしばかり問題があった。

 これまで、あまりにも適切に道化の仮面をかぶり過ぎた男の経緯。
            ・・・ ・・・
 扶けを求める声に応じたあなた/アナタの行動に一切の嘘偽りはない。ないのだが。
 まことと信じるには、今まで以上にこの話は地に足のつかぬものだったことを、誰が否定できようか。

 そういう意味では、いまここに現れたまぼろし。
...トヨタマノヒメ
 依頼主は、狂気と紙一重の騎行への。
 
 この己が理を為す男の行いの立証役であったわけだ。

“害群之马"龍嘉睿 :

“害群之马"龍嘉睿 :
「……改めて、騙し討ちのような形になった非礼を詫びよう。
 名乗らせてくれ、颯、パラディン」

“害群之马"龍嘉睿 :
 男は、律儀であった。
 このような騙し討ちに近い形で接触したことなど、
 裏切り/ダブルクロスに等しい行為であると糾弾されても文句は言えないからだ。

“害群之马"龍嘉睿 :
ハイチュージーマー
「"害群之马”──。
 龍嘉睿/ロン・ジャーリーという。
 レネゲイド組織には属さず、フリーランスで活動している。仮の登録はあるがな」

 男は、頭を下げた。
 それが仁義であり、自分でその制御を半ば放棄に近い形で行った荒唐無稽な真似と荒唐無稽な話を聞かせたことへの、誠意であった。

三廻部 颯 :
「……つまりどういうこと??」

 アタマを下げられたことも、今話されてたことも、正直認識が追いつかない。

SYSTEM :
 混乱に応えたのは、その種明かしの主でも。
 いま補足を加えようとした方でもない。

 いやむしろ、それは応えるつもりでもなかったんだろう。

“パラディン”的場啓吾 :
「───ふ」

“パラディン”的場啓吾 :
「………ハハハハ」

“パラディン”的場啓吾 :

「おまえな、この話をしておいて最初にするのがソレか?
 ・・・
 イロ男、やはり二つの意味で正解だぞ。いいネーミングセンスだ!」

SYSTEM :
 よく言えばそれは律儀な行いであることを、否定してよいものなど誰もいないが。

 悪く言うと謝る箇所があまりにもズレた行いではある。
 その仮面をかぶった理由が悪ふざけなどでは断じてないことを、あなた/颯よりたくさんの荒唐無稽に付き合って来たはずの歴戦の戦士は、薄々勘付いたからだ。

SYSTEM :
 ただそれはそれとして…。

“パラディン”的場啓吾 :
 ・・・
「そこのと合わせて掻い摘んで説明してやるが、その前に意志表明だけしておこう」

“パラディン”的場啓吾 :
       ネガイ
「ここでは俺の欲望は叶わん。
                ネガイ
 …となれば余分だが、気分の良い欲望について回る気でいてな」

“パラディン”的場啓吾 :
 ・・・
「そいつに一字一句同じことを喋って、
 切腹以上の命令されなきゃ赦してやろう。どうだ?」

三廻部 颯 :「(あー)」

SYSTEM :
 いや切腹まではライン越えんか?
 などという愚連隊向けの台詞はこの場では自重したらしい。

“害群之马"龍嘉睿 :
「俺の仕事は、芦屋道満を討つこと。
 そして、民間人の救出と、ホオリノミコトの事件解決に在った。
 だが通常の手段では島に入ることすら出来ない。

 ……この辺りの理屈は、旭やシホ、イリュシデイター……それこそパラディンの方が分かりやすい説明をしてくれるだろう」

 理屈を説明して、覚醒したての人間に受け入れてもらえるとは思っておらず、
 レネゲイドに関する学問は、悪く言ってしまえば丸投げという形になる。
 その部分だけは専門外だ。期待しないでくれ──、とだけは表明しておいて。

“害群之马"龍嘉睿 :
 ・・ ・・・
「うん、構わん。
 斬れと言われたら斬るさ。何せ、今回の俺は命を消費しても構わないらしい」

 あっけらかんと。

「命一個消費で結束が強まるなら、安いものだろう。現実の俺の命までは、消えていないしな」

“害群之马"龍嘉睿 :
「……まぁ、腹切りは介錯人がいないと務まらん。やるならせいぜい頭に銃弾だ。

 それに、腹を捌くとは武士にとっての名誉の死だと聞く。
 俺がそんな名誉を受け取っていいと思うか?」

“パラディン”的場啓吾 :
「心配するな、その誉れで伝聞の奇行がプラマイゼロだ」

“害群之马"龍嘉睿 :

「違いない」

 ははははは。

“トヨタマノヒメ” :待ちぼうけを喰らっている“彼女”が(奇行)の部分にかくりと、ぎこちなく首を傾げた。

三廻部 颯 :
 その余所で、私は隔絶を感じた。
 命を消費しても構わないから別に腹を切っていい?
 何を言っているのか理解ができない。
 命にストックのようなものがあって、だからそういうこともできるというのは、理屈の上では理解できる。
 けれど、それに対して一切の躊躇のない部分に、全く理解が及ばなかった。

「……、…………そ、そうですか」

 対応のよそよそしさは一層増した。

“パラディン”的場啓吾 :
「分からん部分は分からんでいい。

 全てに理由を付けると疲れるぞ、お嬢さん」

“パラディン”的場啓吾 :
「こいつは、出会ってすぐに頼みごとをした、女のかたちをしたいのちのために………自分の命をかけられる、見上げた馬鹿野郎で。
 
 お前さんの敵じゃないってことだ。
 そこ以外は、理解したきゃ理解するでいい」

三廻部 颯 :「……ぅ、はい」

“害群之马"龍嘉睿 :
「……あ、すまん。カタギがいるのについ口をすべらせてしまった」

「何、今まで通りでいい。今回の俺は舞台装置のようなものだしな。
 考えというのは生き方に準ずる。

 ついこの前まで日常(ふつう)を生きてきたアンタは知らなくて当たり前だし、俺もアンタの日常(ふつう)の生き方を知らん立場だ」

“害群之马"龍嘉睿 :
「知りたいと思った時にだけ、声をかけてくれればいい。その時は話そう」

三廻部 颯 :
 理解をする努力をしたいのは山々だったが、
 なんというか。
 訳のわからない人という印象が、わからない人にちょっと格上げされたくらいだ。

「……は、はい、そうします……」

“害群之马"龍嘉睿 :
「……ヤクザの世界なんて知ろうと思わなきゃ知らなかったろ。
 それいいんだよ。この道を生きようとした時点で、日向を歩けない日陰者になったしな。
 で、俺の話はもういいか?」

 小難しいこと喋ってるからいけないのだとトーカに笑われる前に、分かりやすいたとえを(本人なりに)したつもりだった。

“パラディン”的場啓吾 :
「(完全に困った面に変わったが)どうしてほしい?」

三廻部 颯 :
「……」

 多分ツッコミをするのは私ではない。
 今話を聞きたいのはむしろこっち、と首を傾げてるほうに視線が向く。

“害群之马"龍嘉睿 :「……ああ、すまん。話を続けてくれないか。
 俺なんぞよりクライアントが優先だ」

SYSTEM :
 この、海向こうから訪れた唯一の例外についての話は、敢えて言わずともこれがすべてだ。

 理解の是非など、仮にこのあと全員が首を傾げたところで彼のすることに変わりはあるまい。

SYSTEM :
 あるいは、そういう人間だから…。

 彼女は龍を見出したのだ。

“トヨタマノヒメ” :
「ええ。…はじめまして。
 だけどあの時から聞こえていたら、暫くぶり」

“トヨタマノヒメ” :
「海鳴りの一振りを受け継いだあなた。
 きっと、彼がお世話になりました」

三廻部 颯 :
「……!」

三廻部 颯 :
「あ……、えっと……ど、どういたしまして?
 いや、お礼を言うのは私の方で……」

“トヨタマノヒメ” :
「気にしなくていいの。
 ここに………たぶん、わたしの縁かしら。それを持った子が通ったのね」

“トヨタマノヒメ” :
             ユメ
「それに惹かれて、今もこの島を作る彼が…。
 手を伸ばして、あなたや、その男の子たちを引き摺り込んだ」

“トヨタマノヒメ” :
「彼はたぶん、本当に“あなたが困ってるから”自分の命綱を分けたんだと思うけど。
 それだって、あなたに重いものを渡しちゃったのと同じだから。気にしなくて、いいの」

SYSTEM :
 繰り返す、どういたしましての下位互換。

 涼やかに笑う女の態度は変わらないが、
 声色には聊かの案じるものがあった。あるいは…。

SYSTEM :
 それを渡したものの結末の悔恨ゆえか。
 ・・・・・・・・・・・・
 そんなことしちゃったのね、と呟いたあの海鳴りの音も。
 二言目にあったのは侘びだったことを、あなたは覚えているだろう。

三廻部 颯 :
 頷く。
 意識が浮上するときに聞こえてきた声の主が誰かなんて、少し前からわかっていた。
 だけどこうして対面することで、それが確実なものであると思えてくる。

「……重いです、思ったより、ずっと。
 でも……」

三廻部 颯 :
「はじめて……遺せたもの、らしいから。
 託されたから、ちゃんと持ってるつもりです」

 海色の砂を握りしめて、あの鳥居の向こう側での会話を思い出す。

SYSTEM :
 ほほえみと一緒に眉が下がる。
 人とは違う生き物の、人になるべく近づこうとした名残。

“トヨタマノヒメ” :
「ありがとう。それはもうあなたのもの。
 携え続けるなら、どうか。あなたのかけがえのないひとを大事にね」

“トヨタマノヒメ” :
「………海の静けさは。
 ひとりぼっちに優しくないから」

SYSTEM :
 それは彼女なりの…。
 一度目の失敗から“言うべき”としたらしい反省の結果らしい。

 それを持ち続けるなら、どうか独りにならぬようにと。
 もし、それと並ぶことも、同じところに立つことが出来ずとも。どうか望んで、孤独にはならぬようにという、完全に的を射ているかも分からない一言。

:
"「ひとつめ選ぶと、後ろめたいですよ。僕はおすすめしません。経験則です」 "

三廻部 颯 :
 ……思うところはある。
 望んだにせよ望まぬにせよ、ひととなりで孤独になってしまった人を、よく見てきたから。
 人が孤独になるとき、それは自分のせいでもあり、他人のせいでもある。
 どちらかが偏ってもだめで、自分が歩み寄る必要もあるし、他人が歩み寄る必要もある。

三廻部 颯 :
 孤独という怪物を作り上げるのは、自己であり他者だ。
 その付かず離れずの距離を、どちらかが崩さぬ限り……怪物で在り続ける。
 だから縁を繋いで、ほだしを繋いで、生き物同士のコミュニティに留まって、大事なものを失わないようにしがみつく。

三廻部 颯 :
「……そう、思います」

三廻部 颯 :
「……だから私、独りの人を見つけたら……。
 ホオリさんから託された縁を繋げるように、手を差し伸べていきたいって、思います」

三廻部 颯 :
 かけがえのないものを大事にする。
 その上でこの力を使っていく。
 そして、孤独を孤独から引き離すために使うと口にする。
 どちらもエゴだ。
 けれど、独りぼっちの怖さを辛さを知っている颯にとっては、見過ごせないことでもあった。

三廻部 颯 :
「……世界中、とまではいかないかもしれないですけど。
 せめて、私の目に入ったぶんは……かな」

“トヨタマノヒメ” :
「あなた。海鳴りを継ぐあなた。
 優しい子なのね」

“トヨタマノヒメ” :
「………お名前は?」

三廻部 颯 :「……三廻部颯、です」

“トヨタマノヒメ” :
「ハヤテ。…颯」

“トヨタマノヒメ” :
      ユメ
「ええ。この島と…。
 彼と一緒に還るまで、覚えておくわ」

三廻部 颯 :
「はいっ、そうしてください。
 ……あ、このままついてくる感じですか?」

 悪い訳じゃないけど、とは付け加える。

「ならもう一人、その時まで覚えておいてほしい子がいて」

“トヨタマノヒメ” :
「ええ。すること…してもらわないといけないことがあるから。
 きっと、その子の名前なのね。覚えておいてほしいのは」

三廻部 颯 :「はい」

三廻部 颯 :
「……なんていうか……子孫」

 ご先祖連れてきたよって言ったらなんて顔するだろうか。
 まあ大体想像はつくが。

SYSTEM :
 小さく頷く。

“トヨタマノヒメ” :
「私の名残があることは、分かっていたの。
 彼に…近くにいたら、守ってくれるようにと恃んだわ」

“トヨタマノヒメ” :
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そうじゃないけどここに迷ってしまった子は…。
 私を分けて、見つけて、そのかたちを守った。守ってくれる人が来るようにしたわ」

“トヨタマノヒメ” :
「………その子は、私がちょっと遅かったのね。
 こういうのを、ええと、そう」

“トヨタマノヒメ” :
「迷惑をかけたというのね。
 …ごめんなさい。大丈夫?」

三廻部 颯 :
「……やっぱり!」

 同級生から出てきた青い光を思い返す。

三廻部 颯 :
「……気にしなくていいんです。
 色々思い返すと、ふくざつな人間関係のせいって感じですから。
 巡り合わせっていうか、噛み合いっていうかね……」

三廻部 颯 :
「……こうやって助けれましたから」

SYSTEM :
 あなたがただの(というにはあまりにも意図を込めた)平手打ちで、彼から道満の咒を追い出した理由。

 肉体を壊さない程度の威力で。
 彼女の縁を持つ“刀”を由来としたあなたのオーヴァードとしての無意識の力を伴った攻撃を、赤都上樹に憑りついていた彼女が干渉し、道満の咒だけに攻撃を向けさせた、と。
 こざかしい理屈を話せばそういうことになる。

SYSTEM :
 ………そして、他の同級生たち。

 そこに憑りついていたのも。
 もしもがないように向けていたもので。
   ・・
 曰く子孫のことは、彼に委ねていた。この地に現れた蘆屋道満のケリがつくまでは、だ。

“トヨタマノヒメ” :
「それなら、いいわ。
 あなたが、扶けられて良かった」

“トヨタマノヒメ” :
       ..ユメ
「…あとは。この島が終わるだけ」

“トヨタマノヒメ” :
           .モノ
「私が、私の力を分けた宝珠を介して…。
   ユメ
 この島の根っこを守る潮の帳を退かす。
 ワダツミ
 お父様の横たわる骸と一緒に眠る彼のもとに、導きましょう」

“トヨタマノヒメ” :
「潮の帳を退かす宝珠と、潮の帳を満ちさせる宝珠。海を越えて、時の裂け目の奥に眠る彼に辿り着く鍵。
 
 ………蘆屋道満は。
 そのうちひとつ、満ちる珠を、彼を眠らせるために。
 そのうちひとつ、干上がる珠を、彼を起こすために使ったようだから」

三廻部 颯 :
「二つが、揃うと……」
 
 ……やっぱり避けて通れない。
 浮かび上がる虎の顔を思いながら。

三廻部 颯 :
「……わかりました。
 ……長いようで短かったけれど、もうすぐなんですね」

“トヨタマノヒメ” :
「ええ。………出会った時は、きっと。
 あなたと話した彼ではないのかもしれないけど」

“トヨタマノヒメ” :
「あなたの帰るところのために。
 そして、出来れば彼のために………」

“トヨタマノヒメ” :
「彼を、眠らせてあげてね」

“トヨタマノヒメ” :
「いつかが来ないことを…ずっと願っていたけど。
 いつかが、来てしまったから」

SYSTEM :
 それは。

 どんな場合でも、彼を終わらせることをためらわないであげてくれという。
 嘗てこの名残と過ごし、今や人の世から離れて久しいもののお願いごと。あるいは後押しだ。

 それを携えるなら、どうかあなたのために使ってねと言う、夢への後押し。

“パラディン”的場啓吾 :
「さっきの力の使い方だが、お嬢さん」

“パラディン”的場啓吾 :
「お節介をしてやろう。
 差し伸べた手が跳ね除けられたらどうする」

SYSTEM :
 その後押しを聞いた直後。

 黙って“頼み事”を聞いていた男が、口を聞く。からかうような素振りはないが、案じるようなものでもない。

 所謂“なんとなく”の確認にも見えた。

三廻部 颯 :「……」

三廻部 颯 :
   エゴイスト
「私、わがままなんです」

 ダメならダメで、本当に拒絶されるまで続ける。
 それがかつて友達にやったことで、今でも続けてること。
 別に私はそこまで"いい子"じゃないのだ。

三廻部 颯 :
「ただ私が、そうあってほしくないって思ってるだけで。
 それが良かったのか悪かったのかは、まだわかんないですから」

“パラディン”的場啓吾 :
「そうか」

SYSTEM :
 知ったことじゃない、が。
 あなたの答えだった。

SYSTEM :
 本当に拒絶されるまで、手を差し伸べる。
 独りぼっちでいることの苦しさを見て、聞いて、体感したあなたが。
 良いも悪いもない、ただ見た儘に、望むことをするのだ、と。ただそれが………。
 
 放っておくと孤独になるオーヴァードたちを見て来た、この間まで薄氷の上で温まってきた子供の。
 やがて”いつか”を迎えて、学び舎から巣立ったあとの未来が待つあなたの、薄氷の下/海の底への触れ合い方であるのだと。

SYSTEM :
 聞いた彼も。

 ある意味、それが自分の頼みへの答えでもあった“トヨタマノヒメ”も。
 後者は後押しに応えるあなたにやさしく頷き、前者はそのまま言葉を続けた。

“パラディン”的場啓吾 :
「…いい夢だ」

“パラディン”的場啓吾 :
「その理由がイヤになるまでは、精々手放さんことだな」

“パラディン”的場啓吾 :
「“リヴァイアサン”は…。そいつの仲間は。
 おまえがそいつを誇って歩く限り、きっと手助けしてくれる。心の底からイヤにならん限りは、イヤでも立たせてくれるだろう」

“パラディン”的場啓吾 :
「───だが心の底から誇れなくなったら、俺の名を当たれ。
 違う夢の抱き締め方を教えてやろう」

“パラディン”的場啓吾 :
「もっともそんなことは、ないかもしれんがね」

SYSTEM :
 ほんの僅かだけ。
 背負った名残を振った時の姿で接した男からの、あなたの“先”へ告げる言葉。

 本当にイヤになるまでは、そいつらが“先輩”だと。
 それを先輩とするなら、自分や自分の仮上司は、この島だけの奇妙な縁と思えと。先人の標が、彼のあなたに寄越した、この場での最後の言葉だ。

三廻部 颯 :
「わかんないです。
 私、まだどっちにいくかは決めてないですし」

 まあ、どちらにせよ"もしも"だ。
 少なくとも、その孤独に手を差し伸べる行為が必ずしもUGNと折り合いがつくわけでもない。
 
 どっちが良いのかだって、わからない。
 UGNが"良い組織"かどうかだって、識者の説明的には判別もつかない。

三廻部 颯 :
「でも……"いい夢"って言ってくれたのは、覚えておきたいと思います」

三廻部 颯 :
「いつかは選ばなきゃいけないときはあるけど……、
 選択肢は多い方がいいと思ってますから」

“パラディン”的場啓吾 :
「それもいい。
 多い選択肢なんて贅沢は、その年齢のうちにやっておくものだからな」

“パラディン”的場啓吾 :
「よし、では一度戻るか。
 とりあえず一字一句言ってきてもらわんといかんからな、このイロ男」

三廻部 颯 :「大丈夫かなァ」

“パラディン”的場啓吾 :
「心配するな。
 こういう男は大抵のことをどうにかしてしまう」

“害群之马"龍嘉睿 :「善処する。細かい原理や理屈は……まぁ、いい具合に補足は入るだろ」

“トヨタマノヒメ” :「頑張るわ。それに───」

SYSTEM :
 ………それに、の続きを話す前に。

 彼女が、ふと彼方を見る。
 島の中枢。湖があるだけの彼方。

 そこに、しばらく視線を向けて。
 “それに”の続きを口にすることはなかった。

SYSTEM :
 残るはあと一つ。
         ユメ
 長いようで短い、島の終わりが近づいている。
   
 ここに、己の曲げた望みを託した孤独の魔獣も。
 ここに、ありもしない故郷を願った孤独の幻想も。
 ここに、かつて縋った背中を求めた孤独の亡霊も。

 みな、消えた。あとは一つ。

SYSTEM :
 ………だが肝心なことは。

 得てして最後にあるものだ。

SYSTEM :
 それを、知っても知らずとも。
 蘆屋道満の名残なき、この場所に留まる理由はなく。あなたたちは此処を後にする。

 そして…。

SYSTEM :
【Check!】

 
『蘆屋道満』は
 Eロイス『■■憎■』を発動済みです。

対象:????
指定:■■


SYSTEM :
【Check!】
 ユニット『蘆屋道満』がゲームから退場します。

 所持Dロイス、Eロイスを確認しています...

SYSTEM :
【Check!】
 下記の特異なロイスを検知しました。

・『Dロイス:転生者/呪詛返』
・『Eロイス:■■憎■』
・『Eロイス:さらなる絶望』

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :シーンを終了します。ロイスの取得、更新等ありますか?

三廻部 颯 :ありません

“害群之马"龍嘉睿 :
ロイス感情の変更をしたい。
三廻部 颯へのロイス、P:尽力を、P:誠意に。
よって、P:尽力/N:隔意となる。表はPだ。

GM :承りました。ところで…

GM :P:誠意/N:隔意 で良いのですねその記述の仕方?

“害群之马"龍嘉睿 :ん、あ。表記ミスだな。P:誠意/N:隔意だ。スマン。

GM :よろしい。キャラシートに書き加えておいて下さいね。

“害群之马"龍嘉睿 :書き加えた。ついでに元のキャラシに戻した以上、黒塗りにしていた仲間のロイスも設定だ。

GM :そちらも問題ありません。お約束通りですね。


・シーン38「切望」

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【シーン38:切望】

 登場PC:シホ
 登場侵蝕:あり

SYSTEM :
Tips-虚実崩壊
 ジャームの中でも特に「内側の世界を強く持つ」タイプの衝動…。
 つまり妄想衝動に人格を刺激・支配された成れの果てたる者が使用を確認する現象。

 凝り固まった狂気と執念が、虚実定かならぬ領域に達した時、
 その妄想が現実と空想の領域を踏み越えて実体化する。
 その妄念の実体化は少なからず現実世界に何らかの影響と変化を及ぼす。

 現象について、然るオーヴァードが語るには
「白く塗ったカラスが本物だと思い込むあまり、世界にもカラスを『白』だと認識させる」ようなもの。
 思い込めばなんでも変えかねないその性質から、ともすればこの衝動タイプのジャームとは、
 好き勝手に行動させるとそれだけで薄氷の平和を容易く砕き、混ぜ込みかねない危険人物として認識される。

GM :それでは…二つのトリガーシーンを一つにした恩恵(マイナス)を受けて貰う時でございます

GM :そう…登場侵蝕の時間ですわ〜!

“虚の狩人/残骸” シホ :…………………。まだ大丈夫、大丈夫なはず……。

“虚の狩人/残骸” シホ :1D10 侵蝕 (1D10) > 3

system :[ “虚の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 119 → 122

“虚の狩人/残骸” シホ :………ふぅ。

GM :お見事…(前回の1d10=10を見ながら)

GM :バランスは取ったというところですな

“虚の狩人/残骸” シホ :引いたものが鬼札でなければ、ですけどね…。

SYSTEM :
 ………、………。
 ………………………………………。

SYSTEM :
 仮称『リュウグウジマ』を巡ること数回目。
 あなた/シホが何も連れ立つことなく、捜索に発って少しの時間が経つ。
 探しもの、あるいは探しびと。または、探しびと“の”探しもの。どれを探していたやらというところであるけど。

 結論から言えば、たった一匹の鳥型レネゲイドから始まった道行きは、それなりの波乱万丈と、偶然と、一名の巻き添えを得るに至った。

SYSTEM :
 鳥型の───発生原因はこの島に存在するAオーヴァードと同じ───EXレネゲイドが、
 朽ち果てたドックタグをその両足で掴み飛び去ろうとしたのを牽制したのを契機に。
 それを聞きつけた蘆屋道満の従者───何故か途中で消滅───と応戦の必要性に迫られ。
 
 その音を聞きつけたUGNのエージェント、そして更にそれまた追われて来たおまけ……。
 小粒の出来事が少し大きな出来事を呼び、それが更に大きな出来事を、と。
 雪だるまのように膨れ上がった出来事に終わりが見えてきたこと、あなたは漸く彼と対峙した。

 前述のどれだろうと、少なくとも探している人物ではなかったのは確かだ。

SYSTEM :
 年と背恰好は明らかにあなたを上回る(あなたの正式な年齢を考えると下回るものを探すのは困難だ)が、あなたが此処に流れ着く直前のチームの何れにも該当しない。

 さりとて、出会い頭の助力と、直後の穏当な態度は、概ねFHの人間とは思えない物腰だった。

『先生』 :
「いや………助かった。
 なぜか分からんが、漸く人の顔を見た気分だ」

『先生』 :
「この手の野外サバイバルには、昔の上司から色々教わったことがあったが。
 どうにも勝手は違う、探し人の顔を見かけない、あまつさえ空はRBにしてはファンタジー極まるものが途中まで飛び放題………どうしたものと思っているところでコレだ」

SYSTEM :
 ある意味で運が悪く、ある意味で運が強かったのだろう。
 誰とも出会わず、危険は避けて、暫し放浪となっていたらしいUGNのエージェント。
 あなたが“そう”と分かるか察したか、先んじて名乗って来た名前は、堂馬頼家。“ハイウインド”の、堂馬頼家だ。

“虚の狩人/残骸” シホ : 
 一歩進めば切り立つ崖、数十歩先には鬱蒼と草木生い茂る草原で、そのすぐ先には砂浜で───
 目紛しく変わる見覚えのない風景の連続も、ここまで来ると流石に慣れてきた。

 ……なんてまぁ、少し考えてた矢先のこと。
 どうもこの島で驚きの種が尽きることはないらしい。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「なんだか奇遇ですね。私の方もいろいろとどうしてくれようか首を捻っていたところです」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「ともあれ、こちらこそ助かりました。
 背中を預けられる方がいると、銃兵としては助かりますから」

 思い返す。確か……私が島に来るまでで見知って顔の中に彼は入っていなかった。
 

“虚の狩人/残骸” シホ :
 “ハイウィンド”……その所属は、改めて問うまでもないだろう。
 相応の歴戦を伺わせる立ち回りもそうだが……先程まで押し寄せてきた怒涛の波瀾万丈で、それは伺える。

 互いに背中を預けたのだ。それが証拠と言うには少し弱いかもしれないが。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「私はUGNイリーガルのシホ。“残骸”という名で登録しています。
 ……お互い、なかなかの難儀に巻き込まれたものですね」

『先生』 :その涼やかな顔で“どうしてくれようか”は中々背筋が伸びるな…。

『先生』 :
「そこは言わぬが華というのだな」

SYSTEM :
 なかなかの難儀の部分も、助かりましたもお互い様の言わずもがな。
 さらりと流した彼が、それから腕を組んで空を見上げる。

『先生』 :
「逸れたスタッフもいる。
 白黒付けねばどちらに舵を切ったものかも分からないと見回ってみたが、乗ってた飛行機の残骸すら見つからんと来た」

『先生』 :
「常識の内側にないことだ、まあそういうことなんだろうが…。
 レムナント
 ”残骸”、俺以外で何かあからさまに“浮いている”ものを見なかっただろうか」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………。ええと、まぁ。
 割と指折り数えるくらいには」

 心当たりが多すぎる。

『先生』 :
「そいつは…斜め上方向に飛び抜けてくれそうな切り出し方だ、きみが悪いってわけじゃないが…」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「それこそ、この島自体が“浮いたようなもの”の塊らしいですからね…」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 この島が起源とするものが何なのか、未だに私は知らないままだが…。
 何せ時間からも浮いてしまったような場所なのだ、むしろ地に足をつけたものを見つける方が難しい。

 島に流れ着くにもどうやら手段は限られる。眼鏡の探偵さんは別としても………

“虚の狩人/残骸” シホ :
…………ん?

“虚の狩人/残骸” シホ :
「堂馬さんでしたか。
 あなた、この島に来る直前までは飛行機に乗っていて……?」

『先生』 :
「ん? ああ。其方がUGNのイリーガルで、この状況だ。守秘義務がどうので渋っても渋り過ぎることもないから言うんだが…」

『先生』 :
「少なくとも俺と何人かが飛行機に。
 バロール
 魔眼付きはいなかったが、そいつの干渉か? 記憶の限り、蓋をしたい状況だったのは確かだ」

SYSTEM :
 旭から話を聞いていれば、彼がどちらの任務の軸でやってきたエージェントなのかもはっきりするだろう。
 そうでなくとも、残るUGNエージェントの来訪先など、マジョリティは此処かあなたのチームくらいだ。

回想する、曰く─── :「彼女の護衛のために三廻部さんのいる学校に転校してきてます」

「──といっても、この島に流れ着いたのはほとんど事故みたいなものってことも、確かだと思いますけどね。
 飛行機に乗ってる間に突然次元の裂け目が開いて、ぼくを含む数人のクラスメイトごと……ここにぱっくりいかれちゃったんですから」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……どうも、私たちはお互いに久々の“浮いていない人”らしい。
 単刀直入に伺いましょう───“ナイトホーク”の名前はご存知ですね?」

『先生』 :
「そのようだ。…ちゃっかりしているというべきか、俺が抜け目ありすぎたというべきか」

『先生』 :
              コードネーム
「知っているよ。チルドレンの識別符号だ。
 となると会いに行く必要があるが、手ぶらでお邪魔するとは座りの悪いことになるな」

『先生』 :
「其方に、事情通がどうも近い距離にいてくれるだろうというのは分かっていたが…。
 年下に“大人顔負け”をされるのも馴れたよ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 軽く肩をすくめる。“私もそんなところ”というのも言わぬが華というやつだろうし。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「おそらくあなたと同時に巻き込まれただろう一般人の生徒さんも、私の同胞たちが保護しています。
 何せこんな島で、こんな状況です。あなたの顔がここでは一番の手土産になると思いますよ」

SYSTEM :
 む、と意外そうな顔。それから唸るような顔。決して嫌というわけではないが、飛行機の残骸ない場所で“一般人の生徒”がいるということに聊かの首を傾げるものがあったらしい。

 しかし…それもすぐのこと。

『先生』 :
「無事に越したことはないか。脱出方法の”だ”の字も見つからんとて、それならカヴァーのつとめも果たさねばならんようだ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「それがいい。きっと皆さん喜びますよ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 先生、か。
 私にとっては非日常の存在だが……生徒に対する先生というものが、ある種の“日常の象徴”らしいことぐらいは知っている。

 ……再三繰り返すように、こんなタチの悪い熱に浮かされたような島だ。
 それが偽りの仮面であったにせよ、グラついた世界の拠り所には違いない。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……しかし、まぁ、本当に。
 どこから何を語ったものか……。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「積もる話もある、是非いろいろと語り歩きたいところではありますが……
 あなたが巻き込まれてからもいろいろとありまして」

『先生』 :「色々と、か」

『先生』 :「こんがらがったモノがありそうだが…今の君は急ぎの用事つきか?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……ええ、それも結構深刻に」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「ある程度の事情はご存知でしょうから、シンプルにお伝えします。
 ───FHの単独勢力約1名に遺産を奪われました。目的の些細は不明点も残りますが、少なくともあまり時間が残されていないことは確かです」

SYSTEM :
 遺産………。
 この説明、脅威、ジンクス、諸々。
 散々ばら語り継がれたことであるけど。

 ことオーヴァードの有識者に手っ取り早く脅威のほどを伝えるにあたって、それは何より分かりやすい指標だ。
 実際に遺産を使えるのかどうかも分からず、しかし持ち主のもとから引き剥がされたソレがどのような有様になるかも定かでない。いや、奪った本人すらその辺りの予測を付けていないのかもしれない。

 そしてこの男は………。

『先生』 :
「………これほどシンプルに伝えられたくない言葉はないな。
 分かった。今のところ、仔細は事が終わった後に聞かせてもらう気分だ」

SYSTEM :
 曰く、手放されたなら何が起こるかも定かでないという塩満珠と塩乾珠。
 それの実態を知るまでもなく、不測の事態を避ける必要性がある中、如何にエージェントの仲間とて、説明している時間が惜しいのは事実だ。

 あちらもそれは分かっているのだろう。あなたを完全に信用していいかは、その現地の様子を見て判断しようというわけだ。

 あるいは、何か他の判断基準があったのかもしれないが。

SYSTEM :
 ………そんなふうに、話がまとまりかけていた時のことだ。

SYSTEM :
 先程あなたは、この島そのものが現実から“浮いている”と評した。
 さもありなん、というところ。
 末期の夢、名残の島。縫い付けられた空想のかたち、途切れ途切れの過去の色。
 木々も鳥も獣も貝も諸々、巨大RBとなり果てた生命の見る夢に過ぎぬとあらば。

SYSTEM :
 何かが起きる時に、島の側から予兆を伝えることはなかった。
 少なくとも、今の今まで。

 ───今回は、違った。

SYSTEM :

【Check!】
 
 
 ????がEエフェクト『時空の裂け目』の解除条件を───。
 
 

SYSTEM :
 ぐらり、と。
 足元が、揺れた。

SYSTEM :
 巨きな生き物が、身動ぎするように。
 何度か、草木と、揺れようのない土が、地響きの音を立て。小刻みに。

SYSTEM :
 その激しい揺れは立っていられぬというほどではないが、遠くから波紋のように拡がって───。

『先生』 :
「コイツは………!」

SYSTEM :
 揺れが、広がっては収まり、また広がっては収まる。
 ………近くに原因がいる、というものではないが。それが何処から広がっているかだけの察しはついた。

 木口龍が蘆屋道満と2度出くわしたという場所。
 湖のある、推定、島の中心部に値する。

SYSTEM :
 あなたがあれこれと消耗戦を繰り広げるずいぶん前に通った場所だ。此処から行くことは、容易かろう。

『先生』 :
「何がなんだか区別はつかんが…。
 もしや残されている、では済まないんじゃあないかコレは…!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「──────!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 それは鼓動か、胎動だったのか。
 巨きいものと思ったあの飛竜とも、太陽にすら見紛うあの熱量とも、その脅威すら意に介さないあの羅刹とも違う、さらに巨きいものの気配。

 私が知る中で、一番近かったのは───

“虚の狩人/残骸” シホ :
「───っ、どうやらそのようです!
 せめて“手遅れ”ではないことを祈りますが……行きましょう! 」

『先生』 :
「最悪と言えるうちは最悪じゃないそうだが! ………言っている暇がないな!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「大方暢気に談義しているうちに最悪は更新されるでしょうね………!」

『先生』 :
「ならばそれが現実になる前に!
 …全く、事態の緩急がジェットコースターだという…!」

SYSTEM :
 少なくとも、そこで談義をしている時間が惜しいというのは共通意見だ。

 何処の、誰が、どのように。
 少なくとも場所は理解るし、どのようにしてこれが起きたのか…この長引く身動ぎの如き地震の正体/起こした“誰”にも察しが付こうというもの。

SYSTEM :
 ………行く先にいるものは。
 恐らく想像した通りだろうとも。

SYSTEM :
【Check!】
・プライズシーン4:“ハイウインド”堂馬頼家との合流

 プライズシーンを終了し、続けてトリガーシーン『切望』に移行します。(同時トリガー達成のため、イベント内容を統合して進行しています)
 以降ラウンドから、NPC「“ハイウインド”」が使用可能になりました。
 

『先生』 :
[“ハイウインド”堂馬頼家 ]
 肉体:6 感覚:2 精神:2 社会:1
 シンドローム:ブラックドッグ/ハヌマーン
〈白兵〉:4 〈知覚〉:2 〈知識:レネゲイド〉:3
 
・所持エフェクト
 ソニックブーム(シナリオ1)
  /判定失敗時に発生する『不利なイベント』を打ち消す
   メインプロセス中同エリアでなくとも使用可能

 人間発電機
  /『情報収集』を行う時、代わりに彼の行動を放棄することで情報収集を可能に出来る。
 

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 曰く、中心部。
 何事もない植物の群生地を越え、素通りしてきた場所に再び戻る。
 
 この『リュウグウジマ』と呼ばれた場所は、ある程度の距離と区画ごとに、不自然かつ、周囲の情景さえ無視して雰囲気を変えていたが。此処が何かしらの意味を持つ場所だ、というのは龍の言葉から(彼の当時の言葉に微塵でも意味を見出していれば)悟れる範囲である。 

SYSTEM :
 ………大きな湖。
 吸い込まれるように広い藍色の表面。

 幾ら見通しても底の見えない、海か虚と見紛う、巨大な碧の穴に張られた水面。
 予想を語るでもない。地震の起きている場所はそこだ。
 身動ぎと共に、水面が揺れる。

SYSTEM :
 瞬きをするように。
 大きく波紋を起こしながら、そのまなざしとも呼ぶべき水面の揺れは、ただひとりを目にしている。

 その視線の矛先。波の中心点。
 可視化する、バロールの水圧と己の作るできそこないの領域/“ワーディング”が作ったひずみの中に、予想通りの人物の顔がある。

SYSTEM :
 脚を止めていた、女性にしては高い背丈の後ろ姿。
 片方の腕、掌に載せるようにして、れいの“遺産”が湖に向けられる。
 海色の輝きを、途切れ途切れに、身動ぎに合わせて伝えるように。

 …その姿、“あなたが”、互いに顔を見るだろう距離に来るのはこれが初めてだ。

SYSTEM :
 白雪のように美しく、明星のように鮮やかで。
 鋼色のように煌いて、宵闇のように悍ましい。

SYSTEM :
 そいつが。
 望むものに、手を伸ばしている。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 騒ぎ始めた虚の島を、騒ぐ心と銃を抱えて虚の狩人が駆け抜ける。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 果たしてそれが正しい選択なのか。駆け抜けた先、つい先程背を合わせたばかりの一人と一人で何ができる。
 当意即妙なプランなど持ち合わせてはいない。急ぎ戻って策を練り直す必要はなかったか。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ───そういう疑念が浮かんでは消え、浮つく島へと溶けていく。

 ……そうとも、手段を選ばないのなら。
 UGNイリーガル
   守護者  のエンブレムでは似合わない手段だってある。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 駆けながらレネゲイドを身体に廻す。輪郭を手離すように空間へと身体を溶かす。
 得物に死を込める。疑わしきを視界に入れれば、何を問うよりも先に弾丸で答えを導けるように。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 駆けて、駆けて───

 目に入った虚の水面に座す影/背を向けている/絶好の機会/躊躇う暇はない/照星を掲げる/引金に指を掛けて───

“虚の狩人/残骸” シホ :      
──────駄目だ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「───っ、止まれ!」
 ・・
 それをすれば終いだと、直感が指を押し留める。
 

 ……あれが本当に人間なのか?
 背を向けられている今でさえ、
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 まるで私が喉元に刃を突きつけられているような───

SYSTEM :
 あなたがまこと狩人であれば。
 獣を前にするべきなぞ、一つしかない。

 ましてや、ヒトの道理を脅かす獣には。

 ならばその引鉄を止めたのは、畏れか、あるいは打ち込めば/誘えば“乗る”と見込んだからか。
 何の掠り傷も作らず、およそ排除の手段としては対極にあたる言葉の弾。
 狩人の得物としては不適切な/人の人たる証左としてはこれ以上ないものを向けた瞬間、“ハイウインド”があなたのフォワードとして適切な位置───動き出した時に庇える位置───に付く。

 即座に仕掛けなかったのは、概ねそういうことだ。

SYSTEM :
. マンティコア
 虚ろな夜の魔獣が振り返る。

  イツモドオリノカオ
 楽しそうな笑顔で、その鋭い刃物のような視線を突きつけながら、
 もう片方の手で握手を求めるが如く柔らかな顔立ちと、鈴を鳴らすような声。
 イカク
 攻撃への返答は、視線だけで良かった。
 それだけで、刻が滲む。ひずみが、指向性を持とうとする。

SYSTEM :
 視線に悪意は毛ほどもなく。
  バロール
 時を歪めるものである証、その片鱗を覗かせるだけ覗かせてから。答えた。

“喚楽の人喰い虎” :
 ・・・・・・
「はじめまして!」

“喚楽の人喰い虎” :
「…きみときみは、えーと。多分そうですね?
 どうせ覚えないと思うので、自己紹介はいりません!」

“喚楽の人喰い虎” :
「そしてその頼み事は、聞きたくありませんのでけっこうです!」

SYSTEM :
 言いたいことだけ言うような生き物とあなたは聞いていただろうが、彼女の楽し気な顔に乗る声は、いつもよりは何となく楽しそうだった。
        ・・・・・
 こういうのを、機嫌がいいと言うのだ。

 獣が久々の食事にありつく飢えから来る興奮状態にも、子供がありもしない幻想の御届け物を待って、布団に入りながら何度もツリーの下の靴下を見る態度にも見える言い草で。

“喚楽の人喰い虎” :
「ドウマンから言葉が来なくなったので、ずっと探していましたが…」
 

“喚楽の人喰い虎” :
「…漸く。漸く…。
 物の怪と…リュウグウジマのあるじと…」

“喚楽の人喰い虎” :
  ヒトリボッチノバケモノ
「わたしと同じ生き物と、遊べるんですからね」

SYSTEM :
 概ね深いことを考えていなさそうに見えても、それは少なくとも3つの部分については“留めて”いたことの証で。
 
 いま握った、継承者不在の遺産が”何”を起こそうとしているのかを、承知の上の台詞だった。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「───……っ!」

       ケイコク
 止まれという嘆願に、返答はにべもない拒否。
     ホシイモノ
 当然だ。欲望を前にして、言葉だけでは幼子だって止まらない。

回想する、曰く─── :
   ・・
「私、厭だくらいの気持ちじゃ………。
 痣もついてあげられません」

「だって私。
.      オーヴァード
 ふつうの普通じゃない人達より、強いですからね」
 

“虚の狩人/残骸” シホ :
 けど、今の私にできるのはそれが精一杯。
 銃口を向けて、引鉄には指を掛けて。撃鉄は起こしたのだと示すぐらい。

 私には、彼女の一撃を凌ぐ凍てついた肉体も、彼女と鍔迫り合うに足る刃の拳も持ち合わせてはいない。
 相手が僅かでもその気にさせるのは、死を装填した銃口を自らの顳顬突き立てるのと同義だ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……“ハイウインド”。
 彼女が遺産を奪ったFHの単独勢力。島に巣食う怪物を待ち望む羅刹……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「───闘争で、決して埋まらない虚を埋めようとしている」

『先生』 :
「噂をすれば影が差す、か。
 よくあるタイプなのか、そうじゃないのか、いずれにしたって………」

『先生』 :
「会話出来てもしない方、らしいな───」

SYSTEM :
 要約、非ジャーム。
 短い言葉の択び方と自覚の有無から判断したが、それはこの状況で対話の解決を望めるとかそういう類でもない。

 島に巣食う怪物───夢見るなきがら。
 その在り方を知っているものはこの場におらずとも。

“喚楽の人喰い虎” :
「んん。どうでしょうね。
 埋まってくれると思ったから此処に来たんですよ?」

“喚楽の人喰い虎” :
「ひとの暮らす社会では私は強すぎる。
 ひとを寄せ付けない彼方では私はお気に召されなかった───」

“喚楽の人喰い虎” :
「埋まらぬものを埋まらないままにしないのも、欲しいものを“欲しい”とするのも…。
  オーヴァード
 普通じゃない人達のやることなのでしょ? だからそうしているのです」

“喚楽の人喰い虎” :
「けどアシヤ、ずっと連絡くれないし…。
 さては死にましたね! 悲しんであげられませんが、まあ、忘れるまでは覚えときましょ!」

“喚楽の人喰い虎” :
「そうそう、アシヤと言えば…。

 これの使い方を教えてくれたのもアシヤなんです。
 なんだったかな。
 海の底に行きたがる“なきがら”? が、”そこにいる”って勘違い? するらしくって………」

SYSTEM :
 海の底に行きたがる骸、即ち。
 ホデリを名乗るものから幾度か聞いただろう。

 彼の知るものが、この島を作った物の怪。
 それを起こすため/自分と同じものを探すために島にやって来たのがこのいきものだ。

 これの手綱を握っていた(ような気がする)ものは、“喚楽の人喰い虎”に言わせてしまえば死んだも同然で。
 しかし、宝物のある部屋に行く鍵だけは持ったままだから、いま上機嫌にそれを開けようとしているだけ。

荻野目 旭 :……待ってください、ここで登場できますか!?

GM :シーンプレイヤーの許可があれば構いません…が…

GM :お忘れなきよう…この1d10…

荻野目 旭 :ぐ……!!!!で……でもここが突っ張りどころです!

GM :分かりました…シホちゃん どうしますか?

“虚の狩人/残骸” シホ :
状況は一刻を争う…負担を強いますが、せめてもの援護があれば素直に助かるところです!

荻野目 旭 :むしろ迷惑かけちゃうかもですけどね…! ありがとうございます!

GM :分かりました…では…

GM :心を込めて振りなさい…

GM :この1d10のダイスをねッ!

荻野目 旭 :んんん……!!

荻野目 旭 :1d10 (1D10) > 6

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 120 → 126

荻野目 旭 :
 湖の手前に広がる森を覆うように、ほの淡く光る花の群れが一斉に開花した。
 それらを迷わず踏みしだき、僕は気配の方向に走る。
 ……ここまでの道が用意されていたのは幸運だ。
 領域をゆがめれば、騒ぎの中心には直行できた。

荻野目 旭 :「────ッシホさ、」

荻野目 旭 :「……!」

荻野目 旭 :喉がひきつけを起こしたみたいに、残る息がひっくり返った。ぴたりと足が止まる。

SYSTEM :
 嘆願の先にあるものが、それを不快とも思わず静観し。
 むしろ上機嫌のままに謳うようにあることとあることを言い放ってすぐのこと。

 耳を劈くには一歩足りないくらいの、張り上げられた声。
 振り返ったのは二人。振り返るまでもなく視線に入って、口にしたのがひとり。

 そのひとりと視線が合うことが。
 あなた/旭にとっては、まさに割り切れないことであったのだろうが。
 ならば知ってもいるだろう。そうも忘れられない生き物が、あなたの思考の先をなぞるかどうかを。

“喚楽の人喰い虎” :
     ・・・・・
「おや! はじめまし、」

“喚楽の人喰い虎” :
「て? ………ではないですね。
 あさヒ。アサヒ? そう。旭………」

“喚楽の人喰い虎” :
「合っていますか?」

『先生』 :
「───馬鹿な、“ナイトホーク”!」

SYSTEM :
 合っていますか、は。

 忘れる前に他人と会うことなど、欠片も飽きることのない“珍しさ”のあることだから、それを楽し気に振り回しているだけだ。

SYSTEM :
 視線に敵意が無いのを承知の上で。
.. ハヌマーン
 振動操作の近接用エフェクトと思しき動きが男の手に宿る。

 向けられた当人は意に介さず───。
 見るまでもないものへの“のんき”な対応。

荻野目 旭 :「──ッ、………」

荻野目 旭 :
 すう、と大きく息を吸う。
 先生がいることも、彼女がいることも、なにもかも想定外で、正直あの人さえいなければひっくり返っていたと思う。

荻野目 旭 :彼女がいることが、あの日の“ラッキージンクス”と同じぐらいの勢いで僕を瞬間冷却。慎重に息を吸って、吐く。

荻野目 旭 :「…………。…………せん……せい。だめです。まだ抑えて……」

『先生』 :「…説得力のある面じゃあないな、それは…」

『先生』 :「とはいえこの徹頭徹尾不思議さんに対しては、確実に俺が後輩のようだ───」

荻野目 旭 :首を振る。ありがとうございます、とごめんなさい、の両方だ。顔はたぶん真っ青だけど、意図は伝わってくれたみたい。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………あさひくん………っ!」

“虚の狩人/残骸” シホ :
どうして……旭くんだって、まださっきまでの闘いの負荷は癒え切っていないはずなのに!

───脳裏を埋め尽くして今にも表に出てしまいそうな思考を何とか押し潰す。
彼だってそれは承知のはずだ、いまは“隙”を見せている場合じゃない!

“喚楽の人喰い虎” :
「………?」

“喚楽の人喰い虎” :
「間違えましたか?
 合っていないなら、まあ勝手にしゃべります、というか………」

“喚楽の人喰い虎” :
「合ってないなら、このまま起きるの待っているつもりですけど………。
 きみ、私に何か用事があったりします?」

荻野目 旭 :「…………ッ」

荻野目 旭 :……シホさんは無事そうだ。そこには安心して、ぎこちなく口元に笑みをつくる。

荻野目 旭 :……。問題は──彼女だ。

荻野目 旭 :「………。いいえ……合ってます。三度目ですね、“喚楽の人喰い虎” 」

“喚楽の人喰い虎” :「はい」

“喚楽の人喰い虎” :
「わたしが覚えてるのは三度目ですが。
 きみが覚えてるのは何回分ですか?」

“喚楽の人喰い虎” :
「まあ───言われても分からないから、いいですけど!
 “ラッキージンクス”から気にするなと言われました!」

“喚楽の人喰い虎” :
「あの反応はたぶんそうだけど違うヤツなので、まあ何回でもいいですが。

 言いたいことだけ言いますね。
 遊び相手、迎えに来てもらう最中なんです。帰って下さい」

荻野目 旭 :「……そうやって『帰ってください』を素直に聞いてくれる人……いままでいました?」

“喚楽の人喰い虎” :
「さあ? 今のはやや意地の悪い質問ですね。
 きみ、というか、こないだ会ったミクルベハヤテたちの言葉をまだ覚えてる限りですけど」 

“喚楽の人喰い虎” :
「わたし、覚えたいこと以外覚えないとご存知でしょう?

 覚えてないなら、それはたぶんどっちでもいいことですね」

荻野目 旭 :嘘がなくて忘れっぽいって……つくづく最悪だな。

“虚の狩人/残骸” シホ :
………、……………。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「“覚えたいこと以外覚えない”…………
 それならば、あなたは……………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「もしもあなたがいま待ち望む、“遊び相手”が。
        ネガイ
 あなたが抱えた虚の形に填まるものでなかったなら……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「その先も、………あなたは探し続けるんですか?
  ハジメマシテ    カッテ
 同じ挨拶と、同じ理屈を振り回して」

“喚楽の人喰い虎” :
「その質問、ミクルベハヤテにもされましたね。
 
 見つからなかったらどうするのか」

SYSTEM :
 流行とかいうアレですか? と首を傾げて一度。
 その時の答えをなぞるように。
..イツモノカオ
 笑顔以外は特にない生き物の声に、少し別の色が混ざる。

SYSTEM :
 見つからなかったら。
 ・・・
 違ったら。

“喚楽の人喰い虎” :
「此処で見つからなかったらしょうがない。
 ・・ ・・・・・・
 また、はじめまして、を繰り返すことでしょう」

“喚楽の人喰い虎” :
「ですが………」

“喚楽の人喰い虎” :
「………ニホンでも北欧でも。
 どこだったかな。似たようなのがたくさんいたところ………」

“喚楽の人喰い虎” :
「そこでも見つからなかった。みんな同じ。手を握ったらサヨナラで、一度ひっ叩けば永遠にサヨナラです。
 だから、そうですね…」

“喚楽の人喰い虎” :
「見つからなかったら次どうするかは…。
 実は決めてまして」 

“喚楽の人喰い虎” :
「アシヤの法螺話を。
 ちょっとやってみようかな、と」

SYSTEM :
 それが何を意味するのかを知っている者はいない。

 朗らかに笑う前の静かな顔。
 そこに、楽し気な感情がなりを潜めていたことを識るものはいても。

“虚の狩人/残骸” シホ :
…………。

いつかの声 :
 ───独りは 半ばに死ぬのは
   ただ 何も▇▇▇に死ぬのは
    ・・
 ───イヤだ

いつかの声 :

 この時に取り残された島で………。
 もう何にも追われない、死ぬことに怯えなくてもいい………!
       ・・
 俺様だけの、楽園の出来上がりだッ!

いつかの動機 :
『………それ故に興味があるのだ。
 それだけ巨きなレネゲイド反応がもしも自我を持っていたのならば………。           
 何を考え、何を求め、何と繋がり、
 ・・・・・・・・
 何のために生きるのか』

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……この島は、どうしてみんなこうなんだ?

“虚の狩人/残骸” シホ :
 まるでこの島は、あの雪原のように冷たくて。
 だとしたら……
         ・・・・
 彼女が、この島に繋がったなら。
 きっと、彼女が求めるものは……いつまで経っても……

SYSTEM :
 ・・
 そうだとして。
 それを止められるほど、人間は潔く出来ていない。
 名残にすることが精々で。魔が差すことを止められない。

 人間だけでない。
 あなたたち
 レネゲイドとつながったものは。振り返った先に、いつもそれを抱えている。

荻野目 旭 :「…………。…………」

荻野目 旭 :(────ああ)

荻野目 旭 :
 見れば見るほど、本当にそうだ。
 何度目かの、最悪の気分。
 彼女がそうであってほしくないっていう僕の最悪が、僕の目を曇らせていた。
 ……彼女は、どうしようもなく──

荻野目 旭 :
 ・・・・・
(チルドレンだ────)

荻野目 旭 :
 UGNか、FHか。その違いはあっても。
 生まれ持った力に振り回されて、
 引っ込め方など学ぶはずもなく、
 縋る支え棒を溶解させた、
 あの日ホームにいたものと、なんにも変わらないじゃないか……。

SYSTEM :
 窓のない遊び場で、遊具とは言えない遊具を手に。
 あるものは融かし、あるものは砂に変え、あるものはひん曲げて。

 やがてその経験が、その剥き出しの力が社会に相容れないことを知って、矛への収め方を学ばねばならぬと自然に知る。

 それは経験あってこその話だ。

SYSTEM :
 チルドレンが、
 失敗の経験を積んでこその話だ。

 そう見えたのならば。
 積んだ傍から忘れ去る賽の河原に残るものが“何”なのか。

SYSTEM :
“好きにやれる場所”とは何故必要なのか。

 ………そんなものは蛇足だ。
 相容れないものを滅ぼすことだけを考えたならば、それは余談だ。

 あなたがそれを考えてしまえる幸福さは、今よけいなものだったのか、どうか。

荻野目 旭 :「……………………」

荻野目 旭 :
「……法螺話?」
 ……どんな答えが来るかはうすうすわかっても、問わずにはいられない。

“喚楽の人喰い虎” :
 ・・・・・
「ここにいる、をどこでやっても。
      オーヴァード
 ふつうの普通じゃない人達のようにやれないなら」

“喚楽の人喰い虎” :
「もう少し、ね。遠いところに行きます」

“喚楽の人喰い虎” :
「そうしたら………」

“喚楽の人喰い虎” :
「わたしにとっての“ソレ”も、そのうち見つかるでしょう。
      ・・
 そのうち、これも、終わるでしょう?」

SYSTEM :
 いまの言葉には、明らかに違うものが混ざっていた。

 探したいものは───。
 ・・・
 ずっと遊んでくれる相手かもしれないが。
 その言葉択びが答えだ。

SYSTEM :
 この生き物が探しているのは。

回想する、曰く…… :
 だからまあ、此処で見つからないならしょうがないけど。

 私はそのオーヴァードというやつなので───そうですね、また、です。“うんざり”とするのは、ないと思うけど死ぬまでお預けでしょう

回想する、曰く…… :
 物の怪を起こして、私は私のためにしたいことをするので。
..     アソんで
 その時、止めに来てくださいね

SYSTEM :
 ………聞いていれば答えも出せよう。

 聞かねども。
 まことの探し物は別にある。

 己と対等に、覚えていられる相手など。
 ・・・
 いないと■■■っているものだから。
 こいつの本当に探しているもの、北欧で探していたものの正体は一つだ。

SYSTEM :

 あとくされないしにばしょ
 最期の自由を遂行する場所だ。

荻野目 旭 :「────」

荻野目 旭 :「………………」

荻野目 旭 :「………………ッ」

荻野目 旭 :………………ふざけてる。

荻野目 旭 :好き放題世界中引っ搔き回して、僕みたいな誰かを山ほど生んで、身の丈合わないおもちゃを壊して遊んで──

荻野目 旭 :対象年齢合わないものしかないからって、気持ちよくなった気になって勝ち逃げ?

荻野目 旭 :……最ッ悪だ。

荻野目 旭 :こんなのに頭めちゃくちゃにされた、僕の3年間──どうして責任取らせてやろうか。

荻野目 旭 :「……………………………」

荻野目 旭 :
「……終わろうが終わるまいが、好きにしてくださいよ」
 沸騰した頭が、必要な理屈をこね上げて勝手を振り回す。

荻野目 旭 :「だけど……」

荻野目 旭 :「……そうする前に、僕が、あなたに、」

荻野目 旭 :「……安全圏からぬくぬく手を振りかざしてるやつを殴れないまま舐める土の味、教えてあげます」

荻野目 旭 :
「戦いに向いてないこの僕が……
 あんたを空の上のバケモノじゃなくて、檻の中の虎ちゃんにしてやる」

SYSTEM :

 少年が声を張り上げなかったのは、
 おそらく最後の理性だろう。

 だが、それ以外は理性が効いていたとは言い難い。
 宣戦布告などやっている暇はないと、周りを見ればわかるコト。
 ましてやこの生き物に、過去の意趣返しを口にしたところで、それは。
 ジャーム
 音又への自己認識と、たいして変わらない。

SYSTEM :
 
 つよ
 強靭さの折り合いを教わらなかった生き物。
 ただ、その性能を振るう術のみ/数字のみで測られたのだろう、虚ろな空の獣。
        ・・
 海向こうにて、自由そのものを皮肉った看板の生き物。
          リベンジ
 そいつに突きつけた報復宣言を………。

“喚楽の人喰い虎” :
 ・・・ ・・
「きみが、私に?」

SYSTEM :
 変わらず笑うだけのものが、
 矛盾を含んだ敵対宣言に、本当ならいったい何を出力したかったのか。
 打っても虚しく、空寒く響いた音の中。
 女が、いつもと違う形を含んで笑った。

SYSTEM :
 笑う以外の出力を出来ない生き物のことわりを理解する手段があったなら。
 足を振り上げて、降ろせばつぶれる蟷螂の斧をどう思ったのか、説明はそう多く要らない。

 その声、その顔は。二度目だ。

“喚楽の人喰い虎” :

“喚楽の人喰い虎” :
「その時は、きっときみを覚えると思います。
 だから、ええ、まあ。出来たらいいですね」

“喚楽の人喰い虎” :
           ぶき
「───ああでも。きみの仲間、ここに揃っていないでしょ?
 待ってる暇も、実はそんなになくって」

SYSTEM :
 揺らぎが、少しずつ、強くなる。
 湖が少しずつ枯れて───否。

 枯れていくのは途中まで。
 水位が上がっていく。底無しの穴から、うねる水面の彼方から。

 誰ぞに言わせるならば、己のたったひとつの繋がり、その名残の力の一部。
 意識を守る水の揺り籠から放たれて、目覚めた時、己の頭の上にあるものに、きっと“そいつ”が反応している。

█▇▅▇▇▅█ :
    またせきこと ゆるせ
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

█▇▅▇▇▅█ :
   なんじのかえりしところに
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

    かのうみに ようやく
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

『先生』 :
「………いかん! 今すぐ離れろ!」

SYSTEM :
 その時、発言と共に。

 比較的足の速い男が、きっと足の初めにためらいのある少年を引っ張ろうとするのと。
          テクスチャ
 その場を作っていた風景が、波によって真っ新になりながら崩れようとするのは、ほぼ同時。

SYSTEM :
 手を取った取らずも関係なく。
 あなたは、その瞬間を見るだろう。

 崩落していく島の中枢。
 目覚めと共に”珠”の持ち主を招く、海の彼方にて潮と共に招く声。そして…。

“喚楽の人喰い虎” :
「───よし。
 では行きますか」

SYSTEM :
 とても平坦だけど上機嫌な。
    つよ
 誰より強靭く。
 自分と同じもの/孤独を埋める穴を見つけられなかった生き物の、あなたを置き去りにする声を。

荻野目 旭 :「─────ッ」

荻野目 旭 :
 手を引かれるまま退避するけど──思わず手を伸ばす。

荻野目 旭 :
 よわ     よわ
 強靱いヒトが、強靱いヒトを求めて手を伸ばすその様が……あまりにも。
 あまりにも自分勝手で、最悪すぎて……。

SYSTEM :
 伸ばした手を遮るように、波が何もかもをさらっていく。
 積もり積もった名残。朧げな世界のかたち。

 なきがらが、末期の夢から醒める時だ。

SYSTEM :
 島の中心部“だった”ものが。

 大きな孔を空けてそこにある。
 渦を巻く海色。先の見えない薄暗くも深い穴は、きっと底の底/なきがらの今も眠る場所にあるのだろう。

 嵐に情緒はなく、生き物の影も形もない。
 常に振り続けるそれは、魔の差したという生き物の、いまなお振れ幅の大きい感情のかたちだろうか。

SYSTEM :
 ………きっとここだけではない。他を探しても、やがて似たような、荒涼と、名残すらない海色の帳だけになるだろう。

 夢から”そいつ”が完全に醒めた/彼女の悲願が成った時、この場所がどうなるかなど分かったものではない。

SYSTEM :
 ………ホデリと、あの裂け目の一部がどうなっているのか。
 潮の満ち引きと共に、足元に来る波をよそに、今の今まで部外者だった男が呟いた。

『先生』 :
「………途中で“残骸”にレクチャーを恃まず正解だったかもな」

『先生』 :
「知識の入れ直しになっていたかもしれん………。
 無事か? 見ても分からない部分も含めて」

荻野目 旭 :「……っ、はあ、はあ、は……っ」

荻野目 旭 :「ご──ごめんなさい、先生……会ってばっかりで、思いっきり迷惑掛けました……」

『先生』 :
「いや構わん。正直に言うと混乱はしちゃいるが…」

『先生』 :
「どうも俺がするべきだったことは全部やってもらってしまっていたらしいからな。イーブンにしとこう。

 ………さっき、あの娘。だいぶ聞き捨てならん名前を出したことだし」

『先生』 :
「ミクルベハヤテ…三廻部颯と言ったな?
 俺の中での最悪が秒で更新されたが、その辺りを聞く前に確認しよう」

SYSTEM :
 先生/“ハイウインド”が、巨きく空いた虚の穴を見る。
 恐らくはそこに飛び込み、出会いたいものと出会いに行った生き物を指して。

 他の仲間がいるのかどうか、今すぐ追うのかどうかを、いちおう確認する響きだ。

SYSTEM :………後者が是ならば、彼はこの熱に浮かされた夢を、何ら明かすことなく、あなたの言葉を信用して行動してくれるだろうが。まあ、そうも行くまい。

荻野目 旭 :「で……すよねえ。もしかして、これまでの経過の話もあんまりできてない状態だったり……?」

荻野目 旭 :なんとか取り繕った冷静で、先生とシホさんを見ますよ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……残念ながら、合流直後に異変が起きたもので。
 颯さんの同級生たちが巻き込まれたことと、あの遺産が奪われたってことぐらいしか……」

首を軽く振る。

『先生』 :
「そうだな。詳しい話は道中で…という猶予すらなかった」

『先生』 :
「…ここがどういう場所…かはまあいい。とりあえず、俺の説明に大して時間は割かないでいい。

 大事なのはそっちの面子だな。他のやつはどうしてる?」

荻野目 旭 :…………。…………。

荻野目 旭 :と、とりあえず! 必要なことはかくかくしかじかと共有しますね。なんというか、情報量多くてごめんなさいなんですけど……

『先生』 :構わない。構わないが。

『先生』 :その情報量を一度にぶつけられた俺の判断に自信が持てない

“虚の狩人/残骸” シホ :私についても大概な自覚はあるから何とも言えない…

荻野目 旭 :女子高生遺産覚醒遺産島継承者暴走女子高生継承適合孤独化物大カーニバル内2大トラウマ!!!!!!!

『先生』 :早口言葉か!!!!!!!

SYSTEM :
 内容の殆どに遺産・覚醒・女子高生が混ざっていたが、大事なファクターはある意味そこである。
 というかこの“ハイウインド”が一番頭を抱えた内容はそこだ。

 二番目は…。

『先生』 :
「………こんな状況で話の通じる相手を選り好みは出来ん。分かるぞ。それは分かる。
 おまえに罪はない」

『先生』 :
「“パラディン”かあ」

荻野目 旭 :「“パラディン”ですう……」

『先生』 :
「おまえに罪はないが…そうかあ…」

SYSTEM :
 UGN日本支部最強の聖騎士。
 この華やかかつ頼もしい称号に「元」がつき、今では誰もが名前を出すのもはばかられる男。
 
 誇りを葬り去って胸奥に仕舞い、夢のために防人の名を捨てた人。

 ………二番目に遠い目をした彼であるが、FHに対しての対応は幸いなことに、必要以上でもなさそうだ。アレルギーめいたものを起こすこともないように見える。

『先生』 :
「必要な分の話は聞けた。
 とりあえず…。

 一番目に頭抱えたいやつの安否確認からだな。こういう時こそ落ち着いて、だ」

荻野目 旭 :しかも“パラディン”とゲリラ合流することになったんですよ しんじられますか?

荻野目 旭 :絶対知ってる人が黙ってたせいでぇ…!

『先生』 :良く分からんがそいつからオモシロがられていることは分かった

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……ともあれ、私たちの友軍は生徒さんともども『ホデリ』と名乗る協力者の元に匿われています。
 仮初の同舟とはいえ、彼らへの恃みは不可欠です。安否確認も兼ね、合流を急ぎましょう」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「それに……」

『先生』 :「それに?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 軽く足下を叩く。
 押し寄せる空想の波が、水面に波紋を描く……。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「ひとたびこうなってしまった以上、きっとこのまま彼女を追ってもここで退いても待ち受ける未来は変わらない。遠からず安全と言える場所も消失する……。
 おそらくこれが、互いに落ち着いて話せる最後の機会です。万全の姿勢を整え、皆が『やり残しはない』と言える状態で進む必要があります」

『先生』 :
「異論はない。見て来た其方の判断だって言うならな。
 バラけて纏まらずに突入するよりはいい判断だ」

『先生』 :
「………最終決定はそっちに委ねよう。
 キャリア振り翳すには場所が特殊過ぎる。これに対応できるのなんざ、海向こうのトンチキ馴れした連中くらいだ」

『先生』 :
 トクベツサンサークル
 遺物捜索局とか。

荻野目 旭 :「同感ですう……。もう、ここに来てから余裕もなくって」

荻野目 旭 :「さっきは見事に取り乱しましたし」がっくし。

『先生』 :
「気にするな。
 オーヴァード
 半分人間やってるんだ」

『先生』 :
「言ったろ。先生にも聞いた30分くらいで後悔したくなるのがあるって。
 そういう人間関係、切り離せないモンは割り切ってどうにかするしかないんだな」

『先生』 :
「言うことの何倍も難いが。
 というわけだ。それなら尚のこと、一旦のインターバルもいるだろ」

荻野目 旭 :「『人間』関係って言うのは複雑ですう……でも、ホントにおっしゃるとおりなんですけど」

『先生』 :
「だろ。せめて年上面の一つはさせてくれ。
 完全にカッコ悪いまま歴史に残りそうだからな、先生」

SYSTEM :
 時間を置いても、虚の洞が塞がる様子はない。広がることはあっても、だ。

荻野目 旭 :「……。………」

荻野目 旭 :「先生にもう少し早くいてもらえたらなぁ」わざとらしくしんみりした声で。

『先生』 :
「大人の心だって傷付かないわけではないんだぞ、荻野目」

SYSTEM :
 わざとにはわざと。
 ・・
 先生と呼ばれた時の彼の声で、肩を竦める。ちょっぴり本当に申し訳なさそうな顔。

荻野目 旭 :「……はぁい。反省してま〜す」

荻野目 旭 :
 ホントにいろいろどうしようもないけど、とりあえずいつもどおりになる分の時間はもらえてありがたい。
 ここにいるうちはスマートなチルドレンで通したかったけど、あんなんじゃあここまでも台無しだ。
 できれば三廻部さんの前では、分別のきく知らない組織の怪しい少年兵で通したいんだけど……。

荻野目 旭 :
 そうもいかないよなあ。
 ともだちか。
 僕がここから来てからずっと持ってる第一目標は、その友達候補を蹴り飛ばして土つけることなんだけど。
 マンガとかアニメとかで出てくる、任務に忠実だけど…みたいなタイプで流せないかな。
 ……でも、言っちゃったしな。

荻野目 旭 :
「自信なくすなあ…」
 小さくぼやく。
 そんなこと言いながら次の行動の算段をつけているのは僕の偉いところなんだけど、今回はずっと、それ以外のとこでマインドセットがうまくいってない。余裕もないし、周りを見れてない。
 そういうの、おねえさんの件でやめにしようと思ったんだけど。

荻野目 旭 :……首を振る。やめやめ。こんな調子で本命を土まみれにしそこねてたら、かっこ悪いまま歴史に残るどこじゃない。

SYSTEM :
 あなた/旭のするべきことは変わらない。

 あなたは、少年兵の顔とともだちの顔をして、このあとはきっとチルドレンとしての顔以外で出会うこともなくなるだろう少女/二度出会うことはないだろうクラスメイトを、無事に帰すこと。

 まことのみんなのさいわいのために、おのれのからだを使うことだ。

SYSTEM :
 ………ただ。

 “ナイトホーク”がそうであっても。
 あなたの、冷たい北欧の地に置き去りにしてきたもの。土にまみれた苦い報復の味のなごりが、心をくすぐって仕方がない。

 3年前と、あの生き物はきっと変わらなかった。あなたがあそこでたじろげば、きっと“あわれみ”から同じことを言っただろう。

 一字一句、違わず。
 ・・・・・・・・
 なにしに来たのだ、と。隔てた向こう側のものと見做した存在へのやさしさとして。

SYSTEM :
 ………ただの怪物で終わってくれなかったもの。割り切れない、空に浮かぶ暗雲の徴。

 それが、あなたにとっては、きっと任務に関係なくとも手を出さなくてはいけないつながりだった。

 大変複雑だろうが、そんなものだ。

SYSTEM :
 そんなものすらなかった生き物が、
 ずっと求めていたものであるように。
         ・
 あなたはこれから敵になるのだ、と。
         トモ

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :シーンが終了しました。ロイス取得、更新等ありますか?

“虚の狩人/残骸” シホ :私のロイスに変更はありません。

荻野目 旭 :更新なしです!

GM :かしこまりました。

GM :では…


ミドルフェイズ終了〜合流シーン

SYSTEM :
【Check!】

 ミドルフェイズの終了条件を満たしました。

壱:NPC「蘆屋道満」の接触または『撃破』
弐:プライズ「20」以上の獲得
参:トリガーシーン「海鳴」の発生

SYSTEM :
【Check!】
 3-3の判定が変更されました。

判定:??
支援:??

壱:選択時にトリガーシーン発生
弐:『ホデリ』が必ず同行する
(※行動不能だった場合でも行動可能になる)

GM :
 ミドルフェイズの終了条件が達成されました。
 これより『任意のシーン希望』がない場合、このラウンドを以て当該トリガーシーンへの移行が行われます。

GM :
 分かりやすく言いますと…。

GM :
「やること全部済ませたら以降幕間シーンないまま自動進行」です。

“害群之马"龍嘉睿 :事態が一気に動いてるし、仕掛けにいきたいのもやまやまだが……

“害群之马"龍嘉睿 :提案だが、ここで一度合流して、皆の認識を合わせておきたい。トヨタマノヒメも何気に初合流だ。

GM :良いでしょう…

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【幕間・拾玖】

 登場PC:全員(任意)
 登場侵蝕:なし
 

SYSTEM :

Tips-“ハイウインド”堂馬頼家
 カヴァー/ワークス:先生/UGNエージェント
 性別:男性 年齢:22 侵蝕率:40%前後
 シンドローム:ブラッグドッグ/ハヌマーン

 千葉県K市に通う高校生「池田咲楽」が持つ遺産の監視と護衛のため、
“ナイトホーク”荻野目旭と共に派遣されていたUGNエージェント。
 
 元は相応に名のあった拝み屋/格式ある家の出、どこぞの家の分家。
 その家とコードネームには何ら脈絡がないが、
 彼自身が家の名にそこまで縛られたくないがためのものらしい。

 没落したなりにオーヴァードの名を知るすべがあり、
 振るう力が備わっていて、それを概ね「正しいこと」のために使える凡人。
 物腰穏やかだが何処か影があり、UGNのRC訓練中の出来事を概ね黒歴史と語る。

SYSTEM :
 この『リュウグウジマ』と呼称された空想の島。
 呉越同舟の中で、目的と定められたものはいくつかあった。

 漂流した民間人の救出と、それから。
 此処に何事か用事のあった“魔獣の巣”改め…蘆屋道満を名乗る者を伴って、己が欲望のために荒野を征く“喚楽の人喰い虎”の阻止。
 後者の阻止は意味が異なろうが、概ねこの辺りに割合の異なる私情が付与される程度のものだ。

SYSTEM :
 うち、お互い島の先で臨んだ蘆屋道満の討伐と“同窓会”。
 その終わりに前後して起きた出来事で、リュウグウジマ…ある青年の名残のかたちは様変わりした。

 微睡む夢のかたちから醒め、降りしきる雨と吹き付ける風が海を荒らし。
 焼き付くように残った景色の名残は、その悉くが錆び付き、薄れ、消え始める。

SYSTEM :
『時空の裂け目』で空間を隔てた屋敷の一室には、幸いなことに…影響はないが。
 その在り方、この屋敷なるものもさほど変わらない。

 島にて起きた二転三転の出来事の直後、時間を置いてホデリの招きであなたたちが戻って来る。
 見つかった民間人、エージェント、蘆屋道満の生死。何よりも島の中枢にて起きた出来事、一刻を争う現状であれど整理が必要だというのは、誰の目で見ても明快だっただろう。
 生徒たちの様子を見るためか、心の内側をひと段落させるためか、颯をいったん置いて、緩やかに意見が一致する。
 
 ………見慣れるにはもう少し時間はいるが、真新しさは随分減ったその一室。
 緩やかに一堂に会したその場。

 余分な口出しをせぬようにと、普段のようにその体を横たえる様子が、いまばかり、そのホデリノミコトにはなかった。

SYSTEM :
 
 優先順位はあれど、誰もが何より説明を欲するだろう、“ふわり”と浮いた希薄なかたち。
 その手で触れることは叶わず、そして事前に頭に叩き込んだ何にも当てはまらず、ただ。

 何の、誰と繋がりを持つかだけは確かな。

 レネゲイドから生まれたもの。
 意思持ち願われたレネゲイド。

“トヨタマノヒメ” :
「あなた………」

“トヨタマノヒメ” :
「…そういうふうにしてるのね。あなたは」

『ホデリ』 :
『………ふん』

『ホデリ』 :
『尤もなり。お互いに…、未練なるか』

SYSTEM :
 誰かが説明をする前の第一声。
 口数少なく、互いに軽く鞘当てをした様子は嫌悪から来るものではないが、好意と呼ぶべきでもなかった。
 無理解ではないにせよ、いささか揶揄せずにはいられないもの。

 つまり、同じ時に置き座られた忘れ人たちだ。
 彼女の説明を直に受けていない龍と、この場にいる“パラディン”以外にも、多少の察しはつく。

SYSTEM :
 …もしも状況判断序でに、此処に至るまで蚊帳の外の男など連れてきていようものなら、彼だけは大変可哀そうなことに例外となるが。

久外境耶 :
「……ほーん」

 ……鈍い頭でも、一号の話を聞いたあとじゃ察しはつく。あの女がトヨタマだ。

久外境耶 :
 一方からすると弟を誑かした馬の骨で、もう一方にとっては手前の男を受け入れなかった兄貴だ。
 バカタレの愚痴/共通の話題で盛り上がるなんてコトには、まあなりそうになかった。

久外境耶 :
「で? おたくらの挨拶それで終わり?」

『ホデリ』 :
『苛んでやるな。…なにも言はずに止むまいが』

『ホデリ』 :
『それで汝らが転ぶも本意には非じ。
 …次は足元気を付けよと、それで委曲なり』

SYSTEM :
 要するに、別に言いたいことがないではないが、それを言う時間はとっくに過ぎている………という、風化のかたち。
 もう片方は、少なくともそれを言う間、なんら顔を変えなかった。不機嫌には、少なくとも。

“トヨタマノヒメ” :
「あの時望むべきが違ったとしても、
 今が変わらないもの。彼も。…ええと」

“トヨタマノヒメ” :
「はじめまして。そうね。
   コトバ
 この発音は合っている?」

久外境耶 :
「そんなもんかね」

 積もる話はない。仮にあってもそれをしたい相手は同じで、目の前のこいつじゃないってワケ。

久外境耶 :
「ま、年寄りの言い分は若者にはワカンネーし?」

 たまには言い返しつつ、ナイトホークをちらっと見る。

『ホデリ』 :『老い人』

『ホデリ』 :『…老い人…』

久外境耶 :ダッハハ効いとる! マジか

荻野目 旭 :気まずっっっっ……! っていうかこの状況で僕に振るかなあ! もう!

『ホデリ』 :
『時の忘れじを名乗るとて…。
 いざ向かふに非じことはある…』

SYSTEM :その適度な間合いの、ふるい生き物たちの視線が一斉に、割り切れないことだらけの少年に向いた。

荻野目 旭 :ホデリさんがここにいる理屈はともかく、まあ多分時間のめぐりがメチャクチャなこの島だから……体感時間は千年とかではないんだろうなあ

久外境耶 :頼むぜヘンないきもの担当大臣〜

荻野目 旭 :イヤです〜う! 絶対ヤ〜! そんな本部じゃないんですから〜!

荻野目 旭 :「……えっとぉ」

荻野目 旭 :「はじめまして……に、なりますね。僕は旭といいます。おおむねわかっているつもりなんですが、念のため確認しますと」

荻野目 旭 :「あなたが……三廻部さんの言っていた、ホオリノミコトさんの?」

“トヨタマノヒメ” :
「トヨタマノヒメ。というの。
 名前ね」

“トヨタマノヒメ” :
「連れていった方で、置いていった方。
 どのくらい、あの子が話したのかは、分からないけど」

“トヨタマノヒメ” :
「だから。きっと合っているわ」

“トヨタマノヒメ” :
「…それで、あまり大層なことは出来ないし、長居は出来ないのだけど…」

SYSTEM :
 それは“聞きたいことがあるのかないのか”を待っている仕草だ。置いておく、と判断した場合でも、それはそれでよいとするような。

荻野目 旭 :……。正直を言えば、イチからヒャクまで全部説明してほしい気持ちなんだけど。

久外境耶 :え〜じゃあアレ聞くかアレ

久外境耶 :「あんた男のシュミ悪くね?」

荻野目 旭 :「直球でひとさまの旦那さんディスらないであげてくださ〜い!」

“トヨタマノヒメ” :「悪いと思うならここにはいないわ」

“トヨタマノヒメ” :「これは答えになってくれる?」

荻野目 旭 :「こっちも直球でのろける〜う……」

久外境耶 :グエ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

“トヨタマノヒメ” :
「…良くも悪くも純粋なの。
       ・・・・
 ひとの世は、唯一だけではいられないと…。
 私は知らなかったし、彼も知らなかっただけで。ただ」

“トヨタマノヒメ” :
「その行く先に呑まれた人たちにはたまったものではないわね。
 …ごめんなさい、がいいかしら」

SYSTEM :
 その“ごめんなさい”の矛先は、どうも茶々入れをしたあなた以外に向いているような気がしたが、矛先の向けられた先が答えようとしないことが全てだろう。

久外境耶 :うへぇ

久外境耶 :「ベ〜ツに〜? あんたがなんぼのろけようがしらんし、おれはこいつの弟嫌いだから。そんだけ」

 あんたの男──とは今度は言わなかった。ガキじみた抵抗。選ばれた側の言い回しが二重に気に障ったからだ。

SYSTEM :
 私情宣言の矛先は、口元の緩みに合わせてほんの少し眉が下がって、それきり。
 人間のような表情とは言い難いが、まるきり違うとも言えない。海のかなた、レネゲイドが生んだいのちの感情表現。

『先生』 :
「………。ところで。いいか。
 黙っていようかと思ったんだが」

久外境耶 :「あ?」

『先生』 :
「はじめまして。
 さっきの反応的に………」

『先生』 :
「“ナイトホーク”の被ちょっかい先はきみか。
 ………実を言うとついさっき漸くUGNのツレと顔を合わせたばかりで、はじめの一歩からサッパリでな」

『先生』 :
「仔細はいいんだ。
 なぜ長居出来ないのか、何の目的で行動しているのか…話の腰を折るようだが、その辺りを聞いても構わんか?」

久外境耶 :うわ真面目なの増えた! センコーみてえ!

荻野目 旭 :うわ〜 うれしそ〜

『先生』 :そりゃ(カヴァーが)先生だからな。

久外境耶 :センセーなのに何も知らねえのお〜

荻野目 旭 :「気をつけてくださいね、先生。彼、若い先生をいじめるの好きなタイプなんで」

久外境耶 :なにしてたんすか今まで〜〜〜〜

荻野目 旭 :煽る煽る

『先生』 :「その忠告が5秒遅かったな荻野目」

“虚の狩人/残骸” シホ :こ、この人も何かご苦労されたようですし…。

荻野目 旭 :てへ…。

『先生』 :
「いや、ごくごく正直に言えば、何してた、に“何も出来なかった”を言うのが精々なわけだが…まあそこはいい、弁解出来ん」

“害群之马"龍嘉睿 :
 ……新たに増えた漂流者の発言を前に、トヨタマノヒメに視線を送る。
 どうする? アンタの口から話すか? と。

SYSTEM :
 アイコンタクトの先の彼女は、あなたからの促しと、無知と未知の青年の言葉を受け取ると、軽く頷く。

“トヨタマノヒメ” :
「どこから話したものかしら」

SYSTEM :
 そうして切り出した彼女の言葉は、概ね龍が聞いたことと同じだ。

 魔が差して人間を辞めたけど、手にした遺産の影響との反発の影響下にあって姿もかたちも変わり、海の彼方に沈み込んだ成れの果てが、ホオリノミコト。
 この場にいない少女に命と遺産を託したもの。

SYSTEM :
             ユメ
 時のゆがみの中で、微睡む妄想のかたちをとって作られたものが、このリュウグウジマ。誰も彼も、臨んではやって来れない、閉ざされた孤独の島。

 それをずっと見守っていたけど、蘆屋道満を名乗るオーヴァードが、ここに踏み入る手段を手に入れて、その結果として“よくないこと”が起きるから阻止しないといけなかった、と。

 プランナーのことと、龍自身のこと。
 その辺りを抜いた軽い話。

『先生』 :
「………目的は分かった。だが。
 失礼ながら、干渉する手段がないまま来たんじゃあ、阻止の目的は果たしようがないな。メッセンジャーをしようにも、遅れざるを得なかったことがあるんだろうが」

“トヨタマノヒメ” :
「ええ………。
 だから頼み事をしたの。ここに、ひとりだけ、望んで島を訪れてもらったのね」

“トヨタマノヒメ” :
「…そこにいる彼を。“害群之马"を。
 この島の外側にいる彼の心と記憶を借りて、扶けになるように」

荻野目 旭 :「……………。……………」

荻野目 旭 :「……つ、つまり……」

荻野目 旭 :「木口さんが急に落ち着いたと思ったら、そもそもこの人は『木口龍さん』本人ではなく……?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……、……………」

荻野目 旭 :「そしてあなた特製のお手伝いさんだった、と……、……??」

久外境耶 :「やっっっっっぱ男の趣味どうかしてんだろ!?」

SYSTEM :
 オーヴァードの中には、たまにこういうのがいる。
 ・・・
 複製体、だ。
 もともとのオリジナルのかたちをなぞって、似た力を伴うもの。人為的に作られるものがほぼ全てを占めるという。

 これは、海底に沈む、純粋な祈りのかたちで生まれたレネゲイドビーイング…。
 トヨタマノヒメが、現実に干渉する手段として、“頼み事/依頼”の果てに、海向こうの青年の形を複製したということになる。

“パラディン”的場啓吾 :
「そういうことだ。ご丁寧に聞かせてくれたよ。
 イロ男のネーミングは伊達ではなかったな、こいつ」

『先生』 :
「俺としてはいま2番目にご丁寧に聞きたいのが貴方の存在なんだが」

久外境耶 :大ウケ

荻野目 旭 :ですよね〜

“パラディン”的場啓吾 :
「よくいるFHのロクでなしの挨拶なら
     ダブルクロス
 ここは『裏切り者です』とかいうものだが、そいつより説明の主役がいるな」

久外境耶 :じゃあ本題はいる前にセンセーに肩組んで「あれおれの部下〜」って吹いとこ 今のうち今のうち

荻野目 旭 :うちの先生いじめないでくださ〜〜い

SYSTEM :“ハイウインド”は旭を3度見した。

久外境耶 :いやで〜〜〜〜す

荻野目 旭 :「こんななんです ずっと」

“トヨタマノヒメ” :
「それで。彼、自分の理の味方よ。
 すこし、昔見た人に似ていたから」

“害群之马"龍嘉睿 :
「……俺なんぞよりアンタの方が面白い話出来そうじゃないのか、パラディン。そこの漂流者の動揺が見て取れる」

 メンテの手を止めて、口を開く。

“パラディン”的場啓吾 :
「買いかぶられたな?
 海向こうにもうひとつ自分がいるなら、命捨てても易い仕事と嘯く男ほど面白い話は出来んぞ」 

“パラディン”的場啓吾 :
「ちなみにこの話で三廻部颯とやらは聊かにヒいた。
 朗報だな、命の使い方が早死にするチルドレンタイプではなかったようだ」

久外境耶 :(笑いすぎて引っくり返る17歳)

荻野目 旭 :「その情報にどこで安心を覚えればいいんですかぁ……?」

荻野目 旭 :「……僕個人の感想は差し控えますけどお」

久外境耶 :「ええ〜言えよウケるから」

“害群之马"龍嘉睿 :
「複雑だろうが生ける伝説とただの路地裏のマフィア(なんでも屋)。
 どっちの方が面白い話が聞ける? ってところだろ。俺の説明は依頼主が話したもの以上は出てこないぞ」

 軽々しくするもんじゃないってのもわかったし……

荻野目 旭 :「じゃあ言いますよ?」

荻野目 旭 :「命の捨て方の度合いが彼みたいなふうではなかっただけって話じゃないですかぁ……」

荻野目 旭 :どっちにせよ心臓には悪いしぃ

荻野目 旭 :「まあ、それはともかく……」

“トヨタマノヒメ” :「…もう少し話した方がいいのかしら、彼のこと」

荻野目 旭 :
 本当に彼が正直じゃないのも確かだ。
 自分がスペアだなんて分かった時、ふつうここまで平然としていられるんだろうか。

久外境耶 :「要はイカレ男があるイミ真性だったワケだろ? 見ろよ、こいつもうしれっと関係ねえツラで手作業してやがる!」

“害群之马"龍嘉睿 :
「うん、そう思ってくれる方が俺も気が楽だ。
 このことを颯に口走って引かれたとき、軽々しく口にするもんじゃないなと思ったしな……」

 とはいえ説明責任は果たさなければならない。

「すまなかった、境耶。
 芦屋道満の不意を打つ為などとは言い訳にもならんな。俺の仕事に巻き込んだこと、"蛇頭"──マフィアとして、ここに詫びよう」

 深く頭を下げた。

“トヨタマノヒメ” :「…」

“トヨタマノヒメ” :
「彼、蘆屋道満のことを話したらね」

“トヨタマノヒメ” :
「自分を警戒対象にされたくない…だったかしら。
 私に、自分のことを忘れさせるように恃んだの」

荻野目 旭 :……なんて?

久外境耶 :「はあ?」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………は?」

“トヨタマノヒメ” :
「ふしぎな人として振る舞ったのね?
 責任は私にもあるのかしら。意図はあるから、ごめんなさい」

SYSTEM :
 それはもはや納得の対極線にありそうだが、彼女なりの説明が横で、極めて真面目くさった謝罪と共に響いていた。

 点と点を繋げば筋は通ろう。
 その通り道がジェットコースターなだけだ。

『ホデリ』 :
『…我が意を得たり。事此処に至って…。
 あの覚えある気配、偽りでなしと勘付く我が身…』

『ホデリ』 :
『…汝。この娘の使いに飽き足らず、たわけを演じるにも非ず…』

SYSTEM :
 さいしょから“たわけ”であれば、誰に警戒されることもないだろう。
 その引き金を恐れられることもないだろう、という話。

 ホデリの言葉が聊か途切れ途切れなのは、その事実の先にあることを含めて、半ばの理解と半ばの困惑が混ざっているからだ。つまり………。

SYSTEM :
 ………その平然としている男と来たら。

 事が全て終わった時、本人ではないと分かった上で、その意識が名残と過去に置き去られたものと同じく海に還ることを、恐らく理解してその態度だということだ。

久外境耶 :
「巻き込まれたのは仕事じゃなくて奇行だろうが……」心底嫌そうな顔

久外境耶 :
「ま、ソレが仁義的なコトなら謝罪は受け取っといてやらあ。
 ロクデナシ近縁がゴメンで済ますのは、おたくの覚悟決まってておもれーからっつうのを忘れんなよ。スペアのオニーサン?」

久外境耶 :
「ま〜でも結果オーライだろ。おれ、おまえが教えてくんなきゃ手出てたかんな」

 ホデリの困惑まじりの納得に笑いをかぶせる。
 直前まで海藻へばりつけて腰抜かしてた男が、誰よりも先に虎女に反応したとあっちゃ疑うのは虚偽のほうだ。

久外境耶 : 
 ……まあカスみてえな演技って言われたほうがまだ頷ける真相ではあったケド。頭おかしいんじゃね?

“害群之马"龍嘉睿 :
「うん、すまん。
 ピエロを糸で操ってるやつを探す為に、
 まともなことを喋らんピエロの口を割らせようとするヤツはそういない、と思ってね。
 だから、記憶を弄り、人格を弄ってピエロ(俺)を作ってみた。結果的には騙せたようで何よりだが──」

“害群之马"龍嘉睿 :
「とはいえ人格を一から再構築して作られると、
 何をしでかすかわからんというのがお前のお陰で分かった。
 本当にすまなかった。そして、この経験に、感謝しよう。谢谢您(シェーシェーニ)。
 無事に戻ったら、俺の事務所に来るといい。美味い炒飯が食える」

久外境耶 :「え〜炒飯……」肉とかがいい17歳

“パラディン”的場啓吾 :
「どうやら本場の人間のようだし、もう一声強請れるんじゃあないか?
 そもそも此処にいるおまえと島の外のおまえは記憶を引き継ぐのか、分かったものでもないが」

“害群之马"龍嘉睿 :
「……満漢全席は無理だが北京ダッグまでなら出せる」

 作るのは俺じゃなくて受付の王(ワン)だが……。

“パラディン”的場啓吾 :レパートリー限定ではなかったらしい。

“害群之马"龍嘉睿 :表向き喫茶店に宴会料理を求めるんじゃあない。

久外境耶 :マジ? 喫茶に事務所? 探偵じゃん

荻野目 旭 :フィクション探偵じゃないですか…

“害群之马"龍嘉睿 :日本に来た当初、ボスからこれが日本(ヤーパン)の定番だと聞いたんでそういう創りにしてみた。

“トヨタマノヒメ” :そういうかたちで自分を覆うと聞いたから参考にしたのだけど。

“トヨタマノヒメ” :世の中 広いのね

SYSTEM :
 で、実際のところどうなのか。

 彼が本気で記憶の受け継ぐ受け継がないを関係なく…本能で理解し道理を超越する生き物かもしれないという例外をさておいて。

 彼自身の自覚ある複製体である“害群之马"/アナタの記憶は誰のものなのか。
 “パラディン”の何と無しの台詞に、彼女はこう答える。

“トヨタマノヒメ” :
「望むなら。願った分は果たすわ。
   ユメ
 この島が覚めて、あなたたちをいたところに戻す時に。ただ………」

“トヨタマノヒメ” :
「此処で起きたことはあなたのもの。
 特に、あなた自身が“そういうこと”を択んでしまったなら…。
 それを、外のあなたに刻むわけにはいかないでしょう」

SYSTEM :
 言うなれば、

 仮に“戻れなくなった”ら、醒めゆくこの島と共に、その記憶は置いていくという話。
 あなたが『温い』とか『やりようがいくらでもある』とか言った通りだ。命がふたつある、とこれを捉えるのはあまりにも特殊な人間で───義理とでも言うべき己だけの理に生きる人間の概念だが。

“害群之马"龍嘉睿 :
「そういうものか」

 すっかり忘れていたが、そういえばどこまで引き継げるかの話だ。

 我がことながら、納得してしまった。
 要するに"死んだ"──あるいは、"戻れなくなった"記憶を受け継がせることには、渋いらしい。

“害群之马"龍嘉睿 :
「気遣い、どうも。
 だが、起きたことを全部記さなければなるまい。
 向こう側の精神に影響が出ない程度には、引き継ぎは頼む。
 折角のこの体だ。向こうの俺の経験値になるのであれば、たとえそうなったとしてもそれを知らないままでは、勿体ないからな」

荻野目 旭 :「そ……」

荻野目 旭 :「それって、つまり……『万が一』があった時にも、それをばっちり覚えていく気だっていう……?」

久外境耶 :大ウケ

『先生』 :「…第一印象から凄い男だな、彼は…」

“害群之马"龍嘉睿 :
「──"戻れなくなったこと"自体、ジャームは自覚出来ないのが普通だろう?
 万が一がないに越したことはないが、その万が一は生きている内には絶対に経験出来ないことだ」

「なら、覚えておくに越したことはない」

“害群之马"龍嘉睿 :
「精神(ココロ)と衝動(コロシ)の限界を知れば、やれることが広がる。
 いい機会だ。毒も栄養も、などとコミックスの受け売りだが、味わえるならそうするとも」

“害群之马"龍嘉睿 :
「……そういえば、記憶を戻してから名乗っていなかったか。
 ハイチュージーマー
 “害群之马”龍嘉睿という。本籍は真っ黒の本場中国、一応の所属は広東支部だがどうせ認知はしてまい。木口龍は、カヴァーの名だ」

 そして本職は密航ビジネスを展開するマフィアだ。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……、………………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……名前を騙っていたのは、私だけではありませんでしたか」

『先生』 :
「………名前を?」

『先生』 :
 レムナント
「“残骸”、今のはどういう───」

荻野目 旭 :「あ〜……んん」

久外境耶 :「じゃあおれもやろっかな」

荻野目 旭 :「……もしかして、先生には何も言わずに?」シホさんを見る。

荻野目 旭 :「やめてください ただでさえややこしいんですから」

『先生』 :
「見ての通りあの状況、聞く暇がなかったものでな」

久外境耶 :ちえ〜

『先生』 :
「それに俺相手へ説明している時間がちょっと惜しそうだ。
 言いたくない、言うのに手間がかかるなら言わなくていい」

『先生』 :
 ・・・・・・・・・・
「言わないと座りが悪いなら聞こう。
 それを聞いたら、俺は俺のキャパシティで判断するだけだな」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……………………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……ごく正直に言ったしまえば。
ニセモノノナマエ          ホントウノナマエ
 木口龍を名乗っていた人物が、龍嘉睿のカヴァーであった真実は、あまり私の中で大きなものではなかった。
 掴みどころのない正体不明のXが、輪郭のぼやけた詳細不明のYに変わったというだけだ。

 “残骸”を名乗ったものが“狩人”である事実もまた、この場の大多数にとって大きな意味をなさないのと同じように。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ただ、私にとって。
 私にとって、“残骸”と“狩人”が、コインの表裏であるように。

 彼にとって、その名乗りはある種の境界を引くものではなかったのか。
 そうならば……。………。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……“ハイウインド”、先程は失礼しました。急を要する話が重なっていたもので。
 騙ったというのは、単に私がゼノスの出であるというだけのこと。大した意味合いはありません」

『先生』 :
「………ゼノスの………」

『先生』 :
「想像していたケースの中では二…いや三番目だな。
 連中、強味であり弱味が“どっちつかず”なことだから」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「ご理解をいただけているようで何よりです。
 ゼノス
 私たちは、どちらにも寄り添い、それでいてどちらにも染まりきらないいきもの」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………ただ、それだけに。
 “トヨタマノヒメ”さん、でしたね。あなたにひとつ確認したいことがあります」

“トヨタマノヒメ” :「ええ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「“害群之马”……龍嘉睿と名乗ったこの方の名前を。
 あなたはいったい、誰から伺ったんでしょう?」

 軽く、“害群之马”にも視線を投げる。
 ひとつの、根拠のない、それでいて確信めいた予感を抱えて。

SYSTEM :
 それは。
 至極当然の疑問だった。

 トヨタマノヒメがどうやって“害群之马”を知ったのか。
 海の外側に触れる機会を恐らく持たない生き物が、何故。

 複数の中から選べる程度/“頼れる”と判断した人間を見込める程度には人を識っていたのか。

SYSTEM :
 ………海の名残のいきものは。
 少し考える(ように見える)仕草のあとに、口にした。

“トヨタマノヒメ” :
「お友達よ。かなたからの」

“トヨタマノヒメ” :
「…名前は、ひとつ教えてくれたわ。
 たぶん、言ってもいいものね」

“害群之马"龍嘉睿 :「構わん。そも、その名前が、彼女が考えている名前じゃなかったら俺が言う」

“トヨタマノヒメ” :
「あなた、前のことばから思っていたけど…。
 “彼女”と知り合いなのね。顔の広い人?」

“害群之马"龍嘉睿 :

“害群之马"龍嘉睿 :
「そのゼノス、俺の知り合いにツテがある。
 そこ経由で、彼女がアンタに俺を紹介したんだろう」

“害群之马"龍嘉睿 :
 そう言って、タイガーアイに視線を向けます。

「……"同居人"から聞いている。
 アンタが、"害群之马”を知っていたかどうかまでは分からんが──」

“害群之马"龍嘉睿 :
   ・・・・・
「──"プランナー"に伝えておけ。

 人の眠りを邪魔しておいて、成功報酬の振り込みを忘れたなどと抜かしたらどうなるか分かっているんだろうなと」

SYSTEM :
 その言葉の矛先に上がった、今の今まで何ら喋らずに“隣人愛”の殻を被っていたもの。

 ひとでなしの賢者、タイガーアイは、少なくとも狂人の殻を脱ぎ捨てた狂人の挨拶を流して、別のレッテルを張りつけるほど趣味の悪い生き物ではなかったらしい。
 あるいは、その名前に思うところがあったのか。

タイガーアイ :
「存じぬよ。だが、いま覚えた。

 死を蒐集する生き物は無二でなくとも、
 一期一会のために死を許容する心持つ人間は希少であろう」

SYSTEM :
 遠回しの狂人呼ばわり。
                ・・
 正しく、人になれぬ生き物たちの隣人であった龍嘉睿へ、タイガーアイが音を広げる。

 ブラザーフッドの電子音声に、またしても何も知らない男がぎょっとした。

タイガーアイ :
「あれが惚けていたようには見えぬがな。

 我とこの者を送りつけたまことの所以は、少なくとも“ソレ”ではないと思っていたが、まあ、いい」

タイガーアイ :
「一番納得の行く答えだ。
 我にとっては。催促状は送ってくれよう」

“トヨタマノヒメ” :
「“プランナー”。ええ、そう。
 他にも、名前のある、ひとの身近な友達」

“トヨタマノヒメ” :
「私の恃み事の切欠よ。
 困ることがあるから、って」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………………やっぱり」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 出てきた名前に驚きはなかった。
 時の流れに揺蕩うこの島に在るものが、時の流れに押し流され続ける現実のものに関わりを持てる所以など、指折り数えれば足りている。その中では最も驚きがない名前だった。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 けれども…私が驚きを持たなかった本当の理由は、多分違う。

 ・・・・・・・
 知っているからだ。
             プラン
 人の眠りを揺り起こして、目的を遂げることを厭わないその手管を。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 人の姿を模って、人の言葉に倣ういきもの。
 龍嘉睿だったものを送り出した“トヨタマノヒメ”も、水崎志穂だったものを送り出した“プランナー”も、
        ・・・・
 言ってみれば、じんせいの大先輩…に当たるわけだが。

 不思議と親近感は感じなかった。
      オリジン
 なにより、 根底 がまるで違うのだろう。鋼鉄の外殻に、体温が宿らないことと同じように。

 それがいま、目の前で展開されている。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……“害群之马"。
 名前を明かし、契約を以ってこの島にやってきたあなたに今更こう問いかけることは、愚問かもしれませんが」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「あなたはいつか言いましたね。

 ・・・・・・・・
 死ぬかもしれないって思うだけで、体の震えが止まらない。オーヴァードになってから……そこそこ経つのにって。」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「いま、あなたは。
 記憶だけを渡したら、いま“ここにいるあなた”という存在は、どうであれ死ぬのかもしれない。
 無事に全てが終わったとしても…そこから先にあなたはいないのかもしれない。
 それを、恐ろしいとは思わないのですか?」

“害群之马"龍嘉睿 :
    ・・・・
「ああ、恐ろしいよ。
 揃って俺のことを人でなしみたいに言うが、俺だって怖いとは思うさ。
 死んだらどうなる? 消えたらどうなる? 考えただけで震えが止まらない」

“害群之马"龍嘉睿 :

 男は、その問いに一切表情を変えずにさらりと答えた。

“害群之马"龍嘉睿 :
「──だがそれは、俺が人間であるために、レネゲイドが齎した衝動(おくりもの)でもある。
 恐怖とは根源だ。生物が生きていくためには絶対に必要なものだ。

“害群之马"龍嘉睿 :

 シホ、アンタに語った言葉には嘘偽りはない。……いや、木口龍の方がもっと上手く表に出していたか?」

“害群之马"龍嘉睿 :
 男は、死ぬことそのものに対する恐怖感を、とうに失っていた。
 否、麻痺していたのだろう。
 鉄風雷火が飛び交い、明日を生きる為に略奪するのが当たり前の世界で生きていた以上、
 同時に、すぐ身近にある死に慣れ親しんでしまっていたのだから。

“害群之马"龍嘉睿 :
                 ・・・
「だからこそ、俺が真に恐れるのは、後悔だ。
 俺の死が全くの無意味なものになるかもしれない、
 次に繋がることなく途絶えてしまうかもしれない」

“害群之马"龍嘉睿 :
「……俺が死ぬときは、少しでも有意義なものにしなければならん。
 そしてこの状況、"本体"の俺が、どうあれ消える運命でしかない俺(じぶん)の死を少しでも多く活用出来る──それならば悔いはない」

“害群之马"龍嘉睿 :「──だからこそ、少しでも持ち帰り、必ずその仕事を成し遂げて来いと、本体は俺の記憶と人格にも干渉したんだろう。逆の立場でも、俺はそうする」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……次に、繋ぐため…………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……それは、果たして私が聞きたかった答えだったのか。実のところ、問うた私にも分からなかった。
 恐ろしいと言うに留めて、形だけが似た傷を舐め合うことを何処か期待していたのかもしれないし。
 恐ろしくないと言ってくれたのならば、或いは私は『思考基盤が全く異なるのだ』と、使い捨ての感情で簡単に納得できたのかもしれない。
 

“虚の狩人/残骸” シホ :
 だのに、“害群之马"の語った言葉は、ある意味では普遍的で。
 頭では理解してしまえたのに、共感を持つことはできなかった。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………、………………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……。私は、“プランナー”の掲げた計画の元で生じた存在です。
 記憶も持たず、私はこの世界に産み落とされた。“木口さん”と、見ようによっては同じようなものです」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「けれども私には、継ぐものがなかった。
 過去から継がれたものを、継がれたままの形で振り回すのが精一杯で。
 いままで迷うことを遠ざけていたから、いままで生きる理由も内側に求めるしかなかった。何が自分にとっての“悔い”なのかも曖昧なままで……」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……私は、私を擲つ戦いを恐れている。
 他人が、同じように目の前で自分を擲つことも怖いままで」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「  それ
 ……恐怖を抱えたままでも、私はあなたの側で戦えるでしょうか?」

“害群之马"龍嘉睿 :
「……」

“害群之马"龍嘉睿 :
 ……打ち明けられた悩みを茶化すことは、しなかった。
 女が真面目に悩んでいる時は、
 お前も真面目に聞いて答えを出してやれと、
 とっくにくたばった傲虎(義兄弟)から散々言われていたからだ。

 ……清々しいまでに男尊女卑に満ちたクソ野郎の言葉だから、半分聞き流していたが。

“害群之马"龍嘉睿 :
「その恐怖は、他の誰でもないアンタのものだ。
 俺とアンタは此処で初めて会った。他の奴らも同様にだ。
 だから、俺はアンタのことを詳しくは知らん。アンタが俺の素性を知らんのと、同じように」

“害群之马"龍嘉睿 :
 一つ、前置く。
 一期一会とはよく言ったものだが、素性に関してはお互いにとってノイズにしかならない。 
 だから、送る言葉は一つしかない。

“害群之马"龍嘉睿 :
「──俺は、言ったな」

“害群之马"龍嘉睿 :
 手帳を、見る。
 末尾に刻んでいる文言だ。

“害群之马"龍嘉睿 :
「……雷管は己の手で叩け。放たれた弾丸は、誰にも止められん。ここまでは、言った。

“害群之马"龍嘉睿 :

         ・・・・・・・・・・
 だが、その雷管は他の誰かが決めたもので叩かせてはならない。
 その暴発はきっと撃つべきでない誰かを射抜くことになるのだろうから──これは、言ってないな」

“害群之马"龍嘉睿 :
 ここで、戦えるといえば、その言葉を信用するのだろうし。
 いいや、無理だと言えば彼女は諦めまた悩むのだろう。
 そんなものは解決にすらならないと、男は続ける。

“害群之马"龍嘉睿 :
「その答えはその恐怖を抱え、その引き金(トリガー)に指をかけ、その重みを感じ、
 照準の先にいる敵を見据えるシホ、アンタが決めることだ。 
 いや、言い切った方がアンタの為になるか──」

“害群之马"龍嘉睿 :

   ・・・・・・・・
「──俺の側で戦えるか?
 ……その答えを決めておくといい」

“害群之马"龍嘉睿 :
 少なくとも俺の出会った人間は、皆、心の雷管を自らの撃針で叩き、
 時には大胆にも魂の契約(依頼)をする者もいた。
 あるいは、宝物のため、というのかもしれないが。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………」

 知らず知らず、握り締めていた拳を解いて。
 じっと、自分の掌を見る。

 黒い手袋に残された指の跡。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 この掌も。
 この目も。
 微かに滲んだ痛みも。
 全ては他の誰かに与えられ、或いは継がれてきたものだ。

 それを自覚したことは、初めてではない。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 それでも……答えのつづきを探したいと。
    ロクスレイ
 いつか“彼女”が護ろうとした、その温かさを側で感じたい。
 “彼女”の模倣ではなく───私自身の願いで、護りたいと。

 そう願ったことも、忘れてはいない。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 その理由を握ってもなお、恐れの消えないこの心が、私の証明であるのなら。

 雷管を叩き、心臓に火を放つものが、私の内側に在るとするならば。
 照星の先を定めるべきものが、此処にあるならば。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……。その問いの答えは」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「───きっと、行動で示します」

“害群之马"龍嘉睿 :
「それでいい。
 口よりも、弾丸がアンタの答えを示してくれる」

「鉄砲玉とは、そういうものだ」

久外境耶 :
 ──死の恐怖、ねえ。

 ベツに否定はしない。命あるかぎり、それは付いてまわる本能だ。トーゼンおれにだって。

久外境耶 :
 死に触れすぎた体は、死の気配に過敏だ。恐れよりも先に、結果の先読みに引きずられる。

 つまりは無だ。感覚を持たず、情動の一切を欠いた虚無。

                 ねつ
 だが凍りつく身心に、衝動と欲望が血潮を回す。おれは死なないと吼え、誰にも殺されないと猛る。

久外境耶 :
 だから、おれに言わせてみれば。

 恐怖は抱えたままやりすごすモンじゃない。そいつが生きてるかぎり追ってくるなら、足掻いて逆らって、何度でも追い返せ──だ。

久外境耶 :
 まーおれは逆に追っかけ回してっけど!

SYSTEM :
 死は恐ろしくない。

 本当に恐ろしいのは、その死が意味のないものとして風化すること。
 ………似ているけど違うこと。アナタが抱き締める理由とはきっと違うだろう。

 オーヴァードにとっての死は鈍く、遠く、感じ難いものだが。
 死の荒涼から生まれ、死神をあしらいながら代行してきたシホにとって、その疑問は必然であり。
 それを………生死の分水嶺を走ることが日常だった男が答えの架け橋を作ろうというのは、ごく自然なことだったのかもしれない。

『ホデリ』 :
『継ぎしことなく絶えるを厭う、か』

『ホデリ』 :
『…いや…海の姫巫女が、汝を指し示した所以も理解るというものよ』

『ホデリ』 :
『理解るだけだが。
 懲りずとも、只の娘に鏑矢を見せつけるは程程にせよ』

SYSTEM :
 後半は茶化しだったが、少なくとも今の回答で彼なりに困惑半分の部分に整理をつけはしたらしいかった。

 自分の伴が、恐怖に対する向き合い方に確立した答えを言わずとも、それを善しとも悪しともしない/あくまで変わらぬ自己認識を固めたのと同じように。

“害群之马"龍嘉睿 :
「うん、その辺はすまん。気をつけよう。
 どうもクセが抜けきっていないとカタギを前に凄んでしまうらしい。

 兄貴からも言われてブン殴られたものさ。
 "テメエは素面で頭イカれてることを喋りやがる"って」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「は、はは……」

 私の問いに向き合って、彼の言葉で応えてくれたこと、私なりに感謝はしてる。してるけど。
 殴られた理由の方は…ちょっと否定しづらいのがなぁ……。

“パラディン”的場啓吾 :
「───とまあ。
 これが龍嘉睿…“害群之马”の真相ということだ」

久外境耶 :「クソ映画より酷えや」

“パラディン”的場啓吾 :

“パラディン”的場啓吾 :
「全くだと言いたいが、
 クソ映画もびっくりのトンチキなんざ探せば幾らでもあるぞ」

SYSTEM :見るか? 持ち逃げしたヤツ。と、シャレにならない冗談を一節挟んだところで。

“パラディン”的場啓吾 :
「そこまでして仕留めたかったらしい“蘆屋道満”も無事にくたばった。
 最後っ屁はあるのかないのか、って感じだが」

“パラディン”的場啓吾 :
「しかし手綱をどうにか握っていたはずのモンスターも無事に一匹野に解き放たれて………ご覧の有様か?
 今時のモンスターはどんな夢を見るものかと思ったが」

久外境耶 :「言い方メルヘンだったけど、要はタメ張れるのと遊びてーってハナシしてたな。中身までモンスターじゃなかったぜ〜あいつ」

久外境耶 :な〜〜〜〜??とわざとらしくナイトホークに体重かける

荻野目 旭 :つぶされる

荻野目 旭 :「わざとらしく話振るなあ、もう……」

久外境耶 :「主役を大事にしてんだよ」笑

荻野目 旭 :「鼻で笑ってるの、きこえてますよ」

荻野目 旭 :「……まあ、そうですね。直接会ってわかりました。僕も“ラッキージンクス”に同感です」

“パラディン”的場啓吾 :「“喚楽の人喰い虎”がね」

“パラディン”的場啓吾 :
「10年変わらずの暴れ馬、どっちかと思っていたが………」

“パラディン”的場啓吾 :
「で? そいつの望みがサシでやって満足することなら、放っておくとこの島とやらはどうなる、トヨタマの。
 おまえの望み通りになるか?」

SYSTEM :
 ユメ
 島を見るものがホオリノミコトなら、彼が死んだその時にこの島の名残は今度こそ完全に消え去るだろう。
 眠らせる/終わらせるという意味に関して、それはもう結果は変わらない。

 恐らくは返って来る答えを分かっていて口にしたのだろう、“パラディン”なりの愚問であったが、それに答えたのはトヨタマノヒメではない。 

『ホデリ』 :
『ならぬ』

『ホデリ』 :
『あの暗し者の未練が…それでは晴れぬ。
 
 島は終われども、汝らは帰せども…。
 あれが浮かばれぬ。なにより………』

『ホデリ』 :
『終ぞ看取らずでは、わたしが化けて出る。
 この姫巫女も』

SYSTEM :
 トヨタマノヒメは、なんとも言い難い笑みを浮かべるだけだったが、否定しなかった。

 要は、死に目を看取る役目/または叱る役目を”その辺の娘”に譲っては、安心して時の澱みから立ち去ることが出来ないという、古い時代の生き物たちの駄々だ。

“トヨタマノヒメ” :
            ユメ
「どこの海にも連なるこの島が消えたら、なるように。
 …それで、迷い込んだ子たちも、あなたたちも、元の時を歩くでしょう」

“トヨタマノヒメ” :
「………それを承知で、もう少しお付き合いしてくださることを、私もお願いするわ。

 返すものは持ってないけれど。持っているものは、彼の依頼の対価にあげちゃうから」

久外境耶 :

久外境耶 :
「ハ……野郎の未練なんて知るかよ。揃いも揃って甘やかすことしか考えやがらねえ」

久外境耶 :もう十分だってコトに、目の悪くなった年寄りどもだけが気付かない。こんなにバカらしい話はないと舌打ち。

久外境耶 :
「あ〜あ〜。うるせ〜うるせ〜、頼まれなくてもやるっつの。満場一致でとっくに決まってんだ遅刻やろ……女だわ」

久外境耶 :あぐらに頬杖ついてそっぽ向く。

“トヨタマノヒメ” :「ありがとう。けっこう近くにいたのだけど、これでも」

SYSTEM :
   ・・・
 その年寄りが、そっぽを向いた少年の遠回しでぶっきらぼうな言葉に応答する。

 恐らく“ありがとう”よりも何よりも見届けたいものがあり、それは彼女でないことまでは分かるまい。
 それが分かっているほど人の察しが良ければ、もうちょっと違った道があっただろう。

荻野目 旭 :不器用な人たちだなあ…

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……それに、もしも“喚楽の人喰い虎”が、この島でさえ充足を得られないとすれば。
 彼女は……『魔獣の巣』は、きっと変わらず次の贄を探しにいく」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 あるいは、彼女があのとき漏らした言葉は真意を覆う欺瞞だったのかもしれないけれど。
 確かに判っていることはある。
 ……“喚楽の人喰い虎”を放っておけば、起こることだけは明白だ。
 ひとつの願いが叶い、幾つかの願いは取り残される。

 それを止める義理や義務は、私にはないのかもしれないけれど…。

“害群之马"龍嘉睿 :
「……いずれにせよ、俺は依頼主の意向に従う。
 この仕事を果たすには、彼女の存在は障害だ」

 ……男の方針は変わることはない、と言葉に出す。

荻野目 旭 :「………」

荻野目 旭 :「ここにいる一般人の無事な帰還だけ考えるなら……正直、あなたの話に乗る理由はありません」

SYSTEM :一匹と一体が曖昧に頷く。

荻野目 旭 :
「だけど、僕個人としては、
   ヒト
 あの女の独りぼっちごっこに付き合う理由があって……」

荻野目 旭 :
「ホデリさんにも恩があります。
 なので、お付き合いはします。
 とはいえお付き合いする前に……いくつか確認させてください」

SYSTEM :一匹の沈黙は無言の肯定だった。意外そうにする一体を後目に。

SYSTEM :そして、あなたの小さな感情の火種を見て来た、出遅れの大人の瞑目をよそに。

荻野目 旭 :「……三廻部さんの持つ遺産の代償です」

荻野目 旭 :「“トヨタマノヒメ”さん。ホオリノミコトさんを知っているあなたには、それが解るはずですよね」

荻野目 旭 :彼女の今後の人生、最悪ぶち壊しだ。吐いてもらわないと困る。

“トヨタマノヒメ” :
「ハヤテ…。颯の、ことね。
 御父様の一振りを、彼から継いだ、あの子の」

“トヨタマノヒメ” :
「彼と私を繋いでいたもの。
 思うかたちのまま振るい、鎧う、海鳴りのつるぎ。

 ………それが“優しくできない”時のことを、あなたたちは、そう呼ぶのね?」

荻野目 旭 :浅く頷く。

荻野目 旭 :「僕らは、あなたたちのような『大きなもの』からの贈り物のことを、ひっくるめて遺産と呼んでます」

荻野目 旭 :
「強い力を持つと同時に、
  だいしょう
 その責任を求めるもの。……心当たりはあるんですね?」

SYSTEM :
 それはこの場にいない颯に、
 やや迂遠とはいえ伝えた言葉の通りだ。

 一度だけ、視線がホデリの下に向く。
 ホデリは静かに首を縦に振ったのを見ると、彼女は再び、雫の零れるような音と共に言葉を紡いだ。

“トヨタマノヒメ” :
「彼は、私が地上を去らねばならなくなって…。

 だれとも繋がりがない時。なにも地上に自分を繋ぐ“あかし”がないのだと魔が差した時に…。
 その一振りに、牙を剥かれたわ」

SYSTEM :
 自分を覚えているものがいないのでは、世界が生きていても、それが世界の終わりだ。

 もっとも分かりやすい───。
 オワリ
 絶望の鐘を鳴らす時。

SYSTEM :
 ………他のオーヴァードと大して変わらない。

 彼女は、ひとりで生きていけるほどに強かった者の所以を受け継ぎ。

 そうなれるかもしれないが、決して。
 決して、孤独の道を歩んではいけない。

SYSTEM :
..ダブルクロス
 裏切りの世では、あるいは。
 ただ心砕けた時が身砕ける時というよりも、遥かな難題である。
       ツヨ
 それに必要な弱さは、海の怪物を退け、竜を砕くおとぎ話の如き強さとは、まったく別のものだ。

荻野目 旭 :「……それ、は……」

荻野目 旭 :……あまりに、この島らしい代償だ。思わず、そういう感想が浮かぶ。

荻野目 旭 :「……一人でいられない……なんて、難しい話」

荻野目 旭 :僕らは寂しがりの怪物だ。ひとりで生きるものは本物の怪物になる。いまこの島でわらう、ひとつの例外を除いて。

荻野目 旭 :「……よくわかりました。確認しますけど……」

荻野目 旭 :
「まんいち、彼女がそうなったとして……
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
 今回と同じことを引き起こさない保障というのは、ありますか?」

SYSTEM :
 起きた原因を知っている者が瞑目する。

 今回と同じこと………。
 時の楔を打ち立てて、骸のままに彼方を追い続けるものが生まれるかどうか。

“トヨタマノヒメ” :
「彼女に、時を泳ぐ力はないわ。
 彼が“ああ”なったのはそれと、もう一つ理由があるの」

“トヨタマノヒメ” :
「魔が差した、と言ったでしょう?

 “優しくならない”があっても、その時は、持つただひとりが、私のよすがを辿って海に還るの。
 ………ほんとうはね」

“トヨタマノヒメ” :
「それはあなたの言う確証であってくれるのかしら、そこは…わからないわ。
 これは、答えになっている?」

SYSTEM :
 魔が差した理由は、口にしないが察しがつく。

 言いたいことは、外からの干渉/蘆屋道満の術と、本人の力と、そして何より感情の名残の”行く先”ありきのものだったという話であり………。

 これもまたお察しの通り。
 
 願望であり。
 天文学的に可能性が低い、という前置きだ。

荻野目 旭 :………。小さく息を吐く。重たくのしかかっていたものの一つが、いったん下ろされる音。

荻野目 旭 :「……安心しました。もちろん話を聞けば油断はできませんけど……もっと悪いことも、想像していたので」

荻野目 旭 :
 もちろんそれは『三廻部さんにとって』じゃない。
 もっと最悪な事例があることを知っている僕が、多少マシであることに安堵しただけの話。
 彼女からしたら、あなたは独りぼっちになったら人魚姫みたいに消えてしまいますなんて……笑えないもいいところだ。

荻野目 旭 :……。この島の騒動の間、遠くから見ていた彼女とクラスメイトの姿を思い出す。最低でもあの形が続くかぎりは、きっと大丈夫だろう。

“トヨタマノヒメ” :
           ユメ
「寄り添うすべが、この島と一緒に還る私にはないから。
 とても、怒られてしまいそうだけど…あの子たちを、お願いね」

荻野目 旭 :苦笑い。

荻野目 旭 :「ホントは責任持って『ひとりめ』を保障してほしいとこですけどね。無茶は言いません」

荻野目 旭 :
「……。彼女を生き返らせてくれたぶんのお礼はありますしね。
 ご心配なく。彼女が僕を友達というかぎり、あの子と僕はお友達です」

SYSTEM :
 彼はUGNの“ナイトホーク”でもあるが、10代の荻野目 旭でもあるという、その話に穏やかに彼女が微笑む。
 十分だ、という受け取りと礼のかたち。

SYSTEM :
 …そして彼女が島の終わりと共に、ひとの世との繋がりを断ち、海の祈りの無意識と混ざり合うのであれば。
 口にしない/“還る”ことを伴にはじめ伝えた程度だけで、ホデリノミコトもまた同じだ。

荻野目 旭 :………。………。そう言ったはいいけど。彼女の言葉の中に混ざったちょっと捨て置けない言葉から、おもわず連想する人はいる。人というか犬というか。

荻野目 旭 :伺うように境耶くんを見た。……彼は、ホデリさんも彼女と同じような道をたどる可能性が高いこと、わかってるんだろうか。

久外境耶 :
「……」ふっと目を逸らし、遅れてやってきた自覚に舌打ちをする。誰かさん風に言えば頑しってヤツ。

久外境耶 :
 この利口ぶったチビの目敏さなら、タブン今ので見抜いただろう。軽く聞いたきりで、ろくに掘り下げてねえってコトくらいは。

 ……ついでに言えば、十割の納得じゃねえコトも。

荻野目 旭 :………。なるほど。

荻野目 旭 :まあ想像はつく。先だっての様子からして、境耶くんはホデリさんが言いたくなるまで待ちの忠犬スタイルだ。

荻野目 旭 :
 ちょっと何かは聞かされていたとして、それがパキッとした話じゃないのは想像がつきはする……。
 困ったなあ。正座したままもじもじする。

SYSTEM :
 目を逸らし、軽く舌打ちした不良少年と、反対に何かを言いたげな優等生。

 そもそも、その経緯に気付かぬほど、その“利巧”な少年は彼との間合いが遠くなかった。この、目的違えたその時、船頭多くして山に登る前に船頭を減らしていただろう少年が律儀に悪態ついている位置に収まっている所以の、二番目か三番目。

SYSTEM :
 だからか。
 その様子を見るなり、話題の中心になるのだろう一匹が、音の波紋をぽつりと広げた。

『ホデリ』 :
『然り』

『ホデリ』 :
『島にて何事か目覚めたわたしが、
 還る場所など一つ先しかなかろうが』

『ホデリ』 :
『然て有りぬべし。承知尽くよ。
 旅路の過程に斯様な贅沢だ、対価としては、貰いが過ぎておる』

SYSTEM :
 音が軽く弾む。すべてではない。
 軽く掘り下げて、薄々察している通りの内容を、気にするなとは言わずとも。すべてでなくとも分かってここまで来たのだと認めるように。

SYSTEM :
 一つだけのやり残しを得て、二度眠る。
 あまりにもちっぽけな貧乏籤の正体は、あの時知っていただろう。

久外境耶 :
「……欲のねえヤツ」

 ぼそりと愚痴る。あっちの自認がどうでも、欲張ってナンボの世界でやってる身からするとホデリのソレはあまりに貰いが少ない。

荻野目 旭 :
「……それは……」
 あるべき場所に帰る……って話だろう。
 昔いなくなったはずの人が、ここに来る前の状態に戻る。だけのこと、というのは万事簡単だ。

荻野目 旭 :彼とホオリノミコトさんに関して、聞いていることはさほど多くない。……それでも、理解の及ぶことはある。

荻野目 旭 :「……お兄ちゃんって、なんでもこうも、弟に振り回されるんでしょうね」

『ホデリ』 :
『余情なり。
 先に土を踏み、物心つき、ただそれだけとて』

『ホデリ』 :
『始め斯様に威張ったものが、末期にて、そう振る舞わぬでは筋が通らぬ。それに…』

『ホデリ』 :
『あの日、伝え遅れた言葉を伝えるために…。
        ユメ
 わたしは、この島から這い出たのであろう。願わくば、やらせ給え。
 それも、始めの契りだ』

SYSTEM :
 それが何であるかを彼は語らない。

 恐らくは人のかたちだったのだろうこの白狗が、何故このかたちであるのかも。
 あるいは本人も知らぬことなのかもしれないが、大事なことではないと捨て置いた。

 ただ“さふべき”がそれだと、海向こうの誰も知らない多くの顔のためという建前を作り、伴に行くもののためという余分を作り、そして………兄の名残が、夢見る家人の名残に答えを帰そうというのだ。

SYSTEM :
 これは等しく余分だ。

 彼は、ホデリノミコトの名残は。
 この島と共にかき消えるだろう。
 何かを残したということもなく。いずれ風化する記憶として、それでも。
 ただ名残の前に、過ちも喜びも等しく抱えて生きてきた者として。

 自分の知らなかった世界。兄と弟を隔てていたものを識り、それを振り翳す“贅沢”を覚えて。

SYSTEM :
 …それを、今度こそという契約を持ちかけたきっかけが。
 微睡みの中で彼が見つけて志にした、幸運の四つ葉。その持ち主がなんと思うかは別として。

久外境耶 :
「…… ……」

  ノーコメント
 黙して語らず。

 好きにすればいい。おれもそうする。だからフ思うトコロはあっても最後までついてくし、最期の翳りにならないと決めた。

久外境耶 :
 ……くそ。力尽きたらそれでオシマイ、が通じないなんて初めてだ。

SYSTEM :
 似ても似つかない過去と現在で、思うところもカテゴリ違い。
 共通点は直感ひとつで、それさえあれば十二分。

 だから、そいつは後悔ではないのだろう。全ては分からずとも、黙して語らないことの意味だけを分かっていた白い狗が、小さく、オーヴァードだけに伝わる音の発し方を忘れて吠えた。

『ホデリ』 :『つぎは名くらい知ってから命を賭すのだな』

SYSTEM :
 贅沢をさせてもらったとばかりに、普段あれだけ饒舌な少年の”普段”をまねるような響き。素直な礼のかたちは何度もやったことだろう。

久外境耶 :「ぬぁ……!」

久外境耶 :「るせ〜っ おれは第一印象で決めるタイプなんだよ!」

SYSTEM :白い狗が顔をくしゃくしゃにして笑う。人の顔に直せば、かなり豪快な笑い方。

『ホデリ』 :『三つ子の魂百まで、なぞ云ふものよ』

久外境耶 :「おうおう実話ですかア!?」

『ホデリ』 :『見知れば存じていよう? 境耶』

SYSTEM :今までの自分を見ていれば分かること、などと。開き直ったわけでもない冗談。

SYSTEM :
 ………未練があっても、弟の様子に心残りがあっても。
 彼はそうして、島と共にひとつのやり残しを終えて還るだろう。

 気が変わった、なんてことを起こせるほど、彼は豪胆ではなく。
 悪辣でもない。追い掛け続ける狼にも、彷徨い生き続ける竜にもなれないそういう生き物だったから、彼はいまここにいるのだ。

久外境耶 :
「ケッ」まったくな! と言う代わりに腕組んで明後日を向く。

久外境耶 :
 知れば知るほど初めに見出した像とはかけ離れていくが、フシギと愛着は失せない。
 見込み違いで冷める感性もないが……それ以上に、おれは応援したいんだろう。

 このどっちつかずな頑固者が、それだけは手放さなかった──手放すことのできなかった、ちっぽけな意地を。兄貴の矜持ってやつを。

SYSTEM :
 答えの代わりに、また一つ小さな獣の声。
 今まで散々柔らかいところをお節介1割悪戯心9割でくすぐって来た少年の心の着地点を以て、彼に関する結論は“ひとまず”の答えを得た。

SYSTEM :
 ならば、あとは一つだけ。

 それも全体としてはそう代わりようがなく、個人としては胸に収めた、分かり切った確認の話だけ。

“パラディン”的場啓吾 :
「良く分かった。では、俺から言うべきこともない。
 元々目的に掠りそうな自称“蘆屋道満”があのザマだったんでな」

“パラディン”的場啓吾 :
「ただそうだ、“ナイトホーク”。
 精々悩むために聞いておけ」

荻野目 旭 :「……僕ですか?」

“パラディン”的場啓吾 :
「“独りの人を見つけたら手を差し伸べたい”のが、お前の御守、おともだちの夢だそうだ」

“パラディン”的場啓吾 :
「“ナイトホーク”でないおまえのその夢といったいどこで折り合いをつけるか、短くはないが長くもないがね。考えておくがいい」

“パラディン”的場啓吾 :
「そんな暇がないなら、せいぜい後腐れないように突っ走っておけ。

 肝心なところで今までの自分に“半端”をやると、あとが酷い」

SYSTEM :
 それは茶化しか忠告か。

 要するに“その機会の次なんてなくてもいいようにしておけよ”という、彼のこの地の目標に沿った、半分程度の責任から繰り出されたアドバイス。

SYSTEM :
 後味なるべく良くして帰る───。

 かつて聖騎士の名を敬意と共に呼ばれ、その誇りを過ちと共に永遠に封印した元・先輩からの言葉。

 これ以外の懸念事項がないように振る舞う仕草は、UGNの複雑気にしながらも、肩を竦めた『先生』がそうであるように、その余分に異議を持たない/あなたや上司、奇妙な隣人どもの選択や、不安のあれど“お嬢さん”の選択に異を挟まないことの宣言だった。

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :小さく微笑む。

荻野目 旭 :「いい夢ですよね。自分の夢をそういうかいぶつに踏みつぶされたことのない、いい夢だと思います」

“パラディン”的場啓吾 :「なんだ、野の花は守ってやらんのか?」

荻野目 旭 :「──まさか」

荻野目 旭 :「守ってるから……彼女の矛盾にも黙ってあげてるんじゃないですか。高校生の女の子からしたら、当たり前の区別ですよね」

荻野目 旭 :
 優しくないことは自覚してる。
 嫌われるだろうことも承知の上だ。
 僕はこうする自分をうすうす分かってて……あの子に、「あなたが僕を嫌わない限りは」って言った。

荻野目 旭 :
 僕は……はじめから強かった子を野の花のように思ってあげられないし。
 その子に向いたあの女の目が縋るようだったのを見たから、
 その本懐を遂げさせてあげようと思うほど、エゴ捨てて生きられないのだ。

荻野目 旭 :「……羨ましくって仕方ないです」

“パラディン”的場啓吾 :
 センセイ
「教官は教えてくれんだろうに、案外に人が出来ているな?
 ・・・・
 その理由じゃあ何も言えん。連中は運がいいトコじゃないと教えもしなければ吹き消すからな、そういう余分」

“パラディン”的場啓吾 :
「いいだろう、思うままやってみろ。
 元・先輩からのアドバイスだ。あれこれ完璧にやろうとするな」

“パラディン”的場啓吾 :
「代わりにただ一点、何のために自分を誇るのかは忘れるな。そうすれば、後で”つまらん真似をした”と嘆くことはあるまい。
 特におまえが、そのエゴと同じくらい、そっちのどいつかを気に入っているならな」

SYSTEM :
 それだけ言い切って、“パラディン”はあなたのちっぽけなエゴに満足したらしい。

 ぶつかることも承知なら、ぶつかった“また後で”も承知だろう。と。

SYSTEM :
 その辺の折り合いをつけるのが。
     
 古巣の、いまの主は特に上手だった。
 たとえばこんな荒れ放題の海だって、人間の片足と、化物の片足を動かして。ふたつの生き物が棲める海にするだろう。

 小さな皮肉交じりの郷愁が、彼が“何となく”後腐れをなくすために口にした余分の意味だ。
 恐らくは、そいつが切欠だろうと勝手に見込んだ。

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :「……素直に受け取っておきます。無責任な元先輩にこんなアドバイスされるの、なんだか身に沁みますね」

“パラディン”的場啓吾 :「聞いておいて損はないだろう? こんなお花畑で出会っても滅多に言わん台詞だぞ」

久外境耶 :そのガタイと花畑はやべえって!

“パラディン”的場啓吾 :写真撮って送るか? いや止すか 自慢じゃないが精神攻撃だ 

久外境耶 :くれたが最後いろんなヤツに見せるぜ!

久外境耶 :
「よぉ優等生〜〜〜〜」それはさておき肩がっしり。さっきまでへそ曲げてたくせに元気よく絡みにいく

久外境耶 :
「わっり〜ツラしちまってまあ。手前で都合よく折り合いつけんのは、やりて〜ようにやるのとどう違うんだ? え? 同じ穴の味はどうだ?」

荻野目 旭 :「いじめる時だけニッコニコなんだからなぁ」

久外境耶 :「笑顔が素敵だろうが」

荻野目 旭 :「いい笑顔なことだけは認めてあげましょう……」

久外境耶 :
          アミーゴ
「ま、楽しくやろうぜ不良仲間! バチボコに負かして気持ちよ〜く帰ろうじゃねえの」

荻野目 旭 :「うわ〜、す〜ごい嫌なルビ振られてる気がする〜う……」

久外境耶 :「今のオメーはそうだろうがよ〜。そんで一号がヘソ曲げたらうちで引き取ってもいいぜ」ゲラゲラ

久外境耶 :不良のよしみってヤツ?

荻野目 旭 :「彼女がそっちでうまくやっていけるビジョン、ぜんぜん見えませんけどね」溜息。

久外境耶 :「言うねエ。ぼっち握手はそっちのが向いてないとは思わん?」

荻野目 旭 :「彼女の重点が、『ひとりぼっちの手を取る「自分」』だったら合ってるかもしれませんね」

荻野目 旭 :「そういう子じゃないでしょ」

久外境耶 :「ギャハハ知るかよ! よく見てたのは子守のオメーだけ!」ばっしばし背中叩く

荻野目 旭 :「まじめな話したのにツルツル流していく〜う……」

久外境耶 :「バ〜カ褒めてんだよ! 最後まで面倒見きれたらオニーサンが褒めてやろう」

荻野目 旭 :「わ〜♡ありがとうございます〜う♡」

久外境耶 :「切り替え早!」

荻野目 旭 :最後にしてやったりの気分です

荻野目 旭 :「……まあ、僕はこう思ってるんですけど」

荻野目 旭 :「最終的な判断はどうなるか、正直僕が一番わかってません。ご迷惑おかけしますが、馬車馬のようにみなさんを働かせることでお礼とさせてください」

久外境耶 :

久外境耶 :ぐっしゃぐしゃに髪かきまぜたろ。おれの返事はこれで十分!

荻野目 旭 :キャ〜〜っ

“虚の狩人/残骸” シホ :
「…………。」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「………………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……この様にやってきてから、つくづく思うことだけれど。
 私が誰かの願いの為にできることは……突き詰めていけば、その願いの側に寄り添い立つことぐらいなのかもしれない。

 誰かの言葉を借りるなら、自分の雷管を叩くのはいつだって自分の意志なのだから。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 この島に集った願いの結末は、どんな結末を迎えるにせよ、いまからあの湖に導かれる。

 義理がなく、義務もなく、側に立つ為の答えも見つからなかったとしても……あの水底に意味があるのなら。
 それが、私に銃を握らせる理由にはなる。

“虚の狩人/残骸” シホ :
 だから、願いには無言の首肯で答える。
 これが……いま私が私なりに示せる、もっとも確かな誠意の形だ。

『先生』 :
「ここの生徒のこともある。
 誰がおまえの馬車を動かす役目かは分からないが………」

『先生』 :
「どちらだろうと期待している。
 迷惑かけた数年後、同じこと言う子供に、先生と同じ台詞を言えるような可能性辺りにもな」

SYSTEM :
 気にせず巻き込め、の意志表示だ。

 彼が生徒たちの安否を守り果報を立って待つ側になるか。
 あなたの隣で背中を押す、遅刻者の汚名挽回をするのかは、別として。

荻野目 旭 :「もちろん。ありがとうございます、せんせ」

荻野目 旭 :「実はこのセリフ、恥ずかしながら二度目かもしれないんですけど──」

荻野目 旭 :
「夢見る少女に砂かけるなんて、これっきりですよ。
 僕の人生めちゃくちゃにした女は、ここで冷蔵庫行きなんですから」

久外境耶 :「お〜やれやれ! 保冷剤くらいなら作ってやらあ」

荻野目 旭 :ひんやりするな〜

SYSTEM :
 そんな、最後の意趣返しを余所に。
 この一室から、程なくして、二度はない纏まりが動き出す。

 何をするべきか、何を守るべきか、何を倒すべきか。決まったならば、これ以上は余分中の余分だからだ。

SYSTEM :
 ………すべてが片付くほど大きな出来事ではない。
 これ自体は大きな出来事かもしれないが、それを取り巻く生き物は、どうしようもなく普通の人達だ。

 ただすれ違って袋小路に迷い込んだ兄弟とその隣人の話。
 只人の思惑がいくつも絡まって、こんなに大きな消せない名残が生まれただけのこと。

SYSTEM :
 
 水底に人はまぼろしを夢想した。

 足元を見つめたら手に入ったかもしれないが、ついに見つからなかったものを。
      BEYOND
 誰もが、海の彼方に、思う。

 時を縫い留めた、この名残の中。置き去りにされた過去に手を伸ばすもの。おとぎ話の怪物───何もかもを隔てた海色の生き物たち。

SYSTEM :
     おこる
 ───独りわらうその声が止まった時が。
 ・・・
 いつか来る、夢の終わりだ。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

GM :合流シーン終了しました。更新するロイスはございますか?

荻野目 旭 :変更ありません!

久外境耶 :おれもなーし!

“虚の狩人/残骸” シホ :こちらからは、“木口龍”に対して取得していたロイスを…

“害群之马"龍嘉睿に対する、◯ P誠意/N隔意に変更します。

“虚の狩人/残骸” シホ :彼への印象は…まあ、かなり変わりはしましたが。
全くかけ離れたものではない、地続きの感情があることも確かです。よって、まだロイスという形に。

GM :いいでしょう。名称を含めた変更を認めます。

GM :キャラシートに書き加えておいてくださいね。

“害群之马"龍嘉睿 :
で、 “虚の狩人/残骸” シホ に、

◯誠意/隔意 で取得。

アンタの持っているモノの全てが分かったわけではないが、その答え(銃弾)を楽しみに待っていよう、という考えだ。

GM :いいでしょう。

“害群之马"龍嘉睿 :OK。書き加えた。

GM :よろしい! では…