《Beyond_the_sea》 チャットログ:メイン_CLIMAX


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目次

・シーン39「久遠」
・クライマックス「火明」
・バックトラック
・EDシーン1「記録」
・EDシーン2「初心」
・EDシーン3「未踏」
・EDシーン4「淡雪」
・EDシーン5「回顧」



・シーン39「久遠」

SYSTEM :
【Check!】
 3-3の判定を開始します。

判定:??
支援:??

壱:選択時にトリガーシーン発生
弐:『ホデリ』が必ず同行する
(※行動不能だった場合でも行動可能になる)

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ───ひとつの頂に立った時。
 
 自分が空っぽであるのに気付いた。

SYSTEM :
 蕾のごとし童の頃。
 元服し花を咲かした後のこと。
 実り多き練磨の齢。
 己を見つめる長寿の参賀。

SYSTEM :
 はじまりを分かち合うべき者と分かち合えなかったその時から、
 己は全てを擲って、ただひとつに生涯を捧げて来た。
 一念を以て岩を穿ち、一心を乱すことなく。一所に魂を掲げた。

SYSTEM :
 色のつかぬ世界で、色のついていた時に好んでいたものを守ってきた。
 音のしない世界で、はずむ音が望んでいた道を歩んで来た。
 光の届かぬ世界へ、光だけがある場所が、いつかその名残を噛み締めてくれるように。

 ただその刃は、誉れも誇りもないままに。いつのまにか頂に達していた。

SYSTEM :
 それそのものを恥じることはなければ、別に誇ることもない。
 通り過ぎた道だ。
 出会いと別れを繰り返し、そうして己はやがて逝くのだろう。
 それが、今だというだけのこと。

SYSTEM :
 なれど、振り返るべきことはあった。
 否。
 この小人の身なれど、祖なる父母から何かを受け継いできた身。
 己が生を振り返る時。ふとした拍子に気がついた。

SYSTEM :
 あの水面の向こうを只見つめた己に、
 ふつふつと沸いて来る想いがあった。

 波ひとつない水面の濁りは、己の心の濁りであった。
 あの日からずっと。澄み渡ることのない水面は、心の杯であった。

 それを見つめ、そして思う時。
 先の言の葉を翻さねばならぬ、己の中の想いに気が付く。

█▇▅▇▇▅█▅ :

      ︙
    い
      お
  遺 っ
      れ
  せ た
      は
  た い
   
  の 何
  
  だ を

  ?

SYSTEM :
 明鏡の如き水面。波風ひとつなかった水面。
 ぽつり、と波紋が立ったのはいつからか。

SYSTEM :
 刀を、握る。
 いつかの怨み節が、旅の始まりからともにあった一太刀にまとわりつく。
 いや、その一太刀こそが、己に牙を剥くように思えた。

 たったひとつのつながり。鈍色が映し出すものが、痩せさばらえた小人ひとりだと気付いた時。
 己の中にあるものが、ただ零す。

█▇▅▇▇▅█▅ :
 独りは、半ばに死ぬのは

 ただ。何も遺さずに死ぬのは

█▇▅▇▇▅█▅ :
 ───それだけは。嫌だ

█▇▅▇▇▅█ :
 ───彼女に 会いたい

SYSTEM :
【Check!】

 
『蘆屋道満』は
 Eロイス『■■憎悪』を発動済みです。
 
 憎悪の対象:??
  
 

SYSTEM :
【Check!】
 
 
 ロイスに対する感情の大きな変更による、
 強制的なタイタス化を確認しました。


SYSTEM :
【Check!】

 
 遺産『祈りの造花』の代償が発動───
 Eロイス『■■憎悪』の───
 
 

SYSTEM :
【Check!】

 
 ───ERROR! ERROR! ERROR!───
 
 

SYSTEM :

    ………然る小人の、過ちの始まりである。

SYSTEM :
 
 海鳴りの剣は彼の理性を孤独と断じたが。
 あの日からその心にこびり付き、蝕み続けてきた澱み。
 長い長い時を経たそれは、この生き物を道理から外れさせていた。

SYSTEM :
 咒の名、蘆屋道満。
 ただひとりを殺さじと猛る炎、その道を阻んだものへ押し付けた怨みの波濤。

 ある時に蘇り、彼は斯様に囁いた。
 その場で意味はなかれども、やがて、雨垂れが石を穿つように…。
 非ざる力を自ら消し去るという最後の“歯止め”を焼き切っていた。

SYSTEM :
 曰く───。
 ・・・・・
 魔が差した、その始まりである。

SYSTEM :
 内面はやがて外面へ現れるというならば、その亡者の姿はまさに行き着く先だった。

 肉が盛り上がり、肌は土気色。目は魔性の光に赤く照らされ。
 検怪の者が妖怪を討つ時の闘気の波濤は、空の月をも塗り替えた。

SYSTEM :
 黒く、黒く、黒く。
 ………人里を降りた若者だった男、痩せさばらえた、勇気あるものだった小人が。
 微かに見える光を求めて、深海の如き道を行く。
 
 光の名をつながりと呼ぶ。失われたつながりだ。
 光はか細く。多くのしがらみという名の草木に覆われている。
 色も音も失くして長い時間。住み慣れた山奥、変わらぬ村の様子を多く見送って来た。

█▇▅▇▇▅█ :
 
.   わがいを えたり
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

█▇▅▇▇▅█ :

.  なんじなき うつしよに
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

█▇▅▇▇▅█ :

.   わがよすが なし
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :

 ・・・
 だから。
  
 男は光を阻む草木に、こんなことを思った。

█▇▅▇▇▅█ :
 
.   めざましきもの
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

█▇▅▇▇▅█ :

.   き  え  よ
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :
 のちに草木となるもの、名残となるものを前に。
 男は、ただ己に巣食う怨の一文字が囁く言葉を識っていた。

 肉を貪れ。骨をかじれ。魂を喰らえ。
 光を奪え。光に向かえ。光を───。

SYSTEM :
 ・・・
 だから。

 起きたことは、とても単純であり。
 世の中、単純なことほど止めようがないもので。

SYSTEM :
 
 火の手は自然と上がった。
 もはや形を変えることさえかなわなくなった、よすがの一振りは錆を纏い。
 その錆こそが刃となった。

 巨きな一振りを振り回し、営みが燃え、血が飛沫いては肉がはじけ飛び。
 それが錆となって、やがて巨塊と化す。見えるもの、見えぬものの区別なく。

 曰く、悪鬼であった。

SYSTEM :
 指をさすものがいた。化生ぞ、妖怪ぞと叫ぶもの。
 その指ごと、ひとにらみで拉げて消えた。

SYSTEM :
 腰を抜かすものがいた。赦してくれと譫言を語る。
 踏み潰した。足はわずかとて止まる兆しを見せなかった。

SYSTEM :
 子を守るものがいた。得ていたのかさえ定かでない。
 雑音は一振りでふたつ吹き消えた。

SYSTEM :
 かつての名残をたどって、屋敷へと足を運ぶ。
 罵る声はずっと少なく、怯える声もやがて消えていった。

SYSTEM :
 ………その微かな息の“あまり”。足を滑らせて転ぶ子供がいた。
 子供と、女だ。痩せさばらえていないが、さほど裕福でもない身なりをしたもの。

SYSTEM :
 鬼に、そんなものは見えはせず、かわりに首に掛かった光が見えた。

 そのつながりの意味を彼は知っていた。
 何もかもを朧げに思いながらも。光にまつわる全て、片時も忘れなかった。

SYSTEM :
 彷徨う腕をさえぎる草木が、ひとつ。 

SYSTEM :
 それなりに年を重ね、朽ちる時まで間もないもの。

 それがというもの、なにかを口やかましく叫んでいる。
 女は子供を抱え、光を伴って走り去る。
 見えなくなるものに手を伸ばせども、そこに雑音がこびり付く。

█▇▅▇▇▅█ :
 モノノケメガ
 雑音が響く

█▇▅▇▇▅█ :
 ワガセコノアカシヲナンジガケスコトアタワズ
 見当違いの雑音であった

SYSTEM :
 憤る鬼が、首に手を掛けた。
 じたばたと、虫のようにもがくものの瞳に憎しみと安堵が宿る。

 ………だが。
 そこに違う色が混ざり、やがてそれが全てを支配した時。

SYSTEM :
 海に濁った失意のいろを。
 鬼が、切り落とす。 

SYSTEM :
 燃え盛る草木を片端から退かして、遠くに消えた光よりも、近くの光に手を掛けた。
 否。
 どういうわけか、鬼はしばらくの間、炎にもかまうことなく、足を動かすことがなかった。

SYSTEM :
 だから、その逃げおおせたもの。

 血の縁と共に喪われた光を彼が取り戻すことは、ついになかったが。
 そこに転がるものを手に収めた時、彼は求めていたものの影を踏んだことに気付き、それが嬉しくて、口元を三日月のように走らせた。

SYSTEM :
 ・・
 彼女の、あかしだ。
 指し示す海のかなたへと、血と錆の塊を持ち上げて、鬼が行く。

SYSTEM :
 ひとつの終わり。
 双つの離別を変えた、悪夢のような終わりの話。

SYSTEM :
 彼が断じて述べない方の、まことの過ちの話。

 彼は死の間際に。
 鬼を作ったのが、いま焼き直した何気ない一言だと気負った、と。

 彼女が心配り、彼が遠ざけた話である。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 そして、長い時を経る。

 惨劇も、懐旧も。その名残のみが縫い付けられた、時の楔を夢見る骸の島。
 目覚めの最中に見るものは、いつも嵐の海だけ。ぽっかりと空いた海の大穴こそが、夢から覚め、今も醒めない、魔の差した男の旅路の痕跡であったのだ。

SYSTEM :
【シーン39:久遠】

 登場PC:全員
 登場侵蝕:あり

SYSTEM :
Tips-ジャーム
 レネゲイドそれぞれによって異なるケースの「衝動」に精神を刺激され尽くし、
 理性を失い、本能と欲求を満たすためだけに行動する、オーヴァードの成れの果てを指す。

 こうなったものを元に戻す術は、今のところ確認されていない。
 元に戻すという意味合いにおいて例外は存在───例えば「レネゲイドビーイング」としての再構築───しないでもないが、基本的に彼らの精神の変質は不可逆なもの。そして、そうなるに足る原因の構築もまた不可逆なものである。

 レネゲイドは常に、それぞれに異なる衝動の在り方を刺激する。
 それが本人の秘めたものなのか、レネゲイド「が」植え付けた全く有り得ない存在なのかは、
 まさしく「人による」ところが大きい。
 彼らが隣人を求め、帰る場所を求めるのは、その衝動とは無縁のなんでもないところ………。
スーパーマン   .           ロイス
 衝動とは無縁の自分の輪郭を確かめる絆しの場所がなければ。
 行きつくところまで行っても、引き返す道を知らなければ…。
 己が己ではなくなることを、無意識か意識かで知っているからかもしれない。

GM :では…

GM :恐らくはこれが最後の登場侵蝕にてございます

荻野目 旭 :ふん…!

荻野目 旭 :1d10 (1D10) > 5

久外境耶 :1D10 (1D10) > 3

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 126 → 131

久外境耶 :っし、いーカンジ

“虚の狩人/残骸” シホ :1D10 (1D10) > 3

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 84 → 87

三廻部 颯 :1d10 (1D10) > 8

“虚の狩人/残骸” シホ :ふう…

“害群之马"龍嘉睿 :1d10 (1D10) > 2

system :[ “虚の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 122 → 125

荻野目 旭 :ひ、ひゃくさんじゅう…

三廻部 颯 :

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] 侵蝕率 : 124 → 126

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 125 → 133

SYSTEM :
 やがてこの島の中心点。
 今もなお行く手を阻む荒れ模様の荒しの水面、降り仕切る雨の中。
 望むべくを望んだ“喚楽の人喰い虎”の姿はとっくに見えないが、何処に行ったかまでは分かる。

 あなたたちの横にいるのはホデリと、念のため生徒たちを守るために“あちら”に残ったUGNの者達と、仕事そのものはほぼ終わりと見做して動かなかった“ミッドナイト・アイ”等を除いた者達。つまり。

“パラディン”的場啓吾 :
「ここが“害群之马"がまだ探偵サンやってたトコとはな。夢も見れなくなった怪物というのも身につまされる何かがある」

『ホデリ』 :
『未だ見ゆものさ。…娘よ。大事は?』

SYSTEM :
 唯一、既にこの島が己の欲望に足るものなど一切ないと承知の上だから開き直った男と。
 この島こそが彼の望みであったから、最初から最後まで如何なかたちでも足を運んだ白い狗と。

 あとふたり。声を掛けられた方は吠えの音を”そう”と理解せずにたじろいだが、言葉をかけたのはもとよりそちらでもない。

“トヨタマノヒメ” :
「大事ないか、だそうよ」

池田咲楽 :
「…そう言われてもナ。
 いま、分からないコトは分からないコトで置いてるから、平静にさせないでほしい感じがする」

SYSTEM :
 …そこを閉じる/開くための力の一部。
 曰く遺産を正しく扱える今の血筋が彼女だ。無理矢理起こして、今も荒ぶる通り道を鎮める役がいないといけない、と。

 前にも増して現実と非現実の境目な場所に過度な護衛つきでやってきた彼女は、とりあえず“余計なことは考えない”で決着したらしい。

SYSTEM :
 要は通り道を作るために必要なのが、彼女と、いまホデリが首に提げている遺産の片割れ。

 目覚めと渇きの片割れが“喚楽の人喰い虎”の手にあるなら、眠りと満ちる片割れの珠は、今もホデリの首に掛かっているものだからだ。

三廻部 颯 :
 親友のちょっとした嘆きに、思わず意識を揺さぶられる。
 造られた服の上に忍ばせた蒼い剣の光が、熱を持って強く感じられる。

三廻部 颯 :
 ……私には、二つ対峙するものがある。
 一つは、何千と続いた孤独を終わらせること。
 一つは、幾多と続いた孤独から掬い上げること。
 
 前者は、まだいい。
 皆(一部例外有り)がその目的のために動いている。
 理由はどうあれ、それを達成すれば島から帰れるから。

三廻部 颯 :
 ……後者は……。

三廻部 颯 :
     ・・
 多分、私一人だけの戦いだ。
 ・・・・・・・・
 味方は誰もいない。

 心の支えは居る。
 その支えの確固たる親友の方へ視線を向けて──……

「……それでいいよ、咲楽。
 体が悪かったり、何かやばいと思ったら、言ってくれればいいから」

三廻部 颯 :
「普通じゃないのが普通だから、
 普通じゃない意識のままでいいの」

三廻部 颯 :
 手をとって、強く握る。
 それは彼女を、その意識のままにさせておく必要もあったのかもしれないが……。
 これから向かう、独りだけの戦いを前に、そのつながりをもう一度強く認識しておこうと思ったからだ。

 ……今この瞬間だけは、咲楽しか心に頼れない。

池田咲楽 :
「だいじょぶ。ほら、神妙な面してないで。ヘンな線引きもしない」

三廻部 颯 :「心配したのに」

池田咲楽 :「された分だよ、じゃあ」

三廻部 颯 :「そっか」

SYSTEM :
 何時ぞやほど思うところがあるでもないのだろう、軽く手を握り返す。
 実際のところ、脅威が牙を剥く様子もなく、細部は彼女の傍につく“ご先祖様”の片割れがやるものだ。

久外境耶 :
「人の心配してる場合かよ」

 ぶっきらぼうな『おまえはどうなんだ』をホデリに飛ばす。

『ホデリ』 :
『御覧ずる通りだ。
 そも…今更二の足踏むことほど頑しことがあろうか?』

『ホデリ』 :
『汝もそうであろう』

久外境耶 :「……ハ、それもそうだ! んじゃおれらはもう準備オッケーつうコトで」

久外境耶 :"ナイトホーク"に視線を投げる。おめーもいいんだな、と。

荻野目 旭 :あ、GM。いまのタイミングで境耶くんに最後の《癒しの水》していいですか?

GM :ほう…いいでしょう

GM :いい…の、ですが

GM :きみ侵蝕大丈夫?

久外境耶 :マジでな

荻野目 旭 :この際2点は必要経費です!…正直怖いですけど!

久外境耶 :任せろ!!!!体で返すぜ!!!!!(わざとらしい大声)

池田咲楽 :………荻野目くん………????

“パラディン”的場啓吾 :気にするな こちら側の儀式だ(わざと)

荻野目 旭 :あ〜〜〜〜〜最悪!!!!最悪なタイミングで最悪な誤解を生むようなことを!!!!!

久外境耶 :ダァーハハハ!!!!

荻野目 旭 :違いますからね!セクハラだセクハラだ!

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 131 → 133

荻野目 旭 :5d10+2 (5D10+2) > 21[5,4,6,3,3]+2 > 23

荻野目 旭 :びたんっ(絆創膏を適当に貼り付ける音)

久外境耶 :あいてっ

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 42 → 65

久外境耶 :よーしよし。ジョーダンはさておき任せときな! しっかりバッチリ守ってやらあ

“パラディン”的場啓吾 :いつ見てもなかなかのタフネスだ 知っているエージェントでもここまで死に嫌われたのはなかなかいないぞ

久外境耶 :イエ〜ッ 目指せディアボロス超え いや芸風のほうじゃなくて

“パラディン”的場啓吾 :越える方向性によっては不名誉な称号が付くぞ

久外境耶 :(おもむろにイロ男を見る)

“害群之马"龍嘉睿 :なんだ

久外境耶 :なるほどなあ

荻野目 旭 :……。

“害群之马"龍嘉睿 :俺は家電量販店とラーメン屋は

“害群之马"龍嘉睿 :まだやったことはない

荻野目 旭 :(まだって言ったな)

久外境耶 :チャーハン出たらほぼラーメン屋だろ

“虚の狩人/残骸” シホ :(探偵よりはやっててもおかしくなさそうだけど…)

“パラディン”的場啓吾 :第一歩は歩んでいるということか

荻野目 旭 :…記憶なくしてるだけで実はやってるとか、そういうオチじゃないですか?

“害群之马"龍嘉睿 :ラーメン屋は修行がいるんだ。騙すなら飲み屋街の裏路地で屋台やる程度だろう。

三廻部 颯 :……変な人。

“パラディン”的場啓吾 :どうだかな。まだ抜けてる記憶があるのか?

“害群之马"龍嘉睿 :一朝一夕で出来るものではないぞ。家電量販店潜入して取引するのはやれそうだが……

荻野目 旭 :逆に飲み屋街の裏路地でまずいラーメンを出す屋台の兄ちゃんとかはアリなんだ…

“トヨタマノヒメ” :彼の記憶は海向こうの彼と同じよ。

“害群之马"龍嘉睿 :それだけなら簡単に出来るぞ。

“トヨタマノヒメ” :だから やっていないと言えば(あとでやったことになったりしない限り)それが全てよ

“害群之马"龍嘉睿 :薄味もいいところの醤油とどんぶりの大きさに見合わない少量の野菜炒めを適当に乗せて出せば、酔っぱらいを騙せるラーメン屋だ。

“虚の狩人/残骸” シホ :(……………………)

“虚の狩人/残骸” シホ :(…………なんかこう 冷えるなぁ)

久外境耶 :ヨッシャ〜今度リーダーでためそ

SYSTEM :あなたの記憶の中のリーダーが囁く…

FHセルリーダー :帰りのおごりがもやし炒めになる覚悟と共に挑めよ

荻野目 旭 :あっ 僕も知ってますよ 野菜をしょう油で炒めるとおいしいんですよねインスタント麺って

久外境耶 :ぐっ 悪寒が

SYSTEM :
 ………そんな藪蛇チャレンジはさておいて。

“害群之马"龍嘉睿 :ああ。というか並のラーメン屋よりもインスタントの方が研究が進んでる分美味いのがある。

“パラディン”的場啓吾 :
「で? 残りの支度はどうだ。
 未練たらしく時にしがみつくジャームなんぞ滅多にない機会だ。一応聞くだけ聞いてやろう」

久外境耶 :「親切ぅ〜」

荻野目 旭 :境耶くんの傷に雑に絆創膏を貼るふりしてエフェクト行使しますよ。じんわり

“パラディン”的場啓吾 :
「親切だろう。昔はもっと親切だったが、
 貸しにしておけばよかったかもと思っている」

久外境耶 :「ダッハッハ!ウケる」

荻野目 旭 :「夢に靴あとつける発言やめてもらっていいですかあ〜?」

久外境耶 :笑いつつ感謝の えーとなんだ なんだ?

久外境耶 :おぶるか? 途中まで

“パラディン”的場啓吾 :「違う夢に羽搏くか? 応援するぞ」

荻野目 旭 :いらないなぁ

久外境耶 :「するぜするぜ」応援

荻野目 旭 :「それもいらないなぁ……」

荻野目 旭 :ああ 霧谷さん 僕はいま、好きなアイドルがテレビから消えたあとに悪いこと全部やってたこと発覚したときの気持ちです

荻野目 旭 :「……ま、まあ、それはおいといて。僕は準備万端です。シホさんと木口さん──あ、いえ」

荻野目 旭 :「龍さん、は大丈夫ですよね?」

“害群之马"龍嘉睿 :「問題無い」 一つ、頷く。

“虚の狩人/残骸” シホ :軽く、グ、パ、と手を握り、雨風に冷えて凝り始まったものをほぐす。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「こちらも、準備は完了しています。」

 ……どうも、この雨に打たれたままだと心まで冷え込みそうだ。

SYSTEM :
 独りが重なって生まれたようなこの島で、彼らは何のために生きたのか。

 何を望んで、何を欲しくて、手を伸ばしたのか。そこについて、おぼろげにも答えを掴んだあなたらしい台詞と。
 はじめから終わりまで、此処に来る理由に一点の代わりと曇りも“なかった”アナタにとっては、愚問と愚答、事実確認でしかない台詞だった。

SYSTEM :
 ………であれば。

“トヨタマノヒメ” :
「お願いね」

『ホデリ』 :
『………ふん』

SYSTEM :

 ホデリが、長いこと首にかけていた首飾りを、かがんで差し出す。
 雨のしずくに微か濡れた、代々の御守りに限りなく似た海色の珠。
 
 それを向けられた咲楽が、おずおずと遺産を手に取る。

 塩満珠。眠りと鎮まりのかたち。
 目覚めを促した片割れとは決定的に異なるものだ。

SYSTEM :
 そのどちらも、遺産としては同じ使い方をする。
 カテゴリ
 系統樹に曰く、海鳴の石板。
 
 海流を己が手にし、嵐を鎮める神成る者の御業。
 そこと同じ効果を持った遺産を、オーヴァードではないけど、普通の人とも”すこしだけ”違う海の姫巫女の名残が手に取る。

“トヨタマノヒメ” :
「使い方は、分からなくていいわ。
 私が流れを与えるから。ただ、あなたのために願って」

池田咲楽 :
「………。やってみます」

SYSTEM :
 元より、彼女にレネゲイドをどうこうする術はない。
 ただ持ち主として承認の是非を出す役目のようなもの。
 動かすことをトヨタマノヒメが出来ても、肉体のない彼女に、遺産の所有者であるという認識を作るすべはない。

 今まで生徒たちにしてきたように、彼女の魂のかたちに手を添える。
 剥がれかけ、醒めるまで暇の少ない夢に、語りかける。

SYSTEM :
 ・・・・
 とおして、と。
 
 水面の彼方へと、此方が音を弾ませた。

SYSTEM :
【Check!】
 
 
 Dロイス『遺産継承者/海鳴の石板』の使用が確認されました。

 

SYSTEM :
 微睡みと共に瞼が降りるように。
 嵐の勢いが弱まる。

 荒ぶる水面の動きが一気に鎮まって、海底へ赴く岩肌を露とする。
 渇きの反対。成り果てたものに与えられない、仮初の満ち潮だ。

SYSTEM :
 原理をいまさら常識の彼方で説くでもないが、言うなれば。

 島の奥底に眠るものが、夢見心地に、追い求めた光の再会を願う心に応じたようなもの。来やれ、と扉を開いたようなものに等しい。

“トヨタマノヒメ” :
「彼をよろしくね。
 この子を守っていなくちゃだから」

『ホデリ』 :
『言わんとすべきは己で言わぬか。
 何をば学んだ?』

“トヨタマノヒメ” :
「お互い様ね。大丈夫。きっと伝わるし…。
 一番乗りは、最初からあなたのものだわ」

SYSTEM :
 白い狗は何も答えなかった。
 ただばつが悪そうに軽く吠えて、露になった水面の彼方。岩肌の、バロール・シンドローム特有の魔眼の揺らぎが見せる空間へ、軽く尾を立てて行くことを促すだけだ。

久外境耶 :言われとる言われとる……

久外境耶 :じゃ〜おれも何も言わね! 数歩下がってこいつと一緒に行くだけ

荻野目 旭 :「……」

荻野目 旭 :「……僕はあなたたちの事情のこと、全部は把握しきれていないと思うんですけど」

荻野目 旭 :「ホデリさんには同感です。……言葉で言わないと伝わらないことって、やっぱりあると思いますよ」

“トヨタマノヒメ” :
「そうね。
 人の世の中が難しいのか、私が人の世の中を知らなかったのか。両方かしら」

“トヨタマノヒメ” :
「………あの時出会ったことが、良かったのか、悪かったのか。
 私にとっては良かったけれど、今でも悩んでいるわ」

“トヨタマノヒメ” :
「それはまあ、今になっては意味のないことだけど。
 だからこそ、伝え直すことのために来たんですものね。見届けたら行くわ」

SYSTEM :
 そのために来たのだと。
 だから気遣いへの礼だけを口にして、現世へのよすがのないものが小さく手を振る。

“トヨタマノヒメ” :
「頼み事を…彼を、あなたにもお願いね。
.          セイギ
 “害群之马"。あなたの理の味方」

SYSTEM :
 餞別は確認ですらない。
 やると決めたらやるものへの言葉など、1から10まで、この人の世を知らぬ海の箱入りにすら分かっていることだ。

“害群之马"龍嘉睿 :
「問題無い。
 この血と魂に誓い、アンタから受けた依頼は必ず果たす。
 それが蛇頭であり、人蛇であり、そして黒社会の流儀(ルール)に従う者であるが故に」

SYSTEM :
 会話を交わしたのは数度だが。
 そういう人間を、一度だけ見たことのある海の姫巫女にとって。それは信頼を裏切ることのない回答だった。

“パラディン”的場啓吾 :
「結構だ、では行くとする前に…」

“パラディン”的場啓吾 :
「いつもの“タイガーアイ”は留守番か。
 反抗期かい」

SYSTEM :
 あなたが彼を留めたのか、
 彼があなたの撃つべきものにわざと力添えをしなかったのか。

荻野目 旭 :…そういえば、いつからか一緒に見るのを見てないな。

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……、…………」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「……実は私、ちょっぴりあのヒトに大事なカクシゴトをされてたのを知ってしまって」

“パラディン”的場啓吾 :「カクシゴト、ね」

“虚の狩人/残骸” シホ :
「好奇心旺盛の知りたがりには、あそこに置いていくのが一番効果覿面なオシオキだと思ったんです。
 ……うん、それだけ」

“虚の狩人/残骸” シホ :
 ……………。
 少なくとも“タイガーアイ”には、私はそう伝えた。そして、あのヒトは───

SYSTEM :
 建前でも本音でも、それを伝えた先のタイガーアイは、
 粛々と…そして淡々と、求めている答え/不満の色を口にしたあとに、こう言った。

タイガーアイ :
“帰り路にて迷わねば、お主が何のために生きるかを聞かせておくれ”

タイガーアイ :
“長くもあり短くもあった我が同朋。我が後進。朧の狩人よ”

タイガーアイ :
“我はせいぜい根に持つこととする。留まるならば、留まるなりの出迎えを覚悟しておくことだ”

SYSTEM :
 あなたの門出がいずれだろうと、彼は粛々と、そして淡々と、異なる寿をするだろう。

 何が善しで何が悪しも知らぬ赤子の生誕を。冷たい無機質に覆われた隣人が、決して懐くことのない価値観で。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「───行きましょう。
 帰って、悔しがるあの偏屈屋の声を聞くのが楽しみです」

“パラディン”的場啓吾 :
.バディ
「相棒でも越えちゃならんラインにはその分の制裁か。
 じゃあ、しょうがないな」

SYSTEM :
 恐らくは言葉の裏の意味を分かってか、“パラディン”と来たら忍び笑い。
 自分の部屋に土足で上がった□を仕置きする□への反応でも聞くかのようにして、軽く笑いながら彼は行った。

SYSTEM :
 ………ところで。

 颯が、先に足を運んだのか。
 それともその様子を見ていたのか分からないが。あなたが一歩足を踏み出そうとした時だ。

池田咲楽 :
「あ───待って、颯!」

三廻部 颯 :「……? どうしたの?」

SYSTEM :
 いざ岩肌を降りようとしていたばかりのあなたに、軽く小走りで近付いて来た彼女が。
 持っていた飾りを渡す。

 首飾り、御守り、まあなんだっていいが。
 この島で、あれやこれやと追われていたもの。彼女が狙われた原因で、あるいは彼女をこの島で守って来たものだ。 

池田咲楽 :
「いろいろ…あったけど。コレ。
 元はと言えば、無事で戻って来るための御守りだから」

池田咲楽 :
「持ってて。それで…。
 ちゃんと帰って来て、返してね。颯」

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
 孤独を引き金に、その身を破壊するもの。
 私の体を作る、その輝きに重ね合わせるように。
 渡されたお守りを撫でて、頑丈な紐を足跡で作って通し、首にかける。

 唯一の繋がりをしっかりと握りしめて、それに祈りを捧げる。

三廻部 颯 :
「帰ってくるよ……ちゃんと」

 それだけは変わらない。
 私が、私のやりたいことを押し通して、それで何があったとしても……、
 私が、私の元いた場所にだけは、必ず帰ろう。

池田咲楽 :
「絶対だよ。…それから…さ」

池田咲楽 :
「…あの後。
 良く分かんないんだけど、赤都に謝られたんだ。
                  ・・・・・・・
 すごい不服そうに、ぶっきらぼうに。今まで悪かった、って」

三廻部 颯 :
「……なんだ、謝れるんじゃん」

SYSTEM :
 …あなたがその時に居合わせていたのかは定かでない、というより。

 あなたが是非を問う最後の会議にいなかった理由は、どちらかというとそちらのはずだ。

SYSTEM :
 戻って来たらどこ吹く風の上樹と何時も通りに噛みついて。
 それをどこか我関せずな顔こそしているが“シャレにならない一線”だけはよく見ている才人と、山田さんがいて。

 いつもはさりげなく赤都に頷いたり後押しするばかりの綾城も、流石に心細かったのだろう。今回はよく会話に混ざって、逆に赤都をたじろがせたりしていた。

 こんな事態でも、いや。
 こんな事態でも、あなたと、島で出会った者のお陰で。彼らは何時も通りだった。

SYSTEM :
 そこに混ざることがこれから出来るのかは、たぶんあなた次第だ。

 オーヴァードは、いつも行きは軽いけど帰りは怖いということを。
 きっと、あなたと違う指針の持ち主がずっと示してきただろう。

池田咲楽 :
「………修学旅行、沖縄でしょ。自由行動の予定思い出せる?」

池田咲楽 :
「もしもパァになっちゃってたら、どこかの休みの時に行こう。その時は、ちゃんとした海が見たいの」

三廻部 颯 :
「……うん」

SYSTEM :
 はじめ見た時のコト覚えてる? 切羽詰まってたから、何がキレイだったかも分かんなくてさ…と。
 冗談めかして口にする少女の言葉は、遠回しの約束と、あと一つ別の理由がある。

 いつか、独りだった彼女にあなたが手を出した時と似て非なるもの。同じとは言えないが、かけ離れているとも言い難い情のいろだ。

池田咲楽 :「いってらっしゃい、颯」

SYSTEM :
 頑張っての代わりだ。
 面と向かってそれを言わないのは、あなたの直情ぶりを知っている友達の気遣いである。

三廻部 颯 :
「───、……うん」

 送りの言葉を受けて、お守りを握りしめる。
 ああ、そうだ、とふと思って、誰にも聞こえないように、彼女だけに聞こえるように、耳打ちをする。

三廻部 颯 :
「───、───、───」

三廻部 颯 :
 それだけ告げて、手を振る。
 笑顔は、別に空元気でも何でもない。
 自分の見せた、強い意志のあらわれを、表情として作り出す。

「いってきます、咲楽」

SYSTEM :
 いってらっしゃい、に、いってきます。
 言葉のかたちとしては、ありふれた挨拶のかたち。

SYSTEM :
 ただそれは、今から独りの生き物に触れるにあたって。
 きっと、大切なことだった。

 半分が独りになりやすい生き物たちにとっても。そうでないヒトにとっても。
 孤独で完結できるように、どうしても、霊長の王様は作られていなかったのだから。

SYSTEM :
 …海鳴の音が、遠く響く。
 岩肌を降りて、その緩やかな、水面の洞を下っていくのを。あなたの友達/この島の未練のかたちが見送る。 

SYSTEM :
 …そんなふうにあなたたちが向かって暫く。

 その剥がれた海色の大地に、ふと転がるものを咲楽が見つけた。
 じっと帰りを待っていた少女にとって、それは見落としてはならないものだった。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 やがて。海鳴りの路を行く。

 可視化出来る景色が変わるのは、ここが島ではなく、彼の名残だからだろう。
 目まぐるしく変わる、物理法則への挑発めいたその風景。島の内側は、彼のより深く、名残のある景色のかたち。

 ………求めるもの。
 水底のまぼろしに近付くにつれて、彼が見て臨むものなど一つだけだ。

SYSTEM :
 やがて。
 景色に、殺風景な岩肌以外が混ざった。

 泡はあり、海の音は響けども、呼吸は出来る。
 ここが何なのかを知っているものは三人。厳密にはそのうち二人が、いまは島の表層で帰りを待つ側だから、知っているのは颯くらいのもの。

SYSTEM :
 ………あなたが死後、浮上する直前の場所。孤独の深海、そして“ホオリノミコト”がトヨタマノヒメと出会った、あの海で隔てられた、レネゲイドに形造られた生き物たちの世界。

 厳密にはその名残だ。
 彼の世界はそういうもので出来ている。そういう虚を現実に作り出すことが“出来てしまう”存在が、いまのホオリノミコト/その骸であるからだ。

荻野目 旭 :「う、わ──」

荻野目 旭 :思わず鼻をつまもうとして、声も出れば呼吸もできることに遅れて気づく。

荻野目 旭 :「そっか、ここも彼のつくりだした『でたらめ』の続きなんですね。だからって、スケールすごいなあ……」

久外境耶 :「ハ、デケエのが何だっつーんだ。死ねば藻屑」

荻野目 旭 :(当たり強いなぁ……番犬だなあ)

SYSTEM :
 彼の作り出した「でたらめ」の続きとは言い得て妙なことだ。
 此処はホオリノミコトという人物に存在する名残という一点において、島の表層、今まで生徒や横入りの怪物たちの行方を捜していた場所とさほど変わらない。

『ホデリ』 :
『藻屑か。然なることよ。
 だが彼奴も、海の姫巫女も、わたしも、かくある時に遺された』

『ホデリ』 :
『然ふべきが、然ふべきに在ずということだ』

久外境耶 :「〜〜〜〜〜っっっっ」海底に八つ当たりするみたいに足音荒くずんずか進んでいく

『ホデリ』 :
『ぬ………。………。
 暗し足元には心せよ、境耶』

SYSTEM :
 知ってか知らずか。軽く尾が左右に一度揺れる。此処まで来てその起伏に気付かぬほど愚かではなく、それを正そうとするほど賢くなれる生き物でもなかった。

 ………海鳴の音の中、微かに灯る光は、空から差し込む太陽のものではない。

 仄かな灯のようなもの。命の輝きの名残。かつて彼が見て来たもの…。

SYSTEM :
 ここにタイガーアイと呼ぶものあらば、それを“レネゲイドビーイングの成り損ない”と断じて、ほんの数秒の興味でも向けただろうが、それ以上でもそれ以下でもない話。

荻野目 旭 :「……見事に怒らせましたね?」

荻野目 旭 :「怒らせたというか……しょんぼりさせたというか」しょんぼりとか聞かれるとまた怒りそうだけど

『ホデリ』 :『ぬう』

三廻部 颯 :
「……」

 話を横耳で聞きながら、息を吸って御守りを握りしめる。

『ホデリ』 :『さりとて…己が贅沢に報いる術を知らぬでな』

SYSTEM :小さく吠える代わりに零した音のあとは、概ね無言の同意。

荻野目 旭 :唇をとがらせる。

荻野目 旭 :「……それ、面と向かって言ったらま〜た怒りますよ」

『ホデリ』 :『ぬう………』

『ホデリ』 :
『…やもしれぬとてな、小僧。
 そもそも己の“頑し”を拭う機が廻ること自体が、夢まぼろしの如しものぞ』

『ホデリ』 :
『………はじめ目的も聞かず、“さふべき”を見込んで地獄の伴などと真摯に戯れたあやつの路、何も思わぬではないが。
 わたしは、さりとて新しき海のいのちでなし』

『ホデリ』 :
『これを反故にすることほど“頑し”もあるまい』

SYSTEM :
 恐らく聞いたことはそうでもないのだろうが、彼が彼の行いをどう思っているかなど、究極的にはその一点に尽きる。

 兄という物差しで見た時に誇れる己でなかったことが、彼の自我のかたちだった。そこにいくつもの私情と、ないではない怨恨を仕舞い込める程度の半端者こそが、悪魔の見定めた生贄であるからだ。

荻野目 旭 :
  ダサイ
……。“頑し”、使われると弱いなあ。ズルい人だ。いや、ズルいわんちゃん。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 指先を空へと───水面の方を仰ぐように靡かせる。
 揺蕩う泡が掌に触れる感覚も、手を押し返す水の重さも、そこには感じない。まるで全てが幻のように……

“朧の狩人/残骸” シホ :
 「…………」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……颯さん、なんだか驚いてないみたい」

 確かにいまさら何が不思議で何が道理かの境界なんて曖昧だ。摩訶不思議な光景の一つや二つ、とっくに慣れてしまったのかもしれないけれど……なんだか、そういう風でもないように見えた。

“パラディン”的場啓吾 :「どんな行動や景色も“馴れ”が付いて回る。知らん顔ではないだろう」

三廻部 颯 :「ああ……見たことあるんです」

三廻部 颯 :「あ、いや、正しくは『来たことがある』……なのかな」

三廻部 颯 :
「ホオリさんの記憶を夢で見た時に。
 ……ここがホオリさんの想いから作られているから、同じ光景でもおかしくないなって」

“パラディン”的場啓吾 :
「そりゃまた。
 …しかしこんなものを真新しい記憶として残すような男だ。寂しいヤツではあったようだな」

“パラディン”的場啓吾 :
「ところがそんなヤツでも、自分を見ろ、と他人に刻み込むような性質がジャームだ。

 まあ引っ張られたきゃ別だが、自分の理由を他人の理由に漬け込みすぎると後が大変だぞ」

“パラディン”的場啓吾 :主にそこのお嬢さんや少年も序でにな。

荻野目 旭 :そこで僕に振るかぁ ついでにって言いました?

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
「あはは、気をつけます……」

“害群之马"龍嘉睿 :交わされる言葉を他所に、俺は周囲を警戒しながら進もう。

“パラディン”的場啓吾 :序でだよ もしやお前たちそれを義務感10割でやるようになったのか?

荻野目 旭 :まっ……とうな理由……! まっとうかな……!? なんだかくやしいな……!

SYSTEM :“パラディン”はあなたの反応を見ると半笑いで先に進んでいった。

SYSTEM :本心からそう思っていたのか、からかいの種だったのかは永遠ではない程度の謎である。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「しかし、ここが夢で見た景色と同じ……ですか。そんなことがあったんですね……」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 あの狼と対峙したときから彼女が宿した水色の……その起源は、あるいは。
 思い返しながら、歩みを進める。誰かが見た/いまも続く微睡の中を掻き分けていくように。

荻野目 旭 :「………」

荻野目 旭 :……ホデリさんやトヨタマノヒメさんの話から、うっすら何があったかは察しがついてるつもりだけど……

荻野目 旭 :「……でたらめな話。ここに来てから何があっても驚くまいと思ってましたけど、『来たことがある』でさらに更新した気分です」

久外境耶 :(だいぶ先から全員おせえーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーと叫ぶ声がする……)

三廻部 颯 :
「……あの島そのものがそうだって言ったら、もっと更新されるんじゃない?」

三廻部 颯 :
「でも……」

三廻部 颯 :
「今は驚くより前に進もう。
 遅くても間に合わないのは、事実」

 会話はしながら早歩き。

荻野目 旭 :……。後ろから三廻部さんを不安げに見てから、僕も速歩です

SYSTEM :
 地上のように轟く音の響きに応えるものは、足を速めた数人分。
 やはり、というべきか………この場の空気に“ヒト”はいない。いや、応えるだけの知性を持つ生き物は。

 当然だ。そんなものを知っていれば………。

 ホオリノミコトの魔が差しても、これほどのものにはならなかっただろう。あるいは、魔が差すことすらなかっただろう。

SYSTEM :
 孤独は、何より強い病魔だ。

 ………水底を進み、肩を怒らせた少年に、あなたたたちが追い付く頃。
 でたらめの上塗りがもう一度起きる。

 どこまでも続くかに思われた海路は、より大きな名残のかたちに。
 鮮明なもの。穏やかなものは島の表層にこそあった。か細い光を追う夜の海路は、昏くて当然ということだ。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 水泡が弾けるまま、景色が変わる。

 その場所に見覚えのあるものは、そう多くないが。その名残に覚えのあるものは多くいた。

 あの神社のあった、廃れた村落。
 炎に彩られて、原型を留めてはいないが。先に進む路だけは、か細くも確かに残っている。

SYSTEM :
 ………誰より不機嫌に、そして八つ当たり気味に“彼”の名残を踏みつけにしていた少年から。
 残りは追い付くかたちで、まずは炎の向こう側にいるものを目の当たりにした。

SYSTEM :
 当たり前のことを先に言っておくが、本人ではない。
 ない、が。見覚えがある以上、点と点で結びつけるのは簡単なことだ。

█▇▅▇▇▅█ :
      誰ぞ
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
     なにものだ

█▇▅▇▇▅█ :
   否 誰とて大事なく
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
  いや、誰とてもう用はない

SYSTEM :
 炎の向こう。立ち尽くしていたものが、あなたに振り返る。

 肉が盛り上がり、肌は土気色。目は魔性の光に赤く照らされ。
 その瞳は断じてあなたを映してなどいないから、その時そこにいたものに言の葉を向けているようなもの。

 名残の記憶。過ちの記憶だ。

█▇▅▇▇▅█ :
 何時か 必ずや 会ふべくして会ふ
───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅
  いつか、必ず会いに行こう

SYSTEM :
 十年、百年、千年………どれくらいの時間が掛かってでも。
 俺は、お前の所に還るのだ。

SYSTEM :
 かなたへと、譫言が響く。

 その向こう側。炎の遮る向こう側で、骸が謳う。
 過ちの終わりと、誤りの始まりを。

荻野目 旭 :「な──、あ……」

荻野目 旭 :(質量のある幻覚──ううん、過去の記憶の再生……さっきと同じ)

荻野目 旭 :「でも、こんな…」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「──────!」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 顕れた様相と、炎の彼岸に立つ影法師。
 咄嗟に銃を構えそうになるけれど───

“朧の狩人/残骸” シホ :
 その影の容に、私は酷く見覚えがあった。
 ……今なら解る。それが意味するところも、散らばった断片を繋ぎ合わせれば。

久外境耶 :
「今出てくんじゃねえよ踏むぞボケ……」

 焼きついた記憶の見せるまぼろしだろうが知ったコトか。

 暖簾に殴りかかる滑稽さより、気に入らねえモン我慢するほうがナンセンス。たわ言に貸す耳ははなからない。

久外境耶 :
 それを──

 それを、ぼやきでこらえたのは。おれの傍には何か思うところのあるヤツがいて、そいつの邪魔をする自由を、おれがおれに認めなかったからだ。

 そんだけだ。

三廻部 颯 :
「……」

 ──さほど、驚きはない。

 ……ここは名残の集積場。
 私が見てきた夢に、幾度となく出てきて、足り切るようにそれを終わらせてきた姿。
 
 そして……最後の最後に、
 ・・・・・・・・
 自分が斬った姿を──忘れるわけもなく。

三廻部 颯 :
 ……ただ、一つの御守りを、握りしめる。
 海色の光が淡く輝いて、灼熱の中で煌めいた。

SYSTEM :
 煌めいた海色の御守り。
 名残の首に提げた“あかし”が、それと通じ合うように仄かに瞬く。
 その様子に、白い狗ははじめ尾を逆立てて………少し経った後に、あわれっぽい声と共に尾を下ろした。

 濁った眼光。だが面影のあるその顔。
 彼だけは、そのなりを知らずとも見間違えてよいものではなかった。

『ホデリ』 :
『ホオリ…』

『ホデリ』 :
『………まったく暗し者めが。
 心にうつす景色がこれとはな。赦さば赦さずで構わぬとはいえ…』

『ホデリ』 :
『心余れども、言葉足らず。汝こその相応しき言葉だ。
 …いや、お互い様やも知れぬなぁ』

SYSTEM :
 前半が私情であり、後半が結論だった。
 紛れもなく真だ。
 炎の中、何にも目もくれぬその姿は、名残でも、真の彼の成れの果てだ。

 寂寥と再会と。言葉を返すことのない音又に、白い狗が幾つか言の葉を紡ぐ。

█▇▅▇▇▅█ :
.  かのじょなき うつしよに
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

『ホデリ』 :
『しばし待たれよ』

█▇▅▇▇▅█ :
.    わがよすが なし
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

『ホデリ』 :
『針の報いをば、忘れておるまいな。ホオリよ』

█▇▅▇▇▅█ :
.   さらば ■■
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

█▇▅▇▇▅█ :
.  ふたたびあうこと あたわず
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :
 音又へと跳ね返る音は、宣誓と確認だけ。

 果たして、片方の”さらば”が。
 本当に、兄に向けたものだったのかも定かでない。

 一陣の風が吹く。溶けるように名残が消えていく。
 溶けた名残は、海色の輝きに混ざり込んで───。

SYSTEM :
【Check!】
 
 ホオリノミコトがEロイス『ファイトクラブ』『虚実崩壊』を宣言しています。(特殊裁定)
 

SYSTEM :
 否。溶け込んだ海色の名残。
 姿を消したその様は、断じてここで彼の“メモリー”とでも言うべきものが途絶えたからでは…ない。

 栞を挟むたび、己が記憶に土足で踏み込む“守り人”を認識したように。
 その輝きの正体は、彼が自分の中枢に入り込む異物を認識したがためのことだった。

SYSTEM :
 強まる光と共に、名残が二つに別たれる。

 島で朽ち果て、焼き付いた。
 独りの生き物たちの、その名残。

 これは知るものが一人たりともおらず、また推察する材料も一切なかったが故の余談だ。
 たったひとり、真相の秘匿が成せる裏話。誰かが分かることではない。

SYSTEM :
【Check!】
 ※この仕様は『虚実崩壊』および『傲慢な理想×3』により、
  形成されたステージ『リュウグウジマ』でのみ適用されています。
  他ステージにおける仕様を保証するものではないことを、予め強くご了承ください。

SYSTEM :
【Check!】
 
 内容
 ・ステージ内で『海の怪物』のみ、Dロイスによって獲得したエフェクトを「Dロイス毎」譲渡出来る
 ・この時、生死問わず非オーヴァードに譲渡した場合はオーヴァードへの覚醒が予想される
 ・ただし譲渡した場合、ファイトクラブによって発生している『ホオリの残滓』を留めておくもの=遺産タイプ「十束剣」が消滅
  特定条件以外ではシーンに登場できず、シナリオ終了後に『ホオリノミコト』は消滅する

 ・ステージ『リュウグウジマ』を構成する要素として、『海の怪物』は、ステージ『リュウグウジマ』で死亡した、もしくは『平安京物怪録』で殺害したエキストラ、ジャームをステージのエキストラ、またはNPCとして召喚出来る。
 ・この時、『ジャーム』以外は何らかの異常で姿の変貌や、自身と同じシンドロームを保有したオーヴァードとなることがある。

SYSTEM :
 かき消えた名残のかたち。
 シネズ
 不死のなり損ないと、病魔の落胤。
 現代の言葉に直すなら、防衛機能。白血球。はたまた、心に土足で踏み入る相手への、人のふんどしで相撲を取るが如き門番役。

 この場にありえざる幻の姿が───。
 水底より響く遠吠えと共に姿を現した! 

“蝕みの君” :
『▂▅▇█████████████!!!!』 

“渇望喰い” :

『ウォオオオオオオッ!!!!!』 

SYSTEM :
 帰郷を願う理性も、縋りつくような執念も、伽藍洞。
 もとより馴れ果ての獣と、しょせんは名残というもの。

 今一度の対話などあろうはずもないが、彼らが何のために何を成すかは変わらずだ。即ち。

SYSTEM :
 還るために阻むものを殺し。
 生き延びるために喰い貪る。
 
 行く手を阻む孤独の亡者だ。

SYSTEM :
【Check!】
 判定が発生しました。

 判定:何らかのダメージを与える判定
 目標:ダメージ累計≧60

 Success:イベント進行
  Failed:最後に判定したPCへダメージ発生(2d10)
     その後、再度判定イベントが発生する

 備考:判定可能なPCがいなくなると判定が『失敗』として扱われる

荻野目 旭 :「────────ッッッ」

荻野目 旭 :
 その咆哮が聞こえた瞬間、心を置いてけぼりにして体が竦んだ。
 全身の血の気が引いたのがわかる。たぶん真っ青だ。
 一度勝ったからって、しみついた恐怖は消えないものらしい。
 残火の向こうに見えるトラウマの象徴が、あのときと同じかたちで地の底からまた這い出す。

荻野目 旭 :「────ッ……、……う……そ、でしょお」

荻野目 旭 :「何回……最悪の上塗りすれば気が済むんですかっ……この島あ!」

久外境耶 :「ジョーダン! サイコーの間違いだろ? おれぁやっと機嫌戻ってきたぜ!」

久外境耶 :「おらっ、しゃんとしな! おめーにゃ前座だろうが!」ばっしばし遠慮なく背中を叩く

荻野目 旭 :「この向こう見ずう……命知らずう……! めちゃくちゃだあ……!」

久外境耶 :「ダーハッハッハ! いいじゃんいいじゃん、おまえだってあいつら相手ならコムズカシーコト考えなくて済むだろ?」

荻野目 旭 :「原初のトラウマは甦るんですけどお……!」

SYSTEM :
 …絶え間なく嘶きが響き渡る。
 当たり前の世の中に、当たり前のように在ってはならない者の声。
 本の世界、空想の向こう側。
 
 生きたそのあかしをなぞるように、かきむしる咆哮が死の嵐を吹き荒れさせる。
  
 苦痛と癇癪を伴らせて、喉笛に死を蓄えた。
 ひとたび慟哭すれば、死の嵐は恐怖と共に、容易く鱗粉の体を成して場を覆うだろう。

SYSTEM :
 …絶え間なく遠雷が鳴り響く。
 烈しい音と光が走る。同時に昂る熱が、黒い外皮を少しずつ深紅に染め上げた。
 本の世界、空想の向こう側。

 生きたそのあかしをなぞるように、いきあがく閃熱が熱の鎧を身にまとわせる。

 嚇怒と疑念を侍らせて、四肢に死が煌いた。
 ひとたび拳を解き放てば、渇き望む炎は、容易くひとの命を奪うだろう。

SYSTEM :
 だが。所詮は。

『ホデリ』 :
『名残ぞ』

『ホデリ』 :
『境耶の意やよし! 汝、躊躇ひてくれるな!』

SYSTEM :
 名残だった。

 …であれば、と。同じように死に損なったものと本能的に悟った生き物が。
 同じ土俵に転がって来た、海鳴の徒と見るや否やの何と気勢の早いことか。

 あるいは、さしもの彼とて弟の名残を追うこの場で臆する心を一旦棚上げしたのか…。

“パラディン”的場啓吾 :
「なんだ、おまえの周りはいじめっ子が多いな。
 ならば益々、いい機会と思わんか」

“パラディン”的場啓吾 :
「存分に死体蹴りをしてやれ。いじめられっ子で終われんのだろうが、なあ?」 

荻野目 旭 :「…………〜〜〜〜ッそれで割り切れたら苦労しないんですけどお!」

久外境耶 :「頭カチ割るのよか楽だろが!」ゲラゲラ

SYSTEM :
 そんなあなたも頭の中では分かっているだろう。
 名残でも、理性がなくとも、ひとかけらでも。彼らの執念深さの話だ。

SYSTEM :
 よもや時間差で死の矛先を向けて来たものが、立ち退こうが追い掛けない理由はないのである。

荻野目 旭 :「さ、最悪だあ……! もお〜……ッ……」

荻野目 旭 :

荻野目 旭 :

荻野目 旭 :

“パラディン”的場啓吾 :

“パラディン”的場啓吾 :

久外境耶 :
「んだよ〜盛り上がんねえの! 今からサイコーにしてやっから見とけって、な?」

久外境耶 :
「──"パラディン"!」

久外境耶 :
「あんた顎で使えるのもあと少し。帰ったら自慢話になるし、ここで一発決めてくんね?」

久外境耶 :
「ほら、バケモンにはバケモンぶつけるってナンカの映画でも言ってただろ」

SYSTEM :
 言うなれば悪餓鬼の「憧れの人のパシリ宣言」または「記念出場」の要請である。
 それも片足突っ込んだ化物の方での宣誓と来た。…そこに、彼がどういう反応をしたかというと。

“パラディン”的場啓吾 :
「よしきた」

“パラディン”的場啓吾 :
        ボ ス
「では見ていろ、現上司。
. ダブルクロス
 元秩序の新参者がいいところを見せてやろう」

SYSTEM :
 とても気前はいいが、あまりにも見事な最悪の上塗りに乗り込んだ。
 
 覚えているだろう。
 UGNの“パラディン”は、如何様にでも望みを持ち、守るべきを芯に持った人間の恃みは、大概吝かでもないと勝手に積み荷を持って行くような人物だった。

 何が最悪の上塗りかと言えば、きっとそういうところだろう。

久外境耶 :「聞き分けのいい現部下で助かるねえ! で、ど〜よ旭クン。ご感想の程は」

荻野目 旭 :「最ッッッッッッ悪です!」

“パラディン”的場啓吾 :「月並みの台詞で行くか “最悪と言えるうちは最悪でもない”だ」

荻野目 旭 :「欺瞞だあ……!! ここに来てからが僕の人生最悪の日々ですけど……!!!」

三廻部 颯 :
 思想はさておいて、パラディンの腕を見るのはこれで2回目だ。
 だから、それを凝視する。
 自分が次に活用するために……最も、旭くんには悪いと思うけど……。

荻野目 旭 :「……あああー、もう、怯えてるのがバカらしくなってきた……! わかりました、やりますよ、やればいいんでしょお!」

荻野目 旭 :「好きに殴ってどうぞ……! 僕も好きにしますう!」

久外境耶 :「ッシャ言質言質! 全員聞いたかんな〜っ! 吐いた唾飲むんじゃねーぞ!」

“パラディン”的場啓吾 :
「───そうこなくては。
 ひと月忘れんぞ、元後輩の啖呵」

荻野目 旭 :「ひと月が余計だあ……!!!! もう一言もしゃべんないでください!!!!」

荻野目 旭 :《戦乙女の導きLv1→2》を使用します! “パラディン”のダイスを2個増やして攻撃力を「+5」です!

“パラディン”的場啓吾 :(半ウケ)

“パラディン”的場啓吾 :ではひと当てしに行くか。

SYSTEM :
【Check!】
 
 パラディンが判定『何らかのダメージを与える判定』への宣言を行おうとしています。
 承認しますか?
 

久外境耶 :トーゼン! 一発デケエの頼むぜ!

“パラディン”的場啓吾 :承った。では…。

“パラディン”的場啓吾 :宣言は《白兵》でだ。

SYSTEM :
■判定
 宣言(承認)を確認しました。
 判定を行って下さい。

“パラディン”的場啓吾 :18dx+20  (18DX10+20) > 10[1,1,2,2,2,4,4,5,6,7,7,7,9,9,10,10,10,10]+9[3,5,8,9]+20 > 39

荻野目 旭 :《バディムーヴ》使用します! 判定値に+3してください!

“パラディン”的場啓吾 :ほう これは気前がいいな

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 133 → 135

SYSTEM :
■ダメージ判定
 判定を行って下さい。

“パラディン”的場啓吾 :5d10+17  (5D10+17) > 31[10,3,6,2,10]+17 > 48

“パラディン”的場啓吾 :一発とはいかんが、まあ、わざわざコイツを欠けさせてすり減らさせるんだ

“パラディン”的場啓吾 :それなりの対価は頂こう、同じ穴の狢ども! 

“蝕みの君” :▂▅▇█████████████!!!! 

“渇望喰い” :ウグォォォォォアアアアアアアーーーッ!!!! 

久外境耶 :ヒューッやるう! これリーダーに自慢したろ〜

久外境耶 :んじゃおれもいくとすっかア! 《白兵》だ!

SYSTEM :

■判定
 宣言(承認)を確認しました。
 判定を行って下さい。

久外境耶 :7dx+1 (7DX10+1) > 10[1,6,7,8,8,9,10]+1[1]+1 > 12

“渇望喰い” :(獣の名残が、その構えに警戒の双炎を携えた…!)

久外境耶 :んだよ応援かあ!? ブチ抜いてやっから吠え面の用意しときな先輩──!

“渇望喰い” :オォォォォォォッッッ!!!! 

SYSTEM :
■ダメージ判定
 判定を行って下さい。

久外境耶 :2d10 (2D10) > 8[1,7] > 8

“渇望喰い” :💡

“渇望喰い” :

久外境耶 :クソがああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

荻野目 旭 :人のこといじめるからあ!

久外境耶 :おーし優しくしてやっから力の法則出せ!

荻野目 旭 :ありませ〜ん ざんねんでした〜

久外境耶 :ちくしょおーッ

SYSTEM :
■判定
 宣言を確認しています...

“朧の狩人/残骸” シホ :
 …………。つまり、出番かな。

“朧の狩人/残骸” シホ :武器を投擲用のダガーに持ち換える。《射撃》で判定します。

SYSTEM :
■判定
 宣言を確認しました。
 判定を行って下さい。

“朧の狩人/残骸” シホ :恐怖はある。本能が鳴らす警鐘だ。

“朧の狩人/残骸” シホ :10dx10+8 〈射撃〉 (10DX10+8) > 10[2,2,4,5,5,9,9,9,10,10]+9[3,9]+8 > 27

“蝕みの君” :(落胤の竜が、嘗て求めた故郷の香りに雄叫びをあげた!) 

“朧の狩人/残骸” シホ :……でも、今のお前たちに畏れはない。

SYSTEM :

■ダメージ判定
 判定を行って下さい。

“朧の狩人/残骸” シホ :
             おく
お前たちは、私が向こう側に葬送ったんだ。
いまさら何を畏れる?

“朧の狩人/残骸” シホ :
ひとたび慟哭すれば、ひとたび拳を解き放てば───それは

“朧の狩人/残骸” シホ :4D10+2 (4D10+2) > 15[2,3,7,3]+2 > 17

“朧の狩人/残骸” シホ :───全部、“もしも”の話だ。

“蝕みの君” :(落胤の竜が、安堵を上回る恐怖を空に叫び、泡のように薄れ消えていく…) 

“渇望喰い” :(太陽を嗤う獣が、その内なる炎諸共、適さない肉体のかたちごと崩れ落ちていく…) 

SYSTEM :
■判定確認
 下記の条件を達成しました。

・ダメージ累計≧60

荻野目 旭 :
       《戦乙女の導きLv1→2》
 体内工場で調合した昂奮材の塊が手のひらから咲く。
 背伸びして、それをぺちりとパラディン”の肩へ押し当てた。

荻野目 旭 :「……せいぜい働いてくださいよ!」

SYSTEM :
 
 たかが名残。たかがまぼろし。
 
 形は違えど、生命に固執した生き物の成れの果てだ。
 理性はなくとも、彼らの本能が、炎に焙られながらも、かりそめの命を懐いて吼える。
 
 名残とて、それを象るレネゲイドの形は、紛れもなくあなたたちが知っているものだった。
 理性なくとも、その瞳の光が何を求め、外側に広がる命あるものたちに何を思っているのかは一目で分かるというもの。

“蝕みの君” :『▂▅▇█████████████!!!!』 

SYSTEM :
 翼をはためかせる黒き竜。
 遍く生物を狂奔させ、心を澱ませる。
                    デス・ゲイル
 大地を腐らせ、枯れ落とす、背教者殺しの死の旋風が吹き荒れた。
 その中で、竜の口元に死が宿る。嘗てと変わらぬ、恐怖ゆえの殺意をぎらぎらと乗せた、塵殺の吐息である。

 その死の風に、嘗てならば太陽喰いの魔獣は顔を顰めもしただろうが、しかしそれがない。
 名残にて生み出された生命…島に焼き付いたもの、ホオリノミコトの無意識が択んだ門番がそれだ。
 本質的には同じものであるのだから、吸い込むだけでレネゲイド同士に自死を促す毒に意味がない。

“渇望喰い” :「ヴォォォォォオオオオオオ!!!」 

SYSTEM :
 そして、死を厭い走り抜けた太陽喰らいの魔獣が、その拳に炎雷を纏わせた。
 獣の成り上がり、一世紀の死に損ない。死に損ないの成れの果て、もはや本人の証など残っているかも定かでない生き物とて、根っこの部分は失われない。

 彼の根っこは野生の本能ではなく、かつて連れ沿うことの叶わなかった憧憬だった、と取るか。島に焼き付いたものは、本能ではなく“うわべ”に過ぎなかったと取るか………。
 いずれにせよ。二体の魔獣。二度舞い戻る死ねずの魔獣がその首/腕を振り上げようとした時。

“パラディン”的場啓吾 :
「いいだろう。
 ココ
 島でこいつを擦り減らすのは二度目だ」

SYSTEM :
 熱を帯び、白熱したその豪腕を前に、
 UGN
 元後輩から激励というには刺々しいソラリス・シンドロームの生体工場ゆえんの贈り物を受け取った男が、ふっと笑う。

 船上でもロクに使わず、曰くの話では基本的に徒手の男が、その刃を使う意味。
 剣というには分厚く。大きな。断ち切る用途としても尚も大きな、もはや鈍器や盾めいている武器。

 FHの、少なくとも既存技術よりは一段も二段も進んだ得物と比べれば、あまりにも………“古い”一振り。

“パラディン”的場啓吾 :
「苦労の駄賃代わりによく見ておけ」

SYSTEM :
 戦意の初動に獣が勘付く。
 
 あれは己を殺し得るものだと、培った経験のかけらが。獣たちに、前に突き進んでくる戦士/聖騎士に一斉に矛を合わせた。

 死毒の吐息が吹き荒れて、その中を、毒の影響を受けない魔獣が、雷速の右拳を以て、騎士の横面諸共、左から半分を消し飛ばす勢いの豪拳を撃ち放つ。

 …その攻防にそう時間はかからなかった。

“パラディン”的場啓吾 :
「───“パラディン”の一振りをな!」 

SYSTEM :
 ───死毒の吐息を受け止めたのは、ブラックドッグの発電細胞が成せる超伝導。
 それとて余技に過ぎない雷電の鎧が、彼のレネゲイドに本来齎す悪影響を吹き払い。 

SYSTEM :
            バトルガーディアン
 続く踏み込みに対して、士師だった者の名残が後から雷速を上回る。同じブラックドッグでも───あるいは彼がその人型の拘りなど持っていなければ勝負も出来たかも知れないが───その『雷速』には雲泥の差があった。

    ライトニングリンク
 ───生体電流による神経加速だ。 

SYSTEM :
 弾丸を電磁加速させるが如く、神経加速と共に放たれた一振り。
 神速のインパルスが成せる、ブラックドッグのフォワードが可能な基本にして最高位の加速が、獣の豪腕ごとその一撃を弾き、切り落とす。

 一呼吸にて二度の剣閃が、その鈍器と見紛う武器にて閃く。
 それで即死とならなかったのは、“彼”が仮にも死を遠ざけてきた獣だから。無防備な状態を狙う一振りでも、持っていかれたものが片腕程度で済んだのだ。

SYSTEM :
 そして、その二撃と共に。
 懐に飛び込んだ士師の刃が、あの鱗や甲殻で覆われ、物理的な耐性において秀でた幻想の躯体。竜の鱗を、まるで紙屑のように引き裂く。

 戦士千人の命こそが、竜の鱗一枚の対価だ───などと嘯かれていたのは、竜の神秘が大手を振っていた五〜六世紀の知られざる世界での話。そして、こんな“ひとかけら”よりもはるかに頑強なものであればの話。

 パラディンの刃に流し込まれた雷電は、およそ防御をものともしない。
 変化と剛性を以て耐える彼の装甲を砕いたそのやり方は、颯が無意識にやっていたものの応用系。

 衝撃力を伝える前の障害となるものを無意識に判断し、その変化そのものに干渉する───『防御力』と呼ぶものがあれば、それをそもそも発揮させないブラックドッグ・シンドロームの妙技だ。

SYSTEM :
 聖騎士の名を冠する男が、今やFHにてどんな悪名で呼ばれているかを知っていよう。

 彼は望みの為に戦う狂戦士なのだ、と。

 しかしその戦技、培われて来た身のこなし。それは、彼の今がどうであれ、その一振りを構えた時、嘗て“日本支部最強”と呼ばれた男であることをこの上なく知らしめていた。

SYSTEM :
 無論、一撃にて切り伏せられるほど、この獣はヤワでない。竜もまた、その望みにかけるものは名残とて薄くはない。

 されど───。

久外境耶 :
「スッッッッゲ! 飛んだぜ腕!」

久外境耶 :
「やんじゃん、さ〜すがおれの(仮)部下! おい旭、感想文ゲンコーヨーシ1000枚分考えとけよ!」

 ゲラゲラ笑いながら前へ出る。残りモンにはラッキーがあんだろ? じゃ、おれが貰わなきゃ嘘だよなあ!

荻野目 旭 :「『すごかったです。』で埋めてやりますけど!?」

久外境耶 :「んならマジでやったら何回分なんのか数えて待っとけ!」

久外境耶 :
「つ〜わけでえ……」

久外境耶 :
「せっかく面ぁ出してくれたんだ、チョイと早いがお披露目といこうかア!」

      アナザー
 形状変化: 異 ──死と隣り合うのに最も適した姿へ、肉体が変化する。変転する。変質する。変貌を、遂げる。

久外境耶 :
「────そらよオ!」

 それは他者のレネゲイドと混ざりあい、一体化した姿。形状変化(シェイプシフト)の新たなパターン。最新最強、魔狼の血肉を取り込み、金属質の外骨格には今や生命の躍動が宿っていた。

 強靭な筋繊維で編まれた人の似姿と、炎めいて立ち揺れる冷気。死ねずを喰らった死なずの体を、ここに晒す。

久外境耶 :
 魔獣の形を真似た人外が吼えるように嗤う。
 不死ずにリスペクトを、死に損ないにクライマックスを!

久外境耶 :
「二度目の退場だ──華々しく送ってやっから派手に吼えなアッ!」

             右ストレート
 爆ぜるように飛び掛かり、荒ぶ絶対零度。型も礼儀もクソ食らえと、オーヴァードの性能をありのまま叩きつける……!

“朧の狩人/残骸” シホ :
 「……………。」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 果たして、魔のものたちが冥府から還ってきたのを目前にして。
 私の胸に去来した感情の名前はなんだったか。

 恐怖と言えばそれらしい。
 脅威と言えば尤もらしく。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 しかしそれでは、やはり説明のつかないことに。
 私はそれを目の前に、畏れに震えることはなかったし。銃を構えていたはずの手は、とっくに得物を持ち替えていた。

 いつか守護者を名乗ったものが並び立っていた故だとすれば、それも確からしくはあったが。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「あなたは、もう───…………」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 それだけと言うには剰りにも、私の目には景色がはっきりと見えていた。
 迫る死毒と雷電を前に、手に握った刃の切先は揺らぎはしない。


 直感が冷たく告げる。
 ──鱗が消えた。いまなら、彼/彼女を容易く還せる。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……あなたの、還るべき場所は」

“朧の狩人/残骸” シホ :
  コチラ
「此岸では、ありません」

 直感が告げる。
 立ち塞がるものが既に喪われたものならば、因子を殺す死毒の真似事も要らない。
 一たび安らぎを得たものがそれを見喪ったというのなら、それを取り戻すほんの一押しをしてやればいい。

“朧の狩人/残骸” シホ :

 だから、狩人の選択はひとつだ。
           ドラクル
 腕を振り抜き、蘇った竜の腑を穿つ刃を擲つ。
 無垢の銀刃が、虚空を裂く。
              コロ
 穿たれた/癒えぬ時の傷痕を癒すように。

SYSTEM :
 奈落を覗いた男が、奈落から生まれた者にバトンタッチしたのと。
 苦痛に呻く落胤の竜が、己に向けられるものに気付いたのは、殆ど同じ。
 

SYSTEM :
 正しさの成れの果てを示す、残骸から生まれた底抜けの器たちだ。

 片や、即席愚連隊のあるじ。
 不死身の魔兎。
 片や、澱み狩る者のなごり。
 朧の葬送り人。

SYSTEM :
 イノチ
 熱を貪りながらも死にその身を掠らせ続けてきたものに、残る熱は暖かさとは無縁だ。
 その身は永遠に停止った、奥行きのない絶対零度。不変の徴。
      しなず
 それを───不死身を幸運とはよく言ったもの。
 そこに変化が訪れたとしても、それはこの生き物の掲げる看板の中身が変わったわけではない。  
 圧し潰し、搾り取り……貪って、奪い尽くした残火。
 眼前のものよりも確かな不死身の痕を名残ごと奪い去った果て。

SYSTEM :
 しなず   しねず
 不死身にして不滅。 
    ねつ
 貪欲に生命を喰らい、なれども決してそこに炎は宿らなかった。
 たったいま振り抜く拳さえ、その本懐は生命の躍動ありきの絶対ならざる不滅の防御だ。

SYSTEM :
グリムリーパー
 死神。
 死と再生を齎すもの。生命の収穫者。永遠に暖かさを知り得ない冥府の旅人。

 不死に打ち克つ途上の不死身。

SYSTEM :
 感傷など無用とばかりだが、本懐ではない所業を“敢えて”と選んだのは手向けのつもりか。
 白日に晒された屍の吠え返す『二度』の御法度を嘲り踏み砕くその拳は、嘗ての名残に向けて澱みなく放たれていた。

SYSTEM :
 魔狼が唸りを上げる。

 片腕が万全ならば、彼の本能が正しく働けば───。

SYSTEM :
 それとほぼ同刻。嘗て終わりを添えて葬送られた故郷の香り。
 あるいはそれを死と呼ぶことに自覚がないから、今もなお孤独に苛む厄災の子供達が吼え猛る。
 
 死にたくないと吠えながら、帰りたいと喚きながら。
 夜の闇に溶け込んだ翼が、嵐の中で荒ぶって。
 立ち向かうその初動、剥がれ落ちた鱗の微かというにはずいぶん大きな隙間。
 交差する死線はコンマ数秒。景色はあの時と同様に鮮明で、猶予は嘗てとそう変わらない。

SYSTEM :
         ヴィジョン
 だが、相討つような幻像は、ここになかった。
 そいつにとっては、心残りで、本懐で、決死だったとしても。

SYSTEM :
 蘇ったものの心臓に打つ杭はなくとも、不死身をこそ撃つ銀の弾丸を備えた狩人に。負けの理由はなかった。

 葬送の鋼が煌く。
 求めていた安堵を上回る恐怖。帰郷のさだめが、竜の疵痕へと解き放たれて。 

SYSTEM :
 落胤が哭き喚いた。

 ここにこなければ/ここが故郷だ、矛盾を織り交ぜる中に、同じく“もしも”を訴える───。 

SYSTEM :
 全ては“もしも”だ。末期の夢に過ぎぬし。

 また、それを人はこう呼ぶ。
 負け犬の遠吠えだ。 

SYSTEM :
 行く手を阻む名残の魔獣たち。

 一度目の死闘と比べれば、高まるレネゲイドの因子が、“パラディン”の一振りが、そして何より、なぞるだけの過程が、その結末を比較にならぬ形で終えていた。

SYSTEM :
 名残がかき消える。

 二度目と”二体目”の不死身は許されず。
 帰郷を願うものは、己の安息へと再び還った。リュウグウジマにて躍動した、妄執の名残たち。孤独なれど、孤独で居続けることの叶わなかった生き物が、深海の頂に刻み込んだ最後の残滓だ。

久外境耶 :
「ッシャ、勝ちイ! へーいハイタッチしようぜパラディン」

 名残などには目もくれない。勝手な見送りはもうやって、だから今このナリだ。

“パラディン”的場啓吾 :
           ボ ス
「よしきた、よくやった現上司。
 死体蹴りもしたし、次に行くとしよう」

SYSTEM :
 そしてそれに堂々と応じ、渇いたハイタッチの音を炎の中で響かせる彼は、既に“誇り”の名残を仕舞っていた。

 あるいは、それを振るう時にする言動ではないとしたのか。単なる武器の惜しみか。

久外境耶 :
「ノリよくってサイコ〜。ナイトホークう、オメーもはよ開き直れよなあ〜」うえ〜い だるだる

荻野目 旭 :「そんなに早く割り切れたら苦労しませんってえ……」

荻野目 旭 :「……というか、その恰好どうしたんですか? もしかして、悪いもの拾い食いでも?」

荻野目 旭 :言いながら手だけは出しますよ。なんとなく。対抗意識で。

久外境耶 :吹っ飛ばしたろ バッッッッシーーーーン

荻野目 旭 :1d10 cm吹っ飛びます (1D10) > 4

荻野目 旭 :ふっとばされて4センチあとずさりました

久外境耶 :「ダハハ笑える! ま、大体そんなトコ。ナリ変わるくれーの悪食は久々だけどな」

『ホデリ』 :
『滾りの形…あの魔狼めか』

“パラディン”的場啓吾 :
「ナリが変わることくらい珍しい以上じゃない。馴らし運転に恵まれるとは、確かに“ラッキー”だぞ」

SYSTEM :
 馴らしとは身体だけに限った話ではない。
 少なくとも“悪食”による形状変化は、今のレネゲイドの侵蝕割合の増加に伴う強化も混ざっているからだ。

 死と付き合い続けるあなたにとって、そんな確認は些細なことかもしれないが。

久外境耶 :「おうよ。フォームチェンジは一号だけの特権じゃねえってな!」なんかあいつめっちゃあるけど!

久外境耶 :「ささやかだな〜おれの幸運。拾える運はなんでも拾ってくケド」

『ホデリ』 :
『使い手違わば、象るものも違う…ということやもしれぬ』

『ホデリ』 :
『だが、まあ…。
 幸運、向後にも拾わば拾うべし…だな。わたしがお零れに与って猶残るほどに』

久外境耶 :「わ〜ってねえなあ、全部くれてやんよ!」

荻野目 旭 :忠犬……。

荻野目 旭 :「……とりあえず、いつもの調子みたいなので──ホントに進化のたぐいだってことはだいたいわかりました」

久外境耶 :「なんだ、馬車馬の心配か?」

荻野目 旭 :「そりゃあしますよ。僕やシホさんの心境はともかく、実質的に前哨戦ですもん」

荻野目 旭 :「こんなトコでふにゃふにゃになられても困りますう」

久外境耶 :「オメーが一番フニャフニャのヘニョヘニョだろが!」

久外境耶 :「つかそう、それだ。シホ。ナイフ隠し持ってたおっかねー狙撃手サンのチョーシはどうなん」

久外境耶 :いちお〜毒トカゲだろアレ パラディンがブッ壊してたケド

“パラディン”的場啓吾 :「その呼び名で行くならやはり名残のうちに翼はもぐんだったか…」

“朧の狩人/残骸” シホ :「どちらにせよアレをトカゲ扱いは厳しいんじゃないでしょうか……」

三廻部 颯 :「ドラゴンにしては蛇っぽいしトカゲじゃないかな」

久外境耶 :「死んだら何言われても文句言えね〜ってこった」ゲラゲラ

“パラディン”的場啓吾 :
「蛇の見た目でも竜を名乗るようなのはいるが、まあだいたい“ラッキージンクス”の言葉通りだ。アレだな、敗者死すべし」

“パラディン”的場啓吾 :
「…とはいえ…。
 その“一度目の相手”ならともかく、こいつでトドメ刺したナイフから悪影響が出るってのもないだろう」

久外境耶 :つかナイフどっから出したん? 乳か? あるもんな収納スペース

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……元より“終わっていた”ものですからね」

“朧の狩人/残骸” シホ :あとよく見てください。あるでしょうホルスターが腿に

荻野目 旭 :セクハラ!

SYSTEM :この場にあなたの知る同年代か年上がいたならばそれぞれ違った形で死の知覚判定を要求していただろう。

久外境耶 :脚見ていいってよ 許可下りたんだからセクハラじゃねえ、正当な権利だ

荻野目 旭 :指笛吹きます! ピピーッ

“害群之马"龍嘉睿 :「……まぁトドメ刺せたならいいだろ」
 周囲の喧騒を聞き流しながら周りを調べている。

『ホデリ』 :頓智であるな…

SYSTEM :
 薄々と察している“くれてやる”と、それからの年頃の子供の言い合いに始まった様子。
 白い狗が目を細めて、何度か連続で軽く吠えている。

 人の色に合わせれば、それは好々爺の笑い声だろうか。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 まったく……。
 しかし、颯ちゃんに続いて境耶くんまで姿が変わるとは。“タイガーアイ”と“ブラザーフッド”の違いくらい、些細なものかもしれないなぁ…。

SYSTEM :
 ………炎も、見ればそこにある熱を失っていた。あるいは、最初から熱があると言うこと自体錯覚だったのか。
 
 リュウグウジマの最深に行く道の最中。理屈とは言い難い感覚めいたもので、誰もがその炎を辿った先の意味を理解していた。
 先の戦闘の名残を払うのに時間も掛からぬ以上………。

SYSTEM :
 この先に…。

 彼の名残であるこの風景を越えた先に。
 ホオリノミコトはいるのだろう。

 いや、ホオリノミコトですらない。
 最早彼の遺志さえ遺らぬ怪異の形が。

SYSTEM :
【Check!】
 
 この先、クライマックスシーンに移行します。
 使用可能なアイテムの使用や装備の入替等の希望を確認しています...
 

荻野目 旭 :…さすがにあと一回回復すると、もう絶対夢の数字見えてきちゃうからなあ

荻野目 旭 :やめときます。準備オッケーです!

久外境耶 :ビビったわ ビビらすな

“害群之马"龍嘉睿 :問題無い。

久外境耶 :おれもクリスタルシールド装備して準備ヨ〜シ

“朧の狩人/残骸” シホ :装備をダガーから“無記銘”(レッドテンペスト)に変更して準備完了です。
ちゃんとダガーはしまいますよ。腿に。

三廻部 颯 :私はやれます!

久外境耶 :見てくださいって言われたからちゃんと見届けたぜおれは

荻野目 旭 :ピピピピピピ

久外境耶 :あ〜! ひよこがピイピイうるせえな〜!

“朧の狩人/残骸” シホ :……ダガーの数本くらいなら、あなたの胸にもしまえそうですね。ダイレクトに。

久外境耶 :おうやってみろよ! 必死こいて戻したナイトホークがゲロ吐くぜ!

荻野目 旭 :僕を人質に取らないでくださ〜い ひよこじゃなくて鷹で〜す

“害群之马"龍嘉睿 :なんてお労しいんだろうか……(遠巻きに眺める

“朧の狩人/残骸” シホ :ああもう……行きましょう!ほら早く!

SYSTEM :
【Check!】
 使用可能なアイテムの使用や装備の入替を確認しました。

SYSTEM :
 ………、………。
 ………………………………。

SYSTEM :


 ──ところで。
 後悔先に立たず、という言葉がある。

SYSTEM :
 転んだ先のことを想像できないものが、あの時ああしておけばよかったと思ったところで、既に確定した過去を変えられるわけではない。
 時計の針は逆回りにならない。盆から零れた水を元に戻すことも出来ない。

 総じて、過去を悔恨することに、自らの整理以外の意味はなく。
 しかし、過去すら振り返れない人種に、後悔と失望を受け止める安全装置はない。

SYSTEM :
 そのようにあれと
 只管に戦うために生まれて、

 そのあとはなしと
 それ以外の道無しとされた。
 
 そんな生き物たちに、転んだ先を想像する安全装置はなかった。
 これはそんな躓きの話だ。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………やがて出た先。
 辿り着いたその果ての路を、なんと表現したものか。

 見渡す限りの海色は、水平線の向こう側にも、照らす太陽を帳で覆い切れない浅い海にも見えるが、しかし脚を踏み出せば、その踏みしめた違和感ですぐに悟ろう。

SYSTEM :
 ここは水底。地球の内海に広がる幻想を隔てる物理的な海の果て。

 本物のそれではないのかもしれないが、誰かが願って止まない場所だ。
 そこまで潜り込めば、きっと“彼女”がいるだろうと願い、この島を維持し続けてきた成れの果ての。

SYSTEM :
 水平線の向こう側には、何も映らない。
 行き来する生命/渡り鳥や魚群さえ。
 仮に探したとて、ここから遠くに向かおうとするものは、見つかるまい。

 だが、標だけはある。

SYSTEM :
 かすか降っては溶ける雪。

 ここにあってはならない異物のかたち。

荻野目 旭 :「────!」

荻野目 旭 :「ここ、は……ますますおとぎ話じみてきましたが……」

“害群之马"龍嘉睿 :
「幻想的と呼ぶなら、幻想的なんだろうな」

 綺麗だとか、そういうものを口にすることはない。
 ……気にせず進む。仕事の目的がその向こうにいるならば、足を止める理由にはならない。

三廻部 颯 :「──……」

“朧の狩人/残骸” シホ : 
 確かに、いつか“タイガーアイ”に聞いた御伽話めいている。
 ……めでたしめでたしで終わっていたならば、きっと降っていなかった幻想のカタチはあるけれど。

久外境耶 :
「はん、しみったれてんな」

 水底の幻想に耽る感性は、あいにくない。この光景を作りだしたヤツへの反感だけが、わずらわしく胸の内側を引っ掻いている。

「にしても──ああ、この雪は知ってらア。お待ちかねってコトかい」

『ホデリ』 :
『…あの娘か。先をば越されたやも知れぬが』

『ホデリ』 :
『ああ、そうだ、此処だ…。

 存じねども、斯様な水面こそ…。
 わたしのさふべき、行く先だ』

SYSTEM :
 知らぬ海の形ではなく。
 水面から広がる狂った無垢。裏表ない素朴さ。曰く”しみったれた”殺風景を、彼は懐かしんだ。

 何より愚かだった唯一無二を。

SYSTEM :
 …白い狗が、あなた/境耶に軽く吠える。疑いの余地のない、ゆこう、の言葉。
 色んなものをないまぜにして、何より優先した感情のかたち。

久外境耶 :
「──おう」

 それがおまえのやりたいコトで、
 向いてねえなりに振りかざした高慢のかたちなら。

 おれの不満も苛立ちも、泡みてーに捨てていける。

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :震える息を吸って吐く。指先も、さっきから思い通りに動かない。

荻野目 旭 :「……ここまで来て、今更怖気づいてなんていられませんよね」

荻野目 旭 :指先を握りこんで震えを抑える。ここで全部チャラにしないと、僕永遠に前に進めない。

久外境耶 :「そうだ、お待ちかねの本番だぜ」

久外境耶 :「気に入らねえヤツがぶっ飛ばされるトコ、特等席で見てな! 今日は護衛もオマケしてやらあ」

“パラディン”的場啓吾 :
   ナラズモノ
「いいお友達に恵まれたな、元後輩」

“パラディン”的場啓吾 :
「お前よりは先輩の元後輩どもも送り出したのだろ?
 そう出来る限り、誇りを抱き締めて。夢に傲慢になってやれ」

荻野目 旭 :「……………」

荻野目 旭 :「……わかってます。死に顔の夢とはもうおさらばです」

荻野目 旭 :「あなたに言われるの、すごく複雑ですけど……わかりはしますから」

“パラディン”的場啓吾 :
「それでいいさ。複雑さが全部なくなった時には、元気に地獄に行こう」

SYSTEM :
 冗談めかして笑った男のそれは、恐らくは激励だ。
 甘い夢を追った少女にやったものとは、たぶん似て非なるものの。

SYSTEM :
 白い狗の先導のままに、あなたたちが道なき道を行く。

 思いしままに彼はそうした。
 敢えて語るではない欲望の断片を、一度は語らじとも良しとし。
 二度は、致命的な不解と、決定的な理解で以て、呑み込んでいた。

 白い狗にとっては、ただ。
 たった一度の超人への挑戦に、伴がいることが何よりも贅沢だった。
 超人である以上に、愚かな弟に。終わりを告げるというその道程に。

SYSTEM :
 ………かすか降っては溶ける雪の中。
 その白に紛れたものが煌めく。

 終点は思いのほかに早かった。

SYSTEM :
 脚を止めていた、
 女性にしては高い背丈の後ろ姿。
 
 白雪のように美しく、明星のように鮮やかで。
 鋼色のように煌いて、宵闇のように悍ましい。

SYSTEM :
 …そいつが。
 後姿を見せたまま、水平線の向こう側を臨んでいた。

荻野目 旭 :
「────ッ、……」
 体が凍りつく。  ヒト
 いるとわかっていた女の、わかっていた後ろ姿だ。

荻野目 旭 :「……“喚楽の人喰い虎”……」

三廻部 颯 :
 手を握り締める。
 其れは、託されたものを握りしめて、■める為の手。
 其れは、傲慢だけど、純粋な約束のために、向けるための手。

 震えがないわけじゃない。
 自分がこの体になったから分かる強さと、対峙する意味が。

「───、また、会いましたね」

 その背を見て告げる言葉は、先ずその一言だけ。

久外境耶 :
 ……よくよく考えてみれば、あんときも背向けてたな。
 無防備にも映る姿だが、それも道理だ。警戒は外敵のいるヤツのするコトで、奴にはそんなモン存在しなかった。

 脅威と呼べる存在が。同格以上に渡り合える、心をひりつかせてくれる何者かが。

 ──だから、こんな底の底まで来るしかなかった。

久外境耶 :
 喉の奥でくつくつ笑いがこぼれる。憐れみなど抱く余地のない、強者のメルヘンだ。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ……こうして彼女の背を見るのは、初めてではない。
 銃を携え、動くより先んじて背を撃つことを試みようとし……すぐそれを諦めたことも。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ……孤独の島の、奈落の底に。
 彼女が見出したのは、果たして彼女が望んだ答えだったろうか。それは私には分からない。
 降り注ぐ雪の原風景が私と同じ根であるのかも、また。

“害群之马"龍嘉睿 :
「……」

 ・・・・・・・・・
 いつもと変わりない。
 銃弾には己の血肉を込め、魂を捧げて、障害を消す。
 俺の求める仕事の先に、眼の前の敵対者は不要であると。
 だが、他にとってはそうではない。故に──、

“害群之马"龍嘉睿 :
「──俺の課題、覚えているな」

 狙撃手に問う。
 彼女と己を分けたものはなんであるか、というものを言葉で語り、分かりあえる存在とは思えない。

「その弾丸だけが、アンタの答えであり、弁である。眼の前の怪物になりきれないかいぶつも、そこにいる孤独の化身も。
 そして、彼ら自身を取り巻く運命に対しても、だ」

“害群之马"龍嘉睿 :
「……それだけだ。放った銃弾とその狙いだけは、ウソを付かない」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……、…………」

SYSTEM :


 ………ところで。だ。

SYSTEM :

 その意外にも人好きのする白い淡雪の獣は。
 あなたたちを待っていた、のではなかった。

SYSTEM :

 あわれみ、あざけり、きづかって。
 断じて対等とも思っていない遊び相手を、待っていたわけではなかった。

SYSTEM :

 もしもそうだったなら、この生き物はいま真っ先に振り返っていただろう。
 
 すがるような喜びと、あきらめた楽しさを宿して。
 はじめまして、を繰り返して。“まだ”そうではないことを噛み締めただろう。
 たぶん、負けて檻の中でも喜んだに違いない。そういう感情しか、出力できないなりに。

SYSTEM :


 そうではなかった。

     ・・・・・・・・
 ただ………立ち尽くしていただけだ。


SYSTEM :

 あなたたちはすぐに気付くだろう。
            アーカーシャ
 丁度見えないところ。虚ろな空の一人娘の眼前に、確かにホオリノミコトはいた。

『ホデリ』 :

『ホオリ………………』

SYSTEM :
    ・・
 そう、いたのだ。

SYSTEM :
 そこにいるホオリノミコトは、見る影もない骸であった。
 彼女がそうしたのではない。

 最初から、あるものに遺志を託した怪異は。もはや力の名残だけの抜け殻だったからだ。

SYSTEM :
 ………終わりを告げるなど、辿り着いてしまえば難しくもない。
 まことに目覚めた時、この海のかたちは、確かに………あの“大怪異”を象るのだろう。

 船を容易く鎮め、嵐を興し、剛力にて全てを捻じ伏せる、ワダツミの似姿。
 成れの果ての心と、成れの果ての体を、本来ならば消し去る海鳴のつるぎと絡み合った、歪んだ怪物に、だ。

SYSTEM :
 だが。
 
 それは、目覚め切ったならの話であって。

『ホデリ』 :

『よもや、これは………………。
 なれど、ならば目覚めしものよ、わたしの語ふべきは───』

SYSTEM :

 少し急いで辿り着いたこの生き物は、そしてあなたたちは。
 目覚める前の、あまりにも寂しい、孤独な亡骸以外に見るものはなかった。

SYSTEM :

 ………そう。

 目の前にいるものは。
 最後に縋った、鏡の似姿に。

 そいつは■■を最初に懐いて。
 自覚した時、漠然と覚えたものを処理し切れなかっただけなのだ。

“喚楽の人喰い虎” :


「──────なんだ、ソレは、ないでしょう」

“喚楽の人喰い虎” :

 ・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・
「これに、殺して貰うつもりだったのですか、私は?」

SYSTEM :

 ひどく渇いた声が聞こえる。
 何分も時間をかけて漸く絞り切ったひとしずくだ。

SYSTEM :

 あれこれとこじつけて、無理矢理油を注いで燃え上がらせた炎が。
 ふっと夢から醒めるように現実に返った時、急激に薄ら寒く見えてしまうような。
 
 そんなもの。
         はしか
 言ってしまえば、一過性に過ぎなかったけど。

SYSTEM :

 それがいけなかった。

“喚楽の人喰い虎” :

「───はは」

SYSTEM :
 笑い声が、響く。

“喚楽の人喰い虎” :
「ははは。はははは。ははははは!」

SYSTEM :
 だが───しかし。
 その笑い声は、今までに聞いたことのない笑い声だった。

“喚楽の人喰い虎” :


「あははははははははははははははははははは
 はははははははははははははははははははは
 はははははははははははははははははははは
 はははははははははははははははははははは
 はははははははははははははははははははは!」


SYSTEM :
 
 血でも流すような、空虚でおぞましい笑い声だった。
 
 …雪が、融けて消える。
 血色の妄念が、彼女のもとからほどけて、解き放たれる。

SYSTEM :
 
 ───蘆屋道満。
 響く万感の呪祖は、あの場にいるものに意味はなかった。
 ・・・・・・・・・・
 あの場にいるものには、で。
 ・・・・・・・
 それがはじめて、でもなかった。

SYSTEM :
 あなた/ならず者は知っているだろう。
 ジャームに道理はない。欲望のための最善に、理由や過程は不要だ。

 ただ必要だと見込んで。彼は、時の流れに逆らう愚者を己の仲間に抱き込んだ。
 どれだけ振り回されても、どんなに………予想通りに動くことがなかったとしても。
 あの時、何を思ったか、ひとりの少女に遺産はともかく使い手を渡していなければ。
 これを使うに足るものは、白い狗のたましいのみだったという余談を差し引いていても。

 ジャームは、自分にとって意味のないことは出来ない生命構造だった。

SYSTEM :

 ………明夜白銀を誘い込んだのは何故か?
 彼が唆した、ホオリノミコトへの行く先に誘うためだ。

SYSTEM :
 ………だが。従わぬと分かっているものを、どうやって己の目的に従えるのか?

SYSTEM :
 答えは、一つだ。
 どうせ従わないのだから、結果的にそうなればいい。

 嘗て。
 火出の者に、そう囁いたように。

SYSTEM :

【Check!】



 
『蘆屋道満』は
 Eロイス『潜伏憎悪』を発動済みです。
 
 対象:明夜白銀
  


 

SYSTEM :
 どんなに、聞かん坊でも。世の中を自ら隔てるような不器用でも。

 ただ………。
 時を捻じれ、果ての彼方へ沈むだけの力のある生き物ならば。
 それでよかったのだ。

SYSTEM :
 
 ───ただ。
                        バロール
 己よりも強く、世界に打ち込んだ楔を遡るだけの時歪の因子が。
 
 大禍津なりし素戔嗚尊が。
 暴れ者が、世界を遡り、安倍晴明を“結果的に”殺さばそれで良かったのだ。

SYSTEM :
 長い時間をかけて、ずっと、執拗に。
 たった刹那の心の隙間が訪れた時に備えて、丁寧に植えられ育てられてきたもの。
    セイメイ
 憎悪。世界への、憎悪。どんな形でもいい。

 僅かでも懐いた失意こそが、蘆屋道満の怨の一文字の呼び水だった。

SYSTEM :
 いちばん自分に近いと思っていた生き物が。
     ・・・・・・
 こんな、かわいそうな亡骸だったことに。

SYSTEM :
                               ロイス
 この終わりと戦う充足を探した傲慢な生き物が、最初に抱きかけた感情が。
    ・・
 恐らく憐憫だったことを自覚した時に…。
 そいつはたぶん、生きている限りで二番目の失望を、世界に懐いた。
 
 懐きかけたものが、真っ先に砕け散る音といっしょに。

SYSTEM :

 ただ虚ろなる、リュウグウジマの海に。
       オディオ
 孤独の亡霊の憎しみが響く。

SYSTEM :
【Check!】


 明夜白銀が『ジェネシフト』を宣言します。


“喚楽の人喰い虎” :17d10  (17D10) > 99[10,4,5,5,10,1,9,4,8,8,5,5,8,4,2,8,3] > 99

SYSTEM :
 これを指して、このように言う。
 識るものが語るに曰く…。

『ホデリ』 :
『なんと…』

『ホデリ』 :
 ・・ ・・・・・
『魔が…差したのか…!』

荻野目 旭 :「────」

荻野目 旭 :「─────は?」

三廻部 颯 :
「魔が差したって───まさか……!!」

久外境耶 :「てコトは……野郎の仕業か!」

三廻部 颯 :
 間違いない、とその言葉に続けるように。
   ・・・・
「……蘆屋道満……!」

“害群之马"龍嘉睿 :
「──なるほど」

「この手のヤツは、死んでもロクなものを残さない」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「そんな───」

 だったら、これは………

“朧の狩人/残骸” シホ :
 その、“蘆屋道満”がとうに潰えたいま。
 ・・・
 この獣は、いったい、どうなって───

SYSTEM :
 血染の哄笑に正体を語るものはいない。
 なれども当事者こそがそれに気づく。

 蘆屋道満───その妄執。ほんの小さな一点の黒い染みでも、そこに針さえ通せれば…。
 かつてたった一人を除いて、全てを思うがままにして来た大呪術師の業。全てを塗り潰してきた黒色に、何も残らぬ巨きな虚ろの白などは、要点を容易く染められるというのも。

 嘗て…ホオリノミコトにそうしたように。

SYSTEM :
 そして。
 間近で起きた失意の呼び水は、目覚めのダメ押しには持ってこいだ。

 同じ憎悪が。独つ同士がこすれて響き合う。

『ホデリ』 :
『いかん、目をば覚ます………!』

SYSTEM :
 彼が目覚める。
 その遺志を既にひとりに託し、もはや形あるものとしては出力できない、勇者の名残。

█▇▅▇▇▅█ :
.     厭 だ
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

█▇▅▇▇▅█ :
    独りは転てし
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :
 その譫言が、目覚めの合図だった。

SYSTEM :
 凪いだ海が、荒れ狂う。
 眠りこけていたまま、停滞のままだった世界が動き出す。

SYSTEM :
 彼に出来ることはひとつだけだった。
 海の果てまで潜ること。
 そのために、本来はそのように動かない遺産は、彼自身の意志で捻じ曲げられた。
 
 あるいは、彼とあと一人。蘆屋道満の妄執だ。
 一念岩をも通す、とは………なるほどよく言ったもの。
 それが、本来、独りにて狂う哀れな英雄に歯止めをかける筈のものさえも狂わせて。
 正気の名残と、狂気の外殻を作り出したのである。

SYSTEM :
 名を、ワダツミ。
 嘗て蘆屋道満が海の底にて捻じ伏せ、従えたもの。海巫女の前の代。

 その記憶を携えた一振りを失っても、そこまでに積み重ねてきたものが。
 骸の肉体を覆っていく………否。

 最初から、骸のように見えていたことこそ偽りであったかのように。

 もはや当人はいないのに。
 遺してきた“名残”だけが、むなしく共鳴する。

SYSTEM :
【Check!】

 
 ホオリノミコト/“海鳴りの大怪異”が、
 Eロイス『妄念の姿』の所持を宣言します。
 
 

SYSTEM :
   ・・・・・・・・
 ───超巨大レネゲイド。

 その正体は、なんのことはない。

SYSTEM :
 旧い海から新しい海まで、現代の人間が10度生きては死ぬ熱量を、
 永久に辿り着けない水底のまぼろしに費やし続けた愚か者の名を呼ぶ。

SYSTEM :
 何のために生きるのか? 答えは、ありふれている。
 人が生きることに理由は要らずと言ってのけられるものだけが全てではない。
 
 オーヴァードは、あるいは、人間よりも。単独で活動できるように設計されていなかった。
 心の中の唯一無二と会うことのためだけに、もはや骸となり果てても、その魂が生き続けていた…。
 十世紀ごとに更新され続ける微弱な意志。何代にも重なって“初心”を覆い続ける角質や死骸の層。

SYSTEM :

 蘆屋道満が、その妄執のあまりに作り出し。
 その後滅んだが故に、自ら掘り当てることの叶わなくなった………。
 未 来  過 去
 新しきからふるきを滅ぼすもの。

 彼方から埋まったままの、黴の生えた不発弾。

SYSTEM :

 蘆屋道満は───否。
 この世界の誰もが、知り得ない、人の歴史/星の記憶の仕組み。

 何者にも繋がれないジャームのみが、時の流れにさえ繋がれない/囚われない。
 蘆屋道満が、無自覚に、また、決定的に間違った方法でやろうとしたことである。

SYSTEM :
 そのための特異点。歴史の楔こそが、この骸だ。
 目の覚めることのない海の怪物。今もなお、ただ一人に会うことだけを望んだ男の成れの果て。
 その名残は旧き時代から今に至るまで、海に、ただ、裏表のない愚かな生き物だから、ここに在り続けていた。

SYSTEM :
 ………想像もつくまい。何が起きるかなど。

 なぜなら、この絵に描いた餅を作った張本人はジャームだ。ジャームに、出来る出来ないの関係などあったものか。

 それを天文学的確率で言い当ててしまっただけで、理論もなければ確固たる道筋もない。
 再現性もなければ、成功するかも定かではない。
 なにせ、そうだろう。
 ・・・・
 こうする、が先行する話にどうして理性的な話があろうものか。

SYSTEM :
 いないものは殺せない。代わりで納得など出来ない。
 生まれた時点で詰みの生き物に、手段があれば使うのは当然であるからだ。

 転生体・蘆屋道満の縋ったものは、古き己の名残。いまそれが実を結ぼうとしていた。

SYSTEM :
 おわ
 海鳴りの鐘が響く。
 鐘を鳴らしたものの、掻き毟るような笑い声といっしょに。 

荻野目 旭 :「──正直、驚きはあれで打ち止めだと……思ったんですけど」

荻野目 旭 :
「……そういう、わけにもいかないですよね──そりゃあ、そうですよね!
 だからってなんですかあっ、あれ……!」

久外境耶 :「……あれで抜け殻ってんだからフザケたハナシだ」

久外境耶 :
            ソレ
「──そんなんなっても、女しかねえのか」

「──他に言うことはねえのか」

「ここに……いんだろうがア!」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「───これが」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ……“ディアボロス”から始まった、島であるかも定かでない“リュウグウジマ”を巡る旅路。
 その旅路の結末に待つ、“島一つを丸ごと覆う超弩級レネゲイドビーイング”が、目の前にいる。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 これが……。
 こんな、孤独の怪物が……私がはじまりに求めた“答え”だったの……?

SYSTEM :
 島一つ分と見紛うほどのレネゲイド体を形成し、何れの時においても、等しくこの海域に居座る生命体の叫び声。
 それにさえ物怖じしない憤懣の声に、白い狗/成れの果てが尾を下げ、一度だけ視線を向けた。

SYSTEM :
 そうしたのは己だとばかりにも言うものの、孤独の怪物を見る瞳に宿ったのは、悲しみともう一つ。現実的な算段をするものは、少なくとも“超人”馴れのない彼ではなかった。

“害群之马"龍嘉睿 :
「……」

“害群之马"龍嘉睿 :
          ・・・・・・・・・
 なんてことはない、いつも通りの仕事だ。

“害群之马"龍嘉睿 :
「──海鳴りの声に惹かれること。
 ただそれだけを残した抜け殻か」

 当人の意志は、とっくに死に絶えているのだろう。
 ジャームと呼ぶことすらおこがましいのかもしれない。

“害群之马"龍嘉睿 :
「なら、やることは一つだ。
 話を聞かせられる状態にする。話すら聞けんようなら、耳穴を銃弾で開ける」

 それが仕事である。当然のように言い切った。
 憤懣も、義務も、何もあるまい。
 肝心の言葉の中身は他の連中が言ってくれるだろう──ならば、己の仕事は、これであると。

「結局最後は物理で解決することになるが、逃げられんだけ遥かにいい」

 スライド。薬莢排出。

「悩んでる暇も人生の大事な時間だが、
 引き金を引く指が、少しずつ冷えてくる。冷えてくれば、トリガーが重くなる。
 熱い内に、心の臓でもフォーカスしておくべきだ」

 ──立ち止まった狙撃手へと、声をかける。
 我らは揃ってガヤもガヤ。ならば己の思うがままに、埒を開けるしかあるまいと。

三廻部 颯 :
 旧き海から蘇りしもの、
 淡く黒く、溜まりに溜まった廃棄孔の産物。
 記憶という孔の中に押し込められたものを、引っ張り出すような。

「わだ───つみ」

 それは、あの時、あの夢の中、あの記憶の中で視たもの。

三廻部 颯 :
「……っ!!」

三廻部 颯 :
 自分の頬を叩く。
 気圧されている場合か、驚いている場合か!
 そんなことをしている暇があるんだったら、構えろ!

 骸がどれだけ積み上がったがしゃ髑髏に成り果てていたとしても、
 それに向かって私がすることはたった一つ。
 託された思いを背負って、やるべき───いいや、やろうと決めたことを、すること!

三廻部 颯 :
 名残は、名残でしかない。
 もう彼は、その水底で小さく微笑んだ。
 平安時代の銀メダリストに踊らされて、妄念の醜態を晒し続ける必要なんて、もうないんだ。

 朱の狂笑も、蒼の残穢も───なにもかも、この手で断ち切ってやる。
 断ち切って、手を伸ばしてやる!

三廻部 颯 :
「……どんなに大きくても負けるもんか!!」

SYSTEM :
 かき混ぜながら落下し続ける、藍き空想の領域。
 不可解から来る拒絶と憤懣が木霊して、引鉄を弾く前の狩人が嘆きながら慄いた。
 人ほど予測のつかない怪物はないと存じている男/何があっても望みを果たす理の味方はともかく。
 何が起きるかなど想像もつくまい。
 零すものは海の表層へと零して来た/帰るところを定めてから来たあなたにとっては、想像しても尚、そうだったのかもしれないが。

SYSTEM :
 実際に叶うかなどではない。
 だが、繰り返すように。このレネゲイド体は、島と誤認されるほどの大きさを持っていた。

“パラディン”的場啓吾 :
「島そのものに誤認出来るデカさのレネゲイド体か。
 ・・
 今は海の中、幻の中。バロールの時の澱みの中だが………」

“パラディン”的場啓吾 :
「───ク。分からんものだ。
 ・・・・・
 こういうのは二度と縁を持たないと思っていたのにな」

SYSTEM :
 日本近海に時の楔を打ち立てたこの幻が、実際に深海まで沈んだならば。
 これだけの/島一つ分の質量が、微睡むばかりでなく実際に海面を突き抜け、波濤を起こすようになれば。

SYSTEM :
 ・・
 現実に対して、完全にこのレネゲイドの動きが反映されるようになってしまえば………。

SYSTEM :
 少なくとも、島の座標にあったもの/海のかなたで生きられない生物は、もろとも沈み、覆いかぶさる波濤で死するより他にない。
 どころか、下手をするとその外側まで。縁起でもない結果が待っているだろう。
 ・・・・   ・・・・
 それだけだが、それほどだ。

 世界を終わらせることもなければ、隠蔽が確実に不可能というわけでもない。
 しょせん独りの生物が独りの生物のまますることなど、まあ、そんなものだからだ。

SYSTEM :
 
 ジャームさえも。
 時に、孤独の呪縛からは逃れられない。

 この世のどこにも“それ”がないのなら………。
 現在のどこにも“それ”を持ち得ないのなら………。
 
 その果てに描いた、熱も、縁も、彼方から遠ざかるばかりの螺旋は。
 止めねば、地球にそれなりの、空っぽの憎悪の疵痕を刻んで。天文学的な確率で、ここにいないものの望みを叶えて終わりだ。

SYSTEM :
 だが、そこまで多くの時間はない。

 人を殺すとて並大抵ではない。超人の成れの果ても同様に。
                          ・・・・
 十世紀分の愚行の堆積の証を…“リュウグウジマ”ごと浦島太郎を殺すというのは。
 果たして、どういう労力になるのか。

SYSTEM :
 淀んだ藍と白。虚ろな空と海のかたちを結ぶものは、今なお残るものの執念。

 世界にさえ焼き付く、虚構の憎悪。
リィンカーネーション
 転生体………ふたり目の失敗作が、今もなお過去から未来へ受け継ぐもの。独りから独りへの継承。

 それが、この島の奥底に眠るもので。
 ここに積み重なった縁諸共に、ひとりの兄と女の無念が泡と消えるか。あるいは、海を隔てた小さな島国に、歴史的に不可解な爪跡が生まれるか否の分水嶺に立ち塞がるものだった。

SYSTEM :
 ………やるしかない、を呟いたのは誰だったのか。
 否が応でも構えを取るべき時に。

SYSTEM :
 ………ふと。
 颯の、御守りが、淡く輝く。 

SYSTEM :
 嵐の海と藍色の中で、凪いだ、淡い海色の輝き。

 彼方へ、海鳴りの音が響く。
 島の表層。見えも聞こえも感じもしないが、そこに待っているだろうと確信するものの声と、仄かな光。

三廻部 颯 :
「……!」

三廻部 颯 :
 淡い輝きを前に、思わずそれに視線が向く。
 響く音を、耳で捉えて、光を目で捉えて。

三廻部 颯 :
「こ───、れは……!」

SYSTEM :
 遺産の名前を、塩満珠。またの名は塩乾珠。
 あなたが首元に提げたものは、元はと言えばホデリノミコトの持ち物だ。
      サクラ 
 白い狗が、彼女に一度預けて。
 それから、特に返せとも言わず、返してもらう気もないとばかりに先へ進んだから。
 咲楽がともだちに渡したもの。

SYSTEM :
 言葉を借りるなら。

 かつて、海の底では生きられなかった男が、海の底でしか生きられなかった女から預かったもの。

 繋がりを示すもの。
 此処にいない大陰陽師の憎悪にて共鳴した残照があるように、その“名残”に共鳴したものは断じて一つだけではなかった。

SYSTEM :
 光るその珠に、あなた/颯が意識を向けた、ちょうどその頃…。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ………リュウグウジマの表層にて。

SYSTEM :
 未だ無事な箇所は、島の中枢と、ホデリが隔て、ホオリが遺した幸福の名残だけだ。
 
 水面に沈んで荒れ狂う中、立っていられぬ衝撃の中。
 辛抱強く“ともだち”を待っていたものと、彼方を見守っていたものがいる。きっと大丈夫と、血の縁を守る、依り代なきものだ。

 だがそれは、やがて一気に不安の色を帯びていた。

SYSTEM :
 一度は止み、帰りを待つだけとなった場所を、激しい嵐が覆ったからだ。

池田咲楽 :
「何が、あったの………」

池田咲楽 :
「颯は! 旭くんは? それから………ッ」

SYSTEM :
 ・・・・・・・
 何があったのか、を。
 親しいものの名と、親しいものの傍にいたものの名を借りて問う彼女の言葉に。

SYSTEM :
 何が起きたのか、を。
 一瞬、分かっていても図り損ねた海の姫巫女が、応える。

“トヨタマノヒメ” :
『起きてしまったわ。彼』

“トヨタマノヒメ” :
『どうにか出来るかは。
 ここだと、わからないわね』

SYSTEM :
 島一つ分まで膨れ上がった“独り”を。
 何人かそこらの検怪の者が殺せるのか、どうか。
 
 彼女にはかる術はない。戦ったことなどない生き物に、どうしてそれが出来ようか。
 ただ分かることが、その嵐の色に宿るもの。嵐に乗って、表層に伝わる嘆きの形だった。

SYSTEM :
 独りは厭だ、と。

 かつて海の表層に遺して来た男の言葉に。この繋がりを現世との最後のつながりにするだろう女が、人気取りの表情で応じる。

“トヨタマノヒメ” :
『言葉で言わないと伝わらないことなら』

“トヨタマノヒメ” :
『人の言葉で、仲直りというのね。
 嬉しさに甘えるだけじゃなくて、ちゃんと、そうさせておけばよかった』

SYSTEM :
 言ったって伝わらない言葉と、小さな嘆息。嘆きの仕草を、本当に解しているのかは分からない。

SYSTEM :
 どうにかならないかも、を。
 告げながら、リュウグウジマの彼方を見やるもの。

 曰く先祖。曰く、人ではないもの。
 それに守られながら、見守る以外のことはない、と言ったものに対して、彼女が口にしたのは。

池田咲楽 :
「…扶けられないの」

SYSTEM :
 イヤダ
 否定の声。
 超人の世で無力な生き物の、無為な声。

池田咲楽 :
「なに、したらいい。
 なに、してあげたら………」

池田咲楽 :
「あの子の───。
 けっきょく、ずっと助けてもらってばっかりの、颯の───」

SYSTEM :
 その嘆きの声に、元より意味はなかったけど。
 
 元、孤独の継嗣の声。
 愛した男の存在の名残に、何も思わないほど、海の姫巫女は薄情でもなかった。

 ただ、不安を和らげるような口当たりの良い言葉を識るような生き物でもなかったのも、確かだった。

SYSTEM :
 沈黙の中で、じっと海の向こうへと視線が向けられる。

 嵐の中心。いよいよ目覚めて、現実を食い破る虚構の怪物。
 独りの勇者の成れの果てのいる場所に、目を向けていた二人が、ふと気付く…。

池田咲楽 :
「───。あれ………」

SYSTEM :
 残されたものの片方。
 “喚楽の人喰い虎”に用済みとばかりに捨てられてそのままの、遺産の片割れ。

SYSTEM :
 剥がれた海色の大地に、ふと転がっていて。拾い上げたきり、うんともすんとも言わなかったものが。

 何処かで輝いたのと同じように、淡く光り出した。

SYSTEM :
 じっと帰りを待っていた少女にとって、それは見落としてはならないものだった。
 曰く、御守りだと言われていたそれが、自分の思っているよりずっと複雑なことの中心にあるものだったことを、彼女は最後まで実感もなかったけど。

池田咲楽 :
「帰って来る………よね」

“トヨタマノヒメ” :
『なんだったら、そう。
 言葉にして、みましょうか』

“トヨタマノヒメ” :
『…私と彼は、それがないからダメだったそうだから。
 聞こえないところからでも、あっちに聞こえると信じて』

SYSTEM :
 私が流れを与えるから。ただ、あなたのために願って、と。
 つい先程、嵐を鎮めた遺産の片割れ。

 その反対の渇きしか与えないものに力を通したとて、ただ彼が目覚めるだけだ。
 友達がしたことは、目の覚めるようなことではない。

 ここにいないあなた/颯が、助けるために走って、助けて、帰って来ると約束した友達は………。
 ふるい血のつながりと、同じものを渡した、帰りを待つ友達とのつながりを握りしめて、ただ願った。

池田咲楽 :
「私に、何かが出来るなら…」

池田咲楽 :
「あの御守りに意味があるのなら…」

SYSTEM :
 それは言うなればお祈りで。
 神頼みに過ぎないが。

池田咲楽 :
「───どうか、颯を助けて!」

SYSTEM :
【Check!】

 Dロイス『遺産継承者/海鳴の石板』の所持と使用が確認されました。

 所有者:池田咲楽、▇▇▇▇▇▇▇

SYSTEM :
 ちょっとだけ彼女が幸運だったのは。

 その遺産の持ち主が二人いて。
 それを伝えられる先と、確かなきずながあったことだった。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 仄かな光が、やがて嵐の向こう側。
 海の表層から伝わる。

 それが、何か絶大な力を与えるというわけではない。
 目の覚めるような結果を齎して、颯の持つ一振りの力が強まるわけでもない。

SYSTEM :
 ………ただその、深海でも確かに届く光のかたちに。

 帰る場所からの、待っている、を示す輝きの名残に。

SYSTEM :
 海鳴りの怪異が、哭いた。
 懐かしむように。荒ぶる心を、ふっと鎮めた…。

 

SYSTEM :
 あるいは、あなたに力を託して眠りについた男の“残り物”が、それを目覚めるきっかけにしたのか。
 島そのものの質量を持った巨大レネゲイドの荒ぶるさまが少し鈍り。

 その光の正体を、恐らくは颯よりは遅く察した白い狗が、小さく感嘆を呟いた。

『ホデリ』 :
『…起きたら、言ひしことがあったのだ』

『ホデリ』 :
『針の礼を…そして』

『ホデリ』 :
『我ら、久遠を経ても兄弟と…』

『ホデリ』 :
『…あれなる灯に、先を越されたか』

SYSTEM :
 だからあの女は好きではないのだ、と意訳するような、苦笑いのような鼻息を鳴らす音。
 その光の出所は、海の姫巫女が導いた、その血の継嗣の、“ともだち”への願いごとだった。

久外境耶 :
「────────、」
 
 名残を仰ぐ。その輝きは、底を探し彷徨い続けたヤツにはさぞ眩しいコトだろう。

久外境耶 :
「ああ、かもな」

久外境耶 :
「世の中言ったモン勝ちってな。でもま、外じゃこうも言うぜ」

久外境耶 :
「──主役は遅れてくるってな! 胸張れ本命、血ィ繋がってんのはオメーもだろが!」

三廻部 颯 :
 海色の世界に届くもの。
 水底なれど、その砂まで照らすもの。
 まるで陽の光のように輝くそれに、無意識に手を伸ばす。
 
 それが私を、わかりやすく強くするものじゃないことは分かっている。
 けれど、その名残が持つ意志を感じた時……、

 私は、もっと強くなれる。
 私の、精神の強さは今よりずっと。

三廻部 颯 :
 願いは受け取った。
 その名残とともに、二つの輝きを一つに混ぜ合わせる。
 砂と砂を掛け合わすように、夢と夢を繋ぐように。

「───受け取った」

三廻部 颯 :
「必ず帰る。
      ホオリも白銀も
 そして──みんな、みんな……この光で、照らして……」

三廻部 颯 :
 強者の傲慢。
 けれど、そんなものはもう気にしない。

 強くて何が悪い。
 強い人が、手を差し伸べて何が悪い───!

三廻部 颯 :
「──全部、この手で掴む!」

 自分の目に映る孤独を全て、孤独じゃなくする。
 世界まるごととか、困っている人全員とか、そこまでじゃないけれど、
 せめて自分の目に映るもの全てを、この手で!

SYSTEM :
    ヒカリ
 おなじ名残を、誰もが仰ぐ。
 それを過去の残照と受け取り、やり残しの抜け駆けと受け取ったものもいれば。
 帰る場所/未来から届く夢のかたちと知って、縁に向けて告げるように宣誓したものもいた。

SYSTEM :
 …一番槍を取られて不貞腐れた格好など取った白い狗を。
 これまで、彼にしかわからない所以で共にしたものが叱咤する。

 あるいは叱咤などではなく。
 年の離れた友/伴にする言葉のような、気の軽さを装った宣誓。
 やるなら精々胸を張れ、と。
 
 いつかの時、なぜを聞かなかった仕草で、あなた/境耶が言葉を告げる。

『ホデリ』 :
『然てしも有らず、だな。
 わたしには、もう少しさふべきことあらば』

『ホデリ』 :
『そも…手を焼かされるのも、一度に在じよ』

『ホデリ』 :
『三度、怪力にて村のものを怯えさせ………。
 二度、帰らじままに夕餉を冷まし………
 一度、我が釣り針を喪って………』

『ホデリ』 :
『その度、同じことをば然らずもの』

『ホデリ』 :
『叱ってやらねばならぬ。
 ああ、いや、…そうだな』

『ホデリ』 :
  兄
『わたしの方が上なのだと、教え込んでやらねばな』

SYSTEM :

 悔恨と憤懣と恐れと、それ以上に愛情を。
 たぶん最後の言い草は、あなたの態度に合わせたようでいて。
 彼は彼なりに、思うところがあったからなのだろう。

 人様に迷惑をかけるな、と弟を叱りに行く兄だ。
 超人の世を知らず、理解できず、隔てて来た、孤独でない凡愚が。
 孤独の生き物に触れるにあたっての理由など、それくらいしかなかった。

SYSTEM :
 ただ。

 白い狗の吼えし姿も。
 ほのかな名残の色も。
 何も見ないまま、白空の如き心を赤く染め、哄笑と共に赤いものを流すものには、特に関係はなかった。

“喚楽の人喰い虎” :
「………はは!」

“喚楽の人喰い虎” :
「………ははははは!」

“喚楽の人喰い虎” :
「なんですか、そんなの!
 ソレはないでしょう! あるじゃないですか!」

“喚楽の人喰い虎” :
「私、梯子を外されたじゃあないですか───!」

SYSTEM :
 心の底から笑う声。

 こんな気の狂いそうな梯子外しをされた者の出力した感情。
 /独りだと思っていた弱っちい亡骸に、嘗て繋がりがあった証を見た生き物の、なんとも言い難い言葉

SYSTEM :
 元より社会で生きられない、何とも繋がれず、狂い果てることも叶わぬものが。
 血の涙で、目を潰してしまいたくなるほどに嗤って、哂って、笑い切ったあと。

“喚楽の人喰い虎” :
 ここ
「現実でダメなら───」

“喚楽の人喰い虎” :
   ここ      ふるいほう
「………現実でダメなら。向こう側です」

“喚楽の人喰い虎” :
 そこ      あたらしいほう
「過去でもダメなら、あちら側に」

“喚楽の人喰い虎” :
「あるいは、それだけすれば………。
 ………、………」

SYSTEM :
 そいつが。
 
 まだ覚えているものを見て。
 いつかの■■をなぞるような声で答えた。

 巨きくとも、何もない青い空。
 近くにあるのに届かぬ太陽の暖かさに似ていたものを、一度見る。

“喚楽の人喰い虎” :
「───ああ」

“喚楽の人喰い虎” :
「きみ、わたしが覚えているうちに…。
 約束守りに来てくれたんですね?」

“喚楽の人喰い虎” :
「それは、良かった」

SYSTEM :
. アソんで
 止めに来て下さいね、の反芻を一度したあと。
 それでおしまい。
 何処からともなく───その所以も武器の意味も全く知らないものを手に取って。

 あとは誰かが知っている、嵐の君。
 何もかも“楽しい”の一色で、叫喚さえも塗り潰して踏み潰す人喰い虎だ。

SYSTEM :
 止める気はないだろう。
 今のは所詮、はじめて向けられた感情への、はじめての返礼だ。

 十世紀の妄執と結びついた十世紀分と二人分の怨念が。
 何を巻き込み、何を海のかなたに沈めようとも。
 セイメイ
 世界を殺そうとする限り。

三廻部 颯 :
「───」

三廻部 颯 :
「うん。
 約束、守りにきたよ!」

荻野目 旭 :
「………………………」
 声と言葉に気を取られて、一瞬、周りの全部が頭から抜け落ちた。

荻野目 旭 :うわごとみたいに、考えが口からつるつる滑り出す。

荻野目 旭 :
「…………勝手に、幻想抱いて?」

荻野目 旭 :
「そうじゃなかったから──失望したって?」

荻野目 旭 :
 そんな。
 そんなの。

荻野目 旭 :「……同じじゃん……」

荻野目 旭 :
 ヒトリ
 怪物でいてくれって思った僕と、
 ヒトリ
 強者でいてくれって思った彼女の、
 どこに違いがあるっていうんだ。

荻野目 旭 :「………………………………………」

荻野目 旭 :「──────さいあくだ」

荻野目 旭 :「ホントに怪物なんて、どこにもいなかったじゃないか……」

荻野目 旭 :「──────」

荻野目 旭 :
 いろいろ過ぎたら、今度は怒りが出てくるのも人間で。
 これまでのことがぐるぐる頭を駆け巡る。

荻野目 旭 :「……………マンティコアで、アーカーシャ?」

荻野目 旭 :「………………嘘つけよ」

荻野目 旭 :
「全部返上しちゃえ──どうせ、頭でっかちのチルドレンじゃないか!」

 何年そんなのやってきたかなんてどうだっていいし、
 どれだけ苦しかったのかだってこの際なんだっていい。

 一番腹立ったのは、なんでもない。
 僕やあそこで死んでいった人たちが重ねてきた努力を台無しにした怪物が、
 実験兵器のセンチメンタル抱えてるだけの、
 ・・・・・
 ただのガキだったってこと!

荻野目 旭 :「ここで、全部返上して! そんなふざけた思い上がり、二度と吐けないようにしてやるっ」

荻野目 旭 :「──おとぎばなしを騙るのならッ、あんたより……僕のほうが得意に決まってるだろ!?」

荻野目 旭 :
         ナイトホーク
「僕だって……何年よだかの星してると思ってるんだ!」

 空に向かって連れて行ってくれと叫び、
 それがならぬなら、尽きるまで空を目指した、夜鷹の星だ!

久外境耶 :
「ダーハハハハ! 揃いも揃って良い言葉吐きやがる!」

久外境耶 :
「いいツラ、いい啖呵! おまえについて正〜解! 今は余計なモン全部放って、手前だけの理由で戦おうぜ──"ナイトホーク"!」

久外境耶 :
「こっちは兄弟喧嘩! そっちはガキの喧嘩!

 ボケ アマ
 弟も虎も、まとめて分からせてやろうや!」

荻野目 旭 :「僕、最後まで乗せられてばっか……! まったくもう!」

荻野目 旭 :
オニンギョウ オネエサン
「怪物も女もわからせるの、得意ですよ──僕ってば!」

荻野目 旭 :「三廻部さん──」

荻野目 旭 :
       友達
「そいつのことナニにしようが、あなたの勝手にしてください! でも……」

荻野目 旭 :
「はじめては絶対、絶対、絶対、絶ッッッッッッ対ッッに譲りませんからね!」

三廻部 颯 :
「───なら競争!」

 私だって譲ることはできない。
 だから競争。
 権利は一位、勝者が握るもの……!

SYSTEM :
 打っても響かぬ虚ろと架空の空に。
 
 届かぬ向こう側を、そうと悟りながら飛ぶ夜鷹が叫ぶ。
 めでたしめでたし、では終わらない御伽噺しか知らない者達が。

 鏡に問いかけて、望まぬ答えに憤激するような人間こそが受けるべき報いを受けたあとに。ありったけの沈殿した感情が、水面に波紋を作る…。

SYSTEM :
 ………少しばかり御伽噺の種別の違う応報のあとに。
 頂の成れの果てを背にした、頂にしか立てない生き物の成れの果てが。
 た の し そ う
 唯一無二の感情、を振り回して、応えた。

“喚楽の人喰い虎” :
「───はは」

“喚楽の人喰い虎” :
   ・・・・・・・
「あの聞き飽きた台詞を………」

“喚楽の人喰い虎” :
「なぜだか、今はとっても聞きたい気分なんです………」

SYSTEM :
     まけ
 おまえを敗北させてやる、と。
 籠った感情は違っても、それが一番聞き飽きた台詞だ。

 覚えてなどいないが、名残が積み重なっている。それが、戦うこと以外を先天的に求められなかった生き物の、あるいは繋がりの作り方だったのかもしれない。

 ………聞きなれない感情に、はじめての礼で返した次は。
 あまりにも聞きなれたものを、聞きなれたもの“以上”には認識せずに(約束した通りに)受け答えする姿。

“喚楽の人喰い虎” :
「私に、ちゃあんと覚えさせて下さいね。
 でないと………でないと───」

“喚楽の人喰い虎” :
「───でないと、きみを忘れてしまいますから!」

SYSTEM :

 期待外れなら。
 見知ったものの、見知った終わりなら。

 おまえもその辺の“忘れ物”と同じにしてやるぞ、と。
... ホカノヒト
 有象無象の、理由も調べず向かって来るから、隔てていた生き物に…最後の兵士が笑い声を上げる。

SYSTEM :
 兄弟喧嘩と女の喧嘩。
 それを前に、白い狗が…。

 否。男が、最後に吼えた。

『ホデリ』 :
『そうは行かぬ。
 その暗し者には、わたしが先約なのだ』

『ホデリ』 :
『…なあ、境耶よ』

『ホデリ』 :
『…汝で良かった』

『ホデリ』 :
『わたしは、わたしのやり残しの伴が………。
 傲りと、それ以上の頑しを識る汝で、良かったよ』

SYSTEM :
 満足げに白い狗が一度吼える。

 勝ち負けの決まっていない場所でこんな台詞を吐くのは。
 彼なりの勝利宣言のつもりなのかもしれないし。

 ただの、そうは知らぬ戦いの場において………感情の整理をつけねば戦えぬ凡愚の仕草だったのかもしれない。

SYSTEM :
 だが………むべなるかな。

『ホデリ』 :

『これが…汝への最後の頼みだ』

『我が頑しを拭う最期を…
 どうか、共に』

SYSTEM :
 あるいは今この時まで、
 ・
 男の妄執が叶う機会などなかった。

SYSTEM :
 今この瞬間、引き込むように縁がめぐり合うまでは。

SYSTEM :
 水底に人はまぼろしを夢想する。
 引き込むような、重力の井戸の底に。

SYSTEM :
 ………あまりに巨きなその妄執に。

 誰も知らぬ時の澱みの彼方………。
  ウラシマタロウ
 孤独の御伽噺に、終止符を打つ時だ。


・クライマックス「火明」

SYSTEM :
【シーン40:火明】

 登場PC:全員
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
【Check!】
 戦闘が発生します。

[Enemy]
・海鳴の大怪異
・“喚楽の人喰い虎”明夜白銀
・怪物の腕×4

[備考]
・「“喚楽の人喰い虎”明夜白銀」のHP0でシーンが進行します。

GM :…戦闘配置の前に…

SYSTEM :
【Check!】


 衝動判定が発生しました。

 判定:〈意志〉
 目標:8
 Success:侵蝕率+[2d10]
  Failed:付与[暴走]&侵蝕率+[2d10]


GM :準備の出来たものから…

GM :意志判定と侵蝕率の増加を行うがよろしい…

久外境耶 :3dx+2 (3DX10+2) > 9[4,7,9]+2 > 11

荻野目 旭 :思い出の一品をつかいまーーーす!!!

久外境耶 :2D10 (2D10) > 15[8,7] > 15

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 87 → 102

荻野目 旭 :6dx+1 (6DX10+1) > 10[1,5,6,9,10,10]+4[3,4]+1 > 15

荻野目 旭 :2d10 (2D10) > 8[5,3] > 8

荻野目 旭 :ウッ……! ヌ……!

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 135 → 143

久外境耶 :交換しようぜ

三廻部 颯 :思い出の一品使います!

久外境耶 :今ならドラゴンも見てねえ こっそりやればイケる

GM : 

GM : 

久外境耶 :クソーーーーッッッッッッ

荻野目 旭 :い〜けないんだいけないんだ

三廻部 颯 :(1+4)dx+1 <意志> (5DX10+1) > 10[3,4,9,10,10]+10[9,10]+3[3]+1 > 24

三廻部 颯 :?

GM :フ…だが忘れちゃいないでしょうね

GM :2d10と書いて侵蝕率増加を…!

三廻部 颯 :2d10 もちろん! (2D10) > 13[8,5] > 13

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 133 → 146

GM :“飛ばし”ましたな…とはいえ成功は成功

GM :残るお二人もどうぞ

“朧の狩人/残骸” シホ :4dx10 〈意志〉 (4DX10) > 9[3,3,5,9] > 9

“朧の狩人/残骸” シホ :2D10 (2D10) > 13[4,9] > 13

system :[ “朧の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 125 → 138

“朧の狩人/残骸” シホ :痛手とはいえ…許容範囲!

“害群之马"龍嘉睿 :4dx (4DX10) > 8[3,6,8,8] > 8

“害群之马"龍嘉睿 :2d10  (2D10) > 6[3,3] > 6

“害群之马"龍嘉睿 :ここで低まる?

久外境耶 :クソアーッ

GM :やるな…小僧…(FFの消滅音)

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] 侵蝕率 : 126 → 132

久外境耶 :交換しろ交換! それおれのダイス!

GM :(不正は許しませんビーム)

久外境耶 :ウ゛オオオオオ

“害群之马"龍嘉睿 :知るか。カバーリング屋の仕事は暴走しないことだろ(逃亡

SYSTEM :
【Engage】

※エンゲージは左上から右下の順に
「A」〜「B」の番号を振ります

[A]
7:海鳴の大怪異
8:“喚楽の人喰い虎”明夜白銀
9:怪物の腕A
10:怪物の腕B
11:怪物の腕C
12:怪物の腕D

       -5m-
[B]
1:三廻部 颯
2:“ラッキージンクス”九外 境耶
3:“ナイトホーク”荻野目 旭
4:“害群之马”龍嘉睿
5:“朧の狩人/残骸”シホ
6:ホデリノミコト

SYSTEM :
【Check!】

「クライマックス:火明」における
 ホデリノミコトの扱いについて説明します。
 
 以降は情報タブをご確認下さい。

SYSTEM :【-Round 1-】 

SYSTEM :

【Round 1 -Set Up Process-】


SYSTEM :

■セットアップ
 タイミング:セットアップのエフェクトを宣言出来ます。


海鳴りの大怪異 :
■セットアップ:トキワスルカネ
《融合》

対象:“喚楽の人喰い虎”

・そのラウンド中、自身のエフェクトを指定したキャラが使えるようになる

“喚楽の人喰い虎” :
■セットアップ:嵐ノ詔琴
《赤方偏移世界L5+3》+《異形への変貌》

・ラウンド中の行動値を[Lv*2]増加
・侵蝕率によるダイス追加を2倍にする

SYSTEM :
 蘆屋道満の古き妄執と新しい妄執が、全くあり方の異なる独り同士のレネゲイドを共振させるのと。
 今もなお輝く仄かな火明が、ホデリを名乗る白い狗の身に宿る海鳴のレネゲイドを共鳴させるのは、ほぼ同じ。

 あるいは───。
 因子を均し、さだめるものがその片割れであるからか。
 片方のそれは、合意のもとというより…。

“喚楽の人喰い虎” :
「はははは! いいでしょう!
 梯子を外しておいて人のアソびに混ざろうとは! 片腹痛いとはまさにこのこと!」

“喚楽の人喰い虎” :
「ならば結構!
 使ってあげましょう!」 

SYSTEM :
 ───というよりは。

 一方的にまとわりつく骸のレネゲイドを、一方的な理屈で頷いて我がものにするような。
 合意というにはあまりにどうしようもない、エグザイル・シンドロームの一部のみが行う、レネゲイド同士の結合現象。

 名もない業物に無尽蔵に広がった骸が絡みつき、あるはずのない武器を象って。
     ヘイシ
 巨身が、怪物の礎になる。

SYSTEM :
 そのレネゲイドの相乗による暴威。
 カワキ マボロシ
 飢餓と妄想の入り混じった波濤。

 何よりも。
 伊達にその“夢見がち”が、世から隔てられながら生きてきた所以たるただ一つ、即ち。

SYSTEM :
 ただこの一人と一匹は。
         ・・・・
 悲しいくらいに、強いだけでやっていけたから。

“喚楽の人喰い虎” :

「───ははははははははははは!!!」

SYSTEM :
 骸がまとわりつく。形を変え、歪めて。
 矛へと代わり、第三、第四の、即席の手足代わりが生え揃う。
   サケビ
 その波濤は、遍くレネゲイドの生存本能/衝動をかき立てるには十分だった。

荻野目 旭 :
       さそり
▼赤いめだまの幻蠍火/《女王の降臨Lv2》+《タブレットLv4》+《多重生成Lv4》+《狂戦士Lv2》
 対象:颯、シホ、龍、境耶
 効果:次のメジャーアクションの判定ダイスに+[Lv*2]、C値-1。

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 143 → 156

荻野目 旭 :のっけからフルスロットルです! 僕の侵蝕率も限界ぎりぎり! みなさん、バフ忘れないでくださいね!

“害群之马"龍嘉睿 :
宣言:サポートデバイス(Lv1+侵蝕1=2)
対象:自身
効果:感覚Dに+[Lv*2]

“害群之马"龍嘉睿 :

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] 侵蝕率 : 132 → 138

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] サポートデバイス : 2 → 1

system :[ 荻野目 旭 ] 女王の降臨 : 2 → 1

SYSTEM :
 レネゲイド
 その笑い声があなたたちを揺さぶるのに合わせて、ホデリノミコトを名乗る白い狗が…。
     
 恐らくは、オーヴァードという名の超人らしからぬ只人の成れの果てが。
 共鳴を起こすレネゲイド体の仄かな火明を纏って、吠え立てる。

『ホデリ』 :
『あの娘!
 ホオリめの名残、あの骸に潜みしものを纏うたように見える…』

“パラディン”的場啓吾 :
「エグザイル・シンドローム…。
 と言っても、あのナリじゃ自由に殴れないから、自由に殴れるやつに事後承諾で力を貸したようなものだな」

“パラディン”的場啓吾 :
「あっちの女も“暗し者”に肩入れ気分だ。
 不公平だな? おまえもやってみたらどうだ」

SYSTEM :
 茶化し半分、同じレネゲイド体で構成されたシンドロームであることを道中で察したのが半分。

 “パラディン”の言葉の理屈を理解できずとも、弟が出来たことを出来ぬと言うほど見栄のない男ではなかった。何より…。

『ホデリ』 :
『宜し。最後だ、どのみちさふべき時には伴に行くと決めておる』

『ホデリ』 :
『…我がよすが、我が名残!
 使うて見せよ! 伴に一つ事を果たしに行こうぞ!』

SYSTEM :
 何より。
 何も返してやれぬ生き物にとっては、望みを供に行くこと以外の“報い”を渡せぬのだ。
 傲慢を自嘲する仕草は、いつかの時に放り捨てたとばかりの一声。

SYSTEM :
 海の旅路を導く火明に共振した、本質的にはホオリノミコトと全く同じレネゲイド体。
 それが純粋な力のつながりとなって広がっていく。そのまま護りとして使うも、ひとりの矛であり盾として使うも自在。

 殴るものは自分以外。
 守るものは自分たち同士。あまりにネジくれた、兄弟喧嘩の始まりである。

SYSTEM :
【Check!】

 ホデリのセットアップエフェクト『融合』を使用しますか?

久外境耶 :
「──あア」

 自嘲をふりきった、高らかな一声。満ち足りた咆哮は何にも代えがたく、そして勝るもののない返報だった。

久外境耶 :
「おれが使う! おまえも使え! 一足す一で億兆ブッチ切るバカの足し算見せてやろうや! そんで……」

久外境耶 :
「最強最高の最後にすんぜ、ホデリ──!」

SYSTEM :
 その戦いに守るべきものがあるとすれば、誰もが認め、揃って頷く普遍的なものではなかった。
 結果的にはそうかもしれないが、ただ吠え返し、場末の喧嘩のように結論付けた少年にその気はなかったろう。あるいは、その少年に己の望みを託して歩いて来た、その白い狗も。

 その言葉にどう応えるかを、恐らくは分かっていたから、広がった火明が束ねられるのはすぐのこと。 

『ホデリ』 :
『いざ給へ! いざ行かむ!
 長き年頃、越せぬほどの出来としてくれようぞ!』

『ホデリ』 :
■セットアップ:トキワスルカネ
《融合》

対象:“ラッキージンクス”久外境耶

・そのラウンド中、自身のエフェクトを指定したキャラが使えるようになる

SYSTEM :
 頑健な装甲、底抜けの器に、短くも長い時間、命を貪り続けてきた奈落の魔兎に。
        個人主義
 あるいは、何よりFHが笑わせる、使われる側の極致に。
 ただ生まれてから還るまで、ずっと別の生き物のために駆け抜けた、照らす火の色が宿る。

SYSTEM :
 やがて抜け落ちていく火の名残だ。
 死ねずの魔狼、太陽ならざる渇望喰いの火ほどコレは強くはない。
 あるいはFHに居る限り、見ることも共存もさほどない類の火だ。

SYSTEM :
 ただ一点のみ。

 その我欲ありきの奉公こそが、死から生まれた者をいま最強の盾たらしめる。

SYSTEM :
 …だが皮肉な話だ。
 
 外に隔たりを持ち、一線を引いてきた生き物同士のかたちが。
 障るものみな傷つけ得る、城砕きの魔刃。空を飛ぶ螺旋の大矛だというのに。

 外に隔たりを持たず、あるいは踏み躙ることさえして来た生き物が導いた形こそが。
 生死に己の思うままに「隔たり」を作る無敵の盾を名乗ろうというのだから。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「は、は、は! あははははははは!!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「揃いも揃って!
 きみ、ああ、まだ覚えていますよ、きみ!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「お約束はしていませんが、まあ連帯責任でいいでしょう!
. アソんで
 止めにきてくれないと………その盾、一度輝いて終わりのガラクタにしてしまいますよ!」

SYSTEM :
 ・・
 それが理由と気付いたから、妬むように見上げて。楽し気に見下ろす生き物の哄笑が響き渡る。

 本質的に“欲しいもの”に掠りもしない相手同士への言葉と書いて礼儀などは、殺すか殺されるかで十分。
 何より詳しい、出会った敵を只殺すための前口上だ。

久外境耶 :
 名残の火が、死に呪われた異形に宿る。それを、やがて尽きる埋火だと侮ることは誰にも許しはしない。

久外境耶 :
 たとえ海色の輝きほどの眩さを持たないとしても。
 まして何もかも焼き尽くすなど論外の生温さでも。

久外境耶 :
 ──これは、海の底で決して絶えることのない火だ。
 ──永い年月の果て、たった一刹那を輝くために燻ってきた熱量だ。

久外境耶 :
「ハ──! やってみろや、おれらは誰にも殺されねえからよ!」

 だったら、こんなトコで消えるワケがねえ! トーゼン消させもしねえ!
 長生きと死なずのタッグに寄りつける死なんざ一握りもねーってコト、分からせてやるよ!

久外境耶 :
「おまえこそ一発で矛オシャカにしねえよう気ィ付けなア! たくさん遊びてえんだろ、なあ!」

荻野目 旭 :
「“ああ、わたしはいままでいくつのものの命をとったかわからない──”」
          こえ
 口をついて出る蠍の悲嘆は、死にゆく強者の嘆きだった。

荻野目 旭 :
 ソラリスというシンドロームの特質は、体内工場から分泌した化学物質を用いて『伝え、広げること』だ。
 感情を俯瞰するエンジェルハィロゥ、感情を同化して共感するエグザイルと違うのはそこ。
 だからその要素が強い僕というオーヴァードは、もともと「僕の感じた恐怖」を誰かに共感させるのを、
 あのはじめの暴走の日/最初に世界がひっくり返った日に、防御反応としてまっさきに覚えた。

荻野目 旭 :
 ホームで繰り返し訓練したのは、恐怖を乗り越える心への強制的な交感、衝動を鼓舞と興奮のための支援材料にすること。
 いちばん親しんだ童話たちのかたちをとって、僕はいつも、僕の意図的な感情表出を切り売りしている。

荻野目 旭 :
 その『いつも』を全霊でこなすのが、僕の奥の手。

 あいつが誰より早く動き出すより前に。
 開始コンマ1秒、名残の火と同時に体内の調整に全てをかける──
 偏ったシンドローム構成にしか許されない最速の2基同時稼働すなわち《女王の降臨》エフェクトの行使に。
 冷静な戦闘思考の中、エフェクトの溶媒として一番強烈で、いま一番放り出しやすい、純度百%の私情を詰める。

荻野目 旭 :

 ふざけるなよ/水底にぽつりと花が咲く/《女王の降臨Lv2》

 あんたなんかのために/僕の握りしめたままだった拳から血が溢れて水面に滴る/《狂戦士Lv3》

 僕はあんたを負かしに来たんじゃない/しんとした潮の香りをアスファルトが焼けるみたいな臭いで甘く辛く染め抜く/《タブレットLv4》

荻野目 旭 :
「“そしてその私がこんどいたちにとられようとしたときは
 あんなに一生けん命にげた”」

荻野目 旭 :

 嵐の雪原で血まみれになったあの日の僕が頭から離れないのに/たかぶりきった僕の感情が、むきだしで空間に伝播する/《多重生成Lv4》

 最悪の女は蓋を開けた先まで最悪だったから──/▼対象設定=4体

荻野目 旭 :「“それでも”」

荻野目 旭 :「“とうとうこんなになってしまった!”」

荻野目 旭 :

 その蠍の尾が遺伝子調整でできたただの包丁だなんて、
 あんただって弱者だなんてことを認めたくなかった僕のために、
 あんたが本当の弱者になるところをこの目で見に来ただけ!

荻野目 旭 :
「“どうしてわたしはわたしのからだを
  だまっていたちに呉れてやらなかったろう!”」

荻野目 旭 :
    ニ ン ゲ ン ニ ナ ル
 ──井戸の底で死ぬ前に、いたち風情に負けていけよ、蠍の尾の怪物なんて騙るなら!

荻野目 旭 :

 水面を伝った赤が、一斉に燃え上がる。
 輝いても何も燃やさない幻の炎。
 その中にあって蒸発した僕の血が、揮発して各々の体内で燃え盛る!

荻野目 旭 :「────ブチかます準備、いくらでもできてますよぉッ!」

SYSTEM :
 その灯火で色を付けた外殻が、陽光を拒む深海において猶も瞬く。
 空の表層にて今も導き照らす、海を辿ったもののいつか帰るところとはまた違う輝き。

よろこび、わらうカタチ
それしか知らぬ感情 を以て応じた、獅子の頭と蠍の尾、鷹の翼の爪持つ魔獣が、ジャンル違いの憤りを耳にする。

SYSTEM :
 嘆きか怒りかを混ぜ込んで。
 その様子と共に広がっていくレネゲイド因子の昂りを、いびつに砕けた感知機構が捉える。
 
 他人の背中を押して、火を灯して行くものを見守るだけの戦士に。
 いまこそ欲しかった、あまりにも見飽きた理由を後生大事に抱えてくれていたらしいものに。
 彼女は、朗らかに笑った。それ以外の表現を知らぬ生き物が、名残をなぞるように。 

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
   ・・・・       ぶき
「───なるほど。それがきみの仲間なわけですね」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「きみが死んだら別に覚えちゃあいないと思うので、忘れてくれて構わないのですが…」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───ちゃんと覚えさせて下さいね。

 私、片手で握り潰せるような隠れんぼの相手までは、長く覚えておけませんから」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「ちゃんと。
 知らない私に、後悔させてみてくださいね、アサヒ」

荻野目 旭 :「……望むトコです!」

SYSTEM :
 けっこう、と。
 
 戦うだけの人生の道を敷かれて来た生き物が、平常運転で迎え撃っていいものに笑いかける。あるいは、嗤いかける。

SYSTEM :
 ホオリノミコトの亡骸のレネゲイドと混ざって形成された、手に携えた以外の矛の数々が鳴動した。
 バロール・シンドロームが齎す、重力歪曲。一つ一つが空間を捻じ曲げ、流れる時の頭を掴んで屈伏させる。
                メモリー
 ───蠢く無数の群れ。彼が■した記憶の残骸が、雨後の筍めいて生え揃い続ける中。誰もの視線は、確かに彼女に向いていた。

 あるいは、その“雨後の筍”の大半をひとりでこれから処理することになるだろうパラディンさえも。

SYSTEM :
 なれども“喚楽の人喰い虎”には別の名前がある。

 全てを内包し、全てを隔てた孤独の空。
 無情に時を先駆ける、アーカーシャの赤方偏移。

 獣の論理が笑わせる。
 誰より早くに駆動するこの女の所作は、キュマイラの剛性を持ちながらしなやかで。
 自然とわがものにした剛の中の柔たる武芸を振るいながらも、あまりに人のサガから隔絶していた。

SYSTEM :
      セットアップ
 即ち各々が臨戦態勢を終えるのと、同じく臨戦態勢と共に動き出す初動において、それは物理的な速さどうこうの問題ではない。
       マガ
 ───空間が、歪る。 

SYSTEM :
■セットアッププロセス
 宣言結果が確認されました。

SYSTEM :
【Round 1 -Main Process-】

SYSTEM :
■手番処理
 “喚楽の人喰い虎”明夜白銀が行動を宣言します。

SYSTEM :

■イニシアチブ
 宣言を確認しています...


SYSTEM :

■イニシアチブ
 宣言は行われませんでした。


SYSTEM :
■メインプロセス
 任意の宣言を行ってください。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :

■マイナー:時ノ生大刀/トコヨノワダツミ
 Minor:《一角鬼L3+3》《歴戦の獣牙L4+3》《巨神獣化L2【融合】》《ハンティングスタイルL3+3》
・そのシーンの間、HPを+50、白兵攻撃ダメージ+[Lv*5]
・武器を作成(攻撃力[Lv*3]+3)
・ドッジ不可能になる

SYSTEM :
■メインプロセス
 戦闘移動が行われました。
 エンゲージA→B

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
■メイン:大禍津・天羽々斬
 Passive:なし
 Major:《獣の力L5+3》《獣王の力L1》《漆黒の波濤L1+3》
 Minor:《一角鬼L3+3》《歴戦の獣牙L4+3》
 Auto:《紡ぎの魔眼L3+3》
 
 判定:31dx7+10
攻撃力:xd+77
 範囲:視界/至近

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 対象者をいちいち決めるも煩わしい!
 人のアソびに割り込んだモノが嫌がる相手だけは避けましょうが………

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 まあ、それ以外は何時も通りです。
 死ねーーッ! 

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ───何時も通りに?
 そうもいかない、此方の児戯にも付き合ってもらおうか!

“朧の狩人/残骸” シホ :

□判定宣言 
     アンディファインド
▼Action:《幻燈》
Auto:《ミスディレクション Lv.2》

Cost : 5
効果:範囲または範囲(選択)の攻撃を単体に変更
Loading……

system :[ “朧の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 138 → 143

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 は、は、は! これは猪口才な真似を!
 いいでしょう、いいでしょう!

 児戯とて生死の境目、吝かでなし!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 さりとてその幻、丸ごと全てを虚とするものでもなし!
 行き掛けの駄賃、誰から頂いてくれましょうか!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :choice[颯,境耶,旭,シホ,龍] (choice[颯,境耶,旭,シホ,龍]) > 旭

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :───決めました!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :31dx7+10  (31DX7+10) > 10[1,1,1,2,2,2,3,3,4,5,5,5,5,6,6,6,7,7,7,8,8,8,8,9,9,9,9,10,10,10,10]+10[2,2,2,3,3,5,5,5,6,6,8,8,10,10,10]+10[5,6,6,6,8]+1[1]+10 > 41

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :💡

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
■オート:■■■・限定管制
 Auto:《複製体:妖精の手L3+3》
 ・ダイスを一つ択び、出目を[10]に変更する

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :1dx7+50 《妖精の手》 (1DX7+50) > 6[6]+50 > 56

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :まあこんなところでいいでしょう。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 出ていらっしゃい!
 望み通りに、思うさまやってあげましょう!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています...

荻野目 旭 :来るな! 来るな来るな! こっちを見ろとは言いましたけどこっちを攻撃しろとは言ってませーーん!!

久外境耶 :ダーハハハ! さっそく出番たぁアガるねエ!

久外境耶 :
【 Gliese 832c 】
オート:《崩れずの群れ LV1》《氷盾 LV3+1》《魔人の盾 LV2+1》

久外境耶 :カバーリングの対象はトーゼン"ナイトホーク"だ!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :あはははは! 有言実行とは人の好い!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
ではお預けです!
矛と盾はぶつけ合えばどちらかが爆ぜる仕組み! 試してみましょうか死ねーーーーいッ!!!

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 102 → 110

SYSTEM :
■リアクション
 リアクション結果を確認します。

境耶:カバーリング/命中
旭:被カバーリング⇒境耶

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :6d10+77 ダメージ (6D10+77) > 28[3,7,1,7,3,7]+77 > 105

久外境耶 :シャーーーー宵越しの被ダメ軽減は持たねえ! 《デモンズウェブ LV3+1》だオラーッ

『ホデリ』 :飛ばしおる! 良かろう、悔ゆことなきようにゆくぞ!

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 110 → 112

久外境耶 :5d10 (5D10) > 37[7,7,6,8,9] > 37

久外境耶 :んでエ! もろもろサッ引いて〜

久外境耶 :ダメージゼロ! 無傷ってワケよお!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :あはははは!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :大言の二の句を告がれた覚えはないのですが、やられてみると中々どうして!

荻野目 旭 :とんでもないなあ…! これが友情パワー!

荻野目 旭 :ありがとうございます、ふたりとも! お礼は…(侵蝕率を見る)

荻野目 旭 :回復で!

『ホデリ』 :小僧 汝も生き急ぐものよ…

『ホデリ』 :が…一太刀凌いだ!

久外境耶 :おうよ、この上回復ときたらサイキョー通りこしてムテキだぜ 百太刀でも千太刀でも凌いでやらあ!

久外境耶 :つか『死ねーーーーーい』の逆って何言やいいんだ? 生きるぜーーーーー! でいいか?

久外境耶 :生きるぜーーーーー!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :あはははは!

『ホデリ』 :“死せず”だ! いや、叫びたるには聊か…

『ホデリ』 :縦しや! このまま行く!!

久外境耶 :おっしゃーーーーー!!!!

SYSTEM :

■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しました。


SYSTEM :

■手番処理
 シホが行動を宣言します。


SYSTEM :

■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトはありませんでした。
 また、他の宣言可能なエフェクトの宣言が行われませんでした。


SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しています...

“朧の狩人/残骸” シホ :
流石は“ラッキージンクス”!期待以上の戦果です!

“朧の狩人/残骸” シホ :
でも、護ってもらってばかりでは勝ち目はない……
今度は此方が攻撃に回る番! 旭くん、あなたの炎をお借りします───!

荻野目 旭 :いけいけ〜っ!

“朧の狩人/残骸” シホ :
□判定宣言
     Baldora's Antares
▼Combo:《赫き連星の射手》

Minor:《陽炎の衣[Lv.2]》+《オリジン:ヒューマン[Lv.2]》▼
Major:《コンセントレイト:オルクス[Lv.4]》+《形なき剣[Lv.2]》+《要の陣形 Lv.3》【未知なる陣形】▼

 Atk : (7+4+6)dx6+11→17dx6+11
 Damage : xd10+1d+22
 Cost : 5+7 HP:-1D
 Range:300m
 Target:怪異の腕A、B、C、D

効果:最大[5]体捕捉
   同一エンゲージ攻撃不可
   メインプロセス終了まで隠密状態
   この攻撃に対するドッジD:—[《形なき剣》のLv ]
Loading……

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :おや、捨て置かれてしまいましたね

“朧の狩人/残骸” シホ :17dx6+11 《赫き連星の射手》 (17DX6+11) > 10[1,2,2,3,4,4,5,5,5,6,7,8,8,9,10,10,10]+10[2,2,3,3,5,9,9,10]+4[2,3,4]+11 > 35

“朧の狩人/残骸” シホ :射手は射手の務めを果たすまで。
焦らずとも、あなたにはあなたの相手がいますよ……ッ!!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :それはいいことですが、座して待つのも寝て待つのも好きではないですね

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています...

怪物の腕A :
■リアクション:ドッジ

怪物の腕B :
■リアクション:ドッジ

怪物の腕C :
■リアクション:ドッジ

怪物の腕D :
■リアクション:ドッジ

怪物の腕A :7dx 〈回避〉 (7DX10) > 10[1,4,4,5,8,8,10]+8[8] > 18

怪物の腕B :7dx 〈回避〉 (7DX10) > 6[1,1,3,3,3,6,6] > 6

怪物の腕C :7dx 〈回避〉 (7DX10) > 9[3,4,4,4,8,8,9] > 9

怪物の腕D :7dx 〈回避〉 (7DX10) > 7[3,4,4,4,4,6,7] > 7

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

怪物の腕A〜D:ドッジ/命中

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

“朧の狩人/残骸” シホ :5D10+22 〈ダメージ判定〉 (5D10+22) > 24[5,1,7,9,2]+22 > 46

█▇▅▇▇▅█ :(水底を揺蕩う怪異の一部が弾け飛び、目覚めかけの骸の雄叫びが響き渡る!) 

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しています…。

SYSTEM :
■ダメージ結果

怪物の腕A〜D:撃破!

“朧の狩人/残骸” シホ :──────とった!

“朧の狩人/残骸” シホ :1d10 〈反動ダメージ〉 (1D10) > 3

system :[ “朧の狩人/残骸” シホ ] HP : 13 → 10

system :[ “朧の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 143 → 155

system :[ “朧の狩人/残骸” シホ ] 陽炎の衣/Scene : 2 → 1

system :[ “朧の狩人/残骸” シホ ] 要の陣形 : 1 → 0

SYSTEM :
 大怪異が展開していた無数の『腕』、即ち彼の一部は…。
 敵対者の行く手を阻む盾であり、同時に自身の矛でもあった。

 雲霞の如く湧き、海底を彷徨うその死の顎の群れ、掃ってしまえば残る相手は鮮明。
 目覚めと微睡みの最中にいる“彼”も、その彼の因子を一方的に受け取り/奪い取り、自らの因子と共存させて力と振るっているものも。少なくとも、先程までよりは明確に狙いを付けられるはずだ。

SYSTEM :
【Check!】

『海鳴りの大怪異』の所持Eエフェクト
『超人的弱点L5』が解除されています。

解除条件:『怪物の腕』がシーン中に存在しない

SYSTEM :
■手番処理
 三廻部 颯が行動を宣言します。

SYSTEM :

■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトはありませんでした。
 また、他の宣言可能なエフェクトの宣言が行われませんでした。


SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しています...

三廻部 颯 :
 ミクスタス
《多重混合錬成"神武征剣・布都御魂"》

マイナー:
 【インフィニティウェポン 】→武器作成(攻撃力19/G値3)

メジャー:
 【カスタマイズ】+【ペネトレイト】+【咎人の剣】+【C:モルフェウス】

攻撃対象:
 明夜白銀

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :お出迎えですか! いいでしょう!

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

三廻部 颯 :(3+4+6+6-1)dx6+6 <肉体:白兵> (18DX6+6) > 10[1,1,2,3,3,3,4,4,4,5,6,8,8,8,9,9,9,10]+10[5,6,6,6,8,9,10,10]+10[2,3,5,6,7,10,10]+10[1,3,6,10]+10[5,7]+10[9]+5[5]+6 > 71

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています...

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :シークレットダイス

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 …忘れたなら思い出させて差し上げる!
        オーヴァード
 私、ふつうの普通じゃない人達より強いと…

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 きみの触れた手くらいは
 簡単に捻れる生物だと!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 教えたはずですがね───!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
■オート:八咫鏡/威装
 Auto:《復讐の刃L3+3》
 ・リアクションを放棄し、反撃する

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :25dx7+10 《復讐の刃》 (25DX7+10) > 10[1,1,1,2,2,2,3,3,3,3,3,4,4,6,6,7,7,7,7,7,8,8,9,9,10]+10[1,1,1,3,4,4,5,6,8,10]+5[5,5]+10 > 35

SYSTEM :
■リアクション
 リアクション結果を確認します。
(※PCのダメージ確認後にエネミーのダメージを算出します)

明夜白銀:《復讐の刃》

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

三廻部 颯 :(7+1)d10+49 <ダメージ:装甲値無視> (8D10+49) > 46[3,7,6,4,10,2,9,5]+49 > 95

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :4d10+52 《復讐の刃》 (4D10+52) > 22[1,8,9,4]+52 > 74

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しています...

system :[ 三廻部 颯 ] HP : 8 → -66

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 146 → 160

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :ははは! なるほど確かに! “厭だ”程度の気持ちの時よりは痛い!

三廻部 颯 :───っづ、ゥゥゥ……!!

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しました。
(※リザレクト等の宣言は未確認です)

三廻部 颯 :───……

三廻部 颯 :荻野目旭君のロイスをタイタスにして、昇華…蘇生します。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :きみは………───そう。立ち上がるのですね。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :触れて壊れるものの分際で、立ち上がるのですね!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :───まったく嬉しい! ですが二度目があると思わぬように!

三廻部 颯 :二度あることは!!

三廻部 颯 :……三度ある!!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :───実践できれば! いい台詞ですね!

system :[ 三廻部 颯 ] HP : -66 → 0

system :[ 三廻部 颯 ] HP : 0 → 13

SYSTEM :
■手番処理
 龍嘉睿が行動を宣言します。

SYSTEM :

■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトはありませんでした。
 また、他の宣言可能なエフェクトの宣言が行われませんでした。


SYSTEM :

■メイン
 宣言を確認しています...


“害群之马"龍嘉睿 :
《泰山之霤/醧忘台》
宣言:《コンセントレイト:モルフェウス》+《雷の残滓》+《クリスタライズ》
追加宣言(オート):《砂の加護》

侵蝕合計:11
ダイス:20
C値:6
固定値:6
ダメージ固定値:25
備考:装甲無視+命中時『邪毒(Lv6)』付与

SYSTEM : 
■メイン
 宣言を確認しました。
 対象の宣言、および判定を行ってください。

“害群之马"龍嘉睿 :20dx6+6 (20DX6+6) > 10[1,2,4,4,6,6,6,6,6,6,7,7,8,8,8,8,10,10,10,10]+10[3,3,3,4,5,5,5,5,5,5,8,10,10,10,10,10]+10[5,7,7,9,10,10]+10[4,5,6,8,9]+10[5,8,10]+10[7,10]+10[5,6]+2[2]+6 > 78

“害群之马"龍嘉睿 :対象は明夜白銀

荻野目 旭 :ワンモア! エンブレム『バディムーヴ』使います!

荻野目 旭 :最終達成値に+3して、81ですね!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :ははは! 二つの意味でよろしい!

“害群之马"龍嘉睿 :おっと、先に侵蝕あげさせてくれ。

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] 侵蝕率 : 138 → 149

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :きみのそれは思ったよりも楽しいですね! 撃たれるのも飽きたとばかり思っていましたが!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

█▇▅▇▇▅█ :(虚空を廻る大槍が、その因子の一端となった骸の雄叫びに呼応する!) 

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
■オート:ヤマサチノイブキ
 Auto:《自動触手L2+1【融合】》
 ・対象に9点の反撃ダメージを与える

久外境耶 :デカブツの威借りれんのはコッチも同じだって忘れてね〜かア!? "パラディン"、球電の盾頼むぜーッ

“パラディン”的場啓吾 :
 デカブツと戦り合うのは初めてではないが、まさかデカブツ呼ばわりされる日が来るとはな。

“パラディン”的場啓吾 :
 いいだろう。
 ・・・
 よしみだ、殺ることに集中するがいい───

SYSTEM :
【Check!】

“パラディン”が
 NPCエフェクト『球電の盾』を使用します。

・PCが受けるダメージを[10]点軽減

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :は、は、は! はじめまして邪魔ですね!

“パラディン”的場啓吾 :FHの常識をよく覚えているようだな

“害群之马"龍嘉睿 :すまない、助かった。

“パラディン”的場啓吾 :礼代わりにいつもの仕事とやらを見せてみろ。そいつが駄賃だ。

“害群之马"龍嘉睿 : ──ああ。この礼は働きで返す。恩義には報いねばならん。

SYSTEM :
■リアクション
 リアクション結果を確認します。

明夜白銀:ガード/命中

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

“害群之马"龍嘉睿 :【Dロイス:対抗種】適用! メインプロセス終了時にHP-3する代わりに、ダメージロールに+2d10を行う!

“害群之马"龍嘉睿 :10d10+25 装甲値無視+【邪毒Lv6】付与 (10D10+25) > 46[4,2,9,4,1,8,9,3,1,5]+25 > 71

“害群之马"龍嘉睿 :1d10 追加 (1D10) > 8

“害群之马"龍嘉睿 :合計79か。

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しています...

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :そうか、まだ覚えていますよその構え!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
あなた、あのややオモシロ人間ですか!
いまのあなたの方が覚えづらいですが、いまのあなたの方がこの場で立つには嬉しいですね───

“害群之马"龍嘉睿 :……別に覚えてもらわんでいい。覚えられる鉄砲玉なんざ使い物にならんと決まっている。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :ご心配なさらず、覚えられません!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 だからまあ、その鉄砲玉が使い物になる間に。
 ちゃんと…アソんで下さいね。

“害群之马"龍嘉睿 :
 そうか。じゃあそのまま俺が仕留める間に、俺の記憶からも消えてくれ。
 アンタみたいなヤツは気合とやる気と欲望だけで死を克服してきやがる。恐ろしくてたまらん。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :───結構、私にそれが出来るならば!

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しました。

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] HP : 11 → 8

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :

「ははははははははは───!」 

SYSTEM :
 廻る刃に手を添える。
 何もない虚空から取り出された黒い長槍。
 
 嘗て落胤の竜を前に、あまりに乱暴に振り回され、彼ないし彼女を屠るのと序でに天寿を全うした一振りと同じもの。

 モルフェウスめいて取り出された武器のメカニズムなどというものを、彼女が考える素振りは最初からない。呼吸や飲食を無意識で行うように、この生き物は人殺しの道具を平気で作り出す。骨肉から、澱みから、揺蕩うレネゲイドから。

 やがて生み出された、人のみに許される爪牙。それを上機嫌に手元で回転させる最中も、そいつはよくよく笑っていた。 

SYSTEM :
         モノ
 水底に、より剛い白雪が舞う。
 
 何ものにも塗り替えられず、何ものの色さえも取り込めない純白が彼女だ。
 一方的な交信の末に掌握した、海鳴の剣士も、同じでないが遠すぎることはなく。
 彼が、この生き物の在り方を塗り潰すなど、どだい無理な話であるけれど。

 緩やかに閉じ切った世界のかたちに、二つの指向性が与えられていた。
 セイメイ  オディオ   ヒメ
 世界への憎しみと、過去への郷愁だ。
 それが彼女に先と後のかたちを与えた。レネゲイドの流れを汲み取る仮初の道標。

SYSTEM :
 無意識のうちに背面に作り出し、何本も空を飛び回る大矛。
 あまりに巨大で、最初から持つように出来ていないものは、射貫き、刺し殺し、撃ち抜く兵器だった。
 はじめからそういう機能を持つ兵器の一部。
 単純に───内側で許容量が限界を越え続けているから、外の認識が溢れていく生き物に使えないもの。 

SYSTEM :
                                   エグゾースト
 矛を象るのは蘆屋道満、およびホオリノミコトが彼女を器として発現させた排気の熱。
 エグザイル・シンドロームによる外付けの融合が、あくまでも外付けの融合としか機能していないことの証だ。

SYSTEM : 
 廻るものは黒い情の炎。
 それを燃料に発せられるレネゲイドの波濤が、三位一体になれない独りの群れをまぼろしへ共振させる。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「では」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「行、き、ます───よォッ!!!」 

SYSTEM :
 今まさにその矛に込められた暴力を、振りかぶると共に解き放ち───。
 眼前を文字通り、ごっそりと“削り取る”ように、得物の悲鳴もお構いなしに投げ擲って見せるその姿。

 笑う姿も、振り抜いた暴力も。
 旭の振り返ればいつでも鮮明に思い出せる過去の姿と、変わらないが。
 たったひとつだけ違いがあった。

SYSTEM :
 投げた黒い鉾に追随して、空を飛ぶ無数の大槍。さらにそこから、無数に零れて広がる黒い鉾。
 別たれ、繋がり、また枝分かれして、投げた一本を軸にそれが無数に広がっていく。
 もともと独立したレネゲイドの組み合わせを、何かが都合よく時を捻じ曲げ、組み換えている。

SYSTEM :
 
“まとめて刺し貫く”の意志だけが世界に広がり、一方的に焼き付いた。
 ・・
 それが先行することによる「結果」への加速と。
 その先行した意志に沿うような結果を作るため、場にある全てが、遡行してまで誘導される。

 その結果に沿うかたちに、自分の触れた因子が変形したのだ。

SYSTEM :
 ───投擲という本来ならば点か線に過ぎぬ攻撃が、面へと変貌した。
 刺し貫く黒い鉾はまさに魔槍。
 着弾したならば再生の傍から抉り切り、ただ“貫く”という結果のためだけに、触れた全てを根こそぎに砕く。

 攻撃限定の、小規模因果改変。

  キュマイラ    バロール
《獣性強化》と《魔眼形成》の両シンドロームでは本来持ち得ないもの。
 オルクスの領域操作能力においてのみ成立した、完全ならざる因果律操作。
 
 受容も、抑圧も、安寧もへったくれもありはしない。

SYSTEM :

 これは部分的成功作だ。
 誰が知る。部分的成功とは性能的な意味であって、本質的にはかけ離れているという残酷を。
 故にその形質は、ただ敵対するものの因子の破壊のみを最優先とした。

 瞬きのうちに串刺死体を並べて晒そう、刺し穿つ正面への制圧射撃だ───。

荻野目 旭 :        オルクス
(うそ……これ、領域操作のエフェクト!?
 ホオリさんがそうだって話は聞いてない……彼女自身の実験の成果か!?)

荻野目 旭 :たとえばそう──資料に記された兵士のように!

荻野目 旭 :「ッ………!」

“朧の狩人/残骸” シホ :
             ファンブル
 わたし/だれかにとっての致命的不運があった日から。
 何年が経っただろう。

 ひとりの運命は、その日を契機に断ち切れた。
 ひとりの運命は、その日を契機に捻じ曲げられた。
 ひとりの運命は、その日も何も変わらなかった。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ただ一つ、確からしいことは……。
 その日、すべてはひとつの暴虐に決着を見て。
 龍の落胤を喰らったそれはいま、私たちに向けて振るわれようとしている。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 なだらかに加速する思考の中で、私は目前に拡がる光景を眺めていた。
 極度の集中に至れば、人は頭蓋の内側でのみ時を置き去りにできるというし。
 或いはその光景は、ひと足先に来てしまった走馬灯なのかも知れなかった。
 

“朧の狩人/残骸” シホ :
 迎撃/───却下。たかが弾丸では遅すぎる。
 回避/───却下。肉体では以ての外だ。
 耐久/───却下…………

いつかの声 :
「その答えはその恐怖を抱え、その引き金(トリガー)に指をかけ、その重みを感じ、
 照準の先にいる敵を見据えるシホ、アンタが決めることだ。 
 いや、言い切った方がアンタの為になるか──」

いつかの声 :
   ・・・・・・・・
「──俺の側で戦えるか?
 ……その答えを決めておくといい」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 胸に宿る、蠍の火に問い掛ける。
 ・・・・・・・・・・
 ここで私は終わるのか?

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ──────否、断じて否!!!

“朧の狩人/残骸” シホ :
             ファンブル
 わたし/だれかにとっての致命的不運があった、その日。
 その日に消えたいのちの中から、
 焼けるこの心臓は、継がれ、託されて生まれてきた。

 その受け継いだ灯火を、こんな吹雪で消されてたまるか。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 思考を回せ。
 ならば、私にできることはなんだ。

いつかの声 :
『ドライバーから応答。
   HELLO WORLD
 射程圏内へ、ようこそ』

“朧の狩人/残骸” シホ :

 どのような特異性だろうと。
 成れの果てだろうと。レネゲイドから生まれたものだろうと。
      超える者
 それは、オーヴァードと呼ばれる生者たちの半分をそれ以外に変えたレネゲイドが生んだことだ。

 オルクスの領域操作能力においてのみ成立した、完全ならざる因果律操作。
 遣うものが同じと知っているならば、況してやそれが継がれたものと同じ力であるのなら───!

いつかの光景 :
『二度目の迷惑料代わりだ。
 受け取るがいい』
『そして、欲望の落胤よ』
 Shutdown
『臨終の時だ』──────

“朧の狩人/残骸” シホ :
 いつか見た、平然と熟された絶技には遥か遠く及ばない。それも必然だ。
 付け焼き刃の力では、敢えて何かの名を付すような技にすら及ばない。
 あれは人に寄り添えど、決して重なることはない無機質が為せる業だから。

 これから私がやることは、ただ僅かに飛び交う刃を鈍らせて、敵を選ばない暴虐に鋒の行先を選ばせる枷を掛けるに過ぎないだろう。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 嗚呼、たとえそうだとしても───
 
 エンジェルハイロゥ・シンドロームの拡張された五感を視覚に束ね、
 左眼に宿したオルクス・シンドロームのレネゲイド因子へと己の意識を焼きつける。
 思考の撃鉄を蹴り起こす。ただ網膜の一点へと因子を収斂させ───

“朧の狩人/残骸” シホ :

「──────っ、させるかぁ──────ッ!!!!!」

 因子が昂るただ一瞬の、レネゲイドの撃発に賭ける!
               ナーブジャック
 羅刹の憤怒を縛める、即席の《賢者の因子》だ───!

SYSTEM :

 時に。
 蘆屋道満がこの生き物を択んだ理由は、ただそこだけだ。

 人が時間さえ支配出来る生き物だ、という傲慢のにおいを。
 彼が本能的に感じ取ったから。
 そいつには、本来ありえざる因果の踏み倒しが出来たのだ。

SYSTEM :
 その、傲岸な意志の矛先が。
 
 神ならざる者の意志。
 人間が積み上げてきた技術の朧と、レネゲイドが識るさだめの欠片で。

SYSTEM :
        ゼロ        イチ
 あの日別たれたものから積み上がった名残。
 世界を照らすような眩さではなく、燃やし尽くすほどの熱でもない。
..ブラザーフッド
 仄かな隣人愛の如しものを探す、なんでもないアナタの熱で。
. オルクス・シンドローム
 アナタを構成する宿痾の手で、捻じ曲がる。

SYSTEM :
 美しく、鮮やかで、煌いて、悍ましい。
 何よりも剛い、何にも染まらぬ白吹雪。
 途絶の冷たさを纏って横殴りに迫るものへ、アナタだけの余熱を添えて。

SYSTEM :
 思考の撃鉄を上げ、いざ叫喚と逸楽の中で振るわれる魔槍の豪雨。
 その瞬間に───。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───!」 

SYSTEM :
 ・ ・
 朧が虚を欺く。

SYSTEM :
 飛び交う刃を先導する因果が“ぶれ”る。
.       ジャム
 ほんの一瞬の弾詰まりが、本来「まとめて貫く」因果の枠内に入るはずの魔槍を幾つか捻じ曲げた。

 シャットダウン
 強制終了には程遠い。
 リスタート
 再起動のち理不尽にかき回すような、賢しらなる生命体の遺伝には遠い。

SYSTEM :
 だが。
 こと、狩人とは待つ生き物だ。
 
 ただ、その刹那の時を誰より待ち望む生き物だ。
 仮初とて、借り物とて。被り続けてきた仮面の名残がアナタには生きている。
 
 魔槍の矛先が致命的にブレた。
 ブレたのは、ほんの一押しだけ。
 記憶と業のかけらを受け継いだアナタなりの強がり。

 知り得る限り最大の付け焼き刃。
 賢者の贈り物が功を奏し、残る魔槍は、最も強い因果のみを狙い定めて飛んでいく。

SYSTEM :
 では。

 手順のブレから、最も強い因果だけが他を食い尽くして飛んだとしよう。
  .. 因果律操作
 種も仕掛けもある部分が消えたならば、残る純粋な暴力の矛先は、最初から狙い定めていた相手にだけ迫ることになる。

SYSTEM :
   かいとう
 ───残る矛先。

 曰く一番”見飽きた”、けれど。
 今だけは聞きたい気分の理由を携えた、恐らく二度同じことを言うのだろう相手。

 旭目掛けて飛んだ槍こそが。
 一番強く『刺し貫く』の意志を向けた先だ。
 それ以外は等しく消えた。
 それのみが、全く変わらぬ強度で空を裂く! 

荻野目 旭 :
(──ブレた!)
 このままではこちら全体を喰らい尽くしただろう黒き雨。
    《ギガンティックモード》
 さながらモルフェウスを想起させたけれど絶対に違うそれが、狩人の弾丸によって再収束する。
 干渉の気配はたった一度の銃弾だけ。
 それだけで魔獣の牙が引き裂かれる。

荻野目 旭 :
              《ナーブジャック》
 まるで初めからそうだったと彼女に錯覚させたように。

荻野目 旭 :
 槍が消える。
 因果が歪がる。
 完璧な一撃だ──

 僕は迫る槍がたった一本。
          ぼく
 たまたまそこにいた弱者に向かうのを見ながら、思考の片隅でそう思う。
 あの吹雪の中で生まれた人は、あの日の吹雪をほとんど完全に退けてみせた。

荻野目 旭 :
「ひゅ───」

 喉はからからで怖くてたまらないけど、
 そのくせ思わず笑ってしまう。   ひと
 あの日の怪物の一閃をあの日に倒れた狩人の残影が退けた横で、
 僕はとりあえず路傍の石は卒業できたらしい。

荻野目 旭 :
 顔は真っ青だったけど!
 でも、第一関門は突破したし──次だ。次は……

荻野目 旭 :
 ……僕をかばって誰かが目の前に現れても、
   怖がらない努力!

“朧の狩人/残骸” シホ :
 視界の端、因果はひとつに収束する。
 シャットダウン
 強制終了には程遠い。ただ解き放たれた数多の因果を元の一つに戻しただけのこと───

 ───そう。それでいい。
            さむさ
 いまの私なら、あの日の孤独を前にしても大丈夫なんだ。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 そう、大丈夫。なぜならここには──────心強い“彼”がいる!

久外境耶 :
 刺し貫くという無数の結果が、イチに収束する。必ず中る結末ではなく、その絶対数を絞らせる因果への叛逆。

 お誂え向きの状況は開かれた虎口だ。喰らいつかれる寸前の夜鷹が、か細く息をこぼす。

久外境耶 :
 大矛は主の手から解き放たれ、暴力を推進剤に迫りくる。擲った、貫いた、死んだの既定路線。

 そこへ、

「ハ、ハ、ハハハハハハ────!」

 嗤いをかぶせて躍り出る。交差した前腕から輝く炎が噴き上がり、同時に炎心から凍りついていく。

久外境耶 :
    ・・
 直後、着弾──そう表現する他ない威力が、燃える氷の腕甲を容赦なく削りにかかる。振るえば死ぬのが当たり前。生命活動という最低ラインのレベルで備わった行動と、伴う結果。

久外境耶 :
 ソレ
「因果がどうした──」

 生の先に、死はある。おれはずっと覆せない因果に挑み続けてきた。
 外付けの意味を背負って、何度でも何度でも。嗤いながら続けている。続けていく。

「おれァそいつをブチのめしてきたから、ここにいるんだぜ……!」

久外境耶 :
 瞬間、海鳴りにも似た破砕の音。穿たれ、砕かれた外骨格から、霜が散る。血が飛沫くのに似た白い散華。

 一秒先に死が迫っている。
 一瞬後の結末は決まっている。

 ────だから何だ!

久外境耶 :
「死なねえおれが『おれら』になったらどうなるか! 見せつけてやろうや、相棒──!」

 死なねえ、殺されねえ! イコール超絶最強無敵神ってなあ!

SYSTEM :
 呼吸する死の塊に、嗤いながら死の収穫者が躍り出た。
 最強の矛と不敗の盾が衝突する。
 しなず しねず          セミファイナル
 不死身と不死身の矛盾を喰らいあった通過点の先にある最終到達点。
 永劫不変の凍てつく熱の腕甲が、
 ・・・・
 刺し貫くという単一機能のみに特化した暴力的な投擲を受け止める。 

SYSTEM :
 とどのつまり焼き直し。リベンジマッチ。
 二対一、攻撃と防御、あるいは動機すらも共通する、初邂逅からの本決戦。 
 
 如何に外付けの不純物が付け足されようが、その本質は何ら変わるところがない。
 擲つも、切るも、突くも、殴るも蹴るも、要は手段の違い。
 その過程の行き着く先が同じである以上は、そこにたいした違いはない。

SYSTEM :
 だが、そうだ。

 死を、途絶の冷たさだとするならば。
 不変の檻だとするならば。底無しの氷結地獄だとするならば。
 なるほどそれは、彼のもの。

 死ねずと死なずのハイブリッド。屍のトロフィーを積み上げたものが、水底にて鎬を削りながら吠えたてる。

『ホデリ』 :
『言わずもがな!』 

SYSTEM :
 阿吽の呼吸で、命を隔てる死の境界に上乗せされたのは、時の澱みを生む堤防。

 いつまでも、海流を堰き止めしがみつく一欠片。
 錆び付き、削れ、朧げになろうとも失われなかった一線。

 留まるものが、死を嗤う獣と重なる。
 時を隔て、熱を隔てし絶対防御。

 耳を劈くような轟音は、怪異の方向ではなく。
 ましてや、命の境目でなおも続く哄笑の応酬でもない。

SYSTEM :
 時間にして数秒程度。
 だが、彼以外ならば貫く余波で根こそぎ消し飛ばして有り余る暴力。

 一度目の彼は、その暴力性にとびきり上機嫌で品のない笑みで応じた。
 振り抜かれた矛は擲弾に似て。火力ではなく暴力による推進をもって、阻むものすべてを抉り抜き………その白い冷気を噴き上がらせていただろう。
    い ま
 だが、二度目はどうか。

SYSTEM :
 因果何するものぞと振り払う。
 全速力の綱渡りを、彼はいつでも続けてきた。
 珍しくとも、巨きくとも、例外の手が乗ろうとも。

 誰にも殺されぬと吼え猛る、今はどうか。

久外境耶 :
 貫くは一つ、護りは二つ。かつての再演。

 理由のため、時に留まるもの。
 欲望のゆえ、生に留まるもの。

 その重なりを奇跡と呼ぶのは大仰に過ぎる。だから、幸運だ。どちらにとってかなど、野暮が過ぎて口に出せたものではないが。

「────、」

 衝突の余波が去った、一瞬にも満たない余白。だらりと下ろした手から砕けた氷が剥がれ、海底に砕けゆく。

久外境耶 :
「カンッッッッペキ防いだア! ダァーハハハハハハ!!!!!」

 沈黙を破るド下品きわまる笑いが迸る。此岸の決意、彼岸の失意もモノともしない、海揺らす大ウケの波だ。

久外境耶 :
「弟サン見てるウ!? 見てねえよなクソが!!!!! おれが最前列だ!!!!」

荻野目 旭 :「ほ──ほ、んとに防いだ……」

荻野目 旭 :
 確かに彼がなんとかしてくれるとは思ったけれど、想像をはるか超えて体に傷一つない。
 それはもちろん、ホデリさんの助けだってあるだろうけど……

荻野目 旭 :「……君がめちゃくちゃで助かりました!」

久外境耶 :「おオよ、トーゼン! オメーにゃ高みの見物キメてもらわねーとこっちも企画倒れなんでなア!」

SYSTEM :

 水面を隔てた澱みの底を揺らす大音量。

 爆ぜるような攻撃の余波をかき消す、何もかもをブチ破る大哄笑。
 ついでに、届かぬ相手への第一声。答えるものは本来いやしない。
 仮に、ここで今も蠢く大怪異が吠えようとも、あれは骸だ。

SYSTEM :
 そんなことお構いなしに“どうだ見てみろしてやったり”とするその様子、つい5秒前まで生死の綱引きをしていた人間の台詞ではない。
    ・・・・・
 だが、だからこそだ。

『ホデリ』 :
『条件は同じよ。わたしと彼奴…。
 一度たりとも組み合いの喧嘩にて適うたことなかったが───』

『ホデリ』 :
『堂々と不敗を誇る───ク。
 斯様に、得難い経験とは』

SYSTEM : 
 元よりそれで死ぬ身ならば、彼は幸運のジンクスを背負っていない。
 誰しもがいつしか構えを解き、背から死神の鎌を振るわれるなかで。
 屍同士のチキンレースをぶっちぎり続けてきた者に、脅威の大小は理由にならない。

 たかが一度。だが合わせるように、いないものに訴えかけるその姿は、喜びと、また郷愁が混ざっている。

 彼のそれは、たとえ返す中身が伴っていようと、きっと“口喧嘩”などにはならぬことを知っている声色だ。

SYSTEM :
 ………だがそれでも。
 麓すら知らなかった、物の怪に片足突っ込んだ弟と同じ目線、上回る現在/伴を、彼は誇った。

SYSTEM :
 一方で───。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───死なずで結構!
 一度で壊れぬようでひと安心です」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「ならば、次───!
 挑む側の気持ち、忘れる前に飽きる前に! 堪能させて貰いましょう」

SYSTEM :
       おこる
 独りと独りがわらう。

 骸の怒号が、波紋に広がった哄笑を打ち消した。いや、怒号というよりもそれは生物的な赤信号めいている。

 断じて、水底の挑戦状を受け取ったわけではない。受け取っているのはどちらかというと、負けじと楽し気に/唯一無二の感情を振り撒いて、楽し気に狂乱するこの生き物の方だ。

SYSTEM :
 しかし、その怒号を挙げた“ひとり”が動き出す。楽し気な戦意に、同じレネゲイド体の発する波長に呼応するように。

 貫けぬならば、と。
 蠢く名残、落下し続ける水面を揺蕩い伸びる怪異の腕が、その鎌首を擡げ始めた!

“朧の狩人/残骸” シホ :
「──────ならば」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「今度は、こちらの番です──────!」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 なおも主観で引き延ばされた、揺蕩うような時間の中で。
 怪異の腕が鎌首を擡げたのと、私が銃を手に駆け出すのは、ほとんど同時のことだった。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 オーヴァードは、本質的に寂しがり屋の生き物だ。
 人が抱いた感情を伝播されれば……それが強ければなおさらに、私たちは共感を抱きやすい。目の前に起こる光景に容易く影響を受けてしまう。

:
“ああ、わたしはいままでいくつのものの命をとったかわからない──”

       /
「“───ナニ。どう▅█▂▇のその顔。
 大丈▅█▂▇▇██▂夫! おねーさん▅█しても▅█▂▇ないから!
 もしかし▅█▂▇▇██▂ロ勝ちするかもだからさ!”

:
“そしてその私がこんどいたちにとられようとしたときは
 あんなに一生けん命にげた”

       /
”………アー、あと、さっ▅█▂▇▇█っちゃって。
 そういうことな▅█▂▇にお願いね”

“朧の狩人/残骸” シホ :
 蠍の炎に、まぼろしをみる。
 ずっと昔の/ほんの少し前に、だれかが/わたしが見た光景。

“朧の狩人/残骸” シホ :
“それでも”
“とうとうこんなになってしまった!”

       /
“───ホラ、行った行った!”

:

 “どうしてわたしはわたしのからだを
  だまっていたちに呉れてやらなかったろう!

“朧の狩人/残骸” シホ :
“そうだ。はじめから。
 始めたものには、如何なる形でも結びがなければならぬ”

“我はそのようにあれと、
 眠るべき者を起こした。
 お主に───シホに名を与えた”

“朧の狩人/残骸” シホ :
 そこに眠る意志が、冷たく残酷な真実だとしても。
 焼けるこの心臓は、継がれ、託されて生まれてきた。
 ならばいま、私が応えるんだ。継がれてきたものたちに───!

“朧の狩人/残骸” シホ :
 心臓に火を放つ。早鐘と共に血潮を送る。
 イチイの毒を宿した銃身に、心に燻ぶ蠍の炎を送り込む。
 熱量のない灯火が、現実の業火に容を変える。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 弾丸に祈りを込める。バルドラの野原を幻視する。
 ケンタウルスの射手には遠く及ばなかろうとも────

“朧の狩人/残骸” シホ :
「──────“貫け”!」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 放たれる弾丸は燃え盛り、
 一条の軌跡を描き、赫い流星は幻の野原を駆ける───否。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 別たれ、繋がり、また枝分かれして、放たれた焔は一条を軸として急速に燃え広がる。

 “貫く”という意志が荒野に広がり、世界へと焼きつけられる。
 ・・
 それが先行することによる「結果」への加速と。
 その先行した意志に沿うような結果を作るため、場にある全てが、遡行してまで誘導される。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ───つまり、起こることは必然。
 狙撃という本来ならば点か線に過ぎぬ攻撃が、空域を埋め尽くす蠍焔の流星雨と変貌した。
 着弾したならば再生の傍から焼き払い、ただ“貫く”という結果のためだけに、触れた全てを根こそぎに砕く。

 因果を喰らった怪物への、因果を返す意趣返し───!

SYSTEM :
 銃声が、再び木霊する。
    ・
 渇いた空に響く鉄の咆哮。
          リフレイン
 アナタの中に重なる空想。微睡みの節目に見る邯鄲。
              ソノサキ
 狩人の末期をなぞるように、引鉄に手をかける。

SYSTEM :


 蠍の炎は、まことの幸いのために遣われる命のかがやき。
 一寸先を見通せない井戸の底を見つめる、遠い遠い星のかがやき。
 
 ひとり分の猛りと慈しみ。
 あの日重ねた手の熱を、さらに重ね合わせた多重層の火明こそがあなたの種火だ。
. ココマデ
 遺志はあなたのものだったとしても。
 結びのために携えられたその銘。虚を討つ死神の仮面を身に着けた狩人。それは、あなただけのものだ。

SYSTEM :
 同じ名残を編むレネゲイドを、弾丸に込めて撃ち砕く。
 凍える孤独の世界に、ひとつひとつ丁寧に安らぎを。

 ───譲り受けた心の火を載せて、虚ろな空さえ覗かない海底に、願い星の雨が煌いた。
 オルクスの領域操作能力においてのみ成立した、完全ならざる因果律操作。因果操作ならざる因果返し!

SYSTEM :
 触れた傍より燃え盛り。
 熱と相容れぬ藍色の闇の帳と生きるもの。井戸の底で鼬から逃げたものの熱が、名残とともに蠢く一匹一匹を葬送っていく。

 端くれとて外殻の一部。
 その雄叫びは、積み上げてきた命と呼ぶにはあまりに我の弱い名残が失われたことによる、目覚めと微睡みの狭間で魘されるワダツミの慟哭だった。 

SYSTEM :
. オリジン:ヒューマン 
 人でしかないものから生まれ、
 レネゲイドビーイング
 人ではないものとして象った。
 その贈り物が、銃口の先を拓く。

 無機質な隣人愛は、その炎星の輝きに合わせて、さぞや明滅したことだろう。もしもの話だ。

SYSTEM :
 赫き連星が藍と闇色を照らす中。

 骸殻に身を覆い、海を波濤と共に揺らす大怪異の巨体と、その因子を己が外周に纏わせた、凍てつくものが鮮明に見える。

 邪魔者なしの状況に。
 その暖かさを知ることの出来なかったものが、どこか愉快気に笑った。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───今のは私のですか?
 ふふ、なるほど。そう見えるのですね」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「でも、今欲しいものは…。
 ああ、ひょっとしたら案外それくらいで渇きは足りたのかもしれないけれど…」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「遅いですね。───だから、まあ。
 その火も夜空の果てに消えるまでが、私の記憶に遺る猶予です」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「───いいや、いいや、消えはしないッ!
     私
 たとえこの火が絶えようとも、継いでいく者がいる限り……!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───あはははは!
 けっこう! それがきみの証なのですね」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「でも、ソレではないんです。
 ないんですよ。私が遺せるものって」

SYSTEM :
“俺はこの世に何を遺した”と。
 哭く独りの言葉を、無意識に独りが肩代わり。

 回答。
 生まれながらに強靭い生き物が、絶えるか残るかの瀬戸際を行く微かな熱の繋がりに向けてすることなどそうはない。

 そんな必要がないからだ。
 生物としてその余分が、何より欲するべきだとしても。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「精々気をつけなさい。
 継いでいく者ごと触れて捻れるくらいの、変わらない弱弱しさなら…いまのは全部“ざれごと”ですよ」

荻野目 旭 :
(──それは誰の言葉?)
 遺すものになんてかけらも興味がないはずの生き物の口をついて出たことばに、顔も知らない男を幻視する。

荻野目 旭 :「……あんたの世界では、そうなんでしょうね」

荻野目 旭 :
 つよ  よわ
 強靭いか脆弱いしかない世界なら、蠍は井戸の中で終わりだ。
 そんな簡単なことを知らない女は、たったひとり違う舞台でわらっている。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「は、は、は───あはははは!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「遺らぬものの何に願えと?」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 ・・・・・
「遺らぬものの何処に寄り添えと?」

SYSTEM :
 ・・・・・
 簡単なことがもっとも難しい生き物。
 
 自閉症の延長線、えにしを結べない巨きな独りが、お互いにピントをずらして答える。
 そうだと肯定して。そうだの先も肯定した上で切り捨てる。

SYSTEM :
 つよ  よわ
 強靭いか脆弱いしかない世界以外を識るすべのない生き物の言い分など、自覚以上にそんなものだ。
    
 外付けの虚構が作った憎悪が、ただ、慈しみと哀れみと見下しで今まで隔てた“ふつう”に、少しだけ矛を尖らせる。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───生きている限りそうならば、そうするでしょうよ。
 だから、ああ、だから言っているではありませんか」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「厭ならその私を後悔させて下さいね、と」

SYSTEM :
 それは誰に向けたものか。

 なにひとつの縁さえ遺らぬもの。
 独りと独りが、唯一無二の共通事項を、もっとも強き独りに肩代わりさせる。

 何者にも染まるが、何物にも染め上げることのかなわない、透き通りしも渇いた虚ろの空に。

SYSTEM :
 ………唯一違う色を向けたものと、いちばん知っている名残の色を向けたものに。

 そいつはずっと、同じかたちを囀っている。

久外境耶 :
「ジョートー、ジョートー。せいぜい前フリしてもらおうや」

 "ナイトホーク"の背中をスパンと叩く。強靭いと脆弱いのイチゼロ価値観にはねえやりかたがコイツの戦いで、ソイツを『ざれごと』で踏みにじってテッペンにケチつけるのがリベンジだ。

荻野目 旭 :「……モチロンです。ツヨいかヨワいか、のこるかのこらないかだけで世界語るの、一生後悔させてやります」

三廻部 颯 :
 イチ  ゼロ
 強いか、弱いか。
 それしかない世界。
 単純であるが故に、それしか法則のない世界。
 
 なんと孤独な世界だろう。
 孤独であり──そして、勝負の世界ではままある法則だ。

三廻部 颯 :
 最初からそういう生き方しか知らなかったのかもしれない。
 そういうレールを敷かれて、進むしかなかったのかもしれない。
 そうして続いてきたことが「当たり前」になってるから、遺らぬものに情景を向けることができない。

三廻部 颯 :
 抱いたのは──既視感と、深い哀れみ。
 けれど哀れむことが彼女のためになるはずがない。
 彼女はその法則しか知らない。
 その法則の中だけで生きてきた。

三廻部 颯 :
 だから──この勝負は、同じ土俵に立たなければならない。
 皆じゃなくて、私の勝利条件は、その同じ素表で、力で勝たなければならない。

三廻部 颯 :
「───」

三廻部 颯 :
「……白銀さん」

三廻部 颯 :
「さっきも言ったけれど、
 約束、守りにきました」

 胸に手を当てて、静かに宣言する。
 約束というのは言うまでもなく、止め(遊び)にいくこと。
 それは彼女と戦うことで、私が自分の手をもう一度彼女に差し伸べるには、彼女に勝たなきゃいけない。
 彼女の生きる世界の、その法則の上で。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「左様ですか」

SYSTEM :
 
 遡って、あの時。

 変わらず笑うだけのものに、あなたは矛盾を含んだ敵対宣言をした。

 その時に、そいつはいつもと違うわらいかたをした。

 本当ならいったい何を出力したかったのか。
 打っても虚しく、空寒く響いた音の中。
 女は、いつもと違う形を含んで笑った。

SYSTEM :
 …約束を守りに来た、の言葉の意図が。

 もしも、水面に自分の都合を叩きつけに来た方と、使命の“絞りかす”でしかない余分を刃物のかたちに変えて突きつけた子供のそれだったならば。
 彼女は、その二人と同じ対応をしただろう。笑って、隔てて、後悔させて下さいねとニッコリ笑って、後腐れナシの行動に憎しみの攻撃性を帯びさせて。

SYSTEM :
 ただ、そうではなかった。
 意図するものが何となく違うと分かった時、そして何よりそれ以上に………。

SYSTEM :
 挑まれた時のいつも以上に嬉しそうな面でもなく
  /縋るような楽しさと平常運転

 怒りを向けられた時の声のトーンを落とした笑顔とも違う
  /しょうがないものへの憐れみと自己認識への寂しさ

SYSTEM :
 わざわざ隔てて来たものが手を伸ばした時。
 
 何度も何度も埋め込まれようとしてきた一点の《黒》が白いソラに囁く。
 嘲りと憎しみ。喜び以外の感情が先天的に抜け落ちたものの面構えが、別のかたちの喜びと一緒に向けられる。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「いいでしょう、いいでしょう。
 ですが努々忘れないように」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「私は君の手を平気で握り潰します」

SYSTEM :
 それは大人しく、一生味わえぬものを味わえばいいものが。
 自分の間合いに飛び込んで、成すべきことと嘯いて来たものへの確認だ。

 朗らかにずっと笑う生き物の、微かで切ない、憎しみ交じりの喜びの色。

三廻部 颯 :
「……そう、言うと思いました」

 ぐ、と握った拳をひらく。
 それを、何度か繰り返して。

 脳裏に浮かぶのは、咲楽であり、かみき君であり、サイト君であり……、私の、私の日常の中にいる友達のこと。
 私は、皆んなの手を簡単に握り潰せてしまう。

 ……それでも、私は、みんなと友達でいたい。

三廻部 颯 :
 ……だから。

三廻部 颯 :
「だから──私は、
 ・・・・
 砕かない手で、みんなの手を掴んで……、
 ・・・・
 砕けない手で、あなたの手を掴みます」

三廻部 颯 :
 捉えようによっては屁理屈にも聞こえるその言葉を、嘘偽りなく正面から口にした。
 それはつまり、意図をしようとせずとも、勝利宣言に近いもの。

 砕けない手とはすなわち、勝者の手なのだから。

三廻部 颯 :
 胸に当てた手で、首から下げたお守りを握りしめる。
 かすかに昇る金色の光と、私の体から迸る海色の光が、そこで交わった。

三廻部 颯 :
「私には、それが出来るって信じてます。
 私の──私の力は、───」

三廻部 颯 :
  モ ル フ ェ ウ ス
「描いた夢を、カタチにする力だから───!」

三廻部 颯 :
 その宣誓と同時に、交わる光がその手の中で膨れ上がった。
 舞い上がる金色と海色の砂が、その頭で思い浮かべた理想の得物を紡ぎ出す。
 それはカタチこそ似通っている、少し違う者ではあったが。

 私の、胸の内から造りだし、作り上げるもの。
 私が拳で目指して、そのときは握りしめなかった刀/剣を。

 今、私の体から引き抜く───!

三廻部 颯 :
     ミクスタス
「───多重混合錬成!

 海よ、母なる海よ、
 ハヤテ  ホオリ   トヨタマヒメ
 私の夢と、稀人の夢と、海神の夢を、

 一なる神征の剣へと成せ───!!」

 ホオリという、偉大なる先人と。
 その伴たるトヨタマヒメの祈りと。

 それに触れてきた、私の夢とを。
 その全てを併せ、形と為す!

三廻部 颯 :
  あざな
 その字は──布都御魂。
 
 私が、ただふと思いついたような神剣の名前を、これに与えよう。
 本物と程遠かったとしても、それに辿り着けなかったとしても───

 彼女に勝つなら、それくらいのゲン担ぎはあって当然だ!

▄█▀██ :
 それこそ少女は知らぬ話だが。
 神話の世において、火折尊の直系にあたる天なる皇が居た。
 その者が持ちし、建御雷神がかつて振るいし神剣の名が布都御魂。

 全ては偶然で、その名を選んだ少女が、そんな話を知るはずもない。
 けれども、レネゲイドにおいて重視される意志を最も込められるのが名だとするのならば、これよりふさわしきものもないだろう。

三廻部 颯 :
 錬成と同時に少女の体が横へ跳ねるようにとぶ。
 太刀筋は確かにおそまつなものだ、剣の構えすら熟練者からすれば鼻で笑うようなもの。

 けれども、あの夢の中で"名残"の男と剣を結んだときの記憶が、体に深く深く刻まれている。
 それを思い出しながら、ステップを踏み、リズムを刻み、愚直に剣を振り続ける。

 微かな金色の輝きが、残光を生みながら波濤を生じさせていく。

三廻部 颯 :
 やっていることは、ただ剣を奮い続けているだけ。
 けれども、彼女はかつてその拳で、渇望喰いだろうと、蘆屋道満だろうと、渾身の一撃で撃ち抜いてきた。
 それを実現していたのは、強い意志を込めた無限の可能性を秘めた力!

 そこから作られた剣は、かつての拳の一撃すら凌駕する。
 その道筋と、剣を振るう軽やかさが、違えた友の導きを受けて加速し、加速し、加速し───……

 無数の剣戟を締めくくるように、一文字の軌跡がとぶ。
 獣ではなく───人である彼女に勝つために。

SYSTEM :
 名は借り物の思い付き。発端さえも継承。
 理念は他者から始まって、道理は甘い夢の階から転げ落とすことなく。
 ごちゃまぜ
 多重混合錬成とは良くも言ったもの。
 良く言えば純心で、悪く言えば欲張りに思いを吸い込んで引き抜かれた一振りが、形を成した。 

SYSTEM :
 …あるいは成り立てのオーヴァードは、概ねそうだけど。
 彼女ほどこの時の澱みの名たるリュウグウジマで、見て来たものが“まばら”なオーヴァードはいない。

 正しく在ろうとする人間の次は、正しさから零れ落ちた人間。
 何処まで行っても隣人でしかないものと幾度も道を交錯させ、
 隔たりの内側で生きて死んだものを見て、薄氷の上と下を行き来した。

SYSTEM :

 嵐雨を切り裂いたひと振りの姿が重なる。
 毒気を払い、目覚めを促し、断ち切る様の原初のかたち。

 カテゴリ
 遺産系統、祈りの造花。
 タイプ
 遺産区分、十拳剣。
 改め、現存するはずのない神話の模造品。
 
 孤独の結集を断つ一振りが、その孤独の成れの果てから生まれたなど、なんと皮肉な話か。

SYSTEM :
                オディオ
 そして結論から言えば、蘆屋道満の憎悪の天敵は。同じ過去の縁の持ち主だ。
 どんな形であれ、それをどんなに自分に合わせたとて。
オリジン
 原型が、己の届かぬふるき海/焦がれ引き寄せる“神話”の向こうにあるものに。
 彼は防ぐという思考すら持ち得ない。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───!」

SYSTEM :
 嘗てホオリノミコトと名乗った無銘が、自分を切り裂いたように。
 
 そのレネゲイド体を幾分か取り込み、また潜ませた結果。
 つよ  そら
 強靭さの世界で生き抜いて来た、白澄む伽藍洞にも例外ではなかった。

SYSTEM :
 太刀筋の巧い下手を、そいつは知らない。
 刀を握ったことはあっても、その道を歩むことはしなかった凡愚だ。

 嘗て一度その名残を見た。 
 どれだけ粗末な剣捌きであろうとも、どれだけ付け焼き刃であろうとも。
 その名残がよみがえる。

 海鳴りの鼓動が、遥か遠くから木霊する。その未熟の背を押すように。
 遺しものを継いだものへ、時の流れにさらわれた名残が。

SYSTEM :
 その一連を見ていたそいつは、
    ・・・・・・・・・・・
 これが止めの一撃であるならば。
 ほう、と息を吐いて。
 嘗ての郷愁と共に、弟を“しかたのないやつ”と窘めただろう。

SYSTEM :
 名残を追う一振り。
 乾坤とて付け焼き刃、付け焼き刃とて覿面の相性であり。
      ユ メ
 はじめから可能性の閉じたものにそいつは何より適切な一振り。
 クリティカル
 致命傷と言っても過言ではあるまい、その最後の一文字。

 無数の型無し、なれど、その終幕に予想が出来るならば───。

SYSTEM :
 澱んだ瞳がせせら笑う。
 つよ  よわ
 強靭さと脆弱さだけで生きていく以外の道を知らぬ魔獣が、
 穿たれながらその腕を伸ばしてきたものに、視線を向けた。

SYSTEM :
 君には何度も言ったのにね、と。
 差し伸べた手も握りつぶすようなものに手を出すな/次は潰すぞ、の柔らかな拒絶。

 せっかくおいてやった柵を、
 ・・・・・・・・・・・
 見本をやってくれたやつがいるのに飛び越えて来たものに、女は笑った。嗤ったのと、同じくらいに。

 海色の中で忘れようのない海色を、彼女は一先ず忘れるまで心の中に仕舞い込みながら、その目で応じた。

SYSTEM :
 向かい合う敵に向けた縁のかたちが、直接刃物を向け合う相手でないのに。
 
 経験したことのないものに対する縁のかたちが。刃物を向け合う相手でしかないことの、なんと皮肉なこと。

SYSTEM :
 流れる血が水面に赫い屑星の斑点を作りながらも、得物の是非など拘るでもない。
 
 時を歪め空を曲げる、バロールの本質は魔眼の形成にあるというが。
 その魔眼代わりとなる重力場の起点は、いびつなオルクス“擬き”によって形成される白雪。
 外側と内側を隔てる、オーヴァードのみがドレスコードを通過する彼女の世界。
 亜種的、断片的な空間認識能力。

 明確に可視化されたその魔刃は余技であり。
 彼女の外付けの憎悪と共に連鎖的に動く第三第四の手足に過ぎない。

 ならば白雪の射程圏内に入った時点で、オルクスの領域よろしくそこが間合いだ。

SYSTEM :
 
 そして、その望外かついびつな感知のメカニズムに、
.                         シンドローム
 どうしようもなく噛み合ったものが、彼女のもう一つの機能。
 獣性にも喩えられる生命力と剛性の強化。
 兵士として生み出されたものに対してそんなものが付随してしまったこと、
 それは何より彼女の末路を印象付けていた。

 凡そ平時から何の躊躇もなく戦闘態勢に移行できる機能性、空間認識能力を持ちながら内面を欠落させた半端かつ常軌を逸した思考プロセス。

 人間の戦術とそれを凌駕する獣性。
 反射と思考の両立だ。

SYSTEM :
 兵士は躊躇いで、ラグを掛けない。
 コマンド アクション
 思考が攻撃を実行する。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :

「つ、か、ま、え───」

SYSTEM :
 クリティカル
 致命傷だけを避ける体捌き。
 自分の世界/至近距離に飛び込んで来たものの得物を、思考よりも早い反射神経が捉えて。
 ニューロンを駆け巡る電磁波の動きが、直に身体に反映される。
 
 絶速の剣にさえ追い縋る光速に耐え得る肉体が、その時───

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───たぁッッ!!!」 

SYSTEM :
 最後の一振りを掴んだ。
 厳密にはその腕をつかんで、放り投げて、白を塗り潰す黒い鉾が唸りを上げる。

 外付けの憎悪の羅針が、浮かび上がったものに我先にと食らいつく。
 あるいは、そこにこびり付いた道満の呪が、踏み込む彼女を”敵”と見做したのか。
              
 秒速何十にも及ぶ斬撃の疵で白い戦装束を染めながら、“喚楽の人喰い虎”が得物を振り抜き、勝利宣言の持ち主を射貫く。

SYSTEM :
 痛み分け、否。

 ひとり分の乾坤で死ねるように彼女は出来ていない。
 それで死ねるならば10年前に井戸の底でひっそりと朽ちていよう。

SYSTEM :
 ・・・・
 痛み分けになるかは、10分の1にも満たない攻撃回数で、それでも“ひと紛い”を数度殺して有り余る躊躇ない紅蓮の血染華の中で、彼女/あなたが生きたかどうかだ。

荻野目 旭 :
(──なんて完璧な錬成!)

 遺産を勘定に入れたとしても、紛れもなく天賦の才。
 夢をかたちにするとは、誰もが知っていること。言うほど簡単じゃないし、不足したイメージはそのまま破壊力にもフィードバックする。
 彼女はその逆だ。
 何度も戦闘をくぐり抜け、何か明確な指標を得て、振ったことすらない剣であれだけの力を放つ。

荻野目 旭 :(でも……あっちの返しも尋常じゃない!)

荻野目 旭 :「……三廻部さんっ!!」

三廻部 颯 :
 力量の差は当然ある。
 わたしはこの島で目覚めたばかりの素人で、あっちは超人との戦いを何度もしてきたエキスパート。
 埋めようのない差が確実になるのは、この瞬間。

三廻部 颯 :
「づ、ゥッウァ───」

 虎の牙は無垢なる獲物を逃さない。
 その身に深々と突き刺さるように、引き裂くように、剣が身を害していく。

 口から吐き出る血に意を介さず、痛みに耐えて、耐えて───

三廻部 颯 :
 そのとき聞こえてくる声に、何を思ったか。

三廻部 颯 :
 命を落としかけたとき、超人は何かを焚べて戻ってくる。
 それは日常に繋がれる鎖のひとつで、それを溶かして生きながらえる。

 私は、この剣を握る手を、緩めることができない。
 そして、私が願って、私が差し伸べる手は、……手、は。

 ……私の、……思い描いた、夢は。
 ……きっと、交わらないものだと、心でわかっている。

三廻部 颯 :
 絞り出すような声が、苦しむ呻きのような声が、
 どうしようもないほどの"申し訳なさ"のまま、口にする。

 そうやって、他人と結んだものを焚べて体を治すことは……、
 その繋がりが、以前のものではないと認めてしまうから。

「……、…………ごめん……!!」

三廻部 颯 :
 あるいは、交わらないことへの、
 あるいは、約束を守れないことの、
 あるいは、「友達だから」と言えないこと。
 あるいは、誓いを反故にすること。

 あるいは、それまでの友情に、戻れないことへの。

三廻部 颯 :

 ごめんなさい、その一言で、少女の体は花咲くように蘇り。

「───、う、ああああああぁぁぁぁッ!!!」

 捕まえたと、牙を突き立てた彼女に。
 少女はその引き裂きを受けたまま、熱い血潮と共に剣を振り抜いた!

SYSTEM :

 残る一撃が、伽藍洞いっぱいに広がった。
 血の華が二つ咲く。
.               さくら
 厳密には、血の散華を上塗りする桜華と、紅白に染まるもう一輪。

 殺すか殺されるかの、凡そ真っ当な縁の担い手が踏み込んではならない領域で。
 そう触れたかったのであれば、なるほど、そこに差異はない。
 どれほど道に差があり、命に区別があり、彼女に致命的な隔たりがあっても。

 その凄惨だけど純粋な対話において、彼我は対等だった。

SYSTEM :
 であれば、それは誰が見ても痛み分けだ。
        しなず
 オーヴァードは不死身ではない。
 彼らをそのように仕立て上げるものは、レネゲイドだ。

 意志のないはずのレネゲイドだから、純然たる感情で死を厭う。
 宿主と一心同体の因子は、宿主を殺してでも生き延びるために再起を促す。

SYSTEM :
 侵蝕臨界点を越えて久しい少女に、再生に耐え得る余地はない。
 あるとすれば、いつだって。
 いつだって、ゼロからイチを作り出す例外だけ。
   キセキ
 その例外には対価が要る。
 もう一度、と自分に鞭打つならば、それ相応の対価というものが。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「君は………───そう。立ち上がるのですね」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「触れて壊れるものの分際で、立ち上がるのですね」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───まったく傲慢! はなはだ無謀!
 とはいえお互い様!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「君には確かに───約束通りと参りましょうッ!」

SYSTEM :
 その付け焼き刃の純粋さ。

 裏表ない愚かな子供が、
 何を対価にしたのかを彼女は知らない。
 そもそも、その区別さえも。

 ただ、その桜華に含まれない色を認識した時に。
 海色から零れ落ちた光と共に前に踏み出して来た度し難い眩さに、女は違う笑い方を続けた。

SYSTEM :
 …とどのつまり。
 これはそれだけの話だ。

 後で悔やむとはいうが、後など知らず前も残らぬ現在だけの生き物の──。

三廻部 颯 :
「ッ、そう──それなら……嬉しいな……!!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「は、は、は! あはははは!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「きっとはじめてですよ…   
               ヒト
 私にそんなもの振り回して来た人間!」

三廻部 颯 :
「なら──もっともっと、そういうのを知っていけるように!
 ……私が勝ったら、来てもらうから!!」

SYSTEM :
 その無謀───恐らくは誰もが察していよう顛末の道理を蹴飛ばす無理に。

 独りの代表者が、無自覚に破顔した。海色の底に、発露した感情が波紋となって広がる。

SYSTEM :
 はい、も、いいえ、も言わなかったことが。
 生涯聞かぬ情動への、生涯で経験のない気遣いだったのかもしれないし。
 それはただの猿がタイプライターを打つが如き偶然だったかもしれない。

 あるいは、生死の境目においてそれは───。

荻野目 旭 :
「…………」

 それだけは叶えてあげられない。
 きりきりと痛むおなかを一瞬だけ押さえながら、僕は絶対に揺らがないことを思う。

荻野目 旭 :
 シンプルに無理だからだ。
         ぼ  く
 ……最低でも、UGNチルドレンの知る常識のうちでは。

“害群之马"龍嘉睿 :

「悪いな」

“害群之马"龍嘉睿 :

   ・・・・・・
 ──横槍入れるぞ。

“害群之马"龍嘉睿 :
 呟いたその謝罪に、意味はほとんどない。
 仕事をしにきた男にとって、
 その思想も、葛藤も、素晴らしさも、美しさも、意志で踏み潰すほかないからだ。

“害群之马"龍嘉睿 :
 装弾数確認。生き残る為の一撃。
 龍嘉睿は夢想家(ロマンチスト)であると同時に、現実主義者(リアリスト)であった。
 相反する二つの思想を抱え合わせ持つからこそ、あらゆる状況においても"仕事"の一言で切り抜けていた。

“害群之马"龍嘉睿 :

     ・・・・
 龍嘉睿はまともな日常を知らない。
 荻野目旭の語ったソレと、ほぼ同じ理由だ。

“害群之马"龍嘉睿 :
 だからこそ、ある意味では白銀に同情的な部分もあった。
 ああいうのは珍しくはない。普通ならば淘汰される逸れ者(ガキ)が、たまたま力を持ってしまった。
 そして誰にも拾われずに此処まできた。"それだけ"の話だ。

 普通を知る機会が無かったアウトローに、これが日常であるなどというのは欺瞞もいいところだ。
 だから、龍嘉睿は日常の有り難みを知ることはない。
 故に、UGNの掲げるお題目が尊いだなどと、称賛することもないし、

“害群之马"龍嘉睿 :

 ──他人にそれが素晴らしいものだと説くなど、以ての外だ。

“害群之马"龍嘉睿 :

 かたいふとうにいわく きをもってきをだっし
>>     嘉泰普灯、以機奪機、

“害群之马"龍嘉睿 :

 どくをもって どくをせいす
>>    以毒制毒

“害群之马"龍嘉睿 :
 仕事人の所作は軽やかだった。
 マガジン装填。安全装置解除。
 照準を合わせて引き金に指をかける。

“害群之马"龍嘉睿 :

 ──呵呵呵呵呵呵呵呵々ッッッ!!!
   待ち侘びたぜ俺の半身! ようやく遊べる刻が来た!

 ──さあ、誰を裁きの間に引き摺り出す!?
   腹かっさばいて脂肪と飽食に傷んだ腸ぶち撒ける!?

“害群之马"龍嘉睿 :

 ──今からここは閻魔の裁き下る大広間!
   テメエの銃こそが、罪人にとっての浄玻璃鏡よ!

“害群之马"龍嘉睿 :

 想起。激痛。内蔵撹拌。神経切断。地獄。
 喉を穢す血の味こそが。唇から流れる真紅の色こそが。
 腹の中で呵々大笑するレネゲイドこそ、俺が受ける地獄の苦痛の体現者である。
 弾丸を練り上げる/血反吐を吐く/恐怖で心が押し潰される──鏡に映る罪人は己だということを知っているから。

“害群之马"龍嘉睿 :

  やがてやますらつぶてはうがつ
>>  泰 山 之 霤 穿 石

“害群之马"龍嘉睿 :
 鉄砲玉に、華々しさも悲劇も喜劇も何も要らない。
 銃は所詮人殺しの道具である/リアル。
 弾丸は人の命を奪う道具である/現実。
 木口龍という仮面を被り、振り回されていた男は此処に来て自らの異能の真価を明かす。

“害群之马"龍嘉睿 :

 オーヴァード能力
   化け物の力 なぞ、意志を持った道具以上でも、それ以下でもない。

“害群之马"龍嘉睿 :

 けんぼうだい ほくとせいくん
>>  醧忘台・北斗星君

“害群之马"龍嘉睿 :

 ──BANG!!!

“害群之马"龍嘉睿 :
「くだらねえ夢見る時間はとっとと終わらせろ。
 テメエが振り回してるソイツに用事があるやつがいるんでな」

“害群之马"龍嘉睿 :
 卓袱台返しは、一発の銃弾だけでいい。
 内臓に達せば、その衝撃(インパクト)と同時に、龍嘉睿が受けている全ての苦痛を"転写"する。
 弾丸はその為のツールなのだ。
 だからこそ、カタチはなんでもいい。……一番扱いやすいから、これにしているという部分は否めない。

“害群之马"龍嘉睿 :
 異能(レネゲイド)、
 ひいては魔法のランプとは本人の思想が強く反映されるものだ。

“害群之马"龍嘉睿 :
 ……例えるならば創造の御手/モルフェウス。
 三廻部颯が欲したのが【描いた夢を、カタチにする力】ならば、
 この男が欲したのは【己の仕事を必ず遂行できる力】であった。

SYSTEM :
 生死の境目において。
 あるいは、感情に揺れるものほど、いとも容易く判断を誤る。
   ・・・
 そのりくつが、兵士の模倣作にして最終傑作に備わっていないはずがなかった。

SYSTEM :
 故に、自覚無自覚を問わず、彼が突いたのは精神の間隙などではない。動作の間隙だ。
 意識が集約し、刃が交差し、断じて“余所見”の罷りならない最善の中の欠陥だ。

 人殺しが、人殺しを成せる最善のタイミングで、その引鉄は引かれた。 

SYSTEM :
 身構えきれない部分にやって来た死神は、冥府の死人を裁きし夜摩天にも似通う。

 人間が発明した、人間を殺すための最善の道具が。
                      ドウグ
 人間が作り出した、人の傲慢を立証するための兵士に牙を剥く。
                         S a v e r
 なんとも夢の無い、いや、だからこそ夢を終わらせる機械仕掛けには持ってこい。

SYSTEM :
 故に難くも容易く。
 そのタイミング以外ならば弾き落とした、再生の間隙に。

 怪物殺しの銀の弾丸が突き刺さる。
 熱への余分なども持たず、ただダイレクトな生死の境を表す死出の弾丸。
 レネゲイド殺しが、驕れる生者に牙を剥く。加速する神経回路を、白熱する生体電流が再生の傍から引き裂く。 

SYSTEM :
 だが。

 射撃動作とほぼ同時───。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「ははははははははははッ!」

SYSTEM :
  は
 増幅ぜる喚楽と共に。

 虚空を廻り舞う魔刃が牙を剥く。

SYSTEM :
 蘆屋道満の憎悪が外付けで変性したそれは、あるいは兵士が“最終”ではなく“最高”とつく傑作だったならば手にしていただろうものに似ている。

 己が意志、刻諸共加速する神経の電磁波に合わせて蠢く無数の刃だ。
 当然のことながら、それは彼女の意志のみで動いていない。思考するより早く、反射神経が、自動防御ならぬ自動反撃を成立させているだけのこと。
   サツイ
 即ち銃弾が向けられることが、その魔刃の呼び水だ。

SYSTEM :
 …まして蘆屋道満の呪と怨。

 己のみに矛先を絞って来た男なぞ、どうして殺そうと思わぬものか。
 よってその刃は、横槍を嘯くものに、当然のように報復と嘯いた。
 無自覚の反射神経を誘う道満の名残が、嘗て己を屠ったものの残影を追い───しかし。

“パラディン”的場啓吾 :
「───いいだろう、イロ男」

“パラディン”的場啓吾 :
        ホコリ
「おまえの、その仕事を買ってやる」 

SYSTEM :
.    ほこり
 なおも、他人のために容易く命を懸けた男に。
     ほこり
 かつて、他人のために容易く命を懸けた男が加勢する。

SYSTEM :
 F H
 無法者として戦うならば、決して抜かぬ守護者の証明。
 欠けて錆びて摺り減っても残り続ける一芯。
.       パラディン
 とっくに捨てた幻想のひと欠片。
 斬るための武器として使い、武技を介するならばその結果はご覧の通りだが…。

 元よりそれは士師の剣。なにかを守る人間の為に拵えたものだ。

SYSTEM :
 大剣に稲妻が迸る。

 人殺しのために鍛えられた生体電流───奇しくも同種たる仕事人の仕事道具。
 それが、空を廻り、憎悪の炎を宿した魔刃の群を撃ち落とす。 

SYSTEM :
 以て、横槍成立。
 痛み分けですらない。
 せ い ぎ
 自分の理屈の味方どもの、矛と盾の即席連携だ。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───ははは! はははは結構!
 無意味と分かっている言の葉に何故頷くことがありましょう!」

SYSTEM :
 その当人たるや平然とした顔をし、常軌を逸した生命力を猶も迸らせるが……、流した血と傷は、撃てば殺せる生き物だ。

 獣でも、人でも、まあ、なんでも構うまい。構う人間にとっては死活問題だが、あなたにとってはそうではないからだ。

SYSTEM :
 あなたにとって大事なことは。
    あかし     
 あなたに魂を懸けた者との契約だからだ。

“害群之马"龍嘉睿 :
 銃弾。加速。炸薬が異能の弾丸を押し出す。
 無慈悲に冷徹に冷酷に命を刈り取る魔弾の洗礼/対峙/殺意無き死角から飛来する慈悲無き魔刃。
 

“害群之马"龍嘉睿 :
 目を見開いた。余りにも完璧なカウンター……否、予定されていたかのような反撃。
 電撃使い(ブラックドッグ)や脳領域拡張(ノイマン)などでは決してあり得ない。
 ならばこれは外付けのそういう"装置"だと見るのが妥当だろう。
 殺意を向けられた時点で起動する初見殺しは、あまりにも効果的に作用した。

“害群之马"龍嘉睿 :

 ──左腕はくれてやる。

“害群之马"龍嘉睿 :
 龍嘉睿は咄嗟に体を捻った。
 できることはそれしかない。大動脈を叩き斬られるよりは、処置のし易い部位を捧げる方がマシと判断したまでだ。
 瞬き、刃が到達するその刹那、……それよりも早く騎士(パラディン)が割り込まなければ、見る結末は惨劇たるものだっただろう。

“害群之马"龍嘉睿 :
「──なるほど。価値を見出されたらしい。助かった」

“害群之马"龍嘉睿 :
 魔刃の全てが電光によって弾き返されたとき、この男が何故騎士と呼ばれ、その身体と同等の剣を背負っているのかを理解した。
 伝説は、不可能を可能にするからこそそう呼ばれるものだ。目で追うということが愚かに思える一瞬の内に、攻防を成し終えるその姿。

“害群之马"龍嘉睿 :
「ガキが武器手に入れてワガママ捏ねるのを見る為に来てるわけじゃねえんだ。
 ・・・・・・・・・・
 何の興味も感想もない。……──俺も、無意味なやり取りだと思っていたよ」

“害群之马"龍嘉睿 :

 リロード。
 一歩下がり、再度照準を合わせた──。

“パラディン”的場啓吾 :
「気紛れの礼は高くつくが…。
 今のは支払いとしちゃ悪くなかった。良かったな、チャラだ」

SYSTEM :
 ふ、と笑う男の声。

 言葉を借りるに曰く、価値を見出さなかった/位置取りが悪かった場合に何が起きていたのか、それは想像通りに無茶な行いだ。
 正しく言えば、無茶な合理だ。オーヴァードのまことの死が、人間の物理的な死と完全に同一でないことを知り、行うには難い行動を取れてしまえる鉄砲玉の理だ。

SYSTEM :
 “パラディン”はこの無謀だが、他人のために命を懸けた探偵サン改め破落戸の延長線が、そう嫌いではなかった。

 別れの近い現上司が、理由“だけ”を切り取ると、形は違えど、根底は違えど守り人であるように。

SYSTEM :
 仕留め損なった張本人は、からからと笑うだけ。仮令何を思っても、それ以外の出力手段を持たない。
 た だ
 酷薄に笑って、続きを促すだけだ。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「まだ覚えている同じことを繰り返してほしいなら、ええ。そうしますが」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「お望みでないのでしょう。なら、確かにそうですね。

 あのちょっとオモシロかった貴方でなく、その銃を向ける貴方と交わすものなど、得物一つで十分でしょう」

SYSTEM :
 お互いに興味がないなら、せめて自分の普遍的な“交わし方”をはじめて終わらせるだけだ。

三廻部 颯 :
 冷や汗が出る。
 振り返らずとも誰が撃ったかなんて、考えればすぐわかること。
 心中を覆う焦りは、モタモタしていると「障害」として彼女が殺されかねないということだ。

(───……まずい……っ!)

久外境耶 :
「ヒュ〜ッ! イカすねえご両人! 修羅場はこうでなくっちゃなア!」

“パラディン”的場啓吾 :
「生死の綱渡り半ばで叫ぶとは、見えてる地雷でも踏み抜いて進む魂胆か?」

“パラディン”的場啓吾 :
「だが、せっかく気分よくやるなら、それぐらいが丁度いい。踏み抜いて突っ走る、だ」

久外境耶 :
「おうよ地雷ブチ抜き出血大サービスってなあ! 流した血の分だけボコし返す献血よオ! おれっていいヤツーっ」

“害群之马"龍嘉睿 :「そもそもお前なら流す血が少し多くても倒れはしないしな」

“害群之马"龍嘉睿 :「……とはいえ俺も思うところがないわけではない。思うままに埒を開けねば、依頼人も安心しない」

“パラディン”的場啓吾 :「決まりだな」

SYSTEM :
 その“パラディン”は、少なくともこの無敵の兵士の最高ならざる最終傑作らしい生き物………実態は嘗て覗いた奈落以外の行先を知らない人喰い虎に対する見解の違いを感じても、薄く笑った。

 この場において、本当の意味で彼女に関心がなく。
 彼女に関わる者達を通して“気分よく帰る”以上の感想がない、そのように見える男が彼だ。

 あるいは。
 元聖騎士の無法者、剣に誇りを仕舞い込んだその男だから、特に言葉もかけないでやっているのか。

SYSTEM :
 なれば、と戦いが続いた時。
 その一度生まれた仕切り直しの間をはじめに切るものは。
 引鉄を弾くよりも、剣が閃くよりも、矛が飛ぶよりも、何より早く───。

SYSTEM :
■手番処理
 荻野目 旭が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトは───。

荻野目 旭 :──!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
■オート
Auto:《加速する刻ILV5【融合】》
・イニシアチブプロセスでメインプロセスを行う

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 はははは!
 人の望みに割り込み、押し付けるだけでは飽き足らず、赦さじと!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 はははははどの口が言いましょうか!
 どちらか知りませんがよくもまあ! よろしい!

SYSTEM :
■手番処理
“喚楽の人喰い虎”/■■■■/海鳴りの大怪異が行動を宣言します。

『海鳴りの大怪異』 :
■メイン:ダイカイショウ
 Passive:なし
 Major:《ありえざる存在:雨粒の矢L5+1【融合】》
 Minor:宣言なし
 Auto:宣言なし

 判定:15dx
攻撃力:xd+12
 範囲:シーン

久外境耶 :させるか水死体野郎があーッ
《魔獣の咆哮 LV4+1》《ビーストロア LV1》でダイス10個減少だ!

『ホデリ』 :よかろう…いざ征かん! 

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 112 → 117

『海鳴りの大怪異』 :(海鳴りの大怪異がいざ殺意を発露しようとしたその時、発せられる波紋に、複雑に入り混じった澱みを叫ぶ…!) 

『海鳴りの大怪異』 :5dx RC (5DX10) > 10[2,3,4,7,10]+3[3] > 13

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

“朧の狩人/残骸” シホ :勢いは弱まった……けど今度は阻止はできない……ッ!
みなさん、なんとか回避か防御体制を───!

荻野目 旭 :でも……これなら!

久外境耶 :
【 Gliese 832c 】
オート:《崩れずの群れ LV1》《氷盾 LV3+1》

対象は"ナイトホーク"だ! 来いやオラーッ

荻野目 旭 :サンクスです!お願いしま〜す!

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 117 → 121

“パラディン”的場啓吾 :さっそくデカいのが来たな。残りも身構えるといい

“パラディン”的場啓吾 :避けるか、防ぐか、まあ別の選択肢もあるな──

三廻部 颯 :ドッジ!

“害群之马"龍嘉睿 :ドッジしかあるまい

“朧の狩人/残骸” シホ :反応が遅れたけど、なんとかドッジするしか…!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。
 判定を行ってください。

三廻部 颯 :(3+4)dx+1 <肉体:回避> (7DX10+1) > 10[2,2,6,7,9,10,10]+9[7,9]+1 > 20

久外境耶 :なんだおまえ主人公か??

“害群之马"龍嘉睿 :7dx 回避(肉体) (7DX10) > 8[5,7,7,7,7,8,8] > 8

“朧の狩人/残骸” シホ :(1+4-3)dx10 〈回避〉 (2DX10) > 10[3,10]+3[3] > 13

『ホデリ』 :娘は避けたか! なれど…

荻野目 旭 :龍さんに《妖精の手》です! 振り足してください!

“害群之马"龍嘉睿 :助かる!

“害群之马"龍嘉睿 :1dx+10 (1DX10+10) > 1[1]+10 > 0 (ファンブル)

“害群之马"龍嘉睿 :は?

system :[ 荻野目 旭 ] 妖精の手 : 1 → 0

荻野目 旭 :………………。

荻野目 旭 :てへ

“害群之马"龍嘉睿 :…………

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 156 → 160

“朧の狩人/残骸” シホ :…………そう、私はある人からこういうときの言葉を学びました。

“朧の狩人/残骸” シホ :……ドンマイッ!

久外境耶 :(大ウケ)

“害群之马"龍嘉睿 :……妖精の手切らせておいてこれは切腹ものだな……

“パラディン”的場啓吾 :案ずるな 失敗しても死ぬだけだ

久外境耶 :ナイトホークに介錯させようぜ

久外境耶 :チサンチショーって言うんだろコレ

“害群之马"龍嘉睿 :いいのか

“害群之马"龍嘉睿 :セプクするしかねえ……!!!!

荻野目 旭 :すみませぇん!責任はあ…あとの支援でとりまあす!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

颯:ドッジ/回避
境耶:カバーリング/命中
旭:被カバーリング⇒境耶
シホ:ドッジ/回避
龍:ドッジ/命中

system :[ 荻野目 旭 ] 妖精の手 : 0 → 1

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

『海鳴りの大怪異』 :2d10+12  (2D10+12) > 5[3,2]+12 > 17

“害群之马"龍嘉睿 :ガハッ

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] HP : 8 → -9

荻野目 旭 :り、龍さーーーーーんっ!!!

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しています...

久外境耶 :ッシャア無傷……! ザマミロおれに勝てると思うなーッ

『ホデリ』 :かかる飛沫は祓うのみぞ…!

“害群之马"龍嘉睿 :止まるんじゃねえぞ……(仲間(傲虎(アゥフ))タイタスからの昇華で蘇生します)

久外境耶 :
            ウエ
真っ向から潰してどっちが兄かわからせてやんね〜となあ!!!!

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] HP : -9 → 0

久外境耶 :イロ男に戻ったかあんた???

荻野目 旭 :(やっぱり、根がちょっと面白いのは素なんだ…)

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] HP : 0 → 13

“パラディン”的場啓吾 :見ろ 第二ラウンドを始める余力はあるようだぞ

“害群之马"龍嘉睿 :酒と女に溺れて三国志始めた兄貴をタイタスから昇華させて蘇生するぜ……

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しました。

SYSTEM :
■手番処理
 荻野目 旭が行動を宣言します。

荻野目 旭 :この真剣なときに面白くなるのよしてくださいよお! 僕は待機します!

SYSTEM :
■イニシアチブ
 メインプロセスの『待機』宣言を確認しました。
 R中の行動値を[0]として扱います。

 行動値の調整と確認をお願いします。

SYSTEM :
■手番処理
 久外 境耶が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトがありませんでした。
 また、宣言されるエフェクトがありませんでした。

SYSTEM :
■メインプロセス
 任意の宣言・判定を行ってください。

久外境耶 :今日のおれは殴れるおれだ……行くぜホデリーっ!

久外境耶 :
【 Gliese 436b 】
対象:明夜白銀
マイナー:《オリジン:アニマル LV1+1》
メジャー:《巨人の斧 LV3+1》
オート:《呪われし者の印 LV4+1》《流刑者の刻印 LV2+1》《紡ぎの魔眼 LV2+1》

『ホデリ』 :持って征け…いや、斯様な言の葉は適しておらぬな

『ホデリ』 :手の際にてやろうぞ!

久外境耶 :15dx9+2 (15DX9+2) > 10[1,1,2,3,6,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10]+7[3,4,5,7]+2 > 19

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :───は、は、は! 望むところと申し上げましょうが、しかし!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :それは私だけではない様子! 全く哀れで不遜な者!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
■オート:コノハナチルヤ
 Auto:《殺意の壁L2+1【融合】》
 ・対象のダメージを[9]点減少させる。

久外境耶 :あア!? やりやがったなクソ! こーなったらダイス2個から999万出してやルァーッ

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :ははははは! どうぞお望みのままに!

『ホデリ』 :…ホオリめか! なれど…!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

“喚楽の人喰い虎”:ガード/命中

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

久外境耶 :2d10 (2D10) > 5[2,3] > 5

久外境耶 :だがおれには戦乙女とオリジンアニマルがあってなアアアア!!!!!!+14で19だクソがーーーーーーー!!!!!!!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :あっははは!

久外境耶 :今笑うんじゃねーーーーッッッッ

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :喋るなと! 出来ぬ相談と無理を言いますね!

久外境耶 :野郎ーーーーーー!!!!!!!!!!!

久外境耶 :じゃねえ

久外境耶 :女゛ーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

荻野目 旭 :なんでそこで性別差に律儀なんですか!!!!

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しています...

『ホデリ』 :なれど…全く通らじではない!

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 65 → 95

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 121 → 133

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :ええ、ほんの少しね。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :しかしこの者、人に望みをば押し付ける癖、そのものにはどうにも甘いと見える…

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :…まあいいでしょう! 何考えたって私には分かりません!

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しました。

SYSTEM :
■手番処理
 荻野目 旭が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトはありませんでした。
 また、他の宣言可能なエフェクトの宣言が行われませんでした。

SYSTEM :
■メインプロセス
 任意の宣言・判定を行ってください。

荻野目 旭 :…行きますよ!

荻野目 旭 :
▼ツメクサの灯/《タブレットLv5》+《多重生成Lv5》+《狂戦士Lv4》+《癒しの水Lv6》+《戦乙女の導きLv3》
効果:HPを[6D10+2]点回復。
   対象の次のメジャーアクションダイスに+[11]、C値-1(下限[6])。
   そのメジャーアクションが攻撃の場合、攻撃力を[+5]。
対象:颯、シホ、境耶、龍、自分

荻野目 旭 :大盤振る舞い…出血大サービスです! 念の為僕自身も回復するとしましょう!

荻野目 旭 :6d10+2 (6D10+2) > 28[2,3,5,6,4,8]+2 > 30

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 160 → 174

system :[ 荻野目 旭 ] HP : 16 → 24

“害群之马"龍嘉睿 :助かった!!!!!(悲鳴)

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] HP : 13 → 27

“パラディン”的場啓吾 :派手にやる。握った切符が片道にならんといいな

荻野目 旭 :…僕のプライドにかけて、三廻部さんもみなさんも無事に帰すためです!

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 95 → 125

system :[ “朧の狩人/残骸” シホ ] HP : 10 → 23

system :[ 三廻部 颯 ] HP : 13 → 27

久外境耶 :この状態ひっさびさだわ ナ〜イス

“朧の狩人/残骸” シホ :助かりますが、無茶は禁物───と言っていられる状況でもありませんね……!

荻野目 旭 :そのとおりです! そろそろぽっ立ちですけどね!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 はは! あははは!
 きみ、後ろで何をするかと思えば!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 確かに! 向いていない!
 ・・・・ オーヴァード
 私の識る普通じゃない者達の死合いに!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 ・・・・・・
 私の識らないやり方を教えてくれると言いましたが、なるほど!
      ぶき
 では、その仲間ごといつものように潰せるか試してみましょうか!

荻野目 旭 :甘く見ないでよ… 小石には小石なりの戦い方があるってこと、忘れないほど刻んでやる!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :きみはそっちですね。ええ、よろしい。よろしいとも!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :願わくば………───

SYSTEM :
■クリンナップ
 任意の宣言を行ってください。

SYSTEM :
■クリンナップ
『邪毒』の効果が発生しています。

対象者:“喚楽の人喰い虎”(Lv6)

SYSTEM :
 …その、海色の底にて。
 微かな時間の弛緩、動き出すまでの静寂を破ったのは。

 刃でも銃弾でも、ましてや激励や生体薬品などでもない。

SYSTEM :
 慙愧と慟哭が。海の底にて烈しく響く。
 
 蘆屋道満の怨の一文字が繋げし独り同士では飽き足らず、
 浮き廻る魔刃を介して等では事足りず。 
 
 今なおそこにいるものに、あるいは表層より漂うものに。
 手を伸ばすように、触腕の代わりに爆ぜ散るものがある。

SYSTEM :
 鎮まれども消え失せたわけでもない狂瀾が。
 執拗に腕を向ける名残に、海の底へと向けられた名残に。
 ただ、泡沫のように失せていく人間性の残り滓を、ぼこぼこと音を立てながら。

 それが、集積していく。

SYSTEM :
 意図は言うに及ばない。
 骸が今更気を違えて、あなたたちの助けなどするはずはない。

 骸と、明夜白銀を繋ぐものは、同じ独り。
 ただ己であって己に非ざる恩讐を纏い、ふるきに刃を突き立てる蘆屋道満の呪怨である。
 そこによって引き出されたものが、無形の音となって広がる。

『海鳴りの大怪異』 :

      遺しし無二
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

『海鳴りの大怪異』 :

    重ねて 逢にひける
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

『海鳴りの大怪異』 :
       なれど
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

『海鳴りの大怪異』 :
    なにゆえ斯様に悔ゆものか
 ───█▇▅▇▇▅█▇▅▇▇▅

SYSTEM :
 孤独の結集者が、小さく笑う。
 触れてしまえば、指一本で崩れ落ちる名残の塊。
                        アンテナ     
 骸で編まれた外殻を纏ったものの感情を、浮遊する魔刃が受信した。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「ははははは───!
 決ませい、哀れな海底のめくら!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「私のアソびに横槍入れたのです…
 ───せいぜい! その念、使って差し上げる!」

SYSTEM :
 受け取った怪異に巣食う名残。

 怨を介して伝わる妄執が、扉を開く。
 骸に集積され、海底でなおも不可解に増幅する水圧。

 蘆屋道満がリュウグウジマの澱み、その外界に触れかけていたものを察知し、しずめて、引き摺り込むために刺激して働きかけたものと、概ねは同じだ。

SYSTEM :
 怒号が響く。

 もはや届かぬ海の表層へ、なおもただ一つを求めた孤独の馴れ果ての怒号。

 阻むものを薙ぎ倒す、海色の津波。水の底にて爆ぜ、眼前のものを圧し潰す、ワダツミの怒りが成す大海嘯。 

SYSTEM :
 威力と規模は、特に海行にてこのリュウグウジマに流れ着いたものならば存じる通り。

 圧し潰す衝撃、聳え立つ壁のようになったそれは水の“壁”。高波というやつだ。
 水の底で津波など何たる矛盾、なれども、形にならぬ因子を、怨が幇助して成立した魔刃が導く。
 .オ ル ク ス
 ありえざるかたちを纏って。

 重力の井戸の底で、孤独の魔獣が吠え立てる!

荻野目 旭 :
(ダメだ──間に合わない!)
 領域内に満ちる暴力的な因子の波が爆ぜると同時に放った干渉も、回避も。
 どう考えても間に合わない。
 苦し紛れのように龍さんへ向けて指した指から鳥が咲いて花びらが舞い散るけれど、その花風はあれを凌ぐには不足するだろう。

荻野目 旭 :
 力不足に身が震える。
 巨大なものを前に人が死にかけるのを見るのは、何度見てもトラウマを針で突かれる気分。
 いま、僕が震えずにいられる理由は──

荻野目 旭 :
 ・
 彼はまだ倒れないことを、ほとんど確信しているから。

久外境耶 :
 かつて始まりに見、いま終わりをもとめて臨む、重力の井戸。水圧は不可解に、不合理に膨れあがっていく。

久外境耶 :
 現実を矛盾させる。でなければ届かず至れず果たせない、独りよがりの寄り合いども。
 三者が互いを助長して、海底にありえざる大海嘯をもたらす……!

久外境耶 :
「ホデリよオ、取っ組み合いで勝ったコトないんだったか?」

久外境耶 :
「──んなら、まずは一勝! 今から負かすぞ!」 

 呼びかける──獣の姿かたちで、人のやり方を為すものへ。
 嗤いかける──人の形を保ったまま、獣でいたがるものが。

『ホデリ』 :
『先ず一つ───望むところ。
 わたしに…共に勝たせて貰おう!』

SYSTEM :
 獣になり切れぬ人の成れの果てが、
 奈落にて獣の道をなぞり続ける現在進行形に、高らかに応じる。

 あまりに矮小な喧嘩のお題目だが、
 彼らにとって、まさに乾坤の秒読みだ。

久外境耶 :
 精神の滾りに呼応して、燃える冷気が噴き上がった。
 水底が急速に凍りつき、逆しまの氷柱が牙のようにそそり立つ。さながら獣の大顎のように。

 だが、顎というには致命的に欠けている。喰らいつき、吼えたて、水底の高波から規模と威力を貪り奪うのならば。

久外境耶 :
 被さり塞ぐ、上顎が必要だ。例えば、そう──形なき重力の矛、その連なりが。

SYSTEM :
  ビーストロア
 吠え爆ぜる獣の怒号。
 一人と一匹/どちらがどちらか定かでないものが、威勢よく共に行く。

 獣の大顎のように聳え立つ冷気が、今なお潜行を続ける海色に歯止めをかける。
 当たる幸いを薙ぎ倒す自然の暴威に、あまりにも自然ならざるものが。
 それでいて、自然を時に貪り、時に淘汰される獣の象徴が───ぶつかり合う。

SYSTEM :
.          キュマイラ
 それを形造るひとつ。獣の因子は、他でもない彼自身によって編まれたものでなく。
 今もなお、海底にて求め彷徨う骸自身のレネゲイド。
 ・・
 同種だ。
 加えて、その同種を、最初で最期の道行きに、何故を聞かぬ「とも」がいる。

 いまから負かすぞ、という喧嘩早い言葉に応じた彼の意志が形となって、鎧の外側より響く。 

『ホデリ』 :
「───見よ!」

『ホデリ』 :
「我らを見よ…わたしを見よ!」 

SYSTEM :
 どうだ、と。
 どうだ、わたしを見ろ、と。
おまえ
 汝の血の縁を見ろ、と、確かめるように叫ぶ。

 白い狗が、たった一度、絞り出すような勇気を………いや、勇気というには雑味がありすぎるというもの。

 敢えて言うならそれは見栄だ。

SYSTEM :
 上顎を形成する重力場。確かな支えの上に展開された力強い“空想”。
 いつでも弟の上に居ようとしたものの、捨てきれぬしがらみのような虚栄に確かな土台が加わって。 

SYSTEM :
 大洪水を堰き止める、あまりにも攻撃的なダムのかたち。
 隔てる不変、凍てつく死の咢と、同種の重力場で構成された咢。揃った獣の牙が食らいつき。

 それは確かに津波の8割方を受け止め、辺り一帯を呑み干す対処不能を対処“可能”に変えた。 

SYSTEM :
 ───とはいえ、全てではなく。
 咄嗟に判断を下した旭は正しい。

 津波に最も近い位置。
 よほど腹に据えかねたか、それともその漆黒めいた意志を脅威と見込んだか、蘆屋道満の怨が“それとなく”誘導し偏向し、凌がれ堰き止められた水流の向きのうち、特に勢いの残るものは其方へと再び襲い掛かり、波そのものは引き続き押し寄せる。

 だがそれでも、これは天災などではなかった。
 人が人である限り止められない必然などでは。

SYSTEM :
        ノゾミ    ノゾミ
 兄のありふれた見栄が、弟の渇望に。
 助っ人と同じ道具、あまりにも不平等な形を交えて食らい付いた瞬間でしかなかったからだ。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 因を捻じ曲げ理を砕く、波濤が猛り狂うより数秒前。
 まだ具体を持たないまま覆い被さる死の様相は、しかし、数コンマ先に訪れるだろう結末を私に予測させていた。
 いつか重力と見誤ったその妄執のカタチに、私は酷く覚えがあったからだ。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 忘れるはずもない。アレはノエルとUGNの人々を……そして私を引き摺り込んだ妄執と同じ形をしている。
 水底へと誘われ、意識の途切れる瞬間に頭に響いた叫びの正体。今ならその意味も、答えも分かる───アレは怪物の咆哮であり、死者の断末魔だった。

 であれば、この後に起こることもまた、私には確信があった。
 あのときと違うのは……私が、みんなを信じることを識っていて。
 きっと一番頼りたかったヒトが、私の側にはいないこと。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 現実のテクスチャすらも薄氷のように砕ける力。
 回避など敵わない。耐えるなど以ての外だ。隣人愛の護りでさえも紙細工のように千切り飛ばした理外の暴虐。

 きっと数秒後に訪れる痛みと喪失を前に、
 私は祈るように目を瞑った……

“朧の狩人/残骸” シホ :
──────そのはずだった、のに。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 大洪水が何為るものぞと、誰かの見栄が吠えたから。

   ねつ           ねつ
 猛る冷気に押されるように、私の意志が息を吹き返す。
 半ば無意識に、私はダガーを逆手に引き抜いて眼前に掲げていた。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ああ、これではまるで無謀だ。
 私は獣の因子を宿していない。死神だって仮面なら、黄泉の冷気も宿していない。
 膂力では荒れ狂う波の何百の一にも及ばない。このまま刃を振るっては、ただ刀身は無為に砕け散り、腕は捥がれるだけの愚行だ。

 そうだ、無謀だ、だけれども───!

“朧の狩人/残骸” シホ :
 けれど、あなたが矛盾を振るうなら!
 因果を曲げる超常は、私だって識っている───!

“朧の狩人/残骸” シホ :

 在らん限りの因子を刀身へと収束させる。

「R因子、仮装展開…………うりゃぁッ!」

 全身全霊を掌に込めて、迫る障壁を斬り裂くように叩きつける!
 決してありえざる矛盾を、あるべき形へと棄却する、因果を束ねたE・シールドだ───!

荻野目 旭 :(──!)

荻野目 旭 :
 迫る大海嘯を前に動かない僕は、そのままの状態でとっさに視線を巡らせる。
 損耗状態の確認──波が境耶くんとホデリさんによって勢いを殺されたのを利用して、シホさんの刃が切れぬはずのものを絶ち割った。

荻野目 旭 :(すごい……あれの勢いを殺したのも、絶ったのも! でも──三廻部さんと龍さんは!?)

三廻部 颯 :
 穏やかというワケじゃない。
 あらゆることを前にして"冷静"でいられるのは、心を殺すか、感情を殺すくらいやらないと出来ない。
 私にはそれが出来ないし、したくもない。

 だけど、この時に限っては不思議な自信に満ちていた。

三廻部 颯 :
 私に重力を操る力はない。
 私には、思い描いたことを形にする力だけ。
 でもそれは、言い換えれば、見てくれだけでも夢を再現することだってできる。

 耳をつんざくような波濤の音を、静かなせせらぎのように聞き流して。

三廻部 颯 :
 とん、と軽やかな跳躍。
 海神の舞いのように、波飛沫と、海の底の砂を携えながら、剣を垂直に構える。

、  、ヤマサチノタテ
「───海を、去なし!」

 因果地平から何もかも、
 呑めや呑めやと引き摺り込む荒波。
 その波浪の想いに寄り添って、共感して──その上で、

 それを真っ向から───登り、いなして。

三廻部 颯 :
、  、ウミサチノホコ
「───海を、断ち切る!」

 それを真っ向から───叩っ斬る!

三廻部 颯 :
 みてくれだけ真似たもので、
 形だけ模したもので、
 それは波濤そのものを完全に断ち切ることはできないけれど、
 
 自分を飲み込もうとしたものを、真っ二つに引き裂いて───
 ただの水飛沫に変えるくらいは、今の私にも出来る!

荻野目 旭 :(信じらんないな……あんなのセンスだけでやられちゃったら!)

荻野目 旭 :
 いくらここまでの積み上げがあったって、戦闘訓練を積んできた僕らと同等の動きは何度見ても舌を巻く。
 これを奇跡だと言うのはかんたんだ、でも……

荻野目 旭 :(積み上げの結果ってこと! ああもう、いいなあ……!)

久外境耶 :
 時の不変と死の普遍、牙の重なりが大海嘯を貪り負かす。なお寄せる大飛沫は未だ脅威、避けるに越したコトはない。ないが──

(……押し売りの喧嘩でンな真似するかよ!)

 "ナイトホーク"の正面陣取って、猛る笑みで二人分寄越せと貪欲に。

久外境耶 :
「なぜならア!」

 頭を振って水中で浴びた雨滴を打ち払いながら、声高に叫ぶ。

久外境耶 :
「兄貴ってのは弟守るときと泣かすときだきゃー絶対ェ負けらんねえ生き物なんだよ! おぼえとけ!」

 たかが先に生まれただけの男の、決して譲れぬ見栄。捨てきれない虚栄に無くしきれない名残を重ねて、勝利宣言を高々と!

SYSTEM :
 決して一度たりとも果たしたことのない、しかし名残と共に刻み続けてきた情念と共に。

 まさに試合に勝ったボクサーが勝利を誇るように、海底を巡る重力の井戸の底に声が響く。
 早すぎる勝利宣言を“ならぬ”と定めるべきものと言えば、状況確認よりも早く───。

『ホデリ』 :
『如何にも、古きとて新しきとて…
 血の縁の兄とはいとしも変わらぬものよ…!』

SYSTEM :
 それが唯一貫徹した理由であるから。
 取っ組み合いの成果を、彼はその時、その弟が継承したあかしも、無謀を以て道理を曲げる超常も、そうでなければ郷愁もしくは感嘆を述べていたものより先に、その血と心根を荒ぶらせる。“まだ早い”を“その通り”にするように。

“パラディン”的場啓吾 :
「(オルクス由来の空間歪曲…器用な真似をする)」

“パラディン”的場啓吾 :
「(あっちのあの一振りは、あの“蘆屋道満”とやり合った時からずいぶん気色が違う。かぶれるだけじゃ飽き足らずか。
  とんだ成長性だ、が………)」

SYSTEM :
 ───残り。
 自称“つまらない鉄砲玉”。
 用意周到に命を擲った男を彼はそれなりに評価していたが。

 それは、いまや肉の器を自我と共に喪った大陰陽師も然して変わらない。
 偏執的な任務遂行の意志、己の理への“筋”を通す彼を侮っていないのが、過去を手放さない男どもの共通項。

SYSTEM :
 だから…そこに“いれば”、きっと一斉に視線を向けただろう。

荻野目 旭 :
「ご迷惑おかけします!」
 たぶん、僕が彼をたのみにしていたことはわかられたと思うけど…!

荻野目 旭 :これで全員凌いだか、と、思わず視線を向ける先は、ずっと冷静な戦運びをしていた──

久外境耶 :「ワーハハハハ! 褒め称えろ!」

荻野目 旭 :「かっこい〜! すご〜い!」

久外境耶 :「イエーッ 事実〜〜〜〜!」

三廻部 颯 :
 後ろを振り向いている余裕はない、けれど。
 あそこまで自分の役割を豪語できる人間なのだから、きっと無事だろう。

『ホデリ』 :
『──ク。思ひ冷ませなど無粋は言わぬ!
 此度は猶のことよ』

SYSTEM :
 一蓮托生/連帯責任の言外の宣言である。
 わかるな、とも、小僧/旭とも呼ばないが。彼の言わんとすることは一つだ。

荻野目 旭 :「お互い様ってコトですね! モチです!」

“害群之马"龍嘉睿 :
「……っぐ」

 ──マズった。使いすぎたか。

 筋肉が上手く動かず、突き刺さるは巨大な木片。

 海鳴りの海嘯。
 勝利の花が齎す幸運でさえも、突き刺さる破片と血反吐には応えてくれない。
 異能が蝕む体が、崩壊の代償を物語っていた。
 それを引き抜いて、記憶を燃やしながら再び立つ。

SYSTEM :
 偏向し必殺に変貌した大海嘯の余剰火力は、人がどうにもならない天災ではないが、黒い殺意を以て人を殺す人災ではあった。

 自称“鉄砲玉”、他称様々おもに“イロ男”。
 彼に起こせるものは順当正着な結果だけである。奇跡は起こせない。
 例えば奇跡のように見えるものにも、必ずその切欠があり、重ねた因果がある。

 颯が立ち上がった時のように、だ。

SYSTEM :
 ───何を燃やし、何を意志の楔としたのか。そんなものは彼が知っていればいい。
 繋ぎ直せる人の縁か、いつまでも振り返ることの出来る感傷の足跡か。どちらだろうと、起き上がったことだけが全て。

 振り返った一人/殺しに掛かった一体にとって、皮肉なほどに想定通り。
 それを示すように、無意識に吼える骸の声色には、骸の器のあるじの意志とは断じて違うものが載っていた。

SYSTEM :
 飛沫が水底にて散り、波と潮が引く。
 断片のそのまた断片が憎悪を嘯く。そして───。

久外境耶 :
             はな
 凍結させ、裡に留めていた幻火が開く。揮発した激情に応じるように、声だけで獰猛に嗤う。
 "ふざけるな"──矛先も理由も違うが、その思いだけはまさしく一致していた。

久外境耶 :
 外骨格に覆われた魔兎の手腕に、獣の爪が宿る。大矛を並べたように鋭利で直線的、かつ巨大な四連刃。揺らめく爪は不可視の力場と冷気が混じりあった、混成の武器だ。

久外境耶 :
「おきれいなツラぁ張っ倒して! 土の味教えてやろうじゃねえの──!」

 手練手管などハナから放り捨て、"喚楽の人喰い虎"に真っ向から挑みかかる。
 振り下ろす手にはただ渾身。くたばりやがれと大笑を添えて!

SYSTEM :

 そして。
 傲りと憎しみの波濤を乗り越えて、一人と一匹が。
 リユウ
 外装を纏った死の使い手が、何より剛い魔獣に挑みかかる。
 
 草食の定めも摂理もクソ喰らえ。喧嘩の作法などあったものでなし。
 獅子が兎を狩るとはよく言ったものだが。
 今この瞬間、狩りを定め挑みかかったのは兎の方。兎は兎でも命を絶つ魔兎だ。 

SYSTEM :
 そして彼の纏うレネゲイドは、いまも綯交ぜになった感情を零して笑うものと同じ。
 同種の衝突には、必然的に持ち主が勝敗を分ける。であれば。 

SYSTEM :
 ───であれば。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───ははは!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「言ったではありませんか…ああ、どちらだったっけ!
 痣もついてあげられませんと!」

SYSTEM :
 であれば、あとは分野の違いだ。

 ことオーヴァードに取ってしてみれば、その分野の違いとは決定的である。
 仮にレネゲイドが一人にあらゆる症例を齎したとて、その者の得意分野しか力を発揮できず、結局のところ全能にはなれない。
 こえ
 超越ることは出来ても、神ではない。
 許容量がある。彼の分野は隔てることであり、間違っても齎すことではなかった。

 波濤同士が激突する。
 挑みかかった拳を、矛を持たぬ方の腕が押し留める。

 それは確かに───。

SYSTEM :
 後ろの骸には覿面な打撃だっただろう。
 同種の名残、蘆屋道満の怨には意味のある打撃だっただろう。後ろで響く雄叫びが全てだ。
 
 ただ、そこにいるのは、哭いても嗤っても明夜白銀だ。
 伊達に、無軌道を10年やれたわけではない、怪物の外殻を纏った実験体だ。

SYSTEM :
 燃やした血潮、ぶつけた激情。
 還元される生命。死を前に挑み、綱渡りの中でこそ活きる魂。
 ただそれ以外に得られたものはない。
         ・・
 逆に言えば、それだけは。
 確かな取っ組み合いの成果だ。

荻野目 旭 :
(……木口さん──じゃない。
 龍さんの傷は深いけど、さっきまでの状態じゃあある意味好都合──)

荻野目 旭 :(境耶くんの一撃も重たかったはずだけど、それよりあっちのほうが硬い……! きついなあ!)

久外境耶 :
「ガッ……! くそ、硬ってエー!」

 衝突──反発。離脱の勢いに変えて、着地した足にブレーキをかける。
 拳ごと振り抜いた混成の爪は、直撃した。したが、それだけだ。

 爪が骨肉を裂くこともなければ、打突が臓腑にまで響くこともなかった。ジンと痺れの響く片手をおおげさに振って、ゲタゲタと笑う。

久外境耶 :
「ハッ、そうかいそうかい! なら復唱だア!」

 滾る。昂る。漲る。勝ち筋のない相手に挑みたがる衝動が──だからこそ死の際で踊るコトを択んだ欲望が、狂おしく歓喜している。

「おれは死なねえ! 誰にも殺されねえ! ダーハハハハァー!」

 痣もついてあげられない──上等上等、誰の前で耐久誇ってやがる。

 ソッチが無疵ならコッチは不死。握手なんざする気はねーが、握り潰せねえ拳があるってコトは頭に叩き込んでやんねーとなあ!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───はははは!
 大事な意思表示は二回ということですか! よろしい!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
      ノッ
「ではそれに免じてあげましょう! 

 ───有言実行できるように自分に祈りなさい! 
 次の一分、ガラクタになりたくなければ…ね!」

SYSTEM :

SYSTEM :
 声のトーンを落とさず、独りが笑う。
 昂る熱、何処まで行っても他人の噛み締めきれないもの。
 冷たい拳から伝わることのなかった、独り占めに、魔刃が牙を剥く。

 死なずを誇るもの。
 ただ捻じ伏せるだけが回答でも、笑うだけが回答でも。
 底抜けの器に飢えを凌ぐものを積み込んで。

『ホデリ』 :
『ぬかせ! 
 今は猶、それは叶ふものに非ずよ!』

SYSTEM :
 対抗するように、誰にも殺されない、を後押しする。最初で最期の二人多脚。
 潰されぬを主張するのは独りではなく二人だ。

久外境耶 :
 楽しい。この死線はあまりに楽しすぎる。いっそ終わってくれるなと、終わりに向けてしか走れぬモノに魔が差す。

「ハ──ハハハハ────!」

 くだらない雑念を大笑でかき消して、この今すべてを享受する。報いだ。これ以上ない報いを、いま総身に得ている。

SYSTEM :
 水底で魔が差したのはこれで三人目…。
          リユウ
 なれども享受し纏う外殻がそれをかき消す。終わりのその先、ありもしない水底の幻を。

 終わりを隔てる道まで、ただ全力で踏み抜き、鎬を削る。脳内が最高速から減速することのないままに。

荻野目 旭 :
「──なにしてるんですかっ、ハメ外し禁止!
 まじめにやってくださいよ、トラちゃんじゃないんだから!」

久外境耶 :「バ〜ッカおれは今回とっくに外してるから今更外せる分は残ってねえっつの!」

久外境耶 :
       ・・・・
「おまえこそ、いつもの準備できてんだろ〜な!」

荻野目 旭 :「ならけっこうです! ……よかないですけど!」

荻野目 旭 :「それに──誰に言ってますかッ!」

荻野目 旭 :
 手痛いカウンターを食らった三廻部さんと、波に呑まれた龍さんの傷が深い。

 ふたりとも倒れるほどではないけど、アレの後ろのヤツの反撃を思えば治ってたほうがいいはずだ。
 シホさんも、バックファイアのある銃を扱うにはきつい。
 境耶くんはとっても元気そうだけど、これがずっと続くとはかぎらない。

荻野目 旭 :
 ────そうやって状況を俯瞰する僕の端っこ、

 頭の隅っこで、僕はこのあとのことを考える。

荻野目 旭 :
  “害群之马"
 ──彼の判断は正しい。

荻野目 旭 :
 僕はUGNチルドレンとしての一番冷静な部分で、そう思う。
                      バックトラック
 ふつうの判断に照らすなら、“喚楽の人喰い虎”は後戻りなんてできっこない。

荻野目 旭 :
 先天的にどうしようもないという形質が揺るがない事実なら、なにを言ったところで本当に無駄だ。
 最低でも僕の知る常識と、何度も見てきた事実から判断できることはそう。
 不確定要素があるとすれば……彼女という実験兵器にそもそも前例が存在しないから、積み重ねたデータもへったくれもないこと。

荻野目 旭 :
 生まれ持った特質の多さが正気を食いつぶす例の果てがどうなるのか……
 そして、欠片として残るものすら投げ捨てたらどうなるのか。知るものは誰もいないってこと。

 その不確定要素があることを痛感させる素振り……
 三廻部さんが話すたびにあの女が見せるゆらぎの正体を、僕は理解できない。
 できれば、したくもない。

荻野目 旭 :

 僕は彼女に「がんばって」とも「止めて」とも言ってあげられない。

 安心させられる材料は何もないし、止める理由もないから。いまは。

 競争の言葉だって、僕はその足がないから乗ってあげられもしない。

荻野目 旭 :
 僕にできるのはただ、僕なりの誠実をかき集めて彼女をひとりにしないことだけ。

荻野目 旭 :
 純度百%のわがまま
 /本当は僕らにも大切なこと
  /彼女の生きてきた世界の中の一番大切なことを振りかざす彼女がひとりにならないよう、孤独の中にあれば寄り添うことだけ。

荻野目 旭 :
 いままでも、ずっとそうしてきた。
 これからもそうで、今日もそうってだけ。
 手が離れたなら、それでいい。

 僕ら、霧谷さんのUGNは、なりたての子にはいつもそうしてる。
『好きにしてください』。
 今回もそれと同じだ。

荻野目 旭 :
 それでいいはずだ。

荻野目 旭 :
  UGN    F H
 こっちにも、あっちにも、行かせない。

 僕がはじめにわざとらしく距離をおいたとき、最初に考えていたことだ。
 いまも、それだけは変わらない。
 彼女が僕をどう見て、僕とどう向き合うか決めたことが、僕が彼女を守ることを決めるわけじゃないから。

荻野目 旭 :
 三廻部さん──
 いまは、あなたが、そして池田さんたちが。
 ここにいて良かったと、心から思う。
 あなたがいなかったら……僕はまた、『僕』だけで走っていってしまったかもしれないから。

 あなたがわがままだったことが、僕をUGNでいさせてくれる。

荻野目 旭 :
  スペリオル
 僕は彼女がいることを強く意識しながら、それでも、
 心の八割を目の前のあいつに傾ける。

荻野目 旭 :
「────すぅ」

 真ねえさんの時に1度目。
 今回で2度目。
 自分のために自分の存在証明を投げ捨てるなんて、3度目はしたくもない。

荻野目 旭 :
「“つめくさの花の  かおる夜は
 ポランの広場の  夏まつり
 ポランの広場の  夏のまつり”」

 脳みそを切り替える。
 ともだちと僕を呼んでくれた女の子を案じる気持ちをおいて、僕はそれでも僕に許された最大の私情を振りかざす。

荻野目 旭 :

 彼女を、たった一度。

 僕の戦い方で。

 もとに戻らないほど……引っ掻いてやりたいってこと。

荻野目 旭 :

「“酒くせのわるい  山猫が
 黄いろのシャツで 出かけてくると
 ポランの広場に  雨がふる
 ポランの広場に  雨が落ちる”……」

 歌う僕を中心に、水底で領域が広がる/《タブレットLv5》《多重生成Lv5》
 14年間、生まれてからずっと付き合ってきた力を熾すための、同じルーティーン。
 潮の気配に、ほの甘い花の薫り。何度目かのエフェクト行使。

荻野目 旭 :

 僕の立つ場所を中心に、シロツメクサが咲き乱れる。
 ふうっと息を吹きかけると、白い花びらが一斉に舞い散って──/《戦乙女の導きLv3》

 各々に触れた花びらが肌に染みわたる。
 体から傷が消え去ってゆき、
                ・・・
 傷をすべて引き受けた花びらから咲いた、血色の羽毛の鳥が飛び立つ/《癒しの水Lv6》

荻野目 旭 :
 飛び立った鳥の群れが、虚ろの空を泳ぎながら鷹のように鋭く鳴いて。

 最後に炎の塊となって四散したかと思えば、その残り火が加護のように皆の体を覆った──/《狂戦士Lv4》

荻野目 旭 :
 高まる活力もレネゲイド因子の高まりも、僕自身の侵蝕率上昇によって高く高く上がってるはずだ。
 これまでとは比べ物にならないほど!

荻野目 旭 :
「死なないなら……絶対、ぜったい治します!」

荻野目 旭 :
 それは。
 頭の一番大事なところにUGNを置いた僕の、
 本当は必要のない私情に……彼の戦い方で応えてくれた、“ラッキージンクス”への応え方でもあった。

荻野目 旭 :
「……吠え面……かかせましょうッ!」

 安全地帯から騒いで、騒ぎ立てて、みんなを駆り立てて癒やして守る。
 それが僕の戦い方だ。

荻野目 旭 :
 命を削り合うオーヴァードどうしの戦闘の中で、
           ・・・・・・
 ひとを傷つけられない後天的な疾患を得てもなお、この世界にい続けるために選んだ戦い方だ。
 存在証明のために。
 弾丸で自分だけの命を叫ぶ彼女と同じに。

荻野目 旭 :

 その全部にかけて……

     悔しがる顔
 あの女のハジメテだけは譲らない!
 僕のちっぽけなプライドが、この戦い方で、彼女に吠え面かかせてやるってずっと叫んでいるから!

荻野目 旭 :……三廻部颯さんをSロイスに指定します!

GM :ふむ…

GM :いいでしょう。

GM :否と言う理由はありません。キャラシートに確かに書き加えておいてください。

荻野目 旭 :ありがとうございます! 書き加えました!

久外境耶 :
「ハ」

 幻想が花開き、羽搏き、落星した。魔兎の異形には、今や先刻以上の活力に満ちている。

"僕がいる限り……この人、あなたが飽きるまで、ぜったい死にませんからね!"

 思い返すのは、いつかの啖呵。捨て駒/不死者を死なせないとのたまったヤツは、思えばコイツが初めてだった。そんな自覚も意図も、ありはしないだろうが。

久外境耶 :
   ツラ
「いい表情じゃねえの。センコーどっちか連れてくりゃよかったな」

  おれのうしろ
 誰より安全な場所からあがる声に、肩越しの視線と揶揄で応じる。

SYSTEM :
    ・・
 最初で最期ではない方の脚。 
 島の外では、毎日互いに余計なことをしているめんどうな組織の子供たち。
 
 此処以降では二度はないだろう“いつもの”を互いに向け合う。

“パラディン”的場啓吾 :
「どうかな。女の方は思ったよりカタいぞ。
 だが………」

“パラディン”的場啓吾 :
「確かに…“アレ”の下にいるだけはある」

SYSTEM :

 矛役は、是非はともかく掃き捨てるほどにいる。オーヴァードの常だ。倒されるより倒す方がマシと前のめりになっていく。
 
 後ろで斃れ、朽ちていくのを見ていくだけの戦い方を択んだ少年には。
 例えば、その命綱を削り合うような殺し合いとて、いつでも冷徹な判断を択ばねばならない。そして、冷徹な“だけ”でいてもならない。

 戦いの空間を定める力と、戦いを駆り立てる力。
 何処までも、己の手を血に染めるには不向きの術が、蠍の宿した火だと言うならば尚のこと。

SYSTEM :
  アレ
 霧谷雄吾の下に、理念の旗を見上げた少年には。
 しかしそれでも、しなくてはならないこととは別に、すると決めたことがあった。

SYSTEM :
  旭
 あなたには理由がある。
 路傍の石を卒業して、最後に土を付けてやらないといけない相手だ。

 たった一度。
 いじめられっ子がいじめっ子に何を置いても勝たねばならぬように。
 彼には、UGNの“ナイトホーク”ではないところの荻野目旭には。

SYSTEM :
 この先、この道行で、何を置いても斃さねばならないものに、囀るような決心を

         /

 だがその意識を向けながらも、あなたはこの場の帰る理由を認識する。

         /

 この場、この戦いで、何を置いても守らねばならない理由に、拾い集めた誠実を

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───あ、は、は、は、は!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :

「全くよくもまあ、血の一滴も流さないところで…。
 傷つける刃も言葉も持たない分際で、吼え猛る!」

SYSTEM :
 哄笑が、よくぞ言ったとばかりに響き渡る。
 
 理由ではあっても、一番大切な理由ではないもの。
 過去の屈辱と敗北とて、命ある限りは払拭できる。
 だからとて、それは疵を時と共に澱ませず流して良いものでなかったが。

 そこよりも上回る疵跡。
 変わらぬ疵跡から伸びる、変えられる道が、あなたの天秤の最終的帰結であることを知ってか知らずか。獣/人が笑う。

SYSTEM :
 何故どうして、ではない。
.. しょうねんのちっぽけなすべて
 安いプライドと意地のようなものが、“このままでは終われない”と叫んでいたからだ。

荻野目 旭 :
         サイッコウ
「この安全圏から見る最ッ悪の景色の味を知らないなんて、お安く育ったことですね……!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「知りませんとも───
 必要なかたちには育ちませんでしたからね!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「味わうこともないもの!
 せめて───」

SYSTEM :
 せめて、の言葉に血が混じる。

 向けた覚えのない水。
             ラグ
 傷つけた覚えのない小さな間隙。
 内側から、いかずちが爆ぜるようなかたち。
 それは生きていようが死んでいようが、
 その理を嗤うもの等しく裁く夜摩天の催促状。
 しなず
 不死身の出来損ないたるオーヴァードを等しく、あるがままに還す対抗種の毒牙。 

SYSTEM :
 だが。

 血の混じった程度で死ねる生き物ではない。
 臓腑を焼かれども、肉を裂かれども。
 笑って突き進み、屍の山の上に立った………いや、屍の山を見下ろす空の色が彼女ならば。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───せめて!
 その体験談を覚えて差し上げましょう!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「意味がなくなるまでねッ!」

SYSTEM :
 それが最期でも途中でも。
 覚えているうちは“知らず”の味わいを噛み締められるだろう。

 矛を向ける先にいないもの。
      ミライ
 変えられる道筋の前に立つ、
..       カコ
 変えられない疵跡が滾りと名残で応じる。

SYSTEM :
 あの無遠慮な哀れみは、
 命を削るあなたには向けられなかった。

荻野目 旭 :
 ……一瞬動きが止まった!
 傷つけられていないはずの体を焼いたもの。
 “蝕みの君”のときにあった突然の損傷──龍さんの弾丸か!

荻野目 旭 :
 硬かろうが無敵じゃない──殴られようがまだ死なない!
 つけこめる隙は……今の僕らなら、いくらでもある!

荻野目 旭 :「ええ、もちろん……意味なくしてあげますよッ」

荻野目 旭 :
「だって……これから何度だって、あんたは僕のことを思い出すんだから!」

SYSTEM :
 悪くない、と。
    ユメ ヒト
 叶わぬ空想に獣が笑う。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :「ははははははは!」 

SYSTEM :
 思い出すほどだといいな、という嘲り交じりの期待を込めて。
 きっと一方的にしか刃を向けないものが、きっと帰る理由を他に定めたものへ。

 水底のそれは確かに戦いだった。
 時の澱み、誰が知るでもないけれど。死線だった。

SYSTEM :


【-Round 1 End-】



SYSTEM :
【-Round 2-】 

SYSTEM :

【Engage】

※エンゲージは左上から右下の順に
「A」〜「B」の番号を振ります

[A]
(配置なし)

       -5m-
[B]
1:三廻部 颯
2:“ラッキージンクス”九外 境耶
3:“ナイトホーク”荻野目 旭
4:“害群之马”龍 嘉睿
5:“朧の狩人/残骸”シホ
6:ホデリノミコト

7:海鳴の大怪異
8:“喚楽の人喰い虎”明夜白銀

SYSTEM :
■セットアップ
 タイミング:セットアップのエフェクトを宣言出来ます。

SYSTEM :
【Check!】

 ホデリのセットアップエフェクト『融合』を使用しますか?

『ホデリ』 :続くか、さもなくば…

『ホデリ』 :…が、分かっておろうな!

久外境耶 :トーゼン! まだまだ行くぜーッ

『ホデリ』 :よし! ではいざ征かむ───!

『ホデリ』 :
■セットアップ:トキワスルカネ
《融合》

対象:“ラッキージンクス”久外境耶

・そのラウンド中、自身のエフェクトを指定したキャラが使えるようになる

『海鳴りの大怪異』 :(怪異がそれに呼応する!)

『海鳴りの大怪異』 :
■セットアップ:トキワスルカネ
《融合》

対象:“喚楽の人喰い虎”

・そのラウンド中、自身のエフェクトを指定したキャラが使えるようになる

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :よろしい! 拒む理由ナシ、来ませい!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :ズケズケと土足で上がるその神経、遠慮なく遣って差し上げる!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
■セットアップ:嵐ノ詔琴
《赤方偏移世界L5+3》
・ラウンド中の行動値を[Lv*2]増加

久外境耶 :エンブレム《捨て駒》を使うぜ。下がりな狙撃手!

“朧の狩人/残骸” シホ :───っ、助かります!

“朧の狩人/残骸” シホ :このまま25m後方へ退避を!できるだけ距離を稼ぎます……!

荻野目 旭 :僕は行動なしです!無駄女王は切りませんよ!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :は、は、は! 結構、順番の違いですから!

三廻部 颯 :……っ、セットアップありません。

SYSTEM :
■セットアップ
 セットアップ宣言を確認しています...

“害群之马"龍嘉睿 :──サポートデバイス宣言! カチ上げていくぞォ!

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] 侵蝕率 : 149 → 155

“パラディン”的場啓吾 :躊躇なく命のアクセルを踏んだか。いいだろう

SYSTEM :
■セットアッププロセス
 宣言結果が確認されました。

SYSTEM :

【Round 2 -Main Process-】


SYSTEM :
■手番処理
 “喚楽の人喰い虎”明夜白銀が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトは───。

SYSTEM :
 嘲り混じりの期待と共に、彼女は笑った。
 誰が識るでもない戦いの中で、未だ死せず。

 硬かろうが無敵ではない。/殴られようがまだ死なない。
 
 神話の出来損ないの人喰い虎は、
 無敵の生き物などではない。あなた/旭は誰より知っている。
 だって彼女は、そもそも………“蝕みの君”から攻撃を受けて、傷がついていたからだ。

SYSTEM :
 死なない生き物などではなく。

 意志の疎通が出来ない怪物でもない。
 怪物になる素質を持ちながら。
 怪物になる資格から外れた生き物だからだ。

 レネゲイドが根幹にある以上、これは不変の痕跡などではない。

SYSTEM :
 ない、が。

SYSTEM :
 よもや。
 よもや、忘れてはいるまい。

 これがどうやって…。
 あの時、上位捕食者だったものを。
 あの時散っていった命を間接的に“こけ”にしたのかを。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「は、は、は───。
 あはははははははははははッ!」

SYSTEM :
            モノ
 水底に、なにより強靭き白雪が舞う。

 世界の裏側、常識に馴染めない背徳者たちにとっても、さらに向こう側にある在り方。

 あなたが、何を以てこれを怪物と見込んだのか。
 片時たりとも忘れてはいまい。
 踏み込む瞬間も、なおも呼吸に等しく笑ういきものが───。

SYSTEM :
..B E Y O N D
 時の彼方から、迫る。 

SYSTEM :
【Check!】
 エフェクト「巨獣の爪牙」「時間凍結」「加速する刻II」が宣言されました。

SYSTEM :
■手番処理(特殊)
“喚楽の人喰い虎”明夜白銀が行動を宣言します。

SYSTEM :
■メインプロセス
 任意の宣言を行ってください。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :

■メイン(通常):禍津日ノ神楽・甲
 Passive:なし
 Major:《獣の力L5+3》《獣王の力L1》《怪獣撃L1+3》
 Minor:《一角鬼L3+3》《歴戦の獣牙L4+3》
 Auto:《紡ぎの魔眼L3+3》
 
 判定:31dx7+10
攻撃力:(x+4)d+73
 範囲:至近/単体

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
■メイン(巨獣):禍津日ノ神楽・乙
 Passive:なし
 Major:《獣の力L5+3》《獣王の力L1》
 Minor:《一角鬼L3+3》《歴戦の獣牙L4+3》
 Auto:Empty
 
 判定:26dx7+10
攻撃力:xd+73
 範囲:至近/単体

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
■メイン(時間凍結):禍津日ノ神楽・丙
 Passive:なし
 Major:《獣の力L5+3》《獣王の力L1》
 Minor:《一角鬼L3+3》《歴戦の獣牙L4+3》
 Auto:Empty
 
 判定:26dx7+10
攻撃力:xd+73
 範囲:至近/単体

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
■メイン(加速II):禍津日ノ神楽・丙
 Passive:なし
 Major:《獣の力L5+3》《獣王の力L1》
 Minor:《一角鬼L3+3》《歴戦の獣牙L4+3》
 Auto:Empty
 
 判定:26dx7+10
攻撃力:xd+73
 範囲:至近/単体

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :照準合わせ〜…良し!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :choice[颯,境耶,旭,シホ,龍] 1回目 (choice[颯,境耶,旭,シホ,龍]) > 旭

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :よくよく考えたらスナイパーの彼女に攻撃は届きませんね

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :choice[颯,境耶,旭,龍] 2回目 (choice[颯,境耶,旭,龍]) > 颯

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :choice[颯,境耶,シホ,龍] 3回目 (choice[颯,境耶,シホ,龍]) > 颯

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :choice[颯,境耶,シホ,龍]  (choice[颯,境耶,シホ,龍]) > 龍

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :31dx7+10 1回目 (31DX7+10) > 10[1,1,2,2,2,3,3,3,4,4,4,4,4,5,5,5,6,7,7,7,7,7,7,8,9,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,2,3,3,4,5,5,5,5,8,8,9,9]+10[2,5,9,10]+10[7,9]+10[2,9]+10[10]+1[1]+10 > 71

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :26dx7+10 2回目 (26DX7+10) > 10[1,1,1,1,1,2,2,3,3,4,4,4,5,5,5,6,6,6,6,7,7,7,7,9,10,10]+10[1,1,5,6,7,8,9]+3[1,2,3]+10 > 33

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :26dx7+10 3回目 (26DX7+10) > 10[1,1,1,2,2,2,2,2,3,3,3,4,4,5,5,6,7,7,7,8,9,9,9,10,10,10]+10[1,2,4,5,5,5,6,8,8,10]+10[4,4,9]+1[1]+10 > 41

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :26dx7+10 4回目 (26DX7+10) > 10[1,1,1,1,1,2,2,2,3,3,4,4,4,5,6,6,6,7,7,8,8,9,10,10,10,10]+10[1,2,2,3,4,5,9,9,10]+5[1,4,5]+10 > 35

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

(※)
1回目:(時間凍結・巨獣)/旭(命中71)
2回目:(時間凍結・巨獣)/颯(命中33)
3回目:(加速II)/颯(命中41)
4回目:(通常)/龍(命中35)

荻野目 旭 :……! “ラッキージンクス”……!

久外境耶 :オーライ、全部出しゃばってやるよ……!

久外境耶 :一号は任せろ──旭、そっちは手前で何とかできるな!

荻野目 旭 :なんとかしますッ!!泣いてても見なかったことにしてください!!

荻野目 旭 :僕のリアクションはガードです! どうせ逃げても無駄……!

『ホデリ』 :心構へし者に心配は無用…だが…だが…!

『ホデリ』 :…否…“だが”も何もなし! 小僧、死ぬでないぞ!

『ホデリ』 :そして境耶! そうと決めたならともに征かむ、我らの戦ぞ!

荻野目 旭 :へいきにします!あの人の歯ぎしりする顔見るまで死にませんっ!

久外境耶 :んじゃあ泣き面晒さねーでおくこった! おれは一生ネタにする男だぜ!

久外境耶 :おっし、行こうや相棒! たかが四発シシャゴニューでゼロよ!

久外境耶 :
【 Gliese 832c 】
オート:《崩れずの群れ LV1》《氷盾 LV3+1》

二発目! 三発目! 四発目え! おれが受けてやらアーッ

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :───そう! きみ、“それ”は後ろに隠れて見守らないのですね。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :…そして其方は其方で、まったく実に誘われ上手なこと! いいでしょう!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :───第二ラウンドです! 死ねェッ!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクション結果を確認します。

1回目:旭
 ガード/命中

2回目:颯
 カバーリング(境耶)

3回目:颯
 カバーリング(境耶)

4回目:龍
 カバーリング(境耶)

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :12d10+73 1回目/旭 (12D10+73) > 65[1,6,3,4,4,4,6,4,8,7,8,10]+73 > 138

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :4d10+73 2回目/境耶(颯) (4D10+73) > 27[2,10,6,9]+73 > 100

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :5d10+73 3回目/境耶(颯) (5D10+73) > 29[6,8,5,2,8]+73 > 102

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :4d10+73 4回目/境耶(龍) (4D10+73) > 32[10,10,5,7]+73 > 105

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しています...

system :[ 荻野目 旭 ] HP : 24 → 0

荻野目 旭 :“喚楽の人喰い虎”明夜白銀へのロイスをタイタスにして昇華、復帰します!

system :[ 荻野目 旭 ] HP : 0 → 11

system :[ 荻野目 旭 ] ロイス : 5 → 4

system :[ 荻野目 旭 ] ロイス : 4 → 5

久外境耶 :まずは二発目にデモンズウェブだ! 頼むぜホデリーっ

『ホデリ』 :心得た! いざ───!

『ホデリ』 :
■オート:ヤマサチノタテ・異
《デモンズウェブ LV3+1》

『ホデリ』 :5d10  (5D10) > 30[5,6,7,7,5] > 30

久外境耶 :ヒューッ!

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 125 → 95

久外境耶 :んでもってエ! 三発目は"パラディン"の超電磁バリア頼まア!

“パラディン”的場啓吾 :総力戦でもやろうってのか? まあいい

“パラディン”的場啓吾 :ま、いいだろう。上司最後のオーダーだ、ひと働きせねばな!

“パラディン”的場啓吾 :
【Check!】

“パラディン”が
 NPCエフェクト『超電磁バリア』を使用します。

・対象PCが受ける予定のダメージを[6d10]点軽減

“パラディン”的場啓吾 :6d10  (6D10) > 17[5,2,4,2,3,1] > 17

“パラディン”的場啓吾 :よし。(悪びれない時の顔)

荻野目 旭 :査定見直したほうがいいんじゃないですか!?

久外境耶 :"ナイトホーク"〜〜〜〜〜〜〜!こいつそっちに返却していいか〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?

荻野目 旭 :いりませ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!!!!!!いじめっこ精神洗い出してからにしてくださ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い

“パラディン”的場啓吾 :おいおい此処までの働きを無下にする気か? そりゃあないぞ“ラッキージンクス”

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 95 → 50

久外境耶 :クソアーッ 耐えたからゆるーす!

久外境耶 :で! ラスト最後にきちぃワケだが──

久外境耶 :──まだ切り札は残ってるぜ! 《リヴァイブセル》で蘇生だ!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :───は!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :はははは!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :“それ”! 蘇るのは…なんだかとても新鮮ですね!

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 133 → 147

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 50 → -15

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : -15 → 20

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 147 → 154

久外境耶 :ハ! んじゃあ憶えておけっかもなあ! 感謝していいぜーっ

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :“ありがとうございます”の一言は留めておいてあげましょう! 忘れるまでね!

SYSTEM :

■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しました。

(※時間凍結の効果により
  明夜白銀のHPが[20]点失われます。)


SYSTEM :
■手番処理
 シホが行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトはありませんでした。
 また、他の宣言可能なエフェクトの宣言が行われませんでした。

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しています...

“朧の狩人/残骸” シホ :………、…………。

“朧の狩人/残骸” シホ :
□判定宣言
     When Robin Cry
▼Combo:《葬送の導》

Minor:《陽炎の衣[Lv.2]》▼
Major:《コンセントレイト:オルクス[Lv.4]》+《形なき剣[Lv.2]》▼

 Atk : 9+4+11dx6+11
 Damage : xd10+1d+22+5
 Cost : 7 HP:-1D
 Range:300m

効果:同一エンゲージ攻撃不可
   この攻撃に対するドッジD:—[《形なき剣》のLv ]
Loading……

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

“朧の狩人/残骸” シホ :
……標的は“喚楽の人喰い虎”に。
どれほど怖しい、奈落の怪物が相手だとしても。逃れられないものはある……!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :おいでなさい。そう呼ぶなら尚のこと、そのように迎え撃ちましょう

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :私、まだ殺されたことはありませんからね! あはははは!

“朧の狩人/残骸” シホ :24dx6+11 《葬送の導》 (24DX6+11) > 10[1,1,2,2,3,4,4,5,5,5,5,5,5,6,6,6,7,7,8,8,8,9,9,10]+10[1,1,2,3,5,6,6,6,8,9,10]+10[1,4,4,5,8,9]+4[1,4]+11 > 45

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :よろしい。座して迎え撃ちますが、それはそれとして…

『海鳴りの大怪異』 :(虚空を廻る大槍が、死を以て邂逅を阻むものへの雄叫びに呼応する!) 

『海鳴りの大怪異』 :
■オート:ヤマサチノイブキ
 Auto:《自動触手L2+1》
 ・対象に9点の反撃ダメージを与える

SYSTEM :

■リアクション
 リアクションを確認しました。

明夜白銀:ガード

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

“朧の狩人/残骸” シホ :…………ッ、勝負っ!!!

“朧の狩人/残骸” シホ :5d10+1d10+22+5 〈ダメージ判定〉 (5D10+1D10+22+5) > 22[7,7,3,4,1]+9[9]+22+5 > 58

“朧の狩人/残骸” シホ :1d10 〈反動ダメージ〉 (1D10) > 1

system :[ “朧の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 155 → 162

system :[ “朧の狩人/残骸” シホ ] HP : 23 → 13

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しています...

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しました。

SYSTEM :
■手番処理
 三廻部 颯が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトはありませんでした。
 また、他の宣言可能なエフェクトの宣言が行われませんでした。

SYSTEM :
■メイン
 行動を宣言してください。

三廻部 颯 :
アイリスタス はやてのたち
《多重七天錬成”颯々の太刀”》

メジャー:
 【カスタマイズL5+2】+【ペネトレイトL1+2】+【咎人の剣L5+2】+【C:モルフェウスL2+2】+【死の魔眼L3+2】

攻撃対象:
 明夜白銀

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :シークレットダイス

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

三廻部 颯 :(3+4+7+11-1)dx6+6 <白兵> (24DX6+6) > 10[1,1,1,2,2,2,3,3,3,4,5,5,5,6,6,6,6,6,7,7,7,9,9,10]+10[2,3,4,5,7,7,7,8,9,9,10]+10[1,2,3,5,6,9,9]+10[5,5,7]+10[9]+1[1]+6 > 57

荻野目 旭 :《妖精の手》使用します! 最後の1を10に変えて振り足してください!

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 174 → 178

system :[ 荻野目 旭 ] 妖精の手 : 1 → 0

久外境耶 :マジで言ってる? しゃ〜ねえなあ男の子はよ〜!

荻野目 旭 :そうです! 意地があるんですよ……男の子にはあ!

“パラディン”的場啓吾 :十分に命知らずだな。さて…

“パラディン”的場啓吾 :これでもう一声というところか。どうなる?

荻野目 旭 :あと一声は振り足した後の値で判断します! やっちゃってください!

三廻部 颯 :……うん!

三廻部 颯 :1dx6+66 (1DX6+66) > 10[10]+10[9]+4[4]+66 > 90

三廻部 颯 :……まだ、いく! 《剣精の手》!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :…これほどに!

三廻部 颯 :1dx6+96 <剣精> (1DX6+96) > 10[6]+10[6]+2[2]+96 > 118

荻野目 旭 :バディムーヴ使用します! 最終達成値に+3してください!

荻野目 旭 :これで……121!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :ははははは! ははははは結構!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :ははは、まったく…どうせなら、もっと早く…───

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :…ですがァ!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
■オート:八咫鏡/空装
 Auto:《魔人の盾L1+3》
 ・ガード値を+[Lv*10]する

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しました。

明夜白銀:ガード/命中

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

三廻部 颯 :(12+1)d10+69 <ダメージ:装甲値無視> (13D10+69) > 77[9,8,7,5,6,10,1,6,2,4,10,8,1]+69 > 146

三廻部 颯 :
──上から!押し通るっ!!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :はは! ははは!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :あのくらいにしか牙を剥けないものが…傷つけ方も知らないようなものが、よくもまあ…

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しています...

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :…ですが…ははは! まだまだ…!

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しました。

三廻部 颯 :……、ッ!!

system :[ 三廻部 颯 ] HP : 27 → 24

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 160 → 177

SYSTEM :
■手番処理
 龍嘉睿が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトはありませんでした。
 また、他の宣言可能なエフェクトの宣言が行われませんでした。

SYSTEM :
■メイン
 行動を宣言してください。

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] クリスタライズ : 3 → 2

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] サポートデバイス : 1 → 0

“害群之马"龍嘉睿 :……160突破すればまだ1Rは舞える。

“害群之马"龍嘉睿 :
俺の答えはこれだ。

《泰山之霤/醧忘台》
宣言:《コンセントレイト:モルフェウス》+《雷の残滓》+《クリスタライズ》
追加宣言(オート):《砂の加護》

侵蝕合計:11
ダイス:23d
C値:6
固定値:6
ダメージ固定値:27
備考:装甲無視+命中時『邪毒(Lv6)』付与(既に付与済み)

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :臆することなく踏み込みますか! ははは! よろしい!

“害群之马"龍嘉睿 :抜かせ、他人を無自覚に踏み台にしてるテメエの相手をしてる暇なんざねえんだよ。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :無自覚オモシロ人間だった時と比べると楽しくもあり、ツレなくもなりましたね。まあよろしい。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :ですが無自覚が嫌なら…

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。判定を───

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :こうして差し上げる! 決ませいッ!

『海鳴りの大怪異』 :(海鳴りの大怪異が、歪む時の因子にまぼろしを臨んで吼える!) 

『海鳴りの大怪異』 :
■オート:コノハナチルヤ
 Auto:《魔獣の咆哮L4+1》《殺意の壁L2+1》
 ・対象のダイスを[Lv]個減少させる
 ・対象の攻撃力を[Lv*3]点減少させる

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] 侵蝕率 : 155 → 166

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] クリスタライズ : 2 → 1

“害群之马"龍嘉睿 :18dx6+6 (18DX6+6) > 10[1,1,1,1,2,2,3,3,3,5,6,6,7,7,8,8,9,10]+10[1,1,2,4,7,7,8,10]+10[7,8,9,10]+10[3,5,8,10]+3[1,3]+6 > 49

“害群之马"龍嘉睿 :……まだだ!

“害群之马"龍嘉睿 :オート:《魔弾の悪魔》宣言! 達成値に+10を上乗せする!

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] 魔弾の悪魔 : 1 → 0

“パラディン”的場啓吾 :なるほど…取っておいたワケか。七発目でないといいがな

“害群之马"龍嘉睿 :これで達成値59、その足りねえドタマブチ抜いてやるよ!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :あっははははは、どうぞやれるものならァ!

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
■リアクション:ガード

SYSTEM :
■リアクション
 リアクション結果を確認します。

明夜白銀:ガード/命中

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

“害群之马"龍嘉睿 :8d10+27-9 軽減無視だ往生しろやァ!!! (8D10+27-9) > 60[8,3,7,8,10,8,10,6]+27-9 > 78

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しています...

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :…は…は、は…

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :はははは………!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :私になくて…あの子にあるもの…
きみにあって…私にないもの…

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :それさえ分からず………ああ、これで………

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :これで…終わると…

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 ───これで? 終わると!
 ははははは冗談! はじめて…

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 はじめて…これだけ長くアソんだのに! 

SYSTEM :
■オート:夜ノ食国
 Auto:《魔獣の証L1+3》
・戦闘不能状態を解除
・HPを[Lv*10]点回復する

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しました。

system :[ “害群之马"龍嘉睿 ] HP : 27 → 24

SYSTEM :
■手番処理
 荻野目 旭が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトはありませんでした。
 また、他の宣言可能なエフェクトの宣言が行われませんでした。

SYSTEM :
■メイン
 行動を宣言してください。

荻野目 旭 :《癒しの水Lv6》使用します! 対象は境耶くんですよ!

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 178 → 180

久外境耶 :どーもオ!

SYSTEM : 
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定を行ってください。

荻野目 旭 :6d10+2 (6D10+2) > 34[3,8,1,9,5,8]+2 > 36

SYSTEM :
■回復結果
 回復結果を確認しています...

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 20 → 56

SYSTEM :
■回復結果
 ダメージ結果を確認しました。

SYSTEM :
■手番処理
 久外 境耶が行動を宣言します。

SYSTEM :
■イニシアチブ
 宣言可能なエフェクトがありませんでした。
 他宣言を確認後、メインプロセスに移行します。

SYSTEM :
■メイン
 任意の宣言・判定を行ってください。

久外境耶 :
【 Gliese 436b 】
対象:明夜白銀
マイナー:なし
メジャー:《巨人の斧 LV3+1》
オート:《呪われし者の印 LV4+1》《流刑者の刻印 LV2+1》《紡ぎの魔眼 LV2+1》

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :ふふ…懲りませんね ああ全く!

SYSTEM :
■メイン
 宣言を確認しました。
 判定、または追加の宣言があれば行ってください。

久外境耶 :でなきゃおめーに挑んでねえよ!

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] HP : 56 → 86

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 154 → 160

久外境耶 :24dx9+2 (24DX9+2) > 10[1,2,2,2,2,2,4,4,4,5,6,6,7,7,8,8,8,9,9,9,9,9,10,10]+10[2,3,6,7,8,8,10]+8[8]+2 > 30

SYSTEM :
■リアクション
 リアクションを確認しています…。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
■リアクション:ガード

SYSTEM :
■リアクション
 リアクション結果を確認します。

明夜白銀:ガード/命中

SYSTEM :
■メインプロセス:ダメージ
 ダメージ判定を行います。

久外境耶 :ここで《崩壊のスフィア LV2+2》切るぜ! かますぞホデリ!

『ホデリ』 :承った! いざ…わたしを勝たせておくれ! 

久外境耶 :12d10+21 (12D10+21) > 63[10,5,4,3,10,3,10,2,3,6,2,5]+21 > 84

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しています...

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :はは………

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :この口惜しさは………

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :どちらの、そして、誰に向けたものなのでしょう………

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :………なるほど確かに。魔が差して、しまいそう、ですね───。

SYSTEM :
■ダメージ結果
 ダメージ結果を確認しています...

SYSTEM :
■ダメージ結果

 明夜白銀:撃破!
 

久外境耶 :2D10 (2D10) > 13[4,9] > 13

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 160 → 177

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───そうそう。
 きみ、先程あんなことを言いましたっけ」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「安全圏から見る景色がどうの、こうのと………それなら、」

SYSTEM :
 私の景色も見せないのでは、不公平ですね/この言葉の使い方は合ってますか、と。

 対抗種の因子が傷つけた内臓器官の修復が間に合わず、零れた血を拭って女が笑う。

SYSTEM :
 そうとも。
 あなた/旭は、忘れもしていないだろうが…。

 彼女が無軌道で生き延びてきたのは断じて死なないからではない。

SYSTEM :

 撃てば死ぬ。/ただ、それが絶望的に遠いだけ。
 斬れば傷つき、毒に蝕み、オーヴァードのさだめから抜け出せない。/同上。

 言葉を発さず、理解できず、不死身の怪物の持つ強さではない。
 そういう強さで、あの日の死の権化、後に曰く“蝕みの君”を屠ったのではなかった。

SYSTEM :
 それが、なぜ無軌道に十年生き延びてきたのか。なぜ怪物と謳われたのか。

 その根幹にあるものとは即ち暴力性。
 取り出した得物を片端から叩き割るほどの過負荷をかけて粉砕しながら、
 例えば自分に攻撃を叩き込まれても一切止まろうとせず、返しの一撃で再生を強要する程度まで粉砕する。
 
 怪物に不必要な得物の遣い方と、怪物を本来殺すべき狩人の知覚。
 そこに本来必要でないもの…怪物と見紛うほどに完成された肉体まで備えた、人型の合成獣が彼女だ。

SYSTEM :
 必然、何もかもが雑味に過ぎない。
.                キュマイラ
 そのように出来た生き物だから、剛性強化の肉体が得物を必要としてしまう。
 人が人の理由で、人より巨きなものを、例えば時間さえも、自分の事情で支配しようという傲慢の結晶。
 そのように生まれた最強の独り、並び立つものを知らない無欠/空洞が彼女だ。

SYSTEM :
 では、そんな生き物が。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「いーち、にの」 

SYSTEM :
.   へいじょううんてん
 それが後先考えない全力で、のびのび暴力を振るうと、どうなるのか。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───さぁんッッッッ!!!」 

SYSTEM :

 音を嘲笑う超高速、思考すら置き去りにする動物の本能が成せるコンマ1秒未満の反射神経。
 オディオ
 憎悪によって組み上げられ、今も追従する魔刃共だけではなく、
       アート
 現代の大方の技巧を鼻で笑い足蹴にするような暴虐の踏み込み。 

『ホデリ』 :
『…彼奴は!』

SYSTEM :
 しかしその踏み込みに、あからさまに“違う”ものが宿ったことを、まずホデリと“パラディン”が見逃さなかった。
 前者は口にして、後者は同時の踏み込みとして。

 だが、その音が到達するよりもはるかに早く───。

SYSTEM :
 白刃の煌きのなか、白光が舞い踊る。
 海底にありえざる光が舞うたびに、嵐が吹き付ける。 

SYSTEM :

 M U S V I S I O N
 質量を持った残像 ───。


 本来これを再現し得るものはエンジェルハイロゥ・シンドロームによる光子制御のみであり、欠片もかすらない彼女がそれを成すことはない。

 …そのように見える、と。
 りくつを敢えて説明することもないだろう。

SYSTEM :
 赤方偏移による自身の加速、度を越したバロールの時間歪曲能力。
 兵士として培われて来たものの絞り滓/骸から蓄積されて来た無数の経験値。
 彼女は確かにそういうものがあるし、それを持ち出した結果が最初の攻撃だが。
 それが重なって生まれたものに、何ら特殊で御大層なお題目などはついていない。

SYSTEM :
 ただでたらめに早い速度で踏み込み、技もへったくれもない暴風のような打ち込み。
 ・・
 早いので視覚でとらえたならば数人分と誤認するほどに手数が多く、
 ・・
 強いので触れた傍から解体していくような暴力性を発揮するわけだ。 

SYSTEM :
 人間の戦術とそれを凌駕する獣性。
 反射と思考の両立。

 だがそれは対極の強さであり、両立したものが必ずしも均等で成り立つとは限らない。
 結果、明らかに反射の方に傾いた彼女の行動がどうなるかと言えば、その雑味で殴るような暴力の行使だ。

 部分的成功作の「部分的」たる所以は、その能力。
 成功しなかった部分はそれ以外───そして、能力さえも、彼女は人の世にいてはならないものだった。

SYSTEM :
 ・・・
 だから。
 オディオ
 憎悪の形が、似て非なるものを。
 極めて近いが、限りなく遠い男の骸を引き合わせる。 

SYSTEM :
 誰よりも強かったから、誰とも同じ目線を共有できず。
 誰よりも裏表がなかったから、誰とも同じ心持ちを持てなかった、純朴な青年の骸。

 一方的に押し付けられた彼の因子を、一方的に彼女が振り回す。
 無意識に、つけてはならないホオリノミコトの技のひと欠片が牙を剥く。
                              コンボ
 結果生まれるのは嵐だ。三位一体ならざる、独りと独りと独りの合併症。

SYSTEM :

 人型の、瞬きのうちに呑み込み、ミキサーのようにオーヴァードの肉体さえ砕いて行く破砕嵐。

 片方の鉾は獣の爪牙のように、人体に不可能な連携接続で放たれる次の刃は人の技術の極致。

 サブリミナルよろしく網膜に焼き付く動きが惚れ惚れするほど理論立てた槍の一薙ぎならば、
 次の瞬間平気で鉾どころか手が出る、迎撃をものともせず次が飛んで守りごと打ち砕く。

 ひとつの身体を独りと独りが交互に取り合うような、強味を殺し合いながら弱みを握り潰す。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「さあ、さあ、さあ!
 咲き荒べェ───!」 

SYSTEM :

 殴打。刺突。一蹴。斬撃。大薙。飛翔、諸々。

 哄笑。咆哮。咆哮。咆哮───以下略。

SYSTEM :
              ドウマン
 黄泉にて手ぐすね引いて待つ禍津日が作り出し…。
 ふるき海の果てにて、今も待つものに捧ぐ狂瀾怒涛の神楽舞!

SYSTEM :
 咄嗟に射角から逃れた/逃がしたシホと。
 無意識についた雑味故に意識的に狙われなかったホデリ/そして彼がその力を異なるかたちで譲り与えたもの以外。
 それは誰に対しても平等だ。
 
 蝕みの君/歴戦のオーヴァードの集団を消し飛ばしたものさえ笑いながら打ち砕く。
 命を喰らう、底無しの虚ろが荒れ狂う………! 

荻野目 旭 :
 僕に、その一撃は見えてない。
 彼女の踏み込みすら。
 僕の感覚器官が最初に感じ取ったのは痛みだった。
 瞳に昂奮で目をかっと見開いたおんなが映って、遅れて音が追いついてくる。

「ぃ────」

荻野目 旭 :
 いけない、と。
 その警告すら、痛みが生んだ声なき叫びに押し潰された。
 身体が千切れそうになる──けっして比喩じゃなく。
 人間を粉微塵にする殺人ミキサー。
 キュマイラらしく形を変えないくせ、暴力性だけはまさしく獣そのものだった。

 あの日。
 忘れもしないあの日に、僕の目の前で振るわれたものとは、違っていたけれど。

荻野目 旭 :
 死にかけた脳みそが、最悪な事実を思い出す。
 途切れかけの意識、スローモーションになるはざまで思考がフル回転する。

 ・・・・・・・・・
 不純物が混ざってる。
 あの日に置いてきぼりになっている心の一部が、あの完成された肉体の中の雑味を認識させる。最悪だ。

     ・・・・・・・・・・
 ある意味いまは完成されてないんだ。
 強さにほころびがあるんだ。

荻野目 旭 :
 ───いつまで経っても、どこまでも、僕のことを最悪な気持ちにさせる女!

荻野目 旭 :

「ッあ……あああああアアアっ!!」

         こえ
 喉から絞り出した悲鳴は、
 痛みに伴う反応だけでもレネゲイドが齎す肉体再生だけでもなかった。
 ほとんどやけっぱちで体内に花を咲かせて損傷を癒やす。

 アラシ
 女が過ぎ去った後に膝をつき、咳を繰り返す。血と一緒に、口端から花びらがこぼれた。

荻野目 旭 :
 霞みかけた視界の中で、必死に脳を現在に引き戻す。
 怖くてたまらないけど、顔を上げる。
 ここはあの日じゃないのに、白んだ視界の中に雪原を幻視した。

 あの白を埋め尽くす鮮烈な紅が、顔を上げた先に広がっちゃいないか──
 理屈じゃなく本能に刻まれたトラウマがきいきい言うのを叱咤して。

久外境耶 :
「チョコマカボコスカ無茶苦茶かテメエ!」

     デタラメ
 結論──荒唐無稽には追いつけない。だったらやるコトは一つだ。

 飛び回る人間ミキサーめがけて手を突っ込んで、誰よりも先に、そして数多く衝突(ぶつか)ってやる!

久外境耶 :
「背中頼んだ! ──ダハハ、初めて言ったわコレ!」

 伴をあてにした次は雑用任せた仮部下を、こっちの戦場へ駆り出す。

「出血大サービスだ! あんたも付き合えよ"パラディン"!」

久外境耶 :
 独りと独りを押しつけられ、代価に振り回す人型の合成獣が、持てる暴力性のすべてを披露する。

 それは洗練された兵士の技術であり、本能に磨かれた獣の力であり、行き過ぎた者の呪いと妄執であり──

 ──端的に、死の嵐だった。

久外境耶 :
 初撃──間に合わない! うずくまった小っぽけな背中のカバーに入るが、遅すぎた。舌打ち。切り替えるより先に次手が飛んでくる。

久外境耶 :
 数撃──鉾を弾きにかかった右腕が、氷結した装甲ごと砕け散る。肘から先が消失した。
 炎に凍える身体に血は流れない。不死の炎と死の冷気を宿した異形。極低温の鬼火が血飛沫の代わりに拡がり、のたうつ炎のように揺れて、一瞬のちに凝固して腕を形成する。

久外境耶 :
 数えてられるか──遮二無二振りかぶった拳が、たまたま正面衝突する。いや、わざと合わされたのか? 圧縮された冷気が両者の間で爆ぜるが、嵐はおかまいなしに過ぎ去っていく。
 遠ざかる哄笑。迫る嗤い声。音なんて軽く置き去りにする獣に、測位は何のあてにもならないが、今日に限っては振り返る必要はない!

SYSTEM :

 その時、多くの生死を分けたのは。

 思考より先んずる暴虐に対し、     スネア
 同じように思考より先に取捨選択を取った捨て駒。
 シェイプシフター
 異形の装甲が、迫る死に凍てつきながら燃え盛る。その内側には、守り人とは違うりくつが彼の中で渦巻いていた。

SYSTEM :
 そも、守り、庇い、死して猶も託すなど、その道理はUGNの人間がマジョリティだ。
 天下のストライクハウンド、問題児の精鋭部隊さえも、いざという時には仲間のために命を投げ出すもの。
 だが、奈落の中で死を隔て、生を貪って来た底抜けの器にあるものは…こんな、殊勝な感情などではあるまい。

 死を前に、何事もないような台詞が“ツボ”に入ったような笑い交じりでの突撃などを、闘争のための熱と呼ばずしてなんと言う。

SYSTEM :
 その、昂る喧嘩の延長線の中、泥と血の底で猶も咲く白い花を守るように。

 武装の余分、彼にとってはいま何より重んじるものに嵐が迫る。
 自然の摂理に、自然からの逸れ者が牙を剥く。 

『ホデリ』 :
『応、打ち逸らせてもらう…!』

“パラディン”的場啓吾 :
「フ───高くつくぞ!」 

SYSTEM :
 伴があなたの流儀に食らいつくように吼えて。
 現部下、誉れ高き裏切り者が平常心で応じた。

SYSTEM :
 咄嗟に踏み込んで来たその背から、当人からすれば擦り減らすことも億劫な守護者のあかし、抜身の刃が煌く。
 駆けつけてきた其方と違って、ホデリはただ、あなたと連動するレネゲイドの興りを強めるだけ。

 こんな超常の戦いに何も恐れを感じていない生き物の所作ではない。
 ただ、眼に正しきを映しているかも定かでない骸に言わんとすることがあるものは、あなたの死線に確かに力を添えた。
 

SYSTEM :

 人の技に、獣の躯が立ちはだかった。
 きっと自分が“否”を突き付けてやる相手は此方だとばかりに。
 同じ因子、同じかたちが、来歴も縁も何もかも違う伴に向けて奮い立つ。

 魂が叫び声をあげる。
 それはレネゲイドを介して伝える音などでなく、本能が付き立てる獣の遠吠えだ。 

SYSTEM :

 見よ、見よ、と。
 おまえの兄は、おまえが振り返るまでおまえを見ているぞ、と。

 …その咆哮に、人の技の部分の動きがブレたのは、ただの幻想。ありもしない願望だ。
 水底で見る幻は、嵐に片端から打ち貫かれる少年と共に立つ防波堤。無形の重力、いや重力ですらない、不格好な“ぶつかる”ような力場。それが幾つの攻撃を凌いだものか。

SYSTEM :

 反対側、獣の技には人の業が立ち塞がった。
 恐らくは、この島以降、あなたがコレを見ることはきっとないだろう。
 紫電を纏った士師の剣が、気安い死線への誘いを、道連れにはしなかった。

 同じロクでなし同士と、怪物の見る夢に、怪物未満で世界征服辺りを次の夢にすると嘯くような男が、今日限りの名残を振り翳す。 

SYSTEM :
 超電導による加速を交えた切り結び。

 だが………だが。 

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「その盾貰った───!!!」

SYSTEM :
 十を越える死線のうち、あなた自身の火事場力が死線をねじり潰す。
 ホデリの乾坤が抑え込み、士師の剣が死角からの即死を防いだ時、誰もが次の動作の呼吸にすら入らない段階で、容赦のない死線が牙を剥いた。 

SYSTEM :
 心の底から楽し気に。
 語彙も何もないような死ねと死ぬかの応酬の結末を、屍の上の虚ろな王冠が、笑いながら飾り付けた。
 あなたに向けられたものは、ある意味なにより雑味がない。
 ・・・
 安全圏を作る最後の砦へ───。
 独りと独りが、過ぎ去る嵐の直前、あなたの命に牙を突き立てる!

久外境耶 :
「ホコタテしようってか!? いいぜ来いよ、遊びてえんだろ!」

 ──愉しげな声が、まったく容赦のない死を連れて踊りかかってくる! 張り合うように/じゃれ合うように、一呼吸に嗤いを乗せて、交差した腕で鉾を受けとめる。

久外境耶 :
 獣の牙めいて、獰猛に食らいついてくる一撃。あまりの重さに異形の装甲が、みしみしと軋む。バキリと表面に罅割れ。

「ぐ、う──おおォッ……!」

 燃える冷気を荒々しく噴き上げて、推進剤となって押し返しにかかる。

久外境耶 :
 だが、一瞬後。視界がスローモーションに変わった。音が消失し、色が欠けた。守りを突き破って、わずかの減速もなく、胸に吸い込まれていった。決定的な一撃だった。

久外境耶 :
 ・・・ ・・・・
 空洞が、貫かれる。

 それは敵手に何ら手応えをもたらさないが、確かな死の感触だった。吹き飛ばされた体が、どうっと背中から落ちる。

 苦痛はない。恐怖もない。精神は今、凍りつくような死の虚無に支配されつつあった。

久外境耶 :
 だが、

 風穴の開いた虚無の胸の輪郭で、じりじりと熱が燻った。熱は火種であり、火種は激情だ。脈打つように明滅する。

 愉悦が、矜持が、欲望が、衝動が! 空虚を覆すに足るものが、奥底から湧き出していた。

久外境耶 :
「ハハ……ハハハハ……!」

 倒れたまま、揺れる手で空を掴む。空っぽだ。何もない。だがおれには価値のある瞬間だ。

「生きてるぜ……!」

久外境耶 :
 激情が火勢を増し──噴き上がり、燃え広がり、大寒波となって海底を青白く照らした。
 その、わずか一瞬。白い炎の奥に、ちいさな影。冷気にさらわれた花びらを、白い光を、細い手の数々が玩具を求めるように群がる。忘れ去られた、名残のような幻影が──。

久外境耶 :
「ああ、ああ! 覚えねえなら何遍だって聞かせてやらア! おれは……誰にも殺されねえ!」

 勢い任せに跳ね起き、ガワだけ繕った死に体でゲラゲラと笑い返す!

SYSTEM :
 ───零から一が芽吹く。
 無尽蔵でも不死身でもない生命力の源だが、今この時は、掲げる公約通り。

SYSTEM :
 矛は確かに盾を砕いたが、盾は一度砕かれただけで用済みになるほど殊勝ではなかった。
 伽藍洞に詰め込むものの違い。
 同じ虚ろではないと、あまりにも雑味の“ありすぎる”熱が、底の抜けた命になおも注ぎ込まれる。
 抜けた傍から満ち足りて、異形の甲殻を凍えさせながら熱するもの。

SYSTEM :
 タタカイ
 闘争───。
 しなず しねず
 不死身と不死身を繋いだ無二が、
 その時彼の細胞の全てに命じた。

SYSTEM :
 ・・・・・・・・・・・
 おれは誰にも殺されない。 

SYSTEM :
 リザレクトの従来不可能な侵蝕深度。
 にもかかわらず、細胞そのものと結びついたレネゲイドが「生きる」のために全力稼働した。

 熱を帯びることなく滾り続ける炎が、全てを氷点下に覆い込む矛盾の中。

 抜けた底を想う僅かな時。名残の手は“兄”への喝采だったのか、それとも無邪気を焼きつけた影だったのか。
 …知っているのは彼だけだ。

SYSTEM :
 暴れ狂った風の果て。
 何もかもを蹴散らす、水底のデスペラード。
 
 その手ごたえに、女が笑う。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「ならばその都度、呼ぶたび砕いて差し上げる! 
 ああ、まったく…」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「アレがきみくらい丈夫だったら…。

 きみくらい丈夫でなくとも…
 そこのアサヒみたく立ってくれたならなあ…!」

SYSTEM :
 嬉しそうに───。
      うえ
 似て非なる飢餓を零した。

荻野目 旭 :
「────っ」
 顔を上げるより前に、湿っぽい心境を吹き飛ばすようなバカ笑い。
 それが示すものに、くやしいけど心底安堵する。

荻野目 旭 :(──ダメだ、怖がるな、顔を上げろ……さん、に、いち!)

荻野目 旭 :
 えいやと顔を上げて、そこに思い描いていたとおりのものを見る。
 流れたのは僕の分の血だけ。水底に残火のにおいをくゆらせて、彼は立っている。

荻野目 旭 :
「……ほんとうに、殺されないし……」
 信じられない。
 あれ、あの“蝕みの君”をメタメタにしたときとほとんど同じやつだし。
 どう考えてもやせ我慢だけど──彼は立っていた。あの雪原の白昼夢を塗り替えるみたいに。

荻野目 旭 :(……………ああもうっ、切り替えろ!)

荻野目 旭 :咽喉に血の絡んだ掠れ声をがらつかせながら、叫ぶ。

荻野目 旭 :「ふざけ、んな……僕らの前で、ほかのヤツの話するのやめてもらっていいかなあッ!?」

荻野目 旭 :そういう減らず口が、ありがとうより先に来る彼の流儀への返答だ。

久外境耶 :「ギャハハハ! 脳揺れたか今!?」

荻野目 旭 :「言い方最悪ぅ〜……!!」

SYSTEM :
 意味の分かる言葉に、意味の分からぬとばかりの哄笑が響く。
 少年と合わせて響く二重奏。

 楽し気に笑った獣のそれは、スイッチを入れた全力などではない。
 平常心のままアクセルを踏み込んだ刃だ。それでも───。

SYSTEM :
 それでも、次に入るまでに僅かな隙があった。
 廻る魔刃が追いつくまで、次のエンジンをかけるまで。
 哄笑の中で、□□が刹那の感傷に浸り終える/余所見を終えるまで。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ───具体を持つ死の暴風圏が、不死身と火花を散らしたとき。
 仮初に与えられた“安全圏”の只中で、私は不可視のヴェールに身を包んでいた。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 毒を携えた裏切りの名の持つ花が、私をあるべき容へと押し戻す。
        いやし
 疵口に染み入る毒薬が、私を戦場へと引き留める。
 “夜鷹”が見上げた星空に、燈る羽撃きの痕を宿しつつ。

:
《Renegade Smith Hearth
 抗レネゲイド弾薬精製機構の起動を確認。エネルギー充填開始…》

《レネゲイド:オルクス/エンジェルハィロゥ/モルフェウスの入力を確認しました。
 銃身の再適応を開始します…………》

“朧の狩人/残骸” シホ :
 与えられた時間の中で、私は思考を回し続けた。
 いま、私にできることは何なのか。

:
《……ERROR!
 射……保護……的に凍結。
 警告。Taxus Protocol
    “擬似…対抗………”を─────────》

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ……ツメクサの草原に研がれた剣は、あと三つ。

      ねつ
 三者三様の理由を焚べ、激発の刻を待つ。
 その三つの中に在ってなお、
 弾丸に祈りを込めて、引鉄に手を掛けるその意味を。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「───、──────」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ……答えは最初から決まっている。
 私の為すべきを、果たすときだ。

“朧の狩人/残骸” シホ :

くろがね
  鉄  に火を灯す。
 
 ツメクサに託された心象を鏃に変える。
            ロビン ユミ
 叫ぶ言葉を鏃に込めて、駒鳥の銃を引き絞る。
              アンタレス
 癒えることなき疵跡に宿る、蠍火を伴って。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「──────“駒鳥よ”!」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 不可視のヴェールを破るように放たれた狩人の弾丸は、ただ真っ直ぐに獲物を目掛けて飛翔する。あえて語るまでもない当然の摂理。

 ───だが。

:
      ・・・・・・
 バサリと、弾丸が羽撃く。

:
 右に、左に、上かと思えばまた下に。
 放たれた二発の燃える弾丸は、番のように駒鳥の容に形を変えて空を縦横無尽に翔び回る。

:
 児戯ではないが、そう大層なものでもない。
 ほんの小規模な因果の改変だ。
           ・・・・・・・・・・・・・
 弾丸に宿した因子が、迎撃される因果を捻じ曲げただけのこと。


 その姿が生きる歓びを高らかに謡うよう、ツメクサの平原を舞う駒鳥のように、
 虚の空へと棚引くように予測不能の白い軌跡を描いているだけだ。

:
 飛び交い、囀り、謡いながら───

───番の駒鳥が、虚の空を貫くように“嵐”の中心へと飛翔する!

SYSTEM :
 決して通い合わない熱を帯びたもの。白雪を融かす不倶戴天。
 時のカーテンを覗く見えぬ木々の翠に覆われて、悪徳領主を狙い定める義賊の仮面のひと欠片。
 白雪の積もる、ひどく冷たい水底でも。きっとその手に、冬の寒さに凍えるようなブレはなかったのだろう。

 あったとしても、今更のことだった。

SYSTEM :
 成り果てた者を安らげる、実体無き死の声。
 隔てたものを隔てたままに葬る離別の宣言。

 逸れ者を殺す逸れ者。虚ろなる狩人の本領は、回る思考にかき消された。
 改めて思われた意味は、きっとはじめのものではないのだろう。

 銃口を擡げ、照星を掲げ、照準を合せ、引鉄を引く。
 ただそれだけの行程に敢えて大仰な名を附す理由もないと。あなたこそ知っている。

SYSTEM :
 ならば。
 番えた矢に乗せた想い、
 覗いた先に向ける意志。

 発した言葉が、幻想の翠を貫いて、青の帳へ駆ける。 

SYSTEM :
 放たれたものは。
 穢れを討つイチイの毒矢───では、なく。

SYSTEM :
 引き絞られた弓に込められたものは、あなたとアナタの意志の螺旋。
 やさしくて残酷な暖かさを伴ったツメクサのあかりに照らされて、罪の漂う水底のひろばへと駒鳥が飛んでいく。
 
 翼の強靭さを理由にせず、生き物としての宿痾を原因とせず、辿り着くものを探すことを建前とせず。
 生きていく限られた自由の歓びを、駒鳥が高らかに謡っている。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───!」

SYSTEM :
 当然、迎撃はすぐに来た。
 彼女が振り返るよりも早く。

 その綻びを感じ取った本能が、手足の代わりを舞い飛ばす。
 物理的に有り得ぬ飛翔体、空飛ぶ殺戮のための道具。駒鳥を撃ち落とすことなど容易い魔刃が、しかし直前ですり抜ける。

 嵐に向けて飛んでいく予測不能。
 廻る命の現在が、彼方に向けて飛ばしたものが謳歌する自由が。
 何より名残と強さに縛られた独りの群れの手に収まろうはずがない。

SYSTEM :
 収まるはずがなく。
 鳥は気紛れに飛ぶ道を変えもしなかったから。

 嵐の中心。
 虎視眈々と狙いを定めた先にいた獣を狩人が狙い撃つなどはワケもない。

 迎撃、失敗。
 着弾と共に、時のベールを突き破り、傷つけども並ぶものを知らない生き物の、人のあかしが海底に散る。
 
 手ごたえあり。
 彼女は無双であっても無敵でないからだ。

SYSTEM :
 だが───。
 ロクスレイ
 狩人が御伽噺と合作などするように、
 あちらは独りの群れだ。

SYSTEM : 
 狩人が銃口から奈落の底を覗いた時。
 奈落の底が、意志の名残が。

 水底のまぼろしが形となって、狩人を覗き返す。

SYSTEM :
 ウシロ  マエ
 過去と未来を繋いだ世界への憎しみ。
 虚ろなかたちを導く無意識/蘆屋道満の残り香。

 決して廻らなかった心の炎を刃とし、
 生けるものの軌跡を逆回し。
 森の向こうへその牙を剥く!

荻野目 旭 :
(………!)

 後方/位置の上でも視覚の上でも見えない弾が、音もなく放たれた──
 そう気付いたのは、そのものが僕の因子を宿していたからだ。
 幻想から生まれて現実を生きる弾丸が、狩人のかたちにおのれを見て羽撃いてゆく。自分だけの理由で。

荻野目 旭 :
    とり
 水底に死神が舞う。
 その着想が何なのか。
 何を目指して翔けるのか。
 この場にいる中なら、僕が一番知っている。

荻野目 旭 :
(完全な一射──
        にくしみ
 でも、あっちの生存本能も伊達じゃない!)

久外境耶 :「チ──間に合わねえか! っとに厄介だなオイ!」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 遠く閉された水底に生を謳う死神が舞い、
 しかし、空が虚ろなら、それを舞う権利を待つのは鳥だけとは限らない。

 心を燃やすことも、また同じ。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 死を感知した憎悪の刃が、幻想の森を駆け抜ける。
 思考するより早く出るものに、機を待つを是とする狩人が先んずるはずもなく。
 銃口を覗いた深淵が、その射手へと魔を伸ばす───

:
 ……ところで。

  モルフェウス
 創造の御手の権能は、とりわけ扱う者のイメージを色濃く反映するものだ。
 三廻部颯が欲したものが【描いた夢を、カタチにする力】であり
 龍嘉睿が欲したものが【己の仕事を必ず遂行できる力】であるように。

:

 どれほど怖しく、どれほど強靭い奈落の怪物だとしても、逃れられない因果はある。
 斬れば傷つき、毒に蝕み、オーヴァードのさだめからは抜け出せない。
 どれほど遠ざけたとしても、ひとつの命が生きるのならば、いつかは訪れるだろうひとつの結末。

 常世に還れぬ魂たちに、来るべき惜別を告ぐ嘆きの調べ。
 かつて狩人の仮面を被った者は、
   ヤスラギ
 その結末をもたらす業の名を、葬送と名付けた。

:
──────では、今は?

“朧の狩人/残骸” シホ :
 魔刃が空を引裂くのとほぼ同時。
 架空の空に、もうひとつの駒鳥が飛翔がる。

 駒鳥は、その身を差し出すように
 刃の鋒へと踊り出て───

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ぱんと弾けた、そのときに。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「Who killed Cock Robin?
 I, said the Sparrow,
 with my bow and arrow,
 I killed Cock Robin──────」

 誰が駒鳥 殺したの
 それは私 とスズメが言った
 私の弓で 私の矢羽で
 私が殺した 駒鳥を───

:
 その呪言をトリガーとして。

:
 羽毛よりもなお軽やかに、泡沫よりもなお幽かに、
 幻想の水を孕んで虚の空をふわりと舞う、駒鳥の描いた白い軌跡が───

 空想のシロツメクサに編まれた、天を翔ける因果の糸が───

───安らぎを識らぬ妄執を絡め、縛めるための具体を持つ!

“朧の狩人/残骸” シホ :
「──────っっ、
 私の為すべきは──────」

“朧の狩人/残骸” シホ :
         ミチビ
「───“お前”を、葬送くことだ……ッ!」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ───結果。
 番の駒鳥が空を羽撃き描いた線は。

 狩人の臓腑を貫く間際に、獲物に差し向けられた憎悪の刃を縛りつける因果となって、その動きを縫い止める!

SYSTEM :
 レネゲイドは想いを貪り、想いに応じる。良くも悪くも。
 その共生にもっとも忠実なのが、夢想のかたち…モルフェウスだ。
 
 それは彼らだけの特権ではないけれど。
 始まりの形をなぞり離れた少女も、不動の理を己の内側に置いた青年も。
 モルフェウスの持つ特性に何より沿う回答を繰り出して来た。
     アナタ
 ならば、彼女は?

SYSTEM :
 その宿痾も、得物も、仮面も、全て残り火の模写。
 その通りに導けば、熱の通わぬ無機物さえ、慈悲なく啓示を掲げて終わらせただろう。

 だが…もう一羽の駒鳥が飛び発った時。
 その命の灯で、空飛ぶ処刑刀を彩る光景は、冷たい死神の所作でなかった。 

SYSTEM :
 熱を帯びない、白雪のもとで剛く駆け抜けたもの。
 翼を持てぬものを葬送る因果は、死の冷たさとは無縁だ。

 死の冷たさを誰よりうまく扱った先約あってのことか。
 為すべきかたちは、事此処に至って、狩人とは似て非なる業を帯びる。

SYSTEM :
 葬送る弾丸は死の大鎌でない。黄泉の川への渡し守。
 止まり方を忘れたものに止まり方を。
 終わる先を忘れたものに終わり方を。
..                かけら
 因果の糸が、どちらとも知れない憎悪の鉾を。
 同じように廻る者の、漂う名残を縫い留める。 

SYSTEM :
 いかなる武器でも傷つけられない力を得た者達にとって。
 絆しは、恐らく唯一無二の弱点だった。
 …それを識る賢者がいたならば、淡々と嘆き、淡々と認めただろう。
 
 やはり熱に浮かされたな、と。

SYSTEM :
 熱なき隣人が、なんのために生きるかを定めたものを。
 あるいは、今でも思っているかもしれない。
 
 彼に翼はない。
 彼から出ずるものにもそれはないはずだった。その雛鳥が、やがて育って飛び方を覚えるまでは。

“パラディン”的場啓吾 :
..   ヤ ド リ ギ
「───怪物の唯一の弱点か。
 葬り留めるカタチがそれとは、ゼノスもつくづく洒落たものだ」

SYSTEM :
 痛み分けを、男がそう評する。
 縫い留められた魔刃が、還り先を失って留まるさまを。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……ッ、間に合わせでは、ありますが───ッ……
 “あのヒト”が嘯いた、言葉のひとつ……活かさないでは、割にあいませんから……ッ!」

“パラディン”的場啓吾 :
「即席で持ったバトンがそいつなら上出来だ。海向こうでせいぜい、感想を聞けるようにすることだな」

SYSTEM :
 夢うつつに綴った詩に意味を持たせたあなたの抵抗は、確かにあなたの死を遠ざけ、死から覚めないものを留めた。そして───。

三廻部 颯 :
「……」

 揺れ動く大海の中で、拳を小さく握る。
 予感というほどではないけれど、一つ思い至った。

三廻部 颯 :
「──……」

三廻部 颯 :
「……旭くん」

荻野目 旭 :「……どうしました?」

三廻部 颯 :
     ・・・・
「もうすぐ最後だよ。
 ……私は、友達のお願いを聞けない我儘な子」

三廻部 颯 :

「それでも──私を『使う』の?」

 つまり。
 私なんかより、あなたのことを分かって、あなたの肩を組んであげる、悪友の方が、
 あなたにとっては良いんじゃないか、と告げている。

荻野目 旭 : 

荻野目 旭 :「逆に訊きますね。三廻部さんはそうしたい?」

荻野目 旭 :
          要らなく
「僕は……あなたが僕を嫌いになるまで、あなたの友達ですし」

荻野目 旭 :
 ぼくをすきにつかって
「あなたの勝手にしてって言ったでしょ」

三廻部 颯 :
「……そっか」

三廻部 颯 :
「……私、ずっと旭くんのこと裏切るようなことばっかしてきたのにね。
 それでもそんなこと言って、……お人好しってレベルじゃないと思う」

三廻部 颯 :
「……」

三廻部 颯 :
、   、嘘か本当か
「それは、どっちなの?」

 そんなの分かりきっている。
 決まりきっているだろうことを、聞かないと……、
 決心が、つかないから。

「……それだけ、もう一度聞かせてほしいな」

荻野目 旭 :苦笑いする。

荻野目 旭 :
 うまく作れている保証はない。
 トラウマ再現を目の前でされたばかりの表情筋はがちがちだ。
 うまくほぐれていると信じて、僕の主観でできるかぎりの笑顔をつくる。

荻野目 旭 :「僕ね」

荻野目 旭 :「あなたのワガママなとこも、無神経だなって思うとこも、ひどいなって思うとこも」

荻野目 旭 :「そういう素直なとこが、ちゃんと好きですよ」

荻野目 旭 :
「僕は嘘まみれの人間だけど、これは全部ホントです。
 僕のそういう気持ち、あなたには伝わってなかったですか?」

三廻部 颯 :
「……ううん。
 ……でも、見失ってたみたい」

三廻部 颯 :
 少し迷って、右手を差し出す。
 刀を持たないその手を。

「──ありがとう、私も、大好きだよ」

 嘘をついたり、ひどいことを言ったり。
 我儘に振り回したり、振り回されたり。
 友達という間柄は、決して良いことばかりじゃない。
 けど、それもまるっと含めて、友達と呼ぶのだ。

「……行ってくる。
 だから、応援してほしいな」

 その手に乗せることを約束する。
 それでどっちになったとしても、もう、成るように成れだ。

荻野目 旭 :
 差し出された手を、両手で握りしめる。
 祈るように額に寄せて、レネゲイドの光を灯す。

荻野目 旭 :
「──思う存分、やっちゃってください!」

SYSTEM :
 出立の短い合間。
 問の答えの始まりは、言葉ではなかった。
 ・・・・
 それでも、の答えは、きっとそこから続くものが全てだったのだろう。
 鸚鵡返しでも、冷たい拒絶でもない。

 同じ目線に立つ違うものを先に許容した、
            チルドレン
 その生き方を続けてきた年頃の子供が…。
 この場では最後の友誼に応える。独りを、独りでなくするもののかたちだ。

久外境耶 :「やっっっっとナカナオリか! ガキめ!」限界まで仰け反って呆れを全身で表現

三廻部 颯 :
「ガキじゃないし!
 ───私の名前は! 三廻部颯だ、っ!!」

 ・・・・・・・・
 微妙に履き違えた、威勢の良い返答と共に。
 私はその場で剣を構えて──振るい、振るい、振るい、
 みずのなかを泳ぎ、浮き、舞い上がった!

三廻部 颯 :
 砂が舞い、
 波が舞い、
 潮が舞い、

 渦となって、少女の周りを包み込む。
 あるべき形、思い描くもの、成し遂げたかったこと、その手にしたかったこと。
 全部全部、夢物語だったとしても……、

三廻部 颯 :
 その夢を形にするのが、私の力なら。

三廻部 颯 :
 もう一度。

三廻部 颯 :
 ……もう一度、私に力をください。
 私に、夢をつくらせてください。

 わたしに、

三廻部 颯 :
 誰かと、手を繋ぐための力をください。

三廻部 颯 :
(咲楽、旭くん、……ホオリさんに、トヨタマヒメさん)

 紡いだ縁を回想して──

(ノエルさん、先生、境耶さん、シホさん、木口さん、パラディンさん、ミッドナイトさん)

 出逢った縁を回想して───

三廻部 颯 :
「───行くよ……!!」

 その手に──虹の輝きを、掲げた!

三廻部 颯 :

 ───その虹の光が瞬いた時、

 孤独をきらって、孤独でないことを求めた、小さな虎に、
 その七天の輝きが、迫った。

三廻部 颯 :
「───、一つっ!!」

 まずはその右手に積み上げた拳を、すれ違いざまに叩き込む。
 海をかき混ぜるように砂が舞い上がり、次に少女の足に"斧"を作り出した。

「───、二つっ!!」

 "マーナガルム"を斬り伏せたときの海破の一撃。
 薙ぐような一振りは、海を切り裂き、sの衝撃で大きく場を揺らした!

三廻部 颯 :
「三つ───四つっ!」

 虹の輝きはその場で夢を紡ぎ出す。
 錬成に次ぐ錬成、自分の体すら媒介にする錬成は、その手に再び"布都御魂"を生み出し、
 あの時見て/受けた一振りを、都合二度!

三廻部 颯 :
 五つ、六つ。

 砂浜で目覚めたとき。
 ホオリさんに送られて、トヨタマヒメに連れられて、海から還ったとき。
 狼にも、虎にも放った蹴りの一撃。

 海の中を貫き、地上へ届かせる勢いの光!

三廻部 颯 :
「───七つ!!」

 無尽蔵の勢いのまま、海を舞い、光の中を舞い、光を束ねて、束ねて、重ねて───
 “蝕みの君” の強固な体を持ち上げ、揺らした、わたしが最初に撃った拳の一撃。

 あの時は、届くことすら叶わなかった"虎"の頭上から。
 虹の輝きを纏い──布都御魂すらも、その炉に焚べて!

 颯という、一振りの剣と成って───

 

三廻部 颯 :
、   、 剣
 いま、その拳を───


「これが私の、ッ!!
 全部だぁ─────────っ!!!」



 蒼海を駆ける流星の如く、突き出す!!

SYSTEM :
ただひとり
 誰かと手をつなぐこと、ただ一度しか叶わなかった者が。為すべきと思ったことを託した。
 理由などなく、ただそこにあったのは素朴な善意だが。それと合わせて、きっとあの時するべきだったことをした。

 …受け取ったものが、水底にまぼろしを見る。

SYSTEM :
 まぼろしを形にする術を持ったものが。

 ──架空の空に虹を架ける。 

SYSTEM :
 七色の輝きは、一瞬のまぼろし。
 その目に留まったあと、それが形に残ることは滅多にない。

 焼き付くものが何処かにあるとしたら、それは心の内側だけ。
 錯覚するほどに長く、駆け抜けていくほどに短い記憶の名残。
 挟んで来た栞を標にして、流星が泪を零す。 

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :

「───!」

SYSTEM :         
 友誼を繋いだその手が、勇ましく、痛みを伴う友誼を振り翳す。
 それ以外に色を知らぬ双つとなきものへ。

.. インフィニティウェポン
 無限の可能性を秘めた武器を、モルフェウスの基本にして奥義たらしめるのはその応用性。
 海を斬る一振りにもなれば、大地を揺らすものにもなり、巨きなあの空さえ切り裂くものになる。

 だが、だが、ああ。
 黙って相対し受け入れてやるほどまでに愚かでないから、彼女はそこまで生きてきた。

SYSTEM :
 それでも虹の輝きに。

 目に焼き付けても忘れてしまうもの、生まれたその時にはとてもちっぽけな、ただのオーヴァードの誇らしげな短い旅路に。
     
 怪異の雄叫びがどちらかも知らぬものの背を押す中で、女はたぶん笑った。
 敵を討つ刃にしては、光の色が───。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 
「───やさしすぎるコト」

SYSTEM :
 可能性の虹など掲げて、滅ぼす以外で拳を振って来るものに、恐らくその生き物が“笑う”以外の出力方法を試せるとも限らない。

 一つだけ悔恨がないでもなかったが、それは思考の問題だ。
       ヒキガネ
 兵士は思考で撃鉄を起こさない。

 反射が、目の前の敵に矛を向ける。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「っはは───
 はははははははァッ───!!!」 

SYSTEM :
 すれ違いざまのひと断ちを、あの時と同じように受け止める。

 海を割る奇跡の中。
 不死身を捻じ伏せるものの中で、無双の魔獣が生き延びる。

 絡繰はなんということもない。
 ただ、強靭いだけ。時を隔て、絆しを隔て、澱みさえも隔てる空洞の如き守り。
 独りと独りが応じる矛との衝突の中で、それが彼女を、既にここまでそこらの大型ジャームなら二桁討滅し得る攻撃に対しても健在の状況を作っている。 

SYSTEM :
 夢の栞を挟むたびに、水底から現世に送り出した骸の一振り。
 片手の鉾が、あなたのなぞる刃に応じた。

 海鳴りの響く中。天の彼方へ。
 あるいは、海の表面できっと待っているだろうものに、何かを伝えるように。

 禍津日ならざるものへ。
 海神へ神楽を舞うように、白が奔る。虹が踊る。

SYSTEM :
 互角の衝突に、少しずつ違いが出た。
 鉄壁の護り、届かぬ隔たりに、少しずつ風穴があく。
 虹の彼方から、手が届いたその時に、ぴし、ぴしと硝子を割るように、重力の多重防壁が罅割れる。 

SYSTEM :
 楽し気に笑って、ただあの一瞬だけ困ったように笑った虚ろの空が。
 あるいは怪異と一緒に、はじめて打ち合って負けた時、その報いを噛み締めた。 

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 アキラメタ
 隔てたものが、
 あちらから手を伸ばしにやって来る。
 意味もないのに、よくもまあ。
 ああなんと傲慢で………。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 ………なんと過ぎた報いだろう、と。
.. コマッテ
 楽し気に笑った。

SYSTEM :
 それがあと1年早ければ、と。
 それだから、という気持ちを合わせて笑ったことを、たぶんこの生き物は自覚しまい。

 それと繋がる独りと独りなど以ての外。そこにあるのは名残と骸だ。

SYSTEM :
 叫ぶ声に意味を見出したのなら、そんなものはまぼろしに過ぎない。

 ただ、魔刃の護りを砕いたことの痛みがそうさせたのだと。
 だというのに、その言葉を勝手にひとりが分かった気になって、代弁する。

『ホデリ』 :
『遅いわ、この暗し者め…』

SYSTEM :
 …どちらの誰に向けたものだったのか。

 届くかも分からぬものに向けた、
 雄叫びへの勝手な返答は、その爆ぜる虹の輝きにかき消される。

SYSTEM :
 魔刃の片割れが砕けて、それでも膝を突かない。
 怪物は擬きだろうとすべからく怪物だからだ。そうあることが生き方で、きっと死ぬまでそれを“楽しい”と嗤う獣が、その合成獣。

SYSTEM :
 ………ただ………。
 ・・・
 あなたへの報酬は、
 微かに垣間見えたあの顔だ。

SYSTEM :
 海鳴りの中に誰もがまぼろしを見る。

 その極めつけ。
 一瞬の虹の名残を噛み締めるように、はじけ飛ぶように退いたものが踏み止まった。

三廻部 颯 :
「勝手に───諦めないでよッ!!」

 魔刃を砕き、海潮の流れの中で、虹の輝きが瞬いた。

三廻部 颯 :
「もう遅いとかッ!
 手遅れだとかッ!
 自分は化け物だからとかッ!」

三廻部 颯 :
「全部言い訳でしょ、そんなの!!」

三廻部 颯 :
 ひと
「他人から化け物って呼ばれて、そのまま化け物のまま終わるつもり!?
 そのまま───そのまま、魔が差したつもりで、終わる気!?

 そんな顔で終わらせない───終わらせてたまるか!!」

三廻部 颯 :
 手を伸ばす。

 無限の可能性を持つ武器が、その手に宿るのなら。
 そんな顔を見ても、私は───私は何も諦めない……!」

三廻部 颯 :
「言ったでしょ!
 私が勝ったら──来てもらうって!!」

 その手を、明夜白銀というひとの、体にまわして。
 その背中を、その体を、無理くり抑えるようにしがみついた!

「私は一人で戦ってるわけじゃない!
 だから──まだ、勝つ気でいる!!

三廻部 颯 :
、  、・・・・
「もう、捕まえたから!!」

 ───まるで、最初の布都御魂の一振りを迎え撃たれたときのように!

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「は、は、は!
 分かりますまい! 分かりますまいとも!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「似通う血の縁で適わず!
 同じ隔ての彼方で届かず!」
 オナジ
「対等など夢まぼろし!」

SYSTEM :
 無双の怪物が、突き抜けた戯言/まぶしい絵空事に笑う。
 初めからそれ以外の出力方法はなく、それ以外の感情は隔てと共に喪われた。

 その生き物にとって、虹の彼方の囀りはとても傲慢だ。
 誰しもが今、その理由では挑みかかっていない。

 何よりオーヴァードに敏いものは存じていよう。
 魔の差した時、そいつは片道切符を手に取っている。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
    ・・・
「それはおまえの都合だ!」

三廻部 颯 :
「───悪いかっ!!」

荻野目 旭 :(………っそれは)

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「私の手に運よく握り潰されなかっただけのミクルベハヤテ!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「縋るように哀れむのはお止めなさい!
 私は今でも、ちゃんと…ちゃあんと生きていますよ!」

SYSTEM :
 楽し気に笑った生き物が、あなたを突き飛ばす。
 たった一度の蜘蛛の糸だが、元よりこの生き物がそれで満ち足りるならこんなことにはなっていない。

 あるいは。
 それはどんなにアソび気分でも戦場を知っているから、数秒先を読み取ったのか。
 そんなことは当人が喋らないので、定かでもないけれど。

SYSTEM :
 …。
 ・・・・・
 魔の差したことがあるとすれば、
 それは2回目。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「──────」

SYSTEM :
 友誼には遅すぎたものを、あるいは嘗て“そう”だったらしい敗残の徒が望むように突き返す時。

 たぶんそいつの欠片は魔が差した。

三廻部 颯 :
「───」

 がぼ、と。
 溺れるはずがないのに、溺れたように。
 力無いその手が、自分を突き飛ばした背中に、伸ばされ続けて───

 少女の体は、鈍く離れていく。

三廻部 颯 :
……GM!

三廻部 颯 :
すっごい情けない格好だけどロイス取ります!!

GM :…おや。

三廻部 颯 :明夜白銀さんに、……○P尽力/N劣等感で!

GM :そう言えば…

GM :残って…いらっしゃいましたね ロイス

GM :いいでしょう キャラシートに書き加えておいてください

三廻部 颯 :はい!やりました!

荻野目 旭 :
「……三廻部さんっ! ンぬぬ……!」
 思わず手が伸びる。
 離れていく体、その腕をなんとか掴んで、力まかせに引き寄せる。

荻野目 旭 :「無茶をしてぇ……! ……よくがんばりました!」

三廻部 颯 :
「っ、……」

三廻部 颯 :
「ごめ、ん……ありがと……旭くん、……ふ、ぐっ……う、うぅっ……」

 抑えきれないように、ずっとずっと堪えていたはずの涙が、海潮と共に流れ落ちた。

荻野目 旭 :
「…………」
 言うか、言わないか。
 一秒だけ悩む。そんなの追い打ちでしかないってわかってるけど。
 ……。その涙を拭って、掴んだ手をもう一度両手で包み込んだ。

荻野目 旭 :「あいつは……もう、戦うことでしか、誰とも繋がれないのかもしれません」

荻野目 旭 :「……よくがんばりました。あとは──」

荻野目 旭 :「僕らの仕事です」

三廻部 颯 :
「───、……っ、……う、ぅ」

久外境耶 :「ハッハ! ガキがガキ泣かしてら!」

三廻部 颯 :
「うっ、さい、うっさい、うっさい、くそがきっ……!!」

久外境耶 :「聞こえねえなあ〜〜〜〜! ダーハッハッハ! 言い返してエならさっさと泣き止め小娘」

“害群之马"龍嘉睿 :
「……」

 ……思うところがないわけではないが。
 出てきた"結果"そのものに、問うておかなければならないことはあった。
 それが、仕事の邪魔になる存在であったとしてもだ。

「明夜白銀」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :「おや、まだなにか」

“害群之马"龍嘉睿 :
「……その選択で、構わないな?」

 ──カタギじゃないというのなら、裏のやり方が待っているだけだ、という通告だ。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :「───はは」

SYSTEM :
 いまの笑いは。愚問への笑いだ。
 誰が聞いたって分かる音の弾み方。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「何を今更。
 そのつもりで引鉄を上げたのではありませんか」

“害群之马"龍嘉睿 :
「……そうか。今更だな」

 ……その言葉には裏表もない。それが答えだ。
 

“害群之马"龍嘉睿 :
「──では、俺のような悪党に踏み潰されても構わんということだ。
 閻羅の裁きを自称する、レネゲイドの怪物に食い殺されても!」

 励起するレネゲイドを抑えることはない。

“害群之马"龍嘉睿 :
「──それで構わんな?」

 最後通告だ。
 その仕事に躊躇いも容赦もなく。
 ・・・・・・・・・・・
 俺はやるといったらやる。という意志表示が故に。

「俺はトヨタマノヒメの依頼を受け、
 そのホオリノミコトの身柄を要求する。
 その血に希われたが故に、全ての障害を排除する。俺にとって、貴様はそれでしかない」

      ・・・
「──依頼は、絶対だ」

 日常と、その間で揺れ動く者"たち"へ、その処断を問うた──"依頼"とは絶対だからだ。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「そっちのきみは、
 自分への確認が好きですね」

SYSTEM :
 意志表示への答えなど、引き抜いた矛が全てだ。

 それでいい、それがいいと。
 望外の”気紛れ”を越えて差した魔の先は。
 アタリマエ     .アタリマエ
 殺意を、最大限の殺意で返す日常風景。

 双つとないものの、始まりから終わりを飾る“いつも”だ。

“害群之马"龍嘉睿 :
「自分を見失って、七発目にブチ抜かれるつもりはないからな」

 口に出すつもりはないが。
 "仕事であり、それを必ず果たすための道具"──その自己認識の徹底こそ、裁きの魔弾は力を増す。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「──────」

 血が伝うツメクサの糸を握り締め、殺意に蠢く刃を絡め綴じる。

 それが、私から彼に示す応え。
    ゼノス
 狭間で揺れる半端者としての、ひとつのプライドと誠意のかたち。

荻野目 旭 :
「……………」
 三廻部さん以外誰もが多分わかってる。

 ・・・・・
 もう手遅れ。
 それを多分彼女自身もわかってて。
 わかってるのに付き合ったのは最後の人間性だ。

 ……最後までむかつくやつ。
 三廻部さんの心を、死ぬほどむかつくやり方で包んだ。

荻野目 旭 :
 あとに残るのは、勝手知ったる僕らの戦場。
 僕らのうち誰かが彼の銃火に火をつけるか、ここまで待ったのも彼の優しさだ。

荻野目 旭 :
 握ったままの彼女の手を、なだめるようにさすりながら……
 僕はきっぱりと告げる。

荻野目 旭 :「……あなたの流儀ってやつ、見せてくださいよ!」

荻野目 旭 :
    あとしまつ
「僕も……僕の仕事しますから!」

“害群之马"龍嘉睿 :
        ハイチュージーマー
「──その言葉、"害群之马”が聞き届けた」

 それが、引き金となった。
 

“害群之马"龍嘉睿 :
「テメエは長生きしすぎた。
 裏に染まったやつは、何であろうと短命だ。そしてテメエは、裏でいいと言い切った」

「──カタギじゃねえ道に、真を見出すなら。
 せめてそれらしい方法で送ってやるよ。下衆じゃねえなら、一思いに満足して夢の中で息絶えろ」

“害群之马"龍嘉睿 :
>>薬莢ニ酸・甜・苦・辣・鹹・澀・腥・沖、河畔ノ薬草──。

“害群之马"龍嘉睿 :

>>忘川河ノ水ヲ混ゼ合ワセタ物ヲ詰メヨ。

“害群之马"龍嘉睿 :

 ──さあ、さあ、さあさあさあさあさあ!!! 行こうや龍!!
   地獄の沙汰は銃弾次第、テメエの一発一撃が判事の槌になる!

“害群之马"龍嘉睿 :
 活性化するレネゲイドの熱が、俺を煽り立てる。
 いちいち気に留めるほどでもない。
 もう一人の自分とも言える衝動(熱)の権化。
 失ったものを俺に補完し、代わりに余計なものまで齎す化け物。

“害群之马"龍嘉睿 :

 ──複雑なもんだ。

“害群之马"龍嘉睿 :

 銃弾を込める動作に一切の無駄はない。

“害群之马"龍嘉睿 :

 ──他人の喧嘩(ゴンタ)だってのにな。

“害群之马"龍嘉睿 :

      ・・
 ──だが、仕事だ。つまらん感傷で引き金を止めんな、龍。
   頼まれ事は、確実に遂行しろ。何を差し置いてもな。
   元より一挙両得が出来るようには、出来てねえんだ。

“害群之马"龍嘉睿 :

 ──テメエは意志の代行者。声無き叫びを、銃弾に変えるヤツだ。

“害群之马"龍嘉睿 :

 ──……ああ。

“害群之马"龍嘉睿 :

 >>銃身ハ冥吏ノ肉体、撃鉄ハ星君ノ指──。

“害群之马"龍嘉睿 :
 予想されるは最後の抵抗。
 それはもはやヒトではなく、兵器として組み込まれたアルゴリズムのようなものだ。
 死にそうになったら、殺しにきたやつの足を止める。実に単純明快な理屈だ。

“害群之马"龍嘉睿 :

 手を握ることを拒んだ結果はあっけない。
 処刑人はすぐ側に来ている。

“害群之马"龍嘉睿 :

 >>此レヲ以テ拳銃ノ鋳造ヲ完了トス。

“害群之马"龍嘉睿 :

「 盤古開天闢地 ──」

“害群之马"龍嘉睿 :
「往生しろや──、

“害群之马"龍嘉睿 :

 ──【北斗星君・夜摩天】」

“害群之马"龍嘉睿 :

 弾丸は、放たれた。
 全ての物事を解決させる、銀の弾丸。
 "当たる"と"確定した"一発だ。

 それ以外に語ることもなく。
 その一発が、裁きの稲妻である。

SYSTEM :
 もしも。
 どんな生き物にも平等なものがあるとしたら何なのか。

SYSTEM :
 例外は如何様にもあろうとも、概ね生きることと表裏一体なものは死だ。
 生き物は生きている、ただそれだけでどれほどの幸運を消費しているかも定かでない。

 何かの歯車が狂わば、簡単に生は死に変わる。
 強かろうが、弱かろうが、特別の有無に関係なく。 
 …その理は、いまのところ、どんな生き物にも平等だ。

SYSTEM :
.ハイチュージーマー 
“害群之马”はその理に沿って事を成す。
 厳密に言うならば、彼はその理を土台に己の流儀を敷く。
 魂を懸けて、代行するべき意志の道を切り拓く。遍く超常を討つ背徳者殺し。
        めくら
 道理と筋の通らぬ盲に生きる価値なしと審判を突きつける───。
 夜摩天が死を前に、世界の道理から外れた逸れ者を裁く。

SYSTEM :
 だが、それに大層な武器は必要でない。
 ただの銃器だけで十分。

 彼が上げた撃針、放たれる矢に、大きな機能の代行などがあろうはずもない。
 他人の喧嘩の代行。鉄砲玉の理屈に、複雑怪奇な言葉は要らぬ。
 そんなものを背にして戦う男ならば、彼はここにいなかっただろう。

SYSTEM :

 心の蔵を撃ち抜いて、ただ殺す。 

SYSTEM :
 彼はそれを果たすための人間であり、そのためにあらゆる道具が付随するだけ。
 本質はレネゲイド殺しの対抗種であるところにも、
 ことを成し遂げるという強烈無比なレネゲイドのイメージにも、
 ましてや中国武侠の鉄砲玉という形で培われて来た精神性にもない。

SYSTEM :
 撃てば中る。
 中ると定めねばならない時、例えば命を擲ってでも成し遂げる。

 それが龍嘉睿の唯一無二。
 あらゆる不確定を踏み躙り、何を用いても百を確定させる。
 裏切りの謳歌する世界とて、裏切ってはならないものを知っている。

    シンプル   
 物事は単純なほどいい。
 
 彼はただ、彼が心に刻んだ己の理に忠実なだけの男。 

SYSTEM :
 なんとも芸がなく、だがそれゆえに───。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───!」

SYSTEM :
 それゆえに。
 貫く力は誰より何より強く。

SYSTEM :
 双つとなき唯一無二、虚ろの獣に風穴が開く。
 ・・・
 たかが必中が必殺になるとは限らず、
 ・・・
 たかが心臓が一度だけで致命傷になるオーヴァードなどお笑い種。

SYSTEM :
 だがそれは、ただの必中でも致命傷でもない。 

SYSTEM :
 内側から、いかずちが爆ぜる。
                       スパーク・ラダー
 この世に非ざるものを道連れに地獄に駆け落ちる雷電螺旋。

SYSTEM :
 果たすと決めたならば。
 神さえ欺くものを貫く最強の鉄砲玉。
 端的に強さのベクトルが違っている。
 
 それは生きていようが死んでいようが、その理を嗤うもの等しく裁く夜摩天の催促状。

 死滅を競う閻魔の哄笑。
 誰も彼も等しく地獄行きの判決を前に、そもそも螺旋を征く者が耳を塞ぐ道理はない。

SYSTEM :
 確信さえある。

 いまの射撃が確実に何かを砕いた。
 彼女は不死身ではない。

 負け知らずなだけで、死ねない生き物ではない。
 いまの凶弾は、往生を遂げるのに十分だ。

SYSTEM :
 だが………。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :

「まだ………ま、だァ!」

SYSTEM :

 以て致命傷の瑕で、彼女は高らかに叫んだ。
 今もなお内側から細胞を破壊し、生きながら殺されるような痛みでさえ、彼女の応ずる感情表現は“それ”以外にないけど。

 生きている、を叫んだばかりの生き物が。
 終わり行くものが臨終を拒んだのはどの意志か。

SYSTEM :
 独りと独りと独り。しょせん、連帯のない生き物の群だ。
 なれども、いま彼女を突き動かしたものは、怒りの類でもなかった。
     オディオ
 世界への憎悪が、魔の差した孤独を繋いでいたから……。
 梯子を外された方が、梯子を外した方の欲望に触れるまでにさほど時間はかからなかった。

SYSTEM :
 合成獣の持つ生命の脈動。

 それを一方的に動かしたものは、
 もはや意志宿るはずのない怪異の雄叫び。 

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「ははは───まだ!
 どうですか、まだ、生きている───!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「…梯子を外した挙句これとは傲慢な!
 まあ、…いいでしょう、いいでしょうとも、付き合ってあげましょうとも!」 

SYSTEM :
 ところで。

  旭
 あなたが、感じた憤りとも納得ともとれる感情に答えを出すならば。
 自分が一線を越えたことを、当人が自覚しないはずはない。
 それさえも自覚できない例外はあるけれど、彼女のそれはそうじゃない。

SYSTEM :
 そして。
 とっくの疾うに気付いているかもしれないが………。
            ・・
 時間の問題でも、彼女はまだ果てに辿り着いてはいなかった。

SYSTEM :
 ───“蝕みの君”がそうだった時。
        おと
 確かな終わりの感触がしたのを忘れていまい。

SYSTEM :
    ジェネシフト
 だが意識的な限界突破を試みた以上、彼女に許される道は二つに一つ。
 欲望のまま突き進むか、ここで終わるかだけ。

 そいつが択んだのは骨の髄まで前者だ。
 戦うことでしか繋がりを持てず、
 トナリアウアイテヲシル
 戦い続けることが飢えを満たす欲望で。
 それ以外の生き方を識る暇もないから、最後までそれで踏み込んで来ただけ。数十秒前の最大の気紛れ、差した魔とは別に…。

SYSTEM :
 そのバロール・シンドロームの共振が齎す重力が、水底に揺蕩う空想の世界をより下へ下へと下げていく。
 今は表層にて待つものから遠ざかることなど知らずとも。
 ただその果てに待つものがいるのだと、死んでも願う怪異の一方的な願望に合わせて───火蓋を切るように。

『ホデリ』 :
『揃って暗し者か! 何処に向かう気か存じぬが…』

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「さあ! 何を今更!
 後始末をして下さるのでしょう! 最期まで…」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「もとい!
 負けるか勝つか…付き合って頂きましょう!」

SYSTEM :
 それ以外の感情を持たないものが、最後まで楽しそうに笑う。
 合わせて呼応する咆哮が、はじめて指向性を持った。 

SYSTEM :
 …その意味が何か、誰も分かるまいが。
 ただ白い狗だけが嘆息する。

『ホデリ』 :
『…人生最期の我儘だと? 戯けめ。
 汝が何度我に勝手なりと振る舞ったというのだ』

『ホデリ』 :
『…付き合わせておくれ』

SYSTEM :
 後腐れなく殴るには、
 彼の手は生物としてもう適していない。

 意味は言わずもがなだった。

荻野目 旭 :
                ケツイ
 稲妻のように鋭いたった一射が、殺意とともに放たれる。
 彼の有言実行を貫くにはそれで十分で、
 人間ならそれで殺せたはずだろう。

荻野目 旭 :
 だけど……そうはいかない。
 いまのあいつは3体でひとつ。
 渾然一体にどれだけの自覚があるのかはさておいて、ウイルス単位で結びついている。口調と操る技がいい証拠だ。
   ミレン
 その憎悪が尽きないのならば、獣はまだ立ち上がる。

 ……あれだけの猛攻を受けてだ。

荻野目 旭 :
 あと1打いる。
 せめて、あと1打だ。

 動けるのはあとひとり。正確にはふたり。
 そこで仕留められなければ、最悪の場合誰かが欠ける。

荻野目 旭 :
 世界が落ちていく。水底からなお深くへ。

“害群之马"龍嘉睿 :
「──ふう」

 結論から言えば、鉄砲玉は仕損じた。
 殺すつもりで撃って生きているなら、それは失敗だからだ。
 だが、漢に落胆の色合いは見て取れなかった。
 ギリギリの死線など分かり切っている。
 人生を賭けた計画が失敗するなど当たり前のことだ。あの現人神を仕留め残ったように。

 これまでの人生、何度もそういった場面に立ち会ってきた。

“害群之马"龍嘉睿 :
「生きている、ね。
 生かされている、の間違いじゃあなきゃいいが」

 ──荒れ狂う武人としての人生は、あの一発で全て奪い去った。
   仮に行動を続けたところで、自壊は目に見えている。
   閻魔の裁きは下された。傷を語る時間はもう終わりだと、法廷は綴じられた。

“害群之马"龍嘉睿 :

   ・・・・・・・・・・・・
 ……だがそれじゃあ面白くねえ。

“害群之马"龍嘉睿 :

“害群之马"龍嘉睿 :

 ──喧嘩(ゴンタ)を締めるのは、いつだって当人同士だ。
   白銀がもはや武人として動けないなら、あと残るのは、叱ってほしいというやつ一人。

“害群之马"龍嘉睿 :
「……悪いな。最後までこうで。
 どうも、俺は人を振り回しがちらしい」

“害群之马"龍嘉睿 :

 漢は、後ろに立つ一人と一匹、

“害群之马"龍嘉睿 :

 否、もう一人──否!!!!

“害群之马"龍嘉睿 :

 ──総じて二人で一つの"漢"へと振り向くことなく告げるのだ。これは、俺からの依頼でもあると。

“害群之马"龍嘉睿 :

「そら、依頼人が来たぞ。
 俺の"仕事"はもう終わり。あとは夢現に消えるのみ。

“害群之马"龍嘉睿 :
       ・・・・
 ──あとは、お前たちの仕事だ。

“害群之马"龍嘉睿 :
 すまんな、"ラッキージンクス"。
 トロイの木馬のような災厄を、最後の最後まで押し付けるカタチになって」

久外境耶 :
「るせ〜わ、支払い炒飯のくせによ。ったく、どこまでも一方的なヤツ」

 ブツクサ呟いて、意識を切り替える。呆れまじりの声はフシギと楽しがっている。

 まあ。貰えるのが修羅場なら、他人にゃ貧乏くじでもおれには大当たりだし? ……というコトにしておく。

久外境耶 :
 果てきれぬ嗤い声に、とうに行き果てた咆哮が重なる。
 その一致をただひとり紐解けた男へ、

「──おう」

 静かに笑う。当たり前だろ野暮めと、苦笑交じりに。

「負かして、勝つぞ。骨の髄までわからせてやらぁ」

久外境耶 :
「よう──冥途の土産に笑い話をくれてやるよ」

 青白い光の軌跡を残して、"喚楽の人喰い虎"へ肉薄する。嗤う。嗤い合う。それしかできない虎と、それをしたがる兎が。

久外境耶 :
「ホコタテ挑んだ時点で負け確ってハナシ」

 矛と盾の寓話に、決着はつかない。だがこれは現実の闘争だ。

                      ヒトリ
「おれらは矛と盾、最強無敵が揃ってンだぜ?  鉾 で敵うわきゃねーだろが。だが何より……」

久外境耶 :
 腕を引く。振りかぶる。空の拳を中心に、凍える鬼火が音を立てて凝結し、長柄の得物に変じた。揺らめき二重になる像は冷気か、重力か。

「弟がア! お兄様に! 勝てると思うなアアアーーーーッッッッ」

 扱う技量などない。必要も。零距離で、心臓めがけて振り下ろす。単純、簡潔、明快! なにより分かりやすい決定打を、ここに!

SYSTEM :
 …兄は拳を振るったことはない。

 頭ごなしに怒鳴りつけたことはあったし、組み合ったことはある。
 ただそれが喧嘩になった、と、兄が思ったことはなかった。伝わったような感触も。

SYSTEM :
 …弟も拳を振るったことはない。

 自分が拳を本気で振るってしまったならば、兄は容易く死ぬと幼心で分かっているからだ。
 取っ組み合いなどしたとすれば、それは一方的な“あしらい”でしかなかった。

SYSTEM :
 怒りを拳に乗せて殴るということを、お互いしたことなどなかった。
 
 そういう相手ではなかったからだ。お互いに。

SYSTEM :
 お互い、一方的に押し付けた代理人が。
 ひとりを背負ってひとりをぶつけようとしている。
 
 明夜白銀の感情に“けり”がついたのが、ある少女の愚直だとしよう。
 彼女は少なくとも、人生最初で最後の魔があの時差した。

SYSTEM :
 
 では。
 これで“けり”をつけるべき相手は、彼女ではない。
 ヒトリ       ヒトリ
 一匹分の未練と、一体分の妄執。
 血が繋がりながら、何処までも認め合いながら、兄と弟をレネゲイドが隔てていた。

 それを埋める機会だった。

SYSTEM :
 ただ愚直な振り下ろしの直前に。
 一心同体、一期一会のパートナーが。一瞬を何倍にも引き延ばしたように誇る。

『ホデリ』 :
『汝といふものは…
 勝手なりしままに常日頃と振る舞いおった』

『ホデリ』 :
『───だがそうであるべきだった。なれば…』

『ホデリ』 :
『今日ばかりはわたしも勝手なりしままに振る舞おう。
 わたしの手にした報いの徴は…』

『ホデリ』 :
『我らは何者にも屠られぬぞッ!』

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「結構、ああ結構!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :

 それがよろしい
「我が意を得たり!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
   めざましきもの . とくうせよ
「───変わらぬ儘に、潰して差し上げるッ!」

SYSTEM :
 虚ろの器に、消えぬ熱が宿る。
 戦うことしか知らない、骸の上の勝者。
 骸の下を断じて知ることのない、百分の一が吼え猛る。

 独りと独りと独りが、
 あなたの拳に迎え撃つ渾身を腕に乗せる。

SYSTEM :
 ま け ず   し な ず
 過去の不敗と、現在の不死身の最終ラウンドだ!

久外境耶 :
「っ……ハ、ハ、ハハハ──!」

 圧されている。じりじりと着実に拳は圧し負けている。だが嗤った。嗤いがとまらなかった。だってそうだろう。

 一秒後に砕かれる未来の手触りを感じながら──

 全身が、全霊が、勝利を確信していた。一人の渾身に、相対するのは二人分。いつかは負け犬だった二人の、勝利しか眼中にない全乗せの一撃だ。

久外境耶 :
 かつて、笑わない男のもとにいた。
 いまは、不器用な男のそばにいる。

 報われすぎるほど報われて──

 早すぎる勝利宣言も、重ねた流儀も、前払いが過ぎるから。

 負けないし、負けられない。負けるはずが、ない。

久外境耶 :
「おいホデリ、旭! よく見とけよ。これが──

 おれらの! おまえの……勝利だァッ!」

 押し返し、振り抜く──不敗の渾身を一敗地に塗れさせ、星の如く!

SYSTEM :
 ヒトリ  ヒトリ
 二人と二人が、拳を振るう。

 もとより最適な運用方法が、
 先程示した通りの技もへったくれもない原石を擲つが如き振る舞いならば。
 そんな、あまりにひどい原始的殴り合いになるのは、きっと当然のことだった。

 さらに言えば、ただの一発/渾身で全てが決まるのも当然のことだった。 

SYSTEM :
 水底に、誰もがまぼろしを見る。
 ヒトリ  ヒトリ
 二人と二人。
 捻じれた妄想衝動のジャームが持つレネゲイド因子の共振が。
. ファイトクラブ
 二人で一つの因子で繋がる、兄と弟のまぼろしを。

SYSTEM :
 在りし日に、痛みを顧みず…。
 傲りに等しい信頼を捨て、愚かな躊躇を仕舞い込んで。

『兄』 :
 ・・・・・・・・・・ ・・・・・・
 強いおまえが怖かった/それでも弟だ、と。

『弟』 :
 ・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・
 自分が怪物でも/兄と呼ばせてほしかった、と。

SYSTEM :
 話すことが出来ればどんなに良かったか。
 他人の悔恨が拳に乗り、言えば良かったと激情が他人越しに衝突する。

 代理人同士、わらう理由は似て非なる。

 きっと貪り尽くしてしまうだろう、この島で味わう最後の熱。
 生き続けるあなたが咀嚼していく熱。

SYSTEM :
 ただ…その衝突の答えを、誰もが知っている。
 一秒後に砕かれる未来の手触りは現実になったとしても、
 ノロイ
 未練がある限り立ち上がる最強の獣の倒し方を少年は知っている。

 これが勝ちだ、と呼びかけられた者が。

『弟』 :
“知れるものなり”

『弟』 :
“兄上には適わぬ”

SYSTEM :
 骸に宿る途切れかけの意志。
 最後の未練が解け落ちる。
 コドク
 無双の獣を作っていた、独りと独りと独り。

SYSTEM :
 そもそもひとつには、
 殴りかかるこの時点で決着がついていた。

SYSTEM :

 ・・・・・・・・・・・・・
 覚えていてもらうことを希うなど…。
 あんなちっぽけなオーヴァードにするものではなかっただろう。


 彼女は口にした1秒後に後悔したが、彼女は後悔の理由と裏側を自覚さえしなかった。

 彼女の衝動は闘争でも破壊でも殺戮でもない。
 何に飢えているのか、その差異を悟ったホデリのあの時の憐憫こそが真実だ。

SYSTEM :
 …そしてもうひとつに、いま決着がつく。
 遺したものがあるのだと知った彼の最後の未練は。

『兄』 :
“この暗し者め。努々、忘るることなかれ” 

『兄』 :
 ホオリ 
“…我が弟よ”

『兄』 :
“兄は、強かろう”

SYSTEM :
 その言葉だったからだ。

SYSTEM :
 勝利の条件は人によって異なる。
 何を以て、望み果たしたとするかも。

SYSTEM :
 …かたちのない名誉が、ひとつだけ残ることがあなたの勝利条件ならば。
 それは、この時に結実した。

SYSTEM :
■終了宣言
クライマックスシーン『火明』のシーン終了条件を達成しました。

・“喚楽の人喰い虎”明夜白銀のHPが[0]になる

SYSTEM :
【Check!】


“海鳴りの大怪異”のEロイス『不滅の妄執』を公開します。

・クライマックスシーン『火明』でのみ有効
『融合対象(明夜白銀 or 蘆屋道満)』が戦闘不能でない時にHPが[1]以下にならない
・対象のHPが[0]になった時、自動で自身のHPが[0]になる


SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 やがて…。
 どこかの海の、誰ぞが識るでもない戦いが終わる。
 決着がただの拳、理屈も何もあったものではない一撃は、孤独と無双の生き物には近くて遠い味わいだったことだろう。

SYSTEM :
 御伽噺の島の底、海鳴に響く名残と妄執がほつれて消える。
 世界を形造るもの、憎悪で結びついた三位一体ならざる者どもの未練が消え失せる。

SYSTEM :
 ………そして………。

SYSTEM :
 水底の幻が失せていく。
 水面から広がる狂った無垢。裏表ない素朴さ。曰く”しみったれた”殺風景。
 それさえも、彼の男に眠りを与える小さなゆりかごであり、また同時にそこに“いる”と信じ続けて潜り続けてきたものの名残。

 そこからほつれて消えていき、あとに残るものは焼き付いた記憶の帳などでもなかった。

 そもそも島を作るものが、いま、あるべきところに還ろうとしているのだ。
 その理屈が現実から剥がれ始めるのは当然のことだろう。

SYSTEM :
 より殺風景な、海の底。
 泡はあり、海の音は響けども、呼吸は出来る。
 
 レネゲイドに形造られた生き物たちの世界が、海上の島の輪郭ごと消え失せようとしていた。

SYSTEM :
 そこにいるのは貴方達と、そして………。

三廻部 颯 :
 見知った水底。
 肌から感じるものも、耳から聞こえるものも、全てが懐かしさすら感じるもの。
 それが記憶に紡がれたものであっても、響く海の音は間違えようもない。

「───っ」

三廻部 颯 :
 するすると──島でずっとそうしてきたように、
 、  、  、壁抜け
 モルフェウスの"応用"で、受け止めてくれていた旭くんから抜け出す。
 涙は拭わない、ずっと零れ落ちたままで、潮の中を漂い続ける。

「どこ、……!」

 かきわけることもせず、
 滲む視界であろうと構わず、手を伸ばして、届かなかった……、
、   、  、  ・
 そう、届かなかった人を、捜し続ける。

SYSTEM :
 その空間に見慣れたものを覚えていたのか、それともただそこに行き着くのが早いだけか。
 海ならざる海、徐々に狭まり上へと遡る潮の流れの中で、彼女は確かにその者を見つけた。

 無双の魔獣。
 探さねば見つからぬほど遠い位置にいるでもないそれは、揺蕩いながら横たわっている。

SYSTEM :
 白雪のように美しく、明星のように鮮やかで。
 鋼色のように煌いて、宵闇のように悍ましい。

 そんな…あれほどに剛かった生き物の姿としては、ずいぶんと弱弱しく。
 消え失せていく雪のようになっていたそこに、ホオリノミコト/海鳴りの大怪異の姿はなく───。

SYSTEM :
 ………否。

『ホデリ』 :
『………われらの勝ちだ。
 それで───、』

『ホデリ』 :
『別れば、終わったのか?』

SYSTEM :
 穏やかな言葉が海に流れる。
 その向こう側。

 未だまぼろしを見る余地の残った、ふるきとあたらしきの潮の流れの中。
 降りてくるように浮き上がって、確かにそいつたちの姿があった。

 ………いや、姿と呼んでよいものか?

SYSTEM :
 きっと消え失せてしまいそうな者の一人は、何もしゃべらず。
 それを代わるように、降りてきたものが告げる。

“トヨタマノヒメ” :
「これからするわ。
 口にしないと伝わらないと、さきほど言われたものね」

『青年』 :
「………」

SYSTEM :
 海鳴りの大怪異の、いずれ消える記憶の名残。
 エグゾーストに分類して曰く『ファイトクラブ』の、消えゆくひとかけら。

 そちらに目を向けて、それからかき分けてくるものに目を向けた、ついさっきの敗残者に、もはや憎悪の武装はない。
 それが紐解けた今、彼女は逆戻り、いや、“元通り”になどなりはすまい。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「あー………
 そんな姿…だったんですねえ、貴方…」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「それで………
 ・・・・・・
 はじめまして、ではないですけど。さっきぶり、ミクルベハヤテ」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
          ぶき
「後ろのトモダチ? 仲間?
 なんでもいいですけど、彼がしょぼくれるので、その抜け出し方は程々にしてあげてくださいね」

荻野目 旭 :「………………余計みじめになってきたんですけど」

荻野目 旭 :そのへんの石を蹴る仕草。

荻野目 旭 :別にいいですけど まあぜ〜〜んぜん気にしてませんけどね 彼女にとって友達じゃないかもしれませんから

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :きみ もうちょっと勝ち誇った顔しませんか?

久外境耶 :オネーサン「そういうとこだぞテメー」ってよく言われねえ?

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :覚えてないので分かりませんね

久外境耶 :わ〜はっはっは クソ

“害群之马"龍嘉睿 :(ある意味うらやましいメンタルだ)

久外境耶 :つか拗ねてる場合じゃねえぞ おれは超〜〜〜〜寛大な心で耐えてるだけであの断片いますぐ殴りにいってもいいんだぜ

久外境耶 :褒め称えておれを止めろ

荻野目 旭 :えら〜〜い! ステイ! ステイステイ!

荻野目 旭 :後ろでよたよた立ち上がって境耶くんとホデリさんにハイタッチ求めます!

久外境耶 :ッスーーーー ハーッ

“害群之马"龍嘉睿 :俺の雇い主が満足するまでやめてあげてくれないか。彼女の気が済んだら幾らでも殴っていいから。

久外境耶 :ウェ〜イ勝利勝利 見てるか負け犬ども ッパーン

“朧の狩人/残骸” シホ :……いまさらだけど。
ブレーキほぼ不在だなぁ、この組み合わせ……。

久外境耶 :気が済んだら消えんだろうがよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

“害群之马"龍嘉睿 :最後に一発ぐらいやれるだろ幽霊ぐらい

SYSTEM :
 ハイタッチの合図を求め、境耶の姿勢を認めると、既にほつれた遺伝子の鎧なき今、ホデリは後ろ足で立ちながら軽く前足を伸ばした。

荻野目 旭 :にくきゅうロータッチ!同時に受けてへろへろの体がころころ転がります

SYSTEM :
 ふたりに向けたその前足は、どうやら“すまんがこれで妥協しておくれ”ということらしい。することに厭はなさそうな顔である。

久外境耶 :あ〜あ〜 へろへろども 旭のほうはひっくりかえる前に腕掴んどく

久外境耶 :……しゃ〜ねえなあ

三廻部 颯 :
 あらゆる方向に視線を向ける。
 けれど──現れた"名残"には、深々としたお辞儀だけで済ました。
 別れの挨拶はもう済ましているからだ。
 それがあの名残の人が、覚えているのかどうかはわからないけれど。
 それでも通じるものだと信じている。

 で──白銀さんに言われて、はっとなって、
 
「え、あ、う……ともだちだよ、絶対」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「左様ですか」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「負けた時の作法は知りませんが、もうちょっと勝ち誇ってほしいところで………」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「…。なるほどこれが土の味というのですね。
 ちゃんとした形で覚えておきたかったのですけど。あーあ」

SYSTEM :
 なんて、どういう感情かも定かでない笑い声を上げるものの横で。
 深々とした一度のお辞儀に、消えゆくものが同じく礼を返した。

 それは形だけを真似たものでもない。
 少なくとも無口な、裏表のない、“弟”は、あなたの姿と仕草に、微か口元を緩めていたからだ。

SYSTEM :
 ありがとう、を言わなかったのは…。

 彼とあろうものが、いまあなたの意識を向けたい先が”自分”でないことをくみ取っているからだ。つまり、後回し。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「………しかし、まあ。
 きっと覚えている中に、きみと似たようなことを抜かした人間がいなかったとも限りませんが………」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「はじめてですよ。友達になりましょうなんて、実際に握り潰しても躊躇おうとしないコ。
 ちゃんと教えたつもりなんですけど…」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「如何せん初めてでして。そんなもの向けていたら、覚えるはずなので。
 だから、まあ。きみのそれに…どう応えてやったものかは、終に分からずじまいでした。『ごめんなさい』ですね」

SYSTEM :
 その張本人はと言えば、変わらない笑顔と笑い声だが、少し声のトーンを落としたかたちの面で言葉を続ける。

 あなたが感情に任せて白銀に拳を叩きつけた最初の邂逅の時のものによく似ている。
 当人が出力できないその感情は、悲しみなのか、慰めなのか。

三廻部 颯 :
 誰が悪いわけじゃない。
 それは環境のせいで、環境が作ったレールのせい。
 少なくとも私はそう考える。
 だから、

「……謝らなくていいんです」

三廻部 颯 :
 そのレールに乗せられて轢かれていった命がいる。
 その者たちは許すことはないのかもしれない。
 けど──正直に言えば、私にとってはそんなことまで気にしてられない。

「……私が、っ。
 口だけで、なにもできなかったんです」

三廻部 颯 :
「……ごめんなさいを、言うのは、私の方なの……」

 境遇を知ってなお、理解してなお、
 それでも"孤独"であることを許せなくって、私の信条で巻き込んで、
 ・・・・・・・・・・・・
 それでやっぱりダメでした、なんて。

三廻部 颯 :
 ……こんな無様な話はないでしょうに。

SYSTEM :
 あなたの悔恨のかたちが何であるかを彼女は知らない。

 何しろその生き物の視点からしてみれば、

 一方的に約束を交わして、それを覚えていた弱っちい子供が言いたいこととしたいことだけして、その後泣いているようなものだ。
 もともと嵐のような生き物が、規模は遥かに小さいけれど、嵐のような感情の動きに付き合ったに過ぎない。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「あはははは!
 何をずっと蹲っているのかと思えばそういうコト!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「じゃ、まあ……。
 きみに、いちおう言っておきますね」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「私の生き方に合わせようとしたのでしょう?
 ソレとっても迷惑な哀れみですが、
 とっても嬉しかったですよ」

SYSTEM :
 皮肉めいていても率直に飛ばしてくる言葉は、
 彼女なりの裏表のない純朴な本音なのだろう。

 前半も本音だが、後半も本音だ。
 偽るような賢しさを、そもそもこの生き物は備えていない。
 無軌道な間抜けが10年やれるほどに強かったというだけのこと。

 後半も本音だから、この生き物はあの瞬間、本人すら後悔する咄嗟の振れ幅で“魔”が差したのだ。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「───ホラ。
 いつか言ったでしょう? 愚妹の話。

 あれはきみの今までいた場所にぜったい馴染めずとも、
 私のいるところにはもっと馴染まないようなコでした」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「私………ね。
 同じ目線の、殴ったら殴り返してくれるコが欲しかったんですよ」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
                               ・・
「この生き方、きほん、きみの今までいた場所から見ると、とっても迷惑ですからね。
       ルール          
 私、そういう規範は忘れたくても忘れないので。
 やっても楽しくないコト、自分の意志でやりたかないでしょう?」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「だからまあ、謝らないでけっこう。
 私は楽しかったので。それに……」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「これでもう…忘れないで済むというものでしょう。
 漸く…忘れないものを選り好みする必要がなくなるのですよ」

SYSTEM :
 敢えて忘却のメカニズムは語るまいが、少なくとも“迷惑”と“満足”は彼女の中では二足の草鞋だ。

 消えていく名残と共に、これはなり果てる前に、還っていくだろう。
 元々絆しを残せず、怪物になる術も選べず。独りだったものが、独りのままに帰るだけだ。

SYSTEM :
 ………ならばそれは、分からないものへの分からないなりの礼儀と歩み寄り。
 怪物は怪物だが、人として扱ったものの、残った部分のお返しだ。

 裏表のない独りだけの生き物。
 同じ独りが口を挟まなかったのは、お互い一方通行でそれを知っていたからである。

三廻部 颯 :
 違う、とも口では言えない。
 言い切れないからだ。
 拳を振るった時、今までの自分ではできなかったような力が出たこと。
 どれだけ出来るのか、どれくらい実現できるのか、そういった高揚感が無かったわけではないのだ。

 だから──そのことに、違うとも言い切れない、けれどそれを肯定しきることもできない。

三廻部 颯 :
 だから、なんどか頷いて、応えた。
 小さく、海の砂から作り出した勾玉のようなものを、その胸にそっと置く。
 手向というには、少しだけ不恰好だけれど……。

「……」

三廻部 颯 :
「……でもね、成りたかったのは、ちょっと、あるんだよ。
 ……日常に戻ったとしても、私は……私の体は、非日常(こっち)のままだから……」

三廻部 颯 :
 小さく頷いて、その手に、自分の手を添える。
 傷ついて、熱のこもった手を。

SYSTEM :
 いずれ消えゆく命の灯に、
 いずれ消えゆく偽りの繋がりが置かれる。

 本物と呼べるものは、それを置いたあなたの手の熱だけ。
 水底では感じようのない仄かな熱。深海で孤独だったものには触れ得るはずのないもの。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「あのサクラというのが、そっちにいるのでしょう?」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「では、なんとでもなりますよ。
 ………しかしこれは、何ですか。もう使い終わったあの勾玉に似てますが」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「手向けですか? それとも…」

三廻部 颯 :
「……それはね」

三廻部 颯 :
「私が、オーヴァードになった証。
 ……私のあり方の証」

三廻部 颯 :
「私を、忘れないように、って」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「なるほど。お互い様がいいと?」

三廻部 颯 :
「……うん」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「…ふふ。じゃ、そうですね。
 きみが忘れないうちは忘れません」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「後悔したくなった時に、忘れなさい。
 …そのうち治すべきだと思う無謀に免じて、それまで友達とかいうのは覚えておいてあげますから」

SYSTEM :
 けらけらと笑って突き放すような台詞の彼女は、ちょっとだけ普段より声を弾ませた。

 無自覚の上から目線で”覚えておいてやる”だ。宥めるような口調にも似ていた言葉があなたへの回答だろう。

SYSTEM :
 ………忘れたくないと思う間は忘れない、もなにもない。
 二度と何かを覚えることも忘れることもない、生まれながらの欠陥品/完成者にその言葉は欺瞞だ。

 欺瞞だが、この上なく自発的だ。
 あなたの無謀の報酬は、ただそれだけだ。

三廻部 颯 :
「……じゃあ」

三廻部 颯 :
「約束しよう」
 
 重ねた手で小指を立てる。
 そのやり方を知っているのかどうかはわかんないけど。

SYSTEM :
 約束の意図を、少し遅れて理解したのか、その腕が動き出す。
        ヒト
 立てた小指に、獣の指が絡んだ。知らないが分からないほどでもない、子供同士の約束。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :「どうぞ。お好きに」 

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「なにしろ。
 約束を覚えておくなんて贅沢、はじめてでしてね」

三廻部 颯 :
「───、じゃあ、いっぱい噛みしめよう。
 はじめてのことは、何度も、何度もね」

 指を絡ませて、微笑んだ。
 その顔から傷もひいて、ありのままの私を覚えてもらえるように。

SYSTEM :
 ───指きりげんまん、嘘吐いたらはりせんぼん飲ます。
    ギシキ
 約束の仕草に必要な言葉だ。
 どちらが言ったのか、言わずだったのかは定かでもないが。

SYSTEM :
 裏切りの横行する場所で、そいつはあまりに稚拙で過ぎた報いの話。

 やさしい夢などとはよく言ったものだ、と。見守る“裏切り者”が内心を覆う。
 覆ったのは、男はひとの夢と誇りを哂ったりはしないからだ。それを踏み潰す立場になっても。

久外境耶 :
 お行儀のよい先輩と違って、おれはそうはいかない。

 ……かたちのない名誉。
 誰に誇るでもない、胸に留める勲章を。

 受け取るべきやつが、まだいるのだから。

久外境耶 :
「おい旭」

 へろへろの腕を引っ張り上げて、背中に膝を入れる。ごく軽い蹴り。

久外境耶 :
「オママゴトに日和るやつに勝ちを献上したつもりはねえ」

久外境耶 :
「……言ったろ。おまえの、勝利だ」

荻野目 旭 :「あいてっ」

荻野目 旭 :今度は前に転がりそうになるのをこらえる。セーフ。

荻野目 旭 :「……」

荻野目 旭 :
 ……事情はわかってるつもりだ。       さき
 僕も、癒し手の端くれだからわかる、彼女に『未来』はない。

荻野目 旭 :
 だけど……。
 境耶くんの言葉も、紛れもなく本当だ。
 ここまで来て日和ってどうする、僕!

荻野目 旭 :「……ありがとう」

荻野目 旭 :ぎゅっとこぶしを固めて、肩を怒らせながら彼女に歩み寄る。

荻野目 旭 :
 倒れる人と、その手をつなぐ人を見る。
 つながれた指に、それがまだできる奴だったことをかみしめる。

荻野目 旭 :
            マンティコア
 ……わかってるつもりだ。化物なんてどこにもいなかった。

 あるのはただ、空想の空を夢見て作られたこころみの産物だった。

荻野目 旭 :
 ……じゃあ、でも、だからって。
 あの日の弱者が流した血のツケを払わせるのは誰なんだ?

荻野目 旭 :「……………………あんた」

荻野目 旭 :
 ・・・・・・・・・・・
「戦う人は向いてないから、
 ・・・・・・・・・・・
 やめたほうがいいですよ」

SYSTEM :

 最初から最後まで遠いままに近かった子供に、
 彼女が無理解に出来る最大の誠意を添えた後。

 今度は、その生き物は只笑って彼方を向いた。

 いつかどこかで勝ち負けの土台にすら上がらなかったものだが。
 それが、たとえばカーテンの裾を掴みながらの応援を最大の武器にするものでも。
 そして………。

SYSTEM :
 ・・・・
 その言葉を覚えていなくてもだ。

 きっとそれは。
 路傍の石として見捨てられても、なおも戦士でいる未来を見出した少年の最大限の意趣返しだったのだろう。

 UGNの“ナイトホーク”の勝利条件はもう果たされている。
 だが、荻野目旭の勝利条件は、そういう名前のお題目ではなかった。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 ぶき
「仲間の後ろにいたものがよくもまあ」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
              たの
「ですが、勝ち誇りがここまで口惜しいなら…」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
 ・・
「それを言うためにわざわざ
 私を蹴って転がしに来たなら」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「きみのこと、覚えてやるんでしたね。
 …あと先に言っときますが、たぶん一勝一敗ですよ」

荻野目 旭 :
「べつに。いいです。
 あんたを殴りたかった何百分のイチが、この僕だったってだけですから」

荻野目 旭 :
「最高に僥倖でしたし。
 ここまでの最悪の払い戻し分全部に値しますけどね!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「あはははは!
 殴り返しに来たのなんて、私が忘れるほどにいるというのにね!」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
           ・・
「よりにもよって、私の年下が、
 私の最初で最後の負けなんて、どうしてくれましょう」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「言っておきますが、私、ちゃあんと覚えますよ。
 忘れる理由がもうなくなりましたからね。一つも二つも大して変わりません」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「ですがまあ、こんなことなら、負け惜しみの一つや二つも覚えておくんでしたね。いいのありませんか?」

SYSTEM :
 要するにそれが概ね分かる範囲の負け惜しみだ。

 誠意で返した相手に対しては“ごめんなさい”を使っても、殴り倒して勝ち誇る相手に下手に出ない。
 路傍の石を蹴り飛ばした時のような侘びも一方的な哀れみもない。

 あなたの言葉を借りるなら。
 そして、先天的な出力先が“それ”しかないという点を前提にするなら。

SYSTEM :
 今のは、負けて口惜しいから言葉を弄してみる、ふつうの生き物だ。

 その名残の色だ。

 それはとてもうがった見方をすると負け犬の遠吠えで。それでも楽しそうにした仕草が半分見える辺り、覚えて“おきたい”は彼女なりの本音であるらしい。

荻野目 旭 :「…………………」

荻野目 旭 :
 それは、混じりっけのない負け惜しみ、
    これ
 出力が笑顔しかない女の出力できる、いま精いっぱいの「くやしい」だ。
 いまもレネゲイドウイルスに心を侵蝕され始めているはずの女が、名残のように。

荻野目 旭 :
 それは、今際の際としか言えないいまの状態に、奇跡のように訪れた偶然なのかもしれない。
 それがわかっているのに、
 さっきまで胸をかすめていた後ろめたさや、ためらいは、今は不思議に感じなかった。
 感じるのは、奇妙な誇らしさだけだ。

荻野目 旭 :
 僕の弱さでも、
 誰かの弱さでも、
 束ねれば届く……。

 それを構築してきた人間が、  かのじょ
 紛れもなく僕だと──他でもない強さの塊がそう言った。
 それならいいかと、思いもする。それでいいのかとも。

 だって。

荻野目 旭 :「……ありますよ。いいの」

荻野目 旭 :
 気ままに強さをばらまいて、
 暴力で解決できる最悪を暴力でねじ伏せて、
 誰よりも先を歩いて。

 白雪のように美しく、明星のように鮮やかで。
 鋼色のように煌いて、宵闇のように悍ましい……

荻野目 旭 :


「……『覚えてろよ』」

 僕は、あんたみたいになりたかったんだ。

 同じ兵器なら、この美しい怪物みたいに。

荻野目 旭 :「──今度はあんたが、僕を忘れない番です」

SYSTEM :
 何もかも淡雪のように消えていくものの時は、これで止まる。
 消えゆく時の澱みの伴は、いま言葉を留めている青年と海巫女だけでなく。
 彼女もまた同じ。もう二度と忘れることも、新たに覚えることもない───。

 死んだものの時は凍てつき、流れない。
 あなたを何度も、ここまで欠け切らずに守って来たものが何より識り、教えたことだ。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「………ははは」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「はっ、ははは………あはははは!」

SYSTEM :
 ………その中でも。
 表現できるいっぱいの口惜しさであなたを勝ち誇らせたものが、変わらず笑っている。

 波と潮の流れに揺らめく視線が、満足げに閉じられる。
 消えるまでその視線が、あなたを見つめている。

SYSTEM :
 あなたの勝ちだ。誰が、どう見ても。

 あの日、背を向けて逃げるしか出来ず、災害みたいな生き物の背中を消えるまで追い続けていた少年の勝ちだ。
 背中ではないけど、今度は立場が逆だったからだ。

 ファンブル
 致命的不運は誰にでも平等だった。
 あるいはその逆も。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「なんですかソレは。
 ああ、それは、それはとても」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「とても、良い台詞」

SYSTEM :
 他人を覚えおくことが出来ず、
 他人に覚えおいてもらうこともせず。
 束ねる必要のないほど強かった独り。

 そいつが、あまりにも新鮮なかたちを噛み締めるように、あなたの“模範解答”を繰り返した。
 何より強かったものが口にするには、心底に凡庸で、ありふれた台詞だ。

SYSTEM :
 恐らく、一度も口にした相手などいなかったのだろう、負けたあとも人生の続く…続いていける人間の。
 ・・・
 あなたの知っている作法だ。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「『覚えていろよ』…。
 ああ、それを聞くのが今で良かった。何もかも、忘れずに済むというもの」

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
「ですが後悔させますよ。
 私、はじめて気付いたことですが。
 ・・
 負けはそのままにしたくない性質のようです」

SYSTEM :
 ありもしない夢想を。

 負けたあと、人生の続く人間ではなかったものが、たぶん楽しそうに語る。
 誠意に滲ませた歓びとは違う類のものだ。そして、そこに続く言葉こそ、今生最期の言葉だった。

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
   マカ
「私を殺した責任は…
 いつかきっと、取って貰うんですからね…───」 

SYSTEM :
【Check!】

 明夜白銀が指定した対象にロイスを───

SYSTEM :
 ………恐らく夢に出る類の負け惜しみであった。

荻野目 旭 :
 ───おんなの体が消えていく。
             もの
 僕が3年間命をかけてきた目標が終わる。

荻野目 旭 :
 僕にできるかぎりの完璧な笑顔は、しかし。
 最後の最期、死にかけのくせに死ぬほどほがらかに捨てられた言葉に、思いっきり崩される。

荻野目 旭 :
「…………だ、れ、が…………」

荻野目 旭 :

「取るかあ……!!!!!」

 向こう3年は絶対に忘れない、
 たぶん雪原のかわりに夢に見る、
 一番美しく見えた笑顔が、僕のこの場最後の最悪であったことを、付け足しておく。

荻野目 旭 :はあっ はあっ はあっ はあ……。…………はあ。

荻野目 旭 :「さいごまで……ぞっとさせるやつ!」

荻野目 旭 :全身鳥肌まみれだ。これじゃあ、超えたところで後ろにいる気がしてくるじゃないか……。

“パラディン”的場啓吾 :
「今度は追われる側だぞ。
 勝ったら勝ったで難儀な人生だな“ナイトホーク”よ」

SYSTEM :
 全く報いのありすぎる女だ、と。
 やさしい夢の契りのあとに、
 あるいは望んでいたものに葬送られ、
         リベンジ
 涼やかで楽し気な報復宣言で返して、消えてゆくものを見た男が言葉を紡ぐ。

荻野目 旭 :「やめてくださいよ、おっそろしいこと言ってぇ……」

“パラディン”的場啓吾 :
「その時はこれほど都合の良い面子もいないだろうからな。まあ、なに」

“パラディン”的場啓吾 :
      オマエ
「挑んだ時の誇りが、
        オマエ
 勝ち誇った時の誇りが」

“パラディン”的場啓吾 :
「何処かに行かない限り、生きていると案外なんとでもなる。
 良かったぞ、あの啖呵は。ウチに居たら何か奢ったかも分からん」 

SYSTEM :
 恐らくはそんなことは“ない”だろうと分かっている、後発いじめっ子の激励。
              プライド
 夢を見届けた後、ちっぽけな誇りと一緒に走った少年を、明日の敵とて彼は笑わなかった。

 踏み躙る、と、嘲笑うは別。
 本日二度目の余談だ。

久外境耶 :「なんとでもならんかった先輩のどっかにいった経験談だぜ〜。ありがたく受け取れよ"ナイトホーク"う〜」ぐりぐり肘ドリル

“パラディン”的場啓吾 :「そうとも、なんとでもなったら今もおまえの先輩だからな”ナイトホーク”」 ハハハハ

荻野目 旭 :「さ………最後だからっていじめくさって……!!!!!」

久外境耶 :「記念記念」

久外境耶 :「つ〜かおまえさあ、人探し得意?」

荻野目 旭 :一瞬本気でじーんと来たのに! ぎゃあぎゃあ

荻野目 旭 :ひとしきり文句言ってから、息を整えて……。首を傾げる。

荻野目 旭 :「人探しですか? 外なら、人並みには得意ですけど……」

久外境耶 :「ほ〜ん。じゃ、いい子ちゃん同士の力だけでど〜にもならねえって時はおれを見つけろよ」

久外境耶 :「スケ空いてたら命貸したる。ゴホービな」

荻野目 旭 :「は」

荻野目 旭 :「あ」

荻野目 旭 :「……い……」

荻野目 旭 :尻すぼみになっていく声。おそるおそる見上げる。

久外境耶 :「マヌケ面」デコピンしたろ。バッッッチーン

荻野目 旭 :「アッッッッッタ」

久外境耶 :「これで悪いコトおぼえて帰っちまうなア」ワーハハハ

荻野目 旭 :「いたいけな少年に悪いこと教え込まないでくれますか!? 華のコウコウセイですが!」

久外境耶 :「逆サバじゃね〜か! ランドセルだろチビすけ」

荻野目 旭 :「中学生ですけどぉ!」あんまり通ってないけど!!

荻野目 旭 :「……それはともかく」

荻野目 旭 :
「……覚えてはおきます。
       やりかた
 そのときは僕の流儀に付き合わせますからね」

荻野目 旭 :
 ・・・・・・
「おにいちゃん?」

久外境耶 :「んな」

久外境耶 :
「ふざけろ」

言葉に反して、ほとんど敗北宣言だ。くそガキめ。

荻野目 旭 :満足したので、フン! と境耶くんの背中を軽く蹴っ飛ばします。ホデリさんの方に!

SYSTEM :
 ………その別れのための仕草。
 この島の外にいる、面倒な二つの、毎日余計なことをしている組織たち。

 いまはとりあえず敵はやらない、の“いま”の終わり。
 和やかとはいくまいが、険悪とはもっと言わない。不良生徒と優等生の別れ。

 あなたのトモは、軽くトス代わりに/意趣返しめいて背を押される時も含めて、二人を見つめていて。
 唸るような音は、嬉しげにも、名残を噛み締める音のようにも聞こえた。

『ホデリ』 :
『搔き負ふには何時の日も軽んじぬことよな、まったく』

SYSTEM :
 兄と呼ばれたものが、
 兄と呼ばれたものに軽く茶化して返す。

SYSTEM :
 そして…。

SYSTEM :
 分かっていようが、ここが終着点だ。
 同じ独りのために口を閉ざしていたホオリノミコトも、その男のために現世と別れを告げる気でいた海巫女も。

久外境耶 :
「のわっ」

 つんのめりながらホデリの前で踏みとどまる。

久外境耶 :
「……は。……」

 笑いらしき声。さっきまですらすらと澱みなかった口は、いまは言葉がつっかえていた。

久外境耶 :
 これで最後。……最期。
 サイゴって……ナニ話しゃいいんだ?

久外境耶 :
「あ、あー。んん゛」

久外境耶 :
「……その、なんつうの」

久外境耶 :
「あ〜……」

久外境耶 :
「ありが……? おやす……? いや……」

久外境耶 :
「……だ〜めだ、わかんね。ジショー小人的にはあるん、こーいうときのテーバン」

SYSTEM :
 自他ともに認める小人が、一から十まで即断即決のまま共に駆け抜けた小僧の、あまりにあまりなしぐさに声を挙げる。
 仕方のないヤツに向けるようでもあり、その一貫した手触りをいつくしむような。獣の声と、広がる波紋のような人の笑い声。

『ホデリ』 :
『ふ…ふふ。
 汝とあろうものも、旅別れの仕草は初とするところか?』

『ホデリ』 :
『思えば、わたしの問に“なぜ”も問わず…。
 名も知らぬ者に命を賭そうなぞ、初めて聞きし試しだった。“その”境耶ともあろうものが…』

『ホデリ』 :
『…まあ、良し。応えよう。
 斯様なものはな…』

SYSTEM :
 これで最後/最期の。

 別れるものへの言葉を問うならば、と。
 彼は、聊かの思考の所作を以て応じた。 

SYSTEM :
 それは。

 颯に、ある男が口にした言葉と。
 ほとんど一緒で…。

『ホデリ』 :
 また会おう 元気でな
『また会はむ、息災で』

『ホデリ』 :
『…これで良いのさ。
 わたしに忘れること適わずとも、いくつもあるものの一つぞ』

SYSTEM :
 また会おう、と、お元気で。

 小人の知っているお別れの挨拶は、
 弟の知っている別れの言葉と全く変わらなかった。
 失くした繋がりの名残のかたちであることを、当人たちだけが知らない。そして。

『ホデリ』 :
『やんちゃな小僧だったが、嗚呼…。
 ・・・・
 今度こそ、だったな』

『ホデリ』 :
『おかげで叶ったよ。よき旅路だった。
 …見やれ、我が弟の面持ち』

SYSTEM :
 その弟の面持ちたるや変わらぬ仏頂面だが、彼にはその微かな違いが分かるのだろう。
 口を開かないのは言葉が見つからないからか、それとも、兄の別れを重んじているのか…。

久外境耶 :
「だっ……つまんね〜コトおぼえてやがる! そうだよ今度こそだよ。おれも、まあ叶ったし……」

 ケリつけにいくやつを見送るのも──

 ──最後まで当事者でいることも。

久外境耶 :
「……わっかんねーよ。つか殴りてえ。殴っていい?」

 ふは、と口元をゆるめる。見ろって言うが、どう見たっていけ好かない仏頂面だ。

久外境耶 :
「ジョーダンだよ。そこまで野暮じゃ……ねえとは言わねえケド、今はあいつが外野!」

久外境耶 :
「だから……ああ。また会おう」

久外境耶 :
「元気でやれよ。ホデリ」

久外境耶 :
 初めて口にした言葉は、

 どこか、なつかしい。

SYSTEM :
        しなず
 駆け抜けてきた不死身の轍。
 途中下車を見送るどころか、乗車するところから既に終わっていたものの『今度こそ』を、白い狗が破顔した。
 ・・・
 またな、への最大級の回答だ。
 その瞬間は───。

『ホデリ』 :
「応とも。まったく…。
 過ぎた報いぞ」

SYSTEM :
 この島で見つけた幸運の徴に対する言葉だった。

 貰いが過ぎた、を。
 この小人は最後まで翻さなかった。

“トヨタマノヒメ” :
「掃けられてしまったわね。私もかしら」

『青年』 :
「返す言葉もない」

『青年』 :
「兄上…」

SYSTEM :
 その外野が、郷愁の名残を噛み締めながら口々に言葉を発する。
 ………長い時を隔てた無双の者の、なんとも凡庸な呼び名だ。

『ホデリ』 :
『それで良し。
 ………あの時はすまぬな、ホオリよ』

『ホデリ』 :
『しかし、汝といふやつの話を聞かぬこと。追ひて言の葉の一つでも聞かせるべきであった。
 …その過ちもいま果たせる』

『ホデリ』 :
『………わたしは剛いおまえが恐ろしかったが。
 それを連ねても、猶も我が血の縁は汝だけよ』

『ホデリ』 :
 ・・ ・・・・・・・・
『釣針、確かに受け取った。
 ・・・
 帰ろう』

SYSTEM :
 そのありふれた友誼の確認。

 消え失せた感情を結び直す行いは、オーヴァードにとってあまりにも珍しくない光景だ。

 この場ではじめてその麓を知り、恐れるよりまず歩み寄った兄と…“それ”をしなかった弟の。

『青年』 :
「…ああ。…帰ろう」

『青年』 :
「………遺せしものも、不相応な祝いも。
 死して猶、あるものだ………」

SYSTEM :
 ………あとは去るだけ。
 
 何より強靭く、初歩の初歩が“なって”いなかったもの。
 その男と繋がりの過ちは、海の澱みごと消えていくのだろう。

SYSTEM :
 …そして、その繋がりでとどまっていたものも。

“トヨタマノヒメ” :
「私の縁とちからは…、ここで終わり。
 あなたたちを、元居たところに戻すわ」

「時の澱みが逸した時…その帰り道は私が作りましょう」

“トヨタマノヒメ” :
            アノコ
「海の上では、あの場所に咲楽を預けてあるわ。
 この海でのことを、海に潜れない子たちは覚えていないでしょうけど…」

「………あの子はたぶん別。
 独りにしないであげてね。そして…ふたりだけにもしないであげてね」

『青年』 :「…」

“トヨタマノヒメ” :
「ええ。拙かったのね。
 …そこのところ、叱って貰うつもりだったんだけど」

“トヨタマノヒメ” :
「私も、お兄さんに叱られてくるわ」

『ホデリ』 :
『十年早いわ』

三廻部 颯 :
 散ったものへの涙を流し終える。
 それが獣を人として見送ったもののするべきことで、涙を流してもらえることは、終わり方としては最悪ではないだろう。
 それは私の勝手で私の傲慢だ、けど、それでいいと思った。
       なかなおり
 振り返って、その流れを眺めて…

「よかった」

 ひとりごこちるように呟いた。

三廻部 颯 :
 すれ違いというものを、夢を通して、この目で見てきた。
 ボタンの掛け違いというものを、夢を通して、この耳で聞いてきた。
 私は結局、ホオリさんと深いつながりがあったわけじゃない。
 あの海で沈んで出会った、たったそれだけの縁。
 だから、そこに深く踏み入ることは出来ない。
 出来ないけど───出来ないなりに、受け継がれたものは守れたはずだ。

 海の記憶を、貝殻の波音にように覚えていられるのも私と咲楽だけ。
 だから……、
、   、・・
「……はい、約束します」

三廻部 颯 :
 「これから」は誰にも分からない。
 「これから」が分からなかったから、悲しいすれ違いもあった。
 だけど……、わからない未来に怯えるより、わからない未来を"夢想"して、そうなるように作っていければいい。

 それがホオリさんと、その徒のお姫様から託された力だろう。

三廻部 颯 :
「残してくれたものは、
 私がちゃんと預かっておきます」

“トヨタマノヒメ” :
「海から見守っているわ」

SYSTEM :
 約束を忘れないのは自分たちも同じだ、と。
 消えゆく海の巫女、巨いなる祈りのかけらが気休めを投げかけて笑う。

“トヨタマノヒメ” :
「…ホオリが渡したモノが難儀でごめんなさい。

 けれどあなたが、あなたの友達と笑う場所のために…。
 それを使うべき時に使ってくれると嬉しいわ。そうでしょう?」

『青年』 :
「………」

『青年』 :
「おまえの望む儘でいい。
 それが、俺の望みだ」

『青年』 :
「…二度は言わない」

SYSTEM :
 その男の言葉足らずも。

 あなたに向けての別れの挨拶と礼と頼みは、すべてあの瞬間に済ませていたからだ。
    ・・・・・
 恐らくありがとう、も。

SYSTEM :
 同じ言葉を繰り返すまでもないと。
 ただ、その望む儘に救われたのが俺だという内心を………ホオリノミコトが口にすることはなかった。

 そういう男だ。
 ただ緩やかになった口元だけが、約束への歓びをカタチに示していた。

三廻部 颯 :
 それでいいし、そうでなきゃとも思った。
 契りはもうすでに交わしたあとなのだから。

荻野目 旭 :(素直じゃないっていうか、言葉足りない人なんだな)

荻野目 旭 :(……三廻部さんには伝わってそうだし、それもまた……そういうものなのかな)

荻野目 旭 :「……あの」

荻野目 旭 :
「お世話になりました、ホデリさん。
 トヨタマヒメさんも」

荻野目 旭 :「……経緯は複雑ですけど、ホオリノミコトさんもですよね。三廻部さんのこと、ありがとうございました」

『ホデリ』 :
『世話になった。
 …汝は汝で難儀な道を行きし者よ』

『ホデリ』 :
『意地の話は、わたしに口を挟めぬ。
 が、痛快だったぞ。境耶共々…勝たせて貰った』

SYSTEM :
 殴られた本人は。

 ありがとう、の代わりに…。

『青年』 :
「俺とあの者の負けだ」

『青年』 :
「…魔差すことのなきよう。
 願わくば、この身顧みることなかれ」

「無二が、哀しむ。遅きに失した」

SYSTEM :
 青年にとっては、たぶんそれがあなたに対する礼の音だった。
 
 俺のようにはなるな/させるな、が。

“トヨタマノヒメ” :
「ええ。あなたたちにもお世話になりました。
 彼のことも。探偵さんのことでも、ね」

“トヨタマノヒメ” :
「………あなたたちは。
 彼のいたと話したところの人に似ているわ」

“トヨタマノヒメ” :
「必ず、誰かが共に歩いてくれると。
 それが、違う理を宿したひとにこそ尊ぶべき理なのだと…そこにいた、ふるいトモダチが教えてくれた」

荻野目 旭 :「……」

荻野目 旭 :「……あなたやあなたたちにとって。僕がそう見えてたら、すごく嬉しいことですね。へへ」

“トヨタマノヒメ” :
「短い間だったけれど…」

“トヨタマノヒメ” :
「自分以外のもののために笑っていたわ。
 その人達は」

SYSTEM :

 誰が識る。
 海のかなた、古き海にて、

 守り人の役割を果たした検怪異使…。
 安倍晴明らが護する緩やかな、いまのUGNに等しき集まりだ。
 それを言の葉にするものはいない以上、これは余談だった。

SYSTEM :
 …その別れの時に。
 トヨタマノヒメが、最後に振り返る。

“トヨタマノヒメ” :
   ・・
「………あとをよろしくね、探偵さん。
 
 最期のお願いの相手があなたで良かったわ」

SYSTEM :
 そしてそれは。

 あなたにとっても最期だった。
 水底の幻は、消えゆく三人だけではなく、島だけでもない。

SYSTEM :
 ・・・
 あなたもそうだからだ。
 龍 嘉睿の写し鏡。
       せいぎ
 送り込まれた己が理の味方。

“害群之马"龍嘉睿 :
「了解した。アフターサービスということで、請け負おう」

 適当な場所に腰掛けて静観し、手帳に今回の事件を認めていた男が、依頼主の言葉に顔をあげた。

「島が無事に消えれば、俺も消える。そうすれば向こうに引き継ぎがなされる」

“害群之马"龍嘉睿 :
「それをプランナーに報告……、それで構わないな?」

 男は、いつもと変わらぬ調子で淡々と問うた。

“トヨタマノヒメ” :
「彼女のことね」

“トヨタマノヒメ” :
「あなたの流儀に沿うならば、それでいいわ。
 けれど…」

SYSTEM :
 けれど、に続く言葉はひとつだけだ。

 あなたの方こそ構わないのね、と言う愚問。
 ・・・・・・
 死するさだめへの達観通り越した客観に、彼女とパラディンだけは驚かなかった。少なくとも。

SYSTEM :
 彼女はそういう男と見込んで未練を対価として、
 “パラディン”はその躊躇のない一つ事を誇りとする生き方を気に入っていたからだ。余分「だけ」で島に訪れた男にとって、それは相対的に理由のひとつである。

荻野目 旭 :……。それが彼の生き方なんだってことは、頭でわかったつもりだ。深く頭を下げます。

久外境耶 :肩をすくめる。言うコトはないが、まあ。……同道の相手としちゃあ、悪くはなかった。

“害群之马"龍嘉睿 :
「そこまでが仕事の内だ。今更だろう。
 アンタが満足し、そっちの男も無事に未練は晴らした」

「アンタを紹介したプランナー自身の懸念……とまではいかんだろうが、引っ掛かりも解消できればいい。
 そういう意味では、消える最期までこの島は見るべきなのさ」

 そのけれど、には丁寧に回答しておく。
 説明責任、というやつだった。

“害群之马"龍嘉睿 :旭と境耶の二人には会釈で返そう。言いたいことも先の戦いで全部言いきった。
俺のようなどっちつかずのアウトローの事務所にわざわざ来いだなどという青臭い話もするつもりはない。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……、………………」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ……さて、私はといえば。
 戦いの余波が未だに残る身体を持て余して、少し離れた場所にいたまま座っていたところだった。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「…………これで、最後か。」

 掌に残る微かな痛みが消えていくのは、体温が離れていくのによく似ていて。
 それがようやく、私に事の終わりを実感させていた。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ひとりひとり、順番に顔を見ていく。

 颯さん、旭くん、境耶くん……。
 望まなければ、二度と遇うことはないのだろう、たいせつな仲間たち。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 そして……

「……そっか。
 あなたとも、ここで御別れですね。『探偵』さん」

 望んだとしても、時の隔てを経なければ二度と逢うことは叶わないひとたち。
 たった数世紀の夢から目醒めて。
 彼らは、還ってゆくのだ。永遠の微睡みへと。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「…………。あなたは」

 ならば、きっと許されるはずだ。
 これまでこの島で幾度も費やしてきた、愚問の権利を行使することも。

「いまの『あなた』に……残す悔いは、ありませんか?」

“害群之马"龍嘉睿 :
「……」

 悔いはないのか。
 その答えに、男は……せめてカタチだけでもしておいた方がいいとでも思ったのだろうか。
 少し逡巡するような素振りで、しかしやはりというべきか、引き継ぎの一環とでもいうかのように答えた。

“害群之马"龍嘉睿 :
「やるべき仕事は全て済んだ。
 依頼人からも不備はないと、太鼓判を押されている。
 残す悔いはない。報告書も書けるよう、俺自身への引き継ぎも済ませているからね」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……、………………。
 そっか。それは……いいことだと思います。でも……」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……不思議なことに、そこまで言い切られてしまうと。
 なんだか、ちょっとだけ寂しいですね」

 後悔だとか、未練だとか、そういうものが良くも悪くも人を繋ぐ縁になるということを……
 あるいはこの島で散々観てきて、学んで、この手で葬送ってきたからかもしれなかった。

 繋がりを保つことが当の本人にとってどんな意味を持つにせよ、だ。

“害群之马"龍嘉睿 :

「さあな。他のやつと同じく元々は仕事のために来ているだけだ。

 明後日にはこの事は笑い話になっているし、己の血肉に取り込んでしまっているだろうよ」

 ……基本的に事件で関わりを持った人間とは、
 ツテ関係を除いて連絡を取ることはしない男だった。

“害群之马"龍嘉睿 :
 こういう職業だから、という分別もあったのだろう。
 だがそれ以上に、あっさりくたばるような世界で、宵越しのものはほぼ持たないと決めていたからなのかもしれない。
 自分が人間でいられる程度にまでは削って、重荷にするつもりはないと決めていたのかもしれない。

 いずれにせよ真意らしきものは、顔に出すことはしない。

“害群之马"龍嘉睿 :
 ……ただ、

“害群之马"龍嘉睿 :
「──俺の記憶は、体験したかのように引き継がれるとトヨタマノヒメは言っていた」

 まだ名刺はあった。
 正確には、物質創造(モルフェウス)の異能で今作り出したのだが。

“害群之马"龍嘉睿 :
「こんなロクデナシの影に引き摺られて転んだとあれば、
 ・・・
 同居人に何言われるか分からん。必要なら、この住所の門でも叩け」

“害群之马"龍嘉睿 :そう言って名刺を渡そう。西成区の探偵事務所と書いてあるが、透かしに蛇を模した印鑑も押してある。
繋がりよりは、義理のようなものだ。

追憶する、曰く─── :
 人助けしろってこのメモに。
 だからビビり散らかしたまんま帰るとぉ、オレの生活に関わるお金が入ってこないかもしれないんですよねぇ

 では始めよう。
 あれは昔々、広島組と諸武意組の抗争が勃発していた頃、オレは高校で起きたある事件に立ち向かって──

追憶する、曰く─── :
……雷管は己の手で叩け。放たれた弾丸は、誰にも止められん。ここまでは、言った。

         ・・・・・・・・・・
 だが、その雷管は他の誰かが決めたもので叩かせてはならない───

“朧の狩人/残骸” シホ :
「………………」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「…………ありがとう。
 明後日も、その次も、きっと忘れません」

 受け取った名刺には、探偵の名義と蛇の印。

 ……流れ着いた探偵、『木口龍』。
 忘れたくても忘れられない輪郭に、カタチと体温を与える縁の『義理』だ。

“害群之马"龍嘉睿 :
「そうかい」

 男は一つ、頷いた。
 それだけで、十分だった。

SYSTEM :
 いずれ会う龍嘉睿は、この海での旅の名残を持っているけど、この海の底へ帰る彼と同じ器を持たない。
 何を以て、忘れようのない記憶の輪郭との類似性を認めるのかは、シホの心に依るものだが───。

SYSTEM :
 言葉は少なくとも、確かに義理はあった。

 龍嘉睿が曲げてはならない理に則った義理。そのためならば死さえ恐れないことを択んでいく者への。
 ………近くて遠い、銃口の向こうにいるものを見つめてきた狙撃手と鉄砲玉同士の。

 あるいは…
 死を恐れた木口龍との、別れの言葉。

荻野目 旭 :
(……最後まで、とんでもない人だったな)
 一番突拍子もなかった人が、本当に一番突拍子もない背景を持っていて。
 そのままに消えていく、なんて……ちょっとできすぎだ。

荻野目 旭 :
 ああなりたいかはともかく……ああ在れたらとは思う。
 いつかの話だけど。あと、木口さんじゃない方向で。
 そう思いながら、僕はシホさんの手に金属片を握らせた。

荻野目 旭 :
 ・・・・
「おみやげです。
 あなたにとって邪魔ではない重石なら、持ってってください。僕とはんぶんこ」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「これは……」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 手渡された金属片には見覚えがあった。
 いまはなんだか随分と昔のように感じるあの時に……私が縋ったものと同じ冷たさと、温もりを宿したもの。
 ……彼女が遺していったものの、象徴だった。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……。少し重たいぐらいがいいのかも。
 そうすれば……きっと、ずっと忘れないから」

 手渡されたものをギュッと握る。
 少しチクリと滲んでいく痛みが、どこか私には温かかった。

荻野目 旭 :「……そうですね。僕らに必要なものなのかもしれません」

荻野目 旭 :「ひと区切りついても人生はつづくって……よく言いますけど。いま僕も、はじめてその言葉の意味をかみしめてます」

荻野目 旭 :
「……僕の人生の一区切りが、あなたと一緒で良かったって思ってます。
 これが重いうちは、がんばってやってきましょうね」

荻野目 旭 :
「あなたとあなたの銃が、今回僕の後ろにいてくれて良かった。
 ありがとうございます、シホさん」

荻野目 旭 :
 じゅう
 金属片を握った彼女の手を両手でもう一度包み込んでから、手を離します。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……うん、私も。
 あなたと、みんなの灯してくれた火で、これからもがんばれる……と思うな」

 注ぎ込まれた新しい温もりを手にして、胸に抱く。
             こどく
 ……この島を出て、果てない吹雪の中を歩いて、冷たさに震えるとき。
 きっとこうやって、受け継いできた熱量を確かめ続けるのだろう。これからも、ずっと。

荻野目 旭 :「……お互いに! 『生きてるなら燃えてやれ』! です!」

SYSTEM :
 心を燃やして天高くかけのぼった夜鷹が、
 自分だけの制した空で勝ち誇る。

 敗北したあの日から続いた明日であるが、
 勝利してもこの日から明日は続くというもの。

SYSTEM :
 その時に、思い出すだけの余熱は。
 きっと誰もに残っていよう。

SYSTEM :
 やがて、潮の流れの音が遠ざかっていくのが分かる。
 …別れの時だ。
 
 夢はいつか覚めてしまう。
 水底の幻に思いを馳せる時間が終わっていることは、
 幻そのものが何より知っていた。

『ホデリ』 :
『では………緩緩とゆくか』

『青年』 :
「…積もりしこともある…」

“トヨタマノヒメ” :
「まったくね。
 ………どうかお元気で。彼のことをありがとう」

“トヨタマノヒメ” :
「…まだ義兄と呼べないヒトのことをありがとう。
 どうせなら、1度呼んでみたい響きだったわね」

『ホデリ』 :
『抜かしおる。まったく…』

SYSTEM :
 かつて独りだったものが、かけがえのない絆しを携える。
 独りの未練が、淡雪のように溶けて消えて。
 独りの未練が、泡沫のようにはじけていく。
 消えていく重みは、目に見えるものだけの話。
 
 勝っても負けても人生は続いていくし。
 人の縁は時に容易く切れるが、それでもなおと繋ぎ直せる。 

SYSTEM :
 その最もたる例。

 成り果てゆくものの、最期の猶予と共に、
      リュウグウジマ
 時を隔てた孤独の舞台の時が正しく流れ出そうとしていた。

『ホデリ』 :
『それにしても…』

『ホデリ』 :
『汝といふものは
 常々手間のかかる弟よ』

『青年』 :
「その言葉
 いみじからむ心地だ」

SYSTEM :
 名残の最期の言葉は。

 なんでもない兄弟の憎まれ口。
 在りし日に、一度だってやっておけば良かったような───。

SYSTEM :
 ふるき海に、ふるきものたちが還っていく。

 水底に、人は確かにまぼろしを見た。
 かつて叶わずとも、やがて叶うあたたかな幻。

 ………たった一度の過ちの清算を。
 あの時に握りしめた幸運を携えて。

SYSTEM :
 ───仄かな光と共に。

 時の澱みがほつれていく。

SYSTEM :
 ふるき海はふるき海に、あたらしき海はあたらしき海に。
 少しずつ“ずれ”た、迷い路の出口に。

SYSTEM :
 三廻部颯とそのクラスメイト/荻野目旭が、
 修学旅行の微睡む空の旅に戻って…。

SYSTEM :
 シホとUGNの捜索チームが、遡った“ある日”の。
 久外境耶とその愚連隊が、同じく“ある日”へ。
 もはや為すべきを過ぎた捜索の場に戻る。

SYSTEM :
 空手形を保証するのは、その場のレネゲイド反応が影も形もなく消え失せることだ。
 
 どこの陣営もそれのみは正しく受け取る以上。
 有り得ないこそ有り得ないと知っているオーヴァードたちに、
 ・・・
 白昼夢はそれだけで片付けて良い言葉ではないと知らしめる。

SYSTEM :
 そこに眠るものの思いと、成し遂げた“今度こそ”は…。
 かたちにならぬまま、確かに、彼だけの名誉として残る。

SYSTEM :


 それこそが、正しく…夢の終わりだ。

SYSTEM :


 ………そう。

SYSTEM :


 ・・・
 だから
 ・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・
 海底のまぼろしは、最後に二つ残っていた


SYSTEM :


【シーン40(After):義理】

 登場PC:龍嘉睿
 登場侵蝕:なし


SYSTEM :
 
 ここからは、零の中にある余談。
 なれば海の果てに、最後の仕事が残っている。

SYSTEM :
 夢を見るものが消え失せて、
 時に連なる澱みの未練は失せた。

 独りと独りは、確かに。
 彼と彼女は、なるほど確かに、その本懐を遂げて逝ったことだろう。

SYSTEM :
   ・・
 ………独り。

 そうではないものがいた。

SYSTEM :

【Check!】


 蘆屋道満のEエフェクト「サクリファイス」「不死生命」を公開します。

・『従者』を1体選択し、そのHP分自身のHPと『戦闘不能』を回復する
・その後、『従者』のHPを0にする
・本来発動できないタイミングで使用した場合は「不死生命」を追加で消費する

※進行の仕様上、本来発動できないタイミングで発動しています


SYSTEM :

 もはや、目論見を果たしうること適わずとも。
 ・・・・・ ・・・・
 敗北しても、次のあるものが、いのちの定めなれば。

 彼は消えゆく海の名残に生きていた。

SYSTEM :
 ………あらゆるものが時の澱みに別れを告げ、そこにあるのは、同じ澱みだけ。

 片や、時の流れにさえ絆される/縛られることのないジャーム。
 そして片や、この島から生まれた最期の男。

SYSTEM :
 あなた
 龍嘉睿は、分かっていて海を降りていく。

 消えゆく島の名残で、
 そこに対峙するべきものがいたからだ。
    アフターサービス
 それが最期の余談であったからだ。

『蘆屋道満』 :
「………………」

『蘆屋道満』 :
「思ひ及んだとは言わせぬが…。
 やはりか。やはり、貴様か」

SYSTEM :
 蘆屋道満の平静の声が、もはや消えゆく時空の裂け目に響く。
 彼の言葉は憎しみと怒りを伴っているが、それでも平静だった。 

『害群之马』 :GM、

『害群之马』 :ひっじょーに個人的なことだし駄目なら駄目でいいんだが、この海の底にレッドブルが流れ着いていたなんてことはあるか?

GM :は?

『害群之马』 :いやだめなら駄目でマジでいいんだ。

GM :実物は流石に無理ですがここは妄想衝動の名残…

GM :1d2 なので2が出たら許してあげましょう (1D2) > 1

『害群之马』 :くっ

GM :ラストチャンスをあげましょう

GM :意志判定を振りなさい

『害群之马』 :6dx (6DX10) > 9[1,4,5,5,8,9] > 9

GM :目標値8に成功したら この時空の裂け目のどこかの海からレッドブルになり判定出してから振れェい!!

『害群之马』 :あ、スマン。気が逸ってしまった。

GM :まあいいでしょう

GM :どこかの海から「あった」ことに今なりました

『害群之马』 :クク、助かる。死に際の願いだ……。

『害群之马』 :◇ ◆ ◇ ◆ ◇

『害群之马』 :
 全員が元の時間軸に戻ったのを確認した。
 あと一つ、やることがある。
 俺は一人、海を下っていく。

『害群之马』 :
 ……そこに、ソイツはいる。
 時代錯誤の陰陽師。忘れられた時の流れより現れし憎悪。

『害群之马』 :

「ああ、やっぱり生きていたのか」

『害群之马』 :
 あとは消えるのを待つだけの身だ。
 別に感情を動かすことはない。極めて平静に淡々と、事実を確認する。
 なんとなくそうだろうな、という予感があったから、

『害群之马』 :
「脳幹ニ発、念入りに撃ち込んでおいたんだが。
 これだから、超人(オーヴァード)は困る。死体を処理したと言っても、信憑性が無くなるからな」

『害群之马』 :

 ……海底の適当なところに腰掛ける。
 視線をふとやると、あまりにも飲み慣れていた飲料があった。
 場違いといえば場違い。気狂いといえば、気狂い。
 エナジードリンクの缶が、二本。

 ──そういえば、心残りはないか、と言われていたな。

 無いとはいったが、この島に来てからコイツを飲んでいなかった。
 これなしで、よくもまぁあんな化け物どもとやり合えたものだと、我が事ながら驚嘆してしまう。

『害群之马』 :
「……すぐに事を構えるつもりでもなさそうだな。
 まぁ、お互い取り残された身だ。俺も再会して早々会話もなしに殺すなんて真似はしないさ」

「まぁ、まずは飲めよ。
 これ一本あればまた明日から頑張れると触れ込みつきだぜ?」

『害群之马』 :
 男は、悪ガキのように笑って、憎悪の塊にもう一本を差し出した。

『蘆屋道満』 :
「フン…」

SYSTEM :

 違う世界の、違う理が相対する。
 
 鼻で笑う音は、その男を道化と侮ることを適わずとしたのか、
 あるいは最早ここにおける己が自負を些事とすることがあるのか。

 少なくとも別の意味での気狂いを鼻で笑う以上をしなかったことこそ他意の現れだ。

『蘆屋道満』 :
「生きていようとも、やらいでか。
 晴明この手で屠るまで、我が憎悪尽きぬとも!」

『蘆屋道満』 :
「…仮令、その手立て尽きようとだ。
 我が在りし日の時の楔、ここに潰えたり」

『蘆屋道満』 :
「なれども───」

『蘆屋道満』 :
   アス
「まだ命をば後れ居る。
 ………ならば次に行く!」

SYSTEM :
 明日の触れ込みに彼は(にわかに想像しがたいことに)一口を勢いよく付け、のち発奮する感情と共に握り潰した。
 発奮する感情は、偏に夢の終わりと彼が結びついていないことの証だ。

 蘆屋道満の戦は負けで終わったが。
 ・
 彼は元々、この島とは何の縁もゆかりもないからだ。

『蘆屋道満』 :
「貴様とて斯様な命…。
 この島と共に潰えるのみ…」

『蘆屋道満』 :
「死を畏れぬその気狂いの様、なれど………。

 情けないとは思わぬか?」

『蘆屋道満』 :
「ここで潰える貴様、
 敵おらぬまま彷徨い求める我!

 まことは他に居ると終わる様…。
 情けないとは思わぬか!」

SYSTEM :
 それが本心なのか欺瞞なのかは定かでないが、蘆屋道満の平静の理由はコレだった。

 島から立ち去る彼は、あなたにこう問うている。説いている。

SYSTEM :
   ・・・
 ………あなたはそれでいいのだとして。
 ・・・
 アナタは、この島で生まれて消えるものは。それを良しとするのか。
. カリソメ
 複製體のまま、何かの為と言う言葉を使って還るを良しとするのか。

『蘆屋道満』 :
「我ならば…貴様を遺し得る。

 業腹なれど、不承不承なれど。
 貴様はリュウグウジマにて最大の敵」

『蘆屋道満』 :
「なれば転ずれば、我が望み無二の味方。
 
 よしみだ───。
 思うままを果たさせてやる、と…言っている」

SYSTEM :
       ・
 あなたの心に魔が差す。

 彼の他意はあって当然だが、
 その言葉に厭はないからだ。

 受け入れたならば、敗北は即ち終わりではなく。
..    アフター
 物語の後日談の色は、あなた/アナタの望むままになろう。

SYSTEM :
 拒めば、変わらずだ。

 あなたは、その記憶を託せども。

 アナタは、いなくなるだろう。
 何かを救い、何かを殺す───。
 せいぎ
 己の理の味方だった、龍嘉睿の現身は。

 木口龍は、いまここで。

SYSTEM :
【Check!】
 判定・壱が発生しました。

 判定・壱:蘆屋道満の提案を受け入れる

 判定:〈任意の宣言〉
 目標:0
     ・・・
 Success:アナタの旅が始まる

SYSTEM :


【Check!】
 判定・弐が発生しました。

 判定・弐:蘆屋道満を撃つ

 判定:〈任意の宣言〉
 目標:0
     ・・・
 Success:アナタの理をつらぬく

『害群之马』 :
「……いい飲みっぷりだな」

 言ってはなんだが正直驚いた。

 カフェインとアルギニンは体に染みる。
 万病に効くと思っている。少なくとも疲れは吹き飛ばせる。
 一缶で翼を授けるという謳い文句は、人である以上は時代を越えて魅了するのだ──。

『害群之马』 :

 ──それはさておいて。

『害群之马』 :
 話を全て、聞き終える。

「……嫌いじゃないよ。その姿勢は」

 芦屋道満の口から告げられた言葉には、素直に感服した。
 この手のヤツはそうであってくれた方が後腐れなくて助かる。
 ここ最近、腹の中すら読めないヤツとばかり喋ってたから、気疲れしていたんだ。 

『害群之马』 :
「野望と憎悪に果てはない。寧ろ剥き出しくらいの方が好みだぜ。
 世の中、精神が根っこからねじ曲がったヤツなんざ、宗教団体みたいなこと言いながらこっちの魂汚染しようとしてくるんだ。そういう意味じゃあ、話しやすい」

『害群之马』 :
「俺の実力も買ってくれているし、正確に分かった上で利用出来る手はずも頭にある。
 傲慢チキみたいな腹でもなさそうだ」

『害群之马』 :

「──で、」

『害群之马』 :

「俺が殺し損ねたヤツ、
    ・・・・・・・・・・・・・・
 まして俺の実力を正確に知っている敵を、生かして帰すと思うか?」

『害群之马』 :

 アンタの読み違えは、そこだ。

『害群之马』 :何か口にする前に脳天に照準を合わせ、一切の躊躇い無く銃弾を撃ちます。ニ発。

SYSTEM :
 以て、答えは一つ。

 選択肢など最初から有り得ない。
 必然の道をなぞって、蘆屋道満の世にて遂に知り得ぬ鉄の砲が火を噴く。

 神も仏も皆殺す。
 みち
 殺意のみ信じて走り抜けた、中華の鉄砲玉───。

SYSTEM :
 たとえ死ぬことになろうとも、
 ・・・・・・
 命より惜しむべきものの為に。

 蘆屋道満を討ち貫くは夜摩天の裁き。
 七星が水底に輝き、血飛沫が舞う中で、蘆屋道満が叫ぶ。

『蘆屋道満』 :
「ぐ───ォォ………!」

『蘆屋道満』 :
「貴様…然ばかりに気狂いとは!

 死することさえ良しとしたか!
 無念とさえも思わぬか!」

『蘆屋道満』 :
「その姿勢………───」

SYSTEM :
 死に体の蘆屋道満が、最期の足掻き───己が怨敵を求めて走る最期の独りが、ここに己の咒を解き放つ。

 海がほつれて消えるが先か、道満が息絶えるのが先か。
 あるいは───。 

SYSTEM :
 ………事此処に至って。

 蘆屋道満は、漸く理解する。

『ある男』 :

 ああ、それはね
 ・・・・
 理の一部なのさ

SYSTEM :
           せいぎ
 人が人の中に持っている理を。

 ひとなど握り潰せる立場にいながら、
 己の中にあるものと併せて信じた怨敵の声。

SYSTEM :
 ………少し違う。細部はいくらでも。

 だが。
 せいぎ
 己の理を───。

 信じて命を懸けるべきことに、
 自らの何をも躊躇わぬその姿勢。

 トヨタマノヒメが最初に見抜いて択んだ所以と、
 蘆屋道満を殺し得る男が彼だけだった理由は。

『蘆屋道満』 :

   ・・
「───晴明ッ!」

『蘆屋道満』 :
   ・  ・・
「………龍───嘉睿………ッ!!!」

SYSTEM :
           アナタ
 蘆屋道満、最期の咒が龍嘉睿を討ち。
 同時に、間髪入れず撃ち込んだ3発目が。イチイの穢れを迸らせるように、亡霊に死の裁きを下す。

 彼の戦う理由など、最初から最後までそれだけだった。
 ───島の理由もりくつも、ついにお互い関係ないまま。蘆屋道満の望みが、誰もあずかり知らぬところで断たれる。

『蘆屋道満』 :
「やは、り───」

『蘆屋道満』 :
「悪事とは斯様に、
 うまくはゆかぬものよ…………」

SYSTEM :
 ………決着は相討ち。

 だが、先に逝ったのは道満だ。
            オディオ
 道満のかたちを成した、憎悪の塊だった。

『害群之马』 :

「無条件に人の事信用しすぎだよ、アンタ。
 自分じゃ勝利出来ない不倶戴天の敵だと思ったなら、俺の存在を確認した時点で不意を打って殺すべきだったんだ」

『害群之马』 :

 撃ち続ける。
 体に傷が入っていく。
 ひび割れが、酷くなっていく。
 血が流れる。
 撃ち続ける。
 空薬莢が、落ちて、解けて消えていく。

『害群之马』 :

「俺がアンタならそうする。
 ・・・・・・・・・・
 自分を追い詰めるヤツがこの世にいるのは怖くてたまらない」

『害群之马』 :

「交渉の余地無く、躊躇いなく、人の弱点に弾丸を撃ち込んで殺し、
 こんな道化じみた真似でだまくらかそうだなどという発想さえ出来る」

『害群之马』 :

「俺がそんなヤツと相まみえたら、徹底的に殺す。
 仮に引き入れたところで、いつ腹を食い破られるか分かったもんじゃないからだ」

『害群之马』 :

「まして外に逃がそうものなら、いつまた俺の邪魔をするか分からない」

『害群之马』 :

 やがて、弾丸は止んだ。
 血染めの視界の向こうで、何かが倒れた。

『害群之马』 :

  トロイの木馬
「 害 群 之 马 なんてコードネーム自分から名乗ってるやつ、身内に置いておきたいと思うか?」

『害群之马』 :
「──まぁ、そういうわけだ。
 悪いね。俺の性根がもう少し人間らしかったら、アンタに付き合う道も選んだんだが」

『害群之马』 :

 静かに血濡れの体で近づいていく。
 そして、頭に銃口を突きつけた。

『害群之马』 :

      完全勝利
「── パーフェクトゲーム だ」

『害群之马』 :

 銃声。
 完全に殺し切り、心までへし折ったところで、仕事は終わった。

『害群之马』 :

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

『害群之马』 :

 ……また、腰掛ける。
 エナジードリンクは、既に飲み干している。
 始末する対象も完全に殺した。依頼主の望みも叶えた。やり残しは全て精算した。

『害群之马』 :
 ……ああ、忘れるところだった。
 "俺"は仮にも大阪府UGN西成支部に登録はされている、木口龍という人間なのだ。
 当然、仕事を果たした上でもらう金の説明はしないといけない──が、いい名前が思いつかん、つかんので……、

『害群之马』 :
「『リュウグウジマ』と言っていたか? あいつら」

 手帳にそれだけ書き記し、忘れるなよと自分に念じた。

『害群之马』 :GM、『リュウグウジマ』にロイスを取る。この出来事を忘れないようにするためにP、N、両方とも任意の感情(完了)で取る。

『害群之马』 :構わないか?

GM :…いいでしょう!

『害群之马』 :ありがとう。キャラシには書き加えた。

『害群之马』 :

 ……さて、あとは、
 速やかに報告書を纏めなければな。
 俺の仕事は、これを持ち帰るまでだ。遅くなって風化してはかなわん。

『害群之马』 :

 俺は自分のこめかみに銃口を押し当て、

『害群之马』 :

 引き金を引いた。

『害群之马』 :

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 そして、水底の最期のまぼろしが消えてゆく。

 これを以て、
 リュウグウジマを証明するものは消え。
 ふるき海を繋ぐものも、また海へと還る…。

SYSTEM :
 アナタ
 木口龍はここでひと区切り、
 あなた
 龍嘉睿はあるべきところへ還っていく。

 アナタを証明するものは。
 あなたに継がれゆく手帳の記録。

SYSTEM :
 アナタに何の報いもありはすまい。
 ただ、果たすべきを果たしたという、己の理に依る行いを…。
 己の意志で撃針を起こし、引鉄を弾き。
 それのみは、何を置いても遂行するという誓いを。

 生まれてから死ぬまで貫ける人間だと。
 実証して逝っただけだ。

SYSTEM :

 ………アナタは確かに。
 せいぎ
 己の理の味方で在り続けた。

SYSTEM :
      ユメ
 ………海底に幻を見る。

 そのすべてが泡沫のようにはじけても、
 それを観たものが記憶を綴る。

SYSTEM :
 独りと独りと独りになかったものを、あなたたちは自分の理由で持っていて。

 ………夢から覚めたとて、続きがあるから。
 リュウグウジマの玉手箱は、ついに用無しだ。

SYSTEM :

 何もかもに別れを告げるように。
 喜びと、息災を願う獣の声が響いた。 

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・バックトラック

SYSTEM :
【Check!】

 クライマックスシーンの終了を確認しました。
 おつかれさまでした。

SYSTEM :
【Check!】

 バックトラックフェイズへ移行します。
 開示されるEロイス情報を確認のち、
 GMとの協議のもと、日常への帰還の為にバックトラックを実行してください。

“蝕みの君” :
. レーレ・シュヴェア
【“蝕みの君”】
『超越活性』/『抗い難き言葉』のLvを+2する
『絶対拒絶』/未解禁

『蘆屋道満』 :

【転生体・蘆屋道満】
『潜伏憎悪』/対象に『憎悪』を付与する
       解除条件:対象のトドメを伴う戦闘不能
『さらなる絶望』/シーンに『骸:ホオリノミコト』を登場させる

『海鳴りの大怪異』 :
【海鳴りの大怪異/ホオリノミコト】
『不滅の妄執』/クライマックスシーン『火明』でのみ有効
       『融合対象(明夜白銀 or 蘆屋道満)』が戦闘不能でない時に
        HPが[1]以下にならない(※対象のHPが0になった時、自動でHPが0になる)
『妄念の姿』/自身の姿を『海鳴りの大怪異/ワダツミ』に変化させる
      (※Dロイスとの兼ね合いにより、発動には蘆屋道満の『潜伏憎悪』が必要となる)
『ありえざる存在』/エフェクト『雨粒の矢』を習得する
『虚実崩壊』/エネミーエフェクト『時空の裂け目』のルールを改変し
       各ステージに繋がりを持つ『リュウグウジマ』を作成する
『傲慢な理想』×3/『虚実崩壊』の範囲を「ステージ」に拡大する

『ホデリ』 :
【海鳴りの大怪異/ホデリノミコト】 
『ファイトクラブ』/殺害したエキストラ、NPCをステージ内に召喚・再配置する
          基本的には「ロイスの取得が可能な疑似RB個体」として扱う
          生前ロイスを取得したことがある場合のみ具体的な記憶と人格を伴う
         (※厳密には『ホオリノミコト』の所持Eロイスによるもの)

SYSTEM :
  合計Eロイス:12
 Eロイス経験点:12

SYSTEM :
【Check!】

 バックトラックの手順を公開します。
 参考までにご確認下さい。

SYSTEM :
1:Eロイスの数から任意の数を宣言する。(今回は0〜12)
  その数だけ「1d10」を振り、その数値分侵蝕率を減らす。

2:自身の残ロイスの数だけ「1d10」を振る。
  この時「2倍振る」ことを宣言してもよい。
  宣言した場合、後述のバックトラック経験点が[3]となる。

3:「2」を経て侵蝕率が[100]を上回っている場合、
  再び自身の残ロイスの数だけ「1d10」を振ることを宣言してもよい。
  宣言した場合、後述のバックトラック経験点が[0]となる。
  また、[100]を下回っている場合、この項目は無視してよい。

4:自身の侵蝕率が「1」「2」「3」を経て[100]を下回っている場合、
  日常への生還は完了する。
  下記の「バックトラック経験点」を参照し、自身の経験点とすること。

SYSTEM :
[バックトラック経験点]
   100〜:3点
  71〜99:5点
  51〜70:4点
  31〜50:3点
   0〜30:2点

荻野目 旭 :トップバッターいきます! Eロイスは遠慮なく全部振りしますよ!

GM :どうぞ! UGNチルドレンの板挟みおつかれさま!

荻野目 旭 :え〜んありがとうございます! これでジャームになりでもしたらかっこ悪いまま歴史どころじゃすみませんよ!

荻野目 旭 :12d10 (12D10) > 58[3,6,1,5,8,10,9,5,4,4,2,1] > 58

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 180 → 122

荻野目 旭 :……………

荻野目 旭 :小心者なので二倍振りしま〜す……

荻野目 旭 :10d10 (10D10) > 33[2,3,2,2,6,2,1,3,4,8] > 33

GM :きみというやつは…

GM :GMがライナー・ブラウンになる手前です よく反省してお帰り

GM :
【Check!】
 PC3『荻野目 旭』の帰還を確認しました。

荻野目 旭 :

荻野目 旭 :あっ………………ぶな〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!!!!!!

荻野目 旭 :ちょっと等倍って言ったらどうなってたか考えて怖くなっちゃいました……二倍振りなので帰還ボーナスは3点いただきます!

system :[ 荻野目 旭 ] 侵蝕率 : 122 → 89

久外境耶 :よっしゃ次おれおれおれおれーーーー

GM :ともあれお帰りなさい! では次は…

GM :では…行ってみましょう! Eロイス数の宣言を!

久外境耶 :……10! いくぜオラーッ

久外境耶 :10d10 (10D10) > 57[8,7,10,9,1,8,2,4,7,1] > 57

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 177 → 120

GM :既に勝利確定とは…出来る…

久外境耶 :おう!素で振るぜ

久外境耶 :6d10 (6D10) > 33[1,8,8,3,10,3] > 33

system :[ "ラッキージンクス"久外境耶 ] 侵蝕率 : 120 → 87

GM :もはや不死者も関係ない見事なダイスさばき!

GM :
【Check!】
 PC2『久外境耶』の帰還を確認しました。

久外境耶 :見たかおれのラッキーを!

久外境耶 :ま、息災っつーコトで! お先〜

GM :ではみごと2人目の帰還成ったということで

GM :次! 誰ぞあるか!

三廻部 颯 :やります。

GM :ンンンよろしい! 

GM :帰ってこないと幼馴染がノーマルエンドでさくらの樹! Eロイスの宣言からどうぞ。

三廻部 颯 :12個全部でおねがいします!

三廻部 颯 :12d10 (12D10) > 60[2,6,6,10,2,2,1,2,9,7,7,6] > 60

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 177 → 117

GM :さて…

GM :上々の期待値と言ったところですがここからは等倍か二倍振り

GM :宣言のちどうぞ…

三廻部 颯 :等倍で!

三廻部 颯 :5d10 (5D10) > 30[9,6,8,4,3] > 30

system :[ 三廻部 颯 ] 侵蝕値 : 117 → 87

GM :ではみごと 海上の友達のもとに!

GM :また此方も5点です 忘れずメモをお願いしますね

GM :
【Check!】
 PC1『三廻部 颯』の帰還を確認しました。

三廻部 颯 :(がっつぽーず)

GM :では残る二人

GM :さあいずれかから手を上げなされ

“朧の狩人/残骸” シホ :次はワタシの番だ。玉手箱代わりの土産のひとつ、持ち帰らねば後で同胞が煩いんでな。

GM :よろしい。置いて行った分の約束を果たさねばなりませんね。

GM :ではEロイスの宣言後に…どうぞ。

“朧の狩人/残骸” シホ :……念のため、12個全てを投じよう

“朧の狩人/残骸” シホ :12d10 (12D10) > 78[6,8,9,4,5,6,4,6,8,7,6,9] > 78

system :[ “朧の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 162 → 84

タイガーアイ :転ばぬ先の杖とは日本の言葉にあるもの

タイガーアイ :その杖で転ぶものがいるとはな

“朧の狩人/残骸” シホ :(願掛けの効果出過ぎたな……)

GM :まあ帰還は確定! あとは…

GM :異例…でもないような「ここからどの程度下げ渋るか」ですね

“朧の狩人/残骸” シホ :……うん、はい。もちろん等倍でいきます。

“朧の狩人/残骸” シホ :5d10 (5D10) > 31[9,1,8,9,4] > 31

system :[ “朧の狩人/残骸” シホ ] 侵蝕率 : 84 → 53

“朧の狩人/残骸” シホ :…………なんだろう すごい おちついてるなぁ

GM :私の侵蝕率は5...3%です

GM :であれば4点。しかし何はともあれ…。

GM :
【Check!】
 PC4『シホ』の帰還を確認しました。

GM :さあ…最後は龍さんですよ。

『害群之马』 :……自分でやっておいてなんだが、

『害群之马』 :
厳密には自害でシーン締めた時点でこの卓における俺はキャラロスしてんだよな!!!(ここ笑いどころ)
みんなは真似しないでくれよ。ダブルクロスってそういうゲームじゃねえからな。

『害群之马』 :戒めの為に残しておきつつ、Eロイスは10個使おう。

GM :今更なんで理性を説けると? さあどうぞ!

GM :おまえと俺は雪玉をぶつけ合った仲ぞ!!!!!!!!!!

『害群之马』 :そうだな……まぁ気楽に振ろう。

『害群之马』 :10d10 (10D10) > 43[3,4,3,2,10,2,6,3,9,1] > 43

GM :ふうむ…残り23に対して…

GM :5枚ですか どうしますか?

system :[ 『害群之马』 ] 侵蝕率 : 166 → 123

『害群之马』 :ふーむ。倍振りするか。万一ミスったらデスマッチのオチがついてしまう。

GM :ほう 帰還最優先ということですね

GM :いいでしょう どうぞ

『害群之马』 :ギャンブルして0になったら悲しいだろ。振るぞ。

『害群之马』 :10d10 (10D10) > 48[4,8,5,8,4,1,1,1,6,10] > 48

『害群之马』 :

system :[ 『害群之马』 ] 侵蝕率 : 123 → 75

『害群之马』 :というわけで倍振りだから3点か。

GM :よくよく見ると等倍でも…とも思いましたが まあ勝ちは勝ち。3点帰還です。

GM :
【Check!】
 PC5『龍嘉睿』の帰還を確認しました。

GM :
【Check!】

 バックトラックフェイズを終了します。

  帰還:5名
 未帰還:0名

GM :
『リュウグウジマ』の終わりを見届けた:5点
 民間人を全て救助した:1点
 明夜白銀に勝利した:1点
『ホデリノミコト』の望みを果たした:1点
『トヨタマノヒメ』の望みを果たした:1点

 セッションに最後まで参加した   1点
 使用されたD・Eロイス      20点
 よいロールプレイをした      1点
 ほかのプレイヤーを助ける発言   1点
 進行を助けた           1点
(Sロイスがタイタスにならなかった 5点)
 ──────────────────
 基礎              34点(39点)

GM :
FS判定
VS蝕みの君(帰郷):3点
VS渇望喰い(死ねずの渇望喰い):3点

※各自参加者のみ

GM :
【Check!】

 おつかれさまでした!
 これよりエンディングフェイズに移行します。


・EDシーン1「記録」

SYSTEM :
【Check!】

 エンディング/HO5を開始します。
 暫くそのままでお待ち下さい...。

SYSTEM :
 その日の夢は、特に明晰で。
 オーヴァードの世界の中でも、荒唐無稽な出来事だったことだろう。

 死を記録するなど、そうそう人間に出来たことではないからだ。

SYSTEM :
 依頼主の望み───助けて欲しい相手/叱って欲しい相手を約束通り時の彼方へ旅立たせ。
 最期の相手を屠ったその時、“あの”龍嘉睿の命運は尽きた。

 龍嘉睿として生きて龍嘉睿として、彼は死んだ。
 それは瞼を一つ開ければすぐに、忘れることはなくとも手帳の一項目として記録されるにすぎない内容だ。あなたにとっては。

SYSTEM :
 だが…。
 その地続き、終わりの夢もまた。
 不思議な心地を伴っていた。

SYSTEM :
【エピローグ05:記録】

 登場PC:龍嘉睿
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-■■■■体■■R=■
 カヴァー/ワークス:????/????
 性別:女性 年齢:?? 侵蝕率:??
 シンドローム:ノイマン

 0と1の羅列で再現された■■■■■のような■■。
 ところどころ■■■が■■■おりどこか■■していない。
 
 ■■のすべてを■■することを目的にしており、
 常に■■を■■■■■■■■。

 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。

SYSTEM :
 仄かな光のかたちは、自我のないレネゲイドのひとかけら。
 夢というにはあまりにも奥行きがあり過ぎる。動ける認識が、体がそれについて行き過ぎる場所だった。

 目覚めの風景に辿り着く前の余談。
 ………いや、正しく言えばそこは………。

SYSTEM :
 ・・・
 アナタが島で無意識に使っていた場所。

 第三者の手で拡張された、ブラックドッグの電子空間という名の情報経路。
 アナタが、あなたに記録を送る光の航路であった。

SYSTEM :
 矮躯のかたちを、
 0と1の情報の狭間からくり抜いて。
 ・・
 彼女が、現れる。
 島へ別れを告げる一歩手前の、明晰夢代わりと言ったわけだ。

"害群之马"龍嘉睿 :
 ここがその場所だと正しく認識するのは、これで最初で最後であろう。
 何故なら、あの場所にいたドッペルゲンガーは役目を果たした。記憶のすり合わせと現実体験の統合の途中、とでもいうべき工程の最中のことだったから。

 俺自身はハッカーではないからそういったものがどういう意味を持つのか、までは分からないが。
 少なくとも此処はパイプである。──その道中、帰り道に立っている。

「……で、結末はお望みのものだったか?」

 お見送りとはご苦労なことだ、と肩を竦めた。

SYSTEM :
 肩を竦めたあなたに、
 その0と1の輪郭が答える。

 表情らしきものを雑音から感じ取ることは難しいが、しかし確かに…。
 そこには薄い笑みのようなものがあった。

『プランナー?』 :
「『もちろん。お疲れ様でした、龍嘉睿。
  夜摩にて裁きを振るう、北斗星君』」

『プランナー?』 :
「『彼女の願いを叶えて頂きありがとうございます』」

『プランナー?』 :
「『この身に私情が聊かもなかったとは言いませんが
  なればこそ、その契約の義務を此方も履行するとしましょう』」

"害群之马"龍嘉睿 :
「そうか」

 ──どうせ何時ものプランだろう、とあまり深く突っ込まないでおく。のらりくらりと逃げられるのが目に見えていたから。

「依頼主(クライアント)と仲介人から文句無し、と来たなら、そっちも分かっている通りだ。
 当然、モノは寄越してもらう。……といっても、金銭、またはそれに値するものだが」

 仕事をしたのだし、成功したのだから、報酬は寄越してもらうぞと。
 実に当たり前のように、言う。

『プランナー?』 :
「『もちろん。
  プランのうちと納得したことです』」

『プランナー?』 :
      ・・
「『しかし、何故を聞かないのですね。はじまりから、おわりまで
  他人から聞く何故など余分ということですか…それもまたよろしいこと』」

SYSTEM :
 当たり前のように言った対価は、いちいち何かを使わずとも真偽を図れる。
 
 文字通り、ひと一人分が命を懸けた分の…あなたの中でそれ以上でもそれ以下でもない金銭が確かな数値で支払われるだろう。
 今、確認する術は特にない。プランナーを名乗る雑音の言葉は裏表なくとも、フラットな諧謔の色をしていた。

"害群之马"龍嘉睿 :
     ・・・・
「……それは喋りたいという意思表示か?」

 図星ではある。
 別に仕事に必要な情報ではないだろう、として受ける前から聞くつもりもなかったから。

 もう一個は、自分の胸に手を当てて聞いてみろという嫌味も混じっていた。
 プランの一言で全部済ませ、頭の中身を開示することが滅多に無い存在に聞いたところで無駄だろうとはなから切って捨てているのは否定できなかった。

『プランナー?』 :
「『YorNを私に問うのはお門違いですね』」

『プランナー?』 :
「『ですが、礼の気持ちは確かですよ。
  ・・
  退治してほしいものが退治できなかったのなら…。
  少々困ったことになったかもしれません』」

『プランナー?』 :
  ・・
「『何故、を自分の中に委ねるあなただからこそ。
  彼女は依頼し、私は彼女を手引きしたのですからね』」

SYSTEM :
 どこまで成功を見越したのか等は語るまでもない。
   
 ………0と1の数字の羅列は、島に干渉する術をほぼ持ち得ていないからだ。
 たとえば、あなたの行動の補足くらいしか。そこに、人ならざるものの手が加わったが故の分水嶺があったのかと言われると、実のところそうでもない。

SYSTEM :
 喋りたいの答えは、特にない。

 聞かない/委ねない相手だから。
 たとえ身一つだろうとも、自分の中の確かな指針を持つものだから依頼したと語った以上、嫌味は凪のように受け流されて終わりだ。

 それを聞かないと分かっていて言っているのだから。

"害群之马"龍嘉睿 :
「……そこでレネゲイドの進化論を語り出さない辺り、やっぱり俺はアンタが苦手だ」

 ……それに尽きる。
 この態度を見るや否や、即座に何かあった場合の話に切り替えた。
 しくじった場合何が起きていたかなど、明白だろう。

 閉じていたからこそまだマシだったあの場所の理が漏れれば、日常はおろか世界全体が破滅する。
 人は、過去に囚われ続けて生きられるほど強い者ばかりではないのだから。

 頭のキレるやつとの関わり合いはほどほどにしておくべきだ──。

"害群之马"龍嘉睿 :
「……今後は夢に干渉する時はノックくらいはしておいてくれ。
 ただでさえカフェインで眠りが浅いんだ。睡眠不足は集中力に関わる」

『プランナー?』 :
「『これっきりですよ。治外法権ですから』」

『プランナー?』 :
「『私から次に恃む時は、あなたの識る彼女を伝いますよ。きっとね』」

"害群之马"龍嘉睿 :
「……」

「……好きにしろ。対価さえ払うなら受けてやる」

SYSTEM :
 それはどうも、と。
 0と1の羅列が、フラットな声のかたちであなたを見送る。

SYSTEM :
 別れの言葉など、その程度…。
 夢の中で、プランナーと、あなたの道が交わることはないだろう。恐らくは二度と。

 いつも通りではない終わり方をした、
 いつも通りの仕事のかたち。

SYSTEM :
 見送ると同時に、島の名残とつないでいた電子回線が途切れていく。

 それを維持していたもの…。
     ・・・・
 文字通り治外法権を濫用していたものの役目が終わるからだ。

『プランナー?』 :
「『あなたは賢い方ですね 龍嘉睿
  もしも次出会えるなら、私はむしろあなたのようなのが好ましいですよ』」

『プランナー?』 :
「『もっとも、次は有り得ませんが…
  それなら、彼女に侘びの一つも伝えておいてもらえばよかったかもしれませんね』」

SYSTEM :
 ………0と1の羅列が。
 ミライ
 彼方へと消えていく。

『プランナー?』 :
「デハ、次ノ“プラン”ヲ観測シマショウ…」

SYSTEM :
 ………誰も識る由なきこと。

 知らずして、良いことだ。

SYSTEM :
 時の遡行と改変………神の如き所業が。                       
 ある世界ではジャームにのみ許され得るという、
 ステージ
 世界を切り替えかねない余談など。

SYSTEM :
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 蘆屋道満はその条件を満たしていたから、
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 彼の執念は果たされ得るものだったことなど。

SYSTEM :
 プランナーであって、プランナーでないものの干渉が………。
 その不都合を阻止するための、本業すら抜け駆けにした時空超越を意味するなど。

SYSTEM :
 情報観測体R=B。

SYSTEM :
                         ステージ
 その事実が現在・過去・未来を可逆に代えてしまった世界の、
 プランナーという存在に相当する記録の名前。
 
 ファンタズマの依頼主/島そのものの一部であるホオリノミコト以外に、
 タイガーアイにすら気取られることなく「情報」を交信させたものの名前だ。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 逢魔が時、時計の針は午後の六時ほど。
 あなたは探偵事務所の一室で目を覚ました。

SYSTEM :
 極めて近く、限りなく遠い海鳴の向こうの出来事を、あなたは始まりから終わりまで記録している。
 記憶ではない。手帳に残り、記憶にあれども、実感のやや遠い…そんな仄かな名残だ。

 地続きの現実の記憶がすぐに蘇って来る。

SYSTEM :
 事件終了から間もなく。
 大阪市西成区某所の木口探偵事務所へ、あなたは事件の闇を引きずることなく戻って来ていた。厳密には、追っている事件の間に起きたとある出来事だが…。

SYSTEM :
 追いかけていた事件のための情報収集/下準備の暇、全く違う小規模な事件…。
 しかも愉快犯と思しきFHのエージェントとの邂逅と交戦を経て、あなたは此処に戻って来ていたのである。

 その時の記録を終え、レネゲイドの侵蝕を平常に戻すための軽い休息がてら…。
 そのことに関する情報提供の依頼(もしくは報告)結果が来るまでの間の小さな仮眠。

SYSTEM :
 その事件の経緯を記録した後の、僅かな仮眠の暇。
 まるで盧生の見る邯鄲のような出来事であったわけだ。

SYSTEM :
 …念のため言っておくが、
 アナタ
 木口龍だった男が語っていた事件は概ねデタラメである。箇条書きしたら多分ちょっと合っているだけだ。

 嫉妬心に駆られてジャームになった学生と、それをたきつけたらしいが計算外で死亡したFHエージェント。
 そしてたまたま居合わせていた上に成り行きで敵対したFH所属のRB…。
 
 あと空手が得意な知り合いの刑事。この通り、人物にしたら合っている程度である。

SYSTEM :
 ともかく事件を追っていたら別の事件が交通事故めいて乗り合わせる事態になり、あなたは前者の本格的な調査前にレネゲイドの兼ね合いで小休止を取らざるを得なくなり…。

 今はその猶予時間/待ち人を待つ時間と言ったところ。

起き抜けに聞く声 :「あ、やっと起きた! も〜、おねぼうさんめ」

起き抜けに聞く声 :声の主が、無遠慮に君の顔を覗き込んでいた。視界の端で、赤い髪が揺れる。

“愚者の火”トーカ :「ま、寝顔激写できたからいっかな! おはよ〜、龍くん。お邪魔してるよん」

“愚者の火”トーカ :
 その手にはちゃっかりとスマホ。
 仕事着のボディスーツとジャケット、みつあみ姿で、“愚者の火”トーカが侵入してきていた。
 勝手知ったる合鍵持ちである。

“愚者の火”トーカ :「変なおしごとやってるんだって? あたしさんが助けに来てさしあげたよ」

SYSTEM :
 …変なおしごととはよく言ったもの。

 それの依頼主も
 元はと言うと“プランナー”だ。

SYSTEM :
 レネゲイドビーイング化した疑惑のある、この市に住まう少女の護衛…。
         プロセス
 そしてその少女の経緯の情報調査。餅は餅屋、または勝手知ったる相手の伝手から調べた方がいいと判断したあなたの呼びかけに応じたのが彼女だった。

SYSTEM :
 余談ながらその人物の名前は…。

“愚者の火”トーカ :
「すばるちゃん。
 永見昴ちゃんってお名前の女の子のことだよね?」

“愚者の火”トーカ :「龍くん、京香さんにそんな恩売るようなことしたの? 立て続けで仕事の依頼なんてたいへんだね」

"害群之马"龍嘉睿 :
 まどろみの中、

「……」

 勝手知ったる女(きょうはんしゃ)の声がする。
 王(ワン)以外で、二階の事務所に堂々と出入り出来る数少ない人物。

"害群之马"龍嘉睿 :
「……ああ。助かる」

 手帳を目隠し代わりにしていたが、疲労が深かったのか、どうも深い眠りに落ちてしまっていたらしい。
 立ち上がった時に、手帳が落ちた。まだ頭が寝惚けているようだった。

"害群之马"龍嘉睿 :
「……"プランナー"がわざわざ依頼に出した以上は、単にFHとUGNの抗争じゃ済まない可能性もあったからな。ともあれ、手が足りなかったところだ」

"害群之马"龍嘉睿 :
「ヤツから依頼が来る理由は……」

 ……分からん。夢にしては、あまりにもリアルすぎる出来事だろうし、現実的じゃないと片付けるには無理があったから。

SYSTEM :
 それこそ、あなた自身が口にしていた通りだ。

 ”プラン”である。
 あなただから果たせる/あなたが一番お互いの望みに近くなる、と見越したものでないなら、プランナーはコンタクトを取って来ない。

SYSTEM :
 そして、そこに人間味は無縁である。
 ………鉄砲玉に二回連続で“個人を守れ”などと依頼してくるのがその証拠。

“愚者の火”トーカ :
             レネゲイドビーイング
「そうだねえ。もしくは新しいおなかまの保護とか?
 京香さんにきいても『プランです』だから、意味とか考えるのもつかれるしな」

“愚者の火”トーカ :言いながらスマホをすいすい動かし、無線通信で君のデータブレインに情報を転送。

“愚者の火”トーカ :永見昴という少女の基礎データが共有されるので、まず頼まれていたのはこれで終わりだ。終わりなんだけども、君の様子に首を傾ける。

“愚者の火”トーカ :「龍くん、お疲れ? めずらしく歯切れ悪いね」

"害群之马"龍嘉睿 :
「……仮にプラン以外の返答だとしても、建設的な話かどうかは別だ。レネゲイドの進化論とか延々と聞かされる。
 UGNかFHの首根っこ締め上げて吐き出させる方が何百倍もマシだ」

 ……仮に返ってきたとしても、異星人の言語だろう。
 abc予想だのフェルマーの最終定理だので盛り上がる数学科の人間を見ている方がよほどマシだ。
 助かる、とデータブレインの表示を切り替えながら──。

"害群之马"龍嘉睿 :
「……」

 共犯者の言葉に目を伏せ、それから落とした手帳を手に取った。

"害群之马"龍嘉睿 :
「ある日、そう、これは本当にある日だが。
 自分が他の何者かとして過ごすことになり、そこで事件を解決する。
 そしてそこで全てを解決した上で、自分はスワンプマンだと知った──なら、お前はどう思う?」

"害群之马"龍嘉睿 :
 ……興味本位だ。
 こんな体験、二度あっては困るくらいに珍しいから。
 関係無いでは片付けることが出来ない。だから、ある程度分かっているであろう彼女に聞いた。

“愚者の火”トーカ :「…………………」

"害群之马"龍嘉睿 :「…………」

“愚者の火”トーカ :「突然? ほんとに? まえぶれなく? がんばったら、実はにせもので〜すって?」

"害群之马"龍嘉睿 :「ああ。実はお前は本体のコピー。ただし、本体にデータの引き継ぎは出来る」

“愚者の火”トーカ :
「あ! そうなの? それなら都合いいね〜」
 ころりと表情を変える。

"害群之马"龍嘉睿 :
「言うと思ったよ。最後の前提が無ければ延々とこの会話は繰り返されてただろうな」

“愚者の火”トーカ :
「あなたのバックボーンも全部ぜ〜んぶ偽物です!
 って言われるならあたし多分おかしくなるけど、引継ぎできるしあの子も現実にいるんだもんね? なら大サービスだな〜って思っちゃうかも」

“愚者の火”トーカ :
「そのお仕事に全力つくせるし。
 あとのこと考えて、そのときのお友達とか見捨てずにすむしさ」

"害群之马"龍嘉睿 :
「……実例を間近で見てきたような言い方だが、気にしない方がいいか?」

 それはそれとして、

"害群之马"龍嘉睿 :
「……ま、一意見として参考にしておくよ。
 なかなか、哲学的な話を出来る人間が身近にいなくてね」

“愚者の火”トーカ :「お仕事でいいお友達と会っちゃうとさ〜、天秤かけるのヤになるよね」

“愚者の火”トーカ :「うんうん、きかないできかないで。あたしのお友達なので〜。あげないよ〜」

“愚者の火”トーカ :やや嬉しそうにフス……としてから、例によって首をかしげる。それから、手帳をのぞき込む。

“愚者の火”トーカ :「……なにこれ。りゅうぐうじま?」

"害群之马"龍嘉睿 :「その俺のコピーが体験してきた事件だとよ」

SYSTEM :
 あなたのことだから、
 主観ではなく客観で細かく記したのだろう。

 真顔でつく法螺話としては出来過ぎた経緯と、ありふれた結末のお話だ。

“愚者の火”トーカ :「ふーん、コピーがね〜……」

“愚者の火”トーカ :「…………」

“愚者の火”トーカ :「コピーが!!!???」

"害群之马"龍嘉睿 :
『事件:リュウグウジマ』

(……末尾)

 俺から、俺へ。
 この手帳に書いてあることが、今回の全てだ。
 プランナーより、報酬の振り込みがある。それまで待て。

"害群之马"龍嘉睿 :

"害群之马"龍嘉睿 :

"害群之马"龍嘉睿 :
「急に大きい声を出すな頭に響く」

“愚者の火”トーカ :「あああああ〜〜〜〜。あ〜〜〜あああ〜〜〜」

“愚者の火”トーカ :おおきなこえ。

"害群之马"龍嘉睿 :「やめろやめろうるさい落ち着け」

“愚者の火”トーカ :しばらくさわいでから、冷静に手帳を読み下し、大真面目に考え込む。

“愚者の火”トーカ :「リエゾンロードの子飼い、元日本支部最強、怪物、百年もののワルモノ、千年モノのバケモノ……」

“愚者の火”トーカ :「……なんだかとんでもないことやまほど書いてあるけど、あたしいっこ聞いていい?」

"害群之马"龍嘉睿 :
「出来の悪い遭難事件だ。芦屋道満だぞお前。冷静に考えたらなんてもん殺してんだ俺は」

"害群之马"龍嘉睿 :で、なんだと続きを促す。

“愚者の火”トーカ :「西成区在住の木口龍さん(25歳探偵)って誰?」

"害群之马"龍嘉睿 :「俺のことだが?」

“愚者の火”トーカ :「もっかいゆってみて」

"害群之马"龍嘉睿 :「なんだお前耳遠いのか。俺のことだが?」

“愚者の火”トーカ :「龍くんってバカだよね」

"害群之马"龍嘉睿 :「は?」

“愚者の火”トーカ :「龍くんはチャイニーズマフィアンだからわかんないかもしれないけど、ふつうのヒトはここまで丁寧にアホの経歴を積み上げないんだよ」

"害群之马"龍嘉睿 :「妥協はするもんじゃないだろ。ある日突然お前のコピーを作ってくださいって言われたら、誰だって偽の経歴詐称祭りするだろ。スパイだってそうしてたぞ」 小学生並みの言い訳。

“愚者の火”トーカ :「あたしはやんないかな〜」

"害群之马"龍嘉睿 :「お前は潜入捜査と公安がどれだけ裏で苦労してるかを見てきた方がいい」 なんかずれてる

“愚者の火”トーカ :「なんで全身ウラの仕事に浸かってるのに半分オモテの常識とりこむのかなぁ」

“愚者の火”トーカ :「うーん、でもなんだか安心したかも。コピー龍くんもいつもの龍くんぐらいバカ」

“愚者の火”トーカ :「ううん」

“愚者の火”トーカ :「アホだから」

"害群之马"龍嘉睿 :「どっちも言葉変わらんだろうそもそも何に安心してるんだお前は。コピーして性格全部変えたやつを自律なんてさせられるか」

“愚者の火”トーカ :「龍くんへんなトコ凝り性だもん」

“愚者の火”トーカ :「レッドブル以外ぜんぶひっかきまわしてからコピーでござ〜いとか、やるでしょ? やるよね? おねーちゃんしってるからね」

"害群之马"龍嘉睿 :「俺お前相手になんかしたか?」

“愚者の火”トーカ :「おにぎりをダシにお店番おしつけられたよ」

"害群之马"龍嘉睿 :「すみませんでした」

“愚者の火”トーカ :「すなおにごめんなさいが言えてえら〜い! トーカちゃんほめちゃ〜う」

“愚者の火”トーカ :「いいこいいこ」

"害群之马"龍嘉睿 :「お前がそういう態度のときなんか腹に抱えてるって俺は知ってるからな騙されんぞ」

“愚者の火”トーカ :「しょんにゃことにゃいよぉ」

“愚者の火”トーカ :「まあいいや。ヘンなことしてても、このスケールのとんでもないおしごとをなんとかできたってことでしょ?」

“愚者の火”トーカ :「コピーくんもよくがんばったんだねえ。芦屋道満なんて超! ビッグネームだよ」

"害群之马"龍嘉睿 :
「……現代に蘇った亡霊、などというとB級だがまぁ……向こうの俺も疲れてはいたんだろうな」

 最後自害した、とは言わん方がいいか。
 いや、そもそもこいつなら察してそうだし。

"害群之马"龍嘉睿 :
「まぁ、成功報酬はプランナーからキッチリ振り込みがある。そう思えば、俺の方が記憶と体験を受け取るだけで貰える楽な仕事だ」

“愚者の火”トーカ :「…………………」

“愚者の火”トーカ :「なんとなくコピーくんの『やりきったあと』のことはわかるし、あたし訊かないでおくけど」

“愚者の火”トーカ :
「本体くんがそうってだけで、龍くんじゃないとこうならなかったと思うなあ。
 京香さんからことづけ。『お仕事ご苦労様です』だって」

SYSTEM :
 情報提供の“ついで”に、現れたプランナーからあなたには覚えのない/アナタには現物含めた礼の言葉もセットである。
 とはいえ、その理由は随分はぐらかされたことだ。

 ………龍嘉睿は通すべき筋を反故にした時死ぬ人間だ。
 生きていても、彼という強烈な個我は失われるだろう。”何をしたのか”の仔細はともかく、受けた仕事に対し、受けたのであれば“どう”したのかは、聞くまでもない事実だった。

"害群之马"龍嘉睿 :
「ま、複製されてもやることは変わらん。
 ……いや、むしろそれが出来るやつしか選ばんってことか……?」

 伝言に関しては一言うなずきつつ、

"害群之马"龍嘉睿 :
「……ああ、思い出した。もう一つ、興味本位で聞きたいことがあった。
 お前がもしコピー元だとして、現実世界に出ることが出来ると言われたら、お前ならどうする?」

 ……いや、愚問か? これは。
 とはいえ、気になりはするものだ。

“愚者の火”トーカ :「う〜〜ん……」

“愚者の火”トーカ :「あの子、きょうからおねーちゃんがふたりですって言われたら困るよね?」

"害群之马"龍嘉睿 :「違いない」

“愚者の火”トーカ :「どうやって唆されるのかにもよるけどぉ」

“愚者の火”トーカ :「よくて仕事分担、わるくておねーちゃん取り合いデスマッチだよ? かわいそうだからリスク減らさなきゃね」

"害群之马"龍嘉睿 :
「実に悪党らしいツラだったよ」

 唆し方に関しては察してくれ、とだけ言いつつ、

"害群之马"龍嘉睿 :
「そうだな、リスクは減らさないとだ。どうあがいても不利益になるなら、尚のこと。
 お前ならそう言うと思っていた」

"害群之马"龍嘉睿 :
「俺は一人でいいし、俺のようなヤツが生きていたら真っ先に俺を殺して成り代わるのがオチだろう。仕事分担が出来るほど、人間は鏡を見て冷静ではいられん」

 お前も、そう思うだろうと、二重に意味を込めて。

“愚者の火”トーカ :「だよね〜」

“愚者の火”トーカ :
「魔が差すってやつね。
 あたしはデキたおねーちゃんだし、龍くんもとりあえずちゃんとしたマフィアだけど、ないとは限んないもん」

"害群之马"龍嘉睿 :
    ・・・・・
「俺達に人間らしい野心があったらと思うと、ゾッとする。
 そのときは、成り代わる道を選んでいたんだろうさ」

 ──言外に、普通じゃいられんという意味も含ませた。非日常を見る畏怖の視線は、意外とおぼえているものだ。

“愚者の火”トーカ :「そーね。コピーくんだって生きてるんだもん」

“愚者の火”トーカ :
「……あたしたちや誰かの都合で生かされて、
 最後にいなくなるか生きるか選べって言われて……生きることを選んだ子のことは知ってる」

“愚者の火”トーカ :
「はたから見てると、そう生かされてるのはいい気持じゃなかったな。
 そこで損得考えて選べるから、京香さんは龍くんだったのかもね」

“愚者の火”トーカ :
 ・・・・
「生きないなんて……ひとりじゃないから選べることだよ」

"害群之马"龍嘉睿 :
「……割り切りすぎて気持ち悪がられたがね、まぁ、それはいい」

“愚者の火”トーカ :「見えるな〜 その光景」

"害群之马"龍嘉睿 :
「好きに見てろ」

"害群之马"龍嘉睿 :
「──生きるというのは案外、生きていなければ選べないことなのかもしれないな。ずいぶん身に覚えのあるような話だったから、相槌として打っておくが」

"害群之马"龍嘉睿 :
「……まぁ、終わりがなくなりそうだし、そろそろ俺も仕事に戻る。お前も途中だろう、トーカ」

“愚者の火”トーカ :「あ、うん。あとこれね。さしいれのおにぎり」

“愚者の火”トーカ :「女の子のお守り、ガンバッテ! 次は引かれないようにね!」

"害群之马"龍嘉睿 :「当てつけか。ったく……はいはい、つつがなく成功させてくるよ」

"害群之马"龍嘉睿 :「……ああ、そうそう」

“愚者の火”トーカ :「ん−?」

"害群之马"龍嘉睿 :
「事務所に"朧の弾丸(ホロウハンター)"、
 もしくはシホと名乗る女性が来たら、恐らく俺の客だ。通して構わん。ゼノスのようだったから、共有しておく」

“愚者の火”トーカ :「あの“タイガーアイ”くんと仲いい子だね? わかった、おぼえとく」

"害群之马"龍嘉睿 :「あとなんか木口龍の客のFHのラッキージンクスだ店長を出しやがれ、とか来るであろうやつも通して構わん。あとは……いや、いいか。覚えてはいないだろう」

“愚者の火”トーカ :「またヘンなトモダチつくったね〜。おぼえとくけど」

"害群之马"龍嘉睿 :
「後者は迷惑料だ。だが連絡手段の共有を忘れた。どうせ裏なら嗅ぎつけるだろう。
 俺の……お前曰くバカでアホみたいな真似に突き合わせた」

 ちょっと根に持ってる。

“愚者の火”トーカ :「そのときはメイワク料のおごはんおごってあげるね! 龍くんのツケにしとくから」

"害群之马"龍嘉睿 :「お前ね……。いや慣れたけど」

SYSTEM :
 …邯鄲の夢から覚めたあとには。
                ..ニチジョウ
 他愛もない話を橋渡しにして、次の仕事だ。

 あなたのことだから、たぶん要らぬ警戒を買い、馬の合うものから信頼を買い、そしてするべきことは振り返ってみればすべてこなして、プランナーの二つ目/まことの頼み事も終わらせるに違いない。

SYSTEM :
 どんな超人も魔が差してきた。独りの道を歩むものほど極端に。
 
 だが、あなたはそうではなかった。それだけのことだ。

 振り返った轍に残る約束か、いざという時に命を容易く対価に出来る共犯者か。そこはまあ、聞くまいが。
 生きないという選択肢を択ぶだけの理由があったから、アナタは龍嘉睿として生きて死んだのだ。

 たぶん…。
 そんな命綱のような前提がなくたって。

SYSTEM :
       ・・・
 なら。それがあなたになっても、
 きっとその生き方を全うするだろう。

 当たり前のように道を行くその心の内側には…。 
 あなたを形作って来たものが、時に流されずに遺り続けているからだ。

SYSTEM :

 ────エンディング/HO5『記録』

SYSTEM :
 HO5『Saver〜絶対救うマン〜』
               ───了

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・EDシーン2「初心」

SYSTEM :
【Check!】

 エンディング/HO1を開始します。
 暫くそのままでお待ち下さい...。

SYSTEM :
 三廻部颯は高校生である。
 エンジニアの父と専業主婦の母を両親に持ち、
 17年の人生を多少の起伏はあれど健やかに過ごしてきた。

 本人に特に変わったことがあるのかと言われたならば、
 習い事がちょっと女子高生にしてはアグレッシブなことくらい。
 他になにをば言うでもない。ありふれた女の子だった。

SYSTEM :
 ………フライト一時間半ぐらいの海上と、足元からその”ありふれた”が崩落していく感覚。
 
 そこから始まり、今に至り。
 見て来たものが嘘のように、目覚めたあなたは疵一つない五体満足。
 BEYOND
 海の彼方に消えた記憶の名残を見届けて、あなたはたぶん帰るべきところに帰った。一つぶんの、増えた御守りを手にして。

SYSTEM :
 ………オーヴァードとは半分超人で半分凡人の、人生を二足の草鞋に費やすことを強いられた生き物だ。

 あなたが島で教わったことと教わらなかったことがあるけれど。
 
 帰り方は、どうだっただろうか?

SYSTEM :
【エピローグ01:初心】

 登場PC:三廻部 颯
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-遺産継承者
 遺産と呼ばれる古のレネゲイドに感染した物品と契約を交わしたオーヴァード。
 
 物品やレネゲイドに関する情報、特殊なレネゲイドウイルスそのものなどを示す。
 こうした存在は自ら所持者を選別し、
 契約と呼ばれる特殊な関係を結んだものにしかその力を振るうことを許さない。
 
 遺産と契約することには様々なリスクがある。その一つは遺産の求める代償だが、何よりも。
 遺産の強力な力に惹かれて集まって来る存在とのトラブルに巻き込まれることを避けられないことだ。
 時にその代償が、単身で背負い得るものでなかったとしても。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 沖縄、那覇空港。
 団体様の到着は何事もなく、予定時刻通りのフライトに事故もなく。

 あなたの記憶の限りだとそんなことは全くなかったのだけど、そういうことになっている。
 遠くで欠伸している暢気な男子生徒も、到着と同時に静かにする気ゼロで喋り散らかしている女子生徒も、概ねあなたの記憶通りだ。

SYSTEM :
 そしてそれは、クラスメイトの巻き込まれた子たちも例外ではない。

生徒B :
「沖縄熱っつ…
 早くも帰りたくなってきたな…」

生徒A :
「おいスタートから勢いを削ぐな削ぐな
 つーか寝足りねえことあるのかよ開始速攻爆睡で」

生徒B :
「いやあるでしょ…
 僕、海外旅行は絶対無理だな…イタリアとかヤバいらしいよ」

生徒C :
「ここが日本で良かったわね。
 というかそろそろ静かにしとかない? センセ見てるわよ。苦笑いが急かされて変わるまで3分ってところかしら」

SYSTEM :
 彼方と言えば、ついこないだまで短いのか長いのかさっぱりのサバイバルめいた島での遭難などどこ吹く風だ。
 それは乗り越えたとかではない。寝起き直後、たまたま起きていた山田にカマをかけた咲楽は見事に梯子を外されていた光景からも窺える。

 しかしまあ、だからと言って。
 それが全くの、出来のいい壮大な白昼夢なのかと言われると答えは変わって来るわけで…。

池田咲楽 :
「(みごとに皆『リュウグウジマ? なにそれ?』みたいな顔してる…)」

池田咲楽 :
「(『ちゃんと送り返す』ってあの人言ってたけど、なにやったんだろ。颯、覚えてる?)」

SYSTEM :
 例の旧い御守り───あなたではなく咲楽が首から下げている方が最初から“あった”方だ───を下げた友達が、3分後の先生の咳払いを余所にこそこそと話かけてくる。

 覚えているのはあなたと、彼女と、たぶん…先生や旭のような者達だけ。
 当たり前の向こう側。水底を覗いて、まぼろしを夢見たものだけだ。

SYSTEM :
 思い出そうと思えば、すぐに現実感を伴って思い出せる記憶だが…。
 少なくともそれが友達の傷跡になることも、共有することになるわけでもない。

 何事もなく、の唯一と言っていい例外は。
 その「梯子外されてヘンな子めいた視線で見られた」友達くらいというわけだ。

三廻部 颯 :
 その肝心の友人は気もそぞろ、という風だった。
 ポケットに手を突っ込んで、お守りに手を触れては、それをやめたり。
 何かを引きずっている時の颯は、落ち着きがなくなる。

「……」

三廻部 颯 :
「んー……あ」

三廻部 颯 :
 親友に話かけられたことにも最初は気づかなかった。
 目を開けて、答えあぐねた様子になって──それから数秒後。

「(覚えてるよ。私の場合は──多分、私の体が理由だと思うけど……)」

三廻部 颯 :
「(……それじゃない?)」

 視線が、咲楽のお守りに向く。

池田咲楽 :
「(か、なあ)」

池田咲楽 :
「(何となく応えてくれたのかそうでないのか分かんないし…。というか)」

池田咲楽 :
「(なに、分かりやすく引き摺ってるね。
  お帰りなさいでフィニッシュじゃなかった感じ?)」

三廻部 颯 :
「(……それ聞く?)」

三廻部 颯 :
 別に、言いたくないというわけでもないらしい。

池田咲楽 :
「(んー…? じゃ、落ち着いたら。
  3分数行で済む感じじゃないでしょ)」

三廻部 颯 :
「(うん……)」

池田咲楽 :
「(気分転換して済むようなことなら、たぶんそれでいいんだろーけどね。
  後で聞いたげるよ)」

三廻部 颯 :
 親友はそれに頷いた。
 最も気分転換で済むほどではないのだが。
 それは永遠に解決しない命題だからこそ、どうしようもない。
 結局引きずっているものは「後悔」で、それは自分で昇華しない限り永遠に付き纏う。

「別に、旅行の雰囲気まで壊すほどじゃないからさ」

池田咲楽 :
「珍しく殊勝な台詞出しちゃってマア」

三廻部 颯 :
「いーでしょー」

池田咲楽 :
「寝起きの駄々こねみたいな声出しおってからに」

SYSTEM :

 もっぱらその引き摺り方をした颯が、1日や数時間でケロッと変わることは5:5と言ったところ。
 概ね後者だなと分かっていた彼女は、とりあえず修学旅行の前半二文字の義務が終わった後に、こっそり時間を使うことを決めたらしい。

SYSTEM :
 ………その横から、声がする。

『山田さん』 :
「颯ちゃん、寝つきでも悪かったっすか?」

生徒A :
「こいつがァ? ねェねェ。
 曲道だって突き当たるまで直進のクチだぜ」

生徒A :
「その辺どうよ………あー………」

SYSTEM :
 先生からの声が発されるまで2分ほど。
 変わらぬ調子の赤都上樹と、山田葵。

 おっかなびっくりの後飛行機ではしゃいでいた方がそわついていたのをどうも気にしたらしいが、そんな感情の細部まで分かるほどではない。
 軽く誤魔化せば引いてくれるだろう。

三廻部 颯 :
「寝つきはねえ、まあ、悪かったね……」

 それはそれとして事実。
 飛行機やら電車やら、ああいうシートは硬いから寝ると体が痛くなる。

池田咲楽 :「あ、フツーにダメだったんだ…」

『山田さん』 :
「では今後で挽回ってトコっすね。
 1日目はけっこう予定ガチガチっすけど」

三廻部 颯 :
「やだなー足痛くなりそうだなー」

 これは冗談である。
 颯の習い事を知っている友人からすれば「何を馬鹿な」と言われるほどの。

SYSTEM :
 見えているフリに“何を馬鹿な”を口にしたのは…

池田咲楽 :
「体力お化けがなんか言ってる」

『山田さん』 :
「うちにアレやってくれませんか
 あの オラに元気を…ってやつ」

三廻部 颯 :
「あれ手をあげると強制徴収だよ」

 とか言いつつ、山田さんの肩を揉んだりする。

『山田さん』 :
「正義のヒーローもやることはやるんすね〜」

『山田さん』 :わ〜気遣い 半分がやさしさで出来ているっす

SYSTEM :
 と、みごとな挟み撃ち。
 …そのさなかで、ふと咲楽が口を開いた。

池田咲楽 :
「…赤都」

生徒A :
「…あん」

三廻部 颯 :
「(行ったっ!?)」

池田咲楽 :
「友達待ってるけど、いいの」

生徒A :
「いンだよ。…あー、なんだ…」

SYSTEM :
 どうも言わずもがなのことであり、
 あなたは多分分かっていたから柳の勢いで流したのかも知れないが…。

 最初に颯にちょっかいかけてきたのは流れで彼女に話題を切り出すためだったらしい。

生徒A :
「いちお…言っとくよ。
 悪かったな。おめーの事情知らずにクチ利いて」

池田咲楽 :
「…なんか悪いもの食べたの?」

生徒A :
「おう人が下手に出りゃこれか?」

池田咲楽 :
「冗談。こっちも…ええと。
 ごめんなさい? ムキにはなった気がする」

SYSTEM :
 …ええと、は躊躇いの口調ではない。

 スムーズに済んだ言葉は予想済みのようでいて、自覚はないなりの島の名残。あのあと、あなたに報告した会話の一部始終は、恐らくこれと同じようなものだった。
 つまり、失言しないように発言をなぞったという話。

 ───忘れ去られ、淡雪のように消えていく名残なのだろうけど。
 彼にとっては、その自覚のないことが大事であったらしい。

生徒A :
「ま…そんだけさ。
 燥ぎに燥いで後で堂馬のセッキョー喰らわないようにな」

池田咲楽 :
「一番説教食らいそうなことしてるやつに言われても」 

SYSTEM :
 うっせ、の軽い悪態と共に彼は沖川/綾城のところに戻っていった。
 その付き合い方も一朝一夕で改善とはいかないだろうが、片や閉塞気味、片や一方的な部分に変化の兆しがあったことを、咲楽の方は確かに留めおいているらしい。

SYSTEM :
 …その堂馬先生はともかく、学長がそろそろ修学旅行のスタートを「皆さんが静かになるまで」の言葉で切り出すまであと1分。
 概ね、変わらない日常風景だった。

三廻部 颯 :
 何も変わらない。
 いつもの、見たことのある風景。
 変わったことがあるとすれば、私自身。

 周りにいる皆んなと、私は違う。
 その事実に対して、直面するまでは強気でいられたけれど───

三廻部 颯 :
「(……いざ、ってなってみると。
  寂しいな、ちょっと)」

 同じ出来事を共有できる親友が一人。
 それだけが今の所の救いで、助けになってるものだった。

三廻部 颯 :
「(……いっか。大丈夫大丈夫)」

三廻部 颯 :
 自分の思い描くもの、
 自分のやりたいこと、
 それを導線として引いた時に、そこに交わる人が居るのかどうか。
 進んでみなければわからないけれど、なんとなく、……そうなんとなくだ。

SYSTEM :
 予定通りに先生の声が響く。
 …未成年の学生などというものは、中学高校いずれも変わらず、だ。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 時に、沖縄修学旅行の定番と言えば…。

 平和祈念館である。
 何はともあれ、旅行の以前に「修学」とつくのでそんなものである。
 この固定観念は、これを有難がらなくなった時/忘れてよいものと口にする無遠慮さが押さえつけられなくなった時になくなるだろう。

 つまり、当分あとだ。

SYSTEM :
 バスの移動はあちこちに。
 平和祈念館に行ったら次は水族館、その次は旅館。

 実はバスに弱かったらしい友達の尊厳の危機に、時の堂馬先生が何となく同情的な視線を向けていたり…。
 水族館で見かけた海の生き物の中に、たまたまあの島の“夢”で見かけたようなものを見つけて、ふと足を止めたり…。

SYSTEM :
 旅館の夜、誰が言い出したか(あなたでなくとも)班の一室で枕投げが敢行されかけ…。
 そうかと思って翌日起きて廊下を見たら、なにかを“やらかし”たらしい上樹が巻き添えの男子生徒諸君(しかも珍しくその中に才人がいる)と共に正座していたり…。

SYSTEM :
 有り体に言ってあわただしくも、
    ・・・
 きっとふつうであったその日が過ぎる。

 修学旅行の1/3。
 義務というか課題というか、そんな感じの平和記念館と文化の話を過ぎると、あとは体験コースだったり、御土産物色の時間も兼ねた班行動だったりが待っている。

SYSTEM :
 その体験コースで、颯とあなたの親友が択んでいたのは、物珍しさからか、それとも当時の思い付きからなのか。
 所謂『体験ダイビング』というやつで。その体験ツアーが終わった頃、図らずとも、夢の終わり際の約束を叶える機会が廻って来ていた。

SYSTEM :
 バスに乗って旅館に戻る少し前のこと。
 あなたと咲楽は、ついさきほど体験コース/まぼろしでない実際の海に触れて来たばかりだ。

池田咲楽 :
「沖川、体験コースそっちのけでなんかやってたらしいよ」

SYSTEM :
 元々インドアの極みだった彼がアウトドア方向に乗り気なはずはなかった。
 そんな又聞きの余談を話しながら、ぼんやりと沖縄の海を友達が眺める。

池田咲楽 :
「いまは、怖くない理由もなんとなく分かるな。
 ちょっぴりフクザツだけど…」

SYSTEM :
 その海の彼方に、もう彼らはいない。

 彼方に帰り、十世紀ぶりのねじれを紐解いて。交わることはもうないだろう。
 その仏頂面で、裏表のない、ただ親しい相手のためならば/ただ通りすがった者の『死にたくない』に何もかも擲てる男の声は。聞こえても、幻のようなものだ。

三廻部 颯 :
 さざ波の音に懐かしさすら感じる。
 親友がそう口にするように、海に関するなにかの理由が分かると、少しばかり複雑な気分にはなる。

三廻部 颯 :
「なんかさ」

三廻部 颯 :
「海に潜ってるはずなのに息が出来るって体験をしちゃったから。
 さっきのダイビング、ちょっと怖かった」

三廻部 颯 :
「変だね、なんか」

三廻部 颯 :
「でも楽しかったな。
 咲楽はどうだった?」

池田咲楽 :
「そりゃ確かに。
 逆だったら、味わえなかったかもね」

 二つの意味での頷きだったらしい。

SYSTEM :
 海に潜っているはずなのに息が出来るという体験は、あなたにも彼女にも二度とはないだろう。
 間近で海の生き物を見るまぼろしも、海の底を話しながら“歩く”というまぼろしも。

 地に足付けた海は、あんなものだ。変、がふつうなのである。
 もっとも、次を迎えるたびに馴れていけばいい。それだけの猶予はあった。

池田咲楽 :
「トッケンかもだよ。
 高校出たら、私はほら…後回しにしてた神社のこと片付けなきゃだけど」

池田咲楽 :
「そのあと予定作って、一緒にもっかい行ったら、その”ヘン”の名残も消えちゃうかもじゃん?
 だから楽しかった」

SYSTEM :
 ちょっと怖かった、の理由が”ソレ”なダイビングなど、あの海を見た自分たちの特権だ、と。
 暢気半分に語る友達は、そうした”ヘン”に触れる機会を今後狭めていくのかもしれないし、踏み込んでくるのかもしれないが。

 あなたと同じものを共有して笑っているのは変わらない話だ。

三廻部 颯 :
「ん、そうだね」

三廻部 颯 :
 高校を出たら、というところに、若干の"気にする"ような素振りがあった。
 皆んなにはそう、続きがある。
 普通の──あの島では"ヘン"であること──人生の続きがある。

 それは自分にも用意されているレールではあるけれど、
 自分の場合はそうじゃなくて、外からそのレールを壊される可能性だってある。
 だから、少し気にした。

SYSTEM :
 …ここでその小さな語弊を指摘するものはいなかったが、ともかく。
 約束通りの海の風景。確かな現実の潮風。後々でたぶん文句の一つも言うだろうその質感と共に、最初に口を開いたのは友達の方だ。

池田咲楽 :
「…じゃ、さ」

池田咲楽 :
「聞いていい? …というか、」

三廻部 颯 :
「なあに」

池田咲楽 :
「厭だったら忘れて流して。
 気にしてるの、“アレ”の未達成?」

三廻部 颯 :
「……」

SYSTEM :
 要するに先日の約束の話。
 そしてさらに遡った約束…誰かに言わせればあまりにか細く、たぶん先の見えていない夢の話だ。
 
 彼女はある一点を除いて蚊帳の外だったが…
 それが分からないほどでもない。

三廻部 颯 :
「……うん」

三廻部 颯 :
「……ホントは分かってるの。
 無理な話だって、……もう手遅れなんだって」

三廻部 颯 :
「でも……でもね、それを認めちゃったら。
 ……それを認めたら、私が伸ばした手も、嘘になっちゃうでしょ。
 ……だから、……だからね、無理を通したかったし、そうじゃないって、否定したかったの」

三廻部 颯 :
「でも……」

池田咲楽 :「…でも?」

三廻部 颯 :
「それをするには、私の手は短くて……。
 否定する為の力も、強くなかったの」

三廻部 颯 :
 それが我儘である理由。
 誰にもそれを言うことはできなかった。
 終わった上で、親友にしか言えないこと。

 たとえ世界中の誰もがそれを手遅れだと思って、
 世界中の誰もがそれを無理だと言っても、
 諦めたくなかったし、認めたくもなかった。

 それを───、そう思ってるのは私だけだったから。
 それは"仕方のない"ことではあるんだろう。

三廻部 颯 :

  ・・・・・
「……覚え続けることはできるけど。
 それは前にも進まないし、ずっと止まり続けるだけだから」

SYSTEM :
 ・・
 ソレを。

 成り立てより一歩先に、オーヴァードが思ったより万能ではない事実を識る人間以外に言ったのは。
 運が良かったのか悪かったのか。

SYSTEM :   

 では、覚えていてくださいね、と。

 本人の言葉を借りるなら“大変迷惑だが嬉しくもあった”その腕に思わず差した魔のかたち。
 それは仕方のないことだ。覚えていた結果、何かが変わる奇跡はあったかもしれないが、起こらないから奇跡という。

SYSTEM :
 ただ…。

池田咲楽 :
「誰の、どの相手を“そう”するつもりだったのかは…。
 まあ、分かんないんだけどさ」

池田咲楽 :
「結果を出せなかった努力に意味ないって思うのも…、まあ、まあ分かるんだけどさ」

SYSTEM :
 後半苦笑い気味なのは。
 自分がそうだから。

 なんとなく家の事情がやんごとなきものだと分かっていて、“ふつう”をしようとしても、たぶん意味がないなと達観した彼女が壁を作っていた理由の話。
 上樹の言葉に修学旅行の折から応じるようになったのは、それの打破の第一歩であるらしい。

池田咲楽 :
「過程と結果って、ワンセットじゃないよ。
 そりゃ、何も言われなかったり…、なんか、こっぴどく失敗したのかも知れないけど」

池田咲楽 :
「仕方のない、で片付けないから、私と友達やったんでしょ。
 1回で止めなかったじゃん」

SYSTEM :
 彼女があなたの我儘の我儘たる所以を真に知っているわけでもなければ、頷いてやるでもない。
 諭すような言葉でもなかった。それだけ言ってから、ぼんやり海を眺めた彼女が、ぽつりぽつりと言葉を続ける。

池田咲楽 :
「なんて言ったらいいかな、うーん…」

池田咲楽 :
「いつか忘れてもいい時までは、覚えておいてあげたら」

SYSTEM :
 本人も地味にしっくり来ていないのか、言いたいことがそれではないような首傾げ。
 振り返る、イコール、立ち止まり続けるでもないよ、と言いたかった空気だ。

三廻部 颯 :
「……うん」

 それは納得しての首肯だったのか。

三廻部 颯 :
 きっと覚え続けはする。
 その人のことを記憶に刻み続けていれば、忘れなければ、きっと私の中では生き続けるのかもしれない。
 ……、それでも。

 ……それでも、死んでいいわけはなかった。
 死んだら、そこでおしまいだ。
 先に進むことも、後ろに戻ることもできない。

 ……生きていれば、チャンスはいつだって訪れるし、奇跡だって起こすことができたのかもしれない。
 だから、成すことができなかったのは、ずっと後悔し続けると思う。

三廻部 颯 :
 1回で止めなかったのは、咲楽がそこに居続けてくれたから。
 ……死んでしまっては、それすらも敵わない。
 だから、次はない。

 そのことはずっと残り続ける。
 けれど……それで足を止めていては、きっと笑われるだけ。
 そのことはちゃんと、分かっていた。

三廻部 颯 :
「……うん、そうする。
 その人にしてあげたかったことを、続けていこうと思う」

池田咲楽 :「…」

池田咲楽 :「てい」

SYSTEM :額の間に、こつん、と人差し指。

三廻部 颯 :
「いた」

池田咲楽 :
「しょうがないやつめ。
.      ホケンシツ
 聞かん坊は小学生からだものね」

三廻部 颯 :
「ひどぃ……」

池田咲楽 :
「これでイーブンね」

池田咲楽 :
「分かんないことが、分かるようになっても…。
 それが、整理つかないことでも。
 傍にいるよ。したいことして」

池田咲楽 :
「颯も、胸張って"きらく”にやれるようにさ。
 …何もソレの扶けにはならないけど。こうして、結びの話を聞いたげる」

三廻部 颯 :
「……ほんとに?」

池田咲楽 :
「島の時も、この“きらく”言ったっけ。ね」

三廻部 颯 :
「……うん、言った」

池田咲楽 :
「こういう時に“なんとかなる”振り翳すの、いつも颯の領分だもん。だから、ホント」

SYSTEM :
 稀有な遺産の持ち主が、遺産のりくつを知っているわけではない。
 ましてや“ソレ”が理由でもなかった。

 ある日の吼えた狗から扶けたことは会話の切欠であり、それが全てでもなかった。
 強い弱いは、少なくとも、池田咲楽があなたの友達をやっている理由ではないからだ。

三廻部 颯 :
 頷く。
 私のやりたいことは、言うだけなら簡単なこと。
 ・・・
 あの人のように孤独で、孤独でいることに耐えられない人に手を差し伸べること。
 その手を掴んで、引っ張り上げて、一人じゃないと示すこと。
 
「……うん、うん」

三廻部 颯 :
「私……たぶん、茨の道行くと思うよ。
 ……旭くんとも、あの島にいた、他の誰とも違うところ。
 それでも───なんて聞くのは、ちょっと野暮かな」

池田咲楽 :
「分かってること言わない」

池田咲楽 :
「…まあ、流石に世の中全部敵に回します! とかだったら先にビンタかもだけど…」

三廻部 颯 :
「そんな勇気は流石にない!」

池田咲楽 :
「あったら困るわ
 3年前ぶりのケンカが始まっちゃう」

SYSTEM :
 ちなみに手が出た瞬間負けることを知っている咲楽の防御態勢は露骨かつあまりに鮮やかな手際だったことを追記しておく。

 ………ともかく。

池田咲楽 :
「どこ行っても、引き返しても、逆走したって。
 ちゃんとそこにいるよ」

SYSTEM :
 ………まぼろしの海の名残が過ぎゆく、
 ある夏の日、沖縄の海。

 後押しとも、楔とも取っていい位置にいるものの言葉は。
 さざ波に紛れ込んで、空に昇った。

三廻部 颯 :
 曖昧な微笑みは、きっと信頼の証だ。
 正道を行くことはないと分かりきっているから、そのことを支えにする。
 私は独りじゃなくて、縁がずっとそばにいるのだと。

 親友の手を握った。
 あの人に向けれなかったものを、強く握って。

SYSTEM :
 …あなたが変に思い切りがよかったのは。

 その麻疹めいた不信か。どこかにある絆しの訣別を燃料にした意志の具体案を、何処かに求めたことだ。

SYSTEM :
 他意のないようである手を握り返して、指きりの所作をしてから、もう一度額を小突く。

 修学旅行、二日目。
 なんでもない、決意表明。

SYSTEM :
 ………そして………。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 201X-10-XX
  千葉県K市某高校にて

SYSTEM :
 夢は醒めるもの。
 執着もまた然り。

 悲喜どちらであろうとも、鮮烈な経験ほど早く過ぎていくもの。
 何事もなく、学生にとってはひと夏の思い出というには十分な出来事を経て、高校二年生の夏というひとつの岐路に近付く。

 このご時世では過去に謳われたものほどではないにせよ、学生には中学と高校の間、高校と大学の間にそれ相応に大きな壁が一つあるからだ。

SYSTEM :
 だから、いざその時が来る前に、進路のきっかけを作る。
 修学旅行の終わりの次に控えているものは、概ね”コレ”だ。

 何処に行くのか、何をするのか。

 少なくとも今年度中はいるらしい『先生』が…放課後、教室であなたと面談の形を取っている理由はソレだった。
 少なくともはじめは、学生の本分的な意味で。

三廻部 颯 :
 私はその日、あの時よりも最大の絶望に包まれていた!
 それは成績という学生生活を送る上で避けて通れないステータスの公表だった。
 その事実に泡を吹きかけ、親友に三度魂を現世に戻してもらい、私はその後行われる面談に出ることになった。

 ……学生はみんな面談がある!

三廻部 颯 :
 つまり私が今不安そうな顔をして、
 がくがくと震えているのは……、

 成績のことで先生に怒られるのではないかと戦々恐々しているからである!

「…………」

SYSTEM :
 あなたの成績はそんなに『がんばりましょう(暗喩)』だったのだろうか。
 先生の表情からは窺えない。

『先生』 :
「三廻部…クッション代わりに先に言っといてやるが」
 

『先生』 :
「別段悲観する成績ではないぞ…。
 推薦にはちょっと…まあ…足りないだけでな」

三廻部 颯 :
 が が あ ん !

SYSTEM :
 あなたが実際にどこかの大学の推薦を貰おうとしていたのであれば、その夢は地味に破れたりというところである。

 というか今破れた音が聞こえた。

SYSTEM :
 さらに言えば先生は先生なので、あなたの前に来たスポーツ推薦で行く気ィ満々なので完全に赤点ギリギリブッチギリを通っている”アホ”の面談をしていたばかりなことも言わなかった。

『先生』 :
「ま、1年先のことだ…このままいけばの話であってな。
 挽回の余地は多くなくてもあるさ、来学期次第ってところだろう」

三廻部 颯 :「一年前もおんなじこと言われましたあ……」

『先生』 :
「知ってるか三廻部
 三度目の正直って言葉があってな」

三廻部 颯 :
「……な、なるほど!
 じゃあ三年生になればその名の通り……」

三廻部 颯 :
 どこからか「その名な訳あるか」と突っ込まれた気がした。

SYSTEM :
 きっとイマジナリー親友の声である。
 狙い撃ちもしない。

SYSTEM :
 あなたが意気消沈したのは普通の学生としての話だったのか、あるいは…。
 ………ともあれ、進路相談と面談の方は恙無く終わった。ただショック音が2回ほど続けて聞こえたことを、恙無くと言っていいならば。

『先生』 :
「しかし、やっぱり進学か? 
 モラトリアムの長い短いだけが全てじゃないが、未成年のうちの経験って言うのは意味合いが違うしな」

三廻部 颯 :
      ・・・・・
「ま、まあ、あんなこともありましたので……」

三廻部 颯 :
「でも……そうですね、やっぱり進学なのかなあ。
 あんまり、そのまま就職!っていうビジョンもなくって」

三廻部 颯 :
「でも、特段何か趣味があって、それを仕事にしたい!とかも考えてなくて。
 ただ惰性で大学に行くよりは、何か目的があるといきやすいのかなあ……とかは考えてます」

『先生』 :
 ・・・・
「そうだな。
 そのまま就職ってケースは、まあ…ゼロじゃないが」

SYSTEM :
 …不意に。

SYSTEM :
 カーテンをぴしゃりと閉ざすように音が消える。
 
 あなたは識る由もないことだが、ハヌマーンの振動操作が成せる音の遮断だ。

SYSTEM :
 それもそのはず。
 聞き耳を立てられていた/その話が表と裏の境界線を分けたのでは、
 たまったものではない。
      カヴァー
 彼が教師の役割などやっているのも、伊達や人手不足ではない。
 
 単純に、いざという時にそれを遂行できる術があるからだ。

『先生』 :
「目的意識ってのは大事だが、焦って探すようなもんでもない。
 惰性どんとこいってこともあるさ。ご両親にそれストレートに言ったらよくてフクザツな顔だろうけどね」

SYSTEM :
 …『先生』が、当たり前の進学論と、彼の人生経験らしき話を手短に交えた時。

 あなたの“あんなこと”という言葉を、何かのサインと受け取ったらしい。音を隔てた場所で、彼が口を開く。

『先生』 :
「で、三廻部…」

『先生』 :
「このタイミングでその話する辺り、そっちの相談でもあったのか」

三廻部 颯 :
「へ? あ、いやー……えっと、そういうわけじゃなくって」

三廻部 颯 :
「ただ単に、ああいう経験をしてしまったから、
 何事もなんかこう……なんだろう、インパクトっていうか、ワクワク感というか、
 そういうのがあんまりないなー……って」

三廻部 颯 :
「結構進路を考えるのに差し障ってるというか……まあ、実際、そっちの方も決めなきゃいけない気はするんですけど……」

『先生』 :
「そのインパクトのないものの中に、いざ遠ざけたらそれはそれで“困る”ものがあるんだぜ」

三廻部 颯 :「それはそうなんですけど……」

『先生』 :
「まあ、実際のところそうだ。

 成ったばかりのやつがギャップで浮くなんて、全員が全員じゃなくてもゼロじゃないよ」

『先生』 :
「となれば、その辺で逆に現実感でもなかったか。
 ………分かってるとは思うが、アレ、だいぶ特別なケースだからな。ピントを合わせられるように付き合っていくつもりだが」

『先生』 :
 まあ先生はその話について、
 概ね伝聞で“なぜか”実体験ではないんだがな

三廻部 颯 :
「……それ、旭君にも言われました。
 まあ、その、なんていうか……正直そう言われても全然分からない感じではあるんですけども……」

 それは極端な例、というのは一般的なオーヴァードからすればそうかもしれないが……、
 私にとってはアレが初めてだから、なんとも言い難いのだ。

『先生』 :
オーヴァード
「超人なんて言っても、そんなファンタジーじゃないってことさ」

『先生』 :
「上司の顔色はわりと伺うし、同僚の機嫌が悪い時は愚痴聞いてやらないといかん。
 荻野目みたいなのが冗談でもない泣きつき方してくるかどうかも見分けをつけないと、後で自分が困る。

 ………島じゃ“そういうの”がなかったと聞く。いまの学校生活みたいなのを地続きで並行する感覚っていうのかな」

『先生』 :
「そいつを忘れると、たぶんおまえが一番困る。分からないは悪いことじゃないから、そこは俺らの責だがね。

 これから付き合っていくもう半分を『分からない』で完結させ続けるなってこと。俺より先に言ったなら、そんなところだろ」

三廻部 颯 :
 子供と大人の中間を漂ってる自分には受け入れ難い話だ。
 何よりそれを否定したかった島での自分を思うと、痛いところを突き刺されているような感じがする。

「……正直に言うと、辛かったです」

三廻部 颯 :
「何を信じれば良いのかも分からなかったんです。
 自分に起きたこととか、友達に起きたこととか……、いっぱいいっぱいなのに、
 寄りかかるのも許されない感じがして……」

 補足するけど、
 そんなつもりじゃなかったんだろうなとは思う。
 私があの時、あくまでそう感じちゃっただけ。

三廻部 颯 :
「片方を信じようと思ったら、そっちは実は悪いこともやってますとか。
 じゃあ別の片方はっていうと、法律とか規範とか、そういうの知らないって感じで。
 だから……分かりたくても、分かる余裕がなかったというか……言い訳なんですけどね」

三廻部 颯 :
「……けど……これから分かっていこうっていうのも、……辛くなっちゃって」

 要するに、
 暗に「UGN」にも「FH」にも、良い印象を抱いていないということだ。

『先生』 :
「…あまり。第三者視点でモノ言うもんじゃないとは分かっているがね」

『先生』 :
「荻野目が送って貰いたかったのって、そのインパクトのない昨日までの感性と生活だ。

 望んだならさておき、きみのスタートは事故だろ。
 事故の相手に『戦って』を言うには、今までやってきたプライドが邪魔したのさ」

『先生』 :
「そうだろ。あいつ、ウチに来いとか手伝ってくれとか…一言でも言ったのか?

 そうじゃないなら、そんなもんだよ。
 思い付いた時に『すみませんちょっと手伝って』を言う相手くらいに考えるのがいい」

『先生』 :
「その印象の悪さは汗顔の至りだが…。

 その言葉に他意なく「分かった」を言えるくらいの人間ではいたいのさ。
 いる、じゃなくてな。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いなら、しょうがないが」

三廻部 颯 :
 昨日までの感性と生活。
 それって、本当に出来ること?
 ずっとそれが付き纏っていて、それは今でも離れない。
 ましてや私が託されたものは、オーヴァードの社会の中では劇物のようなもので。

 悪い人たちの中では、殺して奪うような代物でもあるらしい。
 UGN以外のそれを知っている人たちが、それを口外しないなんて保証もない。

 私のその昨日までの生活は、不意に壊される危険性を大きく持っている。
 そのリスクと向き合って、生活をしていく自信は、いまだに持てていない。

三廻部 颯 :
「……先生、ひとつだけ聞かせてください」

三廻部 颯 :
       ・・
「先生は、……白銀さんのこと、聞きましたか?」

 それはつまり、
 彼女の人生、彼女の孤独、彼女の抱えたもの、それらを誰かから聞いたかどうか。

「……その上で、先生はどう思いましたか?
 先生は……その人のこと──手遅れだって、思いましたか?」

『先生』 :
「自惚れるな、三廻部。

 人生生きてきた人間の”そこだけ”を切り取って、哀れむもんじゃない」

『先生』 :
「島で何を言われて、何を思ったのかは知らない。だから、そこに口出しはしない。

 それはおまえの特権だよ。何をしたい、と思ったことを止めていいのもおまえだけだ。だがな…」

『先生』 :
「その話をするなら先に…もう一度、言っておくぞ。

 自惚れるな。
 ・・・
 いやだ、を蹴り飛ばして万事解決が出来る生き物のことは神って言う。俺たちは半分真似事が出来ても、半分そうじゃない」

SYSTEM :
 閑話休題。

 聞かれたことについてはぐらかしたいわけではない/あるいははぐらかすことが態度としてはならないと思ったのか、彼はあなたの問いに応える。

『先生』 :
「聞いたよ。情報も見た。

 戦える相手を探して彷徨った、どうあっても被害を避けられなかった。
 手遅れでなかったんだろう。言葉は話すし、理性もあった。

 理性がないやつしか、人間社会から遠いところで欲望を果たそうなんてアクションは起こさない。“してはいけない”のブレーキがついているやつではあったらしい」

『先生』 :
「…たまたま島ではその”被害”が面にならなかった。
 だから、“しない”の余地を択べた。

 この時点、この段階を手遅れとは言わない。荻野目がたぶん好きなヤツの理想に合わせて言えば…。
『患者』だ。『敵』じゃなかった。それがいけないことだと教わっていないなら、教えて、それから再出発でもすればよかった。そのための俺達だからな」

『先生』 :
「だがそこに遡って出した被害を笑って流しました、じゃあ…欲しいものを手に入れる連中とあまり変わらないし。

 こいつも所詮推察だが…」

『先生』 :
「その『手遅れ』を悟るべき時期に、そいつ自身にその気がないのでは猶の事どうしようもない。

 だったらそいつの納得と一緒に送り出してやったことは、最善でなくとも最悪じゃないよ」

SYSTEM :
 彼女は嘘をつかない。

 なので、とても迷惑とうれしいは両立した。
 でなければ魔など差すこともないだろう。

SYSTEM :
 そしてここで「どうにかなったかもしれない」を彼は一切口にしなかった。

 慰めのために言うならば無難かつ真っ先に言うべき台詞だ。
 そうではないことを気休めに使うものでもないからだ。

『先生』 :
「そういうのが珍しすぎるわけでもない。

 しんどいのさ。
 30分、コマーシャルの合間に挟まって悪党ブッ飛ばして終わりの、昔のヒーローにも。ブッ飛ばしての間にいろいろ葛藤があっただろ」

『先生』 :
「おまえが…”やりきれない”をあったようにな。
 遠くからの先生の言葉だ、笑いながら話半分に聞いてくれ」

三廻部 颯 :
 笑いながらなんて聞けなかった。
 私はそこで、はじめて、声をあげて泣いた。

三廻部 颯 :
 その涙が自惚れであることなんて分かってた。
 その涙が、ずっとこれから引きずることになるだろう後悔によるものだということも、分かっていた。

 分かっているのに、涙は止まらなかった。

三廻部 颯 :
 机が濡れることも、制服が濡れることも、構わなかった。
 今までずっと我慢していた分、ずっと、ずっと。
 結局、そのことに関してだけは、咲楽の前でも、涙を出すことができなかった。

三廻部 颯 :
 ・・・・・・
 しんどいのだ。
 私にはその現実を受け入れるだけの心ができていなくて、
 それを受け止めきれないから否定したかった。
 でもそれも叶わなくて、ただ、最悪ではなかったという事実を、見続けることしかできない。

 それが自分の過ちで、正しさなのだと思い至るのは、随分と先の話。

三廻部 颯 :
 何分かあと。
 ずっと泣いて、泣くだけ泣いたあと。
 ようやくハンカチで自分の顔を拭いて、真っ赤な目のまま、顔を上げる。

三廻部 颯 :
「……先生」

三廻部 颯 :
「……自惚れなのは分かってます。
 分かったうえで……その、あの」

三廻部 颯 :
「……やっぱり私、白銀さんみたいな人を見捨てられません。
 私が孤独を断ち切る力を託されたのなら、それで人を助けたいんです」

三廻部 颯 :
「……どうすればいいんでしょうか。
 ……えっと、日常の進路もふくめて」

SYSTEM :
『先生』はその流血のような落涙を、数分の間何も言わずに、ただ音だけを隔てていた。
 泣きつくならば無言で受け止めただろうし、ハンカチがなければ貸しただろう。

 ただ、それは絆しでも折れるでもない。

『先生』 :
「やれることがあるのにやらない、は厭か。
 とりあえず最後の余分はもう答えたが」

SYSTEM :
 要約でどうもしない。

 日常の進路は“そのため”に捻じ曲げるものでもない。

『先生』 :
「UGNから直接”何かの為に戦え”は来ない。それを命令し出したら、いよいよ俺達なんのためにやっているのか…の話になるからな」

『先生』 :
「おまえはどちらかというと巻き込まれる側なんだ。
 ………自主的に助けたい、の選択肢は提示できないこともないが、釘は刺すぞ」

『先生』 :
「俺は…。

 やれることがあるのにやらない、の気持ちは分かっても。
 今のところ、先生だからな」

『先生』 :
「自分から傷を負います、みたいな話に頷く気は基本ゼロだ」

『先生』 :
「…UGNとはあんまり手を組んでくれないが、さりとて“助けたい”で動いてるやつらのことなら、まあ知らんでもない。紹介も出来る。
 そいつらだって、単独で何かをしようってほど自惚れちゃいないよ」

『先生』 :
「そして俺達も、まあ…自分で自分のアピールしてるみたいな話だが。
 
 人間、悪いところが見えたらそれが全てでも、いいところが見えたからそれ以外が覆い隠せるわけでもないんだ。
 その判断を出すのは、もうちょっと待ってくれると嬉しい」

『先生』 :
   ここ
「俺もUGN、全部が好きじゃないが、好きだしな」

三廻部 颯 :
 難しい話だ。
 一度付いた印象を変えるのは難しい。
 その印象を変えるような事がこれから起こるかどうかだって、わからない。

 ……だから判断を出すには早い。
 そこは頷ける。

三廻部 颯 :
 結局……、
 私のやりたいことを、そこでどれだけ主張できるかなのだ。
 どこにいってもそれは同じだから、そこの折り合いの付け方はこれから学ぶことだろう。

三廻部 颯 :
「……、
 ……好きになれたら良いなとは、思います」

『先生』 :
「なろうとするんじゃないなら、それがいい。
 嫌う、はエネルギー使うからな」

『先生』 :
「やっぱり無理だったなら、その時は仕方がない。全部が全部仲良くできたら、こっちとあっちで、対岸で睨めっこなんてしてもいない」

『先生』 :
「………先生に聞くんならそう言う話だ。
 俺達に聞くなら…」

『先生』 :
「他人扶ける前に自分からだよ。
   チカラ
 その遺産のことを聞いているなら…。
 それを振るった場所の痛みを覚えているなら…。

 扱う自分の方を“やらなきゃ”で蔑ろにするんじゃないぞ」

『先生』 :
「それが最初の宿題だ。
 出来たころには、こんなひとやま幾らに”うぬぼれ”なんて言われることはないさ。そうしたら、また話を聞いてやる」

『先生』 :
「UGNの“ハイウインド”でも、そっちじゃない先生でも。もうちょっと別の名前でも。
 ………人の痛みと寂しさに手を差し伸べる、そういうトコが薄れて欲しくもないからな」

SYSTEM :
 とどのつまり、気持ちの先行と分かっていることを“仕方がない”で送り出す立場なら、彼はカヴァーでも先生ではないという話。

SYSTEM :
 そもそも彼からすれば、高校生は子供と大人の狭間などではない。

 子供だ。掛け値なしに。
 そんな言葉を使っていいのは二十代から。大人の責務が足音を立てて近づき、誰かにそういう背中を見せねばならない、そんな先輩一年生からである。

SYSTEM :
 …であるならばその答え方は当然だ。

 即断即決の後押しをするのは、あなたの思う規律と責務を投げ捨てたロクでなしの方だろう。

三廻部 颯 :
「……はい」

 別に自分を蔑ろにする訳じゃない。
 けど、そうなるリスクを抱えているのが現状。
 そう見えてしまうのだろうし、見えなくなるようにしていかなければならない。

 少なくとも、今の話は、全部聞き入れた。

三廻部 颯 :
 先のことはわからない。
 私が生きているのかさえ。
 どこにいるのかも、どういう考えをしているのかもわからない。
 だから、先のことを考えるのは、期待と願望で10割だ。

 そうなってほしいと思うことはあっても、そうなるように努力をするのとはまた別の話。

三廻部 颯 :
 いつかそう思えれば良い。
 私は別に……そこにいる人たちまで嫌いな訳じゃない。
 それはそれ、これはこれだ。
 だから時間をかけて変わる事ができるのなら、それがずっと良いと思う。

三廻部 颯 :
「……ありがとうございます、先生」

『先生』 :
「どういたしまして」

SYSTEM :
 それで納得のゆかぬことがあれば。
 また初心に立ち返ることがあるだろう。

 海底のまぼろしをもう見なくとも。
 叶わなかったことを、もう変えられずとも。

SYSTEM :
 夢の終わりがそれきりではないことを、たぶん、凡庸な挫折を繰り返してきた部外者が零す。
 
 まぼろしで出来た孤独の島の名残から、地に足を付けて。
 その力の意味を振るうことがあれば、それはきっと、その初心が変わらぬ骨子であろうからだ。

三廻部 颯 :
 自分のために、夢を紡ぐ。
 それを形にできるのはまだずっと先のことで、思い描いた夢を実現することもできない。
 私は心も体も未熟で、"これから”は無限に広がっていく。

 ひとつの挫折を抱えるのはきっと性分だけど、
 それが重荷にならないようにする事はできる。
 だから、覚えつづけるのだ。

三廻部 颯 :
 ……私の初心は、あの海の底で抱いたものから変わらない。
 それをより良くしていくために、もっともっと頑張っていきたい。
 託されたものが、託されてよかったと思えるような。

 だって、海から見てるって言ってたし。

三廻部 颯 :
 ……そして最後は、私が納得できるように。

SYSTEM :
 海の彼方で、彼は自分の悪しに疑問を持たずに逝った。

 すれ違う独りと独りと独り。
 最も長い深海の孤独と共に、彼は去り、彼女は旅立っている。

SYSTEM :
 それを初心ならば、すぐでなくとも道が袋小路となることはないだろう。
 過ちや未遂が、その言葉のまま終わることもないだろう。

 独りでないことを忘れるな、は。
 その刀を渡したものの祈りだ。

SYSTEM :
 ………夕暮れに、ありもしない潮の音。
 さざめくような波の気配は、夢の奥底に。

 いずれ走り抜ける猶予期間の一幕であった。

SYSTEM :

 ────エンディング/HO1『初心』

SYSTEM :

 HO1『Awakening〜お覚醒めですか?〜』
               ───了

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・EDシーン3「未踏」

SYSTEM :
【Check!】

 エンディング/HO2を開始します。
 暫くそのままでお待ち下さい...。

SYSTEM :
 …ファルスハーツには概ね二種類の人間がいる。

SYSTEM :
 自分の欲望の為に生きられる人間、
 他人の欲望の為に生きざるを得ない人間。
 
 そしてさらにそこから二種類。
 人の繋がりを必要とするか、しないか。
 己の命が陥穽に至っているのか、いないのか。

SYSTEM :
 久外境耶───”ラッキージンクス”。
 死を刈り取り、死に隔てられるあなたは。どちらでもあった。

 自分の欲望が、他人の欲望であったからだ。
 もちろん、普段はその前提に否を唱えることがあろうとも。
 少なくとも、二度と巡り合うことのないあの島においては。
 命を懸けることを是とする理由は、あの海の彼方にあった。

SYSTEM :
 何時も通りに戦って、いつもどおりに生還する。
 
 空手と荒唐無稽の報告書。  ゼッタイ
 なれどもオーヴァードの世界で順当正着という言葉ほど、
 絶対に信じられない言葉はない。
 
 不幸中の幸い、またはそれこそ徴の証明たることなのか。
 白昼夢のように消えて行ったリュウグウジマの実証は、幾つかの物的証拠によって果たされた。即ち…。

SYSTEM :
【エピローグ02:未踏】

 登場PC:久外境耶
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-プロジェクト・アダムカドモン
 UGNにおいては遡ること十数年前に封印指定がなされた研究計画。
 設立よりしばらく、現在と比較してレネゲイドに関する知識が乏しかったUGNが、
 情報を手にするために行った禁忌の計画であり、その名自体、公には伏せられて久しい。
 
 レネゲイドの力がもたらす人体への影響を知るために、UGNとFHセルの共同研究が実施され、
 結果多くの臨床データと、その数倍の犠牲者、踏み破られ荒らし尽くされた倫理の残骸が生まれることとなった。
 プロジェクトは結局、最終的な結実を見ることがないまま、実験体の脱走によって瓦解。
 以降UGNとFHの協力の場は完全に閉ざされ、犯された過ちは永遠に闇に葬られることになった。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 即ち戦いの後始末。
 命のやり取りとは程遠く、死の中で凍てつき燃え上がる炎とは無縁の舞台。

 鉄砲玉が刈り取るものを刈り終えた後の場面。リエゾンロードの立場においてなおも信じがたいほどフットワークの軽い女が、翌日のあなたを出迎えていた。

“黒き力”ヴィカラーラ :
「お早いお帰りね。
 御伽噺へのバカンスはどうだったかしら」

“パラディン”的場啓吾 :
「土産無しの素寒貧だが気分良く帰って来たぞ」

“黒き力”ヴィカラーラ :
「あらそう。私としてはその言葉で80点ね。
 で、そちらはどうかしら? この牙なしの人喰い猫の前で聞かせて頂戴」

SYSTEM :
 元UGN日本支部最強と、リエゾンロード最右翼の心温まる会話の中心に、”迷い小路”のリーダーがいた。
 さながら前門の虎後門の狼。

 側面には対岸の火事を眺める兎…兎? が一羽。エトセトラ。

“ミッドナイト・アイ” :
「………」

SYSTEM :
 そういうわけで尋問と言う名の事情聴取の責任元が早くも決定した中、ついて来ていた女が、リュウグウジマでの妄言が真実なのだと知ると、境耶に無言で視線を向けて来た。

 “これが”? みたいな顔であった。

久外境耶 :
「うっす。オカゲサマで楽しく遊んできました」

 フットワークの軽い相手に、つい立場に見合わない口を利く。どだい付け焼刃のレーギは求められていないようだし。

久外境耶 :
「土産無しつっても玉手箱どころかタマ取ったし点数稼げたと思ってますよ、おれは」

 ど〜かなど〜だろ。

久外境耶 :
 で、もう一方。呼んだらマジで遊びにきた──もしかして向こうさん全員フットワーク軽いんか──の夜目子。

 これが? の視線に、
 これが! の半笑いで応じる。

 さて、肩身のない現上司でどう遊んでやろう。

SYSTEM :
 礼儀が求められていないところは、最初の邂逅でご存知の通りだ。
 それに聊か機嫌よさげなヴィカラーラの地雷を踏むことは、よほど意識しなければないだろう。

FHセルリーダー :
「おう、点数稼ぎごくろ〜さん。
 オレも数十分前まではよくやったよって言ってやろうかと思ったんだ」

FHセルリーダー :よくもやったなオイ。

久外境耶 :「アッハッハッハ同窓会っておれ初めて見た」

久外境耶 :「実際どうなん後輩に半眼で見られる感想」ぶふふ

FHセルリーダー :
「落ちぶれたOBが帰りたくねえ高校に不可抗力で帰って晒し上げされる瞬間」

“ミッドナイト・アイ” :
「にわかには信じがたい…
..    バステト
 本当に”人喰い猫”?」

FHセルリーダー :
.. バステト
「“人喰い猫”です」

“ミッドナイト・アイ” :
「ふざけている…思ったよりも現実が牙を剥いている…
 こんなゴール一歩手前で満足しそうな世渡り下手な溝猫が元クランの一桁ナンバー…」

FHセルリーダー :
         コイツ
「言い過ぎじゃない後輩?」

久外境耶 :ダハハハハ ドブて ドブておまえ

久外境耶 :ッヒー

SYSTEM :
 彼の気持ちを表すならば、OB晒し上げどころではない。
 現在の職場と過去の職場から黒歴史のつるし上げを喰らっている感触である。

“ミッドナイト・アイ” :
「…よく生かしたねボス…いや…だからか…」

“黒き力”ヴィカラーラ :
「分かっているじゃない。だからよ。
 自分で牙抜かせた男がどこでどうくたばろうが知ったことではないわ」

FHセルリーダー :
「オレも古巣の後輩と元敵と上司に囲まれて
 如何せんとする虞もいないおひとり項羽様になるとは思わなかったですよ」

“黒き力”ヴィカラーラ :
「やだ、あなた自分が名のある武将だと思ってるの?」

FHセルリーダー :
「これからもNo.1のはずの女が死んじまったんスから当時限定でオレが項羽様でしょ。
 ………で、えー話戻しませんか? 戻しましょうよ」

久外境耶 :「え〜〜〜〜おれリーダーの一桁ブッフ牙アリ時代のハナシ聞きたいなあ〜〜〜〜」

久外境耶 :死ににくくてぇ〜世渡り上手でぇ〜忠実な家の出でぇ〜物持ち悪いタイプの〜

久外境耶 :本物人喰い猫

FHセルリーダー :いいのかオレが語尾に「テト」つけて暴れ出してもよ

久外境耶 :夜目子どう思う?

久外境耶 :見たい(裏声)

久外境耶 :見たいってホラ後輩も言ってる

“ミッドナイト・アイ” :…見てもウザい…

“ミッドナイト・アイ” :…インターセプトもダルい…裏声のスピード早すぎ…

FHセルリーダー :うちの構成員が一番積極的に刺してくるんだけどオレのこと

“黒き力”ヴィカラーラ :
「あらなに、話していないの。
 それはそうよね。ケジメつけさせた後だから不問とはいえ、迂闊に吹聴して胴体泣き別れはイヤよね」

“黒き力”ヴィカラーラ :
「うちのクランの中では一級品の荒事専門だった男よ。
 バステト
 “人喰い猫”なんて名前も、消耗品遣いの荒さ以上に天井知らずの仕事熱心さだったから付けたもの」

“黒き力”ヴィカラーラ :
「まあ結局No.一桁に届いてもそれきり。
 一番見込みのあったコが死んだ時だったかしら? 人の野望に砂かけてくれてね。
         つ よ さ
 見逃す代わりに利き腕と得意技を置いてって貰ったわ」 

SYSTEM :
 要するに欲望の火種を失って、順当に牙剥いて砂かけて。

 何を思ったかヴィカラーラが“殺す”以外の選択肢を裏切り者に下した結果が彼という話。言われた本人は目を逸らしつつも、

FHセルリーダー :
「ガキもジジイも男も女も仕事の内外関係なく殺して一番なりたがってたのが、急にアホらしくなっただけだよ」

FHセルリーダー :
「はいこの話終わりー。
 話終了バリアー」

久外境耶 :
 ……マジで?

 いつか見た夜目子とまるきり同じ反応になる。老猫、なんて言われようもナットク。
 ギラついていた頃のリーダーはさぞかしおれ好みだったコトだろう。

久外境耶 :
 下につく相手としてではなく。名も知らないまま、知る意味さえ持たず、イチゼロ決める関係として。

久外境耶 :「フ……甘いぜリーダー」

久外境耶 :「おれにはリュウグウジマから持ち帰ったこの技があるんだぜ……!」

久外境耶 :バリア貫通ーッ はい続行!

FHセルリーダー :持ち帰った代償に精神年齢にデバフでもかかったかキミは?

久外境耶 :若返ってるんだからバフだろバフ!

FHセルリーダー :そーいう科白は30越えてから使えってんだ

久外境耶 :うわ〜トシヨリみてえな台詞

久外境耶 :夜目子の半眼どんどん閉じてってしまいにゃ何も見えなくなるぜ

“ミッドナイト・アイ” :
   ロール
人から役割奪わないでくれる…

“ミッドナイト・アイ” :
「…実際…老若男女問わず邪魔なら縊り殺す、向上心剥き出しの癖に賢しくあるべき時は賢しいって聞いていた…」

“ミッドナイト・アイ” :
「尚且つ家に忠実な人間の末路は…。
 うん…」

“ミッドナイト・アイ” :
「やっぱり死んだことにしよう…。
 改名して」

FHセルリーダー :
「さっきから厄介ファンみたいなことしか言われないんだけど」

“パラディン”的場啓吾 :
「トトロとかどうだ」 

FHセルリーダー :
「存在しねえって言いてえンすかこのダブルクロス」

久外境耶 :ダッハハハハハ あなたトトロって言うのね(裏声)

久外境耶 :「え〜まじでカッケ〜。リーダぁ、リーダー返してくれよ〜。会いてえよ一桁のほう〜」

SYSTEM :
 それはとても運がいいことなんだよ 
 でも いつも会えるとは限らない

SYSTEM :
 余談ながらトトロの与太話には、実は死神でした、なんていう根も葉もない都市伝説がある。パラディンが口出しした理由は永遠の謎だ。

SYSTEM :
 そしてリーダーの過去の経歴と“一桁の方”のやらかしを、片や永遠に塩対応の声、片や定番めいた口調で喋り出す殺人上等組織の和やかな黒歴史公開処刑も、ただ一点───いちばん見込みのあったコ───については、その“パラディン”含めて誰も触れることなく。

久外境耶 :
 ゲラゲラ笑いながら、ふと。
 死なれたら届かねえんだよなと、そんなコトを思った。

久外境耶 :
 だから、まあ。言えなかった言葉を届けられたあいつは、ちゃんと報われたんだろう。
 幸運の徴が、もっと良い目があってもいいだろうとは憤った以上に。

久外境耶 :「……そういやさあ」

久外境耶 :
「リーダーのキルリーダー時代はわかったけどさ? んじゃなんで止まり木なんてしてんの。隠居だけならもっと楽な手あんだろ」

SYSTEM :
 死んだものに何かが届くことはない。
 至極当然の話。

 揶揄った男も、そこにあったはずの死んだ夢には触れず。
 情など必要とあらば踏み潰せる女さえも口にしない。
 思い入れとはまた別。永遠に燻ることを択んだ火に種火を投じたりはしないだけだ。

FHセルリーダー :
「止まってるキミがそれ言うとはね」

久外境耶 :「止まってっからだよ」

FHセルリーダー :
「半分晒し刑、半分はまあ。
 老後のシュミ代わりさ」

“ミッドナイト・アイ” :
「この来るもの拒まず去るもの追わず我関せずが…?
 その年で老後を見据えるのが早すぎる…早死希望も大概にした方がいい…」

FHセルリーダー :
              コイツ
「やっぱり怨みあるよねオレに後輩。
 そういう話。第一さあ…」

FHセルリーダー :
「この元上司、楽許してくれそうな顔してる?」

“黒き力”ヴィカラーラ :
「あら、私は限りなく甘い対応だったと思うのだけどね」

FHセルリーダー :
「易しくなかったんすよコレが〜
 じゃあはい バリア貫通無効ゲームセット」

久外境耶 :チッッッッ打ち止めか いずれ破る

久外境耶 :「ど〜りで急に仕事も振られるワケだ。パラディンまじで巻き込まれじゃんな」どっ

“パラディン”的場啓吾 :
「それが悪いことばかりじゃないぞ。
 バカンス帰りで貸し一つだ」

“黒き力”ヴィカラーラ :
「あらあら。あなた、元巣の地位感覚が抜けてないのね。
 転職後のキャリアーを誇るのもその辺にしておきなさい」

“パラディン”的場啓吾 :
「ハハハ。感覚抜くために強情ったんだろう?
 期待しているぞ、我らがリエゾンロード様」

SYSTEM :
 元日本支部最強とFHリエゾンロード最右翼のにこやかな刃物の突きつけ合い。

 つまり「おまえ自分に貸し作れるほどエラいつもりか?」と「博士相手に落ち目のリエゾンロード様がまた敵作っていいのか?」の、冗談半分の揺すり合いを“巻き込まれ”への所感の感想とする。

久外境耶 :ワ〜ハハ じゃれ合いのレベル高え〜

久外境耶 :な〜レンチンのポップコーンまだ残ってたっけ

FHセルリーダー :1d2 2で残ってっけど報告の場で堂々食う度胸ある? (1D2) > 1

FHセルリーダー :残念だったな こないだ帰還報告喰いながらやったボケの腹の中だ

久外境耶 :クソッ名前を書いても食われる修羅の国 おれもやるのでイーブンとしてやろう

SYSTEM :ちなみに

SYSTEM :1d2 2で常習犯である。 (1D2) > 2

SYSTEM :
 そのボケは常習犯である。

 美味しいところを掠め取る手癖の悪さ、
 元々はその疑惑の濡れ衣で落ちぶれたチルドレンが開き直った姿だ。通称”ラット”。

SYSTEM :
 …閑話休題。

“黒き力”ヴィカラーラ :
「ま、それはいいわ。
 リュウグウジマの一件、ご苦労様」

“黒き力”ヴィカラーラ :
「例の大型レネゲイド反応と一緒に“喚楽の人喰い虎”がキレイに消えた…
  ミッドナイト・アイ
 “夜目代わり”の目撃証言のおまけつきではね。眉唾物も現実のもの、ハナ明かして全取りなら上等としましょう」

“黒き力”ヴィカラーラ :
「もとはと言えば、メモリの輸送依頼…。
 あれにちょっかいを出した余分だもの。

 強さの行く先の一つがそんなものなら、手に入っても用はなし。
 スキに扱い、スキに留めていいわ」

SYSTEM :
 ところで。
 あなたが一切聞かなかった「3つ目」の理由である。

 彼女がメモリの輸送依頼に手を出したという、事の切欠だ。

“パラディン”的場啓吾 :
「博士への掣肘癖が収まっていないと見える。ヘルタースケルターまで使ったんだってな」

“黒き力”ヴィカラーラ :
「ええ。分不相応な余所者って、どの社会でも歓迎されることの方が稀ではなくて?」

“黒き力”ヴィカラーラ :
「まあそういうわけ…。
 あれのはじめの依頼先ね。
 ・・・・・
 猿山の大将だったのよ。あなたの”ジンクス”でも働いたのかしら? 追撃が掴んだのはダミー、本命は輸送に成功」

“黒き力”ヴィカラーラ :
「これが経験上気になってね。
 割り込んで掠め取った結果が…リュウグウジマのコードネームと、そこに潜り込んだオーヴァードの話だった」

“黒き力”ヴィカラーラ :
「その遊び序でに、過去の興味に決着がついて全取りなら文句はないってことよ」

“パラディン”的場啓吾 :
「翌日、博士の餓鬼共に死体をつつかれていたりな。
 そうしたら火葬でもしておくか」

“黒き力”ヴィカラーラ :
 レイス
「亡霊の名を畏れるべきは10年前までの話よ」

SYSTEM :
 とまあ、そこはあなたの島の内側には特に関係のない余談。

 “ラッキージンクス”と、もう片方のかわいそうなジンクスの相乗作用の結果、送り届けられるはずだったデータを、コードウェルの名前“だけ”でちょっかいを出した結果…。
 本来は彼の手元の見張り役に向けられるはずの仕事が、あなたにお鉢が回って来た、という。ちょっとした余談だ。

久外境耶 :
「……ガチ?」

 だとしたら相当ツイてる。元を正せばもっと上の、ハカセ的にシンライセーのある大物に行くはずだった仕事をおれが運でかっさらっていったかたちだ。
 嫌がらせ込みとはいえ、"パラディン"が駆り出されたのも合点がいく。

久外境耶 :
「んで──結果は全員総勝ち。各々気分よく終わってメデタシ。御伽噺のしめくくりには相応しいオチがついたっつーワケですね」

 まあ一名例外いっけど! ワハハ

FHセルリーダー :めでたしめでたしで終わらなかった例外に言うことはないかねキミ

久外境耶 :続編にご期待ください!

FHセルリーダー :人魚姫に2はないんだよなァ〜

SYSTEM :
 とまあ、概ね気分よく終わって目出度し。
 恙無く。事も無く。
 ユメ
 欲望に掠る掠らないはさておいて、
 気分がいいとは重要なファクターだ。

“黒き力”ヴィカラーラ :
「ええ。大した幸運の徴ね。けど…」

“黒き力”ヴィカラーラ :
 .マンティコア
「“喚楽の人喰い虎”は確かに、強さを求めた先の一つだったわ。

 その経緯や真相、起源は未だブラックボックスでもね」

“黒き力”ヴィカラーラ :
「倒したのなら、ふふ…」

SYSTEM :
 やはりニホンにアンテナの一つも貼っておくのは正解ね、などと。
 聞く相手によっては誉れ、そうでなかった場合はちょっと面倒な気持ちになりそうな、上機嫌なヴィカラーラのひと言。

 リュウグウジマの御伽噺。海の彼方に還った孤独の末路。
 名も証も残らない方については、あなたが語ろうとしなかったなら槍玉に挙がるまい。ましてや、それを強さの一つとして蒐集することも適うまい。

SYSTEM :
 概ね勝利。それごと昇華される。
 あとは押し付けられた仕事分の対価、止まり木の目に見える証拠となるだけだ。

久外境耶 :
 ぞっとしない空気を感じるが、まあ。これで今後ともゴヒーキにしてくださるなら、おれはラッキー。
 挑むべき死はどこにだって転がっているが、おれの手の届かない仕事をヴィカラーラは持ってこれる。

久外境耶 :
 ……仕事はこれで終わり。
 為すべきは為し、言うべきは言った。

 要らぬ語りで眠りを妨げる理由もなし。
 だいいち。また会うのだから、魔の差す余地だってない。

久外境耶 :……。せっかくだし、おれも余分をひとつ。

久外境耶 :
「たしかに"喚楽の人喰い虎"はバカみてーに強かったですケド」

久外境耶 :
「勝ち負けだきゃー性能一辺倒じゃどうにもならねえってね。だから、最後まで立ってたおれの勝ちです」

久外境耶 :
              イチゼロ
「弱者にもワンチャンあるから生き死にはたのしーんです」

 あんときまで勝負にもならなかったから、
 あいつは、そんな単純も知らなかったんだろうな。

SYSTEM :
 最後に立っていた方を勝ちとするならば、確かにそうだ。
 
 ただ強いだけのものが生き残るほど、生きることは甘くない。
 そもそも………イチゼロの境目がシンプルだったならば、この世は人間より先に収めるべきものがいただろう。

“黒き力”ヴィカラーラ :
「ふふ…恐竜の領分は勝ち負けにはないと。
 悪くない勝ち誇りね」

“黒き力”ヴィカラーラ :
「いいわ。今のを成果と受け取りましょう。
 ナンセンスの受容の違いが時として勝敗を分かつのが、オーヴァードというものなのですからね」

SYSTEM :
 ナンセンス
 余分で括ったものの有無を、彼女は笑いながら勝因と敗因に定めた。

 余分とは、他人のものに限ることではない話だ。

“黒き力”ヴィカラーラ :
「ではね。再び四つ葉を見つける時まで」

“ミッドナイト・アイ” :
「………」

“ミッドナイト・アイ” :
「次ニホンに来た時、骨が残っていたら教えて…」

FHセルリーダー :
「ちなみにどっちの?」

久外境耶 :「どっちの?」

“ミッドナイト・アイ” :
「両方…」

SYSTEM :
 不死は島での言葉を実践するし、
 憧れの残骸は恐らくカタチも遺さず粉砕するだろう。そんな顔をしている。

SYSTEM :
 ………とはいえ。
 その執着が仕事に影響することが何もないから、彼女はそういう役割を任されている。

 寄らば大樹の陰を地で行き、自分の属するものが最強であればそれでいいのが彼女だ。

SYSTEM :
 ヴィカラーラと共に、ゲート一つ開いて去っていく暗殺集団。
 先に帰った一山幾らの者ども含めて、彼女ら彼らが一堂に会することは当分ないだろう。 

SYSTEM :
 …当然のように後に残された“パラディン”が、やれやれとばかりに肩を竦めた。

“パラディン”的場啓吾 :
「さて…ではお開きというところか。
 貸しを貸しと思って貰いに行かねばならんらしい」

SYSTEM :
 つまりこの後冗談半分の揺すり合い第二ラウンドが始まるわけだが、それはこれから過ぎていくこと。
 少なくとも、あなたには関係のない余談だ。

“パラディン”的場啓吾 :
「悪くない夢だった。
 久々の、贅沢だったが…」

“パラディン”的場啓吾 :
         ユメ
「やはりまだ自分の欲望には手が届かんな。
 おまえはどうだった?」

SYSTEM :
 光の速さでも追い付かない、星のように遠い未踏の夢。

 彼方にあるものに手を伸ばすのだろう聖騎士の成れの果てが、去り際に問いかける。

久外境耶 :
「そーだな……」

 手のひらに視線を落とす。空の手に。

久外境耶 :
「おれも、まだ届いちゃいない」

 いずれ暴力の中で死ぬだろう。死に挑み続けるかぎり、末路は決まっている。だが、かまわない。好きなように生きて力尽きた結果なら。

久外境耶 :
「けど……あの海で見た夢が、おれを生かすから」

 拳を握る。かたちのないものを懐くように、強く。

久外境耶 :
「生きてりゃ、いつかが来るさ。おれにも、あんたにも」 
 
 手は彼方へ、貪欲に執拗に伸ばされ続ける。この瞬間、生きてるかぎり諦めることのできない者同士の微かな共鳴があった。

SYSTEM :
 …それは未踏の夢。

 夢の終わりを見届けた者の、未だ果たせない名残のための後日談。
 ある生き物が、決まっている末路を臨みながらと走っていったように。

 ひとつのまぼろしを永遠に未踏にした男が、いずれ辿り着くものの過程を笑う小僧に言葉を残す。

“パラディン”的場啓吾 :
「それでも、いつかは。か」

“パラディン”的場啓吾 :
「───まったく上出来だ」

SYSTEM :
 今生にてその名残を感じ取ることはないもの/なれどいつかは、また会うもの。
 光の速さでも追い付けない時の彼方を、男たちがふと想う。

 確かな縁のかたち。または、誇りのかたちである。
 ならば男は、その贅沢を認めるように薄く笑って背を向けた。

SYSTEM :
 かつて同じところにいた。

 奈落を覗いた者と、奈落から出ずる者。
 背を向けた男の言葉少ない同調と共に、彼もまた去っていく。

 嘗ての誇りの証は、次に肩を並べて戦った時に振り抜かれることは恐らくないだろう。
 例外がない限り使われないのが、その分厚いやいばに載せられた、“聖騎士”の最後の誇りのあかしであるからだ。

SYSTEM :
 ………生きていれば、いつかは。
 置いて行かれたものの今度こそを願う言葉。

SYSTEM :

 ────エンディング/HO2『未踏』

SYSTEM :

 HO2『Three-legged〜一期一会のパートナー〜』
                  ───了

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・EDシーン4「淡雪」

SYSTEM :
【Check!】

 エンディング/HO3を開始します。
 暫くそのままでお待ち下さい...。

SYSTEM :
 総評。
 難しい任務ではなかった。

SYSTEM :
 それを過去形にした発端はまたもやアクシデントだったが、
 アクシデントの対策もなかった。
 チルドレンには荷の勝ち過ぎる“任務”の始まりだ。

SYSTEM :
 日本でありながら日本でもない気候と空気を浴び。
 過去の名残を安らぎの籠に戻し、
 無双の魔獣ごと海の彼方に別れを告げて。
 彼は千葉県K市の子供達/ともだちを無事に事もなく日本に帰した。

“ナイトホーク”の行いは概ね及第点。または合格点の帰路である。

SYSTEM :
 ただ…。
 ・・・ 
 あなたの目的はそうでありながら、それだけでもなかった。

 敗北した人間にも困ったことに明日が来るならば。
 その逆も然り。勝利してめでたしで終わるのは、童話だけの話。

SYSTEM :
【エピローグ03:淡雪】

 登場PC:荻野目旭
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-“リヴァイアサン”霧谷雄吾
 カヴァー/ワークス:UGN日本支部長/UGN支部長
 性別:男性 年齢:34 侵蝕率:30%
 シンドローム:ソラリス
 
 UGN日本支部の若き支部長。
 穏やかで冷静な物腰だが、信念と情熱は人一倍強く、やや理想主義的な部分を持つ。
 柔軟性と決断力に富む行動派だが、中枢評議会の意向に反する決断も少なくない。

 初代UGN日本支部長、轟木源十郎に己の理想を見出していた霧谷は、当時の経験と教えを活かして支部長として立ち回る。
 日常の世界を守り、オーヴァードと人間の共存する世界を作る──。
 UGNの創立理念と轟木の遺志を胸に、彼はいまも理想を追っている。

“リヴァイアサン”とは何もかもを呑み込み、自らの力とするその姿勢から来るコードネーム。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 チルドレン、エージェントの共通項。
 彼らがUGNを必要とするのか、
 UGNが彼らを必要とするのかはさておくとしても、だ。

 そこにいる以上、戦って倒してハイおしまい、次に行きましょうでコトが終わらない。

SYSTEM :
 したがってあなたは千葉県K市の学生のカヴァーを一時的に(あるいは、引き続きの役目を“ハイウインド”に任せてそれきり)離れ、その市の支部にて、某分刻みスケジュールをその片鱗すら見せずに訪れた“リヴァイアサン”へ報告する運びとなっていた。

SYSTEM :
 そう、訪れて。
 しかも………。

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「この度はお疲れ様です。“ナイトホーク”。
 報告書は確かに読ませてもらいましたよ」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「少しばかり“浮いた”内容でしたが…外ならぬ現場でものを見たきみたちの言葉です」

“巌窟王” :
「………その祝辞になぜオレを?」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「不用心だと貴方が仰るから。
 厭気が勝ってもいないでしょう?」

SYSTEM :
 しかも。
 N市の仕事帰り、何を思ったかリヴァイアサンがエージェント“巌窟王”を伴って──大義名分は彼がN市の留守だったという部分───の、デブリーフィングだ。
 
 島のどこかであなたが交わした約束のことなど露知らずの男が、先に届いた報告書から何を予期したのか、偶然なのかは想像にお任せする。

荻野目 旭 :「まあまあ! お忙しい霧谷さんの時間をまとめて報告で短縮できるんだからいいじゃないですか」

“巌窟王” :「…フン」

“巌窟王” :
「で…御伽噺が御伽噺にやられる一歩手前だったと聞いたが」

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :「それは〜……」

荻野目 旭 :
「おおむねおっしゃるとおりなんですけど……。
 要旨は報告書のとおりなんですが、書けない話もあったもので、実質的にはこれのぉ」

荻野目 旭 :「1.5倍ってとこです」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「1.5倍ですか…」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「あの量の…日本支部長務めて以来、いつでもどっしりと構えていたいところですが」

SYSTEM :
 ハハ…と苦笑い。
 書けない話、が何を意味するかも分かっている、オーヴァードの世の中が“予想内”で済むことなどたいしてなかった男の軽口。

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「とはいえ、めでたしだったとするならば、その後に良からぬ続編を作らせないのも我々の仕事ですしね。
 余白に書けなかった部分も、伺えますか?」

荻野目 旭 :「…………。…………はい」

荻野目 旭 :
 報告書に書いたのは主に三廻部さんに関すること。
 遺産と適合したこと、その代償のこと、万が一があった場合なにが起こるか。
 それからリュウグウジマにまつわる事件の中核をなした、ホオリノミコトさん夫妻とホデリさんの話だ。

荻野目 旭 :
 その中には当然、トヨタマノヒメさんの依頼によって形を成した木口さん──もとい龍さんのことも、池田さんのこと、
 『彼女』に関することや“蝕みの君”、“渇望喰い”のことも含まれる。

荻野目 旭 :
 書いてないことっていうのは当然、僕らにとってあんまり望ましくない協力者の話。
 組織の代表のもともとはともかく、現在はどっちつかずの組織であるゼノスからやってきたシホさん(と、相当な大物にあたる“タイガーアイ”)の話は報告書に入れてよい範囲だと思ったけれど、
 やむを得ない呉越同舟だからって、リエゾンロードお抱えのチルドレンと、あのふたりを傘下に入れたって話はかなり危うい。

荻野目 旭 :
  超大物から出た裏切り者 UGNの汚点
 つまり“パラディン”と、“ラッキージンクス”だ。

荻野目 旭 :「……いちおう、紙にはまとめてきたんですけど。やめておいたほうがいいと思ったのでファイルからは抜いてます」

荻野目 旭 :
 言いながら紙を差し出す。
 書いてあるのは“ミッドナイトアイ”“パラディン”と“ラッキージンクス”──
 境耶くん、プロジェクト・アダムカドモンの元実験体の話だ。

荻野目 旭 :「イレギュラーな事態だからって、現場判断で融通きかせたつもりですけど……予想外もいいとこのメンツでした」

SYSTEM :
 報告書の内容は多岐に渡った。

 ひとつだけでも巷で起き得るFH絡みの事件になることが、あのまぼろしの島には無数に転がっていたからだ。
 
 まさに枚挙に暇がない、というもの。
 霧谷雄吾───“リヴァイアサン”の職務は、そうすることが日常を守ることに繋がると信じた者の決定を覆させないことにある。

 オーヴァードを、強いと弱い/便利かそうでないで語るだけの世界にしないことが。

SYSTEM :
 だが、ならばこそ。その話題は表に残してはいけない。

 パラディンの存在も然ることながら、アダムカドモンが残した爪跡は比較にならない。

 かつて、そのデータを日本支部長として“解いてはならない”と戒めた男の顔は、瞑目と共に重い頷きを見せた。

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「その者からは…いえ。過ぎたことですね。
 私が何を言ったところで弁解にもなりません」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「ですが、表沙汰にも出来ません。

 次のアダムカドモンを繰り返さないためにも、何より…」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「大人のいる時ならば、その判断は大人が負うべきでしょう。
 …“パラディン”についても。瑕を治す前に瑕を識って、立ち上がることは難しいですしね」

SYSTEM :
 つまるところが時期尚早。何よりも、日本支部長として判断する余地があるうちはそうするべきではないということ。

 そして、大人のいない時、そこにいたUGNのチルドレンが、何をどう判断したかを間違ったものとはさせないための彼の言葉だ。

“巌窟王” :
「………」

“巌窟王” :
「話がまことならば…存外に行儀のいい」 

“巌窟王” :
        ・・
「では、猶のこと以後はあるまいな。
 忘れておく」

SYSTEM :
 そして、そんな彼らだが…UGNに対する動きは、驚くほどフラットだったのを覚えているだろう。

 そこに憎しみさえのこらないならば、凝り固まったそれを解いて再出発などもありはしない。
 初めての邂逅で旭が感じた”別人”の所以でもある。

荻野目 旭 :「……」

荻野目 旭 :
 ラッキージンクス
「彼は『よくあるコトだ』って言ってました。
 だからって、別にホントになにも思ってないわけじゃないよね、と、思いはしますけど──」

荻野目 旭 :「本人が思うより情が深いヒトだと思ったので。それ以上のことはわかりません」

荻野目 旭 :
 お互いに触れてもいいことはないって思ったのもあるし。
 僕らのモチベに関係しない話だったから、深く話はしなかった。

 “パラディン”にしてもそうだ。
 彼が『取り返しつかないほど変わっちゃった』って僕に思わせるみたいに、あの悪ガキみたいな態度をとってた意図を聞いたことはない。
 いまの彼にとってあれが地だったのかすら。

荻野目 旭 :「でも……はい。UGNとしては、たぶん忘れていいことだと思います」

荻野目 旭 :
 だけどどっちみち、最終的にたどり着く結論というのは同じだ。
 表ざたにできる話じゃないし、彼らの『どうして』はいまのUGNにとって手に余る。
 そんなもの表に放っていいことなんてない。

 僕らはせめて叶うかぎりは善くあろうと思うけど、それを、この報告書を読む人がどう受け取るかなんてわからないから。

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「ええ、UGNとしては」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「ですが…そこに“いつかは”を付けないといけません。
 彼らはオーヴァードです。社会から遠ざけてしまったとしても、我々がUGNである以上は向き合う責任がありますね」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「…そして、その答えと時間の前までに、敵と味方のかたちだけで結論を下すというのも。
 正しくても、正しいだけですから」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「片や発端が私であり…。
 “パラディン”の一件は止められたことであるとも思うと、あまり強く言えませんが。ね」

SYSTEM :
 敵と味方で区別し、守るものを定義し、それ以外を撃つ。

 戦えない誰かのために銃を執り、それを害するものを片端から滅ぼす。
 いつからか叫ばれて来たりくつの話。否定はするものではない。

 対話のテーブルにすら立たず、もはや手遅れということになっているジャームに対して、未だ目途が立たない今は。それは正しさの一つだ。

SYSTEM :
 だが、それは今だけの話だし…。

 ましてジャームでもない者達に、その正しさは救いでも理解でもなかった。

 そうなってしまった覆水が盆に返らずとも、いや返らぬからこそ、それは避けようのない牙を剥いた罪であることを、たぶん彼は分かっている。
 その答えを模索するための時間を、今言った“正しさ”を旗印とする者たちが作らないだろうことも。

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「…彼らが呉越同舟とて共に戦ってくれたということはコインの表裏ですね」

SYSTEM :
 方針が違えばすぐさま敵となるだろう。
 その方針の所以を、少なくとも片方はUGNの暗部たるものなら知っている。

 概ね実現不可能なことも、だ。

荻野目 旭 :「それは、霧谷さんだけのせいじゃ──いえ。やめときます」

荻野目 旭 :そういうの受け入れてくれない人なことは百も承知だ。ンン、と咳払い。

荻野目 旭 :
「ただ、実際問題として……特に“ラッキージンクス”がいないと成り立たない場面は多かったです。
 正直、助かりました」

 ……いろんな意味で。
 多くは言うまい。

SYSTEM :
 報告書の内容から連想され得る限り、彼がその呉越同舟の即席チームで果たした役割は多い。たまにマイナスもあっただろうが…。

 行儀がいい、と言ったのは一般的FHと比較しての話だ。
 少なくとも、そこにいる躁鬱のかたまりのような闘争衝動を抱えた男からはそう言う話になる。

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「一期一会だったわけですね」

荻野目 旭 :「おっしゃるとおりです」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「彼のために、他のUGNの者達や、日常を生きる者たちを危害には晒せませんが………。
 書き残すことが出来ずとも、覚えておくべきでしょう」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「………そうだ。旭くん」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
        ・
「パラディンは、剣を使っていましたか?」

荻野目 旭 :「……剣ですか?」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :「ええ」

荻野目 旭 :「あの……どでかくて重そうなやつ」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「今の彼は得物を使わない。
 …という話ですが、そもそも昔から貧乏性、というか、気位の高い方でして」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「使うと欠けるから、擦り減るから、汚れるから、と…。
 彼があれを使うのは、仲間のため。その剣を振るうに足る、自分の誇りのためだけです」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
          パラディン
「だから、的場啓吾は“聖騎士”だったんですよ」

SYSTEM :
 つまりそれが変わっていないのであれば、男の性根はそのままなのではないか、と。

 アベルは”だから”取り返しがつかないと言ったが、彼は逆の言葉を示した。
 ………そしてそう見込んだものが、彼の仲間にいたのであれば。

SYSTEM :
 霧谷は懐かしさか寂寥か郷愁か、どれともつかぬ表情でふっと笑った。

 あなたの言葉を裏付けするに足る仕草を、嘗ての僚友。同じ日本支部の仲間、そして頼れる最強の守人から感じ取ったからだ。

 あるいは、先程あなたが言いかけた言葉をわざと触れもしなかった“止められたかもしれない結論”による離別の結果を含んで。

荻野目 旭 :
「僕がすぐに思い出せるのは……
 “ラッキージンクス”に言われて動いたとき。
 それから、龍さん──協力者を守ったとき……」

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :「それ以外は、思い出せるかぎり、確かに……素手だったようにも思います」

荻野目 旭 :
  聖騎士
 パラディン。
 いまは揶揄みたいに、その名前を持ち続ける人の内心は知れない。
 だけど、わかることはある。

荻野目 旭 :「……彼は」

荻野目 旭 :「ユメやホコリって言葉を、大事そうに使ってました」

荻野目 旭 :「任務中、偶然会った『協力者』を理由として僕らと一緒にいた“ラッキージンクス”のことを……気に入っていたように思います」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「夢と…誇り、ですか」

“巌窟王” :
「…報告書のリュウグウジマに…その”パラディン”の気分とやらにそぐうものはない」

“巌窟王” :
     ・・
「ならば、気分だ。
 そこに名残でも見たのだろうよ」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「ええ。…彼は、」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「たとえ敵でも、人の夢を笑ったことはありません。
 自分の中にある、命より大事なものもね」

SYSTEM :
 …現在、“ラッキージンクス”が知られているかどうかはともかく。
 知られているなら確実に、不死者の名で記録されているだろう。

 生還者と不死者を分かつものは、
 前者は素質・精神。後者は技能・体質。

SYSTEM :
 そして何よりジャームの疑惑すらかかるものだ。

 霧谷がこれを知れば、嘗て僚友だった男への信頼から、不死者の定義の修正にかかるだろう。

SYSTEM :
 彼はジャームに夢を見出しても。
 誇りを…少なくとも彼が“気に入る”誇りを見出すかは別問題だったからだ。

荻野目 旭 :「…………」

荻野目 旭 :「オトナって素直じゃない人ばっかですね」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「大人だから素直になれないんですよ」

荻野目 旭 :今回、オトナですらない人もそうだったけど

荻野目 旭 :おとなはなおさらだしな……と、この数日間を思い出す。

荻野目 旭 :「……将来の夢に、『素直な大人』って書こうと思います」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :苦笑い。

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「素直でい続けることが出来るのは、それはそれで良いことでしょうね」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「アベルくんも、どうですか」

“巌窟王” :
「話は終わりか?」

SYSTEM :…閑話休題。

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「…彼らについては分かりました。
 ですが、それを踏まえて報告書の内容に戻ると」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「………資料の、遺産を継承した子ども。
 三廻部さんと、池田さんですね」

荻野目 旭 :こくり。

荻野目 旭 :「僕の見ているかぎり、池田咲楽さんはあの事件を経ても覚醒に至っていません。……僥倖だったとは言えます」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「はい。今後も経過観察の必要はありますし…遺産の内容が知れ渡った可能性がある以上、狙われる危険性も加味する必要はあります」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「どんなものでも使いよう…。
 あれらは性質に沿う以前の出力からして、最初から土俵が違う。遺物捜索局の言葉を借りるわけではありませんが」

SYSTEM :
 つまり、家の事情についても流石に捨て置いていくわけにはいかない。
 覚醒の危険性から遠ざけつつも、うまく付き合えるように/付き合うための時間によけいなものが介在しないようにする必要があった。

SYSTEM :
 ………そして。
       ・
 池田咲楽さんは、だ。
 その資料にある通り、もう片方は不可抗力、かつ、記載されていないものによって覚醒を促され、実際に覚醒めている。

SYSTEM :
        ・・・・・
 遺産カテゴリ、祈りの造花。
 タイプ───仮称「十拳剣」。

 のちの検査にて関連性をキャッチした遺産の名前。
 確認された最新の記録は、そもそものカテゴリの発生形態にさえ該当しない異形であり、その代償は概ねある共通項を持っている。

“巌窟王” :
「孤独を終点とし、忌避するべきさだめと向き合うオーヴァードか。
 代償としてはあまりにも“まし”なサガだ」

“巌窟王” :
「………それ故、持ち主のパーソナリティに聊か問題がある。
     ・
 小僧………間はずいぶん悪かったようだな」

荻野目 旭 :「……………………それ、聞きますう?」

“巌窟王” :
「聞いてほしそうに空けてよくも言う」

SYSTEM :
 先程、アベル・デュマ・フィスはこういった。

 FHにしては行儀がいいと。フラットだ、と。

荻野目 旭 :「霧谷さんの前で言わなくて良いじゃないですかぁ」 ぶちぶち

SYSTEM :
 だがあのあまりにも特異過ぎる空間で………。
 他の参考例までもが控えめに言って“普通”とはあまりにも無縁過ぎる。
 
 しかもそれが元UGNだと吹聴されていたのならば、どうなるか…。

“巌窟王” :
「では後で取り返しのつかぬ事情になってから、期限切れの課題を取り出すスクールの学生にでもなるか?」

荻野目 旭 :「ぐうっ」

荻野目 旭 :「…………わかってます。わかってますよ」

荻野目 旭 :
「たしかに僕にとっては僥倖でしたけど、三廻部さんにとってはよい状況での覚醒とは言えませんでした。
    ・・・・・
 正直、そのふたりが僕らの痛いトコすぎましたんで」

荻野目 旭 :「……………」

荻野目 旭 :
         ・・・・・・・・・・・・
「ついでに言うと。今回対処した案件のひとつが、ちょっと同年代の女のかたちをしすぎてましたから」

荻野目 旭 :「それに強硬に対処する僕らは、よく見えないのも理解できます」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「………」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「資料にある…。『彼女』ですね」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「意志の疎通が可能なこと、明確かつ分かりやすい被害のかたちがなかったこと。
 話し合うことのできる相手と思うには十分です」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「ですがUGNの対処としては、紛れもなく阻止せねばならないことでした。

 きみの対応は“正しい”方の対応であり、実際に斃した後に”そうする”余地が残っていれば解決し得ることでもあります」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「…そうはならなかった。
 であるに、間の悪いコトとはまさしくその通りですが」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「もし…彼女がUGNを必要としなくても。
 ・・・・
 彼女たちを必要とするオーヴァードがいなくなることはないでしょう」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
    ・・・
「それが悪い人でないとも限りません。
 望む道を、望むように手を取れるものとも限りません」

SYSTEM :
 なぜなら遺産は…。

 本人が思っている以上に危険な武器であり、繰り返すように力だからだ。
 それは確実なしがらみになる。FHならば、いや、もっと上に守るべき優先順位を持つような組織ならば………もはや本人の自由意思さえ最悪無視するだろう。

SYSTEM :
 そこにアキレス腱があれば尚のことだ。

 薄氷の日常を踏み砕いて、境界線に立ったことが不可抗力にせよ。
 そこに居られる自分のために、憎まれようとも、必要とされなくても、することがあった。

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「きみがそうすることを択んだようにね」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「勿論………。
 きみのこの『彼女』に対する処置は、それだけでもなさそうですが」

荻野目 旭 :「……………」

荻野目 旭 :
「否定はしません。
 今回の案件が終わったあとも、三廻部さんは不安定なままです」

荻野目 旭 :
 ・・・・・
「超人の憂鬱っていうのかな……。
 そういう時期にあるように感じます。
 もちろん、彼女の握った遺産の特異性から……その危機感は、一点において事実ではありますけどね」

荻野目 旭 :
 自分はふつうじゃないから、もうそれまでには戻れないって話。
 自分と同じものを共有してくれる人なんていないって思う話。
 なりたてが誰しも陥る、超人って存在における最大の弊害だ。

荻野目 旭 :
「だからこそ。
 僕も、彼女とまだ一緒にいようと思ってます」

荻野目 旭 :
「僕らが彼女にどう思われているかはわかりませんけど……。
 今のトコ、僕のことはお気に召してもらえてるようなので」

荻野目 旭 :
 ……………それはそれとして。
 見事に痛いトコつかれた。ちょっと目を逸らす。

荻野目 旭 :
「……………おっしゃるとおりです。すみません。
 個人的感情でリベンジしたかった相手です」

SYSTEM :
 だからこそ。だ。
 
 縁がまた結び直せるものだと、少なくともオーヴァードは自分の立ち位置が不安定な寄り合い所帯の陽だまりと分かるのと同じように知っていくし、道はいつも不可逆ではない。

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「ええ。それがいいでしょう。
 “ハイウインド”にも暫くあの場に居てもらいます」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「………そして、あなた自身の私情も。
 UGNのチルドレンとしては、これを必ずしも“良い”とは言えませんが。

 オーヴァードだって人間です。
 自分の感情に蓋をしては、立ち行くものも立ち行かない」

SYSTEM :
 個人的感情の逆襲ほど、
 敵を倒すのに原動力になるものはない。

 たとえばさだめさえ、その炎は焼いてみせるだろう。
 ………あなたのそれが、そんな昏い色を伴っていたのかは聊かに疑問の残るところではあるが、そこに安値でも無二のプライドがあったことは否定し得ない。

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「その私情を果たした“めでたし”の見返りとして、きみの当面の責任は“それ”ですね。旭くん」

SYSTEM :
 勝ち誇ることそのものを寿いた次の言葉に、彼は“ナイトホーク”と身を引き締めさせるようなワードは使わなかった。

 あなたが、コードネームでわざわざ呼ばずとも、義務を取り分けていたことを、報告書や、エージェントの相互証言から把握していたからだ。

荻野目 旭 :「……………」

荻野目 旭 :
 ………否定しない。   ロイス
 僕が胸にしまっておいた絆しのひとつは、あの日の燃えるような感情だった。

荻野目 旭 :ただ。

荻野目 旭 :
「……はい。
 正直、『やってやったぞ』って気分です。ぎゃふんって言わせました」

荻野目 旭 :
「彼女が取り返しつかなくなる前に言わせられたことには安心してます。

          ホオリノミコトサン
 ……いざってときに、不純物が混ざってましたけどね」

荻野目 旭 :「勝手やらせてもらったぶん、現実ではちゃんと励みますよ! もちろんです」

SYSTEM :
 そこに頑張りました、とも。
 よくやったとも“リヴァイアサン”は言葉を弄さない。

 あるいはそれはさっき言ったようなものだ。

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「その意気です。
 そのことを含めて、過去から地続きの、きみの行動で変えられる道ですからね」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「必ず、誰かが共に歩いてくれること。
 それが、違う理を宿した私達の、忘れてはならないことです」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「釈迦に説法だとは思いますが…。
 きみの願いと同じ道に、付き合ってくれた者への礼は忘れずに」

SYSTEM :
 霧谷は敢えてこれを言ったが、その第一人者こそが、アダムカドモン…血塗られた己の過ちの子供たちであることを、何となく察していた。

 その者にはきっと口にしたのだろうことも。

SYSTEM :
 残る報告書の見解は、それぞれに適した先に。

“渇望喰い”はロンドンきっての怪異殺したちの部署へ、“蝕みの君”はストックホルム支部へ。
 存在さえしなかった疑惑を伴う”魔獣の巣”の結論は…何を思ったか、その追跡当事者のみを経由して、イギリスのとあるものに託すカタチで。

SYSTEM :
 ゼノスの出であったという“残骸”についても、公表した以上は面識も変わって来るだろう。

 もう一度その名前でやって来たならば、彼は素知らぬ顔でUGNイリーガルとして扱うことを良しとするだけだ。

SYSTEM :
 もう一人の、何から何まで奇天烈な経歴のまま駆け抜けた男について、霧谷は何となく味わい深い顔をしていたが、代わりに………。

“巌窟王” :
「………」

“巌窟王” :
「敵に回したくない男と見える」

SYSTEM :
 …何かが琴線に障ったらしい。
 ここについては、気難しい男の気難しい共感のみを結論とする。
 あとの内容も、あなたが触れない限りは、恙無く。日本支部で共有しお膳立て出来るタスクを整えた上で、そうでないものを専門家に回す程度のものだ。

荻野目 旭 :付き合ってくれたもの、の言葉には苦笑い。

荻野目 旭 :
 そんな感じで、あとは報告書の見解が一致してることの確認だ。
 イギリスのことはやや謎だったけど、僕には判断することじゃないってことで、いったん流し。

荻野目 旭 :それはそれとして……。

荻野目 旭 :「……アベルさん」

荻野目 旭 :「面白いコトしてないときの彼とは気が合いそうですもんね」

“巌窟王” :
「顔も知らん者を想うだけ不毛だろうよ」

“巌窟王” :
「………。

 まこと必要ならば自分の命すら擲つ男だぞ。
 この前提がなかろうと、意味を見出せば同じことをする」

“巌窟王” :
「計算可にない不条理だ。
 間は悪く、敵対するものもそうだったが、悪運はあると見える」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「“想定外の内容ばかりなのによく頑張った”だそうですね」

“巌窟王” :「好きに受け取れ」

荻野目 旭 :「まあ……そうですね」

荻野目 旭 :
「あとで聞いてみたら、うちのボスと故郷同じだって聞いて……なんだかちょっと納得しました。
 ニンキョウの人って、極まるとすごいですよね」

荻野目 旭 :おほめの言葉にはへへっ。と鼻の下をこすります。へへっ。

SYSTEM :あなたのその反応にアベルは瞑目と共に鼻を鳴らし、霧谷は三度目くらいの苦笑いをした。

SYSTEM :かつて七つの丘を名乗るFH派生テロ組織の一件からもうずいぶん経つが、この気難しい弱冠20代前半が、当時のあなたを何かしら気にかけていたのは、操縦に馴れてくると判明する事実であった。

SYSTEM :
 そんな会話も、ふとスケジュールの刻限が近づいてくる。
 報告書の話すべき“余談”を話し終え、それを当事者のみの記憶に仕舞う/『ノイマン』でもある男は意図的にそれを記憶から外すと、

“巌窟王” :
「次はどこだった。“リヴァイアサン”」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :1d4
1:関東R市へ
2:N市へ
3:B市へ
4:T市へ (1D4) > 4

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「T市に。
 彼方は目下急ぎの案件もありませんが…」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「確かに、その時間ですね。
 ───改めて。おつかれさま、旭くん」

“リヴァイアサン”霧谷雄吾 :
「彼女とその周りに、昨日と同じ今日を送って貰うために。
 いつか択ぶ権利を、彼女が手に取る可能性のために。

 引き続きお願いします。“ナイトホーク”」

SYSTEM :
 あなたにはじめ、依頼をした時と同じ言葉だ。
 徹頭徹尾、彼ら彼女らの在るべき/在りたいかたちに変わりはないと。リヴァイアサンは、信頼を込めてその名を呼んだ。

荻野目 旭 :
 アイ・コピー
「了解です!
 彼女が帰りたい場所に帰れるように努めます」

荻野目 旭 :
 大きく頷く。
 これからも自分の目標とするかたちが変わらないことを、あらためて思いながら。

SYSTEM :
 頷くあなたに、霧谷は薄く微笑んで踵を返した。
 
 短いようで長いまぼろしの島に行く前。
 まことのさいわいのためにとよどみなく応えた少年の双肩を信じて。

SYSTEM :
 ………霧谷が千葉県K市の支部の会議室を後にすると、残りは席についたままのアベルだ。

 彼もまた席を立つ。
 元々の仕事を鑑みれば、次にT市に行くのか、あるいはT市に行く際の護衛は別の相手で、その引継ぎが済んでいる以上N市に戻るだけだろう。

SYSTEM :
 恐らく後者だ。
 
 もしも旭にその気がなかったら、千葉県K市に留まる理由がないなら。
 N市/家族/曰く"ねえさん”のいるところへの護衛相手が変わっていたということである。

“巌窟王” :
「話は済んだな。
 よくよく揃って律儀をする」

荻野目 旭 :霧谷さんをお辞儀して見送ります。

荻野目 旭 :「そりゃあもう。律儀するのがリヴァイアサン・スピリットですからね」

“巌窟王” :「知っている」

“巌窟王” :
「そうでもないなら…
 あの一件の対処は違っていたろうよ」

“巌窟王” :
「………まあ、いい。
 心の内までどうこうとは出来ん、身内相手の連絡は怠らんことだ」

“巌窟王” :
「顔も見ぬ信頼などは、
 傲りと然して変わらんぞ」

荻野目 旭 :「心配されてるぅ。ありがとうございます」

荻野目 旭 :「ねえさんには、派遣がもうちょっと長くなるかもしれないって連絡するつもりです。しばらくはN市とK市の往復ですかね」

“巌窟王” :
「それでいい」

“巌窟王” :
「…一丁前に背伸びしていた小僧が、島ひとつ分に集約したこれだけのFHとな。
 分からんものだが、結果は然して不可解でもない」

“巌窟王” :
「二度は言わんぞ。
 ───よくやった。

 "ナイトホーク”でないおまえに、
 敢えてこの言葉を贈ってやる」

荻野目 旭 :「………………………………」

荻野目 旭 :「…………… …………… ……………」

荻野目 旭 :おもわずうつむいて、手を差し出します。

“巌窟王” :「なんだ…その手は」

荻野目 旭 :「コート」

“巌窟王” :「………」

荻野目 旭 :「かしてください」

“巌窟王” :「一部分を訂正する」

“巌窟王” :
「───フン。背伸び癖は変わらんか」

SYSTEM :
 ふっと笑った男とて、普段ならば堂々とクリーニング代の天引きを視野に入れているところである。

SYSTEM :
 ………その背伸びの隙間に。
 男は一先ず、煩わしいもの以外を覚えないでもなかったのか。嘆息と、鼻で笑うような音と共に、その要求を聞き入れてくれたようだ。

荻野目 旭 :コートを顔に当ててしばらくずびずびします。

荻野目 旭 :…………ひとしきりずびずびしてから、かすれた声で。

“巌窟王” :「…で」

“巌窟王” :
「満足か?
 やり返しただけではなかったと見える」 

荻野目 旭 :「……………これはぁ」

荻野目 旭 :「……ぼくのひとりごとなんですけど」

“巌窟王” :沈黙は"話は聞いてやる”の意。

荻野目 旭 :
「………僕が同行してたエージェント。
 さいごには、いい顔してました」

“巌窟王” :「………………」

SYSTEM :

 ───誤解を招かぬように。
 あえて、此処で記載しておく。

SYSTEM :

 あなた以外がそれを仄めかしたならば。
 彼は迷わず抜き撃ちにて"報い”をくれただろう。

SYSTEM :
 ───どれほど不審者でも口数少なくても。

 彼は現代社会で無敵のシンドロームと、
 頭脳戦にて土俵となるシンドロームの持ち主だ。

SYSTEM :
 そして、それを己の炎のために遣うことを躊躇わぬ男。漆黒の殺意を善き道に紛れて振るう、その男こそが。

 抵触したあなたにそうしなかったこと。

 …あなたのやり返しを裏表なく礼賛した理由を想えば。
 その経緯は、何ら不自然ではない。

SYSTEM :
 …そうしなかったのは、単に。

“巌窟王” :
「そういう女だ。
 まわりが思うほど弱くない」

“巌窟王” :
「欲を言えば………いや、構わん。
 独り言に独り言で返すこともない」

“巌窟王” :
「今ので終わりか?」

SYSTEM :
 …単なる誠意と機嫌の問題だ。

 晴れやかに変えられない過去を、しかしそのままに、向こう側に歩き出した小僧への。

荻野目 旭 :
「おしまいでふ」

 ……正直、撃たれる心配はしてなかった。
 アベルさんがとても頭がいいのと同じで、
 僕はとても人の心が得意だからだ。

荻野目 旭 :
 案外、わるい反応じゃなかった。
 それになんだか、自分ごとのように安心する。
 その『同行したエージェント』の思うほど、気にかけられてないわけじゃないんだろう。

SYSTEM :
 他人事のような信頼が、
 他人事でないことを識るのは当事者だけだ。

 同行したエージェントが、折り合いをつけようと今なお努力した男の言葉としては。

“巌窟王” :
「それでいい」

“巌窟王” :
「…せいぜい励めよ」

SYSTEM :
 決して悟られるような多くを、たとえ悟っていた相手だろうと語らないことが男の誠意だった。顔も知らぬものへの決定だ。
 
 ………それが送った言葉は、二度言うまい。ただ。

SYSTEM :
 あなたの私情を、個人として褒めるわけにはいかなかった”リヴァイアサン”の名代も兼ねたその言葉。
 UGNに属する理由が、断じて思想や理念のためではなくとも、それ以外が全てでもない男からのひと時の別れ/門出の言葉/礼代わりは、いまのが最後だった。

荻野目 旭 :
 コートに思いっきり涙を吸わせながら、何度か頷く。

荻野目 旭 :
 ……考えることはいろいろあった。
 思えばいっぱいいっぱいになりながら、なんとか折り合いをつけて、
 絶対に折り合いをつけちゃいけないことにつけて走った事件だった気がする。

 最終的に、落ち着くべきところに落ち着いたとは思う。
 帰ったら言うべきことも、いまのアベルさんに対するもので全部だ。

荻野目 旭 :
 通り過ぎて振り返ってから、全部がフラッシュバックしてくるって本当だ。
 へいきなつもりでまっすぐ進んで来てても、それはとりあえず目の前のことに対応するために脳みそが平気なよう錯覚させるってだけで……。
 『よくやった』で、それが一気にちぎれた気がする。緊張の糸ってやつ。

荻野目 旭 :
 トラウマと、精神的負荷と、あと、いろいろ。
 僕自身が気負ってたところがあるのも本当だ。
 その精神的負荷をかけてきた人たちから、最終的に一番背中を押された気がするけど。……蹴り飛ばされる勢いで。

荻野目 旭 :
 ……やりたいことは、全部やりきった。
 あとは『おぼえてろよ』が本当に形になってしまうなんて馬鹿げたことさえなければ、僕はあの水底の笑顔を夢に見続けるんだろう。

 一番笑顔に見えた笑顔。
 狭い道の中を、それでも我を通しきって選びとり、
 鮮やかに消えていった、あの勝手な女のことを。

荻野目 旭 :
 白雪のように美しく、明星のように鮮やかで。
 鋼色のように煌いて、宵闇のように悍ましい……美しい怪物。

荻野目 旭 :
 あの女の淡雪のように消える記憶の中に、
 僕ってかたちのでっかい焼き印を捺せたことは……
 これからずっと抱え続けてゆく、僕のかたちない名誉、胸に留める勲章だ。

荻野目 旭 :
        重石
 それをずっと、勲章にして──
 僕は、誰かの隣人でいつづけるんだろう。
 お星さまに向かって嘆き続けることではなく、みずからを変えることを選んだ、あの夜鷹のように。

荻野目 旭 :「……いってきます」

荻野目 旭 :がさがさの声で、僕はなんとか、それだけ返した。

SYSTEM :
 変わらないものが過去ならば、
 変えられるものを未来と呼ぶ。
 かつて“リヴァイアサン”があなたに贈った言葉だ。
 過ちからの再出発を何度も続けてきたあなたには、
 ・・・
 だから当然のように明日が来る。勝っても、負けても、命ある限りは。

SYSTEM :
 それは自主的に止め得ることであるけれど。
 あの明けていく夜にたくさんの星々を見つけてきたあなたがきっと“明日”を止めることは、こっぴどい負けがあってもないだろう。
 なかったから、ここにいる。

SYSTEM :
 14年ぽっちの最悪が、雪のように溶けていく。
 溶けても、きっとその中に、残るものがあった。
 あの海の名残に合わせて、潮に呑まれても、なおも輝く、晴れやかに笑うものが。

SYSTEM :
 ………なんとも性質の悪いこと。

 それが形遺らぬあの島の“やり返し”。
 唯一無二の心に残る淡雪の中に煌めく勲章であったのだ。

SYSTEM :
 支部を出た直後。その日の白い空は、なんともよく澄み渡っていた。

SYSTEM :

 ────エンディング/HO3『淡雪』

SYSTEM :

 HO3『Utter-defeat〜命ある限りは〜』
              ───了

SYSTEM :◇ ◆ ◇


・EDシーン5「回顧」

SYSTEM :
【Check!】

 エンディング/HO4を開始します。
 暫くそのままでお待ち下さい...。

SYSTEM :
 レネゲイドが知性を持った生命体。
 その名を、レネゲイドビーイング。
 時として、人にも獣にも成り切れぬ余所者のことを指す言葉でもある。

SYSTEM :
 そのRBを、レネゲイドの先を見据えたものを束ねて作り出した組織。
 ゼノス
 来訪者───彼らは何処まで行こうとも人でない。
 せいぜい、隣人が限界だ。

 幾らでも知らねば幾らも分からぬところにいる者達は…だから人間を識りたがり、触れたがる。

SYSTEM :
 …何を考え、何を求め、何と繋がり。

 何のために生きるのか。
 何が、何を人たらしめるのか…。
 その所以さえも無自覚なことさえある中で。あの島の御伽噺はピリオドを打った。

 人の残留思念をオリジンとした孤独なる成れの果ては、徹頭徹尾ただ一人のために生きた。
 そしてそれに連なるものも、遥か昔から、ただ一つのために。

SYSTEM :
 ならば。
 それを観たあなた、それ以外を識ったあなたは───。

SYSTEM :
. これからなんのためにいきていく
 始めたものに、どんな結びをつけるのだ?

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
【エピローグ04:回顧】

 登場PC:シホ
 登場侵蝕:なし

SYSTEM :
Tips-“ロクスレイ”水崎志穂
 カヴァー/ワークス:イリーガル(マーセナリー)/UGNイリーガル
 性別:女性 年齢:25 侵蝕率:40%
 シンドローム:モルフェウス

 UGNの外部協力者。
 快活な言動でお調子者。(やや度を越した)子供好き。
 一方で銃口の先にあるものへの対応は必要以上に冷徹。

 レネゲイド解放から数年後、罹患者のひとりとなり、その際に何らかの要因で家族を失っている。
 原因はとあるジャームであり、このジャームは討伐されたものと記録があるが、
 彼女はそこに辿り着くまでの過程において日常に帰る術を失い、顔のない『名無しの狩人』と化した。
 一方でUGNのストックホルム支部、その身近な人間にだけは本名を零していたという。

 定期的にコードネームと活動経歴が代わり、
 一時期はFHにさえ身を寄せていた彼女の、最期の名前が“ロクスレイ”と考えられる。
 
 戦士の仮面を被らなければ戦士になれなかった女性とは、彼女の友人の弁。
 

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
 ところで。
 RBには、必ずやはじまりがある。

 そのものを作り出す根っこ。
 信仰、記憶、伝承、生態系、自然の動植物、なんでも構わない。
 統合するならばそれは情報だ。
 何かを根底に置いて、その上にレネゲイドは人格と暫定呼ぶべきものを作り出す。

SYSTEM :
 ………水崎志穂の終わりの記憶と混濁する。
 凍えるような風の中、孤独の夢。
 砂細工のようにもろい実感さえもない始点こそが、狩人の残骸、その影法師紛いの少女の出発点であった。

SYSTEM :
 ………繰り返し呪い飽いたことだろう。
.        オリジン
 ひどくつめたい原風景。

 それを変わらず垣間見る───。

▅█▂▇▇██▂ :
 ─────────。

▅█▂▇▇██▂ :
 ………、……………………。

 ………………。

▅█▂▇▇██▂ :
 ふわり、ふわりと空に舞う、
 白く、淡いものを仰ぎながら。

 これはいったいなんだろうかと首をかしげたのが、わたしのはじまりだった。

▅█▂▇▇██▂ :
 その白いものが肌に触れ、透明に消えていくたびに。
 わたしははじめて知る冷たさを覚えて、それからなんとか逃れようとして、身を小さく縮めていたことを覚えている。

 これはなに、なんで、どうして……
 それさえも、訳も分からないままに。

シホ :
 …………、…………………。

 その日から、毎晩だ。

シホ :
 朝日が昇り、昼が過ぎ、日が落ちて……冷たい夜がやってくるたびに。
 どこの何かすら分からない、雪の降り続ける景色を毎晩のように夢に見た。

シホ :
 どれほど厚い毛布に包まっても、癒えることはなく。
 朝日が昇ってくるたびに、私は凍えながら眼を覚ました。
 この夢を見て、寒さに目覚めるそのたびに、私は震えながらその過去を恨んだ。

シホ :

───私はどうして生まれてきたの?

シホ :
 ……それを口にしてしまったら、何もかもが終わってしまう気がして。
 随分と長いこと、怯えてきたように思う。意味もなく、果てもなく……。

シホ :
「………、……………。」

シホ :
「…………聞かなかったのも、確かに悪かったかもしれないけど。
 “タイガーアイ”め。まさか最初から、全部知ってたなんてなぁ……」

 いまや答えを得た、その寒空の先を見つめながら。
 ひどいや、なんて悪態をついて笑ってみる。

シホ :
 ……この夢が、私の原風景。
             ファンブル
 わたし/だれかにとっての致命的不運があった、その日。
 その日に消えたひとつのいのちが、最期に見た景色。

            ここ
 答えを得ても、やっぱり孤独は酷く寒い。

シホ :
……けれど、答えを識ることで/それ以外を識ることで、少し変わったこともある。

シホ :
「………………?
 なんだろ、コレ…………」

シホ :
 気がつくと、懐がなんだかほんのりと光っていた。寒色の景色の中で、あたたかな陽だまりの色。

 ───そこに手を差し入れて、取り出してみると。

シホ :
「……………あぁ、そっか」

シホ :
 ひとり       ひとり
「 独りでも、 もう私、孤独じゃないんだ。」

シホ :
 そこにあったのは、よく見慣れた色の金属片。
 消えたいのちが、さいごにひとつのいのちを守って……。
 一度は絶えたその灯火が、継がれ、託されて生まれてきた証。

 そして、あるいは──────

シホ :
 ────あの日に彼女が最後まで護ろうとした/あの日に私が求めていた、“温かさ”の象徴だった。

 降り頻る雪の中でも消えはしない、寒さに寄り添う私の灯火。

SYSTEM :

 それは。この冷たい風と降り注いでは溶けゆく淡雪を吹き飛ばすような熱ではない。
 例えばそれが集まったって、目に見えるかたちの変化を及ぼすものではない。
 暖かで仄かな光は、ひと一人分の掌に籠ったもの以上でも以下でもないのだ。

 なかったとしても。
 アナタの意味を見出した原風景が、命を隔てる停滞…あの島で何より象徴として示した死と断絶の中に、ひとつだけ色を加えていた。

SYSTEM :
 つめたい彼岸に、仮面で隠した表情の中で引鉄を弾くものの…呪いを解く魔法の名前。

 星空を飛ぶ御伽噺たち、まことのさいわいのために、真っ赤なうつくしい火になって。
 巨きくて虚ろな、明けなかった夜空を照らしていたものの小さな、凡庸な、贈り物。

SYSTEM :
 …かつてひとつが途絶え、ひとつに受け継がれたものを回顧する。

 思うに…死より何より、その生き物は熱が絶えることを畏れたのだ。

SYSTEM :
         ヒトリ
 仮面をつけねば、孤独に耐え切れず。
 仮面をつけねば、足跡を振り返り続ける女にとって。

 何より畏れるべきは、その心が風化し、白黒の停滞の中でくすんでいくことだった。
 熱を失って、白息と共に色あせていくことだった。

SYSTEM :
 ………なればそれこそ。
 淡雪に融けずに遺った、亡骸さえ置き去りにした金属片こそが。あなたの、勲章だ。

SYSTEM :
 呪い飽くほど見た、夢の終わり。
 
 どうして、の答えというにはちっぽけで。
 寒空を紛らわすにはか細いけど。
 この夢の中にいて魔が差さぬ程度の意味を伴った灯と共に、微睡みが遠のいていく。

SYSTEM :
 思うに。
 これから、の夢の栞は、その灯なのだろう───。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

SYSTEM :
『リュウグウジマ』と呼称される島。
 超巨大レネゲイドの正体と、ひとつの命題を持ち帰ったあなたは、通常業務に戻った。

 即ち怪異にとっての死神。
 独りを撃つ魔弾。
 屍の影の虚から生まれた狩人だ。

SYSTEM :
 が、それより先にやることがあった。

 帰り路にて迷わなかったのだから、
 当て付けた賢者が悪態と杖を突きながら、暖炉の傍の安楽椅子で待っているからだ。

SYSTEM :
 出迎え、または出戻り。
 仮屋代わりのゼノスの拠点………。

SYSTEM :
 目覚まし代わりに、波紋のような音が広がる。
 リュウグウジマにいた時は電子音だったが、数度の明滅を伴う"あの”宝石から零れる音は、あるいはあなただけが回顧する日常の響きだった。

タイガーアイ :
「昨日のことではあるまいに。
 迷い路を抜けるによほど苦労したか?」

タイガーアイ :
「あるいは…」

SYSTEM :
 あるいは、よほど入れ込んだものが恋しかったのか。…と。
 反響する音が、大っぴらに、あの島ぶりの会話を一方的に始めていた。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「………ん、あ…………………」

“朧の狩人/残骸” シホ :

“朧の狩人/残骸” シホ :
「…………………………」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……………うわあっ!!?」

 寝耳に『お目醒めですか?』の不意打ちコール!
 思わずがばっと古ひだソファから飛び上がる!

“朧の狩人/残骸” シホ :ソファから転げ落ちる……前になんとか姿勢を保ってセーフ!頭とか肘とか打ったけど!

タイガーアイ :
「そのあわれっぽいさま、鳩が豆鉄砲を食ったか?」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「誰のせいだッ!このっ……このっ!」

タイガーアイ :
「烏兎匆匆と呼ぶには早かろうとも
 寝床に行かずの転寝ひとつした挙句の発言がそれとは恐れ入る」

SYSTEM :ころころと抗議の反動で転がるタイガーアイ。

SYSTEM :
 余談であるが、リュウグウジマの便利な入れ物とは「隣人」の定義についてきわめて平行線的な談義をした後、円満解消したらしい。
 あの時は少し大きかったその球体も、いまではすっかり元通りである。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「ああもう、埃が……けほっ、けほっ……
 …………ちゃんと手入れされてなかったな、このソファ……」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ……まぁ確かに、この“隣人愛”の名前はまるで似つかない賢者の忠言に従っていればこうはならなかったかもしれないけど。

 いろいろ出立への準備をして、この仮拠点もそろそろ撤収仕上げという段階……ほんのうたた寝のつもりだったのが、ちょっぴり油断した。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ……そう、撤収だ。
 この部屋の密談から始まった“リュウグウジマ”を巡る旅路は、後はもうこの部屋の後始末を残すのみとなっている。

タイガーアイ :
 ハウスキーパー
「清掃員がゼノスに行き届いた時こそが、我らと人の共存共栄やも知れん。
 お主の迂闊も軽くなろうな」

タイガーアイ :
「…尤も仮に此処にソレを招いたとて、
 我らは一期一会。恩恵に与ることはなかろうがな」

SYSTEM :
 "リュウグウジマ”への旅路を示唆した切欠たるものは、あの"ディアボロス”から。
 そして、タイガーアイの言葉を切欠に、"プランナー”の意が噛んだ結果………超大型RBの探査などというお題目が、ああも肥大化したわけだったが。

SYSTEM :
 それも、此処を引き払えば平常業務。
 既に海の彼方に失せて久しいあの島での出来事は、記憶の片隅と、物的記録を除いた証拠を失う。

 ここを引き払った"次”の行先にめどをつけるころというわけだ。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「…………。
 なんというか、こう……。ここであなたと話したのがもう随分昔に感じるような……その割にはあっという間にも感じるような……」

タイガーアイ :
「時の流れを矢の如く感じるには、その年輪が聊か以上に足らぬな」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「またそんな年寄りみたいなこと言って……」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「………、…………」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「…………フフ。これじゃ戻ってきた途端、またいつも通りの調子だ」

タイガーアイ :
「我の器に宿った意識の年月はさておいて、このレネゲイドの依り代を想えば確かに年寄りであろうが…」

SYSTEM :
 ・・・
 いつもの形を薄く微笑む。
 あっという間の邯鄲のような夢から覚めてみれば、変わらずじまいの平時だ。

タイガーアイ :
「道理でもあろうよ。シホ。
 そもそも生き物として、根付き馴染んだものは仮面とて容易くは変えられぬ。仮面でない部分は猶のこと変えられぬ」

タイガーアイ :
「瞬き一つで天地をひっくり返すようなことならば、須く“誤り”であろうさ。
 我がこの反例足り得るものを知った回数は片手指までで足りるほどにな」

“朧の狩人/残骸” シホ :…………片手指のフレーズ、ツッコミ待ちなのかなこれ。

タイガーアイ :1d2 2で確信犯 (1D2) > 2

“朧の狩人/残骸” シホ :……うん、無視してやろ。

タイガーアイ :なんと。

SYSTEM :
 その”いつもどおり”が迷い路から苦労しても戻って来た証拠とばかりに。
 人から半歩はみ出た者達とRBの、数少ない共通項だ。

SYSTEM :
 ………さりとて。
 戻って来た島の記憶を片手間で片付けられるほどでもない。
 引き払う支度が名残となって後ろ髪を引けば、思うことは幾つもあろう。 

タイガーアイ :
「その赴いた“リュウグウジマ”最後の答えを、我はついに知らなんだが」

タイガーアイ :
「我が同朋。我が後進。朧の狩人よ。
 そこに望む答えはあったか」

SYSTEM :
 なんのために生きるのか。

 彼は、海鳴りの大海異の望みを識ることなく。
 いや、察することは出来てもそれ以上でなく。
 独りと独りと独りの全てを蒐集することもなく、身の丈以上の”隣人愛”の殻と共に、あの名残の屋敷で島の終わりを、UGNの者達と共に見届けていた。

SYSTEM :
 引き払いの支度がてら、まどろみから覚めたあなたの頃合いを見て。
 ふとした拍子に彼が問う。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「…………………」

 少し、崩れたままだった姿勢を正す。
 私の同朋、私の先立……私を導いた賢者に向かって。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「何を考え、何を求め、何と繋がり……
 ・・・・・・・・
 何のために生きるのか。」

 あるいは……水崎志穂は何を食べ、何を見て、何を想い生きたのか。
 ……ワタシが求めたワタシの定義は、果たしてそこにあったのか。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……あのリュウグウジマには、私が望んだ答えはなかったよ。
 “他者の答えなぞ他者の答え”───結局は、あなたが言った通りになった」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「それでも……。
 あの泡沫の島で、分かったことはたくさんあった。
 識りたかったことも、識りたくなかったことも……私が生まれてきた、その意味も。いろいろね」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「それと……これはまだ言えてなかったかな。
 ………ただいま、“タイガーアイ”。」

 この言葉が、私があの島の最後から持ち帰ったものだ。

タイガーアイ :
「───そうか」

SYSTEM :
 何のために生きるのか。

 その答えは、確かにしょせん他人の答えだ。
 あなた自身が自分の麓から虚に問いかけるための篝火であり、きっかけに過ぎなかった。

SYSTEM :
 何故を問えと、賢者は言う。
 その過程を、寄り添うような熱に傾倒していったものを。
 あるいは彼自身こそ、己の麓から虚に問いかけるための篝火を探すように。

 それを、あのような形で手にすることを想像していたものはいるまい。
 ただひとつを除いて。

タイガーアイ :
「なれば岐路を問う前に、
 先達としてこの言葉を贈ろう」

タイガーアイ :
  Welcome home     バディ
「『おかえりなさい』だ。わが同業者」

タイガーアイ :
「我にとって、あのリュウグウジマの見解に如何程の理由を見出すものかは…。
 これより先にて考えよう」

SYSTEM :
 門出をどちらにするのか、敢えて聞かずに/言わずにいたことをともかくとして。

 ただいま、に対する"おかえり”を口にしないほどの偏屈な生き物ではなかった。
 熱を持たない無機質な、隣人愛の殻を被ることすら烏滸がましいものの、あなた宛ての至近距離のメッセージ。

SYSTEM :
 乱暴に使えば、それは脳さえも干渉するオルクスのものとは無縁の、一節の言葉だ。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「…………やっぱり、なんかあったかくないや」

 当たり前のような/私には少し意外なその返答に、ほんの少しだけ苦笑する。
 熱量を持たない賢者の言葉の冷たさは……私にとっては、触れたものに凍傷を負わせる凍て付く夢の寒さとは非なる冷たさ。
 むず痒いような、こそばゆいような、そんな感じだ。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「ただ……そういうのとはまた別に、私にとっては結局わからず終いのことが多かったんだよね」

タイガーアイ :
「わからず、を語るは知恵ある者の言葉だ」

タイガーアイ :
「が、まあ良かろう…。
 我を問うたのは、始まりから数えてあの一回であったな」

SYSTEM :
 ………水晶体が等間隔で明滅する。

 友人というにも遠いが、
 観察対象と呼ぶには無機質さの足りない仄かな光源。
 それがあなたの知っている熱と同じものであろうはずはなかった。

タイガーアイ :
「知らず、を問うは人の道理。
 そして人を識る者の姿勢でもある」

タイガーアイ :
「申してみるがいいさ」

SYSTEM :
 分からずじまい、の種明かし。
 名残を片付け終える前に、岐路を決する前に、するべきことがあるとすれば、確かにそれだ。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「なら遠慮なく聞くけど……。
 ほら、“ディアボロス”の頭を覗いてリュウグウジマの話を知った前後の辺り───あなた最初に言ってたでしょ?」

回想する、曰く─── :
「クライアントの───“プランナー”の恃みもある。アタリを引かずに手ぶらで帰るわけにも行かぬな。
 続きは上役の頭に直接聞くとする」

回想する、曰く─── :
「そしてこの情報については既に“プランナー”に通してある。
 我々の同胞か、あるいは同胞ではない理性なき怪物か………。それ以前にそもそも存在するのか………」

「“プランナー”の反応は正直、我の期待通りではなかったのだが………。
 その日本近海のR反応について“無視”を決め込むことはしないという点で、見解の一致を得られたよ」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「私はあの辺りの話を聞いて……“プランナー”は“ディアボロス”の話を聞いたことで初めてリュウグウジマの存在と異変を認知したんだと思ってた」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「けれどあなたはこうも言った」

回想する、曰く─── :
「この、故意に蘇った、同じであるはずのものの記憶を携えた存在を…。
      リィンカーネーション
 どこぞでは、転生者などと嘯く」

「誰が、何の目的で試したのかまでは知らぬよ。興味もない。
 それを"プランナー”はいたく気に召さなかったようでな」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そいつを殺すための狩人を探しに来た」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「実際のところは分からないけど、私が狩人として働くことを期待していたのなら、今回その標的が“たまたま”リュウグウジマを訪れるなんて……。
 それに……あなたも知っての通り、リュウグウジマに現れた探偵『木口龍』は、“プランナー”の手引きによって送り込まれることになった"害群之马”というオーヴァードの複製体だった」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「正直、どこからどこまでが彼女の……“プランナー”が言うプランの内に組み込まれていたのか、私には全く見当もつかなくて。
 リュウグウジマについて直接喋ったあなたなら、いろいろ知ってるんじゃないかって」

SYSTEM :
 ふむ、と小さく明滅する。

 タイガーアイの反応は理解に近しい。
 なぜなら、道理ではあった。

 ことの切欠、遡れば即ちあの"データ”の奪取依頼である。”ディアボロス”をいつものように悪運と巻き込んで躍らせて、得た情報が始まりだ。

 なれどそのタイガーアイにさえ、全貌を把握し得ることの適わないのが、その“プランナー”である。

SYSTEM :
 しかし、得られた結論が、少なくとも進化への道を手繰る(彼女の目線で)微笑ましい内容でなかったことも。
 辿り着いた先にいたものから、思いもよらぬ形でプランナーの名前が飛び出したことも。

タイガーアイ :
「あれに何がどう見えているかの興味は、行動を伴にしてから失せた。

 我とて四六時中行動を伴にするわけでも、その真意を覗くわけでもないが、諧謔や善意であの生き物は動かぬ」

SYSTEM :
 タイガーアイは、少なくともプランナーと一部を共有していた。しかし。
“リュウグウジマ”に切欠を作ったことについては、彼女の中で蠢く、灰色の脳細胞の中だ。

 その一部を、タイガーアイが語ろうとする。それにて真相は闇の中…。

????? :
「そうですね。では」

????? :
「どこからどこまで、を語る後日談も。
 丁度いいころでしょう。"朧の狩人”」 

SYSTEM :
 鈴を転がすような声が響く。
 齢十代の少女の声だが、
 誰もがその字面通りの認識をしない。

 今の地面が薄氷だと知っている者達からしてみれば、特に。

SYSTEM :
 …どこからどこまで。
 それこそ今言いたくなる台詞だろう。

タイガーアイ :
「歓待の用意はしておらぬぞ。
 茶菓子もないが良いか」

"プランナー”都築京香 :
「ええ、まあ。
 それはまたの機会があれば」 

"プランナー”都築京香 :
「───はい。そんなわけで…。
 来てしまいました」

SYSTEM :
 ちょっと遊びに来ましたよ、くらいの声色で。
 いつの間にか、軽く手を振る10代。

 そいつの名前こそが”プランナー”だ。

SYSTEM :
 "害群之马”というオーヴァードに依頼を出したと"される”もので、
 あなたの生まれに関わった、人に極めて近く、限りなく遠いカタチのもの。

SYSTEM :
 ………回顧には丁度いいものが。
 図ったように、訪れていた。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「──────え」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 まるで胡蝶が舞うように顕われたのは、いままさに名前が出たばかりの……!
 彼女が顕れるときは決まってそうだ。でも断じてこんな風に、“噂をすれば影”なんてレベルで出てきていい代物じゃあない。“賢者”すらも届かない天上の視点を持つ“尊者”───

“朧の狩人/残骸” シホ :
 “いつから居たのか”とか、“いったい何をしに”とか、疑問が幾つも浮かんでは、聞くべきはそうじゃないだろうと脳内で打ち捨てる。

 何より、彼女は………
 ・・・・・・・・
 狩人を生み出した張本人──────!

SYSTEM :
 あなたにとって、“プランナー”の名前には確かにいくつかの意味がある。

 ゼノスを束ねる神算鬼謀の主。
 得体の知れないRB。
 ………そして。

"プランナー”都築京香 :
「御邪魔でしたか?」

"プランナー”都築京香 :
「きっと用事があるか、と思っていたのですが。
 ないならば、それはそれでいいでしょう」

"プランナー”都築京香 :
「またの機会に茶会の約束と、
 狩人の望むスコープの先をお話しましょう。けれど───」

"プランナー”都築京香 :
「けれど、私が自惚れていなければ。
 そうではありませんよね?」

SYSTEM :
 彼女はあなたの反応を見て悟ったようなそぶりを見せたが、実際はどうだったのか。
 来るその時から勘付いていたのか。いずれにせよ、害意のようなものはなかった。

SYSTEM :
 …つまり。
 アナタ
 狩人を自分の計画に組み込んだ女は、ことが済んだ戯れ/礼儀として、あなたのもとに訪れただけなのだ。おそらくは。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「───いえ、その……!
 失礼しました、少々取り乱してしまい」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……この度の“リュウグウジマ”を巡る案件で…………
 ・・
 再びあなたの顔を拝見することは、叶わないものと思っていましたので」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 言葉を紡ぎ出す合い間に深く息を吸い込んで……
 努めて……声色から、“警戒”の色を外す。

 ……いや、これは“警戒”というよりは、むしろ……………

“朧の狩人/残骸” シホ :
 …………深く考えるのは、よそう。

SYSTEM :
 はたしてそれが、警戒だったのか。
 そうでなければ“何”だったのか。

 ………“プランナー”はその辺りを気にする素振りもなかった。

"プランナー”都築京香 :
「では、お互い不幸中の幸いでした。
 そう思いません?」

タイガーアイ :
『変化と知性に声を弾ませるか。相も変わらず、であるな』

"プランナー”都築京香 :
「ふふ。ごめんなさい。
 あなたに恃んだ一件。きっかけは火急かつ不本意でしたからね。最悪を想定していた”はずみ”というものです」

"プランナー”都築京香 :
「…ひとつだけ先んじて述べておきますが…。
   ・・
 私は彼女があのリュウグウジマを訪れることまでは把握しておりませんでした。
 巡り合わせ、というやつですね」

"プランナー”都築京香 :
「私があなた方に恃んだお仕事は、あくまでふしぎな伝手からの"お節介”…アドバイス…概ねそう呼ぶものが悪戯でないか確かめることでしたから」

"プランナー”都築京香 :
「でも、御伽噺から帰って来たあなたは…。
 めでたしの続きを選べる立場のようです。そうでしょう?」

SYSTEM :
 少しばかり弾んだ声を鵜呑みにするならば、プランナーがリュウグウジマと"彼女”…蝕みの君を結び付けているわけではないらしい。

 それをお気に召さなかったことは事実であり、それと"あの場所”で出くわしたがための結果が、いま向けられた視線に宿る感情であることも分かっている。

SYSTEM :
 プランナーは。

 その曰く失礼も、言葉の裏に含めた意味も良しとして、望むままにすることを是としているように見えた。
 有り得ざる、望まれし、自らの虚に失った起源を求めるRBの自我と理由のためか。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ・・・・・
 巡り合わせ──────

“朧の狩人/残骸” シホ :
「──────なら」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「私が生まれてきた、私が果たした最初の意味が───偶然だったって言うのなら
 全部、ぜんぶ、偶然だったなら───!」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「…………なら。
 どうして……私を、“あの日”に………?」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 御伽噺は、幸いにも御伽噺であるままにあの島の内側で綴じられた。
     ・・・・・
 けれど、私を始めた最初の物語は……めでたしめでたしでは、まだ終わらせられない。

 私が生まれた、あの日。
 そのはじまりを聞かなければ……次の本のはじまりは、まだ開くことはできない。

 いや……そうすることもできるのだけれど。
 聞く権利が目の前にあるのなら、もうそれを臆病だけを理由にして放り捨てたくはなかった。

"プランナー”都築京香 :
「いつかは必ずそうするつもりでした」

"プランナー”都築京香 :
      ・・・
「ただ、その日取りが違うだけです」

SYSTEM :
 あなたが生まれた意味が一つなのかはともかく。そのうち、ひとつは偶然などではありませんね───と。
 朗々と鈴を転がす声。

 巡り合わせというのは、あくまで。
         ・・
 リュウグウジマで彼女を討つことになった部分。

SYSTEM :
 その“ふしぎな知り合い”の言葉で前倒しになったスケジュールだ。

 …ただ。この"プランナー”は、気付けば気付くなりに…連鎖して、彼女なりに狙っていたこともあったのだが。
 少なくともシホ相手に話すことではない。
 ・・
 それは、叶わなかったことだ。縁の弱さか、間の悪さか、遺り方の違いか。何かの理由で。

"プランナー”都築京香 :
「進化の始まりと終わりを結ぶもの。
 レネゲイドにとっての脅威………」

"プランナー”都築京香 :
「それを宿す厄災…今から10年とちょっとくらい前。
 歴史に影もかたちもありませんが、そういうものがいました」

"プランナー”都築京香 :
「彼から落ちた断片は、幸いなことにそれを宿してはおりませんでしたが………。
 ・
 彼、明らかにちょっかいとあてつけのつもりでコレを解き放ったのと………」

"プランナー”都築京香 :
「それに目を付けた者達がいましたので。

 なるべく彼女を、私が動かない形で消えるようなものにしたかったのです。
 ………北欧の地にいただれかを択んだことに他意はあっても。あなたを択んだことに、他意はありません」

"プランナー”都築京香 :
「あなたに他意があるとしたならば…。

 そこに留まった孤独を厭うひとの記憶に、そこの"タイガーアイ”が人心を見出したからです」

"プランナー”都築京香 :
「あなた自身のこころから来る言葉を聞いたことは、今までありませんでしたが………どうして、を問うならば、嘘をついても仕方のないこと。
 
 どう生きるかまではともかく、いつか廻るように”プラン”を組み込んだのは私ですよ」

SYSTEM :
.. パーソナリティ
 ひとの記憶は曖昧であっても、その場に残る。
 人々の記憶、その地に残る名残。なんだって構わないが。

 プランナーの思惑のために戯れで同道したその者が、孤独を厭いながら銃を執った娘の遺物と断末魔のような少ない後悔を目にして、識る心を見出したがため。

SYSTEM :
 ………その命の所以を、良しと喝采するのか。
 悪しと嘆くのか。

 ただ一匹の禍の落胤を消すための銀の弾丸が、それ以外を見出すのかどうか、を。
 プランナーは、そこも含めて良しと頷いて、文字通り”好きに”させていただけのこと。

SYSTEM :
 なぜならプランナーが訪れた理由は、あの時、あの場で、何らかの手を片手間でも打っておいた方が良いと、よくある出来事なりの優先度で考えたからに過ぎないからだ。

 どうして、の答えを彼女は隠すまい。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「………、……………」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ……“プランナー”の視座から見える景色は、時として“賢者”ですら雲の下を識ることの能わないほど迂遠なものだ。
 況してや、やっと自らの意志で羽撃くことを覚えたばかりの私には、彼女の言葉に知り得ないことが並ぶのは当然のことでもあって……

 だから、なんの事はない。彼女の口から告げられた真実は……
 遥かな過去に綴じられた、いつかの御伽話の内側で聞いたものと、そう大きくは変わらなかった。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「何を考え、何を求め、何と繋がり、
 ・・・・・・・・
 何のために生きるのか……」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……私は、仮面の外し方を学んだ。
    もの
 求める熱量を探して、それだって見つけられた。
 だから、私はたくさんのヒトたちと、ほんのひとときでも繋がってこれた」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「…………でも。
        りゆう
 あなたが与えた使命を果たして、
      りゆう
 私が求めた宿命を識った今…………。
 ・・・・・・・
 私が生きる意味には、すこし空白ができた」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「…………“プランナー”。
 あなたの意志が導き、“彼”が与えたこの命が。最後にひとつ、伺います。
            ・・・・・
 あなたが廻す計画は……その使い途を、私に定めるものでしょうか?」

SYSTEM :
                    もの
 生まれた意味を自覚しながら生きていける人間の、なんと少ないことか。
 そして、それを自ら定めろという言葉のなんと耳触りがよく、なんと難しいことか。

 引鉄を弾けば人を撃つ。目の前の敵を撃つ。ただそれだけに集約する者が、ことオーヴァードの中にはいる。
 命令を理由とするものだ。

 島にも、いただろう。
 もっとも彼は、そうでありながら、その者達とはあまりにも違い過ぎる劇薬だったけど。

SYSTEM :
 最後、という言葉の意味を知ってか知らずか、プランナーは一切の態度を崩さず答えた。

"プランナー”都築京香 :
「かつて、プランがひとつの地平に達した時、自分だけの欲望を持って私から離れたものがいました」

"プランナー”都築京香 :
「その欲望とも、いつかには重なる時が来ました。
 ですがそれは、私の生み出したプランの先にあるものです」

"プランナー”都築京香 :
「私はあなたの使い途を、すくなくともひとつ、定め終えました。
 そこから先を己が定義するというならば、それもまたよろしいこと」

"プランナー”都築京香 :
「その地平の先で、私とあなたの望みが廻ることがあるでしょう」

SYSTEM :
 答えはこうだ。

 生み出した一番の理由は、あなたが前倒しで果たしたのだから。
 その起源が厭と言わぬ限り好きにすればいい。
 プラン
 計画に終わりはなくとも、かつてプランを離れたものは少なくない。それがどこから、どこまで、彼女の思い通りだったのかは…あるいは、プランナーにすら分からないことだ。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「…………そう、ですか」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「ありがとうございました。
 他でもない……あなたの口から、直接。私の質問に答えてくれて」

"プランナー”都築京香 :
「幸いだ、と言ったでしょう?
 いつか、を、望む時に手にすることは、そう簡単ではありませんから」

"プランナー”都築京香 :
「では………。
 そのあなたは、これからどうしますか」

"プランナー”都築京香 :
「望もうと、望むまいと。
 回顧はいつまでも続きません」

"プランナー”都築京香 :
「けれども、そこに求めるものがあったというなら…。
 私のプランに、あなたはむすびを付けたあと、どう臨んで生きるのですか?」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「私の『これから』、それについては……」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「ここでもうちょっとだけ、“タイガーアイ”と話してみたいと思います。
 この拠点からの撤収が済んだら、彼を通じてお伝えしたいのですが……いまは、そんな答えでもいいでしょうか?」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 言いながら、軽く“タイガーアイ”に目配せ。
 “いいよね?”……なんて伝言役の事後承諾を押しつける。

SYSTEM :
 ………水晶体が一度明滅する。

SYSTEM :
 飛び立つ友人の手向けというには遠く。
 観察対象の均衡を崩さぬ計らいというには冷たさがなく。
 ただ、かつて見た名残に極めて近く限りなく遠い、後進の茶目っ気を前に、人からかけ離れたものから生まれた隣人が瞬いた。

 雪の地の名残を持つ、レッドタイガーアイに差し込む光源が仄かに、来訪者の根城を照らしている。

"プランナー”都築京香 :
「その答えに期限があるとすれば、
 あなた自身が定めるべきですね」

SYSTEM :
 良い答えです、と。
 彼女は、あなたの出した答えに一言応じた。目くばせの向こう側よりは簡潔に。

SYSTEM :
 …その答えを聞いて暫くのち…。

 多少の会話の有無があっても誤差な程度の猶予のあとに、いつの間にか神出鬼没の来訪者はその根城を後にしていた。
 数あるプランのひとつ、そのピリオドに居合わせ。見届け終えたからだろうか。

SYSTEM :
 あとは引き払うのみとなったその根城に残されたのは。
 事後承諾を押し付けた、偏屈な老賢者を相棒に持つあなたくらいのものだ。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「…………ああ、もう行っちゃったのか。
 せっかくの最後だったし、もうちょっといろいろ聞いておいた方が良かったかなぁ……」

タイガーアイ :
「ああいうものだ」

タイガーアイ :
「彼方の都合とお主の都合が重なった時に、望むまいとも、ふらりと顔を現そう」

タイガーアイ :
「………なれども"あと一刻”か。
 その余分をお主が口にしようとは」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「フフ……。
 私も少しはオトナになった、ってことかな?」

タイガーアイ :
「大人になれども、重ねた年輪の差は縮まらぬ。遠ざかりもせぬ」

SYSTEM :
 大人にとっては、子供は何時まで経っても子供である。
 人を識らねば知らない生き物/悠久を不壊ならざる不変で生きる無機生命体を起源とするものの戯言。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「正直に言えば、あのヒトのことは……ちょっぴり苦手なんだけど。
 ここで一緒に話してたら…なんだかそれも、名残惜しく思えてきてね」

 “大人”の返答には、そういうものかな、と苦笑を返す。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……私、ね。
 『そこから先は自由に決めていい』って言われて、少し寂しい気もしたけど……それと同じくらい、嬉しいって思ったの」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……リュウグウジマから還ったら、行きたいところがあったからさ」

タイガーアイ :
「付き合えと申すか。まあ、よし…。
 お主の、ひとつの結びにはこれ以上はなかろうな」

タイガーアイ :
「………あるいは”ひとつ”でもないか?
 あと一刻など、今どきの小僧小娘でも語らぬ時への未練ぞ」

SYSTEM :
 概ね"そう”だろうと思っている言葉に、彼はいくつかの諧謔を混ぜる。
 寂しさと嬉しさの答えを出すものに対して。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「─────────」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「…………いいや」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「“タイガーアイ”……
 あなたには、待っていてほしいの」

タイガーアイ :
「二度目か」

タイガーアイ :
「お主、独り旅に堪え切れるサガか?
 ………いや。巣立ちを仄めかした後でもあったな」

タイガーアイ :
「まあ…良かろう。あまり待たせすぎるな。

 言うことは、同じだ」

SYSTEM :
 帰り路にて迷わねば、
 戻る時に垣間見たものを聞かせておくれ。

SYSTEM :
 彼は粛々と、そして淡々と、異なる寿をするだろう。その果てに留まろうとも。

 何が善しで何が悪しも知らぬ赤子だったひとりの生誕を。冷たい無機質に覆われた隣人が、決して懐くことのない価値観で。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……ありがと、“タイガーアイ”」

“朧の狩人/残骸” シホ :
 いつかの雪の日に見たものの名残を持つ、レッドタイガーアイに差し込む光源を受けて……
 無機には宿らないはずの熱量を、光の中に仄かに感じながら。

 あとはもう僅かな調度品を残すばかりの部屋を見渡してみる。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 懐を探り、私は一枚の紙を取り出した。
 海底に沈んだ夢が、ただの幻ではなかったのだと私に示す、ある仁義の人が遺した誠意の証。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「……あのリュウグウジマで、私はたくさんのものを見つけて、たくさんの人と繋がってきた。
 龍さん、境耶くん、旭くん、颯ちゃん…………」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「先生も、かつての守護者も……。
 ………ノエルも、志穂も。」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「私はこれまで繋がってきた人たちに、もう一度逢いに行きたいと思う。
 ひとつずつ回って、顧みて……私が知らなかった温かさのことを、もっと知りたいと思う。識りたくないことも、全部ひっくるめて」

“朧の狩人/残骸” シホ :
「その旅で得られたもののこと、いつかあなたに報告します。
 路の途中で出逢う人たちのことも、きっと全部」

SYSTEM :
 独りの冷たさを厭うものの、
 あと一刻に望んだモラトリアム。

 繋がって来たものにもう一度会いに行く。結び終えた縁と、もう一度結ぶ旅路を語る少女を、人間の心を識るために嘗て一つの試みを行った賢者が、終わり際までただ聞いた。

タイガーアイ :
「やはり一刻ではすまぬな」

タイガーアイ :
「『何故』を問うた答えがそれならば…。
 やはり…」

タイガーアイ :
「超人などと嘯いても、
 よすが無しにはいられぬものよ。

 せいぜい、良しも悪しも学んで進め」

タイガーアイ :
「その心を、いずれ我に見せてくれ。
 我が同業者。我が後進」

SYSTEM :
 人にきわめて近く限りなく遠いもの。
 ヒトリ  ヒトリ
 断片と断片から生まれた者の。
 さだまらない夢に満ちた、島からの門出への寿のことば。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 その寿のことばを背にしながら、
   ゆりかご
 私は仮拠点の出口へと歩いていく。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 ふと、その途中に置かれていた姿見の前で足が止まった。
 この仮拠点にやってきたときから、ずっと置かれていたもの。

“朧の狩人/残骸” シホ :
 鏡の中を覗き込む。
 映り込む、ワタシではないわたしの姿。鏡の中を覗いてみても、やっぱり私はそこにいないのだけれど。

 大丈夫。今は、それすらも誇らしい。

“朧の狩人/残骸” シホ :
「───それじゃ、“いってきます”!」

タイガーアイ :
.. いってらっしゃい
「『Have a nice trip』」

SYSTEM :
 ………水晶体が一度明滅する。

SYSTEM :
 心は記憶にこそ宿り、記憶は関わりの内に在る。
 ゆえに人々は間に宿る関わりを尊び、関わりを喪った者たちは人を名乗る資格を喪う。
 ならば今のあなたはどちら側なのか───。

 孤独の島にて所以を知った彼女の答え。
 それを確かめるための
.       モラトリアム、
 生まれた命の猶予期間を以て、物語を結ぼう。

SYSTEM :
 あとに残された水晶体は、去り行くものの影さえも、次のはじまりに向かうまで、その背を見つめていた。

SYSTEM :◇ ◆ ◇

『青年』 :
“いつか必ず、会いに行こう。
 十年、百年、千年………どれくらいの時間が掛かってでも。
 俺は、お前の所に還るのだ”

『青年』 :
 昔の話だ。
 ひとりの女に恋をした。

『青年』 :
 煌びやかなものを見て、美しいものを知った。
 女は自分に幻想を見せた。何時までも溺れていたいような幻想を。
 そのまぼろしに別れを告げたはずの現実は。
 どうしようもないほどに、つめたいものに見えた。

『青年』 :
 …その非日常を運ぶ嵐に巻き込まれたものが。
 その境目に臨むための初心を持ち帰った。

『青年』 :
 御伽噺のような光景を前にして。
 “めでたし”の、その向こう側の息災を想っていた。

『青年』 :
 再び敗北にめぐり合ったものが。
 その手に勝利を掴んでも、なおも空色を羽搏いている。

『青年』 :
 同胞と識るべきを識ったものが。
 また明日、陽だまりの暖かさと共に飛んで行った。

『青年』 :
 その縁に引き寄せられた男が。
 為すべきことを果たして、水底のまぼろしは果てへと消え去る。

『青年』 :
 双つとなき頂。
 労したその道を、ふと降りる。

『青年』 :
 その背を見守るものは、既にかたちも失せて久しい。

 最後に残った悔恨である。
 現実によすがを持てぬもの。その排気が作った輪郭の最後に消えるのが、自分だった。

『青年』 :
 何を残せたのか、と。
 おのれに問いかける。
 
 既にない一振りを担う者の言葉を、
 よく覚えていた。

『青年』 :
「はじめて何かを遺した…」

『青年』 :
「遺したものがあったのだと分かった…」

『青年』 :
「振り返った先に、ずっとあったのだと、思い知った………」

『青年』 :
「俺は、果報者だな」

『青年』 :
 遠吠えのかたちを失った、人の声が。
 言ふべきにも非じこと、と揶揄する。

 よすがを置いて去った、巨きなもののひとかけらが。
 穏やかに微笑むまぼろしを、末期の夢と見せてくれる。

『青年』 :
 それが。
 魔の差したあの日の後悔に、何の疑問も持たない結論をつけるたいせつな幻だった。

『青年』 :
   ..  ユメ
 ──水面の空想から、醒める時だ。

SYSTEM :
 ………。
 ………、………。

SYSTEM :
 ───ホオリノミコトとホデリノミコト。

SYSTEM :
 その名を冠する者は旧い神話に残れども。
 平安時代を生きたという無双の剣士と、その兄である只人の名ではない。

SYSTEM :
 彼らの名誉と後悔にかたちはなく。
 いずれ風化していくものだとして。
 時に忘れ去られていくその出会いには、確かなあかしがあった。

SYSTEM :
 ………。
 ………、………。

“パラディン”的場啓吾 :
 夢は踏み躙っても笑わない。
 それが、かつて守護者だった男の最後の一線だった。

SYSTEM :

 ───“パラディン”的場啓吾

“ミッドナイト・アイ” :
 恙無く。世は全てこともなく、分相応に人を殺す。
 それでいい。とくに、欲望が燻らないうちは。

SYSTEM :

 ───“ミッドナイト・アイ”/本名不明

『先生』 :
 ただ出来ることをするだけの人生だ。
 超人になっても、
 自分が本当の超人と比べると凡夫なことを知っている。

SYSTEM :

 ───“ハイウインド”堂馬頼家

“イリュシデイター” :
 記憶の友達に別れを告げる。
 次に会ったあなたを、そう呼べるだろうか?

 同じ疵の仲間に別れを告げる。
 あなたの記憶で、私はちゃんと大人だっただろうか?

SYSTEM :

 ───“イリュシデイター”ノエル=ド=ヴィルフォール

タイガーアイ :
 人はなんのために生きるのか。

 レネゲイドのかりそめの命も。
 同じ命題の環を巡る。

SYSTEM :

 ───タイガーアイ

“渇望喰い” :
 望まずして孤独になり、望みを置き去ってなお続く。
 渇いた荒野に、今もなお熱を宿す。

SYSTEM :

 ───“渇望喰い”

“蝕みの君” :
 彷徨うその身は、温もりとはほど遠い地で生まれて。
 咆哮るその心は、在りもしないものにて漸く埋まる。

SYSTEM :
 
 ───“蝕みの君”

『蘆屋道満』 :
 ただ一人を屠るべく、暗闇の路を征く。
 なれども悪事、斯様にうまく運ばず。

SYSTEM :

 ───転生体・蘆屋道満

“喚楽の人喰い虎”明夜白銀 :
        ツナガリ
 はじめて出来た敗北に歓びを。
 双つと無い“いずれ”を、あの銀河の夜に想う。

SYSTEM :

 ───“喚楽の人喰い虎”明夜白銀

池田咲楽 :
 手を差し出す。
 かつて独りを強がった私から、
 いまに独りを征くあなたへと。

SYSTEM :

 ───池田咲楽

“トヨタマノヒメ” :
 出会ったことを悔いることは、
 自分だけはなかった。

SYSTEM :

 ───トヨタマノヒメ/海の巫女

『青年』 :
 今度こそを迎えた、凡庸なりし兄弟の片割れ。

SYSTEM :

 ───ホオリノミコト

『ホデリ』 :
 今度こそを叶えた、凡庸なりし兄弟の片割れ。

SYSTEM :
 
 ───ホデリノミコト

SYSTEM :

 ………そして………。

SYSTEM :
 ───三廻部 颯

 ───“ラッキージンクス”久外 境耶

 ───“ナイトホーク”荻野目 旭

 ───“朧の狩人/残骸”シホ 

 ───木口 龍/龍 嘉睿

SYSTEM :

 ───AND YOU!

SYSTEM :
【Epilogue】
 
 エンディングフェイズおよび、
 セッション全工程の終了を確認しました。

【Epilogue】

SYSTEM :


 ダブルクロス The 3rd edition
《Beyond The Sea》
 
  プレイヤー想定人数:4〜5人    
  想定経験点:172〜220点
  サプリメント適用:CRC,NC除く


              Fin.